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1969-06-13 第61回国会 衆議院 文教委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十三日(金曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 大坪 保雄君    理事 久保田円次君 理事 河野 洋平君    理事 高見 三郎君 理事 西岡 武夫君    理事 唐橋  東君 理事 長谷川正三君       臼井 莊一君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    中村庸一郎君       広川シズエ君    藤波 孝生君       八木 徹雄君    加藤 清二君       川崎 寛治君    川村 継義君       小林 信一君    斉藤 正男君       帆足  計君    山中 吾郎君       岡沢 完治君    有島 重武君       石田幸四郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 坂田 道太君  出席政府委員         文部大臣官房長 安嶋  彌君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         文部省体育局長 木田  宏君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部外勤課長  井口 孝文君         警察庁交通局交         通指導課長   竹岡 勝美君         警察庁警備局参         事官      後藤 信義君         防衛庁防衛局運         用課長     安田  寛君         科学技術庁計画         局資源課長   木橋 信夫君         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         大蔵省主計局主         計官      辻  敬一君         大蔵省主税局税         制第一課長   安井  誠君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 小島 康平君         厚生省医務局国         立病院課長   滝沢  正君         厚生省児童家庭         局育成課長   橋本 光男君         厚生省児童家庭         局母子衛生課長 浅野 一雄君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 六月十三日  委員加藤勘十君及び岡沢完治辞任につき、そ  の補欠として加藤清二君及び西村榮一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員加藤清二君及び西村榮一辞任につき、そ  の補欠として加藤勘十君及び岡沢完治君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 六月十三日  信州大学繊維学部蚕糸教育課程存続強化に  関する請願(林百郎君紹介)(第一二一一号) は委員会の許可を得て取り下げられた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件  信州大学繊維学部蚕糸教育課程存続強化に  関する請願(林百郎君紹介)(第一二一一号)  の取り下げの件      ————◇—————
  2. 大坪保雄

    大坪委員長 これより会議を開きます。  この際、請願取り下げの件についておはかりいたします。  本委員会に付託になっております信州大学繊維学部蚕糸教育課程存続強化に関する請願、第一二一一号の請願につきまして、請願者紹介議員林百郎君より去る十一日取り下げの願いが提出されております。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大坪保雄

    大坪委員長 御異議なしと認め、林百郎君紹介請願取り下げを許可するに決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  4. 大坪保雄

    大坪委員長 文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。長谷川正三君。
  5. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 今日日本の文教問題で、大学紛争の問題は最大の課題となって国民がひとしく心配をしているところであります。われわれ文教委員会に列しておる者としても、非常な責任を感じながら日夜この問題について考えておるところであります。  本日はその本質的な問題について深く究明をする余裕はございませんので、緊急に起こった事態大学問題がいまこういう状態になっているときに、非常に好ましからざる方向にさらに問題がこじれていくような原因になると思われる事件が起こっておりますので、この問題に限りまして短い時間をいただいてこの際政府見解をただし、すみやかに善処をしていただきたいと思うわけです。  今朝の新聞各紙が一斉に報じているところによりますと、昨十二日夕刻、東京都の国分寺市にございます東京経済大学機動隊出動いたしまして、学生とせり合いがあり、同大学学生六人が頭を割られるなどの重軽傷を負った。しかもこの機動隊出動は、警察側連絡ミスから、全く関係のない大学出動したもので、全く根拠のないところで、そうでなくてもいま大学紛争等について大学当局が必死になってその正しい解決に向かって努力しておる際に、これを大きくぶちこわしてしまうような一つ事件が起こっておるわけでありまして、この問題について、まず警察庁側から事実の経過を御報告を願いたいと思います。かつ、これについてどういうふうに考えておられるか、その御態度の表明を願いたいと思います。
  6. 後藤信義

    後藤説明員 たいへん急な御質問でございましたので、私どものほうで事実を十分に調査する余裕がございませんが、ただいままで私どものほうに報告のありました限りにおきまして御報告を申し上げたいと思います。  ただいまの件でございますが、これはきのう束村山警察署で検挙をいたしました学校荒らしの窃盗犯でございます。これが武蔵野美術大学食堂から物を盗んだということの自供がございましたので、これについて実況見分をする必要を感じまして、警察署のほうの刑事係員四名が車に乗りまして被疑者一緒武蔵野美術大学におもむいたわけでございます。着きましたのは午後の四時ごろのようでございますが、そこで直ちに食堂に参りまして、食堂において食堂従業員から、被疑者が自供しているような事実があったかどうか、被害状況について事情を聴取いたしまして、その書類を作成しておったわけでございます。そのうち一名が連絡の必要がありまして外に出て帰ってみますと、三名の同僚とそれから被疑者がおらない。これはどうしたかということでもってさがしましたところが、被疑者を入れまして四名でございますが、これが自動車ごと学生に取り囲まれておるという状況を発見したわけでございます。学生の数は四、五十名のようでございます。  そこで直ちに引き返しまして、近所から東村山署刑事課長報告をいたしております。その電話報告しましたときに、おそらくあわてておったものと思いますが、武蔵野美術大学と言うべきところを東京経済大学というふうに間違えて報告をしたようでございます。  そこで東村山警察署におきましては、刑事課長刑事係長でございますが、この二人が、四時五十五分ごろでございますが、誤って報告のありました東京経済大学守衛所に参りまして状況を聞いたわけでございます。ここに三人の警察官被疑者一名が学生に取り囲まれているという話であるかどうかということを問いました。そうしますと、そこへ学長学務課長が来られたようでありますが、これに対しまして同様のことをこちらから話しております。そうしますと、学長学務課長のほうでは、それでは調査をしてみようというようなことで回答があったようでございます。  そうしておるうちに、この状況を見つけまして四、五十名の学生がこれを取り囲むという状況に相なりました。そのうちにだんだん数がふえまして、大体三百名程度の学生になったようでございますが、これがこの二人の警察官を取り囲みました。そこでいち早く刑事課長のほうが脱出をいたしまして、警察署電話を入れております。所轄の警察署小金井警察署でございますが、小金井警察署に対しまして状況報告しております。  そこで五時二十分ごろになりまして小金井警察署署長が署員五十三名を連れまして現場に到着をいたしました。見ますと、へいを隔てまして門の中で警察官が一名取り囲まれているという状況が見えました。そこでこの警察官を釈放してくれということを要求したわけでありますけれども無断で立ち入ったのであるからはっきりした釈明を聞くまでは放せないというようなことで押し問答をしておって、らちがあきません。そこでやむなく機動隊出動させまして、午後六時九分でございますが、百五十名の機動隊を中に入れまして、囲まれておった刑事係長救出いたしたわけでございます。機動隊が入りますと学生はすぐに散らばりまして、無事に救出ができたという状況でございます。負傷者は、ただいま先生のほうで六名というお話がございましたが、これは私のほうでただいま調査中でございます。  それから片っ方の武蔵野美術大学のほうでございますが、東村山署電話を入れました刑事係員が戻ってまいりますと、これも一緒学生に取り囲まれまして、結局警察官四名と被疑者一名、合計五名が学生に取り囲まれるという状況になったわけでございますが、誓約書を書けというようなことを言われまして、その学生側要求に応じて誓約書を書き、その結果五時四十五分ごろ、釈放というのも変でございますが、学生側の囲みが解かれて、そして署に帰った、こういう状況でございます。  そこで問題は、東村山警察署刑事の者が被疑者を、私どものほうでは引き当てと言っておりますが、自供した内容につきまして実際にそういう現場があるかどうか、どういう状況であったかということを調べるのは、これは刑事訴訟法に基づいた事柄でありますから、当然やるべき事柄であると存じます。ただ残念なことに、学校当局に一応断わらないでこれをやったというその不用意さは十分に反省しなきゃならぬと考えております。その点につきましてはなお調査をいたしたいと思いますが、食堂から物を盗んだということでございますし、この食堂は民間の経営になっておるようでございますので、おそらく食堂にいきなり行って話を聞くということのほうに気をとられたために、大学側に断わるのがついなおざりになってしまったということであろうと思います。立ち入ること自体は、これは任意捜査でございますから当然学校側に話をして立ち入るべきものであった、こういうふうに考えておりますので、その点につきましては今後とも間違いのないように十分に指導していきたいと考えておるわけでございます。  それから片っ方の東京経済大学のほうにつきましては、これはその発端はまさしく間違いがもとでございますけれども、そのことの状況を説明したにもかかわらず、かなりの時間にわたりまして学生側がその身柄を拘束しておるというようなことは、これは何といいましてもやはり不当でございますから、これに対しまして救出行動をするということは当然のことである、こういうふうに考えておるわけでございます。原因においてはなるほど警察側ミスでございますけれども、しかし、だからといって学生側にこういうような不当な行為が許されるということにも相ならぬわけでございますので、こちらのほうにつきましては、私どものほうでは、この原因についてはただいま申し上げましたように今後十分に戒めたいと思いますけれども東京経済大学に関する限りにつきましては、どうも学生のほうに非がある、こういうふうに考えておるわけでございます。
  7. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 いま一とおりの、大体新聞記事と同じような御報告があったわけでありますが、これは間違いだったという偶発的なことで、別に他に関連のないことならば、私どもこんなに大きく問題にするわけではないのです。ただ、今日全国的に大学紛争があり、ともすると学生機動隊との衝突というようなことが起こりがちな時期に起こっただけに、非常にわれわれはこれは考えさせられるべき問題を含んでおると思うのです。それは、私ども生命の危険があるとか、あるいは国の大切な財産が暴力によって常非な破壊をこうむっているとか、そういうような事態に対しては、理由がどうあれ、これについて、場合によっては警察官を導入するということをして、これを取り静めなければならないということも、これはやむを得ないと思います。しかし、最近どうもそういうことから、これは後に文部省側にもただしたいのでありますけれども、非常に警察側かさにかかって、非常に行き過ぎをやる。特に機動隊というようなものは、これは当然暴力的衝突になる可能性をうんと含んでいるのでありますから、機動隊出動というようなことは、よほど慎重にやらなければならないはずだと思いますのに、こんな間違ったところにもすぐかさにかかって機動隊出動さして、そして学生と乱闘をし、学生にけが人を出している。こういうようなことは、これは今日の文教問題を考えている者にとりまして、特にその解決に向かって懸命の努力をしている各大学当事者にとりまして、こういうことが平然と行なわれることは絶対に許しがたいという気持ちであります。  いま、身柄を長く拘束したのはいかぬから、機動隊救出するのはあたりまえだというようなことを言っておりますけれども機動隊出動させなくても、その警察官生命の危険にさらされるとか、あるいは話し合いで問題が解決しないというような、可能性はなかったわけでは全然ない。たとえば武蔵野美術大学の、いま御報告がありましたような無断で入って問題になったところですら、話し合いがついて円満に解決しているじゃありませんか。何もそこに乱暴事件流血事件は起こっておらない。それを全然関係のないところに間違って飛び込んで問題が起こったのに、いきなりそれをしゃにむに機動隊出動してやるなんという、こういう姿勢が問題だと私は思う。これは当然だとあなたは思っているのですか。できることであれば、もう少し慎重にやったほうがよかったと思っていないのですか。
  8. 後藤信義

