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1969-06-05 第61回国会 参議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月五日(木曜日)    午前十時三十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岡  三郎君     理 事                 大森 久司君                 山内 一郎君                 沢田 政治君     委 員                 上田  稔君                 鬼丸 勝之君                 小山邦太郎君                 高橋文五郎君                 塚田十一郎君                 中津井 真君                 林田悠紀夫君                 米田 正文君                 松本 英一君                 二宮 文造君                 宮崎 正義君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    政府委員        建設政務次官   渡辺 栄一君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省計画局長  川島  博君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省住宅局長  大津留 温君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        国税庁直税部審        理課長      元木精一郎君        農林省農政局参        事官       中沢 三郎君        自治省税務局固        定資産税課長   山下  稔君        日本国有鉄道理        事        長浜 正雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地価公示法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは、ただいまから建設委員会を開会いたします。  前回に引き続き地価公示法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。林田君。
  3. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 この前の委員会におきまして、土地政策の今後の見通しについて伺ったのでございますが、今回の地価公示とか、あるいはその他税制、こういうような政策によってようやく土地政策は緒についたばかりと思うのです。それで、土地政策の根本としては、やはり土地需給状況の緩和をはからなければならない。そのためには供給をふやさなければいかぬわけですが、それには国とかあるいは公共団体所有地を出していくということも必要でありまするし、そのほかに未利用地をできるだけ売却していく、需要に回していくということが必要だろうと思うのです。それで、本年の流通課税の軽減ということはそのためにはかられたのだろうと思いまするが、ところが一方、あくまでも未利用のままで保有して値上がりを待っておるという問題につきましては、まだ対策がないということだろうと思います。それにつきまして、空閑地税とかあるいは未利用地税創設すべきだという意見も相当出ておりまして、この問題についていろいろ建設省あるいは大蔵省のほうにおいても検討をしておられるように聞いておるのでありまするが、その検討はどういうふうになっておりまするか、お伺いしたいと思います。
  4. 川島博

    政府委員川島博君) お答えいたします。  空閑地税に関しましては、建設省といたしましては、今後の土地対策を進める上におきまして非常に重要なものでありまして、しかも効果が高いというふうに考え、かねがね税制調査会に対しては空閑地税創設につき強く要請をしてまいったのでございます。ところで、税制調査会におきましては、一昨年から昨年にかけまして、土地税制特別部会を設けて、この問題も含めて土地税制全般につき慎重に御検討になったのでございますが、その結果、昨年の七月に出されました土地税制改正に関する答申によりますと、空閑地税創設については、方向としては前向きで考えるべきである、つまり積極的に実現することを基本方針とすべきであるが、新都市計画法による土地利用計画や、現行建築基準法による建蔽率制限等現行土地利用計画前提として創設することは不適当である。したがって土地用途別に、たとえば建物面積敷地面積に対する割合の最低限度が定められる等、土地利用に関して積極的な意味を持つ最低利用度が規定されることが必要であるので、これに関する立法措置を要請するといたしまして、直ちに実現することは適当でないという答申をいたしたわけでございます。そこで、本年度税制改正におきましても、この空閑地税あるいは未利用地税と称せられる税目につきましては、その新設を見送るということに相なった次第でございます。確かに完全な意味空閑地税あるいは未利用地税創設するためには、現行土地利用計画は必ずしも十全であるというふうには考えませんが、これは私見になりますが、しかし現行土地利用計画、しかも昨年成立を見ました新都市計画法、あるいは今回成立を見ました都市開発法、あるいは最近提案をいたして衆議院で御審議を願っております建築基準法の一部改正法案、これらが、もうすでに前二者は成立をいたしておりますし、建築基準法につきましても、おそらく野党の御協力によって今国会で成立するものと私どもは確信をいたしておりますが、これらが成立をいたしますれば、わが国土地利用計画に関する立法は、過去数年あるいは十数年前から見ると画期的な変化進展を遂げたというふうに私ども認識をしております。そのような状態のもとに空閑地税創設することは、近く成立が予想される建築基準法をも含めまして、そういった最近の土地利用法制進展とにらみ合わせますと、空閑地税をそれらの制度のもとに創設することは必ずしも不可能ではないと私ども考えておる次第でございます。しかしいずれにいたしましても、そういう答申が出ておりますので、今回の税制改正には取り上げられなかったのは、私どもといたしましては、はなはだ遺憾と考えますが、今後税制当局とも相談をいたしまして、なるべく早くこれらの税制が実際の制度として日の目を見ますように推進をいたしていくつもりでございます。
  5. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 私も、この空閑地の問題につきましては、たとえば、都市の中に緑地が必要だ、緑地帯を設けるとか、あるいは大きな屋敷の中に緑がある、こういうことは都市住民の健康上必要だろうと思うのです。しかしながら、一方におきましては、非常に大きい土地がそのまま残っておるということは、これはまたきわめて不合理な点がある。いまお話を伺いますと、建築基準法が通り、土地利用計画がきまっていく、最低利用度がきまっていくというようなことになったら、これが実現方向に向くようなお話でしたが、この最低利用度のきまるというのは、大体いつごろを考えておられるのですか。
  6. 川島博

    政府委員川島博君) 私の説明が必ずしも十分でない点がございましたが、この現行わが国土地利用法制におきましては、実は最低利用度を規制できる場合が非常に限られております。すなわち現行建築基準法でいきますと、高度地区という規定がございますが、これは高さの最高限度を押えるというのが一般の姿でございまして、制度上は最低限度を定めるということも可能でございますけれども、あまりその例はないわけでございます。それから今回の新しい都市計画法あるいは建築基準法におきましても、そういった最低利用度に関する一般的な制度を取り入れるという考えは実は取り入れられていないのでございまして、ただ都市開発法におきましては、特定の高度利用をしようとする地区について例外的にそういう制度が導入をされておりますが、いわゆる市街化区域一般について、この地区はどの程度最低利用しなければいかぬというような制度が、普遍的に一般化した制度として確立されておらないわけでございます。このような制度は、実はいろいろ制度としての問題がございまして、たとえばフランス等におきましても、実は数年前に地価抑制税と称しまして、こういった建物最低利用限度をきめまして、これを下回るものについても法律が予想する最低限度利用している場合と同じ収益をあげているものとして税を課する、こういう制度が実は設けられましたが、この制度は制定後三年にして、一回も施行せられずに廃案になった、こういういきさつもあるわけでございます。そういう状況でございまして、一般的な制度として土地最低利用度をきめるということはいろいろ法律上もあるいは社会上もむずかしい問題を含んでいるわけでございます。確かに空閑地税創設するという前提のもとにその仕組みを考えますと、最低利用度というものが法律ではっきり規定されるということが非常に課税をうまくやることになるわけでございますが、そういった最低利用度をきめるということは、西欧諸国におきましても特に市街化区域におきましてはいろいろな問題をはらんで、実際に法律をつくってみたが、ついはその運用ができなかったというフランスの実例もあるわけでございます。そういうようなことでございますので、現行制度並びに提案中の建築基準法についても実はそういう思想は盛られておらないわけでございます。しかし、これはまた私見にわたりますが、私どもは必ずしもそういった土地最低利用度というものが法律で確立されることが空閑地税創設の絶対的要件であるというふうには私ども考えておりません。それにかわる方法はあり得る。また事実そういうことについて建設省の中でもいろいろ検討をいたしておるわけでございます。しかしながらこれにつきましては、実際に税制の立案に当たるのは大蔵省当局でございますし、大蔵省当局と私どもが十分に煮詰めてこれでいけるという線でいってみませんと、税というものは御提案できないわけでございます。そういう意味におきまして、直ちに御提案を申し上げる段階にはございませんけれども、私どもは今後さらに税制当局と話し合いを進めまして、何とか近い機会にこの制度実現をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 土地資産として税を課しておるのに固定資産税があります。それで固定資産税は、やはりこれは個人の所得の中から税を納めていかなければならぬということになるわけで、したがって固定資産税税率というのは、これは高くては困る。しかしながら固定資産考える場合に、有効に利用されておる固定資産と、いま言ったような空閑地と申しまするか、未利用の非常に大きな固定資産、これをひとつ別にして税率をかける、一定以上の土地所有については税率を上げて徴収したらいいじゃないか、そういうような考えもできると思うのですが、固定資産税についてどういうふうに考えておられますか。これは自治省おいでになっておりますか。自治省はおられませんか——では、これはあとから……
  8. 川島博

