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1969-06-10 第61回国会 参議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十日(火曜日)    午後一時二十一分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         岡本  悟君     理 事                 江藤  智君                 金丸 冨夫君                 谷口 慶吉君                 森中 守義君     委 員                 佐田 一郎君                 重政 庸徳君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 加瀬  完君                 木村美智男君                 瀬谷 英行君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 中村 正雄君                 市川 房枝君    国務大臣        運 輸 大 臣  原田  憲君    政府委員        運輸政務次官   村山 達雄君        運輸省海運局長  澤  雄次君        運輸省船員局長  高林 康一君        運輸省港湾局長  宮崎 茂一君        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        経済企画庁総合        計画局計画課長  川口 嘉一君        通商産業省通商        局通商参事官   経沢富次郎君        運輸省船舶局造        船課長      謝敷 宗登君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事の辞任及び補欠選任の件 ○運輸事情等に関する調査  (東海道本線函南三島駅間における列車脱線  事故に関する件)  (自動車行政に関する件) ○外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法等の  一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付)     ―――――――――――――
  2. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  この際、おはかりいたします。  瀬谷英行君から、文書をもって都合により理事を辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それではこれより理事補欠選任を行ないます。  理事選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 御異議ないと認めます。  それでは理事森中守義君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  去る八日の東海道本線函南-三島駅間における列車脱線事故について政府から報告を聴取いたします。村山政務次官
  6. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 御報告申し上げます。  まず事故概況でございますが、六月八日十二時五十三分ごろ、東海道本線函南-三島駅間におきまして、下り貨物第七四六五列車が、四十九両編成でございますが、時速六十五キロで惰行運転中、ブレーキ管圧力が急激に下降いたしましたので、直ちに非常ブレーキを使用して約四百二十メーター進行して観音松トンネル内に停止しました。調査したところ、前から十二両目と十三両目の貨車の問が分離いたしまして、十三両目の貨車から三十四両目の貨車まで計二十二両が脱線し、うち十三両が進行左側築堤下に転落し、三両が上り線支障していました。  この事故により上下線が不通となりました。国鉄では事故復旧対策本部を設け復旧につとめるとともに、新幹線との振りかえ、御殿場線経由等処置をとりましたが、旅客列車貨物列車に多数の支障を来たしましたが、死傷者はありませんでした。  なお、復旧作業を急いだ結果、九日二時五十七分に上下線とも開通いたしました。  次は、原因でございます。競合脱線と思われますので、目下詳細に調査中でございます。  競合脱線につきましては、車両の摩耗、レールのわずかな狂い、貨車積み荷の状況、路線条件――勾配、曲線などにより車輪レールにせり上がって脱線するもので、原因がしかとはつかめておりません。最近の列車脱線のうち競合脱線件数は、昭和四十一年度、四十二年度おのおの六件、四十三年度十件で、本年度に入り今回までにすでに五件となっております。  次は、国鉄における対策でございますが、昭和四十二年度より北海道根室本線狩勝実験線におきまして競合脱線原因究明の試験を続行しておりまして、各種対策を推進しておりますが、現在実施中のものは次の三つでございます。  その一つは、車輪N踏面の採用でございます。第二は、脱線防止レール設置範囲を拡大しておることでございます。第三番目は、積み荷偏積防止対策実施していることでございます。  今回の脱線事故につきまして運輸省のとった措置について申し上げます。  競合脱線事故増加傾向に対しまして、六月九日付鉄保第五五号で、鉄道監督局長名によりまして国鉄総裁あて事故防止通達を出しております。  事故発生時に上り客車第二列車特急さくら」は、トンネル内で下り貨物列車とすれ違った際に前照灯が消えつつあったこと、編成車両数が短かったことに気づき、また、ATSの警報の表示がありましたので異常事態を感知いたしまして、非常ブレーキによって停止し、その後注意運転をして下り線貨物脱線発見し、脱線車両の約百七十メーター手前で停止し、直ちに列車防護を行ない、下り列車電気機関士に通報した処置はまことに不幸中の幸いでありまして、時宜を得た適切な処置であったと思われるのであります。  以上、概況を御報告申し上げます。
  7. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 速記をとめて。   〔速記中止
  8. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 速記をつけて。  ただいまの報告について質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 一昨日のこの東海道本線事故の問題ですが、貨物列車がいままでの国鉄事故ではたいがい原因をつくっているわけです。これからも貨物列車が運行をされる限り、かなりこの危険はあるものと見なければならないのでありますが、六月八日の事故の場合はその原因究明をしているということでありましたけれども、現在どの程度まで原因がわかったのか、その点を御報告願いたいと思います。
  10. 町田直

    政府委員町田直君) 実はまだ調査中でございまして、正式な報告国有鉄道からございませんので、どの程度わかったかということをこの際お答えすることはできませんので、御容赦いただきますが、現在のところいわゆる競合脱線と思われるということで、そういうことで調査を進めているということでございます。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この場合、複線区間においておそろしいのは、鶴見事故や三河島事故のように、たまたま下り列車上り列車線路まで支障を来たすというところへおりあしく上りが入ってきたということになると、えらいことになる。それからATS装置であるとかあるいは乗務員の適切な処置によって事故を未然に防止し得たということなんでありますけれども、乗務員の場合、これは二人乗っていたわけですね、機関士機関助士と。こういう面から考えてみて、この場合、二人乗っていて適切な処置ができたというふうに考えるのかどうかですね。もし一人であったならばどういうことになるのか。それらの点で、この事故乗務員関係、これは新たな問題を提起をすることにならないのかどうか、この点もお伺いしたいと思います。
  12. 町田直

    政府委員町田直君) 報告によりますと、まず、脱線をいたしました列車トンネルに入りましたときに、ブレーキ管圧力が急激に低下をいたしましたので、直ちに非常ブレーキを使用した。そうして、なお、さらに対向車からの報告もありましてすぐに現場に見にいって処置をとった、こういうことに相なっております。その報告の限りでは、必ずしも電気機関士助士の二人がいたために非常に適切な処置がとられたというふうには、この件に関してはそういうふうな判断ではないというふうに考えるわけでございます。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いまの連絡というのは、これは車掌からの連絡という意味ですか、この点は。
  14. 町田直

    政府委員町田直君) ブレーキ管圧力が低下したので停止いたしまして、そうしてうしろへ見にいったときに、対向車機関士現場を確認いたしまして連絡を受けたということでございます。したがいまして、見にまいりましたのはこの脱線いたしました車の機関士でございます。ただ対向車のほうでこれは非常におかしいということで惰行運転して現場の様子を把握いたしまして、見にいく途中で機関士連絡があった、こういう報告になっております。
  15. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 対向車機関士というのは「さくら」ですか。
  16. 町田直

    政府委員町田直君) さようでございます。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 脱線事故を見にいったということなんですけれども、前から十二両目と十三両目ということになると、機関車からはかなり離れているわけですね。それを見にいくということになると、相当これはひまがかかるわけでしょう。私はたまたま昨夜の夜行に乗りまして、けさ東京へ着いたわけですけれども、きのう私の乗っていた羽越線の急行「鳥海」が踏切手前であぶなく自動車とぶつかりそうになったわけです。それで機関車警笛を鳴らして急停車をした。そうしたら、踏切にとまっておりました自動車とまさに、車掌の話によると、三十センチくらい離れた鼻っ先を汽車が走り抜けた。自動車もあぶなくその三十センチほど手前でとまったわけでありますけれども、列車がその警笛を鳴らしてブレーキをかけてとまったときには、この自動車のとまっておった踏切を通り過ぎておった、後部の車も通り過ぎておった。だからたまたまあれは三十センチほどの差でしたけれども、それがもう少し前へ出ておればぶつかってしまったわけですね。つまり非常ブレーキをかけてみても、その現場をはるかに通り過ぎるまでは汽車がとまれないわけです。これはきのう実際に乗っておってひやっとしたわけなんですけれども、貨物列車なんかの場合も、これを見ますと現車四十九両、換算百七・八両、重量も相当あるし、編成かなり長いわけです。こういう長大な編成列車脱線事故を起こしたということになると、現場からは相当機関車は先行してしまうだろうし、それを乗務員が見にいくということになると、かなりの距離を歩かなければならない、時間もかかるであろうということになるわけですね。こういうような場合には、機関車に二人乗っていてこれは幸いだったということになるんじゃないかと、ごく常識的に考えてみて思うんです。これは無理に、一人でも同じことだったということをこの際強弁をする必要はないんじゃないか、こういう気がするんです。  それから「関係者」として「電気機関士」と「助士」というふうに書いてありますが、車掌は乗っていなかったのかどうか、その点はどうなんですか。
  18. 町田直

    政府委員町田直君) 一番最後に車掌が乗っておりました。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 全部で何人乗っておったんですか、三名ですか。車掌は一人だけなんですか。
  20. 町田直

    政府委員町田直君) 全部で三名でございます。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それなら「関係者」としてこの報告に「電気機関士」と「助士」だけ書いてありますけれども、もう一人乗っておったならば、関係者として車掌も何の何がしということでここに載せておくべきじゃないですか。何かこれを見ますと、二人しか乗っていなかったような錯覚を起こさせるんですがね。これは車掌はこの事故には関係なしという判断で載せなかったんですか。
  22. 町田直

    政府委員町田直君) そういうわけではございませんけれども、貨車脱線とか衝突の場合には、大体、機関士並びに助士をいつも書くことにしておりますので、それに従ったわけでございますが、御指摘のようにもう一人書くのが適切であったと思われます。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この長大な列車には都合三人しか乗っていなかったというふうになるわけですね。こういう脱線事故があって、そうしてしかも上り線までふさいだ、こういう場合に、貨物列車の場合、うしろ車掌と前の機関士との間の連絡はどのようにとれるようになっておったのか。無線連絡をとれるようになっておったのか。こういう場合にはお互いに歩み寄って連絡をとる以外に方法がなかったのだろうか。その点はどうなっているのか、お伺いをしたいと思うのです。
  24. 町田直

    政府委員町田直君) この列車の場合は歩いて――歩いてと申しますか、無線というようなものはございませんで、相互に連絡する場合には歩いていくと、こういう列車でございます。
  25. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 考えてもらいたいのは、四十九両というたくさんの車を引っぱっておって、それが脱線して、十三両が築堤の下に転落する、三両が上り線支障する、こういうような大きな事故が起きた場合に、車掌機関士との電話の連絡方法もないと、こういう状態なんですね。そんな場合に、乗務員がこれは前のほうに一人しかいなかった。その一人が今度うしろのほうへ車掌連絡をとるためにとことこ歩いていって、ようやく線路の上の異常を発見をする、発見をするひまもないうちに上り列車が来る。たまたま今回の場合は上り列車が徐行をしてきた、ATSという作用もあった、タイミングもわりあいと恵まれておったからいいようなものの、これが瞬間的にこういう事故が起き、しかも乗務員が一人であったというようなことになると、これはどえらいことになるんじゃないかという気がするわけです。その点、乗務員が二人であったことも一人であったことも、この事件の処置には何の関係がないかのように言われたけれども、正直な話、これはたまたま二人乗っておったけれども、二人乗っておったほうが事故防止のためによかったということにはならないのかどうかですね。これはすなおな御見解としてはどうなんですか。
  26. 町田直

    政府委員町田直君) 御指摘のように、二人あるいは後部車掌等がいるということのほうがいいということは、先生の御指摘のとおりだと思います。ということは、御指摘のように、一人が残って一人が見にいくというような方法のほうがよりいいということは言えるかと思います。ただ、繰り返しでございますけれども、本件の場合、たまたま二人いたから、何と申しますか、対向車等の大事故も防げたという事案ではないというふうに私は考える次第でございます。  それからいまお話のございました後部との連絡等も、これは当然無線等車掌機関士との連絡をとるような方法を講じなければなりませんし、そういうものも徐々に――徐々にと申しますよりできるだけ急いで各列車について設備を国鉄においてやっている最中でございますけれども、まだそういうふうになっていない車がたくさんございまして、この場合はそういうケースであるというふうに考えられます。  それで、いまおっしゃった一人乗務の問題との関係でございますけれども、そういう点いろいろ考慮いたしまして、当然のことでございますけれども、一人乗務になります場合には、それに相当するようないろいろな車の施設等も変えていくという方針で国鉄としてはやっているというふうに聞いております。これはまた当然なことだろうというふうに考える次第でございます。
  27. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 どうも局長の話だけだと、あまり具体性がないような気がするのですけれども、これはそれじゃやはり事故原因というものがさらに詳細にわかった段階で、国鉄当局専門家から報告をしてもらいたいと思うんですよ。これはあらためてその後の事故概要報告というものをやってほしいと思います。この報告だけでは、運輸省報告だけではどうも不十分と思います。そこで、国鉄当局に対する報告提出と、質問を留保するということで私はきょうはやめておきます。
  28. 森中守義

    森中守義君 ちょっと関連して。航空関係の場合、たとえば松山とかあるいは羽田のああいう事故の場合には、部外の第三者による調査団編成されましたね。それから海難の場合には、海難審判所、こういうところで審判をする。ところが、国鉄の場合には、内部機構が非常に充実をされているという意味内部調査にゆだねられておるのか、まあその辺の事情がよくわからない。しかしながら、昨今における国鉄のこの種――一種の不可抗力的な事故というものはかなり件数からいっても多いと思います。それで、むろんその国鉄の充実された内部機構による調査を信頼しない、そういう意味合いではなくて、第三者による、つまり学術的な調査、こういうこともやはり何か、航空海難等に対比してものを言うわけじゃないけれども、一ぺんやってみたらどうか。幸い今回の場合には生命が失われなかった。不幸中の幸いというべきでしょうけれども、しかし何としても統計上単年に相当の不可抗力の事故発生をしているという事実にかんがみるならば、もしこれが相当数生命にでもかかわることになれば、これはもうたいへんだと思いますね。そういう意味で、調査の態様についてどういうようにお考えになっておるか。現状のままで可とされるのか、あるいは別途何らかの新しい方法考えるというお考えか。まあそろそろこういう事故発生一つの転機にして検討を加えてもいいんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  29. 町田直

