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1969-05-30 第61回国会 衆議院 本会議 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年五月三十日(金曜日)     —————————————  議事日程 第三十三号   昭和四十四年五月三十日    午後二時開議  第一 都市開発法案内閣提出参議院送  付)  第二 太平洋諸島信託統治地域に関する日本国  とアメリカ合衆国との間の協定締結について  承認を求めるの件     …………………………………   一 国務大臣の演説(観光基本法に基づく昭    和四十三年度年次報告及び昭和四十四年度    観光政策について)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  本日の議事における発言時間は趣旨弁明につい   ては十五分質疑答弁討論その他については十   分とするの動議園田直君外二十六名提出)  建設委員長始関伊平解任決議案柳田秀一君   外六名提出)   質疑終局動議園田直君外二十六名提出)   討論終局動議園田直君外二十六名提出)  日程第一 都市開発法案内閣提出参議院   送付)   質疑終局動議園田直君外二十六名提出)   討論終局動議園田直君外二十六名提出)  外務委員長北澤直吉解任決議案柳田秀一君   外六名提出)   質疑終局動議園田直君外二十六名提出)   討論終局動議園田直君外二十六名提出)  日程第二 太平洋諸島信託統治地域に関する日   本国とアメリカ合衆国との間の協定締結に   ついて承認を求めるの件     午後二時六分開議
  2. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) これより会議を開きます。      ————◇—————  本日の議事における発言時間は趣旨弁明については十五分質疑答弁討論その他については十分とするの動議園田直君外二十六名提出
  3. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 園田直君外二十六名から、本日の議事における発言時間は趣旨弁明については十五分質疑答弁討論その他については十分とするの動議提出されました。  本動議記名投票をもって採決いたします。  本動議賛成諸君白票、反対の諸君青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖
  4. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名点呼〕   〔各員投票
  5. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣——開鎖。   〔議場開鎖
  6. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  7. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 三百五   可とする者(白票)       百七十八   否とする者(青票)       百二十七
  8. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 右の結果、本日の議事における発言時間は、趣旨弁明については十五分、質疑答弁討論その他については十分とするに決しました。     —————————————  園田直君外二十六名提出発言時間制限動議を可とする議員氏名       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       阿部 喜元君    相川 勝六君       青木 正久君    赤城 宗徳君       赤澤 正道君    天野 光晴君       荒舩清十郎君    有田 喜一君       井原 岸高君    池田 清志君       上村千一郎君    臼井 莊一君       内田 常雄君    浦野 幸男君       江崎 真澄君    遠藤 三郎君       小川 半次君    小澤 太郎君       小沢 辰男君    小渕 恵三君       大石 八治君    大久保武雄君       大竹 太郎君    大坪 保雄君       大野  明君    大橋 武夫君       大平 正芳君    大村 襄治君       岡崎 英城君    岡本  茂君       加藤常太郎君    加藤 六月君       海部 俊樹君    桂木 鉄夫君       金丸  信君    金子 一平君       金子 岩三君    上林山榮吉君       亀岡 高夫君    亀山 孝一君       鴨田 宗一君    川崎 秀二君       川島正次郎君    川野 芳滿君       木野 晴夫君    木部 佳昭君       木村 武雄君    北澤 直吉君       吉川 久衛君    久野 忠治君       久保田円次君    草野一郎平君       鯨岡 兵輔君    熊谷 義雄君       倉石 忠雄君    倉成  正君       藏内 修治君    小坂善太郎君       小峯 柳多君    小山 長規君       小山 省二君    河野 洋平君       河本 敏夫君    佐々木秀世君       佐々木義武君    佐藤 榮作君       佐藤 文生君    斎藤 寿夫君       坂田 道太君    坂村 吉正君       櫻内 義雄君    志賀健次郎君       始関 伊平君    椎名悦三郎君       塩谷 一夫君    重政 誠之君       澁谷 直藏君    島村 一郎君       正示啓次郎君    白浜 仁吉君       進藤 一馬君    周東 英雄君       菅波  茂君    鈴木 善幸君       砂田 重民君    砂原  格君       瀬戸山三男君    園田  直君       田川 誠一君    田澤 吉郎君       田中伊三次君    田中 榮一君       田中 角榮君    田中 正巳君       田村 良平君    竹内 黎一君       竹下  登君    谷垣 專一君       千葉 三郎君    塚田  徹君       塚原 俊郎君    坪川 信三君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       床次 徳二君    内藤  隆君       中尾 栄一君    中垣 國男君       中川 一郎君    中野 四郎君       中山 榮一君    中山 マサ君       永田 亮一君    永山 忠則君       灘尾 弘吉君    南條 徳男君       二階堂 進君    丹羽 久章君       丹羽喬四郎君    西岡 武夫君       西村 直己君    根本龍太郎君       羽田武嗣郎君    橋本登美三郎君       橋本龍太郎君    長谷川 峻君       八田 貞義君    濱野 清吾君       早川  崇君    原田  憲君       広川シズエ君    廣瀬 正雄君       福家 俊一君    福田 赳夫君       福田 篤泰君    福永 健司君       藤枝 泉介君    藤尾 正行君       藤田 義光君    藤波 孝生君       藤山愛一郎君    船田  中君       古内 広雄君    古川 丈吉君       古屋  亨君    保利  茂君       坊  秀男君    細田 吉藏君       堀川 恭平君    増岡 博之君       松浦周太郎君    松澤 雄藏君       松田竹千代君    松野 幸泰君       三ツ林弥太郎君    三原 朝雄君       箕輪  登君    水野  清君       湊  徹郎君    村上信二郎君       村山 達雄君    毛利 松平君       粟山  秀君    森下 國雄君       森田重次郎君    八木 徹雄君       山口シヅエ君    山下 元利君       山田 久就君    山村新治郎君       吉田 重延君    早稻田柳右エ門君       渡辺 栄一君    渡辺  肇君       渡辺美智雄君    關谷 勝利君  否とする議員氏名       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井岡 大治君       井手 以誠君    井上  泉君       井上 普方君    伊賀 定盛君       猪俣 浩三君    石川 次夫君       石野 久男君    石橋 政嗣君       板川 正吾君    枝村 要作君       小川 三男君    大出  俊君       大柴 滋夫君    大原  亨君       太田 一夫君    岡田 利春君       岡田 春夫君    岡本 隆一君       加藤 清二君    加藤 万吉君       勝澤 芳雄君    角屋堅次郎君       金丸 徳重君    神近 市子君       唐橋  東君    川崎 寛治君       川村 継義君    河上 民雄君       河野  正君    木原  実君       北山 愛郎君    久保 三郎君       久保田鶴松君    黒田 寿男君       小林 信一君    後藤 俊男君       河野  密君    神門至馬夫君       佐々栄三郎君    佐藤觀次郎君       佐野 憲治君    佐野  進君       斉藤 正男君    實川 清之君       島本 虎三君    田中 武夫君       田邊  誠君    田原 春次君       多賀谷真稔君    武部  文君       楯 兼次郎君    千葉 佳男君       戸叶 里子君    中井徳次郎君       中澤 茂一君    中嶋 英夫君       中谷 鉄也君    中村 重光君       永井勝次郎君    楢崎弥之助君       西風  勲君    野口 忠夫君       野間千代三君    長谷川正三君       畑   和君    浜田 光人君       平岡忠次郎君    平林  剛君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       福岡 義登君    古川 喜一君       穗積 七郎君    細谷 治嘉君       堀  昌雄君    松本 七郎君       三木 喜夫君    武藤 山治君       村山 喜一君    森  義視君       森本  靖君    八木 一男君       八木  昇君    矢尾喜三郎君       安井 吉典君    柳田 秀一君       山内  広君    山口 鶴男君       山田 耻目君    山中 吾郎君       山本 幸一君    山本 政弘君       山本弥之助君    米内山義一郎君       米田 東吾君    依田 圭五君       渡辺 芳男君    浅井 美幸君       有島 重武君    伊藤惣助丸君       小川新一郎君    大野  潔君       大橋 敏雄君    近江巳記夫君       岡本 富夫君    沖本 泰幸君       北側 義一君    小濱 新次君       斎藤  実君    鈴切 康雄君       田中 昭二君    竹入 義勝君       中野  明君    樋上 新一君       広沢 直樹君    伏木 和雄君       正木 良明君    山田 太郎君       田代 文久君    林  百郎君       松本 善明君     —————————————  建設委員長始関伊平解任決議案柳田秀一君外六名提出) (委員会審査省略要求案件
  9. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 柳田秀一君外六名から、建設委員長始関伊平解任決議案提出されました。  本決議案は、提出者要求のとおり委員会審査を省略して議事日程に追加するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  建設委員長始関伊平解任決議案を議題といたします。
  11. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 提出者趣旨弁明を許します。井上普方君。   〔井上普方登壇
  12. 井上普方

    井上普方君 私は、日本社会党並び公明党を代表して、建設委員長始関伊平解任決議案提案理由説明を行ないます。(拍手)  まず、主文を朗読いたします。   本院は、建設委員長始関伊平君を解任する。    右決議する。   〔拍手〕       理 由   建設委員長始関伊平君は、公平であるべき委員長の職責に違反し、政府与党の意のままにしたがい、突如として内閣提出の「都市開発法案」の質疑打切り、強行採決を行なった。   かかる暴挙は当然無効であり、国会正常化に背を向け、議会制民主主義を踏みにじった多数横暴の行為といわねばならない。   したがって、国会権威を傷つけた委員長としての責任はきわめて重大であり、委員長として不適格である。   これが、本決議案提出する理由である。   〔拍手〕  一昨日、建設委員会において、建設委員会には初めての強行採決が行なわれました。まことに遺憾にたえないところであります。強行採決は、国鉄運賃値上げ法、総定員法、地方公務員定年制法案、それに会期延長と、すでに四回も、国民の声を無視して行なわれましたが、一昨日は、外務、逓信、建設委員会と、一日に三回も強行採決したと称しているのであります。通常国会でこのように立て続けに強行採決とは、国会始まって以来のことでございまして、前例にもないことであります。  通常国会会期は百五十日と定められており、その定められた会期の中で慎重審議を行なうことが、国民の厳粛な負託にこたえる唯一の道であり、議会民主主義を守り育てる道であります。しかるに、政府自民党は、多数を背景に、会期を七十二日も延長したにもかかわりませず、建設委員会理事会話し合いも一方的に打ち切り、一方、委員会において都市開発法強行採決を行なったと称しておるのであります。会期を七十二日も前例のない大幅延長を行なっておきながら、他方では、強行採決と党利党略的な議会運営を行ない、議会民主主義をみずから破壊しているのであります。まさに、自民党あって民主主義なし、自民党あって国会なしの感を深くするのでございます。(拍手)多数党であれば何でも押しまくっていくという国会、しかも、こうした国会運営について、政府与党が何ら疑問を持たず、反省もしない国会、このような国会のあり方について国民が大きな不信感を抱くのは当然であり、大学紛争も、議会民主制のこのような空洞化に対する反発と抗議が大きな原因になっていることを政府自民党は知らなければなりません。(拍手)そればかりではありません。始関伊平君は、率先して委員会運営ルールを破り、国民生活に深く影響する都市開発法案強行採決を行なったのでありまして、断じて許すことができないのであります。(拍手)  始関君は、大学卒業後、通産省の役人をやったようでありますが、小心にして我執強く、官僚の特色たる上からの命令にはこれ従い、国民生活そのものを圧迫し、てん然として恥じざる官僚性独善性小役人時代に身につけたのでございます。(拍手)一たん事起こるや、その性格をまる出しにしたのが一昨日の委員会審議であり、委員会運営であったと思われるのであります。始関君が委員長になるまでの建設委員会運営は、ただすところはただし、聞くべきところは聞き、各党の対立を鋭く見せながらも、委員会運営は、一定のルールを守りながら民主的に行なわれてまいりました。この点は、自民党諸君もお認めになるところであろうと存ずるのであります。しかるに、一昨日の強行採決は一体何ぞ。このたびの強行採決は、いままでのよき慣習を踏みにじったものでありまして、これひとえに始関君の小役人的根性あらわれでございます。  当選五回にして待望の常任委員長のいすにありつきましたが、それまでは二年生議員の多い政務次官をすること三回、はしかのようなもので、一度はやらねばならぬが、二度とやるものでないと自民党議員はしかにたとえております政務次官を低迷すること前後三回、当選五回にして、組閣のたびに新聞辞令大臣候補にものぼらなかった始関君、立身出世を身上とする始関君は、佐藤派始関ありと認めていただきたい、せめて次の組閣の際には新聞の片すみに大臣候補新聞辞令でも出してもらいたいといういじらしい気持ちで、小心翼々の始関君が清水寺の舞台より飛びおりたる気持ちで強行したのでありましょう。御心情まことにお察し申し上げると同時に、れんびんの情禁じ得ざるものであります。(拍手)しかしながら、かかる暴挙を行なった始関委員長は、議会制民主主義立場より許されないことでありまして、断じて糾弾さるべきであります。(拍手)  そもそも委員長は、各党の意見を公平に取り入れ、委員会審議を円滑に処理する義務があります。この都市開発法案審議にあたり、始関委員長は、理事会委員会において常に独善性を発揮し、与党理事すらもしばしばたしなめる場面があったのであります。始関君はよわい六十歳を過ぎ、当選五回の閲歴を持っておりますが、政治家として大成するには、いまのような官僚独善的な性格を直すことが必要であることを御忠告申し上げたいのであります。今回の強行採決なるものは、自民党国会対策方面の圧力によって行なったと申していますが、それであれば、国会委員長立場はありません。また、議会民主主義の確立もあり得ないのであります。  都市開発法案は、過密化した都市土地の合理的な高度利用都市機能の更新をはかり、公共の福祉に寄与することを目的としたものとされておるのでありますが、今日まで都市問題をなおざりにし、国民都市公害のまっただ中にほうり出したのは一体どなたでございましょう。戦後二十数年にわたる保守政権以外の何ものでもありません。特に池田内閣以来、高度成長政策の名のもとに推し進められてまいりました政府自民党の、生産あって国民生活なしの政策の結果、全国に過密過疎現象が急激に顕在化をいたしておるのでありまして、都市住民には、公害交通難住宅難等々の都市問題を惹起いたしておるのであります。  都市開発法案には、以上の観点より幾多の問題点があります。政府責任において今日の過密を来たしたのでありますから、まず、再開発法案のうたう目的遂行のためには、国の、政府責任を明確にする必要があるのでありますが、との法案にはそれが示されておらないのであります。  第二に、都市全体の機能整備をはかる総合的再開発計画や、構想の基本的規定は不問に付せられておるのであります。  第三に、どの地点からどのように再開発を行なうかという実施計画実施方法も不明であります。  第四に、現行再開発制度との関係において、本法案の位置づけが不明確なのであります。  以上のように、都市開発法案には多くの問題を含んでおるのでありまして、都市住民の利害に重大な関係を持つ法案でありますから、第五十五回国会以来参議院先議にしてまいりましたけれども、三回にわたり継続審査となったいわくつき法案であります。今国会においても、参議院より衆議院に送付せられまして、建設委員会に付託せられて以来、審議が慎重に行なわれましたが、いまだ五名しか質問がなされておらず、まだ六名の質問通告者が残っておるのであります。  すでに行なわれました質問の中で、国有地公有地面開発を行なって民間に範を示す必要があるというような観点から質問が行なわれましたが、国有地が大企業に不当に安く貸し付けられておる実態が指摘せられたのであります。一例をあげますならば、帝国ホテルのごときは一坪当たり評価額が二千五十万円でありますにもかかわらず、これの貸し付け料は年に一坪一万円でありまして、しかも、昭和七十二年まで、すなわち、三十年間有効というような実例を示されたのであります。このように、大企業に対しましては不当に安く貸し付けられておる実態が指摘いたされまして、与野党委員全員が強い不満を示しまして、大蔵省当局並びに建設省当局に対しまして、強い姿勢で臨むよう要求いたしたのであります。  また、特に、公権と私権との関係において重大な問題を含んでおります。民間の三分の二の同意があれば、他の三分の一の人々土地収用法収用権を適用できる規定があります。これは宅建業者が、三分の二の諸権利を買収した形で、他の三分の一の人々収用権を適用するという危険がありまして、これをチェックする方法を講じなければならないのであります。  また、本法案は、権利処理が非常に複雑化しております。ために法廷に持ち込まれる可能性がきわめて大きいのでありまして、運用いかんによりましては、違憲訴訟が発生する可能性すら持っておるのであります。まして、法解釈の上におきまして、法制定時国会審議が非常に重要なることは、申し上げるまでもございません。  このように未解決の問題がありますので、建設委員会では、すでに参考人を招聘することにきまっておりまして、その人選も終わり、すでに参考人方々には通知済みのことであります。  また、法案修正につきましても、各党間で検討中のことでございまして、社会、公明両党より修正要綱が出されまして、自民党を含めた全理事が集まって、修正個所をいかにするかということを、各条検討中であったのであります。近日中にそうした審議が済み……
  13. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 井上君、時間ですから、結論を急いでください。
  14. 井上普方

    井上普方君(続) 委員会採決の運びになっておったのであります。  始関君は、こうした話し合いや、議会ルールを全く無視いたしまして、参考人方々にも無礼をおかし、一方的に強行採決を行なったのであります。われわれは、国民の名において絶対に許すことはできないのであります。(拍手)本日も、理事会を開くことなく、始関君は独断で委員会を開こうといたしました。本日でございます。昨日には、御本人の解任決議案が本会議提出されておるのは、御承知のとおりであります。厚顔、恥知らずというか、上からの命、これ従う小役人根性あらわれというか、私は判断に苦しむものであります。(拍手)私の職業からお察し申し上げますならば、老人性脳動脈硬化症、高じて脳細胞硬化症を来たしておる疑いが持たれるのであります。(拍手
  15. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 井上君、制限時間が過ぎましたから、発言を終わってください。
  16. 井上普方

    井上普方君(続) 一刻も早く脳神経科に入院して治療される要があると考えます。放置すれば老人性痴呆症を来たすおそれがありますので、委員長をおやめになって、千葉海岸でゆっくりと御静養なさることを、心よりおすすめするものであります。   〔発言する者多し〕
  17. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 井上君、制限時間が過ぎましたから、発言を終わってください。
  18. 井上普方

    井上普方君(続) さて、最後に、国権の最高機関としての権威機能を回復し、国民の信頼を取り戻すためにはどうすればよいか。それには、国会の重要なる役員である常任委員長には、真に民主主義を理解し、議会ルールを守る人を得る必要があります。遺憾ながら、始関伊平君は常任委員長の資格に欠けております。国会の場で国民の意思を反映し、議会民主主義機能を発揮するためには、本院の解任決議によって始関君にやめてもらう以外にありません。よって、ここに建設委員長始関伊平君の解任決議案提出した次第であります。  全会一致の御賛成をお願いいたしまして、提案理由説明を終わります。(拍手
  19. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 質疑通告があります。順次これを許します。阿部昭吾君。   〔阿部昭吾登壇
  20. 阿部昭吾

    阿部昭吾君 ただいま、わが日本社会党並び公明党を代表し、井上君から提案をせられました建設常任委員長始関伊平君を解任せんとする決議案に対し、私は、日本社会党を代表し、歯にきぬを着せずに、さらに若干の質問を行ない、建設委員長始関伊平君が一昨日とった行為がいかに悪逆非道なものであるかということを明らかにし、始関伊平君をして、あのような、毒を食らわば皿までといった、天をもおそれぬ所業に走らせた自民党執行部、なかんづく、その中のファッショ的なグループの罪状を国民の前に告発せんとするものであります。(拍手)  今日まで建設委員会においては、わが社会党はじめ野党が耐えがたきを耐えて、よく議会政治擁護のために心を砕いてまいったのであります。委員会は円滑に、かつ順調に運営をされてまいったのであります。与党諸君は、内容の審議の場合には欠席をなさるか、あるいは退席をなさる、採決のときだけ出席をされる方が多いのであります。また、採決の瞬間だけ、にわかな臨時委員も出てくるのであります。これは、世上聞くところによりますると、与党国会対策においては、一人の委員が幾つかの委員会にいわば採決要員として、定足数要員として出席をされるというのであります。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━他党のことは一々申し上げたくないのでありますが、これでは、もはや実のある審議などということは、およそ期待し得べくもないと思うのであります。(拍手)われわれは、建設委員会におきましては、あまりにひど過ぎるときには、ときたま注意を喚起してまいりましたが、じっと耐えて、それこそ忍耐と寛容をもって今日まで委員会運営のために努力をしてまいったのであります。われわれのこの真の忍耐と寛容、これによりまして、わが建設委員会は和気あいあいのうちに運営をされてまいったのであります。  爆発寸前の今日の日本の大都会、特に歴代内閣の中でも最も反動的な、最もファッショ的な、そして国民から最も不人気な佐藤内閣になりましてから、わが国の都市は、もはや人間の住む最低の条件をさえも欠くようになってまいったのでありますパンク寸前のところに落ち込んでいるのが今日のわが日本の都市の現状であります。かかる情勢のもとにおいて、都市の再開発、人間的な都市の再建ということは現代の大きな課題であります。そのために、都市開発法審議につきましては、建設委員会理事会において、私を含めて多くの質問者が予定をされておったのであります。また、参考人の意見聴取を行なって、広く国民の御意見を反映させるということ、そしてわが社会党並びに公明党の修正提案についても、前向きに、それこそ建設的に話し合いが進められておったのであります。  われわれと自民党との都市開発についての意見の違いは、自民党側は、政府責任をあいまいにして、都市住民国民の負担、国民責任で無理に押しつけようというものであります。われわれは、この国家百年の大事業ともいうべき都市の再建は、少なくとも政府責任を明白に定めて、住民に選択を求めるという民主的な進め方をしなければならぬと主張してまいったのであります。特に、国の財政負担を、都市開発事業の場合に積極的に行なうべきであるという主張を行なってまいったのであります。われわれと自民党との意見の相違については、前向き、建設的に一致をさせる努力が話し合いで着々実を結びつつあった段階であります。そのやさきに、突如として質疑打ち切り、強行採決があえて行なわれたのであります。円満な話し合いの進行さ中に、このような暴挙は、まさにファッショか、気のふれた者ででもなければ私はやらないところだと、こう思うのであります。提案者、わが僚友井上君は、理事として建設委員会の円滑なる運営のために、すぐれた見識と人間性豊かな良識をもってつとめてこれらたのであります。暴逆なる自民党側といえども、これを評価しておったところであります。  始関伊平君のとった今回の所業、議会政治を破壊するような行為始関伊平君をしてとらしめた背景は一体何なのか。都市開発法の野党修正をおそれたのであるかどうか、自民党のファッショ派グループからの圧力によるものなのかどうか、あるいは委員長始関伊平君の人間それ自体に基因するものなのかどうか、提案井上君の明敏なる答弁を求めたいと思うのであります。  さらにお尋ねをしたいのでありますが、始関伊平君は、紳士録などの人物紹介によりますと、戦争犯罪人首相として注目をされ、歴代内閣のうち最も反動的、ファッショ的な官僚的だという岸信介氏の直系の商工官僚上がりと、こう言われているのであります。(発言する者あり)また、始関君は、その官僚臭が抜け切らず、選挙ではめっぽう弱いというふうに書いてあるのであります。始関君が直属をする岸氏が全盛時代でもあまり登用されなかったと、こう書いてあるのであります。  私には、一昨日、始関氏は、質疑だけだと、つい直前まで言明をしておきながら、一気に、まるでだまし討ちのようなやり方で強行したということは、彼、始関君の人間を端的に説明をしているように思われるのであります。井上君は、医者としても、若くして学位号を持つという達識の士でありまするから、彼、始関君のこのあたりの心の問題、魂のさまよいの状況等についても解明を与えていただきたいと、こう思うのであります。  最後に、私は、国会審議をやるところだと、こう自民党諸君は口癖のように、ばかの一つ覚えのようにおっしゃるのであります。(発言する者あり)ところが、私は、各委員会において自民党諸君発言しておるという姿をあまり見たことがないのであります。(拍手)速記録をよく読んでみましても、自民党諸君は全く発言をしておらないのであります。
  21. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 阿部君、時間ですから、結論を急いでください。
  22. 阿部昭吾

    阿部昭吾君(続) 私は、審議をなさるということは、発言し、論議をすることだと思うのであります。自民党諸君は、ものを言わないで、どうして審議をやるというのでありましょうか。(拍手)  議会政治とは何か、議会制民主主義とは何か、この根本命題について、与党諸君にもよく理解できまするように、明敏なる答弁要求いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手
  23. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) ただいまの阿部昭吾君の発言中、不穏当の言辞があるとの申し出があります。議長は、速記録を取り調べの上、適当の処置をとることといたします。   〔井上普方登壇
  24. 井上普方

    井上普方君 ただいま阿部君から御質問がございましたが、阿部君の選挙区には池田正之輔さんという、自民党でございますか、古い政治家がおられまして、そこでは「悪検事総長を弾劾す」という張り紙をべたべたと各電信柱に張っておる中から出てこられた阿部君でございますので、いかにも阿部昭吾君の舌鋒鋭いことを私は痛感いたしたのであります。(拍手)  ただいまの御質問の第一点は、野党修正をおそれたのかと、こういう御質問もございますが、私ども社会党並びに公明党の両党から修正要綱が出されまして、そして、実は理事全員におきまして、一々これをチェックしながら、どういう方法にするかということで、法案の中にいかにこれを盛り込むかという作業を進めておったのであります。  わが党の修正の基本的な立場というものをひとつ申し上げてみたいと思います。  この再開発法は、先ほども申しましたように、三回にわたりまして継続審査になったのでございますが、このたびは、自民党諸君はどうしても通さしていただきたいというので、住宅を都市開発によってつくられた建物の上に上乗せすることと、さらには、高度利用地区をひとつもう少し考えようじゃないかということを、本案提出以前に直したのでございます。しかし、これとてもまだまだ十分じゃない。そこで、都市全体の機能を改善して整備をはかる総合的な再開発計画が、構想の基本的な規定を不問に付しておるのをどうするか。また、市街地のどの地区からどのように再開発を進めていくかというような、全体計画に基づく段階的計画と実施方法も不明になっておるので、これを修正案の中においてどういうようにしていくかということを、まず審議いたしておったのであります。  具体的な問題といたしましては、いまの都市状況を見てみますと、昼間人口と夜間人口とに大きいアンバランスがある。都市のどまん中におきましては、いわゆるドーナツ現象を来たしておる。このドーナツ現象を少なくして、職住近接を一体どうするか。それにはやはり、この再開発事業法によるところの夜間人口と昼間の人口との比率を法律的に、あるいは政令で明確にすべきじゃなかろうか、こういうことが問題になりまして、建設省の役人は、この点につきましては、ひとつそれは政令におきまして明確にいたしましょう。それを法律では直せぬかということを申しますと、これはひとつ政令におまかせ願いたいというようなことを実は審議いたしたのであります。  第二点といたしましては、この再開発は、いままでは防災街区、こういうような法律でやられておりましたけれども、実際には貧困な環境、施設のもとで、大火とか風水害の防止であるとか、あるいは公害を規制するとか、あるいは衛生改善をする、道路をつくる、遊び場拡大というような、緊急にして必要な、不良居住地区、機能麻痺の中小企業地区の最優先的な再開発をひとつこの際法律の中に織り込んだらどうか、こういうことを申しておったのでありますが、これは行政指導でやりたい、こういうのが自民党さんの意見でございました。私どもは、そうじゃない、こういうような地区こそ、まず第一番にやるべきだということを明確に法律の中に入れるべきではなかろうかということで、この点においては話が対立いたしておったのであります。  さらには、重点的な施設計画といたしまして……(「要領よく言ってくれ」と呼ぶ者あり)わからぬ者が悪い。住民の日常生活を直接的に守って向上するのには、やはり公園とか道路であるとか、あるいは広場にとどまらず、集会所であるとか、あるいはまた、このごろは夫婦共かせぎというものが多いのでございますから、保育所をつくる、あるいは気軽に利用できる運動場というような共同利用の施設を、やはり再開発地帯におきまして重点的に総合的に配置すべきじゃないか、これを法律の中に入れないかという話をいたしておったのでありますが、これは、都市計画法との相関関係の中において入れたい、それじゃ、これを法律的にやったらどうかというような話も、まだまだ進められておったのであります。  さらにはまた、計画決定の権限は、都市計画法に基づきまして都道府県知事にあるとされておりますが、町づくりのこの責任者は、何を申しましても市町村である。そういう市町村というような、住民に身近にあるこの市町村を責任体制にする必要があるのではないか。私どもはこのように考えまして、自民党諸君あるいは各党諸君と話をいたしておったのでありますが、この点につきましては、これまた自民党検討事項として残っておるのであります。しかし、この再開発というものは、市民の参加と協力によって初めてなし得る問題でございますので、これで住みよい都市づくりをするというためには、計画の決定に先立ちまして、住民の意思が反映できるよう、積極的な住民参加の方式を民主的な手続、運営等で確立する必要があるということを、私どもは強く要求いたしたのであります。  保利官房長官が建設大臣当時に都市計画法を策定いたしまして、私ども、このときに、この審議に参加いたしたのでありますが、保利建設大臣は、当時、この私どもの言う住民参加ということにつきましては非常に理解がございまして、住民参加の道を開きまして、公聴会を開くとか、あるいはまた、地図をつくったならばこれを公示するという方法を、保利大臣のときには法律的に入れたのであります。したがって、このたびの都市開発法も、同じように、住民参加の方法を講ずるようにしなければならないと私どもは申したのでありますが、与党諸君は、この点はひとつ考えてみようというお話でございました。これはあるいは、強行採決が行なわれなかったならば、民主的な建設委員会理事各位でございましたがゆえに、おそらくは、やれたのではなかろうか、このように考えられるのであります。  さらにはまた、先ほど申しました組合施行の場合に、三分の一の不同意者にも——不同意する者が三分の一ありましても、これを積極的に賛意と協力をさすように、行政手段あるいは法的に、あるいは政令において、どういうように不同意者の三分の一を、これを組み込んでいくかという方策をここで真剣に考えなければ、せっかくの組合施行の方法をとる都市開発もできないじゃないか、この意見をどういうようにして反映さすかということも、これまた真剣に理事会において討議せられておったところであります。
  25. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 井上君、時間ですから、結論を急いで下さい。
  26. 井上普方

    井上普方君(続) それで、借家人に対しましては、実は権限はございません。借地人に対しては権限はありますけれども、借家人に対しては権限がない。ここらあたりに非常に問題がありますので、これもひとつ法律の中に何とか明確化しようじゃないかということが話し合いの中心でございました。  わが党並びに公明党の修正案をあらまし申し上げまして、御答弁にかえる次第でございます。(拍手
  27. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 福岡義登君。   〔福岡義登君登壇
  28. 福岡義登

