○
政府委員(
宮崎清文君) それでは、ただいまから最近におきます
交通事故の
概況と
昭和四十四
年度におきます
陸上交通安全対策関係の
予算の
概要について御
説明申し上げます。
お
手元にいろいろの資料をお配りしてございますが、私がこれから申し上げます点につきましては、「
交通事故の
概況」という表と、それから
総理府でまとめた「
昭和四十四
年度陸上交通安全対策関係予算調査」と、二つございますが、これにつきまして御
説明申し上げます。
最初に、「
交通事故の
概況」でございますが、
先ほど関係大臣から御
説明がありましたように、昨年一年間
——暦年でごさいますが、
昭和四十三年一年間におきましては、
死者が一万四千二百五十六名、
傷者が八十二万八千七十一名という
数字でございまして、これらはいずれも
史上最高という悲しむべき
数字でございます。なお第一表にございますように、ここ十年間の
交通事故の
年別推移でございますが、ただいま申し上げた
死者につきましては、
昭和三十三年を一〇〇といたしますと一七三
——一・七三倍でございます。したがいまして、
死者は十年間でそれほどはふえていないわけでございますが、
傷者は
昭和三十三年を一〇〇といたしますと四四七という
数字でございまして、約四・五倍という相当な
ふえ方をしているわけでございます。なお、その次の欄に
自動車台数が掲げてございます。これは四十三年末の正確な
数字が出ておりません。四十三年の十月末でございますが、千三百八万一千台となっております。私たちの
推計では、これは
確定数ではございませんが、十二月末には大体千三百三十五万台くらいに達していたのではないかと推定いたしております。この
自動車台数の伸びも、
昭和三十三年を一〇〇といたしますと五六一、この十年間で
自動車は五・六倍になっているわけでございます。したがいまして、
自動車千台
当たりの
死者数をとってみますと、これは一番下の欄にございますように、むしろ年々減っておりまして、
昭和三十三年には
自動車千台につき三・五人の
死者を出しておりましたが、昨年は、これはまだ
推計になると思われますが、一・一人というぐあいに減っているわけでございます。
それから、二枚目が「
死亡事故の分析」でございますが、この
死亡事故の
概要につきましては、ここ数年来あまりたいした変化はございません。たとえば
状態別で申しますと、いろいろこまかく出ておりますが、
状態別の下の欄に「
歩行者」という欄がございます。これは
交通事故による
死者のうち、
歩行者が何人死んでいるか、そのパーセントを示した
数字でございます。昨年は三五・七という
数字が出ております。大体御
承知かと思いますが、ここ数年来
わが国におきましては、
交通事故による
死者の約三分の一は
歩行者である、そういうことから、
政府といたしましては当面、
歩行者保護ということを
交通安全対策の
一つの大きな柱にしておるわけでございます。
それから、その次の次でございますが、「
類型別」という
数字がございます。これは、
死亡事故がどういう
類型で発生したか、
つまり人と車がぶっかった場合はどのくらいか、車と車がぶっかった場合はどのくらいか、車と原付がぶっかった場合はどのくらいか、あるいは
踏切ではどのくらいかという、その構成を示したものでございます。これによりますと、
車対人が三六・九%という、わりに高い率を示しております。これが
歩行者の
死亡事故が三分の一を占めているということと対応いたすわけでございます。
それから一番
最後に、「
原因別」というのがございます。
死亡事故がどういう
原因で生じたかということでございますが、これも大体、
例年同じでございまして、高い順に申しますと、
酔っぱらい運転、
わき見運転、
最高速度違反、
追い越し違反、こういうような
違反が
死亡事故の大きな
原因になっております。この
状態も、ここ数年間大体同じようでございます。
それから、
最後の第三表でございますが、これは各国の
自動車事故による
死者数の比較でございます。
御
承知のように、
交通環境は国によってたいへん異なりますので、これを簡単に比較することはなかなか困難でございますが、一応
国連統計等を参考にいたしました表が、これでございます。ただ、残念ながら最新の
データはなかなか入手できませんので、一番新しい
データといたしましては、一九六六年
——昭和四十一年の