    政府委員町田直君) 国鉄の場合は、先生の御指摘のように、国鉄自体組織が非常に何といいますか、はっきりしておりますし、中に研究所もございますし、それからこの競合脱線の場合は、現に北海道実験線におきまして実験をいましている最中でございますので、そういうものの結果を待って、特に競合脱線というものは非常にわかりにくいものでございますので、その結果を待ってまあ役所としても判断いたしたいというふうに一応考えておる次第でございます。もしこの競合脱線原因がいまの国鉄組織でなかなかわからないというような事情でございましたら、あるいはおっしゃるように第三者の方々のお集まりをいただきまして、この競合脱線というものにつきまして一つのここに目標を置きまして検討会なり、研究会なりというものを設置する必要があるかと思いますけれども、ちょうどいま現在、ここ二、三年前から検査実験をしておる最中でございますので、いまのところでは競合脱線についてその結果を待ちたい、こういうふうに考えております。
  30. 森中守義

    森中守義君 それと、直接この問題に関係はないかもわかりませんが、例のEL・DL、あの実施国鉄かなり先に延期したということが伝えられておるのですが、これは相当期間というのか、あるいは一定の時期を置いて再び実施に踏み切ろうというのか、その辺の経緯をひとつ。  それからいま一つは、例の調査団報告書というものが、仄聞するところによれば必ずしも権威あるものではない、しかもその調査に参加された関係者の意向が完全に一致したものでもない、こういうふうに聞いておる。で、しかも調査に参加された人たちの中に、あの報告書に対しかなり批判的な意見もあるやに聞いている。したがって、かなり不確定な調査結果を基礎にして一人乗務に踏み切ろうというところに、何とはなしに第三者的な見解からしても理解しがたい点が多い。したがって、そういうことに対して運輸当局はどういうようにお考えですか。
  31. 町田直

    政府委員町田直君) 一人乗務の問題は国鉄内部の問題でございますので、運輸省としては初めから国鉄内部問題として国鉄判断にまかせる、こういう態度をとってきたわけでございます。もちろん、それが安全性関係のございます面については十分そういう面からチェックはいたしますけれども、国鉄内部の問題として国鉄にまかしております。この間の一人乗務の問題に関します国鉄組合との話し合いは、御承知のように六月一日から実施をするということを延ばした、こういうことと、九月を目途に――正確に覚えておりませんけれども、たしか九月を目途にいろいろな条件を話し合う、こういうことで話し合いがついたというふうに聞いております。  それから第三者機関の問題でございますけれども、これも国鉄の労使が話し合いまして、そこで論結が出ました。委員会答えでございますので、その答えの読み方につきましては、これは国鉄組合との間にいろいろな意見の相違はあるかもしれませんけれども、いずれにいたしましても出ました答えを両者で十分話し合って尊重する、こういうことでいくべきであるというふうに考えておりまして、またそういうふうに現在は進んでいるというふうに理解をしておる次第であります。
  32. 木村美智男

    木村美智男君 ちょっと大臣一つお伺いしたいのですが、最近例の、いま列車の問題が取り上げられたのですが、同時に自動車関係欠陥車というものが非常に問題化しておるわけです。そこで運輸省としても、自動車構造装置に起因をする事故防止に関する通達というやつを出して、そうして何か業界に自粛を要望しているというか、いろいろ注文をつけているようでありますけれども、ただ問題は、欠陥車の対象となっているものが自動車産業としては日本の中でも二大自動車産業といわれるトヨタと日産に実は関係をしておるだけに、これはやはりちょっと対策というものは相当突っ込んでやっておく必要があるのじゃないかというふうに考えられるのですが、どういう立場からこういう通達が出されて、そして主として何をどのように規制をしようとしているのか、それをちょっと伺いたいと思います。
  33. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いま木村委員お尋ねの問題につきましては、先般、アメリカへ輸出しております日本の車の中で欠陥があるから回収をしておるということをアメリカの新聞で取り上げておるという問題があったわけであります。これはアメリカでは、メーカーが自分の車に欠点が出た際にはこれを周知してそしてその欠点を改めるという行き方をしておる、こういうことでありまして、日本の国では御承知のように定期的に点検をやるという程度でありまして、これによって車の構造上の安全というものを期しておる、こういうことになっておるわけでありますが、問題の車につきましてはその両社が自己の責任において回収をし対処しておった、こういうことが明らかになったわけであります。  私といたしましては、この問題が法律規則という問題に直接触れるものではなくとも、そういうことについて業者が少なくとも五十万台のうちの一方は二十五万台を回収した、そうして欠点を改めておる、一方は十万台のうち七万台を回収して、その欠点を改めておるということであるならば、こういうことについてアメリカで公表ということをやっておるが、日本には公表しないという一つの理由もあることはあるのであろうが、いまの自動車というものの立場から考えると、より安全を期して、よりよい製品をつくっていくことが、世界の自動車産業の中でアメリカに次いで二位を占めておる日本でありまして、アメリカにおけるところの輸出も年間増加をしているときでありますから、それはより一そう必要なことじゃなかろうか、こう考えまして、局長に命じまして両社に対して、そのいま回収をしておるものをいつまでにこれをやるつもりであるかということを検討を求めるとともに、この二社以外の社におきましても、今後そういうことがあった場合にはこれを私のほうに届け出てもらうようにというようなことを指示をいたしまして、依命通達という形で業界並びに業者に対しまして意を達したわけでございます。私はこのことは、一つには、日本産業というものに対してどちらかというと悪いことでも産業の保護のためにはほおかぶりをしていくというような傾向はとるべきではない、もちろん自動車産業がそういうことをやっておるとは考えておりません。私はどちらかというと、日本自動車産業というものは、世界の第一であるアメリカに車を売ってその売り上げが伸びているのでありますから、私はその点について、日本産業界がそのようなほおかぶり主義をとっているとは思いませんが、より一そうこれをよくしていくというためにはそのような措置が必要なのではないか、また、行政府としてそのような指導をしていくのがつとめではなかろうか、こういう見地に立ってこの措置をとったわけでございます。車をより安全にし、そして公害を防ぐ。いま事故の中でも一番多いのが車の事故でありますから、これは乗る者にも責任があるということは、新聞紙上でも全くいまの乗り手のモラルの低下というものを嘆いておる状態でありますが、これはこれでまた対策を立てていかなければなりませんが、車自身にも構造欠陥がないことを万全を期していくことが必要であろうということを考えまして以上のような措置をとった、こういうことがあらましのことでございます。
  34. 木村美智男

    木村美智男君 大臣いま言われているように、十万台のうち七万台を回収をしたとかいう問題なんですが、最近の自動車産業というのはやはり大量生産方式をとっているだけに、この車はよくてこの車は悪いというような関係にはちょっとないのじゃないかと思うのです。むしろ七万台を回収した残りの三万台が事故を起こす危険性というか、蓋然性というもの、これはやはり依然としてあるわけですね。そうすると、どうも回収の問題について、この際やはりそういう欠陥があるということがはっきりしているとすれば、やはりこれは全面的な回収をすべきでないかということが一つ。それからもう一つは、業界のほうでは自動車の売れ行きが悪くなっちゃいかぬということからの配慮かもしれませんが、前向きに検討をするといったようなことで、いまのところではお茶を濁しておるわけですよ。だけれども、この欠陥車というやつは、ブルーバードのP五一〇ですか、それからコロナのRT一五〇〇、だからこの二つがはっきりしているのですから、これはやはりそういうことを明らかにして、現在使用しているものについてはやはり何か直ちに回収ができないとするならば、たとえば自動車会社負担によるところの検査、そういうことを直ちに行なわせるべきであって、欠陥を持った車を走らせておるということの危険性は、これはやはり早急に取り除いていかなければいけない問題じゃないかというふうに考えるので、ここら辺少しちょっとぬるま湯に入ったような感じに、たまたま輸出車から問題が提起をされたということであるからということから、ちょっとどうもあとの始末がなまぬるくなりそうな気がするのですが、最近持に自動車事故が多いだけに、この点は少しはっきりした態度をとってもらわなければ困ると思うのですが、この点どう考えられますか。
  35. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 先ほどちょっと申し上げましたが、この問題につきましては、運輸省両社の代表を招致いたしまして、この対策というものについて明確な報告を求めておるわけでございまして、明日これに対する返答が聞ける、こう思っております。いまその車が、それが原因ですぐひっくり返るというような点では技術的に私はないように思っておりますが、それを回収するということは、その車のその部品を取りかえていくということによって、より安全が期せられるということになっておるので、それをやっておる。それがわかりましたので、それを可及的すみやかにやるようにという意思のことを私は通達をいたしておりますので、そのことは業界からも十分承知した上で明日返答があるものと私は考えております。
  36. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、大臣あれですね、欠陥車といわれるものについてはもうどこという欠点がはっきりしている、だから、したがって部分的にその部分だけ交換をすれば、大体まあ通常のノーマルな車の状態になるのだということですね。その場合、じゃ、あと部品の交換その他等については、多少これはやはり運輸省として指導的に、場合によっては業者がその部分品くらいは持つくらいのことまでやっていかないと、なかなか価格そのものの関係なんかからいって部品交換を渋るといったような状態で欠陥車を走らせる、それがひいては事故原因につながる、こういうことになってはいかぬと思うので、その辺もう少し詳しく話してくれませんか。
  37. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 日産ブルバードの場合は、四十二年九月から四十三年十一月までに生産されたものでございまして、一六〇〇㏄でございます。これの不良個所は、気化器のネジのゆるみでございますので、これの対策としましては、ゆるみの点検をするわけでございまして、ゆるみがあったものについては締め直すという対策を講ずるわけでございます。これが残っておりますものがあと三万台でございますので、それの今後の点検と対策の計画については明日提出があるというわけでございます。それからトヨペットコロナの場合は、三十九年九月から四十三年八月までに生産されたものでありまして、一五〇〇㏄でございます。これは約四六・五%が対策が終わっておりますけれども、この不良個所はブレーキ管の腐食でございます。したがいまして、これはブレーキパイプを交換しなければならぬわけでございまして、これは取りかえのほうでございます。それで、この部品等を交換いたします場合におきましては、メーカーのほうでそれを設置するわけでございますから、当然メーカーの負担でもって行なわれるというわけでございます。要するに、この二点とも、両方とも今後すみやかに対策を講じなければなりませんので、その対策の計画を明日提出するということでございますから、それを見ましてすみやかに行なうように指導していきたいと思っております。
  38. 木村美智男

    木村美智男君 大体今日の段階の処置としては、まあ明日のこともありますから、いまのお答えで了承したいと思うのです。  大臣、もう一つだけあなたにどうしても聞いておかなければならぬ問題がある。要するに、まだ予算委員会の段階ですけれども、やはりことしはできるだけ公共料金は国鉄の運賃以外は極力押えるという立場で、いろいろうわさはあるけれども、運輸大臣としてはバスその他については値上げをとにかく一応押えていく方針だということを明らかにしてきたわけですがね。ところが、また最近中京三県についてバスの値上げを認めたようであります。こうなってまいりますと、だんだん、やっぱり私どもが指摘をしたように、運賃の値上げが足代全体にやっぱりかかってくる、そうして全般的な値上げムードをやはりかもし出してくるという結果に、実はそういう状況にいまなりつつあるわけですが、これはやはり運輸省として一つのいまの政府の方針というものを、国鉄運賃以外に認めないという、その原則をやはり貫いてもらわなければいかぬじゃないか、こう思うのですがね。これは中京三県のバス値上げを、新聞だからほんとうに認可したのかどうか、これは真偽のほどは大臣から答えてもらいたいのですけれども、この点はどうなのか、またあとに大阪なり東京なりいろいろ残っていますが、これに対してはどういう態度で臨むのかということを伺いたい。
  39. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私は予算委員会を通じまた本会議を通じて、公共料金のうちの運賃の問題についてお答えをいたしておりますことは、まず地方の場合にはケース・バイ・ケースでやっていくということを申し上げておるわけでございます。私鉄の場合は大手十四社、バス、タクシーその他はいわゆる六大都市――東京を含んで六大都市の場合はこれは極力抑制をする、こういう態度でまいるということを申し上げてきておるわけであります。したがいまして、いまの中京三県の問題は、ケース・バイ・ケースというところに当てはまる問題でございまして、私の答弁は経済企画庁と同様な答弁をいたしております。運賃に対するところの責任者であります私から協議をいたしてきめる分、それからいわゆる閣僚協に了承を得てきめる分、こう分かれておるわけでございます。運輸省から経済企画庁に協議を求めて、協議がととのった場合に認可をしておるというのがいわゆるケース・バイ・ケース、こういうものでございまして、それに当たるものがいまお尋ねの点であります。その際にも、大手関係の経営しておるバス等につきましては協議がととのいません。大手の場合には認められないということで協議がととのいませんから、値上げはいたしておりません。今後も極力抑制をするという態度で、これについては私はその態度でいくということは依然として変わりないわけでございます。
  40. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、だからね、その地方の関係はケース・バイ・ケースで臨むということになると、結局最終的には関東とか、あるいは大阪とか、北九州とか、中京の特に名古屋中心、こういうところの関係は残っていく。これはもう絶対に押えていくのだ、こういうふうに大臣、これは理解をしていいのですか、いまの答えは。
  41. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私は、極力抑制をするということを自分の方針といたしております。
  42. 木村美智男

