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1969-06-26 第61回国会 参議院 運輸委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月二十六日(木曜日)    午前十時三十分開会     —————————————    委員の異動  六月二十六日     辞任         補欠選任      中村 正雄君     田渕 哲也君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岡本  悟君     理 事                 江藤  智君                 金丸 冨夫君                 谷口 慶吉君                 森中 守義君     委 員                 佐田 一郎君                 重政 庸徳君                 菅野 儀作君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 加瀬  完君                 木村美智男君                 瀬谷 英行君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 田渕 哲也君                 市川 房枝君    国務大臣        通商産業大臣   大平 正芳君        運 輸 大 臣  原田  憲君    政府委員        警察庁交通局長  久保 卓也君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        通商産業省重工        業局次長     山下 英明君    参考人        日本自動車整備        振興会連合会副        会長       石塚 秀男君        日本自動車工業        会会長      川又 克二君        全国自動車交通        労働組合連合会  佐藤 栄一君        自動車部品工業        会副会長     星野 茂雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日、本案審査のため、参考人として四名の方に出席していただいております。  参考人皆さま方に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、まことに御多忙中のところ、本委員会のために御出席をいただきましてありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。実は、先ほどちょっと申し上げましたように、本日の皆さま方に対して質疑をなさる委員が七名おいでになります。それからその間に関連質問をなさる方もおりますので、相当時間がかかると思いますが、ひとつあらかじめお含みいただきまして、御協力を賜わりますようにお願い申し上げます。  それでは、これから質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 森中守義

    森中守義君 最初に川又さんにお尋ねいたしますが、この問題が表ざたになりまして、かなりの期間が経過いたしておりますけれども、いま世間一般徹底的にこの問題の究明及び解明をすべきであるという、つまり社会的責任の追及ですが、相当深刻なものがある。せんだって衆議院のほうにお越しになったようですが、まあきょうはここにあらためてお越しいただいたのも、いわばその世間の疑問にどうこたえるか、またこれから業界としてどういう姿勢で進んでいかれるのか、そういう意味合いでお越しいただいたわけでございます。  せんだって朝日ジャーナルの六月二十二日号によると、とてもではないが、今日の自動車産業などというものは尋常一様な説得や何やでは理解しないだろう、わかってもそういうことは実行しないだろう、ついてはユーザーが一丸となって経済的な制裁を加える以外ないじゃないか、こういう手きびしい論調が出ておるんであります。それらの意見が是であるか非であるかは別なことといたしまして、要するにこれほど世間に問題を投げかけた欠陥車の問題について、十二社を代表される工業会会長としてどういう心境をお持ちか、率直に、今日の業界を代表される最高の責任者としての心境を聞かしてもらいたい、これがまず第一番。
  4. 川又克二

    参考人川又克二君) 先般来、わが国自動車欠陥問題等につきまして各方面に多大の御迷惑、またユーザー皆さんにも御不安を与えたことは、工業会一同としてはなはだ申しわけなく存じておる次第でございます。その後運輸省通産省からも命令あるいは示達等をいただきまして、また工業会といたしましても理事会等を開催いたしまして、欠陥車の起こった事情あるいは今後の対策等につきまして協議いたしたわけでございますが、各社のとる対策はそれぞれ各社がとると存じます。もちろん、メーカーとしての十分な責任を果たす努力をいたしておるわけでございますが、なおその上に今後新しくわれわれといたしましては製作者、また整備を受け持ったりされるような業界、また部品業界、あるいは販売店サービス部門、こういう業界を組織いたしまして自動車安全対策協議会、こういうものをつくりまして今後隔意のない意見交換も行なって、よってもって交通の安全を期したいと、かような心境でございます。
  5. 森中守義

    森中守義君 六月十二日にあなたの名前で運輸省自動車局長あてに、文書による回答が寄せられている、この中で、二項で、「リコールの公表は、緊急の場合とし、各社自主的判断により行なうこととするが、」、「緊急」の場合は広く解釈し、手広く進めたい、こういうお答えがありました。これはすでにいろいろな場所でいろいろな機会に、各社自主性にまかしたというのは一体何なのか、緊急とはどういうものか、少しも具体性がないではな、いか、したがってそのことが逐次エスカレートしていって、今日では、法律的に制度化すべきである、企業の自主性にまかせるということは再びこういうことを演ずる可能性なきにしもあらずということ、こういう意見も相当あるようです。したがって、このお寄せになった回答ということが現在あるいは将来も業界としては貫いていこうというお考えですか。
  6. 川又克二

    参考人川又克二君) ただいまの私ども運輸省に対する回答趣旨は、将来とも貫いていこうという趣旨でございます。
  7. 森中守義

    森中守義君 それはあとでまたあらためてお尋ねいたしますが、その次に、運輸大臣談話を発表して、その内容として、自動車製造者に関する事項という四項目にわたる具体策が示されている。これはすでに業界において検討されましたか。そしてその答えは出ておりますか。
  8. 川又克二

    参考人川又克二君) ただいまの御質問は、六月十七日付で運輸省より私どもに対しての御指示と存じます。その第一に「自動車製作者に関する事項」がございます。この四項いずれも今後この御趣旨を体してやっていくつもりでございます。
  9. 森中守義

    森中守義君 いや、検討を加えられておるとするならばその進行の過程であるとか、あるいは一項一項に対してですね、四項目に対する具体的な対策というものが業界十二社全体に具体策としてすでにもうおきめになったのかどうなのかと、こう聞いているのです。
  10. 川又克二

    参考人川又克二君) もちろん御趣旨のとおりでございますが、第一項は、「自動車安全面における品質向上及び確実な品質管理実施を図ること。」であると存じます。それから第二番目は、「新型式車について、十分な耐久試験実施体制整備すること。」であると思います。第三番目は、「自動車の構造又は装置について欠陥があることを知った場合には、六月六日付け依命通達による運輸大臣に対する届出、自動車使用者に対する周知徹底等の措置を迅速かつ確実に実施すること。」四番目は、「定期交換の必要な自動車保安部品については、交換時期を明示すること。」でございまして、従来やっておったいろいろな品質向上手段あるいは品質管理手段、こういうものを一そう将来に向かって拡充することでございます。それから、「新型式車について、十分な耐久試験実施体制整備すること。」、これは従来、部品耐久試験組み立て試験あるいは構内における走行試験あるいは社内から外へ出た実車試験等をやっておりますが、なお一そうこれらの強化をはかる趣旨でございます。それから、三番目は先ほど申しましたとおりでございます。以上でございます。
  11. 森中守義

    森中守義君 どうもやはりいまのお答えでは、きちんと整理された新しい方向づけをきめるというものには受け取れない。ついては、その一項、二項というものは、在来のやり方が不十分であったという、そういう認識をお持ちですか。少なくとも運輸大臣がこの一項、二項を将来はかくあるべきだという指示をしたということ、行政指導を行なっておるということは、運輸省の立場からするならば、不十分ではないか、要すればそういうことだと思うのですね。その点どうなんです。不十分だからこういうものが出たと言わざるを得ない。ひいては欠陥車もこれに通じておる。だから欠陥車完全車に直していくには、この不十分な点を具体的に対策として実行する以外にない、こういうように私は考える。ですから、この一項、二項に対する在来認識としてはどういうようにお考えですか。
  12. 川又克二

    参考人川又克二君) 従来と申しましても、メーカーといたしましては、十分努力していたと存じますけれども欠陥車の出た今日において、それを反省いたしまして、あるいは従来の方法をさらに吟味いたしまして不十分な点があったとする、あるいはありとすれば、それを将来にわたって直していく、あるいは強化していく、こういう方針と理解しておるわけであります。
  13. 森中守義

    森中守義君 自動車局長、この文書大臣談話と一緒に出されたようですが、発翰番号も何も打っていない。単に運輸大臣運輸省業界に対する期待あるいは要請、そういう性質のものでしょうか。それともこの四項目というものは、業界に対してあくまでもその実現せしめるという強い意思を持つものですか。この文書性格がはっきりしない。その点どうでしょう。
  14. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) これは六月の十七日のものでございまして、陸運局長ユーザー団体メーカー等に対しまして、おのおの発翰番号を打ちまして通達をしたものでございます。
  15. 森中守義

    森中守義君 それで、業界に対するこの四項目の指摘というものは、あくまでも実現をさせるというそういう筋合いのものであるのか。こうしたほうがよろしいという期待要請もあるのか。つまりその辺はどうですか。いまの答えじゃそのことははっきりしない。
  16. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) これは通達をしたものでございまして、このように実行をしてくれということでございます。
  17. 森中守義

    森中守義君 してくれということは逆に言うならば、しなくてもいいことに通ずる。させるということですか。幾らしてくれといっても、いま川又さんは、過去にそれらについて反省すべき点があれば反省をして、やり直す点はやり直さなくちゃなるまいということなんだが、この一項、二項を具体的に詰めていった場合、必ずしも運輸省業界との意見が合意に達するとも思われない場合があるかもしれない、そういう場合にさせたいという願望、期待、せしめるという強い拘束、その辺の性格はいま少しはっきりしておきませんと、この四項目欠陥車の完全な排除ができるのかどうかという一つ分岐点になるように思うのです。それで、えらいしつこいようですけれども、その辺の運輸省の見解はどうなんですか。こういうことを重ねて聞くわけですが、いまの局長の答弁でははっきりいたしませんよ。
  18. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 本件は通達をしたものでございますので、これを守れということでございます。しかし全体の中ではメーカーに対するものと、それからそのほかのものとがございます。運輸省みずからもこういうことをやるというような事項がございまして、全部の事項についてこれをしろというわけではございません。すなわち、運輸省としてはするものは別にございます。しかしながら対業界に対して申し上げたことは、こういうふうにしろということでございます。
  19. 森中守義

    森中守義君 いやいや、あまり話を広げておっしゃるといま時間がないから、このあと逐次ユーザーに対するいろいろの注文も出ているし、運輸省がすべきものもある、それはまたあとで聞きますから、問われたことを率直に言ってもらいたい。業界にこれだけのことは拘束力を持たせてやらせるのか、単なる期待なのか、どちらなのか、こう聞いているのです。
  20. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) こういうふうにやらせるということでございます。
  21. 森中守義

    森中守義君 運輸省がやらせるという、そういう性質のものであるということであればけっこうです。  そこで川又さんどうなんでしょう、この前、皆さんのほうから運輸大臣に出された報告書そのものは私どもいただきましたが、それでせんだって、大臣が、八月一ぱい欠陥車回収は完了ができる、こういう業界報告なんだが、それを信頼して——そこでいまのお話のような八月一ぱい回収するということは行政上の拘束力を持たせるかどうかということで一論争やったことがあるのです。しかし、大臣としては業界の良識を期待するということで終わった。しかるに、いま私の手元にあるこの関係資料からいけば、輸入車については約八〇%以上、中には一〇〇%、ほとんど完了しているものがある。むろんこれは対象車が非常に少ない、しかもユーザーがたちどころに把握しやすいという、こういう問題もあるせいでございましょうけれども、五十八件、しかも百三十万近いのは、つまり国内十二社の分については、中には一〇%を割っておりますね、まだ七%台のものがある、八〇%以上出ているのはありませんね。そこで、現在どういう方法回収対策をおとりになっているのか、しかも七%、一〇%という低率なこの状態からして、八月一ぱい大臣にお約束されたように完全に回収できますか、その辺どうなんですか。
  22. 川又克二

    参考人川又克二君) 現在各社は、販売店サービス部門、その他自分で動員し得る範囲の人、これらを動員して対策実施中でございます。かなり進行状態はいいように聞いておりますが、八月一ぱいと申しますと、なお二カ月ございますので、ただいまの状況からいたしますると、完全に一台残らずというようなことをお約束できるかどうか、ここに資料がございませんけれども、まずほとんど手当てができる状態ではなかろうかと見ておるわけであります。
  23. 森中守義

    森中守義君 会長であるあなたにあまりこまかなことをお尋ねしても無理かわかりませんが、私も二、三日前都内を少し回ってみた。どこの販売店等に行きましても、かくかくのことで手当てをするとか、つまり一般に対する周知方法が行なわれておりませんね。新聞あるいはテレビ等を通じては何回かそういうものを拝見いたしましたけれども、比較的に現場段階においてはそういうものが乏しい。それから私は出身が熊本ですが、熊本関係向き等に、ことにユーザーにいろいろ聞いてみた、君のところではどの会社から言ってきたかないかということで。むろん私も持っております。私が所有している車名は言いませんけれども熊本に秘書を通じてその車のディラーから何か話があったかと、三回聞きましたけれども、こない。進んで行きましょうかというから、やめておけ、言ってくることになっているはずだから待っておれということで、実は模様を見ているのですが、なかなか言ってこないというのです。けさも電話してみました。そういったようなことで、全国の津々浦々に、ことに東京を離れれば多少の距離感もありましょうし、そういうことで私はこの回収対策というものについてはかなり疑問を持っている。運輸大臣に対しては八月一ぱいということを約束されておりながら、各社で実際の回収対策は、それに相呼応するという、しかも完全に八月一ぱいに完了し得るという、そういう対策であると私は思われない。ですから、あまりしさいな点は会長おわかりにならないかもわかりませんが、大体さっきの文書をお出しになるときには、各社の代表が協議されたそのときに、八月一ぱいというかたい約束、申し合わせができておる、あるいはこの問題は何も秘密主義でも何でもないと、だから、共通のものとして対策を立てようではないか、こういう御議論はなかったのですか、その辺いかがでしょう。
  24. 川又克二

    参考人川又克二君) それはもちろん、先ほど申しましたように、理事会等を開きまして、趣旨徹底をはかっております。また、明日の午後になりますが、交通安全協議会というのも——先ほど申しました四団体の会合も催される予定になっておりますから、趣旨徹底を一そうはかりたいと思います。
  25. 森中守義

    森中守義君 それから最近、新聞のキャンペーンで、「走れ完全車」というのが出ております。それでいろいろ議論が展開される中で、およそ機械というものは完全なものではない、逐次開発される、したがって完全を期待することはできない、その努力はしよう、こういうことがよくいわれている。先般NHKの夜中におけるあなたと黒住局長をはじめ、そういう対談の中にも、しばしばそういうものが出ておりますね。これはどうなんですか。私は率直に申し上げて、こういう法令上の定め、つまり道路運送車両法以下運輸省の省令等々、あるいはまた各社がおやりになっている実験、試験検査、こういう社内での問題等もあわせて、やはり完全車であるということを一つ目標に置いておられると思うのです。法令もそのとおりであろうと思います。ついては、欠陥車というものは将来もあり得るという、そういう前提にお立ちになるのか、あるいは完全車でなければならぬというお考えに立っておられるのか、その辺どうなんですか。
  26. 川又克二

    参考人川又克二君) われわれ自動車メーカーといたしましては、安全に対する配慮の欠けた車はつくらない、こういうことが最も大事な目標であると思います。ただ、御引例がございましたような対談でも申し上げてございますけれども、一〇〇%全部完全であるということ、これは可能性を追求する問題として私どもは最善の努力を尽くして、その結果完全であるようにと念願をいたしておる次第でございます。
  27. 森中守義

    森中守義君 時間がありませんのであと二、三問で終わりますが、今回の欠陥車原因というものは各社においてそれぞれ検討された、運輸省でもその検討を加えたようです。そこで、大体何が問題であったかという、つまり問題点というものの所在が究明されたと私は思うのですがね。何が問題であったのか、大体お述べできるならば項目的にもお述べいただきたい。
  28. 川又克二

    参考人川又克二君) これは原因究明各社もやっておりますし、私ども自動車工業会安全委員会でもやっておりますので、ここに全部個条書きで申し上げるほど私は資料を持っておらないのでございますが、設計上もっと安全な配慮、つまり技術的には、数値としてはこれでいいという結論が出ていたかもしれませんけれども、実際の使用状況から見てもう少し設計数値が安全の——セーフティファクターが高かったほうがよかったというような反省もあるかと思います。また一部には組みつけ不良というようなものも指摘されております。これは製造上の欠陥と申しますか、組みつけが不良である、検査あるいは管理、そういう面で欠けるものがあったかなかったか。まあその組みつけが不良ということは、製品としては不適当だ、もっと完全に締めつけたり配慮をすればよかったのではないか。これは工場管理の面に移るかと思います。その他材料の面とかいろいろあると思いますが、これらを一貫して今後各方面にわたって検討を加えていくつもりであります。
  29. 森中守義

    森中守義君 一説によれば、社内における生産体制検査体制、これに妥協が行なわれている、こういうことを指摘される向きもある。きのう実は名古屋の某工場に行ってまいりました。短い時間でしたから、しさいに視察もできませんでしたけれども、一連の自動車産業の中で、あるいは自動車産業の置かれている今日の産業上の地位、こういうものから考えて、私は生産検査妥協というものが否定できないような状態にあるのじゃないか。まことにこれは残念なことなんですね。しかも、人によると、今日の自動車産業戦略産業であると言う人もある。あるいは輸出の花形だと言う人もあって、とにかくいまわが国産業を代表するいわばチャンピオン的な存在だと、こういう認識が強い。これは私は国益を増進する、あるいは国家産業を繁栄の方向に導くという意味では決して否定をいたしません。しかし、そのことがあまりにも足場を見失ってしまうことになって、つまり安全よりも生産という方向に現在流れがきているところに欠陥車存在があるんじゃないかという、こういう気もいたします。  そこで少し私なりに整理をしてみますと、テレビ等におけるあの宣伝というものは異常に近いと思う。まさに誇大宣伝ですね。これで消費者にその限界を越えてでも車を買わなくちゃならないようにあおり、そそのかし過ぎるというきらいもあるんじゃないか。それと、各社の極度な販売シェア競争、あげてみれば幾つも切りがないように、つまり、正常な生産あるいは産業とはけたはずれの状態を残念ながら指摘せざるを得ない。こういうことが結果的に、安全よりも販売、安全よりも利潤、安全よりも売れというようなことが結果的に欠陥車を私は出していると思う。しかも、報告された内容から見ますと、こういうものはこれはちょっと気を使えば、少したんねんにやれば防止できたという、そういう五十八件の内容がたくさんありますね。しかも設計上のミスということが五十八件の中にかなり件数としてあげられる。こういうのは何と言われても私は弁解の余地はないと思う。したがって、生産体制、あるいは通産省責任でもありましょうけれども産業政策として少しつまらなさ過ぎた結果、こういう結果を生んでいるんではないか、こう思うんです。午後から通産大臣も見えますから、そのときいろいろ言いますけれども、その辺について、全体の体制としてどうお考えになるか、このことを最後にお尋ねして、だいぶせかれておりますから、私の質問を終わっておきたいと思います。
  30. 川又克二

    参考人川又克二君) 生産第一主義で安全が犠牲になったとは考えておりませんし、また販売競争が激しくて安全が犠牲になったとも考えておりませんけれども、しかし、私どもとしては、そういう点にまで考えを及ぼしまして、反省をいたしたいと思います。
  31. 木村美智男

    木村美智男君 参考人の方、どなたになりますか、ひとつお伺いしたいんですが、この間、家本自動車工業会交通安全委員長さんが見えられたときに、私は、国内向けの車とそれからアメリカに対する輸出車との間には差別があるんじゃないかと実はお伺いをしたわけです。そういうことは絶対にございませんというのがそのときの実は回答だったわけです。私その後調べてみますと、やっぱりどうしてもいろいろの面で差別が出てきている。特に私取り上げたのは、前面ガラス、その問題を実はあとでお伺いしたいと思うんですが、問題が起こっているので、その辺でまず差別があるんじゃないかというようなことなんですが、この点まあ自動車工業会会長である川又さんなり、あるいは石塚参考人なり、前面ガラスについて少なくともこれは国内向けアメリカ輸出車との間には差別があるというふうに思うんですが、この点いかがでしょう。
  32. 川又克二

    参考人川又克二君) 国産車輸出車差別というと非常に誤解が多いと思いますが、差別ではございませんで、仕様の差異があるというぐあいに御理解をいただきたいと存じます。国産車には、たとえばアメリカ輸出されている排出ガス装置、こういうものは一部つけているものが一つの特例みたいにございますが、アメリカ輸出されるものと同じものがついておりません。それは一例でございます。それから前面ガラスでございますが、これは強化ガラスと合わせガラスだと思いますが、強化ガラスでも現在は国内ではそういう規格でよろしいということになっているように存じます。そういう意味で規格の差異と申しますか、そういう差が1差というよりも違いがあるということで、差別というような意味ではないと存じます。
  33. 木村美智男

    木村美智男君 いま前面ガラスについてまあ強化ガラスと合わせガラスがある。したがって、これは規格の違いであって、差別というのはことばそのものが適切かどうかは知りませんが、まあ違いがあることだけは間違いないですね。そこで、どうしてもアメリカへ出すやつは合わせガラスを使わなければならないということになっているのですか、その点をひとつ承りたい。
  34. 川又克二

