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1969-07-01 第61回国会 参議院 運輸委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月一日(火曜日)    午後一時二十六分開会     ―――――――――――――    委員異動  七月一日     辞任         補欠選任      田渕 哲也君     中村 正雄君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         岡本  悟君     理 事                 江藤  智君                 金丸 冨夫君                 谷口 慶吉君                 森中 守義君     委 員                 重政 庸徳君                 菅野 儀作君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 渡辺一太郎君                 加瀬  完君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君                 中村 正雄君                 市川 房枝君    政府委員        運輸政務次官   村山 達雄君        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   古谷 光司君        運輸省自動車局        整備部長     堀山  健君        日本国有鉄道工        作局長      片岡  博君    参考人        日本車輌製造株        式会社社長    天野 春一君        日本車輌製造株        式会社専務取締        役        細川泉一郎君        三菱電機株式会        社取締役     松田 新市君        国鉄労働組合運        輸協議会副議長  飯田 一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付) ○運輸事情等に関する調査  (日本国有鉄道運営に関する件)     ―――――――――――――
  2. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず委員異動について報告します。  本日、田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として中村正雄君が委員に選任せられました。
  3. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  日本国有鉄道運営に関する件の調査のため、本日参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 御異議ないと認めます。  なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 道路運送車両法の一部改正内容の中で、このたび電子計算機システムによる業務簡素化ということで、この資料もらいましたが、どうも電子計算機には非常に弱いんでございますので、これに書いてあるのを読んだだけではどうもはっきりしませんから、少し詳細に自動車局のほうから説明してくれませんか、これについて。
  8. 堀山健

    説明員堀山健君) お手元に資料がございますが、これはいろいろ複雑な機械でございますので、できれば絵を見ていただくとわかると思いますが、陸運事務所の末端のほうに端末機械を置きまして、中央には、現在すでに設備して調整中でございますが、中央処理装置を置きます。そして全国の六十数カ所の事務所端末機から直接東京中央処理施設に全部回線を直接通じまして、事務所で入れた記録は全部即時記録をされる、こういうシステムになっております。現在私どもが考えておりますのはマーク・シートというのを使いまして、それをマーク・リーダーという機械に入れますが、それが回線を通じまして中央処理装置機械にそれぞれ入りまして、それがテープに入ると、こういうことになっております。それが直ちに事務所のほうに入りまして、その間約四十秒程度記録としてタイプにして打ち出される、こういうことになっております。
  9. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 たとえば、私は鹿児島県ですよ、鹿児島県の陸運事務所に新しく車を持つ。継続検査をするために書類を申請すれば、それが中央センターに行って、鹿児島陸運事務所車体検査をやり、検査証になって返ってくるまでの間が四十秒ということですか。
  10. 堀山健

    説明員堀山健君) おおむね四十秒ということでございます。
  11. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 中央センターが大体どこにできますか。
  12. 堀山健

    説明員堀山健君) 東京駅の近くでございますが、丸の内の第二電話局の中の一部に中央処理装置を備えつけるように予定しております。
  13. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 この機械は大体幾らするんですか。
  14. 堀山健

    説明員堀山健君) 約二十一億円ということでございますが、実は、これは私ども度数料という形で借りることになっております。でございますから、これは電電公社が全部開発し、設備いたしまして、運輸省はこれを借りる、こういう形をとっております。
  15. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 大体検査を必要とする車両の数が毎年毎年ふえておるというわけですが、それは幾ら台数がふえても全部それは収納というのか、収容というのか、それはできるものですか。
  16. 堀山健

    説明員堀山健君) それは装置をふやせば幾らでも入る、こういうことになっております。とりあえず、私ども約二千万両を予定して装置を用意してございますけれども、将来これがふえればさらにその装置をふやすということで、可能であるということにいたしております。
  17. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 そうしますと、これも自動車局からもらった資料説明によりますと、こういうシステムによって将来自動車検査登録が非常に簡素で、かつ非常にスピードアップされていく、そういうことで、非常にこれはけっこうなことだと、こういうふうな説明がございますが、そういたしますと、この運輸省からもらった資料によりますと、検査登録に要する人の数が、これが現在は千九百二十一名、大体こういう数だというふうに資料をいただいたんですが、これは昭和四十六年の三月末だったか、何月か、一応検査登録を必要とする車両だけは全部この中に入ってくるということになるのが、四十六年の三月なら三月末までに、こういうことになった場合の検査登録に要する要員がどれだけ節約できるのか。あるいはまた反対に、自動車は毎年毎年ふえていくから、こういうシステムはとったにしても、人の数はあまり減らすことについての期待は持てないというのか、その辺はどうなのか。私は、これは一番のポイントだと思って質問いたします。
  18. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) いま先生が御指摘の千九百二十一名は、四十三年度の検査登録特別会計人間でございまして、四十四年度は千九百八十六名となっております。それで、四十四年度の終わりごろに習志野を始めまして、四十五年度に東京、大阪、名古屋の局の管内、それから四十六年度に残り全部の事務所をこの組織に入れるという計画でございまして、要員関係につきましても、その計画に即応いたしまして計算をいたしております。  それで、四十五年度におきましては、まだ完成をいたしておりませんので、業務処理機関節約は約三%程度でございます。それから全部導入が終わりました場合におきましては、約三〇%でございます。しかしながら、車両数等はふえてまいりますので、三〇%を節約できましても、たとえば四十六年度の検査登録特別会計人間は、四十三年度の千九百二十一名、四十四年度の千九百八十六名に対しまして、約二千二百八十五名程度を要するのではないかというふうに考えます。最終的に昭和四十九年度におきましては、六百七十八名程度節約は可能ではないかと思いますけれども、一方におきまして、ただいま申し上げましたように車両数の増加というものがございますから、全体としては増員は必要といたしますけれども、この制度導入なかりせば六百七十八名はさらに要するということでございます。
  19. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 先ほどの整備部長の話では、一応二千万両というものをば基準にして考えるのだというふうなお話でしたが、そうしますと、二千万両になった場合が、いま局長が言われるようなそういう人員の構成になるのだということなんですか。
  20. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 現在の登録車両は、四十三年度の末におきまして九百五十万両でございます。これが四十九年度末におきましては千九百八十六万、四十九年度になりますと約二千万両になるかと思います。それだけの処理能力は、現在の機械のままでできるということでございまして、おっしゃるように、四十九年度になりますと、約二千万台くらいになるのではないかというふうに考えます。それで、われわれのほうといたしましては、四十八年度までは人員計算をいたしておりますが、四十九年度あたりからはまた車両数がふえてまいりますので、二千万台を十分まかなうためには、二千三百人をこえる人間を要するのではないかというふうに考えます。
  21. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 この前の欠陥車のことで問題になりました、例の型式検査に要する人員が十名では非常に少ない、二十八名くらい必要となるであろうというようなことだったのです。これなんかも、この前も少し大臣にもきつく申し上げておきましたけれども、そういうことが事前にわかっておるならば、予算要求の際に、勇気を持って局長、あなたのところで要求してもらわないと、われわれ自民党の立場からいって、ああいう恥をかくようなことの答弁をされますと、正直言っておもしろくないですよ。予算のときはお互いにみんな力を合わせてやっているのに、百三十の型式について実際責任ある審査、検査をやれば二十七、八名の要員がどうしても必要だとおっしゃるならば、そういうことなどももっとしっかり具体的なものの計画をつくっておやりにならなければいけないと思う。これは答弁要りません。  ただ、軽四輪はどういうことになりますか。あれはやはりいまのままですか。
  22. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 軽自動車につきまして、おそらく車検登録をどうするかという御質問だと思います。しかしこの軽四輪については、現在検査登録をいたしておりません。といいますのは、車両欠陥によりますところの事故一般自動車に比べまして約半分でございますので、現在のところでは、一般自動車車検等制度を充実するということを中心に考えておりまして、現在のところでは、軽自動車に対します車両検査を直ちに導入するという考え方はいまのところ持っていないわけでございます。しかしながら、軽自動車につきましては、構造、装置についての安全規則であるとか、新車型式認定、使用中の車の定期点検あるいは整備工場認証等方法あるいは軽自動車整備士技能検定等方法によりまして安全を確保しようとして現在やっておるわけでございます。しかしながら、将来の車両欠陥事故実態等を見まして、検査制度導入につきましては検討を進めていきたいと思います。
  23. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 何か運輸省のほうで現在検査登録をしていない車についてはこれは野放しみたいじゃないかと思うんです。たとえて言うならば、この前の欠陥車の問題でも、これは軽四輪とかあるいは原動機付自転車とか、そういうものに欠陥がなかったならいざ知らず、あったからには、そういうことも将来交通事故の要因であることは間違いないと思うんですが、何かその辺野放しにするということは一体どうであろうか。おそらく一般国民は、私は知らないんじゃないかと思うんですよ。三百六十㏄以下の自動車が走っておる。これは運輸省登録にも載っていない、しかも車検も受けない車なんだということが世間にも知れ渡って、それで国民は、あれは小さいからあれでいいんだと思うだろうか、局長さんどうなんですか。
  24. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 軽自動車事故がありますことは御指摘のとおりでございます。しかしながら、車検を行なうことは車両欠陥事故趨勢ということで考えるわけでございまして、たとえば車両欠陥事故につきましては、四十年の六百十四件に対しまして四十二年には三百八十件というふうに六割に相なっております。それから、先ほど申し上げましたように、この数は、検査をいたしております自動車車両欠陥事故に対しまして約二分の一であるというふうになっておりますので、一般自動車検査ほど緊急ではないということでございますし、全体の車両数も非常に多量でございますので、これの検査に対する受け入れ制度につきましても並行して研究を要しますので、今後車両欠陥事故趨勢をにらみ合わせつつ車両検査制度受け入れ体制ということを考えながら検討を進めていきたいと考えます。
  25. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 今度の道路運送車両法改正の中では、なるべくならば民間自動車整備工場に委託して、運輸省が直接検査に当たるというようなことは将来数を減らしていくと、こういう考え方なんですか、どうなんですか。
  26. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 現在民間車検場を利用いたしまする率は約一六%でございますが、将来におきましては六〇%ないし七〇%をそっちのほうでやってもらうというふうな計画で考えております。
  27. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 あなた方のほうは自動車整備工場を三つに区分していますね。指定工場優良認定工場、それから認証工場、これはどういうふうのことでこう分けているんですか、ちょっと説明してください。
  28. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 認証工場は、自動車分解整備を行ないます場合に認証を受けなければその事業を行なってはいけないというのが、自動車分解整備事業認証制度でございまして、この認証工場数は今年の三月末で約五万五千工場でございます。それから優良自動車整備工場は、自動車整備技術の向上をはかるために、優良な設備技術あるいは管理組織を持っているものに対しまして運輸大臣認定する制度でございます。で、この制度によりまして認定を受けております工場は、昭和四十四年三月末現在で約二千六百工場でございます。指定自動車整備工場と申しますのは、いわゆる民間車検工場でございまして、先ほど御指摘の、国にかわりまして車の検査をやるというものでございます。これは一定指定基準によりまして厳格な調査の後に陸運局長指定をいたしておるものでございまして、本年の三月末で約二千百工場でございます。
  29. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 そうしますと、今後民間整備工場検査をば重点的に回して、将来、六〇%、七〇%そっちのほうに移管していくということになれば、指定工場が現在二千百十八で、もっとこれはふえていくわけですか。指定工場は、いま答弁によれば、政府が委託して整備をここでやるわけでしょう。この二千百十八の工場が将来もっとふえなければ――民間検査をば委託する、整備を委託する、そうして同時に、検査しなくても書類だけを見るということになる場合に、この数はどういうふうに変化してまいるわけですか。
  30. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 四十八年度におきまして約九千六百工場でございます。九千六百工場指定すれば、先ほど申し上げました六〇ないし七〇%の検査ができるということでございます。
  31. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 そうしますと、いま二千百だが、九千六百というとあと七千五百、それは現在認証工場の五万五千ある中からそういうのをば拾い上げていくわけですか、あるいはそれだけの設備を有する整備工場というものをば政府のほうでつくるように奨励していかれるんですか、その辺どうなんです。
  32. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 現在、整備工場は約五万五千でございます。従来からの整備工場ふえ方趨勢がございますが、この趨勢を見つつ、また設備等を完備させるという指導をいたしていけば、この九千六百工場指定をすることは可能であるということで、従来からの実績と現在の数から引き伸ばして計算をいたした結果でございます。
  33. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 非常にくどいようですけれども、軽四輪の、たとえば何というか、車検といいますか、整備の問題などについて、せっかく政府認証しておる五万五千も、あっちこっちに散在している、全国的に非常に広範囲にありますね、自動車局認証しておるような整備工場というのはたくさんありますね、こういうところで、この車は整備はだいじょうぶでございますというようなふうの何か証明でも出して、それを市町村長なり警察のほうで何かチェックするような方法はできないものですか。いまは事故が少ないとおっしゃるけれども、万一軽四輪のほうで何かやっぱり大きい事故が次から次へ出た場合に、運輸省は一体何をしているんだと国民は必ず言いそうな気がしてならないんですよ。車検登録も野放しのもの、一体、軽四輪車は何万台走っておりますか。
  34. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 約三百七、八十万台でございます。で、先ほどの検査関係でございますけれども、現在では定期点検整備実施をやらしております。それで将来車検制度導入するということになりますというと、この軽自動車に対しまして国が全部やるということでなくて、やはり先生指摘のように、民間工場でもってやらすという形が一つの形だと思います。しかしながら、その場合に、いまの認証工場の形でやるということは非常に困難と思うわけでありまして、やはり指定工場制度を利用する必要があろう。といいますのは、工場におきまして整備をすると同時に、その車を検査するための施設要員を要するわけでございまして、認証工場の中から一定資格を持ったものを現在認定をし、その中でさらに指定をするという形でございますから、将来軽自動車に対しましてかりに民間車検でやるということになりました場合には、やはり現在のような制度が必要かと思います。
  35. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 私は全然しろうととして伺うんですけれども整備士で二級整備士と三級整備士とありますね、これは運輸省がこれをきめてやる場合に、何が二級であり何が三級であるということは、ちょっと私らにわかりやすいようにひとつ説明願えませんか。
  36. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 三級と二級とは、やはり能力といいますか、技能の差があります。試験内容等につきましても分けておるわけでございまして、結局あとで、その試験を合格いたしました場合の利点といいますか、その資格をとればこういうものになれるというのに差がついております。したがいまして、試験のときにおきましても、二級整備士と三級整備士というものは、技能程度に差をつけて試験をやっております。
  37. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 そうしますとね、指定工場優良認定工場認証工場、こういう三種類に工場が分かれるとしますと、整備士はどういうふうに大体配置され、配分されているわけですか。
  38. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) まず自動車分解整備事業にありましては、工員の数の中の四分の一以上がこの整備士試験を通った人でなくちゃならないというのが第一点でございます。それから優良自動車整備事業にありましては、一種整備工場の場合は、五人以上の整備士または工員数の三分の一以上の整備士を必要とします。それから二種の整備工場の場合には、三人以上の整備士または工員数の三分の一以上の整備士を必要といたしております。それから第三は、特殊認定車体整備というふうなものに限った整備工場がございます。その工場の場合は一人以上の整備士を置かなければならないということになっております。  それから三級と二級でございますが、三級整備士整備管理者になることができますが、二級整備士自動車分解整備事業におけるいわゆる検査主任者になることができるというふうに相なっております。
  39. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 この整備士資格試験というのは、運輸省のほうでやっておられるんですか、自動車局でやっているんですか。
  40. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 道路運送車両法に基づきまして運輸省で施行いたしております。
  41. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 将来車が非常にふえていく、その事故が起きないようにするためには、やはり一応工場から新車が出てきても次の整備の問題によって事故が発生するかしないかということに私は重大な問題があろうかと思いますが、整備士というものは非常に私は重要だと思いますが、一体、整備士を養成する学校とかそういう機関というのは幾らぐらいあるものですか。もしわかっていたらそれを教えていただきたい。
  42. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 一種と二種とございまして、一種養成施設はいわゆる新人用でございます。二種は再教育、再訓練ということになっておりまして、一種養成施設工業高等学校が四十五と、職業訓練所百六十四、整備学校五十五、合計二百六十四でございます。再訓練用の二種の養成施設といたしましては、各県の自動車整備振興会整備技術講習所でございまして、本部といいますか、その振興会技術講習所本所といいますか、それが六十九あります。それから分教場が四百二十九ございます。それが第二種の養成施設でございます。将来われわれといたしましては、特にこの再訓練用講習所につきまして、一部間借りをしておるといいますか、常設でない工場がございますので、この常設化をはかっておりまして、六十九カ所でございまして、四十七は常設となっておりますから、これをすみやかに全部を常設化するとともに、分校工場等を増設いたしまして対応したいというふうに考えております。
  43. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 現時点で二級、三級で合わせて八十四万人おるということなんですが、これが車両数がふえていけばもっと相当な整備をやる人たちが私は必要になってくると思うんですよ。これは当然なことだと思います。そこで、自動車整備士をば養成する短大というのが全国にたしか五つか六つあると私は聞いておりますが、これは、高校を卒業してから二ヵ年間なお高度の技術ば研修を受けて、そうして整備士になっていく、こういうのがあるようなお話を聞いておりますが、ございますか。
  44. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) これは先ほど申し上げました工業高校等という四十五の中に含まれておりまして、二級整備士になれる受験資格を与えております。
  45. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 現在で八十四万人、これは将来もふえていく、また三級から二級になりたいという受験者も出てくると思うんですが、運輸省自動車局人たちは、この整備士試験は何人でやつておりますか。
  46. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 問題は全国的に統一した問題をつくっておりますので、本省で約七名の人が当たっております。それから現場の試験実施は、場所を借りる関係もございまして、日曜日の日に局と事務所人間が協力いたしまして実施に当たっておるわけでございます。
  47. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 前もって試験問題をつくっておくんだということですか。その辺ちょっと聞き取れなかったんですが、もう一ぺん……。
  48. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 問題はその試験のつどつくるわけでございますけれども、これは試験のための委員会を持っておりまして、そこの委員会技術的に意見を徴しまして試験問題を作成いたします。
  49. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 運輸省のほうで車検をしないで、民間にそういう車検だけは委譲していこうという考えの中に、それでもやはり一般人たち政府のほうでやってもらったほうが気持ちの上においても何かと安心感があるのじゃないかと思われる。それを民間整備工場に今後やらしていくのだ。しかも、その整備をやる資格をもらう人たちのその試験がたった七人程度でやられる、しかも全国。これは車がいまのかりに三分の一ふえたとすれば百何十万になります。今後三十万も四十万もふえていかなければならない。あるいは三級から二級の試験を受けようとする人たちがおる。それがそれくらいの人たちでできますか。この前私は、巡査官が部長の試験を受けて千三百人試験をやり直したという話を聞いて苦笑いをした。あなた方の試験はほんとうに権威がないとしか思われぬが、どうですか。いまのようにここで聞いている人は、皆そうとると思う。ほんとうに大事な大事な人間の命にかかわるような、言うならば、世の中の凶器といわれた自動車整備に当たる、その重大な責任ある立場の人たちを養成し、監督する立場にある運輸省がいまの状態でいいのでしょうかね。これは政務次官、あなたから答えてください。どうも私は納得いかない。
  50. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) ただいま自動車局長が答えましたように、年間受験者は約二十万人ぐらいでありまして、学科試験と実務試験があるわけでございますが、学科試験はいま七人で、問題作成は委員会でやっておるというわけでございます。私の聞いたところではやや人数が不足するのじゃないかと思いますけれども試験の問題が一体どういう形で出ておるのか、この点も十分検討いたしまして、何ぶんにも先生指摘のように、事は安全に関する問題であり、しかも将来民間車検というのを大幅に導入していくという問題であるし、さらには、将来は原付あるいは軽自動車についても問題が考えられるわけでございますので、私たちも十分再検討してまいりたいと思います。
  51. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 行政管理庁お見えになっていますね。  いま私がこう質問のやりとりをしているのを、全然自動車行政に関係のない立場から、私がきょうしゃべっていることを国民が皆聞いたら何と思うかと私は思います。あぶなくてこれは見ちゃおれぬというのが私はほんとうの国民の気持ちじゃないかと思いますがね。  あの総定員法ができましたが、あれから今後、運輸省なら運輸省自動車局で、どうしても今後必要とする人員が出た場合に、行政管理庁のほうではどういう御指導をなさるつもりですか。ちょっとこの際聞かしておいてくださいませんか。
  52. 古谷光司