    ○福岡義登君 私は、先ほど井上普方君から、その趣旨説明が行なわれました建設常任委員長始関伊平君の解任決議案について、提案者に対しまして、日本社会党を代表し、若干の質問を行なわんとするものであります。  質問に先立ちまして、私の心境を申し述べさせていただきますならば、始関委員長と同じ委員会に身を置き、しかも、会館も同じ第二議員会館の七階で、朝夕顔を合わせておる私といたしましては、始関委員長解任決議案賛成する立場から質問を行なうことは、私情においてまことに忍びがたいものがあるのであります。しかし、始関君のおかしたあやまちはあまりにも大きく、議会制民主主義を守り、もって国民の負託にこたえなければならないという大義の前にはいかんともいたしがたく、泣いて馬謖を切るというのが私のただいまの心境であります。(拍手)この段階におきまして、始関君に対する私の友情を示すといたしますならば、始関君が解任決議案が採決に付される前に、みずからの不明をわび、男らしく辞任することを忠告することだけであります。始関君がこの私の忠告に従い、友情にこたえてくれることを切に祈ってやまないのであります。もし始関君がこの私の忠告に基づき身を処してくれるならば、おのずから将来の道は開けるものと思います。しかしながら、この私の忠告を無視するならば、厚顔無恥というか、無知もうまいといいましょうか、多く社会からの批判を受けて、その政治生命にも大きな危機が訪れるのではないかとも心配するのであります。(拍手)  さて、具体的な質問に入るわけでありますが、その第一は、議会制民主主義の歴史に大きな問題を残しました今次延長国会の冒頭の五月二十六日、始関委員長は、従来の慣行を無視し、しかも、定例日でない五月二十七日に一方的に理事会を開催するべく公報に掲載したことについてであります。  従来は、理事会を開こうとするときには、あらかじめ各党理事に連絡を行ない、その上によって行なわれたと思うのでありますが、五月二十六日の場合は、この連絡が全くなく、突如として公報に掲載されたと聞いておるのでありますが、もしこれが事実だとするならば、許すことのできない不法にして不信行為だと思うのであります。どのような経緯であったのか、提案者から具体的な説明をお伺いしたいのであります。  第二の質問は、五月二十八日の理事会における始関委員長のとった行為についてであります。  当日の理事会は、延長国会における議案の審査日程などについて各党理事の意見調整が行なわれていたところ、始関委員長は、理事会を一方的に打ち切り、委員会会議を開こうとしたと聞いております。このことも、もし事実だとすればゆゆしき問題でありますが、どのような理事会の経過であったのか、提案者の井上普方君も理事でありますから、その間の事情を詳しく御説明願いたいのであります。  第三の質問は、同じく五月二十八日の委員会における始関委員長の行動についてであります。  さきに述べましたごとく、始関委員長は、理事会を一方的に打ち切った直後、野党各党理事から、理事会を再開して延長国会日程などについて協議すべきであるという強い意見が出されていたのにもかかわらず、これを退け、委員会会議を強引に開いたと聞くのでありますが、これまた委員長としてとるべき態度ではなく、事実だとすれば許しがたいことだと思うのでありますが、どのような経緯であったのか、提案者から具体的に御説明をいただきたいのであります。  第四の質問は、一方的に委員会会議を開いた始関委員長は、都市開発法案を議題とし、あらかじめしめし合わせていたと思われる与党議員からの質疑打ち切りの動議が出されるや、他の委員の意見を求めることもなく、特に、そのときの委員室は、騒然として会議を続行できるような状態ではなかったのにもかかわらず、動議賛成多数として質疑打ち切りを可決したとしているのであります。言語道断といわなければなりません。速記録もとれないような状態の中で、委員長が当然休憩を宣し、事態の集約をはかるべきだったと思うのでありますが、一体どのような経過であったのか、その詳細を御説明願いたいと思います。  第五の質問は、同じ日の委員会始関委員長は、先議案件であるべき委員長の不信任決議案が出されていたのにもかかわらず、これを取り上げなかった事実があるのであります。このことも公平を欠く始関委員長の行動であったと思うのでありますが、提案者はその間の事情をどのように考えておられるのか、お伺いをしたいのであります。  質問の第六は、さきに述べました委員会における質疑打ち切りに続いて、始関委員長は、都市開発法案を採決に付したとしているのでありますが、当時の会議の中では、先ほども申し上げましたように、速記録もとりにくい状態でありましたので、その中での採決ができるような事情ではなかったと思うのでありますが、これをあえて採決をしたとするがごときは、全く暴挙といわなければなりません。提案者の御見解を承りたいのであります。  第七の質問は、強行採決をされたという都市開発法案審議経過についてであります。  都市開発法案に対しましては、私たち日本社会党は多くの意見を持ち、その一部を今日までの会議で述べてまいりました。今後もまた引き続いて法案審査の中で、これらの残された意見を述べようといたしたのであります。しかるに、質疑打ち切り、強行採決というのでは、意見を述べることもできないのでありまして、委員会における審査を続行されることを強く望みたいのであります。  特に、社会党といたしましては、先ほど阿部昭吾君からの御質問にもありましたように、理事会におきまして、同法案に対する修正案を提示していたのであります。この修正案に対しましては、自民党を含め各党とも検討するとの約束がなされておったのでありますが、この理事会における約束ごとも履行されないままに強行採決を行なわれたのであります。これではほんとうに国民のための都市開発法であるかどうか、はなはだもって疑いたくなるのであります。提案井上普方君は、先ほども御説明がなされておりますが、もう少し、この都市開発法案の修正に対する理事会における経過、約束ごとというものを明らかにしてもらいたいと思うのであります。
  29. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 福岡君、時間ですから、結論をお急ぎください。
  30. 福岡義登

    ○福岡義登君(続) 質問の第八は、都市計画法案の内容についてであります。  今日、緊急を要する政治課題として、過疎、過密の問題があることは皆さん御案内のとおりであります。都市においては深刻な住宅難、交通地獄、産業公害等々により国民生活が大きく破壊されようといたしております。また一方では、過疎現象も最近極度にはなはだしく、地域住民の生活は重大な危機に直面しておるのであります。これらは、歴代自民党内閣が大企業中心の政策をとり、国民生活を顧みなかったためであります。
  31. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 福岡君、制限時間が過ぎましたから、発言を終わってください。
  32. 福岡義登

    ○福岡義登君(続) しかるに、今回の都市開発法案も、過疎、過密対策としては乏しく、特に都市機能の改善、整備に関する基本構想、具体的実施計画などの基本的な問題点が明らかにされていないのであります。また、具体的諸問題につきましても、残されている問題が多くあるのであります。このような問題がある法案を十分審議、解決することもなく採決を強行した委員長始関伊平君の責任は、きわめて大きいといわなければなりません。(拍手)  重ねて、始関君みずからの退陣を強く忠告を申し上げまして、私の質問にするわけであります。(拍手)   〔井上普方君君登壇
  33. 井上普方

    井上普方君 福岡君にお答え申し上げます。  まず第一点は、二十七日に理事会を開くことを一方的に委員長が公報に載せました件でありますが、いままで建設委員会理事会におきましては、次の理事会は一体いつにするか、そして、質問者はだれを当てるか、何人にするかということを、実は民主的にきめておったのであります。ところが、この日は何を血迷いましたか、二十七日と申しますと火曜日でありまして、定例日ではございません。二十六日に私のところに委員部の方が参りまして、建設委員長始関伊平君が二十七日に理事会を開きたいというので、ひとつ御了承願えぬか、こういうお話があったのであります。しかし、そのときには、御承知のように、二十六日には天皇陛下が富山県に参りまして植樹祭を行なっておりました。わが党の理事である佐野憲治さんは、この植樹祭に参加されておりまして、御連絡はとれませんでした。したがいまして、私は、その際に、これは定例日でもないし、また国会正常化が十分できていない段階において、一方的に火曜日、定例日以外にやるのはどうもおかしいから、その旨ひとつ委員長のもとに言ってくれということを申し上げたのであります。ところが、それにつきましては御返事がなくて、一方的に公報に掲載いたしたので、全くこの公報掲載は、いままでの理事会の慣習といいますか、よき民主的運営を破壊したものであると私は考えるものであります。(拍手)  続きまして、私どもは、そのような非民主的な二十七日の理事会には、私のみならず全野党の諸君が、日程の都合上、出席できなかったようであります。しかるにもかかわらず、続いて二十八日、すなわち、この日は定例日でございましたので、理事会に私も出ていまして、野党の理事も全部出まして、理事会を開催いたしたのであります。そして理事会におきましては、これまさに、日程委員長みずからがつくっておりまして、われわれ野党の、こうしようじゃないかということを全然聞こうとはいたしませんでした。中におきまして、いろいろと自民党理事諸君とも相談いたしたのでございます。本日は、国会正常化を得るために、もう少し待とうじゃないかというような話をいたしておりました。いろいろその間のいきさつはございましたが、要は、いままで建設委員会は、過半数を欠けました場合には一時休憩するというよき慣習があると同時に、規則を守り続けた委員会であったのであります。この点については、自民党の建設委員で欠席される方が多い中で、自民党理事の二、三の方が一生懸命電話をかけて、そしてレギュラーメンバーを集めつつある努力に対しましては、私どもは、常日ごろ、よくやっておるなといって感心いたしておったのであります。(拍手)ところが、こういうように過半数を確保しろという要求には、これはいままで自民党理事諸君の努力は認める。続いては、強行採決はやらないかと言いますと、これも私どもはやりませんというようなことを申しました。ところが、ひとつ定例日以外はやらぬようにしようじゃないかと言いますと、この点につきましては、これはお約束できぬということを申されました。まことに困った事柄であったわけであります。  いままで、先ほど来福岡君の申されましたように、建設委員会は、言うべきところは言い、ただすべきところはただして、実に民主的な運営ルールを守ってきたところでありますから、定例日というものを守らなければならないじゃないかと言いましたら、委員長いわく、それは、定例日に開くというのは慣習であって、法規にはないと、こう申すのであります。しかしながら、この定例日を定めましたのは戦後の国会以来のことであります。(「部屋が足りなかったからだ」と呼ぶ者あり)部屋がなかったということは詭弁でございまして、私が昭和二十二年以来の国会議事録を調べてみましても、定例日はいつも定まっておったようであります。そういうようなことを要求いたしましたならば、ある程度自民党理事諸君はお認めになったのであります。  ところが、その上にさらに話を再開発法の問題について一体どうするかということで佐野理事発言中に、突如といたしまして、始関委員長理事会の打ち切りを行なったのでありました。まことに委員長は——委員長というのは、各理事の意見を集約して円満に委員会を行なう義務があります。それを、佐野理事質問中に突如として理事会の打ち切りを行なったのでありまして、ここに始関委員長の非民主的な性格が浮き出されておると存ずるのであります。  第三に、二十八日に強行採決したが、その際委員長の行動はどうであったかというお話でありますが、これは、先ほど申しましたように、理事会を一方的に委員長が打ち切りいたしまして、委員長の席にすわってがんとして動かないのであります。しかし、その間におきまして、自民党理事と野党の理事との間に接触が持たれて、いろいろと相談をいたしたのであります。あるいは、このような委員長の一方的な行動をどう規制し、どういうように直していくか、また、委員会をいかに円満に進めるかということを、自民党の心ある理事諸君とともに、これ相談につとめておったのであります。ところが、これまた委員会を強行開会をし、大野明君質問をさしたのであります。私どもは、だれがきょうは質問するというのは、これは理事会話し合いできめるし、また、その前の理事会におきまして、わが党及び公明党、民社党から質問通告者は六名あったのでありますが、その六名の中には、大野明君質問通告は入っておりませんでした。にわかに、突如として、この大野明君に対しまして質問委員長は許可いたしたのであります。そこで、私どもといたしましては、ルール違反であるということで委員長に対しまして抗議を申しておりました最中に、大野明君が、このままでは質問ができぬので質問を打ち切る、こういうことを申しまするや、直ちに委員長始関伊平君は質疑打ち切りの動議をはかったのであります。直ちに、私といたしましては、このような非民主的な行動を行なう委員長に対し、委員長不信任案を八名の連名をもって委員長の席に差し出したのでありますが、委員長はこれが、あとで聞きますと見えなかったようであります。私は委員長の机の上に置き、また顔の前にまで差し出して見せたのでございますから、見えなかったというのでございましたならば、これは目の病気にかかっておるのだろうと思います。また……
  34. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 井上君、時間ですから、結論を急いでください。
  35. 井上普方

    井上普方君(続) また私は、不信任案でございますからして、人事案件であるから、まずこれを先議すべきであるということを要求したのでありますが、これまた聞こえなかったそうでありますから、これまた耳の病気にかかっておると思うのであります。(拍手)まさに、耳も聞こえず目も見えぬというような委員長のもとでは、ちょっと委員会審議はなかなかむずかしいと思うのであります。(拍手)  こういうようなことをやりまして、質疑を打ち切ったというのでございますが、その後に強行採決したと称するのであります。私は、はたにおりましたのでありますが、その際の委員長発言は、はたにおった私にも何も聞こえなかったのでありますから、速記録にもこれは載っておらないのであります。  こういうように、先ほどと通しますと、先議案件である不信任案すらも握りつぶそうというがごとき委員長の態度は、まさに非民主的であり、議会政治を破壊するものであるということを皆さんに申し上げまして、御答弁とする次第でございます。(拍手)     —————————————   質疑終局動議園田直君外二十六名提出
  36. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 園田直君外二十六名から、質疑終局動議提出されました。  本動議を採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白票、反対の諸君青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。   〔議場閉鎖
  37. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名点呼〕   〔各員投票
  38. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣——開鎖。   〔議場開鎖
  39. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  40. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 三百四十六   可とする者(白票)        二百八   否とする者(青票)       百三十八
  41. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 右の結果、質疑は終局するに決しました。(拍手)     —————————————  園田直君外二十六名提出質疑終局動議をを可とする議員氏名       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       阿部 喜元君    相川 勝六君       青木 正久君    赤城 宗徳君       天野 公義君    天野 光晴君       荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君       有田 喜一君    井原 岸高君       伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君       池田 清志君    石田 博英君       稻葉  修君    上村千一郎君       臼井 莊一君    内田 常雄君       内海 英男君    浦野 幸男君       江崎 真澄君    小川 半次君       小澤 太郎君    小沢 辰男君       小渕 恵三君    大石 八治君       大久保武雄君    大竹 太郎君       大坪 保雄君    大野  明君       大野 市郎君    大橋 武夫君       大平 正芳君    大村 襄治君       岡崎 英城君    岡本  茂君       加藤常太郎君    加藤 六月君       賀屋 興宣君    鍛冶 良作君       海部 俊樹君    桂木 鉄夫君       金丸  信君    金子 一平君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       亀山 孝一君    鴨田 宗一君       仮谷 忠男君    川崎 秀二君       川島正次郎君    川野 芳滿君       菅  太郎君    菅野和太郎君       木野 晴夫君    木部 佳昭君       菊池 義郎君    北澤 直吉君       吉川 久衛君    久野 忠治君       久保田円次君    久保田藤麿君       草野一郎平君    鯨岡 兵輔君       熊谷 義雄君    倉石 忠雄君       倉成  正君    藏内 修治君       黒金 泰美君    小坂善太郎君       小峯 柳多君    小宮山重四郎君       小山 長規君    小山 省二君       河野 洋平君    佐々木秀世君       佐々木義武君    佐藤 榮作君       佐藤 文生君    齋藤 邦吉君       斎藤 寿夫君    坂田 道太君       坂村 吉正君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    笹山茂太郎君       四宮 久吉君    志賀健次郎君       始関 伊平君    椎名悦三郎君       塩川正十郎君    塩谷 一夫君       重政 誠之君    澁谷 直藏君       島村 一郎君    正示啓次郎君       白浜 仁吉君    進藤 一馬君       周東 英雄君    菅波  茂君       鈴木 善幸君    砂田 重民君       砂原  格君    世耕 政隆君       瀬戸山三男君    園田  直君       田川 誠一君    田澤 吉郎君       田中伊三次君    田中 榮一君       田中 角榮君    田中 龍夫君       田中 正巳君    田村  元君       田村 良平君    高見 三郎君       竹内 黎一君    竹下  登君       谷垣 專一君    谷川 和穗君       中馬 辰猪君    塚原 俊郎君       坪川 信三君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    徳安 實藏君       床次 徳二君    内藤  隆君       中垣 國男君    中川 一郎君       中野 四郎君    中村 梅吉君       中村 寅太君    中村庸一郎君       中山 マサ君    永山 忠則君       灘尾 弘吉君    南條 徳男君       二階堂 進君    丹羽 久章君       丹羽喬四郎君    西岡 武夫君       西村 英一君    根本龍太郎君       野田 卯一君    葉梨 信行君       橋本龍太郎君    長谷川 峻君       八田 貞義君    濱野 清吾君       早川  崇君    原田  憲君       広川シズエ君    廣瀬 正雄君       福井  勇君    福田 赳夫君       福田 篤泰君    福田  一君       福永 健司君    藤枝 泉介君       藤尾 正行君    藤波 孝生君       藤本 孝雄君    藤山 愛一郎君       船田  中君    古内 広雄君       古川 丈吉君    古屋  亨君       坊  秀男君    細田 吉藏君       堀川 恭平君    本名  武君       前尾繁三郎君    益谷 秀次君       増岡 博之君    増田甲子七君       松浦周太郎君    松澤 雄藏君       松田竹千代君    松野 幸泰君       松野 頼三君    三池  信君       三原 朝雄君    箕輪  登君       水田三喜男君    湊  徹郎君       村上  勇君    村上信二郎君       村山 達雄君    毛利 松平君       粟山  秀君    森下 國雄君       森田重次郎君    森山 欽司君       八木 徹雄君    山口シヅエ君       山口 敏夫君    山下 元利君       山田 久就君    山中 貞則君       山村新治郎君    吉田 重延君       早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君       渡辺  肇君    渡辺美智雄君  否とする議員氏名       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井岡 大治君       井上  泉君    井上 普方君       伊賀 定盛君    石川 次夫君       石田 宥全君    石野 久男君       石橋 政嗣君    板川 正吾君       江田 三郎君    枝村 要作君       小川 三男君    大出  俊君       大柴 滋夫君    大原  亨君       太田 一夫君    岡田 利春君       岡田 春夫君    岡本 隆一君       加藤 清二君    加藤 万吉君       勝澤 芳雄君    角屋堅次郎君       金丸 徳重君    神近 市子君       唐橋  東君    川崎 寛治君       川村 継義君    河野  正君       木原  実君    北山 愛郎君       久保 三郎君    久保田鶴松君       黒田 寿男君    小林 信一君       兒玉 末男君    後藤 俊男君       河野  密君    神門至馬夫君       佐野 憲治君    佐野  進君       斉藤 正男君    阪上安太郎君       實川 清之君    島上善五郎君       島本 虎三君    下平 正一君       田中 武夫君    田邊  誠君       田原 春次君    多賀谷真稔君       高田 富之君    武部  文君       楯 兼次郎君    千葉 佳男君       戸叶 里子君    堂森 芳夫君       内藤 良平君    中井徳次郎君       中澤 茂一君    中嶋 英夫君       中谷 鉄也君    中村 重光君       永井勝次郎君    楢崎弥之助君       成田 知巳君    西風  勲君       野口 忠夫君    野間千代三君       長谷川正三君    畑   和君       華山 親義君    浜田 光人君       平岡忠次郎君    平林  剛君       平等 文成君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    福岡 義登君       古川 喜一君    帆足  計君       穗積 七郎君    細谷 治嘉君       堀  昌雄君    三木 喜夫君       武藤 山治君    村山 喜一君       森  義視君    森本  靖君       八百板 正君    八木 一男君       八木  昇君    矢尾喜三郎君       安井 吉典君    柳田 秀一君       山内  広君    山口 鶴男君       山崎 始男君    山田 耻目君       山中 吾郎君    山花 秀雄君       山本 幸一君    山本 政弘君       山本弥之助君    米内山義一郎君       米田 東吾君    依田 圭五君       渡辺 惣蔵君    渡辺 芳男君       浅井 美幸君    有島 重武君       伊藤惣助丸君    石田幸四郎君       小川新一郎君    大野  潔君       大橋 敏雄君    近江巳記夫君       岡本 富夫君    沖本 泰幸君       北側 義一君    小濱 新次君       斎藤  実君    鈴切 康雄君       田中 昭二君    中野  明君       樋上 新一君    広沢 直樹君       伏木 和雄君    正木 良明君       山田 太郎君    田代 文久君       林  百郎君    福永 一臣君     —————————————
  42. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 討論通告があります。順次これを許します。大野明君。   〔大野明君登壇
  43. 大野明

    大野明君 私は、ただいま議題となりました建設委員長始関伊平解任決議案に対し、自由民主党を代表して、反対討論を行なわんとするものであります。(拍手)  本決議案提出理由は、今国会に内閣から提出された重要法案の一つである都市開発法案審議する建設委員会において、始関委員長委員会運営が適切でなかったということにあるようであります。しかし、私は、本決議案提案者とは全く見解を異にするものであり、始関委員長に対しましては、その職務執行に最大級の賛辞を呈するものであります。(拍手始関委員長は、常に理事会の席において述べられておりますとおり、委員会付託法案に対しましては慎重審議を尽くす態度をとられてまいったのであります。  都市開発法案審議におきましても、特にこの点を配慮せられ、質疑時間も十分とり、野党各委員に対し、できる限り発言時間を保証してきているのであります。委員会における質疑時間は約九時間でありまして、その間、社会党三名、民社党一名、公明党一名に発言を許可し、これに自民党三名を加え、計八名の委員が質疑を行なっておりますとともに、審査に資するため、野党委員の要求にも応じ、現場視察を行なう等、本案に対し意欲的な審議をいたしてまいったのであります。(拍手)  また、この法案審議の過程においては、必要に応じ理事懇談会を開き、各党理事との間に忌憚のない意見の交換を行ない、委員会の円滑な運営につとめてこられたのであります。さらに、野党に対しましては、再三再四審査に応ずるよう、誠意と忍耐をもって尽くしてこられたのであります。  御承知のとおり、本案は、近年における都市の諸問題に対処する重要な法案でありまして、各界におきましても、都市三法の一つとして、これを強力に支持しておるのであります。この法案は、第五十五回国会参議院先議として提出され、第五十八回国会において、参議院議員選挙のため審査未了となり、今国会にあらためて参議院先議として内閣より提出されたものであります。  今回提出法案は、野党議員からの要望を取り入れ、さきの法案に比し、大幅に改めておるのであります。しかも、今国会におきましては、前年成立いたしました新しい都市計画法との関連もあり、その早期成立が強く望まれていたのでありまして、建設委員長としては、本法案審議の進捗状況について憂慮せられ、審議の促進に日夜苦心を重ねておられたのであります。  始関委員長は、一昨日の理事会におきましても、野党側理事諸君に、審議に応ずるよう強く要請をいたしましたが、野党の一部の理事は、ある問題に対しては順法、また、ある問題に対しては慣例を主張し、全く首尾一貫しない議論をあえて持ち出し、開会を阻止せんとする態度で臨んだのであります。(拍手)  国家国民のために審議すべき委員会を、ただ単に党利党略のかけ引きの場と考えておる一部野党と、真の議会制民主主義を基調とするわが党との考え方の上において、あまりにも大きな断層を見出された始関委員長は、ただいたずらに過ぎ去る時間の空費を避けるとともに、旧来の陋習を断ち、き然とした態度をもって開会を宣したその勇気こそ、国会正常化への第一歩であり、心より敬意を表する次第であります。  審議の結果、五月二十八日、質疑終局動議を適当と判断され、委員会審議に終止符を打たれたのでありますが、このような措置こそは、委員長として当然とるべき態度であったと確信するものであります。また一方、野党委員各位の質疑もまことにりっぱなものであり、その意とするところも十二分に言い尽くされたものと判断されますので、大方の委員の了とされる委員長採決であったと確信するものであります。  始関委員長委員会運営については、以上申し上げましたとおり、非難すべき何ものも見出すことはできないのであります。どうか心ならずも提案しておられる提案者各位におかれましては、所属する党の名誉のため、すみやかに解任決議案を撤回されるよう強く要望いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手
  44. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 山崎始男君。   〔山崎始男君登壇
  45. 山崎始男

    ○山崎始男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、建設委員長解任決議案賛成の意思を申し述べたいと存じます。(拍手)  もうすでに提案者あるいは質問者からいろいろとその理由は申し上げておられますので、あえて私はことばを重ねません。ただ一言皆さん方に申し上げたいのは、ちょうど二十八日の建設委員会に見のがすことのできない点が二つございます。  まず第一点は、先ほど提案者から申しておりましたように、質疑の打ち切りをやる前に、不信任案を委員長の目の前へ持っていって、ちょうど子供によだれ掛けをかけるごとくかけておったのを無視して、そして、こそこそと退場をされたあの姿、これが第一点。  第二点は、先ほど反対討論をされました大野代議士、私はおとうさんの伴睦先生は偉大なる政治家として尊敬しておりました。その御曹子が、散会をしたあとで、たしか公明党の同僚議員の方にだと存じまするが、「皆さん、公明党の皆さんも第一党になりなさい、こういうことができるんですよ」と言ったことば。皆さん、このことばは一体何を意味しますか。もう私はこれより以上、限られた時間でございますから申し上げません。  ところが、こういうふうな慣例や法規を無視した一党独裁の議会運営は、過去にもたくさんございます。いまに始まったことではございません。思い出してもぞっとするのが、昭和二十九年の自治体警察を国家警察に変える会期三日間の延長のときでございました。会期末十二時の一分前に、堤衆議院議長は、このうしろの廊下へ立っておって、議場内に入らず、指を三本あげて会期の延長を成立させたのでございます。(発言する者多し)皆さん——ちょっと議長に私はお願いを申し上げます。
  46. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 静粛に願います。静粛に願います。
  47. 山崎始男

    ○山崎始男君(続) お願いを申し上げます。議場内は騒音防止法の適用外でございますが、このような不規則発言があった時間は、私は十分以上にちょうだいをいたしますことを、前もってお断わりをいたしておきます。(拍手)  皆さん、こういうことがまかり通るということは、議長席へ着いて開会を宣する必要も要りません。もとより速記録も要りません。廊下へ立って指三本あげて延長が成立するならば、便所の中で三本あげても延長は成立する、この道理を国民の目の前に示したのでございます。(拍手)  また、思い出しても——たしか昭和三十五年、安保国会の延長の記憶でございまするが、椎熊副議長が、振鈴の前にあの辺の席の下に隠れておって、振鈴が終わると同時に、突如立ち上がって、たった一言叫んで会期を延長させた。与党の皆さまの万歳、拍手、散会、たったの五秒でございます。こういう、いわゆる規則も慣例も無視した、多数を頼む暴挙、これはいまに始まったことではございません。  皆さん、私は考えますのに——皆さん方、新橋の駅の近くに行ってごらんになるとわかりますが、握りずし屋が、ベルトコンベヤーでもって一皿百円、五個ついております。こういう光景が目に映ります。私は、今回の自民党さんのいわゆる大幅会期延長されたあとの議員総会か何かのとき、たしか田中幹事長だと存じまするが、これからは一日に一つの法律案を上げなければいけない、各員一そう奮励努力せよというハッパをかけられた。一日に一つ。なるほど、きのうの佐藤総理のお話を聞きましても、一応法律を通過させることは与党責任である、なるほどそのとおりでございます。ただ、その法律の通過のさせ方が問題になる。言いかえますと、二十八日の国会の混乱というものは、いわゆる幹部が命令をした、法律を一日に一つ上げるというベルトコンベヤーをつくって、それでもってその日にスイッチを入れたためにああいうふうな混乱が起きたんだと、私はこう解釈をしておるのでございます。(拍手)  皆さん、考えてみますると、戦後二十有余年たっております。ところが、日本の民主政治というものは、二十四年たった今日、ほとんど進歩いたしておりません。まことに嘆かわしい状態だと存じます。(発言する者多し)皆さん——皆さま方は、そういう不規則な発言をされる前に、皆さま方の大先輩にどういう人がいらしたか、考えてみてください。すなわち明治の初めには、板垣退助先生が、自由は死すとも……(発言する者あり)板垣死すとも自由は死せず、自分の身を殺して人間の自由の尊厳を守った板垣退助大先輩、あるいはまた、昭和の初めには、あの総理大臣官邸において犬養毅先生は、軍人の一発のピストルでもって、話せばわかる、話せばわかると叫びながら死んでいった。いわゆる話せばわかる。この大先輩、皆さん、話せばわかる、話せばわかるというこの精神こそ、これは私は民主政治の基本でなければならないと思うのであります。(拍手)たとえ敵であれ、味方であれ、人種を超越して、皮膚の色も、目の色も——話せばわかる、話せばわかるというこの気持ちこそ、私は民主政治の大前提だと思っております。(拍手)民主政治の確立なくして何の世界平和がございましょう。  私は、今回の多数を頼む暴挙、今日の不正常なる国会のあり方、これはベルトコンベヤー式のやり方をやられるところに故障が起こって、今日の不正常が起こっておる。おそらくこの姿を国民が見たならば、一体何と言うでありましょう。どうぞ自民党の皆さま方の深い反省を求めると同時に、委員長解任決議案賛成の意を表するものでございます。(拍手
  48. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 大橋敏雄君。   〔大橋敏雄君登壇
  49. 大橋敏雄

    大橋敏雄君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま提案されました建設委員長始関伊平君の解任決議案に対し、賛成討論を行なわんとするものであります。  言うまでもなく、議会制民主主義とは、そのルールに基づき、最終的には多数決によるとしても、その前に少数意見を尊重することによって国民大衆の声を十分に反映させるのが基本原則であるということは、いまさら言うまでもございません。  したがいまして、私たちは、国会法、衆議院規則に基づき、定足数の常時確保や開会時に通告した委員は途中で交代してはならないとか、あるいは質疑通告者の発言を認め、強行採決は絶対にしないなど、しごく当然の要求をしてきたのであります。しかし、去る二十八日の建設委員会では、午前中の理事会で与野党の話し合いがつかないまま開会が強行され、自民党議員都市開発法案質疑を約五分間行なったところで、しかも、発言者がみずから質疑打ち切り動議提出したのであります。間髪を入れず、野党委員が委員長不信任の動議を突きつけたのでございますが、始関委員長はこれを全く無視して、同法案の採決を強行してしまったのであります。私は、見るからに温厚篤実な始関委員長に対し、今日まで内心深く尊敬の念を抱いておりましただけに、その驚きは全く大きかったのであります。(拍手)嘆かわしくも、連日のごとく非民主的な強行採決が行なわれ、いま国会が大混乱しておるその中で、自民党の鶏群の一鶴と称される始関君に限っては、民主主義ルールを守り、さぞや模範的な委員会を開会されるであろうと私は信じ、大きな期待を寄せて当日の委員会の傍聴にまいったのであります。ところが、何たることでありましょう、期待と夢は一瞬にして破れたのであります。九仭の功を一簣に欠くというか、この人柄にしてあの横暴、私の気持ちは暗黒の谷底に引きずり込まれていくようでありました。(拍手)  始関君、あなたは一体どうしたというのでしょうか。私は、本日あなたの解任決議案に対する討論を行なうにあたり、何とか救うすべはないものかと幾たびか自問自答したものであります。民主主義を踏みにじって平然としている始関君の姿を見て、私は、ついに今日までの尊敬と友情のきずなを、ここで切らざるを得ないことの重大さを深く悲しむものでございます。(拍手)典型的な国民不在の国会審議責任追及は、もはやどうすることもできません。事ここに至っては、すなおに委員長を辞任なさることが最善の道ではないでありましょうか。  さらに、当日の大混乱の委員会の部屋で、自民党の諸兄は、万歳万歳と声高らかに叫んでおりました。あなたも聞かれたはずであります。あの万歳の声は、民主政治の滅亡を祝う悪鬼の声であり、堕落を喜ぶ悪魔の声なのであります。(拍手)私の全身に義憤の血が逆流していったのは、そのときからでありました。この暴挙こそ、数の実力による対決を辞さずとの自民党の横柄きわまりなき実態であり、議会制民主主義の存亡の危機を象徴するものであります。  目的のためには手段を選ばずとの非民主的な国会運営は、素朴な国民大衆にぬぐいがたき不信感をますます深め、不満は爆発寸前の状態にあるのであります。すでに、既成権威の破壊を目ざしてゆれ動く一部学生のゲバ棒騒動に拍車をかけていくことは明白であり、私はこれを憂えずにはいられないのであります。  私は、ここに、今日の国会で多数派であるということが、必ずしも国民大多数の意思を代表しているものではないということを明確にしておきます。(拍手国民の過半数の投票は、自民党政府を支持してはおりません。この大多数の意向をじゅうりんして、議会少数の野党意見を嘲笑するとき、自民党政府の前途には、みずから選ぶ葬送の暮鐘が鳴り渡ることを自覚すべきでありましょう。あたかも平家の末期にも似た横暴と狂乱を、私はあわれまざるを得ないのであります。  佐藤総理が強行採決の非民主的な姿勢をたな上げして、暴挙は少数党のゲバ棒といわざるを得ないなどと白々しく述べるくだりは、自民党議員の多くが、議会制民主主義の何たるか、あるいは多数派の意味するものが何か、全くおわかりでないということを明瞭に物語るものであります。佐藤総理に直結する始関君にして、初めて行ない得た暴挙なのでありましょうが、曲学阿世のそしりを免れないのであります。  さらに重大なことは、一方的に七十二日間という国会史上空前の大幅会期延長を決定したことであります。しかも、その理由たるや、重要法案が残っているからという。その重要法案とは、防衛二法案、健保特例延長法案、あるいは大学管理法案などのこととしておるわけでありますが、これらはいずれも重要法案どころか、国民のために廃案とすべき法案なのであります。さきに強行した国鉄運賃値上げ法案や総定員法及び地方公務員法案のごとく、国民生活を極度に圧迫する改悪法案ばかりなのであります。自民党が世論と野党の非難の中で会期を大幅に延長したことは、いかに彼らの行動と主張が道理と国民の福祉に離反しているかを証明しているようなものであります。冷静かつ正常な国民大衆の怒りは大きく燃え広がっております。だからこそ私たちは、忍耐強く自民党諸兄の猛省を促してきたのであります。しかし、私たちの誠意は一向にくみ取られないのみか、ますます強行強行の連続であり、もうこれ以上許すわけにはまいりません。  始関君、朱に交われば赤くなるとのことわざがございますが、高潔有能の士始関君も、長年、議員生活に浸ってきたために、骨の髄まで毒されてしまったのでありましょうか。始関君、あなたは再び委員長の席につこうなどの野心は決して起こさないほうがよいでしょう。建設委員長の重任を全うするに足る資格など、どこにも認められないことを自覚し、いさぎよく委員長の任を辞退すべきであります。いつぞや、わが党の建設委員が理事懇談会の席上で公明党の修正案を提示したとき、これはすばらしい案だと感心なさったというではありませんか。なぜ、それを取り上げようとなされないのか。国民の声を曇りなく反映させていくことが、政権担当者の責務ではありませんか。
  50. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 大橋君、時間ですから、結論を急いでください。
  51. 大橋敏雄

