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1969-02-28 第61回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十八日(金曜日)     午前十時六分開議  出席分科員    主査 野原 正勝君       仮谷 忠男君    田中 龍夫君       塚原 俊郎君    野田 卯一君       松野 頼三君    久保 三郎君       後藤 俊男君    楯 兼次郎君       長谷川正三君    小川新一郎君       岡本 富夫君    北側 義一君       田中 昭二君    正木 良明君       山田 太郎君    兼務 大原  亨君 兼務 角屋堅次郎君    兼務 勝澤 芳雄君 兼務 神門至馬夫君    兼務 佐野  進君 兼務 斉藤 正男君    兼務 内藤 良平君 兼務 渡辺 芳男君    兼務 河村  勝君 兼務 玉置 一徳君  出席国務大臣         建 設 大 臣 坪川 信三君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         中部圏開発整備         本部次長    小林 忠雄君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         首都圏整備委員         会事務局長   鶴海良一郎君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         建設政務次官  渡辺 栄一君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設大臣官房会         計課長     粟屋 敏信君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 大津留 温君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         大蔵省主税局税         制第一課長   安井  誠君         建設省計画局宅         地部長     播磨 雅雄君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君     ————————————— 二月二十八日  分科員楯次郎君及び石田幸四郎委員辞任に  つき、その補欠として後藤俊男君及び北側義一  君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員後藤俊男君及び北側義一委員辞任につ  き、その補欠として長谷川正三君及び樋上新一  君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員長谷川正三君及び樋上新一委員辞任に  つき、その補欠として楯兼次郎君及び小川新一  郎君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員小川新一郎委員辞任につき、その補欠  として正木良明君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員正木良明委員辞任につき、その補欠と  して斎藤実君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員斎藤実委員辞任につき、その補欠とし  て山田太郎君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員山田太郎委員辞任につき、その補欠と  して田中昭二君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員田中昭二委員辞任につき、その補欠と  して岡本富夫君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員岡本富夫委員辞任につき、その補欠と  して石田幸四郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  第一分科員勝澤芳雄君、神門至馬夫君佐野進  君、内藤良平君、渡辺芳男君、河村勝君、第二  分科員斉藤正男君、第三分科員大原亨君、第四  分科員角屋堅次郎君及び玉置一徳君が本分科兼  務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度一般会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和四十四年度特別会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和四十四年度政府関係機関予算運輸省及び  郵政省所管      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原主査 これより予算委員会第五分科会を開きます。  昭和四十四年度一般会計予算及び昭和四十四年度特別会計予算建設省所管を議題といたします。  質疑に先立ち念のため申し上げます。  質疑者が多数おられますので、持ち時間は、慣例によりまして一応本務員は一時間、兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分にしていただきたいと存じますので、御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔に行なわれますようお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。大原亨君。
  3. 大原亨

    大原分科員 青森から鹿児島までの高速縦貫自動車道につきましての整備計画がいまだできていない地域と、縦貫道完了はいつごろを目標にしているのかという点をお答えいただきたい。
  4. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 縦貫自動車道、いわゆる私たち五道といっておりますが、その延長が二千四百七十七キロございます。そのうち基本計画といたしましては二千三百七十七キロで、百キロまだできておりません。この基本計画の百キロにつきましては、東北自動車縦貫道八戸線で、これがいま経過地の問題でいろいろございますので、まだ出ていない次第でございます。整備計画が千八百十五キロとなっておりまして、この中でおもな整備計画の出ていない部分について申し上げますと、東北縦貫では盛岡から十和田間、中央自動車道は大月−勝沼間、これは非常にルートの問題がございまして現在検討中でございます。北陸縦貫については黒部から長岡間が出ておりません。中間については、これも先生承知のように鹿野から千代田間がまだ整備計画ができていないところでございます。九州縦貫につきましては、これは八代からずっと山を入りまして人吉を通りまして宮崎及び鹿児島に出る、その山の中ができておりません。ここにつきましては、やはり相当山岳部でございまして、いろいろ整備計画を出すにつきまして、詳細なルートの選定その他に時間がかかっておるような次第でございまして、これが全部できるのはいつかということでございますが、これは非常に財政的な問題もございますが、私たち昭和五十一、二年ぐらいまでには、いまの計画で全部つくりたいという予定であります。
  5. 大原亨

    大原分科員 それから、整備計画ができていない地域整備計画ができ上がるのはいつか。それから、工事完了目標が五十一年といういままでの御答弁だったのですが、五十二年に延びたのですか。その二つの点につきまして……。
  6. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これはまだ財政的の問題がございますので、目標は、いま先生おっしゃいました、いままで言っております五十一年を目標にしておりますが、あるいは一年ぐらい延びるのじゃないかという予測を加えた次第でございまして、目標は、やはり五十一年を目標にしていきたいと思います。
  7. 大原亨

    大原分科員 それで、空白地帯整備計画はいつ……。
  8. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは、いま非常に急いでおりますが、いろいろ問題がございましておくれておる次第でございます。  場所によって違いますが、中国縦貫自動車道を例にとってみますと、千代田鹿野問につきましては、御承知のように冠山高原等がございまして、あそこは普通の工法では非常に金がかかるということもございまして、どういうような線形をとり、どういうような形でやったらいいか、非常に苦慮している次第でございまして、いまのところ、ちょっとまだいつということははっきり目安がつかないのでありますが、四十四年はどっちにしても調査を終えるように進めたいというふうに思っております。
  9. 大原亨

    大原分科員 四十四年中に調査完了して、四十五年には整備計画をつくる、こういう大体めどでございますか。
  10. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 そうしたいとは思っておりますが、はたして四十四年度にこれならいけるというような線形ができるかどうか、私、いまの時点では多少疑問を持っておる次第でございます。
  11. 大原亨

    大原分科員 たとえば、私も広島あるいは島根山口と、こういうふうに関係がありますが、住民の人々も非常な関心を持っているのですが、千代田から鹿野間ですが、私どもがあそこの技術者のいろいろな見解を聞いてみますと、たとえば、一キロが十五億から二十億かかるというふうなこと等がございまして、専門家意見の中には、これは、言うなれば高速自動車道のいわゆるいままでの方式でやるという一つ考え方と、もう一つ、これは規格を下げるというか、別の構想で、千代田鹿野問については国道方式でやったらどうか、こういう議論があるやに聞いておるわけであります。   〔主査退席楯主査代理着席〕 この二つの問題については、いろいろ一長一短があると思いますが、たとえば、百年の計であるから、この際ひとつ縦貫道既定ベースでやれ、こういう意見と、非常にコストも高いことではあるし、たとえば、六十キロぐらいのベースに下げて、そして国道方式でやれば、山をもぐり、そして谷を渡り、トンネルをつくり橋をかけと、こういうことばかりで通るよりも、規格を下げても、インターチェンジ等がなくても利用できる国道方式でやって、そしてトンネル等の間も短縮すれば、そのほうが地域開発地域住民には便利がいいのではないか、それに将来縦貫高速自動車道を一貫して通らしたい場合には、またそのとき別に考えたらどうだ、こういうふうな意見があるわけです。私は、それはそれぞれもっともなことであるし、そしていろいろな意見が出ることは当然であると思いますが、たとえば国道方式でやるというふうなこと等についても御検討になっているわけですか、どうですか、その点についてひとつ伺いたいと思います。
  12. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、この地形は非常に山がございまして、高速道路でやりますと、やはり先生のいまおっしゃいましたようなキロ十五億というような大きな金がかかります。またそういう金をかけても、いまの調査だとやはり六十キロぐらいしか出せないんじゃないかというようなこともございます。非常に地元の人からわれわれも言われていますが、地元では、この高速道路によって——いまは山の中で何も満足な道路もないような状態でございますので、非常に地域開発を望んでおるわけでございます。地域開発という点から考えますと、高速道路インターチェンジ以外しか乗れないというようなところ、かつそのインターチェンジを連係するような満足な道路がないというようなところでは、高速道路一本つくっても地域開発というのはなかなかできないのではないかというようなこともございまして、これをどこからでも乗れるような国道をまずつくったらいいじゃないかというような意見もございます。私も、実はそういう点も一応考えたのでございますが、御承知のように、この線は島根県の六日市を通る——六日市とすれば高速道路が通らないということで、非常にいまのところ失望しておりますので、そういう点も考えまして、私たち、いまの国道でまず通して、将来高速道路をつくるというような方式についても、これからやはり検討してまいりたいというように考えております。
  13. 大原亨

    大原分科員 高速道路千代田鹿野間だけを国道方式にするということは、これは技術的にも行政上も可能だと思いますが、やはりそういう点では、無償であって利用価値開発上の意義もある、そういう問題についても念頭に置きながら国土の総合開発考えることが妥当ではないか、あまり形式にこだわらないで、正しい国家百年の計についてもやはり念頭に置く、こういうことが必要ではないかと思いますが、その点については十分御検討をいただきたいと思います。  それから、中国横断道のことなんですが、中国横断道は二本あるわけであります。これは、岡山県とそれから広島県のが二本あるわけでございますが、これの調査状況進捗状況はどうなっておるわけですか。
  14. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 この岡山米子線広島−浜田線、この二本の中国横断自動車道路については、四十一年度以来調査を続けております。何ぶんにも雪のあるところでありまして、また山がありますために、積雪の調査その他を実施しております。この中で比較線調査にかなり手間取っておるような状況でございまして、しかも、地元のほうの御要望もございます。あそこを通していただきたい、ここを通していただきたいという要望もございまして、比較線調査しておる次第でございますが、いつごろこれがめどがつくかという問題につきましては、いろいろそういう比較線調査もたくさんやっておりますので、いまのところはっきり言えませんが、四十四年度では、ある程度の比較線、ここはいい、悪いということをきめてまいりませんと、なかなか全線のルートはきまりませんので、そういうたくさんあるルートのうち、ここはこういうようにするというような地域部分部分について、四十四年度はある程度の目安をもうつけたいというふうに考えております。
  15. 大原亨

    大原分科員 調査進捗状況について——これは広島県だから言うわけじゃないのですが、たとえば、岡山のほうがきわめて円滑に進んでおって、広島のほうがあと回しになっておる。法律はそうではないのです、同じようになっておるわけですが、そういうことがないようにひとつしてもらいたい。それからもう一つは、この広島−浜田間についても、かなり地元では議論があるようですが、私どもは、やはり建設省が、横断道にふさわしい条件を備えておる点で、技術的にあるいは専門的に検討された点を、これは決断をしてやっていただく、こういうことが正しいと思う。一々議員等がくちばしをいれるべきではない、こういうふうに考えておるわけです。しかし、おのずからルートについては、そういう面においては各方面の協力で大体一致点があるやに私ども承知をいたしておるわけでございます。したがって、その点は、いろいろな主張がある点は、地域開発の点から当然でございますが、国道昇格その他の問題等考えながら、全体の地域開発念頭に置きながら、横断道については、縦貫道との関係、あるいは地域開発との関係に立って、建設省は権威を持って、主導性を持って、技術的に是と信ずるところについて進めていただきたい。岡山だけのことをとやかく言うわけじゃないですが、広島が非常に期待をいたしておりまする、ある意味では縦貫道以上に期待をいたしておりまする横断道について、調査が、四十四年中にはこれが一つめどをつけ得るように、そういう点で御努力をいただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  16. 坪川信三

    坪川国務大臣 大原委員の御指摘になりました点につきましては、建設省といたしましては十分心得えながら進捗をはかりたい、こう考えております。
  17. 大原亨

    大原分科員 それから、特に広島以西岩国山口にかけまして、非常に交通が渋滞しておることは御承知のとおりであります。これは現地へ行かれたならば非常によくわかるわけであります。広島から以東のほうは、広島市内国道整備その他等でかなり抜けてまいりましたが、以西が非常に行き詰まりの状況でございます。交通量が非常に多いわけであります。ラッシュアワーのときなどは、二時間もそれ以上も待つというふうなことがございまして、それにかわる道はないわけですから、産業活動日常活動に非常に支障があると思います。  そこで計画といたしましては、法律できまっておる山陽高速道構想と、それから西広島バイパスが御承知のとおりあるわけですが、その西広島バイパス広島から山口岩国へ出るそれとの関係にいってはどのようにお考えになっておられるか、ひとつ御答弁をいただきたい。
  18. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 御承知のように、西広島バイパスというのを、これは昭和四十年度から着工しております。また法律にございます山陽自動車道という計画もございまして、これに基づく調査を実施しております。問題は、やはり広島周辺山陽自動車道をどういう形で入れるか、これは非常に大きな問題かと思います。また、広島からかなり離れてくる、たとえば岩国くらいになれば、地形山陽自動車道を通す位置もほぼきまってくると思いますが、やはり広島周辺にいって非常に問題がございますので、鋭意調査しております。それに関連いたしまして、西広島バイパスは、現在の二号線の混雑を見ますと、広島から大竹岩国くらいまではどうしても延ばさなければならないということもございまして、広島周辺は別といたしまして、大竹岩国周辺になりますと、やはり山陽自動車道路線が一致してくるような場所も出てくると思いますので、そういう点も考えまして、山陽自動車道及びこの西広島バイパスルートを最終的にきめてまいりたいと思っております。   〔楯主査代理退席松野(頼)主査代理着席
  19. 大原亨

    大原分科員 いまたいへん急いでおる西広島バイパスですが、山陽高速自動車道と一部が広島県の西部から山口県にかけて重複するというふうな可能性もある、こういうお話でございますが、この点について、西広島バイパスだけの観点でいいますと、岩国までのバイパス観点でいいますと、これは、たとえばいろいろな地域で、そういうバイパス等にいっては有料道路方式等が採用されるということは、これは工事を進める上に、あるいは財源の上でやむを得ない場合があると思うのですが、ただ、ここの西広島バイパスの場合には、選択できる道路もあまりたくさんないわけですから、そういう点では、広島を出て山口県へずっと入っていく、そういう一応の、たとえば岩国なら岩国くらいまでのめどのものは、これはやはり無償のほうでやるべきではないか。有料道路という方式高速道路とダブルというのは、将来の臨海工業地帯を整備する上において問題ではないか、こういう議論が出てくるのは私は当然であると思うわけですが、どんどん用地買収その他も進捗しておるわけですが、地元広島県でも三十億近い金をくめんをつけて協力をしておるようですが、その点につきまして、西広島バイパス岩国にかけての道路建設方式について、お考えをこの際述べていただきたいと思います。
  20. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、現在、西広島バイパスといたしまして、西広島から五日市をとりあえず開通させるために用地買収を急いでおる次第でございます。この間については、ただいま私の考えでも、大体いまの計画公共でいけるのではないか。ただこれから先になりますと、先ほど言いました山陽自動車道との競合もございまして、またルートが一致するおそれもございますので、この辺はあるいはそういう山陽自動車道の一部になるような形で有料道路ということもある程度はやむを得ないのではないかというように考えております。
  21. 大原亨

    大原分科員 西広島バイパスについては、用地を早く買って早く工事することによって全体の予算を切り詰めていく。これは山陽高速自動車道と一緒にやりますと、またこれは用地買収費や、その他段取りがおくれてしまいますと、非常に高いものにつくのではないか。そういう面においては全体の道路計画との関係があると思います。西広島バイパスについては、工業地帯として将来発展する大竹岩国等との問題もあるわけですから、広島と結ぶそういう線におきましては、やはり独自の路線公共事業でやっていただくことがいいのではないか。これは、私は一がいにどこでもかしこでも有料はいけないというようなことは言わないわけですが、事の性質上、バイパスをあそこに一本通して国道でやるべきじゃないか、こういうふうに思うわけでございまして、その点は十分考慮してやっていただきたいと思います。建設大臣、その点はひとつ……。
  22. 坪川信三

    坪川国務大臣 大原委員要望になりましたこの問題につきましては、当局といたしましては、十分誠意を持って御期待の線に沿うよう最大の努力を払いたい、こう思っております
  23. 大原亨

    大原分科員 最後に一問ですが、地方道国道昇格につきましては、そういう道路計画の中におけるお考え方の具体的なことは別ですが、原則的なことについて、時期の目安等につきまして四十四年度の計画がございましたらお答えをいただきたい。
  24. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘地方道国道昇格につきましては、御案内のごとく、現在全国より百八十六路線要望されておる次第であります。延長約一万四千百五十一キロに及んでおり、大原先生広島県内においても、大体十本前後要望されているような状態でございます。これにつきましては、御承知のとおりの道路法第五条を満たし得る条件、あるいは人口、産業あるいはその他の点を十分検討をいたしまして、公正な立場の上に立って国道昇格の仕事に当たりたい、大体めどを六、七月ごろに置きたい、こう考えております。
  25. 大原亨

    大原分科員 国道昇格については、やはり縦貫道あるいは横断道その他有機的に考えてやっていただきたい。いまのように陳情ももちろん地域住民の権利であり、熱意でありますが、しかし、お話がありましたように、技術的に考えて、あるいは総合的な地域開発という点を考えながら進めていただくことを特に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  26. 坪川信三

    坪川国務大臣 承知いたしました。
  27. 松野頼三

    松野(頼)主査代理 大原君の質問は終わりました。  次は、後藤俊男君。
  28. 後藤俊男

    後藤分科員 私は、琵琶湖総合開発につきましてお尋ねしたいわけです。  去年の七月二十二日でございますか、前の建設大臣滋賀県に来られまして、かなり大英断的な決意をあらわされて、いままでいろいろの案があったわけですけれども建設省として全湖利用という方向に踏み切られた。この琵琶湖の問題につきましては、私が申し上げるまでもなく、淀川水系の問題から、京阪神の水の利用の問題から、いわば国土開発的な大きな問題であろうと思うわけです。現在連絡会議等で、地元なり建設省あたりと相談をしながら調査を進めておると思うわけですけれども、過去の歴史を振り返ってみますると、琵琶湖というのは大体三、四年ごとに大水害にあっておる。たとえば、水位が一メートル上がることによって琵琶湖周辺のたんぼは五千ヘクタールから六千ヘクタールの大災害をこうむる。これは一刻も早く総合開発をやってもらわなければ困る、こういうふうな考え方のもとに今日進められておると思うわけでございます。  そこで第一番にお尋ねいたしたいのは、先ほど言いましたように、特に関係の深い滋賀県といたしましては、県政における一番大きな問題であると言っても間違いないと思うわけです。それで、建設省として今後どういうような方針で、どういうような方向で、しかも予定としては、この琵琶湖総合開発の問題について大体どういうお考えでおられるか、この点を冒頭にお伺いいたしたいと思うわけです。
  29. 坪川信三

    坪川国務大臣 ただいまの琵琶湖中心といたしました総合開発は非常に重要な問題でございますので、保利前大臣からも事務引き継ぎをいただきまして、私就任以来、地元与野党の諸先生の御意向も十分そんたくしながら、また滋賀県の知事さんの意見等も十分聴取いたしまして、総合的な開発方針のもとにおいて治水対策を講じながら、しかも琵琶湖周辺地域開発という大事な問題を十分頭に入れ、それらの開発計画を含めまして、関係当局の御理解と御努力をいただいて、昭和四十五年度はひとつ着工のめどをつけさせていただきたい。私も国会が終わりましたら一度現地にも参り、また与野党の諸先生方ともお会いをいたしまして、現地の上に立って、十分それを念頭に置いて推進をはかってまいりたい所存でございます。
  30. 後藤俊男

    後藤分科員 次の問題としまして、いま大臣も言われましたが、琵琶湖総合開発につきましては、単なる水資源開発でなく、いわば琵琶湖中心としたところの地域総合開発である、この点については御異議がないし、もちろんそういう方向で進んでいくんだという確認確認というとおかしいのですが、そういうふうにお考えをまとめてよろしゅうございますか。
  31. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘のとおり、私は琵琶湖周辺開発というものを優先的に考えて、総合的に事業を推進してまいりたいと考えております。
  32. 後藤俊男

    後藤分科員 二つ目としまして、聞くところによりますと、先ほど言いましたように、現在連絡会でいろいろと調査なり研究なり計算なりやっておられると聞いておるわけですけれども、話は最終的にどうこうという決定を見ておるわけではございませんけれども琵琶湖の水の低下につきましては、建設省としては二メートルくらいまでよかろう。地元のほうとしては大体一メートル半くらいじゃないか——これは最後の決着の話ではございませんけれども、そういうふうなことでいま調査なり論議が行なわれておる。特に地元としましては一番関係が深うございますので、水位を下げるのはできるだけ最小限にしてもらいたい、そして天然の観光なりその他の方面につきましても、被害はなるべく少なくしてもらいたいという考え方を持っておることは当然であろうと思うわけです。何か聞くところによると、計算なりその他の関係で、現在のところかなり建設省地元あたりとの意見の食い違いがあるというようなことも聞いておるわけでございますけれども、その点一体どういうふうに考えておられるか。こまかいことでございますので、大臣はそこまでわからぬかもわかりませんが、関係者のほうから、わかればひとつお知らせをいただきたいと思うわけです。
  33. 坂野重信

    ○坂野政府委員 いま先生お話しのように、いま現地におきまして、建設省中心にいたしまして、関係の通産省あるいは農林省の出先、それから関係の府県あるいは阪神水道等を入れまして、協議会というのをつくっております。それと別に、建設省滋賀県とがいわゆる作業等に関する連絡協議会というのをつくっております。それに基づいて、建設省側も資料を提出し、滋賀県側も資料を提出いたしまして、できるだけ共同の場でそういう計算をやろうということで、そういう基礎的な資料につきましてはお互いに意思の調整をはかっております。ただ、その間にそれぞれのいろいろな計算の方法があるものですから、滋賀県さんのほうは滋賀県さんのほうでいろいろ御計算なさって、私どものほうは私どものほうでやっておりますが、いずれこういう問題は技術的に片づく問題でございますので、今後そういった面におきまして調整をとりながら、最終的な段階においてはお互いに話のつく問題でございますので、事務的にそういう話を詰めてまいりたいということでございます。
  34. 後藤俊男

    後藤分科員 いまの問題については、いま申し上げましたように、地元の意向等も十分御存じであろうと思いますので、その点考えられまして、今後も話を進めていっていただきたい。  その次の問題としましては、琵琶湖総合開発を行なった場合の損害補償の問題なんです。これは財産補償ということだけではなしに、御承知のように滋賀県九十万県民というのは琵琶湖と切り離すことができない、直接的に、間接的に、生活から産業、ありとあらゆるものにこれは影響があるわけでございますので、かなり膨大な琵琶湖総合開発が行なわれるといたしますると、被害も出てまいりまするが、これらの被害に対する補償の問題なり、あるいは、ただこれがこうなったからこれに対する補償であるということではなしに、前向きに、地域開発方向を目ざす補償をすべきであると考えておるわけでございますけれども、この点についてはどういうふうにお考えになっておられるか、お示しを願いたいと思います。
  35. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先生指摘のように、琵琶湖の水位の変動によりまして周辺あるいは琵琶湖内における影響が非常に考えられます。たとえて申し上げますと、港湾の場合ですと、水位の変動によって、いままで使えておった港湾が干上がってしまって、ある時間的には使えなくなるという問題あるいは農業につきましては、湖面の変動によって地下水の変動を来たすということによりまして、農業の生産形態に対して相当な影響を来たす、あるいは地下水の低下によって、いままで出ておった地下水が出にくくなる、井戸の問題、こういう問題がございますので、私どもとしては、ここ数年にわたってその辺の影響調査というものを詳しく調査いたしております。あるいは水産の問題等につきましても、湖面の変動によって水産がどういう影響をこうむるかという問題につきましても、京都大学その他学識経験の方々に依頼いたしまして、詳細に調査いたしているわけでございます。それらの結果がだんだん判明いたしておりますので、補償にあたりましては、湖面の変動の影響がないという限度までは、少なくとも金銭補償、あるいは金銭補償でできない場合におきましては、それにかわるべき対策をぜひとも考えていきたい。  たとえば、港湾の場合には港湾の継ぎ足し、あるいは農業の場合には逆水かんがいをやるとか、あるいはクリーク方式によって農業の排水を考えていく、あるいは水道の敷設を考えるとか、あるいは井戸を継ぎ足すとか、その他水産につきましては、別途の人工的な水産の保護施設を設けるというようなことで、あらゆる観点から総合いたしまして、直接補償に加えまして、そういう影響のある範囲内におけるいわば建設的な補償、こういうものもひとつ積極的に考えまして、少なくとも滋賀県に対してマイナスにならない程度に、むしろプラスになるようなことを補償の際に総合的に積極的に考えてまいりたいというぐあいなことで、私どもいま補償の調査をやっておるわけでございます。
  36. 後藤俊男

    後藤分科員 そこで、いまいろいろ言われましたことに対して財政上の問題が出てくると思うわけなんです。冒頭から言っておりますように、琵琶湖総合開発は、京阪神、いわゆる近畿一帯の大きな問題でございますので、現在地元等と協議をされておるわけでございますが、先ほど大臣が言われましたように四十五年度に着工する、できるだけ早急に大臣地元に行って相談をしよう、それだけの熱意を示しておられるわけでありますけれども、いま申されましたいろいろな損害補償の問題なりいろいろな問題があるわけですけれども、これに対する財政関係については、お金の問題については、事業の裏づけについては一体どう考えておられるだろうか、この点をひとつ大まかでけっこうでございますがお示し願いたいと思います。
  37. 坪川信三

    坪川国務大臣 琵琶湖総合開発は、御承知のとおりにその開発規模が非常に大きく、また影響するところも、範囲も非常に広いことを考えますと、多岐にわたる実施計画考え、ことに琵琶湖周辺開発というものを重点に置く場合における、御指摘になりました財政措置というものも非常に必要でございますので、これらの考えを含めまして、ひとつ十分検討いたして、立法措置を講ずべきもののある場合も出てくるだろうと思いますし、あるいは財政措置も、かなり関係地区の協力もいただかなければならぬ問題もございますから、それらを含めまして、ひとつ円滑に実施する方向に最善の努力をいたしてまいりたい、こう考えております。
  38. 後藤俊男

    後藤分科員 いま言われました関係地区ということは、どういうことを意味しておるのか、もう少しお知らせいただきたいと思います。
  39. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のごとく、琵琶湖の皆さまの御協力を得る地区、下流地区、あるいは大阪等を含めた地区でございます。
  40. 後藤俊男

    後藤分科員 そうすると、いま言われましたのは、地元滋賀県のみではなしに、淀川水系、京阪、こういうふうな、いわば利益を受けるもの——利益を受けるというと、これは誤解があるかもわかりませんが、そういう面全般について考えるべきである、たとえば地元負担というようなことになった場合には。さらに国は国といたしまして、これだけの大事業であるから、財政問題については特別にひとつ考えていくんだ、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  41. 坪川信三

    坪川国務大臣 国のほうはもちろんでございます。しかし、大阪、京阪地区の協力といいますか、いろいろの協力を得ることが当然だと私は思います。そうした立場において、ひとつ行政、財政措置の考究を進めたい、こう考えます。
  42. 後藤俊男

    後藤分科員 そこで、いま言われましたことが大体わかるわけですけれども、現在地元なり協議会あたりで問題になっておりますのは、先ほどからも大臣が言っておられるように、これはただ建設省だけの問題じゃないと思うわけです。あるいは農林省、あるいはその他各省にまたがる大事業になると思うわけですけれども、そうなってまいりますと、これらの政府の窓口ですね、たとえば建設省なら建設省に行けば各省の問題は全部解決するんだということにはなっておらぬと思うのです。地元の話によりますと、大体二千億からの膨大なるお金を使って総合的に開発する、こういう大事業でございますから、政府におきましても窓口の一元化というか、行政の一元化ということを早急にひとつ考えてしかるべきではないだろうか、こう思うわけでございますけれども、この点大臣の御意見いかがでございましょうか。
  43. 坪川信三

    坪川国務大臣 現在は、御承知のとおりに農林省とも非常に深い関係がございます。したがいまして、これら関係当局と十分接触を強めながら調整をはかってまいり、行く行くは、私は、この大事業でございますから、一元化という立場で方向を裏づけてまいりたい、こう考えております。
  44. 後藤俊男

    後藤分科員 大臣の行く行くはというと、だいぶ先のような気がいたしますけれども、これは、やはりできるだけ早く窓口の一元化をはかっていただいて、少なくとも、先ほど言われましたように、四十五年に着工したいということになりますと、もうたいして期間もございませんから、これはぜひお願いをいたしたいと思うわけでございます。  それから洗いぜきの問題です。これは琵琶湖の水を淀川水系に流したりとめたりするところの洗いぜきの問題でございますけれども、この洗いぜきの問題につきまして、特に滋賀県のほうとしましては、この洗いぜきの門扉を上げたり下げたりということは、全部建設省が権限を握っておる、せめて地元のいわゆる県知事の意向を反映するような方法でこれを管理するということにしてもらえぬだろうか、これは非常に強い要望なんです。聞くところによりますと、現在地元のほうへ規程の改正か何かで意見を出しておられるそうでございますけれども、この洗いぜきの門扉の上げ下げ、管理等につきまして現状どういうことになっておるのか、さらに地元の知事等の意向というのは、これに反映させるというような何らかの仕組みを考えておるのかどうか、この点をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  45. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先生指摘のように、瀬田川の洗いぜきの操作の問題でございますが、これは先生承知のように、淀川水系というのは四十年の四月に一級河川になっておりまして、それに基づきまして、建設大臣の権限においてこの洗いぜきの操作をやっておるわけでございますが、この操作規則というものは、実は滋賀県等の意向もございました関係で、まだ確立はいたしておりませんが、この操作規則については現在検討中でございます。もちろんその操作規則を定める場合には、河川法にもはっきりうたっておりますが、関係の県知事さんの意見を聞かなければならないということになっております。そういうたてまえもございますし、実際問題としても、この洗いぜきの操作が滋賀県に及ぼす影響は甚大なものがございます。また下流の関係府県に対する影響も非常に大きいものがございますので、建設省といたしましては、総合的に水系全般をながめまして、この操作をやっているわけでございます。昭和三十六年の八月十日ごろに、滋賀県から、いろいろ操作に対する注文といいますか、照会がございまして、それに対して近畿地建局長から回答を出しているようでございますが、現実的には毎年滋賀県と、冬季の操作につきましては、関係者が集まって事務的に打ち合わせをして決定いたしておりますが、夏場の操作につきましては、いま私どもの観測では、大体近畿地建当局滋賀当局の御見解なり、調整ができているというような形でございまして、現在は、きびしく申し上げますと、夏場は琵琶湖の水位がゼロメートルから大体三十センチくらいの間にできるだけ持っていこう、三十センチをオーバーした場合には、洗いぜきは全開して、できるだけ湖水の水害を防止するというようなことも、調整が当然とれております。   〔松野(頼)主査代理退席、久保主査代理着席〕 それから洪水の場合、洗いぜきを全閉するような問題が、第二番目に条件がつけてございます。渇水の場合につきましても、下流の必要な最小限度の流量というものも、夏場が九十トン、冬場が七十トンというようなことで、これもおおむね事務当局同士では了解が成り立っている。問題はむしろ冬場の放流が問題でございまして、現在のところは最大五十センチから七十センチくらいのところまで水位を下げているというようなことでございますが、これは滋賀県の意向を十分しんしゃくした上で、むしろたてまえから言うと、実は先生承知かと思いますけれども、マイナス一メートルまで下げるべきところを、滋賀県の意向によってそれを押えて、五十センチ程度くらいまででがまんしているというようなことでございまして、将来の方向といたしましては、これで、もちろん滋賀県さんのほうも必ずしも十分満足だと思っておりませんし、今後琵琶湖総合開発ができます段階におきましては、この洗いぜきの操作そのものも根本的に操作方式が変わってまいります。それは、つまり琵琶湖総合開発につながる問題でございますので、そういう段階にいく経過におきまして、滋賀当局と私ども十分打ち合わせをいたしまして、お互いに了解の上で最終的な操作規則をつくってまいりたいというぐあいに考えております。
  46. 後藤俊男

    後藤分科員 いま申し上げました点につきましても、ぜひひとつ善処をしていただきたいと思うのです。  そこで、最後に大臣にお伺いするわけですが、水資源開発関係法、あるいは水資源開発促進法、これらの法律に基づいて、先ほどから話をいたしております、県としては二千億からのお金が要るんじゃないかという、いわば大事業でございますので、これだけの大事業をやる上において、現在ある関係法律では、琵琶湖総合開発につきましては別に法律をつくるべきではないか。それをつくらぬことには当然あれだけの大事業はやれない。こういうようなことも地元なり関係方面におきましてかなり考えておるようなわけでございますけれども、先ほど大臣が言われましたように、四十五年に着工しようということになると、もうぼつぼつ話が具体的に進まぬことには、四十五年着工ということは非常にむずかしかろうと思うのです。さらに、大臣もこの国会、適当な機会に早急にひとつ滋賀県に行く、たいへんな問題だ、早くやらなければいかぬ、これだけの熱意を示していただいておるわけでございますから、特別立法の問題につきましても、現在建設省としても御検討に入っておられると思いますし、これに対して一体大臣としてはどういう方向で進めよべとしておられるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  47. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほども申しましたごとく、開発規模も非常に大きく、またその影響するところも非常に広く、また多岐にわたっており、行政、財政措置に対する問題等もございますので、これらを含めまして、ひとついかにあるべきかという検討を続け、また急ぎたい、こう考えております。
  48. 後藤俊男

    後藤分科員 いま大臣の言われましたようにぜひひとつ——いままで五、六点の問題を申し上げたわけでありますけれども、いわば向こう方面においてはたいへんな琵琶湖総合開発という大事業でございます。特に地元といたしましては、先ほど言いましたように、三年、四年ごとに大災害があるというようなことでもございますし、国土開発につながる大きな問題でございます。大臣も、できるだけ早く現地に行って相談する、特別立法の問題についても考えておる、洗いぜきの門扉の問題につきましても地元の意向も十分考える、こういうような御意向でございますので、ぜひひとつお願いいたしたいと思います。  終わります。
  49. 久保三郎

