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1969-02-27 第61回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十七日(木曜日)     午前十時四分開議  出席分科員    主査 野原 正勝君       仮谷 忠男君    田中 龍夫君       塚原 俊郎君    松野 頼三君       久保 三郎君    田邊  誠君       楯 兼次郎君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       岡本 富夫君    小濱 新次君    兼務 北山 愛郎君 兼務 柴田 健治君    兼務 高田 富之君 兼務 野間千代三君    兼務 山口 鶴男君 兼務 稲富 稜人君    兼務 折小野良一君 兼務 松本 忠助君  出席国務大臣         建 設 大 臣 坪川 信三君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         農林政務次官  小沢 辰男君         建設政務次官  渡辺 栄一君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設大臣官房会         計課長     粟屋 敏信君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 大津留 温君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         林野庁林政部長 大山 一生君         建設省計画局宅         地部長     播磨 雅雄君         建設省住宅局日         本住宅公団首席         監理官     野崎 清敏君     ————————————— 二月二十七日  分科員久保三郎君、楯兼次郎君及び石田幸四郎  君委員辞任につき、その補欠として田邊誠君、  堀昌雄君及び山田太郎君が委員長指名分科  員に選任された。 同日  分科員田邊誠君、堀昌雄君及び山田太郎委員  辞任につき、その補欠として広沢賢一君、楯兼  次郎君及び小濱新次君が委員長指名分科員  に選任された。 同日  分科員広沢賢一君及び小濱新次委員辞任につ  き、その補欠として広瀬秀吉君及び石田幸四郎  君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員広瀬秀吉君及び石田幸四郎委員辞任に  つき、その補欠として久保三郎君及び岡本富夫  君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員岡本富夫委員辞任につき、その補欠と  して石田幸四郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  第二分科員北山愛郎君、稲富稜人君折小野良  一君、第三分科員柴田健治君、松本忠助君、第  四分科員高田富之君、野間千代三君及び山口鶴  男君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度一般会計予算建設省所管  昭和四十四年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原主査 これより予算委員会第五分科会を開きます。  昭和四十四年度一般会計予算及び昭和四十四年度特別会計予算建設省所管を議題といたします。  まず説明を聴取いたします。坪川建設大臣
  3. 坪川信三

    坪川国務大臣 建設省関係昭和四十四年度歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、総額について申しますと、建設省所管一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は三十四億四千九百余万円、歳出は七千五百八十億八千七百余百円であります。  歳出におきましては、このほか他省との共管による特定国有財産整備特別会計に計上されている額五億八千三百余万円と、さらに、総理府及び労働省の所管予算として計上されておりますが、実質上建設省所管事業として実施される予定の経費がありますので、これらを合わせますと、昭和四十四年度の建設省関係予算は、八千六百七十三億五千八百余万円となり、前年度の予算に比べ九百七十五億七千四百余万円の増加となっております。  なお、国庫債務負担行為として、官庁営繕に六十七億五千六百万円、公営住宅建設事業費補助に四十億九千九百余万円、住宅地区改良事業費補助に二十五億三千四百余万円、河川等災害復旧事業費補助に七十億三千万円を予定いたしております。  次に特別会計の概略を申し上げます。  まず、道路整備特別会計予算総額は、歳入歳出とも五千五百三十五億余万円で、前年度の予算に比べ七百三十九億九千五百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ四千九百三十三億七千三百余万円、地方公共団体工事費負担金収入四百二十一億二千七百万円、前年度剰余金受け入れ十二億円を予定いたしております。  なお、国庫債務負担行為として四百億二千六百万円を予定いたしております。  次に治水特別会計でありますが、本特別会計予算総額は、歳入歳出とも一千九百四十七億六千七百余万円で、前年度の予算に比べ二百四十六億七千百余万円の増となっております。  これを勘定別に分けますと、治水勘定につきましては、総額一千七百十五億八千三百余万円で、前年度の予算に比べ二百三十八億五千二百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ一千四百四十五億二千五百余万円、地方公共団体工事費負担金収入百八十三億一千九百余万円、前年度剰余金受け入れ六億五千万円を予定いたしております。  また、特定多目的ダム建設工事勘定につきましては、総額二百三十一億八千三百余万円で、前年度の予算に比べ八億一千九百万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ百四十九億九千九百余万円、地方公共団体工事費負担金収入二十九億七千二百余万円、電気事業者等工事費負担金収入三十九億四千百余万円、前年度剰余金受け入れ六千百万円を予定いたしております。  なお、国庫債務負担行為として百八十三億二千九百万円を予定しております。  次に都市開発資金融通特別会計でありますが、本特別会計予算総額は、歳入歳出とも七十七億六千五百余万円で、前年度の予算に比べ二十八億六千八百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ五億円、資金運用部資金からの借入金六十五億円を予定いたしております。  建設省といたしましては、この予算により、住宅都市河川道路等に関する各般の施策を推進して立ちおくれた社会資本を充実強化するとともに、適切な地価対策を実施して、国民経済の発展と国民生活安定向上をはかり、住みよい国土建設に努力する所存であります。  建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十四年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 野原正勝

    野原主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  5. 野原正勝

    野原主査 質疑に先立ち念のため申し上げます。  質疑者が多数おられますので、持ち時間は、慣例によりまして、一応本務員は一時間、兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分にしていただきたいと存じますので、御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔に行なわれますようお願いいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。楯兼次郎君。
  6. 楯兼次郎

    楯分科員 私は、国道高速自動車道のことをなるべく短時間でひとつお聞きしたいと思います。  高速自動車国道年次計画があると思うのですが、ごく簡単に年次計画建設資金をひとつ御説明願いたいと思います。
  7. 坪川信三

    坪川国務大臣 楯委員承知のとおりに、昭和三十二年に高速道路法を制定いたしまして以来、現在におきましては、幹線五道を含めまして三十二路線、約七千六百キロに及んでおるのでございます。そのうち東名高速道路及び中央道富士吉田線の一部約四百八十八キロについては、もう御承知のとおりの供用を見ておりますが、本年の五月に至りまして東名高速道路全線開通が見込まれておりますので、約六百二十一キロ間が完成する予定であります。この路線のほかに東北縦貫自動車道を含めまして二千九百九十キロメートルの区間については基本計画を定めておりますとともに、残りの千九百六十キロメートルにつきましては整備計画が完了いたしておるような次第でありますとともに、本年の高速自動車道を含めましての予算につきましては、全部で九百五十億円を充当する計画になっていることを御報告いたします。
  8. 楯兼次郎

    楯分科員 われわれ十数年前から中央自動車道の推進をやっておったわけですが、最近ではこの建設工事が東名その他と比べますとだいぶおくれておるようであります。私どもが提案した国土開発縦貫自動車道法では、中央道をバックボーン、背骨と考えてやりたわけでありますが、最近ではだいぶ変形をしてきたわけでありますけれども、この中央自動車道建設計画をどのように計画されておるかお伺いをしたいと思います。
  9. 坪川信三

    坪川国務大臣 楯委員御指摘の中央道のウエートは、日本国土開発幹線道路としては非常に重要な路線でございます。したがいまして、御承知のとおりに東京都と西宮を結ぶ西宮線、それから大月市において分かれまして富士吉田と結ぶところの富士吉田線及び諏訪市付近から松本付近を経由して長野市を結ぶ三本の路線でございます。そのうち小牧西宮間約百九十キロメートルは、名神高速道路としてすでに供用中であり、東京富士吉田間は昭和三十七年以来工事が進められまして、現在調布富士吉田間八十六キロメートルが三月中に完成を見込んでおるような次第であります。上記の区間を除く大月市と小牧市の間はすでに全線基本計画を定めておりますが、このうち甲府市並びに山梨県の勝沼町の一部を除く二百五十六キロメートルの区間については整備計画が策定しており、さらにそのうち甲府小牧間約二百三十四キロについては昭和四十一年七月以来工事中であり、一月現在百七十五キロの区間路線発表を終えまして、百十七キロ区間の中心くいの設置並びに十四キロの区間幅ぐい設置を終了いたしており、この区間については昭和四十九年度完成を見込んでおるような次第でありますとともに、長野線については昭和四十一年七月に国土開発幹線自動車道予定路線となったものであって、目下調査を実施いたしておるような次第であります。
  10. 楯兼次郎

    楯分科員 大臣、非常に親切に答弁されるのですが一ぺんに覚え切れないわけです。私は大臣のいまの答弁から、東京富士吉田間は大体ことし一ぱいぐらいに建設計画完成見通しがついてきた、それから小牧から中津川、長野県の飯田ぐらいまでは四十九年ですか、あとはその後引き続いて建設をする、こういうようにざっくばらんに言うと受け取れるわけですが、間違いないですか。
  11. 坪川信三

    坪川国務大臣 そのとおりでございます。
  12. 楯兼次郎

    楯分科員 これは八王子調布間が四車線で、その以西といいますかは二車線でしたかね。八王子富士吉田間の高速道路接点はどこでしたね。四車線から二車線に移るところがあったでしょう。どこですか。
  13. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 八王子でございます。
  14. 楯兼次郎

    楯分科員 そこで、開通をした当時、四車線から二車線に入った場合には、道路幅が半分になるので自動車の運転上非常に事故が多くなるじゃないかというので相当新聞あたりでいわれておったわけです。その後交通傷害の面から見てどのような状態か御説明願いたいと思います。
  15. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 私いままで聞いておりますのは、開通当時、いろいろ二車線交通事故が多いじゃないか、ことに中央分離帯がございませんですから対向車の衝突があるのじゃないかというようなおそれを相当聞きまして、いろいろ二車線高速道路としてのPRを新聞にもいたしてもらいました。その後の状況は、対向車が正面衝突するというようなことはまだ一件もございません。幸い死者もございませんで、非常に事故率は少なくなっております。これはやはり利用者が相当注意して走ってもらっているせいだというふうに考えております。
  16. 楯兼次郎

    楯分科員 そうすると、四車線から二車線に入る、これはあぶないというマスコミ等宣伝等がきいてドライバー自体が注意して走るので事故が少い、こういうふうですか。あなたのほうで、四車線から半分になる、特に分離帯がない、対向の場合はあぶないというので、監視員を置くとか整理するとか、そういうことをやってみえないわけですか。
  17. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 特に監視員を置くということをしておりませんが、やはり危険なところの速度を六十キロに落とすなり、また追い越しはここはいけないというような追い越しの規制の場所をつくっております。と申しますのは、やはりかなり見通しの悪いところにおいての追い越しは非常に事故のもとになりますから、そういうところの追い越しを規制するというような措置をとっております。
  18. 楯兼次郎

    楯分科員 特別な手は打っておらないようですが、四車線交通量と二車線交通量、おそらくあそこにインターチェンジか何かあるわけでしょう。両数はどのくらいですか。四車線の場合は何両ぐらいで、二車線で直通で入るのと行くのと出入りは何両ぐらいですか。わからぬですか。概算でいいですよ。
  19. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ちょっと資料がございませんので私概算のところを言いますと、大体調布から八王子までは一万台以上の車が通っておる。現在八王子から相模湖まで開通しておりますが、その間につきましては日曜なんかは大体八千台から九千台くらいになります。平均いたしますと大体六千台くらいというように聞いております。
  20. 楯兼次郎

    楯分科員 四車線から二車線になって、われわれも新聞等を読んで、現地へ行っておらないが、ほんとうにえらいこっちゃという感じを受けたわけですよ。しかし、まあここでお聞きして、そういう面におけるさしたる事故はないといえば、これは幸いですが、しかしほうっちゃおけぬと思うのですね。それでこういうことに関連をして、いまこれから建設しようとしております小牧中津川ないし飯田間、四十九年までかかるという小牧中津川ないし飯田間では二車線計画ですね。あの整備計画までは私は審議会委員をやっておったんですが、整備計画をやってからやめたからその後の動きを知らないわけですが、当時はたしか二車線計画だったと思うのです。どうせ数年たてば利用台数がふえるんだから四車線建設をしてくれぬか、こういう声が現地では圧倒的なんです。用地買収その他むずかしい点はありますが、非常に強いわけですよ。そういうふうにはなかなかなりませんか。
  21. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは先生もよく御承知のように、高速道路ほんとう高速で走るということになりますと、いわゆる中央分離帯を持った四車線が必要かと思います。いまの中央道計画につきましては、将来は交通の需要も相当あることだし、四車線にする計画用地をまず四車線買いまして、そのうち、いろいろ建設費都合等もございますので、まず二車線だけを早く通して、それからあと車線に拡幅していきたいというふうに考えております。
  22. 楯兼次郎

    楯分科員 しかし、恵那山トンネルその他の隧道では二車線じゃないですか。将来ともそんなようになっていないと聞くんですがね。計画隧道以外は全部四車線ですか。
  23. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 恵那山隧道におきましても将来交通量がふえましたら四車線にすべきだと思います。ただその場合に、やはり四車線の断面のトンネルを掘るということは非常に幅が広くなりますので、四車線になりましても、上り線車線と別にまた下り線車線トンネルをつくるということになりますので、いまつくっております二車線トンネルは四車線にするときに当然有効に使えるものだというふうに考えております。
  24. 楯兼次郎

    楯分科員 そうすると、隧道以外用地は四車線分を買収しておく、そうして二車線建設をやる。隧道については二車線を掘って、四車線になった場合にはもう一本トンネルを掘る、こういう理解のしかたでいいですか。
  25. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 そういうことでございます。
  26. 楯兼次郎

    楯分科員 そういうことならば、あとの二車線建設は、用地だけ獲得しておけば早いと思うのでよろしいと思います。  それから次はインターチェンジの問題ですが、当初われわれが基本計画をやるときには、短くてたしか十キロですか、インターチェンジは。たとえば中央道でいくと、飯田から中津川へ出てくるのに一つ、それから多治見一つ、このくらいの計画でしたね。大体十キロメートルじゃないか、もう少しでしたか。ところによって違うでしょうけれども、相当長距離を見ておったわけです。ところが最近は各市にインターチェンジができておるわけですが、これはだいぶ方針が変わってきたわけですか、どういうわけですか。
  27. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 特にその点の方針は変わっておるところはないと思います。私たちやはり幹線自動車道計画をしてまいります場合に、幹線自動車道七千六百キロといいましても、その中でこういう中央道、まあ東北道中国道もそうでございますが、やはり七千六百キロのうちのさらに幹線的な位置づけになる高速道路だと思います。それから中国道でも東北道でも横断道路ができております。これは明らかにいまの縦貫自動車道を培養するような、いってみれば高速道路支線だと思います。こういう支線の場合は高速道路の延長も比較的少ないのでございまして、支線については比較的地元開発のために、また利用を促進するという意味でインターチェンジ距離間隔を縮めてまいりたい。しかし、幹線縦貫自動車道については、やはり相当速く走るということを主体として考えますと、やはりインターチェンジ間隔をあまり詰めますと、そこで速度障害が起こりますので、いまのところやはり十キロから二十キロ程度の間にしてまいりたいというふうに考えております。土地関係でなかなか同じような間隔につくれない状況でございますが、いまの中央道岐阜県内につきましては、小牧のインターから分かれまして多治見、この間が約十二キロくらいでございます。多治見からその次の瑞浪間が十三・五キロくらい。瑞浪から恵那インターチェンジまで十八キロ三百程度でございます。それから恵那から中津川までが約九・四キロくらいということになっております。ただ、中津川から飯田まで、これは恵那山トンネルがございまして、これは三十七キロと非常に長いわけであります。
  28. 楯兼次郎

    楯分科員 先ほどちょっと聞き漏らしましたが、二車線、四車線建設省基準というものはありますか。大体台数がこのくらい見込まれる、あるいはこのくらいある、だから四車線だ、二車線だという基準があったらちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  29. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在私たち考えておりますのは、供用開始して五年くらいの間に一万台をこえないようなところについては、とりあえず二車線建設をしてまいりたい、かように思っております。
  30. 楯兼次郎

    楯分科員 一万台が大体境になって二車線、四車線だ、いろいろ事情はあると思いますが、台数のほうからいえば大体そういうふうに理解をしておいてよろしい、こういうことなんですね。  それから話がまた戻りますが、このインターチェンジなんですが、最近あなたのほうへも盛んに陳情がいっていると思うのですが、土岐市で、おれのところを忘れていくことはけしからぬ、こういう陳情、要請が非常に強いと思うんです、われわれのところへも来ておりますからね。いまの距離でいくと大体十キロ以上でなかなかうまくいっていると思います。ところが中央道計画をした当時と多少情勢が変わっていますね。たとえば十九号が改修になって、それから二十一号線ですかが土岐あたりから出ておるわけですね。そうすると常識的に考えるとむしろほかの地区より十九号、二十一号が交差する土岐市か瑞浪市か、場所は知りませんけれども、あの付近インターチェンジがあってしかるべきだ。距離は一応たな上げにして考えますとそれが常識的な考え方になる、こう私は思うのです。当時はわれわれも聞き流しておったのですが、二十一号線は建設省の方は計画があったから御承知だと思うのですが、われわれは二十一号線がああいう形であんなに早くあの場所で十九号の国道から分岐していくということは考えなかったわけです。ところが二十一号ができ上がった現在を見ると、あの分岐点インターチェンジがないということは非常におかしいじゃないか、こういう感じがするのですが、どうですか。
  31. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、二十一号の分岐点、また岐阜県の中央道の沿線には多治見土岐瑞浪恵那中津川という市が並んでおります。どうも結果的に見ますと、いまの多治見瑞浪恵那中津川と四市にインターチェンジができまして、土岐だけはできないということで、土岐につくってくれという要望を私たち聞いております。ただ、いま多治見瑞浪間は十三・三キロでございますから、どうもこの間にもう一つつくるというようなこと、これは距離的に一つの問題があるかと思います。それからもう一つ考えは、現在すでにこういう土地につきましてはみなバイパスをやっております。国道十九号のほうでこういう連絡道路を強化しております。そういうものを強化すれば土岐になくても中央道を使うのにそう不便は感じないのじゃないかという考えもございまして、また地元考えもございますので、いろいろ検討しておりますが、どうもやはり十九号を強化して連絡をとるというようなことのほうがいいのじゃないかというふうな気がしておる次第であります。
  32. 楯兼次郎

    楯分科員 いま局長の言われることは理屈に合っているとは思うのです。しかし、現状でいまインターチェンジを設定するということになると、やはり十九号と二十一号のあの接点インターチェンジをつくるのが常識であり、効果的であり、当然だと思うのです。これは距離の問題は別ですよ。ところが当時はわれわれもそういうことは想定をしなかった。最近になってあれができてしまったので、おかしなことなんですけれども総理大臣のことばじゃありませんが、全く白紙中央道をつくってインターチェンジをどこへ置くといったら、おそらく私は中津より多治見より十九号と二十一号の接点考えるのが、これは常識だと思うのです。そういう点から、距離は短いけれども、いやもっともじゃないか、こういう気がするわけです。それで私どもがあの法案をつくった当時には、御承知のように中津川、多治見しかなかったわけです。だから中津川と多治見しかインターチェンジがないということならば別ですよ。別ですけれども、その後われわれ知らないうちに——われわれ知らなくてもいいのですが、知らないうちに、いやここもあそこもというように全部できちゃったわけでしょう。そういう経過から見ると、十九号と二十一号の国道のあの接点距離は別としてつくったっていいじゃないか。駅だとかああいうものは、おかしな話だけれども多少アクセサリー的なあれもあるのですね。しかも二つの相当利用率の多い国道が交差するという点からいけば、白紙の場合ならば最も有力な設置地点だというふうに私には考えられるのですが、どうですか。
  33. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いま先生のおっしゃったこと、私もそういう考えは十分あり得ると思っております。ただ、これはどういうものでしょうか、幹線自動車道、これだけが国のほんとう自動車道というように考えることもないのではないか。やはり現在の国道の中で交通量が非常に多いものは四車線専用道路をつくるというようなことも、これから考えてまいりたいというふうに思っておりますので、どうもそういうような幹線自動車道とその取りつきます幹線国道と、こういうものをやはりコンビネーションで一つのネットワークをつくっていくべきじゃないか。そういうことから考えますと、やはり最終的には中央道の、いかに高速性を維持するかということが一番問題になりまして、その他の地元のいろいろの御不満なり御不便の点は、その他の道路を相当程度よくしても、十分中央道利用に差しつかえないようなことにすべきじゃないかというような考えを持っているのですが、私たちも、将来の十年、二十年の先のことまでなかなかできませんが、いまさしあたりはそういうことにしたいというような考えでございまして、将来の問題としてはやはり検討に値する問題だと思っております。
  34. 楯兼次郎

    楯分科員 まあ、私が質問する立場を考えての答弁だと思うのです。しかし、すでに十三キロなり十五キロできまっちゃっているものですから、あなたはそういうぐあいに説明されるが、白紙常識的に考えたら、それは国道の交差する場所インターチェンジをつくらずして、どこにつくるのか、こういう議論になるだろうと思うのです。何も十キロ離れたところへインターチェンジをつくったって、国道も舗装してあるし、りっぱですからね、同じことじゃないか。ただ速度が百キロ、八十キロから六十キロに落ちるだけじゃないかという話なんですね。しかし、白紙の場合で、これからどうしようというところで考えれば、三十何キロの、隧道でできた——隧道そのものは八キロですが、飯田から三十何キロ来た中津川と、十九号と国道の分岐する場所考えるのが普通だと思うのです。これはあとからできたからいかぬのですね。すでにもう各町村にインターチェンジをつくって、そのあとに二十一号が、どういうわけか知らぬがぱっと早くできた。早くといいますか、りっぱなものができたから、どうも前にきめたところを動かすのはぐあいが悪いということだろうと思うのですがね。しかし、インターチェンジそのものの常識的な考えでいけば、それは国道の分岐する個所につくるのが当然だと思う。  それから、いまのあなたの答弁でどうもひっかかる点があるのです。速度速度とおっしゃるが、四車線で、片方一方通行の二車線ですが、そんな速度なんか私は影響ないと思うのですがね。どうせインターチェンジに入るものは緩速度の外側から入るのだから、そうストップだとか速度がものすごく規制されるなんということは考えられぬのですが、こういう点どうですか。あなたは速度速度と、インターチェンジにするとえらい速度が落ちて困るということを言われるのですが……。
  35. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 速度の問題は少し言い過ぎたかもしれませんが、インターチェンジから入る場合、やはりある速度を保つための側線がありまして、それから本線に入るわけであります。ああいうものがありますと、やはり多少そういうのが本線のものに影響されるということだと思います。この問題は、いま先生のおっしゃったこともございますし、当然理屈があることでございますし、また高速道路につきましては、これ以外のものにつきましても、たとえばいまの名神、東名についても、その後の地域の開発から見ますと、さらにインターチェンジをふやしてくれというような要望もあり、また私たち見ても、当時は考えてもいなかったところに、たとえばトラックのターミナルなんかができるというようなこともございまして、そういうようなことで、一回きめたからもう将来直らないのだということにわれわれ考えたくないと思います。やはりそのつどそのつど、周辺の状況の変化によってこういうものは再検討していくものだというように考えております。
  36. 楯兼次郎

    楯分科員 それはわかりますよ、あなたの立場はよくわかるのですが、常識的に考えれば、あの場所インターチェンジをつくって——いままで設置して、おまえのところのものをこっちに持ってくるぞということはなかなかできぬと思うのですがね。けれども、そうであるからここにはつくれぬという議論もまたおかしいと思うのです。もう十年、十五年、計画から完成まで二十年もたちますと、その間、ほかの環境から情勢が変わってくると思うのですよ。だからそういう点も入れて、別にここで、ここにつくってやろうと確約しろ、そういうことは考えていないのですが、実情からいって不自然じゃないか、こういうことを言っておるわけです。これは将来検討しておいてもらいたいと思います。  それから今度は国道の問題でちょっとお聞きしたいと思いますが、この間新聞を見ると、坪川建設大臣が本年中ですか、約六十路線国道に昇格をする。これは、数年道路審議会が行なわれておりませんので、相当国道昇格を待望している声が全国的に強いと思うのです。そこで、これは新聞記事でありますが、六十路線国道に本年六月ごろには昇格指定をする、こういう記事を読んだのでありますが、このとおりに受け取っておいていいですか。
  37. 坪川信三

    坪川国務大臣 楯委員承知のとおりに、国道の昇格は各地から非常に多く要望されておるのは御案内のとおりでございます。全国で大体百八十六路線、総延長一万四千百五十一キロの要望キロ数でございます。これにつきましては、道路法第五条の問題もあり、また土地の客観的な周囲状況等も——人口の度合い、あるいは産業の経済効果、これなども十分勘案しまして、その百八十六の路線の中から選びたい、こう思って目下検討をいたしておる最中でございます。
  38. 楯兼次郎

    楯分科員 そうすると、六十路線六月ごろに昇格決定というのは、こちらがあまり早く喜び過ぎですか。
  39. 坪川信三

    坪川国務大臣 具体的な的確な路線の数字については、私は、やはり正確を期したいという意味で、これらの条件を十分そんたくいたしながら公正に検討せよということで事務当局に命じておりますので、いま直ちに何路線ということを的確に表明申し上げる段階には、まだ立ち至っていないのでございますが、先般の委員会において、いまの数字の出ておることをばく然とした気持ちで申し上げたという程度でございます。
  40. 楯兼次郎

    楯分科員 前回の決定が三十七年でしたかね、もう五年以上もたっておるのですから、まあ大臣はそう言わざるを得ないと思うのですが、これから検討も何もないと思うのです。わかっておることを再調査するくらいのところへいっておると思う。こういう新聞記事を見て、われわれ非常に喜んだわけです。実は私の選挙区岐阜県にも、私の付近にも二つばかりそういう地区がありまして、一つは全く問題にならぬわけです。問題にならぬというのは、両端が、ほかの路線もありますが、りっぱに直りつつあり、国道に昇格しておるわけですが、中津川から下呂というまん中だけ、これは二百五十七号ですか、ではないか知りませんが、その一部分だけが、五十キロくらいが村道くらいでほうっておかれておるわけです。だからこんなのは私は問題にならぬと思うのですが、こういう場合は——ここで国道に昇格してあげますよ、なりますよとは言えぬだろうと思う、言えぬだろうと思うが、両端がりっぱに国道になっておって、まん中だけが同じ名前のついた路線で五十キロくらいが村道では、これはちょっとひどいと思うのですが、こういう場合はどうですか。
  41. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまの先生のお話は、国道昇格を要望されております浜松−高山線のことだと思います。御承知のように二百五十七号は、恵那−浜松ということで、浜松から北に上りまして恵那にとまっておる。さらにこれを下呂までつけて高山に通ずるというようなことで、この要望の路線については前からよく話を聞いております。現在のところ、岐阜県では六路線要望路線がございます。その中でことに優先度の高いものではないかというふうに考えております。いま慎重に検討しております。これもできるだけ早いうちに、大臣の趣旨もございましたので、きめていきたいと考えております。
  42. 楯兼次郎

    楯分科員 中津川−下呂も同じ二百五十七というか、同一路線です。これは地方道か何か知りませんけれども、同じですね。そういうことであるとするならば、ぜひひとつ考慮していただきたい。どうも両端がりっぱでまん中が村道並みでは、トラックが同じ道路を走って、ものすごいスピードで来たらどこか落ちてしまいますよ。さっきの四車線、二車線と同じことじゃないかと思います。  もう一本、名古屋から岩村へ出て、それから岩村−中津川線というので、旧中馬線というのですか、そういうのがありますね。これも中途はんぱで困っております。というのは、道路でいくと、十九号から離れておりまして、同じような土地柄というか、状態で道路の改修によって相当発展するところなんです。道路国道にも昇格せずにそのまま。鉄道も御案内だと思いますが、明知線も中馬線の入り口まで行ってまん中まで行かない。三分の一くらいまで行って、いまやめくるとかなんとか言っておる。だから中途はんぱです。だから地元のほうは、ぜひ国道に昇格してもらう。そうして資源があり、工場は中央線、十九号の沿線よりたくさんあるくらいです。あの地区多治見の陶器の材料を掘り出す。だからぜひ国道にしてもらって地域開発をはかりたい、発展をはかりたいという希望が強いし、われわれが考えても、何だか鉄道のほうもやるがごとくやらざるがごとく、道路のほうも瑞浪のほうの十九号から分かれて入るところは非常にりっぱになっておるけれども、中馬線本体は改修がおくれておるということで、手足ばかり大きくなって頭と胴体は骨と皮ばかりというような状態になっておるわけです。ミイラのような状態でありますので、この点もお考えを願いたいと思います。  それから百八十六路線、一万四千百五十一キロの中から指定していく、こういうことを言われますが、参考に聞いておきたいと思います。いまの国道の線別の数とキロ数をちょっと聞かしていただきたいと思います。
  43. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在国道としてありますのは、元の一級国道、二級国道はなくなりましたが、便宜上区別いたしますと、元の一級国道が五十七本ございます。元の二級国道が百六十五本ございます。これを全部合わせまして、延長としては約二万七千キロが国道の延長になっております。
  44. 楯兼次郎

    楯分科員 この二万七千キロの改修、舗装率は、全部完成していますか。
  45. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 この二万七千キロにつきましては、元の一級国道につきましては、四十三号線までは改良舗装がほとんど終わっております。そのあと三十七年に一級国道になりました四十四号から五十七号線まで、これにつきましては大体四十五年くらいに完成する、あるいは非常に事業量の多いところは四十六年くらいになろうかと思います。そのほかのもとの二級国道百六十五本の国道につきましては、大体四十七年に概成約九〇%くらいいくのではないかと思いますが、やはり全線一〇〇%いくのにはもう一、二年はかかるような状況でございます。
  46. 楯兼次郎

    楯分科員 これで質問はやめます。ありがとうございました。
  47. 野原正勝

  48. 久保三郎

    久保分科員 それじゃ私も総括質問のときに時間がなくて残しましたので、多少お伺いしたいと思います。  まず第一に、道路の原単位と自動車というか——原単位は、もちろん自動車ですが、将来の展望についてお伺いしたいと思います。かなり意欲的に道路建設というか整備はしているわけなんでありますが、それにもかかわらずというか、それ以上に道路というか自動車の使用が多くなってきているわけであります。これは建設省のほうで計算された道路の原単位から見ましても、交通事故との関係昭和三十三年からのものをひとつとってみますと、三十三年の原単位は百二十六であります。それで四十三年は四十二に落ちているわけであります。そこで交通事故はどうかというと、三十三年を一〇〇とした場合に、死者の数は四十三年で一七三%、それから負傷者は三十三年を一〇〇として四十三年は四四七というふうになっているわけです。結局これは将来の展望として、このままいくならば残念ながらこの逆比例は幾何級数的というか、そういうふうにふえていくだろうということになります。  そこで特に道路を担当されている建設省として、これからの自動車の使用ということと道路の整備について、いま申し上げた数字に関連してどのような展望を持って整備計画を進めておられるのか、これは建設大臣からお伺いしたほうがいいと思うのです。
  49. 坪川信三

    坪川国務大臣 ただいま御指摘になりました点、非常に重要な問題でございます。御高承のとおりに、三十五年におきましての自動車は大体二百万台だったと思います。それが昭和四十三年にはその自動車交通量が千二百万台に急増しておる。この状況におきますと、大体六十年度におけるところの自動車交通量の想像されますところは、約三千五百万台に及ぶと推定いたしております。この基礎の上に立って自動車事故あるいは交通安全等を考えまして、道路網の整備計画というものを建設省は立てておりますので、高速自動車道路の三十二路線の七千五百キロメートル並びに地方道を含めますと、約四十万キロの道路の整備に当たらなければならぬ。これを基礎に踏まえまして、いわゆる今後の歩道等も含めまして、御承知のとおりに歩道におきましては約一万二千九百キロメートルを予定いたしておりますが、新たなる交通安全対策三カ年計画におきましては、四十四年度には一千七百キロで、三カ年で少なくとも四千五百キロの歩道の整備等もいたしたい。これが現時点における道路網及び交通対策としまして、交通安全対策を含めましての展望また計画であることを御了承願いたいと思います。
  50. 久保三郎

    久保分科員 歩行者の安全の問題については後ほどまたお伺いしたいと思うのでありますが、いま特にお伺いしたいのは、さっき申し上げたように、このままで推移するならば、建設省というか国あるいは地方自治体を含めての道路整備にもかかわらず、原単位は低くなっていくだろう。いまお話しのように四十万キロを整備していかれるということでありますから、それはそれなりにけっこうなんでありますが、そうなった場合の原単位はどの程度になるのか、これはおわかりでしたらちょっと……。
  51. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生の御指摘にありましたように原単位がだんだん下がっております。四十四年度の推定が三十七万ということで、われわれいま昭和六十年に三千五百万台の車を予想いたしまして、それに対するいろいろの道路投資をはじいております。それで見ますと大体百四万ぐらいになる予定でございます。
  52. 久保三郎

    久保分科員 そんなに原単位が上がりますか。いまあなたが持っている資料とぼくの資料と同じだと思うのですが、御計算になったのは四十四年で三十七であります。先ほど申し上げたように十年前の三十三年が百二十六、それがいま申し上げたようにたった三十七に下がっている。これから一生懸命に精を出しておやりになって、原単位が四十六年ですか、百四になるというのですが、そんなになりますか。
  53. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 私百四万と申し上げましたのは昭和六十年時点でございます。
  54. 久保三郎

    久保分科員 六十年に百四万という計算、そうしますとだんだん回復するというお見通しでございますか。
  55. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 はい。
  56. 久保三郎

    久保分科員 自動車の生産はそれに間違いないのでしょうか。見込みはいかがですか。
  57. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 昭和六十年度の自動車保有台数三千五百万台という数字も、いろいろ関係の通産省、自動車工業会その他と打ち合わせてつくっておりますが、どうもこの数字より多目の数字が出る、そういうような説をなす人が多いように思います。三千五百万台の建設省の推測というのは、その辺ではかなりかたいところの数字ではないかというふうに考えております。
  58. 久保三郎

    久保分科員 そういう楽観的な数字なら多少いいのでありますが、それにしても百四ですね。そうしますと事故のほうは、いまの道路のいわゆる改良整備の方向というか、それからいくとやはり交通事故による死傷者の数は、残念ながらかなりふえていくという傾向にあると思うのですね。この道路の整備のことも最近やや反省をされておられるようでございますが、法律一つとりましても、いまの五カ年計画の言うなら親柱になっているものは、法律の文言をもって言いがかりをつけるわけではありませんが、目的とするところは自動車交通安全を確保して経済の伸展に寄与するという、いわゆる自動車中心の安全を考えておられる。先進国であるアメリカなどは自動車同士の事故が多くなった。日本はまだ交通事故では幸いであるのか不幸であるのかわかりませんが、後進型なんです。人間と車との関係である。アメリカのほうは車と車との関係である。だからあなたがおっしゃる原単位が昭和六十年に百四になるにしても、これは必ずしも楽観は許さぬ。いま三十七に落ちたが、私が言うように死傷者は大体十年で四倍半くらいになっているという傾向なんです。そのとおりそれじゃいくのかというと、その面では歩行者との関係ではいかぬけれども一つ自動車同士の問題があるから、これは必ずしも原単位が多少上がっても死傷者は減らない。こういう理屈は一つ片方にはあります。ありますが、ただ私が申し上げたいのは、いま言ったように道路整備五カ年計画の支柱は自動車を中心にしている。そればかりではありません。これは道路整備のいわゆる道路構造令で聞きますが、道路構造令の中で、いわゆる速度に対する設計の基準というかそういうものは、いまの道交法やあるいは自動車の保安基準、そういうものにぴったり合った基準ですか。速度はどうなんです。一つの例としてお伺いしたい。
  59. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現行の道路構造令でも一応設計速度というのはございます。これは実は私たち非常に誤解を招いていると思いますが、道路をつくります場合に、これは路肩は十分にあり、まっすぐな道路であれば大体相当な速度は出せるものでございます。そういうような道路状況でございますが、やはり国道、地方道、その他いろいろの道路の種類によりまして、どのくらいの設計でやるべきかというような問題がございます。これの一番大きな問題は、道路の曲がるところのカーブの問題、これとか、上り、下りの坂の勾配の問題、こういう問題が非常に道路の設計の実際の走る速度を規制するわけでございます。こういうものにつきまして、どのくらいの速度で走れるような道路をつくりなさいというのが設計速度でございまして、一回この設計速度をとったからどんな道路でも六十キロをとって安全だというものではないと思います。やはり都市周辺の交差点の多いところ、また非常に見通しの悪いようなところについては、それは速度を規制していかなければならないところだと思います。そういう点が道交法によって速度の規制ということになろうかと思います。構造令の場合は、一応そういう道路の線形、その他設計する一つ基準として、このくらいの速度で走れるようなカーブをつけなさいというのが、道路構造令の設計速度でございます。
  60. 坪川信三

    坪川国務大臣 久保委員御指摘になりましたこの問題は、私は非常に大事な問題であると先ほどから拝聴いたしておるのでございます。建設省といたしましては、やはりこの問題の基本はどこに置かれなければならぬかといいますならば、私は道路建設の工法の問題におきましてもあるいは維持管理の立場からも、あるいは交通規制の立場からも、すべてやはり歩行者という立場、歩行者優先という立場を考えての工法であり、維持管理であり、また交通規制であり、しかもこれに並行いたしましてのいわゆる歩道橋の問題とか、歩道の問題とか、あるいは高速道路におけるところの側道の問題とか、こういうふうな細部にわたって、私は歩行者優先、人命尊重という立場に立っての配慮を、道路政策の上に打ち出すためにも建設省の重大な基本政策に置きたい、こう考えておることを表明申し上げておきたいと思います。
  61. 久保三郎

    久保分科員 建設大臣から適切なお話をいただきまして、私も非常に安心しました。われわれはいまそういう反省期に入らなければいかぬと実は思っているわけでございまして、そういう面からいうならば、道路整備緊急措置法のようなものは、その面に沿って多少手直しというか、法律そのものの精神も変えていったらどうか、こういうふうにてまえは考えているわけであります。これについては、いま大臣からそういう御趣旨の御答弁だ思いますので、いま申し上げた道路構造令にいたしましても、安全という問題からいきますれば、局長の御答弁、それはそのとおりかもしれませんよ。しかしながら、やはり五十キロときめたから、それで設計したから五十キロで走っていいのだという理屈にはなりませんよ。なりませんが、五十キロを基準にしたならば、五十キロ出しても安全であるというふうに設定したり、それからそのほかの道路交通法もそれに見合って規制したらいい。ところが案外そうじゃないように私は見ているのです。  それからもう一つは、建設省には道路構築というか、そのいうものに対しての技術研究をされている部門もあると思います。たとえばこの構造令一つとっても——私はしろうとであります。技術屋じゃありませんから間の抜けた質問をするかもしれませんが、たとえば構造令の第二条の用語の中で、十一の「視距」いわゆる見える距離ですかね。これだって自動車のスピードとあわせて考えておられるのだろうと思うが、最近の自動車の性能と構造の問題、こういうものからいけば、当然これはあらためて見直すことが必要じゃないかというふうに私は思うので、一言申し上げておるわけであります。  それで大臣からお話がありまして、人間を中心に、特に道路の場合はどういっても、法律を全部見まして、道路関係の法律というのを見まして目につくのは何かというと、自動車という字がついているものがたくさんあるのです。人間というもの、通行人とかそういうものを書いてあるものはどこにもないのです。昔のいわゆる往還というのがありますね。往還といったのは昔は道路なんです。往還は行ったり来たりです。これは人間が中心の行ったり来たりです。だからわれわれはもう一ぺん近代の道路、近代の高速道路から、昔の往還の思想に返る必要があると私は思うのです。原単位のことをいっても、道路局長に六十年には百四になると言われればなるほどそうかなと思うほかありませんけれども、しかしあなたが言っている自動車はもっとふえるかもしれません。このままでいくとふえるのですよ。だからもはや自動車を野放しにしてはいけないだろう。そういうチェックをするのはだれかといったら道路管理者であり、道路を担当する建設省から声が出なければならぬはずです。無責任に広げます広げます、どうぞいらっしゃい、それは無責任な話です。道路原単位はこの辺まででぎりぎりです。そして私の言う往還の思想に一ぺん返るというのがこの際必要じゃないかということを私は言いたいのです。原単位などというのは、わざわざこれを出してやったところでどうにもならない。これは一つの目安ですから、これはこれでいいと思います。意地悪く言っているわけではなくて、逆比例の問題はやはり認めざるを得ない。だからこれをひとつ考える。それにはやはり建設大臣からお話があったように、いわゆる歩行者優先の道路構造というか、そういうものを考えていってほしい、こういうふうに思うわけです。先ほど大臣から御答弁がありましたから、その点はいいと思うのですが、もう一つ、そういう意味で道路構造令はひとつ見直したらどうか。それから続いて、道路構造令ばかりでなくて、車両制限令、これもいまちょうど六法を借りてきてその辺をのぞき返したわけです。ここで目につくのは、市街地と地方とでは区別があるのです。いなかの道はどうでもいい、車は入っていいということに……。これは数年前まではそれでいいかと思うのであります。最近のモータリゼーションからいくならば、都会といなかとはそう違いはない。都会は都会なりに道路整備がしてある。地方は地方なりの小規模ではあるが、自動車のたまってくる場所があるのです。だからそういう区別は、この車両制限令でももう少し見直す必要がありはしないかと私は考えます。  だから、これはどうですか、構造令や車両制限令というのをもう少し人間、歩行者中心、あるいは安全中心で検討し直す用意はございますか、どうですか。
  62. 坪川信三