    参考人川又克二君) それはアメリカにおいてそう規定されているからであります。
  35. 木村美智男

    木村美智男君 アメリカでは連邦の安全基準にそういうことが書いてあるようですね。したがって、合わせガラスでなければちょっと輸出車として向こう側は受け付けないということになっているようなんですが、私は生産の立場にある皆さんに伺いたいのは、いろいろと最近欠陥車の問題でユーザーはもちろんですが、国民全体にショックを与えているわけですね。この間、これは新聞の記事の中ですが、私も実際そういうことがあるのかどうかということで、聞いてみたり実際に実験をしてみたりしたのですが、たとえば、一文を読んでみますと、高速運転中の大体ハイウエーの問題ですが、「突如として視界一面が白いかべにさえぎられてしまう。フロントガラスが、まるで雪の結晶のなかにまよいこんだようにヒビ割れするハイウエーのミステリー。」と、こう書いてある。私はこういうことがあるのかと思っていろいろ聞いてみますと、どうもあるらしい。あるらしいじゃなくて、実際にあると確信を持って答えているのですね。そうなってきますと、これは規格の中にそういうものがあるからといって見過ごしておくべきものではない。なぜかというと、百キロからの速度で走る高速道路ですから、したがって、一瞬雪の結晶のようにまつ白になってしまうということは、その瞬間めくらになるということは間違いない。そうすると、もし車間距離が短く前の車で何かあったときに、これは急速にブレーキをかければ後続車がぶつかるでしょうし、前に何かがあったのを気づかずにそのままゆるくブレーキを逐次締めていったとすれば、そのまま前にぶつかっていくでしょう。そういうことから考えると、これはもうやはりたいへんな問題だというふうに実は考えるわけなんです。したがって、生産の立場として、いまのようなハイウエーのミステリーといわれる現象はこれは御存じなんですか。どうなんです。  それから佐藤参考人に伺いますが、そういった現象は事実統計的に多少出ているようでありますが、たとえば、皆さんの御同僚の運転手の中からもそういう経験というものが語られて、現実、報告がされているのかどうか。そういう場合には運転手としては実はどういう対策をとっているのか。そこら辺を聞かしていただきたいと思うんです。  前のほうはひとつ川又参考人に。
  36. 川又克二

    参考人川又克二君) 強化ガラスを使用しておりますと、実は私も一回経験がございますが、これはハイウエーではございせん、ずっと、十年ぐらい前でございますが、経験いたしました。高速で、東名あるいは名神のような、あるいは第三京浜等でも起こり得るかと思いますが、きわめてまれなケースではございますが、原因は、私は専門的に申し上げる知識はございませんが、対向車のはね飛ばした小石、私の場合はどうもそのように思いました。きわめてまれなケースではありますが、おそらく、アメリカで強化ガラスでなくて合わせガラスを採用するようになりましたのは、そういうことからだと思います。今後は合わせガラスのほうが、そういう万一の、きわめてまれに起こるケースと思いますが、避けるためには、合わせガラスのほうがよろしいかと思いますし、また強化ガラスの場合でも、運転者の前面、ある直径でございますが、そこだけは強化が及ばないようなことも技術上できるようでありますし、したがいまして、その他のところは、雪の、こなごなになった——白色に全部なってしまいまするが、運転者の前だけは、このぐらいのまるさですが、そのぐらいは強化が及ばない、こういうことも技術的にできるとすれば、そういう方法も採用したほうがよろしいかと存じております。
  37. 佐藤栄一

    参考人(佐藤栄一君) そういう例はたまにございました。
  38. 木村美智男

    木村美智男君 いまの川又参考人お答えによりますと、大体対向車の飛ばした石ではなかったかということなんですが、問題は、石やそういうものが当たらなくともそういう現象が起こるということを実は重視をしておるわけなんです。もちろん、それはもう石が当った場合は、これはそういう状態になる。ところが、そういう石が当たるとかなんとかいうことがなしにやはり起こり得る場合があるということが実はいわれているんですね。で、この辺を多少知っている人に聞いてみますと、時速百キロ、といいますと秒速二十七メートルですね、大体。そうしますと、かりに向かい風十メートル吹いておって百キロの時速で飛ばしているということになれば、秒速三十七メートルの台風に当たっていると同じ状態。こういったようなことが、やはり一つの大きな風圧と、それからもう一つは、車の振動によって、その風圧自体に変化をもたらすという相乗関係になって、実はそこに強化ガラスが異常な現象を起こしていくということがいわれておるんですけれども、そういうことまで考えてみると、石が当たる当たらぬという問題もさることながら、そうでない場合にも起こり得るということになれば、これは相当やはり重要視しなければならない問題です。  それから、強化が及ばないというお答えがありましたけれども、強化が及ばない部分があるということは、ある意味でいうと、よくいわれる欠陥車という意味合いがやはりその辺にあるんじゃないかというふうに実は考えるわけですが、これはこの辺はどうなんでしょう。  それから、こういうことを機会にして、この際少なくとも車種によって、もう四十から五十キロぐらいで走っている車は別ですけれども、高速を飛ばすような車については逐次やはり強化ガラスを合わせガラスに切りかえていくといったようなことについてどうお考えになりますか。
  39. 川又克二

    参考人川又克二君) ただいまの私の説明、不十分であったと存じますが、強化が及ばないというのは及ぼさないのでありまして、そこだけ強化作用が及ばないようにしたほうが、周囲が全部こなごなになってもそこだけが残るわけであります。したがいまして前方が見えるということでございまして、むしろ安全のためにやるのでございまして、それは先ほどの説明がちょっとまずうございましたが、強化の及ばない部分をわざわざこしらえる意味でございます。周囲がこなごなになってしまってもそこのところだけは見えるということは、かえって安全のためにそう考えるわけでございます。  それから御指摘のように、今後わが国でも高速道路が逐次つくられてまいりますことを考えますと、そのいま私が申しましたようなことで強化ガラスを使うか、あるいは全面的に合わせガラスにしたほうがいいか、いっそ合わせガラスにしてしまったほうがよろしいかとも、私見でございますが、思います。
  40. 木村美智男

    木村美智男君 そのあとのほうはそういう方向検討していただくということでけっこうだと思うんですが、前のほうは私必ずしも誤解しておらないのですよ。というのは、雪みたいに白くなってまん中だけ強化を及ぼさないからそこは透明のまま残るというお説ですが、しかしこのハイウェーにおけるミステリーという問題なり強化ガラスの破裂状況を見てみますと、必ずしも前面だけが雪のように白くなるだけでなしに、こわれて飛び散るという現象も起こっているということを聞いてるわけです。それはそういうことがないといえばまた別ですが、私はそういうことがあると聞いているものだから、それならばこの前面だけ見えるように強化を及ぼさない方式をとっても、ほかが飛び散った場合、これも一緒にがちんと落ちてしまうんじゃないか。こういう問題、まあ瞬間的なことですよ、だから、その際は全然なくなって透明になっちゃうんですから、今度はいいじゃないかというまあ逆論も出てくるかもしれませんが、そういう飛散してしまう状況という場合は、ある程度、場合によってはあるいはその破片が目をやっつけるとか、そういう問題だって起こり得るわけでしょう。必ずしもサングラスとは限らぬが、めがねをかけて運転している人ばかりとは限らぬわけです。そういうことを考えて、実は安全ガラスというものは、要するに強化ガラス、あるいは一部強化ガラスという考えをこの際捨てて、合わせガラスというものがほんとうの意味の安全ガラスだという考え方に今後立つべきではないのか。そうして多少コストは上がっても——そのかわり高速を走れぬようなスバル360であるとか、まあ言ってみればまさに小型のがありますね、高速を走ることがむしろじゃまになるような車がありますね、そういうものは別に強化ガラスを使っておったからといったって差しつかえないわけです。問題は、高速にたえられるかどうかという問題ですから、運転者の心理としてはやはり前が速ければ自然それに合わせるというようなことから、百キロが許容されているということは百二十キロなり、あるいは百千キロなり出していくということも現実の問題としてはあり得るわけです。そういう意味でいえば、やっぱりハイウェーを走るような車については、もうこちらにおいてもやっぱり一つの安全基準というものをそこら辺に置くべきじゃないか。これは運輸省のほうにも関係を持ってきますから、したがって、道路運送車両法の安全基準の問題として、運輸省との間にいろいろ私どももこれは意見を聞いてみなきゃならぬと思いますが、生産者のほうとしても、そういうことをこの際踏み切るべき時期にきているんじゃないのかというふうに思う。で、たとえば工業会各社集まった際に、もうスピードを売りものにしているような車については、とにかく合わせガラスでいこうじゃないかといったような、やはり積極的な安全対策の意味における姿勢が必要なんじゃないかと、こういうふうに思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
  41. 川又克二

    参考人川又克二君) 当工業会にも安全委員会がございますから、御意見を尊重いたしまして検討いたします。
  42. 木村美智男

    木村美智男君 それから問題はこの間、たとえは出してもいいと思うんですが、十四日の新聞には本田技研が、これはまあこういうことだから名出ておったんでは、欠陥車に対する生産の一時中止という問題を出しているんですよ。こういうことか実際にとこまで進んでいるかは、その後のことを的確につかんでおりませんから何とも言えないんですが、しかしあれは新聞記事でありましても、聞いた立場からしますと、たいへんすがすがしさを感ずるんですね。そこら辺にやっぱりメーカー一つの良心というか、そういうものを発見したような、何かこの欠陥車問題が世の中全体を風靡しているような中で、何となくすがすがしい気分を私たちは受け取るわけです。だから望むらくは、実際はそういう姿勢を常に業界全体として持つべきではないのか。少しやっぱり戦略産業といったような形で、自動車産業自体が、これはやっぱり政府なり、あるいは通産省の相当保護政策的な意味合いも含めて、多少業界自体としてはある程度甘やかされてきたんじゃないかというのは、いまのマスコミが悪口を言っているだけとは私思われない。多少やっぱりそういう傾向があったんじゃないかということは、この際考えて、やはりこの本田技研がもし事実そのとおりで、欠陥車については生産を一時中止をしているとすれば、これは見上げた態度だと思う。そういう姿勢をやはり自動車工業会全体の一つのモラルとしてつくり上げていただくようなことを、特に私は川又さんが会長であるだけに、これはぜひお願いをしたいところだし、あるいは工業会としての会合その他でそういうことがひとつ議論としてメーカーの間でかわされるということをぜひ希望したいと思う。  特に昨年私たちは議員提案によって、消費者保護基本法という新しい法律をつくったんですよ。これは基本法ですから、まだ具体的なものをいま一々こうなければならぬというところまではいっておりませんけれども、その意味で道路運送車両法といったようなものは、そういう観点からの改正もしなければならぬという実は趨勢に今日置かれておるわけです。従来何かにつけてやはり生産者の立場が優遇をされ、あるいはメーカーの立場が重視をされて、ユーザーであり、あるいは消費者であるほうがどうかするとやはり軽視をされてきたということは、日本の今日までのこれは全般的な産業行政のあり方だったことは間違いない。これはやはりその意味では考え直すべきではないかということから消費者保護基本法というものが昨年生まれたわけです。そういうことについても、ぜひ私は工業会の中で、消費者保護基本法とは一体いかなるものなのか、これを自動車業界に当てはめた場合にはどうなるのかということについて、会長自身がこまかいことを一々あれしてもらうことはないけれども、十分そういうメーカーとしての一部門にそういうことを検討さして、そうして本来の消費者保護基本法というものの精神を体して、今後生産増強なり、あるいは業界の発展をそういう基本の上につくり上げていただきたいというのが実は私どもの気持ちなんです。で、そういうことについてぜひこの際御要望して、若干それに対するお答えがありますれば答えていただいて、時間のようですから、特別なければ、これで終わりにしたいと思います。
  43. 川又克二

    参考人川又克二君) 私はいま本田技研の話をよく承知いたしませんが、メーカーといたしましては、かりに現在流れている車に欠陥を発見した場合は、従来といえども生産をとめております。これは各社明らかであると思います。出荷はもちろん差し押えまして直していくことは、これは言うをまたないところでございます。  それから、消費者基本法に基づいて消費者の立場から考えろという御注意は、まことにごもっともでございますので、今後意を体してやりたいと思います。
  44. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間も限られておりますので、何点かお伺いしたいと思いますが、初め部品工業会の星野参考人にお願いしたいと思います。  今回の欠陥車の問題によって部品メーカーは特に相当な打撃を受けたんではないか、こういうふうに私も考えるわけですけれども、この問題に対して具体的にどのような対策といいますか、どのように受けとめられているか、これについて伺いたいと思います。
  45. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) 部品工業会といたしましては、欠陥車についてのいろいろのものが公表されましたので、去る二十四日の日に当工業会におきまして、その部品について指摘されております点を中心にいたしまして、各部品メーカー二十六社にお集まりいただきまして検討会を開催いたしました。その結果、設計上の問題もございますが、確かになお改善したほうがよりよろしいという点がございますので、そのほうに向けることにいたしました。つまり社内品質管理をさらに徹底する、それから部品業界自体でも開発研究をする、それと設計上でもってカー・メーカーとは緊密さをさらに密にして自主的な体制をひとつつくっていこうということでございまして、これによって経済上の損害であるとか非常に打撃をこうむったというお話は、二十四日の、第一回の会合でございますけれども、ございませんでした。
  46. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 警視庁等の調べはいまいろいろ進んでおると思うんですが、今回の欠陥車は各メーカーに及んでいるわけでありますけれども、その特定の部品部品メーカーから各社に提供されている、納入されている、こういうふうな実態は現在究明されておりますか。
  47. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) 先ほど申し上げましたとおり、二十四日第一回の会合をいたしましたが、およそキャブレターならキャブレター、ドアロックならドアロックをつくっている会員全部を招集いたしまして検討いたしました。その個々について第一回の会合ですべてを尽くしているわけではございませんが、納入会社別、製造所別、検討いたしまして、対策を講じております。
  48. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 その対策ではなしに、具体的な、部品メーカーがたとえばA社、B社、C社と、この欠陥車を出している各社に、たとえばブレーキとかあるいはオイルパイプとか、ビニール製品とか、こういうようなものが非常に欠陥の重要な部品としてあげられているわけですね、そういう部品を提供したメーカーは具体的にあって、どういうふうな対策を講じられたのかどうか、あるいはないのかどうか、この点をもう一歩進んで。
  49. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) これはカー・メーカーさんのほうで品質保証の、あるいは品質管理部のほうで、納入関係の技術陣を招集して検討いたしておりますが、ことさら悪いというものはございませんが、組みつけ上、あるいは材質上、もっとこういう配慮があってほしいというものはございます。特にこれが悪いというものはございません。いずれにいたしましても、カー・メーカーにお納めいたしまして、検査を受けましていたしておるものでございますからございませんが、車の高速化なり、あるいは燃料の変更なりによって、この材質がこういう材質であったほうがむしろ好ましいんじゃないかということはございます。
  50. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあこまかなことはきょうは省きたいと思いますが、部品工業会とそれからメーカーとの取引関係、あるいはまた部品メーカーのもう一つ下に下がって下請工業、これとの間の関係等について、今回の欠陥車の問題を通して具体的な取りきめ、あるいはまた話し合いが行なわれたかどうか、こういう点について。
  51. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) まだそこまで取りきめあるいは打ち合わせということは行なっておりません。
  52. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 昨日の毎日新聞だったと思うんですけれども部品工業会メーカーとの間の話し合いで具体的に、欠陥部品を納入した場合どういうふうな態度で臨むかということを、ちょっと私は読んだわけでありますが、部品工業会で具体的な取りきめが行なわれたんじゃないかと、こう私は推測しているわけです。こういう点はどうですか。
  53. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) そういう取りきめは行なわれておりません。いまの時点ではまだ行なわれておりません。
  54. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう一つ伺いたいことは、この欠陥車部品を納入した下請業者ですね、相当メーカーから返品あるいは取引停止の問題等が具体的に出ている例があるかどうか、こういう問題について。
  55. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) これも先ほど申し上げましたように、二十四日現在ではそういうことはございません。
  56. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは川又参考人に伺いたいのですが、最近、欠陥車問題が取り上げられて私たちが強く感ずることは、最近の自動車産業輸出偏重になっているのではないか、そうして日本の国民へのサービスは怠っているのではないかと、こういうふうに感ずるわけでありますけれども、この問題については工業会としてどういうふうにお考えですか。
  57. 川又克二

    参考人川又克二君) 日本の自動車業界といたしましては、もちろん輸出振興という背景を持っていることは事実でございます。巷間、もし輸出優先で国内犠牲というようなことが、まあ誤りであると思いますけれども、ございましたならば、それは全く私どもの意図したところではございません。
  58. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 具体的に、日本の国民に対して自動車産業として、まあ具体的に工業会等の規約を見ましても、安全に対する問題というのは非常に考え方が甘いのではないか、こういうふうに私たちは考えるわけです。安全性を案外なおざりにして企業の成長——当然でありますけれども輸出産業のほうにあまりに偏重し過ぎている。この安全という問題に対しては自動車工業会としてもあまり考えが及んでいないのではないかと、こういうふうに私たちは受けとめるわけなんです。で、実際に国民へのサービスといいますか具体的な問題として、私はたとえば一例をあげてみれば、高速道路がいまありますが、百キロで走れる、しかし百二十キロ、あるいは百四十キロを出せる、こういう車等についても、たとえば百二十出した場合にはこの程度に自動車はこういうところがまずいのだとか、こういうふうな問題が起こってくるのだとか、そういうふうな具体的なユーザーへの注意事項等がやはり私は発表されてしかるべきではないかと思うのですね。こういう一つの具体的なサービスの問題でありますけれども、こういうふうな二、三の問題を考えてみましても、具体的にサービスの問題、こういう点についてはどういうふうに工業会として考えているかどうか、これについてひとつ。
  59. 川又克二

    参考人川又克二君) 高速性能ということは確かに私どもの仕事の一つ目標でございます。それは従来私どもの成長の過程の中で常に頭の中にありますのは国際競争力をつけるということでございまして、国際的な水準、そういう背景からいたしますと、当然国産車の場合も高速性能というものが一つ目標になってまいっておることは事実でございます。ただいま御指摘の速度、これはそこまでは異常なしで走れるという数値と存じます。ただ、先般高速道路ができ、高速道路の事故というようなことから、行政当局から御指示がございまして、メーカー新聞の広告等で高速性能ということを強調してスピード感をあおるということは慎めという御指示がとうに出ておりますので、最近ではスピードを売りものにする広告はメーカー同士の申し合わせでかたくとめております。また、サービス等の面につきましては、販売店サービス部門、あるいはその協力工場等を利用いたしまして、当然の責務といたしてやっておる次第であります。
  60. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それから私は、労働人口との間の問題をお伺いしたいと思うのですけれども、これは労働組合の人がいらっしゃればいいと思うのですけれども。実際に昨日も工場を視察しまして、急激な自動車生産とそれに伴う労働人口との問題が、具体的な資料をもとにして今後いろいろと委員会でお話を伺いたいと思っておりますが、急激な自動車生産とそれに伴う労働人口、この問題について自動車工業会としてはどういうふうに考えているかどうか。あまりにも企業合理化、そのために相当従業員に負担がかかってきているのじゃないか、こういうふうにも考えられるわけであります。この点についてはどうですか。
  61. 川又克二

    参考人川又克二君) 日本の自動車工業はここ数年非常に急成長をいたしました。したがいまして、従事する労働力、こういう問題につきましても、他の一般産業と同じでございまして、労働給源の不足ということを感じております。しかしこの生産体制は昼夜二交代、大体この二交代制によってやっておるわけでありまして、労働強化という面につきましては労働組合がございますので、昼夜二交代の労働時間、あるいはオーバータイム等は、労働組合と協議の上進めておる次第でございます。
  62. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 最後にもう一点。販売競争のあおりで、やはりモデルチェンジが非常に多過ぎるのではないか、こういうふうに私たちしろうとの考えでありますけれども、こういう問題が思い出されるわけでありますけれども販売陣と技術陣との争いというもので相当な相克が行なわれているんじゃないか、こう受けとめるわけでありますけれども、この問題についてどういうふうにお考えになりますか。
  63. 川又克二

    参考人川又克二君) そういう急成長に伴うところの背景の分析、こういうこともこれからやってみたいと存じます。しかし、一面、資本取引の自由化あるいは貿易の自由化等で、そういう要請の用意も業界といたしましてはやらなければなりません。そういう大きな問題とも取り組んできたわけでございますが、急成長によるひずみがあったかなかったか、ここら辺で業界検討してみる必要があろうかと思います。
  64. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。いま三木委員の御質問に星野さんがお答えになりまして、下請について製品に問題があるため取引の停止あるいは返品の事実はないかということに対して、ないということのお答えがございましたので、そこで川又さんにお伺いをしたいのでございますが、そうすると、部品検査を厳密にして車の安全性の確保をはかるということよりは、安い部品を求めるというようなことが結局取引停止もなければ返品もないということになるのではないかという疑いが持たれるわけでございますが、下請から入ってまいります部品検査を親会社としてはどういうようにおやりになっておるのか。それから、返品もないということは、それで安全性が得られるという保証が一体どこにあるのか。この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  65. 川又克二

    参考人川又克二君) 部品検査、これはいわゆるメーカー社内生産いたします社内製品の検査はライン検査と申しております。それから、外部の部品メーカーから納入される製品、これは私ども通常社外製品と言っております。略して申しますれば外注品でございます。  で、検査でございますが、これには部品の種類によっていろいろな方法がとられております。ある部品は、ロット検査と申しまして、ある一定期間のロットについて検査する、これがよろしければ次のロットはだいじょうぶだという認定をするわけであります。それから、ある部品は、サンプリングと申しまして抜き取り検査をしております。抜き取り検査でございますから、このサンプルがある数値でございますれば、その他のものは検査合格であるという認定をして使うわけでございます。もっとも重要な部品は一品検査もいたしますが、最近は外注の方々の生産技術も非常に進歩をいたしております。と申しますよりは、むしろ外注部品生産技術の進歩に助けられてメーカーが今日あると申しても過言ではないのでございまして、そういう意味合いで非常に信頼をしてつくっていただいておるわけでございますが、先ほど星野参考人から返品はないというお答えであったがどうかという御質問でございますが、検査をいたしますという限りにおいては、不良品があれば一般的には返品はございます。
  66. 加瀬完

