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1969-02-27 第61回国会 参議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十七日(木曜日)    午前十時三十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉田忠三郎君     理 事                 上原 正吉君                 鹿島 俊雄君                 大橋 和孝君     委 員                 高田 浩運君                 山崎 五郎君                 山下 春江君                 山本  杉君                 横山 フク君                 阿具根 登君                 上田  哲君                 小野  明君                 中沢伊登子君    国務大臣        国 務 大 臣  木内 四郎君    政府委員        行政管理庁行政        管理局長     河合 三良君        北海道開発庁総        務監理官     馬場 豊彦君        科学技術庁原子        力局長      梅澤 邦臣君        労働政務次官   小山 省二君        労働省労働基準        局長       和田 勝美君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        北海道開発局長  遊佐志治磨君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働問題に関する調査  (北海道開発庁職員労働条件に関する件)  (日本原子力研究所安全管理等に関する件)     —————————————
  2. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会開会いたします。   〔委員長退席理事上原正吉君着席〕
  3. 上原正吉

    理事上原正吉君) 労働問題に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 きょうは、おもに北海道開発局の労働問題について質問いたしたいと思います。  現地から遊佐局長が来ておりますが、先般この問題を私はよその委員会質疑をいたしておって継続であります。したがって、馬場君がいまお見えになっておりますから、おそらくやその経過現地局長遊佐君は十分伺ったと思いますから、前回質疑と重複することのないようにして端的にこれから質問いたしたいと思いますから、さよう御承知おきを願いたいと思います。  その第一は、先般の質疑で明らかになったものは、北海道開発局に、非常勤という職員が、長期の十二カ月雇用として二千名余の職員がいることが明らかになりました。その他十カ月未満の雇用者を含めますと五千数百名という、ちょっと他の省庁にない異常な変則的な要員運用をいたしているということが明らかになっておりますが、これにはそれぞれの理由があると思うのであります。したがって、そういう状態になった経過のあらましを現地局長遊佐君からこの委員会で明らかにしていただきたい、これが第一点であります。
  5. 遊佐志治磨

    説明員遊佐志治磨君) 北海道開発局長でございます。  ただいまの御質問経過を御説明いたします前に、一分ほどお礼を述べさしていただきます。  北海道開発局は、御承知のごとく、昭和二十六年の七月一日から発足いたしまして、ことしの七月で満十八年になります。この間、開発局長は私で六代目でございますが、この国会委員会発言を許される機会がいままでございませんでした。満十八年経過しまして初めてのことでございますが、開発局発足以来、国会の諸先生にはたいへん御指導を賜わりまして、おかげさまで現場のほうは約一万二千近い職員がおりますが、地域の各種の開発事業実施させていただいております。この点、厚くお礼を申し上げますとともに、引き続き北海道開発事業推進にあたりまして御指導を賜わりたいと考えておる次第であります。一言御礼を申し上げます。  ただいまの御質問の、開発局では、十カ月以上の長期雇用の、十カ月以上一年以内でございますが、こういう長期非常勤職員を使っておる、約二千名おるということで、それの経過を御説明申し上げる次第でございますが、昭和二十六年におきましては五千百七十九名の定員で発足しております。当時の総予算は八十億でございました。現在は、予算におきましては、ただいま昭和四十四年度の予算を御審議賜わっておるわけでございますが、総額において千五百二十三億というようなことに予定されておりまして、これは約十九倍でございます。一方、人間のほうは、常勤職員三百二十名を含めまして、一万一千七百四十六名の予定でございまして、これは約二・二倍でございます。したがいまして、二・二倍の人間で約二十倍の仕事をやってまいる予定でございます。  この間、五千百名から発足いたしましてただいまの一万一千七百名になりますのにいろいろ経過がございまして、これを簡単に申し上げますと、御承知のように、昭和三十年ころから、非常に開発事業、まあ国全体の予算伸びもございますが、北海道開発事業も毎年相当事業量の増加が連続したわけでございます。この間におきまして、定員職員以外にもやはり非常勤職員を何名かずつ使ってまいりまして、それが長期化した事実がございます。これを昭和三十三年から昭和三十七年にかけまして非常勤職員定員化ということが行なわれまして、四千二百三十五名というものがこの間に定員化されております。したがいまして、それから以後につきましては、昭和三十六年の二月二十八日の閣議決定に基づきまして、非常勤職員長期化、これをやっちゃいけないというふうな閣議決定がございまして、私どもその御方針に沿って現場でも努力してまいったわけでございます。  ところが、現在、昭和三十八年からの第二期北海道総合開発計画というものを、これは八カ年計画でございますが、昭和四十五年までの八カ年計画でございますので、四十四年は第七年目でございます。特に第二期計画に入りましてから非常に事業量伸びがございまして、また前にありましたような状態、これがだんだんと出てまいったわけでございます。  これはどういう都合によるかということを申し上げるわけでございますが、この開発局は、札幌本局開発局長がおりまして、全道——これは、全道と申しましても、地域の広さが東北六県に新潟県を加えたくらいの広いところでございますので、現場に直接の出先機関といたしまして十一の開発建設部を置いております。それからさらにその出先現場事業所といたしまして、四十三年では二百五十五カ所の出張所事業所、たとえば道路出張所、あるいは冬期間になりますと除雪センター河川でありますと河川事業所、それからダム建設事務所ダム管理所、あるいはこれらの建設機械のための機械工場港湾事業港湾事務所、あるいは漁港の事業所というようなものをそれぞれの港に置いておりまして、それから農業もやっておりまして、これはかん排事業をやりますかん排事務所開拓事業所、あるいは草地造成事業所、その他土堰堤をつくります土堰堤建設事務所というようなもの、非常にたくさんの種類の仕事を二百五十五カ所という現場事務所でやっております。これは、札幌、函館、小樽、旭川というような人口の多いところばかりではございませんで、非常にへんぴなところも含めて、全道にこれだけの事業所を置いて事業の遂行に当たっておるわけでございます。こういうところでは、北海道は御承知のように事業適期というのが、年中同じような仕事ができませんで、残念ながら五月から十一月というのが工事適期と考えられるわけでございます。したがいまして、この時期に仕事が集中いたしますので、いわゆる十カ月以内の短期雇用非常勤職員をここ数年は毎年五千名前後採用いたしまして、そうして先ほど申し上げました約一万二千名弱の定員職員と合わせまして、一万七千名前後の人間でこの事業を全道二百五十五カ所の事業所実施をしておる。こういうような状態でございます。その五千名前後の非常勤職員のうち、年々長期化して十カ月以上の長期雇用という姿が出てまいりましたのが、前回委員会でもございましたように約二千名、現在そういう事態に立ち至っておるわけでございます。この現在おります約二千名の内訳は、三十八年以降毎年四百名くらいずつ、まあ昨年あたりは非常に少のうございまして百数十名でございますが、それくらいの人間が逐次長期化されてきて現在のような状態になっておると、こういうような経過でございます。  また、この二千名の中身を、大ざっぱに、こまかい数じゃなしに触れたいと思うわけでございますが、これはおおむね四つに分けることできます。約二千名を四つグループに分けて御説明したいと思います。  まず、第一は、デスク系といいますか、事務職員技術職員、いわゆる行政職の(一)の俸給表を適用するような、定員職員と似たような仕事をいたします事務職員技術職員。それからもう一つ数が多いのでは、図面のトレースをする人間でございます。写図工と私ども言っておりますが、これが約三分の一の七百名ちょっとこすくらいの人間が、二百五十五の事業所それから十一の開発建設部、それから本局にも若干ございますが、こういうところにだんだん固定化されてきた。札幌のように人がたくさんおるところでございますと、労働力供給ということについては、私どももわりあいに円滑に人集めもできるのでございますが、現場の何百人かあるいは何千人かおるような部落で事業所をつくっておりますと、なかなかそういうものも自由自在というわけには相まいらぬというようなこともございまして、特にまた、なれた者を使ったほうが図面なんかもきれいに書ける、トーレスできるというようなこともございましてこんなような状態になっておりまして、そういうデスク系が約三分の一の七百名ちょっとでございます。  それからその次にグループとして大きいのは、第二は自動車運転手でございます。これが約五百名強おりまして、これは現地は各事業所所管区域も非常に広うございますので、いわゆる連絡車、それから全道に十一カ所に配置しております開発建設部と二百五十五の事業所との間の連絡のための連絡車、これがおもなるものでございますが、そのほか、もちろん事業用トラック砂利運搬のダンプトラックとか、そういうものも含めまして自動車運転手として約五百名ばかりおります。これももちろん運転免許をとりましてから何年間か経験ある者というようなことで私どもは集めておるわけでございますが、これもこの辺は事業の増に伴っていまのような道路維持砂利トラックであるとか、あるいは冬期間除雪も私どもトラックに三角形の除雪バネなどをつけて国道除雪をやっておりますが、これは夏場砂利運搬をして冬は除雪をする、こういうような自動車の使い方をしておりまするので、したがいまして、この運転手なんかも、なれた運転手ということになりますと、どうしても十カ月以上になるというようなことで、わりあいに数が多いような状態でございます。  次のグループ労務系グループでございますが、これも約六百名おりまして、これは中身は、労務系と申し上げましたけれども単純労働の中でも重作業あるいは軽作業、こういうもので、いわゆる普通土工といっていますが、そういうものを含めまして約四百名でございます。北海道におきましては、もとの一級国道もとの二級国道、両方とも直轄で維持管理をしております。これは、道路工手というものが行(二)の関係でおるわけですが、二、三キロから五、六キロにわたりまして国道の延長を一人で担当して、そして、砂利道でありますれば、砂利の補修とか、かきならしとか、そういう作業をいたします。冬はもちろん除雪の手伝いをいたしますし、構造物——橋とかそういうものは人力で除雪をいたしますので、そういう人間を使っております。それから舗装が済みますと、草刈りだとか、あるいは、これはちょっと表面に見えませんけれども道路の横断をしておりますいろいろな下水溝、こういうものが詰まりますとたいへんな事故を起こしますので、そういう排水溝を掘って詰まらないようにするというふうなことを年中やっているわけですが、こういう人間のいわゆる最盛期における補充要員でございますね、こういうものに非常勤労務者を使っておりまして、これはもう非常に大きな数になりますが、大部分は十カ月以内の雇用でございますけれども、そのうちの四百名ばかりが十カ月以上、こういうような長期の形になってまいっております。そのほか、測量調査管理人、これはまかないを含みます。それから小使い、雑役を含みますが、それらのものを含めまして六百数十名、これが第三のグループでございます。  それからもう一つ第四のグループで、これは数はわりあいに少のうございますが、百五十名ぐらいになりますか、電話の交換手とかあるいは車両の整備やなんかする技工でございます。その他、船員、それから少ない数ですが潜水夫というようなもの、この技工とか船員などにつきましては、本人がこの技術見習いからいたしまして逐次免許などをとって新しい職場で活躍したいというような者もございまして、私どものほうで持っております専門家のいわゆる見習い助手というような形で入って逐次長期化しているものが百数十名おります。  大まかに申しましてこの四つグループに分けられると思いますが、このような経過で約二千名のいわゆる長期雇用非常勤職員が発生してまいりました。三十七年までに一時定員化によって整理していただきまして、私ども現場仕事をやるのに非常に好都合であったわけでございますが、また事業量の増とそれからいま申し上げましたようないわゆる見習いから逐次長期化する労働力供給需要関係など、いろいろな問題がかみ合わされましてこんなような状態になって現在に至っております。  ざっぱくな説明でございましたけれども経過を補足したわけでございます。以上でございます。
  6. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 開発局長遊佐君から、かなり詳細にわたる、しかもわかりやすい説明がいまなされました。そこで、こうした実情を行政管理庁のほうとして知っておったかどうか、河合君、ちょっと答えてもらいたい。
  7. 河合三良

    政府委員河合三良君) お答えいたします。  何日でございましたか、先日の運輸委員会におきまして吉田先生からお話をいただきまして、その際の概略お教えいただきましたものもかなりこまかな内容を本日持っておりますが、先日概略承りまして、内容についてこまかく承りましたのは本日が初めてでございます。
  8. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 行管河合局長は、こうした詳細の内容は本日初めてだと、こう言っております。先般私はこの問題を取り上げたときに、ただいま開発局長遊佐君が言われた以上の内容のものを私は調査をして持っておりました。この点、行管としては初めてということでありますから、その資料を、今日ただいまちょうど一週間になりますが、勉強するようにということでお貸しをして差し上げたのですが、内容ごらんになったかどうか。もし内容ごらんになられて、その中には、いま遊佐局長が申されたより以上に、それぞれの職群、職種等々が明示されて、しかも、それにかかわる要員何名、こうなっておりますから、検討されたとすれば、その内容についても行管としての所管があるはずでありますから、この点をこの委員会で聞かしていただきたい。
  9. 河合三良

    政府委員河合三良君) 先日吉田委員から資料をちょうだいいたしまして、それを、私は定員外問題につきましては、行政管理庁所管外であるから所管として検討する必要がないが、個人としてよく見るようにという話を承っておりましたので、できるだけ検討いたすつもりでおりました。いま見ておりますが、実は、内容について、完全に、何といいますか、十分に自信ができるほどまだ検討いたしておりません。
  10. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それは定員をどうこうするという問題は直接の行管所管事項ではないけれども、三十六年の閣議決定事項からいくと、ただ単にいま河合君が言われたようなそういう甘い考え方で済まされる問題ではないと思うのです、この問題は。しかも、一週間の間で、君もそれはいま国会開会中であるから、諸般の資料の提示、それを準備するとかいうことでかなり忙しいだろうけれども、少なくとも国会でこの問題が提起されて、本来であれば君たちからそういう資料をわれわれに提示しなければならない。それを、議員のほうから具体的に調査研究されて検討された資料を逆にごらんになってくれと差し上げて一週間ですよ。それでいま君の言うような答弁で、一体納得できますか。国会というのは、国民を代表した公の機関ですよ。おそらく、君は、かなり内容を見たけれども、いまも初めて知ったということだけで、事の内容重要性から、いわゆる従来の役人根性でそういう答弁をしている。これで私が納得できますか。もう少し明快に答えなさい。
  11. 河合三良

    政府委員河合三良君) 先ほど私の答弁が非常にことばが足りなかったかと思いますが、政府のほうから、北海道開発庁のほうから、正式にお話を伺ったのは、実は内容につきましてこまかな内容を聞きましたのは本日でございますが、吉田先生からいただきました資料につきましては、これは前回にいただきまして、その内容につきましてこまかな内訳も拝見いたしております。この点、先ほど答弁が意に足りませんでしたので、訂正いたします。これにつきましてもちろん私も拝見いたしました。さらにただいまの北海道開発局お話も承りまして、十分に私自身考えていきたいと思っておりますが、何ぶんこれにつきまして、行政管理庁所管といたしましては定員外問題につきましては所管として持っておりませんので、そのために正式にお答えすべきものではないと思っております。その点、ひとつ御了承を得たいと思います。
  12. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、昭和三十六年の二月二十八日にこれにかかわる閣議決定をいたしておりますね。閣議決定というのは内閣の決定ですよ。その決定をあなたは知っていますか。
  13. 河合三良

    政府委員河合三良君) 非常勤職員常勤化防止閣議決定ということに理解いたしております。
  14. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 現地開発局長遊佐君、知っておりますか。
  15. 遊佐志治磨

    説明員遊佐志治磨君) 知っております。
  16. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 知っているということになれば、いま行管管理局長河合君の言ったようなことはそういう答弁にならないはずだと私は思うのです。ならないはずだと思う。なぜかというと、この閣議決定は、御承知のように、第二項に、こういう問題が惹起された場合に「行政管理庁に報告するものとする。」と、こうなっていますよ。同時に、四項には、「昭和三十六年二月二十八日現在において日日雇用職員で、任用予定期間を定めず更新して雇用しているものであって、昭和三十六年度引続いて雇用するものについては、昭和三十六年四月一日に3の(1)及び(4)の措置をとるものとし、これらの者で特に必要があるものについては、行政管理庁に報告する。」、とすると、明確にこの第二項と第四項にはこの問題に言及されて明らかになっている。しかも、このときに、いまのような状態の人々を整理するように二月の二十八日、つまり二月の二十八日というのは閣議決定の日ですが、それ以降の新規採用原則として禁止をする。原則ですよ。しかし、いままで開発局長が答えられたああした内容のものを先般行管局長河合君にぼくが差し上げた内容、これ等々を考えると、この原則というのは一体どういうふうに解釈するのかということになるのだけれども、その議論はとにかくとしましょう。しますが、このときに、業務上やむを得ない場合に限り行管の承認を得れば採用が可能である、こういうことになっているじゃないですか。こういうことになっているんですよ。こういうことになりますれば、いま河合君がぼくに答えたようなことに事なかれ主義な答弁で済まされる問題ではないと思う。この点、ひとつ答えてもらいたい。  それから開発局長に伺いますけれども、私の調査では二千八十数名になっているのです。ですから、約二千名ということは一致していますから、先般の委員会でもこれは開発局が認めたわけですから、そのことはそれでよしといたしますけれども、今日、この十二カ月雇用非常勤職員二千名が必要であるかないか。それからこの諸君は、つまり四月の二日に雇用契約を結んで採用される、翌年の三月三十一日に一応形式的には解雇される、また翌年の四月の二日に再契約をする、こういうことの手続をとっておりますけれども、今日までの開発仕事内容、形態等々から考えまして、そのことが必要であったから私はなされてきたと思うけれども、長い人は十年間もやっておるじゃないですか。ごく短い人でも、運転手諸君、こういう連中でも六年、七年継続されて、なおかつ今後継続しなければならぬという状態になっているが、この点は一体どうなのか。この二千人がこの閣議決定に従って全部やめたとしたら一体どうなるかということもあわせてこの際この委員会で明らかにしていただきたい。
  17. 河合三良

    政府委員河合三良君) お答えいたします。  ただいま御指摘のございました閣議決定は、第一項、第二項は、これは常勤労務者給与という手当が支出されておりますが、常勤労務者に関するものでございまして、非常勤職員に関するものではございません。  それから第四項につきまして御指摘がございましたが、これは「昭和三十六年二月二十八日現在において日日雇用職員で、任用予定期間を定めず更新して雇用しているもの」ということです。そのとおり現在では報告いただいております。
  18. 遊佐志治磨

    説明員遊佐志治磨君) お答えいたします。  二つ御質問だったかと思いますが、先ほど説明申し上げました二千名という長期雇用、十カ月以上十二カ月のものが必要であるかないかということが一点。中身をお調べになりますと、人によっては相当長く、六、七年あるいは十年というようなものがおるようだが、これが閣議決定に基づいて打ち切りになったらどうなのか、というこの二点と思っております。  第一点の二千名が必要であるかないかという問題につきましては、先ほども触れましたけれども最盛期夏場におきましては、五千名前後の者をここ数年非常勤職員を使って事業実施しております。その中の二千名でございますから、こういう非常勤職員をあわせ使用して開発事業実施するというその必要は、将来とも必要であるというふうに思います。  それからこの二千名というものが十カ月以上のものが相当長期にわたっているものもある、これは事実でございます。特に、先ほども触れましたが、三十七年までに一度四千数百名を整理いたしまして、三十八年以降に生じたものが大部分でございます。三十八年には四百名程度であったわけでございますけれども、これはこの三十六、七年の段階において当時におきましては登録非常勤ということでそれを定員にしたわけでございますが、そのほかに、やはりそれだけで仕事をしていたわけではなく、十カ月以内の雇用非常勤職員は何百名かおったわけでございます。そういう連中が次々とつながってきたために、先ほど申し上げたような状態につながってきたということ、これは決して私は望ましい姿とは思っておりません。したがいまして、これを事業実施上には最小限はどうしても必要な人間である、このように考えざるを得ませんので、これは毎年のことでございますけれども、私どもは翌年度の事業執行体制をどうするかということで、三十四、五年来毎年事業能率化あるいは合理化ということについて内部で検討いたしまして、そしてなるべく定員職員とそれから十カ月以内の雇用非常勤職員事業を消化するべく毎年努力いたしております。しかしながら、それでなおかつ不十分なところは定員要求という姿で毎年開発庁のほうにこの要求現場から出しておるわけでございますが、そういうようなことを努力して、そうしてこういう姿をなるべく少なくしなければいけない。これを閣議決定で絶対いけないということがゼロにされた場合には、私どもはやはり十カ月以内の雇用非常勤職員事業実施せざるを得ない。そういう場合には、先ほど申し上げたような面が問題として残ってくるであろう、こういうふうに考えております。
  19. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これは、遊佐君ね、君も初めて国会へ来てこういう答弁をしているんですが、行管局長がいるからということで、あるいは他の省庁の関係者がいるからというて、遠慮することはないのです。これは仕事ができないんですよ、この人々がいなくなったら。事業実施ができないですよ、これは。そういうことをやはり現場の最高責任部としてはっきり言ったほうがいいと思う。そういうことをいままで隠しておるから、いつまでたってもこの問題が解決しない。よりだんだんだんだん悪い面が出てくる、こういう状態になってくる。五千数百名というのは、一挙になったのじゃない。年々歳々ふえてきた。なぜふえてくるかというと、事業量を年々歳々拡大されるわけでしょう。問題は、つまりこの欠員の不補充の閣議決定が災いしているんですよ。問題はここにある、ここにね。しかも、北海道開発庁の場合は、われわれが見たって、当然、事業実施官庁ですから、現業だと見ていい。ところが、この欠員不補充の閣議決定からいえば非現業扱いされている。現業じゃないという扱いをされている。ここに、いまあなたが答えられているような問題の本質が内蔵されているんですよ。ですから、こういう点を、私はいままでにたびたび行管にも申し上げてきたのですが、少なくとも一挙に五現業のような性格をとるということは困難だとしても、これは行管管理局長に聞くんですよ、いわゆる現業に準ずるというような扱いをしながら、三十六年の二月の二十八日の閣議決定といういわゆる原則論、同時に、こういうものが必要であるという場合には、行管に報告をして、そうして行官から認められれば可能であると、こういういわゆる拡大解釈をしながら、いわゆる欠員の不補充の閣議決定というものをにらみ合わして生かすところに私は行政の妙があると思うのですが、これはどうですか、行管。  それから開発局、これは遠慮なくものを言いなさいよ、きょうは。
  20. 河合三良

