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1969-02-28 第61回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十八日(金曜日)     午前十時七分開議  出席分科員    主査 足立 篤郎君       荒舩清十郎君    倉成  正君       櫻内 義雄君    中川 一郎君       福家 俊一君    金丸 徳重君       川崎 寛治君    河野  正君       只松 祐治君    楢崎弥之助君       野間千代三君    浜田 光人君      米内山義一郎君    麻生 良方君       吉田 之久君    兼務 久保 三郎君 兼務 長谷川正三君    兼務 伊藤惣助丸君 兼務 小濱 新次君    兼務 鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 有田 喜一君  出席政府委員         国防会議事務局         長       海原  治君         防衛政務次官  坂村 吉正君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁人事教育         局長      麻生  茂君         防衛庁経理局長 佐々木達夫君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛庁参事官  江藤 淳雄君         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁総務         部長      鐘江 士郎君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         科学技術庁原子         力局長     梅澤 邦臣君         外務省アメリカ         局長      東郷 文彦君         外務省条約局長 佐藤 正二君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         水産庁次長   森沢 基吉君         海上保安庁次長 林  陽一君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      原   徹君         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         厚生大臣官房国         立公園部長   広瀬 治郎君         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤琦一郎君         運輸省航空局技         術部管制課長  泉  靖二君     ――――――――――――― 二月二十八日  分科員船田中君、川崎寛治君、北山愛郎君及び  麻生良方委員辞任につき、その補欠として中  川一郎君、島本虎三君、斉藤正男君及び折小野  良一君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員中川一郎君、斉藤正男君、島本虎三君及  び折小野良一委員辞任につき、その補欠とし  て船田中君、只松祐治君、川崎寛治君及び吉田  之久君が委員長指名分科員選任され  た。 同日  分科員松祐治君及び吉田之久君委員辞任につ  き、その補欠として米内山義一郎君及び和田耕  作君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員米内山義一郎君及び和田耕作委員辞任  につき、その補欠として浜田光人君及び麻生良  方君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員浜田光人委員辞任につき、その補欠と  して野間千代三君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員野間千代三君委員辞任につき、その補欠  として河野正君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員河野正委員辞任につき、その補欠とし  て金丸徳重君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員金丸徳重委員辞任につき、その補欠と  して北山愛郎君が委員長指名分科員選任  された。 同日  第三分科員伊藤惣助丸君、小濱新次君、鈴切康  雄君、第五分科員久保三郎君及び長谷川正三君  が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度一般会計予算中会計検査院、防  衛庁外務省及び大蔵省所管  昭和四十四年度特別会計予算大蔵省所管  昭和四十四年度政府関係機関予算大蔵省所管      ――――◇―――――
  2. 足立篤郎

    足立主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  この際、御報告いたします。  去る二十四日外務省所管についての調査中、川崎寛治君のプエブロ号拿捕事件に関する下田大使の発言についての質疑に関し、外務省における調査の結果を本日資料として配付いたしました。なお、同日の岡田春夫君の質問中、沖繩核抑止力についての政府見解を同じく資料として配付いたしましたので、御了承願います。  昭和四十四年度一般会計予算中、防衛庁所管を議題とし、審査を進めます。  この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に要領よく簡潔に行なうよう、特に御注意申し上げます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。麻生良方君。
  3. 麻生良方

    麻生分科員 きょうは分科会ですから、長官、本舞台と違いますから少し詰めて御質問を申し上げますから、長官もそのおつもりで御答弁をお願いします。  私は、過日の予算委員会のとき御質問し上げました王子キャンプの問題について、十億円の特別会計予算が計上されておるわけですが、この点について移転先をお勢ねをしたところ、長官はそれは言えないんだと、そういう御答弁で終始しておりました。しかし私としてはそれでは納得ができませんので、きょうは第一にその問題をもう少し詰めて御質問申し上げて、もしどうしても納得できなければ再度理事会で――この取り扱いについては私及び私の党並びにすでに野党三党の懸案の事項になっておる。ここで納得できなければ、これは徹底的に理事会において追及をしなければならぬ、こう考えておりますので、そのつもりでひとつ御答弁を願いたいと思います。  初めに私、大蔵省にもう一度これをお尋ねしたいのですが、この十億円の予算を計上した以上、この間大蔵大臣の御答弁によりますと、これはそういう心証を得たんだというのですね。いいだろうという心証を得た。心証というのは非常に抽象的ことばでして、われわれはとてもこれを理解することはできない。少なくとも大蔵大臣がこれは妥当であると心証を得た程度資料、つまり具体的プログラムを私にも明らかにしてもらわないと、十億円について妥当か妥当でないかの心証を私も得ることができない。だから、大蔵大臣心証を得た具体的プログラムをまず大蔵省から明らかにしてもらいたい。
  4. 原徹

    原説明員 予算をつくります場合に、予算を編成する前にすべてのプログラムがきまっていなければ予算を組めないのかどうかという問題でございますが、それはそういうことではない。普通の場合には、単年度でもってもしできます場合でありますならば、予算ができてから実施計画をつくり、計画を立て、そしてやるというのがむしろ普通でございます。したがいましてこの事項につきましても、私ども防衛施設庁から、現に提供されている施設の中でやるということ、その点は明確にしてもらいました。したがいまして土地の購入費、これはつけておりません。建設の費用しかつけておらないのでございます。したがって、そういうことでとにかく現在提供している施設の中でやるということでございまして、そしてやろうとすればそれは実行可能であるというふうに判断をいたしましたので、私ども予算をつけたわけでございます。
  5. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると、問題は限定されてきますね。施設内だということですね。米軍施設内……。
  6. 原徹

    原説明員 私どもはそういうふうな説明を受けております。
  7. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると、米軍施設内――全国に百四十何カ所あるわけです。それ全部という意味ですか。
  8. 原徹

    原説明員 王子病院に着きます患者は、横田飛行場に降りた者がヘリコプターで病院に運ばれてくる、そういうことから考えて、やはりまあ九州のほうというようなものではございませんわけで、王子病院に利用できるということになれば、当然地域的には一定地域ということになってくる、こういうふうに考えます。
  9. 麻生良方

    麻生分科員 その一定地域というのはどこですか。
  10. 原徹

    原説明員 横田からすぐに、あまり時間がかからなくて運べるところ。
  11. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると、横田からあまり時間がかからなくて運べる基地というのは施設庁長官、どことどことどこですか。
  12. 山上信重

    山上(信)政府委員 現在、横田に着ました患者王子に来るという経路をたどっておりますが、大体そういった輸送経路もしくは陸上の輸送経路で到達し得る範囲といいますれば、東京都もしくはその周辺というような近隣であろうか、こういうふうに考えております。
  13. 麻生良方

    麻生分科員 東京都もしくはその周辺基地名前を全部列挙してください。
  14. 山上信重

    山上(信)政府委員 全部列挙せいとおっしゃいますと、非常にたくさんございますので、ちょっと私、宙で申し上げかねるのですが……。
  15. 麻生良方

    麻生分科員 あなたが該当するであろうと思われる――施設庁長官として……。
  16. 山上信重

    山上(信)政府委員 横田もございますし、立川もございましょう。それから入間川あるいは朝霞、また埼玉に現在補給処もございます。それからそのほか多摩あるいは神奈川県下にも二、三基地がございます。
  17. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると大体限定されてきます。五つ六つ名前をいまあげられたわけですが、少なくともその五つ六つのところがいま大蔵省の言われる、大蔵大臣の言う心証を得るに至った点ですか。そういう点まで煮詰めて大蔵省防衛庁とば折衝したのですか。
  18. 山上信重

    山上(信)政府委員 ただいま主計官のお話のありましたように、私のほうは米軍施設内ということで大蔵と話し合いをしております。
  19. 麻生良方

    麻生分科員 もう一つ、当然これは米軍同意が要るわけですけれども米軍との間にいままで何回くらい折衝を続けられましたか。
  20. 山上信重

    山上(信)政府委員 何回と申されるとなんですが、私ども米軍とはしょっちゅう接触いたしておりますから、もうそれは数回にわたって接触をしております。
  21. 麻生良方

    麻生分科員 私は外務省にこの資料の提出の要求をしておるのです。米軍との折衝過程が明らかでないとわれわれも審議を進めることができないので、いま資料要求をしておりますが、いまだに出てないんですね。で、重ねてお尋ねしますけれども、いまあなたがあげられた基地の中で、米軍側から不適当であると指摘された基地がありますか。
  22. 山上信重

    山上(信)政府委員 米側との間の折衝内容につきましては、いろいろ米側事情もございますので、米側意見についてはこの際差し控えさしていただきたい、かように思います。
  23. 麻生良方

    麻生分科員 米側意見についてわからなければ、われわれ審議の方法ないと思うんですよ。少なくともこの程度予算を組む以上は、米側との間にある種の合意がなければこれは大蔵大臣心証を得られない。日本の道路をつくるというなら、それがかりに変更になったとしても心証を得ることは可能でしょう。しかし最終的には基地内に、施設内に移転するといえば、米側同意がなければこれはできない。全く米側同意なしにこの予算を組んだとは考えられませんが、大蔵省、あなた防衛庁とこの予算折衝をするときに、少くとも米側についての見解大蔵省はただしてないのですか。
  24. 原徹

    原説明員 米側提供施設の管内では、よろしいということを私どもは聞いております。
  25. 麻生良方

    麻生分科員 その点について、米側との間にどの程度折衝しているかということを大蔵省は詰めてないのですか。
  26. 原徹

    原説明員 実行可能でなければなりませんから、その点は十分話を聞いたわけでございます。そして私どもは、これはいけるというふうに思いましたので、それで……。
  27. 麻生良方

    麻生分科員 時間がありませんから、私この種のことであまり回りくどいことをしたくないんだ。私率直に言うけれども、一番初めこの十億円の――予算委員会ですからね、われわれも全部予算を検討しますよ。そうするとまずひっかかったのが、これが王子キャンプだということ、当然私はこの十億円の予算措置について大蔵省の某担当官を呼んで事情聴取をしたのですよ。そのときに某担当官は、はっきりと私に移転先を言っているのですよ。名前を明らかにしてもいいんですか。大蔵省内部における責任ある担当官ですよ。私には、これは某々に移転するということになってこういう予算を計上したのでありますということを言うておるのですよ。その名前を明らかにしてよろしいか。私あまりこんなこと言いたくないんだ。
  28. 有田喜一

    有田国務大臣 麻生さんの御質問、御趣旨よくわかりますけれども、これは単に王子病院ばかりじゃございませんで、いままで一般基地移転の場合に、移転先地元理解と協力を得られないままにそれをどこへやるというと、いままでの例だとほとんど失敗してしまっておるのです。そこで私は慎重な態度をとっておるのでございますが、これを円滑に処理するために、事前に明らかにすることを差し控えさしていただきたいのです。この間予算委員会に対しても私は答弁したのですが、他意あってそういうものをあかさないというのではなくて、この問題を円滑に処理したい、また私といたしましても、まだまだ関係方面に話もしたりしなくちゃならぬ面が若干残っておりますので、そこで、この点を賢明なる麻生さんによく御理解を願いたい、こういう心境でありますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  29. 麻生良方

    麻生分科員 心境だけで政治をやるというわけにいかないのです。この基地移転するということは、私は予算委員会のときにも申し上げたように、きわめて重大なことなんです。私は移転反対なんです、ほんとうは。撤去でなければいかぬという主張なんです。ところが、王子キャンプができた、王子反対運動が盛り上がってきた、そうすると政府当局者は、その反対運動を鎮火させるために、あて先もなしに移転ということばをすぐ口にする。口にするから地元人たちは、政府が約束してくれたと、こうなる。そして今度は移転先をさがし始める。どこに行ったって、王子にあって地元周辺の人が迷惑を受けるものを、王子以外の地区に持っていっていいという理由は成り立たないんですよ。それは日本国内であれば、どこへ持っていったって、それで迷惑を受けるものはどこでも迷惑を受ける。だから私は移転そのものに賛成じゃないのです。もっと政府は本腰を入れて、この種の問題については撤去要求すべきなんです。ところが、当時の政府当局者移転ということを約束をした。したがって防衛庁としても移転先をさがさざるを得なくなってきた。そのさがさざるを得なくなってきたしわ寄せがいまの長官にいっている、よくわかります。しかし移転ときめた以上、そしてこれだけの予算を組んだ以上――私はこの予算が組んでなければこんな質問はしませんよ。予算を組んできた以上は、少なくとも一年以内にこれは着手しなければならぬではないか。そうでしょう。そうすれば、どんなにこの委員会秘密にしたところで、あなたがいま言われるようにいましばらくと言うたところで、いつかは地元に対し折衝を開始しなければならぬでしょう。それはあなたがいま言われるように、地元了解なしにやっていけないでしょう、幾ら法的根拠はどうであるこうであると言うたところで。そうだとすれば、われわれ国会責任を持った形で私は移転の処理をしてほしい。われわれも国会議員ですよ。基地の問題については政府だけの責任だとは言うてない。そうでしょう。なぜそれを秘密になさるのか。どうせ地元折衝をしなければならぬのなら、この十億円はこういう計画なんだ、この計画を明示して、その上に立って地元人たち折衝するのが順当ではないですか。それを隠しておいて一体どうやって地元折衝するのですか、大臣。私は、これが秘密の上にでき上がってしまう空中楼閣なら何も申し上げません。また、あなた方の政府地元民がわからないうちにこっそりつくってしまって、でき上がっちゃったんだからかんべんしてくれという種類のものなら、これも取り上げません。しかしそうではないでしょう。そういうおつもりですか。これは空中楼閣をおつくりになるおつもりですか。長官。そうじゃないでしょう。
  30. 有田喜一

    有田国務大臣 決してそういうつもりじゃないのです。私は、地元理解も必要だし、また地元を管轄しておる知事さんとかそういうような方とも、やはり私の立場としてはよくやって御理解を深めるような、そういう段取りをしなくちゃならぬと思っておりますが、まだそういう方面段取りまで進んでおらないので、そこでいまたいへん恐縮なんですけれども、私の口からかくかくでございますということを言うことは差し控えさしていただきたい。あなたのお気持ちはよくわかるのだけれども、また私の気持ちもひとつお察しを願いたい。
  31. 麻生良方

    麻生分科員 私は大臣気持ちはわかりますがね。地元了解をとることが先決だと言われるが、しかし地元にいつ折衝を始められるおつもりですか、あなたの言われる地元とは。
  32. 山上信重

    山上(信)政府委員 ただいま大臣がお答えになりましたように、移転先につきましては、地元それから米軍、両方の問題がございます。先ほど申し上げたように、米側については、基地内ということについては私どもこれは同意を得る心証を得ております。したがいまして、そういう線で考えておるわけでございまして、地元との関係も、これがなるべく円滑にいくということが望ましい姿でございますので、ただいまそういったような感触をいろいろ詰めておるという段階であります。
  33. 麻生良方

    麻生分科員 長官、あなたはこれから地元、美濃部さん、米軍その他とおっしゃっておりますが、私が予算委員会質問をしたのは六日ですよ。それからもう相当の日にちが経過しておる。その間、これは全く放置しておられたのですか。そうじゃないでしょう。私きょう時間がないから詰めますけれども、すでに自民党の某代議士を仲介として折衝している地区があるのですよ。その名前をあげてよろしいか。某代議士名前をあげてよろしいか。その某代議士が、政府の意向を体して、地元の町議会の代表者に会見を申し込んで、そしてその地区王子野戦病院移転したいと思うが、地元側了解が得られないかという折衝をすでに開始しております。その時期も私は明らかにしておる。それからその代議士名前も明らかであります。しかし、私はほんとうはそういうことで詰めたくないのです。  それから、先ほど私大蔵省に申し上げたように、私がこの問題を取り上げて大蔵省をお呼びしたときに、移転先多摩弾薬庫です、はっきりこう言っておる。その上に立ってこの予算を組みましたと、私に事情説明している大蔵省責任ある担当官がいるんだ。私はそういう人の名前を明らかにすれば、その人の責任問題になるだろうと思うから言いたくない。言いたくないけれども長官がいつまでもその態度でいるなら、私はそれらを全部明らかにして、この次の予算委員会で全部証人として喚問しますよ。私はこわすために言うておるんじゃないんです。王子移転しなければならぬ。ほんとう撤去してほしい。しかし移転をお約束され、移転計画を立てた以上は、その移転先反対がどうであるかこうであるかは別として、われわれ国会議員立場からは、少なくともこの予算審議する上において、移転先がほぼ明らかにならなければ審議のしようがないということを言っておるのです。事情はわかっておりますよ。しかし、そういう事情予算審議ができなくなったら、全部できないじゃないですか、ほかの予算にも影響するじゃないですか、こういう一つのことを認めたら。私は長官のお立場はわかるが、それだけに、委員会において移転先プログラムを明らかにして、そうしてそれができなかった場合はやむを得ないではありませんか。しかし、できるだけ誠意を尽くし、その。プログラムを明らかにし、公明正大に地元人たちに接触する態度政府が持たずして、何か秘密のうちに推し進めておるという印象を与えれば、地元反対運動はそれだけ逆に熾烈になるとあなたはお思いになりませんか。これ以上私に質問させるならば、私はいま申し上げた点を全部明らかにしますよ、某代議士名前も某大蔵省責任ある担当官の氏名も。そして、次の委員会で全部証人喚問いたしますよ。大臣、私は大臣の口から言えなければ、私がすでに得ている私の心証の中から申し上げます。よろしいですか。  私は、当初この問題をいろいろ調査した結果、やはりこれは横田にあるのです。横田から行くのですから、横田にあれば一番いい。これは当然でしょう。しかし私の調査では、横田では逆に米軍から反対意見が開陳されておるという情報と事実もつかんでおる。それから立川一つ候補になったと私は思います。これも米軍同意を与える段階までは至っていないと私は聞き及んでおります。そうすると施設庁長官、あなたはいろいろあげられたけれども、その中で病院を建設するにふさわしく、しかもいま使っている施設の用途がもう不用になっている地区ということになると、一番だれが考えても常識的にあがるのは稲城の多摩弾薬庫なのです。常識的にあがる候補地は、これはあなたでなくても、われわれがしろうと目で考えても、まずここを考える。これは当然だと思うのです、移転前提とするなら。そして現に先ほど申し上げた某代議士を通じての地元折衝は、この多摩弾薬庫を中心に進められておることが明らかになっている。長官、あなたの口から言えなければ、私が申し上げます。この移転先の有力な候補地一つとして多摩弾薬庫があるかと私が御質問いたしますが、長官は、それに対してどう御答弁されますか。
  34. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど来申しておりましたように、私の口からこうだということを言えないことは、麻生さんも御了承賜わりたいと思うのです。したがいまして、どこということを具体的に明確にはこの際言えませんけれども、いまおっしゃる多摩も、幾つかある候補地一つであるということだけは、否定するものではございません。
  35. 麻生良方

    麻生分科員 私は、それに満足はいたしません。しかし多摩が、いま防衛庁の考えておられる移転先一つ候補地であるということは明らかにされましたね。その他も幾つかあると思います。この種の問題ですから、これから移転問題とお取り組みになって、目的地を変更されることは、あるいはあり得るかもしれません。しかし多摩弾薬庫がその一つであるということについては、再度確認をいたしますが、それが候補地一つであることは間違いないですね。
  36. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど言いましたように、候補地一つであるということは、否定いたしません。
  37. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると、これは長官に伺いますが、かりに多摩弾薬庫一つの目標にされるか、あるいは他に別なことで代替地を求められるかは別として、この問題については条件をつけておきたいと思います。われわれも国会でこれを審議をする以上、この問題が円滑に処理されることを望みます。処理されるためには、条件幾つかありますが、その一つは、まず地元民了解工作を得ることが前提です。そうでなければ、この種の問題は、いわゆる一九七〇年の基地を頂点とした基地闘争にこれが利用されるおそれが多分にあります。そして、それがそこで起きれば、不必要な基地闘争の摩擦をまた一カ所より多くつくるという結果になります。したがって、これはどうしても地元民との了解前提になるということ、この点について長官の御答弁を願います。
  38. 有田喜一

    有田国務大臣 いずれにしましても、私は基地移転するときは、移転先地元の深い理解納得を取りつけていくことが前提である、かように考えております。
  39. 麻生良方

    麻生分科員 第二に、これは東京都下ですから、法律的には東京都の同意を得る必要はないと思います。しかし実際問題として、東京都には東京都の計画があるはずであります。特に多摩地区においては、ニュータウン計画もある、そういうような状況がありますから、先ほど大臣が言われた美濃部都知事との折衝をいまだにされておられないということは、はなはだ心外です。私が質問したときから相当の時間がたっておるのに、なぜ長官あるいは施設庁長官東京都との間に、この点について了解工作を行なうことができなかったのですか。あるいはしておるのですか。
  40. 山上信重

    山上(信)政府委員 先ほど申し上げましたように、ただいまいろいろな面の問題を考えておる段階でございますので、ある程度固まれば、お話し合いに移りたいという気持ちを持っております。
  41. 麻生良方

    麻生分科員 長官、これはどうしてもあなたは美濃部都知事にお会いになって、誠意を尽くしてこのことの了解を得ること、これが第二の前提です。  第三は、米軍についてでありますけれども、これは当然のことながら、米軍同意を得られる確信はおありなんでしょうね。
  42. 有田喜一

    有田国務大臣 王子病院移転のことにつきましては、昨年の十二月二十三日でしたか、日米協議会の席でも話し合いをしたことがあるのですが、そこで具体的にとこというところが一いま候補地一つであると申しましたけれども米軍基地内のことは了解は取りつけているわけです。だから、そういう前提がある以上は、米軍のほうは了解は取りつけられると思います。  そこで、私のほうとしましては、一つにしぼってきて、これという段階になれば、もちろん美濃部知事とも話し合いをして、そして御協力を得るように、そういう段取りをとりたい、こういう気持ちでおります。
  43. 麻生良方

    麻生分科員 地元からは、私のところにも陳情がたくさんきております。私は、当の責任者ではございませんから、この陳情は陳情としてお受けしているが、私がいま申し上げたことは――移転先として多摩弾薬庫候補地一つと考えるあなた方の御計画が妥当であるかどうかについては、私自身は別な結論を持っております。必ずしも妥当であるとは思わないし、結果的には、きわめて困難な事態に逢着するであろうという見込みです。しかし、そのことは、政府がおきめになることだから、私は特にこれ以上深入りはいたしません。  ただ、この機会に私は長官に申し上げておきます。王子野戦病院が、本来あそこにできたときの性格と今日の性格とはかなり変化があると思うのです、実質的に。その点についてどうお考えになりますか。
  44. 有田喜一

    有田国務大臣 王子病院は、米側見解によりますと、あれは総合病院である、こういう見解を持っております。御承知のとおり、ベトナムで負傷した軍人などがすぐあそこに行くわけではなくて、途中の野戦病院とかあるいは中間病院を経て、そして王子に送られている状況なんです。だから、これは直接ベトナムの前線から送られてきているわけではない。したがいまして、御質問の御趣旨はわかるのですが、それにしましても、間接といいながらベトナムで戦って傷ついた人があそこに収容されていることは現実の事実であります。したがいまして、そういう意味合いにおいては、お説のような野戦病院的な色彩があるという意味にもとれるわけでございます。  そのような意味では、移転が円滑に進んで新しい病院かできるときには――御承知のとおりベトナムの和平というものが、いまパリ会談を中心としていろいろ進展しておりますので、現実に王子にいる戦傷者もだんだん減ってくる傾向にあるわけでございます。現実に新しい病院ができたときには、そういう戦傷者がだいぶ少なくなっていく。結論的には、この新しい病院が御説のような総合病院になる可能性が十分ある、私はかように思いまして、御質問の趣意に到達する時期が近くくる、かように私は思っております。
  45. 麻生良方

    麻生分科員 そもそも王子キャンプの問題は、当初から野戦病院としての性格でここに設置されたことに問題がある。もう一つ、これがここにでき上がるときに、当時の政府答弁では、でき上がるまで知らなかったという答弁が出ているのです。これはまたこれで追及すれば、ほんとうはたいへんなことです。目的が変更されるんですからね。その目的変更の場合に、合同委員会で全く協議されなかったというばかな話はないのです。しかしそれはそれとして、とにかく王子にできたときは野戦病院としての性格が強かったのですね。しかしその後、いま長官が言われたように、かなりその性格が変わってきておる。特に、ベトナムの和平会談がいま続けられております。これには波があると思いますけれども、終局的に和平が成立するという可能性が強まれば、当然米軍としては野戦病院の必要性がなくなってくる。だから本来なら当然撤去すべきである。王子王子として撤去をして、その施設は、もし米軍に返還してもらえるなら、日本政府の資金でそれに見合うものを逆にどこかに提供することも考えられるでしょう。その場合に、王子野戦病院移転ということではなくて、王子野戦病院は閉鎖、基地撤去、そしてそのけじめを明確につけた上で、どうしても米軍が総合病院が必要であるというなら、また別個の観点から総合病院の建設計画を立てられたのではないか、こういう考えがあるのですね。ところが、そういう思慮なくして、王子でつつかれたときに、すぐこれを移転しますと言うてしまった。言うてしまってから、こういう形で、たとえば多摩弾薬庫等にしても、地元人たちが、あの野戦病院を持ってこられてはかなわないという印象を強くするのは当然だと思うのですよ。だからこの際ひとつ政府に善処してもらいたいのは、移転ということにピリオドを打てないかどうか、それで王子王子で、向こう一年なら一年、一年半なら一年半でよろしい、米軍折衝してこれを撤去する、病院は閉鎖する、そういうかまえにかまえ直すことができないか、そしてそれと同時に、その折衝の過程の中で、米軍がどうしても野戦病院でない総合病院が必要であるというなら、その総合病院の建設計画を、いまあげられておる候補地の中におつくりになるという計画に変更できないか。この点、もう少し詰めてみたいと思うのですがね。長官、私がいま申し上げたプランについてあなたの御見解をもう一度お伺いします。
  46. 有田喜一

    有田国務大臣 過去のことは麻生さんもよろしいということでありますから私は申しませんが、先ほど言いましたように、実質的にはあなたのおっしゃるようなことになるだろうと私は思いますよ。米軍自身もあるいは総合病院の考え方があったと聞きますが、ベトナムの負傷者があそこにいることも現実でございますから、それで新しい移転先病院が建設されるような――一年で済むというわけではありませんから、それが建設されたころには、たくさん負傷者はおるかもしれませんけれども、大体においては総合病院、名実ともに総合病院ですね、そういうことになり得る、こういう考えで、御意見の観念とはちょっと違うかもしれませんが、実質的にはおっしゃるようなふうに進みつつある、こう思ってくださっていいのではないかと思います。
  47. 麻生良方

    麻生分科員 この問題について、その処理、扱い方について、私には私なりの意見と主張があります。しかし、きょうは分科会ですから、それを差し控えたいと思います。  最後に、もう一度、結論だけ申し上げておきますが、一応十億円の予算審議する根拠は私にも心証として得られました。その私の得た心証は、移転先一つの目的が多摩弾薬庫にあるということを念頭に置いて、この十億円が妥当であるかどうかの審議を私自身行なう根拠が一応これでできましたから、これで一つの結論を私自身は持ちたいと思います。しかし、だからといって移転先に賛成したわけではありません。先ほどから申し上げているように、移転ということは軽々しく言うべきではない。原則的に基地はすべて撤去という方針に基づいて今後進んでほしい。なぜなら水戸の射爆場、あの移転をきめたのは三年半前でしょう。これは明確に日米の合意書までできているにかかわらず、三年半たって依然としてこの移転が実行できない。のみならず、先般楢崎君の質問でしたかに答えられて、これがだめならばほかの地区を考えることもあり得るということになってきておる。そうすると、地元人たちの三年半の不安、動揺はたいへんなものですよ。いつ移転してくれるのだろう、移転したあとはどうなるであろう、またひどいのは、移転したあとの土地を利用しようという団体がうようよしているじゃないですか。そういうことで三年半もあいまいな時間を経過して、結果的には実現できなかった。私は王子がこうならないことを望みます。それには王子をまず撤去させることが先決なんだ、野戦病院を閉鎖させることが先決なんだ、その上に立って、米軍が新たな要求として総合病院が必要である、そしてまたそれを返還するときは病院ごと日本に返還するということであるならば、それをどこに持っていこうと、別個な地元民との折衝の角度も生まれるでしょう。  私はこのことを最後に私の意見として申し添えて、この問題に関する質問は一応ピリオドを打たせていただきます。しかし、扱いは理事会の懸案事項になっておりますので、どう取り扱うかについては理事会に一任したいと思います。  次に、同じ基地問題ですが、私はきのうの夕刊からきょうの朝刊を見て、あ然としているのですよ。何があ然としたかおわかりでしょう。なぜいまごろになって基地公害を公害紛争処理法案の中から急に除去することになったか、全く理解に苦しむ。私はきのうの夕刊ときょうの朝刊を見て実はびっくりした。きのうの夕刊の段階では、私はまさかと思っていたのです。こんなばかなことを政府がするはずはない。しかしきょうの新聞を見たら決定的になっている。ちょっと内容を報告してください。公害紛争処理法案の中から基地公害を除去した理由、その過程を報告していただけませんか。
  48. 有田喜一

    有田国務大臣 政府としてはまだ閣議の決定までにいってない段階でございますから、新聞に報道されるとおりになったということはいまの段階で申し上げかねるのであります。
  49. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると、除去しないこともあり得るのですか。
  50. 有田喜一

    有田国務大臣 閣議でまだ決定されておりませんから、それでこうなりますということは言いかねることなのです。それじゃもとどおりになるかということも閣議の決定次第ですから、まだ正式にきまらないうちに先ばしってこうでございます、ああでございますということは、ちょっと公の席では差し控えさしていただきます。
  51. 麻生良方

    麻生分科員 これは公の席ではないですよ。ここは予算委員会分科会ですよ。公の席ではないのです、これは。審議の場ですよ。われわれは何をもとに審議するかといえば、こういうものをもとに審議をせざるを得ないわけだ、出ていないのですから。私が聞いているのは、少なくともこういうものが新聞に出るに至った経過があるでしょう。その経過を明らかにしてもらいたい。決定してないならないでいいですよ。
  52. 有田喜一

    有田国務大臣 決定はいたしておりませんから、こうなるということは先ほどのように言えませんが、考え方としては、わがほうの自衛隊の基地なり米軍基地というものは、御承知のとおり基地周辺整備法というものがありまして、相当いろいろな被害あるいは損失に対して補償の道も講じ、そして異議の申し立てというような道も講じているわけです。のみならず、ことに米軍基地なんというものは、簡単に調査員が立ち入り検査をするとか、あるいはこういう文書をよこせと言いましても、それは軍事の機密の問題もありまして、どうしても出しにくい問題もある。そこで一般の企業公害を主としたあの体系よりも別の体系でやるべきことはやるようにしたほうが穏当ではないか、こういう考え方は防衛庁の中にもあるのでございます。しかし、それがどうなるかということは、先ほど申したようにまだ決定されておりませんが、そういう考え方があるということだけは事実でございます。
  53. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると、長官御自身もそういうお考え方ですか、個人として、長官として。
  54. 有田喜一

    有田国務大臣 もちろんそういうように私は思うのですがね。そこで、いわばいままでの企業公害よりも防衛関係基地に対する損害あるいは損失の補償ということは、不十分といいながらずいぶん前からやっておるわけでございます。それをもっとしっかりやって、そしていろいろなああいう手続を、違う体系においてやったほうが適当ではないか、こういう考え方は私個人としても持っております。
  55. 麻生良方

    麻生分科員 長官にお伺いをしたいのですが、公害というものの性格、これは何ですか。公害とは何ですか。
  56. 有田喜一

    有田国務大臣 法律の条文にはどういうことが書いてありますか、ここに書いてあるとおりでありまして……
  57. 麻生良方

    麻生分科員 ここに書いてあると言ったって、こっちは持ってない。
  58. 有田喜一

    有田国務大臣 政府委員からこれは読まさせます。
  59. 麻生良方

    麻生分科員 簡単に要点だけちょっと言ってください、時間がありませんから。
  60. 山上信重

    山上(信)政府委員 公害対策基本法でいうところの公害とは、「事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘さくによるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。」こういうふうになっております。
  61. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると基地公害ということばがありますが、長官、それはお認めですか。
  62. 有田喜一

    有田国務大臣 そういうものがあればこそ、いま基地周辺整備法というものがあって、とにかく不十分といいながらそれをやっておるわけでござ  いますね。
  63. 麻生良方

    麻生分科員 あなたはいま基地周辺整備法、不十分だとおっしゃられた。不十分なら、これからはずして、その整備法をもっと根本的に改正する意図がおありですか。不十分なら改正しなければなりませんよ。
  64. 有田喜一

    有田国務大臣 法律を改正してやらなくちゃならぬ面も将来出てくるかと思います。それからまた法律を改正せぬでも予算の獲得でいける面もありますから、そういうものはいま直ちに法律をどうしようとは思っていませんけれども、将来の課題として十分なことをやりたい、かように考えております。
  65. 麻生良方

    麻生分科員 長官、整備法の持つ性格と、この公害紛争処理法案の持つ性格と目的とは違うのですよ。根本的に違うのです。いいですか。整備法の中で公害の処理というものをするとすれば、整備法そのものの性格を変えなければ、法律としてはそれはできないのです。その法律がそこにあれば、その性格と目的があるんだ、おのおのの。いいですか。もし整備法が公害についてはっきり責任を持つ法律であるなら、基地公害という問題の解決はとっくにできているのですよ。それが現実においてできてないのです。だからこそわれわれは、今度政府が出す公害紛争処理法案の中でこの問題が解決されてくると実は喜んでおったのです。当然ですよ。  それからもう一つ、公害というものはだれが受けるかよりも、住民が受けている被害というものがある以上、それは公害なんです。それが基地によって起ころうが、自動車の排気ガスによって起ころうが、工場の排水によって起ころうが、大気の汚染によって起ころうが、要するにそこにいる住民が受けている被害、これが公害なんですよ。特定の会社から受けていることが明らかになれば、それは別個になりましょう。それが公害なんですよ。これはお認めになりますか。――いや、防衛庁長官、あなたの見解を聞いているんだから、この点について、何も数字をあげろというのじゃないのですから、長官のお考えがあるでしょう。
  66. 有田喜一

    有田国務大臣 あの整備法の体系でいけるかということですが、これは法律事項をいろいろやれば私は必ずしも不可能とは思いません。とにかく騒音に悩み、あるいはいろいろと不安をかかえているそういう地区住民に対して、これを防止し、実際損害を与えたときにこれを補っていく、これを補償していくというのがいまでもあるわけでございますが、そういうことを将来拡充して、そしてひとつ基地周辺地区の住民の民生安定のためにできるだけやりたいというのが私のいまの気持ちなんです。
  67. 麻生良方

    麻生分科員 いやいや、私の質問はそういうことじゃないんですよ。公害というものは、それがどこが与えていようが、どういうものであろうが、被害を受けている住民のその受けている立場に立って公害を考えなければならないのです。その点は御同意ですかと聞いているんです。
  68. 有田喜一

    有田国務大臣 もちろん地区住民の立場を考えてやらなければなりませんけれども、また一般の企業公害と違いまして、基地につきましては、何といいますか和解とか仲裁とかいうことについてまた特別の配慮をなしていかなくちゃならぬということもこれは必要なんですね。そこで一般の企業公害と違う法体系をやるべきものじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  69. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると、その基地についての責任の所在の問題になりますけれども、私は日米合同委員会資料の提出がさらに必要になると思います。日米合同委員会でこの基地公害について、その取り扱いについて協議をして合意に達した点がありますか、外務省
  70. 山上信重

    山上(信)政府委員 御質問の趣旨がちょっとはっきりいたしませんが私なりに解釈しまして基地に関連するそのような障害が起きた一われわれは障害ということばを元来使っておりますが、そういうような場合には、米軍の場合についても自衛隊の場合につきましても、これは国が補償をし、あるいは損害の防止をするというたてまえでやってきております。
  71. 麻生良方

    麻生分科員 そうすればやはり国の責任でしょう。なぜこれを特別に除去しなければならない理由がありますか、長官
  72. 有田喜一

    有田国務大臣 まだきまってないことをきまったような前提でそう言われるのは、ちょっと私は答弁しにくいのですけれども、しかし御承知のとおり基地というものは一般と違う性格を持っております。だから立ち入り検査をやれというても現実に米軍基地に入って立ち入りする権能が日本に与えられておるわけでもないのです。向こうがノーと言えばそういうことになりますから。そういう点で特別な配慮をしなくちゃならぬ点がある、こういうことです。
  73. 麻生良方

    麻生分科員 米軍がノーと言えばそれでだめなんですか、一切調査もできないんですか。たとえば現実問題として公害が基地周辺に起こった場合、その場合にその公害の原因を調べるについて日米合同委員会日本側が要求をして、日米合同で調査をすることが全然不可能なんですか。アメリカがノーと言ったらもうだめなんですか。
  74. 有田喜一

    有田国務大臣 公害に対しましては、合同委員会や何かではいろいろと意見も交換し、そしてそういう調査もできると思うのです。だから公害といいますかその被害ですね、損害を与えたことに対する補償の道は講じなくちゃならぬ、しかしやり方が一般の企業公害の場合とはそこに趣が違う点がありますから、だから法体系を別にしたほうがよくはないか、こういう考えです。
  75. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると長官のお考えの中には、この基地公害については法体系を別にする、たとえば新たな基地公害処理法等のものをおつくりになるお心づもりがおありなんですか。
  76. 有田喜一

    有田国務大臣 将来あるいはこの整備法の改正ということも必要である、そこらのところはひとつ法律問題として、違う法律になるか、あるいは整備法を修正、改正していくなればそういうものが救われる、こういうことも考えると、まだそこまでこうしますということはさまっていないのですから、まだもとがきまっていないんだから、それ以上と言われても、いま私もちょっと答弁に苦しむのです。
  77. 麻生良方

    麻生分科員 私、詰めていますのは、長官のお考えとして、これははずしたほうがいいというお考えだということを先ほど明らかにされたから聞いているんですよ。と同時に、また長官御自身が、そのはずす理由として、ちょっと扱いが違う、だからこれは別途の法律か、あるいはいまある整備法を改正するかによってもっと積極的な姿勢で取り組みたい、こういう御意向を表明されておる。いいですね、ここまでは。将来と言われた。将来は、一年先も、一カ月後も、十年先も将来ですからね。その将来というのはいつです、あなたのお考えになる将来というのは。
  78. 有田喜一

    有田国務大臣 そんな十年先とか、遠い先のことは考えておりませんが、しかしいま直ちにこの国会の場においてこういう法律を出すというところまではないんですね。ですから、近き将来ということを考えております。
  79. 麻生良方

    麻生分科員 それなら私は、閣議決定がどうなるか、その結論はわかりませんとあなた申しておられたが、もし閣議決定によって基地公害を除去することがきまった場合、あなたは長官として、それと同時に、この整備法なりあるいは別法なりによって基地公害に対する抜本的な対策案をあなた御自身提示する用意がおありですか。
  80. 有田喜一

    有田国務大臣 いま御承知のとおり、さっき言ったように基地周辺整備法があって、それに対して、損失あるいは被害に対して、あるいは騒音防止とかいうようなことに対していろいろな手を打っておるわけですね。ところが、こういうことでは不十分だという段階に達すれば、今度新しくそれを改正してやっていく、こういう道があると私は思っております。
  81. 麻生良方

