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1969-02-25 第61回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十五日(火曜日)     午前十時二分開議  出席分科員    主査 野原 正勝君       仮谷 忠男君    塚原 俊郎君       松野 頼三君    伊賀 定盛君       井上 普方君    枝村 要作君       太田 一夫君    久保 三郎君       佐野  進君    斉藤 正男君       楯 兼次郎君    福岡 義登君       武藤 山治君    浅井 美幸君       伊藤惣助丸君    石田幸四郎君       松本 忠助君    兼務 井上  泉君 兼務 北山 愛郎君    兼務 島本 虎三君 兼務 平林  剛君    兼務 玉置 一徳君 兼務 樋上 新一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         運輸大臣官房長 鈴木 珊吉君         運輸大臣官房会         計課長     山上 孝史君         運輸省海運局長 澤  雄次君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         運輸省航空局長 手塚 良成君         海上保安庁長官 河毛 一郎君         気象庁長官   柴田 淑次君         建設省計画局長 川島  博君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 大津留 温君  分科員外出席者         大蔵省主計官  丸山 英人君         大蔵省主税局税         制第二課長   田辺  昇君         厚生省医務局総         務課長     上村  一君         運輸大臣官房審         議官      井上  弘君         運輸省自動車局         整備部長    堀山  健君         建設省道路局次         長       多治見高雄君         自治省税務局府         県税課長    森岡  敞君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君     ————————————— 二月二十五日  分科員久保三郎君、楯兼次郎君及び石田幸四郎  君委員辞任につき、その補欠として佐野進君、  太田一夫君及び松本忠助君が委員長指名で分  科員に選任された。 同日  分科員太田一夫君、佐野進君及び松本忠助君委  員辞任につき、その補欠として斉藤正男君、枝  村要作君及び伊藤惣助丸君が委員長指名で分  科員に選任された。 同日  分科員枝村要作君、斉藤正男君及び伊藤惣助丸  君委員辞任につき、その補欠として井上普方君、  福岡義登君及び浅井美幸君が委員長指名で分  科員に選任された。 同日  分科員井上普方君、福岡義登君及び浅井美幸君  委員辞任につき、その補欠として伊賀定盛君、  武藤山治君及び松本忠助君が委員長指名で分  科員に選任された。 同日  分科員伊賀定盛君、武藤山治君及び松本忠助君  委員辞任につき、その補欠として久保三郎君、  楯兼次郎君及び斎藤実君が委員長指名分科  員に選任された。 同日  分科員斎藤実委員辞任につき、その補欠とし  て石田幸四郎君が委員長指名分科員に選任  された。 同日  第二分科員井上泉君、北山愛郎君、玉置一徳君、  第三分科員島本虎三君、平林剛君及び樋上新一  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度一般会計予算運輸省所管  昭和四十四年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十四年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原主査 これより予算委員会第五分科会を開きます。  昭和四十四年度一般会計予算及び昭和四十四年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十四年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  質疑に先立ち、念のため申し上げます。  質疑者が多数おられますので、持ち時間は、慣例によりまして、一応本務員は一時間、兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分にしていただきたいと存じますので、御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく、簡潔に行なわれますようお願いいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山分科員 私は二点についてお尋ねをいたしたいと思います。  一つは、上野駅の改良問題でありますが、上野駅は、言うまでもなく東北北海道関門でもあります。また、毎日何十万という人が通勤通学であの駅を利用しているわけです。ところが、長い間、上野駅は、私も利用者の一人として見ておりましてもさっぱり改良の徴候が見えてない。東京駅や新宿はあのとおり大幅な大規模な改造が行なわれておるわけでありますが、上野駅は旧態依然としておる。まことにこれは奇異の感すら起こるわけであります。今日は奥の細道ではなくて太道になっているわけですから、非常に重要な駅だ。確かに、あの駅の環境、また地理的な条件がむずかしいことはわかるのですが、しかし、あのままではいかぬじゃないか。そこで、一体国鉄としては上野駅の改良についてどのような計画をもって、そしてどのようにこれを進めておられるか、これをひとつ国鉄のほうからお伺いしたいと思います。
  4. 長浜正雄

    長浜説明員 上野駅の改良の問題でございますが、確かに、おっしゃいますように、上野駅は改良計画を立てましてもなかなか工事をやりにくいような配置になっております。いろいろ考えるのでございますが、なかなかむずかしいのでございますけれども、数年来、非常に旅客伸びが多うございますので、何とか改良したければならないということで、今度の第三次計画でも上野駅の改良計画を取り上げまして、いま現にプラットホームの増設、跨線橋をふやすとか、その他旅客の通路を改良するとかといったような旅客中心改良工事をいま約六十三億ばかりをかけまして昭和四十一年度から着工しておる段階でございます。ここは御承知のように、げた電東北常磐あるいは山手線が入ります。常磐線あるいは東北高崎線列車のターミナルに相なっておるということで非常に混雑いたしまして、列車本数も多いのでございますが、プラットホームの数に制限がございます。といいますのは、西側が上野の山になっており、東側が御承知のように市街地になっております。道路とにはさまれました物理的な限界がございますので、プラットホームの数をふやすことがなかなか困難でございます。十年ほど前に、高架部分といいますか、高いところにプラットホームを一面増設する工事をしたのでございますが、すぐこれがまた一ぱいになりましたので、いま私が申し上げましたような昭和四十一年度からもう一本上のところにプラットホームを一面増設する、それから地平部分プラットホームを一面増設する、それから、いまありますプラットホームの長さを長くするというようなことで、列車の着発に便利なようにして、そして列車本数をふやすというような工事を行なってきております。なおまた、その相互の連絡が非常に混雑いたしますので、まん中部分からちょっと北寄りに乗りかえの広いコンコースを持ちます跨線橋をつくりますとともに、現在改札口のところで通勤客遠距離客が交差によって非常に混雑しておりますので、これを整理いたしますために、通勤客遠距離客を平面的に分けるというような工事をいま行なっております。これらができますと、上野駅としては相当混雑の緩和、旅客の誘導に便利になろうか、こういうふうに考えておる次第であります。
  5. 北山愛郎

    北山分科員 私もこの国鉄の第三次計画の中における上野の駅の改良工事計画、これを見たわけですが、いまお話しのように、そういう部分的な改良にしかすぎないのではないか。まあ、停車場施設にしても、よその駅と違って、上野の駅はあのとおりまるで百メートル競走の一端のほうから用意ドンで競走してホームへ入っていくというようなかっこうで、そういう点も非常に特殊な不便な事情があるわけです。こういう点も、もう少し思い切った構造で駅全体の立体化考えていくとか、そういうことでひとつ相当思い切った改造ができるのではないかというふうに考えるわけです。また、旅客サービス施設の面におきましても、これは東京駅とか新旧駅に比べまして格段の相違があるわけであります。そういう点についても、たとえば弁当一つをとっても、実はきょうは私も上野駅の弁当東京駅の弁当を買ってきて、ここで並べて比較をしてお目にかけたいと思うくらい、それほどそういうふうに象徴的に弁当にもあらわれているようなぐあいで、あらゆる面での旅客サービス施設そのものについても非常に悪いわけです。  そういう点をひとつ十分に考慮に入れて、国鉄としては、いまお話があったような部分的な改良じゃなくして、やはりもっと根本的な上野駅の改造計画というものをひとつ早く検討して計画を立てる必要があるのではないか。もちろんそうなれば、あの周辺都市計画なり区画整理、そういうものとも関連があるでしょう。こういう点は、都の問題でもあるし、あるいは建設省の問題でもありますけれども、やはり国鉄としても熱意をもってあの駅全体を近代化していくというような構想をもう一ぺん検討してそういう計画をつくる必要があるんじゃないか、こういうふうに思いますので、ひとつこの点は総裁にも御考慮を願いたいと思うのです。ですから、一言総裁からお答えを願いたいと思います。
  6. 石田禮助

    石田説明員 上野駅の改善ということにつきましては、私もずいぶんやかましく言ったのですが、要するに、あの仕事を継続してやりながら直すというところにむずかしいところがあるのです。根本的にぶちこわして、そして建て直すというようなことは事実できませんので——これは実は常磐線東北線高崎線なんというのがみんな集まってくるあそこはネックになっておって、そのために高崎線なんかも輸送力の増強ができぬというようなことで、これは実は悩みの種なんです。実は、ほかにかわるべき駅をひとつ考えたらどうかというような、私はしろうととしての提案を専門家に出しておるのですが、いまのところではなかなか名案はないようであります。それで、これはわれわれとしては最善を尽くしてやっておるのだということだけはひとつ御了承を願いたいと思います。
  7. 北山愛郎

    北山分科員 その困難な点は、私もしろうととして見てわかるのであります。しかし、やはり困難であるだけに、あるいはまた、いまお話しのように新幹線の問題も出る、そういう際にどうするかということになれば、これは大問題であろうと思うのです。しかし、何としても、現状では何かしら私はこまかい端々に至るまで上野駅のことは国鉄は忘れているのじゃないかといったような感じさえ持つわけなんで、そういう点も十分反省していただきたい。しかも、重要な東北北海道関門であります。実は、こういう大きな問題について、東北北海道関係者、あるいは市町村とか府県とか、だれひとりこの問題を言わないわけです。私は、何か機会があったら一言お願いしておこう、こういうふうに思ってこの問題を提起したわけなんですけれども、やはりあのままではいかないのじゃないか。ひとつ都市計画等とも関連をしながら、あの周辺、そしてその中における上野駅というものをやはり近代化するという方向で、熱意を持って検討することを要望して、この点は終わります。  次に、自動車交通の問題であります。  これは予算委員会の本委員会のほうで久保委員のほうからもお話がありましたが、急速なモータリゼーションといいますか、自動車が最近においてはさらにスピードを増して数がふえておる。四十二年にはもう一千万台を突破し、昨年の終わりには千三百三十五万台です。四十四年には千五百八十三万台、四十五年には千八百九十一万台というふうに、これはある銀行の調査見通しでありますが、そういう三百万、ないしそれ以上の幅でもって急速に自動車の数がふえてきておる。世界第二位、文字どおり第二位の自動車保有数を持っておるということに一方ではなってきておるわけであります。ところが、これに対する道路のほうはそういうスピードに追いつけない。したがって道路の原単位も急速に下がってきておるというのが実態ではないかと思うのです。  道路のほうを見ますと、昭和三十六年に道路は、市町村道も入れて九十六万八千四百キロメートル、その中で自動車が通れる道は約六割というようなことになっております。四十年で見ますと、九十八万八千八百キロということで、延長はさほど伸びていない。まあ百万に達しない程度道路延長は停滞しているわけです。改良が若干進んでおりますから、そこで自動車が通り得る道の割合というものがふえまして、約七割ぐらいはおそらく自動車が通行可能な道路ということになるだろうと思うのです。そういうふうに、道路のほうは自動車に追いつけないということで、一体これはどうなるのかというふうに私は思うのであります。これは非常に根本問題として重大な今後の、しかも長い十年先、五年先というのじゃなくて、もう二、三年中の問題ではないかというふうに思いますので、政府としてもそれぞれお考えがあるだろうと思う。  そこでお尋ねをしますが、一体、その自動車伸びというものはどういうふうな見通し伸びておるように考えておるのか。それから、これに対する道路というのはどういう関係になっておるのか。いままでの状況では、急速にその道路単位が下がっておる、道路が立ちおくれておる、こういうことになるわけです。しかも、道路が舗装され、改良されればされるほど自動車スピードが増しますから、自動車一台当たりの必要な路面というのはよけい要ってくるという矛盾があるわけです。こういうふうなイタチごっこというか、そういうことがその中で行なわれておる。そういうこともあわせて考えた上で、自動車の増加と道路がこれにどう対応するか、これについて、運輸大臣あるいは建設省道路局長のほうからお答えを願いたいと思います。
  8. 原田憲

    原田国務大臣 いまの北山さんのお話のように、わが国の自動車モータリゼーションといいますか、この勢いと趨勢というものはたいへん激しいものがあることはお説のとおりでございます。示された数字もそのとおりでございます。しかし、現在の趨勢がこのまま幾らでも伸びていくということは、これは私はそうは考えられないので——と申しますことは、いまおっしゃっておりますように、走る道路関係もございますし、また、いまたしか免許証を持っておる人たちが二千万というように私は聞いておるのですが、新しい人が必ず今後はみんな免許証を持ってきます。その免許証を持った人は自動車を欲するということでございますから自動車が少なくなるということはない。こういうことでございますから、これについてどうしていったらよいかということでございます。  すなわち、日本ではまだ一人当たり自動車ということになってくると、世界で一番とは、あるいは二番とは申せないんでございまして、これから自動車をまだ持とうという希望というものは非常にふえてくる、その関係で走る道路というものが一番問題になってくる、こういうことは間違いのないことでございます。このことにつきましては、建設省所管でございますからお答えがあると思いますが、われわれのほうとしても、この道路整備ということにつきましては、たとえば私どもが共管いたしております高速道路整備というようなことを心がけて伸ばしていかなければならぬと考えておる次第でございます。  なお、私は今後その自動車がふえるということを手放しでおろうとは考えておらないんでございます。すなわち、いままでの傾向では、もう自動車を持ったら自由に走り回れるという考えから、いま公害問題だとかあるいは道路使用の問題だとかいう問題が出てきておると考えておるのであります。自動車を持つ限りはこういうことが必要でございますよ、ということは考えておかなければならない。すなわち、自動車関係諸税負担、あるいは一定地域の車庫を必ず持つということの強制、それから自賠責保険強制車両法による保安上の規制、こういうことによりまして自動車交通規制をしておりますが、こういう方面についてもなお一そう努力していかなければならぬ、こういうことでございます。  けさも実は閣議で私から報告いたしたんでありますが、公害問題についていま三%の一酸化炭素規制をいたしておりますが、これを今度の秋の新車から二・五%に下げる、こういうことを実行するというような、これは公害に対する一例でございますが、そのようないろいろな対策というものを練りまして、モータリゼーションというものが野放しではいけないということは行政の上から十分考えていきたい、このように考えております。
  9. 北山愛郎

    北山分科員 野放しではいけないというわけなんですが、問題はどうするかということなんで、非常に矛盾があらゆる面であらわれてきておる、道路交通自体にもあらわれてきておる、摩擦が起きてきておる。何か、野放しではいかぬといいながら、実は、たとえば自動車を保有する人にいろいろな負担がかかってくるぞというようなことで自動ブレーキをかけることに期待するような、そういう態度があるのじゃないか。これはまた運輸省だけじゃない、政府だけじゃなくて、一般にも、自動車がふえることはやむを得ないことである、矛盾が起きて、ある時点になったらやはり自然と解決がつくだろうといったようなかっこうで、一種の傍観的な態度があるのじゃないかと思うのです。しかし、現実に長い期間にそういう矛盾が出てくるのじゃなくて、非常に急速にあらわれてきておる。ですから、一体将来の道路交通のあり方がどうかという方向をやはりつくるべき段階じゃないか、私はそう思うわけであります。現在の段階で野放しではいかぬといいながら、実は部分的な対処しかしてないというところに私は問題があると思う。  時間もありませんから、いまお話があった、いわゆる公害といいますか、交通事故の問題について二、三確かめておきたいと思うのであります。  昨年、交通事故による死者は一万四千二百五十五人、負傷者が八十一万二千九百三十六人と発表されております。ただ、この数字は、死者については二十四時間以内の死者数字だろうと思うのです。一年くらいということで期間を少し長く見るならば、自動車事故交通事故による死者というのはもっとふえるのじゃないだろうか、こういうふうに思うのですが、たとえば一年以内の死亡者ということで交通事故死亡者一体どの程度になるのか。そういう統計なり調査がありましたらお知らせを願いたいと思います。
  10. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 いま手元資料を持ち合わせておりませんので、私の記憶でたいへん申しわけございませんが、記憶で申し上げます。  先生指摘のように、現在一般に使われております交通事故統計死者数警察庁で使っております統計でございまして、これは交通事故発生後二十四時以内に死亡した者の数でございます。これに対しまして、交通事故が直接の原因となりまして死亡した人の数を厚生省統計を出しております。先ほど申し上げましたように、現在資料手元に持っておりませんが、厚生省統計によりますと、警察庁統計に比べまして二割ないし二割五分ほどふえているのが大体の傾向でございます。  概数で申し上げますと、一昨々年は警察庁統計によりますと、死者が一万三千九百四名だったと思いますが、厚生省統計は大体一万七千九百名程度であったと思います。それから昭和四十二年は、警察庁統計によりますと、一万三千六百十八名の死者が出ておりますが、これに見合います厚生省統計は、まだ確定数ではございませんが、一万七千三百名程度数字が出ております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、厚生省統計のほうが警察庁統計に比べまして二割五分程度ふえておるという傾向でございます。
  11. 北山愛郎

    北山分科員 ですから、この交通事故による死者の数というものは、その実態は、警察庁の発表された統計一般に一万四千幾らとか、そういうように言われておるものよりも相当に大きいということが指摘されるわけです。それから負傷者八十万、その中で後遺症で、あと身体障害心身障害が残っておる人、そういう者のパーセンテージはどの程度と見ておられるか。
  12. 黒住忠行

    黒住政府委員 後遺症の数は、いま資料を持ち合わせませんが、至急調べまして御報告申し上げます。
  13. 北山愛郎

    北山分科員 その負傷者の中にも、全快する人もあれば、そのうちの相当部分あとに問題が残って働けない障害者心身障害が残るわけですね。これに伴っていわゆる交通遺児、これが中小高等学校で約五万人といわれておる。そういうふうに、非常に自動車事故による人命あるいはからだに対する被害というものがふえてきておるわけですが、戦後の累計数と今後の見通し一体どう立てられておるのか。それは自動車の数ほどには、それに正比例してはふえないでしょうけれども、しかし相当にふえるのではないか。たとえば、本年の見通しはどうか。死傷者百万人に達するだろう、こういわれておるのですね。そうしますと、交通犠牲者の面においてはアメリカに急速に迫っているのではないか。アメリカは大体五万人の死者、百万人の負傷者といわれておりますが、自動車の数よりもむしろ交通事故の数においてアメリカに迫ってきておるというふうな感じすらするわけであります。そこで、今後の見通し、本年以後の見通しはどうなのか、過去の累計はどうなのか、この点をお聞かせ願いたいのであります。
  14. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 自動車交通事故による死傷者の数につきましては、先生指摘のように年々増加しておりますが、ここ二、三年の統計につきましては、先生承知でございましょうが、事故件数にいたしまして、四十一年から四十三年までの状況を見てみますと、四十一年は四十二万件代、四十二年になりますと五十二万件代、四十三年、昨年は六十三万件代、そういう推移をたどっております。死者の数は、大体その両三年の間は、若干の増減はございますけれども横ばいでございますが、負傷者の数が年を追うて非常に激増しております。昨年は、御指摘のように負傷者の数が、これは確定数でございますけれども、八十二万八千七十一名という数になっております。  この負傷者が非常にふえております理由といたしましては、私どものほうの分析では、自動車同士衝突事故——死者を出すまでには至りませんけれども車両同士衝突というのが自動車の激増に伴いまして非常に多くなっておる。中でも追事故というものが非常に多いわけであります。この追突事故が年を追うて激増しておりまして、四十一年には大体五万件程度追突事故でございましたが、四十二年はその倍の十万件弱になっております。昨年のものが昨日統計ができましたが、十五万件強出ております。この追突事故負傷者が出ます場合には大体複数の負傷者が出るわけでございまして、一件起きますと、大体一・五人くらい負傷者が出るということになっておりまして、負傷者の数のうち三〇%近くが追突事故による負傷者という状況になっております。  そういうことで、今後の交通事故による死傷者の数というものがどうなるであろうかということをいろいろな観点から現在長期展望をしておりますけれども、これはわれわれ政府が行なう交道事故防止対策、それからドライバーなり歩行者、道路利用者の安全意識の問題と関連いたしますけれども、私どもは、少なくともいままでのような傾向をたどりますと、ことしは死傷者の数が百万人をこえるのではないだろうかというふうに考えております。この百万人という数は……。
  15. 野原正勝

    野原主査 簡潔に願います。
  16. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 四十一年の死傷者の約二倍になるというようなことになっておるのでございます。  一応その程度のことを御説明申し上げておきます。
  17. 北山愛郎

    北山分科員 残念ですが、一々聞いている時間がありませんが、いまお聞きのように、これは非常に深刻な問題です。言うまでもないことです。しかもどんどんふえていく、これは野放しにはできない、何とかしなければならぬ問題です。  そこで私は、実は警察の取り締まりの関係なりいろんな安全施設、その他安全教育、そういう人たちにも聞きたかったのですけれども、これは限界があると思うのです。ですから、ここでやはり総合的に、こういうふうな人命事故に関するマイナス面、あるいは交通の渋滞は波及するところが非常に大きくて——モータリゼーションによるプラス面はもちろん認めるものでありますけれども、マイナスというものがあらゆる面において非常に深刻になってきておるんじゃないか、こういうときに、政府は単に交通安全という狭いワクの中でものを考えないで、もっと広い立場に立って、モータリゼーション対策といいますか、自動車問題の対策というものに取り組む必要があると思う。そういう面では、いま総理府に置かれておるいわゆる交通安全の国民会議ですか、あるいは調査室というのが非常に手簿ではないか、ものの考え方を改める必要があるのではないかと思いますので、この点について、時間がありませんので別な機会にまたやりますけれども、この問題にもっと幅広い見地から取り組んでいただきたい、また、国会としても取り組むべきではないか、こういうふうな要望を申し上げて、質問時間が参りましたから、これで私の質問を終わります。
  18. 黒住忠行

    黒住政府委員 恐縮でございますが、われわれの保険でやっております数字から見まして、後遺症につきましては、四十年度一万二十一名、四十一年度が一万七千九百十九名、四十二年度が二万四千百四十名を後遺障害といたしまして現金を支払っております。
  19. 野原正勝

  20. 太田一夫

    太田分科員 最初に、これは運輸省お尋ねをいたしますが、この間、二月の十二日でございましたか、静岡県袋井市のヤマハテストコースにおきまして、テスト中の車を操縦しておりました福沢という青年が二百五十キロの壁に挑戦をして、原因不明のままに惨死をしたという報道がございましたが、この原因というのは、運輸省でございますか、車両基準のたてまえからいいまして運輸大臣のほうで何かお調べになったものがございますか。
  21. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 御指摘交通事故につきましては、現在静岡県警でさらに捜査を続行しておりますので、現在のところ明確な線は出ておりません。
  22. 太田一夫

    太田分科員 何か、新聞の報道するところによりますと、ばらばらになった標識が散らばっておるような写真が出ていて、車もなければ人もない、警察の鑑識が行ってもどうにもならなかったということが報道されております。事故として見る警察のほうの立場は、いまの鈴木局長お話調査中ということならばわかりますけれども、何か企業秘密ということがあるようです。私は企業秘密ということに対して、そういうテストカーというのはとにかく非常な秘密があると思いますから、それを守ろうとする業者の気持ちはわかりますから、その点についてはとやかくのことは言いません。言いませんが、二百五十キロの壁というのに挑戦をする必要が出てきておる。それから一年ぐらい前でしたか、昨年の正月でしたね。例の畑井というレーサーがやはり二百キロの壁に挑戦をして事故死したじゃありませんか。そのときの車のエンジンというのが、いま新聞に盛んに出ております——これは運輸大臣お尋ねしますよ。「走る閃光!Rは勝利のサイン R−380のエンジンをそのまま搭載した2000GT−R登場」というのがありますが、最高速度二百キロメートルというのがこの仕様の中の一つの条件として出ております。走る閃光——この車はすでに市販されておるわけです。だから、二百キロの壁に挑戦をして惨死をしたのが一年前、そのエンジンがもしもそのまま搭載されて売り出されておるとするならば、運輸省は、いまの車両保安基準からいってそれでいいのか、この点はどうですか。
  23. 原田憲

    原田国務大臣 最高速度の表示につきましては、かねてから日本自動車工業会その他関係者に、速度違反を助長するような広告は自粛するように要望いたしております。しかし、まだそのようなものが見受けられることはまことに遺憾でございます。私どもといたしましては、一そう行政指導を徹底してまいりたいと存じます。
  24. 太田一夫

    太田分科員 二百キロという仕様がどうして必要なんですか。運輸省のほうは車両保安基準でしょう。警察のほうは公安委員会の設定する道路等の事情による制限があるわけですね。東海道一号線を中心として、主要道におきましては六十キロでしょう。高速道路において、ハイウェーといわれるところで百キロでしょう。それがどうして二百キロ要るのですか。あなたのほうのブレーキの制動の条件にしても、二百キロ出る車は、二百キロ出したらどれだけの距離でとまらなければならないという基準がないでしょう。その点、大臣どうですか。
  25. 原田憲

    原田国務大臣 たいへん専門的なことでございますので、政府委員からお答えいたさせます。
  26. 黒住忠行

    黒住政府委員 いま先生お尋ねは、自動車の最高速度を制限したらどうかということだと思いますけれども、現在は道路によりましていろいろスピード制限が違っております。そういう現状におきましては、一律にこれを制限をするということは非常に困難かと思う次第でございます。それから、外国におきましても、いま最高速度制限装置を装置するということは行なわれておりません。しかしながら、われわれといたしましては、先生承知のように、走り方につきまして義務をつける、一定の速度制限の道路はその速度を守らすということは第一でございますけれども、車によっては、大型トラックとか乗り合いバス、貸し切りバスあるいは大都市のタクシーにつきましては運行記録計を装備さす、あるいは大型トラックにつきましては速度表示装置を装置さすということで義務をつけておる次第でございます。
  27. 太田一夫

    太田分科員 黒住さん、私は別にいまやっておることがどうとか言うわけじゃないですよ。普通一般に市販されておる車が二百キロの性能を誇りにしておる。そういう非常に常識外のスピードが出せる車を売ることをあなたのほうは黙認する。その車の性能があっても、あなたのほうはいま登録できるのでしょう。ところが、実際には最高は百キロしか出せないはずです。百キロに押えておいたらいいじゃありませんか。そういう基準をお考えになったことはないですか。
  28. 黒住忠行

    黒住政府委員 百キロ最高速度を出す場合には、アローアンスとして百数十キロの最高速度の能力が要るわけでございます。二百キロの能力があるものが、二百キロ出すということを奨励しておるわけではなくて、それにつきましては、過大広告等につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、自粛自戒という指導を通産省とともにやっておるわけでございます。現在、世界的に見ましても最高速度制限装置をつけていない現状でございますので、やはり実際に動かし方についてこれを取り締まっていくというのが適策かと思います。
  29. 太田一夫

    太田分科員 これは大臣からちょっと御所感を承りたいと思うのですが、私は、自動車スピード性能は野放しにしておいてはいけない、最高制限を法的に規制しなければならぬと考えております。いま黒住自動車局長は、百キロのスピードが認められておるなら、それに若干のアルファが要るのだろうから百数十キロを認めなければならぬとおっしゃった。百数十キロというのは概念でございますから、具体的に言うなら百十キロとか百二十キロとかということになりましょうが、そういう具体的な数字スピード上限をきめるということについて御研究になるお気持ちはございますか。
  30. 原田憲

    原田国務大臣 いまも専門的なことを聞いておるのですが、世界じゅうで最高速度を制限しておる国はないということでございます。私もそうじゃないかと思うのであります。最高を制限することは不可能に近いことじゃないか。ということは、進歩というものはあくまで今後とも伸びていきます。ただ、それが安全に運行されるかどうかということが問題でありますから、どんな車であろうとも何キロ以上で走ってはいけないということは必要なことではなかろうか、このように思います。
  31. 太田一夫

    太田分科員 ちょっと聞きますが、先ほど北山さんの質問によって、ずいぶん事故がふえた、いろいろの死傷事故が多い、特に自動車局長は車両間の衝突事故が多いということをおっしゃるときに、車両の性能ということについて、もっと厳格に注目してもらわなければならぬ。無制限野放しで、スピードは何百キロでもよろしい、二百五十キロ、新幹線をオーバーするスピードもよろしいということになれば、この間の福沢さんの死、ああいうことがあとからあとから続くじゃありませんか。二百五十キロ、次は三百キロ、三百五十キロ、空飛ぶ自動車ということになってくるじゃありませんか。そういうぐあいにあなたのほうがスピードの性能を野放しにしておくということは、諸外国がやらないからというのですが、日本日本国の道路の狭さ、その交通の混雑度、そしてまた、世界に比類のない自動車事故という点から考えたら、車両保安基準などというのはよほど厳密でよろしいじゃありませんか。自動車局長、あなたは制限する必要はないとおっしゃるが、おかしいですね。国民の要望にこたえられないじゃありませんか。
  32. 原田憲

    原田国務大臣 いま私が聞いておりまして、百キロで制限しようとすると、アローアンスがそこに何キロなければならぬ、こういうことを言っておるのでございます。私の言っておるのは、最高というものはこれから幾らになるかわからないものを、いま幾らということでとめることは不可能に近いのじゃないか。だから、これから幾らでも進歩しますが、いまの日本の国では、この道は百キロ以上飛ばしてはいけません、あるいは五十キロ以上飛ばしてはいけません、こういうことは厳重に執拗にやらないと交通事故に対処はできない、こういうことを言っておるのでございます。
  33. 太田一夫

    太田分科員 しからば大臣、スピードをロックしたらどうですか。いまハイウエーで百キロが最高なら、百キロに若干プラスして百二十キロなり百三十キロでエンジンをロックしたらどうです。性能開発は幾らしてもよろしいが、ロックすることはできませんか。
  34. 原田憲

    原田国務大臣 これはまことに専門的なことになってきますので、政府委員から答弁させます。
  35. 堀山健

    ○堀山説明員 実は、ロックするということは非常にむずかしいかと思います。ただ、たとえば速度調整装置をつけるということは考えられないことはないだろうというふうに考えます。日本の現状では、先ほど自動車局長から申し上げましたように、運行記録計とかあるいは速度表示装置、こういうもので現実に押えるという方法をとっておるわけであります。
  36. 太田一夫

    太田分科員 黒住自動車局長、しからば各種の乗用車に至るまでタコメーターをつけさせてスピードを記録させてそれを届け出るような義務を負わせるようなことをどこかでお考えになりますか。
  37. 黒住忠行

    黒住政府委員 これは先ほど申し上げましたように、大型トラック、それから一定の距離以上の路線の乗り合いバス、それと観光バス、貸し切りバスとタクシーを制限しております。これをやりました結果、いろいろ実効がどうかということをいま検討しておりますので、その結果によって拡張するというように考えたいと思っておりますけれども、いろいろ大小の車がありますので、どの程度までそれを拡張していくかというふうな点につきましては、今後検討を続けていきたいと思っております。
  38. 太田一夫

    太田分科員 私も自記記録装置、タコメーターが自家用車にまで普及されてくるようになれば、基準としてそれを装置しなければならないことになれば、性能いかんにかかわらずいまの法規が守られていくと思うのです。ところが、法律、規則を守ろうとすれば、二百キロなんて要らないでしょう。絶対に必要でない。百キロのところで追い越しするのに二百キロのスピードがなければならぬということはありません。ですから、そういう点からいって、スピード性能の野放しということは運輸省の重大な責任だ。交通事故を激発さしているのはあなたのほうだ。取り締まっておるのは警察庁でしょうけれども警察庁は、事故が起これば、何かまた仕事ができて人員もふえてありがたいかもしれませんけれども、そんな無責任なものじゃありませんでしょう。ですから、この狭い道にふくそうする車、それで続発する事故という点から考えたら、とにかく交通安全というたてまえから何か思い切った措置を講じなければならぬ。これは専門的な技術の開発の問題を申し上げるのではなくて、車のスピード性能を野放しにするということはいささか問題がある点を指摘申し上げたわけでありまして、将来タコメーターを装置させるかどうかは御検討なさるとおっしゃるならば、ひとつ、大いにさらに一歩進めて御検討いただきたいと思います。  警察庁鈴木局長お尋ねいたしますが、あなたのほうは、いま都内では全部四十キロに制限して、五十キロの区間はほとんどないでしょう。そういうときに二百キロの性能の車が必要であるとお考えになりますか、どうですか。所感をひとつ承りたい。
  39. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 現在の最高速度制限は、御承知のように高速道路における百キロでございます。都内が四十キロであるということで、どの程度の性能を持ったものがいいかということはにわかに申し上げられませんので、先ほどから運輸省の御答弁の線で、私どものほうもそういう考え方で——どものほうは道路状況に応じて最高速度の制限をしていく、その制限に従わない者は取り締まっていくという考え方でやっております。
  40. 太田一夫

    太田分科員 取り締まるなら、いっそのこと思い切ってほんとうに取り締まりなさるならよろしいけれども、スポーツカーなんか縦横無尽に走り回っていてもよう取り締まらないじゃありませんか。あなたのほうはダンプだとか、傍若無人なものはわりあいに取り締まらない。それでちょっとした注意信号をおかして交差点を曲がったような善良なドライバーを取り締まっておるのです。弱い者いじめが警察庁の交通取り締まりの方針だと国民から誤解をされておる。ちゃんとしてもらわなければ困ると思うのです。  それで、その話ばかりやっておると時間がないので困るのですが、毎年建設省あたりにも申し上げておりまして、建設大臣、運輸大臣が、たとえば東京都というようなところを、大都市を中心として自動車交通の絶対安全性、安全なる制度を確立しなければならないというので、運輸省建設省もともに、郊外まで車に乗ってきて、そこからは何か他の交通機関、国鉄なりバスなりに乗って、あるいは地下鉄に乗って通勤をしたらどうかということが盛んにいわれておりましたが、なかなかこれが緒につきません。ぜひ今度は、各省それぞれアイデアがあるそうでありますが、そういう点もからみ合わせて、一緒にして自動車交通安全のために十分ひとつ緊急な措置を講じてほしいと思うのです。特に、道路にあれほど車が密集しておるのに無制限に車を走らせておくというのはどうかと思うのです。整理する必要があろうと思います。  そこで、ちょっと建設省お尋ねしますが、第二東海道計画というのがありまして、一号線の交通難を緩和するというお話でございましたが、静岡県の西のほうがなかなか進まないようでありますが、どうなっていますか。今後の計画を承りたいと思います。
  41. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。  いまお話しのございました第二東海道計画というのがあることは私ども承知しております。この案につきまして、一応のお話を承って、検討はいたしておりますが、まだ正式に予算を計上してこれに取り組むというところまではまいっておりません。ただいまの段階では、現在ございます一号線を二次改築いたしましてこの一号線の交通難を緩和しようということで、現在は一号線の二次改築に全力を尽くしておるという段階でございます。
  42. 太田一夫

    太田分科員 昨年、一昨年と一号線バイパス計画というのが表明されまして、これは近く供用開始であるという計画は本委員会に発表されておるわけです。一応、西湘バイパスから寝屋川バイパスまでの計画はどういうふうになっていますか、これをちょっとお知らせ願いたい。
  43. 多治見高雄

    ○多治見説明員 簡単に申し上げますと、現在着工しております西湘バイパス、これは三十五・八キロでございますが、これが四車線で四十五年にできる予定でございます。それから沼津バイパス、これは十八・五キロございまして、四車ないし六車線でございまして、沼津インターの東側が四十四年度までに完成いたします。それから富士−由井バイパスでございますが、これは二十四・七キロ、これは四車線で四十五年に完成する予定でございます。  それから、その次は新しいバイパスでございますが、静岡−清水間のバイパス、二十・九キロ、これが四重ないし六車線で四十三年度から着手いたすことにいたしております。それから島田−金谷バイパスは四車線で十四・一キロメートル、これも四十五年に大井川の一部、西側の部分が若干残りますが、一応残りの部分を除きまして、四十五年に完成する予定でございます。それから浜松バイパス、これは十五・八キロでございますが、六車線で四十四年に二車線だけ完成するということになっております。それから名四国道でございますが、これは三十四・六キロでございますが、四十四年中に名古屋の市内の一部を除きまして全線開通ということで工事を進めております。
  44. 太田一夫

    太田分科員 浜名バイパス……。
  45. 多治見高雄

    ○多治見説明員 手元に浜名の数字はございませんので……。
  46. 太田一夫

    太田分科員 名豊、それからこれは第二東海道と一部いわれておりますけれども計画計画中ということでずっときているのですが、計画中でございますか。
  47. 多治見高雄

    ○多治見説明員 調査費を予算に計上して、調査に着手しているという段階でございます。
  48. 太田一夫

    太田分科員 本年度は調査費は幾らですか。
  49. 多治見高雄

    ○多治見説明員 ちょっと数字は覚えておりませんが、調べてお答えいたします。
  50. 太田一夫

    太田分科員 建設省のほうはやはり交通安全と申しますか、経済繁栄と申しますか、道路計画をよほど急いでいただかなければならぬのでありますが、大事なバイパス計画を、そういうふうに県道拡幅という点もありますけれども、それじゃ何ともならないから、あわせてすみやかに全線開通させなければならぬと思うのです。急いでいただきたいと思います。  そこで、この間ちょっと何かに発表されたようでありますが、側道橋でございますね。側道橋を多数つくるような御計画があるやに承りますが、主要道路の橋というのは、上り下りの交差する自動車によって自転車も通れなければ歩行者も通れない。そういうところの橋の欄干の外側に側道橋をつくるというのが、あちらこちら少しずつ芽が出ておりますが、これからどういう計画でございますか。
  51. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。  ただいまお話のございました側道橋でございますけれども、歩道橋か側道橋か……。
  52. 太田一夫

    太田分科員 橋の横につける道路で、陸橋じゃない。
  53. 多治見高雄

    ○多治見説明員 それは、御承知のように交通安全施設整備計画の中で現在実施をいたしておりますが、計画の中で側道橋も歩道の新設と一緒に計画して考えておりますので、側道橋だけを幾らやっているかという数字はちょっと手元にございませんが、歩道全体といたしましては、新しい昭和四十四年度の計画で千七百三キロメートルを整備しようということで、予算を計上いたしております。その中に橋梁の横につけます側道橋も含めて計上いたしております。
  54. 太田一夫

    太田分科員 それは建設省の直轄道路だけのことでありますか、地方道も含めてですか。
  55. 多治見高雄

    ○多治見説明員 補助によって府県がやります分も全部含めております。
  56. 太田一夫

    太田分科員 十分の御発表がないようでありますが、いま主要道路において一番困るのは、川の橋にかかったときに歩行者は困るわけであります。通れないわけですね。それは必ずしも国道の直轄道路だけでなくして、都道府県知事の管理になっておるものまで含めますと、膨大な橋が通れない。その通れないところを通れるようにするためには、橋の欄干の外側に人間と自転車の通る道をつくらなければならない。それのことですが、すみやかに具体案をつくって、なるべく早く急いでもらわなかったら、これこそ欄干と自動車にはさまれてけがする人がじゃんじゃん出てくると思うのです。よろしゅうございますね。
  57. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お話のように、橋梁の徒歩あるいは自転車による通行者の危険は最近非常に増加しておりまして、各地からただいまのような要望がまいっております。したがいまして、われわれのほうといたしましては、この安全施設の歩道の中でできるだけこういったものを取り上げて実施していこうということで努力しておるつもりでございます。
  58. 太田一夫

    太田分科員 これは力を入れてください。要望しておきます。  最後に、運輸省にあらためてお尋ねいたしますが、過疎地帯ないしは人口の少ないところのバス路線の運行確保に関する措置でございますが、この間、予算上の措置として一つの前進をはかられましたね。自動車局長さんも何か書いていらっしゃいますが、四千七百八十万一千円でございましたか、新たに運行経費に関する補助金、いわば、キロ当たり三十一円の半分を国が補助しよう、その半分、同額を地方自治体に補助させろというのでありますが、条件がまだまだきつい。これは実際過疎地帯にまいりますと、一日の往復回数四回以内なんというようなことでなくして、二回、四回もたくさんございますけれども、こういう制限も私はきついと思いますが、もう少し過疎地帯の実態を調べていただいて、五回であろうが六回であろうが、適用できることが必要であろうと思うのです。そうしてその四回くらい走っておるところでも、それがどれくらい要るかというと、まあ二十万とか三十万という欠損補助を必要とする。関係市町村の要望というのは——それぞれ会社のほうから関係市町村に、二十万とか何十万という金が出されればやりましょうけれども、それがなければいやでございますというような要請が出ておりますですね。それで私は、あなたのほうの基準でありますというと、一平方キロの中に百人未満の過疎地帯というのは全国で三分の一くらいの広さになる、ほとんど入るということなら入るでいいと思うのですけれども、しかし、その中でまたいろいろと制限されてきまして、ことしは芽が出ただけでしかたありませんと思いますけれども、思うように現地の市町村考えておるようなところまでは達しないし、またやめたいというバス会社がそれならやりましょうと意欲をふるい起こすほどにも至ってない。これに対して将来もうちょっとこれを拡大強化する必要があると思うのでありますが、いかがでございますか。
  59. 黒住忠行

