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1969-06-12 第61回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十二日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 帆足  計君    理事 小笠 公韶君 理事 金子 一平君    理事 木部 佳昭君 理事 竹内 黎一君    理事 阿部 助哉君 理事 武部  文君    理事 和田 耕作君       青木 正久君    周東 英雄君       唐橋  東君    戸叶 里子君       内藤 良平君    村山 喜一君       岡沢 完治君    有島 重武君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         食糧庁次長   馬場 二葉君  委員外出席者         食糧庁総務部長 松元 威雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 帆足計

    帆足委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。阿部哉君
  3. 阿部助哉

    阿部(助)委員 米価のことでお伺いしますが、自主流通米という制度がことしから取り入れられるという画期的な年でありますので、消費者米価がどのようになるかという点をお伺いしたいのでありますが、その前段として、まずことしの生産者米価の問題から入ってまいりたいと思います。  端的に、ことしの米価据え置きだ、こういわれておるのでありますが、次長、これはやはり据え置きだというふうにお考えになっておるわけですか。
  4. 帆足計

    帆足委員長 ただいま御出席は、国民生活局長八塚さんと食糧庁次長馬場政府委員が参っております。それから食糧庁総務部長が参っております。それでは馬場政府委員
  5. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 昭和四十四年産米生産者米価据え置きというふうにきまったと考えます。
  6. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これの算定内容等は私こまかく触れようとは思いません。いろいろな物価値上がり、または平均反収をとろうとした、二分の一シグマを見たというような問題はおそらく農水でやられることでありましょうから、私その問題にはあまり触れないでまいりますけれども、物価値上がりをしておる、労働賃金も上昇しておる、こういう中で据え置きをされた理由は何が一番大きな原因ですか。たとえば、財政負担が大き過ぎるから、食管の赤字が多いからこれを据え置こう、こういうことなんですか。いろいろあると思うが、何が一番大きな原因ですか。数あったら順順に並べてください。
  7. 松元威雄

    松元説明員 ただいまの、賃金物価が上昇している、したがいまして従来の算定方式でございますれば当然上がるべきものである、それを据え置きした理由は一体何だという御質問でございますが、これにつきましては、いま先生の御質問にございましたとおり、財政事情等ももちろんございますけれども、一番基本的な問題は、米の需給事情に端的にあらわれておりますけれども、いまの農業生産における米の地位、それから供給需要関係、いわゆる需給事情というものにおける米の地位、それが一番中心の問題で、単純に財政負担がどうこうという問題ではないわけでございます。  それを若干補足して申し上げますと、米の需給事情は、四十二年の大豊作契機といたしまして大幅に緩和方向に向かっているわけでございます。いまさら私が申し上げるまでもないわけでございますが、なぜ緩和したかと申しますと、一つは米の生産が著しく増大したことでございます。もちろん米の生産増大には、基本は農家の生産意欲がございますし、それをささえます稲作技術の向上というものもございます。と同時に、米価がほかの農産物に比べまして相対的に安定して有利だということもまた大きな役割りを果たしているわけでございます。こういった要因にささえられまして米の生産は年々増大をいたしておる。もちろん、四十二年、四十三年は豊作でございますから、単純に豊作の現象だけで判断するわけにはまいりませんが、かりにこれを平年作といたしましても、生産力は確実に上昇しているわけでございます。それに対しまして需要のほうは、食生活高度化という趨勢を反映いたしまして、でん粉質食糧減少する、その中で米の消費減少一途をたどっておりまして、一人当たり消費量減少一途をたどる。もちろん人口増もございますし、工業用増加等もございますけれども、総体としての需要は減っているわけでございます。  そういった面におきまして、片や生産のほうは確実に伸びている、需要のほうは減少傾向にあるということで、需給のアンバランスが目立ってまいりまして、そこで先々の見通しをする必要もありますものですから、昨年の十一月に農産物需要及び生産長期見通しを策定いたしたのでございます。その中で十年後の見通しといたしまして、このまま推移すれば十年後には約百八十万トン供給がオーバーするという見通しがなされているわけでございます。もちろんこれをこのままに放置するわけではございませんから、十年後にいま言った、単純に予測すればそうなるやつを、そうならぬようにいろいろな施策を講じていかなければならぬということでございますけれども、自然の成り行きと申しますか、現状の推移といたしますればそうなるということでございますから、そういった米の需給事情にかんがみまして、まず農政全般としても各般施策を講ずる、たとえば稲の作付面積減少をはかるために新規開田を抑制するとかあるいは転換対策を打ち出すとかの対策を講じますが、それとあわせまして価格につきましても、結論的に申し上げますれば今回は据え置き措置をとった、こういった次第であるわけでございます。
  8. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、米がだんだん余ってくる、だから生産を押えていかなければならぬ、そのために価格の面では掘え置きにする。裏返していえば、農民がもうからないからこれをやめるだろう、こういうことですか。
  9. 松元威雄

    松元説明員 ちょっと私の説明が悪かったわけでございますが、私申し上げましたことは、いまの米の需給事情にかんがみますれば、米価の他の農産物価格との関係におきます相対的有利性が働いているということはまぎれもない事実であるわけであります。したがいまして、われわれは米価考えます場合に、単に米価を切り離して考えるのではなくて、他の農産物価格との関係考えなければならぬ。片や、その結果米の需給にどういう影響を及ぼしているかということも考えなければならぬ。こういうわけでございまして、若干算定要素議論の中にも入るわけでございますが、御承知のとおり、現在の米価算定方式生産費及び所得補償方式基本といたしておるわけでございます。その場合、通常でございますれば、ものの生産平均できまるのが普通の姿でございますから、平均生産費を基準としてきめるということが通常の姿でございますが、それを特別に米の場合はいわゆるワン・シグマ反収と申しますか、平均反収から標準偏差分だけ引きまして、低い反収で割って、それで米価をきめておる、こういうことをいたしております。このような算定方式をとりましたのは昭和三十五年からでございますが、いわば米が不足であった、そういった当時の需給事情を反映いたしましてこういった算定方式をとったわけでございます。したがいまして、米の需給緩和に応じまして、この米価算定に用います反収というものは変えていかなければならぬ。そういう考え方で、従来は標準偏差分を引いた反収をとっていたのでございますが、今回これをおおむね二分の一程度のものを引くというふうに改めた、こういった次第であるわけでございます。
  10. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この問題はあまり深く入りますと、米の算定方式やそういう問題に入りますけれども、幾つかあなたのお話しなさった中でたいへん疑問な点が多いわけでありますが、農業一般の場合、全く経済法則どおりにおやりになるというかまえでおるならば、それはある程度わかる点もあるわけです。だけれども、大資本の品物にしたところで、戦後の日本財政面からあるいは税制面からのこれに対する大ぎな援助というものは、いろいろ手を打っておるわけです。現在だって、わが党が常に言っておるように、租税特別措置法等はわれわれは不満の種なんです。そういう問題が多々ある。農業を簡単に経済ベースだけでお考えになるというおつもりなのかどうか。私いまお話を聞いておりますと、需給事情がこうなったからこうだ、何ぼかの政策を加えるのはわからぬではないけれども、それを前面に打ち出して経済ベースだけでものを考えようとしたら、いまの農業はどこだってやっていけないのじゃないか。資本主義の権化のように皆さん思っておられるかしらんが、アメリカだって農業に対してはいろいろな保護政策をとっておる。イギリスはもちろんのこと。そういうものを全然裸にして農民経済ベースの中へほうり込むというお考えなんですか、農林省は。
  11. 松元威雄

    松元説明員 いわゆる経済法則のまにまにまかせるということではごうもないわけでございます。ただいま先生も申されましたとおり、農業につきましては各般のいろいろな施策世界各国どこでもやっておるわけでございます。農産物価格政策をとりましても、御承知のとおり、先生お話にもございましたが、アメリカにおきましても農産物価格支持をとっている。イギリスにおきましても不足払い中心としまする価格政策をとっている。それからまたEECにおきましても価格政策をとっているということでございまして、農業施策としていろいろな政策がございますが、その中で価格政策一つの重要な施策として各国いろいろやっておるわけでございます。したがいまして、それはある意味では農業として本質的な問題でございますから、私たちは今後とも農産物価格政策バランスをとって展開しようということは、基本的にはまさにそのとおりであるわけでございます。ただ、いわばその運営のしかたと申しましょうか、そのやり方というものは、そのときの生産事情あるいは需要、そういったものも考慮してやらなければならないということを申し上げておる次第でございます。
  12. 阿部助哉

    阿部(助)委員 ことしの諮問の主文だけが需給事情というようなものを出された。農民なんかにとってみれば、じゃ、米がやみで幾らでも高く売れる時代になぜ需給事情というものを、あれだけ逼迫しておる段階で出さなかったのかという点で、これは委員会でもいろいろと衆参両院で問題が提起されておるわけですが、そういう点で非常に不満がある。また、いま米の需給といいますけれども、ここまで余ってくるには、確かに二年続けての豊作があります。だけれども、これにはいろいろな麦や何かの輸入という面もあずかって大いに力があったということは、これは皆さんも認めざるを得ないところなんです。そういう面を考慮してみれば、外米輸入は最近少しは抑制しておりますけれども、外米輸入あるいは小麦輸入等の問題も考慮していくならば、必ずしもこんなに多くの余剰を出さずともいいのじゃないか。またある意味考えれば、たしか前にケネディとニクソンが争ったときを見ても、アメリカでも余剰農産物は非常に問題だ。だけれども、ニクソンは、足らないならばたいへんなことだけれども、余っておるということにそんなに頭を使うことがあるかという言い方をしておられたように私記憶しておるのでありますが、こんなにあわててあれしなくてもいいんではないか。もっと十分な施策さえとり、見通しを立てていくならば、こんなぶざまなかっこうをしなくてもよかったのじゃないか。大体農林省のいままでの施策は私は見通しが非常に悪過ぎるのじゃないかという感じがするわけです、失礼だけれども。  だから、私たち山地帯のほうもそうでありますし、群馬県あたりへ行ってごらんなさい。農林省が言うことと反対のことをしておればもうかると、こう言う。戦後、繭は輸出産業だから繭を一生懸命つくれと言う。一生懸命つくったら、これは斜陽産業で、もう化学繊維にかわるのだからやめろと言って小麦に植えかえさせた。小麦をつくったところが、これはもうだめだから、アメリカから輸入するのでやめろということになった。農林省の言うことを聞いておれば農民は食っていけなくなってしまう。同じことを今度やらないという保証がありますか。  それならば、いまの米価を据え置く、あるいはまた生産を縮小していくには、していくような政策を立てられて、いま総合農政ということをおっしゃっておるけれども、総合農政がある程度軌道に乗っていく段階でこの米の問題も並行しながら考えていくとか、できることならば、農民の場合にはその総合農政効果が発揮した段階でこれを考えていくというならば、これは私は親切な、農民にも希望のある生産ができると思うのでありますけれども、いまのように次から次へとネコの目のように変わる。変わるたびに、農林省の言うことを聞けば損をするという過去の歴史があるわけですよ。こういうものをやるならば、やはり総合農政がその政策効果を発揮した段階で、自主流通米であるとかいろいろな皆さん考え政策をそこで実行していってもおそくはないんじゃないか。そういう政策、まだまぼろしのような政策を掲げておいて、内容はさっぱりわからないという段階でこれだけ大きな転換をしようというのには問題があるんじゃないかという感じがしてならぬわけです。そういう点はどうなんですか。
  13. 松元威雄