    麻生分科員 私は、これはまだ閣議決定してないと言われるから、いい悪いとかここで論じても始まらないと思いますが、少なくとも防衛庁内部に、処理法案から基地公害をはずせという意見があることは事実である。そしていま閣議で問題になっていることも事実である。そして長官御自身は、はずしたほうがいいというお考えを持っていることも事実である。と同時に、もう一つ、はずした場合の条件として、長官御自身が、いいですか、もう一度私はだめを押しておきますが、少なくとも整備法の改正あるいは別法によって基地公害処理に対する積極的姿勢を明らかにする御用意がある、こういうふうに理解してよろしいか。
  82. 有田喜一

    有田国務大臣 私は来年度の予算につきましても基地対策費を相当とったつもりでおりますけれども、それで満点かというと必ずしもそうは思わないから、だんだんと必要に応じて、いま申したように積極的に基地対策を進めたい、かように思っております。
  83. 麻生良方

    麻生分科員 まあ解散風も吹いておるから、防衛庁長官いつまで長官の座においでになるかしれませんが、長官、あなた御自身の意向として、これをはずすということが閣議決定されたら、少なくともあなたは、長官としていまおっしゃったいまの整備法が不備であるということをあなた自身が御認識されているなら、私は、あなたの在任中にこの基地公害についての根本的な対策を、別法か改正によってお立てになることを意思表示されることを望みます。そうであるなら、私も、はずす理由について一はずすことに賛成か反対かは別として、はずす理由については納得がいきます。しかし、片方は現状のままにして、不備なものをそのままにしておいて、そして処理法案からこれだけをはずすということはどうしても納得できない。もしそういう態度を閣議決定したら、私及び私の党はこれに対しては徹底的に究明することになると思いますから、その点ひとつ念のために申し添えておきます。よろしいですね。それでは、これは閣議決定してないものを、新聞の記事だけでこれ以上詰めても始まりませんから、いままで明らかになったところで、一応これはピリオドを打たしていただきます。  最後に、これは若干過日の川崎君の質問に重複するかもしれないと思うのですけれども外務省関係の方が見えておりますので、朝日新聞の二月二十三日付でプエブロ号の問題で下田大使談という記事が載っておりますね。その内容は過日の川崎議員の質問で明らかですから、私は再度触れませんが、要するに、当時アメリカ側は正当な立場におったのであるから、したがって報復措置をとっても当然であったという下田大使見解一つここで出ておるのですね。しかしそれをやらなかったのは政治的配慮に基づくものである、そのことは日本にとって幸いであった、こういう談話の内容になっておるのですよ。これを裏返しにしますと、正当であったからして、米軍は当時正当な立場に立って軍事力あるいは実力等によって報復措置をとることもできた、しかしその場合は日本は不幸になったであろう、こういう見解とも受け取れるのですが、この下田大使の発言についての資料がいま配られております。私も先ほど来、始まる前にこれを通読いたしました。しかし、この資料だけではきわめてあいまいでありまして、この種の問題を大使が発言する場合は、私はたいがいの場合外務省との間に事前の連絡があると聞き及んでおりますが、その点についての事実はどういうことだったのか、ちょっとお答え願いたい。
  84. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 この件につきましては、けさお配りいたしましたわが方の調査の結果にも書いてございますように、下田大使がロサンゼルスの講演会に行かれまして、その講演会の前に、恒例によって同地の内外記者と会見されたわけでございます。そこで記者のほうから、特にサンディエゴでプエブロ事件の米海軍査問委員会があったという事情がありましたので、そういう質問が出たと思いますが、記者のほうからの質問にお答えになったものでございます。  いま先生おっしゃいますように、重大な政策を含むような問題について大使が記者団に発言するというような場合には、これは常識的にいいましても、あらかじめ打ち合わせをやるのはもちろんでございますが、この種の記者会見に臨むについて、一々その質問は請訓しなければ返事ができないというものでもございません。この前、川崎先生の御質問がありましてから、どういう話が行なわれたかということを調べたわけでございます。その結果によりますと、下田大使は、プエブロ事件調査の結果によって明らかになったように、もしプエブロが公海上にいたならばということでお話しになっているわけでございます。すなわち、公海上で軍艦は、平たく言えば、座して拿捕を待つ必要はないという国際法の一般的のことを述べられたわけでございまして、それはそうだが米海軍あるいは米軍として対抗措置というようなことをしなかったのはたいへんよかった、こういう御趣旨の発言でございまして、これは私でもだれでも、その場でそういう質問があればおそらく同じことを答えたろうと思いますし、またその種の仮定を設けて国際法の通念を述べられることまで請訓なさる、あるいは請訓する必要はないとわれわれは考えております。
  85. 麻生良方

    麻生分科員 この一間一答を読みますと、これはこれなりに理解できます。しかし、少なくとも大使の発言の中には二つのきわめて重要な問題が含まれておるのですよ。  その一つは、あの当時の米国の立場が正当であったかどうかということについては、いままだきわめて不明確な状態のほうが多いのですね。あの例のプエブロが釈放されたときの声明文は、自分たちのほうが領海侵犯をした事実を認めておる。しかし釈放されてしまってから、あれは強制によっての自白であるというようなことで、全く真偽がつかみがたい。ですから、この問題について米側が正当であったと日本の大使が断定を下すということについて、私はかなり重大な問題がこの点については一つ含まれておると思います。これが一つです。  それからもう一つは、かりに正当であった場合、アメリカとしては当然のことながら報復措置をとる権利が生じてくるわけです。権利が生じてくるといえば、それは具体的に行動として示されていたはずであります。行動として当時示されていたものを、さらに一問一答ではそこまで詳しく出ていないが、私のほうでも質問したいことは、その具体的な行為とは何かといえば、当時考えられるのは二つの行為であります。その一つは、佐世保を出たエンタープライズがその搭載の爆撃機を向けるということが一つ、それからもう一つは、沖繩にある米軍基地から報復措置を加えるであろうということが一つ、いずれにしても軍事行動であり、これは日本にとってきわめて重大な問題になることが明らかになるわけですね。そういうような点について、この下田発言の内容はきわめて重要な問題を二つ実は提起しておるのですよ。私はその点について、きょうは分科会ですからこれを煮詰めることは避けたいと思うのです。しかし、少なくとも下田大使がどのような趣旨に基づいてこの種の発言を公の席においてなしたかということについて、私はもう少し真意を聞きたい点があるのです。いま下田大使の召還問題が予算委員会理事会で議題になっております。そして、これは野党の懸案事項としてそのことが強く要求されております。私は下田大使が発言してけしからぬという立場ではなくして、少なくとも今後の日米関係において重要な任に当たる下田大使の発言がきわめて政治的である以上は、われわれ国会議員としては、この国会下田大使においでになっていただいて、下田大使の真意とするところ並びにアメリカ側の世論の動向を伺う権利がある。また当然大使はそれに応ずる義務がある。私は大使が発言したからけしからぬという立場で言うておるんではないのです。そうではない。むしろこれだけの重要な問題を提起しておるのでありますからして、われわれとしては下田大使からその真意を聞きたいのです、率直のところ。外務大臣なかなかその真意について答弁しない。総理も下田大使の発言については言を左右にしておるという状態では、われわれは直接大使から、やはり外務委員会なり予算委員会なり、それを秘密理事会にしても秘密委員会にしても、大使の率直な見解をお伺いしておく必要があると私は国会議員として考えます。この点について外務省見解を再度私はお尋ねをしておきたいのです。
  86. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 ただいま先生のおっしゃいました二点のうち、第一点はこの資料をよくお読みくださればおわかりと思いますが、下田大使は、いま先生のおっしゃいましたように、当時の米国が正しかったかどうかという点を言っていらっしゃるのではなくて、先ほど申し上げましたように、軍艦というものは公海において座して拿捕されなければならぬものではないという国際法の一般原則を述べられたものでございます。ということは、もし公海上にいたとすればこれこれである、それはそうだが大事に至らずして解決されたのはまことによかった、ことにこの質疑応答の後段においては、大事に至らずして円満――円満と申しますか、ともかく無事に解決したということははなはだよかった、むしろそういう二点をおっしゃっておるものとわれわれは思っておりますし、ここに出ておると思います。それで、先ほど申しましたように、プエブロが円満に解決してよかったといいますのは、これは日本政府が当時言っておることでございますし、下田大使がおっしゃっておることもそれに離反するものでもないし、越えておるものでもない、その程度の大使の発言というものは、当然われわれといたしましてもそのくらいのことは言って差しつかえないと思います。また、下田大使の真意というものも、外務大臣といたしましても、われわれのほうといたしましても、十分わかっておるつもりでございますが、事務当局の見解はどうかという御質問でございますから、下田大使の真意その他については、いま申し上げたとおりでございます。それ以上は、いま私からお答えをする問題ではないと思います。
  87. 麻生良方

    麻生分科員 持ち時間が二十分までということになって、二、三分経過しておるようですから私は質疑を打ち切りますが、ただ、いまの局長の御答弁では、私はちょっと不満足なんです。というのは、もう一度最後の私の見解だけ申し上げますと、アメリカの立場が正当であったということについての発言と同時に、政治的配慮に基づいて、その正当な立場に立って権利を行使しなかったとあるのですね。ということは、アメリカの国論の中に、正当な立場に立って軍事行動を行使すべしという意見もあったからこそ、当時の大統領は政治的配慮に基づいてそれをしなかったというふうにも受け取れる。私は、そういうアメリカの国論の中における、特に重要な中枢におけるアメリカの国論の動向を、もう少しわれわれは知りたいのです、下田大使を通じて。やはりわれわれとし七は重大な関心事ですよ。アメリカの立場が正当であった、だから軍事行動ができたという判断であったら、もしそれを現実にやっておったら、いまごろわれわれは国会審議どころではない。おそらく軍事上だって、北鮮はアメリカを爆撃したと思う。そういうことになりますよ。エンタープライズが佐世保の補給を受けて出航している。これは日本の大問題になる。特に安保条約にとって大問題になる。だから、下田大使自身も、それに対して、特に北鮮とソ連との条約、北鮮と中国との間に結ばれている条約の立場から、ソ連や中国がたいへんなことになったであろうということまでここで答弁しておる。そういう可能性があったということを下田大使は発言の中で示唆しておるのですよ。これはわれわれにとっては重要な問題なんです。だから、そういう点について、予算委員会質疑でも、外務大臣も、総理大臣も、どうも明確な答弁をしないとあらば、われわれは下田大使から直接、アメリカの中枢における国論の動きをキャッチしなければ、日本の安全保障の問題について論議したって、それはから論議に終わってしまう。  だから私は重ねてここで要求をいたします。私は、下田大使に、国会会期中においでをいただいて、アメリカの中枢における世論の動向、下田大使の判断の材料になっているものを国会のわれわれに提示をしていただくことを再度、要求をいたしますが、主査、どうですか。
  88. 足立篤郎

    足立主査 そんな権限はない。
  89. 麻生良方

    麻生分科員 私がそういう要求をしたということを、それは主査報告でうたっていただきたい。よろしいですか。それは報告する義務がある。これはお約束してもらわなければ困りますよ。分科会であろうと、予算委員会審議なんですから。
  90. 足立篤郎

    足立主査 ただいまの麻生君の御発言について申し上げますが、分科会でございますから、ここでどうこう決定するということは越権行為だと思いますが、あなたから、下田大使召還というのですか、それについての御意見があった旨は報告いたします。
  91. 麻生良方

    麻生分科員 それでは、以上をもちまして私の質疑は終わります。ありがとうございました。
  92. 足立篤郎

    足立主査 鈴切康雄君。
  93. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 水戸射爆場の新島移転の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  水戸射爆場の、講和発効時より現在に至るまでの航空機の墜落事故、模擬弾の落下事故、薬きょうの落下事故、機銃弾の誤射、その他試射範囲等についてお伺いをいたします。
  94. 山上信重

    山上(信)政府委員 昭和二十七年の講和発効以来今日までの事故総件数は二百五十三件、そのうち墜落事故が十五件でございます。それから模擬弾落下の事故が百八十一件、その他が五十七件となっております。ただ、ちょっとそのうち四十三年度におきますところの最後の三件は、実は事故ではなくして過去の事故の残骸と思われるたまの破片等の発見件数を加えていますので、御了承願いたいと思います。
  95. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 茨城県の地元における誤射爆被害調査は、それをはるかに上回っておるわけであります。事故の件数は三百六十六件、そして死者二十名、本年に入っての事故は二回ということでありますけれども、それに対して、どちらが確実性があるかということになりますれば、これは茨城県の地元のほうが確実性があると私は思います。それはなぜかといえば、本年に入っても、実はいままで防衛庁といたしましては調査漏れでありましたところの、要するに落下時不明の機関砲弾が発見をされているという事実を見てもわかるわけであります。それを考えたときに、防衛庁調査は故意に過小評価しているのじゃないか、かように思いますが、その点について……。
  96. 山上信重

    山上(信)政府委員 茨城の資料で三百六十六件となっておりますのは、昭和二十年以来の五十一件を加えた数が三百六十六件になっておるように伺っております。二十年から二十六年までの件数が五十一件でございますが、それを加えたものであります。それから事故の中には、水戸射爆場の原因と思われる事故以外の交通事故等も一部含まれておるというふうに聞いております。
  97. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いずれにしても水戸射爆場の新島移転をした場合、やはり同じ条件下に置かれるとなれば、新島は完全に水戸射爆場の被害を受け継ぐ形になるわけであります。もはや新島に生活を求めることはできなくなるわけですが、その点について大臣はどのようにお考えになっていますか。
  98. 有田喜一

    有田国務大臣 新島は水戸と違いまして、海面を利用する面も相当あるわけでございます。また誤ってずいぶんいろんなものが落ちたりなんかしておりますから、そういうようなことにつきまして米軍は今後一そう注意をして、そういう誤った事故が起こらないようにすることは、米軍自身も非常に最近やかましく言っております。私のほうからもやかましく申し入れております。そういったような事故が起こらないように極力努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  99. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 大臣はいま、この新島は水戸射爆場と違って海面を利用するからおのずと事故も違うであろう、そのようなお話でありますけれども、御存じのとおり新島というところは漁業にたよって、それを主として生活しておる方がたくさんおるわけです。そういうふうなことを考えたときに、水戸とは違って新島の場合には、やはり制限水域というものを全部含まれて島民としての当然のことを考えていかなければならないわけであります。それを大臣は、制限水域すなわち水域があるから事故は少ないというようなお話でありますけれども、その点について、その制限水域も水戸の射爆場から比べるとかなり広い制限水域をとっておるわけであります。そう考えたときに、私はあなたのおっしゃることはどうしても納得ができないわけであります。そしてなお米軍は、誤射爆については注意するようにという申し入れをこちらのほうから再三したにかかわらず、本年も二回の誤射爆があったわけであります。それを思ったときに、絶対安全だという保証がどこにあるか、こういうことを私はお聞きしたいのですが、その点についてどうですか。
  100. 山上信重

    山上(信)政府委員 水戸におきまする事故につきましては、ただいま先生お話しのように、本年も事故が起きておることはまことに遺憾でございますが、御承知のように三十五年に標的の移動等をいたしましてからは、事故の発生率は急速に非常に少なくなっております。それまでは数十件単位でございましたのが、それ以後におきましては年に二件とか五件程度以内、それも人身事故は三十五年以降、過去九年間一度も起きておらないというような状態でございます。  ところで、新島のほうに移転するということについて、たいへん心配ではないかという点につきましては、陸上の地域を非常に小さくいたしましたために海面の制限区地を若干広げなければならないという点では、これが海上の島であるという点に着目したためにそういうことになっておるのでございますが、いま計画しておりますところの制限水域をもっていたしましても、常時制限水域は水戸における海上制限区域とそれほど違わない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  101. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 あなたが非常に少なくなったと言うことはデータの上から証明できるけれども、しかし水戸と新島とはおのずと住民の密度も違うわけであります。しかもあの誤射爆の状態をよく調べてみますと、ちょうど水戸であった誤射爆がそっくり新島を包んでしまう、式根島から新島をそっくり包んでしまうくらいの誤射爆の範囲があるということを考えてみなければと思うのです。私はそれを、あなたが言うように、ただ単に制限水域を設けたからそれで少なくなるのだ、だいじょうぶだというのではなくして、島民が生活できなくなってしまう、その誤射爆が万が一つ人に当たるというようなことがあってもたいへんな問題であるわけです。そういう意味から誤射爆というものについて非常に考え方が甘いのではないか。その例といたしまして、私の質問に答えて、昭和四十二年の七月の五日に増田防衛庁長官は「現在新島のほうにミサイル基地があるわけでございまして、ミサイルの訓練はいたしておるわけでございます。そのミサイルに比べてそれほどの危険はない。」そのように言っておるわけでありますが、それはとんでもない発言ではないか。死者も出ているという現状を見たときに、ミサイルとこの射爆場とはおのずと性質が違うものだということで、私はそのように申し上げたいのですが、その点について大臣はどう思われますか。
  102. 山上信重

    山上(信)政府委員 かわりまして御答弁申し上げます。  新島につきましての危険の問題につきましては、新島の村には御承知のように本村方面に人口が集中しております。なお式根島にもございます。そこで射爆場としていま予定いたしておりますのは、いわゆる大峰から南の無人地帯、これを前提といたしましてそういった峰から北のほうにいかないようにということについて、特にその当時増田長官も非常に御配慮を願ったということをおっしゃったのであろうと私は考えております。そういうように陸上の地域につきまして村に影響の少ない一番の南端、しかも峰から南のほう、要するに山の峰でもってそういった事故の危険というものをできるだけ隔離でき得るのではないかというような予想、そういうような危険防止という意味におきましても相当考えられておる。したがって水戸に比べると非常に狭い地域にはなっておるということであろうかと思います。
  103. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 あなたがいまおっしゃっていることは端々地区のそのところを限定して言われているわけですけれども、誤射爆というのは標的に当たらなかった、すなわちたまがはずれて落下をしたことを誤射爆というのですよ。いいですか。それをあなたは間違ってはいけない。その誤射爆が、私の調査によればそっくりと新島を包むだけの事故がかつてあったということ、これはもう現実の証拠じゃないですか。これに対してあなたがどう答えたって、やはり誤射爆があったことは事実なんですから。そうなると若郷村、本村、こちらのほうに人口が集中しているということならば、その誤射爆が本村に間違って落ちた場合には、これは重大なる事故になるとあなたはお思いになりませんか。その点について。
  104. 山上信重

    山上(信)政府委員 誤射爆と申せば人間が間違ってやることですから、おっしゃるように危険なこともあり得る点につきましてはもちろんわれわれとしても慎重に考えなければならぬところだと思いますが、いまおっしゃいましたそっくり包む区域というのは昭和三十五年の標的の移動の以前におきまする射爆の範囲が非常に広いというふうに考えられております。その後標的の移動並びに進入方向の変更をいたしましてからは、きわめて誤射爆の範囲も狭くなっておるというふうにわれわれ考えております。もちろんそれであるから絶対にないかということは、私もこれは断言するだけの勇気はございませんけれども、さような意味合いで事故の起こる範囲を極力局限するような努力をいたすことによって善処してまいりたいというふうな考えを持っております。
  105. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 小幡施設庁長官は四十二年七月五日、内閣委員会の席上、私の質問に答えまして、計画案については、昨年の六月の共同声明以来、日米双方のスタッフ間で意見の交換をしてきておるが、日本側の主体的意見を向こう側に提示して、向こう側の案と突き合わせて一応の案を得て、政府部内で相談の上現地へ提出するという段取りとなっていると言われたわけでありますけれども計画案の作成はできておりますかどうか。それから政府部内の調整はできたか、この点について。山上(信)政府委員 四十一年以来いろいろ検討いたしました結果、米側の技術的提案というのは、昨年の四月に一応出てまいりました。したがって、これに基づきまして概略新島についてはこういうふうな範囲にするというような計画は一応できております。
  106. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 地元へ出せる計画案はできておりますか。
  107. 山上信重

    山上(信)政府委員 その案につきましては、すでに地元に文書をもって照会いたしておるのでございます。
  108. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 その計画案の具体的な問題について文書で問い合わせをしておると言うが、いっその文書がいきましたか。それからもう一つは……。
  109. 山上信重

    山上(信)政府委員 答弁漏れがございまして申しわけございませんでした。それは昨年の四月に文書を出したと思います。  それから各省間の調整の問題につきましては、先生御案内のように、航空問題あるいは漁業問題――あそこには相当有数な漁場等もございます。それらの問題等がございますので農林省、運輸省あるいは国立公園等の関係がございますので、厚生省等と目下いろいろ調整をいたしておる状況でございます。
  110. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 増田防衛庁長官は、時期は計画案を九月ごろに出したい、そのような話があったわけでありますけれども、実際に具体的な計画案の作成は、いまだに調整のつかないまま出ていないわけですね。実際に地元のほうへこういうふうな具体的な補償をしたりこういうふうにするということなんですよ。そればまだ出てないわけですよ。それは要するにあなた政府の内部において調整がつかないということじゃないですか。航空局来てますか。航空局ちょっと呼んでいただかないと話にならない。  それじゃ、厚生省のほうからお聞きいたしましよう。  厚生省のほうは、四十三年の四月のこの新島射爆場の設置の幹事会において国立公園局長は、種々の問題があるので賛成しがたい、このようにお話しになっておるわけでありますが、種々の問題があって賛成しがたいという具体的な内容についてはっきり言っていただきたい。
  111. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 新島は御承知のとおり富士箱根伊豆国立公園の一部でございまして非常に景観のよろしいところでございます。また最近この新島、その付近の式根島を合わせまして、この公園を利用する人も年々非常に増加しておりまして、国立公園としては非常に大事なところでございます。特に最近いろいろな問題がございまして日本から自然が失われつつある現状でございまして、私ども国立公園行政を担当するものの立場といたしましては、できるだけこういう自然を残したいということを念願しておるわけでございます。こういうところに射爆場ができますと自然の景観が破壊され、また騒音あるいはただいま問題になっております誤爆等の問題がございまして、利用者にも非常に支障があることは明らかでございます。したがいまして、私ども公園行政に携わっておりますものの立場からは、この新島に射爆場をつくるということにつきましては賛成しかねるという意見を持っております。  しかしながら、昨年の四月に施設庁長官より次官あてにこの射爆場の設置の問題につきましては協力方依頼の文書がございまして、そういう問題点は持っておりますけれども、自然公園行政だけが唯一絶対の要請ではございませんで、いろいろ国家的な立場から相互の調整をはかる必要もあるように考えておりますので、目下具体的な案等につきましてさらに慎重な態度で検討していきたい、そういうふうに考えております。
  112. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 水産庁のほう、来ておりますね。  前山中水産庁次長は、私の質問に対しまして、水産の立場から、この場所は適当ではないと考える、こうはっきり言明をしているわけですが、その考え方におそらく私は違いないと思うのですが、この点について、どういう事情で水産庁の立場としては反対をするか、はっきり答弁願いたい。
  113. 森沢基吉

    ○森沢政府委員 いま先生お話しのように、山中政府委員が当時お答えしているとおりでございますが、ここは水産業の点からいって、漁場として、カツオ、マグロ、アジ、サバ等でございますが、非常にいい漁場であるということが第一点と、この漁場の依存度が非常に高い、というのは地元の漁場はもちろんでございますが、全国的に見まして、太平洋岸の青森から鹿児島までの十七府県にわたる県の船が操業しておる非常に依存度の高い漁場であるという意味において、当時の山中政府委員から御答弁をしたわけでございます。
  114. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 航空局にお聞きします。  航空局が昭和四十四年の二月五日、新島射爆場の設置について、防衛施設庁のほうに、この場所についての考え方をいろいろ述べられているわけでありますが、あなたが出された書類をそこで、簡単でありますから、読んでいただきたい。
  115. 泉靖二

    ○泉説明員 「新島射爆場周辺上空は、東京国際空港及び新東京国際空港を使用する航空機が最も幅模している空域であり、かつ、これらの航空機が上昇又は降下を行なう最も重要な空域であるため、射爆場の設置は、航空交通に重大なる影響を及ぼす。従って、強いてこれを調整する場合には、下記の条件を厳守することが絶対に必要である。      記 一、横田空域から新島射爆場にいたる飛行経路は、大島以東は、東京多び新東京国際空港への上昇降下に必要な最も輻輳した空域であり、かつグリーン4の最低使用高度の関係もあるので、大島VOR/NDB上又はこれより以西に設定し、その高度制限を行なう。 二、新島射爆場の広さは大島、スペンサーの待機経路、ホワイト15、アンバー90及び新東京国際空港への飛行経路との重複を避けて、ホワイト15とアンバー90にはさまれた空域で、ほぼ水戸射爆場なみとし、上限高度を制限する。 三、横田空域から同射爆場にいたる全飛行経路をポジィティブ・コントロールとする。そのため同射爆場にいたる航空機は、事前にその旨を通報する。なお、同経路の無制限使用は他の一般航空に与える影響が大きいので機数制限及び時間制限を行なうこともありうる。 四、横田空域から同射爆場への飛行経路の高度は、低高度であるため、騒音対策についても充分な考慮がなさるべきである。」
  116. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 この中で、最もふくそうしている空域であるということは、大体一日に何百機がそのところを飛ぶのであるか。それから、射爆場の設置は航空交通に重大な影響を及ぼすというわけでありますが、あえてこれを調整する場合は、「下記の条件を厳守することが絶対に必要である。」そういうことなんですが、下記の条件である一、二、三、四のこの条件一つでも満たされない場合には、どうなんですか。
  117. 泉靖二

    ○泉説明員 この空域を使用しております航空機は、平均一日に三百機あります。  なお、これらの条件が満足されれば一応航空機の安全な航行が守られると思いますが、もし守られない場合には、重大な影響があると考えます。
  118. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 要するに、もしも一つでも不適当な条件があった場合には、航空局としてはこういうふうなふくそうしている状態にあって、危険であるか危険でないか、その点どうですか。危険でないと言えないでしょう。これは危険でしょう。
  119. 泉靖二

    ○泉説明員 重大な影響があると考えております。
  120. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 重大な影響があるということは、それじゃ危険であるということを意味すると私は判断をするのですが、もしそうでなかったら、あなたは私に反駁をしていただきたい、こう思います。それについてお聞きいたしますが、アメリカが提示をしている高度は何メートルですか。
  121. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 横田の飛行場を出まして新島まで行く途中の経路につきましては、高度一万フィート、それから現地についてからの演習の際の高度は二万フィートと聞いております。
  122. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そうすると、高度制限を行なうという場合、航空局はどのような高度制限を考えておられますか。
  123. 泉靖二

    ○泉説明員 横田の空港を出まして射爆場に至りますまでには、航空交通の非常に込んでおりますグリーン4を通過いたさなければなりませんので、このグリーン4の航空交通を回避できるような低い高度をとり、かつ射爆場の上空では大島、スペンサーの待機経路を避け得るような低い高度、こういう制限をいたさねばならないというふうに考えます。
  124. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 時間があまりありませんので、一つだけ聞いておきますけれども、結局、低高度であるための騒音対策は重大な問題になってくる。いまそういうことで高度の状態すら調整がつかないわけです。その上低高度であるための騒音の対策、これもまことに不十分な状態であるということを考えれば、この航空局の考え方と防衛庁の考え方とはそこに明らかに食い違いがある。だから調整がつかないから九月に出るやつがまだ出ないという状態じゃないですか。こういうことを考えたときに、この新島の場所というのはすべて不適当だ。厚生省のほうも水産庁のほうもまた航空局のほうも調整ができないくらい、要するに非常に不適当な場所であるということははっきりしているじゃないですか。  時間がありませんので次にいきます。  それでは、増田前防衛庁長官は、新島については根本的な話し合いをして、同意を得て納得のもとに協力を得て移転したい、同意を得られない場合は強行する意思はないと明言されているが、今後もその方針に変わりありませんか、長官
  125. 有田喜一

    有田国務大臣 いま各関係省からお答えいたしましたが、確かに問題点はあるのです。しかし政府におきましてはいずれも調整のできることだと確信いたしまして、いま急ぎいわゆる関係閣僚協議会の幹事会をやって、この調整を促進していきたい、そして調整がまとまれば何とかして新島にできるように……。
  126. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 強行する意思がないと言われたから……。
  127. 有田喜一

    有田国務大臣 だから強行とは言いませんけれども、御理解納得を得るようにひとつ鈴切さんも御協力を賜わって、そしてあくまで所期の目的を完遂したい、こういうふうに考えております。
  128. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 強行する意思はないということは、もちろん土地収用法にかける意思もないということに判断してよろしゅうございますね。その点について御答弁願いたい。  それから、あなたがおっしゃったことで再確認しておかなければならぬ問題がありますが、どこまでも話し合いということになれば、話し合いがつかない事態も当然考えられる。それでもどうしようもなければ新島の移転を考え直す、そのようにあなたはおっしゃったわけですが、その点について再確認をしておく必要がある。その点についてお答え願いたい。
  129. 有田喜一

    有田国務大臣 この間申したのは、そこでピリオドを打っちゃ困るのです。理論的にはそういう考えなくちゃならぬことがあるかもしれぬけれども、しかし水戸射爆場を、多年の問題をそのままほうっておくわけにもいかぬ。そこで、あくまでも誠意を持って新島の方々とも話し合いをつけて、そうしてわれわれの考えておる目的を完遂したい、こういうことを申しておるわけですから、決して私が新島をやめたとかそんな意思はないのでありますから、ひとつ鈴切さんも御協力を賜わって、いま申したいろいろな問題の調整もありましょうが、また地元関係の方々との話し合いが円滑に進むようにひとつ御協力を賜わりたいと思います。
  130. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 一応念のために聞いておきますが、同意を得られない場合には強行する意思はないと明言されておるわけです。同意を得たとの判断の基準は、あなたはどこに置かれておるのですか。その点についてお伺いいたします。
  131. 有田喜一

    有田国務大臣 こういう問題はやはり誤解も互いにあるわけですね。誠意を持って実はこういう状態だということをはっきり申して話し合いをすれば、意は通ずるんじゃないか。あくまで私は理解納得を得られるように地元の方々との折衝を粘り強く進めたい、かように考えております。
  132. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 理解納得がいける問題といけない問題とがあるわけです。あなたのほうでは、この問題については絶対に強行する意思はない。話し合いがつかない、こういう場合に、当然強行する意思はないものを、話し合いがつかなければ、あなたのほうでおりる以外にないじゃないですか、それは当然です。それをあなた、強行すれば、強行したことになるじゃないですか。あなたの約束と違うということになるのです。そういうことを考えたときに、新島には幾多の問題があるわけです。ですから、その点十分考慮する必要がある。そういうことを申し添えて、ちょうど時間になりましたので、もっと言いたいことはたくさんあるわけですけれども、以上をもって終了いたします。
  133. 足立篤郎

    足立主査 吉田之久君。
  134. 吉田之久

    吉田(之)分科員 初めに長官にお伺いいたしますが、今日日本の国民がわが国の自衛隊に対してどういう一般的な評価をしているか、その力に対してどういう認識を持っているか。これは絶えず新聞などがいろいろな設問を試みて世論調査をしているところでございます。もちろん国防の最高責任者である長官は、絶えずそういう動向をよく把握しておられると思う。国民の一番大きい声、合憲か違憲かという論議はともかく別にして、今日現にあるわが国の自衛力に対して、国民はこれをどの程度に評価しているか。その一番大きい国民の声、反応は何かという点についてまずお答えいただきたい。
  135. 有田喜一

    有田国務大臣 国民の方々もだんだんと日本の防衛ということの必要性を感じてくださっておる方が相当ふえつつある、自衛隊に対する理解もだんだんふえつつある、こういう私は考えでおりますが、なお一そう日本の平和、そうしてこの安全を守るために、私は日米安保体制のもとにおいて日本の自衛力を整備したい、こういう考えでございます。
  136. 吉田之久

    吉田(之)分科員 私が聞いているのはそういうことじゃないのです。現にあるがままの今日の自衛力に対して、自衛隊に対して、国民はその力をどの程度に評価しているか、そういうことなんです。認識を持ってきたとか、理解を持ってきたとか、国防意識が少し芽ばえてきたとか、そういう抽象的な問題ではなしに、この自衛力が今日の日本の防衛にどの程度役立つというふうに感触として受け取っているか、その一番大きい声は何か、それはあなたは知っておられるか、こういうことなんです。
  137. 有田喜一

    有田国務大臣 私たちの防衛力の整備の方針としましては、もちろん日米安保体制にあるのでございますが、少なくとも通常兵器による局地戦はわが自衛隊によってこれを防衛していく、これだけの責任は負わなければならぬと思っておりますが、国民の方々もだんだんとそういう必要性と理解をお持ちくださっておる方がふえつつあるというように私は考えます。
  138. 吉田之久

    吉田(之)分科員 全く驚くべき認識の不足だと思うのです。現に国民は、この自衛隊は間に合うだろうかということに対して一番大きい声は、ある程度間に合うと思う、その次に大きい声は、あまり間に合わないと思う、この程度なんです。いまおっしゃったような、局地的な戦いに対してもしも予想される侵略がありとするならば、これは非常に役立つであろうというような声は、もうほとんどない。その原因はなぜか。事実そうであるとするならば、もちろん国民は、防衛に対してはそれぞれさしたる専門的な知識は持っておられないにしても、何となくそういう感じを与えている最大の原因は何かという点について、考えられたことはございますか。
  139. 有田喜一

    有田国務大臣 日本は、御承知のとおりこの前の戦争でみじめな負け方をした。それが占領政治となって、そして平和条約を結んで今日に至っておる。その惰性があって、防衛というものに対して国民の意識が薄らいだことは事実でございます。しかし、日本は独立国である以上は、あくまでも日本人みずからの手によって、少なくとも通常兵器によってくるものは日本人で守らなければならぬというその国民の意識は、十分じゃないけれども、だんだんとこれは高揚していかなければならぬ、またそれがわれわれの国民としての義務ではないか、かように思いまして、まだ一部反対の人があるものですから、国民が全部、防衛の必要ということを十分理解していただかない方もあるけれども、私は国防といいますか、防衛意識というものを、またその必要性を十分国民の方々に訴えて、そして国民の理解の上に立って、いまの自衛力の整備を進めたい、かように思うのです。
  140. 吉田之久

    吉田(之)分科員 答弁を非常にすりかえられると困ると思うのです。そういう意識の問題とかは別として、国民が今日の自衛力に対してどうもはっきりした期待やあるいは評価をすることができないというのは、それの最大の原因は、それをはかる尺度を持たないということなんです。なぜ尺度を持たないかというと、日本の防衛というものは日米安保条約に基づいて、アメリカの戦力と日本の防衛力、これの組み合わせによって守られるのだ、そういうところまでは知っています。その中で日本とアメリカのお互いの分担の限界、その辺が非常にはっきりしない。どこまで日本が守り得るのであろうか。あるいは想定されるどの程度については、日本オンリーで守れるのであろうか、こういう場合には日本だけでは守り切れないので、日米安保条約がどのように作用するのであろうか、こういう日本とアメリカの分担の限界というものが全くあいまいもことしておるというところに、評価の尺度を持たないというのが偽らざる現状ではないか、私はそのように思いますけれども長官はそのようにはお考えにならないですか。
  141. 有田喜一

    有田国務大臣 そういった面もあろうかとは思いますけれども、現在在日米軍とわが自衛隊の間には、具体的に任務分担あるいは作戦協定というようなものはまだきめていません。しかし有事の際にその間を円滑に対処するように、平時から相互に密接な連絡をとって意思の疎通をはかっておる、こういう現状なんですね。そこで、私はやはり国民の方々に、日米安保条約の必要性もよく理解していただいて、少なくとも通常兵器による局地戦くらいは日本の自衛隊の力によってこれを防ぎ、これを排除するという、そこまでやらないと、私は国民に対しても申しわけない、また、日本の国家は独立国家である以上はそれは当然である、かように考えております。
  142. 吉田之久

    吉田(之)分科員 長官答弁がいまおっしゃるようにまことに春風駘蕩であるものですから、これは国民がいまの自衛力に対していろいろ評価しようとしても評価し得ないのは当然の話だと思うのです。  そこで私は、国防会議の事務局長の海原さんがお見えのようでございますからお伺いいたしますけれども、いろいろあなたが書いておられるところ、あるいはいろいろな機会に論じておられるところによりますと、日米の防衛の分担、これについては日本は内野を守るんだ、外野はアメリカにまかせておくより以外にないという、非常に抽象的な表現を使っておるようにわれわれは承っておりますけれども、そういうことでは概念としてはわかってもいかにもぴんとこないと思うのです。内野とはどれをさし、外野とはどこをさすのか。あるいはいま長官がおっしゃった、現状想定される通常兵器による局地戦に対しては、日本の自衛力で完全にこれを防御し得る体制が現にあるのかどうか。その辺のところを明らかにしていただきたい。
  143. 海原治

    ○海原(治)政府委員 ただいま先生のおっしゃいました外野は米軍、内野は日本だ、こういうことは一つのたとえでございまして、当時、西村長官の時代であったと思いますけれども、西村長官がたしか内閣委員会においてそういうお話をされたことがある。これは御存じのように、まだ自衛隊そのものがいわゆる整備段階でございまして、具体的には、一次防で骨組みをつくる、二次防でその基盤をつくる、こういう過程でございます。そういう過程におきましては、陸海空ともにそれぞれ一つの力を持っておりますけれども、それで何ができるかということになると、まだそういう外的な侵略に対しての具体的な力になり得ない。しかしそれはやがて整備されていくだろう。その過程においては、日米安保体制という大きな国家の方針によってアメリカの軍事力によってそれをカバーしていく、こういう意味と、一つには、外国の攻撃に対して相手方をたたくという打撃力、これは自衛隊は持っていないから、それは米軍に期待する、こういう二つの意味を込めて当時御説明があったと思います。私もその西村長官のおことばを随時あちらこちらで借用して申し上げているわけでございます。  今日の自衛隊の力につきましては、防衛庁のほうからお答えになるべきものと思いますが、私の考え方といたしましては、まだまだ三自衛隊ともに整備の段階でございまして、具体的にどのような事態に対してどのようなことをということを客観的に評価する段階まで至っていない、こういう感じでおりますことを申し上げたいと思います。
  144. 吉田之久

    吉田(之)分科員 では、いまの問題について防衛庁のほうからお答えいただきたいと思います。
  145. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 国防会議の海原局長が言われたことと当然同じことになるわけでございます。先ほど大臣からもお答えがありましたように、通常兵器による局地的侵略に対しては、できるだけこれをみずから排除する力を持ちたいという方針で行っているわけです。その背景には当然日米安保体制というものを考える。まあもっと広く言えば、核戦略体制というようなものはもちろんアメリカに依存する、これは当然、先生も御承知のとおりで、自衛隊にはそういう能力はない。海原局長お話しのように、相手方に対する積極的な打撃力というものは自衛隊は持っておりませんし、将来も持つ政策はありません。それで通常兵器による局地的な侵略に対処する力を徐々につけたいということで、それぞれ三自衛隊の防衛力を整備してまいってきておるわけであります。陸海空それぞれ少しずつ整備してまいっておりますけれども、それぞれの予想し得るいくさといいますか侵略態様といいますか、そういうものは非常に多種多様でございますから、具体的にこの場合に陸はどこまで対処し得る、海はこの場合にどこまで対処し得る、空はどこまで対処し得るということを数字をあげて、あるいは地域をあげて御説明申し上げることはきわめて困難でございますが、先ほど申し上げたような目標に向かって徐々に力をつけいきたいし、またいきつつある、こういうことは言えるかと思います。
  146. 吉田之久

