運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1969-06-19 第61回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十九日(木曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 帆足  計君    理事 小笠 公韶君 理事 金子 一平君    理事 木部 佳昭君 理事 武藤 嘉文君    理事 阿部 助哉君 理事 武部  文君    理事 和田 耕作君       青木 正久君    唐橋  東君       戸叶 里子君    内藤 良平君       村山 喜一君    岡沢 完治君       有島 重武君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      菅野和太郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       登坂重次郎君         経済企画庁長官         官房長     岩尾  一君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         科学技術庁計画         局長      鈴木 春夫君         厚生政務次官  粟山 ひで君         厚生省環境衛生         局長      金光 克己君         食糧庁次長   馬場 二葉君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部長 吉田 文剛君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 小島 康平君         農林省農林経済        局企業流通部長 大河原太一郎君         食糧庁総務部長 松元 威雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 帆足計

    帆足委員長 これより会議を開きます。  前回に引き続きまして、物価問題等に関する件につき調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。武部文君。
  3. 武部文

    武部委員 当委員会で長い間物価の問題についていろいろな意見を戦わせてまいりました。宮澤経済企画庁長官から菅野長官にかわりましても、相変わらず消費者物価上昇は非常に危険な数字を示しておるわけであります。私どもはいろいろ、与野党を通じて、この物価上昇について、その原因を私ども立場から政府側に尋ねてまいりました。政府側からいろいろ答弁がございました。もちろん物価上昇原因は非常にたくさんあるし、非常に根深いものだということは私ども十分承知をいたしております。物価担当官庁である経済企画庁は、こうした問題についていろいろ大臣から見解を述べられておるわけでありますが、きょうは官房長おいでをいただいたのでありますが、私は初めて質問をするわけであります。いままで大臣なりあるいは前大臣が私ども物価上昇原因について説明をしておられたそのことと、先般官房長が、六月九日の新聞に掲載をされた「私の意見」という記事を私は見たわけであります。これはおそらく原稿によって掲載されたものではないかと思いますが、いささか納得しかねる面がございますので、ひとつ真意を承りたい、このように考えまして御出席をいただいたのであります。  要約いたしますと、この官房長物価に対する見解は、まず冒頭に「賃上げ物価上昇の因となり、また、物価上昇賃上げ圧力を強めるという一連の悪循環を断ち切るため、私は公務員が身をもって賃上げに節度を示すことを要望する。」という前書きから始まった文章であります。これはいろいろ国鉄運賃の値上げとかあるいは仲裁裁定であるとか、こういうような具体的な金額に触れて、その財源等についても詳細に述べてあります。その後段にこのような文章がございます。「占領時代落とし子中労委公労委人事院中心とする日本労政のうえにアグラをかいて、所得政策などタブーだとうそぶいて、日本経済効率化最大の障害となっている労働関係者姿勢そのものについて、この際反省する時期がきたのではないかと言いたいのである。」こういうことが実は書いてあるのであります。この文章は一貫してその他のことには全然触れていない。たとえば物価上昇原因は、需要と供給との関係公共料金の問題、あるいは管理価格の問題、こうしたことがしばしば経済企画庁長官から私ども説明があった。そういうことがかみ合って現在の物価上昇を来たしておるのだ、こういう内容説明があったのでありますが、企画庁官房長はそれには一言も触れず、物価の問題にこのような非常に明快なといいますか、割り切った考え方を持っておるようでありますが、ひとつ最初真意をお伺いしたいと思います。
  4. 帆足計

    帆足委員長 ちょっと御答弁にあたりまして、菅野国務大臣岩尾政府委員八塚政府委員出席でありますから申し上げますが、当委員会では従来、消費者保護基準に基づきまして危険なる食品の検討を続けてまいりましたが、農林省並び厚生省の御答弁がきわめて不十分なように委員長は考えております。したがいまして、来週木曜日には国立衛生試験所も視察いたし、また東京都消費者センター等も視察いたしまして、この問題について、消費者保護の実を一そうあげるために、建設的の申し入れをし、要望もしたいと思っておりますが、現在、農林省JAS規格法の審議も進んでおりませんし、国民になまジュースを大量に提供いたしたいというわれらの要望も前途遼遠なような状況、現状でございます。また、厚生省におきましては、食品衛生法の改善につきましても、かねてのお約束にかかわらず一向準備が進んでいないという状況でありますが、これらの取りまとめは、これは経済企画庁の仕事でございますから、ちょっと大臣並びに各位の御注意を促しておきまして、われわれ物価委員といたしまして非常に不満を持っておる気持ちが、理事会並びに委員会にあらわれておりますことを御注意申し上げておきます。  なお、インフレーション原因はいろいろありますけれども、来年度予算においては、インフレーションがこれ以上進行しないように、企画庁長官にも御協力して歯どめをいたしたいと思っておりますから、適当な機会に、与党委員並びに理事諸君のごあっせんによりまして、総理にも御出席を願い、企画庁長官にも同時に御出席を願いまして——国民のすべてが憂慮いたしております問題は、住宅問題とともに、最近は物価問題に移っておるのでございます。世論調査の第一位は物価問題ということになっており、したがいまして、企画庁長官を助ける意味、御督励する意味におきましても、総理大臣に対しても御出席要望したい、そういう声もあがっておりますからお耳に入れておきまして、御健康の御事情も御大切にいたしたしつつ、一そうの御精励をお願いしたいと思います。  それでは、武部委員質問に対しまして岩尾政府委員の御答弁を願います。
  5. 岩尾一

    岩尾政府委員 私の書きましたものにつての御批判でございますが、真意を聞きたいということでございますが、全文真意でございまして、特にどれが真意であるかということはなかなか言いにくいのでございますが、いまおっしゃいましたような、歴代の長官がおっしゃっておる物価対策には全然関係のないことをああいうふうに書いたのはどういうわけだというお話しでございますと、これは、私が経済新聞から与えられました題が賃金物価という題でございまして、そういう題でございましたので、特に賃金物価にどういう影響を及ぼすだろうかということにポイントを置いて書いたことでございます。
  6. 武部文

    武部委員 全文真意であるということになれば、これからそれでは質問をいたしますが、なるほど、いまお聞きいたしますと、新聞社から与えられた課題賃上げ物価だということのようでございますが、これを読んだ者、あるいはあなたの職責、そういう点から考えますと、少なくとも物価担当官庁である経済企画庁官房長政府委員は、現在の物価値上がり、その原因がすべて賃上げにある、このようにこの論文を読んだ者は受け取るのであります。そのようにまた書いてあるのであります。私は何回もこれを読み直してみましたが、そうとしかとれないのであります。少なくともあなたはそういう立場におられる一人でありますから、かりに課題がそういう課題であろうとも、現在の物価上昇について何らかの点をそこに触れるべきである。現実にあなたに与えられた課題賃上げ物価ということについてであるとするならば、あなたがお考えになっておることをお述べになることもこれは自由でしょう。しかし、そういうことはやはり一個人ではないわけでありまして、経済企画庁官房長という立場であり、政府委員という立場でありますから、そういうふうに読む者はとるのでありますから、その点はやはり少し配慮が必要ではないかと私は思います。  そこで、あなたは、私が先ほど読み上げた点でありますが、たとえば人事院の問題を取り上げておりますが、「人事院中心とする日本労政のうえにアグラをかいて」おるという。人事院というものがいま日本労働者に与えておる地位というものはどういうものであるか。少なくとも今日まで人事院勧告というものは一回も実は完全に実施されておらないことはあなたも御承知のとおりだ。さらに、民間との賃金比較をとる場合は四月計算にいたしますが、勧告は五月であります。勧告の五月ということには何ら根拠がない。これは人事院総裁が明らかに申しておるとおりであります。四月に民間との賃金比較をとりながら五月の勧告とは一体どういうことか、こういう点についても何ら根拠がない、こういう御答弁内閣委員会でいたしております。そういう点から見ても、人事院というものが、労働基本権というものを剥奪するその代償として設けられておりながら、人事院勧告数字も非常にあいまいである。根拠が薄い。また、人事院勧告が一回も完全実施されない。こういう現実の姿の中に、国家公務員諸君は非常に強い憤りを持っていることはあなたも十分御承知のとおりであります。そういう点をここに、公労委中労委人事院というものがあって、その上にあぐらをかいておる「労働関係者——これは何をさしているか、総評かどうかわかりませんが、そういうものがあぐらをかいておる、そういうものの反省がなければだめだ、こういうことをあなたはおっしゃっておるわけであります。こういう点についてもう一つ見解を承りたい。
  7. 岩尾一

    岩尾政府委員 私が私の官房長という職名をもって書きましたことは、私は、経企庁の官房長といたしましてはああいう意見を持っているということでございまして、これが全体の経済企画庁意見になるのか——私の上には次官もおられますし、また、部下にもたくさん優秀な連中がおりますし、長官おいでになるわけでございますから……。ただ、私は、この問題について私の意見を求められるならば、官房長としてはこういうふうな見解を持っているということを明らかにしただけであります。  それから後段、いまお触れになりました点ですが、私があすこで指摘したかったのは、実は総評だとかなんとかいうことではないのでございまして、あれをお読みいただければよくわかると思いますが、今回の春闘決定に際しましての一番顕著な考え方、何と申しますか、傾向と申しますのは、賃金決定が、やはり会社の企業経営あるいは生産性、そういったものを考えながら、ほんとうの意味では勤労者実質賃金向上ということが一番大事なのではないか。幾ら賃金を上げても物価が上がっていくということでは、これは労働者にとって決してプラスではない。したがって、実質賃金向上を望むべきではないか。しかるに、団体交渉、あるいは中労委あっせんあるいは公労委裁定等を見ますると、パターンセッターと申しますか、上方平準化と申しますか、ある企業、特に春闘に出ておりますのは百五十何社という非常に大きな企業だけの数字でございます。そういう数字あるいは率をもって簡単に足して二で割るような、そういう裁定あるいはあっせんというものが行なわれている、そういう事態が非常にいけないということを私は言っておるのでございます。本来、こういうふうに経済が成長してまいりまして、やや過熱ぎみではないかというような心配を私はし出しております。しかも、物価をあずかる官庁としては、物価上昇によって名目的な賃金上昇というものが減価されるということがあってはいけないので、そういうことがないような配慮をしながら裁定をし、あっせんをするのが本来の中労委なり公労委のあり方ではないだろうかということで、そういう意味で、そういったことに関係をしておられる方に、この際そういった考え方をいれていただく余地はないだろうかということを、実は非常に育ちが悪うございますので表現はきたない表現をしたかもしれませんが、そういう意味を申し上げたわけでございます。  それから、人事院につきましては、先生のおっしゃるようなこと、全く同感でございます。同感でございますが、結論のほうは少し違っておりまして、現在の人事院公務員法に基づきます勧告というのは、これはよく御存じのとおり、人事院は年一回報告を国会並びに政府にしなければなりませんが、もしその報告か、給与状態を調べまして、五%以上公務員給与を上げたほうがいいというときには勧告をしなければならないという規定がございます。それから、その勧告につきましては、人事院は、生計費民間賃金、さらにその他人事院決定する適当な条件というものを考慮して勧告をしろ、こういうふうになっておるわけであります。そういたしまして、現在、約六万六千の事業所につきまして、六千八百の事業所を抽出いたしましてその調査——これは私は実際にはどういうふうな調査をしておられるかわかりません。いま先生の御指摘になったように、われわれと同じランクにある、どういう事業所のどういうものが同じランクになっておるのか、そういうことはわかりませんが、少なくともそれを御調査いただいて、そうして実際には、民間賃金というものは現在高能率高賃金ということで非常に割り切った能率給のほうへ伝化をしておるわけであります。しかるに公務員給与というのは全くの年功序列型でございます。その年功序列型の賃金というものを、いまや高能率高賃金という能率給に変わっておる民間賃金とそのままぴたっと横に並べて合うはずのものではないわけでございます。それを合わしながら、毎年四月に調査したから五月から実施しなさいという勧告をやっておるのはあまりにも惰性的ではないか、あまりにも従来のやり方をそのまま踏襲しておるのではないか。これではいけないので、やはり全体として、その辺は日本経済のために——十人に一人は公務員だ、こういわれておるわけでありますから、したがって公務員賃金についても、そういう意味でのしっかりした配慮をした上で勧告をしてもらいたい。その勧告をいただいた上では、あるいは——私も公務員としては非常に賃金が上がることを希望しております。しかし、そういった期待に反してあるいは低い勧告が出るかもわからない、あるいは実施時期についても配慮があるかもわからない、その場合にはお互いに日本経済のために、将来の発展のためにみんなががまんしようじゃないかということを申し上げたわけでございます。
  8. 武部文

    武部委員 ただいまのお話で、賃金が上がっても物価が上がったら何もならぬじゃないか、こういうような説明でありまして、実質賃金向上を願っておるというような話でありますが、それならば物価が上がっておるのはだれの責任なのかということを、こちらはむしろ反論をいたしたいのであります。  そこで、私はきょうは時間の関係あと村山委員に引き継ぎますが、物価安定推進会議の座長をしていた中山伊知郎先生が、私ども委員会にも御出席になっていろいろ意見を聞かしていただく機会がございました。中山さんの御意見は、賃金物価との関係について、深いつながりがあることは認めるけれども、断ち切ることなどは考えられない、賃金を押えたら悪循環を断ち切れるなどと考えるのはナンセンスだということを中山さんははっきり言明しておられるのであります。イギリス賃金を押えようとして失敗した例は、おそらく官房長も御承知だと思いますが、イギリスもああいう状態になった。このときに、あなたはそれならば、最後になろうと思いますが、現在の物価上昇原因は一体何にあるか、一体何がその物価上昇原因だ、このように思っておられますか。
  9. 岩尾一

