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1969-02-28 第61回国会 参議院 産業公害及び交通対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十八日(金曜日)    午前十時十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         加藤シヅエ君     理 事                 大谷 贇雄君                 黒木 利克君                 松澤 兼人君                 内田 善利君    委 員                 青木 一男君                 佐藤 一郎君                 菅野 儀作君                 土屋 義彦君                 山内 一郎君                 渡辺一太郎君                 杉原 一雄君                 山崎  昇君                 小平 芳平君                 田渕 哲也君                 小笠原貞子君    国務大臣        通商産業大臣   大平 正芳君        運 輸 大 臣  原田  憲君        国 務 大 臣  荒木萬壽夫君        国 務 大 臣  床次 徳二君     政府委員        内閣総理大臣官        房陸上交通安全        調査室長     宮崎 清文君        警察庁交通局長  鈴木 光一君        厚生政務次官   粟山  秀君        通商産業省鉱山        保安局長     橋本 徳男君        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君        運輸省航空局長  手塚 良成君     事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君        常任委員会専門        員        吉田善次郎君     説明員        厚生省環境衛生        局公害部公害課        長        橋本 道夫君        通商産業省企業        局立地公害部長  矢島 嗣郎君        自治大臣官房企        画室長      近藤 隆之君        日本国有鉄道常        務理事      長瀬 恒雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業公害及び交通対策樹立に関する調査   (産業公害及び交通対策に関する件)     —————————————
  2. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) では、ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。  産業公害及び交通対策樹立に関する調査を議題とし、産業公害及び交通対策に関する件の調査を行ないます。  まず、通商産業大臣から公害関係所信を聴取いたします。大平通産大臣
  3. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 第六十一回通常国会における産業公害及び交通対策特別委員会の御審議をいただくに先立ち、通商産業大臣として、所信の一端を申し述べさせていただきたいと存じます。  公害問題を解決し、国民の健康の保護と生活環境の保全をはかることは、経済の発展推進とともに、通商産業行政の重要な課題であり、通商産業省といたしましては、公害対策基本法を軸として、産業及び生産技術の実態に即した実効のある公害対策を今後一段と積極的に推進する所存であります。  第五十八回通常国会においては、大気汚染防止法騒音規制法及び公害防止事業団法の一部改正法が成立し、公害対策基本法に基づく公害対策強化の第一歩が踏み出されたのでありますが、昭和四十四年度におきましては、特に次の点に重点を置いてまいる考えであります。  第一は、公害防止技術開発促進の問題であります。  公害問題を解決するためには、何よりもまず、優秀な公害防止技術開発しなければなりません。この点につきましては、従来に引き続き、大型工業技術研究開発制度により脱硫技術開発を強力に推進するほか、各種公害防止技術開発を一段と促進することといたしております。  特に、脱硫技術のうち、排煙脱硫技術につきましては、本年度から明年度にかけて大型工業技術研究開発制度による研究計画が終了する予定となっておりますので、そのあとをうけて、できるだけ早くその実用化が行なえるよう必要な対策を講ずる考えであります。  重点を置く施策の第二は、公害未然防止対策を徹底するとともに、公害に対する法的規制を着実に実施することであります。  通商産業省は、以前から、公害発生を予防するための対策として、新規の工業地帯中心として、産業公害総合事前調査実施し、適切な公害防止措置を講ずるよう、関係企業等指導を行なっておりますが、明年度は、調査地点増加調査方法充実など、産業公害総合事前調査の徹底をはかることとしております。また、公害対策基本法に基づく公害防止計画についても、とりあえず四日市など三地域について策定し、引き続き他の地域についてもその策定を行なうことにより、計画的な公害防止対策を進めていく考えであります。  さらに、昨年十二月一日より施行されました大気汚染防止法騒音規制法をはじめ、法律に基づく規制措置についても、着実にその実施を進めてまいる考えであります。  第三の課題は、公害防止施設等に対する助成措置拡充であります。  その中心となる公害防止事業団につきましては、中小企業向けの金利の引下げを行なうとともに、事業規模の大幅な拡大をはかることといたしております。  さらに、大気汚染防止対策緊要性にかんがみ、重油脱硫装置の建設に対する開銀融資を、特利特ワクで確保するとともに、ばい煙処理施設等に対する特別償却制度実施排煙拡散用高煙突に対する固定資産税の軽減など、公害防止施設に対する税制上の優遇措置強化することといたしております。  硫黄酸化物に関する環境基準につきましては、二月十二日の閣議において政府としての環境基準を決定いたしました。通産省といたしましては、今後その実現に向かって全力を傾ける決意であります。このため、特にその実現の前提となる各種の低硫黄化対策を強力に推進することとし、脱硫技術開発及び実用化推進重油脱硫装置の設置の促進等の諸対策充実強化につとめてまいる所存であります。  また、紛争処理被害者救済制度の創設につきましては、「公害紛争処理法案」及び「公害に係る健康被害救済に関する特別措置法案」について法文化を終え、近く国会に提出する予定でおりますので、本委員会の御審議をいただいた上、一日も早く新たな制度を発足させたいと考えております。  以上、通産省の今後の公害行政重点につきまして申し述べましたが、委員各位におかれましても、一そうの御支援と御協力を賜わりますようお願い申し上げます。
  4. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ありがとうございました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  5. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは速記を起こして。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  6. 杉原一雄

    杉原一雄君 問題が問題だけに大臣でなくてもいいと思いますけれども、第一点は、去年の九月の十八日の十七時十二分に高岡市の日本ゼオン工場が大爆発を起こした。そのことについては、昨年の十一月二十二日に本委員会において質問をしたわけです。問題は、その後の指導連絡規制の問題であります。おそらく、企業企業再開努力を続けていると推察されるのでありますが、それと相並行しながら、その再開への進展に伴うて、通産省がどのように調査をし、点検をし、しかもそれが、結果的にはいっ企業再開めど等を設定しながら、そうした行政努力なり行政判断をしているかということをお伺いしたわけであります。  ただ、ここで特に私として期待したいところは、少なくとも周辺人たちにあの爆発事故が多くの損害を与えた、その意味における産業公害の性格ははっきりしているわけですから、こうした周辺人たち住民の皆さんの納得のいく措置指導等がなされねばならないこと。加えて、このことのために、工場内に働いている労働者が三名貴重な命を失っているわけだし、重軽傷七名もあったという事実、かてて加えて、過去数回そうした事故があったということなど、企業再開に臨んで、労働組合中心とした全組合員納得のいく、しかも、組合納得を受けて、その徹底せる安全の運転についての配慮努力点検が行なわれるべきではないだろうか、このように思いますので、そうしたことを踏まえながら答弁をいただきたいと思います。
  7. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 一応私から、これまでの経緯と再開の見通しにつきまして、あらまし答弁申し上げて、詳細は政府委員から説明をさせます。  昨年の十一月二十二日、本委員会において杉原委員から御指摘がありましたが、その時点におきましては、四回にわたる調査団による調査点検指導実施いたしたのでありますが、その後、十二月二十四、二十五日の両日、それと本年二月十九、二十日の両日にわたりまして、調査団による点検指導が行なわれました。昨年十二月下旬、各種実験の結果がまとまったのを機会に、調査団として会社側に対し指示した改善指導事項は次のとおりでございます。  第一は、保安組織充実させ、防災体制を固める必要があること。  第二は、事故の現場であるコンプレッサー室ガス滞留防止のための措置を十分行ないますと同時に、コンプレッサー室内の環境を整備して、室外に出しても差しつかえない機器を室外に出すこと。  第三は、異常時に操業者が戸惑わないように、精神的負担を軽減するような施設改善を行なうこと。  第四に、ドレン抜き等可燃性ガスをその系外に出すことはやめること。  第五に、事故原因と目される高熱配管施行上の問題点調査団の指示どおり改善すること。  第六は、公害防止施設を設ける場合には、保安点検が容易にできるように配慮すること。  第七点は、運転に入る前に作業標準を完備し、作業員十分教育訓練を行なうことでございます。  今後、三月中旬ごろ調査団正式調査報告書富山県当局に提出いたしまするとともに、これらの指示が完全に履行されておるかどうかをチェックし、さらに、他の施設についての総点検も行ない、特に問題がなければ、県は高圧ガス取締法に基づく完成検査等実施した上、再開を許可したいと考えている模様であります。  日本ゼオン二上プラントの再建は、いままで事故原因として疑わしいものをすべて除去させ、再建計画を検討させておるのでありますが、調査団の数次にわたる調査指導と、半年有余にわたる改善計画進捗状況により、三月中旬総点検を行ない、県当局立ち会い操業、綿密な完成検査再開後の十分な監督指導を行なうことを指示しておりますので、おそらく四月には再開されるのではないかと予想いたしております。
  8. 杉原一雄

    杉原一雄君 ただいまの大臣答弁、了といたします。最大の努力を今後とも要請いたします。  第二点といたしまして、政府中心になって新産都市計画あるいは地域開発計画等が、今日まで試行錯誤の過程を通りながら進められておるわけでありますが、そうした中で、特に日本海沿岸等におきましては、自然地理的な条件等もあったりして、計画が思うように進まないというのが一般的な方向でありますが、その中で、やはり地域市町村県段階行政を担当する者とすれば、工場誘致ということはきわめて涙ぐましい、悲願に似たような感じがするのでありますが、そうしたことが、かえってまた別な問題を提起するのではないか、こういうふうに思われる節があります。たとえば、前の工場がありました、その工場があった地点でいろいろ産業公害等発生させてきた、言うなれば前歴のある、病気で言えば既往症のある企業が喜んで迎えられるといったようなことが間々起こりつつあると私は思います。具体的な事例もあるわけですが、そこで、A点から現在地点B点に、その工場企業が進出する場合に、省としては、その工場企業前歴をよく承知しておるわけであります。つまり、公害発生させた、地域住民に迷惑をかけた、こういうことは、原因をも含めて十分省は承知しておるわけでありますから、それが新しい地域に移りかわるという時点において、省は、県あるいは市町村並びに企業と三者が総合一体になりながら、連絡をとる、あるいは規制をする、ときに省の立場から指導する、こうした面で努力はされておると思いますけれども、一段とそうした面で力強い指導を実は期待したいわけであります。  先般いただきました「昭和四十四年度通商産業省産業公害対策について」、この中に、重点施策についていろいろ触れているわけですが、とりわけ、このプリントの七ぺ−ジにおいて、「工業立地適正化対策推進」というのがありますが、金額ではきわめて少なく、それから説明の内容はわずか二行半にとどまっているという、非常に簡単なものでありますので、私、なかなか理解に苦しむわけであります。そうしたことについて、やはり省は相当の勇断をもって行なわれねばならないのじゃないか、このように実は思いますので、そうしたことについての考え方なり決意のほどを実は伺いたいわけであります。  なぜ、あえてこんなことをここで申し上げるかと申しますと、先ほど申し上げたように、新しい工場新産都市に迎える場合に、お客さまようこそおいでくださいましたというような受けとめ方は、これは住民一般の受けとめ方です。また、そうした計画推進する場に立つ県としては、やはり、どうもせっかくおいでくださいましてありがとうございましたという姿勢にならざるを得ない、そこに、き然とした企業に対する規制なりチェックをする能力の面で、かなり私は手控えになるおそれがありますので、その辺のところを、通産省としては、大臣としても勇断をもって進めらるべき必要があるのではないか。つまり、企業の側に立つのでなく、あくまで地域社会発展地域住民のしあわせを念頭において、さるべきだと私は思います。その辺のところを踏まえながら、簡単な御答弁をいただきたいと思います。
  9. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 大臣に御質問でございますね。通産大臣、時間がまいりましたけれども、ちょっとだけお願いいたします。
  10. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 公害防止のやり方といたしましては、公害が現に起きたものを除去してまいるということではいけないと思うのでございまして、公害未然に防止するということが第一に大切であると私は考えております。そこで、いまの工場の新しい立地にあたりまして、初めから、そこに据えつける施設基準に合ったもの以内のものでなければならぬという措置をあらかじめ講じていく、言いかえれば、運転過程における規制措置ということより進めまして、据えつけ前にちゃんとした規制を加えたものを据えつけるというところに力点を置いた施策でないと効果があがらぬ。したがいまして、私どものほうも、産業立地適正化法案というようなものを構想いたしまして、各省といろいろ意見交換を行なっているのでございますけれども、これは相当新しい斬新な法案でございまして、各省のいろんな意見が出まして、まだ意見の一致を見るまでに至っておりませんけれども、この法案が成立すればけっこうでございますけれども、しかし、法案ができるできないにかかわりませず、私どもといたしましては、こういう工場の進出につきまして、いま御指摘のように、一つ既往症を持ってそこにそのままの姿で移っていくということは許さない。十分の対策事前に講じてやってまいる所存でございます。  詳しいことは、立地部長から答弁させます。
  11. 矢島嗣郎

    説明員矢島嗣郎君) ただいま先生から御指摘の問題については、地域全般の問題と、それから個別企業問題——個別企業というのは、いま大臣がおっしゃったような既往症を持っている企業とか、あるいは特に大きい企業、こういう二つの問題があるんじゃなかろうかと思います。  第一の地域全体の問題、新産なり工特地域全体の問題につきましては、通産省昭和四十年度から産業公害総合事前調査というものを実施いたしておりまして、特に新産都市あるいは工特というふうに、工業開発が各地で予定されておりまして、今後工場が逐次進出してくる、そういう場合、その工場の新増設によりまして発生するおそれのある大気汚染とか、あるいは水質汚濁、そういうものを未然に防止するために必要な公害防止対策実施について、その関係企業について強力な指導を行なっているわけでございます。この通産省各種公害対策のうちでも、先ほど大臣所信表明にもございましたように、公害未然に防止する対策は最も力を入れている分野でございまして、この見地から、通産省としては前記の事前調査拡充強化につとめておりまして、四十四年度予算についても、対象地域増加調査方法充実予定しているわけでございます。特に、先ほどの、爆発事故が起こったり、いろいろ問題のあった富山地区については、いまのところ、まだ事前調査をやってないわけでございますが、今後、県当局とも連絡の上、必要に応じてその調査対象地域にするということも研究いたしたいと思います。これがまあ地域全般一般論の一般的な対策の問題であります。  次に、先生指摘個別企業の問題ですが、まあ、これは具体的な行政指導——具体的な行政指導と申しましても、通産省では、電気事業法とか、石油業法とか、あるいは種々の設備調整等をやっておりますものですから、そういうものを含めました強力な行政指導によりまして、そういう既存立法既存制度等による運用も含めた強力な行政指導によって個別企業の問題を処理しておるわけでございまして、その一環として、既往症のある札つきの企業につきましては、今後移った場合においては再びそういうことを起こさないようにという十分な配慮は、これはやっておるわけでございます。同時に、そういう既往症があるとかないとかにかかわらず、大きい企業につきましては、特にその問題が起こる可能性もあるわけでございますので、別途、新産都市に行く場合においては十分な措置考えるということをいたしたいと思っておるわけでございます。
  12. 杉原一雄

    杉原一雄君 どうもありがとうございました。  それでは、いまの部長発言と関連しながら……。まあ、いまの部長発言の中では、総合事前調査をやっているんだ、やるんだ、こういうことなんですが、去る十四日に、通産省矢島部長の部では、川崎なりあるいは横浜地区産業公害総合調査をなさったと思うのでありますが、そうした調査あらましをお聞きしたい。同時にまた、それに対する判断対策——対策等については若干新聞等で伝えているわけですが、あるいは煙突を高くするとか、亜硫酸ガス発生の少ない、硫黄分の少ない重油に切りかえるなどというようなことなど、若干御披露いただいているのでありますが、私のそれを見た感じでは、非常にそれでは指導方法が弱いのじゃないだろうか、また、手薄ではないだろうかと判断されますので、もっと、部が中心になって考えておいでになる、省の、川崎横浜等を含めた、そうした、すでに明らかに人の命にかかわる重大な結論が出ているわけですから、そうしたところ、地方等についての、今後の、一、二年ではむずかしいでしょうけれども、大まかなそうした公害解消へのプログラムをここで御披露いただければ幸いだと実は思うのであります。
  13. 矢島嗣郎

    説明員矢島嗣郎君) この川崎横浜地区産業公害調査につきましては、先ほど先生のおっしゃったように、二月十四日に調査したわけですが、この調書を実はきょうお配りできればよかったのですが、増し刷りがちょっと間に合いませんので、後刻あらためて提出さしていただきたいと思いますが、これを全部読みますとたいへんでございますので、要点だけ御説明さしていただきたいと思います。  これは、先ほども話しましたように、産業公害事前調査は、ほうぼうの地区でやっているわけですが、従来、主として新産工特とかという発展型の、今後新増設が相当ある、しかし公害未然に防止しなきゃならぬ、そういうところを中心にして従来やっておったわけですが、この川崎横浜地区は、そういう発展型の工業地帯ではございませんでして、いわば過密型の公害地帯で、そういう過密型の工場地帯に対する事前調査というものを初めて手がけた結果でございまして、しかも、川崎というのは、御案内のとおりに、いま日本では一、二を争うような大気汚染汚染地区である。それから、これは昔から日本工業地帯であって、相当古くからの工場というのがこれに張りついている。むしろ、新増設というのは総体的には非常に低いわけでございます。そういう、いま一番日本汚染が激しいし、それから日本では古くからの工場が張りついているというところに取っ組んだわけでありまして、非常にむずかしかったわけであります。そういうわけで、確かに新聞等で御批判がありますように、手ぬるいと、あるいはちょっと不十分じゃないか、そういう御批判が十分あると思います。しかし、そういうふうな一番汚染の激しいところであるし、一番古くからある工場地帯既存工場に手をつけるということはなかなかむずかしいわけでございまして、その点、そういう御批判があるのかと思いますが、その点は御了解願いたいと思います。  なお、それからもう一つは、今回発表したのは、いわば中間的な、第一次的な結果でございまして、後ほど御説明しますように、三ないし四割のカット、削減ということをやっておりますが、これだけではもちろん十分ではないので、これはいわば第一次的なものでございまして、さらに一年なり二年後に引き続いて第二次分の追加的な調査指導というものをやるように予定しております。したがいまして、この第一次だけでは確かに手ぬるい。しかし、第二次以降の措置もやるわけでございますから、それとあわせて期待する結果を待ちたいと思っておる次第でございます。  そこで簡単に御説明しますと、川崎横浜大気汚染は、たとえば大師保健所では、年平均〇・二PPM、一時間値の九九%値という、今度の環境基準一つ基準に照らすというと、〇・四四PPMと、わが国最高状況にある。通産省としては、先般の閣議決定環境基準の線に沿って、この地域においても十年以内に環境基準を達成するように特に強力な発生源対策を進めておるわけでございます。その観点から、昭和四十二年七月に現地調査実施して以来、風洞実験による拡散試験によって、将来、四十七年の大気汚染を予測するとともに、その結果に基づいて、関係企業に対して必要な改善指針を与えることを目的としてこの調査をやったわけでございます。  それで、この最初のやつは、あるがままの姿で、このままいったらどうなるかというと、非常に汚染が激しくなるというので、それに基づきまして、関係企業に対して改善指針を与えて、それに基づいて具体的な改善計画を立てるということで、今後三年の間に、その全体の結果としては三ないし四割削減するというものであって、相当の困難は伴うわけでございますが、燃料良質化集合高煙突化による、できるだけの努力を払うということによって達成可能なものと考えられるわけでございます。  対象は八十五工場でございますが、その改善計画は、今後さらに風洞実験によって確定していくわけですが、この改善計画を実際に推進することによって、かなりに汚染改善されるわけです。  大体以上のようなことですが、繰り返すようですが、これは第一次改善計画でございまして、第二次の改善計画もさらにあるわけであります。同時に、一般的な燃料の低硫黄化、あるいは脱硫技術進展等を考ると、さらに改善が期待されるものと考えております。
  14. 杉原一雄

    杉原一雄君 委員長、自治省からだれか出ておりますか。
  15. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) はい、見えております。
  16. 杉原一雄

    杉原一雄君 すでに資料が出ておりますので、くどくどしいことを言う必要はないと思いますが、もうそろそろ県段階でも三月議会を迎えているわけです。そういう状況で、ぎりぎりの段階のこれはデータじゃないようですが、少なくとも私の要求したいのは、これは七月十五日のデータですが、もっと差し迫った予算編成の中で、あるいは公害課を設置するとか、公害部を設置するとか、そういったような情報はまだキャッチされていないようであります。その点で、後ほどまたひとつ努力していただきたいということです。  ここで、最初に、公害担当の行政センターの問題ですが、これを見ただけでも、府県では公害の問題に本腰を入れてやっておるかどうかということは大体わかると思います。というのは、自治省としては、地方行政指導にあたって、これでは不十分じゃないかということで、今後適切な指導等を行なわれたらいいのじゃないだろうか。私の見た目で一番やはり問題は、北海道は企画部の中に公害課があるということであります。企画部の中に公害課があるということは、ちょうど、通産省公害課があって、厚生省に公害課の担当がないということと同じことになります。そうした点は、やはり間違いじゃないか。私の県でも同じことなんです。またあるいは、環境衛生課に公害係を置いて、しかもこの係は二、三名だ。多くて三名だ。こういう形の中で、今後、こんなに問題になっている公害行政が行なわれるとは私には思われません。そういう点について、やはり高い視点から、自治省はもっと強力な指導をするべきじゃないだろうかと、この表の上から感じられる。  その次に、条例の問題でありますが、条例のトータルが、これも七月十五日の段階で、県に置かれているのは、二十六という意味ですか、三十という意味ですか。
  17. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 二十六です。
  18. 杉原一雄