    吉田(之)分科員 いまお二人のお答えになったところで特にひっかかる問題は、積極的な打撃力というのは何ですか。積極的な打撃力は日本は持たない、消極的な打撃力は持つ。積極的な打撃力とは、迎撃するときも積極的な打撃力なのか、あるいは向こうの基地までたたくというような打撃力なのか、その辺のところをまず……。
  147. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 ことばの問題で、そう熟したことばとも思いませんけれども、先生の御指摘のようなことでございましたら、向こうからやってくる場合を要撃するというのをかりに消極的打撃力といいますと、それは自衛隊は持ちたいと思います。ある程度持っております。しかしこちらから向こうの国を積極的にたたくというのを積極的打撃力というふうなことでかりに言うとしますと、私の頭には主としてそういうことの頭がありまして申し上げたわけですが、それは米軍に期待する、こういうことであります。
  148. 吉田之久

    吉田(之)分科員 そうすると、一たん日本が侵略を受けた場合に、相手の基地をたたくという積極的な打撃力は日本の自衛隊自身は持たないとしても、また断じて持つべきではないが、アメリカにはそれをしてもらうことはあり得るということですね。
  149. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 日米安保体制のもとでは、主としてそういうことをアメリカに期待することになろうかと思います。
  150. 吉田之久

    吉田(之)分科員 それは日本が一たん攻撃を受けた場合には、極東の地域の全域に対してアメリカに要請してこれを爆撃に出かけてもらうというふうなことは大いにあり得ますね。それは日本の自衛という力の中に内蔵されるものなんですね。安保条約というものにささえられた日本の自衛のワクの中に入るものなんですね。
  151. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 安保体制というものにささえられた防衛体制ということのワクの中には、そういうことは入ると思います。つまり先ほど申し上げましたように、そういうことでなければいくさが勝てないということでありましたならば、主としてたとえば第七艦隊が攻撃をしてくれる、あるいは向こうも攻撃をしてくればわがほうはそれを相当守る力があるし、その守る力は持ちたいが、向こうに攻撃を加えなければいくさは勝てないという場合にどこに期待するかといいますと、たとえば第七艦隊に期待するということが、将来いくさがかりにあった場合の一つの姿であろうか。もちろん、全世界的な他の戦局によって第七艦隊がはたしていつでも来てくれるかどうかは別の問題でございます。そういう具体的な協定が直ちにあるわけではございませんけれども、想像し得る一つのかっこうであろうかという感じがいたします。
  152. 吉田之久

    吉田(之)分科員 それでは長官、ひとつはっきりしておきたいのですけれども、憲法九条には、日本はどのように解釈しても外には攻めていけな  いということだけは、これは万人の知るところ、はっきりしている。しかし一たん日本が攻撃を受けた場合には、アメリカに要請してどこへでも攻めていくことができる、報復爆撃といいますか、報復手段に訴えることができるということを、はっきりと長官はそういうふうに理解し、そういうふうにこの憲法は解釈できると考えておられるかどうか。
  153. 有田喜一

    有田国務大臣 私は、日本の自衛隊は、おっしゃるとおりあくまで日本の国土の防衛、海外派遣は絶対やらぬ、こういうたてまえになっておる。そこで日米安保条約というものがあるのですが、これも国連憲章にのっとってやるわけでございますから、結局日本を守るために、あるいは向こうの基地をたたかないと日本が守り切れないという場合には、それはもちろんアメリカに出動してもらう場合もあると思いますが、あくまでも私は抑止力として、アメリカの、ことに核なんというものは抑止力としての作用を期待しておるわけであります。
  154. 吉田之久

    吉田(之)分科員 そうすると長官日本がもしも不当な侵略を受けて、これを迎撃したところがとても守り切れないという場合には、アメリカの第五空軍や第七艦隊の力を借りてどんどんどんどん相手をせん滅にかかる。これはどこの戦争ですか。日本の戦争ですかアメリカの戦争ですか、日米両国の戦争になるのですか。どういうことですか。
  155. 有田喜一

    有田国務大臣 どんどんどんどんとおっしゃいますけれども、先ほど言いましたように、日本の防衛をやるために向こうの基地を落とさなければ守り切れないというときには、行ってもらわなければならぬということになると思います。しかし、先ほども言いましたように、私がアメリカに、ことに核を期待しておるのは、抑止力としてのアメリカの力を大きく期待しておる。どんどんどんどんどこへでも行って戦争を拡大しようなんという考えは、安保条約の精神としてはそういうことはないんだ、かように思っております。
  156. 吉田之久

    吉田(之)分科員 精神としてはわかるけれども、その辺の判断はそのときにだれがやるのですか。守り切れるかどうかということは時々刻々変化します。判断によっても違いますし、そのときに総理かあるいは長官が守り切れないと判断すれば相手をたたくことは幾らでもできるのか。あるいは日本人の一割くらいは死ぬかもしれないけれども、まあまあこのくらいで守り切れるだろうという判断が実戦のときにできるのですか。またそれほど拡大解釈できるものですか。憲法九条は、日本みずからが自衛力としては出ていかないけれども、他の応援を受ければ受けて立つ、戦いはどんな戦いでもできるということになりますね。ならないですか。その辺おのずから一つの限界があるので、そんなあいまいな抽象的なことで国民が納得しますか、世界が納得いたしますか。
  157. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど言いますように、日本を守るために相手国の基地を落とさなくちゃとても守り切れないという場合もあり得るでしょう、そういうことを申しておるので、あまりエスカレートして、どんどんどんどんどこへでも攻めていってもいいという安保条約でもない。あくまでももとが日本並びに極東の安全、平和を守るために安保条約ができておるのですから、その精神はくんで運用していかなければならぬ、かように思っております。
  158. 吉田之久

    吉田(之)分科員 あなたはそうおっしゃったが、戦いというものは本来エスカレートするものなんです。だから攻め込まれた場合には、日本が国家としてある以上自衛権は当然あるのだから、最大の防御はしよう。しかしそれは攻め込んできたときだけであって、いかに激しくともそれ以上向こうには踏み込まないのだ。どこかその辺の限界をきめておかなければ、日本は踏み込まないけれどもアメリカが行ってくれる分には大いにありがたいと思うぜということでは、国民は日本の今後の防衛あるいは自衛力の限界、自衛隊の機能をどう判断していいのか全くわからなくなります。賛否両論ますますごうごうたる国論の分裂となってくるのは当然のことだ。この辺をはっきりしないと、これからの日本の防衛は論じられないのではないかということを長官は一度だに考えられたことはないのですか。
  159. 有田喜一

    有田国務大臣 常に考えておるんですよ。常に考えておればこそ、先ほど申したようなことをいま申しておるのであって、日本を守るために相手国の基地をたたかなければならぬということはできると思います。それをたたくならどんどん侵略戦争をやったらいい、そういう拡大解釈はとってはいかぬ。あくまでも日本並びに極東の平和と安全を守るためという前提にあり、しかも国連憲章にのっとって、そういう前提に立って今日の日米安保条約がある。私はこういう理解の上に立って日本の守る限度はおのずからそこにある、かように思っております。
  160. 吉田之久

    吉田(之)分科員 先ほど来の論議は非常に重大な論議だし、また重大な発言だと思うのです。これを分科会でやっていたのでは際限がございませんので、一応それはそれといたしておきます。  ところで私は、国防会議のあり方について非常に疑問を持っております。というのは、国防会議というのは昭和三十一年に設置されて、自来十二年の歳月が経過いたしております。この十二年間に開かれた国防会議というものはわずかに十五回です。年平均一・二五回ということになります。しかもFXの機種の決定の場合も、前増田防衛庁長官は、これは国防会議にかけるほどのことではない、機数についてはいずれ国防会議にかけたいと思うという程度の判断で、国防会議というものをわれわれの目から見れば完全に無視いたしております。あるいは核拡散防止条約の問題、あるいはいま非常に大きな問題になっております沖繩基地問題、こういう重要な問題の節々にあたって国防会議というものは全く眠ったままの状態にあるというふうに私は判断します。先ほど問題になるようなことでも、国防会議としてはどこで線を引くのかということば何ら検討されたことがないのじゃないかと思うのですけれども長官はどうお考えでありますか。シビリアンコントロールというたてまえのかなめになるべき国防会議が、これでいいとお考えになっておりますか。
  161. 有田喜一

    有田国務大臣 国防会議はこれを大いに活用するように十分心がけなくてはならぬ、かように思っておりますが、ただ御理解願いたいのは、国防会議というものは一応の決定をするときに国防会議ということになりますけれども、その間におきましていわゆる国防会議の議員になっておられるような閣僚は国防会議では常に相談し、また場合によっては閣議に報告する、こういうことで国防会議懇談会というのもやりまして、国防会議それ自身は先ほど言われるようにわりあい数が少ないかもしれませんが、その前提となる段階においていろいろなことをやっておる。私自身も国防会議の議員でございます。しかし、いままであるいはそれ以上に国防会議の活用といいますか、これは大いにやっていただきたい、かように思っておるわけです。  それから、ついででございますが先ほどファントムについて増田前長官が国防会議にかけなんだ、こういうことでございますが、あれも第三次防衛力整備計画の主要項目におきまして、将来における防空要撃能力の向上のために、新戦闘機の機種選定の上その整備に着手するということがきめられておるわけです。これを受けて前長官が、もちろん関係閣僚、いわゆる国防会議の議員となる関係閣僚とも相談されて、しかも議長である総理とも相談されて、その了解の上に立ってあの機種をおきめになった。また本年の一月十日には、御承知のとおり国防会議にはかりまして百四機の機数をきめたわけでありますが、そのときも、前提となってF4Eというものがこういうことになっておるという報告をして、そして数をきめたというようなことでありまして、私は前長官がやられたことにつきまして、全然国防会議を無視してやられたとは思っておらないのです。ことに機種の決定というのは用兵、作戦上のことでございまして、その防衛庁長官であった増田長官のおきめになったことは、いま申したように事実上いろいろな連絡をとられた上できめられたことである。でありますから、そう国防会議を無視してやられたとも考えてないわけであります。
  162. 吉田之久

    吉田(之)分科員 事前に関係閣僚の相談とか、あるいは懇談をした、だから国防会議は開かなくてもいいんだ、こういう考え方がいわゆるシビリアンコントロールの一番かなめである国防会議というものの権威をだんだんと希釈していくことになる。およそ権威というか、オーソリティというものは、絶えず正式の会議を開いて、そこできちんときめたということでなければ、何となく相談は済んでいるんだよというようなことでは、私はたいへんなことになると思う。これはいままでのことはいたし方ございません。しかしあなたはこれからの新しい責任者として、やはり国防会議というものは事のけじめをつける意味で、重要な決定にあたっては、あるいは今後のわが国の自衛力の将来にかかわる一つの非常に大きな要素となる問題であると判断したときには、国防会議を尊重して正式に国防会議にかける、こういうけじめをつける、そういう先べんをあなたからつけていくべきだと私は考えます。そういうことをしないから予算委員会答弁を聞いておっても、どうも大事なところでえらい人たちがよく知らない。イモの煮えたの御存じないというような感じをいま国民に与えております。これでは自衛隊に対する信頼感というものも出てこないということを、これは強く要望いたしておきます。
  163. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど言いましたように、私は、国防会議というものを尊重し大いに活用したいという気持ちは持っておるわけでございます。先ほど私はお答えしませんでしたが、沖繩の問題についてはまだかけないじゃないか、こういうことでございますが、沖繩に自衛隊をどうするかということは、まだ研究段階でございまして、沖繩の返還の態様によって変わってきますから、まだそういうことを確定はしておりませんけれども、しかし、沖繩に対して日本はこういう自衛隊のあり方にしなければならぬということは、私は国防会議と一体となって、そしておっしゃるとおり、きちんとしたところで決したい、こう思っております。
  164. 吉田之久

    吉田(之)分科員 非常に時間がなくなってしまいましたので、一点だけちょっと具体的な点を御質問いたしたいと思います。二月十四日に松島基地を離陸直後に浮力がつかずしてC46輸送機が墜落、炎上いたしております。その後同基地では事故調査委員会をつくって原因を追及しているというふうに聞いておりますけれども、この原因の追及された結果というものを明らかにしていただきたい。
  165. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 御指摘の事項につきましては、現在なお調査を継続中でございます。正確な原因はまだわかっておりませんけれども、現在までのところでは、推測の域を脱しませんけれども、大体エンジンのほうのトラブルではなさそうだ、機体構造の関係でもなさそうだ、主として操縦関係の欠陥といいますか、ミスといいますか、そういう方面ではなかろうかという感じを持っております。
  166. 吉田之久

    吉田(之)分科員 機体構造の原因ではなさそうだとおっしゃいますけれども、われわれが感じますことでは、このC46という輸送機はずいぶん老化いたしておる。疲労試験の結果でも、一万四千飛行時間程度だと聞いておりますけれども、すでに九千時間も飛んでおる。しかも、岡山飛行場において昭和三十九年、あるいは沖繩の普天間飛行場において四十二年、それぞれ事故を起こしておる。こういうことから考えて今後輸送機の新しい開発、CXというものについてどういうふうに考えておられますか。
  167. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 お示しのような事故が確かにありまして、C46は御承知のようにもう古い飛行機でございます。先ほど申し上げましたように、今度の事故もそういうことの欠陥ではなかろうかということを心配いたしまして調査をいたしておりますが、幸いにといいますか、そっちのほうの事故ではなさそうでございますけれども、もともと二十年もたちました古い機体でございますので、これで十分でない、あと数年くらいのうちにはだんだん減耗するべき見込みでございます。  御指摘のCXの開発は、もう手をつけておりますけれども、われわれとしてはこれに非常に期待をかけております。現在四十一年度から開発を開始いたしておりまして、四十二年度以降細部設計の段階に入っております。また四十三年度からは試作を行なうというふうな段階にきておりまして、ほぼ予定どおり進んでおります。四十八年ころにはこのCXの実機が使えるのではないかというふうに期待をいたしておる段階でございます。
  168. 吉田之久

    吉田(之)分科員 最後に一点もう一度長官に聞いておきたいと思うのです。先ほどの論議に戻りますけれども、あなたは先ほど日本が不当な攻撃を受けた場合には、日本は攻め込まないけれども日本が守り切れないと思った場合には、在日米軍がこれを根源から粉砕してくれるであろう、こういうふうに解釈できますね、最低限度。そういう戦略でものごとを判断していくならば、一つの理論として、それではアメリカの海軍、空軍というものはもう世界一ずば抜けて強力な力である、そういうものが抑止力として作用し、いざというときにはそういう措置をとってくれるのならば、日本は何も無理に自衛力を漸増しなくてもいいではないか、まねごとでいいではないかという議論は、これは論理的には、好む好まぬは別として、成り立ちますね。そういうことに対して、あなたは、どういうふうに長官として論駁されるおつもりですか。
  169. 有田喜一

    有田国務大臣 私は、いやしくも日本がこうした独立国である以上は、日本みずからの手によって国の守りをやる、これは当然のことだと思うのですよ。しかし、どこの国におきましても軍備のないところはないわけですね。しかし、御案内のとおり、日本は憲法によりまして、あくまでも防衛、国を守るというだけで、ほかの国には進むことができない。そこで、さっきのように、日本の平和、安全を守るために、日米安保条約というものがあって、あくまでもそれは侵略をやるわけではありませんけれども日本に攻めてくるというものは、やはりアメリカの力によってやってもらわなければならぬと思うし、ことにアメリカは相当大きな力を持っておりますから、これが抑止力となって戦争を未然に防ぐ作用をやっておる。だからといって、日本は何も自衛力を持たずにからっぽにしておいてよいかというと、今日の国際情勢を見たときに、いずれの国もそう神さま仏さまばかりでないのだから、やはり最悪のことを考えて、日本の防衛力というものはみずからの手によって、国力あるいは国情に応じて充実をはかっていかなければならぬ、かように考えております。
  170. 吉田之久

    吉田(之)分科員 もう質問はいたしませんけれども、あなたのその論理の展開のしかたというものは、精神面としては多少の説得力を持っても、実際上の費用と効果という点ではそれは通じない論議になる。しかも、あなたは、あくまでも日本の平和憲法を堅持しながら、しかも独立国としての意識を高めていきたい、しかも攻め込まないのだ、いろいろなことを言っておりますけれども、そんなことをするよりも、そんな攻め込まない自衛隊を大きくするよりも、むしろ攻め込んでくるうしろの抑止力にすべてを期待したほうがはるかに強力ではないかという理論が必ず出てまいります。あなたの考えておることは、全く自己撞着におちいってしまうということだけ強く申し添えまして、大いに反省を促しておきます。
  171. 有田喜一

    有田国務大臣 反省を求めると言いましても、私はそのことは反省できない。ですから、あなたも私の考え方をよく味わっていただいて、日本の国を守るために御協力をお願いいたします。
  172. 足立篤郎

    足立主査 この際、御報告申し上げます。  去る二十四日外務省所管に関する楢崎弥之助君の質疑中、米国からの装備調達の際の研究開発の経費の負担の問題について、関連する資料を配付いたしましたので、御了承願います。  午後の分科会は本会議散会後直ちに再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      ――――◇―――――    午後二時四十九分開議
  173. 足立篤郎

    足立主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁所管について質疑を続行いたします。小濱新次君。
  174. 小濱新次

    ○小濱分科員 非常に時間の制約がございますので、要点を申し上げたいと思います。  まず、米軍基地が存在することによりまして基地周辺の住民がどのような被害をこうむっているか、これはもうよく御存じのとおりであります。この住民の基地公害の被害が非常に大きいことについて、ひとつ長官のお考えを、どうすればなくなるのか、どうなくそうとされるのか、御計画でもけっこうでありますからお答えをいただきたいと思います。
  175. 有田喜一

    有田国務大臣 いわゆる米軍基地につきまして、これは御承知の日米安保条約によりまして、日本の安全をはかるために必要なものであるということは、これはもう私たちはそういう前提に立っておるわけです。しかしながらいろいろな情勢の変化によりまして、いままである基地のうちで比較的利用度の少ないところも出てきた。また都市の発展によって、相当発展を阻害するような基地もある。その他いろいろな情勢の変化によって変わりつつあるわけですね。しかも基地周辺の人々は毎日の騒音に悩み、あるいはいろいろな生活上の不安にかられておる。そういうことを思えば、基地周辺の人々に対して、これはいわば日本の安全、国全体のための一つの犠牲になっておるわけでございますから、国としては周辺の人々に対してできるだけのことをしていかなければならない。しかし、比較的利用度の少ないところが、先ほど申しましたように、いろいろな情勢の変化も加わっておりますので、われわれとしてはできるだけ、いまの基地の比較的不用というのはおかしいのでございますが、利用度の少ないものとか、その他いろいろな弊害のあるものに対して返還を求めるとか、あるいは使用転換をはかるとか、あるいは移転をはかるとか、こういうこともやるわけでございます。御承知のとおり、昨年の十二月二十三日にはいわゆる日米協議会を開きまして、約五十がその対象となりまして、そして日米合同委員会においてこれが具体的処理をすみやかに急いで、さっそく片づけていこう、こういうことになっておるわけでございます。そこで重ねて申し上げますが、依然として残さなければならぬ基地周辺の人々に対しては、できるだけのことをやらなければならぬ。そこで来年度の予算におきましても、従来に比べまして約三割二分程度の増額をはかりまして、われわれとしてはできるだけの騒音の防止とか、その他の施策をして民生の安定の方法を講じて、できるだけのことをやりたい。これが私たちの基地における態度である。
  176. 小濱新次

    ○小濱分科員 非常にこれは問題が国民生活にかかわっておりますので重要であると思います。いま長官が言われましたような、そういう予算措置をされたとしても、いままでほんとうにわずかしかいただけなかったわけです。たとえば上位はどこか、横浜あたりでしょう。これは第一でしょう。それからその次が横須賀になるでありましょう。それから順次金額が小さくなってくるわけです。これは厚木基地の場合です。大和市は約九百万円くる、そしてあれだけの被害をこうむっておるわけです。これはよく御存じのとおりであろうと思うわけですが、そういう基地公害に対する国の援助といいますか、非常に内容が小さい。こういうことも、これはよく現地を知っていただきたいし、そしてまた対策を練っていただきたいと思うわけです。そこで、そのわずかな交付金ということでありますけれども、いろいろと聞いてみますと、横須賀の港は絶対の基地である。あるいはまた艦載機が陸上に避難する場合、あるいは飛んでいく場合に、訓練基地としては厚木が使われているということで、厚木も非常に絶対的に近い条件基地だ、こういうふうに聞いているわけです。そこで、いろいろとこの基地撤去の問題が出ておりますが、計画はおありになっていると思いますけれども、横須賀とか厚木はどういう基地撤去の見通しになっているか、あるいはまた御構想でもけっこうであります。ひとつお答えいただきたいと思います。
  177. 有田喜一

    有田国務大臣 厚木とか横須賀というところは、いま数多くある日本における基地のうちでは相当重要な基地でありますので、これがいつ返還とかあるいはかわるというようなことは、あまり想像もできないことであります。そこで先ほども言いましたように、基地周辺の人々に対する対策をできるだけやりたい。いま小濱さんがおっしゃる交付金というのは、私が先ほど申した基地対策費とは別のものであります。これは自治省でやっているものであります。そのほかにわれわれとしては、先ほど言いましたような騒音防止とかあるいはその他のいろいろな施策をやって、できるだけその周辺の人々のお苦しみになっていることを解消するように努力をしていきたい、こういうことでございます。
  178. 小濱新次

    ○小濱分科員 非常に重要な基地であるから、ここでは口外もできませんし、見通しも立たないわけです。しからば、こういう基地で非常に大きく公害を受けているわけですが、それに対する国の交付金、援助の方法がもっと大きなものでなければ、住民はもうこれ以上しんぼうはできない、がまんしきれない、これ以上犠牲にはなれない、こう言っておこっているわけです。本年度たとえば大和市に対してはどのような予算措置を考えておりますか。
  179. 山上信重

    山上(信)政府委員 厚木飛行場の周辺対策につきましては、ただいま大臣も申し上げましたように、きわめて重要な施設でございますし、ことにこれは飛行場として騒音等が相当問題になるかと思いますので、対策としては騒音対策ということが一番主眼にならざるを得ないだろうと思っているのでございます。厚木飛行場周辺の大和あるいは綾瀬、これらを含めまして、大体昨年度から継続しておりますところの防音関係、これがいま五件ほどございますが、そのほかに新規事案として約十五件ぐらいを予想いたしております。そこらを検討いたしておりますが、さらに防災関係では三十四年度来やっておりますところの引地川、蓼川、深谷川等の改修工事、これらを引き続き実施いたしておりますが、新たにテレビ受信障害、これに対するところの映像の被害を防ぐということで、共同受信施設の試験的な設置ということも考えております。さらに民生安定関係といたしまして、このほかに、御承知の市道の関連の工事を実施する予定でございます。なおそのほか、若干ごみ処理施設とかその他の件につきましては、目下検討中でございます。  そのほかに、集団移転関係がございますが、これは後ほど他の政府委員から御説明いたします。
  180. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ただいま先生から、大和市の関係について御質問がございましたので、いま長官から御説明した中で、大和市に該当する分だけを御説明したいと思います。  継続事業で五件ございまして、そのほかに防音では十五件でございます。その十五件の中で、学校関係が十三件でございまして、そのほかに病院関係が二件、合計十五件でございますが、金額的にはちょっといま検討中でございますので、明確になっておりません。
  181. 小濱新次

    ○小濱分科員 公害問題は、現地におりますと、非常にいろんな角度から受けるわけです。テレビだとかラジオだとか電話だとかいうものの公害も、これは広範にわたっております。多少のことは一部なされているところもありますけれども、こういう問題の対策がほとんどございません。現地ではもう泣き切れない。たとえば電話にいたしましても、二十六日に、わが党の中野議員がこの電話のことについてお尋ねしたところが、米澤電電公社総裁が、騒音による電話の聴取不能の問題については特に聞いていないと、その地域のことをさして話をしておられるわけです。現地に行ってみますというと、こういう被害が大きいんですね。こういうものの対策がないために、現地ではいろいろと怒っておる。役所としては、いろいろとそれが対策のために市費を投じていくわけです。そういうことから、やりたいこともやれない。こういうことで町の開発は非常におくれていくわけです。そこでまた苦情が出てくるわけです。これはいろいろと問題があろうかと思いますけれども、老人の不眠症であるとか、ノイローゼであるとか、あるいはまた子供のけいれんであるとか、それから学習率が落ちたとか、こういう問題はたくさんあります。これはもう御存じのとおりであります。  それから、これは私のほうの調査ですと、どこの基地にもある公害の中からいろいろ調べてみますと、鶏の被害なんか、騒音によって羽が折れる、足が折れて脱肛を起こす、腸が出てしまう、こういう率も非常に出ておる。それから海の魚が怪死をして、四散をして、そして漁が減っておる、そういう漁師の被害状況。あの豚は、私はどういう被害があるのかと思って調べてみたところが、走ると非常に速いのですね。あばれる、そして子豚を殺していく、こういうことなんですね。  これは長官にお尋ねしたいのですが、交渉いたしますね、届けますね。そうすると、何回も呼ばれていろいろと時間をかけられて、そしてどうにもならない状態になって、最後はわずかの補償しかもらえない、こういうことから、あきらめてしまう率が非常に多くなっていますね。公害の問題についてはこれからも出ますけれども、こういう持ち込んだ事件処理が非常におそいということについて何かお考えございますか。
  182. 山上信重

    山上(信)政府委員 農林漁業者等に対する、いまの豚、鶏等も含めてでありますが、被害につきましては、特損法あるいは防衛施設周辺整備法によりまして、補償の必要がある場合には、これを行なっておるわけでございますが、これらの措置につきましては、われわれといたしましても、関係部局におきまして、対策の措置をできるだけ早くやっていくように、今後とも気をつけてまいりたい、かように考えております。いろいろおそいというようなことがございます場合におきましては、われわれのほうも十分注意をいたして、早くやらせるように市町村並びに局を督促してやってまいりたい、かように考えます。
  183. 小濱新次

    ○小濱分科員 そういう届けの出されるような被害については、また努力をしてもらうことができますけれども、もっと精神面で威圧感、こういう非常に被害を受けておる地域がありますね。この間の横須賀の原潜の入港問題でもそうであります。町全体がうわついてしまう。それから、いつ落ちてくるかわからない、いつ物が落とされるかわからない、油が散ってくる、こういう被害が起きておることがありますけれども、そういうことの届けのない被害に対して、長官はその補償についてはどういうふうにお考えになっていますか。
  184. 山上信重

    山上(信)政府委員 われわれのほうでも、事案があります場合は、一応そういう想定はいたすわけでございますが、全然届けもないというようなものに対しては、どうも私のほうでも、事態がはたしてそういう被害があるかどうかわかりませんので、その辺は、やはり必要なれば届け出をされるようにしていただきたい、かように思います。
  185. 小濱新次

    ○小濱分科員 たとえば横須賀のこの間の問題で、店は閉ざされて、それで講買力は下がっていく、こういう被害を受けておるわけです。ですから、それが届け出がないから補償の対象にはならぬというならば、何らかの形で自治体なり住民が納得できるようなふうに考えてやるべきじゃないかと思うのですが、そういう点の配慮が全然なされていないわけです。もう一度お答え願います。
  186. 山上信重

    山上(信)政府委員 ただいまおっしゃいましたのは、非常に間接な問題ではないかと思います。たとえば原潜が入港した、それで騒ぐために、商店等で店を閉ざして、あるいは収入がない、これはきわめて間接でございまして、私のほうのたてまえといたしまして、補償というようなことは直接の補償でございます。しかしながら、この直接の補償ではございませんが、因果関係におきましてやや直接になるというものについては、特損見舞いということもいたしております。なお、そのほかに、地域につきましては、障害とまでは至らないでも、いろいろ生活の阻害ができるというようなものに対しましては、いわゆる民生安定施策、これを整備法でも予定しておりますが、こういったものもきめこまかに今後できるだけやってまいるというふうにいたしてまいりたい、かように考えております。
  187. 小濱新次

    ○小濱分科員 たとえば、規制されておりますけれども、夜中にエンジンテストが行なわれる。たとえ一機でもあればすごい音響です。これはもう完全に睡眠不足になります。そのように安眠が妨害されてまいるという問題がありますし、また、あの相模の地域には、夜中に戦車が走っていて、そういう振動、それからほこりによるところの被害というものも出てくる。そういう間接的な公害に対しても、あらゆる角度からよく検討して、直接と同じように何らかの方法で国で方法を講じてやらなくてはならないと思う。   〔主査退席、川崎(寛)主査代理着席〕  これは並べればたくさんございますが、外人バーのあるところは非常に風紀が紊乱しておる。横須賀でもどこでもそうでありますが、そこにまた犯罪が起こっております。そしてまた、いつ起こるかわからないそういう不安を感じて、家庭ではかぎをかけている、こういうことがあるわけであります。ですから、この点についてやはり十分な配慮を今後もしてもらわなければならない、それはこれからまたお話し申し上げますけれども、そういうことに対する配慮をぜひともお願いしたいということ。  それからもう一つは、いまなお電波障害制限地域に設定されている地域日本人の家族が住んでいる。そこに電燈を引けない家庭があるのです。御存じでしょうか、長官
  188. 山上信重

    山上(信)政府委員 最後にお述べになりましたような間接被害の問題につきましては、先ほどもちょっと触れましたが、民生安定施策、こういうものを今後きめこまかに活用いたしまして、その地域の生活の安定とか民生の安定にできるだけ配慮をいたしてまいりたい、かように考えております。  それから、ただいまの電波制限地域につきまする日本人家庭の電灯の問題ですが、われわれのほうといたしましても、現在建っている家への電灯というものについては、できるだけつくように配慮をいたし、米側と話もいたし、すでに過去におきまして、そういったようなものにつきましては相当解決をいたしておると私ども承知をいたしております。なお未解決のものがありましたら、今後できるだけ円滑な解決を急ぐようにいたしたい、かように考えております。
  189. 小濱新次

    ○小濱分科員 いままでもだいぶありましたが、少なくなってまいりました。しかし、今日なお、いまの時代に電灯が引けない、そしてテレビも見れない、そういう家庭がある。時間もありませんので、その地域とかいろいろな例については申し上げませんが、こういうものの被害をこうむっている人たちへのあたたかい思いやりの対策、やはり基地撤去できないならば、重要基地としてやむを得ないならば、今度公害対策をもっと強力に打ち出し、そうして救ってやる必要があるのじゃないか。これはぜひとも施設庁長官、よろしくこの点検討して善処していただきたいと思います。  それからもう一つ申し上げたいのですが、厚木基地周辺地域で風船闘争というのを計画をしております。これは前々からチラシをまいたり宣伝をやり、施設庁にも申し入れをしております。この計画を一日も早く実施しようとして、その期成同盟の人たちは、もちろんこれは政治力もありません。何にもない民間の団体の集まりでありますが、こうしたことに対するその人たちの精神がどこにあるか。時間をさき、そしてカンパしてわずかな資力を投じてやろうとしていることを大々的に報道しておりますが、これも基地公害を一日も早く除去してもらいたいというその住民の訴えの一つであります。このことについては、長官はどのようにお考えになっておられますか。
  190. 山上信重

    山上(信)政府委員 ただいまのお述べになりました住民の方々のお気持ちはよくわかるのでございます。その点につきましては、十分御同情申し上げることができると思うのですが、ただ、この厚木飛行場は、御承知のように米海軍の基地飛行場でございます。したがいまして、これには相当のファントムとかいろいろな飛行機が飛んでおります。したがって、これに風船というようなものを多数上げるということになると、万が一にも非常な事故が起きるというようなことになりますると、これはかえって住民の皆さんの方々にまた非常な影響を与えるわけでございます。したがいまして、私どもは、お気持ちはよくわかりまするけれども、これが航空、飛行の障害になるような方法ではおやりにならないように、ひとつ皆さま方におかれても、先生におかれても、そういうふうになさらないように御指導いただきたい。これはわれわれもそういうふうに考えておる次第であります。
  191. 小濱新次

    ○小濱分科員 私は関係しておりません。そこで、その住民の計画を見てみますと、前にも旗ざおに赤いきれをつけて、四十一年ごろですか、やった例があるそうですね。そうしてまた、いま立川でも何かそれに近いものを、もっとそれ以上のものをやっているという話であります。今度の大和の期成同盟の計画は、当初はアドバルンを五百個上げる予定だった。これは膨大な金がかかるので中止したそうです。そこで現在は、直径五十センチの水素入りの風船を約三百五十メートルの高さに上げて気勢を上げようという計画のようです。このことについては、横浜の施設庁のほうに申し入れをしたそうであります。そこでいろいろと説かれまして、回答を出すからということで、これは一時中止をしている状態。しかし、中止したのじゃありません。延期しているわけです。そこで、その同盟は施設庁からの返事を心から願って待っている。ところが、聞くところによると、ことしの六月か七月ごろであろうということなんですね。昨年の暮れからことしの一月にかけて申し入れをしたその問題が、半年も先でなければ回答が来ない。これはどういうことになっておりましょうか。
  192. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 その問題につきましては、厚木基地の爆音防止期成同盟の会長が私のところにも一度お見えになりまして、地元の不満を訴える一つの手段として風船を上げるという計画を聞きました。そこで、長官からもお話ありましたように、地元の方のお気持ちはよくわかるけれども、どうも手段としてはあまり適当とは思われないということで、何とかやめてもらいたいということをお願いをしたわけですが、その際、やめるならやめるで、地元関係者の納得のいくような国の意思表示がひとつほしいということで、二、三項目がございましたが、特にその中で問題にしておりましたテレビの受像の乱れといいますか、テレビの障害、こういった問題について、国の今後の方針をはっきり示してもらいたいというような要望がありましたので、これにつきましては、長官ともよく打ち合わせをいたしまして、文書をもって正式に横浜の防衛施設局長から回答をいたしてございます。
  193. 小濱新次

    ○小濱分科員 これは有田長官、聞いていただきたいんです。神奈川県下には四十一の警察があって、そこに管区がある。その中で、上位三番までの事故の個所に大和が入るわけです。相模原も入るわけです。こういういなかが被害が非常に多い。どうして多いのであろうか。道路行政が全然なっていないわけです。ほとんど騒音対策、公害対策に市費を投じておる。で、道路までは間に合わない。きょうは一般の事故件数とか進駐軍の事故件数全部を私はここに書いてきた。十年間にわたってその事故件数を書いてまいりましたけれども、ここでは時間がありませんから省略いたしますが、こういう問題が起こっておる。なぜこういう問題が起こるのか、道路行政が悪いから、なぜ起こるのか、市費が投じられないから、なぜ起こるのか、こうたどっていけば、基地公害が大きな原因になっている。だから、こういうところからも風船闘争をやって、そして実情を知ってもらおう、訴えていこう、誠意ある国の対策を願っていこう、こういうことのあらわれなんです。しかしながら、申し入れをしても、半年先でなければ返事がない。えんえんと半年間も切歯振腕して待っておらなければならない。こういう処置は、私はまことにまずいと思う。たとえば、この間、水戸で誤爆事故がありました。水戸では決起大会をやりました。これは知事が先頭に立ってやった。あそこの被害補償だってどうなっておるか。ほんとに聞いていただきたいことはたくさんあるわけです。たとえわずかなことであっても、誠意を持っててきぱきと処置をしていけば、もう住民も納得してくれるに違いありませんし、協力もしてくれるでありましょうが、全然放置してある。こういうことではと風船闘争を展開してきたわけです。人身事故によって非常に多くの生命が奪われておる。そうして負傷者が出ておる。これも基地公害に原因がある。こういうことでありますので、どうぞ基地公害をなくしてもらう。先ほどの説明のように、なくせないならば、何らかの方法で住民が納得できるような対策を示してやってもらいたい。国のあたたかい施策を心から念願するわけです。有田長官から御答弁いただきたいと思います。
  194. 有田喜一

    有田国務大臣 基地周辺の方々が非常に不安の念にかられておるということは、十分わかります。そこで、私どもとしては、現段階において、決して十分とは考えておりませんが、だんだんと予算の増強もやりまして、そしてできるだけその騒音の防止その他の対策を講じまして、あたたかい気持ちで取り組んでいきたい。  ただ一つ、小濱先生にもお願いしたいのですが、私どもは、国の安全のためにああいう基地があるわけでございますから、そこで、基地の害をなくす方法は十分講じたいと思いますけれども、どうぞ、この地区住民が、さっきの風船のお話のような危険をおかすようなことがあっては困りますので、ひとつ先生からも――先生が決してそういうことを指導しておるというわけじゃございませんけれども、そういう地区住民に対して、そういうことをやるよりも、やるべきこと、先ほどいろいろお話がありましたが、そういうことをやらず、待ってもらって――政府はもちろんあたたかい気持ちでやるし、そういうことで、できるだけその騒音防止その他の弊害をなくする。ですから、地区住民にもよくわかるように指導説得をやっていただきたい。このことをつけ加えまして、私の気持ちの一端を申し述べました。
  195. 小濱新次

    ○小濱分科員 一言お願いいたします。  国の安全保障のために国民が犠牲になることは、これはもう許せないことだと思うのですね。その精神はわかります。わかりますが、できないならば、それに対する施策をぜひやってもらいたい。これをひとつお願いいたしておきます。  それから、長官のほうに、その風船闘争の対策をすぐ講じてもらいたい。延期になっても、何らかの施策が示されないと、住民はおこりだす危険性がありますので、そのことについて、お考えを最後にお聞きしておきたいと思います。
  196. 山上信重

    山上(信)政府委員 先ほど施設部長から御返事したように、お尋ねになっておる一点についてはお答えしてあるかと思いますが、その他なお未回答のものがございますれば、督促いたしまして、誠意のある措置をとってまいりたい、かように考えます。
  197. 小濱新次

    ○小濱分科員 たいへんおそくなりました。どうもありがとうございました。
  198. 川崎寛治

    川崎(寛)主査代理 伊藤惣助丸君。
  199. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 防衛庁長官に伺いたいのですが、昨年の十二月、日米安保協議委員会において、日米軍事専門家研究会同というものを設けることが合意されたようですが、この性格と目的について伺いたいと思います。
  200. 有田喜一

    有田国務大臣 いわゆる幕僚による研究会同というのは、かた苦しい委員会だとかそういうようなものでなくて、実は基地の問題につきまして、主として――いままでは社会問題を中心として論議されておったわけですが、しかし、一面におきまして、先ほども言いましたように、日本の安全のために必要な基地、そういう面を専門家において意見を立ててもらう。しかし、決してそれらの人が会ったからといって、それは決定権はないわけでございまして、あくまでも日米合同委員会という機関を通じてやるわけでございますが、そういう面の参考に資したいというので、ああいう研究会同というものを設けたのでございまして、これは正式の機関でもなく、決定機関でもない、こういうことでございます。
  201. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 その研究会同の構成人員とメンバーを伺いたいのです。
  202. 有田喜一