    ○加瀬完君 星野さんのところのように非常に優秀な専門メーカーであればこれは返品もないようなものを納入するということも可能ですが、二次、三次で出される下請の製品が、全部かりに抜き取り検査をして返品が一つもないというようなことは私はあり得ないと思う。返品が一つもないようなことなら、欠陥車といったような問題は生ずるはずがないわけでありますから、星野さんにおたくの会社のことだけではなくて、部品工業会全体について、一体そんなに下請が進んでいるのか、あるいは親会社からそれだけ専門技術の指導を物心両面において保護されているということも聞きませんので、それでも返品がないということになりますと、ちょっと悪くても安いものならいいというように勘ぐりたくなりますので、その点もう一度お答えをいただきたいと思います。
  67. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) ちょっと説明が不足いたしましたが、自動車部品工業会は、御案内かと思いますが、完成部品と申しますか、一次部品であるたとえばラジエータであるとか、クラッチ、ブレーキ、ショック・アブソーパといったような一つの完成部品によって組織されていて、全国で約三百五十社をちょっと切れますが、それで構成されております。したがいまして、自動車が完成するまでには、自動車会社がメッキ、鋳造、鍛造といったようなものを直接外注加工にお出しになるいわゆる下請がございます。そういうものが、しっかりした数字はつかめませんが、約四千社ございます。それからまた、私どもの三百五十社のその下請が約三千社ぐらいあるのじゃないかというふうに推定しております。  それで、私が申し上げましたのは、私が所属しております自動車部品工業会のメンバーとしてお納めしているものはJIS検査かなり進んでおりますし、さらには業者の単位生産能力の拡大、設備の近代化、あるいは国際的技術水準への努力ということも懸命にやっておりますので、粗悪なものを納めているというようなことはそれ自体会社の自滅にもなりますので、そういうことは、部品工業会に所属しているメンバーとしては返品という事実はあまりございません。それは設計上の完全な誤りとか、そういった問題があったものは、カー・メーカー検査によりあるいは品質保証ということで話し合って、これは当然つくり直すということでございます。大ぜいの人間のやることでございますから、ミス設計はどうかということになりますと、過失が全然ないということは申しておりません。しかし、返品でこのために皆さんに非常な御迷惑をかけるということはございません。ただ、先ほど申しましたように、車の排気量が多くなるとか、あるいは高速になるとか、あるいは油の性質が変わってくるということによって、従来の材質よりもこの材質に変更したほうがよかろうというものはございます。     —————————————
  68. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 委員の異動について報告いたします。  本日、中村正雄君が委員を辞任され、田渕哲也君が委員に選任されました。     —————————————
  69. 市川房枝

    ○市川房枝君 指定整備工場の問題で石塚さん、川又さんにちょっとお伺いしたいと思うのですが、一昨日のこの委員会で、いま御質問ございました加瀬委員から、実はその指定工場についての実態といいますか、メーカーは指定工場に対して、修理をユーザーが持ってきてもなるべく修繕をしないようにして返せ、こういうことを内命をしているらしい、それで、もし修繕をした場合には七五%ぐらいしか払ってくれないのだ、だからあんまり完全な修理はできないのだ、こんなふうなことが実情だと聞いたのだが、そういう事態があるかどうかということを、これは運輸省自動車局長でしたね、にお尋ねになったのです。そうしましたら、局長も初めのうちは、二回、三回ぐらいは答弁なさいませんでしたが、結局そういううわさも耳にしないこともない、最後にはそうおっしゃったと私は受け取ったのですが、そういう事実はあるのですか。
  70. 石塚秀男

    参考人石塚秀男君) 指定工場欠陥車対策問題についての御質問かと思うのですが、ただいまも、各工業会メーカーさんから、また運輸省から——欠陥車を発見した場合には、直ちに運輸省報告があり、あるいはその欠陥車リストがわれわれのほうにきて全整備振興会に流しておる。それを見て対象車の各ディーラーさんに御通知申し上げまして対策をしていただいておるとか、指示を得て整備工場で処置している。指定工場で直す場合も、メーカーによりましてはあらかじめの金額をきめていただきます。また一定の金額をきめていただきましても、ネジ一本を取るにいたしましても時間のかかる場合もございます。簡単にやれる場合もございます。そういう次第でございますので、往々にして自分の算定した金額に合わないということはあると思いますが、現在の段階では絶対にこれに協力しないという体制ではないと思います。そういうふうな体制であろうと思います。  私のほうで御参考に言いますと、現在整備振興会の指定工場と認定工場がございます。大体全国でもって五万五千以上の修理工場がございます。そのうちディーラーに専属しておるのが一万二千九百工場、自家工場と申しまして運送会社あるいはバス、ハイ・タク、その他が専属に持っておる工場が五千二百九十一、専業者が三万六千五百、ディーラー業者が一万二千九百、そういうような状態で、専業の中には農協とか、そういうような特殊な関係で、最近非常にふえておるものが工場を持っております。すでにディーラー工場は、一万二千九百の大体認定・指定工場を持っておる。その点とわれわれのほうのプラスあるいは自家工場と先ほど申したような工場で、この対策がとれるように全国的に手配しておりますので、いまの料金問題は、多少そういう点が見解の相違であろうかと思いますので、これを解決しないと、たいがい専業者はディーラーとの関係が、あらかじめ商品につながる部品の交流等がございますので、そう問題にならぬのじゃないかと思います。
  71. 市川房枝

    ○市川房枝君 川又さんに伺います、メーカーとして。
  72. 川又克二

    参考人川又克二君) 整備につきましては、実はメーカーサイドから見ますと、全国販売店、これにまかせておる状況でございます。ただいま御説明ありましたように、全国販売店は全部運輸省から指定されておると思います。その他にも多数あるわけであります。われわれはその販売店にサービスをやってもらうように指示しておるわけでありますが、工賃の中には、部品の対価とそれに要した賃金がございまして、おおむね各メーカーとも一時間幾らというような賃金の協定をしておると存じます。
  73. 市川房枝

    ○市川房枝君 私自分で運転もできないし、よく自動車のことはわからないのですが、ただ最近私の関係しているところで自動車を一台買いました。それから秘書なんかに自動車を持っておるのがありまして、少しそういう人たちにもいろいろ意見を聞いてみたのですが、いまの指定整備工場ですか、ディーラーのほうからの指定工場の問題については、こういう工場は非常に高いのだということであります。むしろ第三者のそうでない工場のほうが安いのだ。それで一般のドライバーといいますか、の人たちの間では、その修理工場というのはずいぶんいいかげんの仕事をしておる、そういうことばだったから私は受け売りをするのですが、そしてずいぶんもうけているのだ、こういう印象をみんなが受けておるのだ、こういうことを言うのですが、それはいかがですか。
  74. 石塚秀男

    参考人石塚秀男君) お答えいたします。往々にしてそういうおことばを——私たちへ全国整備振興会の窓口として自動車整備相談所というものを設けております。車検時に非常にお金がかかったりしますが、分析してみますと、車検の手数料とか、車の補修料というものは、大体いままで車検の対象になりますのは、オーバーホールというのが対象になります。当時の工賃、賃金だけからいいまして、分解整備はエンジンのオーバーホールをする。車検をする車は大体エンジンの性能が低下しているというのが従来の自動車でございます。最近はエンジンが、非常に性能、耐久力がよくなりまして、エンジンの分解は、ボーリングとかそういうことはやらなくなりまして、大体工賃上がりましたけれども、車検料金というのは大体二万円以下の料金なんです。昔もその程度です。そうして最近非常に、一例を申しますと、普通車の小型の自動車の車検をする場合に、いかに金がかかるかといいますと、最低の税金で、二年目に出ますと、税金とかその他いろいろ保険その他を含めますと、最低小型でも八万以上かかる。十万。タイヤあるいは、バッテリー、そういうものが大体二年で消耗するのです。消耗品を入れますと十数万かかる。二十万近くかかる。非常に車検時に金がかかる。税金が八万。普通大型トラックですと二十七万。これが大体、対人、対物保険が一千万のときにそういうわけです。大型の外車なんか税金が六万か何かですし、十三万以上かかる。それにタイヤとか自然摩耗のものをかえますと、車検料というか工賃料というのは、いま御承知のように、タクシーの一日の売り上げですね、一人の売り上げが、われわれのほうは二日かかりまして車検場へ行って帰ってくると、一日当たりのそういう料金からいいますと高くはないのですけれども、非常にほかにかかる。料金の付帯料が上がってまいりまして、自動車そのものより自動車に付帯される料金が高くなってくるというのが、車検時に金がかかる印象を与えておるわけです。われわれも車検場へ行ってみますと、そうして車検をとって税金の段階へいきますと、滞納しているというようなことで、またそこでもって代払いするというようなことで、非常にそういう点がありますので、車検時には、そういう指定工場でやる場合に、車検料そのものは、そう物価指数からいって上がってはないのであります。ないということは、そう手間もかからなくなっていますし、それほど指定工場になりますと、そういうふうに部品をかえるかかえないか、そういう場合に、バッテリーは現在差しつかえないのですけれども、将来を予想しておくというときにかえるか、小さなお店でかえないかというところで、大きく値段が違うのじゃなかろうかと思います。
  75. 市川房枝

    ○市川房枝君 保険に相当金がかかることは承知しているのですが、いまの私が申し上げているのは、修繕費と申しますか、修理費というものがまず高い、こういうことなんでございます。まあどの部品を直したら幾らかといいますか、いまの自家用車を持っている者なんかは、おもに修繕のことはよく知らないものだから、よくどこを修繕してもらって、ほんとうに直ったのかどうかということもよくわからないというような、これは検査の問題とも関連するでしょうし、あるいは運転者が修繕のことまで知ってたら、整備修繕工場というものは要らなくなるから、教えないだろうと思うのですけれども、いろいろそういう問題も関連しますけれども、とにかく支払う金がどうも少し納得がいかない、少し高過ぎる、こういう意見で、何か値段の定価表のようなものを公表といいますか、というようなことをしてもらいたいということなり、あるいはまた、責任検査官がいるはずなんだが、そういうのはただ名前だけをかりて、いわゆる運輸省関係なんかはしている気配があるのじゃないかというようなことをいいますけれども、そんなことはありますか。
  76. 石塚秀男

    参考人石塚秀男君) お答えいたします。ただいま私たちの一番求めているのは、ユーザーがあまりにも車に対する知識というものがない。それから自動車というのは、御承知のとおり、人馬一体といいますか、自動車検査をするということでなく、人間が検査の過程を知っていただきたい。  それから、先ほど検査時に金がかかるとかあるいは修繕工賃が高いということは、平素の磨耗度あるいは消耗度に対する、たとえばバッテリーにしましても、ターミナル、接続点にカビがついておるようなことをしておくと、これはどんどん減耗しまして、三年もつものが一年でもたなくなる。あるいは水を入れない場合はそれがオーバーヒートの原因になる。それからブレーキの保安部分にしましても、ブレーキオイルを——大体一定のみな仕様書がついていて、それをかえない場合はそのオイルは、大体現在いろいろなことを言っておりますけれども、キロ数におきまして、あるいは年数がきましてそのオイルが酸化していく、あるいは水が入って水分を持っている、そういうところでもってゴム質が破れるとか、急激にブレーキがきかなくなったとかということが起きてくる。二カ年間何もしないで、何か欠陥車両というものとわれわれのほうとはまるきり違うのであって、保守をしないで故障が起きるということは当然現在の千三百万台の車はあり得るわけです。こういう点からもう少し運転手、ドライバーは御自分の車に対する——磨耗していく、減耗していく、このくらいは御自身で修理工場に来なくても御自分でできるわけなんですね。そのくらいのことはガソリンスタンドへ寄ったときにもちょいとできるわけです。それが、日本のドライバーというのは、私も世界各国ずいぶん行きましたけれども、ドライバーはたいがい多少のことは、アメリカ人なんかは自分で直す。日本のドライバーはそういうことはない。それから安全教育といいますけれども自動車に対する知識が全然ない。そうして結局免許証を受けるときに、非常に構造というものは法規上の問題で、その法規もマル・バツですから、大体五百点ぐらいのものをそら暗記していけは、——きょう出たものはあすは出ない、マル・バツですからね。ですから、法規そのものも勉強していない、ただ運転技術だけでやっているということが故障につながり事故につながっていくという考えを私たちは絶えず抱いている。せめて点検整備というものは、今度運輸省通達にもございます、ここにもございますが、普及しようというのですが、とにかく健康診断を受けていない。車は受けさせているが、御自分は全然知らない。ですから人馬一体、健康診断というものはどういうようなものかぐらいのことも依頼者が全然知らないというのが日本のいまのドライバーの姿です。そんなことではなくて、車はボタンを押したらもう安全に走るというように、自分の思うように走らせておりますから、そのくらいのことは必要だと思います。この際ぜひ簡単な日常の保守、定期的点検に対する映画など、これはわれわれもつくっておりますが、そういうものもせめて見るぐらいの教養を持っていただくといま言ったようなことが御理解願って、相当依頼する方もまた先ほどのようにろくなことをしないで金を取るということも、どういう機械を使って、どういう器具を使ったらほんとうに——たとえは人間でいえば心電機を使うとか、あるいはレントゲンをとるとか、そういう定期健康診断をするべきであるということは、いまユーザーも知らないし、また使わなくてもその適性点検はよろしいというような考え方を持っている。非常にそこにアンバランスが出ている。せめて私たちがそういうものを普及しようと思って映画をつくって見せたいと思っても、なかなか見に来ていただけないし、せめて免許証書きかえのときにはそれを見に来ていただいて、先般来の、いろいろ書きかえには医師の診断書を持って来いというようなPRをして、せめてそのくらいのことを、映界でも見ていただくといいことになると、いまの問題ももっと自動車に対する安全度が高まる。しかし一方欠陥車問題と、私たちのほうの保守の問題と、故障の起きる想定の問題とは別個でございます。ただいまの問題は、欠陥車問題というようなことで、市川先生からそういうお話ございましたから、われわれそういうものをぜひわれわれがつくって、点検整備映画とかそういうものを通じて見て、依頼するしないは本人の自由でありますが、せめてその知識勧奨ぐらいは何からの機関でやっていただきたいというふうに思っております。
  77. 市川房枝

    ○市川房枝君 こんなに車が普及してまいりますと、お話しのように、私どもやっぱり適当な機関でといいますか、これは学校で、義務教育である程度自動車の機械あるいは運転の技術を教えるということだって必要じゃないかしらと思いまして、いまの御意見には欠陥車等の問題とは別として私ども大賛成なんでございますが、ちょっとついでに石塚さんマツダ販売の社長でもおいでですが、実は私の団体でマツダのボンゴを買ったんですが、そのボンゴがせんだって一カ月ぐらいの間に運転席の横のガラスが三回割れたんですが、何もしないのに割れたんだけれども、それで私どもがいただいたところへそのことを申し上げたんですが、これは一体欠陥なのか欠陥でないのか。保安に影響を及ぼすというほどじゃないけれども、これは場合によってはちょっとあれですけれども、それは会社のほうではそういうことはなかったのですか。
  78. 石塚秀男

    参考人石塚秀男君) お答えいたします。ただいまの私の直接の問題でございまして、その質問は先般来報告を受けまして、さっそく原因につきまして、珍しい原因でございますので、巻き上げ機のクリアランスの問題、バイブレーションの問題その他につきまして検討しながら、非常に珍しいサイドガラスが割れるということの原因でございますので、目下メーカーのほうへ報告しまして検討中でございますので、御満足のいくように修理さしていただきたいと思います。
  79. 市川房枝

    ○市川房枝君 川又さんにちょっと伺いたいのですが、六月十六日に交通遺児の育英会がスタートいたしましたようで、奨学資金の募金の報告が出ております。自動車工業会からは大体十億円御寄付を願うことに予定していたところが、トヨタは別に一億円前に寄付されたらしいのですが、あと一億円ぐらいで二億円ぐらいしか寄付できないと、非常に出し渋っておいでになるので、当会では、結局自動車メーカーの無責任生産交通遺児を生む一因になっていることは欠陥車の続出でも明らかだ、業界はもっと誠意を見せてほしいと重ねて要望することにしていると、こういうことになるんですが、その後十億円お出しになったようにも、ちょっとあれしているのですが、その問題の経緯を伺わせていただきたいと思うのです。
  80. 川又克二

    参考人川又克二君) 自動車工業会で当初二億円という決定をしたことは事実でございます。その後十億円の決定をいたしたことも事実でございます。
  81. 市川房枝

    ○市川房枝君 いまこの交通遺児が出たことが、欠陥車がやはり交通事故の原因になっているということは、今日警察の調査なんかでも明らかになっておるのですが、そうすると、ある程度自動車工業会交通遺児に対する責任を感じておいでになるというように解釈していいんですか。
  82. 川又克二

    参考人川又克二君) 交通遺児と欠陥車交通事故、たいへんむずかしい御質問でございますが、二億円を決定したときは、実は他に多額の出費を自動車工業会はかかえておりますので、初年度は二億円程度のお金があれば奨学資金が出せるというような御説明もいただいたものですから、初年度の資金として二億円を決定したわけでありますが、ではまた来年二億円になるかということになりますと、いろいろ工業会で各メンバーと協議いたしました結果、総所要資金が三十億だそうでございますので、その三分の一に当たる十億円、これが当初の要請額でございます。その基金を来年また二億円出す、再来年また二億円出すということじゃなく、基金として出したほうがよろしかろうという趣旨でやったわけでありまして、それがすぐ欠陥車と結びついているというような御意見もちょうだいいたしますが、企業としてのできるだけのことをいたしてまいりたいという趣旨でございます。
  83. 市川房枝

    ○市川房枝君 最後に、交通労働組合連合会の佐藤さんにちょっと伺いたいんですが、交通事故について皆さま方運転者の側から歩行者に対して何か御注文がありましたら、ちょっとお伺いいたしたい。
  84. 佐藤栄一

    参考人(佐藤栄一君) ぜひ歩行者は法律を守って歩いていただきたいということです。われわれは法規に準じて運転しているわけですが、歩行者は横断歩道でないところを横断する例がこれは多分にあるんです。こういう場合、事故が起きましたとき、これは歩行者の過失というものが非常にありますので困るわけなんです。横断橋がそこにあるのに、横断橋を渡らずに、手前の横、断歩道でないところを渡っている。こういうことにもう少し歩行者は関心を持っていただきたいと思います。
  85. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 川又参考人に伺いますが、メーカーが十二ありますから、すべてはおわかりでないと思いますが、おたくの会社でけっこうです。部品で、外注なさる分と自分の工場製造する比率はどういうことになっておりますか。繰り返して申し上げます、自動車部品を外注なさる場合、その量と、あなたの工場でまかなわれる量とあるはずだと思うんです。その比率はどういうことになっていますか。それがおわかりでしたら、お教え願いたい。
  86. 川又克二