    木村美智男君 まあきょうは関連をしてお伺いをしているわけですから、これ以上やろうとは思っていませんが、ただどうしても、大臣、ケース・バイ・ケースというような答え方は、一面まあ理屈も、ある程度認めていかなければならぬような経営の事情というようなことを含めてあると思いますけれども、しかしそのことは同時に半面では、やっぱり値上げを押えていく歯どめをまるっきりなくしてしまうということに通ずるわけです。一方ではケース・バイ・ケースだということで、できるだけ認めるものを少なくするという役割りを持つと同時に、逆の意味でいえば、無制限にとにかくこれは認可をせざるを得ないという半面を持つわけです。ここのところが非常に大事な問題で、そうなると結果として、大筋は国鉄運賃以外は公共料金を押えるのだという政府の方針はくずれるのじゃないかということに、実は言わんとする点があるわけで、大臣、この点は相当慎重にしてもらわぬとこれはいかぬのじゃないか。慎重というよりも厳格にしてもらわぬと、これは半面のほうがむしろ重点になってしまって、イモづる式にみな引き上げる結果になっていくだろうということを心配するものだから、この点をひとつ大臣、今後の方針としてやはり明確にしておいてもらう。東京、名古屋、大阪、北九州については、たとえば今年度一ぱいは絶対に上げない、そういうやはり一つの方針を立てておかぬと、無原則だと、やはりケース・バイ・ケースといっても最終的にはそれはイモづるに通ずる問題だからそれはうまくない。こういう点で大臣、もう一回き然たる運輸省としての方針を明らかにしておいてもらいたい。  それからタクシーの申請の問題は一体これはどう扱うか、いまのところ認めてないのじゃないかと思うので、この点はあまりケース・バイ・ケースというようなことを言わぬほうがいいのじゃないのか。むしろ何というか、全体的に見て、そうして料金体系なら料金体系というものも十分検討した上で考えるべきで、単なる経営の中で苦しいところだけはやむを得ぬから上げるといったようなやり方をやれば、これは無原則な値上げを認めるという方針になってしまうので、したがってタクシーの問題についても、ひとつこの際方針を聞かしておいていただきたい。
  43. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 公共料金に含まれるものはすべて一年なら一年値上げをしないということをきめたらどうだという御意見でありますが、このことは四十四年度に対する政府の施政方針演説で申し上げたとおりでありまして、このことを中途で私は変えることはないと思っております。すなわち極力抑制をする、こういうことが姿勢でありまして、たとえば運賃問題につきましても、国鉄運賃問題についての質疑を通じて、同じ区間を走っておるものがなぜ異なった運賃、しかも国鉄のほうが高いというようなばかなことがあるのかという御質問を受けました。しかし、それでも運賃は上げたらいかぬということでありまして、私どもはそのことにつきましては、約束どおり抑制につとめておるつもりであります。地方におきましては、実際問題として、この運賃の値上がりによるところの増収をなし得ない企業としてバス会社が経営難におちいって、これではもうやっていくことができないという事例があり、それに対して新しい制度として地方公共団体、国を通じて助成をしてそしてこの経営を続けさして、通勤者のための便宜をはかっていくという制度もつくっているくらいでございますから、地方におきましては、運賃収入というものが何としましても一番大きな収入であります。これ以外に大きな収入を持っておるものは、もちろん観光バスを経営しておるようなところもございますけれども、それとてやっていかれない現在では、この運賃収入を考えてあげないことには、通勤者の迷惑というか、足が奪われるということもあるのでございますから、それらにつきましては、いわゆるケース・バイ・ケースでひとつ決定をしていくということは御了解を賜わっておきたいのであります。  それからタクシーの問題でございますが、これは私が申し上げておりますとおり、乗車拒否問題という、お客さんから非常な非難を受けておるのがこのタクシーというものの現状でありまして、この声は特に大阪、東京というところで高いのであります。私はこれらの声を聞きましたときに、少なくともサービスを売って商売をしておるものが、お客さんにサービスの悪いのは運賃を上げてくれぬからやと、こういう態度でいる限りは、私としては運賃値上げを認めるわけにはいかないのだというようなことを御答弁申し上げてきておるのでありまして、これらにつきまして、行政的な指導によってどうしてこれらのことが解決できるかという面も、責任上私どもも考えていかなければならぬことは言を待ちませんので、これらのことにつきましては、事務当局に命じまして対処するようにいま考えて研究をいたしておるところでございまして、まずタクシー業者にとっては、サービスをよくするということを第一番に望んでおきたいのでございます。それから態度につきましてはこれも同じことでございまして、極力抑制するという態度を持していきたい、このように考えております。
  44. 木村美智男

    木村美智男君 もう一つ、大臣、このタクシー問題はいまのところ認めるというまだ方針まではいっていないけれどもいろいろ検討している、こう言われるから、その検討をしている中で少し検討してもらいたいことがあるのは、何か乗車拒否がやられているからタクシーは値上げを認めないのだといったような、それは別にことばの言い回しを取り上げるわけじゃないんですけれどもね、やはり現在、全体としてタクシーがとにかく評判が悪いということだけは残念ながら、これは皆さん認めざるを得ないと思うんです、個人タクシーを除いて。最近の乗車拒否の問題というようなのは特にひどい点があるので、われわれはわれわれの立場から何とかこれをなくそうということで、いろいろ努力はしているわけですけれども、しかし、この中にはやっぱり今日の給与体系というものに一つ問題がある。タクシーの賃金体系を大臣一回洗ってみてほしい。これは本委員会で何回か私も取り上げてみたんですけれども、はなはだしいところに至っては、現在でも本俸が六千円だとか、あとは大体平均賃金で五万円なり六万円なりというものの、その大部分というものはこれはいわゆる刺激給、能率給、歩合給といわれるものによって生み出される額なんですね。だからそういう賃金体系をとっていく限り、まあ馬の鼻づらにニンジンをぶらさげて走り回らせるようなものだから、したがってそれが乗車拒否を発生させ、あるいは事故を誘発するという、そういうやっぱり根本的な問題がどうも今日のタクシーにおける賃金体系にあるので、ここのところにやっぱりある程度メスを入れて、そうしてたとえばさっきバスの場合、経営のことばっかり言っておったけれども、経営の中身をよくしていくかわりに、労働者の賃金という問題についても体系的なやっぱり基本給によってある程度めしを食っていけるようなものに近づけていく。全然能率給をなくせと言っているのではありません。いまのような極端な刺激給体系では、これはもうそのこと自体が、もう毎日のかせぎの中で一日休めば――大臣、ぼくも実際に見てみたけれども、八千円ダウンしているんですよ、一日休むと。だから、それはもうこういうような賃金体系をとる限り、どんなに乗車拒否をやるなと言ったって、そのダウン分を何かで取り返そうと思えば、結局百円、二百円のところはおっぽって、ちょっと遠くへ行くと、三倍、四倍ぐらいの割り増しをもらえるといった客を拾うやり方がどうしてもそこに出てくるといった、そういった実態にちょっとメスを入れる必要がある。もう一つはサービス向上の問題。この三つの角度から、経営の立て直しと、国民に対するサービスの向上と、それから労働者の待遇改善、実質上は賃金体系に刺激給をできるだけ押えていくということ、この三つの点を十分検討をしながら、かりにこのタクシー運賃値上げが、一年後なりあるいは一年半後に実施をされるとすれば、そういうことをひとつせっかく検討されておるなら、ぜひ検討をしてほしい。これは要望事項ですが、そういう立場で扱っていかないと、どんなに運輸省が、あるいは警視庁の応援を得てまでやってみても、この乗車拒否は一向減っていかない。したがって、これは単なる取り締まりだけではもう乗車拒否問題は解決をしないというところにきているように思いますから、そういう意味で、これはいつのことかわかりませんけれども、値上げをする段階には、それは単なる経営の赤字をカバーするということだけじゃなしに、いま申し上げたようなサービス向上の問題と乗車拒否その他交通事故関係を、これをなくしていくという意味での賃金体系にやっぱりメスを入れて、具体的なその値上げ分をどう使うかという、むしろ業者側の自主的な提案を運輸省側がチェックをして、これはおまえもここのところやらぬからこれは認められぬというくらいの指導性をやはり近い将来打ち立ててほしい。そういう検討をひとつ、いま検討しているなら検討の中に入れてほしいということをきょうは申し上げておきます。当面まだタクシー運賃は認めないのだから、認めない立場で先に向かって検討すると言うから、検討するならばひとつそういうことを材料にして検討してほしいということをこの際申し上げておきます。これはまあお答えがあれば答えてください。
  45. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いま木村さんのお話の点等は先ほど私が申し上げた、事務当局にこういうふうにしたらどうだということを言っておる中に含まれておりますし、事務当局も前から、私が就任する以前からタクシー経営の改善方策の中に取り入れて検討をいたしております。したがいまして、そのような方向にしていかなければならぬと考える次第であります。  私は、運賃問題で思いますことは、あるいは予算委員会ですか、木村さんに答弁しているときじゃなかったかと思いますが、お笑いになりましたけれども、運賃でも何でも上げろという人はないのです。安いほうがいいから、瑞穂の国で米の問題になると日本人は、米が高いなんていったって、きょうもまだきまらぬくらい上げたいという人がおるけれども、運賃は一人もない、上げないほうがいい。しかしこれだってみんなが上がれば上がっていかなければ食っていけないじゃないですか。私はそこでこの問題につきまして、やっぱり納得いくものでなければいかぬ、上げていいとは言わなくても、ここまでサービスをしてくれるならまあまあだなということがなければいかぬじゃないか。木村さんは三つの問題点をあげられましたけれども、その中の一番最大のものは私はお客さんに対するサービスということであろう、お客さんに対するサービスが、少なくとも夜の夜中に銀座で遊んで帰るときに自動車がなかった、それが乗車拒車だと、そこまではめんどうを見切れなくても、女子供が安心していつでもタクシーに乗れると、こういうことであれば、もしそのときに上げさせてくれといったときにワーッと反対運動なんかは起きないものである、それだけに私は業者の諸君に、少しは経営というものに対して考えなければいかぬのじゃないかということも指導監督するという立場にございますので言ってきておるつもりでございますから、十分心がけて、今後とも対処してまいりたいと思います。
  46. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 本件に対する質疑は、この程度といたします。     ―――――――――――――
  47. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  48. 森中守義

    森中守義君 前回に引き続いて少しくお尋ねいたします。  答申の中で「三国間輸送助成」という項目があります。この内容を拝見すれば、「将来は、三国間輸送活動をますます推進しなければならないので、三国間輸送助成の方策を検討する。」、こういうようにうたいあげられておるのであります。したがってこの内容からいきますと、ますますということは過去において十分でなかったという、こういう取り方が適切な受けとめ方ではないかというように私は考えるのですが、いままでにおける助成策というものは一体どういうものであったか。具体的に申し上げるならば、助成費が予算上計上されているようですね、その当初から現在まで、単年ごとにどの程度の予算が投入されてきたのか。まあそれと、その三国間輸送について助成しなければならぬという意味合いが率直に申し上げてピンとこない、ついてはどういう状態の場合につまり国家資金が導入されるのか、その辺の内容をまず最初に承っておきたいと思います。
  49. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 三国間輸送助成の目的は、日本海運がやはり世界的な規模における海運に発展いたしますためには、自国の貨物、貿易物資だけを積み取っていてはなかなか伸びにくいわけでございます。それで、三国間輸送助成金を先生指摘のように過去において交付をしてまいりました。その額は、三十九年度で九億六千万円、四十年度八億三千四百万、四十一年度七億七千四百万、四十二年度八億三千七百万、それから四十三年度五億八千百万、四十四年度は二億四千万、こう交付してまいったわけでございます。  四十三年度までの大体の交付のしかたは、過去におきます三国間運賃収入の平均に対しまして三%を助成するというやり方でございました。四十四年度からは再建整備も終わりまして、それからこの際、企業の自主的な体力をより活用すべきであるということで、純粋三国問と申しまして、日本に起点、終点を有しない、純粋に日本以外の港を出ましてまたそこへ帰ってくるという航路のみを対象にいたしましたので、この予算額がこのように四十四年度は大幅に減っているわけなんであります。今後はこういう体力を利用して純粋な三国間だけを助成していく、日本を起点、終点として世界を回りながら途中で貨物を取るというものは、企業の自主的な体力によってこれを開発することを期待する、こういうふうにやり方を変えたわけでございます。
  50. 森中守義

    森中守義君 わかりました。そうしますと、いま、純粋三国間ということのようですが、これで三国間輸送による積み取り比率あるいは運賃収入がかなりいままでの統計と変わってきますね。実際、その終点、起点の問題等でずいぶん変わってくるでしょうが、そうなりますと、大体前年度までの四五%積み取り比率、この中にいままでの形態として大体いわれてきた三国間輸送による積み取り比率の占める率はどのくらいあったのですか。
  51. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 実は積み取り比率と三国間輸送とはある意味におきまして矛盾すると申しますか、矛盾する点があるわけでございます。これは三国間にたくさん出ますと、自国の輸出入物資の積み取りの量がそれだけ減るという結果に相なるわけでございます。それで、従来の三国間の輸送量で見ますと、日本船の全輸送量の約七%でございます。運賃収入で見ますと約八%でございます。
  52. 森中守義

    森中守義君 確かにいまお話しの内容になるわけですね。しかし、その七%、八%というのが、これが相当の助成措置を講じてどの程度まで上乗せしていく見通しをお持ちなんでしょうか。少なくともこの答申の中で言われている検討を加えるという検討の結果によりましょうが、将来の予測として大体七%ないし八%という、これをどのくらい上乗せしようという見通しをお持ちなのか。
  53. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 新海運政策になりましてから助成を大幅に減少いたしまして、企業の体力によって三国間輸送は開発しようということでございます。その助成期間も、当該航路を始めましてから五年間で助成を打ち切るという制度で、今年度の予算にお願いしたわけでございます。で、これだけの助成を交付いたしましたら、大体七%、八%という量は今後も維持できるのではないか。これは全体が非常に大きくなってまいりますので、パーセントとしましてはやはりこの七%、八%ちょっと上回っていくという程度のものを維持することは可能ではないか、このように考えております。
  54. 森中守義