    後藤説明員 私、先ほど申し上げましたように、繰り返すことになりますが、武蔵野美術大学のほうにつきましては、これはおそらく先生おっしゃいましたように、いま大学関係でいろいろ各地にトラブルがございますが、ただ、これが刑事係員でありましたために、全く普通の刑事事件ということだけで、頭がそちらのほうに向いておったのだろうと思いますが、そういうことで先ほどのような手続上のミスがあったわけでございます。しかし、片一方のほうは、これはミスに基いたことではございますけれども警察官一名が監禁状態になっておるということでございますから、これはどうも救出するというのがあたりまえだと思いますし、先生ただいま慎重にというお話でございましたが、これはかなり時間もたっておるわけでございますし、これ以上長くそういう状態に置くということは好ましくないわけでございます。生命身体にと申しますけれども監禁状態ということになりますと、やはりこれは一つの犯罪も成立するわけでございますし、これは救出するのが当然である、そのために必要があればその方面になれておる機動隊を使うというのも、これまた当然である、こういうふうに考えているわけでございます。
  9. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 この警察ミスというようなことを認めながら、それに対して申しわけなかったというような態度一片も見えないということは、私は絶対納得できない。  それから、この経済大学の問題にしても、この新聞の写真を見ましても、責任ある井汲学長がちゃんと立ち会っているじゃないですか。こういうところでもうちょっと時間をかければ——機動隊などがたくさん押し寄せて、そして学生を挑発するような形になって、勢いのおもむくところこういうふうになっていってしまった。これは少し経験のある指揮者がおれば、こんなばかなことにならなくてもいいはずなんです。もともと根も葉もないことなんですから、東京経済大学など関係のないところなんです。そうでしょう。これをすぐこういうふうにやるから、かえってこういうことになっていくのです。そういうことについて一片反省もないのか。あなたは、いまのあなたの立場でうっかりそういうことを言ってはたいへんだということで、責任ある立場じゃないから御答弁できないということならば、これは長官なり局長なりを呼んで、もっと責任ある答弁要求します。  こんなことがあたりまえで通って許されてどうなるのですか。まことに申しわけなかったというふうに平あやまりにあやまって、今後絶対こういうことをしないというならばまだ了解できますけれども、これは当然なんだというような態度では絶対了承できません。これは長官を呼びなさい。
  10. 後藤信義

    後藤説明員 私、同じことを何べんも繰り返すようでございますけれども電話かけ違い学校の名前を間違えた。これはまことに遺憾なことでありますし、その点につきましては今後十分注意し、その方面の間違いのないようにということは十分に指導する考えでございます。しかしながら、間違えられて電話がかかってまいりまして、その結果、被疑者警察官学生に取り囲まれておるということを聞いた警察署処置といたしましては、まずもって、その事実がほんとうであるかどうかをその学校に行って直接できるだけ早く確かめるというのは当然の処置だろうと思います。ところが、そのときに学生によって取り囲まれるという状態が起こったわけでございますから、その後の問題につきましては、これはどうも先生のおことばでございますけれども、私どもとしては、これはどう考えても、その後の処置につきましては、格段特に私どものほうで申しわけなかったというふうに申し上げる筋ではないように思っておるわけでございます。  ただ、要するに電話かけ違いから間違って報告があった。間違って報告がありましたけれども、そこを確かめに行った。その確かめに行ったということを説明してもなおかつ放さないということは不当である、そういうふうに考えるのでございます。
  11. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 いまの答弁では全く納得できません。一つは、間違いそのことは、人間のやることですから間違いはあるのですよ。そのことはむしろ、これは間違って申しわけなかったと言えば、それはやむを得ないと思うのですけれども一つは、前の問題にしましても、ただいまの武蔵野美術大学調査の問題にしましても、学校当局に何も断わらないで平気で入っていくという、いままでこういうことはなかったはずなのに、この大学紛争以来幾つか問題がたび重なってきて、もはや大学へは平気で入ってもいいのだ、いつでも入っていいのだというような感覚でやっているのか。実は、いま大学が、学生も非常にハッスルしているような状況の中で非常に心ない行動である。このことはやはりまず十分反省しなければいけない。まして間違って起こったことなので、それを間違って起こったことだということは説明すればわかることですが、話し合ってすぐそれが解決しない場合もあります。しかし、責任ある学長もちゃんと立ち会っておったことですから、それを信頼して、そんな機動隊などが押しかけなくても、署長なら署長が行って、もう少しゆっくり話をして説明するというような穏やかな形をとれば穏やかに解決したはずなんですよ。そうでしょう。それを、ちょっと何かあれば、おれたちはもう力ずくでものを解決するのが当然の権利だというような——一体どういう感覚であり、何のために警察機動隊というものがあるのか。根本的な使命をはき違えているのじゃないか。だから私はこれを重要視するのです。そうじゃありませんか。アメリカなんかでは、治安に任ずる警官というものは、民衆のいろいろな大衆感情などからくるいろいろな抵抗をどう耐え忍んで円満にものを処置していくかという訓練を、民主警察というもので一番やっているのだ。日本では逆に、民衆学生を全く敵視して暴力でこれをたたきつぶす。まるでかつての軍国主義の戦闘の訓練と同じような気持ち機動隊訓練して、どういう教育をしておるのか。そういうことから、すぐこういうふうに前途ある学生の頭をたたき割って平気でいる。何の反省もない、そういうことが起こるのじゃないですか。しかし、あなたにこれ以上言っても、あなたの答弁は繰り返しになると思うから、私はこれは警察庁長官責任ある長官ほんとうにそういう考えであるのかどうか、これを追及しますよ。すぐ長官を呼ぶ手配をしてください。いいですか。
  12. 大坪保雄

    大坪委員長 長谷川君に申し上げますが、先ほどあなたの質問要求がありましたときに、なるべく長官または警備局長と思って連絡をさせましたが、何かほかの委員会のほうに二人とも出かけておって都合がつかぬということで、後藤参事官に来てもらったのであります。でありますから、いますぐ長官を呼ぶということはちょっと困難ではないかと思います。そのことをお含みくださって、ひとつ御質問ください。
  13. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 それではこの件の警察庁についての質問は保留をいたしまして、きょう来られれば来てもらうし、来られなければこれは次の機会に明らかにしていただきたいと思います。あと小林委員質問もありますので、私一人で時間をとるわけにいきませんから、文部省のほうに御質問申し上げます。  このように大学紛争にからんで、警察あるいは機動隊導入等が日常化するような状況になってくることは、これは一日も早くなくならなければいけない。それでまた、そのために大学当局文部当局努力していると思うのです。そういう際に、このように軽率に間違ったり、その間違いに輪をかけるようなことが起こった事実を文部省はどう見ているか、これが一つです。
  14. 村山松雄

    村山(松)政府委員 武蔵野美術大学並び東京経済大学における学生警察関係トラブルにつきまして御質問があるということでございましたので、関係大学に事実照会をいたしておりますが、担当者が不在であったりした関係で、現在まで大学側からの事情聴取は済んでおりません。そこで、新聞記事並びにただいまの警察側説明等を頭に置いて申し上げますと、文部省といたしましては、大学側にも警察側にも慎重に対処されるようにお願いいたしたいと思います。警察側大学側連絡をしないで入ったということにつきましては遺憾でございまして、できるだけ連絡を密にされるようにお願いいたしたいと思います。それからまた大学側、これは教職員、学生を含めての問題でありますが、誤認で入ったような場合に、おだやかにその旨を説明して出て行ってもらうように言えば足りるところを、やはりその間にやや行き過ぎがあったのではなかろうか、両者に対しましてもっと冷静に事柄に対処していただくようにお願いいたしたいと思います。
  15. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 けさの新聞にも一斉に出ているのですから、文部当局としては、こういう問題については、私がさっき冒頭に申し上げたような敏感な感覚——あなたも大学紛争解決大学が正常化するために懸命の努力責任者としてやっていると思うのですが、そういう感覚からいえば、こういうものについてはすみやかに調査をして、ここではもうりっぱな答弁ができるようにされるべきだと思うのです。いま実情はまだ十分具体的に把握できていないということで、ただ一般的に大学及び警察側に慎重な態度を望むという御答弁でありますけれども、私はそういう通り一ぺんのことではいかぬと思うのです。この際、いま各大学では国公私立を問わず紛争解決に懸命になっているのですよ。それを正しく援助し、正しく助言をし、そしてなるべくこれをやりやすくしてやるのが私は文部行政の一番のかなめだと思うのですが、こういう火をつけるような事態が起こったときに、私は文部大臣にお願いを含めて質問するのですけれども、ひとつき然たる態度警察当局に猛省を促していただきたいと思うのですが、大臣の御見解を伺います。
  16. 坂田道太

