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1969-02-15 第61回国会 衆議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月十五日(土曜日)     午前九時四十六分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 櫻内 義雄君 理事 田中 龍夫君    理事 塚原 俊郎君 理事 中野 四郎君    理事 八木 徹雄君 理事 大原  亨君    理事 中澤 茂一君 理事 広沢 直樹君       足立 篤郎君    相川 勝六君       植木庚子郎君    臼井 莊一君       大村 襄治君    上林山榮吉君       亀岡 高夫君    川崎 秀二君       小坂善太郎君    河野 洋平君       重政 誠之君    田中伊三次君       竹内 黎一君    塚田  徹君       野原 正勝君    橋本龍太郎君       広川シズエ君    福田  一君       松浦周太郎君    松野 頼三君       山口 敏夫君    太田 一夫君       角屋堅次郎君    北山 愛郎君       田中 武夫君    高田 富之君       楯 兼次郎君    楢崎弥之助君       八木 一男君    山内  広君       塚本 三郎君    鈴切 康雄君       田中 昭二君    林  百郎君  出席国務大臣         法 務 大 臣 西郷吉之助君         大 蔵 大 臣         経済企画庁長官         事務代理    福田 赳夫君         文 部 大 臣 坂田 道太君         厚 生 大 臣 斎藤  昇君         農 林 大 臣 長谷川四郎君         通商産業大臣  大平 正芳君         運 輸 大 臣 原田  憲君         郵 政 大 臣 河本 敏夫君         労 働 大 臣 原 健三郎君         建 設 大 臣 坪川 信三君         自 治 大 臣         北海道開発庁長         官       野田 武夫君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      保利  茂君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)         (行政管理庁長         官)      荒木萬壽夫君  出席政府委員         内閣官房長官 木村 俊夫君         内閣官房内閣審         議室長     橋口  收君         内閣法制次長  吉國 一郎君         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         警察庁刑事局長 内海  倫君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         法務省人権擁護         局長      上田 明信君         大蔵省主計局長 鳩山威一郎君         大蔵省主税局長 吉國 二郎君         国税庁長官   亀徳 正之君         文部省初等中等         教育局長    宮地  茂君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         厚生大臣官房会         計課長     横田 陽吉君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         厚生省社会局長 今村  譲君         厚生省児童家庭         局長      渥美 節夫君         厚生省保険局長 梅本 純正君         厚生省年金局長 伊部 英男君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林省農林経済         局長      亀長 友義君         農林省農政局長 池田 俊也君         通商産業省企業         局長      大慈彌嘉久君         通商産業省重工         業局長     吉光  久君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         労働省労働基準         局長      和田 勝美君         労働省婦人少年         局長      高橋 展子君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 大津留 温君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   竹岡 勝美君         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 二月十五日  委員仮谷忠男君、倉成正君、田中伊三次君、灘  尾弘吉君、福家俊一君、湊徹郎君、川崎寛治君、  山中吾郎君、吉田賢一君、伊藤惣助丸君及び北  側義一辞任につき、その補欠として広川シズ  エ君、大村襄治君、河野洋平君、亀岡高夫君、  山口敏夫君、塚田徹君、太田一夫君、八木一男  君、塚本三郎君、鈴切康雄君及び田中昭二君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員大村襄治君、亀岡高夫君河野洋平君、塚  田徹君、広川シズエ君、山口敏夫君、太田一夫  君及び八木一男辞任につき、その補欠として  倉成正君、灘尾弘吉君、田中伊三次君、湊徹郎  君、仮谷忠男君、福家俊一君、川崎寛治君及び  山中吾郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度一般会計予算  昭和四十四年度特別会計予算  昭和四十四年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和四十四年度一般会計予算昭和四十四年度特別会計予算昭和四十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行ないます。塚本三郎君。
  3. 塚本三郎

    塚本委員 通産大臣に、最初にお尋ねいたしたいと思います。  私は、特に中小企業労働力不足が深刻になっております今日の実情にかんがみまして、何とかこれに対応する政治的施策をとる必要があるのではないか。特に私どもは、日々中小企業、特に零細企業経営者と接しておりまするとき、深刻にこの問題が提起されてくるわけでございます。  経済学者のいろいろな論説等を拝見いたしてみますると、過去におきます日本経済力の伸長は、最も大きな要素として、無限の労働力供給源があったということ、あるいは生産性向上に備え得るだけの、そういう機械設備による解決策があった、こういうようなことで、世界に類例のない経済発展を見たといわれておりますが、しかし、それは過去十年の歴史であって、これからはそうはいかぬぞ、こういう声が深刻でございます。  その最も大きな要素労働力不足にある。このことはもはや当局も十分お考えになっておられるはずでございます。しかし、それは設備近代化であるとか、あるいはまた人手の要らないような産業にとか、あるいは三次産業に人が行き過ぎておるからこれを何とかせねばならないというような、題目としてはとにかく解決の指示がなされておるようでございます。  しかし、現実に三十名以下というような小規模あるいは零細企業者にとっては、もはやこのような希望さえもお手上げの状態になっております。設備近代化せよということに対しましても、三年先、五年先にそのことがなし得るという希望はつなげたといたしましても、今日の零細企業者中小企業者の現状に照らし合わせると、何とかしてくれというような深刻な希望がございます。実は私のところも小さな小規模企業でありますが、先日も兄貴が、もう商売がえをしなければいけない、お年寄りを頼んでおったのだけれども、お年寄りももうだんだん年がいってしまって、仕事をさせるとあぶなくなってしまった、そうかといってだれも来てくれるものはない、だからもうアパートでも建てて、そして自分はどこかに働きに行って、双方の収入でまかなっていこうか、こんな相談を、私は現実自分の兄弟から受けたわけでございます。まだ四十代のものが企業に情熱を捨ててしまって、そして工場を改築してアパートの二、三十戸も建てて、そして二、三十万円の収入を得ることによって、自分はどこかで安気に労働者として使ってもらおう、こういうようなことを、具体的に相談をかけられたわけでございます。しかし、そのことは単なる迫力のない零細経営者の一人の発言ではないと私は見ております。現実人手不足のために、いかに零細企業者が深刻な悩みをしておるか、このことは、おそらく大臣も専門の立場から御検討いただいておると思います。だから、あるいは欧米諸国労働力不足に比べたらまだまだ余地はあるんだ、だから君たちは研究が足りないんだとか、合理化に対処する気がまえが足りないんだと、こういう答えが返ってくるのではないかと心配をいたします。それは世界経済の中における発言としては受け取り得られますけれども、しかし、今日まで日本が歩んできたいわゆる経営者歴史の中では、まさに未曽有事態だということでございます。ですから、世界的産業の中における人手不足という比率からいいますると、余地があることは私も承知いたしております。しかし日本歴史の中から比較いたしてみまするとき、彼ら小さな経営者立場というものは、ほんとに深刻だと受け取って、このことは、もう転換すべきだというふうにあきらめさせるべきか、あるいは、そうじゃないんだ、現実中小企業者あるいは零細企業者日本産業界に果たしておる役割りは決して見放してはならないという立場に立って、何らか抜本策を講ずべきか、この点を実は明確にやはり示してやるべきではないかということでございます。この点につきまして、経済を担当なさる通産大臣としての御見解を承ってみたいと思います。
  4. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおり、今日の中小零細企業が当面する問題、いろいろございますけれども、御指摘労働力不足が最大の問題であると思います。この現象は、一時的な現象であればよろしいのですけれども、最近、御案内のように出生率がだんだん落ちておりまするし、長期的な見通しから申しましても、労働力の新規の供給力というものはだんだんと落ちていくという傾向にありまするだけに、ますますゆゆしい問題だと思います。ところが、中小企業は、それでは労働力不足のためにいま言われたように転業していっていいかというと、そうではなくて、現在、生産高におきましても輸出高におきましても、非常に重要な地位を持っておるばかりじゃなく、大企業にいたしましても、このほとんどはアセンブリーの工場でございまして、そのすそ野は広く深く中小企業に根を置いておりますので、全体として中小零細企業がしっかりしないと、日本産業は国際的に競争力を持つことができないばかりか、経済そのものの健全な発展が所期できないということも仰せのとおりだと思います。  そこで、これに対する対策としてどうすればいいかということでございますが、あなたが冒頭に御指摘になられましたように、問題は、まず省力経営が可能な条件をつくり上げるということに私どもは一生懸命になるべきであって、労働力——労働政策そのものは、労働省のほうの御担当でございますけれども、私どもとしては、少ない人手で最高の生産性をあげるにはどうすればいいかということを、設備近代化ということと、それから技術改善開発という面を通じまして極力進めてまいって、そうした情勢に対応していかなければならぬとまず思います。  それから第二といたしましては、そこに雇用されておる方々に、未来に対して希望を持っていただく、いわば魅力のある職場にしなければならない。そういう意味におきまして、中小零細企業金融力経営改善、そういった点に力をいたしまして、希望を失わないように、労働定着性を確保するようにしなければならぬと思います。倒産は去年の暮れからやや減退の傾向になったといえども、まだ金額においては相当大きな負債を残しておるような状態でございますので、何としてもこの状態金融力、信用の不足をどうして補完して、安定経営を持続できるような状態をどうしてつくるかという点に力点を置いていかなければなりませんし、また労働者福祉施設等に対して割愛し得る経済力を、みずからの経営の中から生み出し得るような弾力をつくり上げることができるような状態に、何としても、お手伝いをしながらやってまいらなければいかぬと思っておる次第でございます。  労働政策本来の領域につきましては、労働省のほうで鋭意やっていただいておりますので、私どもと緊密に連絡をとりながら、その方面は精力的に進めていただいておるわけでございます。
  5. 塚本三郎

    塚本委員 自由主義経済のもとにおきましては、しょせん弱肉強食になることもあるいは避けがたいかもしれないと、私は最終的には受け取っております。しかし、いま大臣が申されたように、設備近代化であるとか、あるいは技術改善等をなし得るいわゆる企業というものには限界がございます。大企業は着々そのような道を進んでりっぱに成長なさっておられます。しかし、大企業はみずからのかかえておりますその産業自身改善し、あるいはまた技術改革に乗り出しておるかというと、必ずしもそうではないのでございます。  もっと具体的に申し上げると、機械化の可能なもの、生産性向上の可能なもの、俗な言い方で言いますると、金によって補い得るものは、これはなし得るでございましょう。しかし、技術改善の不可能なもの、いや金によっては補うことのできないような手の込んだ作業等は、これもひっくるめて大企業がやってくれればいいのでございます。ところが、いわゆる技術改善改革等の不可能なものだけは切り離して、中小企業にと下請に回してしまう、可能なものだけは、中小企業のものさえもみずからが取り上げてしまって、そして自家生産という形に持ち込んでいく、こういう形が偽らざる産業界の実態でございます。だから、俗っぽく言いますると、中小企業はみずからの力によって改善改革のなし得たものは、おのずから大企業にとられてしまう。そして大企業は、みずから改善改革のできないものはどんどんと中小企業に払い下げてしまう。私も一小さな家具屋でございますけれども、これが大量生産可能になってくる、たとえばスチール家具等になってまいりますると、大企業が持っていってしまうわけでござります。和家具のような、実はいつまでたっても職人でしかできないようなものは、大企業は見向きもしない。だから改善改革のなし得るもの、金によって解決し得るものは、中小企業、いや零細企業製品まで、ナショナルのマークをつけて売って、そうして一貫した流れ作業のもとに、中小企業の分野まで占領してしまうという形が際限なく行なわれております。  そうかと思いますると、大企業、大工場の中において、自分工場の中であってもなおかついわゆる生産性の低いもの、金によって解決し得ないものは、社外労働者として零細企業者下請けさせる、こういうような形がもう公然と行なわれております。大工場の中、特に生産工場の中に働いておりますその従業員が、その大会社の中のいわゆる正式な従業員かと調べてみますると、いな、実際はそのうちのいわゆる二割ないし三割というものは社外工になっておるわけでございます。あるいはデパートの中にいわゆる店員として働いておりますあれは、デパート店員だと思ったら大間違いでございますね。実はそうではなくして、問屋さんの出張店員が、いわゆる特に売り出しのごときは過半数を占めておる。あるいはそうでなくとも、マネキンというデパートの指定した販売のお手伝いさんたちを実は問屋さんが雇って、そしてみずからの経費の中からそれを支払っておるというようなことが公然と行なわれております。  もちろん政府は、そのようなことを差別して扱うわけにはいかぬでしょう。おそらく、政治的には対等に見なければならないという原則は私も承知いたしております。だから技術の革新や設備近代化をなさっていただくこと、これは当然のこととして、より大きな幅でもって進んでいただきたいと思うわけです。しかし、それにもかかわらず、追っかければ追っかけるほど、そういうものからはみ出しておるところの、いわゆる近代化できないところの作業というものが、実は下請なり零細企業者に押しつけられてくる。そしてできた部面は大企業にどんどんと取り上げられてしまっていくというような形になってきております。  今日の日本経済を見ますとき、私ども民社党の判断では、大企業というのは、たとえば製造にしましても、設計と組み立てと販売がおもであって、その一つ一つ製品の部品の製造は、過半数中小企業あるいは協力工場下請企業生産をしておるのが現実であって、実際は、そのいわゆる手の届かない資金力の要るものだけを大企業が行なっておるという形でありますから、中小企業の問題の解決はすなわち日本経済解決なんだと、私たち民社党はかように受け取っております。にもかかわらず、常にみずからの努力で改革をしたものは大企業に取り上げられてしまって、そして大企業のなし得ざるものだけが中小企業零細企業にと、いわゆる下請のような形で、いわゆる交換として流されてくる、こういう形が、今日の中小企業零細企業の請け負っておる宿命ではないかというふうに思うわけでございます。  だから私は、自由経済であります限り、これは否定しようとはいたしておりません。したがって、これに対して特別の施策があってしかるべきだと思うわけでございます。もちろん通産省の立場では、金融などにおきましては相当にきめのこまかい施策等とられて、中小企業はこのことに対しては相当に好感を持って、そして徐々にこれを利用して、問題解決にあたっておるような実情でございます。しかしながら、これは近々の問題ですからまだやむを得ないとは思いまするが、労働力不足の問題だけは、これが具体的な施策は全く不足しておるということは言われておりますが、実際の具体策というものはまだ出されてきておらないと、私たちは判断いたしております。労働大臣、この点具体的に中小企業者期待にこたえて、われわれはこうしていきたいと思うという具体策を教えていただきたい、明示していただきたい、かように思います。
  6. 原健三郎

    原国務大臣 ただいま塚本先生の御主張されましたように、中小企業振興が叫ばれてからずいぶん久しいのでございますが、どうもいまだ解決に至っていないことは遺憾千万であります。その上に、最近は人手不足という新たなる悪条件が加わりまして、中小企業が危機に瀕しており、重大化してまいりました。それで、労働省といたしましても、この中小企業人手不足対策重点施策一つとして、大いに力を入れておるところでございます。それで、塚本先生お説のごとく、中小企業振興こそが日本経済発展につながるものであると、私どもも信じております。お説のごとく、弱肉強食にならないように、政府としても万般の力を入れたい、こう思っております。この現下一番大問題である中小企業問題について大いに発言されまして、その塚本先生の御意見に深く敬意を表するものであります。  いろいろ申し上げたいのですが、労働力不足対策は何か。何か一つ二つきめ手があるかと、いろいろ考えたのでございますが、これは一つ二つではなかなかきめ手がございませんので、それほど事態はきわめて深刻でございます。それで私どもといたしましては、万般施策を坑にこれからいたしたい、こう思っておりますので、その具体策をこれから申し上げたいと思います。  全般的な人手不足の中にあって、中小企業がことに著しいのでございます。御指摘のとおりでございます。しかし、わが国の労働力不足は、西欧諸国に見られるような絶対的な不足かというと、そうでもないので、ここに一つのめどがあろうかと思います。中高年齢者あるいは婦人等雇用促進など、人間能力が十分生かされるような社会経済体制をつくり上げることによって、対処できる余地が多分にあるものと思っております。たとえば学歴偏重ホワイトカラー偏重風潮を打破して、技能労働尊重の機運の醸成につとめていく考えで私はおります。ブルーカラーを尊重して青天井人事管理方式を導入すべしということを、私は過般来提唱いたしてきているところであります。こういう新たなる風潮をつくっていって、そうして新たなる環境づくりをいたしていきたいと思っております。  それから、労働力不足対策としては、基本的に申し上げますと、基本対策としては、事業の協業化、設備近代化等を通じて生産性を高めることが必要なことは言うまでもございません。また同時に、労働省といたしましては、労働条件労務管理改善、第二には福祉施設充実、第三には職業訓練による人的能力開発向上などによって、中小企業魅力のある職場にするように、いわゆる中小企業職場魅力づくりとでも申しますか、そういうことに援助して進めていきたい。そうして労働者が進んで中小企業就職希望するようにいたしたい、こう思っております。  特に力を入れております福祉施設などについて申し上げますと、第一は青少年ホーム全国で八十八カ所つくっております。昭和四十四年度にはさらに二十三カ所を新設いたします。第二は、中小企業レクリエーションセンター全国四カ所をつくる予定であります。第三には、これは新たに昭和四十四年度から、青少年の、勤労青少年センターを東京につくる。そういうふうにいたしまして、公共の福祉施設の設置に力を入れていきたい。  さらにまた、雇用促進融資活用によって、企業が自主的に福祉施設充実を行なえるよう配慮もいたしております。本年度、昭和四十二年度には百三十億のワクがあります。昭和四十四年度、来年度は百四十三億円のワクになっております。  次に、職業訓練につきましては、四十四年度には職業訓練法全面改正をいたしたく、この国会に改正法律案を提出する予定でございますので、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。また、中小企業による共同職業訓練に対する運営費の補助を倍増いたします。四十四年度で一人当たり年額六千四百円になっております。かくのごとくして中小企業における職業訓練飛躍的拡充をはかっていく予定でございます。  さらに、職業安定機関におきましても、集団求人活用就職者に対する職業指導などを通じて、中小企業において労働力の確保がはかれるよう努力しているところであります。  その他万般施策を具体的に、積極的に、意欲的に、労働省としてはやりまして、中小企業労働不足対策を進めていきたい、御期待に沿いたいと思っております。
  7. 塚本三郎

    塚本委員 労働省の財産全部を陳列していただいたような感じがいたすわけでございます。しかし、大臣、確かにあちらこちら、いろいろとそういう落ちこぼれを拾うというような感じ施策は気づいてなさっておいでになるようでございますが、私は、この際、もっと抜本的に事に処せなければいけないのではないかという感じがいたすわけでございます。いま大臣の申されたこと一つ一つ対応策としては私どもは耳を傾けるべきだと思いますが、これから急激に減少していくであろう特に若年労働者に対する施策ということになりますると、全くそら寒いような気がいたすわけでございます。  確かに、青少年ホームの問題にいたしましても、安定所充実にいたしましても、これは強化していただかなければならぬと思いまするが、たとえばおたくのほうの調査統計等によりますると、十五歳から十九歳までと、過去における日本労働力の中で中小企業零細企業が最も期待し得られた労働力というものが、四十五年になると全労働力の中のわずかに五・七%しか期待できないという数字が出ております。これが昭和五十年になるとわずかに四%だということが、おたくのほうの統計で出ております。そういたしますと、日本じゅうのいわゆる全産業の中における若年労働者がわずか五%台から四%台になるということは、もはや中小企業における二十歳以下の労働者は絶無だということを覚悟せよと、のど元にあいくちを突きつけられた感じがいたすわけでございます。中小企業者零細企業者は、いま大臣がお述べになりましたそういう万般施策をなさったといたしましても、労働省の見通しとしては、もはや役所の仕事としては、これはあきらめてくれということを零細企業者中小企業者に宣告しておると受け取らなければならぬ感じがいたすわけでございます。  それならばそれで、中小企業者の諸君に向かって、もはや政府施策では当てにならないし、また政府ではそれはできないということをみずから白状なさっておられるのだから、自由主義経済のもとで動員令のようなことはできないことは、国民は承知しております。だから、もはやそれならば、若年労働者はあきらめなければならぬということを大前提にして、いわゆる企業経営と取り組んでいかなければならぬかと思うわけです。その点、大臣どうでしょうか。
  8. 原健三郎

    原国務大臣 自由主義経済であることはお説のとおりでございますが、自由主義経済の中におきましてもなかなかいい面もございまして、労働省といたしましては、若年勤労者が中小企業にいく傾向が少なくなっておる、若年労働者も減っておることは承知いたしておりますが、抜本的と申しましても右から左にこれという策があると非常によろしいのでございますが、自由主義のやり方をやっておりますので急にはいきませんが、さいぜんから申し上げましたような万般施策を、きわめて積極的に、急ぎやりますとそれほど失望したものにもならなく、若干救われてくるものであると、私どもはそれほど悲観せず万般施策を強力に推進いたしたい、こう思っておりますので、よろしく御了承のほどお願いいたします。
  9. 塚本三郎

    塚本委員 なるほど自由主義経済というものは捨てたものではないから、私も統制経済にせよとか、あるいはまた、動員令のようなああいう形で国家権力でもって職業選択を制限するということはすべきでない、これはもはや国民すべてが承知しておるところであろうと思います。  いま大臣が述べられた中で、たとえば一つ施策としてブルーカラーを尊重する、ホワイトカラーがいわゆるいまは尊重されておりまするが、逆にブルーカラーを尊重すべきだということを、一つ施策として述べられたわけでございます。なるほど、今日の産業界は、実はホワイトカラーが優先になっております。そして現にホワイトカラーならば、まだ相当労働力に余力がある。だから全体として欧米諸国と比べてみて、そんなに労働力が深刻にはなっておらないという概括的なとらえ方をすることも、誤りではないと思うわけでございます。それでは大臣、このホワイトカラーよりもブルーカラーを尊重するということに対して、いかなる方法をもって尊重させる道をつなぐのか、これは具体的にどういうような施策があるでございましょうか。
  10. 原健三郎

    原国務大臣 過般も雇用促進協議会がございまして、これは各事業の代表者が集まっておるところでございますが、そこで私がブルーカラーを尊重すべきことを主張いたしました。そして、それは青天井方式による人事管理をやってもらいたい、いわゆるブルーカラー勤労者を工場長にもする、あるいはもちろん課長にする、重役にもする、その出世する上を低い天井で縛らないように青天井にして、どこまでも登用するようにやってもらいたい、それが日本産業発展さすゆえんであるし、能率のあがるゆえんであるしという話をいたしましたところが、経営者も、全員が賛成である、現にソニーであるとかその他若干の会社ではもうそれを採用しておるが、これからわれわれの会社においてもこれを積極的にやるという言明がございました。そういうことは一回ではなかなからちがあきませんが、しばしばそういうことを主張いたしたい。その結果、新聞その他ジャーナリズムもこれを取り上げてくれまして、かなり反響を呼んでおりますので、こういうことは一ぺんではいきませんが、繰り返し、蒸し返し主張していって、いまの風潮からいいますと非常に反響を呼んでおりますので、効果がだんだんあがってくると思います。そういういわゆる四囲の情勢、風潮をつくって、さて、その中でさらに勤労青少年中小企業にも入っていくというような具体策、あの手この手をやることがきわめて必要である、こう思っております。
  11. 塚本三郎

    塚本委員 同様なことを通産大臣にお尋ねしてみたいと思います。  いま労働大臣のお話ですと、これは要請して結局精神訓話のような、企業経営者がホワイトカラーよりもブルーカラーを尊重せよということの、そういう宣伝さえ徹底するならば効果があがるというふうにしか、私は程度が低いからそんなにしか受け取れなかったのでございますけれども、精神的なものだけでホワイトカラー尊重を改めるというわけにはまいらぬのではなかろうか。その点で、現実にホワイトカラーというものも、企業の中で役に立っておるからこそ尊重されてきたと受け取るべきだと思うわけです。だから、今度は経済の受け入れる側にすると、現実にホワイトカラーよりもブルーカラーのほうが役に立つような企業でなければ、どれだけ精神訓話してみても、そのようにはならぬのではなかろうか。  もう一つ、それと同じようなことが、いま大臣のお話の中でも言われました学歴偏重でございます。この学歴偏重を改めるということと不離の関係にあると思いますが、ホワイトカラーというものの尊重、この二つ企業経営者立場から改めよと言われてみても、現実にそれが役に立っておるとするならば、単なる過去の惰性もあるでしょうけれども、それだけではない。それだけ産業界における有効性があるから尊重されたと思うのでございます。しかし、それをやっておったんでは、若年労働者というものはますます不足が深刻になるということですが、産業界立場からいかなる方法で学歴偏重を直すか、あるいはホワイトカラー偏重を直すか。大臣、何か具体的な方策があるのでございましょうか。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 一つには、経済の構造が非常に高度化いたしまして、非常に近代化になりまして、ブルーカラーとホワイトカラーの限界がだんだんとぼやけてきておると思うのです。管理職と労務職、どこが限界か、限界が引きにくくなりつつあると思うのでございます。この傾向はますます顕著になるだろうと思います。   〔委員長退席、櫻内委員長代理着席〕  それから第二は、労働力が余っておった段階におきまして、学歴偏重とかなんとかいうようなことは行なわれやすかった環境であったと思うのですけれども、絶対的に不足してまいり、客観情勢はそういうぜいたくなことが許されなくなってきておると思います。現にそういう学歴云々の風潮相当な速度で色あせつつある現況であることも、塚本委員が御認識いただいておると思うのでございます。でございますから、あなたが先ほどいみじくもおっしゃいましたとおり、経営にとりまして何が有益かということが価値判断の基準になっていくのが、経営のためにも、また産業デモクラシーのためにも望ましいし、経済構造自体がそういう方向にいま進んでおると思います。私どもが、特に政策的にこれを方向づけて指導するというようなことはいまいたしておりませんけれども、私は方向としてそのように相当の速度でなっていくものと思いますし、それを期待していいんじゃないかと思います。
  13. 塚本三郎

    塚本委員 私も具体策はございませんからお聞きしたわけでございますけれども、それはもう自然の成り行きで、人手不足しておるからそちらに手を出して、そうして差がなくなって、それをもう期待していいし、期待する以外にないんだというふうにしか受け取られません。私も、この点では具体策がないということでたいへん悩んでおるものですから、こうしてほしいといま申し上げるだけの腹はございませんが、それではもう一つお尋ねいたします。  これもいま労働大臣が申された青天井の問題、これは確かに、ホワイトカラーの場合は際限なく給与が上がっていきます。ところがブルーカラーの場合には、技術が進歩しましてもこれはある程度の限界というものがあるわけでございます。そういう意味から給与が途中でとまってしまう。ところがホワイトカラーの場合は、管理職としてどんどんと上がっていってしまう。こういう形で、将来に対する希望から言いますと、やはりホワイトカラーへという気持ちは抜け切れぬのではないか。  私ごとを申し上げて恐縮でございますが、私が小学校を出るときに、私の父親はこんなことを言ったんですね。おれは四十年間職工で下積みで暮らしてきたから、おまえだけは官員さまになってくれ、こういうことを言われたことをいまでも私は忘れることができません。ということは、当時はもうお役人さまがたいへんな権力と、そして社会的な知遇を受けておったと想像されるわけでございます。したがって、そういうようないわゆる明治の方々のイメージといたしましては、やはりホワイトカラーに対するあこがれというもの、こういうものがいわゆる執念のごとくにこり固まって、そしてホワイトカラーへの道は何だ、すなわちそれは大学への道なんだという形になってきて、このことが、今国会において総理が何度も言われておる、旧制大学九万人に対して今日は百六十万人の大学生をかかえておると本会議の答弁でも言われた。このことは、勉強する、学問をするということよりも、いみじくも明治のわが父親たちが小学校の私たちに言い聞かせた、おまえだけは官員さまになれという親の執念というものが、今日固まって大学にときたのではないか。だから言ってみるならば、大学というところは、学問が本来の舞台であったのにかかわらずホワイトカラーへの、もっと俗っぽい言い方をいたしますならば、人生の昇進のコースの特急列車の急行券発売所、こういうような受け取り方を明治の方々がして、そうしてわれもわれもと大学にと子供を入れておる、こういう形が、私はしろうとの率直な判断ではないかと思うわけでございます。  だから、若年労働者不足の最も大きな要素一つに、中高卒者がなくなってきたということは、これは当然大臣も御指摘なさったとおりでございます。しかし、そうなってきても、いわゆるホワイトカラーの人たちの青天井ということは、これは続くと思うのです。ただ、青天井に行き得る数がきわめて限定されてくることは事実だと思うのですね。だからこの点、大学に行ってみたところで、ホワイトカラーになっても青天井に行く人は限界があるんだということを、政府として何らかの施策で国民の前に示す必要があるんではないかと思うわけでございます。この点どうでしょうか、通産大臣
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 むずかしい問題だと思うのでございます。むしろ問題は、終身雇用制とかあるいは年齢、学歴、そういったかきねが越えられないところに非常に流動性が阻害されてきておった風潮が、いまなお抜け切らないというほうがむしろ問題だと思うのです。それで、あなたがいま御指摘の学歴の問題は、もう百五十万をこえる大学生がおる。昔の大学生は一つの特権への階梯であったのでございますけれども、もう特権を持たない者のほうが少なくなってきておるような状況でございますから、その大学の特権というものの色彩は、これはもう自然に、これを政策的に規制しなくても、私は当然色あせてくるに違いないと思うのです。現にそうなりつつあると思います。したがって、いまこれに対して政府がその境に介入して、何か一つの天井を設けたらどうかというお考えに対しては、少し性急過ぎはしないか、もう少し事態の推移をごらんになっても差しつかえないのじゃないかというような、私は少しリベラルな感じでございます。
  15. 塚本三郎