    有田国務大臣 これも別に、構成メンバーはこうだというわけのものでもない。しかし、まあこの間も会合したようですが、日本側からはいわゆる統合幕僚会議に当たりますが、あの幕僚とか、それから在日米軍司令部の日本側に対応するような幕僚が出て、随時会同をするということでありまして、別に正式の委員会でも何でもありませんから、構成メンバーはこうだということがきまっておるわけじゃないのですね。
  203. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 これは非常に大事な問題なわけです。いまの長官答弁によりますと、参考にするんだということでおっしゃっておるようです。しかも、扱うのは基地の問題である。これは考えてみますと、制服が入って、こういう会合を行なうということは初めてのわけですね。ですから、非常にそこが重大な――重大というよりも、何のためだということを国民は知りたがっているわけですよ。一つは、法的根拠といいますか、そういうものに基づいてやっているのか。いま大臣がおっしゃったような単なる参考として、防衛庁長官の権限で、あるいはまた外務大臣の権限か何かわかりませんけれども、やっているのか。あるいはまたアメリカのほうの要請などによってつくったのか。その点を明らかにしていただきたいわけです。
  204. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど言いましたように、随時会同して、そして基地の問題を中心として、防衛的な立場からこの基地はどうしても残さなければならぬとか、防衛的見地から見てこれは比較的軽いものだから返還してもらおうじゃないかとか、それは決して決定するわけじゃなくて、日米合同委員会の参考資料にするという程度のものでありますから、別に法律の根拠があってかくかくだとか、そういう性質のものではない。これは決してそんなに重いようにお考えくださる必要もないのであります。いま申したような見地からこういうことをやらした、こういうことでございます。伊藤(惣)分科員 それじゃ、これはだれがやれ、またはやろうと言ったわけですか。
  205. 有田喜一

    有田国務大臣 これはたしか昨年の九月だと思いますが、事務レベルの会談において、そういうことを考えようじゃないかということを日本側から提唱したと思いますが、昨年の暮れにきまったときは、私からも、基地の問題は非常に重要だ、できるだけ不急不要のものはやめてほしい、けれども、どうしても防衛的見地から必要なものが出てくるから、こういう問題についていわゆる専門家の意見も聞く必要があるから、これはひとつ両方から、かた苦しい意味じゃなくて、話し合いくらいで、そして日米同合委員会の参考資料にしたらどうかということを申し入れまして、ああいうふうなものができたわけであります。
  206. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 先ほどは基地の問題に限る、こう答弁なさったと思いますが、しかし、防衛的見地といいますと、また幅が広がるわけですよ。在日米軍基地を検討する、整理縮小する上において、そういうものをつくってやるというのと、防衛的見地からということになりますと、基地も含めてあらゆる広い範囲で、防衛的見地から、そういった専門家をいつも集めて会議をするということになるわけじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  207. 有田喜一

    有田国務大臣 何々基地というものがありますね。この基地を使わないで、これは普通のシビリアンのほうからいえば、あまり大事なものじゃない、不急不要のものじゃないか、こう思うわけですね。これはまた軍事的立場から見て、この基地はやはりそのとおりだというようなことを専門家が見きわめる必要があるだろう、こういうことでありまして、広く日本の防衛をどうだこうだというその中から入ってくるんじゃなくて、具体的にこの基地をどうしようかというときに、その基地を中心として、防衛的見地からこれはやめたほうがよかろう、こういうことでございます。
  208. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 じゃ、基地問題に限るわけですね。どうですか。
  209. 有田喜一

    有田国務大臣 基地問題を中心としてでございます。
  210. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 私はここで言いたいことは、いままでこういうことがなかったわけです。初めてこの軍事合同が政治問題、いわゆる政治家と一緒になって問題を日米協議をする、あるいはまた基地問題を防衛的見地から検討する、こういうことは、わが国のシビリアンコントロールという面からいって、非常に問題がある。あるいはまた軍人がそういったことに入ることによって、シビリアンコントロールというものがくずれるのではないか、こういうことを国民は心配するわけです。その点についてどうですか。
  211. 有田喜一

    有田国務大臣 決してシビリアンコントロールをくずすものでも何でもないのでして、それが決定権でも持っておれば、あるいはまた私たちの全然知らぬところでかくかくのことを決定したといって、それが一つの効力なり権限を持つようなことになれば、これはシビリアンコントロールはくずれますけれども、先ほど来言いますように、決定は日米合同委員会で決定するのであって、それは単なる参考にとどめるわけでございますから、決してシビリアンコントロールをくずすということではないと私は思っております。
  212. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 数回にわたってやったようにも伺っております。それでは、そこに参加したメンバーを明らかにしていただきたいと思います。
  213. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 お話しの研究会同は、一月に一回、十三日、それから二月に一回、四日でございますが、いままで都合二回やっております。メンバーは、日本側から統幕会議の事務局長の星野という海将でございます。米軍側が、在日米軍司令部の参謀総長のウイルキンソンという海軍少将と、第三部長ローラという空軍大佐でありますが、向こう側は二人、こちら側は一人でございます。
  214. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 これは制服だけですか。これだけでございますか。
  215. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 従来二回の会合は、いま申し上げましたようなメンバーでございます。通訳官はおりますけれども、会合しましたのは、うちの制服の海将と向こうの制服二人でございます。
  216. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 いま大臣から、シビリアンコントロールという面からいって、何らその点は問題ないという発言がございます。私もその点を信頼しまして、これ以上申し上げませんが、どうか本来のシビリアンコントロールのもとに、しっかりした日本の国の平和と安全を国民の納得する立場から、防衛問題に取り組んでいただきたい、こう思うわけです。  それから、先ほど小濱議員からも質問があったようでありますけれども、今国会において、公害紛争の処理法案というものが国会に提出されることになっておるようであります。ところが、この中に、基地公害を削除したということが閣議決定された、こう伺っているわけですが、この点いかがですか。
  217. 有田喜一

    有田国務大臣 その法律につきましては、まだ閣議決定はしていないのです。いまどうするということは、政府部内におきましても検討中というところであります。
  218. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 これははずすという考え方にいま長官は立っているわけですか。それとも一緒にやるべきであると現段階では考えておるわけですか。
  219. 有田喜一

    有田国務大臣 まだ最後の決定がされておりませんから、この問題をとやかく言うのは、はばかりたいと思うのですけれども、私の私見を申せば、先ほど来話しますように、基地としましては、もう一般の企業公害よりもずっと早くからいろいろな手が打ってあるわけですね。しかも、今後ますます予算の増額、いろいろなことをやっていきたいと思っておるのです。ただ、一般の企業公害と違いますところは、いまの紛争処理法案によりますと、立ち入り検査をやったり、諸般の報告を求めたり、和解、裁定、やる上においていろいろなことがあるわけですね。ところが、基地というものは、そう簡単に立ち入りしてもらったり何かしてもらっては、いかに日本には機密保護法がないといいましても、やはり多少は軍事上の、一般に知られては困るものがあるし、ことに米軍基地というものと自衛隊の基地というものは、性格は大体同じものですから、米軍基地になりますと一そう、そういうことをやろうと言っても、いかぬと、こう言われてしまえば、できないことになるわけです。したがいまして、しっかりやっていかなければならぬと思っておりますけれども、少し形態を変えないと、あのままの、企業公害を中心としたあの法律によっていくことは好ましくないんじゃないか。やるなら違う形式、ことにいま基地周辺整備法というものがございますが、あの法律を動かしていけば、相当のことができるのではないか。そしてその見通しをもって、それは不備また足らざるところがあったらそれを補っていこう。そういう一応の私見でありますが、考えを持っておるわけであります。どうも法体系の上において、一般の企業公害と異なる点がある、こういう考えを持っております。しかし、結果はどうなるかまだわかりません。
  220. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 この公害紛争処理法案というのは、基地のものとは別に扱うと、いうような考え方をいま言われましたが、これはもちろん整備法等による基地公害に対する対策はあります。それが完全であればこんな問題は出ないわけですよ。これも不完全だ。だから、紛争処理として一切を含めて扱うべきじゃないか、これはもう国民がだれでもそう思っておるわけですね。長官がおっしゃることはわからないことはありません。しかしながら、国民の立場からすれば、そういうことがあれば、どんな面からでも紛争を処理していただきたい、こういう声が強いということです。ですからまだ最後の決定が出てないようでありますけれども、これは一緒に扱うべきだ、また、公害整備法等の問題については、またその線でやはり基地公害を扱っていくべきじゃないか、このことを私は大臣に要望いたします。大臣からちょっと一言。
  221. 有田喜一

    有田国務大臣 御意見としては拝聴しておきますけれども、私見といいながら、率直に申せば、一般の企業公害よりも、基地のほうが、現段階でははるかに進んでおるわけですね。向こうはまだ幼稚園だ、こっちは大学の最高まではまだいっておらぬけれども、少なくとも高等学校程度はいっておるんじゃないか、それをひとつ進めていきたい。ことに、先ほど申しました、法体系の上において異なる性質がありますから、そういう面を配慮しながら進んでいきたい、こういうことでございます。
  222. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 大臣そうおっしゃいますけれども、要するにこういうことも考えるわけですよ。軍事優先的な公害処理、これもやっぱり露骨になってくるんじゃないかということも国民は心配するわけですよ。そして、はっきりと先ほど秘密や何かのことがあるとおっしゃいましたが、それじゃその問題点として、要するに、米軍と自衛隊を除いた理由は何と何と何だから、一般のあれとはいまてきないのである――そこまでおっしゃるならば、問題をもう少し明確に考えていらっしゃると思うわけです。その点伺っておきたいわけです。
  223. 有田喜一

    有田国務大臣 大体私の私見を申したのでございますが、明確にはっきりと言えと言われても、ちょっとまだ最後の決定がない段階において、かくかくだということが……。
  224. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 いかる理由があってそういうことをするのかということです。
  225. 有田喜一

    有田国務大臣 その考え方は、先ほど来言いますように、いまの紛争処理法でいきますと、和解、仲裁といいますか、それからいろいろとありますね。それに対しましていろいろな文書その他の報告を求めたり、立ち入り検査をやる、こういうようなことがありますね。そういうような場合において、はたして基地は同様な考え方で進んでいいかどうか、これはどうしても出てくるのですね。性格が違うのですね。でありますから、この騒音防止その他のことについては、十分な手を打っていきたいと思っておりますけれども、そこにおのずから一般の企業と違う点がある、こういうことでありますから、せっかく基地周辺整備法もあるし、あれの足らざる面は補っていかなくちゃならぬけれども、せっかくあるものを別の法律へ持っていくよりも、先ほど言ったような性格の相違から、私は、こちらを中心とした考え方にしたほうがベターである、これは私見ですけれども、そういう考え方を持っておるのです。
  226. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 時間がありませんから、次に進みますが、わが党は昨年米軍基地の総点検を行なったわけです。そして、その実態を国民の前に明らかにしたわけでありますが、その米軍基地の持つ不合理性というものはきわめて大きく、そしてこの問題の解決は、安保の是非はともかくとして、これは国民的な要望であり、また、国民が心からこの基地の問題については撤去あるいは縮小、あるいは移転等を願っている問題である、こういうことを私たちは知ったわけです。政府のほうにおいても、昨年の十二月二十三日ですか、約五十カ所の基地を検討されて、その縮小とか整理あるいは全面返還、こういうように分けて発表なさいましたが、この整理、縮小にあたっての米軍基地に対する政府の基本的な態度というのが、私はちっともわからないわけです。その点について伺いたいと思います。
  227. 有田喜一

    有田国務大臣 私たちの日本側の立場としましては、基地の必要性といいますか、日本の安全を保つための必要性は十分理解しております。しかし、その後の情勢がずいぶん変わっていますね。あの平和条約を結んだときから今日を比べましても、もう基地はあの当時からいうとずっと減りまして、六分の一か七分の一くらいになっておるわけですね。そういうように情勢がいろいろ変化しております。ことに情勢の変化によって、比較的利用度の少ないものもある。またいろいろな関係上、そこにあることがふさわしくない、もう少し他のいなかの方面に持っていくほうがいいじゃないかというようなところもありますね。そういうようなところに対しまして私どもはひとつ再検討をやって、それで、比較的利用度の少ないものとか、非常に都市のまん中にあって困っておるというようなものは、あるいは返還、あるいは移転、あるいは日本側に使用転換させてもらう、こういうことを主張してまいり、あわせて米軍のいろいろな演習といいますか、日常の行動に対しましての規制も、あまり深夜にどんどんやって住民を悩ますようなことをしてもらっては困るとか、そういうことを唱えまして、あの昨年末の会談になったわけでございます。それの対象が約五十ということで、その具体的処理が日米合同委員会審議が行なわれておる、こういうことでございます。
  228. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 要するに、日本の平和と安全のために、すなわち防衛的見地から、この基地は必要である、この基地は返還されてもいい、こういう一つの基準があったと思うわけですね。それはどういう基準で検討し、また五十カ所という基地を選定したのか、あるいは五十何カ所かの基地を選んで問題をあげてやったのかということですね。それを伺いたいわけです。
  229. 山上信重

    山上(信)政府委員 ただいまの御質問でございますが、われわれのほうで検討いたしました方針といいますか、考え方といたしましては、第一に、ただいま大臣もおっしゃいましたように、米軍への提供施設は二十年たっておりますので、いろいろな情勢の変化もある。したがって、まずは、状況の変化によって、過去において必要であったものが、だんだん利用度も少なくなってあまり使わないではないか、遊休ということばもございますが、そういったようなものは返還もしくは使用転換ということばを用いておりますが、自衛隊等に肩がわりするというものもございましょう。それから民間が用いるというものもございましょう。それから先ほど大臣のおっしゃいましたように、現在そこここにございます施設の中には、都市の非常な中心部等になってきてしまって障害が特に著しいというようなもの、しかしながら、これは必要があるというようなものもございます。これらにつきましては、あるいは移転等の方策を考えるのが妥当ではないか、またこういうものにつきまして、特に運用上の規制も先ほど来おっしゃったように必要ではないかということも、あわせて申しております。これはいろいろ住宅等の場合でございましょう。あるいはいろいろな施設の中で、特に社会的に見ましてもこれの整理が望ましいというようなものについては、集約整理というような方向に持っていっていただくというような考え方を持っておる次第でございます。
  230. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 要するに、この間四十一基地を発表になりました。それを見ていきますと、それよりも、私たちの調査では、もっともっと優先して取り上げ、返還または縮小、移転等について検討すべき基地があることは、皆さんもうちの調査によってわかると思うのです。それがなぜはずされたのか。たとえば防衛的見地からいっても、いまいろいろな基準を聞きましたけれども、こういうことであるならば、これはわれわれの考え方と同じなわけです。根底的には撤去したほうがいいだろう、公明党はないほうがいいというのに対して、われわれはその反対なんだと、かつて施設庁長官おっしゃったことがありますが、いまおっしゃったことは、われわれが考えていることと同じじゃありませんか。であるのに、五十カ所の基地が問題になった。そのうち、四十一基地についてもいろいろ検討されておる。しかし、それよりももっと早く、何の条件もつけずに返還できる基地がたくさんあるじゃありませんか。それについて私たちは非常に問題だと思っているわけなんです。四十一基地なんですけれども、それ以上の検討された基地がございますね。どんな基地があがったのか、教えていただきたいわけです。
  231. 山上信重

    山上(信)政府委員 ただいま申したような考え方に米側も考慮し、双方で協議した。これが約五十でございますが、四十一カ所は公表いたしまして、残りが約十カ所ぐらいあるわけでございますが、これらにつきましては、大体が移転ということを考慮したようなものでございます。ただ、移転につきましては、今後いろいろな具体的な条件の問題もございます。それから移転先の問題もございます。いろいろな問題がございまして、いまのところ、そういうものを詰めなじままで直ちにこれを公表するのはまだ妥当ではないんじゃないかというようなことで、これらについては公表を差し控えさしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  232. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 向こうとの取りきめで言えないというなら、じゃ私のほうから聞きましょう。グランドハイツはその中に入っておりましたか。
  233. 山上信重

    山上(信)政府委員 ただいま公表を差し控えさしていただきたいというところで、公表された以外の名前を先生申されましたので、ちょっとそれについて私お答えいたしかねるのではないかと思いますが……。
  234. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 じゃ長官……。
  235. 有田喜一

    有田国務大臣 私も先ほど言いましたように、移転するほうはすぐ賛成されるのですけれども移転先のほうはこれはなかなかデリケートでありまして、いままでの失敗は、移転先がきまらないのにぱっと出す。出すことは、それはいま基地のあるところの人は喜ばれるけれども、これでは少し無責任ではないか。ことにいま言いました約十ばかりのところは、いろいろな条件もあって、アメリカとの関係でも発表しないということになっておりますから、この席で申すことはひとつ遠慮さしていただきたい。
  236. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 それじゃ今年度予算にグランドハイツに対する予算措置があるかどうか。
  237. 山上信重

    山上(信)政府委員 グランドハイツの施設移転するという予算はございません。ただ、グランドハイツの住宅の施設の一部について、これは住宅の付属施設でございますけれども、社会的にいろいろ問題があるというようなことで、これらについての対策費を計上いたしております。
  238. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 要するに、私が言いたいことは、施設庁長官の整理縮小する基準と私たち公明党がやった基準は何ら変わらないわけです。その調査でいうならば、グランドハイツなどは代表的な遊休基地ともいえますし、また整理縮小の対象になる最大の基地は私はグランドハイツだと思うのですよ。どうしてかといいますと、私も住んでいますからよくわかりますが、現在どうなっておるか。あそこの基地は約六十万坪です。大臣、よく聞いてくださいよ。そしてその中には千二百七十四世帯ぐらいしかいないわけです。そしてその中には野球場、ゴルフ場、クラブ、夜間照明のついたテニスコートですか、あるいはまたモータープール、そのまわりには住宅がびっしり詰まっているわけですよ。一人当たりの坪数にしてみますと、何と一人が四百坪の中に住んでおる、こういう勘定ですよ。しかも、昔は空軍ですか、陸軍ですかがだいぶ入っておったわけです。いまはほとんどいないわけですよ。そういう広い土地で一人が約四百坪ぐらいの中に住んでおる。こういう実態があるわけです。しかも、そこに基地があるために、練馬はたとえ広いといったって、都市計画さえ立てられない。基地の裏側に行くにはまわりをぐるっと回らなければ行けない。そこで、道路をつくろうと思ってもつくれない。こういう問題もあるわけですよ。そしてそのグランドハイツで一番大きな問題は、狭いところを広くとって、しかも一番埼玉県寄りのほうには汚水処理場があるわけです。その汚水処理場は不完全であって、においは埼玉県から板橋、北区、日によっては豊島まで及ぶ。また、そこに発生するハエは、DDTとかそういう防虫剤には非常に強くて、冬でも発生しておって、夏なんかには電灯をつけてめしが食べられない。とても明るいところが好きなので、御飯を食べるのにふたをとることができない。このようにもいわれておるわけです。これを何ともう二十何年も続けておるわけです。地元の住民は、こういう汚水処理問題については、早くふたをしてもらいたい、または移転してもらいたい、こんな広いところは要らないじゃないか、どこでもいいから一部部分返還してもらいたい、こういうふうに強く言っているわけですよ。その点について施設庁長官も知っていると思うし、防衛庁長官もきょう私が言ったことでも十二分わかると思うのです。別にこんな広いところ、しかもまわりにはびっしり住民がいる、そんな基地なんか必要ないじゃありませんか。
  239. 山上信重

    山上(信)政府委員 グランドハイツにつきましては、米空軍を主体とするところの家族住宅が約千四百戸ばかりございまして、この住宅は、勤務の都合等によりまして、あの地域、少なくともあの辺の地域ということが所要の地域でございまするので、私は、これを直ちにどこかへ持っていくということはなかなかむずかしい問題ではないかと思っております。ただ、その中が、地域の面積が広い狭いという問題はございます。これは住宅の使用のしかたの問題があろうかと思います。これらについては、将来あるいは建て方を改正するというようなことによって整理する方法があるかとも思いますが、ただいまのところでは、まだそこまでの段階に至っておりません。  ただ、お話しのありました汚水処理場、これにつきましては、私も現地を見に行っておりますのでよく存じております。これらにつきましては昨年七月以来、米側にも強く処理の改善を求めまして、現在すでに運用におきまして、たとえばこれの消毒といいますか、そういうような措置も講じ、週三回ぐらい薬をまくというようなこともやっております。そのほかなお、金網をかぶせるとか、いろいろな方法を米側でもさらに検討いたしております。ただ、私のほうといたしましても、これにつきましては、どうしても根本的な措置も考えてもらわなければならぬということも米側に要請しておりますが、もしそれができないときには、政府としても何らかの措置を講じなければいけないという考えから、明年度の予算に計上いたしておりますものはそれについての予算でございます。
  240. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 時間がありませんから、最後にまとめて申し上げますので、大臣よろしく……。  一つは、都市計画の上から道路が大きな問題になっております。できれば、旭町から高松に抜ける道路、そしてまた田柄町から土支田に抜ける道路、これをどうしても、たとえあそこに基地があったとしても通してもらいたい、こういう要望があるのですが、その点についての大臣見解。それからもう一つ伺いたいことは、私たちはもちろん全面撤去を望んでおります。しかし、その前の段階において、米軍がいろいろ言うならば、先ほど言ったように、非常に広いところを使っておるわけですから、当然縮小すべきである、移転なんということを言ってませんよ。縮小または一部返還すべきである、こう思うのですが、その点に対する大臣見解。そしてそのあとには、練馬区議会または地元人たちがあげて望んでおる、住宅に開放してもらいたい、または森林公園とか総合グラウンドあるいは総合の国立病院というようなものを誘致して、あの基地のあとを有効に使っていきたい、こういう考えがあるわけです。その点について大臣から伺いたい。
  241. 有田喜一

    有田国務大臣 その問題につきましては、十分検討を進めていきたい、かように思っております。  なお、さっきのグランドハイツの汚水処理場の抜本的な対策を講じていきたい、善処していきたいということをはっきり約束します。
  242. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 大臣、最後にちょっと。  一つは、整理縮小すべきだ、予算もその点で検討しているわけでしょう。来年度やるつもりで検討し、つけているわけです。だから、あなたはやるのかやらないのか。対策費をつけたと施設庁長官がこう言うのですから……。そして道路の面も、そんな検討するなんて前から聞いているのです。防衛庁長官がかわるたびに同じことを聞いて、また検討しますなんという同じことを言われたのでは、たまったものではない。
  243. 山上信重

    山上(信)政府委員 私が予算をつけておると申したのは汚水処理場のことでございます。何か基地の整理縮小というふうにおとりになったようでございますが、考えようによってはそういう意味合いがあるかもしれませんが、そういうことでございます。  それから、まん中を通る道路というものにつきましては、実はこれは米側においても相当難色を示しております。したがいまして、これは直ちに御返事をいたしかねるかと思いますが、十分に検討いたしたい、かようなことでございます。
  244. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 長官、縮小、移転するのかしないのか、大臣見解を……。それを米軍と交渉するのかしないのか。
  245. 有田喜一

    有田国務大臣 お気持ちはよくわかっておりますから、交渉はしますけれども、ここではっきりとかくかくしますということは差し控えたいと思います。
  246. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 それでは以上で終わります。
  247. 川崎寛治

    川崎(寛)主査代理 只松祐治君。
  248. 只松祐治

    ○只松分科員 防衛問題は、非常に多岐にわたる角度から論議が尽くされております。そこで、私は、きょうは時間も短いわけですから、自衛権と武器という問題について、若干お尋ねしてみたいと思います。  これも本国会でもたびたび、交戦権はないけれども、自衛権はある、こういうことが政府側によって述べられておりますが、その言われておる自衛権とは一体何ぞや、自衛権についてひとつあらためてお答えをいただきたい。
  249. 有田喜一

    有田国務大臣 自衛権だけですか。
  250. 只松祐治

    ○只松分科員 順次聞いていきます。
  251. 有田喜一

    有田国務大臣 私は、自衛権というのは、国家または国に急迫不正の侵害があった場合に、その国が実力をもってこれを防衛する権利として独立国に認められたものである、かような見解をとっております。   〔川崎(寛)主査代理退席、楢崎主査代理着席〕
  252. 只松祐治

    ○只松分科員 抽象的にはそういうお答えがいままでなされております。そういうことだろう。解釈は、私、社会党として多少異論はありますけれども、きょうはそういう論争をする時間はありませんから、次の問題に話を進めます。  具体的に自衛権というものを見た場合に、その自衛権というのは、予算の中に占める防衛費、あるいは兵員の数量、あるいは兵器の威力、そういういろいろなものが内容としてあるわけですね。そういうものは無制限であっていいのか、一定の限界というのがその自衛権の中には存在するのか、どうです。
  253. 有田喜一

    有田国務大臣 私どもは、国力、国情に応じて防衛力を整備するということであります。その国情に応じてというのは、御承知のとおり、日本の憲法によりまして、日本はあくまで自衛をやるのだというたてまえに立っておりますから、そういう意味においてはおのずから限度があるわけですね。それで、少なくとも日本のわれわれの力によって守るだけはやっていきたい、こういう姿であります。
  254. 只松祐治

    ○只松分科員 そこで、私たち社会党は、自衛隊そのものもすでに憲法違反である、こういうことを言っておる。あなた方はそうでないとおっしゃる。いま言われた平和憲法のもとだからおのずから限度があるということをおっしゃった。しかし、その限度というものは、社会党と皆さんでは異なっておりますね。さらに皆さん方もその国力に応じとおっしゃるけれども、国力だけではないですね。自衛というものは相対的なものなんです。仮想敵国がないとおっしゃるけれども一つの戦術を構成するためには、一応の仮想敵国を置いて、それに対して対応していかなければこれは何にもならない。よくいわれるほことたて、矛盾というものはそこから来るわけですね。したがって、私は聞いておるのですが、国力に応じたならば無限に増大していくものであって、一つの限界というものはないのか、やはり平和憲法のもとにおいては明確な限界というものがあるかどうか、その点ひとつ。
  255. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど言いましたように、防衛の立場でありますから、もちろん、防衛といえども、世界のいろいろな科学技術の進歩その他によって変貌はいたしますけれども日本の国情というものが憲法によって制約されておりますから、そういう意味においては制約をされておる。しかし、日本の国を守るというのは、世界の趨勢と相にらみ合わせて進んでいかなければならない。かように思っております。
  256. 只松祐治

    ○只松分科員 具体的に言うならば、守るためには、兵員の数あるいは兵器の威力、あるいはそういうものの、相手方との相対的な関係であって、守るために必要ならば限界がない、こういうふうにあなたがおっしゃっておると思うのですが、どうですか。
  257. 有田喜一

    有田国務大臣 その限界というものは、何%いくのか……(只松分科員「相手との」と呼ぶ)はっきり言えませんけれども、それは抽象的といいながら、防衛にはおのずから限界がある。しかし、世界の趨勢というものとやはりにらみ合わせていかなければならない、こういうことでありますから、ある程度は限界があるといいながら、やはり世界の情勢によってこれをより充実していくということは当然だと思います。
  258. 只松祐治

    ○只松分科員 あなたの言っておることはわからないけれども、限界はあると、こうおっしゃるけれども、要するに、逆にあなたが言っておることを言うならば、相手の兵力あるいは武器の進歩、そういうものに対応しなければならないので、詰めて言うならば、そういう点からするならば、守るために限界がないということになるわけですよ。気持ちとしては、平和憲法や何かあるから限界があると言いたいけれども、実際上はそうでないとおっしゃっておると了承いたしますが、そうですか。
  259. 有田喜一

    有田国務大臣 まあそういうふうにもとれます。けれども、一方に、ほかの国と違いまして、憲法上の制約があるということは、一つの大きな限界だと思うのです。いわゆる私たちの憲法上の制約というのは、社会党さんと違いまして、外国へ侵略していかないということですから、その点においては大きな制約がある、こういうことです。
  260. 只松祐治

    ○只松分科員 時間があれば、あなたの答弁は、いまきわめて重大な発言をされたので、この問題だけで討議を続けていっても、たいへんこれは重要な問題だ、あるいは審議を尽くさなければならないと思います。しかし、私はここで三十分しかやっている時間がないので、この問題だけで時間をつぶすわけにまいりません。あなたがいまきわめて重要な発言をされたということだけをとどめて、さらにもっと具体的に内容を進めてみたいと思います。  そういう自衛のために、自衛隊法の八十七条には兵器を持つことができる、こういうことになっております。この兵器とは一体何です。
  261. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 兵器は、常識的に考えまして、銃砲あるいは火薬類あるいは刀剣類、こういうものをさすわけでございまして、つまり、そういうものを行使することによりまして、人を殺傷する、あるいは物を破壊する、こういうふうな一つの戦闘的な武力行使の手段、そういうもの一切を含めて兵器、こういうふうに申し上げてよいかと思います。
  262. 只松祐治

    ○只松分科員 そこで、自衛隊のために、守るためには兵器は何を持ってもいい、こういうことになりますか、どうです。
  263. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 いま長官からも申し上げましたように、あくまで自衛の目的あるいはその限度を越えてはならない。これを別のことばで言いますれば、侵略的な脅威を他国に与えるというようなものにつきましては、やはりこれは憲法上大きな制約があるというふうに考えるわけでございまして、その点は、兵器の種類を決定いたします場合におきましても当然かぶってくるというふうに考えるわけでございます。
  264. 只松祐治

    ○只松分科員 自衛といっても、相手方に勝たなければならないですね。いいですか。相手が攻めてきたり――攻めてくることはないのですよ、私たち社会党からいえば。しかし、あなたたち流の理論で言うならば、相手が攻めてくる。その場合、相手方に勝たなければその兵器の用をなしませんね。したがって、相手が持っている以上の兵器を持たなければ、これは防衛のための兵器にならないのです、あなたたちの論理を展開すれば。したがって、相手の持っている以上に無限に新しい兵器、強い兵器を持たなければならないわけですが、そういうことでしょう。どうです。
  265. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 従来から自衛力を保持しますために防衛力を整備してまいりましたのは、やはりあくまて憲法の制約下あるいは国防の基本方針、こういうものにのっとりまして、もちろん、その場合に、科学技術の進歩あるいは諸外国におきますところの兵器の発達、こういうものは当然考慮されなければなりませんけれども、あくまでその使用の目的は自衛の限度に限られるものでございまして、そういう意味では、もちろん自衛の限度を達成します上におきましては強いものでなければならないというのは当然でございましょうけれども、それが直ちに外国に対しまして侵略的な脅威を与えるような、そういうふうな威力の兵器を持つということには大きな制約があるだろう、かように考えます。
  266. 只松祐治

    ○只松分科員 だから、侵略を言っておるのではない。ミサイルなんかの話をしておるのではないのです。それはまたあとで話す。そうではなくて、守るためには相手方に勝たなければならない。だから、相方国以上の、近隣諸国あるいは世界の趨勢におくれない兵器を持たなければならぬでしょう、こう言っておるのです。そのことは、無限大とさっき言ったのだけれども、それはさておいて、それに勝つ兵器を持たなければならないと言っておるのです。そうでしょう。時間がありませんから、そうならそうと言ってください。あと次々質問しますから。
  267. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 自衛に必要な限度におきまして優秀な兵器を整備すべきことは当然であろうというふうに考えております。
  268. 只松祐治

    ○只松分科員 これもたいへんに大きな問題でして、自衛のためには相手方に勝たなければならぬ。そのためには、ある意味では無限の兵器を必要とする。これは理の当然ですよ。それを否定するなら、これは自衛という一あなたたちの言うですよ。私たちの言う自衛とは意味が違いますよ。自民党の言っておる自衛とは論理がはずれてまいります。そういうことになる。私たち社会党がたいへん平和憲法というものを守っておるゆえんもそこにあるのです。その範囲内で、気がねしながらも、皆さん方が徐々に自衛隊をほんとうの軍隊にし、いろいろな武器をお持ちになっておる。そういうことがいまのようなことで明らかになります。今後もいろいろそういう問題がたいへん危険な状態になってくるということも、いまのような論理の中から出てくるわけです。  そこで、全般的な兵器について、ほんとうは現在持っておる自衛隊の現有兵力あるいは現在開発しつつある兵器、そういうものの全般についても、私も多少調べてきましたから、論議をしたいわけですが、時間がありませんから、そういう一般的なものは省略いたしまして、化学兵器について若干お尋ねをしてみたいと思います。  化学兵器というのは、通常CBRという略語でいわれております。いわゆるケミカルの化学兵器――毒ガスとかあるいは枯れ葉作戦に使っている薬剤、それから生物兵器というのがペストであるとか細菌類、あるいはRが放射線の兵器、それと常に問題になっておる核兵器、こういうことになろうかと思います。そういう中で、日本は現在どういうサイエンスの科学兵器を持っておるか、あるいは研究状況はどうか、そういうことについてお答えいただきたい。
  269. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 現在自衛隊としましては、化学兵器と称するものは持っておりませんし、また研究しておりませんが、現在持っておりますものあるいは研究しておりますものにつきましては、たとえば防護マスクのような防護的なもの、あるいはいまの御指摘のR関係、放射能関係につきましては、その検知装置とでもいいますか、たとえば線量計のようなもの、そういうものの先行開発は行なっております。そういうような防護的なものにつきましての研究をし、その一部は持っております。
  270. 只松祐治

    ○只松分科員 日本独自ではなくても、アメリカの四〇六細菌化学研究所というのが座間にありますね。これがベトナム等でもいろいろ問題になっておりますけれども、これと連絡の上に研究しておる、こういうことはありますか。
  271. 麻生茂

    麻生政府委員 技術研究開発本部のほうは、私から答えるのは僭越でございますが、ありません。また教育関係でもそれを共同研究しておるというようなことはございません。
  272. 只松祐治

    ○只松分科員 これは前に、いま委員長席におります楢崎君も質問いたしまして、そういうことがある程度あることは明らかにされておると思うのです。委員長席におるから関連質問もできないと思いますが、何ならあとで資料要求もしたいと思いますけれども、全然ないということはないでしょう。それでは、具体的に日本におけるそういうものの研究をしておるところは全然ありませんか。ないとおっしゃるのは、何もないですか、自衛隊の中には。
  273. 麻生茂

    麻生政府委員 CBRの防護に関連いたしましては、先ほど装備局長から技術研究開発本部の研究開発について申し上げましたのと同じように、CBRの防護ということに関連いたしましては、化学学校で研究をやっております。しかし、これはあくまでCBRの防護、すなわち、先ほど話がありましたように、たとえば放射能の検知とかあるいはそれの除染、除毒というように、そういう防護的な措置についての研究であるわけでございます。
  274. 只松祐治

    ○只松分科員 大宮に化学学校がありますね。この内容をひとつお示しいただきたい。
  275. 麻生茂

    麻生政府委員 化学学校では、CBRの防護、それからそれに関する器材の補給、整備等の業務に関し必要な知識及び技能を修得させるための教育訓練を行ないまするとともに、これらの業務に従事する部隊の運用等に関する調査研究を行なっておるわけでございます。
  276. 只松祐治

    ○只松分科員 人員について内容をお聞きします。
  277. 麻生茂

    麻生政府委員 人員は全体で百十七人でございます。
  278. 只松祐治

    ○只松分科員 いまお話がありましたように、大宮に化学学校があって百十七名、この中で民間人が二十五人くらいいるそうですが、この民間人は何ですか。
  279. 麻生茂

    麻生政府委員 シビリアン職員は、先生御質問のように二十五人になっております。
  280. 只松祐治

    ○只松分科員 その二十五名は何ですか。どういう資格で、身分は何で、どういうところから来ておりますか、お聞きいたします。これは普通の委員会ならば、わからないときは、私がここに横に寝るわけじゃないけれども資料要求したらいいのですが、大体限られた時間で質問しなければなりませんので、あとでひとつ資料として、出してください。
  281. 麻生茂

    麻生政府委員 私ここに編制組織図を持っておりますが、これによりますと、下のほうの事務をやっておる者が大部分ではないかというふうに思います。
  282. 只松祐治

    ○只松分科員 その中で、訓練された人間はどの程度おりますか。
  283. 麻生茂

    麻生政府委員 訓練されたといいますのは、シビリアン職員で訓練されたということでございますか。
  284. 只松祐治

    ○只松分科員 いや、自衛隊の兵隊を連れてきてここで訓練しているでしょう。
  285. 麻生茂

    麻生政府委員 お答えいたしますと、総計がありませんので申しわけありませんが、幹部初級が年間ですが九名、それから幹部上級が九名、幹部特修が三名、幹部化学係が九十名、陸曹部隊化学九十名でございます。
  286. 只松祐治

    ○只松分科員 現在までに、昭和四十二年の公表されたものでも、三月までに四千七百九十五名ですから、四十四年の現在では五千名を大きくこした人がここで教育訓練をされておるわけですね。要するに、その中で放射線技術試験を受けて八五・七%合格をしておる。一般の合格率が七二・七%くらいですから、たいへん熱心な放射線の教育が行なわれて、技術検定試験に通っておる、こういうことですね。こういう事態であるでしょう。
  287. 麻生茂

    麻生政府委員 化学学校には幹部放射線取扱というコースがございまして、年間に学生が十九人ばかり出ております。ここを出ますと、大体第二種放射線取扱主任者の資格を得るに必要な国家試験の科目を修得させる教育訓練が行なわれております。
  288. 只松祐治

    ○只松分科員 こういうことで少し明らかなように、大宮の化学学校では、対毒ガス線、対放射線、こういうものの訓練教育が行なわれておることは大体明らかなところですね。したがって、大宮の化学学校には、核兵器のガンマ線からいかに人員、兵器を守るかということで、そういうものの被害の教範や何かたくさん展示されていますね。そうですが。
  289. 麻生茂

    麻生政府委員 私、人事局長になりましてまだ現地に行っておりませんので、どの程度展示されておるか、詳細存じませんが、ここで化学防護の業務に従事する部隊の運用研究をやっておりますので、その運用研究の結果、教範というようなものをつくっております。たとえば特殊武器の防護というような教範を作成しておるわけでございます。それのもとをつくっておるわけでございます。
  290. 只松祐治

    ○只松分科員 さらにそれが進んで、これは地方紙の埼玉の新聞でもときどき見受けるわけですが、霜が降るときには、ここから化学技術隊が出て除霜作業を行なう、あるいは煙幕を張って、霜が直接果樹園とか何かにかからないようにする。埼玉だけではなく、遠く北海道あたりまで出かけていって、相当大規模にいわゆる放射線を遮蔽する。こういう実験訓練が相当大規模に行なわれておることも事実ですね。
  291. 麻生茂

    麻生政府委員 これはいわゆる民間――農業に対する自衛隊の協力という趣旨からやっておることでございまして、別に放射線に関連して研究をしておるという趣旨のものでは全然ないわけでございまして、あくまで民間の霜の害を除去しよう、あるいは予防しようという、純粋の民間に対する協力という趣旨からやっておるわけでございます。
  292. 只松祐治

    ○只松分科員 趣旨やていさいはそうでしょうが、実際上――そうしてあなたが言うように百十七名くらいしかいないというわけですけれども、しかし、実際は多くの訓練生が入ってきておって、そういう特殊訓練を行なっておるということは明らかでしょう。あなたが言うように、それは確かにあとの――時間がもうなくなってきますから……。細菌化学の問題でもそうですね。だから、実際上、単に防護だけの問題ではなくて、ある程度CBR兵器に関連して、わが国で訓練が行なわれつつあるということは事実だと思います。防衛長官、どうですか、否定をなさいますか。
  293. 有田喜一

    有田国務大臣 私は、このCBRの問題につきましては、あくまで防御のために研究をし訓練をしておる、かように心得ております。
  294. 只松祐治

    ○只松分科員 これは自衛隊そのものが防御のためにあるわけですから、進んで攻撃なんということはナンセンスでしょう。だから、それは防御のためにあるということはそのとおりでしょう。しかし、そうやって実際の訓練が行なわれておるということ、したがって、実際の訓練を行なうためにある程度研究をしなければならないわけですよ。そういうことをお認めになりますかということです。
  295. 有田喜一