    岩尾政府委員 物価上昇原因は、これはるる長官あるいは政府委員からお答えしたと思いますが、もちろんこれは非常に簡単に割り切れる問題ではなくて、経済全体の中に入っておる問題でございますから、特にいま御引用になりました、中山先生物価の半面は所得であるということを言っておられます、そういう意味では日本の、特にこういった特殊な、非常に生産性の高い部門があるかと思えば非常に生産性の低い部門もある、しかも消費者物価については、そういった生産性の低い部門商品価格というものが直接響いてくるというような関係にあり——卸売り物価はちょっと違いますけれども、そういった状況で、物価上昇原因を何に求めるかと言われれば、私はやはり構造問題、それから賃金問題、それから総需要対策、大体この三つが大きな問題ではないだろうか、こういうふうに考えております。
  10. 武部文

    武部委員 いま構造の問題なり賃金の問題なり需要の問題なりについてお触れになりました。私どもは、管理価格の問題なり公共料金の問題なり、あるいは地価対策とかそういう問題、あるいは低生産部門コストアップ、これは確かに原因一つにもなろうと思います。原因一つにもなろうけれども、それが物価上昇最大原因とは私どもも思っていません。こういう点については若干意見を異にするわけでありますが、ことさらにあなたが賃金を前面に押し出して、この論文は何といいますか非常に割り切った見方で、とにかく賃金さえ押えることができたならば物価は押えることができるんだという、物価賃金との悪循環、これを非常に強く主張されるわけでありますが、いまでもそう思っておられますか。それが物価値上がり最大原因だと思っておられますか。
  11. 岩尾一

    岩尾政府委員 お読みいただきますと、前半に今回の春闘に対する、いま申しましたような、私らが従来と違ったある非常に警戒すべき点を指摘しております。それから中ほどで、この春闘がどういうふうな影響を与えるだろうかということを書いております。そこで私は、やはり日本経済が構造的な物価上昇内容を持っておる、したがって、現在のままでそれにいまの賃金問題というものが加速されていくということになると、非常に大きな問題になるのじゃないかということを実はおそれておるわけでございます。そういう言い方で書いたわけでございます。それから最後に、いま申されましたような財政問題に対する影響を触れた、大体こういう書き方で私の意見を申し上げた次第でございます。
  12. 武部文

    武部委員 意見は違うようでありますから、きょうは真意を聞きたかったのでありますが、時間の関係村山委員に引き継ぎます。
  13. 帆足計

    帆足委員長 村山委員。  政府当局の御答弁はどうも理論的に、委員長が聞いておりまして非常に不十分なように思いますから、せっかく御勉強あって、そして納得できる御答弁を願います。
  14. 村山喜一

    村山(喜)委員 岩尾官房長記事は私も切り抜きをして読んでおります。まああなたの御意見は、これはミクロ的な分析の上に立った立場からの論及というものだと私は受け取ったのです。やはりマクロ的な分析というものが必要ではないか。それを欠いたミクロの部面だけを取り上げておると、森の中に入って木を見ないと同じようなかっこうになってしまって、あなたの真意もまた一面においては伝えられないおそれがあるのではないか。私はあの文章論文を見ながら、いろいろほかの、総需要と総コストとの関係において物価をとらえるという、そういうようなマクロ的な問題のとらえ方からながめてみると、あなたの考え方というものが誤解をされる、こういうふうに受け取ったのです。いま武部君の質問に対して、構造的な問題並びに賃金の問題、それから総需要の関連における問題、そういう立場からながめるべきだということで、あなた自身は三本の柱を言われた。とするならば、やはりそのことを明らかに前提として、その中における賃金物価の問題というとらえ方で提起をすべきではなかったか、こういうふうに私は思うのだが、あなたはどういうふうに考えますか。あれがあなたの真意をあらわしているんだと、こういうふうに受け取られてもしようがないと思っているのか。
  15. 岩尾一

    岩尾政府委員 私は文章がへたでございまして……。先ほどお話のございましたように、全体としてはそういうふうなことが物価上昇原因であると考えておりますが、与えられた題は賃金物価でございます。したがって賃金に焦点を当てて書いております。しかし途中をお読みいただけば、日本経済全体の今後の推移については、そういった構造的な問題、需要の問題についても十分配慮をすべきであるということを中段に触れておるつもりでございます。
  16. 村山喜一

    村山(喜)委員 政治というものはマスコミにリードされて、それをあえて今度は自分たち統制手段としてマスコミを使う、こういうような発想がまあ官僚なり、あるいは政党の次元においてもあると思うのですよ。私はそういうふうなことも、それが正しい手段であれば許せると思うのだけれども、それがあまりにも意図的なものであれば国民を惑わすものだといわれても、しようがないと思う。与えられたものが賃金物価だということであっても、やはり前のほうに前提条件がなければ、その問題についてだけ論及するということは私は間違いだと思う。そういうような前提を置いた上で賃金物価相関性というものを——あなたは経済企画庁官房長ですから、官房長として調整の役に立つあなたが、そういうような一面的な印象だけを与えるような記事を書くということは私は望ましくない。いかがですか、今後もやはりそのような立場であなたはやられるつもりですか。
  17. 岩尾一

    岩尾政府委員 郷土の先輩である村山さんからたいへんおしかりを受けましたが、最初は実は物価が入っておらなかったのです、与えられた題といたしましては。春闘についてどう考えるかという題でございまして、実は私はそういう意味春闘中心に書いてみたわけですけれども、それではどうもいまおっしゃるような意味世論に対して影響があるではないかというようなお話がございましたので、賃金物価というような観点からながめるというふうにあとで書きかえたわけでございます。その点はございますが、私はもし先生の御指摘がございますならば、また機会が与えられますならば、全体のほかの物価についても調べて、いつでも書きたいと思っております。
  18. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、あの中で特に、いま武部君のほうからもお話がありましたが、人事院の機能というものを公労委やその他の仲裁裁定、調停、あっせんその他の行為をなす分野と——人事院は非常にこまかなデータを各事業所ごとに集めて、しかもそれは百人規模で集めているわけですね。大企業だけを集めているんじゃない。そこで、人事院勧告の適用を受ける国家公務員なりあるいはこれに準ずる地方公務員諸君が、これはわれわれと同じような生産規模で働く製造労働者なり、あるいはそれに適応する職場の実態というものの給与に合っていないじゃないかということをいつも言うのはそこに原因があるわけです。そういうようなふうに、人事院給与のいわゆる対民間比較というものは中小企業のところ、もう小企業のところまで織り込んだ平均民間給与体系をとっている。それまで一括してあなたは公労委と同じような爼上に乗せて、そしてそれはまさに年齢別賃金体系である、こういうようなふうにきめつけておられるんだけれども、これもちょっとそういうような面においては分析が足らない。もう少しそういうようなところはきめのこまかい分析というものをあなた自身がされる必要があります。この点は指摘をしておきます。  それから、あなたの個人的なことを言うわけじゃありませんよ。この際私はごまかしがあるという点を一点だけ触れておかなければならない。あなたはいま給与は指定職の甲ですか乙ですか、どらちのほうをお受けですか、あるいは一等級のほうですか。
  19. 岩尾一

    岩尾政府委員 指定職乙の八号でございます。
  20. 村山喜一

    村山(喜)委員 国民生活局長は指定職の乙ですか、それとも一等級ですか。
  21. 八塚陽介

    八塚政府委員 指定職乙の七等級だと思います。
  22. 村山喜一

    村山(喜)委員 その指定職の給与をあなた方が受けられたのはいつからですか。
  23. 岩尾一

    岩尾政府委員 二年前でございます。
  24. 村山喜一

    村山(喜)委員 いまほとんど局長は指定職の甲なり乙なりです。昔はそういうものはなかったのです。二年ほど前は一等級の局長のあの給与体系のところを受けておったわけですね。ところがそれが上のほうは開放をされましてね、そうしてそこだけは甲と乙の指定職給与表を受けるようになった。それだけ優遇されているのですよ。私は、日本の官僚が、他の民間のそういうような企画調整のスタッフ的な機能を果たす業務のところに比べて給与が高いとは思いません。もっと給与を引き上げなければ対民間との比較は均衡はとれないと思っているのです。思っておりますが、自分たちの管理職の最高のそういうような企画調整の任に当たるようなところは、上のほうは上限を取っ払って、そして指定職給与体系というものに入れる。そして、局次長であるとか部長であるとかというのが一等級のほうに変わっていく。それから課長が二等級のほうに変わっていく。そして新三等級というようなものをつくったりして、そういうようなごまかしをやりながら、上のほうは伸び率が非常によくなっているのが今日の人事院給与体系なんですよ。これこそ私たちは問題にすべきであって、下のほうはくぎづけにしておきながら上のほうは野放しにしていくような給与政策というものが人事院のほうからとられているところに問題がある。  だから、このこと自体を給与の中身の問題としてあなた自身が知らないでおって人事院を攻撃されるというのは、まさに天に向かってつばを吐くようなものになるのではないか。そういうようなごまかしの給与政策が行なわれているんだと私たちはかねてから指摘をしている。そして、いまの給与政策が全部いいものだとはわれわれ自身も思っていませんよ。もっと能率というものも考えなくちゃいかぬということも言っている。しかしそれには最低の生活が成り立つような、最低生活の保障というものの上にそういうような職階制なりあるいは職能制の給与政策というものを打ち出すべきだ。それをやらないで、下のほうは生活保護すれすれの、身分は国家公務員でも、林野あたりの常用作業員で働いておる人たちの中には生活保護を受けておる人もいるのですよ。そういうような問題を私は前に給与問題として取り上げました。二十何%が生活保護の給与を受けているという実態が暴露されたこともあります。このごろは幾らか改善をされているのだけれども、やはりそういうような問題を給与の問題としては見落としてはならない。ですから、あなたが何もかにも込みにして、いまの労働官僚のそういうような政策の上に給与体系があぐらをかいて、そこに落ちついているのだというような分析のしかたは、これは他日訂正を願いたい。どうです。
  25. 岩尾一

    岩尾政府委員 全体の御意見、まあ人事院勧告でどうもおざなりではないかということは、私は賛成でございますが、結論はちょっと反対でございまして、先ほど御指摘になりました、指定職というのはほかのものを低くしておいて天井を取っ払ったというふうにおっしゃいますけれども、決してそうではございません。昨年人事院勧告がございました。これは先生御存じのとおり八%でございますね。この八%で私の上がった率は六・六%ぐらいでございます。むしろ低い。それから手当は、指定職になりましたためにいわゆる勤勉手当というものが出ないわけです。ことしも先日夏期手当をもらいまして、みんな家に帰って奥さんにしかられたわけでございますけれども、われわれ〇・九でございます。昨年は一・一だったのです。そして一般の給与をもらっている方は一・四でございます。私のボーナスは去年よりも下がったということになります。非常に女房は驚いたわけです。  そういうふうに決してよくはないのでございまして、これはなぜこういうことをやっているかと申しますと、大体指定職におなりになっておやめになるという形になります。そういたしますと、先生御存じのとおり、いろんな年金とか恩給とかというのは本俸を基準にいたしましてずっと出していきますから、したがっていろんな手当その他を本俸に繰り入れまして、月給というのは昔のように年俸幾らというようなことにして、あとは何もそれ以外につけないという形にしたほうが、年金とか恩給とか、そういうものを受ける場合に有利であるということで指定職に踏み切り、また御承知のように最近非常に詰まってまいりましたからやめていく者も多いので、逐次そういう年齢なり階級というものを下げてきておる。それが指定職ができた原因でございます。
  26. 村山喜一

    村山(喜)委員 それはあなたの計算の方式がおかしいのですよ。これはちゃんと一つ一つ事例に合わせて、いわゆる管理職手当から暫定手当から通勤手当、その他の諸手当を入れて、その指定職の乙の何号になった場合にはどれだけの差が出てくるんだ、だから総収入においてはどれだけプラスになるんだということが算出をされて、それによって七号なり八号なりが指定をされると思うんですよ。前の給与よりも低くなるなんということはありません。それは夏期手当だけを取り上げられたらなるほどそうですよ。われわれだって〇・九しかもらっていない。それはあなた方の働きが悪いからそういうことになる。その問題はそうなんだけれども、そういうふうに上がり率が悪いとおっしゃるけれども、上厚下薄であればなおその格差が開いてくるわけですから、下のほうは上がり率は高くても、もらう金額はこれは少ないのですから、ベースアップの率で問題をとらえるべきじゃない。だから、そういうようなことは自己弁明になりますから、岩尾さんも大成をするわけだからあまり言わないほうがいいですよ。  それよりも問題は、あなたの発言というものはわれわれにはかちんと来ている。というのは、これはいまから大臣に私お尋ねしますが、四十年度に二十五兆円であった国民所得が四十四年度には四十五兆八千億になるものだというふうに見られているのですね。こういうふうになってきますと、一体だれがどういうふうに所得がふえているだろうかという分析をしないわけにはまいりません。  そこで私は日銀の経済統計、国民所得統計の上からながめてみたんです。最近の製造労働者の名目賃金の伸びと実質賃金関係を、四十年度を一〇〇にしまして調査をしてみたんです。そうしたら、ことしの一月、二月、三月、名目で一二二です。実質では一〇三ですよ。この三年間かかって実質所得の伸びは三%しがなかった。ところが、税金関係を調べてみました。税金は、調べてみるとこれはたいへんな伸び率になっている。これは国税、地方税入れまして四十年度は一人当り四万八千二百九十一円、それが四十四年度の見込みは九万三十六円です。ですから、名目所得がふえてくる、そうなると、いわゆる税金の所得弾性率は二・二倍ぐらいですから、まあ一万円所得がふえたら税金は二万二千円ふえるという勘定になるんです。だから、名目所得が二二%ふえたけれども、それは税込み収入ですから税金のほうに持っていかれる。そうなると、実質所得は一〇三%だといっても、かえって可処分所得はこういうような製造労働者なり一般の勤労者というのは少なくなっている。その反面、法人所得の留保分というものは増大をするし、それから個人の部門の貯蓄の上昇率というものは非常に増大をしている。そういうような状態になってくると、賃金を上げるから物価が上がるんだということは非常に一面的なものの見方で、賃金を上げなければ労働に対する分配率はますます低下をしていくんじゃないか。だから適当な賃金引き上げというものは労働の分配率を適正に保つところの社会政策になってくるんだということを考えなければだめなんです。  そこら辺、一体いまの日本の労働分配率というものは世界的に見て高いのか低いのか、こういうことになってきますと、労働分配率でも大臣承知のようにこれは低くなっているんですよ。私は驚きました。春闘がことしは六千七百円台。去年は五千円台でしょう。その前は四千円台ですよ。一年に千円ずつアップして春闘は実績をかせいで上がってきている。こんなに賃金を上げたら所得はなるほどふえるということで、そういうふうに見られるはずなのに、なぜ労働者の分配率が低くなるのか。四十年度は五七%だった分配率が、春闘がそういうような結果であるにもかかわらず、四十四年度は五五%に下がっている。法人留保は二・五倍の二兆五千億になっている。一体こういうようなのを考えたときに、賃金が高い、物価が上がるぞ、そら所得政策だ、賃金を押えにゃいかぬというのは、あまりにも一方的な、資本家側の要求というものをとらえたものの発言ではないか、そういうように私は受け取るのですが、大臣、こういうような経済統計の上から見た問題についてどうお考えになりますか。
  27. 岩尾一

