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1969-09-10 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年九月十日(水曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 湊  徹郎君 理事 兒玉 末男君    理事 森  義視君 理事 稻富 稜人君       大野 市郎君    金子 岩三君       白濱 仁吉君    菅波  茂君       瀬戸山三男君    田澤 吉郎君       中尾 栄一君    八田 貞義君       松野 幸泰君    伊賀 定盛君       石田 宥全君    佐々栄三郎君       實川 清之君    柴田 健治君       芳賀  貢君   米内山義一郎君       斎藤  実君    樋上 新一君  委員外出席者         法務省刑事局参         事官      吉田 淳一君         外務省欧亜局外         務参事官    中尾 賢次君         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房参         事官      山下 一郎君         農林省農林経済         局金融課長   渡邊 文雄君         農林省農政局参         事官      遠藤 寛二君         農林省畜産局参         事官      平松甲子雄君         農林省蚕糸園芸         局長      小暮 光美君         食糧庁長官   檜垣徳太郎君         食糧庁次長   馬場 二葉君         水産庁長官   森本  修君         日本専売公社副         総裁      佐々木庸一君        専  門  員 松任谷健太郎君 八月八日  委員野原正勝辞任につき、その補欠として園  田直君が議長指名委員選任された。 同月二十八日  委員柴田健治辞任につき、その補欠として三  宅正一君が議長指名委員選任された。 同日  委員三宅正一辞任につき、その補欠として柴  田健治君が議長指名委員選任された。 九月九日  委員柴田健治辞任につき、その補欠として柳  田秀一君が議長指名委員選任された。 同日  委員柳田秀一辞任につき、その補欠として柴  田健治君が議長指名委員選任された。     ――――――――――――― 八月五日  一、農林水産業振興に関する件  二、農林水産物に関する件  三、農林水産業団体に関する件  四、農林水産金融に関する件  五、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  農林水産業振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  この際、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。  すなわち、小委員十一名よりなるいも、でん粉等価格対策に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 丹羽兵助

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員、小委員長選任辞任補欠選任並びに小委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、その人選等所要手続につきましても、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 丹羽兵助

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長は、追って公報をもって指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 丹羽兵助

    丹羽委員長 引き続き農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田宥全君
  6. 石田宥全

    石田(宥)委員 時間の制約があるようでありますから、問題点だけを御質問申し上げますので、答弁のほうも、そのようにしていただきたいと思います。  まず最初に、本年度産米の検査体制でありますが、昨年新潟では、生産者の住宅内に八十俵から百俵も積んでおいて、お葬式も出せないというような状態にたって、大きな問題になったわけでありまして、その後若干検査員の増員などをいたしたのでありますが、本年はそういう支障がないような体制ができておるかどうか。  実は、一昨日新潟県議会で、新潟食糧事務所長を呼んで、その問題について準備はよろしいかという質問に対して、自信を持っておりませんという答弁をしておるわけです。そうなりますと、また去年の二の舞いをするようなことになると思われるので、この点は食糧庁としてはいかような対策が立てられておるか、承りたいと思います。
  7. 馬場二葉

    馬場説明員 米の検査買い入れ最盛期にあたりましては、従来から周到な計画準備のもとに実施しておりまして、できるだけ円滑にいくように、間違いのないように行なわれるように心がけておるわけであります。  特に本年も、大生産県であります新潟県産米の検査の時期にまいっておりまして、昨年のいろいろな実情も参考にし、またそれにかんがみまして、本年とっております対策は、まず応援検査であります。これは本省及び食糧事務所の支所の応援検査を、昨年よりさらに強化拡充してまいりたいということが第一点であります。また、昨年は臨時検査官採用ということをやったわけでありますが、本年はいろいろな事情がありまして、臨時検査官採用は取りやめました。しかし、これの能率低下につきましては、それにかわりまして臨時検査補助員採用を増加いたしまして、昨年の臨時検査官の能力をカバーいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、なお計画的な出荷なりあるいは計画検査、こういうことはできるだけ生産者なり関係団体の協力を得まして、事前に日別のこまかい検査計画をきめまして、生産者のほうの売り渡し申し込みないしは受検に支障を来たさないように、万全の処置を講じてまいりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  8. 石田宥全

    石田(宥)委員 ここでこまかいことはやりとりいたしませんが、新潟食糧事務所長自信が持てない、こう言っておるところを見ると、やはり問題があろうかと思うのであります。具体的に申し上げませんけれども、蒲原四郡の中で一部分非常にきつい状態が出ておって、農民が騒いでおるようでありますから、これは御答弁を求めませんけれども新潟食糧事務所長と連絡をおとりになって、適切な御配慮を要望いたしておきます。  次に、米の配給の問題というか、流通の問題でありますが、実は先般熱海で全糧連の会議が開かれました際に、本年に入ってからある一定期間でありますが、政府配給米やみ米として流れた分が約百万トンあるということが、これは秘密情報として流れておって、食糧庁御存じだと思います。いやしくも生産者価格よりも安く払い下げを受けた米を、やみ米として配給をするというようなことは、これは許さるべき事柄ではないと思うのです。かりに百万トンといたしますと、業界は三百億の不当利得を得ておるということになろうかと思うのでありまして、この問題については、ひとつ食糧庁法務省から御答弁を願いたいと思うのであります。  新潟県では、新潟米商連が一部、その他商社が一部ありますけれども、明らかに政府米をやみ流しをして、しかも、トラック貨車を使っておる。私はその事実を当事者に確認をしたわけでありますが、政府指定倉庫から日通トラック民間トラックが並んで出荷をしておった。日通のものはもちろん政府のルートに乗ったわけですが、民間業者が積んだものは、貨車積みの際に米として記載しないで、植物種子という名称で列車に送られております。これが東京の某団地で大っぴらに、うまい米だというちらしが配られて、そこで政府米やみ米として売られた事実がございまして、これは警察庁から検察庁書類送検が行なわれておるわけです。ところが、その書類送検が行なわれたのはもうちょうど二カ月ほどになるわけでありますが、どうも検察庁は、これに対する処理を怠っておるようであります。  まず法務省に伺いたいのでありますが、このような、普通のやみ米で買ってやみ米で売るというなら別でありますけれども政府の米を、政府買い入れ価格よりも安く払い下げを受けたものかやみ米として暴利をむさぼるような行為という本のは、きわめて悪質なものといわざるを得ないのでありまして、こういうものに対して検察庁が不問に付するというようなことになれば、これはそういう面からも食管法は崩壊するに間違いございませんので、法務省刑事局参事官お見えのようでありますから、これに対するいかなる御措置をなさったかを伺いたいと思います。
  9. 吉田淳一