    塚本委員 自由主義経済というのは、見えざる手によって調整がとれておる、アダム・スミスの理論がいみじくも日本経済の中では生きておるような気がいたすわけです。しかし、それを結論に持ち越されたときには、政治には無能力だということを暴露することになってしまうのではなかろうかと思うわけでございます。といいますのは、確かに最後には学歴偏重も、大学がうんとたくさんになったから、青天井で行かれる人も少なくなってくるというようなことも確かに自然の勢いでなってくると思うのです。一つ一つそれに対して政治が方向づけをしてやらないことには、私は、政治としての意義をなさないのではなかろうか。ほかっておいたって自由経済で必ずなります。なりますけれども、そのときまでほっておくということになりますと、先ほど私が触れましたように、中小企業零細企業というものは業種の転換を余儀なくされてしまう。なるほど、通産大臣が言われましたように、倒産は少なくなっております。しかし、倒産にあらずして業種の転換の余儀なきに至るという形になっていきつつあるのが黒字倒産、人手不足倒産、こういう形が零細企業の中では順次自然の力で流れていくと思うわけでございます。だから、性急にしなくても、そういうようにそれも移っていくから心配ないんだということで、今度は、大企業がまた零細企業のなし得ないところを金を投じて何らか苦労してくれるということの判断に最終的にはなると思います。しかしそれではあまりにも政治が無力過ぎると思うわけです。  で、私は方向を変えまして、それではもう一つの問題。第三次産業に人が行き過ぎておるのだ、特に、まあ労働関係の責任者の方は多く、人は全体で余っておるのだと言われるのだが、どこに行き過ぎておるかということを聞いてみますと、そうすると、やはり、みみっちい話であるがと、こういうことによって、バーのホステスあるいはまたキャバレーのホステスというような話から、ゴルフ場のキャディーということになって、パチンコ屋さんというふうなことが一つ一つ例示的に出てきてしまうわけでございます。まあ私は、パチンコ屋さんなどは零細な庶民のささやかないこいとして非難すべきではないという感じがいたすわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、そういうサービス業のほうが実は賃金がいい。「かっこいい」ということばがございますけれども、それだけではないと思うのですよ。やはりそういう第三次産業のほうが現実に賃金がいいということが私は決定打ではないかと思うわけでございます。やがてそれも、第二次産業もそういう意味では人が不足してくれば賃金が上がってくるんだから、自然にバランスがとれるでしょうというふうな形までいってしまったのでは、通産大臣あるいは労働大臣としての権威がなさ過ぎると思うわけです。だからこれに対して、この第三次産業のサービス業の人たちの賃金を押えよと申し上げるわけではございませんが、これに対等になるがごとく中小企業者のブルーカラーの諸君も賃金が上げ得られるような施策はないか、この点はどうでしょうか。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 ちょっとその前に、前問で、ブルーカラー、ホワイトカラーの問題、学歴偏重の問題について、政治は無能じゃないか、自然に放任しておけというように受け取られておりますと、多少私は誤解があると思いますので……。それは強制力を用いてやるというようなことはあまり賢明でないじゃないか。原労働大臣が言われたように、政府がいろいろ啓発の機会を持たれて精力的にやられる、あるいは政策的なガイドポストをいろいろつくって指導されることは大事だと思いますけれども、ある強制力を用いるというようなことはあまり私は賢明じゃないという考えだということだけお断わり申し上げておきます。  それから、いまの賃金の均衡化の問題でございますけれども労働の流動性が全国にわたって保証されておりますならば、一次、二次、三次でございましょうと、大中小であろうと、そこに不均衡が生じないはずだと思うんです。で、いまこういう不均衡があるということは、流動性が何かの要因で阻害されておるから起こっておるんだと思うのでございます。現に労働力不足が叫ばれてまいりましてから、大企業、中小なんかの格差がやや縮小してまいったことも——最近は少し格差の縮小がとまったような傾向が見えますけれども、以前に比べてだいぶ縮小の実績はあがってきていると思うのでございます。でございますから、まず、あなたのお問いに対しましては、労働の流動性をできるだけ高める政策を進めてまいることが、賃金規制というようなことでなくて、労働市場の流動性をどうして保証するかというところに力点を置いていくべきじゃないかと私は思います。それが第一点。  それから、第三次産業に非常に雇用が多いということ、これは世界的な傾向でございまして、もう全国民の半分以上が第三次産業に従事しておる。先進国はおしなべてそうなっておると思います。日本ももう半分を越えたのじゃないか。国民所得の中でも、第三次産業がもう半分以上のウエートを持ってきている。したがって、いまの経済は、物の生産、流通というようなとらえ方より、むしろサービスを、貯蔵のきかないサービスをどう供給するかというようなところが非常に重点になってきつつあるように思うのでございます。そういう意味で、雇用の全体の数は第三次産業に私はだんだん多くなってくるのじゃないか、こう思います、そういう方面に需要が多いわけでございますから。私どもの生計費の分析でも、主食その他のものよりは、むしろ雑費とか交通費とか娯楽費とかいうようなものがだんだんふえてきているわけでございまして、そういうものをになう第三次産業というものがふえていくわけでございますから、そうしてそれが国民の当然の、もうだんだん高度化するに従いまして需要がふえてくるわけでございますから、魅力ある産業としていまから成長するわけでございますから、そこに雇用の吸引力が相当あると思います。したがって、いま私は、その賃金を何らかの形で規制できるかというと、これはなかなかむずかしいのではないか。  それで最初に戻りまして、やはり国民経済のためにも労働の流動性を——これはまあ労働大臣のほうの領域でございますけれども、流動性をどうしてかきねを取っ払いつつ進めてまいるかというところがどうしても政策の力点にならざるを得ない、こう思います。
  17. 塚本三郎

    塚本委員 規制をすることは私は無理だと思うのです。だから、どうしてもそれを流すという形で、こちらへ流れてこれるようにしなければいけない、そこに無理のあることは承知ですから、私も承知でお聞きして、何とか全国中小企業の諸君に対する解決の道が示されないものかと思って、暗中模索でお聞きしておるようなことでございます。  それでは、一つの方法としまして、労働省は人材銀行というような制度を全国三カ所に設けて、昨年あたり約四万人ほど、これでもって新しい雇用の道を開かれたようでございます。私たちはこの際、そういう強制的にすることができないということを前提にいたしまするならば、新規に出てくるところの若年労働者ですね、この若年労働者が、わずかこれから五%から四%台に減っていこうとするとき、これを大企業がひとり占めにするという方向を避けたらどうでしょうか。ところが、それは強制することができない。私ども法制局ともいろいろと検討いたしてみましたが、そういう施策は憲法に抵触することになります。  そこで、私たち考えたことは、具体的に、百人の新規労働者を雇う場合には、このうちの二割程度中高年齢層を採ることを条件にして新規労働者を雇ったらどうなんだ。こちらへ行け、こちらへ行けというわけにいきませんから、雇用する側にして必要な人たちを——若い者は大企業のいわゆる福利施設や労務管理のしっかりしておるところへ当然行くわけでございます。だから、この場合には常に前提条件として、まだ余地があるであろう中高年齢層、こういうものを必要な人員の二割だけ、易々と若年労働者の採り得る大企業はみずからの努力で苦労して開拓をしなさい、こういう条件をつければ、おのずからその二割だけはいわゆる中小企業のほうにも流れていく、こういう施策が道として開けるではないかというふうに考えるわけでございます。だから具体的に中高年齢層を何割か採ることを条件にして、新規雇用者を採用する、こういうふうな方向を具体策として検討なさることはできないか、労働大臣、どうでしょう。
  18. 原健三郎

    原国務大臣 ただいまの御説、具体策として考えてみますのに、労働省としては強制はいたしませんが、そういう行政指導をしたり、検討をしたり等々やることが中小企業労働力不足を補う上に役立つ、こう思っております。賛成でございます。  それでついでに申し上げておきますが、どうも労働省中小企業にあまりやっていないとおっしゃられるが、さいぜん申し上げましたように、それは一つの点でぴしゃっとこれというようなことはいまちょっとやっていませんが、あの手この手やる中の一つとして——これはさいぜん申し上げたとおりです、特定の産業に対して、いわゆる若年労働者を確保する意味において共同福祉施設なんかというのは、これの一つとして全国でやっております。  第二は、さいぜん通産大臣もおっしゃったように、職業安定、職業紹介のいわゆる労働力の流動性ということですが、この職業安定に非常に力を入れまして、今度東京の中央に電子計算機を置いて、電波システムによって全国ネットで結んで、大阪のいわゆる万国博覧会に間に合うように、ことしの八月ごろから機械を、もう予算に入れてありますが、やって、大阪、和歌山それから奈良、兵庫、こういう方面で仕事を求める人、それからそれを、万国博の地域ですから、どこへ持っていくというのに、もし求職を職安の窓口でカードに書き入れていただいたら、およそ二十分間をもって、もし求めるならどこへでも全国的にこれが動く——全国的じゃないですが、いま申した大阪、奈良、和歌山の範囲内であったら二十分で即時、求める人と仕事を与える人とぴしゃっと合う、こういうものをこの間委員会で話しましたら、そんな夢のようなことを言うなと言いますが、夢のような話が現実化してきまして、これがもうあと二年ほどか三年、まあ三年いたしましたら全国ネットにおいて、全国至るところで、求職者と仕事を与える人とが二十分間でぴしゃっと適合するようになっております。これはもういままででしたら、一月もかかったり、全国どこへ行くといっても、全国的に職業を世話することができませんでしたが、今度は二十分間くらいで、全国どこにおいても、全国的に就職希望者と人を求めておる人がぴしゃっと適合するというのを電子計算機や電波をもってやる。これは世界日本が初めてで、最近ソ連やアメリカだとか、近くはよその国も、西独か、見学に来るそうでございます。そういうことで、これは私が言いますと、夢のようなことを言うとおこられましたが、夢ではない、実際に夢のようなことがもう実現いたしておりますので、塚本先生のおっしゃるように、中小企業就職等につきましてもこれから大いに役立つ、こう思っておりますので、一応御報告を申し上げておきます。
  19. 塚本三郎

    塚本委員 けっこうでございますから、大いにPRしていただきたい。私ども、二、三十人の従業員を擁しております中小企業者零細企業者と会いますと、以前は、絶えず金融の問題でございました。あるいは過酷な税の調査でございました。いまはそういうものよりも、もう人はないか、人はないかという声が合いことばのようになってきております。しかも、それではそれをどうして君たちは充足しておるのかと言えば、一週間に一回くらいずつ新聞広告を出すのだそうでございますね。そうすると、やはり以前は十人くらいずつ来ておったそうでございますけれども、いまは大体一人くらいがときどき来るのだそうでございます。都会の中でいわゆる公害問題等で工場をいなかに引っ越さなければならない。そうすると通勤が遠くなるからということで、そういうのがぽつぽつとやめてくるということでもって、そういうのが広告にひっかかってくるということで、新聞の広告欄はいわゆる人員募集で花盛りであることは御承知のとおりでございます。いま大臣は何かてれくさそうにおっしゃったけれども、私ども零細な諸君にとっては、それはたいへんな——それが現実に一労働者にまでそういうことが徹底してきますならば、職安へすっと連絡すれば最も理想的なのがぴしゃっとそこへ当てはまるようにやってくだされば——企業者もこれがために一週間に一回掲示するごとに一万円くらいずつ出しては補充をしておるというのが零細企業者の偽らざる状態です。とにかく毎日の新聞広告におけるところの人手募集の彼らの希望というものが、いかに深刻であるかということを物語っておると思います。希望として、私は労働大臣に、そのことが、実施なさるだけではなくして、一従業員にまで徹底するようなPRも考慮していただきたいと思うわけです。  次に、私は文部大臣にお尋ねいたしますが、学生アルバイトの件につきまして、いま大学生のうちのどれほどの人がアルバイトとして労働に従事しておるか、ちょっと説明していただきたいと思います。
  20. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 いまお尋ねの問題にお答えいたします前に、先ほどから先生のお話を伺っておりまして、私どものところにも非常に関係が深い、確かにこれから先、間もなく大学卒業者の数に中学卒業という者がほぼ匹敵するという世の中になってきた。これはもうやはり日本人の、あるいは世界的に申しましても高等教育に学ぼうという情熱が非常に強うございますし、意欲がございますし、現にそうなってきて、もう大学には当該年齢人口二〇%、高等学校でも七〇%以上こえておる、こういう状況でございます。これを押えるということはなかなかむずかしいのではないか。しかもこのことが一面には、実をいうと、ヨーロッパ諸国のように当該年齢人口一〇%以下のいわゆる高等教育に学ぶというところに学生運動もありますし、また日本経済の成長にもこのことが役立っておる。しかしそのやり方等については、もう少しくふうがあってしかるべきではないだろうか。たとえば短大も一つ役割りでございますけれども、いわゆる各種学校といわれるところに学んでおる数というのが大体百四十万、しかも大学の在学者が大体百五十万といたしますると、やはりこういう各種学校に学ぶ人たちというものもやはり考えてあげなければいけないんじゃないかというふうにも思います。そういう意味合いにおきまして、これからやはり先生御指摘のとおりに、四十五年度には五・七%ぐらいに十五歳から十九歳の者がなるという、こういうことを一応やはり予想しながら、文教政策としても、たとえば通信教育であるとか、あるいはまた働きながら学ぶというような点に力点を置いて考えていかなければならないんじゃないか。それからまた、社会の進展というものを考えました場合に、ただ大学を卒業したからもういいかというと、もう追っつけなくなる。大学というものがさらにまたソシアル・インスティチュートといたしまして、技術を学び、あるいは管理能力を備えるというようなことも求められてきて、そのために大学というものが国民のために開放されなければならない時代に入ってきた、こういうふうに思います。先ほどいみじくも通産大臣がお話しになりましたように、日本経済構造というものが非常に変革化されてきておるわけなんで、その意味合いにおいてむしろ中小企業の中に高等教育を受けた人たちが入っていくということも、一面においてはこれはやはり日本近代化につながるんじゃないかというふうに思うわけでございます。  そこで、お尋ねの全国アルバイト大学生の数とそのおもなアルバイト先いかんという点でございますが、これは少し古うございますけれども、一番新しく正確にできておる調査といたしましては、昭和四十一年度に実施した学生生活調査というのがございます。四年制大学の昼間部学生のうち約五〇%の者がアルバイトに従事しているということが推定されておるわけでございます。数を申し上げますと、これは昼間部学生八十七万一千人、うちアルバイト従事者四十六万四千人。それからこのアルバイト先でございますけれども、こまかい数字はあとで……(塚本委員「簡単でけっこうです」と呼ぶ)非常に家庭教師がやはり大部分を占めているようでございまして、労働時間の長いものとか、重労働とかいうのは非常に少ないということでございます。詳しく必要であれば学術局長から御答弁を申し上げたいと思っております。
  21. 塚本三郎

    塚本委員 私はこの際、文部省としては不本意かもしれぬと思いますけれども、大学の中に労働力が余っておるんだ、こういう観点から何とか大学生を労働力に編成する方法はないか、こういうことを提起してみたいと思うわけでございます。  もともと、この若年労働者が少なくなった要素一つには、大学人口がふえたということも大きな要素になっておろうかと思います。しかも、いま大臣が説明なさったように、半分以上の方がアルバイトをなさっておられるという実情であるとするならば、それは何らかの形でいわゆる産業界に編成するような手助けをしてあげたらどうだろう。文部省としては、勉強が中心なんだからそんなことは不本意です、お役人さんに聞けばそうおっしゃるわけでございます。しかし現実には勉強だけに専念することのできない経済状態にあることは、学生の家庭の実態でおわかりのはずでございます。しかもなお、進んでアルバイトをしたいという労働の意欲を持っておられる学生も、これは相当数にあることも御承知のとおりでございます。私はいろいろとこのことを検討したのでございますが、たとえばいい条件が整っておるんですね。人手不足のところは大都会なんだ。しかも大都会には必ず大学があるんだ。しかも大学というところは現実に、酷な表現かもしれませんが、特に専門課程になりますると、学校に、教室に来ておる生徒というのはきわめて少ない。特に私立になりますと、いわゆる生徒数の中で出席人員の割合を調べてみますときわめて少ないわけです。もちろん授業に出てないこと、教室に出てないことが勉強してないというふうに即断することは早計でございましょう。にもかかわらず、私はなお、いま大臣の述べられたようなその率から推定いたしますると、六十万ないし八十万の労働力というものが、大学の中にはいわゆる活用のしかたによっては流れてくるんだというふうな判断をいたすわけでございます。きれいごとは抜きにいたしまして、たとえば午前中、午後、夜間というふうな形で、さらにこれを曜日ごとにでも区切って、そうして希望者を五人くらいの単位にして編成しておきまするならば、授業がないというような日にそういうことの便宜が与えられるならば、いわゆる事業主は喜んで車でもって学校まで迎えに来るでしょうし、そして車でちゃんとじかに送り届けるくらいなことは喜んで事業主はやる。それほどまでに労働力不足しておるわけでございます。この六十万ないし八十万の労働力というものを中小企業の中で——いわゆる終身雇用でないということは中小企業にとっては決して痛手ではございません。だから、動員令のごとく文部省からこれを指示することの不可能なことは承知いたしております。何らかこれは労働省相談なさって、そして産業界期待にこたえ、はたまたそのことが社会的な経験としても、私は学生にときにはプラスになることさえもあるというふうに思うのでございます。現在は縁故によって個々ばらばらに、ときにはその因縁から授業さえも休んでおるところの大学生は決して少なくございません。それを大学の親切な施策によって、これらの者を労働力として編成させるということは——いまの人材銀行で全国三カ所に設けてやってみたところが四万人であった。ところが大学においては、そういうアルバイトの希望者が六十万ないし八十万、しかも若年労働者として、しかも頭脳者がここには集まっておる。どうでしょうか、これを具体化する方法は……。
  22. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 先ほどのお答えなんでございますが、この五三・三%がアルバイト従事者という意味の内容を少し分析しますと、御承知のことだと思いますけれども経済的な意味において必要だという数というのは非常に少ないのでございまして、二九・六%、相当経済的余裕がある人でもやっておる、こういうのが実情だと思うのです。アメリカはおそらく五〇%以上アルバイトをやっているのじゃないかと思います。しかし、最近の大学の実態や大学紛争等を考えました場合には、どうもやはりもう少し学生として学問研究、学業に専念するということのほうが大事ではなかろうかというふうに私は考えるものでございますから、いませっかくの御提案でございますけれども、もう少しこのところ学業に専念するという姿勢が学生自体にあって、なおかつアルバイトに行けるというような環境というものがおのずとでき上がってくるならばそれも一つの方向ではないか、かように考えておるわけでございます。
  23. 塚本三郎

    塚本委員 この問題は、文部大臣に聞けばもちろんそういうふうにしかお答えができないだろうと思います。率直に言いまして、確かに経済的な問題よりも、より金に対する魅力、レジャーに対する、夏休みにはどこかに旅行に行きたいとかいうようなことが非常に大きな魅力になっております。しかし逆に、いま日本の国民の中に向学心が燃えておる、これもいいことでございます。  しかし、私はあえて不評を覚悟で申し上げてみましょう。実は大学に子供を通わせるというその親の魂胆の中には、勉強が好きだというよりも、きらいできらいでしかたのないところの子供に対して叱咤激励をいたしまして、明治の人たちがわが人生の鈍行列車をもう、くやしさのあまりに、人生の特急列車に乗せてやりたいという親の執念が、実は教育ママになってみたり、あるいは幼稚園のときから付属、付属ということばが奥さま方の合いことばにさえもなってきておる。だから、入ってしまえばあとは切符は買ったと同じようなものなんだということで、教室における充足率が、特に私立のいわゆる専門課程においては三割そこそこだと私は判断いたしております。御無礼な話でありますけれども、私立に五割の人が来たならば廊下に立っておらなければならぬというのが、いわゆる有名校でもそういう実情でございます。全員来てしまったら運動場にも立ち切れない、こういう大学が数多くあることを私どもは知っております。それを文部省が、もちろん正式の場所ではそういうことを申されることは、やっぱり立場上やむを得ないと思っております。しかし、いまの中小企業人手不足の深刻な状態のとき、しかし現実に働きたい、いわゆるそう勉強は好きでないという——かつての九万人の旧制に対して百六十万人、そんなに向学心のある人がおったならば、大学問題はもっと別な方向に行っておったであろうと思うわけです。現実に半分の六十万ないし八十万というものは、これはやはりそういう資格を欠くということがなく、資格は十分とり得るんだという余地と便宜を与えていただくことを優先にさえしてやるならば、私はこの際、労働力の中にこれを編成してあげることが、かつまたその人が社会に出てからそれだけプラスになってくるのではないか。だから堂々とそういうことをやっぱり考えていくべきじゃないかというふうに思うわけです。労働大臣どうでしょうか。
  24. 原健三郎

    原国務大臣 私は労働大臣立場から申し上げまして、学生がアルバイトをすることは非常にけっこうなことだと思います。実は私もいまから数十年前、アメリカの大学でアルバイトをして卒業した。アメリカの学生はその数十年前におきましては——日本では苦学生といってばかにしておった。アメリカに行ってびっくりした。男性の学生が、大金持ちでもわしはセルフサポート、自分で働いて学校へ通っているということを非常に自慢して誇らしげに言う。また女性は、この学生は大学を出ると将来有望である、成功するであろうといって仲よくなるということで、日本と非常に違っておるのに私はびっくりした、ほんとうに。いま今日になって、日本でもアルバイトしたりするのをばかにしなくなってまいりました。それはアメリカにだんだんならってきたので、いい風潮でございますが、私はこの際、学生なんかももうちょっと勤労意欲を燃やして、頭でっかちな者を——研究、勉強などというと、ことばがえらいじょうずでございますが、それもさることながら、やはり勤労意欲を燃やしてやることが非常にけっこうであるし、労働力中小企業不足しておる場合、そういう勤労意欲のある若者を仕事につかしてやることは、非常に学問と実際とを併用していてけっこうだと思います。  そういう場合には、労働省といたしましては職業安定所などを通してやっていただきますと、条件等々についても、あるいはその他将来のテークケア等もいたしますから、職業安定所を通じてやっていただくように、大学その他とも何か話をつけて円滑に進めていきたい、こう思っております。
  25. 塚本三郎

    塚本委員 この問題はこの辺で切り上げたいと思いますが、頭でっかちならけっこうでございますけれども、もともと勉強に意欲のない大学生というものが多いということ、頭でもでっかちになってくれれば、私は大学としてはそれだけで相当の使命を果たされたと思うわけでございまするが、先ほどちょっと申し上げたような形で、人生の特急列車の急行券発売所というような形の、いわゆる明治の方々の受け取り方というもの、こういうものが逆に、大学生自身は勉強が好きでないののにかかわらず、社会的な手前、いろいろな立場から大学に行かされておるという形でございまするから、そういう実情にかんがみて、産業界がこんなに要望しておるんだということのたてまえから、私は労働大臣にうんとこの点は文部省のほうと話し合って具体策を進めてもらいたいと思うわけです。  この点で、私一つだけ大蔵大臣にお聞きしたいと思いますが、中小企業者の諸君は実にそういう点では苦労しておると思うのです。彼らはそれにもかかわらず、うまくいくときには非常にうまくいきますが、いけないときには非常に波が多い。だから彼らが言いまするのには、非常に税の問題で苦労するわけです。私は時間がございませんから簡単に、こういうことは考えられないものかということですが、経営者が一生懸命に——個人企業のような会社が多いのですね、中小企業は——税金をたくさん納めます。納めてそうしてうまくいけないと、それでその会社がつぶれてしまったり、だめになったりするわけですね。そうすると、税金を納めっぱなしだということになるのです。これをたとえば老後に年金のような形で、いわゆる税金を納めた割合に応じて、何か老後に国から見返りがこないものだろうか。掛け金じゃなくして、いわゆる一生懸命働いてそれは国のために出したんだから、国が今度はめんどうを見てくれるんだ。全然税金を納めぬ連中も一生懸命、中小企業として奥さままで、あるいはまた時間をいとわずに働いて稼いだ、そういうものが税としてたくさん——サラリーマンよりも中小企業はうまくいくときにはたくさん納められることがしばしばあるのでございますね。にもかかわらず、これは波が激しいがために納めっぱなしになってしまうという形になります。これをじょうずに金融として利用することもできない場合がたくさんあるわけでございます。何とかこれを納めた税金の割合に応じて、老後になったならば年金のような形で支給するような制度というものの検討は——どこかの国でたしかそういうことをしている国が一、二あるようなことを私は調べたことがあるのでございます、いま思い出せませんが。こういう施策で彼らにうんといわゆる経営意欲というものを与えてやることが必要だと思いますが、どうでしょうか。
  26. 福田赳夫

    福田国務大臣 元来予算で国の財政の面から中小企業者に対して助成するということはなかなかむずかしいのです。大体国の中小企業に対する施策の重点は金融と税制だ、こういうことになっていくわけでありまして、わが国においてもそういう方向をたどっておるわけですが、さて税金を納めたその多寡によりまして、個人たる中小企業者へ還元をする、その度合いをつけていく、これはなかなかむずかしいんじゃないか。いまそれよりはむしろ、中小企業者全体として厚生年金とかいろいろの制度がありまするが、そういう制度を厚くするとか、また中小企業者になじみの深い税と金融、こういう方面の施策を全体として浸透さしていくとか、そして経済変動に応じましてこれを活動さしていくという仕組みが考えられぬかと思います。いま諸外国で何かやっておるというようなお話もありましたが、私は寡聞にして聞いておりません。もしそういうことがありましたらまた御教授願いたいとお願い申し上げます。
  27. 塚本三郎

    塚本委員 中小企業問題はこれで終わらせていただきまして、時間が少なくなりましたが、公取委員長にお聞きしたいと思います。  最近のテレビの番組等で、ゴールデンタイムでございますか、一番いい時間に、ずいぶんお酒の宣伝がなされておるようでございます。ところが酒造メーカーに聞いてみますると、あの宣伝しておるところのお酒というのは、そこでつくっているのは少ないんだということで、地方でつくったお酒がいわゆる灘に行きまして、そうして灘でいわゆるテレビの宣伝をしております銘柄が張られて、そして出世をしてわが郷里に帰ってくるんだ、こういうことをメーカーは言っておるようでございます。そうすると、宣伝力のあるものがすべてを支配してしまうという形が出てきてしまうわけです。  いま法律の中では、不当表示の問題やあるいは不当景品の問題等は、私もしばしばお聞きをしておりまするし、公取もずいぶん神経を使っておいでになるようでございます。しかし、不当表示や不当景品はさておきまして、この宣伝費というものが最後には勝ってしまうのではないか。このことを放置しておきまするならば、今度けた違いの資本力を持っておる外資が出てきたときにどうなるんだということを考えてみまするとき、そら寒いような気がいたすわけです。同じ国内においてさえもそういう形になってしまっておる状態から考えてみまするとき、これはたいへんな問題だと思うわけです。売り上げの金額に対する宣伝費の割合——これはもちろんテレビや新聞等の協力をしていただかぬと、向こうで広告費がなくなってしまっておこられるかもしれませんから、これは慎重を要する発言だとは思いますが、あえてしかし、外資が出てくることを控えての民族資本を守るという観点に立ったとき、何らかもう具体策を講じておく必要があると判断いたしますが、どうでしょうか。
  28. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいま御指摘の、非常に大きな経費をかけた広告というお尋ねでございましたが、私ども公正取引委員会立場といたしましては、二つの角度から、当該広告が不当な表示、消費者の判断を惑わせるような表示でございます場合には、これは独禁法に抵触するものとして厳重に処置いたしたいと考えております。  それからもう一つは、量的にでございますね、誇大な広告ということでございますが、これはなかなか限界はむずかしゅうございますが、もしもかりに一般の正常な商慣習に照らしまして不当に他の競争業者から誘引をいたすということでございますと、これはかなり検討の余地があるように思います。その辺のところで考えてまいりたい、かように考えております。
  29. 塚本三郎

    塚本委員 通産大臣、もちろん公取では法に従ってということしか言いようがないわけですが、何らかの形でこれは立法する必要があるのじゃないか。いわゆる販売費に対する販売促進費というものの割合をある程度きめてかからないと、外資がきたときに日本産業、民族資本というものはたいへんな事態になってしまうのではなかろうか。製造の費用に対して販売促進の費用のほうがうんとかかっておるような、たとえば薬品なんかおそらく製造費よりも販売促進費のほうが多いと思うのです。しかし、これはおそらく薬品業界全般が行なっておるから、これは私は不公正な形にはならぬというふうにも受け取られるわけです。しかし、業界の中で片一方だけは宣伝費をうんとかけておる、片一方は全くかけておらないというような業界においては、完全にこれは独占化される危険性がある。特にいますでに外資と組んでおるところの合弁会社等では、盛んにそういうふうな方向に進みつつあると思うわけでございます。したがって、公取としては現在の法律では処置のしようがないというふうに私も判断いたしております。したがって、何らかの形でいわゆる販売促進費というものを、製造費なり販売費と見合った形に制限をするようなことを検討すべき段階になったのではないかと思うのでございますけれども通産大臣どうでしょうか。
  30. 大平正芳

    大平国務大臣 本委員会でこの間も膨大な広告宣伝なんかの費用が問題になったのでございますけれども、われわれの調べでは、そのときもちょっと私申し上げておいたのでございますけれども、わが国の広告費、宣伝費が諸外国に比べましてそんなに過大ではないのです。一九六六年の国民所得に対する広告費の割合を申しますと、アメリカが二・六%、西ドイツが三・七%、それからイギリスが一・五%、カナダが一・七%、わが国が一・三六%でございまして、そう過大とは言えないのでございます。したがって広告費、宣伝費が非常に過大であるというのはいかがかと思うのでございますけれども、あなたが言われるように、特定の産業で巨大な資本力を持ったものが、日本で活発な宣伝を行なうことによってわが国の同種の産業が大きな被害を受けるというようなことは、十分私どもが配慮していかなければならない課題だと思います。それは外資法に基づきまして、資本の自由化の課題といたしましてどう対処するかという課題でございまして、いまの法制のもとでこれは規制できるわけでございます。現に規制をしておるわけでございます。  それからまた国内におきましては、いまお酒の例がございましたけれども、お酒の業界もいろいろ競争下にあるわけでございまして、無制限に広告費が使えるわけじゃないわけでございまするから、私は、広告宣伝費はコストの中でこの程度であるべきである、またおしかりを受けますけれども、そういう法的規制を加えることは考えるべきではないのではないか、そう考えております。
  31. 塚本三郎

    塚本委員 いまの程度なら私はまだいいと思うのでございますけれども、ともかくこれが外資がやってきた場合にはたいへんな事態になると予測されるわけでございます。たとえばかん詰めのごときは、桃のかん詰めなどは、もう農園を買って、それから桃の木を植えるところから始めておるということでございますね。こんなことで、もう遠大な計画のもとに日本の市場をねらってきておるという形が出てきておるわけです。だから、こういう形で一つ一つ日本のお得意さまを取っていくという形になりまするならば、そしてかつて食品業界の王座といわれておった明治、森永でさえも、もはやコーヒーはわずか一%か二%でございますよ。九七、八%はわずか外資系二社によって取られてしまっておることは御承知のとおりでございますね。トマトから、最近に至りましてはマヨネーズだとかスープだとか、あるいはまたカレー等におきましては、外資系がどんどんといま宣伝をしております。野放しにこのことを許しておきまするならば、薬品業界のようにお互いにこれができる立場ならいいと思うのでございますが、一業界において大部分は宣伝ができなくて、そして一社か二社、外資系だけが十分の宣伝力を持っておるというような形がいま出てきておりまする合弁会社の実相でございます。こういう形を彼らは、それは採算に合わないようなことはやらないということは言うでございましょう。しかし彼らの採算というのは、十年先、二十年先を数えての採算でございますね。ところが日本における産業というのは、三年以上採算に合わなければ手をあげてしまわなければならない。これが豊年リーバやあるいは日魯ハインツの悲劇となってあらわれておることは御承知のとおりでございます。第二のこういうふうな、いわゆる合弁会社が出てくる。それ以上に同一産業というものが将棋倒しのような形でやられてしまうということです。いま産業界におきましては、いわゆる自動車の攻防戦がやかましくいわれておりまするが、しかし、現実にすでにきておりまする食品業界の姿というものを見たときに、たいへんな事態で、しかもある企業のごときは農園まで買って、そして桃の木を植えるというところから長期戦略をとっておる。こういう事態の中で私たちは、もうこれを放置しておくならばそら寒いような感じがいたすわけでございます。  私は、結論を出すようにという通告でございますから、何らかの形で、これは規制しなかったならば、やがてはいわゆる民族資本というものはたいへんな事態になるというふうに判断をいたしております。時がたってみたときに、大臣、あのときはこうしておけばよかったといっても、これは問題にならなくなりますので、この点再度通産大臣の見解をお聞きしたい。  もう一つ、時間がございませんから大蔵大臣にお聞きいたしますが、いわゆる過大な宣伝広告費というもの、それをしもはたして経費と見ることができるでありましょうか。ずいぶん利益をあげておるところならばいいと思うのでございますね。ほんとうをいけば利益があがるのを、将来のいわゆる販売網獲得のために利益にあがり得べかりしものをどんどんと宣伝費に使ってしまうというような形で、おのずからこのことがテレビ等の広告費が高くなってしまって、いまではゴールデンタイムのスポンサーというものは一社でやっているところは少なくなってしまって、何社かが共同でなければ出せないような形になってしまっておる。それほどまでに広告費というものは大きくなってしまっておりますが、本来ならば、静かにしておいてくれれば、これは利益となって税の中に入ってくるものが、実は利益が全く少なくなって、そうして膨大な金が宣伝費に使われておる。これをしもいわゆる経費と言えるでございましょうか。この点双方からお聞きいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  32. 福田赳夫