    政府委員河合三良君) ただいまのお話の、北海道開発庁仕事の性質上、これは現業的な仕事であるということは、公共事業が中心になっておりますということでございますから、そういうふうに考えるのは、私も現業的な仕事という意味ではそのとおりだと思っております。ただ、ただいまお話しの閣議決定は、定員職員の常勤化の防止であります。欠員不補充ではなしに常勤化の防止であると思いますが、これにつきまして、この閣議決定の主たる目標は、先ほどちょっと申しました常勤職員給与の目から俸給が支給される職員に対するものでございまして、非常勤職員につきましては昭和三十六年の二月二十八日現在における時点をとらえただけでございまして、主として常勤労務者を対象にした閣議決定でございます。
  21. 遊佐志治磨

    説明員遊佐志治磨君) ただいま、他省庁の方がおられるが遠慮しないでというお話で、まことにありがたいお話でありますが、私先ほど来申し上げておりますのは、いわゆる現場の実態をあからさまにここで申し上げて御指導をいただきたい、こう思っている意味で申し上げております。それで、実は、三十九年に私札幌開発建設部長という現場の部長をやっておりました。先ほどの三十七年に定員化された時代、それから三十八年以降、現場の状況からしてどうしてこんなのが出てきたかというのは、当時の現場の責任者でございましたので、先ほど申し上げたとおりな実態でありますし、それからそれに対する対策、これをどう考えるかということにつきましても、先ほど申し上げたようなことを心底から思っておりますので、よろしくお願いしたいと、こう思っております。
  22. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 よろしくお願いしたいというお話でございますが、ぼくは率直でいいと思うんですよね。われわれ国会でこれは始末するものではない、本来はね。ですけれども、こういう問題は、長く放置すると、北海道開発事業を進める場合、それを扱っておりまする責任者は、要員操作の問題、運用の問題でたいへんなことになる、こういうことをわれわれが思うから、国会の場で側面からこの問題を明らかにして、一つの方向を政府として出すべきじゃないかということから質問しているわけですから、そういう点で理解をしながらこれからも答えてもらいたいと私は思うのです。  四十四年度の予算が提出されて、ただいま御案内のように衆議院で審議をいたしております。やがてわれわれのほうの参議院にこれが送付されてくると思いますが、その予算内容を見ますと、四十三年度並びに四十四年度の対比の中で、予算伸び率とかなんかは別問題として、かなり新規事業計画されて予算化をされてただいま国会に提案されている。私はこういう理解と認識を持っているのですが、その中で、たとえば河川昇格、こういう問題が幾つかあります。この河川の昇格をされる場合は、当然、これは管理しなくちゃなりませんから、管理体制を確立しなければならぬ。法律的にはっきりそうなっていますね、法律に。そこで、今日まで、開発局は、年々歳々幾つかの河川の昇格を申請して、これまた北海道におきましてはかなりの河川の昇格を見たはずだ。そこで、一体、法律的に、この河川の監視員を定員化して配置をしているかどうか、これが一つ。それから河川敷地等についての問題点が今日までなかったかどうか。こういう点をひとつ開発庁から聞かしていただきたい。
  23. 遊佐志治磨

    説明員遊佐志治磨君) 四十四年度予算の中における河川のことで、河川監視をどうするかということと、河川敷地に関しての問題があるんじゃないか、こういうことを承りましたが、河川法の改正によりまして一級、二級というふうなことになりまして、従来北海道で国費河川として開発局が直轄事業実施しておりますものが逐次一級河川に指定されております。これは経費の問題からいきますと、一〇〇%国費で実施しておりましたので、あまり大きな影響はないのでございますが、ただいま御指摘がありましたような河川管理の問題はこれは非常に大きな問題でございますし、従来開発局事業実施しておりましたが、管理は道知事に委任されておったというものが、一級河川に指定されたものはその管理も開発局のほうに移ると、こういう事態になりましたので、もちろんこれはこの要員というもの、必要な人員ということから言いましても全く新たなことでございますので、毎年それの必要な人間要求をしておりまして、要求どおりとはまいりませんが、毎年定員の若干の増もいただいております。それからもう一つ、それで十分な監視体制というものが理想的な姿にはすぐには相なりませんので、私どものほうで持っております河川事業所、これは河川事業実施している事業所でございますが、管理は担当しておらなかったのでございますけれども、それぞれの重要な地点に河川事業所を配置しておりますので、その河川事業所の中の職員をあわせてこの管理のほうに逐次体制を整えさせていく、こういうことで対処しておるわけでございます。しかしながら、これは非常に問題が大きゅうございまして、河川管理の責任は一級河川の昇格に伴なって開発局のほうの責任になるわけでございますけれども、これの河川の事態、管理上の事態でございますね、工事上の実態は私どもよく承知しておりますけれども、管理上の河川敷地の使用の問題など含めまして、管理の実態というものはわれわれ勉強しながら引き継いでいると、こういう状態でございまして、問題が簡単に解決しない問題もありますし、すぐ引き継ぎ得る資料のある河川もあるしというような実態で、現在もこれは進行中でございます。
  24. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 局長ね、現在その体制整備のために進行中だと、こうおっしゃっていますがね、私はかなり何年か前でしたがこの問題を予算委員会で取り上げたことがありますが、いま正規の定員として河川法による河川監視員というものを置いておりますか。
  25. 遊佐志治磨

    説明員遊佐志治磨君) 正規の河川監視員をどういう種類の人間を置くかということについては、一応行政職(一)の人間に担当させるべきだと、こういうふうに私ども指示を受けております。それで、それの分の定員要求しておるわけでして、逐次定員が認められておると申し上げましたのはその人間でございます。ところが、これだけでは非常に長い範囲の河川を十分に監視できませんので、それの補助員は当然つけなければならないということで、これは私どもの内部の人間の中にもそういうのに適するような人間がおりますので、内部で講習をしたりしてそれの実際の巡視ができるような人間を育てていきたいという体制をとっておるわけでございます。
  26. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 開発局長ね、その辺になってくるとちょっと歯切れが悪くなってきたが、遠慮することないと言った意味はそこなんです。いまいないですよ、その正規のものは。しかも、法律的には、いま答えたように、河川の監視員というのは、簡単に道路の工手さんであるとか、あるいは先ほど問題を提起した十二カ月の長期非常勤職員を充てるというわけにはまいらぬでしょう、地域住民との関係が出てきて、あるいは国民の財産を管理するわけですからね。行(一)職の監督のできるようなかなり権限が付与されるような定員をつけなければならぬと指導されているのはそこだと思います。いまいないでしょう。しかも、幾らか定員が認められていますと、こういうお話でありますけれども、四十四年度の予算では、しさいに検討してみると、わずかに十二名ですよ。その十二名も、つまり管理者を含めてです。しかも、この十二名は河川の監視員という定員でありませんから、この点はちょっと答え方に認識の不足があるのじゃないか、こう私は思うんですよ。  それからもう一つは、そういう監視員の配置の問題もそうであるけれども、いま私はそういうものはいないと言明しているわけですが、この間につまり地域の住民とトラブルがなかったかどうかということと、もう一つは、幾つかの問題が発生したけれども、将来こうした問題が、監視員がいないがために問題がさらに拡大発展していくという傾向にあるのか。あるいは、いまあなたは逐次その方向に前進しているということなんですけれども、抽象的、これは。具体的にないわけなんで、逐次前進していく体制というものの具体的なものは何か。それをここで答えてもらって、その体制はいつごろになったら——たくさんの問題が内包されているし、そういう問題が惹起されていることを私はちょっと知っていますよ。また、将来は、そうした問題が拡大されていく傾向にある、こう見ているのですが、それを防ぐためには一体新しい体制というものについてどういう具体的な内容を持っているか。それからその体制ならばそうした問題が解消されるのであるか、あるいはそうでなければ、そういう心配があるからこういう問題についてはこうしてもらいたい、こういうやっぱり具体性の内容を持った答えをしていただきたい、こう思うんです。
  27. 遊佐志治磨

    説明員遊佐志治磨君) お答えいたします。  まず、暫定的な措置といたしましては、先ほど申し上げました河川事業所長、これは行(一)の技術職員でございますが、これは従来十四本の国費河川というものが北海道にございまして、それにそれぞれのところに河川事業所を配置して、そうして春の雪解け水洪水だとか夏の洪水のときに問題を起こさないようにその手当てをする工事をどうしたらいいか、それから災害が起きたときに災害復旧工事をどうしたらいいかということを主にしてやらした人間がそれぞれの河川におるわけでございます。そこで、まずこの人間河川管理の責任者にとりあえずしております。毎年一級河川に昇格ということで、何年間もかかっておりますので、新しくそういうふうに一級河川に昇格した河川についてはそこの河川事業所長、これを暫定的にやっております。私どもとしては、これは技術職員でございますので、管理事務を有効適切に処理するためには、やはり専任の事務職員を置きたいということから、責任者を置いて何名かの要員を配置するということから、この河川管理要員というものを毎年要求しているわけでございます。それが十二分に予算化されておりませんので、これは一昨年から考え出したことでございますが、ようやく四十四年には芽を出していただけるのじゃなかろうかと思っていま実は楽しみにしておるわけでございますけれども先ほど、必要なことを教育してそして河川監視をやらせるというのは、その要員は実は行(二)職の人間にそういう人間がだんだん出てきておるわけでございます。簡単に申し上げますと、自動車運転手で、たとえば五十歳過ぎのような、車の運転からおりたいというような連中が何十名か出てきておりますので、そういうものをこのほうに振り向けてはどうか。これは一例でございますが、たとえば長大の範囲をパトロールするのにジープを使うというようなときにもそういう人間だと非常に適格であるということから、そういうものを結局行(二)から行(一)に振りかえて河川監視をさせるようにしたらどうかという案を考えまして、四十三年では認められなかったわけでございますけれども、いま四十四年で要求しているものが案としては七、八十名ばかり認められるのでなかろうかと思って、いま楽しみにしておるところでございます。  でございますから、具体的には、いまのような若干の行(一)の定員増の人間と、それから振りかえ要員ということで、四十四年度には体制が相当とれていくんじゃなかろうか、こういうようなことを考えております。
  28. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 局長、かなりのものを要求して、八十名くらいか六十名といいましたか認められるのじゃないかということで楽しみにしている、こうおっしゃっていますが、十二名より認められないですよ。これはまあ予算審議の段階ですから、国会で議論して、現業の現場の最高責任者の開発局長はたいへん苦労しておる。こんなこっちゃいかぬ。ある意味では、これは法律違反ですよ。だから、法律に違反するということはよくないわけですから、それを国会で皆さんの意見を聞いて、法律を守るようにして、開発局要求どおりに定員をふやすということになれば、たいへんあなたの楽しみにしておるということにぴったり合うわけですけれども、そうはならない。しかも、前回委員会で、つまり新規事業に伴う要員の増を開発局は六百名増員要求したというのは明らかなんです。このことは行管局長からも答えられて明らかなんです。新規事業に対する要員ですよ。それが、いま予算の中に入っておるものは十二名ですよ。ですから、あなたもせっかく御苦労されて、しかも遠く離れた北海道におりましてたいへんな責任ある仕事をして楽しみにしておるわけですが、おそらくはその期待に反する結果になるのじゃないかと思うのです。しかし、これは思うのでありまして、いま予算国会の審議段階でどうなるかわかりませんが、私の判断ではそういうことになるのじゃないか、こう思っている。ですから、この点は、ただいまあなたは行(二)の諸君をある程度教育をしたり訓練をして行(一)に転換をさすということですけれども、これまた行(一)と行(二)の定数があるわけでしょう。ですから、そう容易じゃありませんね。ただいままでのあなたの話を聞いておりますと、それが可能だとすれば、異職名の運用です。あるいは、兼務職の増設をして、そうした要員操作の中で充当する、こういうことになると思うのです。  ですからそういうことについては、今度私は労働省の政務次官に、定員の中に入っておるものの異職名運用ですね、これはある程度可能でありますけれども、それにしても労働省から見れば異職というのはあまり芳しくない行為ですね。これは、ただいままで聞いておるように、開発局長のたいへん苦労をしておる中でやむを得ざるものがあるように私には察知できるのですが、これに対して労働省の見解がまず第一。  それから行(二)から行(一)にかりに努力されて運用したとすれば、行(二)に穴があくんですね。欠員が生じますね。そうしますと、結果的には、短期の季節的な非常勤ということではないですね。こういう仕事は結局は十二カ月の非常勤職員をそこで穴埋めをする、こういうかっこうに私はなると思うのですが、この点はどうかということ。  それからもう一つ、あなた答弁漏れが一つありますが、先ほどあなたが申されておりますように、北海道に全体で二百五十カ五所のあなたの所管する事業所があります。ですから、末端の市町村の住民とも密着したもの——密着しなければ開発局を単独に置く必要はないわけです。あなたの事業、行政というものは全く住民と密着しておりますよ。その点は私は認めて、努力されておることについては常に敬意を払っておる者の一人でありますが、密着しておるそうした中でただいままでに問題がなかったかどうか。私は幾つか知っておる問題がある。さらにこれは拡大されていく要素がたくさんある、こう見ておるので、あなたは責任者でありますから、私は側面から見ておるのですけれども、あなたは直接見ておるわけですから、ここで忌憚のない見解を表明してもらいたい、こう思います。
  29. 小山省二

    政府委員(小山省二君) ただいま吉田委員から労働省の見解についてお尋ねをいただいたわけでございますが、御承知のとおり、本件につきましては、昭和三十七年の閣議決定によりまして一応行政管理庁北海道開発庁の間に話し合いがついた問題でございますので、ただいまのようなその後における行政需要の増大にいかに対処するかというような問題につきましては両庁間でもう少し話し合いをいたす必要があるように考えておりますが、現段階におきまして労働省としてこれに対する正式な見解を出すのは時期でないように考えておりますので、私どもとしてはできるだけ両庁間の話し合いによって円満解決を願いたいというふうに考えております。
  30. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 三十七年に行管開発庁との話し合いができたその後にただいまのような問題がさらに出てきた、ですから、労働省のほうはいまの段階ではまだこれに対する明快な答えをする段階じゃない、願わくば両庁で話し合ってうまくやってくれ、こういうことのようですね、いまの答えは。そういうことですね。
  31. 小山省二

    政府委員(小山省二君) そうでございます。
  32. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、私は次官に伺いますが、それはそれとして、いま私が伺ったのは一つの例をあげただけですから。私は河川監視という点で一つの例を——そこだけにとどまるもんじゃないですよ。そうでなければ、新規事業に対して六百名の新規要員を四十四年度にするわけはないんですから。局長答弁を聞いていますと、河川監視に対して大体六十名くらいは認められるのじゃないかと楽しみにしているということですから、ちょうど一割でしょう。あとの九割は、別な、たくさん問題があるわけです。だから、一例をあげたにすぎない、河川監視の関係は。そこで、この問題について、局長は、たいへん要員運用上困難があり、苦労されている。苦労はされているものの、つまりいままではそれを認めてこないわけですから、さりとて行政を捨てるわけにいきませんから、転用したい。そうすると、行(一)になりますれば、皆さん御存じのように、行(一)と行(二)というものは定数がある。定められた数があるんですよ。これは人事院の定めによってですね。ですから、簡単にはなかなかまいらぬと思うんですよ。だけれども地域住民の生活、あるいは地域開発、産業経済開発等々の国の施策を現地開発局というものは進めてまいらなければならないから、たいへんな苦労をしてやりくりしようとしているんだけれども、穴があきます、動かすわけですからね。ですから、穴があいたことについてはいや応なしにまた十二カ月の長期非常勤職員採用していかなきゃならぬというものになる。それはあなたのほうにちょっとまだ私聞きません、あとあと労働省に聞こうと思っていますが、それは除いておっても、現実の実態は異職名の運用ではないのか。異職名の運用というのは、一体、労働法と照らし合わして労働省としてどうなのかと、こう聞いているのですよ。  それから行管局長に、ただいま労働政務次官は、三十七年にこの件に関して行政管理庁とそれから開発庁と話し合いができておる、ところがこういう問題が出てきた、さらに両方で話し合って何とかいい方法の結論を見出していただきたい、その問は見解を避けていきたい、こう答えた。あなたさっきここへ来てこの二千という膨大な非常勤のことは初めて聞いたのかもしらぬけれども、いまの次官の話を聞くと、これにかかわる問題はすでに昭和三十七年に提起されて行管開発庁と話し合いができたと、こう言っているんだが、この点はどうなんです、この点の食い違いは。
  33. 河合三良

    政府委員河合三良君) ただいま労働政務次官がおっしゃいましたことは、非常勤職員定員化閣議決定は、三十七年に定員化はこれをもって打ち切るという閣議決定ができておりまして、そのことをおっしゃったものというふうに理解いたしております。これは北海道開発庁行管というのではなくて、政府全体として非常勤職員定員化はこれをもって打ち切るという趣旨の閣議決定でございます。
  34. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、私もそう思って聞いていたんだが、政務次官の答えられた趣旨が大体それでわかりました。わかりましたが、人の問題は開発局長先ほど言った答弁漏れの点が出てきますね。出てくる前に私は善意的に好意的に聞くんですよ。かなり浮き彫りになりましたね、このあいだときょうで。こういう変則的な実態を、自分の所管事項であるかないかにかかわらず行管関係ありますから、実態をいま初めて知ったとしても、このまま放置していいものかどうか。
  35. 河合三良

    政府委員河合三良君) 非常勤職員定員化するという方針を政府が出して、それで当然行管関係してくると思いますが、現在のままでは行政管理庁はこれには直接所管はないと思っております。
  36. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あのね、君のところの所管であるかないか、そういうことになりますと、政府のほうでそういう方針をとればと。君も政府じゃないか。行管というのは政府じゃないのかね。君のようなことを言っておったり、労働政務次官のようなことを言っておったりしたのでは、この問題は解決しないですよ。もとより総理府にも関係があるでありましょう。君のいまの管理局長としての権限で答えられないというんなら、私はそれで認めますよ。そのあとは政務次官なりあるいは大きな問題ですから関係の省庁の大臣にここに来ていただいてそれぞれの答弁を伺いながら一つの方向というものを出さなければならぬと私は思っておりますからね。きょうでぼくはこの質問を終わるわけじゃないですから、それはいいのですが、政府の方針を出したならばというこの言い方は一体何だ。君は政府じゃないのか。行政管理庁というのは政府じゃないのか。いま自分が担当されて権限を与えられている行政管理局長としては答えられないという話なら、これはぼくは了としますよ。政府の方針を出せばなんて、君たちは政府じゃないのか。どうなんだ、これは。
  37. 河合三良