    説明員(古谷光司君) 四十五年度の予算要求は、御存じのとおり、八月末提出になっております。行政管理庁としましては、具体的な要求を経まして、十分に先生の御指摘の点を検討させていただきます。
  53. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 きのうあなたのほうがお見えになったとき、私はその役所は申し上げませんと言いましたから申し上げませんけれども、しかとひとつ心にとめておいていただきたいのは、私がある役所に――私のところで非常にかわいがって、事務所におって人間もしっかりできていたんですが、その人がある役所に行って一生懸命やっておったところが、先生、私は役所やめますと言ってきたから、何でやめるのだと聞いたら、おまえみたいに働かれちゃ困ると係長さんが言ったそうです。そこの係長さんか知らないですよ。働いてそれがいやがられて、そうして、働く意欲を失ってやめようと言い出すような役所もあるのですよ。まことにその点私は悲しいと思いました。どこか申し上げませんけれども、私の世話したのが申しますのには、私がいまやっている程度に一生懸命やれば三人分できます、つまり三分の一あれば足りますと言っておりましたよ。そういうところがあるんですよ。いまお聞きのとおり、たとえば運輸省自動車局とか航空局にしましても、ただふえていく一方ですからね、今後。どうかひとつこういうことは行政管理庁のほうでもしっかり踏まえて検討してみてくださいませんか。あなたにはたったこれだけ言いたいために来てもらったわけですから、ほかのことはいいです。
  54. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 行政管理庁の方、いいです。
  55. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 この法律を出すにあたって、いろいろとこれとこれをやるのだと書いてありますね。中にあんまり大きく出ていないのが何かと言えば、検査登録、あるいは移転登録、抄本、こういうものの手数料を幾らか上げようとしているのでしょう。特別会計検査手数料とか継続検査の手数料とかいろいろありますが、それを今度同時に上げなければ経営がもたないから上げようという考えに基づいておられるのでしょう。これはどうなんですか。
  56. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 検査の手数料は検査登録特別会計の収入でございまして、これによって車検登録をやっておるわけでございますから、仕事が十分できますためにはその手数料が適正な手数料であることが必要でございまして、今回におきましては、その手数料の法定限度の改定をお願いをいたしております。検査関係につきましては、法定限度額を現在の普通車四百円、小型車三百円を七百円にというようなこと。それから登録につきましても、新規登録から以下いろいろの形の登録がございますが、これを百円程度の値上げ。以上のお願いをいたしておりますが、さらに詳細な点は政令で定めることになっておりますので、政令におきましてさらに詳細に規定をいたすつもりにいたしておりますが、この特別会計を維持いたすためには必要最低限のものをお願いいたしたいということで改定方を原案に掲げておる次第でございます。
  57. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 最高限を七百円。普通四百円、小型三百円を同時に最高限度七百円ということになさるつもりですか。
  58. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 新規検査の場合に、型式指定の場合の小型は現在百五十円でございますが、これを二百円。それから型式指定でない車につきましては、三百円でございますけれども、これを五百円というふうに、七百円の限度の中で政令でもって定めるつもりでございます。
  59. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 そうしますと、この特別会計の中で養っている人員幾らぐらいいるんですか。
  60. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 昭和四十三年度が、この特別会計で所管いたしております人数が千九百二十一名、それから四十四年度が千九百八十六名でございます。
  61. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 私がいただいた資料の中に、別に「賃金」というのが(18)と(17)とある。これは何ですか。
  62. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 四十四年度の千九百八十六名の中には三十五名の賃金職員が含まれております。含まれて千九百八十六名でございます。四十三年度にはその種の人間がおりませんので、千九百二十一名は全部いわゆる定員の職員でございます。
  63. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 その賃金というのはどういうことですか。あなた方は専門だけれども、われわれ政治家にはわからないんだが、賃金と一般職員とどういうふうに変わるのか。
  64. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 定員というのは普通の職員で、一般会計等におきましては定員法で規定いたしております職員でございまして、この三十五名の賃金は一年を限りまして雇用する人でございます。
  65. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 わかりました。そうすると、これは言うならば臨時雇いというようなふうに理解していいんですか。
  66. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) その意味におきましては期限を限るわけでございますけれども、その人から定員のほうに逐次繰り入れてまいりますので、当初の一年間はこの人たちは賃金として雇われますけれども、おおむね二年度あたりからはこの人を定員に繰り入れていくというふうな措置をいたすわけでございます。
  67. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 それは欠員が出ればその中から相談して入れるということはあり得ると思うんですよ。欠員が出なかったとかりにしましょう。そうしたら、総定員法というものが片方でできている。それから、もしきついワクをはめられてぐんぐん攻め立てられてきたら、この三十五名はやめなければならないという、身分がきわめて不安定なものだというふうに私どもは常識的に考えますが、それとは違うんですか。安心していいんですか。
  68. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 全部がそのままで定員がふえない、あるいは全然減耗がないということになりますと、おっしゃるとおりでございます。しかしながら、定員のほうにおきましては通常減耗の職員がございます。同時にまた、自動車登録のほうは事務量が逐年ふえてまいっておりますので、従来は百名前後の増員をいただいておりますので、われわれの仕事の実態を御認識いただければ将来も必要な人間はいただけるものと思っておりますし、われわれとしても強くそれを希望いたすつもりでございまして、そういうことになりますというと、減耗と増員に対してこれらの人を入れていけば、御心配のような事態は起こらないのじゃないかと考えます。
  69. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 閣議了解に基づく、五%ずつ人員を減らしていくというのは、あれは四十三年度限りではなくて四十四年度あるいは四十五年度まではいくのじゃなかったですか。どうなっていますか。
  70. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) これは行管のほうで三年間で五%ということになっております。で、将来その削減をされますけれども、一方、必要な定員につきましては総定員法のワク内において操作されるものというふうに心得ておりますので、われわれといたしましては必要なものは極力要求をしていきたいと思います。
  71. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 おかしいのは、われわれは知らなかったのだ。たとえば自動車局はいろいろと業務が多岐多端にわたって、しかも検査登録、あるいは型式、あるいはいま言うように自動車整備士試験、今度は工場検査、そういうものをやるのには人が非常に少ないのじゃなかろうか、もっとふやしてやらなければたいへんだということで一生懸命やってやった。しかしあなた方は、賃金は幾らお願いします――この特別会計に関する限りは要求は賃金で要求するのですか。賃金のものがこれだけ、賃金でないものがこれだけ、たとえていえば、百名の中に六十五名は賃金じゃない、残る三十五名が賃金なんだ、これはどういうふうな予算要求をされたのですか。
  72. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) われわれのほうのこの種の仕事は一年限りの性格ではございませんので、当然定員として要求をいたしたわけでございます。しかし定員としては、財政当局等におきましてもいろいろ事情がございまして、六十五名ということに相なったわけでございまして、あとの三十五名は賃金としていただいたわけでございまして、われわれといたしましては百名という場合におきましては、当然定員でいただきたいということでございますし、必要な人間は約二百五名ほど要求いたしたわけでございますけれども、合計として百名、その中で三十五名賃金というふうに相なったわけでございまして、賃金のほうと両方を要求するということじゃなくして、この種の仕事は定員として確保するのが正当であろうと思います。
  73. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 では最後に、私の質問はきょうはこれで終わりますが、この特別会計の中で今度幾らか新規検査の場合、普通・小型車、あるいは継続検査の場合、いろいろと料金はこれからは限度を引き上げて特別会計の赤字は押えようという含みが多分にあってのことなんだけれども、この自動車検査特別会計の中で赤字が出ればとにもかくにも、これがどうにかやっていける場合でも、なお人間はこの程度からふやしちゃならぬぞと、大蔵省がノーと言えばふやせないものなのか。これは村山政務次官、あなた大蔵省におられたのですが、われわれから考えますと、よその分野にまで容喙、干渉されるような大蔵省のやり方が気に食わぬのですよ。村山政務次官、これは非常にわれわれから見れば奇々怪々なんですよ。この特別会計の中の、たとえば検査料なんかきめるのは、われわれ運輸委員会のほうで了承して、その予算のワク内において人員の操作をやろうとしておる。それに対して大蔵省のほうから、百名でも少ない、二百名ほしかったのに、百名ふやしたところがその中の三十五名は賃金だぞ、これは理由がないわけではないのだと思うのですよ。こういうものだから将来は人が要らなくなる、だからこの際は賃金でやっておいて将来人を減らす場合に都合がいいと大蔵省は考えたかもしれない。しかしながら局長の話を聞いていると、今後はますますふやしていかなければならぬと言う。政務次官はいま申し上げておることはおわかりでしょう。特別会計のそういう内容にまで立ち入って大蔵省がそういうことを言うから、役所の行政が萎縮する場合があるのですよ。どうか済みませんが、政務次官、私はきょうの質問は終わりますが、大蔵省のあなたの昔の部下の人たちがおりますから、けしからぬことをするなと委員会できつく言われたとあなたのほうから言ってくださいませんか。あらためてあさってやりますから……。
  74. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) いまの点はよく伝えておきます。ただ、私が知る範囲では、特別会計につきましていろいろな性格上の区分をしておる。たとえば専売公社特別会計でございますと、これは収益を目的にするということで一般会計に入れます。それから典型的に申しますと、強制保険の場合でございますと、事務費は全部一般会計持ち、さらにものによっては進んで給付関係も何割負担するというようになっています。通常事業または作業会計でございますと、まあ独立採算制というようなことを言いまして、その中の収入で経費をまかなう原則を立てているというようなことでございます。特別会計の性質というものをそのように機械的に割り切るのがいいかどうかという根本論に触れる問題であろうと思うのでございますが、おそらくその辺の割り出し方の問題ではないかと思いますが、よく伝えて、さらに検討するように申し伝えたいと思います。
  75. 谷口慶吉