データになっております。これを見ますと、
自動車事故による
死者数の絶対数、これは
アメリカが一番多くなっておりますが、
日本は残念ながら第二位ということになっております。
日本の
死者数は一万七千九百七十九名となっておりますが、これに対して第一表の
統計によりますと、
昭和四十一年では一万三千九百四名となっております。この差がどうして出てきているかということを簡単に御
説明申し上げますと、ここの注にも書いてございますが、現在
わが国の国内で一般的に使っております
統計は
警察庁におきます
事故統計でございまして、
交通事故による
死者は
事故発生後二十四時間以内に死亡した者のみを集計いたしております。これに対しまして、
最後の表は
国連統計によっておりますが、この
国連統計では二十四時間に限定しないで、およそ
交通事故が直接
原因になりまして死亡した人の数を出しております。
わが国では、それに相当する
統計は
厚生省で出しております。大体いままでの例を見ますと、この
警察庁で出しました
死者の
統計と
厚生省で出しております
死者の
統計とでは、
厚生省統計のほうが約二五%ふえておる
——大体その程度ふえております。したがいまして、昨年は
警察庁統計によりますと一万四千二百五十六名の
死者を出したわけでございますが、これが
厚生省統計によりますと、おそらく一万八千名くらいになるのではないか。これはまだ集計されておりませんが、そういう推定もできるわけでございます。したがいまして、この
最後の表の一番右の欄にございます「
自動車千台
当たり死者数」も、そういうふうに
死者数の
統計が違っておりますので、
日本はかなり高い
数字になっております。ここにもございますように、
アメリカが〇・六人、イギリスが〇・八人、西ドイツが一・六人、
日本が二・二人ということでございまして、
最初にお断わりいたしましたように諸外国と
日本の
交通事故を簡単に比較するわけにまいらないわけでございますが、この表によりましても、
日本の
交通事故はまだまだ
改善の余地があるということが言えるのではないか、かように感ずるわけでございます。
以上、
交通事故の
概要を終わります。
次に、
昭和四十四
年度予算の
概要でございますが、お
手元にお配りいたしました「
昭和四十四
年度陸上交通安全対策関係予算調書」によりまして御
説明申し上げます。
例年のごとく柱を立てまして、その
柱ごとにまとめてございます。
第一が、
道路交通環境の
整備でございまして、四十三
年度五百二十六億九千七百万円に対しまして、四十四
年度は五百五十九億七千七百万円でございます。三十二億ほど
増加いたしております。
まず、小さな内訳といたしまして、
交通安全施設等の
整備でございますが、これは四十三
年度の二百十億に対しまして若干減りまして、百九十四億を計上いたしております。そのうち
警察庁分、これは主として
信号機でございますが、
信号機が五億五千六百万円、それから
建設省分、これは
歩道でございますとか、
横断歩道橋でございますとか、それからガードレールでございますが、これが百八十八億八千八百万円、かようになっております。このここに計上いたしました
予算は、
先ほども
大臣から御
説明ございましたように、また、けさの新聞にも出ておりましたように、
交通安全施設等整備事業に関する
緊急措置法の一部を
改正いたしまして、
昭和四十四
年度からさらに三カ年をもちまして、
既存の
道路におきます
交通安全施設の
整備を続行いたすことに大体
政府としては
方針を決定したわけでございますが、その新しい
交通安全施設等整備事業の三カ年
計画の
初年度分に該当いたすわけでございます。なお、まだ
確定はいたしておりませんが、新しい三カ年
計画で大体どの程度の
事業を行なうかということでございますが、大体のワクといたしましては、三カ年間におきまして
道路管理者分約七百三億円、それから
公安委員会分約四十六億円で、合計いたしまして七百四十九億円を、新しい三カ年
計画で実施いたす
予定でございます。なおそれ以外に、この
交通安全施設等整備事業に関する
緊急措置法の一部
改正法案は、いずれ当
委員会等におきましても御
審議を賜ることになると思いますが、従来の三カ年
計画と若干異なりまして、
都道府県市町村が
単独で行ないます分の
計画も全部積み上げまして、国と
地方公共団体が
一体となって