    政府委員河合三良君) 私のことばづかいが不穏当でございましたので申しわけございませんでしたが、政府として方針を出せばということではございませんで、政府としては、昭和三十七年にすでに方針を決定いたしておりますので、定員化しないというふうに私は理解いたしております。
  38. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、管理局長、全く君個人でもいいが、そこまで浮き彫りになってきたんですからね。ですから、かりに、政府の方針とかなんとかということの大きな問題は存在していますが、どのような方法、どのような手段をとったならば——開発局長先ほどからの答弁を聞いても、絶対必要なんですよ。ぼくは時間がありませんし、次に上田君が質問予定になっておりますから、あまり長くここで申し上げようとしませんが、職種を全部あなたのところにあげていますね。こういう人々がただ単に短期雇用の中で始末ができるかどうかということの判断は、諸君政府の役人としてそれぞれの責任者として判断がつくと思うんですよ。ですから、私は、あえてここでこれを、資料を持っていますけれども、読み上げないが、一体これからどういう方法手段を用いたならばこういう問題が解決するか。糸口でもけっこうですよ。いま一挙にこれを定員化するなどと私は言っているんじゃないのですから。できっこないんですから、これは。四十四年度の予算が出てきてこの予算が修正でもされれば別ですよ。十二名以上は入っていない、君が知っているとおり。ですから、今年はできない。こういう現業に準ずるような性格のつまり省庁として、しかも開発という特殊な行政機関、その機能を完全に果たそうとするならば、当然この問題は解決しなければならぬわけです。計画的に段階的に、かなり論議になると私は思いますが、解決しなければならぬでしょう。ですから、その解決の糸口でもけっこうだが、どういう方法を考えたなら、君個人の考え方でけっこうですが、うまく円滑にいくのか。
  39. 河合三良

    政府委員河合三良君) たいへんにむずかしい御質問だと思いますが、まず、従来この件につきましての処理方針といたしましては、以前から、前国会におきましても前長官が答弁申し上げておりますように、欠員の範囲内で新規採用の際に、その資格もあり、それに適当だと思う職員定員化していくということが従来とられてきた方針でございまして、北海道開発庁におかれましてそういう方針で着々と適当な方は欠員の範囲内で定員に繰り入れるという措置をとっておられると存じます。  また先ほど来のお話で、新規増員十二名ということでございまして、確かに新規増員といたしましては十二名でございますが、前回にも御説明申し上げましたように、政府閣議決定によります五%削減のうちの約四分の一に当たります六十名余りの者を、北海道開発庁につきましては、新規採用関係から、今年度は一部その削減を緩和いたしておりますので、それも含めまして考えていただきますれば、十二名だけではないということになるかと思っております。  それからこの前お示しいただきました表を拝見いたしましても、たとえばこの前の吉田委員の御指摘がございました看護婦六名、潜水夫一名、これはいずれも四月二日から三月三十一日までの雇用でございまして、会計年度をこえておりませんので閣議決定違反にはなっておりませんが、非常に期間が長いということ、これは先ほど北海道開発局長さんからのお話に出ておりましたが、そういう職員の中で、現に看護婦でございましても、いろいろ仕事内容があると思いますが、その内容にもよりますし、また、その人によりまして結局先ほど申し上げましたように定員化を欠員の範囲内でやっていただくということかと思っております。  それから個人としてというふうなお話でございましたが、どうもいま個人としての御意見を申し上げる場合でもないと思いますので、これはまた吉田先生にいろいろお教えいただきまして、私も御意見をいただいて考えたいというふうに思っております。
  40. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これは、河合君、君は一局長だから、ここの場所では局長といえども自分の与えられているその仕事の範疇からしか答えられないということだとぼくは理解しているんですよ。ですから、それはあとで大臣に来てもらってぼくは伺いますよ。ただ、木村行管長官のときには、この非常勤の問題は、たいへんな問題だし、開発事業を国の政策として進める場合には将来大きな障害になる問題だから、昭和四十四年度から計画的に段階的に定員化していくように努力をするということを明言しているんですよ。あなたはその当時担当の課長だったかどうか存じ上げませんから、知っているかどうかは別として、そういうこともあった事実だけ頭に置きながら行政の仕事を進めていただきたいと思います。それから開発局長の答える前に、労働政務次官、いまの労働事情ですね、特に労働省で発表しておりますものを見ても、さなきだに労働力減少が顕著に出てまいっておりますね。こういう事情の中で、昭和三十六年の二月二十八日ですね、約十年近い前、まる八年ぐらいたっていますが、かなりの年数が経過してきましたが、そのときの閣議決定というものが、特にこの開発事業という性格のものに照らし合わせて妥当だと思いますか。これがまず一つ。  それからいま申し上げたように、最近の客観事情の中、特に労働力不足だと、こういわれている中で、この閣議決定を守ろうとしたならば、北海道開発庁開発局のいま行なわれている仕事昭和四十四年度の新規事業等々が、労働力が充足されて円滑に仕事が行なわれていくものであろうかということについてどうお考えになっているか、答えていただきたいと思います。
  41. 小山省二

    政府委員(小山省二君) いまお尋ねをいただきました問題につきましては、御承知のとおり、閣議決定の時期から見ますと、相当の時間がたっています。したがって、今日の北海道開発庁の実際に仕事をいたしている面から見ると、あるいは実情に合わないかも存じませんが、しかし、問題は、そうした時間でなくして、現在北海道開発庁が行なっている仕事の量によってこれは決定すべき問題であろうと私は考えています。したがって、三十七年の閣議決定によって四千名近い者が定員の中に繰り入れられた以後におきましては、そういう問題はないはずであるのにかかわらず、依然として二千数名の大量の定員外の非常勤職員がいるということは、少なくともそれらのことを端的にこの数字が物語っているのではないかというふうに私ども考えております。したがって、やはり現場の者がよくそういう点を行政管理庁に実情を説明し、そういう理解のもとにこの問題の解決をはかることが妥当だというふうに考えている次第でございます。
  42. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 適切な答弁をいただきましたが、もうちょっと具体的に答えてもらいたい。こういう判断でいいでしょうか、次官のいまの答弁ですね。とにかくこの開発事業量の問題が一つのポイントになる、こういうんですね。まさにそうなんです。事業のないのに人をつけるわけにいかないですからね。しかし、この二千人というどうしても欠くべからざる人ですね、こういう非常勤職員の数だけで中身を物語っているのじゃないかというその裏は、御承知のように、北海道は、先ほど開発局長が言ったように、つまり東北六県とどこ県とか言っておりましたが、わが国は小さいながらも、全日本の領土の四分の一に値するのが北海道の面積ですから、たくさん開発をせねばならぬものがあります。特に、このあいだの佐藤総理大臣の施政方針演説を聞いておりますと、北海道の場合は総合食料基地的な役割りを果たさなければならない。これは佐藤総理の方針を踏まえて長谷川農林大臣が言明したことですよね。したがって、事業量の問題になりますれば、年々歳々事業量が増大していくということは明らかですよ。同時に、広大な面積の中にありまする、たとえば、先ほど申し上げた河川の問題ですけれども、ほとんどが、北海道の場合は開発がおくれておりましたから、原始河川ですよ。ですから、将来この河川については改修を行なっていかなけりゃならぬという事業は、私が言うまでもなく、開発局長はよく知っておると思うんですね。総合食糧基地的な役割りというのは何か。政府のほうは、もう米は余っておりますから米をつくるのをやめなさいなんということを言っているんだね。そうすると、それにかわる総合食糧といったら、何でしょうかね。結局は、酪農をやるとか、家畜をやるということになりますな。そうすると、これは飼料が必要になってまいりますから、当然、草地開発、それが顕著にいま出ていますね。大規模草地改良というやつが出ている。こういう事業がどんどんふえていく、人はさっぱり定員化されない、ないから現地局長がたいへん苦労する、こういう実態にあるわけなんです。それをこの閣議決定は押えている。しかし、これは幾つかありますよ。報告をして行管が認めればというのがちゃんとここに書かれてありまするけれども、実態は認めていない状態ですね。したがって、これが完全に実施されるということになりますれば、いやおうなしに開発局は、先ほど局長も申されたように、短期のものをやりくりして行政を進める、事業を進める、こういうことになるですね。  そこで、政務次官、あなた方も認めて労働白書にも出ておりまするように、最近、人口問題も含めて、労働力が非常に不足している実態なんです。そのときに、何らの身分を保障しない、あるいは、賃金にしても諸手当にしても何らの生活し得るに足るようなものの保障のないところに、いま今日、ほとんど長期の常勤化をされたような技術屋、あるいはその他の職員でもけっこうですが、はたして充足されるような状況があるかどうか。私はないと思う。その結果が、あなたが申されておるように、数が示しておる。私は、数だけじゃない、質的なものに言及しているんですよ。十年も、あるいは六年も七年も、ずっと雇用されてきているんですよ。ただこの一片の閣議決定によって、年間にたった一日だけ休み、その間がつまりこの契約上の、何といいますか、解雇というんですかね。そういうただ便宜上、形式上とっているだけで、実態はつまり国家公務員たる定員化された職員とは何も変わらない仕事をしている。こういう状況の中で、この閣議決定というのは、何か金科玉条のごとき、これはこの紙に一枚きりですが、災いしているんですよ、現実問題として。そこで、これを直すためには閣僚会議でやる以外にないですから、これはあと関係の各大臣に来てもらってやりますが、きょうは、あなたには、そういう実情の中で、行管で行政上の監督をするのですからやりなさいと、やりましたならば開発局仕事ができると思いますかということと、それから国民が満足するような仕事がほんとうの開発局の機能が発揮できるような労働力が充足できるかどうかということを聞いているんです。どうでしょうか。
  43. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 御趣旨はよくわれわれも理解できるのでありますが、しかし、何といってもやはり閣議決定という一つの一線がそこにあるわけでありますから、北海道開発というつまりわが国の均斉のとれた国土開発という重要性についてはよく理解できるのですが、その閣議決定の線を無視しても国土開発を進めなければならぬということもなかなか困難でございますので、そうした重要性について関係者の理解を得てその決定の線を変更しない限りにおいては、やはり閣議決定の線に沿いながら全力をあげて僻地の開発につとめるというのが考え方ではなかろうか。したがって、私どもといたしましては、そういうきわめて少ない人員のために労働時間をこえるような職務状態になるということになりますれば、当然私どもの役所としてはそのことに対して関係各省意に注を促すというようなことができるのでありますが、現段階におきます範囲においては、私どもの役所としてはそれ以上の権限的な面がございませんので、やはり両省の話し合いによって善処していただくということに相なろうと考えております。
  44. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これは、次官にこれ以上のことを求めても、答えが出てこないと思うんです。ですから、これ以上は、あとの上田君の質問にじゃまになりますからやめますけれども、ただ一点私はあなたに申し上げておきたいのですが、あなたも佐藤内閣の労働所管の次官で、このあいだの佐藤総理大臣の所信表明、施政方針演説は十分御承知だと思うんですね。これは佐藤内閣の一つの大きな柱ですね、国土開発ということは。そういうことからいけば、この開発をするために十年ぐらい前のこのものが、もしかりに阻害しておるとするならば、これはこれとしても、運用で当然行政の衝に当たる人々はその起きてきた現象に対応し得る措置をとっていくというのが正しい国民に奉仕する態度じゃないでしょうか。そういうものじゃないですか。そういうことでしょう。しかも、さいぜんから申し上げておりまするように、この閣議決定というものは、一般論として国家公務員に対するいわゆる非現業に対する画一的な見解、統一された決定なんです。これ以外に五現業についてはそれぞれまた緩和された措置がある。そこで、北海道開発局事業の性格、事業内容、実態等々から考えると、五つの現業に直ちに当てはめるということはできないにしても、その実態は現業ですから、現業に準ずるような措置にここで改めるということは、さして至難じゃないと思うんですよ。これは佐藤内閣の柱なんですから、そういう意味で言っているんです。どうですか、次官、この見解は。
  45. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 御指摘のとおりだというふうに私も理解いたしております。本件につきましては、できるだけ私も大臣に伝えまして、閣議の線においてできるだけ善処できるように強力に依頼をいたす考えでございます。
  46. 遊佐志治磨

    説明員遊佐志治磨君) 先ほどのお答えが不十分でございまして、おわび申し上げますが、まず第一点の河川管理のことにつきましては、定員の純増は十二名ということでそのままでございます。そこで、先ほど、一例をあげまして、自動車運転手で相当年をとった五十歳ぐらいになった人たちを教育して、それを河川監視にするというのは、定員関係から申し上げますれば、行(一)の欠員の範囲内で逐次それを行なっていくということになりまして、行(二)の座ぶとんがそこであくわけでございます。五百名程度の自動車運転手で十カ月以上雇用非常勤がございますので、そういうものを含めて、そればかりではございませんけれども、それをあいた行(二)の座ぶとんのところに採用していくと、こういうようなことで、これ以上十カ月以上の非常勤職員がふえないように処理したい、こう思っております。それが一つでございますが、もちろん、先ほどお話に出ておりましたように、全体としての数の絶対数云々の問題は前提として一つあるわけでございますが、それは逐次また開発庁を通じてお願いしたいと思っております。  それから先ほど答弁漏れいたしまして申しわけございませんが、河川敷地におけるいろんなトラブルを一体どう処理していくかということにつきましては、これはお話がございましたように北海道河川は非常に自然河川のまま放置されておりますので、したがいまして、河川改修という工事も盛んにやっておりますけれども河川敷地の問題処理ということについてはまだ不明確な点がございます。それから私どもが引き継いでからまだ日の浅い河川もございまして、問題はたくさんございます。特に石狩川水系のような大河川におきましては、それの河川敷地の利用というようなこと、特に泥炭地帯の中を走っている河川敷地というのは、過去何千年来のはんらんによって沖積土の非常にいい土がそこに堆積しておりますので、地域住民としては非常に価値のあるところでございます。したがって、石狩川などについてはいろいろな問題があります、河川敷地の利用につきまして。で、これは一律にものを考えないで、そうして、部落単位なり、あるいは極端にいきますと個人の河川敷地を現在までに使っていた経営のあり方というようなものを、どういうように切りかえていったら経営をそこなわないで河川敷地は河川敷地として適正に使うというようなことができるか、そこまで私ども管理の点では詰めていってトラブルなくおさめてまいりたい、こう思っております。以上でございます。
  47. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あとの質問者の時間がありますから、本日の私の質問はこの程度にして、次回に残った問題をさらに本委員会で明らかにして、最終的には何らかの方策を見出したいと、こう考えます。したがって、きょうは人事院の給与局の方と労働省の方が見えませんでしたから、次回は、給与の関係、それから身分の関係、災害事故等々の関係について質問いたしますから、あらかじめこういう点を明快にここで答弁できるように準備をしていただくことを申し添えて、私の質問はこの程度にいたしておきたいと思います。   〔理事上原正吉君退席、委員長着席〕     —————————————
  48. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) 次に、上田君から質問の通告がございます。したがって、発言をこの際許します。上田君。
  49. 上田哲

    ○上田哲君 処女質問であります。木内原子力委員長以下たいへんむずかしい時間を御無理いただいているそうですから私も率直にお尋ねを申し上げるので、簡明率直にお答えをいただきたいと思います。  日本原子力研究所にひそむ危機と不安について、その一部を具体的に指摘をしながらお尋ねしたいと思います。  茨城県東海村の原研といえば、日本の原子力の平和利用研究のメッカとして、全国民の憧憬に似た敬意を集めていたと思うんです。ところが、この東海村の原研に、最近、たいへんだだならぬ雲行きが漂ってまいりました。その憂うべき危機——研究と安全と公開の原則の危機、それから特にその危機の中で来週の月曜日に行なわれる予定になっているようであります脳腫瘍の治療、この辺について、きびしい警告を人命尊重と安全の問題として提起をしたいと思います。  いま原研におります千六百人の研究者、これは安全の問題でこのままでは研究が続けられないということを一様に訴えておりますが、そうした人々でつくっている原研の労働組合は、このままではストライキをかけなければいけない、こういう決定もいたしております。これに対して、理事者側は、いたずらにこのところ処分を強行して押し切ろうとしている姿勢があるように見受けられます。むしろ、原研ということばから受けるイメージからすれば、私どもにとってはたいへん意外な感じがするわけであります。  そこで、まずお伺いをしたいのは、科学の粋を集めた原子力平和研究のメッカである東海村の原研で、ざっと目を通してみましても、特にこの三年余り、非常に事故が多くなっております。三年あたり前から急に事故が多くなったという原因についてはしばらくあとにおきますけれども、一体、政府側は、三年余り、一つの区切りがつくほどの期間に事故が目立ってふえてきた、その事故のデータをどれぐらいお持ちになっているか、ざっとでけっこうですから、御説明をいただきたいと思います。
  50. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) いま上田先生から御指摘のように、原子力の研究、これは非常に大事なことでありまして、いま東海村の原子力研究所で大いに勉強してもらっておるのですが、御案内のように、原子力の平和利用が非常に進んでまいっております。われわれの予想以上に速く進行していると思います。たとえばわが国の原子力船も国会で御承認を得て第一船が進水しようとしておりますし、発電のほうは非常に進んでおりまして、六〇年代になりますというと四千万キロワットというようなことになるわけであります。それと同時に、また、医療の方面に対するいま御指摘になりました問題などもありまして、各方面に対する需要が急激に拡大してまいっております。したがいまして、これに伴って原子力の安全性というものが非常に重大な問題になってきておりまして私どものほうにおきましても、原子力委員会にいろいろな御研究をお願いいたしまして、法律、制度その他におきまして万全を期してまいりました。平和利用もいい、医療に対する利用もいいが、何としても安全性を保っていかなければならない、こういうことで、いま申し上げましたように、法律、制度その他の面において極力努力いたしております。  いま御指摘のように、東海村でいろいろ事故があったんじゃないかというお話もありました。ところが、東海村は、御案内のように、原子力の平和利用を研究する段階でございまして、初めはアメリカから原子炉の型式を輸入しましてやっておったのですが、このごろ、いまお話がありましたのは、おそらく、新聞などに書いてあるのは、国産第一号炉の問題だろうと思うのです。これも御案内のように、輸入ばかりしておったんではいけない、自主開発をしなければならぬというので、原子力国産第一号炉をつくった。この目的は、原子力の研究開発、それから燃料に対する研究開発、また材料の研究開発、こういうことを目的といたしておりますので、既成のものを輸入してきた場合に比べますと、いろいろの失敗もときによってはあるわけです。それを調査し、審査し、また研究しまして、少しでもいいものにして、とにかく、原子炉、または燃料、材料を自主的のものにしようとして原子力研究所は努力をしておるわけです。したがいまして、いまも申しましたように、既成のものを輸入する場合と違いまして、ある程度の失敗というようなことはあり得る。しかし、それにもかかわらず、失敗しても危険を及ぼすようなことじゃいけない。安全性を保ちながら、失敗があったらそれを研究してさらにいいものにして、自主原子炉、燃料あるいはまた材料、この開発をしていくというのが原子力研究所の任務なんです。  そこで、私はそれだけ申し上げまして、いま御質問の過去においてどういうあれがあったかということは、こまやかなことでありますので、原子力局長から説明させます。
  51. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) ただいまの御質問でございますが、ちょっと詳細の資料がございませんが、大きなもので申し上げますと、JRR−Zという研究炉でございますが、これの火災事故がございました。これは報告の事故でございます。これは炉でございませんで、火災の問題でございます。
  52. 上田哲

    ○上田哲君 いつですか、月日を言ってください。
  53. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) ちょっといま数字を調べます。
  54. 上田哲

    ○上田哲君 四十三年七月の件ですね。
  55. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) それから原子炉安全にかかる問題じゃございませんが、現在のJMTR、材料試験炉でございますが、これの水漏れの問題、JPDRにヘアクラックの問題があり、いま検討中でございますが、そういうものがございます。それから最近は、JRR−3で、法的根拠からいきますと届け出にもなりませんが、一応わずかながら被曝をしたという事故が出ております。
  56. 上田哲