    谷口慶吉君 自動車局長が予算の確定の際に非常に悲しい表情で、人をもっとふやしてもらわぬと当然やれぬということを言っておりましたよ。しかしながら、大蔵省のほうで、賃金でよかったら三十五名ふやしてやるんだ、そういうふうに何か色分けして人をやられることは少し行き過ぎじゃないかという気がします。賃金に色分けしたことは、私は腹に据えかねるんですよ。どうかそういうことをおっしゃっといてください。それをお願いいたして、私の質問はきょうは終わります ○委員長岡本悟君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  76. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  日本国有鉄道運営に関する件について質疑を行ないます。  なお、質疑に入ります前に、去る六月二十四日、山陽本線防府-富海間における列車火災事故について政府から報告を聴取いたします。町田鉄道監督局長
  77. 町田直

    政府委員(町田直君) 御説明に入ります前に、時刻をたがえまして遅参いたしまして、まことに申しわけございませんでした。つつしんでおわび申し上げます。  それではただいま御指定のございました山陽本線防府-富海間における列車火災事故の概要について御説明申し上げます。お配りしてございます資料につきまして申し上げます。  事故種別は列車火災でございます。  発生年月日が四十四年六月二十四日十九時五十三分。  場所が山陽本線の防府-富海間でございます。 列車は特急客第八列車「富士」でございます。 負傷者はございませんでした。  状況でございますが、上り特急客第八列車が防府駅を定時刻に出発いたしまして、時速約九十キロの惰行運転で進行中、前から三両目の客車に乗務中の乗客掛及び四両目客車に乗務中の乗客掛は、前から三両目客車内に異臭と煙の立ち込めているのを認めましたので、旅客九名を四両目の客車に誘導した後、四両目の客車の乗客掛がその車の車掌弁を使用いたしまして急停止の手配をいたしました。一方、電気機関士は、列車の後部から非常ブレーキが作用しましたため、急停止の手配をとり、防府・富海の駅間に停止をいたしました。 停止後、電気機関士、車掌、乗客掛、車両検査掛等が協力いたしまして三両目の客車床下の中央器具箱付近の出火個所の消火につとめましたが、消火が非常に困難でございましたので、三両目客車と前後の客車の間を分離いたしまして類焼防止の処置を行ないます一方、車掌は消防署に消火の要請を行ない、防府駅に通報を行ないました。消防署及び消防団の消防自動車が参りまして消火作業に当たり、二十時五十五分に鎮化いたしました。  消火いたしました後、三両目の客車の点検を行ない、走行に支障のないことを確認して、現場に一時間三十一分停止したあとで、注意運転で富海駅上り本線に到着、事故車を解放いたしまして同駅を二時間十一分おくれて出発いたしました。以上が火災の状況でございます。  原因につきましては、前から三両目客車の床下ユニットクーラーから出火いたしまして、床上にそれが燃え移ったというふうに考えられますが、詳細については現在調査中でございます。  関係者は、この資料にございますように、電気機関士並びに助士、それから乗客掛が五名、車掌が二名、車両検査掛が二名、以上でございます。 なお、その焼失の状態の図が、簡単な図でございますがついてございますので、御参考にしていただきたいと思います。
  78. 岡本悟

    委員長岡本悟君) この際、参考人の皆さま方に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会のために御出席くださいまして、ありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。また長い間お待たせをいたしましてたいへん御無礼いたしました。この点もあしからず御容赦いただきたいと考えます。 それではこれから質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。
  79. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 いまの監督局長の報告ですがね、事実と違うようなんですね。国鉄の運転局から私が報告をしてもらった内容は、床下の冷却器から出火をしたが、それがダクトを通って天井にあるクーラーから火をふいて天井のほうから焼けてきた、上のほうから焼けてきたと、こういうふうに報告を聞いているわけです。いまの局長の報告によりますと、床下から火をふいて、そしてそれが床の上に燃え上がったように報告をされておる。だいぶ違うわけです。もし、鉄監局長がこの列車火災事故の詳細について御存じないとすれば、ちょっと問題じゃないかというような気がするのです。報告が私どもが聞いた感じとちょっと違いますから、その点をもう少し詳細に補足をしていただきたいと思います。
  80. 町田直

    政府委員(町田直君) 私の御説明が非常にまずかったかもしれませんが、そのどこから燃えたかということは、この資料のところではっきり書いてございませんので、はなはだ失礼いたしましたが、「3両目客車内に異臭と煙のたちこめているのを認めたため、」云々と、こういう表現をいたしておるわけでございます。それから車両検査掛等が協力して三両目客車床下中央付近の出火個所の消火につとめた、その辺が出火個所であるということで、その消火につとめたと、こういう表現になっておりますが、事実は――事実と申しますか、燃えだしたのは、御指摘のように寝台車の上のほうのダクトの上の口のはうから燃えだした、こういうことはそのとおりでございますので、私はその点は実は存じておりますけれども、非常に説明がへただと申しますか、はっきりいたしませんで失礼いたしましたけれども、事実はそのとおりでございます。
  81. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 文章自体がこれやはり知らないで書いているのじゃないかという感じを受けるのです。その「前から3両目客車の床下ユニットクーラーから発火して床上に燃焼したものと考えられる」、天井だって床上には違いないけれどもね。床上ということになると床の上のいす、寝台であるとか、要するに下のほうから焼けたというふうに考えます。ところが事実は天井のほうから焼けてきたわけですね。この火事のもとになった冷却器は床の下にある、しかしそれがこのダクトというのを通ってそれが天井にいって、天井についておる冷却器といいますか送風機といいますか、そこから火が出て上のほうから焼けてきたのです。だからこの報告によりますと、この寝台、三段の寝台があるけれども、寝台の上段のほうから焼けてきているわけです。上段から中段、下段というふうに焼けてきているわけです。だから上のほうに寝ていた人は、上段に寝ていた人は冗談じゃないということになる。ほんとうなら冷たい空気が出てくるところから火が出てきたわけですね。これはお客にとっても想像できなかったことだろうと思うし、乗務員にとっても想像できなかったことじゃないかと思うのです。冷房装置から火をふくなんということは私どもしろうとにはちょっと考えつかないのです。しかし、事実問題としてこういうふろに客車が焼けた、たまたまこれをとめて、消火をするということができたし、その措置が早かったからいいようなものの、燃え上がったならば九十キロのスピードで走っていたのですから、たちまちこの車両全体が火だるまになってしまったということが想像されますね。そうなると、この寝台車全体が火葬場のかまどのようなかっこうになってしまったということもこれまた想像されるわけなんです。  ところで、その原因が現在調査中ということなんですけれども、どこまで火災の原因が判明をしたのか。調査中ということでいつまでも続けられていいものじゃないと思うのです。また、調査中ということだけで、同じ車両、同じ構造の冷房装置をつけた車が現在そのまま走っているということになりますと、発火の可能性を秘めた車が今日日本じゅうを走り回っているということになるのですね。これは非常にゆゆしい問題になるのじゃないかと思うのでありますが、それらの点についてさらに御説明を願いたいと思います。
  82. 町田直

    政府委員(町田直君) これは現車をこちらへ持ってまいりまして、なおその焼失の出火点と見られますクーラーについて、国鉄におきまして現在詳細に調査中でございますので、国鉄の工作局長から御答弁いたさせます。
  83. 片岡博

    説明員(片岡博君) 現車は先般品川区に回送いたしまして、警察、消防立ち会いのもとに原因の調査をいたしまして、さらに昨日大船工場に回送いたしまして終日その検査をやっております。まだその結果を詳細にまとめる段階まで至っておりません。大体いままでのところそういった経過をたどって調査を進めておることだけを御報告申し上げます。
  84. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この火災と前後して山陽本線で脱線事故があり、それも競合脱線ではないかということで原因調査中、その前の東海道線の三島周辺における脱線事故もこれまた調査中、最近の事故は全部調査中で原因がわからないわけです。原因のわからないままいつまでも欠陥車ではないかと思われる車両を運転をしているということは、利用者にとってみればきわめてゆゆしい問題じゃないかと思うのでありますけれども、どのくらい調査していけばその原因がはっきりするのか。どういう機関調査に立ち会っているのか。その原因は皆目わからないのか。わからないとなれば、推定でもって結論を下すほかないのか。その辺はどういうことになるのでしょう。
  85. 片岡博

