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菅野国務大臣 先ほどから
武部委員、また
村山委員からいろいろ
岩尾官房長の
論文について御批判がありましたが、私はこの
物価対策については、まず庁内の各職員からいろいろ
意見を聞きたいという考えをしております。したがって、庁内の各職員のいろいろの
意見を私のほうへ提言してもらって、それによって私が取りまとめたいという考えをしておりますので、
岩尾君のこの
論文もその
一つの
意見だと思っておるのであります。でありますから、ほかの課長なんかも私のほうにいろいろ
意見を申し出ております。したがいまして、私といたしましては各自が思う存分言ってもらいたいということで、腹蔵なく
意見を述べてもらっておるのであります。したがいまして、
岩尾君の
意見は
意見として私はこれを尊重し、またこれを総合して
経済企画庁としての
最後の
意見をまとめたい、こういう考えをいたしておるのでありますから、
岩尾君の
意見は
意見としてひとつお聞き取りを願いたいと思うのであります。それから、
物価と
賃金との問題ということについては、これは
関係はないことはない。これは
中山先生もそう言っておられるのですが、はたしてどこまで
関係があるかというと、直接的な
関係があるかどうかということについては私
自身もまだ見当がついておりません。
中山先生においてもその点疑問を持っておられるのであります。それに対して
岩尾官房長がまた
意見を述べておるのでありますから、それはその
意見としてひとつお聞き取りを願いたいと思うのであります。
所得政策のことについては、
所得政策をとったらいいかどうかということは、私
自身まだ考えを持っておりません。私
自身の考えとしては、もっと
経済が健康な成長をしたときに初めて
所得政策というものは考えるべき問題ではないか、私
自身そういう考えを持っておりますから、私は、今日のもとにおいては
所得政策というものを考えるべきじゃないという考えをいたしておるのであります。
それから、いま
労働者に対する分配が低いという
お話については、いまは
民間設備を盛んにやっておるときで、
生産性を高めるときでありますから、したがって、設備が一たん完了して、そうして生産能力を十分に発揮することになれば、そこでほんとうの利潤というものが、付加価値というものが出てきますから、そのときにおいておそらく労務者に対する
賃金というものも相当割り増しになるのではないかということが考えられるので、いま言うた成長期においてはやむを得ないのではないか、私はこう思うのです。やはり会社の資本に対する保障とか資本に対する配当とかいうことを考えて、多くの資本を集めて
民間設備を拡大するという必要があると思うのでありますから、成長期においてはしばらく労務者も、
賃金が割り安であるということについてはその点を御理解していただいて、設備が完備したときには十分
賃金を高くしてもらうという考えを持ってもらいたいと思うのであります。
いずれにいたしましても、この
賃上げと
物価は「
悪循環断ち切れ」、この「断ち切れ」という副題が皆さん方ではだいぶかんにさわったんだと思うのでありますが、これは
岩尾君
自身が書いたのかあるいは
新聞社が書いたのか、それは私はっきりいたしませんが、とにかく
賃金と
物価というものが
関係ないことはないということ、その点について論及しておるのでありまして、それで、労務者
諸君にしても、あるいは資本家、経営者にしても、
賃金というものをもう一ぺんほんとうに検討してもらいたいと思うのです。これは労働
大臣にも私申し上げておることでありますが、
賃金というものをもう少しほんとうに検討して、実際、
実質賃金が上がって、労務者の生活がより
向上するようにひとつ考えてもらいたいという考えをいたしておるのでありまして、
先ほどお話しの、名目
賃金は一二二%に上がっておるが
実質賃金は一〇三%というようなことではいかぬのであって、一般の人は名目
賃金が上がったら
賃金が増したというような感じを持っておるから、その考えをやめてもらいたい。やはり
実質賃金を増すということを考えてもらいたい。それには、一方では
物価は下げるし、税金は安くするということも考えていかなければならぬ、こう考えておるのでありまして、私たちとしては、
実質賃金をいかにして高めるかということを重点として今後の
賃金問題、
物価問題を考えてみたい、こう考えておる次第であります。