    岩尾政府委員 労働分配率を中心とした御議論でございますが、労働分配率というのは非常に概念が一致いたしておりません。たとえば先生の御承知の熊谷報告におきましては、国民総生産全体に対する雇用者所得関係、この割合を労働分配率といったり、あるいは雇用者所得とそれから法人所得を足したものに対する雇用者所得の割合、これを分配率といったり、あるいは、いま先生の御指摘になったのは、たしか私は通産省の製造業統計であろうと思うのでございますが、そういった通産省でやっております工業統計の製造業におけるところの総付加価値に対する割合、あるいはその中から減価償却を引いた純付加価値に対する割合、こういうものをとる数字もございますし、また逆に大蔵省でやっております法人企業統計、これは製造業の全業種を網羅しているわけでございますが、そういうものをとって見ていく見方もございますし、日銀の主要企業経営分析から出していく数字もございます。  大要といたしましては、先生のおっしゃいましたように、労働分配率というのはいろいろな数字をとることによって違いますけれども、概していえますことは、成長段階における国においてはどうしても労働分配率のほうが低くなっていく。しかし成長してしまった国、まあ英国とかアメリカとかフランスですね、そういった国においては分配率が非常に高うございます。これはやはり設備投資その他による資本装備の付加によって労働生産性を高めるという要素が、経済成長の段階にある国には非常に必要なわけでありますから、したがって、経済成長を高めることによってだんだん成長していって、そうして成長してしまえば労働分配率はおのずから高くなる、こういうパターンをとっていくべきものでございます。そういう意味からいって私は、現在の日本の労働分配率というものは、まあ見方によっては低いところもございますけれども、これからだんだん成長していって、欧米の先進国並みになっていけばおのずから高くなるものである、こういうふうに考えます。
  28. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほどから武部委員、また村山委員からいろいろ岩尾官房長論文について御批判がありましたが、私はこの物価対策については、まず庁内の各職員からいろいろ意見を聞きたいという考えをしております。したがって、庁内の各職員のいろいろの意見を私のほうへ提言してもらって、それによって私が取りまとめたいという考えをしておりますので、岩尾君のこの論文もその一つ意見だと思っておるのであります。でありますから、ほかの課長なんかも私のほうにいろいろ意見を申し出ております。したがいまして、私といたしましては各自が思う存分言ってもらいたいということで、腹蔵なく意見を述べてもらっておるのであります。したがいまして、岩尾君の意見意見として私はこれを尊重し、またこれを総合して経済企画庁としての最後意見をまとめたい、こういう考えをいたしておるのでありますから、岩尾君の意見意見としてひとつお聞き取りを願いたいと思うのであります。それから、物価賃金との問題ということについては、これは関係はないことはない。これは中山先生もそう言っておられるのですが、はたしてどこまで関係があるかというと、直接的な関係があるかどうかということについては私自身もまだ見当がついておりません。中山先生においてもその点疑問を持っておられるのであります。それに対して岩尾官房長がまた意見を述べておるのでありますから、それはその意見としてひとつお聞き取りを願いたいと思うのであります。  所得政策のことについては、所得政策をとったらいいかどうかということは、私自身まだ考えを持っておりません。私自身の考えとしては、もっと経済が健康な成長をしたときに初めて所得政策というものは考えるべき問題ではないか、私自身そういう考えを持っておりますから、私は、今日のもとにおいては所得政策というものを考えるべきじゃないという考えをいたしておるのであります。  それから、いま労働者に対する分配が低いというお話については、いまは民間設備を盛んにやっておるときで、生産性を高めるときでありますから、したがって、設備が一たん完了して、そうして生産能力を十分に発揮することになれば、そこでほんとうの利潤というものが、付加価値というものが出てきますから、そのときにおいておそらく労務者に対する賃金というものも相当割り増しになるのではないかということが考えられるので、いま言うた成長期においてはやむを得ないのではないか、私はこう思うのです。やはり会社の資本に対する保障とか資本に対する配当とかいうことを考えて、多くの資本を集めて民間設備を拡大するという必要があると思うのでありますから、成長期においてはしばらく労務者も、賃金が割り安であるということについてはその点を御理解していただいて、設備が完備したときには十分賃金を高くしてもらうという考えを持ってもらいたいと思うのであります。  いずれにいたしましても、この賃上げ物価は「悪循環断ち切れ」、この「断ち切れ」という副題が皆さん方ではだいぶかんにさわったんだと思うのでありますが、これは岩尾自身が書いたのかあるいは新聞社が書いたのか、それは私はっきりいたしませんが、とにかく賃金物価というものが関係ないことはないということ、その点について論及しておるのでありまして、それで、労務者諸君にしても、あるいは資本家、経営者にしても、賃金というものをもう一ぺんほんとうに検討してもらいたいと思うのです。これは労働大臣にも私申し上げておることでありますが、賃金というものをもう少しほんとうに検討して、実際、実質賃金が上がって、労務者の生活がより向上するようにひとつ考えてもらいたいという考えをいたしておるのでありまして、先ほどお話しの、名目賃金は一二二%に上がっておるが実質賃金は一〇三%というようなことではいかぬのであって、一般の人は名目賃金が上がったら賃金が増したというような感じを持っておるから、その考えをやめてもらいたい。やはり実質賃金を増すということを考えてもらいたい。それには、一方では物価は下げるし、税金は安くするということも考えていかなければならぬ、こう考えておるのでありまして、私たちとしては、実質賃金をいかにして高めるかということを重点として今後の賃金問題、物価問題を考えてみたい、こう考えておる次第であります。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 岩尾官房長に反論をしておきたいのは、熊谷報告の中でもとられているとらえ方というものが、個人業種を加えたものの比率でもとらえている、あるいは雇用所得の分配率だけでとらえている部門もあります。しかし私が出したのは、雇用所得の伸び率を押えながらやはり分配率としてとらえて間違いないと思うのです。それはマクロ的にとらえた数字そのものが下がっていることは事実なんです。熊谷報告の調べの中でも下がっておる。私が調べたのは日銀の経済統計です。その中でも明らかに下がっておるのです。そのことは、これはやはり生産性上昇の範囲内における賃上げというものがなされているということを一面においては物語っている。あなた方は賃上げの場合からくる労賃のコストという問題だけをとらえようとするけれども、総コストの中における労賃の占める割合というものはかえって低くなっているのです。それよりもいま問題にしなければならないのは資本コストの問題であります。非常に資本コストがかかり過ぎて、そこに問題が一つあるのではないですか。  それと、もう一つは、四十三年度の法人の設備投資の伸び率を見たときには二七%伸びております。七兆七千億の投資が行なわれている。在庫投資まで入れると、これは総投資が二〇%増の九兆五千億ですか、そういうようなところから高度成長過程の中における成長とインフレの問題があるのであって、だからそういうインフレの中において、貨幣価値が下落をしている中で実質的な所得の低下が行なわれているのでありますから、個人に、あなた方が物価値上げの主犯人だから、あなた方が消費の節約につとめなさい、そう言われても、これは国民はおこりますよ。なぜそういうふうなインフレをとどめるような政策というものを政府がやらないのか。これはあなたもやはり政府の高級官僚ですから、その意味においては責任の一端を持っておるわけであります。単に菅野長官だけを責めるわけにはいかない。やはりそういうような面においてはミクロ的なものの見方をややもすればしがちでありますから、そういうふうなことにならないように、やはり高級官僚というものはもっとマクロ的に問題をながめて対処してもらわなければいかぬ。  新聞に発表して意見を聞かしてもらうような長官のとらえ方はあまりにも弁護し過ぎる。意見を開陳せしめるのだったら、新聞紙上に発表せしめることは開陳をせしめることにはならない。よし岩尾君持ってきたまえということで自分で受け取ればいいわけでありますから、新聞に出たのはおれに発表してくれたのだというとらえ方は、あまりにもかばい過ぎる発言だといわれてもしようがない。  そこで、時間がありませんからこのあたりで私はやめますが、社会党も、新聞にこの前発表いたしましたが、体系的な物価政策を発表いたしましたので、大臣にも御検討いただきたいと考えております。またこれからいろいろな問題をさらに追求してみたいと思っておりますが、さようは、この論文から変な誤解を与えるようなことはまずいと思いますから、そこは御留意いただきたいと私は思いますが、岩尾官房長最後の発言だけを聞きまして終りたいと思います。
  30. 岩尾一

    岩尾政府委員 賃金生産性お話がございましたが、賃金というのは、先生も御承知のとおり、上方平準化で大企業中小企業も大体同じであります。したがって、これは生産性のあれにかかわらず上がっておるわけであります。いま御指摘のように、私らもマクロ的に見ておりますし、それからミクロ的にも見ております。そういたしますと、生産性のほうは非常に格差があるわけなのであります。これは日本のいろいろな経済資料をごらんいただくときに一番御留意いただきたいのでありますけれども、ならして割ってみると高いけれども、その中身は、たとえば現在輸出が非常に好調でございますけれども、あの輸出の四〇%はたった三十二社でございます。三十二社がいまの輸出の拡大の四〇%をかかえておる、こういう状況なんです。だから、生産性の高いところはべらぼうに高い。しかし今度は非常に低いところがある。それはべらぼうに低い。そういうところで賃金を比べていった場合には非常なひずみが出てくる。これは、企画庁のほうでいろいろ計算しております。パイロットモデルにおきましても、生産性の伸びが雇用所得の伸びと同じであるならば、雇用所得の伸びが一%であるならば〇・二くらい物価が上がるのではないかというモデル計算もあるわけでございます。御指摘のように物価が上がって、そうして名目賃金が上がるだけで実質賃金が下がってしまうということではたいへんでございますから、この点は十分留意をいたしたいと思います。
  31. 帆足計

    帆足委員長 次に、和田耕作委員から関連質問がございますが、岩尾政府委員に申し上げておきます。先ほど村山委員からの一般質問に対しまして、インフレの防止等の重要問題につきまして、従来とも政府から立ち入った分析並びに報告及び対策をお聞きすることができないのでございますが、これは今後とも逐次各委員から御質問があろうと存じますから、御準備のほど願います。  なお、中山委員長からの答申に対しましては、各委員それぞれの評価はありますけれども、各委員ともども、また理事会もこれを高く評価いたしておりますので、中山委員長から一度説明機会も持って学習いたしたいと思っております。したがいまして、政府委員各位におかれましても、この諮問委員会の答申については十分御熟読、御勉強のほどお願いいたします。委員長答弁を聞いておりますと、どうも御勉強不足のように私は感じますから御注意を促しておきます。  それから、厚生次官がお見えになりましたが、女性の方で容姿端麗の方でございますから、委員長として申し上げますが、ただいま危険なる食品が世間の話題にのぼり、世論の要求となり、特に婦人各位の熱烈な要求になり、当委員会の主要項目になっておりますことは、御承知のとおりでございます。しかるに従来の委員会の経験をもってしますれば、この問題につきまして、人員が不足なのか、熱意が不足なのか、予算が不足なのか、とにかく満足すべき御答弁並びに対策を得られてはおりません。したがいまして、先ほど申し上げましたが、食品衛生法に対する改正の御準備も不十分でございますし、連関いたしまして農林省における、国民各位に早くなまジュースを提供したいという要望も、また農林物資規格法についての審議並びに準備促進も不十分でございます。したがいまして、厚生省当局におきましては特に御注意のほどお願いいたします。  当委員会におきましては、多忙の際にもかかわらず、来週木曜日九時から国立衛生試験所を訪問いたしますし、また近く東京都消費センターを訪問いたす予定になっております。そのように各委員熱心でございますから、厚生省当局におきましては、この際、世論の高まりました機会を奇貨といたしまして、これに対しまして十分実のある対策を御準備願いまして、特に厚生省におきましては、予算、人員等も不足なように聞いておりますから、ただいまのうちに十分御勉強のほどお願いいたします。  それでは続きまして、和田耕作君。
  32. 和田耕作