    ○上田哲君 原子力委員長の御答弁は、最初の御発言ですから、具体性がないのはやむを得ないと思うのですが、御趣旨のことは了解をするとしても、私が質問をしようとするのは、原則的に原子力研究がどのように進められており、原則的にどのような障害などがあり得るであろうかというようなことではない、きわめて具体的にお伺いをしたいわけです。それも、私は、若干の事故が出ているのかどうかということを聞きたいのではなく、もっとも根本的に安全の原則がいまの原研の中では保障されないところまで来ているということを事故の頻発からその本質までさかのぼってお尋ねをしたいのです。そういう意味では、これは特に委員長からお伺いをしないで、事故の資料を持っている原子力局長がけっこうなんで、原子力局長を指定したのですが、原子力局長のお答えは、驚くことには、いませいぜい三つでありますとのことです。この程度しかデータが出てこない、いやデータをこの程度しか持っていないということでは、はるかに離れた東海村原子力のメッカといわれる原研で、どのような事故が、しかも安全管理の欠如との本質的なつながりの中で起きているか、それが全く把握されていないということを申し上げざるを得ないのです。  責任当局が事故の資料をお持ちでないのですから、私のほうから指摘しましょう。私の手元にあるだけでも、この三年間、大きいところだけを拾いますと、四十年一月、研究棟で、倉庫内の表面汚染と空気汚染の発生。それから昭和四十年一月、研究棟で、タンクからの廃液の溢流。それから四十年一月に、ホットラボで、化学貯溜タンクのパイプから廃液が漏れて、床面汚染、作業員汚染。四十年一月に、プル研で、照射済みアルミニウムカプセルで数人の作業員が被曝している。四十年二月になると、セラミック特研で、JRR−3——これは問題になりますけれども——照射済み試料を研究棟へ運搬中に路上に落としたという事故が起きている。四十年二月、ホットラボで、床汚染。JRR−2で、照射プラグの修理作業中に被曝が行なわれている。四十年三月になれば、JPDRで、炉の運転中に作業員の一人がキャビティ・ルームに入って被曝している。四十年五月、JPDRで、圧力容器ヘアクラックを発見している。四十年七月には、JRR−2で、炉心から重水が漏洩している。四十年十一月には、JRR−3で、実験衣ポケットから汚染を検出。四十一年一月には、JRR−2で、気送管照射試料の取り扱い中に被曝が出ている。四十一年九月には、FCAで、PNSの焼損事故が起きている。四十二年六月には、VDGで、一〇〇キュリーのトリチウム放出事故が起きている。これはたいへんな事故ですよ。いまの御説明にはこんなことが落ちている。昭和四十二年七月には、JRR−2で、トリチウム放出事故が起きている。四十三年四月には、JRR−3で、破損燃料検出。いま御説明になったのは四十三年七月です。日付もお持ちになっていなくては困る。このとき、JRR−2で制御卓焼損事故。私は行って見ましたけれども、あれがまる焦げになっていました。いまもってその原因の究明も終わっていない。この日付を原子力局長が思い出すことができないようではたいへん困る。四十四年一月に、JRR−3で、人身事故。これは足の骨にひびが入ったということでありますけれども、偶発事故ではない。いま御指摘の四十四年二月、JRR−3で——これは十四日です——内部、外部被曝も出ています。  以上指摘したのは大きなところだけです。もっと申し上げてもいいです。一ぱいあります。原研の歴史の中で、この三年で事故の態様が急に変わってきた。申し上げるともっと一ぱいあるのですが、この辺、原子力局長、日付もうろ覚えで、事故数の概要も話されぬようでは、非常に困ると思うのです。こんなに事故が起きている。さっき、原子力委員長は、これは国産一号原子炉のことだろうとおっしゃった。いま私はJRR−3のことを言っているのではない。それ以前に原子力研究所全体でこれだけ事故が多発をしている。これはたいへんなことだと思うんです。私は、原子力研究所は完全無欠、絶対に事故があってはならないものであるなどということを申しているのではない。非常にむずかしいことを研究しているから、研究途上避け得ない事故があるのはやむをえない。しかし、そういう不可避な事故と、いま起きている事故とは、意味が違う。安全操業といいましょうか、安全施策が無視されているというところから起きている。これだけ大きな事故が続けて起きているということは、日本の原子力研究のメッカである原子力研究所のあり方としてはゆるがせにすることができないのではないか。この点について、原子力委員長からあらためてお答えをいただきたいと思います。
  57. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) いま上田先生から御指摘のように、いろいろな事故があっただろうと思います。私はその詳細は承知いたしておりませんけれども、私どもの役所にはそのいずれにつきましてもこまかな報告は来ていると思います。しかし、それに対しまして、さっきも私が申しましたように、こうい危険なものを取り扱うのだから、その安全性については万全を期さなければならぬ、こういうことで、そのおのおののもの、ものによって原子力委員会に諮問しまして、これはどういうふうにしたらいいだろうか、この安全を確保するためにはどういうふうにしたらいいだろうかということを一々詳細に諮問しまして、一定の規制をつくっております。そうして、理事者におきましては、この規制の基準に従って安全確保に努力をしているということだけは私は断言してはばからないのであります。  なお、詳細のことにつきましては、原子力局長から答弁させます。
  58. 上田哲

    ○上田哲君 資料をお持ちでないから、この辺のところを追及しても時間がもったいないので、先へ進みますが、一つだけ確認しておきたい。一番初めに原子力委員長がお答えになった趣旨からすれば、いま出てきた、少なくとも私が提起しただけの事故というのは、これは本来原研にあるべき事故ではない。当然防がなければならぬ問題だ。これは安全管理体制の欠如と本質的な関連がある。少なくとも原子力研究所においてこの程度の内容あるいは頻度の事故があるということについては、原子力委員長答弁としてはこれは研究を進めるためにはやむを得ないものであるという限度内ではなくて、はなはだ残念なことである、憂うべきことである、こういうことにならなければならぬと思うのです。ひとつ、率直に、一言でけっこうですから、もう一ぺん御答弁を求めます。
  59. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) いまお述べになりましたことも——先ほどおあげになったようなのは具体的ですけれども、あとでお述べになったのは抽象的なお話ですけれども、ごもっともな点でありまして、間違いのない安全性の基準はきめておるけれども、その基準に従って間違いのないように管理者あるいは運営者というものは努力をしなければならぬ、それは理事者だけでなく従業員すべてもその心がまえでやらなければならぬものと私は思っております。
  60. 上田哲

    ○上田哲君 けっこうです。もしそういうお答えがなければ、私は、諸外国の例を引いて、かなりの努力は認めますけれども——日本の原研はほかに比べるとかなり事故が多い、あるいは無理をしているという実態をお話ししたがったのでありますが、いまの委員長の御答弁は安全管理に真摯な態度というふうに受け取り、つまりこういう事故はないのが当然だ、これは非常に憂うべき事故であるということをお認めになっている。原子力局長も何回もうなずいておられますから、同様の御意見であろう、こういうことに了解して、私は一般論からもう少ししぼっていきたいと思います。  問題は、JRR−3であろうと思います。この国産一号炉は、昭和三十七年の九月に臨界に達しまして、たいへんはなやかにデビューしたわけでありますけれども、四十三年の四月四日に燃料棒の破損が最初に見つかった。こまかいととは全部省きますけれども、これが今日までに燃料棒の破損が十本に及んでいる。この印刷物を、局長、御存じでしょうね。これは、六八年七月に、ほかならぬ日本原子力研究所から出ている「JRR−3の概要と安全対策」です。この序文にたいへんいいことが書いてある。「原子炉の運転管理と運営の機構については、すでに運転中の研究炉の経験に基づき組織され、炉の運転管理および利用を効果的におこなうとともに、運転中の保健管理についても万全の処置を講じている。結論として、この原子炉の運転利用に際し想定される事故に対しては、充分な安全対策が講ぜられており、周囲に何らの危険ももたらすものではない。」と、これが序文に書かれていることばです。これは念のためでありますけれども、どちらの方でもけっこうですが問題はないですね。いいですね。
  61. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) この炉をつくりますに際しましては必ず安全審査を全部しまして、それでいいということで、いまの御趣旨のとおりだと思います。
  62. 上田哲

    ○上田哲君 その同じ文書の中に、六八ページに、「考えうる最大の事故」という項があるのであります。これも念のためにお読みします。「考えられる最大事故として破損燃料棒の検出が遅れ、被覆の破損箇所が増大しそこに含まれた核分裂生成物が重水中に溶けこみ、この溶けこんだ重水が地下室に洩れ出た場合を考える。」、これらが一番たいへんな事故だということを言っている。このようなことが起こったんですね。「破損燃料棒の発生はカナダNRXの実績によれば、年間数本程度であるからJRR−3の場合も、一本以上の破損燃料棒が同時に炉内に存在することは一応ないと考えられる。重水中に洩れ出る核分裂生成物の量の推定はきわめて困難であるが、カナダの最大の破損の例を考慮してもそのキズの大きさは、一〇cm、幅は五mm程度と推定される。」と、これがJRR−3で考えられる最大の想定される事故の上限であるということをいまお認めになったこの原研から出されている資料の中に書いてあります。局長、いかがですか。
  63. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) その資料は私ここに持ってきておりますが、そう書いてあるとおりでございます。
  64. 上田哲

    ○上田哲君 つまり、ここに書いてあることを簡単に申し上げますと、いまこJRR−3には二百四十六本燃料棒が入っているのでありますが、その二百四十六本の中で最大に考えられるのは、その中で同時には一本以上の破損棒というものはあるべきではないだろう、こういうことがはっきり書いてあるのであります。事実そういうことが安全基準に出ているわけでありますが、これは日本の安全基準が特にJRR−3には甘いのだということ、そのことはいわれておりますけれども、それは大目に見るとして、少なくとも原子力研究所がお出しになった公式の資料の中で、最大の事故の上限というものを、二百四十六本のうち一本以上同時に起こることはない、それ以上出たらたいへんだと言っているわけです。ところが、そういう基準で言うならば、いま、四士二年四月四日以来この二月に至る間に出ていますJRR−3の破損棒の実態というのは、その最大の基準の四倍以上という計算が立つわけでありますが、いかがでしょうか。
  65. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 上田先生、なかなかこまかに御研究になって、非常に敬意を表するのであります。いまお読みになったように、カナダのほうの基準というものは、もうカナダは相当進んでおりまして、相当進んでいるところの燃料棒についてそういう基準を置いていると思います。ところが、私さっき申しましたように、国産一号炉というものは、動力炉自体の研究開発だけではなく、燃料、材料の研究開発を目的としているわけなんです。そこで、御案内のように、三十七年に臨界に達したというお話がありましたが、当初は輸入の燃料棒をずっと使っておったのです。しかし、これでは、いつまでも輸入燃料棒を使っておったのではやはりいかぬから、国産にしようということで、四十二年の三月から順次国産の棒にかえていった。それで、それが、去年の三月に一本アルミニウムのおおいの管が故障を起こした。それから今日まで全体で七本故障を起こした。あと疑わしいものを入れまして十本、こういうことになっている。しかし、その間におきまして、一本に故障が起きると、すぐこっちのほうの計器にあらわれるので、すぐに取りかえる。同時に二本以上ということはないわけであります。ですから、これは、去年の三月からことしまでで七本あったのでありまして、それはこのごろ計器が非常に進歩しておりまして、一本に故障があると、すぐ出てきます。出てくればすぐ取りかえていますから、同時に何本もの故障をそのまま使っているというようなことはあり得ないわけであります。と同時に、いま申しましたように、われわれはいままで輸入してきたところの燃料棒を使っておったがこれではいかぬ、やはり国産にしなくちゃいかぬ、多少の失敗することはあっても——安全度はもちろん確保しますよ。多少の失敗することはあっても、順次これは国産にかえていこうというので、一昨年の三月からやって、去年の三月に一本出たわけです。それからあと今日まで七本、疑わしいものを入れて十本。しかし、いま申しましたように、一本一本計器にあらわれますので、すぐ取りかえておりますから、基準に合っているものと私は承知しております。  なお、必要があれば、詳細なことは原子力局長からお答え申し上げます。
  66. 上田哲

    ○上田哲君 たいへんなことを伺ったものであります。詳細は原子力局長からということですから、原子力局長と渡り合いたいと思いますけれども、ここに書いてあることはカナダの基準ではない。日本のJRR−3の基準が書いてある。カナダのこういう例を引いて、これは後ほど確認していただくが、日本のJRR−3国産一号炉の基準が書いてあるので、カナダはその傍証にすぎない。局長、いかがですか。
  67. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 日本の安全性を考える場合に考えた考え方だというふうに思っております。
  68. 上田哲

    ○上田哲君 まずそれが一点。  もう一点は、たくさんの燃料棒の中で、破損が一本出たらすぐ取りかえて、同時にたくさん出るものではないとおっしゃる。とんでもない。一緒に出ているから問題なんです。この辺のところが決定的なことです。こういうふうに横に並ぶか縦に並ぶか、根本的な違いがここにあるが、つまり事故の日付が横に並んで出てくるのじゃない。いま原子力研究所は安全な研究ができていないという問題が出ているのです。  そこで、三番目の問題として、原子力委員長がおっしゃったのは、計器で全部わかるとおっしゃるけれども、いま二十三チャンネルのうち五チャンネルは計器が満足に動かない。故障が出ると燃料棒を取りかえてとおっしゃるけれども、その新しい燃料棒がそのまきざっぽうがなくなっちゃっている。——まあ名前はよしておきましょう。メーカーにこれから発注なさるんでしょうが、きのう、きょうのところではもう間に合わないというところに現在来ております。そこのところを具体的に申し上げているのです。計器が全部正確になっているということ、完全に動いているかどうかということは、原子力局長、いかがですか。
  69. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 現在、七十六本はすでに使用を終了しており、四十四本が入っているはずでございますが、残りが百三十本ほどございます。四月からのデータで、燃料としてどう使うかということで、安全性を含めまして大体いままで六〇〇メガワット・パー・ディでいっておりますのを、いままでの実績経験から半分のところで使っていこうということで、いま半分で取りかえるという形で続行しているところでございます。
  70. 上田哲

    ○上田哲君 もう少し追及をしたいのですが、原子力局長は正直におっしゃってはいると思うが、半分しか正確には説明されていないと思う。そこで、逐次データのお話をしていこうと思うんです。つまり、国産一号炉は、あなたのおっしゃるようには動いていないんです。だから、もう一ぺん、ことばだけそこで確認しておきたいと思うんですが、順調に動いておりますか、局長
  71. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 順調にというのはなかなかむずかしゅうございますが、もちろん燃料の問題がございまして、それで検討しておりますが、たぶん原因その他の検討というのはまだ数カ月かかるんじゃないかと思います。その間につきましては、私のほうからもうできるだけ安全を考えて十分運転するようにということで、それを考えて、原研側といたしますと、順調に一応運転させてもらっていますと、こういう考え方で言われております。
  72. 上田哲

    ○上田哲君 全然順調に動いていないですよ。ほんとうなら、炉はいまとめなきゃいかんのです。ところが、全然とめないで無理やりにめくら運転をしている。この実情についてはいまおっしゃりにくいかもしれないが、私も別に野党が与党をたたくという意味で申しているんじゃないんです。原子力研究の健全な発展をということをこの場で促したい。ですから、政府答弁というものはそういうものかもしれませんけれども、これでは実態が出てこないから、もうちょっと私は数字で具体的に申し上げる。たとえば、昭和四十四年一月二十八日に——先月ですね——ブザーが鳴りました。御承知でありましょうけれども、燃料棒が破損すると、破損燃料検査装置、これは一億円もかかったそうですね、これによってブザーが鳴る。  一月二十八日からずっとここのところブザーが鳴り通しですよ。破損があったら鳴るブザーが鳴り続けていて、順調に進んでいるということになりますか。これから具体的に指摘をしますから具体的に答えていただきたい。  この一月二十八日に疑わしい燃料棒を検出して、一月二十九日に三本の燃料棒を交換した。ところが、これは破損じゃないことがあとでわかったのです、幸いなことに。ところが、燃料棒が破損でないことがわかったということは、いいように聞こえるけれども、逆に言えば、破損しているか破損していないかということさえもこの検査装置は明確に見分けることができなくなっているという点で非常に重要ですね。そうですね、局長
  73. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) ただいまの毎日ブザーが鳴っているという報告につきましては、私、ちょっとまだ聞いておりません。実は、私たちのほうもこの安全性については注目いたしまして、本日、私どものほうから調査に行かせております。そして、実際にこの内容調査をして、明日データが私たちのほうに参ります。現在のところ、ちょうどこの検査に入っているところでございます。
  74. 上田哲

    ○上田哲君 さらに具体的に申し上げる。二十九日に燃料棒を交換しまして、二十九日の夕方、正確に申し上げれば十七時四十五分から原子炉を再起動した。ところが、なお破損の疑いが濃くなったので、二十九日の二十三時二十二分に再び原子炉を停止して、一月三十日から二月一日までの三日間にわたって計三十六本の——三十六本というのは、燃料総数の七分の一に当たる。つまり、七分の一がたいへん破損の疑いがあったということなんですから、これはたいへんなことですよ。この三十六本の大量の燃料棒交換というものをしているわけです。  この交換によって抜き出された燃料のうち、二月一日に見つかった一本は、驚いたことに、二十五ミリの——二十五ミリというのは直径ですよ。直径二十五ミリが全部ぺろっと口をあけて肉眼で見られるようなものが出ているわけですよ。この資料によれば、最大事故は十センチと五ミリと出ていますね。これはもう明らかに二十五ミリがぺろっと顔を出しているというようなたいへんな破損が出ている。これはちょっと外国でもあまりないだろうと思うんです。そういう破損があって、その後調査の結果、三本の破損燃料棒が発見されたということになるわけです。  まだありますよ。二月二日にまた原子炉を再起動した。ところが、その日の三時半にまた破損の疑いが生じてきたので、またとめた。そして、二月三日にさらに三本の燃料を交換をした。  二月四日からまた再び動き出しまして、二月六日まで運転を続けたのでありますけれども、この運転は、破損燃料検出器の二十三チャンネルのうち五チャンネルが記録計の針が振り切れちゃった。記録計の針が振り切れちゃったんですよ。その事実はお認めになりますか、局長
  75. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) それは聞いております。  それからいまの破損のことでございますが、先ほど申し上げましたように、三〇〇メガワット・パー・デイになったときにいまの警報が出ております。それからこれを抜き取りましてテストして、取り出した中に、疑いのものが、はっきりした疑いのものといいますか、それが三本あったというのが現在の状況でございます。
  76. 上田哲

    ○上田哲君 振り切れたというのはお認めになった。ところが、これはさっき委員長が、計器は完全に動いて、破損部分があったらすぐわかるようになっておるとおっしゃる。ところが、二十三チャンネルのうち五チャンネルが針が一番上まで行っちゃって動かなくなっている。それだけ重水が汚れているわけですね。日本人にはなじみの深い第一次冷却水ですね。第一次冷却水が完全に汚れちゃっている。これは横須賀や佐世保だけじゃないですよ。原子力研究所の国産第一号炉の中がこれだけ死の灰で汚れているといったら、たいへんなことになってくるんです。つまり、振り切れてしまっているということは、重水が死の灰で汚れ過ぎて、測定が計器ではできなくなってしまっている。つまり、二百四十六本のうち、二十三分の五は疑わなければならないような状態にあるということになっている。これはたいへんなことなんです。五本や六本取りかえるとかなんとかということじゃない。だから、そのまま運転すれば、ほんとうに危険な状態になっていく。計器は、危険であるかどうかということをこれ以上測定できないわけです。  ところが、二十三分の五までいっているのに、そのまま、わからないままに国産一号炉JRR−3が運転を続けている。まさにめくら運転をしているということになるわけです。この資料によりますといまの計器の一番上は六〇〇CPSですね。計器は一本以上の破損が起きるわけはないだろうということでつくられているけれども、針が振れ切れちゃって全然これは用をなさなくなっちゃっている。これが日常の姿ですが、それもきのう現在、おととい現在という説明になると弱いから、一番新しいところを申し上げれば、ゆうべ現在で二チャンネルが完全に振り切れていますよ。そして、いま現在、二チャンネルが振り切れています。なんなら電話をかけてこの場でお調べになればいい。これは私ここへ出て来る前に調べてみたんです。現在二チャンネルが振り切れている。これは否定できないことだと思うんですが、どうですか。
  77. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) けさまだ私のほうは聞いておりません。
  78. 上田哲