    松元説明員 ただいまの先生の問題の指摘は、これはいわば農政基本問題につながる大きな問題でございますから、あるいは私がお答えするのは適当かどうか存じませんけれども、一応の御説明を申し上げますと、相関連するわけでございますが、前段需給の見方についていろいろ過去の例の引用がございまして御指摘があったわけでございます。確かに農産物需給見通しにはいろいろむずかしい問題があるわけでございます。表面的に見ますれば、見通しが違ったじゃないかという御指摘を受ける事例も、私はないとは申さないわけでございます。これはもちろんわれわれの見通しの誤りという問題も、私たちとしてもこれは十分反省して検討しなければならぬと思いますけれども、やはり全体の経済変化と申しますか、そういうものが非常に大きゅうございまして、通常見通したのではその変化に対応し切れなかったという面もあるわけでございます。  そこで米につきましても、確かに米の需給問題は前からいろいろ問題になった次第でございまして、米というのは御承知のとおり、二十年代は絶対的な不足であったわけであります。三十年に入りましてから、三十年度産米の大豊作契機といたしまして緩和方向に向かった。三十五、六年ごろ、ほぼ需給が均衡したといわれた段階があったわけでございます。ちょうどそのころ、三十七年に、農林省は最初の「農産物需要生産長期見通し」を出したわけでございますが、その場合には、将来は米は供給過剰に向かうであろうということのいわば予告は確かにしていたわけでございます。そうしまして、三十七年は当時としては大豊作であったわけでございますが、三十八年から四十年の三カ年にかけまして生産減少いたしたわけでございます。当時輸入もふえまして、したがって当時から、農林省需給見通しは間違ったではないかということをいろいろいわれたわけでございます。当時もこの問題はいろいろ分析したわけでございますが、御承知のとおり三十八年から四十年というのは天候が悪うございまして、御記憶と存じますが、四十年などは、当時の気象庁は、これは天明の飢饉と同じような気象条件であるというようなことすら言った状態でございまして、反収は若干減少した。にもかかわらずあの程度にとどまったということは、私は、基本的には稲作生産力は上がっておったのだ。それが四十一年に回復いたしまして、四十二年には好天候に恵まれまして、一挙に過去の蓄積された生産力が発現されたというふうに考えられるわけでございます。  そのように、米の需給につきましてはいろいろ慎重な検討が必要だということはおっしゃるとおりでございまして、他方、輸入につきましてはいろいろ問題があったわけでございますが、農林省といたしましては、今後は原則として米の輸入は一切いたさないという方針をはっきりと打ち出したわけでございます。小麦につきましても、小麦は約三百万トン以上入れているのじゃないかという御議論もあるわけでございます。確かに小麦は当初は米の代替として入ったことは間違いはないわけでございますが、いまや国民食生活の中に定着しておるわけでございます。したがいまして、消費者側需要と申しますか、そういうものを無視いたしまして、いわば強制的な手段をもって輸入を抑制するということは、これはなかなか時宜に即さないわけでございます。何と申しましても、国民のいわば食生活と申しますか、その動向、あるいは消費動向というものを十分に考慮しなければならぬ、そういった段階でございますものですから、もちろんわれわれ農林省といたしまして、特に農業生産を担当する者といたしましては極力国内生産したものを食べていただきたいと思うわけでございますが、やはり需要というものを無視するわけにまいらぬ、こういった事情もあるわけでございます。しかし、御指摘のように需給につきましてはいろいろむずかしい問題もございますものですから、われわれとしましても、この見通しを立てるについてはさらに検討を重ねなければならないということは十分考えておるわけでございます。  それとも相関連するわけでございますが、先ほど私、米価を本年度据え置いたというのは全体の農政一環だということを申し上げたために、しからば農政全般総合的な展開なくして米価だけに手をつけるのはどうかという御質問がございました。今回の米価据え置きというのは、今後私たち農林省農政展開します場合に、その一環として重要な意義を持つものであることはまさしくそのとおりでございます。私たち農政展開するにつきまして、いままでもいろいろな施策を講じてきたわけでございますが、これは正直申し上げまして、なかなか時代変化経済変化が大きいものでございますから、それに対応し切れぬという面もあったわけでございます。そこでいまごろおそいという御指摘もございましょうし、まだまだ施策が不十分だということもございましょうが、昨年も総合農政ということを打ち出しまして、現在の情勢に即応しました新しい農政総合的展開をはかっていこうということで各般施策の準備に着手をしておりまして、まず四十四年度におきましては、まだささやかではございますが、いろいろな芽を出している。もちろん農政というものは非常に長いものでございまして、一朝一夕に効果を生ずるものではございません。したがいまして、そういった施策効果というものを結果として見るには時間もかかるわけでございますけれども、やはり農政というものをそういった方向展開していかなければならない。そういたしますと、そういうものと矛盾するような施策をとるわけにまいらないわけでございまして、そういう意味におきまして、今回まだ結果は直ちに実っておるわけではございませんが、そういった総合農政一環として米価についての据え置き措置を決定した次第であるわけでございます。
  14. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この問題から先へ、自主流通米の問題に入りたいのでありますが、ただ一言、総合農政はいろいろ芽を出してきたとおっしゃるのですが、政治はやはり農民に先の希望を与えてやる、そして見通しを与えるということが私は大切であろうと思うのです。いま総合農政とおっしゃったけれども、前の西村さんは総合農政を言いっぱなしでかわられたようですが、実は農林省皆さんのところの役人さんを連れてきて、総合農政というのは中身は一体何なのだと聞いても、さっぱりわかりませんと、こう言うのだな。幹部の方だけおわかりになっておるのかしらんが、農林省役人さんも総合農政中身というのはさっぱりわかりませんと言う。その程度のものですね。一般農民は、総合農政が将来どういう方向に向かっていくのだと言うと、何か米をつくらないようにしていくということだけはわかっているようでありますが、そのほかはわからない。何か自分たちがつくっておるものはけしからぬという、悪いことなんだという感じだけが与えられて、ではこうするのだという方向づけ一つ農民にわからない。まあ役所の中でもわからないのだから農民にわかるはずがない。そんなことで、いま日本農政の根幹だといわれてきたこの食管法をいじっていく。皆さんは変えないというが、自主流通米というような形で大きく転換していこうとする、こういうことは私は政治あり方としてはまことにまずいあり方ではないか。将来はこういうふうにして、農民はこうなるのですよという方向づけくらいは出して、その上で政策転換というものを私はなさるべきだと思うのです。そういう配慮が一つもないじゃないですか。私も何べんも農林省の人を呼んで聞いてみるのだが、総合農政実態というものはわからない。ただわかるのは、米中心政策ではだめなんだということだけは私も大体わかった。ではそれをどういうふうに転換していくか。皆さんの指導で適地適産なんていうて果樹をやってみたって、リンゴは余っておる、ミカンはいま余って処置なしという形になっておる。一体何をせいというのか。一体総合農政というものはどういうことなのか、ひとつ簡単にあなた説明してください。
  15. 松元威雄

    松元説明員 どうもこれは農政基本問題でございますから、私からお答えするのは適当かどうか存じませんが、私たちの理解といたしまして総合農政というのは、ある意味では総合というのはあたりまえのことでございまして、何だいまごろ総合農政かと言われれば、あたりまえのことなのでございます。むしろいま農政転換期に来ておるということをもう一度反省する意味総合農政ということばをあえて使ったのだろうと思っておるわけでございますが、これにつきまして大体主要なポイントをわかりやすく申しますと、三つばかり考えられるわけでございます。  一つは、農業生産につきまして、従来は、米偏重と申しますと言いすぎかも存じませんが、米にウエートが置かれた。それに対して、米ばかりではなくて、ほかの農産物を含めて総合食糧としての安定的な供給をはかっていくということが第一のポイントであろう。農産物需要というのは全体としますとまだまだ伸びておるわけでございます。そういう実態でございますから、それに即応して安定的に総合食糧としての供給をはかっていくということが一つポイントであろうと思っておるわけでございます。  第二は、各般施策でございますが、農業政策には生産政策あり、構造政策あり、価格政策あり、流通政策あり、いろいろな政策があるわけでございますが、それらがバランスをとって展開されなければならないということが第二のポイントであろうと思うわけでございます。これはもちろん農業基本法にもそういう規定がございまして、各般施策バランスをとるということは当然ではないかといえばそのとおりでございますが、それをいまの局面に即応して総合的に展開していくということが第二のポイントかと思うわけでございます。  第三のポイントは、これもあたりまえのことでございますが、農林省としますと、物を単に圃場でつくるだけでなくて、消費者の口に入るまでのことを所管しているわけでございますが、従来とかく、圃場で物をつくるほうが得意でございますから、あとの流通消費段階までは生産段階に比べますと施策が及びにくかったという点もあるわけでございます。そこで、そういうことまで含めまして施策展開していくということでございます。  おもなポイントと申しますか、理由はそういうところにあろうかと思っておるわけでございまして、それを具体的な施策にどのようにあらわしていくかということが問題であろう。確かに御指摘のとおり、従来は米についての施策というものが大きくクローズアップされておりまして、それに比べますとほかの農産物についての施策がそれほどはっきりしていないものですから米ばかりであった。今度総合農政といいますと、米のほうは手を抜くと申しますか、そういうほうがクローズアップされるように見えるわけでございますが、確かに一つをとってこれが総合農政だと言うことはできない。むしろ全般であろう。そういう意味で、そういう方向に沿っていろいろな方策を講じていくのだ。四十四年度はささやかなものだと申しましたが、もちろんこれで十分だと考えておるわけではございません。そこで引き続き農政審議会に、今後の農政推進上留意すべき基本的事項いかんというような諮問をいたしておりまして、来年度を初年度としてさらに農政の強力な展開をはかっていくようにいま検討を重ねている過程でございますものですから、そういう段階で今後一挙にはなかなかいきにくい、これは農業の性質として一挙にぱっと変わるわけにいきませんから一挙にはいきにくいと思いますが、そういう方向でじみちに施策の積み上げをしていきたいというふうに思っておる次第でございます。
  16. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いまのお話ぐらいのことはこれはまあ当然なことであって、いまさら総合農政なんということばでおっしゃること自体がおかしいことなんです。いまのお話を聞いてみたって、農民にとって、こうやればこうやろう、農林省はこういうことを考えておるようだし、協力するためにはこうしたらいいのじゃないかというようなことが、個々の農民にはいまのお話の中からは出てこないと思うのです。そういうものがある程度具体化して、農民もそれならばそれによる態勢をとろうというところで大きく転換するということならば私もわからぬではないと言うのです。だけれども、それなしにやってしまって、農民のほうを困らせてしまってからやるということには農政だけではないほかの力も加わっている。私、その問題はあまり触れようと思っていないのでありますが、農業人口を労働人口に転換していこうとかいうようないろいろな問題がからんでおる。私自身も、第一次産業から人口が逐次第二次産業、第三次産業に転換していくだろうというぐらいのことは否定するものではないけれども、その転換のしかたが問題ではないか。そこに意見が違うところが出てくるのじゃないか。同じ労働者に転換していくにしても、苦しめてしぼり出すような形の中で転換さしていくのか、ほんとうに準備をして話し合いの中で希望を持って転換していくのかという、そこに政治があるのじゃないか、そこに政策があるのじゃないか。それがなしに、まずいじめておいて労働者に転換しようなんということを考えたら農民が腹を立てるのは当然だし、混乱を起こすのは私は当然だと思う。その辺で、総合農政が実施に移されて、ある段階まで進んで、農民にもわからせて、その上で私はやるべきだと思う。この問題をやっておりますと農水の問題みたいになりますので移ります。  それではお伺いしますけれども、今度自主流通米という制度を農林省は取り入れようとしておる。そうしますと、この自主流通米という制度をやった場合、農民が政府に売る値段——同じ値段で同じ収入を得るとしますね、政府に売ったら石当たり二万円なら二万円取る。自主流通米に売った場合には中間経費は政府が負担しないわけですから、その分は大体どれくらいかかるという見当ですか。
  17. 松元威雄

