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説明員(
磯崎叡君) 通勤
輸送につきましては、冒頭に申し上げましたとおり、将来とも大都市の通勤
輸送は
国鉄の担当すべき分野であるということが推進会議の
意見書にもはっきりされておりますとおり、私
どもといたしましては過般の
財政再建十カ年計画の中にも、通勤
輸送は昭和四十年からのものを含めますと約七千億くらいの金をつぎ込むことにいたしておるわけであります。したがいまして、これができますれば一応、たとえば東京を例にとれば東海道、中央、東北、常磐、総武この五
方面の主要幹線が複々線、あるいは三複線化するということに相なるわけでございますが、これは残念ながら現時点では大体昭和五十年までの人口増加に対処する程度であろうというふうに私
ども考えております。もちろん人口増加の趨勢が、東京に集中度が多少減っているようでございますけれ
ども、現時点では大体昭和五十年度くらいまでの
輸送力にしかマッチしないというふうに
考えております。しからばその次にはどうするかということになりますと、当然そのことを
考えながら先行投資をすべきでございますが、私
どもといたしましては現在やっております五
方面の線増がいずれも非常に難航いたしております。ことに東海道の線増につきましてはまだ現地の立ち入りが十分できないというふうな状況で、非常に工事もおくれております。かといって強制収容をすぐするというわけにもまいりませんし、非常にいまの
線路にくっつけてやるあるいはいまの
線路を中心にして
考えますれば、大体いまのやっている
仕事が限界だというふうに私は
考えます。したがいまして、私
どもといたしましてはもうこの時点でなるべく早く、いわゆる通勤新幹線と申しますか新しい別な各度から通勤問題を取り上げる、都市の分散なり何なりの問題と
関連して取り上げるということをぜひ
考える時点ではないか。いまの
線路を手直しするということは現在やっておることが私は限界だというふうに
考えますし、御
承知のとおりいまサンフランシスコでやっております例の通勤高速
鉄道がもう来年から、おそくとも再来年には開業いたします。あれをごらんになれば、なるほど新しいものをつくらなければいかぬと、いつまでも古い
鉄道を中心にした
輸送じゃだめだということをきっと私は
日本中の定説になると思っておりますが、そういったものと同じようにやはり早く通勤新幹線を
——どうしても首都圏にこれだけ人口が集まってくるとすれば、通勤新幹線というものを土台にして
考えていく、それまではとにかく現在の
鉄道の手直しでもってまかなっていく、それでもとても間に合いませんと思います。したがって、私
どもといたしましては、たとえば地下鉄の延長、大体東京都の中だけで地下鉄を
考えるというのは、すでに十年前の東京都だけに人口が集中した
時代の
考え方だと思います。したがいまして、たとえば地下鉄の五号線ができたことによりまして非常に千葉県と東京都の
輸送がよくなった。私
どもの総武線が非常にすいてきたということと同じように、必ずしも東京都内だけに地下鉄を押し込めないで、川を渡って近県に延ばす、そうして現在の
線路と全然別なところを開拓するということが暫定的に私はそう時間がかからなくていけることじゃないか。そのことは過般の東西線の浦安、あの辺の開拓が非常に目ざましいということが非常に生きたいい例だと思います。今後あまり現在線にこだわらないで、むしろ新しく現在線と現在線の間を地下鉄なりあるいは私鉄が縫ってつくるということのほうが、とりあえずこの十ケ年間くらいの通勤対策としては適当じゃないか。すなわち三段階になるわけでございまして、現在私
どものやっておりますのは、
ほんとうにこれはもう火の粉をはらう程度の通勤
輸送対策であります。その次にやはり東京から地下鉄をもっと外へ延ばして、そうして新しい線と線の間の地域を開発する、さらにその次には通勤新幹線をつくると、こういう三段階ぐらいで
考えなければいけない、これが私は基本的な
考え方じゃないかというふうに思っております。