運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1969-04-03 第61回国会 衆議院 本会議 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月三日(木曜日)  議事日程 第十四号   昭和四十四年四月三日    午後二時開議  第一 地方税法等の一部を改正する法律案(内   閣提出)  第二 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部   を改正する法律案内閣提出)     …………………………………  一 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一   部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員辞職の件  裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件  裁判官弾劾裁判所裁判員選挙  永年在職議員田中伊三次君に対し、院議をも   つて功労表彰することとし、表彰文議長   に一任するの件(議長発議)  日程第一 地方税法等の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第二 特定繊維工業構造改善臨時措置法の   一部を改正する法律案内閣提出)  衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規   程案(議院運営委員長提出)  失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を   改正する法律案内閣提出)の趣旨説明及び   質疑    午後二時九分開議
  2. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより会議を開きま  す。      ————◇—————  議員辞職の件
  3. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 議員横山利秋君より辞表が提出されております。これにつきおはかりいたしたいと思います。  まず、その辞表を朗読いたさせます。     〔参事朗読〕     辞職願  今般名古屋市長選挙に立候補の為議員辞職い  たしたく御許可下さるようお願い申し上げま  す。   昭和四十四年四月二日           衆議院議員 横山 利秋    衆議院議長 石井光次郎殿
  4. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  横山利秋君の辞職を許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可するに決しました。  裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件
  6. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) おはかりいたします。  裁判官弾劾裁判所裁判員高橋英吉君、森田重次郎君から、裁判員辞職いたしたいとの申し出があります。右申し出を許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  裁判官弾劾裁判所裁判員選挙
  8. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) つきましては、この際、裁判官弾劾裁判所裁判員選挙を行ないます。
  9. 西岡武夫

    西岡武夫君 裁判官弾劾裁判所裁判員選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
  10. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 西岡武夫君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に       大橋 武夫君    灘尾 弘吉君を指名いたします。      ————◇—————  永年在職議員表彰の件
  12. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) おはかりいたします。  本院議員として在職二十五年に達せられました田中伊三次君に対し、先例により、院議をもってその功労表彰いたしたいと存じます。表彰文議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。(拍手)  ここに議長の手元において起草いたしました文案があります。これを朗読いたします。  議員田中伊三次君は衆議院議員に当選すること  十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽く  し民意の伸張に努められた  よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院  議をもつてこれを表彰する     〔拍手〕  この贈呈方議長において取り計らいます。  この際、田中伊三次君から発言を求められております。これを許します。田中伊三次君。     〔田中伊三次君登壇
  14. 田中伊三次

    田中伊三次君 ただいまは、まことにありがとう存じました。  本日は、私の最もうれしい日でございます。私のような者が、二十五年の長きにわたっておつとめができましたことは、諸君御指導のたまものであるとともに、選挙区御支援のおかげでございます。この機会につつしんで深く厚くお礼を申し上げます。(拍手)  この上は健康に一そう留意いたしまして、もし選挙区の御信任が続くならば、さらにあと二十五年政治に精進をいたしまして、私の理想とする民主政治確立のために微力を傾けたいと存じます。(拍手)  どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————  日程第一 地方税法等の一部を改正する法律   案(内閣提出
  15. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第一、地方税法等の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  16. 石井光次郎

  17. 鹿野彦吉