    森中守義君 この前、昨年の延長法のときだったような記憶がするのですが、木村質問に対して前の堀局長であったように思うのですが、要するに運賃収入としてはむしろ三国間の輸送のほうが非常に効率的なんだ、こういう答弁が過去に行なわれておるようです。それで問題は、いまのような運輸当局のことばをかりるならば、船腹の量が足りないこの状態で三国間輸送をやったのでは、国内輸送で手一ぱいだから回らないだろう、そこで二千五十万トンというつまり新船建造によってどの程度拡大されていくのか。したがって、いま澤局長の言われるように、将来の予測としてはおおむね七%、八%を維持することができるというのでは、実質的に外貨を獲得するには、三国間輸送がより効率的であるというなら、ちょっとまずいのではないか。ただ、これ以上に助成をするしないという議論は別です。私も、さっき言われたように、純粋三国間というこういう方式に変えられていけば交付金の額が漸次減少せられるというのは当然だと思う。しかしながら、この新船建造によってどの程度の――いままでのような状態で船を回していくのか、あるいは新しく増加された分をさらに大量に三国間輸送に振り向けていくのか、その辺のことが七%、八%の基調にかなり影響してくると思うのです。したがって、いまのお答えではちょっと予測をお尋ねするという御答弁になりません。したがって、配船は、新しい建造計画が実行されていけばたくさん回すのか、現状程度にとどめるのか、あるいはむしろ一そう発想としては七%、八%を倍率くらいに伸ばすくらいの実は構想が必要ではないか。しかも助成金はゼロ助成にだんだん近づける。こういうことを私はお尋ねしておきたいと思う。いかがですか。
  55. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この二千五十万総トンの中で、今後新しくつくります船で三国間に回らせるという予想をいたしておりますものは、貨物船で六十五万総トン、タンカーで五十五万総トンでございます。
  56. 森中守義

    森中守義君 いや、ですから、いままで回していたのを、今度新しい計画によってどのくらい増加するのか、その計画があれば教えてほしい、こう言っておるのですよ。
  57. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) ただいま申し上げましたのは増加分でございます。
  58. 森中守義

    森中守義君 いままでは六十五万トンに対してどのくらい、五十五万トンに対してどのくらい、それをちょっと出さないと比較されませんがね。
  59. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 従来配船いたしておりましたものは、タンカーで三十一万トン、それから不定期船が約十三万トンでございます。定期船が相当実は三国間に従事しておりますのですが、このうちいわゆる純粋三国間というものが、ただいまの統計が手元にはございませんので、定期船はちょっとわかりかねます。
  60. 森中守義

    森中守義君 そうすると、これは三国間輸送の性質が多少変化するわけだから、在来の、いまお示しになったものでは正確な数字は出てきませんね。ただ一口に言って、在来の十三万トンが六十五万トンとかあるいは三十一万トンが五十五万トンになるということで相当ふえていくわけですね。そうなると、七%、八%というものはかなり上昇するんじゃないですか。これが実は運賃収支にどういう影響を与えてくるのか、その辺を実は聞いておきたいのですよ。ただ、言われる十三万トン、三十一万トンはこれからの純粋三国間輸送とはかなり性格が違ってくる、だからここに数字の整理が非常に困難になろうかと思うのですがね。在来の方式から計算していくならば、船腹の一相当大量のものが回されるわけで、七、八%というのは、その二倍あるいは三倍、四倍に上昇していく、それなれば運賃収支というものはいささかこれは大きく変貌を来たすんではないか、こういう見方が成り立つのじゃないかと思うのです。少し念を入れた質問になりますけれども、ちょっとおわかりの範囲でお示しいただきたい。
  61. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 御指摘のように、これだけの計画どおりの船腹が三国間に回ってまいりますと、相当の三国間運賃収入に相なるかと思います。現在三国間だけで運賃収入を何億ドル期待するということはちょっと計画の中に入っておりませんので、正確にお答えいたしかねますが、あるいは御指摘のように、八%よりも上回っていくということに相なるかと思います。  ただ、三国間輸送を実施いたしますのが非常に困難でございまして、船を投入すればそれで三国間に進出できるかといいましても、それだけでもなかなか三国間の荷物は取れないわけでございます。戦前は日本の商社が広く三国間貿易を実施いたしておりましたので、日本の船会社も三国間輸送は非常にやりやすかった。ところが戦後、日本の商社も日本の貿易を中心にいたしまして、三国間の貿易というものはまだまだ戦前ほどのシェアを占めていない、世界における勢力がまだそこまで至っていないというようなことで、日本の船会社の三国間輸送は非常にやりにくい。それからいま一つ、三国間輸送の非常に大きな最近の輸送の形態になっておりますのは、ペルシャ湾の油を南米その他に持ってまいりまして、南米の鉱石を日本アメリカに持っていくという形が多いのでございます。日本の石油会社と申しますか、日本の資本が石油を押えていないということで、石油の三国間輸送には日本船がなかなか進出しがたいというようなことも実はございます。船をふやしまして、またそういう三国間輸送活動を日本の船会社が、日本の商社が懸命に行なうということと相まちまして、三国間輸送を今後ふやしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  62. 森中守義

    森中守義君 そうすると、貨物船の六十五万トン、タンカーの五十五万トンというのは、これは二千五十万トンを一応予定した計画配船というように私はさっき理解したんですよ。それであとで、一体それならば集荷活動はどうするのか、そのことが積み上げられて運賃収入にどういう影響をもたらすかという、こういう一連のものを私は実は頭に描いているいまのお話からいきますと、どうも集荷活動、なるほどそれは油田地帯とかそういうものにあまり日本の資本が進出はしていない、それだから背景はわかりますよ。背景はわかるけれども、基本になる六十五万トン、五十五万トンの計画配船ということが、いま説明される以上の集荷活動はこれなんだ、それが運賃収入にどういう影響をもたらすという一連のものがやはりプランに乗っかっていないと、六十五万トン配船をしてみた、五十五万トン出してはみたが、物は集まらない、船はつなぎっぱなしということでもないでしょうけれども、ちょっと要素としては非常に不安定な状態に立つのではないですか。その点もうちょっと正確にお答え願いたい。
  63. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この貨物船、タンカーはいずれも巨大なもので資本を非常に要しますので、この三国間輸送も含めて荷物が取れますと船会社はこの船をつくるわけでございます。自分で荷物を取ってから船をつくる、こういう形に相なっておりますので、つくった船は確実に荷物があるというのが現在の計画造船のやり方でございまして、今後ともこの新海運政策の基幹はそういうことで進むことに相なると思います。まずぽかっと船をつくりまして、それから荷物を集めるということではなくて、たとえば先ほど申しましたように、ペルシャ湾から南米への油輸送の契約を取る、それから南米の鉱石を日本の製鉄会社に運ぶ契約を取る、こういう契約取れますと、初めて計画造船に申請をいたしますわけでございます。したがいまして、確実に荷物の取れたものが船をつくっていく、そういうものが今後六カ年間で、先ほど申し上げましたような数字にのぼるであろうという推定でございます。
  64. 森中守義

    森中守義君 それでよくわかりました。ということになると、結局長期に契約が成立するかどうかというのが前提であって、それで船を合わせていくという、そういう仕組みなんですね。なるほどそうすると、結局六十五万トン、五十五万トンというのは、現有の船腹量と二千五十万トンを勘案した中で、おおむねこの程度を回してもいいであろうという、そういう余裕というのか、スペースが出てくる、そういう意味ですね。
  65. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) そのとおりでございます。
  66. 森中守義

    森中守義君 そこで、三国間輸送については確かにかなり運賃収入に影響をもたらす問題だということもしろうとながらわかりますし、これはひとつ関係の企業等に対しまして、うんと集荷活動が旺盛に行なわれて、できるだけ六十五万トン、七十五万トン、実際問題として配船をされる、それで収支改善に役立つように一そうの努力をしてほしいと思います。  それからちょっとこれはとっぴな質問になるかわかりませんが、世界の海上を走っているわが国のタンカーに限らずその他の船に限らないで、こういうことが将来考えられる、特にこれはまあこれからの造船、あるいは既存船も同様でしょうが……。というのは、すでに宇宙開発事業団法というのが、いま国会に出されている。ついてはこの事業団を中心に航行衛星それから気象衛星、こういうものが四十六年に上げられる。四十八年には通信衛星に発展しよう、これも一つの革命的なことだと思うんです。それで、もしこういう航行衛星あるいは気象衛星等が上げられるなり、通信衛星が上げられるということになりますと、船舶の通信設備、衛星からの受信体制というものが、かなり舶船の構造として変化をもたらすことになると思うんです。それで、運輸省でも、ちょっとさっき調べてもらったのですが、気象衛星それから航行衛星ともに、気象研究所で気象衛星、それから航行衛星については航行電子装置研究所、こういうところでいま研究開発が進められておるように聞いておる。ですけれども、これが実際の建造の際に考慮されているのか、あるいは既存船の中に改造が行なわれる予定であるのか、その点、どうなんでしょうか。それと、運輸省内における開発研究の状態はどうなっておりますか。
  67. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) お答え申し上げます。 宇宙開発事業団ができまして、わが国で人工衛星の開発を行ない、それからロケットが開発されまして、さきに通信関係について衛星が打ち上げられる。その後、気象衛星――気象部門なり、あるいは電子航法の部門において人工衛星が打ち上げられて、利用されるであろう、こういうことがいわれておりますが、船舶の運航あるいは造船の技術に関しまして、直接関係してまいりますのは気象衛星、航行衛星、通信衛星などだと思いますが、その場合に、主としてこれらの衛星は、船の自動化と申しますか、気象情報を衛星から取る、あるいは自分の位置、舶船の位置の情報を取ったり、あるいはその他の通信情報を衛星から取る、こういうことになるわけであります。現在、舶船局といたしましては、船の自動化につきまして、船舶技術研究所、それから民間の造船所等とともに技術開発を進めておる最中でございます。ただ、問題はその衛星の技術を使える程度の自動化船ということはまだまだ先のことだろうと、先といいますか、この四、五年の間に具体的に実現するということではないというふうに考えて、その点はたとえば気象衛星ができますれば、それの受信装置なり――これは直接受信にいたしますか、気象台でとった雲の写真を通信衛星を通じて受信する、こういったことで、主としてその人工衛星の情報をつかまえる機械を備えつければよろしいのではないかというふうに考えているわけでございます。したがいまして、船の構造なり、それから大きさなり、そのものが直接大きくこれによって変わることはなくて、むしろ情報が非常にふえますので、自動化の方向に役立つ、こういうふうに考えております。  それから、これは担当の外でございますが、船舶局としまして聞いておりますところでは、気象研究所、それから電子航法研究所、これがそれぞれ気象衛星それから航行衛星の研究に着手している段階というふうに聞いておりまして、それらにつきまして、造船のほうからの技術的な要望は機会あるごとに申し上げております。そういう状態でございます。
  68. 森中守義

    森中守義君 これは船舶それ自体の大半の構造を変化しなければならぬという事態にはむろんなりませんよ。いわば通信の装置の問題ですからね。  そこで、いま私がお尋ねし、しかもお答えがありましたように、気象衛星、それから航行衛星の試作、研究開発が運輸省の中で行なわれておるということのようですが、予算も多少ついておりますですね。気象衛星の場合には千二百四十二万円、航行衛星が七百八十六万と二百二十五万ですからね、そう驚くべき予算ではない。これは直接の担当ではないかもわかりませんが、大体どういう開発研究の内容なのか、むずかしい学問、学術でなくて、大体こういうものを開発しようとしている、その程度のことはわかりませんか。
  69. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) 人工衛星の場合に関しましては、省内で官房を中心にしてまとめられておりますので、そこで聞き及んでいるところでございますが、気象衛星につきましては、主として気象観測の場合に衛星の側から雲の写真、海面上、あるいは地表上の雲の写真をとる、そういうテレビカメラなり、あるいは普通のカメラが要るわけでございます。それから地表面の温度を測定しますために赤外線放射計、赤外線をはかる放射計が要る。こういった人工衛星に積みます種々の測器、機具といいますか、気象をはかる機具の開発が中心でございます。  それから航行衛星のほうは、これは船の位置を地上から衛星を通じましてはかるわけでございまして、これは一つの方式でございますが、あるいは衛星から船までの位置を船側がはかるとか、いろいろ方式がございます。その方式につきまして、いま電子航法研究所でどういう方式が一番日本にとって有利な衛星を使った航法システムであるかという研究をしておるのが一つと、それからもう一つは、航行衛星の中に積みます中継機といいますか、地上からの電波を中継して、測定の電波を中継して、それから船に送り返す、地上に送り返す、こういった中継機を乗せなければならない、それの中継機の研究、中継機等のいわゆる搭載機器の研究の段階でございます。したがいまして、予算規模も、人工衛星を具体的につくるというほかの例に比べますと、まだ少ない段階でございます。そういうように私は了解しております。
  70. 森中守義

    森中守義君 これは例の国際商業衛星通信機構――インテルサット、これとの国際会議の関係等もありますから、日本の宇宙開発それ自体が必ずしもきわめてそのテンポを速め、しかも所期の目的を達するかどうかはなお疑問があるのですよ。ありはしますが、いまとてもじゃないが、運輸省でロケットの開発までやろうといっても、これはできませんよ。そんなものはとてもできるはずはない。そこで、その開発事業団によれば、一元的に、統一的に星あるいはロケットの開発を進めていく、こういう体制がいまとられている。しかも予算も、たとえば技術庁が持っていたのも全部事業団に移管しよう、あるいは郵政、電通、NHK、国際電電、こういうところで持っていた予算も統合しようということで総合開発に乗り出すわけですね、十月から。したがって四十八年段階にきて、実験・実用衛星が上げられた場合には、すでにこれの実用段階に入る。入るのですよ。入るとすれば、二千五十万トンの最終年度とぴしっと合う。何も合わせられたのではないですからね。しかし、はしなくもそういう符節を、同じ時期にすれば、これはむしろ事業団等にいろいろ協議をされて、受信装置は一体どうすればいいのか、少なくとも宇宙開発が促進をされていく経過の中にこの問題がとらえられていかないと、さあいよいよ星は上がったが装置はないぞというのじゃ、これはたいへんですよ。そうなると、これは国家的に必ずしも利益のいくものじゃないので、この際技術庁あたりによく相談されて、時間の測定をするなり、あるいはどういう装置をしたほうがいいのか、まあ少しくそういう総合的な体制をとらなければ、わが国の船舶というものは、ある意味では立ちおくれていくんじゃないだろうか、こういうことを私は考える。それで、いまにわかに気象庁あるいは何か研究所でやっているのを全部事業団に移管したほうがいいという、そういう極論まではここで言わないけれども、少しく積極的に、そういう船舶の構造の一部に関係のあることですから、しかも四十八年、四十九年という一つの時期があるわけですから、その辺に対して前向きにものを考えてみたらどうかと思うのです。いかがですか。これはひとつ大臣、ほかの省庁に関係のあることですから、少し検討してください。
  71. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 正直に申しまして、私はそういうことは知らなかったので、いま非常にいいお話を聞かせてもらったと思っています。いま宇宙開発事業団の何が出ていることは知っておりますが、四十八年に日本の技術で人工衛星までいく、それがちょうど五カ年計画の四十八年にぴったりいく、その場合の考え方ということについて私は、そのことについて十分検討をさしてもらって、前向きの姿勢でものを見たいと、このように考えております。
  72. 森中守義