    政府委員川島博君) わかる範囲で。現行固定資産税は御承知のように三年おきに評価がえをいたしまして時価を定め、これに対して一定税率をかけて税を徴収しているわけでございます。この固定資産税は現在住民税とともに市町村における主要な財源になっておるわけでございます。しかもこの税率をかけるゆえんのものは、やはり受益限度においてかける、いわゆる応益負担という思想に立っております。その点は住民税と違うたてまえにあるわけでございます。しかしながら、固定資産税はそういった応益負担的な立場から市町村が必要とする財源を調達する有力な財源になっておるわけでございますが、固定資産税をかける立場というのはやはり受益に応ずるということは、半面またその土地利用している人の収益と申しますか、土地利用の態様に応じて税金を取るということだろうと思います。したがいまして税をかける場合にはやはりその土地に対する平均的な利用と申しますか、そういった立場から適当と思われる税率税金を徴収しているわけでございます。また同じ対象でございましても、たとえば農地でありますとか、あるいは商業地でありますとか、あるいは住宅地である、あるいは工業地である、それぞれその土地から上がる収益はそれぞれ差がございますから、そういった関点も考慮いたしまして、税の取り方もいろいろ変えているわけでございます。しかしながら、この空閑地税あるいは未利用地税とも申すべきものを取る場合には、やはり相当土地高度利用せられるべき地域におきまして、それが最適に土地利用された場合にはどの程度の土地生産性を上げることができるだろうかということを想定をいたしまして、少なくとも市街化区域のある程度土地利用が高度に利用されるべき地域におきましては、相当の高度の土地利用社会的に要請されるという前提のもとに、そういった土地利用が行なわれないものについてはいわゆるペナルティということになると思いますが、そういった意味で重税を課して、この土地利用をみずから高度化するとか、また高度化できなければ、高度化できる人に譲渡して高度に利用させる、こういう政策的意図を持った税制になるわけでございます。したがいまして固定資産税利用、応用のしかたによって、空閑地税あるいは未利用地税と稱するものの政策効果の一部を達成することは可能かと思いますが、それはやはり固定資産税の性格から見て限界があろうと思います。したがいまして大都市周辺における土地高度利用を促進するという観点から申しますと、どうしても未利用地税あるいは空閑地税というような形で土地を遊ばせておくものからねらい打ちいたしまして、土地利用促進あるいは供給促進を行なうという政策課税が、どうしても別途必要になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  9. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 それでは固定資産税あとにしまして、法律案の第二条に「正常な価格」というのがございまするが、この「正常な価格」というのは自由に取引が行なわれるとした場合の通常成立すると認められる価格ということだろうと思いますが、たとえば鉄道がつくとか、あるいは道路がつくというような計画がきまりますね、そうすると、とたんに値上がりをするわけですね。それから毎年一回ずつ評価がえするということになっておりますけれども、そういうような場合に、たとえば初年度において評価した場合にはそういう計画がなかった、ところが翌年度になるとそういう計画があって、一度に値上がりをしておるというような場合は、何を「正常な価格」ということで公示することになるのですか。
  10. 川島博

    政府委員川島博君) 一般土地取引におきましては、土地を買いたいという買い手と、売りたいという売り手との間にそれぞれ特殊な事情なりあるいは動機がありまして、その結果具体的な取引価格がきまるわけでございます。したがって、こういった現実の取引価格は、直ちにこの法律第二条にいう正常な土地価格として妥当するものではございません。この法律による正常価格と申しますのは、このような売り手あるいは買い手の特殊な事情あるいは動機という要素を取り除きまして、一般的な正常な原因による要素だけで構成される価格の概念でございます。したがって、何びとにも共通する客観的な交換価値を表示するものがすなわち正常価格であるというふうに考えております。また、鉄道とか道路などの公共施設が整備されまして、土地の便益が非常に高まるという事態が発生いたしますれば、その効用の増大に見合いまして価格が上昇することは、これは経済的には当然のことでございまして、正常な価格判定にあたりましては、このような価格形成のメカニズムを無視するということは適当ではないというふうに考えております。それから、この価格は毎年一回標準地について調べまして、毎年公表するわけでございますが、この公表する公示価格は、御案内のように、一応われわれ政策設定機関とは独立いたしました土地鑑定委員会が客観的に判定をいたします正常価格であり、経済社会実勢に即応した価格でございまして、政策的な価格ではございません。したがって、毎年公示すべき価格経済実勢に見合った価格ということになるわけでございます。したがいまして、土地の高騰が著しい場合には、この価格評価をする頻度はなるたけ高いほうがいいわけでございますけれども、しかしこの予算の関係あるいは実際に現地の地価調査に当たる不動産鑑定士の動員数等から考えますと、まあ年一同程度やることが適当ではないかということで、毎年一回ということをきめております。しかし、その毎年一回評価がえを行なり場合には、ある標準地が、時日の経過とともに社会的、経済的あるいは行政的要因変化に伴いましていろいろ値動きがするわけでございますが、それらはいずれもこの鑑定委員会判定の重要な要素になるわけでございまして、その実態に見合った価格を毎年一回公示をする、こういうたてまえにいたしている次第でございます。
  11. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 局長の言われることもわかるんですが、そういうように外部的な要因によって、たとえば鉄道がつくというようなことによって地価値上がりするのが、そのまま不労所得として地価に算入されるということになるわけでして、一方、企業者開発利益を還元するというような政策が別に必要になってくるだろうと思うんですね。それから消費者物価は毎年上がっても五%よりくらい上がらない。ところが、都市土地は一五%くらい毎年上がっているわけですね。だから、そういうように地価公示というのをどんどんどんどん上げて、それが正常な取引価格なんだというので公示していくということになりますと、物価の中で一番上がっておるのは土地なんですが、相変わらずその傾向が続いていくということになるんですが、正常な価格というのは、そういうように取引価格そのものというようなことになるんですか。
  12. 川島博

    政府委員川島博君) 御承知のように、この地価公示法案のねらい、目的といたしますところは、第一条にございますように、「一般土地取引価格に対して指標を与え、及び公共利益となる事業の用に供す土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価形成に寄与することを目的とする。」とございます。したがいまして、この法案がねらいといたしておりますところは、一般民間土地取引に対しましては取引価格に対して指標——ガイドポストを与えるというところをねらっております。すなわち、政府が官報で公示することによりまして、信頼の高い目安として当事者双方の援用が期待される、こういうところにこの法案のねらいがあるわけでございます。したがいまして、たとえばある時点で価格固定をいたしまして自後の値上がりは認めないというような、いわば公定価格とか、あるいは凍結価格というような、政策的に土地価格を押えようというところをねらっておるわけではないわけでございます。したがいまして、御指摘のように、この実勢に合った民間取引価格ガイドポストを与えるというところに、法律のねらいがあるわけでございます。ただその場合にも、現在行なわれております土地取引買い手売り手が未知なために法外な価格が実際の取引形成されるわけでございますが、これがいわゆる呼び値とかあるいはつけ値とか、あまり科学的なあるいは合理的な根拠がなくて価格成立をするという事態が、まま見られるわけでございますが、そういった異常な土地価格というものが、少なくともこの公示制度によって相当払拭されるだろう。そういう意味では地価の均斉安定について相当どもは劾果を発揮するものと期待をいたしておるわけでございますが、この制度自体は少なくとも政策的に地価を押えつけようというような思想は含まれておらないわけでございます。したがいまして、確かに昨今におきましては土地売買によりまして、みずからの汗と血によってあがなったものではない、地価値上がりというものを、ぬくぬくと地主が不労所得として吸収をするとい事態が見られますこれらの利益は、いわゆる開発利益として社会に還元すべきであるという声が、いまやほうはいとして起こっておりますが、これをいかにして社会に還元せしめるかというのがこの地価公示制ではなくして、この地価公示制を踏まえて、さらに税制なり、あるいは負担金制度なり、そういった場面で今後政策的に展開をさるべき問題であろう。その土台づくりをするのがこの地価公示法案であるというふうに、私ども認識をいたしておる次第でございます。
  13. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 それから土地公的評価については、今回の地価公示と、それから固定資産税評価、あるいは相続税評価というように出てくるわけなんですが、最近私たちが承知しておるところでは、都市近郊農地につきまして相続税評価がだんだん上がってまいりまして、毎年くらいに上がっているんです、宅地に近い評価になっておるわけなんですね。ところが、その都市近郊農家で今後も農業経営を継続しようというように思っておりましても高い相続税を払わなければいかぬ。その場合農家農地を売って相続税を払う。そうすると、売りまするとまたそこで所得税がかかってくるわけです。そうなりますると、農業をやめてしまわなければいかぬ、相続税のために農業をやめることが強制されるというようなことになっておるわけです。それで農業を営んでおる以上は、農地としての収益還元価格というものがあるわけなんですから、そういう場合は農地としての収益還元価格を基礎としてかけるべきであって、当然、宅地としてかけるということは不合理じゃないかと思うのです。それからまた、そういうように土地税評価を高くしますると、かえってその辺の地価の上昇の原因にもなってくるというようなことにもなりまして、相続税についてどういうふうなかけ方が行なわれておるか、お伺いいたしたいと思います。
  14. 元木精一郎

    説明員元木精一郎君) 最近非常に切実な問題の御質問でございますが、相続税におきましては、財産が通常幾ら売買されるか、その価格によって課税をするというたてまえになっております。で、御質問都市近郊農地につきましては、現在売買相当高い価格で行なわれているのが実情でございまして、いまおっしゃられましたようなことで、万単位の評価相続税課税されるものもあるわけでございます。そういうことでもございます。一方では、農業を継続されたい農家の方々もいらっしゃる。都市近郊でそういうことも個々の経済の上でも必要でもある。他面では、先ほど来お話もございましたような農地以外の転用ということも、相当盛んに行なわれているというような実情でございまして、その辺のところが非常にむずかしい問題があると存じますけれども相続税のたてまえとしては、ただいま申したようなことで評価が行なわれているわけでございます。
  15. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 おっしゃるように、そこにまあ矛盾があると思うのですが、それでたとえば五年とか十年ぐらい期限を区切りまして、そして農業もその間継続しておればその限りにおいては農地としての価格で取って、そしてもし五年、十年で転用してしまうというような場合が起こったら、今度は遡及して取るというようなことは考えられないもんでしょうか。
  16. 元木精一郎