    福田国務大臣 塚本さんが先ほどから提起しておる問題ですね。   〔櫻内委員長代理退席、委員長着席〕 つまり外資が入ってくる、そういう事態に対して広告費の問題ですね。宣伝費の問題、これはたいへんな問題じゃないか、何か検討せい。私もこれはなかなか大事な問題の御指摘だ、こういうふうに存じます。  それから第二の税の問題ですね、これはほんとうに宣伝費だ、つまり営業のための費用である、こういうふうに使われておるならば、ただいまのたてまえからこれを否定するということは困難かと思うのですが、しかし、営業費でないのにかかわらずこれを営業費と称する、こういうものはどしどし否認してかからなければならぬ、こういうふうに考えます。  いずれにしても、誇大の宣伝広告費の問題は非常に重要な問題だと思いますので、今後も私ども勉強してみたい、かように考えます。
  33. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘の問題は、結局輸入とか資本の自由化に関連した問題であると思いますが、これが品質がよくて、外国から入ったものがそういうものでございますならば、わが国にそれを自由化することによりまして、わが国の同種の産業生産性を刺激して改善の契機になるわけでございますから、一がいに否定できないと思います。ただあなたが言われるように、巨大な資本を持ってきて、そうたいしてよくない品物がムード的に巨大な宣伝費にバックアップされて市場を席巻するというようなことになるとゆゆしい問題でございまして、外資法の運用において十分規制してかからなければいけませんが、それが技術的に不足であるというのであれば、なお検討しなければならぬ課題であると思います。
  34. 塚本三郎

    塚本委員 要望だけ申し上げて終わりたいと思います。  このままおきますならば、私は民放も外資系によって左右されてしまう事態がやってくるのではなかろうか。新聞でさえも外資系によって左右されるような事態になってくるのではなかろうか。こういう危惧さえも持っておりますので、その点両大臣に御検討いただくことを強く希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  35. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これにて塚本君の質疑は終了いたしました。  次に八木一男君。
  36. 八木一男

    八木(一)委員 私は時間内で、前半に同和問題、後半に社会保障問題について御質問を申し上げたいと考えておるわけであります。  総理大臣の御出席を要求をいたしましたが、いま委員長から御連絡をいただきましたけれども、まだ御都合がつかないそうでございます。したがって、総理大臣に御質問を申し上げなければならないことを国務大臣としての各大臣にお伺いすることがあると思います。特にその取りまとめ役である保利官房長官には、総理にかわってお答えをしていただかなければならないことも起こるかと思いますので、どうか担当大臣に御質問しているときも十二分にそれを把握されるように、各国務大臣は注意をして、緊張して聞いておいていただきたいと思います。  まず最初に同和問題についてでございますが、先日総括質問で申し上げたことを、さらに発展さして具体的に御質問を申し上げたいと思います。  まず床次総務長官にお伺いをいたしたいと思います。現在、総務長官が十二分に御承知のように、同和対策特別措置法について四党で協議が行なわれておりまして、かなりまとめる方向において協議が行なわれております。その協議が前向きによい内容でまとまった場合には、当然その方針に従って政府案として御提出を願うというのが四党の意思でございます。したがって、総理府の長官とされましては、その準備を十二分にされていると思いますし、また四党の話が不幸にしてまとまらないときには、総理のお約束のように、三月上旬を期して政府案を御提出になる確約があるわけでございます。この両方の御準備を進めておられると思いますが、御準備につきまして先年から、この前の総括質問においても、また前に二回続けまして、内閣法制局長官に対して、この重大な問題を立法するにあたって、前例がないから、書きにくいからというようなことでブレーキをかけるようなことがあったならば、これは法制局長官としての職責を果たすものではない。そうではなしに、きまった方針について、それが完全に法律上に明確に書けるように、あらゆる困難を乗り越えて書くべしということを追及し、その確約を得ているわけであります。そのような状態でございまするので、どうか総務長官は、その両方の場合において、法制局においては政府のその方針に従って完全に書き上げるということを約束をいたしておりますので、その点のいろいろの、普通の例にあるように、これは書けるかしらんというような消極的な御配慮は一切なしに、積極的にその法案を進めていただきたいと思うわけであります。それとともに、四党協議会でまとまった線より以上に、さらに前向きに、事態解決できるような案を総理府が持たれたときには、それをつけ加えられることは大いに四党の歓迎するところだろうと思いますから、その点で積極的に御準備、対処をしていただく決心をひとつ伺っておきたいと思います。
  37. 床次徳二

    ○床次国務大臣 同和問題に関する特別措置法案の制定に関しましては、すでに審議会からの答申もありますし、また各方面から強い御要望がありまして、私はことしこそこれを成立させなければならないときだと考えておる次第であります。幸いにいたしまして、今日まで四党間におきましても、順調に話し合いが進んでおりまして、なお政府といたしましてもお手伝いをいたしておりまして、近いうちにこれがまとまるものと思いまして、まとまり次第提案いたしまして成立をお願いいたしたい、御協力をお願いいたしたいと思っておる次第であります。  なお、ただいまの文言その他に関しまして、政府といたしましても御趣旨を体しまして、できるだけこの点につきましては前向きにといいますか、積極的な態度をもちまして解決をいたしまして、そうして成立を期するという態度でございます。
  38. 八木一男

    八木(一)委員 重ねて総務長官に御質問を申し上げます。  同和対策特別措置法の十二分な内容の早期制定が一つの柱であります。それとともに五カ年計画を、十二分のものを早く策定をして、どんどんと実行に移すということがもう一つの柱であります。その点について非常な熱意をもって当たっていただくべきことだと思いますが、ひとつ前向きな強力な決心のほどをここで、予算委員会の場を通じて、国民の方々に表明をしていただきたいと思います。
  39. 床次徳二

    ○床次国務大臣 特別措置法に盛り込むべき要点につきましては、すでに審議会において御指摘になっております。また、各党におきましてもそれぞれ御検討をいただいておりまして、ほとんどこれは固まるものと私ども確信いたしておる次第でありまして、積極的にこの点は、要点に対しましては十二分に強調していきたい。たとえば補助その他に関しましても、でき得る限りの努力をいたしたいと思っておる次第であります。  なお、将来の計画につきましても、これは審議会等の御趣旨を体しまして積極的に努力をいたしたいと思う次第であります。
  40. 八木一男

    八木(一)委員 総務長官は、いま御答弁のように積極的な態度をとっておられるわけでございますが、各省に関係があるところでございまするから、それについて各省の長であり、また国務大臣である方々が積極的に御協力をしていただかなければならないと思います。さらに総務長官により元気づけ、総理府で用意した案よりもこの点もっと前進をさしたらどうかというような積極的な提議が、各省から出てしかるべきだと思うわけであります。その点について各大臣から決意を伺っておきたいと思いますが、まず第一に、非常に関係の深い自治大臣に伺っておきたいことがございます。  同和問題の遂行に関しては、主として地方自治体がこれに当たります。地方自治体が当たりますが、同和問題を解決するためにいろいろやらなければならないことの濃度は、府県によって大いに違います。また市町村において大いにその濃度が違うわけであります。たとえば和歌山県の御坊市、奈良県の御所市、また兵庫県にもほかにもたくさんございますが、集中して解決しなければならないことをたくさんかかえている市町村があるわけであります。そういうふうに濃度が違うということになると、普通行政上の非常な難点とされております、たとえば超過負担というものが地方自治体が積極的にやらなきゃならない行政を阻害をしている状態がありまするけれども、特にこの同和問題においては、そういうことが濃度がきつくなるわけであります。それを排除をしなければ、自治体の問題が進みません。したがって、地方自治体を指導し、預かっておられる自治省としては、その点について、そのような市町村がほんとうに国の政策に従ってどんどんと事業を遂行しようとするときに、その超過負担のために難儀をしたり、あるいはその超過負担のためにしなければならないことを停とんをさせるということがあってはならないと思いまするので、たとえば補助率を高率にする問題、あるいは単価をきめるときに完全に実質単価にする問題、それが時期的なズレがあったならば、ズレがあった部分を直ちにあとから補てんをするような問題、あるいは補助の対象について、建物については補助が出ても、土地の購入費なり整地費なり、あるいは前の建造物を片づける費用、そういうものに対しても補助なり融資なり、そういうものが全部対象にされておらなければ、こういう隘路が打開されないわけであります。そういうことについて十二分の御理解を持たれて——この問題は、大蔵大臣、大蔵省との関係も当然あると思いまするけれども、地方自治体がほんとうにりっぱな責任を果たし得るように、自治大臣としてこの問題について強力に推進をしていただきたいし、そうして同和対策特別措置法の制定についても、五カ年計画の推進についても、総理府長官が苦労をされておりまするけれども、それをバックアップをし、さらにその点について総理府長官より以上によい案があれば、それをすることを主張され、この問題を推進される必要があろうと思いまするが、自治大臣の前向きな御決意のほどを伺っておきたいと思います。
  41. 野田武夫

    ○野田国務大臣 同和対策措置法、いま総務長官がお答えになりましたように、非常に積極的な姿勢で取り組んでおりまして、御意見のように自治省は非常に関係が深いので、まあ実施機関と申しますか、したがってその内容につきましても、できるだけ審議会の答申に沿うような実体を持った措置法ができることを、私、心から希望いたしております。  そこで、超過負担の問題も御懸念がありまして、ごもっともと思いますが、これはすでに御承知のとおり三カ年間で解消するというので、四十四年度も適当な財源処置をやっておりますので、大体これは目標の三カ年で超過負担は解消する。しかし、この影響があっては困ることは全くお話のとおりでございまして、従来も交付税、地方債でこの事業に当たっておりまして、できますならば私、つまり自治大臣といたしましては、この措置法ができまして、やはり国庫補助率も少し上げてもらうとか、万般の財政処置というものが実施する場合に非常に必要でございますから、御意見のように自治省としましてもそういう方面に心を配りまして、補助率の問題、これは国庫の関係でございますが、自治省といたしましても、交付税、起債の問題につきましても、できるだけ目標の実施ができますように努力いたしたい、こう思っております。
  42. 八木一男

    八木(一)委員 自治大臣は、その点の前向きの御決意をここで披瀝していただきました。時間の関係上急いでおりましたけれども、国庫補助率の引き上げの問題と、実質単価と補助対象を必要なものをすべてを補助対象にするということ、それから交付税の問題、それから起債の優先認可の問題、元利補給の問題、そういう問題、ありとあらゆる問題について、特別に急速に進めなければならないという精神を体してやっていただけるものと確認をいたしておきます。——いま縦に首をお振りになりましたので、再度御登壇願わなくても、それで確認をしたことにいたします。  それで、その点について特に大蔵省に関係が深いわけであります。いま申し上げたことを繰り返して申し上げなくても、頭のいい大蔵大臣は十二分にわかっておられると思いますので、その点について大蔵省の役割りというのは、予算を削減するとか補助率を減らすとか、そういうものが任務ではないと思います。財政や金融を預かっておられる方々は、国民の税金の貴重な財源をどのように有効に使うかということを配慮される立場にあられようと思います。また、保管をされた財源についての融資についても、また起債その他についても、そういうふうに積極的でよいときに必要なところにはどんどん出す、出す条件もよくするということが、大蔵省の態度でなければならないと思います。特にいままでの前例と違いまして、この問題が十数年の過程を経て、同対審の答申から来て同和対策特別措置法がことし制定されようとし、五カ年計画が発足しようというときでございまするから、前に例のないことがたくさん出てこようと思います。それを乗り越えてやらなければ、四百年の問題、明治以後百年の問題が急速に解決しないわけでございまするから、どうかそのような意味で、既成の例にとらわれずに、その問題を強力に、総理大臣より以上に、総務長官より以上に、自治大臣より以上に、さいふのひもを締める大蔵大臣としないで、大事なことにはさいふのひもをあける大蔵大臣として取っ組んでいただけるということが、必要であろうと思います。この点についての前向きの御決意をひとつ伺っておきたいと思います。
  43. 福田赳夫

    福田国務大臣 財政は財政が目的じゃないんです。これは国民の福祉を向上するということが、最大な目的であります。その点は、私どもはもう八木さんと全く考え方は同じでございます。ただ、この問題の運用は、これはもう国の施策の全体のバランスをとりながらやらなけりゃならぬ問題である、これも八木さんも十分お考えのことだと思います。  当面する同和問題、これは主として地域社会の問題、先ほど自治大臣から答弁がありましたが、自治省に非常に関係の深い問題でございます。大蔵省といたしましても、この問題は前向きで取り組む、その姿勢には間違いはございません。ございませんが、さあその内容の一つ一つの問題になりますると、これは全体を見る大蔵省の立場からいろいろ意見も申し述べることはございますることは、これまた当然でございます。私は、本件の解決に当たりまして、各党間の話し合いがまとまったら一番よかろう、こういうふうに存じまして、八木さんも大いに御奔走くださいましたが、四党の協議会がいまできてきておるわけでございます。四党間の協議がまとまる、そうして円滑に国会が審議するというレールが敷かれますことを非常に期待をしておるわけでございますが、それができますれば、大蔵省といたしましても、その線に沿いまして全幅の御協力をする、かような考えでございます。どうかひとつよろしく願います。
  44. 八木一男

    八木(一)委員 いまの御答弁は大体けっこうだと思うのですが、実際が伴わないと困るのです。  それで同和対策特別措置法について、たとえば与党のほうから大蔵省に御連絡があった場合に、それを政府、各党の努力について、既成の大蔵省の方針でチェックをなさらないようにさらに要望したいのは、こういう方法もあるじゃないか、もっとふやしたらどうか、補助率など、そのくらいの遠慮がちじゃなしに、もっとうちのほうは出す気があるのですよというぐらいの勢いでやっていただきたいということが一つの要望です。その点についてもう一度伺いたい。
  45. 福田赳夫

    福田国務大臣 先ほど、過去の慣例だとか前例にとらわれるべきでないというお話でありましたが、私もそう思います。これは非常に重大な問題ですから、前例はどうだというようなことでこれを考えるべきじゃない、さように存じます。しかし、事は国政の中の一つでありますから、そういう全体のバランス、国政の中の一つであるということも、八木先生におかれましてもひとつ御了解願いたい。
  46. 八木一男

    八木(一)委員 どうも「しかし」が非常にひっかかるのですけれども……。バランスというものは、たとえば終戦後すぐのバランスをそのままということではいけないわけです。いまのバランスでもいけないわけです。百年の取りおくれを取り返すためには、特別中の特別なことをやらなければならない。そうなると、こんなアンバランスなんですから、アンバランスを直すためには動きがなければならない。このアンバランスの点を——その問題以外のほかの点ではバランスがとれている場合があるでしょう。大体バランスがとれているから、このかっこうでと言われたら、これは直らないわけです。非常なアンバランス——バランスということばを積極的にひとつ取りかえていただいて、猛烈なアンバランスを直すためには、猛烈に動かさなければならない。そうしてほんとうのバランスを取り返す。百年間の非常な抑圧のもとに貧困と差別に苦しんだ人たち状態を直すためには、その勢いで猛烈にそこの部分を、アンバランスの部分を急速に直すために急速に手厚く強力に動かさなければならないという意味で考えていただけると思うのですが、バランスをそういう意味に解釈したいと思いますし、大蔵大臣がそういう意味の熱意を持っていただいていると確認をしたいと思いますが、さらにひとつ伺っておきたいと思います。
  47. 福田赳夫

    福田国務大臣 この問題は、もうもともとのスタートが地域社会におけるアンバランス、これを解消しよう、こういう性質の問題です。私はそれを言っているのじゃないのです。このアンバランスを解消するために大いに努力しなければならぬ、それは当然であるけれども、この問題も国政の一つの問題である、国政の中の一つの均衡というところには大蔵省として配意をしなければならぬ点もありますから、この点はひとつ御了解おきを願いたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  48. 八木一男

    八木(一)委員 先日も申し上げましたけれども、たとえば明治時代に秩禄公債を二億一千万円出しておる。これが先日の数字を御記憶だと思いますが、何兆という非常に大きな数字になります。その後の貨幣価値では八千億になりますけれども、しかし、それを四歩の利息で活用した場合のふくれ方を考えますと、何十兆というようなものになります。それからもう一つ開発途上国が先進国に対して協力を求めておる。それは国民総所得の一%という数字であります。これは毎年それだけの協力を国際的に求められていることは申し上げるまでもございません。そうなりますと、他の国の開発途上国に対してそういう協力をしなければならないそういう情勢において、日本の国でそれだけおくれた問題について対処をするというのは、それと同様、より以上の決意を持っていただいてしかるべきだと思います。  そうなりますと、いま大蔵省のいろいろ査定された予算から見ると、問題にならない。非常な、台が二つ、三つ変わるような金額になるわけであります。といって、いま、たとえば同和対策のためにことし一兆の予算を組んでくれといっても、そんなものは大蔵省はできませんとおっしゃることは、私も知っております。知っておりますけれども、そういうことがありますので、そのような気持ちでそういう問題にも対処をしていただきたいと思う。  ことしの同和対策の予算の要求は、約百億であります。それで、その中で査定をされて七十五億であります。しかもそのうち建設省関係が五十億ぐらいで、建設省関係のほうは、普通の公営住宅の分がそこに回るであろうというような推定を加えた数字であります。純粋に同和対策として把握ができるのは、三十億足らずであります。大阪市や大阪府ですでに数十億のものがその地域に対して出ているときに、国が同和対策に本格的に取っかかるときに、大阪市、府の半分ぐらいが出て、それで本格的に取っかかったことにはならないと思う。ただし、いままでは本格的ではありませんでした。ことしから五カ年計画が始まって、十数年の約束で本格的に取っかかる時期であります。したがって、そういうことについては、さっき言った二つ大きな例も頭に入れていただいて、少なくとも頭に入れていただいた立場でこれを対処をしていっていただきたいと思います。  それを対処をしていただくとするならば、各省の予算の要求があまり少な過ぎるということであります。これは大蔵省の責任じゃなくて、実施官庁全部の責任であります。なまけているから、それだけの予算要求しか出ない。そのなまけた予算要求に対して、大蔵省がまたなたをふるう。ほんとうにいまおっしゃったようなことを主計局以下全部わかっておられるならば、ぐうんと予算が出てしかるべきなのだ、それに対応してスズメの涙ぐらいの要求しか出てない。それを一般的に全部削る風習がついているから、削り方は、率は少ないかもしれないけれども、同和予算を削らなければ主計局としてはほかの問題を削っているのだから義理が悪かろうというようないままでの既成概念、いままでのバランス論でそういうなたが入れられているわけであります。そういう風習をやめていただきたいということであります。これから各省の実施官庁で要求が出たときには、少なくともいまのような貧弱な予算しか出ていないのですから、財政上の観点としてやる決心があったら、それを全部のむことはほんとうに容易なことであります。百億のところを七十五億に査定された。二十五億ということが、いまの国家予算の中で、特に相当の財源を持ったあと調整財源に充てられたあのような事態で、ほんとうの決心があったら、二十五億を一つも削減をしないということは、事実として容易にできることであります。いまのような状態でありますから、実施官庁の要求に対しては、この問題については実施官庁は、たるいのですから、大蔵省は、もっと出せ、なぜこんなぼやぼやしているのかというようなことを言ってしかるべきだと思う。ぶった切るだけが主計局の仕事ではない。必要なことについては、予算をもっとよけい出せ、なんだ、この省はなまけているのだというようなところもなければ、ほんとうの大蔵省じゃないし、ほんとうの主計局じゃない。出てまいりました問題について、この問題に関する限りはびた一文——一文という金はありませんけれども、たったの一円でも削るようなことがあったならば、これは大蔵大臣がいまおっしゃった決心がほんとうではなかった、内閣のほんとうの精神、ほんとうの方針、国会を通じての国民への約束に違反されたということになろうと思う。今後この問題の要求に対して、これが二けたぐらい上がった、百億が千億、一兆ぐらいの要求になったときには、それは国家財政全体で調整せられなければなりませんでしょう。いまのような推移で——もちろん五カ年計画の発足時点ですから、もっとふえた要求が出てこなければなりませんけれども、そういうときに、この問題に関して一円でも予算を査定をする、値切るというようなことがないように、少ないところにはもっと出せというような積極的な態度でやっていただくように、大蔵省が決意をしていただきたいと思います。どうか最高の責任者である福田さんが、福田さんのほんとうのお気持ちに従ってこの問題について大蔵省でやっていただける御決意をひとつこの場を通じて明らかにしていただいて、期待をしている国民が政府の方針に満足をするようにひとつお答えをいただきたいと思います。
  49. 福田赳夫

    福田国務大臣 八木さんが同和対策に非常に御熱心に取り組んでおられる、敬意を表します。私も八木さんから言われるまでもなく、これまでのいきさつ、よく承知しております。ですから、そのいきさつの上に立って同和問題には取り組みます。  しかし、私の任務は最小の経費をもって最大の能率をあげることにあるわけなんでありまして、国民の大事な税金を一銭一厘、これをむなしゅうするわけにはまいりません。そういうふうなことで、各省から要求がありました際に、どうも一銭も一円もこれはむだがないというわけにはいかぬだろうと思う。精査いたしまして、効率が悪いというものはこれは削減しなければならぬ。そのまま認めなければ相ならぬぞという八木さんのおことばではありまするけれども、これだけはそのとおりでありますというわけにはまいりません。しかし、気持ちはよくわかりますから、そういう同和対策を前向きで積極的にひとつ取り組む、このことだけははっきり申し上げます。
  50. 八木一男

    八木(一)委員 不十分な御答弁で、はなはだその点満足できなくて残念です。先ほど何兆という例を申し上げましたけれども、これは例を引いて申し上げて言うのですけれども、十分御理解の福田さんですけれども、もっと深くかみしめてあげていただきたいと思う。  明治の例のことを何回も申し上げますと、ほかの質問の時間がなくなりますから申し上げませんけれども、ほんとうにありとあらゆる意味で、農民としても成り立つことができない、中小商工業者としても成り立りことができない、労働者としても成り立つことができない状態に置かれて、百年近くそういうふうになってきたわけであります。ほんとうに不利で、百メートル競争でほかの人は七十メートル前から走っている。これらの方々は七十メートルうしろから走っている。幾ら汗だくだくにいっても、その生活水準まで追いつく状態にない状態が百年間続いたわけであります。それを取り返すためには、ほんとうに十二分なことをしていただいていいはずだと思う。各省の予算要求が少ないほかに、いまおっしゃったような効率の悪いようなものがあったならば、それだからぶった切るのじゃなしに、もっと積極的に、こういう方法でやったらもっとよくできるのじゃないか、なぜそれを出さないか、そういう協議をしていただきたいと思う。効率が悪いものに出さないということじゃなくて、こういう方法で同じ目的でこういうことをやったらもっと進むじゃないか、そういうことについては、あなたはこの方式で出した予算よりも三倍でも五倍でも出す決心がありますということを積極的に言っていただいて、予算のワクがふえるようにしていただく必要があろうと思います。そういう意味で、精神としてびた一文削らない精神でその問題をやられる。少ない予算については積極的に早くたくさん出せということで、大蔵省としての積極的な面の役割りを果たされるという御決意を、ひとつもう一回御披瀝になっていただきたいと思います。
  51. 福田赳夫

    福田国務大臣 同和対策に対する御所見、お気持ちはよくわかりましたです。大蔵省といたしましても、いま国会内で四党を中心にして進められておる線に沿いまして善処をいたします。
  52. 八木一男

    八木(一)委員 では、あと同和問題を簡単に御質問をいたします。  実施官庁の中で、建設省がかなり大きな予算を占めておられます。建設大臣が実施官庁を代表をされて、いま大蔵大臣、自治大臣に申し上げたことを体得されて、積極的に、遠慮をしないでこれにほんとうに取っ組んで予算要求を出される、計画を立てられるということを決心をしていただきたいと思います。また、それをお約束をいただきたいと思う。その点で建設大臣に御答弁をお願いいたします。
  53. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 お答えいたします。  同和対策の基本的な態度につきましては、先ほど床次総務長官が強い決意のほど、また積極的な考え方のほどを述べられたとおりでございます。これに関連いたしまして、建設省その他各官庁も協力いたしながら政府の既定方針を積極的に進めてまいりたい。  建設省といたしましては、一番大事なのは、やはり生活環境の整備、住宅環境の整備、都市環境の整備、これが一番大事なことであろうと思いますので、四十四年度に予定をいたしております改良住宅の八千戸あるいは公営住宅の十万戸等に対しましては、関係府県知事の申請がありました場合には、私は最優先的に無条件で貸し付けをいたしたい、こういうような方針をとっておりますとともに、御承知のとおりに、住宅の改修等につきましても、四十三年度におきましては千四百件、三億五千万でございましたが、四十四年度の予算は、御熱心な八木委員御承知のとおりに千八百二十件、四億七千五百万円の予算を計上いたしまして、私は最優先にこれらの不幸な住宅環境の整備に当たってまいりたい。また御承知のとおりに、都市環境の整備として一番重要なことは、下水道あるいはいわゆる区画整理あるいは街路事業、この問題が含まれていると思いますが、去年は御承知のとおりに区画整理につきましては一つ、それから下水道事業につきましては五つ、それから街路事業は四路線をいたしておるような次第でありまして、昭和四十四年度におきましては、建設省関係その他を含めまして、私ども各関係の閣僚相一致協力いたしながら八木委員の御期待に沿うよう、またこれに関連される国民の皆さまに報いる一つの政治を推進してまいりたい、こう考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  54. 八木一男

    八木(一)委員 あと文部大臣に簡単に御質問しますので、簡単にお答えをいただきたいと思います。  いま同和対策の問題で二つ御質問を申し上げます。一つは、結局青年諸君が高等学校あるいは短大、大学というところの教育を、学問が好きで、その熱意があって能力がある場合に受けることが、この同和地区の方々の問題を解決する一つの柱になろうと思います。その点について、奨学資金の制度を各府県で高等学校についてやっているところがありますが、それを拡大をし、さらに大学についての奨学資金制度をどんどん推進していただく必要があろうと思うのですが、その点について、ひとつ簡単に前向きの御答弁をいただきたいと思いますのと、同和教育についての基本方針を文部省が出すことを関係団体に約束をされておりますが、この基本方針が学校教育面だけに偏して、社会教育面の点が抜けているという点、それから同対審の答申を引用をしているけれども、それを文部省がかってに都合のいいところだけ引用して、大事な点を引用していない。進度においても内容においてもはなはだ不十分であります。その点について、同和対策についての教育の関係者の意見がございますので、同対協のその意見を尊重してりっぱなものを急速につくっていただく必要があろうと思いますが、それについて簡単明瞭に前向きの御答弁を期待いたします。
  55. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 お答えをいたしたいと思います。  同和問題について非常に熱心な八木さんの先ほどからのお話につきまして、私も同感でございまするので、ひとつ前向きにこれに対処をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  先ほどの御質問の中で、高校進学奨励費補助の問題でございますが、同和教育関係予算は、ことし、いま御審議をわずらわしているのが約二億一千三百万円で、前年度に比しますと四〇%の増をはかっておるわけであります。特に高等学校進学奨励費は一億一千五百万円、約四九%の増額を見ております。それから、関係府県の要望にこたえることができると思っておりますが、さらに同和教育推進地域の指定をはじめ、同和教育資料の作成配付、同和教育研究指定校の設置、同和教育指導者研修会の開催、同和地区団体育成、諸集会の開催、集会所の設置等の事業をはかることといたしております。  しかしながら、同和問題の重要性にかんがみまして、今後は同和対策長期計画の八木先生の御計画等、また各党間に御協議を賜わっておりまする法律が出ましたならば、それに沿いましてさらに施策充実と予算の増額に努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。  それから、われわれのほうは単に学校教育だけではなくして、社会教育の面につきましても十分こたえなければいけないというふうに考えておるわけでございます。  さらに、高等学校の進学奨励費でございますけれども、高等学校だけでもほかの地区に比べまするとまだまだでございますから、これにまず重点を置きまして、大学の問題につきましてはただいまのところやはり育英制度を利用していく、そしてまた、そのやり方等についてはひとつ指導をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  56. 八木一男

    八木(一)委員 文部大臣、もう一つの同和教育の基本計画の御答弁がありませんでしたけれども、簡単に御答弁願えますか、ほかの質問がありますので。文部省の同和対策基本計画については内容と進度がはなはだ不十分である。同対協という、同和教育に従事した教育関係者の意見書がありますが、それを尊重して十二分なものを早くつくるということをしていただきたいと思いますが、一発でけっこうですから、ほかの時間がありますから、それをするという……。
  57. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 十分これを検討いたしまして、前向きにやりたいと考えておる次第であります。
  58. 八木一男

    八木(一)委員 同和対策の問題はまた分科会に譲らしていただきまして、これから社会保障の問題を中心に御質問をさしていただきたいと思うわけであります。特に、最初に大蔵大臣、厚生大臣、それから労働大臣に対する質問になろうと思いますが、ほかの国務大臣もひとつ退席をなさらずにいていただきたいと思います。その問題について先ほど予告を申し上げたことを一人々々伺うかもしれませんので、退席をなさらずに十二分に聞いておいていただきたいと思います。  厚生大臣並びに大蔵大臣にお伺いをいたします。  社会保障費の総予算に対する比率と伸び率がはなはだ不十分でありまして、また、停とんをしている状態であります。山内議員からこの問題については総括的にこの間御質問があったようでございますが、簡単に申しておきますけれども、最近五年間に総予算に対する構成比は、昭和四十二年に一四・六%でございましたのが、ことしの予算案では一四・一に落ちているということがございます。伸び率も、四十一年に四十年度に比して二〇%の伸び率を示しておりましたのが、ことしは一六%というふうに落ちているわけであります。  そこで、その事態をもとにして伺っておきたいと思いますが、大蔵大臣は、昭和三十七年八月に社会保障制度の総合調整に関する基本方策についての答申および社会保障制度の推進に関する勧告というものが、膨大な勧告が出ておりましたことを御承知であろうと思います。そこで、文言のほかに、当然こうあるべきだという試算がついているわけであります。その試算書によれば、昭和四十五年には総予算と——ここの社会保障制度審議会の試算では租税収入ということになりますから、ほとんど総予算と似たものでございますけれども、総収入に比して社会保障の中の国費支出分が二七%にならなければならないと指摘をしているわけであります。現在一四・一という状態でありますから、この社会保障制度審議会の答申、勧告に非常に隔たることが多いわけであります。こういうことについて厚生大臣あるいは労働大臣は、予算要求をはなはだなまけておった。厚生省、労働省がその責任を果たしておらなかった点もありますけれども、またそれについて非常に抑圧した態度をとっておった大蔵省の態度も、このような結果を招来した大きな問題だろうと思う。その点について厚生省——労働大臣も関係がありますが、おもな関係は厚生省でございますが、厚生省がなぜこのような状態で——このようなりっぱな基礎をもとにして、予算の中で二七%を四十五年には占める。階段的にいくから四十四年度には二五、六%は占めなければならない。したがって、いまの予算要求をはるかにこえた予算要求をして、その答申にこたえることになるのに、なぜ貧弱な予算要求しかしなかったのか。また、その貧弱な予算要求をなぜ大蔵省がなたをふるったのか。その点について厚生大臣と大蔵大臣の端的なお答えをいただきたいと思います。
  59. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 私は、厚生省がずっとなまけておったとは思いませんが、いまおっしゃいますような趣旨から申しますと、もっとふえておってもよかったのじゃなかろうか、かように思うわけでございます。しかし、実際に計画をする事業その他から考えて、歴代大臣も厚生省も相当努力をしてもらっておったと思いますが、私も力が及ぶ限り努力をいたしてまいりまして、御期待に沿えるようにいたしたいと思います。
  60. 福田赳夫

    福田国務大臣 わが国の社会保障制度はそもそもスタートが非常におくれておるわけですね。そういうようなことで、ずいぶん力は尽くしておるのですが、まだ先進諸国並みとまでいかない。しかし、ようやくそれに追いつこうというところまで来ておることは御承知のとおりです。  それで、予算の中の社会保障費の比率、これなんかから見ましても、これはずいぶん改善をされてきております。戦前の基準年次、いわゆる昭和九年−十一年ですね。あれのときなんかは、一般会計の中の社会保障費は実に〇・七%です。ことし四十四年度の予算になりますと二十倍で一四・一%、それも戦後、昭和三十年代は九%とかその辺のものがだんだんと高くなってきて、一四・一%というところまできておるわけです。それから国民所得との対比を見ましても、基準年次には〇・一%であったものが今日は二・一%、そこまできておるわけであります。それから伸び率ですね、毎年毎年の社会保障費、予算はもちろんでありまするが、予算外における広い意味の保険とかなんとか入れた社会保障施設の伸びですね、これは伸び自体からいいますると、先進諸国の中でもほんとうに第一番の地位にあるわけであります。この分でいきますれば、日本社会保障制度も先進諸国に劣らないものにやがてなると思いまするけれども、いずれにいたしましても、スタートがおそいものですから、先進諸国並みとまで今日いかない状態である。しかし馬力をかければやがて追いつく状態にある、しかもスピードは非常に高い、かように考えております。
  61. 八木一男