    松元説明員 お話しのように、農家の方々が政府に売ろうか自主流通米に回そうかと思うのは、これは価格がメルクマールでございますから、政府に売るより以上に高く売れるという場合に行なわれるという考えが筋であるわけです。それが第一の問題。  それから第二は、今度はそのあとの流通経費の問題でございまして、先生十分御承知のとおり、現在政府のほうで売ります米につきましては財政負担をいたしておるわけでございまして、自主流通米につきましてはその負担がございませんから、いわばその分を消費者価格にオンしなければならぬということになるわけでございます。  したがいまして、分けて申し上げますと、農家の方々が政府に売るよりも多少とも高く売れる、これはどの程度か問題はございますがそういうものと、中間経費の問題と、両方が消費者価格に加えられる、こういうことに相なるわけでございます。  そこで問題はこの中間経費でございますが、現在政府の場合でございますと、ざっと精米十キロ四百円程度かかるということになっているわけでございます。ただ政府の場合の中間経費と自主流通米の中間経費にはかなり相違があるのじゃないかと思われるわけでございます。その場合一番の問題点は、やはり保管に伴う金利、倉敷等が一番問題になるであろう。政府経費の中には、これは通常のものでも政府は相当長く持っておるわけでございますが、特に現在は古米、さらに古々米といわれる分まで持っておる段階でございますから、非常に保管期間が長く、保管料、金利がかかるわけでございます。そういった点、自主流通米は足が早いわけでございますから、極端に申しますと農家の方が売ってすぐ消費地に送られるということで、非常に短いであろう。これを計数的にあらわすのはなかなかむずかしい問題がございますが、そういった要素もあるわけでございますから、単純に政府経費そのものが置きかえられるとは考えておりませんし、それからまた運送等につきましても、市場条件に恵まれたものが自主流通米に回ると考えられますから、あれやこれや考えますと——もちろん政府の場合には中間経費は全部政府負担でございますが、自主流通米はそれに対して中間経費がかかることはまぎれもないことですから、その分だけ消費者価格が高くなることば否定できないわけでございます。そういうものを消費者の方々が需要するかどうかといった問題になるだろう。そこのところが、生産者側の求める価格の差と申しましょうか、そういうものと中間経費の高さ、それと消費者の方がほしいという需要、そういう出会いで価格はきまるだろう、抽象的でございますが基本的にはそのように考えておるわけでございます。
  18. 阿部助哉

    阿部(助)委員 政府の場合には十キロ四百円ぐらいを負担しておる、こうおっしゃると、自主流通米の場合もやはり十キロ当たり、まあ三百円前後のものがかかると見てあまり狂いがないのじゃないかという感じがするわけでございます。そうすると、この自主流通米農民の手取りは同じだとした場合に、消費者自主流通米の場合は十キロ当り三百円前後高くなる、こう見ていいわけですね。大体三百円であるのか二百八十円になるのか、その辺は金利、倉敷の期間とかいろいろな面があって算定がむずかしいとおっしゃっておるが、大体の見当としては私は三百円ぐらいじゃないかと思っておるのです。それが三百円であるか二百八十円であるか、これはわかりませんけれども、その程度は少なくとも消費者は高くなる、こういうふうに見ていいわけですね。
  19. 松元威雄

    松元説明員 おっしゃるとおり計数で一律には申し上げられませんが、荒っぽく申しまして二、三百円程度高くなるだろうというふうには考えております。
  20. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうしますと、自主流通米に回るものが今年度どの程度になるか、政府のほうでは、百七十万トンの自主流通米のうち酒米とかいろいろなものをあれして、一般の飯米に回る分はおおむね百万トンと見ておられるわけですね。これが百万トンであるのかそれ以上になるのかわかりませんが、その程度でいった場合にはこれはやはり物価に影響すると思うのですが、企画庁のほうではその点はどの程度影響するように大体試算しておられますか。
  21. 八塚陽介

    八塚政府委員 私どものほうの本年度の物価見通しにつきましては、五%というふうに見ておることは御承知のとおりでございます。その算定の内訳がどうだということについては再々お話がございましたが、特に一つ一つ積み上げたわけではないというお答えをしてまいったわけでございます。しかし、米であるとがあるいは国鉄運賃であるとか、そういうウエートが大きくてしかも政府がその価格に責任を持ち得るものにつきましては、やはりその内訳でどれくらいの影響があるだろうかという計算をいたすわけでございます。それにつきましては、私どもといたしましては本年度は政府の配給する米は据え置きという計算をいたしておりますが、その点についてはこの間の米価決定の際にも再確認をされておりますから問題はないわけであります。  自主流通米がどうかということでございますが、結局私ども、ことし食糧庁の原料米を除きました百万トンがどの程度そのとおりになるかということは、何ぶん初めての試みでございますからある程度の推定の数字であろうとは存じますけれども、いずれにいたしましても従来配給をするために必要であるという七百五十万トンが政府の手元に集まることはほぼ間違いのないことでございますから、従来の政府配納米を消費者が受けておるその価格とそのウエートは何ら変更はないだろう。したがいまして問題は、家計調査等にあらわれております約三割といういわゆる非配給米がどの程度自主流通米に置きかわるかということではないだろうかというふうに考えております。そういたしますと、非配給米、従来のいわゆるやみ米の自主流通米価格がどうなるかということでございますが、これは私どもの長官が再々申し上げますように、従来のやみ米のようなことではなくて、しかも消費者の選好に合う、需要に合う米を政府の全体的な計画のもとに売り渡すわけだから、従来の非配給米、やみ米のようにはならぬだろうというふうに言っておるわけであります。私どももやはりそういうことだと存じております。  一方、いま申し上げましたように、政府配給米については十分あるわけでございますから、自主流通米等が著しく予想を逸脱して高水準になるというようなことであれば、これは政府配給米を十分に配給することによってある程度のコントロールができるだろうというふうに考えておりますので、年度当初見通しました物価上昇率につきましては、特に自主流通米制度の発足したことによって変更をする必要はないというふうに考えるわけであります。
  22. 阿部助哉

    阿部(助)委員 ちょっとおかしいのじゃないですか。この自主流通米の場合は、おおむね十キロ当たり三百円というものは政府負担に見合うものであって、業者のマージンとかそういうもうけというものは大体見てないわけですね。それにプラス業者の利益というものを見ればさらに上がるわけでしょう。政府負担しておるものは、何も政府はもうけておるわけではないのだから、その分プラス業者マージンというものが当然そこに加わるわけでしょう。しかもそれが自主流通米として少なくとも百万トン程度は飯米へ回るだろう、こう言っておる。それがくずれれば自主流通米の構想自体が、農林省の構想自体がまことにずさんで、わけがわからぬということになってしまう。それは回るものだと見て、私は農林省お話のとおりで質問しておるわけなんですがね。
  23. 松元威雄

    松元説明員 あるいは私の説明がちょっと不十分だったかと存じますが、いまの御質問と関連いたしまして、現在中間経費が政府管理の米の場合、精米十キロについて約四百円程度と申し上げたと思いますが、その経費と申しますのはこれは二つございまして、一つは政府みずからの経費、いわゆる政府経費、政府が買って売ります経費でございまして、これは集荷いたします農協等に対します集荷手数料等から、運賃、金利、保管料、それから事務費というものを合わせました政府の直接の経費と、それからもう一つは、今度は政府は御売り販売業者に売るわけでございまして、卸はそれから小売り商に売る、そういった卸、小売りの販売マージンの両方を合わせたものでありまして、したがいまして、この精米十キロ約四百円というものは、それ以外に業者のほうの加わるプラスというものはなくて、いま申しました農協の扱い手数料と販売マージンが入ったものでありまして、もちろんその場合政府がコントロールいたしておりますから、なかなか業者の要望に沿わなくて、それより、端的に申しますと低く押えておるという感じがあると思いますけれども、性質としてはそういった業者の扱いマージンというものも含んでおるわけでございます。
  24. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それはわかるのです。だけれども、いまの農協の集荷手数料にしてみたって決してそんなに大きなものではないのですね。また業者がこれにタッチしていくとすれば、いまのような程度のもので満足するかどうかということは、これは考えられない。そうすれば何がしか、十キロ当たり四百円、三百円なら三百円というものが、それに何かプラスすると、かかるだろうと想像するのはこれは無理ないじゃないか。かりにそれが三百円であったとしても、ぎりぎりであったとしても、その分だけは配給米よりも高くなるわけでしょう。それはいまのやみ米と帳消しになるから物価には影響しないんだというふうにお考えになっておるのかどうかということなんですよ。
  25. 八塚陽介

