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1969-02-27 第61回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十七日(木曜日)     午前十時十一分開議  出席分科員    主査 植木庚子郎君       重政 誠之君    松浦周太郎君       湊  徹郎君    角屋堅次郎君       唐橋  東君    田中 武夫君       高田 富之君    内藤 良平君       三木 喜夫君    山口 鶴男君       玉置 一徳君    兼務 山中 吾郎君 兼務 吉田 賢一君    兼務 中野  明君 兼務 山田 太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  大平 正芳君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    柿沼幸一郎君         通商産業政務次         官       藤尾 正行君         通商産業大臣官         房長      両角 良彦君         通商産業大臣官         房会計課長   進   淳君         通商産業省通商         局長      宮沢 鉄蔵君         通商産業省貿易         振興局長    原田  明君         通商産業省企業         局長      大慈彌嘉久君         通商産業省重工         業局長     吉光  久君         通商産業省繊維         雑貨局長    高橋 淑郎君         通商産業省鉱山         石炭局長    中川理一郎君         通商産業省鉱山         保安局長    橋本 徳男君         通商産業省公益         事業局長    本田 早苗君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      亘理  彰君         農林省農地局参         事官      井元 光一君         水産庁長官官房         調査官     竹原 幸吉君         通商産業省貿易         振興局経済協力         部長      花村 信平君         通商産業省企業         局参事官    井上  保君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         通商産業省鉱山         石炭局鉱業課長 加納 寛治君         建設省河川局水         政課長     堺  徳吾君     ————————————— 二月二十七日  分科員角屋堅次郎君、田中武夫君及び塚本三郎  君委員辞任につき、その補欠として内藤良平君、  三木喜夫君及び玉置一徳君が委員長指名で分  科員に選任された。 同日  分科員内藤良平君、三木喜夫君及び玉置一徳君  委員辞任につき、その補欠として唐橋東君、田  中武夫君及び塚本三郎君君が委員長指名で分  科員に選任された。 同日  分科員唐橋東委員辞任につき、その補欠とし  て山口鶴男君が委員長指名分科員に選任さ  れた。 同日  分科員山口鶴男委員辞任につき、その補欠と  して野間千代三君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員野間千代三君委員辞任につき、その補欠  として角屋堅次郎君が委員長指名分科員に  選任された。 同日  第一分科員山中吾郎君、第二分科員吉田賢一君、  第三分科員中野明君及び第五分科員山田太郎君  が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度一般会計予算通商産業省所管  昭和四十四年度特別会計予算通商産業省所管      ————◇—————
  2. 湊徹郎

    ○湊主査代理 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  植木主査が所用のためおくれますので、主査が出席されるまで、指名により、私がその職務を行ないます。  昭和四十四年度一般会計予算及び同特別会計予算中、通商産業省所管を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  この際、念のため申し上げます。質疑の持ち時間につきましては、先例により、原則として本務員一時間、兼務もしくは交代で分科員になられた方は三十分にとどめたいと存じます。  なお、本日は多数質疑の申し出もあり、また本会議もございますので、恐縮ながら質疑時間を厳守していただき、答弁される方も簡潔にしていただきますよう、各位の御協力をお願いいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋分科員 私は、通産行政全般の問題について、主として基本的な大平通産大臣のお考えをただしてまいりたいと思います。  最初に、本年度世界経済動向、その中における世界貿易推移が、どういうようになるか、こういう全体的な判断の上に立って日本経済政府として見込んでおります成長率、名目一四・四%、実質九・八%、国際収支関係では若干の黒字、さらに民間設備投資伸びとして昨年よりも少しく小幅で大体一六%程度、こういう見込みのもとに本年度経済成長考える、あるいはそういう中においての日本貿易問題を考えていくということに相なるわけでありますけれども最初に、大平通産大臣から新年度世界経済動向、あるいは世界貿易推移、そういう判断の上に立って、本年度経済あるいは貿易というものをどういうふうに見ておられるか、こういう大綱的な点をまずお話し願いたいと思います。  その場合、いまニクソン大統領就任早々ヨーロッパに参っておりますし、またアジアではベトナム和平の今後の推移というふうな問題もございます。政府は、昨年の秋に世界経済白書というものを出されまして、国際的な通貨情勢に不安が相当あるわけでございますけれども国際通貨情勢に重大な混乱の起こらぬ限り、六八年度より六九年度はいささか鈍化する、こういう程度推移するのではないだろうかという判断も下されているわけでありますが、冒頭に申し上げました点について、まずお答えを願いたいと思います。
  4. 大平正芳

    大平国務大臣 去年は、御承知のように、当初たいへん世界経済見通しは暗いし、通貨の不安もつのってきたので、貿易が思うように伸びないのでないかと懸念されたにかかわりませず、意外に順調な足取りをたどったのでございます。したがって、政府見通しが根本的に狂ったわけでございますが、ことしはそれではどうかということでございますが、年々わが国貿易世界貿易に対するシェアというのはだんだん伸びてきておりますし、伸び率世界貿易伸び率の倍ぐらいはずっと記録してきておりますので、日本経済自体競争力というものは、相当強くなっておると評価していいのではないかと思います。  海外の問題といたしましては、通貨情勢がそれじゃどうなるかということですが、十カ国会議事態の応急の措置がとられたので、キーカレンシーが貿易通貨としてともかく機能したという状態でことしを迎えたわけでございますが、まず第一に、十カ国の協力が、日本も参加してとられて、貿易通貨に大きな不安がないことを私ども期待をしておりますし、またそういう国際協力方向努力していかなければいけないと思います。  第二の問題は、アメリカ景気でございますが、ニクソン大統領が増税を引き続き堅持する、財政の引き締めをやる、健全財政方向路線をとられたわけでございますから、全体としてアメリカ景気鎮静方向に向かうであろうといわれております。したがって、政府はことしの見通しとしては、非常に楽観的な見通しを立てるにはややちゅうちょを感じたのでございます。が、しかし、大きな異変がない限りは、去年のような伸長をみないにしても、一応の見込みを立てた数字は達成できるのではないかということを、いまのところ私ども考えております。  国内におきましては、いま御指摘のように、設備投資が去年の暮れから年初にかけて鎮静しつつあります。これはおそらく設備投資が非常に大型化しましたので、自然企業家も慎重ならざるを得なくなったと思うのでございますが、こういう鎮静化の基調がずっと続くものか、それとも季節的にそういうようになっておるのか、そのあたりがいま非常に見きわめがむずかしい段階じゃないかと思っております。依然として消費も生産も出荷も堅調であるようでございますから、おそらくは基調的なものではないと見ておりまするけれども、去年のように順調な成長を見るというようなことについても、そういう想定をするのにもややちゅうちょを感じたということで、ことしの見通しが内外のそういう評価から、比較的用心深く出ておると思うのでございまして、結論として、ことし立てられたような政府見通しの達成は、私といたしましてはそう困難でないんじゃないか、そう考えております。
  5. 角屋堅次郎

    角屋分科員 アジア貿易関係判断をしてまいりますと、いま御承知の日中の覚書貿易協定の延長問題について、与党であります自由民主党の古井さんが中心になりまして、北京で覚書貿易交渉が行なわれておりますので、アジアに位置する日本として、七億の民を有するお隣中国との問題については、政府は従来政経分離というふうな形で貿易については前向きに進める、こういうことでございますが、現実にいま折衝されておる過程を報道を通じて判断をいたしますと、中国の対日路線については、非常に硬化の傾向を持っておる。してがって、覚書貿易交渉相当に難航するのではないかというふうなことも報道されておりますが、これは、私ども党立場からいえば、お隣中国との関係については国交の回復あるいは政府間の貿易協定への前進ということを期待するわけでございますけれども政府は当然、アジア貿易の重要な一貫をなしておる対中国との貿易問題については、これは最悪の事態になってもよろしいとは決して考えてなかろうと思います。ことに大平通産大臣は、そういう点では非常に緻密な分析と合理的な判断をもって行政に対処される方だと思うのであります。いま古井さんあたりも、相当に苦労して折衝しているんじゃないかと思います。日中覚書貿易協定延長の問題について、どういう判断と側面的なバックアップをとられようとしておるのか、こういう点についてお考えを承りたいと思います。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 いろいろ困難な局面がありましたけれども、過去ずっと日中貿易が再開後続けられてまいりまして、いまでは中国にとりまして日本世界最大貿易相手国にまでなってきましたことは、角屋先生の御承知のとおりでございまして、私どもは、いずれのどういう体制をとるお国であろうとも、そういうことにかかわりなく、貿易拡大を続けていくという基本方針を堅持してまいりたいと思います。とりわけ中国大陸な非常なポテンシャリティーを持っているわけでありますから、せっかくいままでわれわれの先輩でつながれてまいりました覚書貿易ルートというようなものは、ぜひ続けて、このルートによる貿易が年々拡大方向に向かうことを期待をいたし、その存続が成功することを祈っております。  ところが、問題は、ことしはたいへん局面がむずかしいのでございまして、御案内のように、米の輸入ということが国内需給状況から絶望的になってきておるわけでございまして、古井ミッションもたいへん御苦労をいただいておると拝察するのでございます。しかし、こういう局面になればなるほど、私ども誠心誠意貿易拡大方向に最大限の努力を尽くすという真実なアプローチを積み重ねていくべきであるし、またそういう誠意先方によっても理解されるところではないかと思うのでございまして、与えられた条件の中であらゆる努力をし、、思いを尽くして、拡大方向に持っていくという努力を終始続けていきたいと思います。ミッション自体からはまだ何ら通報はただいまの段階では受けていないのでございまして、たいへん御苦労だと思いますけれども、その成功を祈っておるという状況であります。
  7. 角屋堅次郎

    角屋分科員 古井さんの代表団が行かれるときに、政府といたしましても、与党の議員でもありますし、また日中貿易、いま大臣も仰せのように、これからの長期展望に立っても非常に重要な貿易相手国でありますし、やはり交渉するからには、民間貿易交渉といっても、政府自身としてもコミットをしかるべく与えられたと思うのです。どういう方向折衝をしてもらいたいというふうなことを申されたのでございましょうか。これは中国肉の問題については、政府はこういう考え方ならばオーケーである、あるいは米についてはどうであるという内容も含んでおると思います。こういう全般的に、行かれる前に総理にも会われあるいは通産大臣にも会われたりしていろいろお話をして行かれたと思うのですが、その辺のところはどうですか。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 この交渉は、あくまで民間レベル交渉でございまして、覚書貿易事務所の責任においてなされておることでございます。その立場におきまして、古井さん並びに古井ミッションの方々は、政府側に伺うべきことは伺われて、確かめられて訪中されたということでございまして、それが、政府がその交渉について注文をするとかそういうことではなくて、覚書貿易事務所のほうがイニシアをとられて、気にかかる問題について政府側事情というようなものを確かめられて行かれたわけでございまして、そういうお問い合わせにつきましては、親切に答えておいたわけです。
  9. 角屋堅次郎

    角屋分科員 これは事務当局のほうでけっこうでございますが、アメリカヨーロッパあるいは東南アジア中心にしたアジア、その他の地域共産圏貿易というふうな最近の日本貿易面における各地域シェアは、どういう推移になっておりますか。
  10. 宮沢鉄蔵

    宮沢(鉄)政府委員 昨年の実績で申し上げますと、アメリカに対しまする輸出が三一%、東南アジアに対しまする輸出が約二八%、それから西欧に対しまして約一三%、共産圏が約五%ということになっております。
  11. 角屋堅次郎

    角屋分科員 いまお話しの点からいっても、アメリカの三一%に次いで東南アジアが二八%のシェアということで、非常にやはり日本の場合は東南アジア貿易関係というものが重要性を持っているわけでございますが、これは同時に東南アジア関係は、後進国援助問題という国連全般の問題とも関連を持っているわけでありますけれども東南アジアとの問題について、後進国援助の視点から見ますならば、もちろん日本として従来から資本協力あるいは技術協力という面で、いろいろな方法——資本協力の面では、政府の借款もございましょうし、あるいはは延べ払い輸出もございましょうし、あるいは企業進出に伴う出資、日本特殊事情としての賠償、こういうものを含んでおると思いますし、同時に技術協力の面では、海外技術協力事業団というふうなところがおそらく委託をされて中心になることが多いと思いますけれども、研修生の受け入れであるとか、専門家派遣であるとか、あるいは訓練センターなどの設置であるとか、教育、試験用材料の供与であるとか、開発に必要な調査の実施であるとか、海外青年協力隊員派遣問題であるとか、そういうことでいろいろな方法で進められておると思いますが、特に新年度予算を通じ、あるいは通産の施策を通じて、東南アジア方面における日本からの資本あるいは技術を通じてのバックアップというものも、新しい観点から進められようとしておる部面があるのかどうか。また同時に、日本の第一次産業の点では関連を持ちますいわゆる開発輸入問題というものについては、従来からどういう姿勢で進められ、また今後どういうふうに通産サイドから進めようとしておられるのか、こういう点について、簡潔にお答えを願いたいと思います。
  12. 花村信平

    花村説明員 経済協力全般の問題でございますが、経済協力が低開発国開発に寄与する、同時にわが国との経済交流の基盤を拡大して、わが国輸出並びに経済の繁栄に寄与するという観点から、経済協力を従来から拡大をしてまいってきているわけでありまして、ただいま先生お話がありましたような各項目につきまして、拡充をいたしてきております。一九六七年の実績が約八億五千万ドルという数字になっております。  それから一次産品開発の問題でございますが、一次産品輸入が低開発国経済を発展させることはもちろんでございますが、わが国といたしましても、一次産品輸入拡大するということがわが国輸出促進ということに通ずるわけでございますので、一次産品開発輸入という点についても適当な措置を講じまして、調査団派遣とか技術指導とかいうような方法をもちまして開発促進につとめているわけでございます。
  13. 角屋堅次郎

    角屋分科員 先ほど中国との輸出関係の問題で、日本国内の米が、一昨年昨年と史上第一、第二の豊作とも関連をいたしまして、本年度は数万トンの必要最小限輸入を予定するという程度であります。昨年来の日・タイ貿易合同委員会、これは十月だったと思いますし、あるいは日華貿易会議、これは昨年の六月行なわれたと思いますが、あるいはヨーロッパにまいりますと、スペインはそういう点では関係がありますが、そういう各国との貿易交渉の舞台で、日本国内農業生産動向という点から、通産サイドとすれば相手国との相互対等立場からの貿易という点で苦労される点があるのだと思います。開発輸入問題は、いままでのところでは、私ども承知しておるところでは、日本はえさの輸入問題というのが相当のウエートを占めておる。これは、日本飼料需給という問題については、私ども立場からすれば政府自身ももっと積極的に進める面もあると思いますけれども海外技術協力事業団というようなところに委託をいたしまして、タイであるとか、カンボジアであるとか、インドネシアというようなところに、トウモロコシなんかを中心にいろいろ開発輸入を前提とした指導を行なう。今後の東南アジア開発輸入関連した問題で、そういう従来の問題以外に、新しい将来展望に立った構想というものがあるのかどうか、そういう点はどうです。
  14. 花村信平

    花村説明員 従来は、開発輸入につきましては、事業団を通ずる技術指導、それから調査団派遣等が主力でありましたけれども、四十四年度ジェトロに五億円の開発輸入資金というものがついたわけでありまして、これにつきましてこれをどういうように使っていくかということを目下検討中でございますが、輸入の場合に低開発国産品先進国に比較して割り高であるという観点から、この割り高を埋めるのに、輸入につきまして輸入する場合の資金低利融資をするとか、あるいは金額五億円でございますが、従来十一億五千万円ジェトロに積み立ててございまして、それを合計いたしますと十六億五千万円になるわけでございますが、これをただいま申し上げました輸入低利融資というものと、それから現地で開発につきまして開発拠点をいろいろつくっておるわけでありますが、そこに施設を供与いたしまして、開発が順調に進むという点で施設に助成をしたらどうかということを考えておりますが、目下具体的な内容につきましては検討中でございます。
  15. 角屋堅次郎

    角屋分科員 大臣、この開発輸入問題については、これは通産プロパーでやられるということではなくて、当然農林省とも十分相談をし、彼此相まって円滑に進めるということであろうかと思いますが、今後のこういう問題について、どういうお考えであられますか。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 一つには、日本東南アジアについてたいへん輸出超過でございまするから、第一次産品輸入を可能な限り促進しなければならぬという立場が当然あるわけでございます。それから、日本立場からさらに考えますと、木材とかあるいはトウモロコシとかいうように、全体に不足する資源と申しますか、年々歳々輸入量がふえているのがありまするし、したがって、そういうものにつきまして、これを長期に、しかもできるだけ安く入れることを考えなければならぬ、この二つの要請があるわけでございまして、私どもとしては、そういう要請にこたえるためにはもっと大々的に開発輸入のメカニズムを考えなければいかぬというわけで、ことしも新しい事業団をつくるというようなことで、大々的に考えてみたわけですけれども行政機構というのは簡素化しなければいかぬという至上命令がございまして、事業団というのは宇宙開発以外つくっちゃいかぬということになりまして、犠牲になったわけでございますから、今度はいま御説明がありましたように、ちょっとジェトロにひさしを借りてひとつ試験的にやってみようじゃないかというぐらいが、いまの段階でございます。それで得た経験を生かしまして、今後あなたがおっしゃるように、農林省その他関係省と十分協議いたしまして、もう少し組織立ったことを前向きに考えていかなければならぬと私は考えております。
  17. 角屋堅次郎

    角屋分科員 次は、例の昨年の年の暮れから残存輸入制限の緩和をめぐる問題が日米交渉でもございましたし、また、これはアメリカとの場合ばかりじゃなしに、今後ヨーロッパその他との関係もおそらく次々と折衝が行なわれるということだと思いますが、特に日米交渉の問題については年を越えた——事務レベルではおそらくさらに話し合いは進んでおるのだと思いますけれども通産関係の問題としては、アメリカから三十七の示された要請の中で、工業製品中心にして相当数のものを含んでおるというふうに承知をいたしておるわけです。一般の報道するところでは、通産省として、貿易自由化というものは、やはり日本貿易を外国に対して進めていく立場、逆にやはり残存輸入制限については守る立場、しかし、貿易自由化体制から見て、その要請にはできる範囲内においてこたえていかなければいかぬ、したがって、通産サイド要請されておる面の半分くらいのものは両三年以内に自由化をする、こういうプログラムでいま検討しているというふうに報道されておるわけでございます。その辺のところは、具体的には大臣としてこの問題にはどういうお考えでございますか。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 去年の十二月二十三日に残存品目輸入自由化についての閣議の方針がきまりまして、それは昭和四十六年度末までにあなたが言われたかなり程度自由化しよう——そのかなり程度というのは一体どのくらいなのかというと、これは東洋的表現でして、いろいろとり方があるのでございましょうが、少なくとも半分以上はやらないとかっこうがつかぬのじゃないかと私は考えております。それで、去年の暮れに対米交渉がありまして、たいへん先方さんは不満なようでございましたが、決裂するのじゃないかと心配しておりましたが、そこまで至らずに、いまワシントンで事務的折衝が続いておるわけでございます。いずれ先方の案が参りまするならば、十分検討いたしまして、前向きに自由化を進めていこうというが、そのスケジュールはやはり国内事情をよく踏まえた上でやらなければいかぬ。とりわけ農産物というのはたいへんめんどうなものでございますから、そのあたりの呼吸はよく考えながら、堅実に進めていきたい。そんなに大またで急にやるというようなことはなかなかできませんけれども、着実に進めていかなければいかぬものと思っております。
  19. 角屋堅次郎

    角屋分科員 過般、外資審議会のほうから第二次資本自由化プログラムというのが答申されたわけでございますが、一昨年の七月に、第一次の自由化として五十業種指定されたのだと思います。今回の第二次資本自由化では、第一類の関係で百三十五、これは外貨の割り当てが五〇%まで認めるということでございます。第二類の関係外貨一〇〇%まで自由に認めるというのが二十、計いたしまして百五十五業種。第一次との重なりの関係がありますから、百五十四というふうに報道するものもありますが、いずれにしても、そういうことで資本自由化にもひとつ耐えていこうというプログラムだと思いますけれども、それと、これから来年の秋までにさらに検討を加えて第三次の自由化がどの程度できるか、あるいは再来年の年度末までに第四次の自由化がさらに考えられるかどうかというふうなことも含めて資本自由化の問題には対処される御方針だと思うのですけれども、今後の資本自由化に対する日本の姿勢、またそういう場合は、やはり日本経済の力という点について、昨日もいろいろ御議論がございましたけれども、どういう日本経済に対する判断の上に立って、第二次資本自由化はもちろんでありますけれども、来年度以降の第三次自由化あるいは第四次自由化というものを踏まえていかれるか。最終的には、やはり戦略産業的なもので場合によっては一部どうしても残すというものもあろうかと思いますが、その辺の今後の御方針はどうでございますか。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 これは一昨年夏閣議で基本の方針がきまっておりまして、これまた昭和四十六年度末までにかなり資本自由化をやるのだという方針がきまっておりまして、第一次をやって、この三月一日に第二次をやるわけでございます。いま御指摘のとおりでございます。そうすると、第一次と第二次と合わせて約二百くらいが指定されるわけでございます。通産関係で申しますと、大体業種が四百五十くらいあるのじゃないかと思います。そうすると、その二百のうちで私どもの所管に属するのが約百五十内外と思いますが、そうすると三百残るわけですが、あなたが御指摘のように、国防産業とかあるいはジャパンアイテムというんですかね、げただとかからかさだとかいうのは、自由化しようがしまいがあまり関心がない。そういうようなのを合わせますと、百前後あるのじゃないかと思います。そうすると、あと二百くらいが私のほうの所管ではこれからの課題になるのじゃないか。それを三次、四次の間でどれだけいけるか。最後のつまるところは、どうしても技術の格差があるとか、日本の将来のためにキーインダストリーとしてどうしてもこれは規制しなければいかぬとかいうようなものを、どういうようなものが残りますか見きわめて、自余のものはできるだけ自由化方向に持っていかなければならぬと思いますが、しかし、御案内のように、いま第一種のフィフティー・フィフティーのもの、これは外国から見たら自由化じゃないんですね。一〇〇%がほうとうの自由化なんでしょうが、われわれとしては、これは外国から見たら奇妙な話だと思うのですけれども、これで外資にだんだんならせていかなければならぬし、また考えようによっては、日本の市場の知識とか、非常にすぐれた労働力、外国の資本技術、そういったものがうまいコンビネーションにおいて協力しますと、案外成果があがるんじゃないか。だから、外国人もまたフィフティー・フィフティーの仕組みについて理解を持つんじゃないかと思うのでございまして、少なくとも当面それに移行できる業種はできるだけ移行さしていくということで、第二次が終わりましても一休みにするということでなくて、鋭意検討を続けてまいって、一年あるいは一年半くらいの間用意いたしまして、第三次をやる。そしてまたそのくらいの期間勉強しまして、第四次というような段取りでやってみようと思っております。
  21. 角屋堅次郎

    角屋分科員 その際に、今後の問題として、今度の第二次の資本自由化のときにも、たとえば自動車産業の問題が最終的にいくまでの論議があったわけです。この問題は、第三次の時点までにどういうふうな判断と取り扱いをされるお気持ちですか。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 これはきのうこの分科会におきましても私もちょっと答えて、おまえの言っていることはどういうことかようわからぬというようなことであったのですけれども、実は自動車のほうにつきましては、いまのところ、私のほうはまず常識的に考えて、日米自動車交渉できまっておるエンジンの自由化のほうのことが一段落しまして、それから資本自由化ということについて検討を始めるのがいいのじゃないかというように考えておったわけです。ところが、だんだんと、政府の動きとは別に、業界内で、自動車業界とあるいは経団連なんかの間で、自動車の自由化についていろいろな論議があったようでございまして、その意見が新聞に発表されたりしていますね。私は、そういう民間自体で自由化の問題について論議があることは、非常に歓迎すべきことだと思うので、そこである一つのコンセンサスができるということは期待しておるのでございます。この間の経団連と自動車業界の話し合いの結果を見ると、四十六年末に、自動車は依然としてネガチブリストに載せるのだとは書いてないのです。業界のほうも前向きに考えられておるようでございますから、これらの推移をよく見ながら、それから外国の世論もいろいろありましょうし、技術の水準なんかもだんだん変わってくるでございましょうし、もう少し推移を見ないと、責任を持って自動車はどうするというようなことは、なかなか言い切れないのじゃないか。いましばらく勉強さしてもらおうというような心境です。
  23. 角屋堅次郎