    ○和田委員 どうも申し上げようと思ったことを少し忘れたような感じで……。(笑声)  岩尾さんにちょっと御質問いたしますが、私、これは全然質問するつもりはなかったのですけれども、ただいまあなたの論文武部委員からお借りして拝見し、またいまのお答えを拝聴しておりまして、やはりあの論文の焦点の置き方を少し考えてみる必要があるんじゃないかという感じを持ちました。それは、あなたが言われているところの二八%近いベースアップのあの問題、それを基準にして公務員人事院裁定になるということですが、これは確かに労働賃金が一六%近く上がったということが物価を押し上げていくという影響はあると思いますけれども、しかし、この去年から今年にかけての春闘の一四%、一六%近いアップというものの内容は労働付属ですね。なんぼ総評や同盟ががんばっても、労働付属という事実がなければこういう賃上げは行なわれない、常識で考えても。焦点は、やはり労働付属ということになりますと、これは相当高度な、あるいは無計画なと言っていいかもしれないが、経済成長ということなんです。つまり経済成長ということが賃上げを引き起こしてきた一番大きな犯人だということになるわけです。つまり賃上げ物価を押し上げる原因だという前に、むしろ経済の無計画な成長というものが物価を押し上げるもとになるのだというつかまえ方をしないと、単に賃上げがあるから物価が上がるのだ、これを断ち切るために公務員は反省しろという論旨では、この複雑な問題に対してはかなり誤解を生む発言になりはしないか、こういう感じを持ったのですが、どうでしょうか。
  33. 岩尾一

    岩尾政府委員 私の書きましたのは、公務員が反省しろというのは実は結論ではないのでございます。今回の春闘賃金が上がった理由といたしましては、いま先生の御指摘になりました人手不足がやはり一番大きな原因であろう。それから企業に支払い能力があるということでございます。これはいまおっしゃいましたように、成長が非常に高いということがございますから企業に支払い能力がある、この二点が一番大きな原因であろうということを一番最初に書いてございます。書いてございますが、しかしそれに加えて従来と変わっておりますのは、賃金決定の際に、先ほど申し上げましたようなムード、あるいは力づくとでも申しますか、足して二で割るとでも申しますか、あるいはパターンセッターによってきめられていく、そういうような、経済の必然性に基づかないきめられ方をしてきた面があるのではないかということを実は指摘したかったので、そういうきめ方は、いま先生の申されたように、高度な成長、それから企業の支払い能力の増大、それから一番大事なことは人手不足だと思いますが、そういうものを解決していく手段には何もならないので、かえってこれを加速していくだけの原因ではないかということを実は言いたかったわけでございます。
  34. 和田耕作

    ○和田委員 あなたのおっしゃることはよくわかるし、半分以上は私も同じような意見を持っております。つまり、いま起こっている問題は、あなたの出している論文が起こしている問題は、賃上げというものがすぐ物価にはね返る、そしてまた物価賃上げだ。発起点は賃上げだと断定している点が、あの論文一つ中心点だというふうな印象を与える論文です。そして最後のところで、公務員は自粛せよなんていう結論をつけているところを見ても、そういうつかみ方というものに問題があるということをいま申し上げた。  先ほど村山さんのおっしゃったように、賃上げの一番根本というのは、何といっても総需要という問題が背景になってきている。経済の拡大ということが問題になってきている。そういうことになれば、賃上げも確かに大きな影響はあると思いますけれども賃上げというのはその波の中に巻き込まれた一つの要素であるわけですね。何となれば、今度の賃上げの一番大きな原因というのは労働付属です。労働付属がなければ、総評が何ぼがんばっても一六%近くの賃上げが起こるはずがないということでしょう。その問題を解決するためには、やはり賃上げという要素は第二、第三の要素であるというようなつかみ方をし、そういう表現をしないと、この問題は誤解を起こしてくる。  もう一つ私が申し上げたいのは、確かに力づくの賃上げという問題があります。ありますけれども、この問題は、政府として物価というものを——経済企画庁長官は本気になって物価を押えようとしていることは疑いありません。総理大臣も朝起きるときから夜お休みになるときまで、物価を何とかしたいということを考えておることは疑いありません。それはやはり自分の不人気は物価高ですから、おそらくそう考えているだろう。しかし政治のしかたとして、物価の問題を第二、第三の問題というような考え方で判断をしているということも、客観的に見て否定できない。あなたが論文に取り上げておる国鉄運賃の問題を考えてもそれはよくわかる。つまり、そういう態度を政府がやっておると、これに対して労働者が力をもってぶつかってこれを押し、賃上げをしていく。これではこれを押えるわけにはいかないと思う。むしろ政府が、いま一番大事な物価を押えることに対して、行政の一つの態度としては一番大事だといいながら第二、第三に考えておるという、ここに問題があるわけです。私どものほうもよくここで発言もしたいけれども物価の問題について問題にする気力がもうだんだんなくなってきているんですよ。こういうような時期であって、労働組合が力でもって押し上げていくというものを批判をするということの前に、あるいはそれと並んで、政府物価の問題を第二、第三の問題としてしか取り扱えないという問題をあれする必要がある。むしろ労働者総評なり同盟が賃金を押し上げていくということが政府に対する反省材料になるのだというのが現実状態じゃないか。そういうふうに見てくると、あなたがお書きになった論文は非常に正直でいいと思います。一つの大事な問題を出しておると思いますけれども、しかしそれは、あなたのこの論文の出しておる誤解、あるいは現在の物価に対するウエートの取り方という問題について確かに問題がある、こういうように私は思うんですがね。
  35. 岩尾一

    岩尾政府委員 いま先生のおっしゃったとおりだと思いますが、私も実は物価のいまの騰勢というものが賃上げに対する大きな影響があるというふうに考えておりますので、したがってその文章最初に、原因として持続的な物価上昇ということを入れております。これはいま申しましたように一番大きな賃上げ圧力になっておると思うのです。ただ私が申し上げたかったのは、そういった情勢の中で、賃上げがいま言ったような経済的必然性のないままで行なわれるならば、この情勢を加速するであろうということを言いたかったわけでございます。そういう意味で十分われわれもやらなくてはならぬ。さらに、いま先生が気力を失われたような現行の物価問題について、私どもも実はどこからどういうふうに手を打っていいのか、どうやったらいいのかということに迷っておるし、勉強もしておりますが、なかなかいい手がない。そこで私は、一種のショック療法ではありませんけれども、いま言ったようなことで少なくとも加速だけでもとめるようなことを考えて、いろいろほかの手段を講じながら全体の物価を下げていくというようなことに努力したい、かように考えて書いたのであります。
  36. 和田耕作

    ○和田委員 それではこれで終わります。
  37. 帆足計

    帆足委員長 和田君、御満足ですか。物価についてどうも熱意がなくなったなんということを聞かされますと、委員長はがっかりしてしまいますから……。ひとつ大臣委員の嘆きをよくお耳におとめ願います。  それでは引き続きまして、武部文君。
  38. 武部文

    武部委員 私はきょうコーラ飲料について三回目の質問をするわけです。非常にしつこいように思われるかもしれませんが、いままで二回私がいろいろ疑問に思っていることを問いただしましたけれども、残念ながら答弁は非常にわかりにくい、むしろ疑問が深まるばかりでありまして、たいへんしつこく、きょうは三回連続この問題を取り上げるわけであります。議事録を見れば見るほどたいへん疑問が多いので、私は端的に厚生省答弁をもとにして御質問をいたしますから、ひとつ「スカッとさわやかコカコーラ」のように、すかっとさわやかな答弁をしてもらわぬとどうもはっきりいたしませんから、ぜひその点を冒頭に申し上げておきたいのであります。  前回の委員会で私が、二歳の子供がコーラを飲んだ場合にはたいへんなことではないかということをちょっと申し上げたところが、局長は二歳児というこの年にたいへんこだわっておられたようであります。私は特に二歳ということを申し上げたのでございますけれども現実には成人の量とそれから小児の量ということで比較をいたしたのであります。二歳ということは、おっしゃるように二歳のような子供ががぶがぶコーラを飲むわけではありませんが、小児量として計算をしても、これはおとなの大体五分の一という計算になるのでありまして、これは計算のしかたから出てくるのであります。  前回、小児がコーラを飲む量というのは非常に少ないものだ、したがって子供の場合も心配ないという局長答弁でありましたが、東京都の消費経済部の調査によると、子供の好む飲料の最高はコーラです。これははっきりしておるのであります。母親の証言によりましても、幼稚園程度の子供で習慣性のついた子供は特に、ファミリーサイズの大びんを平らげる、こういうのはざらだということを言っておるのであります。そういうことがあるにもかかわらず、幼児の飲む量はきわめて少量だというようにあなたはおっしゃったわけですが、そういう独断的な判断というものは私は許されない、このように思うのであります。したがいまして、幼児の飲料実態というものはすでに東京都でも調査をしておるわけでありますから、調査をして、当委員会にそれを提出していただきたい、これが第一であります、  第二は、同じように局長答弁によりますと、子供がコーラを特に多量に飲むとかいったようなことは、やはりコーヒーと同じように全く無害であるということは言えないという答弁でありました。特に多量に飲むということをあなたはおっしゃったけれども、私がここで申し上げたのは、コーヒー一ぱいに含むカフェインの量と、それからコーラの小びん一本に含むカフェインの量は、そのカフェインの量が小児に当てはめるならば同量である、こういう点をあなたもお認めになったはずです。それをなぜ特にコーヒーとコーラとを分けて、コーラは多量に飲まなければ影響がないというようにおっしゃるのか、なぜ同様にあなたはそれをおとりにならぬのか、この点がたいへん私は疑問でありますので、この点をひとつお伺いしたいのです。  なお、同時にあの際に申し上げましたが、十二、三歳程度の子供たちの運動神経系に興奮剤や麻酔剤が作用する、そうすると発育が間違った方向へ進む危険性があるという、慶応大学生理学部教授塚田さんの読売新聞に発表されたこの記事、こういう面についてあなたはこれをお認めになるかならぬか、この点を最初にお伺いいたしたいのであります。
  39. 金光克己

    ○金光政府委員 幼児とコカコーラの関係でございますが、前回二歳児ということで御質問がございましたので、その立場で御答弁申し上げたわけでございますが、コカコーラあるいはコーヒーといったようなものと少児の健康との関係でございます。これについて一度少し詳しく御説明申し上げたいと思うのでございますが、先般もお話がございましたように、大体薬局方によります一日の常用量と申しますか、それは〇・五グラムということでございます。一回の使用量は〇・二グラムでございますが、一日量といたしますと〇・五グラムということになるわけでございます。このカフェイン〇・五グラムに相当するコカコーラの量というものを計算してみたのでございますが、これは一日〇・五グラムということを基準にいたしております。コカコーラにつきましては、たとえば三歳児にいたしまとす三・七本ということになります。五歳児にいたしますと五・五本・こういうことになります。これは小びんでございます。それから、それをコーヒーにつきまして比較いたしてみますと、コーヒーはワンカップで、これは何ミリグラムという考え方は厳密にいたしますと若干の数値のズレがあるかと思いますが、かりに百ミリグラムといたしておりますが、そういたしますと、三歳児でワンカップ、それから五歳児で一・五ということでございます。一ぱい半ということでございます。かような関係であるわけでございます。そういうことでございまして、カフェインの量ということからいいますと、コーヒーのほうがむしろ量的には、一本ワンカップと比較いたしますと、若干多いということでございます。  そういうことでございまして、コカコーラをたとえば三歳児、四歳児が三本、四本一日に飲むというのは、大体薬局方のいう常用量の〇・五グラムということになるわけでございます。したがいまして、そんなに飲みますと、薬を飲むのと同じことになるじゃないかということになるわけでございまして、それはやはり問題があるということになります。毎日三本ないし五本、一年間飲むということはまずはあり得ないことでございまして、そういった意味で、多量に飲めばやはり害がないということは言えない、しかしそれば害というほどではないがやはり注意はする必要がある、また実態的にはさようなことはないであろう、こういう考え方でお答え申し上げたわけでございます。  そういう意味でコーヒーにいたしましても、子供につきましては三歳児でワンカップ、五歳児で一ぱい半ということでございますから、まあ外国におきましても子供には飲ませないような注意をするような人もあるということは、こういった関係もあろうかと思うのでございます。そういう意味におきまして、多量に飲めば、やはりこれは一つの興奮剤でございますので、やはり興奮して夜も眠れないという問題も起きるでございましょうし、また発育期でございますから、学問的に非常にむずかしゅうございますが、決して望ましいことではない、かようなことは言えると思いますが、一般的な実態におきましては問題はない、かような考えでございます。そういうことでございます。  なお慶応大学の、先ほどの発育期の子供との関係でございますが、カフェインにつきましては興奮作用といったような作用があるわけでございまして、そういったことが脳に対しましてある程度の関係があるということはもちろん考えられるわけでございます。それがどの程度の障害が起きるかということにつきましては、現在のところ私どもとしてはこれはこうだというほどの勉強もしてないということで、これは今後勉強いたしたい、かように考える次第でございます。
  40. 武部文

    武部委員 あなたがいまおっしゃった〇・二グラムというのは成人の一日の常用量でありますね。そうすると幼児の場合、体重十キログラムの子供、その場合は六分の一、体量比としては〇・〇三グラム、こういうことになるわけです。カフェインの含有量は小びん二百ミリリットルの中に〇・〇三グラムある。三十ミリグラムある。これは国立衛生試験所調査ではっきりいたしておるわけであります。ですから、〇・〇三グラム、十キロの幼児ということは大体常用量に該当する量になるわけであります。そういう点から私は幼児のことを申し上げておるのでありまして、成人のことについてはなるほどそうすぐに害が出るとかどうとかいうことはない。むしろ幼児のほうがたくさんこういう飲料を飲んでおるのじゃないかというような疑問をあなたに申し上げたわけであります。  先ほど、コーヒーの中に占めるカフェインの量とそれからコーラ飲料の中に占めるカフェインの量についてあなたがおっしゃったけれども、私の計算では若干違うのです。大体コーヒー一ぱいの量の中に占めるカフェインの量と、それからコーラ飲料の中に占めるカフェインの量はほとんど同量である。そういう意味から外国でコーヒーというものは子供には飲ませない、そういうことは歴然としておる、これはあなたもお認めになったとおり、アメリカでは成人にならなければコーヒーを飲ませない、こういうことがはっきりしておるのに、日本ではそれと同様なものが幼児にどんどん飲まされておるということについて、あなたもおそらく前回の質疑の中でそういうふうにお認めになったと思う。そういう点を私はここで申し上げたかったのでありますが、若干数字が違うようでありますから、これはもう一回私も計算をしてみたいと思う。  続いて、あなたは、カフェインは添加物であるという私の質問に対して、カフェインは天然物だということをおっしゃった。カフェインは天然物だとおっしゃったわけですが、日本薬局方によれば、このカフェインの製造については二つ方法があるということは明らかであります。抽出法と合成法と両方ある、これは明らかであります。あなたはなぜ、どういう根拠で天然物であるというふうにお答えになったのか、それをひとつお述べいただきたい。
  41. 金光克己