    ○上田哲君 まだこれは調べができていないというならしようがないが、ゆうべ私が質問通告をしてから急に向こうへ調査官が行かれたはずで、もう少しこまかいデータが出ていると思うのですけれども、その辺のところは、後ほど資料をしっかりといただくことにいたします。  そうしているうちに、一番重大問題が出てきたのが二月十四日なんです。二月の十四日に、上野三安、梅井弘、まあ名前をあげる必要はないかもしれないが、五人の研究所員が御承知のように内部被曝を受けた。これが非常に重要であるのは、この内部被曝の核種は、ルテニウムとか、ジルコニウム、セリウムというような核分裂生成物であって、トリチウムや誘導放射能によるものではないということです。つまり、そのことの意味は、間違いなく燃料棒が破損をしていたということ以外には考えられないということが原因となっている内部被曝だということです。被曝の量は、この被曝した五人をヒューマンカウンターに入れて——そちらでその数字をお持ちだろうと思いますけれども、一々お尋ねするのは時間がないから、申し上げれば——七一から一三四ミリレム・パー一三週で、これはJRR−3国産一号炉でこれまでの最大の被曝量、かつ最多人数の被曝です。これはたとえば石原安全管理課長に聞いてみると、四レム以下だから心配はないというんですね。冗談じゃないです。私はABCCも問い合わせましたけれども、四レム以下だから心配ないということは言えない。まだ次の世代、その次の世代にどういうことが起きてくるか、人類は研究をしておらんですよ。少なくともこの程度の被曝であっても、いままで外部被曝は幾つかあったけれども、内部被曝というのでは最大のものである。多人数でもあるのだから、これじゃ原研の所員が研究ができないというのは無理じゃないだろうと思う。四レム以下なら問題ないというのは、とんでもない。ほかでレントゲンがちょっと漏れたなんということなら別だけれども、天下の原子力研究所の管理課長の四レム以下は問題ないというような発言は、たいへん問題が起きる。科学者として不謹慎だろうと私は思うのです。その点について御見解を伺います。
  79. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 私たちの聞いているところでは、三カ月で——今度の内部被曝でございますが、これが四五ミリ以下であった。ただし、いまの四レム以下とおっしゃったのはちょっとわかりませんが、私たちの基準でいいますと、三カ月で三レムだと、これは職業人でございます。という基準で、それ以下であるので、今度のやつは、幸い、内部被曝でございますが、事故といいますか、法的な事故届ということにはならないということでございます。
  80. 上田哲

    ○上田哲君 これは、将来どういう被害を五人のからだの中に及ぼすかということはわからんわけですよね。それに、ほかならぬ原子力研究所の中で、研究所員が、本人たちは言われたとおりの作業をして被曝したんですよ。命令する人が、これが考え得る最大の事故の限度をこえた事故であるということならば、別な方法でフィルターの交換をさせなきゃならないわけですね。ところが、全くいままでの通常どおりのフィルターの交換作業を命じたから起こった事故です。これくらいはっきりした事故はない。しかも、レムがどうのこうのと。これから先のことはわからんのですから、十分にこの点については原子力研究所管理者は責任を持っていくということを念のためにお答えをいただきたい。
  81. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 原子力研究所は、日本で唯一の原子力研究所でございます。そこがあまり事故を起こしたり、こういうことがあるということは、もちろん悪いことでございます。したがいまして、どういう基準がありましても、絶対こういう事故のないようにということは、われわれの常に原研で申しているところでございます。今度、大臣のほうから、特に原研のこういう安全管理等の管理方法、基準、これを十分見直して、早急にこの際安全に進めるように考えるようにということを言っているところでございます。
  82. 上田哲

    ○上田哲君 そこを私は納得しないんです。もうちょっとこれは厳重な問題きびしい態度で臨んでもらわなければ困る。  念のために、もう少しデータを申し上げましょう。重水フィルターの取りかえというのは、昭和四十三年中には五月と九月の二回しかなかったのです。本来そういうものですよ、重水が汚れていなければ。しきりに原子力委員長が、輸入ではいけないから国産にする、第二次燃料にすると言っておるけれども、その第二次燃料から問題が起きて、たいへんな事故が続いているわけですよ。そこで、四十三年には、五月と九月の二回しかフィルターの交換をしなかった。それでよかったわけです。ところが、ことしに入ってからは、一月十七日、二月十四日と、わずか一カ月の間に二回の交換を行なっているのですよ。これはどういうことかというと、それほど重水が汚れているということになるわけですね。それ以外の言い方はできない。もっと具体的に申し上げれば、二月十四日に取りかえたフィルターのそばでは一八レントゲン・パー・アワーです。これは数字をご確認になりますね。そのとき、二月十四日のフィルターのそばでは一八レントゲン・パー・アワーですよ。これを計算しますと、そのそばに二十時間人がいたら、それで死ぬのです。こういう状態の中に置かれて作業が進められている。管理者は、無知と言っては失礼かもしれないが、通常の指示をする。ここで起こる内部被曝というのは絶対に責任を持っていただくということでなければこれから先仕事はできないというふうに思うのですが、いかがですか。
  83. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) いまお話しのように、従来年に二回とか取りかえておったものが、今度はひんぱんに取りかえておるじゃないかと。これはお説のとおりでありますが、これはやはり計器類が整っておりまして、重水の汚染の度が進んでくるから、そこでフィルターを交換しなければならないと、こういうことで、従来よりもひんぱんに取りかえておる、こう私は承知しております。  ところで、世の中のことはすべてそうだと思うんですが、平生取り扱っておるときに間違いがないと、ちょっと油断をして、マスクをかけてやっておればいいのを、マスクをかけないでやるということがよくあるわけなんですね。それで、今回も、マスクをかけておれば内部被曝にならなかったものが、マスクをかけなかったというのが一つの大きな原因じゃなかったかと思うのです。そこで、いま原子力局長も言いましたように、いずれにしても、さっきから私が申し上げましたように、危険なものを取り扱っておるのだから、その安全性については、あらゆる場合に、理事者も、またそれを担当している人々も、慎重な態度をもってやらなければならぬということで、私からも原子力研究所の理事長に厳重に注意を促しておきました。今後は慎重にやるように、こういうことを言っております。
  84. 上田哲

    ○上田哲君 それが全然いけないんですよ。だから、フィルターを取りかえさえすればいいというもんじゃないんですよ。フィルターというのは、網目に死の灰をためるんですよ。これ以上使いものにならないから取りかえるのでありまして、これをこんなに取りかえなければならぬということは、死の灰が重水の中に一ぱい溶け込んでしまって重大な状態にあるということです。フィルターさえ取りかえれば重水は大丈夫だというようなことをお話しになりますけれども、これは単に歯どめでしかないわけです。そこが逆になっている。  もう一つ大きな問題は、国産一号炉のJRR−3の場合は、どんなことがあっても二本以上の破損棒が同時に二百四十六本の中には出てこないだろうという想定のもとにこの計器というのは取りつけられているんですよ。現在、推定によりますと、あの重水一CC当たり数十ないし数百ミリマイクログラムのウランが重水中にあると考えられている。いまおっしゃるのをここで論駁しますが、JRR−3は、自動的にスクラム・リバースが作動するようになっていないのです。ここが非常に重大なんです。これは、お答えになれなければ、局長から答えればいい。何かおかしくなったらぱっととまるというようなことにはなっていないんですよ。だから、その破損燃料検出器によってなるべく早目に破損燃料を交換する仕掛になっているんですよ、国産一号というのは。そこに問題があるんですよ。だから、破損燃料検出器というのが振り切れてしまっていれば、重水はどんどん汚れてくる。汚れてきたら自動的にとまってしまうというリバース形式がとってあれば問題はないのですけれども、この原子炉はそうではない。検出器によって早期に異常を発見して破損燃料棒を交換し、原子炉の安全を保つという方式になっている。この検出器が二十三分の五も振り切れているのでは、どうして安全が確保されていると言えますか。これさえ取りかえればいいという理屈は成り立たないことになる。どんどん振り切れている状態で運転を続けているとなると、ウランは重水系中を循環して繰り返し中性子によって照射され、このことによって重水のバックグラウンドが上昇し、したがって、破損燃料検出器はさらに振り切れるという悪循環を続けていくということになる。さらにこのままで行くと、破損燃料の検出が困難になり、破損の程度は大きくなり、燃料交換が不可能ともなって、JRR−3は原子炉としての役に立たなくなるだろうということがあの研究所で働いている人々の不安になっているのですが、どうですか。
  85. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) この点につきましては、いろいろなことが言われておりますので、先ほど申し上げましたように、私のほうで着実にこれをはっきりと見きわめたいということで、調査をきょうから始めておりますが、その点で十分大臣に申し上げまして、十分の措置をさせていただきたいと、こう思っております。
  86. 上田哲

    ○上田哲君 私は、与党、野党でいじめようというつもりで言っているのじゃないんです。原子力研究というものをもっと健全に総合的に発展させたいと思っているんですが、原子力局長のお答えも、初め非常によかったのですけれども、だんだん核心に迫ると、それ以上答えが出てこないようになって……。(答声)  それでは、私、外国の教訓を申し上げるけれども、イギリスに御存じのようにウインズケールの原子炉というのがあります。だれでも御承知の有名なことだけれども、これがモニュメント・オブ・イグノーランス——無知の記念碑という名前をつけて原子炉がコンクリートづけになっちゃった。これは英知だと思います。たまたま事故が起こって、五百二十キロも離れているロンドンで実に放射能が通常の二十倍になった。数字をよく覚えておりませんが、五キロ四方でしたね、局長、牛乳は全部発売停止になった。こういう事故が起きたイギリスというのは、モニュメント・オブ・イグノーランス——無知の記念碑という名前で直ちにこの原子炉をコンクリートづけにして、もうこういう失敗はすまいという記念碑をつくったわけですよ。これは一つのの英知だと思います。東海村はウインズケールより離れているから関係ないということは言えない。日本の誇りでなきゃならない東海村の原研が、特に国産のはなばなしき一号炉が、今日、モニュメント・オブ・イグノーランスになろうとしているわけですよ。ちっとも誇るべき状態ではない、危険な状態です。しかも、めくら運転を続けている実態はとめられない。これは国民の驚きだろうと思うのですよ。研究所だけが平然としている。  たとえば、動力用試験炉がありますね、JPDRの場合は、圧力容器にひび割れが生じたことがありましたね。これには原子力委員会なり通産省なりが全部で圧力容器にひびが入っているだけでも運転をやめなきゃならんということで、JPDRの運転をとめたことがあるでしょう。そうでしょう、局長。今度の場合は、圧力容器どころの話ではないんですよ。重水の死の灰の汚れが破損棒検出器では二十三分の五も針が振り切れるほどにまでなってきて、フィルターも一月に一ぺん取りかえなければならぬような状態になり、燃料棒の破損の数は最大の想定事故の基準よりも四倍以上の数に日常的に及んでいる。しかも、あとは投入すべき補助燃料棒までないという状態まで来ていて、これはもうJPDRの次元とは話が違う。当然これは英知をもって運転を直ちに停止して、安全についての十分な検査を行なわなきゃならんというのが結論の一つですが、いかがですか。
  87. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 重大な事故という考え方でございますが、重大な事故の場合には、やはり汚染された重水が外に出るということが一番重大な事故だと思います。それで、その点、きょうも話題になっておりますが、いままで私たちの知る限りにおきましては、まだその汚染された重水が外へ出ているということはございません。したがって、現在のところ、燃料の半分のところで運転を認めておりますが、十分これから調査さしていただきたいと思っております。
  88. 上田哲

    ○上田哲君 データがほとんどないから、議論しても私がデータを教えているだけのことです。皆さんのほうが管理者ですから、これは私のデータが十分でないかもしれない。しかし、この辺のところは、国民の名において、科学の名において、もっと徹底的にただ一つの事実を確かめなきゃならん。私のデータでは危険であるのですから、危険であればとめなきゃならん。政治的に足して二分の一という判定はこの中にあってはならない。責任ある判断でいえば、当然炉の運転はとめなきゃならんというのが、原子力委員長なり原子力局長の科学者に対するあるいは科学に対する立場であるだろうと思います。ところが、答弁資料がないので、抽象的な言い方しかできない。今日ただいまの事実を探るために、運転日誌を御提出願いたい。いかがですか。
  89. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 一般的なお答えをするわけですが、いろいろな点について非常に危険があるというお説、いろいろございました。そこで、私どものほうでは、現在、いま局長の申しましたように、立ち入り検査をきのうからやらしておるわけであります。その結果を、原子力委員会、まあわが国におきましては最高の権威者ですから、そこへ報告をいたしまして——きょうからやっているのですが、その結果を報告して、原子力委員会の判断にまってこれをきめたいと思うのです。
  90. 上田哲

    ○上田哲君 その御答弁について質問を留保しておきますし、それから運転日誌は御提出願えますね。いまでなくていいんですよ、後の機会でけっこうですから。
  91. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 運転日誌といっても、御満足なものが出るか検討さしていただいて、できるだけのものを出させていただきたいと思います。
  92. 上田哲

    ○上田哲君 運転日誌が満足のいくものが出るかどうかわからぬというのは、私はことばじりはとらえませんけれども、重大な問題ですよ。運転日誌は当然きちんとついておるものと私は確信いたしておりますが、いかがですか。
  93. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) ちょっと待ってください。発言する前に、きのうの本院の本会議で、佐藤総理大臣は、自今質問者に対する資料は提出することを答弁していますから、そういう不安定のような答えでなくて、明確に質問者に答える意味で答えてもらいたい。答弁者なり政府関係者に委員長として申し上げておきます。
  94. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) まことにいまの答弁があれでございますが、実は途中に原研がございますので、私のほうはいまその意味を申し上げたわけでございまして、原研と十分相談して早急にはかりたい、こういうことでございます。
  95. 上田哲

    ○上田哲君 私は、まさか原子力研究所に運転日誌のまともなものがないなんというずさんなことがあるとは信じませんから、これはひとつ国会調査権に基づいて正式に十分な運転日誌をお出しいただきたい。  そうして、これは、先ほど委員長お話がございましたけれども、念のためにもう一ぺん伺いたいが、総合的に国民的立場における科学の立場でありますから、運転日誌を資料として十分に検討の上で、今日、安全性の問題、あるいは原子力研究の十分なる発展のために、JRR−3の国産一号炉を停止すべしとの判断をお持ちの場合には、直ちにとめるということをしっかりお約束いただきたいと思います。
  96. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 私は、原子力関係のことは非常に危険なものを取り扱っているのだから、この安全性ということはあらゆる場合に第一に考えなきゃならぬということは、先ほど申し上げたとおりであります。私はそのとおりに信じておるのですが、それにつきまして、いまお話しのように、私どもで立ち入り検査をして、その結果を最高の権威者であるところの原子力委員会に報告して、そうして原子力委員会においてこれが危険だからやめるべきだということになれば、これはどう考えようとも当然とめるべきものだと私は思っております。
  97. 上田哲

    ○上田哲君 原子力委員会という権威は、最高の科学の責任者だというふうに理解をいたしますならば、いま委員長が言われたように、科学の立場で、今日の危険な状態の上に立って具体的な資料を確かめた上、研究と安全のためにはとめ得る、とめる、こういう決意だと理解をいたします。  そこで、私は、話を先に進めたいのでありますが、実は、今朝来、たいへんにぎやかに、アメリカの五十三歳のハリウッドの俳優あっせん業の方を、この問題のJRR−3国産一号炉によって中性子捕捉療法を行なうということが出ております。私が今日の委員会質問をすることになったら、突然きのう夕方にこの計画が新聞発表になったので、どういうことかといきさつを疑ったのです。たいへんおかしい。念のために申し上げておきますが、これは、日本人であれ、外国人であれ、日本の原子炉を使って不治の病、困難な病の治療が行なわれるということには、賛意を表しますし、そのことにはできるだけの協力をすべきだということをあらかじめはっきり申し上げておきます。ただ、その上に立って結論を申し上げれば、これほど危険な、いまもお話しのように、危険があったらとめにやならぬという状態に来ているとわれわれが考えている、そういうふうな驚くべき危険なJRR−3、残念なことですけれども、そういう状態の国産一号原子炉を使って、わざわざ外国の人を中性子捕捉療法を行なう、これは私は非常に問題があるだろうと思うのです。  こまかいことを聞いていると時間がどんどんなくなりますから、少し先へ進みますけれども、ここでどうしても聞いておかなければならない幾つかの問題があるのです。その一つは、手続の問題です。御承知のように、これは、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律という法律に基づいて原子力委員会に使用目的の変更について申請をしなきゃならんということになるわけです。これは去年の夏から秋にかけて、——実際には秋だったけれども——七月の十九日に東大の医学部の脳神経外科から申し出があって、例の二十九歳の御婦人の治療について許可がおりた。結果的にはお亡くなりになったけれども、かなり長い期間がかかって許可になったわけです。これは使用目的を構造上の変更をして条件に合わせなければ許可はできないわけですね。そういうことでたいへん長い時間かかって許可がおりた。それで、たとえばだれかが急にふいっと外国からやって来て、じゃよかろうということでは許可にはならない問題なので、第一回目のときは、そのいきさつが、たいへんオープンにというか、あからさまに議論がなされているんです。けれども、今回の場合は、変なところからいろんな話が出るとみえて、ハリウッドの大富豪であるとかどうとか——これはこれ以上問題にしませんけれども——このハリウッドの大富豪なる人物がもうすでに東京大学に来ていますね。頭はもう切開していますよ。その切開の終わっているアメリカの人から、今度は、いろんな条件の構築が必要であるのに、急拠きのうになって全く突然に申請が出たということになり、しかも、すぐ許可になる見込みで、そうして、これは発表されておりませんけれども、来週の月曜日にはその治療を始めるということになっている。この辺のところは非常におかしいと思うんですよ。どうおかしいかといえば、まあ時間がだんだんなくなりましたから、こまかいことはやめましょう。とにかく、そういう順序が、たとえば去年の八月のあの二十九歳の婦人の場合と比べると、手続的には全くさか立ちをしている。そこがまずわからない。これは本来の原子力研究所の目的ではない、治療のためにつくったのじゃありませんから。原子炉はそのためにつくったのではありませんから、本来の目的ではないけれども、それを医療に使うのは悪いのではないが、たいへんこのごろ危険が増大している一号炉を何でそんなにしてまでこの目的に使わなければならないのか。原研でその危険や経過をおおい隠すようなことは、本来、原子力基本法第二条の公開の原則というものが原研内で非常に危うくなっているということの一つの証左ではないか。ほとんど現場に知らされずに——こういう外国人だから文句を言うわけじゃないんだということはさっき申したけれども、しかし、何か外国人の大金持ちがぱっと飛び込んできて、まだ日本の国民も使っていない原子炉を使う——それが原研の職員にほとんどつまびらかにされていない。国民にもつまびらかにされていない。ここのところが、やはり原子力研究の公開の原則がおかされているという一つの証左ではないか。そういう観点でひとつ伺いたい。
  98. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) いまお話しの点、多少誤解があるように私は思うのですが、実は、いまお話しのように、原子炉JRR−3、これはもともと医療のために使うのは目的のうちに加わっておらない。しかし、いまお話しのように、病人が出て、脳腫瘍をこの放射線によってなおすことができるということになれば、これは偉大なことなんです。そこで、東大の医学部と原研とが相談しまして、そしてその安全性についていろいろ研究しておった。そこで、その研究した結果、これならいいだろうということで、二十六日に、こちらのほうに、さっき申しましたように、一号炉をそういう目的に使ってもいいかどうかということの申請書が出てきたわけなんです。そこで、いまお話がありましたように、しかしいろいろ安全性の問題もあるから、私どものほうは直ちにこれを原子力委員会にかけて認可するようなことはいたさない。そこで、まずきょうから立ち入り検査をやって、それで安全性をわれわれがよく確認をして、しかもその材料も提供して原子力委員会の御審議を願って、しかる上にわれわれのほうが認可をしよう、もしよければですよ、そういうことでやっているので、二十九日であるとか、いつ原子力委員会にかけてやるということは少しもきまっておりませんが、新聞は何か多少想像もまじえて発表しておりますから、手続の上から言えばそのとおりです。  しからば、なぜ認可しない前にいろいろなことを研究しておったかというと、それはやはり東大の医学部としても、安全性、病人に及ぼす影響その他を考えなければならないから、安全性について原子力研究所も十分に調査をし、研究した結果、これならいいというので、二十六日に、それじゃ医療に使ってもどうでしょう、よろしゅうございますかといって申請書を出した。私どものほうは、すぐにイエスとは言わないで、まずきょう立ち入り検査をして、よく調べて、いまお話のあったようないろいろなことがあるから、立ち入り検査をして、安全性その他についてよく調べて、そうしてしかる後にその材料を原子力委員会に、それはいつになるかわかりませんが、その調査結果を出してやろう、こういうことになっておるので、いまお話しのように、あしたかけて、あさって許可する、あさって手術をするのだというようなことは考えていない。その点は、ちょっと誤解のないように願います。
  99. 上田哲

