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1969-06-05 第61回国会 参議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月五日(木曜日)    午前十時二十二分開会     —————————————    委員の異動  五月十九日     辞任         補欠選任      山崎 五郎君     重政 庸徳君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岡本  悟君     理 事                 金丸 冨夫君                 谷口 慶吉君                 瀬谷 英行君     委 員                 河野 謙三君                 佐田 一郎君                 重政 庸徳君                 菅野 儀作君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 渡辺一太郎君                 加瀬  完君                 藤田  進君                 森中 守義君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 中村 正雄君                 市川 房枝君    国務大臣        運 輸 大 臣  原田  憲君        国 務 大 臣  荒木萬壽夫君    政府委員        行政管理庁行政        管理局長     河合 三良君        経済企画庁総合        計画局長     鹿野 義夫君        運輸省海運局長  澤  雄次君        運輸省船員局長  高林 康一君        運輸省港湾局長  宮崎 茂一君        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  山口 真弘君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道副        総裁       山田 明吉君        日本国有鉄道常        務理事      長瀬 恒雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (日本国有鉄道運営に関する件) ○外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法等の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  この際、磯崎国鉄総裁及び山田国鉄総裁から発言を求められておりますので、これを許可いたします。磯崎総裁
  3. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私、先般、石田総裁のあとを受けまして国鉄総裁を拝命いたしました磯崎でございます。非常な浅学非才でございますが、誠心誠意国鉄の業務の運営並びにその発展に尽くしてまいりたいと思います。今後いろいろな点で諸先生方、当委員会お世話に相なることと思いますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。  この際、一言お礼を申し上げます。石田総裁に対しまして、当委員会並びに諸先生からたいへん心のこもったいろいろなお取り扱いをいただきまして、非常に喜んで退陣いたしました。私、副総裁として六年間、また諸先生お世話になりましたことを厚くお礼を申し上げまして、簡単でございますが、ごあいさつとさせていただきます。(拍手
  4. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 山田総裁
  5. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 過般、副総裁を任命されました山田でございます。至って未熟でございまして、その任にあらずと存じておりましたが、磯崎総裁から来て手伝えということで大役をお引き受けいたした次第でございます。これからどうぞよろしく御指導いただきたいと思います。どうぞお願いいたします。(拍手)     —————————————
  6. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  日本国有鉄道運営に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。瀬谷君。
  7. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最初大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、鉄道新線建設促進全国協議会第十五回定期全国大会決議をいたしまして、各委員にも決議内容を送ってもらいました。おそらくそれは大臣並びに関係方面に配付されたことではないかと思うのです。  これによりますと、——鉄道新線建設長期計画完全実施のための閣議決定をやってもらいたい、四十五年度鉄道新線建設予算を大幅に獲得をしろ、地域開発路線建設促進のための政府出資金を大幅に増加をしろ、あるいは調査線予定線への昇格編入のための鉄道建設審議会早期開催、こういうことを強く要望をいたしました。しかも、この鉄道新線建設促進全国協議会というのは、会長宮崎県知事会長代理高知県知事山形県知事、副会長というのは十人ほどおりまして、これがいずれも各県の県知事によって占められております。つまり全国の知事が集まって、その総意のもとに決議をして政府に実行を迫る、こういう形になっておるのでありますけれども、この間の運賃法審議の際もたいへんな問題になった赤字線処理のことと関連があるわけであります。国鉄方針としては赤字線を極力整理をしよう、こういう方針を立てているようにわれわれには受け取られるわけでありますが、一方において地方自治体責任者のほうでは新線建設しろ、こういうことを言ってきているわけです。これは政府としても相当考えなければならないところではないかと思うのでありますが、国鉄赤字処理の問題あるいは赤字路線のこれからの取り扱いと、逆にまた新線建設しろ、こういう地方自治体要望、これは一体どういう関係になるのか、政府考え方をお伺いしたいと思います。
  8. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 国鉄長期負債の問題についてはなお続いて御質問があろうかと思いますから、その際にもお答えを申し上げたいと存じますが、この新線の問題については瀬谷先生のおっしゃっておりますのは、五月二十八日付で第十五回全国大会ということで、宮崎県知事黒木博氏以下、いまお話の出ました方々の催された新線建設促進全国協議会の申しておられることについてお尋ねがあったと思います。  この内容を見てみますと、いまお話しのように、鉄道新線建設長期計画、これを実施するためには閣議決定をせよ、四十五年度鉄道新線建設予算の大幅な獲得をせよ、地域開発路線建設促進のために政府出資金の大幅な増額をせよ、調査線予定線への昇格編入のための鉄道建設審議会早期開催、こういうことが四つ具体的に取り上げられておるわけでございますが、もう先生よく御承知のように、鉄道新線建設の問題については、政府が新しく鉄道建設公団というものをこしらえて、ここでやっていこうということに政策的にきめまして、その際、三百に及びます明治以来のこの鉄道の新しい線をどういうふうにしてやっていくかということについて取りまとめをして、そしていま六十一線を新線建設していくということになっておるのが経過である、私はこのように承知をいたしておるのであります。しかしながら、この六十一線を計画的に建設をしていくという問題も、なかなか財政的には容易ならざるものがあり、閣議決定にはそのために及ばなかったわけでありますが、運輸省といたしましては政策的にその六十一線をやっていこう、こういうことを当時きめておるわけであります。したがいまして、今後ともこの新線建設の問題につきましては、先ごろの国鉄問題に関する二法案を中心にお尋ねがあり、お答えを申し上げてきたところでございますが、私どもはやはりこの鉄道網の占めるところの地位地域交通に占める役割り、総合的な国土開発との関連地域開発等から見た将来性、道路整備状況等、具体的かつ綿密な調査の上、総合的に判断すべきものであるという考え方に立っておるわけであります。  もっとも、いまの赤字路線の問題につきましては、今後とも鉄道建設審議会において一そう審議されていくことになろうと思いますのは、先般、審議会を開催いたしましたときに、有力な地位におられる自民党田中幹事長が、赤字路線という一事だけでものを考えずに鉄道というものの今後のあり方ということを考えなければならないという立場からの発言がございまして、これらの問題について小委員会論議を尽くし、財政的な面まで論議をしてもらいたいというような意見の発表がありましたので、この問題につきましては、私はなお引き続きこの鉄道建設審議会あるいは小委員会において御討議を願うことになろうと思いますけれども、根本的に私は、いま申し上げましたように政府態度としてはそのような態度で臨んでいきたい、このように考えておる次第であります。  なお、この要望にありました早期開催という問題につきましては、したがって、私どもは御要望どおり二年ほど開かれなかった鉄道審議会を開きまして、今後これらの新線問題も含めて鉄道建設についての御論議を願うことといたしておるわけでございます。  財政問題につきましては、いまお尋ねのように非常に苦しい財政である、これを十年間にどう立て直していくかという問題をこの間からお願いを申し上げまして、新線建設いたしましてもそれを結局引き受けるのは国鉄ということになってまいりますと、この審議会でも石田国鉄総裁発言を求められまして、これから国鉄の今後を考えるとぎに、新しい線が建設をされて、たとえそれが無償でこの国鉄へまかされたとしても、その管理運営、経営について経費が要ることであるから、いまの国鉄財政状態から見たら非常な問題があるので、そういう場合には国あるいは地方公共団体その他で十分考えてもらわなければならないと思うという意見の開陳があったわけでございます。これらのことは私は御意見として伺っておりましたが、ごもっともな点もあるのではないかというように考えております。  現在国鉄の背負っております債務は一兆九千億という巨額でございますから、これらを考えるときに、質のよい長期的な金を借りるということを考えていかなければなりませんし、この利子負担軽減というような問題も、国会審議を通じてお答えを申し上げておりましたが、これらの施策も講じつつ財政再建ということに取り組んでいかなければならぬ、このように考える次第でございます。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この間自民党田中幹事長が、鉄道新線建設については自動車税のようなことを新たに考えてそうして財源に充てていけばいいじゃないかという意味発言をしたというように伝えられております。直接聞いたわけではありませんから詳細はわかりませんけれども、しかし、単に思いつきでそういうふうに言ったのか、あるいはほんとうにモータリゼーションの時代になったから自動車のほうから税金を取るということを考えて真剣に検討しているのか、その辺は一体どういうことなのか、政府自民党としてこの赤字線を減らすのかふやすのか、こういう問題とかかわり合いを持っておる。もし減らすならばどうやって減らしていくのか、ふやすならばそのための財政上の負担国鉄にそのまましょわしてしまうのか、あるいは政府自身新線建設の場合には処理をする、こういう方針をとるのか、国鉄借金処理関連を持ってくるわけです。だから、その点はやはり方針をきめておく必要があるのじゃないか。国鉄借金処理の問題はいろいろあると思いますが、たとえばこの間はわれわれ反対しておりましたけれども旅客運賃だけの引き上げという方法をとりました。しかし、これは明らかに片手落ちだろうと思います。取るべきところからもっと取る必要があるのじゃないか、こういう気もするのです。  市川先生質問の中にもあったと思いますけれども、たとえばまあこれは金額の点から言うとたいしたことにならぬと思いますけれども国会議員乗車証等につきましても、これは金を取ってもいいんじゃないかという意味発言がありました。だから、国鉄だけの犠牲——犠牲というよりも負担でもっていろいろ善政をしいたつもりでもって割り引きをしたりあるいはただにしたりということをやっておれば、それが全部国鉄負担になって、政府が当然これは公共のためにその分を負担をすべきだと考えれば、これはそういう点も考慮して、公共負担一つ一つを取り上げて、政府でもって国鉄負担をさせないような配慮をするということはあってしかるべきじゃないか。いままでそういう点まるっきりないような気がするのですが、これから政府としてそれらの点についてどういうふうに処理をされるつもりなのか、見解をお伺いしたいと思います。
  10. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 最後のほうからお答えいたしますと、公共負担と言われておる中で、たとえば国会議員のもらっておるパスについて考えるところがあってもいいじゃないかというお話が出ました。これは市川先生に私お答えを申し上げたのでありますが、心がまえとしてはまことにけっこうなことである、しかし私どもが一生懸命国民のために尽くすということでこれはお報いすることができるのではないか、というふうに受け取っていただいてもいいのじゃないかと、そのときにお答えを申し上げておったのでありますが、いまおっしゃるように、もう一歩進んでそれじゃその形を国鉄に何も持っていく必要はないじゃないか、こういうお話でありますが、これはまあ国会全般の問題として取り上げて、それを国鉄負担にしない形で行なうということについて配慮がなされるなら、私はけっこうなことである、このように考えます。  また、当時審議を通じて申し上げましたが、私は過去に国鉄の問題をそばから見ておりまして、各国におけるところのいわゆる公共負担分に対するところの政府施策というものをどうしておるかということについて、特に学校関係という問題について、各国通学者に対する政府の助成という制度を文部省局長調査させたことがございます。これらの問題についても審議中にお答えをいたしましたが、文部省予算としてそれを取り上げるのには、文部省としてはまだほかにやらなければならない仕事がたいへん多いために、そこまで手が回りかねるという状態であったために、具体的にそのときにはならなかったということを申し上げたのでございますが、公共負担分としていまおっしゃっておるような点で国民の了解が得られるというような問題については、私は検討をしていってよろしい、このように考える次第でございます。  それから、一番最初に申された赤字線問題について田中幹事長発言があったんだが、これは政府としてはどう考えておるのか、こういう問題でございますが、これは田中幹事長の言われたことを私なりにお聞きしました判断では、日本の国は大体五〇%が積雪寒冷地帯である、その積雪寒冷地帯交通ということを考えるときに、鉄道というものを赤字だというとらえ方だけで解決するのであろうか、新しい観点に立って鉄道というものを考えなきゃならぬのではないか。もう一つの点は、そういう場合に鉄道の果たすべき役割りは人の輸送ということよりも、貨物輸送ということについて今後考えていくべき問題点がありゃせぬか。そういうことを考えるときに、全国総合開発計画というものを政府が出しておるのであるから、鉄道というものの役割りを十分考えてしかるべき措置をしなければならないのではないか。財源問題があるが、財源問題というものを考えるときに、ちょうどいまから十年ほど前には鉄道公共投資部門に占める地位日本予算の中でたいへんなものであった。その当時はいわゆる道路というようなものはわずかな予算であったものが、今日は六兆六千億になっておる。こういうようなことを考えるときに、財源というものを考え処理していくならば、決して問題が解決できないとは考えられないではないか。いわゆる道路の場合はガソリン税というものを目的税道路のために出したことは御承知のとおりでありますから、そういうことを考えると、三千万台に今後なろうとするその自動車税金道路だけにつぎ込んでいっていいものだろうかどうかという問題があるのではないか。これを考えると、そこらのこともひとつ審議会十分意見を戦わしてもらいたい、こういうお話をされたのでありまして、これらの問題については、皆さん方からも私は質疑を通じてお聞きした点が多々あったと思っておるのであります。また、私どもはそれに対してお答えをいたしました点が多々あったと思うのでありますが、たとえば鉄道自動車の問題、イコールフッティングの問題まで、木村先生大蔵委員会でございましたか、貨物輸送という問題と鉄道という問題についてのお尋ねがありました。そのときにも論議もいたしましたし、加瀬委員あるいは瀬谷委員木村委員森中委員あるいは田代委員、すべての皆さん方質疑の中にこれらの問題も含んでおったと私は解釈いたしておりますので、これらの問題が今度鉄道審議会において議論をされるということはけっこうなことであろうと考えておる次第であります。  なお、田中さんはそのことについて、その自分意見を述べられたので、小委員会でそれらの問題について十分議論をして、自分意見としては審議会の建議という形でできればということを発言をされたわけでございますので、今後ともこの鉄道審議会審議を通じてこれらの問題が十分討議をされるということは、政府といたしましては、日本全国総合開発計画というものを政府が発表し、私どもはその中でいわゆる経済発展必要条件であるところの鉄道海運そして空、自動車というようなものを総合的にどう持っていくかということを十分考えなければなりませんので、私どももこの点につきましては総合計画というものを早急に立てていきたい、このように考えておる次第であります。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 公共負担の問題に関連があるんですけれども、たとえば先ほど運輸大臣は、国会議員に渡されている乗車証等の問題は、たとえば国会予算でもって、——まあこれは計算をすればどのくらいになるかむずかしいところなんですが、国会議員パスをどのくらい使うか個人的に違うから、使わない人もあるしたくさん使う人もある、だから一律に幾らという計算はやりにくいと思うのでありますけれども石田総裁の言い方としては、まあ気持ちだけでもということを言っているわけです。だから、たとえば国会議員に交付してあるパスの場合は、一枚について年間まあ十万円なら十万円といったような形でもって予算を一応計上して国鉄に渡すということにするのも一つ方法じゃないかと思う。それから、たとえば警察官なんかの場合でありますが、警察官職務で乗る場合には金を取ってないわけでしょう。だからあれもなかなかむずかしい問題になっていると思いますけれども、いっそのこと、職務職務でないかということの判別がつかないようなむずかしい状態のまま何となしにその顔パスで乗りおりできるという状態でなくて、警察官なら警察官乗車証というものを発行して、そのかわり警察庁の予算でもって一枚についてこれまた年額幾ら、これは相当な金額にのぼると思いますが、そういう方法でもって国鉄に納めるということをしてもいいんじゃないか。要するに無賃乗車証ということでなくて、換算はどういうふうにするかは別として、全部有賃乗車証にする、こういう方法で筋道の通るところから金をもらっていく、こういうことを考えるべきではないでしょうか。  それから貨物運賃の場合にしても、貨物運賃でかなり割り引きをしている点があるわけです。そうすると、国民日用必需品といったようなものを安く運んでいるということになると、国民はまあ国鉄貨物運賃によって恩恵を受けているということになるわけでありますから、これはもしそれが食料であったならば農林省の予算通学乗車証割り引きであったならば文部省予算、こういう形でもって、若干これはむずかしい点はあるかもしれませんが、それぞれの関係予算の中で公共負担というものを軽減をする措置を講ずるということは、もっと早くから考えてよかったんじゃないかという気がするんです。依然として今日この公共負担というものがおもしになってそのままになっている。というのは、やはり国鉄としてはまあまあ政府に対して強く当たれないということかもしれぬけれども、筋を通すという点からは怠慢だったということになりはせぬか、こういう気がするんです。その点は一体大臣としてどのようにお考えになっておるか、これは政府自身が当然本来ならば考えなければならないことじゃないかと思うので、私はあえて大臣にお伺いするわけです。
  12. 原田憲