    説明員元木精一郎君) 税制立法の問題になろうかと思いますが、おっしゃるようなこと一応考えられる点ではあろうかと思いますが、やはり五年、十年というようなことになりますと、実際問題として、さかのぼって課税を改めるということにつきましては、制度的にも非常に複雑になるし、書類を五年、十年間全部あとづけるということにもなりますので、その辺にも非常に大きな問題が出てくるのではないか。いずれにいたしましても検討されるべき問題かとは思いますが、なかなか技術的にもむずかしい問題を含んでいる点ではないかと、こういうふうに考えます。
  17. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 まあ技術的にむずかしいとおっしゃるのですが、固定資産税を取るために市町村は毎年その辺に行って調べるわけですね、ずいぶんよく調べられます。そこで、そういうことを市町村にまかせられたら必ずしも不可能じゃないと思うのですが、どうですか。
  18. 元木精一郎

    説明員元木精一郎君) 現在税の場合に、課税の除却期間というのがございまして、申告書が提出された場合におきましては三年間は課税を改めるというようなことができることになっているわけでございますが、それをやはり五年、十年というような長い期間にわたりまして課税を訂正する、その間において課税を最終的に落着させないで、将来そういう農地以外に転用された場合に相続税を改めるというようなことになりますと、その辺の問題の例外になるということもございましょうし、物価水準が異なって貨幣価値に相違を来たす、その辺のところに、五年、十年をどういうように課税を改めるか。それから、何ぶんにも相当多数の相続税事案につきましてそういったものを長年にわたって維持しておく、そういうことで、まあ技術的にも非常に問題があるということではなかろうかと思います。
  19. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 それから固定資産税評価額とかあるいは相続税評価額、こういうような公的な評価と、今回の公示価格、これは同じ公的機関の評価額ですから同じにすべきではないかということが、いままでにも言われておるわけです。私もそういうふうに思うのですが、その場合、それではこの公示価格取引価格だから非常に高くなると。そうすると、固定資産税あるいい相続税が高くなる。これは固定資産税相続税はまたおのずから性格が違うので税率を変えていけばいいのだろうと思うのです。それでまず固定資産税についてですが、固定資産税は来年の一月に評価をかえると、こういうことになっておるわけですね。そうして、この、こちらの地価公示価格のほうは東京、大阪、名古屋について来年四月にやる。したがって東京、大阪、名古屋については、来年一月と四月に評価が出てくるわけですね、両方とも。そういうことで、しかも評価が違うというのはこれは不合理になる。したがって、固定資産税評価がえをもう一年延ばせばこれはできるわけですね。そういうようなお考え方はないのでありますか。
  20. 山下稔

    説明員(山下稔君) 御指摘のとおり、公示されます価格固定資産税評価額とは均衡をとるべきものであろうと思います。したがって、私ども、将来そうした努力をしなければならないと考えておりますが、ただ技術的に考えてまいりますと、地価公示公示されます個所数はさしあたり一千カ所程度というふうに承っているわけでございますが、固定資産税評価のほうは、申し上げるまでもなく全国の土地を全部評価するわけでございまして、農地を除きましても約六千万筆の土地評価するわけでございまして、そのうち基準になります土地標準地と申しておりますが、宅地にかかる標準地だけでも約三十万筆にのぼるというような状態でございます。したがいまして、地価公示の個所と標準地とを合わせるということだけでも、非常に個所数の違いから技術的にむずかしい点がございますし、またいま御指摘もありましたように、公示されます価格の時点と固定資産評価の時点が違っておりますし、固定資産評価に要します事務が非常に時間を要しますので、実質的には当該その年のものを合わせるということは技術的に不可能である。まあ、あれやこれやを考えてまいりますと、非常に技術的に両者の均衡をはかるということは困難性がございますので、そうした点につきまして、今後研究をしてまいりたいと考えていたところでございます。  そこで、とりあえず来年度の問題でございますが、明年度につきましては、御指摘のような結果になるわけでございますが、いま申しましたような基本的な考え方から申しまして、来年公表されます地価公示と私のほうで行ないます評価額とを合わせ、結果を勘案しながら将来の研究課題として両者の均衡をはかる方法を考えてまいりたいと思っております。そのために、御指摘のように、そういう問題があるから固定資産評価を一年延ばしてはどうかという御意見でございますが、申し上げるまでもなく固定資産税は三年ごとに評価がえをする仕組みになっておりまして、来年がちょうどその基準年度に当たるわけでございます。御案内のとおり昭和四十二年度の基準年度におきましては、一回土地評価を見送っておりまして、今回はまさに六年目になるわけでございまして、土地対策のいろいろ論議されております今日、そのために期待されております六年目の土地評価をさらに延ばすということは、私どもとしては現在考えていないわけでございます。
  21. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 それでは、だんだんと一致させていこうということに御努力されるようですから了解いたしますが、いま相続税について伺ったのですけれども都市近郊農地につきまして、固定資産税評価はどういうふうに考えておられますか。
  22. 山下稔