    角屋分科員 資本自由化に対処していく場合にも、貿易自由化の問題にも、一つはやはり日本経済のそれぞれの業態の力はどうかという、そういう評価をしなければならぬ。同時に、資本自由化問題では、いわゆる新技術開発、いままでの推移を、科学技術白書その他科学技術庁で出しているもの、あるいは通産省で出しておるようなものに目を通してみますと、大臣も御承知のように、外国技術の導入が、高度成長の三十年代以降相当伸展をいたしました。三十年代は、外国技術依存主義時代である。四十年代以降、自主技術の補完的なものに持っていこうという姿勢が強まっているというふうにもいわれておりますが、しかし、いずれにしても、外国技術の導入、それから国産技術輸出、こういうもののバランスを見てみると、いわゆる外国技術の導入の支払い額を分母として、こちらから出していく技術輸出の受け取り額を分子として、技術輸出入比率というものを見てみますと、日本の場合はせいぜい八%程度である。ところが、アメリカは九倍にもなる。さらに、フランスの場合には、大体八〇%、西ドイツの場合は約四〇%、こういうようなこともいわれておりまして、大臣通産大臣に就任早々、国際化の経済に対処するためには、日本の新技術開発というものをやはり積極的に進めていかなければいかぬ、こういうお話もされておるわけですが、現実にいままで導入されてまいりました国別の件数を見てまいりますと、アメリカが五四・六%で圧倒的な比率を占める。それに西ドイツの一一%、イギリスの七・二%、スイスの六・二%というふうな順序で、これは年次によって違いますけれども、そういう大体のアロケートである。そこで、高度成長過程で外国技術への依存から自主開発という姿勢に変わろうというのには、新年度の態勢全体としてまだそういう姿勢が十分にはくみ取れないという感じがするわけですけれども大臣としては、その必要性については十分認めておられると思うのでありますが、自主技術開発についての通産サイドということでなくて、産業政策全体として、どういうお考えでございますか。
  24. 大平正芳

    大平国務大臣 明治から大正、昭和と今日に至るまで、日本経済は、一口に言えば模倣経済であったと思うのです。人さまのまねをしていく、その模倣技術には相当たけておったわけです。それである程度追い上げがきいたわけでございます。いま御指摘のように、これから日本産業がどんどん伸びていく上におきましては、どうしてもみずからの技術開発する、これが勝負だろうと思います。それで、いま御指摘のように、技術の導入と輸出のアンバランスというのは、先進国の中で、非常に恥かしながら最下位にあるわけでございます。そこで、いまからの通産行政の最大の問題は、御指摘のように、自主技術をどう開発するのかということだと思うのです。そこで、最近私は研究投資——研究費なんかをずっと見てみますと、ようやく日本産業もだんだんと研究費の支出が多くなってまいりまして、年々四千七、八百億円ぐらい使っておる。大体西独とか、イタリアとか、英、仏なんかに比べてそう遜色がないようになってきておりますが、アメリカなんかは七兆五千億も使っておるのですから、比べものにならぬ。しかし、そこまでだんだん来たことはけっこうだが、何としても、企業といってもだんだん規模が大きくなり、力がついてこないと、なかなかそういう技術開発費を投入することはできない。限界がありますので、やはり政府がやらなければならぬ。そこで、御案内のように、大型プロジェクトは相当金がかかる。原子力だ、海洋開発だ、オレフィンだとか、あるいは海水の淡水化というような大きなプロジェクトは、政府自身が牽引力になってやろうということで、予算を組ましていただいているわけでございますが、これからの通産予算は、私の願いとしては、これが主力になっていかなければいかぬのではないか。民間のそういう研究投資とタイアップして、先進国に伍して自主技術輸出できるような、そういう体制をつくり上げるというところに力点を置いていかないといけないのではないか。いわば自主的な創意の時代に入ったということで、そこに政策の視点を置かなければいけなかった、そう思っております。
  25. 角屋堅次郎

    角屋分科員 研究開発の問題では、しばしば政府の投資と民間の投資というふうなものの国際的比較で、日本政府のほうが大体三割、民間のほうが七割というふうなことで、もっとやはり政府の実際に支出する面を増大すべきであるという議論が行なわれてまいりましたが、いずれにしても、日本人というのはなかなか頭もいいはずでありまして、またそういう点では模倣から創造へということについても、たいへん可能性を持っておると思います。これは科学技術庁に限らず、通産産業政策の立場から、ぜひ前向きに進めてもらいたいと思います。  いま大臣のおことばにもありましたが、これからの時代は、宇宙、原子力、海洋開発、これが非常に大きな問題の課題であるというふうなことがいわれておるわけですが、海洋開発の問題について若干お尋ねをいたしたいと思うのであります。  まず、これは事務当局でけっこうでありますけれども日本の大陸だな関係における石油、あるいは天然ガス、あるいはマンガン、いわゆる地下鉱物資源の大体の埋蔵量の推定というものは、これは十分調査しないとわからぬわけですけれども、大体どれくらいのものだというふうにいまの時点では御判断願っておりますか。
  26. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 最近技術進歩に伴いまして、大陸だなの石油、天然ガスというものの開発世界的にかなり行なわれております。わが国におきましても、秋田や山形、新潟県の沖合いで、石油開発公団と出光が共同でやっております。また、島根、鳥取、山口県の沖合いで、西日本石油開発が探鉱開発を行なっております。九州西南部でも、帝石と日本石油とが近く探鉱に着手する予定になっております。また、海外におきますわが国企業による石油開発、これも現在までのところ八割以上が大陸だなを開発したものであります。海底に賦存するその他のものとしまして、金属鉱物資源でございますが、いまのところ、採掘技術開発途上にありますために、経済ベースに合った採掘ができない状況でございます。  お尋ねの数字でございますが、いまだ手がけておるというようなことでございまして、どれくらいあるかというようなことにつきましては、これら探鉱その他が進みませんと、的確にはわからないという感じでございます。とりあえずのところ、私ども考えておりますのは、石油と天然ガスでございます。
  27. 角屋堅次郎

    角屋分科員 これはいま局長の御答弁のような状態で、これからだと思います。海洋開発全体の問題についても、国際的に見ますと、アメリカは非常に進んでおる。ソ連の実態は必ずしもつまびらかにしませんけれども、非常に熱心である。あるいはフランス、イギリスその他、国際的にも相当にこの問題には取り組もうという姿勢である。日本の国土の七割近くのものが日本の近海で大陸だなとして存在をしておるというふうな点から、日本の大陸だなの開発、単にこれは日本国内でばかりでなしに、国際的な面でも、石油その他では外国に出かけておるわけであります。  そこで、海洋開発問題と関連をして、大陸だな条約の取り扱い問題というのが最近よく議論になっておるわけでありますが、私、たしか池田内閣当時に、日米加漁業条約の問題を本会議で取り上げたときだったかそれ以降だったかわかりませんけれども大平さんが外務大臣当時に、この問題については、従来とってきた大陸だな条約に対する日本の姿勢という立場からお述べになったと思うのであります。二十四日の日に、私この分科会で農林大臣に、いろいろ農林水産全体の問題で取り上げたときに、大陸だな条約についての農林大臣の御見解——農林大臣としては、いわゆる水産サイドの国際漁業面における日本重要性から見て、大陸だなの条約に加入をするということには反対であるということを明確に御答弁としてしておられますが、きのうの他の分科会において科学技術庁の長官にも御見解を承りましたが、自民党の海洋開発小委員会等では、大陸だなの条約については加入すべきじゃないかという意見があったり、あるいは産業界の中にも、海洋開発のこれからの問題と関連をして、大陸だな条約についての加入問題というのが押し出されようとしておる形勢のように判断をいたしております。しかし、大陸だな条約そのものについては、二十二カ国以上が入れば国際的に有効になる。現在三十九カ国加盟をしておる。現実に水産サイドでは、いま日ソの漁業交渉の行なわれる前に、カニの問題を中心にしてモスクワで日ソのカニの交渉が難航しておる。藤田代表以下相当苦労してやっておるというふうな点等もあり、日米の関係でも、カニ協定、あるいはこの問題では特にジョンソン大統領も特別に日本立場を考慮した声明をつけるというふうな経緯等も、御承知のようにございます。  そこで大陸だな条約というものへの加入、これは非常に慎重でなければならぬというふうに思いますし、これらを含めて、通産大臣としてはどういうお考えでございましょうか、お伺いいたしたいと思います。
  28. 大平正芳

    大平国務大臣 大陸だなにある鉱物資源の探索開発ということについては、沿岸国が主権的な権利を行使することができるという定立した国際慣習法が現在ございますから、さしあたって、大陸だな条約の非当事国でございましても、鉱物資源の開発というような点に支障が一応ないわけでございます。でございますから、いま直ちに加盟しなければならぬという性質のものでもないと思いますが、これからの資源開発というようなものが進んでまいりまして、これはやはり加盟したほうがいいとかいうようなことになるのか、留保できる立場におったほうがいいのか、それはこれからの事態の進行に応じて政府が慎重に検討すべき問題じゃないかと思います。さしあたって、これにたって加盟せなければならぬというようには考えておりません。
  29. 角屋堅次郎

    角屋分科員 時間が参っておりますので、私、この問題については、この時点でこれ以上に議論をしようと思いませんが、いま大平通産大臣のおことばでは、非常に慎重な姿勢——全体的な問題の総合判断ということでやはり対処しなければならぬ、私はそのとおりだと思います。そういう姿勢でこれから対処してもらいたいということを希望しておきます。  公害問題についてもこまかく基本的な問題に触れる予定でございましたが、時間がありませんので、私、希望も含めて、通産大臣の御見解を最後にお伺いしておきたいと思います。  私、数年来党の公害対策委員長を引き受けまして、公害対策基本法の提案をしたり、あるいはその後大気汚染防止法、騒音防止法等の規制法等の取り扱いについていろいろ与党折衝したり、またこれからの紛争、救済の問題についての立法を鋭意努力をし、政府提案が出てまいりましたならば、その時点で真剣に議論をしなければならぬ、こういうふうに思っておるわけですが、私、椎名さんが通産大臣当時にも、予算の質問の中で公害問題を取り上げていろいろ議論をいたしました。どうも私どもの感じからいたしますと、これは産業政策をやっておる通産省の立場というのがしからしめるという面もあるのかもしれませんけれども、厚生省は、やはり地域の公害に苦しむ人たち、あるいは公害防止の立場、こういうもののサイドからものごとを進めようという姿勢である。ところが、通産省というのは、そういう点では産業界のいわば防波堤的な姿勢で、最近の環境基準の設定を見ても、とにかく経団連の植村会長以下の御要請もあったようでありますが、その要請タイアップをして、これらの問題について難色を示す、あるいは従来の新潟の水俣病問題、あるいはまた熊本の水俣病問題、あるいは富山のイタイタイ病問題、最近も私他の分科会でも取り上げましたが、第二のイタイタイ病の問題というふうにいわれておる問題も出てきておりますが、そういう全体的な問題を通じて——調査団長として現地に参りますけれども、どうも企業側の姿勢というのは、いわゆる社会的責任というものを十分に認識して公害問題に対処するというふうに、日本の場合はまだなっていないのではないか。つまり生産第一主義の姿勢から、国民の健康と生命を守るということを第一義とした企業責任というものをこれからは踏まえていかなきゃならぬ、こういう点に非常に欠けているのじゃないか。きのうも公害問題で島本委員その他との間で、大臣、新しい企業者の姿勢というものに対しての提言がございましたけれども、それはなかなか通産内部においてもなじみにくい。産業界も、通産省というのは産業政策の立場からわれわれの防波堤になってくれるのだ、従来もそうであったし、これからもそういう姿勢であろうというふうに甘く見ているのじゃないか。私は、この問題は、通産省といえどもシビアーな姿勢で当然いかれるべきであろう、こういうふうに考えております。現実に政府見解が、熊本の水俣病で出てくる、あるいは新潟の水俣病で出てくる、富山のイタイタイ病で出てくるという時点においても、なおかつ、熊本の水俣病でもなかなかその後の折衝が難航する。あるいは新潟、富山の問題についても裁判訴訟でいつ決着がつくかという問題もある。四日市の問題もやはり裁判訴訟になっておる。こういう事態の中で、直接企業に乗り出していって介入するということでなくても、産業政策で企業と十分御関係のある通産省として、社会的にも、政府の全体的な判断からも、おおむね客観的にはこうであるという問題については、企業もやはり被害者救済問題というものにまず真剣に取り組む姿勢に転換させるべきではないか。裁判で、金がありますから、ずっとがんばっていけばよろしい、こういうものではなかろう。四日市の訴訟の九人の中でも、七十歳以上というのが数名おられるわけですね。これは、判決が下るまでになくなられるということが予想されるというふうな問題がございます。通産大臣大平さんは、ヒューマニストでありますから、君子たりたまう点では私もきのうのお話まことにけっこうだと思うのですけれども通産省全体の姿勢として、公害問題について、企業がこの問題に真剣に取り組むという姿勢に変えさせるべきではないか、こう思いますが、いかがですか。
  30. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、公害が起きてからそれを除去するとか、あるいは被害者の救済をするとかいう前に、まず未然に予防しなければいけないわけであります。私ども行政は、まずその点に力を置かなければならぬ。したがって、施設ができて、そこから有害物が出るからそれを排除するという前に、そこにつくる施設について、初めから公害対策を頭に入れて施設をするなり、工場の立地を考えるということからまず始めておるわけでございます。したがって、いわばそういう運転の過程において公害問題を取り上げるというのでなくて、もう工場の立地から始めるというのが基本になって、今度の環境基準の適用につきましても考えているわけでございます。  それから企業者の責任は仰せのとおりでございますが、企業者も経済人でございますから、これはコストになるわけでございますから、できるだけそういうことについて、たとえばローサルファの原油を入れるとか、あるいは原子力発電をやるとか、いろいろなことをあわせて考えて、それで企業者の負担も軽くしてやらなければいかぬ。しかし、どうしてもあなたが言われるように社会的責任を持っておるわけでございますから、それが物価その他に影響を持ってくるわけでございまして、そういうものをできるだけ少なくしながら社会的責任を果たす環境をどのようにつくるか、その点が第二の問題であろうと思います。  それから不幸にして被害者が出た場合は、今度法案を用意いたしまして御審議を願う準備をいたしておるわけでございます。それは厳正に適用していくという方針指導してまいりたいと思います。  ただ、角屋さんに申し上げておきたいのですけれども、私は、実際に政務次官以下皆さんと一緒に、業界の方々にお目にかかって公害についていろいろ要請をいたしておりますけれども、われわれの予想以上に公害についての関心は深いし、思い切った投資もあえてしておるし、したがって、私は国会が大企業というのは非常にえてかってなもので、公害については背を向けてというような観念でなくて、せっかく一生懸命にやっておるわけでございますから、大いにエンカレジしてやるというような気持ちで、実効があがるようなぐあいにひとつ皆さんがあたたかく包んでやっていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。
  31. 角屋堅次郎

    角屋分科員 もう時間が参りますので終わりたいと思いますが、いま大臣が仰せのように、公害工場施設の問題については、やはり財界も前向きに取り組もうという傾向を非常に強めているということは、そのとおりだと思います。しかし、三十年以来の高度成長の過程以降、公害が各地で非常に社会的な問題になる、あるいは悲惨な被害も出てくる、こういう過程の結果やらざるを得ないということで取り組むのでは、企業姿勢としてはおかしいのじゃないか。本来、これはアメリカヨーロッパの各国を見ましても、企業の姿勢というのは非常に学ぶべき点が多いですから、大臣もきのうの同僚の委員との議論の中でもお述べになった公害対策に対する姿勢、これはおことばとしてはそのとおりでございますけれども、公害の予防、公害の排除、公害にかかわる被害者の救済と、この三つの中では、何といっても前段の予防、排除というところがやはり最大の前提でなければならぬ。そして思わぬ、予期せざるところで公害にかかわる災害が出てきたときには、それに対して十分な救済措置はしなきゃならぬ。これが、これからの産業政策の中でも、十分念頭においていく姿勢だと思います。その点、そのとおりだと思いますが、いかがでございますか。
  32. 大平正芳

    大平国務大臣 さよう心得ております。
  33. 角屋堅次郎

    角屋分科員 以上で終わります。
  34. 湊徹郎

    ○湊主査代理 次に、山中吾郎君。
  35. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 私は、硫黄対策、ことに松尾鉱山を中心にしながらお聞きいたしたいと思いますが、大平通産大臣は、予算委員会の総括質問で、民社の鈴本委員から質問があって答弁をされたのですけれども、鈴木委員は、案外通産大臣御勉強されておると敬意を表されておったようでありますので、十分お知りだと思いますが、なおもう少し認識を深めて、ぜひ実効のある結果を出すようにお願いしたいという趣旨で御質問をいたしたいと思います。  通産省の委嘱によりまして、昨年松尾鉱山調査団が現地に派遣をされております。その答申が四十三年七月二十三日に出ておるのでありますが、大臣は目を通されておられますか。——御存じないでしょう。  そこで、時間の節約上その中の一部を私読みますから、大臣の認識を深めて御質問したいと思うのです。  この調査団報告要旨のところに「本調査団の指摘する技術的改善策を中心に抜本的な合理化対策が適切に実施された場合には、収支の改善は期待し得ると予想される」。松尾鉱山については、これは再建可能であるという結論を出しておられます。これを前提として対策を立てていただくべきであるので、この点については御認識いただいておりますね。
  36. 大平正芳

    大平国務大臣 そのように思っております。
  37. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 次に「地域社会の協力について」こう書いておるのです。「不幸にして松尾鉱山が閉山のやむなきに至るような場合、地元町村の受ける打撃あるいは県の財政負担が莫大なものになることを考慮すれば、当面鉱山の負担を軽減するための各種措置について、関係者は積極的な協力援助をすべきであろう。」これは御承知のように松尾村という村ぐるみの問題なので、この鉱山が閉鎖になりますと、企業一つの運命でなくて、この地域全体、地方自治行政全体に大きく響く問題であるという認識があるわけです。これも御承知願っておりますか。
  38. 大平正芳

    大平国務大臣 関係者からよく伺っております。
  39. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 次に「硫黄需給の安定について」こう書いております。「松尾鉱山の操業を安定させるためには、合理化の推進もさることながら、製品市場の安定により収入の確保をはからねばならない。特に回収硫黄の急激な出現により混乱している硫黄市場の現況にかんがみて、石油業界、需要業界および関係商社の積極的な協力政府の支援とにより、国内需給の安定を図るとともに輸出市場の積極的な開拓が必要である。」この認識の中に各界は協力をすることが必要であり、特に政府の支援によって国内の需給安定をはかる、輸出価格の問題が重点に解決をされることが前提であるという認識に立っておるので、この点も私はこの硫黄鉱山の再建のための対策として要点をつかんでおると思うのです。この点も大臣はおそらく同感だと思いますが、その点もよろしゅうございますね。
  40. 大平正芳

    大平国務大臣 よろしゅうございます。
  41. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 その次に、最後に「結び」のところにこういう文章があるのです。「今後この世界有数の大規模資源を眠らせることなく、」これは東洋一の民族資源でありますので、「わが国とは逆に供給不足の状況が予想されている東南アジア等の輸出市場の確保の一助にするためには、答申にうたわれているように輸出可能なコストでの生産体制を確立することが必要である。そのために必要とされる合理化努力は、従来全く考えられなかったような厳しいものとなろう。したがって、関係者が一致協力して新しい鉱山経営の理念のもとに徹底した科学的管理体制を確立することが不可欠である。」と結んでおります。東南アジア輸出市場の確保ということが可能であり、その方向に重点を置くことと、この資源が世界有数の大規模の資源であるという認識のもとに、科学的管理体制の確立ということを強調して結びになっておるわけであります。これは通産省の委嘱によって責任のある調査に基づいた結論でありますので、この線に沿うてあらゆる角度から検討をされて、松尾鉱山の再建について通産省はその後いろいろと対策を御検討願っておると思うのでありますが、その点について、これは局長でけっこうですから、簡略にお答え願いたいと思います。
  42. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 いま御指摘の調査団報告の結論を、私ども今後努力すべき方向の基本として考えておりまして、鋭意それに向かいまして及ばずながら努力いたしておるつもりでございます。今国会で御審議いただいております予算案の中におきましても、いまの輸出と山側の合理化を進めますために、あるいは十分とはいえないかもしれませんけれども、所要の予算を計上いたしておりまして、これによって輸出先の情勢を的確にとらえること、こちら側の輸出体制としての輸出基地の建設に対して、開銀等による財政資金の融資の手だてをすること、こういうことを準備いたしております。また、山側に対しましても合理化の試験費を若干計上いたしておる状況でございます。なお反面、需要業者との調整問題もございますし、いまの回収硫黄が問題になっておるという観点からいたしまして、石油精製業者と山硫黄側とのお話し合いというものが輸出方向に向かって的確に効果をあげさせますために、先般来輸出カルテルにも参加をいたしまして、これによって国内的な輸出体制を固めるべくただいま努力をいたしておる状況でございます。もう少し先になりますと、輸出会社そのものの設立というようなことについても機運が出かかっておりますので、これを助長いたしたいと考えております。
  43. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 ちょっと抽象的なお答えなので、具体的にどういう対策をとられておるかちょっと不明なんですが、たとえば輸出調査についても、東南アジアはいま農業開発関係で肥料その他を含んで硫黄の需要が非常に多いということは一般の世論で、私らもすでに知っておるわけなんですが、その輸出市場開発ということが絶対に必要であるということは、脱硫硫黄の生産のためにみんな認識しておるわけですから、具体的に東南アジアの硫黄市場の開発について、何かもう少し具体的な方法を含んでお答え願う必要があるのじゃないでしょうか。
  44. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 実は昨年末に硫黄の調査団東南アジア各国に派遣をいたしました。これはインド、東南アジア、豪州というところを中心にして大づかみな輸出可能性というものを検討させてきたわけでございます。それに基づきまして、これら地域における硫黄の需要が確実にある。問題は価格その他で問題はございますけれども、あるということが確定いたしましたので、先ほど申しましたように、今後さらに貿易交渉のためのチームを派遣することを考えまして、この派遣費として百七十九万円、それからジェトロ等の機関を通じてのマーケッティングの調査費といたしまして一千四十万円、それから、私ども輸出考えております先の有力者を日本側に招聘いたします費用の一部といたしまして約二百六十万円、こういったものを今回の予算に計上いたしまして準備をいたしておるわけでございます。予算が通り次第、どの先にどのようなことをやるか、いま鋭意検討を進めておるところでございます。
  45. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 調査をして、その結果によって次にどういう対策を立てるかというと、二年ぐらいあとになるような感じがするのですが、そういうことでは、鉱山のほうはその前につぶれる可能性があるという心配もあるのです。  大平大臣にお聞きしたいと思いますが、東南アジア経済協力という日本の一つの政策があると思うのです。それについていろいろと批判がありますけれども、農業開発というふうな方面から、硫黄の需要が当然東南アジアの農業開発に結びついてあることはもう調査でも明らかです。そこで、その価格の点を、日本経済援助の価格補助といいますか、そういうものを含んで経済協力という政策の中で解決するという着眼も私は必要だと思うのです。そういう方向でこれは日本国内の民族資源の保持と、それから先ほど角屋委員が言われた公害対策として生まれてきた脱硫硫黄ですから、そこで企業が困ってしまっておる。国内産業保護と東南アジアの農業開発経済援助というものも含んで、一方に調査費が計上されておるようでありますので、その中でこの価格の安定をはかるということも、私は一つの正しい構想だと思うのですが、いかがでしょう。
  46. 大平正芳