    黒住政府委員 今回の補助につきましては、運行費に対する補助を初めてつくったということと、それから地方の交通でございますから、国と地方公共団体がその地域の交通確保についてともに補助していこうという二つの点で特色があると思う次第であります。それで補助でございますので、その要件につきましては若干シビアーな点があるかとも思いますけれども、今回の措置によりましても、約二十社八十数系統がこれに当たるわけでございまして、それらによりまして過疎地域におきますところの交通を確保していきたい。さらに過疎地域におきましては、人口の減少、それからモータリゼーションということで経営も困難になっておりますので、今後につきましてもそれらを維持する、またこれの存廃等につきましては、将来できますところの地方交通の協議会等にも諮問いたしまして、地域社会における最後の公共交通機関といたしましてのバスを確保するような万般の措置を考えていきたいと思っております。
  60. 太田一夫

    太田分科員 あなたのお書きになった何か文章によりますと、おおむねこの措置によって欠損路線の三割くらいが補てんされるのじゃなかろうかということですが、いま三十円の半分でしょう、国が三十一円の半分としまして地方が同額出したところで三十一円、それが三分の一ということになるならば、いわば原価計算しますと九十三円ですか、九十三円が原価ぎりぎり一ぱいということですが、過疎地帯の実情を調べてみますと百円未満ということはありませんですね。これは三分の一じゃなくて四分の一なんです。こういう過疎地帯の足を確保するということについては、本年度はやむを得ないと思いますけれども、大幅に前進をしていただきたいと思うのです、実情を調べて。非常に地方の期待が大きいのです。それでいまあなたのほうは三十一円は三分の一だという考え方、私はいささか現代離れがしておると思います。もうちょっとどうですか、来年度は実情を調べて一そうこれを発展させるという気持ちでいらっしゃるのか、どうですか、その辺の気持ちを聞かしていただきたい。
  61. 黒住忠行

    黒住政府委員 ただいま申し上げましたように、新たな措置といたしましてこれができたものでございます。われわれといたしましては、過疎地域におきますところの公共交通機関たるバスを何とかして維持しようという施策でございますから、今回やりましたその実績等を検討いたしまして、今後につきましては、お説のように十分これが効果をあげますように考えていきたいと思っております。
  62. 太田一夫

    太田分科員 終わります。
  63. 野原正勝

  64. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 私は気象行政のあり方について、きわめてじみな質問でありますけれども運輸大臣をはじめ関係各位に数点の質問をいたしたいと思うわけでございます。  その第一は、去る四十三年九月十九日、衆議院災害対策特別委員会は、各党一致で「自然災害の防止に資するための気象業務の整備拡充に関する件」ということで決議を上げているわけでございます。この決議を上げるにつきましては、わが国の地理的な条件、そしてまたわが国土の複雑な条件等々から、台風あるいは豪雨あるいは豪雪、さらに干ばつ、地震等によって、年々全国に多くの災害が発生しているわけでございまして、このことは、わが国の経済あるいは民生の安定上きわめて重要な問題である。これらの自然災害に対処するためには、災害の原因となる自然現象を精密に把握するとともに、その情報の迅速正確なる伝達によって、防災体制を確立し、被害を最小限度にとどめなければならぬという趣旨から、各党一致で決議を上げたわけでございます。当時運輸大臣でありました中曽根氏もこの委員会に出席をして、これに対する見解の表明もあったわけでございますけれども、新たに運輸大臣になられた原田大臣、この昨年九月十九日の衆議院災害対策特別委員会における決議をどのように把握されておられましょうか、まず伺いたい。
  65. 原田憲

    原田国務大臣 いまお話しのように、気象業務というものは、災害対策はもちろんでございますが、わが国の発展のために非常に大事なことであるというので、昨年五カ年計画を立てて、第一年度として気象業務の整備ということに邁進をしておるということを私も承知いたしております。またこの業務が進展いたしますように私も今後とも努力をいたしたい、このように考えております。
  66. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 いま大臣の答弁で、この決議が大臣にも引き継がれ、そして気象業務の完備のために鋭意努力をされているという意思の表明があったわけでございますが、当時の決議は、以下申し上げます五点に集約をされておったわけでございます。  まずその第一は「予報精度の向上を図るため、気象観測網の大幅な充実強化を推進するとともに、観測測器の近代化に努めること。」  第二は「気象情報の迅速なる伝達を図るため、通信施設整備、近代化を推進するとともに、情報伝達の徹底を期すること。」  第三は「地震観測施設整備、近代化を図るとともに、地震予知業務の推進を行なうこと。」  第四は「気象業務に従事する要員の確保を図るとともに、その待遇等について特段の配慮を行なうこと。」  第五は「気象、地象、水象に関する研究を強力に推進し、新技術の開発に努めるとともに、大学その他の研究機関との連絡協力を密にすること。」この五つがあげられておるわけでございます。  いま大臣から答弁もございましたけれども、気象庁が昭和四十三年度を第一年度として、気象業務整備五カ年計画なるものをおつくりになっておるということを聞いておるわけであります。本四十四年度は二年目を迎えるわけでございますが、特にこの気象業務整備五カ年計画の重要なポイントにつき気象庁長官から答弁をいただきたい。
  67. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 気象業務の整備五カ年計画の内容につきまして申し上げたいと思います。  まずその趣旨でございますが、気象庁は御承知のように自然災害に対します災害防止というものに過去約九十年の間努力してきたわけでございますが、社会情勢の変化によりまして社会情勢に即応するような計画を立て業務のやり方をやっていかなければならないというので、この気象業務整備五カ年計画を立てた次第でございます。  その内容をかいつまんで申し上げますと、初めは、第一点といたしましては観測網の充実でございまして、災害防止に直接関係する警報、予報のためには、その基礎となる観測網の充実が必要でございまして、従来に引き続いて気象レーダー観測網の整備あるいは気象ロケット観測業務の整備を行なっておりますけれども、将来さらに海洋の観測点の開発、設置という問題につきましては、ブイロボットの開発をしたい、あるいは一般船舶の観測資料の収集、あるいは気象衛星の観測資料の受信等によりまして、海上における気象資料の収集の強化を進めたいということでございます。  それから第二点といたしましては、通信施設整備でございまして、観測資料の収集あるいは情報の伝達交換のためには、この通信は気象業務の神経とわれわれは考えているのでございまして、気象業務の神経としての役割りを持っている通信業務につきまして警報、予報を防災担当機関に迅速、的確に伝達するためには予警報一斉伝達装置というものがございますので、これを整備するとともに高速度ファックス放送の整備だとかあるいはレーダー情報電送網の整備あるいは気象通信施設の近代化、あるいは合理化を計画しております。  それから第三点といたしましては地震、火山業務の整備でございますが、地震でも火山でも、これらは突発的に大きな被害を及ぼすものでございますので、それらの被害に対処するために予知技術の開発につとめたいということで、その開発につとめますとともに、電磁式地震計の整備あるいは火山観測施設整備をさらに推進する計画でございます。  第四点、最後の点でございます。これは研究の推進でございまして、気象業務の発展というものは自然科学の進歩の成果によるところが非常に大きいのでございますので、この学問を進歩させなければならないという、その研究でございます。その例を申し上げますと、一つは、集中豪雨の研究でございます。それから航空機の安全に対しましての研究すなわち乱気流の研究あるいはロケットあるいは気象衛星観測に関する研究等でございまして、将来の気象業務の発展の基礎となるような調査研究あるいは新技術の開発というようなものを推進する計画でございます。  そういう四点に大別されるわけでございますが、なお、この計画を実施するにあたりましては、多くの優秀な人材を必要とするのでございまして、目下定員削減等の事情がございまして増員は非常に困難な状況にございますが、将来は気象業務の根幹となる天気予報をやる予報官あるいは防災気象官の増強を期したいと考えております。日本の国は自然災害によって失われる非常に膨大な富あるいは人命がございますので、それを最小限に限定するためにはこの五カ年計画を早期に実現したいという所存でございます。
  68. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 先ほどは大臣から気象業務拡充充実のための決意の披瀝があり、いままた長官から五カ年計画の内容につき答弁があったわけでありますが、大蔵省関係の丸山主計官に伺いたいと思うわけでありますけれども、まず第一に災害対策特別委員会があのような決議をあげ、各党一致の要望をしたわけでありますけれども、四十四年度予算の編成にあたって、一体災害対策特別委員会の決議なりあるいは気象庁の要求なりあるいは運輸省の要求に対し、来年度予算編成についてどのように配慮をされたのか、概括的なことについて伺いたい。
  69. 丸山英人

    ○丸山説明員 気象業務の重要性につきましてはもう論をまたないところでございます。その意味におきまして私たちといたしましても先ほどの国会の議決等も十分に尊重いたしまして、来年度予算の編成にあたりましてもできる限りの配慮をいたしたつもりでございます。ちなみに予算総額で申し上げますと、対前年伸びが一一六%に相なっております。予算全体の伸びが一一五・八でございますからそれを上回るわけでございまして、私たちといたしましてはできるだけの配慮をいたしたつもりでおります。
  70. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 わずか〇・二%を上回っていることで特別配慮ということはいただけないのでございますけれども、まあ配慮をしたということでございますので一応これは了とするものでございますけれども、気象観測業務あるいは伝達業務、いずれもきわめてじみなものであります。したがって予算要求なりあるいは予算編成にあたりましても、ともすればこれが無視されやすい。さればといって一朝有事の際には気象庁は何をしておったか、あるいは運輸省は何をしておったかというようなことにはね返ってくるわけでございます。したがって先ほど長官から発表のありました五カ年計画といったようなものは、これは運輸省内部のもの——運輸省内部というよりも気象庁内部のものであって、閣議決定でもなければ法令の裏づけがあるものでもございませんけれども、この五カ年計画を実施するにあたって大蔵当局としてはどのようにお考えになっているのか。そしてまた五カ年計画の内容について担当する主計官はどのように把握をされているのか、伺いたい。
  71. 丸山英人

    ○丸山説明員 いま御指摘のこの計画は、気象庁限りの計画でございまして、政府内部全体における調整を経ているわけではございません。しかしながらこういった計画ができて気象庁がこれから行なっていかなければなりません施設整備や研究の大綱につきまして、その全体図が明らかになっているということは、これはそれとして非常に好ましいことだと思います。またその中においていろいろ優先順位を明らかにしておるという点におきましても十分に意味がある計画であるというふうに考えております。ただこの計画は先ほど申し上げましたように政府部内全体の調整を経ているわけではございませんけれども、これを金額的にこのとおりやっていくということになりますとなかなかむずかしい問題がございますが、いま申し上げましたように気象庁の今後の予算要求等におきましてもこういうものが尊重されてくると思いますが、私たちといたしましてもこの計画を参考にいたしまして十分にその配慮をいたしてまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  72. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 気象庁関係の来年度の予算を拝見いたしますと、昨年百六億六千百七十三万二千円に対しまして百二十三億六千八百四十四万四千円というように承っておるわけでございまして、総予算に占めるウエートというものはそれほど大きいものではないわけでございます。特にこのうちで一番大きなのは気象観測船の建造でございます。二カ年計画でやられておるようでございますけれども、この建造が四十四年度で終わるということになりますれば、この多額な予算の内容といったものは当然来年度はほかへ振り分けられるべきものだというように考えるわけでありますけれども、気象庁が新しく建造しようとされている気象観測船の建造費、これが本年度ででき上がったならば、来年度はそれに要した多くの経費を一体どこへ重点的に振り向けようとしているのか、長官の見解を承りたいと思います。
  73. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 昨年から引き続きまして建造をしておりました気象観測船の建造も終わりますし、それから気象ロケットの観測所の建造も四十四年度で終わります。あるいは、気象資料自動編集中継装置の整備も大体四十四年度で終わる予定でございます。したがいまして、四十五年度につきましては今後さらに検討していきたいと存じておりますが、現在のところ、従来に引き続きまして気象レーダー観測網の整備あるいはレーダー情報伝達網の整備あるいは予警報一斉伝達装置等の通信施設の近代化、それから観測測器の近代化と更新など、特に自然災害防止、軽減の対策に関係の深い部面を重点として取り上げまして、来年度予算要求の原案を編成したいというように思いますので、四十四年度に完成する穴は、こういうようなもので十分気象庁として埋められるんじゃないかというふうに現在は考えております。
  74. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 了解するものでありますけれども、私は予報の伝達あるいは確実な観測といったようなものについて多くの疑問を持つものであります。特に飛騨川のバス事故にも明らかなごとく、そしてまた私の選挙区でありますけれども、天龍水系のたび重なる大洪水といったようなもの、これにはもちろんダム等の問題もあるわけでありますけれども、とかく従来の観測あるいは通信施設は地域別の観測や通信であって、水系別の観測や通信が非常におくれているのではないか。そしてまた、その水系別に観測施設はありましょうとも、それは気象庁の直接所管するものでなくて、委託をしたものであったり、あるいは学校等が教材、教具として実験、実習に使う雨量器であったり、風速計であったりというようなものであって、的確な水系別の雨量といったようなものの把握がきわめて困難であって、そのために、それさえ完備していれば予知できる水量あるいはダムの調節等が狂ってくるというような例が多分にあると思うわけでございますけれども、この行政区画別の観測施設、特に雨量の観測等については水害を未然に防ぐ、あるいは早く予知するという観点から、水系別の観測施設等が必要であるし、通信網の完備も必要だというように思っておるわけでありますけれども、長官はこういう点について一体どのようにお考えでございますか。
  75. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 水系別の情報の把握ということは、おっしゃるように確かに私も必要性を十分感じております。それで、気象庁としましても、水系別にそういった情報が即時集まるように、お互いに隣の県同士協力し合いまして情報を集めるように努力している次第でございますけれども、県が違いますと、そこに若干のトラブルも生ずる場合も、非常にまれでございますけれども、ございます。しかし、県と県との間に、つまり隣県同士の気象官署同士にも通信網はございます。したがいまして、隣県の降雨量などはそれらの通信網によりましてその県の中枢に集まってくるようには、一応現状としてなっているのでございます。しかし、時と場合によりまして、特に集中豪雨というものは急激に起こり得るものでございますので、その通報が若干おくれるというような場合もなきにしもあらずでございます。今後は、そういうことにつきましてはおっしゃるとおりでございますので、水系別の資料が即時迅速に集まるように、隣県あるいはその次の県にわたって資料の収集が完ぺきにいくように、施設あるいはその業務のやり方などを考えていくつもりでございます。
  76. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 このことは、長官の答弁はそのようでありましたけれども、現実的には非常に困難をしていて、不慮の災害をこのために受けたという例が多々あるのでございます。どうぞひとつ、具体的に水系別の観測あるいは通報の施設の早急な整備について御勉強をいただきたい。同時に、大蔵当局におきましてもその配慮をお願いいたしたいと思うわけでございます。  次に、気象庁が重点的な施策として行なっております農業気象業務でございます。すでに多くのブロックにその施設が設けられ、農民から歓迎され、喜ばれていることは私も承知をいたしておるわけでございますが、現状、どのような地域にそれが行なわれ、問題点としてはどのようなことがいわれているのか、長官の把握している範囲でけっこうですから、お答えを願いたい。
  77. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 農業気象業務につきましては、御承知のように農業というものが気象に影響されるということにつきましては、農業の生産性の向上だとか、あるいは経営の合理化、あるいは気象による農業災害の防止、軽減に関しまして、気象情報を高度に利用するというような機運が、先生の御指摘のように非常に高まっております。このために、気象庁は昭和三十四年度から農業気象観測網の整備等の、所要の体制の整備について努力してきたのでございます。これまでに農業気象業務を取り入れた県は、北海道の全部、十一支庁と東北の六県と山陰の鳥取、島根、それから九州の宮崎、熊本、鹿児島の各県の全域、それから北陸の富山、石川、福井の三県の大部分でございます。昭和四十四年度につきましては、前年度からの継続地域の補充と、それから新潟、長野の両県について整備を予定しております。  今後の問題でございますが、昭和四十五年度以降につきましても、従来に引き続きまして、主として積雪地帯、寒冷地帯、それから台風の常襲地帯等の、農業生産と気象との関連が非常に大きい地域について、逐次整備を進めていく考えでございます。問題点でございますが、これは農業気象業務をどういうようにやっていくかということにつきまして、現段階においては気象庁としては少し考え直しておるのでございます。と申しますのは、この農業気象業務のやり方は、考えればいろんなやり方があるわけでございますが、現在といたしましては、その必要最小限のところに観測点を設けまして、その観測点から毎日定期的に観測資料が県の中枢に入るというようなやり方で大体やっていけるんじゃないかというようなことを考えております。これでしばらくやっていきまして、また改善しなければならない点がありますればこれを改善していくという方向で現在のところ進めておるのでございますが、現在のところ、特にこの業務につきまして地元の方々から苦情が出たりするような点はいまのところ聞いておりません。
  78. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 いまの答弁によりますと、全国土のうちでほぼ半数の地域にでき上がっているようでございますけれども、これはやはり最終的には全都道府県をそうした範囲の中に入れるのか、あるいはこの地域は農業気象については応急対策が必要でないというような地域も考えられているのか、その辺いかがでございますか。
  79. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 その点につきまして、全国に農業気象業務を入れるということをいま決定している段階ではございません。まだ半分しか入っておりませんので、まださっき申しましたように積雪冷寒地あるいは台風常襲地帯と称する地域も残っておりますので、その地域から先にともかくこの業務を取り入れたい、こういうことでございます。そういう考えでございます。
  80. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 時間がありませんので、最後に気象庁職員の問題についてお尋ねをいたしたいと思うわけでございますが、気象庁の職員というのが現業が非常に多いということから勤務の様態もきわめて複雑であるし、また一朝有事の際の仕事といったようなものも、ある場合には命がけでやらなければならぬというようなことから、非常に重要な問題があるというように思うわけでございます。いかに最新式の機械を入れようとも、いかに観測器具、機械あるいは通信施設整備されようとも、要は人だと思うのであります。この人員の確保という点については特に配慮しなければならぬし、また気象庁の出先につきましては僻地のところもあるし、準僻地のところもあるしということで、勤務の様態もきわめて複雑であるし、容易でないというように私は思うわけでございますけれども、この要員の確保について長官の見解を承りたい。
  81. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 確かにおっしゃるとおりでございまして、気象庁の業務というのは機械さえあればいいというものでは決してございません。機械があればそれに要する要員は最低限何名か必要なのでございます。従来、私といたしましても、その要員の確保については最善の努力をしておったわけでございますけれども、国全体の公務員の数というような観点から考えまして、気象庁の要員を大幅にいただくというわけにも率直に申し上げましてまいらないというような現状で、非常に苦慮している次第でございます。しかし、この要員の確保ということで最も大事なことは、気象庁といたしましてはやはり防災気象業務が弱体になってはいけないということと、それから一般国民に対してのサービス業務の低下を来たしてはいけない。その二点にしぼりまして、その二つの点の弱体化、低下をできるだけ来たさないようにするという背水の陣をしいて要員については考えておる次第でございます。財政当局におかれましても、要員のみならずこの気象庁の予算については非常に深い御理解を賜わっておる次第でございますけれども、なお現状としては要員あるいは気象庁の予算ともに十分というわけにはまいらないというように私は考えているのでございます。
  82. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 最後に丸山主計官に見解を伺いたいわけでありますけれども、例の一律五%定員削減、これは大方針として守られるべきだというふうに思うわけでございますが、いま長官から答弁もありましたように、気象業務の重要性、さらにその勤務の様態の複雑性といったようなものから、現業職員が多いというようなことを考えましても、これは特段に配慮しなければ五カ年計画の実施も絵にかいたもちになるし、また災害を未然に防ぐあるいは災害被害を軽減するということからも緊要な問題だというふうに思うわけでございますけれども、主計官の見解と、最後に大臣、私どもは災害対策特別委員会で、いたずらにこういう決議をあげたわけではないのであります。きわめて重要な問題だということで決議を上げて、その実現方を強く要望したのであります。主計官の答弁のあとに大臣の決意のほどを伺って私の質問を終わりたいと思います。
  83. 丸山英人

    ○丸山説明員 お説のとおり、五%定員削減という問題は非常にきびしい要請でございまして、たいへん苦しいわけでございますが、おっしゃいますように、それぞれの事情がございますから、一律的、形式的にこれを適用いたしませんで、それぞれの実態に即応いたしまして、できる限りの配慮をいたしてまいりたいと思っております。
  84. 原田憲

    原田国務大臣 斉藤さんは気象業務というものに非常に御理解を賜わってありがとうございます。私は就任をして、気象庁長官から話を聞きまして、あなたのおっしゃるようにこういうじみなこと、そして大事なことはうんと力を入れなければならぬ、こういうつもりで予算のときも十分配慮いたしたつもりでございますが、まだ十分とはいえない。今後一そう私の努力を傾けたいと思います。
  85. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 終わります。
  86. 野原正勝

  87. 福岡義登

    福岡分科員 赤字線問題についてお伺いしたいのですが、国鉄財政の再建に関連をいたしまして、いわゆる八十三線区、二千六百キロの赤字線廃止の問題が出されておるのでありますが、この問題について今後の方針というものをあらためてここで大臣のほうからお伺いしたいと思います。
  88. 原田憲

    原田国務大臣 赤字路線の問題につきましてはたびたび御答弁を申し上げておるのでございますが、国鉄の中で自動車に切りかえたほうが国民経済の上から、また国民生活の上からもいいのではないかと考えられるようなところを取り上げて、その中でもその地区においてその線区が果たしておるところの使命あるいは経済性、それらの今後の土地の開発に対する使命というようなものを総合的に勘案して慎重に対処する、こういうことを申し上げておるのでございますが、要するにこの問題につきましては、八十三の線区を即日即刻廃止するようにというようなものではないということは、たびたび申し上げておるところでございます。
  89. 福岡義登

    福岡分科員 大体わかるのですが、即刻ということばの意味なんですけれども、八十三線区、二千六百キロというのは一応の目安として理解すればいいのか、八十三線区、二千六百キロは即刻ではないけれども、順次条件が整い次第できるだけバス輸送などに切りかえていこうとしておられるものか、その辺をはっきりお伺いしたいのです。
  90. 原田憲

    原田国務大臣 これは当該運営の責任者である国鉄総裁の答弁にもありますように、地元をたずねて、地元の人たちともよく話をして、そしてなおかつこれは運輸審議会にもはからなければならない問題である、それ以上は今度は大臣の認可を得なければならないものである、こういうことを言われておるわけでございます。私はそういう立場に立って、運輸審議会というものがかりに開かれましたら、そこでは当該地元の人たち、あらゆる人たちの意見を聞く機会もあるだろうし、すべきことを尽くして、それでこれはもう廃止してもらってもけっこうだ、こういうものは、これはもうそこまで残さなければならぬことはないと思いますけれども、路線を廃止するという前提に立って、話をしてないということを御了解賜わりたいと思います。
  91. 福岡義登

    福岡分科員 わかりました。  ここで特に大臣に申し上げておきたいと思いますのは、赤字線と一口に言われるのでありますが、それぞれの路線というものは、建設計画が立てられた時点において、ばく大な利益があがるからという採算を考えて建設された路線というものはそうたくさんはないと思うのです。もちろんその後の過疎現象その他によりまして、建設当時の事情と変わって赤字になった線も幾つかはあると思うのでありますが、大部分のものは建設当時における採算の見込みは、必ずしもその路線が黒字になるというような路線ではなかったと思うのであります。言うならば、地域住民の福祉でありますとか、あるいは産業開発というような政策目的を持ってこれらの路線というものは建設されたと思うのであります。その当時、やはりそれなりに相当検討は行なわれた結果、建設計画が決定をされ、着工され、営業を開始してきたと思うのであります。そういう経過があるのに、簡単に廃止するというようなことになってまいりますと、政治不信というものが大きく浮かび上がってくると思うのであります。ですから、今後、いま大臣がお話しになったように、地元関係者とも十分相談をし、あるいはまた鉄道審議会でも十分審議をしてもらう。   〔主査退席 仮谷主査代理着席〕  最後に、大臣認可の段階でも十分慎重を期したいとおっしゃるから、それはそこへゆだねるといたしましても、建設をされました経緯その他をやはり十分考えていただいて対処していただきたいと思うのであります。  そこで若干具体的な問題に立ち至ってお伺いをしたいと思うのでありますが、この八十三線区の中の一、二の路線についてお聞きしたいのでありますが、三江線というのがいま御承知のように南北に分かれまして、まだ全通をしておらぬのでありますが、この三江線の今日までの全体計画に対して、工事の進捗率というものは一体どのようになっておるのかということをお伺いしたいと思います。
  92. 町田直

    ○町田政府委員 先生承知のように、三江線は口羽−浜原間は二十六キロメートルの区間でございまして、総工費が四十四億円、昭和四十一年一月六日に工事に着手いたしました。用地は浜原−都賀行間の買収を終わりまして、都賀行−伊賀和志間を現在買収中でございます。路盤工事は、石原付近とそれから潮付近が竣工いたしまして、浜原付近、都賀行付近及び高梨付近について現在実施中でございます。現在までの投資額は二十一億一千万円でございまして、全体の進捗率から申しますと、四八%ということになっております。
  93. 福岡義登

    福岡分科員 四八%の進捗率になっておる。約半分近くいっておるわけです。そういう三江線が廃止のリストの中にあるわけであります。昭和四十三年度も工事は進められておるのであります。先般も現地視察をいたしまして関係者の人といろいろお話もしてきたのでありますが、問題はこの建設工事を来年度以降も中断されることなくやられるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
  94. 町田直

    ○町田政府委員 新線建設の問題につきましては、御承知のように現在来年度の予算を国会において御審議をいただいている最中でございます。これが決定いたしますと、事業計画を鉄道建設公団でつくりまして、運輸大臣が認可する、こういう段階でございます。したがいまして、現段階でこれをどうするかということは正式には申し上げられないわけでございますけれども、こういうような状況のものを来年度直ちにやめるとかなんとかいうことは、実際問題としてはそういうことはないのではないかということは申し上げられると思います。
  95. 福岡義登

    福岡分科員 来年度も継続をするというお話で、ひとまず安心なんでありますが、御承知のようにこういう新線建設にあたりまして沿線市町村に債券を相当引き受けさしているわけであります。地方財政の非常に苦しい事情の中から、金融機関と提携してやりくりはしておるようなものの、最小限金利は負担をしなければならぬという状態になっておる。三江線で昭和四十二年度までに大体二億円ぐらい、沿線市町村は期成同盟会のほうで債券を引き受けておるわけであります。今後も工事が進むに従ってなお追加して債券引き受けが要請されると思うのでありますが、そういう一部の資金の負担をかけておきながら、建設過程にあるそういう路線が廃止されるというようなことになれば、これは非常に大きい政治問題でもあろうと思うわけであります。ぜひ所定の工事は遂行していただいて、全線開通の上に立ってさてどうなるのかという採算問題もあらためて検討してもらいたいと思う。  次に、やはり広島県関係ですが、本郷線というのがあるわけであります。四十四年度に入るようでありますが、大体六月ないし七月には完成をするというように聞いております。そこでこれも三億円程度、沿線市町村が債券を引き受けておりますが、予定どおり八月開業というものが約束できるかどうか。ぜひ八月開業をやっていただきたいという沿線住民の強い要請があるのでありますが、その点をお伺いしたいと思います。
  96. 町田直

    ○町田政府委員 御指摘のように大体の順序といたしましては来年度の七、八月ころに開業できるのではないかと思っております。ただこれも、先ほど申しましたとおり、来年度の予算で、これから事業計画を決定いたしますので、その段階において正確なことは申し上げたいと思います。
  97. 福岡義登

    福岡分科員 あいまいな御返事なんですが、工事はもう完成間近である。もう数カ月もすれば完成する。いまのお答えでは、まだはっきりしない、こういうお答えなんですが、当然のこととして、工事が完成をすれば、将来どうするかということは別にいたしましても、開業させないで遊ばしておくという手はないと思うのであります。ですから、最終決定はまだ見ていないのでそういう答弁はいただけないにいたしましても、事務当局として一体どういう方針でおるのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  98. 町田直

    ○町田政府委員 先ほど申しましたとおり、現在のところは路盤工事はほとんど完成いたしておりますけれども、まだ開業設備の工事等の準備を行なっているところでございますので、やはり来年度予算としても若干の予算が必要であると思います。それから、開業いたしますに際しましては、これを国有鉄道が運行いたします関係上、国有鉄道との協議ということもございますので、そういう手続等を済ませまして開業するという段取りになるかと思います。したがいまして、現在の段階ではそういう方針で、四十四年度の七、八月ごろには順調にまいれば開業いたしたい、こういう方針で考えておるということでございます。今後の予算その他の決定によることと存じます。
  99. 福岡義登

    福岡分科員 よくわかりました。万が一開業できないようなことのないように、総裁もお見えになっておりますし、大臣にも強くお願いをしておきたいと思うのであります。  そこで今後の問題なんでありますが、三江線と本郷線の例について具体的にお伺いしたんでありますが、初めに大臣もお話しいただきましたように、機械的にしかも即刻赤字線だから廃止するというような考えではない、十分協議をしてということなんでありますが、これは単なる採算面からだけではなくて、過疎対策そのほかの問題も含めまして、総合的な見地から十分今後赤字線全体について御検討をいただきたいということを強くお願いをするんであります。  そこで、さっき大臣のほうからお話がありましたように、バス輸送に切りかえたほうがいいんだ、地元もある程度得心をする、あるいは経済的に考えてみてもそのほうがいいというようなそういうお話があったんでありますが、ここで私は、建設省のほうも出ていただいておりますから、もう少し聞きたいのでありますが、赤字線の現地を全部見たわけでありませんが、数線見てみますと、直ちにバス輸送に切りかえられるような道路整備ができておるような地域というのは非常に少ないのであります。それで、相当の金をかけなければバス輸送に切りかえるとしても道路が使えないという事情にあると思うのであります。その辺について、運輸省としては道路管理者である建設省などにどういう相談をなされておるのか。もしなされておらないとすれば、今後どういうふうな観点で相談をされようとしておるのか、お伺いしたいと思います。
  100. 町田直

    ○町田政府委員 現在の赤字線の廃止の問題につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。個々の線につきまして、具体的に現地の実情その他を検討の上決定いたしていきたい、こういうことでございますが、その際に、当然道路輸送が適当であるというふうに考えられました場合には、道路状況等十分調査しなければなりませんし、その場合に、その道路状況がなお不十分であるというものにつきましては、建設省にお願いして、道路整備についても十分努力をしていただくというつもりでおります。現在、具体的な問題としてはまだ御相談しておりませんけれども、全般的にはこういう趣旨であるということは国鉄財政再建推進会議後の国鉄財政の閣僚協議会等でもお話ししてございますし、そういう意味で、建設省側としても国鉄の赤字線の問題につきましては御承知になっていると存じ上げます。
  101. 福岡義登

    福岡分科員 大体わかりましたが、こういうようなことを確認してもらいたいと思うのであります。赤字線であるから廃止する——いまおっしゃったような話の筋道で問題を処理されればいいのですが、いろんな事情が折り重なって、鉄道はとりあえず廃止する、早急にバス輸送その他について考えてもらいたいという程度で輸送機関に空白が生じては困る。ですから、いかに赤字路線であってもそれがバス路線に切りかえることのほうがかりに——われわれは赤字路線といえども原則的に廃止することに賛成できないのでありますが、かりにバス輸送に切りかえることが適当であると考えられても、バス輸送ができるような条件が整うまではその鉄道を廃止しないということだけは、はっきりと約束していただきたいと思います。その点はいかがですか。
  102. 町田直

    ○町田政府委員 その点は私どもは当然のことであると考えております。ただバス輸送に切りかえる条件の問題でございまして、その道路状況その他をどこまで見るかという問題はあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても先生指摘のように国鉄なり、まあ私鉄もそうでございますが、廃止のような場合に輸送機関の間に空白が生じるということはいたしませんということは当然のことでございますし、私どももそのように考えております。
  103. 福岡義登

    福岡分科員 心配するのは、国鉄が赤字であるそういう路線へバス会社が乗り入れるかどうか。かりにやってくれるとしても現在のダイヤよりも非常に間引くであろう。回数が少なくなることが予想されるわけです。そうしますと最小限の交通は確保されるといたしましても、鉄道が営業しておるよりも非常に便利が悪くなるということがある。そうなってまいりますと、赤字を承知の上で積極的にそういうところで営業したいという会社は出てこないと思う。鉄道が赤字でやめるくらいですからバス会社もやりたくないという路線が相当あると思うんですね。そういう場合に一体どういう手だてをするのか。交通機関の空白は避けるという観点から考えてみまして、条件がうまくお話のように整えばいいですよ。バスをやってくれる会社もない、そういうような場合にはどうされるのか、方針を聞いておきたい。
  104. 町田直

    ○町田政府委員 先生指摘のような場合が空白を生じるということになるのだろうと思いますが、個々のケースによって違いますけれども、大体私鉄のような例で申しますと、現在非常に私鉄としては赤字で困っているという場合でも大体並行しているような道路をバスが運行されておるというケースが非常に多いわけでございます。これは御承知のように、バスと私鉄の何と申しますか原価上の問題から、私鉄ではペイしないけれどもバスでは何とかやっていける、こういうある一定の分岐点のようなものがあるのだと思っております。したがいまして道路状況等によりますけれども、私鉄なり国鉄のそういう線を廃止した場合でも大体の場合バスに転換し得るのではないかというふうに考えておる次第でございまして、それがまあ運行回数が違うとか停車する場所が違うとか、若干の相違は当然出てくると思いますけれども、その辺で私鉄にかわるバスというものが現在の乗客に対するサービスを低下させない、こういう場合にはバス転換というものを考えていいのじゃないか、こういうふうに考えております。そういうものが出てこないとか、あるいは実際問題として成り立ち得ないという場合にはやはり私鉄なり国鉄の赤字路線というものは廃止すべきではない、こういうように考えておる次第でございます。
  105. 福岡義登

    福岡分科員 わかりました。時間もありませんから赤字線問題で最後に要望しておきたいのは、赤字線が廃止されれば、かりにバスが乗り入れられるといたしましても現在の輸送機関よりはダウンすることは間違いない。また、鉄道に対する地域住民の信頼感というものは相当高いものがあるわけです。バスと比較をした場合にどっちがいいかといえば文句なしに国鉄である。これはもう御承知のとおりだと思います。そういう事情でありますから、原則的には赤字路線といえども廃止しないようにひとつしていただきたい。  それから国鉄財政再建にあたりまして、そういう地域住民の利益を侵害したり、今度大体三兆三千億円ぐらいの大幅運賃値上げが、この十カ年間に計画されておるようでありますが、やはり国鉄財政の再建を根本的にやり変えようとすれば、もう少し政府が、公共事業をどう育成し、事業を円滑にやらせるかという観点から手当てをすることを考えなければいけないのじゃないか。ここはそういう財政論をやる場所ではありませんから、これ以上やらないが、赤字線廃止をしたり、運賃を大幅に上げたり、そういうようなことで国鉄財政の再建はやるべきでないし、根本的な解決ではないということを強く要望いたしまして、この赤字線問題を終わりたいと思います。  もう少し時間がありますので、新幹線問題について、担当常務お見えになっておるようでありますからお伺いしたいのですが、岡山までは大体計画承知しておるのです。昭和四十六年度末というように聞いておるのですが、岡山以西、広島−博多、この建設計画を急いでもらいたい。というのはもう一般の声だと思う。一刻も早く路線決定をしていただいて、関係県あるいは市町村と協議をしてもらいたいのでありますが、どういう計画でおられるか、その点をお伺いしたいと思います。
  106. 長浜正雄

    長浜説明員 山陽新幹線の岡山以西、博多までの延伸の、地方住民の方々からの御要望が非常に強いということをわれわれ国鉄よく承知しておりまして、できるだけ早く建設をしなければならないというふうに考えておるのでございまして、いまいろいろ調査をいたしまして計画をしておる段階でございます。これから岡山以西博多までのプロジェクトを行なうということにつきまして、運輸省に認可申請を出しまして、運輸大臣の御認可をいただきまして、それから地元の方々とも協議を始めていきたい、こういう段階になろうかと思います。したがいましてわれわれとしましては、それが認可をいただきましたならばすぐ協議に入り、いろいろ準備工事のできますように、いま鋭意計画調査を進めておる、こういう状況でございます。
  107. 福岡義登

    福岡分科員 大体いつごろ路線決定がなされるのか。大体のめどを教えていただきたいと思います。
  108. 長浜正雄

    長浜説明員 岡山以西につきましては、実はいろいろ難問題——難所がございます。御承知のように、広島までに西条という高原地帯がございまして、ここに相当長大なトンネルが二本ばかりできる予定でございます。あるいはまた、御承知のように関門をトンネルでくぐらなければならない。あるいはまた途中に相当たくさんの都市がございます。それの通過を、どういうルートで通らなければならないかというような問題。また地質も、岡山以西必ずしもあまりよくございませんので、それらをよく検討した上でないとなかなかルートが決定されません。一度決定しますとなかなかルートを変更するというわけにはまいりませんのので、慎重な検討をいま進めておる段階でございます。あと何カ月というふうに具体的な数字を申し上げることが、ちょっとまだできないので、非常に申しわけないのでございますが、なるべく早くルートを決定して、地元の皆さんの御協力を得たい。この工事を行ないますにつきましては、どうしても地元地方公共団体をはじめ、用地を提供していただきます方々の絶大な御協力が得られませんと工事がスムーズにまいりませんので、できるだけそういう方面の御協力をいただくように今後進めていきたい、こういうふうに考えております。
  109. 福岡義登

    福岡分科員 当初の計画を伺いますと、四十六年度末岡山、四十八年広島、五十年博多、こういうようにお伺いをしておったのでありますが、広島四十七年、博多四十八年という程度にぜひ繰り上げていただきたいという、知事あるいは市町村などの強い要望があるのだが、その辺のめどについて、五十年というのは当初の見込みなのでありますが、それをどの程度繰り上げることが可能であるか、また努力をしようとしておるのか、時間がないのですから簡単に……。
  110. 長浜正雄

    長浜説明員 仰せのとおりに五十年という目標で博多までの開業を考えておりますが、今度は岡山以西につきましては、同時に認可申請を出しまして、御認可いただきましたならば同時に着工したい。それは各所の工期に相当長期を要する、関門トンネルとか、さいぜんの西条のトンネルとかいろいろございますので、そう考えております。工期につきましては一応いまのところ五十年で考えておりますけれども、われわれとしましては相当額の投資を行ないますので、われわれの側としましてもできるだけ早くしたい。またできるだけ早くという地元の御要望もよく承知をしておりますので、半年でも一年でもできるだけ繰り上げるようにいま検討しております。
  111. 福岡義登