    国務大臣原田憲君) これも法案審議を通じてたびたびお答えを申し上げてきたところでございますが、私は瀬谷先生のお考えについて否定をするものではございません。したがいまして、今後ともそういうことについて十分検討を加え、一般会計財政支出をするのか、安い財政資金を持ってきてやるのか、こういう問題は残ると思いますけれども国鉄に対してだけおんぶをさすということについては、経済繁栄をしたというが、そのしわ寄せは国鉄にきて、それで結局その国鉄が動かなくなると今度は全般経済というものが決して繁栄なんかしない、繁栄ではなかったという結論になってまいるのでありますから、十分検討を加えていかなければならない問題を含んでいる、このように考えております。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 鉄道建設審議会の問題については、いま大臣からもお話がございましたけれども鉄道建設審議会が何をやるかということが問題です。いたずら赤字線をどんどんふやして国鉄負担をますます増大をさせるということであれば、かなりこれは問題だと思うのですよ。ほんとうに正しい民意というものがここに反映されなければならない、こう思うのですが、私はむしろこの鉄道建設審議会というようなところは、公正な立場に立っていわゆる政治路線といったようなものをたたき直していくということをすべきじゃないかと思う。しかも、ことしになってから社会党の赤字線調査等でいろんなところを見て回りました。実にひどいところがあるわけですね。政治路線としてヘビのように曲がりくねっておる、まっすぐ行けばいいものを、あちこち極端に回り道をして線路を敷いてある。話を聞いてみると、その地方々々にいた政治家が、おれのところに持ってこいと、こういうことで結果的にはうんと線路が曲がりくねってしまうということを聞くわけです。まあ明治時代、あるいは大正時代政治家の横車でそういうふうになったということはあるかもしれないけれども、そのためにいまでは最短距離を行くバスに客を取られるということになれば、国鉄としても考えなきゃならぬのじゃないかと思う。だから、むしろこの地方赤字路線なんかの場合は、いたずらに採算が合わないから、赤字だから撤廃をするということじゃなくて、現在の線路の敷き方というものを検討をしてみて、もっと合理的に最短距離を結んで、ヘビのようにぐにゃぐにゃ回らないで、必要で有効な個所を結ぶというふうに敷き直しをする、そういうことによって赤字路線というものが生きてくる、あるいはその赤字路線だったところを延長をして有効に使うということをすれば、いままでは荷物になっていたかもしれないけれども、一挙に黒字に転化をするということはできないまでも、赤字というものはかなり軽減をされるというケースはあるのじゃないか、こういう気がするのです。だから、むしろそういう方面鉄道建設審議会としても目を向けるべきじゃないかという気がするわけです。そういういわゆる建設的な仕事をやり得るようにシステムとしてなっておるかどうか、鉄道建設審議会、これも問題だろうと思う。いたずら赤字をふやすだけだということであってはならない。だからその意味では、たとえば石田総裁のような、ともかく国鉄総裁としての経験を積んだ人にこういう委員会でもってものを言わせるといったようなことも私はいいことじゃないかという気がするのですが、だから審議会がはたして現在のままでいいのかどうか、十分に国民の期待にこたえられるような機能を発揮できるのかどうか。それと、もしそれが不十分であったならば、もっと多くの広範な層の意見というものを取り入れる措置を講ずる、——いろいろそれはわれわれのほうから言わせれば、まだ利用者あるいは働く者の意見というものが十分に反映できるというふうになっていないような気もするのでありますが、じゃ今度はそれは労働者側の意見をもっと入れろという意見等は別としても、国鉄総裁といったような経験を積んだ人の意見をこの中に生かして、そうして妙な横車を封じるというような方法はないものかどうか、その点もこの機会に大臣にお伺いしたいと思います。
  14. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 鉄道新線建設についての瀬谷さんの御意見を最後に承ったわけでありますが、私は田中発言の中には、何んでもかんでもいわゆる言われておる政治路線的に引っぱれということを言っておるのではないと理解をいたしておるのであります。必要なものはこれはやはり推進をしなければならないし、必要でないものは、あるときにはこれは整理をしていかなければならぬという考え方は根底にあるものと、私は話を伺っておってそういうふうに受け取っておるのであります。鉄道建設公団仕事の中にはAB線があり、CD線があるというように、CD線というのは、どうしてもいまの大都市問題等から可及的すみやかに完成をしなければならない。AB線の開発ということになりますと非常に範囲が広い。だから中にはどうしても将来開発ということで結びつけてやらなければならないというような線もある。たとえば鹿島線のごときは最初AB線であったけれども、これはCD線に切りかえていくというようなことも起こってくるわけでございまして、私はその点について、鉄道建設審議会を開いたならば、それが従来から一緒であったと申すわけにはまいらぬと思いますが、世間でとかく言われておる政治路線、何でも鉄道を引っぱっていったらいいのだということは、私は時代というものがそういうことをさせなくなってきておるのが今度の国会を通じても皆さん方の御質問、御意見の中にはっきりあらわれてきておると考えておるのでございます。  鉄道建設審議会にはいわゆる専門家の方々、また国会を代表する方々も入っていただいておりますが、その意味で私は先ほど申しましたように、田中発言、その他の発言も、今度の国会審議された中に十分私は尽くされておるほど国会というものは私は権威のあるものである、こういうふうに考えておるのでありまして、今後とも国会を通じて皆さん方の御意見を承る機会もあるし、御質問を承る機会もあるのでございますから、十分万遺憾なきを期してまいりたいと考えておるのであります。どちらかといいますと、審議会では、そういう専門家の、あなたが言われたような、石田さんのような人の意見というようなものを十分述べさして、結論は、国家の最高権威機関である国会というものがあるのでございますから、政府審議会の答申を尊重いたしまして、もちろん皆さん方に御提案をいたすのでありますが、国会審議を通じて決定されることが最も権威あるものである、私はこのような理解をいたしておるのであります。そこでそのためには、名前が出ましたが、石田さんのような人という名前が出ましたが、石田さんにかかわらず、できるだけ専門的な、また学識経験も豊かな人たちを選んで、この政府の諮問に応じていただくという態勢は今後とも十分考えていきたい、このように考える次第でございます。
  15. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 鉄道建設審議会の固定されたメンバーだと、実際問題としてなかなかこまかいところまで目が届かないんじゃないかというふうに私は思うのです。それで具体的にいいますと、参議院の運輸委員会としては過密・過疎の調査をやりまして、千葉県の木原線というところの視察もしたわけです。ところがあの木原線なんかの場合は、俗なことばで言えば首の座に上がっている線なんです、赤字線で。しかし実際に通ってみますと、まことに中途はんぱな存在になっておるのです。途中でちょん切れておって、房総半島を横断するかっこうになっていないので、房総半島半分以上いいところは小湊鉄道が走っておって、それからあと九十九里浜までのところを曲がりくねって木原線が通っている、こういうかっこうになっている。ああいう線なんかは現在存在している線だけを見て、そうしてそろばんをはじいてみれば、ここは採算に合わないといったような結論が出てくるかもしれないけれども、あの現在の線のあり方そのものを検討して、もっと房総半島を横断するような形でもって線の引き方を考えれば何とかなるのじゃないかということをわれわれは感じたわけです。  それから曲がりくねっているところで極端だと感じたのは、一関から出ている、気仙沼に行っている大船渡線なんというのがありますが、これは地図で見ると実にひどいわけです。あんなものこそ取っぱらってしまってまっすぐな線に引き直しをすることができないのかどうか、こういう気がするわけです。ああいうおかしな線の引き方をいまに至るまでほったらかしておくということは、これはやはり今日の政治家としては責任を感じなければならないことじゃないかという気がするし、そういう線のあり方について地方自治体等の意見であるとか、利用者の意見であるとかいうものが十分に反映をされるようなシステムということを考えていかなければならないのじゃないかという気がいたしますが、その点はどうですか。
  16. 町田直

    政府委員(町田直君) 鉄道建設審議会先生承知のように、まず審議会の組織は二十八人でございまして、この中には衆議院六人、参議院議員四人、それから運輸政務次官、運輸事務次官以下各省関係の次官、それから運輸審議会会長日本国有鉄道総裁日本鉄道建設公団総裁、それから学識経験者といたしまして運輸業、鉱工業、商業、農林水産業、金融業等に関しすぐれた識見と経験を有する者六人、それから鉄道に関し学識と経験を有する者の二人、御承知のようにこういう構成になっているわけでございます。そこで鉄道建設公団が実際に仕事をいたします場合に運輸大臣が基本計画を定めて指示するわけでございますが、この基本計画を定める場合に鉄道建設審議会に諮問しなければならないということに相なっているわけでございます。したがいまして、運輸大臣はそういう基本計画を定めます場合に、ただいま御指摘ございましたような問題につきましても当然専門家の意見を聞き、そうしてまた地元の御意向を十分参酌した上で基本計画の案をつくりまして審議会におはかりするわけでございます。また、それを改定する場合も同様でございます。その上におきまして、ただいま申し上げましたような委員先生方の御意見を伺って決定する、こういう段取りになっているわけでございます。なおまた、この委員会の中に小委員会というのが設置いたされまして、小委員会でそういう個々の問題につきまして詳細に検討するということになっておりますので、制度といたしましては、現在の鉄道建設審議会で御指摘のようなものも十分審議できるというようになっているとわれわれは考える次第でございます。  ただいま御指摘のありましたような線につきまして、確かにそういう御意見の出るような線が多多あると思います。それはそれでやはり実際には、いろいろな地元の事情等もありましてそういう形になっているものもあると思いますけれども、なお確かにあまり、何と申しますか地元の事情等にとらわれ過ぎまして、鉄道網としての構成が必ずしも十分でないというものも確かにあると思いますので、まあこの間の鉄道建設審議会におきましても、現在の予定線等も含めて基本計画を再検討すべきではないか、こういう意見もございましたので、御指摘のような点も含めまして、今後十分鉄道網としても非常に有効であるというような形に持っていくという努力をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これも政府方針としてお伺いしたいのですけれども、いまの鉄道国鉄、私鉄を問わず急激にふえる人口増に追いつかないでアップアップしている状態にある。これはすみやかに政府としても考える必要があるのじゃないかと思うのでありますけれども、基本的な交通政策というものが確立をされないで場当たり的なことばかりやっておれば、いつまでたってもこれは鉄道輸送需要にこたえられない状態が続いていくと思うのです。だから、政府として基本的な交通政策というものを確立をした上で方針を進めていかないことには、これはいつまでたっても鉄道の問題は国民要望にこたえられない慢性的な不満を内蔵したまま経過をしていくということになる気がするんでありますけれども、たとえば将来、幹線は全部新幹線方式をとって、広軌でしかも立体交差——高架でもって全国を結んでいくんだといったような方針を立てるならば、はっきり立てて、そのための用地買収なり何なり必要な手を打つということをやるべきじゃないかという気がするわけです。ところが、新幹線にしても、山陽新幹線までは考えておるけれども、あとのほうは全くいつのことになるやら、将来どうするものやらかいもく見当がつかないという状態では、どうも無責任のような気がする。  さらに、道路鉄道との関係ですが、東海道新幹線ができ上がって、東名高速道路ができ上がりました。その東海道新幹線のあとで東名高速道路をつくるようなことになったので、用地買収の費用というのは、大体東海道新幹線が先例になったので、かなり高いものについたという話を、これは東名高速道路の買収の話として聞いた記憶があります。道路鉄道というものがそれぞれ、おれは建設省だ、こっちは運輸省だという形でもってやっておったら、やはりむだが多いんじゃないかと思うのですね。だから、ほんとうに国土の総合的な開発ということを考え交通政策をこれから立てようというならば、道路鉄道も一体となってやっていかなければならぬじゃないかという気がします。  たとえばこういう話があるのですが、私のほうでいま国道の十七号線というのは非常に渋滞をしておる。埼玉県から群馬県に行くいわゆる中仙道に該当する道路は渋滞をしてどうにもならぬ、新しく道路をこさえる必要があるのじゃないか、こういう話もあります。そうすると道路をつくる必要があるのだという話と、それから高崎線の線増にするか、あるいは新幹線をつくるか、これも必要があるじゃないかという話がある。どっちとも必要であるならば、道路をつくる場合に道路のほうが幅を相当広範に必要とするわけでありますから、道路をこさえた際に中央分離帯を利用して高速鉄道を走らせるとか、あるいはモノレールを走らせるとかといったような形で、同じ土地買収という苦労をする場合にも、それが鉄道にも道路にも両方に利用できるような形でもって政策を進めていくというふうにすれば、比較的むだがなくて済むのじゃないかという気がする。そういう方面の横の連絡というものが今日まで全然なかったような気がする。必ずしも東名高速道路と東海道新幹線と同じところを走らせなければならぬということにはこれはならぬと思いますけれども、しかしある程度は道路鉄道というものは、何も別々に考えなくたっていいのじゃないかという気がするのであります。それらの点について、これから道路計画と鉄道新線建設、あるいは新幹線計画とを、両方一緒に考えるというようなことはできないものかどうか、その点をお伺いしたいと思う。
  18. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 全国総合開発計画というものは、いまおっしゃっておるような点を考えつつ解決をしていくということをやらなければ、実際にはその目的を達成することが非常にむずかしい問題であろうと私は考えております。非常にありがたい御意見を拝聴したと思っております。そのように持っていくように今後考えなければならぬ。私ども運輸省でございますが、運輸省だけでいわゆる視野の狭い考え方に立たずに、全国の総合的な交通というものを——道路交通でごさいますから、つかまえてやっていく。そういうような問題に立ち至ってまいりますと、それでは財源はどうなるか、金がなかったら土地の買収もできないというような問題から、財源をどうするかというような問題にも立ち至っていくわけでありますので、これはほんとう政府あげて、今後の問題解決のために英知を集めなければならぬ、このように考えておる次第でございます。  鉄道建設審議会田中発言の中で、そういう面から財源という問題で、特にあの人がそれをするということではなしに、かつて議員立法でガソリン税目的税として道路の開発につとめたということを例に引いて発言があった、このように私は受け取っております。そこまでひとつ考えながら、今後の国土開発という点で鉄道というものがどう働くべきであるか、あるいは自動車というものがどう働くべきであるかという点について十分検討いたしたいと考える次第であります。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄総裁にお伺いしたいと思うのでありますけれども、今後一体何を重点として計画されるつもりなのか、重点的にはどういうことをやろうとお考えになっているのか、まあ副総裁から総裁になったわけでありますから、何も方針が急に変わるということではないと思いますけれども、新総裁としての方針というものを、この機会にお伺いをしたいと思います。
  20. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私、総裁になりましてからいろいろ諸先輩その他から御意見を承っております。私自身といたしまして、まず国鉄自体の歩むべき道といたしましては、過般御審議願いました財政再建の特別措置法の線に沿いまして、とにかく十年を一つの目途として、まず財政の再建をはかる。財政の再建をはかることによって当然経営が再建される。それによって国鉄の二十一世紀にわたっての輸送分野、すなわち、通勤輸送あるいは都市間の旅客輸送あるいは中長距離の貨物輸送、この三つを国鉄の将来の輸送分野としてやっていくということになると思います。したがいまして、国鉄自体の進むべき道としては、すでに当委員会においても明らかにされたところでございますが、その中におきまして、私自身の立場と申しますか、私自身の気持ち、考え方を率直に申さしていただきますならば、この財政再建計画は少なくともその物的なあるいは財政的な面では、まだいろいろ国鉄側としてはお願いしたいことも多々ございます。しかしながら、それは一応軌道に乗ったということにいたしまして、私どもといたしましては、その軌道の上をばく進していきたいという気持ちでおりますが、そのばく進する際に一番の問題は、やはり国鉄内部の合理化、その合理化の前提となる国鉄内部の人間関係の問題だというふうに私は率直に考えております。就任早々動労のたいへん大きなストライキによりまして、数百万の国民各位に御迷惑をおかけし、まだやっとあと始末がついたばかりでございます。貨物輸送などはほとんど四、五日から一週間近く大きな影響を受けている。こういうことを一週間に一ぺんくらいやっていたのでは、これはどんなに先生方に御協力願って財政再建の道を立てていただいてもだめだと私は率直に思っております。したがって、ここで私のやらなければならないことは、しばらく物的な面は副総裁以下にあずけまして、私といたしましては全力をあげて国鉄内部の人間関係の調和というか、人間性の回復と申しますか、多少抽象的な言い方になりますけれども、そういう職員相互の問題あるいは組合と当局の問題、こういう人間関係に全力をあげてやってまいりたい。これがなくてはやはり事故防止もできなければサービスの改善もできないというふうに考えております。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 財政再建ということにだいぶ神経を使われるようですが、これは別に悪いことではないし、財政の面でちゃんとしなければならないのは当然のことなんです。しかし国鉄本来の使命というのは、人や物を求めにこたえられるように運ぶことにある。安全に迅速に運ぶことにあるだろうと思う。節約をするということが本来の目的じゃなくて、いかに積極的に人や物を運ぶかということが第一の仕事じゃないかと思うのです。したがって、人や物を運ぶということについて万全を期さなければならないという気がするわけです。  赤字の原因については国鉄自体が発表しているパンフレットにいろいろ書いてありますけれども、これはもうすでに過般の運賃法の問題でいろいろな論議が行なわれておりますから、あらためて私はこのことを繰り返して質問をするつもりはございませんが、赤字の原因というのは借金であるということははっきりしているわけです。国から借りたものの借金の利子を肩がわりをするということが、これは政府が助け船を出しているというふうにこの国鉄のパンフレットにはいわれておりますけれども国鉄なんですからね、国鉄に対して国が金を貸してその利息を取るということ自体が考えてみればおかしな話だと思うのです、自営でやるんですから。そうすると、国から借りると借金の利子を肩がわりしてもらうことが助け船になるというのは、私はどうもふに落ちない。そんなことは政府として当然のことだろうと思うのです。むしろこの当然のことをありがたがるという思想は間違っておるのじゃないか、こういう気がいたします。だから、借金処理ということは、大臣国鉄総裁も同じ立場に立ってこれは政府に責任を持たせるという方向に進むぶきじゃなかろうかという気がいたします。  それから国鉄としても十分にその営業の面で効果をあげていきたいということを言われているわけなんですけれども、これから高速自動車道路等ができる、東名、名神だけじゃなくて、全国的にそういう自動車道路ができるという場合には、そこにバスを走らせるというのも一つの手だろうと思うのでありますけれども、これらはレールから道路に変わるというだけであって、運ぶという点では変わりがないわけでありますが、今後でき上がるところの高速自動車道路につきましては、東名あるいは名神と同じような形でバスを運行するという考え方に立っているのかどうか、それからその場合に政府としては、運輸省としては、国鉄にそのバスを運行させるという方針をこれからもずっと続けるつもりがあるのかどうか、営業政策の点で採算がとれるならばやらせるし、とれなければやらないという形になるのかどうか、その点もこの機会にお伺いしておきたいと思うのです。
  22. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 国鉄バス、ことに高速道路上の国鉄バスにつきましては、名神においてはすでに実験済みでございますし、また来たる十日から東名におきましても政府の認可を得て国鉄バスと東名バスと二社でもって競争的にやるということになったわけでございます。  私どもといたしましては今後とも、こういった高速道路でありますから、そうすればいわゆる中近距離の輸送はバスのほうが非常に便利である、あるいは早いというふうなことから申しますればバスへ移ってもらう、そうして大幹線はやはり長距離の旅客貨物輸送というものに当てていく、あるいは非常に近距離の密度の濃い通勤輸送に当てていく、こういう考え方に変わっていくだろうと思っております。したがいまして今後、東北縦貫道あるいは中国縦貫道、いまいろいろ建設省の計画があるようでございますが、私どもといたしましては東名、名神にならいまして、むしろ幹線輸送の補完という意味で、ぜひ今後とも国鉄バスを有料道路、高速道路上に運転さしていただきたいということをお願いする次第でございます。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そういう場合に、たとえば高速自動車道路を通る場合は使用料を取られるわけです。それは国鉄はちゃんと払って通ることになるのですか。
  24. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 一般と同じでございます。
  25. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 高速自動車道路国鉄のバスが走る場合にはちゃんと金を払うわけですね。それならば、国鉄が安く、特に安く物を運ぶ場合にはその代償を関係方面からもらうという考え方はあっていいのじゃないかと思うのですね。もし国鉄がたとえばうんと赤字を覚悟して、もう公共のために安く運ぶということであるならば、国鉄のバスが自動車道路を通る場合には、これまた使用料を払わないで走らせてもらったってかまわないということになるのじゃないか。料金を払うときは払うけれども、運ぶとき割り引きする面は何も入らないということは、これはちょっとおかしいじゃないかという気がするのですが、こういう点は運輸大臣はどういうようにお考えになりますか。
  26. 町田直