    大橋敏雄君(続) 声なき声に耳を傾けるのでもなく、悲痛な叫びさえ完全に黙殺し、圧殺するいまの自民党の政治論理は、横暴多数派の論理であり、民主政治の名をかりたゲバルトであるといっても過言ではありません。即座に辞任されることは、国民に対する責任の一部でも果たすこととなると思うものであります。自民党がおごり高ぶり、庶民を踏みつけにした暴挙をやめない限り、日本の議会制民主主義は崩壊の道をたどり、断末魔の声をあげるのは必至であります。  最後に、こうした不毛の対決主義の是正の道は何か。結論から先にいえば、自民党のいびつな体質と横暴を根底から改革する以外にはない。その直道は、直ちに国会を解散して、国民に信を問うことであります。(拍手)賢明な国民大衆は、真の大衆のための政党、庶民の党はいずれか、きわめて公平に選択するであろうと信ずるものであります。  要は、自民党が私物化した議会に大衆の血を通わせ、強行採決の汚濁に満ちた政治に終止符を打つために、あえて始関建設委員長解任決議案に対し賛意を表するものでございます。  以上で終わります。(拍手)     —————————————   討論終局動議園田直君外二十六名提出
  52. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 園田直君外二十六名から、討論終局動議提出されました。  本動議を採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白票、反対の諸君青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖
  53. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名点呼〕   〔各員投票
  54. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣——開鎖。   〔議場開鎖
  55. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  56. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 三百三十九   可とする者(白票)       百九十九   否とする者(青票)        百四十
  57. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 右の結果、討論は終局するに決しました。     —————————————  園田直君外二十六名提出討論終局動議をを可とする議員氏名       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       阿部 喜元君    相川 勝六君       青木 正久君    赤城 宗徳君       天野 公義君    天野 光晴君       荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君       有田 喜一君    井原 岸高君       伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君       池田 清志君    石田 博英君       稻葉  修君    上村千一郎君       臼井 莊一君    内田 常雄君       内海 英男君    浦野 幸男君       江崎 真澄君    小川 半次君       小澤 太郎君    小沢 辰男君       小渕 恵三君    大石 八治君       大久保武雄君    大竹 太郎君       大坪 保雄君    大野  明君       大橋 武夫君    大平 正芳君       大村 襄治君    岡崎 英城君       岡本  茂君    加藤常太郎君       加藤 六月君    鹿野 彦吉君       鍛冶 良作君    海部 俊樹君       金子 一平君    金子 岩三君       上林山榮吉君    神田  博君       亀岡 高夫君    亀山 孝一君       鴨田 宗一君    仮谷 忠男君       川野 芳滿君    菅  太郎君       菅野和太郎君    木野 晴夫君       木部 佳昭君    木村 武雄君       岸  信介君    北澤 直吉君       吉川 久衛君    久野 忠治君       久保田円次君    久保田藤麿君       草野一郎平君    鯨岡 兵輔君       熊谷 義雄君    倉石 忠雄君       倉成  正君    藏内 修治君       黒金 泰美君    小坂善太郎君       小峯 柳多君    小宮山重四郎君       小山 省二君    河野 洋平君       佐々木秀世君    佐々木義武君       佐藤 榮作君    佐藤 文生君       斎藤 寿夫君    坂田 道太君       坂村 吉正君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    笹山茂太郎君       四宮 久吉君    始関 伊平君       椎名悦三郎君    塩川正十郎君       塩谷 一夫君    重政 誠之君       澁谷 直藏君    正示啓次郎君       白浜 仁吉君    進藤 一馬君       周東 英雄君    菅波  茂君       鈴木 善幸君    砂田 重民君       砂原  格君    世耕 政隆君       瀬戸山三男君    園田  直君       田川 誠一君    田澤 吉郎君       田中伊三次君    田中 榮一君       田中 角榮君    田中 龍夫君       田中 正巳君    田村  元君       田村 良平君    高橋 英吉君       高見 三郎君    竹内 黎一君       竹下  登君    谷川 和穗君       千葉 三郎君    塚田  徹君       塚原 俊郎君    坪川 信三君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       徳安 實藏君    床次 徳二君       内藤  隆君    中尾 栄一君       中垣 國男君    中川 一郎君       中村 梅吉君    中村 寅太君       中村庸一郎君    中山 榮一君       中山 マサ君    灘尾 弘吉君       南條 徳男君    二階堂 進君       丹羽 久章君    丹羽喬四郎君       西岡 武夫君    西村 英一君       西村 直己君    根本龍太郎君       野田 卯一君    葉梨 信行君       橋本龍太郎君    長谷川 峻君       濱野 清吾君    早川  崇君       原田  憲君    広川シズエ君       廣瀬 正雄君    福家 俊一君       福井  勇君    福田 赳夫君       福田 篤泰君    福田  一君       福永 健司君    藤枝 泉介君       藤尾 正行君    藤田 義光君       藤波 孝生君    藤本 孝雄君       船田  中君    古内 広雄君       古川 丈吉君    古屋  亨君       坊  秀男君    細田 吉藏君       堀川 恭平君    本名  武君       益谷 秀次君    増岡 博之君       増田甲子七君    松浦周太郎君       松澤 雄藏君    松田竹千代君       松野 幸泰君    松野 頼三君       三池  信君    三原 朝雄君       箕輪  登君    湊  徹郎君       村上  勇君    村山 達雄君       毛利 松平君    粟山  秀君       森下 國雄君    森田重次郎君       森山 欽司君    八木 徹雄君       山口シヅエ君    山口 敏夫君       山下 元利君    山田 久就君       山中 貞則君    吉田 重延君       早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君       渡辺  肇君  否とする議員氏名       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井岡 大治君       井手 以誠君    井上  泉君       井上 普方君    伊賀 定盛君       猪俣 浩三君    石川 次夫君       石田 宥全君    石野 久男君       板川 正吾君    枝村 要作君       小川 三男君    大柴 滋夫君       大原  亨君    太田 一夫君       岡田 利春君    岡本 隆一君       加藤 清二君    加藤 万吉君       勝澤 芳雄君    勝間田清一君       角屋堅次郎君    金丸 徳重君       唐橋  東君    川崎 寛治君       川村 継義君    河上 民雄君       河野  正君    木原  実君       北山 愛郎君    久保 三郎君       久保田鶴松君    黒田 寿男君       小林 信一君    兒玉 末男君       後藤 俊男君    河野  密君       神門至馬夫君    佐野 憲治君       佐野  進君    斉藤 正男君       阪上安太郎君    實川 清之君       島上善五郎君    島本 虎三君       下平 正一君    田中 武夫君       田邊  誠君    田原 春次君       多賀谷真稔君    高田 富之君       武部  文君    楯 兼次郎君       千葉 佳男君    戸叶 里子君       堂森 芳夫君    内藤 良平君       中井徳次郎君    中澤 茂一君       中嶋 英夫君    中谷 鉄也君       中村 重光君    永井勝次郎君       楢崎弥之助君    成田 知巳君       西風  勲君    野口 忠夫君       野間千代三君    長谷川正三君       畑   和君    華山 親義君       浜田 光人君    平岡忠次郎君       平林  剛君    平等 文成君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       福岡 義登君    古川 喜一君       帆足  計君    穗積 七郎君       細谷 治嘉君    堀  昌雄君       三木 喜夫君    武藤 山治君       村山 喜一君    森  義視君       森本  靖君    八百板 正君       八木 一男君    八木  昇君       矢尾喜三郎君    安井 吉典君       柳田 秀一君    山内  広君       山口 鶴男君    山崎 始男君       山田 耻目君    山中 吾郎君       山花 秀雄君    山本 幸一君       山本 政弘君    山本弥之助君       米内山義一郎君    米田 東吾君       依田 圭五君    渡辺 惣蔵君       渡辺 芳男君    浅井 美幸君       有島 重武君    伊藤惣助丸君       石田幸四郎君    小川新一郎君       大野  潔君    大橋 敏雄君       近江巳記夫君    岡本 富夫君       沖本 泰幸君    北側 義一君       小濱 新次君    斎藤  実君       鈴切 康雄君    田中 昭二君       竹入 義勝君    中野  明君       樋上 新一君    広沢 直樹君       伏木 和雄君    正木 良明君       矢野 絢也君    山田 太郎君       田代 文久君    谷口善太郎君       林  百郎君    松本 善明君     —————————————
  58. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 建設委員長始関伊平解任決議案につき採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。本決議案賛成諸君白票、反対の諸君青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖
  59. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名点呼〕   〔「聞こえないぞ」と呼び、その他発言する者あり〕   〔各員投票
  60. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 静粛にお聞き取りください。   〔参事氏名点呼を継続〕   〔投票継続〕
  61. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れの方は急いでください。   〔投票継続〕
  62. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣——開鎖。   〔議場開鎖
  63. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  64. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 三百三十八   可とする者(白票)        百四十   否とする者(青票)       百九十八   〔拍手
  65. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 右の結果、建設委員長始関伊平解任決議案は否決されました。(拍手)     —————————————  柳田秀一君外六名提出建設委員長始関伊平解任決議案を可とする議員氏名       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井岡 大治君       井手 以誠君    井上  泉君       井上 普方君    伊賀 定盛君       猪俣 浩三君    石川 次夫君       石田 宥全君    石野 久男君       板川 正吾君    江田 三郎君       枝村 要作君    小川 三男君       大柴 滋夫君    大原  亨君       太田 一夫君    岡田 利春君       岡本 隆一君    加藤 清二君       加藤 万吉君    勝澤 芳雄君       勝間田清一君    角屋堅次郎君       金丸 徳重君    唐橋  東君       川崎 寛治君    川村 継義君       河上 民雄君    河野  正君       木原  実君    北山 愛郎君       久保 三郎君    久保田鶴松君       黒田 寿男君    小林 信一君       兒玉 末男君    後藤 俊男君       河野  密君    神門至馬夫君       佐野 憲治君    佐野  進君       斉藤 正男君    阪上安太郎君       實川 清之君    島上善五郎君       島本 虎三君    下平 正一君       田中 武夫君    田邊  誠君       田原 春次君    多賀谷真稔君       高田 富之君    武部  文君       楯 兼次郎君    千葉 佳男君       戸叶 里子君    堂森 芳夫君       内藤 良平君    中井徳次郎君       中澤 茂一君    中嶋 英夫君       中谷 鉄也君    中村 重光君       永井勝次郎君    楢崎弥之助君       成田 知巳君    西風  勲君       野口 忠夫君    野間千代三君       長谷川正三君    畑   和君       華山 親義君    浜田 光人君       平岡忠次郎君    平林  剛君       平等 文成君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    福岡 義登君       古川 喜一君    帆足  計君       穗積 七郎君    細谷 治嘉君       堀  昌雄君    三木 喜夫君       武藤 山治君    村山 喜一君       森  義視君    森本  靖君       八木 一男君    八木  昇君       矢尾喜三郎君    安井 吉典君       柳田 秀一君    山内  広君       山口 鶴男君    山崎 始男君       山田 耻目君    山中 吾郎君       山花 秀雄君    山本 幸一君       山本 政弘君    山本弥之助君       米内山義一郎君    米田 東吾君       依田 圭五君    渡辺 惣蔵君       渡辺 芳男君    浅井 美幸君       有島 重武君    伊藤惣助丸君       石田幸四郎君    小川新一郎君       大野  潔君    大橋 敏雄君       近江巳記夫君    岡本 富夫君       沖本 泰幸君    北側 義一君       小濱 新次君    斎藤  実君       鈴切 康雄君    田中 昭二君       竹入 義勝君    中野  明君       樋上 新一君    広沢 直樹君       伏木 和雄君    正木 良明君       矢野 絢也君    山田 太郎君       田代 文久君    谷口善太郎君       林  百郎君    松本 善明君  否とする議員氏名       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       阿部 喜元君    相川 勝六君       青木 正久君    赤城 宗徳君       天野 公義君    天野 光晴君       荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君       有田 喜一君    井原 岸高君       伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君       池田 清志君    石田 博英君       稻村佐近四郎君    上村千一郎君       臼井 莊一君    内田 常雄君       内海 英男君    浦野 幸男君       江崎 真澄君    小川 半次君       小澤 太郎君    小沢 辰男君       小渕 恵三君    大石 八治君       大久保武雄君    大竹 太郎君       大坪 保雄君    大野  明君       大橋 武夫君    大平 正芳君       大村 襄治君    岡崎 英城君       岡本  茂君    加藤常太郎君       加藤 六月君    鹿野 彦吉君       賀屋 興宣君    鍛冶 良作君       海部 俊樹君    金子 一平君       金子 岩三君    上林山榮吉君       神田  博君    亀岡 高夫君       亀山 孝一君    鴨田 宗一君       仮谷 忠男君    川野 芳滿君       菅  太郎君    菅野和太郎君       木野 晴夫君    木部 佳昭君       木村 武雄君    岸  信介君       北澤 直吉君    吉川 久衛君       久野 忠治君    久保田円次君       久保田藤麿君    草野一郎平君       鯨岡 兵輔君    熊谷 義雄君       倉石 忠雄君    倉成  正君       藏内 修治君    黒金 泰美君       小坂善太郎君    小峯 柳多君       小宮山重四郎君    小山 省二君       河野 洋平君    佐々木秀世君       佐々木義武君    佐藤 榮作君       佐藤 文生君    斎藤 寿夫君       坂田 道太君    坂村 吉正君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       笹山茂太郎君    四宮 久吉君       始関 伊平君    椎名悦三郎君       塩川正十郎君    塩谷 一夫君       重政 誠之君    正示啓次郎君       白浜 仁吉君    進藤 一馬君       周東 英雄君    菅波  茂君       鈴木 善幸君    砂田 重民君       砂原  格君    世耕 政隆君       瀬戸山三男君    園田  直君       田川 誠一君    田澤 吉郎君       田中伊三次君    田中 榮一君       田中 角榮君    田中 龍夫君       田中 正巳君    田村  元君       田村 良平君    高橋 英吉君       高見 三郎君    竹内 黎一君       竹下  登君    谷川 和穗君       千葉 三郎君    塚田  徹君       塚原 俊郎君    坪川 信三君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       徳安 實藏君    床次 徳二君       内藤  隆君    中尾 栄一君       中垣 國男君    中川 一郎君       中村 梅吉君    中村 寅太君       中村庸一郎君    中山 榮一君       中山 マサ君    灘尾 弘吉君       南條 徳男君    二階堂 進君       丹羽 久章君    丹羽喬四郎君       西岡 武夫君    西村 英一君       西村 直己君    根本龍太郎君       野田 卯一君    葉梨 信行君       橋本龍太郎君    長谷川 峻君       濱野 清吾君    早川  崇君       原田  憲君    広川シズエ君       廣瀬 正雄君    福家 俊一君       福井  勇君    福田 赳夫君       福田 篤泰君    福田  一君       福永 健司君    藤枝 泉介君       藤尾 正行君    藤田 義光君       藤波 孝生君    藤本 孝雄君       船田  中君    古内 広雄君       古川 丈吉君    古屋  亨君       坊  秀男君    細田 吉藏君       堀川 恭平君    本名  武君       益谷 秀次君    増岡 博之君       増田甲子七君    松浦周太郎君       松澤 雄藏君    松田竹千代君       松野 幸泰君    松野 頼三君       三池  信君    三原 朝雄君       湊  徹郎君    村上  勇君       村山 達雄君    毛利 松平君       粟山  秀君    森下 國雄君       森田重次郎君    森山 欽司君       八木 徹雄君    山口シヅエ君       山口 敏夫君    山下 元利君       山田 久就君    山中 貞則君       山村新治郎君    吉田 重延君       早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君     —————————————  日程第一 都市開発法案内閣提出参議院送付)
  66. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 日程第一、都市開発法案を議題といたします。
  67. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 委員長の報告を求めます。建設委員長始関伊平君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔始関伊平登壇
  68. 始関伊平

    始関伊平君 ただいま議題となりました都市開発法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、市街地の計画的な再開発に関し必要な事項を定めることにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用都市機能の更新とをはかり、もって公共の福祉に寄与することを目的とするもので、そのおもな内容は次のとおりであります。  第一に、市街地再開発事業の施行は、都市計画法に定められた高度利用地区内にあること等、一定の条件に該当する地区で行ない、その事業に関する都市計画は、施行区域等のほか、公共施設並びに建築物等の整備に関する計画を定めるものとし、さらに、住宅不足の著しい地域においては、住宅建設の目標を定めなければならないものとすることであります。  第二に、市街地再開発事業の施行者は、市街地再開発組合、地方公共団体及び日本住宅公団とし、事業の手法は、従前の土地及び建物の権利を新しく建築する建築物とその土地に関する権利に変換するものとすることであります。  第三に、市街地再開発事業に対する資金については、国及び地方公共団体は、補助金の交付、資金の融通等の配慮をするものとし、また、公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律及び防災建築街区造成法の両法は廃止するものとすることであります。  本案は、去る四月十八日本委員会に付託され、五月七日建設大臣より提案理由説明を聴取、自来、慎重審議を進めてまいったのでありますが、その詳細については会議録に譲ることといたします。  かくて、五月二十八日本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  69. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 質疑通告があります。順次これを許します。金丸徳重君。   〔金丸徳重君登壇
  70. 金丸徳重

    金丸徳重君 私は、日本社会党を代表して、ただいま行なわれました都市開発法案審議経過についての委員長報告に関し、始関建設委員長に二、三のお尋ねをいたしますとともに、この機会に、政府の見解をも明確にしておきたいと思います。  私が委員長報告に対しあえてこの質問を行なわんとするゆえんのものは、本法案審議過程において委員長があまりにも無謀の独裁専行をいたし、これによって、野党からついに解任決議を突きつけられるような事態を引き起こし、決議案そのものは、なるほど多数の力により通過は免れたとはいいながら、審議不十分、強行採決という事実は厳然として明確にされたのでありまして、これをこのまま見のがすことは、本院の権威責任にかけてでき得ないものと信じたからであります。(拍手)  言うまでもなく、本法案は、現下わが国最大の政治課題の一つとしての都市問題を解決せんとして政府より提案せられ、われわれもまたその重要さを十二分に認識しながら、政府とともに、いな、政府以上の熱意と誠意とを持ってこれが審議に当たっていたところでありまして、これがために、さきには特にわれわれ委員こぞって現地視察を行ない、さらに近く学者、専門家をわずらわしてその意見を聴取するなどの計画を進め、もって、本重要法案審議に万遺憾なきを期すべきであると申し合わせておったところであります。これについては、委員長もとくと承知せられておったところと信じます。  しかるに、一昨日の委員会において突如質疑打ち切り、強行採決の挙に出たのは何ゆえでありますか。質疑通告をしていたのは十余名であり、そのうち数名のみ質疑を終わったばかりでありまして、他はみな、その順位を待っており、私もその一人であったのであります。委員長は、こうした質疑通告者の言論を封殺し、審議を不可能ならしめることが議会政治の毒殺行為であることぐらいは、十分承知のはずであります。のにもかかわらず、あえてこれをやられたのは、他に何らかの意図があったものと思わざるを得ないのでありますが、まず、これを明らかにせられたいのであります。  第二に、委員長審議を尽くしたかに言われておるのでありますが、次のような点について、委員会は明確なる政府の見解をただしているのかどうか、ただしたとするならば、委員長の口を通じて本議場において明らかにしてもらいたいのであります。  その一点は、本法案は、東京、大阪等をはじめ、諸都市過密化に伴う諸問題を解決することをねらいとして種々の方策を講ぜんとしておるのでありますが、その過密現象を招来する根本原因の究明とその対策こそがこれに先行して解決されていかなければならないことは、多言を要しません。わが国、国土全体の総合的な効率的開発計画が進められ、その上に立っての都市計画の青写真ができ、その青写真に基づいての都市開発でなければならないのでありますが、委員長は、はたしてそれを明らかにつかんでおりますか。それを明確に把握してのことであるならば、本壇上において詳細に承らしていただきたい。(拍手)第二に、右の事項が明確にされたとかりにいたしましても、本法案は、それに基づく総合都市計画の一環として、必然的、理想的に発想せられたものとは思われないところに問題があります。たまたま工場あと地等を発見し、またはその他の偶発的条件に他動され、刺激され、いわばつけ焼き刃的、便宜的、思いつき的に計画し、施行せんとするやのものでありまして、問題の根本的な総合的の解決という理想からは、およそほど遠いものであるばかりでなく、むしろ、このこう薬ばり的施策の遂行が、かえって今後における都市開発都市安定策を複雑ならしめ、困難ならしめる心配さえ内蔵しておるものと憂えざるを得ないのでありますが、委員長の見解はいかがでありますか。  次に、私は政府の見解をただしたいと思います。  まず、建設大臣にお伺いいたしますが、あなたは、本法案を重要施策の一環として熱を入れておられました。都市問題の重要課題である住宅や道路、公園等について責任を持っておられる大臣としては当然のことではありますが、それだけに、今回の審議打ち切り、強行採決という暴挙については、われわれ以上に憤慨しておることと思います。委員会での質疑応答は、国民の声を聞いて反省、検討を加えるに絶好の場であると同時に、大臣の抱負や決意を国民に率直に訴える最もいい機会であるからであります。したがって、大臣は、ただいまのいかにも簡単きわまる紋切り型の委員長報告に、私以上の落胆と失望を覚えたと思います。そこで私は、委員長にさらに詳細の報告を求めたのでありますが、委員長答弁は、およそ満足するものとは思えません。どうかあなたは、あなたの責任において、委員会質疑の中で特に問題になった点、その他の重要点について積極的に解明せられ、担当大臣としての熱意と誠意をお示し願いたい。私は、残念ながらきびしい時間の制約の中でありまするから一々項目をあげてお尋ねすることができませんが、大臣はどれだけの時間をとってもいいわけでありますから、どうかこの重要法案に対する大臣の熱誠を国民の前にお示しになる意味で、できるだけ丁寧にお答えが願いたいのであります。  次に、自治大臣にお尋ねいたします。  産業の都市傾斜、人口の都市集中は、いまや各地域に及び、都道府県知事は地方の町村長などとともに、ひとしくその対策に悩んでおるところであり、そのうらはらとしての地方の山間部落の衰微荒廃は急激に進行しておるところでありまして、今後における地方の社会問題の最大のものとなることが憂えられるのでありますが、自治大臣はこれに対していかなる考えと対策を持っておられまするか。私が詳しくその理由、状況などを申し上げるまでもございませんが、この都市開発法審議の際に、あなたの今後における地方振興、国土の平衡開発に対する決意を承ることが大切だと思ったからであります。  大蔵大臣、大臣は予算配分の責任者として、政府施策の円滑有効なる推進につとめておられるのでありますが、今日、わが国の全域にまたがってじりじりと進行、深刻化しつつある社会問題、すなわち、言うところの過密過疎の問題について、大臣はどうお考えになっておられますか。地方では、大蔵大臣の目は都会にのみ集中的に向けられて、地方は何ら顧みられていないとの声が聞かれます。大蔵大臣の目がどこに向けられているかは別としましても、現実は、まさにそう言われてもしかたがないような結果を招来しております。しこうして、今回都市開発法が施行されることになり、そのねらうところの事業が強力に進められることになると、都市は一そう明るく住みよくなるといわれております。そのこと自体は喜ぶべき現象でありまするが、これに見合うところの地方過疎地帯への手当てがおくれると、ここに過密過疎の開きは一そう激しくなることが心配されるのであります。いまこそ大蔵大臣は、その目をあたたかく地方へ向けて、関係各大臣とともに、この重要問題解決へ力強い歩を進めるべきかと思うのでありますが、いかがでありましょうか。  最後になりましてたいへん失礼でありまするが、締めくくりの意味において、総理大臣にお伺い申し上げます。  ただいままでの私の質問によって、ものわかりのいい佐藤総理大臣は、すでに御了解くださっておるように、戦後わが国の社会は、その高度成長政策に刺激されて都市が急激に膨張し、開発され、地方が置き去りになってまいりました。その結果招来された多くの問題は、ここにあらためて申し上げるまでもございません。要するに、国土の総合的な、全体的な均衡ある開発計画がなかったからであるといわざるを得ません。本法案審議の過程で、われわれの心裏を去来したものは、都市の再開発はこれでいいとしても、地方や山村、山の中は、はたしてどうなるであろうかということであります。世には画竜点睛を欠くということばがありまするが、本法案は点睛の一部ではありましょう。しかし、残念ながら、まだ大事な竜がかけていなかった、目をかいて、あとから竜をかくという絵かきは、私はまだ見たことがございません。  そこで、総理はこの機会に、国土総合開発計画の構想とそのスケジュールをお示しになる必要があろうかと思います。国土全体の産業的、文化的、社会的総合計画の上に立っての都市計画であり、その上での都市開発であってこそ、初めて国民も納得し、ついていけるものと思いまするがゆえに……
  71. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 金丸君、時間ですから、結論を急いでください。
  72. 金丸徳重

    金丸徳重君(続) あえて総理の所信をお伺いをいたして、私の質問を閉じます。(拍手)   〔始関伊平登壇
  73. 始関伊平

    始関伊平君 お答えをいたします。  まず最初に、一昨日の建設委員会における都市開発法案の採決に関連いたしまして、このような事態となったことについて、ここに遺憾の意を表しておきたいと存じます。  まず、突如として強行採決したのはいかなる理由によるのであるかというお尋ねでございますが、私は、建設委員長に就任いたしまして以来、公平を旨とし、審議を尽くすことを主眼とし、幸い与野党各委員の御理解と御協力をいただきまして今日に至っております。この点につきましては、感謝をいたしておきたいと存じておる次第でございます。問題の都市開発法案につきましても、四月十八日に当委員会に付託せられまして以来、前後五日間、時間にして九時間余り、与野党合わせて八名の委員が質疑に立ち、審議を尽くしたのであります。その結果といたしまして、去る二十二日には参考人を招致し、また、二十三日には採決してよろしい、採決に応じようという、社会党を含めまして理事会の申し合わせができておったのでございますが、会期延長に藉口いたしまして、社会党が審議をボイコットしてまいりましたので、参考人の招致も、また採決も、結局ほごになったわけでございます。  このような経緯はあるのでございますけれども、なお質疑があるならば、ぜひ質疑を続けてもらいたい、していただきたいということを一昨日朝の理事会の席上におきまして、私自身から、また、与党側の理事を通じて、再三再四野党側に繰り返し要請をいたし、また、通告をいたしたのでございますが、その際、大野君を除きましては質疑の申し出がなかったのでございます。質疑の申し出がない以上、質疑を打ち切り、採決をいたすことはやむを得ないところであり、また、当然でもあると考えております次第でございます。  なお、突如としてというお話がございましたが、これはいわゆる抜き打ち採決ではございません。質疑をしてくれないならば、しかたがないから採決をいたしますよ、ということを与党側の理事を通じまして野党側に御連絡を申し上げたのでございまして、にわかに建設委員外の者を含めまして、多数の野党側の諸君が委員室に集まってまいりまして委員長席を取り巻いたということは、その通告の結果であるように理解をいたしておる次第でございます。(拍手)  なお、委員長の職務といたしましては、議事を円滑にやることと、あわせて審議の能率化、それから審議の促進をはかる、この二つの任務を持つのでございまして、これがためには、野党側との話し合いということが大事でございますけれども、それと同時に、議会運営ルールを定め、議会制民主主義の擁護をする目的をもって制定されております国会法、衆議院規則を尊重することが根本的に大事だと思うのでございます。一昨日の当委員会における採決は、国会法と衆議院規則に準拠いたしまして、その精神に合致するものでございますから、これをもって議会制民主主義を踏みにじるものであるというのは、いわれなき非難であろうと考えております。(拍手)  なお、第二の御質問でございますが、審議の経過は速記録に譲りたいと思いますけれども、この法律は、すでに御承知のとおり、これだけが独立して生きておるのではございません。都市計画法を母法とするものでございます。この都市開発法は、事業の主体でございますとか、どういうやり方をするかとかいう手法を定めておるのでございまして、この主体、手法がどのように活用されるかということは、都市計画の内容として決定されるのでございまして、再開発の全体の計画あるいは段階計画等は、これによって、都市計画自体によって定められてくる、その定められた計画に従いまして、都市開発の手法というものが役立ってまいるというふうに相なっておるのでございます。  なおまた、この法案都市の安定の上に、都市の再開発の上に、いかに役立つかというような点につきましては、これまた委員会において十分に審議が尽くされたものであるということを申し上げまして、私の答弁を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  74. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 金丸君にお答えいたします。  過密過疎対策は、経済社会の飛躍的発達のために解決しなければならない今後の大きな課題であります。したがいまして、新全国総合開発計画におきましても、真剣にこの問題を取り上げていることは、あらためて申し上げるまでもございません。私は、現下の深刻な都市問題、すなわち、都市への人口集中による過密化と不合理な土地利用とにより、都市機能の低下と都市環境の悪化を招いている当面の既成都市を、今後総合的にかつ計画的にできるだけ改善してまいりますが、その際に、御指摘になりました過疎対策をもあわせて行なっていく考えでございます。  以上、お答えいたします。(拍手)   〔国務大臣坪川信三君登壇
  75. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) 金丸議員にお答えいたします。  最近の都市への人口、産業の過度な集中によるところの無秩序な不幸な都市現象を思うときに、この不幸な都市現象に対しまして、根本的な基本対策を立てますことが、都市対策の重要な課題であろうかと思うのであります。したがいまして、副都心部の建設あるいは流通業務団地の整備、あるいは職住近接をねらいました、土地を高度に利用いたしましての空間圏を利用いたしました建物と土地と住宅、三位一体となった住宅環境の整備と、また都市環境の整備を目的といたしまして本立法をお願いいたしたような次第でございますので、六月から施行いたします新都市計画法の適切な運営と、本法案の議決をいただきました以上、これを施行いたします運営等によりまして、この不幸な都市化現象に積極的に対応いたしてまいる所存でございますので、よろしく御了承願いたいと思います。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  76. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 過疎対策を軽視するな、こういう御所見でございますが、これはさようなことは決して考えておりませんです。過疎対策といい、過密対策といい、ただいま総理からお答えがありましたように、これは異常な経済発展、これに伴うところの社会構造、産業構造の変化、非常に根が深いものである。さようなことから長期計画、新全国総合開発計画を立てまして、その立てました昭和六十年までの展望の上に立ちまして、個々の施策を進めていくという態度をとっております。都市も農村もともに肩を並べて前進する社会、その前進する社会というものを目途として、いま大いに精進をいたしておるわけであります。(拍手)   〔国務大臣野田武夫登壇
  77. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 特に過疎対策を御心配になっておるようでございますが、ただいま総理、大蔵大臣からお答えいたしたとおり、政府といたしましては、真剣にその対策に取り組んでおります。自治省といたしましては、まず過疎地域と中核都市を一体として考えて、当該地域の振興をはかるために、広域市町村圏構想を活用して、道路網の整備や交通通信網の整備、あるいは医療ネットワークの形成とか地域産業の振興等につきまして、重点的に措置いたしておる次第でございます。(拍手
  78. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 島上善五郎君。   〔島上善五郎君登壇
  79. 島上善五郎