    八木(一)委員 大蔵大臣は戦前の例を持ち出されましたけれども、主権在民がきまって基本的人権が尊重される日本国憲法が制定されて、その中の社会的基本権である憲法二十五条、二十六条、二十七条、二十八条というのが制定されたいまの日本と戦前と比較するのは、これはもう話にならないと思うのです。いまの日本国憲法のあるもとで、このような状態であったら非常にまずいということであります。社会保障制度審議会の答申、勧告というのは、ごく微温的なものであります。この答申、勧告を読んで——私この答申、勧告に参画をしました。こんな微温的なものじゃだめじゃないかと極力主張しましたけれども、微温的な人が多くて、こんな文言になった。こんな遠慮がちな微温的なものが実行されていない。この社会保障制度審議会の三十七年勧告というのは、昭和三十六年のヨーロッパ諸国の、たとえばイギリスとかフランスとかドイツとか、あるいはニュージーランドとか北欧三国とか、そういうような国の水準に四十五年で追いつかなければならない、十年間のハンディキャップを認めておるわけです。そして、それで試算をされたのが国家予算の中で社会保障費は二七%、これは最低です。少なくともそうしなければいけないと最低限度を考えている。政府がほんとうに憲法の条章に従ってやる気であれば三五になってもいいのです。最低を規定しているものを一つも実行しておられない。おそらくここにおられる国務大臣の方々は、この社会保障制度審議会の勧告の二七%という比率を御存じない方が大部分じゃないかと思うのです。厚生大臣は御存じでしたか。そういう大事なことについてもほとんど御研究になっていない。この社会保障制度審議会の勧告は、前文にあるように、「総会十六回、全員委員会三十六回、各種の分科会等数十回をもった。」三年間にわたって——この一回というのは、私は出ておりますから知っておりますけれども、三十分くらいで解散するんじゃない。一時から、場合によっては夜の十時までやったこともあるんだ。それだけその関係者の人々が一生懸命になって、しかも政府がいまのような状態で、すぐは飛びはねてできないだろうということで、余裕をもって、三十六年の水準に四十五年で、十年おくれて達成するという目標をきめて、それが最低であったというものが、無視されている。おそらく国務大臣の方の中で、この率を知っておられた方があったらいまおっしゃっていただきたい。ほとんど大部分知っておられないんじゃないかと思うのです。こういうようなことを無視をして、いいくらかげんに社会保障をただ、つかみでやっていればいいというようなことをやっているから、社会保障が伸びない。厚生大臣はこのことを知っておったかどうか、そういうたてまえで要求しようという腹がまえがあったかどうか。途中でかわられたから、これは前の厚生大臣が責任があったと思うけれども、今後そういう腹がまえがあるかどうか。ひとつ明確に、簡単にお答えを願いたいと思うのです。
  62. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 三十七年の社会保障制度審議会の答申をよく勉強させていただきまして、その腹がまえで今後やってまいりたいと思います。
  63. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣は正直であります。読んでいなかったことをいま言われたのです。この点は、正直で、政治家としていいと思います。厚生大臣にしてしかりでありますから、各国務大臣は、読んでおられない方が多いのじゃないかと思う。あるいは福田さんは読んだと言われるかもしれませんけれども、二七%の数字は覚えておられなかったのじゃないかと思うわけです。ですから、それはやはり読んでいただいて……。これは法律できまった審議会であります。それで社会保障の最高の審議会である。そのことを読まないで、そのことを計画に入れないで、つかみでやっているようなことは大間違いだと思う。  そこで、もう一つ申し上げておきたいことがありますが、社会保障に関して、社会保障制度審議会というりっぱな機関があるのに、財政制度審議会という、何か財政だけをやるところの審議会が、その社会保障の内容に関するようなことを意見書に言っている。たとえば療養費払いをやれというようなことをいっている。財政制度審議会というのは、財政のことだけを言えばいいのであって、その中の内容を、療養費払いをとるというような、社会保障の中の中心の医療保障の根底をくつがえすようなことを言うような審議会は非常に不当である。そういうような点について、関係の官庁の大蔵省は、そういう部分については、これはほかの審議会があるから遠慮をされたい、またそういうものが発表された段階においては、そういうものは一切援用してはならないということではないかと思うのです。社会保障制度審議会の中で、税制で租税特別措置法を改廃をし、あるいはまた広告費の課税をして、歳入硬直を排除をして、年間に三兆くらいの——三兆はいかないかもしれないけれども、一兆くらいの財源を得て、児童手当などぐずぐずせずに、二千円とかけちなことを言わずに、すぐやったらどうかというような答申をすべきところをがまんをしているわけであります。財政制度審議会みたいなところが療養費払いを主張する、とんでもないことであります。これは審議会で、政府の関係の機関である。委員一人は、個人は政府の役人でないかもしれないけれども。そういうことを、これは困りますというようなことを言うのは、大蔵省が事務局として言うはずでありますから、言わなければならない。そういうようなよけいな意見を援用をして、社会保障を圧迫しようというような考え方が大蔵省にあるから、そのような越権行為の答申をさせ、そしてそれを方々で援用されているような状態だ。こういうことについて、きびしく反省をされて、そういう方針を改めていかれるということを大蔵大臣考えられなければならないと思う。大蔵大臣の御見解を伺っておきたいと思う。
  64. 福田赳夫

    福田国務大臣 財政制度審議会は、財政制度全般についての意見を述べてくださることになっておるわけで、したがって、財政という、大蔵省の仕事全部についてのいろいろなアドバイスをしてくれる、こういうことになるわけです。大蔵省の任務は、国の財務を統括することにあるわけなんでありますから、したがって個々の行政案件にこの答申が意見を述べられる、私は、これは別に、何という不当なことでもないし、越権のことでもない、こういうふうに考えます。やはり社会保障制度審議会でも、予算の中で、お話によると二七%を社会保障に使わなければならぬ、つまりこれは財政のほうに触れてきておるわけですね。同じことじゃないかと思うのです。それらの審議会の答申をいかに受け取って、受けとめていくかという、その政府の態度、これが適正であれば一向支障のないことじゃあるまいか、そういうふうに考えます。
  65. 八木一男

    八木(一)委員 大蔵大臣、もっと、ほんとうに言っている趣旨を体得してやってください。あなたは頭がいいからわからぬはずはない。それを大蔵省の立場でごまかそうとしたら大間違いである。社会保障制度審議会で、社会保障というのは国に責任があるから国庫で持たなければならないということは、当然言うことであります。その国庫負担の財源をどこから持ってこいということは言っていない。財政制度審議会が、各社会保険で赤があるからそれをよくしなさいということはいい、それを国庫負担でするか保険料でするか、そこまではかんべんしてあげてもいいです。その中の、医療保障の中の、現物払いか療養費払いか、そんなことまでに財政制度審議会が介入するということは越権行為である。しかも、それならば、財政制度審議会にそのような財界の者を主軸とした、財政しかわからない、社会保障の社の字もわからないような連中を入れて編成をしてはなりません。そういうことで、いま言ったような切り返しをされたけれども、あなたのほうが間違いであります。社会保障制度審議会は、私は委員でありますが、言いたいのを口をつぐんでいる。広告費の課税をしろという意見を出したいのをがまんをしているわけであります。租税特別措置法を改廃しろということもがまんをしている。節度を守っているわけであります。それを、財政制度審議会で医療保障の内容にまで及ぶような発言をすることは越権行為であります。それを弁護するような大蔵省は、大蔵省の財政の立場から社会保障を圧迫をしようという心持ちを持っていることになるわけであります。(発言する者あり)わからない者は黙っていろ。  そういう点で、大蔵省の考え方をすっかり切りかえてもらわなければならない。そこでその問題について、保利官房長官——大蔵省は大蔵省のことばかり防衛をする、間違った守り方をする。いま言っていることはどっちが正しいか、官房長官としてお答えをいただきたい、国務大臣として。
  66. 保利茂

    ○保利国務大臣 国政の全般について一番大事なことは、やはりバランスをとっていくことを確保するということが一番大事だと思っております。
  67. 八木一男

    八木(一)委員 非常に何かぬらくら答弁で、わけがわからない。それでこの問題については、ひとつ内閣総理大臣に御出席を願いたいと思います。いま御都合悪ければ、ぜひ都合をつけていただきたいし、御都合悪ければ、この一般質問の時間をさらにとっていただいて、そこに総理の御出席を願うようにしていただきたいと思います。  では問題を変えて、大蔵省の社会保障に対する圧迫のことについて申し上げてみたいと思います。(「圧迫か」と呼ぶ者あり)ほんとうに圧迫であります。それと、社会保障だけではなしに、国のために全体に必要な施策について、財政という点だけでブレーキをかけておられる例があります。これは福田さんだけではなくて、昔からの大蔵大臣の責任ですけれども、いま福田さんが大蔵大臣ですから、これはこれからすぐ改めてもらわなければならないと思う。  毎年予算を編成する際に、大蔵省は各省の第一次予算要求を前年度予算の二五%までにとどめてもらわなければ困るということを閣議に提議をされ、そして見識のない各国務大臣が大蔵大臣の馬力に押されて、しょうことなしにうんと言う、そういう状態が続いてきております。(「侮辱されているぞ」と呼ぶ者あり)侮辱するだけの値打ちがあるんだ。侮辱されたくなかったら、それを改心してもらいたい。数年前は五割というところが、それから三割になり、今度は二割五分になる。こういうことは国政のほんとうのアクセントを最初から抹殺をしてしまうことになるわけです。大蔵省なり主計局は——鳩山君もよく聞いてください。主計局はサボタージュをする気でそういうことをやっているわけです。あなた方はサボタージュをやっているのですよ。予算のワクの中に全部を入れなければならないということは最終的に必要です。第一次要求のときに二五%に押えればワクにおさめやすいでしょう。大蔵省、主計局は作業が楽でしょう。だからそういうことをやっているけれども、それでは国の政治の大切なアクセントが第一次要求のときに消えてしまいます。特に厚生省には——保利さん、しっかり聞いてくださいよ。さっきみたいなぼやけた答弁では困るですよ。これから保利さんにどんどん質問しますからね。  たとえば厚生省は、医療保障の問題がある、所得保障の問題がある、公害の問題がある、ガンをどんどん撲滅するようなそういう医療対策の問題がある、障害者の対策の問題がある、全部どんどん新しく強力に進めなければならない問題ばかりであります。そして、それは国の予算をたくさん使わなければならない問題ばかりであります。そこで厚生省が二五%に押えられたならば、厚生省としては、新しく発足するものであれば、前にゼロであれば、今度は無限大の倍率になりますし、前に調査費であれば、何万倍の要求をしなければならない問題もある。たとえば児童手当などは、これは出てきたら非常な金が要る。いまは調査費だからちょっとしか要らない。そういうような問題もありますが、そういう問題があるときに、総予算を二五%に押えられたならば、一つの問題を推進しようとすると、他の重要な問題を厚生省自体で押えなければならないことになる。全部急速に、十二分に推進をしなければならない問題をかかえている官庁としては、自縄自縛で、自分の中で押えなければならないことになるわけです。大蔵省は作業は楽かもしれないけれども、その問題のために、年金が伸びれば医療保障が停とんする、児童手当が伸びれば障害者対策が停とんする、公害の対策が伸びればガン対策が停とんするということになるわけであります。  これは厚生省を例にして申し上げたけれども、ほかでも同じでしょう。たとえば建設省は住宅の問題やあるいはまた道路の問題で、非常に大切な問題をかかえておるわけであります。労働省もしかり。そういうところは自分のところで押えなければならない。それでは政治のアクセント、政策のアクセントが消えるわけであります。  大蔵省のサボタージュのためにアクセントを消されるような政治であってはいけない。それをいつも閣議でするすると通るような、保利さん、そのようなことを決裁をするのは総理大臣です。その事務局長はあなたです。こういうことがいけないということをいま改心されて、思い直してもらって、今後予算では、各省が必要という予算を全部制限なしに要求をする、そこで全部要求が出そろったときに、その時点において、国として、政府としてはどれが重点であるか、また、まばらに配分するのでなしに、予算を一ぺんにつぎ込むことによって予算効果があることもあります。ですから、どれを重点にし、どれをほんとうにどこに金をつぎ込んでやるかということを国政全体で審議をして、それで予算のワクにおさめるということをしなければなりません。大蔵省や主計局が、仕事がやりやすいためにそういう国政のアクセントを消しているようなやり方について、大蔵省は十二分に反省をされて、直ちにそのような主張をやめる。各大臣は、大蔵省が改心しなければ、実施官庁としてそのような不当な、政策を圧迫する大蔵省に対して断固として排撃をする、このような決意を表明してもらわなければならないと思う。そのことについて、保利官房長官に総理大臣にかわっての前向きな答弁を求める。さっきのようないいかげんな答弁であれば総理大臣の出席を求めるとともに、国政に対して責任を持たない国務大臣、官房長官として、退陣を要求しなければならないことになります。決心を固めて御答弁を願いたい。
  68. 保利茂

    ○保利国務大臣 お話は大蔵大臣もよくお聞きになっていらっしゃいますし、また練達な大蔵大臣が、主計局の考えで動かされるような大蔵大臣だと思っておりません。総理大臣とよくお話し合いになって、バランスのとれた施策が行なわれるということを私は確信をいたしております。
  69. 八木一男

    八木(一)委員 バランスというのが変なところに出てきますけれども、口癖にバランス、バランスと言うが、バランスがいいときもあれば悪いときもあるのです。口癖にバランスというようなことをおっしゃらないほうがいいのです。  それで、いま保利国務大臣、非常に政界の大先輩でありまして、ほかのことについては敬意を払っていますし、また佐藤さんの一番の相談相手だと伺っております。しかも相談をされる官房長官であります。国務大臣として、保利さんとして、私が申し上げたように、大蔵省が事務的にやりやすいことのために国政のアクセントが消されていいものであるかどうか、消されてはならないと思う。そういうような間違ったやり方がここ数年間行なわれているのです。それを直ちに改めるための決意を固められ、国務大臣として、閣議で、この次のすぐの閣議で、強力に主張される、それが通らなければ辞表をたたきつける、そのような決心で当たられるかいなか、それについての保利官房長官、保利国務大臣の答弁を願いたいと思う。
  70. 保利茂

    ○保利国務大臣 佐藤総理が人間尊重、社会開発を政治理念として国政をやっていきたいと言われましたのも、結論は終局、日本のこういう経済力の伸びに応じて、国民がそれに伴った豊かな生活が持っていかれるような社会をつくり上げたい、そういうことを念願してやっておるわけでございます。なかなかそう飛び上がったように、一から十まで一ぺんにいくというわけにいかないというところに、もどかしさはあるわけでございますけれども、ねらいはそこにあるということは、私はよく理解しているつもりでございます。
  71. 八木一男

    八木(一)委員 保利さん、私の言ったのをあなたはほんとうに聞いていたのですか。経済成長の伸びやいろいろなことをやっていきたい、一ぺんに要求してもできないという意味だろうと思う。そんなことはけしからぬけれども、そのことはそれでいいです。その予算のワクをうんとふやせということを言っているわけではない。予算のワクは、インフレが起こってはいけないから、ある程度締めなければならない。その中で、第一次要求をされることによって、新しく国民のために伸びなければならないところが各省自体で頭打ちにされるということをやめにして、厚生省の予算二五%増ではなしに、児童手当だったら一兆何千億の問題も要求をする、そういうことをどんどん要求を出すのです。要求どおりやれと言っているわけじゃないのだ。要求を出すのを押えるな。全部各省の要求がまとまったところで、予算のワクにおさめようというときには、倍になってもいいのだ。それを出して、そこでどれが優先順位であるか、どれが大事であるかということを判定して、予算におさめるということを言っているわけだ。それを最初から予算第一次要求を押えることによって、国政のアクセントが消えてしまう。特に厚生省のような、たくさん金が要って急速に伸ばさなければならないものをたくさんかかえている省が、自縄自縛で、自分のところでAのことをやるから、Bを押えなければならないということになる。それはBに関係のある国民にとっては非常に不幸だ。そのことは、大蔵省と主計局のサボタージュによってそういうことが起こっている。それを改めるということ、こんなことが判断つかないはずはない。予算を倍額にしろとかなんとか言っているのじゃない。そういうサボタージュをやめて、ほんとうの国政のアクセントがつくような予算の編成をやろう。大蔵省はいままでやってこられたから、福田さんに聞けば防衛につとめると思うから、ほんとうに国務大臣として、この問題については全部公平に考えられると思うけれども、大蔵省という立場を離れて、公平にこれを判断し、決意をされる立場にある保利国務大臣に伺っているのです。そのことを把握して、明確にそのとおりやる、やるために、あなたは常時総理大臣といて、総理大臣がわからない人であったならば、それを通すために辞職を覚悟して交渉をする、また、親友の総理大臣でありますから、そういうあやまちをおかさないように、総理大臣がこのようないまの誤った方針を改めるように助言し、忠言をする、そのことの決意を保利国務大臣に伺っておきたいわけです。
  72. 保利茂

    ○保利国務大臣 御意見はごもっともでございます。また同時に、各省大臣にしても、私も建設大臣を一年いたしておりまして、二五%でと言われると、どうしてもこっちに力を入れようとすればこっちのほうを押えなければならぬという非常に苦しいことは、よく経験もいたしております。しかし、大蔵大臣が賢明な大蔵大臣でございますから、ただいまの八木委員の御発言に対しては、私どもも各省大臣も、それぞれの悩みを持っておられると思いますし、十分検討していただけることだと考えておりますから、総理大臣にもよくお伝えいたしておきます。
  73. 八木一男

    八木(一)委員 保利官房長官が聡明だということを非常に信頼をしておられる大蔵大臣に、これからそのことを御質問したいと思う。  いままでずいぶんあやまちがおかされてきたから、そして今度の予算編成方針もそうでありましたから、大蔵大臣としては、その立場を守りたい、小さなワクの気持ちをお持ちのことはわかります。しかし、ほんとうの政治家として、そういうことを離れてお答えをいただきたい、いま私の一生懸命申し上げたことは正しいことだと思います。大蔵大臣おわかりだと思いますから、今後そういうような方針をとらない——大蔵大臣がおっしゃることが一番ぱちっとまとまることですから、そういう第一次予算要求を形式的に押えるということをとらない、そういう方針でやっていただくこと、それをひとつお約束をいただきたいと思う。
  74. 福田赳夫

    福田国務大臣 八木さん、何か誤解をされている点があるように思うのですが、一つは、何もこの方式で大蔵省がサボタージュをしているわけじゃありません。  これは第一点として、各省とも事務が簡素に相なります。各省が全国から、各局から資料を集める。それをそのまま大蔵省へ持ち込めば、これは各省としてはこんな世話のやけないことはないわけです。しかし、各省はそういうことはしない。ある程度整理して大蔵省へ持ち込むわけなんでございますが、それにしても多額なものを大蔵省へ持ち込むことが従来の慣例であります。それじゃ、その経費を一々お互いに説明したり聞いたりしておる、この手間を考えてみると、これはたいへんなロスなんです。もう初めからそんなむだなことはやめようじゃないかということで、ああいう考え方が始まっておる。  それから同時に、いま国政の焦点がぼやけるという傾向があるというお話でございますが、これはあるいはそういうケースが出てくるかもしれませんけれども、逆に国政の焦点が浮き上がる効果が非常に多いのであります。つまり、各省が真剣に二五%増の範囲内においてその緩急順序を検討すればどういうことになるんだ、こういうことをほんとうに考える、そういうことになるわけです。そこで政策の緩急順序というものが出てくるわけです。その緩急順序がそのまま大蔵省に持ち込まれる、そうして議論がされる、こういうことになりますので、焦点がぼやけるという御観測、これは非常に例外の場合です。いま八木さんは社会保障、特に同和問題を頭に置いて言われておると思いますが、そういう異例な場合はあるかもしれませんけれども、これはおしなべて国政が全体としては浮き上がる、浮き彫りにされる、緩急順序がほんとうに真剣に討議される方式である、そういうふうに考えますので、せっかくの御提案でございますけれども、これをにわかに撤回するという考え方をとるわけにはいかぬのです。
  75. 八木一男

    八木(一)委員 いまの御答弁については、ほんとうに不愉快であるし、不満足です。にわかにと言われたので、まだ大蔵大臣の良心の百分の一ぐらいそこにあると思う、にわかにだけが。それ以外は全然間違いであります。大蔵省主計局の事務があれだったら、行政管理庁に交渉して主計官の数をふやしたらいい。そんな大蔵省の主計局という大事な仕事をしておられますけれども、その人たちが——それは夜の夜中までやっておられることを知っています。だからもっと人数をふやす必要があろうと思いますが、その人たちの事務能力ということで大きな問題が制約されたら、事務のために国政をやっているようなことになる。国政のために事務があるのでしょう。  いまさんざん言っておりますけれども、あなた方児童手当をやると言われているでしょう。医療問題は大事な問題でしょう。年金の問題はそれ以上に努力しなければいけないということを大蔵省でも言っているわけだ。障害者対策の問題は放置できないでしょう。ガンを直してみんなが死の恐怖から免れることは大事なことでしょう。それは全部厚生省に入っているでしょう。ガン対策なんていうのは、これも言おうと思ったけれども、厚生省の要求がガン研究所二億ちょっとのものをまた査定をしているわけです。文部省で三億。何兆という予算の中で、ことでそれの研究が完成したら大ぜいの人が死や病苦からのがれるという問題について、一つの自衛隊機にあれだけの金をかけながら、そういう問題についてもまだ削減をしている。そういうこと全体もそのような二五%からきているわけだ。どれかいいものを一つやろうとすれば、ほかは押えられる。そういう問題がたくさんかかえているところがあれば、そうじゃないところもある。だけれども、各省ごったに押えたら、そこで押えざるを得ないことになる。政治は厚生省のためにあるわけじゃない。防衛庁のためにあるわけじゃない。建設省だけのためにあるわけじゃない。政治は全体でやっているのです。予算は全体の予算を組むのであります。ですから、全部の国民の要望について、それに責任をもって当たっておられる官庁の人たちが、こういう計画が必要である、それについてはこういう予算が必要であるということについては、一切制約をつけずに持ち寄って、そこで、その中でどっちが先に必要だ、どっちがより必要だということをそこでやらないと、事前の各省段階で押えることは、アクセントを消すことになる。  たとえば鳩山主計局長が、社会保障について非常に熱心に主計局長としての任務の範囲内で一生懸命やろうとしても、厚生省の年金の予算が五割増しになれば、医療保障が一割増しの予算しか出ない。あるいは障害者対策が五分しか出ない。障害者の問題は、予算を三倍ぐらいにしなければならないという考え方を鳩山君が持っておられても、厚生省の予算が出てこなければ、いまの間違ったやり方では、そのまま認めるのが最大の努力でありましょう。そういうことで、国政のアクセントは消えるわけです。事務の問題ではありません。国の政治の問題を事務の問題で支配しよう、そういう考え方は大蔵省のサボタージュであります。そのようなサボタージュをほかの国務大臣が唯々諾々といままで——今度新しくなられた方もあるけれども、再任をしておる方が保利さんや大平さんをはじめたくさんある。いままで何回となく五割、三割、二割五分ということで圧迫されることを唯々諾々と承諾をした国務大臣は、国務大臣の資格がありません。いまいる国務大臣が全部その考え方を改めて、このような事務によって国政を支配する、そういうやり方を改める決意を持たれなければならないと思うのです。一人一人の国務大臣が、いま私の言ったことに反対の者があったら発言をしてください。反対の発言をしない者は、このような方式を改めるために直ちに閣議の招集を要求して、この問題を討議し、職責をかけてこのような誤った方針を改めるために努力してもらわなければならないと思うのです。そのことについて反対の者は積極的に発言を願いたいと思います、委員長の許しを得て。発言がなければ、そのとおり決意をし、約束をしたものとみなします。
  76. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 八木君に申し上げます。右代表で大蔵大臣に答弁をさせます。
  77. 八木一男

    八木(一)委員 大蔵大臣を除いた方で順次お願いします。——いや、その問題は引っ込めます。委員長が議事進行のためにいろいろ考えておられることについてはけっこうでありますけれども、いまの御指定は私ちょっと困るのです。それで、大蔵大臣はさっき御答弁を願っていますし、にわかにという点で、大蔵大臣の良心のかすかな光が見えました。ですから、防衛する立場ですから、一ぺんにいままで悪うございましたと言いにくいでしょうけれども、りっぱな政治家ですから、ほんとうの政治のためにその点については考えを改められる。ほかの国務大臣は、大蔵大臣が政治家としての良心を全うする決意を促せるように、さっき言ったように、閣議をすぐ招集されることを要請されて——閣議の招集の手続は保利長官がとられるのでしょう。とられて、それでその問題を討議されて、断じてその方針を改める方針を確定をして、次の予算委員会のときに、私がおってもおらなくても、私の所属をしている日本社会党の議員のおられるところで御答弁を願いたいと思うのです。  次に、その問題で、さっきの問題に大蔵大臣関係があるわけです。二五%要求ですと、いまの四十五年に二七%の社会保障費の率にしなければならないという最低の状態。ところが、いま一四・一ですから、来年までに一三上げなければならない。社会保障費をことしの予算で倍にして、社会保障制度審議会の答申、勧告にやっと追いつくわけです。そうなると、来年の厚生省並びに関係の労働省予算は——あるいはほかにも社会保障関係ありますが、そこの予算は全部最低一律一〇〇%増を要求して、それがびた一文も値切らないで大蔵省がいれて二七%になるのです。ですから、このようなことを実行するためにも、二五%というような制約があったならば、そのような大切なことが実行できないわけです。そういう点で、ひとつこれは大蔵大臣はすなおに予算第一次要求のワクを撤去していただきたいし、各国務大臣は、一人一人追及したいのですが、決意を固めてやってください。閣議の模様は保利官房長官から同僚の委員か私が聞きます。そこで一つ発言しないような国務大臣は、国務大臣の資格がないものとして、私どもはその退陣を要求しなければならないことになるのであります。  次に、そういうようなことが行なわれているところには、日本国憲法に対する理解が各国務大臣十二分でないということがあります。法制局の次長いますね。
  78. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 吉國法制局次長がおります。
  79. 八木一男

    八木(一)委員 日本国憲法の中で、具体的な政策について憲法の条文で指示をしているところは第何条にあるか。具体的な政策ですよ。平和主義、民主主義、基本的人権を全国民で伸展するというようなことが一番大事でございますけれども、具体的な政策について日本国憲法の条章の中で指示をしているのは第何条であるか、それを次長から伺いたいと思います。
  80. 吉國一郎

    吉國(一)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま具体的な政策と仰せられた意味が私ややわからないのでございますが、政策の向かうべきところを指示した規定といたしましては、たとえば憲法第二十五条のごときものがこれであろうと思います。
  81. 八木一男

    八木(一)委員 保利さんに伺っておきます。  憲法第二十五条第二項、「社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」という規定があります。それ以外に具体的な政策を動かす規定があるのがどこにありますか。わからなければわからない、ないならない、あるならあると、端的にすぐお答え願いたいと思います。
  82. 保利茂

    ○保利国務大臣 どうも私にはよくわかりませんから、法制局からどうぞ。
  83. 八木一男

    八木(一)委員 どうもわからないことばかりですから、私が教えてあげます。そのほかにはありません。憲法二十五条第二項以外にはないのです。そのほかに義務教育無償というのがあります。これは具体的な政策でありますが、これは義務教育無償ということをはっきりと規定してあって、その後の前進内容については動きが規定してありません。というのは、無償ですから、義務教育を完全に無償にするということは、完全に常に確保されていなければならないので、動きというものはないわけです。義務教育というものが拡大されたときに実質上の動きがあるということになります。社会福祉と社会保障と公衆衛生についてのみ、改善、増進をしなければならないという具体的規定がある。そうなれば、日本国憲法を尊重する立場においたら、ほかの政策、ほかの事情によって社会保障の要求を大蔵省が査定をするということがあったならば、これは日本国憲法違反であります。そしていまのような予算の第一次査定を押えるというようなことで、大ワクでこれを押えるようなことも憲法違反であります。福田大蔵大臣は憲法九十九条の規定を御存じであろうと思いますが、それをひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  84. 福田赳夫

    福田国務大臣 よく承知いたしません。
  85. 吉國一郎

    吉國(一)政府委員 憲法第九十九条は、憲法を尊重し、擁護する義務を規定しております。
  86. 八木一男

    八木(一)委員 そんな簡単でなくて、全部読んで……。
  87. 吉國一郎

    吉國(一)政府委員 あえて全文を読ましていただきます。「天皇又は攝政及び國務大臣、國會議員」……。
  88. 八木一男

    八木(一)委員 憲法九十九条の全部の文章です。前文じゃない。
  89. 吉國一郎

    吉國(一)政府委員 第九十九条、「天皇又は攝政及び國務大臣、國會議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」
  90. 八木一男

    八木(一)委員 はい、どうも。わかりましたか。憲法九十九条を枢要な大臣が覚えておられないのは困ると思う。文章は覚えていられなくても、そういう条文のあることをひとつしっかとかみしめていただきたいと思う。ほかの国務大臣も、忘れておる方が大部分じゃないかと思います。ですから、これから大蔵大臣も——これは天皇、摂政が入っていましたね。国務大臣、国会議員も入っていましたね。それから公務員、全部入っておる。ですから、鳩山君をはじめ主計局の人たちも全部聞いておってもらって——社会保障の前進の政策に対し、財政硬直だからといってこれを押えることは憲法違反である。資本蓄積に必要である、貿易政策に必要である、そのようなことをもって社会保障の要求を予算で押えることは憲法違反であります。大蔵大臣、しかと聞いてください。憲法違反であります。いままで憲法違反はさんざんしてこられた。ことしの予算も憲法違反をしてこられた。憲法を順守する、尊重する、その責任を、国務大臣としても、国会議員としても、福田さんはその責任は持っておられる。ほかのおられる国務大臣も全部そうですよ。その精神に違反をしたならば、国務大臣はもとよりやめなければならないし、衆議院議員、参議院議員もやめてもらわなければならない。そのようなことをかちっと頭に置いて、今後社会保障に対する要求——厚生省や労働省はぼやぼやしていないで、十二分の要求を出す。それに対して大蔵省はぶった切るようなことは一切しない。財政のワクにおさまらぬなら、ほかの問題を詰めなさい。憲法には爆撃機をつくれなどということは一言も書いてない。つくってはいけないということが書いてある。日本国憲法をほんとうに順守するならば、社会保障の要求を全部いれて、爆撃機の要求を全部粉砕しなさい。それをしなければ日本国憲法を順守したとは言えない。あやまちをおかした人たちばかりですから、いま直ちに、福田さんに、あるいは鳩山君に、公務員としての責任をとって退陣をしてくれということを直ちには申しません。直ちには申さないけれども、いまこれからそういうあやまちをおかさないという決意を示してもらわなければ、直ちに退陣要求をしなければならないと思う。  今度の予算について、そのような憲法違反が多分に行なわれている。憲法を進めるための、社会保障を進めるための努力を、厚生省も労働省も猛烈になまけておる。なまけたものをさらに値切っておる。そういうような予算については、当然国会において予算の修正権があるけれども、あやまちをおかした政府が、この点は誤りでありましたと、最高の機関であるこの衆議院、参議院、日本の国会において、政府のおかした予算案のあやまちを訂正していただきたい。それに関係する法律案も、提出したものは撤回をして、社会保障の精神に従って出し直す。まだ提出をしていないものは、社会保障の精神に従ってつくり直す。そのことをしてもらわなければならないと思う。その点について、厚生大臣労働大臣の明確な、簡単な決意を伺っておきたいと思う。
  91. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 憲法二十五条の精神にのっとりまして、最善を尽くしてまいりたいと思います。
  92. 原健三郎