    説明員(山下稔君) 都市近郊農地の中で、土地対策の見地から市街化区域の中で、特に都市施設の整備された農地評価については、宅地との均衡を考えるべきではないかという御意見がございまして、税制調査会答申等でもそういう趣旨の御答申をいただいております。私どもといたしましては、答申をいただいた以上、その方向につきまして具体的な方法について検討はいたしておりますが、何と申しましても都市施設が整備された区域をいかにして画するかということになりますと、非常に技術的に困難な点が多うございますので、目下まだ結論を得ていない段階でございます。
  23. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 私はやはり市街化区域の中の農地でも、農業を継続しようという場合は、やはり収益還元のほうから考えてもらいたいと思うのですね。そうしないと、そのために農業がもう継続できないという状態に追い込まれますので。それでは大蔵省どうぞお帰りになってけっこうです。  新都市計画法がこの六月から施行されることになっておりまして、六月十四日というように伺っておりまするが、現在地価値上がりの期待、それから投機的取引の増大のおそれがどんどん出てきております。市街化区域にせよとか、いろいろそういう陳情も来ておりますが、そういうことで、できるだけ早く市街化区域、市街化調整区域の指定をすべきであるというように思っておりまするが、首都圏と近畿圏につきまして、大体いつごろをめどとしてやられまするか。それから首都圏と近畿圏について、市街化区域と市街化調整区域、どの辺までを市街化区域に編入されるかお伺いいたします。
  24. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 市街化区域と調整区域の指定は、私どもいま各県と打ち合わせをいたしておりますが、首都圏、近畿圏につきましては十月を目標にいたしまして、それまでに法手続に沿って市街化区域と調整区域の指定を終わりたい、こういうような目標で目下作業を進めております。  それから、どこらまでを市街化区域にするかということにつきましては、具体的には知事の決定になるわけでございます。一応いま原案等を県の段階で検討中でございますが、対象となるものはどこか、市街化区域、調整区域の区分をするようなところはどこかという点につきましては、首都圏近畿圏につきましては、既成市街地または既成都市区域はもとよりでございます。それから近郊整備地帯も対象といたしております。さらに都市開発区域というのがございます。都市開発区域につきましては原則として市街化区域、市街化調整区域の指定をいたします。ただ首都圏と近畿圏で多少実態が違っております。都市開発区域が近畿圏の場合は非常に広うございます。中には都市開発区域に含まれるようなものの中でも、建設大臣が指定しないものについては、市街化区域、市街化調整区域の線引きをしない市町村も出てまいる、こういうふうに考えております。
  25. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 この都市計画に関連してお伺いしたいのでありますが、従来都市を通っております国鉄の高架化につきまして、これは国鉄で従来は行なってこられたのですが、ことしから変わって、新都市計画に入った場合に行なうというふうになったように承知しているのですが、いかがでしょうか。
  26. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 鉄道高架化事業は、従来は主として市町村が、国鉄からと道路側からと両方からのお金を財源にいたしまして、市町村が施行していたわけでございます。ただ、工事そのものは鉄道側に委託するという形をとっていたわけでございます。今年度からは変わりましたのは、その費用負担の割合の問題が一つ変わりました。従来は折半負担というのが原則でございまして、鉄道側が半分、道路側が半分というのが原則でございましたが、鉄道側の受益が実際少ないじゃないかという問題もございまして、四十四年度からは鉄道側は受益の範囲にとどめる——まあ大体一割見当でございます。残りの九割見当は道路側が持つというのが一つでございます。それから事業といたしましては県の事業として行なう。県の都市計画できめまして、県の都市計画事業として行なうということを原則にいたしております。補助率につきましては、街路事業のワク内でございますので、道路側の負担分につきまして三分の二を国が持つ。残りの三分の一を地元で持つ。その県なり市町村なりの配分は、いまのところ幾らにしろ、どういう割合にしろということは定めておりません。そういうことで、本年度から、これは新都市計画法というより、むしろ鉄道高架化事業のやり方が変わってきた、こういうことで、そういうレールに従って今後行なってまいりたい、こういうふうに考えております。
  27. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 そうしますると、たとえばことしやろうというところにつきましては、六月十四日から新都市計画法が施行をされて、それから都市計画法の街路事業ということで建設省で出てまいって、国鉄と相談してやられる、こういうようなことになるのですか。
  28. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) そのいまの新しい負担区分をどれから適用するかという問題は、実はもとのルールでも協定のできている部分もございます。鉄道側はそういうものにつきましては、従前のルールによって行なう。今後新しく個別に事業主体と国鉄あるいは私鉄と協議してやります部分につきましては、新しいルールによってやる、こういうことになるのでございます。それから計画決定の手続は、もちろん六月十四日以降は新法の計画決定の手続に従って知事が計画決定をしていく、こういうことになろうかと思っております。
  29. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 それから、先ほど費用分担方式の協定が変わったように伺ったのですが、線増の場合ですね。線増の場合とそうでない場合ですね。これに分けてちょっとお話を願いたい。
  30. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) ことばがちょっと足りませんでしたが、線増の場合は鉄道負担でございます。従来の在来線をあげる分につきまして、先ほどのルールが適用される、こういうことでございます。
  31. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 国鉄の長浜理事にお伺いしたいのですが、全国で高架化の要望が非常に多いと思います。それでそういう要望を取り上げられる場合に、実施の順位と申しまするか、何か基準があるんでございましょうか。
  32. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 全国でいまわれわれの手元に集まっておりますのが、六十数カ所、約金額にいたしますと、これ概算でございますので、正確じゃございませんが、四千億以上になろうかと思います。それで、その中にはいま都市局長から御説明ありましたように複線化するのに伴いまして高架にするという場合と、単純に在来線をそのままの、単線のままあるいは複線のまま高架にする場合と、いろいろございまして、そのうちどの区間から、どの駅間から高架にするかという御質問の点に関しましては、その地域地域の重要性によりまして、特に複線化の場合には国鉄の複線化の必要性というような点から、その必要度の高い順というようなことから、国鉄としてはそれを順位を高くする、単なる高架の場合には、在来線を高架にするという場合には、都市計画上の必要性という点から順位が高くなるというようなことで、それでは複線と同時に施行する場合には、両方を勘案しながら地元の都市計画を決定される方と国鉄と相談をいたしまして、建設省と運輸省と相談をいたしまして順位をきめていく、こういう順序になろうかと、こういうように考えております。
  33. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 ちょっと地元のこと申しまして恐縮ですけれども、京都のようなところは非常に観光地域で、その観光都市が来年は万博も行なわれるという事態に追い込まれておるのですが、しかも京都と二条駅の間の山陰線というものは、もう道路は自動車で一っぱいというような状況なんです。それで前々から複線高架を非常に望んでおりまして、すでに国鉄ではもうその計画を策定していただいているような状況なんです。ところが、ことしからまた都市計画のほうで採用されないと、従来の国鉄の計画実現されないんだということなんですが、そういうような問題について、やはり今後の都市計画としてぜひ早く実現をしていただきたいと思うんですが、今回方針が変わったことによって、従来の計画がすっかり変わってくるのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  34. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 山陰線の京都口の複線高架の問題につきましては、先生御指摘のように非常にもうだいぶ前からの問題でございまして、数年前から京都口が輸送力が足りませんで、お客さんに不便をかけておりますので、複線化をしようという問題、それから先生御指摘のような七条のあの通りが非常に自動車交通が多くて交通を阻害しておる。したがって高架にしようという話で相談しておったのですが、先生御承知のように地元といたしましては、実はこの山陰線を、いまの京都の町のまん中を通っておるから、これをもっと西のほうに、ずっと西のほうに移してしまって全部別線で京都から園部のほうにくっつけたらどうだというような御意見が出まして、われわれのほうとしても、せっかくそういう御意見が地元でございますので、十分それを比較検討しなきゃならないということで、比較検討をいたしましたけれども、地元の費用負担をしなきゃならない、別線になりますと特に費用負担が多くなるというようなことで、その案は結局さたやみになりました。在来の線を複線にして高架にしようということに大体の御相談ができて、それではということでこまかい金額がどれくらいになるか、工事の施行方法はどうするかというような御相談を申し上げておったわけでございます。特にあそこは二条に貨物駅がございますし、あるいはその手前に京都の中央市場があるというようなことで、非常に工事の計画上あるいは工事を実施する施行上も非常にやっかいでございますが、そういうことで御相談をしておったわけでございますが、たまたまこの高架化の問題につきましては、さいぜんの都市局長お話しのように費用負担の問題が出てまいりまして、国鉄といたしましても国鉄の財政上の問題からどうしても都市計画上の、都市計画によります政府の資金をつぎ込んでいただきたい、そうしないとなかなか全国的にこれが推進できないというような問題で、さいぜんのお話しのような線増部分については国鉄の必要性でございますので国鉄が全額負担をして在来線を高架にする分については国鉄の受益の範囲、すなわち約一割くらいというようなことで御相談がまとまりましてそれに従ってやろうということで今回、それではそういうきまった場合には都市計画法に基づいて都市計画事業としてその在来線の高架化をやるということになったわけでございます。したがいまして現時点におきましては、この国鉄と道路側との協議の内容をきめまして、設計の内容をきめまして都市計画決定をしていただきまして、それによって工事に着工するということになろうと思います。したがいまして、今後都市計画決定をしていただき、事務処理その他の御協議をしていただき、決定されるように進めていただいたら工事が進められる、こういうふうに私たち承知しております。
  35. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 時間がまいりましたので、これで質問を終わります。どうもありがとうございました。
  36. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、続いて鬼丸君。
  37. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 時間が一時間でございますから、なるべく質問も簡単にしますが、お答えは簡明率直にひとつお願いいたします。  それで、地価制度地価公示制度に入ります前に、私もちょっと宅地対策全般についてお尋ねしたいのですが、まず近年相当宅地が上昇しておると思われるのですが、その状況を、全国市街地価と六大都市市街地価につきましてその推移を、ちょっと日銀の卸売り物価指数の推移と比較して簡単に説明をしていただきたい。
  38. 川島博

    政府委員川島博君) お答え申し上げます。  日本不動産研究所の調査によりますと、国民経済が復興し卸売り物価が安定し始めた昭和二十六年ごろから宅地価格は騰勢に転じたわけでございますが、昭和三十年三月から昭和四十三年の九月、この十三年間の地価上昇は市街地価格指数で見ますると、全国平均で上昇は九七三%、指数では一〇七三となっております、上昇率は九七三%。六大都市平均では指数としては一三二八でございますが、上昇率としてはそれから一〇〇引きました一二二八%の上昇率を示しております。すなわち大体全国で十倍、六大都市で十二倍という上昇を示しているわけでございます。同じ期間におきます卸売り物価指数は一〇八・九でございますので八・九%の上昇にとどまっている次第でございます。
  39. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 いまお話しのように、地価は昭和三十年を一〇〇とすると十倍以上、六大都市においては十四倍近くになっております。ところで、この上昇のカーブを見ますと、特にこの三年くらいですね、昭和四十二年の三月からカーブが非常に上昇しておる、カーブがこう急傾斜になっております。おそらくことしの三月の指数を見ますと、相当また上昇しておるのではないか、こういうふうに思われるのでありまして、まあ政府でいろいろ宅地対策を講じられまして、さっきお話しのような各種の法律制度もだいぶん整備されてまいりましたことは、これは相当高く評価されていいと思います。しかしながら、いままでの制度でも運用のいかんによってはかえって地価の上昇を来たしておる。まあ開発をされてその近辺の地価が上がるということは、ある程度はやむを得ませんけれども、それに投機的な上昇が加わっておるという面が考えられるのじゃないか。これは四十二年の三月からカーブが相当強くなってきておるところから見ても、私はそう言えると思います。  そこでこの根本的な原因は、もう申すまでもないことですが、やはり宅地に対する需要供給の逼迫である。したがって、宅地対策地価対策につきましては、基本的には、供給というものを合理的に需要にマッチさせねばいかぬ、合理的に需要にマッチさせることが基本的な考え方でなければならないと信ずるのであります。そこで、そのために今後の宅地の需要供給の見通し、単なる見通しというのはそうなるだろうということですから、なるだろうじゃ困るので、それに対して建設省としてはどういうふうに宅地供給の施策を進めていくか、供給対策、こういうことについて伺いたいと思います。そこで、まず昭和四十年から昭和六十年までの宅地の需要と供給の見通しを、こまかく要りませんから御説明を願いたいと思います。
  40. 川島博

