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山中(吾)
委員 この間の公述人の御
意見を聞いておりました。これは
法律的には公募でありますので、一人一人の自由な意思で公述人を志願をされておいでになったのでありますが、実態は、政党政治でありますので、各党の意向を代表した、各党に
関係はなくてもそういう意向を反映する公述人がおられたのでありますが、大体の公述人の御
意見を聞いたときに、この
法案そのものを私は完全に賛成しておる者はほとんど印象に残っていないのであります。
一番最初に立たれた鈴木弥七氏は、これは自民党推薦とジャーナリズムが書いてありますが、公述人でありますから違いますが、この人は青少年問題の立場から、
大学の
紛争は心配であるので早くおさめてほしいというので、この
法案の
内容については十分に
関係ない、十分にお知りのないままにおさめてほしい、そのおさめるために有効な
法案をつくってほしいという
意味でありまして、私は直接この
法案の
内容について参考になることを鈴木さんから聞いておりません。
次に立たれた加藤
東大総長は、まず第一に、この
法案は
紛争の真の
解決を妨げるばかりでなくて、わが国の将来を誤るということを明確に言われておる。第二に、この
法案の構想そのものが
大学の基本的なあり方に対する誤った
認識がある。第三に、この
法案は
大学への不信から出発をしておる。そういう立場において画一的に規定されたこの
法案、そして現在予算面において常に行政から圧迫を受けておる立場に立ったときに、この
法案が出たために、
学長は行政と学内の
関係の板ばさみになってどうにもならなくなるという述懐を漏らしておられ、
紛争の中で非常に苦心をしておる
東大加藤総長の
意見は切実なものがあると私は思いました。
さらに次に長洲横浜国立
大学の
教授は、第一に、この
法案は根本的に間違った発想に基づいておる、
原因は深く
社会構造の中にも根ざしておるのであって、
学生は現在の秩序に対してレジスタンスを示しておるということを含んで
考えないと
解決はないと言っております。また第二に、この
法案は
大学の理念と方向性において非常な問題があるという
意見を述べております。第三に、この
法案は憲法と歴史に挑戦をしておるのではないかということも言っておる。第四に、この
法案は
紛争対策としては逆効果をもたらすのみであると言っております。これも私はお互いにまじめにこのこの御
意見は聞くべきものがあると思います。
次に、自民党推薦の高橋武彦氏は、新しい
大学制をつくらぬ限り
解決はないということをまず明確に言っておる。
大学制度の改革なくして
大学紛争問題の
解決はないと言っておる。次に、この
法案は新しい
大学制度のできるまでの一つの臨時措置としては
考えられるが、
内容については疑問があるということも明確に
意見を述べた。これは自民党推薦の公述人であります。ことに五カ年の時限という五カ年というものに大きな疑問のあることも発表されております。最後に、
大学運営の臨時措置法、
運営に対する臨時措置法という名称そのものに
異議がある、なぜ
紛争に結びつけて正常化とか
紛争解決の
法案としないかということに疑問を投げかけておる。これは
内容が違っておるからであります。
さらに公明党推薦の杉村先生は、第一に、
紛争の停止権については
反対だ、第一条に書いておる自主
解決と完全に矛盾をしておるということを言っておる。第二に、休職措置については
反対である。せっかく全構成員が民主的に
解決をはかろうとしておるときに、最も矛盾のあるこの法規定であるということを言っております。最後に、この
大学法案はかえって
紛争を激化せしめるであろうということを、これは見通しをつけて
意見を述べております。
次に民社の推薦の石川先生は、第一に、
大学はもっと苦しんだほうがいいのだ、この
法案は中途はんぱで、中途はんぱな
解決になって何も残らない、こうした中途はんぱの
法案を出すことはむしろ何もそこに残さないので、もっと苦しめて、苦しんだ
あとに新しい
大学が生まれ、新しいものが生まれるのではないか、その
意味においてまずこの
法案の立法措置は
反対であるということを、他の公述人と違って別途の角度から、私は傾聴に値する一つの
意見を述べられたと思います。第二に、
大学のあり方全体を
考えて立法すべきである、そういう
考えがないということ。第三に、
学長に権限を集中するよりも、全教員、全
教授全体に協力体制をつくる措置においてのみ
解決するのではないかということも言っておる。
次に、
社会党の推薦とジャーナリズムが書いておる生越忠氏は、この
法案は新しい
大学をつくるのにかえって阻害をする。第二に、この
法案は今日の
大学紛争の
原因にマッチしていない。
原因に無
関係な収拾
法案であるから、これは成功しない。第三に、この
法案はかえって
紛争を激化する。権限を末端に分散すること以外に
大学教育社会においては
解決の道はない。官庁その他と違うがゆえに権力を集中して
解決するという、そういう性格を持ったものではないという
見解を述べておる。
次に自民党推薦の赤木先生は、御自分の体験から、
大学紛争をほんとうに
解決するために、一般
学生と
大学当局の
話し合いを妨害している
暴力は
排除しなければ
解決しない。この人の切実な体験から述べております。したがって、この人の
意見の中に、この
法案によって直ちに学園
紛争が終結するとは思われない。そうして終結するのには、一般
学生と
学長の間に
話し合いをするという機会をつくって
解決するしかないのだ。それをはばむ
暴力学生の
排除しかないのだ。しかし、それ以外のこの
法案の規定しておるものについては賛成は一つもしていない。この
暴力学生そのものだけをはずして、一般
学生と
学長が民主的
話し合いをする以外にないのだということを体験の中から訴えておる。このことは、この
法案の一条から、いろいろ
休止、停止そのものを書いておるものについて
解決するという
意見を述べていない。
そういう全体の公述人の
見解を、公正に私は私の党の立場を越えてお聞きしたときに、この
法案に対して各立場から来られた数名の公述人の御
意見を総合いたしますと、この
法案そのものが成立することは決して望んでいないということを私は受け取ったのでありまして、この
審議の重要な参考にして、この
法案の取り扱いを慎重にわれわれは
考え直すべきであると思います。
したがいまして、少なくともこういう
法案を与党が多数の力をかりて強行採決するに値する
法案ではないと私は思うのですが、今後の
審議の過程において、この
法案の取り扱い方について、もう
一度
委員長の御
意見を承っておきたいと思います。