    吉田説明員 ただいまお尋ねの件につきましては、お話しのとおり、新潟検察庁におきまして事件送致を受けております。  その事件は、御指摘のとおり二つございまして、一つは、佐藤主食寝具販売株式会社関係のものが一つ、それからもう一つは、新潟米穀株式会社関係のものが一つ、それぞれ新潟地方検察庁の本庁と、それから新潟検察庁管内であります長岡支部におきまして事件を受理しております。事件の受理は佐藤主食関係は本年の七月十二日から八月七日にかけまして事件を受けております。それから新潟米穀につきましては、七月の十二日に事件送致を受けております。  現在、これらの事件につきましては、新潟地方検察庁において事件送致を受けた被疑者らの呼び出しをして、その取り調べを一部終了しておりますし、現在その捜査を続行中でございます。何ぶん関係者が、御指摘のように買い受けた者は新潟県内でない者がございますので、それらの関係者を今後さらに取り調べをしなければならないというような状況にございますので、なお結論が出るのには若干日時を要するかと思います。  検察庁といたしましては、すでに国会において法務大臣がしばしば明らかにしておりますように、悪質かつ大口な事件については、厳正に取り締まるという基本方針には全く変わりはございませんので、その方針に基づいて処理することになると思います。  以上でございます。   〔委員長退席湊委員長代理着席
  10. 石田宥全

    石田(宥)委員 いまの御答弁で大体了承いたしますが、新潟管内だけでなくて、販売先東京都であるからというようなお話もございましたけれども、二カ月もたっておるのでありますし、しかも、私が指摘しましたようにある団地で大がかりに宣伝をやって販買しておるのでありますから、問題はなかろうと思うので、これはすみやかに手続をとっていただくように御要望申し上げておきます。  それから、馬場次長に伺いますが、そこでそういう取り扱いをやった業者ですが、この業者については、知事の責任において営業を停止するなり、資格を剥奪するなりする権限があるはずです。これは次長よく御存じのとおりなんでありまして、そういう点で食糧庁直接はなさらないにしても、県をしてどういう措置をさせようと指導しておるのか。悪質かつ大量のやみ行為をやっておる業者に対して、一時その営業を停止するなり、あるいは権利を剥奪するなりすべきであろうと私は考えるのですが、どういう御指導をなさっておるのですか。
  11. 小沢辰男

    小沢説明員 私から答弁をいたします。  ただいま法務当局から答弁がありましたように、警察の調べが終わりまして書類送検手続がとられ、検察庁においてなお厳正に取り調べ続行中でございますので、その結論を待って、もちろん権限知事ということになっておりますが、やはり新潟県のみならず他のいろいろな業界とも関連することでもありますから、これは農林省から一つ指導をしてやるのがほんとうだろうと思いますので、そういう面で、時期的には取り調べ全体の完了を待ちまして、私のほうでも十分検討をして善処いたすつもりでございます。
  12. 石田宥全

    石田(宥)委員 まだ検察庁結論は出ないということでありますけれども県内事情はきわめて明白なんでありまして、これは県の警察部長もあるいは農林部長県議会で明言をしておるのです、その事実は。でありますから、検察庁がどういう取り扱いをするかということは別途の問題として、行政的な措置はすみやかに取るべきであると私は考えるのです。  実は、県の当局には各方面からいろいろ圧力がかかっておるという話も聞いておりますけれども、これくらい悪質かつ大量な不当行為というものはございませんので、すみやかに業者に対する何らかの措置をすべきである、私はこう考えております。どうでしょう、もう県内では明らかなんですから。
  13. 小沢辰男

    小沢説明員 私どもは、決して本件がやむを得ないものとも、ちっとも考えておりませんで、配給米の横流しということはわれわれの立場から見ましても、これは先生おっしゃるようにたいへん影響するところが多い問題でございます。十分わかっておりますけれども、何しろ御承知のように大きな問屋さんでございまして、県内全般のいろいろな配給関係の業務に非常な支障を来たすようなことになってはまた困りますし、そういう点のこともいろいろ考慮しなければいけない点もございます。  また一方、御承知のとおり食管法が生まれたとき、またその後米の需給の非常に悪いときと今日における時点においては、法の運用、解釈ということについても、私どもだけがこの解釈なり適用なりということについてはっきりした態度を打ち出すよりは、むしろ先ほど申し上げましたように、取り調べの進行並びにその結果をよく見ましてやるのが最も適当ではないかと考えますので、十分それらの状況を勘案しまして、今後慎重に対処していくつもりでございますから、しばらく御猶予を願いたいと思います。
  14. 石田宥全

    石田(宥)委員 はたはだどうも答弁納得いきませんけれども、時間も制約がございますから、また別の機会に、この点はこのような取り扱いでは問題が大きかろうと思うのですが、質問はこの程度にいたしまして、次の質問に移ります。  実は食糧庁は、自主流通米が予想の一七、八%ぐらいしかないというようなことで、おそらく自主流通米を成功させるという意図であろうと思うのでありますが、新米は十月一ばいは配給したい、新米国年度から新米の混入をするということをおきめになったようであります。これは倉庫事情との関連もございまして、特に生産県などでは、もし十月一ぱい新米を混入しないというようなことになれば、いわゆる第三の米という純然たるやみ米が横行することはもう火を見るよりも明らかなことであります。もうすでに新米は出回っておる地域も多いわけでありますし、九月に入れば相当大量の新米が出てくるにもかかわらず、これは配給米には混入しないということは、許さるべきことではないのではないか。いろいろ理由はございましょうけれども、それはやはり大所高所から政府としては判断すべき問題であって、当然新米が出て、その置き場にも困るという状態の中にあっては、消費者にも新米配給の中に混入して供給すべきであるというふうに考えておりますが、これはどうですか、馬場さん。
  15. 小沢辰男

