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畑委員 最後に残った問題が、
東大事件の
裁判の問題であります。この問題につきましてもほかの
委員のほうから
関連質問があるはずになっておりますけれども、時間がだいぶ経過をいたしておりまして、
あとのスケジュールの
関係もあるようでありますから、簡単にまず基礎的な
質問をいたしたい。
御
承知のように、
東大事件の
裁判は、分割
裁判になっておる。これはそもそもこうした
事件であるからということでもあるが、
被告人もまた弁護人団も、統一
裁判を要求し続けて今日に至っている。
裁判所のほうではこれを分割
裁判にするという既定方針で、四十グループに分けて審理を進めようという姿勢で今日まできております。ところで、
被告も弁護人団も、あくまで統一
裁判を要求する。したがって、拘置所におる
被告は、いままで一人もおそらく出廷していないと思う。これは
あとで聞きますが、裸になって水をじゃぶじゃぶかぶって、それで着物を着たまま水浸しになったからだであくまでも出廷を拒否しておる。その根本の理由は、やはり統一
裁判を要求するということです。弁護人団もそれを支持して、統一
裁判を要求する。保釈になっている
被告は出廷しておる模様であります。これも
あとで聞きますが、欠席している者があるかないか。これも出てまいりまして、統一
裁判を要求して騒然となる。
裁判所は
裁判所で、威令を示そうというようなこともあるのでしょう。訴訟指揮権は
裁判長にあるので、例の法規を運用して、監置処分にしたり、退廷命令を出したり、機動隊を導入したりということで、連日
新聞がこの事実を報道しない日はない、こういうようなことでありまして、まことに異例の
裁判であります。一体この問題をどうするかということは、非常に重要な問題だと思います。異常な
裁判であります。このままの
状態を続けて、
裁判所の権威というもので
最初の方針どおりやるつもりかどうか。ともかく統一
裁判を要求するということが当面の混乱のもとで、それを許す許さぬということが当面の問題でありまして、いろいろな方面でエスカレートしておる。
裁判長の中でも、いろいろタカ派もありハト派もあるといううわさもある。できるだけ対話でやるという人もおれば、
裁判所の威厳を示そうというので、ことさらわれわれが常識的に
考えて妥当と思われる以上のきびしい措置をとって、マスコミなどにもてはやされておるような
裁判長もおるようです。しかし、私どもが一番心配しておるのは、一体これでいいのかということであります。何とかして
裁判をしなければならない。
被告はもう五カ月も拘置所につながれておるわけです。
人権の問題である。しかも
被告は出廷しないで
裁判は続けられておって、最近になると、証拠調べまで
被告も弁護人もいないままでやられておるといった例まである。一方また弁護団は、結局これは弁護権の放棄ではないかという非難も日弁連の内部でも一部あるようでありますが、反面また弁護団の立場に立って
考えてみれば、これも無理もないことである。大体ほとんど同じ
弁護士、弁護人が今度の多数の
被告についておる。統一
裁判でやれば一緒に済んでしまう。ところが、四十グループに分ければ、その
弁護士が全部の法廷に出なければならない。これだけかかり合って一ぱいだ、こういうようなこともあります。そうかといって、弁護人を
選任する権利は十分ある。また弁護人になる権利もあるわけです。したがって、これを奪うわけにはまいらぬ。そうすると、結局、分離
裁判をしたことが弁護権の侵害になっておるということにもなっておるんじゃないか、かように思います。
裁判所は、前のメーデー
事件等でだいぶ長い
裁判になったというようなこともあるし、今度の場合、
学生たちが体制批判の立場に立っておるから、もう話し合ってもだめなんだというような
考えから、こまかく刻んで、
刑事事件というものは一人一人の
裁判なんだからというようなことで、それで分離
裁判を各グループ別にやる。しかも、それが起訴状一本主義に反して、もう
裁判する前から、この男はどういうグループに属してどういう役割りを占めたというようなことを、
裁判官
会議できめる際に、そういう資料まで配っておる。これは
あとで、この前の
猪俣さんが
質問をしたことがそのままになっておりますから、その関連でお聞きになると思いますけれども、そういう問題もありまして、いま
裁判官の例の弾劾
裁判所のほうに、その前の
裁判官の訴追の
委員会のほうに、該当の
裁判官が爼上にのぼって、訴追の要求をされておるというようなことにまで発展しておる。こういうようなことでありますが、非常に憂慮すべき問題だと思うのです。結局は、いまいった統一
裁判を要求しておることがもとなんでありまして、これをいまさらくつがえしてまたもとへ戻すと権威に関する、こういうことであるいはこのまま続けておられるかもしらぬけれども、われわれの
見解からすれば、
最初からもう統一
裁判をすなおにやったほうがよかったんじゃないか。いまさらそうは曲げられぬということかもしらぬけれども、そうしたほうがむしろ
事件を妥当に処理することができる。同じ弁護人が全部についているんだし、法廷がないといったって、特別の法廷をつくればいい。こういう
事件もたまにはあることはあるんだから、特別の大きな法廷をつくっておいたほうがよろしい、東京や大阪あたりには。そうしてこういう
事件は特別に処理したほうがいい。そうして大いに関連するものがあるんだから、一人一人の
刑事事件だというふうに処理するわけにもまいらぬ。そうして途中で分離を適当にやるということでやったら、こうした混乱はなかったというふうに、私は実は最近
考えるわけです。その点について承りたいのですが、ます。そのグループは何グループに分けられておるのか。それから
被告人は、拘置所におる人は、一人もとうとう
最後まで出廷していないかどうか。それから保釈になっておる
被告は、出廷しない例があるのかどうか。おそらく全部出廷していると思う。そうだとすれば、もう五カ月にも拘置が及んでいるのだから、全部保釈したらどうか。ここで私がそう言ったって、一人一人の
裁判官がやることだからそういうことは言えないと言うかもしれないけれども、
一つの政治論というか、これを処理する問題として、これは五カ月も、もうこれ以上も続くであろう、この
被告を拘置しておくということは、これは
人権問題というか、ゆゆしい問題、これを何とか解決する
考えはあるのかどうか。
最高裁は、そういう点で、地裁がやっていることだけれども、
最高裁がやはり大きな立場でこれを処理する方針を
考えておられるかどうか、こういうことを一度承りたいのですが、まず、先ほど言ったこまかい問題について、
最初に
答弁してもらいたい。