    大平国務大臣 経済技術援助と申しますと、たとえばプロジェクトベースでダムをつくるとか、鉄道を敷設するとかいうような、一つのプロジェクトに対して援助するというような方式、そういうものには乗らぬわけです。あなたが言われるのにもし乗るとすれば、円クレですね。つまり政府政府との間で、お国に対しては一千万ドルとか二千万ドルとか、ひとつクレジットを与えましょうという、これはインドやパキスタンなんかと従来何回もやっておりますが、その中でどういうものがほしいか、それは国と国との間、政府政府との間で相談しなければいかぬわけでございますが、そういうものの中の品目に乗るか乗らぬか、そういうことが一つの問題だと思います。いま鉱山石炭局長が言われたことは、そういうことでなくて、普通長続きのする貿易ルートに乗せてマーケットを開拓して解決する、これが一番根本的な、ごく自然な解決であるということで、その道を切り開いていくための努力をいまやっておるわけでございまして、山中先生が言われた経済援助にひっかけて考えられるかどうか、それは私ども検討いたしてみます。
  47. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 鉱山が合理化するとか、借財がたくさんあり、一応合理化して安い価格で販路が安定するまでにやはり三、四年かかる。その間の時限法的な対策によっても、次はいわゆるマーケット原則に基づいてもとに戻してもいい。そういうことを含んでいま——大平大臣は政調会長もされたので、全般的な政策についてもいろいろ御見識があると思いますので、検討されるとお答えになったので期待をいたしておりますから、御検討願いたいと思うのです。  そこで、これは国内の鉱山が苦境におちいっておるのは構造的原因であって、経営者のまずさもありますけれども、根本的には石油産業の公害を防止する政府からの奨励、一般の世論の中で、設備をしたところが、副産物として脱硫硫黄があらわれてきた。したがってこれはただで売っても損をしないという性格のもので、幾らでも安くできる。そこで、自然、山から出しておった硫黄の価格がそれによって下げざるを得なくなる。そういうことから出た問題である。したがって、いわば第二公害だ。産業公害を防止するために派生的に生まれた第二の公害という性格を持っておるわけであります。  そこで、政府としては、硫黄の輸出等国の責任による対策を立てるべき性格のものだ。普通の企業のように、経営が怠慢で、あるいは放慢でできたのではなくて、そういう性格であることをまず通産大臣としては認識をしていただかないと、単なる企業の問題、ある程度の民族資源の保護というだけでない性格も十分御認識願って対策をお立て願いたい。これは特にお願い申し上げなければならぬと思うのであります。  そこで、石油産業から生まれてくる脱硫硫黄は副産物として出てきたのであって、おそらく企業からいえば何億か公害防止のために設備投資をした。それを回収するために脱硫硫黄の価格を考えるというのが企業の考え方だと思うのです。それで、国のほうでその公害設備に対する融資とか補助をすることによって、石油企業のほうで、脱硫硫黄が出た場合に、投資を回収するための価格を少なくするためには、設備に対して国が投資を援助されればその価格を低くする。幾ら安くしても、あるいは国の統制のために、投資しないで投資を少なくして生まれてきた限りにおいては、国の統制の中に入って国の御意見に従うという企業の立場が生まれてくる。企業の投資によって生まれてきた脱硫硫黄については、国から干渉される理由はないという立場が出てくるけれども、設備の援助をするという対策をとれば、企業に対する政府の価格統制というものに入る理屈がつくと思うのです。そういう意味においてこの脱硫硫黄に対する、公害設備に対する援助対策を立てることを行ないながら、一方にその企業に対する価格統制、輸出統制というものをおやりになることが妥当ではないか。そういう点について局長のほうで具体的に何か考えておるのではないかと思うのですが、その辺の対策はどうなんです。
  48. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 御指摘のとおり、硫黄の輸出政策にとりまして一番問題の点は、売り先の問題を別にいたしますと、硫黄鉱山業界と石油精製業界とが、いま私ども考えておりますように、輸出組合の中におきましてそれぞれの輸出分担比率というものを、山側がささえられるように適当に仕組まれることが基本でございます。ただ、しかしながら、これは双方で話し合いを進めるだけでございますとおっしゃるように、回収硫黄の原価というものは、考えようによってはどうでも設定できるという性質のものでございますから、私どももこの両業界の話し合いがまとまるように側面から援助をいたしていきたい、指導をいたしていきたいと考えておるわけでございます。  この問題につきまして幸か不幸か、石油精製も山硫黄も私どものほうの所管でございまして、双方ともそれぞれ存じ上げておりますので、なるべくこれをうまく配慮したいと思っておるのでございますが、石油精製業界側にも、いま先生御指摘のとおり、社会的な要請に基づいて巨額な脱硫投資というものをやっておる問題がございます。政府といたしましても、これには応援をいたさなければならぬ筋合いがございますので、四十四年度の財投では開銀資金の融資を特利によりまして実施するというところまではいまいたしておるわけでございます。さらに、一部には関税還付等によってもっと助成できないかというような議論もございます。片方、石油製品の価格が漸次下落をしておりまして、コスト的にいいますとむしろ増加しなければならぬ筋合いのものが下がってきておる。それが精製業界の経理を産業平均の数値よりも著しく悪いものにしておるという状況がございます。これは石油精製業界自体が持っておるやっかいなみずからの欠陥もあるのでございますけれども、それらの点を考えまして、脱硫設備についての補助、あるいは適正な価格の回復といった双方を現在エネルギー調査会の石油部会で検討してもらっております。通産省の立場としては、できるだけの投資援助もしてあげたいという気持ちは持っておりますが、関税還付等になりますと石炭対策財源等との関係もございますので、いろいろ広範囲な角度で考えなければならぬものがございます。価格体系を含めまして、エネ調の結論は、いずれにしてもそう引き延ばせませんので、至急に出していただきまして、その上に立って御指摘のようなこともひとつ検討いたしていきたいと考えております。
  49. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 大臣にお聞きいたしたいと思いますが、いま局長からの答弁がありましたように、公害対策がいま政治問題になっておるので、四日市をはじめとしてそれぞれ石油企業に十分の公害設備を要求しなければならない。それに対する政府のある程度の援助を一方に立てながら、民族資源を保護する立場と、いわゆる構造的原因に基づいた第二公害として被害を受けておる鉱業の保護をも含んで、そういうことを背景としながら国内販売価格、それから輸出基準価格というものに届け出制度をとるとか何かして、国内輸出の価格の全体がバランスがとれていき得るような調整をする機関、いわゆる仮称すれば硫黄需給価格審議会というものも構想しながら、企業が協力する裏づけを、一方に公害対策として立てて解決をするという方向が、まあ合理主義の立場も含みながら現実に処理する一つの方法ではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  50. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、通産行政の中で検討をつけられ得る問題だと私は思っております。
  51. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 最後にひとつ、先ほどの私の質問の中の、輸出市場を確保するということが根本的解決である、国内需要も満ぱいになってきておる。ところが、東南アジアには需要市場として開拓される余地がたくさんあるということも明らかになり、これは調査を進めることになっておるわけです。そういうことを前提として、輸出を一つの窓口から、統制ということばが悪ければほかのことばを使ってもいいのですが、硫黄事業団というようなものを構成をして、それで統制をとって、輸出市場に対する整然たる政策を立てるという構想もいろいろと研究されておるように聞いております。これも研究をされて実現の方向努力をされてはどうかと思うのですが、それはいかがでしょうか。
  52. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、私どものほうといたしましては、まず輸出組合による輸出体制の確立というものが、商社それから鉱山業者、石油精製業者というものの構成によりましてきちんと確立することを期待しております。  その次には、輸出そのものを担当する会社がございますことがより望ましいわけでございまして、国内調整をこの輸出組合でやりまして、輸出の業務を責任をもってになう会社があったほうがいいということで、いま商社筋を中心輸出会社の構想も逐次機運が出かかっておる実情でございます。  こういうものができましたときに、先ほど申しました輸出基地の建設についての融資、あるいは輸出在庫金融についての手当てというようなものを開銀、商工中金というものの中で実施をいたしますならば、ある程度の成果はあがるのではなかろうか。より基本的には、やはり輸出組合の中で、精製業者側と山硫黄側との輸出分担比率というようなものが、なるべく内需向けに山硫黄が向けられ、より多く輸出の点に回収硫黄が向けられるようにセッティングされることが基本でございますので、その点に向かって努力をいたしたいと考えております。
  53. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 大体、政府当局も私の御質問申し上げる考え方向は一致しておるわけなんです。社会党のほうでは硫黄安定法を議員立法で提案をしようとしておるわけなんです。これは野党が提案するとたいてい政府のほうでは反対したりするのですが、そういうメンツは別にいたしまして、いまの論議を聞いておりますと、硫黄の価格についての合理的な調整をするための機構を持つとか、あるいは輸出に対して統制をした一つの窓口を持つとかいう方向内容であるので、方向としては大平総理——大平総理大臣は将来でしょうが、大平通産大臣考えと大体一致しておると思いますので、それが出ましたら御審議を願って、形式はどうであろうが内容を論議していただいて、そういう方向の実現に通産大臣の善処方を要望いたしたいと思いますので、そのお答えを受けて質問を終わりたいと思います。
  54. 大平正芳

    大平国務大臣 法案の御提案につきましては、とやかく私から論評はできないわけでございますが、それが御提案になりますならば十分検討させていただきます。
  55. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 終わります。
  56. 湊徹郎

    ○湊主査代理 次に、三木喜夫君。
  57. 三木喜夫

    三木(喜)分科員 公害問題と電力の大型化並びに石油コンビナートについて私はお伺いしたいと思うのです。日光、空気、水というものはもともと無償で、しかも存分に享受できる、これは天与の生きるための必要物であります。これが何者かによって侵されるなら、生きる条件を取られることになって、天人ともに許さないのは当然であります。産業が発達し、科学技術が進歩すれば生きる条件がますますよくなって、人類進歩のために役立つはずですが、そうでないのが私はいまの公害だと思うのです。よごれた空気を吸わされたり、きたない水は川や海をよごして、いまや中性洗剤はニュージーランドの海港にさえ入ったというおそろしい事実を豪州の科学者が報告しておるのであります。そして、いま人間の健康をむしばむだけではなくて、動植物にまで水、空気の汚染が被害を与えておるのであります。だれが一体人間のこの生きるために必要な物質である水や空気をよごす権利があるのだろうか、私はときどき疑問に思わざるを得ないわけであります。そして、きたない空気を吸わされ、きたない水をあてがわれて、住民はこれに対してほんとうに怒りを結集して決起しなければならぬときがきているのじゃないかと私は思う。この前の東京都の三日間のあのスモッグ、これは一千百万の都民が怒りを結集していかなければならぬのじゃないかと私は思うのです。そのときになってから、東京都知事が申しわけないということで都庁の暖房をその日はとめたとか、いろいろな措置はやりましたけれども、これはもうほんとうに焼け石に水です。何の役にも立たないという現状を見まして、私は非常に疑問に思うわけであります。おそらくこの分科会でも、あるいは公害対策特別委員会でも、あるいは通産関係の委員会でもこういう問題は論じ尽くされただろうと思いますけれども、これに対しましての的確な措置がおくれおくれになっていく中で、住民は非常に迷惑しておる。これは、要するに、文明国という名前と政治という仕組みの中で生きる条件を奪われていって、そして、その生きる条件を強奪した者に対しまして何の罪も与えずして過ごされてきておるのがいまの状況でないかと思うのです。  そこで、通産大臣がちょうどおいでいただいておりましてありがたいのですが、まず通産大臣にお聞きしたいと思います。  いま亜硫酸ガスの環境基準らしきものが出てまいっておりますけれども、この内容をとやかく私は言うのではないのです。大臣は次の点をどう思われるかということを最初にお聞きしたい。  四十四年一月現在の状況を、読売新聞のサイドライト欄にこう書いております。「昨年の暮れ、日本の空が大気汚染でアウシュビッツのガス室化している——」これはドイツのナチがガスによって謀殺したガス室をいうわけでありますが、「その非人道的犯人が一部経営者と、そのしり馬にのった通産省官僚であることを指摘した」、また「昨年の暮れに流産したままの大気汚染防止法に基づく亜硫酸ガスの環境基準の設定も、業界、通産省の反対とその同調者のサボタージュで、いぜんメドさえついていない体たらくとある。こんど法務省が”公害罪”を新設するというが、ガス室の中に押し込められている庶民感情からすれば、適用第一号の有力候補である。」適用第一号はこれらの人々だと、こういっておるのであります。  私はいま環境基準に似たものが出てきた段階でこのことを聞いているのではないのですが、読売新聞さえ——といえば失礼かもしれませんけれども、こうした記事を載せるくらい国民的な怒りさえ出ていることをどう思われるか、これをお聞きしたいのです。
  58. 大平正芳

    大平国務大臣 澄んだ空気と青い空と清い水の中で住まいたいものだと私も思いますが、社会経済がだんだんと進んでまいりまして、私どもの生活の物質的基盤というようなものが、とりわけ産業革命以後だんだん進んでまいりました結果、一面において私どもの生活の内容が豊かになり、高度化したことは認められますけれども、いま御指摘のように、反面、その代償として公害という名において私どもの生活に害毒をもたらしておるということも率直に認めるわけでございます。  政治の任務といたしましては、そういう現実を踏まえた上で、われわれの生活の基盤は守らなければならない、公害はどのようにしてでも除去し、防除してまいらなければならない、そういう現実の課題に真剣に取り組むのが私どもの任務でありまして、私どもはそういうことに全力をあげておるわけでございまして、読売新聞とやらがわれわれを非人間的に扱われておることに対しては、私は強い抵抗を感じます。
  59. 三木喜夫

    三木(喜)分科員 それなら公害罪というものについてはどう考えられますか。
  60. 大平正芳

    大平国務大臣 そういう犯罪というものが定立したものとしてあるのかないのか私は承知いたしませんが、いま申しましたような社会経済の進歩に従いまして公害が出てきた、その公害について社会的な責任を負担すべきものとして、まず第一に事業者がある。国、公共団体といったものがこれに手伝いまして対応していかなければならぬ性質のものであると考えておるのでございまして、公害罪というようなものが定立したものとしてあるかどうか、そういうことに対しては、私はたいへん無知でございます。
  61. 三木喜夫

    三木(喜)分科員 定立してあるのでなくて、いま言いましたような背景を踏まえまして、そして公害罪というものを当然につくらなければならぬという意見がいまある。そういう意味合いのことをここで言っておるのであります。そういう観点についてお聞きしておるわけです。  次に、こういう記事も載っておるわけなんです。東京の空が一月十八日〇・五PPMから〇・六八PPMへと亜硫酸ガスの濃度が上がり、都民は三時間半たっぷりこのきたない空気を吸わされたのですが、東京の空の一日の排出亜硫酸ガスは六百四十トン、東京電力と東京瓦斯合わせて百三トン程度、これらの会社と都知事は公害防止協定を結んでおる、こういうように書いてあるわけです。  これは兵庫県の知事の県会における答弁でありますが、兵庫県知事は一昨年、経済基盤の育成と人間尊重、そのどちらを二者択一の場合とられるかという質問に対しまして、その両方の調和を保つ、こういうような言い方をしておるわけです。今回県会で同じ質問者がその質問をいたしますと、経済基盤の育成よりも人間尊重を重視したい、こういうように言っておるわけであります。いまの大臣の御答弁を聞きますと、われわれの生活は、産業基盤いわゆる経済の発展によって非常に豊かになった、高度化してきた、したがってしあわせになっておるじゃないか、しかしながら、一方では公害という問題がそのひずみとして出てまいっておる、これにも対処しなければならない、こういう言い方でありますので、ちょうど兵庫県知事のこの答弁の形とよく似ておるわけであります。  私は、同じような問いを通産大臣にするのは、職掌柄通産大臣も答えにくいかと思うのですが——県政の担当者と立場が違いますから。しかしながら、どういうようにお考えになりますか。いまの答弁を聞きますと、読売新聞にそんなことを書いた者に対しまして強い怒りをさえ覚えるとおっしゃっておるのですから。それなら、私の聞きたいことは、産業基盤重視だ、こういうように聞こえるのでありますが、その点どうですか。
  62. 大平正芳

    大平国務大臣 私は遺憾ながら両方の説に賛成いたしません。経済基盤と人間尊重を別に考えるような概念論は私のとらないところでありまして、もっと人間性、人間というものを総合的にとらえる時代が来ておるんじゃなかろうかと思うのでありまして、人間性を求めているというようなことがいま学界でも大きな問題になっておりますが、産業経済も政治も結局総合的な人間性の開発であろうと思うのでございまして、そういうことを分けて考える。一方に産業があって一方に人間がある、これを分けて考えてどっちを重視するかなどというのは、非常に子供じみた設問であるというような感じが私はいたします。
  63. 三木喜夫

    三木(喜)分科員 そうすると、私の聞き方が悪かったのかしれませんけれども、要するに、県でそういうような設問をしたときに、知事はそういうふうに答えております。そうすると、知事も子供じみた答弁をしたということになるわけでありますね。
  64. 大平正芳

    大平国務大臣 金井君と私と意見が違うということです。
  65. 三木喜夫

    三木(喜)分科員 それは問題でありますから、最後に残しておきます。  公害防止協定を結ぶということは、各地方公共団体としては私は賢明な措置だと思う。こういう措置をその他の地方がとっておるところ、そういう地域をお伺いしたいと思います。
  66. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 公害防止協定あるいはそれに類するものは、相当前の段階から各都道府県あるいは各市の段階で行なわれておるようであります。私の記憶するところでは、一番古いのはやはり横浜市あたりが、あるいは神奈川県あたりが比較的古いところじゃないかと思いますが、最近に至りまして公害問題は非常にやかましくなりまして、各都道府県ともますます公害防止対策についてみずからいろいろ努力するという関係から、公害防止協定のようなものは逐次各県でも行なわれておるようでありまして、たとえば最近では、先ほど御指摘の東京都と大井火力発電所に関して行なわれておりますし、それに協定というほどのものでもございませんけれども、大阪府のほうもやはり発電所の建設に伴ってそれに類するようなものができております。それから千葉県も、あそこも新規の工場地帯でございまして、逐次工業が発展するので、それに伴いまして最近県下の二十企業ぐらいとの間に協定に類するようなものを結びまして、これは内容的には通産省と共同してやったわけでございますが、形としては都道府県と企業との間に協定に類するものができております。ただいま思いついたところではそんなところじゃないかと思います。
  67. 三木喜夫

    三木(喜)分科員 いまお伺いしますと、そういうような地方が公害防止協定を結んでおるようであります。こういうことは地方にまかしてやることか。いまのお話を聞きますと、自主的に、こういうことばがありましたが、これは、いまの大臣お話によりますと、離して考えるべきでないのですから、当然人間尊重、生きる権利というものを尊重するというかっこうになっているのですから、通産省あるいは政府としてこういう問題は統一的にやられたらどうなんです。ばらばらに自主的にやっておるというそういうやり方も一つの方法かもしれません。ほうっておいて、かなわなくなったら地方の公共団体がそれについて自主的な処理をする、これも一つの方法かとも思いますけれども、やはり全般的な視野に立ってやる必要があるのじゃないですか。
  68. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 もちろん、御指摘のように公害問題はやはり全国的に同じような基準でこれを規制するというようなことが必要でございますから、現在、大気汚染にいたしましても、水質汚濁にいたしましても、それぞれ国の法律によって、それに基づきましてしかるべき基準をきめてやっておるわけでございますので、そういう都道府県あるいは市町村が、特にそれとは別にやる必要はないように——してはいかぬということではないのでありますけれども、そういうことがなくてもいいように国では一律にやるべきだと思います。ただ、それぞれ府県によっては特殊な事情もございますし、それから、特に、何と申しますか、その土地の政治的情勢といいますか、あるいは地元民の意向というものがありまして、やはり都道府県知事なりあるいは市町村長としては特別の配慮をしなければならぬ事情がそれぞれ地元にはおありだろうと思います。そういうものを反映いたしまして協定のようなものを結ぶことを妨げる必要はないと思うわけでございます。なお、そういう場合におきましても、私先ほど千葉県の例を申し上げましたけれども、中央とも十分な連絡をとりまして、中央でやっておる施策をそのまま反映するようにするというようなことも一つの方法かと思いまして、たとえば千葉県の例につきましては、通産省が従来から行政指導をやっておる、そういうものを中身としてとっていただきまして、それに若干それぞれ現地の事情を織り込んで協定書をつくっておるというのが実情かと思います。
  69. 三木喜夫

    三木(喜)分科員 法律的な規制をやっておるので、全体的には各個に公害防止協定なんか結ぶ必要のないようにしたい。これは私は大筋だと思います。それには賛成いたします。しかしながら、現在法律があって、しかも個々に重要な地域では公害防止協定を結ばざるを得ないというところに、いまの法律の規制というものがゆるいんではありませんか。そういう問題が一つ出てくる。  それからもう一つは、冒頭私は何のために東京都の例を出したかといいますと、どうにもならなくなってから幾らあがいてみてもしかたがない。東京都知事は、しかたがないので、新設の工場、増設の工場に対してこういう協定を結んでやっておるわけでありますが、しかし、これとても全体の上から見れば微々たる効果しかないんじゃないかと思うのです。この二つの問題が起こってきてからとやかく言ってもしかたがないと思うのです。  そこで、話を先へ進めまして、これに関係いたしまして私ども地域でこの問題をよく検討してみますと、そのことが当てはまると思うのですが、先日通産省からお聞きいたしますと、高砂の電発は五十万キロワット、これは石炭の発電所ですが、関電が四十五万、二台、九十万キロワット。これは重油専焼です。姫路では同じく関電が合計四十二万二千ですね、第一火力発電所は。それから第二が百三十五万、重油専焼である。将来六十万を二台、すなわち百二十万キロワットになるわけであります。それから、続いて赤穂では、関電が六十万を四基の構想を持っておる。二百四十万キロワットですね。こういう実例を見ますと、高砂、姫路では、東京都ほどではありませんが、もう相当空気がよごれておるわけなんです。姫路では一日三百トン余りの亜硫酸ガスが落ちるといわれております。通産省の方に聞きますと、まだ工場を置くところのゆとりがあるからもうちょっとしんぼうしてくれ、こういう言い方なんです。それが私はちょっとおかしい感じがするのです。ゆとりがあるというような言い方は、とことんになるまでしんぼうせいという意味なのか、その辺非常に奇異な念を持つわけであります。それから、この赤穂は現在そうした工場が少ないので、公害がたくさん発生しておるという程度ではありません。きれいなところである。だからここにつくるのだ、こういうことが言われると思うのです。それぞれケースは違うと思うのですが、高砂にいたしましても、姫路にいたしましても、これはもう非常に公害が多く発生して、私はここらが限界じゃないかと思う。東京都のようにこんなになってしまってからどのような対策を施してもいたしかたがないと思う。そこで私たちは、この公害問題につきましては、地域においても住民組織をつくってこの問題に対処しておるわけであります。  そこで、話をもとに戻しまして、こういう新設の工場に対しましては、個々の排出基準が適合しておるか、あるいは環境基準に合わせて風洞実験だとかいろんな実験をやってみた結果、だいじょうぶだというような、そういう観点だけでなくして、全体的な配置計画を立てた上で個々の問題に当たってもらわなかったら、一つ一つなしくずし的に許していくということになれば、またまた東京の二の舞い三の舞いというようなことになりかねない。四日市の二の舞い三の舞いということになりかねないと私は思うのです。その点どうですか。そこを一つだけきっちり聞いておきたいと思う。
  70. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  播磨地区におきまして、御指摘のように現在動いておりますのは、関西電力の姫路第一、第二、それから電源開発の高砂の三発電所でございまして、先生お話しのとおりの能力のものがいま稼動いたしております。そのほかに、高砂につきましては、関西電力の一号、二号機というのが一応建設を目途に地元と話し合いを進めておるという状況でございます。あとの姫路地区並びに赤穂地区につきましては、今後の問題でございまして、一応関西電力としては今後の電力需要の増加に見合うための新規発電地点をいろいろ選定いたしておるわけでございますが、その際、公害問題についても十分地元と話し合いをし、了解をつけてやりたいということでございます。ことに姫路地区につきましては、汚染がある程度進んでおりますから、おっしゃるように、火力発電地点の汚染の状況だけを風洞実験その他でやるのではなくて、地域的な汚染状況を事前に調査いたしまして、それで環境基準の中に入るかどうか、入るためにはどういう条件が要るかということを検討した上で地元とも話し合うようということで、現在調査を進めておるという段階でございます。
  71. 三木喜夫

    三木(喜)分科員 次に、出光興産の姫路製油所の建設について、十一万バーレルの計画書はもう出ておるかどうかということ。地元において話し合いを行なった上でこの問題を許可するかどうかをきめる、そういうことになっておるのですが、地元との話し合いはどのように行なわれておるか。それから、要望事項を地元との話し合いの中で地域の公害対策連絡会議も出しておる。漁民の団体、漁業協同組合の団体も漁友会として要望書を出しておる。これは水産庁にお聞きしておきたいのですが、どの程度進められておるのか、そうして水産庁としてどういう指導をなさったか、これをひとつお伺いしたい。
  72. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 御質問の十一万バーレルの申請書、これはまだ出ておりません。これは三木委員御承知のように、先般の石油審議会で出光興産の十一万バーレルの設備許可を審議いたしましたけれども、当該特定設備の新設計画に対しまして「公害対策、漁業問題処理等地元との調整につとめるものとすること」という内容の注意事項が付記されたことに基づきまして、お尋ねのように、現在地元におきまして調整が進められておるわけでございます。この調整が終わりました段階で設備申請が出てくる、こういうことで御理解いただきたいと思います。  いま兵庫県、姫路市及び出光興産の三者が地元との調整につとめておるのでございますが、公害問題につきましては、県、市及び地元関係者からなる播磨公害対策連絡会議があります。また漁業に対する影響の問題につきましては、県、市及び出光興産の三者と、播磨漁業組合の代表者からなる漁友会との会合におきましてそれぞれ意見交換が続けられておるわけであります。私どもとしましては、これらの地元における調整の成果に期待いたしておるところでございます。昨今非常に数多く漁友会との話し合いが進められておるようでございまして、その内容は逐次私ども承知しておりますが、大ざっぱな感触といたしまして、非常に大きな進展が見られておるという感じでおります。
  73. 竹原幸吉

    ○竹原説明員 出光の姫路製油所の設置問題につきまして、ただいま通産省のほうから御説明がありましたように、地元の播磨灘の関係における漁友会が組織されておりますが、そこの代表者が会社側のほうと協議を重ねてまいってきておるわけでございます。ごく最近の情報では、この第一次補償の段階での話し合いは大体半ば終わったというように聞いております。今後は、さらにその内容等につきまして、各組合のほうへおろしていくという段取りになろうと思っております。いずれにいたしましても、近いうちに解決になるのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  それから、水産庁といたしましては、特にこの問題につきましては、まず公害の未然防止という観点から、公害を発生しないような最新式の処理施設を設置させる、あるいは工事等を行ないます場合におきますところの漁業に対する影響、被害等につきましての補償措置、それから将来シーバース等をつくることになりますと漁業の操業ができない点もございます。そういった場合にも、これに対する損失補償措置、それからさらに、不則の事故が生じた場合にも適切な処置をとる、あるいは補償をする、あるいは必要な漁業振興対策を県等においてしていただくというようなこと等につきまして、必要に応じまして県を通じまして十分指導してまいっております。
  74. 湊徹郎

