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1969-06-17 第61回国会 参議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十七日(火曜日)    午後一時十九分開会     ―――――――――――――    委員異動  六月九日     辞任         補欠選任      竹田 現照君     松木 賢一君  六月十一日     辞任         補欠選任      松本 賢一君     竹田 現照君  六月十六日     辞任         補欠選任      阿具根 登君     上田  哲君  六月十七日     辞任         補欠選任      瓜生  清君     田渕 哲也君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         八木 一郎君     理 事                 川上 為治君                 剱木 亨弘君                 大矢  正君     委 員                 赤間 文三君                 井川 伊平君                 大谷藤之助君                 大谷 贇雄君                 村上 春藏君                 山本敬三郎君                 小柳  勇君                 近藤 信一君                 竹田 現照君                 塩出 啓典君                 矢追 秀彦君                 田渕 哲也君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   大平 正芳君    政府委員        警察庁交通局長  久保 卓也君        通商産業政務次        官        植木 光教君        通商産業省重工        業局長      吉光  久君        中小企業庁長官  乙竹 虔三君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        運輸省自動車局        整備部長     堀山  健君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (自動車問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 八木一郎

    委員長八木一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  六月十六日、阿具根登君が委員辞任され、その補欠として上田哲君が選任されました。また本日、瓜生清君が委員辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、前回に引き続き自動車問題に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 大矢正

    大矢正君 先般の委員会に引き続いて当面重大な関心を集めております自動車問題について大臣に一点だけお尋ねをいたしたいと思います。時間の関係がありますので、近藤委員あとをゆだねることといたしますが、けさの各新聞報道によりますと、自動車問題に関して熊谷事務次官談話を発表されておるようであります。私が内容を申し上げる必要はないことと思いますが、その談話の中から推察されますことは、一つには、いままでの自動車産業に対する通産省の姿勢というものは、二大系列を中心としてむしろ通産省の積極的な指導によって集約化をしていこうとするものであったが、これを今日の時点ではあきらめなければならないのではないかと思われる点であり、いま一つは、先般の委員会においても大臣答弁をされましたが、自由化の時期は今秋にめどをつけたいとの発言と、それにからんで部品また販売、両面にわたっても同時に自由化の時期を明示するという内容のものであり、あわせて今日まで政府がとってまいりました開発銀行を主体とする体制金融については、新しい観点から、はたしてそれを継続することが適当であるかどうかについて再検討しなければならぬというよう内容のものでありますけれども、これはわが国自動車産業にとりましても、また一般需要者側にとりましても、あるいはまたディーラーにとりましても重大な関心のある内容でありますので、おそらくこれだけ明確に自動車問題に関する談話を発表されるからには、大臣との間に、わが国のこれからの自動車産業に対する通産省の態度というものが打ち合わせ済みの上でなされたものと解釈いたしますので、この談話の趣旨は那辺にあるのか、そしてねらいはどういうところにおありになるのか、ひとつ詳しく御説明を願いたいと思います。
  5. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 熊谷次官発言は、昨日の記者会見で御質問に応じての答えでございまして熊谷君のほうから進んで談話を発表したものではございません。  御指摘は三点ございますが、第一の点、つまり二大系列集約化を断念する云々の件でございますが、私が承知しておる限りにおきまして通産省としては二大系列に何でもかんでも集約する、そういうようなことを公に申したことはないと思います。国内自動車産業体制整備のためにはできるだけ集約化が大切であるというよう意味において指導をしておりましたことは事実であると思います。ところがそれが二大系列でなければならないというように非常に窮屈なかまえであったとは承知していないのでございます。しかし、いずれにいたしましても、できるだけ少ない系列集約化して体制整備してかかるということを基本にいたしまして自動車行政を行なってきたと思います。したがいまして、一昨年の日米自動車交渉におきましても、メーカーメーカーとの間の提携ということにつきましては認めるつもりはないのだというようなことを主張いたしておりましたゆえんのものも、国内体制整備というようところにアクセントを置いて考えておった証左であろうと私は承知いたしております。ところが御案内よう自由化の要請が各方面から熾烈になってまいりましたし、事実またわが国メーカーが外資との提携の話を進めるというようなことになってまいりましたので、こういう雰囲気のもとでこういう動きがだんだんと行なわれてまいりますならば、自動車業界にいろいろ動揺を来たしはしないかという心配をしておるのであります。したがいましてできるだけ業界の向きから道標をはっきりさせる必要を感じまして自由化に踏み切るにつきましては、どういう用意が要るか、その用意を整えるのにどれくらいのタイミングが必要であるかというような点を、いまわれわれ部内で検討しておるわけでございまして、その検討はここ一、二カ月をかけてできるというやさしいものではないように思いますけれども、この秋には少なくとも自由化時期を明示するというようにしようじゃないかということで決意をいたした次第でございます。そういたしますならば、関連産業といたしましては、そういう状況の中でみずからの身の振り方を選択されると思います。その場合、いままでいわれておりましたように、できるだけ少数に集約した形での青写真による体制整備というものの促進というようなことは、たいへん困難なことになろうと思います。そういうことは熊谷君だけでなく、われわれみんな共通した認識として持っておるわけでございます。ただその場合、開銀融資その他体制金融をやめるとかやめないとか、断念せざるを得ないかもしれないというようなことは、まあこれはいろいろ方法論になりまして、私なんかそこまで考えておりませんが、自由化時期を明示することにいま全力をあげたい、そのあと情勢の推移を見ながら適時適切なことを考えればいいのではないかと思うのでございますが、そういう政策手段の問題につきまして、私と十分打ち合わせた話ではなかったように思います。前段に申しましたよう情勢判断につきましては、完全に一致していると考えております。
  6. 近藤信一

    近藤信一君 私は自動車欠陥車の問題についてきょうはお尋ねするわけでございますが、まず最初安全管理とその対策についてお伺いするわけであります。  最近新聞等欠陥車の問題がほとんど毎日報道されておりまして、これは衆議院の運輸委員会でもいろいろと御質問がなされて、通産当局もこれに対していろいろな答弁をしておられるわけでありますが、わが国の代表的な小型車に対し、人命にかかわるような重大な構造的な欠陥というものがあることが指摘され、そしてこれがいまでは社会問題と化しておることも大臣御承知のとおりでございます。  で、欠陥車は別に最近特にこれが出てきたというととでなく、新聞等の報ずるところによりますると、三年ぐらい前からこの欠陥車の問題は出ておった、指摘されておった。それが公表されずに秘密裏に各メーカーがそれぞれの欠陥車に対しましていろいろな処置をしてきた。しかしこれは問題が人命にかかわる事柄でございますから、関係者社会的責任を無視しておったというふうに私は判断せざるを得ない。そういう点で私は非常に納得できない点がございます。欠陥車問題が表面化してまいりましたのは、これはアメリカ側指摘されまして、これが日本新聞に報道された、それまで関係者秘密裏にこの問題を処理していた、また役所におきましても、これに対するところの具体的な対策というものが講ぜられなかったということは、まことに私は遺憾だと思うのです。問題が表面化して初めて運輸省欠陥車の総点検を指示したり、また通産大臣自動車工業会に対しまして厳重注意を与える、こういうふうなことで、役所のやっておりますることは、みんな後手後手に回っておる。監督行政として何か欠陥があったのではないかと思う。  まず、自動車安全性確保について、通産省運輸省両省所管をしておられるわけでございまするから、今回の欠陥車問題に対する両省責任のある御見解をまずお伺いしたいのであります。
  7. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) たいへん欠陥車問題が大きく取り上げられておるのでございますが、本来この問題は近藤委員が御指摘ように、前々からもありましたし、それから今後も絶無を期すなどということはなかなか困難でないかと思います。アメリカにおきましては、これはアメリカばかりじゃなく、自動車業界におきましては、欠陥車が発見された場合には、ディーラーを通じてユーザーに通知いたしまして部品を取りかえたり修繕をしたり、アフターケアを従来ともやってきたわけでございます。ただ、アメリカにおきましては、欠陥が発見された場合には、それを行政官庁届け出義務があるわけでございまして、そういう義務アメリカ国内メーカーばかりでなく、輸出車を輸出いたしております日本自動車会社も欧州の自動車会社もそういう義務は履行しておるわけでございます。問題は、秘密裏にとあなたおっしゃいましたが、そういう届け出を一方やると同時に、会社といたしましてはディーラーを通じてユーザーにできるだけ周知徹底していく、アフターケアに遺憾のないようにする、それが彼らの営業政策から申しましても当然やらなければならないことでございますし、人命尊重というような上からも当然のことなのでございます。問題は、そういう周知徹底する場合の努力が十全であったかどうかという点に一つの問題が私はあると思います。自動車工業会の会長さんをお招きいたしまして、その点いろいろただしましたのでありますが、確かにその点、指摘されるように周到な配慮に欠くるところがなかったとは言えぬという反省を漏らしておられます。これは官庁から指摘されようがされまいが、業界といたしましてはもう当然の責任でございまして、今後十分周到な配慮がなさるべきものと思います。  それから第二の問題といたしまして、国内におきましてはそういうアメリカようリコール制が法制的にもありませんし、また、そういうものが慣行的にも定着化していないことは御案内のとおりでございます。その点に着目されまして、今度運輸省のほうで、道路運送車両法によりまして従来もいろいろの規制を行なっておりますが、今度は新たにそういうよう行政官庁届け出さそうという一つの進歩した行政措置がとられることになりましたことを、通産省といたしましても全幅の賛意を表して御協力を申し上げておるところでございます。  それから第三の問題といたしまして、それじゃ設計、構造材質等に確かにそれは欠陥があるわけでございますから、その品質管理をアセンブリーの段階だけでなく部品末端に至るまで十分徹底させなければならぬ、これももう当然といえば当然のことでございますけれども、われわれといたしましてそういったことに従来非常にエネルギーを傾けて注意を喚起してきたかといいますと、そういう点に熱心さが足らなかったということを、私も反省をいたしておる次第でございます。品質管理につきまして今後一段と努力いたしますばかりでなく、業界末端にまで十分徹底する措置を講じていきたいと考えております。  何さま多数の台数でございまするし、飛行機のように、十分時間をかけて構造品質材質なんかの検査をやるといういとまがないほど需要が押し寄せてくるものでございますから、いろいろな努力をいたしましても、こういったことがなおあとを断たないというのは残念でございますが、今後一段と努力をいたしまして欠陥車防止ということに力を尽くしてまいりたいと考えております。
  8. 堀山健

    説明員堀山健君) 運輸省といたしましては、車両欠陥による事故が発生いたした場合には、事故の原因を調査いたしまして、整備不良によるものにつきましては、事故警報によりまして、整備工場あるいは一般ユーザーの方に組織を通じて注意を喚起しておったわけでございます。  構造上の欠陥による場合につきましては、自動車メーカーに対しまして改善を指示いたしまして、部品交換等措置いたすとともに、現在使用中の車につきましても事故警報によって注意を喚起し、事故の再発の防止をしてまいってきたわけでございます。特に量産自動車につきましては、構造装置についてメーカーで変更がございますと、運輸大臣に申請いたしましてその承認を受けることを義務づけております。ただ、今度の欠陥車問題で公表になりましたような種類のものにつきましては、従来そのような手続がございませんので、そういうことから、私どもといたしましては、規定になくても事故につながる、あるいは事故につながるおそれがあるというものにつきましては、当局届け出てその承認を得て改善をしていただく。と同時に、一般ユーザーに知らせる方法として、先ほど申しました事故警報とかにより、そういったものは団体組織を通じてPRしておったということでございますが、これでは十分一般方々にPRできないわけでございますので、このたびその欠陥を改めて、公表制というものを加えて、一般方々によく周知徹底して、それぞれの回収措置が早く行なわれるということの手当てをしたわけでございます。で、トヨタ日産の二社につきましては十一日に報告がございました。その他の十の会社につきましては昨日報告がございました。外国輸入自動車につきましては一両日中に報告がくると、かように連絡がございました。  私ども今度のいろいろな体験にかんがみまして、私ども行政の制度なり、あるいは運用のしかたなり、その辺について大いに検討を進めてまいりたいと思います。
  9. 近藤信一

    近藤信一君 当初新聞にこれが報道された当時、トヨタ日産責任者が、大体アメリカでも欠陥車があるんじゃないか、それがアメリカで一部新聞で報道されたからといって日本のマスコミがお先棒をかついで騒ぐのはおかしいじゃないか、こういうふうなふんまんを漏らされたということが、ある記事にも出ておりました。最初はこの数が比較的少ない数字として新聞にも発表されておりましたが、その後世論がだんだんと高まってくるにしたがいまして、日本自動車メーカーがそれぞれみな欠陥車をいままで製造していた、販売していた、こういうことで、世論的にもだんだんと高まってまいりますし、安全性問題等から考えましても、いろいろと大きな社会的な問題となってきた。そうすると、この数字がだんだんとふえていくわけですね。けさテレビを見ておりまして、テレビの報ずるところによりましても、欠陥車は二百四十五万台だ、そうして、きょうまだ未回収でほうって置かれておるのが百二十九万台だとテレビは報じております。一体正確な数字というものはどれくらいの数字にのぼっておるのか。この点は役所としてあなたのほうは把握をしておられると思うのですが、実際正直なところ一体どういう数字にのぼって、どういう措置が今日まで完全にとられておるのか、こういう点についてお聞かせ願いたいのであります。
  10. 堀山健

    説明員堀山健君) 六月六日の日に依命通達自動車構造装置に起因する事故防止について」を出しました。従来の型式指定規則と申しますのは、量産する車についての規定でございます。これに基づいて、構造変更するものについては、従来の規定届け出することになっております。しかしながら、その届け出を要しないものであっても、たとえばパイプのようなものでございますが、そういうものであっても事故につながるおそれがある、こういうものについては、従来の規定に該当しないものであっても、構造装置を変更した場合は届け出ることということで、いままですでにそういうことをやった件数をすみやかに届け出てほしいということを要望した結果、先ほど申しましたように、トヨタ日産の両社は十一日に、その他は昨十六日に届け出があったわけであります。これを集計いたしまして、対策をした件数五十八件、その対策を必要とする自動車延べ総数は二百四十五万六千五百四十四、すでに対策が済みまして措置を済ませたもの、これが百十五万七千七百四十五、まだ措置していない単の数がこれが百二十九万八千七百九十九、これを平均して、いわゆる実施率と申しますか、回収車両に対してすでに実施した数、これが割合で言いますと四七・一%でございます。これは各項目についてそれぞれどういう措置をするかということをメーカーから報告を求めております。それぞれのメーカーなり、そのメーカーの車種につきまして部品用意その他の関係もございますが、それぞれいつまでにこれを回収して交換するという計画がとられております。さように承知しております。
  11. 近藤信一

    近藤信一君 最初小型車トヨタのコロナ、それから日産ブルーバード、こういうふうなことがいわれておりましたけれども、その後の調査等によりますると、これが幼児を輸送するマイクロバス、さらにトラック大型トラック等々まで欠陥車であるということが各社から発表になっておるわけでございますが、そういたしますと、非常に全般的な問題ということになってくる。私どもが乗っておる車もやはり危険な車じゃないかというふうに心配される、いわゆる国会にある車ですね。一体どこを信頼していいのか私どもはさっぱりわからなくなるのです。特に佐藤総理は、人命尊重ということを一つの柱にしておられる。ところがこういう幼児を、子供を輸送するマイクロバスまで危険だということになりますると、やはりどこに人命尊重の意図というものがあるかということが疑われるわけであります。現在おおむね小型車ということになっておるけれども、いろいろ発表されたところによると、バスまでこういう危険な車であるということが指摘され、また大型車もこの中に含まれておる、こういうふうになっておるのですが、小型車以外の、大型の乗用車またバストラック等についてはどういうふうな数字になっておるのか、この点はいかがですか。
  12. 堀山健