    坂田国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  私も、ただいま村山局長からお答え申し上げましたとおり、大学当局自身からまだ事実の調査報告が参っておりません。したがいまして、けさの新聞あるいはただいまの警察庁の参事官お話を聞いて、それについての私の感想と申しますか、考え方ということで御了承を賜わりたいと思うわけでございます。  今日各大学において紛争しておる、これを何とか解決をしたいというのが私就任以来の考え方でございます。ところが、また学生たちも、御案内のとおりに、良識と理性の府であって、すべての問題を暴力というような不法な状況において解決をするということは、大学の本来の使命から考えてあってはならないことであることは申すまでもないことでございます。この点についてはおそらく長谷川委員も御同様にお考えのことだろうと思うのでございます。しかし、それに対しまするいろいろの原因は複雑多岐でございましょうけれども、とにかく学生たちが大学を拠点として暴力をふるっておるということは否定できない事実でございます。そういう関係におきまして、われわれといたしましては、やはり一日も早くこういう不法な状況暴力行動というものが大学に行なわれないような状況をかもし出さなければならない。また、政策といたしましてもその方向につとめなければならない。それには時間もかかる、あるいは慎重さも必要であると思うわけでございます。  そういう観点から考えました場合に、とかく学生警察に対して、これは歴史的ないろいろな事情もございましょうがアレルギーを持っておる、また大学当局自身も警察に対してアレルギーを持っておるということもこれまた事実でございます。しかしながら、これまた国民大多数の気持ちから申しますると、そういう選ばれた学生たちの大学が、あのような破壊から破壊あるいは暴力から暴力ということを繰り返すことは一体どうなのか、それに対して責任者であるところの文部大臣は一体何をしておるのだということも、これは同様に私といたしましては責任を痛感いたしておるわけでございます。その意味合いにおきまして、警察大学当局警察学生、また文部省大学、この関係はお互いの信頼関係というものを築き上げるという絶え間ない真摯な努力の積み重ねによって、初めて私は最終的に大学の問題というものが解決をするというふうに思うわけでございます。  そういう意味合いから考えまして、不法な状況、不法な暴力行為が行なわれ、生命、財産が、学生側にも教官側にも、その学生がどの派であろうと侵されようとしておるときに、大学側警察力を要請されるのは当然なことであるし、また、不法状況やあるいは刑事事件に当たるような状況が起こっておる場合に、警察側がその排除のために立ち入るということもこれまたやむを得ないわけでございます。ただ、現実問題といたしましては、その間にいま申し上げました学生対警官、あるいは大学当局警察のアレルギーがあるわけでございますから、その際におきまして、入りまする警察側におきましても十分な配慮と慎重さがあってほしいと思うわけでございます。また、いかに警察に対してアレルギーを持っておる大学側としてもあるいは学生側としても、やはり大学らしいあるいはまた学生らしい良識と理性の話し合いをもって問題を片づけるという習慣を一日も早くやはり身につけてほしい。こういうふうに思うわけでございまして、このたびの事件を聞いておりましても、その点についてやはり警察側ミスをおかしたということをはっきり申されておるわけでございますが、そういうようなミスをおかされないことを私は切望するわけでございます。特に大学紛争一つの大きい原因がそこらあたりにもあるということを十分お考えいただきまして善処をしていただきたいと思います。また、大学当局及び学生たちについても、やはり理性的な話し合いによってものごとがはっきりわかったならば、直ちにそれに応ずるということであってしかるべきであって、その解決手段として暴力をもって監禁をするとかなんとかというようなことそれ自体は、やはりこれは学生としても反省していただかなければならない、かように考える次第であります。
  17. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 一般論としては大臣の御答弁、そういうことになろうと思いますが、しかし私は、この具体的な今回の事実、これについてやはりもうちょっときちっと真相をただして、誤りは誤りとして特に今後も慎重に警察官のほうに対処を要請するということ、これはぜひやっていただかなければならぬことだと思うのです。私は、これは閣議でも大臣から発言していただいて、こういうことでせっかく大学紛争解決しようとする努力に水をかけるようなことのないように、これは強く政府全体の姿勢としても、こういう問題が起こったのを契機に、これをひとつ教訓として今後善処をされたいと思います。  特に私は、こういう遠因になっているのは、やはり先般四月に出されました次官通牒、あれを読んでみますと、ごたごた書いてあってどうもよくわからぬですけれども、要するに今後は、大学側はどうあろうとも警察はどんどん大学へ入っていいんだよ、そういうことですか、あの通牒は。それでこういうようなことがひんぱんとして起こってくるのではないか。人のうちへ入るには、普通に入るのだってこんにちはぐらい言ってから入るものだ、それをどたどた入ってしまうとは。そうでしょう。そういうような風潮は、これは次官通牒が出てから顕著になったと思うのです。次官通牒について私はそういう非常な憂慮を持つのですけれども行き過ぎ解釈がありはしませんか。それをもう一ぺんこの辺できちっとする必要がありはしませんか。これは局長からでも御答弁いただきたい。
  18. 村山松雄

    村山(松)政府委員 さきの次官通達につきましては、これは文部省から大学側への通達でございますので、これによって警察行動を規制するものでもなく、また拡大するものでもございません。要は各大学において、暴力その他法に触れるような事態まで大学自体の力で規制するということは無理であるから、そういう事態については警察と適切な協力をするようにというのがあの通達の趣旨でございます。一方警察行動は、これは警察関係の諸法規によって厳重に行き過ぎを戒めながら行なわれるわけでございますので、この通道によって警察行動が左右されるということはないと考えております。
  19. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 この通牒はそうでありますが、そういう通牒が出たことによって、警察側が非常に安易に大学に入っていいという風潮を起こしてはいないかということを私は聞いたのです。しかし、いまその点については、そういうことを指摘するにとどめまして、あと小林委員質問がありますので、私としては、警察庁長官の正式なこの具体的事件についての答弁を次の機会に求める。それから文部省としても、この具体的事実について把握して、これに対して警察庁に対してどういう態度をとられるのか、これについて次の機会に明快な御答弁をいただくことを保留いたしまして、私の質問を終わります。
  20. 大坪保雄

    大坪委員長 小林信一君。
  21. 小林信一

    小林委員 私は、まず委員長に申し上げたいのですが、この委員会は、いまのような問題が非常にあとからあとから出てまいりまして、しかも国民全体が非常に心配をしておるわけですが、残念ながら、いままで法案審議を重点にしてまいりましたので、こういういわゆる国政一般の問題について審議する時間がわりあい少なかったわけですけれども、先日も与党の皆さんと話をしたのですが、確かにその点もっと多くして、委員会の使命というものを十分果たすように努力をしなければいけない、こういう意見も出たわけですが、私は、回数を多くしろということでなく、いまのような長谷川さんのきわめて重大な問題等は、単に野党から政府関係に問題を提起して政府の意見を聞いておるというだけでなく、こういう問題は、今後は委員会の問題として、いまの文部省側答弁あるいは警察庁答弁というようなものを委員会としてまず理事会等で、一体これでいいかというような協議の中で問題を十分に検討し処理できるような方途を、せっかくりっぱな委員長がおいでになっておるときでございますので、この機会にひとつやっていただきたいと思うのです。ただ野党の質問があるというふうな形でもって終わっては、国民に対して申しわけないと思うのです。賢明な委員長の御判断を私はまずお願いしておきます。したがって、警察庁長官あるいは公安委員長、こういう人たちにも十分この委員会の意向というものが取り上げられるように御配慮をお願いしておきます。(「定例日以外も」と呼ぶ者あり)定例日以外でもかまいません。かまいませんが、私は慎重にやっていただきたい、こう思うのですよ。  私も同じような問題をお聞きするわけですが、その前に、いまの質問の中で気にかかったことなんですが、大臣は、このことについて警察庁のほうから何か連絡を受けたのですか、まずそれをお聞きいたします。
  22. 坂田道太

    坂田国務大臣 まだ聞いておりません。   〔委員長退席、西岡委員長代理着席〕
  23. 小林信一

    小林委員 警察庁のほうでは、こういう問題を起こしていることについて、直接責任を持つ文部大臣連絡をするというふうなことは必要ないんですか。
  24. 後藤信義

    後藤説明員 一般的には、直接文部当局に対して御連絡をするということはいたしておりません。今回の事件につきましては、まあ、特異と申しますか、特異な事例でございますので、参考までに、その事実がもっと明瞭になりました段階において、大学学術局のほうに私のほうから事務的に連絡を申し上げるということになろうかと思います。
  25. 小林信一

    小林委員 両者とも、こういう問題をどんなに考えておるのかということを、国民の立場で疑わざるを得ないんですね。大臣のほうも、こういう問題をすぐ——それは普通の問題ならとにかくですが、いまあなたのおっしゃったように、警察庁のほうでもっておっしゃったように、間違った、こういう場合には、すぐ国会の中でも問題になるだろう。したがって、それに対して大臣が明確に答弁ができるようにということだけでも私は連絡をすべきだと思うのです。まして、こういう手落ちをした、まことに申しわけなかったとか、こういう経緯だとか、それは、いまあなたのおっしゃるように、十分その調査をしてということは一つの理由になるかもしれませんけれども、いち早く連絡をとり、了解を求めるということは、私は必要じゃないかと思うのですが、しかし、そういうことが警察庁のほうでも、いずれというふうな形でもって捨て置かれる。文部省のほうでも、いま大臣が、まだきておりません。こういうような態度では、これは、いま国民が非常な関心を持っておる問題も、ただ混乱をしていくだけであって、これがすみやかに国民全般が要望するような方向に落ちつくなんということはできないと判断してもいいと思うのです。そういう点で、文部省はどうお考えになるか、警察庁はどうお考えになるか、御答弁願いたいと思うのです。
  26. 坂田道太

    坂田国務大臣 われわれといたしまして、やはりすみやかに事実を調査し、これに対処しなければいけない、そういう責任があると考えております。   〔西岡委員長代理退席、委員長着席〕
  27. 後藤信義

    後藤説明員 先ほどお答えしましたとおりでございます。私のほうでも、新聞にも出たことでもございますし、とりあえず、事柄はこういうことであるというようなことは御連絡をするということは今後考えていきたいと思います。ただ、私どものほうでは、先ほど冒頭に申し上げましたように、事実そのものがまだ不明確な点がございますので、あまり過早にかいつまんでお話しをするというのも、これまた誤解の種になると思いますから、その点は十分に慎重を期さなければならぬと思いますが、とりあえず、間違ってこういうことが起こったという程度のことは、これは連絡をしなければならぬかと、こういうふうに考えております。
  28. 小林信一

    小林委員 したのですか。
  29. 後藤信義

    後藤説明員 連絡をすべきものであると考えております。
  30. 小林信一

    小林委員 両方のお考えというのが、何か問題を軽視しており、責任というものを感じておらぬような気がしてならないんですよ。それは大臣は、調査をしてでなくて、警察庁に、一体こういうことがあったそうだがどうだ、これくらいの電話をかけるなり、何らかの連絡を私はとる必要があると思うし、警察庁のほうでも、すべきであるなんということでなくて、どうも間違ったらしい、あるいは間違ったかもしらぬというような連絡くらいはすることが、私は問題を重視するもとだと思うのですがね。しかし、そういうことがない。これくらい大学の問題なんというものはもうあなた方からは軽視されているんだ、こう判断してもいいと思うのです。  それから局長は、先ほどの長谷川さんの質問に対して、密接に連絡をしたい、あるいは警察に対してできるだけ冷静にやってもらいたい。そんなことをいまさらここでもって言うようでは、国民が了解しませんよ。いち早く、こういう事態があったそうだがどうか、そういう連絡文部省のほうからもとるのが、私は正しいと思うのです。そしていま警察の問題については、どうも警備過剰じゃないかという批判が非常に強いわけです。それは、ただそういう批判だけではない。学生諸君を、先ほどからお話がありますように刺激をし、学生に挑戦をするというふうな形になってきておると私は思うのですよ。やはりそういう点をしょっちゅう連絡をとり、そうしてお互いの考え方を話し合う中で、局長が言ったように、できるだけ冷静に処置してもらいたいというふうなことは、当然話し合いされなければならないのですが、こういう事態が出ても何ら連絡をしていない。連絡をしてないばかりじゃない、いまお話を聞けば、まあ人から言われて将来するつもりであるというようなまことに無責任態度でおるから、この委員会でこうして取り上げて初めてもっと皆さんに慎重になってもらうことができるだろうと思って、きょうの委員会というのは非常に重大視しているわけなんです。大臣、御答弁があるなら……。
  31. 坂田道太