    ○湊主査代理 説明は簡潔に願います。
  75. 三木喜夫

    三木(喜)分科員 要望事項に沿って現在話し合いをやっておる。その話し合いというものは、ただ話し合っておるだけではいかぬのではないか。その中に当然公害に対して解決のめどをつける、これがなければ私はいかぬと思うのです。これが一つと、それから播磨公害対策連絡会議のほうとはいま納得のいくところの回答がない。私は納得をいかさなければだめだと思うのです。これが一つ。  今度は漁友会との話し合いのところでは、これは水産庁にお聞きしておきたいんですが、いろいろ条項を出して一つ一ついま話し合いをしております。この話し合いが、漁友会には法的な根拠がありませんから、いまおっしゃったように、各単協でやはり了解しなければいかぬ。単協の了解の段階までいかなければこの話し合いは完了を見ないのかどうか、この辺が非常に微妙である。やっておけば、大体やったんだからもう許してもよろしい、これでは形式主義的になると思うのです。漁業を守るという観点に立たれるなら、その中身をよく検討していかなければならぬ。そういう指導をされたかどうか、一ぺんお聞きしておきたいと思います。自後、やはりこの問題残っておりますから、あなた方の御答弁を聞いただけでありますから、また公害対策特別委員会とか、あるいはまた商工委員会とか、農林委員会とか、そういうところであとの問題は聞きたいと思うのですが、いまそれだけお伺いしておきたいと思います。
  76. 竹原幸吉

    ○竹原説明員 この漁友会で現在協議しておりますのは、漁友会の中のごく一部の代表者が会社と折衝しておる段階でございます。したがいまして、最終的な解決ということになりますと、やはり各単協の段階で了解されなければ解決が長引くというふうに考えております。また、水産庁といたしましても、先般現地におもむきましていろいろ関係者と懇談いたしまして、種々指導してまいってきております。
  77. 三木喜夫

    三木(喜)分科員 ただ話し合っておるだけではいかぬので、中身はどうなんですか。
  78. 竹原幸吉

    ○竹原説明員 条件の内容等につきましては、県より随時報告をさせまして、内容等につきまして私どものほうで疑問がある点あるいは問題があるような点につきましては、そのときに応じまして指摘し、あるいは意見を申し上げる、そういうふうにいたしまして指導してまいっております。
  79. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 水産庁のほうからお答えがございましたけれども、漁友会との話し合いは二十五日までにすでに九回、これは非常にこまかくそれぞれのテーマにつきまして話が進んでおるわけでございます。きのう私が受けました出光、県及び市からの報告では、漁友会の代表と出光興産、県及び市との話し合いにつきましては、全部に近い形で大綱についての了解が成立したかのような状況でございます。また、これは水産庁のほうから漁友会側の報告を聞きました上でないと確実なことは申し上げられませんけれども、今後具体的な漁業の補償交渉等に入り得る状態になったというふうに聞いております。漁友会としては、来月の上旬くらいに交渉委員会及び総会にこの交渉者による交渉結果をはかって正式に意向をきめたいというふうに聞いております。  こういう状況でございますので、私は話し合いが行なわれましたテーマ等も、いままで問題になっておりました事項が十分網羅されておるという感触でおりますので、事態としては非常に大きな進展を見ておるのではないか、こう判断いたしております。何せ、きのうのことでございますから、もうしばらく確報を得ました上でお答えしたいと思います。  播磨地区の公害対策連絡会議も、漁業協同組合と地縁的、血縁的な関係で非常に深いつながりがございます。そこで、むしろこの播磨地区公害対策連絡会議では、出光興産そのものの問題というよりは、当該地区全体の問題というようなところが議論になっておるようでございます。これらの調整は、私どもから県、市に答えを聞きまして、いままでにも話が進められておりました。道路網の整備だとかグリーンベルトの設置、地区全体の公害対策についての意見交換が行なわれておるようでございまして、県、市等ではおそらく予算編成上の問題等もあろうかと思いますが、継続事業として推進するような回答も行なわれておるようでございますので、これはまだ調整中だと考えておりますけれども、いずれ近いうちに結論を聞きたいと思っております。
  80. 三木喜夫

    三木(喜)分科員 終わります。
  81. 湊徹郎

    ○湊主査代理 次に、内藤良平君。
  82. 内藤良平

    内藤(良)分科員 大臣、私は国内の地下資源開発、特に石油とガスの問題にしぼっていろいろお尋ねしたいと思っております。  昨年もこの分科会で石油資源なりガス資源の開発問題をいろいろお話ししました。問題は、石油開発公団もできておりますけれども国内開発がどうもおくれておるのじゃないか。海外にだけ目が注がれて足元の開発がおくれておるのじゃないか。これを審議会にもかけていろいろ具体化したいということが昨年の御答弁でございましたけれども国内開発を含めて、現状ではどういう対策を持っておられるか、まずこれを伺いたいと思います。
  83. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 国内の石油、天然ガス開発という問題は、御指摘のように国内地下資源の有効活用、地域経済の振興、石油開発技術の向上といった観点から、今後ともその推進をはかっていくべきものと考えております。   〔湊主査代理退席、主査着席〕  四十四年度関連予算といたしましては、関係企業に基礎的な資料を提供するために、企業探鉱に先立ちまして国が実施する基礎調査費を約六億八千三百万円計上いたして御審議を受けようと思っております。それから企業の行ないます天然ガスの探鉱に対する補助金といたしまして、これは大体四十三年度と同額でございますが、六億二千万円を計上いたしております。この合計額は十四億円弱に達しました。昭和四十四年度国内探鉱の必要投資額は約五十三億円と見積もられておりまして、大体国が四分の一を負担するというたてまえに相なることと存じます。  今後の方針といたしましては、秋田、山形、新潟地域を引き続き開発いたしますとともに、新しく大陸だなや北海道の探鉱も検討していくべきものだと考えております。これに関連いたしまして石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会におきましても、新しい国内開発計画の作成を検討しておるところでございます。  なお、石油開発公団の国内業務といたしまして、企業探鉱に先行した基礎調査の実施、これは国の委託を受けて行なう。それから企業に対する石油探鉱機械の貸し付け、技術指導の実施というような仕事が開発公団に課せられております。これらの点も併用いたしまして、国内の石油、天然ガス資源の開発促進に重要な役割りを果たしてもらいたい、かように考えておるわけでございます。
  84. 内藤良平

    内藤(良)分科員 まあ御努力の結果は私らもわかりますけれども、ただここで申し上げたいのは、やはりどうしても深掘りをしなければならぬという現実なんですね。だから、三千メートルくらい掘りますと、一本一億円くらいかかってしまう。これはおわかりでございましょう。そういう深掘りをどんどんやらなければなかなかこのガス資源なり石油資源を開発できないのじゃないか。千メートル、二千メートル程度国内相当掘ってあるわけでございます。そういうばく大な金額を要する掘り方を企業の採算でやるということは容易なことじゃないですね。だから、どうしてもこれは国の大きな力がなくちゃならぬ、こういうわけです。  そこで、関係者からもいろいろな要望が出ているわけでありますけれども、いまお話しの金額を取り上げてみましても、まあ十五億円、これで一本一億円の井戸を掘ったら十五本で終わりじゃないですか。そういう点などを考えますと、この十五本というのは決して多い数じゃないのです。もっともっと多く掘らなくちゃならぬじゃないか。しかも三千メートル以上の深掘りを積極的にやらなければならぬ。それにはどうしても国の力を借りなくちゃならぬ、こういうぐあいに考えてまいりますと、どうも国のあるいは通産省の力こぶの入れ方がちょっとわれわれから見ると少ないように感じますけれども、どこに障害があるのでしょうか。
  85. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 ただいまの十四億円弱だけでたとえば十四本ということにお考えになるのは適当でございませんで、これは先ほど申しましたように補助でございますので、必要投資額の約四分の一ということで、その四倍くらいになる、こう考えていただければよろしいかと思います。  そこで、いま内藤先生もおっしゃいましたように、私ども国内資源の有効活用、地域経済の振興というふうな観点で、国内の石油、天然ガス開発を重視しておりますけれども、片方にやはりこれらの事業は経済的な合理性というものを持たなければならぬわけでございまして、御承知のように海外での探鉱ということを心がけていきませんと、増大する原油需要あるいは天然ガス需要について自主的な手配というものがまだ遠い目標になっておるという状況でございます。これはもう釈迦に説法で御案内のとおりだと思いますけれども海外でやります場合も相当な金がかかますけれども、石油の賦存量が非常に大きいわけでございまして、一つ成功いたしますと、それによって得られる原油量あるいは天然ガス量というものは非常に大きいわけでございます。やはり全体を考えますと、海外にも大きく目を開いていかなければならぬ。石油開発公団にはそれらのことを勘案いたしまして四十四年度では九十五億円という予算をお願いしておるわけでございます。それらとのバランスを、海外開発国内開発でどのようにやっていくかというところが一つのかね合いでございまして、国内だけというわけにもまいりませんし、また、私ども海外だけという考え方でおるわけではございませんで、御不満もございましょうが、今後とも国内探鉱につきましても努力をいたしていきたいと思っております。
  86. 内藤良平

    内藤(良)分科員 そこなんですね。資源開発の面では、日本もあまりないところですから、手っとり早く海外から持ってこようと、これも必要なことだと思います。しかし、外国の例を見ましても、ぼくらのようなしろうとが見ましても、日本と国のかっこうが似ているイタリアあたりでも、大体必要な量の三割ぐらいは国内から出しているんですね。だけれども日本の場合は現状では一割ないですね。だからこれを三割ぐらいに高めようというのがいままでの皆さんのお考えじゃなかったですか。それに対して三割に高めようというぐあいに実際着実にやっているのかどうか、そこを聞きたいんですがね。
  87. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 所要量の三割を確保したいと申しておりますのは、国内で確保しようということではございませんで、海外開発を含めて、日本の手によって開発したもので原油の確保をはかるべく、目標としてそれを期待をいたしておるわけでございます。御承知のように、私もそう専門家じゃございませんけれども、油田の大きさというものを考えますと、たとえば日本国内で当て得る非常に望ましい状況で油田が見つかったという場合に、その油田の大きさを一といたしますと、インドネシア辺でやります場合に、一つ成功いたしますと大体その一〇の大きさの油田があり得るのであります。これを中東でやりますと一〇〇の大きさのものに当たる、こういうことでございます。国内の石油、天然ガスの開発も、むしろこれからはやはり大陸だなと申しますか、海中に入っていかないと、なかなか限られた資源しかないのではないか、こういう判断でございます。この辺のところは、日本の海洋開発技術の進歩というものがまだ立ちおくれておりますが、漸次そのほうの進歩も進んでまいりますので、いま申しましたような必要量を見出すためにも、特に日本海側の開発のための探鉱というものは、今後の課題にして私ども努力を続けていくつもりでございます。
  88. 内藤良平

    内藤(良)分科員 そこで、こういう機会ですからお尋ねしますけれども、いま局長のおっしゃるように、東南アジアあるいはボルネオ、スマトラあるいは中近東、いろいろやっておるわけですが、国内からも、民間資本なりあるいは開発公団を通じてやっておる。万一何かの場合にはそれがとまる場合もあるわけですね。たとえばスエズ運河の動乱の際にはとまった。それからフランス、イタリアあたり国内開発に急速度に力を入れた。これは御存じでしょう。おそらくおわかりと思いますけれども、そういう点を考えますと、この間、何かの雑誌にございましたけれども、あそこの海峡ですね。あるいはちょっといま思い出しませんけれども、シンガポール、ああいう海峡だって、はたしてうまく確保ができるかどうか。これはたいへんな問題になるのでしょうけれども、いろいろ何かトラブルがあった際には困るのじゃないかということをお考えになりませんか。そういう場合を一応想定して、国内の地下資源開発にもっと力を入れるべきじゃないか。ヨーロッパの例もある。こういうことで必要をお感じになりませんか。どうですか大臣
  89. 大平正芳

    大平国務大臣 必要を感じる感度は、先生と私も全く同じなんですが、問題はどれだけの財源を確保できるかというところが勝負でございまして、たいへん不満足な予算で恐縮なんでございますけれども、精一ぱいのところがこういったところだということです。しかし、今後も大いに努力をしたいと思います。
  90. 内藤良平

    内藤(良)分科員 努力をお願いいしたいと思います。  私は秋田でございますけれども、鉱山大学の専門家は、深く掘った場合はまだまだあると、こういうことを言っておるわけでございます。ただ、お話がございましたように、一本掘りますと一億円もかかってしまうものですから、とても企業採算が合わないのですよ。おわかりでしょう。だから、どうしても国の金を期待しなければならないわけです。だから、もう少し国で金を出して、思い切って掘る。先般も秋田県内で一本三千メートルぐらい掘りましたけれども日本には掘る技術もあるのですよ。ただ、それが出るか出ないかわからぬところに、一億円も金をかけるということは、なかなか容易じゃないでしょう。だから、どうしても国の金を期待せざるを得ない。だから、出世払いということばもありまして、うちの県の知事なんか、出た場合にはお払いいたしますから、出なかった場合は何とかごめんしてもらう、出た場合にはお返しいたしますから掘ってもらいたいと言う。こういう率直な声も、局長などおそらく聞いておるのじゃないかと思います。そういうところで国内資源を開発しなければ、具体的にこういうことも出ているのです。私どもの県内に石油化学の工場がございますけれども、ガスが出ないということで、工場がすっぽり千葉県へ移転してしまう。これはまだいろいろほかの原因もございますけれども、そういうこともございますので、労働問題にもなる。そういうところで、今度もまたあれなんですね、ガス問題、それじゃがんばろうということで、若干また最近は出てまいりました。少し海岸方面に出てまいりました。局長のおことばどおり、だんだん海岸から大陸だなのほうに入ってまいりました。少し有望なところが出てまいりまして、その他具体的に出ております。出てまいりましても——一応企業を撤収しようと経営者が考えまして、そういう徴候があって、県の皆さんが、こうガスが出るのだから、今後一定の量を供給できるのじゃないか、単価も少し勉強しようというのだが、浮き足立った企業は逃げてしまうのですね。この点になりますと、話は余談になってしまいますけれども、そういうようなことで、せっかく開発されつつある企業も、継続して国の大きなバックアップがなければ、どうも産出量もコンスタントに出てこない、こういうこともございますので、国内資源の開発につきましては、特にガス、石油の開発については、ぜひ特段の努力をお願いしたい、かように御要望申し上げます。  そこで、昨年も、これは前の局長さんともお話しをし合ったわけですが、例の大陸だなの開発のためのバージ、いわゆる第二日竜号という仮称のものですが、これは昨年のこの委員会では、四十三年度からかかるのではないか、いろいろ検討されて、かかるのではないかとお話をしておりましたが、一年間たちました今日、さっぱりそれが具体化されておらないということであります。あるいは、私の情報が間違っておりましたら御訂正願いますけれども、この点につきましては、その後どういうぐあいになっておるのでしょうか。私の印象では、昨年の局長には一ぱい食わされた感じで、実にふんまんやる方ないのですけれども、前任者がかわってしまったということでしょうけれども、新局長は第二白竜号問題についてどういうふうな考えをいまお持ちになっておりますか。
  91. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 まことにどうも御期待からだんだんそれておりまして申しわけないのでございますが、これは、一つは、公団につけます金額とのからみでございまして、やはり海外開発にいろいろ事情がございますので、公団に込みにつけました出資額をどんなふうに案分していくかというところが、去年の状態ではまだ六十億円でございます。第二白竜号は、御承知のように、やりますと三十億円くらいかかる。半分も掘さく装置に持っていかれたのでは開発のテンポが鈍るというようなことで、いろいろ前局長も苦心したのだと思いますけれども、今後の問題として、私ども考えておりますことを率直に申し上げますと、大陸だなの石油資源開発というのは、先ほど来御指摘のように、最近急激に活発化しております。そのための技術開発も急速に行なわれており、こういう世界的な趨勢を反映しておりまして、わが国の大陸だなに対する石油資源の開発のための鉱業権の出願というものも相次いで行なわれておる状況であります。他方、またわが国企業による海外石油開発におきましても、これもまた、陸上部はほとんどありませんで、大部分が海洋石油開発という形で進められております。こういうことでございますので、通産省としましては、現在石油開発公団として一隻しか保有していない海洋掘さく装置につきまして、もう一隻新たに建造の方向検討を進めてきておるのであります。このために公団に新海洋掘削装置建設検討委員会というものを設けまして、昨年の八月以来、装置の型式について、これはせっかくつくりますならば、世界最新のものを、いまの技術で最高のものを手がけたいということが一つ。それから、従来そういう意味合いにおきまして、稼動可能な水深、どの深さまでやれるかというような点でできるだけ高性能のものが望ましいわけでございまして、技術進歩が非常に急ピッチで進んでおる段階でございますので、最善だと考えましてもすぐに陳腐化するというようなことではいけませんので、この点の検討を慎重に行なっております。  それからもう一つの問題は、先ほど申しましたように建造に三十億円を要するということでございますが、この大きさだけでなくして、これを一隻つくりますと、年間の稼動費が十数億円も——これは概算でございますけれども、維持費に相当の金がかかる。そういうことでございますので、つくられた装置の将来の需要見通しというものにつきまして、この稼動率を高めるようになお一そう的確に把握する必要があると考えております。  そういう場合、たとえば去年から実施しております日本海の秋田、山形沖合いにおけるエアガン調査の結果等——これはエアガン調査をやってみまして、ありそうだというときにその掘さく装置が動き出すわけでございますから、あるかないかという、この先行しておるエアガン調査の結果というものも見きわめがつかなければいかぬ。これによって、その装置の需要というものが国内にどれくらいあるか、こういうことが問題になります。それと、もし国内の掘さくだけでは十分でなくて休む時間が出てくるということになりますと、海外でのこの装置の活用ということも考えなければいけませんので、この辺の見定めも的確にやりたい。また、これと並行いたしまして、装置の管理、運営、使用技術等の技術的問題につきましても、なお相当の問題がございますので、積極的にこの検討を進めていくというつもりで、いま鋭意努力をいたしておるわけでございます。御趣旨はよくわかっておりますから……。
  92. 内藤良平

    内藤(良)分科員 本会議の開会ベルがなっていますから急ぎます。  それで、ざっくばらんな話ですけれども、これはやはり何カ年計画でやりますか。それからこの予算関係で、六十億——これは昨年も論議したのですよ。だけれども、四十二年度で四十億ほど金を残してしまった。合わせて百億です。百億だから何とかやれるのではないか。それから二カ年計画か三カ年計画でやる。それでは四十三年度を初年度にしてやれるのではないか、やりたい、こういうような経緯を経ているのです。そこに前の局長さんもおられる。だから、これはどうなんですか、そんなけちめいた話ではなくて、具体的にことしは九十五億ですか、去年大体百億と言ったのだから……。時間もないから、単刀直入に、着手するのですか、検討だけして、いつまでも検討しておるのですか。それとも四十四年度これは金をかけてやるのですか。
  93. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 端的にお答えしますが、やる場合には前の計画どおり二カ年間に分けます。それから、いまの検討は、私どもの気持ちとしては、やるという方向検討をする、こういうことになっております。  それから石油公団のいままでの開発予算は、時間的な関係で少し持ち越しになってきておったものがございますけれども、最近の開発ブームと申しますか、非常に需要が旺盛でございまして、全部いまめどがついております。これだけの予算を第二白竜号にさくというのは、非常に貴重なものでございますので、いま申し上げたような問題点を明らかにした上で決心をいたしたいと思っております。
  94. 内藤良平

    内藤(良)分科員 ほかにも聞きたいことがございますけれども、こういうことなんです。だから、やはり金貸し公団では困るのですよ。資金需要がいろいろあると思います。海外にいろいろ六つくらいの会社ができているらしいですから。どんどん金を借りて、海外のほうへやりたい。だけれども、それでは困る。国内の大陸だなの石油を開発するには特殊な機関が必要だ。やれば出てくるのではないか。そこで、いま三十億の機械をつくってやりたい、やってもらいたい。去年はやると言ったけれども、なかなかかからなかった。これは水かけ論になるからあれだけれども、これを四十四年度に着工してもらいたいわけだ。これをひとつ大臣考え願いたいのです。三十億といったらたいへんな金だ。開発公団の中で相当なウェートだから容易じゃない。資金需要はたくさんある。おそらく海外関係でしょう。そうでなく、海外だけに目を向けて、海外のほうだけに金を貸すような、そういうことでなくて、国内にも三十億のバージをひとつつくって、政府は今日国内開発を一生懸命やっておるのだ、大平通産行政はやっておるのだということを示してもらいたいわけですよ。これは必ず効果はあらわれるのです。これは局長がやりたいと思っても、大臣の決裁が、あるいは大臣方針がということになると私は思いますので、ひとつ大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  95. 大平正芳

    大平国務大臣 先生はじめ秋田の知事さん、また与党関係の議員さんもたびたび参りまして、私も耳にタコができるほどこの問題は伺っておりますし、非常な関心を持っておりますので、検討の結果に非常に注目をいたしておるわけでございます。せっかく検討いたしまして、前向きで進めるべきものでございますれば進めるという方向考えていきたいと思います。
  96. 内藤良平

    内藤(良)分科員 一昨年衆議院の商工委員会で石油開発公団法案に対する附帯決議がございまして、この中で、四番目として「石油開発公団の事業部門の分離については、現在の石油資源開発株式会社とその出資会社が、将来、自立安定しうる形態となるよう配慮し、従業員の身分、労働条件等に不利益を生じないよう万全の対策を講ずること。」こういう附帯決議をつけておりますから、これにつきまして、現在どんなぐあいに当局ではお話が進んでおるか、簡単でよろしゅうございますから……。
  97. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 これはいずれにいたしましても来年の問題でございます。法律によって分離いたしますが、現状におきましては、いまの附帯決議の趣旨を基本方針といたしまして、具体的な問題をいま鋭意検討いたしております。大体その趣旨におこたえできるような形での分離の方向にいま努力しておる、こう御理解いただいて差しつかえございません。
  98. 内藤良平

    内藤(良)分科員 そこで、石油資源開発株式会社のことが明確になっておりますけれども、もう一つ帝国石油株式会社というのがございますね。これは国内資源のほうかと思います。しかし、資源開発の問題になりますと、ほかの会社の関係もあると思うけれども、一応考慮の中に入れておるのでしょうね。
  99. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 検討の中には加えております。ただ、即座に両方乗せるということは、現状ではなかなか困難かと考えられます。
  100. 内藤良平

    内藤(良)分科員 終わります。
  101. 植木庚子郎

    植木主査 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      ————◇—————    午後三時十四分開議
  102. 植木庚子郎

    植木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十四年度一般会計予算及び同特別会計予算中、通商産業省所管について質疑を続行いたします。唐橋東君。
  103. 唐橋東

    唐橋分科員 私の質問は、東京電力日橋川水系の最上流にある雄国沼の水利に関して、地元の水利使用者と東京電力株式会社が取り結んだ契約についてお伺いしたいわけでございます。その一つは契約締結の取り運び方についての問題点、第二は、いまこの雄国沼の山ろくは、御承知のように、雄国山ろく開拓パイロット事業が計画されておりますが、それの関連についてでございますので、農林省、建設省関係の方にも御答弁をお願いしたいと思うわけであります。  この契約の締結の経過を簡単に申し上げまして御理解を得ておきたいと思うのでございますが、昭和二十九年以前のことは省略いたしまして、昭和二十九年にこの雄国の地元の五部落——現在は開拓部落がありますので六部落となっております。当時五部落の代表と東京電力との間に契約を結んだわけでございますが、その契約を、四十二年の九月三十日に、いま申し上げましたように、新しく一部落を加えまして、六部落の代表と東京電力側が結んだわけでございます。そして新しい契約の第七条には、従来までの契約を破棄するということを明確にうたっているわけでございます。読んでみますと「本契約締結により、甲乙」、いまの地元が甲、東京電力が乙でございますが、「甲乙間に締結した昭和二十九年六月七日付契約書および昭和三十九年十二月二十八日付覚書は、その効力を失う」と、こういうように明確にされておるわけでございますが、この経過の上に立って第一にお伺いしたいことは、この日橋川水系は、第一級河川の阿賀野川水系の上流でございますが、この雄国沼はこの日橋川水系の最上流にありますので、一級河川と申しましても区間がございますので、この雄国沼は、大臣の管理権下にあるのか、それとも知事の管理権下にあるのか、これを先に、確認のためにお伺いしたいと思います。
  104. 堺徳吾

    ○堺説明員 雄国沼は普通河川でございまして、河川法の適用を受けてないのでございます。一級河川は、檜原湖まで一級河川になっております。したがいまして、普通河川の管理につきましては、一般的には県なり市町村が条例をもって総括的に管理をするか、あるいは河川法を適用するか、どっちかによってしか総合的な管理はできないわけでございます。ただ、国有財産法でもって、敷地の管理というのは知事が権限を持っておるのでございます。
  105. 唐橋東