    政府委員川島博君) 御案内のように、去る五月の三十日、新しい全国総合開発計画が閣議決定を見たわけでございますが、この計画におきましては、昭和四十年から昭和六十年までの二十年間における住宅需要はおおむね三千万戸、したがって三千万戸の住宅建設が必要であるとされております。このうち、新しい市街地に建設され、したがって、新しい新市街地を開発しなければいかぬ戸数は、私どもは約千二百五十万戸程度と見込んでおります。そういたしますと、この二十年間に新規に供給をすべき宅地面積はおおむね二十五万ヘクタールと推定されるわけでございます。これは従来私どもは、これよりやや若干少な目に見込んでおったわけでありますが、今回の閣議決定によりましておおむね二十五万ヘクタール程度は必要であろうということに相なった次第でございます。このうち、昭和四十一年度から四十五年度までの現行の住宅建設五カ年計画におきましては六百七十万戸の住宅建設が予定されておりまして、このうち、二百九十万戸が新市街地に建設されるものと予想いたしておりますが、これに必要な宅地面積は五万三千ヘクタールとなっておるわけでございます。
  41. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 ただいま宅地について、将来の二十年間の需要供給の見通しを説明されましたが、新全国総合開発計画の、これは最新版じゃないですか——私の持っておる資料では、住宅地については都市化の進行その他で約十五万ヘクタールということが新国総で書いてありますが、建設省の長期展望、国土建設の長期構想、これはちょっと古いのですけれども、ただいまお話しの二十五万ヘクタールに近い二十四万ヘクタールが昭和四十年から六十年の間に必要となるであろうという、宅地が要るということになっております。この数字についてはもう一度念のために伺っておきますけれども、そこで問題は、これは見通しである。見通しというものは大体、従来の施策の手を打って、まあそういうことになるだろうと、こういう意味だろうと思いますから、今度積極的に新住宅建設計画の昭和四十六年から始まろうというときでございますから、積極的な施策を講じることによって、この住宅用地について少なくとも、昭和四十五年までの一段階と、昭和四十六年から五十年までの五カ年間のこの段階、これについてはもう少し供給についての政府施策を積極的に考えていかなければならないと考えます。御承知のように、もう住宅問題の八割は宅地対策である。宅地対策にそれだけのウエートがかかっておると考えます。そこでその辺について、これは局長並びに政務次官からもお答えを願いたいと思います。
  42. 川島博

    政府委員川島博君) ただいま御指摘がございましたが、新しい全国計画が策定される以前の私どもの計算では、昭和六十年までの二十年間に必要な住宅地面積は約二十二万ヘクタールと推定をいたしておったわけでありますから、今回の新計画によりまして約三万ヘクタール、プラスされたわけでございます。これは全体としての戸数が従来は、建設省では二十年間の総建設戸数が約二千七百万戸程度と見込んでおりましたが、今回おおむね三千万戸と約一割程度アップされましたので、これに伴いまして必要な宅地面積は二十五万ヘクタールに改定をされたわけでございます。それからこの二十年間の計画の前期に当たります昭和四十一年から五十年の見通しでございますが、過去の実績を見ますると、昭和三十五年から四十年の五年間に供給された新しい宅地面績は約三万ヘクタールと推定されるわけでございます。これを昭和四十一年から四十五年度までの住宅建設五カ年計画に見合います必要宅地面積は五万三千ヘクタール程度と踏んだわけでございますので、過去の実績を見ますると、四十一年度は私どもの実績推計では、約九千八百ヘクタール、四十二年度は一万五百ヘクタール程度が造成供給されたものと見込まれております。したがいまして、少なくとも四十五年度までの現行住宅建設五カ年計画に関しましては、目標の五万三千ヘクタールの供給は十分達成可能である。こういうふうに考えている次第でございます。  さらに、四十六年から五十年までの次期計画でございますが、これは現在、住宅局を中心に、現行の六百七十万戸に見合う住宅建設戸数を何万戸に押えるかという点は、作業を進めておりまして、まだ確定をいたしておりませんが、当然この確定に見合いまして、必要な宅地供給面積をはじく必要があろうかと思います。ただ、概算で、私どもは今期の五万三千ヘクタール程度の供給量に比べまして、第一期、すなわち昭和四十六年から五十年度には約六万ヘクタール前後の宅地供給が必要であろうというふうに現在は考えている次第でございます。
  43. 渡辺栄一

    政府委員(渡辺栄一君) ただいま鬼丸委員の御意見でございますが、数字的なことにつきましては、いま計画局長が申し上げたとおりであります。したがって、土地対策の重要な面として宅地対策をいかにするかという問題でございますが、御承知のように、需給の面からまいります大きな問題があるところでございますから、政府としましては、まず第一番に、土地の有効利用を促進するという問題、あるいはいろいろ具体的に検討いたしておりますし、先般建設省もその一部を発表いたしましたが、できる限り国または公有地等を活用していく、あるいは先ほどお話が出ましたような税制の問題こういう問題も当然考えてまいらなければなりませんが、今度の地価公示というものが、大きな私どもは今後役割りを果たしていくであろうということを期待いたしております。同時に、昨年都市計画法をお願いいたしまして、これらの実際の成果というものが、この六月十五日から効果を発揮してまいるわけでございますが、そういうような問題とあわせまして、ただいまお願いいたしておりまする再開発法等によりまして、土地を有効に活用してまいりたい。なお、これらの関係法案としまして、建築基準法等も考えられておりますが、こういうような一連の法案等も準備をいたしまして、宅地供給というものにつきましても、できる限り各面からきめのこまかい政策を進めていきたい、こういうことを考えておるわけでございます。
  44. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 ただいま政務次官の御答弁で、宅地供給についての基本的な考え方は私も賛成です。ただ、実際の運用面でよほど御留意願いたいことは、さっき林田委員もちょっと触れておりましたけれども、今度の新都市計画法市街化区域の区域のとり方いかんによっては、かえって宅地供給をはばむようなことになりはせぬか。非常に都市近郊農家、特に調整区域と市街化区域の境目ぐらいのところの農家は動揺しております。同時に、思惑がからんで不動産会社等も入り込んで大騒動しているというようなところもございます。私のところにも、大体都市近郊農家市街化区域に入れてほしいという陳情をしてきておりますが、まあ建設省当局におかれましても、けさ朝日新聞にもいろいろ書いてありますが、あまり区域を締めつけないように、また調整区域等については住宅は当然建てていいのだと思いますが、この辺の運用をひとつ十分御留意願いたいと思いますが、都市局長にお伺いいたします。
  45. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 御質問にございました市街化区域、調整区域のとり方は、地価問題、あるいは農業施策との関連、あるいは今後の計画的な市街化の上で相当公共投資が必要となってまいりますので、公共投資との関連というようなことで、これをどういうふうにきめるかということは、非常に大事な問題でございます。私ども基本的に考えておりますのは、市街化区域の設定にあたりましては、まず既成市街地なり、あるいは市街地に連権する区域は、これは当然市街化区域に入ってくるであろう。問題は新市街地の部分をどういうふうにして市街化区域に入れていくかという問題でございますが、新市街地につきましては、当然その前提といたしまして、市街化区域全体の規模をはじきます場合に、どのくらいの人口密度が妥当であるかということが考えられるわけでございます。大体、私どもといたしましては、一ヘクタール六十人ないし百人程度の人口密度になるように市街化区域を定めていきたいというふうに考えているわけでございます。それを具体的に場所におとします場合に、新市街地でどれくらい、どういう考え方でとっていくかということでございますが、まあ大ざっぱに申し上げますと、新市街地につきましては、計画的な開発の見込みのある区域を新市街地に取り入れてまいりたい。単なる地価騰貴とかあるいは宅地化というものをねらいまして、ばらばらにそこにスプロール的に開発されることは望ましくないし、また、地価対策の面から見ましても、計画的な市街化をはかるという観点から、都市計画法に基づきました各種の市街地開発事業の区域といたしまして設定するということが、秩序ある市街化をはかる上からも、あるいは地価対策と申しますか、地価の上昇をしないような配慮をする上からも大事なことではないかということで、都市計画中央審議会で、新市街地につきましては、計画的な開発の見込みのある区域を市街化区域とすべきであるという答申も出ておりますので、そういう考え方をとっているわけでございます。それからもう一つは、溢水、湛水等の災害の発生のおそれのあるところとか、あるいは自然の景観の特にすぐれた緑地でございますとか、集団優良農地というようなものにつきましては、原則として市街化区域に含めないという考え方、以上の考え方によりまして具体的な市街化区域の指定を指導してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。ただ問題は、非常に地元と利害関係が錯綜する問題でございますので、これは都市計画法の審議のときにも申し上げましたように、県が市街化区域、調整区域の決定をいたすわけでございますが、十分市町村と打ち合わせをする。市町村段階におきましては、市町村に条例等によりまして審議会等を設けまして、農民団体等の代表の方も入っていただいて、大分地元の人の意見を吸い上げて、そうして市街化区域の線引きをしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  46. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 そこで、昭和四十六年から第二次住宅建設五カ年計画が始まるわけでございますが、この新五カ年計画もそろそろ検討されておると思いますが、この計画にはぜひひとつ宅地供給計画政府の公的資金による住宅の建設の分と、民間の自力建設——これは見通し、推計しかできないと思いますけれども、そういうものを合わせて計画の内容としてきめていただきたい。さっき申し上げましたように、宅地が根本ですから、その場合にいま都市局長から説明がありました市街地開発区域、これが相当今後の住宅用地の地域的な何といいますか、需要供給に影響すると思いますので、やはり地域的な計画もあわせて十分考えていただきたい。そうしないと、五カ年計画もほんとうに根なし草のようなことになりますから、どうかその点を強く要望いたしておきます。あるいはこの点について現在検討されているような点があれば伺っておきます。
  47. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 第二期五カ年計画の策定にあたりまして、住宅建設のもとになる宅地の需給について十分な配慮をするようにというただいまの御意見、とくと拝聴いたしました。十分御意見を尊重いたしまして計画を進めていきたいと思います。
  48. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 そこで、今回提案されております地価公示法につきましては、先ほど林田委員からもいろいろお尋ねがありましたように、私もこの地価公示制度については地価対策にまっ正面から取り組む制度として大いに期待いたしております。まあ国会においても、衆議院で決議をなされたいきさつもございますし、そこでこの制度が、今度法案の第一条に規定しているような目的を達成するようにさらに発展してもらいたい、あるいは運用上十分配慮していただきたいという意味で二、三お尋ねをいたします。  まず一点は、どうも地価公示法という名称が耳で聞いた場合によくわからない。ぼくはいろいろな人に話をして、地下の工事に関する法律ではないかと思っておる人がある。こういうことばで耳に聞いた場合にあいまいな名称にされたのはどういうわけですか。まあ、なるほど中身が地価公示だから地価公示法にしたということじゃないかと思うのですが、その点が一つと、それから地価公示法ですから、文字どおり公示ということが内容になれば、内容そのものが弱いものしかできないという印象を与えます。私はほんとうなら地価対策基本法というような法律にすべきではなかったかと思うのでございます。まあ、基本法にするのには内容が間に合わない、こういうようなことで正直に公示法になったと思いますが、将来、地価対策基本法というようなものに改正し、発展させるというようなお考えはないのか。あるいはその点について政府部内で論議された点があれば簡単にお伺いいたしたいと思います。
  49. 川島博