    鹿野彦吉君 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、地方財政実情を勘案しつつ、住民負担軽減及び合理化をはかるため、住民税課税最低限引き上げ住民税及び事業税青色事業専従者給与にかかるいわゆる完全給与制実施料理飲食等消費税電気ガス税及び自動車取得税についての免税点引き上げ等措置を講ずるほか、宅地開発に伴い必要となる公共施設整備に要する費用に充てるため、市町村宅地開発税を課することができることとするとともに、地方道路譲与税譲与基準合理化及び日本国有鉄道が納付する市町村納付金軽減合理化をはかろうとするものであります。  本案は、二月二十八日本委員会に付託せられ、三月十四日野田自治大臣より提案理由説明を聴取した後、改正案はもとより、地方税制全般にわたって慎重に審査を行ない、三月二十五日、質疑を終了しました。四月一日、自由民主党より、施行期日を公布の日に改めるとともに、これに伴う関係規定適用について整備をはかるための修正案が提出され、大石委員より趣旨説明を聴取した後、討論を行ないましたところ、自由民主党を代表して塩川委員より、本案及び修正案賛成日本社会党を代表して河上委員民主社会党を代表して折小野委員公明党を代表して小濱委員及び日本共産党を代表して林委員より、それぞれ本案及び修正案に反対の意見が述べられました。  次いで、採決を行ないましたところ、本案及び修正案賛成多数をもって可決、よって、本案修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対して、自由民主党日本社会党民主社会党及び公明党の四党共同提案により、住民負担軽減、大都市税源充実等をはかるための附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  18. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  19. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————
  20. 石井光次郎

  21. 石井光次郎

  22. 大久保武雄

    大久保武雄君 ただいま議題となりました特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  わが国の繊維工業は、国民の衣料及び生産用資材供給者として、さらにまた有力な輸出産業として、国民経済の発展に大きな役割りを果たしてきた重要産業でありますが、ここ数年来、これを取り巻く内外環境は、日を追ってきびしさを増していることは御承知のとおりであります。  かかる実情にかんがみ、去る第五十五回国会におきまして現行法が制定され、これに基づいて紡績業、織布業構造改善が進められておりますが、今回、メリヤス製造業及び特定染色業についても構造改善をはかるため、本案が提出されたのであります。  その内容の第一は、本法の対象業種として、メリヤス製造業及び特定染色業を追加すること。  第二に、メリヤス製造業及び特定染色業構造改善については、メリヤス製造業商工組合連合会及び特定染色業団体が、それぞれ構造改善事業計画を作成し、通商産業大臣承認を受けることができるものとすること。  第三に、政府は、承認を受けた計画による事業について、資金の確保と融通のあっせんにつとめるとともに、関連労働者職業の安定について配慮すること。  第四に、繊維工業構造改善事業協会業務に、メリヤス製造業及び特定染色業構造改善事業に必要な資金の融資及び保証の業務を追加し、この業務のための信用基金に出捐する者として、メリヤス製造業商工組合連合会及び特定染色業団体を加えること。  第五に、この法律廃止期限については、この構造改善事業が五年間にわたって実施されることと関連して、昭和四十九年六月三十日までこれを延長することとするが、さきに発足しております紡績業及び織布業にかかる部分については、従来どおり昭和四十七年六月三十日までとすることとなっております。  本案は、去る二月十五日当委員会に付託され、二月二十五日大平通商産業大臣より提案理由説明を聴取し、自来、参考人を招致する等慎重に審議を重ね、四月二日に至り、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、自由民主党日本社会党民主社会党及び公明党共同提案による、構造改善を円滑ならしめるための組織化の推進、金融税制措置拡充強化小規模企業者構造改善の促進、繊維輸出振興繊維関係新鋭機械や装置に対する研究と生産体制確立、並びに構造改善実施に伴う労務対策等に関する附帯決議を付しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  23. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  24. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、本案はは委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  25. 西岡武夫

    西岡武夫君 議事日程追加緊急動議を提出いたします。  すなわち、議院運営委員長提出衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案は、委員会審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  26. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 西岡武夫君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案議題といたします。     —————————————
  28. 石井光次郎

  29. 田澤吉郎

    田澤吉郎君 ただいま議題となりました衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案について御説明申し上げます。  本案は、議院運営委員会において起草提出したものでありまして、職員定員千六百五十二人を千六百九十一人に改めようとするもので、特別委員会調査員及び委員会会議室用の新しい建物の要員として三十九人を増員するものであります。  なお、本案は、昭和四十四年四月三日から施行し、同年四月一日から適用するものであります。  何とぞ御賛同くださるようお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  30. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案可決いたしました。      ————◇—————