    福岡分科員 時間が来ましたから最後に要望申し上げておきたいと思う。その一つは先ほども言いましたが、できるだけ早く路線決定をして、県なり市町村にそれを示していただいて、関連する公共事業などと並行できるようにぜひやっていただきたい。おくれればおくれるだけ——少なくともいまの段階では四十四年度の公共事業と新幹線との関係は、全部一〇〇%関連させるということは無理じゃないか。後期の事業などについてはあるいは可能なものも出てくるのではないかと思いますが、おくれればおくれるだけ関連公共事業と関連させることが困難になる、急いでいただきたいということが一つであります。  それから第二番目に側道建設について、先般建設委員会のほうでも建設省あるいは運輸省にも要望したのでありますが、市街地では両サイドに四メートルの側道をとる、それからそうでない地域については北側に四メートルの側道をとる、こういうぐあいに聞いておるのでありますが、ところによりましてはせっかく四メートルの側道をとるのであれば、将来の振動、騒音その他交通事情などを考えあわせまして、それを八メートルあるいは十二メートルに拡張したものにしたいという要望があるわけであります。もちろん国鉄が持つものは四メートルでしょうが、拡幅部分については国なりあるいは市町村がそれぞれの事業でやると思うのでありますが、一たんできてしまったあとまた拡張するというのもこれはたいへんな仕事なのでありますから、特に市街地における側道建設については、余裕を持った幅員をとるようにその辺十分協議をしていただきたいということが第二点であります。  それからもう一つの点は、国鉄が建設をしました側道は、将来県なり市町村に有償譲渡をするという方針を聞いておるのでありますが、その際に県段階ならまだいいのでありますけれども市町村段階になると、その財源に非常に困るわけであります。いまの制度の中ではそういうものについての補助は全然ないわけであります。県道についてはありますけれども市町村道についてはそういうものがないわけであります。またあらためて問題を取り上げたいとも思いますが、この有償払い下げの際に市町村財政に対する何らかの手当てができるように、運輸省当局も関係各省と十分連絡をとっていただいて、その側道を市町村が有償で受けるときに困らないような手だてというものを、事前に考えていただきたいということ、以上三つをお願いをいたしまして質問を終わりたいと思います。
  112. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 次に松本忠助君。   〔仮谷主査代理退席、楯主査代理着席〕
  113. 松本忠助

    松本(忠)分科員 私は運輸大臣に対して自賠責の問題と交通遺児の問題、それから国鉄総裁にはいろいろの地元の要望をお願い申し上げたいと思います。  まず最初に、自賠責に関する問題でございますが、死亡の限度額を、現在三百万円でございますが、これを五百万円にするということについては、運輸省当局のお考えもようやくまとまったように聞き及んでおりますが、この点はいかがでしょう。
  114. 原田憲

    原田国務大臣 御質問のように、いまの三百万を上げるということについては腹をきめております。
  115. 松本忠助

    松本(忠)分科員 実施の時期は、大体いつごろの予定になっておりますか。
  116. 原田憲

    原田国務大臣 できるだけ早くやりたいと思っております。
  117. 松本忠助

    松本(忠)分科員 それでは、実施の時期についてはおまかせ申し上げるとしまして、問題はその三百万が五百万になりますと、当然保険料が増額されるということになると思うわけであります。最近の交通事故の裁判等を見ましても、その判決の金額が一千万近いものが出ております。また毎月十万くらいずつ事故の査定が上がるというふうな現状からいたしまして、近いうちに大臣は五百万になさるというけれども、五百万でこれでいいというわけにはいかないと思う。やはり一千万という数字までは、諸外国の例から見ても当然上げなければならないと思うわけでございます。  そこで問題は、この保険料がそれにつれて増額されることについて、私どもは一考を要すると思います。そこできょうはひとつ提案を申し上げますので、大臣にも聞いていただきたいと思うわけでございますが、現在の自賠責は自動車そのものに保険がかかっております。しかしながら、事故自動車が起こすのか運転者が起こすのか、簡単にはきめられないと思います。運転する者にも一半の責任があるのではないか、そこで運転者自身もみずからの責任において強制保険をかけることにしてはどうか、と思うのでございます。これを仮称で、自動車運転者責任賠償保険、こんなふうにでもいってみてはどうかと思いますが、この点につきましては、昨年の四十三年四月四日の交通安全対策特別委員会におきまして、私がすでに提案を申し上げました。そのときにも関係省庁の方々が十分研究したい、そしてまたしかるべきおりには返事をしたいということでございましたが、いまもって御返事がありません。当日も宮崎総理府陸上交通安全調査室長あるいは列席しておりました大蔵省銀行局の新保保険部長も、私の提案につきまして大体こんなふうな意見を言っておられます。免許証の所有者に強制保険をかけるということは、確かに一つの方法である。現在は車両に強制保険がついているので、それとの関係をどうするか、その他いろいろとむずかしい問題もあると思うが、関係省庁とよく打ち合わせしてまいりたいと思います、こういう返事でございました。  そのやり方は、ざっと申し上げますとこういうことになるわけでございます。  ただいまも申し上げましたように、自動車事故の責任の一半はドライバーにもある。そこで運転者自身もみずからの責任において強制保険をかける。そのやり方は、まず免許をとった最初の一年間、免許証が交付になってから十二カ月の間、毎月五百円ずつかける。そうすると結局一年間に六千円かけることになります。二年目には千円安くして年額五千円にして、これを十二分の一ずつ毎月納めていく。三年目は四千円、そして一年ごとに千円安くして六年目は千円、合計いたしますと六年間で二万一千円の保険を払うことになります。事故が発生したときには振り出しに戻してまた初めから六千円かけていく。もし事故が起きなければ、ずっとそのまま、七年目以降はかける必要はない。免許の所有者を一応三千万人といたしますと、六年後にはざっと計算しても六千三百億円になるわけであります。これだけの財源があれば、保険料をあまり高額にふやさなくてもできるのではなかろうか。  もう一点は、現在の免許証の書きかえが三年目に一度ずつございます。その書きかえのときに、千円ずつかけ捨てをしてもらう。運転者がそのかけ捨ての保険に入ってもらう。一年間に一千万人の書きかえがございますから、ざっと計算しても百億。六年目には六百億となるわけであります。この二つを併用いたしますと、六年目には七千億円ぐらいの財源ができるわけです。  なお、この自動車運転者責任賠償保険制度を実施する場合には、当然所得税の申告の控除対象にする、こういうことも必要であろうと思うわけであります。  この私の私案について、大臣はどのようにお考えになるか。急にこういう問題を持ち出しても即答はできないかもしれませんが、大臣の率直な御意見を承っておきたい。
  118. 原田憲

    原田国務大臣 いまお説のごとく、私いま初めて聞いたので、即答をいたすことはできませんが、しかし、あなたが昨年四月この問題について提案をした、そのことについて各省で検討をするという中に、あるいはこのことは具体的におっしゃらなかったかわかりませんが、それに近いような話が出ておったかとも思います。この自賠責のやり方は、私は英知を集めたほうがいいと思っております。  いま政府委員がおりますから、あなたの話について、専門的な話でございますから、答弁いたさせます。
  119. 黒住忠行

    黒住政府委員 先生がおっしゃいますように、現在は自動車についております。しかしこの保険は、自動車の保有者あるいは運転手の自動車事故におきますところの損害賠償を補てんするために保険に入っているわけでございます。いまおっしゃいますように、かりに運転手に保険をかけたらどうかということでございますけれども、現在のたてまえにおきましては、自家用車と営業車あるいはトラックと乗用車というふうないろいろの車種別がございまして、それらに応じた危険率によりまして保険料を収受するというふうなたてまえになっております。ドライバーに保険を強制いたします場合におきましては、それが職業運転手になる場合、ハイヤー・タクシー等の会社につとめる場合と、自家用の場合というものが、いろいろ転々といたすわけでございますので、それらの人の事故率というものの算定が相当問題があるのではないかというふうに考えます。  それで、もしこの制度を実施するといたしますと、現在のように車に常に保険がかかっているというものに対して、さらに上積みといたしまして、運転手も全部一律に一定のものに入って支払うというような、上積み的な観念を導入すれば可能かと思うわけでございます。しかし、いま保険の制度につきましては、なるべく単純明快に、すみやかに保険金を支払うという方向の研究をいたしておりまして、それには、一定額におきましては責任の有無にかかわらず支払う、あとのものにつきましては責任によりまして示談、裁判等によって上積みをしていくというふうな点も検討いたしております。いま先生御提案の点につきましては、事故率に対する保険料の問題、それと自動車を運行いたします場合の責任関係が非常に区々でございますので、それらの点を総合いたしまして、保険技術的にも根本的な問題を含んでおり、責任法の関係強制保険の両方の面の問題を含んでおります、さような意味におきまして——すでにこの保険の制度、この自賠法の制度も発足いたしまして十数年になります、それらを総合いたしまして今後さらに根本的に検討を進めていきたい、かように思います。
  120. 松本忠助

    松本(忠)分科員 局長お話はわかります。この問題はいろいろむずかしい問題があろうと思います。私もいま提案にすぐ返事をしてほしいということではございませんし、十分研究をしていただきたい。財源がないということで、単に保険料の値上げ、現行の料率を上げるというだけではなかなか解決がつかない。そこで何とかドライバーにも一半の責任を負わせよう、この点についてはいろいろとまた今後研究をしなければならないと思いますので、十分時間をかけて研究してもらいたいと思うわけであります。  それでは次に移りまして、大臣にお尋ねいたしたい点は、最近の交通遺児の問題でございます。交通遺児が非常に多いということが話題になりまして、これに対しまして交通安全対策特別委員会におきましても、昨年十二月十九日に委員会を開きまして、そこでいろいろと協議の結果、翌二十日四党間で協議の結果、交通事故により親等を失った児童・生徒の進学援護に関し決議をいたしたわけでございます。当時、床次総理府総務長官も強力なバックアップをしてくれましたが、交通遺児の問題は大きな社会問題として取り上げなければならないと思うわけでございます。御承知のように昨年度の交通事故で死亡した方々の数字というものは戦争以上の悲惨な状態でありますし、一瞬の交通事故によって両親を失った遺児について、国ではもっと積極的な対策を樹立すべきではないか、こう私は考えておりますが、運輸大臣としてのお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
  121. 原田憲

    原田国務大臣 お話しのように交通事故にあう人々の中で、特に残された子供というものは悲惨な状況に置かれる、御説のとおりであります。こういうことのないように交通事故対策ということにつきましては私も懸命な努力をいたしておるつもりでございます。またお話しのように交通安全対策本部というものを政府はこしらえまして、総理府総務長官が中心になりまして、関係各省がこれに協力をいたして対策と取り組んでおります。  遺児の問題につきましては総理府総務長官からお話がございまして、私ども運輸省といたしましてもできるだけの協力をいたすということをお約束申し上げておる次第でございます。
  122. 松本忠助

    松本(忠)分科員 了解いたしました。  それでは次にお願いしたいことがありますが、それは地下鉄七号線の建設の計画について伺っておきたいわけでございますが、昨四十三年の四月十日の都市交通審議会の中間答申によりますと、地下鉄七号線の着工は昭和四十五年半ばごろ、このようにされておるようでございますが、この点について、着工の時期あるいはまた完成の予定、これはいつごろかを伺っておきたいと思います。
  123. 町田直

    ○町田政府委員 地下鉄の七号線につきましては、運輸大臣の諮問機関でございます都市交通審議会で審議をされまして、緊急に整備を要する区間として答申がございました。現在東京都と営団地下鉄と両方から申請が出ておりますので、これにつきまして今後両者の建設計画あるいは工事能力、その他路線網の有機的な形成等を勘案いたしまして、事業主体を決定いたしたいというふうに考えております。
  124. 松本忠助

    松本(忠)分科員 東京都、営団どちらからも申請が出ているというふうにお聞きしましたが、いつごろその申請は出たものでございますか。
  125. 町田直

    ○町田政府委員 営団からは昭和三十七年十月、東京都からは昭和三十九年六月の申請でございます。
  126. 松本忠助

    松本(忠)分科員 御承知のように本路線は目黒駅で目蒲線に接続する、一方赤羽終点のほうではそのまま赤羽どまりということになっておりますけれども、私どは赤羽終点をぜひ国電の赤羽駅へ接続をしてもらいたい。なおまた埼玉県の鳩ケ谷方面は、現在バスで連絡する以外に大量輸送ができないような状態でございます。したがいまして赤羽を終点としないで、川口、鳩ケ谷方面まで路線を延ばし、特に川口駅で国電に接続をするようにすると、現在の赤羽駅の混乱が避けられるのではないか、こう思うわけでございます。本路線の建設の時期がいつごろになるか、われわれとしても非常に待望のことでございますが、一日も早く企業主体をきめていただいて、着工をしていただくように御要望申し上げるわけでございます。  次に、国鉄総裁並びに国鉄関係の方々に住民の要望を取りまとめまして申し上げたいと思いますのでお願いいたします。  東京都の北区は、国電の東北、京浜線によりまして東西に二分されておりまして、東西の連絡が自由にできる自動車の通れる道というのがまことに少ない状態でございます。最近赤羽駅の南口が開通いたしました。これは橋上駅舎となりまして、このために南口についておりました自動車の通れる踏切が閉鎖されて、かえって不便になったという声もございます。現在赤羽駅の北側には踏切が二カ所ございますが、駅寄りの踏切は東北線高崎線列車の発着、貨物列車の通過あるいは入れかえ、こういうもので踏切のあく時間がまことに少ないわけです。渡線橋がございますから歩行者は一応これで通行できますが、車両の通行が非常に手間どって渋滞を来たしております。もう一つ北寄りにも踏切がございます。これは赤羽の貨物ホームの南側のところにあるわけでございますが、この踏切がいわゆるあかずの踏切といわれておりまして、駅寄りの踏切に輪をかけた交通の渋滞の状態がしばしばここに現出をいたします。こちらはバスも通っておりますし、また貨物のホームに出入するところの大型のトラックも非常に多いわけでございます。したがいまして住民が、特に住宅公団、都営住宅のほうへ帰られる方々が、非常な迷惑をこうむっているわけでございます。現在北区の赤羽台一丁目、三丁目を通る補助八十五号線が赤羽駅の貨物ホームに突き当たりまして、クランク型でただいま申し上げました踏切を抜けて東側の赤羽町二丁目に通じているわけでございますが、ただいま申し上げました踏切の渋滞を緩和する方法、解決策といたしまして、補助八十五号線を、八幡小学校というのがございますが、この小学校の付近から自動車の通行可能な地下道を掘りまして、赤羽駅の貨物ホームの下を通って京浜東北線の線路の下を抜けまして、東側の赤羽町二丁目、ここに寺院がございますが、その寺院の裏側を通って赤羽の都電終点付近に出るようにしていただくと非常に便利になる。これを開通されますと、北区の北部の通行がまことに便利になり、住民も大いに国鉄に感謝すると思うのでございますが、ぜひ国鉄側の協力をお願いいたしたいわけでございます。この点を伺いたい。
  127. 長浜正雄

    長浜説明員 赤羽付近の東西の交通がいろいろ踏切その他交通阻害を来たしておる事情、先生のおっしゃるとおりでございまして、渡線橋をつくったりそのほかいろいろなくふうをやっておるのでございますが、おっしゃるとおりの実情でございます。ただいまおっしゃいました赤羽一丁目、三丁目から東へ抜ける計画道路、これが地下道なりあるいは上を越えるということに、どちらになりますか、できますと非常に便利になろうかと思います。これは都市計画に基づきます東京都の計画道路工事になろうかと思います。その際には在来の地平の踏切をそういう立体交差のほうに移すということに、国鉄としても、先生のおっしゃるようにぜひ協力をしなければならない、できるだけの協力をして実現に協力したい、こういうふうに考えております。
  128. 松本忠助

    松本(忠)分科員 第二点は、東十条駅の北口の渡線橋のかけかえのことであります。  東十条駅の北口渡線橋は、この駅が下十条駅として開設いたしました当時から国鉄道路に沿って架設したものでございまして、現在国鉄の管理下にございます。この渡線橋に屋根を取りつける。そうすると、風雨の際に非常に乗降客が安全である、こういう意見があるのでございますが、この改修工事につきましては、国鉄当局も現場で改修しなければならぬということは認めてくだすったこともございますが、ただ屋根だけを簡単に取りつけるということは技術的に不可能である。基礎工事を伴う大がかりな事業になると難色を示したこともございます。しかし、その当時と現在ではまるっきり様相が変わってまいりました。この渡船橋を現在通行する者の八七%というものが国鉄の乗降客でありまして、その数が大体一日に約二万人前後、こういうふうになっております。しかもこの渡線橋は幅が非常に狭いために、そしてまた手すりがこわれておりますので、幼児の通行は危険でございます。したがいまして、ぜひこの渡線橋をかけかえて、そしてまた屋根をつけて、せめて幅員を四メートル程度にしていただきたい、こういう地元の強力な要望がございますので、この点についてひとつ御返事を伺っておきたい。
  129. 長浜正雄

    長浜説明員 ただいまお話しの東十条の北口にあります渡線橋でございますが、確かにおっしゃいますように、これは昭和六年ころにできました幅二・八メートルですか、三メートル足らずで、一般の通行をいたします道路橋梁ということで、上屋はもちろんつけておりません。これを上屋をつけてほしいという話も出ておりますことはおっしゃるとおりでございますけれども、構造がやはり上屋をつけないということでできておりますので、これに新たに追加するというわけには技術的にもちょっと不可能でございますということと、もう一つは線路を渡ります立体交差の道路ということで、大体原則として上屋をあまりつけておりませんのが実情でございます。ただ、いまお話しのように、この部分は幅が狭いので混雑するからというような理由もあるようでございますが、そのほかに、おっしゃいますように、いまの手すりがこわれておるとか云々という点につきまして、私、ちょっと実情を詳細に承知しておりませんが、そういう危険な点がございましたならば至急に補修したい、こういうふうには考えております。根本的にこれをかけかえるとかあるいは幅員を広げるとかいう問題につきましては、これは一般道路との関係もございまして、現在は国鉄の所有財産になっております。国鉄が管理しておるわけでございます。将来の跨線道路橋というような問題との関連もございますので、都とも協議したいと思います。  いずれにいたしましても、もう少し時間をおかしいただきたい、こう思う次第でございます。
  130. 松本忠助

    松本(忠)分科員 引き続き第三点目でございますが、上中里駅の田端駅よりの出口から国鉄線路のがけの上を通って、現在滝野川女子学園というのがございます。そこから左折して、北区上中里方面に通ずる通称青橋という渡線橋がございます。この渡線橋も最近通行がはなはだしく多くなりまして、特に車両の通行がひんぱんであります。このために上中里方面から上中里駅に乗降する者はこの渡線橋が唯一の通行路でございます。これを何とかして両側に歩道をつけてもらいたい、こういう希望が出ております。これが第三点の問題であります。
  131. 長浜正雄

    長浜説明員 御指摘の通称青橋に人道の側道をつける問題、私がいま聞きましたところ、もう東京都と協議が済みまして、向こうのほうから金も入ってきておる段階になっておるとかいうことで、国鉄側としても工事をいたす段階になっておりますので、間もなく実現することと思います。
  132. 松本忠助

    松本(忠)分科員 最後にもう一点ございます。  それは、田端駅の北口の駅前の混乱が目に余るものがございます。駅前にいつも自動車が渋滞いたしまして、田端大橋はいつも車が列をなしているわけでございます。この田端大橋の取りつけ道の東側、言うならば最下端のところ、これはちょうど田端駅の貨物ホームに出入りする口のところになっております。ここはトラックの出入りと変則四差路でございますので、車の通行が規則どおりいきません。いつもいつもここが渋滞をし、事故が起きております。それが結局北口の駅前付近の渋滞のおもなる原因となっているわけであります。そこでこの緩和策といたしまして、貨物駅の人り口の、ただいまコンテナ置き場になっております付近から、田端駅の南口付近に田端駅の構内の上部をまたぐ渡線橋をつくっていただけると、地元の方は非常に助かります。そうすると田端大橋のほうも大回りしないでも駅に入ることができる、これには荒川区、足立区方面の方も非常に賛成しておりますので、ぜひともこの計画について考慮していただきたいと思うわけでございますが、この点の御返事をいただきたい。
  133. 長浜正雄

    長浜説明員 この田端大橋の幅員、現在これは七メートル五十センチくらいであろうかと思っております。これはもちろん東京所管の橋梁でございまして、前後の取りつけ道路との関係上、ここが非常に混雑しておるようでございますが、地形上この辺は物理的に技術上非常にむずかしい場所になっております。この辺の解決のためには今後十分検討して、都市計画的にも検討を進めなければならぬことと思いますので、東京都のほうともよく相談していきたい、こういうふうに考えております。
  134. 松本忠助

    松本(忠)分科員 いろいろと御要望を申し上げましたが、どうか地元住民の利益のために、ひとつ勇断をふるってこの推進にあたっていただきたいことを希望しておきます。  以上で私のほうは終わります。
  135. 樋上新一

    樋上分科員 関連質問でございますので一問だけ国鉄側にお尋ねしたいと思うのでございますが、京都百四十万市民の十数年来の熱望であり希望であり、かれこれもう二十年を迎えようとする長い間熱望し、再三にわたって国鉄側に陳情もいたし、ようやく具体化いたしてきました国鉄の山陰本線の複線高架の問題でございます。この問題につきまして昨年京都市会の総務委員が参りまして当時の仁杉常務理事にお願いいたしましたところ、昭和四十四年度の予算にはいよいよ計上して着工するというお話を聞いて喜んでおった次第でございますが、本年になりましてもその予算は計上されない。その後の経過は一体どうなっておりますか。大体のところを御説明願いたい。
  136. 長浜正雄

    長浜説明員 山陰線の京都と二条の複線高架の問題でございますが、実は地平の鉄道を高架にいたしますといういわゆる都市鉄道の高架化の問題につきましては、もう御承知のことと思いますけれども、地方各都市から非常に強い要望が出てまいりまして、いままではそれほど都市が発展しておりませんでしたので地平のままでよかったのでございますが、いまおっしゃるように京都をはじめ要望が多うございます。全国で約六十件、いま出ておりますだけでも六十都市、総金額にいたしまして四千億ぐらいの工事費になろうかと思いますが、それぐらいの件数の高架化の要望が出ております。これをいままで実は昭和三十一年に国鉄建設省とで協定をいたしまして、この費用の分担方式をきめておったのでございます。これによりますと、在来線を高架にする場合には鉄道側と道路管理者側とで半々ずつ持とうじゃないか、こういうことをきめておったのでございます。その他若干のそれの附則のものもありますけれども、原則はそういうことできめておったのでございます。これによりますと、いまの四千億という工事費になりますと二千億ずつを国鉄側と道路側とで持つということになるわけでございます。二千億の金を高架加に費やしますには国鉄の財政上非常に難儀がある。しかも地方の要望が非常に強いということ、またこの都市の高架化というのは鉄道自体の要求よりも都市計画的、都市改造的な意味を持つということで、いろいろ建設省運輸省と御相談いたしまして、都市の高架化という問題の費用の分担につきまして、主として都市計画という立場から高架化をするという考え方に基づきまして、費用の分担方式も変えたわけでございます。近くこの協定がまとまることになっておりますが、基本線としてそういうことになりました。したがいましてその工事を実施いたしますにつきましては都市計画事業として行なう。これは都市計画としての必要性から高架をするのであるというたてまえから、また道路側の費用負担、国、県、市それぞれの費用分担の割合の関係のこともこれありと思いますが、都市計画事業として行なうということになりまして、来年度からこういう方法でやろうということにきまっておるわけでございます。そうなりますと、この京都——二条の場合も都市計画事業として行なうことになりますので、都市計画決定をまずいたしまして、それからこの高架化事業に取りかかるということになろうかと思います。そうでございますけれども、高架化をやりますについてはなかなか工事がやっかいでございます。それぞれの市で持っております道路を高架にしたりへあるいは京都の鉄道の構内あるいは二条の国鉄の構内との結びつきその他で、工事計画、設計、施行が非常にやっかいでございますので、その協定をまつまでもなく、国鉄といたしましてはその高架化のできますように、いま工事計画を進めておる、こういう段階でございます。
  137. 樋上新一

    樋上分科員 これは複線高架の場合と単線高架の場合と二つあるのですが、もともと京都市の願っておるのは複線高架であります。それが、いままで複線高架をやろうという計画がことしになって初めて単線高架でやるように方向が変わった。そして都市計画課のほうへそれをまかした。私は都市計画課のほうへ行ってこの問題を話したのですけれども、こんなものはいま初めてだ、複線高架のことをいままで考えていたのに、それだったらいままでの計画が全部白紙になってしまうではないか、なぜ国鉄は現在になって単線に変えていくのか、予算の関係上単線に変えて都市計画課のほうへ振り向けたか、その意味がどうも解せぬというふうに聞いているのですが、なぜそういうようにお変えになったのか。
  138. 長浜正雄

    長浜説明員 京都−二条のこの問題は単線高架というわけでございませんで、やはり国鉄といたしましては、京都から二条までならこれは複線にしても意味がないのでございます。京都からもっと奥の園部あたりまで複線にしよう、こういう計画でいま三次計画には組んでおるわけでございます。したがいまして、その計画国鉄は放棄したわけじゃないので、京都から二条までを高架にする場合にはもちろん複線を考慮いたしましてこれはやらなければいかぬ。われわれとしては複線にするというつもりでおります。  ただ工事をやります順序といたしましては、一ぺんに複線にするわけにまいりませんので、とりあえず現在あります分を高架に直しまして、そしてあいたところにもう一本の線路をつくる、いわゆる複線化をする。いま中央線の中野−三鷹あたりで行なっております工事と同じ方法を行なうことになりますが、われわれとしてはこれを複線高架でやるということには間違いないのであります。そういうつもりでございます。どうぞあしからず。
  139. 樋上新一

    樋上分科員 その計画都市計画課のほうではまだ徹底しておりませんね。急に変更になって、線増を伴わない工事になる、現在のものを上に上げていくということになりますと、再び複線にすることは難関であるということですね。その点をいまお聞きして安心したのですけれども、京都市はあくまでも複線高架を願っているのであって、単線ならもう早くできるのだ。今度再び複線にするということはとてもじゃないけれどもそんな工事はできない。再三にわたって陳情には詳しく出ておるのです。いま七条通り、五条通り、四条通りと三本のうちで、七条通りというのは中央市場を横にしたところですね、ここが交通がものすごいのですね。想像もできないくらいだ。日本一だと私は思うのです。東から西へ一万一千九百二十三台、西から東へ一万三千九百二十二台、二万五千八百四十五台が一日の量。そして遮断時間が三時間三十六分、時間最大遮断量は十七分八秒というのです。五条通りは、合計五万六千七十五台であり、遮断時間は二時間十二分、時間最大遮断量は十分四十五秒、いわゆる十五時、十六時ですね。それから四条通りは、東から西へは二万三百五十、西から東へは二万七百四十九、四万一千九十九台。遮断時間が二時間十二分、時間最大遮断量が十分五十秒。こういうぐあいになっている。これは御承知だと思うのですが、これだけ遮断されたらにっちもさっちも動くことができない。これは最大の遮断量だと思うのですが、この点をよく含んでいただきたいと思うのです。市民はいつかいつかと待っておって、もうことしだろうと思ったところがことしはまただめになった。そしてとどのつまりこの間陳情が来たら、あなたはもう都市計画課のほうへ送ってしまっている。寝耳に水だ、それじゃいままでのことは全部だめだ、こうなって非常に心配している。この点もう一ぺん大臣もひとつ事情を、いま話にありますとおり、よく了承していただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  140. 原田憲

    原田国務大臣 お話はいま詳細に聞かしていただきまして、あなたが最後に安心したとおっしゃっているように、工事の順序で、ひとつ単線をやっておいて、その次には複線もやらなければ意味がないんだということでございますから、この工事が終わりまして、線増について国鉄のほうから出てさましたら、私のほうでは協力するにやぶさかではございません。よくわかりました。
  141. 樋上新一

    樋上分科員 最後に、それではいまお話しのように、一日も早く確定してもらって、京都百四十万市民が首を長くして待っている問題でございますので、いまの御意思を統一してやっていただきたいということを最後に希望いたしまして、終わりたいと思います。
  142. 楯兼次郎

    ○楯主査代理 次に、伊藤惣助丸君。
  143. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 私は、最近の都市過密化に対処する都市開発の問題点、その中でも、都市開発の基点となる国鉄の駅の構造改善及びラッシュ対策について伺いたいわけでありますが、本日はあまり時間もありませんので、要点だけ申し上げますので、率直な大臣の答弁をお願いしたいわけです。  御存じのように、都市開発にあたりましては、特に副都心計画がございます。中でも、私は池袋副都心計画について伺いたいわけですが、あの池袋の駅の利用者は、何と一日に百二十五万人に達し、非常に混雑している駅であります。最近、赤羽線の増加、または八両編成の電車を十両編成にする、また時間帯の短縮等々によりまして、非常にその対策がはかられているようであります。ところが、駅の受け入れのほうはその後ほとんど変わっていない。こういう現状から、特に早朝等によるラッシュ時においては混乱が非常に激しい。中でも池袋駅の駅長は、もし事故が起こったときにはどうしようもない、常に、事故があったときには、命を捨てても何とかしなきゃならぬというような悲壮な決意で、現在そういうラッシュ時における整理等を行なっておるわけであります。この辺について、副都心の計画によるところの駅の構造改善について、どのような計画考えがあるのか、またラッシュ対策に対してどのような見通しを持っているのか、その点について伺っておきたいと思います。
  144. 長浜正雄

    長浜説明員 池袋につきましては、仰せのように非常に混雑しております。これは、御承知の東武、西武あるいは国電山手、赤羽線、それから地下鉄四号線というのが入っておりますので、非常に混雑しております。それに、近く地下鉄八号線がやはり池袋に入ってくるということになっております。それらを全部総合しまして、将来の計画を立てていかなければならぬ、こういうふうに考えております。いまのところとりあえずの策といたしましては、西武と国電との乗りかえの跨線橋の拡幅をするとか、あるいは地下鉄八号線が入ってきましたときの計画、これはまだ計画が固まってはおりませんけれども国鉄の連絡をどういうふうによくするかということの計画をするとか、いろいろいま考慮中でございますけれども相当問題が大きいので、まだ最終決定に至っておりません。
  145. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 その池袋副都心の整備に伴いまして、その構内の改革についてはいろいろ問題がありますが、時間がありませんから問題点だけを申し上げますと、一つは地下道の拡幅、跨線橋の設置あるいは拡幅、広場の整備、ホームの延長、こういうのがあります。いま考えておるとおっしゃいましたが、具体的にこれの計画、対策について、地元民や関係者の方々はいつ、どうするんだということをいつも言っておるわけであります。そこで大臣に聞きたいのですが、非常にたいへんなところでございますので、いつごろ計画されて、このラッシュ対策または駅の改革について手をつけるのか、その点の具体的な見通しについて伺っておきたいと思います。
  146. 原田憲

    原田国務大臣 いまの池袋の副都心対策についていつごろかということでございますが、具体的な問題については政府説明員のほうから説明をさせますが、根本的にはいま具体的にお示しのような拡幅の問題だとかいろいろな問題があるようでございますが、私は、この副都心対策というものが十分、また、できるだけ早くできるように指導いたしたい、こう考えております。
  147. 井上弘

    井上説明員 ただいま駅の拡幅、地下道、跨線橋につきまして国鉄からお話がありましたが、八号線が四十四年に着工いたしまして四十八年には完成する予定でございますが、その間の様子を十分よく検討いたします。いままだ具体的に検討しているところでございまして、日時はまだはっきりしておりません。
  148. 長浜正雄

    長浜説明員 ただいまの池袋の改良計画についてさいぜん私が申し上げましたのは、目先といいますか、いまとりあえずの問題点を申し上げたのでございますが、将来の問題といたしましては、仰せのように池袋は有数の混雑駅でございますので、大改良を必要とすると思います。いま私たち考えております計画については、いま実は工事をやっておりますが、四十七年度で完成する予定の武蔵野線と環状線ができることによりまして、現在山手線を通っておる貨物の相当部分がここにいくということになります。そうなりますと、池袋の改良はある程度手がつくのではなかろうかというふうに考えております。その時期からでないと大きな工事に手をつけることができませんので、それまでにわれわれとしては工事計画をきめたいというように考えております。ああいう大駅であれだけの大人数を処理しておる駅でございますので、工事計画と施行の段取りが非常にむずかしゅうございますから、切りかえ切りかえの工事をやらなければなりませんので、相当綿密な計画を立てた上でないと計画決定ができないわけでございますので、われわれとしてはそういう時点を目標にしたい、こういうふうに考えております。
  149. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 それにつけ足していろいろ聞きたいのですが、赤羽線の乗り入れがあるわけですが、これも単線でありまして非常に混雑しておるわけであります。これは複線にすべきではないか、また、そういう計画もあるやに聞いております。また、それに対する駅の受け入れ等も考えなければならないという問題もあるわけであります。その点に対して同じように、いついかなるとき手をつけていただくか、その点について伺っておきたい。
  150. 長浜正雄

    長浜説明員 仰せのように赤羽線はいま単線で、しかも、山手線の外回りとプラットホームを共用しておるというようなことで非常に混雑が激しいために、われわれとしましては、ホームを別につくりたい、こういうように考えております。そして、複線で池袋に持っていくということのできるような計画案をいま考慮中でございます。あの辺は線路が非常に入り組んでおりますのと、まわりに家がたくさん立て込んでおりますので、計画を立てますのに非常に難儀しております。これも、さいぜん申し上げましたように、武蔵野線の完成ができませんと、線路を一部撤去してそのあとにつくるというようなかっこうにせざるを得ませんので、工事の着工はその時期を待たざるを得ない、こういうように考えております。
  151. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 池袋は、計画工事に伴いましてますます狭隘になるわけであります。  そこで、これは大臣に伺いたいのですが、池袋は発展しておりますし、またその途上にあります。したがって、今後考えられる点は何が必要か、すなわち、乗りかえをするときに、地下道や、または人間が非常に多数乗ったり降りたりする集まる広場というようなものが非常に大事になってくる。また、何か事故が起きた場合には非常に事故が大きくなる。そういう点からもどうしても考えなければならないのは、駅前広場、こういうものをつくるべきではないかと思うわけであります。また、いま見てまいりますと、東西間はいま遮断されております。そういう点から考えましても、現在ある西武あるいはまた東武等のデパートの中間、すなわち線路の上に大きな駅前広場、あるいはまた駅のステーションビルというようなものをつくる考えがあるかないか。また、当然そのようにしなければ、さらに線路のあいている上、現在空間になっております上を利用するような方途をはからなければ、駅がいかに大きくなっても、また、たくさんの乗り入れがあったとしても、その点は、そういうものがなければ受け入れが非常に困難になるのではないか、こう思うわけですが、この点について大臣から答弁をいただきたいと思います。
  152. 原田憲

    原田国務大臣 いまの問題は、都市の再開発という広い分野から、私の担当する運輸行政としてはどう取り組むかという問題だろうと私は思うのであります。したがいまして、たとえば東京におきます場合には、その主体者である東京都知事がいまおっしゃっている池袋駅を中心とした副都心をどう計画してくるか、その際に、運輸省はこういうふうに協力してもらいたい、こういう話がございますならば、先ほども申し上げましたが、私は十分それに対応した努力を傾けたいと思っております。  この間もちょっと答弁いたしたのでありますが、この間ある学者が、国鉄がこれだけの財産を持っておって、それをうまく利用する方法はいろいろあるじゃないか、こういうような話が出ております。それらのことも知恵を出し合って、住民福祉のためにできるだけの努力をいたしたいと思っております。
  153. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 御存じかしれませんが、駅の東側には巣鴨刑務所があります。東京拘置所、そこには三十六階のビルが二むね建つ、それからまた西口にはやはり学芸大のあと地がありまして、そこにも高層ビルが建つといわれております。したがって、ますます池袋の発展、特に副都心としこの様相が盛り上がってくればくるほど、現在の状態の中では池袋はどうすることもできない、こういわれておるわけであります。現在ですらも、新宿よりもまさるとも劣らない乗降客があるわけであります。したがって、そのような新宿に比べても非常にホームも少ないし駅も小さい、その中で新宿にまさる乗降客数というものを扱っておるという現状から、どうしても駅前広場あるいはステーションビルというものの建設を、これは当然計画し、早急に実施すべきではないか、これは世論であると思うわけです。  その点について、総裁がいらっしゃっておるようですから、総裁からも一言伺っておきたいと思います。なお運輸大臣からも、そういう計画をいつのせるのか、また真剣に討議したならば、やはり具体的に推進するのが、また指導するのが運輸大臣であると思いますので、その点も最後に伺っておきたいと思います。   〔楯主査代理退席、仮谷主査代理着席〕
  154. 石田禮助

    石田説明員 池袋の問題、これは国鉄としてはもう上野駅とともに重大問題です。根本的にどうしようかということの案は立てておりませんが、この点については、新宿のほうはすでにだいぶ整備しましたので、ひとつ上野駅、池袋駅というような重大なところについては、根本的に思い切った手をやりたいということを考えております。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕
  155. 原田憲

    原田国務大臣 いま国鉄総裁からも答弁がありましたが、私、繰り返して申し上げますが、私のできるだけの努力をいたしたいと思います。
  156. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 ステーションビルとか駅前広場について、つくることに賛成なのか、あるいは、検討するとおっしゃいますが、検討した結果、だめだというならば話はまた別なんですが、その点について大臣からひとつ……。
  157. 原田憲

    原田国務大臣 駅前の広場をつくるとか、ステーションビルをつくるとかいう考え方につきましては、それはなかなかいいアイデアだと思うのです。それを計画を立てて国鉄のほうで努力をするということに持ってきますならば、私は当然協力をいたします。  いまの都市開発という問題につきましては、先ほど言いましたように、東京都あるいは池袋の地元の区ですね。住民一体となった考え方でもっていこう、こういうことでなければ、なかなか実際としてできない。そのことについて、私は十分御協力を申し上げたいと思います。
  158. 野原正勝

  159. 武藤山治

    武藤(山)分科員 新大臣に就任をされた原田先生にひとつ明快にお答えをいただきたいのであります。  私は、非常に具体的な真岡線の問題でありますが、その決断を聞く前に、私、国鉄関係は全くしろうとでありますけれども、ただ、借金がたくさんあって、たいへんだなということは非常に理解をし、大蔵大臣にも暮れの国会で、国鉄には思い切って一千億円くらいこの際政府資金を国債で発行したらどうじゃとまで実は主張して、国鉄の財政に何らかの抜本策を立てるべきだということの提言をいたした一人でありますが、今度の国会で運賃法の改正と国鉄財政再建促進特別措置法が上程されました。内容について云々申しませんが、この二つの法案ができることによって、国鉄は何とかこの窮状を脱し、再建の目鼻がつくのかどうか、これをまず大臣からひとつ承りたいと思います。
  160. 原田憲

    原田国務大臣 私が提案をいたしておりますこの法律案が成立をいたしましたならば、国鉄の財政を再建して、十年後にはようやく黒字にし、財政の立て直しということができると確信をいたしておる次第でございます。
  161. 武藤山治

    武藤(山)分科員 国鉄総裁、御承知のように、再建推進会議は三つの柱で答申ができておるように思うのであります。一つは財政支出、一つは受益者負担、第三には国鉄自身の合理化や赤字線、ローカル線の撤去、この三つの柱で国鉄再建策を答申したようでありますが、いま運輸大臣お答えでは、今回国会に上程されている二法案が通るなら、そういう考え方が年々推し進められていくならば、十年間で国鉄を黒字に再建できる、その場合には、ローカル線の撤去という方針は取りやめをして、ローカル線の赤字は、はずさないで何とか切り抜けできるのだ、こういう御理解でよろしゅうございますか。
  162. 石田禮助

    石田説明員 あの案自身からいえば、やはり合理化の一つとして赤字線の問題を解決していかなければならぬ、こういうふうなので、つまり、国鉄がこの十年間の間に立て直しする一つの問題になっておるわけでありまして、やはり赤字線を何とかしなければいかぬということは解消するわけじゃない、実行しなければならぬ、こういうことになるだろうと思うのです。
  163. 武藤山治