    坪川国務大臣 久保委員御指摘になりました問題、非常に大事な問題でもあり、今後の交通対策の上からも重要な指針でもあると私は考えておりますので、建設省といたしましては、ひとつ十分考究、検討を続けたい、こう考えております。
  63. 久保三郎

    久保分科員 それでは次の問題に入らせていただきます。  次は、道路整備特別措置法ですか、いわゆる有料道路の問題ですね。これは去年もお話を申し上げて、その後どうなったかというとどうにもなってない。一つの例をとりまして、昨年の予算委員会でもお話をしました、道路整備特別措置法というのがありまして、この第三条にかかわる有料道路の料金の算定基準の問題であります。算定基準は、たしか第十一条にございます。これによりますと、私ちょっと読んだのでありますから、あるいは何か見当がはずれているのかもしれませんが、「料金の額は、当該許可に係る道路の通行又は利用により通常受ける利益の限度をこえないものでなければならない。」そう文言は書いてあるが、これは非常にむずかしいと思うのです。私はそのむずかしいことを聞くのじゃなくて、一つの例を申し上げます。銚子大橋というのが、銚子と茨城県の波崎の間にかかっております。これは普通車というのですか、タクシーはたしか百二十円取ります。それで、てまえ茨城県でございますから、波崎に参りますと、銚子の駅で下車をしまして、あれからタクシーに乗ります。乗りますと、私が参るところは片道大体百七十円くらいであります。ところが橋代金は往復運転手に払います。なぜかといえば、その車は銚子に営業所を持っておりますから、帰りますから、二百四十円でございます。こういうのが、去年も言ったのでありますが、「通常受ける利益の限度をこえない」ことになるんでありましょうかね。ただ通るということが目的ではなくて、通ることによって利益を得るから料金を取るのでしょう。そうですね。——それから通ることによって、その橋を、道路を損傷するということでございます。そういう二つ。だけどこの場合の料金設定は、「通常受ける利益の限度をこえない」こと、こういうのです。普通のタクシー代金は百七十円で、橋の金は二百四十円では割りが合わぬというのです、私のほうのことばでは。東京のことばはわかりません、建設省のことばもわかりませんけれども、いかがなものでしょう。これは去年も申し上げておいたのですが、こういう不合理は少し変えたらどうか。  それからもう一つは、おかげさまでせっかくバスが通っているのであります。いままでは渡船でありますから、バスは通りません。千葉県と茨城県のあそこはチバラギ県といってもいいくらいで、千葉と茨城と混同した地域であります、経済圏からいって。そういうことで、バスも共通して通るのでありますが、必ずしもバスの料金は安くない。いろいろ計算の方法はあるでしょう。あの橋の償却ということを考えながら料金設定をしたと思うのでありますが、しかしこれは大臣にもお伺いしなければいけませんが、鉄道も同じであります。私は道路も大体同じに考えて、特に鉄道よりは道路のほうが同じに考えていいと思う。同じに考えるというのは、たとえば太平洋ベルト地帯におけるところの有料道路と北海道や茨城の道路と——受益者負担の原則というのが最近はやるようになりました。何が受益者かわかりませんけれども、政府筋からは特にそういうことを強調されまして、独立採算、銚子大橋は銚子大橋、それから東名は東名ということなんだろうと思いますが、そういうことであってはいけないと思う。道路こそ、まさに——鉄道はその次ぐらいですが、道路は、茨城県の道路は高くて、東京道路は安いというのは、これは聞いちゃいられませんよ。それで地域開発だの格差解消だなんといったら、これはおさまりがつかないと思うんですね。だから、そういう不合理をこの際なくすために、全国一本にプール計算でやるべきではなかろうかというふうにも思っているのです。私は銚子大橋で別に頭にきているわけじゃありませんが、これは法律違反じゃなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  64. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のとおりに、道路審議会でこの高速道路の料金問題の中間答申が出てまいっておる状況であり、いま都市高速道路を含めましての有料道路に対する諮問をお願いいたしておる最中でございます。これらの答申をいただく日もそう遠くないと思いますので、これらの答申をいただいた上に立って、いま御指摘になりましたような割りに合わぬとかいうような銚子大橋——私も去年二回ばかり通りましたが、ちょっと私も、払うときに、ああそうかなというような感を抱いたのは久保委員と一緒な気持ちでございました。そういうようなことを考えますと、矛盾といいますか、どうも適正な場合の料金でないということも私には感じられます。これらの大事な、一般国民につながる料金の問題は、やはり公正に判断すべきである、こういうような気持ちを持っております。あらためて答申が全般的に出ることを期待いたしておりますので、その時点に立って、いま御指摘になりました点等も十分頭に入れて検討を加えたい、こう考えておりますことを御了承願いたいと思います。
  65. 久保三郎

    久保分科員 その問題はわかりました。大臣からそういうお答えでありますから、ぜひそういう方向で御努力をいただきたい。  先ほどの問題にもう一ぺん戻るようでありますが、念のために申し上げておきたいのであります。歩行者の歩道あるいは歩道橋というか、そういうものについては格別御配慮をいただいているということでありますが、新しく改良するものは当然歩道を併設するようにしてもらいたい。もう一つは、非常に狭い橋があります。そういう橋は大型のバス、トラックが通りますと、これはなかなか危険で、これに対してはやはり歩道橋をつけるというわけにはいきませんでしょうか。わきのほうに歩道橋をつける、こういうくふうを積極的にやっていただきたい。私の地元には一カ所やっとできましたが、必ずしもこれは十分でない。特に新しい道路をつくる場合には、建設大臣のお話のような御方針もありまして、やや歩行者の通るところを確保してもらえますが、旧道の場合にはもう全然それがないのですね。昔の往還のまま、そこへ自動車が入り込んできているんでありますから、この改良をぜひ促進してほしい。特に歩道をつけるということあるいは歩道さくですね、そういうものをぜひつけて分離をすることを先決に考えてほしい。  それからもう一つは、われわれも先年交通安全のほうからお願いをしまして、歩道橋中心のいわゆる通学学童に対する問題をやってまいりました。各所に歩道橋もできました。しかし私は、こんなことを言うと何かおかしいかもしれませんが、歩道橋は最後には都市か何かの化けものになるんじゃないかという気持ちもうすうす感じているわけなんであります。というのは、そのうちに渡らなくなるのではないかという気持ちがうすうすするのです。中にはそういうものもいま散見するものがあります。なるほどその近辺には横断歩道はないんでありますから、歩行者は歩道橋を通らなければいけないことに法律上も常識的にもなっているわけなんでありますが、それを通らないということは、いわゆる法を犯しても横断歩道の施設のないのにそこを当然のごとく横切るということ、これは人間の横着といったらそれまでの話でありますが、それは悪いんだといってもやっているんでありますから、この人間の本性というか横着の本性、そういうものもある程度認めていかなければならぬ場合があるんじゃないかと私は思うのですよ。そういう意味では、できるならば金はかかるが地下道、そういうものに置きかえることもひとつ考えてほしい。なるほど歩道橋なら、一つの型がありまして何かオートメみたいにできるんだそうでありますが、それは一番安上がりで早くできると思うのでありますが、特に市街地における場合などはそういう配慮を今後も考えてもらいたいものだ、こういうふうに思うわけであります。これは要望になるかもしれませんが、これについて、大臣いかがですか。  それからもう一つ。これはこまかい点でたいへん恐縮でありますが、てまえども地元国道五十号線というのがございまして、幸いこれが遠からず全般的に改良されるだろうと思うのでありますが、工法を見ておりますと、工事の現場が悪いわけでも何でもないんでありましょうが、橋が一番最後になっちゃうのですね。両側の道路ができてそこの橋が残っておったために供用開始ができないでいるように見受けられるものもあるわけであります。こういうのは何とかくふうをして、両側の道路ができたらすぐにすっと通れるような仕組みにできないものだろうか。もちろんそれは旧道をまたぐ橋でありますから、そう簡単なものじゃなかったと思うのでありますが、そういうものもあるし、それから先ほど楯さんからもお話があったんでありますが、六号国道などはバイパスの中をかなり促進してはいただいております。しかしながらおおむね二車線というんですか、そんなものなんですよ。だからこれはさっき申し上げたように、自動車のラッシュになりますと、とてもじゃないがたいへんな混みようであります。市街地においては特にそうです。私のところには立体交差の千波の大橋という橋がりっぱにできました。あの前後を舗装してもらったら車が朝晩じゅずつなぎなんです。じゅずつなぎのうちはいいんですが、そのうち事故が起きるんじゃないかという心配が出てくるわけです。こういうようなこともひとつ考えて、これからはもう少し自動車に対してチェックするということと、もう一つは、やはりここは舗装したんだからいいんだということではなくて、時宜に応じてそういうことも考えてほしいものだ、こういうふうに思いましたので、一言申し上げておきます。
  66. 坪川信三

    坪川国務大臣 久保委員御指摘になりました地点は先ほど申し上げましたとおりでございます。久保委員も御視察のこともおありだろうと思いますが、先進国などの交通政策、道路政策等を見まするときにすべて歩行者優先という立場からの交通規制あるいは道路の構法、維持管理等やっておることを思うときに、またわれわれ日本の問題も、これはさっき申し上げましたとおり歩行者優先ということを私は基本に置いて道路政策の推進をはかってまいりたい。ことに長大橋あるいは非常に交通量の多い橋等に対しましては学童やら年をとられた方々がノイローゼぎみになるほどまで危険で渡れないという各地の現状、非常に不幸な現状も私は知っております。そうした場合に私は、過般行なわれました地方建設局長会議において各局長を私が呼びまして、そうしていま申しましたような歩道といいますか、橋の横に人道の橋を一つ敷設するように、それはもう一千メートルほどのものでもそう金は要らない、二、三千万円でできるのでありますから、これをぜひ考えてくれよということを指示いたしました気持ちもここにあるとともに、都市におけるところの交通の量を見ますときに、やはり歩道橋の問題も、あとまた地方、町の個所によっては地下道が非常に大事な問題が出てくる。ところがその地下道に対しましては国の補助がなくして地元が負担しなければならぬという問題点が多くあります。私はこれらの点も含めまして歩行者優先の立場からの道路政策をわれわれ日本の国に現実の上において打ち出すことこそ日本の道路行政の基本である、こういうような気持ちを持って行政指導もまた予算配慮も今後進めてまいりたい、こう考えておりますので御了承願いたいと思います。
  67. 久保三郎

    久保分科員 終わります。
  68. 野原正勝

  69. 北山愛郎

    北山分科員 私は先日質問したことですが、自動車道路関係であります。これはただいま久保委員からもお話がありましたが、自動車の激増と道路関係、それがあらゆる面に及ぼす影響というのは、いまの社会での最重要の問題であります。社会経済の変動の中でいろんなはれもののようなものが出ておりますが、その中の最大のものだというふうに考えております。  そこで若干建設省のほうからお考えを聞きたいのでありますがまず第一に、はたして道路の整備というものが自動車の増加についていけるかということを私は根本的に疑問に思っておるわけです。それからもう一つは、自動車の密度といいますか、数というのは単に人口比で見るのではなくて、特に日本の場合においては面積比を考えなければならぬじゃないか。アメリカに比べて人口割りはまだまだ日本の自動車は少ないといわれますけれども、しかし面積からいえば日本の二十数倍ですから、人口比では二倍、面積比二十数倍という点からすれば、何しろ地面の上を走らせる自動車ですから、狭い日本にはアメリカと同じような人口比の自動車を持つということは、これはもう過密になるわけなんです。そういう観点から考えなければならぬじゃないか。そこで建設省の資料を拝見しますと、昭和四十一年に日本の自動車一台当たりの道路延長というのは百十三メートル、アメリカは六十三メートル、西ドイツは三十メートル、イギリスは三十二メートルというふうに示されておりまして、さも日本の道路はまだまだ余裕があるごとく見られるわけです。ところがこれは九十九万七千キロという、市町村の持つ小さな道路までほとんど含めた数字を割ったのであって、このうちで自動車が通過可能なところは六割ないし七割ということになってまいりますと、この数字は違ってくるのじゃないか。それから、最近ことに自動車が一年に三百万台あるいは去年は三百四十万台というふうに急増しております。そういう点を入れますと、現在で千三百万台として、自動車の通過可能の道路面積で割ってみると百十三メートルではなくて半分以下に減ってくるのではないか、こういうふうに思うわけです。また面積比でいいますと、日本は三十七万平方キロの面積ですが、千三百万台の自動車で割りますと一平方キロ当たり三十五台ということになりまして、これまた外国に比べて相当な密度である。その上に日本は山地が多いわけで、平地に丘陵地帯を加えましても四割しかないということになって、それで計算しますと、私の計算では一平方キロ当たり八十八台くらいになる。ことに市街地に八〇%も集中しているということでありますから、現在東京あるいは関東地域などについては世界一の自動車密度ではないか。これがいろいろな面で弊害を及ぼしているわけですが、一体建設省自動車の現在のような激増に道路整備がついていけると考えていらっしゃるのかどうか。根本の問題ですね。
  70. 坪川信三

    坪川国務大臣 北山委員、数字的な根拠を持たれましての適切な御質問でございます。非常に大事な問題でございます。御承知のとおりに、昭和三十五年におきましてのわが国の自動車保有台数が二百万台でありましたが、四十三年に至りましては千二百万台というような上昇、また六十年度には三千五百万台というような推定を考えますときに、いわゆる三十二の高速道路の問題を含め、また四万キロの地方道その他市町村道を含めましてのこれらに対処する交通対策、道路網の対策というものは当然これを踏まえましての対策を基礎に置いていかなければならない、こう考えておりますとともに、こうした交通量の上昇に伴うところの交通安全等も十分考えまして、道路政策の計画性を持った総合的な政策のもとにおいて道路政策の推進をやってまいりたい、こういう所存でございます。
  71. 北山愛郎

    北山分科員 たいへん抽象的なお答えなんですが、運輸大臣にお尋ねした際に、野放しにはしないというようなお答えでそういう点私はきわめて不満足、納得ができないわけであります。ものの考え方を根本から変えるべき段階じゃないかと思うのです。いまのように、自動車はふえる、しかもその中でふえていくのは自家用車であるというようなかっこうになって、その結果として大量輸送機関というものは、路面電車にしてもバスにしてもあるいは何にしても追い出されていき、自家用車がはんらんしていく。自家用車自体も交通がはんらんして全体としての運輸効率が結果として下がってくるということになるのじゃないか。最近における東京都内における高速道路のごときは全く漫画的だと私は思うのです。一つの恐竜というか何か漫画に出てくる怪物みたいなものが都市の上に都民の上に大きなずうたいであぐらをかいている。しかも、その上では高速道路とはいいながら実は事故が起こるとストップして低速道路になる。これはナンセンスだと思うのです。そういう現象が現実に起きている。起きているのですから、これは建設省としてもただ自動車がふえるからこれについていくというのではなくして、輸送設備としての道路なりあるいは鉄道を含めて根本から考え直す必要があるのじゃないか、私はこのように考えるのです。したがっていま久保委員がお話しになったいわゆる生活道路という問題、あるいは歩行者優先の政策というものを考える場合においては、むしろ昭和六十年までの五十三兆というような道路の投資をするよりは、特に農村地帯や何かは部落を再編成して道路交通線のそばに部落をつくって、そうして夜間でもバスが通れるような大量輸送しいいような形に、社会の生活の形を変えていくことのほうが、むしろ安上がりではないか。矛盾をそのまま見のがしておいて、どんどんそれについていって道路をじゃんじゃんつくっていくというのでは、おかしいじゃないかと思うのです。しかも高速道路というか、道路を舗装し改良すればスピードが出るわけなんですよ。スピードが出れば出るほど一台当たりの所要面積はふえてくるでしょう。昭和六十年に三千五百万台となったと仮定した場合に、計算してみるとおそらく一台当たりは二十メートルぐらいにしかならない。これは非常に素朴な計算でありますけれども、そういうふうに現在百十三メートルは多過ぎるとしても、現在よりもどんどん一台当たりの所要の道路延長が下がっていく、そしてスピードはアップしよう、こういうことですからまるきり矛盾していることをやっている。これは単に建設省だけの問題じゃありませんけれども、通産省は通産省で自動車の数をふやそうとする。しかも今度はアメリカの資本まで入ってきて自動車の生産に馬力をかける、こういうことで建設省はそれについて道路を一生懸命になってやる。五カ年計画、六兆六千億ということでどんどん投資をする。そしてそれが実際にはむずかしい。だんだんブレーキがかかってマイナス面ばかりがふえてくる。交通事故もその重大な結果の一つでありますけれども、そういう点を根本から考え直す必要があるのではないか。またいま問題は、交通安全ということも非常に重要なことですが、国内の輸送、運輸、交通というものを一体どういうふうにしていくかということ、これを全体として考えなければならぬようになってきているんじゃないかと私は思うのです。そういう点について御検討をいただきたい。その点についてのお考えをお聞きしておきたいのであります。
  72. 坪川信三

    坪川国務大臣 北山先生御指摘になりました、また御心配いただいている点、全く私も感をともにいたしております。単に道路整備という、重要な問題ではございますが、これのみにおいて即効薬としてこれらの問題が解消される問題ではないということも、私は全く同感でございます。そうした立場から考えますときに、私はいわゆる輸送の問題あるいは交通量の問題、交通規制の問題その他を踏まえまして、道路計画の整備促進をはかるとともに、過疎問題を対象とするところの地方の問題をひとつ総合的、計画的な国の大方針として打ち立ててまいりたい。端的に申し上げますならば、生活圏の整備という問題、一定の規模の都市を中心といたしますところの生活圏を、生産の面からも人口の伸展の問題からもあるいはその他あらゆる問題を含めまして、ひとつ策定いたし調査をいたしまして、その基礎の上に立って生活圏の整備をいたし、そしてこれらの問題の隘路を解決してまいりたい、こういうようなことで、言いかえますならば私は総合的な立場に立ってこの重大な問題には国が高度な政治的な立場から解決に意を用いてまいりたい、こう考えておる次第であります。
  73. 北山愛郎

    北山分科員 現在政府としては総理府の中に交通安全の調査室を置き国民会議なるものを置いている。これもまだ制度的にはしっかりしておらぬわけです。しかし問題の把握を単に交通安全というサイドからじゃなくして、いまお話があったような角度から、やはり政府全体として考えていただきたい。大臣はそのためのイニシアチブをとっていただきたい。私はこのことを要望しておきます。
  74. 坪川信三

    坪川国務大臣 承知いたしました。   〔主査退席、仮谷主査代理着席〕
  75. 北山愛郎

    北山分科員 なお道路に関連をいたしまして、一つの部分的な問題ですが、実は十年くらい前になりますか、社会党から街路灯整備促進法案なるものを出したことがあります。これは議員提案ですから、例によって建設委員会で三年ばかりぶら下がって廃案になってしまいましたが、現在になればなるほど必要になってきているものではないかと思うのであります。その当時の私ども考えは、やはり自動車交通の激しいような道路における照明というものは非常に不十分である。そのために、前方から来る自動車のヘッドライトに運転手が目がくらむ、そうして前方の障害物が見えないということから起こる事故というのは相当あるわけなんです。専門語でいえば前照灯幻惑というそうでありますが、それを防ぐためには、少なくとも自動車交通量の激しいような国道等においては——地方の国道においても、科学的な基準に基づいて街路照明というものが全部につくべきものだ。夜は暗くてもいいというのは道路じゃないと思うのです。やはり夜間においては、歩行者でも歩ける照明が必ずついている。道路法によりますと照明というのは道路の一部なんですから、こういう情勢になってくればくるほどその整備が早く行なわれなければならぬ。私その当時建設省へ行って街路照明のことをいろいろ聞いたところが、残念ながら専門的な研究はなかったのです。そして町の照明学会なるものからいろいろ資料をもらって私は案をつくったのですけれども、この際私提案したいのは、こういう角度から、確かに新しい高速道路自動車道なんかは相当りっぱな照明がついております。しかし地方の国道なんかについてはまだまっ暗です。ですから、いま申し上げたような事故が再々起こるわけです。ですからまず国道——地方道も同じでありますが、そうぜいたくなものでなくていいと思うのです。ひとつ街路照明をすみやかに整備するということを要望したいのでありますが、建設大臣としてはどういうふうに措置される考えですか。
  76. 坪川信三

    坪川国務大臣 北山委員の非常に適切な御提言、かつての私の経験から申し上げましても、非常に大事なことだと私も思います。いわゆる交通事故というような大きな問題あるいはまた不良化防止の問題、また交通の促進というような問題から、これらの点については十分検討せなければならない重要な仕事であるわけです。ことに御承知のように火力あるいは水力、原子力電気というような大きな基幹産業も伸びてまいっておる日本の電気状態から見ましても、これらに対するところの措置は十分講じていいものである、私はこういうふうな気持ちを持っておりますので、いま御指摘になりました点につきましては、私も建設大臣という責任者の立場から、ひとつ推進のイニシアチブをとりながら配慮してまいりたいと考えております。
  77. 北山愛郎

    北山分科員 この点は単に予算措置だけではなくて、やはり立法措置も必要じゃないかというふうに考えます。問題は道路だけではなくて、住宅地区なんかにおける防犯灯、こういうものもやはり考えていくべきである。しかも現在では大体地元の人たちが金を出して、そしてこれを維持しておる。もちろん地元にも関係ありますから、一部はそれは負担してもらってもいいと思います。しかし責任の主体はやはり道路管理者でなければならぬ、国あるいは地方自治体でなければならぬ。こういう意味からすれば、それを急速に整備するための立法措置も私は必要だと思うのであります。この点は特に要望いたしておきます。  なお、宅地の問題ですが、政府、建設省は地価公示制度の法案を提案されるということに聞いておりますが、ただ、新聞で拝見しますと、何かそこに障害があるというようにも伝えられておりますが、この国会に出されるのかどうか。それから、その障害がありとするならば、これはどういう問題点であるのか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  78. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました地価対策一つの大きな問題といたしまして、各党の決議などもちょうだいいたしており、また政府におきましても、閣僚協議会において決定もいたしており、私も就任いたしまして以来、この問題には重要な問題として取り組んで、予算措置も講じさせていただいたようなことでございますので、ぜひ本国会で御審議をいただいて、発足を見たいという決意でございます。  また阻害といいますか、というような点は、これらに対するところの理解、あるいはそれに対するところの認識というような点について、建設省のほうにおける努力の足らなかった点もございましたので、十分それらの点も理解と認識との上に立って御審議を願うべく、いま最善の努力をいたしておりますので、ぜひ今国会で成立をさせていただきたいという気持ちであるので、よろしくひとつお願いいたしたい、こう考えております。
  79. 北山愛郎

    北山分科員 率直にいいまして、私は地価公示制度というものには、現在の条件の中で出してその効果いかんについては、若干疑問を持っているのです。ほかのいろいろな政策が相伴って初めて効果が出るのであって、かりに地価の標準を公示するといっても、その標準のきめ方が、一体時価によるのか、あるいは物価指数などを参照してつくるのか、あるいはその土地の価値を収益還元をしてやっていくのか、あるいは住宅地の場合に、住宅を取得する所得との関連で、取得可能な範囲でこれを見るのか。どうも地価をきめる基準というものがまだ定まっておらない。そういう中で地価の公示制度ということでありますから、私は無理があると思うし、それだけ効果は薄いと思う。  地価の問題はいろいろ問題もありますけれども、時間もありませんから、一点お伺いしておきますけれども、この前予算委員会でわが党の議員が大蔵大臣に今度の土地税制について質問した。御承知のように、今度の土地税制は個人について規定しているわけであります。法人についてはこれは適用されない。いわゆる長期保有者の売り払いの場合における分離課税、そしてその税率を低くするという問題はもちろんですが、新たに取得する場合においても、新しく買う人は、個人の場合においては、それを売る場合の税金が非常に高くなるわけなんですね。そういう、言うならば投機、思惑を制限するという税制になっておるわけですが、肝心の法人は除外されている。ところが実際には、個人よりもむしろ法人のほうが資本力がありますから、金を持っていますから、じゃんじゃん買っているんじゃないか。そうなりますと、何のことはない、今度の土地税制なるものは、農民その他の土地を売りやすくして、それを法人が買いやすくする、土地は法人へ、会社へ、こういうふうに流すための税制ではないかという一つの批判もあるわけです。そのとき、質問に答えまして、大蔵大臣は、法人については税制上の措置ではなくて、それ以外の措置によって行なうのが適当である、こういう御答弁だった。これは当然建設省の範囲にもなるかと思うのです。法人の投機取り締まりについては、思惑を規制することについては、建設大臣としてはどのような方向でこれを処理されるというのか、この点をひとつお伺いしておきたいのです。
  80. 坪川信三

    坪川国務大臣 地価対策の一環とし、また住宅対策の一環としましてのいわゆる税制の問題は、非常に重要な問題でございますので、御承知のとおりに、譲渡所得に対するところの長期短期の分離重軽課税の措置を講じましたことは、北山先生の御指摘のとおりでございます。法人に対するところのこの措置についてどうだということでございますが、非常に大事な、またなかなか非常に複雑な問題点もあろうかと考えております。それらの問題点を十分ひとつ解明、検討をいたしてまいりたい、こういうような気持ちでありますが、いま直ちに法人税に対する建設当局の税制対策としての基本的なことは、まだ了解いたし得る私の何ができておりませんけれども、いま御指摘になりましたこの矛盾については十分心得ながら税制対策の一環としてひとつ考えてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  81. 北山愛郎

    北山分科員 手段、方法としては税制だけにとどまらずほかの方法もあるかと思うのであります。法人の土地保有高というのは最近非常にふえておりまして、国税庁ですか、大蔵省の法人企業統計を見ましても、昭和三十五年は七千億、それが四十二年には三兆七千億というふうに五倍以上になっています。しかもほかの固定資産のふえ方よりも土地保有高のふえ方のほうがずっと多いわけです。会社がいろんな工場その他の目的のために土地を取得するということはこれは当然でありますけれども、しかしどうもそれ以外にもはっきりとした用途、目的がないのに、とにかく土地を買っておけというものも相当あるのではないかというふうに思います。ですから、不動産会社というちゃんと本来の目的である会社については、それはほかの規制の方法があるでしょうが、一般の会社、銀行等がその資本力を利用して、言うならば実質上の土地思惑をやるというふうな傾向を規制する方法を私は考えてもらいたいと思うのです。それにはやはり取得についてのある条件における取得許可制であるとか、制限の方法があると思うのです。たとえばゴルフ場なんかも全国に何百とありますね。これなんかも野放しなんです。ですから法人が本来必要なものは別としまして、そうでないような怪しげな土地の取得、これは規制することは当然じゃないかと思うのです。そういう点について御研究になる考えがあるかどうか、承っておきたいのです。
  82. 坪川信三

    坪川国務大臣 税制に対して非常に深い見識をお持ちになっておられる北山先生のいま御指摘になりました具体的な問題点等につきましては、その御趣旨を十分承っており、また多年の問題点でもございます買いかえ制度の問題等いろいろな問題点を含めまして、これらの法人に対するところの税対策というものについては、大蔵財務当局とも十分連絡をいたしながらこれらの点についての検討、解明にひとつ努力をいたしたい、こう考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  83. 北山愛郎

    北山分科員 最後に。いまの地価問題にしても、先ほどの自動車の問題と同じように、非常に重要な、しかも経済的な影響の大きい問題です。問題はむずかしいには違いありませんけれども、やはり土地の需要側を若干押えないと、宅地を開発して、供給が足りないから供給をふやせば地価が下がるのだというふうなことは素朴な意見であって、現在たとえば農地転用の数量を見ましても、大体一年に一万二千ヘクタールくらいの農地がつぶれているのです。そうしますと三千六百万坪ですか、住宅用地としてはまだ足りませんけれども、相当な供給があるわけです。問題はやはり中間需要をいかに押え、いかに規制するか、それをやらなければどんなに宅地供給をしても、とにかく土地が上がればもうかる。一番もうけの多い仕事だというわけで、資本がそこえ集中する。集中すればするほど土地が上がるというふうな悪循環を繰り返していくのではないか。そこで、私は今度の税制については非常に不満がある。問題があると思うのであります。特に税制以外の措置がほとんどなかった。地価公示制度しかなかったということについては非常に納得のできない点があるということを申し上げ、この点は建設省もっともっと真剣になって、いろいろな障害もあるでしょうが、これを排除して進んでいただきたいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  84. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 折小野良一君。
  85. 折小野良一

    ○折小野分科員 ただいまの御質問でも地価問題が出ましたが、私もまず地価問題から御質問を申し上げたいと思います。  土地問題、特に地価問題につきましては、国民生活にも非常に大きな影響がある問題でございます。特に政府といたしましては、公共事業の多くのものを担当される建設省としては、地価問題については最も慎重に御検討になっておられることであろう、かように考えております。しかしながら、現実にはなかなかその地価対策が進んでいないということなんでございますが、この際大臣から国の政策としての地価対策、これに対する基本的なお考え、御方針をまずお伺いいたしたいと考えております。
  86. 坪川信三

    坪川国務大臣 公共事業を推進していく場合に、いま現実の問題として、地価の高騰を来たしておるこれらの現象を考えるときに、建設省といたしましては、この地価対策という問題については、ひとつ強い対策を具体的に打ち出さなければならない必然性は、いま折小野先生のおっしゃるとおりでございます。したがいまして、従来の土地収用法の改正とか、あるいは新都市計画法の制定による適切な運用等も含めまして、御承知のとおりに、昨年の地価対策閣僚協議会において決定いたしましたあの方針にのっとりまして、土地の有効利用の促進、新都市計画法の制定の適切な運用、あるいは御審議をお願いいたす予定でございますところの都市開発法の制定等を含めまして、これらの有効利用の促進をひとつ強く高度に推し進めてまいりたい。その他国、公有地の活用、これも非常に重要なことであると私は考えております。したがいまして、御案内のごとく、先般新たなる住宅対策の構想の一環といたしまして地価問題も考えまして、いわゆる建設省みずから範を示すべきであるということから、東京研究所の移転に伴う公有地の活用の方針をとりました気持ちもここにあり、また目下外務省あるいは御案内のごとく防衛庁のほうにおいてアメリカ軍との協議を進められつつあるところの基地の返還に伴う活用というような問題、また御承知のとおりに筑波学園都市建設考えまして、お陰で土地の提供を八一%ちょうだいいたしながら、政府の機関の移転計画がまだ具体化していないことを考えるときに、土地提供者に対しましては私は申しわけない気持ちを持つとともに、都市対策の上から、住宅地価対策の上からも、これの移動、活用によってこれらの国、公有地の活用をひとつ強力に推進してまいりたいということから、先般閣議において要請もいたし、おかげでそれの移転計画も、いままでは二機関にすぎませんでしたが、各省の非常な協力と推進をいただきまして、十二でございますか——数字は間違えておるかもわかりませんが、十以上の各省が移転計画建設省に対して協力する旨の表明もございました。こういうような点を考えまして対策を講ずるとともに、今国会に予算の配慮と審議をお願いいたしております地価公示制度の活用というようなこと、また税制対策等を含めましての土地供給の促進というようなことから、この地価問題については政府また建設省といたしまして、私といたしましても強く推し進めてまいりたい、こういう決意であることを御了承願いたいと思います。
  87. 折小野良一

    ○折小野分科員 地価対策につきましては建設省を中心にいろいろな施策を御検討になっておることも大体承知をいたしておりますし、また地価対策というのはあらゆる方策を総合的に講じてまいらなければ十分な効果があがらないということも承知をいたしております。しかしそれらの具体的な対策が実効をあげているかどうかという点については、多くの疑問があるわけであります。特に地価対策というものを正面にはっきり打ち出して新しい政策として打ち出されるであろうというふうに期待されておりますこの地価公示制度にいたしましても、まだ個々の具体的な提案がなされておりませんので、その内容がどうなるかは承知いたしておりませんが、私どもが今日までいろいろお聞きしておるところによりますと、どうもそれに対する的確な効果があがりそうにない、また効果があがるような面につきましてはいろいろな問題があって、建設省としてもだいぶ後退をされておる、こういうふうな判断がされるわけでありまして、そういう点についてはたいへん遺憾であるというふうに考えておるわけでございます。  ところで最近十年くらいの地価の推移を見てまいりますと、これは所によっていろいろな状況がございますが、物価が倍に上がった、これも問題でございます。しかしながらその間に土地の価格は約十倍に上がった、こういうふうにいわれておるわけでございます。そういう点から見てまいりますと、よほどこれはしっかりした政策を、しかも強く断行するということでなければ、いまの地価を押えていくことはなかなかできないのじゃないかと考えられるわけでございます。最近建設省のほうでいろいろな公共事業をたくさんやっていただいているわけなんでございますが、その公共事業費の中にどの程度の地価の占める比率があるのか、そして最近の比率がどういうふうな状況になってまいっておるのか。もしそれについての何か数字的なものがございましたらお示しをいただきたいと思います。
  88. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 ただいま持っております資料は実は用地費と補償費、そんなものの経費と両方合わせたものしかございませんが、建設省の直轄事業で申しますと、昭和三十六年は用地費及び補償費が占めておりますパーセントが一三・三%でございます。それから三十七年には一四・一、三十八年には一三・四、三十九年が一五・七、四十年が一四・七、四十一年が一五・五。多少ばらつきがございますのは、やっております場所が同じ場所ではございませんのであれでございますが、大体傾向としてはこのようなパーセントがあがっておるわけでございます。
  89. 折小野良一

    ○折小野分科員 ただいまお示しの数字からも用地費あるいは補償費の予算の中に占める割合というのがだんだん高くなってきておるということは言えるわけであります。したがいまして、こちらのほうの経費がだんだん高くなってくるということは、結局公共事業そのものの効果というものがだんだん落ちてくるということにならざるを得ないのでございまして、ことしの公共事業費の伸びが一五%というふうにいわれておりますが、しかしその伸びの中に占める用地費あるいは補償費の伸びというものが非常に多いということを考えますと、国民の福祉に直接つながる事業そのものというのは必ずしもその数字であげられるほどの伸びは示していない。こういうことになってまいるわけであります。そういうような点から考えましても、地価というものは何とか押えていかなければならない。そういう立場でいろいろな対策が講ぜられるべきだと考えられるのでありますが、現在、地価公示法案の提案までの過程におきまして、たとえば政府あるいは地方公共団体というような公的な機関が用地を買収いたします際に、この法律によって示された表示価格といいますか、大体その価格で買収しなければならない、こういうような規定を設けることによって、土地の値上がりの抑制といいますか、そういう効果を少しでもあげるべきじゃないかというふうな考え方があるのでありますが、こういうような面が現在の段階においてどういうふうになっておるのか、あるいはどういうふうなお考えであるのか、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  90. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 現在の段階で申し上げますと、土地収用法その他の法律によりまして収用が働く仕事、大体の公共事業は全部収用がきくことになりますが、そういう仕事を行ないます起業者は、この公示価格を基準とした価格に従いまして用地買収を進めなければならない。したがいまして、これが収用委員会に参りまして収用裁決に至ります段階においても、収用委員会はこの公示価格を基準として算定されました価格を考慮しまして、その相当なる補償額を算定しなければならぬ、こういうふうにいたす予定になっております。
  91. 折小野良一

    ○折小野分科員 土地収用の対象になります場合に、ただいまおっしゃるような方針で進められるということになりますと、いわゆる公平の原則ですか、そういう立場からいたしまして、一般の公的な土地買収につきましてもやはり公示された地価というものを一応標準にして今後の公的買収が行なわれる、こういうふうに判断をしてよろしいのでありますか。
  92. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 気持ちといたしましてはそのように期待いたしているわけでございます。そしてそのための手がかりといたしまして、私どもが所管いたしておりまする不動産鑑定士並びに鑑定士補が、地価公示の行なわれております公示区域におきまして鑑定を行ないます場合には、この基準価格に準拠しなさいという間接的な規定を置いております。そうしますと、公共団体なりあるいは民間でありましてもしかるべき筋の通ったところにおきましては、現在の状況ではおおむね正当なる鑑定を求めて買収価格を鑑定なさっていらっしゃるのが一般の例でございますし、特に公共団体等におきましてはそういうことがだんだんと行なわれつつございます。そういったことによりまして、実質的にはやはり公共団体も公示価格に従ったような取り扱いとなりまして、公平が期せられるというふうな効果を間接的に期待いたしているのが現在の法律の立て方でございます。
  93. 折小野良一

    ○折小野分科員 少しでも地価を抑制するための対策を講ずるわけでございますから、したがって予想される地価公示法、それによって一般の地価抑制に役立つということになれば、それはそれなりに一応けっこうなことだというふうに考えます。しかしながら現実の世の中ではなかなかそういうふうにならないのであります。土地の価格が押えられるということになりますと、その差額を補償費とかなんとかというかっこうで払うとか、取るとか、こういうようなことが出てまいりまして、世の中に価格が二重、三重にできてくる、こういうのが現実でございます。したがってこの価格をやはり一本にする、これに対しましては相当強い規制を設けるということでなければ、なかなか現実の地価の抑制にはならないというふうに考えております。特にこれの関係では税の対象という問題になってまいりますと、すでにもう御存じのとおり、それぞれの市町村で固定資産税の基礎として評価した土地の価格、あるいは税務署のほうで相続税等の基礎にとった土地の価格、それから実際の売買価格、あるいはその実際の売買価格は、農地でありました場合に、それを農地として売買する場合の価格と宅地に転用する場合の価格と、一つ土地についていろいろの価格というものが出ていっております。そういうような中で実質的な土地の値上がりというものを示すわけでございます。したがって、せっかくこのような権威ある地価というものを公示していこうということでありますならば、たば単に公示するということを目的にするのでなしに、そのことによって地価というのはこれ一本なんだというようなことで、少なくも公的には買収する場合でもあるいは課税の標準としてとる場合にもそれでやっていく、こういうような方向に制度を持っていかなければ、なかなか地価抑制の効果はあがらない、かように私ども考えるわけでございます。そういう点について今後どういうふうに具体的に施策を講じていかれようとされておるのか、お尋ねしたいと思います。
  94. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 確かに先生のおっしゃいますとおり、いろいろな制度によりまして地価のとらえ方が違っておるということは、国民から見ますれば非常にわかりにくい状態でございますし、そういった状態が地価の何と申しますか、わけのわからない高騰の原因でもあるということは私どももよくわかっておるつもりでございます。実際問題といたしまして、今回私ども考えておりますような公示価格をあらゆる分野に一ぺんに適用するという点につきましては、かなりいろいろな問題があるわけでございます。税を例にとりましても、かつて固定資産税と相続税の評価額、税法同士の評価額を結びつけることでさえ、両省でいろいろと検討されたにもかかわらずいい結論が出なかったというふうな歴史もございます。そういったことでわれわれといたしましては、もちろん開発利益の社会還元の見地からいたしまして、おっしゃたような目標に向かって努力しなければならないということは十分心得ておりますが、これにはいろいろとやはり問題もございますので、慎重に検討いたしましてできる限り努力いたしたい、かように考えております。
  95. 折小野良一

    ○折小野分科員 いまの御答弁にございましたそれぞれの担当の省によりましていろいろな考え方が違う、こういう現実があることは私どももよく承知いたしております。しかしながらその政策によっていろいろな施策を講じられるその相手方というのは国民なんです。国民の立場から考えてまいりますと、やはり国の立場としましては一つ方針を貫いていくということが大切なことでございます。省と省との間のいろいろな対立あるいはそれぞれの立場のいろいろの考え方、こういうものはあろうと思いますが、やはりこれは調整をはかっていかなければならない問題だ、かように考えております。特に地価の問題につきましては建設省が基本的な所管の省になるであろうというふうに考えますので、そういうような面について特に大臣として今後各省庁間の考え方を一本にまとめる、そういう御努力をなされる御意思がございますかどうかをお伺いいたしておきます。
  96. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほどから折小野先生の深い御見識による御指摘の点、私も十分拝聴いたしております。その重要性また国家的な立場からの解決ということも非常に必要なことでございます。政府全体の大きな問題、責任と私は考えております。したがいまして、これらの実施あるいは遂行にあたりましては、建設省が責任監督省といたしまして、ひとつ総合的なる計画的なる政府の政策を推進する場合においては、建設省がもとより推進主体になるということを深く自覚もいたしております。したがいまして、セクショナリズム的な考えを排しまして、高度な立場から、政府の大方針ということから、各省の協力とその隘路を打開いたしまして、御期待の線に沿うよう最善の努力をいたしたい、こう考えておることを表明申し上げて御了承願いたいと思います。
  97. 折小野良一

