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1969-05-08 第61回国会 参議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年五月八日(木曜日)    午前十一時二十一分開会     —————————————    委員の異動  五月八日     辞任         補欠選任      青木 一男君     後藤 義隆君      今  春聴君     高田 浩運君      津島 文治君     山本敬三郎君      大竹平八郎君     上田  稔君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         丸茂 重貞君     理 事                 青田源太郎君                 岩動 道行君                 戸田 菊雄君                 多田 省吾君                 田渕 哲也君     委 員                 伊藤 五郎君                 上田  稔君                 鬼丸 勝之君                 小林  章君                 後藤 義隆君                 高田 浩運君                 中山 太郎君                 西田 信一君                 藤田 正明君                 矢野  登君                 山本敬三郎君                 木村禧八郎君                 田中寿美子君                 野上  元君                 松井  誠君                 横川 正市君                 鈴木 一弘君                 渡辺  武君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        運 輸 大 臣  原田  憲君    政府委員        大蔵政務次官   沢田 一精君        大蔵省主計局次        長        海堀 洋平君        大蔵省主税局長  吉國 二郎君        運輸政務次官   村山 達雄君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  山口 真弘君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        国税庁直税部長  川村博太郎君        日本国有鉄道常        務理事      長瀬 恒雄君        日本国有鉄道常        務理事      長浜 正雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○通行税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  通行税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間があまりないようですから、端的に伺いますが、この通行税法改正案一つは、一等と二等を廃止したことによりまして、それで通行税が二等にはかからないから、結局、特別車にかけるということが一つのねらいなんで、それから寝台免税点を引き上げるということが二つのねらいなんですが、まず伺いたいのは、一等、二等の区分をなぜ廃止しなきゃならないか。運輸大臣に主として伺いますが、税法上ではこれからまだあと大蔵省にお伺いしますが、なぜ一等、二等を廃止しなきゃならないのか、また廃止する必要があるのか、その理由を伺いたいと思います。
  4. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私も、まあ正直言いまして、一等、二等を廃止するということは非常に画期的なことで、このことを国鉄側から提起されたときに、どうしてこういうことをやるのかということについて大臣として検討を一番要する問題だ。私ども十分に検討したと考えておりますのは、一つには、現在の二等車といいますか、これの車もだんだんよくなってきております。地方においてはそうではないところもございますけれども、だんだんよくしていっておる。そして、一方、一等車利用者というものはそうふえておらない。新幹線のようなところはまた別といたしまして、そういうような問題も出てきておる。一等、二等の設備格差縮小、それから利用者層構造変化、こういうようなことから考えて、従来の等級制を持っていって一等、二等を分けて、別個の運賃料金を調整するということはどうも実情にそぐわなくなってきておる。そこで、思い切って全部一等車をなくしてしまおう、こういうことをやったほうが実情に合致すると、こういう見地から、思い切って世界にもおそらくないと思いますが、こういうことをやろうという考え方について、私もこれはそのほうがよいと、こういう判断を下したわけでございます。  なお、その問題に関しましては、それじゃ全部いままでのなにはなくなってしまうのかということもございますが、どういうよい点があるかというと、一、二等廃止ということで一等車というのはなくなってしまうのでありますが、旧一等車と同じ車が走るわけでございますから、これらの大衆化ということが、乗客が減っていたやつが大衆化されてお客さんはふえるということを期待される。それからまた、乗車券の種類を減らすことができますので、出札業務簡素化というようなこともはかれる、こういうことになります。まあ大衆化のときにちょっと申し上げましたが、従来の一等車というものはなくなりますけれども、やはり年寄りとか御婦人とか子供とかいうなにでどうしても特別扱いにしないといけないというような御要望需要もないわけではございません。そのほかのことを勘案いたしますときに、やはり特別的な扱いというものは必要であろう。これは、いわゆる一等ということでなしに、特別な車両料金ということにしよう、こういうことに考えた、こういうことでございます。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いま伺いますと、実質的には同じなんですね。同じ車が走るのでしょう。名称は変えても、実体は同じなんです。いまお話を伺いますと、大臣もびっくりしたそうですが、この区別がないというのは世界的にないというんですけれども、こういう画期的なことをやる政策につきましていろいろ理由を伺ったわけですが、ずいぶん御答弁が苦しいようなんで、何か一等大衆化されるなんといういかにも民主的なようなことを言っておられた。そうじゃないんでしょう。実際は、もっと実質的にこれを廃止しなければならない、国鉄運輸政策上あるいは運賃政策上の必要があったのじゃないか。そのことをもっとはっきりずばり言うべきですよ。何だかいかにも国鉄民主化あるいは大衆化をはかるがごとき説明をしているのですけれども実体は同じ車が走るのじゃないですか。それじゃ特別料金は取らないならいいですけれども、取るのでしょう。それで特別車というのを走らして、それにまた通行税というものがかかるわけなんでして、ただ、いままで運賃そのもの通行税がかかったのを、今度は特別車料金だけにかかる。だから通行税も安くするわけなんですが、実際は安くしなければ困る経済的理由があるのであって、そういうことをもっとずばりとはっきり言われたほうがいいと思うんですよ。そういうことを言われないから、実におかしいんですよ。何だか奥歯に物がはさまったような、それであとからつけた理屈じゃないですか、いまの大臣理屈は。そうじゃなく、もっと本質的なものがあるのじゃないですか。それをもっとはっきり話をされたほうがいいと思うんですよ。いかがですか。
  6. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 別に隠しだてじゃございませんが、私も運輸大臣をやるまでに一等車と二等車の問題について特別に勉強もしておりませんから、正直に言ったわけです。私は隠しはしないんで、聞いてみますと、いま先生がおっしゃっているように、同じものが走るんじゃないか。そうすると、いままでの運賃から言うと、高くなっている。従来の考えから言うと、一等、二等ということになると、いま倍取っているのかな。今度は特別料金というのは違いますからね。そういう運賃制度から言うと違いますわね。だから、そういうところに何か隠されているところがあるんじゃなかろうかというようにお尋ねになっているように聞くんですが、これはいま現在お客さんが少ないということですね。だから、高くしてみたってお客さんが来ないということなら、これはサービスにならないんですよ。ほんとうお客さんが乗らないんですから、いまの一等には。先ほど言いましたように、新幹線のなにはまだちょっと普通と違う点がありますがね。だから、そういうことは当然勘案もされ、思い切ってやろうということを考えたのはこの点にあると私は思うんですよ。先ほど言いましたように一、二等の設備格差縮小だとか利用者層構造変化というものの中に含まれておる問題ではないか。そこで、思い切って世界でもやっていないことをやろうと。ただし、それじゃ全部なくしてしまったらいいかということになると、全部なくしてしまうということになると、やはり先ほど言いましたような要望需要もあると。だから、これは特別車両という形でやるんだと、こういうことだろうと私は思っているんですがね。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと私がおかしく思ったのは、これまでわが党の同僚委員横川さんなり野上さんが質問されて、御答弁を聞いておりますと、通行税を全部廃止しないで存続しておく理由として、負担能力があるからというんですよね。負担能力論です。まあこれは通行税が創設されたそもそもの始まりが戦時税であるということは、もう何回も質問しています。これは廃止したことがあるんですよね、一ぺん。また復活しているんですよ、支那事変で。戦時税であるからやめたらどうか、また残しておくと復活するかもしれぬから——そうじゃないんですよ。戦時税という性格じゃなく、奢侈的なシャウプ税制改正以後です。あのときに三等を廃止したんですね。一、二等だけにして、あれから奢侈的なものだということで存続の論拠を改めたんですよね。現在でも存続している理由としてそれを説明している。そうなると、ぼくはおかしいと思うのは、一等運賃が今度の改正によって下がるんですよ。安くなっちゃう、前よりも。前の一等旅客を優遇するんです。負担能力のある人を優遇するんです、そっちのほうを。通行税負担能力のある人から取るといいながら、実質的には、この表を出してもらいましたが、結局、「ひかり」に例をとりますと、東京—大阪間では六千三十円になるんですよね。現行ですと六千七百円です。安くなるんですよ。いままでのたとえば一等、二等という概念からいくと、一等車に乗る人は負担能力があるという考え方ですから、それに通行税をかけたということになっているんですね。ところが、負担能力論から言うとおかしいわけなんです、ほんとうは。同じものが走って、前よりも安くなるんですから、われわれからいえば負担能力のある人を租税理論からいっておかしいじゃないか、逆に。ところが、通行税のほうは理屈としては負担能力のある人のほうにかければいい、負担能力からいって。じゃ、全体の運賃を見ると、前より安くなっちゃっている。前の一等車の人は、前より負担が軽くなるんですよ、実際には。こんなおかしな論理ってないと思う。負担能力論を言い出せば、もっとおかしいことはたくさんあるんですよ。税法との関連あとで伺いますがね。これは、通行税が、結局、政府一般的経費の財源をまかなうためのいわゆる直接税的消費税なんでしょう。それは一般経費をまかなうんですから、ほかの全体の税の体系において考えるべきでしょう。そうすれば、所得税あるいはその他のあれで租税負担原則に基づいてこれは負担が公平であるかないかを考慮すべきじゃないか。ところが、今度の税制改正で、所得税なんか、六千万以上の人が税率がいままでより安くなっている。負担能力のある人の税金を安くしちゃう、今度の所得税改正は。ですから、そんな負担能力論じゃなくて、これはあとでつけた理屈だと言うんですよ、私は。  そこで、実際は、運輸大臣としてはもっと率直に言いなさいということは、いまの国鉄財政の行き詰まった根本原因関係があるんじゃないですか。いま、運輸大臣は、国鉄財政行き詰まり根本理由は、いろいろありますが、端的に言ってどこにあると思いますか。今後の再建との関連においての国鉄財政問題意識はどこにあるのですか。それはもうごちゃごちゃしているいろいろな理由は要らないですよ。結局、国鉄の従来のようないわゆる独占性がなくなったということでしょう。自動車とか、航空機とか、競争力低下、そこにあるんじゃないですか、問題は。これは日本だけじゃなく、諸外国でも、みんな自動車鉄道関係が、これは諸外国の例についてあとで伺いますが、私も多少資料をいただきましたから読ましていただいたんですが、とにかく諸外国日本とでは、貨物運賃旅客運賃は逆ですよね。諸外国貨物運賃はうんと多いですよ。そうでしょう。たとえば大蔵省主計官丸山君の調査したもの、これは非常にいい統計があるですね。たとえば「英・独・仏・日本国有鉄道経営状況」(一九六六年)ですが、これを見ますと、イギリスの国有鉄道は、旅客収入は一億七千九百万ポンド、貨物収入が二億七千五百万ポンド。ドイツ連邦鉄道は、旅客収入は三十一億二千七百万マルク、貨物収入は五十二億六千六百万マルクです。フランスの国有鉄道は、旅客収入が二十八億五百万フラン、貨物収入は五十三億八千六百万フラン。日本国有鉄道は、七千九百六十億の全体の収入のうち、旅客収入が五千四百八十四億円、貨物収入が二千二百億円。全く逆です。全く逆なんですよ。私は、ですから、このことは、今後の国鉄財政再建とも重要な関係があるんだと思う。この点にメスを入れないで、国鉄財政再建なんてあり得ないですよ。丸山君の書いたものを全体見まして、運賃政策だけで今後の国鉄財政再建考えるのは間違いだ。もちろん、それも問題はありますよ。今後の国鉄再建考える場合には、全体として、ことに自動車トラック航空機、そういうものとの競争関係国鉄低下ですね、それをどうして是正するか。その場合、日本と諸外国では逆なんですね。まあ、多少先進国の例を取り入れようとしておりますけれども国鉄財政再建促進協議会ですか、あそこの案を見ましても、諸外国の最近のあれは取り入れておりませんよね。競争力をつけるために、諸外国では、むしろトラックとかあるいは航空機に対していわゆる受益者負担原則を強く打ち出しているんですよ。そして、鉄道料金と、トラック航空機、そういうものの均衡を、自動車あるいは航空機のほうの負担を高めることによってバランスをとろうとする、そういうことですよ。そうなると、私は、国鉄運賃をこれからどんどん上げる——野上さんも前に質問されたけれども、今度の再建案によれば三回も上げるというんでしょう。国鉄のいまの財政行き詰まりの基本的な原因がどこにあるかといえば、競争力低下にあるんですよね。競争力低下にあって、それを是正しないで運賃をどんどん上げたら、むしろ収入は減るんじゃないか。逆に競争力低下しますから、競争力低下をどうして直すかということへ重点を置かなければならぬと思うんですよ。  そこで、伺いますが、少し横道へ入ったようですが、そうじゃないんで、あとで軌道を直しますが、(笑声)私は昭和四十一年が一番の境目だったと思うんですよね。国鉄のいままでの赤字が累積した一番のピークが昭和四十一年だった。四十一年に運賃改正をやったでしょう。あのときに定期以外の旅客は減っているんですよ。そうでしょう。その状況を話してください。運賃を上げて収入がふえるということだけは期待できない。あのときの財政制度審議会に出しました大蔵省資料がありますよ。あれを見ますと、昭和四十一年に運賃を上げたのは、貨物は十何%、それから旅客のほうは三十何%で、平均二十何%上げているんですよね。ところが、定期以外の旅客が減っているんですよ。これは非常に重大な問題を提起していると思うんです。ですから、それに示されているように、国鉄財政赤字ですね、それから財政行き詰まりは、やはり競争力低下ということに大きな原因がある、そのほかにもいろいろありますけれどもね。それがまた今度の財政再建と非常に密接な関係がある。そこのところにポイントを置かないで、それは三位一体と言っていますけれども、結局、運賃に一番重点を置いているんですから。国の支出はわずかなものですよね。そうでしょう。政府といったってわずかなものですよね。それから国鉄企業努力といったって、全体からいえば、国鉄運賃引き上げによる増収九百十億円でしょう、四十四年度は。逆に、今後は、四兆円近いものに対して、運賃値上げによって多くの部分をカバーしようとするんでしょう。ですから、いまの四十一年の運賃値上げの結果どういうことになったか、その点は大臣も検討されたと思うんですよ。
  8. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いま木村先生のおっしゃっておるところは、非常に重大なところだと私は思っています。実際は四十年に第三次長期計画というものを立てて、そのときに就任された石田さんがこれの収入運賃値上げに求めたけれども、うんと言ってもらえないので一年ずれたというふうに私は承知しておりますが、そのときにいまおっしゃるような大幅な値上げをしたが、期待したような収入が得られなかった、それは競合するものがあるからだと。これはもう私はそのとおりであろうと思うのです。そこで、今度も、運賃値上げをするのに、十年目の収支を計算することでありますから、もし国から出してくれないということでありますならば——かりにですよ、そういうふうになっておりますならば、運賃収入だけでやってみたら、計算だけでもできぬことはないわけですね。しかしいまおっしゃるような問題点がございますから、おしかりを受けるかわかりませんが、最低限度運賃値上げという形で御協力を賜わりたいということは、今度の場合にはそのことも十分考えたつもりをいたしております。それで、いまおっしゃっているように、この運賃問題というものが、ただ鉄道だけでなしに、海陸のほかの問題と同時に考えなければならぬぞというお説には、私はそのとおりだと思っている。ただ、そのことを、たとえばある党では、これは一年据え置いておいてその問にやったらどうか。また、社会党のほうでは、社会党の案を国会に御提示されておるわけでございますが、私どもからいたしますと、今日手おくれをしては根本策にならないという点。また、一方では、確かにお話がありますような考えはあるわけでありますけれども、現在、国家財政上、それはそのとおり実現できない。すでに予算は通過いたしておりますが、私どもはそこらのところを考えて提案をさしてもらった、こういうことが今度の内容の根本になると思っております。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間がないようですから、あと二つ……。  そのことは大臣もわかっていると思うのです。いま国鉄財政の行き詰まった根本原因はどこにあるか、それから今後の再建問題意識というものは非常にはっきりしていると思う。この際また伺っておきたいのは、ぼくは最後にまた質問することになっていますから、そのときにゆっくり伺いますが、寝台のほうなんですが、寝台はどうなっていますか。運賃のほうはこれで一等、二等がなくなる。それで特別車についての料金を取る。寝台のほうは一等、二等はなくならぬですね。そういうものではないでしょう。一等、二等がなくなったのに、寝台だけあるのか。いままでの一等寝台はどういう名称になるのですか。
  10. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 従来、寝台車につきましては、一等寝台、それから二等寝台、また電車寝台という区別があったわけでございますが、従来の一等寝台車につきましては同様にA寝台ということにいたしまして、それから従来の二等寝台車につきましてはB寝台ということにいたしまして、寝台料金を変えております。そこで、その寝台料金の中に、B寝台電車寝台につきましては、従来の二等寝台一定率のウエートをかけたものをもって寝台料金といたしておりますが、A寝台につきましては、先ほどもちょっとお話がございました特別車両料金相当分というものを計算上加味した姿の寝台料金ということにいたしまして、その点では、従来よりは高い寝台料金を設定するという形にしております。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 A寝台には、いままでの実質的には一等寝台であったものに、通行税はかけないのですか。
  12. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) A寝台につきましては、通行税はかかるということになります。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 B寝台は……。
  14. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) B寝台並びに電車寝台につきましては、通行税はかからないというわけでございます。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その通行税は安くなるのでしょう、いままでより。この表をいただきましたが、A寝台は、もし一等を存続すると仮定した場合には六百三十円でしょう。ところが、改正によって三百八十円、そうでしょう。もし改正しないとすれば六百三十円の税金がかかるのです。ところが、今度の改正によって三百八十円になる。何か負担力のある人に税をかけるという原則と違うのじゃないですか。
  16. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) ただいまのお話は、新幹線以外の現在線で東京—大阪間におきまして一等寝台の下段を利用した場合ということであろうと思うのでございまして、その場合に、現在は寝台料金につきましては千九百八十円でございますものが、今回の改正によりまして寝台料金が四千二百円でございます。したがいまして、寝台料金に対します通行税は、現在百八十円でございますが、今度は三百八十円になる。しかしながら、現行運賃制度にございましては一等運賃並びに急行料金寝台料金につきまして通行税がかかりますために、それがそれぞれ二百九十円、八十円、百八十円の通行税がかかりますために、通行税が五百五十円である。それが今回の改正におきましては寝台料金だけにかかるというかっこうになりますので、三百八十円になる、こういう意味でございます。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうでしょう。もし一等、二等をやめないとすれば、現状どおりとすれば、六千九百四十円ですね。それなら、通行税が六百三十円になるでしょう、もし一等やめないとすれば。
  18. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) さようでございます。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それより安くなるのですね。なぜこういうふうにするかといえば、大蔵省にぼくが要求した資料ですけれども、結局、航空運賃との競争関係にあるから、もし一等を存続しておくと航空機より高くなっちゃうんでしょう。これは「ひかり」の場合でも「こだま」の場合でもそうですよ。だから、ここに問題があるんじゃないですか。ですから、結局、国鉄競争力がとにかく飛行機に比べてもう低下してきている。現状でも何か百円ぐらいしか差がない、そうでしょう。それを今度は一等を廃止しないと、ものすごく高くなっちゃうのですね。それから寝台でもそうです。だから、問題はここにあるのであって、さっきから、一等を廃止することが、いかにも国鉄民主化とかなんとか、世界に類例のない最も進んでいることをやっているようなことを言っているけれども、そうじゃなくて、いま国鉄財政赤字の最も主要な原因であるところの競争力低下、特に自動車飛行機との間の競争力低下しているということ、そういう場合に運賃値上げ赤字を解消していこうということは矛盾しているんですよ。矛盾していますよ。この結果は、一等旅客を優遇することになるじゃありませんか。そうでしょう。むしろ全体として安くなるのですよ、前より。これが負担力のある人に通行税をかけるんだという原則と全く矛盾するのであって、つじつまが合わない。だから、そんなことを言わないで、率直に、こういった一等を廃止しないと飛行機お客さんを取られちゃうのですと、四十一年と同じように運賃収入がむしろ増加するどころか減っちゃうのですと。だから、これだけの差をつけておけば飛行機に取られない。それなら、通行税を廃止すれば、このあいだ質問がありましたが、多少でもまたそれだけ有利になるんですよ。なぜ通行税を廃止しないか、そんなら。ですから、いま聞いていますと、全く論理が矛盾しているのであって、矛盾したことをつじつまを合わそうとするから、世界にない答弁をしているんですよ。
  20. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この問題は、結局、一等廃止をなぜしたかというさっきの問題になるのではないかと思いますが、先ほど大臣からも申し上げましたように、現在の一等の利用の状況というものは、ひとり東京—大阪間の問題だけでなく、全国的に非常に利用客が伸び悩んでおる。したがって、一方、一等車という点を見てみましても、一等車はがらがらで走っていて非常にに効率が悪いという現状がございます。そういう設備の運用の非常な非能率ということが一方にあるわけでございます。何でそんなようになったかということは、一つには、現在の一等運賃並びに料金と二等のそれとの格差が非常に大き過ぎる、約二倍でございますから。そういったようなことのためにそうなっているということが一つと、利用者層というものが、昔は一等に乗る客は二等には乗らなかったものでありますし、二等の方は一等にはあまり乗らなかった。いまはその利用者層格差というものはだんだんなくなってきておるということがやはり一つあると思います。その意味では、一般のそういう格差が少なくなってきた。一方、設備という面から見ましても、二等車の設備がだんだんよくなってきまして一等車に近づいてきておるということも言えると思います。それから従来は二等が非常に混んでいたために一等車に乗るという人が相当あったわけでございますが、これも二等の輸送力の増強等によりましてその設備格差もだんだんになくなってきた、特に指定制その他によってなくなってきたというようなこともありまして、いまのような姿の一等を存続するということは必ずしも適当じゃないのじゃないか。やはり運送の対価という意味、場所と場所との間の移動の対価というものについては、これは同じ等級でするというほうが適当ではないか。あと、特別の設備のいいものについては、特別の設備についての料金を別途に設ける。今回は特別車両料金でございますが、そういう形のほうが運賃制度としても合理的ではなかろうかというような観点から、今回等級制廃止に踏み切ったわけでございます。結果的には、その結果によりまして、従来の一等と比べてみますと、そういう意味で若干その方々の負担が減少するということになりますが、それは一方利用がそれだけ大衆化してきているという現実にも合いますし、その利用の大衆化という方向も促進することができるのじゃないか、こういう考え方でございます。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 結局、実体は変わらないのでしょう。実体はちっとも変わらない。ただ名称が変わるのであって、いま走っている一等車実体は変わらないのでしょう。(「二等車も変わらぬ」と呼ぶ者あり)二等車も変わらない。ちっとも変わらない。それで、一等、二等を利用する人がもう接近してきている、大衆化していると言う。そんなら、通行税負担能力のある人にかけるという論理もおかしい。それは大衆課税になりますよ。そんなら、通行税を存続するのもおかしいわけですよね。  だから、結局、今度の通行税法改正、その前提としての一等、二等を廃止するとか、それから寝台免税点を引き上げる、簡単な法案のようですけれども、そうじゃない。これは国鉄のいまの再建と大きな関係があるのであって、国鉄財政行き詰まり根本原因ですね、いわゆる競争力低下というものと密接な関係があって、そうしてこのままでいままでの一等、二等の区別を存続しておいたその上で運賃改正をしたのでは競争力低下するから、むしろ増収ははかれないという矛盾から来ているんですよ。そうでしょう。大臣、結論はそういうことなんでしょう。
  22. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 結論はそこから出てきているのじゃないかということは、そうなるかもわかりません、事実一等車お客さんが乗らないんですからね、現実に。だから、乗らないものを走らせておくということ自体がおかしいですね。一等のいくら高い運賃をきめてみたって、お客さんが乗らなければ、これははなんにもならないわけですね。だから一等というものはなくしましょうと、こういうことが一つあるわけですね。これはそれの理由としてあるわけですね。それと、何で乗らなくなったかということについて、その言うところに競合という問題と別にして——それは飛行機がいくらたくさん人を運ぶといったって、飛行機だけでどんどん運んでおるわけじゃございませんから、飛行機もあれば、汽車もある。東京—大阪間だけじゃございませんから、飛行機の飛んでおるところは限定されておるわけです。そこで、お客さんが乗らないということは、先ほど部長も言いましたように、一等、二等料金というものがいままで日本では倍取っていた。外国では倍取っていないところもありますから、そういう問題を含んでいるのじゃないか。そういうこともいろいろ考えてみて、もうこの際一、二等をやめてしまっていいじゃないかという判断に立った。  それで、いま、列車がちっともよくなっていないという話ですけれども、全国的に一ぺんによくなっていませんけれども、確かによくなっていることはよくなっている。たとえば、このあいだ仙台からこちらへ帰ってくるときに、いわゆる二等車というのに乗りました。それで、一等車があいたからどうぞというなにがありましたけれども、だれも動こうとしないのですね。ということは、あまり変わりないんですよ、一等、二等というものが。倍かかるということになりますと、それならもう二等でいいじゃないかというお客さんも出てくるということで、それは確かにいま競合があるということが大きな問題であるぞという御指摘に対して私は決して否定するものではございませんが、そういう点をいろいろ考えて、もうこの際思い切って一、二等ということをやめようという態度に立った。  しかしながら、それじゃ全然なくしてしまったらいいかということになると、その需要というものはある。そうすると、どういうことになるんだと。同じところから同じところまで走っているのですから、そこに等級をつけるということはおかしいじゃないか。そうすると、設備費ですね、ちょっとこっちのほうがましやということですね、そういうことでいただこうと、こういう量見になっというのが今度の考え方じゃなかろうか、こう考えております。ただ、先生が言われたような競争ということがあるじゃないかということを決して私は否定するために言っておるのじゃございません。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは、運輸大臣問題意識はわれわれとかなり違いますね、国鉄再建について。競争問題は自分は否定しているのじゃないんだと、これも一つ原因考えていると言いますけれども、しかし、これが一番問題なんですよ。一番最重要なんですよ。そんな問題意識再建考えたんじゃ、ほんとう再建はできない、今後の将来を考えてですよ。  これは、大蔵省主計官丸山君が、「フアイナンス」という雑誌に書いている。丸山君は専門ですわね。これはいい論文ですよ。こう書いている。運賃だけじゃだめだと。もっと世界的な資本主義先進国国鉄問題はみんな悩んでいるわけです。そこで、最近の近代的な国鉄再建にいま苦慮しているわけですが、いろいろな対策を紹介しているわけです。なかなか示唆に富んだ論文ですし、国鉄再建の問、題に一つの参考になると思います。丸山君はこう言っています。「国鉄赤字原因は、基本的には、自動車航空機等の発達によって輸送市場における国鉄の独占的地位が崩れたにもかかわらず、国鉄の路線網、駅の配置、運賃制度、営業体制などは、国鉄が唯一の近代的輸送手段であった昔に形成されたままのもので、今日の事態に適応できなくなったという点にある。この意味で、国鉄赤字は、正に構造的な要因に根差すものといえる。」と、こう言っています。だからといって運賃を上げようという結論には賛成しないですけれども、諸外国は引き上げに重点を置いてやしません。みんな国が相当の負担をしております。問題は貨物運賃です。貨物の問題を取り上げなきゃね。その場合も、いま国鉄に乗らなくなった乗らなくなったと言いますけれども、なぜ乗らなくなったかといえば、これはやっぱり飛行機自動車に問題があるんですよ。そのときに航空機のほうの通行税をもっと上げたらどうですか、逆に。航空機に乗る人は、負担原則から言ったらもっと負担できるのじゃないか。そうでしょう。そのことによって国鉄競争力が相対的に強くなるんですよ、逆に。それからマイカー族、それからトラックですよ、大型の重量トラック、ああいうもののもっと負担をふやしてやったらどうですか。そういうことで均衡をとることによって国鉄をもっと利用させる。そういう方法もあるわけですよ、逆に。これは諸外国はそういう方向ですわね、諸外国の共通の国鉄対策の大体の方向は、こまかいことは違いますけれども。ですから、問題意識によって対策が違ってくるんです、方向が大きく。その点で私は大臣のことばじりを取り上げるわけじゃないけれども、さっき競争力の問題を否定するわけじゃないがと言われたが、そうではなくて、構造的に問題があるんだと、ここに焦点を合わせなきゃならない。そうなると、いまの一等廃止ということは、そういうところから廃止せざるを得なくなってきているんだ、競争力関係からと、そう説明するなら説明がわかるんですよ。いまの国鉄赤字関連して一等を廃止するという問題は非常に論理的にはっきりしてくるんですけれども、何か国鉄民主化とか近代化とか、そういうことを説明するからどうもおかしいんですよ。私の持ち時間がなくなりましたから、最後にその点について大臣答弁を求めます。
  24. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私は、最後に特別に運賃問題というもののつかみ方について考え方を否定するものではありませんとわざわざ申し上げておるのは、一、二等の廃止問題ということです。いま議論しまして先生から何か理屈をこじつけているみたいじゃないかということにとられたら困るので申し上げておるので、やはりこれからの国鉄再建ということに関しては、陸海空の運賃問題——具体的に言うと運賃問題になってくるわけですね。そいつをハイカラなことばで言うとイコールフッティングとか言っていますけれども、こういう問題から国鉄というものはどうあるべきか、こういう国鉄運賃というものの考え方をしなければならないんじゃないかということは、決して否定もしておりませんし、今度の再建策のやはり基本の一つになっている。そこで、いままで、たとえば四十一年——先生がおっしゃったときに、これを国鉄側政府出資に求めたわけです。しかしながら、これは、政府が、大蔵省ですが、財政当局が認めなかったわけです。それは財政当局は財政当局としての考え方、意見というものがあるわけでございますが、今度もやっておりますが、しかし、私は、今度はそうはいかぬのじゃないか、すべてのことを考えるときに。そこで、根底は財政再建推進会議の意見書によっておりますけれども、結論は、国も負担をしよう。それは国が一じゃないかとおっしゃられれば、まことにそのとおりでございますが、これは思い切った措置である、こういうことであるということを、御不満でも御了解を願いたい。反対でも、これは反対はいたし方ございませんが、早くひとつ結論を出して、まあ一方においては投資せい投資せいという御要望もあるわけです。たとえば大都市の近郊地帯におけるところの輸送を増強するために、現在の七ヵ年計画の中に入っておらないような問題でも、これはぜひ必要じゃないか、この委員会の中でこれはどうするんだということを言われるならば、これは一日も早くひとつ通さしていただいて、そして御協力を賜わりたい、こう思っておりますが、御意見に対しましては、これは出発点だと思っておりますので、今後もできるだけの努力をいたすということを考えております。
  25. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いまの問題で関連して最初に伺っておきたいんですが、航空料金の場合と比較してということだけが主たるものではないという御答弁だったんですが、このあいだの大臣答弁では、これは連合審査のときにちょっと伺ったのでは、いわゆる私鉄と並行しているところで、私鉄のほうが安いからといって国鉄側がそう大きい影響があるわけではないというような答弁のように私は伺ったんですがね。あげ足をとるわけじゃないですけれども、そういうお考えもある。そうなれば、当然航空機料金よりも高くなるけれども従来の一等のままでもよかったのではないか、こういう考え方一つ出てくるわけなんです。その辺のところを、大臣、ひとつはっきり伺わしていただきたいと思います。
  26. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いまのは、一等を置いておいていいじゃないかということですか。
  27. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そうです。
  28. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 申し上げましたように、一等を置いておきましても、お客さんが乗らないということなら、なんにもならない、こういうことにもなるわけでございます。それで、一等利用者というものが状況が変わってきた、こういうことがあるということでございますね。一方のほうは、確かに私鉄のほうは高い料金を取っておるのにやはり乗っておる、こういうことでございますね。
  29. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私鉄のほうが安い場合です。
  30. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私鉄のほうが安い、国鉄のほうが高いのに乗っておるということでございますが、一方のほうは、高い値段をきめただけで、乗っておらない、こういうことなんでございます。
  31. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それからこの値上げの問題で私は一つ御意見を伺っておきたいと思っているんですが、品川と横浜とこの間の並行路線を京浜急行が走っておりますが、この京浜急行の料金定期代で千六百三十円、国鉄が同じ区間が二千六百四十円というふうになっております。そうすると、大体差額は千円近いというような金額になってくるわけです。そんな千円というような大きな差額があるというのは、これは国民感情のほうからいえばどうも納得いかないんじゃないか。それから品川から今度久里浜まで見てみても、国鉄だと料金が二百七十円、京浜急行の場合は二百円、定期代が一ヵ月で五千五百九十円が国鉄で、京浜急行の場合は現在三千五十円というそういうことになっておりますから、差額があるわけですが、そういった例があちらこちらあるのではないかというふうに思うんですけれども、非常にラッシュアワーでもまれている現実から見ると、どうしてそれなのにまた上げるんだろうという声が出てくるのはこれはやむを得ないことだと思うんですが、そういう点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  32. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いまの問題は、非常に具体的な区間の問題でございます。それで、今度の運賃値上げの問題で、キロ当たりの単価というものを平均一五%上げたという問題と、区間のとり方というものを変えておる、こういうことからそういうふうな事態が生じておると思います。だから、いままでよりも有利になった区間もあれば、おっしゃるように不利になった点も出てくる。これはそこでごしんぼう願わなければならぬと思うのですが、高くなったことに対する御不満というのは、これは確かに物が上がるということに対しては御不満があることはやむを得ませんが、この際ひとつごしんぼうを賜わりたい、こういうふうに申し上げるよりいたし方ないと思うのであります。
  33. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そこで、千円もの差額が一ヵ月の定期代につくということになり、品川—久里浜になると約二千五百円という大きな差額が定期代に出てくるんですね。そうすると、一つは、何といっても競争力低下、モータリゼーション、そういうことで国鉄赤字がふえてきておるんですけれども、これじゃどんどんお客を取られてしまうということになりかねないのじゃないかと思うんです。これは新聞情報ですけれども、けさのあれを見ていましても、地下鉄ができたのでだいぶお客を取られているということが西船橋でしたか船橋でしたかございます。そういう点から考えても、ほんとう競争力をつけるという点の考え方としては、いまの大臣答弁だけではどうも納得できない。全体的の考え方の一五%云々ということはわかりますけれども、そういう部分的な、一番の通勤の問題に関係している、しかもそこは一番の黒字でありますだけに、こういう点については何か穴抜けを考えるとか、何か方法はできないものかですね。
  34. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) ただいま先生御指摘の、東京近郊の大手の私鉄と、それと並行しておりますところの国鉄区間の運賃が非常に大きな差異を現在でも持っておることは、そのとおりでございます。こうなったのは、実は、従来、私鉄運賃の設定の際に、国鉄運賃の並行区間というものを基準といたしまして、そうしてそれに大体において調整をとれるような設定をいたしておったわけでございますが、昨年の国鉄定期運賃改定がございまして、その定期運賃改定以来その差が非常に大きくなったということが現在のその差の大きくなった理由でございます。  そこで、同じような区間で似たような運賃の額であるということは、これは非常に望ましいことでございますが、ただ、実際には、並行区間といいましても、駅の位置とか、あるいは列車の運行のやり方だとか、その他先へ行ったところの連絡のしかただとか、いろんな点がございまして、そういったような観点がございますので、運賃の差異だけで選択が行なわれるということではないというように考えております。
  35. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 運賃の差異だけで選択はないというんですけれども、実際にこれは川崎であるとかあるいは横浜に住んでいる人に聞いてみればおわかりだと思いますけれども、京浜急行のほうがよほど速くてよろしいという声があるんです。しかも、その京浜急行のほうが安いということになって、これでは競争条件としては、はなはだ国鉄は不利な立場に立たされる。いまの乗り換えその他の問題等があるから云々だけで片づかないだろうと思う。一方は、総体的に見てどうしても上げなければななないんだから、一五%はしかたがない、現在の差額以上に差額がつくということになるんですね。そうなると、私鉄運賃を上げるのか、そうでなければ一方を下げていくのかということにならざるを得ないんです。一番国鉄に貢献しているところにウエートをかけることだけは何とかやめる方法はないでしょうかね。
  36. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この点は、お答えになるかどうかわかりませんが、結局、国鉄運賃は全国一率の運賃制度というものをとっておりまするために、同一のキロ程につきましては同一の運賃ということにいたしておりまして、そのために、一方、私鉄運賃につきましては、その会社会社によりまして会社自体の原価計算あるいは経理の状況等を見て運賃を定めるというようなことになっておりまするために、運賃の認可の時期等の違いで現在のような差が生じてきておるというわけでございまして、国鉄につきまして差別的にそういう競争区間だけを何らかの手当てをするということは非常にむずかしいことではないか、むしろ非常に問題があることではないかと、このように私ども考えております。
  37. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それなら、支社別にでも考えることはできないのかどうか。たとえば東京では、何支社と言うのか知りませんけれども、ここのところが非常に通勤輸送が多くて黒である。そこのところをわざわざまた上げる必要はないじゃないか。むしろ赤の出ているところについては値上げ率を強める。そうでないところについては値上げ率を低める。支社別に独立採算をある程度のものを考えれば、私は、料金のつくり方というものは考えることはできるだろうと思うんです。いまの並行線路一つだけぽこっと取り上げてここについてはこうしましょうということは不可能かもしれないが、支社全体というものを見てやっていくことについては、私は全国で六つだが七つだか知りませんけれども、支社ごとに料金というものをきめるということにいくのではないかという感じがするんですけれどもね。
  38. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) ただいま先生御指摘のように、支社等によりまして異なる運賃制度というものをつくることは不可能ではないと思います。また、そういうことによりまして現実のいまのような問題の解決に相当資するということも考えられないわけではないと私は思います。ただ、しかしながら、国鉄の場合に、全国に津々浦々に鉄道を張りめぐらし、その中には、もうかるところもあり、またもうからないところもあるのでありますが、とにかく鉄道を必要とする地域につきましては鉄道を張りめぐらして、そうして総合的にこれを経営していくというたてまえで、比較的運賃が安くできるような収益状況のいい支社につきましても、あるいは安くできないような収益状況の悪い支社につきましても、同じ運賃を取るという従来のたてまえでございまして、そういったようなたてまえでおりますために、現在のような支社別の運賃制度というものをつくれない、つくらないゆえんでございます。国鉄の性格から考えまして、私ども、現段階では、そういうような一率的な運賃制度というのはむしろやむを得ないじゃないかと、このように考えるわけでございます。
  39. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは、競争条件の問題から国鉄が大幅な運賃値上げをしなければならないようになってきているということなんですけれども、それから通行税の問題が出てきたわけですが、ヨーロッパの諸国の国鉄では、いままでも国庫補助というものもかなりやっているわけです。すでに実施しているように、施設費車両費、大修繕費というようなものは国庫で持っている。そういうふうにやれば、四十二年度だけ見ましても、国鉄は、赤字どころか、逆に黒字になるのではないかというように思うわけですけれども大臣もうすでに御承知と思いますけれども、ヨーロッパ諸国の国鉄に対する国庫補助というのは、異常な経営不振の際、モータリゼーションが日本と同じように進んで経営不振におちいった、それに対して、国鉄については、国民全体のものじゃないかと、そういう考えから、建設費の負担を出すとか、長期負債はたな上げするとか、こういうようなことがとられてきているわけですね。これは大蔵大臣に私は聞こうと思っていたのですが、運輸大臣自身としては、運輸省としては、こういう赤字補償、営業欠損の国庫負担、こういうようなことまでの財政措置というものを相当強く持たなければならない。今回の意見書といいますかあれだけでは私はまだ不十分じゃないかという感じもするのですけれども、そういう点についての意見というものはどういうふうになっておりますか。
  40. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 先ほどもちょっと木村先生にお答えをした中に、私は運輸という面はしろうとでございますが、石田さんがお入りになってからここずっとおやりになっているのをそばから見ておりまして、これは非常に気の毒だ、その要求はなかなかいれられないというような現状を見ておりまして、私は、四、五年前に、いまおっしゃっているようなヨーロッパの方面でとっておるような助成策というものを少しでもできないものか。たとえば、私は文教関係を少し知っておりましたので、文部省の局長に、ヨーロッパでは通学補助というものはどういうふうにやっているかというような資料をとらせまして、文部省予算で要求してみたらどうだというようなことを話をいたしましたけれども、文部省予算の中ではほかにまだやらなきゃないたくさんな要望がありますために、運輸省に対するところのための助成策というところまで手が届かないというようなこともございました。そこで、手近に言いますと、この前の四十三年度の予算の際にも、国鉄側に相当思い切った金が要るというので、一方では国鉄の納付金というものが約百三十億近い金が行っておる、これを、地方財政が少しは好転しておるのだから、この際大蔵当局と話をして、国鉄の側の予算にもらうというような考えを起こして交渉してみたけれども、これはアウトだったというようなことから、いまの国家財政下において国鉄だけそれだけの金を現金で持っていくということは、いままで、主張はわからぬではないけれどもやれない、こういうことが続いておったと私は思うのです。  そこで、このたび、何度も申し上げるようでございますが、今度はひとつ抜本的に再建策をやっていくために、四十三年度予算の審議が終わるか終わらぬかにすでにこのときは定期運賃改正をやっております。これをやっても追いつかないということをすでに判断して、根本策をひとつ考えようということで、再建のための推進会議が持たれた。この答申をもとにいたしまして、国のほうからも助成策を講じたということで、何べんも申し上げるようでございますが、もう少しやったらいいのじゃないか、これじゃ一対二対三・五じゃないかという御議論もお聞きいたすのでありますけれども、相当思い切ってやった、こういうことでひとつ御了解を願いたいと思うのであります。
  41. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いわゆる競合のモータリゼーションの進展——きのう、私は、貨物の輸送量であるとか、トンキロであるとか、旅客の人キロですか、こういうものについて申し上げたんですけれども、そういう点から見ると、道路投資は、はっきり申し上げてただで、税金で行なっておる、そこを無料で走るわけです。そういうことと競合はとてもできない。そうなれば、当然のことですけれども国鉄側に入れるべき補助金というか、ひもつきの財源的なものを、そういうような競合している競争路線ですね、競争しているもの、そういうものからは目的税的に取ることを考えなければいけないのじゃないかと思うのです。ただ現在のような何ぼ何ぼの援助というようなやり方ではなくて、はっきりとこのものについてあがるものについてはどうする、たとえば道路に対するガソリン税のようなそういう目的税でありますけれども、そのような考え方をしなければ、国鉄赤字再建云々といっても、同じことを繰り返して、また運賃値上げをやり、再びまた今度は通行税についても完全に特別車両もなくなって二等にもかけなきゃならぬというようなことになるかもしれない。そういうようないろいろな問題が起きてくるのじゃないか。きのうは開発利益のことを申し上げたのですけれども、そういうようなあれと同じ考え方というものをしなければ、国鉄自体というものはうまくいかないのじゃないか、今後も赤字というものは簡単には解消できない、こういう考え方があるのですけれども、そういう点についての運輸省としての考え方、あるいは国鉄としての考え方というものはどういうものなのか、また、どういうものを固定の財源として今後獲得していこうというお考えがあるのか、その点を伺っておきたいと思います。
  42. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 今度御提案をいたしております財政再建のための措置法というもので、国からの援助というものを法律によって担保しておるわけであります。これを実行していくことによって十年目には現在の国鉄財政は立ち直るということをもとにいたしておりますから、これを実行していくことによって国鉄財政の問題は解決できるというたてまえに立っておるということを御承知おきを願いたいのであります。  私は、毎度申し上げておりますように、たとえばいまお話の出ました競合問題に立っておる道路も、現在の姿ではもうすでに行き詰まっておる。これを解決するために有料道路というものをつくって対処していっておる。この有料道路というものが鉄道と同じような条件にあるのではないか。これに対しての国の助成は、開発銀行その他の融資を受けた場合の利子が六%になるように利子補給をしておる。国鉄の場合はそれを六分五厘にしておると、こういう問題があるわけであります。それについて、財政当局は、総資本に対する利子の率をもってすれば、現在の国鉄は一方において出資が少ないといわれるけれども、再評価して現在実際の資産というものを勘案すると、まだ国鉄というものは十分あるからということを言われて、このたびも六分五厘を五十年まで延ばすことについては合意を得ましたけれども、六分にしろということにつきましては、話の結末において私があきらめたという形で予算の措置がされておるわけであります。私は、特に大都市近郊におけるところのこれからの通勤、通学というもののことを考えますと、これらにつきましてはなお一そう努力をしなければ解決ができないと思っておりますので、これらの点については、一例をあげたわけでございますが、なお努力を続けて、より一そう効果をあげるように努力をしていきたい、このように考えております。
  43. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 財政担保の問題はいいですけれども、しかし、税収の伸びそのほかということがあったり、そのときの景気によっては右左するわけです。そうなると、私はある程度何か固定的な目的税的なものを要求なさったほうがいいんじゃないかという感じがするのですけれども、特に競合しているものについて、そこから回っていくという形があるほうが納得がしやすいわけです。これは総体的の中からのものという考え方よりもいいのじゃないかと思うのですが、大臣はそういう目的税的なものをということは現在としてはお考えになっていないということですね。  次に移りますが、公共性と独立採算制という二つの問題が国鉄の大きな矛盾であり悩みであると思うけれども、公共性と独立採算制という二つのことが、一つは政治路線そのほかについては公共性ということが表に出てくる。運賃値上げになると独立採算制ということが表に出てくる。私は、逆にしていただくのがほんとうじゃないか、こういうふうな考え方がする。だから、都合のいいように公共性と独立採算制ということをあやをかけているような感じがする。先ほど私は通勤の問題だけを取り上げたんですけれども、現在でも私鉄のほうが安いというように差があるというような矛盾もあるのですけれども、本来そういう点については独立採算よりも公共性優位ということにならなければならない。その点、利用者負担は独立採算でくる、赤字路線については公共性でいくということになると、いつまでたっても、国民の側からすれば、そのために深刻なラッシュアワーの上にさらに値上げなんですかという不満というものは消えなくなる。この点を伺っておきたい。
  44. 原田憲