  32. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 内閣提出失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。労働大臣原健三郎君。     〔国務大臣原健三郎登壇
  33. 原健三郎

    国務大臣原健三郎君) 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  失業保険法及び労災保険法は、いずれも昭和二十二年に制定されて以来、数次の改正により逐次その内容整備してきたところでありますが、両保険とも、労働者五人未満事業所の多くについて未適用のままとなっている現状にあり、これらの零細企業に働く恵まれない労働者に両保険適用拡大し、その福祉の増進をはかることは、きわめて重要なことであると考えておる次第であります。  また、失業保険につきましては、低所得層を中心に給付全般にわたってその内容改善し、失業者生活の一そうの安定をはかるとともに、失業保険経済現状に照らし、保険料率引き下げを行ないまして、国民負担軽減する必要があると考えるのであります。  さらに、失業保険におきましては、季節的受給者現状不正受給状況等にかんがみ、制度健全化をはかる必要があると存ずる次第であります。季節的受給者は、全受給者の約四〇%に達し、毎年繰り返して全給付額の約三〇%を受給しており、制度上種々の問題を生じておるところであります。このため、短期循環的に離職者を多数発生させる事業主から特別保険料を徴収し、これを通年雇用等費用に充てることによって不安定雇用解消をはかるとともに、被保険者期間計算方法合理化する等の必要があると考えるのであります。また、不正受給が年々増加している現状に対処するため、これを防止する必要があると考える次第であります。  以上のような事情にかんがみ、政府といたしましては、中央職業安定審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、本年二月末及び三月初めにそれぞれ答申を得、また、労災保険審議会承認を得た上、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を作成し、国会に提出いたした次第であります。  次に、この法律案内容の概略を御説明申し上げます。  第一は、五人未満事業所に対する失業保険及び労災保険適用範囲拡大であります。  まず、失業保険につきましては、労働者五人未満事業主に雇用される者を新たに当然被保険者とすることといたしましたが、百万をこえるこれらの事業所を一時に適用することには種々問題がございますので、当面は、製造業等から段階的に適用拡大を行なうことといたしました。  次に、労災保険につきましても、労働者を使用する事業は、すべて当然適用といたしますが、失業保険と同様、危険有害でない業種は、当面、任意適用とすることといたしております。  第二は、失業保険における給付のほとんどにわたって、その内容改善をはかったことであります。  その一は、一般失業保険における保険給付改善であります。まず、配偶者扶養手当につきまして、政令により、その日額現行の二十円から三十円に引き上げるとともに、失業保険金日額につきましても、告示により、賃金の比較的低い等級の日額を十円ずつ引き上げることといたしました。さらに、二十年以上の長期被保険者給付日数を、現行の二百七十日から三百日に引き上げるほか、技能習得手当日額改善することといたしております。また、受給資格者が死亡した場合や長期間の業務災害等の場合にも、失業保険金受給ができるよう、受給要件の大幅な緩和をはかることといたしました。  その二は、日雇い失業保険における給付改善でありまして、日雇い失業保険金日額を、現行の第一級五百円、第二級三百三十円から、それぞれ第一級七百六十円、第二級五百円に引き上げることといたしました。さらに、賃金水準変動等に応じて、すみやかに日額改善をはかることができるよう、告示により改定することができることとしたほか、第一級の保険金を受けやすいよう、その決定要件を緩和することといたしております。  その三は、就職支度金及び移転費改善であります。これらの給付につきましては、いずれも福祉施設として支給することといたしておりますが、まず就職支度金につきましては、従来、失業保険金及び扶養手当合計額の三十日分または五十日分であったものを、一定の場合さらに二十日分を加算することとし、また、移転費につきましても、着後手当を新設することといたしました。  第三は、失業保険保険料率引き下げでありまして、最近の失業保険収支状況を勘案し、また、今後の保険経済推移等を考慮して、現行の千分の十四から千分の十三に引き下げることといたしました。  第四は、失業保険制度現状にかんがみ、制度健全化をはかることといたしたのであります。  その一は、三年間連続して短期離職者を多数発生させた事業主から特別保険料を徴収し、これを通年雇用等季節的失業の防止のための費用に充てることといたしたことであります。なお、特別保険料内容につきましては、事業主に過大な負担とならないよう留意いたしておりますが、特に、中小零細事業主については、離職者五人までは徴収しないなど、特別の配慮を加えておるところであります。  その二は、通常労働者に期待し得る通常雇用期間さえ満たせば、給付に何らの差別を加えないという趣旨のもとに、受給資格を得るのに必要な六カ月の被保険者期間計算につきまして、現在は最低四カ月二十二日の雇用期間で足りるとしておるのを、原則どおり満六カ月の雇用期間に改めるとともに、一カ月間の賃金支払い基礎日数を、現行の十一日以上から十四日以上に改めることといたしたことであります。なお、就労の実態を考慮し、二以上の事業主に雇用された者につきましては、被保険者期間の通算について特別の配慮を加えることといたしております。  その三は、不正受給者に対しまして、現行不正受給金返還命令制度に加え、新たに納付命令制度を設けることといたしたことでありますが、労働者に対して過酷なものとならないよう、納付額不正受給金額と同額以下とし、また、その基準は、労働大臣中央職業安定審議会意見を聞いて定めることといたしております。  以上のほか、失業保険におきまして、失業認定回数失業保険金等支給方法日雇い失業保険保険料納付方法等について整備をはかることといたしております。  次に、この法律案施行期日につきましては、失業保険及び労災保険適用拡大は、実施準備に万全を期するため、別に法律で定める日から施行することとし、その他の事項は、それぞれの内容により、昭和四十四年七月一日、八月一日、十月一日の三段階に分けて施行することといたしております。  以上が失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————