    ○折小野分科員 お願いをいたしておきます。  そこで、この地価でひとつきわめて大きな不公平と申しますか、社会正義に反する、こういう立場から問題があると思うのであります。それは公共事業をやられる、たとえば道路をとってまいりますと、その道路に当たった土地の所有者が適正な価格で買い上げられる、またその所有者は土地を提供するわけでございますから、それなりの価格というものがそこにつく。これは一応当然なことだと思っております。もちろんそれの高い低いという評価の問題はございます。しかし、そのためにその周辺の土地を全然提供しない人たち土地が値上がりをする。それが地価騰貴の大きな原因になり、そしてまたこれがいわゆる土地をめぐる思惑の原因になる、こういうようなことが繰り返されてまいっておるわけでございます。したがって、直接公共事業をやってまいりますその対象の土地の地価の問題ももちろんでございますが、その周辺の土地の地価の問題、これも決してゆるがせにできない問題である、こういうふうに考えますが、こういう面についての今後の施策として何か考慮しておられる面がございますかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  98. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 ただいま折小野先生の御指摘になりました点は当然でございます。私どももかつて土地収用法の改正を行ないますときに、いわゆる鑑定価格に収用額を押えるというときに、沿道との不均衡が問題じゃないかということで、税制上の措置をいろいろやったこともあるわけでございますが、結局沿道の方々の開発利益をどういうふうに処理するかという問題に相なろうかと思うわけでございます。これは個々の事業につきまして利益があるというばかりでなしに、現在の都市状況から申しますならば、あるいは駅ができたとか、いろいろな要素が重なりまして、一般的な開発利益が土地に恩恵を与えておるというふうな形になるわけでございますので、個々の事業の受益者負担というよりは、やはり地主さまが社会のおかげで土地の値が上がったという、われわれから申しますと、開発利益というものをいかにして社会に還元するかという形で問題を考えていくのが一番いいのじゃなかろうか、基本的にはこういうふうに考えておるわけでございます。その方法といたしましては、やはり税制の面におきまして、そういった見地からの措置を考えることが適当ではなかろうか。結局譲渡取得の場合に、それをどういうふうにして処理するか、今回の税制改正では開発利益の社会還元という点は必ずしも十分に解決されておりません、と私は考えております。そういう点につきましては将来の検討事項といたしまして、十分に検討いたしたいと思うのでありまするが、それがためにもこの地域に開発利益がどれくらいあるかということを判定いたしますためにも、地価の値上がりというもののやはり実績を残しておく必要がある。そういった意味のことも、地価公示制度の将来の一つの捨て石的な役割りといたしまして考えてまいりたい、かように考えておる段階でございます。
  99. 折小野良一

    ○折小野分科員 行政をやられる担当の公務員、こういう方々がそれぞれの仕事を正しくやろう、これは常に考えられておることであります。そしてまた大臣以下の幹部の方々が指導される場合においても、行政を正しくやるように、こういうことで指導されておる、これは私どもよく承知いたしておるわけでございますが、しかしあまりにも正しくやることばかりに注目されておって、経済的に、能率的に行政をやるというような面に欠ける点があるのじゃなかろうか。特に公共事業をやってまいります場合に、用地の取得というのが多くの場合つきまとうわけでございますが、この用地の取得に際して、幾ら高くともそれが正しい手続を踏んで行なわれたならば、それはもう責任がない。しかし実際は、その用地がもう一年前に購入されておったならば非常に安く済んだ。安く済んだということは国民の税金がむだ使いされなかったはず、国民の金がより有効に使えたはず、こういうようなことがあるわけです。ところがお役人の考え方は、それを正しくやるということだけに集中されて、経済的にやるという面に対して非常に消極的である、こういうふうに私どもは感ずるわけでございます。しかし現在の物価値上がり、特に地価の値上がりの状況を判断いたしますと、それを少しでも早く買収して、そして少しでも経済的に行政を進めていく、こういうことは非常に大切であると私ども考えるわけでございますが、そういう面の指導についてどういうふうにお考えになっておりますか。
  100. 坪川信三

    坪川国務大臣 非常に適切な御意見でございます。私も建設大臣に就任いたしまして以来、あらゆる会議、あらゆる機会をとらえまして、時代の激動する流れを見ながら、公務員としての、公僕としての服務規定あるいは庶務規定あるいはそれらに対する方針を順法することはもちろんでありますけれども、創意くふうをこらしてくれ、時代の英知、感覚を持ってくれ。とともに、大臣はその創意くふうの上に立って、諸君のやることにおいて正しいものであり、またこれが適切である場合には、われわれも大いに挺身いたしたい。とともに全責任は大臣が負うから、安心してひとつ勉強もしてくれ。創意くふうも考えて新たなる時代の流れを見詰めつつ、建設省としての重要な構想を打ち立ててほしいということを、私は各機会を通じ、またあらゆる場合にお願いをしているようなわけでございます。したがいまして、いま御指摘になりました点等については、やはり現在の環境、現在の職場に満足することなく、ひとつ大いに意欲を燃やしながら新たなる創意くふうのもとにおいて事務に精励してもらいたい、私は一切の責任を負う、こういうようなこともお願いいたしておりますので、今後も私はこうした方針のもとにおいて、重要な使命感を持つ建設行政の推進と、また三万有余の職員に対する指導もかくあるべく進みたいと考えておる次第であります。
  101. 折小野良一

    ○折小野分科員 現実にはそれぞれの地域におきまして公共事業が行なわれる。政府あるいは公共団体が公共事業をやるために土地の買収をする、そのことがむしろ地価値上がりを促進し、地価値上がりの元凶になっておる、これが実態なのでございます。いろいろな事業が発表されますと、もうそのとたんに地価は値上がりをしておるわけであります。そして実際の工事が始まるのはそれから一年先とか、もっと先とかいうことになってまいりますと、計画されたときと実際にやるときとでは、地価はもう二倍にもあるいは三倍にもなっておる、こういうのが実情でございます。そういうような点につきましては最近先行取得というような方法等がいろいろ考慮されておるのでありますが、先行取得でさえ、その計画をきめて、そして実際に資金の手当てができて買収するまでには、半年もそれ以上も期間がかかる。したがってその間においてすでに土地は五割も、倍にもなっておる、こういうような実情にあるわけでございまして、こういう点につきましては正しくやること、もちろんでございますが、ひとつ国民の税金でございますから、国民の税金を経済的に能率的に使うという面につきましても、さらに一そう御考慮になって仕事を進めていただきたい、かようにお願いをいたしておきます。  時間がございませんので、最後に一つだけお伺いをいたします。  今日特に都市におきましては自動車が非常に多くなってまいりました。したがっていわゆる駐車場難、こういうことでございます。もちろんいろいろな方策で駐車場はつくっていかなければならないわけでございますが、たとえばさっき大臣がおっしゃったように創意くふうすれば、もっと公共の駐車場ができるのじゃないかというような場合が多々あるわけでございます。たとえば町中に川が流れております場合に堤防をつくります。普通の堤防をいたします場合に天端幅が五メートルある。しかしその堤防を石垣にしてまっすぐに立てましたならば、その幅が十何メートルかになるということになりますと、これは駐車場にも使えるということにもなってきます。あるいは都市の中にいろいろな公共の建物が建ちます。そうした場合に、それにあわせて駐車場まで一緒に考えていただくということになると、その施設の駐車場にもなりますが、一般の住民の公共的な駐車場もある程度プラスになる、こういう面もあるわけであります。特に都市の中でいろいろな公共事業をやります場合に、あわせて多少の考慮、多少の創意くふうを働かすことによって、そういうような場所がとれるという場合において、ひとつそういう面を現実的に考慮してやっていただきたい、こういうような点をお願いいたしたいと思いますが、そういう面についてお考えございますかどうか伺いたい。
  102. 坪川信三

    坪川国務大臣 最近の過度な都市交通、その他生活環境の秩序なき混乱の姿を見ますときに、あらゆる施策を打ち立てなければなりませんが、いま御指摘になりました自動車駐車場、ターミナルの問題、これはほんとうに大事なことでございまして、その規模計画を着想いたす場合において、十分高度に利用する場が出てくるということを頭に置きまして、そして御承知のとおりにいわゆる高架線の下の利用とか、あるいは高層建築の下の利用とか、あるいはターミナルの適切な配置転換を行なうとかいうことは、非常に重大なことでございますので、都市計画の上において、また関係当局もこれらの点は十分考えてはおりますが、今後もそうした点を配慮いたしながら、仕事を推し進めてまいりたい決意でありますことを表明いたしておきたいと思います。
  103. 折小野良一

    ○折小野分科員 終わります。
  104. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 松本忠助君。
  105. 松本忠助

    松本(忠)分科員 建設省道路局長にお伺いするわけでございますが、交通安全施設の整備に関する緊急措置法に基づきまして、この三月末をもって第一次の三カ年計画が終了するわけでございますが、この三カ年間でつくられました、いわゆる歩道橋であるとか歩車道の分離、こういうものがどれくらいできたものか、この点についての実績をひとつ教えていただきたいと思います。
  106. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 道路管理者のつくりますものといたしまして、これはまだ三月末にできるものを含めまして数字を申し上げますが、歩道につきまして四千三百三十五キロ、横断歩道橋、これは地下それから歩道橋含めまして三千二百二十二カ所になっております。中央分離帯が百四十四キロ、緩速車道が三十二キロ、交差点改良が七百五十八カ所、視距、見通しの改良でございますが、これが百十七カ所、バスの停車帯の個所が九百八十八カ所になっております。そのほかに、二種事業といたしまして、道路照明が三万四千八百五十九基、防護さくが二千五百八十七キロメートル、道路標識が四万九千七百八十九本、区画線が一万五千二百五十四キロ、視距の誘導標が三十五万四千八百四十五本、道路の反射鏡が五千八百九十八本というようになっております。
  107. 松本忠助

    松本(忠)分科員 それでは警察庁の鈴木局長にお伺いします。  同じような意味におきまして、全国の国家公安委員会その他でつくりました三カ年計画の実績について……。
  108. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 御質問の、三カ年計画によりまして補助事業として実施しました内訳を申し述べますと、信号機五千百七十五基、歩行者用の信号機が千四百六十基、道路標識が二十七万九千九百五十六本、横断歩道の標示が三万四千本等でございます。
  109. 松本忠助

    松本(忠)分科員 そこで、この三年間にわたりまして、第一次の三カ年計画によってたくさんのこういった施設ができたわけでありますが、これによりましてどれほどの効果が生まれたか、どれくらいの効果がここにできたのかということについてのお考えを実績を通してお答えいただきたいと思うわけであります。  先に蓑輪道路局長から……。
  110. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これにつきまして、こういう施設がやられる前とやられたあとの死傷者数、こういうことはなかなかむずかしい点がございまして、私たちもはっきりとどれだけの人命が救助されたかというような数字はいま持ち合わせておりませんが、現在やりましたものにつきましては、非常に緊急を要するところをまず取り上げてまいりました関係で、数字はございませんが非常にこれは効果があったものだと思っております。
  111. 松本忠助

    松本(忠)分科員 鈴木局長のほうでひとつその効果については……。
  112. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 安全施設の設置の効果測定方法につきましては、なかなかむずかしい問題がありますけれども、一応私どものほうで設置前の六カ月と設置後の六カ月の事故状況を調べたものがございます。たとえば、これは大体四十二年中に設置したものについて調査したわけでございますが、定周機の信号機につきましては千五百十四カ所について調べますと、設置前と設置後の半年、六カ月の間の事故件数につきましては三一%減、死者の数が六五・二%減、負傷者が三二%減といったような数字が出ております。また押しボタンの信号機につきましては四百八十六カ所について調査をいたしましたが、これによりますと、件数にいたしまして四九・八%減、死者にして六〇%減、負傷者にして四八・九%減といったような数字、その他の測定の数字が出ておりますが、代表的なものを申し上げますとそういうことになっております。
  113. 松本忠助

    松本(忠)分科員 そこで大臣に伺うわけでありますが、いま建設省並びに警察庁の両局長から、この三カ年計画を実施したそれによる実績も伺いました。またそれによって出たところの効果も、これはあくまで推定でございましょうが、お話があったわけであります。ここで新たにまた新三カ年計画を設定されるわけでございますが、すでに閣議決定もされたというわけでございますが、この三カ年計画を実施するについて、大臣はどのようにこれを効果的にやっていこうとされるか、お考えを聞かせてもらいたい。
  114. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のとおりに、新たなる交通安全対策三カ年計画を設定いたしておるわけでございますが、建設省といたしましては、先ほど委員の各位から御指摘になりましたとおり、歩道橋の増設あるいは歩道の延長あるいは地下道その他の点を十分ひとつ、いままでの計画より以上に新たな創意くふうをこらしまして、交通安全の道路政策その他施設対策を打ち立て推進してまいりたいと、こう考えております。
  115. 松本忠助

    松本(忠)分科員 それでは建設省道路局長に伺いますが、新交通安全の三カ年計画によりまして、建設省で担当する事業費と事業の内容等について答えていただきたい。
  116. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在、交通安全施設等の整備事業についての緊急措置法、これは御承知のように四十三年で終わりましたので、四十四年から四十六年までの新しい三カ年の計画をつくりたいということで、法律の改正を準備しておるわけでございます。  この中で、どういう形でこの計画をつくっていくかにつきましては、やはり直轄管理しております指定区間の中の安全の計画、そのほかの国道及び都道府県道の安全の計画、市町村道の安全の計画、そういうものを全部一本にいたしまして、それに基づきまして国が補助または負担すべきものをきめる。さらに国が地方の財源その他のめんどうを見るものの監督事業、こういうように分けて計画を進めていきたいというように考えておりますので、これからその作業に入るわけでありまして、それが出てこないとはっきりと数字がつかめないのでございます。私ども、いろいろいままでの調査によりまして、今度の三カ年計画の大きな内容といたしましては、車道と歩道の区別をつける、この事業を最重点に考えてまいりたいということで、歩道につきまして約四千五百キロぐらいの歩道の整備をはかっていきたい。また横断歩道橋につきましては、これは現行の三千二百二十二カ所をやりまして、大部分といいますか、もうかなりできましたので、これについては千七百八十五カ所というふうに減らしております。そのほかに交差点の改良、中央分離帯の移設、こういうものを主体として一種事業考えてまいりたいと思っております。
  117. 松本忠助

    松本(忠)分科員 警察庁交通局長に伺いますが、警察庁のほうで担当される分についての事業の内容、事業費等について……。
  118. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 私どものほうも、ただいま道路局長から御説明があった手続に従って今後作業を続けていくわけでございますが、今度の法律の改正ができますれば、地方の単独事業も含めまして補助事業と一緒になった計画という形になるわけでございますが、私どものほうは補助事業といたしましては、現在の交通行政に即応いたしまして、事故防止の観点とあわせて円滑な交通処理を行なうという観点から、交通信号機の改良、系統化といった、信号機の機能の高度化というものに重点を置いたものを補助事業にいたしたい。そのほかの定周期の信号機とか規制の標識、標示といったようなものは単独事業で実施していくという方針でやりたいと思っています。  今後の三カ年全体といたしましては、法律の一部改正の手続に従って積み上げてまいりたいという考えでございます。
  119. 松本忠助

    松本(忠)分科員 局長に伺いますが、そうすると、大体国の補助事業としてはどれくらい、あるいは地方の単独事業としてはどれくらいというおおよその目安もまだ立っていないわけですか。
  120. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 私たちがいまおおよその目安を立てておりますのは、国が負担または補助する事業といたしまして約七百億くらい、地方の単独事業として大体三百億くらいのものができるんじゃないかというふうに考えております。
  121. 松本忠助

    松本(忠)分科員 交通局長のほうでは区分は出ていますか。
  122. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 いままでの準備的な調査に基づきまして、大体の目安といたしましては、三年間で約二百七十億円くらいを見込みまして、そのうち四十六億程度を補助事業としてやっていきたいということにしております。
  123. 松本忠助

    松本(忠)分科員 そうすると残りが地方の単独事業ですね。
  124. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 はい、そうです。
  125. 松本忠助

    松本(忠)分科員 いろいろと伺いましたが、次に川越街道が非常に混雑をいたしております。主要な道路のわりに街路灯が非常に少ないわけです。したがいまして、この川越街道における事故というものが相当発生しておりますので、街路灯をぜひとも川越街道に新設して事故を未然に防止したいと思うわけであります。  そこで、現在川越街道で建設省が管理している街路灯はどれくらいあるのか、またこれを新設する考えがあるのかないのか、この点についてお答えをいただきたい。
  126. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 川越街道、これは国道二百五十八号線でございますが、これと環状六号線との交差点の前後約十キロにつきまして、現在街路灯が四百四十灯ございます。ただ、この街路灯、数はありますが、全体としてまだ暗いという感じを受けております。そういうことでございますので、将来いまの街路灯をさらに直して、もっと明るいようなものに逐次やってまいりたいというふうに考えております。
  127. 松本忠助

    松本(忠)分科員 せめて環状六号との交差点から十キロ程度のものは至急やっていただきたいと思っております。  それからさらに、川越街道の、いうなれば入口にあたるところでありますが、板橋区の熊野町十一番地と同じく板橋区の中丸町八番地、この地点を結ぶ歩道橋をぜひとも建設してもらいたい、こういう考えであります。と申しますのは、ここのところは非常に交通が激しく、しかも今度高速五号線がここへ乗り込んできます。そういたしますと相当渋滞することが考えられますし、ここに現在のところ全然歩道橋がないために非常な危険を感じているわけです。ですから、ぜひともこの地点の歩道橋の建設を促進してもらいたい。新三カ年計画の初年度の事業の、先ほどもお話のあった千七百八十五カ所の中に必ずこれを加えていただきたいと思うわけであります。
  128. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これにつきましては、五号線の開通に伴いまして非常な交通の処理対策をしなければならぬと思います。そういう中でいまの歩道橋も十分検討してまいりたいと考えております。
  129. 松本忠助

    松本(忠)分科員 次に中仙道でありますけれども、中仙道が現在地下鉄の工事がようやく完了いたしまして、目下街路を整備しているという段階です。夜間になりますと、いわゆる整備の仕事がまだまだ残っておりますので、これが片側通行になったり、非常に渋滞をきわめて、また危険でもございます。これは地下鉄のほうとの関連もあることでしょうが、ぜひとも早いところあの鉄板を撤去してもらいたい。特に雨降りのとき、こういう雪のときなどは事故が多いわけでありますが、一そうこの促進をはかってもらいたいと思うわけでありますが、特に工事期間中に街路樹がいたんでおります。いままではかなりりっぱな街路樹が中仙道にも並んでおったわけでありますけれども、地下鉄の工事をいたしましたために街路樹が非常に損傷している。この美観を失ってしまった街路を一そう整備し、きれいにするために、工事が完了した時点において街路樹を至急考えてもらいたい。  それからなお、先ほども川越街道のことでお話を申し上げた街路灯であります。こちらのほうも非常に暗いために事故が頻発している状態でございますので、ぜひともこの街路灯の整備を緊急にお願いいたしたい、こういうふうに考えております。
  130. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 中仙道の街路樹の問題でございますが、地下鉄の工事をやる場合に、私たちああいう鉄板を敷いて、それから掘さくして地下鉄の工事をしておるわけであります。現在は、普通でありますと、歩道にあります街路樹を苗圃に移しかえまして、新たにできましてから、さらにそれを苗圃から移してもとどおりにするというようなことをしております。一部、工事関係のないところで、そういうことをやっていない場所で、ダンプその他で相当いたんだものもあるように聞いておりますので、こういうのは、工事の完了後地下鉄のほうとも話しまして、処理をしてまいりたいと考えております。  また街路灯につきましては、東京みたいな大都市の中では、将来はやはり街路灯によって、夜間走ります自動車の前照灯も消して走れるというようなことが理想かと思いまして、逐次都心の中の、特に交通量の多いところの街路灯の整備と、照度を上げてまいりたいと考えております。
  131. 松本忠助

    松本(忠)分科員 鈴木局長に伺いたいわけですが、いわゆる都市道路自動車が駐車してある。非常に道路が拡幅されて通行が楽になったと思うと、そこにもうべた並べに自動車が駐車されてしまって、依然として道路の道幅が狭い。せっかく道路をつくってもらっても、自動車が駐車されるためにこれが完全に生かされていない。そこで、運転手さんの乗っていない車は一切置いてはならない、こういうふうにならないものかどうか、この点をひとつ見解を聞かせてもらいたい。運転手が乗っていない車、それはもう一切駐車してはならぬ、かりに運転手が乗っているならば道路上に駐車しておいてもいい、そういうふうにならぬものですか。
  132. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 駐車問題につきましては、御質問になりました、道路が拡幅されているにもかかわらずなおかつ車が置いてあるということに関連いたしまして、駐車を禁止している場所に駐車するということであれば取り締まりの対象になるわけでございますが、駐車禁止をかけておらないところであるといたしますれば、その問題は問題にならないと思いますが、駐車禁止の問題につきましては、やはり道路交通の実態に応じまして、時間的に禁止するとかあるいは朝夕のラッシュ時だけやるとか、最近はそういう比較的きめのこまかい駐車をやっているわけでございます。駐車一般の問題につきましてはそういうことになろうと思います。  あとの運転手の乗っておらないというのはどういう意味かよくわかりかねますが、大体駐車と停車がございまして、停車という概念は短い間運転手がおるというようなものに含まっているわけです。しかし長い間おれば、運転手がおっても駐車という概念に入るわけでございます。それから運転手のおるおらないにかかわらずこの場所は駐車を禁止すべきかあるいは停車までも禁止すべきかという、やはり道路交通の実態に応じて規制をかけてまいりたい、その規制に応じない場合には取り締まっていくということになるわけでございます。
  133. 松本忠助

    松本(忠)分科員 要するに駐車禁止でないから、そこはもう置いて差しつかえないんだということで、車庫がわりに一晩じゅう置かれているわけです。そういう問題について何とか方法はないか、私はこう思うのです。駐車禁止でないからそこは置いていいんだということで置いてあるわけです。せっかく道路が広くなっても、駐車禁止の札が立っていない限りは置いて差しつかえないということになれば、もう車庫の必要もなくなってしまうのじゃないかと思うのです。これはいっそのこと、もう道路は停車はよろしいけれども、駐車は一切禁止するんだというふうなことに、取り締まり上はならぬものですか。
  134. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 駐車禁止は先ほどもお答えいたしましたように、道路交通の実態に応じてここは駐車禁止をかける、ここは駐車してもよろしいというふうに区分けしてまいりたいと思いますが、漸次駐車禁止の区域が拡大されておるわけでございます。ただ御質問の中に、車庫がわりに使われるという実態は確かにあろうかと思います。これは御承知のようにいわゆる車庫法によりまして取り締まりが別にあるわけでございます。駐車可の場所であっても車庫がわりに使われているという実態がありますれば、車庫法によっても取り締まる道が別にあるわけでございます。それでやってまいりたいと思います。
  135. 松本忠助

    松本(忠)分科員 時間もございませんので、それでは宮崎調査室長に伺いますが、学童通学路の建設の実績はどれくらいできたか、それから未完了のものがあるならばどのくらい残っているか、また新年度についてはどのような方策をもって臨むかについてお伺いしたい。
  136. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 通学路にかかる交通安全施設も、先生承知のように現行の三カ年計画に含まれておりますので、その全体の数につきましては、先ほど道路局長から御説明があったとおりでございます。  なお通学路分だけを申し上げます。通学路分につきましては公安委員会分といたしまして、たとえば信号機でございますと、定周期千四百四十八、それから押しボタン式が九百、歩行者用信号機が三百四、こういう数字が出ております。それから横断歩道の灯火式道路標識、あんどん式でございますが、これが二千八百二、それから横断歩道の張り出し式道路標識、これが一万一千、それから道路標識は四万一千六百七十六、それから横断歩道道路標示、これは個所でございますが、一万一千二百七十八カ所、こういう数字が出ております。  それから道路管理者の分といたしましては、歩道が二千八百三十二キロメートル、それから横断歩道橋等、これは地下道も含んでおりますが、二千三百三十二カ所、それからガードレールが二百四十三キロメートル、大体そういうものが通学路におきます公安委員会分及び道路管理者が整備いたしました三カ年計画の内容でございます。  それから第二の御質問でございますが、いわゆる通学路法は、今度の交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部改正によりまして、一応政府といたしましては廃止いたす予定にいたしておりますが、通学路におきまして交通安全施設を整備することは依然としてきわめて重要でございますので、新しい三カ年計画におきましても通学路分の整備はなお一そう強力に進めてまいりたい、かようなことで関係各省庁とすでに話がまとまっております。
  137. 松本忠助

    松本(忠)分科員 最後に大臣に伺いたいわけでありますが、都市交通事故を解決する方策として、大臣はどのように考えられるか、最後に一点だけ伺って終わりにしたいと思います。
  138. 坪川信三

    坪川国務大臣 都市交通対策、人命尊重またあらゆる不幸な事件等を考えますときに、私といたしましては都市交通安全対策の三カ年計画を遂行いたしますことはもちろんでございますけれども、それとともにあらゆる都市化現象に対応する道路の整備とまた交通環境の整備に、大きな立場から、また細部な立場から、ひとつ十分配慮をして、しかも人間の歩行を守るという人間尊重の上に立っての交通対策を基本に置きたい、こう考えております。
  139. 松本忠助

    松本(忠)分科員 終わります。
  140. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 本会議散会後直ちに再開いたします。暫時休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      ————◇—————    午後三時十分開議
  141. 野原正勝

    野原主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。田邊誠君。
  142. 田邊誠

    田邊分科員 近来、東京を中心として首都圏、特に京浜、京葉工業地帯あるいは住宅地帯等が急増いたしているわけでございまして、水の需要はきわめて重大なところへきていると思うのであります。一体首都圏の水事情はどうなのかということに対して、四十五年には毎秒大体百二十トンくらい必要ではないかといわれておるわけですけれども、利根川上流をはじめとするところの各上流のダム群の建設で、利根川に限って見るならば、現在矢木沢、下久保等が建設をされておるわけでございますけれども、これを含めて八十トンくらいの水の供給ではないかといわれているのです。したがって残り四十トンは不足をする、こういう状態でございます。私が昨年質問いたしましたところが、六十年には関東においては六百三十トンの水が必要である、しかし供給源は三百三トンくらいではないかといわれている。三百トン以上の水が不足をする、こういう状態であるといわれておるんでありますが、首都圏をはじめとするところの過密地帯に対する水の需要に対して、この解決のためには一体どのような方策をおとりになろうとするのか、この考え方をひとつお聞きをしたいと思います。
  143. 坪川信三

    坪川国務大臣 お答えいたします。  東京都を中心といたしますところの首都圏地帯の水資源開発、また水対策ということは非常に重要な部門でありまして、いま御指摘のとおりに、これらの情勢を十分勘案いたしながらその水資源開発対策、言いかえますならばダム建設、治水ダム、その他の配慮をいたさなければならぬ、こういうような考え方でいまこれらの対策を総合的に推し進めておるような次第でございますが、これに対します具体的な数字その他につきましては河川局長をして答弁させたいと思います。
  144. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先生御指摘のとおりに、水の需給は非常に地域的に逼迫しておりまして、首都圏、中京圏、近畿圏あるいは北九州、東海地方、それぞれ先生の御指摘のように逼迫してまいりました。これに対しまして、私どもは数年前から広域利水調査というものを実施しております。逐次その成果も出てまいっておるわけでございますけれども、御承知のように水資源開発促進法によりまして利根川、木曽川、淀川、筑後川及び吉野川を水系指定いたしまして、水資源公団等におきましても開発を着々やっております。また私ども建設省等におきましても多目的ダム法によりますダムの建設を進めておりまして、そういう面でもって何とか需給のバランスをはかっていきたいというぐあいに考えておりますが、将来の見通しといたしましては、一応私どもの観測では、昭和六十年ごろまでかかるというと、全国で年間三百八十億トンばかりの水が河川にどうしても依存をしなければいかぬ。したがってそれに相当するだけの開発をどうしても何とか実施しなければいかぬということでございます。  首都圏につきましては、先ほど先生おっしゃいましたように、これはちょっと単位が違いますけれども、私どもの積算では、昭和六十年におきまして関東地方では年間百二十億トンの水の新規需要が出てくる。そしてその中で河川に依存するものは年間約百億トンということにもなりますので、利根川その他の河川をできるだけ開発いたしまして、その需要に対してできるだけ供給能力というものを増大するようにいたしたいというぐあいに考えているわけでございます。
  145. 田邊誠

    田邊分科員 したがって、利水計画の面ではいま大臣もおっしゃったいろいろな方法がございます。河口せきや遊水地、ダム、自然流水いろいろございますけれども、いま局長から答弁がありましたいわゆる六十年時点における関東におけるところの水不足、これを補うためにいろいろな方策をとられる中で、河川に依存する部分が非常に多いのであります。その中で特にその本流である利根川の上流においてダム群を建設することによってまかなおうとするところの水の供給度合いというのは、この中で一体どのくらいの割合を示すか。
  146. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先ほど御説明いたしましたように、関東地方で不足を補うために現在考えております供給量は約八十二億トンくらいを昭和六十年度くらいまでに供給能力を上げるように持っていきたい。これの中で利根川が約五十三億トンと私ども考えております。したがいまして、関東地方で開発する水の六五%くらいを利根川から依存したいというぐあいに考えております。
  147. 田邊誠

    田邊分科員 その中で現在も供給しておる部面を除き、現在たとえば建設中のダム、こういったものを除いてなおかつ不足が出てくると思うのですが、この不足分は一体どういう形のダム群をつくってまかなおうとするのですか。
  148. 坂野重信

    ○坂野政府委員 五十三億トンのうち私どもは新しく二十億トンばかりを新規に開発したい。既定の現在進行中のものでかなりカバーできますので、残り二十億トンばかりはどうしても新しい計画を持っていかなければならぬということで、利根川の上流の、やはりダム群の建設というのがどうしても必要になってくる。その他現在やっております河口せきを推進するとかあるいは工業用水その他いろいろの水利権等の問題につきましてもさに調査をいたしまして、何とか改善する方策があれば講じまして、そういった水の節約というものもはかっていきたい。そういったもろもろの施策を講じまして、それによって何とか水資源の開発考えていきたいということでございます。
  149. 田邊誠

    田邊分科員 二十億トンといったらたいへんな数でございます。私ども承知をしている利根川上流におけるところの既設のダム群、建設中のダム群、予定されているダム群、こういったものを見ましても、たとえば矢木沢は約二億四百万トン、下久保が一億三千万トン、いま建設予定している八ツ場が一億七百万トン、こういう状態でございまするから、二十億トンの水を確保するためのダムというものはたいへんな問題ではないかと私は思うのであります。そういう点から見まして、私は、いま質問をせんとするところの沼田ダム、いわゆる岩本ダムといわれるところのダムの構想はこれは避けられないのではないか、こういうように思うのです。大臣、実はそのあと治水の問題をお聞きをしながらお伺いしたいのでありますから、あなたのお考え方をそのあとでひとつ御披露いただきたいと思うのです。利水の面でも、私はきょうはいろいろお聞きするのは時間の都合で避けますけれども、利水ばかりでなくて治山治水の面で利根川の流域は今後一体どうなるのかということは、長い間建設省の宿願であります。  そこで、これはちょっと河川局長にあらかじめお聞きをしたいのでありますけれども、いわゆる洪水調節のためにどのくらいのダムが必要かということが常にいわれておるわけであります。それの一つ基準になる八斗島地点における最大洪水流量は毎秒一万七千トンといままでいわれておったんですね。ところが、私は昨年来質問しておりますけれども、この一万七千トンという最大洪水流量を変えなければならぬじゃないかとあなたのほうは言っておるのですね。一体その後の調査によって、あなたはこれをどのくらいに変えるというおつもりですか。
  150. 坂野重信

    ○坂野政府委員 昨年先生の御質問がございましたその後も私どもいろいろ検討を進めておりまして、私どもの目算では、大体一万七千が約五割増しぐらいになるのじゃないかということで現在作業が進んでおります。もちろん作業の過程でいろいろな問題点等がございますので、それらについてさらにいろいろ電算等によって計算を進めておりますが、そういうものができ上がってまいりますと、正式に河川審議会にはかりまして、いろいろ学識経験者の方に御相談いたしまして、それで最終的に利根川の基準の流量は幾らにすべきであるかということを固めてまいりたいと思うわけでございますが、現在までの私どもの調査の段階では、一万七千をどうしても五割増しぐらいにふくらまさなければいけないというような見通しでございます。
  151. 田邊誠

    田邊分科員 判明するのは一体いつごろですか。
  152. 坂野重信

    ○坂野政府委員 まだはっきり見通しは、いついつということはございませんけれども、いろいろな問題点をいま解明しつつありますので、大体夏ごろにはどうにか見通しができるのじゃないかというぐあいに考えております。
  153. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、最大洪水流量を五割増しするということもまたたいへんな問題でありますけれども、それと同時に、一体洪水調節量はどのくらいなのか。従前は八斗島地点で三千トンといっておったのでありますが、これはそのとおりでございますか。
  154. 坂野重信

    ○坂野政府委員 その辺がいわゆる河川審議会といいますか、そういった権威ある筋の御指導をいただかなければならない問題でございますけれども、一応河川のいままで対象にした流量というものは、毎秒一万七千のうち一万四千というものが下流の河川の基本の計画になっております。そこで、上流にダムをつくって調節する問題あるいは河川の改修を再検討するという問題がいろいろあるわけでありますが、下流の現在でき上がっている堤防を再改修するということになりますと、いろいろな問題がございまして、一応私ども考え方といたしましては、ふえる分は、大半はひとつ上流にダム群をつくりまして、それによってカバーするようにいたしたい。これはもちろん水資源の開発という要請もございますので、その辺を十分勘案いたしまして、現在の方向ではそういうような方法によって持っていきたいというぐあいに考えております。
  155. 田邊誠

    田邊分科員 したがって、基本的なそういう考え方が変わってまいりますと、いままでの三千トンカットをさらに上げなければならぬという形になってまいるのであります。いまお話しのように五割増し、約一万七千トンというのが今度は五割増しで二万五千トンぐらいになる。そのうち一万四千トンは下流に流す、残りの一万一千トンぐらいが上流でもってカットしなければならぬ。ただいまのところ三千トンカットといっておるのですから、これはさらに八千トンのカットが必要である、こういう形になってまいるのでありまして、これは実は上流にいわばたいへんな負担能力をしいるということが判明をいたしてくると思うのであります。しかもこの時期は、大体夏ごろに判明してくるということになると、この時点で私どもは、いわばその後におけるところの利根川上流におけるダム建設の基本的な考え方に対して、一つの時点を画するのではないか、こういうように思うのであります。  大臣、そういうことをお聞きをいただきましておわかりのとおり、利水の面でも、利根川上流に約二十億トンの水をダムによってせきとめなければならぬ。それから治水の洪水調節においても、現在のいわばもう二倍に近いカットを必要とする、こういうことになってまいりますと、利根川の上流において一大ダムをつくらなければならぬじゃないかということが、いわば建設省考え方としては到達する結論ではないかと思うのです。  そこで、その岩本ダム——沼田ダムともいわれているこのダムについては、いままでたびたび取りざたされてきました。歴代の建設大臣が、ときに建設する、建設しなければならない、こういうように言われた瀬戸山さんのような方もおりましたし、あるいはまた橋本さんのように、これはもう全くいまのところ計画はないという、こういう消極的な御発言の方もおったし、中間的に、西村さんや保利さんのように、これはいろいろと必要の面も考えられるけれども、さらに慎重にいま調査中であるというような、こういう御発言もあったのでございまして、いわば十五年以上もこの問題はいろいろと紆余曲折があるわけであります。まぼろしのダムともいわれておるわけであります。しかし、私は、いつまでもこの問題を放置することは、これは政治的に許されない、こういうふうに考えておるわけでありまして、この際ひとつ政治的な感覚の面では最もすぐれている大臣でございますから、あなたの将来の利水、治水両面にわたるところの計画と展望をお考え合わせの上に立って、この沼田ダムは一体どのようにあなたは考えられ、一体建設をされるというような、そういう政治的判断に立たれるのかどうか、この際ひとつ大臣のお考え方を明確にお聞きしておきたいと思います。
  156. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました治水の立場から、また利水の立場から、また水資源開発という重大なダム建設等の問題から、しかも東京都を中心としたわが国土の中枢部をなす関東の首都圏の今後の発展の上に大きな影響を持つところのこの問題につきましては、ことに利根川の治水、利水の立場から、また利根川の上流の持つダム建設の立場から、大きな期待と役割りを果たしてもらわなければならない地点であると私は考えておるのであります。  したがいまして、これらの遂行につきましては、私は地元の方々の意見の調整あるいは補償の問題等にも、まじめに、また納得のいく話し合いを真摯に、しかも強力に推し進めてまいりまして、そうしてぜひとも御協力と御理解の上に立って——このダムの建設にひとつ大きな御理解と、また大きな考えのもとにおいて事業は強力に推進してまいりたい、こういうような気持ちも持ち、地方の長官である群馬県の知事その他に対しましても、私はお会いするたびごとに、関係の与野党の諸先生を通じましても、これの建設その他の遂行については、私は大きな意欲を持って推し進めてまいりたいと、こう考えておる次第であります。
  157. 田邊誠

    田邊分科員 これはきわめて重大な発言でございまして、いま建設大臣が言われましたその意欲的な御発言に対して、私どもはこれを起点といたしまして今後論議を進めてまいりたいと思うわけであります。  そこで、大臣、この問題に対しては、たとえば松永安左エ門さんが代表でありますところの民間の産業計画会議等の御意見をお聞きになってみたことはございますか。
  158. 坪川信三

    坪川国務大臣 私、先ほど申し上げました答弁の中において、誤解を生ずるといいますか、御疑念を抱いていただくとなんだと思いますが、私たちの主張しており期待をいたしておりますところの大きな当面するダム建設の問題といたしましては、私はいわゆる八ツ場ダムを見ておるのでございまして、岩本ダムといいますか、先ほどおっしゃったこのダムの問題については慎重に検討するダムであるということを、御疑念を抱かしてはいかぬと思いますから、ひとつこの点、つけ加えさしていただきたいと思います。  いま後段に御指摘になりました点につきましては……。
  159. 田邊誠

    田邊分科員 二十七、八年ごろから松永安左エ門さんが代表である産業計画会議が、このダムの建設に非常に御熱心なんであります。歴代の大臣もこの意見を聞きながらいろいろと考え方をまとめている、こういう状態でございますが、大臣、御就任になってからこれらの人たちの意見をいろいろと聞かれておられるかどうか。
  160. 坪川信三

    坪川国務大臣 松永安左エ門さんを中心とする非常に積極的な、また理解のある検討あるいは方針等を続けておられることも聞いておりますとともに、それらの構想についても、河川局長その他から報告を受けておりますので、よき参考資料としてこれをわれわれは資料にいたしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  161. 田邊誠

    田邊分科員 そこで大臣地元の群馬県の知事に、さっき言われましたように意見を聞かれている。地元の市町村長、そういった人たちの意向を十分聞かれる必要があると私は思うのです。大臣の言われるとおりそういう機会を数多くつくらなければならない、こう思いますけれども、今後ともその方針でございますね。
  162. 坪川信三

    坪川国務大臣 それはいま御指摘になりましたとおりの方針、また就任以来三カ月間におけるところの作業も、私はそうした気持ちで接触を続けておるような次第であります。
  163. 田邊誠

    田邊分科員 局長は、いまの沼田ダムの調査費は利根川の水文観測として三十五年に組まれて以来一億七千百五十万、単独の沼田ダム調査費として計上された三十九年以降四十三年までは一億二千五百五十五万でありまするが、来年は一体何ほどの予備調査費を組まれる予定でございますか。
  164. 坂野重信

    ○坂野政府委員 まだはっきりきめておりませんが、大体前年度並みくらいのところで考えてまいりたいというぐあいに考えております。
  165. 田邊誠

    田邊分科員 一体どのような調査をされて——これは過去の積み重ねでございまするから、一体予備調査というものはどのくらいで大体終了するというぐあいに見込んでおられますか。
  166. 坂野重信