    原国務大臣 今後、労働省予算、ことに社会保障的なものについては、遠慮なく要求を出せという、たいへん激励をいただきまして、感激いたしておりますが、そういうほうにいけますかどうか、大いに検討いたしまして、善処いたしたいと思います。
  93. 八木一男

    八木(一)委員 最終的に大蔵大臣か保利さんにお答え願いたいのですが、大蔵大臣がもしそういういまの精神で御答弁を願わないと、非常に有力な政治家としての大蔵大臣を憲法違反で追及しなければならないことになりますので、ひとつそういうことにならないように配慮してもらいたい。一生懸命考えて御答弁を願いたいと思いますが、その前にちょっと具体的なことを申し上げておきます。  実は厚生大臣、厚生大臣には、昨年の年末に、厚生大臣になられたばかりですから、こういうことが必要だといろいろ申し上げました。そのときの答弁ははなはだ不十分でありますけれども、それから勉強されたはずだと思う。今度の厚生省の予算、たくさん言わなければならないことはあるけれども、特徴的なことを一つ二つ言っておきますから、それを大蔵大臣と官房長官、各国務大臣、全部聞いておっていただきたいと思う。それを聞いていただいたならば、厚生省がどんなになまけておるかということがはっきりわかります。そのなまけたものを閣議で直していただかなければなりませんので、各大臣全部しっかり聞いておいていただきたいと思います。たくさんありますけれども、例示して、あと例示で言い切れないものは、そういうものがあるならばもっと聞きたいということをおっしゃっていただいて、あと内閣にでも大蔵省にでも申し上げに行きますから、ひとついろいろ例示をあげます。  たとえば二十一歳で全盲になった人と、十二歳で全盲になった人と、生まれたばかりで視力のない人と、気の毒な程度、それに対していろいろな対処をしなければならない程度は、これはほんとうの日本人の常識があれば、零歳、十二歳のほうが気の毒だということになろう、対処しなければならないということになろう。それにもかかわらず、その対処がされておらないわけです。これは大蔵大臣によく聞いておいていただきたいのですが、国民年金法で、二十歳で入って、それから後に障害を受けて、二十一歳以後に全盲になったときには、現在月六千円で、所得制限のない障害年金というものが自動的に支給されます。これは今度の年金法案でまた一万円に上がるそうです。上がる予定にしておられるそうです。ところが、十八歳なり十二歳なり十歳、零歳で全盲になった人は、どんなに障害者の年金が必要で、そうして熱望しておっても、いまのインチキ国民年金法案では入れてくれないわけであります。障害福祉年金というものしかもらえないわけであります。障害福祉年金には本人及び世帯の所得制限がついておりますから、全部もらえるわけではありません。もらえる金額もいま二千幾らですか、二千幾らというような——ここに資料がありますけれども、時間がないから……。二千円ちょっとのものであります。片方が六千円もらえて所得制限がつかない。片方が二千円台で所得制限がつく。そうして、その悪いほうの条件の人のほうが気の毒な程度が多い。こういうような不合理があって、衆参の社会労働委員会で、この不合理を直さなければならないことを、数回にわたって附帯決議で全党一致でつけておるわけであります。その国会の意思を無視して、厚生省は、年金局は、なまけになまけて、この要求もしない。実にけしからぬことであります。これは一例でありますが、まだまだこういう例がある。こういう例があるのを……(「社労でやれ、幾らでも」と呼ぶ者あり)社労でやれと言うが、社労ではもちろんやっております。やって、耳にタコができるほど、わかり過ぎるほど言ってあるのに、努力しますと言うだけで、歴代の厚生大臣は努力をしない。年金局はそれを実行する案をつくらない、要求をしない。こんなだらしのない厚生大臣であり、こんなだらしのない年金局であります。年金局のことだけ言いましたけれども、保険局にも、ほかにも、そういうことがたくさんあります。こういうことでありますから、こういう厚生大臣のだらしのないのを徹底的にこれからしばきます。しばいて、厚生省が改心をして、要求を出すようにしなければいけないと思う。法案の内容を、それを追加するようにしなければならないと思う。そのことをしましたときに、予算の面では、一年目でありますから、何百億、何千億予算が変動するようなことはむずかしいから、私も知っておりますから、言いません。そうでない、本予算の予備費なり、あるいはそういうことで考えられる範囲内でことしは——来年は、そういうワクを越えているのですから、そういうものを修正することを厚生省に要求し、厚生省は決心を固めてもらわなければならないけれども、その場合に、予算折衝のワクの区分を乗り越えた案が出されてこなければならないと思う。そのときに大蔵省は、憲法無視をしたことをほんとうに反省され、その立場の予算編成をされたことを反省されて、幾分でもそれを取り返すように、その問題については、予算の変更について、それに賛成的な、協力的な態度を示され、そうして閣議は、一たんきまった法案でも、十二分にした法案にして出し直すということをしていただく必要があろうと思う。これはほかにもたくさん例があります。また労働省関係にもあります。時間が制限をされておりますから残念ながら割愛をいたしまして、一点そういうものを特徴的に申し上げましたが、それだけではないわけであります。そういう問題について推進をいたしますので、閣議の事務局長の保利さんから、憲法違反をしたことを反省された立場で、これからは違反をしない、完全実施をするという立場で、そういう問題の法案の改善あるいはそれの予算の裏づけについて、どんないままでの慣例があろうと、それを乗り越えてやっていただく決意を総理大臣にかわって御答弁をいただきたいと思います。それに関係の深い大蔵大臣が全面的に憲法を尊重される立場でそういうことについて協力をされる。その具体的なこととともに、今後、先ほど申し上げたように、予算のワクをはずす、社会保障の予算を押えない、大蔵省自体が、これ、厚生省なまけておるではないかというような指導的な力を発揮してこの問題を推進されるという御決意を、前向きにひとり保利さんと福田さんから伺っておきたいと思います。御答弁が不十分であれば、再度その問題について追及することを、時間の関係ではなくて、国政の重大な問題でございまするから、委員長考え方でこの問題についてさらに追及することをお許しいただきたいと思いますが、その前に明快な、満足をする答弁を要求しておきます。
  94. 福田赳夫

    福田国務大臣 社会保障予算につきましてはこの上とも注意をしてまいります。ただ、お話しのように、事いやしくも社会保障の予算でありますれば、あるいは法案でありますれば、これは神聖にして侵すべからず、まあ切り捨てごめんでまかり通る、こういう性格なものじゃなかろう、こういうふうに思います。十分論議を尽くした上でありまするけれども、とくとこの社会保障問題には注意しながら取り組んでいく。憲法につきましては、これは国務大臣としてこれを全面的に遵守してまいることはもちろんでございます。
  95. 保利茂

    ○保利国務大臣 大蔵大臣から御答弁いたしましたように、最善の努力を尽くしていきます。
  96. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これにて八木君の質疑は終了いたしました。  午後の会議は午後一時三十五分より再開し、太田一夫君、田中昭二君の一般質疑を行ないます。  この際、暫時休憩いたします。    午後一時四分休憩      ————◇—————    午後一時四十四分開議
  97. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般質疑を続行いたします。太田一夫君。
  98. 太田一夫

    太田委員 私はきょうは、特に三点にしぼりましてお尋ねをしたい。  一つは過疎地帯と地方財政の問題、それからもう一つはギャンブルと地方財政の問題、その次に交通安全対策予算について、この三つについて、大ざっぱな分け方でありますが、お尋ねをいたしたいと存ずるわけです。  一番最初には過疎地帯の問題、これからお尋ねをいたしますが、経済企画庁のほうに最初にお尋ねをいたします。  政府のほうは最近しばしば過疎地帯の対策に力点を置いているようなお話もありますけれども、具体的にわれわれはこの予算の中からそれをくみ取ることが非常に困難だ。したがいまして、どのような対策が立てられておるのか、政府の過疎地帯の対策について概略をお答えをいただきたいと思います。
  99. 福田赳夫

    福田国務大臣 過疎地帯問題が過密問題と相並んで時の重大課題となってきておるわけなのです。過疎問題、過密問題は相分かれて個別に論ずるわけにはいかぬ、やっぱり相見合いまして考えなければならぬ。そういうようなことで、政府といたしましては、全国総合開発計画を立てることにいたしまして、ただいまその作業中であります。その計画のワク内におきまして過疎問題、過密問題、これを解決をいたしていきたい、こういう基本的な考え方を持っておるわけであります。  しかしながら、そういう計画をまつまでもなく、過密問題、過疎問題には取り組んでおるわけでございまするが、特にお尋ねの過疎問題、これにつきましては、完全にこの問題とぴったり合うわけではございませんが、大体においてこの問題に触れる、つまり山村振興問題というのがあるわけであります。これは山村振興法を中心といたしまして過疎地域の代表的な地帯である山村につきまして特別の対策を進めておる、こういう状態でございます。なお過疎地帯と申しますか、離島というような地帯につきましても特別の考え方を進めておる。それから北海道につきましても、これも過疎地帯でございますけれども、北海道につきましても特別に手厚い対策をとっておる。いろんなところにその予算は散らばっておりますので、総合いたしましてどこにどれだけのという調査はまだおそらくできておらぬと思いますが、山村振興関係だけはちゃんと区分をしてあります。
  100. 太田一夫

    太田委員 きょうは経済企画庁長官の菅野さんがいらっしゃらないようで、代理の福田大蔵大臣からお答えをいただいたわけでありますが、過疎地域振興についてのいろいろな研究が進んでおるとおっしゃっていただかなければならないと思ったのですが、在来の山村振興法だとか離島振興法というような範囲のことであっては、とても当面の急には応じられないわけなんです。  そこで、現在経済企画庁においては、全国開発の新しい第三次の何か研究草案というものをまとめて、非常に大きな事業費予算をもって近くこれを具体化したらどうかというような準備が進んでおるということでありますが、それはいかがなのですか。   〔委員長退席、中野(四)委員長代理着席〕
  101. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 お答えを申し上げます。  現在経済企画庁におきまして、国土総合開発法に基づきます新しい全国総合開発計画策定作業を進めております。まだ作案の段階でございますが、この計画の内容として、ただいま御指摘の過疎地域の問題についても基本的に対処してまいりたいということで、いろいろと内容を考えておりますが、御承知のとおり過密問題、過疎問題、いずれも結局全国的に見て国土の利用が非常に大都市地域に偏しておるという現在の状況からこれは起こってきておる、したがって、これに対する対策としては、非常に基本的な考え方で対処していかなければならぬ、こういう観点に立ちまして、国土の利用そのものを抜本的に直しまして、全国を有効に活用するような方向に持っていきたい。そのためのいろいろの手段を書いておりますが、特に過疎地域につきましては、そういう観点から、従来の市町村単位の区域というような比較的狭い区域に対する対策、御指摘のように山村振興とか離島振興とか、いろいろやっておりますが、こういった対策だけではなく、もう少し広い区域につきまして、いろいろの施策を講じまして、そうして都市的な便益も受けられるような、生活環境水準等についてある程度の水準を確保できるような方向に持っていってはどうかということで、広域生活圏と私ども申しておりますが、そういった形でいろいろの施策を進めてはどうだろうか、こういう提案をいたしております。もちろんこのほかに、教育関係とか、あるいは厚生関係とか、各般の施策が必要なことは言うまでもありませんが、私どもの計画としては、そういった形において生活環境の水準の維持というようなことにつとめてまいりたい、こういう提案をいたしておるところでございます。
  102. 太田一夫

    太田委員 非常に抽象的な問題でありまして、過疎地帯の人たちに夢を与えるものがまだないわけです。それを私は具体的にちょっとお尋ねいたしますが、その第三次草案によりますと、二十年間に三十兆円ないし五十兆円の事業を行ないたいという大体の方針であるように承ります。年間一兆円ないし二兆五千億のこの事業費をもって、今度の総合開発をやろうというわけでありますが、非常に金額が大きいのでありますけれども、これは過疎地帯にどれくらい行くのですか。過疎地帯にどれくらいそれが回るのであるか、期待できるのであるか、これはわかりますか。わかりましたら、お答えをいただきたい。
  103. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 第三次試案におきまして示しておりますところでは、この二十年間、昭和四十年度から六十年度までにおきますところの社会資本投資の大体の投資予定額と申しますか、投資可能額と申しますか、そういったものとして百三十兆円ないし百七十兆円という数字を一応算用いたしております。その中におきまして、この計画のいわば骨格となります大規模な開発プロジェクト、そのために充て得る額が、ただいま御指摘の三十兆円ないし五十兆円という、そういった考え方をいたしておるわけでございます。その具体的な内容はもちろん書いてございますが、ただ、過疎地域とその他というような地域区分をいたしておりませんので、過疎地域にどれだけというような数字は、私どもとして現在持っておりません。ただ、この投資は全国にわたって相当遠隔の地にも工業用地をつくるとか、あるいは大規模な畜産基地をつくるというようなことで内容を考えておりますので、かなりの額がそういった地域に投下されることになる、こういうふうに想定をいたしております。
  104. 太田一夫

    太田委員 開発事業費三十兆ないし五十兆の中のかなりの額というのは、過半数ということではまさかあるまいと思う。ということになると、私は過疎地帯の住民に夢を与えてほしいということを申し上げておるわけでありますが、いまの状態では、どんどん村を捨てておる。村を捨てて、その村がもうすでに町村の一つの団体として成り立たないほど過疎になってしまっておるところがあるわけなんです。そういう、千人か——これは石川県あたりでは千二百七十人だとか、千三百八十何人だとか、全く小さな人口規模の村さえ出てまいったわけでありますから、したがって、こういうところの人たちに対して、あなたはどうしたらいいんだ、そこにとどまりなさいと言えるのか、それとも、いやいやとてものこともうだめなんだから、どこか工業開発整備地域のほうに出ていらっしゃい、こういう方針でありますか。経済企画庁が現在総合開発の中で立てていらっしゃる第三次草案の意味は何でございますか。そこにとどまりなさいというのか、それとも工業地帯のほうに出ていらっしゃいというのであるか。
  105. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 この草案におきまして、人口の移動関係については想定を出しておりますけれども、結局過疎地域につきまして、あるいはそういった農山村地域と申しますか、そういう地域におきまする対策といたしましては、ただいま申し上げましたような大規模な開発プロジェクト、あるいはそれほど大規模でないにしても、いろいろな施策によりまして産業振興等をはかれるというところは積極的にそれをやっていこう、そういう形によりまして、かなりのその地域における人口をとどめて、しかも所得を上げ得るという効果を出し得ると思いますが、しかし中にはそういった施策が及ばない、あるいはできないというような地域もある。そういうところについては集落の再編成等も考えなければなるまい、こういうような考え方で、課題として出してある次第でございます。
  106. 太田一夫

    太田委員 それでは、もうちょっと具体的に聞きます。それは、集落を再編成するとか、生活環境を整備するとかいうことになれば、道路だ学校だ集会場だと、町づくり村づくりという問題が出てきます。猛烈な財政需要が必要となるわけでありますが、その費用は現在政府がとっているような受益者負担の原則によるのか、それとも、いや過疎地帯は気の毒なんだから、われわれは可能な限り全額国庫負担ぐらいの気持ちでこれをやろうと考えておるとか、どういう方針でございますか、これをちょっとお尋ねをいたします。
  107. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 確かに御指摘のように、こういった地域に広域生活圏の整備の問題、あるいはただいま申しました集落再編成というようなことをやるとすれば、財政問題が相当大きな問題になります。そこで、具体的にこれをどの程度でどう考えるかという問題になりますと、これはなお相当突っ込んだ検討が必要でございます。四十四年度の予算でも、自治省関係、建設省関係に、私どもは広域生活圏と申しておりますが、広域市町村圏というような形での検討の調査費が組まれておりますし、また、集落の再編成につきましては、経済企画庁にモデル的な事業費の予算もついております。こういった形の調査なり検討を進めまして、そしてこれを具体的に実施し得るように持ってまいりたい。計画の内容といたしましては、計画案の第三部の達成のための手段にこういった人口の急増するあるいは急減する市町村に対して、特別の財政措置が必要ではないかというような提案をいたしておりますが、この辺につきましては、現在まだ計画作業の途中でございまして、いろいろ御議論もあるわけでございまして、これから計画決定までにひとつ固めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  108. 太田一夫

    太田委員 その自治省、建設省、経済企画庁等において、過疎地帯振興のために本年度予算に盛られた金額は幾らであるか。
  109. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 経済企画庁の所管といたしまして、集落の再編成のためのモデル事業として組まれた予算は一千万円でございます。そのほかはひとつほかのほうから……。
  110. 野田武夫

    ○野田国務大臣 お答えいたします。  自治省といたしましては、広域市町村に関しまして約八千万組んでおります。
  111. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおりに、最近の都市への人口の非常な過度な集中によりまして、地方のあらゆる地域に過疎地帯が非常に顕著になってきた。この問題は非常に重要である、太田委員指摘のとおりでございます。建設省といたしましては、こうした不幸な現象、ことに最近の過疎地域を見ますと、大事ないわゆる住民の生活の基盤をなすところの学校とかあるいは消防の維持、管理までも不可能になりつつある。あるいはその地元に持っておるとうとい資源の活用もできなくなってきておる。こういうような状態を見ますと、われわれ建設省といたしましては、この不幸な格差を是正する、また結論から申し上げますならば、人間生活、また生産魅力ある形成の場をつくる、これが私はやはり過疎対策の最終目標にならなければならぬのではないか、こう思いますときに、建設省といたしましては、ことし新たに、いわゆる一定規模の都市を中心といたしました生活圏の整備というような立場から一つの——建設省には御案内のごとく地方建設局が八つございますが、その八つのブロックの中において、いま申しました一定の都市を中心とした一つの生活圏のモデル地区といいますか、先ほど前段で申し上げましたように、生活と生産の場を形成するという目標に向かってのテストケースの気持ちから一つの生活整備圏をつくってまいりたい、こういう考えで、それの調査に要する予算といたしまして約五百六十万を計上いたしておるような次第でございます。しかし、その他建設省の過疎に関連する道路とか中小河川とか、こういうような問題はまたあらためて御質問もあろうかと思いますので、それ以外の建設省が昭和四十四年度新たなる規模に立っての過疎対策のプランを立てておりますその計画について御報告をいたしたわけでございます。
  112. 太田一夫

    太田委員 全くどうも少ないのでございますね。本腰を入れていらっしゃるとは、どうおせじにも言えないわけでありますが、しかし、経済企画庁として、全国総合開発の第三次草案をつくり、大幅な開発予算まで策定をしていらっしゃるならば、これはすみやかに一年も早く、一日も早くこれを具体化する必要があるのじゃなかろうかと思う。ところが、文字はあっても実体がない。これは残念だと思います。  それでは、ちょっとこの際、福田さんにお尋ねをいたしますが、あなたはたしか全国山村振興連盟の会長さんでいらっしゃるわけですね。それで、この法律ができてからもう三年か四年ぐらいたっておるが、あの法律が過疎地帯振興にどれくらい役立ったとお考えになりますか。
  113. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は大蔵大臣になるまで山村振興連盟の会長をしておったわけであります。会長時代におきましては、皆さんの御協力も得て、各党全部賛成のもとに議員立法として山村振興法の制定をいたしたわけです。この山村振興法の適用地帯は幾らぐらいになりましたか、かなりの数にいまなっておると思います。私は非常な科学技術の進歩、それに伴う鉱工業方面の発展、それに山村がとかく立ちおくれる、これを放置することはできない、そういう考え方で、皆さんとともにこの立法をいたし、また行政を推進したわけでございまするが、そういう法の適用地帯として選ばれた地帯に対しましては、これはかなりの影響を及ぼしておる、かように確信をいたしております。
  114. 太田一夫

    太田委員 まあこの場合の山村というのは、過疎地域といささか趣を異にしておる。しかし、過疎とダブっておるところがあるわけでありますから、必ずしも山村振興法で過疎地域が救われようとは私は思いませんけれども、山村地域というのは、林野率七五%以上というまあ山の多いところでございましょう。  私は、この際、いままで過疎といわれるところ、あるいは非常に人口の稀少なところも含めまして、そういうところを振興する法律というのは幾つかあるような気がするのです。いささかちょっと隔靴掻痒の感ではありますけれども、一応ある、数個の法律がある。どういう法律がいま過疎地帯振興にいささかでも役立っておると思われるか、直接そういうところを対象にしたものにどういうものがあるかという点ですが、これをひとつお尋ねいたします。これは経済企画庁のほうから御答弁をいただきたいと思いますが、どういう法律が現在生きておるか。
  115. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 お答えを申し上げます。  現在こういった山村とか、僻地、辺地というような形で、いわゆる過疎地域というところに大体該当すると思われる地域に対しての法律といたしましては、おもなものを申しますと、第一が辺地に係る公共的施設の総合的整備に関する特別措置法、自治省所管でございます。それから山村振興法、離島振興法、奥地等産業開発道路整備臨時措置法、建設省の所管でございます。へき地教育振興法、離島航路整備法、豪雪地帯対策特別措置法、経済企画庁所管でございます。以上のようなものがあろうかと思います。
  116. 太田一夫

    太田委員 その他にも産炭地域振興臨時措置法とか、低開発地域工業開発促進法とかあると思いますけれども、実際過疎地帯の人に言わせてみれば、これらのものがあまり役に立っておらないという点に問題があるわけです。  そこでこの際、いささか方面を変えまして、各省のそれぞれの方に現在過疎地帯のいろいろの問題点をどう考えていらっしゃるか、一度参考のためにお尋ねをいたします。  建設省のほうからお尋ねいたしましょう。建設省におきましては、今度の全国総合開発計画というのは、道路計画が中心になっておるように思いますから、道路というものに対して相当関心は深いと思うのでありますが、その過疎地帯の住民におきましても、やはり道路を完備してくれ、とにかく道路がなくては、雪が降ったらもう全然交通ができなくなってしまうし、それから道路が完備できなければバスさえも通らないのではないか、こういう点で道路完備を熱望しておりますが、これは本年度予算で何か特別に重点を置いておやりになっている点がありますか。それとも何か将来の展望として道路整備拡充の何らかのめどを持っていらっしゃるか、お答えをいただきたい。
  117. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 お答えいたします。  太田委員指摘のとおりに、過疎対策の基盤はやはり道路問題であろうと思うのであります。建設省といたしましては、御承知のとおりに、その格差の是正、過疎の不幸をなくする意味において国土開発の総合的な立場から考えましての国土開発幹線高速道路というのを設定いたしまして、御案内のごとき措置を講じながら——現在この対象となる長さを申し上げますならば、約七千六百キロに相なっております。また、県道を含めましての市町村道を見ますときに、全部で約四十万キロに相なっておりますが、その四十万キロのうちで、県道以上が大体十五万キロ、市町村道が二十五万キロという想定をいたしておるような次第でありますが、その中にあって、建設省といたしましては、地方道のいわゆる修理、舗装、拡幅という問題に取り組んでおりますとともに、御承知のとおりに、奥地産業開発道路、山村振興道路並びに離島振興道路、この三つを本年はことに私、また建設省といたしましては、特別な配慮もいたしておるような次第でありまして、道路費用全般から見ますと、昨年を一としまして、山村振興につきましては一・三六倍になっておるのであります。また、奥地産業開発道路につきましては、いわゆる一・一八倍になっております。また、離島に関しましては、一・一七倍というように、大体昨年よりかなり地方道に重点を置いて、この過疎解消の一助にいたしましての道路政策をもって本年の予算執行に当たりたい、こう考えております。
  118. 太田一夫

    太田委員 具体的に聞きます。市町村道の補助率をひとつこの際大幅に引上げて、十分過疎地帯の住民の要望にこたえるというような用意がありますかどうか。
  119. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 お答えいたします。  御承知のとおりに、いわゆる地方の自動車取得税の増しによって、地方公共事業体がこれの事業に取り組むという措置も講じておるような次第であります。
  120. 太田一夫

    太田委員 大臣、自動車取得税は、これは地方の固有の財源でしょう。それは山村の人口過疎地帯において自動車取得税の配分は幾らあるのですか。私の言っているのは、地方道といっても過疎地帯を対象にして言っている。その過疎地帯の道路に対しては、よほど補助率でも引き上げない限り自力ではできないのです。だからその用意がありますか、こうお尋ねしておる。自動車取得税では間に合いませんよ。
  121. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御指摘になりました点、やはり正確にお答え申し上げたいと思いますので、道路局長より御説明いたします。
  122. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣から申し上げましたいろいろの道路のうち、奥地産業開発道路につきましては、補助率のかさ上げがございます。また離島振興道路につきましてもございます。そのほか、山村振興道路については現在かさ上げがございません。こういう問題につきましては、やはり地方の財政その他も考えまして、そのほかの事業との関係も考えまして、今後慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  123. 太田一夫

    太田委員 私が申し上げるのは、建設省が全国総合開発計画の第三次案にあるがごとくに、一つの目的を持った大きな青写真をおつくりになったら、それにすぐに具体的な予算をなるべく早くつけるように具体化していただくことが必要かと思うのでありますが、いまのお答えを聞いていると、自動車取得税でおやりなさいということであるならば、これは単に地方のものは自分の金で自分の道を直しなさいということであって、何ら特別過疎地帯の振興にはならない。私はその点残念に思います。慎重に対処されることはけっこうと思いますけれども、一体過疎地帯という認識ございますか。過疎地帯というのはどういうところを言うのです。どう考えていらっしゃるんでしょうか。これはだれでもいいから、わかっている人、答えてください。過疎地帯というものの認識ないじゃないですか。
  124. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 過疎地域という形で、法律的あるいは一般的にこうだという定義はございませんけれども、私ども計画を担当する者としての認識を申し上げておきますと、結局、山村等におきまして非常に人口が急減した結果、その地域においてのいろいろの公共的なサービス、あるいは消防でありますとか、医療でありますとか、教育でありますとか、こういった公共的サービスに非常に重大な支障を来たしておるような地域、こういうところが過疎現象あるいは過疎地域というような問題で取り上げておる次第でございます。
  125. 太田一夫

    太田委員 この際自治省にお尋ねをいたします。  自治大臣、あなたのほうには交付税で人口急減補正というものがあるでしょう。そうしてみると、それが過疎地帯への補正だと見るならば、一体人口急減とは具体的にどういうことをいうのでありますか。この際皆さんにわかるように説明してください。皆さん御認識がありませんから……。
  126. 野田武夫

    ○野田国務大臣 人口の急減とは、いま経済企画庁が申しますとおりに、法律的にこうこうだという規定はございませんが、常識的に見て、漸次人口が移動しておる中に、特に著しく減少を見ておる。そこで各公共団体で大体過疎地帯というものはここだということで、各公共団体から自治省に持ってまいります。その結果、全国でどの地方公共団体の中に過疎地帯があるかというようなことでその対策をきめております。何人になったから過疎地帯、何人以上は過疎地帯でないという、いわゆる数字的な明確さはまだ出ておりません。
  127. 太田一夫

    太田委員 これは今後経済企画庁なら経済企画庁におきまして、ひとつ過疎地帯というものの概念を統一してもらいたいと思う。とにかく人口が年率一%なら一%、一・五%なら一・五%ずつ減るというところを、一つの線をきめない限り、急激にとか、著しくとか、これで過疎地帯を定義するというのは、ちょっとばかり私は不見識だと思うのです。ひとつ早くきめてください。ないようですから……。  そこで、運輸省のほうに、そういうことに一つの定義があるようですから、この際運輸大臣にお答えをいただきましょう。運輸大臣は、過疎地帯の道を走っておるところのバス等が、人口急減によってだんだん利用者が減りまして、その会社なり事業者が維持できなくなったような場合においては、本年度新たに路線維持の助成金を出すということをおきめになったようであります。その場合の人口過疎地帯というのは一体どういう基準でございますか。
  128. 原田憲

    ○原田国務大臣 おっしゃるように人口が都市に集中をしてきて、地域人口が減ってまいりました。その地方の交通機関が運営維持が困難となってきておるものがあるわけでございます。その中で、いまお話のありましたバスもそうでございますが、中小私鉄の経営が困難になり、赤字が出てきたという場合には、この赤字補てんのための助成策がとられておったわけでございます。これは太田さんもお調べになっておると思いますが、数字で申し上げますと、地方鉄道軌道整備費補助、昭和四十四年度には八千五百十八万四千円。それから、いまお話のありました過疎地域の乗り合いバスの補助に七千七十万三千円、これが過疎地域のバスの補助でございます。これはいま申し上げましたように、経営がむずかしくなって赤字が生じてきた、こういうことに対するところの補助というものをとってきたわけでございます。
  129. 太田一夫

    太田委員 あなたのほうの基準によれば、一平方キロ百人以下の人口密度の場所をいわば過疎地帯と見て、そういうところを運行するバスに対して云々ということになると思う。あなたのほうは一応そういうことだ。これはどこできめたか知りませんが、大蔵省がだんだんだんだん予算を削ってしまうから、それが一平方キロ百人未満ということになったかは知りませんが、とにかく一応の基準があなたのほうにはあった。一応の基準があなたのほうにはあります。もうぼくは、それはそれでいいと思うのです、一つの基準があるから。  よそのほうには、過疎といったって、過疎とはどこだ、そんな町の名前があるかなんていって、町の名前と間違ってもらっては困るのだから、ひとつ過疎ということを大いに研究していただきたいと思う。  しかし、この際、運輸大臣に重ねてお尋ねをいたしますが、ことしのそういう地方交通に対するところの補助金というのは、どえらく減らしたのです。それで大蔵大臣、これはあなたのほうも、どうも地方交通機関、特に過疎地帯の交通機関にはあまり同情がないようで、昨年度地方鉄道整備法というようなものによって八千七百万円もありました補助金が、ことしはそんな赤字なんか補助できないよというので、八千万円削って七百万円だけにしたなんという、実に英断をおふるいになりました。これは、早くいうなら、そんなものはやめてしまえということでございますが、一体運輸省は、今後過疎地帯のバスの運行を維持し、それで地方の市町村にマイクロバス等によって通学だとか通勤等のようなことをさせないで、とにかく既存のバス路線があるならばそれを維持させて、そうして今後とも辺地の交通を確保していくというかまえはおありなんでしょうか。
  130. 原田憲

    ○原田国務大臣 先ほどもお答えいたしましたが、いま御指摘のように赤字を出しておるのを大蔵省が今度の来年度予算で認めなかったじゃないか、こういう御指摘がありました。これはしかし内容が違うのでございまして、要するに、赤字を出したらそれを補てんする、こういうことではほんとうの補助金にならないじゃないか、やはり地方といえども鉄道というものの合理化近代化、ますます人が少なくなってくるのでございますから、人手を省いて、たとえば電車でも手でドアを締めているものを、ここらで走っている電車と同じように、圧搾空気によるところの改良をする、そういう合理化のための補助金を主体にしていくべきだという考え方に変えまして、御指摘のように昨年よりことしは幾らか金額において減っておりますけれども、これは昨年までやっておりました大きな——大きくはございません、中小私鉄でございますが、三つほど会社の補助金が打ち切られております。自動車に転換するためには、これは新たに開発銀行の融資もする、こういう手だてをとりまして、バスについては国のほうの補助金は半分持とう。それから、これは私の所管でございませんが、自治省のほうにもお願いをいたしまして、あなたのおっしゃっているような過疎地域に対する交通対策というものを講じていきたいと存じておる次第でございます。
  131. 太田一夫

    太田委員 足は確保してください。足が確保されなければ、経済企画庁の第三次草案の内容も、これは魂が抜けるわけです。  文部省にお尋ねいたします。もう地方の山村地等僻地ないしは人口過疎地帯等におきましては、バスも通らなければ道もないというわけで、しかたがありませんからスクールバスを買って、学校統合をいたしました際に二キロも三キロも四キロも通う小中学生を運んでおるところがあるのであります。こういうスクールバスに対する補助、あるいはバスに乗る場合には、そのバスの定期券の運賃、通学費等の補助あるいは給食費等の補助というようなことが非常に大切だと思うのでありますが、それに対しては新たなる方針がおありでございますか。
  132. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 お答えをいたしたいと思うのですが、いま、御承知のように、過疎地帯におきまして、特に僻地でございますけれども、学校統合につきましては、小学校、中学校二分の一、これを全額国庫負担というようなお話もございますけれども、しかし、やはり設置者負担の原則がございますので、過疎地域の市町村の財政力を考慮いたしまして、一つは離島は補助金が三分の二になっております。われわれのほうでも実は三分の二で僻地も要求はいたしたのでございますが、本年度はそういうわけにまいらなかったわけでございます。しかし、建築単価は原則として実施単価まで引き上げ、また地方公共団体の負担というものは軽減をしてまいるようにいたしておる次第でございます。  それから、スクールバス等の予算については局長から答弁さしてよろしゅうございますか。
  133. 宮地茂