    政府委員川島博君) 先ほど来、林田委員の御質問にもお答えいたしましたように、本法案は、第一条に目的を掲げておりますが、これによりますと、「一般土地取引価格に対して指標を与え、及び公共利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価形成に寄与することを目的とする。」ということでございます。したがいまして、このような法案の内容を端的にあらわすものといたしましては、地価公示法という名称が適当であろう。御指摘のような地価対策基本法と称するにはいささか内容が違っておりますので、ちょっとそういう名前をつけるのにはオーバーであろうと思います。ただ私ども、この法案によって地価対策はこれで十分だと考えているわけではさらさらございません。立法の段階におきましても、いろいろ盛るべき内容につきましては議論があったわけでございます。しかしながら、御承知のように地価対策につきましては、この新薬のような一発で病気が完全になおるというような妙薬はございませんで、あらゆる方面から、あらゆる施策を総合して攻めていく、こういうことが必要なわけでございます。またこの地価公示制度の実現に関しましては、昭和三十九年の五月、衆議院における決議以来、各種の審議会、調査会、懇談会等で累次にわたりまして政府実現を迫られております。したがいまして、政府といたしましてはまず地価公示制——いろいろ議論がございますけれども一だけでも早急に手をつけるべきである。またこの地価公示制度を実施することによって、その後の地価対策を展開する重大な手がかりと申しますか、基盤を得ることになると考えまして、今回とりあえず公示法案提案したわけでございますが、今後におきましては、この法律成立になりました暁にはこの制度を土台といたしまして、さらに広範かつ強力な施策を次々に考えなければならないことは当然であろう、というふうに考えております。
  50. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 この法案成立して運用がある程度軌道に乗った暁におきましては、さらに基本的な面を織り込んだ、あるいは看板の塗りかえをしたひとつ地価対策基本法なるものをぜひひとつお考えを願いたいと思います。  ところでこの新年度の予算では標準地の調査、選定、公示までの経費はわずかで、東京、大阪、名古屋の三大都市地価公示するということで予算が計上されておりますが、これでは標準地の数も非常に少ないし、第一条の目的も期待どおり達成されないと思いますが、これは初年度だからやむを得ぬといたしまして、次年度以降最終的にはどの程度の規模の都市まで、またどのぐらいの標準地公示考えておられますか、この点、いかがですか。
  51. 川島博

    政府委員川島博君) 地価公示を実施すべき地域に関しましては、当面人口、産業の集中、増加が著しく、地価も高騰を続ける大都市及びその周辺近郊地域において行なうことが適当と考えております。したがいまして初年度、すなわち昭和四十五年度におきましては、まず東京、大阪、名古屋の三大都市圏につきまして、約千カ所の標準地価格公示することといたしております。しかして昭和四十六年度におきましては、これらの地域のほかにさらに北九州市及びその周辺地域を実施地域として追加する予定でございます。その後のスケジュールにつきましては、これは財政当局と十分検討いたさなければならないわけでございますから、まだ確定的なことは申し上げられませんが、私どもの心づもりといたしましては、少なくとも第四年度に当たる昭和四十八年度には、この新しい都市計画法に基づいて設定をされます市街化区域というような重要な都市地域につきましては、地価公示を全面的に行なうことが必要であろうというふうに考えております。その場合の標準地の地点数としては、約八千地点を予定しているわけでございますが、この八千地点という地点数は、一応、標準地公示は一方キロ当たり一地点程度を必要とするであろうという前提のもとに、全国約八千平方キロについて八千地点の標準地を抽出いたしまして、その地価公示するということが必要であろうというふうに予定をいたしておる次第でございます。
  52. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 市街化区域を指定するような都市は全部という最終的な地価公示が行なわれる予定だと伺いましたけれども、大体人口でいえば、私は予算編成の際にちょっと伺っておったんですが、人口十万以上の都市、それから十万以下であってもいわゆる大都市圏内の町村ですね、これは当然入れていかなけりゃならないと思います。そういうことに最終的には考えたいというか、考えておられると承知してよろしゅうございますか。
  53. 川島博

    政府委員川島博君) そのとおりでございます。
  54. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 そこで、さっき林田委員から標準地の正常な価格質疑がありましたときに、川島局長から実態に見合った価格を、これは社会的、経済的に実態に見合った価格を毎年一回やるというお答えがありましたが、私はこれに関連して標準地の選び方が問題じゃないかと思うんです。と申しますのは、林田委員の質問に対しても明確なお答えがなかったと思いますけれども道路計画がきまった、あるいは鉄道の新線の計画がきまったという場合に、その沿道、沿線で目ぼしいところは非常に騰貴します。そういうところを調査、鑑定していかぬとは言いませんけれども、そういうところはこの標準地として適当ではないんじゃないか。私はこれは第三条にもいろいろ書いてありますが、要するに、社会的、経済的に一つの平均的な土地、住宅用地なら住宅用地、商業地域なら商業地域として平均的な土地でないと、日本人で平均的日本人ということばがありますが、そういう意味——と思うのですけれども、というのはそうせぬと、ほかの類似の土地との比較検討、権衡を失しまして、かえって土地値上がりを来たす。これはこういう特別な土地だからということを示して調査された——計画がないときと計画がきまってからと、まあ調査されるのはいいでしょう。しかしあくまで第一条の目的に照らして考えれば、これはその土地用途別社会的、経済的な平均的な土地でなければならぬのではないかと思います。この点を一つ。
  55. 川島博

    政府委員川島博君) たいへんむずかしい御質問でございますが、私どもが今回公示制度を実施しようとするゆえんのものは、   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 やはり一般取引が現在あまりにも自主性を無視してむちゃな取引が行なわれる。これだけはどうしてもなくしたい、こういう悲願に基づきまして正常な市場価格といいますか、地価といいますか、そういったものがこういうものであるということを、土地問題についてはしろうとでございます買い手売り手の方々に御認識をいただこうということで、この制度を採用することにいたしたわけであります。したがいまして、御指摘のように選ばれる標準地は非常に平均的な普通の地点であることが必要でございますが、そういう地点といたしましても、やはり住宅地域あるいは工業地域、商業地域といった土地の使い方、あるいは近傍等から見て類似の利用価値を有するものをグルーピングいたしまして、その中で平均的な地点を選びましてその地価公示するという仕組みにいたしております。しかも、この地価公示が行なわれる対象地域は、当面の地価の高騰が予想される大都市及び周辺でございまして、これらの土地につきましては土地取引が至るところでひんぱんに行なわれるわけでございますから、公示すべき標準地というものはやはり地域全域にわたって平均的にばらまかなければならない。一方道路とか、あるいは鉄道等の公共施設あるいは公益的施設の建設はこれらの地域内の至るところでいろいろな時期に行なわれるわけでございまして、これを一々予測することもできませんし、また予測し得たところでそういった地点を避けましては、地価のネットをある地域について形成するという目的から申しますと、やはり都合の悪い面もある。またかりにそういった鉄道なり道路計画がたまたま標準地のそばを通りまして、そのために標準地地価が影響を受けるといたしましても、これは地価というものがそもそもそういった経済的、社会的あるいは行政的な要素によって影響を受けるということは、当然のことでございますので、それらの要因を除き去ってしまえば、これは正常な地価公示することにはならないわけでございます。したがいまして、またもう一点から申しますと、公示すべき地点は時系列によって年々の値上がりを把握するというところにも、重大な意味があるわけでございますから、一たんきめた地点をひんぱんに変えるわけにもまいりません。そういった観点からまいりますと、やはり広い地域に平均的にばらまく。ばらまいた地点についてはやたらに変えないで、年々その地点を調査し、適正な価格を改定して公示していく。こういうことがこの第一条の目的に沿うゆえんではないかというふうに考えておる次第でございます。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
  56. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 大体わかりましたけれども、どうもいまの御説明で第一条の目的に沿うゆえんだと結論を出されたけれども標準地をたてまえとしては変えないで、毎年調査して、動態的な地価の動きということを明らかにするわけでしょう。これはいいんですけれども、新しい鉄道が敷設されて、たまたまいままでの標準地が駅前になった。そうするとそこは非常に上昇するわけですね。私はそれがこの法律の第一条にある「一般土地取引価格に対して指標を与え」るという——お話のようにしろうとが多いんです。そうすると不動産屋さんたちがそういうのを目安にしてその周辺の土地も上げるのじゃないか。そこで私はこの場合には駅前の、たまたま駅前になったという土地はそのままにしていいでしょう。これは駅前で非常に一等地になったからこういうふう上がった、客観的に。そのほかにやはり標準地をふやして、その近傍で駅前の商業地工業地なりふやしてやらぬと、しろうとのお客さんの一般取引指標にはなりにくいのじゃないか。こういうふうに思うのですが、どうでしょう。
  57. 川島博