  34. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。加藤万吉君。     〔加藤万吉登壇
  35. 加藤万吉

    加藤万吉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案について、若干の質疑を行ない、明確なる御答弁をいただきたいと思います。  私は、本改正案の質問に先立ち、東京荒川放水路における、集団的災害発生をし、八名のとうとい犠牲者を出した事件につき、これらの人々及び御遺族の方に心からなる弔意を表すとともに、政府責任及び所信をただしたいと思うところであります。(拍手)  この事件は、外部的条件偶発的条件によって引き起こされたものではありません。日本独自に開発され、日本の新しい特許による工法建設省が採用し、これによってかかる大災害を引き起こし、建設省責任はまことに重大であります。何も疑わずに、黙々と川底の中で工事に携わっていた出かせぎ農民に対し、一体どれだけの安全性配慮をしたのでありましょうか。そして、彼らを死に至らしめた責任はだれが負うのでしょうか。今回の事件のうち、七人までが青森からの季節労働者であり、リンゴの豊作貧乏の中から、苦しい家計を助け、妻子と別れ上京し、なれない労働の中から、一握りの労賃を唯一の故郷へのみやげとして、身を粉にして働いていた人たちであります。一体、このような出かせぎによらなければ生活の自立ができない今日の農村について、総理は、どのような反省と、これからいかなる政策をとろうとしているのか、その所信をお伺いいたしたいと思います。(拍手)皮肉にも、今回事件の起きた第二・四ツ木橋は、都市過密化解消工事であり、そこに過疎地帯から流出してきた出かせぎ労働者が働いているという、過密、過疎の対照をあざやかに示しているものであります。過日、東京都板橋区において発生したガス爆発事件といい、都市開発の陰にこのような大きな災害と格差がぴったりと隣合っている、この事実こそ、佐藤内閣の誇る高度成長政策の矛盾でなくて、一体何でありましょうか。(拍手)  次に、建設大臣労働大臣にお伺いいたします。  今回の工事建設省直轄工事であり、新聞の報ずるところでは、最も安上がりの工法といわれるリングビーム工法を用い、今回の事故を引き起こしたのであります。建設省は、本工法を採用決定するまで、安全性をいかに確認をされましたか、その経過を具体的に説明をいただきたいと思います。  一般的に、各省または業者が新工法を採用するにあたって、その安全性について事前に労働省と協議または連絡がとられることになっているが、この点につきましては、労働大臣にお伺いをいたしたいと思います。また、この工法は国鉄においても採用されているといわれておりますが、その確たる原因が究明されるまで、一切の工事の中止を勧告すべきであると思いますが、労働大臣所見をお聞きいたしたいと思います。  総理にいま一度お尋ねいたします。  今回の事故原因の究明は、労働省建設省、学者、専門家によって徹底的に究明されるべきであり、従来しばしばやられたような、各省まちまちの意見によってその責任の所在を不明確にすべきではないと思いますが、総理責任ある御答弁をいただきたいと思います。  また、総理は、とりあえず出かせぎ農民安全対策、特に建設業界の前近代的な労務管理改善に勇断をもって対処すべきであると思いますが、その見解をお伺いいたしたいと思います。  また、今回の事故政府直轄工事であることと、その安全性確認工事監督について重大な誤りがあることは論をまちません。当然これらには国家賠償法適用されてしかるべきと思いますが、いかがでしょうか、お考えを伺いたいと思います。  また、今回の事故について、安全性の追及はもとよりでありますが、同時に、これら人々の遺家族に対し、法律上の給付はもとより、生活上の保障について最善、最大を尽くすべきと思います。あわせて所見をお伺いいたしたいと思います。  総理、この事故のあった翌日、雄別炭鉱において再びガス爆発が起こり、死者十八名、重軽傷者二十八名の犠牲者を出すという悲惨な事故が再び発生をいたしました。総理、あなたの人間尊重政治は、この相次ぐ事故とあわせ見るときに、どこに生かされ、実行されているのか、疑わざるを得ないのであります。確たる所信を伺いたいと思います。  次に、本改正案につきまして質問をいたしたいと思います。  政府は、年来、人間らしい生きがいのある生活保障するのが政治の理想であり、所得をすべての国民にひとしく潤すのが社会保障役割りであると国民の前に表明し、総理もまた人間の尊重、福祉の向上を表明されているところであります。総理、この理念は現実の政治にいかに生かされているのでありましょうか。すなわち、今日わが国の経済は、いまや西ドイツと並び世界第二位の国民総生産を誇りながらも、国民は慢性的物価高に家計を破壊され、大気汚染、騒音に生活環境を脅かされ、過密の中で住宅難と交通事故に苦しみ、過疎の中では文化生活から取り残されているのが現状であります。産業再編成の中では、相次ぐ炭鉱の閉山、一万件をこえる中小企業の倒産、中小私鉄の軌道の廃止、国鉄赤字線の廃止の動きなど、労働力不足とはうらはらに、今日失業問題は、中高年層を中心に深刻な政治問題として立ちはだかっております。  そこで、私は、まず佐藤総理にお尋ねいたします。  今日、国民の状態は、政府の統計によりましても、月収二万円以下の勤労者八百万人、内職世帯が二百万世帯、臨時工、日雇い、パートタイマー、季節労働者などの半失業者は約一千万人、完全失業者六十三万人、そして百十六万人の求職者のうち、就職できた者わずかに十五万人という状態であります。こうした状態にもかかわらず、わが国の社会保障の状態はどうでありましょうか。たとえば老齢年金は月に千八百円、生活保護は大都市で一人約七千三百円。物価高の今日、これでいかなる生活ができるでしょうか。国民の生命を守る医療保険は、相次ぐ改悪により、ますます保険主義を強め、受益者の一そうの負担を増大し、病気にかかっても医者にかかれないという状況にあります。  ただいま趣旨説明のありました失業保険に関する改正案は、これら社会保障制度の一連の後退にさらに拍車をかける何ものでもありません。ヨーロッパの先進的な国家においては、対国民所得に対する社会保障費は、一九六四年現在で、イギリスにおいて一四・六%、フランスは二〇・三%、西ドイツにおいては二一%であり、わが国は六・三%にすぎず、それはヨーロッパ諸国の三分の一にしか当たらないのであります。社会保障制度審議会は、このような現状から、政府に対し社会保障制度に関する勧告を行ない、一九七〇年にはわが国の社会保障が少なくとも西欧諸国の一九六一年の水準に追いつくよう勧告するとともに、さらに、政府のその後の政策が、実質的には前記目標に対し年々後退していることを指摘しているのであります。