    武藤(山)分科員 いや、実行しなければならぬかどうかは、私はやはり国鉄にあると思うのです。また、最終的には運輸大臣の決断にあると思うのです。  そこで、地元民が非常に心配をし、もうほんとうに仕事も手につかぬというような実情に該当地域はあるのですよ。国会であまりこまかいことを議論するのもいかがかと思いますが、ローカル線沿線市町村住民は、国鉄が営業指数が高いからだめだというのだから、うんと乗ってやろう、各村別に旅行団をつくり、婦人会も農協も小学校も、とにかくみんないま国鉄線を利用して旅行団を編成してやっている。ところが、あれは駅で切符を売らないで、公社で買うとその駅の取り扱い実績に入らぬというようなことで、こんな不合理なことがあるかといって、私ども呼びつけられて、たいへん苦情を聞かされたわけなんであります。実は涙ぐましいほど国鉄利用にいま取り組んでいるわけです。そういう地域のことを考えてみると、たとえ答申の中に赤字ローカル線を撤去するんだという方針があるにしても、これは国鉄としては、せっかく明治以来、地方の開発のために、住民の利益のためにとやってきた線ははずさないで何とか再建できるのだ、こういう再建案を私は考えるべきだと思うのですが、その点は大臣いかがでございましょうか。
  164. 原田憲

    原田国務大臣 いま推進会議の中で示されておりますのは、一つの案でありまして、これは絶対的なものではないと私は思っております。いまおっしゃっているように、国鉄というものが廃止になる、これはやはりいかぬぞということでみんなが乗ってくれる。これはもう廃止する必要はない、こういうことでございます。国鉄というものがあるけれども、それは利用しない、これでは持っておってもしようがない、こういうことになるのでございまして、私はいまのお話を聞きまして、そういうふうにして皆さん方が国鉄を利用してくださるし、また利用するということは、ちゃんとそうした効果があるのでございますから、そのようなことについては廃止に結びつかない、このように考えております。
  165. 武藤山治

    武藤(山)分科員 大臣は民主的な政治家としてたいへん理解ある態度を示されました。大いに歓迎をいたします。  国鉄当局の常務理事お尋ねいたしますが、地方の赤字ローカル線を撤去する際の手続というのは、一体法的にどういうことになるのでしょうか。
  166. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 地方の路線を廃止するという場合には、地元と徹底的な協議をいたします。その具体的な最近の例といたしましては、九州の柚木線というのがございます。地元の佐世保市とずいぶん話しました。道路敷をどう使う、あるいは定期の運賃をどうする、その他こまかくやりまして、それによりまして、国有鉄道といたしまして総裁から運輸大臣に申請いたします。運輸省といたしましては、運輸審議会で御審議いただきまして、最後に大臣の御認可をいただく、こういう手続になっております。
  167. 武藤山治

    武藤(山)分科員 そういたしますと、運輸審議会の議を経て大臣決裁でできるわけですね。国会の議決や承認は全く必要ない、こういう手続になりますか。
  168. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 そのとおりでございます。
  169. 武藤山治

    武藤(山)分科員 水戸管理局からの国鉄当局に入っている情勢報告では、真岡線については大体どういう見解が示されてきておりますか。
  170. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 ただいまこの八十三線につきましては、徹底的な調査を国有鉄道としていたしております。たとえば、現在の沿線の市町村の人口、あるいはここにあります学校とか、あるいは沿線の産業、あるいは沿線の旅客の流動状態あるいは貨物の流動状態、それから道路の状態、さらに舗装の状態あるいは雪の状態、このほかに民間のバスあるいは国鉄バスの運行状態あるいはその運賃、それから沿線の市町村の自家用車の保有台数というようなものまでもすべて調査をいたします。  真岡線につきましては現在それらの調査を着々として実行しておる段階でございまして、さらに、今後といたしましては、国有鉄道全体といたしましてこれらの調査がまとまりまして、さらに地元の市町村あるいは県その他に出向きまして、この開発計画、それらの地区におきます開発計画等につきましてはひざを交えてお話し合いをする。真岡地区につきましては現在いろいろと開発計画がございますので、特に慎重に調査をいたしたいと思います。
  171. 武藤山治

    武藤(山)分科員 原田大臣にちょっと耳に入れておきたいのでありますが、この間、実は久保三郎委員長を先頭にして、国会議員五名で真岡線沿線の調査をしたわけであります。その際に水戸管理局から出された資料を見ると、故意に真岡線の営業状態があまりよくないということを示す資料をわれわれに提出したわけであります。具体的には、ここには九十万坪の日本住宅公団がつくった膨大な工場団地ができたわけであります。本年、神戸製鋼はじめ、十四の大きな工場が操業を始めるわけであります。ところが、国鉄当局の出した資料では三社しかない。それから、その付近にあるコロムビアの、三千人の従業員にいまなんなんとするそういう工場のあることがそういう資料に入ってない。それで真岡線は利用度が少ないのだ、営業係数が四〇〇だとかなんとかいって、もうローカル赤字線をはずすんだと、頭から管理局自体が何か考えておるような感じがする資料なんですよ。私もそのときにたいへん憤慨をしたのでありますが、一々調べてみますと、たとえば結城と下館との乗りかえの時間なども、いま一分早ければ東北本線の汽車に乗れるのが、途中で余分に停車する時間があって、わずか一分おくれて乗れない。こんなものは直す気になれば、もっと利用者の便利をはかれるようなダイヤの改正もできると思うのです。あるいは、北真岡という駅に便所をつくりたいと市長が申請を出した。そうしたら、その便所は許可せぬ。建物も市で持つし、くみ取りも市でやるし、一銭も国鉄には損害をかけないから北真岡駅の構内にどこかつくってくれという申請に対して却下したのであります。だから地元民は、もう水戸管理局は頭から真岡線は廃止するという考えがあるためにそういう意地悪をするのだろう——真相はそうでないにしても、そういう受けとめ方を地元民はいたすわけであります。まことにまま子扱いのような仕打ちではないか、こういうことで、地元の商工会議所の会頭や農協会長、市長から私は強く抗議を含めた苦情——いなかへ行くと、私たちがあたかも国鉄の当事者のような受け取り方をされるわけですね。国会で何でも議論し、何でもやれるように受け取っておるからわれわれにそういう苦情がくるわけであります。ですから私は、やはり廃止をもし検討するという赤字ローカル線についても、できるだけの便益と、ダイヤや施設や、そういう問題についても、金がかからずにやれる地元への協力体制というものはどんどんやるべきではないか、こういう意見をこの間局長に強く申し入れておいたわけなんで、事ほどさように地元の人たちは非常に心配をいたしているのでありますが、最後の決裁は大臣の権限でありますから、同じ政府が、真岡市内に九十万坪の工場団地をつくり、工場がいまどんどん来つつある、すでに十四社は決定した、そのときにあの路線がなくなったということになれば、これは重工業関係の工場は、材料運搬だって、あるいはその製品運搬だって国鉄をたいへん利用したいわけでありますから、そういう、片方では国の施策で九十万坪も工場団地をつくられるのに、今度は国鉄のほうはなくなってしまうというのでは、国の行政の統一性と申しますか、そういう性格が全くばらばらである、これはよくないと思うのであります。これは閣議の中ででも、当然運輸大臣としては行政の一体化というもの、総合性というものを主張してしかるべきものだと私は思うのであります。ひとつ、大臣みずからが実情把握のために日本住宅公団ともよく打ち合わせをしてもらいたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  172. 原田憲

    原田国務大臣 いまの話は武藤さんのお話だから、私はそのまま率直に事実として受け取りまして、ここに総裁もおられますけれども、そういうことをしたらいかぬですよ。ほんとうのことを言わなければならぬ。  いまの、そういうことなしとしないというのは、私もこの間大臣に就任したところですけれども、地元の今後の計画のときに国鉄側へ話をしに行ったところが、国鉄がそのときに協力しない、しないから、今度は地元の府あるいは市が国鉄にたよらない計画を立ててしまった、このごろになって国鉄がその計画をやってくれ、何言っているんだ、こういうようなことは私も知っております。赤字線の廃止というような問題につきましては、私の手元へくるまでには、いまあなたがおっしゃっているようなことが十分審議されて、私のところへきたときには、正直にいって、めくら判でいいというくらいに徹底してやらなければならぬ。石田総裁がこの問題について答弁されている中で、その地元へ行って、かわりのものがなければそれはやりませんというところまで話をやらなければ、私はやりません、それから審議会にかけて大臣の決裁をもらうのですから、こういうことを言っておられるから、この気持ちを実際に生かして国鉄側は赤字路線というものと取り組んでもらいたい。また、地元の方々にも、国鉄というものにこのごろ非常に愛着心というか、利用してやろうという気持ちを持ってきていただいたということは、私はけっこうなことだと思うのです。そういうようなことについて私も十分配慮して——住宅問題、通勤列車の場合、それから団地の場合なんかでも、運輸省へ相談しないでかってにやって、あと運べという事例が、おっしゃるとおり多いのです。私はきょうも自動車の問題で、自動車がふえていくという答弁をしたのですけれども、決して野放しにしたらいかぬと私は思っておりますので、あなたのおっしゃるように、行政について十分各省と連絡して配慮をしていきたいと思います。
  173. 武藤山治

    武藤(山)分科員 国鉄の事務当局でけっこうですが、御承知のように、地図で見てもおわかりになりますように、同じ栃木県内を走っている国鉄路線でも、真岡線は管轄が水戸管理局なんですよ。片方の鳥山線のほうは高崎管理局、しかも全部の線が同一県内を走っている。したがって、県との連絡とか議員との連絡とかは、茨城県に管理局があるために、非常に不便あるいは意思の疎通がはかれないという問題が真岡線の場合あると思うのです。そうして、出ていって乗りかえする下館も茨城でありますから、栃木県へ行くには、小山へ行くか、バスで宇都宮へ行くかという非常に不便な地形にあるわけであります。地元民が一番心配しているのは、そういう管理局が茨城県にあるためにまま子扱いにされないか、まさに盲腸線だといってまま子扱いにされて、調査もほんとうにその地域の実情をこまごまと詳細に真実を国鉄当局へ吸い上げることをしてくれないんじゃないか、こういう不安を住民はかなり持っております。そういう心配は全くしなくともよろしい、国鉄は、県外にまたがっていようと、公平に、ほんとうに事実を事実ありのままよく調査するのだ、こういう安心を住民にさせてよろしゅうございますか。国鉄態度はどうですか。
  174. 石田禮助

    石田説明員 私から御答弁します。  国鉄の局は、県とは別に何らの関係ありません。全くこれは国鉄の立場として考えるのでありますから、その点はひとつ御心配ないように願いたい。  それから、さっき水戸管理局の調査はきわめて真を得ていない、こういうことでありますが、こういうことは私はあり得ることだと思うのです。  そこで、この間からも繰り返し私が申し上げているように、最後の決は、地元民とほんとうにひざを突き合わせて、よく地元の方々の話を聞いてそこで検討していく、そして決定するので、決して国鉄独自の判断によってやるのではないのだ、こういうことを申しているのです。それですから、その点は、水戸管理局の調査が変だからといって、国鉄がそれをまるのみにするというようなことはありません。御安心願いたいと思う。それで、地元民と国鉄とひざ談判した結果、なおかつ、どうも形勢少し不安だ、国鉄というものはほんとうに真相をとらえていない、ほんとうの正当な判断を下していないというようなおそれがありますならば、どうぞひとつ運輸大臣に直訴なさって地元民の利益の擁護につとめられるようにお願いしたいと思います。
  175. 武藤山治

    武藤(山)分科員 総裁、正直なところ言って、私は石田総裁の勇気と決断にはふだん実は非常に敬意を持っている一人なんです。そこで、赤字ローカル線廃止までぶち出さないと政府は財政援助してくれない、なかなか国鉄のこれからの再建のめども立たない、そういう非常に高度な政治的な判断があっておそらく三本の柱が出てきたのだろうと私は推察をしていたわけです。本気で国鉄がばたばた八十三本の路線をおっぱずすということ、そんな乱暴なことが簡単にできるなどとはおそらく当局者も考えていないと私も思っているのです。  そこで、今度財政援助の法案ができ、やがては赤字ローカル線専門の国庫負担法なるものを考えるとか、あるいは社会党が今度国会に出した法案、こういうものをさらに両者が十分討議をし、検討して、もっと国の責任で地方の開発というものにも金を出すのだ、そういう世論と喚起するために答申というものは大いに意味はあった。ただ、その答申を何が何でも今度はやらなければならぬのだという姿勢ではほんとうにこれは困ったことになるので、いまの総裁は、地元で反対があり、地元と十分協議が整わない限り国鉄としては廃止をしない、こういう決意のようでございますが、地元の市町村、あるいは地元の自治団体を構成している商工会議所や農協やそれぞれの団体が、廃止されては困るという真岡線問題の団体をみなつくっております。そういうところと協議が整わない限り、国鉄総裁としてはローカル線廃止には踏み切らない、こう理解してよろしゅうございますか。
  176. 石田禮助

    石田説明員 そのとおりであります。国鉄といたしましては、地元民の立場に立ちまして事を決するのでありまして、国鉄の独自の判断だけでやるということは、絶対にいたしません。その点はひとつ御安心願いたいと思います。
  177. 武藤山治

    武藤(山)分科員 最後に、大臣に確約をしておきたいのでありますが、ただいま総裁お答えになったとおり、地元民との協議が整わない限り、国鉄当局が独自にとっぱずすようなことはしない。あなたの前任者の中曽根運輸大臣も、私どもの栃木県に来て、地元民の反対がある限り、私が大臣をやっている間はローカル線の撤去はさせない、実はこういう談話を栃木県でいたしたことがございます。そのあとを受けた新大臣の見解もそれと同じような見解と受け取っていいかどうか、ひとつ確認をしておきたいのでありますが、いかがでございますか。
  178. 原田憲

    原田国務大臣 私は、先ほどから申し上げておりますように、ただいまの国鉄総裁があなたにお約束したこと、これでなかったら私のところへ上がってくるわけはないと私は思っておりますから、赤字路線については、地元の関係、今後の問題等を十分検討をして対処していきたい、こういうことをあらためて重ねて表明いたしておきます。
  179. 武藤山治

    武藤(山)分科員 きょうはたいへん率直な答弁をいただいて、石田総裁、大臣の答弁は、私の採点でいくと九十点くらいの答弁をいただいたのでありますが、ただ単に国会の答弁として終わらぬように十分ひとつ——個々の地元の苦悩はやはりどうしても解消してやらないと、ほんとうに地域の開発もおくれてまいりますし、たいへんな経済的ロスにもなりますので、きょうのお二人の決意のほどを地元民にさっそく伝えて、今後国鉄の誠意ある再建にわれわれも協力をするということで、ひとつ大いに約束を守っていただきますように希望して、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  180. 野原正勝

  181. 平林剛

    平林分科員 私は、きょう本会議の開催を控えての質問でございますから、十分意を尽くせないかもしれませんが、神奈川県の相模湾において、現在伝えられておる新湘南港——名前は新湘南港ともいい、相模新港ともいい、あるいは新規港湾とも、いろいろな形でいわれておりますけれども、この構想をめぐりまして地元でもいろいろと意見がございますし、その構想自体についての問題点もございますから、これを取り上げたいと考える次第であります。  そこで、神奈川県では、県自体の第三次総合開発計画というものの中に、相模湾に新港建設を想定いたしまして、実は昭和三十九年から各種の予備調査をやっております。その調査概要という書類を見ますと、昭和四十四年で終了の予定になっております。一方、運輸省におきましても、私の承知しておるところでは、長期港湾建設計画、四十三年三月の計画では商業港として相模を指定しまして、首都圏の港湾施設の急速な整備の必要性を表明しておられるわけでございます。  そこで、実は神奈川県あるいは地元の住民は、こうした動き、また、この動きに伴う構想に対しまして、非常な反響を呼びまして重要視しておるわけでございます。特に神奈川県は、御承知のように、横浜港をはじめ、川崎、横須賀等、東京湾内に多くの港湾施設を擁しておるわけでございますが、実際にはこれが安保条約との関係もありまして、アメリカ軍に提供されておるというようなこともあり、この事態をほうっておいて、さらにここに新しい港の構想を立てるというのはどうも理屈に合わぬじゃないかという一つ考え方がありまして、反対なのであります。  それからもう一つは、いま伝えられておる新湘南港の予定地、これは平塚と茅ケ崎の相模川の河口で、これは神奈川県、いや神奈川県民だけでなくて、首都圏全般における整備をされた観光レクリエーションの場になっておるわけでございまして、ここに商業港ができるということは、そうしたレクリエーションあるいは観光との関係におきまして矛盾することになりはしないか。特に私どもとしては、湘南海岸というものの自然は保護したい、そして県自体としても、ここの湘南地帯における風光明媚なところ、観光地帯、そしてそのためにはいろいろな整備が行なわれ、首都圏をはじめ、各県からお客さんも来る、こういうことを考えますと、県の調和ある発展のために県政の重要な一環として自然は保護したいという気持ちがございまして、商業港をここにいきなり建設することに対しましては、賛成しがたいという見解もございます。同時に、すでに御承知のとおり、この湘南地帯は昔から非常に気候のいいところでもありますから、東京都からあふれ出た人たちはここに新しい住宅を求めまして、いわばこの地帯は一つの住宅地帯として発展途上にあるところで、良好な住宅地でもあります。そういうところに商業港というものが出現をしてまいりますと、今日までの住民環境の破壊、それから同時に、その港の設備のための新しい公害問題ということが発生いたしまして、ここにも問題が生ずる、こういうことでこの構想につきましては、どうもいろいろな批判と反対の空気が強うございます。  そこで、そういう空気の中で、運輸省のほうでは、これは第二港湾建設局の企画課長名による調査でありますけれども、相模新港調査というものが昭和四十三年十二月九日付で行なわれました。この調査の書類を読むと、この調査は相模新港の基礎データに資するため実施しておると書いてあるわけです。私は、この相模新港あるいは新湘南港に対する住民の反対、あるいは私がただいま述べました県の調和ある発展という点から見まして多くの批判があるのに、さらにこういう調査を進めておる、この意図は那辺にあるのか。既定の事実として、もうすでに政府のほうにおいては実施するつもりなのか、実際のところはどうなんだ、こういうことをお伺いいたしたいと思う次第であります。
  182. 原田憲

    原田国務大臣 いまお尋ねの新湘南港の設置問題についてお答えをいたしますが、いま平林さんの御質問の中にありましたように、神奈川県が昭和三十九年から相模新港開発に関する自然条件調査、経済調査等、諸調査を実施してきており、経済効果についてもコンサルタント等に調査委託している模様でございますが、まだ県としての調査結果は私どもは聞き及んでおりません。当省は、首都圏の陸上及び海上輸送の合理化をはかるため、東京湾のバイパス的商港の開発の必要性にかんがみ、昭和四十二、四十三年度において計四百三十万円の調査を実施してきておりますが、海象条件調査を主体とするものであり、まだ結果を得るに至っておらず、四十四年度以降さらに調査を継続する予定であります。  この問題は、港をつくる場合にだれがつくるのかということになるわけでございますが、これは管理者が県、あるいは大きな市では横浜市とか大阪市があるわけでございまして、国が港をつくるということは法律でないわけでございます。これは明らかにしておかなければならぬと思うのでございます。したがいまして、この間もこのようなことについて質問があったのでございますが、国としては、これから経済がどうなってきたらどうだというような問題の調査はやはりしておかなければなりませんが、港をこしらえるということになると、これは法律上の責任を持つものがここに港をこしらえたい、こういうことでなければならぬ、こういうことが根本にあるということを申し上げておきたいと思います。  なお、政府委員からこの問題について、もう少し詳しく答弁させます。
  183. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 ただいま新湘南港と申しますか、相模湾に港をつくるというような問題が政府部内においてはどの程度実現化しているのかというふうなことについての御質問かと思いまして、大臣の御答弁を補足いたしたいと思います。  御承知のように、私どものほうでは、東京湾の貨物輸送が経済成長とともにどんどんふえてまいりますので、将来においては、やはり東京湾以外から関東の内部あるいは神奈川県、埼玉県、そういったところへ海の窓口を必要とするのではなかろうか、こういう一つの構想を立てております。これは昭和六十年を長期的に見通したビジョンということでございまして、港湾局といたしまして——運輸省ではございません、港湾局の試案ということで発表をいたしております。昭和六十年におきますところの港湾のビジョンということで、こうなるんではなかろうか。そのビジョンにおきまして、あの辺、相模湾のところに一つ商港がほしいといったようなことを、実は簡単な地図に示してあります。これはどこという場所ではないわけでございます。  それから、昭和五十年を目標といたしました首都圏の計画でございますが、これは閣議に報告されております。これによりますと、やはり東京湾の貨物が相当伸びるので、私のいま言ったような構想を考えておりますが、この中には全然相模湾ということは入っておりません。これは茨城県の日立、それから鹿島、この二つの計画が入っておるわけでございますが、昭和四十三年から昭和四十七年までの港湾整備五カ年計画、これをただいま実施中でございます。本年度から実施いたしております。これは昭和四十四年度は第二年目になる港湾整備五カ年計画でございますが、この中には入っておりません。  したがいまして、そういう構想の段階であるということでございまして、先ほど大臣が申し上げましたように、国といたしましては、港湾管理者のほうからいろいろな要望がございます。それに対しまして、全般的な観点から、海象の問題とかあるいは輸送の問題を全般的にどうしなければならないかということの調査は実はいたしているわけでございますが、これが実現と結びつくということは、そこに非常に大きなギャップと申しますか、先ほど来大臣が言いましたように問題があるわけでございまして、御承知のように、港湾法は、港湾の開発、発展をはかる責任者といたしまして港湾管理者というものをつくっております。この場合は、これからできますところの相模湾の商港、こういったものはまだどこにできるかもわからない、したがいまして、管理者がまだだれになるかもわからないわけでございます。つまり、港湾の区域を地先水面とする地方公共団体が港湾管理者になるわけでございますが、神奈川県がなるか、あるいはまたどこの市町、茅ケ崎市がなるか平塚市がなるかわからないわけでございます。ただ、港湾管理者の設立に伴いましても、当然関係の公共団体の市議会の議決、そういったものが要るわけでございます。ましていわんや、計画自体につきましては、その後再三そういう地元の議決が必要でございます。非常に平たいことばで申し上げますが、ある学者は、新しい港湾法では、港湾というのは地元住民のものであるというようなことまで実は言っているわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃいましたような点は、私ども、港湾管理者ができましてから、こういう計画をつくりました、それで予算をどうぞつけてくださいという段階までは、建設の段階政府がこちらから一方的に積極的にこうしろと、こういうことは現行法のもとではない、こういうふうに思っております。  いまの大臣の答弁を補足いたした次第でございます。
  184. 平林剛

    平林分科員 大臣の答弁といまの補足説明をお聞きしておりまして私が感じますことは、やはり、将来長期的な展望に立って港湾局の試案として描いているものであるということでありますけれども、何かやはり国のほうが、首都圏全般のことから見てリードしているという感じを受けるのです。そうして、私は神奈川県の土木部の港湾課が昭和四十三年の二月に新規港湾調査概要というのをまとめておりますけれども、それを見ますと、この新港は京浜港の衛星港的性格を持たせる、また、神奈川県及び関東甲信地域の内陸工業に対応する商港にする、近代的な海運の合理化に即応する近代的な港湾にする、相模川河口に存在する平塚漁港計画を含めることもやむを得ない、水面積、用地等から勘案して相模川の河口にする、新規港湾の使用開始時期は昭和四十九年を目途にし、四十八年までの港湾貨物は横須賀港の拡張によるなどとこまかく書いてある。この発想は神奈川県自体から出るはずはない。先ほどお話がありましたように、やはり運輸省港湾局がリードしておるという感じでございます。  しかし、ただいまのお話では、昭和五十年を目ざしての首都圏からのいろいろな構想については、日立、鹿島があって、相模は入っていないというお話があったわけでございますから、そういう点では、どこまであなた方に真相を明らかにしてもらったらいいのかちょっと私も戸惑うわけでございますけれども、実際は四十四年調査が終わればすぐ実現ということに結びつかない、すぐに着手する、そういうものではない、こういうふうに理解していいのですか。
  185. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 国の調査は、おおむね御承知のように、波の向きの調査、波向調査というものを実はいたしております。これは科学技術庁がつくりましたやぐら、茅ケ崎の海岸にありますやぐらを利用いたしまして、それはいろいろほかの海象調査をやっているわけでございますが、港をつくるためのいわゆる波向調査をやっておりますが、これは大体四十四年で終わると思います。私どもは、国の調査は大体それにいたしまして、あとは県のほうで実は三十九年から調査をしておられるということを伺っているわけでございます。これは内容は全然伺っておりませんが、私も先生の御質問があるというので、土曜日に初めて実はこの資料を得ましていろいろと調べたわけでございますが、三十九年から五カ年間にわたっていろいろな調査をやっております。したがいまして、そのあと、またもう一年県のほうでも調査をされる、そして、いま先生のおっしゃいましたいろいろな地元の反対、そういったこともあるいは勘案して、将来港湾管理者になられるであろうところの、県だろうと思いますが、その県のほうで調査が完了いたしまして、そうすればその調査結果を拝見をいたしたい、県のほうから積極的に調査結果のことについて御説明があれば承ってもいい、そういうふうに考えているわけでございまして、着工につきましては、県のほうから計画に入れろとか、あるいはこの計画に予算をつけてくれという要求がございません限り、何も私どもとしては発動する意思はございません。
  186. 平林剛

    平林分科員 昭和三十九年から具体的調査が進められて、すでに三千三百六十万円の調査費が支出されておる。ことしは幾ら出してありますか。
  187. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 県の分については私存じておりません。国の分につきましては、御承知のように、まだ港湾事業調査費というものが全国で一本でございます。たしか一億二、三千万円だと思いますが、その配分につきましてはまだ全然やっておりません。というのは、全国各地におきますところの調査結果がぼつぼつ集まっておりますので、その継続調査幾ら要る、こういうことがまだございますので、まだ全然きめておりません。
  188. 平林剛

    平林分科員 今日までの調査結果の報告書というものを、大臣のお話ですとまだ知らぬというお話ですけれども、一番の責任者、主導的な形になっているあなたのほうはやはり御存じありませんか。それからまた、昭和四十二年かに運輸省のほうでも調査をやっておるわけですね。経済便益調査、これはあなたのほうでおやりになっていると思う。その調査結果はもうまとまっておるのですか。
  189. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 私ども全然聞いておりません。  昭和四十二年の調査と申しますのは、先ほど来申し上げました波向計を買いまして、それを取りつけまして一部観測をいたしたわけでございます。この波の観測と申しますのは、最低一年やらなければ問題にならない。大体三年くらいやりませんと、波のほうの調査というのは結論が出てまいりません。したがいまして、海象についても全然結果は聞いておりません。経済調査につきましては、目下第二港湾建設局で取りまとめ中ということで、四十三年度だと思いますが、これもまだ全然結果は来ておりません。
  190. 平林剛

    平林分科員 これは、相模が入っていないということであれば、心配を解消していいのかどうか、その点です。いろいろ調査をしたけれども、各種の議論もあるし、調査結果を見ての上でなければ判断できないということであって、進行するのか、それともこれは変わった形で首都圏全般の要望というものにこたえるようなことに移り変わっていくのか、それはどうなんですか。
  191. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 これはどうしようということは、私どもが実は主導権を持っていないわけでございまして、港湾管理者でございますから、管理者と申しますと、地元住民の意思が相当に尊重されるわけですから、地元の方の総意の問題だろうというふうに私は理解をいたしております。
  192. 平林剛

    平林分科員 ただ、この構想自体を見ますと、地元の産業を主体にする構想ではない。つまり、首都圏全般の経済的なことを考えて港湾の存在というものを考えておるということになりますと、かりに、そういう構想が管理者である県のほうからまとまったとした場合に、国はそれに対してどういう財政的補助をするのか、こういう問題が次には残ると思うのですが、そういう点はどう考えていますか。
  193. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 第一点、首都圏全体のというようなお話でございますが、私が聞いておりますのは、当初、神奈川県の西北部、この辺が軽工業あるいは住宅団地というものに相当発展をするということから、やはり県が調査されるには自分の県の発展ということもお考えでしょうから、そういう意味から県がスタートされたというふうに——これは間違っておるかどうかわかりませんが、聞いております。しかし、私どもは、首都圏——神奈川県も含めまして、埼玉県とかあるいは山梨県とかあるいは群馬県、首都圏全体のこういう海上輸送の窓口を開けば非常にいいんじゃないかなという構想でございます。したがいまして、多少ニュアンスは違うわけでございますが、その点は、やはり神奈川県の発展ということも考えておられるのじゃなかろうかというふうに推測するわけでございます。  また、第二点の神奈川県がまとめたらどうするかというような問題でございますが、まとまってきてからそれは考えたい、こういうふうに考えております。  一般的に申しますと、港の区域をきめまして、その地先水面の市町村と県、この二者でどちらが港湾管理者になるかということをきめまして、おのおの市議会や県議会の議決が要ります。その次に計画をきめるわけでございます。港湾管理者が計画をきめて、これでいいかどうか、そして予算要求をする、こういうことになりますから、計画をきめた段階から私どもは介入していきたい。そして、それがまたどういう計画であるか、これは私どもの判断だけではまいりません。首都圏整備本部のいろんな御意見も入ってくるでしょうし、最終的には大蔵省の予算の問題になりますから、予算の問題も入ってまいるということでございます。まだ計画は全然県からも聞いておりません。ずっと先の将来ではそういうことは考えるべきじゃないか、しかし、いま全然そういった点についてどうこうということは考えておりません。
  194. 平林剛

    平林分科員 確認しておきますが、結局、相模に港をつくる、相模新港だろうと新湘南港であろうと、そういう構想、具体的な措置は県がきめるものだ、県がもしこれは適当でないということであれば、それは県の問題である、国からどうしてもそこにやるというものではないということは、確認してよろしゅうございますね。
  195. 宮崎茂一

    宮崎(茂)政府委員 おおむねそのとおりでけっこうだと思います。
  196. 平林剛

    平林分科員 大臣、お聞きのとおりでありまして、この問題につきましては、今日まで私は県自体にも責任があると思います。この調査を三十九年からやってきたことを一般の県民にも知らせぬでやってきた。それが憶測に憶測を呼び、非常に住民の間でも問題になっておる。私は、県の態度そのものも、あたかも首都圏からの要請にあるかのごとき状態におくものですから、国全体としていかが考えを持っておるのかということをたださねばならぬということで、きょうの委員会におきましてその真相を確かめようと考えたわけであります。  ただいまのお話で、はっきりした点はございます。ただ、大臣にもひとつお考えをいただきたい。かりに、首都圏全般の将来の輸送関係等のために港の必要性が考えられるにいたしましても、神奈川県、つまり湘南一帯の立地的条件その他から考えますと、先ほど申し上げましたような幾つかの反対というか、適当でないという意見、事情、客観的な条件があるわけでございまして、大臣にもひとつその点は十分お考えおきをいただきたいということを申し上げたいと思うのですが、ちょっと感想を聞かしていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  197. 原田憲

    原田国務大臣 ただいま局長から答弁をいたしましたので、いまのところの結論は出ておると思うのです。  私は、この調査は決して無にならない、要らぬところの調査であってもやっておくほうが、長い将来、まあいまから五十年後に、こういったことを調査しておったか、これが役立ったかというようなこともあるわけです。そういうことが行き届いておらなかったら、世の中の政治というものは私はうまくいかないだろうと思う。私どもも、たとえば大阪湾の調査相当な金をかけて実行できてないことがあります。しかし、それは調査をやることによって、やってみて、これはということでいまやまっておるのです。いま私聞いておりますと、関東一円の首都圏の中でこういうことになってくる。そうすると、いまの横浜の港だとかあるいは横須賀の港だけでは足りないぞ、そうすると、どこかへ港を一つ持っていかなければならぬというようなことから神奈川県でも調査をしたのじゃないか、私はこう想像するのです。しかしながら、いま局長も言っておりますように、もしかりにそういう事態が起きても、それは首都圏全般の問題としてどこかに港をつくらなければならぬ、こういうようになりましても、神奈川県で、おれのところで調査したが、これは不向きである、あるいはまた、いまあなたがおっしゃっているように、現在の環境からいってもここは不向きである、こういうことなら、そこへ持っていくことはできない、こういうことになるのでありますから、私はそのことについてあなたのおっしゃっておることが無理ではないかという感じ——感じを言えということでございますから、感じを持って聞いておった次第でございます。
  198. 平林剛

    平林分科員 それで、私は一つ運輸省にも希望しておきたいのでありますけれども、この間おやりになったような調査は、産業界、それを利用する会社を主体としての調査でございますね。やっぱり港をつくる、それが特に県の主体であるということに相なりますれば、住民の意向というのはどうなんであろうかという点もやはり配慮をしなければならぬ。むしろこういう点が欠けているところが一番私は問題があると思うのであります。そういう点におきまして、運輸省もいろいろ側面的にその調査をする場合にはその意向も抜かりなく調査をする必要がある。いや、これは政府のほうではなく、県でやるというなら県でやらせるような指導面も十分行なわせるという配慮がやはり必要だと思うので、これは運輸大臣からひとつその点の御見解を承りたいと思います。
  199. 原田憲

    原田国務大臣 十分気をつけてやることにいたします。
  200. 野原正勝

    野原主査 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。     午後二時一分休憩      ————◇—————     午後三時二十七分開議
  201. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。佐野進君。
  202. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は運輸大臣に、大都市交通行政、特に東京都の交通行政を中心にして質問をしてみたいと思います。  今日の経済情勢を反映して、都市における交通事情が非常にふくそうしてきていることは、いまさら申し上げるまでもないことであります。したがって、ここ十年ばかりの間、大都市交通行政に対する対策というものは、非常に声を大にして叫ばれておるわけですが、そのわりに実効ある成果というものが出ていない、具体的に前進していることは事実でございますが。  そこで、大臣が就任されたとき、たしかある新聞なり何なりに、都市交通について非常に関心が深い、一生懸命やるのじゃないか、こういうような期待された記事等を散見いたしまして、私たいへん期待をいたしておったのですが、何か就任以来の業績というか、まだ時間がそうないわけですから具体的成果があがらないわけです。前大臣に比較すると夢というか希望というかあるいは具体的な政策というか、そういうものがあまり聞かれておらないということは非常に残念だと思うのですが、まず大都市交通行政に対する、特に東京を中心とする今日の交通渋滞対策について、大臣の基本的な考え方をお伺いしておきたいと思います。
  203. 原田憲

    原田国務大臣 最近における交通の著しい混雑及び渋滞の緩和、対策の強化をはかるため、政府は交通関係閣僚協議会を設置して、交通対策本部において、横断歩道の整備道路の不正使用の排除、時差通勤、通学の徹底、交通規制の徹底等について早急にその実施の推進をはかっております。  なお、次の事項について早急に検討を進めております。  大都市及びその周辺における道路、駅前広場、駐車場、自動車ターミナル等の整備並びに鉄道の高架化を促進すること。地下鉄の整備及び私鉄の輸送力増強を促進すること。バス路線の再編成等輸送の合理化を促進すること。バス等の大量輸送機関の通行の確保をはかること。交通管制施設整備を促進するとともに、交通規制の強化をはかること。また将来の都市交通問題の解決は、根本的には都市構造の改革と相まって行なわれる必要があります。今後とも大都市への人口、中枢管理機能の集中が今後も引き続き行なわれると推定されるので次の施策を講ずる必要があると考える。大都市の交通、特に通勤通学輸送は、大量輸送確保のため、鉄道の整備を強力に行なうこと、都心部のネットワークの形成及び郊外の延伸のための地下鉄網の整備をはかること、パークアンドライド、バスアンドライドを促進するため鉄道駅とバス、タクシー、乗用車の連絡を円滑にする十分なスペースの駅前広場を整備するとともに、都心周辺にバスターミナル、駐車場を整備すること、大都市の周辺にバスターミナル、トラックターミナルを整備し、交錯輸送を減少させるとともに、貨物輸送の近代化の方向に沿ってトラック輸送の合理化をはかること。これらは私のみではなく、交通問題と取り組んでおる政府の閣僚協議会で了解して、いま具体的にというお話でございましたが、私は昨年十二月、これらの問題を具体化するための予算と取り組んで、十分とはいえませんが、できるだけの努力をいたしてまいったつもりであります。今後もこのことについて努力を傾ける所存でございます。
  204. 佐野進

    佐野(進)分科員 いまお話しになったようなことについては、私どもたいへん賛成しておるし、またそういうことについてはいままでも各方面で声を大にして叫ばれ、あるいは政府も施策の中でそれぞれ取り組まれてきておることは、私もよく知っておるわけです。知っておりますけれども、それらの面について、さて運輸行政の面からどれだけの成果があがっておるか、あるいはそれらの面についてどのように運輸当局が積極的に取り組んでおるか、こういうようなことについては、行政的な指導としていろいろな面をなされておるではありましょうけれども政府があるいは運輸省がほんとうによくやってくれたな、こういうような印象を受けるような対策というものが、きわめてとぼしいように感ずるわけです。いわゆる羅列主義であって重点的に何がその中心だということがないわけであります。これは実現しなかったけれども中曽根前運輸大臣は、いわゆる都心地域における駐車場を設置するための具体的な対策というようなことについて、一つの構想を発表されて取り組みました。そういうような点が新運輸大臣において、おれはこういうことを大都市の交通行政の中において行なうのだという一つの夢なり何なりがあってしかるべきではないか、こう思うわけですが、大臣は、この四十四年度において大都市の交通行政の中で、そういう中心的な、おれの行政はこうなんだと言われるようなビジョンがあればお示しを願いたいと思います。
  205. 原田憲

    原田国務大臣 中曽根さんには中曽根さんの人柄があり、私には私の個性があるわけであります。中曽根さんが構想を発表されたけれども、結論は実現しなかったというお話でございますが、私は言ったことは行なうという主義でございます。正直に言いまして、私が就任いたしましたときに、本年度、四十四年度の予算の骨子というものはできあがっておったわけでございます。これを忠実に実現するということが、まず私の使命と考えて、十分とはいいませんけれども、先ほども言いましたように、四十四年度の予算全般にわたって、これならば国民の皆さん方におこたえができるということはやったつもりであります。何か一つ取り上げてみろというお話でございますが、私は、大都市交通の中の一つの問題は地下鉄であろうと思っております。この地下鉄の整備ということをどう思っているか、こういうことについて考えております。したがって、この地下鉄の投資のためには巨額な金が要る。もちろん開発銀行から低利な金を借りられるわけでございますけれども、それでも足りないということで、これに対する補助金でありますけれども実態をいうと、利子補給、これを実現するために私は努力をいたしました。大臣としてではございませんけれども、党によって実現をしたつもりでございます。今度はそのときに、具体的にということでありますから、具体的に申し上げますと、今度の予算でも大蔵省はまっ先にこの処置を満額に達するまでつけてきた、こういうことは、私の考えておることを常々大蔵省はよく認識しておったと思います。しかし、私はこれではまだ足りない。しかし、残念ながら私のときには実現することはできなかったのでございますけれども、なかなか一省だけの力では足りない。だから自治大臣が今度は地下鉄に対する補助体制というものを新しく考えようじゃないかという考えを述べて、私もそれに賛成をいたしております。来年度予算においてはこれが実現をするように努力をしてみたいと思っております。一例をあげればこういうことでございます。
  206. 佐野進

    佐野(進)分科員 それでは私はいまの大都市交通行政の大臣の考え方をただしましたので、大臣も言われておる幾多の問題があるわけでありますが、二、三の点について重点をしぼって質問をしてみたいと思うわけであります。  いまお話しになられたような幾つかの項目、その一つ一つを取り上げても全部重大な大切なことです。しかし、今日それらのことを実行しようとすることの一つには、いわゆる交通渋滞の解消、円滑なる都市交通事業の遂行、その他大都市の持ついろいろな交通に対する矛盾点をどう解決するかということに通ずると思うわけであります。  そこで、私は東京の都心部を中心にする交通状態を見た場合、何が一番問題になっておるかということを考えたとき、行政と運営のばらばらな状態、いわゆる一元化がなされていない、こういうところに今日の交通渋滞を招く、いわゆる指導体制においてもそうですが、管理運営、現実の運営体制の中においてもそういう面が出ておるわけでありますが、この交通一元化の問題について大臣の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  207. 原田憲

    原田国務大臣 交通の一元化については私どもも、先ほども少し述べましたけれども、今後、都市交通事業の一元化ということを推進していかなければならぬと考えております。まず一ぺんにということもなかなか参りませんけれども、いま、たとえば相互乗り入れを拡充していくというような問題に取り組む、そういうふうに可及的すみやかにできるものからでも取り上げていくことが大事であろう、このように考えております。
  208. 佐野進