    森中守義君 それは突然の質問ですから、そういうことでけっこうですが、しかし実際の研究開発というのは、こういう予算ではこれは足りませんよ、正直に申し上げると。かなりの金が要る。ですから、できるならば外形の作業の段階くらいで技術庁なり、あるいは郵政なりとよく相談をされて、これの対応策としてどういう体制をとるのか、ある意味では機構もこれでは規模が小さいかもしれない、だから、将来のわが国の船舶の近代化あるいは効率化を促進していくという、そういうことも海運政策の主要点であれば、この問題についても私は、よほど真剣に取り組んでいただきたい。したがって、これ以上この問題に言及することは避けますが、少なくとも今日建造計画の中にこういう問題が一体考えられていたのか、いなかったのか、その点がはっきりすれば、事はよかったわけですが、予算上の措置なり、あるいは機構上の問題なり検討の余地が十分にあると私は思うのですが、その点大臣からもう一回ひとつ御答弁をいただきたい。
  73. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いま事務当局の説明では、自動化のことは入っておりますけれども、いまお示しの御意見に対してこれは予算が入っていないということを私承知しましたので、今後この問題について十分検討をいたしたいと思います。
  74. 森中守義

    森中守義君 それから、この前ちょっと企業の性格などについてお尋ねした記憶がありますが、もう一回、繰り返しになるかわかりませんが、ちょっとそういうことをお尋ねしてみたいと思うのです。  昨年の八月、船主協会から「日本経済と海運-新海運政策に期待するもの-」という、こういうパンフレットが出ている。この中で「長期計画建造実施上の問題点」というのがあげられていて、この中でこういうことをいっておるのですね。「せっかく立ち直った海運の企業力を弱めることになりはしないかということである。」、つまり計画建造によって自主性が失われはしないかということを非常に懸念をする。このことを逆な意味から言うならば、よこすものはよこせ、介入、干渉はするな、端的な言い方をすればそういうことになると思う。しかし、国会という立場あるいは政府という立場からいけば、税金を大量につぎ込む以上、あとは自由にやりなさいというわけにはいきませんよ。だからこの前私が提出を求めた、在来のいわゆる企業に対する監督、規制あるいは将来継続されんとするその内容ということは、ほぼ資料によってわかりましたが、どうなんですか、これが出たのは海造審の前ですね。したがって、海造審の中でそれら関係の代表からどういう意見の開陳があったか、その辺からまず最初に承っておきたいと思います。
  75. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは先生おっしゃいましたように、海運企業は自主的な活動は尊重されるべき企業であるから、企業の自主性は最大限に尊重してもらいたい、こういう意見の陳述がございました。
  76. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、提出してもらった監督規制ということですが、これは新しい計画によって若干の手直しをされるのですか、それとも在来のとおりですか。
  77. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは先般の委員会でも先生の御質問に御答弁申し上げたかと思いますが、従来の監督規制の内容を現在再検討をいたしております。それでこの法案を御可決いただきましたあと検討結果を大臣に御報告申し上げまして、そうして大臣の御指示によりまして新しい規制としてどういうものを残すかということを決定いたしたい、このように考えております。
  78. 森中守義

    森中守義君 人に言わせると、そのことを二律背反の悩み、こういうことがよく言われております。ですから、その辺のことが実際問題として新しい規制上どういうように生かされていくのか、またどうすれば自主性が保障されるか。同時に、税金が投入されるわけだから、それに対応する姿勢は姿勢で求められなければならない。つまり二律背反、このことを具体的にどういうふうに解決されようとされますか。これは非常に重要な問題だと私自身考えます。ですから、ただ問いました、聞きましたという、こういうことでこの場は終わらざるを得ないかわからないけれども、できるならばもう少しこの辺を私は詰めた議論をしておいてもいいのじゃないか、こう思うのですがね。
  79. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この自主的活動と申しましても、船会社が申します自主的活動は、あるいは先生がおっしゃいましたように、助成は多くくれ、干渉はするなという意味であるかと思います。しかし海運造船合理化審議会におきまして、答申として、自主的な活動を今後大いに伸ばすのだという答申をしていただいております意味は、これは船会社がいう干渉するなという意味ではございません。船会社のいろいろな自主的活動をしようとしても、それに対する、これは単に利子補給あるいは利子補給法上だけでなしに、国家としてのいろいろな規制がございます。たとえば対外活動を大いにやりますには、あるいは現地法人をつくらなければならない、そういう場合に、やはり外資法上いろいろな規制がございます。こういうものはできる限りはずして自由にやれるようにしていってやろうじゃないかということもその一つの内容でございます。  それから利子補給法上も、資料として御提出申し上げましたように、いろいろ実に詳細に、まあ船会社のほうから言わせますと、重箱のすみをつっつくような報告、監査を厳重に実施しておったわけでございます。また、二千万円以上の固定資産を取得する――これは船関係の投資の場合でも、厳重に規制しておったわけでございます。しかしこの辺は、たとえば海運関係に対する投資を行なうというような場合には、この金額を二千万円まで下げなくてもいいんではないか、これを若干上げてもいいんじゃないかというようなことをいまこまかに検討をしているわけでございます。もちろん今後も、後退はいたしましたが、相当多額の利子補給を今後六年間にわたりまして船会社に支給するわけでございますから、運輸省といたしましては、この利子補給の効果を減殺するような活動をもし船会社が行なうようなことがありましては、これはまことに申しわけないことでございますから、そういう点は従来同様に厳重に規制し、また監督をしてまいりたい、こう思っております。ただ、その内容はいま詳細に詰めておりまして、近く大臣に御報告をして御方針をきめていただくと、このように考えておるような次第でございます。
  80. 森中守義

    森中守義君 澤局長、企業の体力ということが最近しばしば当局のほうからも言われる。概念としてはわかるんですよ。そこで、具体的に考えた場合、つまり、自主性を一〇〇%尊重する、保障するということによって体力がつくのか、あるいは、若干規制は加えるが助成をするとこによって体力がつくのか、その辺どちらに比重がかかるんですか。
  81. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 非常にむずかしい御質問でございまして、ここにお願いしております助成は、今後国際競争場裏に日本の船会社として出ていって活躍するための最低限の助成をお願いしているつもりでございます。しかし、この助成だけではやはり外国の船会社と十分対抗してやっていけるというものではなく、やはり船会社の自主的な企業活動、経営努力、合理化というものをこの助成に加えてやって、初めて外国の船会社と対抗し競争ができるんではなかろうか。したがいまして、そういう自主的な企業活動は大いに伸ばすように今後ともやっていきたい。もし国家のいろいろな法令で船会社の自主的活動を非常に阻害しておるものがありとすれば、それはなるべく除去していきたい。ただ、利子補給という形で国が補助金を、助成金を船会社に支給しているわけでございますので、この効果を阻害するような企業活動というものは絶対に行なわれないように、それだけは最低限、国として、運輸省として規制をし、監督をしていかなければいけないのではないか、このように考えております。非常に抽象的になりまして申しわけございませんが、非常に先生指摘のとおりむずかしいところでございまして、あるいは二律背反的なところがあるかもしれません。その辺を十分に検討いたしまして、きめのこまかい指導をしてまいりたい、このように考えております。
  82. 森中守義

    森中守義君 大臣、いま海運局長から、やがて成案を得て大臣の決裁を求めたい、こういうことですから、その段階で具体的にもっと詳細なものが引き出されてくると思うんですがね。しかし、前回あたりからいわゆるふろしきを広げたままお尋ねしてきておるんですが、要するに海運の当面の課題というものは、何かの本によれば、コンテナを中心とした輸送革新にどう対応するのか、それといまの二律背反をどう処理するか、大体しぼっていけば二点に尽きるんじゃないか、こういう論評を最近見たことがある。むろんそれよりも幾つかの重要な問題がありましょう。けれども、せんじ詰めて言えば、大体その二点に尽きるように思うんですね。  そこで後段の、つまり二律背反の問題を、これは事務当局の事務上の問題もさることながら、政策的にどう大臣考えますか。どうすれば二律背反の悩みというものが解消されるのか。これも非常に抽象的な聞き方であり、勢い抽象的な答弁しか出てこないような気もしますけれども、これは私は行政の問題よりも政策の問題だと思います。あるいは政治の問題であるかもしれない。そういう意味で、大臣の可能な限度におけるお答えを一ぺんこの際聞いておきたいと思うんですね。
  83. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いま御審議を賜わっております基本となるものは、この日本の海運会社が戦後まいっておったやつが助成策で立ち直った、こういう段階から、いまの体力回復という段階から、いま御指摘日本の海運政策という新しい部面に向かって進んでいくためにはなお引き続きこれの助成策が要る、こういうことでありますから、御指摘のように私はこれは政策の問題であると言われるのはそのとおりであろうと思います。したがいまして、これからの世界の海運の中で大きく伸びていくものは何かと言われると、いまお話の出ましたコンテナというものがこの海運の中で大きくクローズアップしてくるのではないか。これはまあ私ろうと考えでありますけれども、現実に、この前もお答えいたしましたが、私はそのようになると考えて、外貿埠頭公団施設というものを促進するために一臂の力を尽くしたつもりでおりますが、運輸大臣として就任いたしまして、それを現地に見まして、そこでこれぐらいの船でよいのかという質問、すなわち一万トン級くらいの船、せいぜい二万トン級くらいの船でいいのかねという質問をいたしておりましたら、その後イギリスにおいてはもっと大きな船をこしらえようという動きになってきたということを聞き及んでおりますし、アメリカにおいてはもっと大きなスケールで、大陸一貫ということでコンテナ輸送ということを考える会社が出てきたというようなことを現実に把握いたしておりますので、いまのように今後の新しい海運というものにとって大きな面を占めてくるのではないか。私はこれはそういう考えを持ちますが、それに対応していくために、金は出すがくちばしはいれるなということでは解決できない問題があるのではないか。事実、集約して立て直していくまでにも相当問題があったわけでございますが、この集約をしてまいりまして今日の姿になってきた。今後それらの問題と対応するためにも政府がやはり中に入って、こういうふうにしていくのがよかろうじゃないかというような口出しはしなきゃならぬということになってくるのではないか、私はそのように考えております。それが指導といいますか、監督といいますか、そういう大きな面での役割りではないか、まあ役割りを果たさなければならぬというように考えております。一方、小さい部面でいいますと、先ほど局長は、会社の事業のすみからすみまでほじくるようなことは、まあ会社のほうとしては云々というような話が出ましたが、私はそのような問題はやはり大きくものをとらえて、海運というものを伸ばしていくということに対して有効なものは、これは伸ばしていく。しかし人間のやることでありますから、考え違いが起きるというようなことに対しては厳に規制をし監督をするということでなければならぬ。  ここに資料として御提出をいたしております「助成対象海運会社に対する監督規制」というものがございます。その中に勧告、監査、報告、認可というようなふうに分けて説明をいたしておりますが、これらのことにつきまして事務当局からいま私に相談いたすと言っておりますが、そこらのことは腹に入れながら、ひとつ十分運輸省として海運政策が今後前半三年、後半三年といいますか、六年間十分能力、機能を発揮するように私としては注意してまいりたいと思います。
  84. 森中守義

    森中守義君 それ以上深入りしてもちょっと無理だと思うのですが、そうなればこの六年間のあとはどうなるのか。つまり言いかえるならば、六年間で企業の体力を一〇〇%に培養する、あとは必要な船はみずからつくり、みずから運航し、しかも国際収支に大いに役割りを果たさせるというそこまでの展望をお持ちなのか、六年過ぎたらあとのことはあとのことというのであるのか、その辺はどうなんでしょうか。少なくともこの六年の間に体力はどのくらい伸ばさせるつもりなんですか。
  85. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この六年間の体力改善の具体策は、具体的な数字は局長から答えさせることにいたします。私は六年後にそれで十分かと言われると、私はまだ日本という国の置かれている、今後も引き続いて置かれる――これは永久に大洋に囲まれた日本の国の立地条件からいいましても、この一億――昭和六十年には一億二千五百万といわれておるんですが、この国民が裕福な、幸福な生活、しかも道義心に満ちたりっぱな民族として伸びていくためには、海運政策というものは不可欠な政策であろうと思いますので、その段階で捨てておいたらよいという性質のものではなかろう、日進月歩ということばがございますが、技術革新というものは一つ一つが進歩というものを生んでいくのでありますから、それは対応する政策というものが必ず必要になってくる、このような心がまえでおるつもりでございます。
  86. 森中守義

    森中守義君 心がまえ大いにけっこうですが、もっと具体的にいいますと、いまの大臣の御説からいけば国がある限り海運がある、海運がある限りやはり助成が必要だ、こういう非常に類推した解釈も成り立とうかと思うんですね。そうなると一体無限であり、無制限じゃないのか。海運がある限り助成しなくちゃならぬというなら、一体いつわが国の海運業というものは自前になるのか、一人前になるのか、その辺が、六年間の措置としてどういう成果を与えようとするのか、こういうことだと私は考えるんですよ。その点が非常に重要な問題です。
  87. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私の申し上げることがあなたの言われたようにとられてはこれは私は遺憾に思います。業界人たちがいまの大臣はこういう答弁をした、だから引き続いて助成はあるんだというような親方日の丸式な考えに立ってもらったら困るんでありまして、私はいまの六年間のことをできるだけやることによって、それはもうこれで十分な海運というものの政策が行なわれることを期待いたしますけれども、先ほども申し上げましたように、今後ともそういう心がまえと申しましたのは、日本の海運というものは大事であるということを私が考えておるということを申し上げたのでありまして、助成策ということをどんどん伸ばしていくということではございません。助成策というものはできることならこれはもう効果をあげたらそれは打ち切って、自力で伸びていくということがこれはもう助成の目的でございますから、助成というものはそのために行なうのでありますから、言をまたないわけでございます。今後ともそういうことにおいては、答えが違っておるようでございますけれども、その意のあるところは十分おくみ取り願いたい、このように思います。
  88. 森中守義