また、厚生省発表の厚生白書は、日本を除く諸国において社会保障給付率が一三%から二〇%という高い段階にあるにもかかわらず、経済の成長率も高いことを指摘し、高い保障給付が経済成長を鈍化させるという関係は見出せないと述べているのであります。しかるに、四十四年度の社会保障費は、前年度比一六・一%の伸びにすぎず、われわれの要求はもとより、再び社会正義の理念から政府の勇気と努力を要望した社会保障制度審議会の申し入れも、みごと弊履のごとく捨て去られたのであります。一体政府は、このような実情についてどのようにお考えでしょうか。また、今後高度成長に似合った社会保障をどのように発展的に進められようとしておられるか、お伺いをいたしたいと思います。  次に、農林大臣に質問をいたします。  今回の改正案によりますと、失業保険受給資格取得期間を延長することといたしておりますが、これは失業保険制度的な後退であるのみならず、季節労働者生活権を侵害するものでもあり、私は絶対に容認することができないのであります。今日、わが国の農家の八割は、農業所得では家計を維持できないのが現状であり、その原因政府の農業政策の失敗にあることは、ここにあらためて指摘するまでもありません。農業基本法の制定は、わが党が指摘をしたとおり、それは農業の保護政策ではなく、零細農切り捨ての政策であり、高度経済成長の要請にこたえ、農村労働力の流出以外の何ものでもなかったではありませんか。この結果、地域開発のおくれた地方から出かせぎ者が激増するのは当然の理であります。むしろ、これら出かせぎ農民は、低廉な労働力を高度成長政策の安全弁とし、通年雇用や定着化の条件を産業界が怠っているために、まさに農民は、その農業によっても、出かせぎによっても、みずからの生活の自立をはかれないという状態に置かれ、結果的には、やむなく季節的出かせぎ労働失業保険給付によって生活の基盤をささえているのが現状であります。農林大臣、この農業の実態について所管大臣としてどのようにお考えになりますか。また、失業保険金がこの改正によって受給されない場合の農家の所得の向上と零細農家の生活の自立についてどのような政策をお持ちか、お伺いいたしたいと思います。  次に、労働、厚生大臣に質問いたします。  このたびの改正案特別保険料制度の創設があります。本問題は二つの面で重要な内容を持っています。  第一は、短期循環労働者が被保険者の十分の一をこえる場合は、使用する事業主に二倍以上に及ぶ保険料を支払わせるとのことです。若年労働力を大企業に吸収され、短期循環労働力をもってようやくその倒産のうき目からはい出そうとしている中小企業、また、季節的条件によって短期労働力を必要とする果樹栽培業等は、この創設によって二倍以上の保険料を支払わなければならないことになります。また、特別保険料を支払わないためには、事業主側の責任による解雇でも、労働者に対し任意退職の形式を強要し、労働者失業保険受給についてきわめて不利な扱いを受けざるを得ません。  第二は、今日の保険制度から失業保障制度へと強く要請されている状況にもかかわらず、短期循環労働者を多く雇用する事業主に対し特別保険料負担きせるということは、一昨年、健康保険臨時特例法の制定にあたり、受益者負担という荷物を病人の肩にかぶせたのと同様、社会の責任たる失業に対する保障に私保険化の道を開くことであり、社会保障の理念を否定するものとして絶対に容認できないところであります。  次に、給付改善でありますが、今日、失業保険財政は、四十三年度には約二千二百億円の剰余積み立て金を残すことが予想され、健全財政そのものであります。このような健全財政であるがゆえに、当然に大幅な給付改善があってしかるべきでありますが、今回提案された改善内容は、一般失業保険においては、扶養手当をわずか十円引き上げ保険料率を千分の一引き下げ、また、給付日数の若干の改善を試みているにすぎないのであります。給付改善にあたり、まず考慮すべきことは、わが国の実質賃金水準は、健康にして文化的な生活を営むにはあまりにも低く、また、諸外国の水準にも遠く及ばないという実態を誤りなく認識しておき、その上に立って改善をすることが重要であります。低賃金の中の六割という給付水準では、制度の本旨である生活の安定を目ざすことができるかどうか、説明の必要もないところであります。私どもは、この点について、最低八割にすべきであることを繰り返し主張してきたのであります。もし所得をすべての国民にひとしく潤すのが社会保障役割りであり、政府の方針であるとするならば、まず失業保険給付引き上げから始められてはいかがでありましょうか。西ドイツにおいては、すでに最高九割の水準まで引き上げております。西ドイツに比肩すべき経済力を備えたわが国で実行できない理由はないと考えるのであります。まさに佐藤総理の風格ある社会への第一歩であると思われますが、この点、労働、厚生両大臣の所見を承りたいと思うのであります。  さらに、不正受給に対する追徴金制度の新設でありますが、この制度は、社会保障の本旨に反するものであり、他の社会保障制度との均衡の上からいっても、全く失する措置といわなければならないのであります。今日まで政府が、不正の名において、いかに正当なる労働者の請求権を侵害してまいったかは周知の事実であります。失業保険においては、今日職業安定所の窓口において不当な給付の制限が行なわれており、その例は枚挙にいとまがないのであります。四日市市において、窓口における規制と失業という現実の生活苦が一家の主柱を自殺にまで追い込んだ例は、その過酷さを如実に物語っているのであります。まして、今回の追徴金という罰則強化は、他の制度との均衡はもちろん、社会保障の名においても断じて許せないと思うのでありますが、この点、労働大臣の御見解を承りたいと思うのであります。  さらに、大蔵及び内閣法制局長官にお尋ねをいたします。  福祉施設改善に関する今回の改正は、失業保険制度の本旨に反するものとして、きわめて重視をしているものであります。福祉施設費は、近年その失業保険特別会計の支出に占める割合が急速に増加をし、四十四年度予算について見ますると、従来保険給付として取り扱われていた就職支度金及び移転費とを加えると実に四百二十七億円、支出の二二%の高い割合を占めることになります。財政上の均衡は著しく阻害されているのであります。このような事態を招いた福祉施設に関する同法第二十七条の二は、目的条項たる同法第一条の失業保険金を支給するとの目的に違反するのみか、目的にない目的条項として、第二十七条の二は違法性の疑いがあると思いますが、法制局長官、いかがでしょうか。  ざらに、失業保険特別会計の業務運用費の負担についてでありますが、四十四年度予算においては、業務運用費百十一億円の中で、一般会計からの受入れはわずか一億五千万円にすぎないのであります。その差額は剰余積み立て金の運用利子収入で充てるとしても、それは労働者及び使用者の保険料であります。