    佐野(進)分科員 それでは具体的に質問しますが、大臣が最も重点をあげてこの仕事に取り組みたいと言われた地下鉄の例を一つとってみたいと思う。地下鉄の例をとっても東京には二つの地下鉄がある。それぞれ競合する条件がありますから、そたは条件として存在するということは否定しません。しかし、営団と都営とでは本質的にその管理監督というか、運営の基本というか、そういうものが違います。同じ都民なり国民なりの足を確保するという点においては同じでありますけれども。したがって、その面から来るいろいろな矛盾点がある。たとえば給料の問題にしてもあるいは運賃の問題にしても、それぞれ条件が違うことによって差が出ることは必然的であります。そのほか、いわゆる八幡、富士の大型合併ではございませんが、企業ロスとして発生するいろいろな問題点があろうかと思います。さらにまた今日地下鉄が、国鉄、いわゆる環状線ないし近郊における国鉄に相互乗り入れをいたしております。したがって、そういうような形の中において同じ線路上を地下鉄が走り、国電が走るという状態が出てくる。営団地下鉄と国鉄とはもちろんその性格を異にする、いろいろな条件が違っております。しかし、同じ線路上を走ることにおいては間違いない。あるいはまた私鉄の線路上を走っておる、こういうような形になっておりますると、これが全然無理がないということではなく、そういうことを行なわなければならないという歴史的な必然というか環境的な条件がそうなっておるということ、そうしなければ大都市交通行政というものは成り立たない条件になっておる。ただしかし違うのは、そこに対するところの管理監督というかあるいは経営というか、そういうものの差が存在するだけであります。だれが見ても矛盾点が非常に大きい。これが最も整備された、交通機関としては最先端にある地下鉄の現状であります。これがバス事業において見た場合、あるいはその他の交通機関において見た場合には、全くばらばらの状態が今日都市交通の混乱を招いておるやはり大きな原因の一つだと思うのです。これについては、かつて戦争前いわゆる交通調整法なるものがあって一時その調整をいたしましたけれども、その当時の交通事情と今日の交通事情は全くその趣を異にしておる。しかも複雑多様化しておる現状の中において、政府はそれは必要だ必要だということをもう何年も前からの書類を引っぱり出すと書いてありながら、何ら手をつけない。対策と取り組まない。近くからやるということであれば、何が一番近いか、どういうことをやるのか、やる必要についてどう考えるのかということについて簡単でけっこうでございますから、要点のみ御説明を願いたいと思います。
  209. 町田直

    ○町田政府委員 先生のだんだんの御指摘でございますが、まことにごもっともな点が多々あると思います。その中で、たとえば営団と都営との問題でございますが、これは先生承知のとおり戦後のと申しますか、戦前からですが、東京の地下鉄というものは営団というものに一本にいたしました。営団で一元的に運営してきたという事情でございましたが、その後非常に都市交通の需要が多くなりまして、一つでやるよりも二つでより以上の投資をしてやるほうが非常に緊急を要する地下鉄の建設に必要であるという観点から、戦後都がやるようになった、こういういきさつがあるわけでございます。現在もそういう事情は変わっておりませんので、いまお話しのような東京都営と営団との一本化という問題は当然前から指摘されておりましたけれども、まだまだ地下鉄をさらに力を入れて促進していく、こういう状態は変わっておりませんので、二本立てでやっていく、こういうことで現在のところいっておることは御承知のとおりでございます。したがいまして現在の問題といたしましては、先ほども大臣が御答弁いたしましたように、この間の調整をいかにするか、こういうことだと思います。利用される国民の皆さんの利便になるために、相互乗り入れを十分やる、それから運賃等についてもできる限りの調整をいたしていく、それから通算はなかなか相互の事情でできませんけれども、併算をいたします上でも通算に近いような措置をしていく、こういうことで、実態的にはできるだけ一本になるような形で運営をしていく、こういうことをいまやっているところでございます。  その他バスの問題あるいは国鉄の問題等も指摘ございましたが、それぞれ国鉄国鉄といたしまして、全国の運営をいたしておるわけでございますので、東京都の分だけを切り離して一つにするということも、なかなか現実の問題としてはむずかしい事情にあることも御承知のとおりでございますけれども、現段階におきましてはできるだけ一本で行なえるような具体的な運営の方法を考えていく、こういうことをやりつつ、何といっても緊急を要します地下鉄その他の都市交通の施設の増強ということに力を入れていく、こういうことを考えている次第でございます。
  210. 佐野進

    佐野(進)分科員 こういうことに時間をとっていると先に進みませんから、締めくくる意味で質問したいと思います。  いま言われたようなことについては、もちろん建設の促進が第一であるということについては私は否定しません。しかし国鉄の中における環状交通のいわゆる東京近郊を中心とする交通機関と営団地下鉄あるいは都営地下鉄、そういう鉄道機関との一体性というものはどうしてもはからなければ、今日の首都交通の混乱解消ということにはなかなかなり得ない。その他いろいろ複雑な問題があるわけですが、こういう点について私はこの際政府の、運輸省の中でけっこうですから、審議機関なり早急にこれらのいわゆる検討に着手する体制をつくるというお考えがあるかどうか大臣にお聞きして、次の質問へ入りたいと思います。
  211. 原田憲

    原田国務大臣 都市交通審議会というのがあることは御承知だと思います。これを十分活用いたしまして都市の交通問題に対処していきたいと思います。私は、最初にあなたがお尋ねになりまして申し上げましたように、都市交通問題というものには非常に熱心に、無能であるか有能であるかはこれから批判を仰ぎますが、一生懸命にやっていきたいと思っております。
  212. 佐野進

    佐野(進)分科員 それでは次の質問に入ります。  第二の問題は、さっき大臣から言われておりますけれども、今日首都交通の困難な問題の一つに路面交通の渋滞の問題があるわけです。したがってこの問題をどう解決するかということは、今日運輸省として果たさなければならぬ重大な課題であろうと思う。いわゆるモータリゼーションの進行に伴い、東京におけるところの車両数はまだまだ増加していく、特にいわゆる自家用乗用車の増加は不可避であるというのが一般的な見解であります。そういうような形の中で今日道路を広げていっても追いつかない、いわゆる高速道路をつくっても、羽田線が開通したとたんに高速道路であって高速道路の用をなさないという現状です。いわんや都心地域における交通渋滞を解消するというがごときことは、道路の拡幅その他いかなる手段を講じても車の増大にはなかなか追いつかない状態であります。したがってこの路面交通の渋滞をどうやって解決するか、この答えは一つなんです。いまさら言うまでもなく、それは時間的に大衆交通輸送機関を優先する政策をとる以外にない。これはさっきどうするか言われたわけです。問題はどのようにしてこれを行なうかということになると思う。したがってこの大衆輸送機関をどういうような形において行なうお考えであるか、優先の原則をどのような形において実施していくか、警視庁等においては交通監督の立場からそれぞれ対策をとって規制の面で処置されておるようでありますが、これについて運輸行政の面から警視庁その他との関連の中でどう処置されるか、私はこの際積極的にその原則を実施してもらいたいという立場で御質問申し上げたいと思うわけであります。
  213. 井上弘

    井上説明員 都市交通の混雑、これは自動車特に自家用車などの増大と関連いたしましていま問題になっているわけでございます。これを路面交通の渋滞化を抑制いたしまして円滑化する、そして公益の輸送機関に対する優先度を確保する、こういう方向でいくわけでございますが、その方法には二つあるわけでございます。  一つは直接規制の方法でございます、これは主として警察がいろいろお考えになりまして、現にいろいろの新しい方法に着手しているわけでございます。これによってかなり効果はあがると思いますけれども運輸省といたしましては、これと相まって、一応まだ勉強の、研究の段階でございますけれども、経済的な形でこういう路面渋滞の抑制ができるかどうかということを検討しております。それは都心のエリアの中に出入いたします自家用車を、一応勉強段階では考えたわけでございますが、それに対しまして、ある時間帯につきまして料金を課していくという方法でございます。この経済的な抑制の方法につきましては、よその国でもいろいろ検討しているところでございます。これに対しましていろいろの御批判もございますけれども、何としても目下の急務は、自動車が飽和状態にある。これによるにっちもさっちもいかない状態を何らか打開していかなければならないという状態にございますので、あらゆる手段が考えられなければならぬということが世界的な考えで、私どももそういったところを勉強しながら、経済的な効果ということ、それから技術的な方法等、これもたいへんむずかしい問題でございますが、研究して詰めていきたい、こういうふうに考えております。
  214. 佐野進

    佐野(進)分科員 もう大都市交通行政の中で路面交通の渋滞をどう緩和させるかということは、ニューヨークをはじめ、各近代的な都市の中で非常に大きな課題になり、それぞれ実効ある対策を立てておることは事実だろうと思うのです。私もそれらの都市に何回も行っておりますからよく知っておるわけであります。それに比較すると、東京の対策は——東京というか、日本の主要都市における対策は非常におくれておる。もちろん経済が急速に発展する過程の中で、それらの発展を阻害しないという配慮、そういうものがあります。しかし、これらは公共の名のもとに、いわゆるお互いの利益を守るという形の中で、若干制約をしなければならぬ場合、それはもう当然出てくるわけであります。そうした場合、大多数の人間を安全にしてすぐ運び得る状態をつくり出す、それには路面交通の中においては、当然大衆輸送機関を優先させる、その必要な時間帯において効果ある輸送を行なわせるということは、当然政府の果たさなければならぬ責任であり、それらに対する対策をもう立ててもらっておるとだれも思いたいのですが、実際上は、なかなか行なわれないのだというところで私は質問申し上げておるわけです。それも時間がございませんからこの辺で打ち切りますが、ひとつ積極的な取り組みをお願いしたいと思うのですが、大臣、見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  215. 原田憲

    原田国務大臣 いまおっしゃるように、あなたも世界の都市を見てこられた、私も見てきておりますけれども、どちらかというと、こういう問題は、私はもう政党政派を超越して取り組んでいかなければ問題は解決しないと思っております。率直に言わしてもらいますと、東京というところは日本のキャピタルで、中央政府とも直結もておる。都は、人口ももちろん一番多いところであり、何でも言えば、打てばすぐ響くところにありながらおくれておると私は思います。たとえば、交通の一つの問題である貨物ターミナルをこしらえて大きな車はそこでとめる。そこで乗りかえて——流通の中の一つの改善でも、私は、自分が大阪だから言うわけでありませんけれども、大阪では、そういう政策を打ち出したら、経済界も議会も、みんな一体になって、すぐ実行に移していこうということになる。どうも東京のほうは、国がどうするんだ、国がどうしたら都がどうするんだとか、とても議論は尽きないというようなことで事業がおくれていく。そしてその対策というものは、率直にいいまして、おくれていくということがなしとしないと私は思っておるのであります。こういうことは、政党政派を超越して、一つずつ取り組んだら実行に移していくということが一番大事ではなかろうか、私は忌憚なく言いますと、そういう問題がありはせぬかと思う。  今後ますます都市に人口が集中するといわれております。しかし、これ以上集中させることはどうかと思いますから、それに対する規制策も政策的にとっていかなければなりませんが、事実は、東京のいまの二十三区内に入る人口はあるいは少なくなっても、それのまわりの人口というものは逆にふえていくというようなことがございましょうから、これらに対しまして、私はいま、先ほど佐野さんも言われましたように、都市交通の審議会を通じまして案を立て、これに裏づけするところの財政支出なら財政支出というものをとって、できるだけやっていきますが、それに対応して、お互いに国民の皆さん方にも理解と御協力を賜わって、一日も早く解決できたら——私はこの問題は世界でもなかなか解決できないんじゃないか、このように思っておりますので、日本でひとつ実行してみたらそれこそたいへんな人類に対する貢献じゃないか、このように把握しておるわけでございます。
  216. 佐野進

    佐野(進)分科員 時間がなくなってきて、聞きたいことが一ぱいあったのですが、結論に入らなければならぬのですけれども、ひとつしっかりやっていただきたいと思います。  そこで、私は路面交通をそのような形の中で積極的に取り組んでもらうと同時に、さっき大臣が一番強調された地下鉄の問題になりますけれども、地下鉄の問題については、金額の問題、利子補給の問題、いろいろ解決しなければならぬ課題がありますが、これは大臣が一生懸命にやるというさっきのお話でありますから、これは省略いたします。  ただ東京の地下鉄の現況を見たとき、地下鉄をもっともっと掘らなければならないということで、前大臣も積極的に推進されていますが、いわゆる十号線、十一号線の認可等も行なわれて地下鉄の建設事業がたいへん順調に進みつつあることは、たいへんいいことだと私は思っております。しかし、まだまだこれでは足りない。しかも、まだ既存のすでに発表された計画路線である七号線ないし十二号線あるいはその他の新線というものについても当然取り組みをしなければならぬわけですが、これらについてはいつごろまでにそういう認可ないし取り組みをするのか、その見通しをお聞かせ願いたいということが一つ。  それからもう一つは、最後でありますから、時間がありませんから、国鉄当局に一緒に質問したいのです。  これは地域の要望であり、国鉄当局の積極的な御配慮があれば非常にいい状態ができるにもかかわらず、取り組みの不足しておるために、多くの住民の方々が非常に不便を感じておる事件について御質問申し上げたいと思います。  それは東京の南千住地域、いわゆる一名汐入地区と称せられるところでありまして、東京の中においても特殊な部落というか町の形成をしておる地域であります。この地域の中で、人口約一万七千八百、世帯数にして二千五百という世帯がありながら、出入口がわずか二つしかない。その一つは、国鉄のガードをくぐることによってそこの地域に入る。一つは、国鉄の運河を渡ってくることによってそこに入ることができる。いわゆる国鉄の運河を渡るか、国鉄のガードをくぐらなければその地域に入ることができない地域で、約一万人の人口と二千五百世帯近くの人たちが住んでおるわけです。したがって、ここにおける交通事情というものは、きわめて困難であり、徒歩によれば南千住駅へ出ることができますが、都心地域その他へ出る場合におきましては狭い橋、二台の車が交差することができない橋を渡ることによって交通が行なわれている。したがって、これらの地域における住民は、国鉄の運河地域の開放によってその交通難を打開してもらいたいということについて非常に長い間希望がありまして、国鉄当局との話し合いにおいて荒川区は千五百万円の予算を今年度、四十三年度計上して、国鉄当局の御協力がいただければ、ここに橋をかけるなり埋め立てをするなりすることができる状況でありましたが、国鉄当局の御了解がいただけないので、この予算がついに流れて、ことしもまたこの一万人に近い人たちが、いつ解決されるかという不安を持って送らなければならぬという状況になっておるわけでありまして、われわれに対して非常に強い陳情があったわけでありますが、たいした問題ではないと思います、しかも使用してない運河を処理するということでございますから、早急にひとつ国鉄御当局において善処されんことを——これはいま突然質問しましたので、おそらくおわかりにならぬと思いますが、おわかりになっていれば御答弁いただきたいと思いますし、わからなければ、至急善処していただくよう、その点についての総裁の御見解をひとつお伺いしたいと思います。
  217. 町田直

    ○町田政府委員 地下鉄の件についてお答え申し上げます。  現在までにきめておりますのは、先ほど先生がおっしゃいました八号線と十号線でございまして、経営主体の決定いたしておりませんのは七号線、十一号線、十二号線、こういうことであります。七号線につきましては、大体都市計画審議会の計画が四十五年から始まりまして五十年に完成する、こういうことでございますので、少なくとも四十四年度じゅうには事業主体を決定したい、こういうように考えております。それから十一号線につきましては、四十六年から実施いたしまして、四十九年に完成する、こういう計画になっておりますが、これは御承知の新玉川線との関連でございまして、あっちのほうの計画がかなり進んでまいっておりますので、四十六年度着工は若干早めるべきではないかというふうに考えております。これにつきましても同じような時期に決定いたしたい、こういうふうに考えております。どういう趣旨で決定するかにつきましては、両社の工事能力の問題とかあるいは路線の有機的な配分の問題とか、そういうことを中心にいたしまして決定いたしたいと思います。
  218. 長浜正雄

    長浜説明員 都市計画に基づきます街路計画その他につきましては、国鉄の用地の上を使うとか、あるいは線路の下を通すとかというような場合、いろいろございまして、そういう場合にはできるだけ国鉄も地方公共団体に御協力を申し上げて、十分地元の便になるように努力をすることをたてまえとしております。国鉄の業務に支障のない限り協力を申し上げまして、東京都内だけでも毎年数十億の工事を実施しておるような状況でございます。本件に関しまして、ちょっと私、存じませんが、できることなら善処したい、こういうふうに考えております。
  219. 佐野進

    佐野(進)分科員 総裁、どうです。
  220. 石田禮助

    石田説明員 実は私はこの問題について何も知りません。
  221. 佐野進

    佐野(進)分科員 それでは、これで終わります。
  222. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 浅井美幸君。
  223. 浅井美幸

    浅井分科員 私は、きょうは国鉄関係の、特に関西の関係のことでお伺いしたいと思いますが、昨日のわが党の北側委員の質問がございましたので、その話のもう少し煮詰まった話をお伺いしたい、このように思うわけです。  昨日、長浜理事のほうでいろいろ御答弁いただきまして、非常に進んだお話も伺ったわけですけれども、片町線は何かこの春までに複線化ができ上がるそうであります。福知山線の大阪−宝塚間の複線のお話がございましたけれども、この完成の時期はいつになるのでしょうか。具体的にひとつ示していただきたい。
  224. 長浜正雄

    長浜説明員 福知山線の複線電化の完成の時期は、いまのところまだ用地買収あるいは設計協議が進んでおりませんので、具体的にいつ工事が完成するということがまだきめられない状況でございまして、用地買収が完成いたしました暁に、その後の予算事情などを見ましてきめたい、こういうふうに考えております。
  225. 浅井美幸

    浅井分科員 きのうのお話は私たちや地元にとって非常にありがたい話だと思っておったのですけれども、これではいつできるかちょっとわからないという見通しで、非常に残念であると思うのです。  さらに、きのう内環状線で六両編成を八両編成に、いわゆる通勤対策は緊急な課題として——これは大阪市民並びに府民が毎日、朝晩においてこの混雑の被害をこうむっておるわけです。   〔仮谷主査代理退席、主査着席〕 この緊急対策として八両になさるというお話でありましたけれども、これはいつから八両にしていただけるのか、これもお知らせいただきたいと思うのです。
  226. 長浜正雄

    長浜説明員 いま大阪の環状線につきましては、ホームの延伸とかあるいは線路の有効長延伸とか、そういう工事を行なっておりまして、六両を八両にするための工事を行なっております。これのいま考えております予定は、四十五年中の冬ごろまでにはできるだけ完成したい、こういうふうに考えております。が、やはりこれも用地買収、設計協議などを伴いますので、できるだけそれを克服しまして、その時点までに完成するように努力をしたい、こういうふうに考えております。
  227. 浅井美幸

    浅井分科員 よくわかりましたのですが、では外環状線のことでございますが、何か高架を万博までに完成ということでありますけれども、では新大阪−加美間のこの外環状線はいつ開通できるのですか。これが工事が完成してこの付近の住民が望んでおるところの輸送対策がいつからできるのか、これをお知らせ願いたいと思うのです。
  228. 長浜正雄

    長浜説明員 外環状線の高架化は昨日も申し上げたのでございますが、そのうちいま問題になっております大阪、枚岡築港線の道路との立体交差の関係、放出から約三キロばかりのところと承知しておりますが、高井田の間の高架化を取りあえず急ぎまして、そして万博までにはその区間の高架化を間に合わせたい、こういうことでありまして、新大阪から加美まで全線の高架化という問題は、万博までには間に合わないということでございます。
  229. 浅井美幸

    浅井分科員 私はそんなことを聞いておるんじゃないですよ。高架化の話ではなくて、いつ旅客が乗れて走るのかと聞いたんです。万博までに高架化になったってひとつも旅客は乗れぬ。乗れるのはいつかと聞いておるのです。
  230. 長浜正雄

    長浜説明員 外環状線に旅客を乗せますためには、複線にしまして、そして線路容量をふやさなければなりませんので、複線にして高架にしなければなりません。そのために、再三申し上げておるますように二百五十億の工事費がかかりますので、いまのところいつ完成するというかっちりした計画にはまだ計画は立てておりません。
  231. 浅井美幸

    浅井分科員 それでは、阪和線の車両を増加する、これも通勤対策のために車両を増加するというお話だったのです。これはいつからですか。
  232. 長浜正雄

    長浜説明員 いま手元資料がございませんので、申しわけございません。
  233. 浅井美幸

    浅井分科員 それでは何もきまっておらぬのと同じじゃないですか。  総裁、申しわけないのですが、いまのような話のいきさつなんです。国鉄は第三次長期計画、いろいろなことをいわれておりますが、わが関西地区におけるところのいろいろな計画というものはいつまでかと言うと、一つもわからぬ。金もかかることだ。それは確かに私もそうだと思うのです。けれども、目標というものがあらかじめなければ、きのうこの分科会で答弁なさったことは全部ぬか喜びになってしまう。私たちが、地元の大事な問題ですからここで真剣に聞いておる。その聞いておることに答えておられた。それではそれはいつかと言うと、いつかわからぬ。それでは砂上の楼閣であって、幻影じゃないですか。こんなことで大阪地区の関西関係国鉄計画が、あるいは輸送対策ができておる、このように思われますか、総裁どうでしょう。
  234. 石田禮助

    石田説明員 この問題は私にはきわめてむずかしい問題であります。いずれにいたしましても、なかなかこういう工事というものは、立ててからいつできるかということの完成期につきましては非常にむずかしい問題だと思いますから、ひとつ国鉄としては最善を尽くしておるということだけは御了解願いたいと思います。
  235. 浅井美幸

    浅井分科員 ものを建設するのにあたって、その建設の時期の目標がなくて、そうしてやっておることは最善の努力をしておると信じてもらいたい。これはちょっと総裁のおことばとも私は受け取れない。ビルを一つ建てる、橋を一つつくる、みな工事計画というものはきまっておるのです。防衛においても、第三次防あるいは第四次防、第五次防、いろいろ計画というものは全部なされておる。国鉄においてどのような目標で、どのような計画でおやりになっておるのかと聞いたら、それを具体的にお示しはなくて、国鉄は最善の努力をやっておるのですから信じていただきたい、これでは国民は今回の値上げの問題等も含めて信頼することはできないと私は思うのですが、どうでしょう。総裁お答えしていただきたい。
  236. 長浜正雄

    長浜説明員 私のさいぜんの答弁が不足でございましたので。阪和線の六両運転はことしの十月の予定でございます。
  237. 浅井美幸

    浅井分科員 四十四年の十月ですね。  総裁、先ほどのいろいろなわからない点についてどうでしょうか。
  238. 石田禮助

    石田説明員 私は工事のほうのことにつきましては全くのしろうとなんであります。これは答弁できぬことは責任上はなはだ相すまぬことと思いますが、事実私にはわからぬ。これは専門家にまかしてその最善にまつよりほかに方法がないのであります。
  239. 浅井美幸

    浅井分科員 大臣、所管の大臣としていまのやりとりでどのようにお感じでしょう。
  240. 原田憲

    原田国務大臣 石田総裁は、責任は自分がとる、専門的なことはそれぞれの担当の責任者にまかしてやらす、こういうことを言っておられるのだと思います。私も実は大臣に就任をいたして間もないのでありますが、国鉄の事業について大阪を中心とするいまあなたのおっしゃっておるなには大体通勤区域の対策ということでありますが、これは第三次長期計画の中では実際取り上げられておるものは私にとっても不十分であったと思います。しかしこれは、完成をする、いまあなたが言われておる何年何月までにやるという問題については、たとえば片町線の四条畷までの複線電化、これなどは万博関連事業ということでそれまでに完成して供用開始するということになっておる。片町線の複線電化とかいうような問題は、これは地元の要望でございまして、国鉄側がこれをこういたしますというところまでこの長期計画の中には従来も入っておらなかった問題を取り上げて、これを何とかしようじゃないかということで御質問があるわけでございますから、石田さんは正直ですから、そんなことはわからぬとおっしゃるのは、これも無理からぬことです。努力だけは信じてくれと言われるのも無理からぬことだと思うのです。  それからいまの福知山線の問題にいたしましても、私自身もああした計画があるならなぜ早くやらないのだということをわあわあ言ってきたことは、あなたたちも一緒に陳情したほうでございますから、よく御承知のとおりです。あれはいまの山陽線との関係で、あそこを電化して乗り入れとすることについては、いまの山陽線のままではダイヤが組みにくいということで、もう一つ片町線と連絡して別に大阪市内を通過した地下鉄にするか、高架にするか、これをつなぎ合わせた計画で通勤、通学の構想をつくっていこうという考え方であるようであります。私はそれらのことにつきまして、大臣に就任をいたしましたので鋭意これから努力をいたしまして、あなたが言われておるように一体これは何年までにできるのだということに対してお答えができるように、今後努力をいたしていきたいと考えております。それが一つは、いま話が出ておりますけれども、いわゆる国鉄再建ということにからんでくると思いますので、どうぞよろしく御協力のほどお願い申し上げたいと存じます。
  241. 浅井美幸

    浅井分科員 先ほど内環状線のことをお尋ねいたしました。総裁も大阪のあのすし詰め状態は御存じだと思うのです。六両を八両にするのについては大阪市民、大阪府民の緊急の問題なんです。これは乗っておられない方はおわかりにならないかもしれませんけれども、あのしり押し、そして押されて通勤しておられる方。これが六両を八両にすると三割方この輸送は緩和されるというお話がきのうございました。このような朗報がいつからやれるのかというととは大阪府民の希望であると思うのです。それをいつやれるかわからぬ、これからホームの延長工事あるいは拡幅工事等をあわせてやっていくといつのことだかわからない、そういうようなあいまいなことではわれわれは困る。第三次長期計画だとか、いま大臣からも再建計画をよろしく頼むと言われたけれども、非常に私はあいまいだと思うのです。その辺をもう少し国民の納得のいくような、いつからなんだ、もう少しお待ち願いたい、いま四十四年十月に阪和線の車両増加がある、どのくらい車両増加をするのか、これも具体的におっしゃらぬ。一両か二両増加したからといって、それも増加にはなるでしょう。けれども通勤緩和のための大幅な緩和のためにはどうするのだ。四十四年十二月から、内環状線はこれを目標にやっておりますと私ははっきり答えてもらいたいと思う。
  242. 長浜正雄

    長浜説明員 内環状線につきましては、さいぜんもお話ししましたように四十五年十二月というのを目標にしてやっております。したがいましてその時点には六両が八両になろうと思います。これは非常に時間がかかっておるようでございますが、実は鶴橋のホーム延伸の問題だとか非常に混乱しておりますところの工事で、もう着工しておりますけれども、工程上どうしてもひまがかかるという区間、場所が相当ございますので四十五年の十二月でないと完成しない、こういうことでございます。  なお、三分を二分四十秒まで時間短縮をできるような設備も並行していま考えております。
  243. 浅井美幸

    浅井分科員 大臣にお伺いしたいのですが、大阪の都市交通審議会大阪部会から三十八年の三月に、この国鉄城東貨物線の複線電化と客車運行ということで新大阪駅への連絡の必要性について答申がありました。先ほど質問された方へのあなたの御答弁は、交通審議会の答申を非常に尊重なさる。この計画では、近畿圏整備計画あるいは国鉄第三次長期計画にも取り上げることになったので、この杉本町間についても五十年度までにぜひ完成してもらいたい、このようにありました。この計画では、昭和三十八年から四十三年度までに新大阪から加美間すなわち十九・二キロメートル、第二期工事として昭和四十四年五月から加美から杉本町、このように城東貨物線を利用しての外環状線の建設が答申されておるのです。これが全然いままで延びてきておるわけですが、この点どうでしょう。
  244. 原田憲

    原田国務大臣 あなたのおっしゃるとおり、私もあなたと同じ立場で今日まで参っておるわけであります。大臣に就任をいたしましてこの線の重要性というものも認識しております。これは決していわゆる政治路線といわれるようなものでもない、我田引水のものではないという立場に立って推進をしてまいりたいと思っております。何月何日までということになりますと、いまのところ——私は先ほども言いましたように言ったことは必ず実行するたちでございますので、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。
  245. 浅井美幸

    浅井分科員 総裁、いまのお話でいろいろ経過はおわかりになっただろうと思います。総裁として、この外環状線あるいは内環状線の問題等について今後どのようになさっていかれる決意かお伺いしたいと思います。
  246. 石田禮助

    石田説明員 こういう工事のほうの問題につきましては実際私は全くしろうとで、副総裁並びに技師にすっかり一任しておるのであって、そういう具体的の質問を受けましても私は何も御満足をいただけるような返事ができないことははなはだ遺憾でありますが、これはもう私は工事に関する経験がほとんどないのであって、この点はひとつ御容赦願いたいと思います。
  247. 浅井美幸

    浅井分科員 もう一つつけ加えて国鉄関係でお伺いしたいのですが、大阪の泉北ニュータウンの建設がなされております。この泉北ニュータウンにいま入居されていらっしゃる方もありますが、将来三十万都市ということになっております。この都市の建設といわゆる鉄道、足の総合計画がございますか。現在、国鉄に出ようと思えば片道バスが非常に高くて五十円かかっております。これは非常に近距離でありますが、高い。往復百円かかる。これらが通勤の費用になりますと、非常に高額な費用を要する。これに対する考え方を当局と大臣とにお伺いしておきたいと思います。
  248. 原田憲

    原田国務大臣 いまの泉北ニュータウンの足の問題でありますが、これは、いまは南海の高野線へつないで乗り入れるということで足を確保する。そのために、現在大阪にあります、浅井さん御承知の開発会社が、この路線を担当する申請をいたしてくれということになっておる、このように承知をいたしております。なお、私は将来はやはり大阪の市内の通勤者が多いのでございますから、結ぶ際には現在の地下鉄を延長して、これらを結ぶことが考えられないのかということを考えておるわけでございます。これは、私がまだ頭の中にあるだけでございまして、大阪府が責任を持ってそういうことをするといっておる問題ではございませんので、誤解のなきようにお願いしたいと思います。
  249. 長浜正雄

    長浜説明員 国鉄としましては、いまあります阪和線の中に出てこられる客のために阪和線の増強をするということを考えておる程度でございまして、新しい路線のことはちょっと違いますので、いま考えておりません。
  250. 浅井美幸

    浅井分科員 大臣にお伺いしたいのですが、いまちょっと話がございましたが、私の計画ではなくて三十万都市でございますので、国及び府等と相談していただいてこの足の確保を早急にやっていただきたいと思うのです。目前に迫った問題でありますので、またこれは緊急課題として、当然こういう三十万都市の建設というものはきまっておるわけです。これができ上がったが足がないということで地元の住民に不便をかけるというようなことがあるならば、これはまずいことになりますので、いま積極的な総合計画をしていただきたい、このように思います。
  251. 原田憲

    原田国務大臣 いま私が申し上げました前半の問題は、もうすでに確定をいたしておる問題でございますから、まず足は確保されることは間違いないということでございまして、後半のことはなお将来の問題を夢に描いたということでございます。
  252. 浅井美幸

    浅井分科員 次に、問題がかわりますけれども、最近飛行場の公害問題が出ておりますが、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律がございます。この騒音防止法の中でもいろいろと救済はされてきておるわけでありますが、これを地域住民の保護という立場からいろいろの措置が講じられております。  まず第一番に移転補償の問題でありますが、これは飛行場から千三百メートルですか、この範囲の中においての移転補償だけがいま対象になっておる。これを見ましても、だんだんと第一種飛行場、東京国際空港あるいは大阪の国際空港等は、ジャンボジェットですか、これがどんどん入る時代に入ってまいりまして、したがって、この法律の内容においてもう少し法律の内容の解釈を拡大解釈していかなきゃならない、あるいは一部は修正していかなきゃならない、このように私は感ずるわけであります。あるいは基地公害等で、飛行場等の基地公害が非常に問題になっております。これらに対する措置の一環として、まずいま申し上げました移転補償の範囲の拡大、千三百メートルをもう少し、二キロメートルあるいは二・五キロメートルくらいまで、範囲を拡大する意思はございませんか。
  253. 手塚良成

    ○手塚政府委員 民間の飛行場につきまして、先生指摘のいまの法律は一昨年からこれが制定されまして適用になっておるわけでございますが、これは軍の基地に比較いたしますと非常におくれて発足をいたしました。このジェットの飛行機が飛びます時期がだいぶおくれた関係でそういうことになっておるわけでございます。それで最近のジェットの飛行機の普及度合い、離着陸の回数等から見ますとそれが急速にふえているという事実があるわけでございます。ただいま法律の対象にいたしております東京及び大阪空港周辺におきまして、こういったジェットの離着陸のひんぱんな状態を前にいたしまして、現在、現状の法律対象範囲を整備すべく懸命に努力をいたしておるわけです。これを現状のままで整備いたしましてもなお相当な年月を要しないと、たとえば九十ホン以内というものの整備はなかなかおぼつかないというような現状でございます。来年度あたりにつきましては関係方面の非常な御努力を得まして予算的にも相当進展が見られるような措置をとったわけでございますが、それでもなおまだできないということでございまして、ただいまのところ、この範囲を直ちに拡張するという意思はございませんが、従来の範囲のものをなるべく早く検討するということに最大の努力を払いたいと思っております。
  254. 浅井美幸

    浅井分科員 大臣にお伺いしたいが、いまなるべく早くと言ったが、来年の末あるいはことしの後半——これはまたいま申し上げるように重要な課題となってきておりますが、これに対して大臣としてどのようなお考えを持たれますか。
  255. 原田憲

    原田国務大臣 いまお尋ねになっております移転補償の拡大はできる限りの努力をして、いま局長が言いましたように実現をしてみたい、このように思っております。
  256. 浅井美幸

    浅井分科員 もう一つお伺いしたいのですが、テレビ受信料の減免がございます。いま東京周辺の約一万五千戸、大阪周辺の約二万戸が減免になっておりますけれども、ほぼ半額ですか、これをさらに——現実はあのいまの対象よりもさらに多く、現にテレビ受信に非常に困っておる人たちはたくさんございます。これらに対する措置は将来どのように考えられるか、これをどうするか、もっとふやすかということでありますけれども、この拡大についてはどのようにお考えでしょうか。
  257. 手塚良成

    ○手塚政府委員 テレビの受信障害対策につきましては、いまの騒音防止法の中の対象にはなっておらないわけでございます。これにはいろいろ理由があるわけでございますが、いずれにいたしましても、私のほうとしてはこれは放置できないということで、実は昨年NHKその他といろいろ相談をいたしましてこれの対策機関といたしまして公益法人であるところの公害防止協会を設立いたしました。そうしてただいま先生のおっしゃいますような範囲につきまして対策を講じたわけでございます。いまおっしゃいますように、この範囲について拡大という方向でいろいろ地元からも陳情がございます。私どももごもっともな点もございますので、公害防止協会をしていろいろな事情をいま調査させておりますが、この調査の結果によりましてその必要性いかんによっては必要な措置をとりたいというふうに考えております。
  258. 浅井美幸

    浅井分科員 大臣にお伺いしたいのですが、いま航空局長からお話がございましたこの問題でありますけれども、これもやはり実情はいままで適用をされておる範囲が非常に局限されておる。ですからこれについての拡大を私はぜひ早急にはかっていただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  259. 原田憲

    原田国務大臣 できるだけ拡大をはかっていきたいと思います。これも浅井さんも御承知のとおり、苦労に苦労を重ねましてここまでもってきて、いまようやく発足したところですから、私もできるだけの努力はいたします。
  260. 浅井美幸

    浅井分科員 ではこの第一種以外のところでございますが、これらの点についてもひとつ十分考えていただきたいと思うのです。いま申し上げました移転補償の範囲の拡大あるいはテレビ受信料減免の範囲の拡大、これはいま早急な問題になっておりますので、ひとつ大臣、前向きの姿勢で取り組んでいただきたいし、全国にありますところのその他の飛行場の問題等もあわせて、この際全面的にこれらに対する公害として、——住民に被害を与えておる公害は大きないまの政治課題になっておりますので、これに対する対策を私はお願いしたいと思うのです。よろしくお願いしたいと思います。
  261. 原田憲

    原田国務大臣 いわゆる第一種の空港周辺とは少しは事情が異なるかとも思いますけれどもお話しのように公害という問題は、これからいろんな問題で人間が住みやすいように取り上げていかなければならぬ問題であると思いますので、前向きの姿勢でやっていきたいと思います。
  262. 浅井美幸

    浅井分科員 では終わります。
  263. 野原正勝

    野原主査 井上泉君。
  264. 井上泉

    井上(泉)分科員 わずか半時間ですから、簡単にひとつ質問をしたいと思います。   〔主査退席、仮谷主査代理着席〕  まず、これはもう大臣聞きなれたことと思いますが、本四架橋問題ですが、本四架橋問題については、大臣はあくまでも併用橋でなくてはならぬ、こういうふうに考えておられるのですか。
  265. 原田憲

    原田国務大臣 併用橋が望ましいと考えております。
  266. 井上泉

    井上(泉)分科員 それでは、望ましいということは併用橋を強く押す、こういうふうに理解していいのですか。
  267. 原田憲

    原田国務大臣 私といたしましてはさようにいたしたいと思っております。
  268. 井上泉

    井上(泉)分科員 それで、本四架橋が二線の建設ということを政府、自民党の首脳の方たちは常識的に言われ出してきたんですが、やはり運輸大臣としても二線建設ということについては可能だ、こういうお考えであり、同時に二線は必要である、こういうふうにお考えになっておられるのかどうか。
  269. 原田憲

    原田国務大臣 私は三線が可能であろう、こういうように考えております。
  270. 井上泉

    井上(泉)分科員 それは非常にけっこうなことです。その二線が三線可能であり、三線が着工されるということは非常に望ましいことでありますが、しかし昨年も、四十三年度じゅうに結論を出すと言われて、この間森本さんが質問されたときには、今度四十四年の六月までには結論を出す、こういうように言われておるんでありますが、見通しとしては、少なくとも大臣が起工式のテープを切るというような運びになるのかどうか、ひとつ承りたいと思います。
  271. 原田憲

    原田国務大臣 一体だれの大臣のことを言っておられるのか……。
  272. 井上泉

    井上(泉)分科員 これはあなたです。もちろん、あなたの大臣のときにテープを切るようになるかということです。
  273. 原田憲

    原田国務大臣 私の大臣がいつまで……。
  274. 井上泉

    井上(泉)分科員 まだなったばかりで……。
  275. 原田憲

    原田国務大臣 この間は私、いつまでもやっておれというようなことを聞いたんですが……。私はこの間おりませんでたいへん失礼したんでございますが、建設大臣が、この結論は七月ごろには出す、こういうことを言っておりますので、このことについては私もそのように考えております。
  276. 井上泉

    井上(泉)分科員 これは大臣、何かたいへん早くやめそうな御心境のようですが、そんな弱気なことを言わずに、少なくともおれの手で起工式はやるのだ、それでまた仮谷委員長で竣工式をやるというくらいの気概を持って進んでもらわぬと、また来年の委員会でもいつやるのかという質問をしなければならぬ。その点ひとつ十分くんでおっていただきたい。  そこで大臣に引き続いて質問をするわけですが、昨年工事費を発表したときに、建設大臣も運輸大臣もそれぞれ談話を発表されて、その中で船舶航行の問題についても調査をする、こういうことを言われておったのですが、船舶航行の問題は一体どういうふうに調査が進められておって、明石−鳴門、坂出−児島ルート等についてはどういうふうになっておるのか、その点についてひとつ。
  277. 原田憲

    原田国務大臣 この調査は海上保安庁に調査をさしておりますので、海上保安庁のほうから答弁させます。
  278. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話のございました航行安全調査の件でございますが、昨年の四月に建設省から本州−四国架橋計画の樹立にあたり、明石海峡及び備讃−瀬戸、児島−坂出ルートにおける船舶航行の安全に関する調査というものが海上保安庁に依頼がございまして、私どもといたしましては検討すべき事項が専門的に多々ございますので、学識経験者によります本四連絡架橋航行安全技術検討会議というものを設けまして、自後調査並びに検討をお願いしておるわけでございますが、その検討結果につきましてはまだ御報告をいただいておりませんで、近々その御報告をいただく予定になっております。
  279. 井上泉

