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政府委員(
乙竹虔三君)
中小企業近代化促進法の一部を
改正する
法律案を補足して
説明いたします。
三月十八日に
提案理由の御
説明をいたしましたのでありまするが、最近の中小企業をめぐる内外の経済環境は、大きく変動しており、ますますそのきびしさを増しております。すなわち外にあっては、発展途上国の追い上げと特恵関税
制度の
実施、資本自由化
措置の進展等により国際競争が激化しております。また内にあっては、日本経済の先進国型経済への移行に伴う労働力需給の逼迫、賃金コストの上昇等が中小企業の経営に新たなる対応を迫っております。ひるがえって、中小企業の現状を見ますと、企業規模の零細性と企業数の過多性、設備近代化のおくれ、
技術面、販売面の脆弱性等その構造的問題は解消されるに至っておりません。中小企業のわが国経済に占める重要性にかんがみまして、このような構造的問題を有する中小企業が、激動する内外の経済
情勢に対処しまして、その国際競争力を
強化していくためには、企業の合理化、近代化とともに、業種業態に即した構造改善を進めることが緊要であると考えます。
政府といたしましても、かねてからかかる見地に立ちまして中小企業の構造改善を
促進するための施策の
整備につとめてまいりました。中小企業の構造改善を緊急にはかりますためには、業種の現状と問題点が業種、業態に応じて明らかであり、その近代化の方向と手段とが確立していることが必要でありますし、政策を進めるにあたっては、構造の
高度化、設備の近代化、
技術開発、経常指導等
各種中小企業施策を総合的かつ計画的に
実施することが肝要であると思います。
この
意味で、業種別近代化
促進策の根幹となっておりまする
中小企業近代化促進法の
内容を充実してその活用をはかることが適当と考えられますので、今回同法を
改正いたしたいと思うわけであります。すなわち、
中小企業近代化促進法に中小企業の構造改善に関する
所要の規定を加えまして、共通の連帯意識のもとに、中小企業者が企業と企業との結びつきの合理化を主眼として実行性のある計画を自主的に作成し、それに従いまして共同化、協業化、合併等による企業規模の適正化、設備の近代化等の構造改善
事業を
実施する場合には、これに対し、施策を重点的に投入することとする構造改善政策を、
制度として確立しようとするものであります。
次に
改正の
要旨につきまして御
説明申し上げます。
第一は、
中小企業近代化促進法の指定業種は、
昭和三十八年同法制定以来百十二業種にのぼっておりますが、同法による指定業種の中から、構造改善をはかることが国際競争力を
強化するため緊急に必要であると認められる業種を、特定業種として政令で指定することとしていることであります。
第二は、この特定業種に属する
事業を行なう中小企業者を構成員とする商工組合等は、その構成員たる中小企業者の
事業にかかる生産又は経営の規模または方式の適正化、取引
関係の改善その他の構造改善に関する
事業につきまして、自主的に構造改善計画を作成し、これを主務
大臣に提出して、その計画が適当である旨の承認を受けることができるものとしていることであります。
なお、構造改善計画の記載
事項、承認基準、変更取り消し等構造改善計画の承認及びその取り消しに関し必要な
事項は、政令で定めることとしております。
第三は、この承認を受けた計画に従って
実施される構造改善
事業につきまして、
政府は、
資金の
確保と融通のあっせんにつとめるとともに、租税特別
措置法で定めるところにより、課税の特別
措置を講ずることとしていることであります。具体的に申しますと、金融面では中小企業金融公庫に年利七%の構造改善特別貸し付け
制度を設けまして、構造改善
事業の
実施に必要な
資金を
供給することとしております。税制面では、構造改善
事業を
実施する中小企業者に対して構造改善計画の承認後五年間その有する機械等について二分の一割り増し償却を認めるとともに、構造改善計画に従って合併出資等を行なう者について課税の特例を認めることとしております。
このような金融、税制
措置に加えて、構造改善意欲を喚起し、構造改善
事業の円滑な遂行を
確保するため積極的に指導していきたいと考えております。
以上補足して御
説明申し上げます。