    ○久保主査代理 長谷川正三君。
  50. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 私は、実はいま文教委員をつとめておりまして、文化財保護の問題に関心を持っております。いま全国でいろいろ建設事業が進められておりますが、これと文化財保護とが至るところでぶつかり合って問題を起こしております。しかし、文化財保護の問題は、直接文化財保護法に関する限りは文化庁の所管でありますが、きょう私が特にこの分科会に出席させていただいて建設大臣に御質問申し上げるのは、いわゆる一般の文化財保護法による文化財の保護ときわめて密接な関係にある歴史的風土と申しますか、あるいは文化財の当然切り離せない自然環境と申しますか、そういうものが非常に破壊をされておりますので、この点について主として建設大臣に御所見を伺い、ひとりわが長い歴史ある民族の伝統、文化がこれ以上破壊されないように、そして、それとまた切り離せない歴史的風土、自然環境が国民の今後の長い遺産として、あるいは将来の国民の真に精神をはぐくむ場所としても保存されますように要望いたしたいと思うわけであります。  そこで、最も手近に典型的な例として、鎌倉を例にとりまして、きょはそこに集中して御質問申し上げたいと思います。  御承知のように、わが国も歴史的な伝統の特に残っております京都、奈良、鎌倉、この三つの市を中心にして、建設事業による破壊等が進むことに対処して、昭和四十一年議員立法で古都における歴史的風土の保存に関する特別措置というものができたわけであります。古都保存法といわれておりますが、これができたので、おそらく従来破壊の進んでいたこういう古都は完全に守られると安心をいたしましたところが、事実は逆でありまして、この法律ができて以降、特に鎌倉などに行ってみますと、急速に破壊が進んでいる。これは古都保存法でなくて、古都破壊法といっても言い過ぎではないのではないかとすら、私どもしろうと考えには思われるほどでございます。佐藤総理大臣は週末には鎌倉においでになるそうでありますが、一ぺん建設大臣はぜひ総理を案内されて、鎌倉をずっと一巡なさってみたらどうかと思うのです。これはぜひやっていただきたい。これは、非常に特別な自然の環境の中にできた鎌倉という長い伝統的な都市の歴史的遺産、それとまたその背景をなす風致、こういったものを見るもむざんにこわされております。わずかに八幡さまの裏山だけが、地元民の熾烈な保存運動で、これもあぶなくこわされそうになっていたらしいのですけれども、かろうじていま残されましたけれども、ずっと見てみますと、たとえば宅地の造成でも腰越の十万坪、七里が浜の二十万坪、梶原の十五万坪、今泉の十万坪、天園の十万坪、朝比奈峠の二十五万坪、浄明寺の十万坪、これも全部こわされてしまってむざんな姿になりました。しかもここに住宅地として全部利用されているかというと、中には利用もされてないというようなところもあると聞いている。こういうことは一体どこに欠陥があるのか。まず鎌倉のこういう事実を建設大臣は認められますか、どうですか。どこに欠陥があり、どうしていったらこういうことが防げるとお考えですか。
  51. 坪川信三

    坪川国務大臣 長谷川先生指摘になりました、いわゆる古都保存あるいは歴史的風土保存というような問題これはわが国の文化保存の意味においても、民族的な立場の上に立っての気持ちの上からも、非常に重要な問題であると思います。ことに鎌倉というこの古都は、われわれの民族を象徴する非常にゆかりの深い古都でございます。したがいまして、これらの鎌倉の周辺を含めましての古都保存、風土保存ということについては、国といたしましては、やはり最善の考え、また高度な立場に立っての施策を推進して、そしてりっぱな歴史的な鎌倉の環境を守っていきたい、こういう方針を私はとりたい、こう考えております。
  52. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 大臣の基本的な姿勢を伺いましてまことに心強く思います。しかし、それでは実際にいまの御精神がこの古都保存法なり、その他建設省所管のこうした緑地を守る、そういうようなものもあわせまして——私は鎌倉についてだけまず代表的に申し上げるわけですが、鎌倉について、いま依然としてどんどん破壊が進んでおる状況を防ぐことができるかどうか、この点と、鎌倉の状況をまず御存じなのか、それからそれについてどういう手だてをとられているのか。御答弁によってはもうちょっと具体的に伺いたいと思いますけれども、まず認識をされているかどうか、その点をお伺いします。
  53. 坪川信三

    坪川国務大臣 鎌倉に対する認識ということは、さっき申し上げましたような立場から私は認識もいたし、またこれを守りたい、こういう気持ちでおります。具体的な点についてまた御指摘もあろうかと思いますが、その段階においてまた建設省考えている方針も申し述べさしていただきたい、こう考えております。
  54. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 それでは端的に申し上げますが、鎌倉に、いわゆる俗称鎌倉湖などともいっておりますが、散在ケ池というのがございます。ここは、鎌倉になるほどこういう幽邃なところがあるということで、私も現地へ行ってみまして、こういう風土はぜひ残したいと思ったわけであります。ところが、その上のほうに大きな宅地造成の計画が進められておりまして、もしあれがそのまま進むようなことがあれば、この散在ケ池というものの水源もなくなるでありましょうし、全く古都の歴史的風土というものが見る影もなくまた一つ破壊されていく、こういうふうに心配をいたしておるのであります。あの散在ケ池をめぐる宅地造成の問題につきまして、どのように現状を把握され、どこまで進行しているというふうにお考えですか。それに対してどう対処されていますか。
  55. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 先ほど御質問がございましたように、古都の歴史的風土を守るという観点から歴史的風土保存区域というのを設け、さらにその中の枢要な地点につきましては歴史的風土特別保存地区というのを指定いたしております。この歴史的風土保存という観点に立ちますと、散在ケ池周辺の山地は、鎌倉市内にございますいろいろな歴史的な重要な建造物、遺跡と一体になって自然を守るという歴史的風土の保存という趣旨からして、山稜の裏側になっておりますので、この法律の特別地区なり一般地区にはなりがたいじゃないかと私ども考えておりまして、同時に、その後できました首都圏の近郊緑地の保全に関する法律というのがございまして、その首都圏の近郊緑地の保全に関する法律によりまして、首都圏のほうともお話し合いをいたしておりまして、近郊緑地保全区域の指定を現在いたそうとして準備中でございます。もしこの近郊緑地保全区域の指定が行なわれました場合におきましては、私どもといたしましては、散在ケ池を特別地区に指定をいたしたいということで、県のほうにただいま意見を照会中でございますし、実質上、県のほうと相談を進めておるというのが現在の状況でございます。
  56. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 私、冒頭にも申し上げましたとおり、古都保存法と略称で申し上げますが、これによる特別指定地区というのだけでは、確かにその条項の厳密な解釈のところからきわめて限定されてしまう。ですから、なぜ私が破壊法だと言うかというと、特別地区に指定したために、かえってそこからはずれたところは何をやってもいいんだということになって、黙っていてもみなが伝統的に保存しようと思ったところが、もうあそこはやってもいいんだということで、これがいろいろ宅地造成の営利事業に——まあ公共的なものでありますと、まだそういう配慮があると思うのですが、もう食いものになって、鎌倉にというと非常に宣伝がきく、そういう背景もあって、鎌倉とさえ名がつけば一番いい住宅地だといって飛びつくだろう、そういうようなこともあって、古都保存法による特別指定地区からはずれたところは、もうどんどんこわされていくので、逆に古都破壊促進法になってしまっておる。そこで、いまお話がありましたように略称緑地保全法というものができたわけですから、いまの段階では一つ法律で完全に古都の歴史的遺産並びにその風土というものを広い意味できちっと保存することはできないとすれば、この二つ法律なり、さらにそこに行政指導なりを加えて、そうして盲点をふさいでいかなければならぬ。いまの御答弁で、散在ケ池のところはいわゆる歴史的風土特別保存地区の指定には当たらない。散在ケ池そのものは当たっても、いま宅地にされようとする大事な背景の土地が保存できない。そこでこれは緑地保全法によって特別地区に指定して保全をしよう、こういうふうなお考えだと思うのですが、そう受け取ってよろしゅうございますか。
  57. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 私どももいま先生おっしゃいましたとおりの考えでございます。ただ特別保全地区の指定にあたりましては、やはり県のほうの意向も十分聞かなければなりませんので、ただいま県当局と相談中でございます。私どもといたしましては、散在ヶ池周辺につきまして特別地区を指定したいという気持ちで、県当局と相談をしている段階でございます。
  58. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 これはそれぞれの法律の精神から見て、地元の意向を尊重することは、何事によらず大切なことですね。しかし、古都保存法にせよ、緑地保全法にせよ、そういうものの最終責任は、これは国の法律でありますし、政府が十分責任をもって指導しなければならない。これを地方自治体なりにまかせますと、非常に不明朗なような事態が起こりまして、私は鎌倉自身についてもいろいろのうわさを聞いておるのでありますけれども、きょうは時間もございませんから、いまそういうことにはつっ込んで触れませんけれども、これはやはり建設省としての強力な指導が必要でありますし、特に古都保存法につきましては、責任者はわざわざ内閣総理大臣にしたのです。ですから、私は、ぜひ建設大臣が案内して佐藤総理にひとつあすこを一回りしてもらいたいと思うのです。ですから、この点につきまして、いまの散在ヶ池にいたしましても、あるいは文化財保護法——文化庁と非常に微妙な境目にある二階堂の永福寺谷津の保存にいたしましても、これが文化財保護法の対象になる部分と、いまの緑地保全法の対象にされるべき部分と非常にまたがっておるので、これは文化庁、文部大臣建設大臣の間でも緊密な連携をとってやっていただかないと、あすこも非常に破壊が進もうとしている。もっと端的に、建設大臣に直接責任のある問題になるのは、あの二階堂永福寺のお寺のもとあった場所は、ほんとうはもっと高いところであるということが、最近の学者の調査によって明らかになりつつある。そこが大きく宅地造成されようとし、そうしてあすこがどんどん切り払いが進みますと——いまでもあの二階堂地区は、ちょっと豪雨が降りますと非常な洪水になる。多少その水路を拡幅するというようなことで糊塗しようとしておりますけれども、あすこが宅地になりますと、こういう水の問題等もあの土地の住民の方々は非常に心配している、また経験をしている。あの二階堂地区の問題についてはどういうようにお考えですか。
  59. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 ちょっと私、いま調べておりませんので、具体的には調べましてからお答えしたいと思いますけれども、遺跡等の調査をまって処理をするという方針だということだそうであります。
  60. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 さっき私が質問しかけたのですが、地元の、つまり県、市、そういう意見を聞く、これは当然でありますが、こうしたものの保存の場合には、やはり政府なり建設省なり、あるいは首都圏整備委員会なり、そういうところに非常に強力な指導性の確立が必要だと私は思います。県の意見と国の意見が反対であった場合、一体どうしますか。
  61. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 先生承知のように、古都保存の特別地区にいたしましても、近郊緑地の特別保全地区にいたしましても、特別と名のつく地区につきましては、都市計画の施設としてこれをきめるということになっております。したがいまして、通常の手続は、関係の市町村長または知事からの申し出を受けまして、都市計画地方審議会の議を経て指定がなされるというのが手続でございます。申し出のほうは、現行の都市計画法におきましては法律に書いてあることではございませんが、五十年来慣習法的に確立されているやり方でございますけれども、都市計画地方審議会の議はどうしても経なければならぬ。そういう意味におきまして、やはり地方公共団体と密接な連絡をとってこの仕事を進めていかなければならぬ。私どもといたしましては、行政指導といたしましては、かなり強く、特別地区に指定してはどうかということを神奈川県当局に対しましては申し入れをいたしておりまして、向こうとの間にはしばしば、協議会と申しますか、連絡会と申しますか、打ち合わせをいたしておる状況であります。
  62. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 二階堂地区の問題は、いまのお答えですから、いずれまたあらためて、きょうでなくてもいいと思いますが、散在ケ池につきまして、及びあの後の宅地造成がいま進められようとしておる地域につきまして、現在の段階でどういうお見通しを持っていますか。
  63. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 神奈川県のほうから聞いておりますお話では、神奈川県の県会でも相当この問題は議論になりまして、つい最近建設委員会で請願の採択に関連いたしまして結論が出ておるというふうに聞いております。したがいまして、現在あすこは風致地区でございます。風致地区によります宅造の許可というものが現在問題になって、県当局のほうでいま調べておるわけでございます。私どもといたしましては、とにかく散在ケ池の周辺というものはこれはどうしても確保していかなければならない、そういう意味におきまして、風致地区の許可にあたりましては、散在ケ池周辺をできる限り残すような方向で風致の許可をしてもらいたいということを県のほうには申しております。ただ、現在の状況におきましては、あすこにつきまして、われわれが考えておりますあの地区全体につきまして開発を一切認めないという態度をとれるかどうかにつきましては、私どもも若干不安を持っているというのが、偽らざる状況でございます。
  64. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 歴史的風土特別保存地区なり、近郊緑地保全法の特別地区としての指定なりした場合に、これを将来維持管理するために、民有地の場合も、公有地の場合も、国有地の場合もありますけれども、国としては予算上はどういう措置をされておりますか。
  65. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 特別地区に指定されますと、宅地開発、建築、樹木の伐採その他につきまして非常にきびしい規制がかかりまして、ほとんど開発ができないというような状況になるのでございます。それに対しまして、法律上損失補償の規定と、それから、そういう指定がかかりまして許可が得られないために土地の現在の利用が特別支障を生ずるというような場合に、買い上げの規定がございます。それに対します予算措置は、先生承知のように、いたしております。古都の場合は、用地の買い上げについて国が八割の補助をする、それから近郊緑地の場合には三分の二の補助をするということで、これはずっと予算措置をいたしておりまして、現在まで予算が足りなかったということはないような状況でございます。
  66. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 散在ケ池は特別地区に指定したい——したのじゃないのですね。したいですね。それについて四十四年度の予算の中には入っていますか。
  67. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 散在ケ池の分としては入っておりません。と申しますのは、実は買い入れというのは普通の事業と違いまして、公共団体——神奈川県の場合でございますと、神奈川県が買うわけでございます。受け身で買うものでございますから、なかなか予定が立ちにくいわけでございます。そこで大体前年度の実績等を見まして、そして古都保存、広域緑地を通じまして国費五億を今年度予算にあげておりまして、過去の実績で大体このくらいで間に合うだろうということでやっておりますが、もしその金額で足りないという場合には来年度国費を支払うという形でやっておりますけれども、従来から予定が立ちにくいものですから、どこの個所が幾らという予算の積算はやっておりません。   〔久保主査代理退席、田中(龍)主査代理着席
  68. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 散在ケ池の分としてきちっと積算基礎にするというやり方はできないということはよくわかりました。したがって大体予想をしてつかみで組んでいて、実績によって翌年度またやる、どうしても足りない場合には翌年度分をあてにする、そういう運用でやっていくというのですから、これは必要だと思えばそれを国が補助して県に買い上げさせる、こういう手だては十分とれるということがわかりました。それにしても現在全然やみくもということはないと思うのですが、本年度、四十四年度で大体八割補助あるいは三分の二補助の対象になりそうな地区というのは全国に幾つか。全然やみくもじゃないでしょう。大体こんなところが候補になるだろうというところをちょっとおっしゃってください。
  69. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 実はすでに指定をいたしております京都、奈良、鎌倉の特別保存地区に、やはりぽつぽつと買い取りの請求が出てきているところがございます。それから近郊緑地につきましては、首都圏、近畿圏とございますが、それにつきましてもぽつぽつと買い取りの請求がございます。県のほうでいま取りまとめた資料がございますけれども、何のたれ兵衛が何坪の土地を幾らというようなものを一応、積算とまでは申し上げませんけれども、そういう見込みはございますけれども、ただいまこまかい資料を持ってきておりません。  要するにいままでの指定をいたしました地区の中で、買い取ってくれということがやはり地主さんからぽつぽつと出てくるわけです。それを集めて一つ予算の寄りどころにしているということでございまして、今後追加指定があれば追加指定の分はもちろん四十四年度予算で払っていいわけでございます。これは実施計画を立てますときに組めばいい、こういう形になっております。
  70. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 お話はよくわかるのですが、いま指定をした、あるいは指定予定、そういうところで主要なところを大体幾つか例をあげていただきたい。別にここで答弁されたからそこはがちっと出すことになっているというふうにはとりませんが、大体こういうところが対象になるであろうという程度でけっこうです。
  71. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 四十四年度分の資料が手元にございませんが、従来、たとえば四十三年度やっておりますのは京都の嵯峨野地区でありますとか、鎌倉で申しますと四十二年度に大仏地区というのをやっております。それから広域緑地で申し上げますと葉山町の三ケ岡あるいは千葉の東千葉というようなところで従来やっております。  四十四年度の資料はちょっと持ってきておりませんので……。
  72. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 それでは、それはまた後ほどお知らせをいただきたいと思います。  ここではこの程度にとどめますが、なおいまの問題と関連しまして、古都保存法の政令で定めるその他の市町村というのがありますね。それは現在どことどこですか。
  73. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 奈良の斑鳩町それから天理、桜井、橿原、明日香というようなところです。
  74. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そうすると、いまは奈良だけに限られているのですね。
  75. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 古都保存法は歴史的にわが国の全国的な中心地であったところという考え方でございますので、具体的に指定をいたしておりますのは奈良県だけでございます。それ以外にも実は都のあったところがございますけれども、すでに難波宮のように大阪のまん中だったり、それ以外の理由で、現在の段階で歴史的な遺跡を中心にして自然的な一体をなす地域の保存をはかるという法律の趣旨から見て、指定してもたいして意味がないというところもございます。現在のところこの市町村に限っておりまして、私どもただいまのところ新たに指定をしようと思うところは考えてないわけでございます。
  76. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 それでは時間が参りましたから、もう一ぺん散在ケ池に戻りまして、いま散在ケ池そのものを特別保存地区に指定する。その背景をなしておる部分については、緑地保全法のほうの特別地区に指定をしたいということはないのですか。
  77. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 散在ケ池の周辺につきまして、緑地保全法のほうでいきたい、こういうふうに考えております。
  78. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 私が一番問題にしたのは、当然その背景をなす宅地造成が、現在市としては許可したという部分があるのは御存じでしょう。そのことをさっきから申し上げているのです。その点についてはどう考えますか。
  79. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 散在ケ池周辺の宅地造成につきましては、まだ風致の許可はいたしておりません。風致地区でございますので、神奈川県に許可申請は出ております。しかし、許可はいたしておりません。そこで、宅地開発をどこまで認めるかというのが風致地区規制のほうの問題でございます。したがいまして、私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、散在ケ池のまわりをできる限り残していくという形で風致地区の許可もやってもらいたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、それをどの程度にするかということにつきましては問題がございますし、また散在ケ池周辺全部を、広い地域にわたって宅地開発のできないように特別保存地区をかけたいというように私ども言っておりますけれども、県の事情もございますので、その点につきましては、それが必ずそのようにいくかどうかということについて不安を持っておるというふうに先ほど申し上げたつもりでございます。
  80. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 大臣、いまお聞きのように不安を持っているとおっしゃいましたが、まさにそのとおりなんです。私どもは非常に不安を持っている。どうもいまのままでいくと、あそこが相当大々的にこわされて宅地造成される。散在ケ池そのものも全く値打ちのなくなるものになってしまう。そこだけぽかと残してみても、水は枯れる、まわりの景観から見ても、鎌倉の散在ケ池というものの態様はなさなくなってしまう。いまの法律を運用していくとそういう結果が出てきてしまう。そういう点で、建設省と文化庁とでも十分御相談をいただいて、もうちょっと強力な——特にいま開発がどんどん進むときですから、これそのものはけっこうでありますけれども、非常に薄っぺらな経済優先の開発を推し進めてしまい、ただ目先の必要だけでもって、民族の長い将来や文化の問題を考えずにやってしまえば、これはたいへんなことになりますから、こういう点についてひとつ十分御検討をいただきますよう要望をし、きょうは時間がありませんから、具体的にどの法律をどう直したらいいのではないかというようなことは一切申し上げませんでしたが、せっかく御検討をいただきたい。   〔田中(龍)主査代理退席、仮谷主査代理着席〕 最後にもう一ぺん、冒頭申し上げたように、ぜひこの責任者である、古都保存法の運用について、佐藤総理に、せっかく毎週鎌倉にいらっしゃるのなら、一ぺんあそこを見ていただきたいのです。そうすれば、これはたいへんいかぬというふうに思われると思うのです。これは思わなければどうかしていますよ。そのことを強く要望して私の質問を終わります。
  81. 坪川信三

    坪川国務大臣 承知いたしました。
  82. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 河村勝君。
  83. 河村勝

    河村分科員 住宅問題と土地問題について少しお尋ねをしたいと思います。  昭和四十四年度は政府の住宅建設五カ年計画の第四年目となるわけでありますが、今日までの進捗状況はきわめて不満足な状態であります。そこで、初めに、昭和四十四年度予算を通じまして進捗状態並びに今後の見込しについてお伺いします。
  84. 坪川信三

    坪川国務大臣 住宅建設は建設省公共事業の柱として非常に重要な部面であるということは、先生承知のとおりでございます。したがいまして、昭和四十五年度をめどに置きました一世帯一住宅という六百七十万戸の建設計画を立てまして、本年御審議の四十四年度の予算をいただきますれば、御案内のごとく、公的資金による建築の住宅は大体七二%前後進捗する、また、自己資金によるところの民間でお建ていただいている協力によって、これらを平均いたしますと大体八一、二%の進捗を終えるであろう、こう考えますので、御承知のとおりに、四十五年度において残された一八%の住宅政策に最善の努力を払いまして、そしていよいよ四十五年を終わるところの時点に立ちまして、いまから新たなる五カ年計画というものの構想検討いたして、そして住宅宅地審議会にも御諮問を先日いたしまして、それらの結論、答申をいただきました時点に立って、建設省といたしましては、国民の期待にこたえ得る新たなる住宅五カ年計画を立案いたしてまいりたい、こう考えておる次第であります。
  85. 河村勝

    河村分科員 抽象的にはたいへん見通しがいいようなお話でありますが、主としていわゆる政府施策住宅について伺いたいのでありますけれども、今年度五十七万三千戸、これはかなりの努力ではあろうと思いますけれども、なお計画完遂までには七十七万四千五百戸足りないわけです。これは来年一年でつくらなければならない。それが政府の公約であります。七十七万四千五百戸というようなものを完全に四十五年度において建設する決意がおありかどうか。
  86. 坪川信三

    坪川国務大臣 河村先生指摘になりましたとおり、私は、昭和四十五年度に残された住宅につきましてはぜひとも建てたいという決意でおるわけでございます。
  87. 河村勝

    河村分科員 実はこの間大蔵委員会で大蔵大臣にこの点をお聞きいたしましたら、政府施策住宅が別段完全にいかなくてもいいじゃないか、民間自力建設の分までひっくるめて六百七十万戸できればいいじゃないかというような答弁でございまして、はなはだ誠意もないし、七十七万何千戸かのものをつくろうという意欲は全くなかったのですが、その点は政府部内ではどういう総合的な意思が固められておるのですか。
  88. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のとおりに、福田現大蔵大臣は、かつて自民党の政調会長のころにこの一世帯一住宅というような計画を立てられた立案者でございます。福田大蔵大臣としましても、その大きな規模に立って発言もされ草案もされておることは、先生承知のとおりでございます。したがいまして、政府といたしましては、この住宅政策に対する年次計画をくずそう、あるいはくずさざるを得ないというような見解をとっておるような閣僚はまた一人もいない、私は、政府あげてこの政策の実現に配慮と努力協力をいただけるものと強く期待もいたし、ぜひともそうあるべきという立場に立って私の決意を推進してまいりたい、こう考えております。
  89. 河村勝

    河村分科員 二百七十万戸という政府施策住宅を、民間自力建設のものを突きくるめて、数字さえ合えばよろしいということなら、私はあるいはできるかと思うのですけれども、しかし、民間自力建設というのは実は政府の見通しにすぎないので、現実に政府として計画的にやるというのは政府施策住宅ですね。ですから、これが完遂されなければ、国民に対する公約というものは遂行したとは言えないわけですね。ですから、私はいまの大臣答弁を聞いても、何かその辺のところがはっきりした答弁になっておりませんが、政府施策住宅二百七十万一尺これを完全におやりになるという意味でおっしゃっているのかどうか、それを伺いたいと思います。
  90. 坪川信三

    坪川国務大臣 御心配いただいている点、まことに恐縮でございますとともに、その熱意に対して敬意を表したいと思います。  御承知のとおりに、民間協力による住宅の建設は、四十三年度におきましては約八十数万戸を建てていただいたということは、また政府が予定いたしております昭和四十四年度には大体百万戸をお願いできると推定いたしております。これらの推移を考えますときに、私は、いわゆるたよるというような気持ちでなくして、これらの御協力をいただいて最終目標が達し得るという期待を強く持っているような次第であります。
  91. 河村勝

    河村分科員 いままた御答弁で少し話をあいまいな方向に戻されたようでありますが、民間住宅建設に御協力をいただいてということは、そっちのほうでカバーしてもらって、ちっとくらい政府施策住宅が足らぬでも、この計画は達成したんだ、こういう意味にとれますが、そういう意味でおっしゃっているのですか。
  92. 坪川信三

    坪川国務大臣 そういう意味では決してございません。われわれ積極的なる公的住宅の推進にひとつ決意を新たにしてまいりたい、こう考えております。
  93. 河村勝

    河村分科員 大臣がそこまでおっしゃるのですから、それでも疑わしいというのはたいへん失礼かもしれませんが、昭和四十二年度、第二年目ですね、このとき私も予算委員会での質問の際に二年目というのは、五カ年計画で一番大事なんですね。一年目というのは、既定の予算をもとにするのですから、達成しようも達成しないもないわけです。二年目からすでにくずれておったわけです。ですから、およそ五カ年計画で二年目にくずれるような計画というものは、絶対に成功したためしがないということを申し上げたのですけれども大臣いまの御答弁で誠意だけはありますけれども、まだ私は非常に懸念をしております。住宅問題はほんとうに国民大衆の非常に熱烈な期待をすることでもあり、特に政府施策住宅というのは、中の下から低所得層に対する配慮のもとになされておる計画ですから、民間自力建設は民間の木賃アパートまでは勘定に入っていないでしょうけれども、ある程度の規模さえあれば、高くても粗末でも、みんな計数に入るはずです。その点もちょっとあとで事務局からその基準を伺いたいと思いますけれども、ですから政府施策住宅をぜひとも完遂をしていただきたい。  そこで、民間自力建設の基準、この計画の中に勘定に入れる規模、それをちょっと伺いたい。
  94. 大津留温

    ○大津留政府委員 民間で建設されました住宅をすべて計算するのではなく、一定の基準に合格したものを計算に入れるという考えでおります。考え方としましては、小世帯におきましては九畳以上、それから通常世帯——家族四人以上でございますが、通常世帯におきましては十二畳以上が最低の基準という考えでおります。したがいまして、建築統計によりまして、住宅の面積のうち、これは畳数は必ずしも正確に出ませんので、三十平米未満のものを落としましてそれで計算しております。
  95. 河村勝

    河村分科員 ことしの予算で公営住宅の戸数をとにかくふやすために、いままで国から用地補助をやっておったものを、これを廃止して地方債に切りかえましたね。それで、それに対する家賃補助をやって、土地補助がなくなったことによる地代の増加分を押えようという計画でありますね。たいへん苦しいやりくりでありますけれども、その上がらないで済むという計算は一体どういうふうになっていますか。
  96. 大津留温

    ○大津留政府委員 現行の家賃の計算におきましては、家賃に含まれる地代相当額の計算のしかたは、用地の取得造成費、それに国の補助がいきます。一種については二分の一、二種については三分の二という、標準価格のそういう割合で補助がいきます。その補助相当額を差し引いた残りのものの年六分で計算したものを十二で割って月の家賃を計算いたします。今度の用地費に対する融資にいたしました場合に、家賃収入補助というのは、その用地の取得費に対しまして、一種につきましては百分の三、二種につきましては百分の四をかけたものを家賃収入補助として補助を出すわけです。したがいまして、これは計算といいますか、算術となるわけですが、用地の取得造成費から、たとえば一種の場合で見ますと、二分の一を控除しますから、残り二分の一、それに対して〇・六をかける。今度のやり方は、取得造成費に百分の三をかけたものを補助いたしますから、計算上同じになる計算でございます。ただ違いますのは、いずれの場合も、その補助の場合は補助基本額、それから新たな融資におきましても標準地価というものをきめてやります。ただ、従来はいまの補助基本額というのが実情に比べまして非常に低うございましたから、したがって、同じ二分の一といいましてもそれを下回っておる。今度は幸い実額に近い融資額を融資いたしますわけで、それの三%ということでございますから、実質的にはほんとうは今度のほうが有利になる計算になろうと思います。
  97. 河村勝

    河村分科員 そうしますと、実態に合わせたということは別にいたしまして、要するに、地方債に切りかえたその利子分をカバーする、簡単に言いますとそういう考えですか。
  98. 大津留温

    ○大津留政府委員 低利で融資したというふうに、大まかに言えばそれと同じと言えると思います。
  99. 河村勝

    河村分科員 そうしますと、今後こういったやり方を継続しますと、利子分が一応カバーされて補助みたいな形になるとしても、地方自治体からいうと、今後の償還分をやっぱり家賃にかぶせていかなければならぬ、そういう計算になりはしませんか。その点はどうお考えになりますか。
  100. 大津留温

    ○大津留政府委員 家賃のきめ方は、そういうふうに法律並びに法律に基づく政令でいま申しましたような家賃計算の方程式を示しますので、それに基づいて各事業主体が具体的にきめます。したがって、そういう起債によりますと、お話のとおり将来償還額がふえるわけでありますけれども、その分を事業主体がだからといって家賃に入れるということはないわけでございます。
  101. 河村勝

    河村分科員 そうすると、ていさいよく国が地方自治体に肩がわりさせて、地方自治体に償還分は泣かせて、それで家賃は上げないようにしよう、こういうことになるわけですね。
  102. 大津留温

    ○大津留政府委員 正直に申し上げまして、用地費に対する補助を今回の融資制度に切りかえるといたしますと、いままでの制度に比べまして一長一短といいますか、利点もありマイナスもございます。いまお話しのように、補助でございますと、その分はまるまる地方公共団体の負担がなくて済みますから、これは非常に地方としてありがたいわけですが、先ほど申し上げましたように、補助の基本額というものが実勢に比べて相当下回っておりましたから、したがって、いわゆる地方公共団体の超過負担、持ち出しというのがふえて、地方が非常に困っておったわけでございます。今回は幸いに融資の額を実勢に近づけましたので、いわゆるその持ち出しというのも解消され、したがって地方公共団体の資金繰りは非常に楽になる、しかし将来に借金が残るという関係でございます。
  103. 河村勝

    河村分科員 建設省のお出しになった建設白書によりますと、住宅公団の賃貸住宅の家賃に占める地代相当額、これが昭和三十一年が六・七%に対しまして、昭和四十一年は一七・六%、三倍になっておりますね。四十一年度まで出ておりますけれども、その後の経過はどんなふうになっておりますか。
  104. 大津留温

    ○大津留政府委員 住宅公団の家賃の中に占める地代相当額の割合でございますが、四十一年度は一七・六%でございましたが、四十二年度は一七・七%、四十三年度は一七・六%という計算になっております。この数年間は大体似たり寄ったりの数字を示しております。
  105. 河村勝

    河村分科員 それから、これは別の角度から伺いたいのですが、建設省所管公共投資の中で用地費並びに用地補償費が占めるウエート、これは昭和四十二年度の数字は出ておりますが、これに出された昭和三十五年対昭和三十九年で見ますと、大体倍になっていますね。ということは、建設省公共投資の予算の中で地代で一割よけいとられちゃって、その分だけ効率が下がっている計算になるわけです。これは三十九年まで出ておりますけれども、その後の数字はどうなっているのですか。
  106. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 建設省の所管全体で申し上げますと、四十一年度で用地費及び補償費が占めますパーセントは二一・三%でございます。
  107. 河村勝

    河村分科員 三十九年から四十一年に下がっているわけですか。昭和三十九年には二二・三%になっているはずですが、その後地価が上がっているのに、シェアとして二一・三%に下がるという理屈があまりわからないのですが、その点はどういうことですか。
  108. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 これは事業をやっております場所が毎年変わっておりますので、年度によりまして若干の上下はあるわけでございますが、一般的な傾向といたしましては六%上がっております。いま申しました四十一年に対応いたします五年前の三十六年の分を申しますと、一五・一%でございまするので、その間六%ほど上がっておるという傾向は、おっしゃるとおりでございます。
  109. 河村勝

    河村分科員 どうも数字がよくわからないのですけれども、私がいま言った数字は、建設白書の中の数字なんですね。三十九年に二二・三%を占めている用地費並びに用地補償費で、四十一年度で大体——いまここに持っております数字は宅地だけの土地の値上がりですけれども、最近でも、不動産研究所の調べによれば、四十一年、四十二年で、宅地でいえば一四%くらい全国で地価が上がっておりますね。一般の公共用地も、この一四%より低いでしょうけれども、ならして一〇%くらい上がっているはずですね。それで下がるという理由がないので、そういう数字を無理につくっているんじゃないかという気がするのですが、どうなんですか。
  110. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 私がいま申し上げましたのは、建設省所管で住宅まで含めました事業でございまして、公団の分は入っておりません。あるいは突き合わせていないと思います。
  111. 河村勝

    河村分科員 あとで調べて正確な数字をください。  そこで、時間もありませんので、私は、土地問題——これだけ非常に重大化して、もうそのために一般の国民大衆はうちもつくれない、うちを持つこともできない、また公共用地そのものが非常に大きな阻害を受けているときでありますから、建設省が今度地価公示制度をおやりになるということについて大いに期待をしておるわけなんですけれども、出す予定であってまだ出てきておりませんが、大筋の骨子をちょっと伺わせていただきたい。特に公共用地の取得との関係、それから固定資産税、相続税等他の税金の基礎額になる地価の問題、それとの関連で大筋の方向を伺いたいと思います。
  112. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました地価公示制度は、多年の要望事項でもあり、また検討事項でもございます。したがいまして、政府といたしましては、これをもって万能薬とは考えておりませんけれども、投機的な土地の取引防止あるいは公正な土地の基準価格の目安になるというようなことにおいて大きな役割りを果たしていただくという期待を持ちまして、いま本法案の提出をお願いいたしておるようなさなかでございます。そうした立場に立って、単なる地価公示制度のみによらずに、いわゆる新都市計画法の適切な運用、あるいは御審議をお願いする予定にしております都市再開発法案等によるところの土地の有効利用の促進をはかるとともに、また、公有地その他の国有地などの活用、あるいは御指摘になりました税制の適切な運用と改善をはかりまして、ぜひとも、国民の、都市開発の重要な優先すべき問題であるところの住宅政策、あるいは都市計画推進等を含めまして非常な関連を持っておりますところの地価問題について、今後もさらに強く推し進めてまいる決意でありますことを御了承いただきたいと思います。
  113. 河村勝