    政府委員川島博君) 確かに御指摘のように、周辺の情勢が何らかの公共的な投資によって一変したという場合に、そのあたり一帯の地価のメカニズムが急変をいたしまして異常な高騰を示すという事例は、間々見られるところでございます。そのような場合には、おそらくその周辺の土地利用も急速に拡大をされることになると思いますが、その場合にこの駅前の一地点だけの標準地で急変した周辺の地価を代表させるということは適当でない場合が十分考えられるわけでございます。そのような場合には、これはできるだけ地点数をふやして、知らない無知の売り手買い手に適正な地価指標というものを示すということは必要であろうと思います。したがいまして、そういった場合には極力地点数をふやして、買い手なり売り手なりが誤解をしないように地点数をふやすことにいたしたいと考えておる次第でございます。
  58. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 いまの鉄道とか道路の新しい建設の場合だけでなく、今度の都市開発法による再開発を行なう場所とその周辺、あるいはときどきあります大火ですね、大火があった場合のその地区と周辺についても同様にひとつお考え願いたいと思います。  それから「一団の土地」ということばが第三条にありますけれども、これは同じ筆、同じ所有者の土地でなくてもいいのですか。それから規模は大体どの程度に考えておりますか、この点ひとつ。
  59. 川島博

    政府委員川島博君) ここで言う「一団の土地」と申しますのは、同一の所有者が同一の利用形態で利用いたしております一かたまりの土地という意味でございまして、必ずしも筆数は一つにはとらわれませんが、この地点については同一の所有権者の所有に属する一団の土地というふうに考えております。——失礼いたしました、ちょっと訂正をいたします。所有者につきましても必ずしも同一の所有者に属する必要はないので、その一かたまりの土地利用形態が同一であれば、複数の所有者に含まれる土地でございましても、全体を一団の土地としてとらえるわけでございます。また一団の土地の大きさにつきましても、したがいまして、もっぱら利用の形態によって指定いたしておりますので、必ずしも大小は問わないわけでございます。
  60. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 そこで、次に法案の第八条から第十条で公示価格の効力が規定されておりますが、地価公示制度が軌道に乗った暁には、第一条の目的を達成するように相当効果を発揮すると思います。ただ、行政指導上、実際にこの公示地価をどの方面に、どういうところに重点を置いて活用されるお考えであるか、行政指導の方針を伺いたいと思います。
  61. 川島博

    政府委員川島博君) この地価公示制度の具体的な活用につきましては、公共用地を取得する場合と、それから一般民間取引の場合と、大きく分けて二つあるわけでございます。民間取引の場合には、先ほど来申し上げておりますように、これは公定価格でもございませんので、この公示価格に法的に拘束することにはなっておりませんけれども、まあ、ただいまのようなむちゃな取引は、国が官報で地価公示する、正常な地価公示するということによりまして、これに売り手買い手の双方が自然に誘導されるだろうということを期待しているわけでございますが、そういった民間取引におきましても、これからおそらく不動産鑑定士等の専門家を活用するということが逐次一般化すると思いますが、その場合には、第八条の不動産鑑定士等の土地についての鑑定評価の準則によりまして、少なくとも不動産鑑定士が正常な価格を求める場合には、この標準地価格を規準としなければならないという義務づけがございます。したがいまして、不動産鑑定士の鑑定評価を通じまして、この公示価格が逐次民間取引に浸透していくだろうということが期待されます。また、公共事業につきましては、第九条、第十条で、この事業者並びに収用委員会ともにこの公示価格を規準とするということが義務づけられることになるわけでございますので、公共用地の取得の場合は、民間の場合と比べて、さらに一段と強くこの公示価格の効力が、価格形成の判断の中に浸透するということによりまして、この場合は相当効果を発揮できるのではないか、かように考えます。いずれにいたしましても、本制度の活用をするにあたりましては、この制度は、あまり外国にも例のない制度でございます。したがいまして、その利用促進の立場から、あらゆる機会、あらゆる機関を使いまして広報活動を行ない、周知徹底につとめなければならないことは当然であろうというふうに考えております。
  62. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 大体わかりましたが、まあ最後にあらゆる機会、あらゆる方法でPRをすると言われましたが、実はまあ法律には官報に公示する、告示するということしかないですね。そこでまあ公共用地の関係におきましては、役所自体が相当強力に指導すれば、これは相当規準として、あるいは参考にするという場合もありますが、役立つと思います。一般取引に資するという点では、大体この公示された地価地域住民によく知らせなきゃいかぬ。で、まあ川島さん、官報をよくごらんになっているかもしらぬが、官報なんというのは、一般国民見ませんよ。われわれもほとんど見てない。そこで私は市町村長にこれは強く指導されまして、大体都でいえば「都のお知らせ」というのがある。大体市町村ではそういうものを出しております、広報紙を。そういうものにも載せるとか、それからその標準地に何か掲示をすると、掲示をするということになれば、かなり私は徹底すると思うんです。まあそのほかいろいろ知恵を出していただいて、PRに十分配慮をされたいのでございます。そうしませんと、一般取引の場合には、なかなかこれがあまり役に立たぬという心配があります。
  63. 川島博

    政府委員川島博君) 法律案によりますと、公示価格については土地鑑定委員会が官報で公示すべきこととなっておりますし、また、官報に公示いたしました場合には、土地鑑定委員会は、すみやかに市町村長に対してその公示価格を当該市町村の事務所において一般の閲覧に供しなければならないことといたしております。したがいまして、地元の利用者に対しましては、市町村事務所における閲覧が相当利用されることになろうかと思いますが、なお、御指摘のございましたように、市町村の広報等の公的な印刷物にも極力登載するよう、各地方団体の指導をいたしたいと考えております。なお、標準地そのものを現地で表示することにつきましては、なるほどこの法律では公示地点たる標準地の立ち入り調査ができるようになっておりますし、場合によりましては、地主の承諾が得られない場合にも強制立ち入りができるようになっておりますが、大体これは個人の土地に立ち入って価格を調査し、その価格公示するわけでございますから、まあおよその場合は、地主さんの御了解を得て調査をし、その価格公示することになろうと思います。その場合に、現地調査をし、さらにその価格を官報なり、市町村役場で公示するということは、当然当該地主さんの受忍の範囲内であろうと思いますが、現実問題としまして、自分の庭先にこの土地公示価格は坪一万円であるというような表示をされることは、これはもう地主さんにとっては決して気持ちのいことではなかろうかと思います。したがいまして、そういった人のいやがることをしてまで現地に表示をすることについてはいかがかと、これを補うためにはやはり広報なり、市町村役場の閲覧という方法で十分ではなかろうかと思いまして、現地に立て札を立てるところまでは考えておらない次第でございます。
  64. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 まあ市町村役場の閲覧というのも、なかなか一般の庶民には、お役所というのはどうも敷居が高い。私も役所をやめてからしみじみそう思うので、やっぱり積極的に市町村のほうからPRを徹底するということをひとつ、みながみな調査をされて気持ちの悪がる人ばかりでないでしょうから、ひとつ堂々と出してくれという人もあるでしょうから、積極的に考えていただきたい。  もう一つ、さっきの御答弁のことで、結局、不動産鑑定士相当地域的に分布しませんと、一般取引に役立つようなことにならない。ところで、現在鑑定士、士補合わせて千八百人くらいですか、しかも東京、大阪、関西くらいに相当偏在しているのじゃないかと思います。そこで鑑定士なり士補を将来確保することが必要ではないか。特に、市街地開発法でも、開発事業の審査会もこれもおそらく入ってきましょう。土地収用委員会にもだんだんに鑑定士を使うということになりましょうから、ますます鑑定士なり士補の需要がふえてくると思います。これについて何か権威のある機関あるいは団体にこの受験希望者の特別教育をやらせる、やらせるといっても建設省が直接命令するわけにいかぬでしょうが、バックアップしてやらせるというふうなお考えはないかどうか。  もう一つは、あれは昭和四十一年度で終わっておりますが、鑑定士の特別試験の制度がありましたね。大体公認会計士その他戦後あれを見ますと、特別試験は相当年限延長してやらせております。そこで、これの当時の有資格者にもう一ぺん試験受けさせるという立法措置についてどう考えておられるか、この二点を伺います。
  65. 川島博