    政府委員(町田直君) ただいまの先生の御指摘は公共負担との関連かと思います。公共負担につきましては、先ほども大臣から御答弁申し上げましたように、これはやはり何らかの形で解消していくということを中心として考えなければならないと思いますが、まあ本来国民全般のために公共負担をしているという場合には国が見るあるいは地方の場合は地方が見る、こういう考え方一つあります。それからもう一つは、利用者と申しますかの負担に返すと申しますか、そういう形で是正をしていくという考え方もあると思います。その辺のところは個々のいわゆるいわれておる公共負担の問題について、個々に考えなければならない問題ではないかというふうに考えておりますが、いずれにしてもいわゆる公共負担というものを全部国鉄だけにしょわせるということを今後とも続けていくということは決して適切ではないというふうに考えておる次第でございます。  ただいまの高速道路の問題につきましては、片方で非常に公共負担を負っているのだから、高速道路を通る場合でも使用料を免除すべきであるという御意見かと思いますけれども、まあやはり高速道路を通りますバスは、ただいまもお話がございましたように、国鉄の場合とそうでない私企業の場合とがございますので、これはこれでやはり道路を走るバスの、何と申しますか同じベースにおける競争というのがあるわけでございますから、そういう意味公共負担との関係において使用料を免除するということはなかなか理論的にもむずかしいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  27. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、国鉄バスと民間バスが競合して走るからつり合い上、取らなければならぬということなんですが、ほんとうならば国鉄バスであろうと民間バスであろうと、こういう公共的な性格を持って多数の物なり人を運ぶという公共的な使命を持っておる場合は、道路の使用料等を取らずに、その分は運賃の面でサービスをして多数の国民に奉仕をするということのほうがいいんじゃないかという気がするわけですが、このことはこれ以上突っ込んで聞いてみたいとは思いませんが、それじゃたとえば九州横断道路等は国鉄バスの営業を許可しないで、民間バスだけを走らせるということがあったように記憶しておるわけです。こういう問題はどうもふに落ちないわけなんですけれども公共の使命を持って国鉄が一定地域と一定地域を連絡をしようという場合には、国鉄にも営業をさせるということのほうがこれは民間と競合してかえっていいんじゃないかと思うのでありますが、こういうのはまあ勘ぐって言えば何か運輸者とそこの民間バスとの間に特別なつながりがあるのじゃないかというふうにも勘ぐられるわけなんですが、その点はどういうわけなんですか。
  28. 町田直

    政府委員(町田直君) 先ほど総裁からもちょっと触れましたように、国鉄が行ないますバス輸送というのは、国鉄鉄道輸送関連する輸送と、こういうふうに法律上もなっておりますが、船舶とバスにつきましては、鉄道輸送関連するものということでございまして、その関連するものとは何かということはいろいろ議論がございますけれども、先ほど総裁が言われました補完ということも一つ方法でございましょうし、あるいは短絡、代行というような三つくらいの原則がございまして、そういうものに基づいて具体的な案件の処理をいたしておるわけでございます。したがいまして、国鉄国鉄鉄道輸送と全く関連なく自動車輸送というものをほかの自動車業者と同じようにやるのだということに直ちにはまいらないということがあるわけでございます。で、これらの点につきましては御承知のごとく運輸審議会にはかりまして、一つ一つはかりまして、そういういろいろな面を審査していただきました上で決定しているわけでございます。で、ただいまちょっとお話で触れましたような運輸省自動車業者との関連ということは決してございません。大体そういうような原則に基づいて審査をする、こういうたてまえになっておる次第でございます。
  29. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 運輸審議会が何か逃げ道になっているような気がするのですが、国鉄としては、たとえば名神だとか東名にまでバスを走らせるというのに、九州横断道路、営業するのが適当でないという理屈はどうも解せないような気がする。その点は国鉄はどういうわけで九州横断道路の営業をやめたのか、あるいはやめさせられたのか、その点をお伺いしたいと思います。
  30. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 数年前のことであまり正確な記憶はございませんが、私のほう、もちろん九州横断道路ができますときは、バスの運行を申請いたしました。ことに九州横断道路は私のほうの線路とほとんど並行いたしておりまして、しかも、距離が短いということで、相当私のほうの線に影響が強いということで、ぜひ運行をお願いしたのでございますが、当時の時点といたしましては、まだ、輸送量が非常に少ない、とても国鉄と民間と両方で収支が償うようなお客さんはないという輸送量の算定の面から一社で十分だ、かえって二社にすることは過当競争になるんだというふうなお話で認可にならなかったというふうに覚えております。したがいまして、たしかあのときには、いずれ非常にお客さんがふえたと申しますか、輸送量がふえたら考え直すというふうな条件と申しますか、何かそういうことがついておったような、ちょっと正確に記憶いたしておりませんが、あるいは議事録か何か知りませんが、何かそういうものがあったように記憶いたしておりますが、もう一ぺん調べて何らかお返事差し上げます。ちょっとそういう話が出たように覚えております。
  31. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 その点昔の話になりましたけれども、東名なり名神に国鉄自動車、バス営業を行なう、しかも民間と競合をしてやるという時代になったのに、九州横断道路、当時どうも私は不可解な感じを受けたのです。ああいうことは何か国鉄じゃわいろ取れないけれども、民間バスならばそこはそこでうまい手があって、何か運輸省とバスとの間に、特別な問題があるのじゃないかというふうに勘ぐられたってしようがないでしょう。だから、そういう点もし当時の条件等あるいはその方針等現在の事情と勘案をして国鉄バスを東名高速道路と同じように走らしてもよろしいということになったならば、九州横断道路も運行させるということになるのかどうか。これは政府のほうにお伺いしたいと思うのです。
  32. 町田直

    政府委員(町田直君) 実は私その間の事情を十分はっきり記憶しておりませんので、まあいずれにいたしましても運輸審議会審議を経まして結論が出たものでございますので、もし新しくそういうことが出た場合には申請を待って案件を処理する、こういうふうに考えておる次第でございます。
  33. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これは当時ふに落ちなかったことで、いまだに私は釈然としないんです。こういう問題は時が経過をすれば忘れられるということでほったらかしにしてはまずいと思うのです。筋を通すという点ならばやはりこの九州横断道路であろうと、東名高速道路であろうと変わりはないでしょう。おかしな疑惑を招かないためにはちゃんとしてほしい。国鉄としても申請をしてよろしいという条件が備わったならば申請をして運行をさせるべきであるというふうに私は思いますので、その点を要望をしておきたいと思います。  それから、通勤輸送の問題について、これは運賃法の際の附帯決議の中にも入っておったんですけれども、具体的に通勤輸送の改善をどういうふうにされるおつもりなのか、この委員会でも現地調査を行なって現場長からも実情の報告を受けているわけでありますが、いつどのように改善をされるか、その点を総裁のほうからお伺いしたいと思います。
  34. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 通勤輸送につきましては、冒頭に申し上げましたとおり、将来とも大都市の通勤輸送国鉄の担当すべき分野であるということが推進会議の意見書にもはっきりされておりますとおり、私どもといたしましては過般の財政再建十カ年計画の中にも、通勤輸送は昭和四十年からのものを含めますと約七千億くらいの金をつぎ込むことにいたしておるわけであります。したがいまして、これができますれば一応、たとえば東京を例にとれば東海道、中央、東北、常磐、総武この五方面の主要幹線が複々線、あるいは三複線化するということに相なるわけでございますが、これは残念ながら現時点では大体昭和五十年までの人口増加に対処する程度であろうというふうに私ども考えております。もちろん人口増加の趨勢が、東京に集中度が多少減っているようでございますけれども、現時点では大体昭和五十年度くらいまでの輸送力にしかマッチしないというふうに考えております。しからばその次にはどうするかということになりますと、当然そのことを考えながら先行投資をすべきでございますが、私どもといたしましては現在やっております五方面の線増がいずれも非常に難航いたしております。ことに東海道の線増につきましてはまだ現地の立ち入りが十分できないというふうな状況で、非常に工事もおくれております。かといって強制収容をすぐするというわけにもまいりませんし、非常にいまの線路にくっつけてやるあるいはいまの線路を中心にして考えますれば、大体いまのやっている仕事が限界だというふうに私は考えます。したがいまして、私どもといたしましてはもうこの時点でなるべく早く、いわゆる通勤新幹線と申しますか新しい別な各度から通勤問題を取り上げる、都市の分散なり何なりの問題と関連して取り上げるということをぜひ考える時点ではないか。いまの線路を手直しするということは現在やっておることが私は限界だというふうに考えますし、御承知のとおりいまサンフランシスコでやっております例の通勤高速鉄道がもう来年から、おそくとも再来年には開業いたします。あれをごらんになれば、なるほど新しいものをつくらなければいかぬと、いつまでも古い鉄道を中心にした輸送じゃだめだということをきっと私は日本中の定説になると思っておりますが、そういったものと同じようにやはり早く通勤新幹線を——どうしても首都圏にこれだけ人口が集まってくるとすれば、通勤新幹線というものを土台にして考えていく、それまではとにかく現在の鉄道の手直しでもってまかなっていく、それでもとても間に合いませんと思います。したがって、私どもといたしましては、たとえば地下鉄の延長、大体東京都の中だけで地下鉄を考えるというのは、すでに十年前の東京都だけに人口が集中した時代考え方だと思います。したがいまして、たとえば地下鉄の五号線ができたことによりまして非常に千葉県と東京都の輸送がよくなった。私どもの総武線が非常にすいてきたということと同じように、必ずしも東京都内だけに地下鉄を押し込めないで、川を渡って近県に延ばす、そうして現在の線路と全然別なところを開拓するということが暫定的に私はそう時間がかからなくていけることじゃないか。そのことは過般の東西線の浦安、あの辺の開拓が非常に目ざましいということが非常に生きたいい例だと思います。今後あまり現在線にこだわらないで、むしろ新しく現在線と現在線の間を地下鉄なりあるいは私鉄が縫ってつくるということのほうが、とりあえずこの十ケ年間くらいの通勤対策としては適当じゃないか。すなわち三段階になるわけでございまして、現在私どものやっておりますのは、ほんとうにこれはもう火の粉をはらう程度の通勤輸送対策であります。その次にやはり東京から地下鉄をもっと外へ延ばして、そうして新しい線と線の間の地域を開発する、さらにその次には通勤新幹線をつくると、こういう三段階ぐらいで考えなければいけない、これが私は基本的な考え方じゃないかというふうに思っております。
  35. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 地下鉄を東京都の都内に限定しないで周辺に延ばすというのは、当然そうならなければいけないと思うのです。地下鉄だからといって、東京都から外へ出てたんぼの下まで地下を走る必要はないわけですから、そうすれば人家のないところは地面の上を走ると、こういう形でもって延長しないともうどうにもこうにもならなくなってくるのじゃないかという気がするのでありますが、どうも現在の通勤輸送というのは宣伝ほどには改善されてない。去年の、四十三年十月のダイヤ改正でもって大いに通勤輸送の改善をされたように車内広告が行なわれたのを見たのでありますけれども、実際にはどうもそうでないような気がいたします。そこでこの委員会でも、四十三年十月のダイヤ改正で不十分な点は手直しをするという意味政府委員発言がございました。湯川常務だったと思うのですが、何か退任をされたようでありますが、その約束をした人が退任をされてしまうとあとどういうふうになるのかという気がするのですが、そういう点、国鉄として不十分な点を手直しをするということは、約束として生きていると理解してもよろしいのかどうか、お伺いしたいと思います。
  36. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 当然約束いたしたことは生きておると思いまして、きょう担当の長瀬がまいっておりますので、もし詳細な御質問がございますれば答弁を申し上げます。
  37. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 生きているにしてはずいぶん長いことほったらかしにされているという気がするのですが、これは埼玉県から、国鉄輸送力増強に関する要望書というのを私ももらってきたのであります。これを見ると、かなり従来と違って克明に具体的に注文を出されております。これらの注文について、技術的に不可能ならば別でありますけれども、技術的に可能な点はこれは実行に移すべきではないだろうかという気がするのであります。こういう県としての要望を取り上げる機関は支社がやるようになっておるのか、管理局がやるようになっておるのか、従来、地方自治体の陳情とか、そういったようなものをどこへ持っていっていいのかわからないという点があったのですが、まずその点からお伺いしたいと思います。
  38. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) たとえば埼玉県、千葉県、茨城県となりますと、一管理局だけではなかなか車の運用等の関係でむずかしゅうございますので、実際にはほとんど本社に、私どもの耳にじかに入りまして、私のほうと現地と相談をしてやるということになると思います。したがって、私もちょっとその埼玉県のを拝見いたしましたが、非常にこまかい、現地限りでできる問題もあれば、とても支社でもできない、本社でもよほどよそのことを考えながらやらなければできない問題、相当問題の範囲が広いと思います。したがいまして、事柄によりましてやはり本社あるいは管理局という段階に分かれるというふうに存じます。
  39. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まあたとえば千葉県なんかの場合は千葉に管理局があるし、茨城県は水戸に管理局があるというふうになっておりますけれども、埼玉県の場合は管理局がない、それから今度は栃木県になるとまた東京の管理局ということになる、その点管理局の境界というのが場所によってはまことに地方自治体との連絡の点でうまくないところがあります。山梨県なんかもそうなんでありますけれども、山梨県、青森県、福島県、こういったところは管理局がないわけです。こういうところは一体国鉄のどこの窓口に対して県民の注文を持っていっていいか戸惑うことになると思います。だから、現在の行政区域が適当であるかどうかは別として、現在の府県でもってそれぞれいろんな問題をまとめるようにいまなっているのでありますから、府県を単位とした窓口というものを国鉄としても必ずしも同じ場所につくる必要はないと思うのでありますけれども、窓口をあけておくという必要があるんじゃないか。それを一切本社で扱うということになると、これは扱い切れなくなっていいかげんになってしまうというおそれがあるので、この窓口を明らかにするという気がないのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  40. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 実はその意味で青森あるいは山形等には出張所という名称のものをつくりましたが、実際には地元の方々からはなかなか御納得、御利用がいただけない。いろいろな形で権限の問題等もございますし、よその地域との関係もございまして、やはり私は首都圏の問題になりますればもう首都圏全体の問題としてじかに本社で取り上げる以外にないんじゃないか。これほど複雑な通勤輸送になりますと、非常に行政区画も関係なしに、うちの国鉄の内部の業務遂行上つくりました管理局と無理やりに行政区画を合わすことがむしろ逆に無理である。したがって、首都圏等の全般の問題につきましては、やはり本社で直接見る。これは正式な窓口とかなんとかという意味じゃございません。そのほうが——かりに現場のたとえば埼玉県なら埼玉県の窓口をつくりましても、単に書類のチャンネルになるだけではこれは意味がないことでございますので、私は、たとえば神奈川県などにつきましても、ほとんど直接取引、ということばは悪いと思いますが、直接のお話を承っておりますし、やはり埼玉県、千葉県等につきましても非常に金のかかる問題もたくさんございますので、私どもじかに承るのが一番いいんじゃないか。機構問題を無視いたしまして、実効のあがる面から申しますれば、じかに承っておる。これは管理局でやらせます、これは非常に金がかかるからできません、あるいはこれはこうさせますというようなことで、多少私のほうの窓口が複雑になってもそのほうが一番いいんじゃないかというふうに私は考えております。これは組織論、機構論じゃなしに、実際の問題から申しますと一番そのほうが簡単明瞭じゃないかというふうに考えるわけでございます。
  41. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 通勤戦争という特集を新聞がやったことがあるのでありますが、その際いろいろ毎日のように通勤戦争についての具体的な事例を新聞には載せまして、こういうふうなものは目を通しておられるかどうかわかりませんが、この中で国鉄を代表する答弁として関東支社の旅客課長は、埼玉県だけが相手ではないという言い方をしておるわけです。こういう言い方はどこへいっても通用する逃げ口上になる。日本国じゅう、たとえば鹿児島へ行けば、国鉄は鹿児島県民だけを相手にしているわけではないと言えば、そこの苦情は聞き流しにできるという、こういう逃げ口上を使わしていいのかどうか。私は国鉄のとるべき態度じゃないだろうと思う。現実に利用者から深刻な苦情が出ておることははっきりしておるわけです。それに対して、じゃこの問題はいつまでにどうしますということを約束をするくらいのことができなければ不親切じゃないかと思うのです。運賃の値上げは、これは待ったなしに行なわれる。しかしサービスの改善というのは待ったなしどころじゃない、待ちきりでちっとも行なわれない。これじゃ私は国鉄としてやはり責任がないということになる。したがって、こういう差し迫った問題を突きつけられた場合に、また埼玉県だけが相手じゃないのだ、ここの駅だけ考えていくのはいけないのだという言い方でもってぬらりくらり逃げるという習慣は、この際やめさせることができないものかどうか。総裁としてこの機会に明らかにしてもらいたいと思うのです。
  42. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 確かに私どもの現場機関におきましてもそういう風潮があることは事実だと思います。ただ予算その他の関係で一度にできませんということを裏からそういうふうな表現をしていると思いますが、決してあなたのところだけじゃございませんということは適切な表現とは思いませんし、やはりいま申しましたとおり、ことにこの辺の通勤輸送になりますと、とても一管理局、一支社だけでは、たとえば一つ予算の面から見ましても実際お約束できかねるという問題が多いわけでございます。したがって、私どもといたしましては少なくとも首都圏通勤につきましては、本社の中の旅客局が大体責任を持ってやる、そうして管理局でやられるものは管理局でやらせるという態勢でいくのが一番皆さんに御迷惑をかけないで、ことに距離が近うございますから、もう電車で行ったって三、四十分すればお互いに話ができる仲でございます。したがって、現場の末端でいろいろトラブルを起こすよりも、やはり本社のしかるべきところでしかるべきお話をしたほうが、むしろ全体の解決を早めることになるというふうに考えまして、ただいま私のほうの管理局で線別に担当をたとえばおまえは東北線、おまえは東海道線担当というふうな仕事の分野をきめるという考え方を持っております。そういう考え方でいきませんと、なかなか地方だけで問題を解決しようといたしますと、いま申しましたようなのらりくらりの答弁になってしまいますので、なるべくこれはそういう大きな問題は一応本社として無理があっても本社でじかに取り上げていくというのが一番解決の筋道が早い、こういうふうに思っております。
  43. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私も経験があるのですけれども、たとえば八高線なら八高線の町で通勤列車が問題になる、そうすれば町議会でいろいろ相談をする、もよりの駅長のところへ行く。駅長は私の手には負えないから管理局へ行ってくれ。管理局まで行くと、なるほど区域は私の管理局だけれども、車は東京管理局だからということを言って逃げられる。その辺でたいがい町長とか町会議長とかいう地元のおえら方はさじを投げてしまう。鉄道というのは不親切だというのがそこら辺からまず観念づけられると思う。国鉄の管理機構というものは、そういうふうにあっちへいけ、こっちへいけというので責任を持たされていないということにも原因があると思うのですが、利用者の注文というものをもっとすなおに受け入れられるような態勢というものをつくっていく必要があるのじゃないか。  そこで今度は通勤新幹線というような構想があるということをお伺いしたのでありますが、これはやはり政府が相当思い切って投資をする、こういう気持ちにならなければできないと思うのです。国鉄が自前でもって特に現在のような財政構造の中で通勤新幹線ということは絵にかいたもちにひとしいと思う。これは当然政府自身が通勤新幹線ということを考える。通勤新幹線を考える以上は、現在の東海道新幹線だけではなくて、新幹線網というものを延長して東北新幹線であるとか、上越新幹線であるとか、こういうものも一緒に考えるということをやらなければいかぬと思うのです。それはゆっくりしていられないと思うのです。だからそういう構想を具体的に財政措置とあわせて政府としてお考えになるという気があるのかどうか、これは大臣にお伺いしたいと思います。
  44. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私は皆さん方の非常な御協力によりまして国鉄再建のための十年という法律を御審議願いまして、今後はいまお話に出ましたような国鉄として果たしていかなければならない具体的な問題というものをどうしていくかということと取り組んでまいりたいと思います。その根本になるものは、一つはやはり全国総合開発計画というものであろう。その中に占めるところの運輸省の引き受けなければならぬ問題は何か。国鉄の新幹線の問題につきましても、そういう意味で私どもはまあこの全総計画を立てるにあたっては連絡をとりつつやってまいったわけでございまして、具体的にいいますと、いままでは国鉄は、この新幹線は東京−大阪間、それから岡山への延長、それから博多までの延長というものまでは一応国鉄の現在の計画の中で進めていこうということで進めておるわけでありますが、新しい新幹線の敷設ということになりますと、新しい構想というものを計画に直して財政的に裏づけしなければ実現をしないという問題と突き当たるわけでございますから、これらにつきましては十分な検討を加えて実現をはかっていくようにいたしていきたいと思っております。全総計画の中には、たとえば新幹線は昭和六十年ということになりますと、全国的な相当なところまで見通しを、まあ絵をかいておるわけでありますが、その中でも特に早く進めていこうということになりますと、いま通勤新幹線という名前で国鉄総裁一つ具体的な構想のように、具体的な問題として出されておりますが、たとえば高崎から上越、北回り新幹線というものは、これはその通勤を含んだ新幹線になるのかどうかというような問題。これは全総計画でもこの計画を進めていくという態度をとっておるのでございますから、これらの問題と考え合わせて早期実現するためにはどうしたらよいか、財政的にはどうしたらよいか、こういうことを進めていかなければならぬ問題として取り上げてまいりたい、このように考えております。
  45. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この取り上げなければならぬ問題はたくさんあるのでありますが、県知事から国鉄に対する要望として出されておるのは、京浜東北線の問題、それから東北線の問題、高崎線の問題川越線の問題、八高線の問題、それぞれあるわけです。一つ一つやっておると時間がかかりますから、一つ一つは言いませんけれども、これを見ると、そんなにむずかしくないこともたくさんあるわけです。もちろん通勤新幹線というようなことになると、そうあっさりしたものじゃないということはわれわれもわかる、その必要性は認めてもですね。その通勤新幹線といったようなことは、きめたからといってすぐできるものじゃない。しかし、人口がふえるのはもう毎日毎日ふえておるのです。これに対処するためにさしあたって暫定的な措置というものを講じようとすれば、現在の車両の編成を伸ばすとか運転間隔を短縮するとか、運転区域を拡大をするとか、あるいはまた設備ができた個所に停車をする。たとえば浦和の駅はホームをつくった、ところが、つくったけれども停車をするのは全く限られた時間だけである、これをなるべく終日停車をさせる、こういうようなことはむずかしい問題じゃないという気がする。むずかしい問題じゃないとするならば、利用者の利便をはかるために、なにもことしの十月まで待たなくてもできることはどんどんやっていくということでなければいかぬと思うのでありますが、そういう点はどうでしょうか。
  46. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 一つ一つのこまかい問題は別といたしまして、全体の運び方といたしまして、ダイヤ改正を伴う問題、あるいは車の運用が非常に大きく変わる問題等につきましては、どうしてもある一定の時期にいたしませんと非常に混乱を生じますので、できるだけ十月一日なら十月一日というやり方でいたしております。しかし一、二のダイヤの変更とかあるいは一駅の延伸ということでできることなら、それは何も十月まで待つ必要ないわけでございますが、どうも私先ほど拝見したそれによりますと、大部分がやはり、その局部にとりましてはたいしたことではなくても、全体の高崎線なら高崎線、あるいは上野駅口の着発に影響するところが大きいようにちょっと見受けましたが、もう少し具体的に検討いたしまして、もちろんダイヤ改正までにできるものはする、あるいは車両新製ができますれば、新しい車からどんどん入れていくという方法は当然とる、決して何もかも十月までやりませんということではございませんから、どうぞ御了承願います。
  47. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 もう一つ、国電の暫定措置として、国電を延長運転というようなことは、これは技術的には可能じゃないかという気がする、ゲージが違うわけじゃありませんから。この電車の区間というものを調べてみると、東海道線でいうと大船までを電車区間とすれば四十六キロ半ですね、横須賀線だったら久里浜まで七十キロ、中央線は高尾まで五十三キロ、総武線は千葉まで三十九・八キロ、約四十キロ、それから常盤線が取手まで四十三・二キロ、これがそれぞれいわゆる国電区間になっております。ところが東北、上信越方面は大宮まで、東京からの距離は三十キロ、その大宮で打ち切っているということは、考え方としてはあそこまでが首都圏であって、大宮から先は、どんなに人口がふえようとも依然として片いなかと同じ扱いであるということになるわけであります。こういう不公平な取り扱いは私は改めるべきじゃないか。このほかの線が、やはり四十キロないし五十キロのところまで国電を延長して運転をしているならば、東北、上信越といえどもそれに匹敵をするだけの延長運転をやってもちっともおかしくないし、支障はないのじゃないか、現にそういう要望がきわめて強いわけであります。高崎線の線増であるとか、あるいは通勤新幹線というようなことが一朝一夕にはできないということであれば、暫定措置として国電の延長運転くらいはやるべきじゃないかと思う。なぜ東北方面、高崎線方面は大宮で打ち切らなければならないのか、延長ができないのか、延長する気がないのかどうか、その点についてお伺いしたいと思う。
  48. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 国電の運転区間につきましては、先生御指摘のとおりでございます。問題はやはり専用の線路というものが問題になるわけでございまして、ただいま高崎線の例で御指摘がございましたが、たとえばこの線につきましても現在は複線でございます。大宮から三線になっております。したがいまして、そうした線路の容量という点から考えますと、かりに熊谷まで、あるいはその先まで運転するとなりますと、これは貨物列車というものが非常にたくさん走っております。その点から、長距離の列車というものが全然入れなくなってしまうということで、結論的に申し上げますと、結局線路をふやす以外には方法がないわけでございますが、もちろん今後の需要増高というものがあると思いますので検討しなければなりませんが、こういう点から、まず現在問題が一つあります。それから今後こうしたげた電と申しますか、それをどこまで延ばしていくのかという点につきましては、機械的な設備、あるいは個々の需要増高、あるいは人口増高というような点もございますが、考え方としましては、高崎線につきましては中距離の電車、これを中心にサービス改善をしていくということが正しいのではないかというふうに考えております。
  49. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これは考え方はそうだけれども、実行に移す気配はないわけですね、いままで。具体的に指摘をすると、この委員会でも上野から大宮まで視察をしたわけでありますけれども、夜七時過ぎになると一時間に二本しか電車は通らないわけですね。そうするとその間に走る電車はもう急行に利用された電車を改装して利用しているだけです。だからグリーンカーが二両ついて食堂車がついた電車は通勤電車となってたいへんな混乱をしている。こういう混乱が去年の十月のダイヤ改正以来毎日のように続いております。しかも現場で調べてみましたら、駅長のほうでもこの混乱にたまりかねて、ささやかな要求であるけれども、電車をかえてもらいたいという注文を出しております。ところが、このきわめてささやかな注文すら受け入れられていないというのが現状なんですね。この点ずいぶんこれは無責任だなというようように私は感じたのです。こういうことをやっていていいのかどうか。乗り切れないほど人が殺到する。平時でもそうだから、雪が降るとかあるいはこれから想像される落雷時における事故であるとか、先般の動力車のストライキであるとか、こんなことがあるとホームに客がたまってしまって、警察が出てこないと整理がつかない状態になる。こういう警察が出てこなければ整理がつかないような事態が年に何回かある。ところが線路を遊ばしておかないで、国電をもう二十キロか三十キロ延長運転すれば解決のつく問題なんです。現場長といえどもそのことを言っているわけです。それをあえてやらないというのは、私はもう幹部の怠慢であるということ以外にないと思うのです。いかに現場職員が一生懸命にお客のしり押しをして働いてみたところで、ダイヤをつくる人がまるっきりそういう実情を承知の上で何らかの手を施さないということは、これは怠けていると言われてもしようがないと思うので、そういう怠けている状態が半年以上一年も続いているということは、これはどう考えても解せないわけです。なぜこういうはっきりわかった問題に対して手を打とうとしないのか。責任感をもし総裁が部下に対して説くならば、こういう肝心の計画をつくる幹部の責任感というものを問題にする必要があるんじゃないかと思うのですが、その点について当局の見解を伺いたいと思います。
  50. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 現場の要求というものにつきましては、私ども本社並びに支社・管理局を通じ見ております。ただいま御指摘のような急行編成を通勤に当てているということでは、確かにこれは運用といたしましては適切ではないというふうに考えます。しかしながら、現在電車の基地にも問題等がございまして、この電車を収容する線がないというような事態に対しまして、たとえばいま東大宮に電車の基地をつくっております。今後といたしましては、通勤時間帯にグリーン車が入っているような電車というものは極力避けるということは当然なことだと思うのです。諸般の設備の総合的な改善によってできるわけです。しばらくごしんぼうをいただきたいと考えておるわけでございますが、私どもといたしましては、真剣に通勤輸送の問題につきまして日常検討いたしております。決して怠慢というようなおしかりを受けることはないと思うのでございますが、ただ目の前に実現しないという点につきましては時間をかしていただきたいということを申し上げます。
  51. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は東海道線も利用するし、横須賀線も利用するし、高崎線も東北線も利用しているのです。比較をしてみると、やはり高崎線のほうが一番ひどいわけです。この間も上りの信州何号というのに乗ってみました。そうしたらグリーンカーが二両ついてビュッフェがついております。そのグリーンカーの一般の車のほうは空席が二つ三つしかなかった。ところがその前のほうのグリーンカーの指定席のほうを見ると客が二人しかいなかった、これは上野に到着する前の状態を見ると。こういうつり合いのとれない状態、片方は客が二人しか乗っていない、片方はほぼ満員である、四十八名くらいの定員のグリーンカーを二両つけるくらいならば、あれはもう少し定員の多い横須賀線で使っているようなグリーンカーを一両にして、そうして一般の従来の二等車を一両増結するというほうがこれは合理的じゃないかという気がするのです。  これは一つの例なんでありますけれども、こういうまことにつり合いのとれないことをやっておるわけです。また、別に怠慢じゃないと言っておるけれども、現実に乗り残しを生ずるような混雑を毎日のように半年以上たっても繰り返しているということは、私は怠慢だと言われてもこれはしようがないと思うのです。一生懸命努力していると言うけれども、努力してない、ほったらかしになっている。それも三カ月や四カ月ならばいたし方ないということになるかもしれない。去年の十月のダイヤ改正からもうすでに六月を迎えた。これから夏のこれは非常に満員の、通勤客にとって苦難の月を迎えようとしている今日に至っても、まるっきり知らぬ顔をしておるというようなことは、私はやはり責任感の欠除というふうに指摘をされてもしようがないと思うのですね。こういう点はすみやかに私は是正をすべきじゃないかと思う。十月ダイヤ改正まで何とかいたしますというようなことであってはならぬと思うのです。どうしてもこれらの問題については、機械的に十月ダイヤ改正まで待たなければならぬ、こういうことになると、あらためてことしの十月を迎えても依然として相も変わらずという結果になるのじゃないかという不信の念を持って見られてもしようがない。現にこの私どもが行なった世論調査アンケートあるいは新聞社が特集をしておる記事を見ても、十月ダイヤ改正になって期待をしておったが、ちっともよくならない、四月になって手直しをするという話だったが、ちっともよくならない、こういうのがどんどん出ております。こういう意見というものが一般の世論になれば国鉄は信用されなくなる。運賃は上げる、そのことだけは間違いないが、そのほかのことはちっとも信用されないということになる。そうやって信用を落とすということがいいことなのかどうか、私は問題だろうと思うのです。いま少し責任を持って処理をすべきであるというふうに考えるのでありますが、この点はどうでしょうか。
  52. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) ただいまの御指摘のような点につきましては、私どもとしましては、東北線あるいは常磐線につきまして非常にダイヤが錯綜いたしております。したがいまして、そこで時間を変えるということが非常にむずかしいわけでございますので、ある時点、たとえば十月一日をつかまえて改正をする、その前提になります問題はやはり車の調達でございます。車の調達が十月なりあるいは四月なりという時点に合わせて購入をいたしておりますので、高崎線につきましては十月に現在の十二両編成を十五両編成にする、これにつきましても、ホームを十五両編成のホームに直さなければならないという点で十月までにこれを編成するように現在鋭意努力いたしておるわけでございます。  そうした通勤輸送の改善につきまして一つずつしらみつぶしに計画的にやっておりますので、すぐと申されましてもこれは問題があるわけでございます。私どもとしては、特に埼玉県あるいは栃木県方面の通勤輸送、非常に伸びてまいっております。その点については責任を持って今後努力をしていくということにつきましては、今後一そう推進したいというふうに考えます。
  53. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 本件に関する質疑は、本日はこの程度といたします。  午後一時半まで休憩いたします。    午後零時二十分休憩      —————・—————    午後一時四十四分開会
  54. 岡本悟