    河村分科員 時間が限られておりますので、端的にいま私が指摘した要点だけ御答弁願いたいのですが、基準価格と公共用地の取得との関係、それから相続税、固定資産税等との関係、その点を明確にしていただきたいと思います。
  114. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 最初に公共用地との関係でございますが、現在考えておりますのは、収用法その他の法律によって収用できる事業、この事業につきましては、起業者は公示価格を基準とした価格で用地買収に当たらなければならない。したがいまして、任意買収で話し合いがつきませんで収用委員会に持ち込まれました場合におきましても、収用委員会は、収用法の七十一条の規定によって、近傍類地の取引価格等を考慮して相当な補償額をきめるわけでございますが、そのときに公示価格を基準として算定いたしました価格をも考慮しなければならない、こういうことで、収用委員会の判断に対しまして一つの基準を与えておるわけでございます。  もう一つの税金との関係でございますが、これにつきましては、私どもが四十五年に考えておりますのは、大阪、東京、名古屋の周辺、三大都市圏をまずやりたい、こういうふうなことを考えておりまして、全国的な制度でございます税金との関係につきましては、なおいろいろと調整すべき点がございます。このままでいきましてその制度を変えませんと、直ちに増税になるということもございます。いろいろ税当局で御検討をいただかなければ結論は出ておらないという段階でございますので、ただいま考えております法案では、税との関係は一切考えておりません。
  115. 河村勝

    河村分科員 いまの公共用地の取得について、今度公示制度によってきまる基準価格を考慮しなければならない、そういうことになるのですか。その程度にとどまるのですか。
  116. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 いま、考慮しなければならないと申しましたのは、収用委員会が裁決額を出した場合でございます。収用委員会の判断の自主性ということに対しましては、法律制度のたてまえといたしまして、そこまで土地鑑定委員会がきめました価格がストレートに働くというふうな形はとりにくい。収用法の七十一条は、裁判に持ち込まれました場合にも働くということでございます。そういった程度でございますので、この規定を根本的に修正するというのは、ただいまの段階では問題がございますので、考慮しなければならないという形で収用委員会ないしは裁判所とのわたりをつけてあるというのが、原案の考え方でございます。
  117. 河村勝

    河村分科員 税制の問題に触れている時間はありませんが、そっちのほうはいずれ機会をあらためて御質問いたしますけれども、しかし、いまの御返事は逃げ口上であって、せっかく基準価格をつくるというのなら——毎年更新するという点については私は非常に不満がありますけれども、かりにも基準価格をつくったら、関係法令を改めても、基準価格を少なくとも基準とするぐらいのことにやらなかったら、これはつくるだけで、何にも地価を押える効果はない。不動産鑑定委員会とかなんとかつくってよけいな金をかけるだけつまらぬということになって、何も効果はないと思う。考慮するなんということでなしに、せめて基準とするというくらいのことはできないのですか、大臣
  118. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました、考慮するということにおいての御疑念をいただいたことは、恐縮しておりますが、いずれにいたしましても、制度上の問題としていま御要望になった点などを配慮いたしながら、適切な運用をいたしてまいりたい、こう考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  119. 河村勝

    河村分科員 運用の問題ではなしに、いまこれから出されようとする法案だから申し上げているので、一回出してしまうと、メンツもあって、あとから修正というのはなかなか困難です。まだこれから出される段階ですから、せめてそれくらいのことを——いま裁判所がどうだという話が出ましたが、それは枝葉末節のことで、やる気があるならばできることなんです。だから、大臣、それはおそらくよくほんとうに突き詰めてお考えになってはいないはずだと思うので、ぜひともそれを再度検討していただきたい。それを最後にお願いします。時間が来ましたのでやめます。
  120. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 北側義一君。
  121. 北側義一

    北側分科員 私は、道路整備の問題につきまして少しお尋ねしたいと思うのです。   〔仮谷主査代理退席、田中(龍)主査代理着席〕  いよいよ来年万博がやってまいるわけでありますが、たしか昨年、私は、この万博を控えての大阪方面の道路事情、これについて、諸外国からたくさんのお客が見えて恥ずかしくないようなそういう道路整備を行なってもらいたい、そのような発言をして促進さして、それから建設省、また大阪府、市当局もずいぶんがんばられて、最近はだいぶん進んでまいりましたが、しかし、まだいま一つというところが非常に心配なわけです。  まず、都市計画街路、この問題についてお尋ねしたいと思うのです。  大阪市内には都市計画街路が現在七十路線あるわけです。延長が三百七十キロ。街路築造完了延長は一体どれくらいあるのか、またその達成率はどれくらいのパーセントいっているのか、それを聞きたいのですが……。
  122. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 大阪における幹線街路の整備状況でございますが、御承知のように、大阪関係におきましては、三大環状、十放射という幹線街路を重点的に整備を進めております。ただいま先生の御指摘の七十路線についての数字をただいま持ち合わせておりませんが、三大環状、十大放射、三百九十キロメートルでございます。それに対しまして整備状況は百七十五キロメートルでございまして、その完成率はおおむね四五%でございます。内訳を申し上げますと、放射線か四二%、環状線が四八%の完成率でございます。四十四年度末におきまして全体で完成率は六三%になる予定でございます。
  123. 北側義一

    北側分科員 いま言われたとおり、都市計画街路というのは、四十四年度末で六三%ですか、非常におくれているように私は思うのです。と申しますのは、昭和二十一年の五月二十二日に、築港—深江線、これをはじめとしたところの六十四路線というものの延長三百六十七キロ、これが都市計画街路網として決定されたわけです。それからもすでに二十三年たっておる。計画書によりますと、四十二年以降都市計画街路は、最初の完成目標が五十年、こう私は聞いておったのですが、当局に聞くと、今度また非常におくれるようなことをおっしゃっている。一体この点はどうなっているのですか。
  124. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 都市計画街路を計画決定いたします場合には、私どもといたしまして、おおむね二十年後の交通量というものを想定いたしまして、それと、地域地区制と申しますか、用途地域をどういうふうに配分するかというようなことを関連させて計画路線をきめるわけであります。先生指摘のように、街路の事業はかなりおくれておりまして、それが必ずしも私ども考えているとおりの進捗では進んでないというのが実況でございます。と申しますのは、一つは、非常に工事がむずかしいということと、一つは、それとうらはらなんでございますが、相当用地取得に時間がかかるというようなこともございまして、私どもとしましては、単に買収方式だけではなくて、あるいは区画整理あるいは市街地改造というようないろいろな方式を使って進めておるわけでありまして、努力はいたしておるつもりでございますけれども、実際の進捗先生指摘のとおりである、こういうように考えております。
  125. 北側義一

    北側分科員 たしか昨年ですが、私調査しましたところが、七十路線のうち十九路線が全部行き詰まりなんですね。だから、大阪の町を走ると必ず行き詰まりがあるのです。これは私が名古屋を走りましても、京都を走りましても、東京を走りましても、そういう場所はないですね。特に大阪はその点は非常におくれておると思うのです。これを私はやはり早急にやらなければいけないと思うのです。当然、土地の買収とかその他でこれはたいへんなことだと思うのです。たいへんなことですが、このままいきますと、来年の万博は——それにつけても、万博関連事業もあろうと思うのですが、関連事業のほうはどうですか。ちゃんといきますか、関連の街路事業は。
  126. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 万博関連事業のうちの街路事業は二十二路線、それに市街地改造二地区でありまして、総体の事業が千五十六億でございますが、四十四年度の予算によりまして、国庫債務負担行為を含みまして残事業を四十四年度に実施する予定でございます。これによって工事のほうは完成する、そういうふうに考えております。
  127. 北側義一

    北側分科員 そうしますと、結局、万博関連の都市計画街路、これは全部完成するのですね。そうしますと、ちょっとお尋ねしますが、新庄−大和川線というのがその中にありますね、これは完成できますか。
  128. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 これは大阪市が行ないます事業でございますが、四十四年度をもって完成するように予算配分をいたしておりますし、工事のほうも完成できると思います。
  129. 北側義一

    北側分科員 新庄−大和川線は未買収のところがあるのですよ。これは関連事業になっておるのですね。これは完成できる道理はないんですね。そういう点で、私は万博関連のそういう事業についても非常におくれておるような気がするのです。やはりもうすぐ前に迎えているわけですから、この万博関連事業については、政府のほうも、建設省当局も相当力を入れなければいけないと思うのです。私はそういう点で去年の委員会で質問さしていただいたわけなんです。新大阪近辺、あの辺は非常に進んでおります。ところが、おくれているところは、全然手もつけてないですね。それが実態なんです。そういう実態になっておりますので、ひとつ万博関連事業についてはどうしてもやっていく、こういう決意に立ってもらいたいと思うのです。これと、街路事業がおくれるということは、自動車の普及率がいま非常に早いんですね。だから、これがおくれるとますます交通もふくそうしてくるし、これから交通量が減るということは絶対ないのです。ふえる一方なんですから。道路の整備よりも自動車の普及率が高い。大都市はそういう傾向が多いわけですから、そういう点で特にお願い申し上げたいと思うのです。  それから、そのうちの天王寺バイパス及び敷津−喜連線ですね。天王寺バイパスなんかは、あそこは非常に大事な場所なんです。地元の人は天王寺バイパスの建設を願っておるわけですが、それと同時に、敷津−喜連線、この方面も、大阪市の公営住宅はほとんどこの地帯に建っております。喜連付近はほとんどそうなんです。これができますと、バスも運行されると思うのです。その付近に入居されておる人にとっては非常に大きな交通機関になるわけです。そういう意味で、この敷津−喜連線は大体いつごろの完成見込みですか。
  130. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 天王寺バイパスにつきましては、昨年の暮れの状況で、用地買収の見込みが約七五%で、工事を発注済みでございます。四十五年三月には供用開始ができる予定でございます。  敷津−喜連線は、大阪中央環状線平野−瓜破の間でございますが、四十二年度に新設工事を、四十三年度に舗装工事完了する予定で、これに要する事業費は約三億でございます。これに続きまして、平野−瓜破線と国道二十五号線の間は、四十三年十二月末で用地物件関係の五〇%が進展しております。工事にも着工しております。全体で昨年末で四〇%の進捗になっております。私どもといたしましては、三月に供用開始をするつもりで鋭意事業の進捗につとめておる次第でございます。
  131. 北側義一

    北側分科員 では次に、大阪でいま交通の非常にふくそうしておりますのは、東住吉地区の杭全町というのがあるのです。二十五号線から来るわけでありますが、その二十五号線を今度阪神第二国道に結ぶつけかえ工事をされておる、このように聞いておるわけです。私も聞いておるわけですが、このほうの状況はどのようになっておりますか。
  132. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 この線につきましては、現在、尼崎−平野線ということになっておりまして、この中で東住吉区の杭全町から国道二十六号線に至る西成区西四条間、これは全部広げまして国道二十号線をこちらに切りかえたいというふうに考えておりますが、そのうち一番幅員の狭い東住吉地区杭全町と阿部野区天王寺間につきましては、現在直轄事業として鋭意用地買収を促進中でございます。都市の中の用地買収でございますので、かなり難航もしておりますが、私たちいまの計画としては、四十六年度中四十七年三月には供用開始に持っていきたいというふうに考えております。
  133. 北側義一

    北側分科員 二十五号線が非常に混むわけです。その点できるだけ早くやっていただくようにお願いしたいと思うのです。  それからいま一つ、やはり同じような問題ですが、鉄道と道路の平面交差の問題なんです。と申しますのは、大阪の天王寺から和歌山に行っております阪和線、これが天王寺を出まして、美章園という駅があるわけですが、そこまでは高架になっておるわけです。そこから高架が下におりてくるわけです。今度杉本町付近まで高架にするような計画がある、このように聞いておるわけです。やはりあの地区も最近非常に人口が増加いたしまして、車両が非常にふくそうしておるわけです。踏切なんか、一たん下がりますと、ずいぶん待たなければいけない、数百メートルずっと車が並んでおる、こういう実態を私耳にしておるわけですが、この高架化についての着工及びそういう計画、これについてどうなっておりますか。
  134. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 国鉄阪和線の美章園駅から杉本町駅間の延長約四・九キロメートルの高架事業につきましては、総事業費百二十億円で高架化する事業でございます。これにつきましては、いままで大阪市と国鉄の間で費用の分担その他について協議をしております。先生承知のように、四十三年度から高架化事業というものにつきましての費用分担方式が変わりまして、そういうような状況もございましていままで協議が難航しておりましたけれども、大体協議のほうも詰まってまいりましたので、四十四年度には正式に協定を締結していただきまして着工できる、こういう予定になっております。
  135. 北側義一

    北側分科員 そうすると、分担の方式の協定は大体まとまったわけですか。まだ少し残っておるわけですか。——そうですか。この問題は国鉄とのいろいろな問題も建設省はあろうと思うのです。特に高架化については全国各地にあるのではないかと思うのです。特に大阪の方面ですと、大阪外環状というのがあるんですね。城東貨物線及び阪和貨物線、これを結んで大阪外環状としよう、このようにしておるわけです。ところが、大阪のほうは、この間も同じこの第五分科会で原田運輸大臣に申し上げたわけですが、あの計画も、本来は昭和四十五年の万博までに何とか一部開通しよう、このように話がなっておったのです。ところが、聞くところによりますと、建設省との高架化の問題でなかなか実現できなかった、こういう実態らしいのです。問題は、やはり大事な重点的な地区については早くやってもらわなければいけないと思うのです。特に大阪の外環状にしましても、これはたいへんなものなんです。この間の御返事では、放出というところから永和まで高架にする、このように国鉄は言っておりました。いまあの付近の住民はバスしかないのです。そういう場所があるわけです。非常に期待を持っておるわけです。大阪内環状はあふれております。そういうことで、あの点と高架の点をあわせてよろしくお願い申し上げたいと思うのです。  次に、大阪市内を走っております路面電車、これが現在まだ二路線だけ残っております。これは守口−大阪間、それから玉船−今里間、二路線が残っております。あとは四十四年の三月末で全部大阪市内の路面電車は廃止になるわけです。ところが、路面が廃止になったあとの道路整備というのが非常におくれているわけです。路面がそのまま残ったところもあります。雨の日なんかそれでスリップして交通事故が起こる、大阪ではこういう事故が多発しております。この問題が大阪ではいま市民の間で非常に問題になっておるわけです。万博も来ますし……。また、路線をはずして段がついている。だからスリップする。単車なんかはそういう事故が非常に多い。いま残っておるのを聞きましたところが、そういうところがいま大阪市内で約四十五・九キロ残っております。これがはたして来年の万博までに間に合うのか合わないのか。また、この問題については、当然、国のほうで二分の一の補助を出して、大阪市がやる事業だと思うのです。こういう点についてはどのようにお考えでございますか。
  136. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 原則といたしまして、やはり大阪市に限らずこういう軌道が廃止されたあとの道路の管理につきましては、道路管理者がやることになっております。大阪の中の国道、府道、市道につきましてもおのおの国なり市が実施することになっておるわけでございまして、実はその中で四十四年度中には国道については全部それを完成させたいというふうに考えております。また府道、市道につきましては原則が道路管理者が実施することになっておりますが、私のほうでは路面状況がきわめて悪くて特に大規模なもののうちから予算の範囲内で補助対象として取り上げていきたいというふうに考えております。
  137. 北側義一

    北側分科員 結局この四十四年度で相当数完了しなければでこぼこ道がいつまでたっても直らぬのです。一ぺん大阪を走ったらわかるのです。大阪を御存じない方は行ってもわからないのですが、道路が他の都市とは全然違うのです。一つは路面が、走っておりまして非常に——いま地下鉄工事をやっておりますので、そこまで大阪としても手が回らぬのじゃないか、このように私は思うわけです。二分の一の補助の件について、これは軌道敷だけですか。軌道敷だけが二分の一の補助が出るのですか。   〔田中(龍)主査代理退席、仮谷主査代理着席
  138. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 軌道敷の補修という形でやる場合と、やはりこの際そのまわりのもと車道であったところも一緒に修繕する場合、両方とも二分の一でやっております。
  139. 北側義一

    北側分科員 そこで思うのですが、やはり同じ二分の一もらうのなら軌道敷だけ大阪市でやろうか、こういう実態なんですね。そうすると段ができてくる。片方はすっといっているのです。軌道敷以外のほうは低くなっている。それで段ができておる。いまはこういう道路が非常に多いのです。というのは補助額によると私は思うのです。そういう場合、やはり軌道敷の中だけ直してもほかが悪い場所は相当あるわけです。ずっと全般にやはりやらさなければ、これは非常にみっともないと思うのですが、そういうところが随所にあります。私はしょっちゅう市内を走っているので、これはよくわかるのです。聞いてみると軌道敷だけしか二分の一くれません、こういうことを言うのですな。やはり新設の路線の場合は、三分の二ですか、来るわけですね。そこらの相違がやはりそのようにしているのじゃないか、私はこのように思っているわけです。何といいましてもすでに万博までに一年足らずですから、大阪の道路事情、特に先ほど言いましたように関連事業である都市計画街路、これも非常におくれておりますし、そういう点でひとつうんと力を入れてもらいたい、このように思うわけなんです。建設大臣も大阪のほうは御存じのとおり、そのような大事な世界的な行事もあるわけですから、ひとつ力を入れるようにお願いしたいわけです。
  140. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほどから御指摘になりました万博の関連公共事業の問題、あるいはバイパスの問題、高速道路の問題あるいは土地改良事業の問題、いろいろと御指摘になりました点につきましては、建設省といたしましては、さらにこれらを強く推進してまいるよう私も指示もいたし、私もみずからよく——ことに万博に関連する大きな問題も控えておりますので、さらに積極的に打ち出してまいりたい、こう考えております。
  141. 北側義一

    北側分科員 最後にもう一点だけお聞きしたいと思うのです。  というのは、これは昨年やはり私質問させていただいたわけでありますが、現在の交通事故、これは自動車と自転車の事故が多いわけなんです。昨年私が申し上げましたのは、第三の道路というべき自転車の専用道路をつくったらどうか、このようなこと申し上げたわけであります。それについて今回道路構造令を変えて専門の道路をつくろうというような当局としての考えがあるように聞いておるわけなんですが、その点はどうでしょうか。
  142. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま構造令の改正を検討しておりまして、その中には先生のおっしゃいますような交通安全という立場から車道と歩道を分離する、さらに自転車の多いところは自転車のためのスペース、線を車道と分けて持っていくということを考えておりまして、自転車と歩行者が両方通れるような自転車歩行者通行帯というような新しい考え方も中に入れようという考えで、現在道路構造令の改正を検討中でございます。
  143. 北側義一

    北側分科員 この問題も、現在日本に約三千万台の自転車があると聞いております。車と大体同じ台数があるわけなんです。そういう点でこの道は自転車を保護するところの専用道路、専用道路といいまたしも、いまあなたが言われたとおり歩行者と同じような線へ入っていくような問題になるかもわかりませんが、この点は早くやるべきだと思うのです。きのう実は警視庁でいろいろな資料について聞いてみますと、自転車の事故が非常に多い、このような話がありました。数も詳しく持っておりますが、お話ししてもいたし方ありませんからしませんが、何とかこの点もひとつ全力をあげてやってもらいたい、このように思う次第です。  では私の質問は以上で終わらしていただきます。
  144. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 斉藤正男君。
  145. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 地元関係した問題でたいへんおそれ入りますけれども、二、三建設省あるいは国鉄等にお伺いをいたしたいと思います。  まず第一は、東名高速道路の静岡−岡崎間の開通に伴いまして、地元浜松市に関係した浜松西インターチェンジについて伺いたいと思うわけでございますけれども、二月一日開通後東名高速道路の使用状況はかなり高度なものがございまして、この東名開通に伴う沿線産業開発なりあるいは輸送の革命なりといったようなものにつきましては見るべきものが非常に多いわけでございますが、静岡県並びに浜松市といたしましては、これが設計協議の段階で浜松市に西インターチェンジをぜひつくってほしい、すなわち浜松白鳥インターと三ヶ日インターの中間にどうしてももう一つほしいんだということで、あらゆる角度からあらゆる方面へ要請をしてまいりました。仄聞するところによれば、道路公団でも浜松西インターは必要だというようなことを言明されているということを聞いておるわけでありますけれども建設省として浜松西インターチェンジの設置についてどのようにお考えになっているのか、基本的な態度を伺いたい。
  146. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 御承知のように高速道路につきましてはほかの道路との接続につきまして、これを整備計画できめるようになっております。整備計画できめるときには、幹線自動車道審議会の議を経てきめることになります。東名高速の整備計画を出す時点で、いろいろ、私のほうも道路公団も一緒になって検討いたしまして、どこにインターチェンジをつくれば非常に地元の便利になるか、またどのくらいの交通量が予測されるか、そういうことでつくったわけでございます。それが現在できておるインターチェンジでございます。しかし、これも七、八年前のいろいろなそういう調査でつくったものでございます。その後の東海道その他の発展もかなり目ざましいものがございまして、やはり七、八年前のわれわれの考えも、新しい事態に即する、高速道路利用考えインターチェンジも今後考えていかなければならないと思います。浜松西のインターチェンジに限りません。全線につきましては、さらに新しい観点インターチェンジをどこにふやせばどのくらいの交通量が出るか。さらにその周辺がどういう開発計画を持っておるか、こういうことを考えまして、これからの問題として私ども検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  147. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 そうすると、間もなく全線が開通するわけでありますけれども予定のインターより別になお数カ所について検討の要があるというように伺えるわけでございますし、なお、それが決定にあたっては幹線道路審議会にもかけなければならぬという事務的な手続についても理解できたわけでありますけれども、一体全線開通後何カ所くらいのインターの増設をお考えになっているのか。あるいは要望がどのくらいになっておられるのか、かなり数が多いということも承っておるわけでございますけれども、差しつかえのない範囲で御答弁いただきたい。
  148. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は名神高速についてはいろいろ要望を受けておりますが、この東名高速について現在私たちよく聞いておる地元要望といたしましては、いま先生のおっしゃいました浜松西のインター及び神奈川県の秦野のインターその他がございます。
  149. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 そうしてまいりますと、まあ二、三カ所あるいは数カ所ということになるわけでございますが、浜松西インターにつきましては、実はあらゆる角度から私ども検討いたしたわけでございますけれども、特に最近、観光開発ブーム、あるいは奥浜名湖の急速な開発ブームといったようなものにも関連をいたしまして、白鳥インターや三ヶ日インター、どうにもならない決定的な条件が実はあるわけでございます。御承知のように、浜名湖レイクサイドウエー等につきましても、着々と静岡県道路公社その他がやっておるわけでございまして、いま浜松西インターの必要性につきましては、地元はもちろんでありますけれども、あらゆる観光の面から、産業開発の面からどうしても必要なんだということで、すでに市当局あるいは県当局がそれぞれ関係筋にお願いにあがっているはずであります。したがって、やがて全線開通後に、秦野インターなどの問題もあるかと思いますけれども、開通後一カ月経た今日、浜松西インターの必要性につきましては、建設省でも十分お認めをいただいておるというように考えておるわけでございまして、しからばインターをどういう形にするのか、あるいはそのインター用用地、敷地の買収についてはどこがどういうようにするのか、あるいは取り合い道路についての買収なり建設についてはどこがどういうようにするのかということで、実はいま私ども地元ではいろいろ具体的な検討をしておるわけでございます。したがって、もし早期に西インターチェンジを開設をするということになるとするならば、その最終決定の時間は那辺に押えたらよろしいのか。つくるにはつくるがいつだかわからぬ、こういうことなのか、あるいは地元要望にこたえ、あるいは東名高速道路利用度の高揚といったような面からも考え、諸般の情勢を勘案をして、一体建設省としては審議会にかけるめど等について全くないのか、あるいはこの辺を押えているといわれるのか、明瞭にしていただきたい。
  150. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いつ審議会にかけるかということは、私いまの時点でなかなか明言できないような状況でございます。と申しますのは、やはり名神高速を入れまして、東名高速、これが全線開通いたしまして、そのあと、さらに名神高速のほうでは幅員を広げるような必要のある場所も出てまいりますし、そういう手直しの個所を全部洗いまして、実は、そういうものを一緒に全部計画を組みまして、これを直すような整備計画をつくりたいと思っております。ここだけの問題として審議会へかけるのもまたいろいろ問題があろうかと思いますので、そういう観点で、私、全線の一つ整備計画の変更といいますか、インターチェンジの設置、さらに必要な個所の拡幅、こういうものをあわせまして、ひとつ整備計画の変更を検討してまいりたいというふうに考えております。
  151. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 ほかの個所と違いまして、私どもが聞いている浜松西インターの予定地は、浜松市の道路計画等の関連からいたしましても、方法さえきまればいつでもやれるという態勢にあるわけでございまして、県もインターチェンジ用地買収につきましては先行投資でやろうという意思も明らかでありますし、またアクセス道路買収につきましても、市が先行投資をする意思もあるわけでございまして、きめてさえいただければ受け入れの態勢は十分あるし、協力はどこまでもするという形があるわけでございますので、これを東名あるいは名神全線の開通後の総括的な問題として取り上げて、その点において審議会にかける、あるいはそこで全般的な情勢から考えるということでは、地元としてはたいへん不満だし、地元が整えている用意も、どうも熱意のほどが買っていただけないというようにしか思えないわけでありますけれども、東名全線が開通するのも目前であります。そう二年も三年も先だということだと、これはどうにもならぬわけですが、大まかにいって大体どの辺が——東名が開通するのがいつであるのかということはおわかりだと思いますから、そうしますと、おぼろげながらもこの辺ではかけたいというようなことも全然ないのか、一体その辺はいかがでございましょうか。
  152. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 どうもいまはっきりいつと明言もなかなかできないような状況でございます。これは幹線自動車道の審議会にかける問題でございまして、先生も御承知だと思いますが、実は東名高速についてはすでに全線の開通は日にちがもうはっきりしております。そのほかの全国をおおいます七千六百キロの高速道路がございまして、各地元からはみんな早くつくってくれ、つくってくれというような要望が非常に強いわけでございます。実はどうもここだけの問題で審議会ということもなかなかいきませんので、やはりそういうことも考えまして、まあ皆さんが納得のできるような形で将来進めてまいりたいというような考えで、この問題でいつ審議会にかけるか、その時期についてはいまのところ御容赦お願いしたいと思います。
  153. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 全国数千キロある幹線自動車道路ができ上がるなんということは、これはもうはるか先のことでございますから、それができ上がってから浜松西インターも審議会にかけるといったんじゃ、とてもこれは話にならぬ。それは困る。大いに困る。たとえば東名が完成した、秦野と浜松西インターについて審議会にかけたいというような希望はないのでございましょうか。審議会というのはそうたびたび開けないものだということもわかりますけれども、しかし全国七千六百キロの幹線自動車国道ができ上がったところでかけるんだというのもあまりにも非情だと思うのですが、その辺いかがですか。
  154. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 もちろん全国七千六百キロできてからあとというような考えは持っておりませんが、やはり今度、名神、東名全部インターチェンジを手直しするんだということになりますと、いま出ていない要望までみな出てまいるというようなことになりかねないと思います。そのときに、やはり地元開発計画なり、それによるインターチェンジ利用の台数なり、そういうものを全国はっきりさせませんと、ここだけは非常にいいからすぐ出す、おまえのところはまだ調査していないからということではなかなかまとまりませんので、そういう点もひとつ御賢察の上、御了承をお願いしたい。できるだけ早いうちにこの検討を終わりたいというふうに考えております。
  155. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 きわめて不満足でございますので、また委員会等でも伺いたいと思います。  時間がございませんので、懸案の浜松市における国鉄東海道線の高架化につきまして関係者に伺いたいと思うわけでございますが、先ほど北側委員からも大阪市内における国鉄高架化の問題について質問がございました。私ども浜松市は、天下にまれに見る南北交通が国鉄東海道線によって遮断されている都市でございます。これは関係各位はすでに十分御承知をいただいていると思うわけでありますが、何と全市にわたりまして地下道は二本しかございません。道路のうちで跨線橋が一カ所でございますが、この跨線橋は、御心配をいただきました例の国道一号線を、跨線によって国鉄東海道線をまたいだところであります。あと踏切が十三カ所ございますけれども、地下道の二カ所のうち、一本は幅員が三・六メートル、高さ二・五メートル、一車線。それからもう一本は幅員が三・〇五メートル、高さ二・五メートル、二車線、こういうような地下道でございまして、昔の荷車か馬車が通っていた当時の地下道でございます。しかも、十三カ所あります踏切、この踏切はたいへんな時間、遮断をされているところが多いわけでございます。特に市の北部と南部を結びます都心にあります平田の踏切は一番大きな踏切でありますけれども、一日のうちに十時間遮断されておるわけでございまして、このために浜松市はあらゆる点で、南北の交通も文化も遮断されていて、特に南部住民の不満はごうごうたるものがあるわけでございます。こういう形から、いまだかつてない市民運動を展開いたしまして、一日も早い国鉄東海道線の高架化について関係各方面に要請をいたしているところであります。過日は十八万四千五百五十九人の署名を持って、国鉄はもちろん、関係方面にも要請をいたし、市の行政の中に高架推進課という課さえ設けて実はやっているわけなんです。おそらく全国の自治体の中で、国鉄の現線をアップするために、市のセクションの中に高架推進課という課まで設けて取り組んでいる市は、ほかにはないだろうというようにまで私どもは思っておるわけでありますけれども、先ほどのお話にもありましたなかなか容易でないということは、前者の質問による答弁からもうかがい知ることができるわけでありますが、まず私が伺いたい点は、浜松の国鉄東海道線の高架化の問題は、貨物駅の分離と非常に関係がある、こういうことから、まず貨物駅を分離をしようということでその工事が進んでおるわけでありますけれども、国鉄の関係者、運輸省関係者がお見えでございますので、この国鉄東海道線の高架化と貨物駅の分離との関係はどういうことになっておるか、伺いたいと思うわけであります。
  156. 長浜正雄

    ○長浜説明員 浜松の駅の付近の高架化の問題の御質問でございますが、確かにおっしゃいますように浜松付近が、新幹線は別としまして、在来線が地平で浜松駅に入っておりまして、非常に都市の交通を阻害しておる、都市計画的に見て非常にまずい状態になっておるということは私たちもよくもう承知しておることであります。地元の方々、市長をはじめ皆さん御熱心にこの高架化の問題をお話しいただいております。われわれとしましても、そういう実情を見まして、これはどうしても高架化にしなければならない、こう思っておる次第であります。ただ、高架化いたしますにつきましては、市と県と建設省、この道路側と国鉄側とのいろいろな費用分担、あるいは計画決定その他の協議をしなければなりませんので、それの協定をするための協議をいま進めておる段階でございますけれども先生おっしゃいますように浜松駅には貨物駅がいまぶら下がっております。浜松駅を高架にするためには貨物を何とかしなければならないということになるわけでございます。たまたま国鉄といたしましては、いま貨物輸送の近代化という問題と、浜松付近の貨物の出荷要請が非常に強うございますし、それと新しい輸送方式による貨物輸送ということの御要望が非常に強いために、市御当局、皆さんの御援助をいただきまして、御承知のように浜松の西のほうに用地を定めまして、ここに貨物駅の移転をいたしまして、貨物駅の増強工事を本年度から着工いたしたような次第であります。これの工費が約二十億弱でございまして、この工事費をもちましていま着工して、鋭意工事を進めるようにいま段取りしている段階でございます。これができませんとやはり高架化が完成いたしましても貨物がぶら下がっておるような状況でございますが、これは私たちとしては貨物の近代化あるいは輸送力増強ということでやっておりますけれども考え方によりますと、これは高架化の前提の工事ともなるわけでございます。これは鋭意やって早急に開業したい、こういうふうに考えておるわけでございます。そして在来線の高架化につきましては建設省運輸省、国鉄といろいろその費用分担なりその他の協定を結び得るようにいろいろ協議を進めておりますので、この協議がまとまりましたならば早急にそういう計画をきめまして協定を結ぶ。なおまた国鉄部内におきましては、高架化いたします際のいろいろな工事計画、これにつきましては、われわれのほうでいま逐次勉強して計画を練っておる状況でございます。
  157. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 よくわかりました。そこで、高架化事業促進のために費用分担その他で建設省と国鉄の協議が行なわれておって、ほぼまとまりかかっておるという答弁を聞いたわけでありますけれども、これは一体いつごろ概括的な協議がまとまるのか、そして個々のケースについてもやはりそういう協議が行なわれると思うのでありますけれども、総括的な協議の完全にまとまる時期はいつごろを押えられておるのか、伺いたい。
  158. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 基本的な協定につきましては現在二、三の問題点を残してほぼまとまっておりますが、私どもといたしましては、年度内を目標にこの基本協定を締結できるようにいたしたい、こういうふうに考えております。  それから個々の問題でございますが、浜松市内の在来東海道線の協議はこの基本協定に基づいて行なわれるわけでございます。それにつきましては、先ほど国鉄の長浜常務理事からお話がございましたように、現在線型構造とかあるいは貨物ヤード移転との関係、さらには駅前地区の広場再開発ということもございますし、費用の細部の分担ということになりますので、ただいまいつということは申し上げられませんけれども、協定ができ次第、鋭意それを詰めまして協議がととのうようにしてまいりたいというふうに考えております。
  159. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 協定ができたあと従来運輸省並びに国鉄関係者にたいへんなウエートが置かれておったわけでありますけれども、今後はもちろん国鉄あるいは運輸省にも関係するところはあるわけでありますが、主体は建設省になっていくというように把握してよろしいか。
  160. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 従来の費用分担方式を改めまして、在来線を上げます場合には、鉄道側は受益の範囲内、それ以外は道路管理者の負担ということになっておりますので、費用的にもわれわれのほうがかなり大きな負担を持つということでございますので、建設省といたしましては主体的にこの問題に取り組んでいきたい、こういうふうに考えます。
  161. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 静岡県も御承知のように、この問題に対しましてはきわめて積極的であります。と申しますのは、おかげで静岡の主要部分が上り下りとも高架完成いたしました。静岡の絶対条件に比べれば、わが浜松はなお比較にならぬほど南北渋滞がひどいのであります。そこで県も積極的にこの問題と取り組むということから、四十三年度の補正予算で九百万円の調査費を計上いたしましてマスタープランの作成等にも実は入っておるわけです。非常に前向きな姿勢をとっておるわけでございますので、国鉄との協議あるいは運輸省との協議が終わりましたならば、積極的な取り組みで早期なプランの作成さらに着工に移っていただきたいと思うわけでございますが、建設省の態度はいかがでございますか。
  162. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほどから斉藤委員御指摘になりましたこの高架の問題につきましては、地元の県、市、非常な熱意であることも承っております。御承知のとおりの貨物の駅の問題等も含めておりますけれども、都市計画の一環として駅前の計画等もおありのことも聞いております。したがいましてこれらの問題を十分総合的に勘案いたしまして、事業主体である県、市、国鉄、建設省、相協力いたしまして、これらの問題につきましては積極的に推し進めてまいりたい、こう建設省考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  163. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 最後に、大臣の所信の表明をいただいて了解をするわけでありますけれども、全国数十カ所というとオーバーでございますけれども、少なくとも三十カ所くらい高架の問題があるそうでございます。順位等につきましてもいろいろ問題はあると思いますが、浜松市の現状につきましてはとくと御承知をいただいていることと思いますので、ぜひひとつ早期な着工と完成に御尽力をいただきますようお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
  164. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩をいたします。    午後零時五十六分休憩      ————◇—————    午後二時四十九分開議
  165. 野原正勝