交通安全施設の
整備を行なう、こういうたてまえをとっておりますが、いま申し上げました七百四十九億円は、国が
公共事業として、つまり直轄または
補助事業として行なう分の
事業費でございまして、それ以外に
地方が
単独で行ないます分といたしまして、これはまだ
確定いたしておりませんが、五百二十数億の
事業費を
予定いたしておるわけでございます。したがいまして、両方合わせますと千二百数十億という
数字になるわけでございます。これらの点は、いずれまた、この
法案の御
審議のときにいろいろと御
説明申し上げます。
それから、次の(2)は
踏切道の
立体交差化でございまして、これは
踏切保安設備の
整備と
踏切道の
立体交差化等の二つに分かれております。で、まず
踏切保安設備の
整備でございますが、これは四十三
年度が一億三百万円でございますが、これに対しまして四十四
年度は六千四百万円で、三千九百万の減となっております。理由を簡単に申し上げますと、この
踏切の
保安設備と申しますのは、御
承知のように
踏切道に
遮断機でございますとか、
警報機というような
保安設備を
整備することでございます。この
整備につきましては
昭和四十二年に
議員立法で成立いたしました
通学路に係る
交通安全施設等の
整備及び
踏切道の
構造改良等に関する
緊急措置法に基づきまして、緊急に危険である
踏切の
整備をいたしたわけでございまして、特にここに掲げております
予算案は、この備考にもございますように、
民有鉄道のうち
赤字または準
赤字の
地方鉄道事業者または
軌道経営者が行なう
踏切保安設備に要する費用の
補助でございます。逆に申しますと、いわゆる
大手私鉄は自前で
整備する、こういうことになっております。この
計画は
昭和四十二年、
昭和四十三年の両
年度で実施いたすことになっておりまして、ほぼその
計画が順調に進んでいるわけでございます。したがいまして四十四
年度におきましては、その残りの分ということで、この
予算額が減っているわけでございます。なお、この
通学路に係る
交通安全施設等の
整備及び
踏切道の
構造改良等に関する
緊急措置法のうち、
通学路の
安全施設の
整備に関します部分は、
先ほど申し上げました今回の
交通安全施設等整備事業に関する
緊急措置法の一部
改正に際しまして、その中に取り込んでございます。また
踏切道のほうは、いまも申し上げましたように、大体
計画どおり
事業が進捗いたしましたので、これはこの際廃止いたそうということで、この
通学路のほうは一応今回の一部
改正法案で廃止をする
予定になっております。したがいまして、この
踏切道保安設備整備は、四十四
年度におきましては、一応
予算補助になるわけでございますが、その
補助率につきましては、いわゆる
通学路法で特例を設けまして、一般的には国が三分の一の
補助でございましたのを、二分の一に引き上げたわけでございます。その
補助率は、四十四
年度におきましてそのまま踏襲いたしまして、二分の一の
補助をいたすわけでございます。こまかく申し上げますと、国が二分の一、それから
地方公共団体が三分の一、
事業者が六分の一を負担する、こういうことでございます。
次の
踏切道の
立体交差化につきましては、これは従来から毎年、年次的に大体同じ程度の額をもってやっておるわけでございまして、四十三
年度におきましては二百三億、四十四
年度におきましては二百三十億を投入いたしまして、
踏切道の立体交差の促進につとめるわけでございます。なお、この
踏切道立体交差化等の
予算額といたしまして、この
総理府の調書におきましては、二百三十億を計上いたしておりますが、建設省のほうではこれより二億五千万少ない
数字を、あるいは出しているかとも思われます。これは、実は内容的には全く変わっておりませんが、私のほうでは、費目のいかんにかかわらず、およそ
交通安全に直接
関係ありという
予算は、これを全部実体的に見まして、各省の
予算から引っ張り出しまして、この表をつくっておりますが、建設省では費目ごとに整理いたしておりますので、二億五千万少ない
数字があるいは出ているかとも思われますが、実体は全然変わっておりません。
それから次のページへまいります。(3)が、
交通安全対策特別交付金でございます。これは御
承知のように、昨年の七月以降、
道路交通法
違反のうちの軽微なものにつきましては、