    杉原一雄君 そうしますと、非常に少ないということですね。もちろん農業県等あって、県の事情もございますが、私まだもらったばかりで、一々点検いたしておりませんが、これはやはり徹底しかねているのじゃないか。そういう面でも自治省はもう少し強力な指導をする意思があるかどうか、計画があるかどうか。  しかも、私非常に心配するのは、防止条例ができたら万事終わりじゃない。いわんや、この防止条例は、悪いことばで言ったらざる法であります。どうにもできる法であります。私も県段階においてこの条例の審議過程に参加して、常に県当局とけんかしたわけですが、これはなかなかけんかしても逃げていく。しかも、できたものは、よろしくその形だけととのえて、あとはざる法だというのが一般的な通例じゃないかと思いますが、そういう点について、もっと点検して、もっと公害防止、人の命を大事にする、それを優先的に考え行政が行なわれるような指導をすることが、条例設置の場合でも、やはり自治省から強力な指導助言があっていいのじゃないか。そのことを簡単に、決意いかんを聞きたいと思います。
  19. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) この公害の問題が非常にやかましくなり始めたのは最近のことに属しますもので、現在のところ、昨年の七月十五日現在で、公害独自の課を持っておりますのは四十二府県中二十二でございますけれども、実は、二十二の中の半数以上、十二というものは四十二年度年度の二年間でできたものであります。四十一年度は十の県が課を持っていたという状況で、ここ一年、地方公共団体における公害行政の組織というものが非常に充実してきた、そういう傾向をたどっております。最近、特に国の法令、各種公害法ができております。それを受けて、現実に規制を地方公共団体が行なうようになってまいりますので、今後その組織も当然充実してくるだろうと思っております。  それからなお、この公害防止条例の関係でございますが、これは現在二十六の府県で三十の条例が出ているわけでございますが、この中のほとんど大部分というのは、国の、たとえば大気汚染防止法でありますとか、騒音規制法でありますとか、そういった具体法ができる前に制定されているものであります。国の法律制定後にできたものはその法律との調整はとっておりますけれども、その前のものは、若干その法律との調整をなおはからなければならないような点もございます。法律との調整を考えつつ、なお新たに検討している県も相当数あることをわれわれとしても聞いております。そういった条例の制定の方向につきましても、われわれは県にできるだけ技術的な助言を与えるようにいたしております。  それからなお、組織その他を通ずる全般の公害行政におきましても、最近、このように地方公共団体の対策が進んでまいりますにつれまして、われわれ自治省といたしましても、当然のことながら、それに所要する財源を地方交付税の上で年々充実しているような状況でございます。
  20. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ちょっと私から自治省のほうに質問いたしますが、国の許容量の基準と、それから地方条例の基準とが合っていないというようなところは、どのくらいございますか、空気汚染、水質汚染、そういう面で。
  21. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) この地方公共団体の条例の規定のしかたが非常にまちまちでございます。地域指定といったような形、国のいまの大気汚染防止だとか騒音規制地域指定という形でやっておりますが、その地域指定の認定そのものが知事の判断によるというようになっているのがほとんどでございます。その規制のしかたは、弱いところ強いところ、まちまちでございます。ただ、騒音につきましては、現実問題といたしまして、法律の規制よりも強い規制をやっているところがございますが、条例で必要に応じて法律よりも強い規制ができるような措置が講ぜられております。大気汚染の場合につきましては、現実問題として国よりも強い規制を行なっているところはないようでございます。
  22. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) もう一度ちょっと伺いますけど、当委員会として、茨城県、福島県に視察に参りましたときには、もっときびしい基準大気汚染、水質汚染でもって一生懸命県当局としてはやっている、ところが、国の基準がそれより許容量がゆるやかだというようなことが出てまいりますと、県当局としては非常に失望するわけでございます。それで、やはり環境の違いということは非常にあるわけでございますから、せっかくきびしい基準を設けているのに、それをもっとゆるやかにしなくちゃならないというようなことについては、どういうふうにお考えになりますか。
  23. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 大気関係につきましては、厚生省のほうから担当の課長さんが見えておりますので、そちらからお答えいたします。  なお、水質につきましては、現在福島県下には水質の地域は指定がなされておりませんもので、全部県の条例でやればできるという形になっております。
  24. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 本委員会でおいでになりましたときに、そのような御意見があったということを伺っておりますが、茨城県の条例に関する限りにおいては、行政規定としてきびしい基準を一切持っておりません。国のほうがきびしい規制が行なわれております。それから鹿島につきましては、今後、この間の閣議決定に基づきまして、大気汚染防止法の三条二号の予防規制によって非常にきびしく規制がなし得るのではないかというふうに考えております。福島につきましては、国の規制以上にきびしい規制基準を持っておりません。むしろ、中小煙源で、いままでよりもきびしい規制を設けることによる、しり込みも一部にはあるというような現地の事情も聞いております。現地のコンビナートが拡大されるときには、さらに規制がきびしくなるという点はございますが、必ずしも規制の点で国の基準まできびしくするということにはならないと私ども考えております。
  25. 内田善利

    ○内田善利君 カドミウムの汚染について聞きたいと思いますが、厚生省としては、昭和四十三年度公害調査研究委託費で環境汚染調査をしておられるわけですが、長崎県の対馬、群馬県の安中、宮城県の鶯沢、長野県の諏訪湖、大分県の奥岳川、この調査について日本公衆衛生協会に委託して調査研究しておられるわけですけれども、その経過を簡単に教えていただきたいと思います。
  26. 粟山秀

    政府委員(粟山秀君) 厚生省は、今年度、長崎県の対馬、群馬県の安中、宮城県の鶯沢、長野県の諏訪湖、大分県の奥岳川の地域について、カドミウムによる環境汚染調査を進めてまいりました。調査研究班としては、現在までの調査結果資料を持ち寄りまして、今月二十日に第一回の研究会を開き、目下厚生省への報告書を作成中でございます。三月中には提出されるものと聞いております。厚生省としては、この報告書の提出を待って厚生省としての見解とともにその内容を公表する、そういうことになっております。
  27. 内田善利

    ○内田善利君 二月二十六日の朝日新聞でございますが、「カドミウム汚染は決定的、川や井戸水から検出、厚生省の委託調査、田畑からも多量に」と報じておりますが、その内容も詳しく報じておりますが、これについてどういう見解を持っておられますか。
  28. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) お話のございました朝日新聞の件でございますが、これは、役所側の見解は一切発表しておりません。あの件につきましては、岡山大学の小林教授が個人的に朝日新聞記者に話をされて、そのデータが出たということに私どもは聞いております。そのほか、現地におきましての医療関係の方々が自発的に調査をなさった結果を聞かれて、それによって新聞社としての記事をつくるということでございまして、私どもの国としては直接これに関与しておりません。国としましては、先ほど政務次官が申し上げましたように、三月末まで全部をまとめてやるということになっておりますが、それによりまして一切の資料を公開いたしたい、そういうように思っております。
  29. 内田善利

    ○内田善利君 これは長崎県の対馬の例なんですが、長崎県衛生部の調べでわかった分、その結果を報じておるわけです。そうしてその中に、二十日、福田衛生部長も厚生省にやってきて、そして報告をした、そういうふうに報じているわけです。
  30. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 現在、御指摘になった点は、たしか二日前でございますか、朝日新聞の西日本版に掲載された記事だと思います。この件につきましては、県に対して照会いたしましたが、公式に発表した事実はないということでございます。二月二十日、公衆衛生協会に持っておりますカドミウムの汚染研究班の会合を持ちまして、いまお話しになりました長崎県の衛生部長も、岡山大学の小林教授もおいでになりました。そのほかの関係者は全部おいでになりまして、その資料によって私どもが検討したことは事実でございます。これはあくまでも研究班の会合でございまして、その研究班の会議で、その資料の照合点検をいたしております。一例を申し上げますならば、安中のケースにつきましては、三つの機関で同じ見解をチェックいたしております。小林教授と東京工業大学の岩崎教授、国立衛生試験所の寺島部長の三機関でチェックしております。そのチェックを全部照合して最終整理をして、それによって三先生の合意を要するという形になっておりますので、現在までのところ、報告書が提出された暁には、担当された先生がいかなる学会で個人の資格で自由に意見をおっしゃることはあっても、全くそれに対して私ども規制を受けない、しかし、提出されるまでは発表については外部に出さないでいただきたい、そのような態度をとっておりますので、三月末までには一切のものを私どもは発表いたす手順にいたしておりますので、おいでになったことは事実でございますが、厚生省に対する報告ではございません。
  31. 内田善利

    ○内田善利君 朝日新聞の西日本版と長崎新聞にも報じておるわけですが、この内容は、十一月十八日に行なった健康調査を主体としたものだと私は思うのですけれども、その内容が、実はいまおっしゃることと一致するかどうかしりませんが、内容がまちまちで、朝日新聞のほうは二百六十人の対象ということで、実際、尿蛋白あるいは糖の陽性の者が三十二名、長崎新聞四十四名、それから骨の異常のあった者がそのうち十名、長崎新聞は三十八名と、このようになっておりますが、福田衛生部長が報告をしたと、そういうことで新聞は報じておるわけです。だから、この辺で大体その調査結果は出ておると私は判断するわけですが、その調査結果がこうして新聞に報じられた以上は、対馬の地域住民の方々はいままで何回も、昭和三十八年、三十九年、四十年、四十一年と、また今度も三月三十一日までということで、その調査結果を一日千秋の思いで待っていたわけです。このような調査報告が出ますと、非常に住民もおびえておりますし、不安に感じております。こういったことに対して、厚生省としては一日も早くその結果を発表していただきたい、かように思うのですが、その点についてはどのようにお考えですか。
  32. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) いまおっしゃいました人数につきましては、私どもは、全体三百六十五人を対象とする検診を決行しまして二百六十名が受診したということを聞いております。ただ、その結果については、当日の会合においては資料は提出されておりません。立証されたということだけでございまして、レントゲンにつきましてはこれから開始されるということでございまして、まだレントゲン所見の診断はきまっているというところまでいっておりません。県に照会しましたところ、一部の新聞に書かれたことについては、全くそのような事実はないということでございます。私どもとしては、現地の人が非常に不安を持っていることは事実だと思うのでございまして、この件につきましては、現地調査に私どもの課の担当の技官がこの夏に参っております。それから、この秋の調査のときには、国立衛生試験所の大阪支所の部長が自分で参っております。また、現地でイタイイタイ病の患者ではないかというような疑いのありました五十八歳の老婦人のケースにつきましては、九州大学の温泉研究所に入院いたしましたので、詳細な鑑別診断をいたしまして、主治医から、イタイイタイ病ではなくて、関節リウマチだという御意見と、詳細な詳しい所見についての御報告に接しております。イタイイタイ病の関係研究班に主治医からコピーを一切送っておりますので、私どもは、現在の段階で最も疑われておった老婦人の方は、イタイイタイ病ではないというような判断に立っております。  特に現地で問題にしております蛋白尿云々ということの点については、検診の結果、さらにそれを深く突っ込んでいくということでございまして、私ども、先ほど政務次官がちょっとおっしゃいましたが、カドミウム暫定対策というものを本年度も引き続いてつけて出します。それによりまして、その地区に具体的にどういう対策をやるかということも出しますし、また、この対馬につきましては、四十四年度以降も継続をして、常時汚染調査、保健対策ということにつきまして必要な部分があれば進めていくというような考えで臨んでおります。
  33. 内田善利

    ○内田善利君 私が一番心配するのは、こういうふうに非常に長引きますと、農作物の汚染が一番心配なわけですが、この農物作の汚染状況はどうであったか、これがわかっておれば教えていただきたいと思います。
  34. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) いまの御意見でございますが、農作物の汚染状況につきましては、従前一度調査をしたことがございます。確かに汚染はいたしております。汚染はいたしておりますが、個々のケースにつきましては、例の富山県のときの場合とはまた性質を異にしております。私ども考えといたしましては、現在、この何PPMという論議で問題を処理するのは非常に誤りをおかすということでございまして、一日当たり何ミリグラムの摂取をしているかということにつきましての計算をいたしておりまして、それに対して安全であるか安全でないかということを現在の段階では一応割り切っておりますが、その数字は内規的なものでありまして、ただ、専門委員会先生方には、私たちはこういうことで現状処理をいたしますということは実はお話を申し上げております。農作物の汚染につきましての問題は、今後どういうものを汚染したとして判断するか、あるいは、どういうものがある場合にどのような保健対策考えるか、あるいはどういうぐあいにどれほどまでに農業関係の対策を行なわなければならないかということを頭においていたしたいと思いますが、例のカドミウムの摂取の一番大きな可能性のあるのは、米が、一番よく食べるわけであります。次は水でございますが、米と水で例のカドミウムの摂取量の大半がきまってくるわけでございまして、農作物のPPMの資料につきましては、乾燥サンプルによって出したものがございますので、それは十分の一に薄めた濃度を使わなければ概算に使われないという事情もございますので、私どもはその点につきましては十分注意を払いたいと思っております。現地は、一部は住宅地が鉱山の堆積物の上にできておるということでありますが、そこで別に農耕しなければ……。米をつくるわけではございませんけれども、農耕条件と汚染条件というようなものを、今後の調査をまって十分対処していきたいと思います。
  35. 内田善利

    ○内田善利君 対馬特有の、いまもおっしゃるように、カドミウムの堆積土が非常に汚染されているわけですが、こういった堆積土を除去するというような方法は講じられないものか。何とかして対馬特有のカドミウムに汚染された土壌を除く、あるいはこれに対する対策、そういうものはないのかどうか、お聞きしたいのです。
  36. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) その点につきましては、全体の調査の結果をよくながめてみて、影響をながめてみて、それから次に判断をいたしたいという感じでございます。先ほど申しましたように、そこは水道は全部外から入っておりますから、水は昭和二十七年から一切安全でございます。米はその堆積物の上につくっておるわけではございません。そういうことで、やはり土をどうするかということは、やはり非常に長期の視野で最終的な判断をいたしたいということで思っておりますので、私ども調査した研究結果を専門家と討論いたしまして、必要な点につきまして資料を通産省と農林省に差し上げまして、こういう方向が必要だということであるならば、その問題が必要であると判断した時点対策を講じていきたい、そういうふうに思っております。
  37. 内田善利

    ○内田善利君 三月中に結論を出すということでございますが、これは調査結果の結論でございますか。
  38. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 調査結果の結論と、一切の資料をまとめたいということでございます。また、暫定対策もできるだけ同時に立てるような努力をいたしたいと思っております。
  39. 内田善利

    ○内田善利君 通産省の方にお願いしたいのですが、通産省も同時に資料採取をされて調査されているわけですか。その経過を教えていただけますか。
  40. 橋本徳男

    政府委員橋本徳男君) この対馬、安中の鉱山につきましては、四十二年十一月以来特別の検査をいたしまして、御承知のように、むしろ対馬の排水処理がいわゆる分散処理という形を取っておりまして、これは排水処理上好ましくないということで、特別の指示をして、集中処理をして、中和槽を拡大するといったような措置を取りまして、そういう一切の施設が昨年の六月に完成いたしました。その後、八月末になりまして、その実施状況調査したわけでございます。調査いたしましたところが、〇・〇一八というふうな実は結果が出まして、まだこれでは十分ではないということで、再度、薬液添加のやり方等の装置を完備するようにというふうな指示をいたしまして、十一月の二十七日に再度特別の検査をやったわけでございます。そのときにまいりますれば、すでに〇・〇〇八九というふうなことで、国際的な水準以下になったというふうなことでございますが、担当局といたしましては、ここは非常に大きな問題でございますので、その後常時特別の検査をいたしまして、なお一そう水質がいわゆる改善され、あるいはこの数値が異常に上がらないような注意をしているわけでございます。そういたしまして、大体今日までに投入されましたいわゆる施設改善資金というものも、四億二千万という金を投じまして、いろいろな施設をやったわけでございます。それから、それに伴います公害対策のための運営関係の費用も、大体毎年三千万円程度の資金を投入いたしまして、水質の改善をはかるというふうなことをやっておりまして、現在のところでは、万々今後において問題を生ずることのない状態になっておると考えている次第でございます。
  41. 内田善利

    ○内田善利君 対馬の問題はこれで終わりますが、地域住民は、こういう報道によりまして非常に不安におびえております。だから、早急にひとつ、三月末日までと言わないで、早急にその調査結果をまとめて発表していただきたい。そうして、その対策を講じていただきたい、そのように要望して終わります。  それから時間がありませんから、一言だけ安中のことを質問したいと思いますが、橋本公害課長は、市公報の発表のときに絶対だいじょうぶ、このように発表されまして、そのあと、あのような新聞発表が出たわけですが、この辺の真意をお伺いしたい。このように思います。
  42. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) いま内田先生指摘の点は、安中市の公報に、私が現地をいろいろ視察したり、関係者の意見を聞いたりした結果、市議会の方々及びこの反対の運動をしておられる方々らの前でお話をした。これはかなり長くお話ししました。その中の、だいじょうぶだという点だけが短く要約されて公報紙に載りまして、それによって、話が違うじゃないかというような誤解を生じたわけでございます。この点につきましては、安中の市役所から私のところに、迷惑をかけて申しわけなかったという謝罪が来ております。私の話した内容は一切テープレコーダーに録音しておりますので、これを聞いていただけば、どんなことを言ったかということがわかると思います。なぜそのとき、だいじょうぶと言ったかという点でございますが、安中の問題が非常に大きく出ましたのは、岡山大学の小林先生が農作物の調査をされて出された数字及び土壌の調査、その米についていろいろ実験をされた結果を中心として心配をされたわけであります。現地にそういう問題がございまして、私どもはこの安中の汚染調査をしようということをいたしました。同時に、やはり現地の人々から、どうもいろいろあちこちが痛いということで、イタイイタイ病じゃないかというような御不安がありまして、現地の方の陳情を一時間以上にわたって私ども受けました。そこで、非常に現地の皆さんが不安におちいっておられて、一体米を食っていいのかどうか、あるいはこの辺全部がめちゃくちゃにあぶないのじゃないかとか、いまでもイタイイタイ病になるのじゃないかというような不安が非常に大きいので、一回現地に来て事情を聞いてくれというような御要望が、役所の側から、あるいは陳情した住民の側から、あるいは工場の側からも、全部ありました。そこで、昨年の末現地に参りまして、まず、いろいろ問題を言っておられる場所を全部拝見しまして、工場の中を見まして、関係者の方々の陳情、御意見を承りまして、いままで私どもが持っておるデータから判断して申し上げたわけです。  要約しますと、一つは、発生源としましては昭和十二年ころからの発生源で、これは、神岡の何百年という歴史、あるいは明治何年、七十年というものとは非常に違うということと、それからもう一つは、現在の工場の防止装置というものを見てみましたが、私は昔は存じませんが、少なくとも現在四十一年、四十二年の大気汚染防止施設とか、東邦亜鉛がしたという装置は、私がいままで見た工場のうちで最も驚くべきことをしているというような印象を持ったわけであります。それから、排水処理につきましては、すでに昭和三十四、五年ごろから問題がありまして、処理をしてヒューム管で流すということが昭和三十八、九年には完成したということを聞いております。そういうことで、発生源から見ましても、一つ富山なんかの場合と違って差があるということ。  もう一つは、富山では中年以降の妊娠回数の多い御婦人の問題としてあらわれたわけでございますが、安中の問題というのは、御婦人の問題というものも中にはございます。しかしながら、おじいさん方の話が非常に多うございまして、どうもその点についてはいろいろなほかの疾病とも鑑別しなければならないというように考えたわけでございまして、現地に参りまして衛生部長に聞きましたところ、衛生部長も、イタイイタイ病だと診断されたという人のところに行って承ってみましたが、どうもいろいろいままでの話と違うということについての御意見を聞きました。小林教授が出された米の濃度から計算したデータから一日当たりのカドミウム摂取量の推定を逆算いたしますと、われわれが考えている一日〇・三ないし〇・五ミリグラム以下ということでございます。現地は、水道が前から上水道で全部をカバーしておられまして、汚染された水を使うことはないと判断しまして、いまの段階ですぐ危険だといっておびえることは好ましくない、私どもは予防のために調べているのだ、結果によって、必要ならばどしどし積極的に対策をとるから心配をなさらないように、というような話をしたわけであります。私どもは、現地の人々が心配していることは事実だと思うのでありますので、現在調査している結果に基づきまして、必要な措置があればどしどし積極的に指導していくという考えであります。
  43. 内田善利

    ○内田善利君 通産省の見解をお願いしたいと思います。
  44. 橋本徳男

    政府委員橋本徳男君) 通産省といたしましては、もっぱら、この安中につきましても、こういった汚水を除去するという観点に立ちまして、昨年来数度にわたりいろいろ改善の指示をやっております。その結果、現在のところは十分な施設が大体完了したということになっております。それ以外のいろいろな病気の問題につきましては、先ほど厚生省からお話がございましたように、それぞれ専門のところで調査をしていただき、その結果をわれわれは受けたいというふうに考えておる次第でございます。
  45. 内田善利

    ○内田善利君 あそこは東邦亜鉛でございますから、私も対馬に行きまして感じましたが、一生懸命にこの公害防止対策は講じておられるようなんでございますが、煙突が、普通は高い煙突があるわけですけれども、低い煙突でありまして、公害防止いうことについては非常に強力にやっておられるようなんでございますが、聞くところによりますると、温度の低いガスが出ているということですけれども、この点についてはどうですか。
  46. 橋本徳男

    政府委員橋本徳男君) 硫酸工場から出ますガスは、現在のところ、どこの製錬所におきましても温度は低いようでございます。安中だけのそれは問題ではないということでございます。
  47. 内田善利

    ○内田善利君 もう一言。温度が低いということは、結局、それだけ煙突のすぐ近くに重たいガスがずっと流れていくのじゃないか、そのように思うのですが、こういったことに対しても、ひとつ御検討、御研究をお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  48. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 初めに政務次官から、いまのに引き続きまして、安中におけるカドミウムの問題について伺っていきたいと思うのですが、先ほどの御答弁では、まだ厚生省としては、いま調査の結果を集めて、そうして発表の段階ではない、発表してから厚生省としての発言をする、こういうふうにいま言われたと思うのですけれども、いまのところ、安中のカドミウム問題についても、それでは厚生省としては何ら調査の結果が明らかにされていないから、具体的にはこれはどうとも言えない、こういうことになるわけでございますね。
  49. 粟山秀