    説明員(片岡博君) いまのお話のとおりに、調査中のものが非常に多くて申しわけないのでございますが、この車両火災につきましては近日中に結論を出し得ると考えております。  各種脱線の問題につきましては、いろいろと根本的な問題の究明もございますので、発生個所における現車の試験をやりましたり、また、ただいま北海道の実験線で脱線の実験をやっておりまして、そういうようないろいろな調査を総合してできるだけ早く結論を出したいと思っておりますが、それに関係なく、一応いまわれわれとしてそういった危険を防止するための手段をいろいろと講じていることをあわせて御報告申し上げます。
  86. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 先般来、この委員会自動車欠陥車問題がずいぶん論議をされ、自動車メーカー等の参考人にも御出席をいただいているわけでありますけれども自動車欠陥車はいち早くその欠陥部分を改良をする、あるいはまた、すでに売り出された車を回収する、こういう措置をそれぞれのメーカーがとっているわけです。ところが国鉄の車両の場合は、これは火をふいたのですから、その原因がわからない以上は火をふく可能性があるということになるし、その意味では脱線した車も、あるいは火災になった車も欠陥車ではないかという疑いが持たれるわけです。そうなりますと、その原因の究明というものが一刻もゆるがせにできないということになるわけでありますが、この発火あるいは脱線の可能性を秘めたままの状態で運行をしている場合に、運輸省としては一体どのような処置を講すればよいというふうにお考えになっているのか、その点をお伺いしたいと思うのであります。
  87. 町田直

    政府委員(町田直君) ただいま御指摘のように、原因がはっきりしないという問題についてどうするかということでございますが、いわゆる競合脱線につきましては、大体原因が競合脱線と申しましていろいろな原因が積み重なって起きたものである、こういう推定がされているわけでございます。これが車両そのものの、ただいま先生がおっしゃいましたような欠陥がその一つの原因になっているということではないという推定でございますので、特にその車両をどうこうするという措置はとりませんで、競合脱線と推定されるものに対する現在の時点におきましてできるだけの措置を講じていく、そうしてなお引き続いて競合脱線に対する根本的な対策というものを今後考える、こういうことで、これは実はこの前の本委員会でも御説明申し上げましたけれども、そういう措置をとることにいたし、国鉄もそういたしております。私のほうもそういう措置を一刻も早くとるようにということで指示をいたしておる次第でございます。  それからこのクーラーの問題につきましては、クーラー自体のどこに欠陥があるかということでございまして、これはいま国鉄の工作局長のほうから御説明がございましたように、この原因につきましては、目下調査中でございますけれども、そう遠くない時期にははっきりしたことがわかるのではないかということでございますので、その間、このクーラーのついております車を全部とめてしまうというような、何と申しますか、非常に画期的な措置をとらなくても、いまの段階でクーラーから火の出る原因というものをできるだけ早くさがしていくということで対処いたしたいというように考えておる次第でございます。
  88. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ここ一年間ぐらいの間に車両火災は一体国鉄で、あるいは私鉄を含めて何件ぐらいあったか、あるいはその原因はどういうものなのか、わかっているかわかっていないのか、それから冷房装置からの発火という例があったのかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思うのです。
  89. 町田直

    政府委員(町田直君) 昨年一年間で車両火災が、列車火災が三件ございました。その中にはクーラーから出た、火災が起きたということはございません。
  90. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、冷房装置からの火災はいままで例がないということなんですね。
  91. 町田直

    政府委員(町田直君) 初めてでございます。
  92. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それじゃいままでの車両火災はどんなことで火災になっておるのか、その点参考までに御報告願いたいと思います。
  93. 片岡博

    説明員(片岡博君) これは四十三年四月以降の列車火災でございますが、たとえばたばこの残火とか、あるいは制輪子による発火とか、それから制御器の接触機が加熱したため、また、蒸気機関車の残火によるものとか、主回路配線過熱のため、そういったものがございますが、直接冷房装置から発火したのは、いま監督局長のおっしゃったようにございません。
  94. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 焼けた車と同型の車両を製作した車両メーカーはどことどこになっているのか、これを御報告願いたい。
  95. 片岡博

    説明員(片岡博君) これと同じ形式の車は日本車両と日立製作所でつくってもらっております。
  96. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 冷房装置、クーラーのほうはどうですか。
  97. 片岡博

    説明員(片岡博君) クーラーのほうは、日立製作所で最初二、三基づくった以外は全部三菱電機株式会社でつくってもらっております。
  98. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 設計と発注、製造はどういう過程を経て行なわれるのか。それから車両の一両の製作費がどのくらいかかるのか、製作費の決定はだれがどういうふうにして行なうのか、そういう点をお答え願いたいと思います。
  99. 片岡博

    説明員(片岡博君) 車両の価格についてお答えいたします。いまの二〇系の前の二等寝台のナハネと申しますか、これで申しますと二千二百七十万円という価格で購入しております。  それから価格決定について申し上げますと、これは以前、国鉄の車両の購入価格についていろいろと疑義が出ましたときに、車両の購入価格調査委員会委員長は古川栄一氏でございますが、三十四年の四月二十八日、車両の購入価格についての答申をいただいております。その様式に基づきまして、工作局の車両課で設計に基づく直接材料費並びに工作費の算定をやりまして、それをもとにして、資材局で購入するときの価格を決定いたしております。それに対して車両メーカーは、数社が応札をして価格が決定されるような仕組みになっております。  設計は、国鉄の車両設計をやっております車両設計事務所におきまして、使用者側の要求、たとえば線区別のいろいろの条件とか、それから輸送の条件とかそういったものを勘案しまして、それに応ずる車両を設計いたします。その設計された車両につきまして、先ほど申し上げましたように、材料費並びに工作費というものを車両課で算定して、資材局に回すというような形の経路をたどっております。
  100. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、設計なりあるいは価格の算定なりというのは全部国鉄でやって、購入も資材局で購入をする、こういう形になるんですね。
  101. 片岡博

    説明員(片岡博君) おっしゃるとおりでございます。
  102. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 検査はそうするとやはり国鉄が立ち会うわけですか。どの部局がこの検査に立ち会うのか。
  103. 片岡博

    説明員(片岡博君) 本年度の購入車両に関しましては、資材局に品質管理部というものをつくりまして、そこで会社の内部検査を向上させるという形の品質管理を行ない始めておりますが、それまでは鉄道機器製作監督事務所というものを本社の付属機関として持っておりまして、そこで製作の必要な個所をそれぞれ検査をするという形をとっております。しかし、車両メーカーも非常に技量的に進歩してまいっておりますし、品質管理も非常によくできておるということで、いま申し上げたような形態に本年度から切りかえております。
  104. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 資材局の品質管理部が今年度から検査に立ち会うということになっているわけですが、それでは今度は参考人の方にお伺いをしたいと思うのでありますが、自動車業界で問題になったいわゆる欠陥車、こういう形の車は鉄道車両には存在しないというふうに言えるのかどうかですね。これは設計の責任が一切国鉄にあるわけでありますから、もし欠陥車が存在をするということになると、その責任はメーカーだけではないということになってまいりますけれども、しかしいわゆる欠陥車ということばが最近のことばなんで、どの程度のことを欠陥車と言っていいかどうか問題はあると思いますけれども車両メーカーとしてはこの欠陥車なるものはつくらない、こういうふうに、つくっていないというふうに断言できるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  105. 天野春一

    参考人(天野春一君) 申し上げます。  いま御説明のありましたように、設計は国鉄の設計に従いまして、製作しております。もちろん欠陥車につきましては、神さまでございませんから、一台もないということは申し切ることはできません。中に工作上の不良等のものが絶対にないということは申し上げられませんが、良心的に品質管理に従って製作をしておりますので、そういう例外的な、人間をもって防ぎ切れないものを除きましては、私は欠陥車はないものと信じております。
  106. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 車両メーカーの立場で、部品の外注を行なうといったようなことはどの程度であるのか、パーセンテージにして。その場合に、外注工場車両メーカーとの価格契約というものは独自で行なうようになっているのか、あるいはそれもまた国鉄で決定をするようになっているのか、その点をお伺いしたいのであります。
  107. 天野春一

    参考人(天野春一君) 車によってパーセンテージが違いますので、一がいに申し上げられませんが、平均いたしますと約一五、六%程度ではないかと思います。それから購入につきましては、ごく重要な足回り品等は国鉄がお買い上げになりまして、私どもに御支給くださるという部品もございます。それから私どもはメーカーさんから直接買うという場合と両方ございます。
  108. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 問題になりました冷房装置等は、車両会社のほうで注文をして購入をされるということになっているのか、その点どういう関係になっているのか、お伺いしたいと思います。
  109. 天野春一

    参考人(天野春一君) 冷房装置につきましては、車両会社が部品会社から購入することになっております。
  110. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 三菱の松田参考人にお伺いしますが、この三菱でこしらえている冷房装置は国鉄だけですか、それとも私鉄等にも納めておられるのか。これは直接国鉄と契約をするのでなくて、日本車輪なりあるいは汽車会社なりという車両メーカーと契約されるようになっているのか、その点をお伺いしたいと思っております。
  111. 松田新市

    参考人(松田新市君) 根本的には冷房装置は家庭用の冷房装置とそう大差はございません。ただ、車両用の場合には、振動とかいろんな関係よりも構造上あるいは操作上いろんなむずかしい問題がございます。しかし、根本的な設計は家庭用の冷房装置とあまり相違ございません。家庭用にはうんと出しておりますが、車両用といたしましても国鉄さん以外にあるいは小田急さんであるとか、近鉄さんであるとか、このごろの私鉄さんも冷房装置なくしてはサービスにならぬ面がございますので、したがいまして、車両につきましては国鉄さん以外にも私鉄さんにも出しております。しかしながら、何ぶん国鉄さんが車両の数が多いものでございますから、そのパーセンテージは、国鉄さんに比べますと、わずかなものでございます。
  112. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 価格の契約といいますか、それは国鉄との間の契約になるのか、車両メーカーとの契約になるのか、その点はどうですか。
  113. 松田新市

    参考人(松田新市君) 価格につきましては、国鉄さんの御検討をいただきまして、きめていただきます。しかし、契約上の問題は車両メーカーさんと契約いたします。
  114. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 このクーラーの構造は、根本的には家庭用と大差ないということなんですが、今回火をふいたわけですね。一体何が原因でこういう火災事故を起こすというふうに考えられるのか、この原因、まだわからぬということなんでありますけれども、いろいろな場合を想定しなければならないので、特にこの冷房装置をおつくりになっている立場で考えられることはどういうことなんでしょうか。
  115. 松田新市

    参考人(松田新市君) 家庭用にたくさん使っておりまして、冷房装置が焼けた例はございません。したがいまして、今回の車両に積んだものが焼けたことについては、何が原因であるか、先ほど国鉄の御当局の方から御答弁がありましたように、私どもも原因がわからない状態でおりますが、しかし、根本的にはクーラーの電気を使っているモーターとか、そういうものについてはそう損傷がないように聞いておりますので、原因がわかりましてもたいした問題じゃなく、これは推定でございますが、偶発的なことであろうと考えております。したがいまして、先ほど国鉄当局あるいは監督局長から御説明がありましたように、同型の車両が走っておりましても、それがいきなり危険を伴うようなものであるとは、私どもも専門的立場で危険とは考えておりません。案外偶発的な原因じゃないかと考えております。
  116. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうなると、全くこれはわからぬ話なんですけれども、偶発的な原因だとすると、車両につけているクーラーですから、家庭用とはちょっと違いますがね、車両につけているがゆえに火災を起こしやすい、火災の可能性があるというふうに判断をされるような事柄はあるんでしょうか。その点はどうでしょうか。
  117. 松田新市

    参考人(松田新市君) いままで私のほうの専門的立場で調査に加わらしていただいた結果では、そういうふうな車両なるがゆえに火災が起きるというようには考えておりません。そういう点がこれから国鉄さんで究明していただく点じゃないかと考えられます。
  118. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 考えられないにしても、ともかくこの寝台車が焼けたことは間違いないわけですね。火が出たことは間違いないわけですよ。そうすると、いろいろな場合を想定をして予防策を購じなければならないんじゃないかと思うわけですね。きのう、ちょっと説明してもらったところによると、床下に冷却室があって、ここが焼けて――ダクトを通って冷い風が天井へいって、それが室内に入るようになっておる。そうすると、焼けたのはここの、いわゆる冷却室が焼けたのではないということだったんですが、発火の個所ですね、発火の一番大もとになる個所は、この床下のクーラーの冷却室であるということは、これは間違いはないんですか。この点は当局でもよろしいですが、お伺いしたい。
  119. 片岡博