    有田国務大臣 実際としましても、防御のための訓練はやっております。
  296. 只松祐治

    ○只松分科員 必要じゃなくて、やっておることをお認めになりますかと言っておるのです。必要ですねとおっしゃっているから、お認めになったことと仮定して、私は承諾して話を進めます。これも前に楢崎君がいただいたかと思うのですが、教材として特殊武器防護教範というものが出ておるのですね。大体、資料はアメリカのいろいろな教範や資料に基づいて、教育が行なわれておるわけです。しかし、アメリカの場合は、日本と違って攻撃を主といたしておりますね。戦いというのは、守るは攻めるにしかず、これは兵学の初歩ですからね。アメリカは一般論として攻撃の武器ですね。したがって、これではなかなか日本の、あなたがおっしゃるような面からは遊離しておる。こういうことで、そういうものをおつくりになっておる、このことは多少わかります。しかし、アメリカの攻撃を中心とするそういう教範もたくさん使われておることも、これは事実ですね。だから、そういうものについてもまた――私も大蔵委員会で理事をやっておりますから、なかなかほかの委員会まで出てこられませんが、時間ができれば、内閣委員会へ出てきてでもひとつまたこの質疑の継続をしたいと思います。ひとつきょうはそういうことがあるという事実だけを確認しておきたいと思います。ひとつその資料をぜひいただきたいと思います。  それから、三次防の中に化学偵察隊というのが創設されようといたしておりますけれども、さようでございますか。あればその部隊編成、内容等についてお知らせをいただきたい。
  297. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 三次防の化学部隊の構想でございますが、火災の消火の意味で化学消火部隊をつくりたいということは構想として持っておりまして、予定としましては、昭和四十五年以降にそういう部隊を三個隊程度つくりたいというふうな構想を持っております。装備としまして、化学偵察車、つまり、煙の中でもずっと現場まで行けるような車、あるいは消火弾を投げるような化学投射機というふうなものを装備させて、大規模な火災の消火に当たらせたい、こういう構想を持っております。
  298. 只松祐治

    ○只松分科員 時間がないので、そういう一方的な発言をされるのを否定し、とことんまでできないのはたいへん残念に思うのですが、そういうことじゃなくて、私たちが聞いた範囲内でも、緻密構造のガス探知車、あるいはシャワー装置の除毒剤散布車とか、あるいは無線車とか、いろいろな、主として防護という面が強いわけではありますけれども、そういうものに関連して、CBRに関連した部隊が三個大隊創設されようとしておることは、普通のものは知っているわけですね。消防車を中心になんて、そんなでたらめ言わないで、もう少しまともな答弁しなさいよ。
  299. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 これはそもそもの発想が新潟で大きな災害がありましたときに、タンクがなかなか消えなかったことがあります。その際に、そういうものを消せるような機能をぜひ持ちたいものだというふうなことから、三次防をつくりますときに、先ほど申し上げたような構想を持ったわけでございます。ただ、そういう大規模な化学災害のことを中心にしておりますが、場合によっては、たとえば東海村の原子炉というようなものがかりに災害があったというような場合にもさらに役立てばなおけっこうだというふうな研究はしておりますけれども、そもそもの発想は、先ほど申し上げましたようなことから、大規模な化学災害に対処し得るものをつくりたい、こういうことでございます。
  300. 只松祐治

    ○只松分科員 だから、発想やら何やら私は聞いているのじゃなくて、三次防にそういうものをおつくりになるはずだ、その内容をお示しください、こう言っているのです。そこで、主査、時間もありませんから、この内容について詳しく討議することはできませんから、その化学偵察隊なるものの内容について資料要求をいたしたいと思いますが、取り上げていただきたい。
  301. 楢崎弥之助

    ○楢崎主査代理 防衛庁どうですか。
  302. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 ただいま申し上げましたような内容を書類でお望みなら、提出はむろんいたしますけれども、具体的にどういうふうな……。
  303. 只松祐治

    ○只松分科員 どういうものを出すかは、あなたたちが出すんだからあれだけれども、出してくれというんです。
  304. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 検討いたしまして、お出しするようにいたします。
  305. 只松祐治

    ○只松分科員 ぜひひとつはかって正確なものをお出しいただきたいと思うのです。時間がなくなりましたから、これ以上論戦することができないのはたいへん残念であります。皆さん方は防護だけのことを言っているけれども、研究しないとかいろいろおっしゃったけれども、たとえば佐世保の原潜の寄港のとき、あるいは東京大学のときでも、警察が御承知のように毒ガスを使っておりますね。それは否定されないでしょう。警察でさえも、大衆鎮圧やいろいろな排除のために催涙ガス等研究しておるのですよ。皆さん方、それ以上の――しかも、世界では核兵器を含んであらゆる兵器がつくられておる。そしてCBRのこの兵器は、低廉にして安くできる、効果が大きい、いろいろなことで、こういうものが異常な熱意をもって開発されておることも、少しばかり兵器の勉強をしたものはすぐわかる。ひとり日本だけがこういうものをしておらない。自衛隊は毒ガスも何も持っておらないというのは、これは答弁にならないですよ。今日警察でしていることをなぜ自衛隊でしないのですか。そんな自衛隊ですか。言っておくけれども、警察に負けるような自衛隊ですか。それで相手方の侵入や何か防ぐことができますか。おのずから警察と自衛隊は任務は違いますけれども、いわゆる近代戦に対応するときに、攻めてくる相手を防ぐ、排除していかなければならぬということをおっしゃった。そういうものを全然否定されることはナンセンスだと思うのです。皆さん方が毒ガスや何かの研究をある程度しておられることも薄々わかっておる。警察だってしているのですからね。それを全然否定して、警察はしているけれども、うちのほうは何もそういうことは知らない、こうおっしゃいますか、どうですか。
  306. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 いまの御指摘のガスそのものにつきましては、開発研究はいたしておりません。  それからR関係につきましても、現在自衛隊研究機関が持っている線源全部集めましても、二月末現在でもわずか十四キュリーという程度で、それに基づきまして、線量計等の研究を行ない、線量計等の校正をし、計器類の検討はしておりますけれども、そういう御指摘のような問題の研究はいたしておりません。
  307. 只松祐治

    ○只松分科員 時間が過ぎましたから、している、していないの例証をあげての論争は別にしますけれども、警察でさえも持っておるそういう大衆鎮圧や排除の方法を自衛隊が持たないということは、これはだれが聞いても信用しない。たとえば警察が持っておるのは、自衛隊が開発して自衛隊から出したのだ、こういうことも、かつて新聞にも書かれたことがあるのですよ、言われたことも。したがって、この化学兵器、CBRの問題は、今後わが国の自衛隊が防衛するときに一つの大きな部面になってくることは当然で、これに全然研究も開発等もしない、こういうことはあり得ない、ナンセンスな答弁なんです。   〔楢崎主査代理退席、福家主査代理着席〕 きょうは、私はこういう問題があるということのそれと、大宮の、特に私は地元という関係もありますので、そういう問題を一応提起いたしまして、それで日本の国土を守っていく、そういう場合に、自衛隊に認められておる兵器というものが、さっきから言いますように、これは際限なく拡大をしていく、そういうもののたいへんに危険な一環として、CBRの兵器が日本でも開発されようとしておる。ひとつ防衛庁長官も、そういう点には十分――いま防護はあるけれども、それ以上のものはないとおっしゃいましたけれども、今後そういうものの急速な研究開発等なさらないように、ほんとうはこの技術開発関係の費用の問題についても、多少私は聞こうと思ったのですが、何しろ三十分ではどうしようもないから、これでやめますけれども、今後そういうことがないようにひとつ御留意をいただきたい、注意を喚起いたしまして、私のきょうの質問を終わりたいと思います。
  308. 福家俊一

    ○福家主査代理 久保三郎君。
  309. 久保三郎

    久保分科員 私は、二月七日の予算委員会質問いたしました水戸射爆場の問題に関係して、引き続いてお尋ねするわけであります。  まず第一に防衛庁長官にお尋ねしますが、二月七日の予算委員会以後今日まで、アメリカ側に対していかなる交渉をしていただいたか、これを伺いたいのであります。  そこで、御答弁をいただく前に念のため申し上げておきますが、私の水戸射爆場問題に関する質問に対し、最終的に佐藤総理大臣はこのように答弁をいたしております。御承知かもわかりませんが、一応結論のほうを読み上げます。「先ほど私の答弁が不満だといって重ねてのお話でございますが、私が米軍に交渉することは、今日この場における皆さんと私とのこの意見、これの交換、この状態を十分伝えて、そうしてなおいまの、中止しなければ実力行使にも入るのだという、こういうお話まで披露してよく最善を尽くすことをひとつ話し合ってみたい、かように実は申しておるのです。これは総理として当然の責務だ、かように思いますので、そういう意味でひとつ御了承いただきたいと思います。」という最終的なお答えがございました。そこで、かかる席でありますから、私としましては一応前段において私が申し上げたとおり、私から申し上げた点はたった一つであります。とにもかくにも演習は停止というか、中止をしてほしい。基地移転とか態様の問題とかいろいろありましょうが、そういう問題は抜きにして、とにかく中止をしてほしい。それらが片づくまで、いわゆる施設であり区域であるその土地をどうするかという問題は、いま直ちに変えてもらうつもりはない。これはできないだろう。しかし、それが片がつくまでの間は一切演習はやめてほしいということを要求して、質問をしたわけです。それに対していまのお答えでありますから、当然――その前の総理の答弁は、いわゆる改善の措置について努力をしますという答弁をいたしました。たとえば誤投下、そういうものがないように、安全にできるようにさらに検討し、交渉するというお話ですから、その返答では地元に対する回答にはならないというお話を申し上げた。それは終戦後というか、戦後今日まで足かけ二十四年間約四百件の誤投下の事件があり、その中には、直接その誤投下によって二十人のとうとい人命が奪われておる。だから、もはや改善措置をとるというような回答は、地元に対する回答にはなりません、ということで申し上げた結果、冒頭読み上げたような回答になったわけであります。一応私はそれで引き下がったのでありますから、言うならば、いわゆる地位協定第二条によりまして、演習を中止することについて、日本政府はアメリカ当局に交渉をしてくれたとぼくは思っておるのです。おやりになりましたかどうか。
  310. 有田喜一

    有田国務大臣 去る二月七日でしたが、あのときの久保さんの御質問も、また私の回答も、総理の熱意を持った御回答も、私はよく知っております。総理も、直ちにこの委員会の空気を反映させて米軍に交渉せよ、こういう熱意を示されまして、われわれとしましては直ちに米軍にかけ合いまして、この演習を、あの地元人たちがこういう不安の念でおるから、何とか中止してくれないかということを再三にわたって懇請しました。そこで米軍といたしましても、久保さんすでに御案内のとおり、あれからしばらくの間はずっと休んでくれておりました。が、やはり米軍の任務としまして、いつまでもやめるわけにいかない、こういうことになりまして、いま標的の問題をいろいろと移転させたりなんかしておりますが、そういう作業をやっておる間は、飛んで来てもこれはしかたがない、いわゆる模擬弾の投下ですね、そういうことはやらずにひとつということでして、もうずっと休んでくれておりましたが、最近そういうように模擬弾を持たずにあそこを通る、こういう程度にいまなっておる現状であります。
  311. 久保三郎

    久保分科員 長官、懇請をされたというが、私は懇請をしてくださいとはお願いしてないのです。交渉してほしい。それは地位協定第二条に基づいた交渉を私はお願いしたはずであります。そうでなければ何の意味もないのであります。四角四面のことを申し上げるようでありますが、それは地位協定第二条によって、当然われわれが持っておる、日本政府が持っておる権利としてアメリカ側に申し入れすることができるのであります。再検討しなければならないことになっておるのですよ。ところが、いまのは懇請というのですから――具体的には施設庁長官のほうがいいでしょうね、具体的にどういう手続をしたのか。懇請というのだから、単にだれかが行って話をしただけなんですか、その程度ですか、どうなんですか。
  312. 山上信重

    山上(信)政府委員 ただいま大臣のおっしゃいました演習中止問題につきましては、先般の予算委員会におきまして、総理からも、かような空気も十分に伝えて善処するようにというようなお話もございましたと私どもも記憶いたしておりますので、これらにつきましては合同委員会の場において、私どもからも話を向こう側にいたしております。なお、そのほかにも当庁の次官、政務次官等も直接行かれまして、米軍とさような話し合いをいたしております。その結果、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、当演習場は米側にとってどうしてもなくてはならない演習場であり、また軍がおる以上、これの練度を保つために、演習をずっと中止するというようなことはどうしてもできないということでございました。  そこでわがほうといたしましては、これの安全措置をはかるということについて、ただいま大臣もおっしゃいましたように、標的の移動であるとか、あるいは進入方向の変更であるとか、あるいは米側におきましても、これの飛行の場合においては安全措置を講ずる。たとえば安全装置をはずす場合には必ず演習場の地域上空でやるとか、あるいは検査員を優秀な技術検査員に格上げしてやるとか、あるいはすべての装備品を再点検するとか、いろいろ方法を講じまして、米側としましても事故の絶滅を期する、こういうことでございます。  それから、ただいま標的の移動の問題がございましたが、これにつきましては、日米共同でさような調査もいたし、それからしかるべき方法でこの移動の工事をやっておる間におきましては、米側においても演習を一週間のうち多くとも四日以内にとどめるというような考えを示しております。そういうような方法で、標的を移動するまでの間の演習のしかたにつきましては、ただいま申し上げたように、最善の注意をするほかに、まずは最初の飛行におきましては試験的にいろいろ移動の方向を見つける、あるいは安全性の新しい基準を米側も立てておりますので、そういうようなものがはたしていいかということの試験的な移行、そうしてだんだんに移っていくというような方法をとるというふうに改善がされておる次第でございます。  以上が全体の交渉並びにその後の経過でございます。
  313. 久保三郎

    久保分科員 施設庁長官分科会は、普通の日は三十分しか持ち時間がないんです。私の質問に対して具体的に答えてくださることはけっこうでありますが、余分にわたることはお互い極力省いていきたい。特にこの水戸射爆場の問題は、ことばの遊戯とか解釈の妙味とか、そんなものにとらわれて質問しているんじゃないのです。地元の人間の命をどう守るかという問題で私はお尋ねしているのでありますから、要らぬことはお答えなくてけっこうです。まじめのようでありますけれども、まじめ過ぎてもどうかと思います。  合同委員会で演習をやめよという提案をしたというが、何月何日にやったんですか、それで回答はどうなんですか。   〔福家主査代理退席、倉成主査代理着席〕
  314. 山上信重

    山上(信)政府委員 ちょっと日を忘れましたが、これはお話のありましたすぐ直後、合同委員会の場においてお話しをいたしております。何月何日か日はちょっと忘れましたが、東郷アメリカ局長からも申し入れております。
  315. 久保三郎

    久保分科員 ほんとうにあなた申し入れましたか。どんなことで申し入れたんですか。口頭で合同委員会の中で申し入れたんですか。文書を出しましたか。国会の様子を伝えましたか。日にちを忘れたくらいですから、中身を忘れているんじゃないですか。われわれにすれば命に関係することですよ。くどいようですが、日にちを忘れるようではかないませんね。去年の話じゃないんですよ。たしかここで話したのは、ターゲットの移動とか進入路の問題とか、工事をやるときの休みとか、これはそういう話じゃないんです。そんなことをわれわれは聞いちゃいないんです。はっきり答弁してください。
  316. 山上信重

    山上(信)政府委員 お話のありました直後でございます。それにつきましては、もちろん演習の中止について地元のそういった強い要請があるということをお伝えし、米側においてもこれが演習中止を可能な限りやってもらいたいということを申し、それからそういうことについての話し合いをいたしたのでございます。
  317. 久保三郎

    久保分科員 とにかく直後でありますとかいうようなことを言っておりますが、どうも信用できかねますよ。一応ちょっと話はしたくらいの程度じゃないですか、失礼ですが、いまのお答えでは。ターゲットの移動と進入路の変更くらいの話をしているんじゃないですか。その後も引き続いてターゲットの移動とか進入路の問題を先に提案したんでしょう。それともアメリカ側からこの点は提案されているんですか。私がお願いしているのは、いわゆる演習中止について再検討してくれということなんです。これはちっともやってないじゃないですか。標的の移動とか進入路の変更というようなことは関係ありません。ことばじりをとらえるようでありますが、安全装置は射爆場の区域に入ってからはずそう。区域といったって、ジェット機ですよ。区域に入ってから安全装置をはずして、どうして射撃ができるんですか。射的は狂ってしまう。先のほうへ行ってしまうですよ。私は飛行機乗りじゃないからわかりませんけれども、そうであろうと思う。どうなんですか。これは長官、正式に交渉してもらいたい。
  318. 有田喜一

    有田国務大臣 この問題は、坂村政務次官がおりましたし、また小幡次官もおりまして、中止をしてくれということはずいぶん言ったんです。具体的に言えば、ひとつ三沢に場所を変えてくれぬか、こういうところまでやらしておるんです。しかし、先ほど言いましたように、結果的には非常に御期待に沿わないことになった。しかし、せめて安全を保つために、いままでの訓練方法をもっと、射爆場に入ってからやる、手前からやるようなことはやめるとか、あるいは進路の変更とか、あるいは標的の変更とかいうようなことをやって、それで最後に、せめてそういう安全度だけでも保つように、こういうことになって、やったのは、さっきも言いましたように、三沢に変更してくれとまで主張はしたんです。これはまことに遺憾でございますが、われわれは熱意を持ってやったことだけは御了察願いたい。
  319. 久保三郎

    久保分科員 いまのお話で、それはせつないことだと私も思いますよ。しかし、あなたはそういう立場におられるんだからしかたがないでしょう。そういう意味で私は、あなたが熱心にやったと言われれば、それは熱心にやったと思うのです。しかし、あなたは自分の気持ちは熱心だが、私には、地元の住民にとれば、一ぺんは言ったがだめだったという言いわけにすぎないんだというふうにとれる。だから新たに地位協定第二条に基づく要請ということで再検討を提案してほしい、やめるということにしてほしいんです。  それからもう一つ、その御返事を聞く前に念のためにお尋ねします。  新島に移転するという話が出てから三年になります。この新島移転というのは、地位協定第二条に基づく正式な交渉の中で、アメリカ側と合意に一応達しているんですか。可能ならばいいでしょうくらいですか。これは地位協定第二条に基づく正式なものではないでしょう。
  320. 山上信重

    山上(信)政府委員 新島の点につきましては、四十一年の六月に日米間で、松野大臣と向こうの司令官との間で共同声明が出されております。その段階で、新島移転ということに米側は了承している。それについては委員会の席上等におきましても、米側の要請する条件日本側で満たされればよろしいという回答はしばしば得ております。
  321. 久保三郎

    久保分科員 しかし、それはいわゆる最終的に正式なものじゃないでしょう。そうでしょう。しかも、この間この席で質問があったそうでありますから、私は繰り返しません。日本の空の状態からいくならば、これはなかなか問題があるし、不可能に近い。しかしわれわれは水戸の射爆場の問題をいま取り上げておるのでありますから、新島についてとやかく私は申し上げません。われわれのほうの住民の立場から申し上げれば、やはり徹頭徹尾演習をやめてくれ、もうターゲットの変更や進入路の多少の変更で命が守れると信じている者は茨城県にはただ一人もいない。それは過去において三百六十六件の事故が証明している。いままでいろいろやってきた。安全装置をはじすのはどうだとかこうだとかやってきた。やってきたが、現実には三百六十六件、ことしに入っても二件事故が出ている。そうでしょう。だから、まず第一、信用しろといってもできない。それからもう一つは、こういう国会の場所にいる者の感覚では理解しがたい。たとえば沖繩県民が沖繩にいるその感じ、考え方と、東京にいる日本人――日本人というか東京都民の考え方と沖繩県民の考え方とでは、これは違うのです。それと同じ。毎日、いつ自分のところに命を落とさねばならぬものが降ってくるか、わいてくるかわからぬという状態で生活しているのですから、やはりこの真情をくまなければ、最終的に問題の解決になりません。私はもっと言いたいんです。どうして横田から水戸の射爆場へ来て演習しなければ安保条約の目的を達成することができないのだろうか。米軍の演習地というのは、この水戸の射爆場以外にはないのか。アメリカ本土はずっと広いじゃないですか。せめて演習だけでもアメリカの広いところでやってきてほしい。日本国民の茨城県民とすれば、当然こういうことを考えるんですよ。あらためて地位協定第二条第二項に基づくいわゆる再検討の要請を正式に政府の一致した見解として持っていく考えは、どうしてもございませんか。いかがでしょう、長官
  322. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほども申しましたように、この問題につきましては、われわれとしましてはほんとうに熱意を持って米軍とぶつかっておるのでございます。ところが、やはりこちらにおる以上は演習はやめるわけにはいかぬ。これはもっともだと思います。そこで、演習をやめるわけにいかなければ、せめて場所を、さっきもちょっと言いましたように三沢にしてくれぬかと、こういうところまで交渉したんですよ。それが実を結んでないから、何もやっていないんじゃないかと久保さんはお考えになるかもしれませんが、われわれとしてはずいぶんやったんです。ですから、もう一ぺんやれと言われればやらぬこともありませんけれども、この間やったばかりでいままた持ち出しても、そう簡単にいくものじゃない。いまここでやりますと言うことはやすうございますけれども、いままであれだけやってこういう結果になった、その点は十分御了承願いたいと思います。
  323. 久保三郎

    久保分科員 演習をやめるわけにはいかない、どうにもならぬとこう言う。なるほど向こうの立場からすれば演習をやめるわけにいかぬかもしれない、兵隊に演習はつきものだから。しかし、ぼくが言うように、演習はかくかくの実態である。日本の国民の生命、財産を守れないのである。何の安保ぞやと言いたいんですよ、日本国民としても。安保の是非は別として、日本国の安全というなら、まず第一に、その中に生きている人間の生命を守るというのが一番大事な点じゃないですか。ところが、そのために死んでいかねばならぬという理屈はどこにもないと思うんですよ。だから、日本人の生命、財産を保障できないような演習は、安保条約の基本精神にももとるんではなかろうかと私は思うのであります。だから、どうしても演習が必要ならば、アメリカでやってきてほしい、そういう要請を引き続きやってもらわぬことには、地元は、とてもじゃないが、生活はできません。ターゲットの変更や進入路の少しばかりのそれ方をしてみても、これは保証の限りではありません。そうやれば保証できるんですか。ターゲットの変更、進入路を変えていけば、そういうことは絶対になくなるんですか。あらためて聞きましょう、それならそれで。あなたたちは、まず日本の国民の生命と財産を守るためにその職責におられるんじゃないですか。それとも、三十分のがまんだと思っていらっしゃるのか。これは執拗に続けますよ。  施設庁長官、あなたに聞きましょう、実務をおやりですから。長官はせつないような話をしていますから、あとからもう一ぺん聞きます。いかがですか、もう一ぺんというか、あらためて根性を据えて交渉してほしいと思うが……。
  324. 山上信重

    山上(信)政府委員 日本国民の安全を守るということにつきましては、先生おっしゃるとおりでございます。私どもは、日本国民の安全を守るために安保条約があり、また施設を提供しておると思っております。したがいまして、そういうためにある施設でございますから、それの必要な利用ということは米側に許さざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。しかしながら、安全の問題は、国全体の安全と同時に、そこの地域における安全も極力考えなければならない。これは私ども、肝に銘じて考えております。今後ともできる限り安全の確保されますように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  なお、先ほどちょっと先生のお話にございました、それで絶対に保証できるか。それは私は、進入路の変更あるいはいろいろな方法だけでは絶対にということは申し上げかねると思いますが、極力少なくするということがわれわれに課せられた責務ではないかというふうに考えております。
  325. 久保三郎

    久保分科員 あなたはなるほど、安保条約を後生大事に守る職責にあるようですね。目的の倒錯というのがありますね。最近いろいろな問題で倒錯がある、ひっくり返しというのが。あなたもおっしゃるが、日本国――日本国というのは何だ。日本の土地とそこに住んでいる人間、国民でしょう。安保条約はそのためにあるんだと言いながら、そこで人間が死ぬこともあり得るという前提で物事を解釈されたんじゃかないませんよ。そうじゃないですか。そんなことが許されているところはありませんよ。植民地以外ないですよ、そんなのは。これはいままで一つや二つの例ならばまだしもですよ。二十四年間三百六十六件、ことしに入って二件もあるんですから。違うですよ、あなた。だから、私は先ほどから何べんも言っているわけです。どうもあなたのお考えはだいぶ違うよ。そういうことではあなたの職責も全うできないんじゃないですか、はっきり申し上げて。  長官、いまのようなこちらの御答弁では、日本国民はだれも納得しませんぞ。そうでしょう、絶対に安全なんか保障できっこありませんよ。保障できないものを是認していくことにどんな理由があるんですか、安全を保障できないのに、絶対に保障できないのに、どうしてこれを承諾できるのです。できますか。あなたが水戸の射爆場の近くの住民だったら承諾できますか。やむを得ぬというんですか。いずれです、聞きましょう。
  326. 山上信重

    山上(信)政府委員 地元の方の切なるお気持ち、よくわかります。私どももそういう気持ちを体して行動いたしたい、かように考えております。
  327. 久保三郎

    久保分科員 もう時間もありませんから何ですが、最後に長官施設庁長官にお尋ねするが、あなたのような考えでやられている限りは、実力行使もあります。そのときの責任は、あなたらが負ってくれますね。  それからもう一つ、あなたが言うように、ターゲットの変更や進入路の変更をやっても絶対に安全ではない、証保はできませんという。保証できないが、死んだときの補償はどうするんです。それを補償してもらいますからね、いいですか。大体あなたは一つも言わぬ。ぼくの要求に対してもお二人とも答えていない。地位協定第二条第二項によって、あらかじめいまの射爆場の問題の変更について、やめることについて、正式に交渉するということをいままで一つも言ってない。この間言ったばかり、どういうふうに言ったか、幾日言ったかもわからないような状態でありますから、われわれ地元民としては覚悟をきめます、一つは。それから、私はこの国会でおりがあるたびに、あなたらのやっていることを追跡調査をいたします。ようござんすか。いままでの経過について文書で回答してください。あなたは日にちがわからない、だれが出てどういう話をしてどういう返事があったのか、次に何をやるか、全部回答してください。その回答くらいは当然地元に対してしなければなりません。そうでしょう。いいかげんな、いまターゲットの変更をやっていますから、週のうちに三日やそこら休んでもらえますからといって、知事あたりが来たときに、知事としては一晩もいられないから帰っちゃうということで、きょうの三十分の質問ぐらいに考えてやっておられるのじゃないですか。立場はわかりますよ。わからないわけじゃない。しかしあまりにもそれでは情けないじゃないですか。いかなる職責にいようとも、日本の国民を守る立場にいながら、安保条約を後生大事に抱いて、それもまあいい、それもいい、しかしながらその根源である日本国民が絶対に安全を保障されないかもしらぬといって話をする根性が私はわからぬ、はっきり言って。責任をとってくれますか。いかがでしょう。
  328. 山上信重

    山上(信)政府委員 基地日本の安全を守るためにあるわけでございまするが、同時にその地域におられる方々の安全につきましても、われわれは最善の努力を尽くしてこれをお守りするように、今後とも努力を続けたい、かように思います。
  329. 久保三郎

    久保分科員 ことばだけの問題は聞いていられませんよ。責任を持ってください。まああなたがやっていること自体、従来のことからすればたいへん熱心におやりでしょう。その点は評価しますよ。しかし熱心でも効果が出なければ何にもならないということをひとつ申し上げて、私はきょうはこれで終わります。あとで文書で出してください。いいですか。防衛庁長官、あなたから答弁をいただきます。
  330. 有田喜一

    有田国務大臣 久保さんは長い間の懇意な間柄で、私の気質なり気持ちというものはわかってくださると思うのですが、私は微力ながらこの問題に対して、地元住民の方々の切なる気持ちは察しておるつもりです。ことに、久保さんにしても、またわが党の塚原君にしても熱心にこの問題をやっておる。私はそれでじっとしておれないという気持ちで、これはほんとにことばだけで言っておるのではないのですよ、懸命に向こうと折衝して努力を重ねておる。そのわれわれの誠意だけはおくみ取り願って、今後といえども、一日も早く地元の茨城の皆さんの御期待が実現するように、一そうの努力を重ねていきたい、こういうつもりでおりますから、どうかわれわれの熱意、これはひとつおくみ取りくださいまして了としていただきたい、かように思います。
  331. 久保三郎

    久保分科員 お話は承っておきますが、ただ最後に念のために申し上げます。地元は演習を停止してもらわなければ困ります。演習をやめてもらう。だから、そのほかに、さっき申し上げた資料を出してください。われわれはいかなる方法をとっても演習をやめてもらわなければ納得しません。
  332. 倉成正

    ○倉成主査代理 米内山義一郎君。
  333. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 実はきょうは、三沢基地におけるいろいろな防衛施設庁の所管の事項についてお尋ねしたいと思ったんですが、いまここで聞いておりますと、久保委員の質問に対する防衛庁長官の御答弁に、われわれとしては黙っておれない問題が出てまいりました。というのは、水戸射爆場をやめるか、演習を休むとすれば、それを三沢に変更するように米軍に交渉なさったというのですが、あらためて確保したいのですが、そういうことでありますか。
  334. 有田喜一

    有田国務大臣 これは永久的という意味ではないんですけれども、ああして水戸の射爆場が非常に問題になっておりますから、せめて演習をどうしてもやめさせるというなら、ひとつ三沢においてやっていただいたらどうか、こういうことを提案したことは事実なんでありまして、別に三沢は、射爆場として一そうこれ以上苦しめるなんという気持ちはないのですけれども、比較的、水戸に比較すれば三沢は安全な地帯にありますので、そういうことを言ったわけでございます。
  335. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 実はきょう、質問の中に予定したのは、三沢の射爆場の安全性の問題について質問する予定でいました。これを繰り上げて長官のおられるところでお尋ねします。  一体、防衛庁から見ると、安全度というのは抵抗のないところをもって安全なところだと考えるのですか。特に三沢の射爆場の状態は、普通の商業航空ならばともかく、高空から急降下する距離のきわめて近いところに二百戸近い人間の集落があるんです。これはきわめて危険性がある。私は二、三年前の内閣委員会でこのことを指摘して、そうして進入方向を変えるか何とかして安全を保つという答弁があったのですが、その後少しも改善されてない。きょう別にここで同じものを皆さんにお見せする必要もないのですが、これは三年ほど前にその地区の郵便局長さんの宅地にくっついたたんぼから出た品物なんです。いつ落ちたか、だれも知りません。十アールばかりのたんぼを整地をしようとしたら、そこからこれが七発出た。これはその一発です。知らぬ間に落ちているほど、おそろしいことはない。どこの人でも、人の命には変わりないはずなんだ。ただこの土地は抵抗がないからそっちに持っていこうというのは、これはきわめて国民の生命の安全を守るということと逆行することなんです。いずれこの問題に対しては地元の住民が皆さんにおこたえすることになると思いますから、この問題についての今後の方針をあとであわせて御答弁願いたいと思います。  実はきょうは時間も短いのでありますから、簡潔に御質問します。  四点、六、七項目でありますが、一つは三沢基地所在市町村に対する基地交付金の問題さらにはいろいろな防衛施設周辺における整備に関する法律に基づく事項、第二点は例の射爆場の安全性の問題であります。特に平沼地区におけるいま申し上げたこの問題に対して、今後どういう改善の方法があるか、さらにこの射爆場に関連する地域漁民が漁場の大部分、というよりもすべてを奪われておるわけです。これに対する補償がきわめて不合理だ。結局国の補償というようなものは一種の宣撫工作であって、実際の被害者に対しては薄く、被害の薄い者に対しても伸ばしていくから、そうして世論を押えて実際の被害者を、損害を受けている人を泣き寝入りさせるような、旧関東軍が満州国でやったような非常に悪らつな考え方がある。数年前からこれを要望しているが、事態は少しも改善されていない。この問題。  第三点は、同じ三沢基地周辺に膨大な米軍の通信基地があることは御承知のとおりであります。この周辺に接収後、戦後米軍がただの一度も使用したことのない農地が百ヘクタールある。これに付帯した採草地になり得る、植森地になり得る土地が二十ヘクタールある。そうして今日農地にかかわる分は農民が使用しておるのであります。こういう種類のものはすみやかに基地からはずして、元に返して、農民に耕作権を保障しなければならぬ。そうすればここに構造改善の仕事も適用し、あるいは畑が改善される、農業上の改善もあるんだ。ただ接収地だということだけで二十数年基地にも使わず農民も自由に使えないでいる土地がある。こういうものはすみやかに国民のために自由に使えるようにすべきであると思う。  さらに基地公害の問題であります。いま基地公害を防ぐために法律を整備しようとしておりますが、その中において、基地における公害に対しては立ち入りができないようにするという声があるが、実際、問題なんです。この三沢基地から数千人のあるいは万に及ぶ米軍のし尿というものがたれ流しの形で出ている。自分たちの衛生に危害を及ぼさない程度の処理はしているかもしれないが、その汚水というものが漁業上必要な湖水に、ただたれ流しの形で入っている。これは非常に酸素を消耗する。深いところに沈でんして湖水の水質を悪化して、やがては漁場として用いられなくなる。基地の滑走路から廃油などを洗った水が同じように流れてくる。これも流れる川でもないし、海でもないから推積していく。その結果そこで採れる小さな魚が油のにおいがして商品の価値を失う。われわれはこの原因を確かめるためにどう処理するかといえば、立ち入って、何人分のし尿が流れているかという量の問題も調査しなければならぬ。こういうことが、将来ともできないとしたならば、国はみずから責任を持ってそういう原因を探求して、あえて要求をされなくても住民福祉のために、保護のためにやらなければならぬ。こういうものは常に騒がなければ対策が講じられない、こういうやり方は、むしろ防衛庁自体が基地周辺に騒げと言うているようなことだと私は受け取る。防衛庁もこの点はもっと積極的に対処すべきであるし、こういう問題を国に対策を要求するためには、一応筋道を立てた調査が必要なんです。そういう調査地元の農民、漁民では不可能なんです。専門家を頼んで科学的な調査をし、そのデータに基づかないならば、あなたたちだって直ちにやることはできますまい。こういうことはみずから進んでやるべきものだと思うのであります。  第四点でありますが、これは三沢基地の射爆場のために小川原湖という湖水から太平洋へ出る川が閉塞し、そのために大水害が起きた、その被害を防ぐために、昭和三十七年に起きた災害でありますが、防衛施設庁は相当な金をかけて着工した。だが、今日まだ完成していない。われわれから見ると、あと五年、七年で完成しようとは思われない。災害を防ぐという工事が十年たってもできないような工事をやって、これで対策といえるでしょうか、この問題について現在どう考えておるかということをお聞きしたい。  そこで最初の問題に移りますが、基地の対策について、抵抗があれば逃げていったり、抵抗の弱いところには迷惑なものを持ち込むという考え方と同様に、黙っていて要求が弱ければこれを冷遇する、何か政治力を背景にするとこれには厚い対策を講ずるということがあるような気がする。これはここに二月十四日の青森県における有力な代表的な地元紙に三日間にわたって連載された記事があります。こう書いてある。「三沢と基地交付金」というので「冷遇される三沢」と書いてある。「土地提供は全国一」、こういうことの見出しでありますが、実は三沢の基地というものは、私は地元ですから詳しく知っておるわけですが、この広さは、提供している土地は二千百六十万平方メートルです、日本一これは提供用地が多いと思うのでありますが、ここで問題になったのは岩国市との対照なのであります。昭和三十二年の段階におきましては三沢市に対する基地交付金が一千四百七十二万、当時岩国は九百十六万八千円であった。それが三十八年におきまして三沢が三千百万円、岩国は三千九百十九万ということで同額になっております。ところが四十三年度になりますと、三沢市は三千五百七十三万五千円とほとんど固定的であるにかかわらず、岩国には七千八百九十九万四千円交付金が交付されておるというのであります。これはいかなる根拠によるものか知りませんが、この新聞の報ずるところによりますと、書いた記事によりますと、「「こうした数字が示す現実に対して、三沢市民は「山口県には岸元首相、佐藤現首相、重宗参議院議長がいるからこんなに差をつけられるのだ」」と考えておる、こういう意味なんです。そうしてさらに昭和三十八年に基地の整備のために三沢市も岩国基地からもそれぞれの要望事項防衛施設庁に出されておるわけであります。その総額は三沢市におきましては二十五億三千五百万、ところが岩国市は百五十六億五千百万の要望事項を提出しているというのであります。ところが、その後今日までのその進捗状態について、三沢市の場合は八項目のうち二つが達成された。岩国の場合、これだけの膨大な金額のうち、十二のうち八つまでできたと、こういわれるのであります。三沢市のことは、私は現地におりますから知っておるが、岩国については行ったこともないし、事実に当たっておりません。またこのことについて、防衛施設庁とこの資料と突き合わせたこともありませんから、はっきりしたことは言えませんが、一番わかっているのは施設庁であると思います。なぜこのように差がついたのか、ここでひとつ、われわれ、あるいは私よりも、むしろ三沢市の市民なり市の当事者が納得できるような御答弁を得たいと思うのであります。まずこの点についての御答弁をお願いします。
  336. 有田喜一