業務運用費が国家公務員の給与はもちろん、庁舎新築費、公務員宿舎費まで含んでいることを考えれば、政府は行政運営費の一部を、労使が拠出をする保険料によってまかなっているといわざるを得ないのであります。さきに政府の提案の中で不正受給ということばがありましたが、これこそ、まさに政府による保険料の悪質な不正流用以外の何ものでもないといわなければならないのであります。大蔵大臣の御見解をいただきたいと思います。  以上、幾つかの点について質問を試みてまいりました。私は、むしろ改悪点の多い本改正案はすみやかに撤回をされ、焦眉の急といわれている農林漁業への適用給付の大幅な改善日雇い失業保険給付日額引き上げ、あるいは扶養加算制度の大幅な改善などの諸点の改正を早急に行ない、失業保障制度に一歩踏み出すことこそが重要であると考え、政府の再考を強く促しまして、本案に対しまする質疑を終わるものであります。(拍手)     〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  36. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 加藤君にお答えいたします。  まず、今回の四ツ木橋災害並びに雄別炭鉱災害で不幸にもとうとい人命を失われた方々の御冥福をお祈りするとともに、遺家族の方々に対して心からお悔やみを申し上げます。政府といたしましては、その原因の調査につとめることはもちろんでありますが、同時に、再びこのような災害発生しないように十分の対策を進めてまいりたい、かように存じます。  人間尊重は私の基本的政治理念でありますが、同時に、近代国家形成のための基本テーマであると確信いたしております。国民各位もこの点は特に御理解をいただき、あらゆる職場において、いやしくも人命をそこなうことのないよう、企業者側も勤労者側も、この上とも十分御配慮いただきたいと存じます。  四ツ木橋事件の被害者は、お話にもありましたように、東北からの出かせぎの方々であったようであり、特にその直接的な原因はリンゴの豊作貧乏がきっかけであったと、かような御指摘であります。私は、これらのことを考えると、災害をこうむられた方々に対してまことに残念に思うと同時に、ほんとうにお気の毒にたえません。御意見のように、出かせぎを全然なくすることができるような農業の確立は、特に東北のような単作地帯におきましては、率直に申しましてこれはなかなか困難なことであると考えます。今後の農政の基本的な方向としては、極力自立経営農家の育成をはかる反面、兼業農家はそれなりにその安定と所得の向上をはかるよう配意してまいるつもりであります。  次に、新四ツ木橋事件の善後措置でありますが、詳細はそれぞれ担当大臣からお答えいたすことにいたしますが、原因究明につきましては全力をあげまして、必要に応じて学界の協力を仰ぐ所存であります。なお、この工法は、従来から各地で広く安全裏に実行されてきたものではありますが、新四ツ木橋の現場におきまして設計条件が十分であったかどうか等の問題もありますので、その安全性確認されるまで、この工事におきましては、この工法は中止いたします。  見舞い金につきましては、原因にも関連がありますので、当面、工事施行者に対して十分の措置をとらせるよう指導いたします。なお、災害補償は、請求あり次第、直ちに支給ができるよう万全の措置を講じていくつもりであります。  次に、建設業の労務管理についてお尋ねがありました。詳細は建設大臣からお答えいたしますが、建設業界におきましても、今日、労働力の不足はまことに深刻であり、質のよい労働力を確保することは、総合的な国土開発計画実施する上におきましても大きな問題であります。御指摘のように、建設業の労務管理の近代化は、その意味からもきわめて大事な問題であります。政府としても、関係法令の整備をはかる一方、各企業に対して適切な指導を行なって労務者の福祉向上をはかり、現場事故の絶滅をはかりたい、かように考えております。  次に、社会保障全般について基本的なお尋ねがありましたが、それについてお答えをいたします。  今回、法改正を予定した失業保険におきましては、むしろ後退しているのではないか、かような御批判でありましたが、決してさようなことはありません。失業保険制度につきましての御指摘には、具体的に関係大臣からお答えいたしますが、いずれも制度合理化改善を目途としたものであって、決して後退というようなものではないと思います。四十四年度の社会保障費は一兆円にいま一歩の域まで近づいておりますし、個々にその内容を見ていただければ、きめこまかい配慮が進められていることがおわかりいただけるのではないかと思います。  なお、社会保障費の国民所得に対する比率が西欧諸国の水準よりも低い現状につきましては、いろいろの事情があります。御承知のように、これらの点につきましては、相当専門的にもなりますが、加藤君御自身が御承知のことだと思います。特に、国民保険料を含めての税負担が西欧諸国に比べて著しく低いことを考え合わせていただきたい、かように私は思います。政府といたしましては、他の諸施策との均衡を考慮しつつ、社会保障の充実には一そう努力してまいる考えであります。  また、社会保障制度審議会が社会保障費の国民所得に対する割合を一九七〇年までに西欧諸国並みの水準に引き上げよとの建議をされ、四十四年度の予算編成にあたりましても、その基本方針のもとに一そう社会保障を進めるよう、政府に対する激励を含めての申し入れがあったことは、私もよく承知しております。最近の国民所得の目ざましい伸びが、かえって社会保障費の国民所得に対する数値におきましては、西欧並みに近づくことを阻害するような結果となっておりますが、社会保障そのものは、経済社会発展計画の線に沿って順調に伸びてきております。また、このような問題を考えるにあたっては、国民の租税及び保険料負担も、西欧諸国に比べて著しく低いことも考え合わせていただきたいと思います。政府としては、他の諸施策との均衡を考慮しつつ、社会保障につきましては重点施策の一つとしてその充実に努力してまいりましたが、今後とも一そうその充実につとめ、国民福祉の一そうの向上をはかってまいります。  次に、失業保険給付内容の大幅改善をはかれとの御意見でありますが、率直に申しまして、この給付内容は、すでに欧米諸国と比較して決して遜色のない水準に到達しております。そういう意味で、あるいは大幅とは申しかねるかと思いますが、今回も日雇い失業保険金日額の改定等の必要な改善は十分行なっております。なお、料率の引き下げを、失業保険財政の許容し得る範囲におきまして労使の負担をできるだけ軽減していくことは、この制度の発展のためにもきわめて望ましいものと考え、料率改定を行なったものであります。以上、詳細につきましては、委員会等におきまして十分御審議を賜わりたいと思います。  なお、その他の具体的な問題につきましては、それぞれの担当大臣からお答えいたさせます。(拍手)     〔国務大臣福田赳夫君登壇