    小沢説明員 おっしゃることはよくわかるのですけれども、私どもとしては、非常に膨大な手持ちの在庫をかかえておるわけでございますし、御承知のとおり、十月までは一応旧米穀年度ということになっておりますので 私も先生のおっしゃる気持ちはよくわかりますけれども、できるだけ御趣旨に沿いたいとは思いますが、やはり古米といいますか、四十三年産米、四十二年産米処理という問題も国家的に大きな問題でございますので、この辺のところはひとつ御了承をいただいて、なお検討はいたしますけれども、そういう事情のあることは先生もとくと御存じでございますので、ひとつそれらの点は御了解をしておいていただきたいと思うわけでございます。
  16. 石田宥全

    石田(宥)委員 まあ裏も表もわかり切っておる同士でありますから、これ以上やりとりいたしませんけれども、それでは消費者に対しても問題があろうと思うし、それから食管制度をくずす意図のように受け取れてならないのです。ですから、いまはひとつ、検討の余地もあろうかという御意見でございますから、再検討をお願いいたしたいと思います。  それから、次の質問に移りますが、聞くところによると、十月二日に米価審議会協議会懇談会か、これは米審の会長さんが自主的に招集をされるやに承っておるのであります。  ところが、漏れ聞くところによると、そこではいわゆる古米処理中心とする大蔵省食糧庁意見を聞かれるやに承るわけであります。そういたしますと、古米をどう処理するかということについては、大蔵省は家畜の飼料にすべしというような意見まで出しておるわけでありますし、どう処理をするにいたしましてもやはり予算と不可分の問題でありますから、当然やはり国会で論議をすべきものであって、米価審議会が自主的に会合を開いて、そこで意見を開陳するなどということでお茶を濁すわけにはいかない問題だと私は考えるのです。  そういう点で、ここでどういう態度米価審議会にお臨みになるのか。まだきめてないとおっしゃるならばそれまでの話だけれども、私は、やはり予算との関係がある問題を国会と離れた審議機関の中で議論をされて、そうしてそれが来年度予算に盛り込まれるというようなことになることは、非常に問題であろうと思う。いまの米審の構成から見てちょっと不安なきを得ないわけでありますから、この点について、ひとつ率直にお考えを述べていただきたいと思います。
  17. 小沢辰男

    小沢説明員 この前も大臣とお話ししまして、実は米審委員懇談会を持っていただくことに、率直に申し上げてお願いしたわけでございますが、これは古米処理の問題をめぐりまして、先生方の御意見を聞いてみたいということでございます。  来年度予算編成上、それを基礎にしまして予算編成の中に盛り込んでいこうというようなことではございませんで、予算は、御承知のように八月三十日に私ども省議の結果を取りまとめて、すべて大蔵省にもうすでに提出をいたしてございます。なお、党側との調整を要する面の大きな問題点だけは残っておりますけれども先生おっしゃるように、この米審懇談会というような形式で行なわれるその意見を、予算編成の上に盛り込んでいこうというような突き詰めた気持ちで開くわけではございませんで、米審委員の方に非常に御苦労願った、また米をめぐる諸問題についての専門的な御検討を願った方々でございますので、古米処理についてのいろいろざっくばらんに御意見をお伺いしておいて何かの参考にしたい、こう一いうことでございます。
  18. 石田宥全

    石田(宥)委員 予定の時間が参りましたので、この程度にいたしたいと思いますが、委員長に要望を申し上げておきます。  いま小沢政務次官答弁になりましたように、古米処理その他の問題でざっくばらんに委員意見をお聞きになるということでありますが、私は、米価審議会委員意見を聞くというならば、農林水産常任委員会においても、あるいは全員でたくとも、特別な小委員会のようなものをおつくりになるなりして、やはりこれと並行して議員意見を聞くということが、当然行なわれなければならないと思うのでありまして、これは理事会におはかりを願って、もう十月二日ときまっておるわけでありますから、それに合わせて本委員会で何らかの形で議員意見も十分聞いてもらう、述べる機会を与える、こういうことを委員長に特に要望いたしまして質疑を終わります。
  19. 湊徹郎

    湊委員長代理 よくわかりました。理事会で協…議したいと思います。  次に佐女栄三郎君。
  20. 佐々栄三郎

    佐々委員 総合農政というのはどういうものか、どういうことを政府はしょうとしているのか、農林大臣にお聞きしたいのですが御不在ですから、政務次官から簡潔に御説明いただきたい。
  21. 小沢辰男

    小沢説明員 いままでの農業政策全般を振り返りまして、反省すべき点は反省をして、各般の観点から総合的にひとつ今後の農政のあり方というものをきめていこう、こういう意味総合農政ということばを使っておるわけでございます。
  22. 佐々栄三郎

    佐々委員 米麦重点政策から、野菜とか果樹とか畜産とか、そういう方面重点を指向していこう、こういうものではありませんか。
  23. 小沢辰男

    小沢説明員 もちろん結果的にはそういうような考えも出てくるかと思いますが、私どもが昨年の暮れに公表いたしました農産物全般長期見通し需給長期見通しというものを基礎にいたしまして、今後いかに総合的に、しかも、農家の所得の向上をはかる目標に向かって、どうしたらいいかということを検討するわけでございます。
  24. 佐々栄三郎

    佐々委員 私は、果樹野菜畜産、そういう方面にやはり重点を置いてやっていこう、こういう心がまえが総合農政というものだろうと思うのですが、簡単にそうかどうかということだけ……。
  25. 小沢辰男

    小沢説明員 簡単にいえば、そういう方向で行くものと考えます。
  26. 佐々栄三郎

    佐々委員 そうしますと、そういう果樹とか畜産とか野菜とかいうものにやはり重点を指向していく、率直にいえばそういうものが総合農政重点的な点だろう、私はこう理解するわけです。それでよろしゅうございますか。
  27. 小沢辰男

    小沢説明員 おっしゃる意味は、おそらくそれ以外のことを否定する意味じゃないと思います。私ども生産対策としてのいろいろな面も同時に考えていかなければならぬと思いますから、もし農産物重点方向をおっしゃっておるとすれば、そのとおりだと思います。
  28. 佐々栄三郎