    有田国務大臣 多様にわたる御質問でございましたが、第一に、私どもは激しい陳情運動があるから特別に見るとか、静かにされておるからこれを顧みない、そういうような考えは毛頭持たない、そういう前提に立ちまして、三沢の射爆場の安全対策といたしましては、もうすでに米内山さん御存じでございましょうが、あなたのおっしゃる時間とか訓練種目を限定いたしておりますほかに、人口の稠密地帯の上空を避けまして進入コースを指定するというようなことの取りきめは米側とやりまして、安全を期しておるわけであります。  それから基地交付金の問題は、これは実は自治省の問題でして、私のほうから直接とやかく申すわけにはまいりませんけれども、私のほうとしては、できるだけ実情に合うようにこれをやりたい、こういうことを考えております。いずれ関係方面から御説明があると思いますが、これは私の推察でございますけれども、三沢とそれから岩国との間の比較がございましたが、これは地価の変動といいますか、岩国のほうは相当人口の稠密のところでありますので地価が上がる。三沢のほうは地価が上がっていない。そういう関係からきたのではないかと私は推察します。これはいずれ責任の省から御説明があると思います。  それからなお農地の遊休施設がある、これはそういうことがありますれば、こういうものは合同委員会におきまして、われわれもこれを提案しまして、遊休施設で、遊んでおるものはすみやかに返還してもらうように極力交渉を重ねていきたい、かように思います。  それから汚水処理の問題がありましたが、これはもう間違いないと思いますが、はたしてそういうようなことがあるならば、これも私たちとして一日も早くこれを解消するように、予算的措置もやりながら解決したい、かように思っております。その他答弁漏れのところは施設庁長官なり、あるいは関係局長のほうから答弁をさしていただきたいと思います。
  337. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 三沢と岩国の周辺対策の比較の問題でございますが、私どもとしましては、こういった周辺対策を実行いたします場合、各関係の事業主体から申請を出していただきまして、その優先の順位を検討して、全体としてバランスのとれる形で査定をしておるつもりでございます。たとえば防音工事を例にとりますと、飛行場の周辺に学校がある。その場合に、もちろん私たちも音のひどい地区からやる。しかもこれは各飛行場間でそういったバランスをとりながらやるということで、一方の飛行場では比較的まだ音のひどくないところをやっておって、片一方ではそこまでいっていないというようなことの決してないように十分配慮してやっておるつもりでございます。ただ先生のおっしゃった三沢については、八項目のうち二項目、岩国は十二項目のうち八項目という具体的な内容はわかりませんが、全体的に申し上げまして、各基地間のバランスについては十分な配慮をしながらやっておるつもりであります。
  338. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 放水路の問題は、着工してからかなり年数がたっと私どもは常識的に見ます。実際に見れば、あれは災害を防ぐために役立つには相当な金と年数がかかるような感じがします。もちろん私はそういう土木専門家ではないのですが、これについて防衛施設庁当局はどのように現在これを考えておられるかをお聞きしておきたいと思います。
  339. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 高瀬川放水路の工事につきましては、工事の規模としましても、かなり大きな工事であるという関係から、かなり長年月にわたって継続事業でやってまいりました。四十二年度までには護岸工事、水門橋その他で二億六千三百万円補助をしてまいりました。四十三年度には護岸工事、しゅんせつ試験工事その他で七千四百万円を補助いたすことになっております。ダム工事でございますが、これは四十四年度以降におきまして、しゅんせつ、導流堤の試験工事、こういったものが一応計画としましては、補助額にしまして一億一千六百万円ということですが、これはまだきわめて概算でございますので、正確な金額ではございません。こういったことで、今後やる事業としましては、しゅんせつと導流堤の試験工事ということでございます。ただし、ただいま申し上げました金額には導流堤の事業費そのものは含まれておりません。試験工事のみでございます。
  340. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 あと一つですが、これは射爆場に膚接して、すぐ隣の天ヶ森部落の漁業補償というものにつきましては、これまで何回となく陳情もしているし、国会委員会でも質問していますが、非常に不合理なまま訂正されないのは、どういう事情にあるのか、その事情がもしこちらでわかっているならば、その事情についてお尋ねしたいと思います。
  341. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 この射爆場の前面の扇型の水域につきましては、制限水域ということで漁船の操業等が禁止されておりますので、それに伴うところの漁業経営上の損失につきましては、毎年補償しておるわけでございます。  そこでこの算定の方式でございますが、これについては、だいぶ昔になりますけれども、制限の開始時における漁獲高というようなものを基礎にやっておったわけでございますが、それでは漁法の進歩その他による客観条件の変更に対応しないではないか、いつまでも昔の基準ではおかしいということから、これも改めまして、その時点におけるその漁区全体としての漁獲高というものを基準にいたしまして、その中に占める制限水域の割合というものから漁業補償を算出するというふうに改めまして、従来の固定的なやり方を、実際に合うように計算方式に改めて、現在それでやっておるわけでございます。ただ、漁業補償と申しますのは、何といってもその実態がなかなか正確につかめないというようなことから、あるいは関係の漁民の中には御不満もあろうかと思いますが、具体的な御不満の点がありましたら、ひとつ局に言っていただければ、十分お話も聞いて、相談に応じていきたい、このように思っております。
  342. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 最後でありますが、この漁業補償につきましては、算定を客観的に見て、合理的に是正することと、分配を客観的に見て、だれから見ても、受け取るほうから見ても、渡すほうから見ても、これならばという合理的な方法に防衛施設庁としては積極的にその方策を取る御意思でありますか。これだけ聞いて私の質問を終わります。
  343. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 漁業補償は、大体組合が一番主体になりましていろいろ手続をとっておりますので、組合の内部の配分の問題までは、われわれとしてちょっとタッチしかねる面がございますが、配分関係その他については、十分間違いのないように、確認の上やらせております。
  344. 倉成正

    ○倉成主査代理 浜田光人君。
  345. 浜田光人

    浜田分科員 時間が限られておりますので、ずばりずばり質問いたしますから、ひとつ簡潔に要領よく御答弁いただきたいと思います。  まず第一点、防衛庁長官に伺いますが、いま内閣委員会に防衛二法が上程されております。いま私、内閣委員会の理事をやっておるものですから、重要法案の取り扱いについて、自民党の方たちともいろいろ話し合いをしておりますが、総定員法は、十二月二十七日に最初に提出されたので、確かに重要法案の取り扱いをされておるやに聞いておるわけですが、総定員法はかりに流れても、防衛二法だけはどうしても通さなければならぬだろう、こういうことを雑談の中で聞くのですが、これらを通してうかがえるのは、何としてもこの六千名の今度の二法案による増員分は、佐藤総理が訪米までに増員計画をきちっときめて、本会議でも同志の井手君のほうから質問がございましたが、おみやげとして持っていくために必要なのではなかろうか、このように私たちは雑談の中で話をしておるのですが、その点はどうかというのが一点と、それから若干矛盾するようでございますが、今度の増員計画の六個部隊の配置を考えますと、九州から私の地元である広島の十三師団、それからさらに京阪神を控えて京都の宇治、さらに関東では東京を控えて福島、これらを考えると、七〇年に対する増員のようにも考えられる。そういうように、今日でも応募者に足りない、あるいは欠員だというのに、しゃにむに、昨年も流れたのを御破算にいたしまして、膨大な増員計画をこの二法案で出されることは、どうもその真意が合点がいかないので、その真意のほどをひとつ簡潔に御答弁いただきたいと思います。
  346. 有田喜一

    有田国務大臣 今回の陸上自衛隊における六千人増員の問題は、いま浜田さんからえらい勘ぐったお話がございましたけれども、これは御承知のとおり第一次防以来からの問題でありまして、私どもは、日本の自衛力によりまして、少なくとも通常兵器における局地戦は守り抜かなければならぬというのが、われわれの考え方であります。これは何もいま始まったものではない。しかし最近の日本は、相当経済的にも国力が充実しておるではないか、そこで、三次防におきましては十八万体制、これを堅持するということを言っておりますので、ここまで日本も伸びてきたのだから、第三次防のちょうどまん中の来年の年でありますから、いま御承知のように十七万三千人でありますが、この際六千人を増員して日本の防衛を国力にふさわしいところまで持っていきたいというのが私たちの考え方であります。  それから一九七〇年に結びつけてのお話でありましたが、私たちは、そういうことは何も考えていないわけでございます。御案内のとおり、日本には五方面隊、十三師団というのがありますが、その中でいわゆる九千人師団と七千人師団とございますが、いま東北には、あれだけの広い地域を持っておりますけれども一つも九千人師団がない。そこで東北をひとつ九千人師団として、そうして福島に部隊を置きたい。それから近畿ですが、近畿は、御承知のとおり、あれだけたくさんの人口をかかえたところですが、あの広い近畿において、これまた九千人師団がない。そこで京都の宇治に二千人増員して、そうして充実したい。もう一つは、浜田さんのところなんですが、中国、四国です。あれだけの広い地域において、わずか一個師団があるだけで、しかもそれが七千人師団だ、中国、四国を合わせて考えたときに、せめて九千人師団にしたい、こういうつもりでやっておるのでありまして、決して勘ぐられるようなそういう気持ちでやっていないということだけはひとつ十分御了承願いたいと思います。  それから欠員があるのにどうかということがありましたが、これは、だんだんおかげで充足率も上がってきております。八〇%台もありましたが、今日では九一%近いところまできているわけです。そこで私たちは、六千人の増員は必ずしも不可能ではない、一そう努力を払ってこれが充足できるという確信を持ってやっているわけですが、どうかひとつ御協力を賜わりたい、かように思います。
  347. 浜田光人

    浜田分科員 これについての議論は、時間があればあとに譲ります。  そこで地位協定二十五条の日米合同委員会の構成並びにメンバーですが、いろいろ表には出ておりますが、これは少なくともキャップといいますか代理、代表、この程度のことはひとつ御答弁いただきたい。
  348. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 合同委員会のメンバーは、日本側は外務省のアメリカ局長日本側代表でございます。それからそのほかに委員としまして、アメリカ局の参事官、防衛施設庁長官防衛庁渉外参事官、大蔵省大臣官房審議官、農林省農地局長、法務省民事局長、それから米側は在日米軍参謀長、陸海空三軍の代表、こういう構成になっております。
  349. 浜田光人

    浜田分科員 その機構の中に特別作業班等があると思うのですが、この特別作業班は当然日米両方で合意された機構の中ですから、作業を行なうときには両方がやっていくのだと思いますが、それに間違いないかどうか。
  350. 山上信重

    山上(信)政府委員 日米合同委員会のもとには施設特別委員会というのがございます。その下にさらに設けた防衛施設調整特別部会、これは最近設けましたが、そのことでございましたら……。
  351. 浜田光人

    浜田分科員 この二十五条で、いずれか一方の代表者の要請があるときはいつでも直ちに会合することができる組織と思うが、これは大体定例会なのか、随時どちらかの意思によって開催しているのか、どうなのか。
  352. 山上信重

    山上(信)政府委員 これは原則として定例会でございますが、必要があればいつでも開催できるようになっております。
  353. 浜田光人

    浜田分科員 さらに、一項前段では、この機関は、協議機関と定義しておるわけですね。しかし後段では、特に施設及び区域については決定機関としての任務づけが行なわれておるが、いわゆるこの合同委員会施設とか区域等についてはすべての権限を持って決定することができるのかどうか。
  354. 山上信重

    山上(信)政府委員 合同委員会におきましては、施設の提供等につきましては双方で合意した場合にそれが一応両国の合意となります。ただ、日本国におきましては、このあとの閣議におきましてこれを承認するというたてまえをとっております。
  355. 浜田光人

    浜田分科員 だから、閣議はそのような報告を受けて承認する、形式的な事務的なものだと理解していいわけですね。
  356. 山上信重

    山上(信)政府委員 合同委員会の議事の内容は最初委員会できめますが、閣議決定を経ました後に両代表が正式に署名して合意が成立する、こういうことになっております。
  357. 浜田光人

    浜田分科員 ですから、いろいろ事務的にやりまして――事務的にはむろん座間の司令部ともやるだろうし府中の司令部ともやるだろう、それらが事務的にまとまって閣議にはそれをいわば報告する、そうして認めてもらう、それを最終的に決定するのはやはり合同委員会で決定するのですか、こう言っているのです。最終的にすべての権限は合同委員会で、施設や区域についてはやられるのですか、こういうことなんです。
  358. 山上信重

    山上(信)政府委員 そういう意味では、そのとおりでございます。
  359. 浜田光人

    浜田分科員 さらに地位協定二条三項で、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。」こうあるのです。これはしばしば国会委員会でもやることですが、その目的とは具体的には何をさしているのか。
  360. 山上信重

    山上(信)政府委員 この協定の目的というのは、安全保障条約の履行のために必要な施設、区域がその必要がなくなったということだと理解しております。
  361. 浜田光人

    浜田分科員 目的のために必要でなくなった場合は、と、こうなっているのです。だからずばり言って、日本の安全防衛のためにこうなるのだろうと思うのです。そこで、「合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。」こうなっておりますね。したがってこの条項を日本政府は忠実に実行に移すためには、常にその施設や区域の実態を把握しておかなければならぬと思うのです、いまの地位協定をずっと詰めていくと。だからそうしなければ政府としては国民に申しわけないことなのだから、したがってその調査をずっとやっておられるかどうか。山上(信)政府委員 この条項に書いてありますことは、合衆国がそういうことについてたえず検討することに同意するという、合衆国が検討するということでございまするが、日本国としても当然これは検討いたしております。
  362. 浜田光人

    浜田分科員 ただいま施設庁の長官答弁しましたように、当然やっておらなければならぬことだと思います。そこで、いろいろ国会の論議を見ましても、あるいは地域におきましても、基地公害の問題でもしかり、あるいは政策的にもしかりですが、問題が起きるのですね。したがっていまこういう調査をしておられるというのだから、また私たちが内閣委員会質問いたしましても、調査しております、こういう答弁をなさっておられるのだが、この調査を全国的にきちっとやっておられるのならば、ぼくは、いろいろトラブルを起こさないためにも、あるいは国民によく知らしめるためにも、そういう調査項目を少なくとも国会を通じて国民の前に明らかにしておかなければならぬと思うのですが、その点、その調査結果を、本日は時間がございませんから、出していただけるのかどうか。
  363. 山上信重

    山上(信)政府委員 調査の内容につきましては、これは米軍施設の内容でもございまするので、これを直ちに公表するということにつきましてはいかがかと思われるのでございます。かつまた、調査は随時、時とともに変わっていきます。そういうような実情でもございまするので、それの時期に即応するようにわれわれは施策を立ててまいりたい、かように考えております。
  364. 浜田光人

    浜田分科員 確かに刻々変化はすると思います。しかしその時点時点で、国民はそういう実態を知らない点もあっていろいろトラブルを起こす。さらに、さっきも御答弁なさったように、この地位協定からきて、私は当然政府の義務だと思うのですよ、その時点時点でその実態を把握しておくことが。したがって、その把握されたことをわれわれ国会議員が、この国会において発表してください、知らしめてください――ときには私たちは不必要な、あるいはみだりにトラブルを起こさないような対策を国会議員の責務としてやる場合もあろうかと思う。そのためにも必要であるのです。ですから、国会を通じて国民に明らかにしていただきたいというので、ぼくはなぜそれを出せないのかと思う。その点もう一回……。
  365. 山上信重

    山上(信)政府委員 これは米軍施設の内容に関連することでございまするので、しかもわがほうの調査の内容でございまするので、調査結果につきましてはこれを一方的に発表するというようなことはいかがかと思われますので、公表は差し控えたい、かように考える次第でございます。
  366. 浜田光人

    浜田分科員 作業班で、日米合同委員会の中で了解を得てそういうものが調査されるのだと思うが、さらにこの地位協定、さっきのずっと積み重ねてきた中で、当然義務としてでも日本政府は日常やっておかなければならない。だから、それを、何も特に機密にわたることを、それも私たちの立場からはけしからぬと言いたいのだけれども、そういうことは別としても、いま日本の国民が、こんなに基地を持っておらなくともいいじゃないか、むしろ具体的に言えば不必要な、経済的にも時間的にも実にロスの多いような基地の持ち方がある、そういうことなんかを国民は、現地の人は知っておるのだから、そういうことをむしろつまびらかに知らしめることによって、ぼくはトラブルが避けられると思うのだ、だから、たとえば弾薬が何トン入っている――まさか核兵器ば入れちゃおらぬだろうけれども、核弾頭が入っているとか、そういうことを言えと言っているのじゃないのだからね。弾火薬庫の規模がどれくらいあるかというのは、これは今日航空写真をとればわかるのだから、面積だってわかるのだから、何もぼくはそういうことは遠慮することはないと思う。むしろそれが日米間の逆に疑心暗鬼を抱かしめておるもとになる。言うべきことはずばり勇敢に言う。そうせぬから国民から不信を抱かれるようになる、疑惑を抱かれるようになる。そういう意味で、これらについてはあえてここで出すと言われないのならば、ぼくは委員会の決定として、この点は当然資料要求として要求しておきます。  では、時間がないから次にいきます。ただいまのことにずっと関連するわけなんですが、ああして昨年来日米協議会が持たれ、さらに九月十日、十一日には次官レベルの会議を持たれた。これは当然基地問題が主題でしょう。したがって、その主題となる基地問題についていろいろ検討もされた。そして昨年の十二月二十三日に、あたかもクリスマスのプレゼントのごとく、かっこうはついておる。しかし、その後の結果あるいは経緯を見ておりますと、たくさん個所をあげておりまするが、から手形のようなものがあるような気がしてしかたがない。具体的には代替地を出せとかなんとかいうことで、実現に移されない個所がたくさんありますよ、あれの個所の中には。そういう意味で、これらの発表をなさった中で、特に作業班等もつくって、一日も早く返そうとされた努力はぼくは買いますが、実際その努力は実っておらぬ。どのようになっておるのか、特に広島県の広弾火薬庫なんかの返還の問題などについて、具体的にどういう返還推移をたどってきておるのか、これについて御答弁いただきたい。
  367. 有田喜一

    有田国務大臣 昨年の約五十個所の基地の返還あるいは使用転換、移転の問題につきましては、日米合同委員会においてすみやかにやるようにと作業をやっておるのですが、すでに北海道の名寄は両方の合意を得まして削るという段階になっております。お尋ねの広の弾薬庫も、これはかねてから米側折衝を重ねておるところでありまして、昨年末の日米安保協議委員会におきましても、その対象となっておることは御存じのとおり事実であります。そして目下は日米合同委員会におきまして協議中でありまして、近く実現を見る見通しになっております。
  368. 浜田光人

    浜田分科員 近く近くといいまして、この問題だって一昨年の十一月二十九日に座間の司令部の参謀部は日本政府に返すといってきていて、それが今日までまだ実現しておらないのですよ。ですから、あなたの言うことを信用せぬわけではございませんが、近く近くと言ったって、これまた来年になるか、わけもわからぬ。そんなことはないでしょうが、近いといえば来月になるのか、あるいは四月になるのか五月になるのか、そういう点は、もうすでに合意はしておるのですから、あとは具体的な煮詰めだと思うのです。たとえば、その条件にいろいろついていると思うのです。十九項目ぐらいの項目があったやに伺っているのですが、その条件はすでに煮詰まって、どういうようになっているのか。その点について。
  369. 山上信重

    山上(信)政府委員 移転のための条件はすでに煮詰まっておりまして、もはやあとは手続を余すのみという感触でございます。したがって、近くというのは、ごく近くと御了承くだすってけっこうだと思います。
  370. 浜田光人

    浜田分科員 まあ信用してもしようがないかもしれませんが、一応来月、再来月、その程度だと理解してこの問題を終わりますけれども、その十九項目の条件は煮詰まって、そのような見通しを持っておられる、このように理解していいのですね。  さらに、一部返還について、あるいはバイパス等について、防衛庁、特に施設庁はたいへんやっておられるのだけれども、実際この地域の住民の方は、こういうバイパスをつけたり、あるいは一部返還をやって、残りが固定化していくのじゃないか、あるいは集散基地化していくのじゃないのか、こういう不安を持っておられることもいなめないのです。そこで、実際あそこの広弾火薬庫には、これは中継基地だということを言っておられるのだが、弾薬の貯蔵は行なわないのかどうか、その点について。
  371. 山上信重

    山上(信)政府委員 これは先生御案内のとおり、原則として中継的な、一時貯蔵する、そしてそれから先、川上等に持っていくというふうな任務と承知いたしております。
  372. 浜田光人

    浜田分科員 したがって、中継基地であって、弾薬の貯蔵庫ではない、こう理解していいのですね。
  373. 山上信重

    山上(信)政府委員 いわば一時的な貯蔵庫というふうに理解されていいのじゃないかと思います。
  374. 浜田光人

    浜田分科員 ちょっとひっかかるのだが、それは一時的な貯蔵、あくまで海上から揚げて、さらに四十何キロの川上弾火薬庫に持っていくその中継基地だと、こう理解していいのだね。きちっと答弁してください。
  375. 山上信重

    山上(信)政府委員 そのとおりでございます。
  376. 浜田光人

    浜田分科員 そこで、ここの弾薬庫の場所で曳光弾等の試射を行なったことも、これは事実確認しておられるところなんです。そうすると、中継基地でたまを揚げて持っていくだけだというのに、実際そこで弾薬の試射を行なったりしている、こういうことが許されていいのかどうかということ。これが起きる原因は、やはりここの基地のそれの協定が明確になっておらぬのじゃあるまいか。安保条約六条に基づいて地位協定がずっとできて、それらの地位協定に伴なっていろいろな協定がたくさんできておる。ここにも一〇〇ページぐらいにわたってできておる。ところが、ここの基地の協定だけはまだ国会でも皆さん明らかにしておられぬ。ここのいわゆる協定というか、使用条件というものがあるはずなんです。日米合同委員会で当然なければいかぬし、それを一つずつここで発表してもらうと時間がないので、これも、私は資料要求として要求しておく。個々の地位協定があるかどうかということ。
  377. 山上信重

    山上(信)政府委員 提供に際しましては、個々に協定をいたしておりまするから、個々にあるわけでございます。ただ、いままでの提供施設は原則として、米側の使用につきましては、たとえば陸上施設であるとかというふうに、一般的に使用内容は米側の裁量によって自由に利用できるというふうなたてまえの提供のしかたが原則になっております。ただ、演習場であるとか飛行場であるとか、非常に他に問題を及ぼすようなものにつきましては、使用条件の内容等が特に明記されておる場合もございますが、原則としてはそういうふうになっております。
  378. 浜田光人

    浜田分科員 全国にたくさんそういう例があるのですが、いま言ったように、使用条件というものを明確にしておかないと、あなたたちは中継基地だというが、実際は弾薬を貯蔵したりする場合がある。そうすると、地域住民は、あれはたまを揚げて持って行ったというのに、あそこに貯蔵されたのではたいへんなことになるといって、わあっとなる。それが一つ。さらにいま指摘したように、そういうところで弾薬の試射なんかするのはもってのほかなんです。小銃とかあるいは曳光弾のようなものの試射をやるのは、近くにでもどこにでもたくさんある、百四十八カ所の中には、試射場もたくさんあるわけです。あるいは小銃射撃場もたくさんある。具体例として、ここでも江田島の弾薬庫から広まで持ってこなくても、江田島に今日でも小銃射撃場はある。だから、個々の使用条件を協定で明確にしておかなければいけない。それをぜひわれわれ国会議員にも知らしめておっていただきたい。それはさきの全国的な調査のあれでも――われわれは責めるばかりじゃないのです。実際国民に納得してもらう説明をしなければならない国会議員立場なんだから。それを政府側のほうで、あるいは防衛庁だけじゃない、外務省の人がおられるかどうか知らぬが、外務省あたりも圧力をかけておるのかどうか知らないけれども、私は知らせるのが当然だと思うのです。そして、かりにその施設内部にいろいろ日本の法規に従っておらないような点があれば、勇敢に直さなければ、基地公害というものが出て、外からそれが知られたら、ますます問題が大きくなって、どうにもならなくなるのだから。ずっと積み上げたような義務行為なんだから、みなさんがやるのは。それを言っているのです。そうして、こういう試射なんかはこういうところでは将来は絶対やらさないように、ひとつ厳重に申し入れをしてもらわなければならないが、どうですか、長官
  379. 山上信重

    山上(信)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、多くの施設につきましては陸上施設というようなことで、特段にこういうものにだけ使うという条件的なものではございません。ただいままで私が申し上げた、かような使用方法であるというのは、米側が現在さような使用方法であり、そういうふうに用いていくということを米側が言明いたしておるということを基礎にいたしております。したがいまして、これをさらに何かほかのものを乗っけるとか入れるとかいうことにつきましても、地位協定は違法というわけにはいかないと思います。ただわれわれといたしましては、そういうような運用が地域の方々あるいは法律等に特に反するようなことであれば、米側においても日本の国内法規は十分尊重するというたてまえでございますから、われわれとしても十分注意をいたしたい、かように考えております。
  380. 浜田光人

    浜田分科員 そう言うと施設庁長官、とんでもないことになる。たとえば広の弾薬庫は、あなたたちの基地名で表の中に広弾薬庫になっている。それが地位協定の違反じゃないから弾薬をおさめてもいいんだ、こんな解釈、だから何のために個々の施設の協定が必要なのかということになる。その協定の中には当然使用条件も入っておる。それを明確にしておかなければ、あなたがいま言われたように中継基地でございますと言ってもだめだ、こうなる。私は初めからずっと積み重ねて質問しているんだから、初めからまた質問をやり直さなければいかぬようになる。全国的に必要ないんだが、具体的に広の弾薬庫は弾薬の貯蔵じゃないとさつき確認したが、それを取り消すようなあなたのいまの答弁だ。もう一回確認するが、弾薬の貯蔵はしないんですな、どうですか、広の弾薬庫には。
  381. 山上信重

    山上(信)政府委員 さっきから何べんも申し上げているように、貯蔵はできるのでございますが、運用において中継的に運用すると米側が申しておる、これをさっきから申しておる、こういうことでございます。
  382. 浜田光人

    浜田分科員 だから、それは米軍が言うて、日本政府施設庁としてはそれを了解して、そして貯蔵させぬ、こういうことになっておるのですが、どうですか。
  383. 山上信重

    山上(信)政府委員 協定に基づく条件といたしましては弾薬の貯蔵ができることになっております。ただ米側は運用においてこういうふうにすると申しておるということを何べんも……。
  384. 浜田光人

    浜田分科員 だから、運用で貯蔵せぬというのは実際は貯蔵しないのですか、こう聞いているのですから、はっきり答弁しなさいよ。
  385. 山上信重

    山上(信)政府委員 実際にはおっしゃるとおりでございます。
  386. 浜田光人

    浜田分科員 問題がたくさんあるんだけれども……。  最後に、保安庁来ておりますか。――あの黄幡地区の弾薬庫の前の海面を制限しておりますね。その海面の制限外で漁労する場合に、漁業法八条によって漁業の権利を持っておる。そして自由なる漁労をするのに、保安庁は、そういう行事は届け出をしてください、こういうわけです。届け出をしたら取り締まろう、こういうことなんです。そういう権利があるかどうか。
  387. 林陽一

    ○林政府委員 ただいま先生のおっしゃいました海域で通常の漁労行為を行ないますときには、別に届け出を必要といたしません。
  388. 浜田光人

    浜田分科員 通常の漁労をしておるんで、たとえば通常の漁労とは、自分の持っている船で漁師が魚を釣りに行くわけです。これは通常の漁労だ。それが米軍の弾薬輸送に支障を来たす場合があるかもしれない。自由なる漁労でも、幅の広い海域であるから、それは制限を受けるということがあるかもしれない。たとえば漁船が三十メートルか四十メートルの間隔あるいは十メートル間隔におる場合がある。その狭いところを通ろうとすれば、いままでより米軍のほうは不便を来たすだろう。しかし漁民としてはどこまでも漁業法八条に基づて自由な漁労をする。それを通常あるいは通常でないというのはだれが判定するのですか。
  389. 林陽一

    ○林政府委員 ただいま通常の漁労行為と申し上げましたのは、たとえば一本釣りにいたしましても、多数の船舶をロープをつなぎまして、その間他の船舶が通行できないような特殊なことをやりまして、漁労行為以外に何か;ほかの船舶の作業なり行動なりに著しい支障を来たしますようなときには通常と認められないこともあり得るという意味で申し上げたわけであります。
  390. 浜田光人

    浜田分科員 そういたしますと、単独で航路設定がなされておらぬのだから、その自由なる漁労は十メートルでもあるいはくっつく場合もあるかもしれない。それをやっておればこれは文句ない、このように解していいわけですね。
  391. 林陽一

    ○林政府委員 具体的にそのケースの状況によると思いますが、ただいま先生のおっしゃいましたようなときには、原則として差しつかえないと思います。
  392. 浜田光人

    浜田分科員 ただ、昨年十一月四日のそういう漁労に対して、海上保安庁は、届け出をしなさい、こう言われた。漁業法八条に基づいて自由なる漁労をするのに何で届け出をするかということが一点。  さらに、それが港域内における行事か何かということは、やってみなければわからぬわけですね。やらないことには、漁民は自由なる漁労と言っているんだから届け出しようもない。行事とは自分たちは考えないわけです。届け出できないわけですよ。したがって、この届け出というものは、行事を行なった後に届け出をすればいいのかどうか。
  393. 林陽一

    ○林政府委員 ただいま先生がおっしゃいました、十一月四日にニューカッスル号が入って入泊しておりましたときの事例をあげておいででございますが、現地の海上保安部からわれわれのほうへ報告を受けておりますところによりますれば、当時は六十八隻の漁船が出漁されまして、そのうち五十数隻がロープで結び合いまして制限海域の外を包むように行動されたというふうに伺っております。これは妨害行為だと申すわけではございませんけれども、港則法の三十二条に申します、「特定港内において端艇競争その他の行事をしようとする者は、予め港長の許可を」受けることになっております。これは、ほかの例をあげますと、たとえば防衛庁の観艦式を特定港の港内で行ないますときには、防衛庁から協議をしていただいております。それから水上消防署が出ぞめ式を行なうときも届けをさしていただいております。それと同じ意味で、船舶の航行の安全を害しますおそれがございます事例として、当該条項に該当するものとして申請をお願いした、こういうふうに伺っております。
  394. 浜田光人

    浜田分科員 確認しておきますが、いま申し上げたように、漁民は出るわけである。ところが漁労しようと思ってお互いの船で――それは片方がいかりで、片一方にいかりのない場合はつなぐ、それがたまたま重なる場合があるわけです。それを行事だとかりに見なしても、これは憲法上に大きな問題があるんだがね。漁業権の問題等あるんだけれども、そこまで発展させなくても、実はその後でなくては行事か何かわからないわけですよ。たとえば海上デモ、いま言われたようなことなら、それはあらかじめわかるわね。だから一歩も百歩も下がって、行事であるかどうか。行事のためにやっているんじゃないからね、漁労に行くんだから、その後でなければ、たとえば行事であると見なしても届け出できないじゃないですか。だから、そのときは届けをするのかどうか聞いているのです。
  395. 林陽一

    ○林政府委員 私どもが現地の海上保安部から報告を受けておるところによりますと、十一月四日の出漁は、事前にそのようなことをおやりになるということがわれわれのほうでわかっておりましたように伺っております。
  396. 浜田光人

    浜田分科員 私は、トラブルを起こしてはいかぬから、念のために、そういうところでこういうことがあったときにはどうされますかとか――そういうことはお互いの日本人同士がけんかすることはないんだから、アメリカ軍がそういう輸送をしたりして、それでわれわれは害をこうむっているんだから、そういう意味でやったのであって、これはこういう行事をやるからということではないんだ。本来、あなたらは問題の把握を間違っている。たとえばそういうことがあったらすぐ、現地からあったのかどこからあったのか知らぬけれども、上のほうから取り締まられる。事実そういうことがあるのかどうか把握してからやるべきなんです。あなたたちは、どちらを向いて行政を行なっているのです。日本の国民のためじゃない。アメリカ軍の言うことならすぐなまで聞くのか。そういうように、これはあなたのところだけじゃないけれども、全般的に、さっき久保先生からもあったけれども、これは勇気を出してやっていただきたい。これは時間がないから答弁は要らぬ。  それで主査、さっき私は、全国の各基地調査結果と、さらに個々の協定あるいは使用条件、これらについての資料要求をいたしておりますので、これらの善処方をお願いします。
  397. 倉成正

    ○倉成主査代理 浜田君の御要望を伝えます。
  398. 浜田光人

    浜田分科員 伝えるだけで……。
  399. 倉成正

    ○倉成主査代理 ここではそういう権限はありません。
  400. 浜田光人

    浜田分科員 それじゃもう一回答弁を求めます。
  401. 山上信重

    山上(信)政府委員 施設調査の内容につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおり、内容が米側施設の中の問題を含んでおりまするので、発表を資料として差し上げることは差し控えさしていただきたいと考えております。
  402. 浜田光人

    浜田分科員 希望はわかるが……。
  403. 山上信重

    山上(信)政府委員 それから基地の提供条件でございますが、これは私が先ほど御説明申し上げたとおり、一般的な提供条件というものは陸上施設というような形で提供されておりまするので、特別にこういうものをしなくちゃいけないというような条件は、協定上はできておらないということを申し上げておきます。
  404. 浜田光人

    浜田分科員 第一の問題は、さっきから積み上げてきたように、そういうものが出せるとか出せないとか知らないということは言えない、地域協定上のあなたらの義務なんだ。さっきも積み上げてきた。だからこれは重大な問題だ。それが出せぬというなら――主査はそういう権限かないと言われるから、あえて時間がないから、私は再度内閣委員会でその問題を問題点としてやっていきます。さらに、いまの個々の協定がないことはない。具体的に将来何ぼでも出して見せる。それがある個所にある。それがいわゆる使用条件となる協定となって出てくるんだよ。  時間がないからやめます。
  405. 倉成正

    ○倉成主査代理 野間千代三君。
  406. 野間千代三

    ○野間分科員 防衛施設庁のほうのはだいぶ時間も過ぎているししますから、別の機会にしましょう。  科学技術庁の梅澤原子力局長さん、それから大蔵省の藤井主計官にお願いします。  二月の十日から二十二日までアメリカの原子力潜水艦ハドックが横須賀に入港になりました。その際、測定器にたいへん異常値が出てまいって、たいへんな騒ぎになったのは、これは申し上げるまでもないのでありますが、当時私も横須賀に参りまして、約一日現地を視察をいたしました。その際に多くの問題が発見をされたのでありますが、きょうは時間がありませんので、その中で監視体制あるいは測定体制といいますか、正確にそうして迅速に異常値の状態を捕捉をして、直ちにそれに対する対処をする必要があるということを一そう痛感をしましたので、その問題について幾つ質問を申し上げて、この監視体制、測定体制の完全を期してもらいたい、こういうふうに思います。  それでハドックは二十二日にたしか出港をしてまいったのでありますが、その二十一日の午前二時四十分から約四十秒間、七号岸壁の背後にある第三モニタリングポストに、約四十秒間異常値が発生をいたしました。これは当時の新聞報道では、放射能による異常値ではないというふうにいろいろな意味で推定をしておったようでありますが、当時はあくまでもそれは推定であったと思います。したがいまして、すでに確かめ得たと思いますが、その確かめたところはどうであったのか、まずそれだけ最初にお答えを願いたい。
  407. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 二十一日でございますか、夜中の二時に四十秒だけ、ちょうど波形といたしましては、これがレーダーの波形と全く同じ波形がぽっと上がっております。したがいまして、それをどこが出したものかという出し場所の検討をいたしましたが、あれについてはつかまりませんでした。ただその波形を見ましたときに、新聞その他の方にわかってもらいましたのは、そのわきにテープレコーダーの、音をとる機械をつけております。それで、その音で、レーダーの場合の音と万が一放射能の場合の音と見分けがつけられるということの総合判断で、あれはレーダーであるという解釈をしたわけであります。
  408. 野間千代三

    ○野間分科員 わかりました。そうすると、推定ですね。アメリカのほうは確かめることができなかったということですね。
  409. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 確かに出どころの根拠というところは見つかりませんでした。ただ船が非常にたくさんありましたことと、それからもう一つは、まわりの水それからまわりの観測体系、それから先ほど申し上げましたレーダーの波形、その全体から間違いないと、これは私たちのほうで判断したわけでございます。
  410. 野間千代三

    ○野間分科員 その点はわかりました。とにかく、どの艦から出たものであるかということはついに確かめ得なかったということですね。  二番目に、当時放射線探傷器によって出た異常値がだいぶあった。これはたしか何回か観測機の計器の針がこわれるというようなこともあったわけですが、そこでイリジウム一九二というような、探傷器を使う場合には放射線障害の防止に対するわが国の管理上の規制があるわけですね。その規制は、いままでの経過でまいりますと、米軍のことであるので日本の規制の中に入れないということになっておったのですね。しかしそれは今度の状況を見てみて、そのままでは、ほんとうに原潜による放射能が原因であった場合のことを考えると、たいへんまぎらわしいという、ことにレーダーの場合そうなると思うのです。そういう意味で日本の規制の中に、これは外務省の問題でしょうが、どうしても入れてもらいたいんだが、まずその前に、もしどうしても入らないとすれば、それと同じ効果のある規制といいますか、あるいは措置といいますか、そういうことをしておかないと、もし今後入ってきた場合に再びそういう問題が起きてくる、まぎらわしいことになると思うのです。これはどういう考えでおられるのですか。
  411. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 十四日、十五日、大体三回にわたりましてあのイリジウム一九二を使ったデータが出ております。これは確かにガンマ線が出ております。ただ、そのガンマ線が当たりましたときにさっそく調べたところでは、人体への影響ということはなくて済んだわけでございます。  その規制の関係でございますが、日本の国といたしましてやる場合には規制法がございまして、それで管理規定その他できめて使わなければいけない形になっております。ただ、おっしゃいますとおり、あの件は船でやりまして、この件につきましては向こうの基地内の運用規定と申しますか、それでやったわけであります。したがって、向こうも軍艦でございますし、その内容は、十キュリーくらい使ってやっているということは向こうから聞いて、それを信用しているわけでございますが、万が一、そういうのが一般の放射能と区別がしにくいといういまのお話でございますが、これについては、たとえば潜水艦から第一次冷却水が出た、その場合には、私たちのほうは全部に網を張っておりまして、海の水の調査それからいまの観測ポスト、これでやっております。それで、もしも観測ポストが一ところでも動きますと、すぐその場の水をとります。そして水を波高分析器にかけて調べる、それからどろもとる、こういう形をとっておりまして、この点は、現在のやり方でも潜水艦以外のものから出たといういまのイリジウムの問題については判別できるという考え方でございます。
  412. 野間千代三

    ○野間分科員 それは、判別ができるのはいまの測定体制の中でもできるということなんだけれども、それはそれとしてあとでまた別に問題にしますが、探傷器を米軍のどこかで使うということ自体については何の規制もしてないわけですね。それはできない。できないのだけれども、できないだけで放置するわけにいかないじゃないか。したがって、それはこの間の外務省との関係の中では、やる場合には連絡をする、こういうことに取りきめをしたわけですね。それはどうも有効に作用してないですね、実績としては。そこで、たとえば事前にちゃんと連絡をしてもらって、それが現地の観測員の中にまでちゃんと連絡が行き届いてから行なわれるとかということも一つの次善の策ではないかと思えるのですが、そういう点を聞いておるのです。
  413. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ただいまの点でございますが、まさかイリジウムのあれがあそこでやっておる――私たちもつかまえて初めてわかったわけでございます。それでさっそく外務省を通じ、また現地の私のほうの班長のほうから向こうの基地のほうに申し込んだわけであります。そしてこれをできるだけやめてくれと言いましたところ、事実その翌日また使っておるところがはっきりわかりました。しかしそのあとには、外務省、われわれのほうからの通告が向こうに行きまして、実は最後の第三回目に使う場合、このときには、どうしても船の都合からやらしてもらいたいので何時何分から使うから頼むという事前の通告がございました。それでそこまでとめるわけにいきませんので、こっちはそこで監視体制をはっきりしきまして、そこから出ておるのを調べたわけでございます。したがいまして、初めの二度は通告がございませんでしたが、一応外務省その他の努力で最後の分については通告してくれた。今後もし使う場合には通告する、こういう形になっておるわけであります。
  414. 野間千代三

    ○野間分科員 そうすると、今後はちゃんと連絡があって、そして日本側の体制のほうに全部通知ができて、ちゃんと捕捉ができるということになってから相手方が使うというだけの時間的な余裕が持てる前に通告か連絡がある、そういうふうになっておるのですか。
  415. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 その点、全部外務省が向こうとたとえば契約と申しますか、そういうことではっきり結んだということまではちょっと私もここで申し上げられないと思います。この場合、今後もできるだけそうするという形の話はもらっておりますが、いろいろ船もかわりますし、私たちのほうではこれから先船が入りました場合にはあらためてまたそういうお願いをして、それが復活して、その通告を先にくれるという形にできるだけ持っていきたい、こう思っております。
  416. 野間千代三

    ○野間分科員 わかりました。それからあとの問題は外務省などの問題になるだろうと思うのですが、それはまた別の機会にいたしますけれども、以上のような形で、米軍側の協力なりあるいは外務省なりの十分な協議をしてもらわなければならぬ問題が中にもありますけれども、そこで二つの例をとってみても、たとえばこの前のやつは連絡をするような話になっていながら、二回目までのものは必ずしもそうでなかったのですね。   〔倉成主査代理退席、中川(一)主査代理着席〕 で、私がスミス司令官に会って追及したところが、当時の考え方は、スミス司令官の言い方は、どうも日本の、そういう心配がないことまで配慮はできない、人体に影響がないことまで配慮はできない、軍事機密もある、というような言い方だったのであります。したがって、これは別の機会にその問題についてやりますけれども、軍人のほうはどうもそういう考え方があるわけです。したがって今後も、いま局長の答えられたようなルールで行なわれるとは必ずしも期待できない場合もある。そこでそういう意味から、最初の問題とあわせてやはり監視体制、測定体制というものを十分にして、ちゃんと識別をしてそれに対応ができるようなことにしておく必要がある、こう思うのですね。  そこで監視体制の問題になるのですが、この間はレーダーの影響というので、たいへん振り回されたわけですね。それでたしか佐世保で昨年事件が起きたときに、レーダーによる影響というものは測定器に入らない、放射能による問題だけを捕捉をする、そういう計器に整備をしたい、たしか当時長官はこういうふうに言っておられました。その問題はどうなっておるのですか。
  417. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ただいまの問題につきましては、実は、あの当時確かに前長官がおっしゃいましたとおり、できるだけレーダーが入らないようにということで、電子技術的に見ても十分な装置という考え方でつくったわけでございます。その後実際にやってみますと、レーダーのほうが非常に強力なレーダーとかいうこともございまして、それからまた一方こちらのほうの、放射能のほうを非常に精度よくとろうということにいたしましたところ、電気ノイズとしてレーダーの強いやつがひっかからざるを得ないという形になったのは、認めざるを得ないと思います。したがいまして、現在その点でも解決してはというので、今週の初めから、その機械の改善の方法があるかどうか、その点をいま検討中でございます。また一方、機械の改善方法を考えるとともに、現在までのレーダーの波形そのものが、全部そのデータがとられております。したがいまして、波形の判断というものができるのかどうか、あるいはテープレコーダー等、音を利用して、もっと判然とさせることができないか、そういう点早急に対策を組もうということで、今週の初めからその点について検討をいま進めているところでございます。
  418. 野間千代三