    森中守義君 大臣、あまり相違点はないのです。私も永久にこれをやれということではない。むしろ、それはもういいかげんにどこかでピリオドを打たなければならぬだろう。それならば、新海運政策として銘打ってすべり出すこの六カ年計画でどういう効果を期待するのか、少なくとも六年間の計画終了後は自前でいけるところまでの体力を持たせようという期待、あるいはその可能性をこの計画の中に持つのかどうなのか。少なくとも計画終了後はどうなるのですか。さっきのお話からいけば、むろん六年後のことですから、いまにわかに想定はできないにしても、率直に私の意見からするならば、もうこの六年間でどんぴしゃり体力は一〇〇%になる、あるいは一五〇%になる、これ以上国家助成を求めなくても、みずからつくり、みずから動かす、みずから外資を集めるという、そういうようなところを期待したいのだが、この六カ年の計画にその可能性ありやいなや、こういうことが、言いかえるならばそれはどうなるのですか、実はこういう質問なんです。あまり食い違っていると思いませんよ。
  89. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 大臣の御答弁をちょっと補足さしていただきますと、海運造船合理化審議会の審議の経過におきまして、先生おっしゃったようなことはやはり議論に相なりました。これは海造審の答申の最後の「結語」のところにも出ております。「しかし、前文にも述べた通り、新海運政策においては、企業の自主性尊重を基本方針とするのであるから、企業としては、最高の経営努力を傾注して、財務内容の充実に努め、将来国の直接助成を縮少することに努めなければならない。」、このとき議論に相なりましたことは、この六年間でとにかく自前でやるだけの体力をつけるように努力をしなければいけないのだ。ただ、六年後にどうするかということにつきましては、そのときの世界各国の金利状況、あるいは諸外国における海運助成の程度、また輸出船につきまして各国がある程度の援助を行なっております、その輸出船政策は六年後にどうなるのかというようなことを勘案しながら、外国船に出しておる助成と申しますか、便益と同じ程度のものは最小限度自国の船にもつけなければいけないのではないかというようなことが審議会で議論に相なったわけでございます。ただ、六年先の金利状況、あるいはそのような各国の輸出船政策というものがいまから予見することが非常に困難でございますので、海造審におきましてはこのような結語で結びたいということが海造審における審議の経緯でございます。
  90. 森中守義

    森中守義君 そこでちょっとこれと相対する問題ということになりますが、専業でない、つまり石油会社等、自社船のタンカーを持っておるのはすべてが大体自己資金ですね。それと非集約のものもある。そういうことでしょう。それでいながら、むろんタンカー等の場合には、これは海運が専業ではない。専業ではないが、自分でつくり、自分で動かす。ところが専業である非集約の船主等においては自分でつくり、自分で動かしておるわけです。しかもある意味ではつまり集約船と相当対抗するような、あるいは競争というのか、自前でもってやっておるわけですね。したがって、それでいけておるのに、片一方ではそうしなくちゃならぬというところに多少論理的な矛盾を私は感ずるのです。ついては、そういう自社船のタンカーであるとか、あるいは非集約船の採算の状態、これはどういうことになっているのか、それとよく言われる積み取り比率というものは、こういうものを加えているのか、加えていないのか、ただ集約しているだけなのか、その点はどうなんですか。
  91. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 積み取り比率というのはもちろん全日本船舶の積み取り比率でございますので、こういう非集約船主あるいは石油会社の船も含んでおるわけでございます。先ほど御指摘の二つのグループのうち石油会社は、これは自分で荷物を持っておりますし、自分で自由に運賃をきめることができる、また、非常に企業としても大きいわけでございますので、船をつくります場合の外資の導入あるいは造船所の延べ払い等がわりに容易にできるということで、従来とも石油会社は大きな船をつくってまいったわけでございます。  それから専業の非集約でございますが、このうち集約会社と同じような大きな船をつくっておりますのは実は二、三社でございますこれらの船会社がどのようにして船をつくってまいったかと申しますと、やはり大量に二百万トンなら二百万トンという計画造船が日本の造船所に力をつけているわけです。日本の造船所のベースとして力をつけておるわけでございます。それに基づいて日本の造船所は延べ払いを大いに活用しておる。五〇%あるいはそれ以上の延べ払いをこれらの非集約会社に行ないまして、そうして船をつくらせておるというのが実情でございます。でございますので、こういう非集約会社は確かに国家の助成なしに大きな船をつくり、また配当を実施いたしておりますが、非常に数が少ないものですから、計画造船をベースにして造船に力がついた、あるいは資金繰りができた、こういう資金繰りを利用してこの二、三社のものは非常に船をつくっておるというのが実際の金繰り面からみた実情ではないかと、このように考えております。
  92. 森中守義

    森中守義君 いまのおことばを返すようですが、たとえば外資導入ができるとかあるいは造船所の延べ払いができるとか、こういうお話なんですが、大体中核六社とそれらのものは、たとえば資本の規模とかあるいはその厚みとか、そういうものからいった場合にはそう大きな格差はないんじゃないか。ある意味では六社の中の一、二、三ぐらいのものはかえってもっと実際のあれからいえば高い立場にあるかもしれない。ですから、そういう意味で私は外資導入あるいは延べ払い、そういうことはそう大きな理由にならないような気がする。しかしながら、たとえそれが少数であったにしても、やはりつくり、動かしておるという事実、それとさっき澤局長が言われたように、積み取り比率ということになれば集約、非集約、あるいは専用船の区別はない、込みにしてその数字にあらわれるしいわばつまり外貨をそれでかせぎまくっておる、こういうことから考えていけば、率直に言って私は今回の助成措置の中で区別をしていいかどうか、だいぶ疑問があると思う。つまり、ともに外貨をかせぎ、ともに国家産業、国家経済に寄与しておるということになれば、集約、非集約の差をつけるということがいいのか悪いのか、少なくとも政治あるいは政策という、そういう立場から考ていけば、むしろ落差をつけるというのはかえっておかしいんではないか、常に法のもとに平等でなければならぬという普遍の原則がこういう実際の政策の面に生かされていいんではないか、こう思うんですが、しかし現実には差がつけられているんですからね。従前のようにゼロでなかったんだからまあまあそれで一歩前進じゃないかという、こういう見方もありましょうけれども、元来やっぱり平等にすべきじゃないか、こう思うんですがどうなんでしょう。
  93. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 先生指摘の点も、新海運政策を起案されるにあたりまして、海運造船合理化審議会におきましても、非常に議論されたわけでございます。で、従来計画造船の――再建整備前でございますが、非常に悪い点の一つとして指摘されてまいりましたことは、計画造船の総花主義ということ。で、およそ日本人であればだれでも計画造船の船は当たり得るということがいろいろな弊害を生じてまいりました。また、そのために船会社の体力に集中的に助成できなかったということは、その再建整備前の海運政策の一つ欠陥として指摘されたわけでございます。再建整備でこれを非常に集約集中を実施いたしたわけでございまして、法律的に五年たってこの集約というものは、法律上の意味の集約はなくなるからもう集約は解いていいんじゃないか、ばらばらにしていいんだということではないんでございまして、やはり今後ともこの五年間に法で強制した集約というものは、やはりそれを中心にして日本海運を強化していかなければいけないということは大方の御意見であったわけでございます。新海運政策におきましても、やはり利子補給をつけ開銀融資を行なうには集約参加会社に限るんだ――ただ、先生のおっしゃいましたように、非集約でもやはり船をつくればそれは外貨収支に貢献するんじゃないか、だから集約の秩序を破壊しない限度で、非常に国際収支改善の効果のある船の計画を持ってきた非集約会社には、利子補給まではつけられないけれども開銀資金を四割ないし三割融資すべきではないか、こういう海造審の御意見もございました。その線に沿って運輸省としてもそれを新海運政策の内容といたしたわけでございます。
  94. 森中守義

    森中守義君 少し飛び飛びになりますが、非集約船の場合、輸出船と比べた場合にずいぶん悪いですね、非集約の場合。そこで輸出船ということになれば、これも集約、非集約にかかわらず外貨をかせぎまくるという、そういう意味からいけば、造船もこれは重要でしょうけれども、やはり長い目で見る海運政策、そのことは集約、非集約に私はかかわりはないと思う。ということになれば造船、すなわち輸出船によってかせぎ回る外貨、同時に、非集約によって外貨を得るということであれば、大体そういう輸出船並みぐらいには――輸出船並みというと集約船になってしまうわけだけれども、そういう政策上のバランスはいま少しく考慮してもいいんじゃないか、どうもその辺で少し非集約の場合には、同じ国策という線上に乗せられながら、もう少し手厚いものが必要じゃないか、こう思うんですが、その点はどうですか。
  95. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 確かに先生のおっしゃるような点もございまして、輸出船になりますと外国の船会社は八年の延べ払いと、金利六分という、日本政府の助成が得られるわけでございますが、非集約船主の場合は開銀融資が四割あるいは二割得られるというだけで、これは六分五厘でございます。確かに輸出船の場合の外国の船会社に比べて不利に相なるかと思います。  ただ、これは経過的な問題がございまして、五年前に海運の再建整備をあるいは集約を実施いたしますときに、この集約に参加した船会社にはこれだけの助成を行ないます、これだけの利子補給をしますということを申して集約を実施したわけでございます。これは日本の船会社の数があまりに多いので、助成の効果がないということで集約を御承知のように実施したわけでございます。そのときに、非集約の方は、自分は助成は要らない、だから集約には入らない、国も何にもおれたちの企業には干渉するな、こういう経緯で実は非集約の方は集約に参加されなかった。それで、五年が経過して法律上の集約の規制はなくなったわけでございますが、せっかくここまで五年間集約秩序を育ててきたものを、五年たったらこれをばらばらにしていいんだということではないのだということが大方の意見でございますので、やはりこの集約を中心にして、これをこわさない程度で、この集約の秩序にひびを入らせない程度で国家の助成をくれという、非集約の方には再建整備も終わったことですから四割ないし三割の開銀の融資を行ないましょうというのが海造審の意見になって出たわけでございます。これも毎年毎年レビューと申しますか、毎年毎年検討していくということで、ただいま申し上げましたのは、とにかくこの四十四年度に関する限りこういう方向でいこうということが決定いたしましたわけでございます。輸出船の場合の外国の船会社よりもあるいは不利になっておりますことは先生指摘のとおりでございますが、そういう経緯のもとに現在のような方針をとっている次第でございます。何とぞ御了承を願いたいと思います。
  96. 森中守義

    森中守義君 そこでこの項目の最後のお尋ねになりますがね、先日もちょっと触れたかと思うんですが、いま局長が言われるように、非集約の場合もいままでなかったものがついた。それは、さっき言われるように、たとえば外資の導入であるとかあるいは延べ払い等、これが実質的に上積みされるわけだから、かなり体力がいままでよりもついたと見なくちゃいかぬと思うんですね。それに加えて、最近のタンカー業界等の趨勢を一べつしてみますと、おおむね二万トンあるいは三万トンクラスがスクラップ・アンド・ビルドということでかなり大型になった。これに加えてさっきから問題になっているつまり輸送革命、コンテナ時代を迎えるということになると、なるほど集約秩序というものは、これは守っていくべきだと思う、それは貫くべきだと思うんですね、しかし、海運界のこれから先を多少読んだ場合、いわゆる行政当局あるいは政府あるいは集約関係者がお考えになるような状態でいくかどうか、かなり私は荒々しい時代が来るような気がしてしかたがない。つまりそういう多少の波乱が予想される。この六年間集約が完全に破壊はされないにしても、集約体自体の中で再編成という動きが、先日ちょっと何かを引用したように、すでに露呈され始めている。そういうことがさらに勢いづかれて、全体的な海運界というものがかなり荒れるんじゃないか。つまり、集約体というものが完全に維持されるかどうかということはかなり疑問になっていくような気がするんですよ。そういう際に、この六年間の予定ないしは計画がすんなりとそのまま推移できるかどうか、この辺は私はかなり大きな問題が横たわっているように判断する。むろんこれはしろうとの判断ですから、いやそういうことは懸念に及ばないと言われればこれにこしたことはございませんけれども、現実にそういう事態が何か予測されるような気がするんです。そういうことに対して、一体将来の見解をどういうようにお持ちであるのか。もしそういう、つまり混乱時代が来た場合にどういう対策をお立てになるのか、この点ひとつあらためてこの機会にもう一回問い直してみたい。
  97. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) ただいま先生指摘になりましたように、今後六年間の日本の海運界が波穏やかにすべり出すものであるとは決して考えておりません。御指摘のように、後進海運国からの攻勢、あるいはコンテナ船舶の大型化、さらに船員費を含む船費の上昇等、日本海運界といたしましては、今後大いに企業努力、企業の合理化をやらなければとうてい世界海運との競争にはうちかっていけないだろうと思っております。  現実に、御指摘一つのコンテナにつきましても、日本の中核体の六社は世界の全部十指に入っている大きな会社でございますが、一社でコンテナに取り組むということはできない。この大きな中核体でもできないのでございます。みんなグループを組ませまして、カリフォルニアにつきましては日本六社を二つのグループに分けまして、シアトル、バンクーバー方面につきましては六社を全部一本のグループにさせましてコンテナ船をつくらせて、米船との競争に対抗させているという状態でございまして、今後のコンテナ船につきましては、やはりこのように集約体の中でさらに企業提携をさしてコンテナ化を進めさせなければならない、このように思っております。タンカーも、現在の二十万トン程度ならまだ一社でつくっておりますが、これがさらに大きくなり三十万トン、四十万トンになってまいりますと、一つの会社だけでは危険で、二つの会社で共有する、あるいは三つの会社で共有するというような事態が生じてまいるかと思うのです。この現在の集約体を維持していればそれでいいんだという考えは決してございません。集約体の中の企業の提携、協調ということは今後とも運輸省として強力に行政指導をしてまいりたい、このように考えております。
  98. 森中守義