    井上(泉)分科員 近々といいましても大臣は六月、七月には結論を出そう、こう言われておるのでありますから、それに間に合うような結論が出ないと本四架橋の着工の問題をどうするのかという話にはならないと思うのです。架橋の工事を始めれば十年後に完成されるわけですが、十年後を予想して明石−淡路のあの海峡、備讃−瀬戸の海峡というようなものを当然考慮に入れての調査であるのか。そうしてそれが近々というのは、目安をいつまでに置いておるのか、その点を御答弁願いたい。
  280. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 この会議におきます報告が、出てまいりますのは、当然全体のいろんな結論が出るのに間に合うような時点において出さるべきものでございまして、おそらくここ一両カ月の間には報告を受けることができる、こういうふうに考えております。
  281. 井上泉

    井上(泉)分科員 一、二カ月の間にその報告が出されるということですが、そうすると海上航行の安全等の調査の現在までの時点では、いまはっきりしたことは言えないと思うのですが、いずれにしても両海峡とも優劣はないが、橋をかける場合に両海峡とも、別段こっちの海峡がぐあいが悪くてこっちの海峡がぐあいがいいというようなことはないのかどうか。その辺の状況が把握できておれば、この機会に御答弁願いたい。
  282. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいままでの段階におきましては、お話がございましたように、いまだ最終的な報告をいただいておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんわけでございますが、いままでに、審議段階におきましてやはり問題となっておりますのは、架橋に伴いまして当然航行規制の実施が必要であろう。あるいはまた航路標識の整備、そういった対策を講ずる必要があるであろうということが一つの問題点になっております。それからまた橋がかかることによりまして、付近の海象関係の変化、あるいはまたそのような物体が船舶のレーダー映像にどのような影響を及ぼすか、このような点につきまして詳細な検討がされるもの、こういうふうに思います。
  283. 井上泉

    井上(泉)分科員 運輸大臣にもう一点、地方交通の確保という問題で、赤字バス路線に対して新たに補助が予算化されたわけです。この補助の内容等についてはまた運輸委員会で質問いたすことにして、この地方交通を確保するということは、これは単に住民の足を確保するというだけではなしに、地方の産業開発の面、あるいは社会福祉の政策の面からいっても非常に重要なことであるわけですが、こういう赤字バス路線があるというようなところに限って、今度国鉄は赤字線廃止という線を打ち出しておるわけです。そうすると、その過疎地帯においては住民の足を確保するどころではない。政府が寄ってたかって住民の足を奪おう、こういうふうな動きにあることを、われわれは非常に残念に思うわけです。こういう状態に対して、地方住民の足を確保するという面で、総合的な地方交通対策を樹立する必要があろうと思うわけですが、運輸大臣としてはどうお考えになっておられるのか。バスあるいは鉄道の官庁である運輸大臣としての見解を伺いたい。
  284. 原田憲

    原田国務大臣 過疎地帯における住民の足の確保ということにつきましては、再三述べておりますように、バスの場合は今度新しい施策として補助態勢をもってする、こういうことを考えておるわけであります。また一方赤字路線の問題に関しましては、その地方の実情というものをよく見て、その路線がどういう働きをしておるか、また将来どうなるかということをよく見て対処をしなければならぬ、こういう立場に立っておりますので、地方の足はできるだけ確保しなければならぬと考えておるのでございます。
  285. 井上泉

    井上(泉)分科員 道路局長がお見えになったが、本四架橋という問題が日程にのぼって、もう来年度あたりから本工事に着工されようか、こういう情勢にある。本四に架橋された場合には、四国島内の交通量といいますか、道路事情というものは非常に変わってくると思います。そういう点から本四架橋の実施に伴って、いわゆる地方道の国道への昇格、あるいは地方道の整備ということが非常に重要視されてくるわけですが、その前に、運輸大臣が三つとも可能だ、できれば三つやりたいとこう言っているし、道路局長は二線が可能だ、こういう答弁をされておりますが、この二線の場合に、明石−鳴門をやるという場合に、鳴門−淡路間を先にやるのか、あるいは淡路−明石間を先にやるのか。これは二つの橋をかけなければいかぬですが、一体どっちを先にやる予定になるのですか。
  286. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいま私のほうで、道路の単独橋といたしまして、本州、四国のおもな三ルートについていろいろ経済調査をしている次第でございます。これは御承知のように鉄道が併用する併用橋が二つございます。こういうことでいろいろ経済調査を鉄建公団その他とよく調整をとりまして、最終的などれからやるかをきめてまいりたいと考えております。そのときに何を先にやるかという場合に、いまのAルートの神戸−鳴門、この中でどういう順序にするか、そういうことまであわせて検討したいというふうに考えておりまして、いまのところどっちから先にやるかということははっきり申し上げられないような状況でございます。ただ技術的に言いますと、明石海峡にかけます橋と鳴門海峡にかけます橋は、鳴門海峡のほうが明石海峡にかけますものよりはきわめて簡単でございますので、技術的な問題からいえば鳴門海峡のほうが早くできるかと存じます。
  287. 井上泉

    井上(泉)分科員 この間の建設委員会でのあなたの答弁から推測をし、それからいま大臣の答弁からも想像すると、尾道−今治ルートは、国道に路線昇格を認定をして、国道の改良工事としてあの線はやる。明石−鳴門、坂出−児島ルートはこれはひとつ新しい法人なりなんなりで建設をされる、こういうことから同時着工、こういう旗を上げるような気持ちがするわけですが、同時着工によってばく大な予算が要るわけです。その場合にこれはやはり当然現行の道路整備五カ年計画の改定をしてやらなくてはならないと思うのですが、道路整備五カ年計画を改定せずにこれは別ワクとしてやるのかどうか、その点をお伺いしておきたい。
  288. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 いまの三ルートの中の神戸−鳴門の問題、児島−坂出の問題、また尾道−今治につきましても、これはまだ日本では経験したことのない長大橋でございます。現在関門のつり橋を計画して事業の実施に入っておりますが、それよりさらに規模の大きくなるものでございまして、現行の五カ年計画昭和四十六年まででございます。その辺までは、やはりそういういままで経験してない大規模の橋梁として海中の基礎の問題、風に対する耐風設計の問題、こういう問題で、二、三年はどうしても準備期間として必要になってまいりますので、いまの四十六年までの五カ年計画は変えなくても、そういう準備的な仕事はいまの五カ年計画のワクの中でできるというふうに私ども考えております。
  289. 井上泉

    井上(泉)分科員 それでは地方道の国道昇格の問題です。非常にローカルで恐縮ですけれども、百八十六線の申請がなされておるということです。高知県からは、私寡聞にして承知をいたしておりませんので、ひとつ何線の申請が出されておるのか、これは仮谷前政務次官に聞けばわかる問題だと思うのですけれども、ひとつ公式の場ですからあなたから御答弁をいただきたい。
  290. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 高知県から国道昇格の要望路線といたしましては現在八路線が出ております。これをちょっと言いますと徳島−木屋平−高知線、川之江−大豊線、宇和島−須崎線、宇和島−窪川線、中村−柳谷線、宇和島−中村線、津島−宿毛線、中村−宿毛線、この八路線で全延長が七百九十一キロの要望路線があります。
  291. 井上泉

    井上(泉)分科員 それであなたの答弁により、このうち約六十路線、こういうことになりますと、約三分の一ということになるわけですが、そうなりますと高知県から出ておる路線の中で平均的に計算をして三線は国道昇格が可能だ、こう見ておっていいですか。三線以上……。
  292. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 これは現在全国的な規模でいろいろ国道昇格を検討しておりまして、八線出ておりますけれども、この八線そのものが競合している路線もございまして、八を三で割るというようなことにもならないかと思いますが、現在できている中で将来の国道をいろいろ検討して、このうちのあるものは国道昇格に持ってまいりたいというように考えております。
  293. 井上泉

    井上(泉)分科員 それではこの間の答弁によると、これも大体六月ごろには結論を出される、こういうように言われておるのです。もう相当調査も進められておると思うわけなので、かなり打ち明けた答弁がなされて私は何ら不都合はないと思うのですが、私ども承知をせぬ路線もたくさんあるのです。たとえば須崎−宇和島線だとかあるいは窪川−江川崎の路線だとか、あるいは宿毛線だとかいうような幹線道に匹敵するような路線というものは、もうすみやかに路線の昇格というものを決定して、地域の住民を喜ばして、そして本四架橋と呼応したところの道路体系というものを四国の島内につくり上げていくということが、道路行政上当然のことだと思うので、これはひとつ道路局長、ぜひ積極的にやってもらいたいと思うわけですが、その点についてのお気持ちを聞かしていただきたいと思います。
  294. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 私たちいま、全国的な規模で国道昇格の路線の陳情、要望がございます線についていろいろ検討しておる次第でございます。御承知のように、国道昇格には、現在の道路法の第五条に国道としての基準がございます。それに合うことがまず必要かと思います。さらに、国道昇格は政令で指定することになりますので、その点は法制局との打ち合わせも必要かと思います。ただいままだ法制局の意見を聞いておりません段階でございますので、私たちいま検討しておりますが、どの路線とどの路線が昇格が有望かということはなかなか言えないような状況でございます。  ただ私たち、将来の国道の網といたしましては、ただいま二万七千キロの全国の国道網でございますが、将来の幹線として考えますのはその二倍ぐらいあってもいいのじゃないかということも考えております。ただこれには、やはり昇格いたしまして道路整備を進めるには財源が必要でもございますので、財源の問題とあわせまして国道昇格をなるべく早期に実施していきたいというように考えております。
  295. 井上泉

    井上(泉)分科員 それは大体、この間答弁されたように六月ごろを予定をしておる、こう理解しておっていいですか。
  296. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 この間大臣が六月ということを委員会お話しになりましたが、私たちもできるだけ早い機会にその時期に実施したいと思います。ということは、やはりその辺にきめますと、四十五年度の予算要求にもそれを織り入れまして要求できるという都合もございますので、大臣の意思を体しまして、できるだけ早い機会に実施していく所存でございます。
  297. 井上泉

    井上(泉)分科員 それで、国鉄総裁がお見えになっておるのですから、この機会に……。  国鉄の運賃値上げ問題というものが非常にやかましいわけで、これは運輸委員会でもなにしたいと思いますが、ずいぶん国鉄の値上げに対する宣伝をされておるわけです。これは、地方の新聞、それから朝日新聞とか、全国何十紙に、一体これほど半ページ大の広告をなぜなされたのか。その経費に一体幾ら使ったのか。それはどういう目的なのか。それをひとつこの委員会審議の参考のために、この場で聞かしていただいと思います。
  298. 石田禮助

    石田説明員 そういう大きなPRをやったということは、要するに国鉄というものの立場を御了解願いたい。これまでも相当にPRをやっておるつもりでございまするが、わりあいにわかっておらぬ。今度のこの十カ年計画なんというものは、国鉄としては非常に大きな仕事でありまして、これにうまく路線が敷かれてわれわれがその上に乗って走っていくことができるかできぬかということは、国鉄のもう大問題だ。いままでのようなことをやっておった日にはいつまでたっても国鉄というものは芽が出ぬ。この際思い切ってやらなければいかぬということで第三次計画をつくり、今度また十年計画をつくる。それについては国民一般の方の御了解を得なければいかぬということで、国鉄の立場を了解してもらうためにそういうことをした次第であります。
  299. 井上泉

    井上(泉)分科員 それは一体全国何十紙に広告をされて、どれだけの金をつぎ込んだのか。これはわかっておれば……。
  300. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 全国の新聞のうちで国鉄の記者クラブに入っております地方紙を含めましてほとんどの新聞でございます。
  301. 井上泉

    井上(泉)分科員 ほとんどといって、何紙……。
  302. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 いまちょっと数字は忘れましたが、各県の地方紙とそれから全国紙というふうに考えております。
  303. 井上泉

    井上(泉)分科員 それだけでなしに、週刊誌なんかにもずいぶん出していますが、それに要した経費はどれくらい使っているのですか。これは具体的な資料をいただいてまた委員会で質問いたしたいと思いますけれども、この機会に聞いておきたい。
  304. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 ちょっといま数字を覚えておりません。
  305. 井上泉

    井上(泉)分科員 それでは、あとあした運輸委員会もありますから、ひとつそれを全部出していただきたいと思います。  もう時間がないので最後に、これは運輸大臣に戻って質問いたすわけですが、いま運輸大臣は、地方交通の足を確保するためにいろいろ総合的な施策を立てるというような答弁をされ、それから今度の運輸省関係の重点施策の中に、何か地方交通運輸審議会とかいうようなものが載っておったように記憶をするわけですが、その構成とかその機関の設置について、これは大臣でなくてもけっこうですが、関係局長なり係の方から、この地方交通の足を確保するための総合施策樹立に対する運輸省としての計画を承りたいと思います。
  306. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  現行の自動車運送協議会というものがございますけれども、これはもっぱら自動車の輸送関係のみを扱っております。たとえば大都市交通の問題とかあるいは物的流通近代化の問題だとか、そういった新しい輸送構造の変革とかあるいは輸送環境の変化、そういったものに基づきまして、この際鉄道をも取り入れまして、そういった各種の陸上の輸送機関というものの総合的な施策等も含めまして、そういった問題につきまして陸運局管内の非常に重要事項を調査審議していただく、こういう趣旨で新たに地方陸上交通審議会という名前の審議会をつくる予定です。  それからなお、そういう趣旨でございますので、この委員会の構成につきましても、特に貨物なり旅客利用者あるいはそういった輸送関係の事業者、それから学識経験者とか、あるいはまた国または地方の関係の行政機関、そういった方々を委員にお願いを申し上げる。もちろん、その中には交通の労働関係の方も御参加願いますが、そういうふうに考えておる次第でございます。
  307. 井上泉

    井上(泉)分科員 もう最後です。  運輸交通というのは、これも御承知のとおり、もう国民経済、社会生活の不可欠な問題ですが、それが国鉄は運賃値上げをして、値上げをする一方にはまた赤字路線を廃止をするというふうに、地方の住民の足を奪おうとする、産業を破壊しようとする、そういう方向にあるわけですが、地方交通、地方の運輸機関というものを充実さすということが、これは国土開発上きわめて不可欠なことでありますので、その点で運輸大臣としてはもっと、たとえば明石−鳴門の橋の起工式のテープを切るのを私がやれるかどうかわからぬというようなことではなしに、やはり積極的な施策というものを打ち出していただきたいと思います。そうしないと、これはほんとうに地方の荒廃というものは目に余るものがあるわけなので、その点をぜひひとつ運輸大臣として留意をしていただきたいと思います。ひとつ決意のほどを承って私の質問を終わりたいと思います。
  308. 原田憲

    原田国務大臣 井上さんから、たいへん私に激励のことばをいただきました。できれば、私は現職の大臣としてこの瀬戸内海に画期的な、日本の将来を象徴するような、世界で初めての、世界最大の長大橋の起工式のテープを切ることができることを願っております。これはひいては、あなたがおっしゃるように、四国地方だけではなしに、日本全国の発展の基になるルートであろうと私は想像をしております。したがって、いま非常な過疎地帯の悩みをお話しでございますけれども、これらの施策が行き届いていきますならば、日本全国それぞれ所々の特色を発揮した住民生活が行なわれる、このように私は思いまして、過疎地帯に対する対策といたしましても、なお一そう十分な努力をいたすつもりでございます。
  309. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 次に、枝村要作君。
  310. 枝村要作

    枝村分科員 昭和四十一年の七月に開設されました山口県宇部市の宇部空港に関する問題について質問いたしたいと思います。  これは地元の住民が一致して強く要求しています、いわゆる約束履行の問題と、それから生活の安全を脅かす問題が三年たった今日まで尾を引いておりまして、しかもそれは未解決であり、これからも全然解決の見通しがない。そうしてその紛争はますます拡大していく状況にありますので、この問題に関係を持つ運輸省当局の明快なる答弁を受けて、早期解決のめどをつけて、地元の住民が安心して生活できるようにしたいと思っておるのであります。  問題のいきさつについては、しばしば陳情その他のいろいろな方法で運動がされておりまして、関係当局の方々よく知っていらっしゃると思うのでありますが、念のために簡潔に、そのいきさつをいまから申し述べていきたいと思います。  その前に四十三年十二月十日付で、地元の空港対策委員会委員長、副委員長名で運輸省当局に対して申し入れがあります。参考の意味でひとつ読み上げてみます。    宇部空港の運輸にかんする件   去る昭和四十一年六月五日首記空港開港に当り、山口県知事と当委員会との間に「宇部空港にかんする協定書並びに諒解事項」を締結しましたが、その経緯、内容については、航空当局は充分御承知のことであり、また、世間一般周知のところでもあります。   甚だ恐縮でありますが、ここにそれを要約しますならば、滑走路の方位と標高等にかんし、大臣の許可条件を無視して完工され、しかも遺憾にもあとで、さらに、そのような誤った方位、標高等を官報告示の権威を失墜してまでも、追認許可され開港を敢行せられたのであります。世間からいわゆる「政治空港」だと称せられるのも故なしとしません。   このため空港東側の当部落民にとっては、不必要に危険にさらされることになったのでありますが、開港直前に企業の公共性にかんがみ、忍びがたきを忍んで当委員会は、県との間に「向う三ケ年を目標に安全な新滑走路を新設する」ことを、骨子とした協定書を締結し、そして部落民挙つて、必らずやそれが実現されるものとの信頼のもとに、紛糾した事態を一先ず紳士的に解決し、開港を祝福した次第で、このことも既に御承知のことであります。   ところが協定締結後既に二ケ年半にもなります現在、県側の不誠意のためか履行の曙光すら見ない現状で、このまま推移すれば協定は反古となること必至で、早くも本件は部落の枠を超えて、政治的、社会的問題化しようとする形勢にあります。   現在県当局は周知の如く、協定期間内における解決の意思はなくむしろ、それとは逆に条例を変更し、乗入れ航空会社と共に(一)夜間で飛行すべく、また(二)飛行着陸回数を増すべく、その運航時間帯の変更等を企画中であります。   右協定実現をみない現段階において、更にかようなことを許可されることになれば、三部落二千の住民の危機感は倍加するものと憂慮するところであり、かような企画は道義的にも著しく欠くる処があり、また運輸御当局の権威回復どころか、むしろ一般の不信を招くこと必至であると確信いたします。   何卒大臣におかれては、宇部空港の現状が如何なる時点におかれているかを御賢察下さいまして、空港の運航等については、右協定が実現後におとり上げ願い度く、また協定実現方についても県当局に対し格別の御指導ないし御勧告を賜りますよう重ねて陳情申し上げる次第であります。  以上が、先ほど言いましたように十二月の十日付で当局に提出されておると思います。いまは参考のために読み上げただけであります。  それで、四十一年七月の一日に、いわゆる空港開設に至るまでに、施設の変更の許可が三度にわたって行なわれているのでありますが、その中で一番問題になるのは、いまもありましたように、滑走路の方位と飛行場の標高のミス、それに基づく変更であると思うのであります。  昭和三十八年、山口県知事から申請があってこれを許可した方位は北五十五度、標高は五メートルであったのでありますが、いわゆる地元住民の意向を十分にくみ入れたために北五十七度に、いわゆる二度振りかえたのであります。その理由は、言うまでもなく二度振りかえれば住宅地の上空を避ける離着陸コースになるからであります。これは非常に民主的に地元の意見を取り入れたということで、これはたいへんけっこうなことであります。それに基づいて申請がされて、変更されて許可されたのでありますが、その時期が四十年の四月であります。住民はこれによって非常に安心感を覚えるし、これでまあまあということで、解決はされたものと見ておったのであります。  ところが、どうかということでありますが、工事が進むにつれまして、どうもこの協定のように五十七度の方向で滑走路がこしらえられておらぬような気がする、おかしいということが地元民ではささやかれておった。しかし、工事進捗中でありますので、どうすることもできませんので、終わってから検査しよう。——検査はもちろん県当局がやるのでありますが、検査してみたところが、滑走路の方位は北五十四度四十六分、標高が二メートル八十六になっていることが、機械で出すのですから、はっきりしてきたのです。このことは、言いかえれば、住民と県当局で話し合って、了解して、住宅街の上空を避けるという、これが完全に踏みにじられて、飛行機の離着陸が、いま言いましたように住民の住宅の上を通って、いわゆる生活の安全を脅かす、重大な問題になってきたのであります。  もちろん、検査の結果知事はたいへん驚いたことであろうと私は思う。このままでは、四十一年七月一日から開港することはできなくなる。だから、どうしても告示を変更しなければならぬということになってくるのです。そのためには、先ほど言いましたように、住民との懇談会、そういう意見を聞くといういきさつもそれまでいろいろございましたので、地元と十分話し合いをして、その上に立って告示を変更しなければならぬ。さらに、そのことができぬ限りにおいては空港の認可すらも得られない、そういう立場に当時あったと思う。ですから、県当局が必死になって地元の住民と、先ほど言いましたように接触を開始した。そして、いろいろその内容はありますけれども、宇部空港に関する協定並びに了解事項を県知事と空港対策委員会の正副委員長あるいは部落会長の名でその間における公文書が取りかわされ、そして妥結した。そういういきさつであります。その申請に基づいてまた三たび滑走路の方位の変更、標高の変更というものがなされた、そして七月一日にはいろいろ問題はありましたけれども、宇部市民あるいは山口県民の祝福を受けて開港された、こういうことになっておるのであります。  それで、先ほどの地元民の陳情書にもありましたように、その人たちの気持ちは、空港のできることはきわめて大賛成でありますし、いささかもその間にイデオロギー、政治色というものは一つも介入されておりません、純粋な立場であったのであります。あくまでこれは実のある社会生活の環境の安定を要望するというところから出発しておるのでありまして、協定の内容そのものは、私どもから見れば、これは明らかに政治色を帯びたような、ごまかすような内容のものであると思われておっても、彼らは、先ほど言いましたように、ひたすら純粋な立場から、そして当局を信頼して——そのことは政治を信頼するということになるのでありますが、誠実に努力してきた、こういうことであります。  ところが、今日まで地域住民と約束いたしましたその事項が、特に方位の変更と標高の問題、この措置が解決の方向をたどっていない。このことに強い不満を地元住民は持っておって、そしてこれはあたりまえのことでありますけれども、約束どおり履行せい、こういう運動がいま展開されておるのであります。いろいろな方法でその運動というものは進められておりますが、私ども一番心配するのは、これをこのまま放置しておりますと、形式的には地元と県との間の紛争でありますけれども、それはやがて政治に対する不信へと発展していって、弱い者は強い者にいじめられどうし、どうにもならぬ、こういう問題から、いわゆる社会道義の上からも許せないことになってくるのではないか。そしてそれがさらに大きくなれば、先ほど言いましたように社会問題、政治問題へも発展していく、こういうおそれを私は持つわけであります。  この際私は初めに申し上げましたとおりに、関係当局者に率直に質問いたしますから、当局もひとつ前向きの姿勢で答弁をしていただいて、解決のきざしあるいはめどが一日も早くつきますように、努力していただくようにお願いいたしたいと思います。これはきわめて前段における経緯が長くなりましたけれども、これを言っておきませんとあとの質問に差しつかえがありますので申し上げます。  質問は、飛行場の地盤だとか標高を定める基準や方位を決定する場合の要件というものは、その他いろいろありましょうけれども、これは主として航空機の安全を守る立場からきめられていくものか、それとも地域住民の生命財産を守り、大きな迷惑をかけないようにするという立場、そういうことを中心にやるのかどうかということであります。私の知るところでは、運輸省航空局の規定は、やはり前者にあるような気がいたすのです。しかし私は、この二つの要件というものは、いずれも一つの問題として考え取り扱われなければならぬと思うのです。それは言うまでもなく、どっちにしてもこれは人命に関する問題であるからであります。一度事故が起これば上も下もないということでして、人命財産を失って社会の環境を破壊することでありますから、飛行場設置にあたっては、それがたとえ三種あるいは二種以上の飛行場であろうがなかろうが、国として厳格な規定のもとに監視監督して、いささかも不安をすべての者に与えないようにすべきではないかというように考えるのです。関係当局も知っていらっしゃいますが、宇部の場合は大きなミスが起きておるのです。三回も変えていくというのは大きなミスです。しかも地元住民と約束した方位の問題、上空を通らないという約束をしておきながら、上空を通るようになった。そういう方位に工事が完了しておるということは、航空当局の定めておるやり方——制度とは言いませんが、やり方が、三種は地元にまかせる、こういうことなんです。ただ図面によっていろいろ審査し、調査して許可を与える、こういうやり方そのものが、ルーズな地元のそういう工事のやり方を放任しておるということなんです。航空行政全般にわたってそれを見た場合には、それが先ほど言いましたように、どんな種類の空港であろうとも、大事にしなければならぬと思うのです。そういう立場から、今日とられておる航空当局のそういうやり方は、これは航空全般の立場から見てどうもよろしくないと私は思いますが、その点についてまず一応御質問したいと思います。
  311. 原田憲

    原田国務大臣 問題は、宇部空港の問題でございます。この問題に関しましては政府委員から答弁をさせます。  最後の、二種、三種飛行場といえども政府としては飛行場の対策として、地元にまかしておいたらいいというような態度ではいかぬのじゃないかという御意見でございます。そのとおりであると考えます。私ども今後十分注意してまいりたいと思います。
  312. 枝村要作

    枝村分科員 そういうことで、第四回目に許可した場合には、明らかにこれは地元のミスであるということを承知の上でされたと思うのです。そうでしょう。それをひとつ聞きましょう。
  313. 手塚良成

    ○手塚政府委員 先生すでに御承知のとおり、この空港は三種空港でございまして、三種の空港は地元自体が工事の主体になりまして、それをつくるとき航空局にその申請を出しまして、申請内容が適当な場合にこれを許可する、それであと工事は地元で監督をしてやっていかれまして、あとの完成検査という段階で、その申請書との対比において工事の結果を審査する、こういうのが従来のたてまえでございます。  その際に、先ほど御質問がございましたように、安全を主にし、地域住民の利害という問題をむしろ無視してきめられるのではなかろうかという御懸念をおっしゃいましたけれども、そういった三種のたてまえからいきまして、やはり地元とされては、地域住民の利害ということは十分考慮に入れられると、私ども考えております。それが三種についてはむしろ先行し過ぎる、優先し過ぎるというくらいに思われる空港すらございます。その上で私どもとしてはやはり安全ということが、これは人命に関するわけでございますので、そういうものをまた並行的に考えて、その土地の是非を検討する、こういうふうなたてまえで進んでおるわけでございまして、安全ということのみを最優先させて、地域住民の皆さんの利害ということをあと回しにするというような考えは毛頭持っておりません。空港自体はやはりその周辺の地域住民の皆さんの利害といいますか、皆さん方とともに運営されなければ、とうていこの運営が円滑にいくことはできませんので、あらゆる場合においてそういう考慮を十分払って進んでおるつもりでございます。
  314. 枝村要作

    枝村分科員 私の質問に直接答えてないのですが、これは答えぬでも大体わかっておるのです。大体告示を変更するということは、しかもその経緯というものはあなた方はよく知っておってやっておるんですから、やはりミスであったということ、これは否定することはできないわけです。ミスであるということは、地元住民の脅威が告示変更によってなくなったということではないのです。依然として、協定はしたけれども残っておるということは、あなた方はよくわかっておるはずなんです。わかっておりながらやはり許可したということは、いろいろ私、時間がありませんから言いませんけれども、憶測すれば、協定の内容をよく知っておられるだけに、将来やはり二種以上に昇格させる場合というのがありますから、それらを考慮に入れながらあなた方が許可したのか、それともミスと知りつつ許可したのか、こういう二つがあるわけです。私は前者であってほしいと思うのですけれども、しかし、それは別にしても、やはりミスをわかっておってもし許可したとするならば、もしそれによって事故が起きた場合には、——これは金沢の事故も起きまして、起こらぬとは限らぬのですが、事故が起きたときにはその責任はもちろん地元にもありましょうけれども、許可した運輸省当局にもあるような気がするので、この所在をひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
  315. 手塚良成

    ○手塚政府委員 申請が三回にわたって変更されました事実はございますが、実は最後に許可をいたしますときに、やはりその安全性の見地は十分検討をいたして、先生のおっしゃるミスという現状のままに許可をいたしたわけであります。この安全性はわれわれの最も注目するところでございますので、この完成検査の時期におきましてそれはもう十分過ぎるほど検査をいたしました。しかしながら、その完成検査の時期におきまして、すでに飛行場は完成いたしております。多額の金を地元なりあるいは国から出しております。そこで、ただいまの安全という観点から見て、これが問題なければ、まずいまの方位あるいは標高という程度につきましては、一応でき上がった現状において許可して差しつかえなかろう、こういう見地で許可をいたした次第でございます。  なおこの地元におきましては、この方位が、先生おっしゃるように非常に問題であったわけでございますが、当時私どもが許可いたしますときには、当初お読みになりましたような協定なり覚え書きというものもできて、県としてこれに善処するということ等も私どもに知らされておりましたので、そういうことも含めまして、そういう当初の申請とは違った状態ではございましたけれども、これを許可するこういうことにいたした次第でございます。
  316. 枝村要作

    枝村分科員 質問をはぐらかされたようでありますが、時間がありませんので、一方的な質問になって失礼ですけれども、いずれこまかい問題は運輸委員会でせねばならぬと思うのです。  もう一つは、実は知事はそういう大きな責任がありますので、知事や関係者がしばしば、数回となく上京して航空局に陳情しておると思うのですね。今日その問題を解決するには二つあるのです。その一つは、政府とは何も直接関係はないということで、方位や標高を変えてくれさえすればこれはいいわけですね。もう一つは、協定の内容によりますけれども、二種空港に昇格する際にいらうという、こういう二つの点があるわけです。前者は、これはもうあなた方は、一応その意味では県当局でやればそれでいいわけなんです。何ら関与することはありません。後者の問題ですが、これは先ほどの陳情にありましたように、県当局はいま二便をさらに数便ふやす、あるいは将来小型ジェット機化してやろうという構想を持っておるようであります。しかし、いまのままでこの紛争の状態が続けば、この実現はきわめて私はむずかしいと思うのです。だとすれば、地元の紛争を解決するかどうかが一番先決になりますので、そのめどをつけるにはどうしたらいいか、こういうことになりますと、やはり地元はもちろん一生懸命努力しますが、運輸省当局が許可したという責任もあります。また山口県のいわゆる西部、小野田、宇部、下関地域の産業開発発展の状況などをしっかりとつかんで考慮していただいて、地域住民の政治に対する不信感をこういうもので持たせるということでなくして、これは明らかに約束したことでありますから、約束を守ることによってぬぐい去って、そして政治に対する信頼度を高めていくという高所な立場から、将来の展望に立ってこの問題を見てもらって、地元と県知事が協定したこの協定と了解事項を完全に履行されるように、あなた方に善処してもらいたい、こういうふうに思うわけでありまして、この点について大臣の明確な御答弁をお願いいたしたいと思います。
  317. 原田憲

    原田国務大臣 宇部空港に関する協定はいまもお話しを伺いましたが、地元住民と山口県との間の協定でありまして、当局がこれに直接関与しておるものではございませんけれども、空港の円滑な運営を確保するためには、地元住民の協力が必要でございます。当局としてはこの問題が円満に解決されることを望んでおります。また協定の履行については事態の推移いかんによりまして、必要に応じて山口県に対して行政指導をいたしたい、このように思います。
  318. 枝村要作

    枝村分科員 大臣の御答弁は、私のそういう要望に対してできる限り善処して配慮していく、こういうふうに答弁されたものだと理解してもよろしゅうございますね——はいとうなずかれましたからよろしいと了解いたします。  それでは私の質問を終わります。
  319. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 井上普方君。
  320. 井上普方

    井上(普)分科員 私は、昨年の六月に試案として発表されました全国総合開発計画、これについて関係各方面にお伺いしようとするものでございます。特に総裁は御老体であらせられまして、ヤングソルジャーとおっしゃる方ではございますけれども、しばらくおつき合い願いたいと思うのでございます。  全国総合開発計画というのは、これは昨年の六月に第一次試案が発表されまして、そして昭和六十年の姿、今後十六年後の日本の国土、これについてどういうものを想定するかということで、国民の間におきましては非常に大きい関心を持っておる計画が策定中であります。企画庁という役所はまことにいい役所で、日本の国土をこうするああするというので、考えてみれば天照大神か素戔鳴尊みたいなことをお考えになっておるので、楽しいお役所だという感じがするのでございますが、とにかくいままでにも法律によって三十七年に総合開発計画が一応出されておる。ところがこのたびの四十三年からこういう新全国総合開発計画が出されようとしておる。そこで、前の昭和三十七年当時の全国総合開発計画というのを実は拝見いたしますと、所得倍増計画と、それから都市の過大の防止と地域格差を配慮しながら、地域間における均衡ある発展を目標とするということをうたってある。ところが現在ではますます所期の目的からはずれてしまって、非常な格差というものが増大しつつある、これが現状であろうと思います。新しくこの新全総計画をお立てになる理由もここにあるのではないかと思います。  そこで私はひとつ企画庁にお伺いしたいのでございますが、フランスなんかにいたしますと、新らしい五カ年計画を立てた場合には、最後の一年間は、一体この五カ年計画がほんとうにどういうところに障害があったかという反省と申しますか、再検討の期間として一年を置いておるということを聞いておる。ところが、いま日本の官庁機構の中においてどこに問題があったかということを真剣に再検討する機関がない。あるいは、再検討して、どこそこに欠陥があったのだということを指摘すれば、政治責任を追及せられる、あるいはまた、行政機関の権威の失墜になるという考え方があるのかもしれません。しかし、私は考えてみますときに、どこの省においても五カ年計画というものを立てておる。また、この新全国総合開発計画はもう天照大神か素戔鳴尊みたいな仕事です。この中に盛られておりますものを私もずっと拝見いたしましたが、はたして三十七年の全国総合開発計画の反省点が盛られておるかということを考えますと、あまり盛られてないんじゃないか、このように私には感ぜられるのであります。  そういう意味において、経済企画庁はあらゆる五カ年計画、あるいはまた全国総合開発計画の追跡調査をやられたことがあるのか、今後企画庁自体としてそういう必要があるのじゃないか、そのための機関として経済企画庁というものがあってもしかるべきじゃないか、このように思うのですが、責任ある御答弁をお伺いしたいと思います。
  321. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 ただいま御指摘のとおり、三十七年につくりました全国総合開発計画を改定しようということで作業いたしておるわけでございますが、前回の三十七年の計画は、ただいま御指摘もございましたように、所得倍増計画を経済のフレームといたしまして、おおむね十カ年の計画としてつくったわけでございます。  この計画の内容は、私から申し上げるまでもないわけでございますが、いわゆる拠点開発構想というのをとりまして、人口、産業の地方分散、所得格差の是正ということをねらったわけでございます。ところが、その後のわが国の経済の成長が計画の想定よりも相当上回って発展を遂げたということもございまして、四十年ころになりまして、実情がなかなか計画と合わないということが問題になってまいりました。  この国土総合開発法による全国総合開発計画は、国土総合開発審議会において議論をされるわけでございますが、審議会の場において問題になりまして、四十年の暮れから、三十七年につくりました計画の実績についてこれを調査し、そして今後どうするかということを検討する必要があるということになりました。国土総合開発審議会の中に開発計画部会というのがございますが、ここで約一年かけて三十七年計画の検討を行なったわけでございます。その結果、四十一年の暮れになりまして、結局、三十七年の計画は、わが国の経済成長力について見誤ったという点が一点、それからいわゆる工業開発というものが人口の分散にそれほど期待するほど大きな効果を持ち得なかったという点が一点、それと、人口、産業を地方に分散するにあたって、単なる工業開発の拠点ということでなく、都市の整備その他の問題について、もっと力を入れなければならぬというような点等がいろいろ問題として指摘をせられました。そして、こういった観点を踏まえて計画の改定をすべきであるというような報告をいただいたわけでございます。それをもとにいたしまして、私ども実は四十二年から作業に入りまして今日に至っておるわけでございます。したがいまして、前回の計画がどういう点で予定のようにいかなかったかということについては、今後の計画の基礎として考えておるわけでございます。いま作業をいたしておりますものの中にそういった評価がないではないかという御指摘もございましたが、この点は第四次試案の段階で若干計画の前文としてそういったことを書くことにいたしましたが、なおまだ作業中でもございますので、今後そういった点についての御意見がございますれば、ぜひひとつお述べをいただきまして、私どもも取り入れてまいりたいと考えておる次第でございます。
  322. 井上普方

    井上(普)分科員 私はこの計画を見まして、特に第五節の「地域開発政策の基方方向」というのは正しかったと思う。ただおたくが絵をかいただけであって、政府が実行しなかったところに問題がある。「公共投資については、つとめて先行性を確保すること」とか、「財政上の助成措置、政府金融機関による長期融資等財政、金融上の適切な措置を講ずる。」あるいは「労働力移動の円滑化」というようなことをうたっておりますが、いずれもクラシック化しておる。政府がやらなかったために都市は過密化し、また地方は過疎になってくる、ぎくしゃくした状態に現在この国土がなっているのではなかろうかと思うのです。  そこで、あなたは拠点開発方式が昭和三十七年の方式であったと言いますが、私もそのとおりだと思うが、成功したのは茨城県の鹿島だけで、あとは全部失敗したといっても差しつかえないのではないか。特にあなたがおっしゃる、工業発展によって人口の地方分散がなされなかった、あるいはまた、日本の成長力を見誤ったというようなところが、いままでの反省点として、これも新しい総合開発計画に盛られておるかどうか、これは私は大きい問題があると思うのです。といいますのは、私、この総合計画の二次試案というものを拝見いたしまして、一体昭和六十年には日本の国民所得、一人当たりの所得にいたしましても三倍から四倍になるんだ、こういうような計画を立てられておりますが、日本の経済成長率を平均何%と見ておるのか。これはいろいろ学説がありましょう。また、われわれ自身としてもこの経済成長率については申し上げたいところもあります。しかし、一体何%と見ているか、まずこれをお伺いしたい。  それからもう一つは、いままでどうしてぎくしゃくとした日本の国土になってきたか、特に都市問題として大きくなってきたかというと、やはり都市環境整備がおくれておる。道路交通にいたしましても、上下水道にしましても非常におくれておる。一例を東京都の二十三区にとってみますと、二十三区の下水道の普及率はまだ三四、五%じゃありませんか。百年前にジャンバルジャンがパリで活動したときに、もうすでにあの下水道は完備しておった。あるいはロンドンにおいてもしかりです。こういうような都市施設に対する先行投資をともかく怠っておる、こういうところに大きい問題があると私は思います。あらわれましたのはこういうことではございますけれども、ともかくいままでの政府の公共に対する投資というものが非常にお粗末だった、それでこういうような都市住民の生活環境を極度に悪くしておると申しても差しつかえない。しかも、東京では一酸化炭素や亜硫酸ガスの公害世界一だということです。こういうようなことで都市の公害はますます増大の一途をたどるのじゃないかと私どもは憂えるのであります。  それで、先ほども申しますように、企画庁というところは諸計画——建設省でございましたならば道路整備五カ年計画、河川総合五カ年計画あるいは下水道五カ年計画、住宅五カ年計画というものがたくさんある、あるいはまた農林省にしてもございます。通産省にしてもございます。各省のそういう総合計画をあなたのところで再検討して、これは一体どこに問題があるんだということを指摘しながら、総合的に再検討する機関として経済企画庁というものがあったらいいと思うのですが、どうでございますか。
  323. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 まず、最初の御質問の経済の成長率の問題でございますが、経済のフレームということで、これは計量モデルを使っての計算をいたしておりますが、結果的には七ないし八%というくらいの成長率になることになっております。これはもちろん計画の本体ではございませんで、一応の前提、そういうふうに考えています。  それからただいま御指摘の点でございますが、もちろん全国総合開発計画というのは、政府計画として閣議決定をされるものでございます。したがって、こういった計画の内容に関係のある各省のそれぞれの部局の方々と計画策定段階において十分の討論をいたしまして現在にきておるわけでございます。そうして、決定をされる段階には、政府としての決定になるわけでございますから、それぞれこういったことの施策に関係のある五カ年計画をいろいろお持ちの各省は、そういったところに合わせて今後の施策を進めていただくということで私ども考えておりますし、また、そういうふうにお打ち合わせもいたしておるつもりでございます。  ただいま御指摘の点で、ちょっと申し上げておきますと、御承知のように、各省のそういった公共事業の計画は大体五カ年計画ということになっております。こういったものについてどの程度の内容でいくべきかということについて、やはり国としてのある程度のまとまった一貫した方向がなければなりません。それについては、御承知の経済社会発展計画というような五カ年程度期間とします中期の経済計画をつくっております。この発展計画の中におきまして、社会資本の配分という形で二十八兆何千億というものを一応計画としてきめております。大体、道路にしましても河川にしましても、そういった五カ年計画は、この経済社会発展計画の配分額というものを基礎にしてつくっていただいておる、こういうふうに私は承知いたしております。もちろん、こういう計画をつくる段階におきまして、それぞれの事業の進行状況なりあるいはいろいろ内容としての問題点なりにつきまして、計画策定段階においていろいろ議論することは当然でございます。また、毎年の実行状況等につきましても、私どもとしては検討はいたしております。場合によりましては、経済企画庁に計上されております調整費という予算がございますが、こういったもので計画間のアンバランスがあった場合には補てんしていくというような措置もとっております。予算がわずかでございますからそれほどのこともできませんが、そういった点で、少なくとも中期の経済計画段階ではまとまった計画をしておる、こういうふうにいままで運んでおるつもりでございます。
  324. 井上普方