    参考人川又克二君) 部品の点数の数え方が非常にむずかしゅうございますので、点数で申し上げられるかどうか、非常にむずかしいと思います。私も資料を持っておりません。ただ、総括的に申し上げてみますと、メーカーの対外の総支払い額の比率は、材料等を含めましておおむね七〇%ぐらいございます。でございますから、材料と申しますと鉄板、その他鋳物用の銑鉄、いろいろございますけれども、六七、八%のときもあれば、七一%のときもありますが、大体が七〇%前後というほどではありません、大体七〇%程度が対外支払いになっております。その七〇%の中で、部品購入の額と申しますと、ちょっと私資料ございませんが、おそらくその過半数は部品調達のための費用ではないかと存じております。
  87. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 星野参考人にお尋ねいたしますが、外注の場合、われわれきのうもある工場を見たんですけれども部品メーカーのところに納入なさるその際、検査がある。先ほどもある委員質問に対して、わりかた不合格品が少ないというような話でした。あるいは返品なども数が少ないというお話でしたが、それは少しおかしいじゃないかというような気がいたします。というのは、これは勘ぐって申し上げて申しわけないんですけれども、昔、私の友人が自動車部品製造をいたしておりました。ところが、優良な部品メーカーは返品なしにメーカーに納入できる腕があるかないかにかかっているよという、こういうことを言ったのを私は覚えています。それだけに、検査というものをメーカーが厳重にしてほしいなということを、きのうも真剣に私ども検討いたしました。そこで、どうなんですか。この検査する場合に、あなた方が受けられる印象はどうなんですか。まあ、おたくの会社は日本特殊陶業の会社ですけれども、どうなんですか、その辺は。私はこの辺が一番大事じゃないかと思うんですけれども、どうなんです。
  88. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) 御質問の要旨は、外注部品をカー・メーカー検査をするときに、部品メーカーとしてはどうあるべきかという御質問のように承りましたが、いま大体検査というのは工程管理品質管理が、先ほど申し上げましたいわゆる一次部品メーカー、われわれ自動車部品工業会の会員が主体となっております三百五十社では、ほとんど自主検査ということが主体でございます。ですから、先ほど川又会長からお話があったように、ロット検査あるいは抜き取り検査ということもございますが、私ども会員会社の納入部品ということについて、検査について過失があった場合は、これはもう論外といたしまして、いままでわれわれとしては通常のビジネスであって、特にこれという印象は受けておりません。
  89. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 受注の場合に、材料を提供される場合と、自分で材料を買ってつくる場合と、二つの場合があると思いますが、そういうことございますか。
  90. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) 一次部品の場合には、材料支給ということは比較的少のうございます。規格品を一次部品メーカーが購入いたしまして納入するというわけで、特別入手困難なものとか、特別のスペックのもの以外は、支給部品というものは第一次部品の場合は少ないと思います。
  91. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 そうしますと、結局部品の注文を受けると、取引の価格が出てまいりますわね、その際にやはり下請工場は下請工場並みにやはり企業の採算を考えるのは当然ですから、材質という問題などについてでき得るなら、なるべく安いところからこれを購入して、そうして製造してコストを下げようというような努力は私は当然行なわれると思うんですよね。ですから、問題はその際の材質にも問題があるような気がするんですよ。そういうことはないとおっしゃれば、そうですかと言う以外にないんですが、これは常識的に私は非常に欠陥車が生まれる重大なポイントがここにあるような気がするんですが、もう一度その辺のあなたのお考えを伺っておきたい。
  92. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) 御質問の要旨は、値下げとかいろいろなことがあるために、素材のいわゆる程度の悪いものを使うために、それが結局は欠陥車につながるのではないかというような御質問のように承りましたけれども、代替機能部品、完成部品につきましては、材料につきましてはほとんど規格がございますので、ほとんど全部規格品を使用しております。したがいまして、まず御懸念になるようなことはないというように考えております。先ほども申し上げましたように、ただエンジンの排気量の増大であるとか、走行性の向上であるとか、あるいは燃料が変わることによって従来規格したような材料よりもさらにこの材料が好ましいという改良をする必要があると思いますけれども、現状では御懸念になるようなことはないと思います。
  93. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 部品を納入しますね、代金の決済が行なわれるわけですね、そのサイドは大体幾らぐらいですか。
  94. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) これはいろいろございますけれども、これもまた自動車工業会の会員会社から受けている場合は、トヨタと日産さんが非常に安定しておりまして、たとえばこの六月末に納品が締め切られますと、翌月末の支払いになりまして、現金が七五%、それから翌月末のお支払いのときを起算といたしまして、手形のサイドが六十日ないし九十日、残りの二五%が手形で支払われる。これはたとえば年度末であるとか、あるいはお盆に近いということによって多少の相違はございますけれども、大体この基準でございます。
  95. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 自動車局長、きのうちょっと感づいて思ったことは、自動車のタイヤのよしあしによっても事故につながるような場合があるんじゃなかろうかという懸念を持ってたんですけれども、その辺はどこでチェックしているんですか。
  96. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) タイヤについてはタイヤ工業会がやっておりまして、タイヤについてそういう資料を持っておりませんです。ちょっと私からお答えできません。
  97. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 そうしますと、星野参考人のところにはタイヤ工業のメーカー入ってないということですか。
  98. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) そうでございます。タイヤ、バッテリー、軸受けというようなものは入っておりません。
  99. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 そうしたら自動車局長、これはどこでチェックしているのか。自動車局で、通産省で。
  100. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 品質につきましてはJISの関係でございます。それから現物のタイヤ、車につきましては車検のときに運輸省で、タイヤはJISでございますから通産省で見ておられるわけでございます。
  101. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 通産省のほうで合格したものについては運輸省はそのまま認めていると、こういうことですか。
  102. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) JISでその品質につきまして合格するかどうかということを調べるわけです。そのタイヤがついたものが車検にくるわけでございます。車検にくるタイヤは必ずしも新品だけでなくして、古いタイヤもくるわけでございまして、その場合に、そのタイヤにたとえばきずがあるとか、まずいとかいうふうな点につきましては、車両検査検査官がチェックするというたてまえでございます。
  103. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 自動車局はタイヤの専門であるはずはないと思うのです。私はそうだと思う。だから、非常にそれはあなた方からすれば、もし事故がタイヤがよかったか悪かったか、あるいは不適格であったかどうかによって、そういうことが事故の場合でもあり得ると私は思うのだけれども、これは自動車局わからぬなら、川又参考人あなたに伺いますが、これはやはり私は問題があるような気がするのですよ。しかも、これから暑くなるでしょう。そして道路はりっぱになって高速道になっていく。その際に、タイヤというものと安全というものは私は非常に重大な関連があるような気がしますが、この辺もあわせてひとつ川又参考人どういうふうにお考えになるか承っておきましよう。
  104. 川又克二

    参考人川又克二君) 高速性能とタイヤは非常に関係がございます。わが国のタイヤメーカーは大企業のほうがほとんどでございますので、またタイヤ工業会でJIS規格でやっておると存じますが、一般的に申しましてわが国のタイヤは非常に堅牢と申しますか、じょうぶになってまいっておりまして、かなりの耐久力を持っていると思っております。はなはだ常識的なお答えで申しわけございませんが、特に最近は、専門語で申しますと、ロープロフィールタイヤと申しまして——タイヤの形状でございます。これがまるみから多少接地面積の多い形に変わってきつつあります。高速で走るときにはそちらのほうがより適当であるというようなメーカーの判断もございまして、着々そういうタイヤをつけつつございます。
  105. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 これで終わりますけれども、このタイヤはほんとうに適格であろうかどうかというようなことについてもやはり検討いただいておるものでしょうか。それはなぜかといいますと、自動車のテレビやラジオなんかの宣伝はさることながら、タイヤなんかの場合は見ちゃおれぬようなことを言いますよ。とにかく飛び切り上等だというようなことで、どんなことやっても間違いないんだということであんなに宣伝されるのです。ほんとうにタイヤが安全だろうかどうかと私思うのですが、これは佐藤参考人、事実ハンドルを持つ立場から、タイヤによる適格、不適格という問題について何かございませんですか。
  106. 佐藤栄一

    参考人(佐藤栄一君) 現在のところ、タイヤによる事故、トラブルはまだ私のところでは起こっておりません。
  107. 前田佳都男

    前田佳都男君 最初に、工業会川又会長にお伺いしたいのであります。  資本の自由化というのは、まず当面の問題でございます。これに対処するために自動車工業が集約化するということで、ところがどうも現在の通産省のやり方を見ておりますと、少し集約を急ぎ過ぎるんじゃないか。それぞれメーカーにはトラックあるいはバス、乗用車、それぞれその得意がある。その得意ということを考えないで、とにかく自由化に対処して集約化せにゃいかぬということで、どうも少し急ぎ過ぎるんじゃないか、これがやはり欠陥車の遠因といいましょうか。大きな原因になるのじゃないかという点について、川又会長にひとつ御意見をお聞きしたい。
  108. 川又克二

    参考人川又克二君) 御指摘のように、自動車工業会は先ほどもちょっと触れましたが、国際競争力の強化、こういう立場に立っております。資本自由化も、最近は通産省のほうの御意向としては、ことしの秋ごろにはその時期を明らかにしなければならぬような情勢であろうと、こういうぐあいにいわれておりまして、業界としては自主的にもうそれに対する整備を急いでおるわけでありますが、各企業それぞれ企業としての立場がおありでございますから、機械的にはこういうものは進捗できない情勢でございます。こういう背景と欠陥車という問題は、私は直接に結びつきはないのではないかと存じておる次第であります。
  109. 前田佳都男

    前田佳都男君 この集約化につきましては、私もちょっとこう疑問を考えたわけですが、この問題はきょうはやめにいたしまして、小さい問題ですが、型式認定ですね、これは現在運輸省でやっておりますね。これは外国、アメリカあたりでは業者がやっております。かえって業者にやらしたほうが、責任を持って日産なら日産、トヨタならトヨタが責任を持ってやって、かえってこれを役所にやらすがためによけいいけないんじゃないか、まあちょっと変わった考えかもしれませんけれども、その点ひとつ御意見を。
  110. 川又克二

    参考人川又克二君) 型式認定の問題でございますが、御指摘のようにアメリカにおいてはこのような制度はないように伺っております。日本では、大量生産の車は一々車検場で個別審査ができないものですから、メーカーが新車をつくりますときにいろいろの御指示のある、規定、法律できめられております条項を満たして型式認定を受けるわけであります。しかし、運輸省のほうでこの型式認定をしたからといって、メーカーが、全部運輸省が認めてくれたものだからもうそれでいいんだというような考えは毛頭持っておるわけではございませんで、むしろメーカー運輸省の信託を受けて、十分な信頼を受けてやっておるものと、こういうぐあいに自覚すべきものだと存じます。わが国運輸省の規定は非常にこまこうございまして、あれを一々全部省としておやりになるのでは、人手、予算、膨大なものが必要であろうと存じますので、私どもメーカーとして運輸省の信任におこたえするという態度で進みたいと思います。
  111. 前田佳都男

    前田佳都男君 型式認定につきましてもいろいろ意見がありますけれども、きょうはもうこの程度にしまして、次に、自動車産業はこれは輸出戦略産業、とにかくどんどん輸出しなければいかぬ。ところが相当無理をして輸出されておる面があるのじゃないかと、まあこれは私の考えで実際どうか知りません。それでずいぶん輸出価格と国内向け価格とに差はないかどうかという点が一つ。 それから輸出価格を下げるために、国産車にその上乗せをしてないか。また、下請産業にしわ寄せをしていないかという点、その点も伺いたい。——時間の関係上固めて質問を……。  もう一つ、関税というものを除いて、日本車と外車というものの値段を比較しますと、わりあい日本車がまだ高いと、そういうふうな原因についてもお伺いしたい。したがって、輸出価格と国内向け価格の差の問題、次は輸出価格を下げるために内地向けに上乗せしていないか、それから下請にそのしわ寄せがいっていないかという点については、もうちょっとあとで伺いたいと思いますが、それから関税というものを除いて日本車と外車との比較、日本車が比較的高いその原因、そういうような点について。
  112. 川又克二

    参考人川又克二君) 過去におきまして、これは輸出であるからということで材料あるいは部品メーカーに協力を器願いした経過はあったと思います。ただし、現在ではそのようなことはなくなっておると存じます。と申しますのは、近年非常に生産量が増大いたしまして、メーカー並びに部品工業あげて量産化の方向、たとえばオートメーションの採用とか、いろいろ合理化の方法も進んでおりますので、輸出の母体となる総生産量が上がったということで、コストというものが相対的に低まっておる傾向にございます。ただ、輸出価格と国内価格とには多小の差はございますけれども、しかし、それは各国との経済的な問題になりますので、いずれも説明ができる範囲の差があるというふうに私どもやっておるわけであります。そうでありませんと、ほんとうに対米関係等では、いろいろダンピングその他のいろいろな法規に触れるおそれがございます。したがいまして、差は絶対にないとは申しませんが、説明ができる範囲でやっておるわけであります。
  113. 前田佳都男

    前田佳都男君 次に、川又会長とそれから星野参考人、両方に関係すると思いますが、先ほども同僚の議員から御質問がございましたけれども自動車産業は簡単にいうと組み立て産業で、何割が自社で、あとは下請部品工業に担当させるということは、はっきり数字はお示しにならなかったのですが、まあ半分以上はあるいは七割ぐらいが下請部品工業であるという声さえも聞いている。ところが、私はしろうとですから——ちょっとその会社の利益率というか、そういうものを見ますと、現在の自動車産業メーカーは、決して膨大な利益を得ているというわけではないのですが、しかしメーカーの利益率と、いまはっきりした数字知りませんので、これも教えていただきたいのですが、その利益率と部品工業の利益率というものを大ざっぱに見て、メーカーの利益率は比較的いいほうである。ところが、部品工業の利益率というものが、われわれ雑誌で読んでみると、だんだん低下してきているように思う。そういう利益率の低下というものが影響しまして、やはりいい材料を使わないという、先ほど星野さんはいい材料使うとおっしゃったけれども、いい材料を使わないで、利益をあげなければならぬためにそういうことを、疑うようでありますが、やはり材質を節約するとか、そういうことが欠陥車にやはり原因してこないかということもひとつお伺いしたい。
  114. 川又克二

    参考人川又克二君) 部品業界は非常に広範でありまして、先ほど星野参考人のほうから御説明があったようでございますが、一般的にどのメーカーにも納入することができる独立した体制を持っている部品工業会社も最近は非常に数多く出てまいりました。それから特定のメーカーに密着して企業を経営しているというのがおおむねよくいわれます下請の方々であります。その中に材料を自弁する方もあればあるいは材料を支給される方もある。あるいはまた部品業界を分析いたしてまいりますと、私どもが直接取引をいたしておりますメーカーの中に、またその下請がある。その下請のまた下請があるわけでありまして、私どもから見ましたら、孫下請、曾孫下請ぐらいのところまであるのが実情でございます。私どもも先ほど来申しておりますように、国際競争力とか自動車工業の確立とか、いろいろな問題を含んでおりますので、部品工業の方々にも合理化を要請している事実はございます。しかし、だからと申しまして、成り立たぬような価格で納入してくださいと申し上げたつもりもさらさらないと存じます。  企業の利潤でございますが、一々私比較資料を持っておりませんが、最近部品工業でもかなりの高度の成長を遂げておるものが多数あると存じます。  それから発注価格と材料費の問題でありますが、もし万一あったといたしましても、非常にそういう価格によって材質を落とすというようなことは、きわめて僅少な価格しかその中から取り得ないだろうと思いますので、私は材料を落として各メーカーの原価引き下げに応じたというケースは、これは十分私どもも調査いたしますし、部品工業会の方々ともお話し合いをいたしますが、まずなかったのではなかろうかと判断いたしておる次第でございます。
  115. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) 自動車部品工業会に属しております七十社について申し上げますと、四十二年三月末で総売り上げ高に対して償却あるいは法人税等を控除いたしましたいわゆる純利益が三%でございます。四十三年三月末二・九%、昨年の九月末が三%でございます。それからまた、純利益と資産の合計との比率を求めますと、四十年三月には三・二%で、たしか車が百九十万台できたというふうに記憶しております。四十一年三月末はいまの割合が二・四%で、二百四十六万台で、その時分が一番販売競争が激しかったときじゃないかと思いますが、二・四%に下がっております。四十二年三月末になりますと三・七%、四十三年三月三・五%、昨年の九月は三・六%で、全国の七十社の平均でもって——全国のものを平均するのはいかがかと思いますが、全国の平均は三・三%ぐらいだと思いますから、上位七十社については、ただいま御指摘のあったような御心配になる点はないのじゃないかというふうに考えております。
  116. 前田佳都男

    前田佳都男君 いま星野さんの御説明では、それほど御心配がないというお話でありましたが、大体メーカーに比べまして部品工業のほうが利益率が少ないというふうなことは言えるのじゃないですか。どうですか、その点は。
  117. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) 利益率というのはどういう意味か、存じませんが……。
  118. 前田佳都男

    前田佳都男君 総資本に対して。
  119. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) 総資本に対してですか。その資本も、会社の中ではいわゆる証券取引所の  一部上場会社、二部上場会社、全然上場なさらない会社というのがございまして、一がいにちょっと言えませんけれども、比較論でもって少ないかどうかということは、ちょっと一がいに言えないと思います。
  120. 前田佳都男

    前田佳都男君 なかなかそれは答弁しにくいかと思いますが、とにかく部品工業もメーカーも、両々相まって繁栄するような方向に持っていって、初めて欠陥車問題の根本原因というのは私は解消できると思います。  それで、これはちょっと聞いた話ですが、これも星野さんに聞かなければいかぬのですが、部品メーカー販売に際しまして、補修部品販売に系統の自動車工業会——工業会ではなく、ある会社が制約を加えている。そういう補修部品は、要するに売ってはいけない、そういうふうなことを制限しておって、部品メーカーの利益というものを非常に減少させている。これは公取にも関係する問題ですが、そういうようなことを私はちらっと聞いたが、そういうことはどうです。
  121. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) 自動車部品の中には、二重価格制をとっておりまして、これはただいま廃止になっておりますが、昭和十一年前後の自動車製造事業法の施行されている時分の二重価格制というのがありまして、一つは国産自動車を安くするために、いわゆる組みつけ部品はなるべくマージンを少なくし、補修部品でマージンを確保する、いわゆる二重価格制でプールして計算するという方法がございまして、その御指摘になった部分は、補修部品販売ということについての御質問じゃないかと思うんですか。
  122. 前田佳都男

    前田佳都男君 そうです。
  123. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) これはカー・メーカーさんの部品部を通じまして、ジョイントパーツ——純正部品として売られたほうがぐあいがいい場合もございます。それからあるいはかなり前から、国産自動車がこれほどの急激な伸長を遂げる前からやっているととろは、従来のブランドでもっていけるところもございますので、いまの時点ではカー・メーカーさんが補修部品販売について一つ制約を加えているということは、あるいはカー・メーカーさんの青写真でもって全部つくったとか、特殊な条件のものは別として、そういうことは非常に少ないんじゃないかと思います。
  124. 前田佳都男

    前田佳都男君 もう一、二、簡単に。部品メーカーは、先ほど川又さんがおっしゃったように大から中小までたくさんある。 んある。大きいものには開銀融資とか、いろいろ助成の措置もあるようですが、中小のものに対してはきわめて少ない、そういう助成が少ない、それはどうですか。
  125. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) ちょっと、いまお話の要旨を聞き漏らしました。
  126. 前田佳都男

    前田佳都男君 大きいのから小さいのまで部品メーカーはたくさんあるわけですね。大きいものに対しましては、あるいは開発銀行の融資だとか、いろいろ助成の措置は、相当有力な措置がある。しかし、中以下のものに対しては結局そう助成がされていない。それでだんだんとしていって、それが理想かもわからぬ、そういう情勢ですか。
  127. 星野茂雄

    参考人(星野茂雄君) 機械工業振興臨時措置法による開銀融資とか、あるいは中小企業金融公庫融資等については、通産のほうの行政指導というものが、単に生産能力の増大であるとか、あるいは国際水準へのさや寄せとか、あるいは海外へのさや寄せということを重点的にしぼっておられるようにお見受けされますので、いわゆる工程をやって仕事をやっている、先ほど申し上げました鋳造、鍛造あるいは機械加工といったようなことに対しては、この上の会社がめんどうを見ないとなかなか、いわゆる政府の直接の施策というものが浸透しないだろうということは言えると思います。
  128. 前田佳都男

    前田佳都男君 最後に一つだけ、石塚さんにお伺いしたい。  軽自動車、これは日本特有のことば。型式認定はあります。しかし、車検はありません。これがまあ、車検がないということは、やはり使用上にも無理を来たし、ついほっておくことになり、欠陥車に通ずる。したがって民間車検、これもなくなっちゃうと思うんですが、どうですか。
  129. 石塚秀男

    参考人石塚秀男君) お答えいたします。軽自動車の車検はございませんけれども、臨時検査の対象にはなっております。それから御承知のとおり軽自動車の耐用年数、すべていろんな走行、運行状況、そういう点からいきまして、現在車検のない車もございますし、とにかく定期点検というものは義務づけられております。この定期点検は六月点検と十二月点検がございますので、六月定期点検というのは、先ほど私が申し上げましたような軽いチェックで済む。十二月定期点検というのは、われわれ工場のほうで十二月定期点検という項目をつくりまして、安全確保の点検をしておるわけでございます。これは義務づけられておりますけれども、現在のところではやらなくても法律的に制裁がございませんので、この解消につきましては、全国自動車協会連合会というものがありまして、全国都道府県に、陸運事務所の所在地に、その出先機関を持ちまして、こういうような後ほどお手元に差し上げたいと思いますけれども、軽自動車の保安確認指導要綱というのを業界でつくりまして、運輸省の指導によりまして、現在、完全な十二月点検をしていただきました方には証紙を張る、こうした一つの指導でいまやっておりまして、この結果がだいぶ盛り上がってまいりました。二カ年間に一ぺん検査をしたからといって、現在の車が安全だということより、むしろ定期的点検を十分にやれば、現在の車の性能からいって、過去の車検の時代というのはもう——大体自動車を、一年たてばオーバーホールし、バルブリングを取りかえるというぐらいのことじゃなく、二年間はエンジンはそのままもつという状態で、タイヤの耐用年数につきましても、小さいから大きいからといって別にタイヤの耐用年数も違わない、小型であるから、あるいはスピードにつきましても、速度制限されておりまして、仕様の限度にいたしましても、多少いろいろな面もございますけれども、軽自動車の仕様と使命につきましても、現在の定期的点検が実際に普及されていけば十二分に安全確保ができる自信を持っておる次第であります。  そういう面で、昨年来から全国に定期的点検普及対策をつけまして、先ほど申し上げました映画もつくりましょう、そうして車検という体制をしがなくても、——車検があるから事故が少ない国もありますが、平素の保守点検というものを十分にすれば、車検はその次の段階であろうと思いますので、そういう面でまず私たちの考え方では、現在、定期的点検の普及体制を十分にすべきじゃなかろうか、こう解釈しておりますので、これで十分安全確保できるという、いろいろわれわれの長い経験からこういう体制をしきましたので、この点について御理解いただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
  130. 田渕哲也