    ○金光政府委員 天然物と申し上げましたのはことばがちょっと適当でないかと思います。これは天然の物質である、こういう意味でありまして、化学的に製剤したものではない、かような意味でございます。それで、これはそういう意味では原料とします植物の中に含まれておる、かような考え方でございまして、それをいかような形に扱ったかは別としまして、そういう意味で、天然の物質であるという意味で、食品衛生法にいう許可を要する添加物ではない、こういう意味で申し上げたのでございます。添加物でないと簡単に言いましたので若干説明が悪かった点もございますが、これは添加物でないと申しましたのは、許可を要する添加物ではないということでございます。  以上でございます。
  42. 武部文

    武部委員 あなたの御答弁でわかりましたが、食品衛生法で禁じておるところの化学的な合成品ではなくて天然産物であるからだということですね。そうすると、天然産物だから食品には幾ら入れてもかまわぬと、こういうふうにお考えなんですか。
  43. 金光克己

    ○金光政府委員 天然の物質で添加物に使います場合、これは化学的合成品でございませんので許可というものは必要はないのでございますが、やはりこれは必要によりましては規格成分、規格基準というものをきめることになっております。このカフェインにつきましてはそういうことは、いわゆる自然の添加物として、現在では扱ってないわけでございます。
  44. 武部文

    武部委員 コーヒーや紅茶などについては、その品物に天然にカフェイン分が含まれておる、それに湯を加えて飲むのだということは消費者はよく知っておるわけですね。そういうことをよく知っておる。だから違反ではない。それを承知しておるから乱用しないわけですね。カフェイン分が入っておるのだから五はいも六ぱいもコーヒーを飲まないんですね。そういう点から見ると、コーラにカフェインが入っておるということは、これは何も表示がない。国立衛生試験所で検査をして初めてカフェインが入っていることがわかった。わかったけれども、コーラのびんにカフェインが入っているということは何も表示してないでしょう。これは食品衛生法上違反になりませんか。
  45. 金光克己

    ○金光政府委員 これは特別の規定はないわけでございますので、違反になりません。
  46. 武部文

    武部委員 それならば続いて質問いたします。  あなたは第一回のときと違って第二回目のときに一このコーラというのはコカ樹とコーラ樹から原液を描出したものであって、そのコカ樹とコーラ樹の名前をとってコカコーラという、これが世俗上通用していることばであるということを申されました。したがって、この天然のカフェインが入ったままの原料が外国から日本の港に入って、それをボトラーの工場で製造して、十六のボトラーの工場が全国にこれをばらまく。その本数は、一億一千万ケース、二十七億本一年間に消費をする、こういうことが質疑の過程でわかったわけであります。ところが前回あなたは、香料は輸入しておるけれども、すべてコーラ飲料というものは日本の産物をもって、日本産のもので全部つくるんだということを会社が言った、したがって外国から原液というものは入りません、こういうことをおっしゃったわけですね。これは間違いございませんか。
  47. 金光克己

    ○金光政府委員 前回申し上げたとおり、外国から輸入しておるものは香料ということで、その他の原料につきましては日本でつくっておるということについては、再度調査しました結果も同様でございます。
  48. 武部文

    武部委員 香料が外国から入ってくるということをおっしゃったので、私は大蔵省関税局を通じて香料の輸入量を調べてみました。それを調べますと、香気性物質の混合物等、こういうことで入ってくるものは約五十トン、年間十四億三千三百万円程度入っておる。ところがこの使用目的はフルーツフレーバーの食品原料である、こういうことが大蔵省の調査によってわかりました。ただ単にこれはにおいをつけるものだろうと私も思います。そうなってくると、一体どこからこの日本のコーラ飲料の原料というものが出てくるのか、何が一体このコーラ飲料の原料なのかという点をたいへん私は疑問に思うのであります。  いつかも申し上げましたけれども、私どもの得ておる情報によると、インドからくず茶が入っておる。インドからくず茶が入って、それを輸入した業者が国内のカフェインの製造メーカーに抽出させる、そうして薬局方規格に基づいたところのカフェインを納入させて添加をしておる、そういう工場が静岡県と千葉県にあるのではないか、こういうことを申し上げました。念のためにくず茶の輸入を調べてみました。年々このくず茶は増加をいたしております。そうすると考えられるのは、このインド産のくず茶から日本のある工場でもってカフェインを抽出して、それを国内でコーラ飲料に添加をしておるのではないだろうかというふうに思って質問をいたしましたところ、そういう事実はない、こういうあなたのほうの答弁でございました。  それならば、日本産の植物ということがあなたの答弁でございますが、コーラの原液に日本産の植物を使っておるというのですが、それならば一体日本産の植物の中にカフェインを含むものは何でしょうか、何がありますか。
  49. 金光克己

    ○金光政府委員 これはお茶でございます。
  50. 武部文

    武部委員 御答弁のとおりお茶しかないのです。そうすると、極端にいえば日本産の植物でもってコーラをつくっておるというならば、日本産の原料だというならば、静岡県のお茶からコーラ飲料がつくられているんじゃありませんか。そうでしょう、それしかないのですから。どうですか。
  51. 金光克己

    ○金光政府委員 まあ、日本産の植物でカフェインを含んでおるものはお茶が主体であると考えますが、この問題につきましては会社側から実情を聞いておるのでございます。聴取しておるのでございますが、前回申し上げましたように、どういう形でどこからとって、何を使っておるかということにつきましては申し上げられないということでございますので、再度実情を調査いたしました結果もまだはっきりわからないということでございます。
  52. 武部文

    武部委員 カフェインは日本薬局方に公定されたれっきとした医薬品ですね。それを清涼飲料の原料として混入する、そういうことは食品衛生法や薬事法違反になることは明らかじゃありませんか。その点どうですか。
  53. 金光克己

    ○金光政府委員 これは天然の物質ということになりますと違反になりません。  それから薬事法の関係は、薬として使う場合は薬という範疇に入るわけでございます。
  54. 武部文

    武部委員 何だかわけがわからぬような答弁でよくわかりませんが、はっきりしたことは、あなたは会社の言明をそのままうのみにされておるのですよ。そうすると——私もたくさんいままで飲んでおりました。この間言うようにおそろしくなつていまごろやめましたが……。日本に出回っておる二十何億本のコーラ飲料というものは、原料は外国のコーラ樹やコカ樹の原液ではなくて、日本の静岡のほうのお茶が原料になって、それに何か色をつけて、香料だけ入れてにおいをつけて売っておるということになるのですよ、あなたの御説明によりますと。外国から原液は入っておらない、日本でつくっておるというのですから。カフェインが入っているのは日本ではお茶しかないのですよ。そうするとそれが原料であるというふうに理解できるのですが、そうですか。
  55. 金光克己

    ○金光政府委員 先ほど申し上げましたように、実は私ども立場でも、原材料につきましてはわかっておるほうが食品衛生上もより望ましいことでございますので、わかる範囲はできるだけわかりたいということで再度実情も聞いておるのでございますが、いまの段階ではまだわかってないということでございます。
  56. 武部文

    武部委員 コーラ飲料が日本に上陸してきたのは昭和三十一、二年ころですね。そしてこの分析はようやくこの間、どうも問題がやかましくなってきたというので国立衛生試験所厚生省が問い合わせられた。そしてその問い合わせられた成分も、ただカフェインが入っておるか、こういう点についてあなたのほうはお問い合わせになっただけなんですよ。燐酸のことなんかについてはお問い合わせになっていない。あとでまた私は燐酸のことを言いますが、そういう点からいろいろあなたのほうにこの内容分析はどうだということをお伺いいたしますと、これは企業の秘密であってどうにもならぬ、こういうようなことを前回あなたはおっしゃった。それならば、食品衛生法に基づく許可営業であっても、清涼飲料水製造業は指定営業の施行令第五条に基づいて、取り締まり当局の調査は拒否してよろしいのですか。企業の秘密ならばこれは全部拒否していいのですか。
  57. 金光克己

    ○金光政府委員 いわゆる収去、検査というのは法律の十七条でございまして、これは都道府県知事あるいは市長は「必要があると認めるときは」収去し、また検査をする、また報告も求めるということができるわけでございますが「必要がある」という解釈は、食品衛生上非常に危険が予想されるという前提のもとに収去、検査をするわけでございます。これはそういう性格ではございますが、相当の根拠がありませんと——相手が企業の秘密ということで中身につきまして説明をしないという場合、それが重大な問題でありますと、当然強制的にもそれを事情聴取することができるわけでございますが、現在の段階におきましては強制的にまでこれを事情聴取する、強制的に聞くといったようなことは妥当でないというような考えで、話し合いでいろいろといま実情を聞いておるというようなことでございます。
  58. 武部文

    武部委員 私も十七条を申し上げたわけですが、あなたはこういうことをおっしゃった。事故とか何かの問題が起こらないことには強制調査の権限はない、こういう答弁をされたわけですが、これは厚生省の有権解釈ですか、間違いありませんか。
  59. 金光克己

    ○金光政府委員 現在の私どもの解釈でございます。
  60. 武部文

    武部委員 おっしゃるように、食品衛生法の十七条には「厚生大臣、都道府県知事又は」と書いてある。「必要があると認めるときは、営業を行う者その他の関係者から必要な報告を求め、」あるいは「臨検し、」「物件を検査」、その中に「食品、添加物」、そういうものがございますね。  そこで私が申し上げたかったのは、これだけいろいろと疑惑がある、みんなが疑問に思っておる、そうしてたくさんの書物にそういう疑問のような点が羅列されておる。それも日本内地だけではない。この間申し上げたように、イタリアのジェノバ市のことから、イギリスの問題から、フランス議会の問題から、私はたくさんの例をあげて、世界の各地でこのコーラ飲料についてはたいへん大きな疑問点が出て問題になっておるのだ。歯が溶けたとか、ロープを中に入れたら麻のロープがばらばらになったとか、外国ではいろいろ実験をしてるのです。ところが残念ながら日本ではそういうことが一つも行なわれていない。成分すらはっきりあなたのほうでは調査なさっておらない。こういうことだからいろいろ疑問に思って問いただすわけですが、いまのカフェインの量にしても、これはコーヒーと非常に大きな関係を持つカフェインの量です。ましてや、幼児がこれを飲むことによって非常にからだに影響を与えるじゃないかというような点も、これは学者のはっきりとした見解として何冊かの本に出ておる。  こういうときに、ただ単に企業の秘密であるということをたてにとってあなたのほうの臨検を拒むとか——臨検を拒むというよりもやる意思があなた方のほうにないのですね。こういうことでは困ると思う。それでは食品衛生法企業の秘密のほうが優先するのですか。あなた方どう思いますか。
  61. 金光克己

    ○金光政府委員 食品衛生法上非常に危害のおそれがあるというような場合には、もちろんこれは食品衛生法が優先すると考えております。
  62. 武部文

    武部委員 そうすると、あなたのほうはいまのところ、原料の何たるものかということもわからないわけですね。ただ日本産のもので全部つくられておるという会社の説明はあったけれども、一体どこの過程でカフェインが入ってくるかということもわからぬわけでしょう。私はインドからのくず茶のことを言った。これは確かに二つの工場があるということも私は知っているのですよ。その工場でくず茶のカフェインが抽出されて、添加をされて、そこからボトラーの十六の工場に行っておるじゃないか。追跡調査をしたわけじゃありませんが、そういう調査ができているのですよ。そうでなければ一体どこからカフェインが入るのですか。さっきから何べんも言うように、日本の静岡県でつくられるお茶の中から、これがコーラの原料でございますということがわかったら、これは飲む者はおりませんよ。そうでしょう。そうすると、カフェインはどこから添加されてくるかということがわかるはずでしょう。もっとほかのものがあるはずですよ。これがインド産のくず茶じゃないかと私は言っておるのですよ。そうなってくると、この添加の過程というものをあなたのほうでお調べになる必要があるのじゃないですか。このことを言っておるのです。これを調査する考えはありませんか。
  63. 金光克己

    ○金光政府委員 何度も同じことを言うようでございますが、コカコーラにつきましては、清涼飲料水として食品衛生法に基づく規格基準がきめられておりまして、それに基づいて検査もやる。これは行政当局としても検査をいたしておるわけでございますが、この検査結果におきましては特に危害のおそれがあるというようには判断してないわけでございます。そういう意味におきましては、これを強制的に調査をするというようなことは妥当でないと考えておるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、会社側といま十分話し合いをして、わかるものはできるだけこちらに報告してもらいたい、かような態度で現在進んでおるわけでございます。
  64. 武部文