    国務大臣原田憲君) やはり、国鉄の場合は、全国的な点に立った経営ということをもとにいたしておりますので、きのうも御質問が——きのうだけではございません、ずっと重なるのでございますが、原価をとるときにも、総合的に全部を一括して総合した原価主義をとるということにならざるを得ないということでございます。したがって、その問題について、個々の点について運賃をどうきめるかということは、現在の再建計画の中では考えておらないのでございます。まず、その点について、公共負担という問題を、利用者のほうで解決するか、あるいは一般の税金で解決するか、あるいはまた一般の国家財政の中で別な方法で解決するかということに結論はなってくるわけでございます。それには、何度も申し上げるようでございますが、現在提示をいたしております再建案というものをもとにいたしまして今後鈴木さんがおっしゃっておる点の公共的な点のテコ入れをできることならばやっていきたい、私はこのように考えております。
  45. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 時間があと二、三分しかありませんので、一つだけ伺っておきたいのですが、今回の値上げの問題これは一つ設備投資にかわるのであろうと私は思うのですが、本来は  私は今回の意見書を拝見いたしましたが、意見書の中で、利用債そのほかがあるということで、特別債ですか、これは五年ぐらいのものですか、そういうことで正常なルートではないじゃないか、そういう点は何とかするべきであるというようなことがうたわれていたように思うのです。本来は、独立採算ということを値上げのほうでもおっしゃられるのであれば、そのような資金というものも公開の資本市場に求めるのが当然じゃないか。その点で公社債の市場というものをもっと拡大していくという方向をとらなければいけないのじゃないかと思うのですが、そういう資本市場に求めていくというような考え方はどうなっているのでしょうか。私はもう相当積極的に求めてよろしいのじゃないかと思うのですが。
  46. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 今回の国鉄財政再建推進会議は、資金の問題につきましては、第一番に、国鉄設備投資というものが非常に懐妊期間が長くて採算性が低いという特殊性を持っているところから、できるだけこの設備投資資金については運用部資金だとかあるいは簡保資金というような財政資金の拡大ということによりまして特に長期低利化をはかる必要があるということを申しております。  それから第二に、ただいま先生の御指摘のございましたような特別債の発行というのがこの数年来行なわれておるわけでありますが、これが民間金融市場への依存度を非常に高めた結果、調達コストも上がったし、また調達量も不安定であるというようなことで、いろいろな問題が起きている。この特別債の発行というものは、政府保証債というような民間からの正規の調達方法にできるだけ直していく必要があるという御指摘がございました。  それで、今年度の予算の措置におきましても、この推進会議の趣旨にのっとりまして、政府財政資金というものも若干ふえておりますし、また、特別債を減らすという方向で資金運用の正常化というものをはかられているわけでございまして、今後の再建期間におきましてもその方向にのっとってやはり推進していかなければならぬものだと、このように考えております。
  47. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そうすると、運輸省としては、債券市場というものを極力——これは大蔵大臣に聞こうと思っているのですけれども、拡大させるということについては、積極的に意見を述べ、要求しているわけですか、その辺のところを伺っておきたい。
  48. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 簡保資金あるいは資金運用部資金というような国家財政資金というものを本体といたしまして、さらに、鉄道債券につきましても、政府保証債という最も正規なものを本体とするということによりまして、特別債というような形だとかあるいは利用債というような形というようなものはできるだけ少なくするというような方向でやることが適当である、このように考えておりまして、前に申し上げましたようなそういう財政資金の面というものをやはり強化するという方向が望ましいということで財政当局にもお願いをしておるところでございます。
  49. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そうすると、私は、これは意見が違うので大臣から聞きたいのですけれども、本来ならば、先ほども民主化という意味があって一等と二等がなくなるということであれば、資本についても民主化ということでもっともっと民間市場に資金を求めるという方向が正しいのではないかと思うのです。確かに、政府保証債の引き受け等を見れば、銀行そのほかになっておりますけれども、公開市場にどんどん出していくという行き方をとっていくほうが国民大衆の中にもよけい入っていっていいのではないかと考えるのですけれども、いまのお話だと、どこまでもできる限り親方日の丸的で行きたいという、何となく経営としてはおんぶにだっこ的というふうにしか考えられない。そういう基本的な姿勢というものがあると、ほんとう財政再建というものはできないという心配があるのですが、どうでしょう。
  50. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 金を借りるのに広く借りるほうがいいじゃないかという御意見のようでございますが、いまの国鉄に関しましては、金を広く借りることも大事ではございましょうが、それよりも良質ないわゆる利子の安い金というものを借りなければ、それが仕事の上にも財政の上にも悪影響を来たしておる、こういうことがもとにあるわけでございます。先ほど、運賃値上げしてこれはどう使われるのかということがございましたが、これももともとは利子、利払いということに使われていく金であります。元金は、もうけたらそれで借りた金を返していく、こういうことになって運営していけばうまく事業というものは経営をされていくということになるわけでございます。したがって、いま部長が言っておりますように、できれば金利の安い金をできるだけ確保したい。しかし、それには、国鉄だけではなしに、ほかからも需要があるわけでございます。いままでの国の財政投融資の中で約一割近い金を国鉄は確保してきておったけれども、だんだんその要求というものは大きくなっていく、特にそういう要望がだんだん伸びていくことでありますから、そればかりではいけない。ましてや、いままで特別債的なもので金利というものに追われておるということでございますから、政府といたしまして、政府財政資金をできるだけ国鉄に回してやる、それに対して今度はその利子のたな上げを実質的にやるという措置を別に講じたと、こういうことになっておるのでございまして、いまの国鉄にとっては、鈴木さんのおっしゃるように、広く金を集めるということをもう一つ補助的なことを考えずにやるということよりも、まず良質の金を回してやるということが大事じゃなかろうか、このように思います。
  51. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は、初めに、いまの国鉄財政に深刻な破綻をもたらした政府及び国鉄首脳の責任について伺いたいというふうに思います。これは昨日の連合審査の際にも質問いたしましたけれども、その際の大臣答弁にはほとんど納得できません。したがって、きょう重ねて伺うわけです。  きのうの答弁の中で、大臣は、責任を感じているから、だから今度出されている財政再建促進特別措置法案でやっていきたいというような趣旨の答弁をされているわけです。それで、この特別措置法案の内容を見てみますと、いわゆる孫利子方式などによって国の国鉄へのわずかな——というのは、国鉄として必要なと思われる額に比べればまことにわずかな財政支出と引きかえに、今後十年間の国鉄財政再建期間を通じて、運輸大臣のきめた基本計画に基づき、また運輸大臣の承認を受けた国鉄再建計画を、必要な場合には大臣の命令をもって実行さしていくというものだと思います。したがって、政府に強力な権限を与えて、国鉄の管理運営、財政などについてのいわば全権を直接に握るというようなものになっていると思われます。従来の国鉄に対する大臣及び政府の権限と、特別措置法案によって与えられる権限とどんなふうに違ってくるのか、その辺をまず最初に伺ってみたいと思います。
  52. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 法律的な内容については部長からまた説明させますが、責任論で、広い意味でいまの日本の行政というものの責任者は佐藤内閣だ、こういうことで責任を言われるならば、そうであると言わざるを得ない。どんなことがあっても、よく世の中でいわれるが、鶏が死んでも政府の責任かというようなことをいいますが、それがまた広い意味で責任論というならば、政治をとっておる者が一番責任というものを感じなければならん。そういう意味で私は申し上げた。国鉄の問題につきましても、いまおっしゃっているように、国鉄経営というものの責任者は国鉄総裁であります。しかし、人事は、内閣人事で、内閣が任命しておる。だから、直接の経営の責任は、へたにいってもじょうずにいってもほんとう理屈詰めでいくならば国鉄総裁かもわからない。しかし、私はそういう広い意味で政府の責任だと言われるならば、そうだと、こういう意味で申し上げて、今後国鉄がうまくいくということについて、責任の座にある所管大臣として、こういう方法でやっていくことがよいと考えておるのだということを申し上げたのであります。  なお、内容については、部長から説明させます。
  53. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) ただいま先生のお尋ねは、今度の法律によりましてどういうふうな権限が付与されているかということだとお伺いしたわけでございますが、今度の再建措置法によりまして、ごく大ざっぱに申し上げまして、基本方針の決定という措置がございまして、これは運輸大臣が案を作成いたしまして閣議の決定を求めるということでございます。第二に、再建計画の策定でございまして、これにつきましては、国鉄再建計画をつくりまして、そうして運輸大臣の承認を受けるということでございます。なお、運輸大臣が承認する場合には、大蔵大臣に協議をするということでございます。第三に、国鉄はこの再建計画につきまして、事業年度におきますところの実施状況というものに関する報告書をつくりまして大臣に提出をする。さらに、運輸大臣は、国鉄の業務運営が再建計画に適合しないというような場合におきましては、業務運営につきまして必要な命令をすることができるということになっておりまして、以上が従来の制度につけ加えまして今回とりました監督の措置の内容でございます。
  54. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまのお答えの中にもはっきり出ておりますし、また、この法案自身を読めばはっきりわかるわけでありますが、以前に比べてみれば非常に強大な権限をいわば運輸大臣が握られる。そして、国鉄の「業務の運営の基本方針」「輸送需要及び輸送力に関する事項」「輸送の近代化及び安全の確保に関する事項」「業務の運営の能率化に関する事項」「収入の確保に関する事項」「損益に関する事項」「その他財政再建に関し必要な事項」等々について、直接に命令を下して、実行を迫ることができるということじゃないかと思うのです。これは、言ってみれば、政府国鉄の経営全体に対する全面的な介入、その権限をこの特別措置法案によってつくろうとしていることじゃないかと思うのです。  ところで、これほど強大な権限を運輸大臣が握るというこの法案を国会に提出しておきながら、それじゃ、一体、今後十年間に、大臣はどういう基本計画を立てて国鉄財政再建をやるのか、また国鉄はどういう再建計画を立てるのか、こういうものについて案が何一つこの国会に提出されていないという状態だと思うのです。いま、大臣は、鶏が死んでもそれは政府の責任だというような意味からの政府の責任だということを言いましたけれども、これは全く無責任なことばじゃないですか。国鉄総裁は、確かに、閣議が決定して、政府が任命することになっております。同時に、また、運輸大臣国鉄を監督する責任を持っているわけでしょう。それは、鶏が死んだからその責任も政府が負わなければならぬという、そんなこととは違いますね。国鉄というのは国有企業です。したがって、また、政府の責任というのは非常に重要なことですよ。決して鶏が死んだから政府が責任を負わなければならぬという、そんな性質のものじゃない。そんな立場でこの国鉄の現在の財政危機の責任を負おうといったって、とうてい負い切れない。まことに無責任な話だといわなければならない。一体、今後十年間に、どんな再建計画を、もしくは基本計画を立てられるのか、その辺を聞かしていただきたいと思う。
  55. 原田憲

    国務大臣原田憲君) これはものの表現の受け取り方でこうも違うものかと私はびっくりしたのでありますが、私は、隅から隅まで何でも責任を感じるというくらいの心がまえでなければならぬ、こういうつもりで申し上げたのでして、まるきり反対に受け取られたので、これは恐縮千万でございますが、責任を回避するものではないということを申し上げて、私はざっくばらんにものを言うほうでございますから、役人さんは、とかく、どうだと言われたら、それはこうでございますということを言われるけれども、私はそうじゃない、そういう心がまえを言ったつもりなんでございまして、その点は誤解をせられないようにひとつお願いを申し上げておきたいと思います。  それからこの法律を出しておるということについての受け取り方でございますが、これも、一方において、私は、この法律を出すことによって、国の財政措置というものを担保できたと、そういう受け取り方をしているのです。たとえば、六条でございますか、七条でございますか、これなんかは、問違いなしに法律でこれだけの財政支出はするのだということをきめてあるわけです。口約束じゃないのであります。これは法律できめてある。だから、財政当局は必ずそれをやらなければならぬ。一方において、財政当局からすれば、すべての国民の税金あるいは預貯金、そういうものを出すのでございますから、それをむやみやたらに使われたら困るということを考えるのは、これは当然でございます。したがって、これに対するところの担保は何だ、こういうことからいいますと、財政推進会議の中ではもっときびしいことも言っておりますけれども、そうまでする必要はないのじゃないかと、私はそう考えて、いまの内容で十分であるという見解をとってこの法律案を出しておるのでございます。なるほど、御指摘の中には、基本計画を国鉄が受けて、そうして国鉄再建策というものを立てて、それを了承を得る、そこにはまた大蔵省まで介在をしてくるのじゃないかというようなこともございますが、それくらいみなが寄って念には念を入たものがほんとうに花が咲くのではないか。とかく野方図にするよりも、ほんとうに大蔵当局が間違いなしにこれをやりますということは、必ず成功するぐらいに思っております。特に大蔵省というのは、大蔵委員会に来てそういうことを言うとなんですが、議員さんもまじめな方が一番多く議論をされておりますし、——また間違われたら困りますが、(笑声)みんなまじめな方でございます。だから、そこらのことは、やはりここに介在することのほうがいいのじゃないか。むやみやたらに権限を振り回して、改善命令があるから、これをやれ、あれをやれ、そんなことにはならない、そんな世の中ではないと、私はそのように思っております。
  56. 渡辺武

    ○渡辺武君 大いに責任を感じておられるということで、まことにけっこうなことだと思うのです。思いますけれども、いまも申しましたように、まあ大臣の心がまえとしては、そうこの法律できめられておっても、国鉄の経営に強く介入することはないとおっしゃいますけれども、とにかく法律できめられておることは、これは非常に強大な権限を運輸大臣が持つわけですよ。確かに、この法律案に出ておりますように、国の財政措置は若干は行なわれる。しかし、これにはひもがついておる。つまり、従来以上に非常に強大な権限を運輸大臣が握って、国鉄の経営その他これに直接的に介入できるというひもがついておる。  ところで、いま私お伺いしましたように、それだけの強大な権限を与えられた運輸大臣が、今後十年間、この深刻な国鉄財政破綻についてどのような基本計画を立てるのか、あるいは国鉄がそれに基づいてどのような再建計画を立てるのか、その具体的な内容を何一つ国会に提起されていないでしょう。これで国会審議ができますか。いわばこれは白紙委任状をよこせというのと同じことじゃないですか。何をやられるかわからぬですよ。何をやられるかわからぬのに権限だけよこせというのがこの特別措置法案でしょう。こういうことじゃ審議はできませんよ、本格的に。この大蔵委員会にかかっている通行税法だって、運賃値上げから端を発して起こっておる問題だ。今後十年間どういうことをやるのか、もしこの深刻な財政破綻についておっしゃるように責任を感じておられるなら、こういう計画でこういうふうにして克服していくのだという具体案をなぜ国会に出さないのですか。
  57. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この法律案の通過を得まして国民の御承認を得ましたならば、ここで基本計画というものをつくりまして、それに従って再建計画を出してもらう、こういう手はずになっておるわけでございまして、これにはやはりできるだけ早く案をつくり上げなければなりませんが、時日を要するわけでございます。これらの具体的な問題につきましては、部長から答弁をさせます。
  58. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは法律にかかわるわけでございますが、基本方針の大きな内容といたしまして、将来わが国の総合的な交通体系の中において国鉄が果たすべき役割りはどういうものか、あるいは国鉄の近代的な経営体制の確立というものに関する基本的な構想はどうあるべきか、それから財政再建をしなきゃならぬという問題の財政再建の目標というものについてはどう考えるべきか、その目標を達成するために必要な国の施策としてはどのようなことを考えるべきか、あるいはそれに関連する国鉄の措置はどうかというものに関しまする基本的な事項というものが基本方針の中に定められるわけでございまして、これにつきましては、この法律の制定後具体的には案をつくりまして、そして閣議の決定を求めるということに相なるかと思います。それで、さらに、再建計画につきましては、その基本方針というものに基づきまして、この基本方針を具体化するという形で、国鉄国鉄財政再建に関する経営の基本的な計画というものを定めるわけでございまして、その内容といたしましては、業務運営の基本的な方針、あるいは輸送需要の見通し、あるいは輸送力の増強に関する計画、それから輸送の近代化に関する計画、安全の確保に関する物的人的その他の事項、それから業務運営の能率化に関する具体的な内容、収入の確保に関する事項、その他、損益に関する事項だとか、その種の財政再建に関する必要な事項を国鉄が案をつくりましてそして、運輸大臣に提出いたしまして、運輸大臣の承認を求めてこれを実行する、こういう段取りでございます。
  59. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は、そんな抽象的なこと伺っているんじゃないんです。これほど強大な権限を運輸大臣は握られる。しかも、その運輸大臣たるや、あなた自身が痛感しておるように、国鉄財政破綻の責任者ですね。もちろん、運輸大臣というだけじゃなくて、運輸大臣を含めて自民党政府全体、と同時にまた国鉄首脳、これらが一体となって今日の状態をつくり上げてきたんでしょう。そうでしょう。この人が、どういうふうにして今後の財政再建していくのかという具体案を何一つ国会に示さずして、権限だけよこせ。一体、安心してそれほど強大な権限を運輸大臣に与えられますか、国民の立場として。これが過去まことにかくかくたる成績をあげたという、そういう政府国鉄首脳ならけっこうだと思う。そうじゃない。まさに今日の状態をつくり上げ、深刻な財政破綻を生み出した当の責任者が、これから強大な権限を持ってやっていくんだというわけでしょう。何ら具体的な再建計画も示さずに、白紙委任状にも等しいです、これは。権限だけよこせ。これは国会を軽視するもはなはだしいんじゃないですか。どうでしょうか。これは、あなた御自身責任を痛感していると言われるけれども、実際の責任の所在をあいまいにすることじゃないでしょうか。  私は、議論を進めるために伺いますけれども財政再建推進会議ですね、あれが意見書というのを出しておりますけれども、あれと、今後大臣が策定されると思われる基本計画とは、どういう関係になりますか。
  60. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 財政再建推進会議の意見書というものを参考にいたしまして、私どもは、現在御提案をいたしておりますところの法律案の御審議をお願いいたしておるのであります。この法律が成立をいたしましたならば、これは国の法律として施行されていくわけでございますから、これをもとにした行政というものを行なっていく、こういうことになるのであります。いま盛んに責任論ということを言われますが、渡辺さんの言われるような責任論ばかりを言われるものですから、役人さんはとかく責任がないというほうの答弁をしていくんじゃないかと私は思うのであります。責任論ということで話が出まして、私は、政府だけがそれじゃ責任か、すべてのものがいろいろなものがそこに寄っておるじゃないかと、こういうことを言わなきゃならぬ点もあるかと思うのでありますが、まあこんなことは議論しようとは思いませんが、やはりその責任を持っている座にある者が責任ということを言われた場合にはそうであるということに考えなければ世の中というものはおさまらぬ、こう考えております。そこで、あなたのように、そんなことを言ったってそれは失敗した者が責任とれと言ったって、それならやめたらいいんだ、こういうことのほうに議論がつながっていきますから、それではそんなことは責任はないんだというふうな議論がまた蒸し返されて、問題を解決していくことにならぬ。私は、運輸大臣として就任いたしまして、このことについて御審議を賜わっておりますことは、いろいろそれはあなたとしての御見解もありましょうけれども、この方法は最もよい方法である、こう考えまして御審議を賜わって、それが私の責任を果たす道だ、このように考えておるのであります。
  61. 渡辺武

    ○渡辺武君 よけいなことを勘ぐられなくてもいいと思います。私はあなたにやめろということを言うわけじゃないんです。そうじゃないんですよ。しかし、もしほんとうに責任を痛感されるならば、何で今後の十年間の基本計画及び再建計画について具体的な内容を国会に提示して国会の審議を仰がないのか。それもなさらないで、そうして権限だけよこせという、こういう法律案を出されて、これは白紙委任状ですよ。どこであなた方は責任を果たそうというのです。そのことを言っているんですよ。
  62. 原田憲

    国務大臣原田憲君) だから、国鉄再建のための方策というものは、この法律というものが通過をいたしまして御承認を得ましたならば、このことについて案を立てて実行をしていく、こういうことに運びがなるわけであります。その内容については、あなた抽象的と言われましたけれども政府は基本計画というものを示すのでございますから、相当具体的に部長から御答弁を申し上げたところでございます。
  63. 渡辺武

    ○渡辺武君 現実に、国鉄が、一日三億円とも四億円とも言われて、はっきりした数字は私あとで伺いたいのですけれども、ばく大な借金を負うて、ばく大な金利を払って、大きな赤字を出しているんですよ。これは緊急差し迫っておることだから、あなた方も法案審議を急いでおられる。問題はまことに具体的な形で提起されておるのです。これはどうですか。また、国民の立場からいえば、この法律が成立さえすれば、たちまちのうちに旅客運賃値上げされるという、まことにたいへんな犠牲を背負わされる。問題はまことに具体的に提起されているのです。十年間にどういう再建計画を立ててこの事態を打開されるのか。その点は、実際のところは、この再建促進特別措置法案と同時にそのくらいな計画は提出すべきだと思う。私はそれこそがほんとうに国会及び国民に責任を負う立場だと思いますよ。やめるとかやめないとかいうことを言っておるわけじゃない。あなた自身やめたければ、おやめになってけっこうです。私は、問題は、国会や国民に責任を負う立場からすれば、当然十年間の再建計画、あるいは基本計画、これを提示して、そうしてこの法案とともに国会の審議を仰ぐべきだと思う。それをやらないということであれば、これは口では責任を負うと言っても、責任を負う立場じゃないと思う。  ところで、まあこういう議論をやっていてもしようがないから議論を発展させますけれども、先ほど、財政再建推進会議ですか、あれの意見書を参考にして、そうしてこの法案の審議を仰いでいるんだとおっしゃいましたけれども、この意見書の中には、まことにわれわれが読んで見のがすことのできないいろんな重要な問題が書かれております。今後、運輸大臣が基本計画を立てなさる場合、あるいはまた国鉄がそれに基づいて再建計画を立てる場合、この意見書を全面的に採用されて立てられるのか、あるいはどこか部分的に手直しされて立てられるのか、その辺はどうでしょう。
  64. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この意見書を適当なるものと考えましてすでに法案を御提示をいたしておるのであります。したがって、責任論でございましたが、責任をもって今後基本計画というものをつくって国鉄再建をやっていくというのが私のたてまえでございます。いま、この中に載っていることを全部実行するのかどうかということでございますが、どの点を申されておるのか、なお引き続いて御質問を願えれば具体的にお答えできると思いますが、全部全面的に取り入れておるわけではございません。
  65. 渡辺武