    坂田国務大臣 ふだんこういうような事件が起こりました場合は、直ちに電話その他によりまして、警察庁文部省とは緊密な連絡をとっておるわけです。そのことはひとつ申し上げておきたいし、また、この問題につきましても、けさほど来連絡はとっておるわけです。ただ、文部省として皆さま方に、文部大臣として御報告なりあるいはお答えをする場合は、やはりわれわれのルートを通しまして直接大学当局からの報告を求めて、それについての報告を申し上げるということが筋合いかと考えております。  それからまた、最近の大学問題一般につきまして、いろいろな問題が起きてくるわけでございますが、それにつきましては、文部省警察庁の間におきましては、定期的に情報の交換等もやっておるわけでございまして、その点はひとつ小林委員も御安心していただきたいというふうに思うわけでございます。
  32. 小林信一

    小林委員 いま大臣は、けさ方連絡をとったと、こう言われるのですが、警察庁のほうでは連絡したことはない……(坂田国務大臣「ですから、まだよくわからないのです」と呼ぶ)そんなばく然たることでなくて、はっきりしてもらいたいと思うのです。とにかくいまの両者の御答弁からは、さほど問題視しておらないという印象を受けることは当然だと思うのですが、そういうことがないようにひとつお願いしたいと思うのですよ。  そこで大臣にお伺いしたいのですが、私ども、この次官通達が出たときに、当該委員会としていち早くこの問題について取り上げ、そして私どもが最も心配する点をどういうふうに扱うかということについてお聞きしたかったわけですけれども、残念ながらそういう機会が与えられずに今日まできて、こういう事態が出て初めて質問を申し上げるわけですが、警察の判断で大学問題は警察行動をとってよろしいということが、今度の一番心配になる点かもしれないと思うのです。先ほど局長答弁の中では、別に警察行動に対して云々言っているわけではない。あくまでも大学文部省との関係を言っただけであるとは言いますけれども、あの文章を読めば、従来大学警察関係というものは二十年来の慣例というものでもって措置されておったわけですが、しかし、そういうものも治外法権ではないというところを強調して、警察の判断でやってよろしいというようなものが強く印象づけられておるわけですが、そういう点から問題が起きやしないか、こう考えているのですが、最近そういう傾向が非常に強くなってきた。これに対して大臣としては、通達の成果というふうなものをどうお考えになっておいでになるか、まずお聞きしたいと思うのです。
  33. 坂田道太

    坂田国務大臣 あの通達の問題につきましては、ただいま村山局長から申し上げたとおりなんでございますが、従来、ともいたしますると、大学当局警察アレルギーを持ち過ぎておるがために、当然警察力を要請しなければならないにもかかわらず、それをためらうというような風潮もございまして、不法な状況というものがそのままに続くということであったことも、これは事実でございます。そういうような意味合いにおきまして、あの通達の趣旨というものを徹底さして、大学といえども治外法権の場ではないということをはっきりいたしたわけであります。しかし、それ自体は二十五年のときもそう変わってはおらないのでございますけれども、しかし、そういう風潮もあるので、あらためてこの通達を出したわけでございます。しかし、そのことは同時に、警察官がみだりに、あるいはそのことを乱用して大学内にいつでも入ってよろしいということではございません。また、たとえば不法なことがあったにいたしましても、十分大学というところを考えていただいて、慎重にやっていただくということがその趣旨でございますし、また、警察当局におかれましても、その第一線の指揮をされる人たちでも、その心がまえは十分持っていただきたいというふうに考える次第でございます。
  34. 小林信一

    小林委員 今度局長にお伺いしますが、次官通達の成果はどうですか。どういうふうに判断しておりますか。
  35. 村山松雄

    村山(松)政府委員 次官通達によりまして特に目に見えてどこがどうなったというようなものは必ずしも明確でございません。しかし、従来も大学で、大学内の暴力的な行為等が規制できない場合には、警察に要請することも否定はしていなかったわけでありますけれども、何かそういうことをやることがあたかも大学自治を侵害することであるかのような誤解があって、かなかなかやりにくかったという事実は、これも具体的にどれがそういうことに該当するかということになりますと、なかなか的確には申し上げられませんが、一般的にそういう風潮があったことはいなめない点がございました。そういう大学の自治というものから、本来大学で規制できないような暴力事犯があっても、警察に依頼することをちゅうちょするという気風は、この通達によって若干改まったのではないかと思います。その後、東京大学でありますとか、電気通信大学でありますとか、暴力事犯が発生したような場合、あるいは大学として規制できないような秩序の混乱があるような場合には、適時適切に警察力の導入をしておるという事実がございます。そういう点が、この次官通達で誤解を解き、大学の決断を助けるという効果はあったのではなかろうか、かように考えております。
  36. 小林信一

    小林委員 あなたの最初の答弁に、この成果の検討というものは云々ということがあったのですが、あの御答弁を聞くと、この次官通達というのは何のために出したんだというようなことを最初非常に疑義を持ったわけですが、まだそういう印象というものが残っているような気がします。何かある力があって、文部省何をしておるんだというようなところの声を受けて、あの通達を出さざるを得なかったという文部省の苦衷を私ども聞いておるのですが、やはりそういうものがこの通達の本旨であって、この通達によって大学の問題を処置しようというようなものでなかったような印象も強いわけです。それから、こういう通達を出すからには、これは一方の問題であって、文部省のもっとしなければならぬのは、大学要求されておるいわゆる行政的な面、そういうものが並行しなければならぬと思うのですが、そういうものがはたして通達を出すと同時に強化されてきたかどうか。あるいは今度のような問題でも、すぐに警察連絡をとるとか、委員会でもってこういうふうに質問をされる以前に、一般の文教行政と違った問題なんですから、文部省のだれかが飛んでいって学校の実情を聞くとか、こういう積極的な、意欲的なものがなければ、通達を出したりあるいは警察官が入って行ったりするだけではおさまらないと私は思うのです。われわれ政党人にも、そういうものがいま国民からきびしく要求されておりますよ。だから、そういうときにはそのつど私どもは現地へかけつける。これが私どもの習性になっている。ところが、文部省ではまだそういうような積極的な意欲というものがない。これじゃ通達は何のための通達であるか疑わざるを得ないわけです。そのことは時間がありませんからきょうは申し上げません。しかし、これはもっと論議すべきところだと思うのです。  そこで私は、長谷川委員と同じ問題を別に持っておりますので——私は飛び入りでございまして、飛び入りとは申しましても、決してこれは軽視されるべきものではない。緊急を要する問題だというので理事会にお願いして質問の時間をいただいたわけでありますが、しかし、予定をされておられます質問者が時間の制約を受けておりますので、残念ながら十分その内容をお尋ねすることができないかもしれません。先ほど長谷川委員からも、保留という形で、いずれも長官責任者に来ていただいて、そこで検討しようということになっておりますので、私もそのときに譲りたいと思いますが、アウトラインだけを申し上げて、文部省警察庁はどういうふうにとらえておられるかをお聞きしたいと思うのです。  おとといの晩ですが十一時半、10チャンネルのワイドニュース、これは必ず「秦豊でございます」というところから始まるのです。要するにアナウンサーの名前を出して放送していくのですが、私がはからずもそのニュースを聞いておりましたら、十一日の明治大学で行なわれました「バリケードスト一周年記念」という名前の、日大の学生が千五百人集まって集会を行なったという問題を取り上げたのです。これは相当混乱をしたようでございますが、それを放送する中で、はたしてこれは放送をしておるのが真実であるか、もし真実であるとするならば、これは非常に重大な問題だ。もしこれが真実でないとするならば、放送する人はこれは重大な責任がある。こう感じた問題があります。  内容を簡単に申し上げますと、その混乱の起きた最初は、確かに警察のほうから、機動隊のほうから最初ガス弾が発射された。見ておった者が全く意外に感じた。それに応じて初めて学生が投石をするようになってきた、こういうところから始まっているのですよ。そうして警察を強く誹謗するというふうなことばをなるべく避けながら、警察機動隊行動というものは、これはひどい。まあ、その中のことばを一つ申し上げれば、横から見るならば、この問題を側面から見るならば、何か、警察と何かが連絡がとれておられた一つ行動ではないかというふうに言っているのです。しかもさらに大学の中の問題まで放送をしておりますが、これは私、絶対警察庁もまた放送をされた方もお互い責任を持ってこの問題は解決をしなければいかぬと思うのです。私どもはこういうものを放送をされる、あるいはそういう行動をとった者を国会として放置することはできない。私はこういう一つの使命感を持っていま質問をしようとしておるのですが、それからきのうの新聞を見ました。あらゆる新聞をさがしたのですが、一つこの新聞だけ御紹介しますと、その機動隊行動を取り上げて、「便所にいた女子学生まで引きずり出して足げりにしたり、倒れ込んだ学生を踏みつけたり。」、こういうことをやはりテレビの放送でも言っておりました。もう過剰警備ということでなくて、どっちが暴力をふるっておるのかわからない、そういう表現をしておりました。そうして学生はそれに耐えかねて学校の中に逃げ込んだ。ヘルメットの学生三人が逃げ込んだというそれを理由に教室の中に機動隊が入って行った。学生のほうでは、いま勉強しておるのだから、責任者が来るまで待ってくれというような、そういう抗議までしておるのですが、その制止を聞かずに中に入って行って、そうして幾人かを逮捕した。簡単でございますが、こういうこと。とにかくこれは国民が聞けば、学生が乱暴するから無理もないのだ、こういうふうにとるかもしらぬし、ある者は、私のような者は、少なくとも冷静に見ていただく方は、これはもうたいへんなことになる。こういうふうに警察側態度に対して批判をしなければならぬような放送に私は聞いたし、それと、この新聞をあわせて見れば、先ほど間違いをしたというようなことは、もうこれから数限りなく出てくるだろう。決してこれは放置できないという感を持つわけなんです。私は、警察当局もいまの問題については苦心しておられるし、いかにしてこれを処置するかということでは、その責任を感じていろいろと悩んでおられると思うのです。思うけれども、それがいまのような放送、新聞、こういうふうなものから私が申し上げたようなことばが出ても差しつかえないのかどうか、そんなことないというならばない、あったとするならば、しかたがないというのか、あるいはさっきと同じように、今後改めるというのか、こういうことを私はお聞きしたいと思うのですが、しかし、この問題も時間がございませんので、お聞きするだけで、またあらためて御質問を申し上げます。  そこで文部省のほうには、こういうものがもし次官通達から生まれてくるとするならば、文部省にも私は大きな責任があると思う。通達を出して、そうしてなるべく密接な連絡をとりたい、警察には冷静に対処してもらいたいというような気持ちを持っておる文部省とするならば、文部省にもこういう事態が生まれた責任をとってもらわなければならぬ。こういうふうに思うのですが、御両者から一応の御意見を承って、予定されております質問者にかわりたいと思います。
  37. 後藤信義