    ○野間分科員 そのお話はわかるのですが、そういう意味で、精密過ぎたということを長官が言っておられたんですが、それで科学技術庁がいま装置をしてあるモニタリングポストのやり方は、放射線学界の専門家の方々がだいぶ批判をしておるのですね。時間がないので、例は引きませんが、書物にもしておりますし、あるいは新聞雑誌等にもたくさん書いてある。そうすると、そういう専門家の方々が集まって学問的に検討をして、それを機械化をしていくというような、専門家を集めたような会議を持って監視体制、測定体制を完備をしていくというような考えはないのですか。
  419. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 今度潜水艦の入る再開の場合に、原子力委員会意見を聞きまして、観測体制に対する指針というものをつくりました。そのときに、やはりモニタリングに一番適用する専門家の意見を聞くという体制をつくるということで、専門家六名が調査員として任命されております。この人たちは、モニタリングができる機械の問題その他のほうで、全般的に、いわば全然専門外の学者、そういう方ではございません。したがいまして、そのモニタリングの機械の電子技術の問題あるいは放射能の判定の問題、こういうことのできる方を六名お願いしております。現在もその方を主体として検討していただいております。それであと機械の内容その他につきましては、民間のほんとうに機械をつくっている人、それを呼んで、その人の意見を聞き取るという体制で進めております。
  420. 野間千代三

    ○野間分科員 それはわかりました。そればけっこうですが、聞くところによると、測定する装置は電子回路というのですか、電気の性質を使うわけですね。そのことはそれ以外にはやっぱり方法がないと思うのですね。そうするとそこにレーダーの分やあるいはイリジウム一九二の問題やあるいはほんとうの原潜の原子力の放射能、そういうものが、同じような経路を通ってきて、最後に測定にあらわれてくるということは変わらぬわけですね。そこで分割をして、これがそのものである、これは何であるというふうにやることにたいへんむずかしさがあるというようなことを聞いているのですが、それはいまの局長のお考えでいくと、学問的にあるいは技術的に、近いうちにきちっと分析してあらわれてくるということになり得るのですか。
  421. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 たとえば空気中に放射能がありました場合には、それを電気のいわば脈といいますか、パルスに変えるわけでございます。それをカウント数で勘定するという形でございます。それのもとになります電源、配線、そのほうに雑音としてレーダーのほうがひっかかってきて乗るわけでございます。したがいまして、当然先ほど申し上げましたように、それが波形として全く違った形で出てくるという形でありますが、現在それをいかに除くかということを考えております。ただ、先生が、そうすれば技術的に完全に除けるかと言われましたときに、私は完全に除けますとはいまは言えないと思います。したがいまして、できるだけ除ければさっそくそういたします。もしこれが除けられないということになりましたら、先ほど申しましたように、音あるいはその他の間接のものをつけまして、そこで明らかなところを出すという形を考えていきたい、かように考えております。
  422. 野間千代三

    ○野間分科員 それではぜひ早急のうちに最善の措置をとっていただけるように、いまの御答弁を期待したいと思います。  次に、この間のハドックは、第三号ポストがつけてあるバースの、海のほうを向いて右側に停泊したんですね。そうして海中のカウンターは第三ポストのある、つまり左側の水中に置いてあったわけですね。それとバースを隔ててハドックはあったわけです。これは海中カウンターの性能というのですか、守備範囲というのですか、そういうものはある程度限界があるでしょう。ぼくらが聞いているのは、数十メートルくらいじゃないかというように聞いているのですが、その程度の守備範囲であるとすると、出港する場合あるいは常時、あの場合、ハドックのたとえば冷却水を流したとすると、あれは捕捉ができるのですか、あのくらいの距離があって。
  423. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 現在あの観測ポストで入れてございます、水を見るところでございますが、これはそこでもし少しでもひっかかりますと、すぐ水をとってやるという体制に入ります。それから船が出ていく場合でございますが、出ていく場合には向こうから予告が必ず参ります。その場合には、こちらのモニタリングボートがそのあとを追跡して全部とるという形で進めております。
  424. 野間千代三

    ○野間分科員 それはいいのですが、ぼくが聞きたいのは、あの場合には海中カウンターから原潜の船尾までは相当距離がありそうだ、バースを越えていくのですから。したがってあの場合に、きちんと捕捉ができる程度の距離なのかどうかということなんです。
  425. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 あの水を見るところは、潜水艦から三十メートルくらいのところにございます。それからポストが百五十メートル近くのところにございます。そこで非常に性能をよくしてございますから、そこでひっかかりましたらすぐ水の中の潜水艦のほうにつながりまして測定をいたします。したがいまして、その点はひっかかる場所としてはあそこは適切だと、これは専門家の判定でやっていただいたわけでございます。
  426. 野間千代三

    ○野間分科員 そうすると、この間のハドックはそういうことであった。将来たとえば別の場所に停泊をした場合には、海中カウンターはその停泊をした場所の近くに直ちに装置ができるのですか。
  427. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 あのポストをつけます場合に、全体の港を把握できすやいという形でポストの場所をきめております。したがいまして、離れているということによって、どこかで必ずひっかかるという形を一応とってきたわけでございます。そこで専門家の方々から、ポストの常時観測するところはどこにするかということであそこをきめたわけでございまして、そこでひっかかるという体制で、そのかわりそれがひっかかり次第ボートで出て水を取るという体制をつくっているわけでございます。
  428. 野間千代三

    ○野間分科員 それじゃそれはけっこうです。  その次の、いまのモニタリングボートですが、たしか四・九トンとかいうふうに伺っておったのですが、それでいま横須賀市のほうでたいへん力を入れて監視体制をしいているわけです。ところが、このボートが小さいものですから、おたくの方々しか乗れないということですね。ですからこれはもう少し大きいものにしてもらって、そうして協力をしてもらっている横須賀市の監視隊員もちゃんと乗れる、一緒に協力をして監視ができるというふうにしたいというのが横須賀市の希望なんですが、これはいかがですか。
  429. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 確かに船は四・九トン、マキシマム乗りまして五人乗るわけでございますが、その船で小さいということは確かに申しわけないことだと思います。ただあの私たちが考えましたときには、定常波内で、通常のときにはあの船でやっておりまして、波の荒れが多くなった場合には保安部の別の船にすぐ移しかえてそれでやるという形をとっております。したがいまして、そういう体制で進めば、船があの船でも一応今度の監視体制にはいく。と申しますのは、波が荒れたりなんかしたことを考えましたわけで、あまり波が荒れることばかり考えておりますと、また一方船ば大きくなります。船が大きくなりますと、うしろにケ-ブルをずっとつないで入れておりますが、それとの関係がまた巻きついたりなんかが出てきますし、そういう関係で一応あの船でやっておるわけでございますが、事実おっしゃるとおり、ほかのお客さんといいますか、ほかの監視をする余裕のある方を乗せるという形にはなっておりません。その点は申しわけないことだと思います。ただ私たちの監視体制といたしましては、波荒れその他を考えまして、そのときには保安部の別の船にこれを積んですぐに調査ができるという形で実は考えたわけでございます。
  430. 野間千代三

    ○野間分科員 実は、考えたのは済んだことなんです。これから、ぼくらのほうは入れるべきじゃない、したがって入ってこないほうがいいんだけれども、実際問題として入ってきた場合に、今後も、この間のような経験があるものですから、横須賀市のほうではたいへん重要視して監視監制をしいている。あとで申しますが、予算もちゃんととってやっている。したがってその方々が別に使うというのも、これはたいへんでしょうから、おたくでやっているボートの中にその人たちも乗せて、お互いに協力をし合ってやったらどうか、こう言っているのですが、将来の問題として。
  431. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 将来は、確かに今後の船の監視体制の――ポストのほうは今度改善の策を考えておりますが、片一方のほうもやはり当然考えていかなければならないと思います。しかしいますぐあの船を大きい船にするということまでの早急さは、ちょっと私も申しわけないのですが、ここで申し上げられないので、今後は船のことにつきましても十分考えさせていただきたいと思います。
  432. 野間千代三

    ○野間分科員 じゃ、それはぜひ……。そうえらい費用じゃないでしょうから、重要な問題でしょうから、多少の費用の問題は、隣に大蔵省おられるけれども大蔵省どうですか、こういう重大な問題ですからね。あとの問題がありますから、それは一緒に答えてもらいたいと思います。とにかく科学技術庁としては、地方のそういう自治体の監視体制もやはり一緒に協力をして、そして間違いのない測定をしてもらいたいというふうに思うので、科学技術庁としてはそういう考え方で、今後大きい船にしていきたいということでひとつ進めてもらいたいというふうに思います。  時間がないのでちょっと急ぎますが、いま申しましたようなことの中で横須賀市のほうの実情を見ると、四十三年度中に一千八百七十八万円使っているのです。予算を組んでいるのです。これは装置のための備品あるいは人件費、消耗品あるいは監視体制というふうにやっておって、しかも入ってくると、衛生課長さん以下四名、保健所長さん以下四名、監視要員として出動するわけであります。そして勤務の関係で総勢二十二人の人が二十四時間勤務をしたり、日中の勤務をしたりして監視を続ける、こういうことになっているのであります。これは横須賀市のようにあまり大きくない市にすると、相当よけいなことなんですね。横須賀市としたらたいへん迷惑なことだ。迷惑なことでも、やむを得ず市民の生命の安全のためにこういう費用も使わなければならない、こういうことなので、これは当然国、政府全体として処置すべき問題じゃないか、こう思うのであります。これはどうですか。
  433. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ただいま先生のおっしゃいました一千八百七十八万七千円だと思いますが、これは実は政府の私のほうから出している金でございます。それで、大体あそこの設備全部国から出しております。ただ向こうが御不満のところは、人件費と、先ほどおっしゃいました十二人の人が、来た場合にみな張りつくわけでございますが、その人件費等について、向このおっしゃる満足なだけのお金を出してないということは事実でございます。そういう点がございますし、また船の、いままでいろいろ御迷惑をかけましたので、来年は大蔵省にお願いしまして、今度設備は一応全部できておりますから、維持費と観測費でございますが、これにつきましては、今度約三百万ほどふやしまして四百七十万をつけるという形で、できるだけの努力をいたしております。
  434. 野間千代三

    ○野間分科員 そうですね、いまの千八百七十八万円というのは監視体制をしいたお金ですね。それ以外で、横須賀市のほうで年間、寄港時の人件費あるいは自動車代とかあるいは増務費であるとか夜勤手当だとか、そういうものがいま局長の言われる四百万円以上出る、こういう形ですね。これが回数がふえてまいるに従って当然ふえる、こういう関係なんですね。そこで、いま科学技術庁のほうでは、地方のそういういわば超過負担の分は十分に措置をしたい、こう言っておられる。それが一つ。それから先ほどのモニタリングボートの費用も、これは科学技術庁のほうで請求されると思いますが、そういうものについてやはり措置をしてやることが必要じゃないかというふうに思うのですが、四十四年度の新しい年度の予算ではどうなんですか。
  435. 藤井直樹

    ○藤井説明員 横須賀市の放射能調査につきましては、四十三年度に調査費として百七十万計上しております。それから年度の途中で、モニタリングボートの増設の経費として予備費を出しまして、千七百万円出しております。四十四年度におきましては、この調査回数の増というようなことを織り込みまして、先ほど百七十万と申し上げました経費のほうを四百五十万円に増額しております。これで調査に要する監視要員の賃金とか光熱水料とか維持費、消耗品、こういうようなものは十分まかなえると私ども考えて予算を計上したわけでございます。  モニタリングボートのほうの金としては、四十四年度の予算としては出ておりませんが、将来の問題として四十四年度の実行状況を見てまた検討させていただきたいと思います。
  436. 野間千代三

    ○野間分科員 じゃ、これで最後にいたしますが、いまのお答えでいくと、局長、横須賀市が超過負担になっている分はまかなえないのですね。そこで大蔵省の方、いまのお答えの中では、これは科学技術庁が使う分なんですね。それ以外に横須賀市が超過負担をしている、こういうことなんですね。ですからそれを考えて措置をしてもらわなければ困るということが一つ。それからいまのお答えで、モニタリングボートのほうは科学技術庁のほうと相談をして善処していきたい、こう理解していいのですか、その二つだけ答えていただきたい。
  437. 藤井直樹

    ○藤井説明員 ことしの予算としまして四百五十万円に増額したということによりまして、横須賀市の金が非常に足りないということはないと思います。それからモニタリングボートのほうは、四十四年度の予算としては現在見ておりませんので、また四十四年度の実行状況を見まして、四十五年度以降検討したいと思っております。
  438. 野間千代三

    ○野間分科員 ちょっとそこは、局長答弁に食い違いがありますね。
  439. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 先ほど、船につきましてはいま早急にということはできないので、うしろの機械等の考え方からなるべく早く買いたいと申しましたのは、一年待ってくれということでございます。といいますのは、うしろにございます機械、それをポータブル製でやっておりますが、あの船との関係もやはりうしろでからまったりいろいろなことがございますので、大きくするならどの程度にするか、それも考えさせていただきたいと思います。その関係から、今度の予算に間に合わせて何とかボートをとるという考え方には実は私のほうはなっておりません。ただできるだけ早急にというのは、これを今年度中に十分やって、来年のときにはもしそれが必要になれば十分やりたい、そういう考え方で先ほど申し上げたわけでございます。  それからもう一つは、先生おっしゃいました今度四百五十万に横須賀市にふやしました点は、実は横須賀市で使う金を私のほうでお渡しするわけでございます。それであと分析その他いろいろございますが、入ったときの分析、どろの分析、これはわれわれのほうで計上してございまして、それを持ってきてうちで払うという形で、できるだけの処置をいたしております。
  440. 野間千代三

    ○野間分科員 大体わかりました。あと、不十分な点はまた別の機会にいたしたいと思います。
  441. 中川一郎

    中川(一)主査代理 河野正君。
  442. 河野正

    河野(正)分科員 時間がございませんから、ひとつお答えになる方は簡明的確にお答えをいただきたいと思います。  御承知のように、今日公害問題がきわめて大きな社会問題化しつつあるわけでございますが、特にきょうは防衛でございますから、基地公害についてお伺いをしてまいりたい、かように考えます。  そこで、全国百五十カ所近い基地がある中で、特に米軍の飛行場を中心として起こってくる公害、とりわけ騒音、振動等によって起こってまいりまする公害、この点についていろいろ一般的に言われておりますのは、かなり大きな影響力を人身に与えておるだろうということです。これは一般的な常識であるわけでございますけれども政府としてこの点をどのように認識しておられるのか、ひとつ簡明率直にお答えをいただきたい。
  443. 有田喜一

    有田国務大臣 基地周辺の人々が、仰せのとおり騒音あるいはその他によって非常に不安の念にかられ、また悩んでいらっしゃる。その実情は、われわれまことに理解できます。ただ私どもとしては、この基地というものは日本の安全のために必要なものであるという前提に立っておるわけであります。その点は河野さんと見解が違うかもしれませんけれども、私どもはそういう見解であります。そこで、いわば日本の安全のために基地周辺の人々は一つの犠牲になっていらっしゃる。それで国家としては十分なことをやって、できるだけ騒音の防止をやる、あるいは民生安定その他の施策をやって、基地周辺の人々の心をやわらげるような措置をとりたい、これが私たちのいまの考えであります。
  444. 河野正

    河野(正)分科員 基地周辺の住民というものは非常な不安にかられておる、悩み続けておる。しかし、基地が安全のために必要であるからということになりますると、それならば国民は、住民の健康というものは常に脅かされてよろしいのか、こういう議論になりますると、私は全く人命軽視というそしりを免れぬだろうと思うわけです。そこで、時間がございませんから、ここでひとつ厚生省から、このジェット機等の騒音あるいは振動というものが人身にどのような影響を与えておるか、この辺についてひとつお答えをいただきたい。
  445. 武藤き一郎

    ○武藤説明員 いわゆるジェット機の騒音は高周波の音を持っておりますし、またほかの飛行機、一般の飛行機よりも振動が多いわけでございます。ジェット機の騒音が継続的ではございませんので、どういうような人体影響があるかということについては、特殊な調査その他も必要でございますけれども、特殊な騒音によります人体影響というものについての的確なデータは現在持ち合わせておりません。しかしながら不快感あるいは睡眠不足あるいは食欲が進まない、そういうような訴えが多いことは事実でございます。
  446. 河野正

    河野(正)分科員 御承知のように、私どもが仄聞するところによりますると、基地周辺と対照地区での比較調査によりますると、一般健康状態の点において、それから学童の発育あるいは母乳の分泌、乳幼児の発育の点において、それから聴覚への影響、疲労、こういう面においてきわめて大きな影響を与えておる。こういうように実は言われておるわけです。この点について長官いかがですか。
  447. 山上信重

    山上(信)政府委員 航空機の騒音が人体に与える影響等につきましては、実は先生すでに御案内のことかと思いますが、板付飛行場を一つのモデルといたしまして、現在九州大学に、過去数年にわたりまして調査を依頼いたしております。これは飛行場等の騒音が影響を与える一般的な調査をするための一つ資料といたしたいということで調査を依頼いたしておるのでございます。現在までのところでは、中間的に意識調査というような、本人からの申し立てを中心にしたような調査ができておりまするし、またその後実験調査ということをいたしておりまするので、これらが一応本年度をもって、必ずしも終局ではございませんが、中間的ながら一応の形となりますので、それらの終結を待ってひとつ発表もいたし、これらによっていろいろ対策を考えたい、かように考えております。
  448. 河野正

    河野(正)分科員 昭和三十六年から今日まで七年間にわたって人体調査というものが行なわれておるわけですね。しかも私が先ほど指摘いたしましたように、一般健康状態に対してはなはだしい影響を与えておる、あるいはまた学童の発育にかなりの影響を与えておる、あるいはまた聴覚へもかなり影響を与えておるし、またこの付近住民の疲労の度合いというものが非常に強い、こういう調査がすでに出てきておるわけですね。にもかかわらず、なお調査の途中ということでこの調査結果を発表しないことは、結果的に私はこの住民の不安をますますつのらせる結果になっておると思うのです。特に私は、人命の問題、健康上の問題ですから。いま御承知のように九大では、板付基地周辺においては先ほど申し上げましたように子供たちの発育がだんだん阻害されておる、あるいは血圧が高くなっておる、あるいは聴覚障害が多くなっておる、こういう中間的なことがすでにいわれておる。これは未発表といっても、すでにいろいろ発表されておる経過もございます。ところが、それがそのまま未公開に終わると、そういう市民の被害というものが依然として続いていくわけですね。そういう被害があるならば、その被害に対して直ちに対策や処置というものを加えなければならない。具体的に申し上げますと、治療というものが加えられなければならない。血圧が高まれば血圧を直さなければならない。聴覚障害があれば聴覚障害を直さなければならない。にもかかわらず、公開しないままでいくということは、病状というものがますます進んでいくという結果になるわけです。それは少なくとも中間報告であなた方は御存じでしょう。それを本人に知らせぬということになると、これは全く私は人道上の問題だと思うのですよ。市民はモルモットじゃありませんよ。これは人道上の問題と考えませんか。長官どうですか。
  449. 有田喜一

    有田国務大臣 すみやかにそういうことは一般に知らしめて措置をとらなければならぬ、かように考えております。
  450. 河野正

    河野(正)分科員 すみやかでは済まぬと思うのですね。現在騒音のために血圧が高くなっていって、しかもそれは高齢者ほど高くなっていっているわけですね。これはもう生命にも関することですよ。それから学童の発育が阻害されるということは、次代の日本を背負っていく国民に対して非常に大きな影響を与えるわけですね。そこで、やはりそういう被害があるならば、そういう被害に対して直ちに対処させなければならない。具体的にいうならば、治療しなければならぬわけです。それをそのまま放任することは、私は人道上の問題だと思う。そこで、すみやかではなくて、直ちにこの結果について発表をして、それに対する対策を立てるべきだ、こう思うわけですが、その点長官いかがですか。
  451. 有田喜一

    有田国務大臣 それがほんとうの結論が出ておれば、そういうことは言わなくちゃならぬと思いますけれども、まだ中間報告も完全にいっていないという段階でございますから、そういう大事な問題はそれだけ慎重な扱いをしなくちゃならぬじゃないか、かように私は思うのです。
  452. 河野正

    河野(正)分科員 九大のあの調査の結果は中間である、それはおそらく来年度まで続く年次計画でやられておるわけです。計画そのものは続いていくでしょう。しかし、少なくとも今日まで人体に対してきわめて大きな影響を与えることはすでに判明しておるわけですからね。それらについて私は発表をし、対処しなければならぬと思うのです。それは完全なものをやることについては、まだこれから続けて、先の結論を持ってやることでしょうけれども、これは健康、人命の問題だから待たれないわけですよ。あるいは基地の騒音のために血圧が高くなった、そうして政府が発表したときにはもう命がなくなっておったという不測の事態というものは、私は起こり得ると思うのです。そういう意味で、中間報告であろうとやはりここで発表をして、そうして被害があるなら、それに相応の治療なり対処というものを行なうことが、私は人道上きわめて望ましい、こういう意味で申し上げておるわけであります。そういう意味で大臣の率直なお答えをいただきたい。
  453. 山上信重

    山上(信)政府委員 ただいま申し上げましたとおり、近くそれらについての報告がまとまって上がってくると思いますから、そういたしましたらば発表いたしたい、かように考えております。
  454. 河野正

    河野(正)分科員 まとまらぬでも、これは三十六年から行なわれておるわけですから、三十六年、三十七年、三十八年とあるわけですね。ですから、中間報告といえども、人体にきわめて大きな影響力を与えておる事実があらわれてきておるわけですね。これは、血圧のごときは、はかっておるから血圧が上がっておる、難聴の聴覚障害のごときはそれぞれ物理的に検査をしておるから、聴覚の障害というものがはっきりしてきておるわけですね。それがまとまったものについてはあるいは来年になるかわからぬ。しかし今日まで、少なくともそういう経過があるわけですから、それらについてはやはり早くここで発表して、それ相応の治療なり計画を立てなければ、これはあとの祭りでしょう。市民はモルモットではありませんよ。実験室は研究するだけではありませんよ。もしそういう被害があるならば、政府は率直にそれに対処をして万遺漏なきを期するのが、私は政府の任務だと思う。そういう意味で率直に大臣答えてください。
  455. 有田喜一

    有田国務大臣 人命はきわめて尊重しなければなりません。ただ、その人体に対する影響というものが、まだしっかりした結論が出ずに、こういう一部があるということだけで発表しますと、かえってまた人心を不安におとしいれるおそれもある。したがいまして、いま九大でやっておるものが全部そろわなくても、少なくとも、いまおっしゃるような身体に影響を及ぼす、せめてそれがまとまれば、それだけのものをすみやかに発表して、またそれに対する対策を立てたい、こういう意味でございます。
  456. 河野正

    河野(正)分科員 それでは私は間に合わぬと思うのです。少なくとも三十六年から今日まで七カ年やってきたわけでしょう。あと残ったのは一年かそこらですよ。今日まで何年かやってきて、その結果というものは出てまいっておるわけですから、しかもこれは人命、健康の問題でしょう。そこで、やはり適確にやらぬと、これは手おくれでは困るのですね。ですから、私は、少なくとも、その最終的な結論は別としても、たとえば血圧なら血圧、聴覚障害なら聴覚障害があるという点がわかれば、それだけでもやはりすみやかに対処しなければならぬわけですね。ですから、完ぺきなものは完ぺきな調査がまとまって後ということは許されるとしても、すでに今日明らかになった分については直ちに発表して、それらに対する手当てをしなければならぬ、こういうふうに私は指摘をしておるわけです。そういう意味でもひとつお答えをいただきたい。
  457. 有田喜一

    有田国務大臣 決して来年まで待とうというわけでもないのです。私の承っておるところによりますと、この年度内にはまとまる。もう一月ほどのことですから、もう一月たったら、せっかく調査がその点については結論が出るのですから、それをまって対処したい、そして発表したい、こういうことでございますから、もう一月ほどのことですから、しばらく御容赦を願いたい。
  458. 河野正

    河野(正)分科員 そうしますと、年度内には発表する、こういうことですね。
  459. 有田喜一

    有田国務大臣 そうです。
  460. 河野正

    河野(正)分科員 そこで、これはやはり健康、人命の問題ですから、私は直ちにと思ったけれども、年度内には発表するということですから、ぜひ早急に発表して、それぞれ影響があるなら、それらに対する対処をしてもらわなければ困る。  それからもう一つは、これは二年前に問題になりましたけれども――九大が板付騒音に基づく人身に対する影響について調査をした。それを押える。これは私も十年間九大で研究した経験がございます。やはり研究をしたらそのつど学界に報告して、学問の進歩をはかっていくというのがたてまえです。ところが、それを発表させない。これは、二年前も、アメリカ軍から援助資金をもらって、これを大学の医学部で研究するという問題があった。それで慶応大学でストライキが起こった、九大でも紛争が起こった。私は、こういうことでは、やはり学問の自由というものは侵されると思うのです。学問の中立性というものは侵される。やはり研究というものはそのつど発表して、そして学問の進歩をはかり、人命の尊重ということをはかっていかなければならぬ。調査費を出した、研究をさせるけれども、そのかわりに研究を発表してはいかぬというような、こういう措置というものは人道上好ましくない。学問のたてまえからも好ましくない、学問の自由を侵す、こういうふうに思う。この点は、時間がないから、ひとつ文部省のほうからお答えいただきたい。
  461. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 板付基地の航空騒音に伴う人身影響に関する調査を九大に委託した件でございますが、お尋ねがございましたので、九大に照会いたしましたところ、連絡がつきませんので、文部省に残った記録だけで見ますと、七年間おやりになったということでありますが、記録にありますのは四十年から四十三年まで四回にわたりまして、大体二百万から四百万程度の委託費を受けまして研究をやっておるようであります。研究委託を受けました直接の相手方は福岡市長になっておりまして、福岡市長と九州大学との間の契約によって研究の委託を受けております。その委託を受けた契約書の写しを見ますと、九大側は、調査の結果は国または福岡市長が発表するまでは発表しないということがあるようでございます。  ところで、国立大学が部外から研究の委託を受けます場合には、文部省といたしましては、当該学校の教育研究上有意義であり、かつ支障を生ずるおそれがないと認められるものについて委託してよろしい、こういう方針でありまして、外国からのものは事前に協議を受けます。国内からのものは大学において処理して、事後報告を受けることになっております。本件につきましても、事後報告として処理されておるわけでありまして、大学としては支障がないという判断で受けたものと思います。したがいまして、公表の問題は、大学と委託者である福岡市との間で解決すべき問題だと思います。
  462. 河野正

    河野(正)分科員 そういう経過を聞いているのじゃない。そういう経過は私のほうがあなたより詳しい。私の聞いているのは、そういうひもつきの研究というものは学問の自由が侵されるのじゃないか、学問の中立性が侵されるのじゃないか。これはすでに二年前にアメリカ軍から援助資金をもらって研究して、大学で紛争が起こった。これは経験済みでしょう。私が言っているのは、そういう経過を聞いているのじゃない。そういうことでは学問の自由が侵されて好ましくないんじゃないかということを私は指摘をしているわけです。あなたのほうは、学問の自由が侵される、あるいは中立性が侵される、そういう意味でこういうことは好ましくない、要するに研究したことが即発表できないというようなことは好ましくないかどうかということを聞いているわけです。
  463. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 文部省としましては、ただいま御説明申し上げましたように、支障のあるものは受けないようにということを一般的に申しているわけでありまして、本件は九州大学で委託を受けております関係で、九大では支障がないと判断して受けたものと考えております。文部省としては、そこら辺の判断は大学の判断を尊重いたしたいと思います。
  464. 河野正

    河野(正)分科員 この受ける受けない、支障があるとかないとかという問題じゃない。それは支障があれば――支障がないから研究したわけです。実験したわけです。調査したわけでしょう。そういうひもつきの研究なり調査をすることが、学問の自由の立場から好ましいですかどうですか、そういうことをいま申し上げているのです。率直に答えてください。
  465. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 これは委託者が公共団体でありますし、諸般の事情を考えまして、公表につきまして条件をつけたものと考えられます。一般的に申し上げれば、研究の委託にあまり条件をつけることは望ましくないと思いますが、特定の場合の判断につきましては、やはり両者の判断を尊重いたしたいと思います。
  466. 河野正

    河野(正)分科員 これは機密に関するとかなんとかというような研究なら別ですね。しかし、少なくとも人間の健康、人命に関する研究でしょう。もし人命に対して、健康に対して重大な影響を与えるとなれば、それ相応の対処というものをしなければならぬわけですね。ですから、そういう意味で、やはりこういう研究というものは常に公開して、そしてそれらに対する対処というものを行なうべきだ、それが学問の自由あるいは教育の中立性といいますか、そういう意味からも最も好ましい方策ではないか、こういうことを私は指摘しているわけです。ですから私の意見が好ましければ好ましい、こういうようにひとつお答えをいただきたい。
  467. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 本件は、委託者である市が適当な時点において公表されるのが望ましいと思います。
  468. 河野正

    河野(正)分科員 その適当という期間についていろいろ議論があっているので、先ほど長官に言っているわけです。事人命に関してそういう発表がおくれる、公開がおくれると手おくれになるから、その間に高血圧のごときは死亡するかもわからぬ、そういう問題があるから、こういうものは拙速をとうとぶべきではないか、こういうことを私は指摘をしたのです。この点について、ひとつ長官からお答えいただきたい。
  469. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど来申しますように、自信のない発表になりますと、人心にまたいろいろな不安の念を与えたりしますから、本件につきましてはもう一月で完璧な結論が出ると思いますので、ぜひそれを得たいと思っております。それまでの間に。
  470. 河野正

    河野(正)分科員 大臣は、市民は知らぬかと思っておるが、もうちゃんとすっぱ抜かれて、政府の手じゃないけれども、どこかの手で全部公表されているわけですよ、新聞で。写しがありますよ。見せましょうか。ありますよ。だから、市民は非常に不安を抱いておりますと言っているわけです。それなら、この際公表したらどうか、こう言っているわけです。そうすれば市民も安心するじゃないですか。それは特に基地問題については、いま政府も安保を控えていろいろ御心配の向きもあるでしょうが、御承知のとおり、マル秘文書はこれです。そのまま私が言っておるとおりでしょう。中見出しに書いてあるとおりです、九大の報告書の内容が。だからすみやかに発表したほうが市民は安心するじゃないですか。ですから、あなた方は福岡市民は知らぬかと思っているが、すでにすっぱ抜かれて書かれてあるのです。そのままずっと出ているでしょう。マル秘書類はだれが持っているか知らぬけれども、もうすでに一般に公開されているのですよ。内容が全部書いてありますよ。幾つから幾つの年にはどういう変化がある、全部書いてある。これが新聞に載っておるのです。こういう事態の中でなおあなた方がこだわられることは、いたずらに市民に対して不安を抱かせるじゃないですか、こう言っておるのです。私はむろん建設的に、好意的にあなたに申し上げているのですよ。そういうことで、すみやかに発表してもらいたい、よろしゅうございますね。
  471. 山上信重

    山上(信)政府委員 いままで発表しませなんだいきさつにつきましては、そういった誤解等があるといけないというふうに考えもいたしまして発表いたさなかった次第でございます。まとまれば当然発表すべきものである、これはなるべく早く出すようにいたしたいというふうに考えております。
  472. 河野正

    河野(正)分科員 時期を示してください。
  473. 山上信重

    山上(信)政府委員 年度内には必ず発表いたします。
  474. 河野正

    河野(正)分科員 そこでいま一つお尋ねしたいのは、基地公害のために人身にかなり大きな影響を与えておったということは、もうすでに非公式には発表されておるわけであります。そういう問題もあってかどうかわからぬけれども、御案内のように、今度公害紛争処理法案が提出されることが決定をいたしましたね。ところが、私どもが承るところによりますと、この公害紛争処理法案から、基地の場合はその適用を除外するというふうな議論がございます。そういうことになりますと、一般公害と基地公害との間に差別が行なわれる、これは時間があれば幾らでも論争いたしますけれども、公害紛争処理法案から基地公害がその適用を除かれるといたしますと、結果的には補償面その他で国の手当が不平等になるんじゃないか、こういうように私どもは考えております。いずれにしても、この公害紛争処理法案から基地関係の公害を除くということは、国民感情からも許すべきでない、平等の原則から不平等になるおそれがある、そういうことで適当でない、こういうように私は考えますが、この点いかがでございますか。
  475. 有田喜一

    有田国務大臣 公害紛争処理法案から基地における問題をはずすとかなんとかということは、まだ最後の決定に至っておらないのです。そういう段階でとやこう申すことは私はどうかと思いますけれども、個人的な見解で言うならば、われわれは決して基地周辺の人々の非常な不安あるいは障害を受けていることを無視するわけではない、一般よりも先にやりたい気持ちでおるわけです。現に一般の企業公害よりも早く進んでやっておるわけでございます。ただ、いまの一般の企業公害とは体系が違わないと、基地特有のあり方がありまして、あるいは立ち入り検査あるいはいろいろなものを資料を出せと言われましても、その間に機密のものがありますから、だから十分なことをやりたいのだけれども、その態様を変えていかなければいかぬというので、法体系を変えていくべきじゃないか、こういうような、これは個人的な見解でございますけれども、いまそういうようなことを考えておるわけでございます。決して基地周辺の人々を無視したり、そういうようなことは毛頭考えてない、これだけはひとつお含み願いたい。
  476. 河野正

    河野(正)分科員 問題は、法制上は疑義があるとかどうとかいう議論もございます。基地公害を公害紛争処理法案からはずすということは法制上疑義があるかないかという議論もございますが、しかし私は法制上の疑義というよりも、政府の公害に対する基本的な姿勢ですね。いま長官も触れられたけれども基地周辺の住民をそう軽視するわけではないということを言われたけれども、私どもが指摘せざるを得ないのは、この公害に対する政府の基本的な姿勢がどうであるのか、この点が私は問題だと思うのです。そういう意味で、一説では、この基地に対しては紛争処理法案ではなくて、防衛施設周辺の整備等に関する法律によって解決していくのだという議論もあるようです。しかしいまの大臣の御発言では、公害紛争処理法案についてはいろいろの問題があるから、なお検討を続けていく、こういうことであるのかどうか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
  477. 有田喜一

    有田国務大臣 いま政府としては検討中なんです。したがいましてどういうことになるか、いまはっきりいたしません。しかし、基地周辺の人々に対するいわゆる障害防止とかその他の手を打つということは、もうすでに現在もやっているが、もしもいまの状態で十分でなければ、またまた一方、予算の措置をとったり、もしも法体系において多少の不備の点があればそれを直していく、こういうような考えでいま検討しておることでありまして、その点はひとつ御了察を願いたい。
  478. 河野正

    河野(正)分科員 時間がありませんからなんですが、これは私ども聞くところによりますと、基地の場合は防衛施設周辺の整備等に関する法律で対処していく。ところがこの紛争処理法案の内容とは本質的に違うのですね。それはこの防衛施設周辺の整備等に関する法律の九条では「損失の補償」ですね。一方の紛争処理法案は紛争の迅速適正な解決をはかるとともに、公害についての苦情の適切な処理を促進するということなんですね。ですから、この基本的姿勢が非常に違うのです。ですからもし紛争処理法案から基地公害が離れると、不平等というものが生じやしないかということをわれわれは指摘をしておるわけです。  そこで、新聞では、きのうかきょうか、きまったような話ですけれども、いま長官は、なおきまっておらぬということですが、長官としては基地公害についてどういう姿勢で対処していくという決意であるか、その点をひとつ最後に聞いておきたいと思います。
  479. 有田喜一

    有田国務大臣 基地周辺の方々に対してわれわれが熱心にその障害を防止し、あるいは不安の念にかられておる方々に対していろいろな対策を講じており、その民生の安定を期したいということは、もう何よりもまさって私たちは熱意を持ってそれに当たる、こういうことでございます。法体系がもし離れたときは違う。けれども、もしもいまの整備法によって救われない面があれば、それはことしすぐというわけではありませんけれども、近い将来においてそれを直すべきものがもしあるならばそれを直していく、そして善処したい、かように考えております。
  480. 河野正

    河野(正)分科員 もう時間がありませんから……。公害紛争処理法案から基地公害がはずれるということは、住民感情から好ましくないというのは一般的世論です。そこで、この公害紛争処理法案の最終結論が出る過程の中で、住民の立場からそういう不平等、不公平が起こらないように対処してまいりたいという決意をひとつ披瀝していただかなければならぬと思うのです。そういう意味で、最後に長官の決意をお聞かせいただきたい。
  481. 有田喜一

    有田国務大臣 まだ仮定の上に立ってこうだと言うことは、いまの私の立場としてはちょっと言いにくいのでございますが、しかし基地周辺の人々に対してできるだけの措置をやりたい、これは私ははっきりとここで申し上げておきます。
  482. 河野正

    河野(正)分科員 これはただ抽象的なことを言うたって、ただ長官の精神訓話を聞くのが目的ではないですから。そこでいま問題になっておるのは、今度の国会に公害紛争処理法案が出てくる。そこで、いま公害に悩まされておる国民というのは非常に注視をしておるわけです。これは基地公害も含んで、そこでやはり公害紛争処理法案の上程までの間に、いま基地周辺の住民というものが不平等な取り扱いを受けないようにこの法案の制定にあたって考慮をしていくという御決意があるかないか、これを聞いておかぬと、ただ抽象的なことを聞いたって始まりませんので、いずれにしても公害紛争処理法案が出てくるわけですから、そういう意味で、この最終的な決定の過程までにいま申し上げたような気持ちを織り込まれる決意があるかないか、これを最後に明確にひとつお答えをいただきたい、もう時間が参りましたから。
  483. 有田喜一

    有田国務大臣 基地周辺の整備法というものがあって、一般の企業公害よりずっと進んでおることは事実ですね。したがいまして、不平等といいますけれども、いまは非常に進んでおるわけです。したがって、われわれは、もしも今回の紛争処理法案が施行されまして、そしてわがほうに対してあまりにも不平等というか見劣りがする点があれば、これを改善するにやぶさかでない、こういうことです。
  484. 中川一郎