    説明員(片岡博君) 先ほど申し上げましたように、まだ調査が完了したわけではございませんが、いままで機器の部分をいろいろと精査いたしまして、機器に異常を認められておりません。先ほどお話がございましたように、ダクトで天井から火が出ておりますけれども、それは熱交換器のところへ外から空気が入る。室内から入っていきます。入っていって熱交換器を通るその付近で非常に大きく火が一度燃えた。それがファンで中に吸い込まれて上に上げられているというふうにわれわれはいまのところでは考えております。どういうわけでそこに火が出たかということを現在いろいろ検討しておるわけでございます。
  120. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 わからないまま過ごされるというのは心細い話なんですがね。天井から冷たい空気が出るはずのところ、そこから火をふいたということになると、だれしもこれは考えていないことじゃないかと思うのですね。ほんとうは冷たい空気が出るはずだ。そこから火が出た。ビールを飲むつもりで口をつけたらかん酒だったというようなものじゃないのですね、これは。水を飲むつもりだったら煮え湯だったというようなもので、おそらくこれを発見した乗務員は、何がゆえに、どこから火が出たかということを判断することができなかったんじゃないかというふうに思うんですよ。そこで、乗務員関係の、当日これに乗っておった乗務員が一体どういうふうに判断をしたか。どこから火が出たのかというように思い、消火器をもってどういうふうに行動したかという点について、これは飯田参考人のほうから伺いたいと思うのです。
  121. 飯田一郎

    参考人(飯田一郎君) 申し上げます。  いま指摘のありました関係については、当時の乗務員は専務車掌二名、乗務掛十四名の乗り組みであったわけです。先ほどお話がありましたように防府-富海間、防府を定発しまして、途中に差しかかって、十二号車から異様な煙を発見した、こういうことで十二号車の乗務掛が当該列車の車掌弁によりまして、列車停止の措置をとったのでありますが、列車乗務員の車両の機器の知識というものは、大体下回りの部面といいましても、車両構造の床上以上の機器の取り扱いについては従来訓練はされておりますけれども、教育がなされておりますけれども、下回りの部面というものについては大体工作関係、現場でいいますと、客貨車区の関係などが担当するというように区分をされているというのが現状であるわけです。したがって、冷気を送風する送気管から異臭な煙を発見した、こういうことで、どこに具体的に火災の震源地があるかということで、もとより構造上の関係がわかりませんから、それらが出てくる方向に向かって、当時の十二号車の乗客と、さらには七号車に乗っておる専務なり付近に乗務をしておりました関係の乗務掛が共同して消火作業に当たった。で、この事故の現場というのが、両側がたんぼだそうでありましたので、その地点で列車をとめて消火するということをするのには非常に地理的条件が悪いということで、十一号車から切り離しをしまして、付近に踏切があったそうでありますが、その踏切に接近した個所で切り離しをし、消火をしよう、こういうように考えまして消火作業に当たったというのが現状のようであります。専務車掌は急速消防署に依頼しまして、それで消火に当たったというのが実情であり、当時、先ほどからお話がありましたように、十二号車の乗客、乗車人員は先ほど九名というお話がありましたが、乗務員のお話ですと十名だというように聞いてまいっておりますので、その部面が若干違うわけでありますが、十名の乗客が乗車をされておった。それでさっそく先ほどお話をいたしましたように、車掌弁によりまして急速停車手配をすると同時に、隣接線路の防護をする、さらにお客の誘導に入る、それから消火作業に当たった。こういう手順で、まあ幸いにいたしまして、事故の発生した時刻が十九時五十三分ということでありますので、当時乗務掛というものは、全車両について一名ずつ乗務をしておった。こういうような状況の中で列車が火災を生じ、幸いにいま申し上げましたように、乗務員がそういう形で一車専属に乗っておったということで、消火作業についても十分な万全の措置がとれたんじゃないかというように私のほうとしては思っているわけであります。 乗り組みの関係について若干お答えをしておきますが、寝台を装備したり解体をする乗務員は、通常A寝台、B寝台を含めまして、二車に一名ということで乗務をしているのが原則的な乗務の姿になっているわけでありますが、途中列車の装備と解体のある区間については、そのほかに必要な乗務員を手配する、こういうことをとりましたので、先ほど申し上げましたように、寝台の使用開始の時間が二十一時でありますから、おおむねハネ一車に通常セットをする場合に、装備する場合には三時間程度の所要時間が必要だ、こういうことになりますので、使用開始前の要するに三時間――もちろん、三時間というふうに限定はされておりませんけれども、それらの時間帯から、結局装備、解体をするために乗務をする、こういうことで行なわれたために、一応、先ほど申し上げましたように一車専属に一名ずつ乗務掛が担当をしておった中で火災が発生した。その乗り組みの関係につきましては、昨年四十三年の四月の段階で、本社と本部の間で合理化の事案として取り上げられ、中央の協定によりまして四十三年の五月十五日から、先ほど来申し上げておりますように、原則的には乗務掛については二車について一名、区間の作業のあるものについては必要な要員を措置する、こういう形でいま乗務をしているというのが実態であります。したがいまして、重複をいたしますが、関係乗務員が下回りの部面についての関係については、これは保守範囲というものが区分をされておりますので、そういう関係で列車乗務については、それらの構造――下回りの部面の構造については今日、教育がなされておりませんのでわからぬというのが実情だということを申し添えておきます。
  122. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 車両には火災警報機はついているのかどうか、消火器の数はどのくらいあったのか、その点ちょっとお知らせ願いたいと思うんですが。
  123. 飯田一郎

    参考人(飯田一郎君) 申し上げます。  警報機については、特に火災警報機という関係でついてございません。それから、消火器の関係については全車両について一台ずつ、乗務員室付近に設備をされているというのがいまの状況であります。なお、消火器の中身でありますが、これらについては、消火器の名称等については特に指定をした言い方をしていない。通常の消火器ということで搭載をされているというのが実情であります。
  124. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この火災が起きた瞬間は八時前ですから、まだお客は寝ていなかった。幸いにして、中には寝ていた人もいたかもしれないけれども、まあ大体においてみんなが寝ている時間ではないわけです。しかし、それはたまたまそういう時間帯であったのは幸いだったと思うけれども、消火器を持っていっても、天井のクーラーから煙が出たということになると、どこから発火してそうなっておるのかということは、おそらく乗務員にはわからないということですね。そうすると、消火器を持ってもその消火器をどこに向けていいかわからないという状態にあったのじゃないかと思うのですが、その当時の状況ははたしてどうだったのか。その点をお伺いしたいと思うんです。
  125. 飯田一郎

    参考人(飯田一郎君) その関係については、先ほどもお答えしましたように、車両の機器の関係は、床上以上の、要するに冷暖房の操作盤の機器の扱い、こういうものが列車乗務員に課せられた任務になっておりますので、その関係は十分に承知をして作業が通常行なわれているわけでありますが、特にユニットクーラー関係の構造ないしは機器の内容については、これは十分に知っておらないわけです。ただ、上の送気窓から異臭な煙が出た、こういうことでありますので、乗務員としてはお客をまず先に退避させよう、こういうことで誘導して、いずれにしても幾つかの個所からも煙が出るわけですから、そういう形で消火につとめたわけですが、もとよりわからぬわけですから、やはり判断として切り離しをする、こういう考え方で、先ほども申し上げましたように、踏切道に近い個所に、まあこれは概算ですけれども約二百メートル程度踏切道に近い位置に三両までを引き出してとめて消火を容易にさせる、こういう手配をとったというのが実情であります。
  126. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 運輸省のきょう配付された事故概要は、「前から三両目客車の床下ユニットクーラーから発火して床上に燃焼したものと考えられる」、こうなっておりますから、これだけからいくと、床の下から火が出てそれが床上に燃え上がったというふうにこれは受け取れるわけです。ところが実際は、車内の天井についておる、何というのですか、送風機というのですか、冷風機というのですか、要するにクーラー。この二十メートルの車内の前からうしろまでたくさんついているわけでしょう、何個か。それは何個ぐらいついているわけですか。
  127. 片岡博

    説明員(片岡博君) 冷房装置には二通りございまして、一つ一つ屋根の上についているユニットクーラーと称するもの、それからこういうふうに集中して二つ床下についておりまして、といで上に上げて天井を通して穴を一ぱいあけて出しております。これはこういう形になっております。これは冷房装置そのものは下にあり、上のほうはとい、われわれはダクトと申しておりますが、そういうもので風を送っております。
  128. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 数はどのくらいあるのですか。
  129. 片岡博

    説明員(片岡博君) 吐き出し口の数でございますが、九個とそのほかに乗務員室にもございます。
  130. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 要するに、車内の天井から一斉に煙をふいたということになるわけですね。当時の現象としては、床下からは煙もこなければ火災も上がらない。天井から一斉に煙をふいたというかっこうになるわけですね。そうなると、やはり乗務員にしても乗客にしても、どこから火が出てきたのだかわからなかっただろうと思うのです。一体、こういう状態になった場合はどうしたらいいかということになると、応用動作でいくほかないと思うのですね。乗務員の場合はそこで退避をさせて車両を切り離すという処置をとったのだろうと思うのでありますけれども、この事故あとで、特にメーカーとしてはどういう対策を講ぜられたか。まだ原因がわからないので対策はいまだ立たないなら立たないでけっこうですが、何か研究をされる研究機関等があって、研究をしたり実験をしたりというようなことがあったのかどうか。その点をそれぞれの車両メーカーなり電機メーカーなり、それぞれからお答え願いたいと思うのです。
  131. 天野春一

    参考人(天野春一君) いまの火災車両につきましては原因がはっきりいたしておりませんので、原因がわかりましたら、それにつきまして対策を講じたいと思っております。
  132. 松田新市

    参考人(松田新市君) 私のほうもただいまの車両メーカーさんと同じ考えでございまして、目下一生懸命原因を追及しておりますので、それを待って対策を考えたいと思っております。
  133. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 もしこの原因がわからなかったら一体どうされるおつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  134. 片岡博

    説明員(片岡博君) 先ほど申し上げましたように、この原因については早急に結論を出したいと考えておりますが、とりあえず機器類全般に関して特別点検を一斉に行なわせております。それと、もし老朽部品などがございましたら、それを取りかえるようにさせております。それから、この床下にありますクーラーの内側に断熱材を熱効果をあげるために張ってございますが、そういったものもはいで不燃のものにかえる、それからさらにダクトの内面の検査をやる、そういうことを至急にやらせております。
  135. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 きのう私は車両を見て思ったんですけれども、いわゆるといのダクトですね、あれが通路に面したところにあるわけですよ。網状になっている。あそこからあたたかい空気を吸い込んで、下のほうの冷却室に入れて冷やして、それを天井に上げるというしかけになっておるそうですね。あのダクトに、空気を吸い込んでおりますけれども、かりにたばこの火をあそこでもみ消すつもりで――ちょっと穴があいているから、たばこをもみ消すのにはちょっと誘惑を感じるようなしかけになっていますね。あそこでもってたばこの火をもみ消すようなことをやったならば、中に火が入るということがあり得るのかどうか。その点はどうでしょう。
  136. 片岡博

    説明員(片岡博君) いまおっしゃいますように、室内の吸い込みのダクトには、三段になってそれぞれ金属の穴のあいた飾り板がついております。それから内側のほうに約五十ミリぐらい隔てて防塵用の網がついております。これはサランでございます。御承知のように、寝台車は一日に二回ああいうふうに寝具を扱いますものですから、非常にごみが発生いたしまして、その部分にごみがたまるわけでございます。したがって、いま先生のおっしゃるように、ついたばこをもみ消しますと――ちょうど吸い込みの風速が二メートル半ぐらいでございます。相当強く吸っております。もしもみ消せば、火の粉は確かに中に入ってまいりますし、また、そこに非常にごみがたくさんあれば、危険な状態も想定し得ると思います。ただ、そのために常に点検を怠らないようにし、その掃除を励行はいたしております。たとえば、工場などに入場いたしましたときの車の状態では、相当なごみが出ておることがございます。
  137. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、寝台車の通路側にあるダクトにたばこの火か何かをもみ消すつもりでこすりつけたりすれば、そこから火が入るということは、可能性としてはあるわけですね。
  138. 片岡博

    説明員(片岡博君) 先ほど申し上げましたように、可能性としては、あると思います。
  139. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 床下に空気の吸い込み口というのがあるんですけれども、火災が起きたんですから、どっから火がついたことは間違いないんですよね。そうすると、床下の外気の吸い込み口から、たとえば線路上に落とされたたばこの吸いがら等が舞い上がって入るというような可能性はあるのかどうか。そういう場合に、外気の吸い込み口からそういう火の気のあるものが入った場合に、そこで発火をするという可能性はあるのかどうか、その点をお伺いしたい。
  140. 片岡博