    政府委員(粟山秀君) 年末までに調査いたしました結果で、いま皆さまたちが非常に御心配になっていることに対しては、年末までの調査では御心配は要らないということを申し上げまして、その後は報告が出てからということで、いまの段階ではやはり確定的な、はっきりしたことを申し上げるためには、やはりその報告をまたなければならないということでございます。
  50. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは、その年末までの調査での心配はないと言われる科学的な根拠というものは、どういう調査の結果でございますか。
  51. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) いまの御質問の点でございますが、年末までの調査といいますのは、現地でその発生施設についての防除施設を見るとか、あるいは小林教授がいままで学会に発表された農作物の中の濃度ということと、水道で現地がすべてカバーをされているということと、それからもう一つは、イタイイタイ病の患者ではないかといって心配をされておった人に、医師である衛生部長が自分で会って見た結果、どうも所見が言われたこととは違っているというところが一つの基本になっております。そういうことを中心としまして、現在までの時点で非常におびえられるということは、私は妥当ではないということを申し上げた次第であります。
  52. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは、年末までに厚生省としては農作物なんかをだれかに頼んで調査をしたということではなくて、年末までに調査されていた小林教授の調査も含めて、だいじょうぶだと、こういうふうになったわけですね。  それではお伺いしますけれども、小林教授は昭和三十六年にすでに現地の農民と話し合い、農作物もとって調査されているし、四十三年の四月にまた現地を調査されている。それから、十月でございますね、十月にも調査されている。その結果、小林教授自身は、麦から二〇PPM、米から〇・六PPM。これは、麦の場合だと、厚生省で言われている許容量の約三百倍の数値に、計算してみるとなるわけです。また、米ですと十倍になる。それから、麦を食べたネズミを調べてみると、三日から四日でふらふらになって死んでしまった、こういうことも出ております。それから、工場から七百メートル離れた丘陵地の畑で採取したイチゴなどの苗やナスの葉っぱ、庭ゴケ、こういうものから六一ないし四一のPPMが出ている。サトイモ、ニンジン、ナスの実、ネギ一〇PPMと、こういうふうに、十月までに小林教授が現地の農作物をとってきて、そして調べられた結果で見ますと、これは心配がないどころではなくて、たいへん心配せざるを得ないような調査というのが出てきているわけですね、発表になった分で。それが、先ほど個人見解だと、こう言われたわけですね。個人見解だから厚生省としては何とも言えないと先ほどおっしゃいましたわね。いまになって、その小林教授のものを持ち出し、しかもその小林教授の出されたものは、発表されたものはこういうふうな結果になっている。そうすると、十二月段階で、これは心配なさらないでもいいと橋本課長がおっしゃったということの根拠というものが出てこなくなるのですが、その辺はどうでございますか。
  53. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) いま仰せになりました点につきましては、私どもが参りました時点では、小林先生が個人的に十月ごろ調査した結果には私どもは接しておりませんでした。私どもは、その前の四十三年の春までに学会に発表された小林教授のデータを使っております。  それからもう一つは、米が〇・六PPMということでございますが、これは濃度です。この米からの摂取が事実多いわけでございますが、この米からだけの摂取では、私どもの申しました一日当たり〇・三ないし〇・五ミリグラム摂取という当面の部内での基準の数字まではまいりません。  それから小麦の摂取量というものがございます。先ほど二〇PPMというのが、厚生省の言っている三百倍と申されましたが、誤りでございまして、厚生省が申しておりますのは、一日当たり〇・三ないし〇・五ミリ、そういう摂取だという立場で計算をしております。そういうことで、小麦の摂取量というものに対して、その濃度としてのPPMを掛けて一日当たりの摂取量を出している。そういうような形になっておりまして、私どもは、この小麦の二〇PPM全部いたしましても、すぐ心配だ、こわい、ということとは思っておりません。ただ、そこを注意を要する地域だとは思っております。  その程度のことはこの間のときに申し上げております。非常におびえて、こわくて、米も食べられない、出せないというようなことではないということでございます。そういう点だけはひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。
  54. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そこで、小林教授が学会で発表されたものは使う。だけれども、個人的に出されたものは使わない。その差別はどういうふうに……。同じ方が学者としての見解を発表された。けれども、個人的にも、そうやって心配された、そういう事実というもの、データというもの、これは非常にありがたい、これは一体どうなんだと、むしろこれを裏づけるものとして、これを調査していって、解決の道を進むというのが当然の措置だろうと思われるのに、個人的なものだからそれは見ないと、こういうところは、ちょっと疑問に思うのですが、どうなんですか。
  55. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 先ほど個人的と申しましたのは、これは、私どもが学会に出されたものとしてその当時まで知り得たものであります。個人的におやりになったものを知り得たのは去る二十日でございます。その四十三年の初めまでに知り得たデータ以外に、個人的にお調べになったものを私どもが得たのは去る二十日でございまして、そういうことで、私どもは小林教授の個人的なものは使わない云々ということではございません。そのときまでに私どもの手元にくださいと言える筋のものではなかったということでございます。二十日に参考資料として出されたということでございます。  それからもう一点は、私どもは小林教授は分析の専門家として非常に尊敬しております。しかし、医学の判断ということにつきましては、専門家である医師が判断をするということが基本であるというふうに考えております。その点につきましては、食品衛生、慢性疾患の専門家が全部出てやるということでございまして、小林先生は専門委員の一員として、私どもは非常に尊敬して中に加わっていただいております。病気についての判断は医学の専門家の判断を聞くという立場をとっております。
  56. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 たいへん時間がなくて、そこのところは突っ込めないのですが、それでは次に移らしていただきたいと思うのですけれども、先ほどの課長が安中で発言されたということ、私のほうも調べてみましたが、安中公報二月号のナンバー一二〇で出ている。まあ御承知と思いますが、大きな見出しで、「東邦亜鉛周辺のカドミウム鉱害は心配せずに」と、こういう見出しになっているというところから、非常に問題が出てきたわけです。先ほどの御答弁によりますと、非常に重々話したんだけれども、取り上げられ方が、たいへん安心だというところを強調されているように受け取れたわけですけれども、しかし、厚生省がいらしてですね、やっぱりその市の関係市議会農業委員、地元市民、新聞記者というようなものを前にして発言されるときにね、時間がたっぷりあったにもかかわらず、こういうような取り方をされるような発言というのは、これは責任のある立場としては考えてもらわなければならないと思うのです。先ほどのお答えでは、こういうことは言ってないと、あまり心配しているから、そんなにひどい心配するのじゃないというふうにおっしゃったと、こういうわけですね。そうすると、この安中公報というのは橋本課長の真意を伝えていないと、こういうことになるわけです。それで、先ほど、安中から、いままで迷惑をかけたと、あやまってきたとおっしゃいましたが、そのあやまってきたのはいつのことで、これは安中としてはほんとうに申しわけないと、こう言ってあやまってきた、そうしたら、それに対して橋本課長は、これはたいへん困る、じゃあこれについての取り消しを要求するというような、これについての責任をどういうふうに向こうとお話をおつけになったのか。その辺、時間がないので、簡単にお答えいただきたいと思います。
  57. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 公害行政官としましては、現地において、現在の立場でどう判断をするかということは、どうしても言わなければならない立場があると私は思っております。そういう点で、現在までのデータで私どもはどの程度に動くか、どの程度に注意をするかということを言うのは、私どもの役割りであると思っております。そういう点で、現地において申しましたようなことにつきましては、私は誤まりはないと思っております。ただ、現地の公報に載った載り方があまりにも要約されておって、それによって非常な誤解を起こしたという点については、これは私も今後大いに注意をいたしたいと思っております。現地へ参りましたのは、いつでございましたか、朝日新聞にこういった記事の載ったその次の日でございますか、そのもう一つ次でございますか、現地の助役がまず初め来まして、それから……。
  58. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 朝日新聞というのは、十二月二十三日のですか。
  59. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) そうです。
  60. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうすると、二十四、五日ですね。
  61. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) その辺だと思います。
  62. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい。わかりました。
  63. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) で、来られている。
  64. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 助役さんが来ましたか。
  65. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 助役さんが、まず最初に来ました。その次に課長が来ました。私は課長とは直接会いましたが、助役とは会っておりません。そういう形でございます。そういうことで、私どもはデータを全部取り消してくれということは申しておりません。これはやはり要約をすれば、公害の問題というのは非常に誤解を招く場合があるということだけを申しております。  以上であります。
  66. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いま責任ある立場として現地に行かれ、発言するときに御苦労なすったということはわかるのです。しかし、現地に行かれて、そのときの一時間前に共産党の県会議員をはじめとする地元代表に会ったときには、目下調査中であり、調査結果を待たねば何とも言えないと、こうおっしゃっておるわけですね。私はこれが正しい答えだと思うのです。やはり、みなが心配しておるというのは、頭で心配しておるのではなくて、事実を通して、体が悪くなってきておるということで心配しておる。責任を持ってそれを厚生省としてどうしようという立場に立てば、やはり、目下調査中だと、だから科学的な根拠をもっていろいろと言いたい、こう共産党に対して言われたのは、非常に私は妥当なことばだと思う。しかし、一時間後には、まあ心配せずと、というように取られるような言い方をされておるというのは、まあ趣旨はどう言われようとも、事実として、子供が聞いたわけではないですから、たくさんの人が聞いていて、しかも、こういうようにまとめられるような発言をされたということについては、はっきりと言うと、ごまかさないでいただきたいと私は思うわけです。  そこで、この日にちですね。十二月の二十七日に行っていらっしゃるわけです。十二月二十七日と、たいへん暮れの忙しいときです。暮れの忙しいときにいらして、こういうふうに安心だと言われるような受け取り方の発言をされたということから見ましても、私たちは、いままでの経過から見て、申し訳ないけれども、これは何か意図的なものがあるというふうに考えられるわけです。それは、もう岡山大学の小林教授の発言がどんどん出てしまう。皆がそれを知り出した。また、高崎の中央病院でも集団調査が十月に始まっていますね。そういうものをみな知っている。騒ぎ出した。こういうような中で、これはたいへんだと、ひとつここのところで、というようなことがあったのではないかというふうに、私のほうとしては考えられるわけなんです。これについて、また時間をかけてとやかく言うことはないと思いますけれども、そういうふうな立場から言えば、厚生省がほんとうにいま住民の健康を守るという、そういう立場に立っていただけるかどうかということ、少しそこのところをきちんとしていただきたい。  と申しますのは、実は、いままでこういうことがたびたびあるわけですね。たとえば、水俣病でも、患者が発生してから見解が出るまで十五年かかっている。熊本大学がこの原因はこの工場にあると言われてからも十年からたっているわけです。もしそのときに、厚生省がその立場に立って、これはたいへんだ、これのところをひとつ調査して、健康を守ろうという立場に立てば、そうすれば、第二の阿賀野川のイタイイタイ病は起きないで済んだわけですね。こういうふうに、いつでも後手後手に回って、むしろ健康の立場ではなくて、企業の側を擁護するというような立場に、事実としていままで立たれているから、だから私たちとしては、これを非常に注目するわけなんです。課長がそういう意思ではなかったと言われましても、事実、そういうことで非常に向こうは不安に感じているわけでございますから、その辺のところは、私のきょうの発言に対して、課長は、決してそういうことを言っていない、安心せよと言っていないということは、安中の公報がこれは聞き違いだ、取り違えたということになるわけなので、その辺ひとつはっきりさせていただいたので、いいと思います。  最後に、いま地元の農民も非常に心配いたしまして、いろいろな要求を出しているわけなんですけれども、すでに発生している患者ですね、もう工場の中でも、労働者が三人ほどイタイイタイ病患者みたいな形になって動けなくなっているというようなことも聞いておりますし、そういうようなものに対して、公害病の認定ということや、また、診療や治療、その生活保障についても何とか早く手を打ってほしいということを一つ要求として言っていますし、また、カドミウムを含有していると見られる農作物というものがございます。こういうものを政府は責任を持って買い上げて、廃棄処分してほしい。  それからまた、東邦亜鉛が現在非常に拡張を進めているわけなんです。この工事について、公害調査の結果を待って、これはだいじょうぶだと言われるようになるまで、これをとめておいてもらいたい、というような緊急な要求というものを出しているわけです。それについて、どういうふうに考えていらっしゃるかということも伺いたいと思います。  それから、時間がありませんから、まとめて申し上げたいと思いますが、通産省のほうでは、去年の暮れに工場を拡張したいという要求が出ておりますね、いままで一万四千トンの亜鉛の電気製錬施設を、三千トンの増設を認めてほしいという要求が出ていたわけですが、それはお認めになったのかどうかという点も伺わせていただきたいと思います。
  67. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 一点だけ。私は、現地でお話しした内容を変えるということで申し上げたわけではございません。現地の伝え方の中に、安心だという点だけが強調されたという点で、誤解を招くような表現があったような受け取り方をされているという点について残念だと思っているわけでございます。現地で言ったことを、私はいまも変える考えはございません。  もう一つ、年末に行ったということは、これは、私どもの課は実は忙しいのでございまして、どこかですきができたらということで、現地の共産党の方からも私ども厚生省に陳情を受けておりますので、そういうことで、現地へも早く行きたい、すき間がちょっとできたということで、善意で飛んで行ったわけでございます。何らそこに他意がないということだけは、ひとつ誤解のないようにしていただきたいという希望を持っております。  それから、患者の認定とか診療という点につきましては、今回の調査の結果に基づきまして、問題がある、これはどうか、というようなものも、もしできましたら、その点について、こまかな鑑別診断やなにかの問題を強く突っ込んでいきたいと思っております。これは、先生から御指摘のあった水銀の問題に対して、私は今後絶対にそういうことは起こらないというような積極的な姿勢で臨んでいくつもりでございます。  いまおっしゃった東邦亜鉛の拡張の問題につきましては、これは通産省のほうの関係でいろいろ御判断になると思いますが、私どもとしましては、現在までの調査のまとまったところは、全〜公正に、すべてを出して、政府としての責任のある判断を出していきたい、かように考えております。
  68. 橋本徳男

    政府委員橋本徳男君) いまお尋ねのございました安中製錬所の拡張の問題でございますが、これは、四十三年の十一月の二十六日に申請書が出ておるわけでございます。それで一カ月間検討いたしまして、本年の一月の二十五日に認可しておる次第でございます。  その考え方でございますが、この安中につきましても、過去におけるいろいろなそういった問題はあったかと思いますけれども、昨年来数次にわたる施設改善指示をいたしまして、そのときに、たとえばウルトラフィルターの増設とか、あるいはろ過器の拡張とか、あるいはその他冷却水の処理、こういったような、いわゆるいろいろな公害対策施設につきましては、十分に将来の拡張も予想いたしまして、その能力を倍加さしているわけでございます。したがいまして、現時点におきましては、もちろんその公害発生は完全に防止できるというふうな施設をつくっておりまして、しかも、その施設が、今日増加いたしましたより以上の能力を持ってつくらしておる次第でございます。さらに、しかしその申請書が出てまいりました場合に、冷却水はどういうふうな形になるか、あるいはその他の汚水の排出が今日以上にふえることはないか、あるいは工場拡張につきましても、十分その排出量と処理能力というものを勘案いたしまして、この程度の拡張ではまだ余裕があるというふうな判断の上に立ちまして、認可した次第でございます。
  69. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 先ほどの安中公報の問題ですね。課長さん。はっきり簡単に言っていただきたいのですけれども、この安中公報で書かれた「東邦亜鉛周辺のカドミウム鉱害は心配せずに」と、こういう見出しは、これは全く課長としては真意ではないということですね。「心配せずに」ということ、ここが一番問題になっているわけです。心配せずにと言われたということが問題になっている。そうすると、この見出しというのは全く課長の真意とは違うということは、はっきり言えるわけでございますね。
  70. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 手放しで「心配せずに」ということでなしに、現在非常におそるべき事態であるというようなことではない、こういうことでございます。
  71. 粟山秀