    説明員堀山健君) 従来私ども行政指導につきましては、バスにつきましては、バスのいわゆるユーザーと申しますか、バス会社バス会社はおおむね企業的にもしっかりしております。それで、使うほうの立場ということで、バス会社のそれぞれ技術部門につきまして、毎日使っておるという立場から自動車安全管理をしておるわけでございます。ところが使っておりますと、いろいろな意味でいわゆる問題点が出てくるわけでございますが、たとえばこれはほうっておくと事故につながる、あるいは事故にはつながらないけれども、これは毎日点検したり調整しなければいかぬ部門がある。これはそういうものを置く位置なりあるいは取りつけ方いかんによっては、非常に整備なり点検がしにくい、しにくいということは、逆に言いますと、なおざりになりがちである。したがって、そういう装置の取りつけ方、あるいはそういったものにつきまして改善をする、あるいはそれとは別途に、装置あるいは構造の面についてもう少し工夫をすれば経済的に走れる、いろいろな問題があるわけでございます。したがいまして、バスにつきましては技術者も社内的にしっかりしておりますし、これは全国的な立場バス技術委員会というものを組織しております。そして地区ごとあるいは全国的にそれぞれ各銘柄、各型式の車を使っておりますが、その各型式の車につきまして、どのようにしたら車がよく使えるか、より安全になるかということについて勉強しておるわけでございます。毎年一回これは集計いたしまして、それぞれの型式につきましてメーカー乗合自動車協会として要望しておるわけでございます。その件につきましてはメーカーのほうもその要望をいれまして、改善するものは改善する。どうしても改善できない、これはむしろ使い方を気をつけてほしいというものもございます。そういう点で、過去十七年にわたって毎年やっておりまして、その面では使用者立場メーカー立場、相互に技術的に検討し合いまして、今日のバスができたということで、これは同じ自動車のグループの中でも一番よく連携が保たれ、改善がされておるのではないかと、かように考えます。トラック、タクシーにつきましては、それぞれやっておりますけれども、それぞれ車の規格なり構造装置について、それぞれ団体として意見をまとめて、それぞれの要望をしております。ただ、私ども反省いたしますのは、いわゆる自家用の一人で車を持っておられる方、こういうものの組織と申しますか、そういう面がまだ弱体な面がございまして、そういう方々のそれぞれの御意見メーカー要望する、たとえば事故に至らなくても、こういう点にふぐあいがある、あるいはこういう点に故障が起こるのではないか、いろいろな面がございます。したがってそういうものを集積いたしますと、かりに事故にならなくても、故障とか調子が悪いという段階改善ができる、こういうことになろうかと思います。したがって、私ども今後の進め方としてそういう面からの改善、あるいは使う立場としての使い方、こういう面を相ともに検討してまいりたいと思います。
  13. 近藤信一

    近藤信一君 時間がございませんから次に進みますが、自動車安全管理は、主としてこれは運輸省所管でございまするけれども通産省としてももっと積極的にこの問題に取り組むべきでなかろうかというふうに思います。たとえば生産工程段階検査をするとか、ユーザー教育を何か考えるとか、事故を起こさないためのあらゆる対策をもっと真剣に考えていくべきじゃないか。要は、この欠陥車をなくするためのあらゆる努力をすること。もし万一の場合には、欠陥車を早期に発見して、発見したならばこれを公表して、迅速に回収することでなかろうかというふうに思います。ところが、現状ではそういうことになっておりません。まことにこの点は私は不十分でなかろうかと思うのですが、通産省は一体どのよう用意があるのか、この点をお聞かせ願いたいのであります。
  14. 吉光久

    政府委員吉光久君) 直接的に安全問題につきましての取り締まりは、先ほど来お話しございましたよう運輸省のほうでやっておられます。通商産業省といたしましては、自動車生産流通等所管しております省といたしまして、この安全の問題につきましても、やはり同じよう責任を負っておるものだというふうに私ども考えておるわけでございます。したがいまして、ただいまお話しございました部品一つ一つ生産工程の問題、その前の設計の問題、それからまた、生産されたものに対しますところ検査制度の問題等、それぞれ業界のほうで安全確保という観点からそれらの管理をしていかないと、なかなか欠陥車を排除するというふうなことは非常にむずかしい問題であろうかと思うわけでございます。したがいまして、先般自動車工業会の社長会のございましたときに、私参りまして、いま申し上げましたようなそういうポイントについて、この際各社自発的に総点検をやってもらいたいということを要請いたしたわけでございます。今後ともこういう面につきましては、積極的に努力をしてまいりたいと考えます。
  15. 近藤信一

    近藤信一君 何か大臣が本会議で衆議院のほうへ行かれるようだから、大臣に対する質問あと残しておきまして、衆議院の本会議が終わりますればこちらにまた来ていただく、そういうことで、じゃ本会議へ行っていただいてけっこうです。
  16. 八木一郎

    委員長八木一郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  17. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 速記をつけて。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 それでは局長にお尋ねするわけでありますが、業界の実態は、過当競争と激しいシェア拡張競争に明け暮れておるように私は思います。で、問題は、性能についての十分な検査がされることなく、新車を市場に送り出して、そうしてお互いに過当競争をしておるというのが現状ではないかと私は思うのです。確かに自動車構造装置の保安基準とか、または検査官の質、量の問題もございまするが、その以前の問題といたしまして、安全性を軽視するような企業者の態度や業界の実態というものが今日の欠陥車の原因になっておるのではなかろうかというふうに私は思うのですが、欠陥車がこのように多く出た原因は一体どこにあると考えておられるのか。いわゆる各社が過当競争をやって、そうしてあまりにも増産に眼が向いて、この欠陥の問題に注意が足りなかったのではないか、こういうふうに私は思うのですが、この点はあなたは一体どのように受け取っておられるのか、この点はいかがですか。
  19. 吉光久

    政府委員吉光久君) 現在欠陥車の発生いたしました原因につきまして、いろいろと検討を加えておるわけでございますけれども、確かに御指摘のございました業界内における過当競争というふうなことも、全然関係ないというふうには言い切れないものがあろうかと思いますけれども、ただ、自動車にとりましては、決してコストを安く、そして安い値で売るというのが自動車の信用保持の方法ではございません。したがいまして各メーカーとも自分のつくりました車のブランドにつきまして相当の自信と申しますか、そのブランドを高めるためのいろいろの努力はいたしておるものというふうに私どもは考えておるわけでございます。特にいまの安全性問題等につきまして、危険な車であるというふうな印象が一たび消費者の間に広がりますと、その車の販売はぱたっととまってしまうというふうな状況でございます。したがいまして、従来ともそういう面につきましてメーカーサイドは全然配慮していなかったということは、少し言い過ぎではないかという感じがいたしたわけでございまして、やはり品質、性能というふうなものと価格、この三者のからみ合いで自動車の販売競争が行なわれているというのが現状ではないかと思うわけでございます。ただ御指摘ございましたように、今回のよう欠陥車が大量に発生したということは、ほんとうに遺憾な現象でございまして、特にこれは業界全体としてこういう安全性についての慎重な配慮が必要であるということは、私どもも痛感いたしておるところでございまして、特に今後の自動車メーカー指導にあたりましては、いまの点を特に着目いたしまして、その態勢で進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 その過当競争の問題で特に今度の欠陥車新聞でやかましくなってまいりますると、三菱自動車の販売のある重役は、これはうちでも車に対するお客のクレームもあるが、トヨタ日産ようなひどい例はないというふうに言っておられる。それを今度聞きましたところトヨタ日産は、何言っているのだ、そんならうちでもひとつ三菱の欠陥車を暴露してやるぞと、暴露して、探し出して攻撃するぞ、こういうことで、お互いにメーカーの悪口を言い合って、お互いに足を引っぱり合っている。まあこういうことがますます世論を大きくしたやにも私は考えるわけなんです。一体この過当競争は、私がこの前の委員会でも指摘いたしましたように、販売ルートによる過当競争は非常に激しい。これがために、わが社の車をたくさん売らんかなのいろいろなセールスマンの動きがある。こういうことでは欠陥車を始末するどころでなく、お互いに相手の欠陥を暴露し合っていくというふうなことでは、私は、あなた方がきょうまでいわゆる開放経済に対処するためにまずこの自動車業界に対するところ体制を確立しなければならぬと、こう言っておられたあなた方の指導方針とたいへん違うのじゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  21. 吉光久

    政府委員吉光久君) まことに御指摘のとおりでございまして、欠陥車の問題につきましては、やはり人命尊重の見地からその欠陥を早く摘発して、そうしてそれが必要に応じ公表され、迅速にその欠陥に対する修理が行なわれるということが一番必要であろうかと思うわけでございます。したがいまして、あくまでも迅速にその処理ができる体制というふうなことの確保は、やはりお互いが自分の欠陥を早く発見してお互いに公表する、こういう制度が早く確立されることが望ましいと考えるわけでございまして、したがいまして、他の車種を中傷するというふうな形の意味での販売競争が行なわれまするならば、結局こういう欠陥単に対します公表制度そのものの本質をそこないかねない、そういう事態にもなるわけでございます。したがいまして、販売競争の具にこれが供せられるということは、公表制度が定着することをおくらせるということにもなりかねないわけでございます。したがいまして、いま御指摘ございましたような線に沿って、私どもといたしましても十分に注意をしてまいりたいと考えるわけでございます。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 次は部品メーカー対策について私お尋ねしますが、通産省それから自動車工業会は、欠陥車対策一つとして部品品質管理の強化ということをあげておられるのです。そのこと自体は当然でございまするが、自動車メーカー部品メーカーに対する仕打ちというものは、大臣も御承知のとおり、理屈抜きで強引な値引き要請や、それから部品の納入管理で大きな負担を課しておると私は思います。こうした事実に目をつぶり、自動車メーカーだけが国際競争力を培養すればよいといった考え方では、国際化時代に対処していくことはなかなかできない。自動車メーカー部品メーカーがともに体質の強化をはかって、そうして部品政策が確立されなければならないのではないか。この点の検討それから対策が十分でなかったところに、今日の欠陥車の問題というものが大きく持ち上がってきたと私は思います。この部品政策に対するところの問題とあわせて、通産省のひとつ御見解を伺っておきたいのです。
  23. 吉光久

    政府委員吉光久君) 自動車産業の振興という問題は、ただ単に自動車の車種メーカーのみならず、部品工業の振興と車の両輪のごとく振興していかなければならないものであるという点につきましては、全く私も同感でございまして、したがいまして、いずれか一方に片手落ちがございますと、やはり自動車工業の健全なる発展ということは期しがたいものであるというふうに考えるわけでございまして、したがいまして、従来とっておりました政策にいたしましても、すでに御承知済みの機械工業振興臨時措置法の対象業種に自動車部品工業を指定いたしておるわけでございますが、特に部品工業にとりまして従来一番必要でございましたのは、何と申しましても部品業界自身が専門化していくということが必要だという認識のもとに、過去数年にわたりまして専門化体制整備するためのいろいろの助成策を講じたわけでございます。ただ、日本部品工業が日本自動車工業に部品を供給するのみならず、部品自身として海外に輸出してまいるというふうに、輸出競争力の強化という問題も反面持っておるわけでございます。したがいまして、そういう観点からさらに専門化されましたメーカーを機能的にユニット化して、総合化してまいるというふうな方向で部品工業の振興策を考えておるわけでございまして、実はこういう総合化への方向での集約化というふうな問題は昨年度から着手いたしまして、いま緒についたばかりでございまして、さらに現在各業界で持っております計画から判断いたしますと、今年度中には相当程度総合化への結果が出てくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。確かに自動車工業が国際競争力を強化するために部品業界に対して相当強い態度で合理化を要請しておったということは、過去の事実としてあったと思うわけでございます。ただ、こういう自動車工業の振興が部品工業の振興と両立しなければならないものであると、こういう点につきましては御指摘のとおりでございます。私どもも今後そういう方向で部品業界体制整備等について当たってまいりたいと思うわけでございます。特に今回の欠陥車問題につきましては、自動車工業につきましてはすでに御承知のとおり自動車メーカー部品も内製いたしていたしておりますのが大体平均して四割程度ございまして、あとの六割程度は外注品に依存しておる、こういう状況でございます。したがいまして、この欠陥車問題につきまして、この処理のしわ寄せが部品業界に寄せられるということは、これは厳に戒めなければならないところではないかと思うわけでございまして、先般の社長会におきましては、特にこの点につきまして部品業界自動車業界との連絡協議の場を設け、円滑にこの問題が処理されるよう特に要請をいたしておいたわけでございまして、この点につきましては格段の注意を払ってまいりたいと思います。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 特にこの部品メーカーというものは非常に多い。中小企業庁の調査によりましても約八千社あるという数字が出ておるわけなんであります。これがほとんど中小企業で、一次下請と呼ばれるところの比校内大きいほうといいますか、メーカーで、これが約三百社、三百数十社であると、こういわれておる。そこで、これは毎年自動車メーカーのほうから部品メーカーのほうに部品の値下げを押しつけていく、どうしても部品メーカーにおきましては従来のままでやっておりますると、コストダウンで上から押しつけられてくるから、いろいろと考えていかなきゃならぬ、あるメーカーではタイヤの空気を入れるバルブに使っております約四センチのゴム管を五ミリ短かくしたり、あるいは金属をエボナイトの樹脂にかえたり、こういうふうなことでコストダウンを切り抜けていこうとしておるというふうにここに報じられておるわけなんであります。大体こういうことがいわゆる欠陥車一つの要因にも私はなっておるのでなかろうかというふうに思いますし、自動車メーカーとそれから部品メーカーというものは、発注者と受注者、親企業と下請、こういう関係でございますし、やはりこれに対して中小企業である部品の下請がおびえておることは、これは無理難題を言われるけれども、これを甘んじていかなければいわゆる取引の停止をされるというふうなことも間々あるから、やむを得ず中小の下請部品メーカーはこうした苦肉の策を講じておる、こういうふうなことでは、やはり安全性を第一とする自動車産業に対するところの大きな欠陥というのがまずここら辺にあるのではないかと私は思うのですが、この点はいかがですか。
  25. 吉光久

    政府委員吉光久君) 先ほどもお答え申し上げましたように、従来自動車業界のほうも国際競争力を強化いたすために、部品メーカーに対しまして相当の程度の合理化要請があったというふうなことは、これは否定することができないであろうというふうに考えるわけでございます。ただ、いま御指摘ございましたように、安全性を無視してまで他の代替品を使うというふうなこと、これが出てくるとこれはたいへんな問題でございます。したがいまして、また基本的には、先ほどお答え申し上げましたように、部品工業と自動車工業というものはまさに車の両輪のごときものであろうというふうに考えるわけでございます。したがいまして確かに部品業界、現在八千軒をこえる業界の数でございますが、特に自動車メーカーと直接的の納入関係に入っておるものは大体百五十社程度だろうと思うわけでございますけれども、   〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕 あくまでも自動車業界部品業界と共同して品質管理をやっていく、こういう場が特に必要になってまいるというふうに考えるわけでございます。部品の問題は部品業界でというふうな態度ではなくして、やはり品質の管理につきましては両業界の共通の問題として、共同してこれを管理してまいる、また研究にいたしましても、あるいは検査機構にいたしましても、そういう共同して管理するという意識が非常に要請されるのではないかというふうに考えるわけでございまして、今後ともこういう点につきましては特に配慮してまいりたいというふうなことで、先ほどお答え申し上げましたように、先般の社長会におきましてもこの点を特に強く要請をいたしておいたわけでございます。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 時間がございませんから簡単に、私、あと二、三御質問申し上げるのですが、欠陥車問題が表面化してまいりまして、これは生産販売面での影響が出てくることは当然だと私は思うのですが、特に欠陥車がいち早く指摘されましたトヨタ日産をはじめとし、いすヾ、三菱、それから本田、ほとんどの会社欠陥車にいまてんやわんやしておるのですが、そうすると、これは売れ行きも当然落ちると私は思うのです。これが自動車産業全般の販売や生産の縮小ということになってまいりますると、収益減ということにもなり、悪循環をもたらすことに相なるわけでありますが、通産省はこの点についてどういう見通しを持っておられるのか、この点をまず伺います。
  27. 吉光久