    ○渡辺武君 それでは、具体的に質問しましょう。この意見書を読んでみますと、従来国鉄がやってきた経営方針ですね、したがって、また、もっと具体的にいえば、今日の財政破綻を来たしたその原因となっている国鉄の経営方針、否定的な面を非常に拡大しておるという内容じゃないかというふうに考えられる。  そこで、第一に具体的に伺いますけれども、この意見書によりますと、貨物運賃の引き上げということについては一言も言っていないですね。特に大企業の貨物運賃の引き上げということは言っていない。旅客運賃を今後十年の間に大体二回ないし三回ぐらい上げたいというようなことを言っている。それからまた、運賃の決定について、いま国会の制約があるわけですけれども、これを取りはずして運輸大臣の認可事項にしたいということも言っておりますね。それから定期割り引き、あるいはまた学生割り引き、あるいは農産物などについての特別割り引き、いわゆる公共負担と言われているものですね、これはできるだけなくしていきたい、こういうことを言っておりますし、それからまた、もうけの少ないローカル線、あるいはまた小さな駅、これらは廃止するかあるいは無人化したい、こういうような方向を言っておりますね。こういう点については、一体、どんなふうに考えておられますか。
  66. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 貨物運賃のことにつきましては、昨日も渡辺さんからお尋ねになりましたし、木村先生からもそれの基本的な考え方についてお尋ねになっておりますので、重複を避けるために簡単にお答えを申し上げますが、いまのままでは、貨物輸送というものが、先ほどのお話のように、競合ということから考えるとなかなかむずかしい。そこで、国鉄貨物輸送に貨物が集まるような方策というものを講じなければならない。それがいわゆる大量のものを輸送するということならば、国鉄というものは果たし得る道がある。これを近代的な輸送方法によって、たとえばコンテナ、フレートライナーというような方法によってやっていくということによって貨物の輸送という国民に対する使命を果たしていく。それが、いまのサービスでは、適当な運賃というものをちょうだいできないという問題と突き当たっておるわけでございますから、これらの問題を解決するとともに、やはり貨物運賃というものは将来検討しなければならぬ点があるのではないかと考えます。  それから運賃を法律できめておるものについて、確かに御指摘のように、意見書の中では暫定的に再建をやっておる間は弾力的に運輸大臣が認可するようにしたらどうかということを申し述べておりますが、私は、このことについて、現在の制度というものを変えるべきではないという考えを持っておりましたので、なお今後に検討することにいたしまして、今次の法律の中には入れなかったわけであります。  それから定期運賃の公共負担の問題につきましても、この意見書を読んでみますと、利用者負担において是正をしていくことがよかろうではないかと読める節もあります。また、一方、きのう鈴木さんでございましたか御質問がありましたが、受益者負担という面を強調しておるのではないかというふうに受け取っての御質問もございました。この点と、私は定期運賃の公共負担分の是正ということにつきまして、これはだれが持つのがよいかということの点も、今後の課題ではございますが、昨年何しろこれを改正したところでございまして、ことしは意見書にはそう出ておりましたけれども、措置すべきものではないと考えて、このたびの運賃値上げは基本料金ということをおもにいたしたわけであります。  そのほか、御指摘のような点につきまして、これを全面的に取り入れたことではないということを申し上げましたのは、そのような点でございます。
  67. 渡辺武

    ○渡辺武君 ローカル線や小さな駅の廃止、無人化ですね、この問題についてはどうですか。
  68. 原田憲

    国務大臣原田憲君) ローカル線問題も、地方の状態というものをよく見まして、それで処置していかなければならない問題を含んでおる。すなわち、国鉄の諮問委員会では、前に、八十三線廃止というようなことの答申をいたしておるようでございますが、これらの問題は、非常に重要な、それこそ政治的な問題が含まれておると私は判断をいたしておりますので、これらの点につきましては、何度もお答えをいたしておりますが、十分この地方の状態、代替機関があるかどうか、将来の開発はどうなっていくのかというような問題を勘案して処置していくべきであると考えております。  小駅の廃止その他につきましては、これは国鉄がやることでございますから、国鉄のほうでこういうことでやりたいというふうに言ってきたときに、私はこれが十分な納得が得られておらないということであるならば、これはやりなさんなということで処置していかなければならないくらいの含みを持っております。
  69. 渡辺武

    ○渡辺武君 この意見書の中には、なお、以上伺った問題のほかに、国鉄の労働者に対して、賃金は所得政策方式を取り入れてできるだけ押えていきたいという趣旨のことが書かれております。それからまた、いわゆる十六万人合理化といわれるような内容ですね、これらのものが書かれておるわけであります。この辺のことはどうですか。
  70. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私は、所得政策をもとにした今後の賃金というものまで意見書には言っておらないと思うのであります。意見書には、労働生産性というものと勘案をして賃金云々ということが書かれておったと思いますが、これの根底に所得政策というものがあるというふうには考えておらないのであります。それで、この労働者に支払われるべき賃金に対しまして、いまも三公社五現業の賃金問題を裁定前でありますが、これは当然支払われるべきものと認定されたものに対しては支払わざるを得ないのじゃないか、こういうように考えておりますし、所得政策という面からこれを規制をせよということを言っておるとは考えておらないのでありますが、しかし、まあいつも議論されることでありますが、物価と賃金問題等々、それらのことはやはり十分考えていかなければならぬということは、これはもう常識的な問題ではなかろうか、このように思っております。  いま一点は、何でしたか。
  71. 渡辺武

    ○渡辺武君 いわゆる十六万人合理化ということです。
  72. 原田憲

    国務大臣原田憲君) これは、私は十六万、十六万と言われることは、今後、もしかりにこれだけの国鉄再建というものを伸ばしていく上において人間が幾人要るかということを計算していくならば、そうなっていくことから、労働負担の問題を人間で換算して十六万人とおっしゃっておるものだと思いますが、国鉄側答弁では、今後毎年一年間に一万二千人ずつ自然退職者がある、その半分の六千人を十年間で算術的に計算すると六万人になる、こういうことで、首は切らないけれども、減耗不補充という形で人員というものを対処していかなければ、実際上の問題としてこれから若い人をどんどん国鉄に雇い入れるというようなことは不可能ではないか、こういうことから言われておると思いますので、私もこの点はそうではないかと考えます。何しろ首切りをやってそして企業をやっていくというような時代ではなく、逆にほんとうに本気になって働いてくれる人をどう把握するかというようなところに今後の企業の問題点があるというように私は考えておりますので、首切りということは現実には行なわれない、このように承知いたしております。
  73. 渡辺武

    ○渡辺武君 もう少し詳しく伺いたいのですけれども、どうも時間もあまりありませんので、次に進んでいきたいと思うのですけれども、そういたしますと、いま大臣の御答弁を伺っておりますと、運賃については、これは貨物運賃はいろいろの理由があって上げない。旅客運賃については上げていく、簡単に言えばそういうことです。それからまた、運賃運輸大臣の認可事項にするということも、当面は反対しておるけれども、しかし検討するということですし、それからいわゆる公共負担をなくすということも、今年はしない、しかしこれも検討の余地があるということですし、ローカル線、小駅の廃止などについても、実情に即しながらとはおっしゃっておられますけれども、しかし、その基本方向はやはり同じように考えておられるようですし、特に国鉄の労働者については、これを所得政策と言うかどうかということは別にして、あるいは十六万合理化というふうに名前をつけるかどうかということは別にして、大体もう意見書の内容の方向で考えておられるということは明らかなことじゃないかと思いますが、このことは、今後十年間の国鉄財政再建を、旅客、それからまた地方の住民、それからまた国鉄の労働者、こういう、言ってみれば日本国民の大多数を占めるいわゆる勤労者大衆の犠牲によって行なっていこうということを示していると思います。同時に、先ほど、財政措置をとると言いましたけれども、これは、時間がないから、私はいままでの大臣の御答弁の中からはっきり言い切りますけれども、やはり依然として国鉄の独立採算制という原則の上に立ってそうして若干の財政措置をしているということであって、もしこの財政再建期間が過ぎて一応の利潤が生まれてくるというようなことになれば、この国の財政的な助成というものはたちまちのうちに消えてしまうという可能性を持つものだと判断せざるを得ません。それからまた、きのうの連合審査の中で国鉄当局にもいろいろ質問して非常にはっきりしたわけですけれども、この意見書に盛られている中長距離の貨物の高速輸送その他等々、大企業、アメリカ軍に主として奉仕する貨物輸送を非常に増強しようとしているということも、これまた意見書の投資計画などを見れば非常にはっきりしていると思うんです。私は、こういうような再建のしかた、これは非常に問題がある。今日の国鉄財政破綻を来たした責任者の一人である大臣が、強大な権限を持って、今後こういう方向で十年間の財政再建を進めていくということでは、一体どこに国民や国会に対して責任を負う立場があるのかということを考えざるを得ません。  そこで、私は、時間がないので最後に一つ二つ伺いたいのですけれども、国民や国会に責任をもってこの国鉄財政再建を進めていくという立場にもし立つならば、現在のような営利主義、あるいは大企業やアメリカ軍に奉仕するような国鉄ではなくして、日本国有鉄道法にはっきりうたわれているように、営利企業ではなくて、国鉄は公共企業ですから、その国鉄本来の公共企業としての本性に立ち返らせる。したがって、旅客運賃の引き上げはやめて、旅客運賃はなるべく低いところに据え置いて、そうして公共負担の廃止だとか、ローカル線、小駅の廃止や無人化、こういうことで国民に負担と犠牲をかけるようなものはやめて、安い運賃で勤労者大衆に便利なサービスのいい国鉄にする方向で財政再建を進めていかなければならぬと思います。また、国会と国民の制約のもとで、国鉄の管理や運営、財政を、いまのような状態ではなくして、根本的に民主化する必要があると思う。そういう方向で私は財政再建を進めるべきだと思いますけれども、この点についての大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。  なお、このことと関連して、いま私ここに持って参りましたけれども、「国鉄日本輸送公社に脱皮せよ」という、産業計画会議の編集した意見書があります。この産業計画会議というのは、日本の電力業界の大御所である松永安左衛門氏を筆頭にして、財界のお歴々がこれに参加しているというものですけれども、これを読んでみますと、大体、推進会議の意見書にいわれているように、公共負担はできるだけなくしていきたい、それからまた国鉄に対する国会の制約などはできるだけ取り払いたい、そうして国鉄はできるだけ自由な経営にしていきたいというようなことを非常に強調して、そうして公社にせよということを盛んに主張しているわけですね。私、今度の意見書、及びいまの大臣答弁を伺っておりますと、国鉄がもしかりに十年の再建期間が過ぎてたっぷりもうけが出たようになった場合に、いまのような国鉄の公共企業性をますます取り払いながら、私企業化していく、営利企業の方向に進んでいくという事態のもとでは、これから十分もうけが出たような暁には、いまの国鉄を、ここにいわれているような日本輸送公社と名前をつけるかどうかは知らぬが、公社形態あるいはまた民営という形にする目標をもってこの財政再建計画を進めているのじゃないかというふうに思われるが、その点はどうなんですか。  それから最後にもう一つ伺いたいのは、大臣の立てられる基本計画、それからまた国鉄の立てる再建計画、これは国会の承認を得て実行するようにしてほしいと思うのです。それからまた、国鉄の管理運営など、すべての面にわたって国会が調査し監査することのできるような権限を持つようにすべきだ、こうしてはじめて国鉄ほんとうに国民に奉仕することのできる国鉄にすることができるというふうに考えるが、この点についての大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  74. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 最初の第一点は、もうすでに、御意見といいますか、討論といいますか、一つの見解を述べられまして、それに対してあえて議論をするようなことは避けたいと思いますが、私はきのうも最後に渡辺さんに申し上げたのですけれども、目的というものは、みな国民がよくなるということを望んでおる。それに、どのような政策、どのような方法、どのような手段で到達するかということを議しておるのであろうと思います。したがって、ソビエトでもリーベルマン方式ということがいわれておるのは、いままでの形態から変わってその中で利潤というものを生み出していくほうがいい方法ではないかというような考え方があり、また、一方で、もう純粋な資本主義経済というか市場経済というものの行き過ぎという点もあらわれてきて、これに対していろんな変革というものが行なわれながら進歩というものが行なわれておるのが世の中じゃないかと、こう私は考えておりますので、一つのものにこり固まって、これでなかったらそれが全部だめなんだということではないのではないか。したがいまして、渡辺さんのおっしゃっておることは御意見としては承りましたが、私どもはこちらのほうがよいのではないかと、このように考えております。  それから第二点の問題で、国鉄を民営にするための腹がまえでこのことが出ているんじゃないかと、たとえば松永安左衛門さんのいまの案というものをもってそういうことがあるのではないかと、こういうお話でございますが、これはそうはございません。私どもは、財政再建推進会議の示しましたこれを参考にいたしまして責任をもって国会に御提案をいたしておるのでございまして、この点で財政再建されたならばそれは一つの目的を達成したのではないか、私はそのように受け取っていただいたらいいのではないかと思っております。  それから最後に、国会にあらゆる問題の承認を得るようにしたらどうかと、こういうことでございますが、私どもは、今日のこの法律等をもってあなたが言われました責任をもってやらしていただく。そのことが、あなたの言われたように、国民から指弾を受けるということになりますならば、あなたからやめろと言われなくても、国民が私どもを置いておくわけがないのでございまして、このことについても私どもはいまの案をもってやらせていただきたい、このように考えております。
  75. 渡辺武

    ○渡辺武君 大臣、公社の問題については……。
  76. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 公社の問題については、いま言われました松永さんが案を出しているということでございます。それから公社案ということにつきましては、「日経」等に、運輸省の中で考えておるではないかというようなお話がございましたが、これは、最初に申し上げましたように、いろいろどういう方法がよかろうかということを考えていくことは、これは勉強ございまして、国民のために必要なことでございますから、考えておるということをほうぼうでこういう話があるということを聞いておりますが、運輸省としてはすぐ公社案を実行しようということを考えておるわけじゃございません。
  77. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 通行税法の問題は、運賃値上げ法案と一体だと思います。したがって、通行税法の問題に入る前に、昨日の連合審査で私が質問しましたときにたまたま大蔵大臣はおいででございませんでしたので、若干大蔵大臣の御見解をただしたい面がございますので、二、三質問さしていただきたいと思います。  今日の国鉄赤字原因というものは、一言にして言うならば、やはり経営の荒さではないかというように考えております。特に経済性を無視した赤字路線の建設、あるいは近代化、合理化のおくれ、さらには労働力の使い方にしても非常にぜいたくである、労働力の質的過剰の傾向がある、これがひいては賃金の上昇に比べて労働生産性が相対的に低い、こういう問題になってあらわれておると思います。しかし、この原因を一がいに国鉄当局だけを責めるというのは私は当たってはいないと思います。国鉄は、企業としての採算制とそれから公共的性格という二つの相矛盾する性格を要請されております。この二つの性格が混然としてあいまいもことしておるところに今日の国鉄の企業体質の問題点が生じておるのではないか、また、これがひいては今日の膨大な赤字原因になったのではないかというように考える次第であります。特に企業の採算制を無視した要素として具体的にあげられるものは、まず第一は旅客並びに貨物の割り引きの問題があります。これは本年度にして大体六百十億円というように想定されておりますけれども、この分についてはやはり国がめんどうを見るべきではないか、これを一般利用者にかぶせて運賃値上げをしようというのはどうも不合理な点ではないかと思いますけれども、まずこの点について大蔵大臣の御意向をお伺いしたいと思います。
  78. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いわゆる公共負担を国が援助したらどうかと、こういうお話ですね。それも、一つ財政援助の方法であり、再建方式の考え方だと思います。しかし、いま私ども考えておりますのは、そういう局所局所の問題じゃない、もう国鉄全体を総合的に洗いまして、そして総合的な判断を下さなければならぬ、そういう方式で財政再建をすべきである、こういう考え方でございます。財政再建推進会議もまさにその総合援助方式、これを採用する、こういうことになっておるのであります。三位一体ということで、まあ企業体たる国鉄の努力、また利用者負担、また国の援助と、こういう形で総合的にやろう、こういうので、いろいろ取り立てますと、こういう点をこうしたらどうだ、ああしたらどうだという考え方もそれはあるのです。あるのですが、さような個別的な対策の考え方はとらなかった、かように御了承願います。
  79. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大臣の御答弁でございますけれども国鉄は、一方で、企業の採算制というものが要請される。そのための企業努力が要請される。ところが、その一方において、そういうものを無視した赤字路線の建設とかあるいは公共割り引きというものが要請される。これが二つをはっきり分けられなければ、国鉄当局としても企業努力というものをやりにくいといいますか、どんどん非経済的なものを押しつけられるというような結果になって、企業努力の成果がどこまであがったかということがわかりにくいのではないかという気がするわけです。これがひいては、たとえば国鉄内部の欠陥も、公共性のゆえに責任を転嫁されたり、あるいはまたその逆のケースも出てくるのではないか。したがって、国鉄の経営の責任を負う分と、あるいは国が責任を負うべき分と、できるだけ明確に分けることが今後の国鉄の企業の体質の改善につながると思うのでありますけれども、この点はいかがですか。
  80. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国鉄は、公共企業体であり、国家的任務を遂行しておるわけです。そういう国鉄でありますから、私鉄と違いまして、特に東海道なりあるいは山陽線なりあるいは東北線というような国土を縦貫するような軌道を国鉄に独占をさせる。これでかなり収益体制はいいわけでございます。新幹線ができたが、これでことしは八億円くらい利益をあげる、こういうことになるわけでございますが、そういう反面において、また地方の赤字路線というものの建設経営にも当たらなければならぬ、あるいは若干の公共的負担もやる、そういうことになっておりますが、かつてはそれで十分やってき、かつ余りが出て国に納付金をするという時代もあったわけです。それが、最近の時勢の変化といいますか、競争輸送手段が続々あらわれる、こういうようなことから国鉄の王者たる地位が失われた、こういうところに問題があるわけであります。私は、しかし、今度再建推進会議が答申されたこの答申で援助すれば国鉄の将来というものは再建できる、こういうふうに思います。過去数年間に輸送手段が非常な変化を遂げて、国鉄には不利にはなってきましたが、今後一体どういうふうな展開を見るかというと、むしろ国鉄に有利に展開するのじゃないか。路上路面自動車の交通なんというのはおそらく非常に能率が低下する。そういう際に、国鉄軌道の輸送の任務、これはむしろ非常に高く評価されるというような時期になるのじゃないかと、こんな感じがいたします。でありますので、とにかく、国鉄は企業体でありまするから、あくまでも独立採算ということを基本にして、それが時勢の変化において今日非常なピンチな状態です。そのピンチを切り抜けるにはどうするかというと、こうすべきだと、こういうふうにものを考えていくべきだと、さような見解でございます。
  81. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、公共企業体といえども、やはり経済性というものを無視しては成り立たないと思うのです。公共企業体であるがゆえに経済性というものをおろそかにするなら、その負担は全部国民の税負担となってはね返ってくるわけです。そういう意味で、独立採算を維持するという方向は非常にけっこうだと思うのですけれども、それならそれで国が持つべきものは持たなければそれは不可能ではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  82. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) さればこそ、いまピンチに当面しておる国鉄に対して、今回大幅な財政援助をするということを決意した次第でございます。
  83. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 国が大幅な援助をしているということはわかるわけでありますけれども、それと国鉄が分担しておる犠牲の面との相関性はないと思うのですね。これはやはり結びつけて相関性を持たして、これまでは国の責任だから持つのだ、これから先は国鉄の責任だからやれと、こういうことを明確にすることが必要ではないかということを先ほどから申し上げているわけであります。  それから国鉄再建は三本柱だと。つまり、国が公共分の負担に対してめんどうを見るということと、もう一つは企業の努力、それからもう一つ利用者が適正な運賃負担することだと、こういうふうに政府は言われております。これはみんなが協力して国鉄再建をやらなければならないということで、私は非常に妥当な考え方だと思うのでありますけれども一つここに落とし穴といいますか抜け穴があると思うのですが、それは何かというと、やはり開発利益の還元だと思うのです。新幹線にしろ、あるいはローカル線にしろ、国鉄の線路が敷けた場合には、その駅の周辺に土地を持っている人はばく大な私的利潤を得るわけであります。これは、言うなれば、国民の税金でできた社会資本の投資によって私腹を肥やしておる。これを吸い上げるという方法を当然考えるべきではないか。この点について具体的に大蔵大臣考えておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
  84. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) それがいわゆる公共負担というふうにも言われておる問題かと思うのですがね。つまり、国家的施設が行なわれる、それに伴っていわゆる受益者というものが出てくる、土地の値上がりその他ですね、それに対して受益者負担、公共負担とも言われますが、受益者負担という考え方、これは私は考え方としてはまさにそうあるべきだと思います。公共施設で自然に利益を得る、そういうことに対しては、そこで何らかの調整が行なわれなければならないというふうには考えます。考えますが、さて、これをどういうふうに実行するかということになると、実行は非常にむずかしゅうございます。たとえば、駅が新しくできました、その受益者は一体だれなんだ、こういうことになりますと、受益者の範囲をどういうふうにいたしますか、非常に困難な問題がありますので、今日ではそういう際の税法の範囲内においての一般的な扱いしかできないと、こういうふうになっておりますが、何か名案はないものかなあと思って苦になるわけでありますけれども、なかなか名案はない、そういう段階でございます。
  85. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 国鉄建設の歴史を見れば、これは日本の利権の歴史だと昔からいわれております。やはり線路が一本つくということは、そこに非常に大きな利益を受ける母体というものがあるわけです。それが公共的なものであるならば私はいいと思うのですけれども、私的な利潤になっている場合には、それに対して国が手をこまねいておるという法はないのでありまして、できるだけ早急に具体化をはかっていただくようにお願いをしたいと思います。これが育ってこそほんとうに国民みんなが協力して国鉄再建するという一つのベースができるのではないかというように考えるわけです。  それからもう一点、運賃値上げ関連してお伺いしたいことは、国鉄労働者の本年の賃上げ、ベースアップですね。これは、このあいだ公労協の調停案が出て、十五日に大体仲裁裁定が出るだろうといわれております。国鉄定期昇給分を含めてその額は大体七千百二十九円というふうに予想されておりますけれども、これはそう過当な賃上げ額であるとは思いませんけれども、しかし決して安い賃上げでもないと思います。まあそこそこ十分な賃上げ額ではないか。この財源というものは、一般運賃値上げによる収入というものがこれに当たるわけだろうと思います。これはこれでいいと思うのですけれども、もう一つこれと関係が出てくるのは、やはり米価との関係だと思います。米価の決定の方法が従来やはり生産費所得補償方式ということでやってこられたわけですけれども、本年は政府は生産者米価、消費者米価とも据え置きという方針を出されております。しかし、一方では国鉄労働者は運賃を国民の反対の非常に多い中で強行してもその財源を捻出してべースアップを行なうけれども、米価についてはこれは据え置くのだということは、はたして通るかどうか、農民の諸君がこれで納得するかどうか、この点について大蔵大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  86. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 米価につきましては、両米価ともこれは据え置くという方針を出しておるわけです。しかし、これは米価審議会に付議してきまる、こういうことになっておるわけですが、米価審議会もまだ構成もできない、こういう段階でありますので、結論的にどうなりますか。政府の方針は据え置きでありますが、米価審議会がどういう動きをしますか、そういうような過程を経てきめられる、こういう問題であります。
  87. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私がお伺いしておりますのは、国鉄の労働者と農民との間のバランスの関係についてどう考えられるかということです。
  88. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 米価と国鉄の問題、これは関連があるといえばありますが、いま米価のほうで問題になっておりますのは、一体いまの米価方式で農民が念願をしておるところの食管制度の堅持ということがやっていけるかいけないか、こういう問題が最大の焦点になっているわけです。そういう問題に対しましてどういう価格政策に修正を加えるか、こういう点なんです。まあ関連があるといえばありますが、しかしいま問題になっておりますのは全く別個な見地から問題が提起されている、こういうふうに御了承願います。
  89. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 現在の食管法を根本的になくしてしまうとか改正するとかいう意図があるならば別だと思いますが、現在の食管法がある限りは、やはり生産費と所得に見合った米価というものを算定するというのが法のたてまえであろうと思います。そういう法があるために、特に農民の諸君たちは、都市労働者あるいは他の労働者の賃上げというものを非常に気にしております。他の労働者が上がるならば自分たちもそれだけの所得が上がってしかるべきだ、これが毎年強く起こってくる生産者米価の値上げ要求となるわけでありますが、本年もすでに十数%の値上げ要求を出すと言っておりますけれども、はたしてこれが説得できるかどうか、どういう根拠で説得されるか、お伺いしたいと思います。
  90. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあこれは先の問題で、ここで申し上げるのは適当でないと思いますが、まだ米価審議会もできておらぬ、こういう段階なんで、御了承願います。
  91. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 時間もありませんので、本論の通行税の問題に入りたいと思うんですけれども、今回の国鉄運賃値上げに対する野党の非常に強力な反対意見は、国民がやはり物価の上昇ということを非常におそれておる。しかも、物価の上昇ということを押えるために、公共料金値上げというものはやるべきでない、こういうような意見が強いと思います。だから、国鉄運賃の問題がこれだけ長引き、反対の声があがっておるというのも、物価値上げとの関連が非常に大きいと思います。こういうことを考えた場合に、さらに通行税というものを残しておく。これは、廃止すれば、それだけ国鉄運賃の実質的な値上げの幅が少なくなって、物価に対する影響も幾らかはましになると思うんですけれども、こういう見地から考えるならばこの通行税は廃止してしかるべきではないか、そのほうがいいのではないかと思うんですけれども、いかがでしょう。
  92. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは、国鉄ひとりの問題じゃないんです。国鉄ひとりの問題でありますれば、いろいろまた考え方もあるかもしれない。しかし、これは、航空料金に対する課税の問題とか、あるいはデラックスな船のキャビン、サロンに対する考え方でありますとか、まあいろいろ関連を持ってき、税収にいたしましても百億近い規模の問題でありまして、そう軽々にこれを廃止するというふん切りはつきません。
  93. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 先ほど運輸大臣も言っておられましたけれども、いままでの運輸省並びに国鉄の当局の考え方からするならば、今回は一、二等の等級をなくするわけですけれども、この理由は、設備格差縮小とか、いろいろ言われております。しかし、私は、このメリットは、一つは手数が簡略になるということ、それからもう一つは、現在は一等と二等とで利用率が違うわけですけれども、これはできるだけ一等の利用率もよくして効率をあげようということではないかと思います。そうするならば、現在一等通行税というものがついておるということは、このねらいからすればむしろ逆行するものである。通行税をなくすることが、国鉄当局の一等の利用率をよくするという、こういうことにもつながるのではないか。これは衆議院の大蔵委員会吉國局長が言っておられることに、かつて一級酒の売り上げが非常に悪かったときに、税金を安くしたら売れ行きが伸びたということを言っておられましたけれども、それと同じ考え方をするならば、やはり通行税をなくして一等の利用率を上げることが国鉄再建に寄与すると思うんですが、この点はいかがです。
  94. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) お話のとおりでありまして、通行税は、廃止はいたしませんけれども、少しでありますが安くなっている、かように御了承いただきます。
  95. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 地方税で、料飲税というのが、三千円以上一五%が一〇%になったわけなんです。これは十月から実施ですけれども、この一五%を一〇%に引き下げた理由というのがどうもわれわれはよくわからない。なぜなら、一回一人三千円以上というのは、かなり高度の料理なりあるいはサービスを受けることだと思います。これをただめんどうくさいから一〇%に合わせたということを言っておられますけれども、この減税額は大体三十七億だと言われております。ところが、一等に対する通行税は、全部で二十五億であります。これよりも少ないわけであります。三千円以上の料飲税をこういうふうに簡単にめんどうくさいからということで下げるぐらいなら、この一等通行税をなくすることのほうが、よっぽど意義があることであるし、また、妥当なことだと思うのですけれども、これはいかがですか。
  96. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは徴税の簡素化という見地からそういうことをしたのでありますが、徴税義務者といいますか、これが旅館、料理屋である。この旅館、料理屋は、いずれも中小企業である。中小企業にたいへんないままでめんどうをかけた。そこで、税率の統一をいたしましてこの計算を便利にしょうと、こういう趣旨なんでございます。国鉄の場合とは大いに趣というか趣旨を異にいたしておるわけであります。
  97. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 趣旨を異にすると言われますけれども税金の性格としては非常に似ておる。特に、料飲税の場合は、八百円以上一率に一〇%です。最近は、非常に物価も上がりまして、そこらの一ぱい飲み屋でやっても一人八百円ぐらいは軽くオーバーします。ところが、三千円以上となれば、これはある程度高級な料理屋とかあるいはバー、キャバレーが対象になっている。しかも、この格差が非常に大きいのであって、八百円以上も三千円以上も全部一率にしたというこの精神と、今度は国鉄一等、二等の格差というものはそれほど差がないのじゃないかと思うのですけれども国鉄一等、二等の場合には一〇%の通行税を厳然と置いておるわけです。料飲税の場合はそこらの一ぱい飲み屋も高級料理店も同じような税金にするというのは、非常に納得がいかないと思います。
  98. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ一等、二等は廃止されましたけれども特別車両つまりグリンカーですね、これに対しましてはかなり大きな格差がついている、こういうふうに国鉄当局は見ておるのであります。  なお、詳しくは国鉄当局からお答え申し上げます。
  99. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 今回の通行税が、大体旧一等車を対象にしているわけですね。ところが、これは私は非常に安易な考え方だと思うのです。というのは、昔の一等にも非常に格差がありまして、横須賀線のような一等もあれば、新幹線のような一等もある。特に私鉄には通行税かかっていない。あるいはバスも。最近は、私鉄の特急というのは、横須賀線の一等よりはるかにいいわけです。こういうアンバランスがあるわけです。だから、ただ単に旧一等を対象にするというのは安易な考え方ではないか。この際、設備のぜいたくの度合いをもう一ぺん再検討して、かけるものとかけないものと洗い直すべきではないかというように考えるわけですが、いかがですか。
  100. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 今回の一等制度につきまして特別車両料金をつくったというのは、一応従来の一等車を使っていたものにつきましてそれを特別車両料金としたことでございまして、具体的にはその一等車の中にいろいろと設備上の格差があるということも事実でございます。ただ、これは、従来のそういう一等制度というものを特別車両という姿のものに変えていく。将来は、二等車自体を設備の向上によりましてできるだけ実質上一等車に近づけていくというような形にしたい。ただいまの設備上の格差につきましては、暫定的のものとして残っておると、このように御了承願いたいと思います。
  101. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 午後四時再開することにいたしまして、休憩いたします。    午後一時五十九分休憩      —————・—————    午後七時十五分開会
  102. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、青木一男君、今春聴君、津島文治君及び大竹平八郎君が委員を辞任され、その補欠として、後藤義隆君、高田浩運君、山本敬三郎君及び上田稔君が選任されました。     —————————————
  103. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 休憩前に引き続き、通行税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  104. 多田省吾

    ○多田省吾君 議事進行。
  105. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 多田君。
  106. 多田省吾