    政府委員(粟山秀君) 小笠原委員並びに各委員に厚生省の立場から申し上げたいと思いますけれども、この公害問題については、現地の住民の方たちはもちろん、たいへんな御心配だろうと思います。御不安を持っていらっしゃるということは重々わかりますので、人の命を守るということの行政の立場でございますから、もうこれは厳正な、人の命を守るという行政庁としての立場でもって対策に当たりたいということでございますし、紛争処理とか、あるいはこの救済のための医療の法律などもできるということになっておりますので、今後も、この調査結果を出すについても、これはほんとうに厳重な態度でもってその結論を出したい、そういうことで、いろいろ問題がありますならば、いろいろな制度を利用いたしまして十分にこたえたいと、そういう態度でこれからも進む考えでございます。
  72. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 最後に、いまいろいろと伺いまして、小林教授が非常に具体的に安中の問題はやっていらっしゃるということも、私のほうとしては非常に伺いたいというふうに考えます。事実を科学的に調査していくというためにも、この委員会で小林教授を喚問するというのですか、お呼びして、それを伺うというようなことや、また、高崎中央病院で集団的に検診をしております。そういう病院の調査をされた責任のある方に来ていただいて、そして事実をいろいろとお伺いしたいというようなことをお考えいただけませんでしょうか。
  73. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 理事会におきまして相談をして、取り上げたいと思います。
  74. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 総理府総務長官に、交通対策の問題と、それから公害の問題と、両方、所管の範囲内において質問申し上げたいと思います。  たいへん時間の制約がございまして、十分に意を尽くすことができないかと思いますけれども、まず第一に、先般、総理府総務長官の交通安全対策につきましての所信の表明を伺ったわけであります。しかし、長官も言われておりますように、昨年の死者が一万四千二百五十六人、負傷者が八十二万八千人ということで、死者の場合をとりましても、あるいは負傷者の場合をとりましても、史上最高だということであります。この交通事故の趨勢というものは、道路の状況あるいは交通環境の現状なりから考え、さらに経済の発展と自動車の今後の増加ということを考えてみると、四十四年はさらに四十三年を上回るような悲しむべき事故発生するのではないかと、実は心配しているわけでありますが、交通事故の今後の見通しなり、あるいはまた、それに対する対策の新しい画期的な構想がおありでございましたら、この際披瀝していただきたいと思います。
  75. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) 松澤委員の御指摘にございましたごとく、交通災害と申しますものは、環境の悪化に伴いまして非常に今日まで増加の趨勢を示しております。したがって、このままにしておきますると、来年もその傾向があるのではないかという御懸念、私どももさような懸念を持っておりまするが、ぜひひとつ、今後とも対策を徹底いたしまして、来たるべき年におきましては、これをできるだけ押えるようにいたしたいと努力しておる次第でございますが、なお、安全施策方法について何か新しい名案はなかろうかという御意見でありまするが、私どもは、従来から立てましたところの交通安全施策そのものにおきましては、私は間違っておらないと思っておるのであります。すなわち、繰り返して申し上げるようになるかとも思いまするが、第一は、交通安全施設の整備拡充中心にいたしまして、道路、交通環境をよくするということを第一に掲げました。第二には、学校におけるところの交通安全教育を推進する、あるいは地域社会におけるところの交通安全思想の普及徹底をはかり、さらに運転者に対しますところの再教育の強化を内容とするところのいわゆる交通安全運動というものを第二として側面から進めてまいる。それから第三といたしましては、交通暴力の排除に重点を置きましたいわゆる交通秩序の確立であります。第四といたしましては、被害の起こりましたときの対策、救急医療体制の整備及び損害賠償の確保を主たる内容とする被害者救済対策強化でありまして、この四つの柱は総合的にやはり推進することが必要でありまして、将来におきましても、やはり交通安全対策の基本的な考え方として私ども考えておるわけであります。したがって、現時点におきましても、考えられるところの個々の交通安全に対する施策は、すべてこのただいま申し上げました四つの重点に包含されておりますので、総合的な交通安全対策といたしまして、引き続き昭和四十四年におきましても、特に新しい柱をつけ加える必要はないと思うのでありますが、しかし、従来のこの方策を一そうひとつ徹底努力さしていきたい。交通事情及び交通事故の態様はどんどんと変化しておりますが、来年度におきましては、個々の施策を、ただいまの施策を実行いたします際におきましては、新しい事態に対応するように、やはりその実施につきましてはそれぞれ緩急の序等を十分に検討を加えながら事故防止に当たりたいと思うのでありまして、でき得る限り現在起こっておりまするところの事故数を減少する。そうして人命を守るように努力いたしたいと思っておる次第であります。
  76. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 総務長官がそういうふうにおっしゃるし、私自身にも新しい交通安全対策があるわけではありません。政府も、あるいはわれわれも、一般国民も、協力して交通事故の減少——撲滅ということはちょっとオーバーな言い方ですけれども、少なくとも前年以上に事故を起こさない、ふやさないということが中心であろうと考えます。  いまお話しになりました最重点施策の四本の柱ということは、いずれもごもっとものことでありす。これは最近、特に四十四年度に対する重点施策は何だと言われれば、まとめて言ってみて、いま言われる四つの項目に集約されるかもしれないと思います。しかし、これを本当に推進していっても、やはり四十四年の事故は、まことに悲しいことでありますけれども、四十三年よりもふえるかもしれないということであるのでありまして、やはり、何かここで新しい構想なり、あるいは新しい制度なりということを考えなければいけないのではないかと思うのであります。政府としては、公害対策行政というもの、あるいは交通安全行政というもの、これを一元化していくべきであるというような、政府部内におきましてもそういう意見があるようでありますし、また、一般世論から考えてみましても、交通安全対策というものが各省庁に分かれて、それぞれ自分の権限を他から侵されないということで、悪いことばでありますけれども、縄張り争いのようなものが現在もやはり存在している。あるいは、行政管理庁方面におきましては、交通安全行政の一元化というようなことが言われているようでありますけれども、そういう交通安全行政の一元化あるいは集約化ということについて、総理府総務長官として、どのようにお考えになっておりますか。
  77. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) 交通安全運動を推進いたしますにつきまして、御指摘のごとく、私どもは、特に新しいものはなしに、従来の基本的な態度をもって進めておる次第でありますが、なおさらに徹底させるために、総括的にやはり交通安全に対する配慮をすることも御指摘のとおりでありまして、ただいま政府におきましては、交通安全基本法というものを考えておる次第であります。御質問がありましたら、さらに具体的に申し上げたいと思いまするが、こういう基本的な考え方が一般的に法律として提案されて実施されるということになりましたならば、私は、やはり従来やっておりましたところの個々の交通安全運動というものが一そう地に着いたものになるのではないかと考えておる次第であります。  なお、御指摘のごとく、交通安全運動に対しましては、政府各省庁それぞれ個々の立場に立って持ち分を守って努力しておるわけでありまするが、その総合的な立場といたしましては、総理府におきまして交通安全室の本部的な機構によりまして、連絡調整をはかっておるわけでありまして、個々の力がもっと有機的に働きましたならば、さらに一そうその力を発揮することができるのではないかというお考えのようでありますけれども、私どももさらに総理府といたしまして連絡調整に努力をしてまいりたいと思うのであります。  なお、行政機関の交通安全に関するところの機構の一元化というものも一つ考え方と思っておるのでありまするが、今日各省庁でとっておりまする交通安全の施策は、それぞれやはり各省庁にかなり密接な関係を持っておるので、その分だけをはずしてくるということ、これもいろいろと検討すべき問題があるのでありまして、今日、政府におきましては、もっぱら総理府の連絡調整ということに重点を置きまして、そうして今後とも各省庁の安全運動を一そう徹底させることのできますように中央から努力をするということを考えておる次第であります。この方針をもって、さらに進んでまいりたいと思う次第であります。
  78. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 交通安全行政の一元化ということは、この委員会などでもしばしば意見が出たわけですし、もし行政管理という面から交通安全行政の一元化というようなことを考えるとすれば、一つの機構改革として傾聴に値する問題ではないかと思います。幸いに、総理府の交通安全調査室というものができ、主として連絡調整という職務を持っておられるわけでありますが、宮崎君が室長をやって、たとえば予算の説明等は一括して宮崎室長がやられておりまして、各省庁別に予算を聞かなくとも、一本でわれわれ説明を受けるわけでありまして、これはたいへんけっこうなことだと思いますが、それはしかし、現在の調査室は連絡調整ということが重点でありまして、基本的な施策というものをつくり、かつ改めていくというには、少しく力が足らないのじゃないか。あるいは権限が少ないのではないかというふうに考えます。私よく存じませんけれども、ここまで交通安全の問題が非常に世論として高まってきているとすれば、長官が言われました交通安全国民会議というようなことでなしに、各界の学識経験者を集めて、国の交通安全対策というものがどうあるべきか、また、そういう基本的な政策を実施していくためにはどのような権限を持った、中央審議会と申しますか、あるいは国民会議といいますか、そういうものをつくったらいいかということを新たにお考えになる必要があるんじゃないか。全国から関係者を集めて交通安全国民会議ということをなさるよりは、むしろ、公害には公害審議会がありますし、それぞれ政府にはそういう審議会があるわけですから、そういう基本的な将来の交通安全対策というものを審議して、これを内閣総理大臣に答申するなり、あるいは意見の具申をするなりという強力な将来の交通安全対策というものを政府はこういう方向でいくんだということをはっきり明示できるような強力な機関をつくる必要があるのじゃないかと、このように考えます。  また、一般民間の学識経験者を集めて、そういう審議会なりあるいは調査会なりをつくるとすれば、閣僚の間でもそれぞれ権限を持って、なわ張り的に、まあ対立とまではいかないでも、それぞれ同じような権限を持っておられる各省庁の長官なりあるいは係官なり、その上に関係閣僚会議というものをつくって、真剣に今後の交通安全政策というものはどうあるべきかということを考えるのは、ちょうどいまそういういい時期じゃないかと思いますが、これらの点につきまして、長官の御意見を伺いたいと思います。
  79. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) ただいま松澤委員の御意見がありましたごとく、根本的な安全対策というものを確立すべきときになっておると考えるのでありまして、したがって、総理府におきましては、さような要望に沿いますために、交通安全基本法というものを今日検討いたしておるのでありまして、近く、今国会に提案する予定でございまして、今日最終的な調整を行なっておる次第でありますが、その内容につきまして、御意見に関連しておりますので、簡単に申し上げてみたいと思うのでありますが、  第一に、陸上交通、海上交通及び航空交通の安全に関する、国、地方に、公共団体交通施設の整備者、事業者、使用者等の責任をまず明らかにいたしたいというのが第一でありまして、  それから第二に、ただいま御意見がありましたが、総理府には中央交通安全対策会議というものを設け、また、都道府県におきましては都道府県交通安全対策会議を置きまして、国及び地方公共団体におけるところの交通の安全を推進する組織を整備してまいりたい。御意見のような形におきまして進めてまいりたいと思うのであります。  なお、この際、交通安全対策審議会というものを総理府に設けまして、総理大臣の諮問機関といたしまして、御意見のありましたごとく、学識経験者等を委員といたしまして、これを実行してまいりたい。また、地方におきましても、必要がありまするならば、地方交通安全対策審議会というものを置きまして、それぞれ基本的な交通安全計画というものを実施するという考えでございます。この計画を策定して、これの実施推進させる、中央におきましても、地方におきましても、それぞれ中心的な活動をいたして、取りまとめをしていきたいというわけであります。  それから第四といたしまして、陸上交通、海上交通及び航空交通の安全に関しまして、国及び地方公共団体の基本的な施策を定めること等をこの基本法の中に考えておるのでありまして、この基本法が制定されますと、ただいまのような審議会また計画というようなものが伴ってまいりまして、同時に、総理府におきまするところの仕事の連絡調整ということが一そう充実されまして、そうして、各省庁等で実行しておりますものに対しましても、十分徹底することができるのではないかと考えております。
  80. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 交通安全基本法の問題につきましては、私もその内容についてお聞きいたしたいと思っておりましたが、いま幸いに総理府総務長官から御説明がありました。ただ、私、そういう交通安全基本法というものが、やはり基本法という立場から、いわゆる訓示的な規定が網羅せられたものであって、その実際の施策と申しますか、あるいは行政というものは、運輸省は運輸省、建設省は建設省、あるいは国家公安委員会、その他各方面にわたって、実際の具体的な行政というものは従来の省庁にまかせられていくことになりはしないかということを非常におそれているわけであります。ちょうど、この特別委員会は、公害の問題と交通の問題、両方とも所管をすることになっておりますが、公害対策基本法の問題におきましても、やはり、基本法はできたけれども、実際行政を担当する人たちの間には、それぞれ職務権限の分野がありまして、一元的に上からこれを見ていくということが非常に困難ではないかと思います。で、交通安全基本法の問題でも、やはりそういうことにならないのか。特に、私たち、いま中心の交通安全といえば陸上交通の問題だと思いますが、安全ということから言えば、海も空も含めて考えるべきことなのは当然でありましょう。しかし、世論は、やはり陸上交通に重点を当てて、これを早急に解決する、解決できなくても国の交通安全の施策はこうであるということを示してほしいという、そういう強い要請があるようにも思うのですけれども、海陸空という三つの重要な交通を一本の法律にまとめていこうとすることは、交通安全基本法というものが公害基本法と同様な訓示的な規定に終わり、かつはまた、これを実施していく面において、陸海空という各方面の交通行政を見ながら施策を立てていくということはたいへんなことだろうと思うわけです。まあ政府の御苦労はよくわかるわけですけれども、そういうふうに陸海空をひっくるめて交通安全基本法というもので引っくくっていくということは、これはもう、よほどのスーパーマンかなにかでなければ、なかなかできることではないと思いますが、その、陸上交通安全ということに限定できなかった理由は、どういうことにあります……。
  81. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) 先生指摘のように、交通安全対策基本法を、当面、非常に問題になっております陸上に限定すべきではないかという意見は、実は前からございましたわけでございます。率直に申しますと、政府といたしましては、どちらかと言いますと、陸上交通安全対策基本法を当初考えていたわけでございますが、その後、国会等のいろいろの御議論等によりまして、やはり海上交通、航空交通の安全も、決してこれは無視してはならないのではないか。もちろん、海上交通、航空交通につきましては、幸い事故増加の傾向は示しておりませんが、御承知のように、ひとたび事故発生いたしますと多数の犠牲者を出すという点で、やはりこれもたいへん問題でございますので、広く陸海空のすべての交通安全につきまして、先ほど長官がご説明申し上げましたような基本的な対策をとるべきであろうと、こういう結論から、現在の時点におきましては、政府といたしましては、一応陸海空の交通安全を含みました交通安全対策基本法案を準備中でございます。
  82. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) 各陸海空を含めました経過は、ただいま御説明申し上げましたとおりでありますが、なお、交通安全基本法ができますことによりまして、いままで個々に各省庁が実行しておりました事柄を、今度法的権限に基づきまして一本化するということができるわけでありまして、すなわち、交通安全基本計画というものを法律的根拠のもとにつくりまして、そうして、その実施につきまして、この計画に基づいて各省庁が実施をするということになりますので、十分作成から実施に至りますまで連絡がとれる、調整ができるというところに非常に私は進歩があるのではないかと考えておるわけであります。なお、おことばのごとく、現実におきましては陸上交通が非常に大事なものでありますので、これに対しては十二分に重点を置いて、今後の法案の運営等をいたしたいと思います。
  83. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 まあ、いまの段階としましては、政府努力を期待するということにとめておきたいと思います。それぞれ各党とも交通安全基本法という構想がありますので、政府から政府の交通安全基本法というものが出てまいりましたら、各党から出されました交通安全基本法というものを比較検討して、今後審議を続けていきたいと思います。  そこで、この交通安全基本法の立法の経緯といいますか、経過、どこでそういうものを考えて、だれに相談して、そうしてどういう過程で成案を得たか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  84. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) 立法の経緯に関しましては、政府委員から御説明申し上げます。
  85. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) 昨年の前回の通常国会におきまして、御承知のことと思いますが、衆議院の交通安全対策特別委員会で御決議がございまして、その御決議では、陸海空の交通安全を含んだ基本法案政府が作成して次の国会に提案しろという内容のものでございます。これを受けまして、総理府におきまして、従来、先ほども申し上げましたように、主として陸上交通の安全について立案いたしておりました交通安全対策基本法に、海上交通、航空交通の安全を取り込みまして案を作成したわけでございます。なお、その際に、総理府といたしましては、もちろん形式的には、海上交通、航空交通の安全につきましても、総合調整、連絡調整をし得る立場にございますが、実際には、先生御承知のように、主として陸上交通の安全について総合調整をいたしておりましたので、勉強が不十分の点もございまして、これらの点につきましては、関係省庁、特に運輸省、農林省等と密接な連絡をとりまして、原案を作成いたした次第でございます。
  86. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ただ、感じといたしますと、やはり公害対策基本法などにおきましては、いろいろ審議会や調査会、そういう意見を聞きまして、あるいはその答申なり意見を待ってつくったように聞いているのですが、いまのお話ですと、そういうものの意見を別段聞かずに、衆議院の決議、それを政府が受けて、陸上交通に海と空とを入れて、政府政府の各機関と相談をしてつくったということで、その経緯を私お尋ねしましたことの一つの理由としましては、やはり、こういう交通安全基本法というようなものをつくる場合には、それぞれの立場にいる人たち、あるいは学識経験者、そういう人の意見を広く聞いてからつくるべきである。いまのお話しですと、この法律ができると、そういう審議会のようなものができたり、あるいは必要に応じては都道府県にそういう審議会を置いたりするという、話が逆になっているような感じがするのです。これでは、政府が、まあ官僚ということはあまりいいことばじゃありませんが、官僚独善の形において法律の立案に従事して、政府の権限において基本法というものをつくり、もちろんそれは国会の同意なり承認なりが必要でありますけれども、これが政府の交通安全に対する施策であるということを発表になるわけですが、成立したらそういうことになるわけでありますけれども、これじゃ上から押しつけみたいな感じがするんですが、法律の中では、もちろん、国、地方または関係の人々の協力を得るということを訓示的に規定してあるのだろうと思うのですけれども、それにしても、やはり一般の協力を得るということであれば、やはり民間の学識経験者を含めた委員会なり、あるいは審議会等の意見を聞いてからつくるのがほんとうで、順序が逆になっているような感じがしますけれども、そういうことはないですか。
  87. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) 今日に至ります経過につきましては、先ほども政府委員から御答弁申し上げましたように、国会委員会からの御意見もありましたと同時に、なお、昭和三十九年の三月に交通基本問題調査会というものが設けられておりましたが、その答申におきましても、こういう種類のものをつくるように答申が出ておりました。もっとも、この当時の答申におきましては、陸上だけを考えておったわけであります。しかし、現在におきまして交通問題の解決に非常に迫られておる、非常な重要な状態でありますので、むしろ国会におきまする国会の御審議を十分尊重いたしまして、そうして最善の案を得たいと考えておる次第でございます。
  88. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 もちろん、国会にはからなければいけないので、そういう過程において国民代表の意見を聞くということは当然のことですけれども、私は、この法案がもし国会において成立して、実施されるという段階までの期間は、こういう問題のPRということに政府は非常に大きな努力をされて、この法律に対する国民各界各層の協力を得るという、そういう努力を続けていただきたいと思いますが、国民の納得を得つつこの基本法の実施に移るという間、政府としてそういうことを一生懸命なさるお考えがあるかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  89. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) まことにごもっともな御意見でありまして、国会におきまして御審議を賜わりつつ、なお、一般国民に対しまして、こういう法案ができるということ自体、もう交通安全に対する非常に大きなPRであるということを感じますので、法案の内容の周知徹底と合わせまして、交通安全に対して十分努力してまいりたいと思います。
  90. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 時間があまりないので、一言だけ。  新聞の報ずるところによりますと、公害の問題で、総理府所管になるであろうと考えられます紛争処理法案が、これは閣議決定したということでありますが、新聞で大きく取り上げておりますことは、基地除外という問題であり、長く議論するわけにいきませんが、住民公害に対する犠牲といいますか、被害といいますか、そういうものは、基地であろうと、あるいは民間の工場であろうと、その点は少しも変わりがない。付近住民が基地施設公害によって受ける不利益、犠牲というものは同じだと思うのです。そこで、問題は、もし基地——これはアメリカ軍の基地もありましょうし、あるいは自衛隊の基地もあるでしょうし、両方とも、実際そういう基地から出てくる公害に対してはこの法律で救わないんだということになりますと、住民としては、ふんまんの持っていきどころがないわけです。なぜ基地を除外したかということについて、これはもう公害の問題ですけれども、御説明願いたいと思います。
  91. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) お尋ねの公害紛争処理法案は、今日中にも閣議で決定いたしまして、そうして国会に提案をいたしたいと考えておるものでございますが、今日の要綱におきまして、防衛施設につきましては別の法律で定めるところによる旨を考えておるのでありますが、その理由をお尋ねをいただいたわけでありますが、今日の防衛施設といたしまして、国といたしましては、いち早く基地周辺の整備法を設けまして、そうしてそれぞれの手を講じておるわけであります。この点は、私は、民間の施設よりも一歩先んじておると思うのであります。また、予算その他におきましても、相当の程度今日行き届いておるのであります。こういう現実の姿と、並びに防衛施設というものの特殊性ということを考えまして、そうして、今回の処理法案におきましては別の法律、主としてこれは基地整備の法律をもって充実的に行なってまいりたい、かような考え方を持っておるものでありまして、いずれ法案提出の上におきましては、十二分に御審議を賜わりたいと思います。
  92. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 以前、この公害交通委員会におきまして、東京都の練馬のグランドハイツの汚水処理場の悪臭、それからハエの発生等の問題を取り上げ、幸いに関係各方面の御了承も得て、現に基地の中まで私たちは調査に行ったわけです。しかし、政府の機関としては防衛施設庁がかろうじて向こう側に気がねをしながらいろいろ状況を聴取するという程度にとどまりまして、現に基地内に入ってその発生状況等を視察したということは、私たちの国会一つ委員会という権威を向こうも認めてくれたからそういうことができたわけであります。したがいまして、公害紛争処理の法律ができまして、何か権限のある者が立ち入り検査をするということは、むしろ当然のことだと思います。自衛隊の場合に、機密保持法というようなものがこういうところに来て——機密保持法というものはありませんけれども、しかし、付近の一般の住民と基地の間を遮断してしまって、基地の中で起こった公害は、これはもう基地周辺施設整備に関する法律です、これ以外にはしかたがないんだ、こういうことであれば、そういう基地と住民とをわざわざ隔離してしまって、そうして基地の問題はもう日本国民はノータッチだと言わんばかりのような、そういう形をとるということは、私はどうしても納得がいかない。  もちろん、基地周辺施設の整備というような別の法律があります。けれども、それなら基地から飛び立つ飛行機の騒音に対してどのようなことがとられているか。もちろん、とられております。予算もついておる。けれども、基地の周辺にいる住民というものは、むしろそういうものはないほうがいいということが一番前提になるんです。それを、二階から目薬みたいな状態で、多少の予算をつけて、テレビの受信料を百五十円に引き下げるとかといったような、その程度のことや、あるいは学校の施設を二重窓にするということをやる。二重窓にしたって、冷房の装置がついておりませんししますから、夏はあけなければならぬ、あければ結局同じだということで、不満がたくさんある。その不満にこたえる道というものは、こういう紛争処理法という、そういう中において、国民固有の権利として要求できるというところに、この公害紛争処理というものの法案の意味がある。これを、そとと全く遮断してしまって、この公害紛争処理法案の手の届かないところに基地というものを置いて、別の法律といったって、いま申しましたように、ガンみたいなものですよ。財政的にも、そういうものにのみ依存して住民の不平不満をなだめるという形は、変な形であるし、これでは、国民の中に基地に対する反感が起こってくるということは当然です。  その、基地周辺施設の整備だとか、つまり、悪臭や騒音や、あるいはその他の基地から起こってくる公害に対して、あなたのおっしゃるような基地周辺施設の整備法というもので住民納得させることはできますか。住民は、この公害紛争処理法案というものが今度できるのだ、こうなれば、今度は自分たちも何とか救われるというふうに考えておるのに、ここを遮断してしまう、そういうことは私としましてはどうも承服することができない。その辺のいきさつなり、あるいは今後どうするかということを御説明願いたいと思います。
  93. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) 基地周辺に対しましては、今日まで整備法がありまして、かなり、と申しまするか、進んだ対策を講じておるわけでありして、今後はやはり、防衛施設は防御施設なりに、住民のいろいろの御要望というものに対して、国としてこれに対応するところの考え方を持つべきである、現在で足らないものにつきましては充実をしてまいりたい、そのような前向きな考え方をもちまして進んでおるのでありまして、基地だから責任を回避してよろしいというものではないと私ども考えておるのでありまして、これはひとつ今後の御審議を待ちたいと思います。
  94. 小平芳平

    ○小平芳平君 時間の関係で、二、三問しかできませんので……。  先ほど長官から、交通安全基本法案は近く提案するということでしたが、これはいつ国会に提出されますか、見通しとしては。  それからもう一つは、これは基本法ですので、やはり公害基本法の場合もそうでしたが、実施法といいますか、それを具体化した法案は、どの程度準備するつもりか。  以上二点につきまして。
  95. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) 交通安全対策基本法に関しましては、大体調整を了しておりまして、準備はできておりますが、目下のところ、予算関係法案を優先して審議して提出するようになっておりますので、それが終わりましたならば提出できると思っております。  なお、実施法等につきましては、具体的なものにつきましては、すでに現行でもって、あるわけです。むしろ、その上に立った基本的なものをもって、今後の各省庁の行政全般、また、中央地方を通じまして徹底させるようにいたしたい、かような考え方から基本法ができておるわけであります。なお将来の社会情勢の変遷その他に応じまして、必要なものができましたならば、具体的な実施法の足ならいところを補ってまいりたいと考えております。
  96. 小平芳平

    ○小平芳平君 長官の所信表明では、「交通安全対策基本法を立案中であります。現在のところ、いまだ関係省庁間において意見が調整されていたい点が二、三残っております」というふうになっておりますが、それらの二、三の意見調整もすでに終わったということでありますね。それで、要するに、松澤委員から、各省ばらばら行政で困る——私も全くそういう考えを持っておりまして、公害、交通安全という、これほど重要な問題を、じゃどこへ持っていったら、ほんとうに責任を持って処理してくれるのかということがわからないわけですね。私がきょう質問することも、もう五つ六つの省にまたがってしまって、実はきょうも、こうやって各大臣の御都合によってくるくる変わりますから、質問の相手もつかまらなくなってしまうような現状なんですね。したがって、いまの交通安全対策基本法にしましても、やはり国会の意向を尊重して、ということも先ほど言われましたけれども、むしろ、国会の意向よりも、あるいは松澤委員が指摘のように、民間の各意向よりも、要するに、各省内のこの意見の調整ばかりが精一ぱいであって、ようやく総理府でおまとめになって間違いなく提案されるならば、それでこの問題としてはけっこうなんですけれども、実際問題、現在の交通安全行政のあり方の一番の険路というか、ガンというか、それは、各省庁ばらばらなところにある。それが、基本法ができれば一歩前進するというふうにおっしゃいますけれども、この基本法の作成される過程においてすら、所信表明にお述べのように、もう国会よりも国民よりも、省庁の意見調整で精一ぱいだ、こんな現状がいつまでも続いていたのでは、こうした交通安全に対する願いというものがいつまでたっても実現できないではないか、このように思いますが、いかがですか。
  97. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) まことに御意見ごもっともでございまして、各省庁がそれぞれ自分の立場を守っておりました際におきましては、徹底した安全対策というものは実効があがらぬと考えておるのであります。その意味におきまして、基本法は、私はやはり将来のために非常に役立つと思っておるのであります。幸いにいたしまして、各省の間におきまして、その基本的な骨組みについては合致を見ております。ただし、若干のこまかい問題につきましては、いまだ未調整の部分もありますが、できるだけこの点は調整いたしまして、提案をいたしたいと思います。もとより、民間その他の関係者の御意見というものも、十分各省を通じて、また直接間接反映させるようにいたしたいものと思っておりまして、今後こういう基本法ができましたならば、従来より以上に、そういう意味におきましても、よく各方面と連絡をとりまして、実施ができますように、その安全対策の実効があがりますように、努力いたしたいと考えております。
  98. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは次に、やはりこの所信表明の第四の、「被害者救済対策強化」についてでありますけれども、「救急業務体制の強化及び救急医療センターの整備」と、いろいろあります。これらについて一つ一つお尋ねしたいのですが、もう時間がこういうふうにあとつかえておりますので、最初にお尋ねいたしますと、「交通事故により親等を失った児童・生徒の進学援護に関する事業」でありますね。これは、所信表明では、民間有志の方々による財団法人に期待しているということしかお述べになっておりません。東京都では、交通事故遺児に三つの対策考えておる。都が奨学金や貸し付け金制度などを立案し、それで議会に提案しようとしているということを新聞が報道しておりますが、国としては、ただ民間有志の方に御期待するという以外に何ら手がないのかどうか、いかがでしょうか。
  99. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) 交通遺児に対するお尋ねでございますが、交通事故は大きな社会問題でありますので、御指摘のとおり、これをぜひ強力に推進する必要があるものと考えておりますが、ただ国が交通遺児だけを対象として特別の救済措置をとるということが、はたしてどうであろうかという点について、まだ十分な結論を得ておらないのでありまして、したがって当面の国の措置といたしましては、母子福祉対策強化の観点から一般的な生活保障制度に基づくものを一そう充実していくということを考えておるのでありまして、なおその上に民間のほうが、考え方におきましては交通遺児で生活困窮家庭にある者の高等学校への進学の援助ということを目的としました、これはただいまお話がありました財団法人をつくりまして積極的に援護をしてまいりたいというのでありまして、今日法人の設立を十分に検討中であります。  なお、政府におきましても、総理府が中心になりましてこの財団法人の設立並びに事業の円満な遂行のためにできるだけ援助を申し上げたいというので、目下努力中でございます。
  100. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、基本的に、交通遺児だけを国がめんどうを見るのはどうかと思うということは、まあ東京都をはじめ各地方団体でそういうことが現実問題になった場合に、やはり地方はたいへんいい施策である、けれども国がそれはできないということでもないじゃないかと思うのですが、長官としては、母子福祉といいましても、母子福祉年金なりが一体それじゃどれだけ入るかということですね、あるいは生活のプラスになるかということですね、あるいはどれだけの範囲の人が母子福祉年金をもらえるかということですね。これは当委員会の議題でありませんからこまかく申し上げませんけれども、そういうような母子家庭、この交通事故によって突発的に両親を失った、あるいは父親を失ったというような家庭が次々と出ているというようなこうした社会情勢、そういうような点からも考えて、長官としてはこうした交通遺児対策というものが望ましい方向なのかどうか。むしろそれは母子福祉行政の問題であって、交通被害者救済の問題じゃないということなのか、その辺もう少し明確な御答弁がおありでしたらお願いしたいと思います。
  101. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) 基本的には社会保障制度、いわゆる母子福祉あるいは生活保護等が充実して全体をカバーすることが望ましいと思いまするが、まだまだ一般原則的にはそこまでいっておらないことは御承知のとおりでありまして、ただ運用等におきまして交通事故というものが非常に多くなっておりますので、できるだけ重点的に拡充できるようにいたしたいと思っておるわけでございますが、ただ全般的に見まして、交通遺児だけを特に国費をもって進学なり、従来の社会保障制度以上のものをこの際すぐに制度化するということにつきましては、十分まだ検討を要するのではないかと思います。ただ、それぞれの地方公共団体におきまして具体的な施策をなさることはまことにけっこうなことで、私どもも喜ばしいことと思っておりまするが、国が対策としてとりますときには、交通犠牲者だけがクローズアップされて、ほかの犠牲者——似たようなと申してはあれでしょうが、いろいろな原因によって遺児になった方がやはり少なくないと思う。そういう遺児の教育、将来の進学等に対しましても、あるいは同様に考えなければならないのじゃないかという点について、まだ私ども十分な結論を得ておりません。したがって、とりあえず交通遺児に対しましては、国といたしましては、民間団体の設立、事業経営に対して側面から御援助するという点について——今日その程度でありまするが、なお、その他の遺児の方々に対しましても、私は十分努力すべきじゃないかと思っております。幸いにして交通遺児に関しましては、そういう団体をつくりやすい立場になっておる。言いかえまするならば、交通事故というものには被害の責任者というものを追及し得るし、その点事業が行ないやすい形であったと思う。ほかの遺児等につきましては、なかなかそういうわけにいかないところもありまして、すぐに同じように扱うというところまでいかないことはまことに残念でありますが、やはり社会保障全体から見ますると、その他の関係の遺児に対しましても、やはり漸次拡大すべきではないかという考えは私ども持っておる次第であります。
  102. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、私の長官に対する質問はもう一つで終わりにいたしますが、この交通遺児に対する国の取り組み方については、もう一つ積極的に取り組むべきだと私は思うのですが、それはこの次の機会にいたしまして、救済制度について、いまちょうど長官は原因者を追及しやすい立場にあると言われましたが、中にはまるっきりもう、ひかれっぱなしでわからないという人もあるわけですよ。それからまた、損害賠償、更生問題等について、公害の場合は、先ほど御答弁のように救済法の提案をなさるということでありますが、これは当然公害に対する救済制度が必要だと思うわけです。で、交通事故に対する損害賠償、更生問題等、このような問題に対する相談なり紛争の解決、これは各都道府県の交通事故相談所でそれを充実強化するとおっしゃっておられますが、この点についても公害と同じように考えるわけにはいかないとは思いますけれども、現在の交通事故相談所でこなしていけるものかどうか。  もう一つ、基本法が成立するという段階で、より具体的に効果的な、しかも利用しやすい相談活動というものが考えられ、検討されるということが必要だと思いますが、いかがですか。
  103. 床次徳二