    ○宮地政府委員 お答えいたします。  スクールバス・ボートの購入につきましては、四十三年度の予算に対しまして四十四年度は約二千二百五十万円ばかり増額を見ておりますが、バス・ボート五十台を七十台に、ジープは十五台を二十台に、こういった関係で補助率の二分の一は一応そのとおりでございますが、補助台数、補助金額は相当のアップを予定いたしておる次第でございます。
  134. 太田一夫

    太田委員 これは並みの話ですね。  そうすると、厚生省のほうも並みのお答えになりますか。過疎地帯の医療対策について、ことしは何らか新しい芽がありますか。機動力を用いる巡回的な何か方式もとらなければ、とてものこと医療対策は成り立たないと思いますし、あわせて老人が非常に多くなりまして、若い労働力がみな出てしまっておるという過疎地帯では、老人ホーム等も急につくらなければならない切迫した事情もあろうかと思いますが、そういうことに対しまして、厚生省としては何らかの対策をお講じでございますか。
  135. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 厚生省といたしましては、御承知のようにかねがねから僻地の診療所に対する補助とかいうような点に力を入れておりましたが、ただいま御指摘になりましたように、僻地において医療機関がないというようなところには、診療車を出して医者をつけてそこを診療して回らせるということを考えております。同時にまた、患者の輸送車を出しまして、そして医者のいるところに患者を運んでくるのに都合のいいような方策を考えたりいたしている次第でございます。
  136. 太田一夫

    太田委員 いわばいままでの制度のままでありますね。それじゃ、やっぱり過疎地帯の人たちはだんだんその土地に住む魅力を失います。  郵政大臣にお尋ねいたしますが、そういうところにはテレビ、ラジオ等の難視聴区域が非常にたくさんあります。それに対して解消の具体策をお持ちでございますか。あわせて有線放送というような通信施設の整備が非常に望まれておりますけれども、それに対して特段の何か配慮されたものがありますか。
  137. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 通信政策の基本は、全国津々浦々まであまねくラジオ、テレビが聞こえたり、見えたり、しかも複数のものが行き渡る、こういうことが基本でございますが、ただいままでのところ、御承知のように、ラジオにつきましてはほぼ一〇〇%行き渡っております。テレビにつきましては、NHKのものにつきまして約九六%行き渡っておりますが、残りの分につきましても早急に全部行き渡りますように、いま指導しておるところでございます。
  138. 太田一夫

    太田委員 NHKが見えるということと、とにかくテレビが見える、これはNHKらしいという、僻地のどこかへ行って一度、一晩でも泊まってみなさいよ。テレビなんて見えたものじゃない。らしいものが見える。機械が悪いのじゃありませんよ。らしいものまで入れて九六%です。それから大臣、あなたは津々浦々とおっしゃったが、最近の過疎地帯というのは山間部が多いですね。津々浦々はいささか見当違いじゃありませんか。まあひとつ大いに解消をはかってください。  農林大臣にお尋ねをいたします。非常にこの過疎地帯の振興ということのためには、経済企画庁の方針によっても、営農の拡大強化、高能率農業というようなことが書いてありますが、現在農業専従者一人当たりの過疎所得というものは、全国平均に比べてまず二割くらい低いのです。幾らがんばってみても低い。これを高める方策があるかどうか。過疎地帯の農業振興についてどんなことを考えていらっしゃるか。ただ造林をしようとしても、資金不足だといって非常に悩んでいますが、それに対して、だいじょうぶ、おれが引き受けた、農林省が引き受けたと言えるかどうか。
  139. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 全国平均からまいりますと、たとえば昭和四十四年度現在で五カ年間の人口減少率が一〇%以上の市町村の区域をとって調べたのでございますが、農業粗生産額等については全国の平均農家は大体一戸当たり五十四万二千円でございます。これに対しまして過疎地帯の農家は四十三万六千円、さらにこれを全国農家の平均の基幹的農業の従事者一人当たりにいたしますと、三十三万八千円、これに対して過疎地帯の農家は二十六万九千円、こういう数字が出ておるわけでございまして、生産農業所得については全国平均農家の一人当たりが三十一万九千円、こういうような状態でございます。  したがいまして、先ほどからもいろいろお話がありましたように、まずこれに対処するといたしましては、農林漁業の特別開発事業がありますし、また林業構造改善事業等があります。さらに山村振興法、これらをあわせまして、もってこれらに重点を置いて、さらにその実態の上に立った措置を講じているつもりでございますが、総合した予算を調べてみますと、大体百六十一億ぐらいのものが全体では来年度予算には見積もられている計算になっておるわけでございます。つとめてこういう地帯については特別なる措置を講じてまいりたいと考えております。   〔中野(四)委員長代理退席、櫻内委員長代理着席〕
  140. 太田一夫

    太田委員 通産大臣、あなた、小規模企業が過疎地等へ進出しましてもなかなか成功しないということが各地においていわれておりますが、これはいわゆる何十人という百人未満の小規模零細的な企業でも、そういうところに進出して何とか成り立っていこうとするものに対して、自由経済原則によって、もうかったら大きくなりなさい、損をしたらつぶれなさいということじゃなしに、この際過疎地帯の所得を上げるためにも何らかの優遇措置を講じなければならぬと思うのですが、何か御用意がございますか。
  141. 大平正芳

    大平国務大臣 いま、御案内のように、北海道東北開発公庫、開発銀行、地方開発資金、これはそれぞれ四百五十億ずつ四十四年度は用意いたしておりますが、これはいま御指摘の低開発地域ばかりではございませんで、新産都市なんかも含んだ数字でございますけれども、そういう地域にアクセントを置きました施策が一歩を進めておるわけでございます。  それから、税制面におきましては、特別の割り増しの制度、あるいは地方税の軽減の制度、そういうものがいま実行されておるわけでございます。
  142. 太田一夫

    太田委員 どうも過疎地帯に対する特別なものがありませんですね。私はこれほど過疎地帯問題が論ぜられている本年度の予算の中において、何らか将来の大きな明るい展望を持つ芽が出ておってもよさそうなものじゃないか、芽どころではない、もっと大きな夢が、ものが盛られておっていいと思いましたが、残念ながらない。これはひとつまた新たに別の角度からお尋ねすることにいたしますが、この際、そういう過疎地帯へ参りますると、住民は非常な税金の重圧のために困窮いたしております。とにかく人間が足らないのだから、県といい市町村といい、ともに非常な重税を課していくわけで、税金を軽減するなどとは思いもよらない。  そこで、本年度住民税の軽減問題が発表されておりますので、自治大臣にお尋ねをいたしますが、住民税の課税最低限度をこの際九万円ほど引き上げられました。そして昨年度五十三万二千円であったのが六十二万三千円となったのでありますが、これは所得税の場合に比べますと約三十万の差があるわけであります。その三十万円の差というのは、一体大臣、当然そうすべきでありますか。所得税と住民税が三十万円の差が開いているということに対しては、これは私ども大問題だと思う。いままで所得税の軽減に即応いたしまして、住民税もしばしば課税最低限度を引き上げて所得税に追いつかなければならぬということを盛んに議論をしてまいりました。ことしわずか九万円の引き上げでありますが、今後もこの最低限の引き上げをはかられる意図でありますか、それともまああまり引き上げたくないということでありますか。  もう一つ、なぜ三十万円の差というものを昨年もことしも堅持をしていらっしゃるか。これを縮めるということはどうしてできないのか。
  143. 野田武夫

    ○野田国務大臣 住民税の軽減問題ですが、私も全く太田さんと同じで、できるだけこれは軽減したい。ただ、これはもうよく御存じだと思いますが、税制調査会の答申でも、所得税と住民税の性質と申しますか、本質が違っておって、住民税は、よくおわかりのとおり、広く住民ができるだけ能力に応じて税を負担して地域行政の水準を上げる、こういうことでございまして、多少そこに住民税と所得税の課税の標準が違っているのがございます。しかしそれは一つの理論でございまして、実際は、これはやはりできるだけ下げるというのが考え方の基本としては当然と思っています。また、これは地方財政がだいぶ好転はしつつありますが、今日の段階におきましてはまだ豊富ではない。そこでその差が、お示しのとおり所得税と相当の差がございますが、私は、昨年ももちろん住民税を軽減し、本年もいたしましたし、来年もやはりこれはすべきものだ、当然のことだと思っている。そうして、できますならば地方財政の内容に沿うて、これは所得税に少しでも、一歩でも近づくという方向に持っていくのが当然の考え方ではないか、私もそう考えております。
  144. 太田一夫

    太田委員 いまのお話は、したがって去年もやった、ことしもやった、来年もまたやるということでありますが、来年も、再来年も、その次もどんどんと減税をして、所得税の減税規模に近づける、こういうことでありますか。
  145. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いま、私お答えいたしましたとおり、もちろん、いまの地方財政の内容の問題でございまして、これはただ来年はこうだ、再来年は幾ら——来年度につきましてはいまお示しのとおりのことでございますが、つまり四十五年においては幾らということは言えませんが、私は、当然これはやるべきものだし、そうしてできるだけ一歩一歩所得税の課税標準に近づくということに持っていくのが政治の姿勢じゃないか、私自身はかたくそう考えております。
  146. 太田一夫

    太田委員 じゃ、何年で近づけます。およそ何年ぐらいで所得税の減税額に近づけますか。三年であるか何年であるか、来年度はまた幾らぐらい引き上げるつもりでありますか。
  147. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いま私が申しましたとおり、これはやはり地方財政の内容を基本として考えなくちゃなりませんから、四十四年度における地方財政の内容はもうわかっておりますが、四十五年でどうなるか。したがって、地方財政の内容を検討しないで、ただ住民税だけこれを取り扱うという、それでどのくらいいけるかということは、ここで端的に申し上げるのは非常に困難かと思っております。しかし、一応の自治省の考えもございますから、そういう数字的な、来年は幾ら、再来年は幾らという数字の根拠はまだできておりませんが、方向といたしましては、私は太田さんと同じ感じでございますから……。何年目にそれが実現するかということにつきましては、いまここで明言はできません。  それからもう一つは、いまお話しのありましたとおり、たとえばいまの過疎地帯の問題、過密地帯の問題、いろいろまた複雑な問題がございますし、いま経済企画庁で立案いたしております新総合開発の政策というものがどうあらわれてくるか、国庫がどのくらいの金を地方財政のほうに充当してくれるか、こういうことも、やはり一つのめどとして考えなくちゃならぬことだと思っております。
  148. 太田一夫

    太田委員 地方財政の内容に応じて、何年かかかって所得税に近づけるとおっしゃった。所得税に近づけるという方針はよくわかるのでありますが、地方財政の内容というのはどういうことなんですか。本年度六百九十億円も余っておるから貸せと大蔵大臣に言われて、はいさようでございますかといって、六百九十億円国へ貸した。そうしたら、過疎地帯のほうの需要も多くなった、あの地帯の住民税の減税もせにゃならぬ、そういう需要にこたえられなくて、わずか九万円しか上がらなかった。また福田さんがことしはまた何百何十億貸せとおっしゃったら、はいさようでございますかと出していたら、いつまでたったって所得税に追いつかぬじゃありませんか。地方財政の内容などということであったら、六百九十億も貸せるものであったら、なぜもっと大幅に免税点を引き上げないのですか。その点はどうですか。   〔櫻内委員長代理退席、中野(四)委員長代理   着席〕
  149. 野田武夫

    ○野田国務大臣 来年度におけるいまお示しになりました六百九十億の減額の問題でございますが、これは四十三年度の地方交付税の補正限度でございまして、これは今度大蔵省も補正予算をお出しになるようでございまして、この補正に出てくる金の限度以内、したがって、四十四年度の地方財政の運用には差しつかえがない、こういろ原則を大蔵大臣と私と話し合いまして、したがって、四十四年度の財政支出に影響があるならば、私は断じてその処理はできない、こういうことで、結局四十三年度の補正の、つまり自然増収の限度内ということでいたしております。  それから第二は、次に、特に今度は、この問題はもう繰り返さないという正式な覚え書きを交換しまして、今後これらのことが起こらないように十分配慮を加えたつもりであります。
  150. 太田一夫

    太田委員 来年はもう六百九十億貸すようなことはしない。それから先ほどおっしゃった、地方財政の内容に応じて住民税の減税を運び、なるべく急いで所得税に近づける。だから、したがって、今後、来年も課税最低限度の十万円以上の引き上げはあると期待してよろしゅうございますか。
  151. 野田武夫

    ○野田国務大臣 現在の地方財政の実態から考え、また将来の動きを大体見てみますと、来年、つまり四十五年度におきましても、十万円という数字が出るか、十万円を幾分下がるか上がるか、つまりその前後のいわゆる減税はすべきものだ、こう考えております。
  152. 太田一夫

    太田委員 いわば十万円前後の減税を来年度もやろう、こういうわけです。大体明らかになりましたが、地方財政の内容によってという、そのところが引っかかりましてね。  これは大蔵大臣、あなたも地方財政をずいぶんいじめた大将だそうですが、どうして六百九十億も借りて、そしてこの市町村民税の、住民税の高い高いといわれる中で——特に過疎地帯は高いのです。例を申し上げますと、島根県におきまして標準税率を採用しておるのは、六十市町村の中で五町村しかない。五割増しまでの最高限度の超過課税をしておるのが、五十二市町村ある。負担の公平なんて、はかられたものじゃない。そんなひどいことをやっていて、地方財政というのは黒字だ黒字だ——仕事やらなければ黒字になりますよ。お互いにどんなに給料安くたって、金を使わなければ、給与をその翌月に繰り越しができますわ。かすみを食って生きていくというわけには、これは幾ら僻地山村といえどもできません。したがって私は、超過課税というものは、この際地方税法を改正して廃止をすべきだ、やめるべきだ、こう思うのです。あなたは、その地方財政の困窮ということに対しては理解があるのですか。背に腹はかえられないで、やむを得ず、ほんとうに理解しているのだけれども、ことしだけの最後の最後のぎりぎり一ぱいの無理であって、来年は繰りかえは絶対無理言わないから、何でも言うことを聞くから、ことしだけということであったのか、その辺の御理解はいかがなものですか。
  153. 福田赳夫

    福田国務大臣 一つの目的は、この地方財政における主力財源である地方交付税交付金の年度間の調整をはかる必要がある。つまり地方交付税は、毎年毎年額が安定しておったほうがいい、安定して伸びていったほうがいい、こういうふうに考えるのでありまするけれども、景気の状態によりましては、いわゆる租税弾性値という関係から非常に増加率が高くなる。つまり国の財政の伸びに比べますると交付税の伸びが異常に高くなるということになるのであります。逆に今度は、景気が非常に悪くなった、沈滞してきたというときには、今度は地方交付税交付金もそれに伴って減少しなければならぬ、こういうことになる。そうすると、地方財政の主力財源が減少するということになる。そういう伸び縮みが地方財政の主力財源に出るということは、好ましくない。そこで、四十四年度のように非常に多額の交付金が算定される場合におきましては、これを低目に直しまして、そうして逆に今度は地方交付税交付金の交付が少ないというふうに考えるときには、それを埋めてやる、そうして年度間の交付税の伸びが安定するような方向になったほうがよろしい、こういう考え方が基本的に一つあるわけです。  それからもう一つは、いま御指摘のように、国の財政の事情があるわけであります。国のほうで一兆二千億円の自然増収がある。しかし、歳出要因が九千億円もある。その九千億円を洗ってみますると、その中に地方交付税交付金が三千百億円、三分の一以上に当たる、こういう状態になるわけでありまして、国のほうから見ましても、これをならしておいたほうがよろしい、こういうふうに考えて減額をする。しかし、これは地方固有の財源でありまするから、減額のしっぱなしというわけじゃない。これは、昭和四十五年度以降においてこれを返済をする。そういうことによりしまして、中央財政のほうの毎年の運営をならしていくということに役立たせよう、こういう考えからずっと過去の地方財政をながめておりますると、四十四年度は、あらゆる角度から見まして改善をされてきておる。そういう際でありますので、この際、六百九十億円、この額は、先ほど自治大臣から申し上げられましたが、本年度四十三年度におきまして地方交付税が余分に入ってくる、よけいに入ってくる、この額を大体見合いといたしました額、この額をひとつ減額をしていこう、こういう措置をとった次第でございます。
  154. 太田一夫

    太田委員 大臣、私は、あなたのお話を聞いておりますと、自治大臣が気の毒になりましたね。自治省ですか、要らぬような気がしますね。いささか準禁治産者のような感じですね。あまりよけい金を渡すと何をやるかわからないから、ちょっとこっちに預かっておくよ。あなたはおやじさんの役割りをしたわけです。どらむすこが地方財政というわけで、私は残念に思います。  現在、地方自治体が持っておる借金というのは、合計四兆六百七十億持っておられる。これは、地方財政はもうほとんど赤字で、借り入れ金で、借金でやっているわけなんです。そういうところでありますから、仕事をやらぬで、黒字にしなければならぬと自治省が言うから、黒字黒字と、黒字になるように無理にしておる。仕事は何もやられておらない。そういうところへもってきて、もうどんどん公営企業を含めまして四兆円をこえるところの起債、借り入れ金というものをかかえて、いま地方財政は四苦八苦なんです。ひとつ、もう少し目を開いていただきたいと思う。  そこで、自治大臣、あなたは、過疎地帯のことに対してまだ十分な御理解がないようでありますけれども、しかし、過疎地帯の人口の少ないところの住民が、その税金を制限税率一ぱいの五割もよけいに払わなくちゃならぬということに対しては、同情なさいますか。
  155. 野田武夫

    ○野田国務大臣 それは全く太田さんと同じ意見です。同情します。
  156. 太田一夫

    太田委員 全く、過疎地帯や人口の希薄な地帯におきましては、もう何ともならない。それで税金は五割もよけい払わされておる。それをわれわれは、この際において、そういうことをしなくても、公平の原則に戻りまして、どこも同じ一定税率だ、そういうところまで私はこの際改善すべきだと思うのです。ひとつ同感なら、私もそれで安心しましたから、ぜひ法案修正等において御協力を賜りたい。  そこで、ついでに私は財政のことについてもう一つ言及しなくちゃならないことは、ギャンブル財政であります。ギャンブル財政というのは、御承知のとおりに、四十二年度の決算で八百六十九億が地方財政に寄与しておりますが、この地方財政に寄与しておる八百六十九億円の競馬、競輪、オートレース、競艇等の収入というものになお地方団体は依存しなければならぬということは残念だ。これは、公営競技調査会答申というのが、三十六年度に出たのがありますけれども、これはだんだんとなくしていかなければいけないということを、相当自粛の方針を答申をされておる。だが、だんだん拡大をされていっておる。ギャンブル財政と一口に言っておりますけれども、地方財政は、まあ仕事がやれないから、財源が少ないので、ギャンブル財政だろうが何だろうが、その金をつかんで、そうして何かをやろうとしているわけです。それは市庁舎をつくったとか云々ということの行き過ぎもありますけれども、非常に地方財政はそういう収入にたよらざるを得ない点がある。しかも一般予算の財源の歳入の四割以上をギャンブル収入によってまかなっておるところが、四十二年度に四町村もありますし、二〇%以上にいたしましては三十一市町村もあるわけでありまして、これを今後どうするつもりです。自治大臣の御所見を伺います。
  157. 野田武夫

    ○野田国務大臣 公営競技の収益は、いまお示しのとおり、八百七、八十億というふうに相当大きく地方財政に寄与しております。じゃ、この公営競技というものをだんだんなくしたほうがいいんじゃないかということ、私も同感です。これでもって地方財政の大きな仕事を果たしているということは、必ずしも好事しい状態でない。したがって、その答申でも、やはり漸次なくしたがいいということ、私も全く同感ですが、実際は、実は大きな財政力になっておるんです。だから、これを今後どう持っていくか。いまちょうど大蔵大臣にも御質問がありましたように、地方財政の借金というのは四兆以上ある。それからやるべき仕事が、これはもう全く太田委員のおっしゃるとおり、私はその内容を検討してみますと、どのくらいかかって地方財政の——ことばをかえていえば、地方行政の水準を上げていくか、これはたいへんなことだと思っております。したがって、趣旨として私も同感でありますが、これを一時にいまの公営競技からの収益の財源をなくして補てんするということは、なかなか困難なことだと思っております。しかし、方向としては、私は太田委員と同じことで、やはりできるだけこれの収益において地方財政をまかなうという考え方というものは、だんだんひとつ取り去っていったがいい、こう考えております。
  158. 太田一夫

    太田委員 だんだん減らしていこうとおっしゃったのは、非常に正しいりっぱな御意見だと思います。しかし、ギャンブル財政に八百六十九億も寄りかかった四十二年度のことを考えてみますると、それなら、あなたのほうが、高級料亭の料理飲食税一五%を五%下げて二十億減税しよう、これは一体どういう発想から出るのですか。それが地方財政に対して、金がなくて四兆円もの借金をしょっておる地方財政、それに対して、高級料理飲食等消費税を五%減らして二十億の地方財政に対して穴をあけようというのは、どういう魂胆ですか。
  159. 野田武夫

    ○野田国務大臣 料飲税を五%下げるということ、これは減税二十億といっておりますが、実際、打ち明けて申しますと、この料飲税の徴税というものは非常に困難でございまして、実情は、何と申しますか、目安をきめて幾ら取るとかどうだということが非常に困難で、むしろこれは簡素化して、できるだけ正直に申告を得て取りたい。ちょうどかつて入場税を三段階あったのを下げたようなふうで、徴税方法を簡素化して、そうしてつまり課税されたものに対して正直にやってもらうように指導したい。同時に、これをやる場合には、つまり料飲税を五%下げるというだけでなくて、いままでありました六百円の免税点を八百円にするとか、あるいは旅館、ホテルの免税点を引き上げるというようなこともひとつあわせてやろう、そうしてなるべく簡素化に資するという、こういう方針でこの問題を取り扱ってみたのです。
  160. 太田一夫

    太田委員 大臣、あなたは料理屋さんの経理をやったことあるのですか、めんどうくさいなんて。料理屋さんの帳面をつけるようなことなんて、何でもないでしょう。お酒何本、はい料理何品、何が幾ら。今度大衆飲食なんか六百円を八百円にするとか千円にするとかいうけれども、大体ビフテキを一つ食べたら、まともなビフテキで千円以下のものはないでしょう。せめてビフテキぐらいは無税で食べさせたらどうなんですか。大衆飲食のほうは八百円なんてけちなこといっておいて、一回に一万円も二万円も使う人の税金を五%下げて喜ばせる。だれのごきげんをとるつもりですか。何もそうむずかしくないですよ。公給領収証というのは、これは宿屋のやつですが、ちゃんと書いてある。ここに書き込んでいけば、自然にずっと出るようになっている。そろばんさえできればできるですよ。何もむずかしいことはない。そろばんの計算ができないおばあさんにやらせれば、それはできないでしょうけれども、番頭さんができぬはずがない。おかみさんができぬはずがない。こういう無理なことをしていて、片方、超過課税のほうのことについては、できるだけそれはやりましょう、一本化することは、定率化することはよろしいとおっしゃったから、私はそれは了承しますが、地方財政好転、六百九十億は大蔵省のほうに差し上げます。私は、どうしても料理飲食税というものが国民の理解を得る引き下げではない、ということを思うわけです。  大衆飲食はどうですか。八百円とか幾らとか、まだきまらないようですから、いっそのことこの際、まともなビフテキだけぐらいの程度のものは、庶民が一月に一ぺん食べるものに対しては無税にするというような英断はやれませんか、どうですか。
  161. 野田武夫

    ○野田国務大臣 つまり千円ぐらいまでやれという御意見だと思っています。確かにそれはできるだけ引き上げたらいい、私も同感ですが、これはざっくばらんに申しますと、昼めし代なんて、そんなぜいたくな昼めしなんてありゃせぬし、結局八百円となりますと、われわれもやったことがありますが、おでん屋で一ぱい飲むぐらいが八百円ぐらいで済むだろう、こういう考え方で、(「八百円では済まぬよ」と呼ぶ者あり)いや、それは飲み方ですからなんですが、一本ちょうしをつけたら、その程度でいくだろう。六百円の問題は前から問題がありまして、ひとつ来年はどうしてもやらなければならぬという意見がありましたが、千円案が出たことは事実であります。私も何も八百円にこだわるものではございませんが、一応の税制の体制というものがございまして、ことにもう一つは宿泊料の免税点を引き上げたというようなことと相まって、一応八百円と、こういたしたので、真意は私もよくわかっております。
  162. 太田一夫

    太田委員 高級飲食なんか、一五%、二〇%、何十%でもいいじゃありませんか。財源が足らないのだから、どんどん取って、大衆飲食のほうをゼロにするというのが、それが善政というものでございます。  次の都合がありますから、国家公安委員長にちょっとお尋ねしますが、先ほどのギャンブル財政、非常に最近威力を発揮しておるようでありますが、競輪、競馬その他ああいうところに最近焼き打ちだとか公金略奪だとか、いろいろな問題があるのですが、ずいぶんそういうことのために警察官を動員されておるでしょうね。どれくらい動員されておりますか。
  163. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 相当数動員されておりますが、具体的に数字的に政府委員から申し上げさしていただきます。
  164. 内海倫

    ○内海政府委員 お答えを申し上げます。  競輪場、競馬場、競艇場、オートレース場、これだけのものを全部含めまして、昭和四十三年度におきまして、延べ人員十八万五千百四十一人、こういう数字が出ております。
  165. 太田一夫

    太田委員 全くどうもギャンブル財政もたいへんでございますね。十八万五千百四十一人の警察官を動員して、この警備に当たらなければならない。その騒音は、昭和四十二年度に十七件、四十三年度三十八件という、いろいろ焼き打ち、略奪等の騒擾事件が起きておるのであります。  これに対して、とにかく三十六年といえば、七年前に答申があった。公営競技調査会答申というのがある。その中には、公営競技の開催日は原則として土曜、日曜及び国の定める休日とするように努力をしてもらいたいという、開催日にブレーキをかける、制限する答申もあったのでありますが、それが一向に守られておらない。私は、悪のもとは、普通の日に会社を休んだり何かして行く人たちに非常な問題があるように思うから、この際、この答申を尊重し、ギャンブルを開催するのは、少なくとも一歩進めて、とりあえず土、日、祝祭日ぐらいに制限すべきじゃないか、こういうことについて、農林省、通産省、運輸省、それぞれ所感をちょっと申し述べていただきたい。どうしてやれないのか。
  166. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 現在地方競馬におきましては、補てん競馬は、大体昭和四十四年度において、四十三年度と比較をいたしますと、回数がちょうど半数になっております。四十五年度以降は当然その回数はなくなるだろう、このように考えておる。しかし、競馬法は都道府県が本来この開催権者でございますので、その回数を戦災市町村に分与していたものと解しておりますが、その補てん競馬終了後は、本来のたてまえにある都道府県にその回数を付与して、その収益の県内における均てん化をはかるのだ、こういうような考え方でおりますし、地方競馬のほうは申し上げたようなことになっておりまするから、大体補てん競馬というものは来年度からは回数が少なくなっていくだろう、こういうふうに考えられます。
  167. 太田一夫

    太田委員 普通の日にやりませんね。
  168. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 いまは補てん競馬があるのです。再来年度になるとなくなるという予定になっております。
  169. 大平正芳

    大平国務大臣 開催日につきましては、仰せのように原則として土曜と日曜を中心とするよう施行者を指導いたしております。しかしながら、選手のあっせん、従業員の就業確保等の制約がございまして、土曜日、日曜日前後の日にわたる日の開催も認めております。なお、水曜は競輪、オートレースとも開催日から除外されております。それから競走開始はすべて午後ということにいたしておるのが、現状でございます。
  170. 原田憲

    ○原田国務大臣 ただいま通産大臣がお答えになりましたように、公営競技については相談をしてやっておりますので、通産大臣と同じような方針でやっております。
  171. 太田一夫

    太田委員 とにかくギャンブル財政というものは、地方財政計画によれば、その他の雑収入になっている。これは内心良心のとがめがあると私は思うんですよ。これは少なくともここから脱却するというかまえを見せてもらわなければ困ると思う。同時に、そういうりっぱな答申が幾多あります。まだほかにもあるが、そういう答申はせっかくあったけれども、一向にやらないということでは、私はおかしいと思う。少なくとも平日の開催は自粛をしてもらいたい。  最後に、交通安全対策のことについてこの際お尋ねをいたしますが、交通安全対策の予算というのは、どうも自動車取得税という交通反則金によりかかってしまって、国のほうの予算というのはどうも軽くなってしまった、こういう気がするのでありますが、本年度予算はいかがでありますか、どういうことでありますか。
  172. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 お答え申し上げます。  交通安全対策の本年度の経費は、六百三十億二千二百万であります。三十九億円の増加となっておる次第でございます。また、このほかに自動車損害賠償責任保険におきまして、百四十億円の歳出権の増加であります。  以上、お答え申し上げます。
  173. 太田一夫

    太田委員 総理府にお尋ねいたします。  四十四年度陸上交通安全対策関係予算を見ますると、交通安全施設等の整備、昨年度二百十億あったものが本年度百九十四億、差し引き約十六億の減少と相なっておりますが、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法は本年度をもって一応終わりますが、さらに三年延長されるというこの事態の急迫に備えて、交通安全制度の整備の予算が十六億も減るということは、いかにも納得できないと思うのです。これはどういうことですか。
  174. 床次徳二

    ○床次国務大臣 お答え申し上げます。  三年計画をもちまして実行いたしたのでありますが、しかし、事業の関係上さらに三年を延ばしまして、したがって事業量はふえてまいりましたので、本年度は若干減少しておる次第であります。事業全体といたしましては、次の三年計画がありますので、はるかに大きな事業を計画することになります。
  175. 太田一夫

    太田委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、そうすると、交通安全対策の今後の施策の推進は、在来のテンポをゆるめないで、さらにそれ以上の強力な予算の裏づけはある、施設の整備に向かって邁進をするつもりである、こういうことでございますか。反則金だとか自動車取得税ができたから、それでかってに地方はやりなさい、おれは地方は知らぬよということじゃないでしょうね。
  176. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは、本年度をもって三カ年計画が終了するわけです。これはかなりいろいろな施設ができたわけですが、さらに新たに三カ年計画を立てまして、これを補足しよう、こういうことで、非常に前向きの姿勢でございます。
  177. 太田一夫

    太田委員 前向きならいいと思うのです。前向きでやっていただきたいと思うのです。  ところが、この予算を見ると、とにかく十六億も前年度予算よりも減るということは、どう考えてみてもおかしい。それは即地方の負担に回されているということであろうと思うのです。ぜひ、交通安全対策関係というのは重点を置くとおっしゃった以上、この数字の上にもあらわしていただきたい。  そこで、荒木公安委員長いらっしゃいますから、念のために伺いますが、最近反則金の予算なんというものは、あまりことしの見積もりから見まするとふえておらないようで、当初の予算よりだいぶ下がっておるように思いますが、あれでございますか、反則金というのは、このごろ思っているほどとれないようなふうに、みんなよく規則を守り、ドライバーは正常な運転をし、道交法は厳格に守られておる、こういうことでございますか。
  178. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  昭和四十四年度におきまする反則金の見込み額は約百十七億円でございます。これは昭和四十年度から四十二年度までの罰金収入の実績と、昨年四月から八月までにおける反則行為等の取り締まり状況並びに反則金及び罰金の収入実績等から推計したものでございます。
  179. 太田一夫