    政府委員吉光久君) 確かに現在ディーラーはこの欠陥車の回修でございますとか修理でございますとかに全力をあげておりまして、現在十分な販売活動というふうなものはやっていないのではないかと思うわけでございます。したがいまして、当面はやはり一方におきましては欠陥車問題からくる消費者側の買い控えというふうな態度も出てまいりましょうし、同時にまた販売業者のほうでそういう修理なり回収等に全力をあげております結果、販売活動も十分でないというふうなことから、当面自動車生産等にこの問題は響いてくるであろう、要するに悪い意味で響いてくるであろうというふうに考えるわけでございますけれども、この欠陥車に対しますリコール制度と申しますか、公表制度と申しますか、そういうふうなものが日本の中に落ちつきますと、要するに長期的に見ました場合には必ずしも車の販売が長期的には需要全体が落ちるというふうには考えないわけでございますけれども、短期的な問題といたしましては、やはり需要は減少してくるのではないかというふうに考えております。また、同じ需要の中で輸出の問題でございますけれどもアメリカ市場におきましては、すでに御承知のようにこういうリコール制度というのが定着いたしております。したがいまして、アメリカ市場向けの輸出が特にこのために減るというふうな状況ではないように私ども現地からの報告を受けております。またヨーロッパ市場に対しましては、それほど大きな輸出を現在いたしておりません。したがいまして、これも大きな問題にはならないであろうというふうに考えるわけでございます。特に東南アジア――お隣の韓国でございますとか台湾でございますとか、あるいはタイ国でございますとかいうふうな東南アジア市場につきましては、あるいは一部一時輸出に影響も出てくるのではないであろうか、このように考える次第でございます。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 現在、自動車は輸出検査の対象になっておらないわけでございますが、過日の新聞で韓国におけるトヨタ自動車に対して再検査をせなけりゃならぬということが報じられておったわけなんです。今回のこの欠陥車の問題が出ましたのを契機として、輸出検査に対するところの何らかの対策というようなものを通産省としては考えていくべきじゃないかと私は思うのですが、この点は、あなた何か検討しておられるのか、それとも、そういうことは従来どおりでもうさしつかえないと、こういうふうに考えておられるのか、この点はいかがですか。
  29. 吉光久

    政府委員吉光久君) 非常にむずかしい問題でございます。と申しますのは、自動車の安全基準というのは、それぞれの輸出国に応じまして違っておるわけでございまして、したがいまして、いま現在の制度は、たとえばアメリカ向けでございますと、アメリカの安全基準に適合する車を輸出するということでございます。またヨーロッパ市場におきましては、それぞれの国の安全基準に合格するその車を輸出する、こういうことになっておるわけでございまして、輸出国サイドにおきまして、それがその国の法令による安全基準に該当しておるかどうかという点についてのチェックがあるわけでございます。したがいまして、これを一律に日本国を出る場合に、輸出されるその直前に輸出検査制度にするという、そういう制度になじむのかどうかという点でございます。従来の欠陥車につきましても、たとえばアメリカ市場向けでございますけれども、これは安全基準に適合したものがアメリカに輸出されておるわけでございまして、そしてそれが使用されております過程におきまして、その使用条件その他によりまして安全基準に該当しなくなる、こういうのが欠陥車の現状でございます。したがいまして、いまにわかに輸出検査の対象に自動車を加えるというところまで私どもとしては決意いたしていないわけでございまして、それぞれの国の安全基準に該当するようメーカーはそういう安全基準というものを念頭に置いた上でその車の生産に従事してまいるということが一番すなおではないであろうか、現状においてはそのように考えております。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 今回の欠陥車の問題と、今度自動車自由化の問題に対する影響というものはどういうふうな関係で動いていくのか。また今回の欠陥車反省というものを、一体、今後の自動車政策としてどう反映していくか、このことについて何か考えがございましたらお聞きかせ願いたいのであります。
  31. 吉光久

    政府委員吉光久君) 最初に、欠陥車問題と資本自由化との関係でございますけれども、これはすでに御承知のように、アメリカにおきます事例を見ました場合に、公表されております資料等を見ましても、これはいわゆる欠陥車として指摘されております車種、これは米国車は言うに及ばずヨーロッパ車の主要なもの、あるいは日本の車、そのすべてのものがアメリカにおいて公表されておるわけでございます。したがいまして、この安全性の問題、非常に重要な問題でございますけれども欠陥車問題というものが直接資本自由化に関連してまいるというふうな、そういう動きはないのではないであろうかというふうに判断いたしております。と同時に、第二の問題の、今回の事件の反省を通じましてこれをどのように通産行政に反映さしていくか、こういうお尋ねでございます。これはほんとうに自動車につきましては、これは商品の性格といたしまして安全性ということはきわめて重要な問題でございます。したがいまして、これは国内で走る車のみならず、海外の、輸出されたそれぞれの国で走る車につきましても、安全性への反省というふうなものが今回の事件を契機にいたしまして、メーカーも私どもも一そうその感を深くいたしておるわけでございます。したがいまして、国内のほうの直接的な取り締まりのほうは運輸省のほうでおやりいただくといたしましても、海外市場におきますこの安全性につきましては、先ほど来申し上げましたそれぞれの国の立場の問題もございますけれども、特に輸出車としてその点を十分に念頭に置いた上で輸出車をつくるということを、今回の事件を契機として肝に銘じておると思うわけでありまして、そこらのものをさらに通産行政の中に軸として反映さしてまいりたい、かように考えるわけでございます。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 今朝の新聞によりますると、この欠陥車がついに全メーカーに及びまして、かてて加えて二輪車や外車にもあることが指摘されております。欠陥車は当然先ほど答弁しておられまするよう回収し修理をしていく、こういうことになりますると、やはり売れ行きが鈍化いたしますし、また自動車メーカーによりまするところの損害というものもこれ相当大きなものがあるのじゃないかというふうに思いますが、通産省は今後これに対してどういうふうな指導をしていかれるお考えであるのか、この点を伺っておきます。
  33. 吉光久

    政府委員吉光久君) やはり何と申しましても安全性が確実されるということが今日自動車一つの生命であろうというふうに考えるわけでございます。したがいまして、今回の欠陥車回収あるいは修理等によりましてメーカー側に相当の負担がかかりましても、やはりやるべきけじめははっきりとやるというふうな、そういう姿勢が必要であろうかと思うわけでございます。そのために当面売れ行きが鈍りましても、やはり消費者へのサービス、特に自動車の場合にとりまして安全性の確保ということはやはり一つの至上命題でございます。したがいましてそういう観点から自動車業界もあるいはまた通産省もあるいは運輸省も一体となりまして、こういう安全性の確保という問題に取り組んでまいりたいと考えます。
  34. 近藤信一

    近藤信一君 先ほど同僚の大矢委員も言っておられましたように、熊谷次官が、自由化の時期の明示後は、いわゆる体制整備などにはもう介入しない、そうしてまた体制金融を打ち切ることもあるというふうな見解を発表されたわけでございます。そういたしますると、四十六年度末というふうなことを言っておられましたが、これはもっと早くなるのじゃないかというふうに私どもは想像するわけでございますし、また、こうした自動車産業に自主的に解決を迫られたということは、いままで通産省自動車産業に対する過保護をしてきたと財界でも指摘されておりまするように、あまりいままでかわいがってきたということの果てでこういうふうな方針を熊谷次官が発表されたのか、この点はいかがですか。
  35. 吉光久

    政府委員吉光久君) 先ほど大臣からもお答えございましたように、熊谷次官発言は、ある一つの、資本自由化の時期をいつからやるということを今秋踏み切りをつけて公表するというふうなことが、ある一つの転機になるであろうという意味で、そこらにおきます状況の判断と申しますか、見通し等について、御発言になったものだというふうに私ども伺っておるわけでございます。実は自動車産業につきまして過保護論とかいろいろの議論があることも承知いたしておるわけでございますが、やはり自動車産業は非常にすそ野の広い産業でございます。したがいまして、国内の他の廃業に影響するところが非常に大きなものを持っておるという点と、それからまた輸出の適確な産業として将来性を持っておるというふうな意味から、従来自動車産業を戦略産業として育成してまいったわけでございます。ただ、戦略産業として育成してまいったということと、この安全問題とは、実は全然別の問題でございまして、やはり戦略産業としての地位を持ちながら、安全性についてはやはり安全第一という意味の、き然たる気持ちが必要であろうかと思うわけでございます。したがいまして、この欠陥車問題その他と関連いたしまして資本自由化の時期をどうこうするというふうな判断は、現在いたしていないわけでございます。  それから第二に、資本自由化の時期の問題でございますけれども、私ども従来の路線からいたしますと、四十六年末を目途といたしまして、国内自動車業界体制整備を促進する、そしてその後可及的すみやかに自由化をするというふうな姿勢でおったわけでございます。したがいまして、四十六年度末、その後、こういうふうなことで続いておったわけでございまして、現実の問題といたしまして、現在、いつ資本自由化をしたらいいかというふうな点につきましては、いま検討を加えておる段階でございまして、特に将来におきます部品業界あるいはまた販売業界、そういうふうなものに対する自由化の影響がどうなってまいるかというふうな点をも特に加えまして、いつごろの時期が一番いいかというふうなことを検討いたしておるわけでございます。これは、先ほど大臣からお話しございましたように、その見通しをこの秋までにつけたいということで現在作業を進めておるわけでございます。
  36. 近藤信一

    近藤信一君 ちょうど私の割り当ての時間がまいりましたので、私はあともう一点大臣に対する質問が残っておるわけでございますが、簡単に私お尋ねします。それは自由化の問題について、やはり先日私が御質問を申しました三菱とクライスラーの問題が新聞に出てまいりますると、各メーカーは乗りおくれてはいけないということで、それぞれ各外資との提携の問題に現在奔走しておるよう新聞でも報道されておるのでございますが、こうなりますると、あなたのほうのいままでの指導というものは全然今度は逆の方向に動いていくというふうに私感ずるのですが、この矛盾は一体どういうことに相なりますか。この点一つお尋ねをしておいて、あと大臣質問いたします。
  37. 吉光久

    政府委員吉光久君) 三菱、クライスラー提携問題が発表されましてから、各メーカーが、いわゆる外資との提携の方向に奔走しておるというふうな御指摘であったわけでございますけれども、現実に私ども自動車工業会責任ある方々にお目にかかりましてお話を伺った段階におきましては、外資との提携に狂奔しておるというふうな、そういう現実の姿はまだ見られておらないのでございます。むしろある会社によりましては、あくまで自主独立路線でまいりたい、こういうふうなことを社長の談話として発表されているところもございますし、また、ある会社によりますと、当面自主独立路線で、そうしてさらに情勢の変化がどうなるかということを見きわめた後において態度を決定したい、こういうふうに社長自身が発表しておられる会社もございます。したがいまして私どもといたしましては、従来進めておりましたある一つの方向というふうなものが、ここで壁にぶつかっているというふうな意識は持っていないわけでございます。ただ現実の問題といたしまして、秋には資本自由化のやる時期をきめるというふうな、そういう現実の要請がございますし、また、先ほど御指摘ございました三菱、クライスラー合弁問題というものが、現実に、将来これは合弁を結んでいくということが既定の一つの路線として出ているというふうな客観情勢があるわけでございます。したがいまして、そういう客観情勢を踏まえながら、やはり日本自動車産業の将来というふうなものを見通した上で資本自由化問題に対処すべきではないだろうか、このように考えるわけでございます。
  38. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは重複した点は省きまして、二、三お聞きしたいと思います。  まず、運輸省にお聞きしたいわけでございますが、この欠陥車の問題はアメリカなんかではもう非常に早くからこういう情報をつかんでいる。アメリカ行政官庁がちゃんとそういうことを知っておったわけでありますが、それに比べてわが国の場合はニューヨーク・タイムズに言われて、そうして初めてわかった。あまりにもぼんやりし過ぎているのじゃないか、そういうふうにわれわれは思うわけでありますが、ほんとに全然運輸省も知らなかったのか。それと、なぜこのように発見がおくれて、外国の新聞に騒がれてようやく大きくなってきたのか。その点の事情が不審に思うわけでありますが、御説明願いたいと思います。
  39. 堀山健

    説明員堀山健君) 車の欠陥につきましては、私どもの規則の中で事故報告規則というのがございます。これは大きな事故が起こりますと、これに対して車の持ち主は運輸特に報告する義務がある。ただ、これは一般の自家用の一両しか持たない方々にはその義務はないわけでございますが、営業用と、それから自家用整備管理君を置いて管理しなければならないという方々にはその義務があるわけでございます。私どもいろいろな車の欠陥を知る機会と申しますのは、そういう事故報告の規則によりましてユーザーのほうから報告が出てくる、あるいは大きな事故がありますと、直接私どもの係員が事故現場に行きまして、警察の捜査とあわせて、それは運転のミスであったか、整備上の欠陥であるか、あるいは車両の構造上の欠陥であるか、こういうものを調査いたします。もう一つは警察からの照会で、これは車両欠陥事故に相当するのではなかろうかということで照会がある。こういうことで、私どもこれは明らかに車両欠陥に相当するというふうに判断いたしました場合には、事故警報ということで、これを関係の各組織団体、あるいは私どもの下部機構でございます陸運局、陸運事務所あるいは関係各省に通報するわけでございます。と同時に、メーカーにもその件について、その部品改善し、また、どのよう回収するかということを指示するわけでございます。そういう制度がございます。もう一つは、さきにも触れましたけれども、車のユーザー団体、特に一番よくやっておりますのはバス関係でございますが、これは車を使っているという立場から、毎日使っているわけでございますから、この車にはどのような癖がある、どのようなことを直せばさらによくなる、あるいはこれは事故にはならないけれども、ときどき故障の原因になる、あるいは事故の原因になる要素がある、こういうものを、全国のバス業者の有志者が集まりまして、これに検討を加えまして、そうしてそれをまとめまして毎年定期的にメーカー改善要望する、こういうことをやっているわけでございます。そういったことで、私どもといたしましては、どちらかといいますと、事故が起こってからというものと、先ほどのバスの例ように、毎日使っておる立場から、こうしたほうがさらに使いやすい、あるいは点検とか調整するのに都合がいい、あるいはこのように変えたほうが経済的に車が使える、こういったものをより分けて要望する、こういうことでございます。そういうことで、一つのシステムとしてあるいは行政指導立場で、それぞれ使用者側とメーカー側あるいは役所メーカー側が公式に警報を出し、あるいはそれを受けてもらう、こういう形をとっておるわけでございます。   〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕 ただ、一般のいわゆる自家用の方で一人が一両持って自分で運転されるいわゆるオーナードライバーと申しますか、こういう方々のいろんなそういった面の発見と申しますか、そういうことが従来私ども関係では抜けておった面があるということでございまして、その意味で、先般通達を出しまして、私どもが知らない間にもし車の構造装置というものをメーカーで変えられるならば、それに対してはこれが従来の規則では届け出しなくてもいいものであっても、安全とかあるいは事故に結びつくあるいは事故になるおそれがある、こういうものについてはぜひ私どものほうに届け出して、そしてその確認を得て一般の人々に公表してください、こういう通達を出してその辺をカバーしたというような現状でございます。したがいまして、いま申し上げましたように、私ども従来こういった車の欠陥に対して全然野放しで何もしなかったということではございません。ただ、先ほども申しましたように、表に出ないようなものあるいは事故として小さかったもの、こういった面については従来知るチャンスが少なかったということでございまして、その面については今後届け出制度を拡充いたしまして、今後も安全の方向に向かってさらに前向きで取り組んでいきたいと思っております。
  40. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ではアメリカにおいて一月から三月の間でももう五百五十八万四千台もそういうリコールがあった。しかも日本輸出車についても六万六千四百台ですか、一月から三月までのリコール台数がそれだけある、そういうような情報は日本運輸省には全然わかっていなかったわけですか。そういうことがアメリカで起こったということはわかっていなかったわけですか。
  41. 堀山健