    国務大臣(床次徳二君) 被害者救済対策に関しましては、基本的には救急業務実施体制の整備並びに救急医療機関の整備を推進することといたして、今日それぞれ措置をとっておるわけであります。  第二には、損害賠償の確保をはかるということでありまして、今日損害賠償保険等の充実努力しております。  第三といたしましては、損害賠償請求の援助等を強化し、この点に関しましては、損害賠償問題あるいは更生問題等、交通事故によるところの被害者にかかわる一般の問題に関する相談活動——まあ相談活動に当たりますところの各都道府県の交通事故相談所も充実強化していく。そうして、ただいまお話のような問題の解決に当たらせる。なお市町村におきましては、簡単な相談窓口を整備するという形によって、被害者に対してできるだけの処置を講じたいと存じておる次第であります。なお、足らない点につきましては政府委員からお答えいたさせます。
  104. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) 先生ただいま御指摘の交通事故に関します紛争、これは御承知と思いますが、一般的には最終的には民事訴訟になるわけでございます。あるいは和解調停という場合もございます。いずれにいたしましても法律問題になりますので、現在の弁護士法のたてまえからまいりますと、弁護士でなければ取り扱われないことになっております。現在、都道府県に設けられております交通事故相談所におきましては、それに至るまでのいろいろな救済の手続はできるだけ懇切丁寧に被害者の方にお教えするというたてまえをとっておりますとともに、いずれも顧問弁護士をお願いいたしまして、これは場所によって週一回とか二回とかになっておりますが、そこで顧問弁護士の方からそういう法律相談についてもいろいろとお教えをする、こういうたてまえをとっておりますので、大体現在の交通事故相談所の機能を充実いたしてまいれば、その点はカバーできるのではないか、かように考えております。
  105. 小平芳平

    ○小平芳平君 ひき逃げされた人は……。
  106. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) たいへん失礼でございますが、ひき逃げの何でございますか。
  107. 小平芳平

    ○小平芳平君 私が質問いたしました点は二つありまして、一つは、現在の相談所の窓口だけでは、泣き寝入りしたり、あるいはそこまでいくにもいかれないというような者、あるいはその話し合いが長引く、長引くと、さしあたって生活に困る。あるいは、民事訴訟と言われますけれども、そこまで持ち込める人は民事訴訟の手続を踏むのですが、実際問題としてそれができないという人、あるいは出すほうも、賠償を支払う力がないというような人もある。そういうような、いろんなむずかしい問題がある。それが現在のこういう窓口相談活動で今後ともよろしいかどうかという点ですね。それは、公害に対する救済制度のようなあれとは意味も違うと思いますけれども、やはり公害については相当詳しい救済制度がいまできようとするときに、こうした交通被害者に対する救済についても、現在の相談窓口以上にもう一歩検討する必要があるのじゃないかという点が一つと、それからもう一つは、加害者がはっきりしている場合はまた話が違うのですけれども、加害者がわからない場合があるのですね。ひき逃げされた場合、こういう人に対する救済というものは何ら考えられないものかと、その二点です。
  108. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) どうもたいへん失礼いたしました。  第一点の問題でございますが、私たちといたしましては、先ほど申し上げました都道府県の交通事故相談所の相談機能の強化ということを考えておりますが、それとあわせまして、一般的に交通事故に関しまして被害者がたいへんお困りになる。つまり、問題が起こりますのはやはり損害賠償の金額が低いという点にあろうと存じます。したがいまして、現在政府におきましては、自賠責のいわゆる強制保険の限度額の引き上げを検討中でございます。また、それとあわせまして、この自賠責の限度額の引き上げは一挙に一千万円というわけにはなかなかいかないわけですから、段階的は引き上げを考えておるのでございますが、その間あわせまして任意保険の普及をぜひともいたしたい。この二つによりまして、自動車の運転者なり使用者が万一事故を起こした場合には相当程度の賠償能力を持ち得る体制となりまして、これによって解決をしてまいりたい、かように考えております。  第二のひき逃げの問題でございますが、これは御承知のとおり現在、自賠責には保険以外に保障事業というものを制度としていたしております。これは賦課金を取りまして、これを積み立てまして、ひき逃げ事故の起こりましたときには国が直接被害者に対して強制保険と同額の支払いをすることになっております。したがいましてこの点、先ほど申し上げましたように、本来の保険のほうの限度額が引き上げられますれば、当然それに伴って保障事業のほうの限度額も引き上げられるわけでございまして、こういう方法で、不幸にしてひき逃げにあわれた被害者救済考えてまいりたいと思います。
  109. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 国家公安委員長にお尋ねいたします。  公安委員長としての所信は先般承りました。それで総理府総務長官にお尋ねをいたしましたが、死傷者八十二万という、いままで例のない事故件数、あるいは死傷者数ということです。所信の中で承りました限りにおきましては、四十四年において交通事故を防止するという目新しい警察関係の施策というものがないような気がするのですけれども、特に国家公安委員長としてこれをやってみようという考えがございましたならば、この際お聞かせ願いたいと思います。
  110. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げあす。  昭和四十三年における交通事故発生状況は、件数、死者数及び負傷者数のいずれもが、これまでの最高を記録して、いまのところ、この増加傾向が引き続き見られることはまことに遺憾に存じておりますことを、所信の表明でもちょっと触れさせていただいたところでございますが、警察としましてはこのような情勢に対処いたしまして、関係省庁と連絡を密にして、人命尊重の立場から交通事故の防止対策を強力に推進していくというところでございまして、今後も、もちろん全力をあげてこれに当たりたいと考えております。すなわち、昭和四十四年度からあらためて交通安全施設整備三カ年計画を策定いたしまして、信号機その他の交通安全施設の整備充実をはかるとともに、無免許運転、飲酒運転等の悪質な交通違反者に対する指導取り締まりを重点的に行なってまいりまして、交通規制を適切に実施いたしますほか、運転免許制度の効果的な運用につとめまして、さらに運転者、歩行者等に対する交通安全教育の徹底をはかり、さらに交通事故の防止につとめてまいりたいと存じておる次第でございます。  なお、もう少し具体的にお答え申し上げる必要もあろうかと思いますので、政府委員から補足させていただきます。
  111. 鈴木光一

    政府委員(鈴木光一君) 警察といたしましての事故防止対策につきましては、ただいま基本的に大臣からお答えがあったわけでございますが、今度の所信表明の中で警察として目新しいものは何かないかという御質問でございますけれども、私どもこの仕事に当たっている者といたしまして、いろいろ事故防止対策について名案はないものかというふうに考えておるわけでございますけれども、本来、これはやはり大臣がお述べになったように、交通安全施設の整備充実、それから交通安全教育、それから交通の指導取り締まりという、まあ総理府のほうからも御説明があったと思いますが、この三つの柱が基本的な問題だと思います。それで、この三つの柱をいろいろな角度から——具体的には違った点が出てくると思いますけれども、この三つの柱を中心に、じみちに対策を講じていくということだと思うのであります。そういう意味で、特に目新しいというものは、そういう観点から申し上げますと、ないということになろうかと思います。
  112. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それでは、この国会なりあるいは最近、道路交通に関する法律の改正等、何か取り締まりを強化するとかいったようなお考えも、現在のところはお持ちじゃありませんか。
  113. 鈴木光一

    政府委員(鈴木光一君) 今度の国会では、道路交通法の改正につきましては、御提案申し上げる予定にはなっておりません。取り締まりの強化のお話が出ましたけれども、これは私どもの法律改正を待たずに、現在の状況によって現在の法制下でもできることでございますので、特に法律を改正してやるということは考えておりません。ただ、いろいろもう少し罰則を強化したらどうかとか、いろいろな法律上の問題点がございます。これは現在検討しておりまして、現在の道交法というものにつきましてもう少し検討を加えたいということで、今国会には間に合いませんけれども、検討はいたしておる次第でございます。
  114. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 先ほど総理府総務長官がお見えになりまして、いろいろ交通の問題を説明しておられましたが、交通安全基本法案というものを閣議決定して、近く国会に提出するというお話でありました。その効果なり、あるいはその立法なりというものはどの程度か。私もちょっと予測しがたいところでありますが、かりにも交通安全基本法案というものができるということになれば、政府の中において、これは国家公安委員長あるいは警察庁としても当然相談に乗ったはずなんでしょう。たとえ、それがザル法であっても、新しい法律体制としてこういうものができる、それに大いに期待して、その実現方に協力するということは、国家公安委員長の立場から一言あってもしかるべきじゃないかと思いますが、これに何も言及がなかったわけですが、総理府でそういうものをこしらえたって、おれのほうは知らぬといったようなお考えでしょうか。あるいは、もちろんそれは協力して、一生懸命やりますということだろうと思いますけれども、公安委員長としてのお考えを……。
  115. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) もちろん、私どもといたしましても、この法案につきましては、連絡を受けつつ、私どもの立場からの考え方も相談の席上述べながら、関与いたしておるわけでございますが、ただ、具体的には私も報告を受けておりませんために、お尋ねに対しまして内容的にお答えはちょっと困難でございますが、政府委員から補足させていただきます。
  116. 鈴木光一

    政府委員(鈴木光一君) 交通安全基本法につきましては、あるいは総務長官のほうからお話があったと思いますが、この基本法につきましては、もう前から私どもは警察の立場といたしましても、基本法というものができることを期待しておったわけです。むしろおそきに失しているという感じを率直に持っているわけでございまして、基本法ができることにつきましては、私どもは大いにこれに協力いたしまして、総理府と一体になって、これが実現方を希望している次第でございます。
  117. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 交通安全対策については何か目新しいことはないかと言ったら、事務的に何もないと言うが、しかし私どもあるいは国民の立場から言えば、それは訓示的規定に終わってしまって、実効がないことになるかもしれないけれども、それが大きな目新しい柱じゃないか。これに対して言及されなかったことは残念だと、こう思うのです。政府が寄ってたかってこの交通安全基本法というものを完全実施する、この基本法によって新たに国家公安委員会なりあるいは警察庁に課せられる任務というものは、これは大きいと思うのです。ですから関係ある各省庁は、これを忠実に実施して、もってこの交通の安全を期するという、こういう表現があるべきだと思いますが、それはもうよろしい。いま国家公安委員長は悪質違反者に対しては徹底的に追及するというお話でありました。ときどき新聞などに出ておりますが、あるいは違反者が警察の呼び出しに応じないということで、その処理に非常に困っている。そういうことを新聞で読んだのでありますけれども、そういう事実はどの程度のものであるか。あるいは一ぺん二へん出て来なくても、徹底的に呼び出しに応じさせるような警察の態度であるのか、この点を一つ……。
  118. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 政府委員からお答えさせていただきます。
  119. 鈴木光一

    政府委員(鈴木光一君) 交通違反の取り締まりにつきましては、御承知のように、酒酔いとか無免許とかいうような悪質なものを除きましては、先般の道路交通法の改正によりまして、いわゆる交通反則通告制度というものができたわけでございます。で違反がありまして、警察官が告知をいたしまして、その告知によって一定の期間内に反則金を納付いたしますれば、それでその問題は終わる。一定の期間内に納付しない場合に初めて刑事裁判に付せられるという制度がとられたわけでございますが、現在のところ、大体九五%ぐらいが反則金を納付して、刑事裁判に付せられないという状況でございます。あと残った五%が納付いたさない場合に、結局われわれのほうがそれを検察庁に送って、刑事裁判に付せられるということになるわけであります。したがって、その場合に裁判になるわけでございますから、その呼び出しがあるわけでございますが、呼び出しに応じない場合に、何回も呼び出しても来ないという場合には、最後には逮捕状でやるということをやっておりまして、いわゆる逃げ得ということはさせないということで臨んでおる次第でございます。
  120. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 いただいたこの資料の中には、悪質違反者ということで、無免許運転、それから酒酔い、それから著しい速度違反というものがいわゆる悪質違反者ということになっているわけですが、反則金を納めない、あるいはまた呼び出しに応じないということ、これも一種の悪意をもって違反し、取り締まり当局の呼び出しにも応じないという、これはまあ事故は軽微であっても、そういう警察の呼び出しにも一切応じない、あるいは反則金の納付もしないというのは一種の悪質だろうと思うのですが、それはそうじゃないですか。
  121. 鈴木光一

    政府委員(鈴木光一君) それは、先ほども説明申し上げましたように、何回呼び出しても来ないという者は、やはり悪質の部類に入るわけでございまして、そういうものは徹底的に最後には逮捕状もとってやるという考え方でやっておる次第でございます。
  122. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 先ほどやはり大臣がお話になりました免許制度の問題ですが、これは別に交通局長がこれを改正するという意思はないというふうにお考えのようですが、免許制度はこのままずっと続けておやりになるのですか。ただ私、まあ個人的な感じなんですけれども、一ぺん免許をとったら、切りかえさえすれば実際に車の運転をしないでも、何べんでも免許証そのものが生きて続いていくということは、どうもおかしいように思うのです。たまたま切りかえのときになると講習か何かをして、その講習を受けた者は、実地運転の技術は一ぺんも自動車を運行しないでも、切りかえ切りかえができるというようなことは、ちょっとおかしいように個人的には考えるのですが、こういう問題はいかがですか。
  123. 鈴木光一

    政府委員(鈴木光一君) 免許を与えまして、三年ごとに更新するということを現在任意でやっておりますが、これを義務化するということにつきましての考え方もあると思いますが、これを義務化するということについてはいろいろ問題点がございまして、現状では任意でやるというふうなことでございます。  それから、いわゆるぺ−パードライバーの問題がございますけれども、これは一部の人はなるほどぺ−パードライバ一かもしれません。しかしぺ−パードライバーであるかどうかということを見分けることはわれわれといたしましてはできないわけでございますから、制度的にそういうことを考える場合には、そういったようなことも前提に考えなければいけませんので、御趣旨の点はごもっともではございますけれども制度的に、そういうぺ−パードライバーと常時運転する人を見分けて、その取り扱いを二、三にするということにつきましては、なかなかむずかしい問題だと存じます。
  124. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 時間もございませんから、国家公安委員長にお尋ねするわけですが、この交通指導、あるいは交通取り締まりの警察官ですが、これはさい然と区別することはできないと思います。警察官の増員ということが最近問題になって、まあ大幅か小幅かわかりませんけれども、増員するということは確定的な事実のようです。その定員と、それから職務内容と申しますか、あるいは配置と申しますか、やはり警察官が多いということは必ずしも交通安全なり事故防止に役立つとは私も考えておりませんけれども、しかし交通警察官がもし手薄であるということになれば、定員のワクの中でそちらのほうの交通専任警察官と申しますか、そういうほうにもっと回すべきじゃないか。機動隊のことを言うと、また大臣がおこるかもしれませんけれども、おこらないでひとつ話を聞いていただきたいと思います。機動隊はもちろん政府の立場あるいは国家公安委員長の立場として必要だとお考えでしょうが、しかし民間から考えてみると、交通専任警察官と申しますか、あるいは簡単に交通警察官といっておきましょうが、そういう人たちの手薄ということをいろいろ言う人がある。定員とそれから交通専任警察官——交通警官というものとの割合、あるいは配置数、そういったものはどういうふうになっておりますか。
  125. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 警察官の増員の関係予算の御審議を願っておるわけでございますが、別に機動隊のことをおっしゃっていただきましても憤慨する意思は毛頭ございません。防止するという角度から必要に応じてモデレートな数を一応御審議願っているという心境だけを申し上げまして、お答えではございませんけれども御了承をいただきたいと思います。  なお、お尋ねの点に詳しくお答えする能力がございませんので、おそれ入りますがお許しをいただきます。私の準備しました資料を通じまして一応のことを申し上げさせていただきます。  全国の交通警察専務員は現在約二万二千人でございますが、これらの警察官は、それぞれ第一線におきまして、街頭における交通の指導取り締まり、交通事故処理等に当たっているほか、いわゆる白バイ乗務員あるいは交通用のパトカーの乗務員といたしまして主要道路をパトロールいたしておるのは御承知のとおりでございます。交通警察官の増員につきましては、昭和三十八年度及び三十九年度の二カ年で一万人を増員いたしましたが、これらの交通警察官のほか、約六万二千人の外勤警察官もその勤務を通じまして実質的に街頭における交通警察活動の一部を担当しておりまして、このほか外勤警察官につきましても昭和四十一年度から一万八千人の増員がはかられております。今後さらに増加することが予想される交通事故処理等の業務に対して、どの程度の交通警察官の増員を必要とするかにつきましては、その業務の簡素化、能率化等の改善問題と並行しまして検討しているところでございます。さしあたって昭和四十四年度におきましては、交通警察官の増員計画は持っておりません。  以上お答え申し上げますが、さらに本年度増員予定の外勤警察官は千五百名と記憶しますが、それが具体的に交通関係にどう作用するかにつきましては私もよくわかりませんので、もし必要があるならば政府委員から補足させていただきます。
  126. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 時間がございませんから、その問題はまたあとで局長にいろいろ質疑をいたしたいと思っておりますが、ひとつ公安委員長にお考えいただきたいことは、東名高速道路とか中央自動車道路とかいった新しい高速道路がどんどんできてまいります。これは相当のスピードでその道路を走っているわけで、その地先地先にはそれぞれ警察署があります。また県は県でパトロールカー等を出しまして、白バイを出して取り締まりなり指導をやっていると思いますが、将来はそういう高速道路についてはその高速道路それ自体を一つの交通警察みたいな形にしていって、地元では事故があった場合にはものさしではかったり、巻き尺ではかったりするというようなことがあり得ると思いますけれども、全体の交通渋滞の状況やあるいは積雪、豪雨等で非常に交通が困難であるといったようなこと、そういうようなことの全体を見る一つの横のつながりというようなものがほしいような気がいたしますが、これは将来の問題——そういうことについて横の連絡をどういうふうにして緊密にしていくかということ。それからもう一つは、よく婦人の方々から陳情を受けるわけですが、そういう相当高速で走っている道路の付近にモーテルがあって、モーテルで酒類の販売をしている、これを禁止することができないかというような陳情をよく聞くわけであります。モーテルの酒類の販売を禁止するということは、まあ国家公安委員長の権限ではないと思いますけれども、しかし、そういうことが望ましいか望ましくないかといったら、公安委員長としては飲酒運転につながるかもしれないから、なるべくそういうことは望ましくないというお答えがあると思いますが、先ほど申しました、そういう高速道路全体として横のつながりを考えること、それからいまの、特に高速道路等におけるモーテルなんかで酒類販売をすること、そういうことは望ましいか望ましくないか。これは、いままで酒類販売というものは警察でいろいろ取り締まったりなんかした経験があるんですけれども、警察直接の所管ではないかわかりませんけれども事故防止あるいは交通安全ということからいえば、何かお考えがあってしかるべきじゃないかと思いますが、この二つの点について伺います。
  127. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 第二のお話の点は、むろん理屈抜きに、モーテルで酒の販売をすること自体、自己矛盾の課題でありますから、できることならば——そういうことが現在そうなっておりますならば、これを是正する、売らせないようにするという方向で関心を持つわけでございます。私どもの直接守備範囲ではないとは思いますけれども、高速道路はそれぞれ設置者が高速道路公団その他いろいろあると思いますけれども、あるいは建設省の所管としての高速道路沿線にモーテルを認可します際の認可条件にでも、関係省と連絡しながら、酒類は取り扱わせないという条件でも付していただいて防止する方法もあるんじゃなかろうか。これは私なりの思いつきでございまして、はたして法律制度上厳密に言ってそういうことが可能なことであるか、効果があるか。——一応別でございまして、おそれ入りますが、ともかく御指摘のようなことはあってはならない課題だ、できることならばそうしたいものだと、かように存じます。  第一のお尋ねにつきましては、一応現状に即した実情を申し上げさしていただきます。  名神、東名及び中央高速道路におきましては、それぞれ沿道を管轄する都道府県警察で警ら隊を編制して交通の指導取り締まり、及び交通事故処理等に当たっておりますが、都道府県の境界におきましては、警察法の規定に基づきまして、その境界から二十キロメートルをこえない範囲内におきまして関係都府県警察が相互に乗り入れ、協力して職権を行使しておることは、むろん御案内のことと思います。さらに関係都府県警察から要員を差し出して、これらの高速道路には連絡室を設置しておりますので、関係都府県警察官の協力と連絡については事実上の支障はないと存じております。この種の幹線道路について全体につき職権行使をする新たな組織を設立するようなことは、どう考えておるかというお尋ねもあったと思いますが、現行の警察法の趣旨にかんがみまして、すなわち地方自治体警察というものを基本線にしておりますために、現行法のままでは実行困難かと存じます。ただ将来に向かって、北海道から鹿児島まで縦貫道路が完成するという時期になりまして、御指摘のような課題が新たにクローズアップする可能性はあるんじゃなかろうか、こういうふうに思います。現在としましては、いま申し上げましたように、長距離駅伝競走のバトンタッチみたいな格好で二十キロだけの相互乗り入れということで、現状の諸条件のもとではどうやら支障なくやっておるんじゃなかろうか、かように存じております。
  128. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 小平委員、出席大臣のお約束の時間が少しずつずれてまいりましたので、それをお含みの上でお願いいたします。
  129. 小平芳平