    唐橋分科員 県なり市町村なりという御答弁でございますが、これは明確にひとつ。知事の所管内にあるということは、はっきりしておりませんか。
  106. 堺徳吾

    ○堺説明員 普通河川の管理でございますけれども、これは法律上の根拠が、河川法の適用がされておらないものでございますから、地方公共団体が条例でもってきめれば、その条例に従うことになるわけでございます。一般的には、公共団体の条例は少ないわけでございます。それで条例できめる場合には、知事が管理するようにときめれば知事が管理するし、市町村が管理するようにきめれば市町村がやる、このようなことでございます。
  107. 唐橋東

    唐橋分科員 ですから、この雄国沼の価値というものは、あの水系の最上流でございますので、非常に重要なる水路でございます。したがって、これは市町村の条例、県の条例ということでございますが、実際にこの雄国沼の管理等については、県でないのですか。まだ明確ではありませんか、一般論でなしに、具体的に。
  108. 堺徳吾

    ○堺説明員 河川法が適用されておらないわけでございまして、福島県の場合には、条例も現在制定されていないわけでございます。したがいまして、考えられるのは国有財産法でございまして、これは水面を含めまして国有財産法でもって知事が管理をするということになるわけでございます。知事は福島県の公有土地並びに水面使用規則というものをつくってございまして、一応根拠としてその規則によって管理をしている、そういうふうに考えられると思います。ただ、この規則も、流水そのものまで含まれるかどうかということには疑問があるわけでございます。
  109. 唐橋東

    唐橋分科員 私は、時間がないから途中の経過を省略したのですけれども、この水利に関しては、知事から命令書が出ていることは建設省のほうでおわかりでしょうね。そうすれば、命令書の出ておるようなところ、こういう点については知事の所管ということは明確になっているのじゃないですか。
  110. 堺徳吾

    ○堺説明員 知事の命令書は、檜原湖のところでの発電所についての場合に、雄国沼についても触れているということでございますが、そういう程度でございます。
  111. 唐橋東

    唐橋分科員 だから、雄国沼についても命令書が出ている。その水利に対して、やはりあやふやでなしに、知事の管理権下にあるものだというふうに理解していたのですが、されに、いまのような普通河川でございますので、確認のためにお聞きしているのでございます。そんなあやふやなものなんですか。この雄国沼の水利については、どうもはっきりしないのですがね。
  112. 堺徳吾

    ○堺説明員 雄国沼は、御承知のように、河川法が適用されておらないのでございます。ところが、徳川以来の慣行の水利権がずっと及んでいるということでございます。知事が命令書に書いておりますところの雄国沼につきましては、檜原湖の水位の関係、取水の関係でございますか、この関連においても、命令書の中に、条件と申しますか、そういう形で述べられたものであろうというふうに理解をしております。普通河川の管理につきましては、そういうような必ずしも明確な点でない点もあるわけでございます。
  113. 唐橋東

    唐橋分科員 わかりました。先に進めます。  先ほど経過の中で申し上げましたように、さきの契約書、昭和二十九年度の契約書の第三条には、このとおり書かれているわけです。「第三条、甲が現在必要とする灌漑雑用水の水量については従来の実績を考慮し且つ福島県立合の上甲乙双方協議の上決定するものとする。」第四条では、「早天或は新規開墾による増田により、甲において水量の増加を必要とする場合は福島県の裁定により乙は異議を申し立てざるものとする。」このような条項があるわけでございますが、これほど明確な規定があるのにかかわらず、先ほど申し上げましたような、今回甲乙両者の間で結ばれたものは、県が関知していなかった、こういうことでございますが、この点はどのように理解していますか。
  114. 本田早苗

    ○本田政府委員 御指摘のように、二十九年の第三条は、県が水量の決定について立ち会うということになっております。今回のものは、むしろ第二条におきまして「甲が雄国沼から引用するかんがい用水並びに雑用水は、下表によるものとする。」ということで数表があがっております。この数表は、昭和三十九年から四十二年にかけて行なわれました雄国沼地区大規模老朽ため池改良事業という県営の改良事業におきまして、用水計画で定められておる数値をそのまま採用した内容になっておるわけでございまして、従来第三条で、県の立ち合いによって水量を決定しようということでおったわけでございますが、過去においてはいろいろ実績の確認が確定しないような事情がありまして、内容の決定がなされなかった。たまたま今回改修工事計画が行なわれまして、その中で用水計画というものが明確になったので、県営事業において明確になった数値をそのまま採用したということで、今回については府県の立ち合いというものを考えておらなかったということになるわけでございますが、今後とも、こういう問題につきましては、当事者間で解決がむずかしい場合が多いと思います。したがいまして、公正な第三者としての意見をいれて解決できるような配慮が必要だということで、今後はそういう線で指導したい。今回は、たまたま数値がきまったという内容をそのまま取り入れたというケースだと思います。
  115. 唐橋東

    唐橋分科員 この数値については、あとでパイロット契約にも関連しますので、さらにお伺いしたいと思うわけでございますが、前の契約に、明確に立ち会いをするということと、そうしてさらに「必要とする灌漑雑用水の水量については従来の実績を考慮し」というような第三条の条文があるにかかわらず、内容的には明確にするだけだ、こういうようなことで、そうしてその契約書の内容をさらに履行していくというような意味合いの実行的な契約のさらに細目化したもの、そういうものならいざ知らず、立ち会いをするのだ、こういうような明確にあるものを除いてしまう新契約、ここに私は非常に問題があるのじゃないかと思う。しかも、先ほど申し上げましたように、これは福島県の知事がはっきりと管理者だという実体を持っているわけでございます。法的にいえば、確かにいま申し上げましたような普通河川の性格があると思うのですけれども、福島県の知事が明確に管理者だということを事実をもって示しておるものに対し、いま申しましたように、この新契約において、今後は甲乙二人で自由にできる、こういう内容のものができ上がっている。これはやはり問題の一つではないか、こういうことでございますので、いまそれに対する取り扱いの今後の方針等もちょっと話がありましたが、この点をさらに明確にするために、もう一度——このような福島県をたなあげにした契約、そういうものが自由に横行してよいのか。そういうことになれば、今度は県側は関係なしに自由に甲乙両者間で協議をして、全部除いてしまいますよ。こういうことを許しておけるのか、ここにひとつ焦点を当てて御答弁を願いたい。
  116. 本田早苗

    ○本田政府委員 今回のものは、たまたま県の計画数値がきまって、それをそのままとったということで、一応県の立ち会いを求めるべき内容があらかじめ計画できまっておった。それをそのままとったという特殊な事情があるわけでございます。したがいまして、今後は、内容についての決定にいろいろ問題がありましょうから、第三者の意見をいれるというような線で指導してまいりたい、こういうふうに思っております。
  117. 唐橋東

    唐橋分科員 大臣、いまお聞きになったように、いわゆる管理者を除いて自由に契約したこの契約に対しては、いま御答弁があったように、やはり問題だと思います。だから、あらためてこういうような形で再検討すべきではないか、こういう考え方の上に立って私は大臣にお聞きするわけでございますが、要は福島県が立ち合いをしていく、こういう条項はやはり入れなければならないと思います。したがって、今後も福島県が立ち会いできるという条項を入れるためには、昨年の九月にできました契約を行政指導によって更新しながら、いまのような性格をはっきりと明示させる契約をできるかどうか。また、そのように行政指導をもってあらためて再契約させることについてお伺いしたい。
  118. 大平正芳

    大平国務大臣 まず、局長のほうから先に答弁させていただきます。
  119. 本田早苗

    ○本田政府委員 今回の契約の取水量の内容につきましては、一応従来決定を見なかったものを、県が工事計画を加算してきめた数字をとったわけでございますから、この数値に関する限りは、私はこれでいいのではないかと思います。
  120. 唐橋東

    唐橋分科員 数値はいいのです。しかし、形態が、いま申しましたように、管理者であるものを全然今度は抜いてしまって、今後そのとおりにやっていくということですから、この基本的な姿勢に対して、行政指導を必要として、私はやはり入れるべきではないのかどうかということなんです。
  121. 本田早苗

    ○本田政府委員 古い契約の第三条は「甲が現在必要とする灌漑雑用水の水量については従来の実績を考慮し且つ福島県立合の上甲乙双方協議の上決定するものとする。」水量の決定でございますが、水量についての数値は、今回の県の計画で明確でございます。それをそのまま両当事者が、意見が一致して、それをサインしようということでございますので、旧契約と今度の契約では、この水量に関する限り、内容としては一致しておるものと思います。
  122. 唐橋東

    唐橋分科員 私の質問が悪いのか、あなたの答弁が悪いのだか……。そこまではわかったのです。そういうものは細則的なものなので、それはいい。しかし、性格が変わってしまったのですよ、この契約は。従来までは福島県がやはり立ち会いをするのだという性格があるのです。今度はその性格が全然ボイコットされているのでしょう。それを私は問題にしているのですよ。少なくとも河川管理者を除いたこういう契約が、やはり河川管理者の立場から、もう一度あらためてこの契約後の検討行政指導でできないかということを聞いているのです。
  123. 本田早苗

    ○本田政府委員 先ほどお答えいたしましたとおりで、水利権の内容について、県が決定のために立ち会うということも、水量の決定のために今後……。
  124. 唐橋東

    唐橋分科員 今後だって、水量決定のために出てくるのでしょう。今度の契約では、立ち会わなくていいのですよ。
  125. 本田早苗

    ○本田政府委員 その場合には、第二条の契約内容が変わるわけでございますから、契約としては新たなる契約になろうと思います。したがいまして、当事者として新しい料金決定について意見が一致しないという場合には、あらためて折衝ということに相なろうと思います。その際県の立ち会いを求めるということは、これはあろうと思います。
  126. 唐橋東

    唐橋分科員 いや、そうでなくて、私は時間が忙しいのでなんですが、国営パイロット計画と非常に重要な関連があるのです。これは昭和十八年の水量なんですよ。命令書が出たときの水量なんです。今度はパイロットでもっともっと水が必要なのです。そういうような布石の上に立ちながら、この条文によれば、水量の決定にも県が立ち会わなくてもいい内容なんです、この新しい契約では。そう理解できませんか。これは前の契約です。その内容を明確にしたから、知事が、県側が立ち会わなかった、こういうのですが、しかし、今度の契約には、県が立ち合わなくていいのですから、両方の合意があれば。問題があればというお答えですが、合意があれば自由に変えられるのですよ。そのときに福島県が立ち会わなくていいのかということなんです。
  127. 本田早苗

    ○本田政府委員 国営パイロット事業が新たに加わって、そのかんがい用水の必要量が新たに加わるということに相なりますと、雄国沼の利用計画というものが変わるわけでございます。これは、発電と水利権と新規の農業計画との合理的な調整をはからねばならないと思います。そのはからねばならない際に、地元県として、県もその内容の決定について十分打ち合わせが必要であろうと思いますし、そうすることを指導いたしたいと思います。
  128. 唐橋東

    唐橋分科員 それでは時間がありませんので、ちょっとだけパイロット計画に触れさせていただきたいのですが、この山ろくには、先ほど申し上げましたように、大規模なパイロット計画が計画されているわけでございます。したがって、雄国川水系からのものと日橋川本流の水系のものからと二つあるわけですが、日橋川からの用水計画は、どのくらい計画されておりますか。
  129. 井元光一

    ○井元説明員 日橋川は、開田目標といたしまして現在は確定しているわけではございませんで、四十四年度に新規の全体の設計をいたすわけでございます。したがいまして、ことし一年をやりますと、はっきりと開田面積の確定をするわけでございます。しかし、現在までに調査はいたしまして、ほぼその見通しはついております。その取水量は——現在の予定では、開田が開拓のほうで二百六十町歩、土地改良のほうで二百十町歩、こういうような見通しで予定を立てているわけであります。これに要する水量といたしましては、最大一・八トンを毎秒予定いたしております。
  130. 唐橋東

    唐橋分科員 その計画の中で、田はどのくらい見込んでおりますか。
  131. 井元光一

    ○井元説明員 いま申し上げましたとおり、開田二百六十町歩と二百十町歩、合わせて四百七十町歩でございます。
  132. 唐橋東

    唐橋分科員 その中で、雄国水系の分はどのくらいですか、わかりますか。
  133. 井元光一

    ○井元説明員 雄国川の水系は、現在の見通しといたしましては、雄国川から利用できる可能量といたしまして、全部で四百四十七万四千トン見込んでおります。私のほうも、いまの計画では、そのうち四百二十六万八千トンを利用しようと考えております。
  134. 唐橋東

    唐橋分科員 それは、おおよその開田面積でその水をやるたんぼに割り当てた場合には、どのくらいのヘクタールになりますか。
  135. 井元光一

    ○井元説明員 これは水の上と下の振りかえによって開田をいたしますと、大体その差額が出てまいるわけであります。十町歩を予定しております。雄国川に振りかえて開田の面積を十町歩ぐらいふやす予定にしております。
  136. 唐橋東

    唐橋分科員 その内容等の検討については、私のほうの資料とずいぶん違いますので、時間もありませんから、この点はあとに譲ります。  要は、やはりこのパイロット計画の中で私は一つ明確にしていただきたいのは、この問題が起きたのは、いままでの堤防が老朽していて、そして漏水がはなはだしかったのです。それを直しておる。六千四百四十万円の工事費で水門と堤防を直したのです。ですから、今度は完全になったのです。完全な操作ができるようになった。完全な操作ができるようになったとたんに、今度雄国パイロット計画で相当水が今度は必要になった。先手を打って今度地元と東京電力が話し合いをして、そして東京電力はこれに伴って四百万の支出をしておりますが、今度地元のほうでは、その金が地元負担の工事費負担に非常にほしかった。こういう点から、いままで非常に大切ないわゆる福島県の立ち会いというようなものを抜きにして、そうして開田計画に水がよけいに取られるのを非常におそれて契約したという疑いが、私にはあるわけでございます。  したがって、私の最後の質問は、農林省側からは、この雄国開拓計画を立てる場合に、あの雄国沼の水を最大限に使う計画を変えないのか、こういうことをお聞きしたいわけです。というのは、日橋川から上げれば、時間がないから省略いたしますが、減電補償といって、私の計算だけで二千万円以上の補償金を必要とする水になってくる。雄国沼の水は減電補償を要しない。旧来の慣行水利による水なんです。こういう二つの点を考えますと、雄国沼パイロット計画を立てるのに、この水量を最大限に使う計画を持って立てる態度であるかどうかということをお伺いしたいのであります。
  137. 井元光一

    ○井元説明員 先ほど申し上げましたとおり、もう一年今後計画があることですから、はっきりしたことはいま申し上げられませんけれども、水のないときに、先生の御意見はありがたいことであります。そして常識というものがございますけれども、ある程度の超過はやむを得ないと思います。少しばかりの出っぱり等がありましても、通産省あるいは電力会社にできるだけ誠意をもって話し合いをしていただいてまいりたいと考えております。
  138. 唐橋東

    唐橋分科員 最後に通産省と建設省のほうに……。  大臣は、あの地方にもしばしばおいでになっておわかりと思いますが、喜多方市内という非常に大規模の開田が計画されております。そして水が非常にいままで重要な問題になってきている。その場合に、この水量をあの命令書で現在まで規定されております。これは建設省の関係だと思います。それは昭和十八年の計画であって、しかも町歩から申しますと、昭和十八年の計画は百七十九ヘクタールなんです。その後の開田その他に応じますときには、この命令書自体、やはり根本的に検討すべき時期にきておる、こういう考え方がありますので、ひとつ建設省と通産省のほうで、この命令書を再検討していただけるかどうか、このことをお伺いしたいわけでございます。
  139. 本田早苗

    ○本田政府委員 私のほうで命令書の内容については実はつまびらかにしておりませんが、国営パイロット事業の雄国沼の利用の具体的な計画が固まりますれば、その内容につきまして、国営パイロット事業の当事者、東京電力並びに地元の代表、それに関係の各省よく連絡をして検討いたしたいというふうに考えております。
  140. 唐橋東

    唐橋分科員 終わります。
  141. 植木庚子郎

    植木主査 次に山口鶴男君。
  142. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣にお尋ねしたいと思いますが、現在、経済企画庁におきまして、新全国総合開発計画を立案しておられます。すでに第三次案、また四次案という形で案がまとまってきつつありまして、三月末には一応閣議決定をする予定だと聞いております。実は私は、地方行政委員会が私の所属委員会でありますが、過疎過密の問題と取り組んでおります。そして前の経済企画庁長官でありました宮澤さんに委員会にも来ていただきまして、過密、わけても過疎の問題についていろいろ論議をいたしたわけであります。過疎対策はたいへん困難な、しかも総合的な問題であると思っておりますけれども、まず一つは、生活環境を整備していくということが基本だと思います。同時にやはり雇用の安定といいますか、結局過疎地域における居住者の人たちの所得を確保するということが、やはり過疎対策の重要なかぎではないかと私は思っているわけであります。宮澤前長官もそのことが一番むずかしいのだということを言っておられましたが、通産大臣といたしまして、過疎地域における雇用の安定と申しますか、また過疎地域に住んでおられる人たちの所得の確保という点につきまして、どのようなお考え方がありますか、まず承りたいのであります。
  143. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおり、過疎対策の問題といたしまして、過疎地域の住民の雇用並びに所得が相当な厚みにおいて確保されてこなければいけないと思いますし、そのためには、今度の新総合開発計画が指向いたしておりますように、交通、通信網が張りめぐらされまして、その地域の資源が活用され、そこに雇用の機会が生まれるようなぐあいに政策が推進されなければいけないのではないか、そう考えます。
  144. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 たいへんいい御答弁をいただいたと思っております。いま全国四十六都道府県で、人口が急激に減少しております県は、第一が島根、第二が佐賀県だと聞いております。やはり石炭産業の斜陽化によって佐賀県が非常に人口が減っている。そういう面では、私ども石炭対策につきましてもこれを十分真剣に取り組むことが一つの過疎対策ではないかと思っておるわけでありますが、そういう意味で、いま地域の資源を活用して、そして過疎地域の雇用の安定と申しますか、所得水準の確保をするということが、一つの重要な柱だ、こう言われたことは、私は非常にけっこうだと思うのです。  そこで、実は、硫黄対策の問題について質問をいたしたいのでありますが、御案内のように、公害基本法が制定をされ、騒音防止法と並んで、実施法であります大気汚染防止法がすでにつくられました。現在工業地帯における亜硫酸ガスをいかにして除去していくかということは、国家的な見地から最も重要な問題になっております。  ところで、わが国輸入いたします石油の多くが中近東の石油でありますがために、中近東の石油が一番硫黄、サルファ分が多い。したがって、亜硫酸ガスの害もはなはだしかったということだろうと思いますが、結局、この公害防止の一環といたしまして、いま各地におきまして石油精製業者が脱硫装置をつけつつあるわけですね。これを私は徹底して進めることがやはり必要だと思うのでありますが、これがために硫黄の需給関係に大きな激変が出てまいりまして、通産省が出しておられます統計によりましても、昭和四十三年においては、鉱山硫黄が二十五万トン、これに対して回収硫黄が十万七千トン、これが昭和四十五年になりますと、鉱山硫黄の見通しが三十一万トンに対しまして、回収硫黄が実に五十万七千トンと、回収硫黄のほうがはるかに鉱山硫黄を上回る。しかも需要につきましては、おおむね三十数万トン程度国内の需要でありますから、したがいまして、どうしても回収硫黄が出てくれば出てくるほどこの硫黄の需給関係に大きな変動が参りまして、いわば供給過剰という現象が起きている。現にまだ十万トン程度の回収硫黄が出ておる段階において、すでに鉱山硫黄が大きく値くずれをいたしております。トン当たり二万四、五千円いたしましたものが、現在二万円を割る、こういうような状況であります。こういう中で、松尾鉱山が会社更生法の適用に踏み切らざるを得ぬというような非常な事態が起きたわけであります。  一面、私は国家的見地から公害防止はきわめて重要である。これは徹底してやらなければいかぬ。しかし、これによって、この松尾にいたしましても——あるいは私は群馬でありますが、群馬に五山ございます。当該地域を見ますと、あの松尾鉱山が当該の自治体の税収のうち七〇%をこえて実は税を負担しておる。群馬の嬬恋という村では、これまた四〇%をこえる税を、いわば鉱山が持っておるわけであります。そうなりますと、いずれもこれは過疎地域でありますが、この回収硫黄のために鉱山硫黄がつぶれるということがもしあるとするならば、これはまさに過疎地域の資源を活用する、過疎地域の住民の所得水準を確保するということとは、全く相反する結果が出てくることになるわけであります。当然、私どもといたしましては、この鉱山硫黄保護に対して通産省は真剣に取り組むべきであると思うのでありますが、大臣のお考えをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  145. 大平正芳

    大平国務大臣 回収硫黄がだんだんと増してくる趨勢によりまして、需給が非常に緩慢になり、また過剰になってまいってという御指摘、そのとおりでございまして、私どももこの関係を非常に憂慮しまして、対策をいろいろ考えておるのでございますが、基本的には、鉱山硫黄について衰亡のまま放置しておこうというような考えはございませんで、硫黄対策の一つの柱は、どうしても鉱山の合理化を進めなければいかぬ。  それから第二の柱は、いま方々で市場調査をやっておりますけれども、小売り市場を開拓いたしまして、回収硫黄を含めて安定した輸出が可能になるような方途を講じなければならぬ。  第三の問題は、鉱山硫黄業者と、それから回収硫黄を出しまする石油精製業者との間で、これは利害が対立するわけでございますから、それをどう調整するかという問題、そういった問題に焦点を合わして、いまいろいろ苦吟をいたしておるところです。
  146. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 いろいろ鉱山硫黄を保護するために苦慮しておられるということであります。御努力を大いに多としたいと思いますが、そこで、石油精製会社に対して、この公害防止という見地から、脱硫装置につきましては財投のほうから相当資金の手当もいたしておるようでありますし、また税金の面につきましても、法人税におきましては、特例措置である程度の軽減をするとか、あるいは固定資産税、電気ガス税等、地方税につきましてもやはり相当な税制上の恩典を与えておるのじゃないかと思うのです。大体この回収装置に対して、税金の面でどの程度の減税をやっており、また施設に対する財投の面でどの程度資金援助をやっておられますか、一応の概略でけっこうですが、数字ありますか。
  147. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 たいへん恐縮でございますが、ただいま手元に資料を持っておりませんので、後ほど取り寄せてお答えいたしたいと思いますが、財投は三十五億程度だったと思っております。
  148. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 確かに鉱山硫黄とその石油精製会社の利害というものは、ある程度相対立する面がある。結局、石油精製会社とすれば、新たに国内の販路を開拓するわけでありますから、回収硫黄というのは値段があってないようなものでありますから、幾らで売るか、いわば幾らでも価格を下げて売ることが可能だろうと思うんですね。しかし、考えてみれば、国が公害防止という国家的な見地から、相当財投の面では援助をし、税制の面からも優遇しておるということになれば、私はある程度この石油精製会社が出しますところの硫黄というものについては、サルファについては規制というものをやっても決して理屈がないということはないと思うんですね。そこで、私どもといたしましては、国会に硫黄安定法を提案いたしまして、一手買い取り機関をつくりまして、鉱山硫黄も回収硫黄も一手買い取り機関で買い取る。そして大臣も言われたように、輸出の面におきまして販路の開拓をして、できる限り回収硫黄は輸出に回していくということが、鉱山硫黄を保護する道であるというふうに考えておるわけでありますが、どうも通産省のほうは輸出組合でありますとかいうものをお考えになっておるようですね。しかし、現にこの硫黄会社が、あまり数がない中で、なかなか足並みがそろわぬというのが現状であります。しかも石油精製会社というのは非常に巨大な資本でありまして、鉱山硫黄はそういう意味では小さな中小企業であります。こういうものを輸出組合というようなゆるいもので調整をしようといいましても、私は現実には無理じゃないかという感じがするわけであります。この点はどうですか。
  149. 大平正芳