    委員長岡本悟君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  55. 森中守義

    森中守義君 前回に引き続いて少しお尋ねしたいと思いますが、海造審の添付された末尾の資料によれば、要するに二千五十万トンの必要建造量の根拠として、輸出が五千四百三十万トン、それから輸入が五億五千七百九十三万トン、まあこれだけのものを六カ年の間に輸送するにあたって積み取り比率を六〇%ないしは七〇%に上げる、まあこういうことをいわば二千五十万トン建造の積算の根拠とされておるようであります。そこで問題なのは、企画庁が出されている「経済社会発展計画」「四〇年代への挑戦」、この中に海運対策というのが大綱的に述べられている。同時に、ごく最近、本年の一月二十七日に同じく企画庁から出された「四四年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」、こういうものがある。もとより「四〇年代への挑戦」ということでは大綱的な一つの方向を示したにすぎない。ところが「基本的態度」からいけば、かなり内容的に具体的に入っておる。すでに検討されたと思うのですが、まあ要するに、その輸出の場合には、欧米諸国がやや経済活動が鈍化する、したがって年率一二・五%を見込む、これに対して輸入は一五・六%、ややこれを上回るのじゃないか、こういったようにかなり成長率を具体的に表現しているのです。むろん欧米諸国の経済の推移がどういった状態発展していくか、それはいまにわかに予測できません。しかしながら少なくとも輸出輸入ともに貿易の量を出される、したがって企画庁が出している輸出で一二・五%、輸入で一五・六%、こういうものがやや精密に六年間の年率となって出された上で、二千五十万トンという建造量の設定になったんじゃないか、こういうように思うのです。したがって、その辺の経緯を運輸省及び企画庁、御両者からおのおのお答えいただきたい。
  56. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) ただいま先生が御指摘になりました点は海運造船合理化審議会でも非常に問題になったところでございまして、この新海運政策を討議いたしておりますときに、われわれがよるべき政府全体の決定されました計画といたしましては、経済社会発展計画しかなかったわけでございます。経済社会発展計画の国民総生産の伸び率、これは八・二ないし八・五でございます。このGNPの伸び率を一応前提とする以外に確かな数字がなかったということでこれをとりまして、そして過去の輸出入量の伸びとの相関係数をとりまして、そして昭和五十年における輸出輸入量というものを想定をいたしたわけであります。それで、ただこのうち石油類等につきましては、経済団体連合会あるいは石油連盟等から、あるいはこれよりも将来輸入量がふえるようになるかもしれない、その場合にはまたこの計画自体の改定ということも考えてほしい、こういう要請がございました。  以上がこの計画を策定いたしましたときの経緯でございます。
  57. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) ただいま運輸省から御説明がありましたとおり、これからの長期の一つの計画といたしましては、経済社会発展計画が総合的な計画になって、そこでは四十六年度を目標にいたしておるのであります。四十六年までのGNPの成長率を計画では四十一年度を起点にいたしますと八・二%——これは実質でございます。四十年度を起点といたしましては八・五%になるように計画では定めてございます。計画の二〇ページに表が出ております。ただ、これからさらに先の四十九年度あるいは五十年度ということにつきましては、はっきりした計数を政府のほうとしても定めておりません。これはただいま経済社会発展計画がかなり実勢と乖離してまいりましたのでその補正作業を始めておりますが、その補正作業によっておそらく目標年次を四十八年ないし五十年というふうに延長して将来の姿をさらに描くことになろうかと思いますけれども、それはただいま作業中でございまして、現在のところ何とも申し上げられない。したがいまして、この造船計画のときの基準といたしましては、やはり政府唯一の計画である経済社会発展計画を延長さしていくという大体線をとらざるを得なかったということでございまして、いまの四十年度を起点にいたしますと八・五%ということは、そのまま造船の建造計画のほうでもおとりになって、四十年ないし五十年の成長率を八・五というふうに想定されて計算されたものだと思います。  ただいまのところではそれ以上よりどころがなかったということでございます。これからさらにその点については計画といたしましては検討をいたしております。ただいまのところそれがどう変わるかということもなかなか申し上げにくい段階でございます。景気変動の波を大きくかぶっておりますので、計画策定も、かなり順調に伸びてきたのが今後さらに続くのかどうかというところにも問題が出るであろうと思います。各方面の御意見を聞きながら検討いたしておるところでございます。
  58. 森中守義

    森中守義君 これはその御説明で経緯としてはわかりましたが、今度企画庁で出された輸出が一二・五、輸入が一五・六、これはどうなんですか。当初の「四〇年代への挑戦」ということでは、大体四十年を起点として約二倍くらいにふくらんでいるんじゃないですか、こういう見方をされておるわけですね。ところが四十四年度に出された「基本的態度」というものでは、かなり具体的ですよ。したがって、要約して言えば、ここ当分は輸出において一二・五、輸入で一五・六という年率の成長率を一応見ていいのですか。そのことが確かに海造審で採用された資料は八・五%ですから、かなり見ようによると手がたく見込んである、こういう見方を私はできると思う。ですから、過大に見込むよりはむしろ低率に見たところに手がたいという感触はありますけれども、しかし輸入の場合等においては約二分の一なんですね、非常に低い率になっている。したがって、輸入が一五・六%程度で年率成長を遂げていけば相当大きな狂いを生ずることになる、そういうことなんですね。そうなれば二千五十万トンという必要建造量というものはある段階において手直しをせざるを得ない、こういうことも一つの理論としては成り立つんじゃないか、こういうように思うのです。したがって、企画庁のほうで見通しとして一二・五及び二九・六という、これから六年の間におおむね年率この程度の成長率を遂げるんだ、非常に用心深い先ほどの答弁でありましたけれども、大づかみにその辺の見当は示しておいていただかないと、幾ら八・五%程度まで見ているといっても、結果的に大きな狂いを生ずるということではかなり私は大きな問題を将来に残すことになると思うのです。その点、もう少し具体的にお答えいただきたい。
  59. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) お答えいたします。おっしゃいますように、四十四年度の見通しにおきましては輸出が一二・五%、輸入が一五・六%という数字を見ております。ただいまのところを考えてみますと、世界貿易の動きというのはわりあいにこの二、三年来活発でございまして、長期的に見ますと世界貿易の伸び率というものは大体六%くらいなんですが、この二、三年のところがそれが八とか一〇というふうな大きな景気の盛り上がりの時期に当たっているということもいえるかと思います。こういうものがずっと続くということであるかどうかにつきましては、世界的にも大きな景気循環の波が、また日本経済にも大きないまの盛り上がりというのは長期的な循環の山場にあるのじゃないかという御意見を言われる学者もおられますし、今後この伸び率がさらに数年続くかどうかについてはかなり私どもも疑問があるように思います。  ただ先ほどおっしゃられましたように四十年から四十六年の間にほぼ二倍になる、ほぼ二倍になるということは大体いまの通関の輸出入額で一一%ちょっとの伸び率を見ておるわけでございます。その一一%ちょっとの伸び率と、いま申された一二・五あるいは一五・六というところにはかなりの差がございますけれども、むしろ長期的に見た場合にはどちらかというと一一、二%の伸びのほうがむしろ安全性が高いというか、確立の高い数字かというふうな気もいたしますし、この四十四年度の数字でもってこれから五、六年の数字のもとにし得るかどうかについては、重ねて申し上げますが、少し問題があるのじゃないかというふうに思います。かなりいまのところは、何といいましても順調かつ強気の見通しになっておるということだろうと思います。
  60. 森中守義