    ○坂野政府委員 調査内容を——先生も御承知のように、さっき大臣申されましたように、岩本ダムは非常に慎重な検討を要する問題でございますので、とりあえず基礎的な水理、水文の調査というものをずっと長年継続いたしております。いろいろな利水の問題、治水の問題、利根川は御承知のように非常に問題点が多うございますので、その辺をやはり長年の統計資料に基づいて分析する必要がございますので、そういった基礎的な資料をまず十分引き続いて調査してまいりたい。  それから、やはりこれはダムができてもできないにいたしましても、沼田地方を中心とする周辺の総合開発というものをいかにやるべきかというような問題をとらまえまして、それに要する基礎的な経済調査あるいはまた図上から見たいろいろな農業あるいは工業の将来のあり方はいかにあるべきか、そういう産業の将来の姿、そういうようなものをいろいろ検討してまいりたい。それに要する基礎的な調査も昨年あたりもいろいろやっているわけでございますけれども、なお不十分でございますので、——そうかといって地元の了解が得られなければ、立ち入り調査というものを実施するのは非常にむずかしい問題でございますので、そういうものをしない範囲内でそういった経済調査あるいは周辺の開発調査というものを進めてまいりたいというぐあいに考えておりまして、いつまでにこの調査を実施するかということでございますが、まずこの辺はやはり水資源、治水の今後の需要等と見合いまして、また地元の意向等というものを——その辺からおのずからある時点になってまいりまして、先ほど大臣おっしゃいましたように、慎重な検討の上でいよいよ着工するような時期が参りますと、その時点に合わすようなことで、やはりその計画もスピードアップしなければいかぬというぐあいに考えております。
  167. 田邊誠

    田邊分科員 建設省がやられるわけですからね。経済需要とかその土地の発展とかいいますけれども、あなたのほうはやはりダムを中心としてそれに関連をする調査をやることは間違いないと思う。総理府なりほかのところがやるのじゃないのだから、その点はやはり間違いなく答弁をしていただきたいのでありまするが、いずれにいたしましても大臣、この問題に対してはあなたのきわめて慎重であるけれどもなおかつ意欲的ないまの御判断もございましたししまするから、その意向に従って調査も進められると同時に、やはり関係の方々と十分な打ち合わせをされて、その上に立って今後の方向を律していただきたいというように私は希望しておきます。  そこで、時間がございませんから、現在着工を予定しておりますところの群馬県の草木ダムについて簡単にお聞きします。  これはいま一筆調査が進んでおるわけでありますけれども、私は各種のダムにおいて示したごとく、当然補償基準を示さなければならぬと思うのです。これは一体いつごろお示しになりますか。一筆調査が進んでおりますけれども、それが大体済まれて、その後においてどのくらいの期間の中でこれをされますか。
  168. 坂野重信

    ○坂野政府委員 これは直接的には、先生承知のように水資源開発公団が実施しておりまして、建設大臣が主管大臣として管理監督をやっておるわけでございます。公団の予定でいきますと、補償調査が順調に進みますと、本年の六月ごろに完了するのじゃないかというぐあいの見通しでございますので、公団といたしましては調査完了後できるだけ早い機会に発表するという計画でございます。
  169. 田邊誠

    田邊分科員 その時期の大体のめどを言ってください。
  170. 坂野重信

    ○坂野政府委員 本年六月ごろに補償調査が完了するという一応の見通しでございますので、完了しましたら直ちに、できるだけ早い機会に発表するということでございます。一応の見込みは六月までに……。
  171. 田邊誠

    田邊分科員 できるだけ早くといっても一年ということもある。大体一月たてばとかいうのがあるでしょう。
  172. 坂野重信

    ○坂野政府委員 調査が完了いたしますと県当局等とも相談いたしてやることでございますが、一月ぐらいかかるのじゃないかということでございます。
  173. 田邊誠

    田邊分科員 いままでのいろいろな各種のダムの補償を見ますと、いわば現物といいましょうか、現金にかえて補償するという形でありますが、ダムもだんだん山奥から里に降りてきていますので、水没地帯も多くなり、そこに働いている人たちの生活様式も多様になってくるという形であります。特にこの地域などは出かせぎの人たち、あるいは労働者、採石に携わる労働者諸君、山林労働者その他のいわゆる労働者が非常に多いのであります。したがって私は、いままでのそういう有形のものに対する補償だけでなくて、労働力の価値というものを評価して、いままで技能労働者として働いていた人たちがその職場を離れて違う職種に移るという形になるわけでありますから、そういったものも補償の中に含まれる必要があるのではないか、そういう補償を対象にする必要があるのじゃないか、こういうふうに思っておりますけれども、こういったことに対してはどういうあたたかい御配慮がございますか。
  174. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先ほど申し上げましたように、直接は水公団が調査をやっております。公団の調査の成果もだんだんあがってまいると思いますので、その段階におきまして先生の御意図を十分尊重するように、また公団ともいろいろ打ち合わせ検討いたしたいと思っております。
  175. 田邊誠

    田邊分科員 実はあそこは非常に石材が出るところなんです。それが水没するわけであります。そうすると個々の人たちに対していろいろな手当を講ずると同時に、そういう地域の石材が水没することによって地場産業がなくなることになるわけでありますけれども、これらに対しても何らかの手当てが必要ではないかと私は考えるのです。いかがですか。
  176. 坂野重信

    ○坂野政府委員 採石企業の再建対策につきましては、現在群馬県、それから地元の町村、また公団、建設省等の間におきまして、その他関係の行政機関で検討しておりまして、さしあたって水没地の採石業者に水没する地域に見かわるような地域がないかということで、めんどうを見ておるわけでございますが、さしあたって東京農工大の演習林の払い下げの問題がございまして、これにつきましては、当省といたしましても林野庁その他と目下交渉中でございまして、極力ひとつ実現するようにさらに努力いたしたい、このように考えております。
  177. 田邊誠

    田邊分科員 林野庁、東京農工大学の演習林がそこにあるのですが、いろいろと問題が起こりまして手詰まりになっておるというような話がありますので、ぜひひとつ国有林を払い下げてもらいたいというような要望があると思うのでありますが、その意向に対して、林野庁は協力するという御意思はございますか。
  178. 大山一生

    ○大山説明員 御存じのように、公共事業の施行に伴ってつぶれ地となる土地の代替地として行政財産を提供することができないことは御承知のとおりであります。したがいまして、それの代償として例の大学の演習林を地元に提供して国有林を間接に補償的に求める場合でも応ずることは困難だと思います。ただ、林学教育上、将来学校の演習林が不足するというような事態がありまして、その点について大学からは営林局なり私のほうに協議があるというような場合におきましては、ほかに適地がないかどうか、あるいは国有林野事業との調整のいろいろ問題がございましょうけれども、それらの点について所管がえについて検討してまいりたい、このように考えます。
  179. 田邊誠

    田邊分科員 いろいろ問題が多うございますし、大臣もこの問題に対しては、私、建設委員会等でさらにいろいろと論議を深めていきたい、このように思いますので、よろしくお願いいたします。
  180. 野原正勝

  181. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 土地問題、それから住宅産業についてお聞きしたいと思います。  建設大臣は、今回の土地税制が大蔵委員会にかかっていますが、この土地税制で地価は安定し、下がると思っていますか。簡単に言いますと、あの土地税制は個人の土地を売りやすくする。早く売った人は、どんどん早く売れば売るほど有利であるというのですね。そういうふうになっております。そうすると、それを今度は大手不動産会社や何かがどんどん買います。そうすると結局地価は下がる、安定するという見通しは、これだけではならないんじゃないかという議論が相当出ていますが、いかがですか。
  182. 坪川信三

    坪川国務大臣 今国会に提出いたしまして御審議をわずらわしておる土地関係の税制等につきまして、いま御指摘になりましたような個人の譲渡益に対する長期短期の分離重軽課税の問題等について、これのみを持って万全を期するということは私はやはりとうてい考えられません。一つの個人に対するところの土地提供を促進するという立場からその税制の対策を御審議を願っておるというようなことでございまして、いま御指摘になりました後段のこれらの問題については、かなり技術の上においては支障といいますか、大きな問題もひそんでおることも御了承のとおりでございますが、これらの点につきましては、やはり十分解明、究明、検討もいたすべきである、こう考えております。
  183. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると、結局これだけでは地価は安定しない、大きな問題があるというのですが、私はやはり今度の問題で建設省は御不満だったと思いますが、私が見たところで一番不満なのは、大法人の持っている土地について、これをどういうように規制するかという問題が一つも出ていないのですね。この点についてはいかがですか。
  184. 坪川信三

    坪川国務大臣 法人に対するところの問題は、午前中の当委員会においてもいろいろの角度から御指摘を受けておるような状態でございますが、先ほど申し上げましたとおりに、もっと技術の上においても検討を要する問題点も多々ありますので、これらの点については前向きの姿勢を持ちながらひとつ検討を加えてまいりたい、こう考えておる次第であります。
  185. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると、大蔵委員会でいろいろ土地税制をやるに際して建設大臣の非常に公平な御意見が反映するように努力いたしますが、ことに重要な問題は、これは建設省と直接関係ないと思いますが、田中角榮さんが地価の安定その他のいろいろな都市開発についての案を出しています。その中で、民間ディベロッパーというのがいま大騒ぎになっています。それは大蔵委員会でも問題になりまして、庶民が住宅を持ちたいためになけなしの貯蓄をする。これは物価が上がっていると紙幣減価が起こる。だから利子が五分五厘で、物価の値上がりが大体六分ぐらいだという去年のような状況になると、もうとんとん以上か損をするような状況になる。ところが、それを集めた大きな銀行、保険会社、それから貸し出される、たとえば私鉄、デパートその他の大手不動産会社も含めて子会社、それがどんどん土地を買いあさり、買い占めをする、ここに問題の根本があると思いますが、建設大臣はいかがですか。
  186. 坪川信三

    坪川国務大臣 都市開発を推進いたし、また既成市街地を改造していく場合の宅地の高度利用をはかる事業の一環といたしまして、いま御指摘になりましたいわゆる大きな資金並びに不動産といいますか、これらの努力を非常に必要としてくることは考えられます。しかし御案内のごとく、これらの土地の権利者の組織するところの組合が考えております傘下組合員といたしましては、加入する場合に、定款に組合員の同意を得なければならぬ、こういうことに相なっておりますので、これらの調整はやはり考えていかなければならぬというような考えを持っておる次第であります。
  187. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 その組合員の同意ですけれども、いまの世の中は、事実上は、やはり経済的な力関係できまる。だから、いろいろと手を回したり、名義はそのままになっていても、どうにでもなるという形で、操作は幾らでもできる、そういう実情があるわけです。それで現在のところ、すでに高級マンションがばらばら建っています。あの家賃もしくは頭金ははなはだ高いと思いますが、建設大臣はそういうことをお調べになって全部掌握されておりますか。
  188. 坪川信三

    坪川国務大臣 全部はあらゆる角度から調べてはおりませんけれども、大事な資料といたしまして自分の頭の中に踏まえていることは事実でございます。
  189. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 その頭の中のを出していただきたいと思うのですが、それが一つ。私が調べたところでは、月大体五万円では勤労者は締め出されます。頭金が四、五百万円でもだめです。今後建てる見通しのものも大体そういうような傾向で進んでいます。そうすると、大都市は高級マンションに埋まってしまって、勤労者はどんどん外へ出されて、なけなしの貯金で建てたのも小さな家で、しかも通勤電車でもってぎゅうぎゅう苦しまなければならぬ。こんなばかげた状態があってはならない。それについての歯どめですね。都市開発法を今度提案していますが、それについての歯どめ、これとこれだということを、いまのマンションの実情から見て、歯どめについて建設大臣の御答弁をお願いします。
  190. 坪川信三

    坪川国務大臣 都市開発に資するいわゆる土地の高度利用あるいは宅地の供給あるいは宅地の造成等において、ある程度の重要性といいますか、必要性といいますか、こういうようなことについては、私も一応認めざるを得ない、こういう気持ちを持っております。いまのあらめる角度からくる歯どめというか、あるいは数字上から申されました点につきましては政府委員をして答弁させます。
  191. 大津留温

    ○大津留政府委員 先生御指摘のように、最近民間の分譲アパートというものが非常に建ちまして、一日に平均一棟の割合だといわれております。これらのものは、やはりそれに対する需要があるからこういうものが建つんじゃなかろうか。また、このマンションというのは非常に豪華なアパートというイメージを与えておったのですが、最近は、いま御指摘のように一戸当たり四、五百万円程度のものも出てまいりまして、勤労者の所得の上昇に伴いまして中堅勤労者の手が届くような価格になってまいったというふうにいえるのじゃなかろうかと思います。一方、郊外に一戸建ての住宅を得ようといたしますと、どうしても四、五百万円ではなかなか建ちがたいという状況にも相なってまいりましたので、そういった五、六百万円程度のアパートというものは、むしろそのほうが勤労者の需要にかなう持ち家といえるんじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。一方、そういう高級の賃貸住宅というものは、そのわりには建っていないようでございますけれども住宅公団あたりの分譲にいたしましても、やはりこの都心でやるとすれば、もうやはり四百万円はこすような状況にだんだんなってまいりました。しかし、この間、西大久保でやりました分譲につきましては五十倍近い競争があったような状況で、やはりそういう需要といいますか、御要望がございます実情におきましては、こういうものに対する供給もいろいろ考えていくべきじゃなかろうかというふうに考えております。
  192. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 いまの答弁では歯どめなんか一つも言っていませんね。いまのお答えは全く驚くべきことでして、一戸当たり四百万円というのは頭金でしょう。
  193. 大津留温

    ○大津留政府委員 全体の価格です。
  194. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 全体の価格だけれども、払うときには四、五万円かかるでしょう。月にずっと四、五万円かかるでしょう。公営の分譲住宅だってそうなんだから。あなたの月給幾らですか。あなたのは高いかわからないけれども、公務員で十年、二十年つとめても、行二職や何かだったら、とてもじゃないですけれども買えるものじゃないですよ。だからこういう考えがいけないのですよ。一戸当たり四百万円は高くないだろう——二DKか何かで小さな部屋ですが、そういうのは高くないだろうということで民間にまかせておくという考え方があると思う。住宅公団と分譲住宅とが大体同じくらいになっているというけれども、これはあとで言おうと思ったが、受益者負担という変な手品を大蔵省のほうが使い出して、住宅も採算に合うように合うようにと持っていくからどんどん高くなる。大体家賃が月に二万円から三万円の間で公のものは建っておるが、これには入れないのです。だからそういうところは全然考え違いですよ。住宅政策の根本が立っていないのです。マンションのことは私は誘い水で話をしましたけれども、四百万円というのは港区とか千代田区とかというところでは建たないのです。最低七百万円ですね。もっとですよ。それであいているところもある。だれを住まわしているかといえば、おめかけさんか何かを住まわしているかもしれませんが、そういう状況になっておる。それなら今度どんどん建ててごらんなさい。いまでも共同住宅でいろいろ安い利子で借りれる。私もすすめています。建設大臣は中高層のビルを建てるということは非常に熱心だが、私もそれは合理的だと思って、それをすすめている。現行法でも相談すればできるんです。ところが相談してできなかったら、それはそれぞれの人の土地私有権への執着だろうというふうに思ったらこれは間違いなんです。建設会社にまかせるな、そのうちに高いコストの建設費をかけられて乗っ取られてしまうじゃないか、力の強い者に乗っ取られてしまうじゃないか、こういうことでみんな疑心暗鬼で建てない。そういうことがあるから、そういう場合においてどうしたら歯どめができるか。土地は安くなれば不動産会社が買い占めるおそれがある。建設大臣はこれだけでは地価は安定しないと言っている。そうするとここで歯どめが必要だ。歯どめを考えないで住宅政策は立てられませんよ。ことに都心部の住宅政策は立てられない。みんな言っていますよ、おれたちはみんな追い出されるんじゃないかと。表面上は土地私有権の収用強化ということを出してくる。これは理屈はわかるのです。中高層のビルを建てたりするのは私は建設大臣に協力したい。ところが大資本のディベロッパー、化けものみたいなのがずっとあって、これに対する歯どめをつくらなければ賛成できないということになる。それで歯どめについて聞いているのですが、どうでしょうか。
  195. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 新しい都市開発法をこれから提案するわけでございますが、この前の国会に出して廃案になったものでございます。この法案と大筋においては変わりございませんが、住宅対策的な要素も若干加味いたしまして再提案しようと思って検討中でございますが、この法案において行ないます市街地再開発事業におきましては、大企業がかってに入らないように参加組合という制度をとっておりますけれども、認可にあたりまして組合員の総意を聞きまして、そうして組合自体が判断するような形で入るようなしかけにいたしております。しかも、組合の内部における議決権は幾ら大きな住宅を持っておりましても一票というような形で、すべての事業が組合員の総意で動くという形をとっておりますので、新しく制定されます都市開発法に基づく市街地再開発事業におきましては、大資本が跳梁ばっこするというようなことはないように法制上いたしておるところでございます。
  196. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 その歯どめを聞きたかったのです。これは表向きはこうなっているけれどもほんとうにIMFの総会みたいにEECが拒否権を持てるように——これは絶対だいじょうぶですか。たとえば参加組合の組合員というけれども、その組合員が個々に一人一人落ちていった場合がずいぶんいろいろ考えられるのですが、そういう場合に、あと残った人が救済措置を講ずるようないろいろな問題についてはどうですか。
  197. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 もう一つの大きな問題は、先生御指摘いただきました権利者、特に小さい権利者の保護の規定でございます。これにつきましては詳しく申し上げませんけれども、あらゆる段階におきまして綿密な規定を置いておりまして、それでいろいろな段階でこれが知事の認可にかかるようになっております。したがいまして、私どもといたしましては、この法制上権利者保護については最善の努力をいたしているつもりでございます。
  198. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そこで共同してみんなが古い家を建てかえる、それで中高層アパートにする、共同して公平ならば非常にいいわけです。その際地価の問題ですね、さきに返るけれども。やはり一人でも反対する人がいる、もしくはあれでもって買収しなければならぬということがある、そういう場合、先ほど言ったけれども、地価が高い。今後国と地方自治体が少しお金を持ってやる、公営住宅や何かに出しているように。いろいろ中高層アパートを建てるときに下は保証してやる、上はおれのほうでずっとてこ入れをするということになると、そのかわりこの部分は安い家賃で勤労大衆に貸すんだとか、公務員で所得の低い人がいたら、そういう人は緊急の要があるから都心部へやるとか、そういう形の注文がつけられるようなくふうはございますか。
  199. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 いまの先生の御質問に対しまして大体三つの方途がございます。  一つは、結局再開発事業といいますのは、従前よりも延べ面積をふやしまして、そのふやした延べ面積の部分を処分いたしまして、全体の建築費をまかなう、権利者はただで入れますものですから、そういう形になるわけですが、その場合の保留床と申しますか、処分する床につきまして、あらかじめ売買契約を結んでおいて事業資金を供給するというのが参加組合員という制度でございます。これは不動産の賃貸業者に限りませんで、私どものほうといたしましては、地方公共団体、あるいは地方住宅供給公社、あるいは日本住宅公団といった公的の住宅の供給主体がそこにぜひ乗ってもらいたい、また乗り得るような制度にしておるわけであります。そういう方法によってひとつ解決する方法はございます。  それからもう一つは、ある程度広い面積にわたりまして再開発をいたしますと、その中に当然道路、広場、その他の公共施設が入ってまいります。これを全部事業費でまかなえということでは事業費が大きくなりますので、それにつきましては公共施設の管理者が負担金を出す、負担金に対しましては、補助採択基準に合うものは国が国庫補助をするということを織り込んでおります。  それからもう一つは、組合がやります場合は、これは私どもとしてぜひそうしたいという気持ちを建設省として持っておるわけでございますが、ただいま防災街区造成事業というのがございます。それにつきましては、若干ではございますが、たとえば計画の費用とか、あるいは設計の費用というようなものにつきましての補助制度がございます。これは財政当局と話はついておりませんけれども、私どもといたしましては、組合に対しましてそういう補助をぜひお願いしたい、こうふうに考えておるわけでございます。
  200. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 それは大蔵省に対する強い要求であると思いますから、今度大蔵省の問題なんです。だからこれは建設省の責任ばかりではないと思いますが、大臣道路と公共事業費、こう言いますね。ことしはうんとふえたというけれども道路の中でも五つの幹線とか国際空港とかいろいろの道路があります。それと住宅費との振り合いですね、一般会計の。これは一般会計はひどいものです。財政投融資を含めまして、この振り合いはこれでいいと思いますか。
  201. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 一般公共事業予算配分、いわゆる各それぞれの五カ年計画を持っておるこれらに対しまして、おのおの事業内容それ自体、あらゆる面から考えますと、異なった目標、目的があるわけでございます。そうした点を考えますと、私は、どちらも大事な問題でありまして、いわゆる道路予算、あるいは住宅予算、それぞれの独立性の計画の方向に、それにふさわしいところの公共予算を編成したい、すべきである、こういうような考えを持っております。
  202. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 どちらも公平にという、要約するとそうなんですが、それは大間違いだと私は思うのです。経済が高度成長でうんと進んで、大きな会社は大もうけをして、それで道路を使おうというその道路は、大体、道路公団の用地買収を六〇%高めてばりばり進めておりますが、こういうものをほとんど利用しない人がいる。経済的に、間接的に利益になっているとはいっても、直接的には大きな会社。ところが、住宅は庶民の一番切実な問題なんですね。いま住宅の問題は非人道的な状態なんですよ。美濃部革新都政でシビルミニマムというのを出していますが、そのシビルミニマムに、住宅の中で一番大切なものは何かというのを議論して出したのです。そうすると、一世帯じゃなくて、二世帯、三世帯も一緒にいるということ、それから子供がだんだん一人前になったら、異性の子供たちは一緒にしてはいかぬとか、いろいろなのがありますね。これを満たそうと思ったら全くたいへんな騒ぎなんです。東京都もそうでしょう、どこでもそうでしょう。そうすると、そういう問題でなるべく住宅を重点に置く。それで道路は、これは急がなくたって、いい道路は幾らでもあるのです。そういう点で、それじゃ困るじゃないか、自動車がいっぱいあるじゃないかといったら、自動車の制限をやったり、排気ガスをうんと自動車会社に規制さしたり何かすれば——やはり住宅を重点に置くべきじゃないかと思うのです。これは私の意見ですが。  そこで一つあるのですが、今度から住宅産業が高度成長の産業になるのです。たとえばここに書いてあります。住宅産業の中での一番大きな特質は、第一に旧財閥グループが主として不動産会社を中心に住宅産業界になだれ込んできたこと。第二に、それまで住宅産業と関連のなかった業種までがこれに進出するということで、一と二を合わせましてこれが成長株になるのですよ。自動車産業というのは、ちょっとこれはかげりが見えてきた。過剰生産的になってきた。それでは自動車産業は住宅産業へ切りかえようじゃないか、こうくるのです。これはいいのですがね。大量生産をすればコストが安くなると思うのですが、ところが、土地の買い占めその他に使われるし、大きな産業というのは、御承知のとおりコンピューターで全部計算して、利潤をあげることを中心に考えているのですよ。そうしますと、この住宅産業というものを通産省が所管すると、通産省というのは独占企業を一生懸命援護するので有名な省ですからね。それと比べると建設省は、住宅だとか道路だとか河川だとか、大衆の生活に結びついている。だからこの住宅産業を、土地とか住宅というのは大きな問題になると思うのですが、これを所管するところはやはり建設省でなければならぬ。それを強力に閣議でもいろいろ御主張なさいますかどうですか。
  203. 坪川信三

    坪川国務大臣 広沢委員の御指摘になりましたただいまの御見解は、御見解として私も十分拝聴いたしました。したがいまして、いまの住宅問題を建設省の立場からさらに推進するかどうか、これはもう当然でございまして、私は五カ年計画の達成をもう一年残すのみになった現時点におきまして、建設省が新たなる一つの構想を準備すべきであるという考え方から、この間新聞を通じて発表さしていただき、きのうは住宅宅地審議会を開きまして、そうして新たなる五カ年計画の構想等について答申をお願いいたしておる次第であります。したがいまして、これらの答申を夏ごろちょうだいいたしまして、そうしていよいよ本格的なる、新たなる住宅五カ年計画を策定いたし、来年の四十五年の予算編成、いわゆる四十六年度の予算編成の時点までには、皆さまの御了解と御指導も仰ぎながら、最も国民生活に関連する重要なる住宅政策に対して建設省は積極的になお事業を推し進めたい決意であることを申し上げておきたいと思います。
  204. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 住宅政策に非常に熱意を持っているということは非常にいいです。  最後に確認しますけれども、これは非常にいい歯どめだと思います。だけれどもまだこれではだめなんですよ、実際上はね。たとえば土地の問題、地価の問題、この問題は、大きな会社はもう先にちゃんと有利な立場に立っているのですよ。だからこれに対する歯どめを、大臣として、この歯どめはないか、この歯どめはないかと遠慮なく大蔵省にばかんばかんぶつけたら、私たちも大蔵委員会でもってとことんまでやりますよ、大臣が大胆不敵にやってくれればやってくれるほど。それで、いわゆる金融、保険会社、銀行、その他大手の不動産会社を通じてさんざっぱら悪いことをするものに対してはできるだけ歯どめをします、だから、もっとこの歯どめはないかということを考えていただきたいということが一つ。  それからもう一つは、いまのあれからいっても、この歯どめだけでもやはり家賃は下がらない。家賃を下げるためにどうしたらいいかということをやはり考えなければいかぬと思います。もう一クラス下でもって、せめて一万円から七千円ぐらいだったら万々歳ですね。あと一息なんですよ。だから、まあ三千円、五千円ぐらいの人もございますが、全体として七千円ぐらい、公団住宅でも何でも、それが七千円ぐらいまで、ヨーロッパ並みに下がるにはどうしたらいいか、どういう財政措置が必要かということですね。大衆のいろんな住宅ローンやなんかもそこに通用させてそれを使う、それで、国が利子補給するとか、いろいろなくふうがあると思うのです。そこまで、つまりシビルミニマムというやつです、最低の月給でもって払える、国民が納得できる、やはり税金を出しているからこうなったんだというそういう水準ですね、これを一回出していただきまして、それを実現するためはどうしたらいいかということを建設省から呼びかけていただきたいと思いますが、どうですか。
  205. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました問題、いわゆる重要な歯どめの問題でございますが、これは建設省住宅対策、土地対策、地価対策、あらゆる面から重要な問題点であろう、こう考えております。  先ほど都市局長が申しましたごとく、六月から施行いたしますところの新都市計画法の適切な運用、また御審議のお願いを予定いたしておりますところの都市開発法の制定というような、こうした法案あるいは法律の制定運用等にも十分力を注ぎまして、有効な土地利用の促進をはかりたい、こう考えますとともに、国、公有地の活用とかあるいは地価の公示制度の制定とかあるいは土地税制の改善とか、または基地返還に伴うところの都市住宅対策等の適用とかあるいは筑波学園の建設に伴う公的機関の移動とか、いろいろの問題、また財政上、金融上、保健上とらなければならないあらゆる歯どめが、私は総合的にこれをまとめながら計画的に施行することによってこれが歯どめになるのではないか。直ちにこれが特効薬としてあらわれるという問題はなかなかむずかしい点もあることは広沢委員御指摘、また御案内のとおりでございます。したがいまして、建設省といたしましては、働く低所得者のしあわせを願った住宅を最終の念頭に置いてひとつこの問題にまじめに取り組んでまいりたい決意でございます。
  206. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 終わります。
  207. 野原正勝

  208. 高田富之

    高田分科員 本日、私は特に地域的な問題ではございますが、問題は非常に重要でございますし、今後の行政運営の面では全国的にも影響いたしますかなり重要な問題を含んでおると思いますので、地方的な問題を取り上げまして御質疑を申し上げたいと思います。  石岡市の工場団地建設に伴う土地収用の件でございます。内容につきましてはあらかじめ申し上げておきましたから、建設省としては住宅公団の言い分あるいは経過についてはある程度の御認識をお持ちと思いますので、具体的なことをお聞きいたしたいと思います。  まず最初に、住宅公団が今日までに土地収用法を発動して実際に土地を収用した前例はございますか。
  209. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 住宅公団が工業団地の造成につきまして土地を収用いたしましたのは、石岡が初めてでございます。
  210. 高田富之

    高田分科員 初めての工場団地造成に伴う土地収用でございますだけに、不肖私はこの問題を非常に重要視いたしまして、現地には何の手がかりもありません、知っている人は一人もございません、縁故者も皆無であります。しかし、問題の重要性を日刊新聞の上で見まして直感したもんですから、進んで関係者のほうに私のほうから調査を進めてまいりました。今日までいろいろと調査をいたしたのでありますし、途中で公団の方にも教えをいただいたりお話も聞いております。私のいままで調べました範囲におきましては、結論を申し上げますと、この今回行ないました収用は非常に大きな誤りではなかったかという心証を強くいたしております。  そこでまず最初にお伺いしたいことは、大体申し上げるまでもないですけれども、この種の財産権に対する国家権力による制約を加えるというようなことは、わが国の今日の憲法のたてまえからいいましても、決してこれは拡大解釈をしてはならぬと思います。この権利の制限のために設けられました法律の適用については慎重にも慎重の態度で臨まれ、いやしくもこれが乱用にわたって憲法の精神に反するがごときことがあってはならないことは申すまでもないと思うのですけれども、まず最初にその基本的な方針、運用の態度につきまして大臣から言明をいただきたいと思います。
  211. 坪川信三

    坪川国務大臣 高田委員がこの問題を中心とされまして、農地収用に伴う農民生活の実情について深い関心とまた非常な御配意を願っておることは、過半の予算委員会における高田委員の質問においても私は十分拝聴もいたしておる次第でありますとともに、いま申されました農地収用に伴うところの農民の生活に与える大きな影響を考える場合に、われわれといたしましては、農民側の立場になって十分配慮してあげなければならぬということを私は基本に置きたいと思います。  そうして、話し合いでなるべく納得と理解を深めながらこれが円満に解決できる方向に絶えず努力し合っていく、信頼と理解の上に立って推し進めるということを私は基本に持ちたいと思います。とともに、それらの対象になられる場合におきましては、職業のあっせんとかつぶれ地をなるべく少なくするという努力、また代替地の適用というような点に至るまで、親心のある立場に立って配慮を尽くすべきであるということを建設大臣としての基本方針として行政指導に当たってまいりたいと思いますとともに、石岡工場に関連するあの問題の御質問を聞いており、また関係局長等ともそれらについて十分話し合ったようなこともあるような次第であります。
  212. 高田富之

    高田分科員 ただいまの大臣の御弁明を信頼いたしたいと思います。  それでは、農林省の立場でございますが、この例ばかりじゃございませんが、農地あるいは山林等の収用が、今後の都市計画法の実施等に伴いまして相当ふえてまいります。いまでも非常に多いのですが。こういうふうにして公共の用に供するために農民の生活の唯一の手段である土地、山林というものが買い取られていく。この事態に対しまして、農林省は建設省あるいは自治省とか関係の方面と連絡をとって農民を保護する、あるいは農業を維持するというような立場から、特に土地収用法の運用等につきましてはあらかじめいろいろな点で意見調整をはかるということが必要であろうと思いますし、いままでもそういう点では、特に建設省との間に何らかの話し合いなり方針の打ち合わせなりは行なってきておるのでございましょうか。
  213. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 事前に私どもと調整をするというようなことは、収用法についてはございませんが、ただ私どもとして、いま先生がおっしゃいましたように、農民の立場から見ますと、その生活の基盤に急激な変動を与えるようなことになりますので、できるだけ円満な話し合いでやっていただくように、また収用する場合におきましては、特にその法律で要請しておりますような生活再建のための措置という条項に基づきまして、できるだけ代替地その他農民の生活再建のために十分なる配慮をお願いいたしておる次第でございます。
  214. 高田富之

    高田分科員 今回の収用法の適用を受けられたのは青柳という人でございますが、問題はこの人個人の問題でないのでありまして、この団地造成に伴いまして関係農民が二十数名を集めた会をつくっておりまして、その会の責任者であります。御本人は農民ではございませんが、山林の経営者でございまして、他は全部農民でございます。そうしてこの関係農民に対しましては、昨年末すでに収用手続が開始され、告示がありまして、公団としましてはいつにでも収用の委員会開催を要請できる万端の準備を完了し、その旨を関係者に十二月に通知もしておりますが、そういう背景でいま公団側が二十数名の農民と交渉を進めておるわけでございます。  その交渉の内容については、私は公団からいろいろ報告を受けております。先般文書にしてもいただいておりますが、その二十数名の方々の言い分、公団側の交渉の内容というものが明らかになったのでございますが、その内容を見て私は非常にふしぎに思いましたので、さっそく関係の農民の人々から直接私が事情を聴取してみました。ここに出ております。  これは公団から出された各人別の交渉の経過、言い分、内容、全部ここに一覧表になっておるのでございますが、私非常にふしぎに思いましたのは、これを見ますと、収用してくれ、もう収用していただいたほうがごたごたがなくていい、もらった金を分けるのに収用のほうが便利だ、あるいは収用のほうが有利だから収用を希望する、こういうことがずっと書いてあるのです。世にもふしぎなことがあるものだ、こんなに農民のほうから収用してくれ収用してくれと言うのはおかしいなと思いまして、さっそく調べたところが、とんでもないことなんです。よくもこういうことが文書にできたものだと、私は実は驚き入っておるのです。御本人たちに聞くまでもないのですけれども、聞いたら、何と言ったって、判を押すか、押さなければ収用だぞ、これでは返答のしようがない、どうにでもかってにしてくださいと言うのです。これは全部そうなんです。これを見ますと、希望していますとみんなちゃんと書いてある。驚いたものです。しかも何を交渉しているかといいますと、公団の持っていった交渉内容というのは全部ここに書いてあります。山林については代替地は提供しない。それから農地については残存営農面積一町歩、その不足分について代替地を提供する。ただし、買収前の営農面積が一町歩に満たないものは六〇%だ、こういうことが書いてございます。  ところが、こういう条件をいつどこでだれがきめたのか。これは結局、公団側が一方的にきめたか、あるいは市と公団で内緒できめたか。これは関係者自体も知らなかったのです。こういうことが基本方針としてきまっていたということは、関係者、この文書を見て初めて驚いたわけです。こんなことは聞いたこともない。なぜならば、いままでこれらの人たちが長い間市との間で交渉を進め、市はまた県と交渉を進めてまいりました中身は、ちゃんとここに全部でき上がった契約書などもございます。調停書がございます。調停者もちゃんと地元からも立って、前市長など、有力な方が調停者に立って、県まで中に入って約束できた文書がございます。それによれば、山林については六〇%、農地については八三%ということを目途にして代地のあっせんをする、こういうことになっているのですね。それは、この県のほかの鹿島でありますとか、学園都市でありますとか、いろいろな例などにのっとって県が草案の基準を出して——それもここにありますが、それに基づいて地元の調停委員や市できめた調停案、これには市長も調印しておる。関係者みんな調印して正式にでき上がったものがあるわけであります、代地提供によって協力しようという約束が。これがみんな頭にあるわけです。今日でもあるわけです。  ところが、突如として公団が一方的にこういうものを持って、これを基準にして、頭に置いて個人個人の交渉をしていたのだなということは、いまみんな初めて知った。昨今私がこれを見せたので、びっくりしている。公団はどこでこれをきめたかわからない。一方的にきめたものです。しかも、これを見たらわかるのですが、こんなことでは食っていけない。ここに載っている農民一人一人の生活内容、耕作面積、農業収入、副業収入、全部私調べましたが、非常に典型的な農業地帯ですから、四町歩からやっている人もある。大体二町歩からやっております。そういう人たちが、一町歩以上残ればもうそれでおしまいなんだ、代地は要らないのだ、こういうたてまえで推し進められたら、ああそうですかというわけにいかないのは当然なんです。あたりまえの話ですよ。しかも、買い上げる農地が一反歩三十万くらいのものなんですから、こんなことで手放して一ぺんに半分になり、三分の一になる。家までとられる人がこの関係者の中に半分もいるのですから、どうして食っていくか、どこへ引っ越していくか、いまもって何の当てもない。何の当てもないのに、判こを押すか、収用かといくのです。何べんも行っているのです。留守中も行って奥さんなんかおどかしている。こんなことで、私が手をつけなかったら全部収用を発動したにきまっていますよ。この調書は収用してくれという調書なんですから、農民が希望しているというのですから、これはやるにきまっている。とんでもないことです。これは実情ですから、なお違っているかどうか、あらためてお調べ願えばいいことなんです。  そこで、私はふしぎに思っておりますことは代地の問題。いま大臣からもお話がございましたが、農民や何かの場合ですと、山林経営者とか農民というような場合ですと、代地の要求は今日当然だと思います。百姓をよそうと思っている人は別ですよ。二種兼業なんかで、いいことを幸いに手放してやろうという人は別ですが、これから農業をやろうという人なら代地をほしがるのは当然なんですね。代地について相談をしたということは、ですから、非常にあり得べきことです。自然なことなんです。  ところが、これはなぜ決裂したかといいますと、県まで中へ入ってできましたりっぱな調書に対しまして、市側は、よろしい、調印はした、だからこの契約はできたんだ、けれども、代地問題を実行するについては、契約内容を実行するについては、まず地主のほうで土地の売り渡し書に判こを押して出してこい、それが前提なんだ、それをやらないうちは代地の相談も何も始まらないんだ、こういうことなんです。それで一週間待つから判を押して持ってこい。一週間たっても持ってこなかったから無効だというわけです。さすがに県も驚いて二度、三度やり直しているんですよ。副知事まで乗り出している。そうすると、また十日くらい待つ、市が一方的なんですね。幾日までに判を押して持ってこい、それが前提だ。判を押して土地の売り渡しをいってこないものには代地はやらないんだ。だから一年たっても話が進まないのです。進まないのはあたりまえですよ。それで結局収用ということになっちゃった。そうすると収用委員会——これはまたふしぎなんですが、収用委員会の議事録を全部とって私は読んでおるんですが、こういうことがちゃんと述べられているにもかかわらず、この内容について立ち入った審議というものは行なわれてないのですね。全く非常識だと思うのです。こんなことでは無効だと市長は収用委員会に行って相変わらず主張しているのです。判こを押してこないから効力はないんだ、こう言うんですよ。  ところがそうじゃないんで、代地を出すべきだと、こっちも代地の要望書をこしらえて、各人別のその要望書を出しているんですよ。そうしてそれに対して向こうも代地について誠意を持ってあっせんするという契約ですから、それに基づいてあっせんする話がほぼ煮詰まってくれば調印ができる、売り渡しができる、こういうことなんですよ。これは間違いない。そういうことを全然進めようとしないで、収用委員会自体も、私に言わせれば非常に一方的な運営をしたままおしまいにしております。  そこでお聞きしたいのは、そういうふうに代地ということのやりとりをする場合、初めに売り渡し書に判こを押してこない限りは代地の相談に応じないというようなことが普通一般にあり得ることでしょうかね。いかがでしょう。
  215. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま細部にわたって具体的に御説明また御要望ありました点、私といたしましては、最初に高田委員に申し上げましたような方針で、これらの問題についての指導に当たりたい、こういうことを御理解いただけたことと喜んでおるのでございますが、いま具体的な問題点に入っての御報告または御説明、いろいろ承りました。また聞くところによりますと、その立場の事情もあるということもいろいろ私はそれとなく仄聞もいたしておるような次第でございます。いずれにいたしましても、私といたしましては、前段で申し上げましたような、納得のいく、理解のある話し合いの場において、一方的なるところの措置、一方的なるところの考えの強制というようなことを避けていくべきであるということは、当然のことではありますけれども、かくあるべき気持ちを持って、いわゆる住宅公団あるいはその他関係当局にも指導、また地元の方々にもお願い申し上げたい、こう考えております。
  216. 高田富之