    ○多田省吾君 再開の前に、先ほど理事会をやったわけでございますが、その理事会において委員長の時間の割り当てがあったわけであります。それに対して公明党が承服できないままにこの委員会を委員長職権で強行開会するということは、われわれにとって非常に遺憾なことでございます。ひとつ、審議に先立ちまして、委員長から理事会の模様を一応御報告いただきたいと思います。
  107. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) ただいま多田理事から先ほどの理事会の件についての御報告をいたせという動議でございますので、私のほうから簡略に経過を御報告申し上げます。  実は、本日午後の議事日程の決定に際しまして、委員長といたしましては、議事の取り運び上、どうしても各委員のおおよその発言時間というものの見当がつきませんと、取り運びがきわめて困難でございますので、理事会に御相談を申し上げまして、午後の会議の取り運びについて各理事さんの御意見を聴取した次第でございます。しかしながら、各理事さんからはそれぞれの御案が出ましてなかなか一致点を見ないままに、最後に委員長一つの試案をお願いをいたしたわけであります。本日午後の質問予定者は大体において五名でございますので、五名の先生方に、ひとつ総員で二百七十分で御質疑をしていただきたいというお願いをしたわけであります。これに対しまして、公明党の多田理事からは、承服しかねるというお話があったわけであります。私どもも、従来の大蔵委員会の理事会の経過にかんがみまして、でき得る限り全理事の一致した行動ということで、委員長自体といたしましても、さように取り計らいたいところでございましたが、いろいろな事情もこれあり、したがいまして、決して大蔵委員会は多数決をもって事を決定する意思は委員長といたしまして毛頭ございませんが、理事会の議が一致点を見ない場合には、やむを得ませんから、委員長が決心をいたす参考といたしまして、それぞれの理事さんから委員長案に対しまするところの御賛否の御意見を伺ったわけであります。そういたしますると、五人の理事さんのうち、間違い、四名の理事さんのうち、多田理事を除きまする他の理事さんからは賛成の旨の御返事がございました。なお、委員長といたしましては、多田理事に懇請をいたしまして、何とぞひとつさような点で委員長の提案に対しまして御協力方をひたすら懇請をいたしましたのでございますが、多田理事は、総ワクを七時間と最後におきめになりまして、これが最後の点だということでございました。私も、円満な議事の取りまとめというものをずっと念願しておりますたてまえ上、できるならばと思ったのでございまするが、先ほど申し上げましたように、四人の理事さんの御意見を参考のためにお伺いいたしましたところ、残念ながら多田理事お一人、他の三名御賛成ということで、不本意ながら委員会を開会さしていただいた次第でございます。
  108. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま委員長から簡単に説明がありました。委員長がおっしゃらないので私が申し上げますが、委員長から出たいわゆる二百七十分の全員時間と申しますのは、先ほど委員長は五名と申されましたけれども、実は四名でございます。質疑の残っている四名の議員、公明党の鈴木議員、共産党の渡辺議員、公明党の多田私、それから社会党の木村議員、この四名について二百七十分の割り振りと申しますのは、公明党の鈴木議員一時間、それから共産党の渡辺議員三十分、それから公明党の多田一時間半、それから社会党の木村議員一時間半、合計二百七十分すなわち四時間半ということでございます。私は、そのほかに、衆議院におきましても大蔵大臣のほかに運輸大臣が終始御答弁につとめられましたので、公明党が一昨日から要求している運輸大臣二時間という線は、本日公明党は三十五分に過ぎなかったわけでございますので、あと一時間半はどうしても運輸大臣もお願いしたいという要望をいたしました。それも無理であるという御返答でございました。  それで、一昨日からの審議を振り返ってみますと、一昨日は社会党三名の方、それから公明党の鈴木、四名で三時間ちょっとでございました。また、本日は、衆議院の本会議もあった関係上、大蔵大臣が衆議院の本会議に出席されましたので、二時間のブランクがございました。また、午前は、大蔵大臣が運輸委員会に出られたので、運輸大臣がこちらへ二時間十分おられて、そして、社会、公明、共産党が質疑をしたわけでございます。ですから、その間は大蔵大臣はいらっしゃらなかった。ですから、そういう質疑状況でございますから、一昨日は三時間ちょっと、本日はまた二時間ちょっとしかやってない、まだ五時間ちょっとじゃないか、ですから、私ども公明党としましては、あと七時間くらい審議してもいいじゃないかと。一日の審議時間は、十時から始まって五時半、六時としましても、約六時間半というのが常識でございます。二日の審議で十分十三時間の審議ができるわけでございます。ところが、五時間ちょっとやったまま、あと四時間半の制限時間で終わらしたい。実は、明日もこの大蔵委員会の定例日でございますから、たとえ明日本会議があったとしても、党首会議もあり、総理大臣関係で「林業白書」もやりませんので、たった上がった六本か七本の採決をするばかりでございますから、十分ぐらいで本会議は終わるわけです。ですから、定例日の明日十分審議が尽くせるじゃないか。こういうことで、公明党としましては、慎重審議というたてまえで、しかも、国鉄運賃値上げという国民生活を圧迫する非常に重大な問題あと一等、二等を廃止するという、これまた運輸大臣お話によりますと世界で初めての画期的な大事件であると申されたようなそういう重大な法案を審議するのに、議長裁定の慎重審議ということをたてにしておそくまでやるんだということがうなずけない。むしろ、議長裁定の慎重審議、あるいは三月二十八日の時点の国対委員長会談における申し合わせの慎重審議というのは、定例日において、通常のとおり、十時開会あるいは十時半開会で、しかも、夕方五時半、六時ごろまで審議してこそ、はじめてりっぱな正常な審議、慎重審議と言えるのですね。なぜ十一時、十二時までふらふらの頭で審議をやって慎重審議か、正常な慎重かと、こう言いたいのです。したがって、衆議院の審議の関係でここに運輸大臣もわずか二時間しか来ていただけなかったし、また、共産党の大蔵大臣に対する質疑はわずか三十分に押えよう、こういう暴挙は、私は絶対納得できない。ですから、初めの要求が八時間半であったわけですから、私はそれを七時間まで縮めたわけです。ですから、委員長あるいは自民党理事のおっしゃる四時間半を何とかしてもう少し伸ばすようにお骨折りをいただけまいかと再三お願いしたわけでありますけれども、それもだめだと。党内事情もこれあるし、なぜかだめであるという最後通告です。そうして、理事会で公明党の理事が反対したまま職権でもって強行開会をする。われわれは決して審議拒否をするような気持ちはございません。あくまでも慎重に審議を尽くしてこの通行税法案を審議したい、そういう一念でございます。共産党さからも運輸大臣に対する要求もありましたし、また、けさほどは二時間ちょっとやらせてほしいという委員長に直接のお願いもありました。そのときに、委員長は、なるべく時間をあげますからというような非常に好意的な御発言もあったわけでございますけれども、結局、最終的には、大蔵大臣に対して三十分しか審議できない、こういう私は暴挙だと思います。  したがって、私は、きょうは衆議院の本会議も二時間あったことですから、七時、八時、これは私たちは拒否するものではありません。しかし、九時なら九時、十時なら十時に一応見通しをつけて、また残った審議は明日の定例日において慎重に審議をする、正常な審議を定例日において行なう、それでけっこうじゃないかと、このように申し上げたわけでございます。しかし、残念ながら、自民党の理事の方をはじめ、社会党の理事の方も、民社党の理事の方も、四時間半の審議時間の制限に対して賛成を示したわけでございます。そして、また、社会党の戸田理事からは、共産党には一時間やってくれ、そのかわり社会党は三十分縮めて木村委員は一時間でもよろしいというようなお話もございましたが、それも委員長は認めないままに開会された委員会というものが、鈴木委員が一時間、共産党の渡辺委員がわずか三十分それから私多田が一時間半、それから木村委員が一時間半と、この四時間半に制限する、こういう強硬な最後通告がございまして、それで、まあ多数決ではないけれども、一人だけ反対なんだからこの委員会は強行すると、こういう仰せでございます。私は、こういう委員長の強権開会には絶対に納得できない。もし委員長に御釈明があるならば、また私の言うことが少しでも間違っているならば教えていただきたい、こう思います。
  109. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) ただいまの多田理事のお話は、理事会におきまして再三論議がされたところであります。なお、先ほど、私の発言中、午後の質問者五名と申し上げましたが、これは四名の誤りでございますので、訂正をさしていただきます。  なお、いま多田理事のお話の中で、共産党の渡辺委員に対して、戸田委員さんのほうから、場合によると時間を社会党の持ち分からさくというお話に対しまして、委員長はけっこうですと申し上げてあります。決して拒否はしてございません。  ただし、最後的に多田委員のおっしゃることも、私もわからないではありません。決して職権開会いたしますというふうに高圧的に申し上げたのでなくて、ぜひひとつ御協力をいただきたいとひたすら懇願いたしまして、決して強行採決ではございません。ただ委員長の心をきめます際の参考に各理事さんの御意見を承りまして、そうして、こういうことになりましたので、多田先生にはまことに申しわけないし、残念でありますが、かように取り計らわしていただきますということで、私どもといたしましては、気持ちといたしましては、七重のひざを八重にも折って多田先生にお願いしたつもりでございます。その点は、どうぞ悪意におとりにならないようにくれぐれもお願いを申し上げる次第でございます。
  110. 多田省吾

    ○多田省吾君 委員長は腰を七つ、八つに折られて懇願せられたと申されましたけれども、その場の雰囲気は、おいでになった方はよくおわかりになりましょうけれども、私もやはり腰を九つ、十に折って八時間半の持ち時間を七時間まで私たちは縮めました。ですから、委員長におかれましても何とぞ四時間半を七時間くらいまで伸ばしていただきたいということを再三頭を机につけて懇願したような次第でございます。しかしながら、残念ながら委員長からのことばは非常にやわらかいのでありますけれども、どうしてもその申し入れに対しましては審議する必要もない、こういう姿で一方的に再開ということになったわけでございます。  そういう点で、大蔵委員会の今度の通行税法の一部改正案に対する審議については、私は今日まで非常にりっぱな委員長だとは思っておりましたけれども、いまも思っておりますが、午後の四時半過ぎからの委員長の態度に対しては、君子豹変されたのではないかと、こういう疑いを持つものでございます。私たちは、いままで、私もまだ新しいのでありますが、理事になってから、正常な審議、また慎重審議に対しましては、十分協力もしてまいりましたし、貫いてきたつもりであります。しかしながら、この通行税法案に限って委員長が君子豹変されて、たちまち制限時間を一方的に押しつけてくる。私のほうは一時間半も妥協しているにもかかわらず、この四時間半という線は絶対に動かせない、こういう言い方は、ちょっと委員長としてどこかにお間違いがあるのではないかと、このように感ずる次第でございます。  また、あの三月二十八日の国対委員長間の申し合わせ、四月二十五日における議長裁定の精神というものは、あくまでも正常審議または慎重審議にあると思います。慎重審議、正常審議を誠意をもって尽くすというのは、定例日において十分審議を尽くすということでございまして、決して頭がもうろうとして、まあ大臣はそういうことは絶対にないとは思いますけれども、私どもはこういう夜の十一時、十二時までこれから四時間半強行されようといたしますと、どうしても頭が鈍ってまいります。そういう状況のもとで審議を続けなければならないのかと思うと、私たちは国民の代表として、これは慎重審議、正常審議とは言えないのじゃないか。何で四時間半にこだわりなさるのか。あしたの定例日できちっと審議すべき時間が十分にあるんだ、審議の終了が半日おくれようが、十時間おくれようが、そんなに影響ないじゃないかと申し上げたいわけでありますけれども、私は、最後に、委員長に、議長裁定のあの慎重審議というのは、夜の十一時、十二時まで審議を続けるのが慎重審議であるのか、それが議長裁定の精神であるのかということを申し上げたいのです。私は、絶対にそうではないということを確信しております。委員長、いかがでございます。
  111. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 議長裁定の慎重審議の件でございますが、ただいまるる承っておりまして、私もさむらいのつもりでございますので、多田先生のお立場、お気持ちは十分わかるつもりでございますが、多田先生も、私はいままでおつき合いいただいて、りっぱなさむらいと存じております。したがって、私の立場もおそらく心の中ではおわかりいただいてのおことばというふうに実はお受けしているわけでございます。議長裁定の慎重審議、これはなかなか一定の型をもって鋳型にするのはむずかしいのじゃないかという気がいたしまして、私はこの姿が慎重審議の形に沿うものと信じましてお願いをしたわけでございます。
  112. 渡辺武

    ○渡辺武君 議事進行。
  113. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 渡辺君。
  114. 渡辺武

    ○渡辺武君 いま公明党の多田委員の発言によって私は理事会での経過を知ることができたわけですけれども、この経過を聞いておりますと、各理事の意見が一致したのではなくして、委員長の職権でこの委員会が開かれたということであります。私どもは、国会は提出された法案については十分に審議を尽くして、このことを通じて国民に提出された法案の真相を明らかにするということが必要であると考えております。その立場からしましても、いま公明党さんの多田委員の慎重審議というたてまえから十分に審議の時間がほしいと言われたその立場は私は支持できる、正しいと思います。ところが、その多田理事の要求をくみ入れることなくして、委員長が職権でこの委員会を開くということは、これはもう委員長としてやるべきことじゃないというふうに考えます。委員長及び理事会、これはまさしく審議を十分に尽くすことができるように配慮することが任務の最大のものであると思う。この最も重要な任務を、委員長自身が、これは放棄したとは言いませんけれども、非常に制限したというふうに言わざるを得ない。私は厳重に抗議したい。特に、この委員会が招集される前にテレビを見ておりましたところが、政府自民党は国鉄運賃関係の三法案を今晩じゅうに委員会でもって採決をするという方針をきめたということが出ている。委員長は、政府自民党の立場に立って、そうしてつまり一党一派の都合でこの委員会の審議時間を制限するということをやられたとしか考えられません。特に、共産党の発言時間は、けさ理事会が開かれた冒頭に、私は理事じゃありませんけれども委員長にそういう点があろうかと思って心配しましたからして、委員長、きょうは十分にひとつ審議を尽くさしてくださいよということを申し上げた。委員長から、そのとおり承知いたしましたというお答えをいただいているのです。ところが、私は午前中に四十分やった。二時間発言時間がある予定である。ですからして、残された時間は一時間二十分である。それを委員長は三十分に制限しようとしたという多田さんのおことば、そういうことでわれわれの発言を制限する、これは委員長としての立場を全くみずから傷つけるものだというふうに言わざるを得ません。私は厳重にこの点を抗議するとともに、同時に今後の共産党の発言時間及び他の委員の発言時間が十分に保証されるように、委員長に特にその点で努力していただきたいということを要望します。  また、もう一つ要望したいことがある。それは私は審議にあたっては運輸大臣の出席を要求しております。ところが、運輸大臣は午前中に出てこられて、私は運輸大臣に対して二時間質問する予定のところ、四十分しか質問していないということです。いまこの委員会へ来て見ますと、運輸大臣の顔が見えない。こういうことでは審議ができませんよ。この大蔵委員会に上程されているものは通行税法案だからして、この法案に関する限りは大蔵大臣に質問することもできます。しかし、この法案は、御承知のとおり、国鉄運賃値上げ法案と、そうして財政再建促進特別措置法案、こういう親法案がある。どうしてもこの問題にまで審議を立ち入らなければ十分に審議を尽くすことはできないと思う。運輸大臣の出席がどうしても必要です。この点で、今晩運輸大臣の出席を委員長にぜひ保証していただきたい、この点を要求して私は発言を終わります。
  115. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) ただいまの渡辺委員の御要求と御発言には、一部にはなるほどと思われる点もありまするが、委員長としては聞きかねることもございます。  まず第一に、開会が一党一派の御都合とおっしゃいましたが、私は、さような誤解を生むことをおそれまして、先ほど時間をいただきまして理事会の経過を要領よく申し上げたつもりでございます。すなわち、五人の理事のうち四人の方までが委員長を支持してくださった。これは多数決ではありません。ありませんが、委員長が意を決する際の参考としてお聞きをした、こういうことでございまして、一党一派の利害ということを毛頭考えた次第ではございません。  なお、いま三十分云々と先生言われましたが、私はできるだけ先生にも質問時間を取れるようにいままでも努力いたしましたし、今後も努力いたすつもりでありますが、それが証拠には、本日四十分先生の持ち時間がございましたが、五十分私はお許ししたつもりでございます。たかが一〇分とおっしゃるかもしれませんが、その一〇分が千金の重みがあるというふうにお考えいただきまして、御容赦のほどをお願いいたします。
  116. 多田省吾

    ○多田省吾君 いまの委員長の話には納得できない。議事進行。
  117. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 多田君。
  118. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま、共産党の渡辺委員に対して、三十分と制限したことはあたかも偽りのようなことをおっしゃいましたけれども、私は確かに三十分と聞きました。それで、共産党に対しても、まあ朝の四十分のところを五十分やらしたと。五十分はありませんでした。私も正確に時間をはかりましたけれども、十二時四十五分から一時三十三分くらいまでですから、四十八分ぐらいですわね。(笑声)また、渡辺委員運輸大臣の件も全然委員長はお答えにならなかった。それで、公明党、共産党は、衆議院においてももう二日間ぶつ続け運輸大臣も出られたことでもあり、また、通行税法は、国鉄運賃値上げ問題、あるいは、先ほど申し上げましたように、一等の廃止等、重要問題を含んでおりますので、どうしても運輸大臣のおいでをいただきたい。一昨日は公明党は二時間を要求しましたけれども、わずかけさ質問できたのは三十五分にすぎませんでした。私は、もちろん運輸大臣の出席の問題も、これからもあきらめませんでお願いしたいつもりでございます。それから質疑時間についても、理事会の終わりに、公明党は鈴木が六十分、多田が九十分だけだぞと、こういう最後通告のようなお話でいかれたわけでございますけれども、私は、初めの七時間のときの要求である鈴木一時間半、多田三時間ということは、まあ歩み寄りまして、少なくともいまの時点において委員長にお願いしたいのは、鈴木一時間半、あるいは多田二時間、あるいは共産党一時間と、その程度はいただきたいと、これはぜひともお願いしたい。  運輸大臣の御出席の問題と、それから公明党、共産党に対する割り当ての時間、これはひとつ委員長からこの席歩み寄って——理事会では決定していないんですから、もう一歩歩み寄って、委員長裁定をお願いしたい。以上強く要求したいわけです。この通行税法案は、国民が大きな期待をもって見守っている審議です。それを運輸委員会等は一ヵ月以上も審議を続けているのに、同じよりな法案である大蔵委員会通行税法案がわずかもう一日ちょっとで打ち切られるということは、われわれとしてはほんとうに納得できない。あくまでも慎重審議、正常審議を続けたい、こういう観点から、公明党、共産党に対する、運輸大臣の出席と、それから持ち時間をもう一回少し伸ばしていただきたいことを要求したい。  以上です。
  119. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) ただいま多田理事の御要請でございますが、実は、午後開きました二度の理事会において、委員長ぼけたつもりはないのでございますが運輸大臣の出席の要請はなかったと記憶しております。私の記憶が誤りならばフランクに訂正いたすつもりでございます。したがいまして、持ち時間ということで議事を進めさせていただきましたので、そういうことから御協力をいただいたということでございます。今後もできるだけ委員の皆さま方の御要請を体しまして御満足のいくように努力いたすつもりでございますので、何とぞひとつよろしく……。
  120. 多田省吾

    ○多田省吾君 委員長、違っている点がある。議事進行。いま、間違っていれば訂正するとおっしゃったでしょう。
  121. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) じゃ、多田理事、これだけにしてください。
  122. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、先ほどの理事会で、何回も、でき得れば運輸大臣をひとつ出していただきたいと再三お願いしましたよ。それが要請じゃないのですか。強い要請をしましたよ。岩動理事もだめなんじゃないかということで、委員長からはっきりお聞きしてない。また、先ほども私たちは要求したわけです。共産党からもはっきり朝方から要求されておる。どうですか。
  123. 横川正市

    横川正市君 ちょっと関連して。
  124. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 横川君。
  125. 横川正市

    横川正市君 委員長提案の審議時間も、議事進行の間に変わってきているわけですね。ですから、遷延されることで実際上の審議時間がなくなるということだけじゃないですけれども、問題は運輸大臣が来られるか来れないかという問題ですね。並行して運輸委員会もやっていることですが、この質問に立っている委員の了承を得て運輸大臣が来られるのならばこちらに来てもらえるように折衝をしてくれることにして、議事を進めていただきたい。
  126. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) ただいまの横川先生お話は、多田先生お話とあわせまして、委員長において理事にお願いをいたしまして直ちに交渉をさせていただきます。御了解いただきたい。
  127. 多田省吾