    森中守義君 なるほど四十四年度の場合の強気含みということは、現状の経済活動から見て否定するわけにはいかぬと思う。しかしこれはその計画造船というものが長期にわたっているだけに、八・五%に求めた根拠、どういう変動状態が訪れるかは、それはなるほど予測できないにしても、ある程度これが基準になるというそういう診断をしておきませんとぐあいが悪いと思うのですよ。したがって残念ながら、いや、八・五%手がたく踏み込んでいるということは、これを大幅な変動は来たさないのだ、少なくとも大体手がたく八・五%見ておけば相当の変動期を迎えても大体やっていける、大づかみに言ってこの程度の判断をお示し願っておかないと、ただ見通しはないということではちょっとこれは法案審議の素材としては納得できない。したがって、八・五%見ているということは、長期の建造計画に大幅な変動は来たさない、そういう言い方ができるのか、あるいは八・五%が海造審のたたき台に乗っかったから、もう非常にあぶないならあぶないとか、そのどちらかをはっきりしてもらいませんと先に審議を進めるわけにいかぬのですが、これは要するに企画庁のほうの判断の問題だと思う。その点もう少し正確にお答え願っておきたいと思いますね。
  61. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) いまの段階では四十六年以降の先々のことについて正式なことを申し上げるのはたいへんむずかしい立場にございますが、私の感じといたしましては八・五%で伸ばされたということは一つの基準にはなり得ると思いますが、かなり手がたい形で見積もられたというふうに思います。
  62. 森中守義

    森中守義君 そうすると、たたみ込むようですけれども、大体八・五%を基調にしていけばおおむね積み取り比率というものはこういう段階にとどめることができる、こういうように理解していいですね。
  63. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) 一つの基準になる考え方だとは思います。ただ、繰り返し申し上げますが、かなり手がたい見込みであるということだろうと思います、現段階で判断いたしますと。
  64. 森中守義

    森中守義君 そうなると運輸大臣、大体手がたい八・五%が建造基調だということで、それ以上申し上げることないのですがね。しかし、六年間に相当の上下幅が出てくるのじゃないかと思うのですよ。それで八・五が手がたいとはいいながら、実際の積み取り比率に何がしかの影響を与える、つまり七〇%ないしは六〇%の段階に到達が困難である、そういう場合には建造計画というのは手直しするのですか。このとおり押し通していきますか。
  65. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いま経済企画庁から御答弁を申し上げておりますように、経済社会発展計画で四十六年までの見通しというものを政府は立てておるけれども、それ以後というものに対しては政府としての担当庁である経済企画庁も持っておらない、そこでその八・五%というものを手がたく見て間違いなかろうと、こういう答弁をいたしておるわけであります。これはもう何度もここでお答えしておりますように、世界経済というものはどう動くかということが根底にありますから、日本では、世界の貿易が一伸びたら日本は二伸びるというような弾性値を持って今日まできたというようなことが、今後もそうであるかどうかということは、これは不確定な要素があるわけでございますが、私は少なくともいま経済企画庁が言っておるように、四十六年までのなには確たるものを政府の責任をもって言える、そこであと三年というものについては間違いないか、こうおっしゃると、それは見通しの問題でございますから、これはまあおしかりをこうむるかわかりませんが、だいじょうぶだと思いますけれども、そこに狂いが出てくるかもわからないし、これは不確定な要素がないとは私は申し上げられないと思います。そこで、そうするとこの八・五%を上にこえたとき、あるいは減るときがあるかと思いますが、こえたときでも減ったときでも、この計画では昭和五十年において、いま御指摘のように積み取り比率は輸出六〇、輸入七〇と、こうしているじゃないか、そこで収支がとんとんにいくように均衡させるという目標を立てているじゃないか、そいつを変えなければならぬのじゃないか、こういう御質問でございますが、私は率直に言いまして、その場合にはこの二千五十万トンですか、いまの建造計画を改定するかどうかについて、これは考えなければならぬ。そこでそのときには、時期を見て海造審に諮問して、海運企業のその体力といいますか、これを見ながら財政当局と協議をして決定をしなければならぬ、こういうことだと考えております。
  66. 森中守義

    森中守義君 私の質問それ自体が仮定の質問ですしね、勢い大臣の答弁も仮定的なものにならざるを得ない。しかし問題は、海造審の答申が出たのは去年の十一月ですね、そこでどういうものを材料に扱われたのか。おそらく権威あるものだと思うのですけれども幾ら手がたいといいながら、四%あるいは七%近い差を生するということになると、ちょっとこれは問題だと思うのですね。すでに二年ないし三年経過したあとに、こういう年率の成長率に変化を生じているというならば、これはわかりますよ。しかし、去年の十一月、まだ一年たたない間に、こういう狂いを生じたということは、言ってしまえば運輸省あるいは海造審の企画庁との協調が一体どういうものだったのか、扱われた材料がどういうものであったのか、総体的にその見通しについてかなり私は同意しがたいものがある。なるほど時々刻々変動する経済事情のことですから、ぴちんとはいかぬでしょうけれども、手がたくと言いながらも四%あるいは七%近い差を生じているということは、答申それ自体、これをまた受けられて、そのまま国会に資料として出された運輸大臣考えがどうもわからぬのですが、手がた過ぎるという、そういうことでは済まされないような気がするのですね。その点どうですか。
  67. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 非常に政府の見通しというものが違っておるではないかという御指摘に対しては、私は、これはもう正直に言って一言もないと思います。四十三年度に関しましては、予算編成当時から今日の国際収支の見通しを、そりゃ立てた人もありますが、だけど政府としては総合予算主義をとり、引き締めて、警戒警報を発した予算編成をしなきゃならぬ、これは世界の動きというものが根底にあったと思うのです。いまも変動を続けておりますけれども、ポンドあるいはまあドイツのマルクまで及ぶ世界の市場におけるところの動きというものに対応するためにどうしたらよいかということを頭をひねってやったところが、案に相違して、逆に日本は貿易収支は改善されて、一年に思わぬ黒字ということがございましたから、これらについて御指摘をされると、たびたび予算委員会でもあるいはこの場でも申し上げておりますが、全く一言もない。よかったからいいじゃないかでは済まされぬ問題があろうと思いますけれども、長期にわたって今後の見通しを立てていくのでありますから、できるだけかた目に見て、その時点において間違いないということを立てていくのが基本の姿勢であり、この経済成長率の八・五%というものも、まあ森中さんは、これもどうだということをおっしゃっておるのでございますが、かた目に見ておくことが長期にわたっては間違いないということで、これは今後確信を持って進めていくのにはちょうど見通しによろしい数字ではないか、このように考えます。
  68. 森中守義

    森中守義君 ちょっと、うちの大臣あとにしまして、行管長官見えているので、あまり時間がないようですから……。この前せっかくおいでいただきながら十二分に意見がかわせなかったのですがね。その後新しい問題としまして、いまこの委員会で新しい海運政策を議論しているその中で、いまお耳に入ったと思うのですが、これから六年間にわたって二千五十万トンという驚異的な船腹をつくろう、こういうことなんですが、そこでせんだって、船をつくるのはけっこうなんだが、一体乗る人はどうなるか、こういう議論から発展をしまして、いま文部省の所管として商船大学、それから関連をする航海訓練所、こういうものとかいろいろ文部省が所管している、いわゆる乗り組み員の教育機関を持っている、それといま一つは電波関係ですね、オペレーターを養成する一つの通信大学、三つの電波高校を文部省が持っておる、そこで前回は文部省も来てもらって、こういう議論をした。元来こういうものは、その学校に志を立てた少年ないしは青年はすでに行くべき方向、つまり職業の選択をしてその学校に入った。それならば、今日のように逼迫をしている特殊技術者の需要の問題、これに対する供給の問題、つまり需給の関係だとかあるいは特殊教育とか、こういうものを勘考していけば、むしろ一般教育という制度のワク組みとして文部省に置くよりも、片や運輸省、片や郵政省に移管したほうがより効率的なことになるのではないかというようなことを議論をしたわけです。文部省はむろん抵抗しました。しかし運輸大臣はたいへん格調の高い賛成の演説をぶたれた。そこでこういうのが、今日学校教育がたいへん問題になっている、こういう時代に、以前はそういうような状態にあったわけですから、もう一回文部省から運輸省なりないしは郵政省に移管するほうがより効率的であり効果的ではないのか、こういうように私は思うのです。したがって行管のほうで、いままでそういうことに対してどういう観察をお持ちであるのか、あるいはこれから先、過去なかったとすれば一つ問題点として検討される御意思があるかどうか、このことをあなたにお聞きしたがったのですが。
  69. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 私も党の行政調査会長を命じられておったときに聞き及んだ問題でもございますが、それ以来行官長官を命ぜられまして、むろん話題としては説明を受け、一応のことは承知しておるつもりでございます。  結論から申し上げれば、いま運輸省文部省まあ取り合いっこをしておられるようですが、軍配を上げるに至っていない、一年くらいひとつ検討しましょうということで今日に来ていると承知いたしておる。これはやはり両所管省で、いま森中さん言われたようなそれぞれの見方があると思うのですけれども、現実問題として制度論を離れてお話し合いがつけばそれがベターだ、こういうふうに思います。行管みずからが両方賛否相分かれておるときに価値判断して、こうあるべきだということを申し上げることはいかがであろうというふうに感じまして、検討中である状態をそのまま温存しておるというのがありようの申し上げ方であります。
  70. 森中守義

    森中守義君 ちょっとことばじりをとるようで悪いのですが、奪い合いがあり、取り合いが始まっているのですか、私はそういうふうに聞いていないんですが、そこまで深刻な場面が具体的に進展しているとは聞いていない。それはそういったように取り合いが始まっている段階まで事態が進展しておれば、なおこれは一歩踏み込んだことになりますから大いに歓迎しますよ、そこまでいっていないように聞いていますよ。それが一つと、それからその当事者関係で話し合いがつけばそれがベターだ、こう言われるんですが、それでいいですか。話し合いがつけば行管としては異論はない、こういうことですか。行管独自の意見は持たなくてもいいと、こういうことですね。
  71. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 必要とあらば行管として調整機能を命じられておりますから、判断してお答えを申し上げるべき段階に至ることはあり得るとは思いますが、ただいまのところはお話し合いがつけばそれがベターじゃないかと私は思います。学校制度そのものでございますれば、学校教育法以下の制度上の課題として、じかにはっきりすると思うのですけれども、いわば実習訓練をどこでやるかという話題として取り上げますれば、工学部その他が既存の会社等へ実習にいくとかいうようなことに似たような概念と一応考えまして、その観点に立って考えますれば、どっちか知らぬ一番効果のあがるほうがよかろうという課題かという意味において、お話し合いがつけばそれでけっこうじゃないかと、こう申し上げるわけであります。
  72. 森中守義

    森中守義君 これは何事も話し合いによらずきまることはないので、そういう意味合いの話し合いということをさしておられるかどうか、あるいは行管がタッチしないのだから当事者間で話し合いがつけばけっこうだという意味なのか、よくわかりません。しかしやはりこういうことにはやっぱりどこかで折り目をつけなくちゃいけませんから、つまり立体的に理論的に現実的に何かの折り目が必要だと思うのですね。だからそういう意味で、私は、行政管理庁は独自の国有の見解をお持ちになるためにそれなりに実態調査をおやりになるとか、関係者の意見を徴されるとか、そういうことである種の意見の表明というものが最終的には必要じゃないですか。私は何も勘だとか気持ちだとか、そういうことで当事者の話し合いがつけばいいじゃないかというものは、これは行政管理庁の仕事じゃないと思うのですが、それと、そのことに対してお答えをいただきたいのと、運輸大臣、いかがですか。いま行管長官が、話し合いがつけばけっこうだということなんですが、もしそれを踏まえてやってよろしいということになれば、さっそく文部大臣お話し合いをお進めになりますか。
  73. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) きょう森中さんからこの種の問題でお尋ねがあるということがありまして、さっき申し上げたように、今日までのおよその状況は事務当局から聞きました。したがって、はっきり申し上げるためには、その後の運輸省及び文部省のこの問題についての考え方をよく両方から承っておいたらどうだということを事務当局には指示いたしまして本日参上したような次第であります。いまおっしゃるような意味合いにおいての制度上の課題としてどうしたほうが適切であるかということについて、いま結論的なことをちょっと申し上げかねます。もっと検討さしていただきたいと思います。
  74. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いま行政管理庁大臣から、今後検討をしたいというお話でございますから、私はそれでけっこうであると思っております。というのは、この問題については、昭和四十二年二月ですか、文部省から行政管理庁に調整を依頼して、運輸省も行管庁も交えて検討することに同意をいたしておりまして、それがまだ結論が出ておらないという段階でございますので、結論を申し上げますと、荒木さんに非常にごやっかいでございますけれども、ひとつ検討を加えていただきたい、私どももそれの呼びかけには応じて問題に対処していきたい、こう考えております。
  75. 森中守義

    森中守義君 非常に正確に整理されましたから、それでけっこうです。  それと、運輸省だけでなくて郵政の通信関係の学校もありますから、これも包括してお進めになる、こういうふうに私は理解しておきたいと思うのですが、よろしゅうございますね。
  76. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 運輸省の電波関係のことにつきましては、きょうお尋ねがあるということは私予測しないままに出まして、さっき申し上げたと同じ意味において事務当局に検討しようじゃないかとは実は申しておりませんが、類似の課題でございましょうから、同じような意味合いにおいて検討を続けていきたいと思います。
  77. 森中守義

    森中守義君 よく事務当局、管理局長か何か聞いてください。電波関係は運輸じゃない、郵政関係ですよ。ですから、それはもう十二分に事務当局の説明も聞かされていないようですから、その辺は混同しないように、要するにひとつぜひ、四十二年、関係各省の間で話し合いが進められているという運輸大臣お話でもありますから、これはもう何年も何年も放置しないで、特に二千五十万トンことしからもう入るのですから、早くしないと間に合いませんよ。そういう意味でできるだけ早い機会にお答えを出していただくようにお願いしておきたいと思います。行管長官けっこうです。  そこでさっきのお尋ねの続きになりますが、要するに計画それ自体が海運収支を、さらにそのワクの中における運賃収支の赤字を解消する、改善をする、そのために積み取り比率を高めるのだ、こういうことなんですね。しかるに貿易収支全体を見ればかなり好調、しかも先ほどの企画庁のお答えからいっても多少の変動はあるにしても、おおむね八・五%手がたく読みながら推移していくんじゃないか、こういうお話なんですね。そうなると、四十六年あるいは五十年段階までおそらく貿易収支はこれまた手がたく黒字基調を続けていくのじゃないか、一般的に財界あるいは評論家あたりは見ているようです。そうなると、貿易収支全体が黒字であれば、何も海運収支が赤字だから、その中の運賃収支が赤字だからということでことさらにしなければならぬ理由がどこにあるのですか。
  78. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) ただいま先生のおっしゃいました点も海運造船合理化審議会議論の出たところでございます。日本全体の国際収支が黒字になっていれば、何もそのうちの海運の国際収支だけを取り上げてそれをゼロにするということを考えなくてもいいではないかという議論も確かにございました。ただ、この海運と保険は、御承知のように貿易付帯経費と申されておりまして、経済成長が大きければ大きいほどこの貿易付帯経費の赤字はふえてくるわけでございます。それでもし、このように八・五でも相当高い、世界的に見れば高い経済成長率でございますが、このまま伸びていくとして、船の手当てをやらなければ相当に海運部門の赤字は増大する。結局これが現在でも年間八億六千万ドル程度の赤字が続いているわけでございますが、これは非常に大きなものになっていく。これはやはり国全体の国際収支を円滑に黒字基調に持っていくためには非常に大きな足を引っぱることになるということで、せめて海運の運賃面だけでもゼロにしよう、こういうことを国際収支面から見た一つの目標にしたわけでございます。もちろん、これだけの船をつくってまいりますためには、この国際収支議論だけではございません。日本がこれだけ貿易が伸びてまいりますと、鉄鉱石なり油を安定したベースで日本に入れよう、そのためにはやはり貿易物資の輸送の非常に大きな面を日本船で運ばなければ貿易というものは安定した成長を続けられない、こういう主張のほうが特に強かったわけでございます。
  79. 森中守義

    森中守義君 そこで澤局長は非常に重要な問題を指摘されたわけですが、運賃のファクターの中に日本の自然環境というのが、要するによそから物を持ってくるその距離ですね、これは諸外国のあれと同様にいかない面が多分に私はあると思うのです。そこで、今日のこの収支の内容の中にいわゆる運航距離、これはどの程度見ればいいですか。要するに赤字の要因として距離が長い、足が長過ぎるということはどの程度の要因を持つのか、それが一つ。  それからいま一つは、いま重要な指摘がありましたように、要するに、加工貿易国としは持ってこなくちゃならぬ、そのためには長期にわたる安定輸送が必要だ、こういう御説なんです。むろん私はそれは非常に重要な問題だと思う。そこで運賃収支の改善をするということが第一義なのか、ないしは長期にわたる安定輸送ということが第一義なのか、その辺のかね合いといいますか、いわゆる海運政策の主要な政策目標はどこにあるのか、その点ちょっと詳しく承っておきます。
  80. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 実は距離のファクターがどれくらいかという資料をちょっといま詳細なものを持っておりませんが、これはヨーロッパ諸国あるいはアメリカに比べまして、日本は原材料に依存している輸送距離でございます。これは日本が非常に長いということはもう事実でございます。戦前よりも倍以上長くなっております。これは戦後の日本経済構造の変化あるいは貿易構造の変化ということだと思います。御承知のように油はペルシャ湾から取っている。大部分九〇%ペルシャ湾から取っております。鉄鉱石と粘結炭、これは南米あるいは豪州から取っております。それでそういう輸送距離が長いということが海運の国際収支の赤字を増大させているということは大きなものがあるわけでございます。しかし、この輸送距離の長いところに資源を依存しているというために、やはりそれを確実に輸送するということが、日本経済にとりましてもまた、そのうちの海運を担当いたしておりますわれわれとしてもやはり大きな責任ではないか。海運造船合理化審議会の答申の中にもございますように、この新海運政策を立てました目的と申しますか、目的としてやはり国際収支の改善、それから日本の貿易物資の安定的な輸送、それから輸送を通じてのまた貿易の振興ということがどれが一ということではございませんで、それが並べてこの海運政策の目標あるいは目的として記載されているわけでございます。
  81. 森中守義