    説明員堀山健君) リコール制度については、実は各国のいろんな行政制度について私どもはいろいろ勉強してまいっておるのでございますが、このリコール制について具体的にどういう数字が出たということについて不勉強でございまして、よく確認していなかったというような実態でございます。
  42. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 自動車についてはアメリカのほうが日本よりは非常に先進国ですから、そういうところに起こった問題は当然やはりわが国にも考えられる問題である。それぐらいのことはやはり当然私は気を使っていかなければならない。これは済んだことですけれども、そのようなことは非常に残念に思います。今後の問題といたしまして、いわゆる新しい車両ができた場合に、その新車の検査官が十人くらいで非常に数が少ない。これを今後倍にふやす、こういうお話でございますが、年間何百台という車ができて、ほんとうに人命に最も関係の深い、その安全の最も基準の検査官が十名、それを倍にしても二十名だと。はたしてそういうことで十分なことができるかどうか。十名より二十名がいいにきまっておりますが、やはり人命の尊重という面から考えまして、われわれしろうとが考えて、あまりにも貧弱じゃないか、そのように心配するわけなんですが、そういう点はどうなんでしょうかね。
  43. 堀山健

    説明員堀山健君) これは最近年間で大体百三十型式くらいの審査をしております。これに対して十人でやっておるということでございますが、したがいまして、そういった面の人的補充と申しますか、整備ということも当然今後考えていかなければならぬ問題でございますし、さらに検査方法なりあるいはだんだん技術の開発に伴いましていろいろ新しいものが自動車に装備されるということになりますので、私どもの内部部局のそういう審査をするという部面と同時に、研究所の中においてもその面についての整備をしなければいかぬ、その他もろもろで、今度を契機にいたしまして体制整備をいたしたい、かように考えております。
  44. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それと車検の、やはり全国に約一千万台の車があるわけでございますが、この車検のいわゆる検査官、これが少ない、そういう点がいわれておるわけなんですが、これはどうなんですか。何か八百三十名くらいしかいない……。
  45. 堀山健

    説明員堀山健君) おっしゃるとおりでございまして、車が非常に伸びておりますが、ただ人間のほうは、これは私ども特別会計でやっておるわけでございますが、物件費その他は手数料収入で車の伸びに比例してふえておりますけれども、人の増員ということは特別会計といえども制限を受けておるわけでございます。したがいまして、私ども非常に苦労しておるわけでありますけれども、まあこれはいつまでも人海作戦で全部まかなうということも無理でございますので、検査にはいろいろな検査がございまして、新規検査、継続検査、臨時検査構造変更検査、いろんな検査がございます。その中で新しくナンバーをつける検査、あるいは車が一たん登録されて、その後構造を変えるよう検査、こういったものはどうしても役所がみずからやらなければいけない問題だと思っておりますが、いわゆる定期検査と言われます継続検査につきましては、民間の指定工場を使って民間の能力を最大限に利用しようという制度になっております。で、一たん登録された車の定期検査につきましては、できるだけその整備工場というものを育成いたしまして、そこの検査によって国の検査にかえることができるということを推進してまいって、国のやる検査と民間のやる検査と、この二つを合わせて国全体の車両の保安を確保してまいりたい、かように考えております。
  46. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、いま自動車につきましても企業の態度も、どんどんどんどん新型重をつくって、そうしてどんどん売ろう、そういう態勢で非常に安全面というのが無視されておる、そのようにいわれるわけでありますが、私は、これは通産省それから運輸省にお聞きしたいわけですが、グランプリとかスピード競走とか、そういうようなことばかり非常に行なわれておる。やはり実際考えてみれば、普通の道路はもう六十キロか八十キロくらいしか走れないにもかかわらず、実際のスピード競走で、ものすごいスピードで競走が行なわれておる。そういうこともあるいは必要かもしれませんが、人命尊重という点から、言うならば、もっと安全競争とかあるいは品質管理競争というような――ただスピードと外見のはなやかなものだけを競走する現在のあり方ではなくして――どの車が一番安全性があるのか、そういうやはり安全面の競争とか、あるいはまたどの車が最も品質管理された部品が使われておるか、そういうよう品質管理的な競争とか、そういうようなものももっともっとやはりやっていくべきである。現在のような非常にスピード競走のみにとらわれたような、そういう現在の業界のあり方というものは、人命尊重の上からいっても非常によくないんじゃないか、そういう点を私はもっと規制していくべきではないか、そのように考えるわけでありますが、通産省それから運輸省、どういうお考えなのか、それを聞かしていただきたいと思います。
  47. 吉光久

    政府委員吉光久君) 自動車がすでに国民の輸送手段といたしまして生活に密着しているような、そういう輸送機具にまで現在はなっておるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、そういう観点から自動車をながめました場合、やはり自動車安全性ということがその自動車の信用力を増す一つの重要な要素にまで高められているものだというふうに私ども考えるわけでございます。従来、ともすればいままでの日本国内における各メーカーの販売競争は熾烈でございましたけれども、いま申し上げましたようなそういう観点から、自分の車の信用力を確保しながら自由な競争を通じて販売をふやしていく、こういう態度が基本的に要求されるのではないかと思うわけでございます。これはただ単に国内の車のみならず、輸出車につきましても同じような態度が強くメーカーに要請されておるものと思うわけでございまして、したがいまして、いま御指摘のそういう車の安全性の確保という観点から自動車に関するいろんな施策が進められてまいる、これは非常に必要なことであり、また早急に解決しなければならない基本的な問題である、このように考えます。
  48. 堀山健

    説明員堀山健君) 安全性というものがもう何よりも必要なことであることは御指摘のとおりでございます。私ども従来高速その他においても速さを競うとか、あるいは加速を競うとかいろんな面がございましたけれども通産省とも御相談いたしまして、そういうものは安全を売りものにするこの車についてはどういうところに特徴があるのか、こういう面について行政指導をいたしておりまして、最近では御承知のように特別な激しい高遠というものはだんだんなくなったというふうに私は見ておりますが、今後なおこの欠陥車その他のことから見ましても、より安全な車をつくって、そしてお客さんに、消費者にサービスを提供するということは政府の姿勢として当然であろうと思います。
  49. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ひとつ、いまおっしゃいましたようにただ委員会発言するだけではなくして、今後の行政の上にどうか実践をして結果を出していただきたい。われわれもじっとそのあとを見守っていきたい、そのように思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。それから先ほども下請企業との問題がございましたが、先ほども重工業局長が、部品業界自動車業界との連携を密にして、そういう点に気を配っていくと、そのようなお話でございましたが、では一体具体的に今日までそういう下請企業の問題に対してはどのような手を打つつもりなのか、その点をお聞きしたいわけであります。一番われわれが心配するのは、自動車産業においては下請企業に対するしわ寄せが非常に激しい。これは某自動車会社の下請でございますが、新しい車ができますと、その下請は一台どうしても買わなければならない、そういうような話も聞くわけであります。そういう点から考えて、かなり自動車産業の場合は下請に対してしわ寄せがかかっているんじゃないか、そういう点を私も非常に感ずるわけであります。で、先般商工委員会といたしまして八幡製鉄に参ったわけでありますが、八幡の下請なんかにいろいろお会いした感じでは、非常に自動車産業に比べれば、そういう合理化案のしわ寄せが、下請を抑えにつけるというのではなくして、大体円満退職者が下請企業の経営者、そういうところにつとめておりますから、比較的そういう面が人間的なつながりがあるように思ったわけであります。それに比べて非常に自動車産業はきびしいですね。合理化のしわ寄せが下請までいっているのではないか、こういう点をわれわれ一番心配しているわけであります。そういう問題に対して、今日まで中小企業庁として、どのよう立場からそれを守ってきたのか。また、今後はどういう方針でいくのか、その点をお聞かせいただきたい。
  50. 吉光久

    政府委員吉光久君) 御質問が二点あったと思うわけでございますが、その第一は、現在まで自動車部品工業に対して政府としてどういう施策を進めてまいったかという点が第一点。それから第二点が、下請会社に対して不当にしわ寄せをしないというふうな観点からの御質問であったかと思うわけでございます。  第一の自動車部品工業に対してとっておりました振興策でございますけれども、先ほどの御質問にもお答え申しげたわけでございますが、機械工業振興臨時措置法の中の特定業種というふうなものに指定をいたしまして、従前は特に専門生産体制というふうなものの確立あるいはまた企業規模の拡大というふうなこと、あるいは品質精度の向上というふうなことをそれぞれ目的として振興をはかってまいっておったわけでございますけれども、やはり部品企業が部品企業として輸出力を持つというふうな段階で判断いたしますと、何と申しましても機能的に総合された部品工業というふうなものが育ってまいるということが基本的には必要でないのでなかろうかというふうなことから、昨年度来、実はこういう自動車部品工業につきましては、そういう機能的に総合化されました企業の育成という方向に重点を置きまして、現在その面での具体的な計画が実施に移されつつある段階でございます。したがいましてそういう観点から、主として開発銀行あるいは中小企業金融公庫による融資を行ないまして助成措置を講じておるわけでございまして、機械工業関係開発銀行で持っております設備投資のうちの相当部分がこの部品工業の中に注がれておるというのが現状でございます。と同時に、実はこの欠陥車問題等につきましての下請企業のしわ寄せの問題でございますけれども、これも先ほどお答え申し上げましたように、自動車にとりましては、完成品業界とこの自動車部品工業というふうなものは、実は車の両輪のようなものでございまして、いずれか一方が栄え、いずれか一方が衰滅するというふうなことでは自動車産業は育たないわけでございます。したがいまして、それに対する比重につきましても同じようなウエートを持っておるわけでございます。ただ、先ほどもお答え申し上げましたように、従来自動車産業の国際競争力強化というふうな至上命題が、下請企業に対しまして、特に部品業界に対しまして、強い合理化要請をしておったという事実につきましては、これは否定できないのではないかと思うわけでございますが、部品業界におきましても、そこらの点につきましてはよくその客観的情勢を踏まえて設備の近代化、合理化等に努力してまいっておるというふうに考えるわけでございます。ただ、今回の欠陥車問題につきまして、この問題の解決のしわ寄せが部品業界にしわ寄せられるというふうなことになりますと、これはたいへんな問題でございます。したがいまして、先ほどお答え申し上げましたよう自動車工業会の社長会におきましてもそういうことのないように、常時連絡がとれる、そういう機構を早急につくってもらいたい、こういう要請をいたしたわけでございます。特に必要でございますのは、やはり品質管理等の問題になりますと、どうしても親企業のほうで相当のめんどうを見ないとできない事項もあるわけでございます。したがいまして、設計にいたしましても、いまの現実の品質管理の問題にいたしましても、親企業のほうで、よく下請企業と連絡をとりながら、常時そういう品質面での指導体制というものが必要になってくるものと考えておりますし、また、そういう意味で親企業のほうの指導をさらに強めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  51. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで私がお聞きしたかったのは、そういう下請企業の体制整備、これはもちろん大事だと思います。実は私も先般、ある――これはもちろん自動車の下請ではありませんが――大電気メーカーの、そういう下請の企業で部品をつくっている工場に行って見学をさせてもらったわけでありますが、これは山口県の大島郡にある工場で、親会社からどんどんそこへ設備を入れて、そうしてやはりいろいろ指導して、その部品一つつくるのにもタイムスタディで、こういうふうにやったら早くできるんだ、それで、いままで十二秒かかったのが八秒になった。それだけ能率が上がったら、十二秒のが八秒でできるんだから単価は下がる。そういうぐあいに結局一生懸命苦労して単価を下げても、その分が収入に結びつかない、そういうような状態でございました。確かに下請というのは、そういう立場で弱いと思うんですね。せっかくいろいろ設備の合理化をしても、その利益というものが全部その親企業のほうに吸収されてしまっては何にもならないと思うんですね。私は、大企業であろうと小規模企業であろうとも、同じだけの苦労と同じだけの労働をするものについては、やはり同じだけの賃金を払っていかなきゃならないんじゃないか、そのように思うわけですけれどもね。そういう点で、先ほど局長が話をされた、そういうもちろん体制整備も非常に大事だと思うのですが、いわゆる労働条件、はたしてその部品のコストとか、そういうものは妥当であるかどうか。そういう点も、やはりある程度政府として見ていかなければ、ほんとうのやはり小規模企業の健全な発展もないんじゃないか、そのように思うわけであります。ところが中小企業庁におきましても、そういうコストとかそういう賃金とか、そういう問題についてはもうさっぱりわからない。中小企業白書にはそのように中小企業の賃金という大ざっぱなデータは載っておりますけれども、中小企業の中でも非常に高賃金もありましょうが、そういうわけで、もっともっとやはりこまかい点まで目を届かしてやっていかなければ、ほんとうのそういう下請企業の発展はないじゃないか、そういう点で非常にわれわれも残念に思うわけなんでありますが、中小企業庁としては、そういういわゆる賃金あるいは単価の問題ですね、そういう問題についてはどう考えているのかも、その点を聞かしていただきたいと思うのです。
  52. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 現在におきましてこれだけ人手不足、人が採れない時期でございますので、完成品メーカーと下請メーカーとの間に賃金の差があるということは考えられない、現実比べましても賃金は同じでございます。ただ問題は、先生御指摘ように、下請メーカーが自己の努力ないしは親企業者の指導によってどんどん合理化をしておるのでございますけれども、これが全部親のほうにしぼられてしまうと、下のほうの体質改善はできないわけでございますが、この辺の数字はどうかというので調べてみましたところ、売り上げ高総利益率でございますが、売り上げ高総利益率は自動車部品におきましては一七・六%でございます。これは四十三年度の数字でございます。これは中小製造業全般の数字は二三・五%でございまするので、これに比べますると確かに自動車部品業は利益が薄いという数字が出たわけであります。ところがこの親企業のほうを調べてみますると、親企業、完成品メーカーのほうの売り上げ高総利益率が、同じく四十三年度一七・四六%でございまするので、部品業者とそれから完成品業者との間に総利益率においてほとんど差がない。したがって、自動車業というのはそうして量産がどんどん進んでおるからでございましょうが、単価当たりの利益は薄いと、こういう数字が出たわけでございます。しかし、どうも部品業者のほうの体質がよくなりませんし、この辺の数字、すなわち従業員一人当たりの機械装備率、装備額、これを調べたところ、親事業者のほうの資本装備率が、四十三年度二百七十五万二千円でございます。この資本装備率に比べまして部品メーカーのほうの一人当たりの装備率は四十万五千円ということで、六分の一以下の資本装備率であるということがわかったわけでありまして、もちろんこれは生産の形態からいたしまして、親のほうは大きなベルトライン、ある意味では装置産業的な生産の方式に近くなっておりまするから、従業員一人当たりの装備率が相当高いことは、これは想像にかたくないのでありますけれども、それにいたしましても、この従業員一人当たりの装備率の、部品メーカーにおけるそれが非常に低いということは事実でございまして、私は、やはり日本の機械工業の体質を総体として改善いたしますためには、どうしてもやはり下請のほうの体質改善が急務であるというふうに考えるものでございます。
  53. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは警察庁のほうにお聞きしたいわけでございますが、今度事故車の過去における自動車事故における車について総点検を行なって、そうしてその欠陥についてメーカー側の責任について刑事責任を問うと、そういうようなことを発表しておるわけでございますが、これは大体いつごろくらいまでに完了する予定なのか、その状況を教えていただきたいと思います。
  54. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) メーカーと申しましても下請業者もありますし、いろんな段階の問題が車の側についてあるわけでありますが、それらの問題について責任があるのかないのか、あるとすればどこにあるのかということは、空の議論ではございません。もちろん刑事責任と申しますことは刑法上の業務上過失傷害ということでありますから、業務上の過失があるかどうか、どこにあるかという問題を検討しなければなりませんので、その問題をまず検討するにあたっては、過去の事案が一体どうであったか、特に最近欠陥車両として公表されたものが続々とあらわれておりまするので、過去の全部と申すわけにはまいりませんが、少なくとも本年一月以降六月いっぱいぐらいまでの事故について、これは人身事故であります、過失傷害でありますから人身事故でなければなりません。そして対象は、われわれが従来取り扱っておりまするのは整備不良車両を運転しておったものとして、道交法違反、あるいは業務上過失というものが一緒になってくるわけでありますが、そういったものを対象に考えるということでありますが、さらに運転者には責任がなかったけれども車のどこかに責任があったという問題があります。これはいま申し上げた整備不良車両を運転したというもので、違反したものの件数外であります。昨年は三千件くらいでありますが、これは通常どうなるかと申しますと、きわめて軽微な事故については警察限りで扱われておりまするし、幾らか大きな事故になりますと検察庁に送っておる。検察庁ではそれをしかし不起訴処分にするということで、どこにも責任がなかったとして処分されておったものが何件かあるに違いがないわけです。そこでもう一ぺん申し上げますと、整備不良車両として、事件を送致されたものと、それから車に責任はあったけれども運転者には責任がなかったという、これは件数がわかりませんが、そういうものの資料を追跡して調査してみる。で、大体この八月いっぱいぐらいで一応当面欠陥車両であって事故を起こしたもの、欠陥車両の欠陥に基づいて事故を起こしたもの、人身事故を起こしたもの、これがどの程度あるか、どういった実態になっておるか、事件の処置がどうなっておるかということを調べてみたいと考えております。
  55. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 先般たしかトヨタだったかと思いますが、鈴鹿サーキットですか、あそこで試走車が、あの福沢選手というのが乗って事故を起こして爆発炎上した、そういうことで新聞雑誌をにぎわしたと思いますが、あのときに会社側が事故の原因というものを公表することを非常にしなかった、警察が行ったけれども写真一枚もとれなかった、そういうようなことがあったわけでございますが、やはりこういう事故の原因を究明するにあたって、やはり企業秘密というものに触れてくるものがあるのではないかと思うのです。しかし、私はあくまでもそういう人命尊重ということが何よりも優先すべき問題であって、かつての、先ほど私の申しましたようなそういう事柄において企業がその事故の原因というものを明らかにしようとしない、そういうようなことは私は断じて許せない。これは法律的にもちゃんと、その事故が起きた以上はその事故の原因を明らかにすることを、もう絶対に義務づけていかなければならないのじゃないか。警察も立ち入れないというのでは話にならないと思うのですが、そういう問題についてはどのようにお考えなのか、その点をお聞きしたいと思うのですが。
  56. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 福沢レーサーの問題は刑事事件として現在捜査が続けられておりまするが、相当長期間を要する見込みだそうでございます。ところで、交通関係の場合には、初めての、企業秘密にかかるよう自動車が問題になっておるのではなくして、一般に市販されておりまする車両でありますので、この点は企業秘密の点はあまり関係がないのではないかと考えております。いずれにいたしましても、メーカーに鑑定をゆだねるというよりも、もちろん警察官で鑑定はできませんが、府県の段階で申し上げますと陸運事務所、あるいは当庁では科学警察研究所、むずかしい問題になりますれば、そういったようところで当然鑑定がされまするので、一応いまのところではそういう懸念はないものと見通しております。
  57. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私がお聞きしたのは、総点検という問題のみではなくて、いまさっき言ったようなそういう試走車の事故の問題についてもこれは同様じゃないかと思うのですけれども、そういう問題に対しては、先般のようなそういう企業側の態度は断じて許せないじゃないかと私はそう思うのですけれども、警察庁ではどう考えていらっしゃるか、それをお聞きをしたかったのです。
  58. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 当然同感でありまして、警察独自の観点で捜査をしなければなりませんし、また、できるすべはあると存じております。
  59. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 最後に、先ほどの続きで中小企業庁長官にお聞きしたいと思うのでありますが、先ほどのお答えでは、親企業と下請企業の給与条件においては差がない、そのようなお話だったわけでありますが、ということは、そういう大企業ですね、それとその下請で働いている人の給与条件には差がないと、そういう意味なんですか。
  60. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) ただいまここに数字は持っておりませんけれども、ただ一般的に私たち聞いておりますところによりますると、非常にもういま人を採るのに親企業より子供のほうが苦労しておるわけでございます。したがいまして完成品メーカーの親会社よりも賃金面においてはむしろ高給を出すということでなければ人は集まらないという状況でございますので、初任給においてはもう差がほとんどなくなってきておるということは申し上げられる。ただ、その後の給与体系におきましては、これは差が依然としてございますので、総平均においては依然として完成品メーカーのほうが部品メーカー、下請メーカーよりも平均において高いということは申し上げられると思います。
  61. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ最後に。いま中小企業庁長官そうおっしゃいますけれども、そういうような場合もやはりあるわけですね、非常に高賃金でなきゃ人が集まらない、そういうのはあると思うのでありますが、現実にやはり私たちが現場に行ってみて、ほんとうに親企業に比べて下請が非常に給料が安いという、そういう場合が多いわけですね。だからやっぱりそういう点は、もう時間がありませんから言いませんけれども数字的にちゃんとそういうものをやはり掌握をして、また、そういう資料がありましたならばそれをお見せいただきたい。私のいままでのいろいろ知った範囲では、まあ大企業とその下請企業の給与条件が、下請のほうがむしろ初任給は高いぐらいだと、すべてがそうなっておればいいわけでありますが、現実にはそうなっていない。そういう点にも今後やはりあまり不当な差別があってはならない、そのように思うわけでございますので、ひとつそういう点も今後気を配ってやっていただきたい。  以上で終わります。
  62. 近藤信一