    ○上田哲君 私のほうは誤解ではないのでありまして、委員長のほうが逃げ……
  100. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) なお、原子力局長に……。私、向こうの科学技術委員会に出なければなりませんから、いずれ……。
  101. 上田哲

    ○上田哲君 結論はどうしても原子力委員長に伺わなければなりませんから、お待ちしていますから。  退席された直後で悪いけれども、いまの原子力委員長の話はまるきりめちゃくちゃですよ。私はどうしても許せないのは、私自身の魂の分野の一つであるから特に申し上げるのですけれども、自己の発言の責任を放棄して、新聞がいいかげんなことを書いたなんということを断じて言ってもらっては困る。これについては「新いばらき新聞」のことをあとで申し上げようと思っているのですが、ジャーナリズムはそういういいかげんなことは言っていません。新聞がミステイクしたか正しかったか、これははっきりしてもらわなければならない。はっきりしなければ、これは記者クラブがやるでしょう。  これはここではっきり申し上げたいのですが、明らかに二十六日の申請なんていうことはおかしなものです。二十六日夕まで申請がなかったのに、私が質問申請をしたら急に話が変わったのでおかしいと思うのですが、この辺は妙な勘ぐりということになりますからやめますけれども、だから話のつじつまが合わない。いつ治療を始めるとか始めないということはまだきまっていないということを平気で言われちゃ困るのです。来週の月曜日に治療を始めるじゃありませんか。東大で頭を切っているじゃありませんか。これはどうなんですか。
  102. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) いま先生おっしゃいますように、東大と原研が打ち合わせを相当やりまして、それで二十六日に私のほうに申請が出ました。そのときの打ち合わせのときの希望としていまみたいなニュースが出たことになるのではないか、そう存じております。しかし、向こうからの申請そのものには、いっそういうことをやってくれ、何日にやってくれ、そういうことはございません。これは、申請してきたものを、先ほどのように、総理大臣が許可する場合に、その使用の目的の変更については原子力委員会の意見を聞くということになっておりますので、その意見を聞かなければいけないわけでございます。その点の日程の問題につきましては、われわれのほうがきめて進めていかなければならない。その点で、向こうの希望とこちらとの関係で当然これからやりとりがそこに起こってくると思いますが、現在は、先ほど大臣が申し上げましたような順序で、今度私どものほうに申請が出ましたので、十分慎重にはかっていきたい、こういうことであります。
  103. 上田哲

    ○上田哲君 そんなことを言ってもらっちゃ困るですよ。それじゃお伺いするけれども、いいですか、原子力委員会に御決定願うなんていう形式的なことを言うなら、私はまた資料を繰出して質問しましょう。冗談じゃない。そんなことを言う必要はないんです。ずばり来週月曜日にやることになっていると言ってくれれば、よけいな時間を使いません。それじゃあ申し上げましようか。  第一に、JRR−3国産一号炉の部屋には、すでにコリメーターの準備が完了しているじゃないですか。第二に、から部屋の中が見られるように、テレビカメラの設置もきのうまでに終わっているじゃないですか。何でこんなに急ぐ必要があるのですか。全部そういう準備は終わっているじゃありませんか。そういう準備が徹底的に済んでおって、すでに患者のほうは頭を割って待っている。来週の月曜日にやることは自明の理じゃありませんか。それを、原子力局長のほうにまだ報告が来ていないなんていうことを言われるのは困るんですよ。どういうわけですか。
  104. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) いま先生が具体的に二十六日というのは、向こうの希望としてのニュースとしては確かに聞いております。しかし、私どものほうは、これを受けて、それからさっきのJRR−3の問題もございますし、その点で慎重にやるということで、向こうの希望を完全に私どものほうで受けたということにはなっておりません。
  105. 上田哲

    ○上田哲君 それは、それしかないんですよ、日にちからいえば。そういう準備が着々と進んでいるというのは、これは上で判をついている人にはわからぬかもしらぬけれども、実際に動かされている人は完全にわかる状態になっている。予算がどうも伸びなくて、人員もだんだん削減されている。今年度は十八人じゃないですか、増員は。原子力研究所はわずかに十八名の増員でしょう。予算も人もほとんど隣の動燃団に食われるとかなんとか言われているところで、なにもテレビカメラをやったり、電話を入れたり、どうですか、新聞記者をいっぱい集めて発表するような派手なかっこうばかりどんどんつくり上げる。こういうことは、私はこの奥の問題が問題であるということを指摘したいのです。国民の目の前に十分に明らかにされずに、報道関係にも十分に明らかにされずに、しかも、現場の働いている研究者にも、はっきりしているのは、何日実施という日にちだけです。その何日は、もう出ているじゃありませんか。三月三日は月曜日じゃありませんか。このことは、あとでつい間違っておりましたでは、もう一ぺん次に質問をしなければならんから、その点についてどうお考えであるか、確認しておきたい。
  106. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 私たちのほう原子力委員会は、まだ——きょうやることになっておりますが、きょうの原子力委員会にはかかることになっておりません。もちろん、原研とわれわれのほうとの動きで、もしも万が一、三日にやるということになりますと、原子力委員会を臨時に開かなければならぬことになりますから、その点において、いまのところ、どうなるかというところまで、やりませんということには申し上げられませんが、いまの様子でいきますと、三月三日は、もちろんこれから向こうの希望その他を全部調整いたしますけれども、間に合いかねるのじゃないかということでわれわれ心配しているところであります。
  107. 上田哲

    ○上田哲君 いいです。それ以上追及してもしょうがないですから、私は、具体的なデータで、このあと、きょうお答えなかった分についてはきょうの分をあわせて御質問申し上げようと思います。  次に、退席されたけれども、原子力委員長が御説明になったのは、実施の日程についてはきょうの、あすのというのではないということと、もう一つは、十分な治療内容についての安全の打ち合わせを行なっているというお話ですが、十分な安全の打ち合せを行なっているというならば——これは又してもスケジュール上おかしいことになるがそれはそれとして——ではどういう点が打ち合わされているかということを私はちょっと伺いたいんです。それは根本的に危険だということを申したいからです。原子力研究所、原子力委員会は、どういう権限と見識と地位づけにおいてこの脳腫瘍の中性子捕捉療法を行なうかということを私は具体的に聞きたい。たとえば、一番重大な問題は、アメリカではこれまで六十二例ありますが、六十二例がすべて失敗したのは何が理由ですか。
  108. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 私、専門家ではございませんが、ホー素を中に入れて、そのそばに置いて、それに中性子が当たっていく。私なりの感じでは、そのホー素がうまくそのそばに行っていなくて、それでほかのところに当たるという場合もございましょうし、その点のところが十分今度の東大等で研究されていると考えております。
  109. 上田哲

    ○上田哲君 それは違うんですよ、六十二例のアメリカで失敗した主たる原因は。あなたのおっしゃったのはそれは成功をした理由です。ホー素に集まるんですよ。畠中さんが成功した去年の症例も、これで成功しているんです。ほかのことはともかく、成功例とわれわれは認めていいと思うのです。これは成功のほうの理由です。失敗の理由は、そうじゃなくて、中性子はそうなんですよ。ところが、実際には、原子炉からは、中性子だけでなくて、ガンマ線とかその他の有害な放射線が出る。その副作用が、結果的には、こぶはどろどろ溶かすことができても、それ以外の組織を破壊し人体がもたなくなるというのが、簡単に言えば六十二例アメリカで一生懸命やったけれども成功しなかった理由なんですよ。その辺のところが十分に乗り越えられるかどうかというのは、日本の医学の問題ですよ、モラルを含めて。そういう点でいまはアメリカでは脳腫瘍の原子炉治療はやらない。アメリカがやらないところへ、日本では去年こういう治療例があったからというのにアメリカから大金持ちの患者がやって来たということになれば、なるほどわが国の原子力開発はアメリカに比べてもすばらしいのだと話は通じてしまうでしようが、そこのところが問題なんですよ。非常に問題になることは、畠中さんの治療は腫瘍については成功したと私も評価するのですが、この場合でも患者はあの原子炉で王禅寺のほうのやつで二〇〇レムの被曝を受けている。四〇〇レムが致死量でしょう。そういう側面というものを十分にコントロールすることができなければ、こぶをどろどろに溶かすことには都合がいいだろうけれども、人体全体の管理ということになれば、あしたにも死んでしまうんだから、死ぬ前にお経のかわりにやってやろうという乱暴なことになってしまう。それは実験であって医療ではありませんから——そういう御答弁はしないと思いますけれども、どうせ死ぬのだというのは安楽死の問題と同じですよ。医学のあるべきモラルということからいっても、その副作用の部分が完全に解消されなければ——あるいはそれはこの同じ委員会で問題になるかもしれない臓器移植法の問題にもなると思うけれども——その部分というものが解明されていなければ、いたずらに科学の進歩とかいって中性子捕捉療法ということを進められては困ることがあるわけですよ。そういう問題が、十分に国産一号炉RRJ−3でもって検討をされた結論が出ているのかどうか、その辺を伺いたい。
  110. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 先般畠中先生がおやりになりました実験、それは確かに先生一つ判断力をお持ちだと思います。もちろんその判断力は私らにも使わしていただきます。ただ、それに合うようないまの遮蔽がどうなっているか、そういうところの問題等について原子炉が医療に使えるかどうかという点が一番問題でございます。それにつきまして現在いろいろございますので、立ち入りして向こうの考え方をいま調べているところでございますが、それで判定をさしていただきたいという形で考えております。
  111. 上田哲

    ○上田哲君 確認をしたいのですが、原子力委員長は、原研のほうと医者のほうとこの副作用の問題、被曝量の問題、これについては十分打ち合わせをして、十分な安全の打ち合わせがあった上でOKするんだとおっしゃる。そうすると、OKということになると、この部分については完全に医学的な科学的な見通しがついた、了解がついたということにならなければならぬはずですね。
  112. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) そこは原子力委員長としての判断としての考え方でございますが、もちろん、その間には、畠中先生等の医師の判断を信ずるか信じないか、そこへ関係してくると思います。したがって、原子力委員長としての判断をする場合に、畠中先生のいままでの実験例、それから意向、それを信じ、それから私たちのほうの機械の整備、その点の両者で判断をして進める以外にはないのじゃないか、こう思っております。
  113. 上田哲

    ○上田哲君 それは逆なんですよ。畠中さんは医者ですよ。東大の先生は医者なんですよ。いいですか。その中性子以外にガンマ線なり何なりがたくさん出るということを原研以上に知っている人が一体日本にいるなら、あげてごらんなさい。そのために原研があるのじゃないですか。そのこと自体を研究しなければならない炉を、医療用に転用ということになる。そうなれば、医療のために必要だという判断を医者がすれば十分だというわけにはいかない。それについて医師の見識を信ずるということじゃ不十分だ。私はここではっきり言いたいのだけれども、医者が何と言おうと、原子力研究所のほうでは、このJRR−3で中性子以外の副作用を起こさないという確証がとれるかどうか、これはあなた方が向こうに教えなければどうにもならんことですよ。向こうはわからんのですから。わからんと言っちゃ失礼だけれども、あなた方の見識によって処置すべきことだから、だからその関係がどうなのか。もし副作用の心配ありとしたら、この危険な中性子捕捉療法はおやめになるかどうか、そこをはっきり伺いたい。
  114. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 先ほど私は医師と申し上げましたが、もちろん医療の関係として御意見を聞くわけであります。それで、それの意向、どの辺に当たっちゃいけない、こういうことが出ますと、それにつきましてはもちろん原研側はそれを保証する、だいじょうぶでございますと、その見当でおさめなければならないと思います。その点でどうにもこれがおさまりませんでだめでしたら、当然これは使用許可をするわけにはいかない、こう考えております。
  115. 上田哲

    ○上田哲君 そうすると、原子力局長はこれがそういう基準に合致するかしないかについては、まだ見解をお持ちになっていないわけですね。調査中というわけですね。
  116. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) もちろん、いままで少しずつの、こういうことが起こるということで予備知識は持っておりますが、きのうの申請でございまして、きょうから初めてやりますので、私はここでそうだという判断はまだしておりません。
  117. 上田哲

    ○上田哲君 きのうの申請だといって逃げるのは一番ずるいのだ。そのずるさは許さないけれども、時間がないから先へ行きますが、いま見解はお持ちでないなら、それを認めましょう。聞きたいことは、どうしてもここで、許容量をこえており、危険であるということになれば、打ち切るということは確認できますね。
  118. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) さよう心得ております。
  119. 上田哲

    ○上田哲君 時間が制限されておりますから、私も急ぎます。申しわけないけれども、急いでやっていただきたいと思うのですが、これはいま一般論です。ところが、ここで問題なのは、JRR−3は、さっきから何べんも言ってきたように、あなた方が原子力研究所がお出しになった想定される最大の事故基準を四倍もこえておるという危険な状態にある。針がまるっきり振れ切ってしまっている。破損燃料検出器の二十三チャンネル中五チャンネルは重水が死の灰で汚れ過ぎているということですよ。これで炉の運転が一体できるかできないかというもう一つたいへんな問題になってくる。いろいろな想定される事故がありますよ。ありますが、もう時間がないから結論だけ申し上げる。とまっちゃうんですよ。これはとまっちゃう心配がある。あるいはとめねばならないという状態に立ち至る。二百四十時間が一つのサイクルですね。それからすると、いま非常に無理をして燃料棒のたくわえがないのにやっているんですから、これは非常にあぶなくなる。とめなければたいへんなことになる。こういうめくら運転のJRR−3では、いま言った中性子捕捉療法というものの内蔵している根本的な問題のほかに、そもそもJRR−3それ自体の機能としてこれはどうしてもやれないだろうという見解が立つのですが、どうですか。
  120. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) それは、先生、そういう見解が立つだろうかどうかと言われましても、私のほうは一応これをやれるかどうかという検討をさせていただきたいので、その際に御返事さしていただきたい。現在、ここで、とめちゃったほうがいいじゃないかという見解は立たないだろうか、こう言われましても、まことに申しわけないのですが、あまりここで明快な御返事はできません。
  121. 上田哲

    ○上田哲君 そうなりますと、申しわけないことですとみずからおっしゃるのだから、武士の情けでこの頃の追及はこのあたりにして、データを早急にそろえていただくようにしていただきたい。さっきも、新聞が勝手にどうのこうのと書くのでとおっしっゃたけれども、それは新聞に対する侮辱である。新聞発表にももう少し責任を持つようにしていただきたい。そして、きのうはああいうふうに脳腫瘍のために炉を使うと言ったけれども、きょうよく考えてみたらやっぱりやめたほうがいいと言い直すくらいの勇気がほしい。こんな使い方ではJRR−3もモニュメント・オブ・イグノーランスになるかもしれないという結論に到達したことで了解しておきます。勇気をお持ちください、やるほうにも、とめるほうにも。  さて、そこで、原子炉があっちこっちにたくさんある。たくさんある中で、わざわざよたよた運転をしているJRR−3を選んだということ、これが重要なんですね。東大で頭を開いて、車で友部の県立病院まで運んできてそこで頭蓋骨をはずして、それから東海村へ持っていく。こんなことをしたら、普通の患者だったらいっちゃうかもしれない。こういうたいへんなことをして東海村へ患者をわざわざアメリカから連れてくるのは何かというと、国産一号炉の中性子束が一〇の一三乗ニュートロンと出力が非常に高いということです。王禅寺の場合の一〇分の一の短時間でやれる。ところが、この国産一号炉がよたよた運転していてとまっちゃうかもしれぬ、いやとめなきゃならぬかもしれぬ。そしたら、患者はどうなる。それが問題です。かりに燃料破損が発見されたとしても、燃料棒一本取りかえるのに一時間かかる。そういう不安な状態が起きることが想定されれば、当然やめますね。
  122. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) 長官が答えたほうが、時間的にも、そしてまた答弁も的確だと思いますから、科学技術庁長官から答弁してください。
  123. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) いまちょっと席をはずしましてたいへん失礼いたしましたが、さっきも申しましたように、この患者の扱い方については、東大と原子力研究所とこの安全性について相当長い間いろいろ研究し調査をした結果、これならいい、ひとつ目的に加えてやりたい、こういう申し出があったわけです。そこで、私どもは、東大におきましてもこれならやれると、こう見たものと私ども思いますけれども、しかし、それだけで私ども直ちに認可をするわけにはいかぬ。そこで、いま立ち入り検査をやらしていろいろ調べて、そしてその結果を原子力委員会にも報告資料を提出して、その判定を待ってこれをきめたい、かように思っておるわけでございます。
  124. 上田哲

    ○上田哲君 まあ長官は中座されたんだから、脈絡が一致しないのはしようがないけれども、そういう段階じゃないんです、話は。話は、長官おっしゃるように、まだ許可するかどうかわからぬとおっしゃっているけれども、段取りからすれば許可まで来ている。患者は完全に頭を開いている。そこまで見れば、十分に話は詰めてあることになる。ところが、原子力局長に具体的にお伺いしたけれども、はなはだ申しわけないけれどもというおわびがあって、詰んでいないということになった。詰んでないということになると、検討不足で患者を殺すということは、とめなきゃならぬじゃないかというところに来ているんです。だから、こういう場合は原子炉をとめなきゃならぬだろうねということをいま申し上げているんです。それは人道上から当然とめなければならぬということをイエスとおっしゃればそれで済むんです。
  125. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 私は、ものの運び方は、今日まで、私から御説明申し上げたとおりでありますが、やはり人命にも関することでありますので、危険でどうしてもいかぬということになれば、これはやむを得ないことだと思います。
  126. 上田哲

    ○上田哲君 時間がないから先へ進まなければならんのですけれども、たとえば、いま申し上げたように、一本取りかえるにも一時間かかる。一時間が大事な患者なんです。十時間固定してじっとやれる患者じゃない。一時間という時間が非常に重大な患者であるということから考えれば、棒一本取りかえるのに一時間かかるということは基本的なことなんです。これではどうかということになると、やめるよりしようがないということなんです。これはそうですね。
  127. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) もちろんそのとおりであると思います。
  128. 上田哲

    ○上田哲君 そのことは原子力委員長もお認めいただいた当然な科学の条理であります。いま、そういう状態にJRR−3がある。たいへん残念だけれども、東海村の原研のJRR−3国産一号炉はいますぐこういう利用ができるかどうか疑われるところにある。また、そこで、職員の安全管理の問題として十分検討していただかなければならぬということも御確認いただきたいと思います。  いろいろあるわけでして、何しろあれだけの内部被曝があった場所ですから、十分にそうしたことに配意されているというふうにおっしゃるけれども、あそこにいる研究員それ自身が不安を持っているところに裸の患者を持っていって治療するということ自体にも非常に問題がある。そこは徹底的にやっていただかなければならんと思います。まあそれはそういうお答えが出ましたから、危険をこれから大いに調べていただいて、そうであれば直ちにやめるということで了解をしておきます。  ここでまとめておきたい重要なことは、一番目に、JRR−3は、科学的にいえば直ちに運転をやめなければならないのだ、一ぺんとめてすぐ安全検査をしなければならないのだということが大前提として一つです。  第二番目は、この治療を受ける患者は、脳腫瘍の治療を受けるということ以外の条件によって生命の危険にさらされるという心配から完全に保障されなければならないことです。  さらに、三番目に、非常に重大なことは、原子力研究所は、このよたよた歩きの国産一号炉をハリウッドのアメリカ人の脳腫瘍の治療に使ったら、——そこまでは引き延ばすようにして、使ったあとで——すぐ運転をやめよう、こういうことになっているわけですよ。ここが問題だ。この三点について、どうお考えですか。
  129. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) いまあれには経過がございまして、直運転の終了の時期になるということを聞いております。これをやるために延ばしておるのだということは聞いておりません。
  130. 上田哲