    森中守義君 いまの輸送距離が運賃収支の中でどういうファクターを占めるかというのは非常に注目すべき問題だと思うのですよ。そこで、積み取り比率を六〇%あるいは七〇%に高めることによって収支の改善ができるというそのことの議論の前提には、幾つか集積されている要素ということをある程度克明に御説明いただかないと、二千五十万トンつくった、それで七〇%ないし六〇%に積み取り比率を上げたことによって収支の改善がはかり得る、こういうずばりの答えになるかどうか、かなり私は疑問を持つのです。したがって、今日の運賃収支の中に一体輸送距離というものがどういう比重を占めているか、この辺のことを、いまお手元に資料がなければやむを得ませんが、できるだけすみやかに次の機会にはお示しいただきたいと思うのです。しかし、まあおそらく海運政策を策定される議論の中に一つの項目になったかどうか知りませんけれども、私どもしろうとが考えた場合、やはりこういうことはたんねんに議論されてしかるべきじゃないかというように感じますので、具体的数字がかくかくだというふうなものがなくても、おおむねの概念でもかまいませんよ、そのままで一通り御説明伺っておきたい。
  82. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 例を申し上げますと、わが国で一番大きな輸入貨物でございます鉄鉱石と原油でございますが、鉄鉱石の平均輸送距離が、昭和三十五年におきまして四千四百海里でございましたが、これが昭和四十二年には平均輸送距離が六千二百八十海里、この八年間に約丁四三倍に平均輸送距離が延びておるわけでございます。これは、アジア地区の鉄鉱石が枯渇してまいりまして、先ほど申し上げましたように南米または豪州にソースを切りかえたからでございます。それから、原油のほうは、これは昔からペルシャ湾に非常に依存しておりましたのですが、それでもやはりアジア地区の原油依存度がだんだん減ってまいりましたので、昭和三十五年に六千七十七海里でございましたものが、昭和四十二年には六千五百十八海里に延びております。  それで、これが運賃にそのまま影響をいたしますと、相当に運賃が上がってくるわけでございます。この間、計画造船を推進いたしまして、非常に低コストの運賃を提供さした。もちろん船の大型化ということもございますが、この運賃が鉄鉱石につきましては、一トン当たり昭和三十五年に五ドル五十でございましたものが、昭和四十二年に四ドルに下がっております。それから、油につきましても、昭和三十五年には一トン当たり五ドル八十二のものが三ドル七十九に下がっております。さらに、これを平均トン海里に直しますと、この八年間に約四割方平均トン海里運賃を下げた。すなわち鉄鉱石と原油の輸送距離は延びていきましたが、逆に運賃は下げていく。これがやはりこのように六千海里の遠くから原料を入れながら日本の製鉄業が、自分の国で鉄鉱石をとれるアメリカと競争をして勝っていく、アメリカに五百万トン以上の鋼材を輸出しているということの原因の一つは、やはりこういう計画造船をつくり、世界に先がけて大型の船をつくって長距離輸送の運賃を下げていったということに一つの大きなメリットがあるのじゃないか、このように考えております。
  83. 森中守義

    森中守義君 いまの津局長の御説明からいけば、非常に傾向としては好ましいと思いますね。ただ、お示しになった中で、中核六社だけですか、それとも非集約会社なども入っているのですか。特に出光あたりも自社専用船を持っていますね、タンカーを。そういうものも込みにして割り出された計算でしょうか、どちらでしょうか。
  84. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは全部入っております。と申しますのは、日本に入りました鉄鉱石なり原油の総運賃を出しまして、それを輸入された総量で除したものでございますから、すべての輸送した船が入っております。
  85. 森中守義

    森中守義君 そこで、そう大きな数字の変動を来たすとも思われませんが、ここでも議論の中心対象というものはいわば計画造船、中核六社なんですからね、そういう統計がちょっとめんどうくさいかわかりませんけれども、もし大づかみでもとれるなら非集約会社は要らない、ただ計画建造に該当する中核六社の分としてお示しいただきたいのですが、できますか。
  86. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) いまの御質問のあれは、中核六社によって持ってきた物資の運賃と距離がどうなっているかですか。
  87. 森中守義

    森中守義君 そうです。
  88. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) わかりました。資料をつくりまして御提出申し上げます。
  89. 森中守義

    森中守義君 それで二千五十万トンつくることによって、四十二年現在における三七・五%を六〇%に、輸入の四七・二%を七〇%にというこの積み取り比率の距離というものを正確に達成することができますか。
  90. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) ただいま御質問の点も、実は海運造船合理化審議会の中で非常に議論した点でございます。それで海運造船合理化審議会には、経済団体連合会その他の荷主の団体が委員として入っております。その組織を通じまして、いろいろ実は相談いたしたわけでございますが、荷主のほうの結論といたしまして、国際競争力のある船を日本の船会社がつくってくれるならば、これは率直に申し上げますと、日本船の出す運賃が外国船の運賃と同じであるならば、日本の荷主は日本の船を使いましょうということを申されました。また、過去の実績におきましても、運賃に非常な相違のない限り、日本の荷主は日本の船を使ってもらっておりますので、この六〇%、七〇%というのは達成可能である、このように考えております。  また、先ほど先生の申されました輸出三七、輸入四七という数字も、実は日本の船会社は船が足らないので外国の船を用船している、用船しているものまでこの積み取り比率を計算に入れて考えますと、それぞれ一〇%程度上回っておりまして、輸出が四七、それから輸入が約六〇近くになっております。もう一〇%の努力のところかと思います。私たちといたしましては、これは実行可能の数字である、このように考えております。
  91. 森中守義

    森中守義君 これも最初の話じゃありませんが、やっぱり一つの見通しの問題と関連してくると思うのですね。したがって、いま六〇ないしは七〇に到達させるというものの考えの根拠にあるものは、現在の趨勢でずっと推移する、これが一つの前提だと思うのですね。  そこで、一体五十年段階に至るこれからの六年間の国際的な海運界の趨勢はどうなっていくだろうか、その辺が率直にいって私どもわからない。いろいろ聞くのですね。たとえば、これもちょっと申し上げたかわかりませんが、ポスト・ベナトムによって船が余ってくるのじゃないか、あるいはまたコンテナを中心にした輸送革新という時代に突入した現在、これらの要素が幾つか重なり合って船腹過剰の時代が訪れてくるのじゃないか、こういう観測もどうもある。同時に、先ほど来議論が続いておりますように、かなり経済の伸長状態が激しいですよ、日本の場合には。けさの新聞で、OECDが輸出船の問題が合意に達した。しかしあれは、業界においてはかなり歓迎だという声明等が出されておるようですけれども、やはりあれには一つの背景があると思うけれども、なぜ日本が輸出船の王座を占めるか、これは輸出船を使って五・六%という非常なサービスをしているからだ、八年間という延べ払らいをやっておるからだというようないろいろな背景があると思う。こういう一つの例が示すように、過度に失するように日本経済成長率が高い。こういうことが国際的な経済社会においてどうなるか、全く無法状態ではあり得ないであろう。しかも資本自由化であるとかあるいは海洋体制といわれておるこれから先の国際経済を見た場合に、順風満帆でいくかどうかわからない。それなら、一体五十年段階に至る国際海運界の推移というものをどう見るか、この辺に一つのかぎがあるような気がする。表現は適当ではありませんが、したがって、その辺のことをこれまた手がたく見て、六〇か七〇に上がるんですよという御説明であれば何をか言うことはないのですけれども、それはいろいろな国々があるわけですから、一つの定説は持てないにしても、大体この程度にいけるであろうという六年間の一つの展望をこの際明らかにしておいてもらいたいと思いますね。
  92. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 私のほうからお答え申し上げるのがいいか、あるいは経済企画庁からお答え申し上げるのがいいか、ちょっとよくわかりませんが、海運に限りまして今後六年間どうなるかということは、お答えするのは非常にむずかしいかと思います。現在はこの海運の見通しを立てます一つの指標といたしまして、船をつないでいる係船量がどうかということが一つの指標に相なっているわけでございますが、現在は貨物船またタンカーともに係船はほとんどございません。それぞれ三十万トンから四十万トン程度、ほとんど底をついている。アメリカの戦略的な係船は別でございます。商業船の係船というものはまず底をついているということは、海運界の見通しとして、これは日本海運界ということではございませんで、世界の海運界としてわりに強気に見ているんじゃないか。  それから新造船の発注量、御承知のように、非常に多くの新造船が発注されているわけでございます。それで今後の世界の海運界、経済がどう推移するかということと非常に関連するかと思います。われわれちょっと世界の経済は今後六年間にどう推移するだろうかということを申し上げる資格もございませんし、私にはそれだけの力もございませんが、その一つに、先生がおっしゃいましたベトナム戦がかりに終わったらどうなるかということでございますが、このベトナムの戦争のためには非常に多くの物資が輸送されております。これはアメリカ政府としては秘密資料になっておりますので、われわれにもわかりませんが、いろいろなアメリカの雑誌に出ましたものを総合いたしますと、三年間に二千四百万トンの物資が海上輸送される、これは年間八百万トンでございますが、ということが記載されております。しかしこれは、アメリカは予備船隊というのを持っております。これは第二次世界大戦のときにつくりました予備船隊を係船しております。これを解除してアメリカの海運会社に輸送させたものが相当にございます。これはベトナム戦が終わればまた予備船隊に復帰する、予備船隊に戻るのではないか、このように考えられます。  それで、問題は民間の船をどの程度米国政府が用船しているかということでございますが、その数字がはっきり実はわからないのでございます。世界の総船腹は現在一億九千万トンございますので、それから見ますと非常に微々たる量ではないか。したがいまして、日本海運にとりましてはそう大きな影響はこないのじゃないか。むしろベトナム戦争が終わりましたら、ベトナムの復興資材の輸送というものが相当活発に見込まれるのではないかということを海運界では申しております。  それから、北ベトナムから相当多量の無煙炭を輸入しておったわけでございます。これがベトナム戦が熾烈になりまして、この無煙炭の輸入も滞りがちでございます。これらも、ベトナム戦争が終わりますと、北ベトナムの無煙炭の輸入のために相当数の日本船の就航が可能になるだろうというようなことも総合して考えますと、ベトナム戦が終わったからといいまして日本海運にそう大きな影響はないのではないか。もちろん確信を持って申し上げることはできませんが、そのように海運界では一般的に観測をいたしております。
  93. 森中守義

    森中守義君 たいへん控え目な御説明でかえって恐縮ですがね、これは企画庁どうなんでしょうね、積み取り比率を六〇%ないし七〇%に上げることによって収支改善ができる、こういう規定をしているわけですね。ところが実際問題になりますと、いろいろなはね返りが予想されるのですね。よく言われますように、海運は関税障壁もない、あるいはまた輸入制限もない、そういう貿易上の一切の制限は伴わない、海運ははだかの産業だ、やればやるほどどんどんもうかるのだと、こういうことが言われますけれども、具体的に六〇%ないしは七〇%に積み取り比率を上げることによって収支改善ができるという規定づけができるならば、私はいまのようにわが国の異常というような経済の進捗状態が続いていけばいろいろなはね返りがくるのじゃないか。それはむろん関税障壁等は関係ないにしても、その他の対応策が、あるいは報復手段といいましょうかね、そういうものがとられないという保証はどこにもない、こう思うのですね。そのことが直ちにやはり海運にはね返ってきますね。その辺の見通しをある程度六年間はっきりさしておかなければ、六〇%であろうと七〇%であろうとずばり積み取り比率を高率化するということにはやや疑いがあるのじゃないか、こう思うのですがね。これも最初の見通しの問題なので多少議論めいたことになるかわかりませんが、その辺の観測はどうなんですか。
  94. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) どうもたいへんむずかしい御質問で非常にお答えしにくいと思うのですが、これからの世界経済の見通しとのからみ合いでいまの積み取り比率のことを考えていかねばいかぬのじゃないかという先生のおっしゃる御趣旨には全く賛成なんでございますが、どうも日本経済自分の国だけにとってもなかなか先を見通すことが困難でございます。世界の動きを見きわめるのは容易ではないと思います。  ただ、さっきから出ております一つの大きな要素はベトナムの問題がございます。東西貿易がどういうふうに動いてくるかという問題もあろうかと思います。それから世界の中で地域化といいますか、ブロック化という傾向は一面あらわれてきているというふうなこともございます。そういう中で日本が、というよりも日本のみが非常に順調に発展し輸出も伸びているわけです。考えてみますと、むしろ伸び過ぎるぐらい伸びております。そういう意味では先生のおっしゃったような、それに対する反動といいますか、リアクションといいますか、あるいは抵抗というものがかなり今後出てくるということは想像しにくくはない。そういう意味で、現在のような貿易の伸びが順調に今後も続くというふうに考えて将来を見込むということは、必ずしも先ほど申し上げましたように安全ではない感じもいたします。いろいろな議論をされる方がございますけれども、私はそういうふうな感じを持つのでございます。  ただ、積み取り比率を改善するということが非常に重要な問題であるということは、貿易の将来の姿を見ましても、この経済社会発展計画におきましても、四十六年度に貿易外収支がなお十三億五千万ドルの赤字であるということを想定いたしております。これは逆にいえば、もう一つの要素として経済協力、その他のために長期資本取引の関係で十二億五千万ドルくらいの赤字を想定している。この二つが貿易収支の大幅な黒字を埋めて、大体とんとんよりも少し黒字だという姿になっていると考えているわけでございます。この長期資本収支のほうの赤字という問題も、これはやはり今後日本の負わねばならない一つの大きな責任といいますか、義務だと考えられます。どうしてもいま申し上げました貿易収支の非常な順調な伸びを今後とも長期に考えるということは、必ずしも自信を持って言い切れる問題じゃないと思います。そうしますと、この大きな赤字要素である貿易外収支をどう少しでも縮めるかということがやはりこれからの経済運営の非常に重大なポイントだというふうに考えますので、積み取り比率を、外航船を建造しながら、少しでもよくしていくというのが非常に重要な一つのねらいではないかと思うのです。  ただ、おっしゃられますように、それがその通りにいくか、貿易量の形でも動くであろうし、日本船に対するいろんな抵抗という問題も出てくるだろう。こういうふうにおっしゃられますことに対しては、まことにそのように非常に不安定な要因がからんでいるということを率直に認めざるを得ないと思います。
  95. 森中守義

    森中守義君 お考えわかりました。  そこで、海運局長に具体的に少しお尋ねしておきたいと思うのですがね。たとえば先般、何かの書物で見たのですが、わが国の海運の助成策よりもむしろ積極的に厚みを持ってイギリス等においては助成策が講じられておる。これはこれから先を見た場合に一つの風潮だと思うのですね。したがって、そういう潮流というものを日本がどう受け取めていくべきであるか。これは私は、なるほど国際競争が非常に激化するという一つの要因を持っていると思う。したがって、現状におけるこれら主要な海運国における助成策はどういう内容になっているか、これをひとつお示しいただきたい。
  96. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 世界におきます主要海運国の助成策は、ただいま御指摘がありましたイギリスでございます。これは向こうのことばではキャッシュグラント申しまして、船をつくりますと、その二五%に相当する金額政府がその船会社にただでやる、やってしまうという政策をとっております。したがいまして、四はい船をつくれば一ぱいはただになるという手厚い助成をやっております。  それから、その趣旨は多少違いますが、アメリカでは定期船の場合、五五%まで政府が補助金を交付いたしております。これはやりきりの補助金でございます。それから、イタリア、西ドイツ、フランス等におきましては、それぞれ条件が非常に詳細に相当分かれておりますが、利子補給あるいは政府の保証によりまして船会社の負担する平均金利が四%、国によって違いますが、四%から六%になるようないろいろな助成をいたしております。そのような状況でございます。
  97. 森中守義

    森中守義君 いま主要な幾つかの国をおあげになりましたが、これは私はこれ自体がいまの議論じゃないですがね、もう非常に大きな国際競争を惹起するだろう、こういう見方が一つ。したがって、六年の間にこういう各国の動きというものがかなり海運界に大きくゆれ動いてくるのじゃないか、これが一つ問題点だと思うのです。  それから、こういう先進国と、一つの側面である発展途上国ですね、こういう国にもかなり海運に力が入っている。しかも、自分の国の荷物はすべて自分の国でやるという、つまり自国主義が採用されている。こういうこともいわれているのです。こういう発展途上国における状態というものはどうなっておりますか。
  98. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 御指摘のように、発展途上国がそれぞれの国の海運の国際収支を改善いたすために、海運に非常に力を入れてまいっております。ただ、これらの国は海運の国際競争力が非常に乏しいために、政府あるいはその他の政府機関が、自国の貿易物資の、はなはだしいところは全部あるいは半分は自国の船に積まなければならないということを法律その他で強制している国が非常に多いわけでございます。特に日本をめぐります近隣諸国でそのような政策をとっている国が非常に多い、また南米諸国にそういう国が非常に多いわけでございます。それで、わが国は海運自由の原則をとっておりまして、海運政府が介入してはいけないという自由主義をとっておりますが、これらの諸国につきましては、そうばかりも言っておれませんので、個々に国によりまして、ケースバイケースの政府間交渉をいたしまして、そうして、そのような政策を是正さぜるようにつとめております。しかし御指摘のように、非常にこのことは深刻な問題でございます。
  99. 森中守義

    森中守義君 いま深刻だというお話ですが、周辺国ということであれば、これはやはり放置できませんね。しかも、大半は原料国でしょう。そうなるとさっき言われたような国々よりもこういう周辺のほうがむしろ貿易の面では非常に連係が深いわけですね。それでケースバイケースで徐々に修正の方向に向かっているということなんですけれども、現状においてどうなんですか、実際問題としてこういう国の積み取り比率というものは、日本はどのくらいになっているのですか。
  100. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 実は手元に国別の積み取り比率の資料がございませんが、若干の国を申し上げますと、台湾とは大体五〇、五〇になっております。それから韓国との間につきましては、韓国に対しまして輸出が二〇%程度、輸入が五〇%程度に相なっておるかと思います。輸出が非常に積み取り比率が悪うございます。それから南米諸国は、従来は海運を持たなかったのでございますが、最近海運を持ちだしましてから半分は自分の国の船で輸送するということを申しておりまして、だんだんと日本船の積み取り比率は下がっております。大体以上のような状態でございます。
  101. 森中守義

    森中守義君 澤局長、お手数ですが、いまのところ、できますならば国別、物資別に大ざっぱでいいですから、次の委員会までに資料をお出しいただけますか、非常にめんどうならいいですが。
  102. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 物資別はちょっと作成しかねるかと思いますが、国別の輸出幾ら輸入幾らという積み取り比率は御提出できます。
  103. 森中守義