    井上(普)分科員 私は、いまのお話で、行政機関として追跡調査する機関がない、そのために、その時期その時期に応じた適切な手が打たれていないと思うのです。これは私は、運輸大臣、あなたは国務大臣でもありますので、ひとつ追跡調査をして、そしてどういうような点に欠陥があったかということを再検討する行政機関をつくっていただきたい。これはひとつ要望として申し上げておきます。  さらに、七ないし八%の経済成長率を見込んでおる、今後十六年間続くということにつきまして私は大きい疑問を持たざるを得ないのであります。といいますのは、御承知のように、やがて中国も国際社会に復帰するでございましょう。そうなりますと、隣国の中国と日本との関係は、平和共存の形でいかなければならない。その際に、片方は社会主義国であり、集中的に資本を投下することができるというようなときに、共存関係でいくためには、これは人間の能力の開発を中心にしてものごとを考えなければならぬのじゃないか。そうしますと、人間の能力の開発というのは、この計画の中にもいっておりますけれども、当然これは六・三・三・四の学制の問題にも触れるでございましょうし、かつまた、大学そのもののあり方、あるいは学界そのもののあり方というような非常に大きい問題を含んでくる。民族のエネルギーをともかくこの中に集中するという点からいたしますと、重大な問題が今後わが日本の民族の上にはのしかかってくるものだということを私どもは痛感いたすのであります。  ただ、この計画が破綻を来たす具体的な一つとして指摘いたしますと、土地問題です。国鉄総裁もおられますけれども、現在では公共投資をやる、あるいは仕事をするといっても、土地の取得ができれば、もうすでに事業の半ば以上は達成されたというのが現状じゃございませんか。そこで、私どもはこの計画を見まして、いかにも土地利用計画らしきものはあります。しかし、ほんとうの土地政策というものがない。私はこれははなはだ遺憾に存ずるのであります。日本の土地私有概念、所有概念というものは、世界に類を見ないほどきびしい面を持っております。イギリスなんかと断然違います。が、土地というものは、もう再生産がきかないものでございますので、土地というものに対する政策がなければならない。しかも、その根本は、土地というものは民族に天から与えられた資源であるという観念を国民に植えつけるような政策を今後とっていかなければいけない。そこで、正当なる補償のもとに進んで公共のために差し出す、こういう観念を強く国民の間にアピールさせなければ、何の計画を立てても私はすべてだめになってしまうと思うのです。私は、いままでの土地の所有観念を変革させるところの政策、計画を出すべきであると思うが、この計画によりますと、それが出ていない。この一事をもってしましても、この計画には投資額が二兆円とかなんとかいっておりますけれども、無理を生じてくるのじゃないか、このように考えるのであります。運輸大臣は、鉄道建設であるとか、そういうようなことは御存じだろうと思います。公共投資において、土地が取得できれば仕事が半分以上済んだのだということですが、日本人の土地の所有観念というものを、私が先ほど申しました民族に与えられた天与の資源であるという考え方に切りかえさせていくという方向に国務大臣として御努力願いたいと思うのですが、どうでありますか。
  325. 原田憲

    原田国務大臣 まさにそのとおりでありまして、私は、戦前の大地主の時分のほうが土地に対する政策がうまくいったのじゃないかと思うのであります。いわゆる利用者負担、受益者負担というような問題がこのごろよくいわれますけれども一つの投資がなされた、それによって受益した者は、何ら労することなく受益しておる。この利益をどこに還元するのだ。戦前のほうが、初めから受益者負担制度という制度でもって土地の買収をやっておったというようなこともあるわけです。もう戦前のことは言いませんが、いま細分化された小さい土地を持った者が我執でしがみついて、それによって利益まで得ようとするようなことになっては、私は、国民経済、国民生活の発展というものはないと考えます。したがいまして、井上さんの言われるように、土地というものに対しては公益優先であるという考えを盛った政策を実施していかなければならぬ、このように私は考えます。
  326. 井上普方

    井上(普)分科員 そういうような面で、まだまだこの基本課題と称する計画達成のための手段としていろいろと問題が出されておりますが、いずれにいたしましても、どうもおたくのこういうようなものには「開発利益の帰属の調整」であるとか、「公的土地保有の拡大等」に対する措置が必要であるとしか書いてない。政策として、これは明らかに、それじゃ政府に対してこういうような政策を打ち出しなさいという姿勢がないのです。必要があるくらいのところなんです。土地にいたしましても、政策としてこれを経済企画庁として強力にこれを押し出す必要があるという点が弱い、こう申し上げても差しつかえなかろうと存ずるのであります。いろいろとまだそのほかにもある。農業問題につきましても、一昨々年でございましたか、太平洋学術会議という国際会議が開かれまして、その結論では、今後十年ないし二十年後には世界は食糧不足に悩むだろう、飢饉が来るのじゃないかというようなことをいっております。ところが、ここの農業政策を見ましても、十分なこと、特に輸入食糧についてはあまり書かれていない。これはまあ中国との関係もあると思いますが、あまりはっきりできないのではなかろうかとは思いますけれども、民族の活力を十分にするためには、民族の食糧だけは自給できるような体制に持っていくというようなことが必要であろうと存ずるのであります。  いろいろと申し上げたいことがございますけれども、時間の関係がありますので、この総合開発計画のうちで特に国鉄さんに対しましてお伺いするのでございますが、この開発では、四国におきましては、これは地元になって恐縮なんでありますが、鉄道については「四国地方にあっては、循環交通体系の整備を重点的に進める。」こういうようなことが書いてあるのです。ところが一方、赤字路線なるがゆえにいま建設中の工事まで中止しよう、あるいはまた、その地方には一本しかない、ほかに国道らしきものはいまだ工事中であってできていないというような牟岐線というような線まで廃止しようとする。つまり、全国総合開発計画国鉄当局の赤字路線廃止との関連において、特に「循環交通体系の整備を重点的に進める」と、片一方の政府機関は言っている、ところが国鉄さんは、赤字だからやめると、こうおっしゃる。ここに大きい矛盾があるわけです。これは経済企画庁なりから具体的にひとつ御答弁願いたいのです。
  327. 石田禮助

    石田説明員 国鉄の赤字線の問題は、いまの線をやめちゃう、こういうわけじゃないのです。これはつまり、国鉄の鉄道施設というものは現在の輸送需要に対して大き過ぎると、こういうのであります。つまり、雪駄をはくべきところをげたをはいている、これをひとつハンディな雪駄に直そう、そこに合理化というものがあり、私は国民経済的に見てどうしてもやらなければならぬことだと思うのです。  大体、いまの赤字線の大部分というものは、大正十年か十一年の思想によりまして、地方開発のために交通用具というものを提供しなければならない、交通用具とは何であるかといえば、その時分には鉄道、ところが、その時分にすでにもう輸送需要に対して鉄道というものは大き過ぎるということはわかっておったのである。しかし、そのほかにたいした交通用具がないために鉄道——これは実際の点からいけば非常なアンバランス、しかし、当時の国鉄というものは独占制の上にあぐらをかいておったので余裕しゃくしゃくだった。損があろうが、そんなことは一向おかまいなしということで、とにかく国鉄が二十四年に公共企業体になったのですが、それまでに勇敢にこの地方線というものをつくって、現在国鉄のかかえておる赤字線の線路の大部分、ほとんど九割五分くらいは公共企業体になる前につくったものであります。ところがその後、御承知のとおり道路の発達、自動車の発達によって、せっかく国鉄というものが交通用具を提供したのに、地方の人は……。
  328. 井上普方

    井上(普)分科員 そういうことを私は聞いているのじゃないのですね。全国総合開発計画ではこう書いてあるのに、おたくはやめようというのはどういうことかというのです。
  329. 石田禮助

    石田説明員 やめるのじゃなくて、輸送需要に適合した交通用具にかえよう、こういうのです。なくするのじゃないのですよ。
  330. 井上普方

    井上(普)分科員 総裁、それではいま建設中の工事も続けるし、現在あるのは存続すると考えて差しつかえございませんね。循環鉄道につきましてはどうでございます。
  331. 石田禮助

    石田説明員 新線建設のほうは私のほうのことじゃありませんから申し上げませんが、少なくとも、いままでにつくって国鉄が経営しておる赤字線というものに対しては、これはほんとうに現在の輸送需要に適合した交通用具にかえようということで、なくしちゃうのじゃないのです。
  332. 井上普方

    井上(普)分科員 これはおたくが赤字路線だから廃止という線を出されたが、地元住民には重大な事柄でありますので、これは非常な関心を持っているのです。あなたは廃止するのか廃止しないのか、存続させるのか存続させないのか、それだけおっしゃっていただきたい。
  333. 石田禮助

    石田説明員 これは繰り返し申し上げますように、廃止じゃないのです。鉄道は廃止しますが、それにかわるにハンディな交通用具を提供するというのです。
  334. 井上普方

    井上(普)分科員 いままでのお話でございますと、鉄道は廃止するかもしれるが、ともかく違う輸送機関をつくるとおっしゃっている。そうすると、ここに書いてある四国地方には、鉄道については循環道路整備を重点的に進める、こうあるのと、もう矛盾してくるのだ。経済企画庁、そうですね。この点はどうなんです。ひとつ簡単に頼みます。
  335. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 ただいま御指摘の点は、ブロック構想の中・四国のところだと思いますが、「四国地方にあっては、循環交通体系の整備を重点的に進める。」と書いてございます。これは私どものほうで御説明するまでもなく、道路交通、海運、航空と、全部についての交通体系の問題を取り上げて書いておるわけでございまして、鉄道につきましても、循環交通体系が私ども重要だという判断に立ってこれは書いているわけでございます。別に鉄道についてという趣旨でここの表現が出ておるわけではないと思います。
  336. 井上普方

    井上(普)分科員 あなたのは文章が違うのですよ。これは時間がないが、鉄道については、山陽線ではこうだ、中国ではどうだ、四国ではどうだという言い方をしているのです。あなたのほうはこういう書き方をしているのです。あなたも日本人でしょう。私は日本語でしゃべっているし、日本語で書いてあるのだ。すなおに読んだらすなおに読める。別にアイヌ語じゃないのですよ。  私はもう時間がございませんので、続いて、道路局長なりあるいは国鉄総裁にもお伺いいたしたいのですが、本土、四国の連絡橋につきまして、わが党の森本議員あるいはまた、きょうも井上議員が質問されたのでございますが、坪川建設大臣も、七月までには決着をつけたい、ルートを決定したい、こういうようなことを言っております。それはどこできめるかというと、先日は、閣議できめるのだ、閣僚懇談会をつくって七月末までにきめたい、こういうお話をなさっておられる。  そこで、決定するにあたってのネックといいますか、問題点は一体何にあるのだということがひとつ。これはおたくでもよろしゅうございますし、建設省でもよろしゅうございますが、現在の建設の施策をめぐって、この橋を、この全国総合開発計画の新しいのでございますと三本つくるという計画になっておりますが、国営案であるとか、あるいは公社案であるとか、あるいは公団案、いろいろあると思います。その何にするのか、この橋をつくるときに。国営案、公社案、公団案、どれにするのか、そしてその基準は何か。何を基準にして公団にし、国営にし、あるいはまた公社にするのか。そうして明石−鳴門の橋につきましては一体何方式をとろうとしておるのかこの点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。  さらに、ここに運輸大臣おられますので、特に一言お伺いして、大臣の御答弁をお願いしたい。  といいますのは、四国と本土との間に橋をつけるというのは、実は明治三十年くらいに中川虎之助さんという人が言ったのです。ところが、おもしろいことに、橋のことを選挙公約にした者はみんな落ちたのです。ひどいのは、ポスターに橋の絵をかいて立候補して、利益誘導と見られた人もこれは落ちました。ところが、私の県のごときは実は三十八年の選挙に五名区であって、五名とも自民党が当選した。どうしたのかといいますと、全部橋のえさでつったわけです。私もこれは直接聞いたのだが、河野建設大臣のごときは、胸をたたいて明石−鳴門を最優先的につけるのだ、こう言って、みえを切ったのです。池田総理も言ったのです。そのときは、小学校の生徒まで沿道に並ばして迎えさせて、池田さん、調子がよくなったものですからやったのでしょう。ともかく明石−鳴門に対して優先的にかけるのだということを言っておる。これは三十八年から、いまルート決定だ、ルート決定だというので、毎年毎年県から陳情に来さす、地元から陳情に来さすという形で票を集めてきたというのが現状なんです。ところが、実際はそんなにたやすくいきませんよ。うちの自民党の知事のごときは、四十年の十月に選挙が行なわれたのですが、その選挙公報に、とにかく四十五年に行なわれる万国博覧会までに手をつないで橋を渡って大阪へ行こうということが選挙公約なんですから、おそれ入った話なんです。こういうことを自民党公認の知事が公約しているのですよ。さらにひどいのは、私も参議院選挙で落ちたのですが……。
  337. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 井上君、時間に協力してください。
  338. 井上普方

    井上(普)分科員 四十年の六月十三日、選挙の最中に、総理大臣である佐藤榮作さんは神戸の川池小学校というところで発言しておる。それはどういうのかというと、明石−淡路−鳴門、この四国ルートを優先することは間違いございません、こういうことをはっきり申しておるのです。これはもう政治責任といたしまして非常に重大な問題であると思う。  ここの三つの橋につきましては、いろいろといわれておりますけれども、あなたも佐藤内閣の閣僚の一人として、そういう点については——これは近々におそらく佐藤さんが、こう長くもめさせてはいかぬというのでルート決定は早いのじゃないか、ただ、優先順位、これからどっちを先にするかということで争われるのじゃないかと思って実は私は心配いたしておるのでありますが、産経新聞にいたしましても、大阪の毎日にいたしましても、佐藤さんが言っておることははっきりしているのです。持ってきてもよろしいが、いずれにいたしましても、これは大阪朝日の六月十三日には明石優先の方針は変わらないという新聞記事が出ているのです。佐藤さんが言っているのですよ。それで私は申し上げたいのだが、現在の閣僚としてのお覚悟のほどをひとつお示し願いたい。と同時に、先ほどの御答弁とあわせてひとつ御答弁願いたい。
  339. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまの御質問のなぜ早くきまらないかという問題でございますが、これは、御承知のように建設省としては三十四年から調査をしております。現在三ルートについて経済調査を実施しております。何ぶんにも経済調査といいますと、前提が非常に問題かと思います。この問題につきましては、鉄建公団のほうが併用橋としての経済調査を現在やっております。そういうものを両者突き合わせましていろいろ調整をいたしまして、そのあと、船舶航行の問題、工費、工期及び技術的な難易の問題、こういうものを総合的に判断してきめたいということは私たちも考えておるわけであります。やはり問題といいますと、三ルートの競争になっても、これが一番問題ではないか。  そのあとの施行主体の問題でございますが、これはやはりそのときになりまして、併用橋になるか道路単独橋になるかによって施行主体が変わってまいりますので、そういうものをきめます場合に施行主体の問題もはっきりきめたいということで考えております。ただいまいろいろ新聞に出ておりますのは、公団がいいとか公社がいいとかいうような問題はありますが、これはやはり個人個人の意見だけだと思います。私たち、こういう問題をきめますには、やはり運輸省なり企画庁、大蔵省とも協議いたしまして施行主体のほうはきめてまいりたいというように考えております。
  340. 原田憲

    原田国務大臣 明石−鳴門の問題につきまして、お聞きいたしますと、これは明治時代からの悲願である、このように聞きました。私は、本土と四国を結ぶ橋梁は瀬戸内海に三つぐらいあってもよいということを考えた一員であります。したがって、それは、先ほど井上さんに激励を受けたのでありますが、在任中におまえはひとつ起工式のテープを切れということで、それができれば政治家として非常に本望でございます。それがどこになるかということにつきましてはただいま調査しておる。結論がもうすぐ出るようでございますから、これを踏んまえて、公正な判断で臨んでいきたい、このように思っております。
  341. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 井上君、時間に協力してください。
  342. 井上普方

    井上(普)分科員 私は、終わりに臨みまして、あなたも佐藤内閣の閣僚の一員である、佐藤さんのああいう発言があったということをひとつ肝に銘じてやっていただきたいということを申し添えまして、終わります。
  343. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 島本虎三君。
  344. 島本虎三

    島本分科員 私はきょうは大臣に、産業公害的な立場から、自動車規制について、それを中心にしてあと二、三点伺ってまいりたい、こういうように思っているわけです。ちょうど建設省からも道路局長が見えておりますので、道路局長にも、申し上げてはおきませんでしたが、緊急でございますし、重要ですから、どうぞ三十分間帰らないように願っておきたいと思います。  大臣、先般、産業公害対策特別委員会が二月十八日に行なわれました。そこでいろいろ問題点を指摘して質疑討論があったわけであります。自動車の排気ガスの規制に触れた際に、通産省では、アメリカの輸出向けのCO、これが一・五%で、国内用は三%の規制、これは逆じゃないかと思う点もあるから十分検討しなければならないと思う。これが通産政務次官の藤尾正行氏の言であったわけであります。   〔仮谷主査代理退席、楯主査代理着席〕 運輸省は、大臣もおりません関係上か、なかなかしぶかったようであります。しかし、やはり新型車については、COの基準をダウンさせることは、これは三%にこだわることはございませんから、もう当然考えられてしかるべきである。こういうように思うわけです。道路行政は建設省にあり、また車両関係運輸省にございます。そういうような関係で、この一番問題になっている一酸化炭素の排出規制問題で、自動車の持っておるこの性能規制、これについては大臣の決意がいま一番必要なわけです。おそらくこの問題等について大臣も所信の表明があり、そのとおり実行していることだと思います。アメリカ向けの輸出車並びに国内向けのいろいろな条件はございましても、いまのままでいいということには断じてなりませんので、この点、大臣の決意のほどをまっ先に伺っておきたい、こう思います。
  345. 原田憲

    原田国務大臣 私は政務次官から、産業公害委員会で話があったこともよく聞きました。それで、実はきょうの閣議におきまして、三%の現在の規制は、ことしの秋、すなわち新車が出るときに二・五%にする、こういうことを報告いたしました。発表をいたしたのであります。通産省のほうでもこれに協力をするということを通産大臣が申しておりますので、これは実行いたすことにいたします。  なお、つけ加えて申しますと、その際に厚生大臣から、中古車の規制についても考えてほしいというお話がございました。これも私ども東京、大阪、名古屋に準備をいたしまして、そして四十五年中にはいまの新車並みの規制というところへ踏み切っていきたいと思っております。
  346. 島本虎三

    島本分科員 よくわかりました。二・五%は〇・五ですか、これはやはりその努力は多としますが、〇・五下げるならば、アフターバーナーをつけても一%ぐらいは下がるという話です。いろいろ機械の構造もございましょうし、〇・五といわないで、思い切って一・五あたりまでこれは下げていかがですか。まあ将来のことを展望すると大臣はそのつもりでいるでしょう。いま二・五と、こういうようなことでございました。三%より〇・五下がったから、これはけっこうであります。けっこうであるけれども、どうせ下げるならば一・五まで下げたって、大臣、これはだいじょうぶですよ。
  347. 原田憲

    原田国務大臣 これは私、専門家でないので、島本さんに——私は就任いたしまして、公害問題と取り組んで、これを早く実行しなさいということを事務当局に命じまして今度の約束をいたしたわけでございます。きょう発表をいたしたわけでございます。専門的にいいますと、あなたの言われるようなことも、私は実は言っておるのでありますけれども、アフターバーナーの問題も、何かアメリカでは、いままでつけさしておるけれども、どうもこれもエンジン専門でやったほうがよいという方向へ向いておるようであるとか、あるいは日本でも、私も知っておりますけれども、触媒方法によって、これをつけさしたら確かにそのときには減る、ところが、長期間にわたってこれを維持することができないからこれをつけなさいということは残念ながら言えないというような状況、いろいろあるようでございます。きめ手がありますならば、私は即座にこれを実行するというだけの決意を持って対処いたしておるということを申し上げておきます。
  348. 島本虎三

    島本分科員 いまいろいろな決意のほどを承りましたけれども、今後の努力を心から期待いたします。  四十五年ということのようでございましたが、中古車の規制についても車検を強化して、徹底を期してやってもらいたい。このこともあわせてお願いしておきたい、こういうように思います。  それで大臣、私はこの問題と取っ組んでずっとやってまいりました。いま、一つ解決したからそれで全部が直るという状態にはなっておらないようであります。都市公害の問題の中で交通公害が占めるパーセンテージは大きい、これはお話のとおりなんです。しかし、自動車の排気ガス規制についていろいろな点から考えると同時に、これは道路の構造も考え、いろいろやっていかなければならないわけです。道路あとにしまして、排気ガスの規制について、現行そのものの基準は、いろいろ行政的な指導の面もあわせて、この点はもっともっと考えて指導していいのではないかと思われるわけです。その一つとして、都知事のほうからは、自分らだったらやれるのだから、ひとつ権限を与えてもらえないだろうか、こういうようないろいろの談話もあったようであります。正規であったかどうかは存じません。しかしながら、やはり規則がゆる過ぎるから、自動車の排気ガス規制について都知事が、自分らの権限でもっときびしくやりたいから権限を委譲してもらえないか、これは都民の生命を守り健康を守るためにも、やはり知事の態度としては私はわかる。現在の状態の中で、権限の委譲というようなものは可能かどうか、また、そうやらなくてもいい方法があるならば、この際それを明確にしておいたほうがよろしい、こういうように思うわけですが、大臣、いかがでございますか。
  349. 原田憲

    原田国務大臣 いま権限を委譲しなければできないというようなことは、私はかえって責任のがれの議論じゃないかと思います。これは、たとえば国のほうでいいますと陸運局というものがございますが、国も地方団体もみな一緒になって、権限争いなんかいたしておるひまはないくらいの交通公害、これらの問題と取り組む姿勢が必要なのではないか、このように思っております。
  350. 島本虎三

    島本分科員 これもいろいろございますが、いまの自動車排気ガスの対策、これは大臣でなくてけっこうです。関係の理事者にお伺いいたしますが、現在のところ、どのように手が打たれておりますか、規制の方法を講じておりますか。
  351. 黒住忠行

    黒住政府委員 これは先ほどから大臣からもお話がありましたが、新型車、新車につきます新型検査におきますところの規制を、三%でありましたものを下げる、それから使用過程のものにつきましては、定期点検におきまして、一定の基準を設けましてこれを強制していくということ、それからもう一つ、使用過程のものを検査いたしますことにつきましては、これも先ほど話がありましたように、四十五年度から全部行なわれるようにしたい。それから外国車の輸入のものでございますけれども、これは日本の車のような新型の型式認定をやっておりませんので、これの輸入に際しましてはその検査をしたい、そのために、来年、四十四年度において神奈川の車検場にその設備を設けまして、これの検査をやるというふうな体制になってまいっております。  申すまでもなく、この排気ガスの問題は非常に重要な問題でありますので、さらに防止技術等を開発いたしまして、先生の御趣旨に沿いまして努力を続けてまいりたいと思います。
  352. 島本虎三

    島本分科員 電灯であるならばメーター、このメーターは、業者がつくっても、特定の法人格を持ったところでこれを検査して、間違いないものにして利用させる、こういうふうにしてあります。電話機であれば、それぞれ気に入った業者から買っているが、これは電電公社で間違いないように完全に見ておる。自動車の排気ガスの排出についてはどういうふうにして検査をやり、どういうふうにしてこれを証明しておりますか。
  353. 堀山健

    ○堀山説明員 ただいまやっております車の排気ガステストは、日本におきましては、いわゆるフォアモード方式という方式で、アイドリング、加速、定速で走る、減速して走る、こういうのを繰り返してやるという日本式のフォアモード方式ではかって、それによって三以下であればよろしいという方法をとっております。
  354. 島本虎三

    島本分科員 これは大臣に聞いてもらわなければいけないことなんですが、以前に東京都と運輸省でいろいろ打ち合わせをし、議論をされた際に、運輸省のほうではこれは公害——一酸化炭素の濃度が、大原交差点あたりの測定によってこれはひどい、この原因は道路行政が悪いからだ、こういうふうに指摘し、原因はそこにあるんだ、こういう議論があったやに聞いておるのです。都のほうでは、やはり自動車の排気ガスの規制措置のほうが第一番だといって、これは水かけ論に終わった、こういうようなことを承っておるわけであります。  しかし、最近の大原交差点の測定によりますと、一酸化炭素の濃度については、街路から住宅に入った、普通は道路に沿うた線の部分だけの汚染であったのが、いまは、一定の天候の場合には百メートルほど住宅街のほうに入った幅広い帯状の状態で汚染されておる、こういうことがはっきりしたわけであります。立体交差になっておってなおさら濃度が高まってきておる。こういうふうにやってみると、交通がよくなってもやはり依然として排気ガスの問題は解決されておらない。このようなことが新たな事態としてできてきておるわけであります。これは、やはり道路行政の面とあわせて、車の問題とあわせて十分に根本的な対策も考えておかなければならないと思うのです。これは大臣、運輸省の負けのようでございますので、これはいかがですか。
  355. 原田憲

    原田国務大臣 負けたか勝ったかということは別にしまして、私はそのことがありましたから、実は自動車局長を連れて、また警視総監と一緒に指定して大原に行ったわけです。大原というところは自動車がふくそうするところである、こう聞いておりました。ところが、あそこが立体交差されてもまだ自動車の渋滞も完全解決しておりませんし、一酸化炭素の問題も解決されておらない、こういうことがいわれておりましたので、事務当局にこのことについて対処するようにということを言っておりましたのが先ほど言ったようなものになったわけで、万全ではございませんけれども、だんだんにいくということがございますから、今後もつとめてまいりたいと思いますし、道路等の問題と関連して、私ども十分連絡を密にしてやっていきたいと考えております。
  356. 島本虎三

    島本分科員 交通騒音対策はどうなっておりましょうか。
  357. 黒住忠行

    黒住政府委員 交通騒音対策の自動車関係を申し上げますと、自動車につきましては、道路運送車両法がございまして、これによりますところの保安基準で八十五ホンという制限を設けてやっております。
  358. 島本虎三

    島本分科員 保安基準によると、側方七メートル離れて八十五ホン、後方二十メートル離れて八十五ホン、そういうようなはかり方しかしておらない。この音だけでも相当なものです。この基準はもうすでに前時代的なものじゃございませんか。もうすでにこのようなやり方は考え直さなければならないはずじゃございませんか。この現行どおりでいいとお考えですか。
  359. 堀山健

    ○堀山説明員 自動車道路の上をタイヤで走るわけでございますから、音をゼロにするというわけにはまいりません。しかしながら、一番落とせる範囲といいますか、エンジンから出る音をできるだけ落とすということになろうかと思います。いまおっしゃいます八十五ホンということでございますが、実際に車のタイプテストをいたしますときには、乗用車につきましては六十四から七十三ホンくらいに実行上、下げさしております。小型トラックが六十八から七十四、ただ、大きいトラックとかバスとかはなかなかずうたいが大きいので音も大きいという現状でございます。  なお、今後の問題といたしまして、いままでは平常騒音をはかっておるわけでありますが、いわゆる加速騒音、カタログを見まして、加速する場合の音というものも決して無視できないので、今後これを国際的にもきめようということになっておりますので、あわせて検討したいと思います。
  360. 島本虎三

    島本分科員 もうすでに、先ほど申しましたように車だけの問題でなく、道路の構造やその他、総体的にこれを解決しなければならない状態にもなっておる。それで、高速自動車国道法ですか、それに道路法、この中に沿道区域というのがあって、そういうようなものを公害から守るように措置してある、こういうふうに思っていたのですが、この沿道区域というものに対しては、何か制限を加え、これに対して対処しておるのですか。これは建設省に……。
  361. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 道路法にも高速自動車国道法にも沿道の区域がございます。この趣旨は、やはり道路の本線を通ります車が周辺により悪い影響を与えないようにという形で沿道を制限することになっております。ただ、現実の問題としまして、沿道に建物が建つとか、そういうような制限は、これは補償なしでなかなかできませんので、法律はございますが、私たち実際そういうことで沿道を制限しておることはございません。必要な場合は、やはり道路の用地として買収いたしましてやっているような次第でございます。
  362. 島本虎三

    島本分科員 沿道区域というのは、これは都市計画法や建築基準法では、やはりいまのような公害防止の立場、こういうようなものをとってちゃんと規定されてあるのですか。これでは何もないんじゃないかという疑念があるんですが、沿道区域に住んでいる人たちは、ただそこは人が通る表面だけであって、名前はあってもこれに対する対策は一つもない、こういうふうにいわれておりますが、この区域に対する十分な手は打ってありますか。
  363. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 いま申し上げたように、現行の沿道区域という制度は、やはり車がそれによって影響されないような形で考えております。これから相当自動車公害問題が出てまいりますと、やはり沿道区域の考えというのはまた変わってくるかと思います。現在沿道について特に公害を防ぐというようなことは、一般の場合にはされておりません。特別な場合につきましては、やはり遮音壁とかいような形で道路の沿道に対する騒音を少なくするような配慮ははかっております。
  364. 島本虎三

    島本分科員 今後とも、自動車並びに道路公害発生源になるようなことがないように、またはそれを促進させることのないように十分対処して、総合的に進めていってもらいたい、こういうふうに心から要望しておきたいと思います。  しかし、大臣がいま申しましたように、閣議で三%から二・五%に〇・五%下げるようにこれをきめてきたということは大いにけっこうであります。一・五%に下げたら、私はここで双手をあげて称賛したのでありますけれども、しかしその努力を多として次に移らしていただきたい、こういうふうに思います。  先ほど井上分科員のほうから申しましたように、私のほうも赤字路線問題で、その考え方について十分打ち割ってお聞かせ願いたい点があるわけです。特に、私は北海道ですが、北海道の場合は積雪寒冷地帯であります。そして国道がございまして、それはわりあいにいいけれども、いまの国道——旧一級国道でさえも冬になったら通れない個所さえもまだあることは歴然たる事実なんであります。そういうようなことからして、これはやはり国鉄の財政再建の面から路線廃止という意向が伝えられたから、その候補地と思われるようなところの人は戦々恐々としているわけです。私どもとしても、そういうような点からして、住民の生活や産業の振興上、これは重大な問題である。ことに、北海道は開発法によって開発を実施している場所です。そのようなことから、国もこの点については、積雪寒冷、こういうような悪条件を克服しても産業開発のために協力しなければならないし、してもらわなければならない、このような関係にある、このように思っておるわけなんですけれども、やはりいまの場合の赤字路線廃止ということには重大な関心を持っておるのです。したがって、今後北海道のようなところに対しては画一的に考えられないという点が一つ、もう一つは、いま新線が新たに設置を企画されている場所、そこがまた赤字路線の廃止ということで今度廃止になっている。実施線に計画されておって今度廃止線になっておる。この矛盾はどうもわかりません。  これは具体的に大臣にも総裁にも聞いてもらわなければなりません。それは北海道のいわゆる岩内−黒松内間の岩内線でありますが、これはもう御存じだと思いますけれども昭和三十九年の三月二十六日に調査線に指定されました。そうして、三十九年の六月二十五日に工事線に決定されております。そして、いままでにここに測量、設計予算が四回にわたってついております。四十三年は五千万円ついておるわけであります。四十二年には三千万円もついている。これでやってもう着工線になっておる。これを進めるかたがた、現在あるやつは赤字路線で廃止ということの候補にまたなっているわけです。これはいかなる根拠なのか、私はどうも理解できないでおったのです。片や着工を進める、こう言いながら、片やその赤字線は廃止だ、こういうことになりますと、私はなかなか理解に苦しむのです。この岩内線といわれる岩内−黒松内間のこの線についてはもう着工線になっておるのに、これをもう赤字路線、廃止に入れておくというこの矛盾一体どういうことなんですか。これがまた混乱の原因になっておりますので、この機会にそうではないということを明確にしておいてもらいたいと思うのです。
  365. 石田禮助

    石田説明員 お答えいたします。  この北海道だとか東北その他非常に雪の降るようなところにありまして、冬鉄道にたよる以外には足も見てくれるものはないというものに対しては、国鉄がいかに大きな損であろうと何しても、それをどうしようということは絶対ありません。ただ問題は、そのそばに国道がある。国道がある以上にはやはり——いま建設省の方がおられるかどうか知らぬが、建設省は雪が降ると、せっかく道路をつくっても除雪ということを全然やらぬ。すべて国鉄というものに押しつけておるのですが、道路をつくった以上はやはり除雪をやることがほんとうじゃないか。そこにおいて道路の使用効率がふえるのであります。そういうことで、とにかく鉄道がなくても足の提供はすぐできる、そういうところは別ですが、そうでない、鉄道が唯一の交通であるというものに対しては、いかな大きな損を国鉄が負おうとも絶対に鉄道をとるというようなことはいたしません。それから、その他の赤字線の問題なんかにつきましても、さっきから申しますように、鉄道をとっちゃっておれは何も知らぬ、こう言うのではなくて、つまり現在の輸送需要に適合した輸送具を提供するということで、これは、たとえばバスなんかにしてみると、とにかくバランスがとれていますからね。鉄道だと一日にほんとうの数本、数往復しかしていないですが、バスにしたら三十本も四十本もかかる。駅もふえる。こういうようなことで、つけかえてみればこのほうがよかったというようなことがたくさんあるだろうと思うのです。現にそういう例がありますから……。ということで、いずれにしましてもこれは国鉄としては最善の力を尽くして調査します。そして、一体将来の見込みはどう——現在悪くても将来発展するようなところはそのままにしておく。そうでないところ、だんだん利用率が減って何のために鉄道を敷かれているかわからぬというようなところに対しては、まず鉄道ほどの大きなものでない、小さな、ハンディなバスあたりでもってする、こういうことなので、いずれにしても、鉄道をとっちゃってあとは知らぬというのではなくて、とにかくサービス提供するということです。  さらに、もう一つ北海道あたりで問題になるのは通勤の問題だと思います。つまり、一般の客の人たちは利用しなくても、通勤、通学というものは非常に利用率が多いのだ。こういうところに対してバスにかえて起こる問題は、その料金をどうするかという問題。鉄道でやったほうがはるかに安い。バスになるとバスの料金のほうが非常に高い。こういうものに対しては、やはり国鉄としては、ある期間鉄道並みにして、国鉄はその差額金を負担する、こういうようなことにするのでありまして、バスでやるにしましても、大体においては国鉄でバスを経営します。ほかにまかせるというようなことはしないと思います。ということで、決して冷々談々たる態度でやるということはありませんので、どうかひとつこの点は御安心願いたいと思います。
  366. 島本虎三

    島本分科員 総裁の衷情、よくわかります。  それで、総裁北海道は地図で見ると、一県、一道一府県というようなことで同じようなことになりますが、これを具体的にその広さを見ると、四国と九州と中国を足して広島を引いただけの広さになる。したがって、このだだっ広い中て鉄道にたよる率というものはまことに高い。ところが現在のように函館を発してずっと旭川を通って釧路、根室まで行く一線、または稚内まで参りますけれども、これは千歳線を通っていく。がけくずれに一回あうと先般のように十日も二十日もだめになっちまう。したがって、いまの岩内線は勾配の少ない海岸線を通す、これを行なうためにもうすでに着工線としてついているわけです。合計して一億二千万円ほどすでにやっているわけです。そこで、いままである線が切れていますから、赤字路線だとして切られようとしておる。ところがそれをずっとつないでいこうとする計画がもうすでに一億二千万円の調査費がついて着工線に指定されている。工事線になった場合には、これはすみやかに完成さしてやるのがいい方法です。そして十分調べるというなら、こういうように産業の動脈として、これは静脈でもある。もう一本じゃいざとなったらあぶのうございますから、両方から二本で完全に確保しておく。これは電電公社の線も同じだと思うのです。やはりこういうような点を考えて、そうして十分この着工線になっている点については、こんなことやめちまうというような軽々しいことをしないように、この点強力に要望し、ひとつ最後に決意を伺って終わりたいと思います。総裁と大臣、この点はひとつ色よい返事をお願いしたい。
  367. 原田憲

    原田国務大臣 国鉄総裁は十分お答えになったと思います。  私も重ねてお答えを申し上げておりますが、赤字路線につきましては、いま総裁も言われましたが、まずこれにかわるものがなければならないということが前提になるわけでございまして、しかもその路線が果たしておるところの役割りというものを将来にわたって十分考え、地元の皆さんの御同意を得た上でなければこれを廃止するというようなことはしないということを国鉄総裁も言われております、私もそのつもりでおります。
  368. 島本虎三

    島本分科員 工事線は着工するように、いいですね。  終わります。
  369. 楯兼次郎

    ○楯主査代理 次に、伊賀定盛君。
  370. 伊賀定盛

    伊賀分科員 私は、ただいまも論議になっておりました赤字路線だけにしぼって御質問を申し上げたいと思います。  いま井上島本両議員の御質疑等から、私がお尋ねしようとすることについての御答弁の一部も聞かしてもらいました。わかり切ったようなことかもしれませんが、国鉄篠山線が廃止予定線——廃止ということばも、総裁のことばを聞きますと廃止じゃないそうでありますが、総裁が何と言おうと、地元民からいいますと、やはり廃止という理解をしておるわけでありまして、私も常識的な概念に従って廃止ということばをつかいたいと思います。そうした国鉄の方針を発表される限りは、一定の基準というものがあろうかと思います。その基準についてお示しいただきたい。
  371. 石田禮助

    石田説明員 具体的に基準といって、これが基準であるというふうにお示しすることはできませんが、要するに、鉄道の利用度がだんだん減っていく、あれどもなきがごとくである、ますます、将来その利用が減っていくというような場合には、それでは何のために、一体あんな金のかかる大きなものをつけておくかということになれば、国民経済的に見ても、とにかく現在のこの減少した利用度に適応した交通具にかえる、つまり、鉄道は取ってしまうが、同時にそれにかわる交通具にする、その交通具は十分に地方の人の足を提供することができ、かつハンディで、やってみるとなるほどこれはよかったという、そうして経済的に見てそのほうがいい、こういうものにかえようということなのでありまして、鉄道はひっぺがしてしまう、同時にそれにかわってハンディないいものが来る、こういうことで、地方の人たちも、何もそう悲観することはない。やってみると、これはよかったということがたくさんあると思いますがね。
  372. 伊賀定盛