    武部委員 コーラの原価が非常に安いものだということは定評のあるところですね。たいへんな大もうけしておるということは定評のあるところです。ということは原価がいかに安いかということに通ずると思うのです。そうなってくると、原価が安いということはその原料がいかに粗悪なものであるかということに通じるかもしれません。そういう意味でインド産のくず茶ということを私は言ったのですが、くず茶の輸入は年々増加をしているのです。一体そのくず茶がどういう過程でどこの工場へ売られておるかということを、あなた方お調べになったことがございますか。ないでしょう。われわれはそのくず茶が日本の港に入って、そこからどこへ行ったかということまで調べておるのですよ。そういう点から見ると、この粗悪品のインドのくず茶がコーラ飲料の原料になっているということはもう明らかなんですよ。そうでなければさっき言うように日本のお茶ですよ。このどっちかしかないでしょう。日本の産物でカフェインを含むのはお茶だけなんですから、そこから答えは出てくるはずなんです。  こういう点をお聞きになっても、なお会社からの調査だけでこの問題は片づけようというお考えですか。もうこれだけいろいろな疑問が出ておるのですから、ひとつ厚生省から出向いていって、はっきりとしたものをとって——私は何べんでも言うのですが、これがけしからぬということを言っているのじゃないんですよ。疑問があるからそれを解明してくれ、そう言っているんですよ。その疑問が解明されれば私もあしたからどんどん飲みますよ。おかしくてどうもわからぬ、それだからあなた方に聞いておるのです。ましてや二十七億本の売れておるのですよ。そういうものの成分が疑問のままで、またこれが慢性毒性としてからだに影響を与えやしないか、特に子供にとって有害ではないか、こういう文献がたくさん出ておるのに、厚生省のほうではそういうことについては会社の言い分だけを聞いて、たいしたことはない——あなたの答弁は、どこにもたいしたことはないということばかり出ておるんですよ。ところがそれに対する根拠がない。ですから十分調査をして、はっきりと当委員会に、心配ないなら心配ない、その理由はかくかくだということをお述べいただければそれでいいんですよ。そのことをあな方に問いただしておるんですよ。ところが答弁は、やはり相も変わらず何かベールに包まれたようなことしかあなた方はおっしゃらない。そこで私は、しつこいようだけれども、きょうは三べん目、こういうことになったわけですから、ひとつしっかりしたことを私どもの前に表明していただけば、何もこれを何べんも取り上げる必要はないのです。どうでしょうか。
  65. 金光克己

    ○金光政府委員 何度も同じことを繰り返して申しわけありませんが、現在の段階では強制的に調査をするとかいったような根拠はないというように考えておりまして、話し合いでやっておるわけでございますが、もちろんいろいろと一般的に提起されます疑問点につきましては、私ども立場でも今後十分解明していかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。そういった態度で今後とも努力してまいりたい、かように考えております。
  66. 武部文

    武部委員 どうも何べんやっておっても同じ答弁しか出てきませんが、それならばもう一回、また次のときにやらなければいけません。  それでは次に進みます。小島食品化学課長お見えになっておりますか。
  67. 帆足計

    帆足委員長 小島化学課長に御交代なさったそうです。
  68. 武部文

    武部委員 さっきカフェインのことについてあなたは、結局コーラ飲料の中に含まれておるカフェインというものは天然物であるということについてお認めですね。天然物というよりも、天然産の植物に入っておるカフェインだ、それがコカコーラ飲料の原料だ、こういうこともおっしゃったわけですが、間違いありませんね。——それならば燐酸について、食品化学課長は、燐酸は従来から食品に扱っていたけれども食品添加物として扱っていなかったのを追認した、こういう答弁でございましたが、一体燐酸は何の用途でどの食品に使われておりましたか。
  69. 小島康平

    ○小島説明員 燐酸は天然界に非常に広く存在するものでございます。いろいろな食品の中に天然に含まれているものでございます。しかしながら、合成いたしました燐酸につきましては、食品法衛生法によりまして、厚生大臣の指定を受けなければ使用できないわけでございます。厚生大臣の指定を受けまして以後は、酸味剤として清涼飲料水に用いられております。
  70. 武部文

    武部委員 現在の食品添加物公定書によりますと、燐酸の用途は酸味料、これはすっぱい味をつける材料、こういうことになっておりますが、酸味料としてどういう食品に使われておりますか。
  71. 小島康平

    ○小島説明員 現在、清涼飲料水に使われております。
  72. 武部文

    武部委員 清涼飲料水で燐酸を使ったのはどういう飲料ですか。
  73. 小島康平

    ○小島説明員 コーラ飲料でございます。
  74. 武部文

    武部委員 燐酸が添加物として認められたのは、このコーラ飲料が日本に上陸してくるときであったわけですね。コーラ飲料が入ってくるそれと軌を一にして認められたのですよ。それで、私は前回申し上げましたが、イギリスあたりでは燐酸が人体に有害だというのでクエン酸を使っておりますね。これも私ははっきり本を読み上げました。クエン酸は燐酸の二分の一しかありませんよ、酸度が。人体に有害だからというので、片やイギリスではクエン酸を使っておるのに、日本ではコーラ飲料が入ってくる、それをきっかけに、人体に有害な燐酸をあなた方はお認めになる。この点で非常に疑問だというのですよ。ですからコーラ飲料に燐酸が含まれておるというのは外国の例から見てもおかしい。そこでクエン酸を使わせるべきではないか、こういう見解を持っておるのですが、厚生省、どう思いますか。
  75. 小島康平

    ○小島説明員 燐酸につきましては、現在国連のFAO、WHOの食品添加物専門家委員会におきまして、その人体摂取許容量が決定されております。私ども食品添加物の法規によりますと、一日安全量の範囲でございましたら使用されても差しつかえないと考えております。
  76. 武部文

    武部委員 確かに燐酸が指定をされた当時は急性毒性がないということでありました。しかしいま食品の問題について慢性毒性ということがいわれておるのですね。だから、急性毒性はなくても慢性毒性としての危険性が非常に強いし、人体の保健上についていろいろ問題が起こっておる際ですから、これは食品添加物から抹消して、燐酸を使わせないことは何ら差しつかえないと思うのですよ。そのほうがむしろ保健上について私はいいと思うのです。よその国だってそうなんですから、有害な燐酸を使わせないで、クエン酸を使わせるというような方向に厚生省はお考えになる気はありませんか。
  77. 金光克己

    ○金光政府委員 燐酸につきましては、先ほど化学課長から申し上げたようなことでございますが、燐酸そのものは私どもの平素の食べものの中にも含まれておりますし、それから燐酸塩としましては一日に一グラムから二グラムは人間の栄養といたしまして必要なものである、かような性格のものでございます。そういう意味におきまして、やはり先ほど課長から申し上げましたように、許容量というものは十分慎重に考えていかなければならぬ問題だと思いますけれども、やはり人体に必要な量、あるいは毎日の摂取量、一般的に摂取される摂取量等ともかねあわせまして考えるべき性格のものだと思うのでございます。そういう意味におきまして、現在特に燐酸を使っておるということで問題があるということではない、かように一応考えておるわけでございます。しかしながら、今後におきましても研究面におきましては、いろいろと改善くふうしていくということが必要でございますので、そういった意味では検討をしてまいりたい、かように考えております。
  78. 武部文

    武部委員 私は燐酸の含有量を申し上げたことがあります。お聞きになったと思いますがね。このコーラ飲料の中に占める燐酸の量が非常に多いんですよ。これが問題になっているのです。でもそうなんですよ。燐酸の量が問題になっている、こう言ったところが、あなたは梅干しやリンゴも同じだ、こう言ったでしょう。梅干しやリンゴも同じように入っていると、こんなものをコーラ飲料の中の燐酸と同じように考えることは私はどうかと思うのですよ、そういう答弁は。梅干しやリンゴというものはそれだけの内容を持った食物ですよ。コーラ飲料の中に占めるところの燐酸と一緒に考えて答弁するのはちょっとおかしいですよ。中に占めるところの燐酸の量で、酸性とアルカリの比重が非常にアンバランスになっておるから、これは問題ではないかと私は言ったんですよ。それだから、燐酸の量を減らしてクエン酸にすれば人体に与える影響が少なくなるじゃないか、こういうことを言ったのですけれども、あなたのほうではこれから調査されるということですから、この点は検討していただきたい。クエン酸というものがあるのですから、これをお使いになって別に問題がないはずなんです。燐酸を入れるのはやはり何かの目的があってこれは入れているのです。そういう点もぜひひとつ御調査をいただきたいのであります。  まだたくさんありますが、どうもさっきの話が壁にぶち当って先に進みませんね、原液の問題が。そうするとこれはあと何べんやってもカフェインの問題が一番問題なんですから、このあとにもう一回やらなければいけません。私はきょうでやめようと思っておりましたが、もう一回、ひとつこの次はこの問題についてぜひ結論を出していただきたい。ぜひお願いをしたいのは、先ほどから何べんも申し上げるように、コーラ飲料の原液ですね、それが日本の何の植物からどういう過程でつくられておるか、これはやはり調べていただかなければなりません。これが問題なんです。それと同時に、この中に占めるカフェインは一体どの製造工程で添加されていくのか、これも調べていかなければなりません。清涼飲料水の中にカフェインがどういう製造工程で添加をさせるのか、これをぜひひとつ調査をしていただいて、わかったら御報告をいただきたい。この機会に、あと質問者がだいぶ残っておりますから先を急ぎまして、御答弁をいただきたいと思います。
  79. 帆足計

    帆足委員長 ただいまの武部委員質問に対しまして、委員長は厳正中正でありますが、計三回の質疑応答を聞きまして、まことに不十分でありますから、十分な御調査をお願いいたします。
  80. 武部文

    武部委員 この間、科学技術庁の資源調査会から「食品添品物に関する調査報告」というものが出まして、私ども一応の説明を受けました。いま食品添加物に対する国民の関心は非常に高まっております。この食品添加物に関する調査報告書には膨大な資料がついておりまして、なかなか全部読むことが困難でありますが、「書簡・要旨」というのをいただきまして、これを熟読をしてみました。その中でいろいろ疑問に思う点がございますので、この機会にお答えいただきたい。特に当委員会では、今後食品添加物、危険な食品について委員会の論議を集中しようじゃないかというように、理事間の話し合いも行なわれておりますので、きょうは冒頭にこうした問題の前提となる「食品添加物に関する調査報告」の根幹となるものを三、四点お聞きをしておきたい、こう思うわけであります。  今回答申されました「食品添加物に関する調査報告」について、科学技術庁、厚生省農林省、こうした関係官庁は、この調査報告をどのように評価をしておられますか、最初にそれをお伺いしたいのであります。
  81. 金光克己

    ○金光政府委員 この資源調査会の報告につきましては、現在詳細にわたりまして検討中でございます。検討中でございますが、全般的な問題としましては、この科学技術庁の報告というものは、一つにはやはり食品というものにつきまして必要な面につきましてはこれを開発していく必要がある。その開発していく上において、やはり添加物につきましては十分これは注意しなければならぬし、また安全なものに改善していかなければならぬということ。それからやはりこういったものの監督、指導につきましても、さらに一そうの強化をしていく必要があるというようなことでございまして、結論的に言いますと、大まかには以上のように受け取っておるわけでございます。
  82. 武部文

    武部委員 農林省はどうですか。
  83. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 資源調査会の食品添加物についての御報告は、現在われわれのほうも検討中でございますが、加工食品に対する需要の高まり、それに応じた保存性の向上とか、もろもろの食品加工技術の向上が要求されておりますが、その手段といたしまして、食品添加物の重要性について正当に評価するという点については、われわれも同感であるというように考えております。ただ、添加物に伴います諸般の問題がいろいろ出ておるわけでございまして、中間報告にも各側面からいろいろ御指摘があるようでございますが、われわれのほうといたしましては、消費者に対する添加物についての情報の提供とか普及というような点とか、あるいは食品の製造業者につきまして、食品衛生法のもとにおける適正な使用はもちろんでございますけれども、さらに不必要、過度の添加物による問題という点については、一そう指導していくというようなことを考えておるわけでございます。  また、やや具体的な話になりますが、農林物資規格制度JAS制度の規格水準の向上等については、当委員会からいろいろ御指摘を受けておりますが、今後の農林物資規格の場合におきましても、この食品添加物の使用等については、その過度、不必要なものについての慎重な配慮というような点を考えておるということでございます。  何ぶん報告を受けて早々でございまして、現在検討中でございますが、御質問でございますのでこれらのことを申し上げておきます。
  84. 武部文

    武部委員 科学技術庁はこの調査報告を受けて、これをどういうふうにこれから先行政に反映しようとしておるか、それをお伺いしたい。
  85. 鈴木春夫

    ○鈴木(春)政府委員 科学技術庁でこの報告を受けたわけでございますが、先般長官から各関係省庁の大臣あてに、この報告を十分行政に反映していただくように要望の手紙を出してございます。また事務的には、各関係の方に寄っていただきまして連絡会議を設け、その中でこの報告書の趣旨、そういったものを十分説明してございます。  今後の問題でございますが、科学技術庁としましてはこの添加物を直接扱う機関がございませんので、やはり担当のそれぞれの省庁において主としてお考えいただくということになるかと思います。しかしながら、これは総合的に扱う面も今後出てくるかと思いますので、特に研究関係におきましてそういった問題を取り上げるというようなことを各省庁で立案なさる場合には、研究費その他の関係で当庁でも十分御援助できるというような関係もございますので、今後いろいろお打ち合わせしていきたい、そういうように考えております。
  86. 武部文

