○
中川(進)
政府委員 簡単に事実の
経過を御説明申し上げます。
五月二日の日の午後一時半ごろ、ただいま
米田委員御指摘の尹という人が
入国管理事務所にあらわれまして、
韓国への再
入国許可申請を申し入れたのでございますが、そういうときに、ふだんと若干変わったことと申しますと、
韓国大使館から権という
参事官がついてまいったのでございます。
本人の
申し立てによりますと、
本人の弟の尹という人が
急病になったので至急帰りたい、至急会いたいから帰ってこいという電話が
ソウルからあったということであったのであります。ところが、このときの応対に当たりましたのは、
東京入国管理事務所の
審査課長をしております
池田という男でございますが、この人はこの三月の末まで
法務省の
入国管理局におりまして
課長補佐をやっておった人でありまして、やはり再
入国関係をやっておる
資格審査課長補佐でございました。ちなみにこの権という人は、これは
法務省の
入国管理局へは、日を問わず、いろいろな形でしょっちゅうやってまいりまして、
特別在留を
許可してくれとか、あるいはその
在留期間を延ばしてもらいたいとか、いろいろないわゆる
陳情でございますが、しょっちゅう来ておったのでございまして、そこでこの
池田という男とは顔なじみなのでございます。したがいまして、この
池田に対しまして、ついてまいりました権という人も、
本人は非常に急いでいる、そしてたまたま三日、四日、五日と休日が続くので、もし二日に出して一らわなければ三日ないし四日おくれてしまうので、何とかその日のうちに出してくれという
口添えがあったわけでございます。そこで手続といたしまして、まず
本人の
身分関係を調べるわけでございますが、この尹という人の
身分関係は、いわゆる
法律一二六の二の六というのに該当するわけでございまして、戦前からの
居住者でございます。いろいろな意味で
出入国についてはきわめて自由な
扱いをしておるカテゴリーに属する男でございます。その次に調べましたのは、その男に
犯歴があるかないかということでございます。そこで、それではすぐその日のうちに出すように努力してやろうということで、検察庁その他に
犯歴の有無を
調査したのであります。それが約一時間半か二時間かかったようでございますが、とにかくそのほうの
調査をしましたところが、別に前科もないということでございまして、それからいま申しましたように、
韓国大使館の
参事官の
口添えもあったということがございましたので、それですぐ
——先に申しました二時間余り待たしたのでありますが、とにかくその日のうちに出してやりました。そこで、再
入国許可証を持ちましてその男はその日の、すなわち五月二日の十七時三十分の
羽田発の飛行機に乗りまして
ソウルに立った、こういう次第であります。昨日、
参議院でも御
質問があったのでございます。その日のうちに再
入国許可を出すというようなこととは異例なことではないか、どうしてそんな普通以上の
サービスをするかという御
質問が
亀田委員からございましたが、これは私
どものほうとしましては、決して異例なことではないのでございます。たとえばその前の月の四月に、全国に十五役所がございますが、
東京入国管理事務所だけでも三十三件、その日のうちに
出願者に対して再
入国許可を与えております。そして再
入国許可は、先ほど申し上げましたように、一二六とか
協定永住を持っておるというような人に対してはむしろ与えてやるのが原則でございますから、
欠格理由がない限りはできるだけ
サービス精神に徹して早くやるようにやっているわけでございまして、われわれのほうとしましては何らその非違はない、むしろ早くやってやったというように考えている次第でございます。