    森中守義君 これが六年間展望した場合に、非常に海運界がきびしい環境にさらされているという二つ目の理由になってこようかと思うのですね。  それからいま一つは、航路同盟というのがあるんですね。ここでいろいろな配船計画をやる、こういう関係もこれまた無風帯ではいかないんじゃないか、こう思うのですが、この辺の観測はどういうふうにお持ちになっておられますか。
  104. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 海運同盟の関係は、戦後日本海運界はどの同盟からも追い出されておった状態でございますが、しかしその後日本の船会社の非常な努力によりまして、ほとんどの運賃同盟に日本の船会社は加入をいたしております。しかも日本を起点とし、あるいは日本に来る運賃同盟につきましては、日本の船会社がいずれの同盟におきましても非常な有力なメンバーとして同盟を動かし得るような地位にございます。したがいまして、運賃同盟に関します限り日本海運にとっては心配はない、むしろ運賃同盟の現在組織が維持できることが日本海運にとっては望ましいのではないか、このように考えております。
  105. 森中守義

    森中守義君 それはその日本海運界が指導的な立場に立っているので、あまり心配要らぬ、こういうお話で安心しましたが、しかしこれもやっぱり限度でしょうね。非常に各国を制圧するようなそういうパワーを持ち得るようになると、これはやっぱり集団で報復措置をとられるという心配も全くないとは言い切れないと思うのですね。しかしこの事実は、やっぱり私はこれから二千五十万トンをつくっていく進行状態の中には、一つ問題点として考えてもいいんじゃないかこう思うのです。  それと問題のコンテナですが、これは今回の二千五十万トンの造船計画の内容を見ましても、かなり内容的なものになっていると思う。しかし残念ながら答申の中ではほんの一言言われているだけなんですね。実際の議論はそう単純なものであったとは思いません。しかしながら、この中で言われているのは、「特にコンテナ輸送の整備については、できる限り早い機会に当審議会においてこれを検討する」、これは一体いつごろ審議されるのか、あるいはあらためて大臣は諮問をされる予定であるのか、この点どうでしょう。したがって、この六年間、つまり輸送革新といわれるコンテナ新時代というものが非常に大きな、将来の見通し上の問題になってこようかと思うのですが、その辺をまず最初に承っておきたいと思います。
  106. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 実はコンテナ輸送体制につきましては、三年ばかり前に運輸大臣から海運造船合理化審議会に諮問をいたしまして、一応の中間答申を得ているわけでございます。それでその最初の答申によりまして、昨年から日本とカリフォルニア——サンフランンスコ、ロスでございます。日本とカリフォルニアの間のコンテナ輸送を昨年の九月から始めまして、次にはこの秋から日本と豪州との間のコンテナ輸送を始めることに相なっております。来年は日本とシアトル、バンクーバーの間のコンテナ輸送、その次には日本とヨーロッパ、日本とニューヨークというふうに、一応の準備は進めつつあるわけでございます。この海造審が行なわれましたときに、昨年の海造審におきまして、その後のコンテナ化の状況が当初の予想よりも非常に進んでいる、また早くなっているということから、コンテナ輸送の見通し、あるいはどうあるべきかということを自分らでもう一度検討して運輸大臣意見具申をしたい、こういう御意見がございまして、コンテナの問題はもう一ぺん自分らで見直すと申しますか、再検討をして運輸大臣意見を具申したい、こういうことで、この答申の中には今後そういうことをやるということがうたわれておるわけでございます。
  107. 森中守義

    森中守義君 そういたしますと、経過はわかりましたが、あらためて海造審の小委員会か何かでもう一回議論をされるということですね。そういうふうに理解していいわけですか。
  108. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 現在このコンテナ小委員会を開いておりまして、大体来月、七月の初めには意見具申を得られる見込みでございます。
  109. 森中守義

    森中守義君 そこでちょっとこれはまあ他のことに関連したようなことになって恐縮ですが、先般国鉄の運賃をお尋ねした際に問題の一つになった運輸政策審議会、これとの関係は、この海造審どうなんですか、あるいは新海運政策はどういう関連づけになっているんですか。
  110. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは私から御答弁申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、運輸政策審議会は御承知のごとく運輸省設置法の中にその設置をお願いしているわけでございます。これは国会でまだ御審議をいただいている段階でございまして、まだ運輸政策審議会がいつできるかということはわかりませんので、海運造船合理化審議会で、こういう問題は従来どおりやっているわけでございます。  運輸政策審議会海運造船合理化審議会関係でございますが、基本的な海運政策あるいは他の輸送機関との関連が出るような問題等につきましては運輸政策審議会で御審議を願うことに相なるかと思います。非常に技術的な問題、海運プロパーの問題、他の輸送機関との調整を要しないというような問題につきましては、従来どおり海運造船合理化審議会審議する、こういうことに相なるかと思います。
  111. 森中守義

    森中守義君 いまそれが主題ではないのですが、コンテナになるということになりますと、これはやっぱり非常に重要な関係がありますよ。それで、なるほどいま設置法が審議の経過にあるのだから、この国会で上がるのかどうか別のことですが、一応運輸省考えとしては、運賃のときにも話がありましたように、やはり運輸政策全体について洗い直してみるんだと、むろん洗い直すという中には海運も入ると、いわんやコンテナによる内航船との関係あるいはその陸送との関係ですね、こういう非常に不可分な問題が生じてこようかと思うんですね。したがって、なるほど部分的には海造審で何ら差しつかえない。それから関係のある事項はどうだということになりますと、これはやっぱり一環のものとしてとらえておかないと、海造審の答申だけが先行する、これだけ切り離すというわけにいかぬのじゃないですか。だから私は、政策の大綱として大きな変更はないにしても、やはり運賃政策の一環として海運をどう見るのか、こういう規定づけになろうかと思うんで、もし異なった意見が政策審議会等で出された場合に、あるいはその他の輸送機関との関係で変更を来たさなければならぬという問題が起きた場合にこれは一体どうなるか、こういうことを念のために聞いておるんですがね、どうなんですか。
  112. 原田憲

    国務大臣原田憲君) コンテナ輸送問題にからんで森中委員から、運輸政策上の問題としてどうとらえるかというお尋ねでありますが、いま御指摘のように、この海造審の答申では、「特にコンテナ輸送の整備については、できる限り早い機会に当審議会においてこれを検討すること。」と、こういう短い文言でありますが、海運局長がこれについての経緯についてはいまお答えいたしておるのであります。私が就任いたします前に、このいま御審議を願っております六年間に及ぶ新海運政策の基本というものが考えられておったのでありますが、それ以前から私は、日本海運についてのまあ何と申しますか私の考え方というものから、コンテナ輸送というものがこれは必然的に伸びていくだろうと、そこでそれに対応するためにいわゆる外貿埠頭公団というものをこしらえて、そしてこれの専用の港をこしらえなければならぬという考え方について私は大賛成をいたしまして、私の出身である大阪地方には阪神外貿埠頭公団、東京においては京浜埠頭公団というものが新設され、いまお話がありましたオーストラリアと日本との間の貿易というようなことは、かつては考えられなかったようなケースで伸びていこうとしている。その第一船が先般進水をいたしているのでありますが、一方においてはシーランドというような新しい勢力がこのコンテナというものと結びついて、いままで考えられなかったような新しい海運と陸運とを通じた輸送方法というものを考えてきておるということを聞かされております。  先ほどから話を伺っておりましたが、英国は戦前から海運第一国といわれておったんですが、今日はその力がございませんが、造船なんかにおいては、私は、非常に人件費が高くなっておる先進諸国においては、造船という面ではそうこわくないと思います。コンテナ船というような面でこれをカバーすべくいろいろ政策的に海運政策というものを考えていくものではなかろうか。こういうことを考えますときに、このコンテナ輸送ということを中心にした海運政策というものは相当力を入れて考えなきゃならぬ問題ではなかろうか。それには、先般森中さんからお尋ねのありました船員の問題、それから港湾の問題、これは不即不離の問題でありまして、ただ造船技術だとか船をつくるだけの問題ではないわけでありまして、すなわち海運政策という問題になってこようかと私は判断をいたすのであります。  いま海運局長から、コンテナの問題に対して小委員会で重要視されて、これだけはといって盛んに研究しておる、私に対して建議をいただけるそうでありますから、十分私はこれらのことについては検討をさせていただきますが、今後とも海造審は残されて、いま海運局長が申し上げましたような点については、海造審において十分審議してもらう点があると思いますが、大きな問題としてとらえていかなければならぬのではないか。そのためにはやはりよけいのことのようでございますが、いまの運輸政策審議会は内閣委員会でお願いをいたしておりますので、これを一日も早く通過させていただいて、海運政策推進のためにひとつ御協力をお願い申し上げる次第であります。
  113. 森中守義

    森中守義君 法案の売り込みまでされたと思うのですが、そこでこれはやっぱり六年間を展望した場合、最大の方角というのはコンテナだと思うのですね。おそらく企業の形態も変わらざるを得ないような時代が来るのではないか、こういうこともそろそろ言われて始めいる。それからラウンド・ブリッジ・プラン、えらいむずかしい何か計画を持っているので、こういうので欧州、大西洋を越えてアメリカに来た。アメリカから太平洋を渡すのだ、こういう状態になってくると、配船それ自体が大きな変化を来たすのではないかと思うのですよ。ですからこのコンテナの問題は、次の機会にもう少し詳しくお尋ねしたいのですが、要するに六年間を見る場合に、最大の大きな波が一つある。これをどう越えるかというのも非常に大きな急務じゃないかと思います。  それからもう一つ、中波か大波かわかりませんが、いわゆる国際通貨基金、これの勘定のしかたも、日本のような貿易構造からするならばあまり得な勘定にならぬのですね。ある意味では、これが非常に国際海運収支あるいは運賃収支を低めるような結果になっているのじゃないか。これは国際的な機関ですから、簡単に国内の政策として手直しをするとか、統計の方式を変えるとかということは困難でしょうが、やはりこの統計のとり方自体非常に私は無理がきているように思う。この点については、どういうお考えですか。
  114. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この国際通貨基金の制度によります勘定のしかたは、先生の御指摘のように、日本のような貿易国の海運にとりましては、非常にきびしく数字が出てまいります。これは事実でございます。それは貿易を両端とも港で切ってしまいまして、海上輸送だけの外国為替と申しますか、外貨がどう動いているか、運賃で外貨がどう動いているかということの計算方法でございますので、輸入物資を日本船で運んだ運賃は、これは黒に出てこないわけであります。したがいまして、日本のような大きな貿易輸入国におきましては、これはきびしく出てくることは事実でございます。しかし海運活動を国際収支面で正確にあらわすには、やはりその貿易を港で切ってしまい、海運活動だけの国際収支がどうなるかということを示すためには、やはりIMFの制度が一番いいのではなかろうかというふうに考えております。  それから各国ももちろんこの国際通貨基金の制度によりまして、それぞれの国際収支をこの基金に報告いたしておりますので、統計上で各国の統計を見る上からも、やはりこの制度によらざるを得ないのではないか、このように考えております。
  115. 森中守義

    森中守義君 いままで具体的に幾つか実例をあげながら、二千五十万トン建造に向かうべき展望という意味合いで、なかなか簡単じゃございませんぞということを私は指摘したつもりですよ。そこでよほどの努力、よほどの忍耐——しかも、事ごとに内容を見れば非常に不安定な要素が強過ぎる。そこに二千五十万トン、七〇%、六〇%というのを位置づけして、どの程度の歩どまりがそこで生まれてくるのか、非常にむずかしい問題だと思うのです。これはこれから先も委員会あることだし、しばしば海運政策について御意見を承る機会もありましょうから、ここでは一つの問題提起という程度にとどめておきたいと思うのですけれども、要するにさっきからお尋ねしたり、御説明を承る中からの感じとしては、二千五十万トンオンリーでない、六〇%あるいは七〇%がベストでない、こういう感じを受けざるを得ない。したがってできるだけ慎重な行政上のいろいろな配慮というものが望ましい、こういうように思うわけであります。  そこで、その次にもう少し具体的にお尋ねしたいのですが、いままでの再建期間の中に中核六社が自己資本でどのくらいつくっておりますか、それから集約外の船主においてどのくらい建造しておるか、ちょっとそれをお知らせ願いたい。
  116. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 三十九年から四十二年まででございますが、統計が整備いたしております。集約船主がつくりました計画造船が六百九十八万トンでございます。集約船主がつくりました自己資金船が十七万トン、合計七百十五万総トンでございます。それから非集約船主のつくりました船の合計が百八十九万総トン、合計で九百四万総トンでございます。
  117. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、今回千六百五十万トンは計画で大体八〇%相当、残りの四百万トン、二〇%相当程度のものを自己資本船としてつくるということのようですが、大体集約船主に対しては一応の説明といいますか、あるいはこれこれのものはつくるのだよというようなことで一通り指示というか了解というか、きちんとでき上がっているのですか。
  118. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この二千五十万総トン計画を立てまして海運造船合理化審議会に出します前には、もちろん船主協会のほうに十分その内容を説明いたしまして、船主協会のほうも国際競争力ができるような措置自分らもやる、政府措置を講じていただけるならばこれだけの船はつくりましょうということを十分了解いたしております。
  119. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、一説には、千六百五十万トンに対して五%の出資をした、それでかなりきびしくなる、あとの四百万トンについては無理を来たすんじゃないか、こういう意見も一部にあるようですが、その辺の心配は要りませんね。
  120. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは集約、非集約入れまして四百万トンの船の建造は十分できる、このように考えております。
  121. 森中守義

    森中守義君 そこでその問題は船主側の財務の問題ですが、これは先般いただいた資料からいきますと大体六割の復配をしている、こういうことのようですね。それと、この利配というものは、将来相当長期にわたって配当というものは六%にとどめるのですか、それとも収益状態いかんによってはもう少し高率に配当するのか。
  122. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 今後は国の助成も大幅に後退をいたしますので、自己資金も投入しなければなりませんし、それから先生先ほど御指摘のコンテナ輸送につきましては、計画造船以外に非常に多量の資金を投入をしなければならない、こういう資金の調達のためにはやはり増資が可能になるようにしてまいらなければならないかと思います。この増資をいたしますためには六分の配当では増資は非常に困難ではないか。再建整備期間中はいろいろと頼み込みまして増資を実施してきたわけでございますが、今後は再建整備期間を終わりますので通常の増資ルールに従って増資ができるようにしていかなければいけない。そのためには六分以上の配当が可能なようになれば、それはやはりもっと高額な配当をさせていく必要があるのではないか、このように考えております。
  123. 森中守義

    森中守義君 その前に、具体的に六社に対する政府運輸省の規制の内容はどういうことでしょうか。
  124. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この集約会社に対する規制は利子補給法と海運再建整備法との二法によって規制をいたしております。従来はまず配当規制、配当は、その会社が申し出ました配当が相当長期にわたって継続できるという見通しが確実である、それから相当の内部留保、たとえば配当性向が何分である、内部留保を実施しているかというような点でございます。それから償却はもちろん完全に償却をし、延滞はないかというようないろいろな条件をつけまして、その条件に合うものについて配当を認めております。それから設備投資につきましても、二千万円をこえる設備投資をする前にはあらかじめ運輸省に申し出させまして、その設備投資が妥当であるかどうかということを一応検討いたしております。それから役員の給与あるいは賞与等につきましても一定の基準を置きまして、その基準の範囲内にとどまるようにというような指導をいたしております。
  125. 森中守義

    森中守義君 これは在来二法の法自体のことですね。これが事実上消滅をした、しかし助成策が続けられているということになれば、この規制条項というのは、この六年間もずっと継続されるのですか。
  126. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この再建整備期間中の規制が非常にきびしいので、企業の自由活動が阻害されている、新海運政策の実施にあたっては規制を緩和してくれ、また、あるものによっては規制を廃止してくれという要望海運界から非常に強いのでございます。で、海運のような企業につきましては、政府が規制を行なわないほうが、これは自由に企業活動ができることは事実であるかと思います。しかし後退したとはいえ、やはり相当多額の国家の助成を今後も継続さしていただきたい。また、しなければ日本海運は国際競争力がつかないわけでございます。こういう助成を継続するならば、やはり最小必要限度の規制ということは、これは運輸省として実施することが国会及び国民に対しての責任である、このように考えております。
  127. 森中守義

    森中守義君 まあ非常に発想として妥当だと思う。それで、いままで局長が言われた幾つかの項目ありますね、こういうものと、業界からの要望は極力緩和してほしい、願わくは全廃してほしい、こういうことだと思う。そこで、その在来の規制条項をそのまま適用しようとするのか、あるいは若干緩和しようとするのか、その辺のやり方というのは、もうすでに固めているんですか。
  128. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) もちろん私のほうで検討はいたしております。検討はいたしておりますが、この法律を通過させていただきましたあと、大臣にもよく御報告申し上げまして、そして運輸省としての方針を決定をいたしたいということでございます。
  129. 森中守義

    森中守義君 これはまだ詰められていないということのようですが、やはり継続すべきですね。それで、これも新しい方針がはっきりしていないようですから、その資料はちょっと無理かと思いますがね。できますならば、これをこの次までに、いま言われたこと、大体メモはできましたがね、ちょっと念のために、ひとつどういう点を規制してきたんだということを資料として出してくれませんか。  それと、澤局長、この増資の問題ですがね、三十九年以降、六社の中で郵船が幾ら、商船が幾ら、川崎幾ら、ジ・ラインが幾らというように、ちょっとおっしゃってみてください。
  130. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 六社について申し上げます。日本郵船でございますが、これは合併のときに、三菱海運日本郵船合併しましたが、三菱海運はむしろ十六億の減資をいたしまして、合併時の資本金百四十六億、これは現在まで続いておりますが、日本郵船はこれを倍額増資する予定で増資を発表いたしております。それから大阪商船三井でございますが、合併時の資本金百三十一億、その後増資をいたしまして、現在二百億でございます。それから川崎汽船は、合併時の資本金九十億、現在これも半額増資をいたしまして百三十五億。ジャパンラインが合併時百十八億でございますが、これも半額増資をいたしまして、現在百七十七億。山下新日本汽船が、合併時五十二億七千万、これも半額増資をいたしまして現在七十九億。昭和海運、合併時四十五億、これも半額増資をいたしまして、現在六十七億五千万でございます。
  131. 森中守義

    森中守義君 そこでさらに企業も六%では増資がなかなかやりにくい、ついては増加配当イコール増資ということに直ちに結びつくかどうかわかりませんけれども、少なくとも内部留保がどの程度であるか、これからお尋ねしなくちゃいけませんが、かなり増資に依存せざるを得ないような態勢になってきますね。そうなりますと、さっきすでに私のほうでは、日本郵船及び大阪商船三井船舶がいずれも八尾ぐらいになるだろう、こういう情報も入っております。したがって、それぞれ配当をうんと高めろ、同時に増資をやれという計画、方針運輸省はもうすでに考えておられるのですか。
  132. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 配当を幾らにするとか、あるいは増資をするとかということは、これはもちろん会社自身が決定し、株主総会が決定するものでございまして、運輸省もそこまでの行政指導力はないわけでございます。ただ会社が増配をする力があり、また増資をする意思があるならば、それがやりやすいような環境をつくっておかなければいけない、またこの新海運政策の期間中は、相当程度の増資ということが必要であろうということも、海運造船合理化審議会で当然予定をしておるところでございます。しかし、各社に対して配当をふやせとか、あるいは増資をせいといったような指導はいたしておりません。
  133. 森中守義