    太田委員 推定された数字にとやかくのことは申しませんが、それでは念のために聞きますけれども、都内においても相当長時間路傍に駐車しておる車がある。特にそれは公安委員会の制度によれば、十時からあくる朝の七時までは駐車は禁止してないというように、時間的に制限されておるところがあるわけです。それからもう一つ、法律によれば、大体長時間駐車というのは夜は八時間、昼十二時間というのがこれは一つの限度でありますけれども、長時間駐車を取り締まっておるというような実態というのは、あまり私は見受けない。最近何か、交通の渋滞を解決し、ないしは交通安全のために、警察庁の交通警察官が熱を入れておるというような感じが受け取れない、こういう感じがしますが、駐車違反の取り締まり、ないしは今後都内の道路は全部二十四時間駐車禁止にするというくらいの、こういう斬新な対策というものは御用意があるのかないのか。
  180. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 御質問にそのものずばりでお答えします前に、おおよその考え方をお答え申し上げたいと思います。  交通規制は本来必要最小限度になされるべきである、こういう考え方に立っております。しかし、交通混雑地帯におきまする路上の駐車は、交通の安全と円滑を著しく阻害しておりますので、交通が混雑する時間帯には、積極的にこれを禁止する方針で臨んでおるわけでございます。  御指摘の深夜における路上駐車禁止につきましては、交通の実態を勘案し、慎重に検討した上で適切な措置をとる、こういう考え方で対処しておるわけでございまして、御質問そのものにずばりお答えいたしかねておりますので、政府委員から補足的にお答えをさせていただきます。
  181. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 駐車違反の取り締まりは、いま全国的に、特に大都市を中心にいたしまして、警察は一生懸命やっております。大体、年間六十万件以上の検挙件数を持っておるわけでございますけれども、今後も一そう努力をいたします。  それから大都市を二十四時間全面的に駐車禁止をかけるべきだという問題でございますけれども、これは場所的にもいろいろ問題がございます。大都市の駐車禁止規制は一そう強化の方向で努力したいと思います。
  182. 太田一夫

    太田委員 終わりますが、それでいいんでしょう。そういうことで、心がまえとしてはできるだけ、大都市の駐車禁止は二十四時間にすべきだというくらいにならなければいかないと思うのです。というのは、このごろの予算の中に、交通安全ということに対する何かマンネリ化したものが感じられる。斬新な、積極的な、一歩踏み込んだものがあまり感じられないから、それで特にどう考えていらっしゃるかということをお尋ねしたわけですが、深夜八時間しか道路の上に駐車することはできない、昼は十二時間を限度とするといっても、かつて、その八時間、十二時間の限界をこえたものがどうなった、こうなった、罰金刑だった云々というような取り締まりをされておるということはあまり聞きません。したがって私は、今後少なくとも交通の安全のためには警察官は相当力を入れてもらいたい。機動隊も大事だと思うけれども、交通ということを忘れてもらっちゃ困るわけで、特に公安委員長に、交通の規制、交通指導、取り締まりについて十分なる決意をお願いしたいと思ったわけです。一口、所感だけ……。
  183. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  御指摘のとおりに私も思います。ことに御案内のとおり、自動車はどんどんふえていく一方でございます。道路条件、必ずしもこれに追いつき得ない。さらに自動車の台数よりも運転免許証をもらっている者が倍くらいある。そういう、いわば未熟な人が続々ハンドルを握るということにもなるというもろもろの傾向考えましても、交通事故、交通規則違反というものがゼロになることを期待しますけれども、そういうことは夢のごとき状態であり、一そう積極的に、交通事故によって人命をそこない、あるいは障害者を出したり、もろもろの社会的な不安感を除きますためには、ほんとうに真剣に取り組まねばならないという課題だと存じております。
  184. 中野四郎

    ○中野(四)委員長代理 これにて太田君の質疑は終了いたしました。  次に、田中昭二君。
  185. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、まず財政の問題から少しお聞きしたいと思います。  四十三年度から総合予算主義ということで予算が組まれたわけでございますが、簡単にお尋ねしますと、政府が総合予算主義を唱えたその真意は一体何であったのか、大臣からお答えいただきたい。
  186. 福田赳夫

    福田国務大臣 戦後、予算の運営をずっと振り返ってみますと、毎年毎年膨大な補正予算を出しておる、こういう事態改善したい。そこで、年度初頭において予見し得るあらゆる行政事態を想定し、それに対する財源をすべて整えて、そして国の行政全体をバランスのとれたものとしてながめた総合的な予算をつくる、これによって、従来に見られるように、年度途中において、そのときの行政需要に応じて補正予算を組むというようなことがないようにいたしたい、かようなたてまえでございます。
  187. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、総合予算主義による予算というものは、歳入も歳出も大体バランスがとれて、変えない、そういうことはわかるのですが、その総合予算主義を採用して政府のやらんとしている目的は何ですか。
  188. 福田赳夫

    福田国務大臣 国政を年度が始まる前の段階において総合的に見て、そして総合的な施策を予算という形で整備しよう、こういうことがねらいの根底であります。また、その結果といたしまして、補正予算を組むというような事態が出てこない、こういうことだと思います。
  189. 田中昭二

    田中(昭)委員 財政硬直化ということばが、一昨年の終わりごろからでございますか、だいぶん言われてきたわけでございますが、政府が総合予算主義を言い出した最大のねらいというのは、財政硬直化の打開にあったのではないか、こう思うのです。その財政硬直化の解消の成果はどのようなものであったか。といいますのは、その財政硬直化打開のために政府がやろうとしたのは、国鉄の赤字解消、それから食管の赤字解消並びに国保の赤字解消を、受益者の負担という美名のもとに国民の負担にすりかえたにすぎないのではないか、こう思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
  190. 福田赳夫

    福田国務大臣 財政の硬直化と申しますのは、たとえば四十四年度の予算にもそういう傾向が非常に強いのでございますが、今度の予算、いま御審議願っておりますが、歳出の規模が九千億円ふえるわけです。これはずいぶんふえたような印象でございますが、実はそのうち約七千億円はいわゆる当然増という形の経費である。そうすると、いわゆる弾力的に考えられる政策費というものは二千億しかない、こういうような形になるわけです。  なぜであるか、こう申しますと、これはなかなか動かしがたい経費がだんだんとふえる。つまり、一番大きな問題は人件費、給与費がふえるものですからそれがふえるわけでございます。それから、それに伴いまして各会計、企業会計なんかが窮屈になる、それに対して政府がめんどうを見るという、いま御指摘の国鉄のような問題も出てくるわけであります。また物価が上がる、それに関連して公共料金、公定価格が上がるというような傾向、そういうものの一つとして生産者米価の問題があるわけです。生産者米価を上げれば、どうしてもそれが動かしがたい経費の増加となってあらわれてくる、そういうようなことをさしましてゆとりのない形の財政運営、これを硬直化傾向というふうに呼んでおるわけですが、何とかしてそういう傾向を打開していきたい、こういうことを考えたわけであります。これはもう総合予算主義だけで打開できるものじゃございません。しかし、総合予算主義というものが一つの大きな打開の手段であるということは、これをやってみて、まあそういう効果があったというふうに感じております。
  191. 田中昭二

    田中(昭)委員 その総合予算主義がもうくずれておるじゃないですか。それは総合予算主義だけでそういうものが解決できない。まあ福田さんは昨年の終わりごろから、補正なしの総合予算主義についてはあまり財政硬直化というようなことをおっしゃらない。しかし昨年、これは大蔵省も中心になって財政硬直化の声はたいへん高かったわけです。私、いま申し上げましたように、財政硬直化の打開そのものにどれだけ総合予算主義が成果を見たか、そういうことをお聞きしたわけでございます。自民党の主流派の人ですが、こういうことも言っておりますね。たとえば財政硬直化がいわれておるが、私もその財政硬直化は改善していかなければならないと思うが、その財政の硬直化は総合予算主義で、一ぺんつくった予算はもう変えないのだということだけでは解決するわけじゃない、財政の硬直化の根本原因の一つ政府機構の簡素化、行政能率の刷新、生産性向上によって、いわゆるチープガバメントをつくっていくことで解決できるように持っていかなければならない——そのようなことも言っておるのでございますが、そういうことも踏んまえての福田大蔵大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  192. 福田赳夫

    福田国務大臣 先ほど硬直化の傾向の中で私は人件費ということを申し上げたわけなんですが、これがいま財政を膨張させておる非常に大きな要因でございます。つまり官庁職員の数がだんだんと戦後ふえてまいりまして、今日に至っておるわけであります。これが行政機構問題とも大きな関係を持ってくるわけであります。政府はどうしてもこの行政機構の問題を解決したいという方針でございますが、これは人の問題がある。なかなか人の実質的な削減をはかる、これは容易ならざる問題でありますが、いま私は当面定員をふやさないばかりか、長期的にだんだんとこれを縮減していこう、こういう考え方をとっておるわけです。その前提といたしましては、どうしても官庁事務の整理をしなければならぬ、それからそれに伴いまして官庁の機構の簡素化もしなければならぬ。で、四十四年度の予算におきましても、そういう方向の努力を大いにいたしましたと同時に、新しい機構、御承知のように宇宙開発事業団、これは従来あったものの改組でございまするが、それをつくったというにとどめるということなど努力をいたしまして、まあとにかく官庁機構を簡素にし、安い政府ということで予算を合理化する、これが何といっても硬直化打開の第一の要因である、かように考えておるわけであります。
  193. 田中昭二

    田中(昭)委員 人件費の問題でございますが、それは四十三年度も予備費を大きく五百億も見積もりまして公務員の給与改定に処した、これはそうでございますね。いま言われますように、安い政府をつくるということがかねや太鼓で鳴りもの入りで——これは昨年だけ起こったものじゃないと思うのですね。いままで盛んにいわれてきましたけれども、昨年も一局削減とか、そういうようなことを政府は言いましたけれども、実際問題として局長の入れかえぐらいで終わってしまっている。そういう表面的な、できもしないようなことを言うこと自体がおかしいと思うのです。そういうことを言うから、官僚は官僚でまたいろいろな知恵を働かして——それは役人の中には遊んでおる役人もたくさんおりますよ。忙しい人手が足らぬために嘆いておる役人さんもたくさんおります。その点は大蔵大臣は税の関係もやってこられたし、わかっておると思うのです。  ただ、ここでそういうことをこの場限りでするというようなことでなく、また、行政機構の簡素化には関係法律というようなものにも、悪いところがあればメスを入れて、そしてその打開もしなければならない、また、その運用面については根本的にこれは改めなければならない。いわゆる行政の効率化ということが叫ばれておるのです。そういう意味で、ここでひとつこれを、このままいきましたならば、私はそれこそ財政の硬直化ということだけでは済まされない、こう思いますから、まずさしあたって、行政経費についてはひとつ総点検をやって、そうして切るべきは切り、すっきりしたところで国民のためのいわゆる財政硬直化の打開、こういうものをお考えないかどうか、お尋ねしたい。
  194. 福田赳夫

    福田国務大臣 まさにお話しのような心がまえで財政に取り組むべきだと思います。そういう方向で全力を尽くしたいと存じます。
  195. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういう方向の具体的なものをひとつお聞きしたいと思いますが……。
  196. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあ予算の編成にあたりまして、先ほど申し上げましたように定員はだんだんと縮減をしていく、また機構は増設はいたさない、そういうようなこと、また事務の能率ですね、これをあげていくということ、さようなことはさしあたりでき得ることかと存じますが、いろいろ作案いたしまして、できる限り努力をいたしてまいります。
  197. 田中昭二

    田中(昭)委員 次に、政府昭和四十四年度の税の自然増収は一体どのくらい見てあるのか。新聞報道なんかございますが、なかなか、いろいろ問題もあるようでございます。まあ、大臣の財政演説の中にも、いわゆる経済の高度成長を持続と、確信をもって述べられておりますが、その方針を踏まえての的確なる自然増収のその積算、基本的なものをあわせてお聞かせ願いたい。
  198. 福田赳夫

    福田国務大臣 経済成長率を一四・四%というふうに見ておるわけでございますが、この成長率を前提といたしまして自然増収を一兆二千億円と、かように見ております。
  199. 田中昭二

    田中(昭)委員 ただいま一兆二千億というお答えをいただいたわけでございますが、これは財政の責任者として、大蔵大臣として少し控え目の数字ではございませんか。ここだけのように私は感ずるのですが。すなわち昨年も四十三年度の予算編成にあたっては、当初九千五百億円程度の自然増収が計上されておりましたね。ところが、いわゆる四十三年度予算を編成されたその説明としまして、政府は「ファイナンス」の四十三年二月号にこういうことを書いております。「今後のわが国経済の成長はおのずから落ち着いたものとならざるをえないと考えられるので、年度途中において従来のような大幅な自然増収を期待することはできず、」先ほど大臣がおっしゃったとおりの趣旨のものであります。そういうようにいっておりますが、四十三年度の結果としまして、当初の九千五百億円をはるかに上回った、いわゆる一兆二千億ですかに近い自然増収を見たということ、このような事実を見てみますと、税収の見込み違いがあったということになるわけでございますが、本年も同じく高度経済成長を続けていくということになりますと、四十四年度も同じく大きな見込み違いが出るのではないか。その見込み違いが出るというのは、四十三年度の実績が四十四年度の見込み違いの裏づけのような気持ちが私はするのですが、これは間違いでしょうか、どうでしょうか。
  200. 福田赳夫

    福田国務大臣 四十三年度で自然増収が出ます。出ますが、これは経済成長が見込みを大幅に上回るということになりました、その影響を受けての増収でございます。四十四年度につきましては成長率を一四・四%と見る、そうすると、まあいろいろな角度から討討するのでございますけれども、まず一兆二千億円の自然増収、これは私は多からず少なからず、妥当な見方であろうと思う。  ただ問題は、この経済成長がまた狂ってくるかという問題なんですね。私ども考えとしましては、一七%をこえるというような昭和四十三年度のような成長、これは好ましくない形である、これをもう少し下げなければならぬ。実質でいいますれば一〇%以内、九・八%、ノミナルで一四・四、この形で経済を運営していきたいという政策をとりたいと思うのです。この成長率を進めていく、大きな狂いを起こさせないというための金融財政政策を展開していきたい、こういうふうに思いますので、ことしは何とかして成長率を、見通しておりますようなノミナルの一四・四%、ぴしっとそこまでいきますかどうかわかりませんけれども、大かたその辺でやり抜きたいものだなと考えておるのですが、そういうふうにいきますれば、この一兆二千億円という自然増収はまずまず間違いない、かたい見方である、かように考えております。
  201. 田中昭二

    田中(昭)委員 念のためにその一兆二千億の積算の基礎といいますか、それを簡単に……。
  202. 福田赳夫

    福田国務大臣 主税局長をして説明させます。
  203. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 概略を申し上げます。  ただいま大臣が御説明申し上げましたように、経済成長を一四・四%と見ておりますが、鉱工業生産は一五・五%ということでございます。法人税につきましては、これを課税年度ベースに引き直しまして、物価と鉱工業生産の相乗におきまして一八%の伸びという数字を求めております。それから所得税におきましては、源泉所得税について、賃金の上昇を一一%、雇用の増を三%と見まして、一四%の給与総額の増額というふうに見ております。これを基盤にいたしまして、その他、事業所得等につきましては、やはり同様に生産、物価の増を相乗いたしまして、営業について一四%、農業については三%、その他の事業について一五%という伸びを見込んでおります。  以上によりまして、あと消費税関係につきましては、それぞれ従来の実績等を勘案いたしまして、消費支出の伸びに対する傾向値をとりまして推計をいたしておるわけでございます。
  204. 田中昭二

    田中(昭)委員 まず、先ほど大臣のお答えになりましたことをもう一回私簡単に確認しておきます。確認ということは当てはまらないかもわかりませんが、私はしろうとでございますから……。  そうしますと、四十四年度は大幅な経済成長はしない、反対をとればですね。大体四十三年度もそういうことをおっしゃったんですね。先ほども読みましたように、年度途中においては大幅な自然増収は見込めない、ということは、経済成長がそんなに高度に進まないという裏づけでございますね、いまおっしゃったように。ですから、そうしますと、四十三年度は過ぎたことでございます。過ぎようとしております。いま大臣のおっしゃった、四十四年度は大幅な経済成長は絶対あり得ないということが一点ですね。そうなのか。  それから私がお聞きしておりましたのは、いま申し上げましたとおり、四十三年度当初、いわゆる一昨年の終わりから昨年の三月ごろまで、政府の機関誌によりますと、いま言うたように、税収は年度途中において上がらない、こう言っておるのですよ。ところが、それから三カ月、四カ月もしたら、三カ月目にはもう大幅な自然増収が出るということが租税収入からわかっておるのです。政府の見通しが二カ月か三カ月でそんなに狂うということを私はもう少し——これは見通しですから、それは違ってくるのはわかりますけれども、しかし、その段階において、もう少し責任のある——いわゆる租税収入がどんどん毎月入ってきて、わかっているのですから、それを見れば、当然、四十三年度の租税収入の状況から見ましても、自然増収はだいぶあるということになるわけですね。ですから、昭和四十三年に九千五百億の当初自然増収を計上しておったが、その自然増収の見積もりが、いわゆる年度途中において二千億も三千億も近いような自然増収が見込まれる、私はそこのところを聞いているのです、そこと経済成長の伸びとを。いま主税局長は、四十四年度の経済成長云々と、こう言われた。私が聞いているのは、もうちょっと手前なんです。そういうことを毎年言いながら、四十三年度もそうだったんだからというところが問題なんです。おわかりいただくでしょうか。その点、もう一回……。
  205. 福田赳夫

    福田国務大臣 昭和四十三年度ですね、これも今度補正予算の御審議をお願いしますが、二千四百億円税収見積もりがふえたわけです。その根っこにまた自然増収というやつがあるわけなんです。これはどういうことかと申しますと、一昨年の暮れあたり、学者あるいは経済の専門家、官庁筋、あらゆる方面で、来年、つまり昭和四十三年です。昨年のことですね。昨年の経済は一体どうなんだろうと、こういう見通しに対しましては、非常に控え目でございまして、七%ないし八%ぐらいの——これは実質です——成長だろうというのが大かたの見方であったわけです。それが実際は一二%をこえる成長である。ノミナルにして一七%をこえる。そういう結果になったわけでございますが、それに伴って自然増収も見込まれ、また見込まれたその上に、今度は補正財源になる自然増収まで出てくる。こういうふうな状態になったわけです。  それで、経済の見通しはとにかく毎年毎年やりますが、これが当たったためしというのがないのです。非常にまれなことであります。これは非常に残念なことでありますが、そういうことになってきておるのです。  来年、昭和四十四年度は一体どうなんだろうかということを考えてみますと、あるいは田中さんおっしゃるように一四・四%より上回った成長を、多少のことはあるかもしれない。しかし、場合によったら、それをまた切る成長になるかもしれない。ここの辺はちょっと的確なことは言えないわけです。成長が一四・四%にいかないケースがあるんだろうかというと、ないとも限らぬと思うんです。いま、私は多年経済のことをよく見ておりますが、ことしぐらい先行きの見通しのむずかしい年はないように思う。つまり、国際経済環境の見方がきわめて困難でありまして、これはだれもかれもがこの見方に戸惑っている、こういうような状態でございます。しかし、いずれ世界経済情勢がどういうふうな動きをするにいたしましても、日本経済は大体実質一〇%を割り、またノミナルで一四・四%、この程度の成長でもっていくように経済運営をしていきたい。世界経済が落ち込むというような事態がありますれば、何とか財政のてこ入れ手段を講じて、そして経済の成長を維持する。逆に国際経済の情勢が非常によろしい、貿易輸出も順調である、日本経済の伸びがどうも実質一〇%を上回りそうだというような形勢でありますれば、金融政策なんか少し控え目な政策、財政につきましてもそれに同調したような運営というようなことを試みながら、何とかしてその前後のところに日本経済を運営していきたい。そうすれば日本経済の好調がまた来年も再来年もという形になっていくんじゃないか。そういうねらいを込めて財政運営に当たっていきたい、そういう考えでございます。
  206. 田中昭二

    田中(昭)委員 その税収の問題は、いま大臣もおっしゃったように、いわゆる経済成長が思うよりもよかった、予想よりもよかったということによって、税金を取り過ぎていいという理論にはならぬと思うのですね。経済成長が当初予想よりもよかった。当初は、いろんな学者の意見もたいしたことなかった。ところが、それが実際よくなった。よくなったからといって税金をたいへん取り過ぎになるということは、これまた政治として私はどうだろうかと思うのですね。それを毎年繰り返すことになるわけですが、しかし、いま大臣のおっしゃったように、財政演説でもおっしゃっておるように、経済の高度成長持続、確信持ってあるということになれば、いまおっしゃったように、特別な落ち込みがない以上は一四・四%以上の経済成長ができる、こういうふうになった場合に、また四十四年度は一兆二千億よりもわずかでも税収が出る、こういうことになった場合に、私は、総合予算主義のたてまえからいっても、当然その自然増収になった部分はその年度中に減税すべきではないかと思いますが、そのいわゆる一兆二千億以上の自然増収があった場合に、減税なりに振り向けるという約束をいただきたい、こう思うのですが……。
  207. 福田赳夫

    福田国務大臣 本年度の実行をやってみまして、その結果自然増収が予算よりよけいに出たという際には、国債四千九百億円予定しておりますが、それを減額をする、そういう基本的な方針でいきたい、かように思っております。
  208. 田中昭二

    田中(昭)委員 それを減税というわけにはいきませんか。
  209. 福田赳夫

    福田国務大臣 減税問題は、ことしの自然増収がどうなった、それに伴って四十五年度の租税収入が一体どうなんだろうかということを踏んまえまして、そして減税方針をきめたい、こういうふうに考えます。いまのところは、課税最低限の問題、これは何とかして実行したいというふうに考えております。同時に、中堅所得階層以下の所得税につきましては、財政の状況これを許しますれば、これもまた実現をしたいというような腹がまえでございます。
  210. 田中昭二

    田中(昭)委員 国債を減額するということでございますから、それだけにとどめまして、税制の問題はまたあとで入っていきますから、お尋ねしていきたいと思いますが、大臣がおっしゃるように経済の高度成長が持続していきまして、だんだん将来国民所得もふえることは、私は、国民も望んでおることだと思うのです。ところが、そういうようにだんだん大きくなっていった場合に、政府は一体どのような長期的な税制体系をお持ちになっておるのか。現在のような課税最低限のアップ、税率の緩和等というような名目減税でお茶を濁すようなことでは、その経済の膨張にはついていけない、必ず行き詰まるのじゃないか、そういうふうに思うわけです。その壁に行き当たる前に、私は、政府として当然長期税制の体系を考えておかなければならないと思いますが、そのお考えがございますでしょうか。
  211. 福田赳夫

    福田国務大臣 まだ非常に長期にわたっての計画というものは構想を持っていないのです。税制調査会に長期税制方針というものを諮問いたしまして、その答申が昨年の夏提出されたわけで、これによりますると、まあ長期的には、課税最低限をさしあたり百万円まで持っていけて、それから中間階層以下の税率を思い切って引き下げなさい、こういう答申の内容になっております。それを受けまして、昭和四十四年度におきまして、その半分道中——両方ひっくるめると半分道中でしょうか、半分道中までいくわけです。課税最低限ですと、百万円というのを九十三万円までいくわけなんですね。それから税率調整のほうは、半分までいかぬで、四割道中までいく。六割方が残っておると、こういう状態になるわけです。これが長期答申といわれる答申でありますが、この線に沿って当面はやっていこう。  そのあとにおいてさらに税制をどうするかという問題があるわけです。これは直接税と間接税の割合を一体どういうふうな見方をしていくかという問題とか、あるいは直接税でも所得税の税率問題、これは大きな問題になってくると思います。それから法人税の根本的な考え方、どうするかというようなこと、いろいろ問題はありまするけれども、とにかくさしあたりは税制調査会が答申いたしました長期税制答申、これを尊重するということを基本のかまえとしてやっていきたいと思っています。
  212. 田中昭二

    田中(昭)委員 問題は、尊重しても、あんまりそのとおりやっていないんですね、結論だけ言えば。  次に、減税の問題について少しお尋ねしてみますが、昭和四十四年のこの減税の税制改革は、結果として国民の大きな失望をもたらしたのじゃないかと、こう思うのです。このような改正では、三十九年末に出されました基本的な租税制度のあり方の答申よりも、ずっとまだ低目の、劣った——劣っておると思うのです。理論的水準ははるかに後退したと、このように思われます。その後のいわゆる昨年の税制調査会の長期税制のあり方についての答申には、いまも大臣が言われたように、所得税の課税最低限の引き上げと、税率緩和を中心として引き続き所得税の減税を推進するというふうにいわれております。この長期税制の審議がなされた答申に今度の税制改革がどうしても沿っておらない、私はこう思うのですが、もう一回大臣の簡単なお答えでよろしゅうございますが、お願いしたい。
  213. 福田赳夫

    福田国務大臣 長期税制に関する税制調査会の答申は、実行の年限を示しておらぬわけであります。しかし、まあ大体二年ぐらいかなというような気がまえを込めての答申であったと感じ取っておるのであります。  それに対しまして政府がどのようにいたしておるかといいますと、問題の二つの点、第一点は課税最低限ですが、これは百万円というものを九十三万円までいくのですから、これはまあ六分どおりいった、こう見ていいと思うのです。ところが、逆に今度は税率調整のほうは、二年間でということに考えますと、四分どおりしかやっておりませんから、まあ六分は将来残っちゃうと、こういうふうなかっこうになります。私どもはその残されたものをどういうふうに実行するかといいますと、四十五年度税制改正において課税最低限百万円引き上げを実現したい。それから財政の需要にもよりまするが、できましたならば税率調整の残った部分もやってみたい、かように考えておる次第です。
  214. 田中昭二

    田中(昭)委員 昨年末でございましたか、減税か減債かというような問題がいろいろ論議されたわけですが、その後、所得税の減税がどうも減債のほうの犠牲になったような結果に終わったのじゃないか。いわゆる減債論が勝ったと、そういうふうにもいわれておりますが、その経過はどういうふうになったのか、簡単でけっこうですが……。結局そのことは、所得税減税は当初二千七、八百億ぐらいやりたい、こういうことが言われておりました。その後、さらに二千億に減り、また結果的には千五百三億と、そういうふうに値切られた結果でございますが、こういうことでは私ははなはだ不明朗だ。政府のやることには不信の念を持つのは私一人じゃないと思うのです。税の自然増収が一兆二千億と予想されるいま、わずか千五百三億というようなけちけち——世間ではけちけち減税とも言っておりますが、そのようなことでは、予想される総選挙対策としても、中堅所得層の減税の夢も失われたんではないか、このように思うのです。次の総裁候補ともいわれます福田大蔵大臣の見解をお伺いしたい。
  215. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま日本の財政を運営する上で非常に大事な問題は、公債政策を一体どういうふうに持っていくかということだろうと思います。昭和四十一年度から日本の財政に公債を取り入れたんですが、この公債政策というものは、その運営を非常に気をつけなければならぬ。つまり、この公債政策は、昭和四十年から始まった不況政策に対しまして立ち向かったわけでありますが、これはみごとにこの公債財政の結果克服できたわけであります。今日までその余勢を受けまして、好景気が続いておるわけでございまするけれども、景気のいいときにこそ公債の発行額を減らす、これが非常に大事な点だろう、こういうふうに考えておるわけなんでありまして、景気がとにかく四十四年度も引き続いてよさそうだ、一四・四%もの成長が見られる、この際に公債の減額をしないで、一体いつの日にか公債の減額ができるだろうか、こう考えざるを得ないのであります。そういう見地から、昭和四十四年度の財政運営にあたりまして、公債の減額をまず第一に考える、これはもう当然のことだろう、こういうふうに考えるのであります。  同時に、租税負担の問題が大きな問題になってきておる。一つは、従来の政府の公約ともいうべき課税最低限の問題です。それからもう一つの問題は、これはサラリーマンを中心にいたしました税率調整問題、この二つの問題にも取り組まなければならぬ。   〔中野(四)委員長代理退席、櫻内委員長代理着席〕 いずれをどうするか、こういう問題でありましたが、まあ一兆二千億円の自然増収に対して、九千億円を歳出に使い、残った三千億円を大体両者に均分して振り分ける、こういう方針にいたしたわけでありまして、乏しい財源の中で公債を減額して財政運営の筋も通す、同時に、国民負担の実情にも合うような措置をとった、こういう方針だったわけであります。
  216. 田中昭二

    田中(昭)委員 ここで税金の問題に入っていくわけですが、具体的に、大体この税金というのは、どのようにやって徴収され、納められていくのがいいんでしょうか。簡単に言えば、大臣として、税金はどのように徴収するのが一番いい姿なのか、抽象的でございますけれども、お答え願いたいと思います。
  217. 福田赳夫

    福田国務大臣 一つは公平という原則だろうと思います。重い、軽い、こういう問題を飛び越して公平でなければならぬ、こういう原則が一番大事なことだろうと思います。それからもう一つは、やはり能力に応じた負担ということができるだけ取り込まれておるという形の租税制度、これがいいのじゃないか。それから第三は、そういう原則を満たしながら、国民の負担感になるべく軽い感触を与える、こういう形がいいのじゃないか、まあそんなような感じがいたします。
  218. 田中昭二

    田中(昭)委員 その三つともなかなか実際は反対の方向が多いのが実情ではないかと思うのですね。世間でよくクロヨンとか、税金については酷税悪書とか、いろいろ世間の問題になっておりますが、結局それは、政府は毎年減税をやってくるわけですけれども、その減税のいわゆるよさといいますか、恩典といいますか、楽しみといいますか、そういうものを国民は敏感に受け取っていないように私は思うのです。大臣、いかがですか。減税の実感がないというわけですよ、国民は。
  219. 福田赳夫

    福田国務大臣 御説、私もそういう感じがしないでもないのです。つまり、いまの税制が相当累進度の激しい累進税制になっておる。ですから、給与が上がりましても、上がると高い税率にすぐ引っかかる、こういうような状態になりまして、さあ月給が上がった、しかし税金が高いというので、実収はさほどに上がっていないというようなことがあろうかと思いますが、しかし、よく計算してみると、減税にはなっておる、こういう状態が現状かと思います。
  220. 田中昭二

    田中(昭)委員 まあ減税になっていないのです、国民から見るところのものは。年に一〇%昇給した場合に、納税額はふえますよ、所得税でも。それで、そういう簡単な国民とのあれがほしいのじゃないかと私は思うのです。それはいろいろ名目減税だの、実質減税だのと、こういうふうに言われます。それじゃ一応大臣にお聞きしておきましょう、名目減税とか実質減税というのを。政府もそういうことばを使って言っておりますが、名目減税、実質減税というのはどういうことでございますか。簡単に……。
  221. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 名目減税、実質減税ということばは、いろいろ多義的でございまして、別に定義があるわけではないと思いますが、従来言われておりましたのは、減税をしても、減税後の収入額が前年よりもふえてしまうではないかということで、名目だけの減税である、税法上の減税をしただけで、実際には税が減らないという言い方をされた時代がございます。実質減税というのは、ほんとうに前年の実績よりも税が減るものでなければ実質減税ではないという言い方をされた時代がございますけれども、現在の所得税は累進課税でございますから、所得がふえれば税がふえているわけで、そのふえているものが減れば、これは明らかに減税なんでございまして、これは名目減税ではなくて、ほんとうの意味の実質減税であると思います。
  222. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういうことを言うから、机上の計算だと私は言いたいのです。ふえるものが減ったから減税だ、その結果は前年よりもふえておれば、何が減税ですか。それは見方でございますから、いろいろありましょうけれども、そういうように国民は思うのじゃないですか。毎年毎年税務署が調査に行って、順調にいっておれば、二割上げた、三割上げた、所得を三割上げれば、税制の弾性値も大きいから、五割も六割も税金が上がった、そのことにつきましては、いろんな問題があるのです。それは大臣も税金のことはタッチしておるのですから、知っておると思いますけれども、いままでが安かったから、これがあたりまえなんだ、そういうように第一線では言うのですね。それはそのとおりでございますけれども、それは別としまして、いま言うたように、給与が年に一〇%上がって、消費者物価が上がったものを見れば、そういうものを差し引いていけば明らかに税金は減らない。少しそういうことについてはお互い腹打ち割って話せるような減税がなされなければならない、私はこう思うのです。もう一回減税について、いろいろほかにたくさんありますから、簡単に大臣から伺いたい。
  223. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま日本の財政は、公債を発行しましてその収支の均衡をはかっておるという現状におきまして、減税をやるということは非常に困難な状態なんです。でありますが、経済成長なんかも非常に急速度で伸展いたしますので、その公債の減額ばかりにこだわっておるわけにもまいりません。お話しのような租税の負担感という問題もありますので、減税につきましては、これはねばり強くこれに取り組んでいく、こういう姿勢をとりたいと存じます。
  224. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう少し簡単に私も質問していきたいと思います。  現在国民は、現在の税金は大体高い、重い、こういうように思っておると思うのです。大臣、どうでございますか。
  225. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあそういう声が多いのですがね。この国際的な比較等をしてみますると、わが国の国民の租税負担というのは重いほうでございません。軽いほうでございます。ただ、一人当たりの国民所得がまだ世界で二十番目だなんだというような状態でございますものですから、先進諸国の中で租税の負担率が低いにもかかわらず、一人一人の国民への響きは諸外国よりはきつく出ておるのではあるまいか、そういうふうに思います。ですから、とにかく負担率が国際的に低いとはいいながら、減税にはさらにさらに努力をしなければならぬ、こういうふうな結論でございます。
  226. 田中昭二

