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国務大臣(
佐藤榮作君) 人事院の勧告、これは尊重し、これを完全実施する、この方向で
努力しなければなりません。私
どもがいま一番問題にしておるのは、その点であります。そこで、これは別に皆さんに尋ねるわけでもありませんけれ
ども、いまの春闘相場なるものはどうなるのか。実は、そこを非常に心配をしておるわけであります。
政府は一応ある
程度の
予算も計上したつもりでありますけれ
ども、最近のように景気がいい、またそれぞれの企業が収益をあげておりますと、どうもそれにはたしてついていけるかどうか、そこに
政府としては悩みが
一つあるのであります。それらの点をも勘案し、あらゆる
努力をしていきたいと、かように思っております。そのためにも、先ほど
お尋ねのありました
物価の問題は、これを安定させ、そうして高くならないで十分
予算的にまかない得るように
——これは計上されておる
予算ということで、人件費というだけではございません。このやりくりが各行でできるような
処置をぜひとも
考えてほしい、かように
考えながら春闘相場がどうあるべきかということを実は心配しておるような次第であります。その点の御協力を各方面にも求めております。これは別に組合側の要求を頭から抑えておるというものではございません。どうか、最もいいところに
——どうしても給与は平準化をする傾向がございますので、自分のところはまかなえるからという、そういうだけでまかなわないように、全体をひとつ見ていただきたいというのが
一つのお願いであります。
また、いま衣食住の
お話が出ておりましたが、衣はいい、また食もある
程度いいのじゃないかと実は思っております。しかし、食と住についてはなお
不都合だとするこういう高田君の御
指摘であります。私は、住の問題について、今日まで
——最近、私は自分の家を持つようになりましたが、借家住まいをしたその経験から見て、一体給与のどのくらいを住居費に充てているのか、いままで私は、大体四分の一
程度は充てておるのであります。大体最近の傾向を見ましても、その辺にはなっておるのじゃないだろうか、かように思います。所得に対して住居費というものは、その辺のところが普通の相場じゃないだろうか。私の経験から、いわゆる小役人時代の実は経験を率直にいま披露したのでございます。
その次に、ただいまも学校の問題について、
政府自身が率先垂範しろ、かように言われる。これは
もっともの話であります。
政府の責任というか、そういう
意味で、
政府は率先垂範すべきものだと、かように私も思います。そういう
意味でみずから身を持することが非常に大事なことだと、かように思っております。しかし最近の教育
そのものについて、それぞれの方がそれぞれに御批判なさると思いますが、どうも私は、教育が個人の形成、そういうところに重点が置かれているのじゃないか。もう
一つは、何といっても物質的な面において教育が力をかしておるのじゃないか。やっぱり物質だけで教育が完成されるわけではない。人間形成というような面から申せば、物質的なものも大事でありますか、精神的な面も、これは忘れられてはならないと思います。同時にまた、個人教育そればかりではなくて、やはり社会人としての教育、社会人としての人間形成、そういうことが忘れられてはならないと思う。私は、そこらにいまの教育の
一つの問題があるのじゃないかと思います。よく聞くことでありますが、産学協同ということばを言われます。これあたりははっきりどうも物質中心のように教育がとられやすい。だから、産学協同ということばが不適当なら学産協同でけっこうだと思いますし、学を先に言うことによってけっこうだと思いますが、どうも産学協同だというと、物質文明それが中心になり、学問はそれに奉仕するのだ、こういうように言われやすい、そこに私は
一つの問題があるのじゃないか、かように思います。したがいまして、教育のあり方というものは、これは皆さん方ととも
どもに実は本来あるべき姿、教育の問題でじっくり話し合ったらいいじゃないか、実はかように思います。何だか非常に自民党は、大学管理法、これを
提出するのに急で、何でも力で押しつけようとしているんじゃないかというふうな誤解を受けやすいのでありますが、私はいまこそ、こういう問題があればあるだけに、やっぱりまじめに教育のあるべき姿、ことに二十一世紀を迎えようとする、二十一世紀にこたえる教育の姿勢というものがあってしかるべきじゃないだろうか、かように私は思いますが、いま感じたことはただいま申し上げるような次第であります。
そこで、政治資金規正法、これについて
政府は在来から申し上げておりますように、もう引き続いて出しておる、そして皆さんの御
審議を願うつもりであります。私は、これはいわゆる理想的なものではないと思います。しかし、一歩でもわれわれがみずからの姿勢を正す、そういう方向であれば、これは各党にも御了承いただきたい。とにかくまだ、その
程度の低いものすら実はできない、こういうところに私はまことに残念に思う悩みを持っておるのでありまして、それ
自身は
程度の低いものにしろ、姿勢を正そう、この
考え方でスタートしておる限り、皆さんの御支援、御協力をぜひお願いしたい、かように思っておる次第であります。