    八塚政府委員 いずれにいたしましても政府の配給米よりは高くなる。生産者ももちろん品質に応じたということで多少政府売り渡し米よりは高く売るでありましょうし、一方その品質に見合っているという市場機能が働きますならば、それなりに政府配給米よりも高くなるということは事実でございます。そういう意味におきまして、まず自主流通米というのが、従来の政府配給米に対しての消費者側一つ不満である品質の選好というものを満たすわけでございます。従来の非配給米というのはやはりそういう政府のいわゆるお当りの米に対するいわば需要選好が働いておるわけでありますから——従来の経路と今度の自主流通米の経路、あるいは計画的な全体としてのコントロールが働いておる等々を考えますと、必ずしももちろんやみ米とは同じではございません。それからやみ米も若干残ると思いますが、いずれにいたしましても、家計の中で米を食う量というのはふえるということは考えられないわけでございます。一方配給米については、従来どおりの数量が用意されておるわけでございます。したがいまして、新しく、従来の政府配給米、従来の非配給米プラス自主流通米というふうになるのではないでしょうか。政府がやはりベースになる配合米の数量と価格は責任をもってやるとすれば、全体といたしまして従来の、自主流通米が発足以前のいわゆる実際の米価水準とは変化があまりないというふうに考えていいのではないかと思っておるわけでございます。
  26. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうもわからぬですね。私は一番かたく見て、農民が政府に売る値段と自主流通米に回すのと同じように見て、初めから出発しているわけですよ。本来、これが始まって、同じような値段ならば何も自主流通米に回しはしませんよ。農民段階で一ぺんもう自主流通米は高くなっているわけですよ。その上に政府の負担しておったところのいろいろな経費というものがプラスをしていく。業者の利益というものがそれにプラスをしていくということになれば、自主流通米価格はいまおっしゃった十キロ当たり三百円程度のものではなしに、さらにそれは大きくならなければ農民は売るわけはない。当然それは十キロ当たり四百円あるいは五百円というものは、消費者が買うときには高くなっておるだろうということは、これはだれが見たって想像できることじゃないですか。大体その程度は、考え方としては私の考えは間違いじゃないのじゃないですか。そうすれば、それが百万トン——いまの配給の中でその百万トンというのが何%なのか、そこでどれくらいそれが上がってくればどうなのかということについて、物価の担当としては大まかな計算をしておくべきではないですか、計算があるべきじゃないですか。大体政府は、飯米は百万トンと見ておられるわけでしょう。そうすればそれに対する値上がり分というようなものは計算できないことはないじゃないですか。
  27. 松元威雄

    松元説明員 いまの物価に対する影響の問題は国民生活局長からお答えいたすと存じますけれども、その前提としまして、いま再主流通米の価格についての御質疑があったわけでございます。先ほどから私も申しておるとおり、確かに自主流通米は、生産者も政府に売るよりも有利だからということは、そのとおりに認めているわけでございます。それから第二点は中間経費、いわゆる流通経費につきましては、これは政府の管理米の場合には政府が負担しておる。それに対して自主流通米は負担がないから、その分もいわば消費者価格にオンするということは先生のおっしゃるとおり認めておるわけでございます。ただし問題は、その場合数字がどうなるかということは、これはむずかしい問題だと思います。私は荒く見まして二、三百円と申しましたが、数字は動くであろうと思います。そのように通常価格よりも高くなるであろうということは、確かにそのとおりであるわけでございます。  ただ問題は、いまのはコスト側の要因であるわでございますが、他方需要側の要因といたしますと、そういった政府の配給米よりも高いものを買うという消費者需要いかんという問題があるわけでありますから、したがって私は、そういったコスト側の要因と、自主流通米のほうが政府米より品質の面でよろしい、したがって少々高くてもよろしいという御判断が消費者の側にあって、両者が合致したところで価格が成立するというふうに考えておるわけでございまして、片やいまの政府といたしますと、消費者の方々が政府の直接の配給米がほしいというふうにおっしゃれば、これはいまの配給制度のもとで、端的に申しますと無制限に配給をいたすわけでございますから、おのずから水準はコントロールされるであろうということをいろいろと申し上げたわけでございます。  片やもう一つは、しからばその消費者の方々の需要というのはどういうものであろうかということでございますが、これにつきましては、もちろん現在の政府の配給下では品質格差というものはないわけでございます。したがって消費者の方々は、政府の配給米では品質格差に対する需要が満たされないという御不満がある。そこで、これはそのこと自体取り上げれば非常にけしからぬことだという御批判はもちろんまたわれわれ受けなければならぬわけでございますが、遺憾ながら現実にはいろいろないわば非配給米というものがあるわけでございます。この非配給米の発生は、原因はいろいろあろうかと思いますけれども、またそれを放任する食糧庁は何だどいう御指摘はこれはもちろんわれわれとしても受けなければならぬ点でございますが、消費者の方々の需要といいますか、要望というもの、そのことを反映している面があるわけでございます。そういうことを考慮いたしまして、ただいま国民生活局長の申し上げましたのは、全体としての米の実効価格水準はどうかということを申し上げたのだろうと思います。
  28. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま答弁なさったことは私の聞いておることじゃないのですよ。それはまた別に聞きますけれども、聞いてもいいのですけれども、私は、消費者がほしいもの、それにマッチしたものを売るのはいいことだとか悪いことだということを聞いておるのではなしに、現実にいま物価の問題で論ずるならば、その値上がりをした分だけは物価に響くだろう。響かないと皆さんおっしゃるのかどうかということを聞いておるのであって、私は消費者の嗜好がどうとかこうとかいうことはいま聞いているのではないのです。それはあとでお伺いします。
  29. 八塚陽介

    八塚政府委員 おそらく、私が先ほど申し上げ、いま食糧庁総務部長から申し上げたことも、品質の問題ではなくて、品質選好という消費者需要に対応したものであるから、したがっておのずから消費者のほうからはこれぐらいであれば買うという、いわば市場価格というものがあるということで、それが上限になる。やはり物価の問題として申し上げたつもりでございますが、私どもも、いま先生お話しになりますいわゆる配給米より高くなる、それが三百円であるかあるいは三百五十円であるか、従来食糧庁長官が言っておりました二百六、七十円であるかは、これはまあ今後の問題でございますけれども、そのこと自体を決して否定をいたしておりませ々。これがまず第一点でございます。  ところで、私どもが消費者物価の中で米をどういうふうに見ておりますかということについて最初申し上げましたが、まず家計調査の中では、消費者米価といたしましては一つは配給米の価格、これがウエートとして約一万分の五百、四百九十六でございます。そのほか非配給米がほぼこれに対応してあるということで、家計調査の中では非配給米が約三割あるわけでございます。そしてその非配給米の価格動向というものを、米価消費者物価の中でどう見ておるかという中で当然計算をいたしておるわけでございます。計算と申しますか、反映をいたしておるわけでございます。したがいまして、まずそのうちの配給米については価格水準が変わらないとすれば、それは影響がない。それから従来の非配給米として見ておった部分の中で、自主流通米というものが量としてあるいは価格としてその範囲内であれば、従来の計算に比べて、新しく自主流通米ができたからといって水準自体を押し上げることにはならないということを申し上げておるのでありまして、これは蛇足でございますが、もし逆に消費者物価指数の計算の際に配給米だけを計算いたしておりますならば、政府の管理米全体としては自主流通米も入りますからあるいは高くなるという計算が出てまいるかと存じますが、そうではなくて、消費者物価指数の計算の中ではそれぞれのウエートに対応して配給米と非配給米とある、しかも全体として新しく自主流通米ができたからといって家計における米の消費量がふえるということはないといたしますと、これはそういう計算上押し上げるということにはならないということを申し上げておるのであります。決して自主流通米が従来の他の本来的な政府の配給米よりも高くならないということを申し上げておるつもりはございません。その点は先生のおっしゃるとおりでございます。
  30. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうしますと、いまの御説明でいいますと、配給米はいままでどおり配給するから、三〇%ある非配給米の中に自主流通米は大体含まれるだろう、だから物価には影響がないのだ、まあこういうお答えですね。だけれども、いままで政府に売り渡しておったものが、今度はやみというか自主流通米で百万トン回るのですよ。  そうすると、ちょっといまの三〇%というものはどこでやみ、非配給になっておるのですか。いまのいわゆる登録しておるところの米屋の段階でやみ米ということに化けておるのですか。それともかついだり、農民から直接持っていって直接消費者に渡すところのやみ米をおっしゃっておるのですか。とにかくいままで政府に売り渡したものを政府に売り渡さずに、百万トンという米が自主流通米という形で配給からはずれるわけですよ。   〔委員長退席、木部委員長代理着席〕 計算が合わないじゃないですか。その三〇%というのはどこで発生しておるのです、それならば。
  31. 松元威雄

    松元説明員 ただいま先生おっしゃいました総理府の家計調査では、いわば非配給米ということで約三割のウェートを占めているわけでございます。非配給米とは何ぞやというのは、これは家計調査の記帳でございますが、これは消費者の方がいわば配給米ではないという主観的意識を持って購入した数量なのでございますが、しからばその原因ばどういうものか。これは私、端的に申しましていろいろな要因があろうかと思うわけでございます。これは、私たちもいわゆるやみ米の数量把握をいろいろやっておるわけでございますが、なかなか数字が符合せぬものもあるわけでございますが、農家の段階から直接にいわゆるやみとして流れるものもございますし、それからこの点はまことに不当でございますが、販売の段階でいわばいいものを抜き出すということも、私はそういうことは絶対ないとは申し上げられないわけでございまして、両者が混在している。ただ数量をどのように区分するかということは、これはなかなかむずかしい問題であるわけでございます。  そこで、おっしゃいますとおり確かに現在は政府配給米といわゆる非配給米——非配給米というのはいろいろな要因があるわけですが、それが約三割のウエートを占めている。今度ばそれを分けますと、政府の直接配給いたします狭義の配給米と申しますか、そういった分野と、それから自主流通米という、これも政府のもちろん広い意味の配給でございますが、その自主流通米の分野と、さらに残ったやみという分野と、観念的には三本になるわけでございます。私たちはもちろん措置を講じまして、いわばやみというものが正式のルートに吸収されることを期待をいたしているわけでございますが、実際には三本の範疇になる。これが政府の期待どおり、やみ米というものが完全になくなるということになれば非常に望ましいわけでございまして、われわれもそういう努力をしなければならぬわけでございますが、この三者の関係がいかようになるかという点は、これは今後自主流通の実施を見ながらさらに検討しなければならぬ問題だと考えているわけでございます。
  32. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうも私には皆さんの答弁は理解ができないのですがね。まあ三割の中で吸収されるから消費者物価への影響はないんだ、こういうことを言おうとしておるんだろうと思うのであります。どうもこの質問は水かけ論みたいになりますが、私はやっぱり消費者物価には影響をするだろう、政府自体がこれを消費者物価に影響さしていく施策をとったということになるんじゃないかと思うのですが、それならばもう一つお伺いしますけれども、まあ自主流通米に回るものは大体食味のいいというか、うまい米ということになるわけですね。そうですね。
  33. 松元威雄