    田中(昭)委員 租税負担率の外国との比較だけで税金が安いなんて言えないということは、私はここでいろいろ論議するまでもないと思うのです。そうじゃないですか。それを論議するのだったら、私はもう少し方向を変えてやらなければいけないと思うのです。そうじゃなくて、とにかく重税という声がある。そうしてそれが聞こえない。だけれど、数字の上においては外国よりも負担率が安いからそれで安いのだ、それで通せますか。終戦後いまくらい——税金の問題が不公平である、重いじゃないかというような声があるのを、それを大臣がそうでないというようなことを言われるのは、私、心外なのですが、どうですか、もう一回。
  227. 福田赳夫

    福田国務大臣 国際的に見ると高いほうではないという状態であるけれども、しかし一人一人の国民所得が低いものですから、したがって負担感は強く出ておる、こういう状態を踏んまえまして、減税にはさらにさらに努力をするという姿勢であるということを申し上げたわけであります。
  228. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうすると、負担率が重いのですから重税ですね。重税という感があるわけですね、重税感が。まあそれは国民所得の問題からいけば、もちろん一人当たりの実質国民所得の水準が先進諸国に追いついておりません。国民の実質的蓄積の水準というものも相当の格差がある。担税力というのは、そういう格差があれば同じに私は論じられないと思うのです。また税負担の不均衡が最近強く訴えられておるのですが、このような国民の税負担の水準を、いわゆる国民の納税協力の程度を無視して決定することは不可能であると思うのです。将来の税負担については、私は租税負担率だけでもって比較することは適当でない、こう思うのです。  そこで、私が、昨年三月でございましたが、本会議で総理に党を代表して質問いたしました。そのときに、総理のお答えは、冒頭に日本の税金はたいへん軽く課しております。もう一ぺん申し上げます。日本の税金はたいへん軽く課しております。確信を持っております。——こういう発言をなさったのです。私はこれは、いまの大臣が持っている重税感と、この総理のたいへん安く課税しておるという感覚とは、どうも違うのじゃないか、こういうように思いますが、いかがでしょうか。
  229. 福田赳夫

    福田国務大臣 おそらく総理も、そう言われたのは、課税負担率が国際的に見れば低いのだ、こういうことじゃないかと思います。国民の声として租税負担感が一人一人には非常にきつく出ているということは、よく御承知のはずでございます。
  230. 田中昭二

    田中(昭)委員 同じようなことを繰り返しますが、結局、たとえばいまの総理の言われたことを、国民の前に行って話せますか。私も一、二税務の経験もありますし、税務署に行ってもいろいろ話してみます。そういうことが言えるのですかというのが、ほんとうの国民の気持ちです。日本の税金がたいへん軽いなんて言ったら、もうはなはだ不見識な者というふうに反響がはね返ってくるのです。これはほんとうにたいへんな問題だと思うのです。  じゃ、大臣がおっしゃるように、租税負担率で、税金が高くない、高くないということは安いということですから、安いと思う税金はどういう税金がございますか。
  231. 福田赳夫

    福田国務大臣 直接税、間接税、大体六、三の割合ですね。これはまあ大体諸外国もそんなようなかっこうをとっているところが多いのですから、全体としてわが国の一人当たりの租税負担というものは二〇%くらいになりましょうか。先進国は大体三〇%までぐらいにいっておりますから、低いというふうに言えるのです。ただ、それであるから、負担が一人一人の国民にどういうふうにかかってくるかということ、その負担感の実感は別です。というのは、これは所得と非常に深い関係を持つわけでございますから、一人当たりの所得の低いわが国におきましては、負担感はかなりきつく響いてくる、こういうふうに見ておるのであります。
  232. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は安い税金はどういうものですか、こう言ったのですが、それではちょっとわかりにくいですね。  そこで、もう一つ最近の例で申し上げますと、給与所得税が高い高いというようなことで、あるところでアンケートをつくっておりましたね。そのアンケートによりますと、みんな高いと言っているのです。国会議員が、自民党の代議士さんが全部高いと言っているのですよ、回答したものには。全部ですよ、回答しなかったものを除けばです。みんなが、サラリーマンの税金は不公平だ——高いということよりも不公平だということだと思うのです。そういうことを踏んまえて、いまのように負担率が安いから安いんだというようなことで、大臣、どうでございますか。そのアンケートによりましても、全部の国会議員がサラリーマンの税金は高い、重い、不公平だと言っているのですよ。どうでしょう。
  233. 福田赳夫

    福田国務大臣 サラリーマンといわず、中堅階層以下の所得者、これに問題があるのだろうと思うのです。つまり最近の租税政策というか、減税、これが課税最低限にずっと寄り添ってきたわけであります。課税最低限の引き上げということを中心にしてやってきた。税率の調整というものが行なわれなかったわけですね。だもんですから、さあ九十三万円以下の人は全然税がかからないわ、今度はそれをこえた人は急に税がかかって、しかもそのかかる税は累進的に非常に高くなっていく、そこに一つの問題がある、こういうふうに見ておるわけであります。  それからもう一つの問題は、今度はサラリーマンに特有な問題でありますが、源泉徴収ですね、これで天引きをされておる。これが一体申告納税をしておる所得者に比べてどんなものだろうという問題。それからまた、サラリーマンに特有な問題でありますけれども、申告所得につきましては経費の控除がある。それが給与所得者においては非常に何というか軽微である、こういう問題ですね。これらの問題が結集いたしまして、いわゆるクロヨンとかそういう声になっておる、こういうふうに見ておるのであります。これらの点につきましては是正しなければならぬ。それで四十四年度の税制改正でもそれに手をつけている、こういう次第でございます。
  234. 田中昭二

    田中(昭)委員 この問題はもう少しいろいろ申し上げてみたいと思いますが、時間もございませんから、一応給与所得者については重税感があるということは大臣もお認めになりますね。——それならいいと思います。大臣が大体どのくらいの所得で、どのくらい税金を納めておるのか御存じであるか。それは大蔵大臣だから御存じであると思いますけれども、そういう面から入っていきたいと思っておりますけれども、これはやめます。  次は税金にまつわる問題——いままではいろいろな暗いニュース、それから困難な問題だということばかりでした。税金というものについては、その仕事をする人はほんとうに一方ならぬ苦労をしておる。そして集まった税金はむだに使われているというようなことがございまして、それはむだに使われていることはいろいろな議論になりますから除きまして、この税金が終戦後シャウプ税制によって申告制度をとってきた、それで経済も成長し、ずっと税金が納められてきたわけでございますが、私は最近ほんとうに税についてうるわしい話を聞いて喜んでおるのです。これは税務行政の上からも画期的なる壮挙ではないか。  そこで、ここでその内容を少しお話ししてみるわけですが、このことにつきまして、ある週刊誌にこういう見出しが載っているのです。「日本でただ一人納税者に人気のある税務署長」それは申告を信用して成績をあげた河手東淀川税務署長、こういうような見出しなのです。私も非常にこれに興味を持ちまして、驚きとともに関心を持って、さっそく現地にも行って、当の署長さんにも会ってみますと、署長さんをはじめ幹部の方、また納税協会の幹部にも会ってみますと、大体そこに報道されたとおりなんです。河手署長さんをはじめ皆さんりっぱな方ばかりです。その熱意と意思と行動にはほんとうに敬服し、称賛されなければならないものだ、こう思って感心してきたわけです。では、そういうことが行なわれております根本は何かと言いますと、いままでの税務署の行き方と違ってまるきり反対で、一口に言えば、指導はすれども調査はせず、そういう大原則が打ち立てられておるのです。この指導はすれども調査はせずということについてはあとで問題にしたいと思いますが、この方針でいけば、税務署と納税者との相互信頼が生まれて、そして民主的な税務行政が行なわれておりますそのさまを見まして、私は感心したわけでございますが、この事実を大臣並びに長官は知っておられるかどうか。知っておるか知らないかだけでけっこうですから……。
  235. 福田赳夫

    福田国務大臣 私はちょっと耳にしただけで、中身のほどは詳細には存じませんです。
  236. 亀徳正之

    ○亀徳政府委員 私はいまおっしゃいました週刊誌も読んでおりますし、また河手署長を非常によく知っております。
  237. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、そういうことはちょっと知っておってもらっちゃ困るのですね、よく知ってもらわなければ。大事な問題でしょう。いままでできなかったことを——それはほんとうに一ぺん行って見ていただきたいですね。りっぱないわゆる納税に対するあれが生まれておるのです。そういう段階まできたことは河手署長さんをはじめ関係者がたいへん御苦労された、たいへんなものであったと私も人一倍その苦労と喜びがわかるのであります。  そこで、このような納税者の自主的動きによって税務署の横に大きな納税協会というのができておるわけですが、この納税協会が納税者だけの負担によってされておるのですね。そういうものは私は政府並びに税務官庁ももう少し進んでバックアップしてやるべきじゃないか、こう思うのですが、そういう方向に行くべきであるかどうかだけでけっこうですから……。
  238. 福田赳夫

    福田国務大臣 いいことはもう大いに助長するようにいたします。
  239. 亀徳正之

    ○亀徳政府委員 お答えいたします。  先ほど実はその事実を知っているかというだけの御質問で、とどめておきましたが、まあせっかくの機会でちょっとふえんして答弁さしていただきたいと思います。(田中(昭)委員「そのうち聞きますからいいですよ」と呼ぶ)  まあしかし、調査は全くしないというのも若干誤解があるように思います。主としてやはり自主申告を尊重する、そういう考え方は、従来私どもも十分徹底して説いているところでございます。  それから、ただいまの御質問でございますが、納税協会が自主的にできましたことは私もよく承知いたしております。ただ、現在ほかには青色申告会とかいろいろあるわけでございますが、こういった自主的な団体にすぐ、では補助金をやるかどうかということは、私やはり別問題ではなかろうか。先ほどの御引用になりました「週刊現代」の中で署長も実は言っておりますように、この協会が単なる御用的な組合ではなくして野党的なもの、ほんとうに納税者の気持ちを代表するものというものに育つべきだ、そういうふうなことを署長も言っておりますが、したがって補助金その他を出すという必要はないと考えております。
  240. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣は、いいものはどんどん育てろ、そうですね。いま長官は、もう単刀直入に、自分のほうから補助金はやれない。私はそういうことを聞いているんじゃないのです。いいものは税務官庁が進んでやるべきじゃないですか。いままでどういうことをやってきたか。節税のPRにしろ、税金のことについては五の日に納税相談日を設けた、そのぐらいで、てれっとしておる。もう少し進んで税金のことについては税務官庁がやってはどうか。補助金をやりなさいなんかまだ私は言うてないのです。もういいです。  もう時間がありませんから次に移りますが、そこに納税者と税務当局との対話——大臣よく聞いてください。納税者と税務当局の対話と指導連絡がなされていくのです、納税協会で。そこで、スムーズに自主申告制度というのが発展していく、こういうことになりますね。これは東淀川税務署だけでなく、全国的にこういう姿をつくっていかなければならない。税務行政は私はそのようにいかなければならない、こう思うのです。ですから大臣にもう一回、そういう東淀川税務署だけじゃない、そういうことは積極的に全国的に広めていきたい、そういう意思があるかないか。また、いいことだったらそういうことをそれじゃしていこうという約束をいただきたいと思うのです。
  241. 福田赳夫

    福田国務大臣 よいことは積極的に大いに助長いたします。
  242. 田中昭二

    田中(昭)委員 次に、報道されておること並びに私が会っていろいろ確認してみたことに少し触れてみたいと思うのです。  これから本論でございますが、河手署長さんはこういうことを言っております。新庁舎落成のときでございましたか、「調査を主体にしたこれまでの税務行政をやめて、事前指導に重点をおきます。」——大臣、ここは大事なところですからはっきりしておいてください。調査を主体にしたこれまでの税務行政をやめて、事前指導に重点をおき、あくまでも本人の申告を信ずる立場でいきます。これは当然のことですけれども、これがなかなかいままで行なわれなかったのですね。そうでしょう。かりに——ここがまた署長の話ですよ。かりに申告にミスがあっても、更正決定をするのではなく修正申告を出してもらい、その過少申告加算税という余分な税金はとりません、と言っておられる。これこそ私は、税法に暗い善良なる納税者の立場に立ったあたたかい思いやりのある税務行政であると思います。こういう行き方であるべきだと思いますが、いかがでしょうか。わからなければ何べんでも読みます。どうぞ大臣……。
  243. 福田赳夫

    福田国務大臣 まず長官にお答えさせます。
  244. 亀徳正之

    ○亀徳政府委員 お答え申し上げます。もちろんこれは御存じのとおりに現在申告納税制度でございまして、やはり納税者の方が御自身で税金を計算して正しく申告していただくということが基本でございます。したがって私たちも、一人でもまじめな納税者がふえて、それだけ調査のほうはほんとうに脱税するところに全力をあげるという体制にいたしたい、なってもらいたい、こう考えております。ただ同時に、私もいつも言っておることでございますが、やはり一人でもまじめな、少なくとも重箱のすみをつつくようなことをして税務署から顔を向けるようなことのないように、少々の間違いでそこをいじめるというようなことはやっていけないということをかねがね言っております。まさにこの河手署長のやり方は、私がいま申し上げたような気持ちを地で行っている例だ、かように考えております。
  245. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、大体わかっていただいたようでございますが、この河手署長さんはこういうようにも言っております。余分な税金は払わないでよいということを明確にして、そして税務官庁側からいままでにない、ほんとうの親切な態度を示すことが大事である。そこで先ほど言いました調査すれども指導であるという立場に立って、いわゆる多少の増差額が出ても、申告して調査しますけれども、それを指導と見るというのですね。そして多少の税額がふえても過少申告加算税は徴収しない、そういう方針で納税者の自主申告を尊重してやるのですが、これはこれでいいのですね。
  246. 福田赳夫

    福田国務大臣 税法にきめられておるとおり適正に申告がされる、こういうことであればもうそれでけっこうな話でございます。これが違っているということになれば問題です。  それで、結局いま私はまだ詳細なことは存じませんと申し上げたのですが、いま田中さんからお聞きしたところでは、この署長の考え方は、とにかく税法にきめられた適切な額、つまり多からず少なからず適切な額、これを快く皆さんに協力してもらいたい、税務署としては愛される税務署になりたい、そういう気持ちから出ておるのだろうと思います。そういう気持ちでこの税務の執行に当たる、これは私は非常に大事なことであろう、こういうふうに思います。その大事な精神、これは私は他の税務署にも推し広めていくべきものである、かように考えます。
  247. 田中昭二

    田中(昭)委員 その精神は、いまずっと私とうとうと述べて確認していただいたわけなんですね。税法の規定どおりに——それでは税法の規定どおりとはどういうことでございますかと、それをまた聞きますと長くなりますが、いま言いましたように、善良な納税者は税法というのを詳しく知らないのですから、申告してかりにそれにミスがあっても、更正決定でなくて、進んで申告を出してもらって、そのかわりにその余分な税金はつけないで、そうして指導していく。いわゆる指導ということはそういうふうにやるんだ、こういうのですよ。ですから、過少申告、いわゆるそういう余分な税金を取らないということにいってもらいたいのです。
  248. 亀徳正之

    ○亀徳政府委員 お答えいたします。  先ほどの指導すれども調査はせずという意味なり中身でございますが、やはり私が先ほど申しました点は、納税者の方がいろいろ税法を知らないという点での、率直にいってミスがございます。そういうときには、さあすぐ更正だというようなことはとりませんで、やはり修正申告をしていただくということもございます。しかし同時に、私この際申し上げたいことは、残念ながらやはりなかなか帳簿は表面上きれいになっておりましても、実は相当所得を隠しておられる方もございまして、やはり私は先ほど大臣おっしゃいましたように、税の一番大切なことは公平さをいかにして保つかということでございまして、その面では当然やはり調査をせざるを得ない。また同時に、先ほどの河手署長も調査を全くしない、こういうことを言っているわけではございませんで、極力軽微なもの、そういう税法を知らないという人たちに対しては極力指導的な立場で処理するということを言っておるのでございまして、その点は私も全く同じ気持ちでやっておるということをお答えいたします。
  249. 田中昭二

    田中(昭)委員 少し実務のことから離れて長官大臣もお話しになっているから、どうもこうぴんと私の要求するものにこないのじゃないか、こう私は思うのですが、先ほど大臣もおっしゃったように、そういう方向でいくことはよろしい、もうりっぱなことだ、こういう意味だと思うのです。  そこで、いま長官も言いましたが、調査はするというのですそれは。調査はしますよ。調査はするけれども、その調査というのは、いままでのようないわゆる増差が出たからぱっと更正決定するというような調査じゃなくて、それを指導と見るというのです。   〔櫻内委員長代理退席、中野(四)委員長代理着席〕 指導はすれども調査はせずということは、もう河手署長が言明しているのですから、そういうことを言った趣旨をよく考えると、いま言うたようになるのです。調査には行きますというのです。だけれども、指導的立場に立ってやる。こういうことまで言われましたですよ。いろんな節税の——まあ脱税とは言われませんけれども、節税の、税金の減る方法はうんと教えます、その上でりっぱな調査をして、そしてそういう余分な税金は取りません、こういうふうに言うのですよ。私は実地に行って署長と二時間話しているのです。それで現実に加算税を取らないような行き方でいっておるから、納税協会も協力して、すばらしい状態ができているのですから、もう少しはっきりそういうところはしてもらいたいと思うのですね。  とにかくそういう余分な税金はなるだけ納めてもらわなくてもいいように、いわゆる指導的立場に立っていくべきである。それは東淀川税務署だけではない、全国の税務署がそのような方向でいくべきであるということは大臣お約束できますね、そういう方向でいくこと。
  250. 福田赳夫

    福田国務大臣 指導的立場、これを中心にして税務行政を行なう、これはもう私は非常にけっこうな行き方である、そう思います。これはもう全国に推し広めて決して間違った方向じゃなし、むしろこれを奨励すべき方向である、かように考えます。
  251. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、そういうような余分な税金は、指導するという立場ならば取らなくていい、こういうように理解してようございますね。
  252. 福田赳夫

    福田国務大臣 そういう一々のことになりますと、不幸にしてたいへん欲の深い人がおりまして、計画的に大脱税を企てるというようなケースですね、その場合においても犯則は適用ないんだというようなことはないと思うのです。そういう異例の場合は別ですから、その点はひとつ御了解くださいますれば、あとは全部私は大賛成でございます。
  253. 田中昭二

    田中(昭)委員 確かに大臣のいまのお話で私よくわかりました。もう一ぺん念を押しておきますが、確かに東淀川税務署も昨年ですか調査しまして、三百件調査したというのですね。その中の八十一件は重加算税までつけてやったというのです、一罰百戒ではっきりさせるために。あとの残りは全部そういう余分な税金は取らなかった、こういう結果になっているのです。私はいまそういうように大臣からお答えいただきましたから、また欲ばって言うわけではございませんけれども、一部だけそういうようにすることはまた不公平になります。やるならば全般的にやらなければいけない。  そこで、これはちょっとむずかしい問題かもしれませんが、昭和四十三年度の税収は、給与所得も申告所得税も当初の見込みをはるかにオーバーしましたですね。十二月末で、ここにございますが、もう相当な伸びでございます。申告所得税で、十二月末で大体二千二百十八億円ですか。そうしますと、前年同期の収入割合で見てみますと、申告所得税だけで二百三十三億超過しているのです。ですから、いわゆるこれは取り過ぎということばを言いますとおきらいになると思いますけれども現実にそのように二百三十三億超過しております。十二月でございますから、今後一月、二月、三月と確定申告を迎えれば相当な税の増収が見込まれる。このような税収の好調なときでありますし、昭和四十三年度分については、指導をすれども調査せずというようなことを全般的に広げまして、申告納税の趣旨を尊重していくならば、具体的には全国の申告所得税を一応申告是認というような、正しい申告がなされたというものについてはそのまま受け付けてやっても、私は国家財政にもそう不慮のことも起こらないし、またそのことによって納税者はほんとうに税務署を信用しますよ。そういう納脱者を信用して申告是認をするような方向に持っていけば、私は今後納税に対する考え方が変わってくると思うのです。そういうことを考えますと、このすばらしい東淀川税務署の成果を無にしてはならない。もうこの成果を、いまの時をはずしてはないと私は思うのです。ちょうど確定申告を間近に控えて一番いいチャンスだと思うのです。ですから、そういうことを不公平にならないように、ひとつ大臣なり長官の、国民にひとつ明快なる約束か、そういう方向でいくとかいうようなお答えをいただきたい、こう思うのです。
  254. 亀徳正之

    ○亀徳政府委員 お答えいたします。  先ほど来私たち立場を申し上げておりますが、河手署長のこの記事があって、いままで全然なかったことを国税庁がこの記事で急に変えるというような話ではございませんで、先ほど来私申し上げましたように、やはり軽微な、税法を知らないという人を一々さまつなことで責め立てるというようなことはやるべきではない。そういう方には指導的立場を、同時に意図して脱税している人、おかしいところはあくまでも調査の手をゆるめず徹底的に調査する。また、やるということがほんとうに国民の期待に沿う道だ。したがって、そういう意味では、私、従来どおりの方針を引き継いでやっていく。また同時に、河手署長は従来の私の気持ちを十分引き継いでやってもらっているものと了解いたしております。
  255. 福田赳夫

    福田国務大臣 長官から申し上げたとおり、これは愛される税務署ということになると、調査はします、しますが、あくまで指導的立場の調査をする、こういうことはもう全国に広めていいことだと思います。ただ、公正ということは期さなければならぬから、悪質なものとかいうものについてこれを容赦する、そういうことに相なりますればまたこれはたいへんなことだ、かように考えます。
  256. 田中昭二

    田中(昭)委員 長官のいま言われたことは、まだ実際のことを考えてないのですね。私は調査をするなとは一ぺんも言うてないのです。調査はしてよろしいというのです。だけれども、指導的立場に立つならば、余分な税金は納めぬでいいような、納税者の自主申告、納税協力なり、そういう素地をつくることはいいことだと、もう先ほどから確認済みなんです。そうでしょう。いま大臣もおっしゃったように、長官の言うたとおりだと、こうなるとまた話が逆戻りしてくるのです。長官が言ったことも間違いじゃないです。それは調査をするということはひとつも間違いじゃない。ところが、悪質な脱税を除いてはそういう余分な税金を取らないようにすることは、東淀川税務署のようにほんとうの税務行政がいくような方向にいっておるのですから、そういうふうにいきなさい。東淀川税務署だけいままでと変わったことをしたのじゃないと、そんな答弁なんですね。そうじゃないじゃないですか。東淀川税務署は、いままでも日本全国にただひとり変わった行き方をしているじゃないですか。それを局長のお墨つきをもらって、署長は週刊誌にいろいろなことを書いてありますよ。署長は、自分はこれがうまいぐあいにいかなかったら処分される、定年前に首切られる、そういうかまえでいって、自分の一生をなげうって、署長は署長の権限においてやっているのです。お墨つきをもらった——法律によって行政をやるのに、どうしてお墨つきとかそういうものが出せますか。そういうことには私は触れないで言っているのです。余分な税金を納めぬでいいという方向にいくならばそれがいいと、こう言っているわけですよ。それを、それじゃ法律に基づいて行政を行なう場合に、一部分のところが、局長か何か知らぬけれども、お墨つきをもらって、そこだけ不公平な行政が行なわれていいですか。そういうことをやっておることを私はいまとやかく言っているのではない。  私、つい声が大きくなりましたけれども大臣、どうか先ほど長官が言われたのは、何も東淀川税務署だけ別なことをやっておるのじゃない、いままでどおりでいいと、こう言われるのです。それは調査をすることはいいことなんです。やはり調査しなければいけません。だけれども、いわゆる善意な、知らない納税者については余分な税金は取らぬでいいということ、そこをはっきりしたほうがいいのじゃないですか。それを隠れてこそこそやるようなことはいけないじゃないですか。
  257. 福田赳夫

    福田国務大臣 きょうは田中さんからたいへんいいことを拝聴したわけです。そこで、せっかくのお話でございますので、この署長のやっておることを特別によく取り調べてみまして、どうもいいことをやっておるらしいお話でございまするが、そのいいところを全国に伸ばすというふうにしたいと思います。ありがとうございました。
  258. 田中昭二

    田中(昭)委員 さっきからきまっておるのですよ、そういういい方向でいっておるのは。実際税務行政の中では、いま私が言いましたように、三百件調査して悪質なものの八十一件は重加算税を取ってやっておるのです。それはいいことなんです。そのほかのことについては、いま何回も言いましたように、そういう方向でやっておる。  この論議だけしておりましても時間がきてしまいますから、先ほどからお答えいただきたいように、そういう余分な税金は取らないように、いわゆる調査はするけれども指導という立場に立つのだ。これだけ確認しておきたい。  それで次に移るわけでございますが、給与所得の源泉徴収制度が現在の所得税改正問題のキーポイントになっておるということは確かです。昭和十五年に、戦争財政の必要に基づいて、アメリカやイギリスよりもいち早く日本に導入されたこの制度は、要するに税務当局の負担を減らすために、事業主が勤労所得者に対する徴税を代行するという制度であったが、この制度が戦後もそのまま続けられております。そして、現在ではこの制度が憲法に違反するものであるというような訴訟まで起こされて、国民の不信を買っておる。その根底には、この制度が他の所得者との負担の公平、不合理がある、このようにいわれておる。政府はこのような税制を改正する意思があるかどうかお伺いしたい。また、この改正がなければ、日本の戦後は終わらないと言う人もおるのです。どうでしょうか。
  259. 福田赳夫

    福田国務大臣 先ほど私は、租税について、一つは公平でなければならぬ、一つは負担感がなるべく軽いということを申し上げたわけですが、いまの源泉徴収の制度、これは役所にとりましても非常に便利な行き方でございまするけれども、納税者にとりましても、つまり給与所得者にとりましても、わりあいに負担感なしに納税行為を行ない得る、こういうふうに見られるのでありまして、そういう特徴を持った制度でございまするから、これを廃止するというよりは、むしろこれをますます改善し、伸ばしていくという方向の考え方のほうがよかろうと思います。  これがいろいろ批判をされるのは、申告所得との関係がどうもバランスがとれてない、こういうことでございますが、申告所得のほうでも、青色申告というようなことで、着実に、法に定められておるとおりに納税しておる人がだんだんとふえてまいっておるわけでありまして、むしろ申告所得のほうの適正納税ということこそ推し進めるべきじゃないか、ただいまはそういう考えを持つおります。
  260. 田中昭二

    田中(昭)委員 もうだいぶん時間が過ぎて、質問するものが全然残っております。ですから簡単に私のほうからも総括的に申し上げておきます。  まず、去年は酒税がだいぶ税収が少なかったようでございます。その中で特に日本のビールは税率が高いようでございます。御存じのとおり日本が五二・八%、アメリカが一〇・一%、イギリスでも三五・七%、西ドイツでも一五%、日本だけが五二、八%。これは少しビールの税金を下げて、いま百二十七円でございますが、ひとつ百円ぐらいにしますと、計算もしやすいし、そして、ビール会社も損しないように、小売り業者が一円ぐらいもうかるように、大体三十円ぐらいで三〇・八%ぐらいですか、の税率にすればそのような計算になるようでございます。どうですか。ほかの酒の税金もいろいろ高いのですが、ビールについて税率を下げようということは大臣いかがでしょうか。
  261. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいまそういう考えは持っておりません。私は間接税の何かいいものはないかと思っているのです。そして間接税を増徴して、直接税、ことにいままで御指摘のような中堅階層の所得税を軽減してみたいというふうに思っておるわけで、ビール一本百三十円、これはいいコーヒーなら一ぱい分です。そう高い値段でもないように思うのですが、ただいま減税の考えは持ち合わせません。
  262. 田中昭二

    田中(昭)委員 最後になりますが、日本はとにかく先進国に比べて国民所得も少ないし、また蓄積等も少ないのですが、中小所得者の租税負担率がきわめて重くなっております。物価上昇による事実上の増税を調整するための調整減税が必要になってくるのは当然でありますが、それに加えて中小所得者の実質減税が必要になってくるのでありますが、この理論からすれば、政府の減税政策は、調整減税はおろか、実質減税もなされないというありさまです。四十五年に実施する百万円の課税最低限のアップは実質の伴わない減税といわざるを得ないのです。  そこで、現行の税制、社会体制から見て、税負担を軽減するためには、わが党が言っております課税最低限を百三十万円まで引き上げるべきだ、こう思うのです。そうして、大臣がいつもおっしゃる、国民に貯蓄のゆとりを持たせ、国民の生活基盤を安定させたほうが、今後の政府経済政策を遂行させる上からも得策ではないかと思うのですが、政府にそのようなお考えはないのでしょうか。
  263. 福田赳夫

    福田国務大臣 課税最低限につきましては、政府が公約いたしておりますとおり、四十五年度において百万円までこれを引き上げるという考えでありますが、さあその後においてそれ以上引き上げて百三十万円まで持っていきますかどうか。これは最近の租税論議の傾向から見ますると、むしろそれよりは税率の調整のほうへ向かっていったらいいんじゃあるまいか、こういう感じがしてならないのであります。私も、先ほど田中さんがおっしゃるように、百万円の目標が到達されたら、さらに課税最低限を百十万円、百二十万円、こういうふうな感じを持っておったのです。ところが、最近の国民の感情なんかを考えてみますると、税率を引き下げる、こっちのほうへ努力の中心を転換していくというほうがいいんじゃないか、こういう感じを持っております。公明党のほうでは、課税最低限百三十万円ということをおっしゃっておりますが、最近の情勢からごらんになられて、ひとつ御検討をお願いし、また御意見もお聞かせ願いたい、かように考えます。
  264. 中野四郎

    ○中野(四)委員長代理 これにて田中君の質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  265. 中野四郎

    ○中野(四)委員長代理 この際、公聴会の公述人の件について御報告いたします。  公述人の人選等につきましては、さきに委員長に一任願っておりましたが、理事との協議により、次のとおり決定いたしました。  すなわち、二月二十一日金曜日午前十時より意見を聴取する公述人の方は、公社債引受協会会長湊守篤君、沖繩県祖国復帰協議会議長喜屋武眞榮君、また、同日午後一時三十分より意見を聴取する公述人の方は、東京工業大学教授矢島鈞次君、東京外国語大学助教授川崎寅雄君、二月二十二日土曜日午前十時より意見を聴取する公述人の方は、慶応義塾大学教授大熊一郎君、武蔵大学教授佐藤進君の六君に決定いたしましたので、以上御報告申し上げます。  明後十七日は、午前九時四十分より委員会を開会し、村山喜一君、唐橋東君、中村重光君、神田大作君の一般質疑を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会