    後藤説明員 いま先生お尋ねの、一昨日の日大の事件でございますが、これにつきましては、先生の御質問がございましたように、時間もないというお話がございましたので、あまり長くなるといかぬと思いますので、要点だけを申し上げたいと思います。  まず第一点は、先生お話の中に、ガス弾を撃ったということがそもそもの問題の始まりであるというふうにお話がございましたが、これは間違いでございます。これは学生のほうが無許可のデモをいたしましたために、これを規制する、そのことに端を発しまして、学生側が歩道の敷石を割ってこれを警察官に投げつけるというようなことがありましたためにガスを使っておるわけでございます。  それから、お読みになりました新聞、実は私まだ見ておらないのでございますが、便所の中の云々というのでございますが、これは手洗い所のところにおった女子学生が、入口のドアにしがみついておったというのを排除したという報告を受けておりますけれども、便所を無断に押し開いて引きずり出したというようなことではございませんし、また、これに対して暴行を働いたという事実もないようでございます。  なお盛んに暴力というようなことばをお使いになりましたが、警察のほうが積極的に暴力を使うということは、これはございませんで、それぞれの法規に従いまして警察警察法上負っております、またその他の法規によって負っております警察の責務を達成するために、これは法の執行に当たるわけでございますから、場合によりまして相手が非常に乱暴である場合には、これを制圧するに必要なる実力行使をすることはございますけれども、これを越えて、さらにあるいはまたこちらから挑発的に襲いかかるなどというようなことは、そういう指導もしておりませんし、また、そういう事実はございません。  それから、先ほど長谷川先生質問の中にございましたが、全般的に何かきのうの問題がたいへん次官通達との関連で問題になっておるとか、あるいはそのことによって警察がたいへん高姿勢になったがというようなお疑いのようでございますけれども、これはすでに文部省当局からお話がございましたように、私どもは次官通達によって法の執行を云々するものではございません。これは次官通達があろうがあるまいが、警察は、その責務とするところを法令の命ずるところに従ってやっておるわけでございまして、次官通達が、そのことによって警察官に特別な権限を与えるものでもなければ、また従来持っておったところの権限を縮小するものでもあり得ない。次官通達はそれぞれの法規に従ってやっておるものにすぎない、かように理解をしておるわけでございます。  それからなお、長谷川先生質問に実は長く触れませんでしたけれども先生は、署長学長とが出ておるのだから、署長と話し合えばいいではないかというお話でございましたが、冒頭に私御説明申し上げました中に触れたわけでございますが、所轄の小金井の警察署長は現場に到着しておるわけでございます。そしてその鉄の門をはさんで警察官が取り囲まれて押しつけられておるという状態を見ておるわけでございまして、これは学長警察署長とが十分に話し合えばわかるというようなものではございませんし、その発端はなるほど間違いでございましたけれども、間違ったからそれを確かめ学生側に聞きに行ったのではなくて、学校当局に対してこういうことがあるのだがということを聞きに行ったのでありますから、これをとらえて不法に侵入したなどというようなことは全く言いがかりにすぎない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  38. 村山松雄

    村山(松)政府委員 前にも申し上げましたように、せんだっての次官通達は、まず大学が学内の正常な秩序維持に全力をあげることを要請し、学内秩序の維持について大学で手に余るようなことがあれば警察への協力を適時適切に要請してほしいということをいっておるだけでありまして、したがいまして、大学側立場のほうをいっておるわけでありまして、これによって警察力のほうを拡大したりあるいは規制したりするものではございません。そこでこの効果としては、先ほども申し上げましたように、若干の大学では顕著に学内秩序の維持について従前より一段と努力のあとが見られますし、また、不法事犯が起こったような場合の警察への協力関係も若干改善されておるように思います。一方、大学側がそういう情勢になってくれば、警察のほうも一そう行動には慎重を期せられまして、要は学内秩序の維持につきまして警察は適時適切にまた御協力いただきたい、かように存ずる次第でございます。
  39. 小林信一

    小林委員 あとで質問しようと思ったんですが、いまの警察の御答弁、これはいずれ黒白を明確にしなければならぬと思う。次官通達に云々されないと言いますけれども、次官通達が出てからのあなた方の行動というのは、それ以前の行動とは全然違っているんだ。それはもうあなた方が何と弁解しても、世間はそう見ていますよ。また、そういう態度が見えているんだ。このニュースの中で言ったことばをもう一つ聞いてください。「かかれ」という号令でというふうな、そういうあなた方が指揮する場合の状況まで詳しく報道しているんです。そうしてそのときの機動隊の表情まで出しておる。引きつった顔とか血走った目とか、そういう状況まで、放送する人はとらえてやっているんですよ。まさか虚偽の報道はしないと私は思う。そしてめったにこういうことはしないと思うのですよ。あまりに最近あなた方の行動が目に余るものがある。これではかえって治安を維持するんじゃなくて、ほんとうに国民を敵に回して何か行動しておるような印象を国民に与える。もちろん当事者である学生諸君がこれに対してどういう反応を示すか、そういう点を心配したあまりに報道をしたように私は受け取ったわけです。それは虚偽であるとするならば、私はもう少しこの事態というのを明確にして、そうして報道が間違っておるのか、あなたが答弁しておることが間違っておるのか、それを明確にしなければならぬと思うのです。  それから、便所の戸にしがみついておる女子学生を排除した、そういうことばを使いますが、それが外部から見れば、あまりにあなた方の行動というのはひど過ぎる。とにかく新聞に一これは朝日新聞ですから、あなたも帰って見てください。「足げりにしたり、倒れ込んだ学生を踏みつけたり。」、これだってよけいな表現を新聞社はしないと思うのです。これでは少し行き過ぎじゃないかというところから出ていることばだと思うのです。あなたは一切否定している。なおその態度を続けるかどうか、それだけ答弁してください。
  40. 後藤信義

    後藤説明員 私、先ほど申し上げましたように、罪を行なっている者が乱暴を働くという場合には、これを制圧するために必要なる実力を行使することは警察として当然でございます。さようでございますから、ある場面において、ある特定の、長いフィルムのたとえば、恐縮でございますが、長く続いておる一連の行為のある一カ所だけを取り上げて、その段階において警察官が相手を制圧しているという状態をとらえて乱暴であるというようなことを言われたのでは、これは警察はちっとも責任を果たすことはできない、こういうふうに私は思います。やはり悪いことをしている者は取り締まる、これをつかまえることが警察の責務でございます。これを果たさないで、相手が乱暴しているときには黙って見ているということは許されない、こういうふうに考えます。
  41. 小林信一

    小林委員 私の言っておることが、黙って見ておれという態度でもってあなたに質問しておるというふうにとられる、けしからぬ。それから、あなたは単にその問題を鎮圧すればいい、それ以外にないのですよ。そのあなた方の行動が、あの場面を見ておる国民にどういう印象を与え、そこに行動しておる学生に将来どういう問題を起こすか、そういうことも考慮しなければならぬのが学生に対処する警察態度でなければならぬと思うのです。その問題だけを処理すればいい、そういう態度なら、それでもってひとつ今後話し合いをしましょう。  終わります。
  42. 大坪保雄

    大坪委員長 帆足計君。
  43. 帆足計

    ○帆足委員 敬愛する委員長並びに文部大臣に申し上げますが、私がきょう御質問申し上げようと思っておりましたのは、子供たちの死亡率に関する問題でありまして、その最高の死亡率が事故による死亡、第二が幼児のガンであるということを知りまして心を痛めておるのでございます。この問題につきましては党派を越えた問題でございますから、ひとつ十分に対策を講じていただきたいと思いまして、私は癌研究会、学会の年次報告並びにイギリス、アメリカのガンの最近の情勢とガンに対する対策、それから日本の国内における幼児ガンに対する対策の状況について、ガン病棟にも参りまして詳しく見てまいりました。これに対する施設がおくれておることにつきましてこれから御報告いたしまして、切に政府当局の御理解と、与党の敬愛する委員の深い御理解を願いたいのでございます。  ところが、ただいま緊急に起こりました警察問題に端を発しまして、すでに時間が過ぎまして、一体この事故による死亡の問題とガンの死亡の問題をどこまで御報告申し上げ、また問いただすことがで寺、御要望申し上げることができるか、時間の関係を非常に心配しておりますが、ただいま警察庁関係との質疑応答を聞いていますると、私はこの問題は議員としてどうしてもこれは黙っておれない問題でもあるし、また与党議員の方にも聞いてもらわなければならぬことであるということを痛感しましたので、まず一、二分ちょっと感想を述べさせていただきたいのです。  私の親友の先輩の弁護士の方が、ウィスコンシンでしたかコネチカットの州でしたか、アメリカの警察学校に参りまして、そして機動隊が群衆の蜂起するのをおさめるための教育を見てまいりました。その教育状況を見てまいりまして感慨深く私に報告したことがありますから、一言参考までに申し上げますが、御承知のようにアメリカのワシントンの親友といわれる独立宣言を起草したジェファーソンは、民衆には抵抗の権利があるということを言っております。それはアメリカ憲法の精神になっております。平素羊のようにおとなしい学生や市民がまるでオオカミのようにあばれるのはなぜであろうか。きばをむき出してあばれるのはなぜであろうか。それに対しましてジェファーソンは、それは何か原因があるからである。すなわち、おわかりのように、たとえば夏になりますと、長い暑い夏には毎年ニューヨークで黒人の暴動が起こります。その原因は、もう申すまでもなくおわかりでしょう。また、かつて富山から始まって米騒動が起こりました。その原因も言わずして明らかでございましょう。すなわち、はしかになるのにははしかになる原因があって、そして熱が高くなり発しんするのでございます。このはしかの患者に対して、氷とやいばをもって包んだところで病気は悪化いたしまして、まず肺炎になり、そして抵抗性が衰えて幼児結核及び不治の結核になるのでございます。この場合には毛布であたためて十分に発汗させろ、発汗療法が必要でございます。したがいまして、今日学生問題も、その原因確かめて、はしかに対する対策と同じように、毛布であたため、かわいがり、発汗療法をし、緩急よろしきを得ねばなりませんから、短期間でたちまちにして名対策を講ずることは、いかなる名医といえどもできないから、文部大臣におかれてはひとつ慎重な御審議を願いたいと思っておりますが、そのときの友人のことばでは、アメリカの警察大学では、警察官は、大衆が蜂起したときにはそれぞれ理由のあることであるから、それが蔓延し、けが人が出ることを防ぐために消極的抵抗をすることにしている。そして警察官はみんなたてとヘルメットをかぶってじっと伏せまして、一斉に群衆にかわらを投げさせます。それからごみあくたを投げさせますのをじっとがまんさせまして、最後にはふん尿から卵の腐ったものまで投げさせまして、なおかつ忍耐する練習をさせておるのを見まして、驚くべきものである、アメリカと一言で言って、アメリカが今日腐っているように言うけれども、こういう健全なワシントン、ジェファーソンの伝統のある州もある。さすがはケネディを生んだ国である。こう言って私の友人は感嘆いたしました。そのような精神が日本警察にありやいなや。私は二十年前、戦争の終結を早からしめようとして、いささか山本元帥と相通ずるところありまして、そして荻外荘に近衛公と連絡したゆえに憲兵隊にぶち込まれましたが、そのときに警察当局は、私を拷問するだけでなくて、うそをつくれ、警察はうそが大好きだよ、うそを書いてくれないと調書がまとまらぬから困るじゃないか、こう公然と言ったのであります。私は、なんじはさむらいの情けも知らないやつであるかと言って軽べつしましたけれども、直ちに水をかけ、しないでなぐる。そのようなことが今日でも警察で行なわれておりまして、裁判所はまだ信頼し得ますけれども警察では公然と拷問が行なわれ、検事に至っては、人を死刑にしながら、なおその証拠物件を隠して、それも無意識で隠したのならやむを得ません、人にはあやまちがありますから。意識的に隠したやつが懲罰にもならず、懲役にもならずにまだ活躍しておるのです。  私はこういうことを一番心配いたしますので、一言だけお尋ねいたしますが、一体機動隊の諸君はどこで教育をしているのか、それから警察学校警察庁教育をしておるのか、文部省とは関係があるのかないのか、学校と言いますからちょっとお尋ねしておいて、できますならば文教委員の資格をもって機動隊教育警察学校教育を一度見学したいと思っております。と申しますのは、先日ある小さなデモがありましたときに、このおとなしい私をつかまえて、紳士をつかまえて、間違えたのでょううね、ぐんぐん引っぱるから、おれは国会議員だよと言ったら、議員もくそもあるものかと言うので、失礼なことを言うじゃないか、院内に来たまえ。そうしたら、丸ノ内警察の顔見知りの次長が飛んできて、帆足さん、それは失礼しました、失礼しましたと言われましたけれども、そのとき私を引っぱった小僧の顔を見ますると、これは全く無知文盲、白痴、冷血動物、爬虫類、モモンガ、こういうのがたくさん群れをなしてやって来るのでありますから、これはよほど——警察当局の方がお見えですけれども、公安委員会のお考えのように教育が徹底しておりません。世界人権憲章もアブラハム・リンカーンの名もジェファーソンの名も、それから新日本憲法の人権憲章もおそらく教育されてないのではなかろうかと疑われる余地がありますから、文部省といたしましても、学校という名がつく以上は、機動隊教育及び警察官教育はどう行なわれておるか、われわれ文教委員といたしまして一度視察し、訓戒を施し、できるだけ適切な指導をする必要があることを痛感しておりますから、一言申し上げておきます。  ところで、教育指導権のほうは文部省にはないのでございますか、それだけお尋ねして本論に入ります。
  44. 坂田道太