    田渕哲也君 今回の欠陥車の問題はいろいろ検討してみますと、一般にはかなり問題の混同もあるようですし、また感情的なものもまじっているように思います。したがって、問題の把握というものがきわめて不正確な面があるのではないか。私は、大きく分けてこれには二つのポイントがあろうかと思います。  まず、第一は、自動車の大衆化が進んできた今日、欠陥車回収や修理の方法が、従来やっていた方法では不十分になってきた。したがって、アメリカでやっておる公表の慣習を日本にも取り入れたほうがより適切ではないか。すなわち回収方法の問題であります。  それからもう一つの点は、欠陥車がたくさん存在していることは望ましくない。理想としてはもちろんこれをゼロにすることでありますけれども、極力少なくするような方法を講ずることであります。すなわち、これは品質の問題でありますし、あるいは製造段階の整備、さらには関係法規等の体制整備の問題であろうかと思います。  まず最初に自動車工業会川又会長にお尋ねしたいのでありますけれども、一の、最初に述べました回収方法につきましては、各メーカーでも公表の方法に踏み切った。これは一歩前進であろうかと思います。しかしこの問題の発端は、アメリカのニューヨーク・タイムズの記事と聞いておりますけれどもアメリカで指摘された理由の真相についてもう一度お伺いしたいと思います。
  131. 川又克二

    参考人川又克二君) そこでリコール問題、欠陥車回収問題というものが起きたのはきわめて最近の事実でございます。ニューヨーク・タイムズの記事は、わが国に伝えられた範囲では日本車ということが強く印象づけられておるわけでありますが、記事そのものは外車の小型車を列挙いたしておるようであります。で、アメリカのリコールは、実はこれもまた歴史がそう古いものではございませんで、私の記憶によりますと、一九六六年にアメリカにセーフティーアクトが施行されまして、当時あわせて排出ガスの規制の行なわれた初年度でございまして、私どもも、そのときにセーフティーミッションということであえてやりまして、当局に自動車の安全機構、当時二十一項目であったかと存じますが、そういうものを小型車に全部つけられるかどうかの可能性、あるいは排出ガスの問題もやってきたわけであります。その後アメリカで安全局と申しますか、ナショナル・ハイウエー・セーフティ・ビューローと申しますか、そういう局ができまして、一九六六年当時はまだアメリカではデパートメント・オブ・トランスポーテーション、つまり運輸省というものができていなくて、商務省の一局であったのでありますが、自後一九六七年に、私の記憶に間違いがなければ、一九六七年に運輸省が初めて独立いたしまして、そこでいま申しましたナショナル・ハイウエー・セーフティー・ビューローができまして、これが安全すべてを管掌することに相なったわけであります。その中で日本車——この場合日本車と申しますが、公表してないということでございますが、実はここに資料を持っておりますが、公表という解釈でございまして、これは新聞に広告しなければ公表できないかどうかということでございます。日本の車もあるいはヨーロッパの車も、アメリカの車も、ナショナル・ハイウエー・セーフティー・ビューローにすべてリコール車の内容を届けております。ここにお持ちいたしましたのは、これは一九六八年の一月から十二月三十一日までに届け出られたものでございまして、もちろんこの中には日本の車も、ヨーロッパの車も、アメリカの車も全部列挙いたしております。ここに持ってまいりましたのは、ことしの一月から三月の分でございまして、大体ナショナル・ハイウエー・セーフティー・ビューローは三カ月に一回ずつまとめて資料を公表いたしております。ことしの一月から三月までの間に、ゼネラルモータースのやりましたリコール・キャンペーンの中に、二項目だけプレス・リリースという注釈がついたのがございます。これが新聞公表であるのか、そのほかにアメリカメーカー新聞に広告しているか、これはまだ調査不十分でございます。いずれにいたしましても、日本の車もナショナル・ハイウエー・セーティー・ビューローに届け出て、これに列挙されて、その形では公表が行なわれておるわけであります。したがいまして、ニューヨーク・タイムズの記事がことさら日本車を批判の対象にしたとは思われないのでございますけれども新聞紙上に公表したほうが回収率が早いのではないかというようなことになっておるわけであります。  で、新聞に公表することは、このセーフティーアクトには何らの規定がございませんで、ビューローに届けなさい。届けた内容は同じく、日本語で言いますと書留郵便のような形で第一次の使用者に通知をしなさい、こういう規定がございます。これは日本車も全部やっておるわけであります。まあ過去はともあれ、今日こういう事態になりまして、自動車のリコール問題ということがわが国にもだんだんと事の性格が御理解いただけるようなことになってきたと思います。で、私ども新聞紙上を拝借して、もしセーフティーについて懸念のある、あるいは点検を必要とするような場合には、早く広くお知らせして、そのふぐあい個所を、早く修正する、早く直すという趣旨は取り入れてけっこうだと思いますので、今後積極的にやってまいるつもりであります。
  132. 田渕哲也

    田渕哲也君 いま御説明にありましたように、公表制度というものは、早く知らせ早く回収するという意味で、非常に大きな効果を持つだろうということは、当然考えられるわけでありますが、しかし問題は、この制度というものをやはり日本の中に定着させる必要があろうかと思います。しかし、現在の日本の自動車業界を見た場合には、先進諸国に比べて寡占状態があまり進んでいない、いわゆる乱戦模様、過当競争状況にあるわけであります。したがって、業界のほんとうの足並みがそろい、協調がなければ、なかなかこういう制度の定着もむずかしいのじゃないかというふうに考えるのでありますけれども、現在の実情から見て、工業会会長として、この制度が定着し得る見通しをお持ちかどうか。
  133. 川又克二

    参考人川又克二君) 御指摘のように、わが国自動車業界は、いろいろの背景のもとに急速に伸展をいたしました。競争も御指摘のように激しいものがございます。こういう慣行を日本の中に定着させるという心がまえはもちろん必要でございまして、工業会等におきましても、あの会社がどれだけリコールをやったとか、そのリコールの個所があの会社は非常に多いとかいうことは、全国のセールスの末端において、販売競争に絶対利用しないようにということをかたく申し合わせておりますので、リコールがやりやすい、そうして競争の材料に使われないような、そういう環境をあわせてやっておきませんと、もし憶病になってはいけないかと存じて、その配慮はいたしておるつもりでございます。
  134. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に、欠陥車の問題についてお伺いしたいのでありますけれども欠陥車と一口に言いましても、この内容はおそらく千差万別であり、いろいろなパターンがあろうかと思います。たとえば設計上の問題のあるもの、これはテストの段階で発見されなかった欠陥が、ユーザーが使う段階で発見されたというものもあるかと思います。さらには精度の問題、あるいは組みつけミスの問題、さらには整備不良、いろいろなものを含めて欠陥車というふうに総合されておるように思いますけれども、この定義なり、分類をお聞かせいただきたいと思います。川又会長にお願いしたいと思います。
  135. 川又克二

    参考人川又克二君) このリコールということがアメリカで行なわれておりますので、私どもアメリカの例を多分に参考にいたしたいと思いますが、日本語でリコールというのを訳しますと、欠陥という非常にどぎついことばになりまして、百二、三十万台まだ残っておるというと、百二、三十万台が全部欠陥であるというふうに見られがちでございますが、これは販売された車の中にそういうふぐあいの個所があるから、メーカー責任といたしましては、これを点検をさせていただけないだろうか、そうしてもし予期したようなふぐあい個所がありましたら、いち早く直させていただけませんでしょうか、こういう意味合いでございます。きわめて大胆なことを申しますと、ほんとうに欠陥がたくさん出てきたようなことがあってはたいへんなんでございますが、いまのところはまだ、やっておりますが、そう続々出てくるというような事態ではないようでございます。でございますから、あくまでも、私ども運輸省に届け出いたしたものは、対象車両数でございまして、全部が全部ふぐあい個所を持っておるということではないと思います。欠陥のおそれがあるから、点検をさせていただきたいということでございます。日本語に適当なことばがございませんので欠陥車欠陥車と申して、非常にユーザーの方々も御不安を抱いておると思いますが、あるいはリコールというようなことばが日本語に、ずいぶん外国語が日本語になっておりますので、リコールというふうに読ませていただけたらとわれわれはひそかに希望はいたしておるわけでございます。
  136. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に、整備振興会の石塚会長にお伺いしたいと思いますけれども欠陥車新聞等で取り上げられているものの中に、整備不良車がかなりあるように思います。これは現在の道路運送車両法で、たとえば仕業点検とか、定期点検整備ということが法で義務づけられておるわけでありますけれども、実情としては、ほとんどこれが守られていないというのが実情ではないか。昔は、自動車を運転するのはプロのドライバーで、毎朝自動車を点検したものでありますけれども、もちろん当時の自動車は、いつどこで故障するかわからない、必ず点検しなければあぶないという実情にあったわけです。ところが、最近は自動車の大衆化が進みまして。プロでなくてアマチュアが運転をしておる。したがって、自動車というものは故障しないものである、欠陥がないものである、まあこういうふうな考え方で乗っております。それだけに、自動車の安全性が要請される状態になっておると思いますけれども、この現在の道路運送車両法の仕業点検、定期点検整備、こういうものもどうも実情に合わなくなっているんじゃないかという気がします。仕業点検なんてやる人はほとんでいないわけです。その意味では、この定期点検整備をもう少し強く規制する必要があるのではないか、義務づけていく必要があるのではないか。そういう面で、振興会としまして、この道路運送車両法の改正に対する御意見があればお伺いしたいと思います。
  137. 石塚秀男

    参考人石塚秀男君) お答えいたします。ただいま御質問内容、実情のとおりでございます。私たちもつとめて定期点検を、先ほど申し上げたとおり、ユーザーの段階で仕業点検なりあるいは六カ月点検なりができるような根本的な普及体制をはかり、その上で定期的点検の義務づけをもう少し強化すべきじゃなかろうか。それに、あまりにも現在ドライバーが、先ほどの昔のドライバーということばと違っておりまして、全然自動車に対する知識が少ないために、義務づけを先にするより、もう少し普及をやりたいというので、目下軽量車につきましても、一般車につきましても、普及体制を確立しておりますが、現状のところではなかなかそれが思うように普及体制ができない。まあできますれば、定期的点検というものを義務づけされているものを何らかの形で強化さしていただければと思いますけれども、実際いうと、幾ら車の点検義務だけをつけましても、そのドライバー自身が点検の内容なりそういう実情なりを知っていただくことが、私たちとしては普及体制が確立できるのであると、こう解釈しておりますが、両様進めていきたいと念願を持っておる次第でございます。この点やはりいずれが先にいくかということでございますが、私たちがあまり点検義務を強化するということは、何かこう利益に結びつくように解釈されていくんじゃなかろうかということで、普及体制を先にやっているという実情でございますので、できません。卵が先か鶏が先かというような実情でございますので、この点運輸省のほうも——いろいろ点検の普及に対しては、われわれとしても率先やっておる、メーカーにもいろいろ支援をいただいている状態でございます。まあできますれば、もう少し現段階におきましては強化さしていただくということは、文字どおり日本の道路におきましては、自己の責任におきまして走るという道路はございませんので、アメリカやアウトバーンにまいりますと、ノースピード、フリーウエーがございますが、百キロでなくちゃいけない、何キロでなくちゃいけない、何でも制限制限でもってやっておるという実情で、フリーウエーがあって何か自分の責任で走るという気にならないわけであります。この点がやはり日本の現在の自動車の問題につながっておる思想の問題じゃなかろうかと思います。この点、日本の国土、事情に合ったような自動車整備自動車道路となると、もう少し政府段階においてもお考えいただきたいと思います。
  138. 田渕哲也

    田渕哲也君 川又会長にお伺いしたいと思いますが、欠陥車はいろいろのパターンがありまして、それぞれの分野で少なくする努力が当然要請されるわけでありますけれども、今回の欠陥車に対する問題を見ておりますと、国産車欠陥だらけで非常に危険だという印象を大きく与えておると思います。これは外国車の水準と比べて一体どうなのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  139. 川又克二

    参考人川又克二君) 外国の車、国産の車、多数ありますので、比較することは非常に困難だと思いますが、わが国自動車の現状、輸出の現状から推察いたしますと、私どもの製品はかなりの優秀さを持っておるものと認められているのではないかと思います。これは外国の車もたくさんあって、日本の車もたくさんありまして、どれとどれを比較するということはできませんので、もしなんでしたら、アメリカのこういう届け出がどの程度あるかということも後ほどごらんいただけたらしあわせかと存じます。非常に技術水準の比較——もっとも私どもは、現在つくられておりますのに欠陥の問題が出まして、国産車が非常に不信を買っておる現状でございますので、あまり大きい口をきけた立場ではございませんが、しかし海外における評価は非常に高いものがございます。そういう状態から見れば、国産車は相当の技術を持っておるものと御認識いただけるかと思います。
  140. 江藤智

    ○江藤智君 いまの外国とのあれね、川又さん、一ぺん見ていただきたいと言っていた資料ね、あれもらってください
  141. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 承知いたしました。資料、ございますね。
  142. 川又克二

    参考人川又克二君) もしあれでしたら、私これ置いてまいります。一部しかございませんので、資料置いてまいりましょうか。
  143. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 工業会にはございませんか。
  144. 川又克二

    参考人川又克二君) 工業会にはございます。
  145. 田渕哲也

    田渕哲也君 それじゃ最後に一つだけお伺いしたいと思います。  今回の問題の発端となったのがアメリカであるし、またアメリカは日本の輸出の最大の市場であります。アメリカにおける今回のこの国産車欠陥車の問題の反響はどうか。またこれがアメリカ以外の全世界に対する今後の日本車の輸出に及ぼす影響はどうか。この点について川又会長にお伺いをして、質問を終わります。
  146. 川又克二

    参考人川又克二君) 欠陥車の問題が日本に起きましたときに、通産大臣からもいろいろ御注意をいただきました。その際、輸出につきましてはどういう影響だろうかという質問もちょうだいいたしたわけでございますが、私はその時点におきましては、アメリカもしくはヨーロッパ——ヨーロッパにおきましてはリコールのような事態はございません。義務もございません。アメリカではそういう問題がほとんどもう定着しておりまして、むしろ進んでこれをやるという状態になっておりますので、日本の事態につきましても、アメリカ及びヨーロッパは、現在のところ冷静に受けとめておるようでありますから、この方面への輸出については懸念はないだろうと存じております。しかし、あまりいろいろ各方面議論が沸騰いたしております現状からすると、ヨーロッパ及びアメリカで、自分たちが考えている常識以上のことが日本に起こったのではないかというような懸念になりますと、欧米への輸出にも影響が出てくると心配するわけであります。また東南アジア等におきましては、初めてのケースかもしれませんが、おそらく東南アジアにも外国の車が多数まいっておりますので、この辺の事情はやがて了解されるのではないか。だから、私どもはこの問題を安易に考えるという趣旨ではございませんので、お間違いのないように御理解をちょうだいいたしとうございますが、外国においては、私どもはこの程度のリコールはまず受け入れられておるのではないかと思いますから、今後の趨勢を見なければ確かなことは申し上げかねますが、おおむね輸出にそう大きな打撃はないのではないかと考える次第ございます。
  147. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 本案に対する質疑は、午前中はこの程度にとどめます。  参考人の皆様に申し上げます。本日は長時間にわたりまして貴重な御意見を承り、ありがとうございました。本委員会といたしましては、皆様方の御意見を今後の審議に十分役立たせたいと存じます。本日はどうもありがとうございました。  午後二時まで休憩いたします。    午度一時十分休憩      —————・—————    午後二時十三分開会
  148. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  149. 森中守義

    森中守義君 やっと通産大臣にお目にかかって……。たまには運輸委員会にも気軽においでいただきたいと思います。  型式の認可条件の際、運輸大臣通産大臣に協議する、こういう条項があります。そこでいままで無数の審査が出されました、つまり、型式の申請があったわけですね。逐一、運輸当局は協議が行なわれているかどうかということは運輸大臣に承っておりませんけれども、少なくとも省令、このたてまえからいけば、やはり型式申請に対し通産省は何がしかの意思の表明が行ない得る、あるいは行なわれなければならぬ、こういうことになっておるんですが、いままでこういうことに対してはどういう経過をたどっておりますか。
  150. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 御指摘の型式の認可を運輸省においておやりになる場合、私どものほうにそのつど協議を受けております。
  151. 森中守義

    森中守義君 いやいや、それはたてまえは受けねばならぬ、そういうことになっているんですからね。内容はどういうことですか。つまり、通産省も一定の方針をお持ちになって、運輸省から協議があった際には、どういう方針で自動車生産、あるいはその集約としての型式申請に対して意見を述べるのか。つまり自動車生産政策といいましょうかね、そういうことがお聞きしたいわけですがね。
  152. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 不敏にいたしまして詳しいことは私も通暁しておりませんのでございますけれども、私どもの立場は自動車生産行政をあずかっておるわけでございまして、生産管理品質管理、技術の開発、そういった方面自動車産業の振興に奉仕をいたしておる立場でございます。したがいまして、通産省といたしましてはそういう立場から運輸省からの御協議に対しまして意見を述べておるものと承知いたしております。
  153. 森中守義

    森中守義君 そういう点では、今回の欠陥車騒動、これはいま保安問題を担当している運輸省が峻烈な糾弾を受けているわけです。ところが漸次、この委員会あるいは他の委員会等でも、議論を発展さしていけば、ひとり保安関係だけの責任ではない。やはり生産指導あるいは産業政策をやっている通産にも相当部分の責任をになってもらわねばならぬような点がたくさんあるようです。むろん業界の代表を大臣がお呼びになって、何がしかの叱責なのか勧告なのか注意なのかわかりませんが、意思表明はされたようです。そのことですべて通産の責任はのがれたということには率直に言って私はならない、こう思うんです。けさも実は同僚の前田委員からも、興銀あるいは開銀あるいは輸銀等の話がちょっと出ました。なるほど提出してもらった資料の中に、日産を筆頭に三菱重工あたりかなり輸銀が入っています。あるいは開銀が入っています。その辺によくいわれる自動車産業戦略産業、あるいはこれからの日本の輸出のトップを行くというわけで、いろんな形で、新聞等でいわれる用語を引用すれば、必要以上の保護政策がとられている。したがって、そういう過度にわたるような保護政策ということが要するに生産第一主義、要するに販売第一主義、逆な見方をするならばそれだけ安全対策というものがおろそかになっていく、こういう内容等がきわめて明瞭に露呈されてきていると私は見ている。したがって、ポジションとして、いまや通産が生産指導あるいは産業政策をやるということであって、保安はそのようなところでやるのだからおれのほうはそう関係ないということでは、やっぱり政府一体の責任としては済まぬ、こう思うんですね。したがって、しばしば、繰り返してきたんですが、今回の欠陥車の問題は生産・保安、しかも包括的に人命安全つまり交通安全という立場から世の中は受け取っているし、また欠陥車の問題、そういう角度から問題点を解明をしているわけであります。したがって、生産産業政策、そういう面から、この欠陥車に対して通産大臣はどうお考えになっているのか。またこれから先、先般運輸大臣の説明によれば、交通閣僚協議会というものをつくりたい、設置したいと、こういうお話等々も承っておりますが、具体的にこういうものがすでに回り始めたというお話を承っておりますが、そういう問題等に対して通産大臣はどうお考えになりますか。たいへん抽象的な質問になりましたけれども、いわば政策の一つの重要なかなめになると思いますから、正確にお答えいただきたい。
  154. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 欠陥車の問題が、国民生活の安全を保障する上から申しましても、また輸出の振興をはかってまいります上から申しましても、たいへん重大な問題であると思います。これは、運輸省交通安全行政のお立場から御心配をいただいておるわけでございますけれども、私どもは、全面的に生産行政にもそれ以上の責任があるものと考えております。これを回避しようなどとはゆめゆめ思っておりません。自動車産業は御承知のように、戦後急速に伸びました産業でございまして、三百六十円レートが設定された当時、複数レートで五百円をこしておったような状況で、一体日本の産業の土壌に自動車産業が育つものかどうかということが危ぶまれたほどの産業だったわけでございます。それが今日、百二十万もの雇用を擁する基幹産業一つに成長してきておるわけでございまして、これはわが国産業経済にとりまして非常に重大な展開であったと思っております。したがって、そういう基幹産業でございまするから、この技術の開発面において、あるいは体制整備の観点から体制金融の局面において、さらには輸出上いま最大の輸出躍進産業でございますから、輸出金融の立場で政府がそれぞれ配慮してまいることは、私は決して間違っていなかったと思いまするし、今後も適正な配慮を施していく必要があると考えております。  ただ御指摘のように、生産第一主義販売第一主義に堕して安全性をないがしろにしたのではないかという御指摘でございますが、これは自動車産業自体といたしましても、安全性をはずしてこの産業の発展はないし、輸出の振興もあり得ないわけでありまして、だれよりも先に自動車産業それ自体が安全性の追求に非常に真剣でなければならぬはずでございますし、事実そうでございます。ただ、開放経済下におきまして、非常な苛烈な国際競争場裏で経済性の追求もあわせて考えなければならない産業でございまするから、できるだけ合理化を進めて低コストで自動車を提供するというように努力しないとやっていけない産業でございまするから、安全性と経済性が完全にマッチしていくということは非常な理想でございますけれども、現実の事態といたしまして、欠陥車問題にも露呈されておりますように、多くの欠陥車を出しているということはたいへん残念なことでございまするが、人間のやることでございまするし、完全を期することはできませんし、そういった非常な苛烈な競争場裏で産業の運営をやってきておるわけでございますから、そこに多少の無理がどうしてもきいているのではないかという点を私どもも懸念をいたしておるわけでございます。しかし何におきましても、人命の尊重という第一義的な要請には万難を排して対応してまいらなければならぬわけでございます。したがって、私どもはまず会社御自身にはその趣旨を、品質管理生産管理、研究開発等について御指摘のように注意を喚起し、文書をもって通達をいたしておいたところでございますが、さらに部品産業部品業界等についても十分配慮をいたしまして、安全性の確保に最大限の努力を払うように要請もし、われわれもこれからなお精力的に鞭撻をしてまいらなければならぬと決意をいたしておる次第でございます。
  155. 森中守義