    伊賀分科員 日本国有鉄道諮問委員会の答申というものがございます。これの一四ページから一五ページにかけて、特に一五ページの三行目あたりから、「おおむね次の事項を判断の基準とした。」といって、九項目をあげております。私は、一応、諮問委員会の答申の九つの基準がおおむね基準になったのじゃないかと思ったのでありますが、いま総裁から伺いますと、これといった基準はないということになりますと、極論をいたしますと、何かつかみ金、つかみ取りといいますか、そういうような形で八十三線区かの予定廃止路線というものが出たということになるわけですが、それでは少し大まか過ぎまして、特に地元民に対してましても納得させることは困難ではないかと思うのでありますが……。
  373. 石田禮助

    石田説明員 それは私の言い方がまずかったと思います。基準はないというのは、さっき申しましたように、いかに現在の線路というものが利用されているか、その利用率はどうか、それで将来はどうかという、これが一番大きな問題だと思います。それでいかにも現在の輸送需要に対してアンバランスである、そういうのが非常にあるのです。しかもそれが、現在は悪くても将来これが非常にインプルーブするということならこれは問題にならぬですが、だんだん、次々に悪くなっていく。地方の人たちというのも、鉄道、鉄道なんて騒ぐけれども、一向利用しない。利用度というものはだんだん減る。何のための鉄道かということであれば、これは、私は国民経済的に見て、感情論はやめて、やはり実際の輸送需要度に適合した輸送具にかえるということは、これは当然やるべきことじゃないかと思います。ことに赤字線なんというものは、結局大きな損を出しておる。四十二年度あたりにおきましては、全体でもって千三百億くらいのマイナスになる。もっともそのうちで幹線、亜幹線というのがあって、これは赤字線であっても幹線のほうに扶養効果をなしておるから、あるいは国民経済的に、ぜひとも置かなければならぬぞということもありますが、そうでない、いわゆる盲腸線というようなものは、年々歳歳利用度が減っている。現に地方の人もこれを利用しない、こういうようなものに対しては、もったいないような大きな道具を置かないで、小さなハンディなものにするということは、地方の人としても歓迎すべきじゃないかということに考えております。そういうことで、いずれにしましてもこれは国鉄としてはそこに書いてございました基準でだんだん調べまして、そうして大体の見当はつけますが、最後の結論は地方の人とひざ詰め談判して、地方の人の御希望もよく聞き、そうしてその上でよく御納得を得た上でわれわれがこれを運輸大臣に申請する、運輸大臣は交通審議会ですかにかける、それで最後の決を運輸大臣が下すということで、国鉄総裁一個だけの頭でやるわけじゃありませんから、それはそう御心配にならぬで、ほんとうにかえって歓迎されるというようなことに希望を持たれるのがいいんじゃないかと私は思いますね。
  374. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 先ほどの基準のお話でございますが、総裁がいま答弁いたしたとおりでありますが、この諮問委員会の基準と申しますのは、当時、諮問委員会といたしまして何を基準にするかというものさしとしまして、ここに書いてあるものはデータとして使われたわけであります。  その大きな点は三つございまして、輸送量がバスあるいはトラックに適しておるかどうかという問題がまず第一点。それから輸送量の実態というものがバス、自動車にかえられるかどうか。たとえば通勤の問題がここに書いてございますが、断面交通で三千人、こういうような面から調べた。さらに将来の見通しあるいは将来の発展性というか、この辺については、たとえば人口なりあるいは現在の輸送状況というものを判断の基準にしていく、こういうふうに考えております。   〔楯主査代理退席、仮谷主査代理着席〕 私どもといたしましては、今後これらの点につきましてこの基準に合っておるかどうか、これを調査しなければなりません。現在、八十三線区につきましては、まず沿線人口の動態、これを詳細に調査いたしております。それから沿線の産業、これが一次、二次、三次でどうなるかという点についてもこれを研究しております。それから貨物の問題にいたしましても、工場があればその工場の材料がどこから入ってくるかというような問題、あるいは沿線の旅客の流動状態、バスあるいは鉄道のどの区間をどういうように通っておるかというような問題も調査しなければなりません。貨物につきましても同様でございます。さらに根本問題といたしましては、やはり道路の問題、これが根本問題でございまして、道路の舗装の状況あるいは自動車の保有状況その他各種の問題を調査いたしまして、先ほど言われましたような基準に合っておるかどうか、同時に先ほど総裁が申しましたとおり、地元と十分協議をいたしまして、今後の開発計画あるいはその他地元の関係の方々の開発計画あるいは観光その他いろいろございます。その辺につきましてひざをつき合わせまして調査をいたしたい、こういうように考えております。
  375. 伊賀定盛

    伊賀分科員 いまの御回答を考えてみますと、むしろ消極的な考え方なんで、この場合、現在の状態では赤字路線だが、これを黒字路線に転換させるためにはどうすればいいか。いまのお考えですと、現在の鉄道をバスに転換するためにどうするかということが御検討の基準のようですけれども、先ほど来申し上げますように、現在の赤字路線をどうすれば黒字路線に転換できるかということも判断の基準にされる必要があろうかと思いますが、そういう点についてはお考えありませんか。
  376. 石田禮助

    石田説明員 もちろん調べます時分には、その辺の産業の状態がどうだ、一体発展の余地があるかどうか、また人口の問題なんぞからして輸送効率がふえるかどうかということも調べなければならぬことはもちろんでありますが、それ以上に国鉄自身が産業の発展に対して寄与するかしないかは、十分状態をよく調べる。それだけのことであります。
  377. 伊賀定盛

    伊賀分科員 具体的に申し上げますが、冒頭申し上げましたように、国鉄篠山線の場合、福和山線の篠山口から福住まであるわけであります。ただいま申し上げました赤字路線を黒字路線に転換する方途はないかという具体的な問題として、地図をごらんにならなくても大体想像いただけると思うのでありますが、京都から出ております山陰本線の園部にあと数キロで達するわけであります。しかもこの路線というのは大正時代にたしか国会で問題になって、一時福住−園部間を貫通しようということも事実上国会で問題になったことがあるそうであります。まだそこまでの記録は私も調査しておりませんけれども、そうしますと、将来の近畿圏開発というものが具体化してきておるわけでございまして、この福住から関西経済圏の中心であります大阪の中心点に約五十キロであります。東京考えますと、東京の五十キロというのは完全に通勤可能な範囲なんであります。しかもいま国鉄の御計画によりましても、福知山線は将来複線化、電化計画が具体化していまして、すでに宝塚までの複線が着工されようとしております。そうしますと、将来大阪−篠山口、篠山線の起点であります篠山口までは完全に複線化してくるわけであります。そして一方、篠山口から福住を通って園部に出てまいりますと、今度は園部から京都までは至近距離になりまして、やはりこれは通勤可能なところであります。しかも御承知のとおり、大阪はいまものすごい勢いで膨張しつつあるわけでありまして、将来この篠山方面なんというのは大阪の一つのベッドタウン地帯として、あるいは住宅地として伸びる可能性を十分に備えた地域なんでありまして、もしこれが貫通いたしますると、いわゆる大阪経済圏の一環として大阪、篠山口、園部、京都という一つの循環線が可能になってくるわけであります。  この地域は、先ほどお話がございましたが、御承知のとおり北海道と同じように雪は降りますけれども、山陰地帯でもまだあの辺でありますとそう大きな雪はございません。そうしますと、将来の関西経済圏の立場から見ても大きな展望が持てるわけでありまして、同じ赤字路線でありましても、たとえば九州であるとか北海道であるとかいったところとは違った性格を持っております。私は廃止するよりも、むしろ早急に福住から園部まで延長したほうが、将来の日本全体の国土開発計画から見ても、国鉄の経営から見てもいいんではないか、こういう感じを持つのでありますが、どんなものでしょう。
  378. 石田禮助

    石田説明員 伊賀さんのおっしゃることは、われわれよく頭に置きまして、この線をどうするということについて十分に考究いたしますし、さらに不幸にして、これはやはりどうも何とかしなければいかぬというような場合には、これは地元へ行きまして、ひざをまじえて懇談いたしたいと思いますので、そういう点を十分にひとつ御認識なさって、地元民を説得なさるように私から希望する次第であります。
  379. 伊賀定盛

    伊賀分科員 地元に行って説得するというおことばをただいま二回承りましたけれども総裁みずからお出かけいただけますか。
  380. 石田禮助

    石田説明員 私はどうもそういうことができるかどうかわかりませんが、相当に権威のある人間が参ります。
  381. 伊賀定盛

    伊賀分科員 それからもう一つ、いま島本さんからの御質問でもお聞きしましたけれども、よく調査しますと、篠山口から福住まで、現在の路線でバスでありますと通勤定期で三千八百三十円かかるのであります。国鉄でありますと、現在の料金でこれが八百十円なんでありまして、そうしますと、一人一カ月間三千二十円の負担増になるわけであります。これは年間三十三万人の定期旅客が月に三千二十円の負担増になった場合、どれだけのいわゆる住民負担がふえるのかと思って、いろいろ計算してみたのでありますが、往復の場合、計算してみると、私ではどうも的確な数字が出ないのですが、かなりの額になるようなんであります。したがいまして、そういうことになりますと、それでなくても農村の所得というものが都市周辺人たちよりも低水準にありまして、それに一そう負担増ということになってまいりまするし、さらにもう一つは、あそこには珪石がその一帯にありまして、かつて昭和の初期におきましては、日本の珪石の需要量の約三分の一を生産したほどでありまして、現在そういうことでだんだんと鉄道輸送も不便になってまいりますから、したがってこの間も珪石を生産している経営者の方に会っていろいろ聞いてみますと、どうも採算が合いませんので、積極的な拡張政策というものはやりませんというようなことも指摘しておるわけであります。鉄道輸送かバス輸送かということになりますと、国鉄経営からいくとバス輸送のほうが安くつくということになりましょうが、住民並びにその他の産業経営という立場から見ますると、かえって運賃負担が増額してまいります。ということは、すなわち、その地域の産業振興に相反するということになるわけであります。したがって、いま総裁のおことばによりますと、当分の間その差額を国鉄負担をしますということでありますが、当分の間ということが半年なのか一年なのか知りませんけれども、やがては廃止するに違いない。そうなってまいりますと、やはり長い間にわたって今後それだけの住民負担がふえまするし、さらに先ほど指摘しますように、産業面から見た場合、非常に大きな影響が出てくるわけであります。したがって、当分の間ということではやはり住民は納得しがたいものがあろうかと思うのでありますが、そこら辺についてのおことばをいただきたいと思う。
  382. 石田禮助

    石田説明員 要するに、現在の赤字線をやめてそれにかわるのに適当な輸送具をもってする。その輸送具というものが十分に地方の人の要望を満たすに足るものでなければならぬ。その次に起こってくる問題は、さっきも申したと思いますが、通勤、通学の料金の問題でありますが、これはまだほんとうに確定したわけではありませんが、相当期間国鉄がこの差額を負担するということは、私はせざるを得ぬと思っております。  さらに、いま伊賀さんのおっしゃるように、産業の上においてはどうしても鉄道というものをそのまま存続することが必要である。存続することによって地方の産業が開発されるということで、その点が間違いないとすれば、鉄道を廃止してバスにするということは私は考えものだと思います。その辺の事情は私のほうとしても十分に調べます。そしてさらに地方に出かけまして、ほんとうに地方の事情もよく調査し、地方の人と懇談するということにいたしますので、そう御悲観なさる必要は私はないと思います。いずれにいたしましてもここに運輸大臣おられますが、運輸大臣がノーと言えばそれでおしまい、結局やはり最後の決は運輸大臣が下すということでありますから、国鉄としてはそれまでにできるだけフェアな頭でもって代用の問題を考えるということにいたしたいと思っております。
  383. 伊賀定盛

    伊賀分科員 そうしますと、赤字路線の八十三線区というものを出しておりますが、これは具体的に日程がきまっておるわけですか。
  384. 石田禮助

    石田説明員 八十三線区というものは、大体調べまして、この辺は赤字線として考えてみたらどうだという、つまり目標をつくったことでありまして、別にあれを確定的にバスにかえるというようなことではないのであります。これは要するに試験問題で、これからこの問題を着々として解決していくという問題であります。
  385. 伊賀定盛

    伊賀分科員 八十三線区もちろん一挙にということではないのでしょうが、具体的に日程がありますか。いつごろから着工するか。総裁、廃止じゃないとかなんとかという問題が何か……。
  386. 石田禮助

    石田説明員 この問題は常に国鉄内部でも研究しておりまするが、要するにこの国会でこの赤字線という問題がだいぶ問題になりますので、その模様によりまして、いつということがきまるわけでありまして、いまどうという確定的の日時を申し上げるという段階にはなっておらぬのであります。
  387. 伊賀定盛

    伊賀分科員 そこで時間も参ったようでありますから、最後に運輸大臣にお願いをしたいと思うのです。いろいろと国鉄当局としての立場もあろうかと思うのでありますが、結局のところ国鉄総裁が住民の利便になるのであるとか、あるいは一定の間住民負担の増額分を負担をするとか、バスに切りかえるとかおっしゃいましても、せんじ詰めてまいりますと、赤字だから、何とかこの赤字を独自で解消したいということに尽きるだろうと思うのであります。もちろんそれはわからぬわけではありませんけれども、赤字を解消するのに、ことばがどうあろうと、現実に住民の負担を増し、あるいはその地域の産業開発を阻害する結果になることは、ことばをどう表現されようとも、これは変わりません。どなたが見ても、どちらから見ても、事実は事実でありますから、そこで、赤字を解消する場合に、ことばの表現は別として、地域開発を阻害したりあるいは住民負担を増額するような形での赤字解消策ということでなしに、言いかえると、日本国有鉄道というものを企業性に徹せしめるのか、あるいは公共性に徹せしめるのかというところに、一言でいうと尽きると思うのであります。日本国有鉄道は株式会社ではないわけであります。株式会社なら利潤追求というものが中心になりますけれども日本国有鉄道は株式会社じゃないわけでありますから、少なくとも公共性というものを持っておるはずであります。とするならば、そうした地域住民の犠牲による赤字解消でなしに、運輸大臣として適切な措置があるはずであろうかと思うのでありますが、御所見を伺いたいと思います。
  388. 原田憲

    原田国務大臣 赤字路線一般的な問題につきましては、私は何度もお答え申し上げておりますとおり、その地元の状況、将来の展望に立って慎重によく検討した上で、審議会に諮問して決を問う、こういう手続になると思うのであります。しかしいまちょっと伊賀さんの質問の中で、私が具体的な数字を聞いておりましてふに落ちない点があったのでございますが、いまなら八百円で済むところが、今度は三千八百円になる、こういうことはいかに国鉄というものが安いか、赤字も赤字、経済というものを無視した負担をしいられているのじゃないかということの、一つの事例になるくらいのものじゃなかろうかというような気がしたのであります。そういうことで、けさも話をしたのでありますが、一方においては、収入の一番多い、人口の多いところでは、今度は国鉄のほうが高くて私鉄のほうが安いという状況に置かれておる。こういう状況は国民経済的な立場に立ってどう考えたらいいのだろう、こういう問題に当面するわけであります。したがって私は、いま伊賀さんの言われたのが、数字の間違いじゃないかと想像しておるのでございますが、国鉄総裁の言われておりますのは、たとえばいま篠山線という具体的な問題を提示されておるのでございますが、篠山線がしょうがないなということになったときの姿というものをいうと、それは自動車とかわっておるが、その間の差額というものは、負担をすることによっていまの通勤着に迷惑をかけないようにしていくということを考えておる、こういうことを言われておるわけであります。  ただ国鉄の赤字路線問題というものは、いま急に降ってわいた問題でなしに、いままでもあったと思うのであります。その問題について、これは地元において話がついたところは、そういうことを実践したところもあると聞いておりますが、私がいま承知しておりますのは、全国的にこの赤字路線というものを廃止してもらったら困るという声が非常に高い。したがいまして、あなたが最後に申し述べておられますが、国鉄というものの性格から、一がいに何でもかんでも廃止したらよいというものではないではないかということも十分考えて、私は対処していくつもりでございます。
  389. 伊賀定盛

    伊賀分科員 先ほどもちょっと話が出たのですが、これは国鉄ですか、運輸省ですか、運輸省の予定鉄道線路図と今度の八十三線区の重複しているところを調べてみますと、八十三線区中九線区が現在工事中の中で廃止予定線に入っておるようでございます。これは島本さんも先ほど北海道だけを指摘しておられましたけれども、全国に九線区重複しているものがあるように思います。赤字路線というものは、いま大臣のおことばの中にもあったが、前々から問題になっておった。前々から赤字路線が問題になっておったのに、一方においてその赤字路線の工事をしていくということ、しかもそれが一つとかなんとかならともかくも、八十三線区中九線区もあるということになりますと、これは運輸省の運輸行政にかなり大きな欠陥があるのではなかろうか、これを指摘せざるを得ないわけでありまして、ここら辺の矛盾運輸大臣として——いままでの責任を追及してみたところでどうにもなりませんが、今後の問題として相当大きな問題であろうかと思うのでありますが、この矛盾をどう御理解されますか、あわせてお伺いしたいと思います。
  390. 町田直

    ○町田政府委員 ただいまおっしゃいましたのは、おそらく鉄道建設公団で新線建設をしている線の問題だと思います。その場合に八十何線とおっしゃいましたが、その中で八十線ぐらいが赤字の路線であるというのは、これは一つの何と申しますか、経費と収入とを比較して赤字である、こういう数字であろうというふうに見ております。ただ私どもと申しますか、国鉄でございますし、それから国鉄財政再建推進会議等で申しておりますのは、要するに赤字だから全部やめなさい、こういうことではないのでございまして、要するに輸送構造の変化によりまして自動車をもって代替できる、それによって地元の住民にも御不便をかけないで代替できる、こういうものについては自動車にかえていったらいいじゃないか、こういう趣旨でございまして、計算上赤字になるから全部やめなさい、こういうことではないわけでございます。先ほどから大臣も総裁も申しておられますように、要するにただ赤字だからやめるということではございませんので、そういう意味で自動車に代替できるというものについて今後考えていこうという趣旨でございますので、そういう意味でいまやっております新線建設につきましても、やはり国鉄の赤字路線と同じような趣旨で重点的にやっていくということは必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  391. 伊賀定盛

    伊賀分科員 そうしますと、この八十三線区というのは、一般にわれわれも、これは赤字路線で廃止されるかもしれない、あるいはひょっとしたらこれがもう計画として廃止されるだろう、こう理解したわけでありますが、いまの御説明を伺いますと、八十三線の中が国鉄の内部的にも廃止路線として予定されたものじゃない、こういうわけですね。
  392. 町田直

    ○町田政府委員 八十三線につきましては、先生承知のように、国鉄の諮問委員会が諮問委員会としての国鉄総裁に対する答申を出した一つの案ということでございます。それを実際に具体的にどうするかという問題につきましては、国鉄総裁も繰り返し述べておりますように、地元の実情等十分考えまして、どうするかということを今後決定いたしたい、こういうことでございますので、おっしゃるようにそれが廃止をするという具体的な案でないことはそのとおりでございます。
  393. 伊賀定盛

    伊賀分科員 そうしますと、私がただいま指摘いたしました篠山線は、将来関西経済圏の一環としての展望もありますし、さらに消極的な意味でなしに、積極的にいまの赤字路線を黒字路線に転換させることもあわせて将来検討するという御趣旨の御答弁をいただきましたし、それから総裁みずから、あるいは適当な責任ある者を派遣して地元にも十分理解をしてもらうように努力するというお話がございましたが、かりに廃止するかもしれない事態になった場合には、地元の納得がいかない限り廃止するものではない、こう理解してさしつかえございませんですね。
  394. 石田禮助

    石田説明員 大体私はそれで差しつかえないと思います。ただ、地元のほうとしてもひとつどうぞ大きな気持ちで、自分の立場だけを固執するというのではなくて、国民経済的に見て、これがやはり国鉄の希望に沿うのがいいではないか、こういうように度量を大きくして、この問題を理解をしていただきたいということに考えております。
  395. 伊賀定盛

    伊賀分科員 もう一つは、ただいま申し上げましたように、積極的な意味がございますので、この篠山線につきましては福住——いまの終点でありますが、福住−園部間を貫通することもあわせてひとつ御検討いただけるかどうか、もう一点だけ御答弁いただきたいと思います。
  396. 石田禮助

    石田説明員 この点は私ここでもってイエス、ノーは申し上げかねますが、よく関係者にそのことを伝えまして、できるだけ調べるように申しつけておきます。
  397. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 玉置一徳君。
  398. 玉置一徳

    玉置分科員 運輸行政につきまして若干の質問をいたしたいと思います。  先ほど来も話題になっておりましたとおり、国鉄の再建と健全な運営と地方の利害というものが非常に錯綜して、むずかしいものだと思います。そこで、地方にとりましてはこれはまた非常に重要な問題でありますので、私は国鉄がああいう再建案をショック療法のような意味で突如として出したんだと思うのですが、運輸大臣のほうでは、地方の方々が納得し得るような条件を整えた上でこの問題を処理しなければならないんじゃないか。若干どうかと思うような政治路線も片一方では建設されますようなぐあいで、ちょっと地方の方々も納得しにくいんじゃないか。しかも国鉄の再建というものとこれとのからみ合わせは、やはり国の財政でもってあの問題は地方とともに処理していくというような考え方も出していかなければ、にわかに処断しにくい問題のように思います。今後そういう問題で地方の方々を心配させないような処理のしかたを御研究いただきたいのですが、この問題は私は質問しようと思う中小私鉄においても同じだと思うのです。国鉄はまだ若干の一、二の検討の余地がありますけれども、中小私鉄に至ってはその余地すらないところがあるんじゃないだろうか。これについても同様な配慮がなされなければならないわけでありますが、現行の国の助成のあり方が、ある部門に限っておりますので、非常にシビアであるということが言えるのと、バスの助成のごときは三百数十社のうちでわずかに二十社程度しかそれに該当しないというような点もございますので、今後こういう点につきまして格段の御配意をいただきたいと思いますが、運輸大臣の御所見を承りたいと思います。
  399. 原田憲

    原田国務大臣 玉置さんのおっしゃっておることはちょっとよく受け取れなかったのですけれども、中小私鉄に対して私どもは今度助成策を講じまして、結局それがいままでは赤字を出したらそれを助成するということ、そういう形は変わりましたけれども、より一そう助成をして、地方の足を確保していく、こういうことを考えておるわけでございまして、これは今後もより拡大をしていかなければならぬ、このように考えております。
  400. 玉置一徳

    玉置分科員 いわゆる過疎対策としてもこのことはぜひとも必要じゃないか。運賃の値上げということは物価にはね上がりますから、厳に慎まなければならないわけでありますけれども、私企業でございますから、そういつまでもそのことをやっていけないわけであります。  御承知と思いますが、たとえば例をあげますと、トラックの料金にいたしますと、料率の変更はございましたけれども、約十年間据え置かれておる。路線トラックに至っては昭和二十七年十二月より十五年間据え置かれておるというのが現実であります。その間数回にわたりましてガソリン税の値上げを受けておる。ほかの企業と違いまして、人件費部門に占める割合が多いわけでありますので、機械産業のような合理化というものにも程度がある。そこでここに働く労働者諸君がどうしても残業でめしを食っておるんだといわれておるような悪い条件になりつつあることも御存じと思います。こういうような意味で、料金はなるべく値上げをしない、これは国の現在の社会的な要請でありますが、だからといって、ガソリン税は値上げするは、あまり思い切った構造の改善ということはでき得ない業種でございますので、このままでは、そこに働く人々はどうなればいいんだろう、一体どういうようにしてこれを私企業として成り立たすようにやっておいきになるのか。  一例を申し上げますと、トラックのあれでございますが、これは日通の統計らしいのですが、専業でやっておるのは三七%であって、ほとんどがもうからぬから兼業収入でやっておるという実例すら出ております。このまま参りますと、御存じと思いますが、小口集荷が、二トン車で五十キログラムの荷物を四キロメートル運びますと、基本料金が六十五円で、都市割り当てが十円、合計七十五円、端数切り上げで百円にしておるという現状でございまして、先ほど申しました労務者の質も勢い悪くなる、事故も多くなる。一番安全でそして迅速かつサービスの向上を願わなければならない部門でありますにかかわらず、この人たちは、先ほど申しましたように、ハイヤー、タクシーは三、四年、それからトラックは十年もしくは十五年据え置かれたままで、どうしてもやっていけませんものですから、ただいま申しますように、残業でめしを食っておるというような現状であります。一体運輸大臣としては、二律背反のこの問題をどういうようにしておいきになろうと思っておいでになるのか、ひとつ所見をお聞かせいただきたいと思います。
  401. 原田憲

    原田国務大臣 私は、旅客運賃あるいはいまお話の出ました自動車の輸送運賃、これらのものが他の物価と比較して長い間据え置かれて低いところにある、他と比較したときにはこれが低いところにある、こういうお話は、そのとおりであろうかと思います。ただ、それが長い間据え置かれておるということは、定着しておる、安定しておるということをまた一方において与えておるわけでございますから、これを上げるということになりますと、いまお話しのように、物価に影響を与えてくるじゃないかという問題と、二律背反と言われましたが、突き当たってくるわけでございます。ここのところが、私自身は、これらはいままで過去においてあるいは値上げをしておいたほうがよかったんじゃないか。というのは、これらの運賃を値上げしたからといって、すぐに物価に響いて上がったという統計はないようでございます。したがって、便乗ムードということ、あれが上がったからおれは上げるんだというようなことになるおそれを除いたら、実績を見ますと、そういうことはなかったんじゃないか。ただ、非常に経済企画庁長官がやかましく言いますように、いまは五%という、物価問題で一番せとぎわみたいなところにおる。これが物価上昇で守れないようなことになると、いわゆる定期貯金の利子と同じような物価ということになると、もう経済というものの根本の問題に触れてくるじゃないか。だから、私はその理屈を言っておるわけです。それはわからぬではないが、この際は、物価というものは押えることが大事だからできるだけ協力して、極力抑制につとめてもらいたい、こういうことに私も同意をいたしておるわけでございます。したがいまして、この公共料金だけで物価はきまっておるわけではございません。物価の中でどちらかというと自由な価格に置かれておるものが、家計の中でも非常に大きなウエートを占めておることは、御存じのとおりであります。文化が進めば進むほどそういう比率は多くなってきます。これらが物価の面に消費の拡大となって占めておる率は、この運賃と比べるとうんと大きいと私は思っております。それらのバランスが失われたときに、もっと大きな経済の破綻というようなことまで起こしかねないというくらいに思っておりますけれども、いまは何しろそういうことで大事なときであるから、これに協力しております。一方、この間総理大臣も言っておりましたように、企業が赤字を出してつぶれてしまったら一体どういうことになるのか。それが、私が言いましたように、輸送という経済の流れを握っておるものが倒れたら、経済自体がバランスを失してつぶれてしまう、こういうことになるのでございますから、ここのところを十分慎重に考えて対処していくつもりでございます。
  402. 玉置一徳

    玉置分科員 ぼくは値上げをしてあげなさいということを言うておるんじゃございません。十年、十五年据え置かれておることは事実であります。賃金も、すべてのものが上がっておることは事実です。その間数度にわたってガソリン税も増徴しておる。その中で、許可制だからというて、しんぼうしておれ、いまが大事だ——この物価の問題は、ことしだけ大事だというんだったら話が別だけれども、おそらくずっと続くんじゃないかという感じもしますし、どうしたらやっていけるんですかというくふうをお伺いしておるわけで、先ほどの中小私鉄も国鉄のあれも同じことだと私は思う。だから、直接に運賃を上げる方法じゃなくて、企業が成り立つようなくふうを何かで考えなければ、つい自動車が目のかたきになって税の対象にする。いまほっておけば、運輸省も、都心乗り入れ制限をやって、三百億ほど財源を捻出し、地下鉄のほうにという案すら省議で研究なすったことも事実であります。そういうようなことで、みな徴税のほうへ目をつけるだけでして、運賃を十五年間も据え置いてそのままいけるとは——程度の問題でございまして、三年間しんぼうしておれ、五年間しんぼうしておれという問題でなしに、十五年間もしんぼうしておってやっていけていると見るのは、あまり酷じゃないだろうかという感じがするものですから、ひとつこれについては十分な御研究をいただきたい。  私は、こういうものの運賃のいろいろなやり方につきまして、第三者としてお考えをいただくような、政府の審議会でなくてもけっこうですから、運輸大臣の諮問機関としても、何か第三者からも見てもらうようなものをおつくりなすったらどうだろうというような感じもいたしております。そうでないと、運輸省の立場からすれば、やはり押えざるを得ないという立場、私たちもよくわかります。企業が苦しいということもわかりながら、あえてそうせざるを得ないわけです。それならば、それにかわるべき税、財政の措置というものがあり得るんじゃないだろうかという感じもしますので、お伺いをしているような次第であります。  そこで、建設省にも、私、次に質問するので資料の要求をしておるわけですが、実は日本道路行政というものは徹底的にやっていただかなければならない。どのくらいの費用があと十年、二十年にかかるんだ、ガソリン税は世界各国から比べて大体こんなものじゃないだろうか、そのときに要ることだけは要るんだから、それには国債の発行ということも道路に限って考えていいじゃないかというようなことで、資料要求をしておるわけですが、将来ガソリン税を若干の手直しをするような部門ができますときには、現在のような形でありますと、当然、公共性にかんがみまして押えておる分だけを、この種の運送業につきましてはガソリン税の減免を考えなければならぬと思いますが、いままでもそういう措置がなければならなかったわけでありますが、十分にできておりません。今後の姿勢につきましてお伺いしたいと思います。
  403. 田辺昇

    ○田辺説明員 御説明申し上げますが、ただいまお話のございました将来の道路投資と財源面の手当てということにつきましては、いろいろと建設省その他関係官庁で検討されているところでございますが、大蔵省といたしまして、揮発油に対します税負担という角度からは、先般来税制調査会でいろいろと御検討をいただきました。その考え方を簡単に申し上げますと、現在のガソリンに対します税金が道路整備財源に使われている限りにつきましては、今後の道路投資のあり方との関係でその税負担考えられるべきであろうということが第一でございます。第二は、しかしながら、現在のガソリンに対します税負担は非常に高いものとなっております。六割をこえております。したがいまして、この高い税負担につきましては、ガソリンを使います使用者、さらに生産者、さらにその揮発油の流通面を担当いたします関連業界、これらの税の転嫁、帰着を通ずるむずかしい問題がございますので、そこら辺の関係を十分に配慮しながら今後の税負担のあり方を決定すべきであるというような答申をいただいておりますので、政府はこの答申に基づきまして今後の方向を検討していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  404. 玉置一徳

    玉置分科員 ついでに、警察庁のほうで、バス路線の運行につきまして、値上げで片づくんじゃなしに、運行率と申しますか、非常に運行が阻害されまして、こういう状況では、自治体の市営バスはもちろんのこと、大都市周辺のバスの経営が非常に圧迫されることは当然だと思います。バスの優先運行と申しますか、そういうような自動車運転者諸君のマナーを励行するというようなことが必要だと思いますが、そういう方針はできるかどうか、警察庁のほうからお答えをいただきたい。
  405. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 お答えいたします。  御指摘になりましたバスの優先通行の問題につきましては、料金の値上げ問題との関連で、企業外の原因ということで先年来からその問題が持ち上がっておりまして、警察の措置の中でそういうことができないかということでわれわれも検討してまいりました交通規制の観点からまいりまして、バスの特殊事情に応じまして、たとえば交通規制の右折禁止をだいぶ強化しておりますが、右折禁止の除外をバスには認める、それから、バスの非常に通ります路線につきましては、漸次通行全体の円滑化をはかるということで、特に諸外国でもやっておりますけれども、クリアウエイ方式という方式を採用いたしまして、一定の通勤時間帯、ラッシュアワー等におきましては、その路線についての駐停車を禁止していく、そのことによって全体の交通の流れも円滑になりますし、特に非常にバスの通行の円滑化がはかれるということで、そういう対策も講じております。今後なおいろいろ検討いたしまして、他の交通との関連がございますので、バスだけ特に優先権を与えるということにつきましてはなかなかむずかしい問題がございますけれども、漸次そういう方策につき検討してまいりたい。  それから、一般の車両がバスに通行を譲ったらどうだということで、そういうことを道交法の中に規定したらどうかというような御意見もいただいております。この問題につきましては、現在道交法全体の大幅な改正をやろうとしておりますので、その中で検討してまいりたいと思いますが、その前に行政措置としてそういうことはできないか、運転者に呼びかけはできないかということでございますけれども、いろいろ運転者のマナーの問題でございますので、マナーとしてそういう方向にいくことを期待しておるわけでございますが、大阪等におきましては、バス優先通行ということでそういう呼びかけをしております。東京におきましても、大阪の実績を見まして、そういう呼びかけができるかどうかということを漸次検討してまいりたいと思います。
  406. 玉置一徳

    玉置分科員 自動車学校のことですが、自動車学校は、御承知のとおり学校の敷地を主として走っておるわけでありますので、農免道路のガソリン税と同じ意味で、自動車学校に使用するガソリン税はこれを免除いたしまして、安全教育のほうへこのお金を使う、約十二億円らしいのですが、そういうことは望ましいと思うのでございますが、どうでありますか。
  407. 田辺昇

    ○田辺説明員 自動車教習所の使いますガソリンに対する課税の問題のお話だと思いますが、ただいま先生お話のような考え方も一つ考え方だというふうに理解をいたします。ただ、御存じのように、現在のガソリン税は、基本的にはガソリンの消費に対します課税でございまして、一般の物品税、物品の消費に対する課税と同じように、必ずしも道路に使用されるガソリンだけを課税するたてまえになっておりません。ただたまたま昭和二十九年以降道路の投資財源にガソリン税の収入をあげて充てるという臨時的な措置になっております関係上、御質問のような考え方が出てまいるわけでございますが、第一の基本的たてまえからいきますと、直ちに免税というわけにはならないと私ども考えております。  そこで具体的に、そうはいっても、実際は道路の損傷なり受益というものと関係させたガソリン税の使い方になっております関係上、自動車教習所の車が道路を使わないという前提でこの問題の御質問があったと思いますが、自動車教習所の車は、実は道路を使う場合もございます。それから使わない場合も、道路を使う場合のことを予定してガソリンを消費するわけでございますので、われわれといたしましては、これを特に現段階で免税するように考えているわけではございません。  なお、仮免を受けてそのあと道路に出ていった場合に、ガソリンがどのくらい使われたかというようなこと、その他課税技術上、免税をもしやる場合でも、いろいろ技術的な難点があるということは御存じのとおりだと思います。
  408. 玉置一徳

    玉置分科員 いまの理屈は、取るほうの側からの理屈でして、農業のトラクターですかの免税におきましても、国会の論議はそういう意味じゃなかったのです。ほとんどあれはたんぼでやっておるのであります。しかしながら、あれだって、そこへ行くまでの間には道路を通るのですよ。同じことなんです。主たる目的がどうだ、しかも、あのガソリンは自動車が使うから取るのじゃない——それはへ理屈でして、大蔵省では通用するけれども、国会では通用せぬのだと私は思う。われわれ施行されておるガソリン税の考え方は、やっぱり自動車——トラックにはもっとかけろとか、いろんな論議をするのは、道路をどちらがよけい損傷するかということでやっておるわけでして、ちょっとその点はうなずけません。あなたにそういうことを申し上げても恐縮ですけれども、大蔵省当局としてもう一回再検討していただきたいと思います。  それから自動車取得税も同じことがいえると思いますけれども、自治省の方お見えになっていますか。——自動車取得税が、学校の教材という形で一部の地域において免除されておりますが、自動車教習所の自動車の取得に関して免税措置を考慮する用意があるかどうか。
  409. 森岡敞

    ○森岡説明員 自動車取得税は、御指摘のように道路目的財源でございます。したがいまして、現行制度上も、道路以外の場所においてのみ運行する自動車、これは課税しないことになっております。ただ問題は、道路以外の場所のみにおいて運行するか、あるいは道路においても運行するかの判定の問題でございます。これにつきましては、現在、道路運送車両法の登録制度がございますし、登録をいたしました自動車は、道路を運行するということが予定されておるわけでございますので、私どもとしては、登録の有無によりまして、道路においてのみ運行するかどうかの判定をする、そういうことにいたしておるわけでございます。したがいまして、自動車教習所の教習専用の自動車で登録のないもの、これは全国的に課税しないという考え方になっておるわけでございます。
  410. 玉置一徳

    玉置分科員 時間がありませんので、もう一つ二つ。  厚生省はお見えになっておりますか。——自動車の運転手諸君にいたしますと、好まないことでありますが、事故を起こしたときに救急病院にかけつけますが、私立の救急病院では相当高いということをいわれております。したがって、公立病院にこの救急病院の指定をなるべく受けさすように御指導いただきまして、この点を是正していきたい、こう思うのですが、そういう指導が可能かどうか、お答えいただきたい。
  411. 上村一

    ○上村説明員 救急病院でございますが、現在約四千カ所ございます。その中で国立なり公立の病院が六百八十ばかりございますが、これは全国の国立病院なり公立病院の三割程度。そのほかに、公立病院につきましては、単なる救急ではなくて、相当程度の高い診療を行なえる機能を持つものを私ども約百十カ所ばかりを目標にいま整備中でございます。  それで、公立病院についてもっと救急病院をふやすような指導ができないかというお話でございますが、救急病院になるには、一定の基準、たとえば常時診療に従事できる医師がいるとか、あるいはレントゲン室を持っているとか、ベッドを持っているとかという基準がございますので、一定の限界がございますが、私ども考えとしましては、そういった救急医療こそ公的な医療機関が率先して担当すべきものと考えておりますので、そのような指導をいたしております。
  412. 玉置一徳

    玉置分科員 最後に、自賠法の問題でありますが、やがてこれを引き上げろというような機運も非常に多うございます。先ほど来申し上げましたとおり、運送業がかなり経営基盤が脆弱になっておることは御承知のとおりでありますので、こういう引き上げが行なわれましたとき、事業者の負担の減免措置ということが一つ考えられることと、ことに任意保険につきましては、個人の分は所得の減免を火災保険その他の損害保険におきまして行なわれておるごとく取り入れることが、任意保険に加入してくれる気分的なあれをそそるんじゃないだろうかということも考えられますが、これについて御所見を大蔵省のほうからお答えいただきたいと思います。
  413. 田辺昇

    ○田辺説明員 御説明申し上げます。  自動車関連いたします保険につきまして、先生お話は、その保険料に相当する金額を所得税の計算上特別な控除を考えられぬかというようなことだと存じますが、御存じのように、現在、事業をしております方のそのような保険料は、その事業所得の計算上、経費に算入されるというような扱いになっております。したがいまして、お話の焦点は、自家用の分の保険料ということになるかと思います。このようになりますと、一般的に家自上の経費ということとの区分が非常に問題になりますので、この点が一つ大きな難点だと思います。それからいま一つの点は、尽きますところは、結局所得税の一般的な負担が高いというところから話が出てくる問題だと考えておりますので、われわれといたしましては、いろいろな問題を、そのつど、ものごとに応じて手当てをいたしますよりも、やはりかまえといたしましては、今後その高い税負担一般的な減税によって対処することがより望ましい方向ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  414. 玉置一徳

    玉置分科員 修身の教科書みたいな答弁をしてもらうために質問をしておるんじゃないのだから、帰られましてひとつ大臣と相談されて、今後の機会に御返答いただきたいと思います。私はこれは交通安全特別委員会で、国会の決議としても要請をしたい。そうしなければ、何だかんだといって、自動車を持っている連中にみなぶっかけることばかりをやるだけで、気分的にもやはりこの自賠法に率先してみなが入ろうという気持ちを起こさないといかぬのじゃないか。貯蓄のほうは、これは貯蓄だから税を減じます、大蔵省の都合のいいやつだけは減ずるけれども、理屈というようなものはどうとでもつくもので、これは説教をあなたに聞こうと思って質問したんじゃないのだから、帰られましてひとつよく御相談をいただいて、何らかの——きょうは時間がありませんから、次の機会にまた大臣と一緒に相談をしてみたい、こう思います。  ありがとうございました。
  415. 仮谷忠男

    ○仮谷主査代理 次回は、明二十六日午前十時より開会し、郵政省所管について審査を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十八分散会