    佐々委員 いまの転作奨励とかいうような政府施策作付転換奨励という点から見ますと、私は、そういう果樹野菜畜産重点を置く、これがやはり総合農政の指向する方向だろう、こう理解するわけです。したがって私は、そういう姿勢を政府が持っておるならば、やはりこれに対して積極的な施策を進めるのが当然だと思うのです。私は米麦を軽視しようというのではありませんが、少なくともそういうような果樹畜産野菜というものに対しては、いままで以上に力を入れていくんだというふうに理解をするわけなんです。  そこで、私はきょうは野菜問題を中心にしてお聞きをしたいのですけれども、まず最初園芸局長お尋ねをしたいのです。  いま消費者物価が非常に上がりまして、その中で野菜の値上がりというものが大きなウエートを占めておる。八百屋さんに行きましても野菜が非常に高いのです。そこで、農民が何か不当な暴利を得ておるような印象を一般に与えておるのですが、いわゆる小売り価格の中に占める中間マージン比率、すなわち生産者価格小売り店中間マージン、それから市場の手数料、そういうようなものがどういうような比率になっておるか、同時にそれに対してどういう対策をとろうとしているかということをお聞きしたいのです。
  29. 小暮光美

    小暮説明員 野菜の場合の末端小売り価格に占めます生産者手取り分は、タマネギのような比較的貯蔵性のあるものと、近郊蔬菜葉もの等ではかなり実態によって異なりますけれども、達観して申しまして、通常の場合四割程度であろうかと思います。しかし、暴騰、暴落いたしました場合には、この比率が大きく動くことがございます。  御指摘野菜が高いということの中には、気象条件に災いされて、長雨あるいは干ばつ等のために野菜そのもの需給が混乱したために上がります場合と、都市過密化等都市における手間がかかる、あるいは末端小売り段階もそれぞれできるだけ所得を上げたいということから、単位当たりマージンをふやしたいというような問題で、たとえば小僧一人を雇うにも相当の人件費がかかるという都市実態がございます。そういう面で流通経費増高するために、基調として上がる部分と二つあると思います。  生産そのものからきます価格上昇に対しましては、御承知のように、指定産地制度等中心とした計画的な生産の増強ということをいたしております。輸送あるいは流通面での価格増高の傾向に対しましては、それぞれの段階での合理化等を通じまして極力その抑制につとめておりますが、率直にいって、なかなか意のごとくまいらないというのが現状でございます。
  30. 佐々栄三郎

    佐々委員 私がお尋ねせぬことまでお答えしたのですが、お尋ねしたことについて御答弁がちょっと欠けておるように思うのです。いわゆる生産者の手取りの比率ですね、それから小売り店マージン、それから市場の手数料、そういうようなもの、あるいは輸送費、包装費、いわゆる中間経費、その比率を、数字があれば簡単におっしゃっていただきたい。  それから、いま生産者手取り価格は四割というようなおことばでしたが、私は平均的に三割くらいではないかと思っておるのです。どうでしょう。
  31. 小暮光美

    小暮説明員 詳細な数字はいま調べておりますが、先ほど申しましたように、長距離輸送をいたしますようなものと近在ものとで、かなりその辺の手取りの状況を異にいたします。多額の運賃をかぶります場合には、手取りが三割以下になるようなものもございます。しかし、近郊蔬菜等もございまして、私、達観して四割程度というように申し上げたわけでございます。
  32. 佐々栄三郎

    佐々委員 その辺は、またあとで正確なところをお知らせをいただきたいと思います。  次にお尋ねをしたいのは、野菜の暴落で、農家が非常に困難を来たしておるという問題です。特に昨年からことしにかけまして、たとえばタマネギとかそれからハクサイ、キャベツ、ネギ、ホウレンソウ、こういうようなものが非常に暴落を繰り返してきたわけです。タマネギの場合を例にあげますと、現在大体キロ当たり七円、小玉になると五円くらいですね。農林省で調べた生産費調査によりますと、一キロ当たり十三円八十銭ということになっておる。それがこういうような価格では、とうてい農家はやっていけない。しかも、生産費調査のその上にいろいろ包装費であるとかその他の経費が要るわけなんですから、とてもこれではやっていけないわけなんですね。  昨年のタマネギの例をあげますと、冷蔵して少し値が上がってから売ろう、こういうようなつもりで冷蔵倉庫に保管を委託した。これは個人でした場合もありますし、農協でした場合もあります。また冷蔵業者が買い取って保管をした場合もありますが、買い取って保管をした冷蔵業者はずいぶん破産した人が多いのですね。それから、個人やあるいは農協で冷蔵保管を業者に委託した人の場合どうかと申しますと、そのタマネギを手元に戻してもらおうといたしますと、タマネギの現物をもう返してくれない、それを取られた上で一キロ当たり六円ないしは七円という追い銭を持っていかぬとこらえてくれない、こういうような、まことに悲惨な状況になっておるのです。ことしもまた同じような状況が、いまの価格状況から見ると起こり得るようなふうに私は見ておるのですが、こういうような問題について、一体政府はどういうふうに考えておられるか。一番初めに私がお尋ねしたところのいわゆる総合農政という政策を進めるならば、どういうようなことはあり得べきじゃないと思うのですが、どういうように考えておられますか。
  33. 小暮光美

    小暮説明員 昨年の暮れから本年初頭にかけまして、秋冬野菜の暴落を見ましたことはまことに残念に存じておりますが、これは、ただいま御指摘のタマネギについて申しますと、過去一両年作付が面積としてはほとんど横ばいでございまして、そのためにタマネギの価格は非常に強調た時期が長かったわけでございます。これに対しまして、各地でタマネギの生産をふやそうという動きがございましたが、全国たまねぎ生産流通協議会等の活動を通じまして、面積としてはおおむね横ばい程度に推移いたしたのでございますが、非常に反収が飛躍的に上がるというような事情がございまして、生産の過剰を見たというふうにいっております。これらの点につきましては、最近のタマネギの反収上昇の要因等を十分に考慮しながら、今後の作付の指導に当たりたいというふうに考えております。  ただ、こうした暴落は野菜経営の安定に非常に支障がございますので、かねて野菜生産出荷安定資金協会というものを設けまして、このような事態に対する措置考えておりまして、タマネギに対しまして、今回約二億五千万円の補給金を支払うというようなことをいたしております。
  34. 佐々栄三郎