    高田分科員 それで、いまの代地の交渉の問題は本件の根本問題をなしております。そしてこれらの人たちを公団側では、非協力者、反対同盟者なんて文書にも書いております。全然反対はしておりません。もう初めから、代地の要求を出して、協力するということに判こを押して市長に出しておりますよ。代地によって話し合いがつけば協力する。しかも代地についてはパーセントまで提起をしています。ですから、誠意を持って話し合いが進んでいく間には、具体的にないとかなんとか——これはないものはどうしようもないという話は出るんでしょうけれども、初めから相談に乗ってくれない分には話のしようがない。  代地の問題の最後の結末はどうなっているかといいますと、収用委員会の一番おしまいに和解をやっているわけです。これは収用委員会のほうから和解しろということを要請しているわけです。その和解というのは何かというと、速記録を見てみますと、ずっと代地問題で争ってきているんだから、もう一ぺん和解のところで直接公団と話し合って代地のことで何とかならぬか、こういうことなんですよ。ところが、公団はこれを実質的に拒否しているわけです。和解も内容が代地のことならばごめんこうむりますとはっきり言っております。代地のことではもうだめでございますと、こういっている。しかし、いずれにしても地主側はその代地の問題でならば和解に応じますと言っているから、それでしばらく期限の余裕を置かれている。その間に形式的なことはやったんですね。  どういうことをやったかといいますと、市のほうから出させているんです。市のほうには開発公社というものができておりまして、そこから代地を出してきた。ところが、これはもう決裂させるために出したということは一目瞭然なんです。なぜかといいますと、この山林を反当十八万円で買い取りなさい、こういうのが出てきた。ところが、その反当十八万で買えといって出してきた、要するに、買い取りをあっせんしたという形なんでしょうが、その十八万で出してきた土地というのは——これは開発公社なるものが非常に経理の乱脈、運営の紊乱をきわめて、一年ほど前に警察で摘発されまして刑事問題になったのであります。そのために監査委員会を市で自発的につくりまして、慎重に監査をした。ところが、非常に乱脈をきわめておる。こんな監査報告が出ております。去年の三月に市議会に報告された監査報告書、正式の報告書によりますと、この十八万で和解のとき出されました土地は、実は開発公社が買い入れるときに大体時価五万円か六万円程度のものというふうに見られておるというのです。これは証人なんか全部あげての報告です。市議会に出した監査委員会の報告書に書いてある。五、六万円のものです。ところが、ふしぎなことに、開発公社はこれを十一万円で買った。五、六万円のものを十一万円で買った。この事情は何だろうと、証人まで呼んでこれを克明に調べている。どうも怪しいということまで書いてあるんです。中にブローカーを入れて、東京あたりの料理屋なんかで飲んだんじゃないかといううわさも出てきている。で、十一万円で買ったことはどうしても監査委員は承認しないのです。これは背任行為であると断定をしたわけです。しかも、その買った土地は、遠方でとんでもないところであって、代地の用をなす土地ではないとも断定しているのであります。代地の用をなさないような土地をうんと高く買った。これは背任行為だと明白に断定したその十一万で買った土地が、十八万で買い取りを出してきたのです。これはびっくりして、やはり思ったとおり決裂させるためだなということになって、それっきり話が進まない。それですぐ強制執行、こういうことになる。これも公団のほうで一応事情については調べなさいとぼくが言ったところが、これは買い取り価格に利息と諸経費を足したものでありますという答弁をしているのですよ。そんなばかげた代地がありますか。一方では五、六万で収用しておいて、うんと遠くの悪いところを十八万で買い取りなさい……。地主はこれをいま鑑定人に鑑定させたそうであります。そうすると、立木を含めて七万というんですね。土地だけならやはり五、六万、この監査委員会の報告どおりの値打ちのものだと現在いうんです。それを十八万で買えという。これは決裂をさせるために出したものです。形式的に和解させようと出したが、なりませんでしたと、手続を踏んで形を整えただけにすぎないのです。こういうやり方です。  こういうことで、いま残りの二十二人が、同じようにもう手続万般済んでおりますから、これを背景にいたしまして、判こを押せばいろいろな補償ももらえて得なんだよ、判こを押さなければもうほんとうのぎりぎりの土地代だけでおしまいになるぞ、こういうようなことをいっていま交渉しておるわけであります。  そのほかに、まだこまかい点は、こちらに参りまして、公団の本社に皆さんがかけ合ったときも、公団の人たちがやはり同じように、強制収用を二言目には出す。それから、当初来、この農地の接収にあたりましては強制収用のことだけずっとやってきている。代地のことについては誠意ある話を一度も聞かなかったということは一貫しておるのであります。しかも、事は工場団地の造成でありまして、これは公共性といいましても、公共性にもピンからキリまでありますよ。だから、先ほどおっしゃったように、これはやはり慎重の上にも慎重にしませんと、今後もこんなことをやられたんでは、農民は有効な用地の造成に協力するなんということは、これはとてもできませんね。ですから、この点は監督官庁におかれましても、農林省におかれましても、また自治省においても、十分真剣に洗ってもらいたいのです。必要ならば関係者を呼んでお調べを願いたいのです。そうしなければ、第一今後円満に進みませんし、まだでき上がったわけじゃありませんから、その他の方面にもこれは悪影響を及ぼしますので、徹底的に洗い直す必要があります。いろいろなことを聞けば聞くほど不可解な問題が非常にからまっております。たとえばこんなこともあるんですよ。この市の助役をしていた人で、現在は自治省に戻っておるそうですが、石岡市に二年ばかり行っておった方なんですね。これが連絡協議会の会長の青柳さんと水戸へ——これはほかの用事で行ったらしいのですが、水戸市のある料亭へ呼ばれて、そこで非常な強迫と誘惑を受けているのです。ひどいんですよ。これは酒色による誘惑ですよ。青柳さんは席をけって逃げ出しておるのですが、話にならないんですよ。この経緯全部を見ますと私は背後に何かあると見ている。この建設公社なるものができて、そして監査委員から最初指摘され、さらに警察から指弾され、そして自発的に監査委員会を組織して、その結末はどうかというと、市長以下が全部懲罰になっているんですよ。市長は半年の減俸、その他依願免職とか勧告とか訓告とかいって全員を市でみずから処罰したんですよ。そういうていたらくなんです。それで代地をあっせんするためにつくった開発公社なんですけれども、こんなところでまともな仕事ができるはずはない。それによって関係者でうまい汁を吸ってしまったんです。当時の新聞をここへ持ってきておりますが、地主から時価の半分で買っちゃってお互いにもうけているんだという記事が出ておりますよ。非常に暗いことなんです。特に自治省には厳正に自治体のあり方を洗ってもらいたい。しかも、現市長は圧倒的多数で不信任案を議会で議決されて通過しておるのに、そういう人だけれども、おれはやめないやめないと言っているらしいのです。普通の自治体の運営をやっているところじゃございません。そういうところだからこそ、私はこういうことが起こると思うのです。私のところでも工場団地の大きなのをたくさんつくっていますが、市長は、私のところでいいますと、熊谷や深谷でも団地をつくるときには現地へ泊まり込むくらいの熱意を持っておりますよ。現地の農民と話し合いますよ。ところが、この市長は現地の農民と話し合ったことがありません。幾ら要請しても行かないんですよ。公団の人が行っているんですよ。こんなことじゃだめです。市長がみずから行って裸になってやるくらいでなければだめです。公団が買う金が安ければ農民のためには市から足してやるくらいのことでなければだめです。こういうとんでもない悪代官みたいなものがまかり通るようであってはたいへんです。しかも、これは住宅公団としても初めてのことでありますから——特に工場誘致なんという問題はもうかりますからくるのです。もうからないならきやしませんよ。それはもうつくること自体は大きな目で見ますれば公共事業であることは私も否定しませんけれども、これはもっと慎重にしてもらいたい。最初に大臣のおっしゃった趣旨がはたして公団の仕事を実際に担当している諸君に徹底しておるかどうか、私は、非常な疑問を持っております。どうかひとつこの際大臣が先頭に立って、こういう権利の制限をやるという重大な仕事をしている第一線の係官等を十分取り締まられて、誤りは正すことにやぶさかであってはならぬと思っておりますから、今日は時間がありませんけれども、なお今後もこの問題について建設委員会等で公団の方にもおいでを願って、あるいは関係者も呼んで、十分実情を調べた上で改めるべきことはいさぎよく改め、今後の円満な仕上げをはかられたいということを強く要請いたしまして、たいへん言い足りないところが多いのでございますが、ちょうど時間でございますのでこれで終わります。大臣一言だけお願いいたします。
  217. 坪川信三

    坪川国務大臣 あらゆる角度から詳細にわたるところの御説明また御要望は十分お聞きいたしました。前段で申し上げましたような気持ちをもってさらに努力を積み重ねてまいりたい、また調査等につきましても誠意をもって進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  218. 野原正勝

  219. 稲富稜人

    稲富分科員 私は三点にしぼりましてお尋ねいたしたいと思います。  最初にお尋ねいたしたいと思いますことは建設業法の改正の問題についてでありますが、御承知のとおり、わが国の造園事業というものは世界的にも非常に高く評価されておるのでございます。ところが、この建設業法の第二条には、「「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表に掲げるものをいい、」ということになっておりますが、その別表を見ますと造園業というものは入っておりません。おそらく建設業法が制定された時分にそういうことをうたわなかったということは、その当時における日本の造園業というものは御隠居のやる仕事であるかのごとくに大衆性のないものであるというふうに見ておられたのではなかろうかと思う。ところが、最近における造園業というものは——道路かできましても道路の緑化であるし、工場の緑化であるし、団地の緑化である。ことに排気ガス等の多い都民生活の中においては、この緑化運動というものは日常生活に非常に関係があります。そういう点から造園業というものは今日非常に伸びつつあるのであります。そういうような情勢でありますので、この際建設業法の改正をやられるということもうすうす聞いておりますが、この機会に法の改正をやって造園業というものを建設業法で確認を願えるようにこの別表にしるしてもらえないか、こういうように法の改正をやられることが時宜に適したものであると考えておりますので、これに対する大臣としての御意見を承りたいというように考えております。
  220. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました問題につきましては、稲富委員承知のとおり、昨年一月に建設審議会におきまして答申されましたので、それを主体にいたしまして建設省といたしましては建設業法の一部改正の法律案を今国会で御審議を願うべくただいま準備中でございます。いま御指摘になりました庭園工事につきまして、これを独立の工事の種類として定め、これに対応する業種を定められたい旨の要望は各界からもお聞きもいたしており、また稲富先生個人からも私は承っております。それらの立場をとらえまして、建設省としては、これらに対するところの措置につきまして目下慎重にあらゆる角度から適否を検討いたしておりますが、その必要性というものが十分認められておりますので、われわれといたしましては御要望の線に沿うべくただいま積極的に立法措置の配慮をいたしておるという状態でございます。
  221. 稲富稜人

    稲富分科員 それでは次の問題でお尋ねいたしますが、御承知のとおり、日本道路公団は、公団法及び道路整備特別措置法の第三条によって建設大臣の認可を受けて料金を徴収することができ、道路その他を建設することができるわけでございますが、道路整備特別措置法の第三条によって、建設大臣に申請書を提出する場合に料金の徴収期間というものの申請を出さなければならないことになっている。ところが、これがある程度その期間がたちますと徴収を廃止されておる。これはその徴収期間を申請してその申請した期間がくれば廃止をしなければできないことになるのであるか、あるいはその申請の期間とその実情が異なった場合はさらに再申請して延長することができるのであるか、こういう点についてひとつ意向を承りたいと思います。
  222. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまの有料道路の料金の徴収期間の問題でございますが、一応申請の有料道路として道路を改築して料金を取るという場合にはどれくらいの料金を取り、それによって建設費、管理費をいつ償還するか、これが料金徴収期間の根拠になるかと思います。そういうことで申請が出てくるのでございます。何ぶんにも道路ができる前に想定したことでございますので、実を言いますと、料金がよけい入りまして償還が想定よりも早く終わるものもございます。またその料金徴収期間でも終わらないものもございます。現在やっておりますのは、建設費に見合う金額を償還いたしますと、一般有料の場合は無料にしておるわけでございます。また料金の徴収期間までにまいりましてさらに建設費を償還しない場合は、いろいろ公団の中にあります損失補てん金その他を入れまして、その料金の徴収期間で無料開放にするということをしております。ただこれは申請でございますので、われわれいろいろ意見を聞いております中には、さらにもっと取ってもいいようなものについては取ったらどうかというような意見もあります。その場合、やはり料金徴収期間の変更ということになろうかと思います。その問題につきましては、有料道路というものが、将来は道路は無料であるべきだ、それを道路整備のために一時よそから借金をして、その借金を車の料金で償還するという原則に立ちますと、建設費を償還したら無料にしなければならぬというような意見が非常に強いわけでございます。
  223. 稲富稜人

    稲富分科員 徴収期間というものをできるだけ延ばすことができるとか、あるいはその期間がやってきても場合によったらあえて徴収を廃止しなくて、これを建設的な整備事業のものをプール計算で使用して道路の拡張をはかる、こういうようなこともひとつ考えられやせぬかと思うのでございます。なぜ私こういうことを申し上げるかといいますと、たとえば今日具体的な問題が起こっておりますのは、高速自動車道路等の問題であります。これは私しばしば道路局長にも要望したことがあるんでございますが、高速自動車道路が最短距離を通るようなことになりますと耕作地を通るという部面が非常に最近多くなってまいります。この耕作地をしかも良田を高速自動車道路が通過をいたしますと、それがためには水利の問題とかあるいは作業の問題、こういうような営農に非常な悪影響を及ぼすというようなことも間々あるんでございます。こういう点におきまして、農業経営者としてはこういうようなところに土盛りの高速道路をつくってもらうことは非常に農業経営に支障を来たすから高架にしてもらいたいという要望が各地に出るんでありますが、このたびに建設省並びに道路公団が言われることは、道路を高架線化すると費用が三倍もかかるので、経費の問題においてどうもこれは不可能であるという、こういう意見でございます。私はそういうことを聞く場合に、やはり道路公団というものは、御承知のとおり有料道路でございますから、この料金の徴収期間を非常に長くするとか、さらにまた廃止してもいいというような状態のところでもこういう徴収金を取ってプール計算にして、こういうような設備費にこれを使う、こういうことになりますと、高速道路等の建設に対しても、これの犠牲になる農民の希望等も満たし得るじゃないか、こういう点をこの料金徴収問題に対しては考えて、ひとつこの際検討する必要があるんじゃないか、こういう意味から私はお尋ねしているんでありまして、この点に対してひとつ建設大臣としてのお考え方を承りたいと思うのでございます。
  224. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま御指摘のように、高速道路につきましては現行法ではまだ路線ごとの採算になっておりますが、実は現行の路線ごとの採算では、とてもいまのままでは、例を九州縦貫道にとって見ますと、全線とても採算とれないというような状況でございます。それで将来、やはりある程度高速道路の中のプールということは考えられると思います。ただ非常にいまの高速道路、すでに供用開始をしております名神とか東名とかを考えてみますと、これの料金がどうあるべきか、それによってどのくらいまで金が取れるのか。名神なんかの例をとってみますと、名神については料金の収入が非常にいいのですが、じゃああれがいつまでもつかということになりますと、また再投資をしなければいまの名神のキャパシティーではとても間に合わないというようなこともございまして、将来は非常に不確定な要素を相当含んでおる状況でございます。それを考えてみますと、高速道路についてある程度のプール計算をいたしましても、やはりいまの財政の状況では有料道路として料金を取らなければならないという現状から考えますと、やはり高速道路はできるだけ安くして利用者の負担も少なくするというようなことも考えなければならぬわけでございます。ただ、いま先生のおっしゃいましたように、平地を通ります場合に営農に非常に影響があるという場所及び内水が非常にたまるというような場所につきましては、ある程度金がかかっても高架をつくっていくというようなことでこの営農の問題は何とか解決をはかっていきたいというふうに考えております。
  225. 稲富稜人

    稲富分科員 この問題はいままで農民が地方の道路公団あるいは地建等に交渉いたしております。ただ公団並びに地建等の答弁は、建設費がかさむのだという一点ばりなんですよ。建設費がかさむということはわれわれが常に言っているように、有料道路でありますから徴収期間を延ばせばいいわけであります。しかも、その営農者というものはその道路ができることにより利益をこうむらないのです。利益をこうむるのは遠いところがこうむって、農民は道路建設されることによってひとつも利益をこうむらない。ただ営農に困難をするという状態である。ところが建設省等においては、ただ、三倍も料金がかかるんだからそれじゃやれないんだ、これの一点ばりで話が進まないという点が非常に多いのです。それで農民等においても、高速道路に反対するのじゃないんだ、ただ農業経営に支障を来たさないような高速道路をつくるとするならばいたし方ないのだ、こういうことを言っておるけれども、これはなかなか解決しないでおるというのが現状なんです。どうかいま局長の言れるようなことで、実情に沿うてそうして農民の希望を満たして、徴収期間を長くするとか、こういうようなことによって高速道路建設が円満にできますような方法を講じたほうがいいのじゃないか、こういう考えを持っておりますので、これはひとつ建設省としてそういう考えであるならば、地建あるいは公団等にも十分徹底するように趣旨を述べられて、その点ひとつ営農に支障を来たさないように、これを基本的な考え方にして対処してもらいたい、こう考えるわけでありますが、いかがでありますか。
  226. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 建設費に非常に金がかかるということを地建でも公団でも現地に対して、それでは困るんだというような説明をしておると思います。高速道路に限らず有料道路につきましては、初期投資が非常に大きくなりますと、これは借り入れ金でございますので、あと非常に利子がかさんでくるわけであります。利子がかさみますと単に料金の徴収期間を五年延ばす、十年延ばすというだけでなかなか追いつかないような場合もございます。と申しますのはいわゆる雪だるま式に利息がふえていきますとある一定の金額以上になりますと、どうしても償還できないというようなこともございます。また一方、先生のおっしゃいます営農上の不便ということもございまして、これはやはり高速道路は相当農地を通りますので、この辺につきましては各地区いろいろ地形も変わっておりまして、営農上の不便の問題もいろいろ差別があろうかと思います。この辺は十分公平に見まして一番困るというようなところからまずそういうような構造物をつくっていくということで今後指導してまいりたいと考えます。
  227. 稲富稜人

    稲富分科員 次にお尋ねしたいと思いますことは、あるいは道路建設とかあるいは河川の変更とかこういう敷地の問題で、建設省計画されますその計画が先に漏れまして、これがために従来その土地を所有している以外の者が土地を所有してそしていわゆるゴネ得で利益のために営利のために土地を買い込む、こういうような事実が諸々方方にあるのでございますが、こういうものに対しては計画と同時にその土地を確保するとかあるいは移動できないようにするとか、こういうような法的な措置というものがなさるべきではないかと考えるわけでございます。こういう問題はおそらく建設省としてもしばしばぶつかっておられると思いますが、これに対してどういう処置をとろうという御方針であるか承りたいと思います。
  228. 志村清一

    ○志村政府委員 公共事業等の計画をいたしますと、それによる地域開発の効果を考えまして地価が上がるという実態がございます。これらにつきましては、私どもといたしましては早く調査を終わりまして、早急に用地の取得にかかるということが一番よろしかろうということで、実は予算等におきましても用地の先行取得の予算をつけるとか、あるいは自治省の起債で先行取得債の起債がございますが、あのワクを活用するとかというような方法をとると同時に、たとえば都市計画事業でございますと、都市計画を決定するというような措置をとるように進めたいと考えております。
  229. 稲富稜人

    稲富分科員 この問題に対しては実は具体的な問題があるのであります。これは私の地方で筑後川の沿岸でございまして原鶴という温泉地帯がございまして、二十八年に災害をこうむったので、あそこに放水路をつくるという計画が成り立ちました。おそらくいまから十数年前だと思いますが、ところが、これがいつの間にかどこから漏れたのか、あるいは悪意に考えますと建設省の内部からこういうことを故意に漏らした人があったんじゃないかと思われるような状態で、いろいろな連中がこれを聞き込みましてそして放水路の計画土地をずっと買いました。それで、現在ではその当時その土地を所有しておったという農民はほとんどおりません。しかも、その買った人たちは将来の補償を目ざしてわざわざ家を建てて、家を建てれば三倍の補償をもらえるんだというわけで高層の建築を建てておるというような状態です。こういう問題、私のほうの一部分の問題かもしれませんが、こういう問題が生じた場合に政府としてはどういう処置をとるか。十数年前の土地に帰ってその土地の売買に応ずる、応じないときにはどうするか、こういう問題についてどういう法的な処置をとろうというお考えであるのか、この点は、一つ今後の問題もあるし、いま言う法的な処置をとるという意味からも参考になると思うので承りたいと思います。
  230. 坪川信三

    坪川国務大臣 この問題につきましては非常に大事な問題でもありますので、政府といたしましても近く河川予定地に指定するように準備を進めておりまして、昭和四十四年度の予算の増額と開発公社によるところの借り入れ金による先行買収等により、極力早期に買収できるように措置を講じたい、こう考えておるのでありますので、御了解願いたいと思います。
  231. 稲富稜人

    稲富分科員 いま私の例を申し上げまして原鶴の問題に対しましては、そういう処置をおとりになるといういまの大臣の御答弁でございますが、そうしますと十数年前にそれを現在の所有者が思惑で買ったその価格というものは、一体どういうような査定をいたされるのでございますか。
  232. 坂野重信

    ○坂野政府委員 これは確かに先生御指摘のようにその当時水害を受けた直後に早く事業に着工すればよかったわけでございますけれども、水害直後にいろいろな模型実験をやってそれらの実態について十分検討するというような問題もございましたし、また予算関係等もございましてすぐに着工するという運びに至らなかったので、先生御指摘のような問題が起こってまいりました。地価は高騰しておりますし、それから建築物もできておるというような段階になったわけでございます。しかし実際に買収いたします場合には、やはり現時点をとらまえまして、やはり現在の時価ということを中心にいたしまして検討していく、それで適正な価格で買収するということにせざるを得ないと思うわけでございます。おそまきながらさっき大臣のおっしゃいましたように、ひとつこれ以上高騰しないように、これ以上物件も建たないように、あるいは法的な措置をとると同時に予算の増額等、開発公社等の資金を導入することによって一刻も早く買収を完了いたしたいということでございます。したがいまして買収の単価につきましては、やはり残念ながら現時点ということをとらまえまして、それを対象にして考えていかざるを得ないだろうと思います。
  233. 稲富稜人

    稲富分科員 そこに非常に問題があると思う。おそらくこれを計画したのは二十八年だったかと思うのでございます。二十八年に放水路をつくるんだという計画をして、今日まで何もやってない。しかもそれが早く人に漏れている。それでその点を聞いた人は思惑でその土地を全部買ってしまって、そして三階建て、四階建ての高層建築を補償目当てに建てている。これをいまになって現在の相場で買収しなければいけない。こういうようなことに国の財源を使うということは、これは私は非常に問題があると思う。この問題も事実そうでございますが、こういう問題が起こらないようにするためには将来そういう計画をした場合には何らか法的措置をやっておくようなことを考える必要はないかということで、基本的な問題をひとつ承りたいのでございます。  さらに具体的な問題は、二十八年に放水路をつくるという計画をして今日まで何もしてない。しかもそれがどういうところで漏れたか。ずいぶん前、おそらく私たちが知る前に漏れたんだから建設省の内部から漏れたんだろうと思うのでございますが、あそこに放水路ができるそうだというので大挙して土地を買ってしまった。しかもよそから来て買っているんですよ。ほんとうにその当時所有していた人間というのは、今日ほとんど所有しておりません。しかもこれに三階建て、四階建ての建築をしておる。将来自分が補償をもらえるからということで建築をしておる。それをそのまま時価によって買い上げるということになりますと、その思惑が当たったということになる。こういうことに対して国の財政的な金を使っていいかどうか。これは大きな問題であると思うのでありますが、こういう問題に対してはどうお考えになっておるのか。
  234. 坂野重信

    ○坂野政府委員 申しわけのようなことになるわけでございますが、先ほど申し上げたように二十八年に筑後川水害がございまして、その後いろいろ筑後川の改修計画というものが検討されたわけでございます。これは筑後川の改修計画ということになりますと非常に大きな計画でございますので、慎重審議検討されまして、その間に河川審議会等にもこの問題ははかられまして、そういう基本的な計画の変更、いわば上流のダム部に対して幾らカットするか、それから下流の河川部に幾らの水を流すべきか、そういう基本的な問題の検討にまず入りまして、原鶴に確かに分水路を設けるべきだというような構想もある時期がたってから出てきたわけでございますけれども、はたしてそれじゃその地点に現実にどれだけの幅でどういう位置にその分水路をつけるのが最も水利学的に理想であるかということで、実は土木研究所の模型実験等を経まして、実はこれが先生の御指摘でございますとかなりのんびりした話のようでございますけれども、またなかなかむずかしい問題でございましたので、こういった模型実験等も経過いたしまして、もちろん河川予定地として指定することは最も理想的でございます。しかし河川予定地として指定するためには、どれだけの区間でどこどこというのがはっきりいたしません。それともう一つは、予算的にはっきり着工の見通しがつかなければ、なかなか河川予定地として指定できないわけでございます。そういった事務的な関係もございまして、ようやく最近に至りまして、そういった計画がすべて完成といいますか、はっきりいたしました。そこで思い切って買収をきめたということになったので、結果的に見てみますと、御指摘を受けるとおりでございます。そういう事情がございました。おくれたことははなはだ残念でございます。
  235. 稲富稜人

    稲富分科員 私は弁解を聞こうとするのではないけれども、問題は、そういうことを計画した場合、どうして先にそういうことが漏れるのかということなんです。やはり漏らさないようなことにして計画をしなければならないということが一つ。それから、そういう計画ができたならば、土地の移動を差しとめるような法的な処置ができないかどうか。結局ブローカーとか、そういうような思惑で買ったものが利益をするということになるわけです。こういうことを放置していいかという問題なんですよ。しかもいま言ったように二十八年ですよ。もうその時分から、いま土地は上がっております。しかも土地ばかりではございません。今度補償する場合は家も補償しなければならない。その家というのは三階建ての家を建てております、こういうことも補償しなければならない。こういうことを放置していいかどうか。私は、この問題はこの問題といたしましても、将来こういう問題が起こり得ると思うのですが、こういう問題をやむを得なかったものだ、私どもだらしがなかったけれども、現時点におきましてはやむを得ませんから、いまからでも計画して時価によって買います、こういうことをしていいかどうか。これはいまでは買わなければいかぬかもわかりませんが、そこまでいきました経過においては、私たちは、大いに反省すべきものがあるのではないか、こういう点を考えて、ひとつ今後の問題の処置を承りたいと思います。
  236. 坪川信三

    坪川国務大臣 いろいろの計画が事前に漏れることによって、あらゆる思惑、あらゆる取引あらゆる矛盾を現象とする事犯が起こることは、まことに行政の上においては遺憾なことだと思います。これらのないようなことによって、住民にしあわせを与えるということが、政治、行政の基本にならなければならぬ、こう考えておりますので、いま稲富委員が御指摘になりましたそれらの点については、過去に起きた事犯としてはまことに申しわけないことでありますので、われわれといたしましては、今後かかる事犯の起きないような、秩序ある行政、正しい、そうした不正と申しますか、疑惑の起きないような、また住民に大きな暗影を与えることのないような行政指導を、建設省といたしましては、私も十分これから厳に慎みながら指導してまいりたい。またいまの時点において、またあのときの時点において、こうした法的な措置の矛盾というような御指摘も私はもっともだと思います。これらの点につきましては、さらに前向きの姿勢をもって、これらの措置を行政上どうできるか、あるいは法律上いかに改正すべきであるかというようなことは、十分ひとつ検討を加えまして、御期待の線に沿うように、また、御指摘のあるような事犯が再び繰り返されないように指導してまいりたい、私はこう考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  237. 稲富稜人

    稲富分科員 それでは時間がありませんから、ただ大臣に、いま大臣がいらっしゃらなかったときに、道路局長に要望した問題がございます。それはひとつ道路局長からお聞き願いたいのでございますが、自動車高速道路ができます。この自動車高速道路の通過する点が最短距離をとりますので、非常に土地のいい、良田を通るのが多いのでございます。その場合、一般の土盛りにしますと、営農に非常に影響する、水利の問題に影響するということで、農民といたしましては高架線にしてもらいたい、こういう希望が非常にあるのでございます。ところが高架線にすると、三倍もかかるというわけで、土盛りでやろうというような、こういうことを建設省でおっしゃいます。その点はひとつ営農に支障を来たさないような形でやっていこうという道路局長のお話でございますが、大臣といたしましても十分そのことを考えて、高速自動車道路等ができますことに対しましては、そういうような被害者をできるだけ少なくする、こういう考慮の上において、しかも先刻お尋ねしましたように、償還期間等を長くすれば有料道路でございますから、費用のかかることも補えると思いますので、こういうこともあわせて十分大臣としても考えて処していただきたいということをお願いを申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。
  238. 坪川信三

    坪川国務大臣 承知いたしました。
  239. 野原正勝

    野原主査 小濱新次君。
  240. 小濱新次

    ○小濱分科員 ただいま坪川建設大臣のとうとい精神のあらわれのお答えがございました。私も非常に感じて聞いておったわけでありますが、私も、その精神にのっとってぜひとも解決していただきたい、その問題についてこれからお尋ねをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  きょうは局長がおいでになっておられるわけですね。おわかりにならない、こまかい点は局長のほうからでもけっこうでございます。  一つは、最近地価はますます値上がりをしております。一坪の土地も思うにまかせない現在でありますのに、国は国道の中で十分な道路敷を持ちながら、長い間、さら地のまま放置してある、こういう問題でございます。その例は相模原市を縦断する国道十六号線、これは幅員四十メートル、狭いところで二十二メートル、その中で道路として使用されているところは何とわずかに十メートルにすぎない。残りの三十メートル、相模原市内延べ坪十二万五千平方メートルは荒地になっております。   〔主査退席、仮谷主査代理着席〕 問題は、この道路敷はすでに戦時中に国のものになっております。戦後二十四年の歳月がたっておりますが、取り除くべき何ものもそこにはないわけであります。路面の整備さえすればそれでよいわけであります。その国道十六号線の道路整備でありますが、これはまたあとから話をいたしますけれども、この整備は市民の心からなる願いであります。問題は非常に山積しております。これがいつできるのか、具体的なそういう内容をお持ちになればお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  241. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまのお話の国道十六号線の大和から相模原へ行く途中でございますが、私も現地を見まして、相当道路敷がありながらまん中十メートルくらいしか使ってないということで、いままでその十六号——全体のうち、千葉のほうができておりませんので、千葉のほうに相当力を入れた関係もございますが、最近の十六号の路線交通状況は非常にはげしくなってまいりました。そういうこともございまして、実はことしも一部やっておると思います。大体、ことしと明年四十四年度には大部分のそういう敷地のありますところは、敷地全体を使う道路に直してまいりたいというように考えております。
  242. 小濱新次

    ○小濱分科員 私も見ました、こうおっしゃいましたが、ごらんになられまして、率直にどのようにお感じになられましたか。
  243. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 あの線は非常に混んでおりまして、現在、横浜のインターからずっと相模原のほうに北上してまいりまして、あの手前は二車線くらいで非常に狭いところが相当ありまして、さらに相模原のほうに行くと広くなっておりますが、やはり狭いところを将来拡幅するのは当然でございまして、まず用地のあるところを早く使いまして交通が楽になるようにということを痛切に感じました。できるだけこれを早く整備したいと考えております。
  244. 小濱新次

    ○小濱分科員 そういうことじゃなくて、雨の降った日は人の通行するところが全然わからない。歩道もない。一部ありますけれども、土が山になっております。それから草ぼうぼうです。穴ぼこだらけです。まっ暗で人は歩けませんので、車道に出る。そしてはねられて大きな事故を起こしているわけですが、そういう現状をよく見ていただいて計画をお立てになるならば、もっともっと急速な問題の解決があるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、そういう点どういうふうにお考えになりますか。
  245. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 私もいま先生のおっしゃるように、この辺がおくれておったのはほんとうに申しわけないと思います。用地のあるところの道路の改造といいますか、歩車道を区別するようなことをできるだけ早くやりたいと考えております。
  246. 小濱新次

    ○小濱分科員 建設大臣お聞き願いたいのですが、この国道の幅員は四十メートル、この中で国が買い上げた部分は十メートル、残り三十メートルは地元から無償で提供いたしました。それで問題なのは、戦時中に現在の相模原市に大がかりな軍都の建設計画されたわけです。それがために内務省直轄の都市計画をやりかけて、当時の耕地整理法で土地の提供をさせ、耕地整理をすれば地価が上がるんだ、そういうたてまえで四〇%の減歩をさせて、この土地を買収したわけでございます。そのところが国道十六号線の荒れ地のまま放置されているところでございます。そこの三十メートルの分は、申し上げたいのでありますが、この区画整理事業を国が神奈川県に実施させたものでありますが、重要な排水施設などゼロのままに終戦になってしまいました。この事業は、わずかな軍都計画の処理費をつけただけで県や市に移管されて終止符を打ってしまいました。こういう内容になっております。  終戦後は、これは直ちに米軍の領地となりました。広大な施設も軍に接収されました。市では何一つ使用もできずに、戦時末期以来の経済事情、物価の騰貴で、巨大な地域をかかえたまま、道路舗装一つもできない現状になっております。さらに都市区画整理ができているからというので、これが首都圏整備法第一号に指定されてしまいました。実質的には何の恩恵もないわけであります。土地は広いし、今後は発展するであろうという思惑で流入人口が急増しております。片や東京の町田市であります。こちらは横浜市です。そういう点で非常に見劣りがするわけです。四年間でこの相模原市の人口は約倍以上になっております。現在二十三万人をこえておる。こじきが馬をかかえて路頭に迷っているというのが現状だ、こういうふうに地元の人たちは言っております。その中で特に困窮しているのは道路問題であります。  私がきょうお願いしたいのは、この国道の問題だけでございます。市道に至っては、それはもう日本一の悪道と言っても言い過ぎではない、こういうような現状でございます。これは参考までにひとつ聞いていただきたいのですが、市道の総延べ数は千二百三十キロメートル、これはちょうど東京から下関に至る長さになる。全然舗装されておりません。この市道は、市内至るところ、先ほど申し上げたように大きな穴ぼこ、水たまりで、側溝なんか入っていない。排水装置なんかない。沼のようなところ、そこを歩かなければならない。つとめに行くには、短ぐつを持って長ぐつをはいていく。そして駅付近に預けてはきかえていく。帰りはまたはきかえて帰ってくる。こういう姿になります。ここの水はけがまた悪いものですから、悪臭がひどいのですね。そういう中で、住民は余儀なくされてその生活をしているわけでございます。私は現地に行きましてつくづくと思うのでありますが、住民はまことに気の毒だ、不幸だな、こういうふうに感ずるわけでございます。  そこで、この特殊な未完成事業、国から引き継いであえいでいる窮状を少しでも緩和をしてやるために、私はきょうは御質問をするわけでありますが、土地が無償で提供された。そしてその人たちはその付近にみんな住まいを持っているわけです。いつできるのであろうか、私ども土地が、こう言って希望をつないでいるわけであります。ところが、一向にできていない。いま若干手はつけております。ところが、それがためにまた道路が狭まって、あとからまた申し上げますけれども、いろいろな事故が起こっている。そういう点で、国道十六号線の完全整備くらいは、いまのような内容でございますので、急遽これは実施すべきである、このように私は考えるわけであります。  建設大臣のお考えを聞かしていただきたい。
  247. 坪川信三

    坪川国務大臣 小濱先生国道十六号線の現況、整備計画のまことに不十分な状況をみずから御指摘になりました点につきましては、深く拝聴いたしております。地域住民の各位が無償提供していただきまして、このとうとい国道十六号線の建設をしていただいたことを考えますときに、これらのとうといお気持ちに対する報いのある道路整備、拡幅というものをあたたかい気持ちをもってやらなければならぬことは当然だと思います。したがいまして、これらに対するところの完全な整備といいますか、いま御指摘になりました歩道の整備、これらの点につきましては、十分いま責任局長である道路局長も聞いておりますし、私も十分承りましたので、関東地建のほうとも連絡をいたしまして、これらの整備、拡幅を早急に促進するよう手配もいたしたい、こう考えております。要は、東京都を中心とした首都圏整備の中にあるところの重要な幹線道路であります。衛星都市の立場から考えてみましても、通学の上からも、交通事故の上からも、通勤の立場からも、これらの問題点については、十分御期待の線に沿うように行政指導をしてまいりたい、こう考えております。
  248. 小濱新次

    ○小濱分科員 局長にお尋ねしたいのですが、市町村の特殊事情を少しも考慮していない、ほんとうに真剣に考えていない、そのあらわれがこういうふうにおくらさしたのではないか、こういうふうにも考えられるわけです。いま大臣から非常に貴重な御意見を伺いました。局長考えも一応お伺いしておきたいと思います。
  249. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 私もこの点につきまして、全線について四車線道路については歩道のついた道路が必要だと思います。またいまお話に聞けば、戦時中からのいろいろ特殊事情もありますようでございます。この点も勘案いたしまして、まず用地のあるところを、とにかく早く四車線の完全な道路、とりあえず安全な道路にできるだけ早くしたいというように考えております。
  250. 小濱新次

    ○小濱分科員 都市計画事業予算の内容も実は持ってきたわけでありますが、これは別にして、ひとつこれからの促進をお願いしたいと思います。  それからこれもまた参考までにお聞き願いたいのですが、これもひとつまた大臣にお考えを聞かしていただきたいと思います。減歩によって、当時無償で地元提供の総面積は十二万五千平方メートルであります。したがってこれは一平方メートル地価約二万円と踏んでも二十五億円になります。実に二十五億円にあたる土地が提供されておる。ところがそれをいまの地価に換算いたしますと、五十億から七十億の金になる。それはもう住民はよく知っています。しかしながらあちらでもこちらでもいろいろと計画が全然実施されていないということから、裁判を起こしている例もございます。そしてまたついにその裁判が勝ったという事例もあります。ところが幸い相模原市内ではそこまでは紛糾していませんが、住民は一日も早く国道だけでもせめてもの完成をしてもらいたい、次は今度は県道だ、それから市道だ、こういうふうにやっているわけなんです。これは一般とか特別を入れましても年間五十七億の予算でございます。その中で道路だけが約十億ちょっと使っております。それからここは騒音が激しい。厚木をかかえておりますので、騒音対策に、教育のほうに大体十三億ぐらい使っている。したがってもうほとんどこの道路と学校建設ですべてとられている、こういう姿になっております。大体都市計画というのは本来国でやる事業でございましょう。そういうことで軍都計画の未処理事業をまかせられた。しかも地元から減歩で提供してあるのです。ところが局長さん、あそこを見てごらんなさい。一四・六七キロメートルあります。歩道橋がありますか。あるいは街路灯がありますか。歩道舗装がない。排水溝もなければ標識もない。これは行ってごらんなさい。よくこれだけ放置してあるものだなと思います。最近一つ二つできてまいりました。相模原の警察の付近が少し整備されましたけれども、あの四十メートル、五十メートルの四つ角に街路灯が何本ついていますか。一本です。建設大臣一本しかついていないのです。そういうことで一四・六七キロメートルの間にぽつんぽつんと一つ二つついているだけです。二、三日前に相模大野の四つ角のところに歩道橋が一つ完成しました。私はさっそく行って見てまいりました。ほんとう地元も喜んでおります。そういうことから、街路灯もなければ夜まっ暗で歩けない。しかも車道を歩かなければならない。危険きわまりない。こういうことで戦後二十四年間も放置されてきたのです。これは地元民がおこるのは当然であろうと思う。この十六号線の完全整備ということについては、何を差しおいても全区間を四十四年度中に完成していかなければならない。住民の苦悩を一掃していくのがわれわれのいまの役目です。先ほども建設大臣が前の方に答弁しておられました。そういう問題の解決ができなければならないと確信を述べておられました。したがって、真剣にしてしかも心あたたまるような、ほんとうにいままではおくれましたけれどもというような気持ちのあらわれの建設ができていかなければならない、こういうように思うわけであります。建設大臣、どうでございましょうか、お答えいただきたいと思います。
  251. 坪川信三

    坪川国務大臣 地域住民の方々が十二万八千平米の土地を無償で提供していただいて、とうといこの十六号線の建設を見ておるということを考えますときに、私といたしましは、国道を含めました昔の二級国道あるいは県道、地方道を含めまして  道路の整備、舗装というものについて最善の努力をいたしたい、こう考えており、本年度の予算計上におきましても、それをかなり優先的に配分もいたしてまいりたい、こう考えておるような次第でありますとともに、御指摘になりました街路灯の不足とかいうような問題あるいは歩道橋の設置の問題等々もございます。これらの問題には関係公共団体の御協力もいただかなければなりませんけれども、われわれといたしましては十分それらの行政指導を行ないまして、これらの不幸な現状の回復、修理に全力を注ぎたい、こう考えておる次第であります。
  252. 小濱新次