    森中守義君 それは局長の願望のようですからこれ以上申しません。  港湾局長見えておりますか。――それじゃ、澤局長大体おわかりでしょうね、ちょっと港湾関係をお聞きしておきたいと思う。  港湾整備五カ年計画が四十三年から四十七年までになっているようですね。そこで今回の新海運政策が四十四年から四十九年までということで、多少期間が相違しているんですね。そうなると、一体これだけふくれ上がるわが国の海運が今日の港湾で消化能力があるかどうか。言いかえるならば、いわゆる港湾整備五カ年計画が新海運政策と相対応してつくられたものなのか、最初それをちょっとお聞きいたしたいと思うんです。
  99. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは私のほうの主管ではございませんが、港湾整備五カ年計画の基礎も、やはり経済社会発展計画と同じ数値の伸びに基づいて立てられております。したがいまして、この四十四年-四十九年の新海運政策の中間時点における四十七年、港湾五カ年計画が最終年度四十七年でございますが、この時点における輸出入量の推定は両者ともほぼ一致いたしております。港湾整備五カ年計画のほうは日本船だけでございませんで、そのときの日本の輸出入量の総量を消化するに足る設備を予定いたしておりますので、これは十分にこのときの輸出入量を日本船であろうと外国船であろうと消化できる、こういう前提に立って港湾計画が立てられている、このように港湾局長から聞いております。
  100. 森中守義

    森中守義君 たいへんな誤差が生じなければけっこうですがね。そこで具体的にお尋ねしておきますが、つまり新海運政策の終了年度ですね、輸出総量、輸入総量、むろんこれは加えることの内航船関係も勘定に入れなければなりませんし、それと外国船、それを区別して大体どういう数字になりますか。
  101. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 私のほうの推定では、昭和五十年におきます輸出数量は五千四百三十万トン、輸入数量は五億五千七百九十三万トン、これは海運造船合理化審議会の答申の最後の表についております。
  102. 森中守義

    森中守義君 いまお示しになった数字のほかに、内航船による輸送量、それから外国船による輸送量、どんなことになっておりますか。
  103. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは輸出入量の総量でございますので、日本船と外国船とを加えたものでございます。日本船はこのうち輸出六〇、輸入七〇を取る予定に相なっております。それから内航輸送量は、実はいま数字を持っておりません。
  104. 森中守義

    森中守義君 企画庁見えておりますか。
  105. 岡本悟

    委員長岡本悟君) おります。
  106. 森中守義

    森中守義君 いま運輸省の海運局長がお示しになった内容ですね、つまり、輸出量で五十年段階で五千四百三十万トン、輸入量で五億五千七百九十三万トン、大体こういうものをほぼ固まった推定の数字というようにお考えになりますか。
  107. 川口嘉一

    説明員(川口嘉一君) 私どものほうの主管いたしております経済社会発展計画は、御承知のように、昭和四十二年度から四十六年度までの数字でございますので、この運輸省のほうの計画のほうと年次がずれております。直接私どものほうでは、昭和五十年度でございますか、あるいは四十七年の数字を公式には持っておりません。ただいま、御承知のように、経済の成長の実績が経済計画で想定いたしました数字とかなり乖離いたしておりまして、目下これを補正するための作業の最中でございまして、その補正作業におきまして輸出、輸入の数量あるいは価格の伸び率というものも十分各界の御意見を聞きながらきめてまいりたいと思いますので、いまのところ企画庁としてどう考えておるかという、その数字を申し上げるわけにはまいりませんですが、いま運輸省のほうから御説明を承っているところでは、最近の趨勢から見ましてそれほど無理のないところのように私どもは了解いたしております。
  108. 森中守義

    森中守義君 ちょうどいまお話の中にあった発展計画の補正をされるようですが、これはあれでございますか、なるほど四十六年度までのものなんだが、さらに十年延長するのか、あるいは五十年に手を届かせるのか、四十六年までの補正よりあるいはもっと先のものを見るということか、その辺はどうですか。
  109. 川口嘉一

    説明員(川口嘉一君) 補正ということばにこだわりますと、四十六年度を終期といたします経済社会発展計画の残りの期間ということになるかと思いますけれども、せっかく補正といいますか、作業をいたします以上は、もう少し先に延ばしたところまで見たほうが、政策当局といたしましてもあるいは国民、各経済界といたしましても便利ではないかということで、これを若干年延ばすということで検討いたしております。ただ、どの年次まで延ばすかということはいろいろ議論がございまして、短くすれば昭和四十八年まで、もう少し長く展望をするならば昭和五十年までと、そのいずれかのところへしぼって考えてまいりたいと、いまのところまだその最終年次を何年度にするかということはきまっておりません。
  110. 森中守義

    森中守義君 これはちょっと私は全体的な問題だと思うのは、いま政府機関で各界にいろいろな長期計画がつくられておりますね。ところが、その内容あるいは時期を見ますと、必ずしも同一でない。しかるに、各計画の基礎になっているものは社会発展計画ですよ。それを踏まえていろいろな計画が立てられている。しかも一例をこの海運計画にとりますと、四十六年までにらんでいる発展計画、それが三年も四年も先までやろうということになりますと、せんだっても企画庁の計画局長と少し問答したのですが、非常に無理がきている。むろんこれに限ったことではない。だから私は課長にそういうことを言っては多少どうかと思うのですが、少なくとも政府機関で長期計画をつくる場合、根拠になるものはこれなんだ、しかもその規定づけられている、にらんでいる日限はこれなんだということで、それに合わせていかないと、それを越える分になると一体見通しはどうなんだということで、分析論争になる可能性が非常に強い。ところが、つまり学会等における論争ではないのですよ。政策を実行する、政策を計画する問題ですから、これは少し目盛りが違ってくると結果においてたいへんな誤謬を起こすことになる。それを私ども非常におそれるのですね。これは本来ならば長官にその辺の各省庁との調整を考えてもらわなければならぬと思うのですが、いまさしずめこの海運計画というものはそれにぶつかっているのですよ。だから、なるほど発展計画が補正をされるという記事も出ている、この補正の内容は七〇年代の援助を探るということであって、相当長期ににらみをきかせようとしているけれども、一体国内経済はどうあるべきか、あるいは一連の計画をするにはどうすればいいかという内容を探求しようとしているのではないのですね。今度企画庁が計画されている内容は、途上国に対する援助体制ですよ。私はある意味ではこれは補正とは言えない、こう思うのです。そこで、これはひとつ企画庁でも一ぺん話を詰められて、国の総合的な部門部門の長期計画というものは一体どれに合わせるのか、その辺のことを調整してもらわないと、おそらくはかの委員会でもこういう計画を論議する場合には同様な意見が出てくると思うのですよ。これはひとつお帰りになってすみやかに長官なりあるいは官房長なり局長に協議してもらいたい。  かたがた運輸大臣、これは確かに依拠するものは発展計画でそれは四十六年までだ、この計画は四十九年までだということになればずいぶんやはりむずかしい問題が起きますよ。そういう点でひとつ、経済閣僚懇談会なりあるいは協議会というのがありますね、その辺で基準計画の根拠はどこに持とうということを統一してもらわないと困りますよ、これは。だから、結果的に、見通しがどうだどうだということになると、所管の局長ではちょっとやはり直接担当でないだけに、企画庁の意見を述べる、企画庁は四十六年までという、その後のものはまだにらみを持っておりませんということになると、一体国会の審議というものはどうなりますか、非常に無責任な審議になると思う。そういうことを考えると、できるだけ早い機会に各種の長期計画については一定の基準を、こうこういう段取りでやるということを統一されるほうがいいんじゃないかと思うのですがね、どうですか。これはひとつ企画庁は企画庁なりに、大臣はみずから経済閣僚懇談会か何かの席上で、この辺のことは一ぺん問題を提起してもらいたいと思うが、どうでしょう。
  111. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 森中さんの御意見並びにお尋ねは、先ほどの集約の問題から発展してきまして、今後のわが国の海運というものが荒れ模様になりやせぬかということから、その見通しについて局長に御質問がありました。私は答弁に立とうと思ったのでありますが、答申は、「企業体制等」というところで、「集約体制は、これを維持することを基本方針とする。」、また二番目には、「企業の自主的判断による合併、系列の強化、業務提携等は、これを強く期待する。」というようなことをいっております。これは世界の中における今後の日本の海運政策というものを考えるときに、御指摘のようないまの六社でもどうだろうというような問題も含んでおるのではないか、こういうことも議論の中に出てきた結果、このような答申が出てきたのではないかと私は愚考いたしておるのであります。したがって、これらの問題を解決するためには日本の港湾、それから一番冒頭にあなたが御質問になりました船員の確保、これらが一体にならなければこの目的を達成することは困難でございます。したがって、集約体制ということがいまなくなったといたしましても、やはりそういう体制を組んで再建をしてきた日本の海運政策というものを伸ばしていくということで、この港湾、船員というようなものを考えるときに、力がついたからおれはかってにやるということでは許されない、こういうことは政府の政策として十分打ち出していける、このように私は考えておる次第であります。したがって、その港湾政策あるいは船員政策という場合にこれをどうするか、その基本を、運輸省は海運政策の場合は四十九年まで六年見ておるが、いまのところその一番基本になる、経済政策の根本である経済社会発展計画は四十六年までじゃないか、こういうことでございます。私は、この問題につきましては、御指摘のように、日本の一方においては六十年を見越した全国総合開発計画というものを経済企画庁から政府の方針として発表された今日、これをもう一つ裏づけるための経済見通しというものについてどうあるかということについては、できるだけ一貫したものを立てるように閣僚においても発言をし、御期待に沿って万全を期していくようにつとめてまいりたいと思いますが、いまのところこの海運政策におきましては四十九年を見越しておりますが、これは議論になりましたが、四十年から五十年までを見て、八・五%という現在のことをもって万全を期して、前半三年は間違いない、こういうことで、この問から討論なり御意見を戦わしておるように、間違いはないという態勢で進んでおるということはひとつ御了解賜わりたい、このように思います。
  112. 川口嘉一

    説明員(川口嘉一君) 先生の御指摘になりました経済社会発展計画と、まあ海運もそうでございますけれども、先ほどちょっとお話に出ました港湾その他道路にいたしましても、それぞれ公共事業の五カ年計画といったようなものとは若干その計画、そのときそのときの従来のいきさつもございまして、年次がずれておる点は御指摘のとおりでございます。しかし、それぞれの五カ年計画を策定するにあたりましては、企画庁のほうと申しますか、経済社会発展計画を基礎としてそれと斉合性をとるように私どもは十分協議をいたしましてつくっておりますが、若干の年次のズレはございますけれども、一応私どもとして経済社会発展計画の示します線で計画され、実行されておるというぐあいに了解いたしております。もちろん年次が全部同じのに統一されればそれにこしたことはない、非常に便利なことは先生の御指摘のとおりだと思いますけれども、実情はそういうことでございます。  それから、いま援助のことをおっしゃいましたのですが、この計画はもちろんその援助のことだけを中心にやっておるわけではございませんで、経済政策――経済社会生活を含めまして経済政策全般にわたっての計画を立てるわけでございます。それぞれいろいろ非常に広範な分野にわたっておりますので、それぞれ分科会とか、あるいは援助につきましては研究委員会といったような形で個別に項目を選んで検討をいたしております。その援助の問題についてのものがたまたま先生のお目にとまったのではないかと存じますが、ただ援助だけをやっておるということではないということは御了承をいただきたいと存じます。
  113. 森中守義

    森中守義君 これはなるほど、御承知のように、なかなか各省庁それぞれ沿革もあり、歴史もあるわけでありますから、鋳型ではめたように同じスタートラインに立たせるのは無理かもわかりませんが、少なくとも発展計画というものが基礎に置かれて、それに経済の動向ににらみをつけながらやっているわけですから、できるだけ見通しは正確になるように、その辺がやっぱり問題だ、こう言っているわけなんです。  ですから、それはいま運輸大臣も一ぺん閣議で議論してみようということですし、企画庁におかれても極力そういう長期プランで対応性がとれるような措置をとっていただきたい、こういうことを要望しておきたいと思うのです。
  114. 川口嘉一

    説明員(川口嘉一君) 全く御説のとおりでございまして、私どもといたしましても、見通しをできるだけ科学的に正確に立てて、いままでのように計画が立てばすぐ見通しが狂うということがないように、今度こそは、今度こそはということで実は努力をいたしておるわけでございます。それから四十六年度ですぽっと切れちゃってあと見通しがないのではないかというふうなことにつきましても、やはり私どもも常に反省をいたしておりまして、いま経済計画基本問題研究委員会というようなところでそういう問題も含めまして検討いたしておりますが、五カ年計画でありましても、途中年次で、まあことし四十四年でございますと四十六年で切れるのではなしに、先五年間ぐらいの見通しは政府としても、計画の本文を改定する、しないにかかわらず、持っていたい、こういうふうな努力をいたしまして、それを各省庁の計画なり政策なりの立案の便に資したというようなことはいま考えております。  ちょっと補足をさせていただきました。
  115. 森中守義

    森中守義君 澤局長、例の外貿埠頭公団ですね、これは一口に言えばコンテナに対する一つの対応措置だろうと思うのです。これはどうなんですか。将来の、まあ将来でなしに今日ただいまの問題でもあるのですがね。一体、そういう新時代を迎えるビジョンというのかあるいはスケジュールというのか、そういうものを組んだ上で公団をつくり、大阪、神戸等に建設が急がれているのですか。
  116. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは三年前に海運造船合理化審議会で、今後コンテナの伸びはどうなるだろうという答申を運輸大臣にいたしました。それを一応の基礎といたしまして、京浜に十一、阪神に十一のコンテナ埠頭をつくる計画を立てたわけでございます。これだけで十分かどうか、またその埠頭の長さは二百五十メーターでございますが、その長さは二百五十メーターで十分かどうかというようなことにつきまして、目下海運造船合理化審議会でまた今後の見通しを再度立てております、小委員会をつくって立てておりますので、その結論によりましては、あるいは海運当局といたしましてはこれをもう少しふやしてくれということを御要望するように相なるかもわからない、そのように考えております。
  117. 森中守義