    野原主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。渡辺芳男君。
  166. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 国道一号線の沼津バイパスについて伺います。  去年の分科会ですか、私が富士バイパス、沼津バイパスについてお伺いしましたが、まだ富士市の依田橋から沼津市の岡ノ宮ですか、あの間の国道一号線のバイパスが、まだ予定線もきまっておらないし、一体いつルートをきめて道路建設に着手するのか、その計画をひとつ御説明願いたいのです。
  167. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、富士の西のほうからきて富士のバイパスと沼津の間の将来のバイパス計画でありますが、現在沼津のバイパスについては、沼津の周辺について用地買収して鋭意工事をしておりまして、それから西側、富士につなぐ間については、現在いろいろ調査を実施しております。これのルートのことですが、一部軟弱地帯もございまして、いま調査を続行しておりますが、やはり今後早急にきめまして、きめると同時に用地買収をはかっていかないと、こういうところでございますので、ルートをきめて、ただそのままでおいておくということは、あとからできなくなるおそれが非常にございます。ルートをきめましたらすぐに用地買収にかかりたいというように考えておりますので、いまの調査を急ぐと同時に、県の先行買収のほうをお願いいたしまして、この二、三年のうちには用地買収まで完了してまいりたいという考えでございます。
  168. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 調査を三本完了しているんじゃないですか。要するに、浮島沼の北側、つまり新幹線の南側ですか、あれを通るルートと、国鉄の東海道線の北側を通る二つルート、このまん中を通るわけにはいきません、浮島沼ですからね。しかし、聞くところによると、どうも最近東海道線の北側を通るルートというほうが、だいぶその可能性があるというふうに聞いているんですよ。ルートを早くきめてもらいたいというのは、つまり興津から富士に至る通称富士バイパス、それから岡ノ宮から清水町を経て三島バイパスにいくところですね。東名高速道路関係ですね。それから二百四十六号線が先日着工になりました。バイパスの起工式をやったのですね。沼津からずっと御殿場を通る国道二百四十六号線のバイパス関係は、いまの道路の西側をずっと通って、これも四十七年の三月に完成するということになっているわけですね。二、三年の間にこの間をきめるというのはたいへんおそくなるわけです。簡単にいえば、ここの間はいまのところ国道一号線一本しかないんですよ。ルートもきめていない、そしてまだ調査の点も完全にきまっていないということになりますと、この間の交通渋滞というのがこのままずっと続くわけになるでしょう。もっと早くきめて、そしてこの間のバイパスの建設に着手してもらいたい、これが簡単にいえば、長い間からの要望です。ルートをきめて直ちに土地買収にかかるという時期というものをもっと早めませんか。
  169. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは、先生も御承知のように、東名が全線開通いたしましても一号線のかなりの混雑が予想されますので、そういうことで現在一号線の各地のバイパスを進めておるのでございます。私たちがいま道路整備で苦慮しておりますのは、全国的にこういう国道バイパスの建設をやらないと幹線国道交通が麻痺してくるような状況でござます。そのために、四十四年度からはやむを得ず一部有料というような計画までしている次第でございます。早くしたいのはやまやまですが、全体のバイパス計画を見ますと、道路の整備いかんということが非常にそれを左右してまいる次第でございまして、私もいまの沼津から富士の間につきましては、早く用地買収にかかるように持っていきたいと考えておりますが、毎年毎年の道路予算の問題もございまして、計画を立てましてもなかなか思うようにいかないということで苦しんでおる次第でございます。
  170. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 これは時間がありませんからいつまでもねばっているわけにはいきませんが、大臣、たとえば国道一号線はこの辺が一番渋滞をしているといわれておるんですよ。富士までのものは長い間の懸案で工事に着工しておるが、これはいずれにしても早めていただければいいのです。沼津からの国道二百四十六号線が非常に交通渋滞をされているというので四十年ごろから陳情しておるわけです。沼津と富士の間は国道一号線が一本しかない。三月には東名高速道路も御殿場までいきますね。五月になれば全通するといっていますが、いずれにしても、二百四十六号線という沼津から御殿場を通って東京に行く国道は非常に混んでいるというけれども国道一号線からずっと通って行くんですよ。沼津からは三島バイパスもあり、箱根を越えていく二本の道路があるが、それを今度はバイパスを一本よけいつくるというのです。二百四十六号線のバイパスの建設は、今月の十八日でしたか、起工式をやっておるんです。いま沼津と富士間は一本しかありません。ここは、一部は海岸を通っており、人家がある富士地区を通っておる。旧東海道を通っているのが約半分くらいです。そういうことで、率直にいえば、緊急度の度合いからここはあとでいいではないかということでおくらせているのではないか。しかし、このままになっていくと、東名高速道路が全通しても、いまの国道一号線の交通量というものはどうもあまり減らないのではないか。ましてや、トラックからキロ当たり九円の通行料を取るということになれば、どうしても営業する路線トラックというのは東名高速道路のほうに行かないのではないか。私は料金が高いと思っておりますし、もう少し下げろという業界の要望もあるようですけれども、それは検討願うことにして、いずれにしても、この国道一号線の交通量を見て、大体五〇%ないし五五%、要するに半分以上がトラックなんですよ。だから問題がある。小型の乗用車その他一般の乗用車ではないのです。ですから、この建設をおろそかにしてもらうと実は困るわけですね。いま国道一号線のルートの中で、こういうバイパス予定線もきまっていない、調査中だ、こういうような状態というのはそうたくさんあるわけじゃないのですから、これは早めてもらいたいと思うのです。重ねて私のほうから要望しておくのですが、どうでしょう。
  171. 坪川信三

    坪川国務大臣 国道一号線の交通量が非常に多いこと、私も過般見まして、非常に顕著なものを感じております。それに対するバイパスという問題は、この解消に非常に重要な役割りを果たします。御承知のとおりの高速道路の完通によって、一号線の状況がいかなる状態になるかということはおのずから出てまいると思いますけれども、想像いたしますと、いま御指摘になりました点も多くまた伏在しておると私は予想いたします。  そうした観点から見ますと、いま御指摘になりましたバイパスの延伸あるいは推進というこの問題については、先ほどから主管の道路局長も申し上げている事情のあることも御賢察いただけるだろうとは思いますけれども建設省といたしましては、これらの点を十分勘案いたしながらその推進を、やはり遅疑逡巡というか、あるいはおそくというような感じはみじんもございません。でき得る限りひとつ推進を急ぎたい、こう考えております。
  172. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 それで私のほうから要望しておきますが、二、三年なんて長いことを言わないで、早くルートをきめて積極的に取り組んでもらいたい。  それから、このルートがまだきまっていませんが、ちょっとこまかくなりますけれども、東名高速道路の沼津インターチェンジからずっと沼津市内に入ってくる道路が岡ノ宮というところに出てきます。ここから先ほど言った清水町には、これも四十七年三月には土地買収が終わってすでに着工していますから、道路が完成しますね。二百四十六号線のバイパス、先ほど十八日と言いましたが、二十一日に起工式をやりましたけれども、このバイパスがずっと建設をされるということになりましてここから出てまいりますと、二百四十六号線の出発点が沼津駅の東側になる。その東側というのは、たいへん粗末な国鉄のガードをくぐっているのですが、三ッ目ガードというので大型のトラックはそこをくぐれない。そのために、現地建設省工事事務所は、この岡ノ宮から、おそらく沼津バイパス予定線だと思うのですが、西のほうへと千六百五十メートルばかり道路をつくってあるのです。しかし、これは道路は完成してないのです。ただ広げてあるだけです。この道路を通らないと、もう交通渋滞はますます激しくなるというので、この道路をおそらく利用するだろうと現地では想定しておる。わずかの長さでありまして、千六百五十メートルながら、この道路はすぐ整備をしてもらいたい。そうすると、沼津の駅の西側から行くのはりっぱな道路ですが、この道路に出るわけですね。そうすると、二百四十六号線の関係交通渋滞は相当緩和されるのではないか。これは道路自体——幅は先ほど言いましたように広げてありますから、これを整備してもらいたい。この点はいかがでしょうか。
  173. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 沼津の東海道線より北側道路の問題だと思います。現在、まず東名の沼津インターから市内に入ります道路、これは私どもの直轄でやっております沼津のバイパスでございますが、これとの交差から三島のほうに行きますバイパス、これが二百四十六号線と交差いたすというところまで、これは実はことしの四月までに開通させる予定でございます。さらに三島のバイパスまでの間千六百五十メートル、及びそれから西側の都市計画道路、これはまだできておりませんが、ここまでに至る間約千百メートルくらいございます。この間につきましては、もう一年かかりまして四十五年四月までに完成させていきたいと思います。その他の市内の道路につきましてはいろいろあろうと思いますが、よく道路管理者とも協議いたしまして、できるだけ市内の交通がスムーズになるようなものを整備してまいりたいと思います。
  174. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 この岡ノ宮から西へ行くもの、これは来年なんですね。これは待てないので、おそらく現地の沼津市から建設省にも再三陳情をしておるはずです。待てないから、簡易舗装でもやらなければならぬ、現地ではそのくらいの緊急度で考えていますから、来年という話じゃなくて、あとでこれは私のほうから資料をお上げしますが、直ちに検討してやってもらいたいと思います。  それから次に、富士山の大沢くずれの関係でひとつお伺いします。  これは一昨年から建設省で非常に力を入れてもらっておるのですが、本年度の予算で一億五千万円でしたか、一応下流の扇状地の砂防堰堤工事中心にやるということを応急工事として考えられておるというのですが、一億五千万円で現実にはどういうふうな対策をやられるか、お聞かせを願いたいと思うのです。
  175. 坂野重信

    ○坂野政府委員 四十三年度におきましては、先生承知かと思いますが、調査費一千万円をもちまして直轄調査ということで、崩壊の実態及び土砂の流出機構というようなものを調査いたしたわけでございます。四十四年度におきましては、引き続きまして、これはまだ確定しておりませんが、調査費約一千五百万ばかりで調査を行なっていきたい、それと同時に、できれば事業費、これはまだ最終的に確定はしておりませんが、約一億三千万ばかり一応考えておりますが、その程度でもって——下流に扇状地区がございまして、先生承知のように、富士山の崩壊、大沢くずれというものは非常にむずかしい問題でございまして、学識経験者あるいは関係知事からなる富士山大沢崩れ対策懇談会というものが実はございまして、その検討の結果に基づいていろいろな調査なり対策を考えておるわけでございますが、さしあたって、下流の扇状地区の上からくずれて扇状地区に下がってきたものがさらに下流に対して被害を及ぼさないという防災的な見地から、とりあえず床止め工を二つ実施いたしたいという計画を立てておるわけでございます。
  176. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 大沢くずれについて、扇状地のところまでいくと通称押河原、こういうておるところですが、あそこが芝川と潤井川に分流しているところですね、最近は分流している状態が五分五分ぐらいの状態にあるといわれていますが、いままではどうしても潤井川に流れる度合いが強かった、そのために、一番しりになっている田子ノ浦港——掘り抜いてつくった港ですが、これが非常に埋まるとかいうことになりまして、国の直轄事業になりましたから、いろいろとこれから大々的にやってもらえると期待をしますけれども、いままで補助事業でやっておりましたが、たとえば四十年にあの扇状地区につくった高さ四メートル、長さ六百メートルぐらいの砂防堰堤が一年ぐらいで埋まってしまうのです。そのころ二十万立米ぐらい砂が落ちてきていた。四十二年にあわを食ってやはり三千万ばかりかけて第二堰堤をつくったけれども、これも埋まっておるような状態です。ですから、技術的には、あれだけのことですからどういうことになるか私もよくわからぬけれども、こそくな手段では、大沢くずれ対策をやってもどうにもならぬじゃないだろうか。三十六年でしたか、集中豪雨があって、あの辺から上井出地区に至る被害が相当ありました。これから万が一そういう集中豪雨に見舞われると、たいへんな状況になると思うのです。  ですから、計画をどういうふうにこれから進めていくか。たとえば、一番下の扇状地から砂防堰堤をつくっていくのか、途中のほうも何かやっていくのか、こういうふうな計画というものをいまお持ちなんですか。
  177. 坂野重信

    ○坂野政府委員 私どもの一応の対策といたしましては、大体その全体を五つのブロックに分けて考えております。一番頂上に近い源頭部と称しておるところ、これは二千四百メートルから頂上までの区間、これが一番上のほうの滝になって段々になって落ちてくる一番大もとのところです。それから峡谷部というのがその次にございまして、これは非常に狭い谷間になっております。それは千六百メートルくらいの高さでございます。それから中流部というのが、これはあまり特徴がございませんがありまして、その下に岩樋部というのがございまして、一番下が扇状地区という五つのブロックになっておるわけでございます。いろいろ学識経験者なり砂防の技術者等で検討いたしました現在の結論では、やはり上から落ちてきたものが一たん扇状地に堆積して、それがはんらんをして下流の河川に出て、いろいろ人家その他河川のはんらん等の原因になりますので、差しあたって、扇状地を重点にいたしまして、扇状地に流れてきたものをできるだけその範囲を狭めて、それで砂を一時そこで遊ばせるような方法を考えようというようなことを技術的に考えております。  そこで、床どめをつくったり、かすみ堤といっておりますが、両側に広がらないように導流式にかすみ堤というようなものを両側につくって、その間に床固め工をつくることにして、そこで砂を遊ばして、下流に対してこれ以上出てくる流砂量を少なくしよう、それと同時に、だんだん問題となる上のほうの源頭部等に対しては、逐次やはり床どめ式のものをつくりまして、滝になって落ちてくる土のかたまりを、できるだけ崩壊を防ぐという意味で階段式の床どめをつくっていく、そういうのが基本的な考え方です。  それにいたしましても、非常にむずかしい問題でございますので、一方で調査をしながら一方でそういうようなものを試験的にやっていく。扇状地にいたしましても、あまり大きなかたいものをつくらないで、なるべくやわらかいものをつくって、様子を見ながらだんだん工事を進めていくというような考え方でございます。
  178. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 当初大沢崩れ対策懇談会などでいろいろな議論が出たようでございますが、百億とか五十三億とか、いろいろなやり方によって工事の経費も違うと思うのです。しかし、いよいよ国の直轄事業で初めて一億三千万円で、まだ決定的な防止工事というものの青写真ができていないから無理かもしれないが、しかし、来年は大々的にひとつこれと取り組まないと、先ほど言ったように、集中豪雨などになると、砂自身が軽いんですから、たいへん下流のほうに被害を及ぼしてから大騒ぎをしてもちょっと間に合わないような気がするのです。  ですから、この問題には大臣、相当力を入れてやってもらいたいと思うのですが、この点はいかがですか。
  179. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま渡辺委員御指摘になりました問題は、非常に重大な、大きな問題であります。やはり国民的な一つの大きな象徴であるいわゆる富士山のこうした地くずれということは、国家的な立場からこれの対応策を講ぜなければならぬ、こう思っております。  したがいまして、政府といたしましては、目下のところ、現段階においての予算といたしましては調査費その他でまだ満ち足りないものも多くございますけれども、十カ年計画をもって、大体予想いたしますのには五十億の金を投入いたしまして、そしてこれらの事業に当たってまいりたい、こう考えており、さらに推進もいたしてまいりたい、こう思っております。
  180. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 お話はよくわかりました。  四十六年八月には世界ジャンボリー大会が、あのちょっと北になりますが、朝霧高原を中心にして約十万人集めてお祭りをやるのですが、いろいろな関連事業も進めておりますけれども、私はぜひ四十四年度、来年は相当な工事規模をもってやってもらうようお願いをいたしたいと思います。よろしゅうございますか。
  181. 坪川信三

    坪川国務大臣 非常に国家的といいますか、大きな行事も控えておりますので、道路につきましても、ことし特別な配慮をしましたことは渡辺委員御承知のとおりでございます。したがいまして、これらを含めまして、われわれ民族の一つの心の象徴、ふるさとともいうべきこの霊峰の周辺環境の整備というものには最善の配慮をいたしてまいりたい、こう思っております。
  182. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 終わります。
  183. 野原正勝

  184. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は大臣に、公営住宅の問題と防災拠点、いわゆる市街地再開発の問題点、さらに建設行政の問題点等について御質問をしてみたいと思います。  公営住宅については、きょうの本会議で住宅法の改正について提案説明をされ、質疑討論を聞いておりましたが、私、時間が短いので詳しくはお尋ねできませんが、なお若干重点的に二、三の点をお聞きしておきたいと思うのであります。  今回の公営住宅法の改正の内容を、お話を聞いておりまして私なりに感ずることは、それぞれ長い制度の実施の上で改正を要すべき点ということで出されたと思うのであります。しかし、これをそのまま率直にお伺いしておりますと、これから住宅をほしいという住宅困窮者に対しては、何か住宅の道が閉ざされていくような印象、さらに、いま入っている人たちには、何か追い出されるのではないかという不安感を与える、こういう二つの面の心配が率直に感ぜられるわけであります。したがって、そういう点について、大臣はそうでないということでお話になっておりましたが、私がこれから質問する上に必要でありますので、基本的な点、簡単でいいですが、今回の改正の主要点をひとつお願いいたします。
  185. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま佐野委員が御指摘になりましたお気持ち、私も理解できないわけではございません。しかし、御承知のとおり、低所得者に対して安い住宅に住んでいただくということは、基本線であります。私は公営住宅の目的はやはりここにあると思います。しかし、二十年の歴史を持つこの公営住宅、現時点におけるところの長く歴史を持っておるこの公営住宅法の内容を見ますときに、やはり働く方々に対して低廉な家賃で住んでいただくという意味において、私は一つの大きな法の画期的な改正ではないか、決していばった気持ちで言うのじゃございませんが、従来低所得者、勤労者の方々に対する一つのあたたかい気持ちの配慮で法の抜本的な改正をいたしました。この気持ちも御理解はいただけるのじゃないか、こう思いますとともに、住まっておられる方々に不安を与えるということ、また、待ちわびておられる方々に焦燥感を与えるというようなことをなくする意味においてこの住宅法の改正をいたしましたので、この点はひとつよくPRもいたしまして、法の立法措置の根拠、目標がどこにあるかということを御理解いただけましたならば、この公営住宅法の改正には、非常な関心、また期待とお喜びも持っていただけるのじゃないか、こう思う次第であります。
  186. 佐野進

    佐野(進)分科員 そこで、私具体的に御質問を申し上げますが、まず第一に、現在入っておられる方々に対しては、いわゆる明け渡し義務を課するということになっております。二年間の猶予を与えるとはいいながら、収入超過せられた方々に対してはこれを強制的に明け渡す——いわゆる強制という文字が非常に心配をされる基本的な条件になっておると思うのです。現在でもいわゆる超過の収入を得られる方々に対しては、それぞれ明け渡しをするということにおいて何ら差しつかえない。しかも具体的には、東京都においてのみこれを概算いたしましても、年間三千件以上の方々が現実に都営住宅を出ていかれて、いわゆるあき家抽選という制度に基づいて住宅困窮者を収容しておるという事態があるわけでございます。現実に、全体的な現状をそれぞれ分析したとき、だれも生活が向上し、所得が多くなったとき、しかも管理人が非常にきびしい管理を続けておる中で、都営住宅、特に戦後の荒廃期に建てられた住宅はともかくとして、今日整備された制度の中で建てられた住宅の中に、そういう過大なる収入を有する人たち、いわゆる超過収入のある方々がいつまでも居すわることはどうか、こういう点は、感じとしてはなかなかあるのではないかという感じを持たれる。いわゆる困窮者の立場から見ればそういう感じを持たれるが、現実にはなかなかそうはいかないと考えられるのですが、あえてそこに強制的に二年間という猶予を置きながらこれを立ちのかせるということは、その解釈によれば、いわゆる家族が、たとえば御主人だけの収入であったところが、むすこさんが収入を得られるようになった、あるいは娘さんが収入を得られるようになった、娘さんは二年か三年たてば、収入を得られても当然嫁にいってしまうわけですが、そういうような方々にとってはたいへん大きな心配の種を与えることになる。一時的な収入はふえても、持続的ではない。しかしこれは超過収入だから強制的に立らのきなさい、しかし二年間の猶予——いまは二年間ですが、二年たてば即時ということになるわけですから、ちょうどそれに該当する人たちには耐えがたい苦痛の種を与えることになると思うが、こういう点についてはどのようにお考えになっておりますか。
  187. 坪川信三

    坪川国務大臣 居住の安定化ということは、非常に大事な問題であります。そうした立場から考える場合において非常に重大な問題であることは事実でございます。しかし、私といたしましては、これらの方々——大体対象になる方々は、各職場においての地位その他所得の水準というものを見ますときに、もう大体課長クラス以上、部長といったようなクラスに位する方々がその対象に多くあることを知っております。そうしますと、もう結婚適齢期になりながらはいれない、しかも低所得でおられる方々が気の毒な住生活をやっておる、これを考えるときに、ウエートをどちらに置くべきかということになると、私は、やはりこの低所得の、狭い部屋で仮住まいをしておられる方々の心境を思うときに、待ちわびられる、いらいらとした焦燥感を持たれる気の毒な方々に恩恵を与える政治を行なう、住宅対策をとることがより一歩いいのではないか、私はこういうような気持ちを持っておる次第であります。
  188. 佐野進

    佐野(進)分科員 そうすると、いまの大臣のお気持ちでは、収入が一時点の中で多少増加する状況があるとしても、機械的にこれを行なうのではなくて、社会的ないろいろな諸条件、環境等も勘案しながらそれらのものについてはある程度弾力性のある措置も講じられるのだ、こういうように理解してよろしいのですか。
  189. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりましたいわゆるその範囲というものがどこにあるかははっきりいたしませんけれども、その家庭の状況、御病気をされておられるとか、あるいはいろいろの事情があるというようなことについて二年間の猶予期間がありますから、やはり話し合いを持ち続けながら、しかもそれに対処するだけの準備のお世話もする、こういうような配慮もいたしておりますので、これらの対象になる方々に対しましても配慮の手を差し伸べておることで御理解をいただけるのではないかと思います。
  190. 佐野進

    佐野(進)分科員 時間をそれだけにとっておりますとあとがなくなりますから、これらについては、これからの審議もあることでしょうが、大臣としては、いま入っている方々を機械的に処置するということでなくて、十分柔軟性のある態度で処置せられるよう希望して、次に進みたいと思います。  次は、いわゆる建てかえの問題です。建てかえの問題については、私も東京都のほうで都議会を長くやっておりましたから、現実の問題として幾多そういう場面にぶつかりました。最初は、払い下げを受けることが原則だということで、なかなか建てかえ対象家屋の人たちが応じなかったのですが、今日ではもうほとんど大部分建てかえという措置に応じておる現状です。したがって私は、これを強制的にやるということが、何かいませっかく話し合いのムードの中で順調に建てかえ工事が進行しつつある中で、むしろこれらの問題についてはいわゆる話し合いが前提であるべきなのに、あえてここに法律的に制限をするということは、無意味な、いわゆる混乱を招く原因になるのじゃないか、こういうぐあいに考えるわけですが、これらについても、いままでのやり方、いわゆる話し合いということを前提にしたということを十分尊重してくださるかどうか、簡単でけっこうですから、ひとつお伺いしたい。
  191. 坪川信三

    坪川国務大臣 御案内のごとく、きょうも私本会議で申し上げましたごとく、その変動が非常に激しいというような場合においては一定期間配慮をするという措置を講じておりますので、建てかえによるところの家計に大きな暗影を与えるというようなことの不幸は避けたい、こう思っております。
  192. 佐野進

    佐野(進)分科員 それから用地費のいわゆる補助の打ち切りですね。これは、ことし東京都からわれわれのところへ来ました要望書においても、用地費の補助をふやしてくれ、いわゆる都営住宅の戸数を増加させるためには、建設費の単価の引き上げはもちろんですが、用地費の補助を多くふやしてくれということに対して、もちろん用地費の補助だけでは当然足りませんから都が単独的に持ち出す金も相当多いわけでありますけれども、しかし、都営住宅をつくる根拠として国庫補助というものがいかに大きなものであるかはいまさら論をまたないわけであります。それが今度の法律でいわゆる融資制度に切りかえる、起債等のワクを拡大する形の中で戸数がふえるのだという形の中で、現実に財政的に国費の負担が少なくなる、こういうようなことでは、かえっていわゆる逆行する、いま住宅を多く建ててもらいたいという多くの国民の期待に反することになるのじゃないか、こう思うわけですが、その点について、補助を打ち切るかわりにどのような財源的な措置をお考えになっておるのか。これは融資制度として単なる起債のワクを広げるということだけではどうにもなりません。当然利子がかかるわけですから、そういう点について御見解をお伺いしておきます。
  193. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のとおりに補助を打ち切りまして、切りかえました。このことからくる家賃の変動等に対しましても、御案内のごとく、いわゆる一定額の家賃収入補助金も出していくというようなことでこれらの点もひとつ解消できるのじゃないか。また、地方公共団体におきましても、御承知のとおりに、昨年よりか今年は、この法の通過を得ました場合におけるいわゆる融資のほうも増額をいたしておりますので、これらの点も恒久的な施策として、地方公共団体にも一つの負担を軽減させることにもなるのじゃないか、こう思ってこうした措置を講じたわけでございます。
  194. 佐野進

    佐野(進)分科員 多くする見通しはどの程度ありますか。
  195. 大津留温

    ○大津留政府委員 昨四十三年度におきましては、用地費に対する補助総額が百七億でございます。それからいわゆる補助裏に対する起債が六十億、したがいまして合計百六十七億の金を国がめんどう見たということになるわけでございます。実際は相当地方が持ち出しを余儀なくされておる。これに対しまして四十四年度は、この起債でございますが、二百八十六億、百六十七億に比べますと七割以上の増額でございます。それで建設の戸数が一割程度伸びておりますから、その分を考慮に入れましても五割をこえる増になります。地方公共団体といたしましては、建設にあたって相当の持ち出しを余儀なくされておった、これが建設意欲を相当阻害しておったのは事実でございます。したがいまして、建設にあたって、資金のめんどうがそれだけ国から得られるということで建設意欲は相当出てくるのじゃないだろうか。ただし、反面、これは起債でございますから、その償還が将来に残されるという点がございますことは、御指摘のとおりでございます。したがって、地方としてはその利点とマイナスと両方ございますが、どちらを好むか、事実、いろいろ地方公共団体の意向も聞いておりますが、やはり何ぶんにも建設時の資金の調達というのが一番頭の痛い問題でございますから、これだけめんどうを見てもらうならそのほうがいいという意見が多うございます。
  196. 佐野進

    佐野(進)分科員 これについてはひとつ、まだこれから審議があるわけですが、建設戸数を増加させるような方向でさらに一段と御努力を願いたいと思います。  次の質問に入るわけですが、大臣、就任後市街地の再開発、特に東京の中でおくれておる下町方面にたいへん深い関心を持たれて御視察をしていただき、いろいろ見解を発表されたことについては、私ども敬意を表するわけでありますが、それに関連して二つばかりの問題について御質問を申し上げてみたいと思います。  今日、東京都のいわゆる隅田川以東の地域、特に荒川、隅田川にはさまれている地域は、御承知のとおり江東デルタ地帯と称して、歴史的にさかのぼれば、ほとんどいわゆる河川の流域の堆積された土地の上に市街地が形成されておる。その現実がもたらす幾多の問題が、地盤沈下にあらわれてみたりあるいは出水にあらわれてみたり、いろいろの現象となってあらわれており、今日の東京を語るとき、この部面を除外視して話をすることのできないようないわゆるおくれた地域になっている。それが今日の近代都市東京の発達にそぐわない一面を添えておることは大臣よく御承知のとおりです。  特にこの地域の中でそういう面でも問題になるのは防災の問題です。御承知のとおり、大正十二年の大震災の際、何万人もの人たちがこの地域の中では命を失いあるいは傷つくというような形の中でひどい災害を受けましたし、さらに、いわゆる昭和二十年の三月十日の空襲における災害の中でも、これまた焼死する者その数を知らずという状況の中で、今日でもこれらの地域を掘り返すたびごとに白骨が掘り出されるという現状のまま放置されておるわけです。しかもそれだけでなくして、いわゆる地震の周期説によれば、河角博士の発表によれば、六十九年ごとにそういう災害が関東の地域の中にはある、こういわれておるとき、大正十二年から今日を計算すると、あと二十五年かそこいらになるとそういう災害がいつ来るかわからない危険な状態になるわけです。今日、この地域はいわゆる地盤沈下地帯でありましたが、幸い外郭堤防が敷設されて、水の脅威はいまはないわけですけれども、関東大震災並みの地震が来れば、この堤防もはたしてそのまま生きるかどうかわからない、いわゆる崩壊の危険すらあるといわれておるとき、この地域に住む約百万近い人たちの防災対策をどうするかということは緊急を要する課題だと思うのです。  この現実に対して、まず第一に大臣がどう考えられているか、ひとつ簡単でいいですから、お聞かせいただきたい。
  197. 坪川信三

    坪川国務大臣 佐野先生のおっしゃったことは、私も全く同感でございます。過般、江東隅田地区等の密集地帯を見てまいりました場合につくづく感じましたことは、いまのお話のごとく、われわれまだ子供のころであったあの大震災の不幸が頭にすぐ浮かんでまいるほど非常な危険な状態の生活、住宅環境、私はあれを見まして、思いつきでもございませんけれども、御承知のとおりの都市計画あるいは防災の一環としての事業として一定のところに一つの防災拠点を設けるべきである。コンクリートによって、まさかの場合に非常避難の場をつくるということから週辺の密集地帯の者が安心して抜けてこれる。われわれがいまなお記憶に残っておるあの被服廠あとのあの惨たんたる状況というものはいまなおわれわれの頭には浮かんでおります。それを考えると、私は視察をしてまいりましてすぐ私の頭にひらめいたのは、各先進都市などもそれを実行に移しつつあるやに聞いておりますところのいわゆる防災拠点、いいかえますならば、一つの防壁をめぐらして、地域住民が安心して避難でき得る、しかも秩序正しく逃げてこれるというような道路整備を基幹に置きながら防災地区の拠点を設ける。私は、これはぜひとも東京都にも連絡をいたしながら、建設の防災対策の大きな仕事としてこれを指導してまいりたいということがもうすぐ私の頭に浮かび、これをやらしてもらいたいというような大きな夢を持っておるような次第であります。この点が私のこうした問題の基礎にあることを御了承願いたいと思います。
  198. 佐野進

    佐野(進)分科員 大臣、私がこれから質問しようと思ったことをお答えになっていただいて、大臣が進んでそういう問題に取り組もうとされておることについては、敬意を表するわけであります。ところが、今年度の予算の中で、いわゆる東京都を中心として、地元の各それぞれの区のほうでも一つの具体的なスケジュールにおいて、大臣構想に合致したと思うのですが、つくって、これを今年度調査し実施するための事前の費用としてつけてもらえないかということで、こちらのほうへ、建設省へ東京都からも強い要望もし、建設省もそういうお考えで大蔵省のほうへ要求をなされた。私ども大蔵大臣に対してその点については強く要求をしたのですが、ついにゼロ査定になった。こういうことは、建設省はそういう構想をお持ちになっておられるけれども、はたしてこういうことについて——どもは最後、五千万でもいいというような気持ちで、つけていただければその点について道が開けるということで、社会党の政策審議会の最重点要求項目として要求をいたしましたが、ついにこれがゼロ査定になった。東京都もそうでありますが、私どもたいへん残念でありますが、これについて大臣は今後どう処理されるか、この際、ひとつ決意をお伺いしておきたいと思います。
  199. 坪川信三

    坪川国務大臣 いまのお話、私も全くその気持ちを持っておったわけでございますが、ありのままを申し上げますならば、御承知のとおりに、防災街区の造成、いわゆるこの予算獲得をするのに精一ぱいであったわけで、これらに対しての国の立場からの大きな視野と高度な立場に立っての都市計画の面において私はまだ至らない点は申しわけないと思います。私はそうした意味において、ことしの四十四年のいわゆる防災街区造成におけるあの十数億の復活をいたしますあの努力を、今度はそうした方面の努力に切りかえながら、漸進的に事業は進めてまいりたい、そう考えております。
  200. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 ちょっと補足して申し上げますが、実は江東地区の防災拠点の問題につきましては、防災拠点整備方式樹立調査というふうなものを四十年度からやってまいりまして、先ほど大臣からお述べになりましたような考え方で進めてまいったわけでございますが、最近、御承知のように大工場の移転というのが多くなってきておりまして、防災拠点建設の可能性が非常に強くなってまいりましたので、四十四年度ではございませんが、四十三年度企画庁の調査調整費、これを二千万円つけていただきまして、これは東京都と日本建築学会に委託するわけでございますが、具体的に実現できるような防災計画を樹立したい。東京都も非常に乗り気でございます。地元の江東の各区も非常に乗り気でございますので、東京都と力を合わせまして、今年度一ぱいにおきましてこの調査費を使いまして、現実性のある江東地区の防災計画を打ち立てたい。来年度の問題でございますが、来年度につきましては市街地再開発事業に予算がついたわけでございますが、東京都の白鬚地区につきまして、私ども予算要求をいたしております再開発をこれから出すということもございまして、いろいろその間に手続等もありますので、来年度は四百万の調査——これは実施設計にすぐ移れるような寸前までの調査費を四百万円計上いたしまして、具体的な場所計画は来年度行ないたい、こういうふうに考えております。
  201. 佐野進