    坂田国務大臣 警察官それ自体の教育文部省ではやっていないわけでございますけれども、御案内のとおりに、小学校、中学校、高等学校、そしてまた大学等におきまして教育をした者がやはり警察官になるわけでございます。やはりそういうような良識ある非常に全人的教育というものがなされなければならない。これは単に警察官だけではないわけでございますけれども、特に警察官として職業を持たれる方については、いまお話しになりましたようなことを十分考え教育に当たらなければならないというふうに、一般的には考えるわけでございます。
  45. 帆足計

    ○帆足委員 そういう御答弁でございますが、そのときの経験では、小学校だけ出ました貧農の者が憲兵になりましたときは非常に拷問がひどかったです。中学校を出た者はひどい拷問をいたしませんでした。ですから、まず拷問の度合いをはかりますためには、あれは小学校出か中学校出かということを聞きまして、小学校出のときは覚悟をきめて参りました。中学校を出ていればやや教養があって、多少は話がわかる。それほど教育の効果というものは偉大なものでございます。いずれ長官を呼びまして、関連事項といたしまして警察学校を見学させていただきますから、そのように御準備のほどをお願いいたします。  本論に入りまして、子供の死亡というものは痛ましいものでございまして、人は、われら七たび生まれて祖国に報ずといいますけれども、人は七たび生まれるものではありません。一度死ねば魂魄となる。それで靖国神社に参りましても、決して永遠の命が続くものではありませんから、人の命が二つ、三つあれば、警察官が相当乱暴してもけっこうですし、引きずり回してもけっこうですけれども、一億年に一度ある人の命ですから、人の命は地球より重いといわれております。ですから大切にいたさなければなりません。私どもは限りある命でありますけれども、子供たちを通じて民族永遠の命に連なり、そして人類永遠の生命に連なるのでありますから、子供がわれわれのただ一つの希望でございます。私の政治スローガンである「政治は母と子のために」というのは、もう人口に膾炙し、有名なスローガンでございますが、ほんとうに心からそう思っておるのでございます。  先日統計を見せていただきましたが、肝をつぶさんばかりに驚きましたことは、子供の死亡率では、事故による死亡が第一位、ガンによる死亡が第二位、病気における死亡率の中ではガンによる死亡が第一位、私はこのことを知ってほんとうに夜の目も寝られないくらいショックを受けたのでございます。  これよりさきに、私の友人で毎日新聞の論説委員をつとめておられる杉本要吉氏がお子さまをガンでなくされたということで、私は「サンデー毎日」でそれを見まして、このよき友に久しくお目にかからないときにこのような悲劇があったかと、ほんとうに驚いたのでございます。そして、「ママぼくの病気はガンなの?」という書物を読みまして、一そう胸を打たれました。  したがいまして、まず二つの重要な問題があります。一つは、事故による死亡率が最高、これは防げないものであるかどうか、そして文部当局はこれを対岸の火災視しておってよいものかどうか、その原因確かめ、その対策を講ずるならば、私は大半は防ぎ得るものであると思うのでございます。したがいまして、特に与党議員の皆さまのお力添えをいただきまして、それに必要な施策、必要な予算をとっていただきたいと思います。  第二に、幼児ガンにつきまして、私は癌研究所の幼児病棟に参りまして詳細に専門の医師に聞いてまいりまして、その結果を御報告いたしますが、これも皆さんの御協力と御理解があればある程度防ぎ得るものでございます。したがいまして、子供のことになりますと、お互いに国会では時として怒号いたしますけれども、わが子のこととなればPTAでは皆さんとよき友でございますから、それはもう党派の問題なしに申し上げたいと思うのでございますから、そのような御寛大な気持ちでお聞き取りを願いたいと思います。不幸にして時間もさほどありませんから、もし時間が切れましたならば、ガンの問題を先にいたしまして、事故の問題は優先的に次の機会に譲っていただくよう委員長の御了解を得たいと思うのでございます。  ガンの死亡率が第一位になりましたのは戦後のことでございます。これと同じ趨勢はイギリスにもアメリカにも見られるのでございます。そしてそのガンの痛ましいことは御承知のとおりでございますけれども、老人がガンで苦しんでそして死にます。その死亡率の高いことは皆さま御承知のとおりでございますし、やがてわれらも宿敵に遭遇せねばならぬことと思いますけれども、大体よいこともし尽くしたけれども、悪いこともし尽くしたわれらのことでございますから、年貢の納めどきと思うてがまんしていただくことにいたしましょう。しかし、四つ、五つの子供から十前後の子供がなぜガンのために苦しんで死ななくてはならぬでしょう。「ママぼくの病気はガンなの?」というこの表題は親の心を泣かしむるものがあるのでございます。したがいまして、御理解深い文教委員の皆さまにあえて訴え、皆さまのお力をかりるために私はきょう質問するのでありまして、与党、野党の関係質問するのでないので、皆さまは、われらの親しい友だちの一人がこの問題を調べて訴えておるというお心持ちでおくみ取りくださいますことを切にお願いしたいのでございます。  まず第一に、杉本要吉氏の著書によりますと、その結論のところに、私たちが自分の子供を失って、そして一番深く経験から反省したことは、「自分の子供でもガンになりうるということ。」その蓋然率が最近非常に大きくなったということ、そしてもちろん、子供にもガンがあるということは、観念的には知っていたけれども、しかも自分は親戚に医者が多く、弟さんが二人お医者さまでもあったのに、しかもこの健康な子供がガンになろうとは夢にも思っていなかった。まさか自分の子供がガンになろうとは夢にも思っていなかった。子供にもガンがあることを知ることがその対策の第一であろう、こう言われておりますけれども、わが衆議院におきましても、子供にガンがあるということ、そのガンが事故を除いて病気の死亡率の第一位であることを私どもがともどもに知ること、これは最も必要なことであろうと思うのでございます。  そこで一つには、当局に質問というよりも要望し、かつ質問いたし、また希望もいたすのでございます。そういたしますと、ガンについては病気のことだから文教委員関係ないと思われる方があるとしたならば、ちょっと体温計で平熱であるかどうか熱を計っていただかなければ、万一、三十四度、冷血動物であられるならば何をかいわんやであります。子供に対して文部当局はすべてに対して責任を持たねばならぬ。直接の担当でないときには関係官庁と協議をせねばなりません。したがいまして、きょうは厚生省からも来ていただき、また関係各省からも来ていただきましてお聞き取りを願い、お答えを願いたいのでございますけれども、このガンが最初にわが国において問題になりましたのは明治四十一年のことといわれております。当時わが国におきまして癌研究会設立の議が起こりましたけれども、「我邦ニ於テモ、亦小児ニ癌テフ病ナカルベカラズ」、当時の東京医科大学小児科の三輪信太郎博士はこう書いております。そうして「然ルニ余輩小児科ヲ専攻スル者、未ダ之ニ接セザルハ遺憾ナリ、精査多年怠ルコトナクンバ、之ヲ発見スルノ機アルベシト」、当時はそのように書いてありまして、ガンの子供を発見することも困難な程度でございました。しかるに今日ではガンが幼児、少年の病気の第一位になっておるということは驚くべき問題でありまして、当然文教委員会としては取り上げねばならぬ重要な問題でございます。  問題はいろいろございますが、順を追うて御要望も申し上げ、御質問もいたしたいのでございますが、お手元に統計表を差し上げたらよろしいのでありますが、若干数持ってまいりまして、あとはこの写しを文部省当局の事務局においてつくりまして、後ほど委員各位に小児ガン統計を差し上げていただきたいと思います。  今日のところ、小児ガンに対する対策はおとなのガンに対しますよりも相当進んでおります。したがいまして、早期に発見し、対策よろしきを得ますならばある程度の成果をおさめることはできるのでございます。それから五十、六十の成人がガンになりました場合には、さまざまな人生の経験をしてまいっておりますから、その内容は複雑でございますけれども、二歳、三歳の子供たちがガンになりました場合には、まことに純粋な形でガンがあらわれてくるのでございますから、病理の追跡をすることは、それはガン全体の追跡ともつながり得るものでございます。もちろん、子供をこのための実験の具にするということの意味ではいささかもございません。  まず、政府当局のほうにお願いいたしたいことは、今日子供のガンが年間千五百人程度と推察されておりますけれども、厚生省のほうでお聞き取りになりまして、私の申し上げることにあやまちがありましたならばまた御訂正を願いますが、文部省当局においても御存じのことと思います。しかし、小児ガンに対する専門医は僅々数名と伺っておりまして、小児病棟のあります場所は、東京のがんセンターだけでございます。その小児病棟もわずか十数名の患者を引き取ることができるだけでありまして、年々千数百名の命を失うこの幼い者たちは、専門に治療する医者もなく専門の病棟も持っておらないのが今日の現状でございます。したがいまして、文部大臣並びに厚生省当局に切に御注意を促しまして、小児ガンに対する対策について、具体的設備、それから早期発見、予防策等につきまして、系統的な対策を立てていただきたいと思うのでございます。  また、その小児ガンの原因は何であるかとなると、これもまだはっきりいたしておりません。しかし、明治時代の空気の清らかであったころはガンがほとんどなく、現在急激に、特に東京においてふえておりますところを見ると、やはり空気の汚染、特にタール物質の刺激、それからいま物価委員会で問題になっております。食品添加物の影響等が大きくはないかとわれわれは想像いたしております。(「質問の要点は何だ。」と呼ぶ者あり)私は政府の生徒でありませんから質問するだけはいたしません。ときには教え、ときには問い、また問いただし、要望いたすのが議員の仕事でございますから、それは議員各位の、特に理事各位の品位を見習いまして、私もそういう議員でありたいと思いまして、決して役人の生徒ではございませんから、質問するだけはいたしません。ときには問い、要望し、疑問を発し、ときには愚問を発することもございます。  それで、治療に関する施設がおくれておりますのは、大体二億円くらいのガンに対する治療設備が、その予算のためもあって小児ガンに対する対策が困難であるとも聞いております。それから化学療法は、小児ガンにおいては成人に比べて非常に効果があることも伺っておりますが、それを十分使いますためにはやはり専門医が必要でありすす。また、その専門委のセンターがどうしてもなくてはなりません。たとえば東京の小児病院に小児ガン対策があるかというと、私はないように聞いておりますが、がんセンターにやっと病床が十数床あるにすぎないという現状はあまりにもおくれておる。したがいまして、これを文教委員会として放置しておくことはできません。子供というものは学齢から後を子供というから、学齢以下の者はこれは文部省責任でないなどというやぼなことはわれわれは考えておりません。学齢以下の者でありましたならば、幼稚園とか託児所のほうは厚生省と相談するし、学齢以後文部省の担当しております分野におきましても、非常に大きな率のガンの患者が出ておるわけでございますから、したがいまして、きょう御質問申し上げました結果に基づきまして、適切な注意を、学校先生、父兄に小児ガン対策について必要な知識、啓蒙の必要があるとしまするならば、文部省からそれを出していただきたいと思うのでございます。  ただいま申し上げましたことにつきまして、とりあえず文部省当局並びに厚生省当局から、御説明なり御答弁なりいただいて、あと今度具体的に御質問したいと思います。
  46. 木田宏