    武部委員 厚生省農林省からの見解を承りまして、正当な評価をしたいということですが、私はこれを正当に評価することはたいへん必要だと思うのです。なぜならば、いま科学技術庁はこの答申を行政に反映してもらいたいと言っておるわけですが、実はあまり反映してもらいたくない点がこの中にたくさんあるわけです。それをきょうは根本的にお伺いをしたかったわけであります。  その具体的なことはこれから申し上げますが、この添加物のあり方の答申がなされたときに、新聞にこういう報道が出ました。私はこれを読んでからあと、この全文を読んでみたわけですが、こういうことがある新聞に出ておりました。「報告をまとめるにあたって消費者代表らは「健康を損うもとになる食品添加物の使用を、できるだけ制限し、“安心して食べられる食品”を目標にすべきだ」と主張したが、小委員会では、「安全性は食品衛生法規によって確保される、という前提のもとに、添加物の利用範囲を広げて食糧の有効利用に役立てるのが望ましい」とする意見が大勢を占めた。さらに、報告の結論の「当面緊要な施策」の部分で、添加物の製造、販売、禁止についての具体的な規制や監督の仕方が削られたことも「業界の圧力が加わったのではないか」との疑惑を呼んでいるが、科学技術庁側は「具体的な点は本文(全文三百二十八ページ)に盛られているので、その精神が今後の施策にも当然反映されることを期待する」としている。」こういう記事が載ったのであります。なるほどこれはおかしいと思っていろいろ検討を加えますと、確かに新聞が書いておるよるようなことがこの中にある。私は、ただ単にこの調査報告をうのみにして、これを厚生省なり農林省なりに、この方針でひとつ進めということを言われることについて、たいへん疑問に思う点があるのです。  以下、二三点質問をいたしますが、それは、この報告書によりますと、食品添加物の役割りはますます重要性を増してきた。したがって、食品添加物の合理的使用による食品製造加工技術の健全な発達、資源の有効利用を、そういう意味でうたっておる。ところが、食生活の高度化ということは食品添加物が増加することによって実現するような、そういう見解なんです。そういう見解がこの中にある。とにかく食品添加物をふやして食生活というものは高度化していくんだ、こういうことが載っておるのです。われわれは、現在の食品添加物の中に非常に危険なものがたくさんあるんだ。それをむしろ規制しなければならぬ、こういう点を考えておったにもかかわらず、この答申はその逆をいっておる。こういう点について非常に疑問に思うのです。これはあまりにも業界に迎合的な姿勢の答申に思えてならないのですが、こういう点についてはどう思いますか。
  87. 鈴木春夫

    ○鈴木(春)政府委員 資源調査会で扱う案件といたしましては、資源の総合利用、有効利用という観点で資源調査会の調査はいろいろなされておるわけでございます。現在食品の中で、添加物を使うことによっていろいろな加工が非常に行なわれておりますし、またその中にはいろいろ不正使用その他で非常に有害というようなものも間々見られるわけであります。そういうような関係で、国民の中には一般にいろいろな不安感を持っておるというような状況でございますし、一方こういったものの生産はますます多くなっておるという実態があるわけでございますので、その間の事情を十分調べる必要があるというようなことで調査を始めたわけでございます。  調査といたしまして、この添加物が食品生産にどういうふうに使われておるか、食品生産を添加物と関連さして広く調査したわけでございます。調査によりまして、その実情の中からいろいろの問題点が出てきたわけでございます。結論的に申しますと、食品製造につきまして添加物を使用する場合に、大いに使う、利用するという立場、それと安全という二つの問題がございますが、これはかね合いの問題であろうという考え方ではいかぬ。前提として、どうしても人体に無害であるということがはっきりしなければならぬ。その上、この添加物の使用につきましては消費者の利益になるような観点でなければならぬ。またこれがほかのもっと心配のないもので置きかえられるような場合には使うべきではないというような、非常に保守的といいますか、そういった非常に慎重な立場で扱って、しかもこの添加物を使っていくという考え方に立っているわけでございます。現在食品の生産高はいよいよ多くなっているわけでございますから、この添加物に対する需要もふえてまいります。それだけにこの添加物に対する使い方は十分慎重でなければならぬという趣旨でこの調査がなされておる点を強調いたしたいと思います。
  88. 武部文

    武部委員 たいへん時間をとって恐縮でございまして、なるべく早くやめたいと思いますが、もう二、三点お聞きしたいと思います。  この報告書によりますと、資源の有効活用あるいは経済性、こういうようなことがこの食品添加物のメリット、こういうふうに思えるのであります。しかしこれではあまりにも経済第一主義であって、人の健康や生命に与えるマイナス面をほとんど無視しておる、私はそういうふうに思えてしかたがないのです。とにかく食品添加物については、資源を有効に利用しなければならぬ、これが随所に出てきております。それから経済性ということをいわれる。これでは全く経済第一主義といわれてもしかたがないと思うのです。その反面、人間の生命とか保健衛生上とかいうことがあまりにも薄いのであります。こういう面で、いまの食品添加物の国民から見る非常に大きな不安、そうした面から考えると、この調査会の答申というものは少し一方的に片寄り過ぎはしないかというような気持ちを私は持っているわけでありまして、それをただ単に、りっぱなものが出たのだから行政的に直ちにこれを反映するのだというようなことでどんどんやられたのでは、たまったものではないという気持ちを持っておるのであります。これは具体的にこれからの当委員会で、私は品物の名前をあげてその安全性とか危険性とかいうことについてやはり論議をしていかなければならぬと思っております。  それから、この中で次の点がちょっと疑問に思うのであります。調査内容を見ますと、現行指定のいきさつについて、昭和二十三年、それまで日本及び外国で使用されていたものをそのまま取り入れた、そういう指定のしかたというものをこの中で暴露されております。  それから、急性毒性の研究の結果だけを参考にしておるけれども、慢性毒性は考慮しなかったということがこの中に書いてある。いま問題にしているのは慢性毒性なんですよ。われわれが慢性毒性は非常に問題だからということをかねがね指摘しておったにもかかわらず、この調査報告にはそれをしなかったということが書いてある。これが私は問題だと思います。  それから、食品添加物が入ったほうが安全で栄養があるというようなことがまたこの中に書いてある。いま問題になっておる、お酒の中にサルチル酸を入れないというのでたいへん大きな評価になっているんですよ。サルチル酸が入っていないというのでお酒がどんどん売れているじゃありませんか。ところがこの報告書によりますと、食品添加物を入れたほうがより安全でより栄養が高い、こういうことが書いてある。これはちょっと時代錯誤もはなはだしいと私は思う。  こういう点については、私はこの調査会の答申をどうもそのまま、まともに受け取るわけにはいかぬのであります。こういうように、私はいま三、四点のことを申し上げましたが、明らかにこの「食品添加物に関する調査報告」の内容は、経済主義といいますか、資源の活用とか、そういうことに重点が置かれておって、危険とか安全とかいうことについての調査というようなもの、その精神が薄い、このように思うのです。ですから、何回も言うようですが、これが行政に反映される場合には、十分各省庁とも現実の姿というものを直視していただかなければならぬ、このように思います。  そこで、最後一つだけ資料の要求をしておきたいと思いますから、委員長からお取り計らいをいただきたいのであります。それは、WHOとFAOあるいは国際ガン学会などで食品添加物に関して討議され、勧告された内容があると思います。それをひとつ資料としてお出しをいただきたい。これはどこでしょうか、厚生省ですか、農林省ですか。
  89. 小島康平

    ○小島説明員 私どものほうにFAO、WHOの資料は、当初のものについては残念ながら一部ないものがございますが、ほとんどそろっておりますので、さっそく差し上げます。それから国際ガン学会については、私どものほうでは勧告につきまして本文は入手しておりませんが、詳細は御説明の資料をつくりましてお届けしたいと思います。  ただ、FAO、WHOのものは英文でございますが、そのままでよろしゅうございますか。
  90. 武部文

    武部委員 英語はよくわかりませんから翻訳してください。
  91. 小島康平

    ○小島説明員 非常に大部のものでございますので、全文翻訳というのは非常にたいへんだと思いますが……。
  92. 武部文

    武部委員 要点だけでけっこうです。  これで終わりますが、粟山政務次官せっかく聞いていただきましたが、実は私がコーラのことをあまりしつこく言うので厚生省からちょっといやがられておると思うのですけれども、私はほんとうに疑問に思っておるのです。幾ら解明をしようといたしてもこの疑問点が解消しないのです。ですからたいへんしつこくやって申しわけない、厚生省の方にいやがられるのも無理もないと思うのですが、だんだん聞くに従って内容が不可解でしかたがありません。ですから、前回お見えになっておりませんでしたが、私は外国の例を全部取り上げてここで発表したわけです。外国では、たとえばある市の議会ではこういう決議をしておる、イギリスではどうだ、イタリアではどうだとかやったのです。そういう点について残念ながら厚生省では明確な資料がないのです。ですから、きょう申し上げるように、私どもが納得できればそれでけっこうなんで、疑問点が解明されれば何も言うことはございませんから、そういう点でひとつ早急にこの問題についての結論をお出しいただいて、当委員会で発表していただきたい、このことを特に政務次官にお願いをして終わりたいと思います。
  93. 帆足計

    帆足委員長 以上のごとくでございまして、武部委員からの調査並びに調査報告要求につきましては、厚生次官から特別の御指揮をもってよろしくお願いをいたします。  また、お聞き及びのとおり各委員並びに武部委員質問は非常に熱心でありまして、これに対する政府当局の御答弁がややおくれておりますことは、せっかくの御努力にもかかわらず何か欠陥があろうと存じますので、ひとつよく予算、人事その他御不自由な点は御研究を願いまして、その他参考資料、次官にもおわかりのようなやや通俗的な書物も出ておりますから、お目通しを願います。  それでは引き続きまして、皆さま御昼食の時間でございます、がいましばらくごしんぼう願いまして、内藤良平君。
  94. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 一時半から代議士会がございまして、また有島委員の御発言もあるようですから簡単に御質問しまして、またこの結果によりましてこの次の機会質問を保留したい、こういうことでお願いをしたいと思います。いろいろお話ししたいのですが、十分ぐらいで終えたいと思います。  何だかんだと前文も考えていましたけれども、自主流通米によって、お米を原料にする食品にどういうぐあいに物価という面で影響を与えるかということ、これを聞きたかったわけです。ですから、馬場さんのほうではこれはまだ見当つかぬ、こういうことになるんですね。しかし大体あるでしょうと思います。結局今度、お酒をつくる方々あるいはみりんのようなものをつくる方とか、その他の雑種のお酒あるいは菓子の製造業者、米の粉の製造業者、染色ののり、こういう方々には、例の百七十万トンですか、そういう範囲内で自由になるわけですね。この場合、この業者の皆さんに渡る場合の売買価格はどの程度になるかということは試算したものがございますか。もしなかったら、このあとまたこの関係をやりますからお調べになってください。大体あれは自由売買でしょう。どのくらいにきまるかわかりませんということでありましても、やはりおたくのほうではある程度のものを持っているでしょう。あるいはどういうぐあいになるか考えていただきたいのです。
  95. 馬場二葉

    ○馬場(二)政府委員 自主流通米が実施に移されたあとのそういう食品加工用原材料米穀の価格の問題でございますが、御承知のように食糧庁の価格のきめ方は、原材料の国内米は、いわゆる政府買い入れ価格に中間諸経費を加えましたコスト価格で売り渡し価格をきめているわけであります。一般の家庭配給ないしは業務用の主食用は政府の財政負担で逆ざやになっておりますけれども、原材料加工用はすべてコスト価格でございます。したがいまして、たとえば酒米に例をとりましても、買い入れ価格に政府の諸掛かり、中間経費を加えましたコスト価格で、しかも受け渡し場所も買った現地ということで原材料酒米もやっておるということでございますから、自主流通米になりましても、財政負担を現在しておりませんので、価格がそのために特に高くなるということはまず考えられないわけでございます。しかし、政府コストも、四十三年度に比べますと四十四年度は保管料その他が若干上がっておりますから、政府が四十四年産米で想定される現在の売り渡し価格というのがやはりめどになって、一応自主流通米による原材料米の価格もきまるであろうということでございますので、特別に高くなるということは、主食用と違いまして考えておりません。
  96. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 一般の消費者に対する自主流通米も、今度は経費をプラスするのでしょう。酒米の場合にはすでにそういうぐあいにいままでやっておるわけですね。自主流通米の一般消費者分はそれと同じようなぐあいになる。逆にいえば、酒米はすでにいまの一般消費者に対する自主流通米のような価格設定で売買しておるから、酒米関係はあまり上がらぬ。したがって、業務用の関係はいままでと変わりない、大体こういう考えですね。
  97. 馬場二葉

    ○馬場(二)政府委員 加工原材料用ですね。—はい。
  98. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 それじゃぼくらの想定とちょっと違う。ぼくらの想定が違っておるかどうかわからぬけれども、そうなりますと、農家の皆さんの売り渡し価格、これはいまの政府の価格と変わりないようなことになるわけですか。いまの話からいきますと、自主流通米の原材料用の米も、結局一般の九割の管理米、ことしは一俵幾らにきまったでしょうか、あの値段にプラスする値段で自主流通米の末端価格あるいは業界の末端価格になるわけですから、そうすると、自主流通米の場合でも配給米の場合でも、農家の売買値段は変わりないという考えですか。
  99. 松元威雄