    近藤信一君 大臣また忙しくてすぐお出かけになると思いますが、一点だけ大臣に御質問を申し上げたいと思うのですが、自動車欠陥車の問題について通産省としてはきめこまかな対策も必要でございますが、それ以前の問題として、企業の社会的責任を企業者が自覚しなければ、どんなりっぱな政策、対策ができましても、十分の効果というものはあげることはできない。たとえば自動車についていいますならば、過保護のあまり自動車メーカーを甘やかしたのじゃないか、しつけがおろそかになっているんじゃないかというふうにも思われますし、人命にもかかわるかもしれない。こういう欠陥があるのでございますならば、これを進んで公表して、そしてユーザーの安全を守ることを第一とするのが私は企業の社会的責任であると、こういうふうに思いますし、また、そうすることによって信用回復にもなることであろうと思います。そうしたことをまず率先してやらずに事を秘密裏に運ぼうとしたり、またその責任を他に転嫁しようというふうな言動を吐いておる。これはある新聞社の記者が欠陥車責任について日産責任ある方を追及したときに、どういうことを言っておるかというと、これは先ほど私が申し上げましたように、日本軍へのいやがらせで、米国の新聞が記事にしたことを日本新聞までしり馬に乗って載せる必要がどこにあるかと、こういうようなことを言ったり、また運転技術の未熟や車の持ち主の管理が悪いために起こる事故まで車のせいにされては困ると、こういうことを言ったり、また外注部品品質にまで目が行き届かないというふうなことをこの新聞社の追及に対して言っておる、これは明らかに企業の責任を他に転嫁しようとしておる、こういうメーカーの態度というものはまことに私は遺憾であると思うのです。それで、この企業の社会的責任通産大臣は一体どういうふうに受け取っておられるのか、この点を大臣から明快なる答弁をひとつしていただきたい。これ一点であります。  以上で私終わります。
  63. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 一般論といたしまして、いまの企業は十九世紀的に露骨に資本の利益を追求していって成り立つものではないと思います。内においてもそうでございますし、外においてもそうでございます。内外にわたって社会化してきておるというのが、実態であると思います。御指摘欠陥車問題につきましても、彼らの自衛上から申しましてもお客さんに対するサービスから申しましても、欠陥が発見された場合、いち早くこれをユーザーに伝えてアフターケアの充実を期するということはもう当然のことでございます。私は、そういうことをないがしろにして企業が成り立つものとは思いませんし、また自動車業界の皆さんにしてもそういう自覚は十分持たれておると思います。ただ、先ほどの御質問にもお答え申し上げましたように、ユーザーに周知徹底さす場合のやり方が十分だったかどうかという点は、自動車業界自体も反省いたしておりまするし、行政当局のわれわれとしても、その点については十全の配慮を要求しなければならぬ立場におるわけでございまして、かくいたしたわけでございます。欠陥車の問題は今度起きた偶発事故ではなくて、人間がつくる機械でございますから、今後もこういうことが絶無でありたいと思いますけれども、根絶するというふうなことはなかなか至難のわざであろうと思います。したがって、年産段階から設計、構造材質の選択、それから部品業界、販売業界末端に至るまで十分安全保証の立場から検討を重ねまして遺憾のないように、彼ら自身もその社会的責任においてせなければなりませんし、私どもも公益保護の立場からやってまいらなければならぬことでございます。その点は仰せのとおりでございます。ただ、今度こういう事件が起きたことには、日米両国の届け出制度が違っておったというようところから、そのすき間から大きく問題が取り上げられたと思うのでございまして、今度運輸省のほうで新しい行政措置をとられることになりまして、このリコール制日本におきましても定着してまいるということにおいて安全保証が一段と前進するということを私どもも願いまするし、それに応じて関係各省協力して当たってまいらなければなりません。そう考えております。したがって企業の社会的責任という問題についてどう思うかということにつきましては、結論として、もういまの企業は社会的責任を一〇〇%踏まえた上でなければそれ自体の存立が許されないようになっておる、われわれがこれを慫慂し指導するというよう段階はもうすでに越えておると思うのでございますけれども、人間の集団でございますから、時に弛緩があったり懈怠があったりいたしますから、そういったことのないように、われわれといたしましても公益上の立場から十分注意を喚起して安全保証措置の徹底をはかってまいりたい、そう考えております。
  64. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 関連。
  65. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 時制制約ができておりますので、簡単にお願いします。
  66. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣、ああいう暴露発表がある前に、アメリカから何か通産省のほうに日本自動車にはこれこれの欠陥があるという指摘があったのか、それを通産省がほうっておったのか、通産省は全然日本自動車故障という問題には何ら知るところがなかったのか、知りながらアメリカ側からああいうふうに公表されて国内的に問題が起こったので今日のようなうろたえたような状態になってやかましく騒ぎ出したのか、またアメリカ側がこの時点においてああいう発表のしかたをしたその意図はどこにあるのか、こういう点についてちょっと説明をしていただきたい。
  67. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 近藤委員の御質問にも先ほどお答え申し上げましたように、アメリカにおいてはリコール制度が制度としても慣行としても定着しておるということを私は申し上げたのでございます。つまり、欠陥車指摘されてそれが届け出られて、それが公表されるということはもう日常茶飯事になっているわけです、いわば。そのくらいに徹底しておるわけでございます。でございますから、こういった問題が指摘されるということはアメリカにとってはそんなに大きな事件ではなかったと思います。ただ、アメリカの一部の新聞がそういうものを特に取り上げたという意図は、その新聞に聞かなければ私もわかりません。また、そういったことを事前に承知しておったかというと、アメリカにはそういう制度があって、リコール制が地についた運営が行なわれておるというようなことは承知しておりましたし、各国の製造にかかわる車、それぞれ多種多様でございますけれども、いろいろ欠陥があるというようなことは、そういうことは承知しておりましたけれども、今度の事件の発端になりました、契機になりましたトヨタ日産の問題についてあのような報道がなぜ行なわれたのか、ああいう時期になぜ行なわれたのか、そういった点は実は私はわからないのでございます。
  68. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは日本の車にそういう欠陥があるということはかねがね通産省は知っておったのですか。知っておってそのままにしておいたということは、私は責任上問題だと思うのですが、そこの点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  69. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) そういう届け出の制度があり、リコール制度があるということは承知しておりましたけれども、どういう欠陥アメリカにおいて指摘されたかというようところまでは私どもは耳にしなかったのであります。
  70. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣、そうじゃないんですよ。日本の車にそういう欠陥があるということを通産省は事前に知っておったのか。アメリカ指摘される前に知っておったかどうか。知っておってそのまま放置しておったならば、やはり通産省として責任を感じなければならぬ。アメリカから指摘されて初めて通産省があわてるということは実に醜い姿ではないか、こういうことなんです。
  71. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) それは日産トヨタの車にこういう欠陥があるというようなことは、私どもは承知しませんでした。それでいろいろあとで調べてみますと、まあいろいろな事情があったようでございまして、そのあたりの検討は行ないましたけれども、事前にそれを承知しておったかというと、実はよく知らなかったわけでございます。
  72. 田渕哲也

    田渕哲也君 時間がありませんのでポイントだけ簡潔に質問したいと思いますので、大臣のほうもずばり簡潔にお答えいただきたいと思います。  まず、自動車の資本の自由化の問題についてお尋ねしたいのでありますけれども通産省としては資本自由化後のわが国自動車産業の理想的なあり方というものはどういうものと見ておられるか。たとえば民族系企業何社、外資系企業何社、そのシェアはどうか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  73. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) そういう確たる青写真は持っておりません。自由化の時期を明示して、それに対して各企業が適応の姿勢をとっていくでございましょうし、その姿を見ながら、ここまで成長してきました民族資本でございますから、私どもの希望といたしましては、開放経済のもとでも健全な育成が見られるように期待しております。
  74. 田渕哲也

    田渕哲也君 大臣はそうおっしゃいますけれども、たとえばすべての自動車産業が外資と結びついたり、外資の支配を受けるということは望んでおられないと思いますけれども、どうですか。
  75. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) それは、いま端的に申しますと、われわれ自由企業体制をとっておるわけでございまして、第一義的な決意は選択する企業者がやるわけでございます。われわれがこういう青写真をとっているから、お前さんたちみなそれに従えよと、そんなことはとてもやれることでもないし、やるべきでもないわけでありまして、私はその点はわれわれの自動車メーカーを信頼いたしております。
  76. 田渕哲也