    ○小濱分科員 よくわかりました。  そこでもう一つ大臣にお聞き願いたいと思います。交通人身事故対策を真剣にやらなければならぬということですが、これは御存じのように昨年度の死者数は全国で一万四千二百五十五人、前年比が四・七%増であります。負傷者が八十二万八千七十一名であります。前年比二四・〇%、これは増であります。いずれも史上最高を記録しております。三十七分間に一人が死んでいる、こういう状態だそうであります。  私はなぜこういう悲しい記録をお話ししなければならないかということでありますが、ことしはもっとすごいピッチでふえております。これは神奈川県の例でありますが、二月十六日現在ですでに死者が百人を突破いたしまして、昨年より二週間早いペースといわれます。警察庁のほうではことしは交通事故の死傷者は百万人をこすという推定を立てております。百万です。この数は、ちょっと調べたわけでありますが、朝鮮戦争によって国連軍側の死傷者が四十七万人、これの二倍強に当たります。東京都の人口が十年間でみんなけが人か死者になっている、こういう姿になります。百年で日本の全国民がけがやあやまちをおかしていく、こういうことになってまいります。これは一がいに言うことはできませんけれども、そういうデータが出ておるのです。  そこで、神奈川県の例でありますが、四十一カ所警察の管区がございます。その四十一の中で交通事故の上位三位というのは、小田原と大和とそれから相模原、この三つになります。その内容を私は三十四年から十年間にわたって調べてみましたところが、相模原の場合、ここでは件数が九千五百三十七件ございました。死者が二百八十四人、負傷者が七千七百四十二人、こうなる。それからいま十六号線の話をしておりますが、大和を通っているのが二百四十六号線、これもまた同じような状態です。それからもう一本百二十九号線が通っておる。こういう状態から、大和の人身事故件数もあわせて調べてみました。ところが、やはり十年間で七千八百二十九件、死者は三百五人、これは多いです。負傷者は五千五百二十四人となっております。この根本的な原因は何か、こうなりますと、当然道路問題であります。市道も悪い、県道も悪い、国道も悪い。したがって住民としては、どうしても国道完成を願うわけです。こういう特殊なおくれた地域に対して、しかもとうとい人命救済の立場から、思い切った道路整備特別会計予算を立てるべきだ、こう思うわけです。道路整備五カ年計画だとか新三カ年計画だとかいろいろあるようでありますが、この計画にどのように載っているかということですが、大臣の確信のある答弁をいただきましたら、私はそれを心から信じますが、こうした内容からも、もう一回大臣の御決意を承りたい、このように思います。
  253. 坪川信三

    坪川国務大臣 お答え申し上げます。  国道百二十九号線は、御承知のとおり平塚−相模原延長約三〇・一キロの全区間については第一次改築が完工いたしておるような次第であります。また、東海自動車道厚木インターチェンジ建設に関連しての厚木市街地をバイパスする延長六・五キロメートルの区間については、昭和三十九年に第二次改築に着手いたしまして、昭和四十四年十月には完成の目標で急いでおるような次第であります。平塚市−厚木市並びに厚木市−相模原の区間についても交道混雑の区間に重点をおきまして二次の改築を進めていく方針であります。  また、御指摘の国道二百四十六号線につきましては、一般国道東京−沼津間についてはすでに一次改築が完了しており、現在交道混雑の著しい多摩川と厚木市間及び松田町と沼津市の間に二次改築を実施中であり、厚木バイパスについては昭和四十四年の十月に供用予定いたしております。  また、その他の地区についても、御指摘になりました点を十分頭に入れながら進捗するようわれわれは行政指導、また予算配慮をいたしてまいりたいと考えております。  また、前段で述べられました交通戦争でのとうとい人命の損失を思うときに、われわれといたしましては人間尊重、とうとい人命を尊重する立場からも道路行政の配慮を推し進めますとともに、第三次新交通安全対策を強く進めまして、これらの不幸のなきよう、さらに努力をいたしてまいりたい所存でございます。
  254. 小濱新次

    ○小濱分科員 時間がありませんので、その問題について心から御努力を期待しておきます。  最後に一つだけ簡単にお尋ねしておきます。大磯町から小田原にかけて西湘バイパスの建設が進められてまいりました。ところが最近の新聞報道によりますと、今度は公団で建設をやることになり有料に変わった、こういうことでございますが、事実でしょうか。
  255. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりましたとおり、事実でございます。
  256. 小濱新次

    ○小濱分科員 地元住民は国道で無料ということで協力を誓って提供された人もあるわけです。ところがいつとはなくそういう形に変わっていってしまった。これについて協力をした住民はどのように納得されたのか、どういう話し合いができたのか、あるいは地元に対してゲートはどういうふうにつけようとなさるのか、そういう点について、一応地元のことでもございますので、お聞きしておきたい、こう思います。
  257. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは私たち計画といたしまして公共で始めたのでございますが、四車線自動車専用道路で相当費用がかかりまして、なかなか公共でやったのではできないような状況でございます。そのこともありまして、今後有料道路ということで早く進めたいという考えでございます。ただ、これもいまの予算がはっきりきまりますれば、いま先生のおっしゃった地元の人とも話をいたしまして——また現地のゲートをどこに置くか非常に地元関係が深いことでございます。私たちどっちかといえば、地元の人からそう金を取りたくない、なるべく通過交通から取りたいということでございますが、なかなかそういう区分もできないということでございます。ただいままで地元ではそういう無料で通れるという期待感もありましたので、そういうことも踏まえて、これから慎重に地元と相談してゲートの位置もきめてまいりたいというように考えております。
  258. 小濱新次

    ○小濱分科員 最後に大臣にお尋ねしたいのですが、いままでわが国の高速道路はすべて有料道路として建設されてきたのであります。今後七千六百キロに及ぶこの幹線自動車道網のすべてを有料道路として建設していくことが適当かどうか検討すべき時期に来ているのではないか、こういうふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  259. 坪川信三

    坪川国務大臣 小濱委員御指摘になりました問題は、今後の道路行政の上においての財源問題に関連する重要な問題でございます。したがいまして国といたしまして、建設省といたしまして、これからの道路財源の推移等も十分勘案しながら、有料道路の問題点等について究明をいたしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  260. 小濱新次

    ○小濱分科員 たいへん長時間ありがとうございました。地元のたっての声でございますので、十分御配慮願うことを心からお願いいたしまして私の質問を終わります。
  261. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 柴田健治君。
  262. 柴田健治

    柴田分科員 時間がございませんから、演説は抜きにして簡単に御質問申し上げますから、答弁側のほうも簡潔にお願いしたいと思います。  幹線高速自動車道に関連してお尋ね申し上げたいのですが、私たちがいままで聞いてまいりましたその事業計画、またその事業費、これは概算でありますが、事業費または完成年次計画というものから今年度予算の八百三十億というものをあわせ考えますと、計画を大幅に変更せなければいかぬのじゃないかというような考え方がわれわれの立場から理解できるのですが、その点について見解をお伺いしたい。
  263. 坪川信三

    坪川国務大臣 柴田委員にお答えいたします。  大事な国土建設幹線道路の五カ年計画、御案内のとおりの進捗率でございます。御期待の線に沿えないことをまことに申しわけなく思っておりますが、私といたしましては、あくまでもこの計画をくずさずに、この五カ年計画の進捗をぜひとも推し進めてまいりたい。現時点、また将来の残された年次においても、私といたしましては、これを改定するという考えは持っていないのでございます。
  264. 柴田健治

    柴田分科員 まあ建設大臣の信念はわかりますが、財源の問題もあるようでありますから、今年度のような予算のつけ方をしてまいりますと、五道の全線、その地域のいろいろな要望もございましょうが、これはなかなか五カ年でできるはずはないというふうにかってに解釈せざるを得ないので、信念のほどはわかりますが、正直に気持ちだけ申されたのですから、理解します。  五道について全体を私は理解しておるわけじゃございませんけれども、中国縦貫道という、中国高速自動車道について、住民からいうと、四十五年に万国博覧会が開催される、それに間に合わしてくれと、こういう強い意見もあるわけですが、この中国高速自動車道については万博に間に合うように、せめて岡山県のいま計画されておる用地買収がこれから始まろうとしておる落合町地内から大阪まで、四十五年に間に合いますか。
  265. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生のおっしゃいました岡山県内落合まででございます。これは現在の用地買収の進捗状況をいいますと、大体岡山県内全線につきまして中心ぐいが打たれております。工事説明をやっております。四十四年度中には用地買収に入るかと思います。ただ、ここに来ますまでに、兵庫県の山崎から西側、この辺がまだいろいろ問題がございまして、路線発表、中心ぐいの設置、これはまだできないような状況でございます。私たち、四十四年度の予算では、できるだけ用地を進めることと同時に、用地のできましたところから工事を着手していきたいというふうに考えております。四十五年の万博までには、とてもこの辺までは供用開始ということはちょっと無理じゃないかと思っております。現在、万博までに、万博の途中になるかと思いますが、宝塚まで何とか供用開始さしたいということで鋭意努力しております。
  266. 柴田健治

    柴田分科員 県のほうは万博に間に合わしてもらうんだということで、地権者に対して美辞麗句というか、一つの夢というか希望を与えて用地買収に協力しろと、こういうことで——ところが常識的に、いまのヘビが卵をのむような、まん中だけやるような計画では、肝心な大阪から兵庫県へ入ってこの地内が、聞いてみると、まだ路線の完全な決定も見ていない区間もある。用地の話なんてこれからだ、くいも打っていない、測量もまだ完全にできていないという区間がたくさんあるわけです。こういうところを地権者が見て帰ってきて、県は何をだますか、万博までは絶対間に合わぬじゃないか、間に合わぬのに万博に間に合わせるなんというのはペテンにかけるんじゃないか、こういうかえって住民の協力精神を阻害するような、そういう便法に反動化するというか、そういう心証を害するようなことになりつつあるわけですね。だから正直に建設省当局が万博に間に合わぬなら間に合わぬのだとはっきり言うたほうが、それは正直で誠意ある一つの行政指導ではないか、こう理解できるのです。その点はもう、はっきり関係県に言うてやってもらいたいと思うのですが、どうですか。
  267. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、用地の買収につきましては、何ぶんにも大事業でございますので、こういうものを円満に進めるには、やはり誠意をもってやらなければいかぬと思います。いま先生のおっしゃいましたように、人をだまして早く調印させようということでは、あとから必ずトラブルが起こると思います。私も先生のおっしゃるように、県、道路公団にも話しまして、やはり現状の実態を十分把握してもらって、その上でいろいろ地元の言うことを聞き、協力をお願いするという態度でまいりたいと思います。
  268. 柴田健治

    柴田分科員 局長は専門家ですから十分理解されておると思いますが、用地買収が済んだら、工事は八割済んだと見ても間違いない。ほんとう工事は、いま建設機械が進んでおりますから、工事着工になれば、もうあっという間にできるわけです。問題は、用地買収をどう解決するか、それをどう処理するかということが今後の道路建設に伴う重要な使命だ。これが済んだら八割は工事完了と見ても差しつかえない、こういわれているわけです。建設省はそういう点は十分認識されておると思うのです。問題は用地買収ですが、今度示された落合町地内の用地買収基準ですが、これは建設省道路公団とが合意の上にあの基準が示されたものであるかどうか。
  269. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在示されておる基準は、私たちの全体の計画の中で道路公団が現地用地を評価して地元に話しておるものでございます。
  270. 柴田健治

    柴田分科員 いま窓口が県になっているわけですね。県が、委任事務というか、委託という形でやっておるのですが、法的には県がどれほどの権限を持っておるのか、よく理解できないのです。県が示した基準を見ますと、県が示したというても、県が示す権限もなければ何もないのであって、結局、建設省道路公団が合意の上に全国五道について出されたものだ、こう理解しているわけですが、その出し方が、よしんば道路公団が出したにしろ、基準の立て方がおかしいという気がする。不動産の評価審議会、その他いろいろその地方の現況の地価、また取引条件等考えて出されたのだと思いますけれども、たとえば田と畑、山林、宅地——私がこれをお尋ね申し上げることは、道路建設をとにかくスムーズに進行させなければならないので、用地買収についてはもっと慎重な態度で、現地においても県の諸君によく理解をさせて、ふたをあけて発表する限りにおいては、もうそれで通すというぐらいな気持ちでいかなければ、一たん軽はずみに出して、あとにも先にも帰れない、こういうことではいけないから慎重を期してくれといっている。それにもかかわらず、抜き打ちにぱっと出した。われわれは工事を一日も早く着工していかなければならぬ、こう考えているのですけれども、あまりにも一方的だという気がするわけです。  それから、肝心かなめの末端の町村というのは、町長にしても町議会にしても、選挙を受けるものは弱いのですから、住民から突き上げを食うと、みんな県だ、道路公団だというて、最後には逃げてしまう。結局、地権者がおこると、法的には道路公団と建設大臣を相手に訴訟を起こすということになる。県を相手に訴訟を起こせる筋のものでもないわけです。だから、道路公団と建設省を相手に、地権者、要するに売る者と買い手との訴訟になるわけですから、県は逃げてしまう。こういうことになる。そういう点から道路を進めていくためにはやはり用地買収に慎重を期してもらいたい。ところが今度出されたのを見ると、田が一平米千円を限度として十三等級に分けておる。それで二・五点を刻みにして五十円増でいく、こういう考え方です。畑の場合一平米が六百円を限度にして二・五点刻みで五十円増しでいく。それで八等級に分けて、四十点満点という入学試験の点数みたいにしたのですが、山林のほうは一平米が百六十円で五点刻みで二十円増し、五等級に分けており、これも四十点満点。ほとんど宅地もそうですが、宅地一平米が二千六百円を限度として七等級にわけて五点刻みで二百円増だ。どう考えても、今日の農地として考える場合、岡山県内には新幹線を鉄建公団がやっているのですが、この新幹線用地買収の価格、それから北部とこの縦貫道の基準の示し方を見ると、他に転用されて地目変換をして、利用の方法が変わった場合は相場で考える。と同時に、農地として今日まで歴史的に長い間役割りを果たしてきた固定資産税の等級から見てもそう差はない。そこにこんなに低い額で農地として評価する場合にはもっと公正であってほしい。こういうことが地権者の側からいえば言えるわけです。この数字を見ますと、どういう方法で基準を出してきたのかと思う。非常に低いのです。地権者のほうは不満だ、協力はしたいけれどもこれでは農地を放すわけにいかない、こういう気持ちが出てくるわけですね。これではもう協力するわけにもいかない、進退きわまったというのがいまの地権者の心境だと思うのです。こういう点についてどうわれわれが協力体制にもっていくかというと、やはり考えてみると価格の問題である。こういうことで、この価格についての出し方、基準の示し方というのが非常に低い。おそらく東京のほうでこんな話をしたら、そんなばかな土地があるんですかということになるんでしょうけれども、やっぱり地方ですからこういう低い価格で押えられる。ところが大阪のほうからどんどん順々にやってきて、もうどうにもならぬのだという場合にはしんぼうしろといえますけれども、ヘビが卵を飲んだように大阪や兵庫のほうはまだくいも打ってない、測量もしてないところもあるじゃないか、何でおれのところだけやらなきゃならぬのかというような意見が強いわけであります。この点について道路公団とよく合議をしていただいて、農民、地権者の心理があまり感情に走らないうちに押えるように何とかできればしてもらいたい。これを希望し要求をして、見解を聞いておきたいと思うのです。
  271. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生の御指摘のこと、私ももっともだと思います。一方的な発表ということではなかなか納得しにくいかと思います。私たち高速道路用地を買収いたしますときに、県に委託しております。県に委託した理由といたしまして、公団の用地職員の問題もございますが、やはり県が一番地方の事情に詳しいということと、県自身が実際に公共用地を買収しておる例も非常に多くあります。また農地の代替にしても収用のあっせんにしても、県が中に入ってやってもらわないとなかなかうまくいかないということもございまして、県のほうに用地の委託をしておるわけでございます。やはり道路公団といたしましても、県の意見もよく聞き、最適の値段を出すというのがたてまえだと思います。農地といいましても、農地であれば全国どこへ行っても同じかというと、これも値段が違います。ほんとうの農地用に限りましても多少値段が変わってまいります。また都会周辺になりますと、やはり農地が農地以上の価格で売れるという事実もございます。やはり協力していただくには地元の納得を得ることが必要だと思いますので、先生の御趣旨を体しまして道路公団によく話をしてみたいというふうに考えております。
  272. 柴田健治

    柴田分科員 大いに道路公団とも連絡をとっていただいて、県にもよく——とにかくお互いに円満に話し合いがつくような方向で指導してもらいたい。強くお願いしておきます。  県に委託をされるということで、委託の事務費等は建設省と公団が基準を示して、いま聞いてみると事務費が三%で押えられるから、県のほうの持ち出しになってかなわぬ、職員費とかいろいろ人件費が要るようですが、そういう面から県の持ち出し分が多いので、不親切になる可能性があり、責任観念が薄れてくる。要するに、人間は自分のふところから金を出してまでやるというのではなかなか完全な責任体制がとれないので、やはり事務費の増額というものを考えていったらどうか。いま三%だというが三%ではどうにもならぬ。建設省だって、河川でも道路でも直轄工事をする場合には、事務費が相当オーバーされておるわけです。県に委託するとき、用地買収で一番苦労するんですよ。入札して業者に工事を渡したらあとは楽です。用地買収について昼夜兼行で、夜も昼も出かけて地権者を説得することはたいへんなことです。人件費に伴う時間外勤務の経費はたいへんな経費が要るわけで、ただ読んだり書いたりするのではないのです。そういう場合に事務費を三%というのはどこから出したのか。道路公団も血も涙もないし、それを指導した建設省もおかしいと思いますが、この点についてはどうですか。
  273. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 血も涙もないということになってはならないと思います。三%ということはいろいろ過去の実例もございますので、一応そういうような程度でやった次第でございますが、実はやはり用地が相当買えてまいりますと、それに要する事務費が少なくなっていきます。一番事務費のかかるのは用地がまだ買えない段階でいろいろ地元と折衝している段階です。その辺が事務費もよけいかかると思います。ただいま先生のお話がありましたような用地の単価、また代替地の問題、そういうことで折衝しなければならぬというときにはよけい事務費がかわります。折衝が終わって今度は金を払う段階になれば、三%の事務費は要らないと思います。そういうことでやはり全体を通じていまのところ三%というようなことを一応基準にしてやりますと、実際においてこれでは何ともならないということで、これについては私たちは再検討をいたしたいというふうに考えております。
  274. 柴田健治

    柴田分科員 再検討するという含みのある回答ですから信頼をしてこれ以上言いません。  その高速道路は関連して関連公共事業という問題があるわけです。これが地元民等の強い要望があって、公共事業の中でも農林関係建設関係というのがあるわけです。山林関係、砂防関係、治山関係というのが林道を含めてありますが、基盤整備とか、土地改良事業の関連といういままでにやっているものの維持管理の問題もありましょうし、それから今度新しく町村ごとに計画を立てている問題、そういう関連事業がその該当市町村なり県からあがってきた場合に、それをどういうふうにどれだけこなすか、特別立法をつくって補助率を考え予算をとってやるかということについて、住民は大きな関心を持っている。インターチェンジのあるところはまだ恩恵があるが、インターチェンジのないところは関連公共事業をやってもらわなければ排気ガスと、交通事故を起こして首が飛んでくる、死体をながめているというだけでは何もおかげがない。とうとい用地を出したということで、その地方の住民の生活なり農業の経営にプラスするような関連公共事業というものをできる限り取り上げて、採択をしてやっていくという、そういう予算措置と、また特別立法をつくって補助率を別ワクに考えるとか——近ごろ成田空港に関連して、別に特別立法をこしらえて、あの関連の公共事業には補助率をうんとふやすとかということを聞きますが、やはりそういう構想が成田空港でできるくらいなら、高速道の関連公共事業にも特別立法をつくってもいいじゃないか、こういう気がするのですが、見解はどうですか。
  275. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 高速道路建設法にもございますように、これは新都市、新農村をつくるという文句にもなっております。高速道路ができ、それが町を通ることによって、その町、農村が悪くなるようではなかなか協力は得られないと思います。やはりこの際に、高速道路ができ、用地が取られるかわりに、その周辺がいままでよりさらによくなるということが必要じゃないかと思いますが、それにはやはり土地の区画整理事業とか土地改良事業、こういうものを同時に行なうということが非常に大切だと思います。また関連の公共事業についても、いままで市町村道路の中には非常に原始的な道路がたくさんございます。こういうものが統合されて一つの整然とした道路となるということは、やはり地元の環境をよくすることでございます。私たち、市町村道の問題についても、県道の問題につきましても、やはり高速道路の関連の道路については、ほかのものに優先して採択をはかってまいりたいというふうに考えております。また土地の改良事業その他建設省関係以外の事業につきましても、関係の各省とよく連絡をとりまして、一定規模以上のものについては補助政策を講じてもらうとか、そういう連絡を密にして、できるだけ地元がそれによってよくなるというような環境をつくることにつとめてまいりたいと思います。
  276. 柴田健治

    柴田分科員 建設省だけ責てもいけないが、犯人が建設省だからしかたがないのですけれども、共犯者をつくって、ひとつ関連公共事業だけは思い切って取り上げてもらいたい。それは要するに、農林省も関係が深いわけですから、建設省と農林省と、そうした何か別途の機関をつくっていただいて、高速自動車道の関連公共事業についてはこういう方法でやるんだ——要するに実施要綱でワクの問題、補助率の問題、こういうのを別にこしらえてもらう必要があると思う、こう強く痛感しておるわけです。この点についての今後の取り組みを、建設大臣、ひとつ熱心にやってもらいたいと思うのですが、見解だけ聞いておきたいと思います。
  277. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほどからのまことに適切な御意見、私も十分拝聴いたしております。したがいまして、今後の問題点等につきましては、建設省といたしましては、誠意をもってこれらの御指摘になりました点の打開に最大の努力をいたしてまいりたい、こういう決意でありますことを表明いたしまして、御了承願いたいと思います。
  278. 柴田健治

    柴田分科員 時間がまいりましたから、もう一点だけ建設大臣に聞いておきたいのですが、私は中国地方開発審議会委員として今度の新国土総合開発、あれをいろいろ検討いたしまして、何としても今度の国土総合開発の中心になるほんとうの地域開発というのは、交通体系の整備だと思うのですね。その交通体系の整備の草案の中で手直しやいろいろありましょう。いずれ経済企画庁が出すのは確定まで相当時間がかかるようですが、そうすると、どういう手直しがあっても、何としても交通体系だけは、もう当然考えなければならぬ問題だと思うのですね。その交通体系の中で、いろいろありますけれども道路の問題だけを建設大臣に聞いておきたいのですが、現行の道路法ではこれは無理だ、やはり道路法の改正をして、少し今度の国土総合開発に合わせるような趣旨を織り込んだ道路法の改正をすべきではないか、こういう気がするのですが、大臣の見解を聞いておきたい。
  279. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました柴田先生の御意見、私は全く同感で、感をともにいたしております。交通網の対策、道路網の対策、いわゆるその体系の一貫した、一元化された姿での均衡ある国土開発ということ、交通体系、道路体系の整備ということが基盤をなしておる、なさなければならぬ、こういう気持ちを持っておるような次第でございますので、きょうの午前の御質問に対しましてもお答え申し上げましたとおり、一定規模の都市基準に置きまして交通道路網体系をひとつ策定いたしまして、そうして地域住民のしあわせな生活の場を育成してまいりたい。これが私は過疎対策とともに均衡ある国土開発の基礎であろうと考えるとともに、高度な国土建設の均衡ある開発の立場から申しますれば、やはり五道を含めました重要な幹線道路の大きな立場に立っての道路網の体系を整備するということと、いま申し上げました過疎対策を中心とした地方の交通道路網の体系の整備ということが、今後の重要な課題でもあり、推進すべき問題点であろうと私は思いますので、柴田先生おっしゃるとおりの感をともにしておることを表明申し上げ、その方向に努力してまいりたい、こう考えております。
  280. 柴田健治

    柴田分科員 終わります。ありがとうございました。
  281. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 広瀬秀吉君。
  282. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 私は東北縦貫道建設の問題、さらに八ツ場ダムの建設の問題、河川敷の問題、三つの問題について建設大臣並びに関係局長にお伺いをいたしたいと思うのです。  いま柴田委員から中国地区の縦貫道の問題についていろいろ御質問があったわけでありますが、東北縦貫道も第一期工事分といいますか、岩槻−鹿沼間というようなことで予定されておるわけであります。その後いろいろ地価の値上がり等もあったり、あるいはその他地権者との折衝の問題もあったりした面で、この建設計画進行の状況、そういうものをもう一ぺん年次計画別に、昭和四十四年度にはどういうところまでやりたい、四十五年度にはどういうところまでやりたいというようなことについて、とりあえず宇都宮あるいは矢板というような栃木県内までの年次計画をこの際ひとつ示していただきたいと思います。
  283. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました東北縦貫道の整備あるいは推進、あるいは基本計画等につきましては、昭和四十一年度に御高承のとおりに着工いたしまして、岩槻−仙台間につきましては昭和四十九年度には供用が開始される目途にいたしております。一月末現在で中心くいの設置が七〇%、幅くいの設置が一五%となっており、用地取得のために努力しておるような次第であります。四十三年四月に着工いたしました仙台−盛岡間及び十和田−青森については、現在路線測量を実施中であり、残余の区間につきましては、積雪地帯でもありますので、防雪工等を中心に詳細なる検討をただいま実施しておるというのが現況でございます。
  284. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 さらにちょっと詳しく申し上げます。  御承知のように四十一年に岩槻−仙台間の整備計画を出しまして、鋭意路線の発表、買収を進めております。現在のところ、矢板から先につきまして、福島の問題にいろいろ問題もございまして、工事説明東京−岩槻から矢板の入り口くらいまで終わっております。その間の宇都宮、鹿沼、栃木市、そういうところの用地の買収を実は四十三年度のこの三月ぐらいまでには、ある程度のものを進めてまいりたいというふうに考えております。さらに四十四年度の事業費でその他の用地買収をはかりたいと考えておりまして、私たちのいまの目標では、岩槻−仙台間四十九年という目標を立てておりますが、できれば東京から矢板くらいまではもう一年くらい早く完成をしてまいりたいと思います。さらに用地買収がうまく進めば、その途中のインターからインターまでの部分開通ということも考えてまいりたいと思います。
  285. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 大体お話があったわけでありますが、情勢の変化によって大きな狂いは建設計画にいまのところはない、こういうお話に承っておきます。  そこで、いま縦貫道の第一期工事分の中で栃木−鹿沼間というようなところで、明日は地権者会を招集しまして、県のほうからようやく土地買収についての価格の提示があるのではないかというようなところまできているようであります。その区間は大体もう幅ぐいも終了いたしまして、地域住民の今日までの協力体制というのは、栃木県の場合は非常に大きかったわけであります。その点はきわめてスムーズにいっているのじゃないかと理解をしているわけでありますが、いざ用地買収の問題になりますと、これは非常に切実な問題でもあるし、また個々の農家にとっては、中には離農しなければならぬというような立場に追い込まれる人もあるし、あるいは半分近く、あるいはそれ以上農地が買収されてしまって、営農が成り立たなくなるというような人たちもある、あるいはその他宅地を移転するというついでに、もう土地をあきらめてどこかへ移転先をさがさなければならぬという、いろいろな切実な問題があって、この用地の買収について、少なくとも東名道並みくらいにしてもらわぬとたやすくは応じられないという空気が非常に強いわけであります。  そこでお伺いしたいのですが、大体東名道では一平米なり、あるいは坪当たりでも、あるいは反当たりでもけっこうでございますが、いままで買収した分についてどういうような平均的な状況にあるか、これをひとつお聞きをいたしたい。
  286. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いま東名道について実際にどのくらいの値段で用地を買ったかの資料は、ちょっと持ち合わせございませんが、公共用地の取得につきましては、これは建設省の訓令にありますように、公共用地の取得の補償基準要綱というのがございます。そういうものに基づきまして行ないますものでございまして、考え方は、東名道であろうと東北であろうと、これは同じ考えでいくべきだと思いますが、ただ先ほどちょっと話が出ましたように、農地なら全国どこでも同じというようなことでもございませんで、農地のあるところによって、多少それ以外の営業の、農業収入以外の要素が出てくるところもございますので、同じ値段ということもなかなか問題があろうかと思いますが、私たち東北縦貫道の買収につきましては、やはり現在の補償基準の要綱に基づきまして、誠意をもって地権者の方々と価格の折衝をしてまいるつもりであります。
  287. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 この土地の買い上げ価格というのは、その周辺の売買実例価格をとるとか、あるいは収益還元方式で算定した地価を見るとか、いろいろな方法もあるだろうと思います。そうしてまた、東京に非常に近いところあるいは純農村地帯、そういうような差というのも当然これはあるだろうと思うのです。そういう中で、いま私が質問をしているのは、大体農村部といわれるところでございます。そういうように、現にあるがままの姿において地価の差があるということも、それは判定の一つ基準なり要因であろうと思います。しかし、その中でとにかく今日までそういう土地を使って生活が成り立っておったということについては、現在地価が高かろうとあるいは安かろうと、その点では変わりないわけですね。それはそれなりに同じような生活をしておったとかりにいたします。そういうような場合に、その土地を失うことによって非常に大きな打撃を受ける。将来の生活設計というようなものをどうしようかというような立場に立たされる。将来というような問題を考える場合においては、現にあるがままではかなりまあ差があるにしても、そういういま私が申し上げたような点については変わりない面が非常に大きい。そういうようなことがやはり補償基準の中にしっかり取り入れられているのかどうかという面についてお伺いをしたいのであります。  そこで、私どものところの地域の住民の人たちは、大体一反歩当たりにしてみれば百万円ぐらいの標準価格というか、基準価格ぐらいが、当然これは東名の実例から見ても出るのではないか、その程度でなければ買収にはなかなか応じられないという、非常に強い態度があるわけであります。いままでのところ、とにかく非常に協力はしてきたけれども、最後のこの肝心な土地買収という段階においては、そう甘い顔はできないぞという気持ちが非常に強いわけであります。したがって、そこらの見通しが、私がいま申し上げた栃木−鹿沼間というような土地において、たとえば東名道のどの地点を比較されるかは別といたしましても、大体そのくらいのものが提示される、さっき申し上げた反当たりにして百万円を下らないというようなものが当然予想されるわけでありますが、そのくらいなものが出されると考えてよろしゅうございますか。
  288. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は高速道路用地の買収費は、私のほうで全体の計画の中でどのくらいの用地になるかということを調べたものもございます。道路公団がやはり現地をよく調査いたしまして、土地の鑑定その他も入れまして最終的な用地の価格をきめていく、それには県の意見もいろいろ参酌しておると思います。土地の値段は、高速道路であろうとほかの公共用地であろうと同じだということがいえると思いますが、やはり高速道路の場合は、用地をつぶされる面積は非常に広くなってまいります。現在私どもの使っております公共用地の補償基準の要綱でも、ほとんど営農が不可能になって離職するという者の補償と、多少営農の規模が小さくなるという補償と二つに分けまして、いろいろ考え方も変えておりますので、先生のおっしゃいました、はたして反百万ということにはなっているかどうか、いまつまびらかでございませんが、道路公団も十分そういうことは考慮に入れて用地の価格を算定しておると考えております。
  289. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 私が聞いたそのものずばりの反当たり百万円というくらいのものが、これはやはり将来の補償というような問題、あるいはまたいろいろな犠牲を受けたことに対する賠償というか、そういうような面からいえば、そのくらいのものが出るのじゃないかと期待しておる農民に対する答えとしては、非常に不十分な抽象的な答えであります。この土地買収の中に離農補償であるとか、あるいは、それによっての有形無形の損害というか、そういうようなものなどが含まれる場合が非常に多いわけでありますが、そういうものが全部一本の土地買収の中に織り込まれていくのだ。離農補償というようなものを特別に土地買い上げ価格、買収価格というもののほかに出すというのではなくて、そういうものも含めて買い上げ価格で一本でいくのだ、こういう趣旨ですか。
  290. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 私聞いておりますのは、土地の価格とそれに伴う離農補償というのは別々になろうかと思います。といいますのは、離農の補償というのは、やはり個人、個人によりまして、何反、何町歩あるものが幾ら減るということにも非常に関係があろうかと思いますので、また別のことになるのではないかと思っております。
  291. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 時間がありませんから、とことんまで論戦ができないのですけれども、次に、土地を買収されるときに、先ほど柴田委員も言われたように、田畑等について十三等級に分けてやられているという、そういう格差の問題がありますが、こういう問題については一体何を基準にしていくかということについて、建設省としては、道路公団なりあるいは県等に対する指導をなされておりますか。何を基準にして買収についての格差をつけるか。
  292. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 格差の問題は、これは全国その地方、地方によってかなり差があるかと思います。私たちこういう格差をつけるときには、やはりよく地元の意見も聞きまして、こことここの格差がこのくらいある、それを認めるということになれば、それを基準にして格差の等級をふやしていくということが必要じゃないかと思います。また場所によりましては、大部分の土地がそう格差もないような土地もございますので、格差の問題は地元の意見を聞いてやっていくべきものだと思っております。
  293. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 その点については、いわば県まかせというような形でございますか。
  294. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは、公団は公団で、現在いろいろ東名高速その他を買収した実例はあると思いますが、やはりそういうものを押しつけるのではなくて、県の意見なり農業委員会の意見とか、そういうものも参酌して最終的にきめていくべきだと思います。
  295. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 大臣にちょっとお伺いしたいのですが、この格差の問題というのは非常にむずかしい問題だと思うのです。現に、たとえば小作料の改定などをする場合に、六等級なら六等級、五等級なら五等級というように五段階ぐらいにきめる、そういう場合についても、現地の農民の立場に立ちますと、自分の田はもっといいところにあるとか、あるいはもう少し低いところにあるとか、利害の関係もからむことはあるでしょうけれども、その格差という問題については非常に敏感なんです。だから、そういう点では買収価格についての格差というものは、たとえば田なら田、畑なら畑というものについて、それほど大きな格差をつけない方針というものが、買収というものをスムーズにやっていく立場ではなかろうかと私は思うのです。そういう点について大臣のお考えはいかがでございますか。たくさん格差をつけたほうがいいというような道路局長の意見もありましたけれども、私は逆ではないかという気がするわけであります。大臣の判断をひとつ……。
  296. 坪川信三

    坪川国務大臣 いまの問題の御指摘になりました点でございますが、土地に対する自分の所有者としての愛着、あるいは誇りといいますか、あるいは執着といいますか、またそれに対するところの自分のプライド等も、人間でございますからおのおの感情を持たれるのは私は当然だと思います。それに対するわれわれ行政上の措置といたしましては、いま御指摘になりましたように、いわゆるこまかい格差をつけるということも一つの方法、またこまかい段階の上に立って格差をつけるということも一つ考え方だと思いますが、私はその考えの一致、帰するところは一つじゃないかという気持ちなんです。あまり大きくいわゆる格差をつけることによって、各自各自の感情に満たされないものが出てくるということも考えてあげなければならぬ。またこまかく分けることによって、一つの公平といいますか、いわゆる均衡のとれた感情を持ってくれる点もあるのじゃないかというようなことでございますので、先生の御指摘になるお気持ちもよくわかりますし、道路局長がとっておる考え方の方針も私は理解し得るのであります。したがいまして、われわれといたしまして心得なければならないその基準というものにつきましては、その地域、その当地におけるところの客観的な情勢をやはり判断いたしながら、主観的でなくして、的確に、それぞれその地独自の立場に立って臨機応変というのか、伸縮自在といいますか、そういうような行動で、住民感情をやわらげながら措置を講じていく、こういう方針を私はとっていくべきであると、こう考えております。
  297. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 局長にお伺いいたしますが、いままでやってきた中で、格差の問題で、その上限下限はどのくらいの差がございましたでしょうか。何%くらい上にいき、何%くらい下にいくという……。
  298. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は私ども、その辺どのくらいの金額になっているというようなことは、まだあまり調べてみませんで申しわけございませんが、非常に場所によって違うのではないかと思います。かなり広い面積でございますので、同じ行政区域の中でも、場所によってかなりの格差が出るのではないかと思っております。
  299. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そういう抽象的な答えでは私満足しないわけですけれども、いずれにいたしましても、地元の農民あるいは農業委員会の意向、こういうものを十分そんたくをして、やはりその地域で格差をこまかく段階を刻んだほうが公平だという場合には、そういう方式もいいでしょう。荒っぽくしないほうがスムーズにいくのだということで、最高と最低が著しく差があるような方式というものはぐあいが悪い、刻みをきめこまかくやって、反対の人も反対しにくいようなものが出てくるというような、むしろ自分の気持ちに近いのだというところが得られるような、そういうきめこまかい配慮というものが、この点ではぜひひとつ必要だろうと思いますので、そういう方向をひとつ指導をしていただきたいと思うわけです。  それから、去年もこの分科会で質問をいたしたわけでありますが、農業構造改善事業完成をして三、四年しかたっていないという、たとえば栃木の矢板地区等に、そのどまん中を通って、ほとんどとまでは言わないにしても、構造改善事業で新しい土地基盤整備をやった効果をかなり減殺してしまう、そういう場合が随所にあるわけであります。そういう場合に、建設省方針として、いわゆる土地をできるだけつぶさない、農地をつぶさないという配慮、特にそういう場合もあるのだということを認識して、計画の中で、そういう場合に高架方式というようなものを、東北縦貫道の中で、たとえば私が申し上げたようなところにおいてとるお考えはないか。これは建設費との関係もございましょうが、地元の人たち、農民は非常に強くそういうことを要求しておりますので、この際ひとつお考えを明らかにしておきたい。
  300. 坪川信三

    坪川国務大臣 土地提供者の立場に立って用地の取得の具体的な話し合いを進めていくということは当然の姿であろうと思います。したがいまして、なるべく潰地のなきよう、またあらゆる分断、寸断等のことから来る地域住民の不幸等もやはり考えましての路線あるいは土地の取得に当たってまいりたい。とともに、万やむを得ざる場合におけるところのいわゆる工法のあり方ということについては、やはり適時適所を考えていかなければなりません。しかし、予算上万やむを得ない犠牲を願わなければならない場面、部面も出てくることも御理解いただきたいと思いますが、われわれといたしましては、誠意をもってそれらに対処し得る立場でひとつ考えていきたい、こう考えております。
  301. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 時間がなくて残念なんですが、次に問題を変えまして栃木県の南摩ダムの建設、これは思川総合開発事業の一環として工費約二百九億くらいで計画がされておるという状況にあるわけでありますが、この問題をめぐってダムサイトの予定地、いままで基本的、基礎的な調査がずっと進めてこられたわけでありますが、そこで、ダムサイトにも反対がかなりあるということと、さらにこのダムの水を取り入れる取り入れ口が日光と今市の境目のところの第三発電所付近から取るということなのでありますが、大谷川から水を導水しなければどうしても水量が足りない、ダムの建設をしてもその効果があらわれない、こういうことになるわけですが、その取り入れ口の今市市は、大体一億四千万立米くらいためようというのが、そのうち一億二千万立米くらいはそこから取るんだという計画になっておるようでありますが、その地元が、それで取られてしまったんでは、分水されてしまったんでは、その地域の飲料水にもこと欠く、あるいはその付近は伏流水が多い、そういう事態にもなるぞということ、あるいは今市地域の開発発展の計画というようなものからも反対だ。あるいはまた、大谷川の下流、鬼怒川中部の地帯でも、農業用水も不足するぞ、こういうことで市町ぐるみの反対運動が起きているわけであります。そういうことについて、建設省としては、水資源公団に対してこういう場合にどういう進め方をしていくべきかということについて相談をされていると思うのでありますが、そこらの点についての建設省としての考え方を聞かしていただきたいと思います。
  302. 坪川信三

    坪川国務大臣 南摩ダムの開発につきまして、いま先生御指摘になりましたごとく、今市地区の住民の強い反対のあることも聞き及んでおります。しかし、御承知のとおりのこの南摩ダムの必要性ということも御理解をいただいてもおりますが、われわれといたしましては、水資源開発公団が実施することに相なっておりますが、これらの資源開発公団等を通じまして、また関係公共団体の指導者の方にも御指導をいただきまして、そしてぜひとも御理解と納得をいただくように、ひとつ最善の努力を今後も続けてまいりたい、こう考えております。
  303. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 河川局長、このダムの計画、いままでの調査結果に基づいてやや無理があるんではないかという感じがするわけであります。その取り水が思川の上流の水だけではとても足りないので大谷川という水系の違うところから導水路をつくってやってくるという、しかもそこの水を取られては困るという、これは市長が先頭に立って、今市は取り水の大宗を占めるので市をあげて反対をしているというようなことを考えますと、そこらのあたりの調査は、十分納得のできる、そしてまた理解と協力を求められるだけのしっかりしたものがおありなのかどうか、その点……。
  304. 坂野重信