    ○小平芳平君 十分含んでいるつもりですが……。国家公安委員長にお尋ねいたしますが、このことは後ほどまた運輸大臣にお尋ねすることも同じなんですけれども、ダンプ規制法ですね——土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法、このダンプ規制法が昭和四十二年にできましたが、これについて二つの点についてお尋ねいたします。  一つは、このダンプ規制法が非常にざる法じゃないか。守られてないじゃないかという意見が出てきておりますが、こうした届け出、あるいは表示番号の表示、あるいは自重計の取りつけ、こういう点はちゃんと守られているかどうか。ざる法じゃないのなら、決してざる法じゃないというこが言えるかどうかということが一つです。  それからもう一つは、このダンプ規制法ができて以来、事故は減る傾向か、あるいはふえる傾向か。要するにダンプ規制法が交通事故防止に役立っているか、いないか。  以上二点について伺います。
  130. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) ざる法と言うわけにはまいりませんわけですが、徐々に効果をあげておる実情であるということを、事務当局から報告を受けておるわけでございます。ただ、雑談を入れましておそれ入りますが、新聞をちらっと見ておりましたら、ダンプは特別の表示をつけなけりゃならぬとなっておるんだが、ほとんどどろまみれである。運転手が新聞記者かだれかに聞かれたところが、「どうせよごれる自動車だから、きたなくなって見えなくなるのはあたりまえだ」と放言したことが新聞にちらっと載っておりましたのを私べっ見しておりますが、そういうことでもってざる法というわけじゃむろんございませんでしょうけれども、何らか再考する余地があるんじゃないかという気持ちだけは持っております。ただ冒頭に申し上げましたように、ダンプ車の規制が行なわれ始めまして以来、特別に取り立てて顕著な効果があがったということまで申し上げ得ないにしましても、徐々に効果は発揮しつつある、かように理解をいたしております。  なお、もっと具体的にお答え申し上げることが必要でございますれば、政府委員からひとつ追加さしていただきます。
  131. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは、事務当局大臣にどのように御報告したかですね。実際、事故はふえているでしょう、件数は。事故の件数がふえているのに徐々に効果をあげつつあるということはちょっと納得いきません。ふに落ちませんが、いかがですか。
  132. 鈴木光一

    政府委員(鈴木光一君) 事故の観点からだけ申し上げますと、数字的には御指摘のように全体の事故は、四十三年度を見ますると、たいへんふえております。その中でダンプカーだけを見てみますると、事故の件数は若干ふえておりますけれども、ふえ方が非常に他の自動車に比べて少ないという状況が出ております。それからもう一つは、死亡事故につきましては、一般の数字から申し上げますと、死亡事故は四十三年は四十二年に比べてふえておるわけでございますが、ダンプカーにつきましては減っております。そういうことを見ますると、全体の中でやはりダンプカーの交通事故は、この規制法との関連で考えますと、減る傾向にあるということが言えると思います。
  133. 小平芳平

    ○小平芳平君 減ってくれたとすれば、そんなありがたいことはないんですが、公安委員長が新聞でちらっとごらんになったということですね。これは私も新聞をちらっと見ただけですけれども、実際問題ダンプを見ますと、その表示は見えませんですね。あの新聞記事は決してうそじゃないと思うんです。ということは、実際にどこかでダンプに会ってごらんになると、なるほどあの新聞記事がまるきりいいかげんなものじゃないということは、だれにもわかると思うんですね。ですから、やはり規制法がもっと徹底し、守られるということが先決だと思うんです。それはいま局長からお答えのように、事故が減る傾向にあって、ことしはさらに減り、来年はさらに減るということをだれしも期待しているわけですけれども、しかしそのためには、やはり法律は法律でより趣旨を徹底し、守っていくということが先決問題じゃないかと思うんです。  そのことはそれといたしまして、そこでもう一つ公安委員長にお尋ねいたしますことは、要するにダンプ規制法の法律の内容——どれだけのことを実行させようとするかということは、先ほど申し上げたような項目があるわけですけれども、そういうことによって実際事故が減ることが可能であるならば——実際大型ダンプの事故が減るということが、現在減り、将来も減るということが言えるならば、何もダンプに限らない、もっと大型貨物車もあるし、あるいはもっと小型トラックですか、最近は小トラのほうがよっぽど横暴で困るというような運転手さんたちの意見もあるわけです。ですから、ダンプ規制によって事故を減らすことができたということを確信できるならば、もっと大型貨物、大型トラック、小型トラック、そういうものにもやはりそうした規制をしたならば、事故を減らすことができるんじゃなかろうかということを、しろうとはすぐ考えますが、いかがでしょうか。
  134. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 法律制度もむろん整備されなきやならぬことは当然といたしまして、御質問の御趣旨を推察いたしまするに、ハンドルを持っている者それ自身の心がまえというものが正常でありまするならば、法律制度にかかわらず、ずいぶん事故は減るものではなかろうか、しろうと考えにそう思います。また、ダンプカーを使って運転手を雇っておる事業であるとしますれば、その企業主が事故を起こさないようにということも事業運営の考慮の一部分と心得て、自分のところの、雇っておる運転手諸君を、そういう面から常に教養を高めると申しますか、注意を喚起するようなことに本気で努力してもらう。それが当然だというような常識をもっと徹底する。冒頭にお答え申し上げました、あるいは所信表明でも申し上げました運転者及び使用者の教養を高めていく、教育活動を通じて、一般的な事故防止対策としたいということを申し上げましたが、私の乏しい常識で申しまして、以上のようなことが実は相当の実効をあげる一つ課題じゃなかろうか、かように存ずるのであります。
  135. 小平芳平

    ○小平芳平君 国家公安委員長がおっしゃるいまの点は精神訓練で、これは私も全く同感であります。私が申し上げたことも、これは警察だけの仕事ではもちろんないと思いますけれども、実際こうした法律がわざわざ昭和四十二年にできて、それが効果をあげたということになれば、それじゃ法律のどの部分が効果をあげたのだろうか。じゃそういう部分はほかにも適用したら事故が減るのだろうかということくらいは御検討願ってもいいと思うのですが。  それからもう一つ。もう時間がありませんので、もう一つで終わりますが、この悪質運転手に対してはきびしく取り締まるということは、所信表明にもあり、先ほどの松澤委員の御質問にもあったのですが、この悪質運転手という場合、酒酔い運転——そういうのは、何かあって、要するにつかまってみてからわかるのです。そのようなケースが多いのではないかと思うのです。あるいは事故を起こしてみて、ああ居眠りだった、ああ無免許だったというようなことがわかるようなケースが多いのではないかと思うのですが、むしろ良心的な運転手に言わせますと、ある区間を走っていると、もう明らかに法を無視して走る——もうスピード制限なり追い越し制限、あるいは無理な追い越し、割り込み、そういうやり方を見ていると、全く法律を守って走ろう、みんなの迷惑にならないように走ろうなんという考えがないとしか思えないというような運転手、それがしかも、事故が起きなければ一日無事で帰るわけですが、そういうような場合、覆面パトカーとか、そういうようなものもあるそうですけれども、何かそこを考えて、事故が起きてから——要するに他人が迷惑を受けてから、それは悪質運転だと言う以前に、あらかじめそうした全く法を無視しよう、全く法を守らないというような者を発見し、それを防いでいくという方法考えられないものかどうか。
  136. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お話のことにぴたっとしますかどうか、現在は覆面パトカー、それが交通取り締まり用のパトカーの一割を占めているようでございますが、悪質違反の取り締まりの強化のために今後もこの覆面パトカーを増強していきたいという考え方でおるわけでございます。同時に、ほんとうに悪質のものにつきましては、現行法制も特別に罰則を強化しておると承知いたしますが、場合によってはもっと強化する必要がありはせぬだろうか。それが一つの将来に向かっての悪質違反に警告を発する効果も期待できるのじゃなかろうかということも、あわせて考えるわけでございます。
  137. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 公安委員長ありがとうございました。
  138. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 原田運輸大臣に二、三お聞きしたいと思います。時間があまりございませんので、ごく簡単に質問を申し上げます。  先般、これは党の仕事で参議院議員の田中寿美子さんと一緒に大阪空港の実地調査をやってまいりました。大臣も、ちょうど飛行場の東側のほうにおいでになり、また選挙区もそちらのほうと伺っておりますが、そのために大阪空港周辺八市の中には、たとえば池田、箕面、豊中その他の大阪府側の都市もあるわけでして、空港周辺住民の不平や、あるいは要求などはよく御存じのとおりだと思うのです。  まず第一に、大阪空港の周辺住民の、あるいは各市の要求事項というものについては、よく御存じでいらっしゃいますかどうですか、その点からお聞きしたいと思います。
  139. 原田憲

    国務大臣(原田憲君) 松澤先生のお尋ねの冒頭にありましたように、私は、あの飛行場の北側の池田市の住人でございまして、この飛行場周辺の問題——騒音という問題に対しましては、大臣就任以前から、皆さんとともにこの対策について努力を重ねてまいったものでありまして、よく承知をいたしております。
  140. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 一番前提となる住民の要求は、ああいう人口稠密した都市のまん中に空港があること、それ自体が非常に危険もあり、かつまた公害の面からいっても住民が静穏な生活ができない。であるから、これから航空機がだんだん大型化してくる、それをいま従来の滑走路から別に、また一本滑走路をつくるということは、どうしても了解できないということを言っているわけでありますが、あの空港があれだけ人口がたくさんある都市のまん中にあるということ、もちろん国際空港としても、あるいは国内空港としても、飛行機の発着があるということは経済的な利益もあることだと思いますけれども、空港本来のまあ使命から考えて、あすこに今後も永久に空港が居すわっているというかっこうは、はたして妥当だとお考えでございますか。
  141. 原田憲

    国務大臣(原田憲君) あそこに飛行場ができましたときは、先生御承知かと思いますけれども、私らの子供の時分にはあの辺は原っぱであったわけでございます。ところが飛行機はだんだん進歩して、乗る人も多くなって、飛行機の発着が多くなり、やかましいから家がふえないかと思っておりますと、家のほうもだんだんふえてくるということで、いま先生のお尋ねのような問題に当面しておるというふうに認識をいたしております。まあ世界中を見て歩きましても、ないことはございませんけれども、ああいう条件でより飛行場を拡大していくというようなことを考えておるところはないようでございます。私も、そのとおりであろうと考えております。したがって、あの現在の大阪国際空港の果たし得る限度というものは、おのずからもう限度に近づいておる。したがって新しい空港というものは必要でございますから、これは新しく考えなければ、あそこを中心にものを考えることはもう時代おくれである、このように考えます。
  142. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 住民の不平といいますか、あるいは要求の根本的なことは、いま申しましたように、あそこはもう国際空港なり国内空港でも漸次航空機が大型化し、またジェット化してくる現状からいって不適当だということが大前提ですけれども、個々の問題になってきますと、騒音というものに対して、まあ一方では基地騒音それから民間飛行場の騒音というふうに、法律の立て方からいうと二本になっておりますが、しかし住民から見ますというと、基地の航空機の騒音であっても、あるいは民間の航空機の騒音であっても受ける危険の度合い、あるいはまた騒音による生活障害、こういうものは同じだと、こう言うのです。それはそうだろうと思うのです。そこで何か近く基地の場合には、その騒音区域にある学校の防音施設等を改造する場合に冷房装置、これは夏の間のことですが、冬はまあ窓を締め切っております。夏は暑いから窓をあける、そうすると二重窓にしましても、あるいは冷房の壁をつくりましても、夏あければ結局同じことだと、やはり防音あるいは騒音ということから考えれば窓を締めておくべきである。しかし締め切ったら暑いから教育ができない。そこで基地の関係では予算もとれて、ある程度まで冷房装置、それから二重窓、こういったような学校の改築が行なわれるであろうということを聞いているわけですが、まあこれは直接大臣の所管ではございませんが、基地航空機の防音に対しまして、それほど行き届いた施設をなさるならば、民間の航空機の騒音に対してもやはり二重窓あるいは消音壁、さらには冷房ということを考えてもしかるべきだと思うのですが、この基地の航空機の騒音に対して、そういうことが四十四年度の予算で実行されるのでありますか。そういうことを何かお聞き及びでしょうか。
  143. 原田憲

    国務大臣(原田憲君) 御指摘のように、基地周辺施設に対しては行き届いた——まあ行き届いたというわけにもまいりますまいが、いろいろな補償問題というものが拡大をされておるというように承知をいたしております。
  144. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 四十四年度で大蔵省もクーラーをつけるという予算を承認したということが、昨年の暮れに出ておるわけですけれども、このことは確実でありますか、どうですか。
  145. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 東京以北につきましては暖房装置を、東京以西では冷房のことでございますが、除湿施設という名前のもとに四十四年度の予算で御審議を願う予定になっておるというふうに私どもは伺っております。
  146. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 基地周辺の防音校舎に対して、除湿施設を施す工事費として六億円が大蔵省によって認められた。この事実は間違いないですね。
  147. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) ただいま申し上げましたとおり、これは防衛施設庁のほうの予算でございまして、私どもも、そちらから伺っておるところでは、そういう予算が計上されておるというふうに聞いております。
  148. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 同じ政府部内で防衛施設庁のほうは六億円の予算がついた。民間飛行場を所管している運輸省としては、そういう要求をされたのであるか、あるいはされなかったのであるか。
  149. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) そういう具体的な要求は実はいたしておりません。やりませんでした。
  150. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 一方では、そういうふうに防衛施設庁としては六億円の予算をもらった。民間のほうはそういうことを議論したことがない、要求したことがないということでしょうか。これでは片手落ちではないかと思います。先ほど言いましたように、航空機が頭の上を飛んで騒がしい、あるいはまた危険であるということには変わりがないと思いますけれども、この点はいかがですか。大臣にお伺いいたします。
  151. 原田憲

    国務大臣(原田憲君) そのとおりであろうと思います。
  152. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そこで、具体的な基地住民の要求とか、あるいは紛争とかということでありますが、騒音規制法の中では、たとえば国鉄の騒音あるいは飛行機の騒音というものは除外されている。そのほか、一方では民間飛行場、それから一方では基地飛行場というようなふうに別途に考えられておる、二本立ての法律になっているわけです。これは一律でなければいけないと思いますけれども、一律でないことはまことに残念です。  もう一つお聞きしますけれども、騒音区域ですね、いま横が一キロですか、それから縦が二キロということになっております。この点は民間でも基地でも同じことですか。
  153. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) いま先生のお話の区域といいますのは、おそらくテレビの聴視料減免の範囲の区域だと承知いたします。この範囲につきましては、現在私どものやっておりますのは、基地の場合と同じにやっております。なお、むしろぴったり二キロでなしに、それを弾力的に若干延長するぐらいの範囲でやっておるのでございます。
  154. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これも、承るところによればということなんですが、基地のほうはその長さを〇・五キロ延ばすという話があるということを聞いておりますけれども、それはそういうことをお聞きになったかどうか。もしも基地のほうで〇・五キロ延ばされるようだったら、民間のほうもやはりそれと同様に延ばすことが適当だと思いますが、これは一方は仮定ですけれども、仮定で、もし縦の長さが延びるようだったら民間のほうもまた同様になさるお考えですか。
  155. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) いまの範囲を防衛庁のほうでお延ばしになるという事実については、私どものほうではまだそれを伺っておりません。おりませんが、このテレビの聴視範囲につきましては、いろいろ地元からのお話もあり、実情につきまして私どもは常時これを調査をいたしております。調査の結果、今日までにわかりましたところでは、これを拡大すべきではなかろうかということが相当実証されつつあります。これは予算との関連がございますので、そういった関連を十分勘案いたしまして、地元の実情に即応するように考慮をしていきたいというふうに考えております。
  156. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 もう時間がございませんので、あと二点だけお聞きをいたします。  騒音の測定ということですけれども、航空局のほうは航空局のほうで周辺の騒音というものをいろいろと測定されておりまして、その数値が発表される。ところが、民間のほうは民間のほうでしろうとながらやはり測定機を使って音の高さ等を測定する。両者の間に非常に意見の相違があるわけです。これはまあ可動式といいますか、人が持って歩いて測定するのだろうと思うのですが、公害の測定なんかでも固定した測定機がありまして、たとえば大気の汚染とか、あるいは東海村の原子炉の周辺にあります放射能の汚染度のあれを自動的に測定し、記録するという機械的な装置ができているわけです。これは大阪空港に限らず、そういう基地の周辺でもやはりそういう測定した数値というものが争いのもとになるわけですけれども、公正であり、かつ自動的で、一切の個人的な判断というものが入らない、そういう測定機というものが現在日本にあるんですか。
  157. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 自動騒音記録装置というものがございます。で、大阪でそういうことについての御意見もいろいろございますので、四十三年度——今年度中に川西市の久代小学校、ここに自動騒音記録装置を設けていくつもりでございます。さらに今後必要な個所についてはそういうものをふやしていくということを考慮いたしております。
  158. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 この騒音の度合いというものは距離だけでは判断できないものであります。不平があったり、紛争があったりするところは、やはり自分で騒音のきついことを経験しているところだろうと思うのですが、川西市一カ所ばかりでなしに、問題のあるところは、そういう公正な自動的測定機というものを、あっちこっちにつけて全体の騒音度というものを公正に、科学的に把握するということが必要だと思いますが、これを将来ひとつお考えの上、実施していただきたいと思います。  もう一つの点は、御承知のように、川西には久代と摂代という部落がございまして、ここでは訴訟の話が出ております。そのよしあしの問題はいまここで私議論いたしませんが、関係市の市長などは、地元からそういう訴訟に訴えてでも国の責任を問うというような、そういう動きが出てくると、市町村の立場として、大阪の航空局に行ったり、あるいはまた中央の運輸省に行ったりして、いろいろ頼まなければならないので非常に困る。つまり、板ばさみになる。別に訴訟をやめろとは言わないけれども、困った立場になるということを言っていらっしゃる。私は、そういう地元住民がもうこらえ切れずに訴訟という法的救済を求めるという、そういう気持ちはよくわかる。ちょっと漏れ聞くところによりますというと、そういうけしからぬことを裁判所に訴えてまでやるようなら、今後政府としてはめんどうをみないというようなことがつい言の葉に出てくる。また住民は、そんなことはけしからぬじゃないかと言っていきり立つというようなことがあるのですが、かりに四十四年度は飛行場の周辺のいろいろな施設のために十億という予算をお組みになった。従来、二億何千万円、それから三億何千万円というふうに、四十二年度、四十三年度にそのための予算をお取りになる。それについては必要度に応じてその二億という、あるいは三億という金を配分してこられたと思うんです。もし十億という予算がついたとすれば、それはいままでの経験の上から、あるいはまた新しいデータによって、その十億を適当に配分されるということが、これは行政の責任だと思います。一部の部落で訴訟に訴えるというようなことがあるからけしからぬ、それじゃもう予算をそっちへ回さぬぞ、というようなことは行政当局としてはお考えになるはずがないと思うんですが、この点はいかがでございましょうか。
  159. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) いま先生の御指摘のことがもしあるとすれば、はなはだ不適当なことだと思いまして、そういうことはないというふうにお答え申し上げたいと思います。当然騒音防止法によります防音工事その他の措置につきましては、やはり騒音被害の公正な実態を調査いたしまして、その調査結果に基づいて、かつ地元の御要望もいろいろあるわけでございますので、そういった御要望を勘案いたしまして毎年実施をいたしておるというのが実情でございます。いま問題にされております二部落につきましても、そういったような趣旨に徴しまして、十分慎重な考慮を払って措置をしていきたいというふうに考えております。  なお、蛇足でございますが、これまでの騒音の予算につきまして、私どものいままでやりました金額は、昭和四十二年が三億でございます。四十三年が五億三千万。そういう数字でございますので、蛇足でございますが、申し上げます。
  160. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうですか。じゃ、その点は訂正いたしておきます。  大臣、いまいろいろとお話し申しました訴訟、これはわれわれとしてやむにやまれない地元の気持ちはよくわかるといたしましても、そういうことのために差別的なことをしないという、いまお話があったのでありますが、その他諸般の地元の要望につきまして、十分に理屈もあり、かつまた努力もできるという点は早急に実施をしていただきたいと思いますが、最後に運輸大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  161. 原田憲

    国務大臣(原田憲君) まことに私、微力でございますが、冒頭に申し上げましたように、この飛行場周辺の騒音問題は私に課された一つの大きな政治課題と思って取り組んできたつもりでございます。これはもう政党政派を超越して、きのうも地元の、自民党といわず、社会党といわず、公明党といわず、皆さん一緒にこられてお話をしておったのです。今後一そう努力しまして、これらの対策が十分とはまいりませんけれども、できるだけの努力をいたしていきたいと思います。  で、先ほどお話のありました訴訟問題で差別がない、そんなことはもう絶対にあるはずがございません。これからもひとつ御協力、御支援をお願いいたします。
  162. 小平芳平

    ○小平芳平君 運輸大臣、先ほどのダンプ規制法ですが、これは先ほど御質問いたしましたので、重ねていたしませんが、ひとつ率直にお考えをお答え願えればけっこうだと思うのですが、要するに私の申し上げたことは、表示がよくわからないということ、それから自重計というのをつけているそうですけれども、これはしろうとが見てはさっぱりわからない。けさあたりもずいぶん大きなダンプが前を走っていく。それこそどろをふりまきながら走っていく。これはもう一目見て——この自重計も、計器そのものも通産省に属するのだそうですけれども、もっと工夫しまして、それでこの法律の趣旨を徹底し、生かしていくということが必要ではなかろうかということが一点と、そのことによって事故減少ということが可能ならば、そうした法律の趣旨を生かして、もっとほかの面にも——これを適用するしないはともかくも、検討をしていくということが必要ではなかろうかという二点なんです。
  163. 原田憲