    佐々委員 時間が制限されておりますので、省略してお尋ねするのですが、いま申し上げました値が上がるだろうと思って冷蔵しておるうちに、だんだん値が下がって元も子もなくしてしまうというような事態ですね、こういうような場合には政府は何らか貯蔵費について補償すべきだと思うのですが、いかがでしょう。  それから、もう一点お尋ねしたいのは、同時に出荷の調整ということを安定法の中でいっておりますね。そうしますと、出荷の調整というものには貯蔵設備というものが必要なんですね。貯蔵しておるうちに下がるという場合があり得るけれども、しかし、出荷の調整で貯蔵させるということをうたっておる以上は、そういう設備に対して政府が助成をするとか、それから貯蔵しておってかえって損をした場合には、これに対して補償するとかというような措置が必要だと思うのです。そういうことが行なわれておらないと思うのですが、これは行なうべきじゃないでしょうか。そうしないと、せっかくそういう設備をつくっておっても冷蔵業者は破産をするし、それから貯蔵させておった人はますます損するということになると思うのですが、いかがでしょう。
  35. 小暮光美

    小暮説明員 御指摘のとおりだと思います。ただ、タマネギにつきましてはほかの野菜と違いまして、生産いたしましてから出荷するまでの間非常に長期間がございます。圃場から直ちになまのままで即売という形で売ります場合と、簡素なつるしと俗称されます貯蔵の形で売ります場合と、さらに冷蔵庫に入れて貯蔵するものとございまして、これをそれぞれの段階ごとに所有権を移転してしまうということになりますと、先ほど来御指摘のような問題が起こってまいります。  私どもといたしましては、生産者団体が組織を強化いたしまして、たとえば泉南タマネギの例にございますように、即売からつるしから冷蔵までを農協としてプール計算するというようなことで、農家の手取りの安定をはかっておるような例もございまして、こうした生産者の組織的な活動に対しましては、野菜指定産地制度の一環としての近代化事業というようなもので、冷蔵庫等の設置についても助成し得る仕組みを助成措置としては持っております。  ただ、冷蔵庫の問題は、一たび扱いを間違えますとむしろたいへんな凶器になることもございます。日本の場合に、野菜が特定の時期に年一回だけとれるというものはむしろ少ないのでございまして、南北に広がりました日本の気象条件を利しまして、内地のタマネギが端境期になるころには、北海道から大量のものが来ます。いわば北海道ものの出盛り期というものがまいります。またそれが終わりますころには内地のものが出てまいるということでございますので、全国的な視野に立っての需要、生産の見通しを立てながら、産地相互に連携しながら冷蔵庫の問題は考えませんと、不測の事態を招くように思いまして、そういった面での組織活動の強化も、あわせて指導する必要があるかと考えております。
  36. 佐々栄三郎

    佐々委員 過剰生産のときに非常に暴落をした野菜、これも生産者補給金をもらうためには、地方卸売市場に出さなければいかぬ。そういうところがら荷づくりをし、輸送賃を払い、地方市場に送り込むのにたくさん金をかけて、補給金が消えてしまう場合が多いと思うし、地方市場にはたくさんの野菜が集まってきて、ますます暴落することになると思うので、これは産地で廃棄処分を認めることが私は必要だと思うのです。これについてどういうようにお考えになっておられるか。
  37. 小暮光美

    小暮説明員 野菜生産出荷の態様が、野菜の種類によりましてきわめて区々でございますので、野菜全般についてどのような措置考えたらよろしいかというふうには、なかなか考えにくいと思います。破棄の問題は、その面からいきますとよほど場合を厳選いたしまして、しかも出荷組織の組織としての強さと申しますか、そういうものの裏づけなしにこれを考えます場合には、むしろ消費者の利益を害し、あるいは貴重な物財をむだにするというような非難を受けることもあろうかと思いまして、多年の議論がこの面をめぐってございますが、実は、いまだ国がこれを助成するというところまでは踏み切れないでおるわけです。  ただ、冷蔵あるいは貯蔵といったような手段が考えられなくて、きわめて短期間、数週間の間に勝負がついてしまうような、たとえばわせのキャベツといったようなものがございます。こういうものにつきましては、年によりましては思い切って圃場で破棄するということを、出荷調整の手段として考えざるを得ない局面があるというふうに私ども思っておりまして、これらのものにつきまして、できますれば明年度実験的に、圃場破棄による出荷調整の強化ということを仕組んでみたいというふうに考えて、目下部内において検討中でございます。
  38. 佐々栄三郎

    佐々委員 野菜生産出荷安定法の対象外の野菜は一体どのくらいあるか、それについての価格補償には、どういうことを考えておられるかということをお尋ねしたい。
  39. 小暮光美

    小暮説明員 野菜生産出荷安定法の対象といたしております十数品目の野菜で、総流通高の半分近くを占めるはずでございます。   〔湊委員長代理退席、委員長着席〕 それ以外の野菜は、国の直接の対策にはなっておりません。  ただ、野菜対策考えます場合には、野菜の種類だけじゃなしに、いま申しましたのは対象となっている種類が総流通高の半分以上になるだろうと申し上げたのでございますが、制度の中に拾い込まれております量はもっと少ないのです。と申しますのは、全国津々浦々に流通しますものを、全部制度の対象にすることは実際問題としてできませんし、また野菜の特性から見て、大消費地域に出荷されます野菜について価格を安定することがもしできますれば、それは当然その他の地域にも、一つ指導的な価格水準となって価格の安定を期し得るはずだというものの考え方に立ちまして、主要消費地域向け指定野菜について組織化するのを国の事業というように考えております。したがいまして、それ以外のものにつきましては、国が全国的規模で直接対象とするわけにはまいらないというふうに考えております。
  40. 佐々栄三郎

    佐々委員 地方卸売市場で価格の水準がきまれば、それがその他の野菜にも価格水準として影響すると言われるのですが、きょうは時間がありませんから、ここで議論をするわけにいかぬのですけれども、しかしいずれにしても、やはり対象外のものについては価格保証がないということは、これは事実ですね。  そこで、私がお尋ねしたいのは、この野菜生産出荷安定法による野菜生産出荷安定資金協会というのがありますが、ここで補給金を出しておる。それ以外に各県で、たとえば香川県は、香川県野菜価格安定共済資金協会というのがある。こういうようなものができておるというのは、安定法による協会では農民側としては救済をされない、県や国の予算の限界がありましてたくさん認めない、野菜の範囲を認めないとか数量を認めないとかいうので、農民の自己防衛として農協が寄ってこういう別の各県の組織をつくっておる、こう思うのですね。いかがですか。  私は、さらに時間がないからこの際申しますが、むしろ政府施策が足らぬために、農民が自己防衛として別の組織をつくっておるような状況を見ますと、各県の協会の対象品目というものを、やはり政府施策の事業である安定法による協会の事業の対象としてこれを包括してやるというぐらいのことを、総合農政野菜奨励をするなら、そこまでやるのがほんとうだと思うのですが、御見解はいかがでございますか。これは政務次官からお聞きしたいと思います。
  41. 小暮光美