    田渕哲也君 大臣は秋に自由化時期の明示ということを言われましたけれども、この自由化時期というのは一〇〇%完全自由化をする時期の意味かどうか、これをまずお伺いしたい。  それから熊谷さんが昨日、自動車業界はかってにせい、もうめんどう見切れぬというよう発言があったわけでございますけれども、これは通産省として、この秋までに自動車産業体制整備ができるという見通しがおありなのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  77. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 第一の御質問は、秋に自由化時期を明示するということでございまして、その自由化という意味は、資本の自由化一般がいまやっておる方式、すなわち、内資五〇、外資五〇%という方式を軸にいたしまして、まずできるだけたくさんの業種をそこに追い込んでいこうとしておるわけでございますから、自動車もその例外じゃないと御承知願いたいと思います。  それから第二の御質問の、秋までにいわゆる自由化の準備ができるかということ、私どもはそんなに簡単に考えておりません。秋までに自由化について、自由化の踏み切りにつきましてはいろいろの用意が要るわけでございますが、どういう用意が要るだろうか、それにはどれだけの時間がかかるだろうかというようなことを検討するというのが、そして自由化の時期を秋にきめるというところまできめておるのでございます。ですから、それからその自由化の時期がいつかというところまでは、とてもこれは考えが及ばないのでございます。
  78. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は秋にこの自由化の時期をいつにするということを発表すれば、まあ二、三の大手のメーカー以外のメーカー、残って一本立ちで民族資本として存続する見通しのないメーカーがたくさんあると思うのです。こういうところは、自由化の時期を明示すれば、ほっておけば私は外資と結びつく可能性のほうが非常に大きいのではないかというふうに見ております。というのは、そのメーカーのうしろには銀行があるのですが、銀行はできるだけ損をしたくない、こういうことで、おそらく自由化体制整備ができていない段階自由化の時期を明示すれば、取り残されたところは、やっぱり外資と結びつく公算が非常に大きくなるというふうに考えているわけです。おそらく自然にまかしておけば外資に乗っ取られるのではないか。したがって自然にまかしておくと非常に危険性があるので、通産省としてはやっぱりそれに対して何らかの対策を打つ必要があると思うのですが、この点について考えておられるかどうか。
  79. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) そうですね、その点は内資に結びつくか外資に結びつくか、独立独歩の道を歩むか、そういう選択は、自由化時期を明示すれば、その経営者が真剣にみずからの死活の問題としてお考えになることでございましょう。田渕さんの見通しは見通しとして私は拝聴いたしますけれども、私は不敏にいたしましてまだそういう見通しが十分立ちません。
  80. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は三菱、クライスラーの問題以来、個々のそういう企業なりあるいはその背後にある銀行というものは、もうすでにそういうことをほんとうは真剣に検討しておると思います。ただ、この場合重要なことは、個々の企業の利益なりあるいは銀行の利益を守るという行動にまかせておいたのでは、日本の産業政策なり国民経済の立場から見て、やはり非常に悪い方向に行く可能性も十分考えられるわけです。私は、ここで政府が何にもしないで手をこまねくとかあるいは不十分な対策を打つということは怠慢ではないか、やはりこういう場合にこそ国家的利益の方向で政府の力を十分に思うように発揮して指導するということがその責任ではないかと思いますが、この点はどう考えておられますか。
  81. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ここまで、百二十万の従業員を雇用した重要産業、基幹産業の一つにまでのし上がった民族産業でございますから、仰せられるまでもなく、私どももその健全な育成が開放経済下において可能な道を発見せなければならぬわけでございます。ただ、その場合に大事なことは、政府がどうするかというより前に、私が申しましたように、各経営者がほんとうにこれは生ざるか死ぬかの問題でございますから、真剣にお取り組みになるということを期待いたしておるわけでございます。またそうであろうと思います。それで、その場合に政府といたしまして何をすべきか、何をしてはいかぬか、このあたりの判断は、行政当局は考えねばいかぬ。これもやるんだ、あれもやるんだということは、必ずしもいい行政ではないのでございまして、やっぱり日本画を見る場合も、白地のところ意味があるようなものでして、竹とスズメだけ見ておってはいかぬので、やっぱり行政というのはここらあたりを賢明にやらなければならないと思っております。だからいま申し上げるようなことは適時適切に対処したいと申し上げるよりほかに言うことばの発見に苦しみます。
  82. 田渕哲也

    田渕哲也君 大臣は、自動車産業はここまで大きくなったのだから、自動車産業の経営者なり、あるいは資本側というものをある程度信頼しておられるという意味のことを言われましたけれども、私はこのように非常にどたんばに追い詰められたときには、経営者の考え方なりビヘービアあるいは銀行の考え方や行動というものは、国民的利益の面から見たら、必ずしも信頼できないものがあるというふうに言わざるを得ないと思います。それを補うといいますか、それを何らかの形で規制するのが、私は政府の役目であろうと思います。したがって、いま大臣がそうのんびりとかまえて、経営者の自由にまかせるとか自動車業界が自主的に考えるべきだと言われることは、政府としてはちょっとおかしいのじゃないか。日本の国益という面から考えて、やるべきことを完全に行なってはいないのではないかという気がいたします。  最後に一つお願いをしておきたいことは、現在アメリカとの間には沖繩問題が非常に重要な問題となっております。それから佐藤首相も沖繩問題には政治生命をかけておられる。その熱意のほどには私は敬意を表すべきだと思いますけれども、佐藤首相が沖繩問題を何とかものにしなければならないと思うあまりに、経済問題において政治問題と取引をされるということ、これはおそらくないと思いますけれども、しかし交渉がどんどん煮詰まってまいりますと、そういうおそれというものも考えられます。しかし、私は繊維の問題もそうですけれども、特に自動車の問題は、安易にアメリカと妥協すると将来に禍根を残すのじゃないかという気がいたします。私も先日アメリカへ行って参りましたけれども、向こうは、日本自動車の輸入がどんどんふえておる、それに日本自由化をしないのはけしからぬという世論が非常に盛り上がっております。しかし、これはよく考えれば、日本の輸入車というのはそれほど大きな比率を占めておるわけではない。これはあくまでも新聞が宣伝に使っておるわけです。それならばアメリカ日本に要求すべきことは貿易の自由化であって、貿易の自由化ということをそう強く出さずに、資本の自由化をやっていく。これは明らかに問題をすりかえて、ビッグスリーのあくなき利潤追求の世界戦略の一端をアメリカ新聞もかついでいるし、政府もかついでいるし、労働組合もかついでいるというのが現状だと思います。だから、この辺の情勢をよく認識されて、あくまでも自由化問題については情重に、将来に禍根を残さないように取り組んでいただきたいと思いますが、最後にこの点についての大臣の見解をお聞きして、大臣に対する質問は終わりたいと思います。
  83. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私が申し上げたのは、政府としてはやるべきことをし、やるべからざることをしないということでいきたいと思うのでございまして、ある場合には突っぱねたり、ある場合には指導せなければいかぬ場合もありましょうし、そのあたりの方法につきましては、通産省を御信頼いただきたいと思います。  それから政治問題と経済問題の対米折衝にあたりましてのかね合いでございますが、これは全然別個の問題だと見ております。全然問題の縁由が別でございますし、政治問題が解決したから経済問題が解決するとか、逆の場合もそうでございますが、そういったことはあり得ないわけでございまして、それぞれ別の論理を追求しているわけでございますから、これは別な問題だと思います。ただ、日米間もおつき合いでございますから、そういう個々の政治問題、経済問題が起こる背景には、やはり相互の信頼関係がなければいかぬと思うのでございます。貿易の自由化にしても資本の自由化にしても、先方は強く要求しておりますが、私ども自由化しないなんて言っていないのです。どんどんやっているわけですよ。もう間断なく前進しているわけでございまして、この日本のオネスティは、これはいろいろな政治問題を取り扱う場合のバックスクリーンにあると思うのでございまして、この前向きのたゆまざる努力というものがやはり対米交渉の根底にあると思うのでございまして、その根幹をくずすようなことをしないように、しかし個々の案件と取引するというようなことは厳に慎んでまいります。
  84. 田渕哲也

    田渕哲也君 それでは欠陥車の問題について若干お伺いしたいと思うのです。  けさ新聞には、国産車だけではなくして輸入車にも欠陥車があるということが報道されておりましたけれどもアメリカでの状況は、先ほど塩出委員も言われたように、ことしの一月から三月までですでに五百七十万台のリコール該当車が出ておるというようなことであります。しかし、アメリカ以外の諸国では大体どういう状況か、つかんでおられたら教えていただきたいと思うのです。
  85. 堀山健

    説明員堀山健君) 私どもの承知している限りでは、いわゆるリコールと申しますのはアメリカでございまして、日本及びヨーロッパでは従来なかったというふうに承知しております。で、日本の場合、欠陥車についての公表につきましては、六月六日の日に、いままであったこういう種類の車については、国内車と輸入車を問わず報告して、そうして公表してくださいと、かよう措置したわけで、ただ事務的に業界に対して指示をしたわけではございませんで、業界の受け入れ側の事務の関係で、国内車は昨日で全部出そろったわけでございますけれども、輸入車につきましては一両中に報告を受ける。かようになっております。
  86. 田渕哲也

    田渕哲也君 諸外国の状況をそう正確に把握されていないかもわかりませんが、国庫車と外国車と比べて、特に国産車が技術的に非帯に劣っているがゆえに欠陥車が出ておるというような事実があるかどうか。そういう点、何かデータありますか。
  87. 堀山健

    説明員堀山健君) これは見方によって非常に差があると思います。しかし、実用的な面で特に日本が悪いというふうに私どもは見ておりません。  それからもう一つ、今度国内車で出ました十二の会社件数でございますけれども、これもいろいろなことで分析してみますと、事故ということで発見されて私ども行政のほうで事故警報を出して直せといったものを含めまして、事故につきましては、事故があったから直したというのが十件ございます。それから私どもの現場の車両検査で発見したのが一件ございます。それからほかの会社で、自分のところでつくっている車とほぼ似たような条件の事故を起こした、したがって、自分のところでつくった車とよく似ているから、よく見たらその点で問題があったということで、自主的に発見したのが二件ございます。あとはいわゆるクレームと申しますか、車のユーザーが販売居に持っていきまして、これは少し調子がおかしいということで見てもらったところ、販売店あるいはメーカーの節を通して、これは欠陥につながるおそれがあるということで発見したもの、あるいは整備工場整備中に、これは整備の面もあるけれども、車の装置改善したほうがよろしいといったもの、あるいはメーカー自体が車の販売ルートを追跡調査しまして発見したもの、この三つのグループが数からいえば大部分でございます。したがって事故が起こってから対策をしたということよりも調子が悪いとか、あるいは故障を起こしたということから発見し追跡したものが大多数である、こういうことでございます。ただそういうことで手当てしたけれどもあと事故になったものもある、こういうのが昨日私どもが知り得た事情でございます。
  88. 田渕哲也

    田渕哲也君 それでは引き続き自由化の問題について大臣質問できなかった点、ちょっと補足して質問したいと思うのですが、この資本の自由化というのは、私は日本経済にとって非常に大きな問題をはらんでおると思います。特に重要産業が外資の支配下に入ってくるということはきわめて危険だと思いますけれども、この点について重工業局長の御意見をお伺いしたい。  もう一つは重要産業に何を入れるかということですけれども、鉄鋼とか船舶、電気、こういうものは当然入るだろうと思いますが、自動車については通産省としてはどう考えておられるか。
  89. 吉光久

    政府委員吉光久君) 一般的に申し上げまして資本の自由化というものは、日本の経済が国際経済の中で十分に活躍いたしていくためには、やはりこの自由化に踏み切らざるを得ない一つの過程であるというふうに考えるわけでございます。ただ個別的な業種の問題になりますと、それぞれの業種の特性に応じまして自由化の時期がそれぞれ決定されてまいるということではないかと思うわけでございまして、いま御指摘ございました鉄鋼等につきましてはすでに一〇〇%自由化に踏み切っておるわけでございます。要するに国際競争力があればその段階において自由化にどんどん踏み切ってまいるということは基本的姿勢でなければならないというふうに考えるわけでございます。ただいたずらに自由化をおそれて自由化のメリットを享受できないというふうなことでは、これは日本の産業の将来の発展のためにやはりゆゆしき問題であろうかと思うわけでございます。お尋ねの自動車の問題でございますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、あるいはまた大臣からもお答えございましたように、この自動車産業というものがやはり国民経済的には相当大きなウェートを持った産業でございますし、同時にまた輸出産業といたしましても将来の相当の発展が予想される産業でございます。したがいまして、過去におきましても自動車産業の育成のためには政府も相当の努力をしてまいったわけでございます。ただ、そういう重要な産業でございますだけに、従来とも自動車業界におきます体制整備というふうなものを前提におきまして、できるだけ早くその体制整備が完了した後において資本の自由化に踏み切りたいという基本方針でいたわけでございます。ただ問題は、体制整備というものがいつ完了するかという、完了のめどとのにらみ合いの問題だと思うわけでございまして、ただ体制整備が完了するまでは自由化はしませんというふうなうたい文句だけではなくて、具体的に置かれました客観的な経済条件の中で、どういう段階自由化ができるかというふうなことをさらに慎重に判断してまいる必要があるのではないだろうかと思うわけでございます。したがいまして、いまの自動車業界におきます体制整備問題の行く末の見きわめのほかに、さらに広い意味での自動車業界に入りますけれども、販売秩序あるいは部品工業の状況等、やはり慎重な見きわめをした上でもって、できるだけ早く自由化に踏み切りたい、これが現在の基本的態度でございます。
  90. 田渕哲也

    田渕哲也君 最後にもう一点、わが国の輸出の長期的な見通しなり、計画についてお伺いしたいと思います。  現在、船舶は、世界の貿易額二十億ドルのうち、わが国の輸出が十億ドルを占めておる。世界の貿易額の半分をわが国が輸出しておるわけです。ところ自動車の場合は、世界の貿易額は二百億ドル、そのうち現在わが国が占めておるのが十億ドル余り、これは言うならば、自動車がもし日本が国際的地位において船舶並みになれば、百億ドルの輸出も不可能じゃないという理屈になるわけですが、もちろんこのとおりにはいかないと思いますが、百億ドルは無理としても、五十億ドル前後というのは、決して望んで不可能な数字じゃないと思うわけです。これを考えた場合に、わが国の輸出の長期的な展望の中で、自動車の位置づけというものはきわめて高いと思うのですが、この点について通産省はどうお考えですか。
  91. 吉光久

    政府委員吉光久君) 自動車産業の現在の輸出比率でございますけれども、これは欧米特にヨーロッパ諸国のそれぞれの国の輸出比率に比べまして非常にまだ低い位置にあるわけでございます。日本の場合、昨年の輸出実績で全体の販売額との対比で見ました場合に、全体で約一六%程度、自動車だけに分けました場合、大体二〇%前後というくらいの輸出比率であったと思います。これがヨーロッパ諸国になりますと、ドイツにおきましては、これは五〇%以上が輸出される。もちろんこれは域内輸出も含まれております。五〇%以上が輸出され、またイギリス、フランス等におきましても四〇%前後、国によりまして三〇%というふうな状況でございまして、ヨーロッパにおきます自動車産業を持っておる国におきましては、最低三〇%は輸出車が製造されておるという状況でございます。日本の場合を想定いたしました場合、日本自動車工業が、やはり非常に戦略産業として根強い地盤を持っておるわけでございますけれども、内需の伸びというふうなものにつきましては、伸びるにいたしましても過去のような急速な伸びは期待できないという状況ではないかと思うわけでございまして、したがいまして、むしろやはり日本自動車産業は輸出産業として伸びてまいるというふうな、そういう基本的態度が必要ではないだろうかと思うわけでございまして、少なくとも当面ヨーロッパにおきます最低三〇%ラインと申しますか、その三〇%ラインへの達成までは、やはり輸出努力をしていかなければならない、そういう商品ではないかと思うわけでございます。
  92. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は自動車産業は、いまおっしゃったよう日本の輸出産業としての地位を確立する、そうして五十億ドルとか、そういう非常に大きな目標を達成するためには、何としても現在世界的に独占的な地位を占めておるビッグスリーと対決する以外には方法がないのじゃないかというふうに考えておるわけです。これがもしビッグスリーそのほかの外資に日本自動車産業が支配された場合に、これは不可能になると思うのですけれども、この点いかがでしょう。
  93. 吉光久

    政府委員吉光久君) ビッグスリーとの対決と申しましょうか、要するに一番の問題は一つアメリカ市場におきますところの競争の問題だと思うわけでございますが、以前までは、いずれかといいますと、ビッグスリーは日本生産しておりますような型の車は生産していなかったわけでございます。したがいまして、アメリカ本土等におきましては、ビッグスリーとの輸出上の競争と申しますよりは、むしろヨーロッパ車との輸出上の競争という面が非常に多かったと思うわけでございます。おそらく最近ビッグスリーのほうでも、普通車と申しましょうか、日本小型車よりももう少し大きいわけでございますけれども、新しい生産計画されておるわけでございますが、そういうアメリカにおきますところ生産する車と日本の車との間の、何と申しましょうか、車種間の差がありますればこれはもう十分に競争でき得るのだというふうに考えるわけでございます。と同時に、さらにこのビッグスリーとのお話になりますと、実はアメリカ市場における問題のみならず、ビッグスリーが現に拠点を持って、そこであるいは合弁企業あるいは一〇〇%企業ということで、世界の有力市場でそれぞれ資本投下をした上で事業を開始しておる地域があるわけでございます。たとえばカナダでございますとか、あるいはこちらのほうで見てまいりますと東南アジアの幾つかの国、あるいはまたオーストラリアというふうな国々というふうなところにおきましては、それぞれ拠点を持ちまして、そこで生産をいたしておる車があるわけでございます。特にそういう東南アジア、あるいは大洋州等におきます市場での競争は、さらにきびしくなるのではないか。このように判断いたしておるわけでございます。
  94. 田渕哲也