交通反則金制度というものを設けておりまして、これによって国に納付された金額のすべてを
交通安全対策特別交付金という形で
地方公共団体に交付いたしております。その使途は
交通安全施設等の
整備と一応限定されているわけでございます。昨
年度は
初年度でございまして、四十四
年度から平
年度になるわけでございますが、これに大体百十七億を見込んでおるわけでございます。この
交通安全対策特別交付金は、
先ほど申し上げました
交通安全施設等の
整備の
単独事業の一部にこれが充当されることになるかと思われます。なおそれ以外にも、一部救急
自動車に充当されるようになっております。
それから(4)は、
児童公園等の
整備でございます。これは四十三
年度が九億七千万に対しまして、四十四
年度は十六億を計上いたしております。御
承知のように、子供が遊び場がないために
道路で遊ぶことによって、不測の
事故にあうということがまだまだございますので、子供の遊び場をつくろうということでございます。注にもございますように、これは年次
計画で一応設置いたしておりますが、四十四
年度におきましては、全国で
児童公園を九百三十五カ所、運動公園を七十二カ所、それから河川敷緑地を二十五カ所、
整備いたす
予定でございます。
それから、第二の大きな柱が「
交通安全思想の普及」でございまして、これはあまり大した額ではございません。大体
例年どおりでございます。
(1)は、
交通安全広報
事業の委託費でございまして、これは
警察庁が全
日本交通安全協会に委託いたしまして、
交通安全思想のPRをやる、それに要する費用でございます。四十四
年度も本年どおり千四百万でございます。
それから(2)が、
交通安全教育センターの設置でございまして、これは昨年から年次
計画をもって始まりました
事業でございます。
交通安全教育、特に学校における
交通安全教育の必要性は言うまでもないことでございますが、もともと
交通安全教育と申しますものは、頭の中で教えるよりも実態に即して教えるほうがより効果的であるというところから、昨年以降、全国の主要
都市の小学校等に小規模な
交通公園を設けまして、
信号機でございますとか、あるいは
道路標識その他を備えつけまして、
児童に即物的に
交通安全の教育をする、こういうことでございます。毎年四十六カ所ずつこれをつくってまいりたいということで、それに要する
補助金といたしまして、毎年二千八百万円計上いたしております。
(3)は、
交通安全
指導の研究
推進。文部省でございますが、これは二百万円余りでございますが、注にもございますように、主として学校の先生に
交通安全教育の
指導をしたり、研究をするというための費用でございます。
第三番目が「
安全運転の
確保」という柱でございまして、四十三
年度が総額五十二億でございますが、これに対して四十四
年度は六十億を計上いたしており、ます。
(1)は、
運転者管理センターの運営でございます。これは御
承知と思いますが、
昭和四十一年以来、三カ年
計画で
警察庁に電子計算機を備えつけまして、全国の
運転免許台帳をここに集中管理する。また今後は、それぞれの
運転者の
違反事故等を全部記入いたしまして、今後の適正な
行政処分の資料にいたすということを
考えておりまして、これが三カ年
計画で完成いたしました。来
年度四十四年の十月からこれが動き出すわけでございます。したがいまして、四十三
年度の二億一千七百万円が、四十四
年度は五億になっておりますが、この五億の中の大部分は電子計算機の借料でございます。いままでは電子計算機をまだ備えつけておりませんでしたが、四十四
年度から電子計算機を備えつけまして、これを動かす仕事を始めるわけでございまして、その借料が大部分でございます。
(2)の「
交通取締用
車両等の
整備」、これも
警察庁の所管でございまして、四十三
年度の一億七千三百万円に対しまして四十四
年度が二億四百万円でございます。これは注にもございますように、
交通取締り用の
車両パトカー八十一台、それから白バイ二百四十八台、
交通事故処理車九十三台を
整備するわけでございます。このうち新しくふやします分は
交通取締り用四輪車、つまりパトカーと
交通事故処理車でございまして、
交通取締り用二輪車、つまり白バイでございますが、これは減耗
補助費でございます。
(3)の
交通取締り等の
強化、これも
警察庁でございますが、これは四十三