    ○坂野政府委員 御指摘の御心配はごもっともでございますが、いま主として水資源公団で調査をしておるわけであります。その調査の成果も刻々私どものところに入るわけでありますが、現在までの調査の段階におきましては、大谷川から一部取りまして、そして水を引っぱって南摩川に持ってくるわけでございますが、計画としては、かんがい期の必要な分は全然取らない、非かんがい期で地域のかんがい用水にも支障を与えないという範囲内において取水するという計画になっております。もちろん今市付近はいろいろな地下水の関係等もかなり複雑でございまして、そういう点も私どもかねてよく熟知しております。今後の調査にそういった地下水等の調査も含めまして、さらに調査を進めて、その間においてできるだけ今市の方々の納得を得るようなデータを科学的に収集いたしまして、公団、私どもともども地元住民の納得を得るような科学的なデータに基づいてひとつやってまいるようにいたしたいと考えておりますが、現在までの私どもの観測では、計画そのものにはそう無理はない。やはり京浜地方に非常に水が逼迫しておりますので、そういうところにどこから水を持ってくるかといいますと、やはりかんがい期には確かに鬼怒川は問題がございまして、最近においても非常な干ばつ等があって困ったわけでございますが、非かんがい期におきましてはかなりの余剰水がございまして、その余剰水の範囲内において持ってくるということでございます。なお南摩川自体の若干の流量等も合わせてそこへいま貯留しようということでございますので、貯留量もかなりございますので、既往の水利権のそういう水利に支障を与えない範囲内ということで、私どもも十分その点は警戒いたしまして慎重な調査を進めてまいりたいというふうに考えております。
  305. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 こういうようにまだ取り水口のところで非常に大きな反対があるという場合に、しかもことしは実施のための調査費として六千万円ついた。こういう反対が強力であるというような中で、まだ今市ではちっとも納得していない、それを納得させるだけの努力というものが十分なされてないと私は思っているのです。そういうようなものの中でこの予算というものはどんなふうに使われていくのかということを伺っておかなければならぬと思うんですね。
  306. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のとおりの予算を計上さしていただいておりますが、これは調査事務所の設立、あるいはそれに必要なところの岩石、山の地質の調査とか、あるいは、補償の調査等をやります調査の費用でございます。したがいまして、納得と理解を得ない前にその事業を強行するというような立場での予算でないことを御了承願いたいと思います。
  307. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 その点、いまの大臣の御答弁、これはしかと承っておきます。どうぞその点ひとつ十分配慮をされていただきたいと思うのです。  それから河川局長河川敷の貸与の問題——これだけにいたしますから、主査、お許しをいただきたいのですが、現在これは鬼怒川の放水路をつくるところで問題が出たわけでございますが、放水路で約七反歩ぐらいの土地が買い上げられるという事態があったわけです。それで、それだけ提供した——これは泣く泣く提供したわけでありますが、別に河川敷が一キロぐらい離れたところにある。そこは現況竹やぶになっておるのです。これは十数メートルの竹やぶなんです。ところが、この代替地として、もう米ではやっていけないからというので、桑畑をつくって養蚕を最重点にしてやっていきたいということで、養蚕の桑をひとつつくりたいから、その竹やぶになっている河川敷を貸していただけないかということを言ったわけでありますが、それに対して、これは省令かあるいは通達か、どういう形かわかりませんが、その河川敷には大体一メートル以上に草たけが伸びるような多年性の植物はだめなんだ、そういうものが作付として予定された場合には、そういうものには貸し付けする許可をしない、こういうようなものがあるわけでありますが、現況がもう竹やぶで十メートル以上にもなっている。そしてその周囲に、隣接のところに、こんな二十センチも三十センチもあるような青木もはえているのです。そういう場合に、あまりにも形式一辺倒で、現地第一線では、こういう通達があるのですからだめですよということで貸してやらない。しかも放水路をつくる建設省工事土地を提供した人が、その見かわりとしてそういうものを要求しても、なかなかそれを許してもらえない。こういう不合理があるわけです。こういうものについて、時間がありませんから、大臣、そういうのはおかしいじゃないか、もう少し弾力性を持って、河川敷の使用について、河川敷としての効用がそういう方向に転換してもだいじょうぶだという目安が立つ場合においては、貸与をして農民の急場を救ってやるというような、弾力性のある態度というものが当然だろうと思うのですが、いかがでございましょうか。
  308. 坪川信三

    坪川国務大臣 河川敷地の立ち木の問題は、洪水その他あらゆる面に大きな影響を持つものでございますので、建設省河川行政といたしましては、これらの貸与につきましての制限、その他の不当な場合におけるところの措置等も十分講じておりますが、いま御指摘になりました点を現地の問題として十分検討を加えてまいりたい、こう考えております。
  309. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 終わります。ありがとうございました。
  310. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 山口鶴男君。
  311. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ただいま栃木県のダムの実施調査の予算に関連しまして、大臣が、これはあくまでも納得の上でやるわけであって、実施調査の予算をつけたからといって強行するものではない、こういう大臣としての所信をお述べになりました。私もダムの問題を聞くわけでありますが、先ほどの大臣の御答弁たいへん意を強くした次第であります。  実は、いま分科会委員長さんをしておられます仮谷さんは、かつて建設政務次官をしておられました。その際、私はこの沼田ダム、八ツ場ダムの質問をいたしたのでありますが、その際、建設省を代表されまして仮谷政務次官は次のような御答弁をされたのであります。「調査の結果、あくまでも地元が反対で納得しない限りは実施できるものじゃございません。したがいまして、調査事務所ができて、その調査の結果に基づいて、それでもなおかつ町村も地元も絶対反対で納得が得られないということであれば、絶対に実施はいたしません。」かように明確に御答弁をいただいておるのであります。たまたまそのときの仮谷さんが委員長をしておられるのも、これまたたいへん心強く思う次第であります。  しかも坪川建設大臣は、私も議運の委員をいたしておりましたが、本年の本会議では野党第一党の委員長の質問を夜中にするというような異例な運営をいたしましたが、坪川さんが運営委員長をしておられる際は、まさに、あくまでも納得ずくで公平な議会運営をせられるということに徹しまして、この点も、当時の坪川議運委員長に心から敬意を表しておった次第であります。  そこで、私もダムのことをお尋ねするのですが、残念ながら、河川局長さんのほうはずっと長くやっておられるのでありますが、建設大臣はしばしば御交代になるわけです。私もこのダムの質問を数回しておるわけでありますが、たとえば調査事務所の設置につきましては、あくまでも地元の御了解を得た上で実施をいたします、こういうふうに御答弁になるわけであります。ところが、半年もたちますと大臣がかわられるせいもあるわけでありますが、この調査事務所が地元の議会が一致して反対をしておりながら設置が強行せられるということが現に起きているわけであります。私は、こういうことではいけないと思うのです。やはり、大臣はしばしば交代されましても、大臣が議会において言明されたこのいわゆる公約というものは、これは現実の問題として守らなければいかぬ。それが、いわば事務当局の手によってかってに変えられるということであっては、私は議会政治というものは成り立たないと思うのです。そういう意味で、いま私が申し上げたような事柄につきまして、大臣としての御所見をまず承りたいと思う次第であります。
  312. 坪川信三

    坪川国務大臣 山口先生御指摘になりました点は、ダム建設を中心としての政党政治あるいは行政の推進というものの基本的姿勢、こういうことと私は承っております。御承知のとおりの政党政治であります。責任政治の確立でございます。したがいまして、同じ政党の内閣がその政権を持続いたしまして、内閣の改造が行なわれましても、あくまでも基本方針は踏襲するということが当然政党政治の私は確たる態度でなければならぬ、こういうことは山口先生と私は感をともにする信念でございます。保利前建設大臣あるいは仮谷前政務次官、現の不肖私、また渡辺政務次官等、事務引き継ぎをいたしました場合においても、これらの基本線、ことに重要なる建設行政の引き継ぎをそれぞれの角度から受けております。その引き継ぎを順守しながら、新たなる立場に立って大臣なり政務次官なりが新たなる構想を打ち立てていきますけれども、基本的な態度は、あくまでも政党政治としての基本線をくずさないということが当然の私は姿であろう、こういうことにつきましては山口先生と全く感をともにする次第であります。
  313. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 たいへんりっぱないまの御答弁でございまして、私のみならず群馬県民もみんな安心するのではないかと思います。  そこで大臣、結局大臣がそういう政治的信念を持って対処されましても、ややもすると事務当局が——さっき申し上げたように、調査事務所の設置は強行はいたしません、地元の納得の上でいたします、こういう言明をしながら、事務当局のほうが先行するという事態が間々あるわけであります。私は、この点は坪川大臣がおられます間は事務当局にそのような独走は許さぬということは、ひとつ明確にしていただきたいと思うのでありますが、その点はいかがでありましょうか。
  314. 坪川信三

    坪川国務大臣 私といたしましては、独走というような気持ちでなくして、行政の立場にある責任者が、やはり積極的なる創意くふうのもとにおいて、熱意を持った一つの気持ちからそうした発想が推進されていくということは、私はやはり認めてやらなければなりません。しかし、それらに対する基本構想が全く正反対なり、あるいは違った方向に進む場合におきましては、責任大臣が、当然の責任者として、これを指導しなければならない、是正もしなければならぬ、私はそうした態度で臨みたい。しかし行政の前進に携わる者が、新たなる創意くふうのもとにおいてこれを推進する場合における内容が正しいものであるならば、これは認めることが当然ではなかろうか、こう思っておる次第であります。
  315. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 いまお話があったような創意くふうの一環として、いろいろおやりになるならば私もわかるわけでありますが、少なくとも委員会においてお約束したことにややたがうような事柄というものは、これは困ると思うのです。その点はひとつ十分今後とも御注意いただきたいと思います。  さてそこで、建設行政というものが、ややもしますと——私は地方行政の委員会にいま属しておりますので、絶えず問題にいたすのでありますが、最近の自治体が、たとえば校舎の建築でありますとか、あるいは道路建設でありますとか、そういった建設工事をめぐりまして、しばしば汚職と申しますか、黒い霧と申しますか、そういう事柄を起こしておりますことは非常に遺憾に思っております。したがいまして、いやしくも国が工事をいたします場合は、建設行政というものは、まさに明朗でなくてはいかぬ、疑惑を受けるようなことがあってはならぬということは、やはり基本でなければならぬと思いますが、その点大臣の御所見はいかがでしょうか。
  316. 坪川信三

    坪川国務大臣 山口委員御指摘になりましたとおり、私は山口委員のお考えどおり、全く同感でございます。ことに建設省は膨大、巨額なる予算執行をいたしておる場でございます。そうした場合に、その巨額な財源はすべて国民のとうとい税金によっていただいて仕事を行なうという立場に立って、私は就任以来あらゆる機会をとらえまして、これらの綱紀の粛正、また使命観、倫理観を強く強調いたしまして、一点の疑惑もなきよう、あらゆる機会、あらゆる部門を通じまして指示いたしており、ことに入札その他に対する工事執行等においても、私はきびしい態度で処理し、また指導をいたしていく方針であり、その方針をとりつつあることを御了解いただきたいと思います。
  317. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣の御決意はわかりました。  私の住んでおります群馬県は、利根川の上流県であります。したがいまして、京浜工業地帯あるいは京葉工業地帯の工業用水を求めるという観点から、さらには利根川の洪水調整を行なうという観点から、現在すでに何カ所かの多目的ダムが建設をされております。また、先ほど申し上げたような沼田ダムでありますとか、あるいは八ツ場ダムでありますとか、あるいは本庄ダムでありますとか、あるいは山口ダムあるいは跡倉ダム、こういったダムが次から次へと実施調査あるいは予備調査という形で調査をせられております。ところが、こういうダムの構想ができますと、いやあのダムはどこの建設会社が請け負うことになるんだというようなうわさが、現にたくさん流れるわけであります。たとえば、群馬県でまさに着工されようとしております草木ダム、これは鹿島建設が請け負うんだ、それから現在実施調査中であります八ツ場ダムについては、実施される場合は間組が請け負うんだ、それから八億トンという膨大な水をためる予定であります沼田ダムがもし建設せられるとすれば、これは間組が同じく入札するんだということが、うわさとしても流れ、また新聞等にも間々書かれることがあるのであります。私はこういうことはたいへん遺憾だと思います。ところが、しかし、それが全く火のないところに煙が立たぬというわけでありますが、全然火元がないかというと、ある程度それを裏づける根拠というものがあるのであります。私はそのことをお尋ねしたいと思うのでありますが、たとえば沼田ダムでございますが、沼田ダムの建設予定地というものは、建設省でもいろいろ調査されておりますから、ほぼダムサイト地点というものはわかっております。そのダムサイト地点の土地八反六畝、まさにダムをつくる一番重要な地点でありますが、これが昭和実営という会社に買われております。私はここに謄本を持ってまいりましたから、うそを言っておるわけじゃない。正確な資料に基づいて言っておるわけでありますが、昭和実営という会社が買っておる。それから八ツ場ダムにつきましては、これも四反数畝にわたる面積を、これまた昭和実営という会社が買っておるのであります。昭和実営という会社は一体どういう会社かといいますと、これは間組のありますビルに同居しております。そうしてその株の大半は間組が持っておりまして、その代表者は、間組の社長であります神部満之助氏が、間組の社長であるとともに昭和実営の代表者である。ですから、これはいわば全く同一の会社といって差しつかえないわけでありまして、それが現にダムサイト地点をすでに買っておるわけであります。それならば、もうこれはそこが請け負うのではないかという現地の人たちの声というものも、あながち根拠がないとはいえないと思うのです。こういった重要なダム計画がなされ、予備調査なら予備調査にお入りになると、すぐさま建設会社がその土地を買うということは、どう考えても私は不明朗なことだと思います。その点はどうお考えでございますか。
  318. 坪川信三

    坪川国務大臣 ただいま山口委員御指摘になりましたとおりに、群馬県内におけるところの利根川上流のダム建設につきましては、地元の皆さんの非常な御協力で、過去においては五つか六つのダムの建設が完工をいたしておる、また将来、御指摘になりましたように四つ、五つの大きなダムの建設をお願いしなければならないというような状態にあるときにおける、ダムの建設に対するところの綱紀の粛正といいますか、あるいはそれらをめぐるところのあらゆる問題につきましては、私は全く厳正な態度できびしい方針で臨まなければならぬということは、さき申し上げたとおりでございます。したがいまして、いま山口委員はいろいろ取りざたされている想像的ないわゆる請負業者の会社名を御指摘になりましたが、建設省当局といたしましては全く白紙の立場でおることは当然でございます。これはひとつ御了解いただきまして、いま御指摘になりました話題として、うわさといたしまして、いま私は初めて聞いておるような次第であります。したがって、これらの問題につきましては、冒頭に申し上げたごとく、うわさとか情報とか、あるいはそうした問題の運動とかいうようなものは、全然考えの基礎に置かずして、高度な立場に立っての事業執行に臨みたい、私はこう考えておりますとともに、いまの何とかいう会社のお話についても、いま初めて聞き及んだような状況でございます。こういう姿は、事実ありとせば決して好ましい姿ではないということも私は感じておりますので、あらゆる点についてきびしく、しかも厳正にこれらの処理の対応策を講じてまいりたいと考えております。
  319. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 河川局長にお尋ねしたいのですが、この点は河川局長も事情は知っておると思います。問題は、昭和実営が地元の人たちから先ほど指摘いたしました四反数畝を購入いたしましたのは、昭和四十年の三月五日であります。八場ダムにつきまして実施調査の予算がつきましたのが本年で三年目であります。ですから、四十二年、四十三年、四十四年という形で、実施調査の予算がついてきたわけであります。したがって、四十年の三月といえば、実施調査の予算はもとより計上されていない。予備調査として、利根川の全体の治水計画で調査をしておった時代であります。その当時、昭和実営がいま申し上げたような四反数畝を購入をいたしております。しかも同じ年、四十年八月四日に昭和実営から建設省が、およそ六百平方メートルでありますが、土地を購入しておるのであります。こういう事情を地元の人たち承知をいたしております。この昭和実営が予備調査の段階でぱっとこの土地を買った。しかもそれが、それからわずか五カ月もたたぬうちにそこから建設省土地を、少ない面積ではありますが、購入している。そういうところに、何か建設省昭和実営との間に、私は一連の関連というものがあるのではないかと考えざるを得ないのであります。河川局長、これはどういうわけですか。この間の事情をひとつ説明してください。
  320. 坂野重信

    ○坂野政府委員 実は昨年の分科会先生の御質問がございまして、そのとき私どもは初めて昭和実営という名前を知ったのでございます。その後、国において八場ダムに関連してそういうものを取得したというようなことは全然ございませんので、群馬県に照会しましたところが、先生のおっしゃるように、昭和四十年の三月五日に昭和実営と称する会社が吾妻町松谷の土地を、田中瑳一郎から山林二町六反七畝を買収したことは事実のようでございます。それで昭和四十年九月二十日に群馬県の中之条の土木出張所で、ちょうどそのそばを国道百四十五号線というのが走っておりまして、そこの熊の茶屋付近でもって道路の局部改良工事をやったようでございます。そのために、前記の会社の所有地から約七百平方メートルというものを道路用地として買収しております。そこで四十一年八月八日に、道路管理者である群馬県知事が国の登記の嘱託職員としての立場で登記いたしました。そこで道路法によりまして台帳づらで建設省の所管の国有地になったというわけでございまして、決してダムの関連等で、そのために何かの関連で買ったというようなことはございませんので、たまたまどういう理由で昭和実営が買ったか、それはわかりませんけれども、そこに持っておった土地の中がたまたま道路の局部改良のところに当たっておったというところで、県が道路の拡幅をするためにこれを買収して、手続上登記した。その結果、建設省の所管の国有地になったということが判明いたしましたので、御了承願いたいと思います。
  321. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 道路関係で買って建設省のものになっているという御説明ですが、ただ問題は、局長も知っておられるように、八場ダムを建設するとすれば、ここはまさにダムサイト地点ずばりだということはお認めになるでしょう。
  322. 坂野重信

    ○坂野政府委員 そのとおりでございます。
  323. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ここでは、もし明朗な建設行政をされるという立場なら明確に言っていただきたいのです。それは、このダムサイトの土地をある特定の土建会社が購入をした。しかしその入札がたまたまその土建会社だったということは、私は問題だと思うのです。そうではなくて、そういう場合は当該会社は除外をして指名をするくらい明確な態度が必要ではないかと私は思うのですが、この点はいかがですか。
  324. 坂野重信

    ○坂野政府委員 大臣からお答えいただくのが本筋なんですが、事務当局といたしましては、どうせこのダムは調査をやりますし、先生承知のように地元との調整がまだいろいろ残っておりまして、私どもとしてはできれば四十五年くらいに着工の運びに至りたいと考えておるわけでございまして、その時点におきまして入札のお話を、先ほど大臣の基本方針もございましたので、大臣の指示を得ながらそういう指名の手続等、建設省として進めていきたいと考えております。
  325. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 私、ここにダムができる事態は起きぬように——大臣が言うように、地元が納得しなければ強行せぬ、しかも現に八割の方が絶対反対という態度をとっておられるのですから、強行するというお気持ちがない限り実施できるはずはない。ですから、私はあくまで仮定の問題としてお尋ねしたのですが、結局これは八場ダムに限らず、ダム計画があればいつとはなしに土建会社が土地を押える。そこがその会社にすべて入札されるということは、これはたいへん明朗ではない。したがって一般的な問題として、そういう場合は指名から除外するくらいの断固たる御決意が必要ではないかと考えましてお尋ねしたわけです。  同じような問題を保利建設大臣にお尋ねした際に、保利建設大臣は、そういう際には、当該のそういう土地を先に買い占めるというような業者は除外をして指名をするつもりで私は対処する。こういうような御決意を述べられたのでありますが、大臣はいかがですか。
  326. 坪川信三

    坪川国務大臣 私は当然の措置だと考えております。
  327. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 時間も迫ってまいりましたから、あと一つお尋ねをしたいと思うのですが、実は群馬県がダムの問題について、沼田ダムは県議会があげて反対の決議をいたしています。その他、八場、本庄、それぞれのダム計画につきましては、地元の皆さんが反対という立場をとっておられます。それには理由があるわけです。というのは、八斗島において三千トンの洪水調節をやれば一応利根の治水計画は終了するのだということを、以前から、建設省あるいは建設省の身分のありました方が県の土木部長になってまいりますと、そういうことを繰り返し言ってきたわけです。今日まで群馬県はそういう立場で協力を申し上げ、すでに八斗島における洪水調節量は、三千トンカットは終了をいたしておるのであります。そういうことを言っていながら、さらにこの計画がまた変更になったからこれだけの治水が必要だというようなことを言ってくるのでは、これは群馬県民としては納得できぬというのが県民感情であります。  しかもいま一つは、ダム建設をいたします場合の建設費の負担の問題であります。群馬県は矢木沢、下久保、薗原という形ですでにダムができました。そういたしますと、これは多目的ダムでありますから、洪水調節あるいはかんがい、土地改良に対するかんがい、それから上水道、発電、こういった形でこの負担の区分があるわけです。問題は洪水調節でありますが、洪水調節におきましては、群馬、栃木、埼玉、東京、千葉、茨城、こういうものが利水の恩恵を受けるということで、これに対して分担率がございます。群馬県が一五・五六%、それから栃木県が二・八%、埼玉県が二三・五五%、東京が二〇・一一%、千葉が一九・八一%、茨城が一八・一七%という割合であります。群馬県が下流の千葉、茨城等とほぼ同じ負担率をかけられておるのですよ。ダムができる県はその地域住民が非常に犠牲になって土地をとられるわけであります。そのために当該部落は衰微する——水没したところは当然でありますが、その周辺も衰微するという例もございます。まさに水源県というものはそういう意味では犠牲になる。しかもこの洪水調節といいましても、恩恵を受けるのは下流ではありませんか。しかるにその上流県である群馬県が、この洪水調節に対して下流県とほぼ同じ負担率をかけられるということは、だれが見ても不合理だという感じが、上流県の県民としてはあると思うのです。こういった負担率は不合理だとは思いませんか。これに対して是正をするという気持ちはございませんか。
  328. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先生御指摘のように、多目的ダムをアロケートする場合には、利水の問題あるいは電力がつく場合には電力というような分担のアロケート方式がございまして、そこで治水の全体のワクがきまるわけでございます。利根川につきましては昭和三十二年に実は利根川の直轄河川を改修する場合の各県ごとの分担の率を三年くらいかかりまして検討いたしました。従来はどちらかといいますと堤防の地先主義といいますか、堤防を拡築する場合、その区間にかかる県が拡築すれば幾らかかるかということを計算して、いわゆる地先主義でございましたのが、三十二年からいわゆる被害の可能性といいますか、ダメージ・ポテンシャルといっておるわけでございますが、そういうものも考慮いたしまして、再検討いたしたわけでございます。その結果若干でございますけれども東京都と千葉と埼玉の持ち分が、その他の県に比べて多くなったということになっております。そういうことで自来ダムの建設がある場合には、治水のアロケートをする場合には、ダムをつくった場合とつくらぬ場合と経費を、差額を計算しまして、それを今度は関係する下流側のほうも全部範囲をきめて、その範囲内においてさきに申し上げました三十二年の方式においてやっておるわけでございますが、先生御指摘のように、ダムも今後だんだんふえますし、確かに群馬県の負担もたいへんだと思います。それから三十二年につくりましたいわゆる計算方式というものも、その後流域の開発の進捗度もだいぶ変わてきております。そこで私どもといたしましては、やはりこれは一ぺん再検討する時期にきているのじゃないかということも思っております。  そこで利根川の流量が先ほど先生御指摘のように一万七千が、ある時期にくればどうしてもふやさざるを得ないというような、大きな計画改定の時期にもきておりますので、そういう時期とあわせましてひとつ検討してまいりたいというぐあいに考えております。
  329. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 とにかく私は今後つくってもらいたくないから、今後のことを言うわけではありませんが、草木ダムは一応これは建設ということになっていますから、この草木ダムにつきましてはこういった高率でつくるということは、どうも私は理解しがたいと思うのです。そういうこともございますし、さっき言ったこの洪水調節は、これで終わりだというようなことを言いながら、また新しい計画でもってどうしても洪水調節が必要だというような、首尾一貫しない言い方が、どうしても群馬県民に不信感を与える。しかもこのアロケーションの問題についても、今日まで十億近い負担を上流県の群馬県が現にしておるわけでありまして、そういうことからいっても、県民に、少しおかしいのではないか、あまりにも水源県のみ犠牲を背負わされるのではないかという気持ちが起きるのは、私はやむを得ぬと思う。時間がないからやめますが、大臣、冒頭申し上げたようにこういうものはあくまでも地元民の納得の上で実施をする、こういう原則はひとつ守っていただきまして、創意くふうというような面で事務当局があまり先走ることがないように、十分大臣として監督をいただくことを特に要求をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  330. 坪川信三

    坪川国務大臣 承知いたしました。
  331. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 野間千代三君。
  332. 野間千代三

    ○野間分科員 三十分の間に二点ばかりお尋ねをいたしますので、能率的にやっていただきたいと思うのです。  河川敷の開放の問題なんですが、全国にたくさんこういう例があると思いますが、一番著名でかつかつて多少問題の起こったことのある多摩川の河川敷の問題についてお尋ねをしたいのであります。  いま多摩川の開放のできる全体の面積が三百五十ヘクタールあるわけであります。その中でまだゴルフ場に使われておるのが約三五%に近い百十八・五ヘクタールで、これが五つぐらいの会社にゴルフ場として使われているわけで、多摩川ゴルフ場あるいは新川崎ゴルフクラブあるいは東急電鉄の経営するゴルフ場というふうにあるわけですね。そのほかに野球場あるいは競馬の練習場などに二十七・六ヘクタール、自動車の練習場に十二・七ヘクタール、こういう環境の中で、川崎市なり東京都なりの公共的な緑地に開放されておりますのは二十五・七ヘクタールという状態で、たいへん開放がおくれていると思うのであります。  第一次の開放計画が四十一年から四十三年度、つまりことしの三月三十一日で終わるというふうに承っておりますが、こういう状況でありますから、まだ第二次の開放の計画が立てられていないというふうに伺っておりますので、第二次開放計画はどういうふうにしようとしておられるのか、これが第一点であります。
  333. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました川崎市の多摩川の河川敷地の開放の計画の問題でございますが、御承知のとおりに昭和四十一年度を第一年度とするところの三カ年計画のとおりに第一次の開放計画が三月をもって終了をいたしておるような次第でございます。これに対しまして引き続き第二次計画を立てたいと考えておりますが、いまの都市地域の公園の整備状況あるいは公園の利用状況等も勘案いたしまして、私はこれらの方針を前向きの姿勢をもって検討を続けたいと考えておる次第であります。  また現在占用しておるゴルフ場も、一般大衆の利用に供し得るパブリック制に変換したものもあり、今後ともそのような方向に行政指導をやってまいりたい、こう考えておる次第であります。
  334. 野間千代三

    ○野間分科員 ことばの上ではそれはけっこうなんですけれども、具体的に第一次はいま言われるようにちゃんと四十一年から三年計画で何ヘクタールを川崎市、何ヘクタールを東京都というふうにやったわけですね。ですからたとえば川崎市も今度四十四年に始めるものは二十ヘクタール、しかもそれが、一億円もかかる。国の補助が三分の一なので、六千六百万円というような多額の金をちゃんと用意して工事を始めているわけですよ。ですから、地方自治体にすればやはりちゃんと国で何年から第二次が始まって、それはどういうふうな計画で進んでいくというふうに積極的に計画を発表してもらわないと困るわけです。それはどうなんですか。
  335. 坂野重信

    ○坂野政府委員 この第一次の開放にあたりましても、実は非常にゴルフ場はじめ占用者の御協力を願ったわけでございます。いろいろなトラブル等もございましたけれども、ようやくにして第一次計画というものが予定どおりに——予定どおりと申し上げるよりもむしろ予定計画が、実はこれは多摩川、荒川、江戸川全部含めてでございますけれども、多摩川だけでいいましても、百五十ヘクタール開放する予定でございましたが、三十二ヘクタール余分に開放しているわけでございます。そういうことで、私どもとしては実はもうこういった河川敷の開放は非常な成績をあげている、むしろおほめ願ってもいいのじゃないかと思っているようなぐらいでございます。ようやく第一次計画を終わった段階でございますので、実はまだ占有していないところで、そして河川敷を整備すればなお使えるところがございます。そういうところを都市河川対策の一環といたしまして、洪水の疎通にも非常に役に立ちますので、河川敷整備事業、河道整備事業というのがございますが、そういうものをひとつ積極的に進めてまいりまして、そういう面でせっかく占用しているものは——もちろんこれは簡単に取り上げようと思えば取り上げられるわけでございますけれども、まず占用しないであき地であるようなところを整備いたしまして、その辺を勘案して面積を埋め合わせ、それでもどうしても足らぬというようなことになってまいりますと、先ほど私が申し上げましたように、川崎あるいは東京都の公園の整備計画と見合いまして、第二次計画というものを策定してまいりたいというわけでございます。でございますから、もうしばらくその検討の期間を御猶予願いたいと思うわけでございます。
  336. 野間千代三

    ○野間分科員 初め申し忘れたのですが、第一次分はおっしゃられるようにたいへん進んでいるわけです。これは市民も都民のほうもたいへん喜んで、十分に公園として活用さしていただいておりまして、請求されたわけでありますが、お礼を申し上げたいと思います。  それで、それはそうなんですが、新しく整備するというのは確かに重要なことであります。ぜひそれは進めていただきたいのですが、ただぼくは、ゴルフ場や競馬の練習場や自動車の練習場、こういう方面は相当高い使用料をとっているわけです。自動車練習場にしても、あるいは特に競馬の練習場だとか——競馬なんかこれからなくなるわけです。そういう練習場だとか、特にゴルフなんというのは、最近は一般的な傾向として、会員制でなくて一般に開放したりして、会員券が一時六十万なんということは多少なくなってきたようですけれども、しかしまだやはりそういうところもありますし、それから一コース大体二時間くらいで千五百円から二千円くらいというようになっておりますし、必ずしも一般的な体位向上のコースではないというのが実態ですね。それならやはりいま人口が急増している東京なり川崎なりそういう方面で、至急に市民に自由に使ええる公園がほしいということは、これは自然の要求だろうと思うのです。   〔仮谷主査代理退席、久保主査代理着席〕 それは新しい整備事業をしていただいて、それを開放してもらうのはけっこうでありますけれども、そういう観点からいって、少なくともゴルフ場であるとかあるいは野球や競馬の練習場とか自動車の練習場というように、営業でもっぱら使っているというところは、一般市民に開放をするというようにすべきではないか。ほかに運動場として公共用なりあるいは既設の運動場などがありますが、こういう問題は多少時間はおくれてもけっこうでありますが、いま申し上げましたような部面については、既設のものとしてまだ四〇%近い部分が占められておるわけですから、こういう方面から積極的に開放していったほうがいいんじゃないかと思うのです。どうも各方面で伺ってみますと、国の建設省のほうで第二次のほうはあまり積極的でないというふうに伺っていて、いま直ちには、まだ四十四年、今年一ぱい地方のほうでは整備がかかるわけですね。第一次の整備は予算関係でおくれてくるわけであります。したがって今年一年は言われるような余裕がありますけれども、少なくともこの期間に第二次の計画を策定をして、四十五年あたりからは出発をするとかいうくらいのことは、やはり積極的に取り組んでいく必要があるんじゃないかというふうに私は思うのであります。したがって大臣の言われるような前向きにやっていこうということば上の問題でなくて、正確に何年にはどういうふうな考え計画を立てて、地方と協議をいたしますくらいのことは、もうこの段階では申されてもいいんじゃないかというふうに思うのですが、いかがですか。
  337. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先ほど御説明いたしましたように、たとえば自動車の練習場とおっしゃいますけれども、これはもう全部開放ということで、若干の準備等の関係で残っておりますけれども、これはもう日なずして自動車練習場は全部開放いたします。それから民間の競馬場だとかあるいは運動場等は、実はこれは準開放という制度をとっておりまして、一定の日時を限りまして、そしてその間は一般の公衆の用に供するということで、そういう方法もかなり大幅にとっております。ゴルフ場等につきましては、ほとんどゴルフ場は壊滅というくらいの状態で、面積も相当減っております。しかも残ったものはメンバー制じゃなくて、オープンにしてパブリック制にして、できるだけ安く一般の人を入れるという方式もとらしております。  そういうようなことで、先ほど申し上げましたように、予定が百五十ヘクタールに対して三十二ヘクタールも余分に、二割以上も余分にいっております。もちろんこの間にいろいろなトラブル等が起きまして、これはもちろん開放する場合には全然補償も何も支払っておりません。そういうような一時裁判ざたになるかというような問題もあったようでございますので、私どもとしては非常に苦慮し、その間に占用者の方々にも非常に御協力願ったわけでございます。  そこで確かに公園の必要性はよくわかりますし、そういう意味でできるだけ未占用のところ、あいているところをまず重点的にひとつ整備したい。それでもなお足らぬということもあると思いますので、できるだけ早い機会にひとつ検討させていただきまして、はっきりいつとは申し上げかねますけれども先生の御趣旨を体して、できるだけ早い機会に結論を出したい、このように考えます。
  338. 野間千代三

    ○野間分科員 相当がんこですね。大臣、いままで言われるように、開放に努力してきている実績については、先ほど言いましたように私どもも認めるわけです。しかしいわばもう一歩というところであります。それだけに私もあしたからとか今年度からといっているのではなくて、少なくともちょうど四十四年度に、たとえば川崎市にすればいままで開放してもらった分について工事が終わるということなんであります。したがってこれから始まるわけですが、四十四年度中には次の開放の計画を、年次計画を立てて開放いたしますという計画は新年度中には立てるべきじゃないか。せっかくここまで第一次が進んだのでありますから、第一次という以上第二次があるのは当然でありまして、したがって第一次が終わった段階で、やはり第二次の計画をきちっと発表をして、地方のほうで予算上の即応体制がとれるようにすべきじゃないか。地方のほうでは相当積極的に、開放してもらえれば、多少の支出があってもそれはちゃんと予算に組んで整備をしてまいります、こう言っておるのですからね。そういう考え方なんです。いかがですか。
  339. 坪川信三

    坪川国務大臣 野間先生承知のとおりに、ことしの三月をもって第一次計画が終了いたしますので、終わった時点に立って、いま御指摘になりました点等を、さっき申し上げましたように、前向きの姿勢をもっていかにあるべきかというふうなことについて、十分ひとつ考究してまいりたい、こう考えております。
  340. 野間千代三

    ○野間分科員 まあ十分でありませんけれども……。  第二番目に、いまのこの特殊占用料金というのは、一平米七円だったと思います。これはたしか四十年ころに、たとえば神奈川県のような場合には改正をして七円になっていると思いますが、この特殊占用のような場合は、これはゴルフ場であるとか、そういう方面でありますが、一平米七円というのは単価としてどうなんですか。利用状況にもよるでしょうけれども……。言われるように、会員制からオープンになっている、そういう点もあるでしょうが、やはり相当安いんじゃないかと思うのですがね。ですから、開放を促進するという意味でも、七円という安いのを改定をしたらどうかというふうに思うのですが、これはいかがですか。
  341. 坂野重信

    ○坂野政府委員 これは先生承知のように、占用料はそれぞれの都府県の条例できめて徴収しておりますが、確かに私どもも個人的には安いという感じがあるわけでございますけれども、従来各県ごとに多少のアンバラはございます。そういう点でできるだけ適正な価格になるように行政指導をしてまいりたいと思います。
  342. 野間千代三

    ○野間分科員 それは県との話し合いもあるでしょうが、特に多摩川などの部分は、企業的にやっておって、卑近なことばでいえば、相当もうかっている例が多いのであります。これが、いまお答えの、開放する場合にいろいろないきさつが起きてくる原因であります。そのいろいろないきさつの背景にいまでも醜聞といいますか、そういう点なしとしないというふうに市民は考えているわけですね。私は、具体的には別に申し上げませんけれども、そういう点を危惧するわけであります。したがって、国が管理しているこういう部分については、やはり県全体とするといろいろな部分がありますから、必ずしも値上げをしていいかどうかについては、また別の問題があると思いますが、こういう部分については、もっとこれは多額に徴収をして、開放しやすいようにしたほうがよかろうというふうに感じるのであります。いろいろ風聞を聞いておりますが、別段いまそれをどうこう言うつもりはありませんけれども、正直のところいろいろ聞いておるわけであります。したがって、そういうことのないようにするのには、こういう方面からもやはり整備をしておく必要があるんじゃないかというふうに思うのですが、大臣いかがでありますか。
  343. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました点は非常に重要な問題でございます。御指摘のごとく、これらの誤解を、また疑念を抱かしめないようなき然とした態度で行政指導、またそれらの考慮を、行為を行ないたい、こう思い、また十分の監視もいたしてまいりたい、こう考えております。
  344. 野間千代三

    ○野間分科員 それではその実行を御期待をしておきたいと思います。  次に、公団の住宅なんです。公団のほうの方にお願いしますが、人口急増の関係で公団の分譲住宅どもだいぶふえてまいりました。全国的にそういう施策が行なわれておりまして、必ずしも安くないのでありますけれども、しかし住宅難解決の一助として市民に歓迎をされておる面もあるわけですね。その中で工事が非常に粗雑なことであります。工事の手抜き、それから粗雑、不良材料、加工の手抜き、そういう点が非常にある。私は出身が横浜でありますが、横浜はそういう公団住宅がだいぶあります。昨年の三月に居住するようになりました多摩プラーザという公団の住宅、ここへ行ってみたのでありますけれども、これはたとえば床が鳴るんであります。きしむんでなく、鳴るのであります。それから壁はもうひびが入って割れる。それからコンクリートの部分、たとえばテラスであるとか、そういう部分のコンクリートがはがれるとか、あるいは柱が、表側の柱はわりあいにきれいなんだけれども、裏側を見てみると材料が違う。それから、台所の前向きの戸だなのところは非常にりっぱな材料が使ってある。一歩中を、押し入れとかそういう方面をのぞいてみると、たいへん悪い材料なんであります。こういうふうに工事の手抜き、そういう点が非常に多くて、たしか基礎的な部分は二カ年間、普通その他一般のところは一年間ですか、補修をするわけですね。去年の三月に入居を始めて、去年の夏ごろには、たとえば多摩プラーザは千四、五百戸数でありますけれども、その中で六百件数くらい居住民から管理事務所に補修の要求があって、管理事務所がてんてこ舞いしている状態であります。これら建築のときの監督についてはどういうふうにされておられるのですか。
  345. 野崎清敏

    ○野崎説明員 お答え申し上げます。  公団の建築工事につきましては、現在直轄で監督いたしておりますものと、委託をいたしまして監督をいたしておりますものと、その二つございます。いまおっしゃいました多摩プラーザにつきましては、直轄部分と委託監督部分と両方がございます。いずれの監督にいたしましても、監督につきましては相当厳重にやっておるつもりでございますが、監督員の関係等で必ずしも十分でない場合がございます。ただ、そういったことを補いますために、中間検査を相当厳重にやっておるつもりでありますし、また竣工にわたりましては、竣工検査というふうなことも実施をいたしておる次第でございます。しかし、実際に入居をいたしまして細部のたてつけのぐあいであるとか、そういったところにつきましてややふぐあいのところが出てくる場合もございますので、これらにつきましては、瑕疵工事といたしまして、申し出に応じて施工業者に命じまして、責任をもって補修をさしておるというふうにいたしておる次第でございます。
  346. 野間千代三

    ○野間分科員 もちろん言われるような形で監督はしておるんでしょうけれども、まあお役所なり公団なりは手がそう多くないのでしょうから、十分でない点があるんでしょうけれども、いま言ったようなことは、これは明らかに工事中の問題ですね。施工中の問題ですよ。しかも、材料などは、建てる前にわかるわけですよ。ですから、それが規格に入っているのかどうか、いろいろ問題があるのでしょうけれども、もう少し厳重な工事中の監督をしてもらわないと困ると思うのです。住民の人は四百万円で買ったわけですからね。それで補修はろくにしてくれない。これは補修期間が切れちゃったあとどうなるかという心配があるんです。コンクリートですから、ぶっこわれちゃうことはないでしょうけれども、しかし住んでおって、ちょっと歩くと床が毎日鳴っておるわけですよ。こういう点は住んでいる人にすると非常に不安感を持つわけです。ですから工事中の監督は、これは相当厳重にやっても一らわないと困るんじゃないかと思うのです。
  347. 坪川信三

    坪川国務大臣 竣工検査のきびしさはもちろんでございますけれども、いま先生御指摘になりましたような工事中の管理、監督、これがやはり一番重要であろうと思います。これらにつきましては公団、公庫のみならず、あらゆる住宅施策の場において私からも強くこれを指示してまいりたい、こう考えております。
  348. 野間千代三

    ○野間分科員 では次に、業者によってだいぶ違うんですね。多摩プラーザはたしか十二業者くらいでやっておったと思いますが、これがグループができるんです。ここのグループは相当多い。それを見てみると、数の多いグループ、少ないグループで業者が違うのです。その中で相当有名な業者のほうが故障が多い。こういう結論が調べてみたら出た。一つ申し上げると、火急不動産、東急建設、これはたしかプラーザをやっておるわけですけれども、そこが一番ひどい。これは有名な大会社ですね。そういう関係がありますから、特に大会社については相当きびしく監督をしてもらいたいと思います。  時間がないのですが、次にアフターケアがありますね。補修する期間を区切って補修をするんだけれども、金額によって制限があるのですか。業者は二万円以上のものは補習をしないと言っているのですが、これはいかがですか。
  349. 野崎清敏