    佐野(進)分科員 せっかくひとつ御努力を願いたいと思います。  そこで、私それに関連して、今日それらの事業の計画に入って、それらの事業実施という段階になりますと、いわゆる都市計画法があり、あるいは住宅関係法律があり、いろいろな法律、市街地改造法がある。あるいは防災拠点、いまのお話の防災建築街区造成法とかあるいは公営住宅法であるとか、数限りなくあるわけです。それを一つ一つ生かしていかなければならぬ。いかなければならぬけれども、それぞれ調整することによってたいへん時間がかかると思う。ですから、私ここに一つ考えですが、これらをまとめて、一つのいわゆる市街地を改造する重大事業でありますので、そういう面でいわゆる過密災害地域整備緊急措置法案とかなんとか、名称はともかくとして、それらの法律を統合した形の中で建設省が強力に打ち立てられ、措置できるようなそういう対策を立てられる必要があるのではないか、こう思うわけですが、これに対して大臣の御見解をお聞きしておきたいと思います。
  202. 坪川信三

    坪川国務大臣 非常に貴重な御指針をいただいております。私も非常に共感を感じます。したがいまして、先ほどから先生おっしゃった点、また、私が答弁で申し上げました点等を含めました一つの一元的な、包括的な立場に立っての立法措置も私は真剣に検討いたさなければならぬ段階に来つつある、もちろんおそきに失しておる、こういうような気持ちも持っておりますので、それらの点はさらにひとつ検討を進めたい、こう思います。
  203. 佐野進

    佐野(進)分科員 時間がなくなりましたので、最後に建設業法の問題に入りたいと思っておったのですが、できませんから、これに関連して質問をして終わりたいと思います。  大臣は、いわゆる住宅問題の対策の一環として国有地を開放しろということで、積極的にお取り組みになっておられる。それらについて、われわれ地元におる国会議員をはじめ地方議員は、全部が多年開放をしてもらってはどうかということで、建設省なり党方面に対して陳情、要請を続けておったいわゆる墨田区の関東建設局の東京技術事務所ですね、この用地を開放するということに過日新聞発表がなされました。これについては、各方面で非常に好評を与えておると思うのですが、これについては、私は、この中に書かれておる内容と現実とはなかなか違うような面もあって、幾多の障害が前途に横たわっておるのではないかと思うわけでありますが、それらについては、その障害を除去して、大臣はせっかくの発表でありますので、断固おやりになる決意を持っておられるかどうか、その点が一点お聞きしたいことであります。  時間がありませんから引き続きお尋ねいたしますが、そうなりますと、この地域は多年にわたって、地元住民の方々、区当局を含めて、いわゆる近代的な町づくりと同時に、この地域開発される場合においては、地元の商店街、ないし、たまたまこのそばを環状四号線という道路が通る予定になって、この地域の人たちもこの道路の拡幅に協力するかわりに、この地域で商売をやっておった人たちは何とか収容できないかということについて、たびたび前の建設大臣等に対して陳情いたしておるわけですが、それらの点について……。
  204. 野原正勝

    野原主査 時間ですから、簡単に。
  205. 佐野進

    佐野(進)分科員 両方に対する具体的な取り組みについて、ひとつ決意をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  206. 坪川信三

    坪川国務大臣 いまの問題につきましては、私は、この発表いたしました既定方針をあくまでも貫いてまいりたい、こう思います。それとともに、私、いい機会を得ましたならば、いわゆる予算審議、重要法案の審議をいただいた後、適当な時期に私は現場を見てまいりまして、また周辺地区の都市環境も一ぺん十分視察をさせていただきまして今後の都市計画方針考えてみたい、こういう予定であることを表明申し上げておきたいと思います。
  207. 野原正勝

  208. 玉置一徳

    玉置分科員 私は、まず富士山の大沢くずれ、それから一般河川の河床低下による災害並びに若干の道路行政について御質問申し上げたいと思います。  そこで、まず富士山の大沢くずれでございますが、御案内のとおり第五十五国会の参議院の予算委員会の第三分科会におきまして、大沢くずれに対して早急に措置するように質問と要請がなされたわけでありますが、自来静岡県あるいは全国から富士山の大沢くずれの問題につきまして非常な関心を持ち出したわけでありますが、私も最近注目して新幹線の往復の途次見ておりますが、だんだんと大きくなってきているような感じが、気のせいでそうなのかもしれませんけれども、するのであります。これに対する対策はなかなか並みたいていのことではないということはわかりますけれども、古来わが国の一番風光明媚ないわば象徴として今日まで来たったものでございますので、これについて早急に抜本的な対策をお進めいただきたい。  そこで、まず四十年の六月に建設省に富士山大沢くずれ対策懇談会が設置されて、その後いろいろな対策を講じられつつあると聞いておりますがその経過はどうなっておって、どういう対策を講じようとしておいでになるか、御説明をいただきたいと思います。
  209. 坪川信三

    坪川国務大臣 大沢くずれの問題につきましては、先ほども質問をちょうだいいたしましたので、政府の方針を御説明申し上げた次第であります。基本方針玉置先生と私は全く同感で、国民の心の霊場ともいうべきあの富士山のくずれということは、何か一まつのさびしさを感ずるほどまで国民的にも憂慮すべき問題であろう、こう考えておりますので、建設省といたしましては、四十三年度より五十二年度までの十カ年計画を立てまして、調査費も一千万円計上いたしまして、その対策の技術的な方向から検討を加えつつあり、大体予算といたしましては今後五十億を予定いたしまして、これの対策を全面的にひとつ打ち出してまいりたい、こう考えておりますので御了承願いたいと思います。   〔主査退席、仮谷主査代理着席
  210. 玉置一徳

    玉置分科員 私も建設省当局に御相談いたしまして調べましたところ、逐次対策を講じられるようになっております。順序として下流のほうの土砂の崩壊をどう食いとめるかということから始められるわけでありますが、その計画は、あのおわんのようになりました沢を最後まで埋めるということにならないのかどうか、お伺いしたい。
  211. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先ほど大臣から申し上げましたように、対策懇談会というのができまして、三回にわたっていろいろ討議いただきました。先生もおっしゃいましたように、やはり下流のくずれた土砂が下流の人家連檐の地域あるいは河川に、それ以上の被害の及ばないようにするということがまず重点じゃないか。防災的な見地から下流の扇状地の処理を第一にすべきである。つまり上から落ちてきた土砂をそこで遊ばして、そして下流に対してはできるだけ少ない土砂を持ってくるというぐあいにすべきである。それに加えまして上流部の渓谷に対してもいろいろな工法をやるべきだということで、いろいろ検討の結果いま考えられておりますのは、滝を固定する。滝が幾つもできております。そのために欠けていくということでございますので、滝を固定するような床どめを逐次やっていくというようなことが問題になっておりまして、なかなか将来の予測はむずかしいことでございますが、様子を見ながら一方で調査して一方で扇状地を中心にして対策を進めていく、そういう計画でございます。
  212. 玉置一徳

    玉置分科員 大沢の問題につきまして同僚委員から御質問があったとすれば、この程度で切り上げておきますから、ひとつ早急な対策をお講じいただきますよう、お願いをしておきたいと思います。  そこで次は河床の低下でございますが、私はこの予算委員会におきましてここ数年間この問題を引き続いて論議しておるわけであります。大臣御案内と思いますが、一つの河床が砂利採取その他の原因——というよりもむしろここ五、六年の間大きな洪水がございませんでした。その意味では非常にありがたかったわけでありますが、河床の砂だけは運び去られていくというようなことで、私のほうの地元の木津川、淀川の水系の木津川でございますが、ここ十年間に約三メートル近く河床が下がったのではないかと思います。そこで、その自然の流水によりましてたんぽを潤しておりました両側の平野は、はるかに河床のほうが下がりましたからやむを得ずポンプアップしてやっておるわけでありますが、そのポンプアップも毎年河床が低下いたしますので、だんだんと川の中心部に持っていかざるを得ない。相当な費用がかさんでおるわけであります。そこで問題は、治水上から考えればこのことは非常にけっこうなことでございますが、あたかも堤防にかさ上げをしたと同じような効果があるわけでありますので、治水上河積の断面が広がることは好ましいことでございますけれども、いままで自然流下で何らの金銭的な対価を支払わなくても入っておりましたたんぼに、ただいま申しましたようなポンプを毎年相当くふうをこらしながらやらなければならないというような現状でございまして、木津川沿岸の農家は非常な難渋をいたしております。  そこで今回、これの対策として、統合井ぜきと申しますか、思い切って上流まで堰堤を持ち込みまして、河床の堰堤をつくりまして、そこから四十数億円の金をかけまして下流を潤すという計画をいたしておるわけであります。これは農林省の所管でございますが、これは六割の補助でございまして、残りは府県がある程度補助いたしますといたしましても、農家に相当な金額がかかるわけであります。こういうことで非常に農家も困惑をいたしております。ここで建設省にもお願いをいたしておきたいのは、農家の用水だけでこの大工事を完遂することは非常に困難でありますし、加えて付近に非常に住宅地ができております。これに対する飲料水等もこの堰堤から引く用水路によらざるを得ないのではないかというようなことで、水全般の問題として片づけていかなければいかぬような方向に進みつつあるのじゃないかと私は考えるわけであります。そういう意味で、この問題につきましては、一度建設省ともよく相談をいたしまして、水の効用を全般からひとつ計画を立ててもらいたい、こう思っております。  前段の河床低下によります農家の被害。一般的な不特定多数の方々のあれでございますので、管理者としての建設大臣がお考えいただくことが一番いいのじゃないか、こう思いまして、いままでたびたび農林大臣並びに建設大臣から善処をする旨の確約を得ながら、目下建設省では全国の各河川につきまして調査中であるというように承っておりますので、なるべく早く調査の上一つの見解をお示しいただきたい、こう思いますが、ただいま申しますように、総合的にこの水の利用考えざるを得ないところに参りましたので、検討をお願いに参りました節は、親切に御協力をいただきたい、こう思います。  そこで、ひとつ当局から質問に答えていただきたい問題は、同じそこの中の、木津町にございます木津川合同樋門というものがございまして、ただいま申しましたように約三メートルも河床が低下いたしまして、せっかくの樋門がほとんどその用をなさない、あるいは効用を発揮さすのには、改修してこの樋門を思い切って現在の河床に相応するように下げなければならないということで、建設省のほうも鋭意これに検討を加えていただいておるわけでございますが、その経過は一体どのようになったのか、そして、いつごろからそういうものが実施せられるようなことになっておるかを明らかにしていただきたいと思います。
  213. 坂野重信

    ○坂野政府委員 御指摘の木津の合同樋門でございますが、確かに木津川の本川の河床はだいぶ下がっておりまして、さらにこの合同樋門を改築すれば内水排除あるいは都市排水ということに非常に役に立つと思いますので、私どもとしては、目下調査中でございますが、昭和四十四年度におきまして、敷高を切り下げて樋門の改築ということに着工をいたす予定でございます。
  214. 玉置一徳

    玉置分科員 大臣にこれは要請だけしておきたいと思うのですが、ただいま申しましたように、建設省大臣が続いてお二人、農林省の大臣が続いてお二人だったかと思いますが、河床の低下によりまして自然流水で入っておったたんぼのかんがい用の水が入らなくなったというので、当時は五割ですが、いま六割の補助をもらってやるわけでありますけれども、農家の方々にしてみれば、自分のたんぼを上げたわけでもなんでもございません、昔からのままのところにあるわけでございまして、六割の国庫補助はありがたいとはいいながら、河川の管理者が当然措置すべきであって、農家は気の毒じゃないか。しかもそれは全国に相当のケースがあるのじゃないか、こう思うのです。なかなか在来の考え方だけではむずかしいようなぐあいにも承っておりますけれども、こういうものは昔はなかったわけでございますので、新しく一つの制度か考え方を取り入れなければ無理じゃなかろうか、こう思います。私も長らく調査中をしんぼうしておりましたのですが、しんぼうにも限界がございますので、万一建設省のほうでお考えがつかないというようなことになれば、全国のこういった河川はたしか相当な数にのぼりますので、こういう河川のほうを全部一ぺん歩きまして、その方々とも懇談し、建設省に一緒に合同陳情するように——下流の沿岸の代議士も相当な数にのぼると思います。私は、かつて国会に出てまいりまして、私のほうの地元の内水排除の問題につきまして、全国的なケースとして訴え続けてまいりまして、三十七年から一つ考え方として取り上げていただいたこともあるわけであります。そういうお願いをするようなことになるかもわかりませんので、ひとつ大臣みずから——これはお役人さんでは若干無理と思いますので、大臣みずからがひとつ判断していただきたい、かように思いますので御要請を申し上げておきたい。
  215. 坪川信三

    坪川国務大臣 玉置議員御指摘になりました木津川の内水排除の問題は、非常に重要な問題であるということも聞き及んでおり、また玉置議員も平素これに対して深い関心と切なる要望をお持ちいただいておることも、私自身よく承っております。したがいまして、これらの点をそんたくいたしまして、昭和四十四年度には敷高を切り下げた樋門の改造を施行する考えであることを表明いたしまして、御了解いただきたい、こう思います。
  216. 玉置一徳

    玉置分科員 それから道路の行政につきましてでございますが、かって五年ほど前だったと思いますが、私も建設委員をいたしておりましたときに承知いたしておりますのは、このくらい自動車の使用が多くなってまいりますと、これを抑制するということは不可能に近い。そうすれば、道路をよくするという方法しかないのじゃないだろうか。そこで、ここ十年、二十年の展望をもっていたしますれば、相当の費用が要るわけですが、ガソリン税にほとんどたよっておるような現状では心もとないんじゃないだろうか。で、ガソリンの税金も世界的に考えましても大体もうここらへきておる、こう思いますので、私は道路に限って一つの国債を発行して、必要な分だけはやっていくのだというような強い計画を、当時、河野さんが建設大臣でありまして、われわれも質問の形で申し上げたところ、そういうことも考えなければいかぬというので、当時、委員会はそういうことでほぼ固まりつつあるような空気であったこともあるわけです。どうぞひとつ、道路行政に関しては、社会資本がおくれておるという現状から考えましても、財源にあまりこだわらずに、これだけはがんばっていただきたいという激励をいたしておきます。  次に、かってがましい質問になりまして恐縮ですが、地方道国道昇格というものは近く取りまとめて考えなければならないような時期にきておるのかどうか、お考えをお述べいただきたいと思います。
  217. 坪川信三

    坪川国務大臣 国道昇格につきましては、ここ二、三年の非常に大事な懸案でございまして、御承知のとおりでございます。したがいまして、この百八十六線の一万四千百五十四キロにわたる総延長国道昇格という問題は、ことしの大事な道路政策の一翼であろう、こう考えております。したがいまして、道路法第五条によるそれの適用の準拠、あるいは人口、産業その他の重要性等も十分慎重に検討いたしまして、これらの昇格について取り組みたい、こう考えております。
  218. 玉置一徳

    玉置分科員 そこで国道一号線でございますが、主として名古屋−大阪間の問題でございます。  国道一号線が現在相当ふくそうしておりますのは御存じのとおりでありまして、これについて思い切ったバイパス考えるべき時期になっておるのじゃないだろうか。一つは、名奈国道をお抜きになりましたけれども、その先は有料道路になっております、大阪まではですね。そこで百六十三号線、これは守口と、亀山、津のほうを結ぶものでありますが、そのほかに現在、水口から枚方に通じます重要府県道でございますが、これも国道一号線のバイパスとしては非常に重要な個所と前からいわれておりますので、国道昇格のときにも御検討いただきたい、こう思うわけです。これについての御所見を……。
  219. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました点等を含めましていま建設事務当局では慎重にあらゆる角度から検討いたしております。
  220. 玉置一徳

    玉置分科員 もと一級国道は一応改修が終わりまして、いよいよもとの二国にお入りになっておるわけでありますが、と同時にただいま申しますような重要府県道、いわゆる主要国道バイパスというものも急速に考えなければ、その拡幅だけではとてもやっていけない。非常に人口が横っちょに稠密しておりますので、拡幅そのものはなかなかめんどうでございます。そういう点を考えれば、バイパスをこしらえることが一番早道じゃないか、安上がりじゃないか、こういう点を考えますので、ひとつ検討いただきたい。  それから一般論といたしまして、京阪神地方はいろいろな道路の改修その他建設につきましても、万博が済むまでは関連事業を完遂されることが望ましいというふうなことで、御遠慮申し上げている点が非常に多いのでございます。たとえば京都−奈良−和歌山へ参ります国道二十四号線にいたしましても、現在京都市に入ります淀川に架橋されております観月橋あるいは大久保の三叉路、こういうものがすっかり渋滞をいたしまして弱っておる現状でございます。地元からの非常に大きな要望がございますけれども、われわれとしては建設省の御事情も考えまして、万博関連事業が済むまでと思って御遠慮申し上げておるのですが、一番緊急の問題となっております二十四号線の大久保を避けて通るバイパスは、せっかくの予算措置をされながら地元の問題が若干ございますので、用地の問題で手間どっておりますが、用地買収がスムーズにいけば、何年度のところでこれを完遂されるか、あるいは京奈国道と申しますか、二十四号線のふくそういたしますにつきまして、代替として木津川の左岸に奈良までの道路をつけるということになって、路線も大体確定をいたしたわけでありますけれども、ただいま申したような事情で停滞をいたしております。ところが路線がほぼ決定いたしましたので、捨てておきますと、非常に地価の高騰を来たしまして、あるいは家が建つというので困っておるというような現状でございますが、これに対する対策というものはあり得るのかどうか、用地の先行取得というものは考えられるかどうかというふうなこと、この二点について御説明をいただきたいと思います。
  221. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまのお話国道二十四号線のバイパスの問題でございますが、先生のおっしゃいましたように、この路線については京都の出口の観月橋のところの問題、大久保の三叉路の混雑がございまして、両方とも工事には着工したのでございますが、大久保のバイパスにつきましては三叉路の混雑を除くためにとりあえず枚方バイパスから入りまして、あれから奈良のほうに抜けるというようなバイパス考えております。いずれこれは将来奈良までそのバイパスを続けていきたいと思います。とりあえず大久保の混雑を避けるためのバイパスについては、これは四十二年から着工いたしまして総事業費約三十八億ぐらいかかると思います。現在できるだけ早く供用を開始したいと思っておりますが、いまの見込みでは四十六年度ぐらいになるのではないかというふうに考えております。  またその先の奈良までの用地の先行でございます。これは将来国道になるのですから、国が先行すれば一番いいのでしょうが、なかなか国も金がないということもございまして、国道バイパスにつきまして現在各県でいろいろ用地の先行をお願いしておる状況でございますが、県、府にいたしましても財政上の問題がありまして、すべての府県ができるということでもございませんので、京都の場合先行といいましてもなかなか困難が多いかと思います。この点はさらに、早く買っておかないとほんとうにできなくなるということもございますので、京都府とも今後話し合いを続けて先行をしていきたいというふうに考えております。
  222. 玉置一徳

    玉置分科員 市町村がそういうことを代替するというようなことはできるのかどうか、また御検討いただきたいと思います。
  223. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 市町村が代替することでもできると思います。ただ市町村の場合、市町村によりますけれども、どうも一応先行はいたしますが、早く国が買い取ってやらないと非常に困るように思われますので、その辺もあわせまして市町村の問題は考えてまいりたいと思います。
  224. 玉置一徳

    玉置分科員 そういたしますと、ケースによりますけれども、絶対にでき得ないというわけじゃないのですね。
  225. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 絶対にできないということでございません。できるだけいまの先行の制度を生かしましてやっていきたいと思います。
  226. 玉置一徳

    玉置分科員 時間が参りましたので……。
  227. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 小川新一郎君。
  228. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣にお尋ねいたします。住宅建設五カ年計画は六百七十五尺政府施策住宅が二百七十万戸民間が四百万戸でありますが、そのうち公営住宅は四十四万戸であります。私は、都営または県営または市町村営、これらの公営住宅が五カ年計画で達成できないというまことにショッキングな結論がきょう一つの事例から発見されました、そのことにつきましてまず大臣にお尋ねするものであります。  本日の新聞によりますと、東京都の都営住宅用として東村山の恩多町一丁目にある十六万四十三平方メートルを昨年六月以来都の住宅用地係が地主と交渉して買収を進めようとしておりました。ところがこの十六万平方メートルが業者のつけ入るところになりまして、どたんばになりまして地主がこの十六万平方メートルを売らないことになった。ただでさえ足りないところの都営住宅用地をなぜこのようにどたんばになって地主が売らないようになったかといいますと、今国会に上程されております大蔵省の租税特別措置注の一部改正法律案によって、いままで民間に売却する場合と公営住宅用に売る場合の恩典に格差がありましたのが、逆転した。こういうことによりまして民間に売るほうが得であるという結論になった。わかりやすく申しますと、たとえばこの土地が十六万平方メートルでありますので、平均三十人といたしまして一千五百坪になります。この千五百坪を一坪三万円で都が買うことになっておった。ところが三万円では安いからおれに売れといって業者が三万七千円で上積みしてきた。ところが改正前の税制体制でいきますと、一千五百坪かける三万円でありますから譲渡所得は四千五百万円になります。この四千五百万円の譲渡所得に対して所得税が二百八十三万八千円、住民税が八十六万二千五百五十円、合計これを四千五百万円から引きますと四千百二十九万九千四百五十円になります。これが民間でありますと、都が三万円で買うのにさらに七千円上積みして三万七千円かける一千五百坪、譲渡所得五千五百五十万円、約一千万円の格差があるにもかかわらず、所得税一千三百二十九万六千八百円、住民税三百七十万一千五百円が引かれることになります。そういたしますと三千八百五十万一千七百円が手取りになりますので、地主側としては、たとえ七千円業者が上積みしても、手取り額において業者に売る三千八百五十万一千七百円は国または都道府県に売る四千百二十九万九千四百五十円から見れば約三百万円の差があるので、当然都のほうへ売る意思が固まっておった。ところが、これが今度の新税法になりますと逆転いたしまして、同じその比率で申しますと、都のほうは所得税三百七万五千円、住民税百二十三万円、合計これを四千五百万円から引きますと三千四百六十九万五千円の手取りになります。これが業者のほうに直しますと、所得税五百十七万二千五百円、住民税二百六万九千円、これの手取り額は実に四千八百二十五万八千五百円と相なりまして、都が買って税金を引いた手取り額と業者に売って得た手取り額とは実に八百万円の格差になってしまった。一千五百坪に対して八百万円も差がついて逆転になった。そのためにこの十六万平方メートルの地主が売らないということになった。それできまったのが実に二十七日の日にきまった。都議会上程の一日前ということになりまして、これは大問題になっております。  それで私は、このような事態が発生してきますと、公営住宅の取得を行なう東京都とか埼玉県または市町村がいままで租税特別措置によって守られておったことが、このように八百万円も一千五百坪について差がついてくるならば、これは悪質民間業者でなくても割り込んできて、国及び公共団体並びに住宅公団等の政府施策住宅用地が非常に危機にさらされ、新住宅建設五カ年計画大臣の熱望いたし国民の熱望する政府施策五カ年計画は達成できないという結論になると思いますので、まず大臣の所見を承りたいのでございます。
  229. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました問題は、私もけさの新聞を見て非常に驚いたわけでございますが、これらの経緯あるいはこれらの現時点における状況等についてはまだつまびらかに私の手元に参っておりませんので、それに対する現時点における私の方針なり感想なりということを申し上げることはまた誤解を生じたりしてもいけませんから、これらが明らかになりましたときに、それぞれまた私の方針もきめてまいりたい。ただ、新聞で報ぜられておるこの現象だけながめてみますときに、まことに遺憾なことだ、こういう気持ちでおる次第でございます。
  230. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大蔵省の御答弁をお願いします。
  231. 安井誠

    ○安井説明員 税制一課長の安井でございます。  今回提案いたしております租税特別措置法の改正法案におきますところの土地税制の改正案は、昨年税制調査会で御答申いただきました土地税制のあり方についての答申を実現しようとするものでございます。基本的には小川先生承知のように土地の供給を促進しようということから、長期保有の土地につきましては非常に税金を安くする、端的に言いますと、おおむねといいますか分離比例税率を採用いたしまして一〇%の税率にするということにしようとするわけでございます。つまり土地の供給をふやしてまさに住宅等のための宅地の供給、宅地の取得を容易にさせようということがねらいでございます。したがいまして従来に比べますと税負担が非常に下がってきたわけでございます。下がってきたために、今度は民間の業者に売られる場合とそれから収用権がある官庁等に売る場合の差が狭まってきたということは事実でございます。  具体的にいま小川先生のおあげになりました数字で比べてみますと、手取りだけで比べてみますと、私どものほうでいま計算をしてみたのでありますけれども、おっしゃいました千五百坪、坪三万円と民間の三万七千円の二つを比べてみますと、現行の場合には、御指摘のとおり収用の場合に手取りが四千百万円、民間業者が買いますと三千八百万円になる。ところがこの改正案になりますと、収用の場合には手取りが四千万円、民間の場合には四千八百万円、おっしゃるように八百万円の差があるわけであります。ところが、この千五百坪を坪三万円で買いますときには、収用の場合には千五百かける三万円でございますから四千五百万でございます。民間の業者のほうは三万七千円でこれを買いますと五千五百五十万になるわけであります。そういたしますと、税の問題を離れて見まして、つまり収用権のあるほうが買いますときには譲渡収入が四千五百万。ところが民間が買いますときにはこれを五千五百万で買うものでありますから、税をかけましたところで手取りが四千八百万でございまして、収用の金額四千五百万につきましてかりに税を一銭も取らないという事態が出てまいりましても、結果的には民間業者のほうが三万円の土地を三万七千円でせり上げるということになりますと、税としてはいかんともしがたい、こういうことになろうかと思います。基本的には私どもといたしましては税制改正で長期税制の土地税率を低くするということによって、一般的に土地の供給がふえるというふうに考えているわけでございます。
  232. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 それはあなたのは確かに理想だ。現実の土地というものは野放し状態であります。まして首都圏地帯においては公営住宅の充足率は、埼玉県においては昭和四十四年、三カ年目に実に三八%しか充足率がない。市町村営にいきますとこれが二九%に下がります。そういう実態の中からいまうまみのある土地というものはないのです。多くの土地業者は、公営住宅をねらえ、公団住宅の取得地をねらえというのが合いことばなんです。七千円の格差があってなお八百万円もうかってしまう。これがもっと七千円以上でもいいということになりますと、ただでさえも貧困な市町村財政の中から公営住宅の土地の取得というものはできないじゃないですか。この点について一番心配なさっているのが大臣大臣は口を開くたびに公営住宅の充足率についてはわれわれに誠意を示してくれております。われわれも大臣のお気持ちを察しております。しかし、大蔵省の租税特別措置法の一部改正は、確かに民間の取得に対しては配慮されているけれども、こういう大きな裏目ということになりますと、自費建設はできるけれども、公営住宅は、ただでさえもできない六百七十万戸のうち四十四万戸のほんの一握りの公営住宅も達成できないということになりますと、これは住宅革命が起きてもいたしかたない。でありますから私は大臣に所信を承ったのでありますが、大臣はこれから御検討なさるということでありますので、あえて追及いたしませんが、租税特別措置法にこのような裏目が出てきたということに対し大蔵省はどう考えますか。
  233. 安井誠

    ○安井説明員 私どもといたしましては、税制調査会の御答申をいただきまして、全体としての土地の供給の促進をはかるための税制改正を行なったわけでございます。したがいまして、その土地の価格そのもので、いま申し上げましたような例の場合には、その税の問題では片づかないという問題、小川先生も御理解いただけたと思うのでございますけれども買収価格そのものが差があるために両方とも税が安くなってくるわけでございますから、そのために結果的にいま申し上げたような形にはなりますけれども、千二百万円の特別控除が収用のときにあるわけでございますが、いま申し上げたようなお話にありましたような例以外にも、千二百万円の特別控除の場合には、長期の保有土地でございますと、大体一割だけ税金が安くなる、つまり百二十万円税金が安くなるにとどまるわけであります。その百二十万以上の金額を上のせされますと、民間と収用との間にそこに常に差が出てくるわけでございます。これは税制としてはいかんともしがたい。全体としての土地の供給の促進をはかることによって土地の価格の値上がりというものを防ぐことができるならば、結果的には市町村あるいは公団等の住宅建設にも、地価の点でお役に立つだろう、こういうふうに考えております。
  234. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 それは非常に甘い考え方ですよ。とにかく生き馬の目を抜くといわれているくらいのきびしい生存競争の中で競争している不動産土地業者を、そんな甘いことじゃとても抑制できません。抑制できないからこそ、今日こういう地価の暴騰を招いたわけであります。私はこの大蔵省の考え方は悪いと言っているのじゃないわけであります、こういう抜け穴が出てくるんだから、税制調査会の答申だけをそのままやっていくというような考え方だけでなくして、こういう穴が出たということに対して大蔵省はどう考えるかということを私は聞いているのです。これにどういう対策をするかということです。
  235. 安井誠

    ○安井説明員 先生お話でございますけれども、このような関係というのは実は従来でもあったわけでございます。つまり収用につきましては税制上の対策は講じてあるわけでございますけれども、その分だけを上のせをされれば、その手取り金額において上回るということは、たまたまこのケースがここに出ておりますけれども、現行税法のもとでもあり得るわけでございます。したがいまして、いまここにたまたま取り上げられたケースでございますけれども、全体としての土地の供給の促進ということがはかられることによって、やはりプラスになるだろうというように私ども考えております。
  236. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 あなたはそうおっしゃるけれども、現行法では四千百万円に対して三千八百万円なんですよ。それが改正になったから、今度八百万円ふえちゃったから、地主は売ったんでしょう——そうじゃないのですか。
  237. 安井誠

    ○安井説明員 いまの点は、改正になったからというお話でございますけれども、四千八百万の民間業者に売った場合の手取りになる場合でございますけれども、つまり坪三万七千円で千五百坪売りますと、御指摘のとおり四千八百万円の手取りになるわけでございます。これは現在収用の対象となりますこの土地につきまして、収用権のある市町村が買いましたときに、四千五百万で買うわけであります。したがってその四千五百万で買うということをきめた以上は、手取りがその金額よりも三百万上回っておるわけでありますから、収用権のあるものが、かりにこれを税金をゼロにしましても、四千五百万よりは四千八百万のほうが三百万上回るわけでありますから、どうも税制としてはいかんともしがたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
  238. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 よくわかりますよ。わかりますけれども、実際は何といったって八百万の格差がある。だからこういう事実が出た。事実は小説より奇なりで、これはどうしようもない。どうしようもなく出ちゃって、これは売らないのだ。十六万平方メートル売らないという。これでもって都議会は困った。であるから、考えてください。これはいろいろあるだろうけれども、わかりますね。そのことを検討するということをここで言ってもらわなければ、こういうケースがどんどんふえていったらどうなるのです。
  239. 安井誠

    ○安井説明員 私どもといたしましては、建設省ともまだ打ち合わせる時間もないものでありますから、建設省とも打ち合わせまして、たとえば収用対象事業の予定地内におけるところの取引の規制をしてもらうとか、あるいは収用権の積極的な発動を考えるとか、私どもの問題じゃございませんので、建設省当局のほうとも十分御相談をいたしたいというふうに考えております。
  240. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 では大臣に……。私は大きな声を出しませんが、そういうふうな状態のもとに住宅行政がおかれているわけですよ。これは大臣も、およそ寝耳に水だと思う。私もこういうことがこんなにひどくなるとは思わなかった。実際、新聞社がすっぱ抜いた。たいへんな問題だと思う。もしもこれがこういうふうに野放しになっていきますと、何らかの規制をいまやらないと、おそらく日本じゅうの公営住宅に触手が伸ばされてきます。こうなってきますと、大臣がいつも言われております住宅五カ年計画はだめになる。こういう結論でございますから、十分なる御配慮をお願いしたい。  では次の問題に移ります。道路のことについて、まとめて道路局長にお尋ねいたします。  関越自動車道路、東北縦貫自動車道路、東京外郭環状道路の建設について、埼玉県との関係性が相当生じております。特に問題になっております、その用地計画の設定または施工の時期、それから埼玉県内のこういった三道路が、都道府県から出ている陳情に合うような、希望に沿ったような時期の設定とか計画の設定、こういうものについて御説明願いたいと思います。
  241. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 まず関越についてでありますが、関越については、御承知のように川越から東松山につきましてはすでに整備計画を昨年にきめまして、昨年の四月に道路公団に施工命令を出しております。四十四年度の事業といたしましては一部の用地買収にかかりたいと思っております。さらに東松山から先につきましては、これも御承知のように東松山から渋川まで、昨年の十二月に基本計画を決定した次第でございます。この間につきましては鋭意調査をいたしまして、国道十七号線が非常に混んでおるということもございますので、早い機会に整備計画に移してまいりたいと考えております。  東北縦貫自動車道につきましては、岩槻から北につきましてはすでに昭和四十一年に施工命令を出しまして、四十四年度はかなり用地買収は進むものと思っております。さらにその岩槻から南につきましては、これはどこまでつけるかの問題があっておそくなったのでございますが、大体川口のところで東京の外郭環状を計画したい、その外郭環状まで東北縦貫自動車道を持っていきたいということでございます。これは昨年の十二月に基本計画を出しまして、この間については大部分——現在国道の東京−日光線が両側にありまして、その中に用地買収されております。ですから、早く整備計画を進めればすぐ工事にかかれるわけでございます。これにつきましては、岩槻から北が供用開始するまでにこの間は川口まで高速道路を完成させたいと考えております。  さらに外環でございますが、これは東京のような大都市の周辺で、地方から入ってまいりますたくさんの放射線を分散させるために必要になってくるわけでございます。埼玉につきましては、比較的そう問題がなくきまりかけておりますが、これがつきますと、東京都内でいろいろ反対陳情がございます。そういうこともありますが、外環については東北縦貫の開通までに一部は施工してまいりたいと考えております。
  242. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 終わります。
  243. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 小川君の関連質問として残り時間の範囲内で正木良明君の発言を許します。正木君。
  244. 正木良明

    正木分科員 時間がありませんので、簡単にお尋ねいたします。  近来、都市の過密対策というものが非常に重要になってまいっておりますが、この過密によって起こってくる交通障害の問題、また公害の問題、またそのほか火事等の災害の問題等、数多くあるわけであります。そのための都市開発事業というものが国または地方公共団体によって企画をされておりますが、同時にまた民間からも都市開発の意欲というものも非常に強くあらわれている。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕 特に防災に関しましては防災建築街区造成事業というものについての意欲が非常に強い。それに対する要望も非常に強いということは聞いておるわけです。これに対して昭和四十四年度の予算におきまして、建設省のほうで措置せられた予算の概要、このことと、また同時に、この要望の非常に強い防災街区事業に対して、建設大臣として今後どのようにこの問題を処理されていくのか、その点について御見解をまず承りたいと思います。
  245. 坪川信三

