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政府委員(
吉光久君)
最初に、
アメリカに対します
日本の鋼材の
輸出の数字につきまして御説明申し上げます。大体一昨年は四百三十五万トン
——これはメートルトンでございます
——でございましたが、これは六七年でございます。六八年、六百九十万トン。大体伸び率にいたしまして五八%ぐらいの見込みになっておるわけでございます。
いまの
アメリカにおける鋼材等につきましての
輸入制限運動でございますけれ
ども、これは実は御
承知のとおり昨年の七月に
アメリカの
鉄鋼労連のストライキがあるということを見越しまして、非常に急激な
輸入があったわけでございます、これは
日本からも
ヨーロッパからも……。向こうの需要
業界の需要が殺到いたしまして、そのために
相当大量の、先ほど申し上げましたように、
日本からは五八・六%増という
相当な大量の鋼材が
アメリカに
輸出されたわけでございます。そういうふうな
状況にあったわけでございますけれ
ども、ところがストライキはうまく回避できまして、そのために
アメリカの鋼材の需要
業界が
相当大きな備蓄を、自分のほうの在庫をかかえることになったわけでございます。そういうことのために、それが逆に
アメリカの
鉄鋼業界の
生産を落とさせる結果となりました。そういうふうな事情がございまして、
アメリカの全体の
輸入にいたしましても
相当量の
輸入増加になってまいりました。そういう問題とからみ合いまして、こういう機会に何らかの形で
輸出を自粛できないかというふうなことで、かねがね
業界内部で考えておりまして、結局最終的に、本年の一月、来年度からは
輸出量につきまして
アメリカの生
産業界の
立場を考えた形での
輸出数量を規制したらどうだろうかということで話がまとまっておるわけでございます。
それから先ほどの御質問の一、二位等が合併した場合において、これは仮定の問題を
前提としての
お話として承りましたけれ
ども、三位以下との設備の問題についてどういうふうに考えるか、こういう御質問であるかと存じます。実は、すでに御
承知のとおり
日本の
鉄鋼の需要というものは急速に伸びております。したがいまして、
生産のほうもそれに追随いたしまして、過去十年間におきます伸び率は、
日本とその他の国々と比較してまいりますと、
日本の場合には平均一七%
——これは平均の年率の伸び率でございます
——という強い伸び率をもちまして、十年間に設備の
生産能力が五倍にまで上がったわけでございます。ところが
アメリカにおきましては、この過去十年間の年間伸び率平均はわずかに一・四%でございます。また
日本に続いて高い伸び率を示しましたのはEEC六カ国の
鉄鋼業界でございまして、これは全部合わせまして、大体四・数%、細部の数字をちょっと忘れましたけれ
ども、四・数%というくらいの感じでございまして、
日本の鋼材の需要伸び率が非常に多かったわけでございます。これは結局
日本の
産業の
成長の度合いが非常に高かったということとのうらはらでもございますし、同時にまた、
日本におきます土木建築業のそういう復興資材と申しますか、そういった
意味での需要もまた非常に大きかったわけでございます。で、この土木建築用の需要の伸びというものが実は、諸
外国と違った大きな要因でございまして、現在におきましても出荷額の五〇%程度のものは土木建築用のものとして出荷されておるわけでございます。で、こういう高い伸び率がこのままの形で将来とも存続するというふうには考えられません。これはストックから申しましても、あるいはまた
国民一人当たりの消費量という点から換算いたしましても、従来のような非常に高い伸び率は考えられないわけでございますけれ
ども、先ほど来申し上げました
アメリカなりEEC諸国なり、そういうふうな低い伸びではない。むしろやはり大体私
どもの計算によりますと、年間六百万トン以上のものはだんだんと伸びていくであろうというふうな試算もできておるわけでございます。そういうふうなことを
前提にいたしまして、依然として
鉄鋼業界における
生産シェア拡大と申しますか、あるいはまた
そこらにおける
競争条件と申しますか、そういったものは、従前と同じように非常にきびしい姿で展開していくのではないだろうか、こう考えるわけでございます。したがいまして、そういうきびしい
競争条件というものが全体の中にあるというふうなことから、先ほど
政務次官からお答え申し上げましたように、三位以下の
メーカーからこの合併について苦情は全然出ておらないというふうなことになっておるのではないか、こう考えるわけでございます。