    森中守義君 この通産省から出してもらった資料を拝見しますと、四十年以降現在に至るまで大体生産実績の推移ですね、非常に注目に値するのですね。大体コンスタントに一二〇%くらい前年度対比でいっておるようです。中でも四十二年度の場合には、普通乗用車の場合に一五六。こういうのは毎年工業会なり、あるいは各メーカーがことしの生産実績はここまで持っていくのだ——むろんこういう高い指数を示しておるという記録は、それ自体に需要が、あるいは輸出が伸びた、そういうことにもすぐ置きかえることはできると思うのですが、生産基盤、生産体制、こういうものが一挙に前年度に対して一五六までも異常な成長を示すということになれば、どこかにやはりすき間ができるのではないか、たとえば材質が非常に粗悪になる、あるいは安全基準等が。ただ、均一生産ということがいわれておりますけれども、この異常に近いような生産性の向上というものは、ちょっと私は問題があるように思うのですね。これは毎年その年の生産計画を求めておられるのですか。
  156. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) われわれ、特定の業種以外は原則として自由企業体制でございますから、生産計画も販売計画も輸出計画も、そういったものを聴取しておるわけではございませんで、自動車産業の場合は企業の自由にまかせられております。
  157. 森中守義

    森中守義君 まあむろんたてまえはそのとおりでしょうけれども、ちょっとやっぱり異常なんですね。ですから、四十二年といえば、今回の欠陥車の車種としても一番多いときですよ。このくらい高い指数を示したということは、裏返していえば車それ自身が相当量的に確保されている、ひいては欠陥車につながったという、こういう見方も出てこようかと思う。しかし、その実際の生産調整ということは通産省の、いま大臣の言われるようなたてまえもありますから、非常に困難なことでありましょうけれども、こういう生産性をただもういたずらに高める、そのために粗悪品が出回る、欠陥車が発生するということになれば、これはたへんだと思うわけです。だから生産指導という立場からも、よほどこの点については目を向けてもらわねばいかぬ問題ではなかろうか。こういうことが、私は最初に申し上げる型式の申請にあたって両大臣が協議をされるという一つの背景を持っているようにも思うわけです。だから欠陥車に対する責任は、ひとり保安を担当する運輸省だけではない、通産省もあるぞというのは、まあ具体的にいえばこういうことだとも考えておるわけです。ですから、それから先の生産行政について関係のある省庁とは十二分に協議をする、全体的ににらみをきかせながらやってもらわなければ、通産がとにかく野放しに生産をする、出回った車はとほうもないものだというわけで、あと運輸省がひとりきゅうきゅういっている、あるいは警察庁が手に負えないというような、こういうような、つまり行政上のばらばらといいますか、行政欠陥というのがいま、はしなくもこの問題であらわれている、こう思うんです。ですから、これは要約して言うならば、運輸大臣が提唱される、つまり自動車に関する何か政府一体の検討機関、生産、保安、取り締まり全体を通ずるそういう何かの機関を設置される要があると思う。これはひとつ、運輸大臣の発想に基づいたもののようですが、通産大臣としては具体的にそういうものに応じていくお考えをお持ちですか。それとも内容をどういったように詰めていくか、その点ひとつ運輸大臣もおいでになっていますから、両大臣からおのおの意見を承っておきたいと思います。
  158. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) いまのこの自動車欠陥車という問題にからんで先般から御質問がありまして、私が答えている中に、この交通安全という問題とどう取り組んでいくかということについて、政府一体、こういう考え方から閣僚協、こういうものを話し合っているということを申し上げたのであります。何べんも申し上げるようでありますが、私は日本の現在のつくられておる自動車は世界ではハイレベルにあると考えております。ますますもってよい車をつくっていこうという努力をするためにどうしたらよいかということが問題点だと、そのためにいま日本でやっている制度の上に、公表というアメリカのやっておるやり方というものを取り上げることのほうが前進である、こういうことを具体的な対策一つとして考えておるということを先般から申し上げてきたわけであります。で、要は、ものの出発の根本は何か、政府としては国民の財産、生命、これを保護しあずかっておるという立場に立って、生命というものが失われるということに対しては勇敢に対策を講じていかなければならない。その事故の中で自動車事故というものが非常に多いことは御存じのとおりである。その自動車事故で、乗っておる人が未熟なるがゆえに起こしておる事故とかあるいはその他いろいろ原因がありますが、自動車そのものが欠陥があって起こしておる事故があったかないかというようなことも、この欠陥車問題で非常に論議をされてきたことであります。私はこの問題等を政府の責任において総合的に考えるために、政府は交通安全というたてまえから法律案を国会に提案しておるわけであります。この法律の内容には総務長官が中心となり、総理大臣が指名する閣僚がお互いに相談してこの交通安全を期するために国、地方団体は何をするのか、それからたとえば自動車の場合は、自動車をつくっておるメーカーはどうした方法で対処していくのか、あるいはディーラーはどうしたらよいのか、また利用する人たちはどうしたらよいのかということをこの法律の中できめていっておるわけであります。まだ法律案は通過はいたしておりませんけれども、それは大事なことでありますから……。  先般も高速道路が開通した、そのとたんに事故が発生しておる。こういうことを踏まえて閣僚で相談をしようじゃないかということを先般も申し上げてきておるわけでありまして、すでにこの問題に関しましては、一応総務長官のところで成案を得まして対策は発表いたしておりますが、その中の一部、高速道路におけるところの交通の事故者に対する救急体制というものが、自治省並びに建設省の中でまだ意見がまとまらないので、関係閣僚会議に持っていくということは、ちょっとまだ実現ができておらない状態でありますが、これがまとまりさえすれば、すぐに閣僚協が開かれるはずであります。その際には、私はこの二週間にわたって行なわれてきておりますこの問題も取り上げて、私がなすべきことを御提案をいたしていきたい、このように考えておる次第であります。
  159. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 森中先生は非常に急激に生産が伸びたということが即安全性がその程度閑却されていやしないかという御指摘でございますが、私は必ずしもそのように直線的に理解をしないのです。なぜならば、自動車が売れるということは、メーカーがつくる品物に対して消費者が信用するからでございまするし、またディーラーを通じてユーザーにいろいろ説明が行なわれる、理解が行なわれる。消費者も多額の金を消費するわけでございますから、その点は十分の配慮をされるはずでございまして、そういった一連の生産並びに販売並びにサービス、そういったことが都合よくいっている基礎の上に、初めて生産が伸びるわけでございまするから、あなたがおっしゃるように、それは即もう安全性が犠牲になっていやしないかというようにおとり願わぬようにお願いをしたいと思うのでございます。  それから第二点は、しかしそう急激に伸びると、生産計画並びに実績が非常に大きくなるというようなことについて、政府は一体調整を試みようとするのか、それとも成り行きにまかしておこうとするのか、どうなんだという御質問が第二点だったと思いますが、いままでわれわれのほうの産業構造審議会などで設備資金の調整をやっておりますが、大きな装置産業につきまして巨額の投資が行なわれる、これは景気を左右する大きなファクターでございますから、また資金の需給状況から申しまして、どういう見当がよかろうかというような趣旨で行なわれておるのでございまして、個々のメーカー生産計画にまで入った調整を意図しておるものではないわけでございます。で、これはこのように設備をするのに何年もかかるし、巨大な投資になるし、それができ上がって回転を始めた場合に、はたしてこれにミートする需要があるかどうかというような問題は、これは自動車産業だけじゃなくて、装置産業全体にとって重大な問題になるんで、これは巨額の投資を決意する経営者自身、またこれに融資する銀行はもとより、これは非常に真剣な課題でございまして、したがって、そういう自主的な計画化というようなことは自律的に当然行なわれておるわけでございまして、そういったことに政府が介入するというようなことは、私はそういう意図を持っていないわけでございます。しかし、このように労力が不足してくる、とりわけ若年労働が足らないというよいな状況になってまいりますと、かりに設備資金の調達ができてもなかなか思うように増産計画も立たないという事情もあるのでございましょう、だんだんと平常化しつつある。産業界全体で平常化しつつあると私は判断しておるのでございまして、特に政府がこういう問題が起こりましたから、これを契機にして生産計画にくちばしをいれるべきじゃないかという御意見でもしあなたがありとすれば、私どもはそういうことをいまやるつもりはないとお答えするよりしかたがないと思います。
  160. 森中守義

    森中守義君 通産大臣時間がないそうですから、これ一問であなたに対してはやむを得ず終わっておきますが、二、三日前にメーカーのどこかの代表ですね、それとユーザーの代表が何か新聞対談をやっておる。この中で非常に注目すべきものが一つあったんですよ。それは社内におきまして販売検査部門との間に妥協がある、つまり、検査をやろう、あるいは設計をやろうという技術陣は、より高度な、より完全なものをつくりたい、あるいはより完ぺきな試験検査をしたいという主張がある。片や今度は販売のほうでは、いいかげんにしておけこういうことではないでしょうけれども、結果的に販売検査の両部門において妥協が生ずる、こういうことが言われていますね。これはメーカーの代表が言っておりますよ。けさ工業会川又さんにもそういうお尋ねをしたんですけれども、こういうことになりますと、欠陥車はこの辺にあるという、こういうせんじ詰めた言い方もやむを得ないような気がするんですね。つまり、生産が重要だ、販売が重要だ——要するに安全、保安というものは二義的なものにその社内において置かれているということ、こういう風潮がメーカーの中にありはしないか。実際問題として、そのメーカーの代表がそれを認めている。それを、これからはこういうことをしないようにしなくちゃならぬと、こう言っているわけですよ。非常に重要な問題なんですね。ですから私は、たてまえはたてまえとして、そういう現実というものが表に出てきている以上、生産指導をやる立場にある通産省におかれても、それぞれの部署があるわけですから、一ぺん各社内に立ち入ってみて、運輸省とは別の角度から、ほんとうにそういう実情にあるのかどうかもう一回洗い直してみたらどうですか。これは、私は、今回の欠陥車に対する通産省が果たすべき責任一つではないか、こう思うわけです。運輸省は、ごく最近でありますが、この欠陥車の一応の措置、どう決着をつけるかということで政策が出されている、あなたのほうはまだそれがない。大臣のお話を聞いていると、何かこう無関心でないけれども、それほど責任通産省としては感ずべき問題ではないのだという、そういうニュアンスに私はとるのです。したがって、そういうことで再点検をもう一回やってみる、そして生産よりも安全ということがむしろとらるべき方法でしょうから、生産に安全対策というものが合致していなければ、これはやむを得ませんよ、まあ多少生産が減退してもしかたないと思います。つまり、生産調整でもやらすべきじゃないか、これが今日のきびしい世論にこたえる対応策の一つではないか、こう思うのですが、いかがですか。  それからいま一つは、けさの新聞等でもだいぶ大きく報道されておりますが、資本自由化の問題で何か業界が再編成の方向に動いている、むろんちょうだいいたしました生産の推移とかあるいは資本構成とか借り入れ金とかあるいは利配であるとか、いろいろなものが、吟味していきますと、十二社の中で相当格差がありますよ。そこで外国資本が入ってくる場合は体力がどうなるか、やはり国際市場において相当わが国自動車産業が躍進をしなければならぬという使命を持っている、そうなるとやっぱり集約あるいは系列化ということは必然的に発生する議論だと思うのですね。ところが大体業界のなまの動向としては、十二社が集約あるいは系列化という方向はとらないで、たとえばアメリカ資本あるいはフランス資本、そういう海外における技術提携をやる、あるいは資本提携をやる、業務提携をやるという方向で、国内よりもむしろ海外に向けている。これはたとえば海運をここで論議したときとではちょっと趣を異にしていると思う。海運の場合は国内において大集約が行なわれて、自動車は海運でやるというのでは、一体日本の自動車産業はどうなるのか、この辺にも予測できないような問題が将来発生するのじゃないか、こう思うのです。したがって、これは通産行政の最大の今日的な課題としてどういうようにお考えになっておるか、この二点をとりあえずお尋ねして、通産大臣に対する質問を終わりたいと思います。
  161. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、お帰りになられるようなので、関連をしてちょっと聞いておきたいのですが、午前中の参考人の陳述から大体考えられることは、最近の自動車産業の中における部品工業の技術というものは相当向上をしているというお話があったわけです。したがって自主検査をやらしている、だからそのメーカーのところに来て特に何か問題がなければあらためて検査をしないようなたてまえになっているように大体聞いているわけなんですが、この辺のことについての生産指導の問題として、私はやっぱり材料費を含めてこういう部品工業に大体七〇%ぐらいの支払いをやっている、こういうような二重構造というか、自動車産業のあり方自体にひとつやはり問題があるのではないか。むしろそういう部品もあわせメーカーがつくって、一貫した流れ作業によって、そして検査についても責任体制をきちっととって自動車産業というものをやっていくという方向がこの際むしろ、こういう問題が出てきたところから見ると望ましいのではないか。ところが、現在のやつは、やはり何だかんだ言ってもコストの問題を考えるから、ある程度部分品について下請に出すことによってコストダウンをはかっていくという、ここら辺に欠陥車問題の一つ問題点があるような気がするので、この生産指導の問題として、これは通産大臣に方針を伺いたい。  それからいま森中委員が指摘された問題ですが、鉄鋼の問題なんかについては、明らかに企業合併の問題についての通産省の指導というものはわかりましたけれども自動車産業について一体これからの産業の再編成というのはどういうふうにやっていくのかという点は、これは森中委員も言われましたけれども、ちょっとわからない。わからないというよりも、持っているのか持っていないのか、産業再編成の方針は自動車産業については現にあるのかないのか、あるとすればどういう考え方でいるのかということをひとつ明らかにしてほしい。そして合弁会社であるとか技術提携だとか、いま言われたような問題と関連をして、一体、これからの日本の自動車産業というのは寡占体制に持っていくのがよろしいのか、それとも今日のような状態に日産、トヨタを大体大きな二つの軸にして、あと、それに若干落ちるようなのが幾つか、ばらばらとあるような今日の体制がむしろいいのか、そういう問題について、ひとつ、これは鉄綱産業のような場合には明確に態度を打ち出したわけです、自動車産業についてはどう考えておられるのかということで、これも多少だぶったような関係になりますが、ぜひ聞かしていただきたい。この二点、ひとつ……。
  162. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問は、安全性と経済性のかかわり合いの問題でございますが、冒頭に申し上げましたように、安全性が確保されないと売れ行きも鈍るわけでございまして、経済性は生きてこないわけでございますから、本来矛盾する概念ではないと思うのでございます。ただ、できるだけ生産工程において合理化をやりまして、コストを下げて苛烈な競争に打ち勝とうという努力と、技術面でできるだけ完全なものを仕上げたいという技術家的な良心、そういったものがまま摩擦を起こす現象は、自動車産業ばかりでなくどの産業にも私はあり得ることだと思うのでございます。そこで問題は、全体として安全性があなたがおっしゃるように重視されなければならぬという観点に立ちまして、私どもは、まず第一に安全技術の開発という点に力点を置いて政府の施策は進めていかなければならぬと思っております。現に、工業技術院におきましても、そういった安全技術の開発が行なわれておりまするし、また民間に対して補助金を交付いたして開発を急いでいるわけでございまして、それとあわせて、現に生産責任を担当しておる各産業に対しまして、材質管理設計、構造その他について一般の周到な配慮行政面から求めてまいりまして、先ほど運輸大臣がおっしゃいましたように、高い技術水準を誇る良質のものを世界に供給するような産業にどうしても育てなければならぬと思います。  それから第二の、部品工業の指導の問題でございますが、わが国自動車産業におきましては、欧米に比べまして下請形態がやや比率は高くなっております。下請と親会社との間の問題というのは中小企業政策の中でも重要な柱として、われわれと公取のほうで協力してその間の秩序を保証すべく努力をいたしておるところでございますが、われわれが見ておりますと、ユニット化しておるものもだいぶできてまいりましたけれども、欧米各国のようにまだ単品のが多うございまして、どうしてもこれはもっと近代化を促進せなければならぬ、したがって機振法に基づきましてそういった指導をやりまして体制をもっと強靱なものにするということをつとめてまいるとともに、あなたが御指摘のとおり、技術水準の向上に力点を置いた指導を怠ってはならないと考えております。  それから両先生からの自由化に関連しての体制整備の問題でございます。従来世間では、通産省はトヨタ、日産二大系列に集約を考えておるのだというようなことが流布されておりまするけれども、そうではないのでございまして、通産省考えておりましたことは、いまのままではいけない、できるだけ、いずれかの時期に自由化に踏み切らなければならぬといたしますならば、もう少し集約した形が望ましいのじゃないか、しかしこれは強制するわけにもまいりませんし、相談があればそういう方向に漸次誘導してまいるべく配慮をいたしてきておったのでございますけれども、この間、御案内のような三菱とクライスラーとの提携というような問題が起こりまして、われわれはできるだけ集約化を急ごうと思って、外国のメーカー国内メーカーとの間の提携は御相談があってもいまは応じませんよというラインで去年の八月の二十日の日米自動車交渉もそういうベースで行なわれておるわけでございまして、そういう線をくずしていないわけでございますが、今度はメーカー同士がその結婚の内話を始めたわけでございまして、これは確かにわれわれにとりましては大きな衝撃であったわけでございます。そういたしますと、できるだけわれわれが善意をもって集約化をしようと思いましても、企業のほうで外資と結ぶというようなことが行なわれるということになりますと、これはわれわれの鋳型の中になかなか入らないわけでございます。でございますから、私どもとしては、まず第一の考え方は、せっかくここまで成長した自動車産業でございまするし、たくさんの雇用をかかえておるわけでございまするし、輸出戦略産業としても雄渾な地歩を占めてきているわけでございますから、できるならばこの産業を健全な成長の軌道に乗せなければならぬということは、日本の民族資本といたしまして、そういう基礎を危うくするようなことは何としてもこれは避けなければならぬという点が一点。それから第二点といたしまして、いずれ自由化をするというようなことが、あいまいな状態において業界が、アッセンブルの業界ばかりでなく、部品業界も、販売業界も動揺するようなことがあってはこれはたいへんなことになりますので、できるだけ早い機会に、いつ自由化するということを、まず目標を、道標を設定するということを、これを秋やりたいと思っております、この秋。それで、そういたしますと、各業界はそれに対して身がまえをしていくだろうと思うのです、自分たちの死活の問題でございますから。内資と結ぶものもあるかもしれませんし、外資との提携をもくろまれる方もあるかもしれません。しかし、そんなことはわれわれが規制できないわけでございますから、その身がまえの様子を見ながら、第一の原則の健全な育成の上から申しまして、賢明な指導を行ないつつ、基幹産業として存立と繁栄が可能なるような条件をつくってまいらなければいけない、そして私はそのことは可能であろうと思うております。いま当面の目標としましては、自由化の時期を秋にきめるんだと。それまでに販売業界に対してはどういうことを考えなければいかぬか、部品業界に対してはどういうことを求めなければならぬか、いろいろな考慮すべき事項をいろいろ吟味いたしまして、そういったことで自由化を迎えてどじを踏まないようにする。それから自由化時期を明示して、この秋からどのぐらいの期間、タイミングが必要かなどをはかりまして、自由化の時期を秋申し上げようというようなことで、いまみなで知恵をしぼっているところでございまして、それがどういう姿になるかというようなことは、いま私の頭に青写真がないのでございまして、各企業の自由化時期が明示されたときの身がまえの姿勢を見ながら、自動車産業全体が健全な発展が可能なように導いていかなければならぬと考えているだけでございまして、終局的にどういう姿になるだろうかというようなことについては、全く不敏にして見当がつきかねておるというのが正直なただいまの心境でございます。
  163. 森中守義

    森中守義君 運輸大臣、少しお尋ねいたします前に、おとつい国鉄の磯崎総裁と二人で、例の事故に対してたいへん心痛の趣に承りましたが、どうも舌の根もかわかないその日の夕方、またまた鉄道事故が二つ重なって起きた。きのうはきのうで、アメリカでJALのテスト機が墜落した。こういうわけで、何とはなしに、こうしていろいろお尋ねする側も、最近とみにこの運輸委員会というのは欠陥を追及する委員会みたいになってしまって、あなたのお立場も非常にお気の毒に思います。しかし、これは社会に非常に重要な影響を持つものですから、ひとつ慎重に対処をしていただくために質問を続けてみたいと思います。  午前中多少黒住局長にもお尋ねしておきましたが、今月の十七日に運輸大臣が「自動車製作者に関する事項」ということで通達をお出しになった。これはけさの問答の中で、何か黒住局長の歯切れも悪かった。要するに、させるのか、させないのか、こう言ったのだが、させると言わず、させないと言わない。結果的にとうとう追い詰めて、させるというところまで追い込んでいったのですが、間違いありませんか。
  164. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 私ども業界の方々に、こういう方法でいきますから、協力すべきことは協力してくれということを申し上げているのでありまして、いわゆる法律にのっとって、法定主義で申しますと、させるとかさせないとかということは言えますけれども、そうでない場合には、これはこちらの気持ちはさせるということでありまして、これに対して実行されるということを確信するというものが担保になるわけでありますが、再三森中さんからも出ておりますが、そう言うことはわかるが、向こうはやるか、そんなことでいまの業者が守るかいと、こういうことを再三、森中さんだけではありませんが、言われているわけでありますが、私は、今度はやると、こう考えておりますから、そういう意味で言うと、させる、こういうことを言って、向こうはおやりになる。たとえば、いろいろな問題を言っているわけであります。そういうふうに承知いたしておりますし、きょう、あさの何で具体的にどういう質疑応答が繰り返されたかということは私は存じ上げませんけれども、おそらく出席されたメーカー側の代表者は——私ともも直接お会いいたしました。また事ごとに、新聞その他で拝見いたしましても、最初はどうも歯切れが悪いというようなことを言われておりましたが、その後におきましては、いわゆる災いを転じて福となすのだという態度であるということは間違いないと、私はそう確信をいたしているわけであります。
  165. 森中守義