    森中守義君 そこのところが、助成をする政府と、これを受ける企業との非常に微妙なところでしょうが、しかし、業界においては、先ほどの説明によれば四百万トンつくりましょう、千六百五十万トンについては、自己資本も分に応じて出しましょうということが話がついていれば、いまにわかに運賃収入で顕著に収益が上がるということは考えられないような気がするのですね。それよりもむしろ株主に増資を依存するという、こういう方法をとらざるを得ないのじゃないか。もしそれが会社の自主性でできないというような場合、助成の限界は二千五十万トンつくらなければならない、増資はしたくない、もうけはないのだというような場合は一体どうなりますか。その辺がなるほど行政庁として、いわゆる会社の存立を危うくするようなところまで追い込んでもならぬでしょうが、それかといって目的が達せられないというような場合、その指導の限界はどこに置くのでしょうか。
  134. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 非常にむずかしい御質問でございますが、これは株式会社といたしましては、やはり会社決算上一定の自己資本比率というものを維持しなければ、金融機関がやはり金を貸してくれなくなると思うのです。この自己資本比率を高め、そうしてまた実際に経理面におきましても、コンテナあるいは計画造船の頭金というものを出しますためには相当膨大な金が要りますので、会社にとりましては増資ということは必要欠くべからざることである。船をつくっていかなければ企業格差が出てまいりまして、やはり競争に立ちおくれてしまうということが、非常に切実なものがございます。またいろいろの諸経費をカバーしていきますためにも、船をつくっていかなければとてもカバーできない。それで会社としては、私は諸般の努力をして今後増資をしていくんではないか、こういう強い期待を持っております。したがいまして、増資をするためのいろいろな障害になることがあれば、これは政府としても除去することにつとめてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  135. 森中守義

    森中守義君 確かにぎりぎりの線をどこに引くかというのが非常にむずかしい問題ですね。これはなにも運輸省の設置法によって企業会社が生まれたわけではないので、別な法律がありますからね。そこは非常にむずかしいと思う。  ただ、いま私がお尋ねしようとすることをお話しになったので事のついでだからお尋ねしますがね、企業格差というものは、かなりいま顕著に出ている。しかもこれが六年間先ほど幾つか例をあげましたね、ああいう幾つかの要素を持ちながら、結局その中核六社というものはとりあえず再編を避けられない、こういう見方がだんだん強くなっているようですね。しかも、一社あるいは二社あたりの寡占化の状態がくるんではないか。したがって、じゃ中核六社というものは一体どうなのか。ここに集約との関係も生まれてきましょうけれども、結局再編をせざるを得ないというのは、格差が非常に広がっているという、こういうことに言われておるようです。これは、ごらんになったと思うのですが、「東洋経済」の四月十二日号、非常にその内容をついているのです。各社の財務状態まで非常にこまかに詰めながら、結果的には二社程度に、寡占化の方向に向かうであろう、したがって、いま集約、非集約という体制で国家助成というものが行なわれているんだが、この六年間の間にどういうように変化するかわからないと、こういう言い方をしているのですね。どう歯どめをしてみようとも結果的には避けられない、まあこういうことを「東洋経済」では指摘している。私は、この真相というものは、かなり事実に近いと、こういうように信頼しているのですが、格差から出発をする問題点として結果的に再編の方向に動く、これに対して運輸省はどう受けとめるのか、その辺ひとつきょうの最後の質問として承っておきたいと思います。
  136. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは非常にむずかしい質問でございますが、再建整備を始めますときに、これは法律で半ば強制的に会社の合併を要請したわけです。合併した会社が中核会社になり、この五年間に合併のメリットによりまして会社が非常に立ち直ってまいったわけでございますが、この会社の合併が非常ないろいろなメリットがあります半面、非常に内部で努力が要る。新しい会社として育てるための内部的な努力が要ります。それで、この六社とももう合併はごめんだというのがこれはほんとうの会社の内部の方の感じではないかと思います。  それから、この合併と再建整備期間中の助成によりまして、この六社のいずれも世界の十大会社の中に入っております。世界の十大会社のうちにこの六社は入っております。それだけ企業規模が拡大いたしておりますと、非常なメリットが出ます半面、船員なり船舶の何と申しますか、かゆいところまで手が届くというような点にやはりいろいろと指摘がございます。それで、そのような点からこの六社の方は、いずれももう合併はごめんだという気持ちが非常に強いのではないかと思います。  ただ、今後コンテナの輸送体制が進み、あるいは先生が御指摘になりましたような企業格差によりまして、今後の六年間でどのようになっていくかということについては、われわれとしてもいまこうなるだろうというようなことを申し上げることはできないわけでございますが、運輸省といたしましてこの六社に指導いたしておりますことは、この六社の間の企業の提携協調、これはもう非常にきびしくやれということを申しております。たとえば、昨年から始めましたコンテナ輸送などにつきましても、二つのグループをつくりまして、各社このいずれかのグループに入れということで、非常に強い協調を要請いたしております。運輸省のただいま考えておりますことは、企業の提携協調を強化するということを行政指導いたしておるわけでございます。
  137. 森中守義

    森中守義君 この行政指導を、これはいかぬとかそういうことじゃなくて、むしろそうありたいと思うのだけれども、実際問題としてこういう論評等が、事実をつかんだ一つの方向を見ていることからいきますと、好むと好まざるとにかかわらずそうならざるを得ぬのじゃないか、こういう見方をしているのですね。むろんそれは六社がもうあらためて合併するのはごめんだという気持ちはわかります。中にはその人脈もいろいろありましょうしね、そういう人の関係や何やで、簡単にいかぬでしょうけれども、やはり趨勢というものは寡占の方向あるいは再編成の方向に動かざるを得ないような時代が来るのじゃないか。これもまた仮定の話ですから、一体そのときにどうするのだという答えまでいただいておこうとは思いませんけれども、なるほどその海造審の答申の中にも提携をうんと強化せよ、しかも集約は一つの政策目標だ、こう言っておりますけれども、これから若干の年限がたてば、こういうやり方というものが逆に裏目に出るのじゃないかということも予想される。したがって、いま大臣が、あるいは海運局長配慮されておかるべき問題というのは、裏目が出たときにどうするか、裏目が出ないようにどう措置していくかというのが一つの問題じゃないかというように考える。しかしこれはものの本を中心にした私の意見ですから、これ以上深追いするというのもどうかと思いますけれども、かなり深刻な扱いをしているようです。  そこで話は横になりましたが、結局増資が、株主が簡単に応ずるかどうかわかりませんけれども、目的を果たすには、やっぱりそういう内部の資金調達というものはさしずめ重要な問題だと思う。ですから、この問題に関連して少し——私はあまりこまかく聞きたくないのですがね。六社の実際の資金の状態、資金というよりもいろいろな方向にかなり出資をしている向きがあるようですね。これは再建整備に入る前、二十一年時代から始まっているようですが、中には三十九年以降のものもだいぶありますよ。しかも持ち株が一〇〇%のものもだいぶある。こういったようにシェアをずっと見ると、それと事業の内容等を見ていきますと、これはどうかなと思うようなのにたいへんやはり出しているようですね。これはいろいろないわく因縁があってみたり、そういうところに手を出して、若干の収益をあげようという、事業者としての立場もあるでしょう。すべて私はいけない、けしからぬという表現を使いたくないのですけれども、やはり助成を受けて海運に専念しなくちゃならぬというときに、こういう措置というものははたしてどうかなと、こういう気がする。したがって、在来こういうことに目を向けてこられたかどうか、しかもこれが規制条項の中に入っておるかどうか、その点をちょっと承っておきたい。
  138. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 先ほど御答弁申し上げましたように、二千万円をこえる資金の出資あるいは投資というものにつきましては、事前に報告をさして規制をいたしております。それでまあ船会社の六社の投資のうち、海運関係の会社、自分の小会社の株を持つことはこれは法律で強制されておりますので、それは別といたしまして、御指摘のような若干関係が薄いと思われるような会社に対するまあ投資でございます。これにはやはり二つ種類がございまして、一つは終戦後船がなくなりまして、その従業員を養いますためにやむを得ず洗濯屋をやったりいろんな印刷業をやりまして、そこにまあ社員を温存しておいたというような種類のものがございます。それから再建整備が始まりました三十九年以降におきましても、合併によってやはり相当のまあ人減らしをやったということで、それらの人の就職対策というようなことからやったのもございます。また、船会社はいろいろなビルを持っておりますが、それから関係の海図をつくりましたり、船の掃除をしたり、そういう作業が必要でございますが、これは船会社自身がやっておりますと、給与の水準が非常に高いので、別会社をつくってやったほうが労務費が安くなるということで、ビル管理会社あるいは掃除会社というようなものをつくっている例もあるわけでございます。それらの事情を個々に勘案いたしまして、あまり高くならなければそれも認めてきたというのが実情でございます。  いま船会社の関係会社への投資、これは株を持っているだけの額でございますが、二百三億ございますが、このうち海運関係の株が百八十三億で、ただいま先生が御指摘のようなものの株は十九億程度でございますので、まあ額としてわりあいにそういうのは少なく押えているのではないか、このように考えております。
  139. 森中守義

    森中守義君 それはいろんな沿革あるいは経過をたどったものでしょうから、一つの全体の流れの中の一こまということで受けとめてもらえればいいですよ。これ自体を問題にしようとは思いませんがね。ただ要すれば、総額十九億ありますね、しかもまあ内容もいろいろあります。それは触れません、こういうことは。十九億にしても、海運助成ということになると、いろんな角度から煮つめていきますから、真相がわからなければ、何だ国が助成しておきながらこんなよからぬところに金を出しているのかという、こういう素朴な意見も私は出てこようかと思う。だから、できるだけそういう点でマイナス点にたらないような行政指導をさらに強化してもらいたいと思う。  それからいま一つの問題は、まあ非常に小さなことで恐縮ですかね、さっき局長の言われた役員報酬の問題、役員賞与の限度ですね、これが配当金に対する賞与り率ということで百億以上二・三%以下というように、それぞれその資本金に区分をして率を出してあるのですが、これじゃちょっとわからない。非常に苦情を言うようですけれども、ずばり額をここに出してもらうほうがわかりいいですよ。一体配当金を幾ら出しているとか、率を掛ければわかるけれども、ちょっとこれはひとつあまり私のわかりましたというような資料でありませんので、金融を示していただく。まあそこで役員報酬あたり見ますと、大体国鉄総裁が四十八万円でしたかな……。
  140. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 四十七万円。
  141. 森中守義

    森中守義君 四十七万円ですか。それに郵政とか専売の公社の総裁、大体五十万円を出たというのはないようです。中核六社といえば何といっても日本の産業界あるいは財界に君臨をする大御所でしょうから、いろいろ物も要るでしょう。しかしながらここに示されている会長、社長以下役職員のいわゆる給与ですね、これらが妥当であるかどうか。まあただし賞与ですね、給与よりもむしろ問題は賞与じゃないか。ですから、これらのとこから何もけしからぬというわけじゃないけれども、少し御検討いただく余地があるような気がしますね、まあ給与はいいでしょうね、賞与等につきましては。これはまた次の機会にゆっくりお尋ねすることにいたします。
  142. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 賞与でございますが、これは配当金に対する比率でも押えてございますが、役員給与総額の五カ月分をこえてはいけないという別のワクをはめてございますので、額としてはそれでひとつ御了承願いたいと思うのです。それからこの月給、こういう大会社の社長、会長の月給は幾らが妥当かというのも、実はわれわれもよくわからないのでございます。またどの会社もなかなかこれは秘密にして出さないのでございます。現在運輸省が押えておる額は非常に低いという声が強いんではないかというふうに考えております。
  143. 森中守義

    森中守義君 まあそれはけっこうですよ。それでなるほど頭を押えてありますからね。それにしてもこの額から割り出していけば、かなりのものになるのです。まあそれはいいでしょう。一応きようはこれで。
  144. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 森中委員質疑関連しまして、私、この前質問申し上げた点について一点だけお伺いしておきたいと思います。それは日本船を利用するというものに、この日本船利用の確保についての形式というかその手段、これがはなはだあいまいで、御説明を承ったんですが、これは重要なことで、産業界が日本船を利用するということによって昭和五十年に輸出六〇%、輸入七〇%の積み取り比率を確保できるから、二千五十万トンというものがはじき出されてこれをつくるのだ。つくるのはいいが、これを利用しなければ何にもならないということになる。だから、これをいろいろ説明を伺いたい。  また、資料を見ますというと、外国船方面に流れておるものを、これを年々この五十年までの間に日本船に移すということになれば十分にできるように私も考えられるのです。しかしながら、これを移すということについて、一体これはどういう形式でするということになっているのか、ただ単に海造審がそう答申について判断をしたというのか、あるいは船主側がこういうことを計画造船に伴って主張しているのか、あるいはまた荷主あるいは貿易業者が運輸省にそういうものの誓約でもあるのか、この点を一つ伺いたいと思うのです。というのは、もしそれがばく然たるということであるならば、この輸出業者あるいは荷主というような形の場合、輸出の場合でも輸入の場合でもこれはただ単に日本精神とかなんとかいうことで、日本の産業界であるから日本船を利用せよというようなばく然たることでは、これは大事な計画ですからいけないと思う。またおそらく荷主、貿易業者はそれ以外に大事な、われわれが計画してもわかるのですが、いわゆる運賃あるいは輸送の期間とかそれから正確さであるとか、こういうようなことが問題になって、何も船がないからということだけで外国船を利用しているとは理解できない。であるから、それをどう判断するのか、これは大計画の基本の一つになる。先ほど森中委員もたくさん指摘されましたが、それも当然ですが、これもやはりその一つだと思うのです。それはどういうことになっているのか、ひとつその点をお伺いしておきたいと思います。
  145. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 先生のおっしゃいましたことが全く基本の問題でございまして、この計画を進める上の基本的な問題でございます。この計画を立てますときに、この船会社とそれからいろいろな荷主の団体、経済団体連合会及びそのいろいろな部会、それから石油連盟、鉄鋼連盟等が打ち合わせをしたわけでございます。これも先ほど申し上げましたように、運賃が外国船と同じ運賃を出せるならば、それは日本船を使っていきましょう、こういう荷主団体のお話がございました。それに基づきまして海運造船合理化審議会では、外国船と同じ運賃を出せるような条件をつくってやれば積み取り比率がここまで上がっていけるという確信を得たわけでございます。もちろん、これは法律的に日本におきましては日本の船を使わなければならないというようなことは一切規定はございません。日本の船会社と外国の船会社との競争でございます。競争によって荷物を取っていく。そのためには日本の船会社はあらゆる努力をして外国船と同じ運賃を出しているということでございます。  それから荷主の側から見ましても、かりに運賃が同じであれば、日本の船会社を利用したほうがこれはいろいろな面において有利でございます。と申しますのは、たとえば十年の長期用船契約をやっておりますと、いろいろな事態が生じますが、日本の船会社を利用している、このほうはいろいろな意味で融通性がある。まず日本語でいろいろ話ができる、それからいろいろな条件についても融通性がある。したがいまして、日本船を利用したほうが有利であるということがこれは確実に言えるのではないか、このように考えております。
  146. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 おそらくそういうことではないかと思うのですが、ただ私の危惧するところは、運賃は、いわゆる内地のいろいろの業界の競争でも、価格なら価格自体を一定ということで押えますと、今度はほかの面のサービスをやる、また競争になる、おそらく国際関係の貿易競争ですから、運賃自体が押えられるということよりも、外国船と同じ運賃でもってやるということを船主がこれははっきりしておかないと、いわゆる産業界、貿易業者あるいは荷主というものはこれは安心して使えやしない、また使えと言っても使わぬのですよ。そういうことになると思うので、これは運輸省がよほどその点についての将来の考え方を、何かそこらのほうをまあ制約というか、あるいは何か法律で押えるというわけにいかぬかもわかりませんが、こちらでもってしっかり踏まえておかないと、この計画自身が考えておるようなことにいかないというようなことになりゃしないかと思うのですが、運賃自身はこれは船舶業者全体が運輸省に対して何の関係でそういうことを、運賃は外国船以上には取らないということを誓約、というか、そういうことをやってきたのですか、ただ話し合いでそうかというくらいにお聞きになっておるわけですか、その点はどうですか。同時に、荷主業者というか産業経済界とかいわゆる経済団体連合会全体の意見として運輸省にそういうことの申し出が明白にされておるのかどうか、この点をひとつ伺いたいのです。
  147. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは海運造船合理化審議会のメンバーは、委員に経団連その他荷主団体の方がおられますか、この審議の過程におきまして、運賃が同じであればこれは日本船を利用いたしますということを委員の方々が申しておられます。それから日本の船会社が外国船と競争をして外国船と同じ運賃を出すということは、これは同じ運賃を出さなければ荷物が取れないわけであります。幾ら愛国心に訴えましても、やはり荷主も営利会社でございますから、外国から安い運賃の申し出があればそれをとるということは当然でございますので、そのときそのときの海上運賃のマーケット・レートによりまして、外国船がある一定の運賃を出してくれは日本船もそこまで運賃を下げて出さなければ荷物が取れないということでございます。  このお願いしております海運助成法は、船会社が非常な努力をすれば外国船と同じ運賃を出せるのであろうという最低の助成条件をお願いいたしているわけでございまして、われわれといたしましても、この法案をお通しいただければ日本の船会社は外国船と十分競争してうちかってこの荷物を取っていけるであろう、こういうふうに確信をいたしておるわけでございます。
  148. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それはわかりますがね。外国船と同じ運賃をやる、向こうが下げる場合にはこれはまあこちらも下げますね。今度は、こちらが下げて、下げてでもつくってもらった船は必ずこれを積み取り比率、これだけを守るというようなぐあいな決議が入っているのですか、いないのですか、ということが心配なんです。お話は大体こういうぐあいに理解していいのですか。そうするというと、船主側もそれから産業界もあわせて海造審に委員が入っているから、海造審できまったことであるから、みな炭業界も、それから船のほうはまあこれは大体だいじょうぶだと思いますが、みなその両方面は海造審に入ってこういうことをきめておるから、これは必ず守られるのだという前提に立っておるのですか、少しそれは甘いことはないですか。
  149. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 海造審でそういうことを荷主の方が言われたから、日本船を使うであろうということではございませんで、海造審でそういう話がございましたし、それから現実の商売の問題として、日本の船会社はこれだけの助成をもらえれば、必ず外船と同じだけの運賃を企業努力によって出すであろう、外国船と同じ運賃を日本船が出すならば、日本の荷主が日本船を使うほうが有利であるわけです。いろいろな面におきまして有利でございます。したがいまして、それらの企業努力を通じて、必ず日本の荷主は日本の船を使うであろう、こういうことを申し上げているわけでございます。
  150. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そうするというと、結局押し詰めていけば、今度船をつくってもらえるというと、六〇%、七〇%の積み取り比率は絶対に守るように、船主側は、船主業者は必ず努力をするということの点ははっきりしておって、それを基本にこの造船計画が立てられるのだということになるのですね。それじゃひとつ間違いないようにやっていただきたいと思います。
  151. 岡本悟

    委員長岡本悟君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後四時十一分散会      —————・—————