    ○島上善五郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいまの始関建設委員長の報告に対して若干の質問をいたします。  まず、第一に指摘しなければならない点は、ただいまの委員長報告には許しがたい虚偽の報告があったということであります。神聖なるべきこの議場において虚偽の報告をするということは、議員を欺くのみならず、国民を欺く行為であって、良心ある政治家の恥ずべき行為であります。  その虚偽の最大なるものは、審議が十分に尽くされたということ、社会党が審議をボイコットしたということであります。建設委員会のいままでの審議は、すべて理事会における話し合いをもととして進められてまいりました。これは当然のことであります。私たちは、先般の会期大幅延長暴挙にかんがみまして、今後の委員会における審議権を守るために、先般委員長に対して、常時定足数を守ること、第二には、委員の発言権を保障すること、第三には、委員の差しかえは成規の手続をもって行なうこと、第四に、委員会の開催は従来理事会で約束済みの定例日において行なうこと、この四点を要求いたしました。これはきわめて当然のことであって、良識ある始関委員長は喜んでこれを受けて、書類で確認するものと期待しておりましたところ、言を左右にして拒否いたしました。そうして、先ほど来の質問にもありましたように、一方的に理事会話し合いを打ち切り、みずから紛糾の原因をつくって、社会党が審議をボイコットしたなどと報告するごときは、本末転倒もはなはだしいものであって、明らかに事実に反する虚偽の報告であります。(拍手)私たちは、このような虚偽の報告を断じて許すことはできません。  第二に伺いたいのは、時間が制約されておりますので、内容には深く触れることはできませんけれども、始関委員長は、この法律の重要性に対してどのように認識をしておるかということ。強行採決を行なった二十八日にどうしても採決しなければならないという特別の理由があるかどうかということ。会期を七十二日も延長して、まだ六十八日も残っておるのですから、なぜ野党の質問を許さずに二十八日にどうして採決しなければならなかったのか。(発言する者あり)まあもう少し、十分間だけ静かに聞きなさい。  最近の都市への人口の異常な集中、不規則で無計画に膨張する不健康な現状、ただいま坪川大臣は不幸な状態と、こう申しましたが、不健康で不幸な状態は、池田内閣以来の高度成長政策の結果であり、政府自民党都市政策の貧困と相まって必然的に生まれたものであります。(拍手)したがって、都市開発は、政府自民党の無為無策を反省して、その上に立って住民の福祉を第一の眼目とし、百年の大計を立てた上で都市開発をなすべきものだと思います。憲法で明記されておりまするような、健康で文化的な生活を営むに足る住民福祉を考えた都市開発法でなければならないと存じます。  しかるに、今回政府提案した都市開発法は、零細な住民の権利を不当に抑圧し、住民でない大資本が営利を目的として再開発企業を興すようにできております。国と地方から補助金を与え、融資の便宜をはかって、大企業に再開発を名として利潤を与えようとすることは、私は、住民の福祉を本来の目的として行なうべき都市開発法の本旨に反し、矛盾するものではないかと存じます。この点に対する委員長の御見解を承りたい。  そして、このように大事な都市開発法審議を、まだ六人も質問通告者が残っておったのに、どうしてこれに質問を許さなかったのか。私は、いまは十分という制限があるから申しませんが、実は三日二晩も徹夜で多少調べて、このくらいの資料を用意して質問しようと準備しておりましたが、それがちょん切られてしまいまして、ふんまんやる方ないものがあります。(拍手参考人の意見を聴取することも、必要があれば連合審査をすることも、理事会話し合いがついておったのに、一方的にこれを裏切りました。こういうような公党の約束を裏切り、国会法、議事規則を無視した一党独裁的な運営をいたしまして、一体今後、委員長として委員会運営をスムーズにやっていけるという御自信がありますか。私たちは、このような乱暴な運営を断じて許しませんし、今後も徹底抗戦をもって政府の意図を粉砕しようという決意を持っておることを、この際明らかにしておきます。(拍手)  時間がありませんから、私は坪川建設大臣と総理大臣、福田大蔵大臣、自治大臣並びに運輸大臣に関連して若干の質問をいたします。
  80. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 島上君、時間ですから、結論を急いでください。
  81. 島上善五郎

    ○島上善五郎君(続) まだまだ。  坪川建設大臣は、この法案に対して慎重審議を希望しておりました。当然です。ところで、先ほど申しましたように、かってに理事会話し合いを打ち切り、強行採決をしましたが、そのときに大臣席におりました建設大臣は、ずいぶんとふだんのにこにこ顔とは違って、苦々しい顔をしておりました。たぶんあのような強行採決に、腹の中ではたいへん遺憾なことだと考えておったに違いないと思います。あの強行採決に対する大臣のお考えを承りたい。  次に、自治大臣に対してお伺いいたしますが、この都市開発法が施行されますると、零細な住民の権利が不当に抑圧される結果、住民の福祉をそっちのけにして、再開発資本の金もうけの具に供されるおそれが多分にあります。そして、その再開発企業に対して地方公共団体では補助金を与えるということなります。再開発事業がどんどん進みますると、かえって地方の財政がそのために圧迫を受けるということになるのではないかという心配があります。
  82. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 島上君、制限時間が過ぎましたから、発言を終わってください。
  83. 島上善五郎

    ○島上善五郎君(続) 地方財政の確立について何らかの方策があったら承りたいと存じます。(「時間だ」と呼ぶ者あり)  次に、総理大臣に対して伺いたい、総理大臣に対して……。これは大事なことですから、もし正確な御答弁がなければ、私は再質問をいたしますよ。(「時間だよ」と呼び、その他発言する者あり)国会の——国会のこの異常な状態に対して、超大幅延長以来の異常な状態に対して、どうして打開しようとするお考えがあるかどうか。このような状態でよろしいとお考えか、それとも、何らかの打開の手をお考えかどうか。もし打開する手がないとすれば、好むといなとにかかわらず国会を解散するしかない、こういうことになろうかと存じます。(拍手)その点に対する総理大臣のお考えを承りたい。
  84. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 島上君、制限時間が過ぎましたから、発言を終わってください。
  85. 島上善五郎

    ○島上善五郎君(続) もう一つ、政治資金規正に関して承りたい。  例の小骨一本も抜きませんと申しました政治資金規正問題と、この問題とは関連がある。   〔発言する者多し〕
  86. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 静粛に願います。静粛に願います。
  87. 島上善五郎

    ○島上善五郎君(続) 議長の言うことを聞いてください。   〔発言する者多し〕
  88. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 静粛に願います。
  89. 島上善五郎

    ○島上善五郎君(続) 先般、建設業法がこの議場に提案されました際、わが党の阿部昭吾君が質問いたしまして、建設業法と大土建業者の関係、大土建業者と政治献金の関係、汚職問題に触れました際に、(発言する者あり)たいへん皆さんがお気にさわったようでございますが、この再開発法が実施されますると、再開発企業が生まれます。金もうけのために再開発企業が生まれます。そして、土建業者と同じように、この法律の成立と関連し、ばく大な利潤と関連して、政治献金が行なわれることが推測されます。
  90. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 島上君、制限時間が過ぎましたから、発言を終わってください。
  91. 島上善五郎

    ○島上善五郎君(統) 私は、法律の成立と政治献金というような悪循環を断ち切るためには、この際思い切って、選挙制度審議会の答申にあるような政治資金規正法をすみやかに制定する必要があると考えます。   〔発言する者あり〕
  92. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 島上君、制限の時間が参りましたから、発言の中止を命じます。   〔島上善五郎君発言を継続〕
  93. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 発言の中止を命じます。   〔島上善五郎君なお発言を継続、降壇〕   〔始関伊平登壇
  94. 始関伊平

    始関伊平君 島上さんに御答弁申し上げます。  先ほど私の読み上げました委員長報告、また、金丸議員に対する私の答弁にうそがあるのではないかというお話でございますが、うそはございません。私どもは、理事会話し合いを尊重いたすつもりは十分ございますが、私どもから見まして、いわれなき引き延ばし、また、どうしても理解のできない野党側の態度がときどきあるのでございまして、この辺ははなはだ遺憾でございます。もし理事会での野党側との間の意見が完全に一致しなければ委員会の開催もできない、質疑もできないということではたいへん困るのでございまして、私どもは、あくまで努力をいたしますが、どうしても意見の合致を見ない場合には、先ほど申し上げましたように、国会法、衆議院規則の定めるところによってまいりますのが、議会の能率の高い運営をはかる上からも、議会政治を守る上からも大事である、かように存じておるのでございます。  ボイコットをしたことがあるかないかというお話でございますが、最近では、去る二十一日と二十二日の参考人の招致、二十三日の委員会、この三回をおやめになったのでございまして、ボイコットということばが適当であるかどうかは存じませんが、これは社会党の御都合で委員会が開けなくなったことを、はっきり申しておきます。  それから強行採決をしなければならない理由ということでございますが、これはすでに先ほど申し上げました。  なお、都市計画法がこの法律の母法でございますが、それとの関連から申しまして、どうしても、おそくともこの六月の十四日までには成立せしめなければならないという事情もあるのでございます。  なお、その次の御質問の、住民の福祉に反しないかということでございますが、これは法律の中に、土地所有権者、借地権者あるいは借家権者などの権利が十分に保護されております。また、運営上十分に注意をいたされますので、社会福祉に反するようなおそれはないものと存じておる次第でございます。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  95. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 島上君にお答えをいたします。  私は、昨日来のこの本会議場における相次ぐ動議質疑を聞きながら、率直に申しまして、その質疑の多くが何ゆえに委員会においてなされずに、この際になってこの本会議場でしなければならないのか、ふしぎに思えてならないのであります。(拍手)しかも、その結果は、昨夜半に議決された沖繩郵便貯金法のように、野党の諸君も全員一致して異論がない、かようにいわれるのでありますから、いよいよ、私は、この本会議場でなされておる質疑応答その他の採決など、国民は、おそらくこの実態を理解することに苦しむんじゃないかと思います。(拍手発言する者多し)私は、よく聞いていただきたいが、実質的な議論は委員会を中心にして行なっていく、これはあらためて私が申すまでもなく、従来の国会の良識ある慣習であります。(拍手発言する者多し)また、虚心たんかいに審議しようとさえ思えば、十分にその時間はあるはずであります。私は、野党の諸君も、単に審議の引き延ばしをするということではなく、率直に論議を尽くす姿勢をとっていただきたい。そうして、能率的な国会運営につとめていただくことが、国会国民に対する当然の責任であると思います。また、国民も能率的な運営を心から期待していると確信いたすものであります。(拍手発言する者多し)  なお、島上君は、現状で政府並びに与党はいいと心得ているのか、こういうお話でありますが、私はさようには思いません。ただいまの国民の念願などを考えるにつけましても、一日も早く国会運営が正常化することについて、私は、野党の諸君とも十分話していく気持ちはございます。どうか皆さん方も選ばれて……   〔発言する者多し〕
  96. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 静粛に願います。
  97. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君)(続) 国会に議席を持たれる以上、国民の期待に沿う、その努力をひとつしていただきたいと思います。(拍手発言する者多し)  また、この機会に解散についてのお尋ねがございましたが、私は、現状で解散などして国民の意向を聞くなど、ただいま考えておりません。このことをはっきり申し上げておきます。(拍手)  次に、政治資金規正法の取り扱い方について、いろいろ御意見を交えてのお尋ねがありました。やや喧騒を来たしておりますために、十分私は聞き取れないものがありましたが、政治資金規正法案につきましては、ただいまその扱い方について、わが党におきまして慎重に取り扱い方と取り組んでおる次第であります。ただいまの島上君の御意見は、十分私も参考にいたしたい、かように思っております。  以上、お答えをいたします。(拍手)   〔国務大臣坪川信三君登壇
  98. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) 島上議員にお答えいたします。  おことばを返す意味じゃございませんけれども、採決当時の私の顔つきを御批判いただきましたが、建設行政の責任者といたしましては、一日も早く本法案の御制定をいただきまして、整備された都市開発と、しあわせな住宅環境の整備をいたしたいという使命感と期待感に満ちあふれた緊張が曲解されたのではないかと思いますので、御了解願いたいと思います。(拍手)   〔国務大臣野田武夫登壇
  99. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 本法によって行ないますところの市街地開発事業は、都市計画事業の一環として行なうものでありますから、本事業の実施に伴いまして、地方団体の負担は、いわゆる都市計画事業にかかる財源措置を行なうのでございますから、ことさら、新たに地方団体が財政上の圧力をこうむるということはございません。(拍手発言する者多し)     —————————————   質疑終局動議園田直君外二十六名提出
  100. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 園田直君外二十六名から、質疑終局動議提出されました。  本動議を採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白票、反対の諸君青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖
  101. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名点呼〕   〔各員投票
  102. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) なるべくすみやかに投票せられんことを望みます。   〔投票継続〕
  103. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票漏れはありませんか。   〔「一人」と呼ぶ者あり〕   〔投票継続〕
  104. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣——開鎖。   〔議場開鎖
  105. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  106. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 三百二十六   可とする者(白票)       百八十九   否とする者(青票)       百三十七   〔拍手
  107. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 右の結果、質疑は終局するに決しました。     —————————————  園田直君外二十六名提出質疑終局動議をを可とする議員氏名       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       阿部 喜元君    相川 勝六君       青木 正久君    赤城 宗徳君       天野 光晴君    荒木萬壽夫君       荒舩清十郎君    有田 喜一君       伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君       池田 清志君    稻村佐近四郎君       宇野 宗佑君    上村千一郎君       内田 常雄君    内海 英男君       浦野 幸男君    遠藤 三郎君       小川 半次君    小澤 太郎君       小沢 辰男君    小渕 恵三君       大石 八治君    大竹 太郎君       大坪 保雄君    大野  明君       大橋 武夫君    大村 襄治君       岡崎 英城君    岡本  茂君       鹿野 彦吉君    賀屋 興宣君       鍛冶 良作君    海部 俊樹君       金丸  信君    金子 一平君       金子 岩三君    上林山榮吉君       神田  博君    亀岡 高夫君       亀山 孝一君    鴨田 宗一君       仮谷 忠男君    川崎 秀二君       川島正次郎君    川野 芳滿君       菅  太郎君    菅野和太郎君       木野 晴夫君    木部 佳昭君       木村 俊夫君    北澤 直吉君       吉川 久衛君    久野 忠治君       久保田円次君    久保田藤麿君       草野一郎平君    鯨岡 兵輔君       熊谷 義雄君    倉石 忠雄君       倉成  正君    藏内 修治君       黒金 泰美君    小峯 柳多君       小宮山重四郎君    小山 長規君       小山 省二君    河野 洋平君       佐々木秀世君    佐々木義武君       佐藤 榮作君    佐藤 文生君       齋藤 邦吉君    斎藤 寿夫君       坂村 吉正君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    笹山茂太郎君       四宮 久吉君    始関 伊平君       塩川正十郎君    重政 誠之君       篠田 弘作君    正示啓次郎君       白浜 仁吉君    進藤 一馬君       周東 英雄君    菅波  茂君       鈴木 善幸君    砂田 重民君       砂原  格君    世耕 政隆君       瀬戸山三男君    園田  直君       田川 誠一君    田澤 吉郎君       田中 榮一君    田中 角榮君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田村  元君    田村 良平君       高橋 英吉君    竹内 黎一君       竹下  登君    谷垣 專一君       谷川 和穗君    塚田  徹君       塚原 俊郎君    坪川 信三君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       床次 徳二君    内藤  隆君       中尾 栄一君    中垣 國男君       中川 一郎君    中野 四郎君       中村 梅吉君    中村 寅太君       中村庸一郎君    中山 マサ君       永山 忠則君    灘尾 弘吉君       南條 徳男君    二階堂 進君       丹羽 久章君    丹羽喬四郎君       西岡 武夫君    西村 英一君       根本龍太郎君    野田 武夫君       葉梨 信行君    橋本登美三郎君       橋本龍太郎君    長谷川 峻君       八田 貞義君    濱野 清吾君       原田  憲君    広川シズエ君       廣瀬 正雄君    福家 俊一君       福井  勇君    福田 赳夫君       福田  一君    福永 健司君       藤井 勝志君    藤枝 泉介君       藤尾 正行君    藤田 義光君       藤波 孝生君    藤本 孝雄君       古内 広雄君    古川 丈吉君       古屋  亨君    保利  茂君       坊  秀男君    細田 吉藏君       堀川 恭平君    本名  武君       益谷 秀次君    増岡 博之君       松浦周太郎君    松澤 雄藏君       松野 幸泰君    松野 頼三君       三池  信君    三原 朝雄君       箕輪  登君    水野  清君       湊  徹郎君    武藤 嘉文君       村上  勇君    村山 達雄君       毛利 松平君    粟山  秀君       森下 國雄君    森田重次郎君       森山 欽司君    山口シヅエ君       山口 敏夫君    山下 元利君       山田 久就君    山村新治郎君       吉田 重延君    早稻田柳右エ門君       渡辺 栄一君  否とする議員氏名       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井岡 大治君       井手 以誠君    井上  泉君       井上 普方君    石川 次夫君       石田 宥全君    石野 久男君       石橋 政嗣君    板川 正吾君       稻村 隆一君    江田 三郎君       枝村 要作君    小川 三男君       大柴 滋夫君    大原  亨君       太田 一夫君    岡田 利春君       岡本 隆一君    加藤 清二君       加藤 万吉君    勝澤 芳雄君       勝間田清一君    角屋堅次郎君       金丸 徳重君    唐橋  東君       川崎 寛治君    川村 継義君       河上 民雄君    河野  正君       木原  実君    北山 愛郎君       久保 三郎君    久保田鶴松君       小林 信一君    兒玉 末男君       後藤 俊男君    河野  密君       神門至馬夫君    佐々栄三郎君       佐野 憲治君    佐野  進君       斉藤 正男君    實川 清之君       島上善五郎君    島本 虎三君       下平 正一君    田中 武夫君       田邊  誠君    多賀谷真稔君       高田 富之君    武部  文君       只松 祐治君    楯 兼次郎君       千葉 佳男君    戸叶 里子君       堂森 芳夫君    内藤 良平君       中井徳次郎君    中澤 茂一君       中嶋 英夫君    中谷 鉄也君       中村 重光君    永井勝次郎君       楢崎弥之助君    成田 知巳君       西風  勲君    野口 忠夫君       長谷川正三君    畑   和君       華山 親義君    浜田 光人君       平岡忠次郎君    平林  剛君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       福岡 義登君    古川 喜一君       帆足  計君    細谷 治嘉君       堀  昌雄君    三木 喜夫君       武藤 山治君    村山 喜一君       森  義視君    森本  靖君       八百板 正君    八木 一男君       矢尾喜三郎君    安井 吉典君       柳田 秀一君    山内  広君       山口 鶴男君    山田 耻目君       山中 吾郎君    山花 秀雄君       山本 政弘君    山本弥之助君       米内山義一郎君    米田 東吾君       依田 圭五君    渡辺 惣蔵君       渡辺 芳男君    岡沢 完治君       折小野良一君    浅井 美幸君       有島 重武君    伊藤惣助丸君       石田幸四郎君    小川新一郎君       大野  潔君    大橋 敏雄君       近江巳記夫君    岡本 富夫君       沖本 泰幸君    北側 義一君       小濱 新次君    斎藤  実君       鈴切 康雄君    田中 昭二君       竹入 義勝君    中野  明君       樋上 新一君    広沢 直樹君       伏木 和雄君    正木 良明君       松本 忠助君    山田 太郎君       渡部 一郎君    田代 文久君       谷口善太郎君    林  百郎君       松本 善明君     —————————————
  108. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) この際、午後七時まで休憩いたします。    午後六時四分休憩      ————◇—————    午後七時十二分開議
  109. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  日程第一に対して討論通告があります。順次これを許します。渡辺惣蔵君。   〔渡辺惣蔵君登壇
  110. 渡辺惣蔵

    渡辺惣蔵君 私は、日本社会党を代表いたしまして、都市開発法案に対して、その審議の経過並びに本法案の本質の究明しつつ、反対の討論を行なうものであります。(拍手)  討論に入るにあたりまして、休憩前の本会議における、同僚島上君の質問に対する佐藤総理の答弁に関して一言申し上げておきます。  佐藤総理の発言によれば、国会の混乱はあげて社会党、公明党等の野党の責任であると言われておりますが、この総理の考え方こそが国会審議を混乱におとしいれさせている根本的な原因なのであります。(拍手佐藤総理の独裁者としての意識は、しばしば行政府と立法府の権限と職能を混同させ、国会の独自の権限に介入して、行政府の意のままにこれを動かそうと指図をするところに、正常なる国会運営を乱すことになるのであります。(拍手)特に、今般の国会の混乱は、政治常識を失った長期の会期延長に根源があって、それぞれの委員会自身、法律案件の取り扱いに発しているのではないことを悟るべきであると思うのであります。冒頭にあたって、特に佐藤総理の猛省を促すものであります。(拍手)  この再開発法案審議にあたりまして、始関委員長から先ほど質疑答弁がございましたが、多くのごまかしと誤りがあるのであります。特に、委員会審議は相当長期にわたって行なったようなお話でございますけれども、事実においては、たった二日間、六時間前後しか質疑は行なっておらないのであります。特に、この前後二回の質疑の場合におきましても、五月十六日の委員会では、私の、国有地の未利用地約百万平米の宅地の利用管理の問題に関して、さらにまた、帝国ホテルや後楽園等、その他民間の二十数社の営利会社に対する不当なる貸し付け問題の質問に対して、政府委員の答弁がでたらめで、お粗末で、答弁ができないために、ついに一時間以上にわたって審議がストップするという問題が出ておるのであります。この私の発言だけでも四時間余りを費やしておるのでありますから、全体で、二日間で六、七時間程度しか審議をいたしておらないのであります。私は、まずこのことを明らかにして、この重要なる法案がいかに軽率に取り扱われておるかという不当の事実を申し上げておきます。(拍手)  この都市開発法案の最も重要なところは、特に高度利用地区として指定された土地の所有権者、借地権者の私権を制限することと、この事業の施行者として、市街地再開発組合と称するものをつくり、地方公共団体や日本住宅公団と並列させて、多くの権限をこの組合に持たせようとしているところに問題があるのであります。しかも、この市街地再開発組合なるものの性格が全くあいまいであって、かつ複雑怪奇なるところに、私どものぬぐい切れない不信と疑惑があるのであります。  すなわち、本法案の第十四条における、宅地の所有権者及び借地権者の同意に関する条項におきましては、組合の設立については、施行区域内の宅地について、すべての所有権者、借地権者の三分の二以上の同意を得なければならないと規定しているのでありますが、このことを裏返しにしてみるならば、三分の一以下の不同意者、反対者は、いやおうなしに多数決によってこの決定に服従せしめられ、強制的に組合に加入せしめられるか、あるいはその権利を組合に譲渡せしめられるという結果になるということであります。このことは、従来からしばしば問題になっていた一部のごね得を抑制することをねらっておるのではありますが、それは同時に、善意の市民の生活や私権をも侵し、制限することにもつながる、両刃のやいばのようにきわめて危険な、しかも、重要な問題を含んでおるのであります。  この都市開発法案の法律体系は全文百四十八条から成る膨大なものでありますが、この第八条から第五十条までは、すべて市街地再開発組合に関する規定であり、その後に続く条項のほとんどもまた組合に関連したものであります。いわば本法案は、都市開発法などといかにも都市問題解決の万能薬のような看板を掲げてはおりますが、実際の中身は、単なる市街地再開発組合法といわれるほど、法律の大きなウエートがこの組合にかかっているのであります。  都市開発事業の施行者となる市街地再開発組合の第二の重要な問題点は、参加組合の組合員の規定であります。参加組合員として、この指定地区内の権利者以外の者でこの事業に加わることのできる者は、日本住宅公団、地方住宅供給公社、それから公的資金による住宅を建設する者、及び不動産賃貸業者と商店街振興組合ということになっております。住宅公団や住宅供給公社のような公的資金によるものや地元周辺の商店街組合が参加するのは当然のことであり、これらの団体は、いずれも法に基づき監督、指導、統制を受けておる法律上の資格と条件を備えておるのであります。しかるに、この参加組合員の規定において全くふに落ちないこと、理解に苦しむことは、不動産賃貸業者という性格不明のものを突如としてここに出現させて、これに参加させようとすることであります。すなわち、いままでこの高度利用指定地区内には全く何らの関係もない、従来一坪の土地も持たない、土地の所有権者でもなければ、借地権者でもない者が都道府県知事の承認を受け、組合員の三分の二以上の承認があれば何人といえども参加組合員たることができるようになっておるのであります。しかも、この性格の不明な参加組合員と称するものこそが再開発事業の主要な部分を占め、都市開発事業における主役を演じさせるように仕組まれておるところに、多くの疑惑とからくりが隠されておるのであります。  去る四月三十日に策定された新全国総合開発計画や今般の都市開発法案提出をめぐって、いまや日本の産業界は、かつてない住宅産業ブームにわき立っております。新全国総合開発計画においては、政府みずからが民間のデベロッパーの登場を歓迎し、民間大資本の開発産業へ、住宅産業への進出をあおり立ててきておるのであります。政府の住宅政策があまりにも貧困であり、国の財政投資をサボっている穴埋めと肩がわりのために、民間住宅産業を積極的に登場させようというのがその魂胆であります。  政府のこの政策と政治的姿勢を背景として、いまや住宅産業は、全国において、五千万円以上のものは二百社、五千万円から一千万円のものが五百社、その他中小零細なるもの数知れないほど、めきめきとして広がっておるのであります。この住宅産業の成長は、本年度において四兆円に迫るであろうといわれ、日本経済界のトップを行く自動車産業に追いつき、追い抜こうとするほど、異常な好況を示しておることは御了承のとおりであります。  三月二十五日付の日本経済新聞の特集「都市開発産業」によれば、三井、三菱、住友、日産、古河、八幡、松下、伊藤忠、丸紅飯田などのような、従来住宅産業とは何らのかかわりもなかった大財閥、独占資本を中心とする四十一社が打ちそろって、建設省を背景として日本高層住宅協会を設立してスタートを切ったのであります。いまや、都市開発法案国会通過以前に、いわゆる不動産賃貸業者をもって任ずるこれらの業者群が、都市開発事業者としてこの事業に割り込もうとして一斉に勢ぞろいを行ない、すでにその受け皿が完全に用意され、いまはただその出番を待っておるばかりであります。  このように、財閥、民間不動産業者の積極的導入の道を開くために、本法の中に、市街地再開発組合の参加組合員としての法律上の地位を与えて、政策の裏づけを行ないながらこれを育成、強化しようとしておるのであります。しかも、その反面において、弱小なる土地所有権者や借地権者から、私権の制限を行なって土地を合法的に取り上げて集約化し、これを独占資本の支配にゆだねて、その上に、さらに財政、金融、税制による援助を与えることを規定しておるのでありますから、住宅産業に進出をねらう不動産業者としては、まことに本法の出現はありがたく、笑いがとまらない状態になっておるのであります。
  111. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 渡辺君、時間ですから、結論を急いでください。
  112. 渡辺惣蔵

    渡辺惣蔵君(続) まさに、近来まれな最大級の利権法案としての危険を持つものであると存ずるのであります。  この矛盾撞着した法案の内容とその背後のからくりを暴露されることをおそれて、これを隠蔽することが必要であったればこそ、国民の前に本法案の公然たる実質審議を拒否して、突如として強引に国会の通過をはかるという政治的謀略が企てられていたといわれても、弁明の余地がないほど多くの危険性を包容しておる法案であるといわざるを得ないのであります。  このように、当面する爆発途上に立つ日本の都市問題の解決のかぎを握ろうとする重要性を持つ本法案が、審議時間わずかに五、六時間、質疑も尽くさず、参考人による国民の声も聞かず、討論も行なわせず、いわんや一片の附帯決議を付することもなく、うやむやのうちに可決してしまったと称しておるのであります。  この自民党の態度と心情たるや、あたかもどろぼうネコが主婦の目をかすめて一片の肉をかっぱらおうとするのと同様な、火事場どろぼうが他人の不幸を逆用して、そのどさくさまぎれにかっぱらいをやるような、まことにどん欲な、こうかつな、卑屈な、愚劣な、一片の良心も、良識もない、厚顔無恥な議決に対しては、断じて政治家の良心にかけて見のがすことができないのであります。(拍手)  ここに、日本社会党を代表して断固として反対を表明し、私の討論を終わるものであります。(拍手
  113. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 吉田之久君。   〔吉田之久君登壇
  114. 吉田之久

    ○吉田之久君 私は、民社党を代表いたしまして、都市開発法案に対し、賛成立場を表明いたします。(拍手)  すでに御承知のとおり、この法案は、過密住宅難公害と交通禍と異常な地価の暴騰にあえぐわが国の都市の現状にかんがみ、健全にして合理的な都市機能のすみやかな更新をはかろうとする法案であります。したがって、そのためには従来の市街地改造法と防災建築街区造成法を発展的に解消せしめ、全く新しい手法によって市街地の再開発をはからんとする点で、その成果を期待すべき法案であると考えます。  しかしながら、この法案は再開発を行なわんとする地区内の宅地に所有権または借地権を有する者の三分の二以上の同意によって組合を設立し得るとしているのでありまして、これは言い方をかえれば、三分の一までの反対者は無視し得るということであり、その計画についていけない貧乏人は切り捨てごめんという法律ともなりかねないのであります。しかも、借家権を有するだけでは組合員になる資格は与えられません。  さらに、もしもこの法律の運用を一歩誤れば、いわゆる民間デベロッパーによって市街地の中枢部の再開発に思うがままのばっこ跳梁を許す結果となるのであります。  こうしたもろ刃の剣ともいうべき法案であるがゆえに、われわれはその運用に細心の注意を払うべきことを指摘して、建設委員会で慎重に審議を続けてまいりました。たまたま七十二日間の会期延長の接点において与野党間に多少のトラブルがあったとはいえ、それを理由にやにわに質疑を終了し、混乱と怒号の中にこの法案の採決を済ませたと言わるるに及んでは、まことに遺憾千万であります。(拍手)  この法案を先議した参議院においては、採決にあたっては、各党一致によるきめこまかい附帯決議が付されているのであります。顧みて本院の場合、国民に対して十分にその責任を果たしたと言い得るでありましょうか。したがって、この経過に関する限り、われわれもまた建設委員長並びに自民党執行部に強く反省を促す次第でありますが、法案そのものにつきましては、さきに指摘いたしました諸点を政府は十分に配慮し、また、参議院において付された決議を完全に尊重し、さらに、当分存続する防災建築街区造成組合等に対する補助融資の助成措置及び税の減免は、従来どおり継続すべきことを強く付言いたしまして、本法案賛成する討論を終わります。(拍手
  115. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 北側義一君。   〔北側義一君登壇
  116. 北側義一