    ○松元説明員 ただいまの問題、若干補足して御説明申し上げますと、ただいま次長が申しましたとおり、基本的には原材料はコスト価格だけでございます。したがいまして、基本ラインは変らぬだろうということをまず申し上げたわけでございます。しからば農家のサイドで見ますと、御指摘のとおり政府に現在売っても何がしかの得にならぬはずはない、これまたたてまえでございます。  そこで考えられますことは、全国平均で見ますれば、政府コストというものとたいして変わらぬだろうと思うわけであります。一つ、たとえば酒米の例をとりますと、現在酒米は必ずしも業者の希望する場所では売っていないわけでございます。これは割り当ていたしておりますものですから、必ずしも希望する場所では売っていない。自主流通米になりますと、おそらくそういう点、業者は自分の希望する場所で買う。そうすれば浮く分は明らかに浮いてくるわけであります。そういう点は農家に還元される、こういう面は確かにあろうかと思います。そういった現在の平均のコスト価格でありますが、その平均のコスト価格は地域地域の事情によってコストの相違がある。それをどういうふうに業者が一部は有利に買い付け、あるいは農家に一部還元するか、こういう問題が第一点にあろうかと思います。  それから第二点につきましては……。
  100. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 ちょっと失礼。時間がないですからいまここであまり議論しません。ただぼくらの考えを一応聞いてください。  それで、いまの馬場さんの答え、私は現場といいますか、小売りの段階、あるいは農家の段階を考えるとちょっとふに落ちないのは、自主流通米というのは若干高くなるのじゃないかとう農家の皆さんの印象があるわけだ。またざっくばらんな話、政府としても売り惜しみしたのは自主流通米が高く売れることを期待したということが、よく解説の中にあるじゃないですか。だからそこら辺でいろいろなことを想定して、どのくらいの価格で結局売買されるものかということを考えてみてもらいたいと思うのです。あなたの言うように、一般消費者の自主流通米と業者に対する自主流通米が同じだというぐあいにはおさまらぬでしょう。これは私の意見だけです。なぜかといいますと、同じ値段のようにお話しになっていますが、そうなりますと、ほとんどいままでのルートでいわゆる配給米、農家の皆さんは管理米をやったほうがめんどうでない、そういうぐあいに考えるわけだ。同じ値段で買って、それに経費をかけて売るのだ、自主流通米もその範囲内でしか考えてないというわけでしょう。そうすると、何も農家の皆さんは自主流通米に売らなくても、いままでどおり管理米に売ったほうがいいことになるわけだ。ぼくらはそういうことではなくして、やはりいまの酒造家の場合その他を考えても、売買の場合ある程度の高い値段が出てくるのじゃないか。それをひとつ、想定ですから考えていただきたい。  それから生活局長さん、この前もちょっとお話ししましたけれども、ぼくら非常に素朴な考えですけれども、自主流通米が出ることによりまして、いままでの自由米もありますけれども、経費分だけこれは高くなるわけでしょう。十キロ二百七十円ぐらい高くなる。だから、そういうことになると、今度小売りの段階で二つ並べた場合には自主流通米がどんどん出ちゃうのじゃないか、それが消費者米価になるのじゃないかということをこの前の会でもお話ししました。  それと関連してぼくが考えたのは、米を使っておる食堂の皆さんが、うちのカツどんぶりやカレーライスは自主流通米を使っているのだから二、三割高く売らなくてはならぬということになってくることが考えられませんか。これは物価の面として……。
  101. 八塚陽介

    八塚政府委員 いろいろな問題をお話しになったと思いますが、たとえばいわゆる外食用の米、これは現在は質的にいいますならば、政府管理による業務用米とそれからいわゆるやみ米ということになっておると思います。現在の需給事情等で、たぶん食糧庁におきましても業務用米についてはあまり売り惜しみをしていないというふうに考えております。したがいまして、大衆的な食堂はやはり業務用米に依存しておるのだろう。やれ何とか米だとかあるいは私のうちは特別にというようなところは、あるいは非常に高級な特別のやみ米を使用しておるかもわかりません。しかし逆にいいますと、そういう料亭なり何なりの御飯というのはそこで支払うべき料金のごく一部でございまして、結局料金に含まれて払っておると思いますので、そこを問題にしないといたしますならば、業務米は今後も続くわけでございます。大衆的な食堂においては特別に変化があるというふうには考えられないのじゃないかと思いますが、ただ従来とも、うちではやみ米を使っておりますから米はこれぐらいだというようなところは、これはいわゆる何ものかに籍口してやろうということでございますから、そこは従来もそういう問題はございましたし、今後ともやはり問題はこれはあるだろうと思いますが、業務用米について、特にいまのような需給事情でございますから、食糧庁としてはできるだけ売りたいだろうと思います。自主流通米が出てもそう問題ないと思います。
  102. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 私これで終わりますけれども、この次は現地調査ですね、次回は。その次でもいいですけれども……。  それから生活局長さん、ぼくらの想定は、原料用のいわゆる自主流通米は売買価格が上がるんじゃないかと思うわけだ。酒にたとえた場合、お酒の場合でも当然お酒の値上がりのようなことが出てくるでしょうね。どう思いますか、その点は。
  103. 八塚陽介

    八塚政府委員 酒の場合は、御承知のように価格の問題の前に、つまり現在は食糧庁から配給するということで、それを受けまして国税庁が各業者に造石数の基礎になるような形で米を割り当てておるわけでございますので、そういうことがありましたために、販売能力のあるところもある程度造石が限定されて、おけ買いというようなこともあったわけでございますが、今度の制度になりますと、いわばそういう販売能力の差、企業能力の差がむしろ端的にあらわれてくる。したがいまして競争が激しくなる、企業の優劣の問題が非常に激しくなるということが予想されるわけでございます。そこで先ほど食糧庁からも話がありましたように、元米、掛け米、いろいろありますが、今度は、販売上の問題と同時に、原料入手の立地条件の問題もいろいろ出てくるわけでございます。そういう意味におきまして、ある意味では酒屋さんはある種の戦国時代に足を踏み入れるというようなことも考えられるわけであります。水準といたしまして、いまのようにお米が需給緩和いたしておりますから、お酒屋さんに売る米がない、つり上げられるということはないと思います。そういう意味で特別に、原料代から従来のように制度できちっと保護をしておったときとは違いまして、競争原理がそこへ働くので、私どもは酒の値段が水準として上がるというふうにはちょっといまのところ見ていないわけでございます。しかし優良メーカーは強くなるし、それから銘柄の比較的弱いところは非常に弱くなるという問題は出てまいるかと思います。
  104. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 終わります。またこの問題はこの次の機会にもう少しお話合いしたいと思います。きょうはこれで終わります。
  105. 帆足計

    帆足委員長 本問題につきましては多くの質問が提出されておりますけれども、次回にひとつお願いいたします。  有島重武君。
  106. 有島重武

    ○有島委員 夏になってまいりますと、清涼飲料をずいぶん飲むわけでありますけれどれ、粉末ジュースというのが相当出回っておりますね。それで粉末ジュースというものの成分なのでございますけれども、これはきょうは農林省がいまちょっといないので、ジュースの正しい定義ということはあとにしますけれども、公取に伺いたいのですけれども、粉末のジュースという表示そのものに問題があるんじゃないか、そういうふうに思うのですけれども、御見解はいかがですか。
  107. 吉田文剛

    ○吉田説明員 確かにおっしゃるとおり問題がございます。それでジュースの名称につきましては、これは果汁飲料についても同じでございますが、一応JASの規格できめられてはおりますけれども、ただジュースという名称の使用につきまして、これは一〇〇%天然の果汁を使ってなければ使ってはいけないんじゃないかという考え方がございまして、いま私どもでは果汁飲料と粉未飲料につきまして公正競争規約を指導中でございまして、まだ完全な結論が出ておりませんけれども、近く出ることになっております。その点で、公正競争規約の中の適正な表示基準というものでその点をはっきりさせたいというふうに考えております。
  108. 有島重武

    ○有島委員 その作業は夏までに間に合いますね。もうそろそろ夏だけれども
  109. 吉田文剛

    ○吉田説明員 大体それに間に合わせるように作業を急いでおります。
  110. 有島重武

    ○有島委員 それは急いでいただきたいと思います。  それから、今度は厚生省に伺いたいのですけれども、粉末ジュースの中に特殊栄養品という表示が入っております。ビタミンが添加されているということなんですけれども、ジュースに対してビタミン添加剤といいますと、普通は大体ビタミンCということをすぐ連想するんじゃないかと思うのですけれども、この場合には、私の見たのではビタミンBが添加されていることになっている。これは少しおかしいんじゃないかと思うのですけれども厚生省はどうしてこういうのは許可をしたのか。
  111. 金光克己

    ○金光政府委員 これは公衆衛生局の所管でございますが、私からかわって御説明申し上げます。  現在、栄養改善法第十二条の規定に基づき許可を受けております粉末飲料は約二百品目あるわけでございますが、強化しております栄養素としましては、ビタミンCのほかにビタミンB1あるいはB2を入れておるわけでございまして、これを特に栄養補給という意味で入れてあるわけでございますので、これは入れてあるからおかしいとか、そういう問題のものではない、かように考えております。
  112. 有島重武

    ○有島委員 私の見たジュースの中にはビタミンCということは入ってないのですよ。ビタミンBだけが表示してあるわけです。そういう場合に、やはり特殊栄養食品だという活字が大きく出ておりますね。そうするとこれは一種の不当表示に近いようなことになるんじゃないかと思うのですけれども、公取のほうではそういったことについては御見解をお持ちですか。
  113. 吉田文剛

    ○吉田説明員 まだその点につきまして具体的に調べたことはございませんけれども、もしかりに特殊栄養食品でないのにそういう表示がしてあれば、これは不当表示の問題になり得るんじゃないかというふうに考えております。
  114. 有島重武

    ○有島委員 その辺は、特殊栄養食品には違いないんでしょう、その定義の上からいえば。ところが、本来ジュースというものであるとすればビタミンBというのはおかしいわけなんですね。お米の場合にはエンリッチでBかもしれないけれども。しかしCはこわれやすいんでむずかしいんじゃないですかね。そこら辺、やっぱりちょっと人をだましているような印象がある。危害を及ぼすほどのことはないかもしれませんけれども、問題にすべきじゃないかと思うのです。それで、こうした許可はやはり取り消したほうがいいじゃないか、そういうように思いますので、公取のほうでも検討してくださいませんか。以上二点ですね。
  115. 吉田文剛

    ○吉田説明員 ただいまおっしゃいました二点は、直ちに取り調べて適切な処置をとりたいというふうに考えております。
  116. 有島重武

    ○有島委員 それからもう一つ、これはジュースと称されているものの範囲なんですけれども、ミカンの袋のくずみたいなものが浮いておりまして、ぼくはこれはほんとのなまのジュースであるかと思っておりましたら、聞いてみたら、それは何か懸濁剤というのがあるんだ、ほんとのジュースにも一〇%は入っているんだという話です。こうしたものも不当表示になるかならないか。これは私の印象からいえば明らかに不当表示だと思うのですけれども、これはどうでしょうか。
  117. 吉田文剛

    ○吉田説明員 その点、おっしゃるとおり確かに不当表示の疑いがあると思います。その点につきましては、ただいま果汁飲料につきまして公正競争規約を指導して、近くできる見込みでございますので、その中でその点を明確にいたしたいというふうに考えております。
  118. 有島重武

    ○有島委員 それから、ドリンク剤というのがありますけれども、これは医薬品であるわけです。それから栄養ドリンクとかなんとかといって、同じ形でもって、薬品ではなくて清涼飲料の部に入るのですが、全くまぎらわしい形のものが出ております。これもやはり不当表示の違反の疑いがあるんじゃないかと思うのですけれども、これも扱っていらっしゃいますでしょうか。
  119. 吉田文剛

    ○吉田説明員 その点につきまして、現在公正競争規約を指導中のものに清涼飲料というのがございまして、その中で検討いたしたい。このほうはもうちょっと時間がかかるかもしれませんが、現在指導中でございます。
  120. 有島重武

    ○有島委員 これはアカマムシとかスッポンドリンクだとかいうのがこの国会内の売店でも売られておりますけれども、さっき武部委員のほうでもってコカコーラのカフェインの話が出ておりましたけれども、カフェインが入っているんじゃないか、これは新聞に出ていたんですけれども、栄養ドリンク、これは厚生省のほうではお調べになりましたでしょうか。——担当の方が来ていらっしゃらないので、これは宿題にしておきますけれども、カフェインの添加ということになれば、これは違法になるんじゃないか。そういった報道がございましたので、これはお調べいただきたいと思います。きょうは時間がないからこの次にします。  それで、厚生省食品衛生の試験場というのは大体どのくらいあって、幾らくらいの予算を使っていらっしゃるのか、これを伺っておきたいと思うのです。
  121. 金光克己

    ○金光政府委員 厚生省の試験場と申しますと、食品関係の試験場としましては国立衛生試験所がございまして、その支所が大阪にもあるわけでございますが、国立衛生試験所規模といたしましては、大体三百八人の職員が勤務しておるわけであります。それ以外に公共団体の衛生試験所としましては、各県、また政令市にあるわけでございまして、約二千名の職員が従事しているということであります。  国立衛生試験所の予算は、施設整備費を除きまして大体五億六千万円程度の予算でございます。
  122. 有島重武

    ○有島委員 純粋な研究費はどのくらいになっていますか。
  123. 金光克己

    ○金光政府委員 これは中の組織がいろいろと複雑になっておりまして、食品だけの関係の試験検査費といいますか、研究調査費といいますか、これにつきましては、相当時間をかけて調査いたしませんと資料がないということで、本日資料を持ってまいってないわけでございます。
  124. 有島重武

    ○有島委員 私も前にコカコーラを問題にして、そのときはまだ結論が出てないので保留になった。きょうも武部委員のほうからコカコーラの問題でずっと質疑があって、その答弁は何か非常にあいまいだったように私も思ったのですけれども、これだけ問題提起がされておるにもかかわらず、これは危険がないと思うからというので放置しておくというような態度は、これは極端に言えば国会軽視になると思うのですよ。ここでそちらは、いまのところ危険はないように思う、たいていだいじょうぶだろうと思っても、こちらではこれだけ危険だと思っている。そのときには積極的に検査を進められ、調査を進められるようにしていただきたいと思います。それで研究費や何かがもし不足だというなら、それはその問題として言っていただきたいと思いますね。これは国政全般のこととして、今度は私たちも研究費を増加させるということについては御援助を惜しまない。国民の健康の保持ということについては、どの党派ということではなしに、これは守っていかなければならない問題だと思いますので、先ほどのコカコーラについてもその他一般の清涼飲料水についても、しっかりした調査をやっていただきたいと思います。  以上でもってきょうは質問を終わります。
  125. 帆足計

    帆足委員長 それでは、本日はこれをもちまして終了することといたしまして、厚生省当局におかれてはせっかく御勉強をお願いいたします。  それから内藤、有島両委員に申し上げますが、質問の時間が足りませんでまことに恐縮でございました。次回理事会において時間をつくりますように考慮いたします。  また、次回の木曜日は国立衛生試験所の視察に参りますので、議会から直接出発なさる方は九時、御自宅から行かれる方は十時に国立衛生試験所に到着いたしますようにお願いいたします。いずれ事務局から御連絡申し上げますが、よろしく御了承願います。  次回は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれをもって散会といたします。    午後一時三十四分散会