    国務大臣(原田憲君) 先ほど脇から話を聞かしていただきましたが、事故は、絶対数は御指摘のとおりふえておるわけです。これはダンプカーの数がふえたから、それに対しての比率をいうと、実は減ったということになるかもしれませんが、ふえていることは事実なんでございます。先ほど聞いておりますと、人身事故といいますか、死んだ者は減ったということでけっこうだと思います。それらについてよい点があったら、それを検討して、より拡大して、法律を生かしてやるようにというお話であろうと思います。私どものほうの所管であります点につきましては、ここに局長が来ておりますが、よく御趣旨を体しまして、検討を加えて、より拡大して、悪い点はふえないようにやらせたいと思います。
  164. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで次に、タクシーのことについていろいろお尋ねしたいのですが、ごく要点だけ二、三お尋ねして、あとはまた別の機会にしたいと思います。  まず、東京の都内のタクシーについてですが、最近「まぼろしの増車三千台、けれども乗車拒否相変わらず、値上げの伏線か、運輸省は知らん顔」というような新聞記事が出ておったわけですが、実際問題、私どもが一番不思議に思うことは、タクシーが免許を申請して、要するに個人と会社とどのような比率で免許になったのか、あるいは会社によっては全部免許になったという台数がいろいろ出ておりますけれども、どういうことを基準にこういうものが免許になるのか。要するに東京都でいえば都民の足であるが、乗客に対するサービス——利用者に対するサービス、そういう点が一つ欠けているんじゃないかというような気もするのですが、いかがですか。
  165. 原田憲

    国務大臣(原田憲君) お話のタクシーの中に個人タクシー、法人タクシーがございますが、個人タクシーは、タクシーの中でも人気がいいと私は承知いたしております。しかしながら個人タクシーは、営業時間が短かいところに問題がある。法人タクシーのほうは、昼夜の別なく営業して、乗車拒否なんという人気の悪いところがありますが、私はけしからんと思っておりますが、しかし深夜、早朝ということになるとこれが不可欠だ。そこでこの両者には一長一短があるので、両方とも認めてやっておるのが現在の状況であり、方針である、このように理解しております。
  166. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 現在の都区内におきましては、特別区におきましては、法人タクシーの数が二万八千七百二十八両、それから個人タクシーが七千六百十四両でございまして、これは二月一日現在でございます。で、法人と個人の率が一定であるものではないのでございまして、個人タクシーは申請に応じまして適格な者に免許をしていくということで、いま大臣からお答えがありましたように、その長所を発揮さすという範囲内におきましては、個人タクシーの適格者を免許していきたい。そしてまた、需要の伸びに応じまして、法人タクシーにつきましても既存業者に対する増車、それから新規免許等を行ないまして、全体といたしまして法人、個人、総合いたしまして需要に応ずるように適切な車両数を確保していく、かような方針で処理していっております。
  167. 小平芳平

    ○小平芳平君 その辺の方針が、要するに、かりに個人タクシーで申請をした場合に、車を持っていること、車庫を持っていること、信用のあること、そういう条件さえあれば個人タクシーは無制限に何台でも免許になるものかどうか、あるいは現在の利用者の状況からいって、およそこの辺で頭打ちにすべきだという方針で認可されているのかどうか、その辺はいかがですか。
  168. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 個人タクシーに対します一つのワクといいますか、考え方は、この個人タクシーが好評であるということ、それを低下しないように考えたい。したがいまして、個人タクシーに対する免許につきまして考えます場合における条件等があるわけでございまして、その条件に合格するものを免許すれば好評を維持できるというふうに考えております。  それから、無制限にタクシーの両数をふやすかどうかというお尋ねでございますけれども、やはり一つの需要供給という関係があるのでございまして、現在におきましては、毎年このタクシーに対する需要は非常に旺盛に伸びてまいっておりますので、それを見つつ増車をやっていけば、現在のところでは適切な両数が得られるんではないかということでございまして、将来無制限に両数をふやすというふうな考えではございません。
  169. 小平芳平

    ○小平芳平君 どうも私の質問の趣旨がよく説明できてないかもしれないんですが、要するに個人タクシーは申請を出してから相当かかるんですね、いいか悪いか——ですから、もし運輸省の方針として、本年はこれこれの台数であるから免許は出さない。しかし来年になって需要が伸びたらもう一ぺん検討するという、そういう方針なのか。何か伺うところによると、そういうようなめどはなくて、ただ個人タクシーの申請がたくさん出ている。そのたくさん出ている個人タクシーの申請を一日一人当たり何人の調査ができるかによって、とにかく現場の担当官がぎりぎり一ぱい作業量に応じて免許するかしないかが決定されているような現状のようにも聞きますが、もしそうだとすれば、当然、今月出して、運輸省のほうの体制さえできていれば、来月免許が出るだけの条件を持ちながら、運輸省のほうの人手がないために、まあ一年も二年もかかるのかどうか。相当長い間そのままほったらかしにされているということは、非常に行政上うまくないと思うんです。その点いかがでしょうか。
  170. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 現在、東京都区内におきまして、個人タクシーの申請は四千五百件ほど出ております。それで、非常にたくさんの申請でございますので、ときどき審議するというふうなことでは追っつきませんので、常にこの事務能力の許す限りにおきまして常時審議をしておる次第でございます。それで、現在出ておりますもので、昭和四十二年中の申請のものにつきましては、ことしの夏ころには全部それを処理したいという一つの目標を設定いたしまして、極力事務を促進さしております。で、そのほかの申請も、最近におきまして年齢を三十五歳に切り下げました原因で相当たくさんの申請が出ておりますけれども、毎日審議を休むことなく継続をして、なるべく早く結論を出して申請者に通知するようにいたしたいと考えております。
  171. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうわけで、私が言うように四十二年に出したものが要するにことしの夏ごろというと、まあ二年ですね。二年間というものは、免許になる資格があっても実際免許が来ないわけですよね。それは行政上の問題だと思うんですがね、いかがでしょうか、大臣。要するに資格があるわけでしょう。だけど現在四千件も出ているから、それをこなすには二年もかかるというわけ。そうすると、それが別個のワクでもって許可にならないというんだったらまだ一つの理由が立つんですけれども——とにかく車があって、車庫があって、条件さえあれば、当然免許がおりるべき人が、行政事務が渋滞するために二年もかかるという結果はですね、非常に申請した人にとっては気の毒な話じゃないかと思うんですが。
  172. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) これは、すみやかに処理すべきことはお説のとおりでございまして、われわれといたしましては非常にたくさん出てまいりましたときには、これは自動車部の旅客第二課で所掌しておりますけれども、ほかの課等の応援あるいは超勤等をやりまして、早くさばいていくというように行なっております。それから現在の状況におきましては、従来とは変わりまして、車庫を確保する一つ計画を出してもらえばいいわけでございまして、それらの人たちが、特に個人タクシーの申請者は法人会社につとめている人が多いわけでございまして、一挙に多数の者を免許するということは、かえって法人会社に対する運転手不足というような原因にもなりますので、そこらの関係ということは一応考えなきゃならぬと思います。しかしながら、非常に長期間置くということはまずいわけでございますので、現在旅客二課では二十数名の者で処理いたしておりますけれども、さきに申し上げましたように、一つの目標等を常に設定いたしましてこれを処理していく、現在非常にたくさん出てまいりましたのは、先ほど申し上げましたような原因がございますので、次の段階にはもう一つの目標をつくりまして、将来におきましては一年以内で処理できるように事務を流し得るような段取りを考えていきたい、かように考えております。
  173. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうふうに具体的な目標を示してくだされば、現在つかえている人も将来はこうだということがわかれば、一つの安心感が持てると思うんです。それからどうも私は、どうしてこういうように、免許をどういう基準で出されるかということが全然まだふに落ちないんですけれども、要するに個人と法人の比率が、これこれの長所、短所を考えてやったんだ、ということはわかりましたですけれど、しかし実際問題いろいろと乗車拒否は相変わらずですし、それからこういうようなタクシー・サンキューカードというのが配付されていますね、こういうものもやっぱり増車に関係あるわけですか。こういうものをどうして、どこが配付し、それが増車に関係があるとすれば、運輸省としてそれは何を根拠にしているか。   〔委員長退席、理事松澤兼人君着席〕
  174. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) これは乗用旅客自動車協会が発行したものでございまして、タクシーを利用してもらう使用官庁であるとかマスコミ、運輸関係団体、あるいは駅頭等におきまして、ポーターから客にこれを渡しまして、客が乗った場合に、それの運転手が非常にいいサービスをしてくれたというふうな場合にはこれに記入いたしまして、協会のほうに送るということでございまして、したがいまして、これは協会のほうが自発的に乗客の協力を得まして運転手の運転態度、接客態度等をよくしていこうということで、実施したものでございまして、あくまでも協会の自主的なものでございます。したがいまして役所といたしまして、これによりまして、増車等の行政処分にどう反映するとかいう関係のものではございません。
  175. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは協会の自主的なものだということは、確かにそう書いてありますから、それはわかりますが、こうしたカードをもらうまでもなく、たとえば、夜中の十二時ごろ東京駅へ終列車がついた。そこでもって乗ろうとしても乗せてくれないような、そんなあなた現状を一目見ただけで、もうこれどころじゃないでしょう、現状としては。ということは、このタクシーの運転手自身は一日中とにかくせい一ぱい走って走って、走りまくっても、なかなか思うような収入が得られないとか、あるいはこの道路の渋滞とか、そういういろいろな面があるわけですね。いろいろな労働条件の面、あるいは仕事のやりにくい面があるわけです。したがって、この現在のタクシー行政のやり方というものは非常に問題だと思うのです。ですから、ちょっとここでいま全部申し上げるわけにいきませんけれども、最後に一つだけ——少なくとも免許になった台数は、法人なら法人で、ある会社で免許になった台数は動いておりますか。あるいは個人として免許を受けた人は営業をしておりますか。その辺のチェックができますか。
  176. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 法人につきましては役所のほうで監査をいたします。増車をやる場合とか、あるいはそれがない場合におきましても、定期的な監査等を行ないますので、どのように稼働しておるかということは把握できるわけでございます。そしてまた、協会といたしましても稼働状況を把握いたしますために、会員からそれらの報告を受けております。で、その場合におきまして運転手不足というものが原因をいたしまして、会社によりましては必ずしも認可を受けております車両が一〇〇%稼働しておるということにはなっておりません。稼働不足の会社もございます。それから個人につきましては、これはもう八千人近い個人でございますから、一々監査その他をやりましてチェックするという方法はございませんので、したがいまして免許のときにおきまして一定の資格基準等によりまして、そういうことを自発的に、役所の常時の監督を受けなくても適切に事業を運営できるであろうという人たちに免許をしておるわけであります。幸いにいたしまして目下個人に対する評判はいいわけでございますので、これらの個人が自発的に運営をしていただいておるものと思っております。なお個人が長期間病気等によりまして休養いたす場合には、代務者を許可するという制度を行なっておりますので、長期間休むというふうな場合においては当然代務の申請がございますから、代務申請等によりまして個人がどのように休んでおるかということは関接的には把握し得るものと思います。
  177. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それでは、自動車の損害賠償責任保険について御質問したいと思います。大臣の時間が限られておりますので、まず基本的な問題について大臣にお伺いをし、詳細については政府委員の方にお願いをしたいと思います。  現在まあ交通災害が年々増大の一途をたどっておるということは、まことに憂うべき状態でございますけれども、基本的にはこの交通災害というものを減らすことが根幹だと思います。しかし現実に災害が起こっておる以上、この被災者の救済ということが非常に重要になる。そこで、その意味でこの自動車損害賠償保険というものが果たしておる役割りというものは、まことに大きいのではないかと思います。ただ現在の支払い保証限度というものが三百万ということになっておりますけれども、これは社会通念から見ても非常に低過ぎるのではないか。また現に三百万をこえる部分についての訴訟というものが非常に数もふえておるようであります。したがって、これの引き上げについて現在運輸省として考えておられるということでありますけれども、引き上げの時期並びに額について構想がありましたら、お伺いしたいと思います。
  178. 原田憲

    国務大臣(原田憲君) ただいまお尋ねの自賠保険の保険金の金額引き上げの時期と額というお問いでございます。これは去年、前大臣がすでにことしの春、上げたいということを国会で申しておるところでございます。私もそれを引き継いでおります。したがいまして、今春実施を目途に作業を進めてきたところでございますが、その後交通事故の異常な増加で、予想外の保険金支払いのために、現行の保険金額のもとでも収支相当赤字が見込まれるに至っておりますので、保険金額の引き上げと同時に、赤字補てんのため保険料の引き上げを検討する必要が生じてまいりました。現在、実はこれの作業を総合的に行なっておる段階でございます。それから額の問題でございますが、これは大体五百万という見当で作業を行なっておるような次第でございます。
  179. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大臣がおっしゃいましたように、損保会社の自動車賠償保険の赤字というものが非常に膨大にのぼっておる。推定では千七百億ぐらい——四十一年から四十三年までの分で千七百億の赤字といわれておりますけれども、これは補てん方法として、そういう料金の引き上げもあるし、あるいは他の方法もあると思いますけれども、これについての御意見をお伺いしたいと思います。
  180. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 先生が御指摘のように、この賠償保険の関係は最近赤字になっております。で、保険会社が元請いたしまして政府が六割の再保険をしておるわけでありますけれども、保険会社の推定によりますというと、過去三年間の赤字が——四十一年度から四十三年度までの分の赤字が約千七百億と推定されております。しかし、これは四十三年度までの推定と申しましても、四十一年度、二年度、三年度契約の分で、実際に支払われるものはまだこれから続くわけでございます。すなわち現在の保険金におきまして事故が起きましても、あとに示談とか裁判とかいうことで確定をいたしますので、四年ないし五年かかりまして当該契約年度分の保険料に相当する保険金というものが支払われていきますので、やはり推定要素というものが入っております。したがいまして、この千七百億というものが推定どおりであるかどうかという点を現在検討いたしております。  それからもう一つ、四十三年度以降において契約いたします場合に、その保険料は、保険という契約に対するこれは価額でございますけれども、そのものがどうなるかというもう一つの面もあるわけでございまして、それも将来におきますところの事故件数の推定と、それから一件当たりの単価と申しますか、特に重傷者等の将来におきます支払い単価がどうなるという相当推定要素が入っておりますので、保険会社で推定しているものが正しいかどうかということを大蔵省と運輸省とで現在、おのおの計算をしておるような現状でございます。かりにその赤字額がはっきりいたしてまいりますというと、将来の保険料をアップしなければならない。しかし、アップいたします場合において、赤字の補てんをどのくらいの期間において補てんしていくかというふうな方法が出てくるわけでございます。その場合におきましては、支払い側、すなわち自動車所有者側の支払い能力というふうなものも考えなければいけませんので、アップ率というようなものは合理的なものでなくちゃならないというような意味におきまして、現在は、赤字の内容がはたしてどうであるかという点と、かりにそうなったら、どういう方法でもってそれを補てんしていくかというような両面におきまして——これは、御承知のように、大蔵省と運輸省の共管事項でもございます。そういう意味から、両事務当局におきまして、いま詳細に計算をしておるような次第でございます。
  181. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それでは、大臣に対して、もう一つだけ質問しまして、大臣に対する質問を終わりたいと思うのですけれども、先般起こったこの飛騨川の事故のような無過失責任についても自動車賠償保険の適用というふうなことを考えておられるということを承っておりますけれども、このようなものに適用するとなれば、この保険の性格というものが非常に社会保険的な要素を帯びてくるのではないか。それからまた、今月の十一日に警視庁から発表されました歩行者の交通白書によりましても、歩行者の事故の場合は、その八割が歩行者にも過失があるというようなことが言われております。したがって、この自動車損害賠償保険の性格というものは、かなり社会保険的な公共的な性格が強いものではないか。そういう点から考えた場合に、この赤字の処理の問題については、ただ単に、自動車の使用者の料金引き上げということだけではなしに、別な措置というものが当然考えられてしかるべきではないかというように思うのでありますけれども大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  182. 原田憲

    国務大臣(原田憲君) ただいまのお話は、現在の保険制度の根本を考え直したらどうだということに通ずる御質問かと思います。私どもは、そういういまお尋ねのような御意見があることも万々承知をいたしておりますが、やはり、現在の制度、すなわち損保制度として全国的な組織を持っておる組織を通じて、この制度をより拡充充実していくことのほうが効果が上がるのじゃないかという立場をとっておりますので、お説のような御意見を踏んまえつつ、なお検討していきたいと存じます。
  183. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それでは、ここでお尋ねしたいと思うのでありますけれども、この損害賠償保険の千七百億の赤字というのは、もしあるとするならば非常に膨大なもので、今後のこの保険制度の維持の上に非常に大きな支障となる問題ではないかと思います。ここで、このような赤字が生じた原因についてお尋ねしたいと思います。
  184. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 支払い保険金でございますから、件数と一件当たりの単価でございます。で、件数は、事故のふえ方というものは総体的には必ずしも大きいわけではございませんけれども、本制度が逐次普及してまいりまして、いわゆる請求の件数が予想よりもふえてきたということが一点と、それから単価におきまして、当時保険料を算定いたしましたときの査定よりも現在のほうが単価がふえてきているというふうな二つの要素で、そういうふうになっておるかと思います。  それから、先ほど申し上げましたように、普通の経理のように、四十三年度までの分を四十三年度で締めてしまうものではございませんで、たとえば、四十三年度に契約いたしましたものに対する保険金の支払い請求は、四十四年あるいは四十五年、六年というふうに、将来くるわけでございます。そのときにおきまして、いまのような趨勢で治療費等が上がってまいりますというと、保険料を算定いたしましたときよりも治療費がたくさんかかるわけでございます。したがいまして、そこでは、将来治療費というものが、保険金額のワク内においてでございますけれども、どういうふうにふえていくかというような要素を推定しなければなりませんので、いま千七百億と保険会社は言っておりますけれども、将来の推定要素が相当入っておるようなわけでございます。
  185. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そこで、当然料金の改定問題が出てくると思うのでありますけれども、保険会社の主張によれば、現状でも大体二倍半に料金を上げなければこの赤字が埋められないということを言っております。もし、三百万の補償額を五百万に引き上げるとするならば、さらにこの倍率をふやして、三倍ぐらいに引き上げなければならないだろう、こういうことが言われておるのでありますけれども、かりにこのとおりとするならば、現在のこの乗用車、マイカー族については、二年間に保険料が五万円、それから大型トラックにつきましては一年間に十二万円、それからタクシーについては一年間十五万円、このように非常にばく大な保険料となるわけでありまして、これが当然、運賃の引き上げなり、タクシー料金の引き上げ、ひいては物価の上昇につながってくると思うのでありますけれども、ここで私は、現在の保険料の使われ方を分析してみる必要があるのではないかと思うのであります。特に最近は傷害事故が非常に多くて、特に一件当たりの単価も上がっておる。これは、全国の各地から具体的な例も聞いておりますけれども、たとえば、けがをして医者にかかった場合、この治療費は保険料から出るから被害者の腹は痛まない。加害者の腹も痛まない。したがって、やや、治療の内容なり、治療費の請求については、ルーズといいますか、そういうルーズな面があるのではないか。これがこの保険料の支払い額というものを非常にふくらましておるということが指摘されておるのでありますけれども、したがって、こういう面に対する、支払い側に対する一つのチェックなり規制というものを考えなければ、保険料を上げても、適正な使用という面じゃ問題が残るのじゃないか、そういう面について何か考えておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
  186. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) おっしゃいますように、けがの面におきます単価がアップしてきているということが、保険が赤字になってまいりました一つの大きな原因かと思います。で、いま先生が御指摘のような面が実際どうなっているかということにつきまして、現在いろいろ調査をいたしております。それで、われわれといたしましては、被害者がすみやかに保険金をもらえるように、被害者の直接請求権というものを法律では認めております。その直接請求権を、お医者さん、病院等で代行いたしまして請求をしてくれる、で、その場合に、保険会社が見るわけでございますけれども、医学的な知識等、保険会社の査定機関がございますが、不十分でございますので、そのまま支払うというふうな結果にも相なっているかと思う次第でございまして、いま、健康保険あるいは労災保険等の関係等もございまして、これは厚生省あたりからもいろいろお知恵を拝借をすると同時に、また、チェックするシステムというものを今後つくらなければならぬじゃないかというふうに考えます。したがいまして、今回の保険料のアップの場合につきまして、ただいまの点につきましても相当専門的な知識を要する仕事でございますけれども、ユーザーにおきましても、いま先生指摘のような点につきましての疑念も持っているわけでございますから、それを解明しつつ改善方法を、厚生省その他から知恵を借りまして、ぜひ研究いたしたいということで現在取り組んでいるような次第でございます。
  187. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それじゃ、最後に、それに関連して一点お尋ねしたいのでありますけれども、いまの点とあわせまして、たとえば、事故発生率による、もっときめこまかな保険料率の決定とか、あるいは、現在この自賠保険からは除外されております大規模事業とか官公庁、こういうものの自家保障制度を切りかえて、やはりこの自動車賠償保険に入るようにするとか、こういうようなことも言われておるようでありますけれども、この点についての構想がありましたら、お伺いしたいと思います。
  188. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 第一点は、事故率に応じて保険料率を変えたらどうかという御意見かと思います。現在の保険料は、御承知のように、車種によりまして、自家用、営業用と分かれておるものもございます。それから、トラックのような、自家用、営業用が一緒になっているものもございます。地域的な事故率に応じての保険料は、いわゆる地域差でございまして、ハイヤー.タクシー事業につきましては全国を四段階に分けて地域差を設けております。さらに、この保険料を細分してやったほうがいいのかどうか、保険の性格からすれば、なるべく多数のものを一緒に把握したほうが保険の性格としては好ましいのではないかというふうな点もございますので、目下のところは、従来の区分でやっていきたいというふうには考えております。しかしながら、将来におきまして、さらにこれを、資料等を整備できました場合におきましては、あるいはもう少し保険料率を細分したらどうかというふうなことで、これは検討いたしたいと思っております。  それから第二点のものは、おそらく自家保障という制度であると思います。これは、一定の車両数を持っておりますところの大企業は支払い能力があるであろうということで適用を除外いたしておりまして、責任保険に、許可があれば入らなくてもよろしいということに相なっておる次第でございます。しかしながら、保険の性格としては、なるべく広く入っていただいたほうがいいんじゃないかという意見もあるわけでございますので、将来におきましては、これは保険に入ってもらう、そういうふうな、この自家保障の制度というものはやめたほうがいいんではないかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、これは法律の改正の問題でもございますので、今後この保険制度につきまして全体的な検討をするときに、それを取り上げたらどうかというふうに現在は考えておる次第でございます。と申しますのは、これはすでに制度ができまして十三年ばかしになるわけでございますので、いろいろな点において改善すべき点が多々あるのじゃないかということで、全体を再検討しようじゃないかということで、いま取り組んでおりますので、その際におきまして、いま先生のお説の点は取り上げて検討していきたい、かように考えております。
  189. 杉原一雄