    ○北側義一君 私は、公明党を代表して、政府提案都市開発法案に対し、次のような理由から、反対の討論を行なうものであります。  本法案は、昭和四十二年六月、第五十五回特別国会提案され、同年七月参議院建設委員会に付託されましたが、国民生活に数多くの大きな弊害を及ぼす法案でありましたので、実質には審議を行なわないまま、五十六、五十七、五十八国会と継続審議となり、ついに第五十八国会では廃案となった、数々の欠陥のある法案なのであります。  しかるに、政府自民党は、この国民生活に密着した重要法案を十分審議することなく、二十八日の建設委員会において、各野党委員の抗議にもかかわらず、目には見ざるがごとく、耳には聞かざるがごとくに強行採決したことは、全く許すことのできない暴挙であり、国民大衆に背を向け、多数横暴による議会制民主主義の破壊でなくして何でありましょうか。  われわれ公明党は、先般の議院運営委員会における国会史上類例のない七十二日間という会期延長強行採決にもかかわらず、じっとこらえて、国会正常化のため、二十七日来審議を尽くすことを主張し、努力を払ってきたのであります。しかるに、政府自民党諸君は、この正論たるわれわれの主張をいれず、あえて次々と四委員会において強行採決したことは、全く理不尽な行為といわざるを得ないのであります。  このように、国会混乱の原因を、自民党は多数議席という権力乱用によってつくっておきながら、あたかも野党に責任をなすりつけるがごとき先ほどの佐藤総理の発言は、全く転倒したものであり、耳をおおうて鈴を盗むのたぐいというべきであります。(拍手)しかも、佐藤総理は、内閣総理大臣として行政府の長であります。三権分立の憲法の精神からいっても、立法機関たる衆議院の運営について、一方的に与党自民党の肩を持ち、野党を攻撃するがごときは、差し控えるのが当然であります。厳重な警告をするものであります。  さて、ここ数年来、わが国においては、産業人口の都市集中が激しく、特に大都市では地価の高騰、住宅難や交通麻痺、また都市公害や産業公害など、都市機能と市民生活を著しくそこねており、病める都市ということばが東京や大阪の代名詞のごとくなってしまったのであります。このように、都市における市民生活を窮乏に追い込んだ過密の弊害は、長年にわたる人間性を無視した産業第一主義の都市政策の失敗から生じたものであり、政府与党責任といわざるを得ないのであります。  言うまでもなく、都市は、人間尊重の原則に立った大衆福祉の源泉にして、国民文化の諸活動の根源でなくてはなりません。ゆえに、都市開発事業の推進にあたっては、企業利益や経済の合理性のみ考えることなく、そこに居住し、そこで事業を営む大多数の市民のために事業を行なわなければならないのであります。  では、具体的に都市開発法案に対する反対理由を順次述べてまいります。  第一には、一般に、都市開発は、老朽化し利用効率の低下した一定の既成市街地を、計画的に、かつ構造的に変革することで土地の利用価値を飛躍的に増大させる事業、と定義されております。ところが、提案されている本法案は、都市開発の体系と都市開発法案との関係が明確になっておらず、実質的には、この法案は一部の市街地再開発法にすぎず、羊頭狗肉の感があるのであります。したがって、本法案は、都市機能改善のための総合的な再開発基本構想が明らかでなくて、加えて、市街地のどの地区から再開発事業を進めていくのかという、全体計画に基づく段階的計画とその実施方法が明確にされていないのであります。  第二には、本法案の施行にあたるについては、住宅難解消の一助になるものでなくてはなりませんが、その施行者が民間中心の再開発事業なので、当然採算の合わない建物を建てる道理がなく、ビルの高層化、不燃化はできても、建設されたビルには商店や会社のオフィスが並んで、併設された住宅はマンションを上回る家賃となり、まさに、国民の手の届かない高ねの花であり、一般庶民のための住宅ではなくなってしまうのであります。  私の知る一例をあげると、大阪市谷町の市街地改造事業を見ましても、その事業施行地の処分床が高価であるために、事業前の家賃が坪当たり百円から三百円であったものが、事業施行したあとの新築ビルでは家賃平均が坪当たり商店で二千八百円、住宅で千五百円程度となり、家賃が約十倍近くはね上がり、勤労大衆や事業施行以前から住んでいる借家に住む人々の生活や商売が、好むと好まざるとにかかわらず、破壊されてしまうのであります。  また、同法案の第五条には、住宅建設の目標の設定義務があげられておりますが、市街地再開発を行なう場合、新しく建設された建物の容積を増大し、この増加した容積部分が再開発の資金の財源となるので、勢い、その経済性を考えると、地方公共団体が事業を施行する公営住宅の建設は不可能に近くなる心配があるにもかかわらず、公営住宅を併設するような明確な規定はされておらないのであります。  さらに第三には、本法案における都市開発事業は、借家権について一応その配慮はされているものの、事業者が借家人に対し直接的にその権利の保護を行なうようには整備されておらず、あくまでも借家権については建物の所有者と借家に住んでいる人の契約が前提とされており、現今の権利のふくそうする都市の再開発事業に、借家人をも含めた住民の協力なしには、その事業の遂行がはなはだおぼつかないと思うのであります。この借家権の問題については、現行の民法、借家法等の基本法に問題のあることも知ってはいるが、しかし、問題があるとわかりながら、政府は借家人保護について何らの対策をも講じようとせず、弱い者の保護については一かけらの誠意も見せないことは、どうしても納得がいかないのであります。なお、今日、都市には、居住限定階層として約九〇%にのぼる一般勤労者がいるといわれていますが、権利の弱い借家人等が立ちのく場合、政府の推進する職住近接に逆行し、再開発事業施行地の住民の生活権の確保はくずれてしまう危険性が出てくるのであります。  また第四には、商業、住宅の混合地区、工場及び住宅の混合地区の再開発についてでありますが、都市計画法の計画的な用途地域・地区に導くには、中小企業対策、住宅対策による計画的な職住近接をはからねばならないが、同法案においては、国と地方公共団体の公的資金の投入その他の協力義務が明らかでなく、大資本の営利的再開発で中小企業、零細業者は駆逐され、未開発地区にスラムを再度生産するおそれが多分にあるのであります。  また、同法案審議の前から、新聞報道等によれば、一流企業が、次の花形産業は建設業なりとして続々新しく会社を設立しており、この都市開発法の成立をいまやおそしと待っている姿を見ましても、大資本による営利目的の再開発事業が行なわれることは明々白々であり、国民大衆の待ち望んだ低家賃の住宅建設や市街地の整備ではない内容であることは明確なのであります。  ゆえに、わが公明党は、これらの本法案の欠陥を補うため、修正案まで用意しておったのでありますが、多数横暴による強行採決により、少数野党の正論が消え去ったことは、国民のためにもまことに悲しむべきことであると思うのであります。  以上のような理由から、都市開発法案に反対するものであります。  これをもって私の反対討論を終わります。(拍手)   討論終局動議園田直君外二十六名提出
  117. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 園田直君外二十六名から、討論終局動議提出されました。  本動議を採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白票、反対の諸君青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖
  118. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名点呼〕   〔各員投票
  119. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣——開鎖。   〔議場開鎖
  120. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  121. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数三百二十   可とする者(白票)       百八十五   否とする者(青票)       百三十五
  122. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 右の結果、討論は終局するに決しました。(拍手)     —————————————  園田直君外二十六名提出討論終局動議をを可とする議員氏名       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       阿部 喜元君    相川 勝六君       青木 正久君    赤城 宗徳君       天野 光晴君    荒舩清十郎君       有田 喜一君    井原 岸高君       伊能繁次郎君    池田 清志君       石田 博英君    稻葉  修君       稻村佐近四郎君    宇野 宗佑君       上村千一郎君    内田 常雄君       内海 英男君    浦野 幸男君       江崎 真澄君    遠藤 三郎君       小川 半次君    小川 平二君       小澤 太郎君    小沢 辰男君       小渕 恵三君    大石 八治君       大竹 太郎君    大坪 保雄君       大村 襄治君    岡崎 英城君       岡本  茂君    加藤 六月君       鹿野 彦吉君    賀屋 興宣君       鍛冶 良作君    海部 俊樹君       桂木 鉄夫君    金丸  信君       金子 一平君    金子 岩三君       上林山榮吉君    神田  博君       亀岡 高夫君    亀山 孝一君       鴨田 宗一君    仮谷 忠男君       川島正次郎君    川野 芳滿君       菅  太郎君    木野 晴夫君       木部 佳昭君    菊池 義郎君       北澤 直吉君    吉川 久衛君       久野 忠治君    久保田円次君       久保田藤麿君    草野一郎平君       鯨岡 兵輔君    熊谷 義雄君       藏内 修治君    小宮山重四郎君       小山 省二君    河野 洋平君       佐々木秀世君    佐々木義武君       佐藤 榮作君    佐藤 文生君       齋藤 邦吉君    坂田 道太君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       笹山茂太郎君    四宮 久吉君       始関 伊平君    塩川正十郎君       重政 誠之君    篠田 弘作君       正示啓次郎君    白浜 仁吉君       進藤 一馬君    周東 英雄君       菅波  茂君    鈴木 善幸君       砂田 重民君    砂原  格君       世耕 政隆君    瀬戸山三男君       園田  直君    田川 誠一君       田澤 吉郎君    田中伊三次君       田中 榮一君    田中 角榮君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田村  元君    田村 良平君       高橋 英吉君    竹内 黎一君       竹下  登君    谷垣 專一君       谷川 和穗君    千葉 三郎君       塚田  徹君    塚原 俊郎君       坪川 信三君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    徳安 實藏君       床次 徳二君    内藤  隆君       中尾 栄一君    中垣 國男君       中川 一郎君    中野 四郎君       中村 梅吉君    中村 寅太君       中村庸一郎君    中山 榮一君       中山 マサ君    永田 亮一君       永山 忠則君    灘尾 弘吉君       二階堂 進君    丹羽 久章君       丹羽喬四郎君    西岡 武夫君       西村 英一君    西村 直己君       根本龍太郎君    野田 武夫君       葉梨 信行君    橋本登美三郎君       橋本龍太郎君    長谷川 峻君       八田 貞義君    濱野 清吾君       原田  憲君    廣瀬 正雄君       福家 俊一君    福井  勇君       福田 赳夫君    福田  一君       福永 一臣君    福永 健司君       藤井 勝志君    藤枝 泉介君       藤尾 正行君    藤波 孝生君       藤本 孝雄君    古内 広雄君       古川 丈吉君    古屋  亨君       保利  茂君    坊  秀男君       細田 吉藏君    本名  武君       益谷 秀次君    増岡 博之君       増田甲子七君    松浦周太郎君       松澤 雄藏君    松野 幸泰君       松野 頼三君    三池  信君       三ツ林弥太郎君    三原 朝雄君       箕輪  登君    水田三喜男君       村上  勇君    村上信二郎君       毛利 松平君    粟山  秀君       森下 國雄君    森田重次郎君       山口シヅエ君    山下 元利君       山田 久就君    山村新治郎君       吉田 重延君    早稻田柳右エ門君       渡辺 栄一君  否とする議員氏名       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井岡 大治君       井上  泉君    井上 普方君       石川 次夫君    石田 宥全君       石野 久男君    石橋 政嗣君       板川 正吾君    江田 三郎君       枝村 要作君    小川 三男君       大出  俊君    大柴 滋夫君       大原  亨君    太田 一夫君       岡田 利春君    岡田 春夫君       岡本 隆一君    加藤 清二君       加藤 万吉君    勝澤 芳雄君       角屋堅次郎君    金丸 徳重君       唐橋  東君    川崎 寛治君       川村 継義君    河上 民雄君       河野  正君    木原  実君       北山 愛郎君    久保 三郎君       久保田鶴松君    黒田 寿男君       小林 信一君    兒玉 末男君       後藤 俊男君    河野  密君       神門至馬夫君    佐々木更三君       佐野 憲治君    佐野  進君       斉藤 正男君    島上善五郎君       島本 虎三君    下平 正一君       田中 武夫君    田邊  誠君       田原 春次君    多賀谷真稔君       高田 富之君    武部  文君       只松 祐治君    楯 兼次郎君       千葉 佳男君    戸叶 里子君       堂森 芳夫君    内藤 良平君       中井徳次郎君    中澤 茂一君       中嶋 英夫君    中谷 鉄也君       永井勝次郎君    楢崎弥之助君       成田 知巳君    西風  勲君       野口 忠夫君    野間千代三君       長谷川正三君    畑   和君       華山 親義君    浜田 光人君       平岡忠次郎君    平林  剛君       平等 文成君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    福岡 義登君       古川 喜一君    帆足  計君       穗積 七郎君    細谷 治嘉君       三木 喜夫君    武藤 山治君       村山 喜一君    森  義視君       森本  靖君    八百板 正君       八木 一男君    八木  昇君       矢尾喜三郎君    安井 吉典君       柳田 秀一君    山内  広君       山口 鶴男君    山田 耻目君       山中 吾郎君    山花 秀雄君       山本弥之助君    米内山義一郎君       米田 東吾君    依田 圭五君       渡辺 惣蔵君    渡辺 芳男君       浅井 美幸君    有島 重武君       石田幸四郎君    小川新一郎君       大野  潔君    大橋 敏雄君       近江巳記夫君    岡本 富夫君       沖本 泰幸君    北側 義一君       小濱 新次君    斎藤  実君       鈴切 康雄君    田中 昭二君       中野  明君    樋上 新一君       広沢 直樹君    伏木 和雄君       正木 良明君    松本 忠助君       矢野 絢也君    山田 太郎君       渡部 一郎君    田代 文久君       谷口善太郎君    林  百郎君       松本 善明君     —————————————
  123. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 日程第一につき採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成諸君白票、反対の諸君青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖
  124. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名点呼〕   〔各員投票
  125. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣——閉鎖。   〔議場開鎖
  126. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  127. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 三百四十五   可とする者(白票)        二百十   〔拍手〕   否とする者(青票)       百三十五   〔拍手
  128. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 右の結果、都市開発法案委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)     —————————————  都市開発法案委員長報告の通り決するを可とする議員氏名       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       阿部 喜元君    相川 勝六君       青木 正久君    赤城 宗徳君       天野 光晴君    荒舩清十郎君       有田 喜一君    井原 岸高君       伊能繁次郎君    池田 清志君       石田 博英君    稻葉  修君       稻村佐近四郎君    宇野 宗佑君       上村千一郎君    内田 常雄君       内海 英男君    浦野 幸男君       江崎 真澄君    遠藤 三郎君       小川 半次君    小澤 太郎君       小沢 辰男君    小渕 恵三君       大石 八治君    大竹 太郎君       大坪 保雄君    大野 市郎君       大村 襄治君    岡崎 英城君       岡本  茂君    加藤 六月君       鹿野 彦吉君    賀屋 興宣君       鍛冶 良作君    海部 俊樹君       桂木 鉄夫君    金丸  信君       金子 一平君    金子 岩三君       上林山榮吉君    神田  博君       亀岡 高夫君    亀山 孝一君       鴨田 宗一君    仮谷 忠男君       川島正次郎君    川野 芳滿君       菅  太郎君    菅野和太郎君       木野 晴夫君    木部 佳昭君       菊池 義郎君    岸  信介君       北澤 直吉君    吉川 久衛君       久野 忠治君    久保田円次君       久保田藤麿君    草野一郎平君       鯨岡 兵輔君    熊谷 義雄君       倉石 忠雄君    藏内 修治君       小宮山重四郎君    小山 省二君       河野 洋平君    河本 敏夫君       佐々木秀世君    佐々木義武君       佐藤 榮作君    佐藤 文生君       齋藤 邦吉君    斎藤 寿夫君       坂田 道太君    坂村 吉正君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       笹山茂太郎君    四宮 久吉君       始関 伊平君    塩川正十郎君       重政 誠之君    篠田 弘作君       正示啓次郎君    白浜 仁吉君       進藤 一馬君    周東 英雄君       菅波  茂君    鈴木 善幸君       砂田 重民君    砂原  格君       世耕 政隆君    瀬戸山三男君       園田  直君    田川 誠一君       田澤 吉郎君    田中伊三次君       田中 榮一君    田中 角榮君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田村  元君    田村 良平君       高橋 英吉君    竹内 黎一君       竹下  登君    谷垣 專一君       谷川 和穗君    千葉 三郎君       中馬 辰猪君    塚田  徹君       塚原 俊郎君    坪川 信三君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       徳安 實藏君    床次 徳二君       内藤  隆君    中尾 栄一君       中垣 國男君    中川 一郎君       中野 四郎君    中村 梅吉君       中村 寅太君    中村庸一郎君       中山 榮一君    中山 マサ君       永田 亮一君    永山 忠則君       灘尾 弘吉君    二階堂 進君       丹羽 久章君    丹羽喬四郎君       西岡 武夫君    西村 英一君       西村 直己君    根本龍太郎君       野田 武夫君    葉梨 信行君       橋本登美三郎君    橋本龍太郎君       長谷川 峻君    八田 貞義君       濱野 清吾君    早川  崇君       原田  憲君    広川シズエ君       廣瀬 正雄君    福家 俊一君       福井  勇君    福田 赳夫君       福田  一君    福永 一臣君       福永 健司君    藤井 勝志君       藤枝 泉介君    藤尾 正行君       藤波 孝生君    藤本 孝雄君       古内 広雄君    古川 丈吉君       古屋  亨君    保利  茂君       坊  秀男君    細田 吉藏君       本名  武君    益谷 秀次君       増岡 博之君    増田甲子七君       松浦周太郎君    松澤 雄藏君       松野 幸泰君    松野 頼三君       三池  信君    三ツ林弥太郎君       三原 朝雄君    水田三喜男君       武藤 嘉文君    村上  勇君       村上信二郎君    毛利 松平君       粟山  秀君    森下 國雄君       森田重次郎君    山口シヅエ君       山下 元利君    山田 久就君       山村新治郎君    吉田 重延君       早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君    池田 禎治君       稲富 稜人君    岡沢 完治君       折小野良一君    神田 大作君       田畑 金光君    塚本 三郎君       中村 時雄君    永江 一夫君       西村 榮一君    門司  亮君       本島百合子君    吉田 賢一君       吉田 之久君    和田 耕作君  否とする議員氏名       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井岡 大治君       井上  泉君    井上 普方君       石川 次夫君    石田 宥全君       石野 久男君    石橋 政嗣君       板川 正吾君    江田 三郎君       枝村 要作君    小川 三男君       大出  俊君    大柴 滋夫君       大原  亨君    太田 一夫君       岡田 利春君    岡田 春夫君       岡本 隆一君    加藤 清二君       加藤 万吉君    勝澤 芳雄君       角屋堅次郎君    金丸 徳重君       唐橋  東君    川崎 寛治君       川村 継義君    河上 民雄君       河野  正君    木原  実君       北山 愛郎君    久保 三郎君       久保田鶴松君    黒田 寿男君       小林 信一君    兒玉 末男君       後藤 俊男君    河野  密君       神門至馬夫君    佐々木更三君       佐野 憲治君    佐野  進君       斉藤 正男君    島上善五郎君       島本 虎三君    下平 正一君       田中 武夫君    田邊  誠君       田原 春次君    多賀谷真稔君       高田 富之君    武部  文君       只松 祐治君    楯 兼次郎君       千葉 佳男君    戸叶 里子君       堂森 芳夫君    内藤 良平君       中井徳次郎君    中澤 茂一君       中嶋 英夫君    中谷 鉄也君       楢崎弥之助君    成田 知巳君       西風  勲君    野口 忠夫君       野間千代三君    長谷川正三君       畑   和君    華山 親義君       浜田 光人君    平岡忠次郎君       平林  剛君    平等 文成君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       福岡 義登君    古川 喜一君       帆足  計君    穗積 七郎君       細谷 治嘉君    三木 喜夫君       武藤 山治君    村山 喜一君       森  義視君    森本  靖君       八百板 正君    八木 一男君       八木  昇君    矢尾喜三郎君       安井 吉典君    柳田 秀一君       山内  広君    山口 鶴男君       山田 耻目君    山中 吾郎君       山花 秀雄君    山本 政弘君       山本弥之助君    米内山義一郎君       米田 東吾君    依田 圭五君       渡辺 惣蔵君    渡辺 芳男君       浅井 美幸君    有島 重武君       石田幸四郎君    小川新一郎君       大野  潔君    大橋 敏雄君       近江巳記夫君    岡本 富夫君       沖本 泰幸君    北側 義一君       小濱 新次君    斎藤  実君       鈴切 康雄君    田中 昭二君       中野  明君    樋上 新一君       広沢 直樹君    伏木 和雄君       正木 良明君    松本 忠助君       矢野 絢也君    山田 太郎君       渡部 一郎君    田代 文久君       谷口善太郎君    林  百郎君       松本 善明君     —————————————  外務委員長北澤直吉解任決議案柳田秀一君外六名提出)(委員会審査省略要求案件
  129. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 柳田秀一君外六名から、外務委員長北澤直吉解任決議案提出されました。  本決議案は、提出者要求のとおり委員会審査を省略して議事日程に追加するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  外務委員長北澤直吉解任決議案を議題といたします。     —————————————  外務委員長北澤直吉解任決議案  右の議案を提出する。  昭和四十四年五月三十日      提出者       柳田 秀一    八木  昇       平林  剛    三木 喜夫       穗積 七郎    大野  潔       伏木 和雄      賛成者       安宅 常彦   外百四十八名
  131. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 提出者趣旨弁明を許します。穗積七郎君。   〔穗積七郎登壇
  132. 穗積七郎

    穗積七郎君 私は、日本社会党並び公明党を代表し、しかも、はなはだ遺憾なる意を込めまして、ただいま議題となりました外務委員長北澤直吉君の解任決議案の趣旨の説明を行ないたいと思います。  まず、決議案文を朗読いたします。   本院は、外務委員長北澤直吉君を解任する。    右決議する。       理 由   外務委員長北澤直吉君は、公平であるべき委員長の職責に違反し、政府与党の意のままにしたがい、国会正常化に背を向け、内閣提出の「太平洋諸島信託統治地域に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件」を強行採決した。   かかる暴挙は、議会制民主主義を踏みにじつた多数横暴の行為といわねばならない。   したがって、国会権威を傷つけた委員長としての責任はきわめて重大であり、委員長として不適格である。   これが、本決議案提出する理由である。  なお、私は、この際いささか趣旨の補足をいたしまして、その要旨を明らかにいたしたいと思います。  外務委員長北澤直吉君は、茨城県の出身者にふさわしく、直情にして正直、政敵ながら愛すべき一面を持っていることは認めますが、この人間性のゆえをもって彼の犯した政治的罪過を許すわけにはいかないのであります。(拍手外務委員長北澤直吉君は、御承知のとおり外務官僚の出身であります。元来、霞が関外交官群は、総じて反共、反アジア、欧米一辺倒の上に、宮廷秘密外交の弊風にならされており、しかも北澤君は、吉田学校の門下として、権力主義の悪い思想に毒されてまいりました。したがって、彼はみずから議席を持ちながらも議会を軽視し、議会をして行政府に奉仕せしめようとする意をあらわして、その言動を常に行なう傾向を示してまいりました。  さらに、彼のあやまちは、委員長たるものは野党委員を含む全委員会責任者であることを自覚し、一党の党略にとらわれることなく、民主かつ公正の原則に立って会議運営すべき自覚を持ち合わせていないことであります。常に自民党の党利や指示にのみ忠誠を示し、へんぱなる運営を試みんとしてまいりました。  しかるところ、わが衆議院外務委員会は、長年の野党委員の努力の積み重ねによって、道理と良識によって民主的な審議を行なう慣例をやっとつくり上げてまいっていたのであります。北澤直吉君も、委員長就任前の外務委員として、かつまた同理事として、この委員会の実績と慣行を十分知っておられたはずであります。したがって、昨年北澤君が委員長の就任後におきましても、この民主的な慣行に従って運営せざるを得なかったし、また、支障なく案件審議は進んでいたのであります。  しかるに、去る五月二十八日、理事会について、北澤委員長は突如として突然変異を起こしまして、冒頭、与党常任委員長会議において委員会の連日開催を決定した旨を宣言し、これが国会全体に確認された不動の原則であるごとく、われわれ野党に対して高圧的に承認を求めようといたしました。与党内の独善的な決定などは、われわれ野党にとっては何の関係もないことであります。また、国会自身も、何らこれに拘束さるべきことでないことは明瞭であります。しかもその上、北澤委員長は、同日委員会を開き、太平洋諸島、すなわち、ミクロネシア地域に関する日米間の協定の採決を要求いたしました。この独断横暴なる要求に対して、われわれ野党理事はそろって断固反対するばかりでなく、次の二つの道理にかなった提案をいたしたのであります。すなわちその第一は、去る二十三日の大幅会期延長暴挙のあと、異常な混乱状態におちいっている国会を正常化し、与野党間の相互信頼を取り戻す具体的な保証の手だてとして、たとえば、定例日開催の原則、定足数の確保、質問通告者発言の保証の確認等々、六項目にわたる提案を行ないました。その確認の上に立って、第二には、本委員会に現にかかっている条約等の案件を具体的に検討しつつ、審議予定をあらかじめ討議の上開催日を決定すべきであると提案いたしたのであります。  なお、ちなみに申し上げておきますが、本委員会にただいまかかっております条約等は、ミクロネシア協定のほかに、二重課税防止に関する条約と旅券法の改正案のみであります。その上、問題になっておりましたミクロネシア協定は、すでに野党議員の多くの質問が行なわれ、去る二十一日の定例日には、私の大臣に対する留保質問と、公明党伊藤惣助丸委員の質問をもって、もし政府答弁が順調に行なわれますならば、この日をもって審議終了の予定であったのであります。ただし、報告いたしておきますが、この予定は、与党会期延長の一方的な暴挙のためにくずれたのであります。この責任は、一に自民党側にのみあるのであります。  以上申し述べましたとおり、われわれ野党の道理と実情にかなった提案に対しては、北澤委員長は何らこたえることなく、突如、発作的に立ち上がりまして、これにて理事会は打ち切り、委員会を開会と叫び出したのであります。委員長は、屈強なる与党議員に守られながら、委員室の壁に向かって、意味不明なる発声を行ないましたが、それをもってミクロネシア協定質疑は打ち切り、採決を完了したと称しているのであります。全くあいた口がふさがらない暴挙であり、憤慨にたえないところであります。しかも委員長は、一体どうして賛否の表決を確認することができたでありましょうか。彼は、先ほど申しましたとおり、終始、委員席には背を向けて、委員室の壁に向かってもぐもぐと口を動かしただけであります。したがって、出席委員の確認すらできず、まして、賛否の意思表示の確認ができようはずはないではありませんか。(拍手)  以上のごとく、北澤委員長のこの日の行動は、気が狂ってなせるわざであったか、しからずんば、自民党の党略に盲従したのか、あるいは愛知外務大臣の訪米のみやげとして、この強行採決を行なったとしか考えられないのであります。もし、議会をじゅうりんしてまでアメリカの意を迎えんとするものでありますならば、その心事や卑しむべきであり、そのあやまちは許すべからざるものがあります。(拍手)  最後に、外務大臣の訪米みやげにしようといたしましたミクロネシア協定は、さきの旧日本委任統治地域であり、現在アメリカの信託統治地域でありますが、前の太平洋戦争の際、現地住民が受けました被害を償う心持ちをもって日米両国からおのおの五百万ドル相当の無償拠出をしようとするものでありますから、われわれも、現地住民の福祉のためになり、かつはまた、一日も早く信託統治から解放される力をつけることを期待して、この協定には前向きに審議に応じてまいりました。  ところが、審議を進めるにつれまして、同地域がすでに米軍のミサイル基地であることが明らかとなったのであります。また、わが国からの拠出が、まず同地域における港湾、道路等の建設に使われることが明らかとなりました。皆さん、同協定の本旨からいたしまして、わが国からの拠出は、すべて現地住民の生活福祉にのみ、しかも直接的に使用さるべきものであることは言うをまたないところでありましょう。しかるに、政府答弁のごとくでありますならば、人民福祉に名をかりて、実はアメリカのミサイル基地の軍事目的に流用されることになるのであります。このような欺瞞は、断じて見のがすわけにはまいりません。これこそが、国会審議におけるわれわれ議員の責務ではないでありましょうか。実は、私の最後の外務大臣に対する留保質問の焦点もここにあったのでございます。  かくのごとくいたしまして、尽くすべき審議も尽くさず、野党の口を封じた上に、なおかつアメリカに奉仕するために国会の正常な運営をじゅうりんし、ますます国権最高の権威を失わしめつつあります北澤外務委員長の政治的罪過は、断じて糾弾されなければなりません。諸君決議案に対する賛成を期待して、私の趣旨説明を終わります。(拍手)     —————————————
  133. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 質疑通告があります。順次これを許します。石野久男君。   〔石野久男君登壇
  134. 石野久男