    小暮説明員 国が指導しております安定事業のほかに、県単独事業がたくさんございますのは御指摘のとおりです。  いろいろな性格のものがございますが、これを大ざっぱに二つに分けますと、一つは、いま御指摘のように、国の制度だけでは、たとえば生産者に対する補てんの単価が不満足である、県としてそれを上のせしたい、あるいは国が補給の対象としょうとしている数量では県内がおさまらない、そこで県単独でそれに上のせしたい、こういった国の制度に対する補完ということを考えてやっておりますものが一部ございます。それからもう一つは、国の考え方が、先ほど申しましたように大消費地域に出回ります基幹的な野菜についてという考え方でございますが、県の行政上は他県に先がけて御自分の県の特産物というものを奨励したい、そのためには県の方針として、特定の作物について県としての価格安定あるいは助長措置をとりたいというので、必ずしも他県と連合することを意図しない、特産物の奨励的な措置のものがございます。  前者の国が取り上げておりますものについて、県ごとにこれを補完します動きに対しましては、率直に申し上げて、これは必ずしも望ましい方向であるとは考えておりません。たとえば先ほどのタマネギの例一つとりましても、これだけ全国にさまざまな作型でタマネギの生産がございまして、三百六十五日これが循環してまいるという場合に、特定の県だけでタマネギの価格の安定をはかろうとしてもなかなかできません。そこで、できるだけそういうものは国の制度に統合してこれに参加していただいて一諾にやりたい、そういう指導を今後も続けたいと思っております。  それから、県独自で特産物を御奨励になる角度からの施策につきましては、これは県の御方針にまかせる以外になかろうというふうに考えておる次第でございます。
  42. 佐々栄三郎

    佐々委員 いろいろお聞きしたいことがあるし、ただいまの御答弁にも再質問したいのですが、残念ながら時間がありません。そこで私はお許しをいただいて、もう二点だけお聞きしたいのです。  それは花の問題なんですが、菊とかカーネーション、シクラメン、観葉植物、私のほうの島ではキンセンカというのをやっておるのですが、こういうようなものを出荷しました場合に、阪神なりその他の市場が非常に乱立をして小さな市場でして、せっかく出荷しましても、代金が取れないとか焦げついてしまうとかいうので、何万円も損をしたというのがあるのです。これを何かひとつ統合してもっと強固なものにしてもらいたい、政府の監督をきびしくして、一定の基準以上の市場で取引をやらせてもらいたいという要望が非常に強いのです。  それともう一点は、やはり私は中央卸売市場の中では、果樹とそれから野菜以外に、この花卉類を品目に加えるべきではないか、こう思うのですが、これは非常な要望がありますので、御答弁をいただきたいと思うのです。
  43. 小暮光美

    小暮説明員 卸売り市場につきましては農林経済局の所管でございますので、私は直接の担当でございませんが、花卉にかかわる行政上の立場からの所見を申し述べますと、中央卸売市場の場所と申しますか広さ、こういうものが、大消費地域における最も大事な野菜類のさばきのために、必ずしもまだ十分でないというような実態がございます。やはり第一義的には、できるだけ生鮮蔬菜類についての市場の設備をより完全なものにしたいということにつとめておるのが現状でございますが、ただ地域によりましては、十分な土地が確保できて、いま御指摘の花のようなものにつきましても、しかるべき面積を与えて、中央卸売市場法の範囲でこれを取り扱うということを計画できるところがございます。そういうものについては、これを推進したいというぐあいに考えております。これは中央卸売市場も扱えるわけです。  ただ、そういった例は残念ながらまだ少ない。現実には、非常に小さな民営の市場で花が流通しておりますし、当面それをどのように組織化していくかということが、現実的な方向ではないかと考えております。この点につきましては、蚕糸園芸局といたしましても、今後、いままで手の及ばなかった行政の非常に大事な分野であるという認識に立ちまして、立地の調査あるいは具体的な取引形態の調査等を、明年度から局として正式に取り上げたいというふうに考えております。
  44. 佐々栄三郎

    佐々委員 いまの取引の安全ということについては、これは十分対策を講じて、安心して取引ができるようにしていただきたいと思います。  最後に、ミカンの問題について一問だけお尋ねをして終わりたいと思いますが、私のほうもミカンはずいぶんつくっておるのですが、ミカンが非常な過剰生産で安くなっておる。そこへもってきていまだに開墾をしておるところがある。最近はまた、新聞などで見ますと、九州あたりではナツミカンを温州ミカンに転換するということを始めておる。こういうことになりますと、これからミカンをつくる人たちの将来、それから現在までミカン園経営をしておる人たちの将来、この二つを考えた場合に、どうもわれわれは将来が不安なんですね。  これに対して一体農林省、園芸局としてどういう考え方を持っておられるのか。私はこれはほんとうに腹をきめて適正な指導をしないと、今後非常な困った問題が起こってくると思うのですが、果樹農業振興特別措置法それから各府県の振興計画というのがあるのですけれども、それがほんとうにうまく運用されておるのか、あるいは法的な欠陥があるのか、この点をもう一度検討して、過剰生産というものをこれ以上進めることのないようにしていただきたいと思うのです。  私どもが見たところによりますと、成園のミカン園、未成園のミカン園というものがほとんど相半ばしておるというのが現状ではないかと思うのです。そういうことを考えますと、将来ますます不安ですので、これについての政府のお考え、これからの方針、これをお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  45. 小暮光美

    小暮説明員 温州ミカンにつきましては、これまでもしばしば申し上げておりますように、果振法に基づきまして私どもがお示ししております植栽の五カ年間の見通しを、初めの二年間で大部分こなしてしまったという実態が昨年までにございます。五カ年の計画の残りがあとわずかもない、三年目においてすでにこういう状況にございますので、この点を具体的に指摘いたしまして、各主産県に対しまして、需要長期見通しに即応した植栽のテンポに戻すようにということを、昨年十二月以来繰り返し繰り返し指導いたしております。  一方、不幸にして昨年の温州ミカンが、気象条件等にも災いされまして、非常に品もちが悪い形で量的に増産されたということから価格が暴落いたしまして、そのことが産地に大きなショックを与えたという具体的な契機もございまして、この冬の間、苗木の需給事情も近年になく緩和するというような状況で、無計画な新植の傾向は徐々に是正しつつあるというふうに見ておりますけれども、しかし、今後加工需要の増大等の対策を他方に強化しながら、植栽の計画化につきましては、極力関係主産県を指導して、これにつとめたいというふうに考えております。
  46. 丹羽兵助