    説明員(片岡博君) 空気は、室内から一部取っておりますほかに外から取っておりまして、それはやっぱり室内のそういったサランの網のような形のちりよけを通しております。それはオイルバスと申しておりまして、入りました空気を油の表面にたたきつけて、そしてその後にサランの網を通して中に入れるという形をとっておりますので、普通の温度の火であれば、油にたたきつけたときにこの場合は消えるんじゃないかと思われます。油が火に対してあるということはおかしいように聞こえますが、この油の発火する温度は、大体二百度ぐらいにならなければ発火いたしませんので、先ほどのたばこの火のようなものですと、そこから入った分は消えてしまうんじゃないかと思われます。
  141. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 その外気を吸い込む口は床下とそれから車内のダクト以外にはない。そうすると、冷却室の中で送風機用電動機が故障して発火をするというようなことがあるか、あるいは外的な要因としてはたばこの火等がダクト等から入れられて、そして発火をするか、いずれしかないんじゃないかと思われる。九十キロで走っている客車ですから、放火犯がいてその車に火をつけようとしても、床下にもぐり込むわけにはいかないんですから、そうすると、この冷却室等の自然発火か、さもなくば、外的なたばこの火等によって、ダクトから火の気が入るか、それ以外にちょっと考えられないような気がするんでありますけれども、専門的な立場からいうと、それ以外の方法があるのかどうか。大体こういう二つの原因ということが想定されるのか。その点を松田参考人から専門的な立場でお答え願いたいと思います。
  142. 松田新市

    参考人(松田新市君) 電気的にはモーターを使いましてファンを駆動いたしまして、それで冷たい空気を送るんでございますが、ただいまの御質問のように、もしモーターが故障するとか、そういう面の心配はないかどうかという御質問だと思います。電気的にはオーバーロードした場合にはサーキットを切るようなそういうサーキットブレーカーが電気的についております。それから非常に圧力が高くなりますと、あるいは圧力が非常に低くなりますと、自動的に電気回路を切るような保護回路になっております。したがって、通常の状態におきましては、そういう電気回路の保護装置事故の起こることはないと思います。ただいま御質問のように、もし万一モーターが動かなくなった場合にはそこから火が出るんじゃないかという御質問でございましたが、モーターとファンの間にはゴムのベルトで動力を伝達しておりますから、モーターが、たとえばベアリングが焼きついて動かなくなったという場合には、当然これはゴムベルトのベルトが切れるわけでございまして、これは機械的な保護装置だと考えられます。したがいまして、電気的なオーバーロード、あるいはいろんな問題、あるいは機械的なそういう異常現象が起きましても、これは大体一〇〇%保護できると私は考えております。
  143. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 どうも専門的な話聞くと、私どもにはだんだんわからなくなるわけですが、しかし何か原因があったことは間違いないわけですね、火災が現に発生しているわけですから。そうすると、その構造上、現在のような構造より安全なクーラーをこれからこしらえるということも考えなきゃならぬのじゃないかと思うんです。一応これはめったにないことで、初めてだと言われるかもしれないけれども、この構造で火災が起きたならば、起こり得る火災の可能性ということをいろいろ考えて、そしてそのクーラーそのものの設計上、構造上の変更ということをする必要があるのではないかという気がいたしますが、それらの設計上の問題は、これは国鉄当局の責任において行なうことになるのか。その点の考え方はあるのかどうか。その点をお伺いしたいと思います。
  144. 片岡博

    説明員(片岡博君) このクーラーのような市販性がありまして非常に市場にたくさん出ている、つまりメーカーがそれに対する非常に高い技量を持っているものに対しましては、うちは仕様書をつくってチェックいたしますと同時に、納入のときに検査する以外に設計にはタッチしておりません。
  145. 加瀬完

    ○加瀬完君 ちょっと関連。松田参考人に伺いますが、いかなる状態においても全然発火をするような要因はあり得ないということなんでしょうか。もし発火をする要因ありとすれば、想像されることはどんなことですか。
  146. 松田新市

    参考人(松田新市君) 電気はすなわち火であり熱であるわけでございまするので、どんなことで火が出ぬとも限りません。それはよく家庭でもありますような、非常に能力以上によけい電気を食わした場合のオーバーロードでございます。家庭の場合でもヒューズで保護しておりますが、車両の場合にはより精巧な遮断器で切るようにしております。しかしながら、あるいはモーターの内部で、専門的にはレアショートとか言いまするが、そういうことであるいは火花が出るかもわかりません。しかしながら、その場合でも保護装置で保護できますし、それが直ちに火となって火災の原因になるとは考えられません。それは構造上モーターとそのほかの部分が鉄板の壁でもって隔離されておりますので、隔離された鉄板の箱の中にモーターが入っておりますから、たとえモーターがレアショートして何かのはずみで火をふくことがございましても、その火が外部に、いわゆるタッグのほうに出ていくことがないような構造になっておりますから、私はまず間違いない、問題ないんじゃないかと考えております。しかし、それが一〇〇%だいじょうぶであるかと言われると、ただいま瀬谷先生がおっしゃいましたように、火事が起きたんでございますから、そういう火事が起きたということにつきましては、これはゼロに返って、振り出しに戻って技術的に再検討する必要があると思っております。その技術的再検討をどういう的にしぼってやるべきかということにつきましては、目下国鉄当局で原因を追及していただいておりますので、それを待ちまして、もしそれが私のほうの電機のほうに多少なりとも関係があることであれば、試験研究あるいは設計変更ということも考えたいと思っております。現在のところ事故車の状況から見まして、電気的に何か問題があるようには考えておりません。
  147. 加瀬完

    ○加瀬完君 いままでクーラーからの発火というものは、こういう大きな発火ということではなくて、小さいものでもおたくの会社だけではなくて、クーラー全体から見ても全然なかったのかどうか。  それから国鉄当局に伺いますが、モーター等からの発火ということがあり得るとすれば、いま調査中だというけれども、一体どういう点に焦点を置いて発火の原因というものを調査をしているのか、その大体の目安といいますか、現在の進行状態をあわせて御説明くださいませんか。
  148. 松田新市

    参考人(松田新市君) 電機のクーラーは私のほうでは商品事業部という家庭専門の部門がございまして、そこでものすごい数のものを、多数の御家庭に御愛用いただいております。私は担当が重電事業でございまして、そういう家庭関係の商品を扱う部門とは違いますので、さだかには存じませんけれども、私の聞いている範囲では、家庭で使っていただいているクーラーでは、そういう問題が起きたことは一つも聞いておりません。
  149. 片岡博

    説明員(片岡博君) 原因調査の一部の実施状況を申し上げますと、先ほど話がありましたように、もしモーターが回らない、つまり、たとえばファンのベアリングが突出したために回らなくなったという場合には、非常に大きな電流がモーターに流れるわけでございます。そういう電流が流れたときに電源を切ります、われわれは専門用語でオーバーロード・リレーと申しておりますが、こういう装置がございます。それから、最悪の場合は、今度は電線と電線が接触をした、いわゆるショートをしましたときにこれは無条件に全電流が流れるわけでございます。これに対しては、昔はヒューズをつけておりましたが、いまはノーヒューズ・ブレーカーというものをつけまして、そういった事故に対する二重の保安器を持っているわけでございます。われわれが調べます上に、もしそういった電気関係の故障があったとすれば、これが動いて飛んでいるはずじゃないか、電車で調べますと、これは飛んでおりません。それじゃそれの機能がおかしいのじゃないかという検査も一応やってみました。これも定められた設定値に近い値で機能を保っております。そういうような追及のしかたをただいまやっておるわけでございます。
  150. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今度は車両関係でお伺いしたいのですが、最近の火事で新建材を使っているために煙が多くて窒息死をする、こういう例をよく聞くのです。車両でも新建材を使っているために有毒ガスを発生をしたりして窒息死をするといったような危険性、可能性というものはあるのかどうか、そういう新建材等を、危険のないような材料を使うための方法は研究をされているのかどうか、それらの点についてお伺いしたいと思います。
  151. 天野春一

    参考人(天野春一君) 車両にはいわゆる新建材といったものはただいま使用しておりません。かつては木材で内部を艤装しておりましたのですが、羽目板等は最近は軽金属にだんだん変わってまいりました。新幹線等新しい車は、全部アルミの上にメラミン樹脂を施しましたアルミデコラを使用しておりますので、御心配はないと思います。
  152. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、どうも今度の客車の火災事故の一番の問題はクーラーに集約されるような気がするのですが、このクーラーもけさ私乗ってきた急行電車のクーラーは水がたれるのですよ、天井についているクーラーが。雨が降ってないのですけれども、雨漏りするわけですね、車内でクーラーが雨漏りしたり火をふいたりと、こういうクーラーじゃ困るわけですな。その雨漏りするクーラー見てみましたら東芝のものだったですね、その、まあ東芝のものがいいか悪いか、三菱のものがいいか悪いか、必ずしもこれは断定的には言えないと思うのでありますけれども、おそらくこれは三菱のものもそういうものがあるかもしれないし、きょう私が実際に体験をした雨漏りするクーラーは東芝でした、どこかと思って見ましたら。こういう雨漏りがするというのも困ると思うのですよ、汽車の中でかささしていなければいけないということになります。これも一種欠陥車じゃないかと思いますね。まあ火をふくよりはまだいいですけれども、どちらにしても、こういうぐあいの悪い道具というものを車が備えたまま走っているということはたいへん問題だろうと思うのです。先ほど、いわゆる欠陥車はないというふうに言われましたけれども、現実にはあるわけですね。これらのクーラー等について、もっと危険のないように改善をするということはできないものかどうか。いまともかく問題のあるクーラーは、そのまま日本国じゅうを走っているわけですよ。昼間のうちならいいかもしれないけれども、これが夜行列車で、特に寝台で全部が全部カーテンの陰で寝ているという状態で発火をしたということを考えると非常におそろしいものがあるわけです。だから、これらのクーラーの根本的な改良というようなことが行なわれないとちょっと安心できないという気がするのでありますけれども、いま過渡的な段階でこういう故障というものはやむを得ないものかどうか。それからいまの形ではもう古くなってしまっているから、逐次新型のものができるというふうに信頼をしていいものかどうか、その点もお伺いしたいと思うのですが。
  153. 片岡博

    説明員(片岡博君) けさ先生がお乗りになった車で冷房機から水が漏れましてまことに申しわけございません。実は冷房は、御承知のように、室内の湿度も取るのを大きな目的といたしておりますので、当然水が発生するわけでございます。この焼けた車の例で申しますと、これは床下にあって問題はございませんが、天井に冷房装置を持っておる分は、いずれにしろ水がたまりますので、古い車につきましてはポンプでもってたまった水をくみ上げる装置を持たしております。うっかりしますと、そのポンプのスイッチを切りますと、水があってポンプが動いているわけですから、そのままたまりますと、水が残るわけです、それが振動で出るということのために、お客さんがスイッチをお切りにならないように、ごらんになればおわかりだと思いますが、停止のところには金のワクをつくりまして、とめられないようにしてある。それで、もし冷房がきく場合には、通風に切りかえてもらうという形の操作をしていただくようにしてございます。それからなお、新しいものにつきましては、発生した水を屋根に流すような装置になっておりますので、新しいものに対してはいまのような問題はないのでございます。そういうふうに常にわれわれはいいものを求めようとする努力はいたしておりますが、ときどき力及ばずそういったことを起こして申しわけないと思います。なお、今後も大いに努力をしていいものを生み出していきたいと考えております。
  154. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 いままでお聞きしたところによると、今回の山陽線の列車火災事故については、依然として全く手がかりがないわけですよ。なぜ火災になったのか、どうしたらいいのかという答えが、現在のところ出ていないわけですね。そうすると、毎日万に一つかはしれないけれども、火災の危険性あるいは可能性をはらんだまま列車が運行されているということになるのですね。そうしますと、唯一の方法は、起こり得るかもしれない火災に対して注意をしていく以外にないということになってしまうわけですね。そうすると、乗務員が十分に注意をして、そうしてもし火災が起きたならば、とめるとか、逃げるとか、消すとか、何らかの方法をとるよりほかに方法はないということに現在ではなるということになるのですか、その点はどうでしょうか。
  155. 片岡博

    説明員(片岡博君) われわれ車両火災を何とかして防ぎたいと考えまして、いわゆる不燃構造という車両を生み出すような努力をいたしておりますが、不燃構造という、いわゆる材料は難燃性のものでございましても、非常な高温になりますと、どうしても発火いたします。たとえば五百度になりますと、難燃性の合成樹脂も、木材も、全部一斉に火をふくというような状態になりますので、そういった温度の上がらない前にもちろん処理をしなければいけないということも常に考えております。  先ほどお話のございました警報装置のことでございますが、いまいろいろと試験をやっておりますのは、室内にもし煙が出た場合に、その煙を見知して、異常を見つけて、そうしてお客さんに避難の誘導をするとかなんとかという手を打つような方法も試作をして研究しております。できるだけそういった形でお客さんに危険のかからないように措置をしてまいりたいと思っております。なお、電車の場合にはドアが自動ドアになっておりますので、室内に非常ボタンがございますが、これは車掌に知らして直ちに非常制御をかけるようになっております。客車は、車掌のところには非常弁がございますけれども、各室内にそういった装置はついておりません。
  156. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 残念ながら、今回の火災事故からどうしたらいいかということになると、原因がわからない。したがって、注意する以外に手はないということになってしまうわけであります。これではほんとうはよくないと思うのです。よくないけれども、いまさらクーラーをやめるわけにもいかないし、車両全部運行を停止することもできないということになると、乗務員の注意でもって火災を防止する以外にないということになってしまうわけですが、じゃ、この乗務員の場合はどうかということになるのですが、たまたま当日は、この客軍に乗っておった乗務員が発見をして、わりあいと手早く措置が講じられたので、大事に至らず、死傷者を出さずに済んだということになりますけれども、もし時間がもっとおそくて、みんな寝ておって、しかも火災の発見がおくれたということになりますと、これはとんでもないことになってしまうわけですね。乗務員は、先ほどの話では、一車に一人ずつ乗っておるということですけれども、乗っていない場合もあるのかどうか、これを飯田参考人からお聞きしたいと思います。
  157. 飯田一郎