    ○上田哲君 名前をあげるのはよくないかもしれませんけれども、JRR−3の課長は庄司さん、課長補佐は上野さんとおっしゃる。二月十四日の被曝のときに、はっきりそういうことをおっしゃっているのですよ。いまは、とにかく、斜陽の原研の名誉をあげるためには、何としてでもこのよたよた歩きの国産一号炉を使って、日本はともかく外国の患者までみごとになおしてやる——これはなおればいいことだと思うんですよ——それをやって天下に名声を博したい——こういうことばそのとおりであったかどうか知りませんよ。あえて意訳しますが、これをやったら、あとは休止をする、こういうことを言っている。これはどういうことですか。これは課員会議で非公式にしゃべっていることですよ。
  131. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) そのことは、私、事実を聞いておりません。
  132. 上田哲

    ○上田哲君 この話は、水かけ論になるでありましょうけれども、第一の問題は、直ちにこのよたよためくら運転の国産一号炉を、安全のためには停止しなきゃならぬ。しかも、患者のためには、これは直ちに安全検査のために一ぺんとめなければならぬ。そうして、第三番目には、それを強行したあとは二カ月の運転中止をしようというところまで来ているという無理を私たちは非常に心配するわけですよ。させませんよと言っておる。そこのところをひとつはっきりしていただきたい。
  133. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 切めから私が申し上げましたように、この一号炉というものは国産のもので、そこで、この目的は、国産の原子炉の開発を研究する、それからさらに国産の燃料についても研究する、それから国産の材料を使ってやっていこう、これは皆さん方の御協賛を得ました原子力基本法のできるだけ自主開発でやっていくという御趣旨に沿っておるものだと思う。そこで、たまたま医療という問題がここへ出てきたのです。しかし、それによってこの原子炉の目的は、直ちに医療だけになってしまうということじゃないのでありまして、今後におきましても、できるだけこれを利用して、国産の原子炉の技術開発、燃料、材料について極力これをやっていかなければならぬ筋合いのものでありまして、医療のほうが終わったらそれですぐにやめるかと。これは私はそうはいかない。ただし、私さっきも申し上げましたように、あらゆる場合において非常に危険なものを取り扱う施設であるから、安全性についてはもう安全ということを第一に考えなければならぬ、こういうことを申しておるのでありまして、安全性について、現地調査の結果、あるいは原子力委員会の判定によってどうしてもいかぬということになれば、これはまず第一に考えなければならぬ、これは当然のことだと思うのです。ただ、この医療をやったらこの原子炉の目的は終わった、あとはやらないでいいかというと、そうはいかないので、原子力委員長として、そういうことは私はやってもらっちゃ困ると思う。安全である限りは、これを利用して、国産原子炉の技術開発、燃料、材料、そういうものについて極力研究していくということでなければ、私はその任務を果たすものとは言い得ないと思います。
  134. 上田哲

    ○上田哲君 おっしゃることはよくわかるんですが、事実をひとつお調べをいただきたいと思います。おっしゃるのは私から言わせれば逆であって、医療さえ済めばやめるというのはいかんと、そのとおりですよ。あたりまえなんです。そのことのために目的を設定したのじゃない。問題は目的でない医療、よたよた運転の国産一号炉に何とかして死に花を咲かせて、そこで無理やり治療をして天下に名をあげれば、あとはしばらくドックに入れて休めようじゃないか、こういうことのためにやってるんだということであれば問題があるんだ、私はそのことを指摘しておきたい。これは現場の課長もはっきり言っているんですから事実です。だれが調べたって、JRR−3をそのままどんどん次のサイクルに持っていくということはできないんです。それはできない。使用できない状態になっているんですから。そのできない状態の一歩手前で、ひとつ脳腫瘍治療でもって名をあげようなんということにこういうものが使われちゃ困るから、そのために人命がたとえ外国の人であっても犠牲になっては困るから、その検討はひとつしっかりやっていただきたいと指摘しておきます。  そこで、次に、問題はなぜ原研がこんなにまであせりに似たような形をとるかということを私はもう少し具体的な問題としてまとめてお伺いしたいんです。やっぱりこれは原研斜陽論というものが出ているあたりが問題です。具体的に申し上げます。たとえば、さっき、四十四年度は原研の増員が十八名だと申し上げた。四十三年度は、それまで百人だったのが、ゼロになっちゃったんです。ここらあたりは、原研の理事者及び研究者自身が非常に不安を感じているところですね。隣に動燃団ができたから、たとえば、そういうことの中で、いまのJRR−3、これに対して、JRR−1は、人手不足のために実はもう運転を停止しているでしょう。JRR−1が、人手不足のために、増員ができないものだから、とまっているじゃありませんか。こういう問題が出てきている。それから使用済み燃料の再処理試験室も、わずか一年でこの四月には中断することになっている。これは全部斜陽化ですよ。あるいは、去年の新理事会の方針として四十四年度から一般に研究テーマは、大体の比率で言えば各室当たり一〇から三くらいに縮小されているわけですよ。もう四つ五つの例だけあげても原子力研究所というものは、予算の面からいっても、人員の面からいっても、たいへんな斜陽の中にある。このままいくと、原子力研究所は研究所としてのていをなさないんじゃないか、隣の動燃団にとられてしまうんじゃないかという心配がある。こういうことから、名前は秘すけれども、某理事は、どこかのプロ野球の監督みたいに、銭の取れるような研究をしなきゃいかんとかいうことを堂々と所員に言っている。これを私は追及したいんじゃない。そういう気持ちに追い込んでいるいまの原子力研究所の実態というものが、よたよた歩きのめくら運転——科学者の良心があったらJRR−3は直ちにとめなきゃいかん、あたりまえでしょう。あなた方も科学者でしょう。直ちにとめなきゃならないようなものを動かしながら脳腫瘍の治療をする、こういう無理が斜陽化論の蘇生策としてここに出てきているのじゃないかと思うんです。そこのところをいま申し上げた具体的な例の上に立って御見解を承りたいと思います。
  135. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) お答えいたします。  原子力研究所が非常に人員などにおいても不足じゃないというようなお話がありますが、しかし、お考え願いたいのは、原子力研究所は二千数百人の職員を擁しているんですよ。ですから、膨大な研究機関です。わが国においてこれが一番大きいと思うんですよ。これだけ力を入れまして、ことしも予算におきましても、五十数億円という予算をたしか計上しておると思っております。決して私はこれは斜陽化しておるというふうには考えません。そこで、研究機関ですから、ここで研究したものを動燃のほうの実際のほうに移すということになれば、その研究というものはなくなっていくということは、まあ当然の話でありましてとにかくわが国の原子力に関する研究をしておる、そうして、実用になれば、これは動燃その他のほうに移していく、あるいは発電所のほうに移していくと、これは当然のことでありますが、とにかく斜陽化していくということはありませんで、二千数百人を擁して、五十数億円の金をつぎ込んでいるんですからことしも去年に比べまして相当な増額だと私は自負しておるんですが、決して斜陽化したり、そんなおろそかにする考えはありません。
  136. 上田哲

    ○上田哲君 金額でおどかされても、これは別に圧力にならぬ。JRR−3というのは幾らだと思いますか。二十三億円かかるんですよ。一つの単価が高いんですから、トータルの数字で言われても、原子力研究に対する財政熱意としては問題です。この問題は、進めるについても、とどめるについても、英知を持つという立場で議論したいんだけれども、私はもう少しデータを持っておりますが、後の問題に譲ります、これを追及することが目的でないから。まじめにやっている研究者が原研斜陽化という幻影の中で——すなおに名前を言いましょう。宗像理事長ですよ。宗像理事長自身が、銭の取れる研究をやれというような、プロ野球まがいの発言をし、それに尻をたたかれて、全くだれが考えたって科学者の良心では首をかしげるような条件下で脳腫瘍——これは場合によってはやめるとおっしゃっているからいいけれども、そういうとこで一旗あげようということは原研としてそれに対してもう少ししっかりした姿勢で処置していただきたい、こう思うのであります。  そういう中で、問題として——時間があって、あと十数分ですから、どんどん先を急ぎますけれども——こういう状態の中で、いままで申し上げたようなことは原研内では自明のことなのです——委員長局長あたりは原研から遠くにいる人だし、きょうは原研の理事を参考人として呼べなかった。何しろ私は新人なんで、手続がよくわからない。隔靴掻痒の感があったけれども——いま申し上げたような話はもう自明の理なんです、原研の中では。二千数百名いるというけれども、二千数百人のだれだって知らないことはないようなそういうような内容なんです。ところが、問題は、私は公開の原則に立ってこういうところで議論をしたいんだけれども、たとえばこういう状態をちょっと職場新聞に書くと、職務上知り得た秘密を公にしたという理由よって処分される。二月七日です、この問題の国産原子炉JRR−3の職場にいる、名前をあげれば、古川勝敏停職三カ月、同じ職場の加藤義夫、武山友憲の二人が配置転換を受ける、こういうことになった。処分された機関紙はこれですよ。御存じでしょうから、時間がないから、読むのはやめます。読むのはやめますけれども、この中にはいろいろ問題がありますよ。たとえば、二次燃料です。二次燃料は人形峠で堀った鉱石ということが書いてありますけれども、これは人形峠のものじゃない。大部分はカナダ、南アフリカ等から買ったものだ。また、日立と古河電工の二社がそれぞれ燃料に成形加工した云々、これは事実ではない。あるいはまた、矛盾するところもある。いささか論理の飛躍もあろう。これはあそこの組合も認めている。ずいぶん間違いもある。そのことについて非は非として認めるけれども、しかし、私はどうしてもこの中ではっきり答えてもらわなければいかんことは国際燃料棒です。先ほど来、原子力委員長は、輸入じゃいけないから、燃料棒は国産だ国産だとしきりとおっしゃる。四十三年度までは、輸入だったから、事故は一つもなかったんですよ。国産にかえたとたんに、つまり第二次燃料になってから事故が続発している。先ほどから、三回にわたって、委員長は、国産でやっているんだ、すぐれたものでやっているんだとおっしゃるが、この点についてはどうするのか、技術的なことをお伺いするんじゃない、どうされるのかということは、これからあとも国産の第二次燃料を続けていかれるのかということについてお答え願いたいと思います。
  137. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) お答え申し上げます。  その前に、さっき申し上げた五十数億というのはちょっと間違いで、九十五億円であります。九十五億円の金を要求しておるということを申し上げて、訂正しておきたいと思います。  それからいまお話がありました、国産燃料を使うのはおかしいじゃないか、カナダから輸入しておった、アメリカから輸入しておった燃料棒を使っておる間は異常がなかったじゃないかと。そこなんですよ、問題は。アメリカから輸入して使っておりゃ、それで事は済むんですよ、あなた方からお叱りを受けなくても。しかし、お叱りを受けながらもこれをやらなくちゃならぬという、いわば何とかして国産の燃料棒を使いたい、こういう一念から、私どもは、この炉の目的として、動力炉の開発と研究と同時に、燃料についても、材料についても、できるだけ国産においてやれ。これは多少の失敗もあるだろう。あったら、それを研究して直せ。これが私どものあの動力炉に期待するゆえんなんですよ。それで、はじめて原子力研究所というものの存在の意味が出てくる。向こうから来ておるものをそのまま使っておる、それならば事がないじゃないかと言われたのでは、私は情けなくなる。そういうものじゃないですよ。そこのところは私は御理解願わないといかぬと思う。
  138. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) 長官、質問者はそういう趣旨で伺っているのじゃないんですよ。質問者は、つまり、輸入の燃料棒を使っておったときには事故がなかったではないか、国産化してからたいへんな危険な状態が出てきた、しかも、従事いたしておる多くの研究員の方々でさえ危険だ、こういう発言ですから、いわゆる輸入燃料棒を使うことはけしからぬと質問者は言っているわけじゃないから、そういう点で御答弁願いたい。
  139. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) いまことばが足りなくてあるいは誤解を招いたと思いますが、委員長から御注意があったので申し上げたいと思います。とにかく、向こうから、燃料棒、それはもちろんアルミニウムのおおいをかぶせた燃料棒を持ってきた。その間は問題がなかった。ところが、燃料棒を今度はこちらでアルミニウムをかけてこちらでつくったらどうかということで、研究の過程なんですよ、簡単に言えば。そこで、こちらでかぶせたアルミニウムに欠陥が出てきた。それについては大いに研究する、改めるべきところは改める、そうしてできるだけ国産にしていこう、こういうのがねらいなんです。そこで、向こうから来たものはなんにもなかったけれども、こっちでつくったら問題が出てきた。あるいは少し度数が多かったかもしれません、あなたの御指摘のように。しかし、それはやっぱり研究して直すべきものは直していくというのが原子力研究所の任務であり、国産動力炉一号の任務であると私は思っておる。しかし、その度数については、あなたの御意見もいろいろ伺いましたから、私はさらに研究をさして、そういうことのないようにさせる。しかし、あくまでも向こうのできたものをそのまま持ってくるという情けない姿は一日も早く脱却したいというのが私どもの念願であり、原子力研究所の念願でもあると私は思っています。
  140. 上田哲

    ○上田哲君 私は、社労委員長から申されましたように、決して輸入をしろなんて言っているわけじゃない。民主、自主、公開の原則の範囲内で研究していくことはけっこうなんです。問題は、輸入ならば事故が起きない。ところが、国産ならば事故が起きる。それがまた公開されていれば問題ないんですよ。それが公開されていて日本の国産技術がどんどん伸びいくというなら、それはまさにおっしゃるとおりけっこうなんです。ところが、国産化したい、国産化したいということのあまり、事故の原因の追及も十分にしない。そこで事故がふえる。国産によって起きている事故の数というのはたいへんな数ですよ。あなたはいろいろとおっしゃるけれども、これは事実の問題でありまして、だれかの見方や解釈の問題ではない。こういうたくさんのあり得べからざる事故が、防ぎ得べきほとんどの事故が、安全管理を怠り、国産化の無理じいを進めていくことのために放置される。しかも、そのことが、これがここに出されている問題ですが、たとえば十一月二十一日の原子力学会の炉物理炉工学分科会で全部発表されているんですよ。資料もありますから全部お見せしてもよろしいですけれども、その分科会でちゃんと内容が発表されている、大部分が。それは職場新聞にも一部に行き過ぎた部分もありますよ。しかし、大部分主要なところはすでに公開された分だ。ところが、そういう内容について、実際に生命の危険をほんとうに感じているのは、そこの人たち、原研の人たちなんですよ。原研の人たちが、これはたいへんなことじゃないか、どうして輸入棒である場合には事故がなかったのに、国産棒になったらこんなに事故が多発するのだろうかと書いたら、さっと処分が出てきた。こういうようなことでは一番問題になる原子力基本法にいう、自主、民主、公開の原則もとで研究は行なわれないことになる。特に公開の原則については、公開なきどころに安全なしということなんですね。こういう点を私ははっきりしていただきたいと思う。
  141. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) いろいろ御意見がありましたが、公開という原則ですね、これはもちろん法律にもありますように、「平和の目的に限り、民主的な運営の下に、自主的に」やって、「その成果を公開し」なければならぬとなっておりますね。そこで、公開の原則を守ることは、もちろんですけれども、この公開というものにはおのずから方法、時期、手段というものがあると思うのです。なんでもかんでも、だれでもかんでも、研究の途中にあるものを発表して、いいというのは、これは公開の原則から私は少し行き過ぎだと思う。いまお話しになりました古川何がしという者は、高校を出たばかりの二十二歳のわりあいに若い人なんです。未熟の人と言っちゃ悪いけれども、まあ未熟と言ってもいいと思う。私がさっき申しましたように、国産にしょうと思って研究してきた。研究してきたところが、その研究をした国産の燃料棒に故障があった。それについては、委員会におきまして——委員会を設けているそうです。委員会において詳細に調査をして、改むべきところはどこを改めればいいかということを研究している過程において、向こうからの私に対する報告によりますと、その一部の資料をとって、ごく一部の資料をとって、そうして虚偽をまじえ、事実を歪曲して、そうして原研の、それから関係者の信用を害するようなことをやった。これは、二千人もの職員をかかえておるところの理事長としては、この中において一定の規律というものがなければならないわけですから、その規律を保つのは私は理事長の責務だと思っておるのです。国費を投じて二千人も人を使っておるのに、その間に混乱して統制もないという状態を放置しておくような理事長ならば、私はそのような者は理事長としてつとまらぬと思うのです。そこで、いま申しましたように、研究している最中に一部の資料を出して、そうしてそれに虚偽をまじえ、事実を歪曲して、そうして自分の勤めている原研の信用を害し、関係者の信用を害するというようなことをやることは、あの法人の設立当時において認可をしました就業規則に違反しておる。その就業規則によって、就業規則がきめておるところの事由によって処分した、こういう報告がありました。私は、あれだけ多くの人数をかかえておる、また、大事な機関を主宰しておるところの理事長が、この研究所内の規律を保持するのは当然の責務であると思います。それをただよりどころなくやったのならばこれはいけませんよ。しかし、その規律を維持するために、国がすでに初めから認可をしている就業規則、これに違反している、これによって処分をしたんだ、こう言われれば、私はこれは当然のことであると思います。その処分の内容というものは、あくまで理事長の責任、判断によってやっているものであるということは、これは申すまでもないことと思います。
  142. 上田哲

    ○上田哲君 まあ二十二歳が未熟であるかどうか、これは量刑が不当であるかどうかとはこの際関係がない。私は昨日誕生日を迎えまして二十二歳よりちょっと上になりましたが、年齢の話は、足りないほうにも余り過ぎたほうも問題がありますから、この際おきましょう。(笑声)  いましきりに原子力委員長が言われた就業規則ですね。しからば、その就業規則で私はお伺いしたい。処分はこの就業規則のどこに該当するのかというと、第五条二号ですよ。第五条は、職員は次の事項をしてはならないと書いてある。そうして、二号は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないと書いてある。あと、六十一条にもいろいろ書いてあるのですが、これは小山労働次官にお伺いしましょうか、これに該当するとお考えでしょうか。
  143. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) 上田先生のお尋ねでございますが、先ほど原子力委員長のほうからお話がありましたように、原研としては、五条の問題と六十一条の問題がございますが、六十一条の第三号でございますね、これに該当するという判断の上に懲戒処分をされた、こういうように聞いております。
  144. 上田哲

    ○上田哲君 困ったですね。六十一条三号というのは、「職務の内外を問わず研究所の名誉をそこない又は職員の体面を汚す所為のあったとき。」ですね。これはそういうことになりますか。二月七日に出された所側の処分理由によると、「対外信用の保持上からも日立製作所よりの抗議も到来するに及んでは何らかの措置をとらざるを得ぬ状況に立ち至った。」とあるつまり、日立からの抗議が問題なのであって、原子力研究所にとっては自主的判断とかなんとかということはない。それも、後の報道では、抗議があったのではなく、日立はただ事情説明を求めただけだと言っている。こんなことで体面を汚したとかなんとか言われては困る。  もう一つは、「新いばらき新聞」に出てしまったからだという。「新いばらき新聞」に出たかどうかは、これは研究所に関係がない。もし万一記事が事実と合わないというのなら、「新いばらき新聞」に抗議して訂正を求むべきもので、部内を処分する理由にはならない。事実ならば出るのは当然であるし、ジャーナリズムは当然取材の自由を持っているから、全国民を代表して新聞に書く。この新聞に書くということ、これがけしからぬということになりますと、これは取材の自由を侵すことになると思います。これをあわせて申し上げておきます。  これは明らかに量刑不当である、少なくとも。たとえば、停職三カ月というのは、この就業規則では解雇の次ですよ。そういうことにこれは当たりますか。
  145. 和田勝美

    政府委員(和田勝美君) 確かに、御指摘のように、原研の就業規則によりますと、停職は免職の次に重大な処分ということになっております。本件がそれに当たりますかどうか、それが適当なものであるかどうかにつきましては、原研の従来の行なわれたいろいろの処分との均衡論もあると思います。その判断のしかたの当、不当という問題については、にわかにここで当を得ている、当を得ていないということは手元に資料がございません。また、労働省側で判断すべきことでもなかろう、かように考えております。
  146. 上田哲