    大平国務大臣 あなたのほうの政党で法案を御用意されておるということをけさも聞いたわけですけれども、私は、鉱山石炭局で硫黄もやっておりますし、石油もやっておるわけでございますから、まあわれわれの行政の中でいま言ったような問題の調整がきかぬものでもあるまいと思っていますが、法律の手をかりるほどの問題でもないのではないかと考えておりますが、せっかく御提案になりましたら、いろいろ御審議に相なると思いますけれども、なるべく行政で問題を始末するのがいいことではないかと思っております。
  150. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 行政指導で鉱山硫黄が十分立っていけるような状態ならけっこうだと思うのですが、しかし、現に松尾鉱山がどうしてああいう危機に直面をしたのか。通産省がいろいろ指導をされて、特に開銀融資を背景にした行政指導として、露天掘りでありますとか、機械製錬の採用などを進めたわけですね。ところが、現実にはこの機械製錬の装置が思うように働かぬ、かえって効率が悪いというようなことで、一つの障害もございました。それでは露天掘りがほんとうにコストを引き下げるのに役立ったかといえば、必ずしもそうではない。せっかく通産省として今日まで松尾に対して指導してやってこられたのが、大いに成果をあげておれば、大臣、いまのおことばでもいいと思うのですけれども、現実この松尾については、通産省の行政指導というものは、率直に言えば、失敗をした、こういうことだろうと思うのですが、どうですか。
  151. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 松尾鉱業の諸般の合理化施策というものは必ずしもうまくいかなかったということは、御指摘のとおりでございます。その問題はおそらく二つの理由があるのでございまして、一つは製錬法に新しいものを採用したのですけれども技術的にうまくこなすだけの力を持っていなかったという点がございます。それから露天の構想は、私は間違いではなかったと思っておりますが、これも松尾鉱業の資金力がこの大構想を生かすだけの力に乏しくて、息切れをしてきたというところが二つでございます。もう一つ、今度は客観情勢等をにらみ合わせて考えますと、実はいま御指摘の輸出に向かっての施策の遂行ということが、回収硫黄の進出のしかたが少し早かったために、輸出への努力が一テンポおくれた、こういう感じでございまして、これはまさにタイミングの判断については私ども反省しなければならぬところがあろうかと思っておりますが、実際問題として、輸出を軌道に乗せるということができ、せっかく松尾鉱業のほうも更生法によりまして更生手続を本年内に練り直そう、これにはいままでの技術的な欠陥というものにつきましても、それぞれ専門家協力を、全鉱山業界として人的に協力してもらえるという情勢も出てまいっておりますので、会社の内部的な問題客観情勢上のテンポのおくれ等を反省した上で努力を積み重ねてまいりますならば、輸出への可能性というものによって、山硫黄側の建て直しということは、必ずしも私は見込みがないわけではない、かように考えております。
  152. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 諸外国の例を調べてみましたら、これから日本が国外に硫黄を売ろうとする場合、最初東南アジア、オーストラリアですね、こういう地域相当硫黄を輸入しておりますし、また東南アジアは人口が急激にふえつつあるわけでありますから、当然食糧を多量にどんどんと必要とする。そうした場合に、この硫黄は、肥料であります硫安の主要な原料でありますから、そういう意味では今後東南アジアあるいはオーストラリアに対する輸出の可能性というものは、相当あると思うのです。そうした場合に、相手側のインド、オーストラリア、これは輸入するほうでありますが、私どもが主張しているような一手に輸入をする機関というのができておるのですね。それからイタリアにおきましては、国内でちょうどわが党が主張しているような一手買い取り機関が、すでに現に存在しているということであります。したがいまして、行政指導ということにのみこだわらぬで、日本がこれから輸出しようとする相手国も、一手買い取り機関をつくっておる、またイタリア等においてもすでにそういう機関が存続をしているということを十分御検討をいただいて、そうしてわが党の考え方についても十分ひとつ賛意を表していただきたい。要望をいたしておきたいと思います。  さて、そこでお尋ねしたいのは、石油精製会社が硫黄を回収いたしますが、その回収硫黄のコストはおよそどのくらいになるという計算は、やっておられますか。
  153. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 原油から石油製品を最終的につくり出しますまでに必要な費用というものはわかるわけでございますが、実は連産品でございまして、軽いものから重いものまでずらっと一連のものが出てまいるということで、実は石油製品の価格体系というものが非常にきめがたい問題のある商品でございます。製品価格自体がそうであります上に、いまの脱硫費用というものを考えますと、これは脱硫装置そのもののコストで考えますれば、ほとんど脱硫のない状態での精製とほぼひとしいくらいの投資額が要るということでございますので、これは考え方の問題でございますけれども、脱硫のための投資を回収硫黄で回復するんだということにいたしますと、全石油製品の価格に匹敵するようなものをとらなければならない。しかし、これは商品とするために必要な費用なんだ、こう考えれば、それぞれの製品に割りかけていけばよろしいもので、その脱硫費用が幾らということは、なかなか定めがたいのだと思います。
  154. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 脱硫いたしました石油につきましては、一%サルファ分を抜きますとキロリットル当たりで五百円ほど高くなっているというふうに聞いているわけでありますが、脱硫いたしました石油製品の価格は、現状はどういう形になっておりますか。
  155. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 最近のところでは、ハイサルファ重油とローサルファ重油というものの価格差は、的確などの辺が適正であるかということはまだなかなかきめがたい状態になっておりますけれども、大さっぱに申しまして一%——ちょっと大事な数字でございますので、いま双方で相当高い数字と低い数字を申しておるような状況がございますので、上限、下限でひとつお答えできますようにちょっと連絡をとってみます。
  156. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 先ほどのお答えは来ましたか。
  157. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 税のほうは、まだどれだけの減税効果になるかは計算をしておるようでございます。  先ほどの財投額といたしましては、産業公害ワク四十億円のうち、約三十五億円というものを脱硫投資のための融資財源にしたいと考えております。これは御承知かと思いますが、特別金利に相なっております。
  158. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それではあとでけっこうですから、資料をいただきたいと思います。  ともあれ、冒頭申し上げたように、過疎対策の一環としましても、こういった松尾なりあるいは群馬の五山なり、こういうものがかりに閉山になるということになれば、地域経済に与える影響も非常に大きい。大臣行政措置ということでありますが、ともあれ鉱山硫黄の保護に対しては万全を期していきたい、こういうお話でありますから、そういった過疎対策の見地から、ぜひとも通産省として、確かに小さな企業ではありますけれども、十分な配慮をいただくようにお願いをいたしたいと思うわけです。  それで、時間もありませんから最後にお尋ねしたいのですが、群馬の硫黄鉱山を取り巻く一つの悪い条件がございます。それは何かといいますと、この鉱山硫黄は山間地にあるわけですから、どうしても輸送コストが相当高いわけです。そればかりでなしに、群馬の五山のまわりには有料道路が非常に多いわけです。それも道路公団による有料道路というのではなくて、国土計画興業株式会社というような民間の会社が経営しております有料道路というのが非常に多いのであります。そのために、どうしても道路を交通いたします料金というものがコストの上に乗っかってくる、こういう条件があります。ところが、問題は当該地域の国土計画興業が経営しております有料道路は、かつて通産省が補助金を出しました産業道路をそのまま使っておるのであります。産業道路は、通産省が三分の二自治体に補助を出しまして、三分の一は鉱山等受益者に持たせまして、当該自治体が道路を建設するというたてまえだと承知をいたしておるわけでありますが、そういったせっかく通産省が産業奨励の上から補助金まで出しました道路が、いつの間にか有料道路になっているというようなことは、だれが考えても私は非常に不合理だと思うのです。現実の問題は、あるいはあとでお調べいただいてもけっこうでありますし、またあとでお答えをいただいてもけっこうでありますが、こういった点については、このために補助金を出しました通産省としても、ぜひとも調査をいただいて、そういったおかしなことが鉱山硫黄のコストをさらに高めておる、輸送コストを高めておるというようなことのない状態をつくるために、ひとつ御努力をいただきたいと思うのです。
  159. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 私のほうで調べましたところをお答えいたしておきますが、群馬県の五つの硫黄鉱山が存在をしております地域に通ずる道路で白根鉱山の道路、これは町道でございますが、これと北海道硫黄株式会社の小串鉱山の老の倉−毛無線、これは村道でございます。それから小俣−小串線、これも村道でございます。それから草津鉱山の草津−嬬恋線、これも村道でございますが、この四つの道路に対しまして昭和二十七年度から四十年度までの間に、産業道路といたしまして建設省所管の公共事業費から補助金が交付されております。これらの道路は、現在も町村道として無料で使われており、硫黄等の輸送に寄与しておるのでございます。  なおこの地域には、日本道路公団、それからいまおっしゃったのはこれかと思うのでございますが、西武鉄道と長野電鉄が敷設した有料道路というものがございますけれども、これらはいずれも補助金の交付道路ではないというふうに私ども承知しております。
  160. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 とにかくその地域の実情をひとつ検討をいただきまして、いま私が指摘したようなことがもしあるとすれば遺憾でありますから、輸送コスト軽減のために十分御努力をいただくようにお願いをいたしておきます。終わります。
  161. 植木庚子郎

    植木主査 次は、山田太郎君。
  162. 山田太郎

    山田(太)分科員 私は、昨日同僚議員から大型合併についての質疑を申し上げておりますが、数点について納得いきかねる点もありますので、まず、富士製鉄・八幡製鉄の合併問題について数点お伺いしたいと思います。ちょうど山田公正取引委員長が委員会があるとかで出席できないのは非常に残念でございますが、しかし、通産大臣がいらっしゃいますし、同時に局長のかわっての答弁をお願いしておきます。  そこで、まず通産大臣産業政策の立場から、このたび取りさたされております両製鉄所の合併について、近代経済学者といわれる方々や、あるいは昨日の新聞の報道によりますと「公取委結論の全容」ということで報道されております。その新聞の報道はそのままだとはここでは申し上げかねるわけではございますが、この点について大臣の御見解をまずお伺いしておきたいと思います。
  163. 大平正芳

    大平国務大臣 私ども産業政策は、経済秩序の基本的な法律でございます独占禁止法のワク内で遂行されておるわけでございまして、合併ばかりでなく、分離もございまするし、協同化とか協業化とかいろいろ体制整備をやっておるわけでございます。そこで、合併も体制整備の一つの手段であるわけでございますが、これは独占禁止法に抵触しない範囲内におきまして、合併ということが行なわれて、体質が改善強化されるということは、望ましいことであると私は考えております。具体的に独占禁止法に触れるか触れないかの判断は、公正取引委員会が厳正に行なわれるわけでございまして、私どもの権限でないわけでございます。  それから世上でいろいろこの合併につきましての論評が行なわれておるようでございますけれども、これはそれぞれの人のお考え方があるのでございましょうから、それを一々論評する必要もないのではないかと私は考えております。
  164. 山田太郎

    山田(太)分科員 その企業の、あるいはその産業の体質が強化されることは、望ましいことでありましょう。しかし、大臣として、消費者を守る行政も非常に大切なことと思います。その点についてはあとでお伺いいたしますとして、次には公正取引委員会のほうにお伺いするわけでございますが、このたびの合併問題について、昨日の新聞報道はごらんになっていますか、どうですか、その点をまず一言聞いておきたいと思います。
  165. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 昨日の日刊紙は私おおむね見ておるつもりでございますが、ただいま御質問の記事がどの点でございますか、お知らせ願えればと思います。
  166. 山田太郎

    山田(太)分科員 まずその点をお伺いしておきまして、報ぜられるところによりますと、「予想以上の厳しさ」という表題で出ております。しかし、公正取引委員会の性格といたしまして、まず独禁法第一条の性格が非常に大切な要素を持っております。したがって、いわゆる消費者の立場に立った考え方も当然なければならないことと思います。  そこで、具体的な面はあとに置きまして、競争を制限する場合は、当然独禁法が適用されるわけでございます。この独禁法の第十五条ですか、昭和二十四年に改正されたと思いますが、この点が改正される前は、そのおそれのある場合となっておったと思います。正確なことばはともかくとして、その内容が……。それが改正されてからは、その事実ができたとき、競争を制限する事態が起きたときに初めてそれを適用し得るような文章になっておると思います。したがって、法規論で恐縮ではございますが、独禁法のたてまえからいうと、これがある意味において逆行したのじゃないか、そういう懸念があるわけですが、その点についてはどうでしょうか。
  167. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 独占禁止法の第十五条につきましては、ただいま御指摘をいただきましたように、昭和二十四年に改正が行なわれまして、現在のことばになっておる次第でございます。
  168. 山田太郎

    山田(太)分科員 それをはっきり言ってみてください。
  169. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 現在のことばを申し上げますと、第十五条の一項一号というのがございまして、そこで「当該合併によって一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」合併をしてはならないという規定になっておるわけでございます。これが初めの独占禁止法におきましては「こととなる虞がある場合」というような字句が使われておったかと思います。この点の解釈につきましては、見る人によって若干解釈の方法に違いがあるようでございますけれども、現在の委員会といたしましては、「こととなる虞がある場合」というのは、ある程度そういう可能性を示しておるものである。それから現在のことばは、蓋然性と申しますか、経済合理的に考えまして、ある程度そういうこととなるはっきりした見通しがある場合というふうに解釈をいたしておるわけでございます。
  170. 山田太郎

    山田(太)分科員 いまの答弁には、どちらにしてもさして差がないように受け取れるのですが、どうですか。
  171. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 相当差があるという意味で、可能性ということばと蓋然性ということばを使い分けておるわけでございます。
  172. 山田太郎

    山田(太)分科員 大事なことですから、その蓋然性というのを、どういう意味か、はっきり言うてください、これからの論議を進める上において大切ですから。
  173. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 経済合理的に考えますと、競争を制限することとなる見通し相当はっきりしておるというような事態を、蓋然性ということばで表現しておるわけでございます。
  174. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、見通しがはっきりする、それからおそれがある、ここに改正前と差があるわけですね。この点については、世上一般の解釈も、公取の性格と逆行したものであるという判断が世上ではうわさされております。しかし、その点を問題にしておれば前に進みませんから、次に移らしてもらいます。  そこで、競争制限が消費者に被害を及ぼすおそれのある場合も、当然予想されるわけです。そこで新聞の報道でございますけれども、ブリキについては、「1 八幡製鉄が株式を持っている東洋鋼鉄が使うホット・コイルのほとんどは八幡、富士両社が提供しており、新しい提供者は期待できない。2 日本鋼管も現状では、生産能力その他からみて、有力な競争者とは思えない。3 川崎製鉄が最近設立した千葉製缶は「新規参入者」としての有効性について確認できない。4 大和製缶は八幡製鉄が過半数の株式を持ち、両者が合併後も、合併会社に全面的に依存しなければならず、その支配力に留意すべきである。」と述べてあります。この点について、これは新聞の報道ですから、あらためて公正取引委員会としてはどういう見解を持っていらっしゃるか、お伺いしておきます。
  175. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 ただいま御指摘の記事は、東京都内におきましては昨日の夕刊、それからその他の地区におきましてはけさの朝刊に出ておりました朝日新聞の記事であろうかと存じます。  今回の二十四日に公正取引委員会が会社側に通告いたしました、競争制限になると申しますか、十五条に抵触するおそれのある品目が三つほどございますが、その中に特にただいま御指摘の食かん用ブリキがあるわけでございます。その点は間違いございません。ただ、二十四日に会社側に公正取引委員会といたしまして通告いたしました事項は、昨年の夏以来会社側と内相談というかっこうで相談してまいっております事項につきまして、その内相談に対する行政的な回答という意味でいたしたものでございます。会社側として任意に提供いたしました秘密資料、その他関係業界から好意をもって提供いたしました資料をもとにして、私どもそういった意味で回答をいたしたものでございます。朝日新聞の記事が正確かどうかという点につきましては、現段階におきまして、私といたしましては何とも申し上げかねる次第でございます。
  176. 山田太郎

    山田(太)分科員 というのは、蓋然性を認められる可能性があるということでありますか。
  177. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 ただいま申しましたような前提のもとに私ども検討いたしました結果、食かん用ブリキにつきましては、やはり十五条に抵触するおそれがあるという結論でございました。
  178. 山田太郎

    山田(太)分科員 なぜこのようなことをお伺いするかといいますと、国民生活に非常な大きな影響があります。次に申し上げたいことも、中小企業に非常に大きな影響を与えていきます。もちろん、通産大臣としても中小企業者を守る意欲は、非常に大きなお気持ちを持っていらっしゃると思います。ただ、大企業はとてもいいという意味ではありません。しかし、中小企業の従業員の数からいっても、あるいは事業数からいっても、これは国民に大きな影響を及ぼすことでございます。したがって、次の鋳物用の銑鉄にいたしましても、これはことに中小企業の方々に非常な影響を与える部門でございます。もしこれが寡占体制ができたならば、いわゆる世上で言う管理価格のおそれなきにしもあらずということは、これは想像されることでございます。その点について、いま二品目だけ申し上げました。もし合併が成功した場合、中小企業に与える影響は、すなわち根本は、値上がりしない保証がどこにあるだろうかということを懸念するわけです。その点について、産業行政立場から通産大臣の御答弁をお願いいたします。
  179. 大平正芳

    大平国務大臣 過去十年ばかりずっと見てまいりまして、鋼材というのは、ほかの物の値上がりにかかわらず、比較的低位に価格が押えられてきておったと思います。これはやはり鉄鋼業界において、たくましい競争が行なわれ、設備の改善が行なわれ、生産性が上がっていって、そこの従業員の給料が上がったりいろいろいたしましても、十分吸収して、最終商品に転嫁しないで済んだ結果だと思っております。それで、今後合併によりましてどういうことになるかという、そのことがまさに公正取引委員会が独禁法十五条に照らして具体に即して御判断されておるところだと思うのでございまして、そういうことがなければ別に問題はないはずでございますが、実質的に競争を制限することになるかどうかという点について、公正取引委員会判断されておるわけでございます。それで、私がいま承ったところによると、公取の判断は、いまあなたが指摘された品目については問題があるという御指摘でございますから、それに応じて、会社側といたしましては、その問題点を十分解明できるのかできないのか、それがこれからの問題であると思っております。
  180. 山田太郎

    山田(太)分科員 大臣もおっしゃったように、過去十数年これは激烈な競争があった。ところが、これが合併をしたならば、激烈な競争があるというふうに認められないというふうな可能性があるわけですから、この点については、通産大臣もとくと御承知おき願っておきたいと思います。  したがって、次にはもう一度公取の方にお伺いしますが、もしもこの合併が成功したようなことがあったならば、やはり他産業にも非常に波及していくおそれがあるといわれておりますし、またその実情にあります。したがって、これが消費者の立場から、すなわち国民生活にもしも物価の値上げになるようなそういう影響を与えていくならば、これはゆゆしいことだと思います。したがって、この両社の合併に問題点とされておる項目が三つ四つとありますが、これが是正されたならばそれを認める、そういう御意向があるかどうか、その点について伺っておきます。
  181. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 両社の合併につきましては、現在のところまだ正式の届け出はない段階になっております。ただ、事前相談の問題といたしまして、これを検討いたしました結果、三つの品目についてはやはり十五条に抵触するおそれがあるという結論に達したわけでございますので、少なくともこの点について適当な対応策がとられるのでなければ、本件合併は認められないという、そういう考え方でございます。
  182. 山田太郎

    山田(太)分科員 逆説的にいえば、それが対応策がとられるならば認められる可能性があるということでございますか。
  183. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 もし指摘いたしました点につきまして、適切な対応策がとられて、成規の届け出が行なわれますれば、それから独禁法に基づく与えられた期間の間に本件合併について成規の検討をいたしました結果、その結論はきまるわけでございます。
  184. 山田太郎

    山田(太)分科員 成規の結論がきまるのでと、ごまかされたようでございますが、はっきり言えないわけですか。まだその段階でないと言いたいことと思います。
  185. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 成規成規の届け出がございますと、本件程度の大きな合併案件につきましては、公聴会を開いて意見を聞きますとか、その他所要の手続のもとに検討いたすことになると思いますが、現段階におきまして、その結論について、はっきりいずれかということは申し上げかねます。
  186. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、この事前相談ということが、やはり一つの大きなポイントになるかと思います。そこで、このたびも、事前相談によって一応の回答を与えられておる。しかし、それは公取としての調査は、もちろん四十六条はまだ適用できないかもしれぬ。あるいはいまだって適用できるかもしれぬ。すなわち、どのような調査をしたかということを、私の仄聞するところによると、ほんとうの調査でなしに、ただ一人か二人かが見学の程度で行っただけである。ほんとうの調査がされているならば、いつどのような調査をしたということを明示してもらいたい。
  187. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 合併につきましては、最近におきましては年間一千件程度の合併案件がございます。その合併案件の軽重に応じまして、また、独占禁止法に抵触するかどうかという問題の大きさによりまして、それぞれ深さの違った調査をいたしておるわけでございますけれども、今回の八幡製鉄及び富士製鉄の合併についての調査の分量から申しますと、私の知る限りでは、おそらく過去においてこれだけの調査の手数と日数を使っての調査はなかったというふうに、私は考えております。
  188. 山田太郎

    山田(太)分科員 私の聞いているのは、八幡と富士の提出する書類によっての調査であって、実際現地に、強制調査まで行っていないでしょう。しかし、真の調査というのはなされたか。ただ提出された書類によっての調査が九九・九といってもよいほどだったと聞いておりますが、どうですか。
  189. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 今回の調査は、会社側が任意に提出した資料に基づく調査でございます。
  190. 山田太郎

    山田(太)分科員 まだ真の調査とはいえないといってもいい結論が出たと思います。したがって、この三点が改正されたからといっても、事実によっての審査というものをあくまでも公正にやっていただかなくては、それは国民は納得するわけにはいかないと思いますから、その点を特に要望しておきたいと思いますが、どうですか。
  191. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 成規の届け出の手続がございますれば、独禁法に基づく手続に従って結論を出すことになると思います。
  192. 山田太郎

    山田(太)分科員 通産大臣のその点についての御見解を一言お伺いしておきます。
  193. 大平正芳

    大平国務大臣 これは公正取引委員会のほうのお仕事でございまして、私からとやかく申し上げるべきものではございません。
  194. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、時間ももうないようですが、アメリカの場合は、被害者が裁判に訴える権利を保有しております。ところが、わが国の場合は、公取が一応その判断を下さない以上はそれをやることができない、そういう状態にあると聞いておりますが、その点はどうでしょうか。そうしてそれを改正する意思があるかないか。ここで即答はできないかもしれませんが、検討する必要はあるだろうかないだろうか。
  195. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 わが国におきましても、独占禁止法の中に四十五条という規定がございます。したがいまして、第三者から問題があるということで指摘がございますれば、公正取引委員会としてこれを取り上げることはあり得るわけでございます。
  196. 山田太郎

    山田(太)分科員 私の言ったのは、直接裁判所へ訴えるという問題です。その点は、公取の答弁なさる段階でないかもしれません。だから、この問題はおいておきますが、あくまでもこのたびの合併問題は次々と将来に波及するおそれが多分にありますし、公取の結果いかんによっては国民生活に非常に多大の影響を与えます。ただ単に国際的な競争力を持つという目的から離れて、国民生活に多大のマイナスの影響を与えるおそれがあるという点から、その点を心配するわけですが、もう一応公取の決意のほどをおっしゃっていただきたいと思います。
  197. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 公正取引委員会といたしましては、従来におきましても、厳正な態度でこの審査にあたりまして、事前相談に応じてまいった次第でございますけれども、今後これが成規の手続に移りました場合も、引き続き厳正な態度で臨んでいきたいというふうに考えております。
  198. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、最後に通産大臣にお伺いしたいと思います。  論点を次に移さしていただきますが、資本自由化ですね、やはり同じく消費者を守るという立場と中小企業者を守るという立場から、資本自由化においては非常に慎重に通産大臣も処置されてきたことは、承知しております。そこで、いま一番問題になっておりますのは、自動車の自由化でございます。この自動車の自由化について、産業行政を担当する通産大臣としての御見解と、もう一つは、第三次からは中小企業あるいは流通部門が非常にふえてくるということを聞いております。またそれは当然のことと思います。第三次、第四次と、それについての中小業者をどうして守っていくか。いま近代化促進法の一部改正の法案が出ておりますが、しかし、それによってほんとうに中小業者を守っていく自信があるのかどうか。その点を、もう時間がなくなりましたから、御答弁だけを誠意のある御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  199. 大平正芳

    大平国務大臣 好むと好まざるにかかわらず、経済がああいうふうに国際化してまいりました今日、わが国が孤立した立場におられませんので、輸入並びに資本の面におきまして自由化を進めてまいるという基本の方針政府は対処いたしておるわけでございます。もとより、いま御指摘のように、わが国は中小企業部門等低生産性部門を幅広くかかえておりますので、そしてその比重が非常に重いわけでございまするから、それに急激な衝撃を与えるようなことのないように十分配慮してまいらなければならないことは、当然だと心得ております。  それから自動車の問題につきましては、御案内のように、輸入自由化の面でエンジンの自由化というものがいま進行中でございます。私どもは、一応それの目安をつけた上で資本自由化という問題と取り組んでみたいと思っておるわけでございまして、検討を怠らずにおるつもりでございます。いま第三次の自由化に第四次の自由化というものをスケジュールとして考えておるわけでございますが、どのタイミングにおいて、どういう姿において自動車の資本自由化を乗せるか、そういう点につきましては、まだ決定いたしておりません。
  200. 山田太郎

    山田(太)分科員 終わります。
  201. 植木庚子郎

    植木主査 次は、玉置一徳君。
  202. 玉置一徳

    玉置分科員 石炭政策につきまして、若干の質問を試みたいと思います。  そこで、かねて昭和四十年でしたか、三十九年でしたか、石炭山の再建の大問題が起こりましてから、鋭意これの再建のために努力はしてこられたわけでありますが、今回また八百八十億円の肩がわり、今後五カ年間、四千億円という巨額の投資をせざるを得ないような危機におちいってきた。これは前にやられましたときの政府の施策の見通しの誤りであったかどうか、どういう点に見通しの誤りがあったのか、お答えをいただきたいと思います。
  203. 大平正芳

    大平国務大臣 第一次、第二次、第三次といままでやってまいったわけでございますが、政府が想定いたしました、生産性を年次別にこの程度に持っていこう、あるいは従業員の給与水準はこの程度という見当をつけてやってまいったわけでございますが、生産性は最近ややにぶってきておりますけれども、だいぶん上昇を見たわけでございますが、賃金水準のほうは、当初予想しておったぐあいにいきませんで、それよりもよけいにかかるようになったというような内部の事情がございます。それから外部事情といたしましては、競合エネルギー、とりわけ石油の値段が下押しでございまして、石炭鉱業の客観的な環境が、政府が予想しておったようなぐあいにまいらなかったということでございまして、今度はそういう点をいろいろ反省いたしまして、今度の第四次の案を考えたわけでございます。
  204. 玉置一徳