    松元説明員 自主流通米は、消費者需要と申しますか、嗜好に合致したものであるわけでございます。したがいまして、広い意味で品質ということは申し上げていいかと思いますが、品質ということばを使いますといろいろな要因があるものでございますから……。そこでこれを、私たちはどんなものが自主流通米に回ると考えているかと申しますと、大体二つ三つの範疇があるんじゃないかと思います。一つは品種で、いい品種といわれているもの、例をあげますれば、たとえば新潟のコシヒカリでございますとか、あるいは東北のササシグレでございますとか、品種として食味がいいといわれているものがあるわけでございます。この食味というのは嗜好問題もございますから、全国一律にきめるわけにはまいらないわけでございますが、そういったグループがあるわけでございます。それからもう一つは、早場米と申しますか、いわば端境期に新しい米が出てくる、こういった範疇もあろうかと思います。したがって、狭義の品種ではございませんが、そういった食味と関連しだ品種の問題、あるいは早場米等の新米の問題、こういったものが消費者需要に適合するだろうと考えております。
  34. 阿部助哉

    阿部(助)委員 早場米というのは、やっぱり出たばかりの米はうまいんですよ。要するに、簡単に言えばうまい米ば自主流通米、まずい米は配給米ということになるわけですね。そうすると、うまい米は自主流通米、高いからうまい米は金持ちが食え、まずい米は貧乏人が食えということになるわけですか。
  35. 松元威雄

    松元説明員 非常にうまい御質問でございますからどうも答弁に困りますが、確かに、うまいまずいとぱっぱっと分けてしまいますとそういうふうにおっしゃられるわけでございますが、ただ先生も十分御承知のとおり、先ほど私も申し上げましたとおり、品質につきましてはいろいろな概念があるわけでございます。特に私たちとしましては、自主流通米の数量というものは百万トンというような予算上の見積もりでございますが、約一五%で、残り八五%もあるわけでございます。それをいわば一義的にまずいんだ、こう言われてしまいますと——総体からいいますとこっちのほうがよりベターだということは私はあろうかと存じますが、そいつはまずいんだというふうに結びつけられますと、八五%も持っておるのでございますから、そう一がいには言い切れぬだろうと思います。
  36. 阿部助哉

    阿部(助)委員 一がいにはそれは本人の嗜好にもよることですから——前に池田さんが、貧乏人は麦を食えかなんか言ったときだって、いや、麦のほうがうまいんだという人もいるかもしれぬ。それはないという保証はないだろうけれども、それと同じことで、あれは早場米だ、コシヒカリだというような形になれば、一般的にいってうまい米は結局自主流通米に、まずい米は配給米にということになるのは、これは当然のことです。結局配給米はまずいから、うまい米を食べたければ高く出して自主流通米を買いなさい、こういうことになるわけでしょう、端的に言って。
  37. 松元威雄

    松元説明員 配給米はまずいと言われますと、ますますいまの米の消費の減退に拍車をかけるものでございますから私たちはまことにつらいんでございますが、よりおいしいと思うものをほしいとおっしゃれば、そういう意味は確かにあろうと思います。
  38. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 阿部先生お話に関連してお伺いしますけれども、食糧庁としては結局小売り屋の段階で、いまのお話を聞いておりますと、配給米と自主流通米と、こう並ぶような印象を受ける発言をしていましたけれども、その段階でどういうぐあいに——根幹は守っていくわけですからね、おたくのほうでは。これはどういうぐあいに小売り屋の段階で指導していくか。悪く考えますと、もうこれは、自主流通米よりないのだというふうに小売り屋が言った場合には、百万トンの穴で、考えによっては残り全部がこの穴から出ていくかっこうになって、小売り屋の販売技術によりましては、あるいは精白の技術によりましては、全部自由米自由米というかっこうで、高い米を消費者は買わざるを得ない状態になるのじゃないか。そういう場合にどういうぐあいにあなたのほうでは押えるということですか。
  39. 松元威雄

    松元説明員 政府の直接の配給米も自主流通米もこれは配給でございまして、政府は購入券に基づいて配給をしておるわけでございます。そこで問題は、両者が小売り段階で、いわば峻別される、両者の間に混同ないしはごまかしがないようにということは、先生のおっしゃった第一番の基本問題であろうと思うのであります。私たち政府といたしましては、政府の配給米はこれでございます、自主流通米はこれでございます、両者とも配給米だ、そのものとして混同を認めない。問題は、その基本をいかに実施するかということが問題でございまして、もちろんその場合、基本は、五万七千軒の小売りがあるわけでございますが、これにきちっと政府の言うとおり守らせる。そのためには、購入通帳あるいは販売台帳でも、自主流通米を幾ら買って幾ら販売をいたしましたということをきちっと記帳させまして、それを照合する。それからまた、実際問題として五万七千軒のものを一々食糧庁の職員が店番をするわけにはまいりませんから、基本はやはり業者の商業道徳と申しますか、それが一番基本の問題でございます。そのために、いわば公正な競争条件というものをつくるということが基本的に重要な問題でございますから、そこで先般配給改善措置を講じまして、従来は消費者と小売りとが登録で結びついておったのでありますが、その結びつきのひもを切りまして、消費者はどの小売り屋からも自由に買えるという制度にいたしたわけでございます。そこで万一、うちの店には自主流通米しかございませんという不届きな小売り屋がございますれば、消費者はほかの店へ自由に行けるわけでございますし、そういうことが明らかになった場合には、これは各種の指導等をいたしておりますから、そこで、そういう事情を明らかにして、そういうことは一切ないというふうにするつもりでおるわけでございます。
  40. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 そこでやはり問題は、消費者対米の関係になりますと、そういう自由な選択ができるかどうかということなんだね、われわれが心配しておるのは。一部の百万トンの値上がりということだけれども、実際は全部の値上がりになってしまうのじゃないか。そこが消費者段階の問題だと思うわけであります。やるつもりだというお話だけれども、実際問題としてこれを厳格にやる場合は、食糧庁としては現在の人員でやれますか。あなた方はやれないことをやりたいという希望的なことを言っておるわけじゃないですか。小売りの段階で厳重にやれますか。これからどういうぐあいになるかわからぬけれども、小売り屋が売る米は、新潟のコシヒカリ、これは十キロで約二千円だ、おいしい米だ、こういうぐあいに言った場合、消費者はわからない。消費者は何ニシキかかにニシキかわからないわけです。小売りの業者のおすすめでそのとおりになってしまうと思うのです。それは高いから配給米をくれ、配給米はちょっと切らしておる、そういった場合、これは隣の配給所へわざわざ十キロの米を買いに歩くかどうか。ぼくら心配するのは、結局自由米という名前だけれども、実際は小売りの段階で全部自由自由という形でやられてしまって、配給米はまずいし、あるいはいまないなんというかっこうになりますと、消費者全部が高い米を買わざるを得ないような状態になるのじゃないか。こういうことをどういうぐあいに、食管制度の根幹を守るという立場であなたたちは実際に実践していく自信があるのか、その手だてだね。これはやはり消費者の米の値上がりと関連して食糧庁のほうの大きな問題じゃないですか。そこら辺をひとつ聞きたいのです。
  41. 松元威雄