    坪川国務大臣 防災街区造成について非常な見識を持っておられる、また熱意を持っておられます正木委員御指摘になりましたこの問題につきましては、先ほど同僚委員の皆さまからもこの点御指摘をいただいたようなわけでございます。私といたしましても、民間のいわゆる防災街区造成というものは都市開発の上においても、都市計画の上においても、また防災面においても非常に重要な問題である、こういうような気持ちを持ちまして、就任いたしまして以来、この点には深い関心を持ちながら昭和四十四年度の予算編成に当たったわけでございますが、この予算編成に際しまして、私は最終の大臣折衝の段階の第一の仕事としてこれを取り上げまして、そして大蔵当局に強く要望いたしましたところ、御承知のとおりに昭和四十三年の約一・五四倍に及ぶ、決して御期待の高ではございませんけれども、六億円を獲得いたしましたので、これをひとつ基礎に置きまして、防災街区造成事業に大いに力を注ぎたい、こう考えておる次第であります。
  246. 正木良明

    正木分科員 いろいろ熱意のある取り組み方をなさっていることはよく承知いたしておりますが、いずれにいたしましても、全国の要求額は、集計されますと約三十億あるということを聞いておる。これを単年度で全部できるというものじゃないとは思いますけれども、今回予算に計上された六億でははなはだ心もとないという感じもいたします。しかし、昨年に比べれば大きな進歩であるというふうに感じておるわけでありますが、特に大阪府の堺東に防災建築街区造成事業というものが進められておるわけであります。これを長年非常に懸案になっておったわけでありますが、最近ようやく居住者の意思もまとまって、いよいよ本格的にこの事業に乗り出すことになったようであります。これについて、何とか、堺の再開発のためにも非常に必要な事業でありますので、御考慮いただけるだろうと思うわけでありますが、これに対する今後の推進方について、大臣としてどのようにお考えになっていらっしゃるか、ひとつお伺いをいたしたいと思うわけであります。
  247. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました大阪の堺市の防災建築街区造成事業については、地元の市長さんからも私の手元に強い御要望もいただいております。正木委員も非常な御熱意を持っていろいろの面から御要望になっておることも私は十分承っておる次第であります。これらの点を通じまして、非常に重要な問題であろうと思いますので、関係局の事務的なレベルにおいて、その事業の内容等についてもいろいろと指示もし、検討もいたしてまいっておるような次第でございます。このことについてはもう私から申し上げるまでもございません。昭和三十七年三月いわゆる指定を受け、指定の認可を行なっておるというようなことでありまして、この事業化のいわゆる見込みというものが非常に強く相なってきておりますので、予算の御審議をいただきながら、これらの執行については御期待の線に沿うよう最大の配慮をいたしたい、こう考えております。
  248. 正木良明

    正木分科員 大臣もよく御存じだと思いますが、これをいわゆる戦後建ったバラックのマーケットと称されるものがちょうど堺の市役所のまん前にありまして、しかもその前の道路は天王寺−信達線という大阪−和歌山を結ぶ非常に重要な幹線街路にもなっている、こういうことで、火災も数次にわたって起こっておるというような関係もありまして、これは非常に推進しなければならない。特に堺市役所としては、堺市役所の敷地の中に仮店舗をつくってこれを推進しようとまでしているわけです。そういう意味において、本年度はどうしても四千万ばかりの仮設店舗の事業費に対する補助金をお願いしたいということでありますが、この点もひとつ十分に御考慮を願えるように最後にお願いをいたしておきます。
  249. 坪川信三

    坪川国務大臣 御要望の線に沿うよう最善の配慮を申し上げ、御期待に沿いたい、こう考えております。
  250. 野原正勝

  251. 内藤良平

    内藤(良)分科員 最初に大臣に伺いますけれども、昨年も私は道路問題等でいろいろお尋ねしましたが、私は秋田の出身でございますけれども、どうも地域格差がますます拡大するのじゃないか、こういう印象が強いのです。だんだんこれを解消しなくちゃならぬということでしょうけれども、どうも現実の政治の実行というものを見ますと、東京都あるいは秋田県、こういうものを比較しますと、地域の格差がますます拡大する。そこでこれらを解消する最も有効な手段は何かといいますと、私は道路の問題が一番有効な手段じゃないか、かように思っているわけでありますけれども、こういう地域格差の解消、是正につきまして、大臣はいかようにお考えか、まずこれを一言お尋ねいたします。
  252. 坪川信三

    坪川国務大臣 内藤先生は、過疎対策の解決の要点は道路問題にある、こう御指摘になりました。私も全く同感でございます。したがいまして、過疎対策に対する基本方針といたしましては、生活圏を結ぶ道路網の整備ということが一番大事なことであります。ことに御承知のとおりの山村振興道路とか、あるいはいわゆる産業振興道路、それらを含めまして、地方道等を一つの網の形にいたしまして、そうしてそれぞれの生活、産業の形式の場をつくってまいりたい、こう考えております。
  253. 内藤良平

    内藤(良)分科員 どうぞひとつ大いにお願いしたいと思っております。  それで局長、今度は道路問題にしぼって率直に聞きたいと思っておりますが、大体こういうことです。一般国道の問題ですね、直轄関係、旧二級国道関係。それから地方道関係。それから第三番目には雪寒法によるところの道路問題ですね。四番目に交通安全の関係からの歩道橋のことについて。最後に国鉄の赤字路線の撤去といいますか、廃止に伴って道路との関係、こういうぐあいに整理してお尋ねしたいと思っております。  そこで第一番目に一般の国道の問題。今度の予算では元の二級国道の整備に北海道と内地九十二路線合わせて合計百十路線を千八百七十九億円ばかりでやろうというぐあいに述べておりますけれども、率直に申し上げて恐縮ですけれども、秋田に関係のあるのは九路線ほどあるわけであります。ところが、内地の九十二路線というのは、大体これは全国から要望があって、それをどういうぐあいに整理されたのか、勘案されたのか、全国要求の集約から見て九十二路線というのは何%に当たっておりますか、まずこれをひとつ聞きたいと思います。
  254. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 そこに書いてあります九十二路線につきましては、いま元の二級国道につきましては、現在北海道、内地を入れまして百六十五本ございまして、そのうち内地が百四十七本でございます。百四十七本のうち九十二路線の改良改築を行なうということでございます。それ以外のところについて、もうすでに改良その他が終わっておる路線もございます。といいますのは、端的に言いますと、東京の周辺にございます何とか号線とか、そういうようなものはかなり早く終わっておりますので、そういうものを除きまして現に改築が行なわれているものが九十二路線ということになったわけでございます。
  255. 内藤良平

    内藤(良)分科員 これは、いろいろ地方から、県から出てくるのをまとめて百四十七、そのうちの九十二ということですが、これをやはりこのパーセンテージをずっとやっているものですか。それとも重点的に、あるいはいま大臣のお答えのように地域格差の解消とか改善という面、いろいろの要素を考えてやっているものかどうか、そこら辺をひとつ……。
  256. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 元の二級国道につきましては、先ほど申しました路線でございますが、これは各県にいろいろまたがっているものが多いわけでございます。各県ごとの路線につきまして、重要なもの及び直轄のほうで比較的手のあいているような地区については直轄にしておるわけでございますが、その他については補助工事として取り上げております。取り上げ方につきましては、二級国道全体を昭和四十七年くらいまでには大体概成するという方針で、逐次重要度の高いところから取り上げまして改築を進めておるわけでございます。
  257. 内藤良平

    内藤(良)分科員 そこで、ちょっと話が飛んでしまいますけれども、雪寒の道路法というものがございますね。今度の予算の中でも、これは八十九億ほど出ておりますね。積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法によるところのあれだと思いますけれども、この八十九億なにがしというものは、この法律にございます四十二年からの五カ年計画の四十四年、こういうぐあいになるわけですか。
  258. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは御承知のように、道路の五カ年計画、四十二年から四十六年までつくりました場合に、そのときに積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づきまして、同じように四十二年から四十六年までの事業を閣議決定しておりまして、それに基づいて毎年度の事業を実施しておるわけでございます。
  259. 内藤良平

    内藤(良)分科員 そうしますと、いまの一般国道とこの雪寒の関係は重複じゃないですね。別個になるわけですね。別個に指定された道路を雪寒というぐあいにして、予算を特に設けてこれを行なっているわけですか。
  260. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 国道の整備は、これは国道の整備で実施しておりまして、ただいまの雪寒事業といいますのは、除雪とか防雪、これはなだれ防止、スノーセットみたいなものでございます。それと凍雪害防止、冬から春にかけまして道路の路盤のうみというものをうまないようにする、こういうものだけを雪寒事業として取り上げております。一般的な道路を広げたり橋をかけたりすることは、おのおの国道の補助なり地方道の補助という形で整備をはかっております。
  261. 内藤良平

    内藤(良)分科員 ちょっとこまかいようですが、この雪寒の道路のほうの関係で、道路が指定になるわけですね。これはやはり積雪地帯と思いますけれども、大ざっぱにいいまして東北六県などは、これはほとんど入っているものでしょうか。
  262. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは、積雪地及び寒冷地というのは一つの基準がございまして、それに基づて雪寒道路というものを指定しておるのでございますが、私たちいま考えますのに、大体それに該当するような地域内の道路が内地では約五万三千キロくらいあると思います。そのうち特に交通量の多い重点的にやるというものを指定しておりまして、現在その中で約三万三千キロの道路を雪寒事業の対象に指定しておるわけでございます。
  263. 内藤良平

    内藤(良)分科員 この三万三千キロの中には、日本海側の青森、秋田、山形、新潟あるいは富山、島根、こういう地域までありますけれども、これは入っておりますか。
  264. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは積雪地、寒冷地と称する各県全部入っております。
  265. 内藤良平

    内藤(良)分科員 ここで聞きたいと思いますのは、いわゆる凍雪害対策ですね。このことでどういうことを具体的にやっておるのか。私の言いたいのは、道路面で雪を消す施設ですね。消雪施設といいますか、これは新潟県方面で若干やっておるようでございますけれども、これらに対しては、局としては五カ年計画の中で何か具体的な対策を立ててやっておるのでしょうか。それとも実験的な段階なものでしょうか。
  266. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 最初の凍雪防止事業といいますのは、これは先ほど言いましたように、冬非常に寒くなりますと地下水が地中から上がってまいりまして、いわゆる道路がうんでくるという現象が生じます。そういうものを直すために、地下水が上がらないような路盤の改良、具体的にいいますと砂を相当厚く路盤の下に敷くというような事業をしております。  あとの消雪パイプでございますが、これは防雪事業の中で現在やっておりまして、この消雪パイプにつきましては、非常に地下水があるところ、まず地下水の温度が高いところ、これは非常に有効だと思います。そういうところで北陸の各県はかなりやっております。ただ、これは北海道とか青森、そちらのほうになりますと、冬非常に温度が下がるようなところだと、かえってこれが凍結するおそれのあるところにはあまり向かないのではないかというように考えております。そういう適地につきましては、消雪パイプというのはかなり大幅に補助をして助成をしてまいっておるわけであります。
  267. 内藤良平

    内藤(良)分科員 最近は除雪関係も、機械の設備等もございまして、国道等も冬季間でもだいぶ交通機関が動くようになってまいりました。御努力のあらわれだと思っておりますが、逆に市街地が積雪のために交通機関が非常に難渋するわけです。それに対して消雪の対策、いまお話のあったパイプの活用等も、地下水の温度あるいは外の温度にもよるのでしょうけれども、いわゆる市街地の防雪の関係については、私たちは秋田におりましても、なかなか効果のある施設がないように思いますけれども建設省として、この点につきましては特にお考えございませんか。もし何か具体的な対策がありましたら、あるいはこれからのお考えでもいいですけれども、ひとつ御説明願いたい。
  268. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 除雪の仕事につきましては、戦後こういうことを始めてから日が浅いわけでございまして、現在のところ、国が管理しております国道とか、こういうものを重点にやっておりますが、いま先生のおっしゃいましたように、市街地の除雪ということはまだまだ不十分だと思います。除雪で私たちが一番困難を感じますのは、いろんな機械を入れて機械除雪をするということ、これは非常に早くていいわけでございますが、それには道路の幅もかなりないと機械もなかなか入らない。それから、ことに市街地では周辺の人家の屋根から雪をおろすということもございますので、歩道のあるような市街地ですと車道の除雪も楽でございますが、裏通りの歩道も車道も一緒になっているようなところだと、そういう点がなかなかうまくいかないわけでございます。やはり将来理想的に考えますと、雪の降る都市についての都市計画には、街路の幅を相当とったもの、こういうものから立て直していかないと、ほんとうの無雪対策ということもなかなか困難ではないかと考えております。しかし、いろいろなそういう理想を言っても困りますので、いまの市町村に対しては機械を補助いたしまして、その機械をふやしまして除雪をやってもらうということもやっております。  いま全体を見ますと、市町村に対する除雪というのはまだほんとうの緒についた、そこまでもいかないかもしれません、まだ非常に幼稚なものだと思います。
  269. 内藤良平

    内藤(良)分科員 それが、市街市の除雪をグレーダーとかブルドーザーでやりましても、結局両側のうちが困るわけです。あるいはまた街路の整備事業で一番困るのは、市街地の拡幅の補償問題が遅々として進まない。だから、あの機械的なあれで除雪をするということも、道路の幅からいろいろ障害が出てくるわけですから、そういう方法じゃない防雪対策というものが必要じゃないか。そうなると、やはりいまお話がありました消雪パイプも、外気の温度あるいは地下水の温度もありますが、もう少しく積雪寒冷地に適用できるように建設省で御研究をされて、それを実施される、あるいは補助されて強力に進められる、こういうことが必要な時期じゃないかと思うわけであります。  先般何かの雑誌で局長の対話のようなものを拝見しましたが、今度は道路の整備だけじゃなくて、管理という面で、交通安全の面も含まった道路管理が大切だということを御発言になっておりましたけれども、いま積雪地帯では、市街地の雪が、さっき申し上げたように物理的にブルドーザーその他でやりましてもどうもすっぱりいかないのですよ、郊外の場合は案外これがうまくいくけれども。この点がまた交通安全にもたいへんな支障が出てきておる。どうも私も出てまいりますと、ぼくらは雪の深いところに住んでおりますから、雪の問題は平然たるもので、年がら年中雪があるような感じで、案外のんびりしておりますけれども、東京に出てまいりますと、ちょっと降ってもたいへんな騒ぎになるわけで、あれと逆な心境でおるわけですが、自動車なんかも多くなってまいります。交通も混雑してまいります。しかも雪のために足場が悪くなっておる。そうなると、どうしても消雪対策にもっと研究なり予算を投入していただかなかったら、せっかく道路整備をされても、降雪期間はほとんど効果をなくしてしまうのではないか、こういうぐあいに思っておるわけでありますけれども、これが例の雪寒の道路法の中ではあるわけですね。防雪に関する事項、あるいは流雪溝に関する事項もあるわけですね。そういうものを含まっての八十九億かと思いましたら、必ずしもそうではない。あまり含まっていないような状態なのではないですか。いわゆる消雪対策は、この八十九億という予算にはあまり入っていないのでしょう。だから、そういう面も今度少し取り上げて——地方自治体の段階ではなかなかできませんので、国でこれを強力に取り上げてやるようなお考えがあるかどうか、これをひとつお伺いいたしたい。
  270. 坪川信三

    坪川国務大臣 内藤先生が豪雪対策、また道路に対する消雪、融雪対策という御指摘、また御心配をいただいている点、私、先ほどから非常に傾聴しております。同じ雪国に生まれました政治家といたしまして、ほんとうに感をともにいたしております。私が建設大臣に就任いたしまして以来、道路政策を推進する場合に、せっかくいい自動車高速道路ができましても、雪によってスリップし、また人命の損害を来たしておるという、この不幸な時点なども考えますときに、あらゆる機会をとらえながら、これらの問題に科学的な立場から建設省が対策を講ずべきである、私はこういう気持ちで研究所その他にも命じまして、先進国の、あの電流によるところの融雪、消雪などをやっておるドイツの道路政策、あるいは日本の国内においても水道その他で消雪、融雪をやっている実情を見ましても、あるいは雪なだれによるところの人命の不幸なことを考えるときに、何か科学的に雪なだれを阻止して、道路の安全と生命の安全を守るというような、あらゆる面を考えまして、私は建設省は積極的に豪雪対策を打ち出すべきである、こういう気持ちでいろいろと指示いたしてもおり、また研究の方向にも努力もいたしておりますが、来年度の予算等の編成に際しましても、これらの検討、研究、研修という面からも、私は十分配慮した予算措置も講じてまいりたい、こう考えておるような次第であります。全く同感でございます。
  271. 内藤良平

    内藤(良)分科員 いまの大臣の力強い御答弁で、雪寒関係で特にがんばっていただくことをお願いして、これはこれで終わりたいと思います。  それから、時間もないようですが、交通安全関係です。これも道路関係でたいへんな御心配をなさっておられるでしょうが、跨線橋の関係です。これは全国からたいへんな希望があるものだと思いますけれども、、その希望、要望にこたえた交通安全の予算が百八十八億八千八百万というぐあいになっておるのでしょうか。それとも、どの程度の歩どまりといいますか、パーセンテージになっておるものですか。そこら辺をひとつお尋ねしたいと思います。
  272. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 交通安全につきましては、実は昭和四十一年に交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法ができまして、それに基づいて四十一年、二年、三年という三カ年計画で実施したわけでございます。その途中四十二年は通園通学路の交通安全施設整備の法律もできまして、それもあわせてこの三カ年で実施したわけでございます。ただ現在これを振り返ってみますと、まだまだ交通安全施設に強い要望もございますし、また現実に足りないところもあるということで、四十四年からさらに特別措置法を変えまして、三カ年延長いたしまして、四十六年まで実施したいということで、その四十四年度分といたしまして国費百八十数億を計上したわけでございます。この三カ年に何をやるかにつきましては、これは直轄の場合もございますし、県、市あわせまして総合的な一つ交通安全の対策の三カ年計画をつくっていただく、その中で国が補助または負担するものがこれだけ、地方が交通反則金その他の財源で、地方の単独の財源でおやりになっていただきたいというものはこれだけというふうな区別をしたいと思います。私たち推測いたしますと、横断歩道橋について非常に要望がございまして、この三カ年に三千二百二十二カ所の実施をしてまいりました。そのほかに改築事業で実施したものを入れますと、ことし四十三年度末では約四千二百五十カ所の横断歩道橋が——これは地下道も含めてでございますが、できる予定でございます。横断歩道橋につきましては今後はそう多くないのではないか、相当要望はありますが、いままでの三カ年みたいに必要はないのじゃないかというふうに考えております。と申しますのは、やはり幅員の狭いところにつきましては、学童とかその他特殊な場合は別といたしまして、幅員の狭い道路については、やはり信号機か何かにしないと、あの段階をのぼっていっておりるということは、なかなか実際には行なわれませんので、やはり四車線以上の幅員、かなり幅員の大きいところについては、こういう横断歩道橋を積極的に建てていきたいというふうに考えております。幅員の狭いものについては、ある程度交通規制をするなり、信号機をつけるなり、そういうことで解決をしたらどうかというふうに考えております。
  273. 内藤良平

    内藤(良)分科員 時間もなくなってまいりましたので、歩道橋の点もこれで終わりました。  最後に、これはちょっと話が違ってあれですけれども、国鉄では赤字路線を廃止しようというあれが出ています。それで、いままでの運輸大臣との間の質疑の中では、その場合には代替の交通機関を整備する。それは何かといいますと、結局道路によるバスを考えているわけですね。それは、最後は住民の皆さんの納得がなくちゃならぬということを言っておりますけれども道路の問題になりますと、結局国、県、市町村道になるわけです。その際、バスを通して国鉄にかわるべき代替交通機関にする際には、相当道路も整備しなければならぬ、こうなるわけですね。こういうことにつきまして国鉄なり運輸省建設省の間で何か協議されたものでございましょうか。
  274. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は国鉄の財政再建の計画の中で、赤字線を廃止するというようなことをときどき聞くわけでございます。私たちも、赤字線を廃止して地方のためにさらに道路を整備する必要があるところにつきましては、十分協力を惜しまないつもりでございます。現在まだ具体的に鉄道からこの線を廃止するからこの道路を整備してくれというような話を聞いておりませんが、私たちの心がまえといたしましては、もしかそういうことによって地元の人が困るような場合は、道路の整備を積極的にはかってまいりたいというつもりでございます。
  275. 内藤良平

    内藤(良)分科員 それじゃ現在話題になっております八十三線、二千六百キロの路線、これは鉄道線路でございますが、それに沿うた道路、いろいろあると思いますけれども、それらについては具体的に運輸省なり国鉄からの協議はいままでないわけですね。
  276. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在のところまだ具体的に協議はございません。
  277. 内藤良平

    内藤(良)分科員 そういう協議がない中で、国鉄からはああいうぐあいに発表があったわけですね。いかがですか。
  278. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 国鉄のことはよく存じません。国鉄がそういうようなものを発表したというその辺もはっきり私責任を持って答弁できませんが、新聞にはそういうような記事があったことは聞いております。
  279. 内藤良平

    内藤(良)分科員 これは発表したのですけれども、発表される前にあなたのほうと道路問題について十分に——いま私が申し上げたような点、将来代替交通機関になる場合、道路整備をしなくちゃならぬ。あなたのほうと協議をして発表されたものかどうか、そこを聞きたかったのです。
  280. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました点は、国鉄から国鉄独自の立場で廃線計画を立てられて発表されたものということでございまして、事前にこれにかわるべき代案として建設省がこうあるべきだ、またこうお願いしたいというような連絡なり折衝なりは、まだ何ら受けておりません。
  281. 内藤良平

    内藤(良)分科員 わかりました。時間も一分ぐらい早いですが、終わります。
  282. 野原正勝

  283. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 大臣、連日御苦労さんです。  今度大臣建設大臣として御就任になったわけですが、同時に私ども地域では、関係の深い中部圏開発整備の直接の責任者ということで非常に期待もしておるわけであります。また、これは別におじょうずを言うわけじゃありませんが、大臣就任以来てきぱきとさばいてきておられるように判断をいたしております。  私は、予算委員会の総括質問のときにも、いま経済企画庁を中心に大詰めに来ております全国総合開発計画の問題を取り上げて質問いたしました。大臣も御承知昭和三十七年に出て以降、経済の高度成長の過程でもう一回読み直さなければならぬという事態にまいりました全国総合開発計画が、近く閣議でも御決定になるという段階を迎えようとしておるわけでございます。第四分科会のほうで、私、経済企画庁長官に午前この全国総合開発計画の問題についていろいろお尋ねをしました。お尋ねのときに、私、経済企画庁の長官にも希望しておいたのでありますが、一体昭和三十七年の全国総合開発計画というものが、各省のいろいろの長期計画あるいは開発計画がございますが、そういう関係とのいわばアジャストがきちっといっておったのかどうか。新しく全国総合開発計画というものを衆知を集めてきめるからには、これからの二十年間の六十年に向けての骨格はこれを柱にしていくのであろう。もちろん情勢の変化によって修正ということはあり得てもいいのですけれども、しかし、たとえば建設省でいえば、道路整備の五カ年計画あるいは長期展望、住宅でもそうでございましょうし、あるいは運輸省の港湾計画、あるいは農林省でいえば構造改善の計画、土地改良の長期計画あるいは漁港整備計画、その他空港の問題もございましょう。あるいは最近の新しい時代のネットワークとしての通信その他の情報の問題もございましょう。そういう点では、各省の長期計画というのは、それぞれ各省によって五カ年なら五カ年の最近のスタートがいろいろ違っておるわけですね。こいねがわくは、実際としてはそういうことはなかなかむずかしいのでしょうけれども、こういう新全国総合開発計画が出発する機会に、一定の年次へ切りかえて各省のものも同じ足並みでスタートするということが可能であれば、これは非常にアジャストしやすい条件になると思いますけれども、そこまで強く望みませんけれども、気持ちとしてはそういう運営のしかたが望ましい、こういうふうに思っております。それと同時に、当然新全国総合開発計画を権威あらしめるためには、計画の中身というものが、各省もそういう方向で二十年の総合開発については考えるという、そういうものがぴたりしていなければならない。同時に予算、財投、各般の問題についてもそういう方向で運営されることが望ましい、また国家行政機構、地方行政機構を含めてそういう方向が円滑にいくような改善も必要であろうというふうなことを、種々菅野経済企画庁長官にも御要請をしておいたのであります。  そういう前提に立って少しくお尋ねをいたしたいのでございますが、今度の新全国総合開発計画の中では、やはり何といっても動脈になる交通関係の問題というもの、特に建設省関係の役割りというのは非常に大きなものを持っておる。そこで、大臣は国務大臣でもございますので、いま申しましたような私のこれからに対する希望について、全国総合開発計画の策定とこれからの運営問題各省との連携あるいは地方自治体との連携という問題については、基本的にはどういうふうにお考えですか。
  284. 坪川信三

    坪川国務大臣 角屋委員のありがたい励ましのおことば、深く感謝いたします。高度な立場から角屋委員のわが国土の総合開発計画に対する御見解、基本的な問題をいまお聞きいたしておるようなわけでございます。  建設省といたしましては、御案内のごとく、目下国土開発審議会において審議されておりますところの国土開発計画の答申も、私はそうおそくなく出てまいるだろうと思います。この答申を得ました上において、私どもといたしましては、総合的に計画的にわが国土の建設開発をひとつ強く推進をいたしてまいりたい、その結論がいかなる形になるにせよ、私たちは二十一世紀に残すりっぱな国土建設という形で推し進めてまいりたいと思いますが、これらに関連いたしますわが建設省の使命を思うときに、国土開発中心といたしました立場での建設省の仕事、あるいは総合的な各官庁との大きな連絡を中心といたします総合開発の仕事、これなどを含めまして、わが建設省といたしましては公共事業をひとつ強く推し進めてまいりたい、連絡を強く進めてまいりたい。その機構の上においてどういうふうな指針が出るか私まだつまびらかにいたしておりませんので、私たちが現実の面としての国土開発という総合的な立場と、また各省連絡調整をいたさなければならぬ立場に立っての総合開発という二つの問題から、われわれの仕事が課せられているのではないかと想像されるのであります。
  285. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 第四次案を見ますと、経済の規模にいたしましても、昭和六十年における国民総生産は百三十兆円から百五十兆円、これは四十年の三十兆円から見ますと四ないし五倍という経済の拡大を想定をいたしております。また投資の規模にいたしましても、四十一年から六十年に至る二十年間の累積固定総資本形成というものは、およそ四百五十兆円から五百五十兆円になるであろう。もちろんこの中には累積の民間投資もございますし、また累積の民間住宅投資もございますし、また累積の政府固定投資というものも、それぞれ数字上はアロケートされているわけであります。  そこでお伺いしたいのでありますけれども、この数字の基礎になるこれからの二十年間においての建設省関係道路、あるいは住宅あるいは河川、こういうものの投資は、この数字のバックデータとしてどういうふうに一応想定されておるのか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  286. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 いま御指摘の第四次試案の数字につきまして、ひとつ私のほうから先に御説明しておいたほうがよいと思います。  この第四次試案におきまして、経済のフレームとして、昭和六十年度の経済規模あるいはこの間の累積投資額を出しておりますが、これは長期マクロモデルによって算定をいたした数字でございます。この中で、たとえば公共投資関係につきましては百三十兆円ないし百七十兆円という数字があがっておりますが、これをいわゆる社会資本の投資配分というような形で道路に幾ら、河川に幾らというようなことは、今度の計画ではやらないことにしたわけであります。むしろ具体的なプロジェクトをこの計画の内容としてきめていこう、そしてそれを積み上げていくということによって今度の計画を実施していこうと考えておるわけでございます。そういうことをいたしましたのは、御承知のとおり、投資配分というようなことは、あまり長期にわたってやるということになりますと、これは問題が非常にたくさんございまして、技術的にもなかなかやりにくいということでそういった方向をとるわけでございますが、もちろんこういった総体の投資額と各省のいろいろお考えの長期的な展望というものとが、資金的に見てどういう関係になるだろうかという検討は十分私のほうはいたしております。それぞれお持ちのいろいろの計画を寄せ集めてみますと、この百七十兆円という数字ではちょっとはまらないかもしれないという見当はいたしておりますが、これはいろいろバランスも考えたりなんかいたしますと、もうそう困難なことではないというような一応の見当はつけております。しかし方法としては先ほどのようなことで、むしろ具体的なプロジェクトの決定という形で今度の計画をつくっていきたいと思っております。
  287. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 時間が三十分で限定されておりますので、私も口はなかなかすべるほうでありますが、ひとつ答弁のほうも簡潔にお願いいたしたいと思います。  予算のアロケートは、今回の場合にはおそらく基礎的なものはあるのだと思いますけれども、公表するという形はとらないということだと思います。  そこで建設省のほうにお伺いしたいのでありますが、いわゆる広域経済圏という今度の新しい構想にタイアップをいたしまして、建設省は、私どもが報道をもって承知しておるところでは、大都市を除いた全国をおよそ二百ぐらいに区分をいたしまして、いわゆる地方生活圏の計画策定ということで、地方道の八割までそういう計画の中で整備をしたいということで、一次生活圏二次生活圏あるいは三次生活圏こういうふうな核を想定しながら、道路網の整備を全国総合開発における広域生活圏の一環として全国的にやりたい、こういう構想をお持ちのように承っておるわけですが、これはまだ固まったものになってないと思いますけれども、全国総合開発とタイアップをいたしまして、道路整備の点についてはどういう基本的な考え方でやっていくのか、これを簡潔にお答え願いたい。
  288. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりましたこの問題は、非常に大事な問題であろうと私は思います。したがいまして、国道五道を含めました自動車高速道路の幹線道路網の整備促進というものを第一に置きますとともに、やはりいま御指摘のような地方道の整備、これは言いかえますならば、いま建設省が一応考えておりますのは、地建関係の八ブロックを分けまして、その中に一つの最も過疎地帯の激しいところ等を選びまして、その中にも一定規模の都市を中心に置いて道路、中小河川その他を結びまして、下水道とか、あるいは公園とか、あるいは学校とか、あるいは消防とか、あるいはあらゆる公共施設等をつなぎまして、一つ道路中心といたします、中小河川を中心といたしましての生活整備圏を設定いたしたい。それのモデルといいますか、試案といいますか、テストケースとして、本年は八カ所を選びまして、そして今後の過疎対策の生活整備圏の基本に置きたい、こういうような気持ちでいま調査をいたしているという段階でございます。
  289. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 道路とともに住宅建設というのが建設省では非常に大切なお仕事でございますが、この計画の中では、二十年間に千百四十万の世帯の増加があるだろう。これは核家族化の傾向というものに関連をしてそういうふうに見込まれたんだと思います。その七〇%が市街地に集中するという前提に立っておりますが全国総合開発の新しい計画の中では、従来の四十六万ヘクタールの市街地が、六十年には九十四万ヘクタールというふうに二倍ちょっとくらいになるだろう、もちろんこれは住宅地も工場用地も増加を見込んでございますが。それで、その中で新規の住宅需要というものについては、二十年間に千六百五十万戸、そのほかに建てかえの需要を千三百万戸くらい見込みまして、大体三千万戸という建設ないし建てかえの必要が出るだろう、こういうふうに一応全国総合開発計画では想定を立てておるわけであります。それはそれとして、二十年間を展望いたしました場合に、建設省として住宅建設はどれくらい必要であろうというふうに見込まれておるのか。そしていわば民間の自力でやるもの、さらに政府自身がやられるもの、こういうものは、これからはやはりウエートを変えていきたい、きょうも出ておりましたけれども、財政との関係もありましょうけれども変えていきたい。また量の問題もありますけれども、質の面を充実していきたい。あるいは大都市は大都市なりに、あるいは地方都市は地方都市なりに、農村は農村なりにというふうに、やはり地域に合ったそういう構想考えていかなければならぬということであろうと思いますけれども、大体これから二十年間にどれくらいの住宅建設が必要であろうというふうに想定をされ、また住宅建設のこれからの建設方針というものをどう考えておられるか、これをひとつ承りたいと思います。
  290. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のとおり、建設省といたしましては、昭和四十年から昭和六十年までの二十年間の住宅需要度というもののめどを大体二千七百万戸と想定いたしまして、そして御案内のごとく、住宅五カ年計画の第四年目を迎えておる。いよいよあと一年でございますが、新たなる住宅計画というものを打ち立てなければなりませんので、目下関係当局といろいろと基本構想考えまして、過般新聞を通じて、試案中の試案である建設省の新たなる住宅政策の構想を打ち出したような次第でありますとともに、先日、住宅宅地審議会に諮問をお願いいたしまして、新たなる今後の住宅構想のあり方というものの結論をことしの夏ごろにひとつ御提出を願うということになりまして、それを基礎に置きまして、建設省昭和四十六年度の予算編成の準備に当たるべき昭和四十五年の八月ころまでに最終的な結論を打ち立ててまいりたい。これを踏まえまして、ひとつ新五カ年計画を立てる。その量、その質の向上、あるいは持ち家あるいは借家あるいは公営住宅、あらゆる面をあらゆる角度から検討いたしまして、量の問題から質の問題等に至る基本計画を打ち立ててまいりたい、これが現時点における建設省の住宅、宅地政策の現況でございます。
  291. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 全国総合開発は第一部、第二部、第三部というように分かれておりまして、第二部では、北海道、東北、首都圏中部圏近畿圏あるいは中四国、九州、こういうふうな形での地域開発構想というものをうたっておるわけでありますが、私は、そのうちで大臣も国務大臣として直接責任を持っております中部圏のことに関連をしてお伺いをしたいと思います。  中部圏は、これは大臣も御承知のように、さかのぼれば、三十九年の四月にワイズマン国連調査団が来名いたしまして、四十年九月二十六日に、いわゆるワイズマン構想というものの最終報告を建設省から御発表になったと承知をしております。そういう前後を通じて、関係の地方自治の責任者あるいは国会、県会、地方議会等のそういう関係の、ほうはいたる世論の中で、中部圏の開発整備の法律が制定をせられた。これは四十一年の五月二十六日に衆議院本会議を通り、さらに同年の六月三日に参議院本会議を通りまして、七月一日に中部圏の開発整備法が公布施行され、同日付で開発整備本部というものが設置されて、初代長官に瀬戸山建設大臣がなられたという経緯が御承知のようにございます。  「中部圏基本開発整備計画」の第一編、基本方針の中の「計画作成の意義」のところに、中部圏の位置づけというものがあらわれておると思うのでありますが、その中で、「中部圏は、日本列島の中央部を占め、日本海沿岸地帯、中部内陸地帯および太平洋沿岸地帯を包摂するものであって、首都、近畿両圏の中間に位し、すぐれた自然的、社会的、経済的諸条件をそなえ、わが国でも屈指の成長力の高い地域として、その将来が期待されると同時に、その開発整備は、わが国経済の発展を促進しながら、しかも首都、近畿両圏における過度集中の防止のためにきわめて効果的に寄与し得るものである。」こういうふうに評価をしながら、こういったような意味におきまして「中部圏は、わが国土の均衡ある発展を促進するために効果的な国家的政策地域であるということができる。」こういうふうに位置づけておるわけでありますが、大臣、ここにいわれておることはまさにそのとおりだと思うのですけれども大臣御就任以降、中部圏のこういう役割りを具体的にどう果たしていこうというのか、当面何に力点を置いてやっていこうとするのか、その御方針をひとつ聞かしてください。
  292. 坪川信三