    森中守義君 要するに新海運政策と港湾整備政策というものは、両輪のように一体のものである。したがっていまや、二十万トンさらに五十万トンという超大型船がどかんと横づけしてもちっとも困らない、そういう状態ができている、このように言い切れますか。
  118. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 易々としてでき得るということではないかと思いますが、港湾整備五カ年計画といたしましては十分に今後の輸出入量をさばくに足る計画を持っているということは言えると思います。ただ、施設だけではございませんで、港湾の労務の確保あるいは機械の整備というようなこともあわせ行なわなければならないことは当然であるかと思います。
  119. 森中守義

    森中守義君 次にちょっとこれはやっかいな話なんですが、例の輸出船の中で中国への輸出船の問題なんですが、これは昨年のこの委員会で延長法審議の際に、前大臣の中曾根さんと木村委員との間でかなり突っ込んだ意見の交換がありました。その記録を先ほどちょっと読んでみましたが、なかなか中曾根さんハッスルして、事務当局のしりをたたくのです。外貨を取るためには大いに中国に鉄鋼船を出していってかせぎ回らなくっちゃ、吉田書簡何ものぞ、こういうものすごいパンチをきかしたわけなんですがね、そういういきさつが一つある。それからいま一つは、ことしの三月十三日、総理と通産大臣と不肖私との間にこの問題で若干の論争が展開された。で、しかもその中で大平通産大臣はこうおっしゃっているのですね。要するに輸銀をつけたい、それでプラント輸出をやりたいという申し出があるならば、これは当然受理せざるを得ないし、また審査すべき性質のものである、早く言うならば在来のケース・バイ・ケースというものより一歩進んで、やや消極的といいながら在来の行き方を一歩踏み出した、こういうことが感じられているのです。むろん今日のわが国の造船界は、過去十年間という長い間、世界の王座とかあるいは第一位といわれてきたので、そこまで無理してしなくても、引く手あまたなんということであれば別なんですが、しかし先日のOECDのあの採択された内容等を見ましても、順風満帆の状態で日本の造船界が将来行き続けるかどうかということはかなり疑問だと思う。そういうことを考えれば、よその国に中国の船が発注されるよりも、すぐれた日本の技術、しかも隣国のことですからね、これにも大いに手を伸ばしたほうがいいのじゃないか、こう思うのですが、前大臣と同様に原田運輸大臣もお考えですか。
  120. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 中共向け船舶輸出については、森中さんお話しのように、昭和三十九年十一月、これは日立造船株式会社が輸銀融資に基づく五年間延べ払いの条件で一万二千五百重量トン型貨物船一隻の建造契約を締結して、政府としても、この契約をすみやかに履行させ、また国内金融については別途考慮する旨を決定しておった。しかしながら、中共側は、日本政府が本件に関し輸銀融資を確約しないことを理由に、上記契約を廃棄してきた。現在のところ上記の中共側の考え方は変わっていない模様でありますので、わが国造船業としても、船舶輸出商談を再開する契機をつかめない状態であります。しかしながら、中共の潜在需要というものは大きく、残された大市場でございますので、今後とも船舶輸出の具体化には努力していく必要があろうかと、このように考える次第でございます。
  121. 森中守義

    森中守義君 いま私はここであらためてその輸銀の問題を取り上げようとは思いませんが、あえてやっぱりその問題に入らざるを得ない。  そこで、なぜ一回契約されたものが解除されたか。問題はその辺にあろうかと思うのですね。のみならず、もう少し掘り下げていった場合に、大体問題点が三つある。その一つは言うまでもなく国交の関係でありましょう。いま一つはココムリストの関係でありましょう。それと関連をする輸銀使用の問題。まあ要約すればこの三つのことが中国につきましての、この問題に限らないですね、全体の貿易に適合する問題かと思うのです。しかし船の問題については、具体的に言って、いまの三つのことが直ちにひっかかる。そこで、それぞれの問題について大臣どうお考えになりますか。
  122. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 中共向け船舶輸出の申請があった場合には、臨時船舶建造調整法第三条の基準に適合するかどうかについて審査し、これに適合すれば許可するということになろうと思います。でこの法は、わが国の国際海運の健全な発展に資することを目的とし、「当該船舶の建造によってわが国の国際海運の健全な発展に支障を及ぼすおそれのないこと。」及び「当該船舶を建造する造船事業者が、その船舶の建造に必要な技術及び設備を有していること。」を許可の基準にしております。なお、輸出船の許可にあたっては、船舶は輸出貿易管理令の承認を要する品目となっておりますので、事前にこれは通産省と協議をしている、こういうことになるわけでございます。
  123. 森中守義

    森中守義君 元来、輸銀というのはいわば政府機関みたいなものだから、政府がよろしいといえば自動的にこれはきまるのですよ。したがって、輸銀のワクとか、そういうものにあまり関係ないと私は見ている。そこで、いま大臣がお述べになった幾つかの条件によれば、ココムのリストとは全然関係ありませんね。結局、契約の申し出があれば、いまお読みになったそういう各省の条項に該当すれば当然契約は成立する、こういうように理解していいですか。これはもう非常に重要な問題だと思うのですがね、そのとおりでしょう。
  124. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いま申し上げましたように、輸出船でございますから、輸出船の許可にあたりましては、輸出貿易管理令の承認を要する品目となっておりますので、事前に通産省と協議をしていく、こういうことでございます。
  125. 森中守義

    森中守義君 そこで貿管令では、四十八条かなんかで非常に抽象的な表現を使っていますが、ココムとか、チンコムとか全然言っていないんです。したがってそうなれば、いま大臣が言われたようなことに該当すれば中国との契約は成立する、こういうふうに理解してよろしいですね、よろしいですね。
  126. 原田憲

    国務大臣原田憲君) これは、通産省のほうから輸出許可ということになりますと、よいと、こういうことになるわけです。
  127. 森中守義

    森中守義君 どうも大事なところで逃げられては困りますね。通産省おいでになるから通産省に聞いてみましょう。これは通産省の場合には、これはココムリストというものが一応象徴的な制限のワクだとは思うんです。しかし、どうなんですか。ことしの三月の八日の読売によれば、ココム会議の席上で、アメリカはココムに対して、対中国への輸出はなお一そう強化せねばならない、こういう意見日本は逆に、緩和すべきであるということで相対立したという記事が出ておる。しかし結果的には、ココムは全会一致で決定を見るところだから、アメリカが妥協するか、さもなければ日本が妥協するか、二者択一だ、こういう記事が出てるんですね。中でも船舶等については、元来これは除外すべきである、リストから除くべきだ、こういうことが言われている。むろんこのことは、若干の沿革をたどっていきますと、今回のリスト改正の会議の前に、ソビエトがイギリスに対して捕鯨母船の発注を大量にしたことがありますね。それをココムがいちゃもんをつけた。そのすき間を縫って西ドイツが大量にかっぱらったという、こういう実は沿革があるんです。しかしいずれにしても、船舶ということは、その他の原子関係の機械等と違って、はずしてよかろうというのが、西欧各国等々の一致した意見のようになっているんです。それで日本の場合には、一体中国への船の輸出についてはリストからはずすという意見をお持ちになっているだろうか。これは、依然としてリストに残しておくべき意見であるか。ただ、ことばのやりとりとして大臣と私がいまやりましたように、そう単純なものじゃ片づかぬのです、実際問題としていま少し詰めませんと。そういう意味で、リストの関係はどうなるか。その点ひとつ、通産のお考えを承っておきたいと思います。
  128. 経沢富次郎

    説明員経沢富次郎君) お答え申し上げます。  リストの改定の問題は、新聞などで報道されておりますように問題になっております。いま御指摘のような船の問題とか、その中身の問題につきましては実は目下交渉中でございまして、外交上の問題でございまして、現在は、こちら側が、日本がどういうふうに考えているという中身の問題については申し上げられません状況でございますので、よろしく御了承願いたいと思います。
  129. 森中守義

    森中守義君 これは、なるほど非常にむずかしい問題でしょう。本来ならば、外務省も一緒に来てもらうべきであったかもわかりませんがね。しかし、いつまでもそういうことを繰り返していたんでは決着つきませんよ。一体船というのが、ココム発足の当時のように、いわれていた高次元の戦略的な価値を持つのかどうなのか、それが一つの道、他面、それとは別に国際友好とか、あるいは経済交流とか、少なくとも私は今日の時代はそういう時代に入ったと思う。それで経済交流ということになれば船なんですよ。そのことが重視されるあまり、新しい海運政策ができていない。二千五十万トンの大量建造をやろう、むろん国家財政をそれに投入するという、これは異例の計画を審議しているわけなんですからね。そうなれば戦略か経済かということになると、もはやそのココムができたときの情勢と一変しているという見方を私はすべきだと思う。  そこで具体的になかなか答えにくいという参事官のお話ですがね。会議にどういう態度で臨んだと、このくらいのことは言えるんじゃないですか。船舶ははずすとか、在来のようにそのワクの中に置いておくという、そういうことはそれは言えるんじゃないですか。むろんこれは足のない、まぼろしの何とかといわれるようなものですからね、外交上の秘密でも何でもありませんよ。船舶は一体はずすのか、はずさぬのか、日本政府立場はどうであったのか、これひとつおっしゃってもらいたいと思う。
  130. 経沢富次郎

    説明員経沢富次郎君) お答え申し上げます。  実は再三のお尋ねでございますが、現在のところ、日本考え方を申し上げたことが以前ございませんし、一応内容は外交上の問題で発表できないということになっておりますので、御了承願いたいと思います。
  131. 森中守義

    森中守義君 もう一回ひとつ、気の毒だけれども、遠慮要りません、大声でやってください。委員長、再答弁。
  132. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 経沢参事官、もう一回。ちょっとこっちまで聞こえぬ……。
  133. 経沢富次郎

    説明員経沢富次郎君) 私どもは、考え方としてはもちろん緩和のほうにというふうに考えておるわけでございますが、その内容の、具体的にどういう面をどういうふうに具体的に緩和するかという内容については、いま目下交渉中でございますので、内容は申し上げられませんということでございます。御了承願います。
  134. 森中守義

    森中守義君 あとはひとつよきように推察をしてほしいというお答えのようなんで、推察はいたしますがね。しかしさっき私が申し上げた、三月十三日の通産大臣の答弁はかなり正確なんですよ。大体貿易ということに対してそのおのおのの国の国家環境によってわが国は選択すべきもんじゃないという、これは私は貿易の原則でなければならぬと思うのですね。これは私ども周辺の社会生活の中においても、前のおやじはどうも頭がはげて人相が悪いから物を買うのをやめたというようなものでもない。そういうことで大平さんの答弁というのは、その国の国家環境によって貿易は選択すべきじゃない、その原則を踏まえていると言っておるのですよ。しかし戦後のきびしい国際環境の中において、いやなんだけれどもこういう措置をとらざるを得ない心境を理解してほしいと、こう述べておる。それを一歩脱却をして、いままでケース・バイ・ケースといってきたのだが、この際申請があれば受理しましょう、選択しようではないかと、こういうことは通産大臣も言っておるのですね。むろん、ココム会議に臨む通産の内容であるとか、あるいは活躍された内容もおおむね知っております。知っておるなら聞かぬでもいいじゃないかということになるだろうと思うが、そうはいかぬ。具体的に、中国への船の輸出の問題ですから。ですから、だいぶ時間もたちましたしね、またこれは日を改めてもう一回通産大臣と丁々発止やるような機会もございましょうけれども、いま運輸大臣が言われたように、運輸省の場合には通産と協議をする。しかし運輸自体のものの考え方、あるいは裁量すべき内容としては、あまりココムリストであるとか、あるいは国家間の関係とか、そういうものとは別のものとして、つまり運輸サイドでいくならものごと片づく。だから、運輸サイドで片づけようとするならば、あまり障壁を来たさないように、実際オファーが来たり、いろいろするかもわかりませんが、まあしかし伸ばさなければいけませんよ。しかも、国際的にわが国の造船技術は評価されているわけですからね。それでうんと日中間の貿易交流を高めていって、LTであろうと、あるいは友好サイドであろうと、もう少し近隣諸国との友好関係を深めるには、まずこういうところから出発すべきだと思う。そういう意味で、うんとひとつ運輸省に協力してあげてください。  運輸大臣、たとえば日立なら日立が具体的に申請してきた場合、さっきお読みになったようなことで処理されますね。
  135. 原田憲

    国務大臣原田憲君) これは先ほど申し上げましたように、事実日立造船が造船契約を締結をしておったけれども、問題は、日本が輸銀を使わぬからそれじゃやめだと、こういうことになった、こういうことでございますから、このことにつきまして私どものほうといたしましては、通産省のほうとの話し合いができるならばこれは異論のないところであろう、このように考えます。
  136. 森中守義

    森中守義君 そうなると、非常に明快に運輸省立場は大臣によって表明されたわけですから、ぜひそれはひとつかたく守っていただきたい。かたがた、あとは通産の問題ですが、大平大臣がおられないのは非常に遺憾ですけれども、参事官から、きょうこういう議論があったと、――さっき申し上げたように積極的にひとつ一緒に、一体の立場で進めてもらいたいと同時に、正確にココムリストから船舶等は除外をされるように、もともとココムとかチンコムなんというものはないほうがいいのだから、これの全廃の方向に、しかも、そのことがわが国の経済体制をより強化できるということにもなるでしょうし、ココムあるいはチンコムなどが存在しないように努力をしていただきたいということを最後に付言しまして、一通りこの関係についてはこれで終わりたいと思います。  それではもっとお尋ねしたいことがございますが、一応きょうはこれで終わります。
  137. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会