    玉置分科員 そこで今回再び八百八十億円の肩がわりをいたしまして、なお相当な金額を毎年これは継続してやるわけであります。五年向こうにいきまして、三千五百万トンを採算に合うように掘り尽くすだけの、確保し得るだけの政府に自信がおありかどうか、また五年向こうにいって再び同じような手を講じざるを得ないようなことがないかどうか、自信のほどをひとつお答えいただきたいと思います。
  205. 大平正芳

    大平国務大臣 それはまずお断わりを申し上げておきたいのですが、第四次の今度の石炭政策の根本は、政府があらかじめ三千五百万トンなり六百万トンという出炭目標というようなものをきめるということをやめたわけです。政府がきめたことは、最大限こういう方法で、これだけの金は固有のエネルギー資源維持のために、また雇用の維持のために、地域社会のために、出す決意をする。それを受けとめて、石炭産業の労使の決意を促して、そしてそれを跳躍台にしてどれだけ確保できるか、ひとつ最大限度がんばっていただきたいという方針で今度臨んでおるわけでございますから、正確に申しますと、企業側の努力にまつ。政府は最大限度ここまでする、あとはあなた方の努力次第ですよというような仕組みで今度の施策を考えておるわけでございます。
  206. 玉置一徳

    玉置分科員 大臣の答弁からいたしますと、これだけの手を打ってあげるかわりに、企業努力というのは、ここまでいらっしゃいということだと思いますけれども、今回の案が固まりますその経過において、私たちは横から見ておりますと、どうしても経営者の、ぜひともやらなければいかぬという気魄と申しますか、それが少し乏しいような感じがする。政府の施策におんぶしておるような空気がうかがわれるような感じがしてならないわけであります。この案が成功裏にできるかできぬかも、また経営者のほんとうの努力にまつところが多いわけでありますから、経営者の奮起にまたなければならない問題がまあ大部分だと思います。これに対してどのような手をお打ちになっておるか、お伺いしたいと思います。
  207. 大平正芳

    大平国務大臣 ともかくことし八百八十億円余り、五年間に四千億に余る金を割愛するということは、容易ならぬことだと思うのです。それで、国民の負担においてそういう国民的な資源を配分するといたします場合に、いま石炭政策にこれだけの御割愛をいただくということは、容易ならぬことであると思うのでございます。私どもは、せっかくそれだけの心配を財政ベースにおいて考えていただく以上は、それが有効に活用されて、石炭産業がもう政府の手をかりずにりっぱに自立した経済的な企業として名実ともに生き長らえていき、繁栄を享受するというようになってもらいたいと思うわけでございます。したがって、まず、あなたが御指摘のように、経営者も従業員の皆さんも、ここでほんとうに決意を新たにしていかなければ国民に相済まないのじゃないかという気持ちになっていただく以外に、ほんとうに再建の機動力は出てこないと思います。
  208. 玉置一徳

    玉置分科員 石炭山だけじゃございませんが、一般日本の鉱山に働いていただいている従業員の皆さん、この方々は、私も一緒に山を二、三歩いておりますけれども、昔と違いまして、非常に工業が発達いたしまして人間は引っぱりだこであるというようなときに、新卒の若年労働者を鉱山がなかなか獲得しにくいというのが、これは現状だと思います。今後もそういうことが続くだろうと思います。日本経済が現在の成長をどんどん続けていく限り、そのことは言い得ると思うのです。したがって、石炭山に限らず、日本の鉱山に、ことに地下に入ってがんばっていただいておるこの労働者諸君のために、抜本的な年金制度その他のものをこしらえないと、私は、やがて労務者の確保の点から鉱山の経営の計画が難渋するのじゃないか、この機会に抜本的な対策を立てるような方向に踏み出すべきじゃないんだろうか、かように思うのですが、御検討いただくような考え方があるかどうか、お聞かせいただきたい。
  209. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 おっしゃいますとおり、日本経済成長に伴いまして、労働不足型の形にだんだんとなっていく。端的に申しまして、いま大臣お答えいたしました石炭鉱業のむずかしさというのは、一つには労働力の不足の問題がございます。何としても働く人たちが魅力と生きがいを感じていただかないことには、地下資源産業と申しますものは非常に労働力に依存しておりますので、その点はおっしゃるとおりだろうと思っております。石炭鉱業におきましてはいま年金制度を適用いたしておりますが、金属鉱山にはまださような条件がありませんので、これはいまのところ両鉱業を比較いたしますと、何と申しましてもまだメタル山のほうが力がございますし、労働者の諸君にとりましてもまだまだ魅力のある状態だ、こういうことだろうと思います。先のことをおもんぱかりますと、いまおっしゃいましたようなことも、これから私どもじっくりひとつ労働確保対策と申しますか、こういう角度から検討していかなければいけないのではなかろうか、かように考えております。
  210. 玉置一徳

    玉置分科員 私は一昨年瀬越の金山に入ったのでありますが、非常に水のしたたる中で、からだだけ入るか入れぬような狭い切り羽で、一人ずつな孤独で、単独でお働きになっておる。ああいうところへいま学卒の若い者を入れようと思っても、なかなかむずかしいんじゃないだろうか。しかも山の合理化のむずかしいのは、やや定着をされておりますので、そういう意味で、田畑をある程度ほかしてどこどこへ集中ということも、なかなか容易なわざじゃないだろう。こういう点を考えまして、いまお話しの現状の認識は非常に甘い。局長さんに子供さんがあって、山の中へ入れと言ったって、なかなかお入れにならぬだろうと私は思うのですが、現状はもうすでにそんなもんじゃないのです。これは石炭山だけではなしに、石炭山の問題のときに山全般の問題としてこれを取り上げて考えなければ、あとでほぞをかむような問題になるのじゃないかということを心配するから、お話を申し上げておるわけであります。  そこで、非鉄金属まで含めまして話を少しずらしてまいりますが、日本の鉱山は、いずれも自然条件が脆弱でございます。しかも銅、鉛、亜鉛にいたしましても、その他の金属にいたしましても、これだけ日本の鉱工業が成長してまいりますと、その需要は年を追って多くなります。現在大体内地産で内需の三分の一を間に合わしておるものも、そのままほうっておきますと、三年くらい後には四分の一になり、五分の一になっていくというのが現状であります。いかにそれが採算度合いとしては海外から求めるほうが有利といたしましても、いろいろな場合のことを想定いたしますと、ぜひとも現在くらいのシェアは確保していかなければならない。輸入だってそう簡単なものじゃありませんし、しかも有利な輸入をしようと思うと、つまり供給を確保するためには、どうしても安定した輸入を確保するために海外に鉱山の開発探鉱をやっていかざるを得ないわけでありますが、現状は、事業団の出資にいたしましても、この程度ではとても話にならぬのじゃないだろうか。そういう点で、鉱工業の問題につきましては、ひとつ画期的な施策をもっていかなければならない、こう思うのですが、いまの現状をどのように整備拡充しておいきになるか、所見をお伺いしたいのです。
  211. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 今後の鉱業政策につきましては、私ども基礎といたします考え方は、四十二年の八月に鉱業審議会からいただきました答申を中心にして考えていきたい、これによって施策を推進したいというふうに考えております。この答申では、御指摘のとおり、今後の鉱業というのは、海外依存度の急増という形が出てまいります。安定供給の必要性がますます増大しておりますし、他面に、先ほど御指摘ございましたように、労働力需給の逼迫等の諸条件の変化がございます。国際競争という観点で、よほどしっかりした安定供給体制というものをつくらなければいかぬ。これは御承知のように、内と外との二つの面で鉱業政策を詰める必要がございます。何といたしましても、国の大きな役割りといたしましては、鉱業のもとになります探鉱という事柄についての助成ということを基本としてやってまいりたい、かように考えておりまして、国内におきましては、御承知の三段階方式と申します広域調査、精密調査、企業探鉱、それぞれの段階に応じまして、国ができるだけの応援をいたしたい。しかも、これにつきましても審議会が一通りの年次プランを持っておりますので、いまや若干このテンポはおくれておりますけれども、鋭意所定どおりの国内探鉱というものをやっていきたい。黒鉱の例にございますように、探鉱費用さえ投じますと、まだまだ日本国内におきましても有望な鉱床は確認できるという状況でございますが、今後とも力を入れていきたいと思っております。  なお、もう一つの海外開発でございますが、先ほど御指摘ございましたように、海外において探鉱資金の融資と、海外における開発の債務保証のために、金属鉱物探鉱促進事業団に今回お願いしております予算では、五億円の出資を考えております。私どもも銅、鉛、亜鉛の今後の需給安定ということを考えますと、まだまだ実は必要な原資を確保したいという気持ちを持っておりますけれども、これも一ぺんにというわけにはまいりません。五億円というのは私ども満足いたしてはおりませんけれども、前年度が二億円であったということから見ますと、比率といたしましてはまあ二倍半というような数字でございます。今後引き続きこの面に努力をいたしまして、あらゆる施策を通じまして、日本経済の一回りも二回りも大きくなることから出てまいりますこれら資源の自力による確保ということについて、努力をいたしたいと思っております。
  212. 玉置一徳

    玉置分科員 このごろようやく相当な成績が海外でもあがりつつあります。だから、二億円は初めてのことでございますから、その二億円の二・五倍で五億円だからまあまあというような考え方ではなしに、いまのスピードでは思い切ってやらなければ、大体いいところはその他の国々に押えられてしまうということがもう目に見えておるわけでありますから、ひとつ石炭山並みの馬力をあげなければいかぬじゃないかという感じが、私はいたします。どうぞひとつ、そういうようなつもりで気ばっていただきたい。  それから各鉱山につきまして、銅、鉛、亜鉛にしろ硫黄にしろ同じことでありますが、大体一つのめどをおつけになったらどうだろう、こう思うのです。わが国の銅、鉛、亜鉛なり硫黄の鉱山をどの程度確保していくのだ。それには優秀な、今後育ち得るという可能性のあるもの、投資のいかんによってはこいつは育つのだという自信のある山に集中しなければいかぬ。集中したものに、思い切って探鉱だけはほとんど国が見てあげるくらいな考え方でないと、この脆弱な基盤の日本産業は、賃金のアップというものを吸収するだけの能力が私はないんじゃないかということを心配するのです。ことにこれの合理化にいまどういう助成をされておるか、お伺いしたいと思います。合理化助成です。
  213. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 鉱業課長にちょっと説明をさせたいと思いますので、御了承願います。
  214. 加納寛治

    ○加納説明員 鉱業実施に当たります合理化の程度につきましては、三十八年に金属鉱業等安定臨時措置法をつくりまして、それぞれの鉱種についてコストダウンの目標をきめたわけでございます。鉱内の採掘方法、製練費の問題、それぞれ目標をきめまして、それに要します探鉱の費用を応援する、あるいは製練所につきましては大型化、近代化ということで、開銀融資を回す措置をとっております。
  215. 玉置一徳

    玉置分科員 開銀融資の条件はどうなんですか。
  216. 加納寛治

    ○加納説明員 従来とってまいりました中で最近のものを見てまいりますと、四十年に開銀から二十八億……。
  217. 玉置一徳

    玉置分科員 そうじゃなしに、金利あるいは期限です。
  218. 加納寛治

    ○加納説明員 失礼しました。開銀の融資は特に特別な条件はつけておりませんで、一般金利で執行いたしております。ただ、鉱山はおおむね北海道、東北地方が多いために、北東公庫の融資を大幅に受けております。たとえば開銀では四十年が二十八億でございますが、北東公庫が四十億出しております。北東公庫の場合は、開銀一般に比べますと金利も多少下げてございますし、特に従来融資比率を七割にいたしておりますので、かなりの優遇はしてきておることになっております。
  219. 玉置一徳

    玉置分科員 融資率七割でありますけれども、鉱山のこのごろの合理化というものは、かなり金がかかります。中小鉱山では、七割いただいてもあとの三割でふうふういっておるというのが現状だと思うのです。七割をもう一つ上回るということは、大蔵省の関係でなかなかむずかしいのだろうとは思いますけれども、一応実情をよく御探査いただきまして、実情に合うように考慮していただきたい、こう思いますのと、金利が一般のものと同じである。けれども、もう一つはうんと長期のものをあげなければいかぬのではないだろうかという感じがいたします。山ではなしに、普通の商売でもなかなかむずかしい今日、あるいは工業でもむずかしい今日、鉱山のようなところでは、並みたいていな苦労じゃないと思うのです。合理化融資の問題についてもひとつ十分に御研究をいただきたいのと、山に入りまして実情を見ますと、その山独自で開発しておいでになるが、一億円、三億円というふうにかかる。せん孔機、さく岩機にいたしましても、相当創意くふうをこらしてやっておるのがございます。ああいうものは、やってみていいかゼロになるかわからない問題が非常に多いと思います。こういうものには、特殊な助成措置が行なわれることが非常に望ましいのじゃないか。どこの鉱山でも、何とかして賃金アップを吸収するために泣く思いで合理化の努力を払っておることは事実なんですから、そういう研究助成というものは今後ますますやっていかなければいかぬし、そのかわり、せっかくできた研究助成のいい機械を外へは見せぬというような形では、日本の鉱山全体の進歩になりませんから、それだけに私は国が補助をつけるときの、助成をつけるときのあれはむずかしいと思いますが、ひとつ十分何かの施策が打ち出せるようにお考えいただきたいと思います。  時間もありませんので、最後に硫黄の将来性の問題でありますが、脱硫装置で現在山で生産されておると同じほど産出されて、業界も政府も頭を痛めていただいておるわけでありますが、とりあえず輸出措置だけを何か考えなければいかぬと思いますが、これについてどういうように対処されようと思っておいでになるか、一言お伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  220. 中川理一郎

    ○中川(理)政府委員 御指摘のとおりでございまして、回収硫黄の出現に伴いましての今後の硫黄対策の基調は、いかにして輸出を確保するか、こういうことでございます。大体内需に見合う程度の量が山側から生産されるということで、回収硫黄は、ある時点を過ぎますと、それ以上のものが出てくるわけでございます。かりに山硫黄を内需としても、回収硫黄だけでも輸出体制というものは考えざるを得ない、こういう状況にございますので、私どもも鋭意この輸出対策を進めるべく、来年度予算でお願いしております中にも、輸出のための市場調査費、先方の有力者の招聘費等々の予算を計上いたしますと同時に、輸出基地が硫黄にはどうも必要でございますので、この基地のための融資を開銀からさせ得るように、かつまた輸出のための在庫金融を商工中金等からさせ得るように、万々の手はずを整えております。国内体制といたしまして、輸出組合の中に硫黄のためのカルテルをつくらせまして、そこで石油精製側、山硫黄側、消費者側一致いたしまして硫黄の輸出協力をするという体制づくりは、いまできております。これをスピードアップすることが、これからの私のほうの任務だと考えております。
  221. 玉置一徳

    玉置分科員 終わります。
  222. 植木庚子郎

    植木主査 次は、中野明君
  223. 中野明

    中野(明)分科員 私は通産大臣にお尋ねしたいのでございますが、最近のコンピューターの発達によりまして、データ通信とかあるいは情報産業、このようにいわれる新しい部門が、大きくクローズアップされてまいりました。これにつきましては、全体から見まして一つの大きな期待、それとともに様子がなかなかわからないもんですから、ある程度の不安もあるんじゃないか、このように私どもも心配しております。この機会に、新しい産業である情報産業、このことについての通産大臣としてのお考え方、姿勢というんですか、それをお聞きしておきたい、このように思います。
  224. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのように、新しい産業、機能的な産業として、情報産業が問題になりつつありまするし、また一部現実の仕事として始まってきておるのでございます。しかしながら、これは始めたばかりでございまして、行く行くは仰せのように産業の中で大きないすを占めるような姿になると思いますので、私どもといたしましては、第一に、情報産業の育成という立場から、コンピューターの開発、コンピューター産業の育成、そういうことにまず力を入れなければいかぬと思います。それと同時に、そういう関係の要員の養成、確保、そういったことにも、いま現に多少ずつ仕事をいたしておりますけれども、漸次拡充していかなければいかぬと思います。さらには郵政省、電電公社等との間に十分話し合いまして、通信回線をどのように開放していただくか、そのあたりの問題も大きな問題になってくるんじゃないかと思いまして、いま通産省といたしましては産業構造審議会というものの中で本問題の御検討をわずらわしておるわけでございまするし、また各種のミッションがアメリカ等に出てまいりましていろいろ有益なレポートもちょうだいいたしておりまして、そういったものを踏まえて鋭意勉強中であるという状況でございます。
  225. 中野明

    中野(明)分科員 いまお話が出ておりましたが、わが国の現状から考えますと、当然現在行なわれておるオンライン・システムから考えまして、公社との問題が非常に大きな問題になってくるわけでございますが、通産大臣としては、公社が日本全国に通信網を持っておる、そういうたてまえからいろいろ意見が出ておるようでありますけれども、公社独占という考え方が一つにはあります。それから公社独占はいけない、やはり民間にもこれは開放すべきだ、こういう二つの考え方があるのですが、通産大臣としてはどちらの考えでおられますか。
  226. 大平正芳

    大平国務大臣 いま私のところに来ている民間側の意見、それからアメリカ等を視察いたしましたミッションの御意見といたしましては、やはり民間に開放していただかなければならぬという見解が強うございます。現に、郵政省側でもそういう方向で御検討いただいておると思うのでございますが、私は、あなたの言われた後者のほうの見解、そういう方向で進めていくべきじゃないか、そう思っております。
  227. 中野明

    中野(明)分科員 民間と公社の割合その他については、今後大いに議論のあるところだろうと思うのですけれども、やはり現状としては公社が主体になっていく、こう考えざるを得ないのじゃないかと私たちそのように考えておるわけでございますけれども、参考までにお聞きしたいのですが、現在企業面で——この間地方銀行の為替振替のデータ通信の見学をさしてもらいましたけれども、それ以外で、企業面ではどの程度進出しておるのか、担当の課長、わかりましたら、ひとつ御答弁いただきたい。
  228. 吉光久

    ○吉光政府委員 現在の利用状況でございますけれども、まず通信回線を利用しております通信回線数が、大体七千から一万回線ぐらいではないかというふうに考えております。それからその中で専用回線を用いておりますもの、これは本支店間でございますとか、他企業との間を結んでおるもの、これと国鉄と交通公社、これは実は、いわば専用回線的に緊密な関係があるとして、民間利用の純粋な形、これが一つだけ例があるわけでございまして、あとは現在の専用回線を利用してやっておるということでございます。
  229. 中野明

    中野(明)分科員 具体的に、いまお話しの中に出ておりました国鉄、それから銀行の本支店関係とか、あるいは地方銀行協会のデータ、こういうことはわかったのですが、ほかに企業体でいまこれを使っているところ、これはおわかりであったら……。
  230. 吉光久

    ○吉光政府委員 具体的な数はちょっと記憶いたしておらないのでございますが、大体大企業あるいは大きな百貨店等におきましては、自分の内部的な連絡という意味の通信、内部的な連絡という意味での回線利用というものがあるわけでございまして、したがいまして、先ほどお答え申し上げました通信回線数にいたしまして七千ないし一万回線数というものが、このために利用されておるわけでございます。
  231. 中野明

    中野(明)分科員 いま問題になっておるのは、企業面で問題になっておりますが、将来予想されるのが、おそらくサービス面にどんどん進出していくと思うのですが、そういう点では通産省のほうとしてはどのような方向に進出していくと予想されているか、予想がありましたら……。
  232. 吉光久

    ○吉光政府委員 利用の状況はどんどんふえてまいるというふうに考えております。たとえば、先ほどお話し申し上げましたような本店と支店との間のみならず、同じ企業系列の間でございますとか、製造業者と卸業者の間でございますとか、その他各般の面にこういう関係での利用はどんどんふえていくのではないだろうかというふうに考えておりますと同時に、実は現実の情報産業として情報を提供いたします、あるいは計算する、そういうセンターといたしまして、現在日本で約百八十社程度あるわけでございますが、これはいずれかといえば単純な計算センターというくらいのところでございますけれども、そういうふうなものも、将来このやり方いかんによりましてはたちまちにして数倍にまでふえてまいるということも予想されるのではないかと思っております。
  233. 中野明

    中野(明)分科員 確かに今後のこの種の産業の進出というものは、私どもの想像を上回るのではないか、このように推定をしているわけでございますが、それに伴いまして、ここで私ども大臣にもどうしても一つだけお伺いしておかなければならぬのですが、コンピューターという相当多額の経費のかかるものでございますし、当然この面に外資が入ってくるのではないか、あるいはまた外国製の電子計算機、これらの進出ということも当然予想されるのでございますが、これについての通産省としての考え方、大臣としてはどのように対処されようとなさっておるか、この点お聞きしておきたい。
  234. 吉光久

    ○吉光政府委員 お話しのとおりでございまして、特にいろいろな意味での秘密まで持っておるような産業でございますので、外資対策というものは慎重に考慮しなければならないという点、御指摘のとおりだと思うわけでございます。考え方の基本でございますけれども、やはり情報産業のにない手は民間の企業体であるべきではないだろうかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、こういう民間の企業体ができるだけ早く外資に対抗でき得るような強い力を持っていただくということが、一番必要であると思うわけでございます。したがいまして、その間におきましては、あるいは外資法の運用によりまして外資の進出について相当慎重な態度をとることも必要でございましょうし、あるいはまたいまあとのほうで御質問ございました電子計算機メーカーの保護というふうなことのためにも、輸入の問題につきましては、やはり現在処理いたしておりますような制度をここ当分続けてまいる必要があるのではないだろうか、このように考えております。
  235. 中野明

    中野(明)分科員 それで、この問題については先ほど大臣も郵政省ともあるいは公社ともいろいろ話し合いをしておるということもおっしゃっておりましたが、郵政大臣は、オンラインの情報処理に関しまして郵政審議会に諮問をしていろいろと答申を得たい、こういうふうに発言をしておられるようでありますが、通産大臣としては、その点について事前にも郵政大臣お話し合いをなさっておるのか、それとも別に通産大臣として新しい将来のことについて何かお考えを持って検討を加えておられるのかそこのところをひとつ……。
  236. 大平正芳

    大平国務大臣 私は、こう理解しておるのです。郵政省のほうは、電気通信制度の問題として郵政審議会にかけて御審議を願うという手はずになっておると承知しております。私どものほうは、産業構造審議会にかけて情報産業の振興という角度から御審議をいただくということを、まず両方それぞれやるということで、それぞれそういうアクセントの置き方が違うわけでございます。また、違っていいと思うわけでございまして、それがある段階に来ますと、調整の必要が当然出てくると思うのでございまして、そういう段階でよく話し合って誤りなきを期したいと思っておりますが、いまの段階で郵政大臣とこういう問題についてお話をした、またする計画があるかというと、国会も忙しいし、まだございません。
  237. 中野明

    中野(明)分科員 いまおっしゃっているように、これは新しいことでございますので、おそらく将来あらゆる角度から問題が派生してくるのではないか。これは実際に進んでまいりますと、いろいろの問題が出てくるのではないかと私どもも心配しているわけでありますが、そういう点、大臣相当慎重に考えておられるようでありますが、ひとり郵政省あるいは通産省だけにとどまる問題でもないような気もしますので、今後こういう発展を必ず予想されるような、そしてまた、これは世界各国で非常に進んでいるところもございますし、そういう競争、そういう面に耐えていこうとすれば、よほど進んだ考え方を持って最初から事に当たっておかないとならぬのではないか、私はこのように思うわけであります。  それで、こういう重要な問題については、各省にまたがるような問題については、当然総理大臣のもとで会議を持っていろいろ打ち合わせをしながらやっていくというような制度というのですか、そういう考え方を最初から持っておかれたほうがいいのではないか、こういうようなふうにも考えておるわけでございます。ただ個々にやっておって、それでかなり進んでから、問題が出たから話し合いをしていくというのではなしに、最初から——これから画期的なことになると思います。世間では産業革命ともいっている。新聞にも、ときどきそういう活字も見られますし、あるいは第四次産業だとも、そんなことまでいわれるような、将来非常に大きな問題になる事業でありますので、そういう点を高い立場から推進していくような、そういうものの考え方でやっておかないと、かえって後退するのではないか。結局世界的な競争におくれるのではないか、そういうふうな心配をしておるのでありますが、その点、通産大臣としてもう一歩——現在、それぞれの立場で審議会にいろいろと意見を求めておられることは、私は異論はございません。けっこうなことだと思うのでございますけれども、それ以上に高度の立場から、あらゆるところに関連が出てきそうでございますので、そういうところで議論をするというのですか、いろいろ検討を加えていく、そして将来の方向づけを早くする、そのほうが情報産業の発展という上から考えればいいのではないか、このような意見を持っているのですが、大臣のお考えはどうでしょうか。
  238. 大平正芳