    田渕哲也君 最後に、私が先日アメリカに行っていろいろ情勢を開いて感じたことですけれども日本の車は、現在アメリカに輸出が伸びておるといいましても、アメリカの総販売台数の二%前後にすぎないわけです。アメリカのシェアからいえば非常に微々たるものですね。したがって、事自動車に関する限り、アメリカ日本との取り引きにおいて言えば、これだけ輸出が伸びておるし、また日米友好を否定するものでもないわけですけれども、それだからといって自動車産業の門戸を開放して資本の自由化をすれば、通産省も言っておられるように、大体三〇%ぐらいのシェアというものは外資にまかしてもいい、七〇対三〇というような構想を持っておられるようですけれども日本の三〇%のシェアをアメリカにやるということは、この取引はどうもアメリカに有利で日本に不利だという感じがするわけです。何も現時点でアメリカ自由化することはないのであって、せいぜい現存では関税の引き下げによってアメリカの完成市の輸入を自由化する、これぐらいで十分ではないかという気がするわけです。したがって、この資本の自由化に取り組むにあたって、日米間で損をしないように慎重にやってもらいたいという点をお願いしたいのですが……。
  95. 吉光久

    政府委員吉光久君) 七〇、三〇という数字につきまして、確定的な数字を積んでおるわけではないわけでございますけれども、もし外資が入ってくるということを前提にいたしました場合に、外資がその市場で支配力を持つと申しましょうか、支配力を持つのはどれくらいの分岐点であろうかというふうな意味での勉強はいたしておるわけでございます。要するに、外資がその市場を占拠するかしないかというときに、どれくらいの市場占拠率を持っておればその市場が外資の価格政策のもとに支配されるとか、いろんな競争条件で不利が出てくるというめどの勉強はいたしておるわけでございます。それが七〇、三〇になりますか、あるいはもうちょっと違った形になりますか、いま勉強の過程にあるわけでございまして、その数字を固定的なものとしていま頭に描いておるわけではございません。ただ、そういう意味の勉強も必要であるというふうに考えております。それから、いまの関税引き下げ、あるいは完成品の物品税等についての問題、その他を引き下げて完成車を入れるというふうなことで十分措置がとれるのではないかという御指摘でございます。私どもも、決して日本自動車産業アメリカに身売りするというふうな気持ちでこの問題に取っ組んでいるわけではないわけでございまして、したがいまして、そのときどきの情勢に対応いたしまして、最もいい方法で処理するのにはどういうことが一番いいかというふうなことを検討いたしておるわけでございますが、実は関税率の問題にいたしましても物品税の問題にいたしましても、昨年来の日米政府関係でお約束し、すでに実施したもの、あるいは検討を約束しておるもの等の事項であるわけでございまして、さらにこの面につきましても慎重な検討を続けてまいりたい、このように考えております。
  96. 田渕哲也

    田渕哲也君 終わります。
  97. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 警察庁は来ないんですか。
  98. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 運輸委員会でいま答弁中のようです。来る気配があるということです。
  99. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ぼくのはわずかの時間ですから、早く来てもらわないと私は質問を中止して待たなければならないという事態が起こりますので、皆さんに迷惑をかけると思いますから、そういうことはさっきぼくは言ったんですよ。それじゃ来ますからと言って退席したのですがね。
  100. 八木一郎

    委員長八木一郎君) なお交渉を続けます。
  101. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 すぐ呼んでください。  運輸省の方がいらっしゃいますからまず伺いますが、アメリカから指摘されるまで国産車の故障については運輸省は何らデータを持っていなかったのか、知らなかったのか、率直に答えてほしいのです。
  102. 堀山健

    説明員堀山健君) アメリカ公表制度のあるということは承知しておりましたけれどもアメリカにおける数字というものはつかんでおりませんでした。
  103. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 日本自動車がいまアメリカ故障を起こしておるというのではなく、日本国内で走っている日本の国産車にそういう故障があるということを運輸省は知らなかったか。
  104. 堀山健

    説明員堀山健君) 国内で使っております車につきましては、先ほど申し上げましたように、私ども事故解析をした結果によって、これは欠陥に該当するということでメーカー改善要望するという車は国内車でございました。
  105. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 通産省の局長、あなたはそのことを知っていらしったのですか、どうですか。
  106. 吉光久

    政府委員吉光久君) ただいまの国内欠陥車の問題でございますが、実はこの欠陥車ということのつかまえ方も非常にむずかしいと思うのでございますけれども、いまの運輸省のほうでお答えになりました欠陥のあった車について、ある適当な処置がとられたということでございます。国内関係のこういう車の安全等につきましての取り締まり行政は、実は運輸省のほうでおやりになっておるわけでございまして、したがいまして運輸省のいまのお答えは、一部そういう点について承知していた事項があったというふうなお答えだと思うわけでございまして、私どもそういう欠陥車ということで、いままでの御連絡を受けておったということはございませんでした。
  107. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、どうも運輸省はそういう欠陥国内車にもあるということを察知していながら、通産省にその連綿を何らとっていなかったということになるのでありますが、それはどうも遺憾なことではないでしょうか。もしも通産省にあなたの運輸省のほうからそういう連絡をとっておりながら通産省が知らなかった――先ほど大臣は、そういうことは知らなかったと、こういう御答弁でしたが、もしも局長がそういう連絡を受けておりながら、大臣にそういう報告をしていなかったとするならば、私はこれは局長の手落ちだと思うし、それはどこかに私は問題があると思うのです。官僚同士の要するに意思の疎通が欠けておるといいますか、そういう連絡が緊密になされていなかったという日本の官僚システムの欠陥が、やはりここに私はあらわれてきておるように思うのですが、どうですか。
  108. 堀山健

    説明員堀山健君) ただいまの、ことばが足りませんでした。ただいま申し上げた意味は、このたびトヨタ日産をはじめ国内十二社で発表されました欠陥車といわれるもので報告を受けましたもの、この中に私ども事故警報を出した車が入っておるという意味でございまして、コロナとブルーバードという意味ではございません。
  109. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私がいま問題にしておるのは、コロナとブルーバードを問題にしておるわけじゃないのですね。日本国内車で、あらゆる種類にたくさんのいわゆる欠陥車が続々と出てくるわけですね。それをとにかくアメリカから指摘されるまで、日本の監督官庁が何ら知らなかったでは私は済まぬ問題だと思うんです。知らなかったと言うならば、私は非常な責任が――責任をあなたたちが負ってない、非常にあなたたちの、何といいますか、監督状態に手抜かりがあり不十分さがあったという点、これはやはり日本の国民から私は責められなければならぬことだと思うんですよ。それで、運輸省はそのことは知っておったというならば、何で知っておったことを放置しておったか、それを知りながら通産省にもその連絡をとっていないということは、ますます大きな問題ではないか、こういう点を私は指摘しているんです。これに対して運輸省はどういう処置をなすっているのか。
  110. 堀山健

    説明員堀山健君) 先ほども申し上げたわけでございますが、国内自動車事故報告規則という規定がございまして、それによって起こった事故の中で、車両欠陥事故というものに該当するものにつきましては、車両欠陥事故として事故警報を出すということになっております。これはもちろんメーカーを含みましての関係団体、それから私どもの下部の組織、こういうものに通報することになっておりますので、そういうことで事故調査の結果知り得たのがございますということでございます。
  111. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、これまでの日本国内事故の中で、車の欠陥から生じた事故というのは、運輸省はどのくらいつかんでおるんですか。
  112. 堀山健

    説明員堀山健君) 手元にございます資料で昭和三十九年九月から四十三年十一月まで、この間に十七件ございます。
  113. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 十七件ですか、それは同一の車なんですか、いろいろな種類にわたるわけですか。
  114. 堀山健

    説明員堀山健君) これは各社いろいろございます。で、ただいま申しましたように三十九年九月から昨年の十一月末までに車両欠陥事故とみなして事故警報を出したものが十七件あるということでございまして、その会社はいろんな会社にわたっております。
  115. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いろんな会社といっても、いろんな会社にもいろいろ名前はあるはずですから、その名前をおっしゃるのが当然だと思いますが、そういう事故報告を受けたとき、あなた方はその事故の原因がどこにあるかという点を究明しようとしなかったのですか。どういうふうに理解していらっしゃったのですか。
  116. 堀山健

    説明員堀山健君) ただいま申し上げた車両欠陥事故といいますのは、起こった事故の原因を調査いたしまして、私どもとしてここに欠陥があったというふうに政府が認定いたしまして、そしてそれに対する対策としてメーカー改善要望する、それから持っておるユーザーのほうに、こういう事故が起こりました、これはどういう条件で起こりました、その結果これは車両欠陥事故と私どもは認定いたします、メーカーは次の手配をこのようにいたしますということでございまして、公表制度の実は前段のような形のものでございます。
  117. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、これまではユーザーメーカー事故指摘をして、それを一般公表しなかった、こういうことになりますが、日本政府当局がそういうことを明らかにして、そうして一般の国民の前にそれを公表して、そうして措置をしておったら、何もアメリカから指摘されてあわてる必要はなかったと思うんですよ。それを何でそういうことをしなかったか。通産省にすらも連絡をとらなかったというのですから、これはおかしい。私は手落ちだと思いますよ、運輸省の。そういうことで事故をなくすことができるものだというふうに考えていらっしゃったのか、全然責任を感じていなかったのか、どういうふうにこれを処理していくべきだと考えていらっしゃったのか、そこはどうなんですか。
  118. 堀山健

    説明員堀山健君) 事故報告規則では、一般公表する制度がなかったものでございますので……。
  119. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いまだって制度ないじゃないですか、何言ってるんですか。アメリカから指摘されて一般公表した、アメリカ指摘しなかったら一般公表しない。制度がなかったというばかなことがありますか。
  120. 堀山健

    説明員堀山健君) したがいまして、このたびそういう制度を改めまして、通達でございますけれども、制度改正の先行といたしまして、今後することにいたしたわけでございます。
  121. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いまの答弁は、はなはだ遺憾ですよ。そういう重大な問題ならば、制度がないから黙っておった、それで今度アメリカから指摘されたから、制度はないが通達をつくって、それで発表した。何でそれならこれまで通達をつくってやらなかったのですか。発表しなかったということは運輸省の手落ちだということをあなたたちは認めないのですか、認めるのですか、どうなんですか。認めないなら認めないと、はっきりおっしゃい。そんな答弁しちゃだめですよ。
  122. 堀山健