    ○上田哲君 均衡によるというならば均衡をお話ししましょう。昨日、このJRR−3の職場の責任者である庄司課長と上野課長補佐は、厳重注意という処分を受けました。口頭による厳重注意です。いいですか、そのバランスからいえば、厳重注意というのは全然就業規則にはないですよ。全く「こら」というくらいのことで一方はやっておき——そんなことがあるなら体面を傷つけたという管理責任は十分あるにもかかわらず、全然就業規則にもなんにも書いてない厳重注意ということをやっておき、一方には解雇に次ぐ重い停職三カ月というのは、いまあなたのことばが出たから言うのだけれども、全然均衡を欠いているではないですか。きょうは時間がないからもう少しあとの問題に譲りますが、ここで原子力委員長が国が認めた就業規則ということをおっしゃったから、これはことばじりをとらえるわけじゃありませんが、そのことばにひっかかるのは、国が認めた最も大きな規範は原子力基本法ですよ。私はここで問題にしたいのは、原子力研究所には公開の原則が厳然となければいけないということです。一体、法律と就業規則と比べてどっちが上位に位するかということは、初歩の法律論ですから、そういう立場からいえば処分の対象にならないことは自明の理です。労働省の見解を求めてもいいけれども、自明の理です。そうであれば、就業規則に云々ということが書いてあっても、その上に公開の原則ということが厳然として存在している。少なくも第五条第二号にいうところの秘密というのは、原研の場合には、たとえば、入札予定価格とかパテントとか業務遂行上必要悪的な秘密事項をいうのであって、原子炉の運転方法とか、研究開発の成果とかあるいはその進行状況——これは損壊状況も同じですよ——進行状況などの事項は原子力基本法第二条の公開の原則の範囲に入らなければならない。原子力基本法第二条はこの就業規則をおおうものであるという法律論についてどういうふうにお考えになるか。
  147. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 仰せのとおり、原子力基本法は、原子力関係では最高のものであると思います。しかし、公開の原則ということについては、私がさっき申しましたように、公開というのはどの過程においても何でもかんでも出すということじゃないんですよ。これは大事なことですから、私は、原子力に関しては、平和目的に限り、民主的にやっていく、しかも公開の原則を守るとはっきり申し上げている。しかし、さっき申しましたように、時期と手段と方法というものがあるということを私は申し上げたんですよ。原子力基本法に何と書いてあるかというと、研究の成果はと書いてあるんです。これはどこの過程でもそれを発表するということじゃないんですよ。そこを誤解のないようにしていただきたい。また、研究してまとまったら出す。今度の場合、研究者というのは、研究している段階においてどんどん出されたら、これは研究の意欲を失っちゃう。ある程度まとまったときに出すということ。また、発表する主体につきましても、これは原子力研究所の当局がやるべきことです、まず第一に。それから従業員がある過程において資料の一部だけを公開していいなんということは私は考えておりません。  そこで、さらに申し上げますれば、就業規則というものは、これはあの法人が設立される当初にきめられて、別に認可という形式があったかどうか、とにかくそういう当初からあの就業規則というものをきめている。就業規則には何と書いてあるか。公開することを禁止しておらない。公開することはいいけれども、雑誌その他に発表したり、出すときには理事長に話をして承認を得るということ。原子力基本法第二条に書いてある公開の責任者というのは、まず第一には原子力研究所に適用されるべきものと私は思う。なお、就業規則は、原子力基本法第二条と少しも矛盾しているものじゃないと私は思っております。
  148. 上田哲

    ○上田哲君 そこで、非常に問題になることは、公開の原則というのが原子力研究所の中で最大の原則にならない限り、安全は保障されないということなんです。だから、さっきの原子炉の問題も、公開の原則を欠いているところに非常に不明朗な、あるいは補給燃料棒も、きょうは追及しませんけれども、おそらくこれから国産を促進されるということになると、古河に発注されるでしょう。日立でも住友でもなくて、古河に発注されるはずです。今日は聞きませんが公開の原則を欠いていると、そこにもいろいろな問題が生まれる。きょうはちょっぴり指摘しておくだけです。  原子力基本法第二条によるところの公開の原則というものは、他のいかなるところにも適用されなければならないが、この際もう一ぺん伺うけれども、私は原子力研究所は最大の範囲において公開の原則が守らなければならないところだと思うので、むしろ原子力委員長は公開の原則の除外例としてこういうものがいけないという形で、法的な解釈を明確に御指示願いたいと思います。
  149. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) お答えする前に、先ほど二十二歳と申し上げましたことは、ちょっとことばが適当でありませんでした。ことにあなたが非常にお若いのですから、その点はおわびしておきます。  そこで、いまお話しになりました原子力基本法第二条の公開の原則という問題の解釈、これは私ども公開の原則を守っていると言っているんです。守っていかなければならぬと思っているんです。しかし、いま申し上げましたように、公開というのは、時期と方法と手段というものがある。そのことは、公開の成果を発表しというところに私は大きな意義があると思いますね。公開の途中において、何もかもぶちまけていい、何もかもばらしていいということは、公開の原則で意味していることじゃないということをひとつくれぐれも御了解願いたいと思います。  そこで、この問題も、いま、研究の際、みんなが審議して、国産の燃料でやっていくところにはどういうところに間違がある、どういうところを改めていけばいいという慎重な研究をやっている際に、その一部の資料を出されるということは、私は公開の原則の適用される問題じゃないと思います。意見の相違であるかもしれませんが、私はそう思います。
  150. 上田哲

    ○上田哲君 これは、いま三つの条件を出されましたが、時期と手段と主体ですか。
  151. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 方法。
  152. 上田哲

    ○上田哲君 方法ですか。その三つですね。
  153. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 主体もありますわね。
  154. 上田哲

    ○上田哲君 どっちですか。手段と方法はあまり変わらないので、三つ目は主体だろうと私は好意的に言ったんですが、まあかなり見解がはっきりしてきたと思うんですが、この点について具体的にこれからも解釈を詰めていきたいと思います。私は公開の中に研究の成果が明らかに含まれるというふうに考えていますが、これは後ほどの議論にしたいと思いますが、少なくともこの職場新聞の問題だけに限って言えば、あらゆるところに公表したのではない。研究所の自分たちの職場の不特定多数どころじゃない、自分たちの同じ組合員へ配ったということは、いまのような職務上の機密をおかす手段方法に入るかどうかという問題があると思います。  時間が来ましたから、結論に入ります。結論として、私は、四点について整理して、御見解をきちんとお聞きしたいと思います。  第一は、JRR−3の燃料棒破損に関する一切の資料を公開をしていただきたい。これは、おっしゃるように、手段と時期と主体もあるでしょう。これはもうけっこうでありますから、堂々と筋を通してJRR−3が非常に危険な状態にある、このままでは動かしちゃならない状態にあるんだから、脳腫瘍の中性子捕捉療法どころの話じゃないんです。これは科学者を百人呼んでいただければすぐ結論出ることです。これをひとつ促進していただいて、JRR−3の燃料棒破損に関する一切の資料を公開してもらいたい。特にその原因の追及については、所の内外を問わないで、有能な専門家というものをきちんと出していただきたい。また、職場に箝口令などしいてもらっちゃ困る。いま、八剱部長が中心になって、二十五人の特別調査委員会ですか、つくっておられる。これはちょっとわれわれから見ると均衡を欠いている部分がある。たとえば材料部門というようなところにはもう少し人をふやしてもらったほうがいいんじゃないかと思うので、これはひとつ公平な立場でJRR−3燃料棒の危険な状態を的確に公開していただく。  二番目は、JRR−3の燃料棒破損に伴う作業については、作業員の安全を完全にひとつ守ってもらいたい。これは守らないほうがいいなんということはありっこないと思うのですが、たとえば燃料の交換作業——さっき言われたようにマスクをはめ忘れたのじゃないかという理解では困るんで、もっとこれは基本的な立場から、業務命令がいまのままでは困るんです。燃料の交換作業あるいは原因追及のための作業についても、作業員が不安を持っているのに強行されることがないように、また、放射線の管理がルーズになったりすることのないようにしっかりしていただいて、いまのところ話し合いが中断されている状態なんですが、こんなところは話し合いをやらないということはとんでもないことですから、話し合いを職場でも労使の関係でも直ちに再開していただいて、これを強行しないように、きちんと安全管理をしていただきたい。  三番目に、基本的なことですけれども、JRR−3国産第一号炉それ自身の安全性について基本的な再検討を直ちに始めてもらいたい。これはもういま停止する以外にないわけですけれども、直ちに検討を始めてもらいたい。これがこのまま進んでいきますと重水とさっきの検出器の関係が悪循環を続けて、重水がひどく死の灰で汚れていることがわからない状態になっていくのですから、これは直ちに停止を含めて安全性の検討をすぐ始めていただきたい。すぐというところに問題があります。私は、直ちに停止すべきだということを原子力委員長におすすめを申し上げる。  四番目、これは一つの時の話題でしかありませんけれども、脳腫瘍の中性子捕捉療法を、医者がどう言ったなんということじゃなくて、原子力研究者の責任において、中性子、ガンマ線その他のいろんな問題がどうなっているのだということを責任をもって明らかにし、患者が中性子以外の理由で悪影響を受けないよう科学的保障を確保していただきたい。これが明らかにされないということになると、さっき申し上げたようにこれは残念な言い方にはなるけれども、よたよた歩きのめくら運転、だれが見てもそのままではいけないJRR−3の炉の面目の一新をはかるためにハリウッドのアメリカ人まで連れてきて無理やりに大向こう受けするような当りをねらっているということになるのじゃないかと思うのです。  以上の四点ですけれども、この点についてひとつお約束をいただきたい。
  155. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) いま、原子炉の燃料棒の破損その他、全部洗いざらいさらけ出せというお話、これはいまお話のありましたように小委員会を設けて詳細に検討しています。原因はどこにあるか、そしてそれはどういうふうに今後改めるべきかということを当然のことではございますけれども、いま研究中なんです。そこで、その研究の結果は、当然これは早晩公表されると思います。そういう意味で、私は、あなたのお説に、——あるいは内容について出された場合に御不満の点があるかもしれませんけれども、そういうことが筋だろうと私は考えております。  それから従業員の安全性、これは、さっきから繰り返し申しておりますように、とにか危険なものを扱うのだから、一般の人の環境に対しする影響はもちろんですよ、それに従業員の安全を考えないでものごとを進めるというようなことは、毛頭考えておりません。これは初めにも申し上げましたが、とにかく安全を第一、危険物を扱うのだから。しかし、これから先、御案内のように、原子力第一船もことしは進水する。発電所もどんどんできて、四千万キロワットも出すようになる。あるいは医療の方面に使われる。あらゆる方面に使われる。それにつきましても、私はある程度しかたがない時世の進展だと思うのですけれども、それについても、一般に対するもの、また従業員に対する安全性というものはあくまでも守っていかなければならない。ただ、これは私はここで直接関係ないこととして申し上げたいのですが、私あなたより年がいって七十幾つにもなってるのですけれども、そこで、どうも人生を振り返ってみると、慣れるというと、いままでやってきたのが、いままで安全だったのだから今度も安全だろうということで、そのときによく失敗することがあるのです。私は、このあいだも、マスクをかぶっていたら内部被曝ということはなかったろうと思う。そこで、私は厳重に注意しておいたのですが、いままでフィルターを取りかえるときに、フィルターが汚染をしているから取りかえるわけなんですね。そこで、過去においてもやったけれども、全く簡単にいったから、今度もいいんじゃないかということがもしあったとすれば、そうして、当然マスクをかぶっているべきものを、マスクも帽子もかぶらなかったと。服のほうは注意したが、マスクも帽子もかぶらなかったとすれば、そういうことであれば非常に遺憾なことだ。そこで、私はさっき申しましたのは、安全性確保のためには、理事者はもちろんのこと、それに従事している職員も、これに協力してやらなければ、一定の規程をきめておいても、まあ毎回やっても間違いないのだから、今度はマスクをとったって間違いないだろうというて、とったときに吸い込んでしまったというようなことがもしあったとすれば、私はあったとは言いませんけれども、もしあったとすれば、それは非常に遺憾なことであると思う。そこで、私は申し上げているのは、理事者も大事だ、同時にそれに従事する職員も細心の注意を払って、危険物を扱っているのだという認識の上に立ってやってもらわなければ、これから先どんなことをきめたって、まあ安全だと思って装備すべきものを装備しなかったために失敗したというようなことが起こってくるということであれば、これは私は非常に遺憾なことだと思っております。これはつけたりで、私は今度そうだったとは言いませんよ。しかし、私は理事長に対しては、それは君マスクをかぶらんなんていうのはもってのほかじゃないか、今後大いに注意をしてもらいたいということを言っておきました。そのことを申し上げておきます。くれぐれも安全性の確保には努力しなければならん、これは私の信念ですから、申し上げておきます。  それから一号炉の運転は、よたよた運転だし、やめたらどうかということは、これは私はあなたとそう直ちに意見を一致するわけにいかない。これは私は繰り返して申し上げているように、いまあなたすぐ直ちにやれと。直ちにじゃない。もうきょう立ち入り検査をやっているんです。あなたから言われるまでもなく立ち入り検査をやって、その結果を原子力委員会資料とともに出して、そうして、われわれとしては、しろうとではあるけれども、最高の権威者の集まりであるところの原子力委員会の安全専門委員会でよく審議をしてもらって、よければ続けていきます。悪ければやめるのはあたりまえじゃないですか。私は、悪ければやめるということは、これは申し上げても差しつかえない。  それから第四点ですけれども、病人を送ってきて最後に死に花を咲かせるのじゃないかと。これは私は直ちに受け取りかねるのです。それは、東大において十分研究して、病人の容態も考えたり、いろいろしてやったが、ぜひひとつこれはやってもらいたい、しかしこれは安全だろうかといって原子力研究所へ来て詳細にわたって研究して検討した結果、これなら原子力国産一号炉に頼めると、こう東大が思って、東大が頼んできたわけなんですね。そこで、こちらは受け身なんですね。死に花を咲かせるのじゃない。こっちから進んでいくのじゃなくて、東大のほうが安全性まで確認して頼んできているから、それじゃひとつ私どものほうも人の命を助けたりして医療の進歩にも貢献するところがあるのだからということで、二十六日に目的に加えるのはいかがでしょうかといって認可の申請をしてきた。そこで、私どもは、直ちに認可すれば、これはあるいはずさんだと言われるかもしれんが、その前提として立ち入り検査をして、そうしてそれを原子力委員会のほうにも報告して、資料とともに報告をして、これならいいと言われれば私どもこれをやります。いかぬと言われればやることはありません。それははっきり申し上げていいと思います。
  156. 上田哲

    ○上田哲君 いろいろ伺ってきたのですけれども、最後の点についてもう一つ申し上げると、何も国産一号炉JRR−3を廃棄してしまえとは言っていないのです。どうも、その辺が、お年を召すと話がかたくなになるので、(笑)声これはさっきのお返しです。けれども、イグノーラントにならないようにもう少し柔軟に話を聞いていただきたいのですが、国産一号炉を直ちに廃棄してしまえというのじゃない。いまの国産一号炉JRR−3というのは、学者が見る限り、そのまま安心をして運転をしていい状態にはない。これはだれが見たって明らかなんですよ。この辺は委員長はお調べになっていないからいろいろ言われるが、御勉強なさればすぐわかることなんであって、私がやめろと言っているのは、運転をいまここで直ちに一ぺんやめて、十分検査しなさい、検査した結果を明らかにしていただくのがほんとうじゃないか、こういうことを言っているんですが、この辺はおわかりですね。そういう点から言うと、脳腫瘍の中性子捕捉療法というのも、そういう危険の上にのっかって無理やりに進行してしまってはいけないんです。死に花を咲かせるというのは、患者のことを言っているんではないのでありまして、一号炉に死に花を咲かせる、その感覚では困る。もっと科学的に検討してもらいたいし、私が四番目に申し上げたことは、東大から頼まれて当方は受け身だからということではさかさまなんであって、お医者さんからじゃなくて、原子力研究者の立場からこの炉はどういうふうに活用すべきかという見解を責任をもって明らかにしていただきたいということを申し上げているわけなんのです。最後なんですけれども、その辺をちょっともう一ぺん確認しておきたい。
  157. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) いまの上田先生からのお話、いまお話しになっているようにお話しになればよくわかるんですよ。(笑声)さっきとはちょっと違ってきているように思います。それは、私は別に専門家でも何でもありませんけれども、私は、断定的なことを、一号炉は完全だからあくまでもこれを使って国産の推進をしていくというようなことを言っているのじゃない。繰り返し申しますが、なにしろ安全第一ということでなければ危険物を扱うんだからいかぬということが私の根本の方針ですから。そこで、それを立ち入り検査をもうきょうやっておる。それで資料を集めて、私はしろうとだけれども、専門の原子力委員会の安全専門委員会においてよく検討してもらって、よければやって、悪ければやめる。このことは、いまあなたのおっしゃるとおりやっている。いまのようにおっしゃっていただければ私はすぐわかる。
  158. 上田哲

    ○上田哲君 そうおっしゃってくだされば私も質問が一回減るんですが、ぜひそういうことで国民に不安をもたらすことのないように、特にこの脳腫瘍の問題なんかは、いわば大向こう受けがするようなことをねらうのじゃなく、もっと真摯な態度で、けさは朝刊にやると出たところだけれども夕方にはやめるということになったということがあっても全く科学的に——これは気にすることはないんですから、きわめて科学的に処理をしていただきたい。私は、これは直ちに十分な検討結果が出るまでは見合わすということが正しいと思う。ところで、原子力委員長は、先ほど、この問題について労使の関係を取り上げられたが、私はこの点は組合の立場もあるだろうと思うんです。昨日、私は、原研の組合の委員長に電話をかけましてこの点を確認いたしました。もしも脳腫瘍の治療が、実際に研究者が見て、安全でよろしい、やっていいということになれば——これは大いに役立つことなんですから。いま総合的な安全の面での不安から原子力研究所の組合はストライキを決定しているんです。ストライキを決定しているんだが、もしもJRR−3の脳腫瘍治療が科学的に見て安全であるということになるならば、たとえストライキ中といえどもこの脳腫瘍の治療についてはストライキの中に含めないということを私は原研労組の委員長と約束いたしましたから、その点では、組合のほうでは、安全要求と人命尊重を純科学的に処理する見識を持っているということを踏まえていただいて、政府側、原研側も純科学的にひとつこの問題は解決をしていただきたいと思います。最後に。私は当初に申し上げましたように、目下、わが国の原子力研究のメッカである東海村の原研には、国民にとっては想像もできないような驚くべき危機と不安というものが充満をしていると考えます。きょう申し上げたような実態はほんの一部でありますけれども、これを明らかにすれば、やはりみな目を丸くして驚くことだろうと思うんです。私は、千六百人の原研の職員の立場をおおむね代表して申し上げたつもりなんですけれども、これは決して管理者の管理能力の欠如というようなことを一生懸命追及したわけではない。原子力研究というものの健全な発展、育成のために、どうしても原子力基本法にいうところの自主、民主、公開、特に公開の問題について私は強調したかったわけです。その公開の原則中でたとえば脳腫瘍治療も行なわれるならば、それはそれで人々は拍手するだろうけれども、暗い秘密主義の中で行なわれては、原子力利用は国民のものではなくなってしまって、東海村は薄汚れてしまうのじゃないか。いま、はっきり申し上げれば、東海村の原子力研究所というものは、かつての栄光の原子力研究センターではない。みずからの安全を保つことに精一ぱいの老朽施設に化したと言わざるを得ない。九十何億というお話もありましたけれども、あれだけ長い期間を経てきた原子力研究所の実態というものは、決してりっぱなものではありません。象徴的な国産一号炉JRR−3というものがよたよた歩きになってきているということでもわかるように、もういまや原子力研究所は前のように生き生きした研究センターとしての条件が日々失われているようにみえる。国民はあまりにも東海村の実態を知らない。知らないことをいいことに斜陽化にあせる理事者が研究よりは世論向けに無理な脳腫瘍治療なんかで点をかせぐというようなことになっては困ると思います。繰り返して申し上げますけれども、公開なきところに安全なしということをひとつぜひ旗印として、前向きに原子力平和研究を進めていただきたい。原研の自主と民主と公開の原則をより高く確保していくということのこの上の努力を特に要望いたしまして、なお多くの質問を留保いたしますけれども、本日はこれで終わりたいと思います。
  159. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) 上田君の質問は終了いたしました。  他に御発言もなければ、この程度にして、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十六分散会