    杉原一雄君 陸上交通の安金対策、こういう立場から、二つの問題を質問したいと思うわけです。  第一点は、国鉄当局がいま進めつつある六千三百キロにわたる赤字路線八十三線の廃止の問題であります。  先般の当委員会における運輸大臣所信表明の中で、陸上交通安全対策を進める場合の五つの重点施策を明らかにしました。第一点は、特に鉄道関係でございますが、線路増設等による交通容量の拡大、これが第一点であります。この運輸大臣所信と、いまの赤字路線の撤廃ということとの関連について、これはどういう点で吻合するのか。その点を、国鉄の立場、運輸省の立場、それぞれの立場から明らかにしてもらいたいと思います。  私は、二月の五日、社会党の調査団の一員として、石川能登の穴水と蛸島をつなぐ六十一・一キロの能登線を調査をし、沿線の反対期成同盟の皆さん、と申しましても、町長、市長を会長とする反対期成同盟でありますので、形の面では能登地域、奥能登地域住民の反対運動と理解してよろしいのでありますが、少なくとも、陳情書等にも明示されているとおり、ようやく昭和三十九年、地域住民の長い長い夢と悲願に燃えた結果実現できたこの能登線が、今度は、赤字路線撤回という形の中で、八十路線の中の一つとなっているということについて、非常な悲しみと不安と怒りに燃えておりました。ただ、これが廃止されると陸上交通がどうなるかという観点にきょうはしぼって、私の見解と、あえて皆さん当局側の御意見をお伺いしたいのでありますが、これができたことによって、あるいは学校が統廃合されて、汽車を通じて中学生が通学する。また、農村の人たちは、余暇を利用して、いわゆる農業外収入を獲得するための通勤、そうしたものが、線ができたことによって、私、広域行政なりあるいは労働の移動が始まっていると思います。そのことは明確に数字に出てまいっております。ところが、これが廃止されることによって、今度は交通対策としてどう打って出るかお聞きしたいところだけれども、私の想像する限りにおいては、おそらくそれは——ある中学は百三十人汽車を利用しているわけですが、その子供たちは、おそらくバスでめんどうを見ようということになると思うのです。もしかりに、バスでめんどうを見ようということになれば、結果的にどうなるか。道を走るということであります。きょうは建設大臣の出席を求められておりませんので、建設省に対する質問はいたしませんけれども、一体、その路線と並行する国道ないし県道、それが実態いまどうなっているか。ここに一つの問題がまたあります。国道はほとんど舗装されております。しかしながら、どの区間とどの区間とは申しませんけれども、少なくとも、能登線に並行する国道の中において、道幅が、驚くなかれ、四・五ないし七・五というところがあります。十・九キロにわたる国道二四九号線の一部であります。かつまた、五・五ないし七・〇という国道があるわけです。国道じゃない、酷道だと思いますが。その他、県道等につきましても、これは、この県道は線路に並行する県道でありますので、国道は通らなくても ここは通らなくちゃならない。その県道は、驚くなかれ、二十五キロにわたって二・〇ないし四・五であります。あるいは、ある県道、十九・九キロでありますが、三・〇ないし七・〇でもあります。こういう状況の道路を並行させているわけでありますから、いま国鉄当局計画するごとくこの路線をはぐれば、おのずからバスということになる。しからば、バスが通る、トラックが通る、このような鉄道、国道、県道、いわゆる道路事情との関係を考えた場合に、私は、ここに交通事故が起こらぬことはふしぎだと思うのであります。交通事故が今後多発することは、およそ身ぶるいするような予感がするわけでありますので、そうした問題等を総合的に判断をして、この赤字路線をはぐるという問題について最終的な決定を出されるものと信じますが、その辺のところは、今日の審議の段階、討議の段階はどうなっているのか。しかも、今後そういうことに対してどのような決定を下そうとするのか、このことを私はお聞きしたいと思うのであります。もっと高い次元の問題がございますが、これは別の機会に、この国会の中で私質問する準備をしております。これは交通問題だけでないのでありまして、もっと次元の高い問題でございますので、それは本会議の席上で質問する機会があるかもしれませんので、その点は保留いたします。  とにかく、いま申し上げた能登線をめぐっての問題を、ここでは提起をしたわけでございますが、これは能登線だけの問題ではない。八十三路線おのおのが持っている問題でないだろうかと思いますので、あえて私が一路線を例にあげながら質問をしたわけでありますから、一般的な、いま進めようとする国鉄当局考え方、同時に、運輸大臣が大言壮語をした、いわゆる交通容量を拡大することが陸上交通安全のために欠くべからざることであるという基本路線との紛淆の関係を運輸関係はどう理解するのか。そしてまた、国鉄当局に対して、どう指導監督を進めて行こうとしておるのか、そのことを明確にしていただきたいと思います。
  190. 町田直

    政府委員(町田直君) 鉄道監督局長でございます。  ただいま先生の御質問の、まず運輸大臣所信表明で申しました、安全対策のために交通容量を増していく、こういうことと赤字路線撤去の関係についての考えを述べさせていただきます。  少し話が長くなって恐縮でございますけれども、御承知のように、国鉄がここ数年非常に赤字が続いておりまして、国鉄財政を再建することがわが国の国民経済にとっても必要であるという観点から、昨年、閣議了解を得まして、国鉄財政再建推進会議というものを置きまして、国鉄の財政再建のことにつきまして三十数回にわたりまして検討していただきました。そして、十一月一日にその答申をいただいたわけでございますが、その中におきまして、今後の国鉄のわが国交通体系上における主たる役割り、おもに果たすべき役割りは、都市間旅客輸送、それから中距離貨物輸送、それから通勤輸送、こういうものが今後の国鉄の主たる役割りになるだろう、こういうふうに述べられておりました。もちろん、これは主たる役割りでございまして、そのほかに、当然国鉄がやっていかなければならないものはあるわけでございますけれども、そういう趣旨で今後私たちも国鉄の使命というものを考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。  で、話は飛びますけれども、交通安全の基本的な問題はいろいろございますけれども、何と申しましても、現在都市周辺で見られますような過密の、稠密の鉄道のダイヤの問題というようなことがございまして、そういうものを——それから、都市間輸送の問題も同じようなことでございますけれども、そういうものを中心にして線路容量を増し、輸送供給力を増していくということが交通安全対策の基本的なものではないか、こういう趣旨から、できるだけ、いろいろ財政上の問題がございますけれども、そういうことに重点を置いて線路容量を増していきたいと、こういうことを考えておるわけでございます。大臣が申し述べました趣旨も、そういうことであろうと私どもは存ずる次第でございます。  ひるがえって、それではいわゆるローカルの赤字路線についてはどうか、こういう問題でございますが、これにつきましては、この国鉄財政再建推進会議の答申の中にも述べられておるところでございますけれども、御承知のように、最近世界的な傾向でございますけれども、輸送構造が非常に変わってまいりました。道路の発達をいたしますし、モータリゼーション等の事情から、非常に自動車交通が発展してきている。一方では航空機等も非常に発展してきておりますけれども、そういうような交通の輸送構造の変化に伴いまして、国鉄の路線につきましても、そういう変化に対応したような形で今後進めていく必要があるのではないかと、こういう趣旨から、道路輸送への転換が適切であるもの、そういうものにつきましては、できるだけ転換をしていったらいいのではないかという趣旨が、財政再建推進会議でも述べられておりますし、私どもも、そういうことが適切であろうというふうに考えておる次第でございます。  しかしながら、その場合でも、現在必要であり、非常に地方の便益にもなっております路線を自動車輸送に転換していくということは、影響するところが非常に大でございますので、個々の路線、個々の線区につきまして、たとえばその鉄道網に占める地位とか、あるいは地域交通に果たしている役割りとか、それから総合的な国土開発計画との関連性とか、あるいは地域開発の将来性とか、それと、いま先生のまさに御指摘になりました道路の整備の状況とか、そういうものを一つ一つ具体的に綿密に調査をいたしまして、その調査の上に立って、どういうものを自動車にかえていくかということを、総合的に、しかも慎重に判断していくべきであろうというふうに考えているのでございまして、さような観点からいろいろと調査し、審査をいたしました上で、やはりこれは自動車輸送に転換しても地域住民の便益にさしたる支障がないと申しますか、鉄道でやっていたと同じような便益は与え得るのじゃないか、しかも、そのほうが国民経済的に見てやはり有利である、というようなものにつきまして、道路輸送への転換をはかっていきたいということを考えている次第でございます。
  191. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) ただいまの御指摘につきまして、国鉄の役割りという点につきましては、ただいま運輸省から御答弁がございました。国有鉄道といたしましては、現在の客貨の輸送業務は、これをどうしてさばいていくかということが問題でございます。したがいまして、御承知のとおり、第三次長期計画昭和四十年から樹立いたしまして、総額二兆九千億の資金を投入しようという計画になっているわけでございます。その間におきまして、ただいま御指摘のように、現在鉄道が二万八百キロ延長がございます。そのうちで、複線になっておりますものが全体のまだ二〇%程度でございます。したがいまして、幹線でもまだ複線になっていないというところが多々ございまして、これにつきましては、現在逐次、輸送の面から考えまして複線化する、これによって容量をふやしていくという考えでございます。さらに、大都市におきます通勤問題にいたしましても、東京付近では乗車効率三〇〇%というような状況でございますから、これは結局、線路をふやしていく以外には方法がないわけでございます。東海道をはじめといたしまして、現在各方面に、複々線、複線という工事を行なっているわけでございます。それによって、交道の安全、さらに通勤輸送の緩和ということを考えております。  そういうように、全体としての拡大と申しますか、国鉄の役割りとして拡大しなければならないところにつきましては、今後の新幹線の構想を含めまして、逐次改善をしていくという考えでございます。  ただ、問題になりました、御指摘のローカル線との関係につきましては、これは、昨年の九月四日に、国有鉄道の総裁の諮問機関でございます諮問委員会というのがございます。この諮問委員会意見書によりまして、ただいま運輸省の説明がございましたのと同じでありますが、鉄道が唯一の交通機関であったという時代には、全国津々浦浦に鉄道を敷くということは、これは間違いでなかったと思うんです。しかし、モータリゼーション、その他道路の整備によりまして、逐次自動車のほうに需要が移ってきている、これは、現実に各線を調査いたしますと、自動車に移ってきているのが現状でございます。幹線におきましては、中距離、長距離につきましては鉄道のほうの需要というものは相当ございますが、近距離につきましては自動車に転換しつつあるというのが、統計的にもはっきりいたしているわけでございます。そういう面をとらえまして、地元の住民の便益性と申しますか、その点から、自動車のほうがいいという地帯につきましては自動車に転換すべきである、こういう意見書が出されたわけでありまして、線の輸送と点の輸送という表現がございますが、私ども鉄道は線の輸送であるというふうに考えております。自動車の便利さというものも、これは確かにあるわけでございます。鉄道でございますと、一日せいぜい五、六回と、停車回数も少ない。それが、自動車でございますと、回数もふえる、あるいは停車場もふえるということで、地元の便役さがどちらが有利であるかという点について、この判断を下した結果におきまして、八十三線という数字を出した。もちろん、同時に、国鉄の財政も、御承知のとおり、借り入れ金だけでも二兆円になり、今後償却さえ赤字になるというような事態を踏まえまして、これを、ローカル線の問題を踏まえましても、むしろ自動車にやったほうが有利であるという面が二つでございまして、この問題が提起されたわけでございます。  国鉄といたしましては、この点につきまして、意見書の指摘されました八十三線につきまして、目下、沿線の市町村の人口の動態、あるいは地域におきます一次、二次、三次の産業の状態、あるいは旅客の流動状態、あるいは道路の状態、その他貨物の流動状態、あるいは民間のバス会社の運行状態、あるいは運賃そのほかこまかい調査を行なっている段階でございまして、これによりまして一応の調査を現在いたしまして、さらに、地元の市町村とひざを交えて協議いたしまして、先ほど申しましたように、自動車、それから鉄道というものとの比較論をするように考えております。この時点においての議論になろうかと思われます。  それで、八十三線につきましては、諮問委員会指摘しております基準と申しますのは、バスあるいはトラックにたえられるかどうか、これがまず一つ基準でございます。それから、バス、トラックが便利であるという点が第二の基準でございます。それから第三の基準は、その線の将来性がどうであるかという点について一つ基準を設けまして、たとえば通勤でございますと、十五キロにわたりましての断面交通、これが三千人という基準をとっておりまして、したがいまして、それぞれの線におきます三千人以下の線については、この八十三線の中へ入っているわけであります。それでは、三千人というのはどういう概念かと申しますと、たとえば、別な地区に現在一万三千人ぐらいの通勤輸送を自動車が運んでいる事態がございます。そういう状態から、三千人と申しますと、バスで十分輸送ができるというような観点から、そうした判断を下されたんだと思うんであります。したがいまして、先ほど御指摘のように、学校あるいは通学の問題にいたしましても、バスにたえられるかどうかというのが一つの大きな基準でございます。また同時に、通勤、通学というものは一時に殺到するという点から、この点にポイントが置かれていると考えるわけであります。それらの点を勘案いたしまして、今後、先ほど申しましたような調査をいたしまして、さらに調査の終了後におきましては、地元と十分国鉄が協議いたしまして、地元の御納得をいただいた上で運輸大臣にバスに転換する申請をいたしたいと、こう考えているわけでございます。  それからもう一つ、道路の問題につきましても、先ほど御指摘ございましたが、現在の道路がはたしてバス輸送にたえられるか、あるいは道路の状況がどう改良されるかというような点も、当然考慮の段階に入ると考えるわけでありまして、私どもといたしましては十分慎重に調査いたしまして、この方向へ持っていくような考え方でございます。
  192. 杉原一雄

    杉原一雄君 いまの問題は一応これで打ち切りたいと思うんですけれども、ただ、いまの説明等の中で、やはり危惧される問題は、どうしてもバスに切りかえることができるかどうか、そのほうが便利かどうか、こういったような視点も明らかにされたわけですが、いま私が具体的な例をあげた路線等については、道路事情、これは先ほど申し上げたような事情でございますので、適切でない。なおまた、いまの常務の説明にもありましたとおり、通勤、通学時の、ある短い期間における輸送ということになりますので、その間だけバスを運行するということになると、バス経営を国鉄がやるのか民間がやるのかということにもなるわけですけれども、おそらく、これは、私らはしろうとですけれども、やはり少なくとも輸送関係を担当するものにして言わせれば、たいへんな犠牲を伴う経営になるだろうというふうに聞いておりますので、そうした点についての検討も徹底的におやりになって、ひとつこの問題の決定にあたっては慎重を期していただきたい。  私は、第二の問題として質問したいことと若干食い違うわけですが、雪と鉄道、雪と交通の問題について、時間がありませんから簡単に触れますが、いま指摘した赤字路線、とりわけ能登線等につきましては、鉄道にかわってバスということになると、これは、バスが鉄道に比してきわめて雪に弱い。それはもう、しろうとでもだれでも知っている。さらに能登半島でございますから、風が吹き抜けるので、私のほうの富山のようにたくさん雪は降らないようでありますが、ことしの春は一メートルということです。そういう事情があったりして、道路の幅が狭い、雪が降る、鉄道かバスかということになると、しろうとの判断でも、おのずから鉄道だということに、おそらくなる。これは当然だと思います。そういう気象条件等の問題も各路線とも問題があると思いますので、十分検討の上、慎重に運んでいただきますことを最後に希望として申し上げておきます。  そこで、質問の第二点に入るのですが、先ほど申したような雪と鉄道、雪と新幹線の問題が、きのうの時点でもかなり新聞等で騒がれたのですが、こうした問題か週刊誌のテーマになるようなことはいけないと思う。少なくとも、科学的、合理的な近代的経営をモットーとされておられる国鉄当局でございますので、新幹線と雪の問題について、きのうの教訓から、いかなる結論をお出しになったか。今後国民に対して、これはこのようにいたしますので皆さん方の足は完全に保証しますということを、きょうのこの時点でお伺いすることは無理かもしれませんが、しかし、きのうきょう始まった問題ではないから、本委員会を通じて明確にしていただきたいと思います。とりわけ私は日本海の富山県におりますから、雪と交通の問題で常に悩まされている一人でございます。国鉄当局は、バスその他が運行停止になりましても、何としても通勤者、通学者を運ぼうという涙ぐましい努力をしながら、今年の一月の雪でも、ある程度遅延があったり間引きがあっても努力をされた事実はぼくは承知しているわけであります。しかしながら、これも、月の世界に飛ぶ世の中でございますから、いつまでもこういう状態ではいけないのじゃないか。こういう雪と鉄道との問題については、これは当局としてどういう対策を今後ともやって、あなた方御心配なさいますな、だいじょうぶでございますということを、やはり雪の国の皆さんにもはっきり言明してほしいし、同時に、私、初めて去年から国会に出たのですが、貧乏人の言う話でございますが、新幹線に乗ったのは国会議員になってからが初めてで、たびたび利用させていただいているわけですが、そういう中で、先般米原付近で積雪何センチと言うか言わない雪で、東京に来るまでに一時間もおくれた。これは、ダイヤの過密の問題があって、前の車がつかえるといういろいろな事情があると思いますが、しかし、やはり結論は、新幹線は雪に弱いということであります。それがまた、きのうのような状況で、ますます雪に弱い、このことを露呈した。新幹線はいろいろ不名誉なことを言われているわけです。たとえば、風に非常に弱い。これは私、非常によくわかります。風が吹くと、新幹線が非常にスピードを落とします。私は米原で乗りかえなければならない。それに乗りかえるのに手違いを起こして、富山に延着する場合が今日まで何べんもあります。それから雪の問題もそうです。そういうことにつきまして、きょう直ちに常務のほうから、かくかくであるという御答弁はいただけないかもしれませんが、少なくとも、心配をしている利用者の立場に立って、その点、ここで可能な限りの今後の方針をお示しいただくことがきわめて適切でないかと思いますので、常務からひとつお願いしたいと思います。
  193. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) ただいま御指摘の、道路と鉄道との、雪の期間におきます輸送の確保という点につきましては、私どもの最近の調査によりますと、道路に対する除雪というものは、非常に機械が発達いたしまして、私ども北陸線の柳ケ瀬線というところでも、現に三メートルの雪が毎年降りますが、これは鉄道を撤去いたしまして、現在バス運行を行なっております。これでも一日も運休がないというのが現状でございます。したがいまして、今後の道路の除雪というものは、鉄道と比較いたしまして差がなくなってくるというふうに私は考えるわけであります。豪雪地帯におきまましても、道路の除雪ということを今後真剣に考えていく。いままでは、道路のほうは雪が降ったらそのままにしておく。鉄道のほうで除雪していくというふうなのが慣行でございますが、道路も、当然今後は、バス運行その他の面から考えますと、もっと精力的に除雪の問題について進めなければならないと考えております。この点におきましては、先ほど御指摘のようなバス運行も可能であるというふうに考えております。  それから第二の、新幹線の問題につきましては、昨日、三島の付近におきまして、鉄橋上に列車がとまりまして、その結果、三十九本の列車の運休を出したのは、まことに私どもとして不面目な次第でございます。この原因につきましては、ただいま調査中でございますので、明確なお答えは、私専門でございませんので、できませんが、これは雪の関係がはっきりしておりまして、雪が機械の中に入ってしまったということで、そのために停止したというふうに考えております。これをどうやって防ぐかという点につきましては、現在、私どもといたしましては、新幹線は、雪というものがありますと、あのスピードを出しますと、石を飛ばしてしまう。それが車両の裏にくっつくと同時に、それを飛ばしてしまうというおそれがございますので、京都−米原間のあの山岳地帯におきましては、スプリンクラー——水をまいて雪を消すという方法考えております。現在、逐次スプリンクラーの整備を行なっておりまして、これによって、現在は、過去におきます雪に弱い新幹線というものは非常に緩和された。さらに、スカートと申しますか、車の機器の中に雪の入らないような設備をしていくということも考えられるわけでございます。昨今のような雪に対しましては、結局、あれだけの雪に対してはスプリンクラーもなかなかそうできませんので、結論的には徐行をするということによって、ああした事故が今後未然に防げるのではないかというふうに考えておりまして、豪雪地帯、雪の多い米原−京都間につきましては、そうした設備に大きく資金を投入いたしまして設備をいたしております。これで、大部分の雪に対する新幹線の問題は片づくと考えております。  それから一般の鉄道、新幹線以外の鉄道につきましては、御承知のとおり、三十八年に豪雪がございました。それに対して雪害対策五カ年計画を立てまして、逐次整備をいたしております。四十年からの第三次長期計画におきましては二百七十億円、計画上は二百七十億円の投資計画を持っておりまして、まず除雪の機械、これを中心考えております。それから、そのためには、まず雪を線路から排除するというための除雪車両というものが必要だと思います。そのためにさらに機械化していく。したがって、今後の除雪の問題といたしましては、従来は人手を使っておりました除雪作業では、これは人手の不足という問題がございますし、また同時に、スピードもおそいという面から、今後機械化をして除雪作業をするということで、先ほど申しましたとおり、たとえば除雪車両につきましても、現在のロータリーあるいはその他の除雪の車両というものを、それぞれ必要なところにつきましては整備をいたしておりますので、冬季間の輸送の確保という点につきましては、国有鉄道として十分努力いたしております。  それからも一つ、申しおくれましたが、雪の場合一番問題になりますことは、ヤードと申しますか——実は先生方のお立場から、なかなかおわかりにならないと思いますが、ヤードと申しますか、たとえば車両が置いてある、そういうところについての雪が一番問題になったのでございます。それに対しては、流雪溝、結局、線路の横に穴を掘りまして、そうしてそこに水を流して雪を捨てる。これがいつも列車をとまらせる原因になっております。構内におきます、線路構内におきます流雪溝、この整備を、今後、いま申しました資金で重点的にやっていくというふうに考えておりまして、それらによりまして、今後は雪に対応する、完全に運行できる体制を確立していきたいと考えております。
  194. 松澤兼人

    ○理事(松澤兼人君) 本日の調査はこの程度にとどめ、次回は三月七日に開会の予定でございます。  これにて散会いたします。    午後三時八分散会      —————・—————