    ○木田政府委員 小児のガンの問題につきましては、いま帆足委員御指摘のとおり、最近その死亡件数がふえてまいっております。文部省におきましては、これは体育局の所管ではございませんけれども、従来からガンの研究体制の整備ということにつきまして、国立大学を中心に過去約十年近くかなり体制を整えてまいりました。また、科学研究費につきましても四十三年度三億、また、国立大学関係においてガンの対策費として四十四年度には十二億程度の予算をつぎ込んでまいっておりますので、このガンに対します研究体制の一環として小児ガンに対します研究も進められていくことと思います。小児ガンが年少の子供たちをおかしますことは非常に不幸だと思うのでございますけれども、現在のところ、そのことについての理解を子供に与えることにつきましてはいかがであろうかと思っております。教育の保健の学習の内容といたしまして、中学校段階ではガンのことにつきましても指導をいたしておるわけでございますが、それはいまのガンの発生状況にかんがみまして、比較的老年の病気としての知識を子供に与えておるわけでございます。また、御意見ではございましたけれども、年少の子供自体にガンの話をいたしましても、現在の段階でどの程度予防できることであるかどうか、これは子供自体のワクを越えた課題であろうかと思いますので、むしろ父兄並びに関係者に対する指導の問題として私ども考えてまいりたいと思います。
  47. 滝沢正

    ○滝沢説明員 ただいま先生からいろいろ御指摘のありました中で、特に小児ガンの中できわめて重要な課題になる白血病につきましての早期発見あるいは系統的な処理という御意見につきましては、たいへん大事な問題でございますが、ただいま文部当局からもお答えがございましたように、非常にむずかしい、子供の自覚等からは得がたいことでございますので、むしろ医師の側の研修と申しますか、ガン対策全体に対するわが国の医師の研修の中で特に小児を抜き出した研修の点は、確かに実行の上で少し弱い面がございますので、この点は御意見のとおり強化してまいりたいと考えております。  それから、がんセンターに小児病棟は確かに十数ベッドしかございませんが、国立の小児病院にも実行の上で小児ガンの患者を受け入れております。ただ、放射線療法その他の設備が必ずしも整っておりませんので、この点につきましては、今後の対策として検討いたしていく所存でございます。  その他、一般化学療法等の問題につきまして、多額の経費を必要とするというような点が一つ問題としてございますが、この点につきましては、厚生省といたしましても、民間の御協力もあり、今後制度として確立いたしてまいりますように検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  48. 帆足計

    ○帆足委員 厚生省当局の小児ガンに対する御努力は、私は非常に不足しておると思うのです。大体厚生省というのは宮中席次第一位でなければならぬはずのものが、何だかいくじがなくて、予算は取れないし、それから大臣は始終かわるし、ガンのことなど知っている大臣は、前の園田さんは非常にりっぱな人で、熱心でした。しかし、いまの大臣は、どろぼうをつかまえる専門家の方だと伺っておりますが、どろぼうをつかまえる専門家がはたして適任であるかどうか。これは忍術使いですからね、ガンというのは。たぶんウイルスであろうと想像されて、目下追跡中のものでございます。そのために厚生大臣にお尋ねしたいという気持ちも起こらないというほど、ガンと縁が遠い。ところが、ヒューマニストは非常にガンと対立しておりますから、ヒューマニスト園田さんはこの問題に非常に熱心でした。私は、この人がもう三、四年続いたら、ガン対策はよほど進むのであろうかと期待していたのです。もちろん、いまの厚生大臣も心をあらためて——どろぼうをつかまえるのと、ガンをつかまえるのとちょっと方法論が違いますからね。そこで坂田大臣に期待をいたしまして、厚生省の短を補っていただかねばならぬ。というのは、対象はやはり子供ですからね。文部省日本の子供を全部預かっておる。厚生省の敷居の中にも少し踏み込んでいって——厚生省は大体いくじなしですよ。厚生省というのは生を厚くする省でありますけれども、生を薄くするほうの薄生省ですね。薄情省かもしらぬ。というのは、いまの厚生省の、御出席の諸兄は、これは例外でりっぱな方でありますけれども、しかし、もともと警視庁、内務省出身の方が多い。その伝統というものは、やはりこれは根深いものでありまして家柄が、まあ悪い。家柄が悪いといえば、これは民主主義的でありませんから、教育によって家柄を直すことはできますから、勉強によって厚生省は厚生省らしくなるよう私は希望するのでございます。  まず、私は、小児ガンに対する対策を、ただかわいそうだからというだけでなくて、やはり科学的に対策を立てること、それから予算の裏づけがなくてはなりません。ガン病棟に行ってまいりましたら、年千五百人ぐらいの小児ガンが出ている。それに対してがんセンターで引き取れる数はわずかに、何人ですか、十数人でしょう、ちょっとその数を、これはメンタルテストのために。
  49. 滝沢正

    ○滝沢説明員 先ほど申し上げましたように、がんセンターに十六床用意いたしておりまして、小児病院でも大体十五名程度の小児ガンの患者を収容いたしております。
  50. 帆足計

    ○帆足委員 千五百名の小児ガンに対して十五名とはこれいかに。これは分数の方程式でまいりますと何%になりますか、ひとつお答えを。あまり数が小さいので私の頭もぼうっとして……。
  51. 滝沢正

    ○滝沢説明員 おっしゃるとおり、千五百名の患者の十数名というのは百分の一ということになるわけでございますが、これは全国の国立以外の病院の小児病棟にも、小児ガンの患者が収容されておりますが、先ほど御指摘のように、専門医の養成ということによって、早期発見と効果のある治療が系統的にできるように努力いたすということで、まあ、量的な面もございますけれども、ただいま質的な面からも充実をはかる必要があると考えております。
  52. 帆足計

    ○帆足委員 そういう百分の一というようなことで御満足なのでしょうか。また、全国にあると言いますけれども、地方で小児ガン対策をなし得るほどのがんセンターは幾つございますか。私は無学にして、私の聞いております限りでは、東京の築地のがんセンターでやっと十数名ですからね。あとの地方で小児ガンの専門家で信頼に値する人が何人おるか。ネグリジブルではあるまいか。ほとんど聞いたことがございません。見たこともありません。そういう状況——あなたを責めるのじゃないのです。あなたを責めたところで何にもならぬ。これは大臣を責めなければならぬので、激励をするために申し上げるのですが、激励するときは少しいやらしいことを言わねばなりません。したがいまして、御注意を促すために、帆足はこのような悪口を言うた、とてもこれはもう文教委員会に出る気はしない、大臣、何とかして予算をとってください、こう言いやすいために私は口ぎたなく言うのでありますが、千五百人の患者に対して——あなたは地方で治療する方法もあると言いましたが、一体何人ぐらい一つの病棟で地方では治療をいたしますか、お尋ねしたい。
  53. 滝沢正

    ○滝沢説明員 小児の病棟というものが、大体一般的には病院にできておる場合がありますが、中には小児患者を各病棟に分散させておる場合もございまして、必ずしも小児のガン患者が全国各地の病院にどの程度収容せられているかという実態については、ただいまつまびらかな資料を持ち合わせませんけれども、現実の問題といたしましては、この早期発見という診断の能力を高めて、子供が発熱し、あるいは貧血ぎみで不明な発熱であるというような状態というものについて、小児ガンであるというようなねらいを早く定めたり、医師の診断能力、関心を高めるということがたいへん大事でございまして、収容につきましての数字は、私、つまびらかにいたしませんけれども、国立の将来の考え方を申し上げますと、やはり国立病院は、他の病院と同様な診療のみに終始しては十分その目的を達成できませんので、がんセンターを中心にした地方がんセンターというものがただいま全国に九カ所ございまして、そのうち四カ所を国立が担当いたしております。それから国立を含めまして、全国に約百七十カ所のガン治療施設というものを厚生省の医務局の予算によって推進いたしておりまして、これは全部のガンというような表現になっておりまして、この中に小児ガンと特設、専門的に専門医を養成していくという施策については、先生御指摘のとおりたいへん乏しいので、今後この問題について力を注ぐ必要があるというふうに考えている次第であります。
  54. 帆足計