    ○石野久男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました外務委員長北澤直吉解任決議案に関連して、提案穗積七郎君に質問を行ないます。  外務委員長北澤直吉君は、私の郷土の大先輩でありまするから、委員長解任決議が行なわれること自体、非常に残念なことであります。きわめて遺憾千万なことに存じ上げております。ましてや、私が北澤解任決議案に関連した質問を行なわねばならぬということは、情において忍び得ないところがございます。しかし、政治は国民の前に厳粛でなくてはなりません。情実の許されるところではありませんので、私は、勇気を出して提案穗積君に質問をいたします。  まず、今日の議会混乱の最大の原因は、自民党政府と結託して、一部独占資本に奉仕するために、自分たちを選び出してくれた選挙民の願いや希望を全く無視した一党独裁の政治を行なっているところにあります。先ほど総理大臣は、同僚の島上君に対して、諸君も選ばれてきている以上、国民の期待にこたえるように願いたいということを言いました。しかし、今日、この議会の混乱している大きな原因は、何といっても自民党の多数横暴にあることはいなめません。たとえば、先般行なわれた国鉄運賃の値上げに関する本院における審議を見てもわかるように、自由民主党を選んでくれた選挙民の各位は、百人のうち九十九人までは運賃値上げには反対であります。ところが、選ばれてきて、一たびバッジをつけた議員諸君が、国民の意思を無視して、議会強行採決をしておる。これが今日のわが国の議会実態であるとするならば、いずれに民意の反映があるといえるでしょうか。(拍手)私たちは、このように選挙民を無視した議会審議、多数党であるということによって審議強行採決されたり、あるいは審議打ち切りをされたりすることは、許せないところであります。(拍手)今日の国会運営の最大の混乱の原因は、自由民主党の多数横暴、議会における民意の尊重を忘れておる一党独裁の政治にあると私は思っておりますが、提案者である穗積君は、どのようにお考えになりますか、これをお尋ねしたいのであります。  そしてまた、私は、今日のこの混乱を防ぐためには、もうこのような状態をなくするために、議会は解散をして選挙し、新しい国民の意思による代表が出なければ、ほんとうの議会の正常化はできないのではないかというふうに考えますが、穗積君はどのように考えるか、この際、お聞かせを願いたいところであります。(拍手)  第二にお尋ねしたいことは、外務委員長北澤直吉君が一昨二十八日、多数暴力にたよって強行採決したやり方は、単に一外務委員会の問題としてだけではなく、国会議会政治を民主的に正しく守るという立場から、断じて許されないということについてであります。  提案穗積君が提案理由説明を行なった際にも強く訴えているように、そしてまた、わが党がきびしく追及してきたように、このたびの外務委員会における委員長北澤君の暴挙は、自民党が、すでに国鉄運賃法、総定員法、地方公務員定年制法で強行採決を行ない、さらに、先般の国会延長におけるようなむちゃくちゃなやり方をした、四度にわたる強行採決に重なり合ったもので、議会における民主主義を一顧だにしないやくざの手法である。まさに、日本の議会制民主主義の歴史をファシズムの方向に書きかえる許しがたい政治悪を意図したものであると思うのでありますが、穗積君はこれをどのようにお考えになるか、明快な御説明をお願いしたいところであります。  第三に、社会党をはじめ各党審議に協力を惜しまないで整然と質疑を行なってきたものを、なぜ北澤君が強行採決をしたのかということです。その意図は何であるかということであります。  外務委員会は、一国の国際社会における指針となる外交政策を論じ、決する場であります。その審議は常に国民立場に立って、国民の利益を守るために、大所高所から誤りなきを期さなくてはなりません。後世に至るまで日本の歴史の方向に重大な責任を負うべき、きわめて重要な委員会でありますことは、いまさら言うまでもないところであります。今回の北澤君の暴挙は、一党一派に偏し、しかもまた、先ほど穗積君が説明いたしたように、これは現地住民に対する福祉に即応するものでなく、アメリカの極東軍事体制に対して協力するというような、非常にわが国の立場を無視したものだどいうふうに思われる。そのようなことをなぜやったか。これを穗積君はどのように見ておられるか、率直に所見を聞かしていただきたいところであります。  この北澤君の行為は、国民に対する背信であるだけでなく、議会政治の原則をじゅうりんする許しがたい暴挙でありまするが、どうして自民党並びに北澤君たちがこのようなことをしたのか、その政治的背景について、穗積君に解明をしていただきたいところであります。  第四に、北澤君は、先ほど穗積君からもお話がありましたように、いまはない吉田茂氏の門下生として、切っても切れない関係にある側近者であります。そしてまた、一面反共軍国主義外交家だという高名が、あまねく行きわたっているところでありますが、ほんとうに彼は反共軍国主義に徹しているのでしょうか。外交問題にうんちくの深い穗積君の所見を承りたいところであります。  また、彼は、古い外交官であっても新しい外交を論ずる政治家であるかどうかということについても、私は疑問を持つところでございますが、今日アジアの情勢は、ベトナムにおいて、すでにアメリカ帝国主義者の全面的敗退が決定的であります。同時にまた、それは、三十八度線に新しい危機が伝えられ、第二の朝鮮戦争の危機が憂えられているときであります。七〇年安保廃棄を戦っている日本社会党は、これを重要視し、日韓条約、三矢計画、第四次防衛計画やいま国会提案されている防衛二法とともに、新しい戦争に日本を巻き込む危険を痛感しているところでありますが、このような事態は、まさにアメリカの極東政策、軍事体制が、依然として中国封じ込め政策に基づいているからだと考えます。  佐藤政府は、アメリカの中国封じ込め政策に積極的協力を進め、二つの中国論を展開しております。この二つの中国論を具体的に実証し、政治的制約を加えているのが吉田書簡であることは、本院においてしばしば論議されてきたところであります。この吉田書簡なるものが、北澤直吉君が書きおろしたものだと巷間伝えられ、それが事実だといわれております。吉田書簡が今日、日本と中華人民共和国との友好と親善を阻害していることは、だれも否認するものがいません。先般、自民党の古井君や田川君がたいへんな努力をしましたにもかかわらず、吉田書簡が大きな障害となって、長年にわたって民間の経済人が努力し、積み上げてきた日中貿易の漸減を食いとめることができず、日中間の経済関係をますます悪化させている事実を直視しなくてはなりません。北澤君の手になる吉田書簡は、重大なわが国の外交上における害悪を残しておるといっても過言でありません。数千年にわたる長い日中間の友好的歴史に、ぬぐうことのできない汚点を残してきた日本帝国主義の中国侵略行為のあと始末もつけていない事実を反省することもしないで、七億五千万の中国人民とその主権を無視した吉田書簡、それが吉田茂氏なきあとも亡霊のように佐藤内閣と自民党を引きずり回していることは、日本の悲劇であります。(拍手)死せる吉田が佐藤政府を引きずり回しているこの吉田書簡の舞台装置と演出が北澤直吉君であるとすれば、その政治家としての功罪はおのずから明らかであります。北澤直吉君の外交姿勢は、アジアの平和と諸国間の友好を願う国民にとって、許すことのできない反民族的外交路線をたどっているといわなければなりません。  北澤君は、はたして本院における外務委員長としての今日における資格要件である戦後のアジア、日本と中国との新しい感覚を持っているのかどうか、まことに疑わしい。外交問題の権威である穗積君は、率直にこれをどのように考えておるか、お聞かせ願いたいところであります。  以上、私は、提案穗積君に対して若干の質問をいたしました。これで終わります。(拍手)   〔穗積七郎登壇
  135. 穗積七郎

    穗積七郎君 現在のわが国の民主政治が多数横暴のために非常な危機に直面しておるという石野君の御意見、御認識に対しては、私も全く同感であります。私は、民主政治のまず基礎は、その基礎としての選挙が公平にして清潔に行なわれることから出発しなければならないと思います。その点について今日の実情を見ますならば、まことに心寒きものを感ずるのであります。  さらに、公正にして清潔に選ばれました議会内におきましては、多数の意見必ずしも真ならず、少数の意見必ずしも誤りでないという論理の原則に立って、まず第一に、少数意見が最も尊重されることが、議会政治の基礎であると思います。言論の府におきまして、少数意見が時に多数の抑圧によって時間の制限を受けたり、あるいは言論の自由が抑圧されるようなことは、全く私は民主政治を汚すものであると感じます。  なお、御提案国会の解散の時期についての適否の御質問でありますが、私も全く同感でございます。  実は、いささか私事にわたりますが、終戦直後の新憲法を審議する国会におきまして、私も憲法審議の一員として参加をいたしました。そのときに、現在におけるわが国の腐敗した選挙、これを基礎とした国会の多数派にのみ一切の政策立案の主導権があるといたしますならば、非常に国民大衆、有権者の政治的要求と乖離をいたします。そこで、今日のフランスにおいてすら認められておるように、たとえば安保でありますとか、たとえば日韓条約でありますとか、あるいは防衛法、あるいは大学立法等々の国家百年の基本政策に関するものにつきましては、国民の直接投票制度を開くべきではないかということを私は強く主張いたしたのであります。遺憾ながら、これは制度として確立を見ませんでした。そうでありますならば、国民の意思に従って、国民の求むるところに従って、国民の示します重要な中心の安保問題、あるいは物価問題、あるいは沖繩問題、これらを中心といたしました総選挙は、民意を暢達する秘訣であると私は確信をいたします。これをもってお答えといたしましょう。  ファシズムについての認識でありますが、ファシズムの進行にあたりましては、まずマスコミに対する権力支配、次が教育、宗教に対する権力支配、これはすでにわが国において進行しつつあります。今度の国会おきましても、御承知のとおり靖国神社法が計画され、さらに大学法が計画されて、教育と宗教に対する国家権力の支配を強めようとしておる。さらに言論、団結権あるいは結社の自由、あるいは団体交渉権、こういうような基本的な人民の権利が次第に制限かつ抑圧されておる。さらに続いて、国家権力機構の中における警察と軍隊の力が増強されつつある。さらに続いて最後は、民主国会に対する権力の抑圧であります。こういう順序でファシズムの民主主義に対する進行というものが発展をするのでありますが、そういう点から見ますならば、わが国における現状というものは、佐藤内閣の軍国主義思想によりまして、ファシズム体制がすでに進行しつつある危機をわれわれは感ぜざるを得ないのでございます。(拍手)  さらに、円満に行なわれておりましたわが外務委員会におきまして、突如として北澤委員長強行採決をいたしましたその政治的な背景というものは、まず第一に、政府自民党国会支配の実績をつくりたいということ。すなわち、北澤委員長は、与党並びに政府の命令に対して忠誠を尽くすのが、その第一の背景であったと思います。第二は、安保体制を強化、長期化する政策の中において、アメリカをたずねます愛知外務大臣に対する、ミクロネシア協定のみやげとしての意識が政治的にあったことは、私は見のがすことはできないと思います。これが今度の強行採決の動機であり、政治的背景であると私は判断をいたしております。  軍国主義に対するお話でありますが、これはすでに先ほど申しましたように、外務省を中心とするわが国の外務官僚の思想、あるいは自民党の中におけるタカ派の諸君の思想は、アジア、東南アジアに対する膨張主義の思想が根底に横たわっております。安保条約を強化し、軍備を拡張し、その拡張した軍隊をもって極東アジアの安全保障に対して積極的な働きかけをしようとしておるわが国の政治体制は、まさに軍国主義段階から従属的な帝国主義の段階に入りつつあると私は分析をし、認識すべきではないかと考えております。(拍手)  最後に、吉田書簡に関する問題であります。同じ独占の代弁である自民党政府の中におきましても、旧吉田グループは、経済合理主義にのっとりまして、中国に対する延べ払い協定をどんどんとこれを認め、進める態度をとりました。これに対しまして、台湾政府並びにこれにつながる自民党内の台湾ロビーの諸君のクーデターがすなわち吉田書簡であります。吉田書簡は、単なる前総理吉田個人の手紙にすぎません。ところが、これによって佐藤内閣を縛りつけ、政治的に動きのとれない手かせ足かせとしたのでありまして、これに籍口し、これに便乗した佐藤首相並びに北澤外務委員長は、明らかに日中の離間を策し、中国の封じ込め政策に加担をし、日中貿易を破壊し、そうして二つの中国と、中国との国交回復を妨害するという中国敵視政策の路線を示しているものと思います。  私は、戦後のわが国の外交の最初にして最大の問題は、日中の国交回復にあると考えます。しかも、情勢は、ベトナムの後におけるわが国の外交の現実におきまして、すでにヨーロッパの諸国が示しておりますように、中国との貿易の打開、友好の拡大、国交の回復は、すでに理想の問題ではなくて、わが国の外交の具体的な日程にのぼるべき問題であると考えます。その観点から見ますならば、吉田書簡を画して中国を敵視し、日中破壊を策しておるこの外交思想というものは、今後のわが国の外交をになう政治家といたしましては、はなはだしく、かつ決定的な不適格者であると私は確信する次第でございます。  以上をもちましてお答えといたします。(拍手
  136. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 楢崎弥之助君。   〔楢崎弥之助登壇
  137. 楢崎弥之助

    楢崎弥之助君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました衆議院外務委員長北澤直吉解任決議案の趣旨説明に対し、問題の本質を明らかにするために、柄ではありませんけれども、いささか格調を高めまして、若干の質問を行なってみたいと思います。(拍手)  ただいま提案されております外務委員長解任決議案を含めまして、最近、無神経なまでに乱発されだしております一連の強行採決、そして、この本会議における野党発言の時間制限、あるいは野党の答弁要求を総理が拒否をする、しかも、それは与党の幹事長の指示によって行なったというのでありますから、何ともはや、おそれ入った話であります。これら一連の最近の政府自民党のふるまいは、まさに議会民主主義の存立にかかわる問題でありますので、私は、この議会民主主義に焦点を合わせまして、私の考えを明らかにしながら、まず、この点から質問に入ってまいりたいと思います。  自民党は、何か事が起こりますと、きまって多数決、多数決と言うのであります。今日、民主政治の基本原則として多数決の原理が採用されていることは、すでに御案内のとおりであります。しかし、多数決の原理が民主政治の基本原則たるためには、幾つかのきびしい不可欠の前提条件があるのであります。(拍手)  まず第一に明らかにしなければならないことは、少数者はなぜ多数者の意見に従わなければならないかという問題であります。多数者の意見が正しいから少数者はそれに従うことになるのでありましょうか。少数者は、良心的には多数者の意見が正しくないと信ずる場合においても、なお多数者の意見を正しいものとして、少数者はそれに従わねばならないのでありましょうか。そんなばかな話はないのであります。(発言する者あり)この辺がデリケートなところだから、よく聞きなさい。(発言する者多し)議長、静粛にさしてください。なぜならば、良心的に正しいと思えないものを無理やりに正しいと信じなさいと言ってみたって、そんな不道徳を強要されるいわれはないのであります。少数者が多数者の意見に従うというのは、決して多数者の意見が正しいからではありません。多数者の意見そのものが正しいから従うのではなくて、多数者の意見に従うという方法、そのルールが正しいとして従うのであります。だから、たとえ少数で敗れても、少数者は、自分たちの意見の正しさを決して放棄をする必要はないのであります。いつかはその少数の意見が多数の意見になるように、やがては少数者の意見が多数になるように、あらゆる合法的な手段を通じて、粘り強く説得、PR活動を展開していくでありましょう。(拍手)この辺のところはまことにデリケートな問題でありますから、頭の単純な方にはおわかりにくいかもしれません。(拍手)しかし、たいへん大事な問題なのであります。  次に、多数決の原理にとって大事なことは、その多数が正しい経過を経て形成されたものであるという点であります。もしも、この多数というものが、正しい経過を経ずして、供応とか買収とか、あるいは利益の誘導とか、そういったものを通じて形成された多数というものは、いわゆる多数決原理が適用される多数ではないのであります。現在の自民党の多数というものは、この点におきまして大いに欺瞞的な要素を含んでおるのであります。(拍手)  また、選挙のときだけ調子のいいことを言って有権者をだまして、あとは知らぬ顔というこの多数もまた問題があるのであります。  いい例がありますから、この際、御披露をいたしたいと思います。  昨日、私は中央選挙管理委員会に行きまして、そして問題の外務委員長北澤直吉君の四十二年一月選挙の公報をとって見てまいりました。四十二年一月選挙といえば、政府自民党の一連の黒い霧による解散、総選挙であったことは、記憶に新しいところであります。北澤直吉君は、公報の大部分をさいて、政界の粛正、議会民主主義の擁護を叫ばれているのであります。せっかくの機会でありますから、その一部を読み上げてみたいと思うのであります。(拍手)この公約の中で、「私の公約」というところに、こういうことがあります。  1、政界の粛正と議会民主政治の擁護  政界を粛正近代化し、政治に対する国民の信頼を回復し、以て議会民主政治を擁護することの必要が今日程痛感せられることはないと信じます。嘗つて大正年代に一応政党政治が日本の風土に定着したかに見えた時代もあったが、やがて政界の腐敗の為国民の政治に対する信頼が著しく失墜し、遂に軍部の政治支配、大東亜戦争突入、敗戦、無条件降伏と発展して行ったことは、吾々国民の記憶に新たなところであります。私は約四年前福田自民党幹事長其他の同志と共に自民党の現状を憂慮し自民党の近代化を目標とする党風刷新運動を推進したのでありますが、当時の池田総裁始め党首脳部の容る所とならず遂に今日の事態を招くに至ったことは誠に残念であります。  ここにいわれております「今日の事態」というのは、まさに黒い霧におおわれた自民党の実情をいわれておるのであります。ざっと以上のような公約をされたのであります。  しかし、いま残念ながら、北澤直吉君は、このように本院におきまして議会民主主義の破壊者として弾劾をされ、委員長解任のお経読みがなされて、まさにその引導が渡されようとしているのであります。また、政界粛正の公約のほうでありますけれども、いまだに政治資金規正法が佐藤総理によって握りつぶされていることは、先ほどのお話のとおりであります。こういう事実に対して、政界粛正を標榜された北澤直吉君は、いまや、これに対して政治家の政治生命をかけて、その粛正のために奮闘なさったというような話を、寡聞にして私はいまだかつて聞いたことがないのであります。(拍手政治家がうそを言っちゃいけませんです。選挙のときだけ調子のいいことを公約に書いて、だまして有権者の票を獲得しちゃいけませんです。そういううそとごまかしによって形成された多数というものも、また多数決原理に適合する多数ではないのであります。(拍手)  さらに、最後に決定的なことがあるのであります。現在の国会における政府自民党の多数というものは、あなた方の多数というものは、現行選挙法のテクニックによってつくられたる形式的な多数であるという事実であります。先ほども公明党大橋君が指摘をしたのでありますけれども、最近の衆議院、参議院選挙にあらわれた得票数によって、その事実は簡単に立証されるわけであります。四十二年一月二十九日施行の第三十一回総選挙における自民党の総得票数は二千二百六十三万九千七十二票、パーセンテージで四九%であって、これまた過半数を割っておるのであります。さらに、昨年七月七日施行の参議院選挙におきましては、自民党は全国区において二千十二万八十八票、パーセンテージで四六・七%であります。そして、地方区におきましては千九百四十万五千五百四十五票、パーセンテージではさらに低下して四四・九%と、いずれを見ましても、得票数は国民の過半数をあなた方は割っておるのです。ところが、それなのに、議席数だけは過半数を占められておるのであります。どうしてこういうことになったのでありましょう。これはいわゆる……
  138. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 楢崎君、時間ですから、結論を急いでください。
  139. 楢崎弥之助

    楢崎弥之助君(続) 現行選挙制度のテクニックによってこの状態がもたらされたのであります。したがって、政府自民党は、この事実をもう少し謙虚に直視されまして、反省される必要があろうと私は思うのです。(拍手)つまり、国会の中では、あなた方は比較多数をとっておられるけれども、国民の場においては、あなた方は国民の少数者であります。したがって、野党全部が反対をするような法案については、自民党ももう少し謙虚に野党の意見に耳をかしげる。修正すべきものがあったらする。予算案のごときはどうですか。一銭一厘もあなた方は修正しようとしないじゃありませんか。私は、こういう自民党が謙虚さを取り戻されることが、まず主権在民の憲法が差し示す真の民主主義の姿ではなかろうかと思うのであります。(拍手)  もはや、今日の政府自民党のやり方は、虚偽と幻想に満ちた多数というものを足がかりにして、民主主義ルールである多数決という手段をもって、民主主義そのものをあなた方は殺さんとしておるのであります。(発言する者多く、拍手)  昨日、佐藤総理は……
  140. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 楢崎君、制限時間が過ぎましたから、発言を終わってください。
  141. 楢崎弥之助

    楢崎弥之助君(続) 政府提出法案は、すべて国民のためだから絶対に通せと言ったことがどうして悪いんだと、昨日佐藤総理は開き直られたのであります。また、先ほど、行政府責任者である総理大臣が、立法府の運営について野党を誹謗するなんということは、言語道断の筋違いの発言であります。(拍手)本院は、あなた方自民党の代議士会ではないのであります。あのような発言は代議士会でおっしゃったらいい。全くこれは、この姿というものは、私は今日の議会制度の真の危機を示しておると思うのであります。  さらに、私は田中幹事長に一言申し上げたいのであります。昨日の……   〔発言する者多し〕
  142. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 楢崎君、制限の時間が参りましたから、発言の中止を命じます。   〔楢崎弥之助発言を継続〕
  143. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 楢崎君、発言の中止を命じます。   〔楢崎弥之助君なお発言を継続〕
  144. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 楢崎君、発言の中止を命じます。——楢崎君、降壇を命じます。   〔楢崎弥之助君なお発言を継続〕
  145. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 楢崎君、発言の中止を命じます。   〔楢崎弥之助君なお発言を継続〕
  146. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 楢崎君、降壇を命じます。   〔楢崎弥之助君なお発言を継続〕
  147. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 楢崎君、発言の中止を命じます。——楢崎君、降壇を命じます。——執行を命じます。   〔楢崎弥之助君なお発言を継続、降壇〕   〔穗積七郎登壇
  148. 穗積七郎

    穗積七郎君 民主政治の重大な危機を憂えた同士楢崎君の切々たる訴えと質問に対しまして、私も全く同感の意をもって御答弁をさせていただきます。(拍手)  先ほど私が、民主政治の基礎として申し上げたのは、二点だけ申し上げました。  まず第一は、公正にして自由なる選挙が行なわれることでございます。そして、それによって、国民の意思をそのままプロジェクトした、投影をした議会が形成されることが、民主政治の構造の基礎でなければならぬと思います。そして、選ばれた議会というものにおいては、先ほど申し上げましたように、多数の意見が必ずしも真理ではない、少数の意見が必ずしも誤りではない。したがって、まず、少数の批判の意見を十分に暢達することが、議会民主政治の要諦であると私は考えます。その少数意見が指摘いたしました多数政党の執行の事実の中から、それをいずれが正しいか、いずれが誤っているかを、有権者、国民大衆自身が、自分の生活の現実に即して、これを点検することでございましょう。したがって、民主政治の要諦は、まさに大衆に影響し、大衆の中においてのみその正否が立証さるべきものでございましょう。これを放棄し、これを抑圧いたしますならば、民主政治の基礎は、民主政治にしてすでに破壊されておる民主政治でありますから、民主政治の偽装をいたしましたファッショ、多数横暴の政治といわなければならないでございましょう。  元来、私は思うのであります。民主政治の原理に立ってのみ政治を行なうべき終戦後の国会において、野党の発言が時間の制限あるいは質問者の削除、これらによって抑圧されるということは言語道断でございましょう。旧帝国主義議会におきましても、この時代における国会においても、議員発言には時間の制限はなかったのであります。議員は、議員自身として発言権利と義務がある。そして、その発言は無制限、自由でなければなりません。それが戦後の国会におきましては、多数の横暴によって、多数の官僚主義思想によりまして、この民主政治の要諦であります少数野党の意見の暢達が抑圧されてきておる。時間の制限が行なわれる。質問通告をいたしました者が、多数決によってこれが排除される。このようなことは、民主政治をまさに抑圧し、民主政治を破壊し、民主政治の敵であるといわなければならないと私は考えるのでございます。(拍手)そうして、この今日の議会政治における多数派の何らの反省のない多数横暴、多数の権力主義、これは、国会内におきましては多数決をもってこれを抑圧することができると考えるでありましょうが、いかに多数決をもって国会の中における抑圧を行ないましても、言論の自由と大衆の支持するところによりまして、大衆の力によってこの多数の横暴は次の時期には根本から批判をされ、くつがえされるでありましょう。これは、すべての国における平和革命あるいは実力革命の類型は別といたしましても、必ず行なわれる。これが歴史の法則でございます。  今日、国会内における自民党諸君の反省することのない腐敗、堕落した選挙、買収と利益の誘導によって多数を得た議席、その議席の官僚主義による多数の横暴、それによる言論の抑圧、これはまさに、彼らが多数強行採決によって唱える万歳の声は、みずからの墓穴を掘り、議会政治の葬式の声といわなければなりません。私どもは諸君の反省を求めまして、自民党の深刻な反省を求めまして、私は、国民にこのことを同時に訴え、国民の自覚により、国民の力によっていまの自民党の多数横暴をくつがえし、真の民主政治を守らなければならないし、その可能性を信ずるものでございます。  はなはだ不十分でありますが、以上をもって楢崎君に対する御答弁とさしていただきます。(拍手)     —————————————   質疑終局動議園田直君外二十六名提出
  149. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 園田直君外二十六名から、質疑終局動議提出されました。  本動議を採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白票、反対の諸君青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖
  150. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名点呼〕   〔各員投票
  151. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 投票漏れはありませんか。投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣——開鎖。   〔議場開鎖
  152. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  153. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 三百三十   可とする者(白票)       百九十一   否とする者(青票)       百三十九
  154. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 右の結果、質疑は終局するに決しました。     —————————————  園田直君外二十六名提出質疑終局動議をを可とする議員氏名       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       阿部 喜元君    相川 勝六君       青木 正久君    赤城 宗徳君       天野 光晴君    有田 喜一君       井原 岸高君    伊能繁次郎君       池田 清志君    石田 博英君       稻葉  修君    稻村佐近四郎君       宇野 宗佑君    上村千一郎君       内田 常雄君    内海 英男君       江崎 真澄君    遠藤 三郎君       小川 半次君    小川 平二君       小澤 太郎君    小沢 辰男君       小渕 恵三君    大石 八治君       大竹 太郎君    大坪 保雄君       大野  明君    大野 市郎君       大平 正芳君    大村 襄治君       岡崎 英城君    岡本  茂君       加藤常太郎君    加藤 六月君       鹿野 彦吉君    鍛冶 良作君       海部 俊樹君    桂木 鉄夫君       金子 一平君    金子 岩三君       神田  博君    亀岡 高夫君       亀山 孝一君    鴨田 宗一君       仮谷 忠男君    川崎 秀二君       川島正次郎君    川野 芳滿君       菅  太郎君    菅野和太郎君       木野 晴夫君    木部 佳昭君       木村 武雄君    菊池 義郎君       北澤 直吉君    吉川 久衛君       久野 忠治君    久保田円次君       久保田藤麿君    草野一郎平君       鯨岡 兵輔君    熊谷 義雄君       倉石 忠雄君    倉成  正君       藏内 修治君    黒金 泰美君       小峯 柳多君    小宮山重四郎君       小山 省二君    河野 洋平君       河本 敏夫君    佐々木秀世君       佐々木義武君    佐藤 文生君       斎藤 寿夫君    坂田 道太君       坂村 吉正君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    笹山茂太郎君       始関 伊平君    塩川正十郎君       重政 誠之君    正示啓次郎君       白浜 仁吉君    進藤 一馬君       周東 英雄君    菅波  茂君       鈴木 善幸君    砂田 重民君       砂原  格君    世耕 政隆君       瀬戸山三男君    園田  直君       田川 誠一君    田澤 吉郎君       田中伊三次君    田中 榮一君       田中 角榮君    田中 龍夫君       田中 正巳君    田村  元君       田村 良平君    高橋 英吉君       竹内 黎一君    竹下  登君       谷垣 專一君    谷川 和穗君       千葉 三郎君    塚田  徹君       塚原 俊郎君    坪川 信三君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       徳安 實藏君    床次 徳二君       内藤  隆君    中垣 國男君       中川 一郎君    中野 四郎君       中村 梅吉君    中村 寅太君       中山 榮一君    中山 マサ君       永山 忠則君    灘尾 弘吉君       二階堂 進君    丹羽 久章君       丹羽喬四郎君    西岡 武夫君       西村 英一君    西村 直己君       根本龍太郎君    野田 卯一君       野田 武夫君    葉梨 信行君       橋本登美三郎君    橋本龍太郎君       長谷川四郎君    長谷川 峻君       八田 貞義君    濱野 清吾君       早川  崇君    原田  憲君       広川シズエ君    廣瀬 正雄君       福家 俊一君    福井  勇君       福田 赳夫君    福田 篤泰君       福田  一君    福永 健司君       藤井 勝志君    藤枝 泉介君       藤尾 正行君    藤波 孝生君       藤本 孝雄君    古内 広雄君       古川 丈吉君    古屋  亨君       保利  茂君    坊  秀男君       細田 吉藏君    本名  武君       増岡 博之君    増田甲子七君       松浦周太郎君    松澤 雄藏君       松野 幸泰君    三池  信君       三ツ林弥太郎君    三原 朝雄君       水田三喜男君    水野  清君       村上  勇君    村上信二郎君       毛利 松平君    粟山  秀君       森下 國雄君    森田重次郎君       森山 欽司君    山口シヅエ君       山下 元利君    山田 久就君       山村新治郎君    吉田 重延君       早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君  否とする議員氏名       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井岡 大治君       井手 以誠君    井上  泉君       井上 普方君    伊賀 定盛君       石川 次夫君    石田 宥全君       石野 久男君    石橋 政嗣君       板川 正吾君    枝村 要作君       小川 三男君    大出  俊君       大柴 滋夫君    大原  亨君       太田 一夫君    岡田 利春君       岡田 春夫君    岡本 隆一君       加藤 清二君    加藤 万吉君       勝澤 芳雄君    勝間田清一君       角屋堅次郎君    金丸 徳重君       唐橋  東君    川崎 寛治君       川村 継義君    河上 民雄君       河野  正君    木原  実君       北山 愛郎君    久保 三郎君       久保田鶴松君    黒田 寿男君       小林 信一君    兒玉 末男君       後藤 俊男君    河野  密君       神門至馬夫君    佐々木更三君       佐野 憲治君    佐野  進君       斉藤 正男君    實川 清之君       島上善五郎君    島本 虎三君       田中 武夫君    田邊  誠君       多賀谷真稔君    高田 富之君       武部  文君    只松 祐治君       楯 兼次郎君    千葉 佳男君       戸叶 里子君    堂森 芳夫君       内藤 良平君    中井徳次郎君       中澤 茂一君    中嶋 英夫君       中谷 鉄也君    楢崎弥之助君       成田 知巳君    西風  勲君       野口 忠夫君    野間千代三君       長谷川正三君    畑   和君       華山 親義君    浜田 光人君       平岡忠次郎君    平林  剛君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       福岡 義登君    古川 喜一君       帆足  計君    穗積 七郎君       細谷 治嘉君    堀  昌雄君       松前 重義君    松本 七郎君       三木 喜夫君    武藤 山治君       村山 喜一君    森  義視君       森本  靖君    八百板 正君       八木 一男君    八木  昇君       矢尾喜三郎君    安井 吉典君       柳田 秀一君    山内  広君       山口 鶴男君    山崎 始男君       山田 耻目君    山中 吾郎君       山花 秀雄君    山本 幸一君       山本 政弘君    山本弥之助君       米内山義一郎君    米田 東吾君       依田 圭五君    渡辺 惣蔵君       渡辺 芳男君    浅井 美幸君       有島 重武君    伊藤惣助丸君       石田幸四郎君    小川新一郎君       大野  潔君    大橋 敏雄君       近江巳記夫君    岡本 富夫君       沖本 泰幸君    北側 義一君       小濱 新次君    斎藤  実君       鈴切 康雄君    田中 昭二君       中野  明君    樋上 新一君       広沢 直樹君    正木 良明君       松本 忠助君    山田 太郎君       渡部 一郎君    田代 文久君       谷口善太郎君    林  百郎君       松本 善明君     —————————————
  155. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 討論通告があります。順次これを許します。青木正久君。   〔青木正久君登壇
  156. 青木正久

    ○青木正久君 私は、ただいま議題となりました北澤外務委員長解任決議案に対し、自由民主党を代表し、反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)  ただいま社会、公明両党の共同提案になる北澤外務委員長解任決議案提出趣旨弁明が述べられたのでありますが、その理由があまりにも偏見と狭量とまた邪推とに出発しておりますことに驚かざるを得ないのであります。  そもそも外務委員会の構成は、洗練された一人の淑女と尊敬すべき何人かの紳士によってなされております。それだけに、従来ルールを守って和気あいあいの中に審議を進めてまいりました。まさに、超党派的雰囲気だったといって決して過言ではございません。この点は、先ほど穗積議員が御指摘になったとおりでございます。にもかかわらず、一昨二十八日、社会、公明両党は態度を一変し、定例日にもかかわらず、開会に応じなかったのでございます。ただいま弁明のございました北澤委員長解任決議理由は、一昨日の外務委員会におけるアメリカ合衆国との間の太平洋諸島信託統治地域に関する協定の採決の方法について、あのようなやり方を行なった委員長は信任できないから解任すべきであるとの主張であります。しかしながら、この協定につきましては、社会、民社、公明の野党各党は、いずれもかねてより好意的でございまして、先週五月二十一日の理事会におきまして、質疑を終了し、採決を行なう方向であったことは、先ほども提案者が発言されたとおりでございます。  このような事前の了解がございましたので、一昨日も理事会を開き、この席で北澤委員長は、与野党各理事の主張、発言を整理し、委員会の開会に応ずるように要望したのでありますが、社会、公明両党理事の聞きいれるところとはなりませんでした。そこで、一たん休憩し、各理事ともそれぞれ党に持ち帰りまして、事態の打開策を練り、午後あらためて理事会を再開したのでありますが、その席上におきましても、なお社会、公明両党は委員会の開会に応じませんでした。北澤委員長は、定例日でもありましたので、やむを得ず、成規の手続に従って開会し、採決を行なったのであります。この間、何らの手落ちもなく、一昨日の採決は有効に成立しているものでございます。  次に、ただいまの応答を聞いておりますと、北澤委員長個人に対する誹謗が幾つか聞かれました。国会内における発言に対し議員はその責任を問われることはないとはいえ、このような議員個人に対する非難は、私たちの断じて許すことのできないところでございます。(拍手)  さらに、この協定の内容につきましては、すでに御承知のように、太平洋戦争中に旧南洋委任統治領に住む住民に与えた戦争損害に対し、気の毒な住民に人道的同情の念を表明するとともに、日米両国がそれぞれ十八億円相当額を自発的に拠出するという趣旨のものであります。したがって、この協定を早期に超党派で承認いたしますことは、日本の、また日本国民の道義的責任とさえ思える次第でございます。(拍手)このようなヒューマニズム協定審議する委員会の開会にさえ、社会、公明両党の同調が得られませんでしたことは、私たちの深く遺憾とするところであります。(拍手)  北澤委員長は、そのすぐれた手腕と卓越した識見をもって委員会を円満に運営してまいりました。外務委員会で大部分の審議時間が野党に与えられてきたことは、速記録が証明しております。この点では、北澤委員長は、むしろ少数党の味方である感さえしていたわけでございます。一昨日も委員会を開こうといたしましたのは、少数党の意見を拝聴するためでございました。開会を拒否し、意見を聞かないというのならば、多数党の横暴でしょう。だが事実は、まさに全く逆でございました。(拍手)この意味で、委員会開会の否定は、私はデモクラシーの否定に通ずると思います。その上、いかに自党の都合とはいえ、審議に入ろうとした北澤委員長を解任しようというのは、道理が通らず、残念のきわみで、私は本決議案に絶対反対するものであります。  きょうもまた深夜国会になったこの国会議事堂の周辺は、最近様相が一変しております。道路は整備され、地下鉄は走り、建物もりっぱになりました。これに反し、国会内部はいかがでございましょう。旧態依然たる前時代的空気が漂っております。時には、慣習、前例という美名のもとに、陋習も横行しております。いまや時代は進み、アポロ十号が月を回って帰ってきたばかりでございます。国会運営も進歩がなければなりません。発言時間さえ守れぬ人に、どうして民主主義を説くことができるでしょう。(拍手議長の言うことが聞けぬ人に、議会制民主主義を論ずる資格はございません。(拍手国会審議は、まず、こうした点から改善していくべきだとかたく信じます。(拍手)  私は、冷静に思います。私たちは、自民党議員であり、あるいは社会党議員であり、民社党議員あるいは公明党、共産党の議員であります。しかし、同時に、あるいはそれ以前に、ひとしく日本の国会議員であるべきだと私は確信いたします。(拍手)この際、与野党の違いはあっても、また、賛・否の差異はあっても、お互いに日本の国会議員としてなすべきことは何か。それは、まず法案審議に進んで積極的に参加することでございます。(拍手)これこそ、国民の負託にこたえる第一歩であると信じます。  この意味におきまして、審議を進めた北澤委員長を解任せんとする本決議案に対し強く反対し、私の討論を終わりたいと思います。(拍手
  157. 石井光次郎