    ○多田省吾君 けっこうです。お願いいたします。
  128. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 質疑に入ります。鈴木君。
  129. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 質疑の冒頭で、先ほどの委員長答弁の中でちょっと気になっていることを一つだけ聞きたいのですけれども、それは、いろいろの事情もこれありというお話があり、そのいろいろな事情というのは一体何をさしていらっしゃるのか、それを承りたい。事情によっては協力ができるし、事情によっては考えなきゃならぬ。
  130. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) たいがい、こういうときには、いろいろな事情というのがまくらことばで使われるようでございます。したがって、私も、えらい深い意味で申し上げたわけじゃございませんが、できるならば、なるべくお一人の委員でも一時間でも三十分でもよけい質問をしていただきたいという念願があったわけであります。それから委員長がそういう円満な議事の運びを非常に考えましたことがさようなことに相なったということでございます。(「質疑々々」「進行」と呼ぶ者あり)
  131. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 よく意味がわからないのですけれども、それはそのくらいにしておきます。  大蔵大臣に先日も伺ったのですけれども、例の高級な設備であるから通行税をかけるということが一つの困襲みたいなふうに承ったわけです。そうしますと、税の体系の中で入場税というのがございます。入場税についてはわずか三十円程度からかかっておる。これは、私どもは、三百円以上にしなければいけないんじゃないかということをいま言っておりますけれども、これも異常な大衆的な課税じゃないかと考えられるわけです。実際の設備はどうかといえば、そのようなのをかけていくのは高級かどうかということになりますと、非常な疑問があるわけです。例の通行税、入場税、この両方を見てみると、御答弁あるいは税の体系そのものが一貫していないような感じを受けるわけです。そういう点はどういうふうにお考えになっていますか。
  132. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 入場税につきましては、三十円以下を免税ということになっているのですけれども、この三十円というのがはたして妥当かどうかという問題はあると思います。これは私は考え直してみたい、こういうふうに考えておりますが、通行税に対する考え方は、ただいま鈴木さんからもお話がありましたように、特別の施設として適当な限界を設けておる、こういうふうに考えております。
  133. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それは確かに入場税は三十円からということは、私も申し上げたし、大臣も言われたのですけれども、しかし、一方については、特別な設備あるいは施設であるからということで通行税を取る。入場税については、そういう考え方ではなくて、大衆的な課税になっている。一方がそういうな高級なあるいは特別な設備ということで通行税をおかけになるとすれば、入場税についても同様に考えるのが当然じゃないかと思うのですけれども、その点では三十円は適当じゃないと思うのです。三百円がいいか、三千円がいいか、これはわかりませんけれども、入場税を取っているところでも安い施設になれば、高級な設備という感じは全然ないわけですね。そういうところでも入場税は取られる、一方は高級であるからというだけで取るということになりますと、どうも一貫した税の流れというものが、考え方というものが違うのじゃないかという感じがするのです。そういう点をもう一度お願いしたいと思います。
  134. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) たくさんの税がありますから、ことに物品税なんかになりますと、免税点はいろいろまちまちになっているわけでございます。そういうようなことで、まあよく見るとあるいは均衡のとれていないというものもあろうかと思いますけれども、それらはひとつ検討してみよう、こういう考えであります。
  135. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 検討をしてみるということですから、それはそれでおいておきます。  国鉄に対しての政府からの財政上の問題、あるいは一体大蔵当局はどういうふうに見ているかということを私は伺いたいのですが、たとえばこういう国鉄のような公企業の場合の独立採算制、これは本来外部からの要請で独立採算制というものがとられてきておる。私企業のような利潤性というようなことからの内面的な理由からのものじゃありません。そこで、そういう点で不採算部門があったり、あるいは政策料金というような要素が出てくると思いますけれども、特に国鉄のような国民生活に密接な関係を持っておる場合には、公共性から考えて独立採算制を受けとめるだけの経済的な条件や基盤がなければできないのじゃないか。この辺について私は疑問を持つわけですが、国家財政がそういうような危険な公企業経営というものにどういうふうにタッチすべきがほんとうか。今回の意見書等にもありますけれども、そういう基盤あるいは基礎というものを国鉄の場合には政府としてはどう考えられていらっしゃるのか、特に大蔵当局としてはどう考えておるかということを伺いたい。
  136. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国鉄は、かって長い問、独立採算というか、独立採算以上の成績をあげまして、国庫に納付金をした、こういうくらいな歴史を持ってきておるわけです。それが、時勢の変化というか、競争輸送手段というものが続出をする、そういうようなことで、今日、非常に苦しい立場、ピンチの状態にあるのであります。こういうわけでありますが、しかし、国鉄は、とにかく、たとえば東海道という基幹路線というものの独占をいたしているわけです。これは非常に強固なものを持っているわけです。今度新幹線ができた、年間六百億ももうかる、そういう大きな立場を持っているわけでございますが、一方において、それだからというので、戦前から地方のローカル線というようなものの経営にも当たっておる。それが赤字だというようなこともあるわけです。しかし、赤字であるかないかということも、これもまた非常に判断がむずかしいんです。つまり、もうかる東海道線の営養線というような意味も赤字のローカル線が持っておるわけでして、その辺の限界は非常にむずかしい。むずかしいが、とにかく一つの企業としてやっておる。そこに合理的運営、企業努力という根拠が見出されるわけでありまして、私は、国鉄という一つの基盤を持った事業というものは、独立採算の企業体として、これを根幹として運営すべきものである、こういうふうに考えています。
  137. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 独立採算制ということは、言いかえれば独立会計ということですから、そうすると、わが国でいえば財政法であるとかあるいは会計法といったような国の財政の法律の基盤からははずれてくるわけで、ある程度自由である。そうなってこなければ、前提条件にこれを持っていかなければ、独立会計というかっこうにはならないだろうと私は思うんですけれども、そういう点で、独立採算制というのは、経営管理の上では技術の高度化というようなことが必要だろうし、もっとこれを考えていけば、独立採算それ自体をとるとなれば、今度は資本調達の面では広く仰ぐべきがほんとうではないか。それを、今回の国鉄財政再建考え方では、国でかなり持ちますと。私はそれはいけないとは申しません。むしろ少ないぐらいに思いますけれども、本来の性格としたならば、民間資本の調達、そういう手段というものを独自で考えてどんどん進むべき方向に行くのがほんとうじゃないか、こういうふうに考えるんですけれども、そういう会計制度の問題とからめてどうお考えになっていますか。
  138. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 民間資本が安く調達できて、しかもそれで国鉄が支障なく公的任務を遂行できるというのであれば、それもけっこうだと思います。しかし、現状はそういうわけにはいかないのです。とてもそれは高い金利のつく、金というわけにはまいりません。しかし、それにしても、民間資金を使わなければならぬという事情がありますので、それに対しましては利子補給をするということまでやっておるわけであります。とにかく、国鉄は、国の輸送力の根幹である。その根幹であるという地位は、これはゆるぎません。この根幹という重大な任務をになっておる国鉄に対しまして国ができる限りの援助をする、これは当然のことであると考えております。
  139. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 国がやるのは当然のことじゃないかという、それはよくわかりました。それはわかるのですけれども、さらに、本来は、独立採算、独立会計ということであれば、自分でもって資本の調達を考えていく方向に政府としては引っぱっていくのが当然じゃないか。特に大蔵省あたりの考えではそうあるべきだと思うのですけれども、その点はどうかというんです。先ほどの答弁はわかりました。
  140. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 民間資金を使えるということでありますれば、それは非常にいいことでございますけれども、これは何しろ金利が高いのです。そういうようなことで、利子補給までしておるという状況でありますものですから、利子補給を要しない資金運用部資金を使う、これもまた当然というようなことかと思うのです。とにかく、企業体ではあるけれども、同時に公共的な色彩の非常に強いものである。これが運営に間違いがあるとかということは許されないことであります。ですから、政府としては、これは非常にピンチに立っておるというときには必ず援助する、こういう方針であります。
  141. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いまのはよくわかります。つまり、経営が再建された暁には、今度は民間資金の調達ということもあり得るというふうに私は受け取ったわけです。そういう意味での御答弁ならよくわかる。それから独立採算制をはっきり言えば、どうしても強要される。そういう結果から、採算制を中心にすべての経営というものは動くわけです。それが結局、もうかっているところとかそういうところにしか力を入れなくなるということで、有効な先行投資というものもできなくなるだろうし、一方では、今回の運賃値上げのように、利用者あるいは働いておる人々というほうにしわ寄せが来て、公共性というものが失われてくるのじゃないか。独立採算と公共性というものの矛盾ということがうたわれておりますけれども、その点についてはどうお考えになっておられますか。
  142. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 公共性が失われるというとこは私はないと思います。これはとにかく国の基幹路線を国鉄に独占させる。それで、貨物旅客の輸送の中心を担当させる。そういうことで、その公的性格にはいささかの支障も変化もない。これが何かゆるぐ、というようなことは私は想像いたしておりません。
  143. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 どうも考え方が全然違うようですので、すれ違いになってしまったわけですけれども、いままでも、企業性、公共性、こういう問題に取り組んできたことははっきりしておるわけです。ところが、今回の運賃値上げ案でも、特別車両ということになって、実質的には一等料金の値下げということになっておる。これは先ほども運輸大臣に対して木村委員等が質問しておりましたけれども飛行機との競争でそういうふうになったとしか考えられないような面があるわけです。こういう点から見ると、企業性に非常に重点が置かれておるように見える。ところが、一般旅客運賃のほうが一五%上がるということは、これは今度は公共性というものが無視されていくんじゃないか。社会資本の充実をそれだけ十二分にできる、今回の一五%の値上げ国鉄投資がきちっとできるということならば私どもわかるのですけれども、ただ運賃だけが一五%上がるということは、公共性を無視したことになってくるんじゃないか。一等料金の値下げは企業性の問題、一方のほうでは公共性を失うという問題、そういうことでどうもその点が納得しかねる点があるのですが、大臣はどうお考えでしょうか。
  144. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは資金勘定ということはそういう投資の問題なんですね。それで、いま問題になっておる赤字々々というのは、これは損益勘定の問題なんで、それをせつ然と分けて考えなきゃならぬ問題かと思いますが、いま国鉄の経理状況が悪い悪いという、これは何かといえば、損益勘定が悪いのです。これをひとつ是正してやろうと、こういう考えです。もとより工事勘定と、それから損益勘定が関連が全然ないと、こういうわけじゃない。これは投資に要した資本の利息というものが損益勘定に入ってきますからね。ですけれども考え方としては分けて考えなきゃならぬ、こういうふうに思います。
  145. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 企業性ということから一五%の案が出てくるのだろうと思いますけれども、そうなると、独立採算の原則からいえば、赤字路線については、これは相当大蔵省としても強い態度で国鉄に臨まなければ、財政的な援助等はとうてい考え及ばないだろうとぼくは思うのですけれども、そういう点も今回はあいまいですし、それから今回全国総合開発の新しい案でも、国鉄の役割り、位置づけというものは十二分には論議されておりませんし、あれを読んだだけでは浮き彫りになってこない。また、国鉄の経営、あるいは組織体のあり方、あるいは輸送全体の中でどういうふうに役割りを負わせるのかというようなこともはっきりしていないような感じを受ける。そういうことがはっきりしないで財政的な援助ということを大蔵省はただずるずるとおやりになるわけはないと思うのでありますけれども、私は、その点で、そういう企業性から見てもおかしい点についてはどういう態度で今後も臨まれていくのか、また、今回のことについてはどういうように国鉄に強く要望した上でなされたのか、この二点を伺いたい。
  146. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国鉄自体もこれは大いに努力しなければならぬ、それから政府も援助しなければならぬ、それから利用者負担しなければならない、三者一体という考えですね。その点で特に国鉄に期待するものは、国鉄自体の近代化、合理化、これによる財政再建努力、これは国鉄当局に対して強く要望しております。
  147. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 財政的な援助を行なうとなれば、そういう赤字路線等については、強く体質の改善を望むというだけじゃなくて、こことここはこうしますというような何かプランをもらった上で、じゃこうしましょう、強く援助をいたしましょうということになったのかどうか。
  148. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まだそこまで具体的なところまでいかないのです。いかないのですが、目標を定めまして、国鉄は自己努力によって財政再建に努力をいたします、こういうことでこれから具体的ないろいろな構想が打ち出されてくる。まあ幾つか考え方としては国鉄にあると思います。それは国鉄当局からお聞き願いたいのですが、まあそういう考え方、それを要請するという前提のもとに大蔵省としては運賃値上げ、また財政援助、これに踏み切っておるわけであります。
  149. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 国鉄は、おっしゃるように、だんだん経営が苦しくなっておりますので、従来からも合理化をはかっておるところでありますが、今度の再建十年計画で国から多大の援助を得た関係もございまして、さらにその合理化の方向を推進しようとしているわけでございます。合理化には二つの側面がございまして、一つは、消極的にできるだけ冗費を省いていく、ランニング経費を節約していくという面でございます。それからもう一つは、積極的に近代的投資あるいは省力投資をいたしまして、それによりましていわば生産性をあげていく。そのことは、結局、全体から見ますれば、単位当たりのコストを低減する関係になるわけでございます。特に国鉄に限りませんけれども、今日の日本の労働事情から申しますと、国鉄で所要の人員はなかなか採れないと思うのでございます。そういう意味からいいましても、この合理化投資、省力投資という問題が非常な大きなあれになってくると思うのでございます。たとえば動力関係で申しますと、いまの石炭をたく蒸気機関車では、人手がうんとかかるわけでございますから、これを電力化あるいはディーゼル化するというのは典型的な例でございます。また、信号についても、自動信号機にもっていくとか、保安設備につきましても、できるだけこれを機械化していくという線をどんどん進めてまいるわけでございます。もちろん、輸送需要に対応いたしまして線増をやること、あるいは特に運輸の問題については時間の問題は非常に大きな要素でございます。したがって、スピードの速いものを上げて、かりに四分の一にいたしますれば、それだけよけい通るわけでございますから、四倍の輸送力を持つわけでございます。  したがいまして、すべてそういう見地から、冗費の節約と、それから近代化投資によりまして、単位当たりのコストをどんどん節減してまいりたい。これは、今後の日本の労働事情にも合っておりますし、また、国鉄再建のためにもこの道以外にはないと、かように考えているわけでございます。
  150. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 先ほど、大蔵大臣から、赤字路線云々のことで、まだ詳しくは聞いていないけれども国鉄には案があるであろうというような答弁があったのですが、どういうようなふうな案がいまおありになるのかないのか、あるならば言っていただきたいと思います。
  151. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) ローカル線の問題につきましては、先般、国鉄の諮問委員会におきまして、八十三線、延長にいたしまして二千六百キロのローカル線について、自動車にかえるべきであるという意見が国鉄総裁に出されたわけであります。これに基づきまして、ただいま、各線につきまして、それぞれ現状、さらに沿線の開発状況、あるいは自動車にかえられるかどうか、いろいろな具体的な調査を行なっておりまして、これは現在着々として行なっておりますが、それらの点につきまして、もちろん前提としてはそこに住んでおられます方々の便益ということを前提といたしまして、今後市町村あるいは地方自治体等と協議いたしまして検討する段階になっております。私どもとしましては、そういうふうにして今後自動車に切りかえるほうが国民経済的にベターである、あるいはもっと便利になるという点を考えあわせて検討を進めている次第でございます。
  152. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それからこれは先日もちょっと私伺いかけた問題なんですけれども、特に今後の国鉄赤字をとめるということを財政当局は真剣に考えなければならぬ。その一番の大きな原因は、トラック輸送、いわゆる自動車輸送、それが国鉄輸送に対しての優位ということが始まっている、それが大きな原因になっていると思います。たとえてみれば、国鉄は、路線をつくる場合も、それから敷地を取得する場合も、全部みずからの負担でやらなければならない。これに対して、自動車輸送の場合には、その路線としての道路の建設にしても、道路用の用地の取得にしても、国とかあるいは公共団体、そういう責任や負担でやられる。そういうことから、トラック等については非常に負担というものが軽くなっているわけです。ガソリン税分ぐらいのものであります。また、いまも石炭の問題がありましたけれども、非電化路線の燃料が石炭を使っておる、こういうことからもトラック輸送に対してはますますぐあいが悪くなる。それが貨物の輸送量を減らしていっております。その上に、路線の場合でしたら、信号機をつけるにしても、あるいはそういうような道路の設備の費用というものは、自動車側が負うということは聞いたことがない。ところが、鉄道側では、駅にしても、線路にしても、信号機にしても、踏切にしても、安全施設まで考えなきゃならない。これじゃどうしても競合している道路運送の関係とは絶対に勝つことができないし、再び大きな赤字をつくっていく原因になっているだけだと私は思うのです。その点、道路と鉄道との問題についてこれを片づけなければ、永久に財政的援助をやって、再建十ヵ年の計画にしても、十ヵ年たったときにはまた大きな赤字が出るという憂いもあるわけですから、そういう点はどういうふうにお考えになっていますか。
  153. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 自動車の用いる道路は、一般的には不特定多数の者が利用するわけであります。これは、われわれ人間が歩く道、その道と性格が少しも変わらない。これに反して、鉄道のほうは、軌道を敷設いたしまして国鉄だけの車が通る、こういうことなんです。そこは根本的に違うのです。ですから、それに対する国の助成のしかた、これも違ってくる。まあそれにしても、自動車につきましては物品税がかかっておる。また、国鉄のほうにはどうかというと、車両ができましてもそれに物品税はかかっておりません。それからガソリン税の自動車負担、これも大きなものであります。そういうようなことで、これはまあ態様が違うのですから、それに対して違った処遇をやる、これはやむを得ないことであります。
  154. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 やむを得ないことで済むことならいいんですけれども国鉄の経営がだんだん悪くなってきたのはモータリゼーションの進展であるということははっきりしているわけです。そうなりますと、貨物旅客の輸送を見ても、輸送量の増大の量は、統計からもはっきりしているように、一般自動車貨物自動車で運ぶのがとにかくわずか七、八年の間に三倍以上になっているというのに、国鉄の場合には一割か二割の増加しかないという状態です。これでは、とうてい太刀打ちはできないし、今後もますますぐあいが悪くなるのじゃないか。それで、先ほどもこれは大蔵大臣に質問する、こういうことでありましたが、質問しなかったのですけれども、大蔵大臣に特に伺いたいのですが、そういう点を考えると、競合しておるところの道路運送、そういうところ、あるいは自動車が通って旅客を運送する場合もあります。その両方から考えてみて、競合路線のほうから目的税的なものを何とか国鉄への固定財源として考えてやったほうがいいんではないか、こういうふうに思うわけですけれども、その点についてはどう考えますか。
  155. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ちょっとどういうことですかよくわからないのですが、何と何が競合するのですか。
  156. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 道路を利用しているほうから、国鉄への財政再建のためにつぎ込む国家の財政援助については、目的税的なものを考えてあげたらどうなんでしょうか、競合しているほうから。
  157. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ長い目で見れば、自動車国鉄もバランスがとれておるんじゃないか、こう思います。国鉄が非常に苦しい、これはモータリゼーションだと思います。しかし、さあこれから先一体どうなんだというと、国鉄というものがだんだんだんだんと重みを増してくる。これは、いまの自動車の生産と道路の建設の状態というものを見てみますと、道路のほうは自動車の生産、利用に追いつかない。そこで、かなり混雑した状態が路上では出てくるのじゃないか。そういう際に、軌道を使うマストランスポーテーションというか、そっちのほうの重要性というものは非常に増してくる。国鉄はいま騒いでいるけれども、私は、少し長い目で見ると、国鉄時代というものが来るような気がしてならない。そういうふうに時代の変化がありますから、その変化に応じて弾力的にこれをどういうふうに運営をしていくかということを考えるべきである、こういう見解を持っているわけです。いま、私は、国鉄は一番苦しい時代だ、こういうふうに見ているわけでありますから、国鉄に対しましては政府は大幅な援助をする、こういうことでございまするけれども、これから国鉄が近代化をして合理化をする。また、一方において、競争相手のモータリゼーションのほうはだんだんと苦しい方向に行く。私は、国鉄の将来というものは決して暗くは見ておりません。そういう努力を積み重ねますときっと花の咲く時代が来るのではないか、かように考えておるのであります。
  158. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 大臣、それはほんとうにそう思っていらっしゃるのですか。何だか国鉄が再び花が咲くような話になったのですけれども、しかし、いままでの趨勢をずっと見ていると、トンキロにしても、人キロにいたしましても、とにかく国鉄の伸びというのはほとんど認められない。それに対して、バスであるとか、貨物自動車とか、あるいは内航海運の鋼船とか、そういうもののほうがふえている。こういう点から見ると、そうはおっしゃるけれども、そう簡単に花が咲くときは来ない。長い目というのは何百年ということじゃないかというふうにさえ考えられるわけですけれども、今度の財政再建の法律によれば、はっきりと財政の担保をとったというふうに運輸大臣は言っておりましたけれども、しかし、担保をなお確実にするためには、やはり道路利用のほうからの財源というものを何か考えて、目的税的にしたほうが私はいいのじゃないかと思うのですがね、くどいようですけれども
  159. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、目的税というものにはそもそも反対なんです。なるべくこれを制限していきたい。必要があれば、何も目的税ということを考える必要はございません、一般の財政から支出すればそれでいいんです。また、必要があれば財政投融資、こういう方面も大いにやっていいわけです。必要があるかどうか、こういうことが問題なんです。財政の中で一部の財源を目的税だ、これは財政の運用をいわゆる硬直化という方向に持っていって、しまいには分類がつかなくなる。私はそれには反対であります。
  160. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いま大臣財政硬直化のことを言われたんですが、独立採算をモットーとしてきているのに、それがこういうような財政援助をかなりしなければならなくなる。今後だんだんふえてくるだろうと思うのです。思い切って一ぺんに再建できれば別ですけれども、十年という長い問にわたってやるということになると、すごくまた様相は変わってくるだろうと思いますし、そうすると、つぎ込んでいくことについても、大臣の言われた目的税にしなくても、財政硬直とという問題だけはこれは抜けられないのじゃないかというふうに感じるのですが、その点についてはどういうふうになさるおつもりですか。
  161. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 目的税というのは、特定の財源をある一定の目的だけに限定して使う、こういうことです。財政は、広く財源をあんばいし、広く歳出をながめて、どれが緊要度が高いかということで、緊要度の高いものの順に従いまして財源を充当していく、こういうことなんです。これで、はじめて円滑なる財政運営というものができるのであります。いまは目的税は道路のほうにありますが、あれは邪道なんです。なるべくああいうものは制限をいたしていきたいと、こういう考えでおります。
  162. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は、貨物料金については値上げをしろというわけじゃありませんけれども、今回の旅客運賃値上げという利用者負担という点では非常に納得ができないような感じがする。つまり、貨物競争力というものが非常に力を失って、それが一方の旅客への運賃を引き上げていかなければ赤字を処理できない、こういうふうになったような感じを持つわけです。むしろ、そういう行き方よりも、貨物の輸送量をうんとふやす方法を考えるとか、そういう努力というものを積極的にさせるとか、それをやらなければ運賃値上げはけっこうでございますということは、財政当局として認めにくいのじゃないかと思うのですけれども、その辺のところはどういうふうにお考えになっておりますか。
  163. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) その点は、鈴木さんのおっしゃるとおりだと思います。トラックが便利だというのは、玄関から玄関までというようなことでございますが、国鉄でも、引き込み線というものを大いに考えたらいい。また、コンテナーというものを大いに考えたらいい。そして、何というか、近代性のある貨物輸送、こういうことをいたすべきだと、こういうふうに考えます。おそらく国鉄当局もいろいろ検討されている、かように考えます。
  164. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 ここでちょっと国鉄に伺っておきたいんですけれども、大正十一年に鉄道敷設法というのが制定されている。昭和四十年に運輸大臣から指示された基本計画に基づいて建設しているもの二つがあるわけですけれども、これはどのぐらいやって、いつ完成するのか、そのうち経済的であると考えられるものはどのぐらいあるか、これを伺いたい。
  165. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは鉄道新線建設の問題でございますので、私のほうからお答え申し上げます。鉄道新線の建設でございますが、これは、先生ただいま御指摘のように、基本計画というものがございまして、その基本計画の指示ということで建設の基本を定めておりまして、現在、六十三線、二千七百四十三キロメートルが工事線でございまして、そのうち全線開通をいたしておりますものが五線、八十九キロ、それから部分開業をいたしたものが七線、百三十キロ、これは建設公団設立以来でございます。それで現在建設中のものは五十八線、二千五百二十四キロメートルということになってございます。  それで、こういった新線建設につきましては、一応、基本計画におきましては、現在の経済成長の進捗度等を勘案いたしまして、おおむね昭和五十年くらいまでにこれを完成するということを要望をいたしておるところでございます。そこで、この要望に、建設審議会の建議の趣旨にのっとりまして、新線建設の十年計画というものを作成いたしましてこれを指示をいたしておる次第でございます。現在までのところは、昭和四十四年度の予算まで含めまして、地方開発線——A、B線と申しておりますが、これにつきましては一九%、主要幹線——C線と申しておりますが、これが二二%、大都市交通線——D線と申しておりますが、これが四三%、こういうふうになっております。  それで、これらの建設でございますが、まずこの中で地方開発線、A、B線と申しまするのは、これは地方の開発等を目的とする線でございますので、輸送量がきわめて小さい場合が多いわけでございまして、したがいまして、ただいま先生御指摘のような収支の問題につきましても、開業後は相当赤字線区になるということが予想をされるわけでございます。そこで、この点は、国鉄負担の軽減ということをも考え合わせまして、このA、B線の建設につきましては無償で鉄道建設公団から国鉄に貸し付けるということといたしております。  それからC、D線につきましては、これは一応有償線ということでございまして、建設した暁におきましては国鉄に対しまして建設公団が有償で貸し付けることにいたしておりまするが、これにつきましても、鉄道建設の性格上懐妊期間が相当長いわけでありまして、短期間ではなかなか黒字にはならないということでございますが、しかしながら、これは、非常に長期的に見れば、大都市の近傍あるいは主要幹線でございますので、黒字に転ずることができる、このように考えておるのでございます。
  166. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そうすると、経済的な線は、大都市関係のいわゆるD線だけですね。
  167. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは経済的という意味でございますが、収支採算という面から申し上げますと、これはいわゆるD線と称しまする大都市交通線と称するものでございますが、経済的な収益性の面からはD線が一番いいということでございます。  それからC線と申しますのは、これはやはり主要幹線でございまして、したがいまして、内容によりましては相当収益性もかなりいいものもありますし、それからかなり先へ行ってからでないと採算がとれてこないというものもございますが、しかしながら、主要幹線となる性格のものでございます。  A、B線と申しまするのは、これは地方の線区でございますから、比較的長期問赤字が続くということが予想されるわけでございます。
  168. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは、大蔵大臣財政的な援助を行なうについて、こういうような現在工事中のものでも、長期間赤字が続くであろうとか、将来にならなければ黒字は出てこないだろうとか、こういうものがどんどん建設中であるということですね。そういう点について、国民の税金をつぎ込むのについて、ただそのような赤字をいいかげんにしっぱなしでよいというのか。そういうものがありありとわかっているものをいま建設しているというのですから、そういうものについての御注文は全然おつけにならなかったのでしょうか、つけたのでしょうか。
  169. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) それは非常に論議をいたしたところであります。なお、これからも論議を続けていく、こういうことでございます。しかし、これは、一がいにA、B線だ、ローカル線だ、赤字線だといって、これを直ちにやめてしまう、こういうわけにはいかないのです。これは国鉄に対する地域住民の愛惜というか、あこがれといいますか、これはもうたいへんなものなんです。これもまた無視するわけにはまいりません。そういうようなことで、地域住民に十分PRもし、話し合いもし、そうして地域住民の理解と納得を得て、そうしてまあこうしたほうがよかろうという結論になった場合に、そういう整理をしていくということになろうかと思うのであります。しかし、時代の移り変わりとともにその使命を果たしたというような路線につきましては、これはどうしてもそういう方向に誘導するという考え方を進めなければならぬ、私はこういうふうに考えております。また、そういう同じ考え方に基づいて新規路線の建設というものをやっていかなければならない、かように考えております。
  170. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 今度の財政再建では、基本方針が出て財政再建計画が出るというふうに法律ではなっているわけですけれども財政当局のほうでは、基本方針がまだ運輸大臣から全然出ていないわけですけれども、この点についてはどういうふうに認識なさっていらっしゃいますか。
  171. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 実は、そのために財政再建特別措置法案の御審議を願っているわけでございまして、そこにも書いてございますように、この法案が通りますと、国といたしましては財政再建の基本方針を定めるわけでございます。それに基づきまして、国鉄側で基本方針に即応いたしました財政再建の具体策を持ってまいりまして、それをわれわれのところで検討し、大蔵省にも協議いたしまして、これでだいじょうぶだというところでいよいよ実施にかかるというわけでございます。この法案が通りますと、さっそくその基本方針並びに計画をきめてまいりたいと、かように思っておるわけでございます。
  172. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そうすると、今回の運賃値上げは、その財政再建の計画の中には盛り込まれるものなんですか、盛り込まれないものなんですか。
  173. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは、ここにもございますように、収入に関する問題というところがございます。したがいまして、今後これが通りますれば、今度の値上げは当然含まれるわけでございますけれども、将来の問題につきましての具体策として、これこれの条件であれば場合によると値上げしなくちゃいかぬというようなことで盛り込まれるかもしれません。特に問題になりますのは、消費者物価の高騰との関係でございます。
  174. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これはちょっと私は納得できないのですがね。法律が通って、それから基本方針を運輸大臣が示されるにあたった、再建整備の計画をつくる、それからその中に盛り込まれて値上げをやるというならわかるんですけれども、今回、運賃値上げが一緒に同時に出て、これは財政再建の方針もきまらないうちにこういうものが出たということでは、こういうことになると、大蔵省としたって、基本方針もなければ、再建計画もできていないうちに、財政的な援助だけをするとか、あるいは運賃値上げだけを許可するというわけにはいかないのじゃないかというふうに私は思うんですがね。その点がよくわからないんです。順序が逆になっているように感じるのですが。
  175. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) ただいま申し上げましたのは、順序を申し上げただけでございますが、もちろん再建の基本方針なりあるいは施策についてある程度の構想は持っているわけでございます。すなわち、基本方針といたしましていま考えておりますのは、国有鉄道の役割りをどう考えるかという問題が第一点でございます。これはすでにしばしば申し上げておりますように、国鉄は、今後、都市問の旅客輸送、あるいは中長距離における大量貨物輸送、あるいは大都市通勤通学、ここに重点を置くべきであるということを申し上げておるわけでございます。  二番目は、国有鉄道の近代的経営体制の確立についてというような項目でございますけれども、大きな項目で申しますと、一つは、将来の鉄道網と輸送の近代化、これに関して基本的な方針を示すつもりでございます。第二は、能率的企業経営の確保、こういう問題について考えられる点を示すつもりでございます。  第三番目は、財政再建の目標をどこに置くか。特に計画の前半期、後半期、それから最終年度はどの辺を目途にしてもらいたい、こういう基本方針を示すつもりでございます。  それから四番目には、財政再建のための国の施策としてはこういうことを考えておるということで、その一つは、財政措置としては、今度再建法が通りますと、この法律によって担保されますところの国の諸施策、これを十年間継続するということを明示するつもりでございます。それから鉄道の施設の整備、これについても国の方針を明示いたします。それから運賃料金制度の合理化をどの方向でやっていくか。その合理化と、あるいは公共負担の点にも触れたいと思っております。また、国鉄については、事業の範囲等についてもなおくふうをこらす点が多々あると存じます。そういう点につきましても、われわれ政府側の考えるところを、たとえばパイプラインのようなものはどうであるか、あるいはその他民衆駅というようなものはどういうふうに考えるか、こういった点にもわたりまして、国鉄再建の全般にわたりましてわれわれの考えているところを示すつもりでございます。  ただ、作業の順序といたしましては、この法律が通りましてから基本方針を示し、それに基づいて国鉄の具体的な再建計画ができてまいる、それを運輸省がチェックし、さらに財政当局であります大蔵省に御相談をいたしまして、それで運輸省も財政当局も一致した承認のものとに国鉄と一体となって再建の具体的の施策も進めてまいる、かようなことでございます。
  176. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それは、国鉄の役割り、国の施策、あるいは合理化の方向、事業の内容等、そういうことはいま構想でしょう。しかし、法律案では、基本方針、それからそれに基づく再建計画ということがはっきりとうたわれているわけですね。そういうことを全部提示をされて、しかる後に、今回の運賃値上げについても、あるいは財政援助の方向についても、大蔵省としてはよろしいというふうになったのですか。それとも、そういうものは全然提示されないで、とにかくくれというからやろう。その結果、あとからつじつま合わせたような再建計画が出ればよろしい、また、基本方針が出ればそれでよろしい、こういう考え方ですか。どっちをとらえたのでしょうか。
  177. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは大まかな構想につきましては十分話し合いをいたしまして、そしてこういう財政の援助計画を立てたわけです。正確にこれを国鉄の十ヵ年計画なら十ヵ年計画と、こういうものとして確定をいたしますのは、これはこの法律が通ってからだと、こういうことを申し上げているわけです。
  178. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 しかし、こまかいところまで、財政援助についても運賃値上げの幅等についても考えなければならないだろうと思います。そうすると、こまかいところまではじくとなれば、やはりきちんとした基本方針に基づいた再建計画というものが提示されなければ、本来なら予算にも組めないといことになるわけです。それがなくてやられたというのは、いわゆる目の子勘定というか、多いか少ないかわからんけれども、このぐらいやってやろうと、こういうふうな勘定でおやりになったというわけですか。
  179. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは、すでに国鉄財政再建推進会議で、きわめて詳細に論議を尽くし、また、計画も立てたわけです。しかし、それをそのまま政府が取り上げるというわけにはいきません。大体の見当をつけるのには非常に有効であったというふうに考えますが、そういうことから判断いたしまして、まあこの程度のことをすればきちんとした再建計画ができるだろうという判断のもとに財政援助をきめた、かように御理解を願いたいのであります。
  180. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 ですから、法律にのっとって考えるとちょっとおかしいわけです、今回のは。順序からいうと。方針ができ、再建計画ができ、それから、じゃこうしましょうと、こうなるのが当然なんですが、財政援助の問題にしても、運賃値上げの問題にしても、先に出てきちゃって、場合によると再建整備のほうの計画なんていうのはずっとあとになってしまうような、これから作業ということになると、悪くいえば、国鉄、運輸省が大蔵省をだましたような感じを私受けちゃうのですけれどね。そういう、何でもいいからよこせということで取っていったみたいな感じを受けるのですけれども、そういう運用ということが許されるのですかね。
  181. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 大蔵省もそうめったにだまされることもないですから、(笑声)それは御安心願いたいのですが、順序は、やっぱり法律が通って、そうしてそれから計画ができる、これはほかのいろいろなこういう措置につきましてもそうであります。大体の見当をつけて、そうして予算措置をする、予算措置がきまったと、きまったところで政府のまた国鉄長期計画としての案が確定される、こういう順序になる、これは少しもおかしいことではございません。
  182. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それからこれは今度国鉄にちょっと伺いたいのですが、昨年の定期値上げのときに、通勤費の八割は企業の負担になっているから、利用者負担増は小さい、こういうように発言をしているわけです、国鉄総裁が。実際には、それ以下かもしれませんし、それ以上になっているかもしれませんけれども、個人負担の二割の人たちというのには非常に多くの負担がかかるということになるわけですね。そういう点についてはどうお考えになったのですか。運賃値上げについては、企業負担だからいいんじゃないかというんですが、二割残っている人たちはどうするのか。非常に負担が大きいんじゃないか、差別がはなはだしいことにならないか、そういう点について。
  183. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 定期の問題につきましては、公共負担は法律で五割以上に引いているわけでございません、その線に沿って昨年改定したわけであります。したがいまして、その点から国鉄としては公共負担の是正を行なうようにお願いしたわけでありまして、先ほどのお話のように、総裁が、大部分が会社負担であると。これは、実際調査いたしますと、九五%以上が会社負担になっている。残りの問題につきましては、確かに御指摘のような点はございますが、大勢としてはそう影響はないのではないかというふうに判断したわけでございます。
  184. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは通学定期の問題で大蔵大臣に伺いたいんですが、通学定期についての割り引きはかなり高いわけですけれども、それについて文教政策の上からも、財政からの援助あるいは補助、こういうようなことをやって、急激な値上げというものについては家計負担の増加を避ける、そういう考え方はないかどうか。
  185. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 通学割り引きを政府が補給したらどうだという意見はしばしば聞くんですが、今度の国鉄財政再建計画は、そういう個々の問題について補助をする、補給をするというとらえ方をしないで、国鉄の企業全体としてながめましてそして総合的にどうすればいいか、こういう判断のもとに援助計画を進める、こういうことにいたしたわけです。鈴木さんのおっしゃるようなやり方、これも一つ考え方ではありましょうが、そういう考え方はとらないで、全体としてこれをながめ、全体として国鉄再建をするという考え方をとったわけであります。
  186. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それからこれは同じく大蔵省に伺いたいのですけれども国鉄赤字、これはずっと出ておりますけれども、その減価償却のやり方が三十九年度から変わってきたわけです。国鉄が、それまでは定額法をとっていたのを一部定率法に変えた。購入した資産については次年度から償却することになっていたのを翌月から償却をする。軌道とか枕木については償却の対象になっていなかったのを定額法という償却の対象にした。そういうことから生まれた減価償却費は三百億円で、赤字が三百億というふうに、こうなってくるわけですが、前と同じ会計制度でいけばこれは必ず黒字になるわけだと思うのです。そういう点については、わざわざ赤字になるような償却のしかたというものをとらせるようになさったのか、あるいは、事前の相談でそのほうがかえっていいのではないかというふうになったのか、国鉄側はどういう意見なのか、その点について伺いたい。
  187. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 御指摘のように、三十九年から償却制度を漸次改定してまいったわけでございますが、御案内のように、会計学の常識から申しますと、定額償却というものは大体無体財産権に適用するものでございまして、通常の固定資産でございますと、これは定率法のほうが経理の実体をあらわすということは通説になっているわけでございます。国鉄はずいぶん古い償却制度をとっておったものでございますから、これを漸次近代会計の償却制度に合わしてまいったわけでございます。そのために、確かに新規投資がふえる場合におきましては償却の額の絶対額はふえるわけでございますけれども、しかし、企業の内容といたしましては、そのほうが真実をあらわすわけでございますものですから、われわれのほうといたしましては、国鉄側もそれを希望し、運輸省もそのほうが実体をあらわしておる、真相を明らかにした上でやはりとるべき措置はとるべきである、こういうことでやったわけでございます。
  188. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 しかし、三十九年までは、三十七年、三十八年と見ると、四百九十七億、五百七十四億というふうに黒字です。三十九年に償却の方法を変えてから赤字がふえて、三十九年に三百億、四十年に千二百三十億、これが四十一年の三月運賃値上げの大きな理由になってきたわけですけれども、わざわざそういう償却法を変えることによって運賃値上げをはかったとしかとれないわけです。そうじゃないんですか。
  189. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) もちろん、償却法を定率にいたしますれば、御案内のように、新規投資について初めのほうは絶対額で償却額がだんだんふえていく。定額法よりもふえます。そのかわりに償却年度の終わりになりますと、定額法よりも減ることは当然でございます。ひとり国鉄のみならず、どこの産業界でも、今日定率法をとらないところはむしろ全く例外でございます。しかし、先ほど申しましたように、赤字がふえたのはひとり定額法を定率法に直したことによるわけではございませんで、むしろそれ以上に、るる申し述べておりますように、モータリゼーションによるところの国鉄旅客貨物における輸送面のシェアが減ってきたし、その収入の伸び悩み、あるいは人件費の高騰というものが生産性をこえて、やはりどうしても消費者物価の関係でふやさざるを得なかったとか、そういう原因によるほうがはるかに大きいと思うのであります。
  190. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 減価償却のことについては、まだ聞きたいことは一ぱいあるんですけれども、この程度にしておきますが、民間企業と同じ償却をして、競争力はつくかもしらないけれども、一方ではそれによってしわ寄せをさせるという感じが運賃値上げ等で出てくるんじゃないか。私は、そういう意味では、これは別の方法というものを考えたほうが、公共性の強い企業であるだけによろしいのではないかと思うんです。償却の問題についてはこれで最後の質問にしますけれども
  191. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 設備は必ずリプレースを要するわけでございます。老廃したときに必ずそいつはリプレースをするということを考えますと、どうしても定率法によるほうが資本の回収のしかたとして合理的であるということ、これはおそらく通説であろうと思うのでございます。まあそういう意味におきまして、国鉄も独立採算制をとっておるわけでございます。国鉄運賃法におきましては、運賃のきめ方の重要なる柱といたしまして「原価を償うものであること」と書いてあるわけでございますから、償却の面についても正確に減価を出す意味におきまして定率法を採用した、こういうことでございます。
  192. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 次は、意見書の問題ですけれども国鉄財政再建推進会議の出した「国鉄財政再建推進会議意見書」について、これは全面的に実施をなさるというお考えなのか、それとも、ただ  政府は、諮問機関の答申をいままで一〇〇%行なったことはない。公選法のときのようにまるっきり無視している場合もありますけれども、今回はどういうふうにやられますか。
  193. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 推進会議から出ました答申は、結論から申しますと、ほとんど九〇%程度盛られたと思っておるのでございます。すなわち、政府管掌の資金にかかります六千数百億の金がございますが、その利払い、これをまあ何とか事実上たな上げしてくれと、こういうことを言っておったのでございますが、これはもう一〇〇%以上要求が通ったわけでございまして、それの利払い資金が二千四百七十億くらいございますが、これは十年据え置き二十年の償還という全く異例な財政再建債の発行を認めてもらったと、しかも、それに要する十年の利子が約九百十億に上るわけでございますが、これは一般会計から補給するわけでございますから、事実上たな上げしてもらったということと全く同じである。しかも、たな上げによりまして、先ほども申しましたように、償還期限が延びますから、それによるところの金利効果は非常に大きいわけでございます。ですから、まあこれが一番大きな問題でございますが、この点は財政当局の御理解によりまして推進会議以上のものをいただいたということでございます。  もう一つは、最近にどんどん年間三千八百億から四千億規模で投資をしております。こういう運輸事業というものは、資本の回収期間が非常に長いわけでございます。本来、それに要する償却費あるいは利払い金は、国鉄といえどもやはり当然通常の収入から回収すべき問題だろうと思うのでございますが、何ぶんにも先ほどから申しましたようなもろもろの事情によりましてこの十年間が一番苦しいときでありますから、何とかその分についても利子補給という形で新しいものについて財政補助をしてくれと、こういうことを言っているわけでございます。その点についても大体認めてもらいまして、昭和五十年までの工事を対象といたしまして、その国鉄の金利負担が六分五厘になるところまで認めてもらったわけでございます。
  194. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 まあ、はっきり言って先ほど大蔵大臣答弁にも、政府国鉄、国民という三つを言われたのですけれども、私は、意見書についても、今回の値上げを見ると、運賃値上げの部分についてはほぼ意見書のとおりだと、しかし上のほうはまだまだ実施率としては低いのじゃないか、こう思うのですけれども、都合のいいところだけは一〇〇%実施をされて、そうでないところはまだまだ実施率も高いものではないというふうに思うのですけれども、そうじゃありませんか。
  195. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君)推進会議との違いを申しますと、先ほど新規工事について六分五厘の金利負担ということでございましたが、推進会議のほうはできれば六分というところでございまして、五厘程度違うわけでございます。今度きまったばかりでございますから、なかなか財政当局としてはこれから検討するということも言いにくいと思いますが、運輸省といたしましては、何とかまたよく御理解願って、当分の間はよろしいけれども、この点の拡大方についてもう一段御検討をわずらわすように希望いたすのでございますが、ほとんどその一点でございます。
  196. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 意見書によると、設備投資の総額が約三兆七千億円ということにのぼっていますけれども、この総額について投資効果は具体的にどういうようになるのですか、それを明示していただかないと、いろいろ財政援助を行なう、あるいはほかの効果等もありますけれども、そういうことについてはわれわれは納得しがたいものになってくるのですけれども、国民の納得できるような投資効果を具体的に言っていただきたい。
  197. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは、推進会議の十ヵ年計画にございますように、国鉄の合理化によって現在と比べまして約一兆八千億くらい損益効果を出したい、こう言っているわけでございますが、その大部分は設備投資による分でございます。もちろん、それ以外の保安面の関係とか、いろいろな関係がございますけれども、まず大部分は設備投資効果だとお考えになってよろしいかと思います。労働強化をしないでしかも要員を減らし得るということも、投資効果から直接出てくる結論だろうと思うのでございます。
  198. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  199. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 速記を起こして。
  200. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 一つは、これは大蔵大臣に伺いたいのですが、先ほど昼のときに運輸大臣に聞いたのですが、国鉄は特別債を出したりしまして、それが意見書ではかなり強く言われております。まだ政府保証債ということで今後行くと思いますけれども、やはり「経済白書」等に示されているのを見ると、公社債市場というものをうんと振興して、できる限りそこからの資金というものを仰ぐのがいいということが言われているわけです。これは「経済白書」は全般的に言っておりますし、国鉄のことについてもはっきりそう言っておる。そういう点で、これからのその市場の育成強化ということがいろいろな面で大事じゃないか。そうなればなるほど国鉄それ自体も民主化されるといいますか、資本の民主化が行なわれますので、その点についてはどういうふうになされるおつもりか、伺いたいと思います。
  201. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まだ日本の社債市場は非常に未熟でございまして、大量のものを消化する能力はまだついていないのであります。いま鋭意それを培養しようと、こういう努力をしておる最中でございます。まあいろいろな形の社債が出てまいりまして、その中でどういうふうにこれを割り当てるかというこういう問題になってくるわけでございますが、お話のとおり社債市場を大いに育成して、いま電電債なんかよく売れていますけれども国鉄債につきましてもこれは普及するようにしなければならぬ、かように思います。
  202. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それからいわゆる利用債の件では、これは間接的な開発利益を吸収するほうがいい。これは「経済白書」にはっきりあったわけです。でき得るならば、場合によれば——やむを得なければという意味だと思いますが、財政的援助をしなさいというのが「経済白書」の指摘しておるところです、国鉄に対しては。その開発利益の吸収については、先日のいろいろな答弁を聞いておりますと、これは一つには税金でやる以外にないだろうけれども、間接的な開発利益を取るということは非常にむずかしいので検討中であるという、まあ永遠に検討されるようなことばになってしまっておるわけですが、しかし、利用債の大幅な引き受けをさせるとか、そういう点では私はかなりいけるのではないかという感じがするんですが、そういう点は財政当局としての指導というか、方向といいますか、そういうものはどうなさっていくおつもりなんですか。
  203. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国鉄でも、そういう形による資金の調達、これはかなり努力をいたしておるわけです。しかし、何としてもそう低利なものではありませんものですから、そう利用債利用債とばかり依存するわけにはいかぬと思いますが、これは適度にこれを利用する、こういうことかと思います。受益者負担という問題とつながる面もありますが、直結する形とも言いがたい面もあるわけであります。そういうようなことを考えますると、ほどほどにということかと思います。
  204. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 もうあと二つですが、開発利益のことでもう一つあります。開発利益の還元については、四十年の十二月の物懇の提案があります。四十一年の十一月の国民生活審議会の答申の「将来の国民生活像」の中にもうたっている。それから四十一年十月の都市交通審議会の建議にある「都市交通緊急整備対策」についてもありますし、四十二年三月に出された「経済社会発展計画」の中でもその方法について検討しろということが述べられておるわけです。今回の意見書の中にも開発利益の吸収を言われておるし、「経済白書」でも示されておる、四十三年度の。こういうようにたびたびあるんですけれども、今回は全然取り上げがなかった。こういうところで、私は本来の努力すべきところをしないで、財政援助であるとか運賃値上げとかいうことにのみ踏み切ったんではないかというふうに考えられるので、一番むずかしい問題かもしれませんけれども、むずかしい問題を片づけないで安易な道だけを選ぶということは、これは姿勢としてはよくないと思いますが、この点は大蔵省はどうお考えでしょうか。
  205. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 確かに、開発利益の問題というのは、これは大きな問題です。公共投資が行なわれる、それによって労せずして利益を得る。国鉄の場合でいいますれば、駅ができた、その付近の土地の値上がり、こういう問題があります。しかし、これは非常に筋の通った話ではありまするけれども、さあこれをどういうふうに実行するかということになると、なかなかまたむずかしい。いかなる利益を受けたかというような判定になりますると、これはもう実に困難な問題でありまして、まあ理論的には考えられながらも、なかなか実行されずに今日に至っておるわけなんです。まあ、いい知恵でもありましたらぜひひとつ拝借さしていただきたいと、お願いいたします。
  206. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いい知恵をと言われたのですけれども、その問題については、運輸経済懇談会の第六回の中にも、詳しくアメリカの受益者負担制度の方法などについてまで出ております。その点で真剣にぜひひとつ考えていただきたいと思うのです。  それから最後に、ほんとうはもっとやりたいのですが、委員長だいぶんあれですから、最後に一つだけ伺っておきたいのですが、いままで戦前においては外債をかなり国鉄も持っておりました。ところが、現在は外債が全然ないという状態なんですけれども、これは当然仰ぐべきではないだろうか。その努力は国鉄ではどういうふうになさってきたか。何だかやりかけてやめたような話も聞いておりますけれども、当然、ここまでなってまいりますと、本格的に外債というものをおとりになったらいいんじゃないかというふうに感じるのですけれども
  207. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは、新幹線をつくるにあたりまして世界銀行から金を借りております。外債も、そのときの条件でありますとかいろいろのことを考えなければなりませんが、新幹線をつくる当時のわが国の外貨の事情、そういうものから考えまして、外資を使うことがよろしいと、こう考えまして拝借をいたしたわけであります。
  208. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いまの問題は、マルク債であるとか、そういうようなものはお考えにならないのかということなんです、私の言うのは。
  209. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これもそのときのわが国の国際収支の状況、それから海外の市場の金利の条件、そういうものから総合的に考え国鉄がどこかの外国市場で金を借りたほうがよかろうという際には考え得られる問題でありますが、いまその必要は認めておりません。
  210. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  211. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 速記を起こして。渡辺君。
  212. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は、午前中の質疑の中で、いまの国鉄財政の深刻な破綻をもたらしたその責任が政府及び国鉄首脳にあるのではないかということを追及いたしました。特に政府の中でも国鉄関係の直接の責任者である運輸大臣、これはやはり重大な責任を十分に痛感する必要があるという見地から、運輸大臣がやめるやめぬという問題もありますけれども、しかし、自民党政府が依然としてこういう状態を前にして居すわっておるという状況のもとでは、いまの国鉄財政再建する道を、ほんとう国鉄が国民のために奉仕する国鉄になっていくという方向でこの道をつけていかなければならぬという見地から質問したわけです。ところが、提出されております国鉄財政再建促進特別措置法案ですか、これによりますと、運輸大臣、つまり国鉄財政を破綻させた一方の責任者である運輸大臣が、国鉄の経営管理に全面的に介入するということになっておる。非常に強大な権限を持つようになっておるわけです。しかも、いま鈴木委員も発言されましたけれども、今後十年間どのような再建計画を立ててやっていくのかという具体的な案を何一つ国会に示さない。そうして、強大な権限だけをほしいという法案を提出された。これはいわば国会に白紙委任状をよこせと言うに等しい。これが、国鉄財政をりっぱにやってきた人が全権をほしいというのだったら、話はわかります。大失敗を演じた人が、再建計画を国会に示して国会の審議を仰ぐということもしないで、全権を、全面的な権力を、力を与えてほしいという法案を出しているわけですから、これは全く無責任な態度と言わざるを得ないと思います。その点を午前中の審議の中で追求したわけです。  ところで、これから質問したいことは、財政破綻を来たしたもう一方の責任者、国鉄首脳部の問題です。この国鉄首脳部も、重大な財政破綻をもたらした責任を痛感しているのか痛感していないのか、私は非常に疑問に思っている。この点をまずどんなふうに感じておられるのか、伺いたいと思います。
  213. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) ただいま御指摘の点、まことに恐縮に存じます。ただ、われわれ考えますのに、実は国鉄の総資産は三兆でございます。今年度この財政再建措置をとりまして、累積赤字が約三千億円ぐらいになると思うのでございます。ですから、全体から申しますれば、いま手を講すれば再建できるというところに運輸省としても国鉄としても着目しているわけでございまして、この時期をはずしてはこの十年間はたいへんなことになる。いまこそ、国鉄も、運輸省も、また財政当局も、手を入れれば、再建できる。実は、破綻と申しましても、十年間の見通しの問題なんでございます。このままにほうっておきますと、償却前にすでに赤字が出てくる状態でございます。現在は、この予算書に示してございますように、なお償却前では千三百億ぐらい利益が出る状態でございます。まだ手おくれだというわけではない。しかし、この時期をおいてはないということで、実は、皆さん方、先生方に審議をわずらわしているわけでございます。もう少し早かったらなおけっこうじゃなかったかと、まことにまあさように存ずるのでございますが、前非を悔いまして、ここで禍根を一挙に大手術をいたしまして、将来そのおそれがないように、利用者の方に十分近代輸送の低廉にして豊富なサービスをいたしたい、こういうつもりで出しておるわけでございます。
  214. 渡辺武