    松元説明員 いまポイントお話があったわけでございますが、政府の直接の配給米と自主流通米を末端においてごまかさないようにするということは、まさしく最大のポイントであるわけでございます。そこで私たち最小限度、いまお話がございましたが、ただいま政府の直接の配給米は切らしております、これは絶対に言わせない、これは確実にできるわけでございます。いやしくもそういうことはございません。それば絶対に間違いがない。その場合懸念されますのは、いわゆる格上げと申しますか、ちょっとしたインチキみたいなものであって、政府米の中でも、これは先ほど政府米は悪いというお話がございましたが、全部が全部悪いわけではございませんから、政府米だっていい銘柄が一部入るわけでありますが、それをちょっと格上げする、これが一番こわいわけであります。それをひどくやりますれば、帳簿をごまかすのは何でございますが、ちゃんと台帳をつくりまして、自主流通米を幾ら卸売りから買って、政府から来た米は幾ら来て幾ら配給したかということは帳簿をつけますから、帳簿を照合いたしまして、あまりギャップがありますと、おまえおかしいじゃないかということを言い得るわけでございます。そういうことをいたしましていまの御懸念のないようにして、少なくとも配給米は切らしておりますなんていう不届きな小売りは、絶対にそういうことは容認しない、これは確実にできると思うのであります。
  42. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 できると思っているだけで、実際これからやるわけでしょう。八月以降やって、新米が出るはの十一月ごろですか、その場合、食糧庁が当面米の関係の、米を扱う方面のあれで、ここに次長もおられるけれども、これは実際断言できるんですか。これはやはりぼくらもこれから調査もしたいのです。これからの問題だからこっちもあれだけれども、きょうの会合として、この自主流通米というものをやって、そして消費者米価を据え置くということになっているのだけれども、これは事実上は値上げになる、こういうようにわれわれは考えるのだけれども、それをいまの食管法なり食糧庁の力で、一部の米だけ上がるけれども九割は上げないのだ、こういう実績を、このあと新しい米穀年度、来年度までの間に立てるという自信、あなたここで責任をもって発言できますか、それを聞いておきたい。
  43. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 自主流通米制度を実施に移して運用していく食糧庁としても、大きい問題の一つは最終の末端の配給段階におけるそういう問題だと思っておるわけです。それに二つ問題がございまして、販売業者が正しく営業をやっても、それは実質上の消費者米価値上げになるのじゃないかという阿部先生の御指摘でございます。   〔木部委員長代理退席、委員長着席〕 これにつきましては、先ほどから質疑応答がございましたように、食糧庁としては、自主流通米が予定とおりかりに主食配給計画の——百万トンは配給計画の約七分の一に相当するわけでございまして、大半はやはり食糧庁みずから米を保有して、あるいは新米を買い入れて操作するわけでございますから、しかも米自体の需給はきわめて緩和している、というよりむしろ余剰傾向にあるわけでございますので、そういう食糧庁の操作面で、自主流通米が中間経費が不当にかさんで末端価格が不当に高くなるということは、これは私どもは食糧庁のいわゆる売り渡し米の操作によってぜひ防止いたしたい、こういうふうにまず考えておるわけでございます。  問題は、ただいま先生おっしゃった小売り業者の不正の問題ですが、これは従来から、自主流通米の発足前からいろいろ小売り販売業者の制度については御指摘を受けた点があるわけでございます。これは私のほうの出先の食糧事務所なりあるいは都道府県の指導監督なり取り締まり等に限度がございますので、やはりできるだけそういう不正が行なわれないような組織、仕組みをつくることが非常に大事じゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。したがいまして、先ほどから御説明ありましたように、やはり小売り販売業者の公正な競争ということで、競争原理を導入することがどうしても必要であるわけです。従来は小売りと消費者の間が登録制によって結びつきがあったわけでございますが、これを四月から結びつきをなくしまして、消費者は自分の自由意思によってどの小売り店からも買えるという制度に切りかえたわけであります。さらに小売りも卸業者を年一回は自由に取りかえることができるということにいたしまして、やはりいいものを安く売る、正しい営業をする小売り店が消費者から選ばれるという仕組みはとにかく発足させたわけです。これは従来は、やるべくしてなかなか困難な配給改善措置であったわけであります。これでまず地ならしをした上で自主流通米を発足させなければ、先ほどおっしゃったような非常な弊害が出るであろうということでございますので、私どもは少なくとも小売り業者の商業道徳なり順法精神に期待するということだけではいかぬので、やはり仕組みを考えるということが必要だと思うわけであります。  あとはやはり、おのずから限度がありますが、だきるだけ指導監督なり取り締まりをさらにひとつ緻密にやるということも考えておるわけであります。たとえば巡回指導をやる、あるいは販売台帳の検査をひんぱんにやる、さらには、大臣もしばしば申し上げておりますが、最終的にはやはり大精米所における集中精米、これは従来から食糧庁が推進いたしまして、最近相当そういうムードも出、現実に効果をあげているわけでありますが、集中精米をいたしまして、そこで小袋詰めをやる。そして政府の売り渡しの配給米、自主流通による配給米、これを元詰めの袋詰めの段階ではっきりけじめをつける。いろいろ考えられる方途はできるだけ指導監督面で努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  44. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 さっぱり話がわからぬのです。これはやってみなければわからぬというのですけれども、逆に、さっき総務部長需給関係があると言っていましたね、自由米関係で。結局小売りの方のすすめ方といろいろな関係が出てくると思うけれども、自由米がどんどん需要があった場合、高いということを別にして、おいしいとかなんとかいうことで自由米がどんどん売れてしまう。もう自由米は売り切れました、こういうぐあいに小売り業が断言できるように、もう自由米はないから配給米を買ってください、こういう指導はできるわけですか。そういうことをやれるということですか。百万トンという数はきまっているんだから、これを固定して考えた場合に、ぼくが言った場合と逆の意味需要がどんどん出て、自由米がどんどん売れてしまう。配給米はそんなに売れない。だから店頭の場合で——これは私の話も大ざっぱだけれども、百万トンの全国のあれがありますから、小売り段階で、もううちでは自由米を売り切っちゃった、そういう場合に、では配給米を買ってください、しかし自由米をほしい、ほしいというぐあいになってきた場合、そういう場合どうなるのです、食糧庁としては。
  45. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 いまのお話しの自主流通米でございますけれども、自主流通米が、需要者が小売り店へ買いに行っても品切れで、ないという逆の場合をおっしゃったわけですね。
  46. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 だから、総務部長需給関係を言ったでしょう。需給関係の話がちょっと出ましたけれども、自由米が高いけれどもおいしいからというぐあいにどんどん売れてしまって、もっとほしい、もっとほしい。だけれども、これは大ざっぱに言いまして百万トン、七分の一と言いましたか、あなたのほうは。だから配給米より少ないわけでしょう。だから店頭で小売り屋は、もう自由米はございません、売り切れちゃった、その場合に配給米を買ってください、こういうぐあいに小売り業者を指導できる自信があるか。さっきまでの話の逆の話を聞いているわけです。そういう場合はどういうぐあいに指導するのですか。
  47. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 自主流通米のまず供給量でございます。これは百万トンというのは一応の予定でございまして、そこに正常な需要があって、それに応じた自主流通米の流通があれば、それは百万トン以上流通する場合もあると思うわけでございまして、したがってもし消費者がほんとうに自主流通米需要があって、小売り店で買いたいという状況があれば、これは自主流通米がまたそこで生まれてくるというぐあいに考えて、これは自主流通米と政府売り渡し配給米と併存して営業がなされるというぐあいに考えておるわけであります。
  48. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 そうなると、結局自主流通米も配給米もワクがないということですか。自主流通米需要が多ければ百万トンのワクを越えても出さざるを得ないということでしょう、あなたのいまの発言は。そうすると配給、自主というのは、末端の小売り段階にいきますと、需要関係によりましてはその区別するワクがないようなかっこうにならざるを得ないというようなことを馬場次長は言っているのだ。結局そうなると先ほど来わが阿部先生が言っておるように、消費者の立場からいいますと、結局高い米を買わざるを得ないということになってしまう。配給米を据え置きするということは事実上、現場の状態を見ると、やはり消費者米価を上げる結果になるんじゃないかと私は思うのだけれども、阿部先生、私はここで終えますからひとつ引き続いて考えてください。  私はこれで終わります。
  49. 松元威雄

    松元説明員 ちょっと私の説明がまずかったものでございますから誤解を生んだと存じますが、私、先ほど申しましたのは、政府の配給米をくれといった場合、政府の配給米をごまかして自主流通米と称して売ろうとする不届きな者がいて、配給米は品切でございませんというような、そういうことは絶対にやらせない。配給米をほしいといったにもかかわらず、配給米がございません、そういった不届きな小売り屋に対しては、そういうことは認めませんということを私強く申し上げたわけでございます。  逆に自主流通米につきましては、かりに需要がございましても、ものがなければこれはいたしかたがないわけでございます。大体自主流通米の流通につきましては、いま私たちがとっております制度はかなり窮屈な制度になっておるわけでございます。と申しますことは、自主流通米はいわゆる自由米ではないわけでございます。したがって、生産者が売りたいといって売り、米屋が買いたいといってかってに買う、そういうことをしますと乱れますから、それはそういうふうにはしない。したがいましてかなり窮屈な仕組みをとっておりまして、生産者が売ります場合には指定集荷業者、これは現在もあるわけでございますが、農協等の指定集荷業者を通じて売り渡しの委託をする。それから上部団体たる県連、さらに全販連、代表的な農協系統について申し上げますと以上のようなことでございます。そういったルートを通じましてやる。片や買います場合には、現在の制度の登録卸売り販売業者、それに売りまして、それから登録小売り販売業者を通じて売るという、こういう仕組みをとっておるわけでございます。  それからもう一つには、てんでんばらばらに出来秋になってかってに売ったりするということになってはいかぬわけでございますから、あらかじめ自主流通米といたしまして農林大臣が承認をするという大ワクをきめておるわけでございます。生産者の方々が売り渡しをするときは大体出来秋に持ってまいりますから、売るほうは大体数がきまってくる。それに対して買うほうはあとまで需要が続きますから、あとで需要がふえて自主流通米をくれといっても、ものがなければしかたがない。したがいまして、自主流通米について当初見込み量よりあとで需要がふえましても、農家が売ったあとはもはや調整できませんから、自主流通米のほうが品切れということはあり得る。ただ一番懸念されるのは、政府配給米を自主流通米として高く売ることは、これはけしからぬことでございますから、配給米がないということは言わせないということを申し上げたわけでございます。
  50. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると百万トンというのはまず大体ことしは固定してあるわけですか。
  51. 松元威雄

    松元説明員 百万トンと申しますのは、これは予算におきます見積もりでございますから、これには必ずしも固執するつもりはございませんが、先ほど私申しましたとおり、自主流通につきましては、これは先ほどのように生産者が売るルートは規制する、買うほうもルートを規制するわけでございます。そこで、数量につきましては、自主流通計画というものを立てるわけでございますから、その中で具体的にきまっていく。  それから、百万トンというのは政府予算の見積もりでございますから、もちろん百万トンにほぼ近いような数量を自主流通計画できめていただくことは望ましいわけでございますが、それにフィックスするわけではございません。
  52. 阿部助哉

    阿部(助)委員 現在のやみ米、これは農民から直接持ってきて消費者に売るというやみ米と、もう一つは小売りの段階で小売り屋がやみに流す分とある、こうおっしゃっておるわけですよ。私はこの分は相当大きいと思うのですよ。そうすると、いま内藤委員から質問がありましたように、格上げするということは幾らでも行なわれる。むしろ格上げ奨励をするような政策になるのじゃないか。実際に米に色がついて、これは自主流通米でございます。これは配給米でございますと、色がついているわけがない。また次長がおっしゃったように、将来大きな精米所をつくって、そこで袋に入れて、はっきりとこれが自主流通米の袋、こっちが配給米の袋という形で、これが封印されたビニールの袋か何かに出てくるならば、これもまたある程度わかります。だけれども、いまの段階で、いまですら配給で小売り商店が、持ってきた米をうまい米としてやみでやっておることは常識ですよ。いま皆さん、それがないとか、そんなものはわかりませんというなら、これはとにかく食糧庁はめくらだといっても過言ではない。もうこれは常識なんです。そういうことが行なわれておる段階において、片方で自主流通米というのをつくれば、まさにこれは配給米を自主流通米だといってやみにやる道を開く、皆さんのほうで道を開いてやるということだ。そうすれば配給米の数量はうんと減ってきて、そうしてやみ米と自主流通米の数量はふえてくるだろう。これはやはり物価に影響を来たすだろうということで私質問しておるわけです。それがなくなるだろうなんという、なくしたいなんということは、皆さんの願望ではあろうけれども実際はこれは行ないがたいものである。現在すでに行なわれておるものをさらに皆さんのほうでやりやすくしてやるのですから……。そう思いませんか。
  53. 松元威雄