    坪川国務大臣 中部圏に対する深い理解とまた見識をお持ちいただいておる角屋委員御指摘になりましたこの点につきましては、私は非常に大いなる期待を持って、この中部圏の開発を推し進めてまいりたい、こう考えております。ワイズマンが指摘いたしましたごとく、わが本州の東西南北を結ぶ中にあっての、まことにかっこうな一つの心臓部であると指摘いたしておりますこの中部圏の立場、御承知のとおりにこの臨海地帯の大きな工業地帯、また精密、繊維産業中心とした内陸部の一つの重要性、また観光の上から、国土保全の上からのわが国の峰といわれておるこのアルプスを中心とした一つの大きな観光資源、これなどを考えるときに、私は中部圏の持つ重要性というものは非常に大きいものを期待しておるのであります。したがいまして、中部圏の制定がされ、私もその長官に就任いたしました以上、これらの問題を単なる計画倒れといいますか、計画の段階に時日を要するというようなことは避けたい、こう思いまして、私、ことしの正月早々名古屋にもおりまして、またずっと静岡まで自動車で飛ばしまして、その重要性を現地でも見てまいったような次第でございます。さしあたり重要なことは、もう整備計画の夢を追っておるということでなくして、現実の企画を推し進めていく時期、具体化の段階に入ってきている、私はこういうような気持ちでおりますが、それの裏づけとなるべきものはやはり財政措置である、こういうような気持ちを持ちまして、御協力をいただきましたおかげをもちまして、御案内のごとく中部圏に対しますところの財政措置も決定をいたしましたような次第であります。私は、これらの作業を続けながら、中部圏開発に大いに意欲を燃やしながら努力をいたしたい、こう考えております。
  293. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 全国総合開発計画の中でも、あるいはいま御指摘をいたしました中部圏基本開発整備計画という四十三年七月一日閣議の決定の計画の中でも、建設省関係のところは当然読み取れるわけでありますが、全国総合開発計画の中での中部圏の開発構想開発の基本的方向、主要開発事業の計画、さらに主要開発事業の構想、これは最終決定ではありません、これは建設省とも十分タイアップしながら案を練られておると思いますが、これは事務当局でけっこうですけれども、これから二十年間に、すでに計画に着手をされ、あるいはこれは当然含んでいかなければならぬという主要な道路関係開発事業の問題については、建設省としてはどういうプランで進められるか、この点ひとつお伺いしたい。
  294. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 今後二十年の間の道路開発の問題でございます。やはり中部圏といたしましては、幹線自動車道の七千六百キロに入っておりますもの、これが全部必要だと思います。さらにそのほかに、もとの一級国道の一号線、その他の国道のかなり高規格バイパスが必要になってくるんではないかというように考えております。こういうような幹線自動車道のほかに、国道の高規格バイパス、そういうものを基幹といたしました、その構想がネットになります県道、地方道の整備を二十年間にしてまいりたい、かように考えております。
  295. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 全国総合開発計画の中では、道路問題について、関越自動車道、中央自動車道、東海自動車道、北陸自動車道、東海北陸自動車道及び近畿自動車道を建設するとともに、基幹的な国道計画的に整備するというふうにいわれ、さらに後ほどのほうでは同じようなことになるのですけれども、主要開発事業の構想の中で、第二次東海高速道路、伊勢湾連絡橋、伊勢湾岸環状高速道路等々について指摘をされているわけでございます。  この際、大臣にお伺いをしたいのでありますが、この全国総合開発計画の中では青函トンネル、あるいは本州−四国の連絡橋として、神戸−鳴門、児島−坂出、尾道−今治という三つの線が出されております。私、経済企画庁の長官にこの三つは二十年間にやるのかというふうにお伺いしましたら、これはぜひやらなければならぬことだし、問題は順序をどれからやるかということであるというふうな菅野さんのお考えが出ておりました。中部圏では、そういう意味においては伊勢湾橋の問題がございます。ワイズマン構想によりますと、これは道路と鉄道と両方ということでございますが、いずれにしても道路を設置するということは、これは非常に重要な価値を持った道路だと思います。  それから、大野伴睦さんが生きておる時分からの引き継ぎみたいなもので、日本海と伊勢湾を結ぶ運河問題こういうふうなものもございます。こういう問題については、いま指摘したようなことは、全部二十年間の中に含めて実施していく、こういう方向だろうと思いますが、いかがでございますか。
  296. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました伊勢湾の架橋の問題、これなども非常に期待される問題として、また未来像としての計画として私は非常に期待もし、その実現に努力もいたさなければならぬと考えておりますが、現時点におきまして、いまの計画というものを、年次計画の上でどうあるべきかということの調査は、恐縮でございますがまだいたしかねておるような状況でございます。しかし、未来像の大きな仕事として、私は非常に重要な、また魅力のある問題であると思いますとともに、伊勢というこの地区の国民的な感情、あるいは観光その他産業の上からいいましても、そうした気持ちをお互いが持ち続けながらこの夢の実現を考えなければならぬ。また御案内のごとく、四日市と敦賀、日本海を結ぶ運河の問題も、調査費がここ四、五年かなり多く伸びながらつけられている。これは単なる調査の段階ということでなくて、技術、すべての経済効果の調査が終わりました段階、もうすでに私は終わりつつあると思います。これの結論を、国が単なる予算をつけたというようなことの自己満足とか、あるいはそれによるところの安易な気持ちを持つということは、政治の上においては許されぬことだと思います。これらの点も、いよいよその調査の結論が出たときにおける運河の方針というものがどうあるべきかという結論を私は早急に出さなければならぬ、こういう気持ちでおる次第であります。
  297. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 重ねてお伺いしますが、伊勢湾連絡橋の問題は、道路と鉄道を含めてやるかあるいは道路中心にやるかという問題は別として、二十年間のうちになるべく早い機会に調査費がついてやられるという段取りだと思いますが、これはそういう御方針に間違いないですか。
  298. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のとおりに、現段階においては調査費はございません。また中部圏のほうにおいても、いろいろと考えも持っておる現段階でございます。したがいまして、私が先ほど申しましたいい夢というものをどういう形で実現の方向に持っていくかということについては、もう少し慎重に勉強しなければならぬ、こう考えております。
  299. 野原正勝

    野原主査 角屋君、時間ですから……。
  300. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 最後に一点お伺いしたいのですが、中部圏の場合は、東西の流れと南北のつながりというものが、他の首都圏あるいは近畿圏をはじめ、北海道、東北、四国、九州と比べて違った点がある。この点は中部は一つという構想を生かすために、大臣としては特に計画推進ではどの点に留意をされてやられるわけですか。
  301. 坪川信三

    坪川国務大臣 最初に申しましたワイズマンは、わが本州の東西南北を結ぶ一番魅力のある土地である、こう指摘いたしておったのでございます。したがって、内陸部の大事な産業、また臨海部の工業開発、また北陸、日本海に面するところのいわゆる大事な観光あるいは繊維産業、あるいは工業地帯等の開発とともに、日本にほかにないところの観光の場としての大きな夢と将来の使命を持っておる地区、これらを重点に置いて開発の促進をいたしたい、こう考えております。
  302. 角屋堅次郎

    ○角屋分科員 時間を少し過ぎましたが、以上で終わります。
  303. 野原正勝

  304. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 時間もあまりありませんから、簡単に御質問いたしますので、簡単でけっこうですから御答弁願いたいと思います。  東名高速道路の全通の見通しと、推定される転換交通量はどういうふうにお考えになっておりますか。
  305. 坪川信三

    坪川国務大臣 東名高速道路は、おかげをもちまして、残りの路線がもう四月、五月で全部開通する見込みでございますので、大体本年の五月末をもって東名を結ぶすべての事業が完工いたす予定でございます。
  306. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 全線が開通いたしますのは五月の終わりでございますが、そのときの推定交通量といたしまして全線平均一万五千台ぐらいを予測しております。
  307. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そこで、この料金についてどういうようにお考えになっておりますか。その交通量の問題、それから、一体どのくらいで投資が回収されるのか、それから、推定される交通量よりも相当交通量が多くなるのではないだろうかと私は思うのですが、そういう場合の料金問題というものは、十年なり二十年同じ料金でいくのか、また、ある程度段階的に考えるのか、こういうような点について……。
  308. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 料金については、四十二年から道路審議会に料金のあり方について諮問いたしました。それの中間答申といたしましていまの東名の料金についてあったわけでございます。これにつきましては、大体名神と同じような料金の体系でいこう、ただ、その中で変わりましたのは、トラックについては——トラックだけではございませんで、全車種について百キロ以上のものについては遠距離逓減をはかっていこう、この辺が一番大きかったところではないか、大体いまもその考えで当分はいきたいと考えております。
  309. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 それで、何年ぐらいでこれは回収されて、その後はどうなるのかというような点はどうでしょうか。
  310. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 この東名高速だけを償還いたしますと、いまの料金で大体二十三年ぐらいで償還する予定でございますが、やはり全国的な高速道路網という形で、ある程度のプール制を考えていかなければならないのじゃないかと考えております。
  311. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そうしますと、路線別の採算も考えながら全国的なプールの中で有料道路というものは考えていくということでありますと、その料金問題も各道路別でなくて、全体的にお考えになっているのですか。その辺はどうなんですか。
  312. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これにつきましては、道路審議会の料金部会でさらに答申を期待しておるわけでございます。いままでのその中で議論された考えは、やはり全国的には画一料金でいくべきじゃないか、しかし、その中で特に交通量の少ないところとか、そういうものに対する特別の措置は必要だろう、しかし、考え方とすれば、高速道路につきましては全国画一料金がいいのじゃないかという考えが多くございました。
  313. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 これは有料道路でありますから、相当交通量の多いということを予想されてつくられていくと思うのですけれども、たとえば国鉄のような全線的なものを見ました場合、国鉄も画一的な運賃なんでありますけれども、最近、赤字線をめぐって、そういうところは特別の運賃をという考え方が出てきておるわけですね。ですから、そういう点を考えてみましても、最初は一万五千台だと思っておっても、実際にはそれが二万なり二万五千になる、そうすると、その地域というものは相当早く回収するというふうにやはり考えざるを得ないわけです。そのためにほかの道路がそれにつれてできていけばいいわけですけれども一つ有料で別ワクのものの考え方になっているわけでありますから、これはやはり全国的にプールにするといっても、各個的なものの考え方というものもある程度していかなければならないものではないか、こう思います。これは将来の問題で、いまの問題じゃございませんが、たとえば国鉄のような赤字線というもの、これがいまの段階はまだ交通量というものを考えていますけれども、徐々に行き渡っていけば、ある程度今度は政治路線的なものが出てくるわけです。交通量考えるよりも、それを全体的にカバーしょうとすればなおそういう考え方が出てくるわけです。そういう点については、いまの段階はともかくとして、やはり将来の問題としてぜひ検討しておいていただきたいと思うのです。どうですか。
  314. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生のおっしゃられましたように、いわゆる七千六百キロ全部プールだ、何年でも取るのだということは、非常にまた問題があろうかと思います。やはりそこに、ある程度の歯どめといいますか、先にやったものについてはどうするというようなものもあってしかるべきではないだろうか。また、東名高速そのものについて言いますと、これは将来のことですが、現在のものが一ぱいになったらまたその代替をつくっていかなければならぬ、それがいまの制度だと、また有料道路になるというようなこともございます。そういうもののプールということもまた考えられるのではないかと思います。
  315. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 それから、この料金の問題ですけれども、たとえば長距離トラックのような場合には、料金そのものが、産業に及ぼす影響というものが相当あると同時に、輸送秩序全体の問題から、国鉄の貨物輸送あるいはトラック輸送、これは旅客も同じことですけれども、あるいは飛行機との関係、こういうような調整というものはどうお考えになっているのですか。  なぜそういうことを申し上げるかといいますと、有料ですから、何でも乗ってくれればいいということだと思いますけれども、やはり輸送の調整というものはいまないわけです。トラックで運ぼうが、汽車で運ぼうが、あるいは飛行機で運ぼうが、それは荷主の選択の自由ということになっているわけですけれども、国全体から考えたら、やはりある程度の調整というものをやらなければならない。これは建設省の仕事じゃないのでしょうけれども、そういう問題をどういうふうにお考えになっているか。
  316. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまの道路審議会の料金部会でいろいろ検討された中でも、現在の名神高速の料金、たとえば小型車、キロ七円五十銭、こういうものが妥当かどうかというような計算もチェックもいたしております。たとえば旅客については新幹線の二等と比較してどうとか、また貨物輸送については、鉄道の、これは一等級から何等級までかの貨物の輸送がありますが、そういうものと比べてどうかというようなチェックをいたしまして、それによりましても、やはりいまの名神の料金体系でトラックについても十分便益があるだろうというようなことでございます。
  317. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 料金の問題は、全通されて少し様子を見てから私もいろいろまた私なりに意見を申し上げたいと思っております。  それから、東名が全通された場合に、国道一号線との関連で交通事情はどういうふうになるとお考えになっておりますか。
  318. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 東名が全通いたしまして、かなり現在の一号線のものがそこに乗るのではないか、また、これができることによって、新しい誘発される交通量もあるということは言えると思います。一つのいままでの調査によりますと、由比町で四十三年開通の前で約二万九千二百台の交通がございましたが、四十三年七月、開通後でございますが、二万三千六百台と、約五千六百台減っておる状況でございます。私たちいまいろいろ試算をしておりますが、二十キロ以上のトリップの車も大体四割くらいは乗るんじゃないかというような計算をいたします。それが約六千台くらい東名のほうに移るんじゃないか。さらにそれ以外でも、いろいろ短距離のものでもそちらに乗るというようなものを考えますと、大体一万台くらいの転換は考えられるんじゃないかといま計算しております。
  319. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そこで、東名が開通すると国道一号線も少しは緩和される。しかし、そうはいっても、やはりまだまだ現状の道路幅では交通量が多過ぎるという点でバイパスについての促進がいまなされておるわけでございますけれども、これについてのお考えはどうでしょうか。
  320. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 先生がおっしゃいますように、現在東名高速が開通いたしましても相当残存交通量があるということで、一号線のバイパスを大いに急いでおります。静岡県内でみますと、沼津富士、由比、島田、金谷、浜松、こういうものを鋭意やっておるわけでございます。いずれ、こういうふうに大体四車線以上の道路計画いたしまして、それらをつなぎますと新しい一号線ができるというような計画のもとに現在やっている事業を実施していきたいと思っております。
  321. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 いまお話しのあった以外に、だいぶバイパスの促進の要請をいたしておりますので、できるだけ十分な道路事業を検討されて、促進をしていただきたいと思います。  それから、これはバイパス計画ですか、あるいは別の計画ですか、第二東海道をつくらなければならないというような話がちらほら出ているわけでございますが、これについてのお考えはいかがですか。
  322. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 世上よくいわれる第二東海道というのは、これは四、五年前には、いまの一号線がとても混雑しているから、新しくバイパスをつないでいって一号線にしようというような考えもございました。いまになってみますと、もっと先ばしりまして、東名高速ができてもすぐに一ぱいになってしまうから、また新しい第二東名高速をつくれというような議論が出ております。やはり現状からいいますと、先ほど言いました一号線のバイパス四車線の道路に早く一号線を全部つないでいきたいということで、四車線の第二東海道を完成させたいというように考えております。
  323. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 最後に、大臣にお伺いしたいのですが、最近の都市における路線決定にはたいへん困難な面があるわけです。地元バイパスをつくってくれつくってくれと要望する。しかし、要望している段階から、では建設省がやろうという決定になる。しかし今度は、決定になったけれども、実際に路線をきめる段階になると、市町村、地元の調整がなかなかうまくいかない。すでに家が建っているという状態から考えて、私はやはり道路というものは相当早い時点にものを考えなきゃいかぬと思う。国鉄が東海道新幹線をつくったけれども、昼間は客車で夜は貨物を運ぶつもりで計画はなされておったわけです。しかし、いつの間にか、昼間お客だけ走って、夜は線路の保守をしなければならぬからということで、夜は貨物が走れないわけです。ですから、もう一本東海道新幹線と同じようなものをつくらなければならないという意見が出ているし、現実にいろいろ考えられているわけですけれども、これはもう私は用地問題で不可能じゃないだろうかという気がするわけです。ですから、道路の問題も、いま道路局長の言われましたように、東名はできたが、国道一号線は一ぱいだ、いまバイパスがやられているが、これも一ぱいになる、五年後くらいになれば何とかしなければならぬが、計画してからでも十年後か十五年後になってしまう、そういうふうに考えてみますと、先ばしった計画というものをつくって、これは何年か後には、三年後か五年後かあるいは十年後にはもう一本道路が東海道に走るのだというくらいのことをきめて土地の対策をしておかなければたいへんなことになると思うのです。いまから考えてみても、いまの東海道はまだまだ道路が必要になってくるし、また、必要だということになるならば、これはやはり土地の確保の問題を考えて、よほどしっかりした対策というものを考えてきめておく、あるいは、買えなくても、ここは将来十年後には道路ができるんだということであれば、線でも引っぱっておく、引っぱっておかない限り、道路をつくれつくれといって、買おうとしたときには坪一万円が三万円、五万円、十万円というようになってしまったら、それではなかなか買いきれないということになるわけでありますから、そういう点で最近の都市における路線決定の困難な状態から考えて、せめて十年くらいの計画を、いなかは別として、特に都市部の問題についてはお考えいただかなければたいへんなことになるのではないだろうか。せっかくいま盛んに土地対策を進められておるわけですから、そういう点から御意見を承りたい。
  324. 坪川信三

    坪川国務大臣 勝澤委員の適切なる御指摘、ごもっともだと思います。  先ほども申し上げましたごとく、いま国が成案を急いでおりますところの総合開発計画の成案を得ます場合においては、われわれ建設省の立場から考えますときに、過密対策、過疎対策の上からも、都市開発の上からも、あるいは農村の新たなる生活圏の設計等を考えるときに、二十年後、三十年後の見通しの上に立っての道路整備計画を進めなければならぬということは、全く御指摘のとおりでございます。したがって、当面するいろいろな道路政策の実行、また、未来像についての大きな道路政策の予定建設計画ということも、これらの総合計画の試案が出ますと同時にわれわれはこの計画を打ち立ててまいらなければならぬが、それにはやはり土地の問題がございます。したがいまして、それらの点を踏まえまして、ひとつ道路政策の大きな視野の上に立っての実行計画を打ち立ててまいりたいと考えております。
  325. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 大臣、二十年、三十年つとめてようやく土地を買って家を建てたら、都市計画で少しのかなければならぬ、せっかく五十坪買ったのが、今度は二十五坪、三十坪になってしまうという例が区画整理の関係で各所にあるわけです。あるいは、国道でも同じことであります。ですから、粒々辛苦してようやく自分の家ができたのに、三年か五年で道路がかかるようになってしまったとか、あるいは不便になってしまったとかいうことがいろいろございますから、そういう点を考えてみると、やはりその一人一人の者から見たら、国なり県なり市はもっと親切にしてもらいたいということを考えるわけです。そういう点で、坪川建設大臣は世情について実によくおわかりになっているわけでありますから、私の申し上げることは、いまは建設大臣として実行できる立場にあるわけでありますから、どれほどおやりになったとしても、与野党を通じて、行き過ぎだと言う人はいないと思いますから、ひとつ、大いにがんばってもらいたいということを特に要望して、お疲れのようですから、これでやめます。
  326. 野原正勝

  327. 山田太郎

    山田(太)分科員 きょうは、かねがね考えておったことや、あるいはかねて聞いておったことどもを含めてお聞きしたいと思います。大臣の誠実な人柄は非常に評判がいいんです。持ち上げるようで恐縮ですが、しかし、事実そのとおりですから、そこで、できるものはできる、それからできないものはなぜできないか、できるものは、ではどのようにやって、いつごろできるかというふうに、明快な御答弁がいただければ時間も簡単に済むということでございます。  そこで、その前にひとつ、先ほどもお話が出ておりましたが、バイパスの問題です。自動車の急増による国道の渋滞によって、前置詞を抜いて端的にお伺いいたしますが、全国においての国道バイパス計画の個所が何カ所あるか、そのうち、着工しているのが何カ所あるかということは建設大臣おわかりになっているでしょうか、どうでしょうか。
  328. 坪川信三

    坪川国務大臣 山田委員御指摘になりました国道バイパス計画路線の数、その他重要な問題でございますが、正確を期する意味において、たいへん恐縮でございますが、道路局長をして答弁いたさせます。
  329. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在着工しているバイパスは二百三十数本でございます。
  330. 山田太郎

    山田(太)分科員 では、計画してまだ未着工のところが幾らあって、それはどのようにやっていく計画であるか、ついでに伺っておきたいと思います。
  331. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 五カ年計画にはこれら大小のバイパスがございますが、まだ未着工のものでやりたいと考えておりますのは、あと百二十くらいでございます。
  332. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、私の地元のことで恐縮でございますが、そのうちにおいて岡山バイパスも非常におくれていると聞いております。私も経験がありますが、岡山から倉敷のあの国道ですが、わずか十数キロ、これが二時間も三時間もかかるような、そういうときすらあります。これはただ我田引水で申し上げるわけではありません。なぜならば、選挙区になっておるところはわずかです。そういう意味から、きょうは時間の関係で、これはなぜおくれているかということまではお伺いいたしませんが、これはいつ完成するのか。いままでおくれたこと自体が、もうすでにある意味においては失態だと思います。現状においては、完成は早くなければならぬ。そこで、いつ完成できるか、そうして、その過程において途中の目標もあれば、あわせてお伺いしたいと思います。
  333. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまお話しの岡山バイパスでございますが、私たち計画しておりますのは、倉敷の西から旭川を渡りました岡山の東のほうまで、かなり大きなバイパス考えております。延長二十九キロございます。この中で特に早くやりたいというのは旭川から西のほうでございまして、倉敷市の県道、倉敷−茶屋線というところから早島町、妹尾町を通りまして福田町の入り口、この辺までの工事を二車線、四十五年度には開通させたい。そういたしますと、県道一部ずつ使いまして国道三十号線に入ることができるようになると思います。さらにそれを前後を延ばしまして、倉敷の都市計画道路がございますが、これから現在の三十号線までを四十六年度中に開通したいと考えております。その倉敷のさらに西の半分も早く開通さしたいというふうに考えております。
  334. 山田太郎

    山田(太)分科員 では、その目標を少しでも短くするように努力していただくことを要望いたしておきます。  次に、これはかねがね考えておったことでございますが、東京とかあるいは大阪、名古屋、福岡とか、あの大都市ですね。あるいは中都市にしても、非常に交通の繁雑な道路であるにもかかわらず駐車停止になっていない場所がたくさんありますけれども、これは交通政策上でしょう。しかし、その道路のわきに駐車するために交通事故の非常に大きな要因になっていると聞いております。そのために、言わんとするところは、児童公園です。この児童公園は、やはり児童の人命を守るためにも大切なことでございますが、この児童公園を駐車場に併用するために、たとえば地下に駐車場をつくるとか、あるいは児童公園を二階に持っていって児童の交通災害にはもちろん万全を期して、そうしてその下を駐車場にするとか、そういうふうなことは考えられないものかどうか。できないならできない、あるいはできるものならできると、その回答をしていただきたいと思います。
  335. 坪川信三

    坪川国務大臣 山田委員御指摘になりました児童公園、これは私の建設行政の一つの大きな夢といいますか、ぜひ具体化をさらに推し進めてまいりたいと、非常な意欲を燃やしている問題でございます。したがいまして、ことに、交通問題等考えますときに、標準〇・二五ヘクタールの小規模な児童公園等に対しましては、本年の予算には御期待の線には沿えませんでしたが、かなり格段の配慮をいたしたつもりでございます。いま御指摘になりましたような点は、ひとつ十分、その設置をする場合においてあらゆる面から行政指導を強く推し進めて、かわいい子供の不幸をなるべく避けてまいりたい、こう考えております。
  336. 山田太郎

    山田(太)分科員 いまの大臣答弁、もっともだと思います。同時に、児童公園の多角利用の意味から、駐車場に持っていったらどうだろうかという点について……。
  337. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 児童公園を上に上げまして、その下に駐車場をつくるというのは、法律で禁止されております。それから地下駐車場の場合には、公園の下を地下駐車場にすることは、法律上は禁止されておりませんが、ただ、御承知のように児童が来るところでございます。したがいまして、遊戯中の飛び出しの際に事故の原因となるおそれが十分予想されますので、原則的には設置しないような指導をいたしております。なお、地下に駐車場をつくりますと、地表面に樹木が植えられないという問題がございまして、できる限り設置しないように指導をいたしております。
  338. 山田太郎

    山田(太)分科員 大臣にお伺いします。いま事務当局で、法規に照らしての答弁であります。事務当局としては当然だと思います。しかし、法規でこうこうであるからやむを得ないというのでは、これは政治ではなくなります。したがって、法規の改正ができないものでもなし、また、樹木云々の点についても考えられないものでもなし、この点はもっと前向きに検討すべき問題じゃないかと思うのですが、大臣の見解をお願いします。
  339. 坪川信三

    坪川国務大臣 そのお気持ちはわかりますけれども、これをやることによって、逆な非常に不幸な作用がまた出てくることとも十分考えなければならぬ、こういうようなことで、これらに対する処置は、いま局長が申しましたような方針でいま考えておるということでございます。
  340. 山田太郎

    山田(太)分科員 それではちょっと答弁になりかねると思うのですが、もちろん児童に対する災害は、これはもう万一のことがあってもいけませんから、これは防ぐ方法はあります。しかしそこは、児童公園というのは、たいていの場合、全部とはいいませんけれども、密集地にある場合が非常に多い。町にもあります。そういうところにおいて、自動車を片側に置くために交通事故の大きな原因になっておる、多くの人命にかかわる問題になっておる。だから、それを排除するために考えたほうがいいのじゃないか、検討事項の中に入れるべきじゃないかとぼくは思うのですが、どうでしょう。
  341. 坪川信三

    坪川国務大臣 お気持ちはよく理解できますが、私は、自動車の排気ガスの問題から見てみましても、あるいは騒音の立場から考えてみましても、児童公園というのは、やはり子供が愉快に気持ちよく、しかも清新な環境の中にあって遊び得る場所でなければならぬ、こういうようなことで、私は、子供の遊び場を自動車の犠牲に供するというようなことは考えなければならぬ、この気持ちもひとつ御理解願いたい、こう思います。
  342. 山田太郎

    山田(太)分科員 では、時間がありませんので、この点はきょうはここまでにしておきましょう。また時をあらためてやりますから、その間に検討しておいてください。  それから、次は同じ交通事故の問題でございますが、先日の朝日新聞にこのようなことが載っておる。表題は迷子カーという表題です。「“迷子カー”キョロキョロ」、これが大見出し、そうして「事故の3割が道捜し」、「電停消え、町名わからず」——ちょっと一節を読みますから。もう読まれましたか、道路局長——読んでいませんか。これは   去る十八日夕方、都電がとり払われた港区浜松町の第二足浜国道大門交差点付近で、オートバイに乗った品川区の店員がトラックに追突し、全身に打撲傷を負った。愛宕署で調べたところ、店員は電停があるはずだが……」と、キョロキョロあたりを見ながら運転していたことがわかった。場所によってちがいはあるが、走っている車の一〇%ぐらいは迷子カー。また、自家用車の事故の三〇%は、この迷子カーであると警視庁交通部はみている。都内のわき見・安全運転義務違反は、一昨年の二五%から昨年は二九%に、追突は二四%から二七%にふえた。「これらの数字が全部迷子カーの事故ではないが、自家用車でここはどこだろうと見回しているうちに人をはねたり、裏通りへ迷いこんで出合い頭にぶつかるなどの事故は、たしかにふえた」と、警視庁では分析している。 この記事でございます。これはただこの記事だけでなく、私も自分でも経験しておりますし、また、多くの交通事故の負傷者の中にこのような道さがしのために事故を起こしている例は非常に多いわけです。  したがって、まずここで警察庁の交通局長にお伺いしたいのでありますが、このわき見運転あるいは不注意運転の原因ですね。この原因をどのように分類されておるかという点をお伺いしたいと思います。
  343. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 お答えいたします。  わき見、不注意運転の原因ということでございますが、これは道路交通法にあります安全運転義務違反という中の項目でございます。何によってわき見運転ができたかという原因までは、実は私どものほうで統計としてはとっておりませんので、それが、案内標識をきょろきょろして、そのためにわき見運転したのか、ミニスカートを見てわき見運転をしたのか、そういう点までは実は統計をとっておりません。
  344. 山田太郎

    山田(太)分科員 簡単な答えでけっこうです。しかし、警視庁においてはこれはちゃんととっておる。道路さがしのために交通事故を起こした、それが何%である、自家用車の中では三〇%である、このようにちゃんととってある。警察庁の交通局長が、交通事故が昨年一万五千名をこしたことから照らしてみても、いかにしてこれを減らしていくかという点において、もし心胆をくだかれておるならば、警視庁の後塵を拝することは、これは逆ですね。その点について一言御注意申し上げておきます。答えは要りません。  そこで、次に総理府の陸上交通安全調査室長宮崎さんにお伺いいたしますが、この一万五千名の去年交通事故で死亡した方々のことを見ても、いかにしてこれを絶滅するか、いかにして少なくするかということには腐心されておると思いますが、その概要と、今年度は前年度までやってきたことを推し進めていく、広げていくのは当然ですが、前年度までやらなかったことを考えていることはありますか。
  345. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 先生も御承知のように、交通事故の防止、交通安全につきましては、それだけやれば交通事故が一ぺんで減るというような、いわば特効薬的なものはないのではないかと思っております。したがいまして、当然御承知と思いますが、私たちといたしましては、交通安全施設の整備でありますとか、交通安全教育の普及徹底でありますとか、あるいは交通の指導取り締まりの強化あるいは被害者救済対策の強化というような点を総合いたしまして、これを推進いたしております。  なお、来年度何か格別なことをするつもりがあるかどうかということでございます。御質問からちょっとはずれておりますが、四十四年度におきまして重点を置いておりますのは、何よりも交通安全施設の整備、それから被害者救済対策の強化でございますが、それ以外に、現在総理府といたしましては、いわゆる交通安全対策基本法案というものをいま立案中でございまして、これによってさらに総合的な交通安全対策の推進をはかってまいりたい、かように考えております。
  346. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、もっと具体的に申し上げたいことは、都内の警視庁の届けを見てもわかりますように、迷子カーが非常にふえているということは、言うならば、道路条件が非常に大切じゃないかということを考えられるわけです。ただ法規で取り締まっただけでは、これはとうてい及びがたい問題です。その法規で取り締まる前に、もっと道路条件を整備してあげることが、国民の人命を尊重する意味においても大切じゃないか。  そこで、私が聞いたことでございますし、また読んだことでございますが、ヨーロッパ等においてはちゃんと町の名前も各四つかど四つかど、あるいはルートルートに表示してある。初めての町へ入っていっても運転者が道に迷うことがない、そう聞いております。また、米国等では四つかどの信号機にもちゃんと案内の標識をつけて、そして行き先を迷わないようにしてあります。こういう欧米の、先進国といっていいかどうか、先進国のことはともかくとして、この道路条件においては確かに先進国です。したがって、いわゆる案内標識、親切な運転者のための案内標識が完備されている。これがあるならば、いま警視庁の統計に出ている三〇%の道路さがしの事故というものは相当数防げるのではないかということが考えられるわけです。  もう一つは、交差点においての交通事故ですね。追突あるいは道をさがすためにきょろきょろしているうちに出過ぎて、あるいはふらふらしている間に追突されたとか、交差点においての交通事故が昨年、おととし、その前と、調査してみますと、これは聞きたいところだったのですが、時間がないから私のほうから言いますが、ふえる一方です。おそらく交差点においての事故は全部が道さがしとは言えませんでしょう。だけれども、やはり迷子カーに類するものが相当数あるんじゃないか。交通局長にもうちょっとその点に意を砕いていただいて、この点までも調査していただければ全国的にもわかると思いますね。しかし、これは何といったって大都会が多いと思います。  そこで、交差点においての表示、町名あるいは方向あるいはキロ数——いまキロ数も相当ありますが、そういう点においての案内標識あるいは信号機に同じく運転者のための何か——人命を極度に尊重するという場立からも、この点も当然意を注ぐべきじゃないかということを思うわけです。この新聞に刺激されて言うわけではありません。かねがね考えておったことでもございますし、聞いていたことでございます。この点について、これは各所管がそれぞれ違いますので、その所管の方からひとつ誠意のある答弁——誠意のある答弁というのは、ただ丁寧であればいいということではなしに、どのような方向に持っていくか、そのための予算措置はどうなるんだ、あるいは、いまの予算でそれがその方向に一歩踏み出せるのかどうか、あるいは、今度予算措置をしなければできないのか、そういうふうなところもあわせて担当の方々から、最後には大臣から御答弁願いたいと思います。
  347. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 最初に、町名その他の表示でございます。これは私たちも市電がなくなりまして非常に不便だということを聞いております。ただし、横断歩道橋の場合は必ずそこに地名を書くように指導をしております。ただそれだけでもなかなか足りませんので、交差点に地名を書くということで、現在こういう案内標識を追加する方法で積極的にこれは取り組んでいきたいというふうに考えております。
  348. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま数々御指摘になりました問題は、警察当局あるいはあらゆる官庁にまたがる大きな問題でございます。御承知のとおり、政府といたしましては交通安全対策協議会も持っておりますので、これらの場を通じまして、交差点におけるところの諸般の懸案の問題については、十分いま御指摘になりました点を強調しながら、意のあるところをひとつ御期待の線に沿うように配慮いたしてまいりたい、こう考えております。
  349. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまちょっと言い忘れましたので補足したいと思います。  信号機の場合でございます。信号機にこういう案内標識をつけたらということでございます。これはいろいろ意見があると思いますが、どうも私たち、交差点につきましては、信号機につけるよりは別につけたほうがいいんじゃないか、信号によって案内標識を見るということよりは、やはり別々にする、案内標識は交差点の前に立てたほうがいいと思いますので、そういうことで、いまのところ信号機につける考えは持っていないわけでございます。交差点の案内標識、こういうものの整備と地名その他の案内標識の整備、これははかっていきたいと思います。こういうことは、予算の問題もあるかと思いますが、まず国が管理しております国道からやっていけば、その他の道路管理者もこれにならう、そう大きな費用を使わずにこれは実現できると思います。
  350. 山田太郎