    ○渡辺武君 これは、早く手をつけたかおそく手をつけたかという問題じゃないと思う。いまも私申しましたように、今度の運賃値上げ、それからまたそれ以前にあった運賃値上げ、あるいは今後四年間に一回といわれる旅客運賃値上げは、国民にとってはたいへん迷惑です。あとからも申し上げますけれども、通勤輸送の混雑率は、普通定員の二・四倍とか三倍とかいわれておるくらいたいへんなものですよ。こんな負担をかけられながら、依然として一向に状態が改善しない、そういう事態にあると思う。しかも、先ほども運輸政務次官が言われましたけれども、今後運輸省として立案すべき基本計画は——大体、国鉄財政再建推進会議は、運輸大臣の諮問機関になっておるわけですね。これの意見書の内容をほとんどおもな点では取り入れてやられるというような御趣旨だったと思うのです。ところが、この意見書なるものを読んでみると、これはもう全くひどいものです。国鉄財政をこんな状態に落とし込んだ国鉄経営の否定的な面、これをますます拡大再生産しているというのがこの推進会議の意見書の内容です。こんなものを基礎にして基本計画を立ててそうして財政再建をしようとは、これはもう言語道断だと私は思う。問題は財政再建をどのようにして行なうか。ばかでない限り、一定の手を加えれば財政再建が不可能でないことは明らかだ。問題は、この国鉄ほんとうに国民に奉仕する方向に切りかえながら、しかも財政再建するか、それとも、推進会議の意見書に出されているように、長距離、中距離の高速貨物輸送、このあたりに重点を置きまして、そうして大企業、アメリカ軍に奉仕する貨物輸送、これを全面的に強化しよう、そしてまた、もうけの多い新幹線、これまたうんと力を入れてやる、言ってみれば、大企業、米軍奉仕、そうしてまた営利主義そういう方向に全体として国鉄を切りかえていこう、もうけの出ないローカル線や小駅は切り捨てていこう、そしてそれに必要な資金のほとんど大部分は旅客運賃値上げでまかなっていこうとするのか。これは言語道断な内容だと私は思う。こういう方向で財政再建することを国民は少しも望んでいないと思う。そこで、遺憾だとおっしゃいましたけれどもね、私はやっぱりあなた方は責任をほんとうに感じていないと思う、国会と国民に対して。しかも、きのう私は連合審査の席上で国鉄の石田総裁その他の首脳に質問してみてつくづく感じましたのは、石田総裁をはじめとする国鉄の首脳がこの事態に根本的な反省を行なっていないという点です。  たとえば、運賃の問題一つとってみましても、旅客輸送では黒字が出ている。貨物輸送では赤字が出ている。これは国鉄の発表した資料で明らかだ。しかも、貨物運賃のほうはコストよりもはるかに低いところに設定し、旅客運賃のほうはコストよりもはるかに高いところに設定するというようなやり方でやっている。そういう実情にあるにもかかわらず、今度の運賃値上げ旅客運賃引き上げだ。貨物のほうは、これは据え置きどころじゃない、実質的には引き下げていると私は見ている。その不当性を追及したけれども、それについて満足する答弁がない。あれこれ言いわけはされております。しかし、ほんとうに国民が納得するに足るような答弁をやられておらない。私は、反省の色がないと思う。  また、公共負担の問題でもそうです。国鉄が公共企業体である限り、通勤通学定期の割引をやるとか、学生割引をやるとか、あるいは農産物の輸送について特別な割引をやるというのは、これは当然なことだと思う。ところが、これも、できるだけ早くこれをなくしていきたいというような趣旨の答弁をされる。あるいは、運輸委員会などでの答弁を聞いておりますと、労使関係ほど不愉快なものはないというようなことを公言される。そうして、その答弁も、国鉄総裁と副総裁の答弁が矛盾撞着している。国鉄総裁は、いまの国鉄がのっとっている原価というのはどんぶり勘定だ、いわゆる総合原価主義だと、副総裁のほうは、路線別、物資別に原価を計算しなければやっていけないような事態に来ていると、全く食い違っている。  こういうようなことで、国鉄首脳の答弁の中には、いまの事態をほんとうに国民の利益の方向で解決していこうという誠意がないと思うんです。しかし、これは、個々の個人の問題じゃない。まあ総裁の名前は出しましたけれども、これは総裁の名前がついているから名前を出したので、私は個々の個人の責任というふうには考えていない。むしろ、いまの国鉄首脳部の任免について法律できまっております制度がありますけれども、そこにこそ問題がある。いまの国鉄の首脳部の任免の制度、これは、言ってみれば、自民党、政府の独裁ができるような形になっているでしょう。国鉄総裁の任命、それからまた国鉄理事の任命の制度、あるいは監査委員会の任命の制度、これはどうなっておりますか。
  215. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) だんだんと御指摘でございますが、私たちは、やや先生と見解を異にいたしておるわけでございます。国鉄は、基本的に、独立採算制とそれから公共性と、いわば相矛盾したと申しますか、この両方の性格を持っておるものだと思うのでございます。そして、また、今後もこの相矛盾した両方の性格を負うべきものであると思うのでございます。ここが一番国鉄の悩みであろうと思うのでございまして、おっしゃるように、なぜ貨物を上げないのか、こう申しますれば、いまは距離別で計算いたしますれば、もちろんトラックよりも国鉄のほうの貨物運賃が安いことは当然でございます。現在でも安いわけでございます。しかし、それにもかかわらず、トラックのほうにどんどん荷主の需要が行っているところに問題があるわけでございまして、さればこそ、貨物運送につきましても、フレートライナーであるとか、あるいは物資別の総合輸送であるとか、あるいはさらにはトラック、内航海運の一貫した共同輸送をやりまして、戸口から戸口まで、しかも時間を速く、ここが一番問題だと思うのでございます。そういうことをやるためにはやはり相当の近代的投資を要するものでございますから、問題の視点はまさに先生と同じなんでございます。そういう意味で、今度貨物について運賃を上げましたところで、ただでさえシェアが少ないのでございますから、その問題はやはり近代化ができてから臨みたいと考えておるのでございます。  そして、また、まあ三本柱でやっておるわけでございますけれども、その本来の公共性と独立採算制ということから申しましても、運賃値上げをやりながらもなおかつ償却後赤字が出る。まあ残念ながら、原価を償うべしと、こう言っておりますけれども、それを一〇〇%実施できないのでございます。これはもう公共性から来た一つの性格だと思うのでございます。また、物価あるいは賃金の安定に資せよということでございますが、値上げをいたしますればその限りにおきまして物価に響くこともよく承知しているのでございますけれども、これはまた独立採算制の立場から、そのことを言いかえますれば、将来やはり独立採算制を貫くということは国民の輸送需要に対応できるその素地をつくるわけでございます。現在だけでなくて、将来われわれが国民の需要考える上に、どうしても利用者に多少負担していただいても将来の利用者の便益を考えるときにそこに踏み切らざるを得ない、ここが実は国鉄の非常な悩みであるわけでございます。また、産業政策上にも資さなければいかぬ、こういうふうに思います。現在貨物物資につきましていろいろな政策割引運賃をやっております。これも産業政策考えてやっているわけでございますが、その限りにおきまして独立採算の損益効果にも響いてくることは当然でございます。  そういうことをあわせながらこの三つの要請をどう調整するかというところが問題でございまして、さればこそ、まあそれぞれ、国鉄の合理化はもちろんでございますけれども、また国の財政にも援助を頼み、そしてまた利用者にも一部負担をしていただいているというのが、そういう国鉄の持っております基本的の性格、並びに、先ほど申しましたように、ここ十年が勝負である、将来の国民経済の上の需要にいまのうちにこたえるためにその基礎固めをする、こういうところにあることをひとつ御賢察賜わりたいと思います。
  216. 渡辺武

    ○渡辺武君 私の質問した趣旨がどうもおわかりにならないようですが、いまの国鉄の首脳部、総裁とか副総裁とか理事とか——監査委員は首脳部とも言いかねるわけですけれども、これらはどういう任命の方式になっているかということです。
  217. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 国鉄の役員の任命方法でございますが、総裁につきましては内閣の任命、それから副総裁及び理事につきましては、総裁の任命でございますが、運輸大臣の認可を必要といたします。それから監査委員会の委員につきましては、運輸大臣の任命でございます。
  218. 渡辺武

    ○渡辺武君 そういうことになっているために、どうしても自民党・政府政策を忠実に実行するような人が国鉄の首脳部にならざるを得ない。そうでしょう。国鉄総裁は内閣が任命する、副総裁及び理事は総裁が運輸大臣の認可を得て任命する、こういうふうになっておりますね。そうしますと、いま申しましたように、まさに自民党・政府国鉄財政を破綻させた一番重要な責任者だと見なければならぬ。また、きょう、運輸大臣は、その点は確かにそうだということを言っておられました。その自民党・政府が国会の制約も国民の制約も受けないで一方的にきめることのできる国鉄首脳部、これが今後もそういう方式で引き続いていくならば、いくら運輸大臣が全面的な管理権をもって介入しても、国鉄ほんとうに国民に奉仕するようなものにならないと思わなければならない。したがって、国鉄の管理機構については、やはり国会や国民の制約が十分に行き届くような民主的な措置を講ずる必要があると思う。  時間がないから、私の考えを申しますと、総裁はじめ、副総裁、理事は、ほんとう日本の働く国民、及び国鉄で働いておる労働者、こういう人たちの希望や要求を反映するような民主的な人、これを選ばなければいかぬ。しかも、その任命にあたっては、国会の承認を必要とするようにしなければならぬ。こうして、はじめて民主的な人間を国鉄の首脳に据えることができる。これが第一です。  また、国鉄の監査委員、これは運輸大臣が任命するということになっておりますけれども国鉄の経営その他について最もよく知っているのは国鉄の労働者です。国鉄労働組合の代表者を含めて国会で選出された委員が監査委員に任命されるという形をとるならば、こんなひどい財政破綻を来たすようなやり方ではなくして、もっと実質的に国民の利益に役立つ方向でしかも国鉄財政再建をはかっていくことができる。そうして、この国鉄の監査委員会が、国鉄のいわゆる外郭団体あるいは取引上密接な関係のある企業に適時立ち入り検査を行なって、その不正、汚職などを十分に改めていくことができるようにする。そうしてまた、監査委員会の報告は国会に提出するという仕組みをとる必要があるのじゃないかというふうに考えますが、この点はどうですか。
  219. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) わが国の現行制度のたてまえは、御案内のように、立法、司法、行政と分かれておるわけでございます。それぞれチェック・アンド・バランスですべての能率がうまくいくようにということは、わが国の憲法の基本方針であるわけでございます。政府は、また、自分の所信の正しいと思うところをつまびらかにし、そしてまた国会にものをはかっているのだと思うのでございます。したがいまして、国鉄の運営につきまして政府がこの人こそ適当であると思う人を出すのがあるいは自然のことではないか。また、事実、国鉄のみならず、すべての同じような公社の問題につきましても、同じような任命方法をとっているということをひとつ御理解願いたいと思うのでございます。
  220. 渡辺武

    ○渡辺武君 あなたと論争している時間があまりないので、一言だけ申し上げて次に移りたいと思いますけれども、チェック・アンド・バランスというような一般論でこの問題は考えられないと思うんです。いま申しましたように、国鉄財政はこんな深刻な状態に落ち込んでいる。そして、また、国民に非常に大きな迷惑をかけている。しかも、その最大の責任者である自民党・政府が一方的にきめることのできるような仕組みで国鉄の首脳が選ばれている、こういう形になっている。これを改めなければ、国民がほんとうに納得いくような方向で国鉄再建していくこともできないし、国鉄財政再建もできないと私は思う。先ほども申しましたように、財政再建するという道には幾つかあると思う。根本的には二つの道がある。一つは、いまあなた方が考えている、そしてまた推進会議の意見書がはっきりと述べているように、全く旅客運賃を一方的に引き上げて、そして国民の負担で大企業や米軍に奉仕するような貨物輸送をどんどん増強する、そういう道もある。それからいま私が言っているように、国鉄の公共企業性を十分に生かして、そして国民にほんとうに奉仕するような国鉄にしながら、同時にまた、国鉄財政再建をするという道もある。私は、あなた方がほんとうに今度の問題について責任を痛感しておられるならば、国会や国民に対して責任を痛感してもらわなければならぬ。そのためには、今度の推進会議の意見書に盛られたような、あるいは先ほどあなたがおっしゃいました、それを大体取り入れた大綱のようなものを先ほど言われましたけれども、そういう方向ではなくして、もっと国鉄を国民に奉仕するような方向でやっていってもらいたい。その具体的な内容については、これから質疑の中で明らかにしていきたいと思います。そのことを要望して、次に移りたいと思います。  いま国鉄首脳の問題について申し上げましたけれども、私は自民党・政府の責任についても次に考えていただきたいと思います。根本的には、私どもは、いまの自民党・政府国鉄財政再建ほんとう国鉄を国民に奉仕するような方向でやっていくということは期待できないと思う。新しい民主的な制度をつくらなきゃだめだと思っております。しかし、いまそのことをここで言ってもしょうがない。しょうがないから、いまの自民党・政府がやろうと思えばできるような点を質問してみたいと思います。  先ほど、大臣は、国鉄に対して財政上のいろんな措置を今後も講ずるつもりだということを言われましたけれども、今後十年間の財政再建期間に、どのような財政措置を講じられるのか、そのことをまず伺いたいと思います。  また、いま国鉄政府関係から負っている債務ですね、これはどのくらいあるのか、それからその利払いが年間どのくらいになっているのか、その点についてもお聞かせ願いたいと思います。
  221. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 数字ですから、政府委員からお答え申し上げます。
  222. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) まず、今回の予算並びに法律においてとろうとしている措置でございますが、先ほど質問のございました政府から国鉄に対して貸しております額は約六千三百四十億円余りでございます。この六千三百四十億円余りの金につきまして、その支払い利子が、四十四年度で申しますと四百八億円でございます。今後十年間多少ずつ減少していくわけでございますが、この政府関係の貸し付け金にかかる利子につきまして財政再建債の発行を認めまして、それの利子を全額政府で補給していこうという考えでございます。その再建債の条件は、十年据え置き、二十年償還ということに相なっております。その再建債の利子補給は、十年間で約九百七十億円程度になろうかと存じます。  それから先ほどもお話のありましたように、国鉄の投資というのは、それが初期におきましては資本費の負担が相当大きい。長期的には採算がとれましても、投資が大きい時期におきましてはその初期の資本費負担が大きい。それがために、国鉄の行ないます投資につきましては、第三次長期計画の始まりました年次から国鉄の投資が大きいであろうと考えられます。昭和五十年度までの投資に要する外部資金につきまして、その資金の表面金利と六分五厘の差を七年間にわたって補給していこうという考え方に立っております。その利子補給の金額が、これは再建整備計画を多少こえて補給することに相なりますが、その額が約千二百八十億円程度でございます。先ほど申し上げましたように、政府から国鉄に貸し付けております金額というのは、約六千三百四十億円余りでございます。それから国鉄負担しております支払利子でございますが、これは、四十四年度におきまして、支払利子及び債務取り扱い費を合わせまして、千四百六十八億二千八百万円程度でございます。
  223. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、財政援助をするするというふうにおっしゃっておりますけれども政府としてやる財政援助は、九百七十億と千二百八十億、合わせて二千二百五十億ということになりますか。
  224. 海堀洋平

    政府委員海堀洋平君) それ以外に、国鉄の新規投資に対しましてできるだけ低利の財政投融資のめんどうをみておりまして、これは今後の建設計画にかかるわけでございますが、四十四年度で申しますと、二千九百億円という財政投融資で建設資金のめんどうをみておりまして、そのうちで、いわゆる低利の金、運用部の貸し付け金が千三百三十億円、簡保からの貸し付けが三百二十億円となっております。この千三百三十億円の中には、先ほど申し上げました十年間据え置きの二十年償還といういわゆる再建債が四百八億円含まれておるわけであります。
  225. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、いまおっしゃった数字を見てみますと、新規投資の分について、これは資金運用部資金あるいはまた簡保資金というもので、これは返さなきゃならぬ金ですね、しかも金利がついて。それから一般会計から支出すると思われるものは、これは両方の利子補給で合計して二千二百五十億、こういうことになりますね。そうしますと、十年間の再建について政府財政措置を講ずる講ずると言うけれども、一般会計から出るものは二千二百五十億円、これは金額の絶対額としては少ないものじゃない、大きいと思います。大きいと思いますけれども、いま国鉄が落ち込んでおる財政上の深刻な危機、及び国鉄が今後やっていかなければならない投資の規模十年間に三兆七千億円といわれているこのばく大な投資規模からすると、これはまことに微々たる金と言わなければならない。私は、日本国有鉄道というのは、日本国有鉄道法にもはっきりと書かれておりますように、営利企業じゃない、これはやはり公共企業だと思う。したがって、先ほど申しましたように、通勤通学定期についての割引だとか、あるいは学生割引だとか、あるいは農産物などについての特別割引だとか、こういういわゆる公共負担というものは当然やらなければならぬものだと思う。これこそが国鉄が国民に奉仕する姿だと思います。それから赤字ローカル線が最近はだいぶ騒がれておりますけれども、しかし、へんぴな地方に国鉄の輸送機関が敷設されるということは、これは地域住民にとって非常に大きな利益です。やはりこれは多少採算を無視してまでも国鉄が公共企業というたてまえからして当然やっていかなければならぬことだと思っております。  ところで、先ほど村山さんのお話もありましたとおり、こういういわゆる公共負担というものがあると、それはもう確かに損益勘定という点では不利な面が出てくる。したがって、これは別の面から補助しなきゃならぬ。つまり、ここに政府国鉄財政的な支出を特に一般会計からやらなきゃならぬという必要が生まれてくると思う。ところが、いまの国鉄の資本金を見ますと、御承知のように、わずかに八十九億円です。いま、国鉄の総資産はどのくらいあるか。約三兆円に近いと思います。それをこえているかもわからない。この八十九億円の資本金、これは昭和二十五年以来一銭もふえちゃいない。昭和二十五年以来、国鉄は、大投資に次ぐ大投資をやってきた。資産は非常に大きくふくらんできた。資本金はわずかに八十九億円です。全くこれは異常な問題だと思う。この問、政府から多少の補助はあったけれども、しかし、日本国有鉄道法にはっきりときめられているように、政府が出資することができるというこの項目は、昭和二十五年以来生かされていない。こんな事態に置かれたら、どんな人が経営したって、特に自民党・政府の任命している先ほど申しましたような国鉄首脳が経営している限りは、旅客運賃の引き上げ、そして国民からたくさんの運賃収入を取ってきて、これで金をまかなっていくか、あるいはまた、たくさんの借金を外部から負い込んでばく大な金利負担で悩むと、こういうことにならざるを得ない。現在国鉄の金利の支払いが一日三億円とか四億円とかいわれております。こういう事態にした責任は独立採算制を国鉄に無理やり押しつけて、そうして必要な出資を、なすべき出資をやらないで、国鉄に投資に次ぐ投資をやらしてきたという政府に責任があると思う。したがって、いまの国鉄財政再建国鉄の公共性を生かしながらやっていくためには、政府が必要な資金をもっと十分に出す必要があると思います。これを一般会計からわずかに二千数百億円しか出さないという状態でありますために、国鉄首脳の間違った経営方針と結びついて、公共負担はなくしていく、運賃は今後四年間に一回という割合でどんどん旅客運賃だけは上げていくというような方向に行かざるを得ないようにさしているんじゃないかと思う大臣は、先ほど、政府が出資するかどうかという問題は局部の問題だと言われたけれども、私はこれは日本国有鉄道が公共企業体だという国鉄の基本性格にかかわる問題だと思う。この点を十分に認識されて、もう少し金をやはり一般会計のほうから支出すべきだ、国鉄にもっともっとたくさんの出資をすべきだと思います。特に、いま国鉄が負っている政府関係機関からの債務六千三百四十億円、これを出資に切りかえたらどうだろうか。それからまた、年々政府関係の機関に支払っている利子、これは全部ただにしてやる、あるいは一般会計からこれを補助として当然出すべきものだ。孫利子方式というようなみみっちいやり方じゃなくして、当然これは一般会計から出すべきものだというふうに思います。そういうことをやられる意図があるかどうか。もしやられる意図がないとすれば、その理由、これを伺いたいと思います。
  226. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 渡辺さんが御指摘になる点は、結局、運賃値上げをやめて、そして国から補給したらどうだ、こういうことになるようなお話でございます。したがって、一般の税で国鉄赤字をまかなうのか、あるいは旅客運賃の引き上げでまかなうのか——国からやったほうがいいじゃないかという、こういうお話でございますが、これはもう国としてこれをやる、つまり一般の国民が国鉄の運営費を出すということには限度があろうと思うんです。いま旅客運賃は一体どうなっているかと、こういいますと、戦前比二百三十四倍です。物価はどうなっているかというと、五百八十倍。貨物はそれじゃどうなっているかというと、二百四十四倍で、旅客よりは少し高いんですがね。しかし、いずれにしても、旅客貨物両方とも、これは一般の物価水準からいえばはるかに低い。ここにも一つの問題がある。しかし、いま物価問題の非常にむずかしいときでありますので、この運賃調整という時期ではありません。そういうふうには考えておりませんけれども、そこにも一つ国鉄問題点がある、こういうふうに思うわけであります。やっぱり、この際は、利用者である国民の一部の者に負担していただく。そういう形もこれは取り入れる。しかし非常の際でありますので、国も援助をする。両方の政策をかね合わせていくほうが適当である、こういうふうに考えるわけであります。  特に、資本金の問題に触れられたのですが、資本金はなるほど八十九億と少のうございますが、再評価積み立て金があるわけです。企業会計からいえば、これは私から申し上げるまでもなく、内部資産が評価の対象になるわけであります。この資本金と内部資産の比率はどうかといえば、三六%に当たっております。これは、一般の事業会社が一九%とか一八%とかそういう低率の内部資産の状態に比べると、むしろいいくらいの状態でありまして、いまこの資本金をノミナルな形でふやしてみてもそう稗益するところはあるまいと、かように考えております。
  227. 渡辺武

    ○渡辺武君 大臣から御答弁を聞きましたけれども、それは理屈は通らないと思いますね。大臣のおっしゃる理屈は、まず第一に——私は別に運賃を上げないで、そして政府が出資をするということを言っているわけじゃないんです。これはまあ大臣たしかおられたと思うが、きのうの連合審査のときに私はっきり申しましたし、それ以前にも予算委員会の分科会でも言いましたけれども、私は運賃を上げるなと単純に言っているのじゃない。いまの国鉄運賃制度体系、これを変えなければならぬ。どういうことになっているかといえば、先ほどもちょっと申しましたように、旅客運賃は原価よりも非常に高く設定されている。貨物運賃は原価よりも低く設定されている。そして、今度の値上げは、この低く設定されている貨物運賃を据え置いて、実質的にはこれをさらに引き下げる方向をとりながら、原価よりも高く設定されている旅客運賃を引き上げようとしている。赤字、黒字という見地からいえば、貨物輸送の上では大幅な赤字を毎年出している。旅客輸送の上では大幅な黒字を出している。したがって、この関係を、国鉄運賃法にはっきりと示されているような、原価を償う公正妥当な運賃にしなければならぬ、こういうふうに私は主張している。つまり、別なことばでいえば、旅客運賃を据え置いて、貨物運賃を、しかし全部じゃない、その中で大企業の貨物運賃、これを原価を償う公正妥当なところまで引き上げるべきだということを私は主張している。そうすれば、いまの国鉄財政赤字はかなり緩和できる。いまの国鉄財政の危機の一つの大きな原因は、貨物輸送における大きな赤字原因である。それを克服することが、旅客運賃を上げないでも財政再建を進めていく一つ根本の道です。私はそのことを言っている。  しかし、そういうことをやりながら、同時に、やはり政府が必要な資金を一般会計から出資すべきだ。なぜかといえば、大臣はいま利用者負担ということを言われた。これはまあ時間があればこの点は十分詳しく反駁したいと思いますけれども、一体、貨物輸送の増強をするのがどうして旅客にとっての利用者負担ですか。そういう問題が当然出てくるんですよ。あるいは、東海道新幹線を増強するのに、通勤定期の割引率の引き下げ、これは利用者負担じゃないですよ。まあその問題は、もう間違っていることは明らかなんで、詳しくは申しませんけれども、しかし、大臣、そういうふうに利用者負担と言うならば、なぜいま政府は空港や港湾に対してその建設費の補助を出しているんですか。これは、利用者負担ならば、当然それらの空港や港湾を利用する人たちに負担させるべきでしょう。利用者負担という議論は通りませんよ。しかも、私申し上げたいのは、国鉄の監査委員会の監査報告、これにはっきり出ている。イギリスでも、西ドイツでも、フランスでも、鉄道に対しては政府がさまざまな形でかなりたくさんの財政補助を出している。時間がないからここでは読みません。読みませんけれども、同じ資本主義国でも、イギリス、フランス、西ドイツはそれをやっている。あなた方は、全く理屈の通らないことを理屈として出して、そうして当然出すべき国の出資、これをやろうとしない。当然やらなければならない国の補助もやろうとしない、こういうことだと思うんです。これでは、国鉄財政破綻について政府がどのように責任を負っているのか、疑問に思わざるを得ない。その点、大臣、どうですか。
  228. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 欧米の諸国でかなり政府が援助した実績はあります。ありますが、これは成功しておりませんですね。やはり、そういう形は、親方日の丸というようなことで、どうも企業の合理化、近代化ができない。そこで、これを直さなきゃならぬというところに追い込められている。私はそれを見本にしたら、間違った方向に行くと思います。やはり、国鉄というものは、企業独立採算制を堅持しながら、その前提のもとに企業の体制を整える、そこに国鉄が能率を発揮する、またほんとうに立ち直るゆえんのものがある、こういうふうに考えるわけであります。まあ政府は援助が足らぬじゃないかというようなお話、あれだけの専門家が集まって、渡辺さんから見るとどうもけちょんけちょんでございますが、(笑声)しかし、私どもが見れば、これが最高の名案だと、いい案をつくってくれた、それをおおむね取り入れると、こういうことでございますので、私は、政府とすればこの際として相当思い切った措置を講じたものだ、かように見ております。
  229. 渡辺武

    ○渡辺武君 大臣の言われることは理が通りませんね。親方日の丸と言われましたけれども、そのことばの中に、いまの自民党・政府の自信のなさと、国鉄首脳部に対する政府の評価がはっきり出ていると思う。先ほど申しましたように、政府が国会の承認も得ないで、あるいはまた民主的な人士を広く選ぶというようなこともしないで、いまの国鉄総裁のように財界の推薦に基づいて総裁をきめるというような方式をとって国鉄首脳部をきめておる、そういうところへ政府財政補助を出せば、これはおそらく親方日の丸主義になるかもわからぬ。だからこそ、私は、国鉄の管理機構を民主化しなければならぬと言っているんです。国鉄の管理機構を私が先ほど申し上げたような形で民主化して、そうしてまた、同時に、国鉄財政再建の基本方針や、あるいはまた再建計画、基本計画これらをほんとう国鉄が国民に奉仕する方向できめてつくっていけば、政府が金を出せば出すほど、親方日の丸主義じゃなくて、国鉄はりっぱな国鉄として再建できていくと思うんです。親方日の丸主義というようなことを言うところに、政府当局及び国鉄首脳部のだらしのなさ、この財政破綻を生み出した、しかもそれをほんとうに責任を負おうとしない無責任ぶりがはっきりあらわれているというふうに考えざるを得ない。しかし、私は、もちろん何でも政府が金を出せばいいというようなことを言っているわけじゃないんですよ。そうじゃない。いま申した国鉄の管理機構の民主化ということもそのための一つの条件です。それからまた、あとから時間があれば問題にしたいと思いますけれども国鉄の経営方針の根本的な民主化、あるいは先ほど申しましたような運賃体系の根本的な転換、こういうこととあわせて行なう必要がある。共産党以外の政党は、政府の出資あるいは政府の補助ということを要求しておりますけれども、しかし、私どもは無条件でそれを要求しているんじゃない。やはり国鉄の民主的な再建の一環としてこのことを要求している。  そこで、財政資金の問題が出ましたので、私はいま大臣の言われたいわゆる利用者負担ですか、この問題について少し検討してみたいと思います。大臣はいみじくも言われたように、いまの国鉄利用者負担という方向で旅客運賃を上げているんだということを言いましたけれども、実際それが利用者負担になっているかどうか、私、一、二の要点さっき申しましたけれども、質問の中でこれを明らかにしたいと思うんです。  今後十年間の国鉄投資計画三兆七千億というもの、この内容ですね、これをどんな内容なのかおっしゃっていただきたいと思います。
  230. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) ごく大ざっぱに申し上げますと、都市間旅客輸送に一兆二千六百億、中長距離大量貨物輸送に八千百億、大都市通勤通学輸送に五千五百億、合理化安全対策費に一兆八百億、合計三兆七千億でございます。
  231. 渡辺武

    ○渡辺武君 新幹線で旅行する人たちは年間どのくらいおりますか。
  232. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 昭和四十二年度におきまして、乗車人員が五千二百二十四万人でございます。
  233. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、国鉄が一年間に運んでいる旅客の数は、延べ人員約七十億人といわれているんですね。かりに七十億人の中の五千二百二十四万人、これを運ぶために、三兆七千億円の中で、山陽新幹線も含んでおりますけれども、一兆二千六百億円の投資をやろうというそのために、全旅客運賃を引き上げるとあなた方は言っておる。七十億人のふところから運賃を引き上げて金をしぼりあげておいて、そうして五千二百二十四万人のために投資をやる、これが一体利用者負担と言えますか。私は言えないと思うのです。これは小学生でも理屈はわかると思う。  もう一つ伺いたいと思うけれども、通勤輸送の増強をやると言っていますけれども、この通勤輸送計画はいままで国鉄が第一次、第二次、第三次と合理化計画を進めましたけれども、計画の達成率はどのくらいですか。
  234. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 第三次計画におきましては、昭和四十三年までに約半分五〇%でありまして、総額は約五千億でございます。
  235. 渡辺武

    ○渡辺武君 五〇%しか達成していないわけでしょう。
  236. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 第三次計画におきまして計画しましたのは七年間で、四十年から四十六年までの計画として五千億を考えておりました。それに対して、四十二年度までが、要するに前半期におきましての計画としては、全体で五割でございますが、前半期に対しては約九五%の達成率でございます。
  237. 渡辺武

    ○渡辺武君 それは第三次五ヵ年計画のことですか。これは時間がないから私のほうで言いますが、第一次五ヵ年計画で通勤輸送の計画に対する実績の達成率は六〇%、第二次五ヵ年計画は五五%ということになっていますね。通勤輸送を増強するんだ増強するんだと言ったって、その半分ぐらいしか達成していないんですよ。いま、混雑率はどのくらいですか。これも聞いていると時間がありませんから、私の調べたのを申し上げますと、東京周辺で普通に定員の二倍半近くというふうにいわれておる。ひどいところになると三倍から四倍、そういうことになっているでしょう。さっきも私申しましたように、運賃値上げをされてもされても、そして定期の割引率を引き下げても引き下げても、負担はふえるけれどもさっぱり混雑は解消しない。多少は終戦直後に比べれば改善しているでしょうけれども、いまだって冬どきになれば駅には押し込み、ひっぺがしというのがあらわれてやっているでしょう。たいへんなものだと思うんですよ。これは、国鉄を利用して通勤通学をしているということじゃ確かに利用者だけれども、しかし、これは益は受けちゃいませんよ。定員の二倍も三倍も詰め込まれてふうふう言って、職場に着くころにはくたびれているんですよ。ある新聞に、職場に着いて仕事をしているうちに疲れがなおると書いてある。そんな状態に国鉄は通勤者や通学者を置いているけれども、これを受益者負担なんてとうてい言えないと思う。  もう一つ伺います。貨物輸送の増強計画ですね、中長距離の大量貨物輸送、これの主要な内容はなんですか。
  238. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 貨物輸送の増強と申しますと、いろいろございますが、まず第一には線路の輸送力を強化する。複線化の工事がまず第一であります。さらに車の増備、これが問題でございまして、これも大きな輸送力の増強計画であります。さらに一般大衆のためのコンテナ輸送、いわゆるフレートライナーというような輸送を強化いたすように手がけておりまして、そのためには、ターミナル——これは大井とかあるいは鳥飼というような貨物の基地というものをつくるというのが内容でございます。
  239. 渡辺武