年度の七億二千七百万円に対しまして四十四
年度が七億五千九百万円でございます。注にもございますように取締り用、鑑識用等の諸機械の
整備が
中心でございますが、それとともに
交通警察官の待機宿舎の新設分も含まれております。
それから、次の(4)は
交通事件裁判処理体制の
整備でございまして、(5)が
交通事犯処理体制の
整備でございます。(4)は裁判所
関係、(5)は法務省
関係でございまして、それぞれ定員増が主たる内容になっておりますので、一括御
説明申し上げます。まず裁判所のほうでございますが、四十四
年度は八千四百万円で、ここにございますように百十二名の定員増をはかることにいたしております。内訳を申し上げますと、簡易裁判所判事が二十八名、これに書記官が二十八名、事務官が五十六名で、計百十二名でございます。
中心は簡裁の判事二十八名の増でございます。それから法務省のほうは検察庁のほうでございまして、定員増二十名となっておりますが、これは検事五名、副検事十名、事務官五名、こういう内訳でございます。計二十名の増員をはかろうとするわけでございます。
それから、(6)が
自動車事故防止対策等といたしまして、
運輸省所管でございますが、これは
昭和四十三
年度におきましては一億一千三百万円でございましたが、四十四
年度は九千万円になっております。これは、ここにもございますように、主としてダンプ
対策、ダンプの取締りに必要な経費等が大部分でございます。御
承知のように、これも四十二年に
国会で
議員立法で成立いたしましたいわゆるダンプ規制法と申す法律がございますが、そのダンプ規制法の取締り実施に必要な経費がその
中心でございます。
それから、(7)が
自動車検査登録業務の処理体制の
整備でございます。これも同じく
運輸省でございまして、四十三
年度が三十七億でございますが、四十四
年度は三十八億となっております。これは、この注にもございますように、主として
自動車の検査登録業務に必要な経費でございます。なお四十四
年度におきましては、注にもございますように、百名の定員増の経費が組まれております。もっとも百名と申しましても、定員増が六十五名でございまして、あとの三十五名は賃金職員分でございます。
それから(8)は、
自動車運転者労務管理改善対策、労働省の所管でございまして、四十三
年度が千万円で、四十四
年度が一千百万円でございます。これは注にもございますように、
労務管理の
改善の促進という見地からいろいろと
事業場に対する
指導監督の
強化をはかるための経費でございます。
以上は、
安全運転の
確保に関する経費でございます。
それから(4)が、
被害者救済対策関係の経費でございまして、総額といたしましては四十三
年度が七億九千九百万円でございます。四十四
年度が九億一千万円を計上いたしております。
まず(1)は、救急医療
施設の
整備でございまして、これは十分御
承知と思いますが、現在
厚生省におきましては年次
計画をもちまして、全国に約百十カ所の、国立または公的医療機関に
救急医療センターを
整備することを現在実施中でございます。この経費の大部分がその
救急医療センターの設置に要する経費でありまして、四十三
年度の三億七千万に対しまして、四十四
年度が四億二千九百万円を計上いたしております。
それからなお、四十四
年度におきまして
計画いたしております
救急医療センターは、国立病院が七カ所、それから公的医療
施設として十五カ所を大体
予定いたしております。なお、この
救急医療センターの従来までの
整備状況でございますが、ごく最近の
データを持ち合わせておりませんが、本年の一月で大体全国に六十カ所程度の
救急医療センターが
整備されておりますので、残りは四十四
年度分を含めまして、あと五十カ所程度を
整備すればよろしいということでございます。
次のページにまいりまして、(2)は、むち打ち症
対策でございますが、むち打ち症が最近非常に大きな問題となっておりまして、このむち打ち症
対策につきましては、労災補償の面からなおいろいろと研究をする必要があるわけでございます。そこで労働省におきましては、四十三
年度に引き続きまして四十四
年度におきましても同額の四千百万円を計上いたしまして、ここにもございますように、むち打ち症災害につきましての治療方法でございますとか、治療範囲、治ゆ、障害の認定等に関するいろいろの研究をいたす、あるいは機器の