  37. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) お答えをいたします。  失業者に対する職業訓練運営費など、直接給付に関係のない経費は、これをなるべく、現在のような失業保険特別会計でなく、一般会計から支出するようにすべきではないか、こういうお話でございますが、この種の経費は、失業の予防または就職の促進、そういうようなことで給付にきわめて密接なる関係のある経費でございます。これは民営保険でも同じでございまするが、たとえば火災保険なら消防というようなことに経費をかなり出しておる、こういうような関係になっております。さようなことから、必ずしもそういう考え方をおとりになる必要はないんじゃないか、さように考えます。  また、さらに人件費、そういうものを特別会計から出しておるが、これを一般会計から出せというような意味かとも思いますが、これは特別会計で支払う、これが常則でございます。特則を設ける必要は、いまの失業保険特別会計の現状から見てさらさらあるまい、かように考えている次第でございます。(拍手)     〔国務大臣原健三郎登壇
  38. 原健三郎

    国務大臣原健三郎君) 御質問の第一は、荒川放水路の新四ツ木橋工事災害事故、また北海道茂尻の事故がございまして、総理からも御答弁がございましたが、われわれといたしましても、なくなられた方々にはつつしんで御冥福を祈り、御遺族に対しては衷心御同情申し上げる次第でございます。  それで、御質問の荒川放水路四ツ木橋工事現場のリングビーム工法、これが結局安全性があったかなかったかということでございますが、比較的新しい工法でございますが、これによっていままでかなりやっております。でありますから、その安全性がいまにわかにあるとかないとか、断定が非常にむずかしいのでございますが、労働省といたしましては、この種新工法の採用にあたっては、従来からその安全性について十分考慮し、地元の労働基準局とも、こういう工法については両者が相談するようにという指示をいたしておるところであります。今後とも一そう指導を強化いたしたい。(「するのかしないのか」と呼ぶ者あり)もういたしております。いままでもいたしてきたところでございます。  次に、労働省といたしましては、今回の災害にかんがみましてどういうふうに処置をしたかということでございますが、この工法を採用しておる大手各社に対しましては、昨日すでに、工事を中止して、その安全性について直ちに総合的な検討を加える等の処置を講ずるよう、厳重に指示をいたしました。  それから、労働省といたしましては、これも昨日、工法でございますので非常に専門的知識を要しますので、専門家にお願いして、労働災害科学調査団というのを五名でもって組織いたしまして、そしてその調査団に委嘱して、すみやかにその原因を究明していただくようにいたしておるような次第であります。  次に、保険のことについて申し上げますが、短期循環受給者に不利な失業保険改正である、こういう御趣旨でございますが、この短期循環的に保険金受給しておる人は、全受給者の約四〇形に達しております。そういうような点から制度上いろいろ問題が生じておる現状にかんがみ、できるだけ季節的失業そのものを解消していきたいというような考えのもとに、被保険者の期間の計算方法合理化などを行なったところでございます。  それから、今回の改正において、通年雇用のための費用に充てるため特別保険料を徴収することにいたしておりますが、通常労働者に期待し得る通常雇用期間さえ満たしておられるならば、給付には何らの差別をつけ加えることはございません。  また、受給資格を得るのに必要な六カ月の被保険者期間計算を、原則どおり満六カ月とすることといたしております。しかしながら、短期循環受給者生活と就労の実態を十分考慮し、いままでなかった、新たに二つ以上の事業主に雇用された者につきましては、受給資格を得ることを容易にするために、被保険者期間の通算を認めるという特別の配慮を加えておるところでございます。  次に、失業保険給付金の引き上げをもっとやるべきが望ましいということでございますが、これは総理からお答えがあったとおりでございます。  さらに、失業保険不正受給について、追徴金を取る制度を設けるのはよくないというお話でございますが、実は、よく調べてみますと、失業保険における不正受給は近年著しく増加いたしてまいりました。しかも、悪質となってまいりました。昭和四十二年度における件数でも二万九千件に及んでおります。その不正受給の金額は五億円以上にのぼっておるところであります。この不正受給に対する制裁としては、現在、不正受給金額を返還させるというのみならず——普通返還すればいいことになっておりますが、そのほか詐欺罪等の刑事刑罰規定もございますけれども、実際は不正受給の防止には何の役にも立っていないというのが実情で、残念でございますが、したがいまして、不正受給者に対して一定の金額の納付を命ずる制度を設けることは、失業保険における不正受給が他の社会保障制度における不正受給に比べてきわめて多く、しかも、悪質なものでございますから、現状にかんがみて、真にやむを得ないものであろうと考えております。しかも、この制度においては、納付を命ずることができる金額は、不正金額と同額以下ということにいたしております。金額の決定と運用の基準については、安定審議会の意見を聞くなど、十分配慮をいたしていきたいと思っております。  それから、三十九年一月以降の通達によって失業保険金給付の窓口規制が強化されて、自殺者が出たというようなお話でございましたが、失業保険は、御承知のように、労働の意思があって、しかも、その労働の能力を有するにもかかわらず就職することができない方が失業者でございまして、そういう失業者失業保険金を支給して、その生活の安定をはかることを目的としておるものでございます。こういう目的でございますから、三十九年に通達されたいわゆる給付の適正化の措置は、従来、安定所の窓口にあらわれますと受給者に漫然として保険金を支給しておったというきらいもございますので、労働力不足時代に即応して、この制度を本来の趣旨に沿ったように行政を運営いたしていきたい、こういうふうに考えておるので、よろしく御審議の上、御賛成のほどをお願いいたします。(拍手)     〔国務大臣長谷川四郎君登壇
  39. 長谷川四郎

    国務大臣(長谷川四郎君) お答え申し上げます。  御説のように、現実には出かせぎに依存せざるを得ない農家が相当数存在しておるということは事実でございます。今回の失業保険法改正案は、失業保険制度の適正な運営を期する見地からなされたものである、このようにわれわれは理解をいたしておるのでございます。農林省といたしましては、今後とも、出かせぎ労働を含めた農家の労働力の対策、この充実をはかってまいる所存でございます。(拍手)     〔国務大臣斎藤昇君登壇