    中川(一)主査代理 長谷川正三君。
  485. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 防衛庁長官にお尋ねをいたします。  去る二月六日の予算委員会の総括質問のおりに、麻生委員から、防衛施設庁予算の中に特別会計として十億円計上されているのは何か、こういう質問がありまして、これに対して有田防衛庁長官は、それは王子野戦病院を他に移転するための経費の一部であります。また続きまして、王子野戦病院あとを処分する、その処分した財源を当てにいたしまして十億円の歳出をする、そうお答えになっておられますが、そのとおりですか。
  486. 有田喜一

    有田国務大臣 御承知のとおり、今度特別会計になりました。処分した上でこうだというものでなくて、あの会計は御承知のとおり借り入れ金もできるようになっておりまして、しかし王子病院移転すれば、その経費はあれを処分した分が先で充てられるということですね。それが直ちに左から右に行くというわけじゃありませんけれども、一まずは借り入れ金ができるからそれでまかなってあとを埋める、こういうような意味合いで私は答弁しておるのであります。   〔中川(一)主査代理退席、主査着席〕
  487. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 あの議事録を拝見しますと、通常の日本語の読み方からしますと、四十四年度分の中にこの収支が組まれておるので、いまのお話ですと、ことし処分して十億円つくってそれで王子野戦病院の一部を移転する、こう解釈されるのですが、そうするとあの表現は正確な表現ではなかったと申せますね。
  488. 有田喜一

    有田国務大臣 それは大蔵当局の問題でありまして、私がどういう表現をしておるか知りませんけれども、その意味合いはいま申したような意味合いのことを申しておるのであります。
  489. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 大臣、自分の重要な答弁をどう申しておるか知りませんというのは、これはちょっと不謹慎ではありませんか。もし舌足らずであったら舌足らずであったとはっきりおっしゃっていただきたい。いまここでお答えになった御答弁と、あの速記録を読んで受ける感じとでばかなり違うのです。
  490. 有田喜一

    有田国務大臣 前にそういうことを申しておればそれば舌足らずであったと思います。いまここで御答弁しておるのが私の気持ちであります。
  491. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 了解しました。  そうしますと、この王子野戦病院移転のための特別会計の予算というのは、これは防衛施設庁予算ではないのですね。
  492. 有田喜一

    有田国務大臣 これは形式は大蔵大臣のほうにあるわけでございますが、それを大蔵大臣から私のほうが委任を受けまして、実質的には私のほうで処理をする、こういう形になるわけであります。
  493. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 予算書を見ますと、大蔵省所管の特別会計に特定国有財産整備というのを新しくつくって、その中にこれが含まれている、こういうふうに読まれますので、そこでこれは防衛庁長官からでも大蔵省担当官からでもけっこうでありますが、お伺いをいたします。  王子野戦病院移転のために全体ではどの程度の金額を計上する必要があるとお考えになっているのか、その年次計画はどういうふうになっているのか、どう見積もっておられるのか、それとことしの予算との関係はどうなのか、この点についてひとつはっきりお答えをいただきたいと思います。
  494. 原徹

    原説明員 王子野戦病院の移設費といたしましては四十四年度に十億円計上したわけでございますが、これは病棟一棟分の移設費でございます。その他につきましては防衛庁のほうで試算の数字がございます。これは大体三十数億になりますが、私のほうとしてはまだ査定をいたしておりません。大体全体の勘定としてはそのくらいになるのではないかと思います。
  495. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そうしますと、これは病棟一棟分の移転費として今年度十億を組まれた、こういうお答えでありますが、全体ではこれはどのくらいの面積で――いま三十数億と言われますけれども、もうちょっと正確に、これは防衛庁のほうが計画しているのですから、防衛庁からお答えしていただいてもいいのです。そして今年度分はいま一棟という話でありますが、どのくらいの面積にこれは当たるのか、その点詳しくお願いします。
  496. 山上信重

    山上(信)政府委員 これはただいま主計官のおっしゃったように最終的にまだ大蔵省と全体計画については詰めておりませんが、私のほうの計画では三十七億円近い数字、三十六億九千五百万円ぐらいの計算をいたしております。これは現在王子にあります病院施設に見合うものを移設いたしたいということで、全体としての面積は約五万平米ぐらいでございますが、四十四年度におきましては病棟約八千二百平米ぐらいと予想いたしております。そのほかに来年度の予算におきましては設計の費用を組んでおります。それで合計して十億、こういうふうになっております。
  497. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そうしますと、先ほど防衛庁長官が前の答弁について多少意味をふえんされましたが、この特別会計で十億円を売ってこしらえて、そしてその十億円で一部移転するという歳入歳出の関係になっておるわけではないわけですね。歳入のほうはどこから持ってくるのですか。
  498. 原徹

    原説明員 今度特別会計を改正しましたが、この特別会計の前身である特別会計がございまして、その中に剰余金が相当ございます。その剰余金が四十一億ばかりございます。そこでこれは結局特別会計といたしまして全体で歳入と歳出のバランスがとれればよろしいわけでありまして、個々の費目についてバランスをとる必要はないわけであります。その歳入としては国有財産の処分によるものもございますし、それから前年度の剰余金もございます。それでまかなうわけでございます。
  499. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 それでは今度は十億円の具体的な内訳について、設計費、建設費というふうにおっしゃいましたが、予算書を見ますとその点ははっきりわかりません。私どものいただいておるのを見てはわかりませんが、設計費は何費の中にどう含まれておるのか、いわゆる移転するための建設費はどの費目の中に幾ら含まれておるのか、これをひとつ明確にお答えをいただきたい。
  500. 原徹

    原説明員 この予算の中の歳出の項、特定国有財産整備費の中に両方とも入ってございます。それで、設計費が三千六百万円、残りが九億六千四百万円になりますか、それがいまの移設費でございます。
  501. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 もう一回伺いますが、三千六百万は何費の中に含まれているのですか。いま同じ項目の中に含まれているようにおっしゃいましたが……。
  502. 原徹

    原説明員 歳出の項は特定国有財産整備費でございます。設計費のほうは目は施設施工庁費、この中に入っております。
  503. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 片方の目は……。
  504. 原徹

    原説明員 目は特定施設整備費でございます。
  505. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そうしますと、これは目としては施設施工庁費の中に三千六百万円が設計費として含まれておる、それから特定施設整備費の中に建設費として九億六千四百万円が含まれておる、これでよろしゅうございますか。
  506. 原徹

    原説明員 さようでございます。
  507. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 これは麻生委員がしきりに質問されているところでありますが、そうしますと、もちろんこれは架空の想定ではなくして、具体的な移転先をはっきり描いての予算ですね。
  508. 原徹

    原説明員 私ども施設庁から要求がありまして、そして移転候補地につきましては一応聞いたわけでございます。それは既存の提供施設内であるということでございます。そういうことが諸般の情勢から考えて実行可能であるというふうに判断をいたしまして予算に計上した、こういうわけでございます。
  509. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 いまのお答えで、やはりはっきりした具体的目標があって移転をする、そういう裏づけのもとに――もちろん大蔵省責任があるのですから、そういう具体的な裏づけのもとに十億程度ここで本年度組む、こういう形で組んだのであって、不得定多数の場所にただ抽象的に組んだのではない、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  510. 原徹

    原説明員 大体そういうことでございます。
  511. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 わかりました。  そこで、防衛庁長官に伺うわけですが、移転先米軍基地内ということで鋭意折衝をしている、話はほとんど煮詰まっていると、ここまではすでに二月六日に答弁されている。これ、間違いありませんね。
  512. 有田喜一

    有田国務大臣 大体そういうことでございますが、長谷川さん、麻生議員の話も引き合いに出されましたから率直に申しますが、けさほども実は麻生議員からこの問題をただされました。そこで私は、お尋ねになる気持ちもよくわかるのでございますけれども、実際問題からいいますと、いままでこういう基地移転のときには、移転といえば王子地区は拍手かっさいされると思うが、移転先がしっかりまとまらずに発表すると、不都合を来たすのですね。この点、いままで板付の問題にしましても、それからいま問題になっておる水戸の射爆場の問題にしても困っておる。そこで、麻生議員からいろいろとただされたのですが、そういう実情も私申しました。麻生さんは、米軍基地東京周辺というと、ずばり言えば多摩じゃないか、こういうお話まで出た。しかし、私の口からそうでございますと言うわけにはまいらない。しかし私は、数個の候補地があるが、その候補地一つであるというところまで言いまして、そこで実は麻生さんにも御了察を願ったわけですが、長谷川さんもちょうどけさの麻生さんと同じような御質問でございますから、けさほど申しましたことを率直に申しまして、長谷川さんもわれわれの意図しておる気持ちを御了察願いたい、かように思うわけでございます。
  513. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 防衛庁長官少し錯覚を起こされて、まだ私の聞いてないことまで答えられた。私も、朝麻生さんが質問されたのを、特に私の質問と関連があると思いまして、全部拝聴いたしました。防衛庁長官のお答えも聞いております。しかしたいへん苦しい答弁でありまして、あれから十時間たちましたので、その後御検討されて、もうこれ以上の隠しだてはかえって悪影響を及ぼすと御判断になったのじゃないかと思って、これから聞こうと思っておったので、まだ何も聞いていない。そうしたら多摩弾薬庫といううわさがあって、どうもそうじゃないかということで、ノーとは言わないけれども、まあその対象の中に入っておるというところまでお答えになっておる。大体あとは御了察願いたいというのですが、そう思っていただいてもけっこうですということと同じですね、わきで聞いておりますと。
  514. 有田喜一

    有田国務大臣 候補地一つでございます。
  515. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 と答えて、御了察を願うという、御了察がついておるのですが、これは御了察をいたします。  そこで、そのことを非常に配慮されますが、早く発表すると騒ぐ、それじゃ住民が何にも知らないうちにすっかり固めてから、発表しなければならない、こういうふうにお考えなんですか。堂々と、一刻も早く了解を、求めていくという基本的態度でないから、かえって紛争が起こるのではないかと麻生さんも指摘されておりますが、私も全く同感であります。その点について、お考えは変わりませんか。
  516. 有田喜一

    有田国務大臣 この問題は、もちろん地元の方々の理解納得の上に立ってやらなくちゃならないと思います。私としましては、たとえば地元の方々の納得を十分得ると同時に、一面においてはその地区を管轄する、たとえば神奈川県だったら神奈川県知事、東京だったら東京都知事、その辺と私としても話をする、そういうこともやりたいと思っております。そういうことの段階まで行っていないものですから、そういう方々に対しての話もやらなければならぬので、そこまで済んでないから、こういうことを申しておるのですから、ひとつ御了察を願いたいと思います。
  517. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 時間の関係もありますので端的に伺うのですが、ほとんど煮詰まっている、その煮詰めるという意味は、米軍との話し合いを煮詰めているということですか、地元との話し合いを煮詰めているということですか、どっちなんです。
  518. 有田喜一

    有田国務大臣 これは両方あるのでございますが、いずれかといいますと米軍のほうがほとんど煮詰まっておる、そして地元のほうはもちろん理解納得を得るように、いま話を進めておりますけれども、まだ完全にやってないから、こういうことを私は申し上げておるわけでございまして、もうしばらく待っていただけば解決ができる、かように私は思っておるわけでございます。
  519. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 煮詰めるという意味は、けさほど麻生議員の質問にお答えになっているのを聞いておりますと、ほとんど米軍と煮詰めているように私は聞きました。ところが、いまのお答えですと、地元とも煮詰めているというふうなお答えがありました。ただ山上施設庁長官の御答弁の中に、けさほど、感触をキャッチしているというような表現で、何にもやってないわけじゃない、何かこっそり、そろっとどこかをさわっている、こういうような意味のことをちらりとにおわせたのですね。ところが、いま長官は、よく煮詰まったのは米軍のほうだが、地元のほうもかなり煮詰めている、こういうふうにおっしゃったのですけれども、そうですか。
  520. 有田喜一

    有田国務大臣 煮詰まり方が、さっき申しましたように、米軍のほうはだいぶ煮詰まっております。こちらもじっと見ておるわけじゃありません。いろいろと話し合いをしておるというところでありまして、これはなまの煮詰まり方、こういうわけでございます。煮詰まり方もしっかりした煮詰まり方と、そうでないものがあります。しかし、そのようなつもりでいま話を進めておる、こいうことであります。
  521. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そうしますと、私は、いままでの情勢から、多摩弾薬庫がおそらくその対象になっているというふうに理解をするのであります。しかし、それは肯定されないといたしましても、私は多摩弾薬庫についてはっきり伺います。あそこは稲城町と多摩町にまたがっているわけですが、この多摩町あるいは稲城町について、もしそうだとすれば、それはかなり煮詰めつつあるというふうに解釈されるのですが、しかし、私の調査したところでは、たとえばごく最近の稲城の議会におきましても、町長は質問に対してはっきり、王子野戦病院移転してくることには絶対反対態度は変えておりませんという答弁をいたしております。そこで、米軍と煮詰めるのに、行く先があまり煮詰まらないのを米軍とだけ煮詰めていって、あとどうなるのですか。これは並行してやらなかったら、米軍に対してもまことに誠実さを欠くことになりはしませんか、そういうふうにお考えになりませんか。
  522. 有田喜一

    有田国務大臣 米軍基地内にということでありますから、どこになるかわかませんけれども米軍のほうはこうだということを言えば、もちろん了解してくれる、私はかように思っております。それで、長谷川さんは多摩多摩とおっしゃいますが、候補地一つということでございまして、他の面にも接触を保っておるわけでございますが、いずれかにきまるだろう、そういう考えでございます。
  523. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 いまばかに候補地一つであることを強調されたのですが、他にも接触を保っているというと、もちろん地元が強く反対ということになれば、これは十分ほかのほうも考える余地をまだ持っているというふうに理解してよろしゅうございますね。
  524. 山上信重

    山上(信)政府委員 ただいま大臣の申し上げたとおり、私の考えでは感触を得つつあるということでございまして、したがって、これは必ずしもどこというふうにきまったという感覚ではございません。そういう意味合いにおきまして、どこにいたすかということはこれからその感触の結果に基づいていろいろ決定していきたい、そういうふうに考えております。
  525. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 数個のところに感触を持っているようですが、多摩弾薬庫の感触はどうですか。
  526. 山上信重

    山上(信)政府委員 数個のところでございまするから、まだ判定をいたしておりません。
  527. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 多摩弾薬庫の感触はどうですかというのです。これは可能性がありそうだというのか、あるいはとても反対されそうだというのか。いいでしょう。そこときめているわけではないのだから、幾つかのうちのそこなんだから。
  528. 山上信重

    山上(信)政府委員 いろいろございますが、いまの多摩地区につきまして反対という空気もあることも承知いたしております。いろいろな意味でその他の地区につきましても反対もあれば賛成もあるというふうに聞いております。
  529. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 他のほうはいいのですが、多摩弾薬庫地区でも賛成があるのですか。
  530. 山上信重

    山上(信)政府委員 まだその感触が結論に達していませんので、ただいま申し上げる段階に至っておりません。
  531. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 時間がありませんので、もうできるだけ簡潔に質問しますが、この多摩弾薬庫については、現在ほとんど遊休施設のようになってリクリエーションなどに使われたり、ゴルフ場になったりしている。しかしここにホークミサイル基地ができるというようなうわさが流れた際に、猛烈な反対運動が起こったことは御承知のとおりです。最近あの弾薬庫の正門のわきにちょうど一部食い込んだような形で、稲城中央病院という町営病院が、きたない病院ですが、あります。ところがそこから見ておりますと、中にくい打ちやボーリングが始まった、こういう事実がありまして、これを目撃したその地域の人々は、たまたま王子病院移転問題と関連して神経がとがっておりますから、すはこれはもう下調査なり建設が始まったのではないかといって大騒ぎになりかかった。そこで私は防衛施設庁をわずらわし、外務省をもわずらわし、そうして六一〇〇部隊のあの地の司令官をわずらわして去る二十六日に中を見せていただきました。その結果、そのボーリングあるいはくい打ちは確かにありましたが、これは一応、すでに計画されております武蔵野線の南線の、これはすでに工事が認可され米軍了解しておるので、それのためのこれはボーリングであり、くい打ちであるということをつぶさにこの目で見せていただいて、一応それは確認をできるように考えましたが、しかしことほどさように、この問題については非常に神経がとがっておるのです。ですから、この多摩弾薬庫というようなことを安易にお考えになっておるとすれば、これは麻生議員も指摘されたとおり要らざる紛争をさらに拡大する、こういう事態にもなりますので、むしろ稲城町なり多摩町からは年来強く、ここがだんだん遊休施設になれば返還をしてほしい――かつて多摩ニュータウンの計画がありましたときも、初め入っておったのです。一応いま米軍施設になっておるのでそこは除いておるようでありますけれども、あそこを取り除くとちょっと妙なかっこうのニュータウン計画にもなります。また、両町としてもこれについては平和的な利用をいろいろと考えを及ぼしておるところでありまして、私は一刻も早く、これが要らない施設であるならば、むしろ地域住民の要望にこたえてほしい、こう思うのでありますが、この多摩弾薬庫あとの今後の処置についてどうお考えか。また米軍とどう折衝していくおつもりですか。その点について防衛庁長官のお気持ちをここではっきり伺いたいし、また補足があれば施設庁長官からも伺いたいわけでございます。
  532. 山上信重

    山上(信)政府委員 多摩弾薬庫は、御承知のように、当初は米軍の弾薬集積場としておりましたが、現在昭島にありますところの施設の代替施設候補地として、目下レクリエーション施設を建設中でございます。したがいまして、その他の地区につきましては、米軍がレクリエーションの施設等として用いておる次第でございます。これらにつきまして、今後の利用計画につきましては、米側においても住宅等の事情もこれあり、相当の必要性を見ておるようでございますので、いま直ちに多くの部分の返還というようなことは期待がむずかしいのではないかと考えております。
  533. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 現地を見まして、すでに約三千坪ほどの、先ほど申し上げた稲城中央病院の隣接の土地を今回開放して、そこに新しく病院を建てることができるような方向にほぼ向いておるという事実も確認をいたしました。現地司令官もそこをつぶさに見せまして、ここに百六十床の町の病院ができるはずであるということも申しておりました。この点私は非常にけっこうだと思うのですが、どうかああいうような方向に全体が一日も早くいくように、王子野戦病院を持ってくるというようなことで大騒ぎにならぬように強く要望をし、時間がありませんので、さっきほかに移す可能性、ほかのほうに指向する可能性というものはあるのですねということも聞いたつもりだったのですが、まだ明快なお答えがなかったので、それだけ最後にお尋ねして私の質問を終わりたいと思います。
  534. 山上信重

    山上(信)政府委員 ただいま感触を得つつあるところでございますので、その結果によりまして決定いたしたい、かように考えております。
  535. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 どうも答弁があいまいなんですが、それではしぼって、多摩弾薬庫とはっきり指向しておるわけではありませんね。
  536. 山上信重

    山上(信)政府委員 大臣からお答えになりましたように、候補地一つであるということは入っておりますので、それらの感触も得つつある、こういうことでございます。
  537. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど来申しておるとおりであります。ひとつ御了承願います。
  538. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 とおりじゃわからないのだ。
  539. 有田喜一

    有田国務大臣 候補地一つであるということであります。
  540. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 ほかへ行くことも考えておる……。
  541. 有田喜一

    有田国務大臣 候補地一つでございますから、まだほかに候補地がある。しかし、これも候補地一つでありますから、その辺は御了察を願います。
  542. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 終わります。
  543. 足立篤郎

  544. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 たいへん時間がおそくなりまして、主査にも御当局の関係の皆さん方にもたいへんお疲れのところを御迷惑になると思いますが、さしむきこの段階においてぜひ伺っておかなければという問題がありますので、それだけをお尋ねさしていただきまして、きょうはなるべく早く切り上げようと思います。  実は、もうあらためて申し上げるまでもございませんけれども、富士岳麓の北富士演習場に関連いたしまして、先般米軍との折衝の結果もあってのことと思いますが、県当局に対して米軍から返還されるので今後の処置についての何らかの申し入れがあったように私は新聞で見ておるのでありますが、その間のいきさつ、それから、これからの御方針などをまず承って、承知いたしておきたいと思います。
  545. 山上信重

    山上(信)政府委員 御承知のとおり、北富士演習場につきましては、昭和三十六年に基地問題等閣僚協議会におきまして方針を決定いたしました。これは米軍から日本政府に返還させた上で、防衛庁の演習場にしたい、そして米側に対しては、地位協定によって必要に応じて使用させることにしたいということでございます。  それで、先立って来、知事さんに手紙を差し上げたということは、この使用転換を含むところの返還について、われわれの努力目標を考えておりますので、それらにつきましては、なるべく早く実現し得るように知事さんにも御協力願いたい、かような内容のことであったかと記憶しております。
  546. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 実は、それにつきまして、あなたのほうからの通達を受けまして、県におきましても、また県民も非常な関心の中で検討を加えつつあったようであります。これに関連いたしまして、現地からは、いろいろの立場から陳情もあり、その陳情を受けまして、実は県議会の中に北富士演習場対策特別委員会というものを特に設けまして、検討を加えつつありまして、そして一昨々日、一昨日の両日にわたりまして、学識経験者また地元関係者などに来てもらいまして、公聴会を開いたそうであります。その公聴会のことにつきまして、実は、私は送ってきました新聞だけの話でありまするけれども、どうもお宅からのほうの通達がきっと抽象的であったのでありましょうが、それぞれの人たちが、希望的観測の中で意見を表明いたしておるようであります。しかし、そういう中で、もう事態がだんだん押し迫っておりまするので、できるだけ県民一般意見の一致した形において、県民の希望するところへ持っていかなければならないという県議会の期待もあろうかと思います。  そこで、それにつきまして、多少掘り下げてお伺いいたすのでありますが、公聴会における意見は、ざっと言いまして、この機会に全面的に県民の手に戻してもらいたいという意見一つ。それからもう一つは、それは理想ではあるけれども、現段階においては少し無理ではないか、したがって、これは防衛庁のほうの御意見に沿うことでもあろうと思うのでありますが、なるべく地域住民の利益をも考えてもらいたい、使用転換ということばを使われておるようでありまするが、使用転換でも、さしむきはやむを得ないのではなかろうか、このような二つの意見が表明されておりました。  そこで、その全面返還、平和利用という、これは終局の県民一致の希望でありますが、これに沿う防衛庁のほうの腹がありますれば、これは何も私がお尋ねすることもないのでありますが、いま施設庁長官のお答えの中には、そうでもない、やはり使用転換という方向があるようであります。そうなりますと、県民の多くは、しからばいままでは米軍の使用であったので、やむを得ずがまんしておったかもしれない点につきましても、今度は日本政府の手によってあたたかいお取り扱いができはしないか、そういうように非常な強い希望的観測の中でこの問題を処理していこうというような意見が強いのであります。私は、詳しい質疑討論の内容を知っておるわけではありません。たまたま各新聞の記事によって知ったわけでありまして、それについてお伺いするのでありますが、使用転換をするという場合において、施設庁のほうでは、これに対する予算を現状よりもどの程度よけいお出しになる用意があるか、その点をまずお伺いをいたします。
  547. 山上信重

    山上(信)政府委員 この使用転換に伴ないますところの措置につきましては、当庁といたしましては、現地の方々の意向がそういうふうにまとまり、使用転換されるという段階におきまして、そのような点についての民生安定の施策であるとか、その他の施策について所要の経費が必要であるならば、その段階において、われわれとしても、できるだけの配慮をいたしたいというつもりでおりまして、ただいまこれだけというふうに、固った予算を考えておるわけではございません。
  548. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 固まった予算がないことは私もわかります。ただ、これが意見をまとめる上の非常な基礎になっておりまして、たいへんな開きがあるにもかかわらず、これだけは出してもらえるだろうというようなことで意見をまとめていって、いよいよというときになって、これが出せないということになると、また混乱いたしまして、困るのではないかと思いますので、その点について、ひとつそのめどだけでもこの際お示しいただくと、意見をまとめる上において非常に好都合だと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  549. 山上信重

    山上(信)政府委員 現在、地元からの案が提案されておらない状態でございますので、どのくらいということは申し上げかねますが、これは東富士等におきまして、使用転換ということをわれわれやっております。したがいまして、こういうやり方というものを一つの先例的な考え方としてお考え願えるのではなかろうか。ただ、われわれといたしましては、地元からのどういうことをやってほしいのだということがはっきりいたさないと、どれだけということを申し上げかねるというのが現状でありますが、できるだけ配慮いたしたい、かように考えております。
  550. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 これは鶏が先か卵が先かという議論になるのでありますが、しかし、やはりそれについての決定権は防衛施設庁のほうにあるわけであります。この程度のものはというようなものがないと、現地でもなかなかたいへんだと思います。  それで、いま東富士が一つのめどになると言われました。しかし条件は、東富士と北富士とでは全然違う。御承知のように、あそこは富士箱根伊豆国立公園というほんとうの眼目のところです。白眉的価値のあるところです。したがって、東富士と同じような程度でお考えになっておりますと、現地の人々の希望とは格段の差を生じてくる。ここでまた大きな問題を引き起こす心配がある。その点はどうでありましょうか。
  551. 山上信重

    山上(信)政府委員 いまの東富士の方式といいますか、これは一つの参考になると申し上げたので、これが限度であるとかいうふうに申し上げたつもりはございません。それでは、これくらいというふうに申せぬかとおっしゃられましても、現地の大体の要望というものがまとまってみないことには、われわれとしても、みだりに数字を掲げるというわけにもまいりません。したがいまして、たとえば現地の要望が畜産の振興であるとかあるいは農業の振興であるとかいうことによりまして、あるいは道路その他林業、こういうような面で経済性を高めるということに有効な措置であるならば、われわれとしてできるだけの配慮をいたしたい、かように考えております。
  552. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 この点について押し問答をしていてもいけませんが、私はその点をたいへん心配しているものであります。  次に移りますが、それでは使用転換をする場合においては、どういうふうに御使用なされる計画でありましょうか。米軍使用のときには、それでもがまんをしておった、しかしながら、これから自衛隊がお使いになるということになりますと、従来とは違うのかどうか、どういうふうな演習をなされるのか。どんな兵器をお使いなされるのか、一年を通じてここでどんなスケールの演習をなされるのか、およその見当をつけてもらいませんと、県議会においても、あるいは県民一般といたしましても意見のまとめようがないのではないか、こう思うのですが、どうでありますか。
  553. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 使用転換になりますと、北富士演習場は自衛隊の演習場になって、米軍は地位協定の一条四項(b)で、ときどき使わしてもらう。したがいまして、演習の態様としては、現在東富士で自衛隊が演習しておりますが、それと同じような形態になるこういうわけであります。
  554. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 特にあそこに駐屯部隊をよけいにするとか、あるいはいままで使っておったよりももっと広い範囲内で演習部隊をあそこに派遣するといいますか、招致するといいますか、そういう計画がおありかどうか。また、同時に、使うところの兵器はいままでのようなものであるのか。それとも、とかく問題を起こしやすいようなあぶない兵器も使っての演習をなさる計画がおありかどうか。これをざっとでいいからお示しおきが願いたい。
  555. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 北富士演習場が実際に自衛隊に戻ってまいりました場合におきましては、東富士と同じような使用転換の形式になります。したがいまして、米軍の使用というものも続きますので、したがって、米軍の意向も尊重しなければならないわけでございます。ただ、将来全く自衛隊の演習場オンリーになった場合に、しからばどういう演習場の形態であるべきかということにつきましては、これはまた今後十分検討しなければならないと思います。と申しますのは、終戦後米軍に提供する際に、いろいろな民有地の借り上げをいたしております。ここ旧梨ヶ原演習場といったものを中心にいたしまして借り上げをしております。それらの地帯につきまして、自衛隊が引き続き地元十分話し合いながらこれを借り上げていくべきであるかどうか。これは自衛隊の全国の演習場配置計画というものも現在すでに再検討の時期に入っておりますので、中央高速道路等もできますと、かなり東京に近づいてくるという事情も考えながら、自衛隊の演習場全般の計画をいま検討いたしております。しかしながら、その演習の形態そのものは、とりあえず現在のもの以上のものをする予定はございません。と同時に、また当面は米軍も使用いたしますので、自衛隊だけの考えでこれを決定するわけにもまいりません。米軍の意向も聞き、協議しながら、演習の形態というものを考えるべきであるというふうに思っております。
  556. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 現在程度のスケールといいますか内容においてやられるということでありますから、その点においてはいいのでありますが、もしかその内容が変わるというような将来の何かありまするならば、この際はっきりしておかれないと、これも問題になると思う。といいますのは、いままで再々問題になったことと思いますが、板付にいたしましてもあるいは水戸の射爆場にいたしましても、その他のところにおきましても、これはひんぱんに使うことによって問題が起きている。そうしてあのような騒ぎを起こしておった、北富士演習場については。おそらく東富士もそうだったかもしれません。私の知るところは北富士演習場であります。これはあまりにも使わなさ過ぎた。いま米軍のお話がありましたけれども米軍が使ったのは、ここ十年来たった二回でした。時間的に言いましても数時間に過ぎなかったのであります。オネストジョンの発射演習、リトルジョンの発射演習、その程度であったのです。地元人たちはその程度の演習ということが常に頭にある。そうしてそのことを前提としてこういうことであるならばこういうふうな補償料なりこの程度の使用料なり、またそういう中において民生安定事業というようなことについて、施設庁、防衛庁のほうでも考えておられるであろう、こういうふうに見ておられるやに、私は両三日前の公聴会の速記録などを見まして受け取ったのであります。したがって、もしその状態が変わりまして、非常に危険な兵器を持ち込むとかあるいは騒音を大きく立てるとか、いままでのような静かなる北富士演習場でなくなるというようなことになると、ここにまたたいへんな事態を引き起こしてくる、いまの状態においても、長官御存じのようにあそこでは地元の婦人部隊が命をかけて反対運動を再々繰り返しておるようなところであります。これがもっとひどいことになりはしないかをおそれるものでありますから、この機会において使用転換をされるという新しい事態に際しまして、そういうことの契約をなさる場合に、十分に条件を提示し、現地民の納得の上で進めておかれないと困ることになりはしないか、こう思うのでありますが、いかがでありますか。
  557. 山上信重

    山上(信)政府委員 まことにごもっともなお話でございまして、われわれといたしましては、使用転換について、具体的な話し合いに入る際には、そういったようなことも十分にお示ししてお話し合いをしてまいりたい。ただ、基本的に申しまして、いま先生が御心配になる新しい危険な兵器を持ってくるというようなことは、東富士の返還の際にもそういうようなことはさせないという線で日米間では話し合いがついております。ただ、自衛隊の場合でございますと、自衛隊に将来ただいま江藤参事官からお答えしたように、いろいろ考えがあるようでございますが、しかしながら、これも著しく危険なものを入れるというようなことにはならぬかと私ども考えております。基本的な考えはそうでございますが、具体的にはいずれそういう話し合いの場において提示いたしたい、かように考えております。
  558. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 そこで有田大臣にお伺いいたすのでありますが、ただいまのような施設庁やあるいは事務当局のほうのお考えの中において、私はもっと高い国務大臣という立場から考えていただいて東富士という広いりっぱな演習場がすでに話がきまって十分使い得るような中において、あらためて同じような条件の中であれだけ広い北富士演習場を自衛隊として使わなければならないような条件というものがあるのかどうか、この点まずお伺いをいたしたい。
  559. 有田喜一

    有田国務大臣 実を言いますと、いま日本の自衛隊におきまして演習場の広いものがなくて弱り切っておるのです。この関東方面を見ましても、東富士、北富士、もうここは唯一のわれわれとしては希望地でありまして、これはひとつ田道知事にもよく依頼しますが、金丸さんもひとつそういういまの自衛隊におきまして、この演習場に非常に期待をかけておるということについてひとつ御協力を賜わって、できるだけ地元の方々の要請も入れてそうしてわれわれの要請も入れてくださって、これがうまくいくように御協力方、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  560. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 大臣そうおっしゃいますけれども、実際地元において見ておりますと、ほとんどあそこは使われていないのですね。そうして、もう一つ、広いところを広いところをと言いますけれども、なるほどあそこは広いことは広いのです。広いんですけれども、演習場としてはただ広いだけでありまして、そう地況に変化があるわけでもありません。したがって、私は日本の自衛隊の特徴としての、外敵防衛というだけであるならば、演習場としてはあれくらい不適当なところはないのではないかと、これはしろうと考えですが思います。一つには、御承知のとおりあそこはもう岳麓の中でも山中湖というきれいな湖をかかえまして、そうしてまたそれらを取り巻くところの環境がまことによろしいのであります。したがって、あそこには演習場以外に、周辺にはあるいは大学の運動場でありますとか、林間学校の施設であるとか、あるいは会社、工場の保養施設でありますとか、その他文化的といいますか、あるいは平和的といいますか、そういう施設がどしどしとできておりまして、これからさっきもお話がありましたように、中央高速道路が来月の十七日からはあそこへまいります。やがて東名高速道路も開通いたしまして、これとあの岳麓を中心としてつながるでありましょう。そうした交通状況から考えまして、あの地帯に非常な新しい事態、条件、環境をつくり出すと同時に、東京周辺のいまのようなどんどんと悪化する環境の中においては、あそこは都下、あるいは東京都を中心とする第一の保健地域とでも申しましょうか、健康地域とでも申しましょうか、いま狭いアパートなんかで日々苦しんでおる人たちが週末などを利用して、高速道路を利用して気分を転換し、健康を念願するという方途に使われる、唯一第一のものだと思っておるのであります。したがって、あそこがいまのような演習場というような状態からは一刻も早く抜け出したいということは、ひとり現地民の念願ばかりでなく、ひとり山梨県民の一致した念願ばかりでなくて、東京周辺、いな富士というものにあこがれて集まるところの日本国じゅう、世界人士の期待ではなかろうかと思うのであります。したがって、かりに大臣がお考えのように、広い演習地をほしいということであるにいたしましても、あそこからは抜けて、他にこれを求めていただくことができないのかどうか、こう思うのですがいかがでありましょうか。
  561. 有田喜一

    有田国務大臣 金丸さんのおっしゃることもよくわかるのでございますけれども、あそこを抜け、どこかほかにとおっしゃいますと、なかなかそういうところがございませんので、そこをばこちらも山梨県の方々にお願いを申しておるわけでございますが、ひとつわれわれの意のあるところもおくみ取りくださっていただく、もちろん知事さんはじめ県民の方々の納得のいくような方途を講じたいと思っておりますけれども、ぜひ金丸さんもさような意味合いにおいて御協力をお願いしたい、かように思うのですが、よろしくお願いします。
  562. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 時間がないところをこういうことを繰り返してはいけませんけれども、せんだっての公聴会におきましても、県民として理想とするところは、こいねがわくは、全面返還をしてもらいたいがという前提のもとに、いろいろと検討いたしておるようであります。したがって、これが解決しない限りは、この問題はこの基本がないと問題の解決はたいへんだと思います。そこでいまそういうことではあるけれども、しかしながら狭い国土の中で自衛隊にもがまんをしてもらって、二つの演習場があればこれにこしたことはないけれども、これを一つに縮めて、何とか差し繰って演習をしてもらうというような方途を講じてでも、何とかあそこの特殊地帯らしい理想的な使用計画をお示し願うわけにはまいらないでありましょうか。この点は、ただこれよりほかはないからということだけではなかなか納得しかねると思うので、いつごろになったらどうなるとか、こうしたならば、こうなるからというようなことでもお示しを願えれば、私どもまた大臣意見も体して、県民との話し合いの中に入ってもよろしい。実はこの問題、なかなか私どもにとりましてもタブーとされております。しかし、私があえてこれを買って出ましたのも、何とかしてこの大問題をいい方向へ片づけていきたい。いまのようなにらみ合いの中においては困るから、おそらく施設庁長官も御苦心なさっておられる。私もよく承知している。幾らあなたが御苦心なさっても基本が、方向が間違っておれば納得するわけにいかない、いかがでしょう。
  563. 有田喜一

    有田国務大臣 こっちも決してにらみ合いしておるわけではございませんので、これはひとつよくお話し合いをして、そして予定のように円満に解決したいと思っておりますから、いずれ知事さんともいろんなことについてお話ししたい、かように思っておりますので、ひとつよろしくお願いします。
  564. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 もう時間でありますから、最後にお尋ねするのですが、実は私は、この問題を昨年のこの委員会でもお尋ねした。そのときには米軍ともいまのような新しい事態をまだ起こさないときであった。そのときにおきましても、時の増田長官は、最小限に縮めて、できるだけ広く県民の要望に沿うような方向で固めるということであります。有田大臣いかがでありましょう。自衛隊がお使いになる場合におきましても最小限に詰めて、あとは県民の念願するところの方向に持っていくからというのが当時の増田長官の私への答えであった。それから一歩進みまして、政府に返す、政府はわりあいに自由な判断でできる事態となりましたので、一そう考えが固まってくるのではないか。具体的にお示しが願えるのじゃないか、こう思ったから、あえて私はきょう質問をいたすことになった。いかがでありましょう。
  565. 有田喜一

    有田国務大臣 なかなか金丸さんはじょうずに言われるのですけれども、まず先ほど使用転換ということをおっしゃいましたが、日本に移りましても、アメリカにやはり何年間ということははっきりしませんが、一まずアメリカもこれを使うということになっております。そこでまず、この際日本に返してもらうということが第一でありまして、いまアメリカも使うというやつを、いまこうして縮めてこうしますと言うわけにはいかない段階なんです。しかし何はおいても、日本に管理権が移って、そしてだんだんと日本が自由になるという立場になって、また御相談ができるんじゃないか、かように思っております。とにかくこの際、アメリカが管理しておるのをすぐ返してもらおうということが先決だ、そういう前提に立って、ひとつ山梨県の方々の御要望なり御意見も拝聴しながら、善処してまいりたい、かように思っておりますので、ひとつよろしくお願いします。
  566. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 あと二分ばかりしかありませんから、お願いだけいたします。いまのようなお答えでは私はちょっとくにへ帰れないのであります。くにへ帰れないからといって、大臣の前にすわり込んでもしかたがありませんので、この問題の重大性――これは長い間防衛庁長官あるいは施設庁長官も御苦心になって、それ以上に県民は苦しんでおる。また、それ以上に県知事は苦しんでおる。問に立ちます私どももたいへん苦心しているところでありますので、大臣の誠意ある御努力、そしてその御努力の方向が全面返還、平和利用、これは県民の切なる、同時に一致した最終的の希望であることを腹に置いて、御尽力をお願いいたしたいのであります。御決意だけを承って私の質問を終わります。
  567. 有田喜一

    有田国務大臣 たいへん恐縮でございますけれども、とにかく日本に返還をすることをひとつ急いで、そしてせっかくいろいろな山梨県側の御要望もありますから、もう少し縮小してどうしようということは、返還の上に立ってひとつ御相談を申し上げたい、かように思っております。決して山梨県側のおっしゃることを全部無視して、少しもそんなものは縮小しないぞというようなかたくなな気持ちも持っておりませんので、この際、早く返還してもらって、そして山梨県側とよく御相談し合って円満な解決をはかりたい、かように思っております。
  568. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 おそくまでどうもありがとうございました。
  569. 足立篤郎

    足立主査 以上をもちまして、昭和四十四年度一般会計予算昭和四十四年度特別会計予算及び昭和四十四年度政府関係機関予算中、会計検査院、防衛庁外務省及び大蔵省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     ―――――――――――――
  570. 足立篤郎

    足立主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十四年度一般会計予算昭和四十四年度特別会計予算及び昭和四十四年度政府関係機関予算中、会計検査院、防衛庁外務省及び大蔵省所管に対する討論、採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  571. 足立篤郎

    足立主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて第二分科会の議事はすべて終了いたしました。  この際、分科員各位、特に副主査の方々の御協力を心から感謝いたします。  これにて散会いたします。    午後八時四十一分散会