    ○渡辺武君 フレートライナーはいま言われましたね。非常に力を入れているということも強調されているわけですけれども、それからコンテナ輸送ですね。それから石油のパイプラインなども考えているのでしょう。それから物資別適合輸送、これも非常に力を入れておりますね。これは、旅客にとって、貨物というのは旅客じゃないですから、貨物輸送力の増強を利用者負担旅客運賃を上げられるということにはならぬでしょう。大臣の言われていることは全く間違っているんですよ。  同時に、この財政再建十ヵ年計画の中で国鉄が今後十年間に力を入れて投資をしようというその投資の方向が、一般の勤労者大衆にとっての利益を守るという方向じゃなくして、いま言ったようなフレートライナーとかコンテナ輸送方式だとか物資別適合輸送だとか、とにかく大企業の製品、あるいは大企業が使う製品が大部分を占める貨物輸送の増強が一つ重点であり、また、国鉄にとって大きな利益をもたらしている東海道新幹線の増強ということが一つ重点なんです。大企業やアメリカ軍に奉仕し、国鉄が営利主義の方向に行くということとかたく結びついた投資計画だと言わなければならぬ。盛んに宣伝している通勤通学輸送、これは従来の経験からいえば、達成率のほぼ半分と、まことにみじめなありさまだ。私は、国が財政支出をしなければならぬということを強調しますけれども、同時に、この財政支出が、今度の財政再建促進特別措置法案にあるように、ほんのわずかなスズメの涙ほどの孫利子をつけられて、それと引きかえに運輸大臣が全面的に国鉄の経営その他に介入する、そうしていわば自民党・政府の強権をもって、ローカル線の廃止だとか、あるいはまた小さな駅の廃止だとか無人化だとか、あるいは国鉄の労働者に対する賃金の抑制あるいは合理化計画を徹底的にやっていこう、こういうようなひもつきでは困ると思う。そうではなくて、いま申しましたように、運賃体系を直していく、あるいはまた、国鉄の投資計画をほんとうに国民の利益に沿った方向に改めていくということが必要だと思う。国民の利益に沿った方向に投資計画を改めるということはどういうことなのかといえば、これは概略言えば、ひどい混雑の状態で苦んでおる通勤通学の人たちの交通難を緩和するために、通勤通学輸送をもっと徹底的に増強しなければならぬと思う。それからまた、ローカル線も、これは、地域経済の発展、地域の人たちの利便ということを考えれば、廃止するどころではなく、もっと改善していかなければならないというふうに考える。(「時間々々」と呼ぶ者あり)そういう方向に国鉄の投資を振り向けて、国鉄ほんとうに国民にとって安全な、快適な、便利な、しかもスピードの速い国鉄にしていかなければならぬ。サービスをもっとよくしなければならぬと思う。同時に、公共負担といわれておるこれらの通勤通学の定期の割引とか、あるいは農産物に対する特別割引だとか、こういうものは国鉄が公共企業としてあるため当然やらなければならぬことなんだから、これらを廃止することなく、国民にサービスしていくという精神に徹していく必要があると思う。こういうことをやりながら、そのための財政的な条件として国が一般会計から国鉄に金を出していくということをやっていく必要があると思う。私は、これこそが、いまの国鉄財政危機をほんうに国民と国会に責任を持った立場から解決していく重要な道だと思う。  時間々々という声がありますけれども、(「もう四分だ」と呼ぶ者あり)十時四分までまだ三十秒ありますよ。こういうことで委員質疑が時間上その他でもって制限されるということは、議会制民主主義という見地から、非常によくないことだと思う。
  240. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  241. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 速記をつけて。
  242. 渡辺武

    ○渡辺武君 それでは、次に、国鉄の経営の民主化の問題について簡単に質問したいと思います。  けさ、運輸大臣は、国鉄赤字の要因としておもなものを三つあげました。その一つは、運賃収入の伸び悩みということです。運賃収入の伸び悩みの問題については、先ほど、私、運賃のところで軽く触れました。貨物輸送の大幅な赤字、これが運賃収入伸び悩みの根本原因です。ところで、あと二つ運輸大臣のあげた理由は、これは財政負担、特に金利負担が非常に大きいということ、それから人件費が大きいということをあげております。詳しく質問する時間がないけれども、特に国鉄財政再建推進会議の意見書によると、賃金については、表現はやわらかだけれども、抑制していく方向を打ち出しているし、特に人員については、今後十年間に輸送力は一・六倍ふえるといっているのにかかわらず、それをまかなっていく人員九万人をふやそうとしない。しかも、現在四十七万人いる国鉄労働者を四十万に削ろうとしている。ふやすべき人員九万人をふやさない、しかも七万人の人員を削る、合計して十六万人、こういう人員整理をやろうとする。国鉄は、首切りはやらない、自然退職がということを言っておりますけれども、いずれにしても、こういうことでは国鉄労働者の賃金が押えられて、激しい労働強化になるということは避けられないと思う。  ところで、国鉄の発表している営業経費、これを見てみますと、営業経費の中で賃金の占める比重は下がってきている。昭和三十五年当時は、人件費の占める比重は五二%、三十八年には五五%でしたけれども、四十二年度には五〇%に下がっている、こういう状態です。営業経費の中で比重の下がっている人件費が赤字原因であるはずはない。なるほど五〇%というのは大きいですよ。大きいけれども、しかし比重は下がってきている。赤字はますます年々ふえている。これは逆の関係です。この点について国鉄当局あるいはまた運輸省当局はどう考えておられるのか。
  243. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) まず、最後の問題からお話し申し上げますが、赤字原因といたしまして、たとえばことし六百幾らある、いま先生は比率でおっしゃっておるのでございますが、比率はまさにそのとおりでございますけれども、絶対額で申しますと、やはりウエートが大きいだけにかなり大きな比重をなしているわけでございます。ですから、額から申しますと、やはり人件費も赤字原因一つにはなるということは確かであろうと思うのでございます。  なお、要員の合理化の問題に触れられましたが、国鉄にはおのずから自然退職がございます。そして、また、日本の労働事情を考えますと、国鉄に将来多くの人員を望むということはなかなかむずかしいわけでございます。そこで、それらの点をまかないながら労働強化をしない、生産性を上げていく。同時にまた、それは、逆に申しますれば、べースアップの財源にもなるわけでございます。その道は、唯一に、ただ一つ、やはり省力投資をいたしまして、そうして生産性を上げていくより道がないと思うのでございます。今度の国鉄再建計画はそこをねらっているということでございます。  それから先ほどちょっと触れられましたが、新幹線の問題でございますが、実は新幹線新幹線そのものの効果もございますが、これが四分の一のスピードになるということは、逆に普通の列車なら普通の列車がそれだけよけい走れるわけでございますから、新幹線の効果というものは、当然普通のものを通す場合にそれだけ多くの効果を持ってくるということが言えるのではないかと思っております。時間をできるだけ節約するという意味におきまして効果があると思います。
  244. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 多田君。
  245. 渡辺武

    ○渡辺武君 あなた、国鉄労働者の実情考えてそう言っておられるのですか。国鉄……(「発言者が違うじゃないか」と呼ぶ者あり)
  246. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  247. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 速記を超こして。
  248. 渡辺武

    ○渡辺武君 国鉄労働者の賃金、これは年齢を勘案してやりますと、国鉄の労働者の賃金を一〇〇として、鉄鋼は一一七・六、ガスが一二一・二、その他等々と、時間がないので言いませんが、他産業の労働者よりもはるかに賃金が低い。しかも、国鉄労働者の能率はどういうことなのか、年々急速に高まっていくんです。外国鉄道と比べてみましても、はるかに国鉄労働者の労働能率というのは高いんです。これは数字もありますが申し上げませんが、とにかくひどい労働強化と低賃金で苦しんでいるのが国鉄労働者なんです。あなたはいま国鉄労働者の賃金を赤字一つ原因だと言うけれども、年々に比重が下がり、増加率が下がっている人件費、これが重要な原因であるはずはないんです。むしろ、もっと重要な原因は、年々比重が高まり増加率がふえている大銀行その他に対する金利の支払い、この負担が年々ふえていっている。昭和四十二年度でもって千十二億でしょう。その年の赤字はどのくらいか、六百三十何億だった。国鉄赤字よりもはるかに金利支払いのほうが大きい。この金利負担さえ一掃するならば、国鉄はいまでもすぐ黒字になるという状況です。したがって、私は、国鉄が、労働者に対する低賃金合理化政策をやめて、むしろ赤字根本的に克服する道を、いままで私が申し上げた幾つかの方策に加えて、金利負担を引き下げるために、政府関係の融資については金利は一般会計から補助を出させる、大銀行に対しては金利を大幅に引き下げる、こういう方向で活動すべきだというふうに考えます。この点はどうですか。
  249. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 原因というときにどういうふうに考えるかという問題でございますが、先生は率の点をおっしゃったわけでございますが、率の点からいえば、おっしゃるとおり、一番上がっておりますのは利子の支払いの率が上がっております。それ以外はほとんど横ばいでございます。しかし、増加額で申しますれば、やはり比重を占めているものは上がるということでございまして、だから、寄与率で普通計算いたしますれば、やはり額の多いものは赤字原因にはなるということは言えるだろうと思うのでございます。  それから今度財政当局からいままでにない補助をいただいたわけでございますが、そのほかにもわれわれが特に考えねばならぬことは、先ほど大臣も言われましたように、再評価準備金が一兆一千二百億で、総資産の三分の一あるわけでございます。しかも、それについては配当負担が要らぬわけでございます。ですから、国鉄も、言ってみますれば、三〇数%というものは無利子の資本を仰いでいるわけでございますから、これでがんばってみたい。われわれは、そういう点も計算に入れまして、そうして必要最小限度この十年間で財政に一体どれだけ仰いだらいいか、こういうことで、国鉄再建推進会議の答申もあり、折衝いたしたのでございますが、幸いにいたしましてほとんど九〇%近くまで要望がいれられたということでございます。それで、根本的には国鉄はまだ破綻していないと思うのでございまして、放置したら償却前赤字に転落するわけでございますから、この時期に早く再建をはかりたい、こういうことで御審議をお願いいたしたわけで、これもひとつ御賢察を賜わりたいと思うわけでございます。
  250. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  251. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 速記を起こして。多田君。
  252. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、最初に、議事進行でちょっと委員長に質問したいのですが、先ほどは理事会の決定を待たずに強行再開され、私たちも非常に遺憾とし、憤りを感じましたけれどもほんとうに慎重審議をどうしてもしていかなければならないという立場から、まあ恥を忍んで出席し、また、質問を続けておるわけでございます。それに関しまして、私は、この前の理事会でも、最後の時間をきめてもらったらよろしいんじゃないかと、そのように再三申し上げました。やはり議長裁定の慎重審議ということもあり、慎重審議がそんな夜の十一時、十二時まで続行したり、私がこのまま一時間半質問を続行しても十一時四十五分、そのあと社会党木村先生が質問を一時間されれば当然本日の日程を終了するわけでございますし、その点から、まあこの前の運輸委員会でも、委員長質疑打ち切りなんか絶対やらないと、考えていないと言いながら質疑打ち切りをした、そういう例もあるし、絶対に私の質問中に質疑打ち切りのようなものはやらないと約束できるかどうか。  それからもう一つは、時間を定めて、たとえば十一時なら十一時、十一時半なら十一時半と時間を定めてきょうの閉会を宣すべきであると、このように思います。それとも、木村先生の終わりまで質問を続行なさり、延会してでも強行されるつもりなのか、それだけお伺いしてからでないと、私は安心して質問できない。
  253. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 仮定の御質問にはお答えできませんが、委員長がただいま申し上げたとおり、一時間半御質疑を続行をお願いします。
  254. 多田省吾

    ○多田省吾君 もし、先ほども開会を強行され、そしてまた延会を強行されるというならば、二重の強行で、私たちも覚悟をきめなければならないし、そういうことは絶対ないと思いますけれども、念のためにお聞きをしたわけです。仮定の質問に答えられないと申しますけれども、私は、理事会においても、再三、時間をきめてやったらよろしいんじゃないかと申し上げた。どうですか。私はおとなしく聞いている。どうぞお答えを願います。
  255. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 質疑をお願いいたします。一時間半でお願いいたします。
  256. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほどの理事会では、一時間半と申しましたが、二、三十分は超過してもよろしいとはっきりおっしゃったじゃないですか。それをまた一時間半で区切ろうというのは、理事会の決定に反するし、これはちょっと委員長としておかしいと思う。
  257. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君)先ほど、冒頭申し上げましたように、理事会は一致した意見を見ないままに、委員長考えどおりにやらしていただくことに御了承を得てあります。
  258. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは、時間をきめないで、このまま続行するということでございますね。
  259. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) 一時間半質疑を許します。
  260. 多田省吾

    ○多田省吾君 最初に、私は、通行税に関しまして質問したいと思います。  通行税は、昭和十五年に戦費調達の一環として創設された税でありますが、昭和十三年から一応臨時措置法として施行されているわけでございます。こういった戦時中の創設の経緯から見ましても、私たちは当然これは早く廃止すべきものではないか、このように思うわけでございます。この前の質疑におきましても、大蔵大臣は、直接税がだんだん多くなると、その辺を現行の租税体系においても考えていかなければならないのではないか、しかし間接税への移行は、物価問題もあるから、これは早々には言えない、こういうお話がございました。こういった通行税だけの問題でないから、他の税とも関連して考えるという大蔵大臣答弁がございますけれども、とにかくこういった通行税というものは、戦時中の悪夢を感じさせる税金であり、また、その内容を見ましても、まことにナンセンスな内容もたくさん含んでおるわけです。これは逐次質問いたしますけれども、大蔵大臣として、どうでしょうか、この通行税は早く廃止すべきであると思いますが、大臣はどう思いますか。
  261. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 汽車が一、二等が廃止されましたが、その一等実体を備えたグリーンカーが残る、これはたいへん厚いサービスを提供するということだと思います。高い料金を出してその厚いサービスを受けるという人は、それ相応の負担能力がある。私は、そういう意味において、この通行税というのは十分な存在理由がある、かように見ておるわけなんです。通行税国鉄ばかりではございません、飛行機一等にもある、また汽船の一等にもついている、こういうものでございますが、そういう性格の税、私は、それはもう十分に御理解をいただけるものじゃないか、さように思います。ただいまこれを廃止するという考え方はいたしておらぬ、将来税制をいろいろ改正する場合の総合的な再検討の際の一環として考えてみますけれども、ただいまはこれを廃止するということは適当ではない、かように考えております。
  262. 多田省吾

    ○多田省吾君 昭和三十六年十二月の税制調査会の答申や説明の中に通行税のことが述べられているわけでございますけれども、その答申でもいろいろ問題があるということは当然言っております。それで、私がまずお尋ねしたいのは、昭和十三年ないしは昭和十五年の当時、いかなる目的でいかなる経緯をもってこの通行税が設定されたか、こういうことをひとつ要を得てお答え願いたいと思います。
  263. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 昭和十三年に文那事変特別税法で課税いたしました際は、その提案理由にありますように、戦費調達ということを重点に置いたものでございます。
  264. 多田省吾

    ○多田省吾君 その後、十五年に通行税が創設されたわけでありますが、それは十三年からのいわゆる通行税とどういう関連があるのですか。
  265. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 支那事変特別税におきましては、各種の税を特別税として一括しておりましたが、十五年の税制改正におきまして、それぞれを単独法にいたしたわけでございまして、内容的には同じものでございます。
  266. 多田省吾

    ○多田省吾君 それで、昭和二十五年の税制改正で当時五%の一率の通行税をまた変更されておるのです。そして、航空機運賃なんかは非常に引き上げられたわけでございますけれども、これはまあ昔のことでたいへんおそれ入りますけれども通行税の現在までの経過ということも大事でございますから、一応その辺の事情というものも教えていただきたい。
  267. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 昭和二十五年の改正では、御承知のとおり、三等を非課税としたわけでございます。従来の通行税法は、先ほどのような目的から、あらゆる階級の等級に対して課税をいたしておりましたが、新しい消費税体系として再編成するために、一般的な三等の課税を廃止をいたしまして、相対的に高級な消費に属するサービスの提供に課税するという趣旨で、いわば近代的消費税の形を整えたものであると考えられます。
  268. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうすれば、昭和十三年ないし昭和十五年からのいわゆる軍事費調達の目的というそれから離れて、奢侈税のような姿で、しかも航空機の搭乗なんかは非常にぜいたくであるという考え方から二〇%にも引き上げられたのか、その辺の目的変更は端的に言えば奢侈税という意味で変更されたわけですか。
  269. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 奢侈という狭い限定をするのは無理かと思いますけれども、御承知のとおり、わが国の消費税は、相対的に高級あるいは奢侈、あるいはまた娯楽的な消費というものを対象といたしまして、これに対して課税をするという体制をとっておりますが、その一環としての改正であることは御指摘のとおりであると思います。
  270. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、昭和二十六年にも一部改正があったわけでございますが、それはどういう見地から改正されたのですか。
  271. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 昭和二十六年の改正におきましては、汽船の二等の課税を廃止しまして、それも同様な趣旨であると考えられます。
  272. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、租税特別措置法によって、昭和二十八年八月七日から昭和三十六年三月三十一日までの間は、いわゆる航空機運賃につきましては非常に軽減したということがあるわけでございますけれども、この航空事業育成という見地は、いまもその根本精神は続いておるのですか。
  273. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 航空機の特例は、その後漸次解消いたしまして、一昨年の改正におきまして完全に旧に復したわけでございます。
  274. 多田省吾

    ○多田省吾君 まず私たちは通行税という名前から連想するのは、昔も通行銭なんというのがありまして、特定の道路や橋やあるいは運河なんかを通行する人が払うんだと、そういう意味の通行銭、いわゆる取り立て料金というものがありましたけれども、何か私たちが道を歩く、通行をするのに税金がかかるような錯覚に襲われる。すなわち、名は体をあらわさずという、名前からしてまことに奇妙な税でございますけれども、奢侈通行税とか、名前を変えるのもおかしいだろうけれども、とにかく、「通行」ということは、どんな辞典を見ても、「通ること」とか、「通い行くこと」とか、「往来すること」とか、すなわち、車に乗るとか、あるいは船に乗るとか、飛行機に乗るとか、そういう概念がちょっとわいてこないわけです。そういう意味で、こういう名前からして通行税なんというのはちょっとおかしいんじゃないかと、こう思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  275. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 税そのものと内容が最も近い名称が適当であることは御指摘のとおりであろうと思いますが、一つは、先ほど御指摘になりましたように、昭和十三年にはすべての交通手段に課税をするという、たとえばいまの都電に対しましても一銭という課税があったように、すべてに対して課税をしておりました関係で、通行税というような一般的な名前をとったかと思います。その後、先ほど二十五年の改正について申し上げたような事情がございますので、あるいは名前を変えるということも考えられるかと思いますが、なれた名前でもございますし、据え置いたものであると考えます。
  276. 多田省吾

    ○多田省吾君 そのほかに、法律を見ますと、片仮名で書いてあるんですね、すべて。このような昭和十五年三月二十九日の法律第四十三号でつくられたような片仮名で書いてある通行税は、もう前時代的であると思うのです。なぜ平仮名にいままでも通行税改正のときに直されなかったのか。ほかに税法で片仮名で書いてあるようなものはあるのですか。こういう点から見てもおかしいし、支那事変当時の戦費調達のためにつくられた通行税が現在も何に使われているかわからないような姿でまた継受されているということ自体が非常に私たちにはおかしいわけですよ。なぜこれは平仮名に直さないのですか。
  277. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 租税法は、内容が新しくなりましても昔の税を継受しているところがありますので、戦前の片仮名方式が現在取引税法等にも残っております。従来から、大きな改正をいたします際には、全部改正をいたしまして、平仮名に改めるように努力をいたしてまいりました。一昨年も登録免許税、印紙税につきましてこの改正をいたしました。いずれ通行税についても同じことが必要だと思いますが、今回の改正は、御承知のとおり、国鉄運賃法の改正に伴う調整を行なっただけでございますので、全文改正に至るほどの改正ではございませんでしたので、とりあえず一部改正という形をとらしていただいたわけでございます。
  278. 多田省吾

    ○多田省吾君 この通行税を、国鉄再建のためとか、あるいはいろいろ交通緩和のためとか、そういう目的税のために使おうというようなお考えはございませんか。
  279. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 目的税というのは、極力これを制限し、狭めていきたい、さように考えておりますので、いま目的税でない通行税を目的税にしようという考えは持っておりませんです。
  280. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほども、大蔵大臣が、税制の体系を変えられるときに考えたいということをおっしゃいました。この前も、それが何年であるかという質問をしましたけれども、はっきりとお答えがなかったわけでございます。来年を考えますと、昭和四十五年の三月はいわゆる利子配当分離課税の期限が来ておりますし、また、この前も、所得減税のときに私は法人税関係につきまして大蔵大臣に質問したのでありますが、いわゆる不景気のときに三五%に引き下げられた法人税というものは今後少しも変えるつもりがないという御答弁でございました。しかし、昨年七月の税制調査会の答申におきましても、法人税のあり方に利潤税の導入を示唆しておる。この利潤税構想というものは、これに先立って行なわれた中間報告におきましても前から明らかにされているところであります。現在のいわゆる法人擬制説の立場に立っている法人税というのは根本から改変されなければならないんじゃないかというわけでございますけれども、この前も、四月八日ころ、各紙にほとんど全部に、大蔵省の方針として——四月九日の各新聞には、あるいは四月十四日ごろ、法人税を根本的に改正するように大蔵省が方針を立てているんじゃないかというような記事も載っております。そのように、大蔵省当局は、利潤税方式の採用を来年度改正において実施するおつもりなのか。そして、もしそういう法人税改正でそのほうの税が多く取れるようになるならば、こういった間接税、しかもいろいろな問題のある通行税、特に国鉄関係の二十五億円の通行税等は廃止してもよろしいんじゃないか。もしこの利潤税方式というものを来年度実施しないとすれば、このような税制調査会答申の利潤税導入をいつごろなさろうと考えておるのか、この点をまずお尋ねしておきたい。
  281. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 法人税を実在説でやるかあるいは擬制説でやるかということは議論のあるところでございます。これをほっておくという考えは持っておりませんが、これは法人税とすれば非常に大きな改変の問題になるわけでありますので、これをいつ実行するか、こういうようなことをいま申し上げるまでの段階になっておりません。ただ、これはその利害得失等を慎重に検討をいたしてみたい、かように考えております。
  282. 多田省吾

    ○多田省吾君 特に、来年の三月には、いわゆる利子配当分離課税等の改革が当然行なわれなければならない。それに対応してやはり法人税も考えるべきではないか。いまのところいつとはわからないとおっしゃいますけれども、少なくとも来年はなさるとかなさらないとか、そういういまお考えには全然触れられないですか。
  283. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 秋ごろからぼつぼつそういう諸問題をよく考えてみたいと、こういうふうにいま段取りを進めておるわけなんです。これは非常に重要な問題なんで、そうすばやく結論が出るかどうか、これはなかなかそう簡単なものじゃないと思います。いま、来年はこういうふうにするんだということは、遺憾ながら申し上げかねます。
  284. 多田省吾

    ○多田省吾君 これは、利潤税方式を採用した場合は、法人独自の担税力があるという見地から法人擬制説が否定されますから、もう配当課税については百八十度の転換がなされるわけでございます。そういった面で、いま大臣おっしゃるように、これは、ことしの秋から始められましても、軽々になかなか決定することはむずかしかろうと思いますけれども、しかしながら、先ほども申しましたように、いま世間一般に国民の間からはいわゆる利子配当分離課税の廃止という方面で非常に強硬な世論が生じております。また、一方においては、いま大臣おっしゃるように、一挙に利潤税方式に切りかえれば、法人からのさまざまな抵抗が予想されるわけでございます。ですから、仮定の問題でたいへんおそれ入りますけれども、秋からお考えになる以上、利潤税方式を採用するという方向、これをしばらく待つという方向、あるいは相当待つという方向、いろんな面があるでしょう。もしそういった面においてこういった法人の大きな抵抗が予想される場合においては、それらの思惑をお考えになって決定なさるのか、あるいはそういう抵抗を排して白紙の状態でおきめになるのか、端的に大臣の御意見を伺いたいと思います。
  285. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 白紙で利害得失をよく考えてみたいと思っております。
  286. 多田省吾

    ○多田省吾君 この前も私は質問申し上げましたけれども、四十年度いわゆる不況の時期において三五%に法人税が引き下げられた。現在は、これから一〇%ずつ経済の成長を見込んでいくという大臣の仰せもありますように、法人にも力がだんだんつきつつあると思うのです。そういう面から見れば、私は、来年度そういう改定の時期を考えられて法人税の一部引き上げということも考えざるを得ないのではないかと、こういう考え方を持っておりますけれども大臣としては、政府の法人税改率の問題については現在いかがお考えでございますか。
  287. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 来年の税制の問題は、特別措置の整理、そういうことが主体になるわけであります。その措置に関連して法人税の根本的な改正までいくかどうか、これは特別措置をどうするかがきまらないと申し上げかねるわけなんでありまして、十分慎重に考えてみたいと思います。法人税を増税するかどうかというようなお尋ねもありますが、増税をするのだというふうにもただいまきめておりません。
  288. 多田省吾

    ○多田省吾君 その租特別措置税のことでございますが、この前自民党と経団連の首脳の方々が懇談されまして、財界からは、自己資本の充実のためにはそういう特別な対策がどうしても必要であるから、利子配当分離課税はそのままにしておいてもらいたいという存続の希望がだいぶあったように見受けられます。それに対して、自民党側も、経団連と同じような考え方で現在税制改正について検討を開始していると、このようなお答えがあったということがちょっと報道されておりますが、これは間違いであれば幸いでありますけれども、これからも、こういった特別措置の存続について、またその改定については、経団連あるいは財界、あるいは党のほうからの圧力も相当強くなると思いますが、先ほどのように白紙で臨まれるのか。当然そうだとお答えになるにきまっておりますけれども、これは大蔵当局にもどうしてもしっかりしていただかなければならないと、私たちはこういう考えでございますので、一応その御決意のほどをお伺いしておきます。
  289. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 白紙で厳正公平に考えます。
  290. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、また通行税に戻ります。  私も不勉強でありますけれども、初めて通行税法というものをこの前から読んでいるのですが、非常にわかりにくい。まあわかりにくいところはそんなにたくさんはありませんけれども、奇妙なところはだいぶあるようです。そういう点で二、三質問したいのですが、相変わらず第一条に、「汽車、電車、乗合自動車、」とか、こういわれているわけでございますが、これは昭和二十六年の改正でも片仮名で納税義務者として書いてあります。いま現在、汽車は国鉄、私鉄がありましょうし、電車も同じでしょう。それから乗合自動車、こういったものについては大体どんな通行税が課せられているか。それから汽船もありましょう。簡単でけっこうですから、一応どういう種類があるかお述べを願いたい。
  291. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) この第一条で納税義務が規定されておりますが、第四条に「汽車等ニシテ普通旅客運賃トシテ命令ヲ以テ定ムルモノニ付上下ノ区分ヲ設ケザルモノニ在リテハ二等ノ等級ヲ定メタルモノト看做シテ前条ノ規定ヲ適用ス」というのがございます。さらに、非課税の適用が第三条にございまして、原則として二等には課税しないということになっております。そういう関係から、現在、乗合自動車の課税というのは実際上ございません。電車は一部もちろんございますが、汽船につきましては、等級のあるもので特等等につきましては課税をいたしておりますが、民営汽船で現在課税対象になっているものは、例をあげますと、関西汽船、東海汽船、佐渡汽船、その他瀬戸内汽船とか、大体十数社がございます。
  292. 多田省吾

    ○多田省吾君 それで、一般的に読んだ感じでは、乗合自動車まで通行税がかかるのかという感じを受けるわけでございます。しかしながら、いま、乗合自動車にまでは現在通行税はないというお答えを得て安心いたしましたけれども、一般国民の感じとしては、乗合自動車、いわゆるバスでございましょうが、これに税金がかかるとはちょっと考えられない。ところが、今度、東名道路を国鉄でバスを通すとか通さないとかいうお話もありますし、また、将来、観光バス——といっても、いわゆる貸切バスというようなものではなくて、デラックスな観光バス、そういったようなものについては、ここに「乗合自動車」と載っている以上は、課税なさるおつもりがあるのかどうか。もし課税するようなことがないというのならば、こんな乗合自動車なんていう項目は削っておいたほうがよろしいのではないかと、このように思うわけでございます。
  293. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 乗合自動車、まあバスでございますが、これにつきまして一等、二等が区別されるというようなこともあまり想定されませんが、そういうことが起これば現行法では課税になりますけれども、いまのような形でバスが運行されている限りは課税にはならないということになると思います。
  294. 多田省吾

    ○多田省吾君 再度申し上げますけれども、こういう通行税の片仮名文字は、これは通行税をやめるつもりならけっこうです、このままでも。やめればいいんですから。続けるつもりなら、これはもう早く書き直したほうがいいんじゃないでしょうか。
  295. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) できるだけ早い機会に直すべきものだと思っておりますが、それにふさわしい体系変換をいたしまして全文改正の必要のある程度の改正が行なわれる際にぜひ直したいものと考えております。
  296. 多田省吾

    ○多田省吾君 だから、私たちが不思議に思うのは、通行税を取られているか取られていないか知らない人もだいぶいるんですね。納税者というのは国民です。利用者です。ですから、私は、また笑う方もおりましょうけれども、これは国民にとっては百億円もの通行税を取られておるのですから、大事なことですから、あえてお尋ねいたしますけれども、この間接税、特に通行税に対して、切符とか券に、一〇%の通行税とか、幾らの通行税とか、そういう表示義務はないのか。あるいは、義務がなくとも、やはりこれは書くべきではないかと。そうすると、一等に乗った人でも、これは通行税を払っているのかという認識も立ちますし、納税義務者をこのように何も知らせないでおくことが結局はばかにしているのではないかということも当然考えられる。小さいことのようでありますけれども、こういう切符やあるいは券等にこれを明示するような、簡単な方法でございますが、そういうお考えは全然ないのですか。
  297. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 物品税等には、税法で税額の表示義務を課しております。ただし、これは罰則はございません。国鉄におきましては、規則の様式におきまして税込み一割というような表示をするように規定しております。現在の一等の切符をごらんになると、税込み一割ということは書いてございます。額では書いてございませんが、一割の税がかかっている、税込みであるということは表示してございます。
  298. 多田省吾

    ○多田省吾君 今度、国鉄では、一等、二等制を廃止して、そしていわゆる特別車両料金にだけ一〇%だけを課税するということでありますけれども、私鉄の場合は通行税はどの程度税収であがっているのですか。
  299. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 昭和四十三年度で申しますと、私鉄の電車で七百万円程度でございます。
  300. 多田省吾

    ○多田省吾君 国鉄は二十五億です。私鉄の場合は、相当デラックスな車も走っております。そうして、通勤特急、通勤急行、通勤準急、そういったものもありながら、ほとんど車両のデラックスでありながら、かけられておりません。国鉄だけになぜこのようにかけなければならないのか。それで、最近でも、古い一等車は、いわゆる二等車両としてだいぶ使っておりまして、私も常磐線なんかでときどき乗りますけれども、まあそれはもとの一等車両でありながら二等料金で乗っておるのです。そういった点もありますし、私はどうしてもこういう私鉄との関係から見ましても通行税なんていうものは取る必要はないのじゃないか、このように思うわけです。それで、この前も、特別車両はなぜ必要なんだということに対して、病人もいれば、あるいはいろいろ都合があるというお話もありましたし、また、必要なものであるならば、こういった私鉄が七百万円しかないのに、国鉄に二十五億円もの通行税をかけるというその点がちょっと納得がいかない。これはどうお考えですか。
  301. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 私鉄は、御承知のとおり、ほとんど等級がございません。いま等級を設けておりますのは、伊豆急、名鉄その他ごくわずかでございまして、その分が七百万円ということになっておるわけでございます。等級を設け、あるいは特別の料金を徴収している場合はどうしても課税をせざるを得ないと思いますけれども、私鉄の場合は、急行料金は取っておりますが、運賃はすべて等級なしでございます。そういう関係で課税になっておりません。中には非常にデラックスな車両もございますけれども、それらもいずれもその利用については、最低の運賃で、それに急行料金がついているだけという形でございますので、現在はややアンバランスはあるかと思いますが、課税にならないのが税法上のたてまえでございます。
  302. 多田省吾

    ○多田省吾君 私の記憶に間違いなければ、いま、旧一等車というものが、特別車両料金を徴収すべき車両というものが、国鉄に一千両あると聞いておりますが、先ほど申しましたように、古くなったのは、どんどん二等に転換するのか、そうして今度新しくこういった特別車両というものをつくっていくおつもりなのか、その辺をちょっとお聞かせ願いたい。
  303. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 現在、国鉄には、現在の一等車が約千二百両ございますが、これは今後の需要の状態、今回の改正によりましてどういう需要の状態になるかということを勘案いたしまして考えなければならぬ問題でありますが、しかし、やはりセパレートされた車が要るというようなものがあると思います。そういう点から、今度十分慎重に検討いたしたいと考えております。新製はいたします。
  304. 多田省吾

    ○多田省吾君 これからもつくっていくということでございますね。大体どういった割合、いままでと同じような割合でつくっていかれるのか、あるいは、千二百両というのは古くなったから捨てて、また新しくつくられるのか。
  305. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) やはり毎年車をつくっております。たとえば特急車両、新幹線の車両、こういっいたものにつきましては、全部同じ形式でぐるぐる回しておりますので、そういうものはつくらざるを得ない。しかし、古い車につきましては、老朽のものについては廃車して、必要ならば現在の一等車をつけるということは考えております。
  306. 多田省吾

    ○多田省吾君 念のためにお伺いしますけれども、現在の東京から大阪までの日航の航空機料金と、現在の新幹線一等料金ですね、それから改正になった新幹線一等料金、この三つをちょっとお示し願いたい。
  307. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 航空機運賃は、東京—大阪間、片道でございますと、六千八百円でございます。現行の「ひかり一等の場合は、税込みで六千七百円でございます。それから改正後では、同じく特別車両を利用いたしますと、六千百三十円になります。
  308. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、この一等、二等を廃止したのは、やはりこれは飛行機との対抗上安くしたんじゃないか、このようにだれしも思うわけです。そして、東京—大阪間の飛行機は、往復しますと、今度はどうなりますか。特別割引がつくでしょう。
  309. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 現在、五千八百円でございます、片道で。
  310. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、往復にすると、片道が五千八百円になるわけでしょう。割引になるわけですね。
  311. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) そのとおりでございます。
  312. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、片方では二等料金をどんどん値上げして、片方ではこのように飛行機との対抗上、通行税というような都合のいい税制一等、二等を廃止して、特別車両料金というようなものを取って、そうして改正後は六千百三十円になる、ほぼ同じように持っていく、そうして飛行機になるべく乗客を取られないようにしようじゃないか、いまのガラガラの新幹線一等車というものを少し埋めようじゃないか、そういうことが趣旨で通行税が操作されたのじゃないかと、どうもわれわれにはそうしか考えようがない。まあ、お伺いすれば、そうじゃないと言うにきまっておりますけれども、何かはっきりわれわれに納得できる御説明ができますか。
  313. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 先ほど来御指摘がございましたように、現在の通行税では相対的に高級なサービスというものを対象にしておりまして、そのメルクマールをいわば一等、二等というところに求めていたわけでございますが、今回の改正によりますと、運賃はすべて等級なしということにいたしまして、従来と同じサービスが特別車両料金を払うということによって行なわれていくという点に着目をいたしますと、この特別車両料金というものがいわばその特別なサービスをあらわすものと見て、これに通行税を課するということがいいのではないかということで改正をいたしたわけでございます。前と同じ利用のことを考えれば、運賃急行料金まで含めて課税をするのが従来の考え方としては適当かもしれませんが、運賃を均一にいたしましたのは、一つには、国鉄の切符の発売等の合理化等に大きな貢献をするという点がございますので、特別車両料金だけを対象として通行税を課するという形に直したわけでございます。そういう意味では、今後この特別車両料金というものがなくなれば、当然全部が従来の二等になるわけでございますので、通行税はなくなるという関係になるわけでございます。
  314. 多田省吾

