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大矢正君 いま販売問題についての話がありましたが、そういうような面だけではなくて、基本的にこの二大
自動車会社と呼ばれる
トヨタなり
日産というものが、販売業者あるいは部品業者に対する態度の中で、非常に問題と思われる点が最近出ているわけです。それは、売ることだけを強制いたしますから、結局値引きをしなければ売れない、
競争が激しいからマージンが薄くなってもやらなければいかぬということになって、すでにAという
会社の販売店が、それをやめてBという
会社の販売店にくらがえをするというようなのも現にあらわれているわけです。
日産、
トヨタという
会社が半期でもって百億以上も利益を上げている一方においては、販売業者なり、あるいは部品製造業者なりというものが押え込まれている。そういうものの不満というものが、将来この
ビッグスリーが
日本に
上陸した際につかまれてしまうという危険性があるわけでありますけれ
ども、そういう面において
自動車会社自身のいままでのやってきたことの、言うならば弱点というか、そういうものが逆手で
ビッグスリーに利用される危険性があるということを認識しておかなきゃいかぬと思います。そういう面においての
通産省の
判断というものも私は
行政指導の上から必要じゃないかと思います。この問題はこれだけといたしまして、私は通産
大臣に二、三点お尋ねをいたしたいと思うのであります。
まず第一の問題は、先発
メーカーである
日産あるいは
トヨタは放置しておきましても、これはすでに
海外の数多くの組み立て工場ないしは製造工場を持つほど巨大になり、自力でもって
アメリカの
市場へなぐり込みをかけて大々的に売りまくるというふうな
体制がありますから問題はないにいたしましても、この二大
メーカーを除く、たとえば先般
クライスラーとの
合弁問題であるいは
合弁会社設立の
動きがありまする
三菱、いすゞ、また東洋工業、本田、こういう、言ってみればいわば後発
メーカーというものが今後どうやって生きていくかということに
一つの問題点があるんじゃないかと思うのであります。
通産省はできることならば
日産と
トヨタの二大系列の中に組み入れてしまうという希望があったように私は感じておりますが、しかし後発
メーカーの
抵抗も強いので、やむなく
トヨタ、
日産の二つと、いま
一つは後発
メーカーをできるならば統合をして一社にして、三社程度で
日本の
自動車工業というものを
考えていきたいという
一つの絵をかいて今日まで進められてきたのではないかという感じがいたします。そこで第三の道が現に行き詰まりを来たしておりまするし、そういたしますると、たとえばいすゞなり東洋工業なりという
会社は、もし民族
産業あるいは
国内産業という
立場だけでものを
考えていきますると、かつてのプリンスでありますとかその他のように、
トヨタ、
日産のいずれかに将来吸収合併されてしまう。最初のうちは
提携であっても、行く行くは、何年か後には吸収合併されてしまうという宿命がありますが、そういたしますれば、自分の
企業を
国内に残したいと
考えれば、やはり外国の
企業との
提携を
考えてくるのは必然じゃないかというふうに私は
考えざるを得ないわけであります。
日本の二大
自動車メーカーの中に組み込まれてみずから育ててきた
企業というものが存在をしなくなるか、あるいは
外資と
提携しても自分の
企業というものを残していくか、そのいずれの道をとるかというのが今日の後発
メーカーの
立場だろう、そこに今日の
自動車問題のむずかしさがあるように思えてならないわけであります。
そこで、たとえば先般問題となりました
三菱と
クライスラーの
提携でありますが、当面の問題としては、
三菱が製造しているコルトを
中心とした小型車を
アメリカに持っていって
クライスラーの
販売網に乗せてできる限り売りたいと、
日産、
トヨタば
アメリカにおける
販売網は持っておるが、
三菱は自力でもってそれができないから、
クライスラーの
販売網に乗せて、
アメリカで
日本製の
自動車を売りたいというこの
三菱の
考え方それ自身、私はそう大きな誤りをおかしているとは思われないわけであります。
日本の車が
アメリカで売られることは決して悪いことではないわけでございまして、ただ問題は、それをやる際に、相手の
クライスラーが自分の販売店をただそれだけで貸し与えるということがいまの
日米の
企業のバランスその他からいってできるかということになれば、そういうことはできないのであって、結局のところはやはりそれなら
日本の
国内においての
クライスラーの
立場がどうなるのかという問題がついて回る問題であります。したがって、そこに当然のことながら深刻な今日の問題が起こっていると私は思いますが、どうも
通産省の態度は、徹底して
日産、
トヨタに集中をするという
考え方と、
外資との
提携なり
外資が将来入ってくるその足がかりをつかませることを拒否されているということは、どうも理解に苦しむところでございます。後発
メーカーの
自動車企業それ自身の
立場から
考えるべきいまの問題。それからいま
一つは、国民経済的に
考えてみましても、はたしてその
日産と
トヨタだけを残していく今日の
自動車政策というものが、ほんとうに正しいのかどうかということになりますると、私は必ずしも正しくはないと思います。なぜかと言いますれば、二大
会社によって外国から何ら力が加わらないという形になり、
日本のシェアの独占が行なわれることは、
日本の国民の一人一人の
立場からして、
産業的にも経済的にも私は問題が残ると思います。したがっていまの
通産省の
立場のように、
めどといえば、いまの
段階で
めどは立たない。それじゃ方針が何かあるかといえば、方針も具体的には明らかなものがない。こういう形で
自動車問題を
行政指導されておる。どうも
通産省の
立場というものは、国民全体の
立場から見ても、私は理解しがたいものがあると思うのであります。先ほど私が申し上げましたように、どういう条件が備わってくれば、あるいは備えることができれば、いつごろ
自動車それ自身の、物と
資本を含めて、
自由化ができるかという計画なり見通しなりというものが
一つもないで、一体何を基本にされて
自動車工業というものを指導をされていかれようとしているのか私にはわからない。先ほど来の
局長や
大臣の答弁を聞きましても、いま少し、いま少しと、極端な表現をすれば、そう言っているだけであって、確たる見通しなり方針なり、今後どういうように
わが国の
自動車というものがなるだろうか、あるいは
海外との
関連においてどうしなければならぬのかというような問題が、何らないがままにやっておられるということは、全く納得できないのでありまして、この際でありますから、総合的にひとつ
考え方を御披瀝をしてもらいたいと思うわけです。