    政府委員川島博君) 昭和三十九年度に不動産鑑定評価制度が発足されまして以来、政府としてはこの制度の充実につとめてまいってきた次第でございますが、不動産鑑定士及び不動産鑑定士補の有資格者はただいまお話ございましたように、過去五カ年間の試験によりまして約千八百名が確保されております。したがいまして、当面の需要に対しては十分対応できるものと考えておりますが、地価公示制度の発足に伴いまして鑑定評価に対する一般認識も、今後ますます高まるものと予想されますので、これに応ずるためには、不動産鑑定士等のなお一そうの充実について配慮をする必要があることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、御提案の趣旨も含めまして、今後この問題については十分に検討し、万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
  66. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 それ以上お尋ねしませんが、そのことばどおり実際にやっていただきたいと思います。  そこで、次にちょっと質問を変えますが、地価対策のこれは重要な一環だと考えますけれども、御承知のように、いままでの住宅建設計画のメリットは、ほとんど土地を取得して、つまり土地を買収して住宅を建てておる。これは宅地にしろ、農地にしろ、住宅公団あるいは公営住宅、住宅金融公庫、皆そうでございます。中に一部自分で住む住宅は昔から持っている屋敷に建てておりますけれども、これは一部である。そこで特にこの住宅金融公庫の個人貸し付けあるいは民間会社による融資ローンによる民間の自力建設、これらが御承知のように市街地のスプロール化を来たしておる大きな要因になっております。そこで私は住宅公団なりあるいは公営住宅の団地、こういうものはもちろん今後も大いに進めていかなければなりませんけれども、だんだんに民間の自力建設のスプロール化現象とからみ合って地価は高騰する。そこで公的資金による公営、公団住宅等はだんだん遠いところに建たなければならぬ。そうすると通勤難に拍車がかけられておる。高い家賃か、通勤難に苦しむ遠いところの住宅かと、こういう姿になってきておることは御承知のとおりでございます。そこで、私は一つの提案を含めてお尋ねしたいんですけれども、特に大都市の近郊には農地がたくさんあります。あるいは山林原野でまだ開発されていないようなところもかなりあるのでございます。東京都でいえば大体田畑と宅地がほとんど同じくらいある。山林に至っては八万ヘクタール以上ございます。そこで、これらの農地山林を所有しておる農民等に安定した財産づくりを農民の立場からいえばやらせる。これはもうほとんどいまは不動産屋にだまされた、あるいは不適正な取引によって切り売りをしておりますから、そういうものをなくすためにも、安定した財産づくりをやって一部都市農業をやはりそこに残していく、残していくというよりも、育てていくべきだと思うんです。そういうことから考えまして、さらにスプロール化現象を押える、地価の抑制にも働かせる、それを計画的にやっぱりやっていかなければなりません。都市計画的にやっていく。そうすればいわゆる太陽と緑の田園住宅都市、こういうものができ得るんじゃないか。買収方式だけでいきますと、やはり農家の人は先祖伝来持っておって、腹の中では大いに値段をつり上げようという気持ちもあるんでしょうが、先祖伝来の土地を離したがらない、こういう気持ちが強いと思う。一部にはやはり農業を少し規模を狭めてでもやりたい、こういう希望も強いんですから、そういうやり方で所有権を移転しないで、住宅用に利用権を設定するという形になりますが、それだけじゃいけないんで、農民自身に住宅を持たせる、貸し家経営をやらせる、それに農協が中心となりまして、これの委託を受けてやる、あるいは農協だけではなく、一部は住宅公社とか住宅協会でもいいと思いますが、しかし大体は農協が中心になって都市農業というものの性格を変えて、そういう農民の財産づくりをやっていく必要があるのではないかと考えます。これは一石三鳥、四鳥の案だと思うんです、うまくいけば。ぜひひとつこれを具体的に取り上げていただきたいと私は強くお願いをするものでございます。この点について政務次官あるいは住宅局長川島局長に答えていただきたい。
  67. 渡辺栄一

    政府委員(渡辺栄一君) 後ほど局長から補足説明いたしますが、基本的な考え方としましては、農民等の土地所有者を積極的に参加させるというような形によりまして、今後の住宅問題を解決するということは、現在農業関係団体等からもいろいろ意見が出ておるわけでありますが、われわれといたしましては、非常に検討に値するりっぱな御意見であるというふうに考えておるわけでございます。今後住宅宅地審議会等につきましても、御意見等の問題につきましては、十分ひとつ検討いたしまして前向きに進めてまいりたい、かように考えております。
  68. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 御指摘のように、都市におきます住宅建設が宅地問題で非常に壁にぶつかっておる現状でございます。この都市におきます住宅供給を促進し、あわせてスプロール対策、あるいは地価対策等にも資するただいまの買収方式によらない農民の手による田園都市建設の御構想、さすがにその道の権威であられる鬼丸先生の御構想だと、深く傾聴いたします。今後の住宅対策立案する際におきまして、十分検討させていただきたいと思います。
  69. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 そこで、もうそろそろ時間ですから、最後にあれしますが、この構想を具体化していただくにあたって、やはり私は区画整理方式を採用することがいいと思います。まあ大きな農地、田野を持っている人が単独でやる場合は別ですけれども、たてまえとしては。その点が一つと、それから農林省参事官がおいでになっておりますが、私は、市街化区域内でも都市農業として育成すべきものがあるのではないか。特に、けさ早く起きた方はテレビをごらんになったでしょうが、六十アールぐらいのところに盆裁をつくって、種まきからですよ、そして年間七百万円くらい収入をあげている。テレビで七百万というのだから、実際は千万円くらいあげているのじゃないかと思いましたが、ああいう盆裁、花卉類、あるいは地域によっては果樹園芸、そういうものは大いに育成奨励すべきではないか。ところが、農振法では市街化区域は農振地域の指定はしない。これはもっともだと思います。調整区域になると、二十ヘクタール以上になれば地域指定をすることがあり得るわけですね。しかしこの場合、市街化区域内でも、それから調整区域はもちろんです、都市農業というものを育てていく、その基盤を町づくりの区画整理とあわせてやっていく必要があると思うのでございます。その点について農林省の御意見を伺いたい。
  70. 中沢三郎

    説明員(中沢三郎君) 御指摘のように、新しい都市計画法に基づきまして、市街区域なり市街化調整区域に定められる区域の中におきましても、現実に農業が行なわれるという事態はあるわけでございます。特に市街化区域におきましても、計画的、優先的に市街化をはかられるべき地域という性格を持っておりましても、やはり市街化がはかられる経過的期間中は、農業を継続する希望者があるでありましょうし、また市街化調整区域といいましても、地元の意向などもございますし、それから農地のあり方なんかの関係もございまして、すべて農業振興をはかるべき地域として指定を受ける地域でない地域もございます。そこらの地域におきましては、これまた農業を熱心にやっていきたい方もおありだと思います。したがいまして、そういう地域につきましても、農業政策上何にもしないという考え方は、農林省といたしましてもとってはおらないわけでございます。ただ、こうした地域につきましては、積極的に長期の投資、長期の土地改良事業、あるいは長期にわたって使用すべき施設に関する施策というようなものを積極的に行なうのはいかがかというふうに考えているわけでございますが、ただ、現実に農業を行なっておられる。そこで自分が行なっている農業を一生懸命やろうという方々が、その農業経営なりを維持していくに必要な範囲の施策は十分行なっていきたい、こういうように考えているわけでございます。
  71. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 いままでちょっと、率直に申しまして農林省当局が都市化現象、市街地化に対してはわりあいに消極的な態度ではなかったかと思うのです。受け身でやっている。これが間接的な要因になってスプロール現象も激しくなってきているのじゃないかと思うのです。私がさっき申しましたように、今度の新しい構想というか、土地所有者に家を建てさせるという、この財産づくりは、——一面ですよ。しかし、いま農業をやりたいという者、これはやはり農地を狭めあるいは集合化して、その区画整理方式の中で宅地化を——商業用地とか利便施設用地ももちろんございます、農地とまとめてやる。そうしてそれに対しては公共施設的な援助は、従来いろいろ一般の基盤整備あるいは融資がありますから、そういうものを考えていくべきではないか。もうまるまる土地所有者の手弁当費用だけでやれというのは無理ではないか。一種の農地の離合集散をやるわけですから、そういうことを考えていきたい。そうやって都市近効農民が都市化に対して積極的に対応していく。こういうふうに農林行政として御指導願いたい、必要な措置をとっていただきたい。これは要望いたします。  同時に、都市の農協ですね。農協の性格は当然もう変わりつつある。また必要な体質も変えていかなければいかん。私は実は、私も農協の準組合員です。家庭菜園もやりませんけれども、いなかの農協の準組合員ですが、あるいは準組合員制度考えるか、あるいはこれから金融も、そういう不動産金融というものがウエートを占めてきますから、これは将来農協法の改正もあわせて検討していただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  72. 中沢三郎

    説明員(中沢三郎君) 御指摘のように確かに近効地帯の農協につきましてはそういう問題がございまして、これをどういうふうに考え制度上あるいは指導上どうしていくかという問題があることは事実でございます。しかし、御承知のように現在の協同組合法制全体を考えますと、職能別な立法政策がとられている関係上、いま直ちに農業協同組合がそういう実体的な変化をしているからといいまして、農業協同組合サイドだけで、はたしてそういうことの制度的な変更をなし得るかどうか。それに、影響なり、制度論としても問題がなかなか大きいだろうと思います。そういいましても、やはり御指摘のような事態はますます進行していくというようなこともございますので、常に検討事項、という前の研究事項というような意味におきましては、常に議論をし問題にしているわけでございますが、なかなかこうしたほうがいいのではないかという結論を持つのには、非常に問題が大きいし、広いのではないかという感じがいたすわけでございます。しかしまさに御指摘のような事態が進み、御指摘のような性格の問題でございますので、一そう注意をしながら研究、検討を続けていきたい、こういうふうに考えます。
  73. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度とし、これにて散会いたします。   午後零時三十九分散会      —————・—————