    ○多田省吾君 第二条に同じく「準急行料金」というのが書いてあるんですけれども、私ども国鉄においては準急行料金というものはすでになくなっているんじゃないかと、このように思っているんですが、何か、あれですか、私鉄でも、あるいはこれから国鉄はつくるおつもりでもありますか。
  315. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 御指摘のとおり、これは国鉄運賃法に規定している準急行料金を言っているわけでございますが、現在は、国鉄は、制度はございますけれども、実際走らせておらないようでございます。   〔理事青田源太郎君退席、委員長着席〕  なお、民営鉄道におきましても、国鉄と連帯運営をいたしておりますものにつきましては、準急という制度がやはり制度としては残っております。したがいまして、制度が残っているので、今回これを削らずにおいたわけでございます。
  316. 多田省吾

    ○多田省吾君 あまり通行税ばっかりやっていると何だかおかしくなっちゃいますので、(笑声)一番大事な根本の……(「お疲れのようだ」「眠くなってきたな」と呼ぶ者あり)ちょっとうるさい。国鉄運賃値上げ関連して質問させていただきます。  現在……(「眠くなってきたな」その他発言する者多し)委員長、ちょっとやじをやめさせてください。
  317. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) お静かに……。
  318. 多田省吾

    ○多田省吾君 現在、四十年度を初年度として、いわゆる第三次長期計画というものが実施されている途中でございます。その計画推進のために相当の借金をもってまかなっているわけでありますけれども、この膨大な借金の返済というものが今日の国鉄財政というものを悪化させている根本原因一つであろうかと思います。今度は、この第三次長期計画のほかに、今度のいわゆる再建十ヵ年計画ができまして、それに伴う国鉄の建設計画というものがあるわけでございますが、その関連というものがどういう関係があるのか。片っ方には第三次長期計画、片っ方には再建計画どういう関係があるのか、まずそれをお伺いしたい。
  319. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 第三次長期計画は、二兆九千七百億で、期間は四十年から四十六年までの七年間であったわけでございますが、推進会議の答申にもございますように、これから十年間再建をはからねばならぬということでございまして、四十四年から第三次計画を再建計画の初年度に切りかえているわけでございます。それで、今度は、三兆七千億という投資規模で進めてまいるということでございます。
  320. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、いまのお答えを見ても、ほとんど関連のあるようには見えない。じゃ、関連があるとすれば、具体的にどの点とどの点が関連があるのですか。ないとするならば、それじゃいわゆる第三次長期計画の手直しをすることになるのか。その関連性においてもう一ぺん伺いたい。
  321. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 関連性というお話でございますが、年次の中途で今度は再建計画に切りかえたということでございます。第三次長期計画によりますと、最初の四年間は三千七百億程度、それから残りの三年間は五千億程度の投資を予定しておったわけでございますが、今度は十年間で三兆七千億にしているわけでございまして、今年きまりました投資規模は三千七百八十億、そのほかに新幹線の利子が三十億、こういうことでございます。ですから、今後はこれが第三次再建計画に切りかわっていくわけでございます。
  322. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま、第三次長期計画の中には、通勤輸送の問題あるいはラッシュ対策の問題、あるいは都市のドーナツ化に伴って近郊からの通勤距離が次第に拡大しておりまして、この通勤輸送、ラッシュ対策も、ますます緩和するのがむずかしい状況でございます。だから、私は、第三次長期計画の通勤対策、ラッシュ対策というものと再建十ヵ年計画の通勤対策はどういう関係があるのか、具体的にお尋ねしたい。
  323. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 御承知のとおり、第三次計画は、三兆円で、四十六年まで、安全あるいは幹線輸送力の増強、さらに通勤輸送力の増強という点にポイントを置いたわけであります。これが四十三年度までに約二分の一の一兆四千億の投資をすでに終わっておるわけでございます。今回の財政推進会議の意見書の趣旨に沿いまして、先ほど運輸省のほうからお話がありましたとおり、四十四年度から三兆七千億ということで投資をいたすわけでありますが、この内容につきましては、先ほどお話ししましたとおり、国鉄の役割りというものを踏まえまして、都市間の旅客輸送、中長距離の大量貨物輸送、大都市通勤通学輸送という点に国鉄の役割りがあるということでございますので、その役割を果たすと同時に、安全性の向上、さらに労働生産性の向上のための投資というものを考えているわけでありまして、したがいまして、第三次計画におきまして考えておりました事柄というものは今回の再建計画におきまして大部分が吸収されるということになるわけでございます。
  324. 多田省吾

    ○多田省吾君 たしか、衆議院においては、国鉄の磯崎副総裁は、はっきりと、通勤ラッシュ緩和のための対策の資金は別個の計画に基づいてやるんだと、こういう答弁をなさっておりますけれども、これはどうですか。
  325. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 第三次計画におきましては、約五千億の投資規模をもって大都市の通勤輸送を考えているわけでありまして、御承知のとおり、現在、東海道、常磐、総武、東北、中央各線にわたりまして線路工事を東京付近において行なっているわけでありますが、それらの点につきましては、先ほど申しましたとおり、約二千五百億程度の投資がすでに行なわれているわけであります。今後の投資としましては約五千億というものを通勤投資として入れるわけでございますので、四十年からの計算でございますと約七千億というような大きな投資をするわけでありまして、第二次の投資の規模におきましては約四百三十億程度でございますので、大きな計画と考えているわけでございます。
  326. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、私がお尋ねしたいのは、再建計画の中にうたわれているところの通勤対策と、それから第三次長期計画の中の通勤対策というものは、全然同じなものか、手直ししておられるのか。
  327. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 大体同じでございます。
  328. 多田省吾

    ○多田省吾君 大体同じということは、少しもそれじゃ手直しする必要はない、いままでのとおり第三次長期計画でだいじょうぶなんだ、これがすなわち再建十ヵ年計画でもあるんだと。じゃ国鉄副総裁が、この対策資金は、すなわち通勤緩和対策、ラッシュ対策資金は別途の計画に基づいて行なわれるという御答弁はちょっとおかしいことになりますけれども、そのことはどうなんですか。
  329. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 先ほど申しましたとおり、四十六年度までに約五千億ということを申し上げたわけでありますが、その分におきまして約二千五百億が完成いたしておりますので、あと二千五百が残っている。それからさらに、先ほど申しましたとおり、四十四年度からは五千億でございますので、二千ないし二千五百億程度のものがさらに車とかあるいは必要なところの線増というものについては考えられるわけでありますが、大筋におきましては大体同じである、こういうように考えております。
  330. 多田省吾

    ○多田省吾君 大筋においては同じであるということは、若干違うところもあるということでありましょうけれども、違うところはどこなんですか。違うとすれば、再建十ヵ年計画の中にこういう狂いが生じてくると……。
  331. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) さいぜんからお話がありますように、これから基本計画をつくりまして、どの程度。プラスアルファするかということをこれから検討するところでございまして、いま勉強しておる最中でございます。
  332. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、まだはっきり言って再建十ヵ年計画はがっちりときまっていないと。磯崎副総裁のほうは、きまっていないから、正直にそう言う。ところが、理事のほうは、何だかきまっていて狂いがないような、大筋においては狂いがないというような答弁をなされているわけです。結局、私は、再建十ヵ年計画も意見書に基づいて大体やっていくんじゃないか、こう思っておりますけれども、まだそれははっきりした明示がないので、先ほどからいろいろ言われておるわけでありますけれども、はっきりこれは明言できますか。ラッシュ対策はがっちりと意見書のとおりにやっていくんだと、こういう明言ができますか。
  333. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 先ほど申しましたとおり、通勤通学輸送は国鉄の役割りでございますので、これにつきましては十分検討いたしまして、意見書の意見の趣旨に沿いまして投資を進めていきたいと考えております。
  334. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、重要な問題で、コンテナ輸送、あるいはフレートライナー、あるいは。パイプライン、こういった貨物輸送の問題でありますが、再建計画の中にも貨物輸送の近代化というのが、ずいぶん強く叫ばれているようであります。私たちも、これは早急に整備改善する必要があるのじゃないか、こう思っておりますけれども、この点、いま現在、そういった貨物輸送の近代化について確固たる計画案ないしは方針をお持ちでございますか。
  335. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 貨物輸送の問題につきましては、再建計画の意見書にも出ておりますが、今後の貨物輸送は、現在の状態ではドア・ツー・ドアという点に欠けているわけでありまして、自動車との協同輸送という面から考えまして、フレートライナー、あるいは物資別の輸送、あるいは列車のスピードアップというような点につきまして、現在貨物輸送が荷主から非常に苦情がございます点を全部改善したい。昨年の十月に特急列車網を動かしておりますし、さらに地域間急行、さらに物資別の列車というものにつきましては、サービスを向上するために、到着時日時の明確化という点からコンピューターを導入いたしておりますが、この方向に沿いましてコンテナを、現在二万個程度でございますが、今後約十九万個程度にふやすというような近代的な計画を考えております。そのためには、やはりターミナルの基地というものが必要でございますので、これに対する整備につきましては、今後、東京付近、あるいは大阪付近、その他全国各地に四十の基地をつくって整備をして、貨物輸送の近代化を推進していきたいと考えております。
  336. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、この再建計画の意見書には、「フレートライナー等の近代的輸送方式の整備を促進する。」とか、あるいは「貨物輸送については、国鉄による戸口間一貫責任輸送体制の強化、」とか、いろいろの問題が出ているわけであります。いまの理事のお話によりますと、この意見書の貨物輸送の近代化に対する対策というものを全部取り入れてそれを忠実に行なっていこうと、こういう御意向でございました。それをまた具体的にしていこうと、そう考えてもよろしゅうございますね。
  337. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 貨物輸送の問題につきましては、意見書の趣旨に沿いまして、今後十分検討して、戸口その他国民の要望に沿う貨物輸送にいたしたいと考えております。
  338. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしますと、この意見書に盛られている貨物輸送の近代化方策というものは、これは非常にりっぱなことがたくさん書いてありますが、ばく大な資金がかかるんじゃないか、このように思います。そのための資金として、どういうところからこの財源を求めようとなさっておるのか、これはちょっとやそっとの財源ではできないのじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
  339. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 今後の投資規模との関連がございますが、財政再建推進会議の意見書に沿いまして資金の確保につとめてこれらの投資を着々と進めていきたい、こう考えております。
  340. 多田省吾

    ○多田省吾君 結局、この前から問題になっている三位一体ということが私はどうも納得がいかない。一応一対二対三・五ぐらいになりますか、この三つの案が最後に載っておりまするけれども、昔は三方一両損ということで、それは撤回なさっているようでありますけれども、いまもって——私はこの前新潟の災害に行ったときに上越線の小出の駅におりましたら、この三方一両損のポスターが麗々しく掲げられていた。こういったことは少しおくれているのじゃないか、こういう気もしますし、三位一体論そのものが、一対二対三・五というような差があって、何で三位一体か、こう言いたいのです。三位一体の原理はそんなものじゃなくて、同等だということです。ところが、全然同等じゃない。一対二対三・五がなぜ同等か。そういう比喩もおかしいのじゃないか。ごまかしじゃないか。三方一両損が撤回されたように、三位一体論なんかも撤回なさっていいのじゃないかと思うのですが、これはどうですか。
  341. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 金額で申しますと、十年間で財政措置は約九千億であるということ、あるいは合理化努力による分が一兆八千億、それから運賃値上げが三兆三千億ぐらいを予定している。こういうようなことでございますから、その金額で申しますと、なるほど一対二対三ということになるかもしれませんが、金額の問題でなくて、考え方の問題として考えてみますと、やはりこの両者は相協力して再建をしなければならぬということだろうと思うのでございます。特に、政府側のあれといたしましては、単なる損益関係だけのことではございませんで、先ほどもちょっと申し述べましたように、出資は八十九億でございますが、再評価準備金が一兆一千二百億あります。したがいまして、これに全部配当負担は要らないという点がございます。そのほか、先ほど主計局のほうから述べましたように、ことし借り入れ総額が三千九百九十九億、約四千億でありますが、そのうち二千九百億は財投で、安い金利で借りているわけでございます。   〔委員長退席、理事青田源太郎君着席〕 さらに、これから借ります再建債は、十年間で二千四百七十億でございますけれども、十年据え置き二十年償還ということでございますから、これらの点を損益に及ぼす効果を考えてみますと、なかなかばく大な金額になると思うのでございます。一般会計からの分だけ計算いたしますと、おっしゃるように、一対二対三でございますけれども、そういった借り入れ金等の損益効果に及ぼす点まで計算いたしますれば、なかなか並みたいていのものではない、やはり三位一体と言ったほうが正確であろう、こう思っているわけでございます。
  342. 多田省吾

    ○多田省吾君 その御説明は前から聞いておりますから、そのようにしか言いようがないとは思いますけれども、もともと、三位一体というのは、いわゆる宗教論から持ってきた比喩でございますけれども、結局は、これとこれとこれが一体のものであり同じものだ、別々な違いがあるわけじゃないということです。それを、一対二対三・五ぐらいの差のあるもの、国民負担が三・五で財政援助は一にすぎない、そういったものを三位一体というのは、いま政務次官は正確だと思うなんておっしゃいましたけれども、だれが考えましてもこれは正確なものとは思えない。これは、三方一両損と同じように、撤回すべき性質のものじゃないか。国民をごまかすことばです。しかも、三方一両損は撤回しながら、まだ各駅にそういった宣伝をしているなんていうのは、とんでもないことです。国鉄当局はさっそくそういった宣伝を撤回なさるべきであると思う。どうですか。
  343. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) そういうようなポスターがございましたら、一度調査いたしまして善処いたしたいと思います。
  344. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、運輸大臣を要求しまして、そのほかいろいろ根本問題についてお尋ねしたかったのでありますけれども、残念ながらおいで願えませんので、時間がだんだんたって肝心の通行税のほうができなくなりますので、また通行税に戻してお尋ねはいたしますけれども、どうも、通行税法は、昭和十五年に定められたものでありますから、片仮名で書いているような古色蒼然たる法案でありますし、そもそも軍費調達のためにつくられたような法案でございますので、通行税を払っている人も、いまもってそういう軍事費のために払っているんじゃないかという錯覚に襲われるような税金でございます。それで、第二条にも、まあ読んでいただけばいいんですが、時間もありませんから端的に資問しますけれども寝台料金の中に、「客室ノ特別ノ設備ノ利用ニ付テノ特別料金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ」なんてものがありますけれども、一体その「命令ヲ以テ定ムルモノ」とはどういうものなんですか。「客室ノ特別ノ設備」なんというのは、これは船室かなんかとも思われますけれども、私たちの理解に苦しむところでございますけれども、これは一体どうなんでしょう。  それから二条の中に、一率に百分の十ということを設定されてありますけれども、これもだいぶ問題がある。もし奢侈的性格のものがあるならば、十五にしてもよろしいのではないか。それからどうしても病人等に必要なものだったら、また考えてもいいのではないか、こう思いますけれども、どうしてぜいたくのものだったら百分の十五ぐらいに上げないのですか。これは二十から十に下げたなりでそのままにしておくのですか。
  345. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 「客室ノ特別ノ設備ノ利用ニ付テノ特別料金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ」というのは、施行規則の第一条でございまして、「通行税法第二条二規定スル特別料金ハ汽車、電車、乗合自動車又ハ汽船ノ客室ノ特別ノ設備ノ利用ニ付テノ特別料金トス」と。これは、従来、汽船等におきまして、特別室の料金を引き下げるために、特別の別の名称運賃のほかに料金を取った例がございましたので、それによって運賃としては二等であるということで課税を免れるということが起こったということから設けられた規定でございますが、今回の特別車両料金のような明瞭のものではございませんでしたので、今回、これを改めて、特別車両料金として独立をさせたわけでございます。  なお、通行税は普通の消費税と同じように従価税でございますから、たとえば新幹線でも、「こだま」と「ひかり」は特別車両料金が違います。違えば、それによって、従価税でございますので、通行税も多くなるわけでございまして、そういう意味では高い料金を取るものであれば、それに応じた課税ができるという意味で、一〇%で課税しても、その程度に応じて差がつけられる、かように考えているわけでございます。
  346. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、特別車両料金が高くなっているから、百分の十にしてもそのほうも高くなるから、結局百分の十五にする必要はないと。どんな奢侈的なぜいたくのものであっても百分の十で押えられるという意味であろうと思いますけれども、その前においては百分の二十にしておったときもあったわけです。それが一率に一〇%に下がったということも納得できないし、船あるいは飛行機あるいは車両等によってやっぱりこれは当然差が出てきてよろしいのじゃないか、厳正な課税方式を考えればですね。一率に百分の十というのはあまりにも便宜主義過ぎるのじゃないか、ぜいたくのものを百分の十五にしてもぼくはよろしいのではないかと思うのですが、もう一回……。
  347. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 酒類のように、非常に種類銘柄がはっきり違っているものにつきまして分類差等課税を行なうということは日本ではかなりきめ細かくやっておりますけれども、乗り物等につきまして質的な差を加えるというのがなかなかむずかしいという点もございますし、元来が、通行税の性格から申しますと、日本の消費税の中では標準税率を使う程度のものと考えておりますので、それにさらに加重税率を設けるほどのものではないということで一〇%一率にいたしておるわけでございます。
  348. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、やはり便宜的過ぎる、そんなぜいたくなものだったら百分の十五でもいいけれども、一方においては百分の五でもいいのではないか、あまりにも画一的過ぎるのはおかしいのじゃないかという感じを受けます。  次に、第三条の三号に、「本法施行地外ヨリ本法地行地内ニ来ル乗客」、このようになっておりますが、これは具体的にいえばどういうことなんですか。
  349. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) これは、海外旅行者を意味しているわけでございます。国際線につきましては、各国とも、一つの協定がございまして、課税をしないことになっております。その関係を書いているわけでございます。
  350. 多田省吾

    ○多田省吾君 それは、一つには、やっぱり外国の観光客等の優遇のためということも考えられるわけですか。
  351. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) それは、国際的な一種の協定でございます、御承知のIATAというような料金協定もできております。国際的な協定でやっておりますので、各国がやっておることでございます。
  352. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは、四号の「本法施行地内ヨリ本法施行地外ニ行ク乗客」、これも同じだと思いますから質問しませんが、この前も、連休で香港に何千名という人がレジャーのために旅行したわけです。前に、一度、海外旅券というような形で税をかけようとしたことがかつてあったと聞いておりますが、いわゆる海外旅券に手数料を取ったということがあったわけでございますが、そういうことは現在取られないと思いますけれども、第三条との関係は何かないのですか。
  353. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 先般問題になりましたのは、登録免許税改定の際に、出国税的な意味で旅券に対して一定の課税をしてはどうかという意見があったことだと思いますが、当時国際観光年その他の事情がございまして一応この案は取りやめになって、その後再生いたしておりません。
  354. 多田省吾

    ○多田省吾君 もっと考えれば、第四条の二項の一、二、三号ですね、「最低ノ運賃其ノ他其ノ百分ノ百五十未満ノ運賃ニ応ズル等級 二等」とか、これは私は何のことかちょっとわからないのですが、簡単でけっこうですから説明願います。
  355. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 第四条の第二項の規定は、これは私鉄等で等級を定めましても、等級が国鉄のように法律できめられていないということになりますと、いろいろ勝手な等級をつくりまして、税をそれによって変えてしまうことが可能でございます。そういう意味で、一般の場合には、等級を付していても、最低の料金の百分の百五十以内であればそれは二等でよろしい、百分の百五十以上百分の三百未満であれば一等とみなすということで、課税の公平をはかっている規定でございます。
  356. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、こういうものこそ、納税義務者がいくら読んでもわからないような、説明されてやっとわかるようなものは政令でもいいのじゃないかと思いますけれども、こういうふうなことがあるからこそ、なくするものであればこれはこのままでもよろしいが、先ほど申しましたように、続くものであれば、これは当然直すべきものであると、こう思います。  それから五条、六条、七条は、「削除」ということですね。これは、昭和二十三年あるいは昭和二十五年においては、当然時代に合わないものとして削除したのじゃないかと思いますが、それを一応御説明ください。
  357. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 御指摘のように、当時の事情から適合しなくなった規定を削除したものでございます。その内容は、いまちょっと資料を持っておりませんので……。
  358. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ、なかったらけっこうです。  次に、第八条の徴収の項も、私はいろいろなおそれがあると思うのです。たとえば「運輸業ヲ営ム者(以下運輸業者ト称ス)」と、こうありますけれどもトラック業者なんかこの運輸業者の中に入るんですか。それから、まとめて質問しますが、「汽車等」というのはどういうものか。あるいは「領収ノ際之ヲ徴収シ翌月末日迄ニ政府ニ納ム」ということですが、この二ヵ月間の金利——最大二ヵ月間、手元に置かれるようですが、その金利なんかどの程度になるのか、利子はどちらのもうけになるのか、こういった細かいことについて、徴収のときに、これは徴税のほうにも関係がありますけれども、手数料なんかはもらえるのか、こういったことも心配になるわけでございます。その中に、また、前近代的な「通行税ノ納付ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依ル」と、ここで「命令」が出てきております。また、この八条は、ずいぶん五回も改正されておりますけれども、不備な点があったから改正されたのか、あるいは徴税強化のために改正されたのか、その辺のところをまとめてひとつお答えを願いたいと思います。
  359. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 「汽車等」と申しますのは、第一条に「汽車、電車、乗合自動車、汽船(以下汽車等ト称ス)」とくくってございます。その「汽車等」でございます。  それから「運輸業ヲ営ム者」と申しますのは、「汽車等又ハ航空機ニ依ル運輸業」と申しておりますから、汽車、電車、乗合自動車、汽船及び航空機を交通手段といたしまして運輸業を行なう者、これが運輸業者でございます。  それから間接税は、大体月税でございまして、納期は翌月末日というのが通常でございます。そういう意味では、通行税も普通の消費税の形によっているわけでございます。その問、手数料等は一切支払っておりません。
  360. 多田省吾

    ○多田省吾君 普通、「汽車等」といったならば、汽車に類似するような乗り物というふうに考えられますけれども、電車ぐらいならいいけれども、汽船も入る、こういうことがありますか。それは直したほうがいい、こう申し上げておきます。  次に、私が先ほどお尋ねした五回も変わっていることについて徴税強化のために変えたのか、不備だから変えたのかという質問をしましたけれども、どうですか。きちっとお答え願いたい。
  361. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) この改正は、通則法ができますと、それに基づいて改正をしたりしたものでございますので、そのつど整備として改正をいたしているわけであります。
  362. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、もう非常にこういうことは不備なんじゃないかと思いますけれども、第九条は、おわかりのように、「運輸業者ニ代リテ乗車船券ヲ販売セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ」云々「政府ニ申告スベシ」あるいは「廃止セントスルトキ亦同ジ」と、こうありますけれども、最近は、机一個あるいは電話一本というような交通あっせん業というのが非常にたくさん出てきておりますが、こういったものもこの中に含まれるんじゃないかというおそれを抱くわけでございます。徴税不可能なこと、持ち逃げ等がなかったのかどうか、こういう交通業者が全国でどのくらいいるのか、特に取り締まり等は監督官庁においてどのようになっているのか、政府に対する申告や廃止の申告はきちっとなされているのかどうか。やはり百億円の徴税の方法としてはこれは大事なことだと思います。
  363. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 第九条の営業申告につきましては、営業申告及び廃止申告も法律どおりなされております。国税庁がそれを監督しておるわけであります。それで、廃止及び営業申告によりまして運輸業者としていま国税庁が把握しております業者数は、四十二年度で五百五十九でございます。
  364. 多田省吾

    ○多田省吾君 いままで事故等は全然ありませんでしたか。
  365. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 営業申告、廃止申告に関しましての事故はございません。
  366. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあそれに関連して、これも国税庁と思いますけれども、申告、廃止、これは問題がないという御答弁がございましたが、それでは、記帳あるいは申告の事務ですね、あるいは強制徴収等の事実があったかどうか、それを簡単でけっこうですからお答え願いたい。
  367. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 強制徴収の実績は若干ございます。それから検査によりまして納付すべき通行税が納付されていなかったのを強制徴収いたしました結果もございます。いずれも件数はわずかでございます。
  368. 多田省吾

    ○多田省吾君 件数はわずかだとおっしゃいますけれども、具体的に一つ二つ例をあげて、こういうものであるからたいしたことはないんだと、例をあげていただけませんか。
  369. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 検査によりまして追徴しました事例は、三十七年度、これは広島国税庁管内のさる航空会社でございますが、税額九百九十六万円をあげております。それから三十八年も、同じ会社でございますが、税額四百二十九万円。三十七年度、三十八年度、いずれもこの一件ずづでございます。それから四十三年六月に金沢局で一万四千円の通行税額を強制徴収いたした事例がございます。検査によりまして強制徴収した事例は、その程度でございます。
  370. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、収税官吏の検査権というものがありますが、いまどき収税官吏という名前が使われておるのかどうか、それとも、またほかに別の正式の名前があるんですか。また、この検査はどのくらい検査されておるのか。もしも権限の乱用等が行なわれていないか。そういったようなことを、やはり簡単でけっこうですから、お答えを……。
  371. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 収税官吏ということばは、ほかにもございます。通行税だけではございません。それで、権限の乱用等はないように国税庁としては慎重に指導をいたしております。
  372. 多田省吾

    ○多田省吾君 国税庁にもう一点お尋ねしたいんですが、通行税の納税地でございますけれども、いわゆる航空機の係留地等も関係するのじゃないか。あるいは、鉄道、船等について営業所の所在地というものはどういう姿になるのか。営業所が二つ以上ある場合は、政府の承認を受ける必要があるというようなことも出ております。すなわち、航空機の係留地等については、航空協定等も先ほどのように関係してくるのじゃないか、あるいは租税協定等も関係があるのじゃないかと思いますが、これはいかがになっておりますか。
  373. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 国際間の運輸業につきます課税につきましては、先ほど大蔵省の主税局長からお答えいたしましたように、課税はいたしておりません。それから国内における運輸業者につきましては、その本社の営業所の所在地の税務署で徴収することになっております。
  374. 多田省吾

    ○多田省吾君 時間もありませんのでまとめてお聞きしますけれども、十三条一項は脱税犯が出ておりますけれども、こういった規定が昭和二十二年あるいは二十五年以降相変わらずにあるということもちょっと問題があろうと思いますけれども、八条の規定で納付すべき通行税を納付しなかったものの先ほどは強制徴収の例が若干あげられましたけれども、こういう脱税に関して罰則を受けた人が事実いるのかどうか、これも簡単でけっこうですからお答え願いたい。
  375. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 十三条、十四条が罰則の規定でございますが、戦前におきましては、実は資料関係ではっきりいたしませんが、おそらくないと思います。戦後におきましても、通行税につきまして犯則処理をした事例はございません。
  376. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあいろいろわからないところを聞いてまいりましたけれども、こういった通行税そのものを考えますときに、もうすでに三十六年の税制答申もございますけれども、物品税あるいは入場税等の間接税の税体系にはなっておりますけれども、こういった通行税というものは極力早い機会に廃止していかなければならない税金であるし、また、間接税等においても、この前の減税法案の審議のときにも若干質疑しましたけれども、そういった入場税や何かも、競馬とか競輪とかそういうギャンブルであるならばある程度取ってもよかろうと思いますけれども、映画とか演劇とか、そういった国民の正常な、そして国民の要求する文化活動に関しては、あるいは入場税に関しては、廃止するとか、緩和をするとか、こういう姿でいかなければならないし、こういった通行税も、もう一率に百分の十である、これも非常に便宜的で、税収をはかる上に正当性がない、このようにも思います。そういった点から、私は、大蔵大臣にもう一回、先ほどは法人税のことを質問いたしましたけれども、間接税においても相当なばらつきがあるわけでございます。ゴルフ用品とかあるいは高級織物、そういったものについては、もうほとんどかからないか、あるいは非常にわずかしかかからないという姿もございます。こういった間接税の体系というものはあまりほうっておかないで、早急に入場税の検討等と同じような姿において検討すべきじゃないか。そして、通行税もその中に入れて考えるべきである、このように思うわけでございます。大蔵大臣の姿勢ですね、御意見をお伺いしたいと思います。
  377. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 間接税については、まあこれは幅広く考えていきたいと、こういうふうに考えております。つまり、いま経済が非常な勢いで発展します。それに伴いまして、直接税の負担というものが急速度に伸びている。わが国の租税体系が直接税に非常に比重が重くなってきている傾向を持つわけであります。さようなことを考えますときに、間接税というもので適当なものがあればと、こういうふうに存じておるわけでございます。ただ、いま物価問題の非常にむずかしい段階でありますので、いま実施することは考えておりません。物価問題等が落ちつくその時期において、何かそういうことを実行したいものだという考えを持っておるのであります。
  378. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、この前も論議されましたけれども、特に通行税においては、病人、婦人等に必要なものと、あるいは比較的楽な旅行をしたい人たちのために、こういう両方が趣旨説明の中に出ているわけです。私は、これは異質なものであると思うのですね。そういう病人、婦人等に必要なものであるならば、一〇%の通行税なんかかける必要はないんじゃないか。だから、また、奢侈的なものならば、百分の十五というようなものをかけてもいいんじゃないか。それが一率に百分の十かけている。それを、税体系として、大蔵大臣は、国鉄だけではなくて、船もあるし、飛行機もあるから、どうしても百億の財源というものをほかに求めるのは困難であるからどうのこうのということをおっしゃっておりますけれども、それだけでは私たちは納得できない。また、その間にもいろいろな理由がありますけれども、私は、この通行税制を改める機会において、先ほどから申しましたように、これは廃止すべきが当然であると思いますけれども、また、この法案だって、いろいろお聞きしましたように、昭和十五年からの古色蒼然たる法案でございますし、こういった観点から、一率百分の十課税、あるいは国鉄の特別車両料金に対する百分の十課税ということ等においてはもう少し考えていくべきじゃないか。特に、私鉄等においては、国鉄特別車両に通ずるような豪華な車両もありますけれども、それは、先ほど申しましたように、わずか七百万円しか通行税を取っていないという現状から見ても、これは国鉄においてもっともっと考えるべきじゃないかと思いますが、再度お答えを願いたい。
  379. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 租税はとにかく公平をもって最も尊しとなすというように考えておりますので、間接税にありましても公平を期したいと思います。しかし、これがもう全部が全部網羅できるようなそういう公平というものもまたなかなかむずかしいのであります。あなたが御指摘、御心配される点なんかもそういう点に該当するのかと思うのですが、今後とも公正と公平という点につきましてはでき得る限り配慮していきたい、かように存じます。
  380. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、私は、二、三大臣にお尋ねしたいのですが、(「時間だ」と呼ぶ者あり)先ほどからるる論じられている、いわゆる財政援助という問題でございますけれども外国等の例を見ますと、そのほとんどが財政援助をしておる。外国においても、それの財政援助等を適用した場合は、結局、償却前においても償却後においても当然黒字になっているという姿が出ているわけでありますが、これは日本国鉄独自が国家から援助がないという残念な姿がたまたま出ているものだと思います。先ほども申しましたように、三位一体と申しますけれども、国家補助がわずか一であり、また国鉄の事業努力等は二であり、国民に対する負担が三・五というような三位一体とは名ばかりの一対二対三・五というような姿をすなわち三位一体というような比喩でごまかしている。あるいは、受益者負担利用者負担のこともだいぶ問題があります。こういった点から考えて、私たちは、国民が安心した生活を営み、また、国鉄の本来の公共事業たる、国有鉄道法の第一条に見られるような方針、目的ということを考えるならば、もっともっと国鉄財政援助というものが必要ではないか。それに対して一つの前向きのこれからの姿について大蔵大臣から御意見を伺いまして、私の質問を終わります。
  381. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 今回は、国鉄の状態が非常にむずかしい段階だというので、政府としてはかなり思い切った財政措置を講じた、かように考えておるのであります。私は、国鉄が今回考えております長期計画、これを着実に実行するということになりますると、国鉄は非常に改善をされていく、こういうふうに明るく展望いたしておるのであります。せっかく今回こういう財政計画をきめましたので、これ以上のことをまたするのかというようなことをいまあなたに申し上げるわけにはまいりません。まいりませんが、私は、国鉄がまた輸送力の中で重要な役割りを演ずるときが必ず近くやってくるということを期待しております。
  382. 多田省吾

    ○多田省吾君 もう一点だけで終わります。ですから、私も、先ほど理事にお尋ねした、第三次長期計画というものと再建十ヵ年計画というものが二本建てで進められておる。そして、第三次長期計画の手直しがほとんど行なわれていないということにかんがみまして、国鉄財政再建推進会議の意見書の具体的な方針は全然政府でおきめになっていない。ただ単なるちょっとしたごまかしの法案を出しているにすぎない。いまの大蔵大臣のお答えならば、必ず、将来性というものは、国鉄財政再建推進会議の意見書というものを強く重んじて、そうして財政援助等においても少なくともこの意見書以上のことはするというお覚悟をお持ちなのか。それとも、ただそういう一片の法律案を出してそれでごまかそうとなさるおつもりなのか。ごまかすということは当たらないかもしれませんが、もし実践されなければ、われわれにはそう感じられる。その前向きの姿勢というものをもう一回お伺いしたいと思います。
  383. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 財政再建会議は、いわゆる三位一体、まあどうもあんまり歓迎されないようなことばでございますが、三位一体の考え方でやっております。大いにこれから国鉄も自己努力をされると思います。その効果がやがて出てくるということを期待しております。また、建設費等においては、かなりのものが必要であるということは私ども考えております。そういう際に、財政投融資等においてはできるだけの援助をしていく、かような考えであります。
  384. 丸茂重貞

    委員長丸茂重貞君) これにて多田委員質疑はすべて終了いたしました。明日は、午前十時正確に委員会を開会し、直ちに木村委員質疑に入ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後十一時五十分散会