    議長(石井光次郎君) 大柴滋夫君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔大柴滋夫君登壇
  158. 大柴滋夫

    ○大柴滋夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されております外務委員長北澤直吉君の解任決議案に対し、賛成討論をいたすものであります。(相手)  政府自民党は、この国会において国鉄運賃値上げ法案をはじめ、総定員法案地方公務員定年制法案、それに国会史上全く例を見ない七十二日間という大幅な会期延長を一方的に強行するなど、暴挙に次ぐ暴挙を続けてきたのがこの国会の特徴であります。このために国民は、一体議会は何をしているのか、疑惑と憤激をもってこの議会政治にたいへんな不信を持っているわけであります。このことは、全く自民党責任だと思うのであります。  しかも、これらの暴挙による措置が、国民には、何のために七十二日間も延長したか、こういうことが十分わからないときに、またまた一昨日、外務委員会とか建設委員会とか逓信委員会において、自民党の単独による強行採決が行なわれたと称しているのは、たび重なる政府自民党国民を無視した暴挙でありまして、国民佐藤内閣と自民党に対して、不信はもとより、政治とか議会制民主主義そのものに対して、たいへんいぶかしげな目をもって見ているわけであります。これは、自民党諸君佐藤内閣の手によって汚された国会の自殺行為にひとしいものでありまして、その責任の一端はもちろんわれわれにあるとしても、より以上に決定的なものは、自民党佐藤内閣にあるといわなければならないのであります。(拍手)  そもそも、この、たび重なる暴挙に次ぐ暴挙の裏には何があるか。防衛二法案をはじめ、健保特例法の再延長案、大学紛争処理法案などの反動立法を成立させるための一貫した反動的な政治的意図がありまして、これは民主主義破壊の計画によってもたらされていると言って差しつかえないだろうと思うのであります。  佐藤内閣と自民党は、会期延長理由を、野党の審議引き延ばしによって重要法案が残っているからと言っておりますけれども、これは全く理由にならぬだろうと思うのであります。そもそも、国会というものは、初めから、通常国会は百五十日ときめられておりまして、会期の範囲内でやり得るように配慮するのが自民党国会運営責任であるということは、だれでもわかることであります。百五十日間でこの法案は通す、あるいは、次の臨時国会なり、次の国会に回すと、今後はそういう習慣をつけてほしいのであります。政府及び自民党会期延長理由にあげている防衛二法、健保特例法、大学特別措置法案は、わが国の将来、国民の生活に重要な関係を持っている法律といわなければなりませんけれども、これらの法案は、いずれにしても、国会において十分慎重審議を尽くして、その問題点を究明するのが、国民に対するわれわれの責任であるといわなければならないと思います。  しかるに政府自民党は、野党に審議引き延ばしの責任があるかのように言っていますが、十分な審議もさせずに問答無用で一方的に審議を打ち切り、強行採決暴挙に訴えるのでは、野党であるわれわれが審議に協力しようとしても、事実上できないではありませんか。多数党であれば何でもできるという国会、しかもこうした国会に対して、新聞に伝えられているように、自民党諸君が勝った勝ったと言って喜んでいる。こういうばかなことでは、選挙民というものはたいへん、政治に対して、自民党そのものに対して、不信感を抱くだろうと私は思うのであります。  いま日本の各大学で起きている紛争はいろいろの理由がありましょうけれども、その多くの理由の中には、こうした議会制民主主義空洞化に対する反発と抗議があるだろうと思うので、あります。大学紛争処理法案を是が非でも成立させようとする政府自民党が、みずから大学紛争を拡大さしているということは、たいへんな皮肉といわなければならぬだろうと思うのであります。(拍手)  佐藤首相は、口を開けば、わが国の今日の繁栄は日米安保条約によって日本の平和と安全が保たれてきたからだと言いますが、現にベトナム戦争のために、本土や沖繩の米軍基地が一〇〇%利用されているのを見れば、日米安保条約は日本の平和と安全を守るための条約ではなくて、米国の中国封じ込めのためのアジア戦略、ベトナムや北朝鮮になぐり込みをかけるための反共軍事同盟であることは明らかであります。  しかも政府自民党は、日本国民全体が熱望している沖繩の即時無条件返還を無視し、三十一日には、愛知外相が佐藤首相訪米の露払いで対米交渉を始めるために出発しますけれども、その基本姿勢は、米軍基地は本土並みということばに隠れて、日米安保体制の強化にほかならないのであります。いま沖繩の人々は、ベトナム戦争、朝鮮半島の軍事緊張によって、いつ戦争に巻き込まれるか、たいへん不安な生活を送っています。それはB52が墜落したり、幾度も幾度も原子力潜水艦が寄港する、そういった理由に基づくものであります。政府自民党の言う安保繁栄論、日本の防衛費負担が国民総生産の一%以下に押えられているのは、日米安保条約があったからではありません。アメリカや歴代自民党政府は、国民総生産の二%ないし六%にふやすべきだと、いままで再三再四にわたって主張してきていますが、その主張を押えてきたのは、わが党を先頭にして、日本国憲法を守り、日米安保条約に反対し、平和を求める多くの国民が、自民党政府の軍国的政策に抵抗してきたからであります。(拍手政府自民党は、日本国民の熱望している沖繩即時無条件返還の現状をどういうように理解しているか。対米追従外交を直ちに改めて、沖繩の即時無条件返還を要求すべきであります。  いま問題になっている北澤直吉君は、かつて、なくなった吉田総理の側近の一人として自他ともに認め、この吉田反動政策の忠実なる推進役としてきた一人であります。また、たいへんいやなことばでありますが、台湾ロビーとして活躍した人でもあり、いま日中貿易、日中国交回復のガンとなっている吉田書簡実現の立て役者でもあったといわれている人であります。こうした北澤君の一貫したアメリカ追従姿勢は、今回のミクロネシア協定の強行となってあらわれているわけでありますが、この北澤君の態度こそ、国会権威をみずからの手で失墜せしめている行為といわなければならぬと思います。このことは、北澤君個人が意識するといなとにかかわらず、わが国の議会制民主主義に挑戦している重大な犯罪的行為であり、国会の役員たる常任委員長として許すことのできない行為であります。  したがって、私は、穗積七郎君の提案になる解任決議案賛成すると同時に、議員各位もこれに全面的に御賛同をされ、崩壊せんとするわが国の議会制民主主義を守られんことをお願いいたしまして、私の討論を終わる次第であります。(拍手
  159. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 近江巳記夫君。   〔近江巳記夫登壇
  160. 近江巳記夫

    近江巳記夫君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま提案されております外務委員長北澤直吉君の解任決議案に対しまして、賛成の意を表するものであります。(拍手)  申すまでもなく、外務委員会は、わが国の国際社会における外交方針を審議し、いわばわが国将来の平和と安全に深く関係のある法案や条約を審議する重要な委員会であることは、いまさら申し上げるまでもないと存じます。しかも、本年は、日本国民の戦後最大の悲願である沖繩返還交渉と、それに伴う外交スケジュールが多く予定されており、ますますその重要性と国民の期待の高まっているのが外務委員会であります。したがって、十分な審議を尽くしても尽くし過ぎるということのない委員会であります。したがって、その委員長である北澤直吉君の責務は、きわめて重大なのは当然であります。  私は、常日ごろより、外務委員長北澤直吉君を先輩として、その円満なる人格と練達の手腕を非常に尊敬しておりました。にもかかわらず、本日ここに北澤直吉君の解任決議案に対して賛成討論をいたすということは、私の本意ではなく、全く悲しいことであります。北澤委員長は、議会制民主主義を数の暴力で踏みにじる自由民主党の中にあって、珍しい良心の人であると日ごろから思っておりました。したがって、解任決議案が出されたときも、心中少なからず抵抗を感じたのであります。できるならば、党派を越えて、救えるところがあれば救ってあげたいと、綿密に事の真相を再調査いたしました。がしかし、残念ながら、弁護の余地のないことが明らかになるにつれまして、日ごろ同君を信頼してきただけに、その裏切られたくやしさ、悲しさは、ことばで表現できないくらいであります。北澤直吉君は、良心にとがめられながら、自民党の横暴についに屈したのでありましょう。  去る二十二日の議院運営委員会における会期延長強行採決以来、わが公明党は、この怒れる心を押えに押えて、自民党の猛反省を求めて、国会法に基づく正しい議事運営に努力を重ねてまいりました。このように隠忍自重して、ただひたすら自民党の反省を心から期待しておったのであります。ところが、われわれのこの誠意を裏切って、自民党強行採決強行採決と、連続の暴挙をもって迫ってきたのであります。  御承知のとおり、今国会における外務委員会付託法案及び条約は、全部で十八件であります。五月の二十三日現在、すでにこのうち十件を審議、採決し、残るところは八件でありますが、この八件のうち六件は、全く同一といっても差しつかえのない租税条約に関するものなのであります。結局、二十三日現在、実質的には三件の法案が残っていたにすぎないのであるにもかかわらず、憲法並びに国会法の精神を忘れ、非常識きわまりない七十二日間という会期延長を強行した自民党が、どうして外務委員会を連日開催しなければならないのでありましょうか。この理由を明らかにするよう、われわれは委員長に迫ったのであります。これはもとより外務委員長北澤直吉君の答えられるところではありません。これに窮した北澤君は、理事会を一時中断し、休憩したのであります。この話し合いがつかないまま、北澤君は、再開後直ちに委員会の開催を宣言し、強行採決の愚挙に出たのであります。しかも、この太平洋諸島信託統治地域に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件につきましては、わずかに社会党委員が二名質問を行なったにすぎず、わが党はただの一人も質問をしておらないのであります。佐藤総理は先ほどの答弁の中で、まことに不謹慎な発言をいたしましたが、少数党の発言を封じて、しゃにむに強行採決をして、国会を混乱させているのは、ほかでもない、この佐藤さんが率いる自民党ではありませんか。  特に、外交問題は国家百年の大計の上に立って判断し、処置しなければならない重要問題であります。大地に耳をつける思いで国民の声を吸収し、慎重の上にも慎重を期して、国民的合意を形成することこそ、外交の要諦であります。わが党をはじめ、多くの質問者を黙殺した姿勢こそ、全国民の最もおそれる時代逆行の姿であり、再び国家の方向を誤らせる根本原因となるのであります。このような多数による横暴や、審議を無視した強行採決等が、審議の場である国会において、一度ならず再三再四にわたってまかり通ることは、国民に対する裏切りであり、もはや、自民党民主主義の破壊者であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  特に、外務委員長北澤直吉君が、委員長の職権を乱用し、議会運営ルールをみずから破壊したこの事実は、国民の名において断固追及されなければならないのであります。委員長国会役員として、常に中立公平の立場に立って委員会を正常に進行するために全力を尽くしていく立場にあることは当然のことであります。少数意見をも開陳せしめて、委員会質疑国民の前に明らかにすべき責任を有するのであります。にもかかわらず、自民党のみに偏重して、政府自民党の一方的な強行策のお先棒をかつぎ、議会制民主主義を破壊したことは、もはや委員長の資格をみずから放棄したものと私は断ずるものであります。国民は、こうした国会運営実態を見て、はたして何と感じたでありましょうか。国民をして深い失望と一そうの政治不信へかり立てたことは、まぎれもない事実であると思うのであります。これひとえに北澤委員長委員会運営の無能さを立証する以外の何ものでもないと私は申し上げたいのであります。  沖繩返還交渉を間近に控え、また、来年度における日米安保の再検討期を前に、慎重に検討し、かつ、十分なる論議を重ねるのが外務委員会の使命であります。にもかかわらず、委員長の職責を忘れ、いたずらに政府自民党の意を受けて党利党略にのみ心を奪われて、国民を無視した姿勢をとり続けたことは、みずから委員長の職責を傷つけ、かつ、権威ある外務委員会の品位をそこねたものと糾弾しなければならないと思うのであります。委員長は飾りものではないのであります。暴走を続ける自民党のあやつり人形のような自主性なき行動と国民を忘れた冷酷な行動に対して、北澤直吉君は委員長として全く不適任であると考えるものであります。今後、かかる委員長をこのままにしておくことは、日本の将来のためにマイナスにはなっても、決してプラスになることは考えられないのであります。これが委員長解任決議案賛成する最大の理由であります。(拍手)  本協定については、太平洋諸島信託統治地域に対する賠償請求権問題及び日本が十八億円を拠出する根拠など詳細に質問し、問題点を明らかにしたかったのであります。しかるに、何の理由も根拠もなく、ただ議会制民主主義をじゅうりんする自民党の走狗となって強行してしまった、このような暴挙は断じて許せない行為なのであります。
  161. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 近江君、時間ですから、結論を急いでください。
  162. 近江巳記夫

    近江巳記夫君(続) したがって、北澤委員長は、このような無謀な行為責任をとって、すみやかにみずから辞任するのが当然であると思うのであります。また、北澤委員長を辞任せしめることが、病める自民党を救うただ一つの方法であり、良心でもありましょう。そして北澤委員長をこのような立場に追い込んだ政府自民党もまた、この責めを免れることは断じてできないのであります。
  163. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 近江君、時間ですから、結論を急いでください。
  164. 近江巳記夫

    近江巳記夫君(続) 私は、このことを声を大にして申し上げたいのであります。  このように議会制民主主義を破壊した暴挙について、北澤委員長国民の前にその罪状の重大なることを率直に認め、辞任すべきであると、私は重ねて申し上げるものであります。  わが公明党は、民主政治の危機を救わんがために、ここに外務委員長北澤直吉君の反省を強く求め、委員長解任決議案に対し賛成の意を表し、私の賛成討論を終わります。(拍手)     —————————————   討論終局動議園田直君外二十六名提出
  165. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 園田直君外二十六名から、討論終局動議提出されました。  本動議を採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白票、反対の諸君青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖
  166. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名点呼〕   〔各員投票
  167. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣——開鎖。   〔議場開鎖
  168. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  169. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 三百四十   可とする者(白票)       百九十七   否とする者(青票)       百四十三
  170. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 右の結果、討論は終局するに決しました。     —————————————  園田直君外二十六名提出討論終局動議をを可とする議員氏名       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       阿部 喜元君    相川 勝六君       青木 正久君    赤城 宗徳君       天野 光晴君    有田 喜一君       井原 岸高君    伊藤宗一郎君       伊能繁次郎君    池田 清志君       石田 博英君    稻葉  修君       稻村佐近四郎君    宇野 宗佑君       上村千一郎君    臼井 莊一君       内田 常雄君    内海 英男君       江崎 真澄君    小川 半次君       小川 平二君    小澤 太郎君       小沢 辰男君    小渕 恵三君       大石 八治君    大久保武雄君       大竹 太郎君    大坪 保雄君       大野  明君    大野 市郎君       大平 正芳君    大村 襄治君       岡崎 英城君    岡本  茂君       加藤常太郎君    加藤 六月君       鹿野 彦吉君    鍛冶 良作君       海部 俊樹君    桂木 鉄夫君       金丸  信君    金子 一平君       金子 岩三君    神田  博君       亀岡 高夫君    亀山 孝一君       鴨田 宗一君    仮谷 忠男君       川島正次郎君    川野 芳滿君       菅野和太郎君    木野 晴夫君       木部 佳昭君    菊池 義郎君       北澤 直吉君    吉川 久衛君       久野 忠治君    久保田円次君       久保田藤麿君    草野一郎平君       鯨岡 兵輔君    熊谷 義雄君       倉石 忠雄君    倉成  正君       藏内 修治君    黒金 泰美君       小坂善太郎君    小峯 柳多君       小宮山重四郎君    小山 省二君       河野 洋平君    河本 敏夫君       佐々木秀世君    佐々木義武君       佐藤 榮作君    佐藤 文生君       斎藤 寿夫君    坂田 道太君       坂村 吉正君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    笹山茂太郎君       始関 伊平君    塩川正十郎君       塩谷 一夫君    重政 誠之君       澁谷 直藏君    正示啓次郎君       白浜 仁吉君    進藤 一馬君       周東 英雄君    菅波  茂君       鈴木 善幸君    砂田 重民君       砂原  格君    世耕 政隆君       瀬戸山三男君    園田  直君       田川 誠一君    田澤 吉郎君       田中 榮一君    田中 角榮君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田村  元君    田村 良平君       高橋 英吉君    竹内 黎一君       竹下  登君    谷垣 專一君       谷川 和穗君    塚田  徹君       塚原 俊郎君    坪川 信三君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       徳安 實藏君    床次 徳二君       内藤  隆君    中垣 國男君       中川 一郎君    中曽根康弘君       中野 四郎君    中村 梅吉君       中村 寅太君    中山 榮一君       永山 忠則君    灘尾 弘吉君       二階堂 進君    丹羽 久章君       丹羽喬四郎君    西岡 武夫君       西村 英一君    西村 直己君       根本龍太郎君    野田 卯一君       野田 武夫君    葉梨 信行君       橋本登美三郎君    橋本龍太郎君       長谷川四郎君    長谷川 峻君       八田 貞義君    濱野 清吾君       早川  崇君    原田  憲君       広川シズエ君    廣瀬 正雄君       福家 俊一君    福井  勇君       福田 赳夫君    福田 篤泰君       福田  一君    福永 健司君       藤井 勝志君    藤枝 泉介君       藤尾 正行君    藤波 孝生君       藤本 孝雄君    古内 広雄君       古川 丈吉君    古屋  亨君       保利  茂君    坊  秀男君       細田 吉藏君    本名  武君       前尾繁三郎君    増岡 博之君       増田甲子七君    松浦周太郎君       松澤 雄藏君    松野 幸泰君       松野 頼三君    三池  信君       三ツ林弥太郎君    三原 朝雄君       箕輪  登君    水田三喜男君       水野  清君    武藤 嘉文君       村上  勇君    村上信二郎君       毛利 松平君    粟山  秀君       森下 國雄君    森田重次郎君       森山 欽司君    山口シヅエ君       山下 元利君    山田 久就君       山村新治郎君    吉田 重延君       早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君  否とする議員氏名       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井岡 大治君       井手 以誠君    井上  泉君       井上 普方君    伊賀 定盛君       石川 次夫君    石田 宥全君       石野 久男君    石橋 政嗣君       板川 正吾君    江田 三郎君       枝村 要作君    小川 三男君       大出  俊君    大柴 滋夫君       大原  亨君    太田 一夫君       岡田 利春君    岡田 春夫君       岡本 隆一君    加藤 清二君       加藤 万吉君    勝澤 芳雄君       勝間田清一君    角屋堅次郎君       金丸 徳重君    唐橋  東君       川崎 寛治君    川村 継義君       河上 民雄君    河野  正君       木原  実君    北山 愛郎君       久保 三郎君    久保田鶴松君       黒田 寿男君    小林 信一君       兒玉 末男君    後藤 俊男君       河野  密君    神門至馬夫君       佐々栄三郎君    佐々木更三君       佐野 憲治君    佐野  進君       斉藤 正男君    實川 清之君       島上善五郎君    島本 虎三君       下平 正一君    田中 武夫君       田邊  誠君    多賀谷真稔君       高田 富之君    武部  文君       只松 祐治君    楯 兼次郎君       千葉 佳男君    戸叶 里子君       堂森 芳夫君    内藤 良平君       中井徳次郎君    中澤 茂一君       中嶋 英夫君    中谷 鉄也君       楢崎弥之助君    成田 知巳君       西風  勲君    野口 忠夫君       野間千代三君    芳賀  貢君       長谷川正三君    畑   和君       華山 親義君    浜田 光人君       平岡忠次郎君    平林  剛君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       福岡 義登君    古川 喜一君       帆足  計君    穗積 七郎君       細谷 治嘉君    堀  昌雄君       松前 重義君    松本 七郎君       三木 喜夫君    武藤 山治君       村山 喜一君    森  義視君       森本  靖君    八百板 正君       八木 一男君    八木  昇君       矢尾喜三郎君    安井 吉典君       柳田 秀一君    山内  広君       山口 鶴男君    山崎 始男君       山田 耻目君    山中 吾郎君       山花 秀雄君    山本 幸一君       山本 政弘君    山本弥之助君       米内山義一郎君    米田 東吾君       依田 圭五君    渡辺 惣蔵君       渡辺 芳男君    浅井 美幸君       有島 重武君    伊藤惣助丸君       石田幸四郎君    小川新一郎君       大野  潔君    大橋 敏雄君       近江巳記夫君    岡本 富夫君       沖本 泰幸君    北側 義一君       小濱 新次君    斎藤  実君       鈴切 康雄君    田中 昭二君       中野  明君    樋上 新一君       広沢 直樹君    伏木 和雄君       正木 良明君    松本 忠助君       山田 太郎君    田代 文久君       谷口善太郎君    林  百郎君       松本 善明君     —————————————
  171. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 外務委員長北澤直吉解任決議案につき採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。本決議案賛成諸君白票、反対の諸君青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖
  172. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名点呼〕   〔各員投票
  173. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣——開鎖。   〔議場開鎖
  174. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  175. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 三百四十四   可とする者(白票)       百四十一   否とする者(青票)        二百三   〔拍手
  176. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 右の結果、外務委員長北澤直吉解任決議案は否決されました。(拍手)     —————————————  柳田秀一君外六名提出外務委員長北澤直吉解任決議案を可とする議員氏名       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井岡 大治君       井上  泉君    井上 普方君       伊賀 定盛君    石川 次夫君       石田 宥全君    石野 久男君       石橋 政嗣君    板川 正吾君       江田 三郎君    枝村 要作君       小川 三男君    大出  俊君       大柴 滋夫君    大原  亨君       太田 一夫君    岡田 春夫君       岡本 隆一君    加藤 清二君       加藤 万吉君    勝澤 芳雄君       勝間田清一君    角屋堅次郎君       金丸 徳重君    唐橋  東君       川崎 寛治君    川村 継義君       河上 民雄君    河野  正君       木原  実君    北山 愛郎君       久保 三郎君    久保田鶴松君       黒田 寿男君    小林 信一君       兒玉 末男君    後藤 俊男君       河野  密君    神門至馬夫君       佐々栄三郎君    佐々木更三君       佐野 憲治君    佐野  進君       斉藤 正男君    實川 清之君       島上善五郎君    島本 虎三君       下平 正一君    田中 武夫君       田邊  誠君    多賀谷真稔君       高田 富之君    武部  文君       只松 祐治君    楯 兼次郎君       千葉 佳男君    戸叶 里子君       堂森 芳夫君    内藤 良平君       中井徳次郎君    中澤 茂一君       中嶋 英夫君    中谷 鉄也君       楢崎弥之助君    成田 知巳君       西風  勲君    野口 忠夫君       野間千代三君    芳賀  貢君       長谷川正三君    畑   和君       華山 親義君    浜田 光人君       平岡忠次郎君    平林  剛君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       福岡 義登君    古川 喜一君       帆足  計君    穗積 七郎君       細谷 治嘉君    堀  昌雄君       松前 重義君    松本 七郎君       三木 喜夫君    武藤 山治君       村山 喜一君    森  義視君       森本  靖君    八百板 正君       八木 一男君    八木  昇君       矢尾喜三郎君    安井 吉典君       柳田 秀一君    山内  広君       山口 鶴男君    山崎 始男君       山田 耻目君    山中 吾郎君       山花 秀雄君    山本 幸一君       山本 政弘君    山本弥之助君       米内山義一郎君    米田 東吾君       依田 圭五君    渡辺 惣蔵君       渡辺 芳男君    浅井 美幸君       有島 重武君    伊藤惣助丸君       石田幸四郎君    小川新一郎君       大野  潔君    大橋 敏雄君       近江巳記夫君    岡本 富夫君       沖本 泰幸君    北側 義一君       小濱 新次君    斎藤  実君       鈴切 康雄君    田中 昭二君       中野  明君    樋上 新一君       広沢 直樹君    伏木 和雄君       正木 良明君    松本 忠助君       山田 太郎君    田代 文久君       谷口善太郎君    林  百郎君       松本 善明君  否とする議員氏名       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       阿部 喜元君    相川 勝六君       青木 正久君    赤城 宗徳君       天野 公義君    天野 光晴君       有田 喜一君    井原 岸高君       伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君       池田 清志君    石田 博英君       稻葉  修君    稻村佐近四郎君       宇野 宗佑君    上村千一郎君       臼井 莊一君    内田 常雄君       内海 英男君    江崎 真澄君       小川 半次君    小川 平二君       小澤 太郎君    小沢 辰男君       小渕 恵三君    大石 八治君       大久保武雄君    大竹 太郎君       大坪 保雄君    大野  明君       大野 市郎君    大平 正芳君       大村 襄治君    岡崎 英城君       岡本  茂君    加藤常太郎君       加藤 六月君    鹿野 彦吉君       鍛冶 良作君    海部 俊樹君       桂木 鉄夫君    金丸  信君       金子 一平君    金子 岩三君       神田  博君    亀岡 高夫君       亀山 孝一君    鴨田 宗一君       仮谷 忠男君    川島正次郎君       川野 芳滿君    菅野和太郎君       木野 晴夫君    木部 佳昭君       菊池 義郎君    北澤 直吉君       吉川 久衛君    久野 忠治君       久保田円次君    久保田藤麿君       草野一郎平君    鯨岡 兵輔君       熊谷 義雄君    倉石 忠雄君       倉成  正君    藏内 修治君       黒金 泰美君    小坂善太郎君       小峯 柳多君    小宮山重四郎君       小山 長規君    小山 省二君       河野 洋平君    河本 敏夫君       佐々木秀世君    佐々木義武君       佐藤 榮作君    佐藤 文生君       斎藤 寿夫君    坂田 道太君       坂村 吉正君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    笹山茂太郎君       始関 伊平君    塩川正十郎君       塩谷 一夫君    重政 誠之君       澁谷 直藏君    正示啓次郎君       白浜 仁吉君    進藤 一馬君       周東 英雄君    菅波  茂君       鈴木 善幸君    砂田 重民君       砂原  格君    世耕 政隆君       瀬戸山三男君    園田  直君       田川 誠一君    田澤 吉郎君       田中伊三次君    田中 榮一君       田中 角榮君    田中 龍夫君       田中 正巳君    田中 六助君       田村  元君    田村 良平君       高橋 英吉君    竹内 黎一君       竹下  登君    谷垣 專一君       谷川 和穗君    塚田  徹君       塚原 俊郎君    坪川 信三君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       徳安 實藏君    床次 徳二君       内藤  隆君    中垣 國男君       中川 一郎君    中曽根康弘君       中野 四郎君    中村 梅吉君       中村 寅太君    中山 榮一君       永山 忠則君    灘尾 弘吉君       二階堂 進君    丹羽 久章君       丹羽喬四郎君    西岡 武夫君       西村 英一君    西村 直己君       根本龍太郎君    野田 卯一君       野田 武夫君    葉梨 信行君       橋本登美三郎君    橋本龍太郎君       長谷川四郎君    長谷川 峻君       八田 貞義君    濱野 清吾君       早川  崇君    原田  憲君       広川シズエ君    廣瀬 正雄君       福家 俊一君    福井  勇君       福田 赳夫君    福田 篤泰君       福田  一君    福永 健司君       藤井 勝志君    藤枝 泉介君       藤尾 正行君    藤田 義光君       藤波 孝生君    藤本 孝雄君       古内 広雄君    古川 丈吉君       古屋  亨君    保利  茂君       坊  秀男君    細田 吉藏君       本名  武君    前尾繁三郎君       増岡 博之君    増田甲子七君       松浦周太郎君    松澤 雄藏君       松野 幸泰君    松野 頼三君       三池  信君    三ツ林弥太郎君       三原 朝雄君    箕輪  登君       水田三喜男君    水野  清君       武藤 嘉文君    村上  勇君       村上信二郎君    毛利 松平君       粟山  秀君    森下 國雄君       森田重次郎君    森山 欽司君       山口シヅエ君    山口 敏夫君       山下 元利君    山田 久就君       山村新治郎君    吉田 重延君       早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君     —————————————  日程第二 太平洋諸島信託統治地域に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件
  177. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 日程第二、太平洋諸島信託統治地域に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。
  178. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 委員長の報告を求めます。外務委員長北澤直吉君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔北澤直吉登壇
  179. 北澤直吉

    北澤直吉君 ただいま議題となりました案件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  以前わが国の委任統治地域であり、現にアメリカ合衆国の信託統治地域である太平洋諸島の住民は、かねてより戦争損害請求問題を国際連合に提起しておりましたが、政府は、問題解決のため、施政権者であるアメリカ合衆国と交渉を行なった結果、合意に達しましたので、今年四月十八日、東京において本協定に署名を行なったのであります。  本協定は、日米両国が第二次世界大戦中にこうむった信託統治地域の住民の苦痛に対して、同情の念を表明するとともに、住民の福祉のために、わが国は十八億円、米ドル五百万ドルに相当する生産物及び役務を、また、アメリカ合衆国は、同じく五百万米ドルをそれぞれ自発的に拠出し、あわせて平和条約第四条(a)項に規定されている両国間の同地域に関する財産及び請求権処理の問題が最終的に解決されること等を定めております。  本協定は、五月六日外務委員会に付託されましたので、政府から提案理由説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録によって御了承願います。  かくて、五月二十八日、質疑を終了し、採決を行ないましたところ、本案件承認すべきものと議決いたしました。以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  180. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 質疑通告があります。順次これを許します。川崎寛治君。   〔川崎寛治君登壇
  181. 川崎寛治