    森中守義君 問題はやはりその辺ですよ。最初に、歯切れの悪いというのが、率直に言って業界の気持ちだと思う。その後世論がきびしい、つまりそういう中からだんだん反省が生まれてきて、これはまあいやなことでもせねばなるまいという、そういう心境に到達したものと私は思う。したがって、人のうわさも七十五日といいますからね、また欠陥車問題等が時間の経過の中に薄れていく、そうして業界は本来の体質に戻るということが予想される。そうならば、前回もちょっと話がありましたように、法律事項でないことについては、気がついていても、させたくても、いわゆる手が打てないのだ、こういうことが、大臣かあるいは局長であったか、いずれかであったかと思うのですが、話がありました。だからこれは、この法案の最終の場合に、何か私ども国会として考えなくちゃならぬ、こういうことに私は考えております。ですから、やはり最終的な立法措置というようなことは当然考慮されるでしょうけれども、一応通産大臣からもさっき話がありましたように、業界の再編成の問題でも、結果的にはさせたいのだが、規制がきかぬ、言いかえるならば、法律上の拘束力がないと、なかなか話し合いでまとめようとしても無理じゃないかというのが一貫した理論であったと思う。そういうことを考えますと、このことはよほど慎重にやらないと、これはたいへんだと思う。  そこで私は具体的にお尋ねいたしますが、この中の二項ですね。つまり「新型式車について、十分な耐久試験実施体制整備すること。」こう書いてある。全くそのことを痛感いたします。じゃ、一体現状はどうなのかということを考えていけば、「整備すること。」ということは、その必要があるということなんですね。きのう、一番なのか二番なのかわかりませんが、十二社の、要するに屈指の大メーカー工場を見ました。非常にわずかな時間でしたから、これが完ぺきであるかどうか、いま少し客観的にものを見ている専門家の意見を聞く必要が私はあると思っているんですが、このハイクラスの状況があれであったとするならば、また他の十社、あるいは十一社がそうでないとは言いませんけれども、まずこれ以上に、きのうのもの以上に凌駕しているところがあるか疑問です。そこでこの二項はこういうことが考えられないでしょうか。つまり、各社内に一社ごとにこういうものを持っているということは、第一、経済的にあまり合理的でない。ですから、これを一歩越えてメーカー全体が共同で施設を持て、まあこういったような共同ですよ、こういうことが進んで考えられていいんじゃないか、こう思うんです。かりにそれをもし否定されるならば、通産大臣がおられぬので残念ですけれども、やはり販売優先、そのために存在をする秘密主義、あるいは検査よりも保安よりも生産という、こういうことが肯定をされる、前提に置くというならば共同施設ということはとても困難です。しかし、それでは保安につながらない、人命の安全につながりません。欠陥車が教えた一つの教訓、残した教訓は、こういう極度な秘密主義やあるいは生産第一主義を越えて忠実に世間の世論にこたえるということが残された教訓であろうと思うんです。それならば、個々ばらばらにおのおの施設を有し、そこでテストをやったり検査をやるという、そういう不合理なことを越えて共同でやるのがよほどこれが近代的じゃないでしょうか。この点どういうふうにお考えになりますか。むろん、きのうその社のある首脳部の話によれば、アメリカでテストの施設あるいは検査の施設に売り上げ総額の三%を使っておる、その社においては二%だと、こういう説明を私は聞いてきました、むろんアメリカのデトロイト周辺にあるその辺の売り上げの総額と、わが国のそれとはちょっとその規模において違うかわからない。だから売り上げの総額の何%をこの種テストあるいは検査の投資に回しているということが標準にならないと見ているんですよ。しかもなお、この二項にいわれているその要があるということは、現在のその社内における体制というものは決して十分でない、不十分だと、ならばなぜいままでその不十分さをそのまま放任をしてきたか、もっとなぜ早く十分な体制をとるまで行政当局として自動車の保安監督の立場にある運輸省はこういう措置をとられなかったのか。まあこの辺の責任も私は当然問われるべきだと、こう思うんです。しかし、要するに産業の近代化ということは時代の要請である。しかも欠陥車が生み出した一つの教訓であろうとも思う。そういう意味から、この二項は、一歩越えて全社共同の施設において共同のテストをやる、共同の検査をやる、ひいてはそこに運輸省の担当官が出張っていって厳重に監視、監督をする、そこまで発展飛躍したほうがこの際は世論にこたえる忠実な方法ではないか、こう思うんですが、大臣いかがでございましょうか。
  166. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) これは非常に具体的な技術的問題がございますので、事務当局からまず答弁いたさせます。
  167. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) メーカーの全体的ないわゆる研究の施設といたしましては谷田部に自動車研究所がございます。しかし、これは全体の共同の研究施設というふうに承っております。現在の耐久試験につきましては、先生が御指摘のようないわゆる各会社の新しい車種に対する秘密の点等で、各会社ごとに自分の施設で実施している実態であると考えます。われわれといたしましてはこの欠陥車が出ます場合においては、当初の試験に合格いたしましても一年とか一年半使用をいたしております場合に欠陥があらわれるという場合が相当ありますので、耐久試験を十分踏んだものを試作車として審査をすることがよろしいというふうに考えまして、従来は型式車の試作車につきまして一定の走行キロというものを必要としなかったわけでございますが、今後は一定の耐久試験実施した車、すなわち車種によって違うと思いますけれども、二万キロないし三万キロの耐久試験実施した車につきまして審査をして、型式指定の場合の可否をきめたらいいんじゃないかというふうに考えたわけでございます。そういう考え方から、各メーカーにおきまして耐久試験実施するための体制、すなわちメーカーにおきまして内規をつくりまして、この会社としてはこういう耐久試験をやりますということをつくってもらう。で、われわれとしましては監査の際にそれを確認をして、従来のように耐久試験の距離とかなんとかを問わないということでなくして、むしろ必要な耐久試験をやった車でないと審査の対象にしない、その車を審査いたしまして型式指定をやるというふうに考えたわけでございます。したがいまして、本件につきましてはメーカーのほうで必要な規定をつくらして、われわれはそれを監視するというようにしたいと思います。同時に、これらの点につきましても、ほかの項目につきましても、メーカーといたしましてこういうふうな措置をやるということをさらに報告を徴して、われわれの趣旨に合致するような方向に強く指導していきたいと思っております。
  168. 森中守義

    森中守義君 ちょっと黒住局長、現在各社がやっている耐久試験の種類あるいは内容ですね、あるいは方法、これは現在の法律あるいは省令等に規定されておりますか。
  169. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 耐久試験方法につきましては、私のほうの諸規定には規定をいたしておりません。
  170. 森中守義

    森中守義君 そうなると、これはここにいわれている「整備すること。」ということは、言ってしまえば不十分だということになるんですね。しかし、これとこれとこれに関することはぜひしなくてはならぬぞという一つの標準も与えないで、それで整備せよといってもこれは少々無理じゃないですか。その辺に私は常々言うように法令上の欠陥がある、あるいは行政上の欠陥があるといってもいいんじゃないかと思うんですけれども、それはどうですか。
  171. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 本件につきまして、この指示通達全部の点でございますが、特にメーカーに関する点の第二項につきまして、われわれといたしましては車種によって、軽自動車の場合とそのほかの自動車の場合は違いますが、おおむね二万キロないし三万キロの耐久テストをやった車を試作車として持ってきなさいということ、それから耐久試験方法につきまして、会社といたしましては試験の設備を持っておるわけでございますから、それをこういうふうに使ってこういうふうな耐久試験をやるという会社としての規定をつくりなさいということを、この通達のときにメーカー工業会指示いたしまして、各社でいまその内容をつくりつつあるわけでございますが、一つのワクといたしましては二万キロないし三万キロの耐久テストをやりなさいということと、その方法について内容を技術的につくりなさいということを指示したわけでございまして、今後われわれはその結果を見て必要な報告を徴しまして、われわれの意図どおりに会社としてその体制が整っているかどうかということを監視していきたいと思っております。
  172. 森中守義

    森中守義君 ちょっと、私少し不勉強でいまの点がよく理解できないんですけれども、要するに保安基準、あるいは型式指定規則というのがありますね、ありますね。これによって運輸省が審査をされるようになっている。で、その際に保安基準に適合するには一体どういうことをチェックしなければならぬか。ちゃんとチェックする項目はきまっているわけです。それを今度は現地に乗り込んでいって、つまり現車検査というのかな、現車審査というものが仕組まれる。その前段に、審査に合格するにはとれとこれとこれのものが必要だよということですよ、私の言っているのは。そこで今度は通達を出しても、その通達が規定をつくれということだけで各社が得心をするかどうか、あるいは行政指導の目的をそれによって果たし得るかどうか、それが私は疑問だと、こう言っているんです。通達を出す、規定をつくらせるには一体運輸省は何を求めるのか。個々ばらばらに、日産は日産、富士重工は富士重工、思い思いに規定をつくって、さらに社内の自由裁量によってつくってよろしい、こういうことであるのか、統一的、画一的に運輸省項目指示して、それに合わせてつくらせようというのか、それはどっちだと、こう聞いているんですよ。ちょっと、それではわからない。
  173. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 先ほど申し上げましたことが不十分であるかと思いますのは、おそらく耐久テストは二万キロ、三万キロやるけれども、実際にどういう耐久テストをやるかという点かと思います。で、われわれといたしましては、各メーカーが施設を持っておるわけでございますので、従来耐久テストは各メーカー実施してきておるところでございます。したがいまして、数万キロの耐久テストをやる方法につきましては、これの規定等を持っているわけでございますから、それをさらに見まして、また技術的にはわれわれのほうも船舶技術研究所に専門的な組織も持っておりますので、それらと相談をいたしまして、各メーカーがやりますところの耐久テストの内容について、技術的に見てこれだけのテストをやれば間違いないというものの内規をつくらしていきたいという考えを持っております。したがいまして、現在役所側といたしましても、会社でつくる内規につきましてそれが技術上十分であるかどうかということを審査するだけの体制につきましても、われわれのほうも船研とともに検討をいたしておりまして、ここで指示いたしましたのは、会社のほうで内規をつくって、こちらに相談をして、その内容を問題がないものにしなさいという意味で体制整備するというような表現をいたしたわけでございます。したがいまして、体制を整える内容につきましては、こちらがチェックをしてこれならよろしいという、技術的にこれならよろしいというものであって初めてこの通達の第二項に即応するものだと考えております。
  174. 森中守義

    森中守義君 大体おぼろげに理解できるんだけれども、なかなか、私の聞き方が悪いのかわからぬが、ぴんときませんな。あのね、黒住局長、それじゃいままで各社が持っておりますいろんな施設、こういう施設は全社同じ標準ですか。運輸省がいままで一定の標準を示した、いままでそうであったとするならば、各社の凹凸はない。たとえばさっき、売り上げの話申し上げて悪いけれども、その社の売り上げの二%を使っていると言っているわけだ。ところが売り上げのパーセントを標準にしていけば、十二社それぞれ違うわけだから、したがって一%の金額を標準にとるならば、施設はたいへんな相違があるということにもなろうし、売り上げは少ないが大体標準はこれはつくらねばならぬということが示してあるなら、相当の社内資本が投入されている、こういうことになりますね。だから、要するにいままでの社内における審査あるいは検査、あるいは試験、そうしてそういうものの体制はどういう水準にあるのかないのか。それをいまどういうように受け取られておるか、把握しておるか。私はこの二項目からいけば、それらが不十分だから整備をせよ、こう指示されておるわけですからね、その辺の問題ですよ。
  175. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 耐久試験体制と、もう一つ、完成車を出しますときの完成検査の問題が別個にあるかと思います。完成検査のほうでは、国が持っておりますところの車両検査場の各テストがございます。こういうものを常に行なわなきゃならぬということで、その完成検査のやり方につきましては各社から一応とって、こちらはそうでなければ型式指定はしないという形にしておりますけれども、いま問題になっておりますところの現車の耐久試験の問題、われわれが審査いたします場合におきまして、審査側から見た場合には、一定の距離以上の走行キロを必ずしも要求をしてなくて、新しい試作車をメーカーはいろいろつくりますが、つくった中で相当の距離を走らした試作車と、そうでない試作車があるかと思いますけれども、それらの点につきまして、明確な基準は従来はつくらないで、試作車の検査をやっていたということ。それから施設でございますけれどもメーカーのほうの施設につきましては、全部が必ずしも同じレベルにはございません。したがいまして、われわれといたしましては技術的に最小限必要な施設であり、その必要なテストでなければならないということでございますので、この際ひとつこれだけのテストはぜひ必要である、その施設はぜひ必要であるというふうなものにつきまして、会社において体制を整えさすとともに、これを具体的に運輸省も、本省と技術研究所と協力いたしましてその審査もやって、これならば最小限耐久テストとして安心してその試作車を見ることができるというふうなものをつくり上げていきたいというのがこの(2)の趣旨でございます。
  176. 森中守義

    森中守義君 大体理解できました。それにしても、なおこの点についてはいま少し慎重を要する問題のようですから、まだこの法案は審議が続きますので、最終の段階でももう少し申し上げたいと思うんです。  そこで、この四項目にわたる業界への注文、これは回答取るんですか。あるいは計画書の提出を求めるのですか。ただ出しっぱなしですか。
  177. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) これはとりあえず十七日に通達を出したわけでございますが、この必要な項目については向こうからどういうふうにこれに対して措置するかという報告を徴するつもりでございます。
  178. 森中守義

    森中守義君 これは会社のこととはいいながら、やはり年度決算もやることだろうし、それぞれ社内予算を持っておることでしょうからね、少なくとも金は取る。そうなると、しかも事態は非常に急ぎますよ、これは。大体いつごろまでに計画書の提出を求めるようにしておりますか。
  179. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) いま特にメーカーに対する点、第一、第二あるいは第四の点は相当技術的な点でございます。たとえば第四点は、ブレーキ・ホース、マフラー等の重要な保安部品につきましては、交換時期を明示するということでございまして、これにつきましての検討というのは、メーカー側でも技術的な検討にやや若干の時間を要すると思っております。したがいまして、ここにすみやかにということはいっておりますけれども、何月何日までという指示は目下のところいたしておりません。したがいまして、一両月の間には、項目の早くできるものについては報告がくると考えております。  で、メーカー以外の点につきましては、すでに報告が参っている、あるいはこういうような体制でこの通達を体して対処したいという相談に参っておる業界もございます。
  180. 森中守義

    森中守義君 これは十二メーカーの受け取り方も、いま局長が言われるように、進んで相談に来るところもあれば、そうでないところもあるというわけで、必ずしも統一的なものにならぬと思うのですね。しかしいずれ工業会が中心になって、何かの答えを出すでしょうけれども、何も拙速を可とするわけじゃございません。問題が問題、時期が時期ですよ。これはやはり運輸大臣が出された権威ある一つの指導であります。しかもある意味では一つの命令なんだから、そう一両月なんと言わないで、ある程度きちんと区切りをつけて、これまでに行なうべしという、そういう権威あるものにしてほしい。そうしませんと、変な話なんだけれども、人のうわさも七十五日のたぐいに漏れず、やはりそれぞれいいほうにしか解釈しませんからね。その点は、ひとつよほど手抜かりのないように、今日の運輸大臣のき然たる姿勢を事務当局も体して、きちんとやってもらいたい。これは一つの要望ということで申し上げておきたいと思うのです。  それからこれに関連して、運輸省に関する事項、すなわち運輸省で何をやるか、こういうことがかなり詳細に出ておりますね。これはせんだってどなたかの質問答えて、大臣がやり抜くという返事があったようです。そうことを信頼したいし、その処置してもらいたいと思うのですが、そろそろ四十五年度の予算の概計の作業が展開されようとしておる。この全項目にわたってなし遂げ得るという確信がありますか。
  181. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 私のかたい信念でございます。
  182. 森中守義

    森中守義君 これは一念こってやり遂げてもらわなければなりませんがね。たとえばこういうことはどうなんですかね。多少過去の批判にもなりますがね。モータリゼーションの逆な方向として三十八年に、何回もここで言われるように、自動車の研究体制というものは全く解体同様になっておる。それをあらためて復活させるという意味もありましょうが、自動車審査センターというものをつくられると言われた。この構想はどういうものですか、どのくらいの人員を伴うか、予算としてはどのくらいか、規模と構想、これをちょっと承っておかないと、定員の関係等にも類を及ぼしますので、ちょっとこの審査センターの構想をお漏らしいただきたい。
  183. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) 先ほど先生が御指摘されました、研究所が自動車関係が弱体化したのではないかという御指摘に対しましては、今回、自動車関係で船研の中に二つ部がございますが、これを三部にいたしまして拡大をしたいというのが一点でございます。もう一つの点は、自動車の審査センターと申し上げますのは、いわゆる研究機関ではなくして、現在型式指定をやっておりますのは、本省の車両課の職員でやっておるわけでございますけれども、ことしから横浜で外国車の一酸化炭素の検査をやりますために設備を設置いたしましたが、それと同様な考え方で、横浜の検査場に自動車の型式審査をやりますためのセンターを設置いたしたいという考え方でございます。現在は自動車局車両課で、十名の本省の職員で型式指定の審査の事務をやっておりますが、このセンターを設けますことによりまして、約二十五名、長以下二十五名で、その中の約半分は、十名は専門の審査官を配置いたしまして、残りは補助官として配置いたしたい。それからそれに、この設置をいたしますために要するところの金は、おそらく初年度は一億五千万円から一億八千万円を要し、維持費といたしまして、年に約三千万円を要するという、いま一応の数字でございますけれども、さらに詳しく数字の点は積み上げ計算をやらしております。以上が審査センターでございます。  もう一つ、先ほど申し上げました研究所が、現在自動車関係では、船舶技術研究所で交通安全部と交通公害部という二部ございますけれども、今回のような問題にかんがみまして、事故解析——事故が起きました場合、すなわち車両の欠陥等による事故の原因を十分解析して、技術的に対処するというための研究の組織を要するということで、事故解析部というものを新たに設置をいたしたい。船舶研究所の自動車関係の職員は、現在約二十名でございます。これを倍増いたしますとともに、先ほど申し上げました事故解析部というものを新設をして、自動車の事故、それから公害問題というものも非常に問題になっておりますから、それらに対処する組織として独立をいたしたいというふうに考えております。
  184. 森中守義

    森中守義君 それから、項目の中で「欠陥が認められた場合の自動車製作者の講ずべき措置を示すこととする。」と、これは具体的にいえば改善命令を発するということですか。どういう意味でしょう。
  185. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) これは現在の現行法によりますというと、審査項目といたしましては、型式指定規則で主要諸元表というのがございます。それから明細諸元表というものがございまして、この規定の内容を合計いたしますというと、主要諸元表が三十項目で、明細諸元表が二百八十項目でございます。ところが最近におきます状況から見まして、この項目を追加する。たとえばブレーキ・パイプのさびを防ぐ処理であるとか、それからブレーキ・パイプの材質であるとか、そういうものをこの中に入れます。そうしますというと、その面において変更しようとするときには、運輸大臣に届け出いたしまして、その承認を受けなければならぬということで、ずばり規則にはまってくるわけでございますので、それらにつきまして、ふやそうというのが第一点でございます。 それから第二点の、「欠陥が認められた場合の自動車製作者の講ずべき措置」ということは、現在型式指定に規定いたします面におきましては、当然製作者報告をしてそれを変更するためには指示を要するわけでございますけれども、それに触れない場合、すなわち今回のような場合におきましては、届け出の義務というものをつくっておりませんので、あとで発見してメーカーが処理するような場合におきましても届け出をせよということを規定の中に書き入れたいという二つの点をこの(1)には含んでおります。
  186. 森中守義