    ○野崎説明員 金額によって制限をいたしておりません。
  350. 野間千代三

    ○野間分科員 それは問題だ。プラーザの場合には、補修に来た業者が二万円までしか補修できません、こう言っているのです。ですから床鳴りはあとで補修できない。そういうことですね。これはひとつきょうの宿題になりますけれどもあとでまた直接役所のほうに聞きますが、プラーザのほうはほんのコンクリートを打って直すくらい、壁のところを少し色を塗るくらいしか補修をしません。これは住民に直接二万円以下までしかできません、そういう規則になっておりますなんていうことを言っておるわけですね。ですからひとつそういう補修の方面について十分な監督をしてもらいたい。  それから期限もありますね。
  351. 野崎清敏

    ○野崎説明員 請負工事契約によりまして、一年間が瑕疵補修期間ということになります。
  352. 野間千代三

    ○野間分科員 入居するときの定款ですか、ああいうものには、骨格の部分は二年間ですか、その他の部分は一年間というふうに書いてありますが、どうなんですか。
  353. 野崎清敏

    ○野崎説明員 いま先生のおっしゃるとおりでございます。
  354. 野間千代三

    ○野間分科員 そうすると、床鳴りなどは骨格部分だと思うのです。いかがですか。
  355. 野崎清敏

    ○野崎説明員 床は主体構造部分には入らないわけでございます。
  356. 野間千代三

    ○野間分科員 主体構造にどうして入らないのですか。床は住んでいる基本になるところじゃないですか。
  357. 野崎清敏

    ○野崎説明員 主体構造と称しておりますのは建物の主要構造を構成しておるところでございまして、床の下にコンクリートが打ってございます。そのコンクリート部分までが主体構造であります。
  358. 野間千代三

    ○野間分科員 そうすると、これは床をひっぱがして、全部直さないと、つまり根太や何かが狂っておるわけですね。住んでいる人から考えれば、コンクリートのところがこわれちゃうということはほとんどないわけです。ですからそれはただ単に書いてあるだけで、実際はそんなことばないわけです。その上についているところが住んでいる人の重要なところです。これは主体部分に入れたらどうですか。
  359. 野崎清敏

    ○野崎説明員 床につきましては、一年間程度の期間をおきますれば、その間に瑕疵につきましては十分発見できるというふうに考えられますので、現在のところは一年の補修期間ということで処置いたしておるわけであります。それで一応いままでに問題が生じたというふうには考えておりません。
  360. 野間千代三

    ○野間分科員 それならば、主体構造でなくても金額に制限がなければ、ひっぱがせばいいんだからこれは直せるんですね。しかし床の部分は全然手をつけないというのが実態のようですが、これは全国にもそういう例があると思うので、補修の部分について、できたものはしようがないが、補修部分についてのぼってきている書類がたくさんあります。六百件ありますが、これは管理事務所を通じて公団にいくのですか。公団にいって業者に書類が回るわけですね。それをちゃんとチェックしてもらうのはたいへんですが、重要なものは一件一件公団のほうで業者を確認をするというふうにしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  361. 野崎清敏

    ○野崎説明員 現地につきましてさらに点検をいたしたいと思います。
  362. 野間千代三

    ○野間分科員 大臣、お聞きのとおりです。先ほど言いましたように、住んでいる人は自分で買ったのです。自分で金を出してっくれば毎日毎日見に行くからこんなことは生じないわけですよ。それを役所のほうにまかして、国家を信頼して買ったわけですから、これは大臣の責任ですから、十分にひとつ建設する途中、それから入ってからのアフターケアの監督を十分してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  363. 坪川信三

    坪川国務大臣 承知いたしました。いま御指摘になりましたように、住居するものの立場に立って、これらの監督、また竣工後のアフターケアその他につきまして、建設省としては十分こまかく配慮してまいりたい、こう考えております。
  364. 野間千代三

    ○野間分科員 以上で終わります。
  365. 久保三郎

    久保主査代理 岡本富夫君。
  366. 岡本富夫

    岡本(富)分科員 私の時間は三十分でありますので、簡単に要領よく答えていただきたいのです。   〔久保主査代理退席、仮谷主査代理着席〕  最初に、わが国の公害はもうどうしようもない、こういうところへきておりまして、最近、先国会からでありますが、通産省から工業立地適正化法、これを出そうとしておりますけれども建設省が反対してまだ出せないのだ、こういうようなことを聞いております。しかしこの問題についてはここで答弁は要りません。あとでどういうところに問題があるのか聞かしていただきたいと思います。  次に国道の問題です。兵庫県の淡路島に、国道二十八号線というのが通っております。南淡町の役場の付近です。写真をすでに出してあると思いますが、これは少し雨が降りますと水が一ぱいたまってしまう。徳島のほうにいく幹線になっているのですが、それが全然使えなくなる、四、五年前からこういう状態で、私も現地に行き、また近畿建設局にも申し入れてあるのです。しかしながらいつまでたっても解決しない。これについていつごろちゃんとやるのか、これをきょうはひとつ明確に答弁をいただきたいと思います。
  367. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 兵庫県の淡路島の南淡町の国道二十八号線の冠水の問題でございますが、いろいろ現地で調べますと、その地区はやはりかなり全体が低くなっております。道路とともに周辺の人家も冠水が起こっているような状況でございまして、私たち道路管理者だけとして解決できませんので、河川管理者、兵庫県にございますそれに解決をはかってもらいたいということを申し入れております。この問題は、やはり広い地域の内水の排除ということからやっていかないと、道路が湛水するということで、道路だけを高くしたのではどうにも問題は解決できないように思いますので、広い河川管理等を入れましたその中で解決をはかっていきたいと考えております。
  368. 岡本富夫

    岡本(富)分科員 そういうことは、もう四、五年も前からおわかりだと思う。私のほうはただ国道の問題だけ見ていればいいのだ。国道を高くするとほかの民家がつかってしまうからそのままほうっておくのだ、こういうような姿勢ではいつまでたってもこれは解決しない。建設省内では横の連絡、あるいはまた兵庫県に対してもっとこういうふうに——都市計画局ですか都市局ですか、ここらあたりに、こうしなければいかぬじゃないかというような要請をしたのですか、しないのですか。これは全然あなたは聞いていないのか、どうですか。
  369. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは兵庫県の河川管理者のほうには相談を持ち込んでおります。
  370. 岡本富夫

    岡本(富)分科員 それで実は私もしびれを切らしまして、南淡町の建設係に言いましてやっとつくらせた。それを一部きょう建設省のほうに渡したはずですから、これを検討して、兵庫県のほうにも強力にこの推進方をやると同時に、これはひとつ建設省でリードをして、ちゃんと解決をしていただきたい。これを要求したいのですが、大臣どうでございましょうか。
  371. 坪川信三

    坪川国務大臣 ただいま道路局長申し上げましたとおり、兵庫県に対しましては指示いたしておりますので、さらに促進をさせてまいりたい、こう考えております。
  372. 岡本富夫

    岡本(富)分科員 次に、同じ国道問題で、二十八号線の三原町の神代というところでありますが、ここは逆で、国道がついて高くなったために、今度はそこにあった人家に水が非常について困る、要するに排水がはっきりしてないわけです。この排水問題につきましても近畿建設局に対して私も要請した。なおこれは道路局長にも私電話で、昨年の十一、月だったが、どうなったかあるいはどうするのかということを報告してもらいたいと言った。前川さんという方ですが、雨が降るたびに困っているので、こんな小さい問題でありますけれども、私はこうした、うちは道路だけつくったらいいのだ、あとは知らぬわというような無慈悲な建設省のあり方を変えてもらわなければならぬ、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  373. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 先生御指摘のように、私も連絡を受けまして、すぐ近畿地方建設局にこの点の検討を命じたわけでございます。いろいろ調べてみますと、道路にはかなり大きな暗渠が入っておりまして、十分水が抜ける形にはなっておりますが、しさいに調べますと、その水路の流末処理が十分でないこともございまして、その水路に十分断面を持たせたらはたして湛水がなくなるのかということにも問題がございます。そういうことの検討と、もう一つは、それでは湛水する方のうちを上げたらどうだということもあるのでありまして、検討しておる次第でございますが、地建の検討に時間がかかっております。私もすぐ先生に御報告できなかったので申しわけありませんでしたが、この問題、早急に何とかすることを近畿地建に指示したいと思います。
  374. 岡本富夫

    岡本(富)分科員 じゃ、この問額は、これ一件でなくして、あっちこっちこういう問題が起これば、国道をつければそういう問題も解決してあげるというように、早急にやってもらいたい。  次は、同じ国道問題ですが、大阪から神戸の中心まで行っている阪神国道というのがあります。国道二号ができて相当車は緩和いたしましたけれども、まだ阪神国道では相当な交通事故が起こっているわけです。この事故をよく調べますと、まん中に阪神電車が通っている。その阪神電車の軌道内とその付近、ここの道路の整備が非常にうまくいっていない。聞くと、阪神電車のほうも赤字だからできないということでほってある。それが相当交通事故の原因になっている。  ですからこれは提案ですが、軌道を全部国に買い上げてしまって、その買い上げた金で——阪神電車は浜側を通っているので高架になっていないところが非常に多い。これを高架にさせて、交通の渋滞を防ぐ、こういうことを地元の人たちは熱望しているわけです。この問題について前向きに検討するかどうか、局長の明確なる答弁を聞きたいと思います。
  375. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま御指摘の第二阪神国道大阪−神戸間に阪神電車の軌道が入っております。この軌道はかなり古いものでございまして、当時の軌道法によって敷設されたものと思っております。これが現状の交通に対して非常に阻害になっていることも事実でございます。また一方阪神電車といたしましても現にある程度利用者がございますので、そのまま廃止するということもなかなか無理があろうかと思います。いま先生のおっしゃいました用地を買ってそこに電車を通すということ、これを全部道路側がすることがはたして適当かどうかに問題がございまして、軌道法という古い法律でございますが、こういうものの趣旨及びこれからの新しい都市周辺の道路とこういう地方鉄道のあり方の問題もございまして、現在私のほうで阪神電車が除かれることは非常に望ましいのでございますが、阪神電車もこれを全部とってそのままにしておくこともできない、やはり何かの代替施設をつくる、それに阪神電車そのものも相当の投資が必要だということもございまして、なかなか問題が解決しないような状況でございますので、私の考えでは、この阪神電車を将来どういう形にしたら一番地元のためになるし、道路のためになるか、この辺はこういう地方鉄道の監督者である運輸省とも相談してまいりたいと思います。
  376. 岡本富夫

    岡本(富)分科員 利用者はほとんどバスを利用しているのです。なぜ乗らぬかといいますと、阪神電車には安全地帯がないのです。昔は車が少なかったから安全地帯がなくても十分待っておれた。いまは安全地帯がなかったらあぶなくて待っておれない。ですからだれも利用しない。朝夕の通勤時のラッシュのときだけちょっと利用して、あとは二人か三人乗っているだけです。阪神電車も赤字で困っているが、とってしまうわけにいかぬというのでそのままやっておるのじゃないかと思うのです。乗って運転手さんに聞きますと、これはないほうがよろしいと言う、バスがひんぱんに通っているわけですから、十分とか五分おきくらいとかひどいときには二台も続いてくるのです。この問題はあなたもよく現地を調査していただいて、前向きに取り組んでいただきたいと思いますが、どうでしょう。
  377. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 私も阪神電車はいまの状況では先生のおっしゃるように、昔の使命はもう終わったのではないかと考えております。ただ都市周辺の問題といたしますと、これから相当車もふえますし、また通勤輸送を考えますと、これを地下鉄にするとか何かの方法が必要になってくるのではないかということも考えられますので、そういう問題全部ひっくるめまして、運輸省の関係と相談いたしまして——私もできるだけ早く阪神電車がなくなれば、それだけ道路のためにもなりますし、交通事故も少なくなることも事実だと思いますので、そういう方向で早急に検討を加えていきたいと思います。
  378. 岡本富夫

    岡本(富)分科員 南の阪神電車、国鉄、それから上には阪急が通っておるのですよ。だからバスがあれば十分もういいわけです。ですからもう一ぺんあなたよく調査して前向きに検討してください。大臣もこの辺ひとつよろしくお願いします。
  379. 坪川信三

    坪川国務大臣 承知いたしました。
  380. 岡本富夫

    岡本(富)分科員 次は芦屋市の上のほうに剱谷というところがありまして、これはもと国有保安林でございまして、これは重政さんが農林大臣のときだったと思うのですが、地元の猛反対にもかかわらず民有林としておろしてしまったわけです。ここには御承知のように二つの——大臣ひとつ見てくださいよ。都市局長、この芦屋市の真上なんです。二つの水源地がある。この水源地は昔からあるものでありまして、ここに六麓荘という町がある。ここの人たちが自分で水利権を買ってつくったといわれるようないわく因縁つきの水源地なんです。ここからきれいな水が出て、この付近の水源地になっておる。したがって、この芦屋劔谷の番地にすると六、四、二、ここの開発をめちゃくちゃにやられますと、この水源地は一ぺんにつぶれてしまう。こういうわけで、県のほうからまだ出ておりませんけれども、近郊緑地特別保全地区にひとつ指定を——御承知のように六甲山系は鉄砲水なんかで非常にく、ずれやすい。おととしの七月にも事故があった。それから昭和十三年の七月にもここでだいぶ死者が出ております。したがって何とかして保存をしたいというのが市民、一般の熱望なんです。したがってこの点を県のほうから出てさましたら近郊緑地特別保全地区に指定をお願いしたい、こう思うのですが、どうでございましょう。
  381. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 先生承知のようにここはもと国有林でありまして、しかも伐採等が制限されておる保安林でございますけれども、ある会社に払い下げまして、その会社が現在先ほどのところを持っているわけでございます。したがいまして、一ぺん国が保安林を解除いたしまして、しかも払い下げましたものを、再び特別緑地に指定をいたしまして、またその土地の買い上げをするという問題は、若干私どもとして慎重に検討しなければならない問題がその中に含まれている。しかしまだ私どものほうにこれを緑地特別保全地区に指定してくれという話が来ておりませんが、私たちのほうに参りました際にはそういう点を含めまして慎重に検討して結論を出したい、こういうふうに考えております。
  382. 岡本富夫

    岡本(富)分科員 そこで私の言わんとするところは、特別保全地区にすれば国は買い上げなければならぬか。そうでもないと思うのです。無制限、無秩序な——実はいまもこの農林開発は芦屋市との間に非常に強力な開発についての取りきめをやっておる。これは林野庁も中に入っている、こういうふうになっておりますけれども、これは会社とその市との取りきめだけであって、その会社はいま机もない、社長がたびたび交代しているというようなことで、したがってほかの会社に転売されますと、今後覚え書きは全然ないわけです。そうして無秩序な開発をされるとこれはたいへんなことになる、したがってここに開発についての強力な行政指導、県の強力な指導ができるような状態にしたい、こういうわけでございまして、直ちに国に買い上げてくれ、こんなことは何も言っておらぬ。また非常に安く買っていますから、全部買い上げてくれ、そんなこと言わないはずです。ですから、まず近郊緑地特別保全地区ですか、これに指定すれば一ひとつ買い上げてくれということは直ちには言わないと思うし、またそうであればこれは幸いである。したがって、建設省のほうで、こんな変なことを言っては悪いけれども、強力に行政指導で絶対そんな変な開発はさせぬとあなたが言明し、またどこまでも責任を持つということなら別ですけれども、そういうことはできないと思うのです。ですから、その点についてもう市民は熱望しておる、こういう点を無視してはいけないと思うのです。その点をよく考えてもう一ぺん答弁してください。
  383. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 先生も御承知のように、この地区につきまして県のほうでも宅地開発に適するかどうかという調査等もやっておるようでございます。なお、この地区は宅地造成等規制区域、さらに住宅地造成事業法の規制区域になっておりますので、災害あるいは公害等が起こるようなことを防ぐ規制区域に入っておりますが、そういうような方法でやり切れるかどうか、さらにそれがやり切れない場合に、先生おっしゃいましたように開発を認めた区域と水源地として必要な区域と両方あるわけでございますので、そこら辺を緑地特別保全地区としてどう扱うか、そういう問題を全部含めまして、私どもとして慎重に検討いたしたいというふうに考えております。
  384. 岡本富夫

    岡本(富)分科員 大臣にひとつお願いしたいのですが、何だかんだといいましても、前の西村農林大臣は、こんなところをおろすことは違うのだ、これはめちゃくちゃだ、こういうようにこの間も答弁をいただいたわけです。そのときにやってしまうべきだったのですけれども、まあいろいろ事情もございまして、農林省のほうもそれはそこでございまして一応延びたのです。それで私のいま言っておるのは、一番困るのは七月の豪雨、つゆを越したときの時期なんです。こういうときにまたぞろおととしのようにくずれたりしますと、これは国としては何にもやっていないという非難は免れないし、またもしも事故が起こったときには大ぜいの方に迷惑をかける。おととしだったですか、この近所ではがけくずれというのですか、地盤がくずれまして、家が倒れて首までつかったのですよ。埋まっておる。ちょうどむすこさんがいなくて奥さんだけでどうしようもなかった。そこヘパトロールが来たから掘り出して助けてもらった。ここはこういうところなんです。ですから、一見見ていると何んでもなさそうなんですが、たいへんなところなんです。地元では非常に心配しているわけです。その下流がまた心配している。こういう非常にいわく因縁の土地なんです。急坂でございますから、兵庫県の調査団の言うところの強力な措置といいますか、砂防をやればいいと言いますけれども、そんなことをしたのじゃ採算が合いません。そうするとやらない。もしも国やあるいは県やそういう公共団体がやるのならば何とかなると思うのです。しかし宅地造成をしてばっと売ってしまうようなところはそんな採算に合わぬことをしません。そういうことを考えますと、これは近郊緑地特別保全地区にしておいて、もしもやるのならば県が直接そこへ行政指導してちゃんとやらせる、これが正しいのじゃないか、こういうようにぼくは思うのですが、大臣どうでございましょうか。
  385. 坪川信三

    坪川国務大臣 岡本委員が御心配になられ、また御要望になられます諸般の事情、先ほどから十分拝聴いたしております。  いま都市局長が結論で申し上げました二点の事情のあることも御理解いただけるものと思う次第であります。したがいまして、御期待の線に沿うように、十分な配慮と検討を推し進めてまいりたい、こう考えております。
  386. 岡本富夫

    岡本(富)分科員 では大臣にひとつよろしくお願いをいたしておきます。  最後に、時間がまいりましたので、私も、日本住宅公団がやっているところの公団住宅について相当苦情がきているわけでありまして、これについてはあとでひとつ残っていただいて、いろいろとお話をしてみたい、こういうように思っております。  そこで一つの提案でありますが、住宅公団が建てたところのたくさんな住宅のところには、最近子供さんが非常に多くなっている。これは全国至るところそうだと思うのです。そこで一番困っているのは幼稚園問題、一例を申しますと、西宮に浜甲子園というのがあります。ここの住宅公団の中に幼稚園を公団住宅が建てまして、そして西宮市が借りている。そうしていまうまくいっている。ところがそれが非常に手狭になりまして、もうちょっと増築してもらいたいという状態であります。私、視察いたしますと、現在の校舎のすぐ近所に集会所がありますが、その横にやはり三百坪余りの土地があいている。そこにまた公団住宅のほうから幼稚園を建てて、あと市が借りて管理していく、こういうふうな方法も一つの方法じゃないか、この点についても管理者のほうからひとつ強力に申し入れていただきたい、こう思うのですが、どうでしょうか。
  387. 坪川信三

    坪川国務大臣 住宅に関連いたしまして、かわいい子供さんたちの健康、保育、教育というような問題は、勤労者の方々の最も悩みとされる重要な部面を精神的にも占めておる。また交通の問題等とも関連いたしまして、非常に重要な部門だろうと考えます。そうしたことを考えますときに、保育所の設置、あるいは幼稚園の設置等につきまして、建設省は、文部省あるいは厚生省所管になる問題ではございますけれども——私も昨年の暮れ江東地区住宅団地等を見て回りますと、主婦の方方からこれらの切なる要望が出てまいりますことを思うときに、これらの問題につきましては、総合施策の立場から、政府の大事な施策の一環として今後も推し進めてまいるとともに、これらに関連するいわゆる土地の確保ということは、建設省といたしましても十分配慮しなければならないきびしい大事な問題でありますので、これらの点につきましても、各省と協力いたしながら推進してまいりたい、こう考えております。
  388. 岡本富夫

    岡本(富)分科員 先ほどの工業立地適正化法についての御意見をあとでひとつ、計画局ですか、そこからひとつお聞きしたいと思っております。  私の質問はこれで終わります。
  389. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 堀昌雄君。
  390. 堀昌雄

    ○堀分科員 最初に日照権の問題について少しお伺をいたしたいと思います。  今度政府では、建築基準法を改正されるということを承っておるわけですが、これは大体いつごろ成案になって提案をされるのか、まず最初にそれからお伺いいたしたいと思います。
  391. 坪川信三

    坪川国務大臣 建築基準法の改正の提出につきましては、目下作業を急いでおります。ことに防災の問題等もありますし、非常に重要な問題が伏在しておりますので、いま法制局と十分打ち合わせをいたしまして、すみやかなる機会に提案をいたしたい、こう考えております。
  392. 堀昌雄

    ○堀分科員 実は、日本のいまの法律案の提案のしかた、国会での審議のしかたというのを見ておりますと、ややもすると、実は政府案が出てまいりますと、これの修正ということはなかなか困難であって、やはり法案作成の段階で、十分大臣もいろんなこの問題についての理解を深めていただくことによって、提案の前に国民の声に耳を傾けてお考えがいただくほうが、何かと合理的な処置ができるのではないかと考えて、特に本日は、この建築基準法の中で、私自身も体験をしたし、同時にまた今後にも起こる問題の処理と、日照権問題について少しお伺いをしておきたいと思うのです。  実は、建築基準法というものが現在すでにありまして、たとえば準防火地帯の商業地域ならば、いま建蔽率八割ということで認められている。だから、当然そこでは二割の空地を残さなければならないというのが建築法上の基準であります。ところが、私の関係をしております、所有した物件の隣に、空地ゼロという建物が建ちかけていたわけです。そこで、その残りの空地は全部私のほうの空地−私のほうでは法とおりにそこに空地を持っておりましたから、その空地に隣接をして一〇〇%の建物が建つという問題がありました。  私は尼崎市に住んでおりましたから、それで市に相談いたしましたところが、尼崎は政令都市でありますために、実はそういう建築基準法の監督権限が委譲されて市がやっております。私は市に対して、こういうのは違法建築だから現場を見て処置をしてくれ、こういう話をいたしました。処置をいたします、といいながら、現実にとうとうその建物は建って、今日一〇〇%私の家の横に建っているわけです。実際、何も処置ができないのですね。私が、建っている途中から何回にもわたって——一般の市民ではないわけですよ、私ども、少なくともこういう仕事をしておる者が、市に対してそれだけ何回も話をしても何ら処置が講じられないで、今日そのままになっておるという事実がある。今度の建築基準法の改正の中で、いろいろな不法建築の方たちがいっていらっしゃることは、私も現実に身をもって感じているわけです。今度、そういうものができたときに、ガスや水道や電気をとめるということは何か基準に書いてございますけれども、やはり国の法律に定めたことが、行政官庁が幾ら注意をしようと何しようと、無視をされてまかり通るようなことは、法治国の名にかけて何とかきちんとしてもらわなければ私も納得ができない。こういう感じを当時から強く持っているわけであります。  なるほど、私の建物というのは駅の前で、きわめて貴重な土地かもわかりません。しかし、幾ら駅の前で貴重な土地かどうかは別として、法律は、準防火地帯商業地域として幾ら狭くても少なくとも二割の空間をあけなさい、こうなっている以上は、やはり法律を守らせるという処置ができないということでは、担保しておるものに力がないからということだと私は認識をしているわけです。  ですから、建築基準法の改正の中では、当初の案にあったように承るわけですけれども、そういうことをやった建築業者はもうその免許を取り消す、以後建築をさせないということになれば、私どもが文句を言って、市がそれをやって、違法をやったら今後建築業者としての許可は一切認めませんJということになれば、施工主がやってくれといっても、建築業者が、自分の業態を守るために、私はやめます、とこうなると思うのです。だからその意味で、少なくともそういう問題については、建築業者に対してそういう免許を取り消すという程度の一項をここに入れない限り、この問題は解決をしない。私は何回も行きまして、御承知のように、ここは社会党の市長ですよ。社会党公認の市長で、私が一生懸命やって出した社会党市長がやっておる市の行政の中で、できないなんてばかなことがどうして起こるのか。それは業者やその他からこの担当者がいろいろと圧力をかけられてノイローゼみたいになっているわけです。私はこれ以上ようやりきれませんということになるわけです。それで問題が解決しない、ということは私は実は常識上は考えられないことなんです。私の場合は特異の場合なんですよ。いま申し上げたように、きわめて特異の場合でもどうにもならないほどの行政の問題は、一般の国民の方だったら手は出ないでしょう。完全に手が出ませんよ。この例から、今度の建築基準法の改正には、あらゆる手段を講じてこの違法建築はやらせないという政府の確固たる態度を明らかにしてもらうとともに、法制の中にきちんとそれを担保するものを入れてもらいたいと私は思うのですが、大臣どうですか。
  393. 坪川信三

    坪川国務大臣 堀委員のあらゆる角度から御検討になり、また日ごろの研さんをされている深い見識からお述べになりました非常に重要な問題につきましては、私も感をともにする次第であります。日照権の問題を通じまして、これらの不自然なしかも不幸な生活環境の中に都市を置くというようなことは、ほんとう都市の政治の上において大きな重要な課題であろうと考えております。御承知のように、建設業法もそれぞれございます。また建築法の改正もいま急いでおります。これらの中にあっての適法の措置をき然として行なうことは当然であろうと私は考えており、またその方向に向かって法の制定等も急いでおるような次第であります。
  394. 堀昌雄

    ○堀分科員 ただいまのは、実は日照権よりもいまの建築基準法違反ということに対する問題です。今度建築基準法をきめても、このきめたことを守らないと、片方に言うことを守らせなければ、法の権威がなくなると思うのです。この点は法律をつくりっぱなしではだめなんで、その法律が実行できる担保を明らかにするということで、ひとつお願いをしておきたいと思います。  次に、日照権の問題というのは、これはたいへん性格としてはむずかしい問題でございます。性格としてはむずかしい問題でございますけれども、被害者の側に立ってみますと、これまた実にきわめて重大な問題でございまして、今度建築基準法の改正では、北側に斜線の制度を設けられるということでありますが、どうも私ども承知をしておる範囲では、この程度の斜線制限では不十分だという声が実は非常に強いわけでございます。いまお考えになっておる——これは変わるかもしれませんが、斜線制限というのはどの程度考えていらっしゃるんでしょうか。
  395. 大津留温

    ○大津留政府委員 今度住居専用地区と従来いっておりましたのにかえまして、第一種住居専用地域、第二種住居専用地域というものを実は考えておるわけでございますが、この第一種住居専用地域というのは、低層の住宅環境を維持しようというので、主として住宅のみの用途に充てる地域でございます。それから第二種住居専用地域と申しますのは、今日の土地の合理的な高度利用という要請にこたえまして、中高層の住居環境を維持しようという趣旨のものでございます。この一種と二種につきまして、いま先生御指摘の北側の斜線制限を設けようというのですが、この一種と二種はいま申しましたように性格の違いによりまして制限の内容も異なっております。現在の段階での案でございますと、第一種住居専用地域につきましては、五メートルをこえる建物を建てます場合には制限勾配一・二五、つまり一メートル境界線から後退すれば一・二五メートルの高さまで建てることができる、こういう制限をしようと考えております。第二種住居専用地域につきましては十メートルをこえる高さを建てます場合に同じく一・二五の制限勾配の制限を加える、こういう内容をいま考えております。
  396. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまのお話しの一対一・二五というのは角度としては四十八度くらいでございますか。
  397. 大津留温

    ○大津留政府委員 一メートルについて一・二五でございますから四十八になりますかどうですか、四十五よりちょっと上かと思います。
  398. 堀昌雄

    ○堀分科員 実はいまの日照の問題というのは、たしか住宅何とか審議会というのがあって、そこでは要するに冬至の日に二時間は日照が必要だというような答申か何か出されたというふうにちょっと聞いておるのですが、それはどうでございましょうか。
  399. 大津留温

    ○大津留政府委員 この日照をどの程度確保すべきかというのはいろいろ考え方、学説その他ございますが、一応冬至の時期におきまして最低二時間を確保するというのが最低の基準としてわれわれとしても考えておるわけでございます。これを具体的に先ほど申しましたような制限内容に置きかえるといいますか、規定する場合には、いろいろな条件のも一とに検討しなければなりませんので、あらゆる場合にすべてこの最低限が確保されるというようなことになるかどうか多少疑問もございますけれども、先ほど申し上げた基準ならば一応そういう最低の基準は確保されるという考えに基づいておるわけでございます。
  400. 堀昌雄

    ○堀分科員 専門家の意見を聞いてみると、この一対一・二五の四十八度というのでは冬至の日に二時間日照が得られないのではないかというふうにいわれておるわけです。専門家の意見としては、少なくともこの四十八度というのは二十五度くらいにしないと完全にそういう時期における日照が確保できないのではないか、このことは建築に携わっておる者なら、この比率ではだめだということは常識だというふうな話を聞いたことがあるわけです。私も専門家ではございませんからそこ  のところはつまびらかにいたしませんけれども、せっかく五メートルなり十メートルなりということから斜線制限をなさるということを取り入れられるならば、斜線制限はしたけれども日照権にはあまり影響がなかったということなら、せっかく日照権を守るためにお考えになることならば、日照権を守るに値したということにならないと、法律としては国民の信頼はかち得ないのではないかと私は思う。やらないというなら話は別ですけれども、やる以上は十分とはいかないでしょうが、最小限度の必要な範囲だけは守るということにしないと、ちょっと問題があるのではないかと思っておるわけです。ですから、私が前段で申し上げたように、この際、この斜線制限の問題についてもう少し検討してみていただけないだろうか。特にこれはいまお話しのように、住宅地域の中での問題なんですね。商店の混在しているところの話ではなくて、住宅地域の中における問題だから、この点をひとつ考えていただきたい。  それからもう一つは、現在の仕組みは、施行主が市に建築願いを出し、市はこれが建築基準法に従っておればこれを県に出し、それで大体これが許可されるということになっておるようです。  そこで実例を一つ申し上げますと、私の選挙区の中の芦屋市というところで、実はあるマンションが建つことについて住民の皆さんがいろいろ問題を起こされて、そうして市や県に働きかけをして、ともかくこれではひど過ぎるのではないかということで、いろいろとこう話し合いをされた結果、建築主の側が少し配慮をいたしまして、五階建てにするやつを四階建てにして、そして少し位置も何かずらせてだいぶ努力をした結果、住民の側としては必ずしも満足ではないけれども、当初の線よりもやや日照権が確保されたということで円満な話し合いがついたという例が実はあるわけです。しかしこれもたいへんその間その人たちが市や県に働きかけて、その認可がそういうことで延びた結果、建築施行者側もいたずらに時間が延びるよりも、やはり話し合いによって妥協して建てたほうがいいということになって、こうなったと思うのですけれども、そういうことを住民が一々やることは、これは私はたいへんなことだと思うのです。さっきも岡本さん話しておられましたが、皆さん御承知のとおり、芦屋市なんというのは第一種住宅地域に該当するような地域で、そういう問題がすでに起きておるわけです。ですからどうかひとつこのいまの斜線制限の問題はやはりもう一回、その角度等について、特に住宅地帯で高いものを建てるのなら、その周辺にあき地を確保するのが当然なのではないか、上へ建物を建てるについて一つのメリットはそれによって空間を確保するということでなければ、そこへただ密集して建物を建てておけばいいのだという問題ではないと私は思います。当然高いものを建てることによって下側の面積が節約できたら、それを全部そのままあき地にしろというのじゃ意味がありませんよ。当然やはりその北側の日照権等に配慮しながらある程度のあき地をつくることは、同時にその建物の利用者にとっても実は有効なあき地として働くわけですから、そういうような意味では、単に北側の日照権の関係者だけの問題だと考えると問題がありますけれども、そういう建物を利用する人たち自身の利益を考えるならば——建設業者そのものは、ともかく建てて処置してしまえばあとは知らないですが、あと入る人の立場になって考えてみると、そこに必要なあき地が当然確保されるべきではないかというふうに考えますので、この点についてはひとつ建築基準法をこれからおつくりになる前に十分配慮していただきたいと思うのですが、その点大臣いかがですか。
  401. 坪川信三

    坪川国務大臣 堀委員のかくあるべきであり、またかくあってほしいと思ういわゆる日照権の確保、またこの北側斜線の制限のリミット、これは私自身いま堀委員のお話を聞いておりますと、もうほんとうにかくあるべきであり、かくあってほしいという気持ちを一そう深くいたしております。しかし御承知のとおりの宅地の現況を考えるときに、なかなかそれが、かくあるべきでありますが、かくあり得ないという事情も賢明な堀委員御賢察のとおりでございます。したがいましてこれらの点につきましてはいまも住宅局長と話をいたしておるわけでございますが、かくあってほしいなという気持ちを持ってひとつ配慮もいたしてまいりたいと思いますが、現実のきびしさもひとつ御賢察をいただきたい、こう思う次第であります。
  402. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこでやはりいまおっしゃるように、私もこれはさっきの前段のものと違いまして、やはり弾力的に処置しなければならぬ部分がありますが、ただこの北側にいる住民の側というのは、いま権利上非常に弱い立場に置かれているわけです。実は手の打ちようがないというのが、いまの姿だと思うのですね。何とかここに法制的に道を開いて、この人たちの申し立てがあったときには、その申し立てを受けて、それをたとえば調査をする機関、あるいは調査に応じる機構を、何かそういうものを設けて、そうしてその人たちが——要するにいまはそれもないのですからね、それを設けて、ひとつ今後どんどん起きてくる問題ですからね、これは……。しかしそういう住民がやはりこれくらいのところで納得してくださいという調停をする機関といいますか、そういう公的な機関を建設省でお考えをいただけるならば、その人たちも問題が起きたときにはそこへ相談にまいって、そこではいろいろ諸種の事情から勘案をして、ちょうどいまの芦屋市で起きたように、それじゃひとついまの五階建てを四階建てにしたらどうですかというような調停ができれば、それによっていまの日照権がこれまでよりは多少確保がされてくれば、これはそれなりに住民も安心ができるのですが、実はいまはきわめて一方的になっておりますから、どうかその点についてそういう苦情処理機関といいますか、その異議申し立てを取りつけて、それによって建築的な立場と諸般の情勢を勘案しながら、住民の立場も保護をするという調停機関のようなものを、ひとつ法制的に考えていただけないか、こう思うのですが、いかがでございましょうか。
  403. 坪川信三

    坪川国務大臣 いまの御指摘、昨年暮れ私が東京の江東、墨田地区の密集地帯の公団、公営等の住宅を見て回りました。そのときにおける住民各位の要望、日照権の問題、また住宅の中にお住まいになる方々のいわゆるこれらの日照権の問題、切に伺って非常に訴えられました。したがって、私もいまの堀先生が御指摘になりました点は、先ほどから深く感銘いたしながら、日本の住宅の姿はかくあってほしいな、こういう気持ちでおるわけでございますので、それを踏まえまして、今後私はこれらの確保についての制限というようなことも配慮してまいりたいとともに、いま御指摘になりましたこれらは、ほんとうに重大なことであり、適切な問題点であろう、言いかえますならば、苦情を十分承って、そうしてこれに対する納得のいく調停ができ得まして、そうしてしあわせな住宅、生活環境が得られましての明るい、いわゆる太陽のあたる町づくり、住宅づくりというようなことについては、全く同感でございますから、これらの行政配慮はあたたかい愛情を持って私は考えてまいり、行政指導もこれからいたしてまいりたい、こう考えております。
  404. 堀昌雄

    ○堀分科員 どうかひとつ、いま私の申し上げたようなことで、調停する機関ですね、やはりこれが組織的になっておりませんと、住民はどこへ行ってものを言っていいかわからないし、市へ行っても権限がありません、県へ行っても権限がありませんということでは、うろうろするばかりでたいへんあれで、根拠がないと困るのですから、どうかその辺何かそういうものを法制的に設けていただいて、安心して住民が相談に行ける、そうしてそこは権限がかなりあって、建築主の側にも十分指示をして指導もできるというような、何らかの機関を設けていただきたいということを、特にお願いいたしておきます。  それから今度はちょっと道路のほうなんですが、都市計画なのかどうか、実は昨年保利建設大臣と当委員会で少し論議をさせていただいたのは、御承知の山陽新幹線が通ることについて、この騒音防止のために側道や何かを何とかしてくれという要求が非常に強いのですが、そのとき建設大臣は、できるだけ運輸省その他とも話をして、できることは総合的に協力をしてやりましょうとこういう話を実は承っておるわけです。そこで一年たちましたから、この問題について具体的に、いま県が十メートルの側道でどうかという話を出し、国鉄はそれについて四メートルは負担をしますが、あとの六メートルは地方自治体が負担してくれというようなことになっておるのですが、そういう当然つけられるべき道路がそれに代替するような形に仕組まれるならば、それを地方自治体が負担するということも比較的楽なんだと思いますが、それはそれ、またほかにも道路をつくるということになれば、たとえばいまお話しのように地価も高いことですから、何とかそういう道路都市計画道路なりその他の主要道路として合理的に利用できるように、いま皆さんもかなりプランをおつくりになっておるだろうけれども、調整できないだろうかというのが私の去年の問題提起なんですが、その後何か御検討されたものがあるかどうか、ちょっと承りたいわけです。
  405. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 昨年の分科会で堀先生が御指摘になった点につきまして、その後具体的に国鉄当局、公共団体並びに建設省のほうでいろいろ話を詰めておりまして、現在阪神間の問題につきましては一応十メートルの道路を両側に設ける、その場合に四メートル分は国鉄のほうで管理道路と申しますか、四メートルの幅員分は国鉄の側で負担できる道路の幅員になるわけです。それ以上の六メートル分は一応地方公共団体のほうで持ってもらいたいという形で話が進みつつありますが、御承知のように、その都市計画できまりました街路網のところに新幹線が入ってきたわけであります。簡単に街路網を変更してそれに合わせるというわけにもまいりませんが、そういうことも可能なところもございますので、そういうところにつきましてはもう少し幅員を広げまして、場合によりましては国庫補助の対象事業にもするというような考え方で、いま具体的な案を話し合いをしている段階でございます。御承知のように、新幹線の新設に伴いまして両側に相当空地を残すということが望ましいわけでございますが、これを全部道路でカバーするということもできないわけでございますので、できる限り道路計画とそういう空地を残すという両面を考えながら、具体的に、現実に即した方策を立てていきたいということで、協議を進めている段階でございます。
  406. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまお話しのように、本来都市計画のあったところへあとから国鉄が線を引いてきたわけですから、皆さんのほうもやはり受けとめられるについては困難な点も多々あるかと思うのですが、これはつけるということになったについてはしかたがありません。ただ、せっかくそこに道路をつけるのなら、少し計画を変更してでも、できるだけ効率ある土地利用考えていただくことが、国家的にも有効なことであるし、同時に地方自治体の財政負担から見てもやはり無理がなくなるということで、私がかねて提案しておりますように、そこに一つ都市公園をつくって緑地地帯を設ければ、これは都市公園法によって国なり県なりが分散して負担もできるからいいのじゃないか、そのことはあわせて緑地化にも役立つからいいのじゃないか、緑地をそうあっちにもこっちにもできませんから、それについてはできるだけ都市計画道路を有効にひとつ活用してもらいたい。このことを今日も依然として考えております。これからいよいよ少し具体的な段階に入るでしょうが、できるだけ地方自治体と話し合いを進めていただいて、そういう土地の有効的な利用、それから地方自治体における財政負担の軽減ということを含めて、ひとつ御検討を願いたいと思います。大臣、よろしくお願いいたしたいと思いますが、どうでしょうか。
  407. 坪川信三

    坪川国務大臣 いまのお話、いわゆる関係沿線の騒音の防止あるいは振動の防止等からくる大事な問題でもあり、また御指摘になりましたような土地の有効な利用、あるいは地方財政のいわゆる財政圧迫等も考えながら、これらの問題につきましては、運輸省その他関係省と十分連絡をとりまして、御期待の線に沿うよう、さらに行政の配慮をいたしてまいりたい、こう考えております。
  408. 堀昌雄

    ○堀分科員 終わります。
  409. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 次回は明二十八日午前十時より開会し、引き続き、建設省所管について審査を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。    午後八時五十五分散会。