    説明員堀山健君) 関係の向きにはしたつもりでございますけれども、それでは不十分であったと、かように考えております。
  123. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ自分たちのやったことは不十分であったと反省しているわけですね。  ここで、もう警察庁の人が来ないと、私も質問困るんですよ。
  124. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 速記をやめて。   〔午後四時十六分速記中止〕   〔午後四時三十四分速記開始〕
  125. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 速記を起こして。
  126. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたの留守中に通産大臣に、通産大臣国内車にこういう故障があることを御存じになっていましたかと言ったら、通産大臣は、私は知らなかったと、こうお答えになったんです。それで運輸省の方に聞いたら、そういう事故車のあることは知っておったと、しかし日本の制度にはそれを一般公表する制度がなかったから、ユーザーだけにそれを指摘して、そうして一般には公表しなかった。それで通産省の局長は、運輸省からそういう故障車があることは報告を受けていなかった、こういうお答えなんですね。で、あたかも官庁官庁との間の、何というんですか、連絡のまずさということがこれでも一つわかったわけなんですが、それで運輸省の方に、それでは何でアメリカから指摘されてあわててそれを一般公表するようなぶざまなことをやったのかと言ったら、これまでは制度がなかったので発表ができませんでした。制度がなかったならば、アメリカから指摘されて、やはり制度がまだできてない、それで何で発表したんだと言ったら、通達を出した、こういうお答えなんですね。一片の通達でそういうことができるなら、制度がなくても、そういう重大な人命に関するような問題ならば、やはり私は運輸省として一般公表するのが筋道だと、私はこう思うのです。それに対して運輸省の方もやはり自分たちが手落ちだったということは認められたわけです。そこであなたに御出席を願ったわけですね。あなたは、今度の事故についていろいろな調査をされたと思うんですが、警察庁としても、国内にこういう事故車があるということはこれまで知らなかったのか、知っておったのか、どっちなんですか。
  127. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 運輸省及び業者のほうから連絡があるまで全然存じておりませんでした。
  128. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 警察庁は何ら知らなかった。それでは、この事故に対して、従来たくさんの事故があったでしょう、その事故に対してはどういう態度で警察庁は臨んでおったんですか。
  129. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 事故と申されますのは、おそらく車両に基づく人身事故のことであろうと思います。車両の欠陥と申しますか、車両に問題がありとして、事故につながっているとして警察側が検挙いたしましたものは昨年で申しますと三千百件でございます。この点については、整備不良車を運転したということで運転者が処罰をされております。したがって車のほうはどう扱ったかと申しますと、警察は車に問題があるわけでありますので、警察側でも十分な力がありませんから、運輸省側の陸運事務所の鑑定を得て検察庁に送致をいたしておる、そういう扱いをしております。
  130. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、事故車は整備に問題があるということで運輸省のほうに報告して処置をしておった、こういうことになりますね。それでは従来その車の事故によって処分を受けた方はあるのですか、ないのですか。
  131. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 整備に問題があったと申しますよりも、ハンドルとかブレーキ回りにふぐあいな点があるのを知りながら運転しておったということで、道路交通法上、処罰の対象になるわけであります。それが昨年三千百件くらいありましたから、この人たちが行政処分の対象になったわけであります。
  132. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、あなたたちはほんとうに事故が起こった原因は、日本メーカー責任で、そういう故障車が売り出されておるために運転する人たちがはからずもそういう事故を起こした、こういうふうに考えないで、警察庁の一方的な考え方で、運転者に責任があるのだといって運転者を三千人も処罰したというのですか、おかしいじゃないですか。警察庁の一方的な認定によってそういう処罰をしたということは、警察庁側の責任じゃないですか。処罰された運転者の立場に立ったらたまりませんよ。自分があやまったんじゃなしに、そういう事故車を自分たちが売り渡されて、それを使っているために、自分たちはちゃんとしておったつもりなのにそういう事故が起こった。それを警察庁からおまえが悪いのだと言って処分されたとするならば、これはあなた処分された人たちの立場に立ったら腹が立ってしようがないですよ。その責任はどうするのですか。どうしてこの人たちの名誉を回復し、損失をどうして補おうというのですか、警察庁は。どうなんですか。
  133. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) いまの御質問は、実態をやや取り違えて御質問されているように思うのですが、運転者が全然無過失の場合に、あるいは全然違反していない場合に責任を運転者にかぶせているはずはないのであります。たとえば車がふぐあいであるのに車を運転したからそこで運転者が処罰されるわけであります。なぜそれがいけないかと申しますと、運転者も気の毒であるかもしれませんが、本来ブレーキがふぐあいであるということを知っておりながらそれを運転したということでは、どういう事故につながるかわからない、そういう不注意な運転をしてはならないというのが道交法のたてまえでありますから、その運転者が問擬されるのは当然であると私は考えます。
  134. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その認定はあなたたちがするのでしょう。車の事故じゃないのだ、車に問題があったためにこういう事故が起こったんじゃない、運転者の過失と申しますか、不注意のためにこういう事故が起こったというのは、あなたたちが認定するのでしょう、それは。その認定はどういうところからそういう認定をされるのですか。何を基準にしてそういう認定をされるのですか。一方的な認定じゃないのですか。
  135. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) これは警察官のみがするのではなくして、先ほど申し上げましたように、車の技術的なことでありますので、陸運事務所、もし陸運事務所に人手が足りない場合には、場所によっては整備工場の二級整備士以上の技術員の手によって鑑定を受けて、その鑑定を得て、警察は自分だけで処分するのじゃもちろんありませんで、検察庁に送り、検察庁は裁判所にかけて裁判の判決を得るということでありますから、警察だけで当然そういった責任を問うているということではありません。
  136. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、これまで事故を起こして処分されたのは三千件だとあなたはいま申しましたが、その三千件の中には車の事故によって起こした事故というものは絶対ない、すべてその運転者の不注意によって起こした事故だけであるということが言い切れますか。
  137. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) それは言い切れません。したがいまして、少なくともことしの一月以降の事件について一度調べ直してみようということを考えているわけであります。
  138. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 言い切れないなら、あまり口はばったいことをおっしゃるな。それじゃ、その言い切れない点がどれだけのパーセントを占めるか存じませんが、そういう者が出てきた場合は警察庁は責任をとれますか、その人に対して。
  139. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) いまの事件のものの考え方を申しますと、車の欠陥によって、車のふぐあいによって人身事故を起こした、そうして運転者が処罰された。なぜ処罰されたかと申しますると、それは業務上必要な注意義務を果たさなかったためということ、これは刑法上の業務上過失傷害という点でありますが、それと、当然整備されている車を運転しなければならなかったにもかかわらず、そういう安全な車を運転しなかったということが問擬されて、道交法上ドライバーが裁判の判決を受けるわけであります。ですから、ここには運転者の責任があると思量されて裁判所の判決を受けるわけであります。ところが問題は、それ以外に車に欠陥があったとするならば、また車の欠陥によって事故も起こっておったとしたならば、そこに生ずるものは何かと申しますると、ドライバーの責任が解消されるのではなくて、ただいま申し上げましたように、運転者はそれぞれの違反があったわけでありますから、その責任が解消されるのではなくて、あわせて単側の責任といいますか、責任が競合してくるということになるわけであります。そこで車のほうの責任が競合するかどうかを調査してみたいということであります。
  140. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 車の事故の中にはハンドルのきかない車があるでしょう。それが朝自分が家を出るときにはちゃんときいておったハンドルが、ある時点できかない、そのために避けようと思っても避けることができなくて、人を殺してしまった、そういう問題が起りますね。これはハンドルだけでありません。これはブレーキだって同じだと思うのです。家を出るときちゃんと調べて、ちゃんときいておった、ところがある時点においてきかなくなっちゃった。そういうことが起こって、それで人を傷つけたり何かした、そういうときには運転者の責任が従来ずっと問われてきたわけであります。それが三千件あると言うのでしょう、あなたは。そういう、人を殺したり、そういうことじゃなくて、そういう運転者の不注意とかなんとか、そういうことで起こした事故件数は、先ほど三千件あるとあなたはおっしゃった。しかしそれがすべて運転者の不注意だけによるのかと言ったら、そうではありません、そうも言い切れない。そうすると、やはり車の事故もその中に何%かあったということになるわけですね。そうすると、その車の事故によって犯した過失に対する警察官の犯罪者としての扱いには、これはやはり処罰を受けた人としては、これは承服することができない。そういうことが明らかになったわけであります。そういう車の事故、車の故障から起こっておるいわゆるメーカー責任であるはずの車の故障から起こっておる事故を、その運転者が負わされたとするならば、それは不当なことだと私は思うのです。したがって、そういう不当な扱いをした警察官並びに検察庁、警察庁にも私は責任があると思うのです。名誉上の責任があるし、またそのとき罰金を取られたりいろいろなことをしておるとするならば、その面でのやはり大きな損失を受けておるはずですから、そういうことに対して、やはり警察庁としては責任を感じていかなければならぬ。こう私は思うのです。もしもそういう事実が出てきた場合、警察庁はどういうふうに扱いますか。
  141. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 私の説明がまずいために十分御理解いただいてないようでありますが、問題を分析して申し上げます。運転者が車のふぐあいによって人身事故を起こしたといたします。その場合に、運転者に着目いたしまして、道交法の違反があったあるいは業務上過失の違反があったかということを問擬いたします。これは車の欠陥云々を問いません。そこで運転者に法律上の違反があったというならば、これは検察庁に送られ、裁判を受けます。その際に残るのは、お話の車のほうの責任が競合しておったものをどうするかという問題が残っておるわけであります。この点はあるわけであります。それから他方、これを、この点を混同されておるように私は思うのですけれども、車の欠陥のみによって事故が起こって、運転者には責任がなかったという場合であります。それを運転者に責任をかぶせて事件にしたかいうと、警察も検察庁も裁判所もそれほどわからず屋ではございませんで、運転者に何の違反がなくて、それはもっぱら車のほうに原因があるという場合には、これは小さな事件の場合には警察は警察限りで処置をいたしますし、大きな事件になれば検察庁に送って、その際に、処分をしないのが適当であるという意見をつけて送ります。そういたしますと、検察庁は不起訴にするわけです。したがって、その場合に問題として残るのは、これは運転者はそこで救われるわけでありますから、関係者はそれでよろしいわけですけれども、それでは車の不整備であった責任はどうであったかという問題が残るということでありますけれども、もし今回のよう欠陥車というものが常態としてあるということであれば、もっと扱い方、つまり車側の問題の扱い方は違ったかもしれませんけれども、従来はそういう問題がなかったので、人の問題に着目して有罪か無罪かということを判定したということであります。
  142. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いま競合して、そういうさまざまな故障が起こったという場合と、それと単にもう競合じゃなしに、車の欠陥だけで起こった場合と、競合した場合にはあなたたちはどういうふうな処置をしていたのか。やはりそれによって運転者は処罰を受けているんでしょう。だから、競合した場合には運転車だけの責任じゃないですよ。やはり車の責任もあるでしょう。その場合に運転者だけが罰せられるというのはおかしいでしょう。それをどういうふうに処置するかというんです、これまで処分してきた人たちに対してどういう措置をするかという。それから単独で、もう一つのほうですね、車の故障で、車に欠陥があってそういう問題が起こった場合、これは運輸省へも報告したでしょうね、もちろん。報告してますか、運輸省へ。こういう欠陥がこの車にありますということを運輸省に一々報告してますか。二つ答えてくださいよ、いまの。
  143. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 前の段階、つまり運転者は処罰を受けて、メーカーの、メーカーといいますか、車の側の責任は処罰されてないのではないか、車の側も処罰すべきではないかという問題につきましては、これは法務省の関係でございますので、そこまで申せばですね、私がにわかに答弁しかねると思うのですが、あとのほうの問題は、これは車の、そういった整備不良の車につきましては、必ず陸運事務所のほうの立ち会いを得、陸運事務所の検査官に鑑定をしてもらっておりますので、陸運事務所の系統を通じて報告されていると思います。
  144. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一つ最初の競合の場合はどうするんですか。競合の場合、処分を受けた運転者に対しては、あなたたちはどういう責任をとるんですか。
  145. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) いま御質問になりましたのは、競合された運転者に対する責任をどう考えるかというお話ですけれども、運転者の違反があったために、責任があったために処断されたわけですから、これは私どもとして何ら措置すべき内容はないと思います。
  146. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは違いますよ。車に欠陥があるから、はからずもそういう事故が起こるわけですね。それをあなたたちは競合だと、車の故障と運転者のあれとの競合だというふうに片づけますけどね、車に欠陥がなければ運転者はそういう事故を起こさない。運転者だって命は惜しいんですからね、だから常に注意深くやっているはずです。だから、車にたまたまそういう欠陥があるからそういう結果が起こってくる。それを結果だけ見て、あなたたちこれは競合だと、こういうふうに片づけられるわけなんですがね。それは私はもっとよく考えて、慎重にしていかなきゃならぬ問題だと思うんですよ。そういうことで処分された運転者が聞いたらおこりますよ。  それからもう一つの問題は、これはやっぱり私は、法務省の問題だから私たち知らぬと言うんじゃなしに、やはりそういう車に欠陥があるということをあなたたちは認めておるんだから、それはやはり運輸省なりにも注意をして、そうしてそういう災害が再び起こらないように警察庁としては処置をしていくのが警察庁としてのとるべき道だと、こういうふうに考えているんですよ。それを警察庁は運輸省にちゃんと通告しているんですか、してないんですか。もしもあなたたちが運輸省に通告しているのにかかわらず、運輸省がそれを知らぬ顔をして握りつぶしておったとするならば、これは運輸省にも大きな責任が起こってくると思うんですが、あなたたちはちゃんと運輸省に通告しているかどうか、こういう点なんです。
  147. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 私どものほうから、少なくとも警察庁として通告していることはございません。それから、府県警察が通告しているかどうか、私いま存じませんけれども、先ほど申し上げましたように陸運事務所のほうで鑑定をいたしますので、陸運事務所のほうから本省のほうに上がっているようでございます。さらに、これは私が申し上げるべき筋合いではないと思いますけれども運輸省側のいろいろな委員会での御答弁によりますると、第一線での事故に警察と立ち会って調べておる、その際に車のほうに問題があった場合には自分のほうに通知が来ているので、それに基づいて業者のほうに警告を出しているというふうに私は聞いております。
  148. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、この問題について、警察庁としては万々手落ちはなかった、こういうふうに言い切れるのですか。何か尽くすべき手段はあったんじゃないですか、警察庁としてあとから考えれば。どうですか、全然なかったのですか。
  149. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 車の構造については、陸運事務所のほうの御協力を得ておるわけでありまして、警察側の能力がないのでありまするけれども、こういった車の欠陥が本来あるものだという前提であれば、車そのものについて――運転者のほうは申しません、運転者のほうは従来でも私どもは正しいと感ずるわけでありますが――車の問題についてもっと検討をすべきではなかったかというふうに考えます。
  150. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ質問は簡単にしておきますが、それではいま起こった事故について、全部責任メーカーにあるものだと、こういうふうにお考えになっておりますか。責任は全部メーカーだと、こういうふうに言い切れますか。
  151. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 今日の状況で、責任が全部メーカーだというふうには申し上げかねます。
  152. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それはどういう点ですか。故障車をつくったメーカー責任がなくて、だれに責任があるのですか。
  153. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) この責任といいますのが、もし刑事責任という意味でありますならば、刑事責任は刑法上の業務上過失傷害ということになります。したがいまして、メーカーがこの車の欠陥部品をつくるにあたって、あるいは車体をつくるにあたって、そういった場合に業務上客観的に必要とされる注意義務を払っておったかどうかという認定が必要であります。さらにまた、この車というものは途中整備されておったものかどうか、修理の段階はどうであったか、車の使い方が非常に異常な使い方をしておったかどうか、あるいは新車を購入した直後か相当期間たった後であるかといった状況でずいふん違ってまいります。さらに全責任メーカーにあるかと申しますと、当然この欠陥というのは、技術的に私もよくわかりませんけれども、突発的に起こるものもあるかもしれませんが、通常は徐々に起こるものである。そうとすれば、当日、朝、始業点検をやる場合に、油漏れがある、あるいはブレーキのききが悪いということを運転者は知るべきである。もしふぐあいな車を運転しておれば、知って運転しておれば、これは運転者にも責任があるということになります。
  154. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、今後こういう故障による災害が起こらないようにするためには、一体どういうふうにしていったらいいというふうに警察庁は考えますか。
  155. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) やはりメーカーのほうでは故障を起こしやすいという個所はなるべく周知徹底して早く修理をさせる。修理をさせる段階の工場におきましても、良心的にこれを直していく。さらに運転者につきましても――これは聞いてみますると無関心な人もあれば非常に関心を持っている人もあるようですが――なるべく構造関心を持ってもらって、ふぐあいと考えればすぐに車を修理工場に持っていくというよう配慮が必要かと考えます。
  156. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、周知させることが必要といえば、従来周知させなかった責任というものは、やはり問われなければならぬということに私はなると思うのですがね。周知させなかったのはだれの責任ですか。
  157. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) その辺は私にはよくわかりません。
  158. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 政府の一員である警察庁が周知させなかった責任はどこにあるかわからぬというのでは、これは困るのですが、通産省はどういうふうに考えますか。
  159. 吉光久

    政府委員吉光久君) 私、先ほど来お答え申し上げておりますように、いま警察庁からもお答えございましたように、こういうふうな扱いにつきまして、できるだけ早くこれがユーザーに周知され、そしてユーザーのほうでできるだけ早くこれを修理する、こういうふうなことが必要であるということにつきましては、まことに同じでございまして、いままでこういうことについて、先ほどの運輸省の御答弁をお伺いいたしておりましても、メーカーも全然無関心で、ユーザーには何らの連絡もとっていなかったということではなくて、そのときの状況によりまして、あるいは郵便によりあるいはディーラー等を通じてその周知方をはかっておったようでございますけれども、これが早期に周知されたか、早期に修理されたかというふうな大勢から見た場合には、非常に残念ながら不徹底であったというふうに感ずるわけでございます。したがって、こういう不徹底がわかりました以上、やはり政府におきましても早急にこれを周知徹底させる方法というものをすぐに実行に移す必要があるのではないかというふうなことで、今回の運輸省の御処置となり、また、通産省も協力いたしまして、そういう周知徹底方についてメーカーを督励いたしておるというのが現状でございます。
  160. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 運輸省はどういうふうに今後やろうと考えますか。
  161. 堀山健

    説明員堀山健君) 従来の事故に対する一般に周知という点でございますが、いま考えますと不十分な点があったかと思います。したがいまして、先般これを通達でとりあえず補いまして、できるだけ一般ふぐあいなものがあれば知らせるという点をとったわけでございます。今後、制度その他について整備すべき点はして、事故が未然に防げるようにわれわれとしても努力したいと考えます。
  162. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 警察庁に望みたいのですがね。あなたは事故があったということ、故障があったということ、これは知らなかった。その知らないという段階で、やはりそういう事故を起こした人を一方的に処分していたということ、これはやはり私は警察庁としても手落ちだと思いますよ。処分するということはよほどのことですね。処分される側に立ったら、処分を受けるということはよほどのことなんですよ。だからそういう点、やはり人を処分する場合には、そういう故障があるかどうかということをよく知っていて、そうしてやはりそれに当たっていくという態度が私は正しいと思うのです。だからあなたは、この間、もしも車の故障でいろいろ事故を起こしたということがわかれば、その人に対しても、やはりもしも刑事的な問題が起こったら、それは何と言うのですか、それを取り消すとかなんとかという、そういう措置も考えなければならぬというようなことも警察庁として意見を述べていらっしゃったように私は聞くのですが、そういうことがされたのでは処分される者はたまったものではありませんから、やはり私はそういう車の故障だけで事故が起こって、そうしてかりに処分された人があるとするならば、そのことがはっきりと明白になった暁においては、それに対してあなたたちは何らかの措置をしなければ私はならないものだと、こういうふうに考えておりますが、警察庁はそんなことはおれは知らぬということなんですか。そのときにはどういう措置をとろうと考えていらっしゃるか、その点伺っておきたい。
  163. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 警察側で車の運転者に全然責任がなくて車の故障なり欠陥によって事故が生じたといった場合には、運転者の行政処分もしてなければ、また裁判の刑事責任も問うてないということについては十分に確信を持っておりますけれども、しかし、いま先生のおっしゃったようなことが絶無だとはもちろん考えられません。したがいまして、そういう事態が生すれば裁判のほうはこれは法務省関係、あるいは裁判所の問題でありますが、行政処分のほうにつきましては当然有効であれば取り消すことが可能かと考えます。
  164. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これをもって散会いたします。    午後五時四分散会      ―――――・―――――