    参考人(飯田一郎君) 先ほども若干申し上げましたが、昨年の五月から、先ほど申し上げましたように、いまのA寝台とB寝台は二車について一名というのが原則的な乗務員の人員になっているのでございます。なお、途中、寝台の装備とそれから解体の作業のある区間は、必要な区間について必要な要員を乗せると、こういうことになっているわけです。B寝台は大体装備の関係が三時間、それからA寝台に一時間半というふうに通常いわれておるわけでありますが、それらを参考にいたしまして、結局区間乗務ということで、装備・解体のある区間についてはそういう乗務をされておる。この客八列車の場合には、区間乗務の関係については、下関と広島の区間に、要するに区間乗務ということで乗務をしておりまして、先ほど申し上げましたように、一車について一名。だから、寝台の使用開始は二十一時でありますから、それを逆算をして、大体三時間前後で車掌区の配置状況など考えて乗務区間というものを指定をしておるというのが現状でございます。
  158. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、寝台の装備が全部終わってしまう、そうして装備・解体の必需要員が途中でおりたとすれば、夜中には全然一人もいないという寝台車も走っているということになるわけですか。
  159. 飯田一郎

    参考人(飯田一郎君) 二車に一名ということになりますから、指摘がありますように二車を一人で見ると、こういう現象になります。
  160. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、時間的には一人も乗っていない寝台車が走っているということになるわけですね、時間的には。二車に一名ですから、両方のどっちかの車に一人ということになる。そうすると、一人もいない寝台車から火災が発生をしたということになると、寝ておったお客が気がつくまでは手が出ないということになる。これはまことに危険なことではないかと思うのでございますけれども、その問題のほかに、もう一つお聞きすると、こういう欠陥のある車について乗務員が指摘をした場合、気がついてこの車はこういう点が危険だというふうに指摘をした場合に、直ちにそれが改められるようなシステムはどうなっているのか、その点を飯田参考人にお聞きしたいと思うのです。
  161. 飯田一郎

    参考人(飯田一郎君) いまお答えしましたように、乗り組み基準ということで、原則的な乗り組みの関係の協定が昨年の五月十五日から実施をされておりますので、その基準に基づいて乗務をしておる、こういう原則的なものになっておりますから、具体的にそういう問題を提起をしても、いまの基準からいくと、そういうものがそう簡単にできるというふうには判断できないというふうにお答えをしておきます。
  162. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私はこういうパンフレットをもらってきたのですけれども、客専会の総会――客車というのは客扱専務車掌ですね、客扱車務車掌の総会の議題というのをもらってきました。これは七月の二日、三日に行なわれるようになっております。内容業務研究会でありますが、議題の一つ一つを見てみますと、車両設備関係のところに、たとえば、こういうのがあるわけです。「EC一八一系車の補修方を早急にお願いします。理由、各車共かなりいたんでおり特に運転中貫通扉のガタつきがひどい、厳寒時における降雪地帯を走駆する時扉前の席は寒気甚だしいので旅客からの苦情が多くて困る、客席の椅子もガタガタ、トイレの故障も多く、時々火災寸前、大事故にならないうちに補修されたい。」、こういうのが出ております。それから「五八三系の押込式ベンチレーターからの水滴落下を冬までに防止出来得る様補修されたい。」、こういうような議題が出ておりますけれども、こういう問題が乗務員の間で論議をされるという場合に、一体どのように取り上げられるか、これは当局のほうにお伺いしたいと思います。
  163. 片岡博

    説明員(片岡博君) 乗務員のほうからいろいろ車両に関する意見が出ましたときには、これをわれわれのほうで取り上げて設計にフィードバックさせるという形で、車両の改修会議というものを車種別に一年に一回やっております。いま先生がおっしゃいました客専の会議で決議されたものがそういう経路をたどって出てまいります。それから、さらにそのほかに修繕会議というものをやっておりまして、これは支社ごとに年に大体三回ぐらいは車種別にやっておりますが、それに対しましては、車両を持っております区からそういった乗務員の意向を聞いて、そこで議論をするという措置をとっております。いままでにもそういった例がずっとございまして、たとえば四十三年度で申しますと、客車については二件あがっておりますし、電車につきましては四件あがっているというような形の意見が出てまいっております。  それから、一八一系につきましては、もし乗って非常な異常な振動でも出ますときには、直ちに振動調査をやって車両の状態を検討いたしておりますが、御承知のように、車両一定期間一定の走行キロを走りましたときには、区において中間検査、交換検査、さらに工場において全般検査というものを実施して、常に車両の状態を安全な状態に保つようにいたしておりますので、もしそういったことが現象として感じられましても、実際には車両はそう危険は私はないと存じます。  それから五八三の先ほどの水のことでございますが、これは冬までには全部修繕いたしたいと思っております。
  164. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 まあ冬までにということですけれども、これから夏になるときに冬までにというのはだいぶ気の長い話なんですね。ぐあいの悪いところはさっさと直すべきだと思うのですよ。  それから、この中に、ときどき火災寸前の状態になることがあるから大事故にならないうちに早く直してほしい、ということがこの業務研究会の議題に載っておるというのですね。こういう事実、いま局長のほうからの話では、あまりそういう心配はないかのような御意見があったのですけれども、実際に乗務をしている乗務員の中で、火災の発生の危険があった、あるいはぐあいが悪いというような事例があったならば、そういう事例を聞いておるのかどうか、これは飯田参考人のほうからお伺いしたい。
  165. 飯田一郎

    参考人(飯田一郎君) お答えいたします。  いまの質問のありました内容については、要するに業務研究会ということで、全国の車掌の、客専の全部ではございませんが、約半数ぐらいだというふうに記憶をしておりますが、そういう方たちが特に業務の研究を中心にして、要するに連絡協議会的なものを持っておるというのが実情であります。いま指摘のありました車両の改善の関係については、こまかく私のほうに全部連絡があって、承知をしていない部面もありますけれども、そのいま指摘のありました内容については、たまたまそれぞれの車掌区に行く際にそういう指摘があるということは間違いございません。先ほど当局側の説明員の方からお話がありましたように、車両の改修会議が毎年一回ずつ持たれていることについても私どもも承知をしておるわけでありますが、この機会に希望を含めて申し上げておきたいということは、先ほどもお話がありましたように、関係の乗務員の意見を十分取り入れて、今後の改修会議の中で具体的に――現場の最も接客の第一線に立っておる客専であり、乗務掛であるわけですから、それらの意見というものを十分参考にして、改修会議の中で消化をしていただきたい、こういうふろに希望を含めて申し上げておく次第であります。
  166. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 二車両に一名といったような現実がいいか悪いかというような問題について、きょうは論争をしようとは思いません。きょうは参考人をお呼びして、主としてこの火災事故あるいは欠陥車等の問題について皆さん方の御意見を聞くということですから、これは後日に譲ることにいたします。しかし、この同じ要望の中に、安全に関する問題でありまして、やはりちょっと見のがすことができないと思いましたのは、非常口が乗務員室にある、したがって、乗務員が乗務員室にかぎをかって車内を歩いておるというような場合には、かりに非常の必要が生じた場合に非常口が非常口の役をなさないという例がある。これは設計上のミスではないかという気がするのですが、こういうように、たとえば乗務員室が冬になって非常に寒い、非常口のためにすき間風が入る、しかもこの非常口は乗務員室であるから乗務員室にかぎをかければ使えない、こんなふうな問題は早急に改善をしなければならないのじゃないかと思うのです、安全のためにも。それらの点は工作関係の担当者としてどのようにお考えなのか、すみやかに私は考えなければならないことじゃないかと思うのでありますが、どうでしょう。
  167. 片岡博

    説明員(片岡博君) 確かに寝台電車に関しましては、非常口が乗務員室に設けてございます。そのたてつけその他については、十分気をつけて、これから先そういった現象の起こらないようにしたいと思いますし、また先生おっしゃいますように、かぎをかけたらという問題については、もう一度検討をさしていただきたいと思います。一応電車車両の場合には貫通とびらがございまして、隣の車両に前後方向には移れるようになっておりまして、非常口を実際に使ったという例というのはいままでございませんけれども、これはほんとに考えられないことの起こる場合に使わなければいけませんので、確かにおっしゃるようなことを十分考えて設計しなければいけないと思っております。
  168. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 きょう特に問題にしたいと思いますことは、問題はたくさんありますけれども、火災事故があった、脱線事故があったということから、国鉄の安全ということなんです。だから、何はさておいても、私は冷房装置よりも安全装置のほうが先じゃないかと思うんですね。涼しくしてもらうのはけっこうなことだけれども、その涼しくしてもらう装置が火をふいたということでは、これはちっともサービスにならぬわけです。火災を起こさないようにということがまず第一だが、起きた場合の防護措置、非常の場合の非常口の問題、これらの点についていま少し当局としては真剣に取り組む必要があるのじゃないか。いままでのところ、何回も事故があるけれども、死傷者が出ていない。これは私は僥幸だと思うんです。東海道線の事故の場合も、この前の委員会でも申し上げましたけれども、あれはたまたま上りの特急がわずかにおそく通過をするようになっておったから二重衝突にならなかっただけなんです。もしもあの特急のおくれ方がもう少し早かったら――おくれ方が早かったらというのもおかしいけれども、何時間かおくれておったものがもう一分か二分早く現場を通過するようになっておれば、まさに鶴見事故の二の舞いを演ずるところだったわけです。それから今回の客車の焼けた事故にいたしましても、時間がまだぐっすりお客が寝る時間じゃなかった、それから乗務員がたまたまこの時間帯では山車に一人ずつ乗っておったということが僥幸であったと、こう思うんですね。これが夜中で、しかも乗務員のいない車両であったならばどうなるかということを考えますと、これはとんでもないことになるんですね。多数の死傷者が出てから、申しわけないと言って頭下げてみたところで何にもならない。やはりこういうまかり間違えば大事故につながったであろうところのこういう問題を契機として、私はもっともっと真剣に安全の対策に取り組むべきではないかと思う。調査中、調査中と言っていつまでも調査をしておっても、すでに三島の脱線事故等は一カ月以上になるわけです。一カ月たっても二カ月たっても調査中で結論が出ない。人のうわさも七十五日ということになりますと、これはやはり政府としても国鉄としても怠慢のそしりを免れないんじゃないかという気がいたします。そこで、総合的な安全対策は一片の通達を上から流すだけではなくて、具体的に行なわれなければならないと思うんでありますけれども、その点、大臣はきょう出席しておりませんが、政務次官からの見解を承りたいと思います。
  169. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 最近相次ぐ列車事故が起きまして、死傷者がないとはいいながら、国鉄の安全運転につきまして国民の間に不安をかもしつつあることはまことに申しわけないと思っているのでございます。本日、先生がいろいろ御注意くださいまして、先ほどから拝聴いたしておるのでございますけれども、何と申しましてもやはり安全という問題を第一義的に考えねばならぬことは当然でございます。先般の競合脱線につきましても、その原因はなお究明はされておりませんが、少なくともこういう措置をとることが安全に通ずるという効果的な方法を考えていただきまして、至急実施することにいたしておるのでございます。今回の火災事故につきましても、先ほどから伺っておりますと、非常にその真因は何であるかということについては非常に多くのむずかしい問題があるやに思いますけれども、いずれにいたしましても、それに関連のある問題というものはある程度しぼられてくるだろうと思います。そういうものを防止するにはどうしたらいいか、さらには構造上の問題もあり、あるいは乗務上の問題もあり、さらにはいろんな乗務規則上の問題、いろいろなことが考えられるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、安全が第一でございますので、われわれといたしましては、現在国鉄にその調査をお願いしておるのでございますけれども、いずれそう遠くないときにそういった意味での何らかの対策が出るものと期待しておりますし、またわれわれもその進行状況を見守りまして、おくれないように安全対策を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  170. 森中守義