  47. 柴田健治

    柴田委員 時間が制約されておりますから、簡単に二点についてお尋ねしたいと思います。第一点は、水産庁の関係で漁業権の問題、二つ目は、専売公社に関連しての問題ですから、答弁者のほうも簡単にお願いしたいと思います。  まず、漁業権の問題でお尋ね申し上げたいのですが、兵庫県の姫路沖の家島漁業協同組合に関連いたしまして、いま訴訟事件が起きておることは御承知のとおりだと思います。この訴訟事件の起きる原因は、いろいろあると思いますが、こういう事件が起きるところに漁村の悲劇があろうかと思います。  それは別として、共同漁業権を持っておるその権利の上に、第一種区画漁業権、第二種区画漁業権という、その漁業権の免許をめぐっての争いがいま起きておるわけでありますが、その免許を兵庫県の海区調整委員会が答申をして、知事がこれを許可をした、それに対して不服審査を申し出ておると思います。これについてお尋ねを申し上げたいのでありますが、この共同漁業権を、家島漁業協同組合と坊勢漁業協同組合の二つに対して与えておるわけであります。この共同漁業権の中に第二種区画漁業権を交付するというそのいきさつを、簡単にひとつ御答弁を願いたいと思います。
  48. 森本修

    ○森本説明員 いま言われましたように、家島の漁協と坊勢の漁協の共有の共同漁業権第二千十五号ということでございますが、この区域の中に昭和三十五年ごろから第二種の区画漁業権が設定されておるわけでありまして、それが四十四年に切れましたので、所定の手続によりまして、四十四年の五月三十一日に兵庫県で第二種の区画漁業権が免許をされた。それに対しまして家島漁協から、先ほどのようなことで共同漁業権を同地区に有しておりますから、漁業法の第十三条の第一項第四号の規定によりまして、家島漁協の同意を得べかりしものであったにもかかわらずそれを得ていないということで、審査の請求が私どものほうに来ております。  現在私どものほうでは、兵庫県のほうから八月十三日に弁明書の提出がございました。その写しを家島の漁業協同組合に送付をいたしまして、反論書を九月の十六日までに提出するよう要求しておるという段階でございます。
  49. 柴田健治

    柴田委員 共同漁業権というものの権威の問題なんですが、聞くところによれば、共同漁業権というものは水面の占有権、全面的に権利を持ってはいないのだ、こういう考え方に立って、漁業協同組合の同意を得なくても免許を与えられるのだ、こういう解釈をしておるようですが、そういう解釈をしておることは事実知っておられますか。
  50. 森本修

    ○森本説明員 御指摘のように、県のほうでああいう手続をいたしたわけでありますが、共同漁業権を設定しておるということ自体が、直ちに同水面において占有権を持っておるというふうには、直接的にはいいがたいというふうな見解に基づいておるものと思っております。
  51. 柴田健治

    柴田委員 現行法規の中で、漁業権というものは基本的な漁民の権利であるし、そうして漁業権を持たせるために協同組合組織をつくらしておる。漁業協同組合というそういう地域組合については、漁業権を持たしておるわけです。昔の法規からいっても、昔は専用漁業権といっておったのですが、専用ということばをなくしたのは戦後の法の改正ですが、こういう長い歴史の中で、やはり漁業権というものはその組合の基本的権利であります。その基本的な権利を持つ区域内に、一方的な解釈で第二種の区画漁業権の免許を与えるということは、結局、基本的な漁業権を根本的に認識を新たにさせるというか、とにかくいままでの考え方を変えさせていくというねらいを持っておるのかどうか、この点ひとつ御答弁願いたいと思います。
  52. 森本修

    ○森本説明員 共同漁業権自体、もちろん漁業権としてそれぞれの権利を持っておるわけでありますから、その権利を侵害するような形で、その中に区画漁業権を免許してまいるということはいかがなものかと思いますけれども、区画漁業権を設定いたします際には、一定の計画を立てまして、公聴会を開き、それぞれ漁業調整委員会の答申を得てやっておるというふうなこともございますので、そういった点についての手続関係は、十分県で踏んでおるというようなことでもございますから、私どもとしては、一方的に共同漁業権の漁場の中に第二種区画漁業権を設定したということだけで、その手続は誤りであるというふうには思えないのであります。  ただ、もちろん県のほうからも弁明書が来ておりますし、今後また組合からも詳細な反論書が参ることと思いますから、両者をよく比較検討いたしまして、最終的な結論を出したいというふうに思っております。
  53. 柴田健治

    柴田委員 われわれは、そういう共同漁業権は基本的な漁民が持っておる権利だと思う。その中にいろいろな、第一種だろうと第二種だろうと区画漁業権を与える場合は、その当該組合の同意を求めなければならぬ。これは内水面漁業でもそうです。砂利一つとるのでも、砂一つとるのでも、しゅんせつするのでも、漁業協同組合の同意を得なければならぬ。いままでの行政指導で、われわれの県はそれを守ってきた。兵庫県だけが同意を求めなくてもやれるんだというのはどういうわけか。個人の適格性の問題もわれわれは疑問を持っておるのですが、大沢政一という男がどういう適格性を持っておるのか、この点についても時間がございませんから省略をさせていただきますけれども、とにかく、適格性があるからといって同意を得なくてもやれるという解釈が私にはわからない。  まして、この関係書を読んでみましても、七十九回の兵庫県の海区漁業調整委員会の議事録に、これは重要な問題であるから継続審議にいたします。そして八十回、八十一回という委員会が開かれておるのですが、七十九回の最後に会長が、共有の共同漁業権を持っておる坊勢漁協と家島の漁協と両方の意見をよく聞いて、とこう書いてある。ところが、八十から八十一回の次の委員会には、家島の漁協の代表は呼んで喚問しておられる。坊勢のほうは呼んでない。書類で何やらしたということだが、その書類も添付してない。書類がついてない。だから坊勢のほうの漁協の意見を求め、同意はどういう方法でとったのか、議事録には載っておるけれども一つも証拠物件が載ってない。意見を聞くということだけは載っておる。この点についての確認はどうしているのですか。
  54. 森本修