    松元説明員 御指摘のように、いまの小売り販売業者の中で一部格上げのようなことをやっているところがあるということは、私は先ほど否定はいたさなかったわけでございます。ただ私、自主流通の関係につきましては、これはあるいは見解が分かれるところかと存じますけれども、私はむしろ自主流通米制度を設けることによってやみ行為を封ずる大義名分ができる、こう言っているわけでございます。と申しますことは、米屋の言い分としますと、私たち消費者の方々が要望するからやむなくこういうことをやっているということを、口実かもしれませんが言う場合があるわけであります。いわば大義名分を与えている。いやおまえ、今度はそういうようにはいかない、れっきとして自主流通米で扱える、仕入れも自主流通米で扱える、そのかわり売るほうも自主流通米ということで売れ。もちろんこれは先生のおっしゃるとおり、五万七千という小売り屋がございますから、中にはうまい口実だと思う人間があるということは、私も確かに懸念いたしますが、両面があり得るだろう。そこのところをただいま期待とか願望とかおっしゃられまして、監督の実際の不行き届きの御指摘があったわけでございますが、私はそういうふうに指導をしていきたいと考えておるわけでございます。
  54. 阿部助哉

    阿部(助)委員 皆さんはなかなかうまい答弁をしておるようであるけれども、だれも納得しないですよ。それは聞いている人がだれ一人あなたの答弁を納得しないですよ。国会というのはその場を言いのがれればいいのだ、その場さえ言いのがれて委員会が終わってしまえばいい、本会議が終わってしまえばいいという態度で皆さんがものをおっしゃっているとすれば、私は国会というものはもうやめたほうがいいと思う。そうではなしに、現実をもう少しきっちり考え、間違いは間違い、いまある欠陥はいまある欠陥、それを一体どう直そうかということで私は論議をしてもらいたい。だから、いま皆さんが願望だけで——これほどきっちりした食管法のある中で、現実に米屋はとにかく格上げをしてやみをやっておる。それは消費者希望するからやるのだということもこれは許されない問題なんです。だけれども現実は、私はやみの大半は小売り屋の段階でやっておると思う。では小売り屋が悪いかといえば、小売り屋だってなかなかいまの物価値上げの中で、割り当てられた正規のマージンというものは決して私は高いものではないと思う。そういう点で私はその面での同情はいたしますけれども、現実に米屋の段階でやみが行なわれておる。そこへ自主流通米というのが入ってくる。そうすれば、格上げをして自主流通米でございますというくらいのことは、いまやみをやっておるよりもはるかにやりやすいということだけは皆さん認めざるを得ない。ただそれに対してどう対処するかという問題はこれからの問題なんです。それはそれで私はお話は聞きますけれども、それに目をつぶったような形で希望的な願望をおっしゃっても、内藤委員から指摘されるとおりだと思う。その辺をわれわれは心配をする。それが同時にすぐ物価値上げというものにつながっていかないかどうか。ほんとうは、米どころだから、農林委員会でやるような食管制度の問題、生産者米価の問題で私は腹一ぱい聞きたい問題がある。だけれどもその問題はさておいて、いま消費者物価としての、これは消費者の問題として私はお伺いしておるのだけれども、そこをもう少し、欠陥はあるのだ、こういう点のこういう心配があるのならあるのだ、その上でどう対処するかということを皆さんのほうで検討されなければ世の中は前進しないんじゃないですか。どうも課長さん、まあ立場上わからぬではないけれども、それにしてもあまりその場のがれの答弁に終始しておるような感じがするので、それでしたらこれは何時間やったって議論がかわかない問題になってくる。そういう点で、もう少し積極的に、これをどういうふうにしてうまくやっていくか。私は自主流通米は本来反対ですよ。だけれども、皆さんがここまできたから私は質問するのであって、その辺でもう少し、たいへん失礼な言い方だけれども、良心的な御答弁をお願いしたいと思うのです。
  55. 松元威雄

    松元説明員 どうもちょっと私の言い方が悪かったのか、私そういった意味で申し上げたのではなくて、ただいま先生から強くこの場のがれ云云とおっしゃられたのですが、そういうつもりで申し上げたつもりはごうもないわけでございます。先ほどから阿部先生あるいは内藤先生の問題に対しては、私は認めたわけでございます。その点が一番の問題だ、私たちもそれを一番心配しているわけでございます。確かに自主流通米が始まりますときに、しかもいまの段階はおっしゃるとおりまだこれから動く段階でございますから、これが秋以降になりまして勝負が出たそのときに、何だおまえ、この前の委員会に出て答弁したのと事実が違うじゃないかと言われるとこれはいかぬわけでございますから、私もこの場のがれ云々ということはごうもございませんので、私は、おっしゃるとおりその問題が一番の問題だということを認めております。ただし、先ほども申し上げましたとおり、基本的には公正な競争条件をつくり上げなければならない。それからまた、少なくとも配給がないということは言わせない、これは私はできると思っております。それから、おっしゃるとおり全部小袋詰めにすれば一番完ぺきでありますから、その方向に進めたいと思っておりますが、現段階では施設能力その他から一挙にできないわけでございますから、その方向に進めたいと申し上げたわけでございまして、私は問題点を隠すとか言いのがれるということは全然ないわけでございまして、一番の問題、悩みをいかに克服しようかということを検討している段階でございます。
  56. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、小売りの段階でいまでも格上げをしてやみで売っておるのが横行しておるわけでありますが、自主流通米になったらばさらにその度合いは強くなる。ただ、いまこれに対する明確な対処のしかたというものは、業者にいろいろ話をしたり、業者の反省を促しながらやっていく以外には道がない。もう少し進んで、馬場次長さんのおっしゃるように大精米所でもつくって、そうして自主流通米の袋、配給米の袋というような形で袋詰めにしてしまえば、これはまたある程度防げるけれども、それまでは、そういうものを防ぐ道は業者の良心に訴える以外にないというのが現実なわけですね。
  57. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 これは先ほどから申し上げましたように、自主流通米の実施で一番問題にし、あるいは重点を今後指向すべきなのは、やはり配給段階の不正の防止だということは十分私ども認識しておるわけでございます。したがいましで、これを一挙に全部なくするということは非常に困難でございますが、あらゆる手を打って、これはできるだけの努力をしてそういう弊害をなくさなければ——食糧管理制度の根幹を維持しながらやる制度でございますから、そこが、末端の配給が乱れたということではこれは非常な大きい問題でございますので、私ども、これはまだ必ずしも研究が十分進んでない点もございますが、発足までにはなお研究いたしまして、いま御指摘のような弊害を最小限度に食いとめるように努力をいたしたい、こういうことでございます。
  58. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この問題は、私は結局そういう形の中から食管法というものがくずれてくるだろうという心配をするわけであります。そうして、最終的には消費者は高い米を食わざるを得ないというところにくるだろう。それをあえて農林省、政府は発足をさせる。ほんとにこの食管法を守っていくというかまえであるかどうかというところに私は疑惑を持つわけであります。  それで、もう一つこういう問題でお伺いしたいのは、いま政府が手持ちをしておる米の中にだいぶ腐敗しておる米がありますね。カビがはえたり虫がついたりしておる米がありますね。これはいつ発見されましたか。
  59. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 現在政府が持っております米の中には、四十二年産米が相当いわゆる古米——このつゆを越すことになりますと古々米になるわけでありますが、私ども、こういう大量の古米が長期保管になるということが昨年来わかっておりましたので、できるだけ長期保存に耐える米を残して、早期に処理すべき米から処理をしてきておるわけでございます。したがいまして、目下のところそうひどい変質米は発見はされていません。ただし、非常に条件の悪い倉庫に——倉庫不足で、相当倉庫を拡大いたしまして、若干程度の落ちる倉庫も使っておりますので、そういった倉庫の一部なり、いわゆる台つき等で、わずかなそういう変質米が発見されておりますけれども、現在まではそうたいした変質米は発見されてない、こういうふうに考えております。
  60. 阿部助哉

    阿部(助)委員 皆さんは、農民から米を買うときは検査をするけれども、配給に回すときには検査はされないのですか。
  61. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 これは配給に回す場合は再検査はいたしておりません。
  62. 阿部助哉

    阿部(助)委員 皆さん米が腐ったというのがわかったのがいつなのか、はっきりおっしゃらないけれども、問題になったのは、韓国へ三十万トン貸してやる、三十年間で返すのだということで韓国へ出しました。それで韓国に行ったら文句が出た。腐っておる米があるということで問題になった。そして今度は韓国のほうからも、たとえば新潟あたりには向こうの検査員と称するのが二人くらいきて、刺しをやっておるわけであります。やはりそれは、向こうの連中が、こんなのは韓国では豚のえさにもならねえと言っておるそうでありますけれども、確かに腐っておるのが、カビのはえておるのが相当あるわけです。私、実はこの米のことで大蔵委員会質問するつもりでおったものだからきょう持ってきておりませんが、私の会館のところにもカビのはえた米、虫のついた米があるわけです。これはどうなんですか、韓国へくれてやるようなものだけれども、貸してやるという段階で向こうから発見されたようなかっこうでありますが、あれが平気で配られるのですか。ただ、玄米だから白米にすってしまうとこれはちょっとわかりにくいという面はあろうかと私は思うのです。だけれども玄米で見れば、しろうとの私が見てもわかるんだな。こんなものを一体これから配給するのですか。どうするのです、これは。
  63. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 韓国向けの米の中に一部不良米があったという韓国側の御指摘は、これは事例でおあげになったんだろうと思うわけでございますが、なるほど一部の倉庫なりあるいは台つき等でそういう虫つきあるいはカビのはえたものがあることはあるのでございます。これは全体の量からいえばきわめて少ない、ほんのわずかでございまして、たとえば韓国に現在二十万トン近く積み出しておりますけれども、韓国側でいわゆる規格に合わないという指摘を受けたのは六百二十トンくらいでございます。これも若干の国情の相違と、それから韓国側では玄米という流通段階はないわけでございます。あそこはすべてもみから一貫的に精米にする国でございます。玄米段階での品質の判定基準というのが若干相違するので、私どもとしては若干そこに納得できない点もあるわけでございます。しかし、いまおっしゃるように向こうに着く前に、日本の積み出しの港で韓国側が選定いたしました国際検定機関が検定をいたしまして、そこで不合格品としてはねているのが若干あるのも事実でございます。私どもは一応そういう韓国向けに適格でなかった米は別にはいつけいたしまして、これは当分国内では配給は見合わせよう、こういう措置をとっているわけでございます。いずれこれは来会計年度の予算等では問題になると思いますが、大量の古々米が出るわけでございまして、こういうものは将来の古々米の処理の一環として考えてまいりたい。ただいま国内の配給も、そういった特に悪いものはこの際配給に回すことを控えましていま操作している段階でございます。
  64. 阿部助哉