整備をいたす、それに要する経費でございます。
それから(3)が、救急業務
施設の
整備でございまして、これは消防
関係でございます。四十三
年度が一千万円でございますが、四十四
年度が千四百万でございまして、これは主として、ここにもございますように、救急指令装置の
整備に要する
補助金でございます。この救急指令装置の
整備と申しますのは、ごく簡単に申しますと、救急車と
事故現場と救急病院を無線で結びまして、ある地点で
事故が起こりましたときに、それに一番近いところにいる救急車が無線で現場に行きまして、それをさらに所要のベッドが
確保されている一番近い救急病院に運ばせる、これを全部無線でやる。非常に簡単に申しますと、そういう装置でございます。それは現在東京、大阪にすでにできておりますが、これを順次
地方都市に及ぼしてまいりたい、こういうことでございます。
それから(4)が、
交通事故相談活動の
強化でございます。これは御存じのように、全国の各
都道府県に
交通事故相談所を設けまして、
交通事故による
被害者の方々に対していろいろの相談に応じております、これに対しまして
総理府が
補助をいたしております。
総理府におきまして
補助金を出すとともに、
指導をやっておるわけでありますが、その
補助金でございます。四十三
年度が七千万円でございまして、これが四十四
年度は四千二百万、約二千八百万円減っておるわけでございますが、この点につきましては、財政当局等のいろいろの意向もありまして、この注にもございますように、四十四
年度におきましては一般会計から四千二百万円
補助するとともに、
自動車損害賠償責任再保険特別会計から三千五百万円を出しまして、計七千七百万円の
補助をいたそうということでございます。したがいまして
補助金の総額といたしましては四十三
年度に比べて七百万円ふえておるわけでございますが、一般会計におきましては、ここにもございますように、二千八百万円減少ということでございます。決して実態をおろそかにしているということじゃございません。
それから(5)が、法律扶助
事業補助でありまして、これは四十三年に引き続きまして四十四年も六千五百万の
補助をいたそうということでございます。御
承知でございましょうが、現在、法律扶助協会というのがございまして、訴訟を起こしたいと思うけれども、貧困のために訴訟を起こせない人々のために訴訟費用の立てかえをやっている団体でございます。もちろん、この訴訟は単に
交通事件だけじゃございません。
交通事件が最近非常に多くなっておりますので、一応
交通安全対策の一環としてここに掲げているわけでございます。
(6)が、
自動車損害賠償責任再保険特別会計による
補助でございまして、これはいまもちょっと触れましたように、現在、
自動車の
損害賠償責任保険のうち保障勘定、これは保障勘定と申しますのは、あるいは御
承知かと存じますが、現在ひき逃げ
事故につきましては、さしあたって責任者がわかりませんものですから、国があらかじめ取っております賦課金を積み立てまして、一般の責任者のある場合と同程度の損害補償をいたしているわけでございます。
被害者に対して補償をいたしております。これを保障
事業と申しております。幸い、最近ひき逃げの検挙率が非常によくなっておりますから、保障勘定の累積黒字が出ております。この累積黒字の利息分を使いまして、ここにございますように
交通事故相談業務でございますとか、救急医療機器等の
整備の
補助をいたしているわけでございます。これを四十三
年度は二億四千三百万円を計上いたしたわけでございますが、四十四
年度におきましては三億一千九百万円を計上いたしたわけでございます。なお、
先ほど申し上げました
都道府県の
交通事故相談所に対する
補助金のうち三千五百万は三億一千九百万のうちから支出される、かようになるわけであります。
それから、五番目の柱がございます。「
交通事故の
防止に関する科学的研究の
推進」でございます。四十三
年度は三億一千八百万でございますが、四十四
年度は二億五千六百万で六千二百万ほど減っております。
(1)は、
警察庁の科学
警察研究所で行なっております
交通制御の
調査研究でございます。これは四十三
年度に引き続きまして二百万でございます。
それから、次のページにまいりまして、(2)に
自動車の安全研究の