    ○森中守義君 関連しまして意見をまじえながら二、三お尋ねしたい。  国鉄あるいは運輸省ですね、経営あるいは管理上の問題等については幾つかの審議会、諮問機関等をお持ちになるのですね。ところが、この種事故関係になれば全くそういうものがないと言っていいのではないか、こういうように思います。それはあまり憶測してものを考えたくないのですけれども、経営管理上の問題ならば第三者からの答申ももらう、あるいは意見書をもらう、そのことがいかにもお墨つきだというかっこうで立法措置を講ずる、あるいは財政措置を講ずる、先般の二法等についても例外ではございません。ところが、その事故関係等について第三者の調査もしくは審判を求めるという措置をなぜとろうとしないのか、これは私は、ものの見ようでは非常にずるい。むろん国鉄の内部における研究体制あるいは技術体制というものは誇るべきそれであるとも思います。が、しかし、やはり第三者、車両工学あるいは電気工学とか、それぞれの権威者を網羅して、第三者からするつまり調査、審判を求めるということは当然私はとられていいのではないか、こういうように思うのです。ありませんね。しかも、運輸省の中に鉄道事故防止対策委員会というものがあります。これは記録によれば、四十三年の八月三十日から十一回にわたって会議が招集されてはおります。しかし、十一回にわたる審議された内容というものは、いわば純粋な事故、ことに技術を中心にしたもの等は比較的に少ない。あらためて審議会あるいは調査会をつくるのもたいへんだと思うのですけれども、本来ならば、競合脱線にしても、渋谷の欠陥レールにしても、あるいは今回の火災でも運輸省みずから進んでこういうところに意見を求むべきですよ、調査を依頼すべきです。どうしてこういう措置をとらないのですか。そういう意味で、少なくとも事人命にかかわる重大な問題について第三者の調査あるいは審判を求めようとしないという運輸当局の態度は了解できない。現在、事故防止対策委員会というものがあるのです。こういう豊かな学識経験、知識を持った皆さんに委嘱をして、すみやかに運輸当局として調査、審判の態度をこそとられるべきではないか、こういうように思うのです。これが第一の点です。  それから第二は、国鉄についても同様ですが、内部にこういう何があります、内部でお持ちになる、しかもそれはさっき申し上げましたように、国鉄の技術陣が私は誇るべき体制だと思うわけでございます。しかし、内部の調査研究は、これも貴重なものとして評価すべきでしょうけれども、たとえば赤字線については、何か第三者の意見を求めましたね。それと同じように、それぞれの学識経験者に委嘱をして、第三者という立場から調査を依頼し、審判を求める、こういう措置をとるべきじゃないですか。これが第二点です。これも、管理運営上の問題ではしばしば第三者の意見を徴される。それをたてにとって、たてにとってと言や少々ことばが過ぎると思いますけれども、そのことを一つの根拠として立法財政の措置を講じてこられた。だから、事故に対しても同様に私は措置をとられるべきじゃないか。何も内部で――あまり過信でもいけないでしょうけれども、やっぱり第三者の意見というものは貴重なものとして耳を傾ける必要がある。これが私は社会に対する運輸省、あるいは国鉄の当然な責任じゃないか、義務ではないか、こういうように思うわけです。こういう意味で、総裁、副総裁がおいでになりませんけれども、工作局長の立場から、そういうことをこれから先直ちに実施される意思があるかどうか。  それから第三の点は、少し事故に対して大胆過ぎると思う。先ほど来、各参考人の貴重な御意見を承っておりますと、これというきめ手がないんですね。先ほど瀬谷委員からたばこの不始末ではないかということはどうなったのか。これも私ども汽車に乗せてもらって、あり得ることだと考えますよ。しかし、それは否定をされた。工作局長はあり得ないことではないけれども、今日の技術のある状態、あるいは配備される機械の状態からいけば考えられないという所見の表明があったわけです。それならば構造上どこかに問題がある。とにかく火事があったことは間違いない、火が出たことは間違いないということであれば、やはり原因が究明されるわけだ。しかも、競合脱線等とは違って、短時間に究明できるという工作局長お話ですから、短時間であれば、私も詳しい列車の内容等はわかりませんけれども、暫時の時間、原因が究明されるまで、何かの方法で予防措置がとれないかどうか。私が大胆過ぎると言うことは、原因が究明されない、しかし依然として車は走っている。これは先回も私は渋谷問題のときに申し上げたんですが、いつどこで類似のこういう不祥な事故が発生しないという、そういう保証はないんですね。その間何かの方法がなぜとれないか。これも社会、あるいは利用者に対する義務、責任を履行することじゃないんですか、まことに浅薄な認識で恐縮ですけれどもね。車両とクーラーがセットになっているのかどうか、クーラーは別に取りつけてあるのかどうか、この辺のことなども考えて、一時クーラーを停止する、そのかわり扇風機を代用するとか、いろいろ考えていけば方法はあると思う。そういう暫時の期間、原因が究明するまでは安全な、ベストじゃなくてもベターでもいい、そういった方法が当然とられていいんじゃないか。そういう意味からして、何も予防措置を講じないで、ただ老朽部品の取りかえをやっているとか、あるいは点検を急いでいるということでは、これはやっぱり安心できません。それも一つの対応策でありましょうけれども、それで事故が完全に防ぎ得るという保証はどこにもない。そういう意味で何かより安全な方法をおとりになる必要があるんじゃないか、あったんじゃないか、こういうように思うんですが、いかがでしょうか。  それから最後の問題は、先ほど各参考人の御意見によれば、国鉄当局において原因究明を急いでいる、その結果によって電機メーカーにおかれても、車両メーカーでも、それなりに対応策を講じたい、こういうことのようですけれども、率直に申し上げて私どもは、一国鉄、一車両メーカー、一電機メーカー個々の責任だと思っていない。これはやっぱり三者三様の責任でございますよ。そういう意味では、原因の究明にあたってはみずから進んで調査に参加をされ、あるいは国鉄は招き入れる、こういうことがより妥当な方法じゃないかと思う。  大体この四つのことについて、意見を付しながらお尋ねをしておきたいと思います。
  171. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 最初の質問でございますが、運輸省のほうはいろいろ財政再建その他については外部の専門的知識を導入して審議会を設けながら、事事故に関しては国鉄まかせで、運輸省がみずから乗り出さぬのは一体何事であるか、こういう御質問でございますが、いままでのことで申しますれば、これは私の私見でございますけれども、国鉄の財政問題というものにつきましては、私は決して運輸省あるいは国鉄は専門家ではないと思うのであります。そういう意味で、もちろん経営の実態その他わかっておりますけれども、事財務の問題であり、あるいはそれにつながる経営の問題もございますから、広く財政の知識あるいは経営の知識、民間の経験を入れる必要は大いにあると思うのでございます。そのような意味で今度の再建会議が持たれたわけだろうと思うんでございますが、車両事故という特定の構造上の問題とかあるいはレールの問題になりますと、私はしろうとでございますけれども、おそらく国鉄は、一〇〇%とは言わないまでも、日本の中でおそらく最高の水準を相当集めておるのであろうと思うのでございます。そしてまた、現在行なっておりますいろんな研究、それから過去において事故を起こしたたびに技術的な対応策を講じておりまして、また新しい問題、新しい車両ができたたびにはそれに対するいろんな対策も講じられておるのでございます。先ほど工作局長が答えられておるのでございますけれども、実は私も技術はよくわかりませんが、やはり相当国鉄としては真剣に絶えずその問題を検討しておると思うのでございます。  そういった意味で、われわれはひとまずは国鉄のいまの技術陣容にお願いしておるわけでございますし、特にわれわれの伺うところによりますと、国鉄でも非常にむずかしい問題については、国鉄以外の専門的な技術陣を入れまして検討する制度もあるやに聞いておるわけでございます。そういったわけでございますものですから、現在のわれわれのところといたしましては、国鉄のそういった技術水準あるいはそういう制度を信頼してきておったのが現状ではないかと思うのでございます。しかし、何ぶんにも未知の世界に挑戦する問題でございますし、絶えず新しい技術の開発のある問題でございます。そういった意味におきまして、われわれもそういう座に安住することなく、先生がいま御指摘になりましたようなことも頭の中に置きまして、謙虚にこの問題を将来に向かって検討してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  172. 森中守義

    ○森中守義君 検討しますね。
  173. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) はい。
  174. 片岡博

    説明員(片岡博君) 国鉄事故防止に対しましては、毎月第一月曜日に、総裁を委員長とする事故防止対策委員会を開いておりますが、いま先生のおっしゃいますように、部外の権威者の御意見を聞くということをかねがね考えておりまして、たとえば今度の脱線事故につきまして、脱線事故調査委員会というのをつくっております。委員長は技師長でございます。これに部外の先生方として東大の八十島、藤井両先生、それから石川島播磨の研究所長の松平さん、三名の方にお願いして、いろいろ専門的な立場から検討をしていただいております。またたとえば、先般車両の金属材料につきまして、われわれがやっておりますことがはたして危険がないかというようなことをお尋ねするために、東大、東北大、それから京大、阪大と東京工大の先生方、金属材料の専門の方をお願いいたしまして、三年有余にわたっていろいろお調べをいただいたこともございます。そのほかに、いろいろと毎年部外研究委託ということをやっておりまして、われわれが解明できないような問題を部外の専門家に、わずかではございますが、研究費を差し上げて、勉強していただくというような措置も講じておりまして、私ども技術力も決して万全とは申せませんので、謙虚に御意見をいれて勉強をいたしておりますけれども、なお今後もますますそういう意味での第三者の権威者の御意見を伺いたいと考えております。  それから車両の燃えましたことにつきましては、先ほどたばこの火云々につきまして、私のお答えいたしましたことが非常にまずかったのじゃないかと思いますが、たばこの火は、先ほど瀬谷先生のおっしゃいましたように、あそこでもみ消しますと、捕促がございますので、中にごみがありますので、それが燃えるということは申し上げたわけでございますが、決してそれが絶対にないということではございません。外部から入ります分が、外側の網まできて火がついている例がございますが、それから中まではほとんど入っておりません。車内のほらはあるいはそういったこともあり得るのではないかと考えますので、訂正させていただきたいと思います。  それからこういったことがわかりまして、直ちにその原因が究明できない場合に、われわれとしてできるだけの手を打っておりまして、総裁からも、安全の問題は経営以前の問題だ、つまり幾ら金がかかってもいいのだという命令をいただいておりますので、あらゆる手段を講じて、やれる手だてを講じておるわけでございます。先般も、たとえば客車に関しましては、送風機の軸受け、駆動ベルトの検査とか、それからさっき申しました安全装置の遮断機の検査、ユニットプラグの断熱材を変えるとか、ダクト内に断熱材がぐらぐらしておったりしてはいけませんので、そういうものもはずしまして中を全部点検させるという措置を講じております。また、扇風機などで一時クーラーを停止することも考えられないことはないのでございますが、何しろこの車両は密閉車両でございまして、扇風機でも室温が非常に上がるわけでございます。また室内の湿度が非常に高くなって、いわゆる不快指数が高まりますので、いまのところ、われわれ考えまして、とうていそういう措置では使用ができないと思いますので、こういうような形のいろいろの方法を講じさせていただいておるわけでございます。
  175. 松田新市

    参考人(松田新市君) 先ほどメーカーの立場といたしましては、国鉄さんの検討の結果を待って原因を究明すると申し上げましたことがあるいは誤解を生んだかと思うのでございますが、おっしゃられるまでもなく、私のほうは物をつくること、その構造、いろいろな面で専門でございますので、事故が起きますと、いち早く事故車に参りまして究明をしております。現在のところ、モーターをはじめ電気回路に異常がないことも見きわめております。いたずらに手をこまねいて国鉄さんの検討結果を待っておるわけではなくて、私どものクーラーを入れたのでございますから、一生懸命やっております。しかしながら、現在の段階で、メーカーの立場で検討いたしましても、それは一般的な立場で考えられる原因をメーカーとして追及するのでございます。しかしながら、あるいは原因がわれわれの気がつかない部分にあるかもしれません。その点につきましては、国鉄さんの御専門の方々の御指摘を待って、さらに検討したいという意味でございまして、メーカーは手をこまねいて見ておるような印象をお持ちになったかと思うのでございますが、それは誤解でございまして、一生懸命やっておりますから、ひとつ誤解ないようにお願いしたいと思います。  それから、先ほど瀬谷先生から、クーラーのついておる車は雨が漏る、火をふくというような御発言がございましたが、あるいは一般の乗客の方がクーラーのついておる車は雨が漏るものである、あるいは火がふくものであるというふうに誤解されては困るのでございますが、何しろ人間のつくるものでございますので、あるいはそういうものが中にあった例もございますし、また御指摘もございましたし、また確かに車を焼いたのでございます。したがってその点につきましては、虚心に検討させていただきますが、一般的に申しまして、クーラーのついておる車はまずだいじょうぶだということをひとつお含みいただきたいと思います。念のために申し上げます。
  176. 天野春一

    参考人(天野春一君) 車両メーカーといたしましても、いまの参考人意見と同じでありまして、事故後は直ちに技術者を派遣いたしまして、国鉄と協力して事故の究明に当たらせると同時に、将来の対策を考えるということにいたしておるので、この点申し添えておきます。
  177. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 参考人の皆さまに一言お礼を申し上げます。  本日は暑いところ長時間にわたりまして貴重な御意見を承り、ありがとうございました。皆さまの御意見を今後の調査に十分役立たせたいと存じます。本日はどうもありがとうございました。(拍手)  本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会