    阿部(助)委員 二十万トンくらいを送って、はねられたのは六百二十トンだとおっしゃるのは、向こうの港についてはねられた米ですか。
  65. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 いま六百二十トンと申し上げましたのは、向こうの港に着いて向こう側で検査をいたしまして、規格に合わないという通告を受けた数量でございます。
  66. 阿部助哉

    阿部(助)委員 ところが最近は向こうの連中が、全部の積み出し港に来ておるかどうかわかりませんけれども、新潟あたりには二人来ておるわけですよ。そこではねておるわけですよ。そうすると、二十万トン送った米の中で六百二十トンはねられたけれども、積み出しの段階ではねられた米というものは相当多いわけですね。それは数字には出てこないけれども、多いわけです。しかも向こうの連中に言わせると、こんなものは豚のえさにもならないという言い方をしておるわけですね。そうすると、韓国の連中が豚のえさにもならないものを日本国民の主食として——これをいまはブレーキをかける、いまは押えておる、しかし押えておけばまたつゆが来るわけですよ。さらにこれはひどくなるということだけは間違いないことです。そうするとこれはどういうふうに処理されるのですか。これはたいへんな損失になる一と思うのですが、これはどうされるのですか。
  67. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 古々米の処理の問題でございますが、これはただいまのところ、実は四十四年度の予算では特に余剰米の処理のための特別の予算措置がなされていないわけであります。たとえば、そういう若干変質しているものを特別安い価格で特定の用途に払い下げようとか、あるいは国際価格で外国ヘコマーシャルベースで輸出するという予算措置がなされておりませんので、その抜本的な処理は四十四年度はむずかしいわけでございます。これは本四十四年産の米の作柄なり収穫高等との関連もございますが、いずれにしても古々米を含めた余剰米は、四十五年度予算では、一体これをどういうふうに処理するのかということを十分研究いたしまして予算措置を講じて、処理を考えることが必要である、こういうふうに考えておるわけであります。
  68. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうもその辺がおかしいんじゃないですか。法律にもないものを一カ条政令をつけ加えただけで、日本では例がない、外国でもあまり例のない、韓国に三十年間の貸付をするというようなことをおやりになった。しかも、国会開会中にかかわらず国会に何らの相談もなしに、国会にかけることもなしに、政府は独断専行して、政令をちょっとひねっただけで韓国に三十万トン出しておるでしょう。そしてもうつゆが来ればさらに腐敗は多くなるだろう、そういうことはしろうとでもわかっておる。そういう段階で、本年度はどうしようもないから来年度に回ってこれをおやりになるなんていうことは、これは農林省、半分寝とぼけておると言ってもいい。ことばは悪いけれども私たちのことばで言えばそういうことになってしまう。これはもっと急いで処理される必要があるのではないか、そういう感じがするのです。韓国にただやるんですよ。貸したと皆さんおっしゃるけれども、あんなもの返ってきやしませんよ。しかも食管法の精神も破って政令をちょっとひねって、そうして韓国に出しておるくらいならば、まだ国内で処理する手はある。もしそれがあるならば、いま国会の開会中なんだから、こうしたいがどうだろうと国会で提案されるくらいのことは当然なんであって、国会が終わったら何とかしょうなんてことをお考えになっておるとすれば、これはまた民主政治、議会政治を無視したものだと思うし、しかもみすみすこれ以上腐っていくということはわかっている。それをとにかく放置しておくということは、これは国民の財産管理としてはまことに善良なる管理者とは言いがたいのではないかという感じがするのですが、まだその対策検討はしておられないのですか。
  69. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 古米の処理、決して無為無策でおったわけではございませんで、早くからこういう古米の長期大量保管になるという事態が想像されましたので、保管管理に十分注意を払うと同時に、先ほど申し上げましたようにできるだけ長期保存に耐える米を保管に残して、その米の性質上比較的変質しやすいものから処理をして今日に至っておるわけであります。現在でもただそのまま放置しておるわけでございませんで、たとえばできるだけ米の売却が促進されるように、本年一月からは四十二年度産米の歩どまりを、精白度を一%上げまして、それに見合う値段の値引きをして、できるだけ米屋から消費者にはけるような処置をとっておるわけでございます。それから、特に一部でございますが、そういう変質が発見され、あるいはそれがさらに進むようなものはもちろん事故米としての処理をいたしておるわけでございます。  私申し上げました抜本的にどうするかというのは、本年度はそれに対する予算措置がなされておりませんので、来会計年度以降になるだろう。予算措置でございますからそれは当然国会の御審議を願うわけでございますが、本年は目下のところそういうことをやっておるということを申し上げたわけであります。
  70. 阿部助哉

    阿部(助)委員 何か馬場さん、うまいことをおっしゃるようだけれども、幾つか矛盾しておるのじゃないですか。一つは、あなたのお話の中で悪い米を先に一%よくすって配給に回しておるとおっしゃるけれども、ただのようにもらっていく韓国の連中ですら豚のえさにもならないというような言い方をしておるものを、日本国民にこれをちょっと一%よけいすったから配給価格で買えというのは、これは国民消費者に対してはたいへん失礼な言い方じゃないだろうかという感じがするわけです。韓国のただでもらうような連中ですら、こんなものは受け取れるかい、豚のえさにもならねえという言い方をしておるものを国民にやるということ。  もう一つの矛盾を感ずるのは、予算がどうだこうだからことしはなかなか処理できないとおっしゃるけれども、いま国会開会中なんです。いろんな問題はあるだろうけれども、もうまたつゆどきを目の前に控えておる、そうするともっと腐ることはわかり切っておる。そういう緊急な事態に対して、来年の予算で何とかしょうということを言っておったのでは、私はこれはどうしようもないところに入ってくる。それこそ捨てるのに金がかかるということにはなりはせぬだろうかという感じが私はするのです。あまりひどいのではないけれども、私の部屋にもカビのはえた米がある。また虫の食った米がある。そういう問題を控えて、ことしは予算がないから来年だなんておっしゃるのには、私はどうも食糧庁は少しぼやっとしているのではないか。ことばは乱暴で失礼ですけれども、何か手ぬるさを感ずるわけです。
  71. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 最初の韓国側から家畜のえさにもならぬという指摘があったということでございますが、私も実はそれは直接聞いておりませんが、かりにそういうものをそういうものとして積み出し港ではねられたもの、これは先ほど申し上げましたように別にはいつけいたしまして、国内の配給には一切回しておりません。  それから食糧庁のやり方が手ぬるいというお話でありますが、これは何ぶんにもこういう大量の古米をかかえましたのは初めての経験でございまして、かつて昭和八年に相当豊作で、当時やはり手持ちしたのが政府では百六十万トンだったという記録がございます。このときに例の米穀利用研究所——いまの食糧研究所の前身でございますが、米穀利用研究所ができまして、米の新規用途開発その他の研究をしたがってあれがあるわけであります。今回は規模からいいましても非常な大量の古米持ち越しということになりまして、初めての経験でございますので必ずしも円滑な処理が適時にできていないということは、われわれもそういうことがあることは十分自覚しておるわけであります。しかし今後は十分ひとつ研究いたしまして、これを適正に処理いたしたい、こういうことで、実はそろそろ四十五年度の予算編成の作業も近づくわけでございますから、あらゆる角度から、新規用途の開発あるいは海外への輸出、その他広範囲な立場からただいま検討している段階でございます。
  72. 阿部助哉

    阿部(助)委員 もうまた二度目のつゆどきを迎えておるのですけれども、しかも国会は幸か不幸か長期延長して八月初めまであるのですから、ここで予算といってもいろいろな事情があるだろうけれども、何も新しい予算を組むのではない、ある米を売って金にするということぐらいはしろうとなら簡単に考えるところです。それにしても予算の措置やなんかはいろいろあるだろうけれども、幸い国会も開かれておる今日なんですから、そこで食糧庁は案を出してこれを処理しなければ——これは皆さん何のかんの言っておるけれども、特に虫は大体胚芽についておるわけです。だからこれは素ではわからなくなる。だからこれはちょっとよけいすって配給に回すなんということをやるのではちょっと私は困ると思うのです、消費者の立場から言ってみて。だからそういう、消費者を保護するという点では、韓国ですらお断わりするようなものを、よけいすったからなんということで国民にカビのはえたものや腐ったものを配給するようなことをしないで、早いところ処理する手を講ずべきだ、こう私は考えるわけです。  ただもう一つ、いまその検討をこれからするということでありますから注文をつけておきますけれども、飼料や何かに配給米のルートからはずしてしもうて払い下げた場合、この米がまたうまく、一割か二割か知らぬけれども、すって配給のルートに乗るようなことは、これはもう万一にもないようにその辺はしてもらいたいと思う。死んでしまった病気の牛まで売る世の中だから、皆さんがよほど注意していないと、これはえさとして払い下げた、しかしえさに払い下げてもらったのがまた、よくすってとにかく配給のルートに乗ってくるということは当然考えられることで、そこまで考えていないとすれば、払い下げやそういうときにはそういう点を十分配慮していただきたいということをお願いを申し上げておきます。  最後に、私はいろいろお伺いするけれども、結局皆さんのほうで自主流通米であるとかいろいろなことをおっしゃるけれども、まだ総合農政なら総合農政というものが軌道に乗ってその効果を発揮しない、そういう段階で、米が少し余っておるということだけで農政転換といっても皆さん転換できないという。食管法を堅持しておる、こうおっしゃるだろうけれども、これをやっていけば、私は、消費者の面からもあるいは生産者の面からも食管法はくずれてくるという心配を持つわけです。しかもそのくずしていくのは何のためなんだということになってくると、やはりいま農家人口の削減という問題が大きな課題として皆さんの背後に控えておるんじゃないか。削減なら削減で、削減するための手だてを十分にとった上で農業から他産業への転換というならばこれもわからぬことはない。けれども、いかにも農民を締め殺すような、締め出すような形で農業転換を迫っていくということは、私たちにとっては何としても承知ができない。そういう点で、この食管法を守るというか、農民に先の見通しの立つように、そういうものを与えながら政策を進めていっていただきたいと思うのであります。これを要望いたしまして私の質問を終わります。
  73. 帆足計

    帆足委員長 次回は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会