強化で、これは通産省の工業技術院機械研究所で行なっている研究でございます。四十三
年度が二億三千四百万でございますが、四十四
年度は一億九千万になっております。
(3)が、
自動車安全
整備研究等の
強化。
運輸省の船舶技術研究所で行なっている研究でございます。四十三
年度の三千三百万に対しまして四十四
年度は五千万でございます。なお通産省の工業技術院機械研究所における研究と、
運輸省の船舶技術研究所における研究とが、どういう
関係にあるかといいますと、ここに注でいろいろ書いてございますが、非常に簡単に申しますと、通産省におきます
自動車の安全の研究所は、将来の
自動車の安全の研究ということでございまして、これに対しまして
運輸省のほうは現在使用されている
自動車の安全の研究。非常に簡単に申しますと、そういうことになろうかと存じます。なお、それらの研究がお互いに重複しないよう、かつ有機的にその結果が使われるよう、
総理府におきましても、その連絡調整を十分密にしてまいりたいと思っております。
(4)は、むち打ち症研究の
推進でございまして、四十三
年度におきましては
厚生省におきまして一千万円を計上いたしまして、この研究をいたしたわけでございますが、四十四
年度におきましては、まだこれはきまっておりません。つまり、ここにございますように、特別研究費六千万のうちの一部を当然充当することになろうと思われますが、その額がまだ決定してないということでございます。
それから(5)は、脳神経外科の
充実でございまして、これは文部省所管でございます。四十三
年度三千三百万に対しまして、四十四
年度が一千三百万に減っておりますが、これはここにもございますように、脳神経外科の専門医の養成のために大学に脳神経外科の講座を増設すること及び大学の付属病院に脳神経外科の診療科を増設することが内容でございまして、これは新増する場合の経費しか計上いたしておりません。つまり、一回新設されました後の経常費はここに掲げておりませんので、たまたま四十三
年度は三カ所にこれを
整備いたしたのが、四十四
年度では二カ所になったために、この額が下がっているわけでございます。四十四
年度におきましては、脳神経外科の講座といたしましては、神戸大学、それから脳神経の研究
施設といたしましては、岡山大学に、それぞれ講座ないし
施設を
整備する
予定でございます。
それから(6)が、
警察庁の科学
警察研究所で従来やっておりました研究が四十三
年度で終了いたしましたので、この六百万円が四十四
年度にはゼロになっているわけでございます。
それから、
最後に「その他」となっておりまして、これは
総理府の
——私のところの直接の経費でございます。私どもでは、
都道府県及び学識経験者にそれぞれ
交通事故の実態でございますとか、あるいは
交通事故防止のいろいろの科学的な問題につきまして
調査研究を委託しております、その費用でございまして、四十三
年度の千三百万円に対しまして四十四
年度は千四百万円でございます。
以上、総計いたしますと、
昭和四十四
年度におきます直接
交通安全に
関係のある
予算といたしましては、ここにございますように六百三十二億七千二百万円ということでございまして、四十三
年度に対しまして四十一億円の増ということでございます。
なお、
先ほど申し上げました建設省のごく一部の
予算——二億五千万円程度の
予算を、これから引きますと、この額は約六百三十億という額になるわけでございまして、あるいは
予算委員会等におきまして財政当局のほうからは六百三十億という
数字があるいは出るかと思われますが、その相違は
先ほど御
説明したとおりでございます。
なお、
最後の表に、これ以外の間接的に
交通安全に
関係する費用、これはほかにもいろいろございますが、大きなものを拾い上げますと、ここに書いてございます第一が、
自動車損害賠償責任再保険特別会計でございまして、これは千九百八十二億でございます。
それから、国鉄が毎年国鉄の
予算でやっております
事故防止対策事業でございまして、これは四十三
年度二百八十一億に対しまして四十四
年度が二百三十一億でございます。
その他、
私鉄に対します開銀の融資でございますが、これは四十三
年度におきましては九十八億の実績がございますが、四十四
年度はまだ
計画中で決定いたしておりません。いずれ決定いたしましたら、また別の
機会に御報告を申し上げます。
以上が、四十四
年度の