  40. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) このたびの失業保険法労災保険法改正は、むしろ社会保障の後退ではないかという御意見に対しましては、私といたしましては、社会保障の一歩前進である、望ましいものだと考えております。  短期循環労務者に対する給付の問題あるいは短期雇用者をたくさんかかえる事業主特別保険料の問題等につきましても、私は、これは保険料の公正、公平という面から考えて、当然の制度ではなかろうかと思います。  保険金あるいは保険給付をもっと増すべきではないかというお尋ねは、これはやはり他の給付との関連もあり、現在の制度のもとにおいては、この程度が適当ではないだろうか。いろいろこのたびの制度改正の点にもお触れになられましたが、社会保障という見地から考えましても、やはり給付の公平ということが肝要でございまするし、いままで痛感せられておった点を改善されるものでありますから、厚生省といたしましても、一日も早く成立せんことを希望いたしておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣坪川信三君登壇
  41. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 御質問にお答えするに先立ちまして、このたびのまことに不幸な事件によってとうとき人命を失われました犠牲者のみたまに対しまして、つつしんで御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆さまに対しましても、深甚なる哀悼の誠をささげたいと思います。  御質問の第一につきましてお答えを申し上げますが、一昨日の四時半に発生いたしました不幸な事件を聞きました建設省といたしましては、直ちに係官を現場に派遣をいたしますとともに、私も、昨日早朝、現場工事責任者である間組の首脳部を招致いたしましてその事情を聴取いたしますとともに、厳重なる警告を発しました。また、この工法につきましてもやはり十分検討する必要を認めましたので、いままで建設省直轄工事として、同工法によって架橋いたしました橋の数は二十橋をこえておるような次第であり、鉄道関係その他を含めますと、かなりの数にのぼっておりますが、理論的にも技術的にもその安全性が認められましたので、この工法を行なっておったようなわけでございます。しかし、水質あるいは水圧あるいは土質等による現場の事情等によっての工法の適否性という問題も十分究明する必要もあり、その起因するところも十分解明する必要もありましたので、私は、同工法による利根川水系並びに小松川水系で行なっておる二現場に対しましては直ちに中止の命令を発しますとともに、いま申し上げました考え方から調査を必要とする考えを持ちましたので、直ちに学界、技術界、民間等の有為な学識経験者よりなる十名の委員を昨日御委嘱、発令をいたしまして、本日から調査委員会の活動を開始いたしまして、この不幸が再び起きないよう、その起因する問題点、その工法によるところの適否の問題点等、諸般の問題についてあらゆる角度から十分検討をお願いし、その調査の結論を得まして、建設省といたしましてはこれらの措置に最善の配意をいたす覚悟でおります。  御質問の第二につきましては、御承知のとおりに、新工法を採用いたしますときには、先ほど労働大臣も述べられましたごとく、請負業者が事前に、その施工機の使用等については労働基準局、監督署の許可を得ておるような次第でありますが、これらの問題点とともに、就労経路の正常化あるいは適正賃金の支払い、現場の生活環境、作業環境の整備その他労働条件の改善福祉対策等につきましても、今後建設省労働省と緊密な連絡をとりながら、これらの不幸のなきよう最善の措置をとる覚悟でございます。  次に、最後の御質問でございますが、国家賠償法適用の問題につきましては、いわゆる請負契約等民事上の問題もございまして直ちに国家賠償法適用について結論を出すことは早急であろうと考えますので、これらの点を十分考えまして検討いたしたい覚悟でございます。  以上、お答えいたします。(拍手)     〔政府委員高辻正巳君登壇
  42. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) お答え申し上げます。  御質疑の論点は、違法ではないかということでございましたが、一般に失業保険事業としていかなることを行なうかというのは、失業保険法の各実体規定の定めるところによるのでありまして、その実体規定が同法の目的規定との関係で違法になるということは、法律論としてはあり得ないことであると考えます。しかし、そのような実体規定を踏まえた目的規定の定め方が妥当であるかどうかという観点の問題は、確かにあり得ることでございます。現在の失業保険法におきましても、失業保険金の支給とは別に、失業保険事業を定めた規定がありますことは御存じのとおりでありまして、目的規定の定め方の当否の問題も、実は今回の改正法案におきまして新たに生じた問題ではありませんが、あらためまして率直なところを申し述べますと、失業保険法第一条の目的規定に「失業保険金を支給して、」というところがありますのは、失業保険事業の最も根幹的な、その意味で最も重要な内容を取り上げたものでありまして、同法二十七条の二の御指摘になりました条文の福祉施設は、なるほど失業保険金の支給とは違いますけれども、被保険者失業の予防なりあるいは就職の促進に寄与するものであるという意味合いで、第一条の目的規定にあります被保険者失業した場合に、その生活の安定をはかるという法律の究極の目的に合致するものでありまして、今回あらためて失業保険法第一条の目的規定を改正するまでもないと考えた次第でございます。違法の観点からの問題でございませんことは、最初に申し上げました。どうか御了解をいただきたいと存じます。(拍手
  43. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  44. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十六分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         厚 生 大 臣 斎藤  昇君         農 林 大 臣 長谷川四郎君         通商産業大臣  大平 正芳君         労 働 大 臣 原 健三郎君         建 設 大 臣 坪川 信三君         自 治 大 臣 野田 武夫君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正己君