    ○帆足委員 私は、いまの御答弁、非常に残念だと思うのです。御勉強が足りないと言えば失礼なことになりますから、やはり役所としての御努力が足りない、あなたを助ける助け方が足りない、こう言えるでしょう。というのは、いまの答弁はごまかしでありまして、七十、八十のおやじがガンで死ぬのは、当分の間しかたがない。人口も過剰ですから、あきらめていただくといたしまして、いいことも悪いこともし尽くしておりますし、われわれもぼつぼつ近づきましたから、——ただいまのは失言といたしまして、やはりお互いに長生きいたしましょう。しかし、子供が三つ、四つでガンになって死ぬのは見ておれません。ただいまの御答弁は、地方のがんセンターで何人引き取っておるかということぐらいの統計はきょうお出しになってしかるべきでありますけれども、おそらくないのです。というのは、その名も高い東京のがんセンターの子供たちを私は見に行きましたら、やっと十八名くらいにふえたけれども、ほんのこの前まではおとなと一緒に一部の子供たちはいた。おとなたちが、もうぼくはあとどのくらいしかないとかなんとか言うのを、子供は敏感で案外賢いのです、厚生大臣よりも賢いかもしれません。したがいまして、子供はちゃんと聞いていて、自分の運命を知っているのです。その痛ましいことは言うにたえません。それで、子供の病棟は別にしていただきたい。東京ですら別になっていないのです。いわんや、あなたは地方のことを何かおっしゃいましたけれども、ほとんど治療していないのではないかと私は思います。子供を引き取って、子供純粋の病室があるというがんセンターが幾つあるでしょうか。おそらくほとんどないのじゃないでしょうか。ガンの専門医にしましても、いま塙博士やあと一、二の方を存じておりますけれども、私は寡聞にして、専門医の少ないことも非常に残念なことであると思っております。実情はこのようなことでございます。  したがいまして、私はあなた方の御努力に対して、きょうは激励会として発言をしておるものでございますから、あまりお気になさらないで、子供のガンに対する政策の貧困についてわれわれに訴え、われわれもまた、委員長にも聞いていただき、そして文部大臣にも聞いていただいて、文部大臣からまた厚生大臣に注意を促していただく、これがお互いの仕事であろうと思います。  それから、小児ガンの研究にとって、子供をおとなのガンのための実験材料にするという考え方はよくありません。しかし、六十、七十のおやじがガンで死ぬのは、まあ、おやじくたばったということにもなりますし、ずいぶんよいことも悪いことも浮き沈みしてきておりますから、その原因は発見が非常に困難でございます。しかし、四つ、五つまでの子供がガンになりますときは、その経歴が非常に簡単でございますから、そのガンの発生の原因、遺伝関係、環境関係等が非常に単純に把握できます。私は、病理学的にいえば、子供のガンをなおすことは人道的に最大のつとめであるばかりでなく、ガンの秘密の門を開く場所の一つだと思います。子供を大切にし何とか救うと同時に、そういうことも必要でございます。その例の一つといたしまして、網膜にできましたガンはいま手術でなおりますけれども、これは遺伝するそうでございます。この網膜ガンが遺伝するということは、ガンの病原菌の発見、また病理の発見について偉大なことを示唆しておるものであるまいかと私はかねて思っております。そういう研究に対して十分なる研究費を厚生省は提供しておりますかどうか、速記録に残して御検討を願いたい。  したがいまして、小児ガンの場合には、ガンの治癒に対する突破口を幼き者の犠牲において発見するということにもなると思います。しかし、幼き者の苦痛をとうといものにすること自身は、私はわれらのつとめだと思いますけれども、小児ガンを子供のガンだから取るに足らぬものであるなどとお考えにならないように、子供を粗末にする民族はやがて滅びる民族でございます。したがいまして、小児ガンの病床がたった十七、八しかないというような状況をまず改めていただくことを要求いたします。そして全国のがんセンターに小児病棟を置きまして、子供たちがおとなの話を聞いて胸を痛めることのないように、花や樹木で取り囲んで別棟にしていただくことが必要でないかと思います。  そういう御準備のためにどのくらいの人員、どのくらいの予算が要るということになれば、わが文教委員——私はかつて外務委員会におりましたけれども、どうも文教委員のほうがほんとう気持ちがいいのです。非常にヒューマニストがそろっておりまして、そしてけんかも少ない。外務委員ときたらけんかばかりしている。これは国際情勢の苦しさを代表しておりますから、あえてとがめるわけではございません。
  55. 大坪保雄

    大坪委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  56. 大坪保雄

    大坪委員長 速記を始めて。
  57. 帆足計

    ○帆足委員 そういうことでございますから、ひとつ厚生省当局も、どのくらい人間が要るか、予算が要るかということをお申し出くださいますれば、文部大臣もヒューマニストでおられるし、一緒に聞いておられますから、子供に関することですから、文部大臣の御協力も得て、小児ガンに対する予算を十分にとっていただきたい。  私は気が小さいものですから、急がれますとつい頭が混乱しまして結論が混乱いたしますが、急いで結論だけを申し上げます。  それから早期発見が大事なこと、先ほどお話が出ましたとおりでございます。早期発見をいたしますと、おとなのガンよりも子供のガンのほうがなおりやすいのでございます。特にこの学会の報告に出ておりますが、化学療法がおとなの倍以上子供によくきくのでございます。したがいまして、早期発見によって早く対策を講ずること、それからいまの網膜ガンにつきましては、不思議なことにこれは遺伝するのでございます。このガンだけが遺伝するということの中には、学問上非常に重要なサゼスチョンがあるのでございます。ウイルスとの関係もありましょうし、遺伝染色体との関係もありましょうから、こういうことのためにはやはり予算が必要でございますので、もっと予算の御審議を願いたいと思います。特に症状の背後にあるものを徹底的に研究し、試験し、実験し得るような設備をガン研につくっていただきたい。  それから計画的に専門病院をつくっていただきたい。現在多くの子供たちは、国立がんセンターに十二ベッドありましたのが最近十八になったそうでありますけれども、千数百名の子供たちはほとんどほったらかされておりまして、これは専門医でなければ手がつきません。その専門医の数も少ない。いわんや専門病院はほとんどないということでございます。特に放射線治療のリニアックが一台二億円するということでございます。しかし、これなどは国の予算から見ればたいした金額ではございません。やろうと思えばやれる金額でございます。交際費の金額七千億から見ればわずかなものでございますから、そういう悪い遊びをする連中からちょっと奢侈税でも取ればすぐ解決つきます。  それから子供病院ができて御同慶の至りでございますけれども、子供病院にがんセンターがございません。しかし、子供病院にがんセンターを固くがいいか、がんセンターに子供の病棟を置くがいいか、これは専門家の方が御研究なさることでしょう。ただ、玄関にがんセンターとかガン病院とか書いてありますから、子供がいち早くそれを見まして心を痛めるということは見るに忍びないことでございます。これについて特別の御考慮をお願いいたしたいと思います。  それからガンにつきましての費用は非常にかかります。したがいまして、健康保険におきましてもこれについて対策をお考えのほどお願いしたいと思います。  時間をせかれておりますので思うことが十分まかせませんが、それから、その他、東大病院のほか、日赤病院や慶応病院その他非常に優秀な病院がございますから、幼児ガン及び子供のガンにつきましてどういう病院に助成金を与え、そして子供の専門病棟をつくるか、まだ研究の余地もある、立地条件も考えねばなりません。これらのことを御研究くださいまして、厚生委員会並びに文教委員会にひとつ予算と人間の裏づけのある明るい原案提出を御要望申し上げますが、厚生省当局からはお出向かれたのでありますから、お帰りになりまして厚生大臣にしかとひとつ御報告を願います。担当の局課長としてどういうお考えか、一言伺いまして、さらに敬愛する文部大臣の御答弁を願いたいと思います。
  58. 坂田道太

    坂田国務大臣 帆足さんの小児ガンに対する切々たるお話は身にしみて感じておるわけでございます。われわれ文部省としましても、やはり小学校あるいは就学前あるいはまた母親の胎内にあるときから小児ガン等についての問題意識を持っていただかなきゃならないという課題かと考えております。  また同時に、ガンそのものについての研究体制という面について、国立大学その他の大学におきまして、ガンの原因あるいはその治療等について、これは世界的な関心事でございますし、何とか解決をはからなければならぬことは申すまでもないことでございます。この点につきましても十分な予算を計上いたしまして、一日も早くガンの正体を見きわめたいという決意を持っておることを申し上げまして、お答えにしたいと思います。
  59. 滝沢正

    ○滝沢説明員 初めから最後まで、非常にいろいろ御指示あるいは御要望ございまして、全く小児ガンの体制の今後のためにたいへん有益な御意見を賜ったものと、直接担当しております者としては非常に感謝申し上げる次第であります。なお、児童局、医務局、各方面関係いたしますので、今後の予算その他の上に具体的に反映してまいりますよう、努力いたしたいと思います。
  60. 帆足計

    ○帆足委員 これで終わりますが、公害です。小学校の窓ガラスをとりますと、タール物質が出てきます。それから有害飲食物、これはいま物価対策委員会、農林委員会でやっておりますが、これについて十分な御協力をお願いいたします。  それからもう一つは、子供がガンの状況を、親の話を横で聞き、患者の話を聞く、苦痛のために最後には泣き叫び、そうすると母親は一睡もできない状況になっております。したがいまして、その経費のために塗炭の苦しみにおちいる、また精神的にもうまいってしまう。この状況はもう見るにたえないものでございまして、おとなのガンもひどいのでございますけれども、わが子をガンにしたときの苦しみときたら、もう言語に絶するものでございます。したがいまして、この問題につきましても、設備の上でも救済の方法を講じ、健康保険においてもガンについては特別の御研究をお願いしたい。いずれ一、二カ月たちまして、御研究の結果を、そのときは秋霜烈日のごとき御質問を、時間をいただきまして申し上げますが、しかし、それとて互いに子供のためを思うためでありますから、党派のためではありませんから悪くおとりにならずに、今度はよほど準備してこないと、帆足計などという議員が文部委員全部の支援を受けて子供のガンについて満場一致で攻めてきているぞ、こういうふうに厚生大臣に御報告くださいますように、また文部大臣よろしくひとつ御協力くださいますようによろしくお願いいたします。
  61. 大坪保雄

    大坪委員長 次回は、来たる十八日水曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十七分散会