    森中守義君 それからユーザーに関する事項というのがありますね。このJAFをはじめいずれも法定の団体ではない。みんな任意団体、随意団体ですね。したがって、これはすべて期待であり要請だということに結果的にはならざるを得ないのでしょうか。現在のJAFにしても、自家用自動車協会にしましても、個々のユーザーとの間にどういう緊密な連携を持っているのか。どういったように把握されているか。たとえば、私の車を購入したときの経験からいけば、セールスマンが来まして、保険が幾ら、それから連盟のあれが幾ら、自家用車協会の金が幾らだということで、要するに強制的に金を取るわけです。何はどういうもの、かにはどういうものということで、全然示さない。また、いままではそれで済んだかもしれません。しかし、こういったようにユーザーに対し、その中心となるような団体に対してある種の要請をするということであれば、日常、個々のユーザーとこういう機関との間に何かこう距離があり過ぎる。その存在も知らない者が多い。私もこうして出てみて、なるほどこのために金取られたのかなという、そういう気持ちを持つ程度ですよ。要するに、ユーザーの中にこういうものが知れ渡っていない。だから、運輸省としていろいろなデータをとる、あるいはいろいろな要請をするという場合には、こういう機関あるいは団体を対象にせざるを得ないでしょうけれども、個々のユーザーとこの団体との間にどういう風が通っているか。私は相当大きな隔たり——隔たりというよりも、ユーザー知りませんよ、こういうものは。車を買ったときに金を取られる、取られっぱなし、こういう状態ではないか、こういうふうに思う。この点はどういうようにお考えになっているか。 それからいま一つ、これと同じような関連において、警察庁にちょっとお尋ねしておきますが、今回欠陥車の問題でユーザーに対するいろいろな注文をつけられております。その真意が那辺にあるのか、あるいはその必要があるかないか、これはいろいろ議論もある。あるけれども、現在の免許証交付の過程といいますか、あるいはドライバーの試験内容、こういうものについて現状で全く手直しの要はない、このままでよろしいというお考えであるか。あるいは、こういう機会にいま少し再検討の必要があるというお考えか。その辺の見解をひとつ御両者から逐次お答えをわずらわしておきたい。
  187. 黒住忠行

    政府委員黒住忠行君) ユーザー団体の件でございますが、自動車ユーザーといたしましては、いわゆる運送事業者という商売にやっているグループと、それからオーナードライバー的な、いわゆる自家用車といたしまして持っているグループがございます。で、運輸省で直接把握いたしておりますのは、主として運送事業者のグループでございますが、これはおおむね公益法人ということで認可をいたしておるものが大部分でございまして、その面の監督をし、接触をいたしております。それからJAFというのがあります。JAFというのは、これは運輸省が認可いたしましたこれも公益法人でございまして、このメンバーは現在約二十万弱でございます。これに入っているメンバーは、いわゆるオーナードライバーが大部分でございます。それから自家用協会というのがございます。これは戦後物資の配給ということの問題からできたものでございまして、主としてトラックのほうで、自家用ではございますけれども、生産業者等が相当多数の自家用トラックを持っております、それらの人たちが入っている自家用協会というのがございます。これは自家用の一つの協会でございます。われわれといたしましては、それらの協会に対しまして行政施策をさらに末端に浸透するために、それらの協会の監督と連絡を密にいたしておりますが、本日も夕方、ユーザー団体を集めましてこの欠陥車問題に対する協力——ここにユーザーに関する事項というのがございます。それから第二には、整備振興会関係整備会社には、オーナードライバー等が非常に接触するチャンスが多いわけでございます。オーナードライバー等に対しますところの点検の励行等につきましては、整備振興会、これは公益法人でもございますし、道路運送車両法にも基礎を置いた法人でございまして、これを督促いたしまして、使用者等に対するPR、接触を深めていきたいというのがこの自動車使用者に関する事項でございます。さらに交通安全協会等は警察で指導をされておりますが、運輸省といたしましては、ただいま申し上げましたようないわゆるユーザー団体といたしまして、これを通じて指導をしておるというのが現状でございます。
  188. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) ユーザー自動車の構造についてどの程度知識を持つべきであるかということについては二つ説がございます。一つは、昭和二十年代あるいはそれ以前の運転者というのはおおむね職業運転者が中心であり、構造については相当の知識を持ち、かつ、ある程度修理ができるようにということが要請されておったようでございます。しかしながら、今日のように千何百万台、二千何百万人の運転者がいる今日になりましては、要するに大衆化の時代でありますから、その時代に応じたふうに持っていかなければならない。つまり大衆は車の中身を知らなくても、単に運転の方法と運転のルールを知ってさえおればよいのだという考え方もあります。これは実は私どもの国家公安委員の中でも、アメリカに長くおられた方がそういうことを言っておられたこともありまするし、最近私の見ましたテレビの中で、司会者が自動車の専門家に、今日はそういう時代ではなかろうかということを聞いておるのもありました。  そこで、私どものほうの実際の免許の実態はどういうことかと申しますると、自動車の指定教習所では、構造については全般の中で十時間教えることになっております。そこで試験問題も課しておるわけであります。これについて、いま前段で言いましたような方は、それほどのものを教える必要はないし、あるいはそれほどの試験を課す必要はないじゃないかという説もあるのでありますけれども、いまのところ私どもとしましては、わりあいに日本人というものは機械に弱いわけでありまするから、やや邪道であるかもしれませんけれども、こういう機会を通じまして国民教育という面もありまするし、かたがた非常にむずかしいことを教えているわけでもありませんし、そしてまた自動車を運転する場合には仕業点検という義務づけもあるわけでありますから、そういった実用的なことも兼ねて、いま程度の試験の科目と教習の中身が必要ではなかろうか。ただ従来は、教習のカリキュラムにつきましては、大ざっぱな指導しかしておりませんでしたけれども、この七月から、具体的に私ちょっと存じておりませんけれども、二十何時間のカリキュラムの中身を具体的にこういうことを教えなさいという指導を教習所のほうにすることになり、七月から実施することになっております。したがいまして、いま私どもの指導としましては、わりあいに構造については教えるという方向で進めておるわけであります。 ただ、今度の機会に感じましたことは、構造そのもののことはともかくとしまして、何か車の不健康な点をすぐに察知するという実用的な面、くしゃみをしたらすぐにどういうふうにしなさいといったような、そういう実用的なことが教えられているかどうかという点と、それから仕業点検と申しましても、なかなか実際には行なえないのが実情のようでありまするが、私の今後の考え方としましては、できれば交通安全の国民運動的なことを実施したいと思うんでありますけれども、ちょうど飛行機のパイロットは飛行機を飛ばす前には無数の点検をチェックリストによって行なうわけです。そのように簡単なことについては五項目か十項目くらいのカードみたいなものを車に置かしておいて、車を動かすときには一応それをチェックしてから動かしてもらう。これは試験とか、いまの教習の問題とは別個に実用的なところでやってみてはどうだろうかということを考えております。
  189. 森中守義

    森中守義君 そこで、この問題の総括的な問題点としまして、結局、大臣談話と同時に、運輸大臣がひとつの政策的な大綱を出されて、それぞれの部署において果たすべき内容を示されたものと受け取っているんですが、これはやはり最終的にはこういうようにまとまると思う。しかしさっきから言っておりますように、警察庁あるいは通産省、さらにはこれを実現するには人であり、金です。つまり財政当局や行管の関係もある。それで大体、じゃ、どれくらいの人員の規模になるのか、予算規模は幾らぐらいかということをいま答えても、おそらく正確に固まったものとは私は思っておりません。まあ、いわば業界に対する指導、あるいはやらせようということは、まあそれはそれでいいとしても、少なくとも運輸省でやらねばならぬという内容については、試案とは言わないにしても、まだコンクリートになっていない。だとすれば、早くこの種関係の閣僚協議会をつくるということを大臣言っておられるわけだし、それをすみやかに構成しておく、また同時に、事務当局も何回となく集まって、ぜひこれは本物にしてもらわなくちゃ困る。したがって、これは私の感触からいくならば運輸省独自のもの、しかしいま交通局長が言われるように、警察当局は警察当局でいろいろやっぱり見解がありますよ。あるいは通産は通産でいろいろ持っているかもしれない。その辺のことが総合的に集約をされないと、運輸省が独走した、結果においてはまたまた幾つかの欠陥が出るというようなことで、何回となく同じことを国会でやりたくない。そういう国家行政機関に対するいいかげんな態度を立法府としてはとりたくない、私どもは。だから早くひとつこれはまとめてもらいたい。これはひとつ大臣、やっぱり何といっても執念のようにこれを貫くというその決意は了とします、大いにそれを推奨してもらいたい。また、この委員会委員会なりに必要があればその分に応じてお手伝いもいたしましょう。しかし、その牽引のつとめをするのは大臣でしょう。まあ、大臣、最終的にはこの辺にまとまるにしても、詰めて詰めて詰め上げる、四十五年度の予算には仕上げるんだということを関係の閣僚あるいは事務当局に指示をされながら、何とかして本物に仕上げるという御意思がありますか。 特に問題なのは先般成立をした総定員法の関係ですよ。こういう問題がある限り、人の問題はそう簡単にいかない。よほど行管と話を詰めなければいけない。あるいは財政当局でも、欠陥車は直ちに命に関係があるわけじゃないじゃないかというようなことで、存外冷たい、こういうことになるかもしれない。あれやこれや考えると、よほどこれは真剣に取り組まないとなかなか容易なことではない。あなたの決意や執念だけでは片づかない場合がありますよ。それでは、こんなに時間をかけて欠陥車問題の議論をし、前向き答えを出そうというわれわれの希望、願望も水泡に帰しては困る。そういう意味で、あらためて大臣に、単なる運輸省の独走ではない、運輸省だけがやってるんではないということを、総体的な意見としてもう一回私は承っておきたいと思う。
  190. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) この問題が議論をされる初めに申し上げたところでございますが、私は、交通安全対策本部というものを政府がすでに設置をしておりまして、その機構というものがあって、一生懸命やっておるけれども、なお事故というものが絶えない。しかもその事故たるや人命に関する事故というものが一番多いのが自動車によるところの事故である。これはもうたびたびいまの行管長官も閣議の席でも発言されておりますが、よく日清戦争当時の戦死者よりも現在自動車事故で死んでおる人のほうが多いというような卑近な例を出して、いかに交通事故によって人命が損傷されておるかということについて議論をされておるところであります。政策の目的というものは、さようなことをなくするというために私どもは国民から選ばれておるのであります。私は先ほども申し上げましたが、政府の大きな責任は国民の生命、財産を守るということである。しからば、そのことに政策を重点的に集中していく必要がある。交通安全対策本部というものをこしらえたのもそれであろう。佐藤内閣が、いわゆる基本的な人権を尊重するんだ、社会開発だということを総理が言っておられるのもそこにあるであろう。そういうことからこの問題を取り上げて、私どもはいま運輸大臣を拝命いたしておりますが、その職場において職務を全うすることによって国民にこたえることが責任である。私はそう考えておるのであります。したがいまして、このいまの日本の国の自動車産業が世界の中でハイレベルにある。これは間違いがない。ハイレベルにあるけれども自動車事故というものはふえていっている。こういうことをどうするのかということに当面しましたときに、よりよい制度によって、少なくとも自動車の構造上の問題で事故が起きるというようなことは、まずなくすることに重点的に政策を実行していかなければならない。それから乗る人たちにも、日本ではいままでの統計ではやはり乗る人の不注意、欠陥ということからの事故が一番多いようであります。これは新聞でも今度の欠陥の問題について、十台に一台が欠陥車だといわれているが、今度は乗る人のほうで言うと、五人に一人は欠陥者だと、「車」というのを「者」という字にかえて表現をして、いま乗っている人たちに対するところの注意を喚起されているわけでありますが、このことはまあこれからといたしまして、まず自動車というものに対する万全を期するということが必要であろう。こう考えて私は今度の処置をとったわけであります。したがいまして、森中さんが言われておりますように、これがから念仏に終わったんでは、これは私はせっかく行なったことが実を結ばないことでありますから、私の全力を投入いたしまして、これらのとりましたことに対する裏づけということをやりたいと考えております。人間は一人の力では、なかなかそういうあらゆる問題と関連いたしておりますので、できることではございません。閣議の席で幸い建設大臣から発言があり、あるいは総務長官から発言があり、あるいはまた警察庁担当の荒木大臣からも発言があり、いたしておりますので、私は関係各省とよく連絡をとって、この目的を達成したいと考えておるのであります。特に自治大臣、野田さんは発言をされて、いろいろ問題点を指摘しておるけれども、最後は大蔵大臣あなたがうんと言わなければならないんですよということまで発言をされておりました。私も同様な発言をいたしました。それも一度ではございませんで、その後もいま国会で欠陥車問題について原田君なかなか忙しそうだね、忙しいんですけれども、最後はあなたのところへ相談にいきますからという話もいたしております。総定員法はもちろんございますけれども、これは緩急おのずからところがあるのでありまして、人の絶対に要るところにはまた回さなければならぬという問題があるのでございますから、これも関係大臣とよく相談をいたしまして、私は微力でございますけれども、この問題についてのいま森中さんのおっしゃっているような点につきましては、十分私は実行ということを期しておるつもりでございます。
  191. 森中守義

    森中守義君 いまの大臣のお話を聞いて、ほんとうに無条件に信頼したいと思います。またそのために、これをやってもらうためにも、もし内閣の改造があるとするならば留任運動をします。  そこで、それはそれとして、通産省に最後に聞いておきますが、いま販売店の模様はどうなっておるのでありますか。各メーカーのディーラーはどうなっているんですか。要するに、たとえば私の郷里などへ行きますと、何にもなかったようなところに全部自動車の修繕工場あるいは販売店ができてくる。たちどころに、用地が八千円ぐらいであったものが五万円、十万円にはね上がる。これは私の聞くところでは、メーカーが全部土地は買う、建物もつくってやる、しかもそれぞれ株式会社にして、大体持ち株は八〇%から七〇%ぐらいは親メーカーが握っている、こういう話をよく聞くんですが、この辺の実情はどういうふうに把握されているのか、あるいはまた、全国でどの程度の数、十二メーカーのネット、系列の中にあるのか、その点わかりますか。
  192. 山下英明

    説明員(山下英明君) 販売店に関する経営のやり方は、自動車メーカー各社によりましてそれぞれ相当に差異がございます。ただいま森中先生のおっしゃったような土地、建物その他をメーカー会社が買っておるという営業方針のメーカーもございますし、反面、地元資本あるいは個別のディーラーの経営を主体にして車の販売をいたしている方針のところもございます。系列の販売店の数字を申し上げますと、一番数の多い会社で二百から三百の販売店を持っております。十二社の中には販売店五十ないし百という程度の販売をしているところもございまして、総計では千八百軒ばかりとなっております。
  193. 森中守義

    森中守義君 こういうのはあれでしょうか。逐次通産省のほうに報告があっておるのですか、あるいは皆さんのほうで調査されるのですか。
  194. 山下英明

    説明員(山下英明君) 私どものほうで調査いたしております。
  195. 森中守義

    森中守義君 各社がこういうものに投じておる資本というのは大体どの程度の資本投下をやっておるか、そこまでわかりますか。
  196. 山下英明

    説明員(山下英明君) 各社の投下資本はつかんでおりません。
  197. 森中守義

    森中守義君 これは出してもらった資料に相当関係があるし、次の機会でけっこうですから、いま最高は二百から三百、低いので五十から百というお話でしたが、できれば、相当膨大なものになるかわかりませんが、アウトラインだけでもいいですが、その大体の数と、それと各社がディラーに突っ込んでいる金額は大体どの程度のものであるか、これをひとつ資料としてお出しいただけますか。
  198. 山下英明

    説明員(山下英明君) お手元に提出しました資料は、お断わりしましたように、各社の営業報告書から出したものでございますが、その報告書では投下資本の内訳は載っておりませんので、ずばり御要望の点は困難かとも思いますが、販売店についてできるだけこまかく資料を集めて提出したいと考えます。
  199. 森中守義

    森中守義君 それからやはり資料関係するのですが、各社に開銀、輸銀が入っておりますね。これが一位から五位まで出されておるので、要するに開銀、輸銀はこれによれば二社しかない。あと六位、七位というようにもしあるとするならば、各社に輸銀、開銀が多少とも入っているか、あるいはこの資料に出ているように、日産が開銀、輸銀が入っている、あと三菱重工に入っている、あとはどこにもない、この二社に限って輸銀、開銀が入っているのか、その他にも何がしか輸銀、開銀が入っているか。もしこれも調査の結果出せるならば出してもらいたい。
  200. 山下英明

    説明員(山下英明君) 開発銀行の融資は二種類に分かれておりまして、体制整備のための貸し付け、これが二回にわたりまして日産に貸し付けられております。四十一年に日産・プリンスの合併に際しまして四十億円、翌年四十億円、八十億円がここに載っておる数字でございます。そのほかには、四十三年に日野とトヨタの業務提携に際しまして十億円の貸し付けが行なわれました。この表に載っておりませんのは、先生のおっしゃったとおり、十億円という金額のものですから、六位以下のものですから載っておりません。合併その他体制整備のための金融はその二社でございます。そのほかに自動車の技術開発、新技術の企業化に関する金融が四十三年度に東洋工業に行なわれております。開発銀行からの貸し付けは大体以上と御了承いただきたいと思います。  輸出入銀行につきまして一つ御説明しておきませんといかぬと思いますのは、お手元の資料の三菱重工の第一位に輸銀が載っておりますが、これは三菱重工のプラント輸出その他重機械関係輸出についての延べ払い金融が主たるものでございまして、自動車の内訳はこのうちのわずかでございます。自動車関係にどういう輸銀金融がなされておるかと申しますと、大部分は、後進国に自動車輸出いたしますときの販売金融、短期二年間の延べ払いで輸銀から貸しております。その意味におきまして、輸出の量の多いトヨタ、日産その他輸出をやっておる各社に輸銀は貸し付けることになっております。なお、そのほかにアメリカのような先進国あるいはメキシコ等に販売のための投資会社をつくりまして、そこで不動産購入あるいは部品のデポその他をいたしますときに輸銀から設備金融が貸し付けられることがございます。その二種類でございます。
  201. 森中守義

    森中守義君 最後に大臣にお尋ねしておきますが、きょう午前中、工業会川又さんから、八月一ぱい回収が完了するように努力をしたい、こういう実は答えがあった。そこで、先回も拘束力を持つのかどうかということでいろいろお尋ねして御返事をいただいたわけでありますが、結局、現在は、多少上昇しておるかわかりませんが、輸入車は非帯に回収率が高い。これに対して十二メーカーについては、いまだ一〇%に満たないのがだいぶあります。そこへもってきて、工業会会長は、八月末に完全に回収できるように努力したいということなので、何かちょっと最初に受けた印象、つまり八月中には完全に終了するぞという、そのことを業界期待しているという大臣意見とはかなりかんだ味としては違うように受け取りました。そこで、これは、たとえば十日に一回とかあるいは二週間に一回とかいうように、逐次回収率について大臣報告を求めるつもりですか。あるいは、業界が八月末に約束したから、つまり紳士約束として八月一ぱいにできるものだという、疑いのないものであるとお考えになっていますか。この辺をお尋ねして、きょうのところ質問を終わりたいと思います。
  202. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 私は、何度も申し上げるようでございますが、いまの日本の自動車産業メーカーの人たちは、人間は百点満点はありませんけれども、いわゆる及第点をやっておるから、だんだんよくなって、そしていま外国にまで自動車輸出されるようになってきておる、それが現在の状況であるというふうに把握いたしておりますので、このメーカーたちが約束したことは必ず実行されるものである、こう考えておるということは再三申し上げておるのでございます。しかし私が先ほどから申し上げておりますように、このことは言いっぱなしではいけませんので、この約束をお守りになるという確信は持っておりますが、このことにつきまして適当な時期を見まして、たとえば七月中旬から下旬というふうに、これは事務当局に命じまして適当な時期を見まして監査をいたして、どのような状況になっておるかということを把握をしていきたいと考えております。
  203. 加瀬完

    ○加瀬完君 資料をお願いをしたいわけでございますが、午前中の質疑の中で市川委員から石塚参考人に対しまして、私の前委員会質問を引用されて、メーカーまたはディーラーが指定工場に対しまして修理の工賃を値引きする問題をただされましたが、参考人がやや否定するような発言をなさいましたので、この際、事実関係運輸省に御調査をしていただきたいと思うわけです。もう一度事実関係の調査をしていただきたい問題を申し上げますと、指定工場が修理をいたしましてもその修理の工賃の七〇%か七五%程度しかディーラーあるいはメーカーは支払いをしない、工賃値引きの問題であります。  第二は、メーカーまたはディーラーは修理をなるべく断わったりあるいは修理を遅延させるような方法をとっておらないかどうかという問題であります。  御調査をいただくために具体的に第三の問題として申し上げますと、いままでも欠陥車はたくさん出ておるわけですね。その際、メーカーはサービス週間というような名目で、サービスをするという名目で、事実は欠陥車回収して修理をさせる、あるいは欠陥の個所をディーラーには通知をして、利用者にはわからないような形で回収をし修繕をする、こういうような方法をとっておったわけです。こういう事実がなかったのかどうか。こういうやり方でありますから第二の問題になるわけでありますけれども、具体的な問題申し上げますと、たとえばタクシー会社があります、アフターサービスの契約がありますからタクシーの故障車を持ってまいります、そうするとなかなかやらぬわけです。三日も四日もほったらかされてはタクシーとしては車が遊ぶわけですから、収入になりませんから、やむなく他の工場に持っていかざるを得ない、初めのメーカーなりディーラーなりのアフターサービスの約束というのは事実上ほごにしておるわけです。こういうケースがたくさんございます。したがいまして、石塚参考人お答えとは事実関係はずいぶん違いますので、ひとつ監督官庁として御調査をいただきたい。もし御調査がないというなら、私のほうで具体的に幾らでも例をあげてもよろしゅうございますが。結局いまのような自動車業界の機構、あるいは販売から修繕を含んでのこういう機構というものを現状のままで黙認しておきましては、問題の欠陥車というものも解決できないと思われますので、可能な範囲で、私の指摘したような事実をひとつお取り調べをいただきたい。  以上、お願いいたします。
  204. 岡本悟

    委員長岡本悟君) よろしゅうございますね。  本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会