交通安全対策関係予算の
概要でございます。
最後に、
先ほど長官からも御
説明がありましたが、いわゆる
交通安全対策基本法の進捗
状況につきまして簡単に御
説明申し上げます。
交通安全対策基本法につきましては、昨年当委員会におきましても
交通安全対策基本法を制定するというような御趣旨の御決議がございましたし、また衆議院の
交通安全対策特別委員会におきましては、はっきりと
交通安全対策基本法を次の
国会に
政府提案をせよという御決議もいただいております。したがいまして、
政府といたしましては、その御決議も含めまして、自来その準備をいたしているわけでございまして、
先ほど長官が御
説明申し上げましたように、現在
総理府としては最終案をすでにつくりまして、
関係省庁と最終的な折衝をやっている段階でございます。
内容は、簡単に申し上げますと、従来
交通安全対策基本法と申しました場合には、陸上の
交通安全対策のみの
法案を
考えておりましたが、現在立案中の
交通安全対策基本法は、単に陸上
交通のみならず、海上
交通、航空
交通のすべての安全を含めました
交通安全対策基本法を
考えておる次第でございます。骨子は、これもしばしば当委員会でも御
説明申し上げたと思いますが、大体四つの柱を立てております。
第一の柱は、およそ
交通安全に関します国、
地方公共団体、
事業者、あるいは
車両その他
交通機関の使用者、
運転者等の責務を法律で明記するというのが
一つの柱でございます。
それから第二は、何よりも
交通事故の
防止の
徹底をはかるためには、総合的な
交通安全の
計画を立てて、これを
推進することと、その
計画を策定する機関を設けることが必要でございますので、まず中央には、内閣総理
大臣を長といたします
関係閣僚よりなる
交通安全対策会議、これはまだ仮称でございますが、
交通安全対策会議というものを設けまして、そこで総合的な
交通安全に関する
計画を立てるということでございます。
また、
都道府県には同じように
都道府県知事を会長といたしまして、
関係地方行政機関の長でございますとか、その他
都道府県の
関係機関の長を含めました
都道府県の
交通安全対策会議を設けまして、ここでやはりいろいろ
交通安全に関する基本的な
計画を立てさせるということにいたしております。なお
市町村はいろいろございますので、必ずしも
会議を設けなくてもいい、しかし大きな市等は当然
会議を設けることになろうと思われますが、そういうたてまえをとっております。これが第二の柱でございます。それからこの
会議とあわせまして、
交通安全に関しまするいろいろの
対策を立てます場合には、やはり学識経験者の方々の御
意見を聞くことが必要でございますので、中央には
交通安全対策審議会を設けまして、総合的な
交通安全施策の基本的な事項について、いろいろ御
審議を願うということにいたしております。この
審議会は
地方段階では必ずしも設けなくてもいいわけでございまして、しかし設けることも可能である、そういうたてまえをとっております。
それから三番目の柱は、いまもちょっと触れましたように、今後の
交通安全対策を効果的に進めるためには、
交通安全に関します総合的な基本
計画をすみやかに作成する必要があるわけでございまして、これは中央におきましては、
先ほど申し上げました
交通安全対策会議におきまして、基本
計画を作成する、こういうたてまえになっております。それから
地方におきましても、
都道府県交通安全対策会議、
市町村交通安全対策会議。
市町村におきましては、
会議をつくらない場合は
市町村長が、
地方におきまして主として陸上
交通の安全に関します基本
計画を作成する、こういうたてまえをとっております。これが第三の柱であります。
それから、第四の柱といたしましては、
交通安全に関します基本的な
施策、これを国はどういうことを今後やるのか、
地方公共団体はどういうことをやるかという、この
施策の基本的な事項を列挙いたしまして、それに基づいて国、
地方公共団体が
一体となって
施策を
推進していくということでございます。なお今後これと関連いたしまして、国の
地方公共団体に対します財政上の措置等につきましても規定を設ける
予定でございます。
以上、たいへん簡単でございますが、いわゆる
交通安全対策基本法案の現在の作業の進捗
状況と、その内容の
概要を御
説明申し上げた次第であります。