    大平国務大臣 大体あなたと同じような考え方ですが、ただ、いまの段階で、あるお仕着せを着せるというようなことをしますと、からだに合わなくなったりして、かえってまずくなりはしないかという点も心配です。しかし、といって、方々がばらばらでいろいろなことをやり過ぎまして、あとの調整が非常に困難だということもまたあなたの御指摘のとおり警戒しなければいかぬことだと思います。したがって、政府各部局でいろいろやっておりますこと、民間でやっておりますこと、ともかく情報をよく隔意なく懇談をいたしまして、内閣におきましても、仰せのような一種の調整する仕組みを考えるべきことだと思っておりまして、私どももそういう方向でひとつ考えてみたいと思います。
  239. 中野明

    中野(明)分科員 それからもう一点だけ。すでに大臣もよくお考えいただいていることと思うのですけれども、将来これがどんどん伸びてまいりますと、先ほども局長からちらっと話が出ておりましたけれども、機密保持、プライバーシーの問題も必ず出てくるのではないか、そのように私たちも懸念します。ですから、こういう点も含めまして、非常に新しいことでありますので、考えれば切りのないことのようですけれども、あらかじめ予想できることに対しては、やはりそれに対する考え方、対策というものを持ってかからないと、あとでそういうことからいろいろ問題が起こりまして、かえって健全な発達を願っているみなの気持ちからは横道にそれるようなことになりますし、それでは世界的にもおくれるというような気持ちがしておりますので、この点もよくお含みいただきまして、そしてこの情報産業の健全な発達にせっかくの御尽力をお願いしたい、私はこのように考えておるわけであります。そういう点、私から申すことでないかもしれませんが、大臣のほうに要望を含めてお願いしておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  240. 植木庚子郎

    植木主査 次は、吉田賢一君。
  241. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 すでに第三年目に入らんとする繊維工業構造改善事業の問題につきまして、二、三伺ってみたいのであります。  第一点は、繊維工業構造改善事業につきまして、昭和四十四年度予算関係、これの概要だけを御説明願いたい。
  242. 高橋淑郎

    ○高橋(淑)政府委員 簡潔に申し上げます。  四十四年度予算におきましては、メリヤスと染色業の構造改善に着手するということに伴いまして、この両業種に対する中小企業振興事業団からの設備ビルド融資のため一般会計からの出資、財投の手当てを行ないます。それから染色業に対しましては、開銀からの特別融資を新たに行なうことを考えております。それから三番目には、構造改善事業に必要な資金の調達を円滑に進めるために、繊維工業構造改善事業協会が行なう債務保証の基金として一般会計から出資をする、こういうことでございます。  なお、織布につきましては、設備ビルド百六十六億円に必要な中小企業振興事業団融資の予算を確保するようにいたし、また繊維工業構造改善事業協会の信用保証ワクを拡大するための資金として追加出資を行なうということでございます。  なお、流通面の合理化をはかるため、基礎調査の経費を計上しております。  以上が概要でございます。
  243. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 逐次伺ってまいりますが、構造改善事業の進捗状況につきまして、現在問題になっている点で重要なことを幾つかあげて言っていただきたい。
  244. 高橋淑郎

    ○高橋(淑)政府委員 現在まで織布業の構造改善事業を実施いたしてまいりましたが、御指摘のように問題点として考えられるものが三つほどございます。  一つは、革新織機の早期完成が強く望まれているということでございます。この点につきましては、通産省の指導のもとに織布業協会、機械メーカーと緊密に連携いたしまして、早期完成をめざしていま努力をいたしております。  それから第二番目は、商品開発努力がまだ十分といえないということでございまして、この点につきましては、積極的に商品開発を進めるよう指導をしてまいりたいと考えております。  第三番目は、現在の人手不足を反映いたしまして、家内労働に依存する傾向が見られますが、これは企業が細分化するということにつながっている面が見られますので、このような傾向は過渡的な一時的な傾向としてはやむを得ないかもしれませんけれども長期的な観点から見ますと決して好ましい方向ではないと考えます。したがいまして、この構造改善の本来のあり方ということについての啓蒙活動をさらに強化いたしまして、より多くの企業が設備の近代化、強力化を内容とするような集約を進めて、ほんとうに力を持った中堅企業として育つように誘導してまいりたい、このように考えております。  以上が問題点だと考えます。
  245. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 いま御指摘になりました点、いずれも私どもも非常に大事な問題を取り上げておいでになると思うのであります。  大臣、あなたは専門家でありまするが、繊維構造改善の対象としましての業種、とりわけ零細な中小企業以下の織布工場、これが機械問題について相当深刻な悩みにおちいっているということは、非常に重大な根本問題であります。元来機械というものは、たとえば機械メーカーにしましても、繊維産業の機械は、大企業ならばそのシェアはだんだん大きくなりましょうが、しかし中小企業、零細業ということになって、もしそれが地域、範囲等々がそんなに広くない、しかし相当重要な産業としての価値があるというような場合、こういうときにはなかなか全体の機械は乗っていかぬのです。この適例の一つは、兵庫県の北播地域に小さいのが千四百ほど工場があるのですが、そのうち千は労働力はほとんど職安を通らぬのです。職安のパイプに入らない、これが実情なんです。したがいまして、そういうような方面に対しては機械メーカーはとかく積極性が乏しいという批判が出るのであります。もしそれが、たとえば大企業につながる、あるいはトヨタのごとき自動車にいくとか、その他最近の地域開発、国土開発などにつながっていくような機械の仕事もやるというふうになってまいりますれば、これは躍進産業につながってまいります。しかし、零細なそういうものを近代化しなきゃいかぬ、体質の改善をしなきゃいかぬ、そうして、百年以上も守ってきました、外貨獲得のために汗水たらしてやっております企業をほんとうに伸ばしていこうというのが、この構造改善の大きな使命だと思うのです。その辺が近代の企業経営、経済利害等々とぴたっと合わぬところに一つの問題があるわけですね。でありますので、いまの省力機械の開発という問題も、これは大事なことなんです。ただし、幾ら開発しようとしましても、あまり広い範囲に売れない、えらいお得意さんもない、量産の可能性も乏しい、そういうようなときにはどっちもが引っ込み思案になってしまう。危険なんです。去年スイスのバーゼルにおいて織機の展示会があって、業界の代表及び綿工連より青年が行きましたが、御承知のように、機械を導入しても、資金技術、人など客観的な条件が整っていない。だから地盤の弱いところに大きな機械を据えると同じようで、まず地盤を整備しなければならぬ。その整備ができていませんから、そこに悩みがあります。  だから、省力機械の量産が可能かどうか、それから、日本の織機産業の中小企業以下の、ことに先染めなどのそういう機械のメーカーが、全体としての、国策としての構造改善事業に協力体制をさらに推し進めていくというのが、私は通産省としての一つの任務だと思うのです。きょうは重工業局長も見えておるようでありまするが、通産省としましてはこれは相当重要な問題としてつかまえてもらいたいと思うのです。それに対しましてたとえば価格もあります。売れぬところあるいは大きなシェアのないようなところには値段は売り手市場です。競争はありませんよ。むしろ頼みに行かなくてはならぬ。こういうところへは三分の一の経費をおまえのほうで、業者のほうで負担しろというような、資金量をもってこれに対処していこうというようなことは、およそ間尺に合わぬ、こういうことになってきます。こんなすばらしい技術革新の時代に、そんな斜陽的な小さいそれに乗ってこいということは無理です。機械メーカーに乗ってこいというのは無理です。ですから機械メーカーが乗っていけるようなことを指導協力するということが私は政府の任務だと思う。これをしませなんだら——こういう零細企業は全体から見ると何十分の一かもわかりません。これが実はやろうとしたけれどもとても追いつかない、取りつきにくい、だから脱落する、零細化する、家内工業化するということになりましたら、これは政府の意図するところと逆の現象が生じてまいります。この点につきまして通産省といたしましてはしゃんとした姿勢をもって、たとえば零細な農業に対してきめのこまかい施策をするのと同じように、きめのこまかい施策をこの機械開発の問題として何か手を打ってもらいたいということを切実にわれわれは現実の要請から考えるのですね。ですから通産省としまして基本的にどういう方針でいかれるか、重工業局でもこれに対してどういう具体的な対案を持って臨むか、これをひとつ、要点だけでよろしゅうございますから述べておいてもらいたい。ちょっと大臣通産省の基本方針を聞いておかなければいかぬのです。
  246. 大平正芳

    大平国務大臣 かつてランカシアを押えて世界の王座を占めた繊維産業でございますが、この間私もいろいろ勉強してみますと、生産性が先進国に比べて落ちております。私もびっくりしたのでございますが、これはやはりいま言われた省力機械化、近代化、構造改善を相当スピードアップして追っかけないといけない客観情勢であると思います。近隣のチープレーバーの国からの追い上げもあるようでありますから、仰せのようにそこがネックであるとすれば、それに対しましてひとつ積極的に行政指導の手を打たなければならぬものと考えます。詳しくは局長から答弁いたします。
  247. 吉光久

    ○吉光政府委員 御指摘のとおりでございまして、先ほど繊維局長から御説明申し上げましたように、この構造改善事業を側面から進めるために、ユーザーでございます織布メーカーとそれから繊維機械メーカーとの間の定例的な懇談の場を設けておりまして、そこでお互いに意見を交換しながら機械メーカーもこれに側面的に協力してまいるというふうな体制が実はできておるわけでございますけれども、いまお話を伺っておりますとその動きもそれほど活発でないというふうにも伺えますので、いまのおことばにありましたように、さらに積極的にこういう問題につきまして、特にいま御指摘いただいたのはおそらく先染めの織物用の織機の開発の問題だと了解されますので、積極的に善処方を要望いたしたいと思っております。と同時に、この新しい新鋭機械につきましては近くこれが生産開始される。先ほどちょっと例示としてお出しになりましたスイスの会社との技術提携関係でございますが、それがまとまりまして、新しい機械、回転数のいい、能率のいいものの受注の開始がこの夏ごろというふうなことでございまして、生産を量産体制として十二月ぐらいから量産ができるというふうな事情もございますので、さらにいまのお話に沿った形でこれが促進できるよう善処してまいりたいと考えております。
  248. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 この点は大臣わが国におきまして、やはり国、つまり政府と企業とが歩調を合わせまして、そして開発協力する、こういうふうにすべきでないであろうか。たとえばそのような非常に大きなシェアを持ち得ないようなそういう場に対する省力機械とか、あるいは自動織機とか、あるいは高度の超自動織機なかんを取り入れようというときには、たとえばその開発の経費に補助をするとか、あるいは技術を援助するとか、あるいは国が何らかの便宜を与えるとか、たとえばまた例は技術導入の話が出ましたけれども世界的に、フランスにしてもスイスにしてもあるいはその他にいたしましても、世界的に各機械をそれぞれ持っておりまして、取りそろえまして、そして国内の何軒かのメーカーがやはりそれぞれ長年の苦心した技術を持って進んできておりますから、これらをあわせまして、政府は、指導しなくてもよろしゅうございますから、助言をいたしまして、便宜を与えて、そして小さいところでも開発し得るような体制を用意する。そうしませんと、いまのような状態でいきますと、あと三年ですか、ということになってしまいますので、これはちょっと間に合いません。間に合いませなんだらそれは失望します。一部は構造改善貧乏が生じてくる、こういうことになりましたらこれはたいへんでございますので、いまそこに気づいておられることは、非常に大事なときに大事な点をつかんでおられますので、これは成功するやいなやの大きな分岐点になります。間違いありません。私もその辺はずばっと入って状況を見たりしたのです。若干の工場を見てきました。メーカーの工場を見てきましたが、やはりこの点についてはまかせておいてはだめです。基本原理、経済原則はそんななまやさしいものではございません、みんな死にもの狂いでありますから。そのときにこの構造改善事業を進めていこうとするときの機械問題ですから、これはいま申しましたような線まで、どうか局長積極的におやりなさい。大臣、そういうふうに大所高所から各力を総合いたしまして、そして政府は助言していく、便宜を与える。そして産業に対しまして国は積極的な力を添えていく、こういうふうにするべき課題である、こう考えますから、どうぞしかるべく御指導をお願いしたいと思います。  それから、さきの商品開発の問題でありますが、これも非常に大事なことであろう、こう考えております。やはりいまの状況から見ますると、業者が、特に小さな中小企業以下の零細業者がみずからの手で商品開発をするということは容易じゃありません。何となれば、資金もありません、知識もありません、技術もありません。そんな技術屋雇っておりません、研究所を持っておりません。そういうところへ商品開発を求めるということに実はなるわけであります。それならそれを、しからずしてどこが開発するかということになると、それは他に求めるということは無理です。やはり小さいといえども企業家がみずからの責任をもって開発していかなくちゃなりません。それならば、業者団体、組合、あるいはグループ、あるいは個々のものに対しまして、資金技術、知識等々に商品開発の一つの契機を、きっかけを与えなければいくまい、こう思うのです。これもやはりきめのこまかい点になりますけれども、商品開発はぽっと天から降ってくるものじゃ絶対にございません。やはりそれぞれ苦心惨たん、夜も寝ずと、正月も盆も忘れてしまって商品開発に取り組んでいくというような何人かの人が開発していくというのが事実ですから、そういう歴史的なこういう状況も思いますと、いま開発途上国は安い労賃で綿製品とか、そういったものはどんどん追い上げてきておることは御説明いただくまでもありません。特恵関税がまいっておるときでありますから、高度な、高級な、バラエティーに富んだようなものをつくっていこうといたしましたならば、どうしても業者みずからそういうふうに奮起し得るような力をやはり貸さなければいけません。そうしないで、かってに入ってこいということは不可能でございます。これは斜めのギンガムというものを開発した西脇地区の人もございますが、こんな話をちょっと直接聞いてみましても、苦心惨たんです。どうしてそういう従来の縦、横を斜めにするかということでほんとうに打ち込んでやっております。そういったようなことが随所に起こってくるような雰囲気をつくるのが、これが私は行政にあらずして政治だと思います。大臣は政治家ですから、単に行政指導というものよりも、そういう角度から盛り上がってくる雰囲気をつくってやるということで、資金技術、それから人間等々積極的に提供してやる、こういう御指導があってしかるべきだと思いますが、何かこれで相当画期的な手を打たないと、商品の開発はできません。その点はどうでしょうね。何か大臣はひとつ大きく各局長等を御指導になりまして、そして業界とも提携されまして、そして何かそういうきっかけをつくるような大きな推進をせられることが大事ではないか、こういうふうに思うのですが、お考えをいただきまして、局長何か……。
  249. 高橋淑郎

    ○高橋(淑)政府委員 ただいまお話しのとおりだと考えております。実は産地別に見ますと、商品開発に払う努力がいろいろ差異がございます。それから商品開発努力が非常に発達しておる、こういう地区もまたあるわけでございまして、いまお話の出ました播州地区、こういうような地区をとってみますと、商品開発のためのチームを組んで共同開発を進めていこう、あるいは県の繊維工業指導所、こういうところを十分に活用されておられます。こういうようなケースを参考にいたしまして、基本的には各産地ごとに積極的に商品開発を進めるように指導、誘導していきたい、こういう考えでございます。
  250. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 時間が参りましたが、労働力の不足の問題であります。これも実は中小企業になりますと、実に深刻な悩みでございまして、なかなか解決されそうにありません。これにつきまして、きょうは労働省来ておりませんので、あなたのほうからしかるべく御連絡いただきまして、ぜひとも指導してもらわなければならぬ、こう思うのですが、労働力不足の問題につきまして、地域の潜在労働力を活用するという問題、これにつきましては私も若干努力したことがありまして、パートタイムへ主婦がたくさん参りまして、明るい職場、そして愉快に仕事ができる、しかるべき賃金が保障される、この条件がなくちゃなりません。したがいまして、がちゃがちゃする場所、暗いところ、それから湿度があるところ、不潔なところ、ほこりが多いところ、そういったような労働環境が悪いというようなことで、そこで労働力不足問題を、特に若年を求めようということは無理であります。それならば、そこらに潜在している労働力をそういうところにぶち込んだらどうか、それは人間無視でありまして、どんな主婦であろうと、あるいはお百姓であろうと、あるいは中高年齢であろうと、またそうでない若年であろうと、よい環境を与えるということ、そしてそれは同時にほんとうに愉快に労働にいそしんでいく、生産性をあげるというゆえんであります。  この環境づくりと、もう一つは技術の点であります。これは加古川市にことし事業を始めます職業訓練所がございます。これは思いつきの話ですが、重工業局長さん、メーカーと提携せられまして、そして適当に新しい機械を持っていかれる、そして極端に言うなら、現地のじいさんばあさんまで、つまり潜在労働力まで含めまして、十日とか半月、短期講習もできる、技術も手に入れる、こういうようなことが著しく労働力不足を補うところであろう、こう考えております。これをひとつくふうしてください、協力されますように。そして職安を通じない労働力もたくさんありますから、これにつきましては、いろいろな社会的施設というような福祉施設というものも必要でございますので、これは抜かりないと思いますけれども、労働、厚生などとも御連絡あり、また地方公共団体とも御連絡あって、そしてそういうふうにしまして、労働環境をよくしていく、そしてそこに魅力を持たす、こういうふうに御指導あってしかるべきであろうと思うのです。そうしませんと、中小企業が天に向かって労働力を求めるということは不可能です。大企業においてならば、黙っておりましてもずいぶん集まりますけれども。解決しません。だから労働力不足を嘆くばかりであります。でありますから、ぜひこれもそういうふうな多彩な科学的な対策をひとつ立ててもらいたい、こう思います。その辺、しかるべくお願い申し上げておきますが、よろしゅうございますか。
  251. 大平正芳

    大平国務大臣 労働省とよく相談をいたしまして、御要望の線に沿って努力をいたします。
  252. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 それから構造改善を進展する上につきましての資金問題でございますが、大臣、先にお述べくださったのですが、実は中小企業に対する政府系の資金の率が非常に少ないのであります。市中銀行とかあるいは相互あるいは金庫、組合等の資金のほうが、御承知のように九割増しですから一割足りないのです。こういうことから、特に今度は構造改善については開発資金のワクができたようでありますけれども一般会計あるいは財投等とも、これはどういう順序でいくかわかりませんけれども、ともかく資金問題につきましては、これは相当豊かにとはいきませんけれども、いまのところ不足しているのは事実でございますので、特別に御配慮いただかなければいくまい、こう思っております。  時間もなくなってしまいまするので、私実は繊維貿易——これは、すみませんが、時間もないから、文書でいいから当委員会あてで答弁しておいてくださいますか。以下、問題点を列挙しておきますから。  一つは、繊維貿易の将来の問題であります。特に対米関係ニクソン大統領が登場して以来、ニクソン談話やミルズ下院歳入委員長の発言を通して見た場合、まだ多数の繊維保護の法案が下院に提出されています。また最近のいわゆる対米繊維貿易の自主規制問題で大きくクローズアップしてきました。下田大使のこれに対する発言があったやに伝えられています。やたらにこうあるのですね。国内保護貿易的な立法化の何か強い、南部における民主党のそれがニクソンを押しておりますから、そういうような関係もございますので、対米関係は、将来なかなか逆賭しがたいと思うのです。したがいまして、繊維貿易、特に対米関係につきまして、どういうただいまの見通しであるか。問題点どこにありや。対処する政府、業界の腹はどうなっておるか。過般、業界から大臣並びに総理に対して陳情もあったやに伝わっておりますが、この辺につきまして、政府の確固たる決意があろうと思います。具体的にどういうふうにして対処していかれるのか。それが一点。  いま一つは、染色メリヤスにつきましての構造改善への参加の問題であります。新しい構造改善措置法の改正案が国会に上程されておりまして、染色も入るしメリヤスも入るようであります。しかし、染色も先染めは入っておりません。機械染色は入っておりますけれども、先染めだけが入っていない。先染めを入れる必要がございます。御承知と思いますけれども、やはり高級商品の開発には、高度な精緻な染料のすばらしいもの、染色技術の伴うものをもって染色が必要ですし、先染めはこの高度の染色そのものに取り組むために、高度構造改善に臨まなければならぬこと。一方、公害を持っておりますので、これらの法律改正の対象に入れないとするならば、これらの問題の解決はどのような手を打とうとするのか、それに対する政府のお考え方、それにかわる措置をどうしようとするのか。資金的にか技術的にか、あるいは公害問題でいま一般に悩んでおります、汚水、濁水の問題で悩んでおりまするが、そういう関連でどうされるか。  第三番目に私の聞きたいのは、特恵関税の問題であります。来年は特恵関税実施の年でございますし、昨年は椎名大臣もニューデリーへ行っていろいろ御尽力になりました。日本もいま選択に迷っているのではないかと思います。しかし好むと好まざるとにかかわらず、これは受けて立たなければいかぬことになっておりますし、またこれは世界的な趨勢でありますし、国連の要請でございましょうから、だから特恵関税につきましてどういう見通しを持って、どう対処していこうとしておるのか。この点につきまして、非常に緊切した問題でございますし、同時に、これは構造改善の途上に非常に大きな暗影を投げる危険があります。ことに開発途上国から追い上げてまいります各種製品等、こういうものがどんどん流れてまいりましたならば、これは日本の中小企業の構造改善は致命的な打撃になるのではないであろうか。こういうことになりまするので、商品別とかあるいはまたどういう原則をもってこれに対処していかれるか。特恵関税の問題、この点につきまして、政府のお考え方を明らかにしておいていただきたい。そして繊維構造改善の事業が、この重大な使命がほんとうに達成、完成し得るような線に、両立し得る範囲で特恵問題の解決を何とかできないものであろうか、こういうふうに考えております。  約束の時間がなくなってしまいましたので、ひとつたいへんに申しわけありませんけれども、各局御相談いただきまして、いま申し述べましたような各種の諸問題につきまして、文書をもって御回答いただき、しかるべく委員長、記録に添付していただくようにお願い申し上げます。  委員長、おはかりを願います。よろしゅうございますか。
  253. 植木庚子郎

    植木主査 いま大要でも御答弁願えますか。
  254. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 それなら要点だけ答弁で述べていただきまして、そして文書で出してもらうことを取りやめますから、そういうふうにしていただきましょう。ひとつ関係の局からしかるべく御答弁願います。それで終わります。
  255. 高橋淑郎

    ○高橋(淑)政府委員 第一点の、対米繊維貿易の将来、なかんずく、アメリカ輸入制限運動に対する考え方でございますが、これは日本の繊維品に対してこういう動きが具体化すればたいへんなことになりますので、こういうことが具体化しないように、官民一体となって万全の努力をしてまいりたい。こういうことでございますが、さらにこのような規制の動きが具体化するようなことがありましたら、わが国としては、一方的な輸入制限であれあるいは対米輸出規制であれ、自由貿易の原則に反するものとしてこれに反対をいたしたい、こういう所存でございます。  それから第二点の糸染めが、構造改善業種の対象にならない場合に、その対案としてどう考えるかという点でございますが、これは産地によりましては協同組合の組織がありまして、活発に活動しておる地域もございます。したがいまして、その努力を十分生かすようにいたしてまいりたい。その場合各地区の実情に即しまして、近代化促進法に基づきますいろいろな助成制度あるいは県の近代化資金貸し付け制度その他を有機的に活用して、この努力を積極的に支援してまいりたい、こう考えております。
  256. 宮沢鉄蔵

    宮沢(鉄)政府委員 特恵問題につきましては、国連貿易開発会議におきまして、特恵制度を創設しようということと、それからできればひとつ来年ぐらいからそれをやろうということにつきまして、大体意見の一致を見ておるわけでございますが、現段階におきましては、その内容、すなわち、税率を引き下げる場合にどの程度引き下げることにするか、あるいは例外品目をどの程度のものとするか、あるいは特恵制度を実施いたしました際に、外国からものがたくさん入ってきて国内産業に悪影響を与えるような場合にどういう政府側措置をとるかというようなことにつきまして、各国間でいろいろ意見の交換をやっておる段階でございまして、まだ意見の一致を見ておりません。実はこの次の会合が四月の後半、それからその次の会合が六月の後半に予定されておりまして、大体六月の後半の会議におきましては、一応そのあらましの制度をつくり上げようというスケジュールを立てております。わが国といたしましては、特恵制度のやり方いかんによりましては、中小企業その他に非常に大きな影響を与えるおそれもありますので、そういうような悪影響を及ぼさないような仕組みを何とか国際的に合意を見るようにできるだけ努力したい、こういうように考えていろいろやっておる段階でございます。
  257. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 大臣、いまの貿易ですが、自主規制の問題、これは政府として態度は大体きまっておるのですか。
  258. 大平正芳

    大平国務大臣 まだ政府のほうへアメリカ政府から、ニクソン大統領が記者会見で言われたように、輸出国と自主規制について話し合うという言明があったようでございますけれども、まだ何らの接触はない状態でございます。しかしながら、アメリカ国内にはそういうラインでいろいろ動きがあるようでございますので、非常に注意深く見守っておるわけでございますが、関係各省の間におきましてはもちろんでございますが、繊維業界全体といたしましても、官民一致でこれに対して強い態度で押し返そうじゃないかということで意見の一致を見ております。
  259. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 終わります。
  260. 植木庚子郎

    植木主査 以上をもちまして、昭和四十四年度一般会計予算及び同特別会計予算中、通商産業省所管に関する質疑は一応終了いたしました。  次回は明二十八日午前十時より開会し、経済企画庁所管の質疑を行なった後、農林省所管の残余の質疑を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十三分散会