    川崎寛治君 私は、日本社会党を代表して、外務委員長報告に対する質疑を行ないます。  おろかなる自民党国会対策の方針に盲従、無法無体、議会制民主主義を踏みにじった強行採決の経過を、詳しく外務委員長北澤直吉君にお尋ねしたいと思ったのでありますが、先ほど来の同君解任決議案をめぐっての趣旨説明質疑討論を通じてそのことはきわめて明らかとなりましたので、北澤直吉君に対する質疑は取りやめにいたします。ただし、ただいまの委員長報告に明らかなように、何ら反省をしていない点をきびしく糾弾いたしておきたいと思います。  本協定は、十八億円の国税の支出にかかわるものであり、アジア太平洋の現在及び将来にも関係深い協定であるにもかかわらず、委員会審議のさなかに中断をされましたので、この際慎重審議の必要があります。それゆえ、総理並びに関係各大臣にお尋ねをします。基本的、具体的、広範多岐にわたりますので、答弁漏れのないように、あらかじめ警告をいたしておきたいと思います。  五月十一日、米国のヒッケル内務長官が、マリアナ群島など、ミクロネシア地域が米国の西太平洋における新しい防衛線の一部になり得ると言明しています。総理並びに防衛庁長官は、沖繩基地と関連して、このことをどう判断しておるのか、まず、明らかにしていただきたいのであります。  また、このヒッケル内務長官の発言はミクロネシア地域視察後になされていますが、それは本協定締結と相前後しておるのであります。信託統治地域住民に対して自治権を拡大するか、米国領土に併合するかが検討されていると見られておるのであります。信託統治地域の目標が、自治または独立の達成にあることは言うまでもありません。そして、その最終的きめ手を持っておるのは国際連合自体、そして住民の意思であります。日本は、かつて委任統治受任国でありました。国際連合において、日本はミクロネシア住民の自治あるいは独立のために努力をする意思があるのかどうか、それとも、米国領土への併合と軍事基地化を助けるつもりであるのかどうか、このことを明らかにしていただきたいのであります。  愛知外務大臣はあす訪米し、沖繩返還について交渉に入ろうとしております。沖繩の祖国復帰協議会は、一昨日、二十八日夜、那覇市で県民総決起大会を開いて、沖繩の核つき基地自由使用返還、日米安保条約の改悪を意図する対米交渉を断じて許してはならない、県民は即時無条件全面返還をあくまで要求、戦争を肯定し、日米安保条約を肯定、改悪する一切の行為に反対するとの強い決議を行なっておるのであります。復帰協は、青年婦人団体等をはじめ、県民の民主的な諸団体が加盟をしておることは言うまでもありません。総理は外務大臣を派遣するにあたり、沖繩県民をはじめ、日本国民に核つき基地自由使用返還の交渉を絶対に行なわず、国民の世論に従う施政権返還交渉を貫くかどうかを、この際明らかにしてほしいのであります。  さらに、十一月の佐藤・ニクソン会談において施政権返還の時期を明確化できるか、明らかにしていただきたいのであります。  また、米国は沖繩返還の対価として、繊維輸出の自主規制の強化、自動車などの資本自由化の繰り上げ、農産物などの残存輸入制限品目の圧縮、中期債の購入、東南アジアに対する経済協力の増額と肩がわり、防衛力の増強等が要求されております。わが国固有の領土の返還に、なぜ基地の態様やかかる諸要求を結びつける必要があるのでありましょうか。わが国の基本的態度を総理から、そして、具体的対策を外務、大蔵、通産、農林、各大臣から明らかにしていただきたいのであります。  なお、この際、福田大蔵大臣にさらに具体的にお尋ねします。  ミクロネシアとの経済協力の方向、並びに先般アジア開発銀行第二回総会において、アジア諸国に対して国民総生産の一%という積極的な経済協力の方向を打ち出してまいったのでありますが、アジアの各国、すなわちインド、パキスタン、セイロン、アフガニスタン、ブータン、ネパール、インドネシア、マレーシア、シンガポール、インドシナ半島の南北ベトナム、カンボジア、ラオス、そしてタイ、フィリピン、ビルマに対する各国別の具体的援助計画を示していただきたいのであります。  あわせて通産大臣からは、それぞれの産業、貿易上の協力の具体策を示していただきたいのであります。  厚生大臣にお尋ねをします。  本協定は、住民の福祉のために、日米双方五百万ドルの贈与を行なうものでありますが、その具体的計画を聞いておるのかどうか、明らかにしていただきたい。  戦後二十四年、いまだ海外に眠る未収集の遺骨は百五十万柱といわれております。ミクロネシア地域に眠っている未収集の遺骨はどれくらいで、その収集策はどうなっておるのか、なぜ収集できないのか、収集について、信託統治地域であるために、アメリカから拒否をされておるというのでありますか、その点を明らかにしていただきたいのであります。  運輸大臣並びに建設大臣、この十八億円の贈与によって港湾、道路の建設が行なわれるとのことでありますが、その具体的計画を運輸大臣は聞いておるのか、日本の技術者等の参加があるのかどうか、マリアナ群島等の軍事基地建設につながる贈与でないのかどうか、この点を明らかにしていただきたいのであります。そして、この点については、外務大臣からも明確にしていただきたいのであります。  農林大臣、ミクロネシア地域には、日本の漁船が相当数操業しております。何隻くらい入っておるのか。トラック、パラオの二港に寄港が認められましたが、今回ははずされたサイパンその他に対しては、農林省としてはどう考え、外務省と話し合っておるのか、明らかにしていただきたいのであります。  郵政大臣、本地域における郵便貯金、簡易保険、郵便年金等はどうなっておるのか、旧在住日本人、ミクロネシア人別に。そして、それに対してどうするのか、明確にしていただきたいのであります。  総務長官、現在ミクロネシアは米国の信託統治治下にありますが、このミクロネシアと平和条約第三条による米国施政下の沖繩の住民自治の実態を比較をし、明らかにしていただきたいのであります。  文部大臣、旧日本委任統治時代と比較をして、米国の信託統治制度下において、教育制度はよくなっておるのか、悪くなっておるのか。そしてそれは、信託統治制度が自治に向かって進められなければならないものであることから見まして、成功しておるのかどうか。その点を明らかにしていただきたいのであります。  最後に、防衛庁長官には、先ほど沖繩の米軍基地の撤退説、ミクロネシア地域における新しい防衛線の確保の問題等についてお尋ねをしましたが、これと関連をして、愛知外相訪米を前に、すでに決定したといわれておるアメリカの施政権返還後の沖繩における防衛計画並びに第四次防衛力整備計画の中身を、この際明らかにしていただきたいのであります。  それは今回の無法な会期延長の一つの理由であり、十一月、佐藤・ニクソン会談へのおみやげであります防衛二法とも関連をいたしておるのであります。もっとも、この防衛二法については、総理周辺ではしきりに、また総理みずからも打ち消そうといたしておりますが、沖繩の返還を通して、日本の防衛力の増強、また東南アジアに対する帝国主義的な進出を意図いたしておりますたいへん危険な今日の状態の中において、この防衛計画を防衛庁長官から明確にしていただきたいのであります。  以上、ミクロネシア協定の問題は、日本の旧委任統治地域の住民の戦争中の苦痛に対する贈与でありますが、このことを通して、先ほど来問題にいたしましたように、沖繩の基地の撤退説、あるいは沖繩の基地の返還を通して、日本がさらに日米安保条約を核安保、アジア安保へと発展させようといたしております今日のきわめて危険な状態のもとにおいて、われわれは、この協定の中身をきわめて重視せざるを得ないのであります。  それゆえ、どうか総理大臣は、以上のミクロネシア地域住民の自治の問題、独立の問題とも関連をし、さらには沖繩九十六万の同胞が、戦後二十四年間置かれております今日の状態を考え、この解放のために、いかなる交渉をアメリカとこれから行なってまいるかその点をこの席を通じて明確にしていただきますことを要望し、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  182. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 川崎君にお答えいたします。  問題がたいへんたくさんでありますが、私に対するものと、同時に、外務大臣に対するお尋ねにお答えしたいと思います。  まず最初に、私に対する点から申し上げます。あるいは順序がやや違っておるかわかりませんが、この私のメモでお答えいたしますから、その点御了承願いたいと思います。  国連におけるミクロネシアの自治または独立の達成にどのような貢献をする用意ありやとのお尋ねでありますが、わが国は信託統治理事会のメンバーでないため、国連の場における信託統治問題の活動にはおのずから限界があり、残念であります。しかしながら、わが国としては、信託統治制度の本旨にのっとり、現地住民の福祉の向上、さらに、自治または独立に向かっての発展を積極的に支持する方向で、今後とも国連の内外で努力してまいる考えであります。今回の協定も、ミクロネシア住民のこのような方向への発展の一助となることを強く期待いたすものであります。  次に、米国が沖縄にかわる基地を太平洋の信託統治地域に移すであろうという趣旨の報道があったことは、私も聞いておりますが、これらの報道は、最近二、三の米国高官の同地域視察旅行に関連して書かれた推測記事のようであります。米国の国務省、国防省、両省とも、このような計画はないと否定していると承知しております。  次に、沖縄返還交渉にあたって、沖縄以外の問題と沖縄問題とを取引することは全く考えておりません。御指摘のような繊維規制問題、貿易及び資本の自由化あるいは防衛力増強、経済協力等の問題も日米間で当然話し合われるテーマでありますが、これらを沖縄返還問題のための取引の材料にする考えは毛頭ございません。  個々の問題につきましては、関係大臣からお答えすることにいたします。  また、外務大臣が出かけるその交渉の内容や、同時にまた、私が後にニクソン大統領と交渉するであろうと考えられるその内容について、この際に答えろ、こういうことでありますが、私は、今日のこの段階におきましては、ただ沖縄県民並びにわが国民の願望、それをよく理解し、その線で私の最善を尽くすという、たいへん抽象的な話でありますが、それだけのことをお答えいたしまして、今後御後援を特にお願いしたいと思います。(拍手)  次に、外務大臣に対するお尋ね、ややこまかな問題になりますが、これについて二、三お答えをいたしたいと思います。  太平洋地域への経済協力について、いま考えていることを申し上げます。  アジアの唯一の先進国として、わが国は、国力に応じて低開発地域の経済発展のために応分の寄与を行なう責務を有するものと考えております。  本協定によるわが国の太平洋信託統治地域に対する拠出も、このようなわが国のアジア太平洋地域に対する経済援助の一部と考えるべきものであります。したがって、この地域に対する拠出も、あくまで経済協力として同地域の住民自身の経済的繁栄及び福祉の向上に寄与することを目的とした人道的立場からなされるものであって、その拠出形態においても、何ら戦略的意味を持つ生産物及び役務の供与は意図しておりません。わが国は、自主的な立場から、現地住民の福祉向上と経済発展に寄与するために、自発的に拠出を行なうものであります。  次に、旧委任統治領に対する道路の援助をするかというようなお尋ねがありましたが、この協定によりましてわが国が供与する生産物及び役務の具体的使用目的につきましては、今後日本国政府と施政権者としての米国政府とが細目取りきめの締結の際に話し合うべき問題でありますが、いまの段階では、道路の援助計画というようなことは特に考えてはおりません。これははっきり申し上げておきます。  以上で大体外務大臣並びに私に対するお尋ね、これに答えたと思います。御了承いただきます。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  183. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 第一点は、海外経済援助の方針についてでありますが、昭和四十三年度ではGNPに対しまして〇・九四%の援助をいたしております。今後ともGNPに対し大体一%になることを目途といたしまして、これを拡大していきたい、かようなことを根本方針といたしております。その際はアジアを中心にいたしたいと考えておるのでありますが、そのアジアの中でも近隣諸国、つまり、東南アジア諸国に特に重点を置きたい、かような考えであります。  第二は、沖縄返還とからんで中期債を購入するというようなお話がありますが、さようなことは全然ありませんです。そもそも、沖縄返還にからんでばかりじゃございません、私が大蔵大臣になってから今日まで、中期債を買ってもらいたいというような要望には全然接しておりませんし、もし、ありましても、わが国独自の財政方針、金融方針できめる問題であって、アメリカの要請で、また、特に沖縄にからんでこれがきまるのだというようなことはあり得ないことであります。御安心願いたいと思います。(拍手)   〔国務大臣大平正芳君登壇
  184. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 貿易の自由化、自動車その他の資本の自由化に対する対策についての御指摘でございましたが、わが国も経済の国際化に即応いたしまして、自由化の方向に歩を進めておりますことは御案内のとおりでございまして、わが国の産業の対応力の整備と相まちまして、漸次自由化を進めてまいる方針でございます。  第二の点は、ミクロネシア諸島の産業の育成についてどうかという御指摘でございますが、本協定が成立いたしますれば、その精神に沿いまして日米両国で協議して、もし必要がございますならば検討するにやぶさかではございません。(拍手)   〔国務大臣斎藤昇君登壇
  185. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 住民の福祉のために使われる資金の使途の具体的内容につきましては、本協定による細目取りきめの段階で話し合いがあるものと考えております。その際には、政府部内で十分協議をいたしたいと存じております。  なお、遺骨の収集についてでございますが、遺骨の収集について拒否をされているという事実はございません。昭和二十八年に政府の遺骨収集団を派遣いたしまして、十分でなかったので、一昨年から昨年の春にかけて、さらに政府の収集団を派遣いたしました。おおむね収集が終わりましたので、今後は、現地の官憲が遺骨をもし発見することがあらば、これを日本に送還をするという取りきめを弁務官といたしておるのが今日の現状でございます。(拍手)   〔国務大臣原田憲君登壇
  186. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) ミクロネシアにおける港湾の建設計画は、運輸省には現在そのような計画はございません。外務省から港湾の計画について要請がありましたならば、現地調査をした上で計画を樹立することは可能でございます。(拍手)   〔国務大臣長谷川四郎登壇
  187. 長谷川四郎

    ○国務大臣(長谷川四郎君) 農林省といたしましては、外務省と密接な連絡の上、南洋諸島の現地住民にとっても、また日本の漁業にとっても、双方に益することは相当大きいものがございます。日本漁船がトラックあるいはパラオに寄港できれば、わが国の漁船の操業回数も増加し、海難等防止にも大きく貢献することでございますので、積極的にこれに臨んだ、かようなわけでございます。  次に、南洋群島の海域は戦前より開拓をされておるものでございまして、わが国のカツオ・マグロ漁業のうち最も主要な漁場であり、最近の操業の実態は、カツオ・マグロ漁船が約一千隻操業しております。年間のマグロの量が大体三万六千トン、カツオが三万トンの漁獲量をあげておるような次第でございます。  大体以上でございます。(拍手)   〔国務大臣河本敏夫君登壇
  188. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) ミクロネシアから引き揚げました日本人の郵便貯金の現在高は約千七百万円でございます。これは請求に伴いまして順次支払っております。  それから原住民の郵便貯金の現在高は約四百万円でございますが、この分は、今回の協定が成立いたしますと同時に、権利消滅の処理をすることに相なっております。(拍手)   〔国務大臣坂田道太登壇
  189. 坂田道太

    ○国務大臣(坂田道太君) 戦前の日本委任統治下時代の教育は、日本とほぼ同様の邦人のための教育と、就業年限三カ年の島民教育、つまり、公学校とがございました。現在は、アメリカの制度を取り入れまして、小学校八年、中学校四年でございます。これが成功しておるかどうかということは、他国の施政権下の問題でございますから、批評を差し控えたいと思います。(拍手)   〔国務大臣有田喜一登壇
  190. 有田喜一

    ○国務大臣(有田喜一君) 米国の内務長官のマリアナ諸島などが西太平洋における新しい防衛線の一部になり得るとの言明についてのお尋ねでございますが、その言明の真相、背景というようなものが明らかでありませんので、これに論評をすることは差し控えたいのでありますが、それがわが国の沖繩に関する防衛計画に直接影響を持つものとは考えられません。  また、沖繩返還に伴う防衛計画は目下検討中でありまして、残存する米兵力がどういう程度になるかということが、いまからの問題でありますので、これをいま具体的に申すわけにはまいりません。  また、四次防はどうなるか、もちろん日本もここまで国力ができたのでございますから、みずからの国はみずからの手によって守るという、その考えで増進していきたいと考えておりますが、何ぶん、四次防というは四十七年度からでありますので、まだ具体的に、その内容をかくかくだというところまではまいっておりません。  次に、防衛二法案と沖繩の防衛計画との関係でありますが、今回の陸上自衛隊六千人の増員は、第一次防衛計画以来の懸案でありまして、いわゆる十八万人体制を実施するためのものでありまして、沖繩防衛計画とは直接関係はございません。(拍手)   〔国務大臣坪川信三君登壇
  191. 坪川信三

    ○国務大臣(坪川信三君) ミクロネシアに対する道路援助計画につきましては、建設省といたしまして、その具体化がいたしました場合には、各省庁と連絡の上、十分協力をいたす所存でございます。(拍手)   〔国務大臣床次徳二君登壇
  192. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) ミクロネシアと沖繩の自治制度のお尋ねでありますが、信託統治下にありますミクロネシアにおきましては、住民の一般投票によって選出されたところの議員から構成されたミクロネシア議会、これは十二人よりなる上院と、二十一名の下院によって発足しておりまして、一応自治が前進しておりまするが、行政部門におきましては、米政府の弁務官が掌握して、予算等も全部米政府からの援助に依存しておるのでありまして、実際的な議会の権限はかなり制限されておると思うのであります。  しかし、これに比べまして、沖繩は御承知のごとく、アメリカが施政権を有しておりますが、アメリカの大統領の行政命令のもとに、住民の統治機関として琉球政府が存在し、立法、司法、行政の広範な権限を持っており、しかも、最近は住民の直接選挙によるところの行政主席が選出されております。なお布令、布告の改廃とか、あるいは裁判所の機能の問題、その他相当の自治の拡大が行なわれておるのであります。  なお、御承知のごとく、わが国が潜在主権を持っておりますし、その点におきまして基本的に違いますのと、なお、わが国の同胞九十六万人がおりますところと、九万一千のミクロネシアとは非常に違うのであります。特に、御承知のごとく、近く復帰の問題が目前に迫っておるのでありまして、いわゆる一体化政策の推進とともに、自治権の拡大というよりも、むしろ施政権の復帰という問題でありまして、沖繩は本質的に違った状態にあることがおわかりいただけると思うのであります。(拍手
  193. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 鈴切康雄君。   〔鈴切康雄君登壇
  194. 鈴切康雄

    ○鈴切康雄君 先ほど報告のありました太平洋諸島信託統治地域に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定に対し、私は、公明党を代表して、北澤委員長及び総理並びに関係大臣に質問するものであります。  外務委員長北澤君は、就任以来、その豊富なる外交問題に関する経歴を生かし、その温和な人柄と相まって、委員会運営に大過なきを得られたのでありまして、私どもも、同僚議員の一人として心から喜んでいたのであります。  しかるに、北澤委員長は、二十八日、理事会での話し合いを一方的に問答無用と打ち切り、突然、計画的かつ犯罪的な質疑打ち切りを行なったのであります。委員会の開会中、質疑通告をしていた公明党の伊藤委員を指名と同時に、間髪を入れずに質疑打ち切り、強行採決暴挙をあえて行なったのであります。一体、これが国民の信頼にこたえ得る国会の姿と言えるでありましょうか。私はあなたを良識の人と信頼していただけに、いまなお理解に苦しむものであります。北澤委員長は、自民党の横暴きわまりない国会対策グループのどうかつともいえる圧力に耐えられず、泣く泣く、委員長の議席を守らんがために、強行採決という手段にたよらざるを得なかったのでありましょうか。私にはとうてい理解しがたいあなたの行動でありました。数の上で解任決議案が否決されたとしても、私たち国民の胸に刻んだその暴挙は、決して心から永遠に消し去ることはできないのであります。  北澤直吉君、あなたは国会運営の重責をになう委員長として、今回とられた強行処置ははたして当然のことと思われているのか、または深く自責の念にかられて、議会制民主主義を守るための反省をなさっているのか、現在の心境を率直にお伺いしたいのであります。  さて、次に、外務委員会は、第一回国会から今日に至るまで、付託された案件を取り残した先例はなく、常に良識をもって臨んできておるのであります。さらに、今国会におきましては、残りの案件も少なく、定例日の委員会審議の続行によっても十分審議し尽くせる状態にあったのであります。したがって、十分審議し、国民の前にこの協定の内容、問題点を明らかにして、その賛否を決する義務があるのであります。  協定内容を見てまいりますと、安保体制と関連して、日本の安全を失うような軍事体制強化への道を歩むのではないかという疑問を捨てることはできないのであります。したがって、委員会審議委員長及び自民党委員の横暴によって保証されない以上、この本会議質問いたしますので、総理及び関係大臣はみずから深く反省した上、答弁漏れのないように、明確にお答え願いたいと思います。(拍手)  まず、太平洋諸島については、アメリカ政府の信託統治下にあるわけでありますが、当該地域においては、米軍の強力なるミサイル基地、潜水艦基地、航空基地があるやに伺っております。一体、この地域に対する日本の役務、生産物の提供は、そのまま米軍基地の増強、強化につながるものかどうか、平和国家日本の進み行く方向として、一体これが正当かどうか、総理及び外務大臣、防衛庁長官にお伺いいたしたい。  特に、その正体が明らかにもならないうちに法案の賛否を強行採決しようとする陰には、一体何があったかを考えたいと存じます。もしも単純にして平和的なる役務、生産物の提供であるならば、当然まとまるべき方向に向かって委員会審議は進んでいたのであります。しかるに、突然質疑の打ち切りをして採決に移ったことは、何を物語るものか、それは必ずや、委員会審議の内容が、このような日米軍事体制の根幹的なものに触れることをおそれての強行採決であるとしか考えられないと思うのでありますが、いかがでありましょうか。私は、国民大多数の疑惑を代表して、この点を明確にされんことを要望するものであります。そして、もしもこの点をごまかしによって糊塗するのであれば、全く賛成するわけにはいかないのであります。日本から提供される生産物、役務の内容は、一体何でありましょうか。明細はどのようになっているのでありましょうか。それははたして軍事目的か、平和目的なのでありましょうか。その点、書簡、秘密文書、議事録などによってどのように約束されているのでありましょうか。私は、強くその点を明らかにするよう求めたいと思うのであります。(拍手)  第二に、この日米協定の中で、わが国は平和条約第二条によって、委任統治に関するすべての権利、権原を放棄したのであります。しかるに、平和条約締結以前の一九四七年にわが国の委任統治権はアメリカに奪われ、その信託統治になったのであります。本来ならば、平和条約によってわが国がこれらの権利、権原を放棄した後に初めて信託統治にすべきではなかったのか、全く理解に苦しむのであります。総理にその所見をお伺いいたします。  第三に、太平洋諸島から引き揚げた日本人の財産について、政府はどのような補償を行なうつもりであるのか。政府の見解によると、当時、占領軍による没収行為を認める立場にあるようですが、このことは、私有財産はこれを没収することを得ずという確立された国際法に反するものと思うのであります。政府のこれに対する見解を求めます。政府行為によって放棄した国民の財産に対しては、当然に補償すべき義務があると思うのでありますが、この点につきまして外務大臣にお伺いしたいのであります。  第四に、日本からは十八億円を拠出し、これをわが国の生産物及び役務の購入に充てるとありますが、その経済規模が全く違う日本が、アメリカと同じだけなぜ金を出さなければならないのか。また、日本の領土でもないところに、なぜこんな金を出さねばならないのか、全くわからないのであります。もしも賠償というならば、全く十八億の賠償は何を意味しているのか、まず説明願いたい。  また、この協定のために漁船の寄港権を得ると外務省は説明しておりますが、寄港料十八億とは前代未聞ではないか、この点、しかと承りたい。その点について大蔵大臣、外務大臣にお伺いいたします。  また、アメリカ政府は、住民の福祉向上のため五百万ドルの資金を設定することになっておりますが、はたして真実住民の意向を反映させることができるかどうか、総理及び外務大臣にお伺いしておきたいのであります。  次に、本協定による支出は、四十五年の予算が国会において承認された日となっております。したがって、本協定は四十五年予算と同時に審議されてしかるべきであります。それにもかかわらず、本協定を進めることは、財政法の精神に反するのではないかと思いますが、大蔵大臣並びに外務大臣の見解を承りたいのであります。  最後に、防衛庁長官にお伺いいたしますが、現在、沖繩返還交渉が行なわれておりますが、返還後の沖繩防衛構想と太平洋信託統治地域との関連性と将来の見通しについて、詳しく御説明願いたいと思うのであります。  以上述べた点につきまして、委員会審議を打ち切られた現在、はなはだ不満足なる一方的答弁を聞くしかないのでありまして、とうてい納得することはできないと思われるのでありますが、せめて、国民の前に少しでも誠意を見せて、同協定の不審を明らかにされんことを求めて、私の質問にかえさせていただきます。(拍手)   〔北澤直吉登壇
  195. 北澤直吉

    北澤直吉君 鈴切議員の私に対するお尋ねの第一点は、二十八日の外務委員会におきまして、公明党さんの質疑をさせないで強行採決はけしからぬ、こういうお話でございます。先ほど来、二十八日の外務委員会審議の経過についてはいろいろ論議がありましたが、理事会におきまして、私は、公明党だけの質疑が残っておりますから、さっそく委員会を開いて、公明党さんの質問を行なってもらいたいという話をしたのでありますが、社会党と公明党理事さんからは、定例日の尊重その他六項目の国会正常化に関する自民党に対する申し入れの回答がない段階では、委員会の開催に反対だということで、午前、午後にわたって理事会で論議を尽くしましたが、結論に達しませんので、成規の手続によりまして委員会を開催したところが、混乱におちいりまして、公明党の方からの質問がなかったわけであります。そういうことで、公明党質問がないままに質疑の打ち切りがありまして、採決をしたわけであります。私は、国会法、衆議院規則に基づきまして、成規の手続、手順によって採決をしたわけであります。  それから、外務委員会審議しております案件が少ないのにどうして急いだか、こういうお話であります。まだ太平洋諸島に関する日米協定、それから二重課税防止に関する各国との条約五件、それから旅券法があるわけでありますが、そのほかに、御承知のように沖繩問題その他重要な外交問題がメジロ押しになっておりまして、こういう問題についても十分これから審議をしなければならぬ。こういうことを考えますと、じんぜんと日をむだに過ごすわけにまいりませんので、あのような措置をとったわけであります。御了承願います。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  196. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 鈴切君にお答えをいたします。  本協定が軍事的なものではないかという、ずいぶん深い不信を持っておられるようでありますが、この協定は、お読みになったらおわかりになりますように、これは軍事的なものではございません。平和的なものでございますし、また、生産物や役務の提供などもそれに限られておること、これはすぐおわかりがいただけるかと思います。  そこで、一体、この地域は日本が統治していた、その委任統治の地域、それを剥奪して米国の信託統治のもとに置いたのはおかしい、こういうようなお話であります。この平和条約の発効を待たずに南洋委任統治地域を米国の信託統治制度のもとに置いたのはおかしいという御意見でありますが、米国による信託統治協定審議した安保理事会におきましても、一部の国から御指摘のような意見が出されたと聞いております。しかし、かかる意見は、結局安保理事会のとるところとならず、一九四七年四月、米国の信託統治協定が安保理事会によって正式に承認されたのであります。わが国は平和条約の締結に際して、同条約の二条(d)でこの安保理事会の行動を追認したということでございます。いま、ここでその是非の議論をいたしましても、ちょっともうすでに時期が過ぎておるかのような感がいたします。  次に、ミクロネシアからの引き揚げ者について政府はどんな補償をしたかということであります。いわゆる法律上の補償は行なわれておりませんが、旧委任統治地域に生活の本拠を有していた者につきましては、昭和三十二年の引揚者給付金等支給法及び昭和四十二年の引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律による給付金の支給が行なわれておるのであります。  次に、旧委任統治地域にあった国民の財産は、米国軍政府の布告によってすべて没収されましたが、わが国は平和条約四条(b)項により没収の効力を承認したのであります。これは国民の私有財産について、国の外交保護権を放棄したにすぎません。憲法二十九条が想定しているような国の公権力による私有財産の処分に該当はいたしません。したがって、国内補償の問題が生ずるとは考えておりません。  次に、沖繩返還後の防衛につきましては、第一義的に、わが国の自衛隊がその責めに当たることは当然であります。また、米国が近く太平洋諸島信託統治地域を沖繩にかわる軍事基地にするであろうとの報道が最近行なわれていることは、政府も承知しておりますが、先ほどもお答えいたしましたように、米国の国防省も国務省も、そのような計画はないとして、右の報道を否定しております。米側としては、信託統治地域と沖繩返還後の防衛構想につきましては、特に関連づけて考えてはいないものと私は思っております。  十八億円の算出の根拠はどうだというお尋ねでありますが、協定前文にも述べているとおり、日米両国の拠出は、ミクロネシア住民の福祉のために自発的に行なわれるものであり、その額は、戦争中住民がこうむった苦痛等を念頭に置きつつ、この地域の住民の生活の向上及び経済発展に日米共同で応分の寄与をしたいとの考えのもとに、両国間の話し合いによりきめたものでございます。  以上、御了承いただきたいと思います。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  197. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 十八億円、五百万ドルの根拠いかん、こういうことでございますが、いまこれは総理からお話がありましたが、戦争被害額というような見地からきめたのではないのであります。戦争被害額の調査は、わが国においてはしておりません。アメリカにおいては二千万ドルというような調査もあるようでありまするが、それはもとにしておりませんで、ただいま総理のお話のように、戦争中非常に苦しい思いをされた、それに対する慰めといいますか、住民の福祉の一助にもという気持ちから、日米両国で千万ドルということで折半をいたした次第でございます。(「理由を言え」と呼ぶ者あり)日本としてのその折半の理由は、戦争中大いに御迷惑をかけました、こういうことでございます。  次に、四十五年度予算とこの協定は並行審議されたらどうだ、こういう御意見でございます。一つのお考えでございますが、とにかく、この協定はいきさつが非常に古いのです。長い間のいきさつを経て千万ドルということがやっときまった、住民もこれを待望しておる、そういうことから、きまった今日、早くこの協定を批准、成立せしめて、住民に安心をしていただく、これが、とにかく同じ金を出すならば、よりよい効果をあげるであろうという配慮に基づくものでありまして、アメリカ側のほうでも、この予算の承認につきましては、見通しについて懸念をいたすような様相はありませんでございます。かりにアメリカ側がおくれた場合におきましても、日本側の拠出は、そのアメリカ側と歩調を合わせるというような協定の仕組みになっておりますので、この点も御安心を願いたい、かように存じます。(拍手)   〔国務大臣有田喜一登壇
  198. 有田喜一

    ○国務大臣(有田喜一君) 沖繩返還に関連して、目下検討しておりまする防衛構想は、沖繩施政権の返還後におけるわが国土としての防衛のためのものでありまして、沖繩に残留する米軍の兵力との関連も深うございまして、そういう問題はこれからの交渉の問題でありますので、その内容はまだ具体的に明らかにする段階までいってないということは、先ほど川崎議員に申し上げたとおりであります。  また、太平洋信託統治地域とは直接の関連性がないということは、先ほどの総理大臣の御答弁どおりでありますから、私はこれを繰り返して申す必要もないかと思います。(拍手)      ————◇—————
  199. 小平久雄

    ○副議長小平久雄君) 本日は時間の関係上この程度にとどめ、明三十一日午前零時三十分より本会議を開き、本日の議事を継続することといたします。  本日は、これにて延会いたします。    午後十一時二十九分延会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 坂田 道太君         厚 生 大 臣 斎藤  昇君         農 林 大 臣 長谷川四郎君         通商産業大臣  大平 正芳君         運 輸 大 臣 原田  憲君         郵 政 大 臣 河本 敏夫君         建 設 大 臣 坪川 信三君         自 治 大 臣 野田 武夫君         国 務 大 臣 有田 喜一君         国 務 大 臣 床次 徳二君  出席政府委員         総理府特別地域         連絡局参事官  加藤 泰守君         建設省都市局長 竹内 藤男君      ————◇—————