    山田(太)分科員 次の先生から時間を少しいただきましたので、少し超過しますがひとつ御了承願います。  そこで、いまの答弁によって、そう予算もかかることでもなし、まず国道から取りかかっていく、そうすれば他の道路管理者もそれにならうことであろうという答弁に満足します。同時に、それを早くやってほしいということですね。よく写真や映画を見てもわかりますが、欧米では四つかどの家に大きな表示がある。町名や、右に曲がったらどっちだというのがちゃんと出ております。ところがわが国においては非常に少ない。あったとしても、好意的にやっている場合である。そこでこの迷子カーによっての三〇%の交通事故が減る。人命は何ものよりも尊いということを考えても、これは御答弁要りませんから、いまの道路局長の御答弁建設大臣も同じような御意向だと思いますので、その早期実現を期待しておきます。  もう一つは、これはあまりいいことじゃないんですが、河川局長さんのほうに先にお聞きしたいと思います。  公有水面の埋め立ての問題ですね。これはもちろん港湾は運輸省関係ですから除きます。この公有水面埋め立てによってのいわゆる陳情といいますか、あるいは、その本人の申してこられるのには不正であるというふうなことばを使われてきております。中には、霞が浦の一部のように、国有財産収奪罪で告発しているようなところさえもありますし、あるいはその他広島県にも二、三カ所私のところにも陳情に来ております。この公有水面の法規を見ますと大正年間の法規ですね。そうしてこれに追認の許可があります。追認の免許といいますか認可というんですか、このことによって非常にトラブルが起きているということが考えられるわけですね。きょう問題にせんとするところ、あげつらわんとするところは、この公有水面埋立法が、もう現在の実情には合っていないのじゃないか。この追認許可の問題は現在の実情に合っていないのじゃないかということがわかるわけですね。もっと具体的なことを申し上げなければ大臣はひょっとしたらおわかりにならぬかもしれませんが、河川局長にはこれはわかっておると思うのです。この点について、この法を改正せんとする——局長で改正できるわけじゃありませんが、したいなという意向があるかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  351. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先生指摘の追認の問題もございますし、実はそのほか、いろいろ法律が古いために、現在の私ども観点からいうと、確かに相当時代おくれといいますか、不備な点が多うございます。昨年来からもいろいろ公有水面の埋め立ての問題等につきまして御指摘を受けておるような事例も確かにあるのでございまして、まあ、大正十年にできた時代と、かなり社会情勢等も変遷しておりますので、公有水面の埋め立てが、もともと公共の水面であったものを公共的な水面を廃止するということでございます。そこで、できるだけ国または公共団体か、あるいは公共の利益に寄与するという埋め立てにやはり限定すべきである、そういうものを重点にやるべきだというような問題もございます。追認ということになってまいりますと、ケースによっては、必ずしもそういったものに該当しないようなケースも出る可能性もあるわけでございますし、その他、土地利用の面等からいいましてもいろいろ問題がございますので、私どもといたしましては、関係各省と協議いたしまして、法の改正につきましてひとつ検討してみたいというぐあいに考えております。
  352. 山田太郎

    山田(太)分科員 改正について、当然いまの御答弁のように検討すべきではないかと思います。大臣を差しおいた話し合いで恐縮でございますが、これは非常に問題の多い原因になっておりますので、大臣からも一言、最後の御答弁をいただいておきたいと思います。
  353. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま局長が申し上げましたごとく、関係各省と十分連絡をいたしまして、これらの問題点の解明をいたしてまいりたいと思います。(山田(太)分科員「改正に向かって……。」と呼ぶ)改正に向かってといいますか、解明すべき点が多々あるだろうと私は思います。御指摘になりました点はよく理解いたしておりますので、それらの問題点を解明いたしながら前向きの姿勢で努力いたしたい、こう考えております。
  354. 山田太郎

    山田(太)分科員 坪川建設大臣の誠実さで、きょうはこれで打ち切らしていただきます。  終わります。
  355. 野原正勝

  356. 田中昭二

    田中(昭)分科員 私は、大臣を前に、建設行政のことをしろうとからいろいろ言うことはどうかと思いますが、全国的にもいろいろだいへんな問題があるように聞いております。もう引き続きお疲れのことでございますから、私は一問にいたしまして、すぐ終わりにさしていただきます。  何かといいますと、私の地元の問題で、これが建設行政を代表するような、いわゆる地域住民が困っております問題でございますからここに取り上げてみるわけでございますが、御存じのとおり、九州縦貫自動車道の筑紫野町二日市地区、これが三十八年から計画されまして、四十八年の完成を目ざしていま進行しておりますが、その計画が九分九厘まできた段階において、地元地域住民のほとんどといっていいぐらいの全部の人の反対の中に問題がいま停とんしているような状態ではないか、こう思います。まず、道路局長からでもけっこうでございますが、その概要を——私の認識とそちらの認識の食い違いのないように、道路局長のほうからいままでの経過てんまつの概要を簡単に……。
  357. 坂野重信

    ○坂野政府委員 九州縦貫道については、これはもう御承知のように、九州地方建設局でよく調査いたしまして、それによりまして四十一年の七月に整備計画をきめて公団に施行命令を出し、その後公団で現地をよく調査いたしまして、いろいろ比較線もとりまして、いまルートの折衝に入っておる状況でございまして、この中で福岡県の筑紫野町の二日市のルートにつきましては、公団の考えておりますルートにつきましていろいろ地元は反対をしております。  その反対の理由といたしまして、あそこは温泉地帯でございますし、ああいうものを通しては、将来の町の発展に非常に阻害になるということと、農地が相当つぶれるという二点の反対があるということを承知しております。
  358. 田中昭二

    田中(昭)分科員 その程度の御承知であれば、私はこの問題の解決の方向には向かわないのじゃないか。  大臣、まず、こういう高速道路をつくることにおいて初歩的な質問でございますが、地域住民のほとんどの反対の中にこれが施行されるということについて、一体どういうふうに地域住民のその反対の声を政治的にも解決していくかという点について一言お願いしたいと思うのでございます。
  359. 坪川信三

    坪川国務大臣 大事な国土開発、幹線道路を推進していく場合において、地域関係住民の理解と納得を得ずしてこの道路推進はでき得ないことを思うときに、私は十分地域住民の立場を考えまして、建設省といたしましては道路建設の推進をいたしてまいるような次第でありますが、御承知のとおり、いわゆる路線決定に際しましては、その地形条件を十分考えなければなりません。また、建設省といたしましては、地域公共建物の問題も考えなければなりません。また、つぶれ地が多くあることによって、しかも土地提供者の重なり合うところのいわゆる土地提供を願うというような問題いろいろ蓄積されたことが関係住民に非常に不幸な、生活に暗影を与えるというようなことはできるだけ避けまして、そして、土地の収用等に関連いたしましても、理解と納得の上に立っていたさなければならぬということは、もう御承知のとおりでございます。いま御指摘になっておる地域の問題につきましては、私も聞き及んでおります。しかし、いま道路局長が申しましたような実情であることも御理解をいただきたい、こう考えておりますので、私は、話し合いをさらにさらに進めまして、この大事な九州の道路完成にひとつ地元の御理解をいただきながら推進をいたしてまいりたいと、こう考えておる次第であります。
  360. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大臣のいまおっしゃったとおり、私もそうあっていただきたい、こう思います。地域住民の意思を無視して強行するということは、これはだれが聞きましてもりっぱな解決の方法にはならない、こう思います。いま大臣が、今後はまたよく話し合いをして、理解と納得のいくように、こういうおことばでございましたから、ここでひとつ道路局長さん、いまあなたがおっしゃったその二日市は、確かに温泉地でございます。しかし、この温泉町の大体の概況の把握と、それから地域住民がいままで建設省並びに道路公団と折衝してきた現況の御理解なり、調査が少し不十分ではないか、こう私思いますので、私が知り得た範囲で申し述べてみますが、この町はいわゆる東西にわたって山脈が走っております。その間に約一キロ足らずの平地があるだけでございますが、西日本鉄道の大牟田線それから鹿児島本線それから県道五号線というのが現在新設されております、まだ県道もございます。そういう狭いところに国道三号線、これでものすごい困難をきたしております。鹿児島本線、西日本鉄道の大牟田線、県道が二本、こういう状況になっておるわけです。そこでそういう狭隘なところ、私、いつも九州に行きますときに見ますが、京都から大阪に入るところに狭いところがございますが、ちょうどああいうふうな状況に環境がなっておるわけです。これはしろうとが考えてみましても、ああいうところに、幅八十メートル、六車線が走るということになりますと、これはほんとうに町のまん中を縦断することになりますから、そう簡単な問題じゃないと思います。こう私も思うわけです。そういう道路のできることによって地域社会の発展、産業の発展ということも、当然地元民も考えておりますが、まず住民の代表並びに住民と話し合いがなされてないという点と、いまの地理的条件ですね。ですから、いろいろ建設省にもお願いして、道路公団にもお願いして、少し山合いのほうにそれを延ばしてください、こういう申し入れをしておるようでございます。その辺を考えてみますと、なるほど話し合いがなされてなかったという問題、それから山合いのほうに行けば、二日市のあそこは歴史的な史跡も多いところでございますが、そういうもの、それから現在建っております住居、そういうものをよけて通ることができる。私も現場に何回も行っていろいろ説明も聞いてみますと、それはできないはずはないじゃないか、与党の議員さんたちもこのことではたいへんお世話いただいておるようでございますが、どうもその辺が、両派に分かれて何かすっきりしない。そのためにまた住民がどっちともはっきりしないような状態で困っておる、こういう問題でございます。道路局長さん、建設省がそれをきめた、そうして道路公団に渡したその間の、四十一年とおっしゃっておりますが、最近、四十二年も話し合いがなされておると聞いておりますが、その辺どうでございますか。
  361. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは実は、道路公団に施行命令を出す前に、三十九年に九州地建が調査しておるときから路線の問題はいろいろ変更の陳情があったことを聞いております。その後道路公団でこれをさらに調査して、いろいろ現地の筑紫野の状況その他路線の説明も数回にわたってやっております。また今年の一月三十日には筑紫野町の議会の議員に説明しております。議会に説明も当然でございますが、やはり地元の実際土地を取られる者との話し合い、これがまず第一かと思います。御承知のように、いま先生のおっしゃいました非常に狭い盆地でございまして、そこに道路以外にたくさん通っているということもございまして土地が広ければもっといいルート地元に迷惑のないようなルートもそれは可能かと思いますが、そういうところでございまして、非常にそういう点は、私たちルートの選定に困難を感じておるわけでございます。ただ、いろいろ地元のいいます山というような問題もございます。それについても十分調査したわけでございますが、高速道路の本来の使命からいって、やはり相当高速を出さないといかぬということ、さらに道路を走ります利用者のことも考えなければいけませんし、また土地をとられる地元の人のことも考えなければならぬということで、道路公団もいろいろ調査した結果、最初のルートが一番いいというような結果になったのでございます。ただ、いま大臣がおっしゃいますように、やはりこの問題はお互いの腹を割って、これ以外にないんだ、将来、町の発展の計画道路をこういうことににすることによって発展に備えられるのではないか、その辺のもっと突き詰めた話を今後道路公団にさせたいと思います。このままでは私どもも強行する意思はございませんので、やはり地元が、こういうことによっても発展できるのだ、安心して高速道路ができるような話し合いを進めてまいりたいと思います。
  362. 田中昭二

    田中(昭)分科員 そこでもう少し、しつこくなりますが、いまの道路公団が当初きめてありました線を地元でA線、再度調査検討を加えたものがB線、こういうようにいわれておるようでありますが、そのB線は、高速道路として全然そういうカーブを持った道路ではないという、そういうことも地元ではいわれておるのですね。それじゃB線を決定する段階において、いまあなたがおっしゃるように、腹を打ち割って話し合うということがなされておれば、私はこう事がこじれないと思う。それは町議会でも対策特別委員会をつくって全部反対です。当初から聞いてみれば、町長と一、二の議員さんがそれをやったというだけで、二十何名の町会議員全部反対の対策特別委員会をつくってやっておる。これは大臣、不満であるということをあらわした一つの姿じゃないかと思うのです。地元ではそういうことのいきさつもよく考えて、そのB線の決定については内容を教えてください、こういうことを言っておりますが、全然それを教えてもらえない、こういうふうにも言っておるわけですね。それでもう反対派では——時間がありませんから、簡単にするつもりでこちらから申し上げますが、ことしになりましてから、大学の教授二人に、一人は九州大学工学部の道路工学の内田先生、もう一人は経済大学の黒田博士ですが、その人たち意見を見てみましても、いまいいました地元が要求しておりますD線——いま中間にC線というのがありまして、もう一つ初め地元が希望しておったD線について、黒田博士はこういうように言っております。D線についてはトンネルの必要はないと思われる、基本的にカット方式で施行ができると考えられる。こういう点が食い違っておるのですね。道路公団のほうはもうトンネルを掘らなければならない。しかし、専門家にいわせればそれはトンネルを掘らなくてもいいんだ、こういうように食い違っておる。それから九大の内田先生は、このD線については技術的に可能であると、ちゃんとそれだけのいろいろなこまかい資料がついております。二番目には、地域のためにも山手線のほうが望ましい。三番目には道路の建設予算をあらわした以上、算定の基礎を明確にすべきである。四番目には、現時点では法的請求はできないが、地域に対する将来の損害をも考慮に入れて考えるべきである。こういうことをまずきめこまかにやらなければいけないんじゃないかと私は思うのです。法的にはそれはできないならできないということでも、やはり話し合いをして地域の将来を考えてやらなければならない。  そのほか、次を読んでみますと、原案のA線は地下三メートルから四メートルの場合は一番始末が悪い。水路、道路等については特にこれは明確にしなければいけない。総体的にA線は納得がいかない。こういうふうに内田教授も言っておるわけです。ただ学者のお話でございますから、ここでいろいろ言う必要もございませんけれども、いずれにしろこの問題については県庁のほうも道路公団のほうもほんとうにお困りになっておると思うのです。でありますから、今後の問題としましていま大臣のおっしゃったように今後も話し合いを進めて、そうして円満解決のほうに持っていっていただく。これが第一点。  それから現段階において、買収される地元の人たちの気持ちとしては、どうなるだろうか、これは最終的にできないならば、強制的に収用法を使われればどうしようもない、将来どういうふうな見通しになるだろうかということが一つの心配の種のようでございます。そういう点について、建設大臣道路局長から最後にもう一言お願いいたしたいと存じます。
  363. 坪川信三

    坪川国務大臣 前段で申し上げましたとおり、私どもといたしましては地域住民の立場も考え、また高度な道路計画推進という国家的な立場でも考えて、いろいろの点から十分納得と理解と、また説得を続けてまいりたい。そうしてなるべく不幸な収用法の適用というものは避けつついきたい。こういうような考えでさらに努力を積み重ねていきたいと考えております。
  364. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまいろいろ九大、経済大学の先生お話がございました。実は、これは私たち九州地建、道路公団で道路を専門にやっている人が調査をいたしましてきめたのでございます。いろいろ御意見はあろうかと思いますが、単に道路をつくるというだけなら、山の中でも金さえかければできます。ただ、そういうことと将来それを利用する国民経済的な立場も考えなければなりません。また先ほど言いましたDルートについても、私たち聞いておりますのは、結局Dルートのほうが家屋の戸数はよけいかかるというようなこともございます。こういうようなルートにつきましては、ここだけではなくてほかにいろいろ問題がございます。解決している問題もございますがまず解決の糸口になるのは、現地との話し合いをやっておりますと、現地ではここをこうやったらいいじゃないかという線について、ここに行くとこうなる、ここに行くとこうなるという、その辺を丁寧に話してもらわないと、やはり地元は納得しないということだと思います。これは測量もいたしまして、ルートもはっきりきまりませんと、どこがかかるかはっきりしません。現地であそこは通れるじゃないかといいましても、標高の問題があって通れない場合もあります。やはり公団が調査いたしました結果、地建が調査いたしました結果を、ここはこうなんだ、ああいうことなんだというこまかな説明をしていただかないと、なかなかこれは納得できないのじゃないか。やはり相当時間をかけても、お互いに言っていることがこうなるんだ、うちの調査はこうなんだという親切な説明を根気よく続けていくことが、いまの段階では必要じゃないか。そういうことを道路公団に続けるように私たちも命じたいと思います。
  365. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いま局長がそう言われますけれども、局長は実際を見ていないからそういう報告によって言われるのですが、その報告が地域住民の実際と違うから問題が出てきたわけですよ。建設省の案では、家がかかるのは四十五棟ですよ。地元が言っているのじゃ二棟しかかからない。ただ、山を通りますから、少し経費がかかるということはあるようでございます。いずれにしろ、大臣、ここでそういうことではいつまでたっても水かけ論で話が進まないと思いますから、やはり地元としましては、たとえば建設省が再検討されたB案ですか、その積算基礎といいますか、概略の説明ぐらいはあとでしてもらうという約束だけしていただけませんか。それはできるでしょう。現地に行って代表に話してもらう。いいですね。
  366. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 道路公団で調査したものを現地に示す、これは別に何も隠すこともございませんので、喜んで現地に説明したいと思います。
  367. 田中昭二

    田中(昭)分科員 これで終わります。
  368. 仮谷忠男

  369. 神門至馬夫

    ○神門分科員 私は特に過疎問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、昭和四十一年の二月に、農村福祉対策に関する行政監察結果に基づく勧告というのを行政管理庁が出しております。過疎問題がようやくいま政治の表に出始めつつありますが、行政官庁としていわゆる過疎対策らしきものを出したのはこれが初めてであります。私のように島根県に住んでおります者は、これを非常に期待しました。期待いたしましたけれども、結果的にはどんどん人口減少というものは進んでおります。いわゆる過疎化というものは進行速度を縮めていない。これはいろいろな根源があるでしょう。端的に解決できないものだと思うのですが、そういう観点に立ってものを考えるときに、一番最初行政庁として出されましたこの勧告が実行されていないのではないか、こういうふうに考えるわけです。  それで、読めば長くなるのですが、この「農村福祉対策に関する各種行政の運営状況について」という勧告の中の、「(1)農村における道路の整備について」という中で、農村の道路整備が極度に立ちおくれをしている。特に市町村道に至ってはたいへんなおくれを示している。こういうことを非常にきびしくいっておりますし、また地方自治体の首長はこぞって何よりもこの道路整備なり道路の舗装というものを期待している、こういうこともいっておるのでございます。  ところで島根県の実態を私は調べてみました。この中で、勧告をいたしております昭和三十九年の状態はこのような状態である、こういうことを国道、主要県道あるいは一般県道市町村道に分けて数字をあげて説明をしており、その差を何とかしてなくしなさい、こういう言い方をしておるのでありますが、たいへんなおくれを示しております。たとえば市町村道の場合に、改良率は四十三年の三月末現在で五四、舗装率一七、三十九年当時行管が示しております全国の基準よりか四十三年の現在はなおかつ下回っておるのであります。これは一体勧告そのものが非常に形骸化されておるのか、建設省のほうで、この勧告に基づいて施策しているかどうか、どういうふうにやっているかということで改善措置要約として、対照表が出されております。これには予算をふやしてやっているということをいっておるのでありますが、このような事実は、事実問題として過疎対策というものがなされていない、農村対策の道路行政がなおざりにされているということの何よりの証左ではないか、こういうふうに考える。  この勧告実施の実態と、そしていま島根県の具体的な例を申しましたが、全国的にはどういうふうになされているのか、この点をひとつ御説明願いたいと思います。
  370. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 御承知のように道路整備事業では国道から県道、一部の市町村道まで整備の対象といたしているわけでございまして、現在私たち非常に悩んでおりますのは、車の増加に対して非常に道路の整備がおくれているということで、どれを一つとってもいまのところは車に対して満足な道路が少ないと思います。またいま先生のおっしゃいました市町村道につきましても、全体が八十数万キロでございまして、これも整備がおくれていることは事実でございます。そういうことの中で、道路整備の方針といたしましては、非常に交通混雑しているところに対して道路バイパスをつくるとか、そういう整備をいたしますと同時に、やはり過疎地帯農村もそうでございますが、そういう過疎地域開発になるような道路の整備もあわせてはかっていきたいということでございまして、私たち毎年々々過疎地帯の問題といたしましては、一般地方道も含めまして相当ありますが、特に特殊立法にあります山村振興とか、離島振興とか、奥地等の産業開発道路こういうものをかなり大幅に伸ばしておる状況でございますが、まだまだ先生のおっしゃいますように不満足な点は非常に多いと思います。そういう点はさらに全体の道路投資の拡大をはかりまして整備をはかっていきたいという考えでございます。
  371. 神門至馬夫

    ○神門分科員 主査に特にお願いしておきたいのですが、実はここは七時二十分からということで、最初はまだずっとおくれるのを繰り上げて、七時二十分ぎりぎりのところで——きょうここへ入りますときには七時二十分からということになっていたのです。そこで向こうは十五分までやって、五分間でこっちに来ようということだったのですが、まただれかおやめになって、私の責任でこうなったのではないのですから、やはり所定どおり三十分やらしていただけませんか。
  372. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 時間どおり三十九分まで、終わりの時間までやってください。
  373. 神門至馬夫

    ○神門分科員 局長、そういう答弁は常になされるのです。なされるのですか、この中で三十九年当時の行管が言っております市町村道改良率が一〇・四、舗装率三・二、この三十九年に比べても現在四十三年の島根県の改良率は五・四、舗装率一・七というのはあまりにひど過ぎやしませんか。いまから約四、五年前にこれだけおくれているといったその数字に四、五年たった現在まだ及んでいない。この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  374. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は全国の府県につきましてそういう統計をとっております。これは市町村道もそうでございますが、都道府県道につきましても舗装率ひとつとってみましても全国の平均が四十三年末では大体三〇%から三一%くらいの想定をしております。島根県については平均より下がった約二〇%くらいの舗装率になっております。私こういう事実を見ますと——全国で特におくれている県が島根、それから鹿児島、福島あたりの県道の舗装率が非常に下がっております。こういうところにつきましては、四十四年度特に、一般の舗装事業また改良もそうでございますが、大幅に回していきたい。いままでどういうわけでこういう形になったのか、原因も調査してみないといけませんが、現在いえることはやはりかなり都道府県道の舗装率の高いところ——高いところといいますとこれは東海道の県でございますが、この辺はやはり地方単独が相当できたというような地方財政の状況も相当あると思います。島根の話だけを申し上げて恐縮でございますが、やはり財政の非常に貧弱な県はなかなか地方単独もできないということがこういう結果になったのではないか。その点は四十四年度以降できるだけ全部の平均に近づけるような特別の配慮をはかりたいと思っております。
  375. 神門至馬夫

    ○神門分科員 はかりたいということになりますと、一番おくれたところほど今後の改良率を進めるように投資額をふやしていく、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  376. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 特に島根県については舗装を大幅にふやしてまいりたい、かように考えております。
  377. 神門至馬夫

    ○神門分科員 改良率はどうですか。
  378. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 改良率ももちろんでございますが、ことしの地方道予算につきましては非常に舗装をふやしております。改良も当然必要なところはやっていかなければならないのでございますが、雪の降るところにつきましては、県道で舗装できるところを早くするということがまず必要ではないかと思います。もちろん必要な改良もするわけでございますが、舗装をかなり重点に四十四年度の地方道予算ではふやしておりますので、その中で後進といいますか、平均よりおくれている県の舗装に力を入れてまいりたいと思います。
  379. 神門至馬夫

    ○神門分科員 きょうの夕刊を見ますと、ちょうどこの一兆二百余億円の中で積極的にこの地方道の改良なり舗装をしていきたい、こういうふうにいっておいでになります。今後の問題になると思うのでありますが、この点について相当積極的に島根県あるいは島根県のような、類似県のおくれておりますところは行政投資がなされる、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  380. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 私そういう地方道の舗装につきまして、特にそういうおくれているところに投資をふやしてまいりたいということをお約束いたします。
  381. 神門至馬夫

    ○神門分科員 この前新聞に約四千キロ、六十本の主要地方道なり県道を国道昇格させたい、こういうことを建設省のほうで発表されたというふうに載っておりましたが、そういうようなお考えがありますか。
  382. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりましたこの点は、いわゆる一級国道昇格するという問題でございまして、いま各地から百六十八路線要望があるような次第でございます。したがいまして、これらの昇格については非常に重要な問題でもあり、多年の懸案でもございますので、建設省といたしましては道路法第五条に該当する諸条件の問題あるいは人口あるいは産業その他の問題等十分検討いたしまして、そして一級国道昇格という問題について十分ひとつあらゆる面から解明いたして検討いたしてまいりたい。したがいまして、いわゆるこの間の新聞に出ておりました六十本ということは、あの時点で単なる一つのばく然といいますか、まだほんとうの根拠をもって煮詰まった段階で申し上げた数字ではございませんので、大体私たちといたしましては非常に重要な問題でもございますので、あらゆる点からさっき申し上げました諸般の点を十分ひとつ資料に持ちながら、いま検討を続けているというような状況であります。
  383. 神門至馬夫

    ○神門分科員 その場合あらゆる産業等ということを特におっしゃいましたけれども、地建の幹部の方に話をしてみますと、投資効率、やはりこういうことを言われるのです。そこを改良してはたしてどのような利用効率があるか、こういうことをよく言われる。いま地方の県道なり市町村道の問題についてもやはり同じことが言われる。その効率論からいけば、どうしてもいまのような島根県あるいは鹿児島県あるいは東北の農山村県というものはおくれてしまうのです。それがやはりこの地域格差を拡大する要因になってくる。だから効率論というものは現在の社会においてはあるいは政治的観点においては考えなければならないことでしょうが、いま全国的に見て、平均よりか非常に下回ったところは、一級国道への格上げをしていくということを考えていただきたいと思うのです。たとえばいま島根県から出ております出雲−福山線、益田−広島線、大田−三次線あるいは湖北線というように、先日県に聞いてみますと、四つほど出ておるようなんです。そういう申請に対しまして、一つは、先ほど言いましたように非常におくれておる地域は優先的に、たとえば六十本ということになりますと、その指定を県に一つずつということでなしに、二本ぐらいはこの中で指定する、あるいは指定する場合にいろいろ政治的に動くようですね。県のほうでいろいろ考えて順番をきめて出します。それがある政治的な力によって逆転したり、こういうようなことがいろいろあって問題を起こすわけなんですが、こういうことがないよう、この二つ、特に重点的に配分してもらうこと、それから県が出した順位については最大限尊重してもらうということ、こういう点についてはいかがでしょうか。
  384. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました点、最も妥当な御意見でございます。私といたしましてはそうした考えのもとにあらゆる角度から慎重に、しかも公平に、その昇格の判断を下したい、こう思いますので、あまり急がずにやりたい、こう思っております。
  385. 神門至馬夫

    ○神門分科員 そのような観点からひとつやっていただくことと、もう一つは、私が当初申しましたように、この行管が指摘いたしております農山村の環境整備あるいは福祉対策としても道路の問題というのは非常に重要なものである。これがいわゆる過疎を促進しているんだというような書き方をこの中にしているわけです。その勧告に対して最善を尽くすと建設省答弁なさっておる。でありますから、いま過密、過疎という中で、需要に追随して道路行政がなされるとすると、ますますこの過密、過疎という人口偏在というものがまたもたらされることになる。ですから、この過密、過疎といういまの現象を解決するためにも、今後の道路問題道路行政については、たとえば四十四年度のそういうような国道昇格の問題あるいは地方道に対する行政道路投資の問題これらのすべてのものを具体的に今年度の予算の中でその誠意を見せる、事実をもって示す、こういうふうに約束をしていただくことができますか。
  386. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほどから道路局長が申し上げましたとおり、地方道の整備拡幅また農村の山村振興道路あるいは産業開発道路あるいは離島開発道路、これなどが私は過疎対策の一つの大きな対象としての生活圏の整備の網になる、こう考えておるような次第でございます。したがいまして私といたしましては、島根県の過疎地域状況、私も四、五回参っておりますので、十分認識もいたしておるつもりでございます。各地建もいろいろの立場から調査もいたしております。こういう立場に立って、私といたしましては、本年はどうしても道路中心に、中小河川を中心として、一定規模の都市を中心に置いて生活整備圏の整備をはかる、そして生活の魅力のある形成の場をつくってまいりたい、こう考えてまいりますときに、まだいろいろ調査中でございますから、まだ決定とかあるいは断定を下す場合ではございませんけれども島根県の益田とか浜田とかというような市を中心として、一つの大きなモデル的な想定も考えなければならぬのじゃないか、こういうような気持ちもいたしておりますが、これなどは、これから地建あるいは県あるいは本省で十分調査いたしまして、科学的なる検討の上に立って、こういうような生活圏の策定をいたして、それを一つの基本に置いて年次計画を打ち立てまして、わが国の均衡ある国土開発、地方の格差是正をやりたい、こう考えております。
  387. 神門至馬夫

    ○神門分科員 ぜひとも格差解消の目的と道路行政の面からも果たしていただくようにお願いをしておきたいと思います。  それからもう一つ、過疎対策として、特に早くから自治省でも建設省でも、政府行政機関がおっしゃっておるように、集落再編成のこと、このことについて、何かことしの予算の中には、地建単位ごとに一つのモデル地区をつくって再編基地をつくりたい、こういうふうな方針があるやに聞いておりますが、そのような方針はございますか。
  388. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました点が、私、先ほど申し上げました点でございます。まだ最終的な決定はいたしておりませんが、いろいろと八ブロックを調査いたしておるという段階でございます。そうした立場において考えると、私は私なりの想像をいたしまして、私なりの考えを申しますと、島根県等の地区は一つのりっぱなモデル地区として、過疎の激しい県でもございますから、十分考えてみたいという夢と構想を持っておるような次第であります。
  389. 神門至馬夫

    ○神門分科員 たいへん期待する答弁がございましてありがたいと思いますが、このごろ集落再編成というのは、過疎対策の問題で、自治体の市町村議会でもあるいは学識経験者でも非常に言っておるところなんですから、まず第一回の実施を、日本で一番人口減少がもたらされ、なおかつ、過疎問題が起きて困っておるこの島根県にぜひとも指定をしていただきたいと思います。それを期待してこの問題を終わりたいと思います。  もう一つ説明をお願いしたいと思うのは、斐伊川の治水の問題でございます。これはすでに建設省のほうから建設省の直轄河川に指定を受けまして、この分水問題というのはたいへんな島根県の重要な問題になっている。島根県の知事は田部さんというのですが、田部知事の最大の政治課題となっているわけなんです。  ちょっとこの内容を申し上げますと、明治二十六年ですか、明治時代に三千六百トンの洪水があった。いまの斐伊川そのものは二千六百トンを計画水量にしている、こういうことでありますから、過去の実績があるとおり、このような洪水があったとするならばたいへんなことになります。それでなくても慢性的にいま宍道湖の約一メートル程度の増水によって冠水被害、松江市なり米子市等がいろいろと被害を起こしておるところなんです。ですから、下流からいけば早くこの治水対策をしてもらわなければならないし、出雲市といたしましても、約十メートル近く天井になっているわけですね。早くしなければならぬという緊急性がある。ところが、これを分水をするとしますと——いま話に出ておりますのは神戸川が考えられておるようであります。地元の約二千名の農民がむしろ旗を立ててこれに抗議をする、こういうような状態であります。でありますが、この治水対策と、そして地元の反対という非常に相対立する問題が起きておるのですが、直轄河川として直接この事業主体である、計画主体である建設省としては、どのようにこの問題をお考えになっているのか、お答え願いたいと思います。
  390. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先生指摘のように、河川の計画の規模は、明治二十六年の洪水を対象といたしまして三千六百ということになっております。しかし河川改修工事進捗しておるわけでありまして、現状においては約二千八百ということでございます。しかし、最近の三十年間の資料を見てみましても、二千四、五百の水が出たのは二回ばかりございますが、あの地方は幸いに雨が少ないといいますか、その後の出水の状況は比較的低いということで助かっておるわけでございますが、計画の規模としては三千六百と見ておりますので、私どもとしてはほぼ十分じゃないかと考えておりますが、先ほど先生の御指摘のように、河床が非常に上昇するという傾向がございまして、その辺に被害があるわけでございます。  それからもう一つは、先生承知のように中海、宍道湖、特に宍道湖畔の出水、浸水という問題が起きておりまして、松江市等が浸水するという事態が再々起きておりますので、私どもといたしましては、この中海、宍道湖全体を含めた水系の全体計画というものをいま検討中でございます。その一環といたしまして神戸川の分水問題もあるわけでございまして、その辺を含めて地元のいろいろな情勢等も見きわめながら、地元の意向というものもひとつ参考といいますか、配慮いたしながら、慎重に検討を進めてまいりたいというふうに思うわけであります。
  391. 神門至馬夫

    ○神門分科員 時間が来たようでありますが、その斐伊川の治水の問題は、先ほど申しますように、いま田部知事としても最大の問題としてこの問題には、両方の利害が対立しておりますから、悩んでおります。そういう点において十分配慮していただいて、早く納得する治水計画が実現しますように要望して、質問を終わります。どうもおそくまですみませんでした。
  392. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 以上をもちまして、本分科会所属の運輸省所管、郵政省所管及び建設省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  393. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 この際、お諮かりいたします。  昭和四十四年度一般会計予算及び昭和四十四年度特別会計予算中、運輸省郵政省及び建設省所管並びに昭和四十四年度政府関係機関予算中、日本国有鉄道及び日本電信電話公社関係に対する討論採決は、先例によりまして、予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  394. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  分科員各位、特に久保分科員には連日長時間にわたり御協力を賜わり、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。  これにて第五分科会を散会いたします。午後七時三十九分散会