    ○森本説明員 そういった具体的な事実関係等もございますから、私が先ほど申し上げましたように、県のほうの出してまいりました書類、また、今後組合のほうで反論書が出てくると思いますが、そういったものをよくにらみ合わせ、また、いま御指摘になりましたような事実関係についても調査をいたしまして、最終的な判断を水産庁としては下したいというふうに思っておるわけであります。
  55. 柴田健治

    柴田委員 私がふしぎに思うことは、坊勢のほうに所属しておる小林という海区調整委員は、無免許でハマチの小割り漁業をやっておる。県はこれを黙認しておる。取り締まりをやろうと何もしない。いやしくも県の海区調整委員会がこういうことを一方では平気でやらして、片一方行政指導をきびしくやるべき県が、適格性があるからといってどんどんかってに認可する、漁協が少々反対しようと、漁協の同意を得なくても免許をおろすなんて……。この小林という海区調整委員がやっているのは、水産庁は県からどういう報告をもらっておるのですか、報告願いたい。
  56. 森本修

    ○森本説明員 具体的な氏名につきまして必ずしも明確ではございませんけれども、いま御指摘があったようなことで、免許なしにさようなことをしておるというふうなことがありとすれば、非常に残念なことでございますので、私どもとしても、県に対して十分ひとつ注意をいたしたいと思います。
  57. 柴田健治

    柴田委員 まあこの辺は、調整委員会というものはどういう任務を持つのか。隣接の組合との調整なり、いろいろな漁業権の区域なり、そういうもののすべての調整をやるのが任務じゃないかとわれわれ思うのですよ。ところが、組織のけんかをさしたり、組合を混乱さしたり、自分がかってにないしょでハマチの小割り漁業をやってみたり、こういうことは県の水産課はどういう行政指導をしておるのか、取り締まりをしておるのか、私らにはわからぬです。これを具体的に、次の委員会が開かれるまでに調査をしてもらいたい。これは委員長にお願いしておきたいのですが、もうはつきり確認をして、それぞれの処置をしてもらいたいと思います。  私はこういう問題が起きることは、法理論は別として、そういう組合の組織を混乱させることがいいかどうかということです。口を開けば組合の民主化だとか、組合の組織の強化だとか、漁協の育成強化だとか、こういうことを平素盛んに水産庁は言っておるのです。これを県の水産課を通じてどれだけ徹底させたのか。こういう悲劇を起こさせて、ただ最終段階では法理論で、正式な文書が上がってくれば、文書がそろっていれば、全くどんなに混乱しておろうと認めていくのだ、こういうことは、法理論はどうあろうとも、行政指導の面で適切なる指導をしておるとは思えぬのですが、長官これはどうですか。
  58. 森本修

    ○森本説明員 御承知のように、あの地区は他の事件等もめぐりまして、なかなかやっかいな背後的な情勢があるようであります。そういうことから、その一つの派生的といいますか、それに関連するような事件としてこういうふうなものも発生してきておるというふうに私どもは聞いております。  そういうことでございますので、組合の内部あるいは組合と県当局の間に、必ずしも従来連絡なり意思の疎通なりが十分でないといったようなこともあったと思います。したがいまして、御指摘のありましたように、組合の内部が完全に一致してない、組合と県当局が必ずしも意思が疎通してない、これは私どもとしてもきわめて残念な事態であると思います。しかし、そういったことが起こりますのには、それ相当の背景があったということであろうと思います。  もちろん、そういった事態をそのまま放置しておる、またそういったことを解決するのに、単なる一片の法理論のみでは事が片づかないということは十分承知しておりますので、先ほど来申しましたように、両方の言い分をよく聞きまして、またそういった背後関係等にも思いをいたしまして、円満な解決をはかるよう指導をしてまいりたいと思います。
  59. 柴田健治

    柴田委員 水産庁長官はたいへんなことを言われたのですが、背後関係がある、政治的な問題がある。そういう問題で、ささやかな漁民が組織的に苦しみ、個人的に苦しむ、そういうことがあっていいのかどうか。そういう背後的や政治的な問題がある――そういう背景的な問題を知っているということはどういうわけですか。われわれはそういう背後的や政治的な問題じゃなく、ほんとうにあの瀬戸内海の漁業の振興、そして組織の育成強化、漁民の社会的地位の向上、経済的の向上というものと、将来漁民をどう安定させていくか、これがわれわれのねらいなんです。そういう背後的、政治的なんということばを使うことはゆゆしきことだと思いますが、長官はどういう解釈をしておられますか。
  60. 森本修

    ○森本説明員 別段政治的に妙な背後関係があるということを申し上げたのではございませんが、御案内のように、家島漁協の従来非常に大きな問題になっておりましたのは、例の出光の製油所の設置に伴う種々の問題でございまして、私どもも直接家島漁協の方丈からそういった問題についてお話を伺ったこともございます。そういった関係がこれに対しても若干影響を持っておるというふうなことを、現実の情勢として承っておるということを申し上げたのでございまして、別段政治的な背後関係云々といったようなことを、私ども思っておるわけではございません。  しかし、事は具体的な現地におけるそういったいろいろな関係から起こってきておるということもございますから、私どもとしては、単に一片の法理的な解釈だけで事は片づかないであろうということを頭に置いてよく判断をし、指導してまいりたいということを申し上げたにすぎないのであります。
  61. 柴田健治

    柴田委員 こういうことが前例になっては、将来結局組織の破壊になるし、要するに法の精神を根底から破壊してしまう。法治国家で、たとえば組合の規定で、適格性を欠くような人間に免許をおろしてくれては困る、こういう組合の意思決定がある。ところが、県のほうは適格性は欠かないんだ。組合のほうは、賦課金を納めない、手数料を納めない、組合員として当然の、機関できめたいろいろなそういう義務を果たさない者は、やはり組合法に基づいて、これは組合員としては適格性を欠くではないか、こういう疑義がある。かりに結論はどうあろうとも、疑義があるような者に県は適格性があるのだと言うて免許をおろす。その免許をおろすのでも、組合の同意を得ない。共同漁業権を無視して、同意を得なくても免許をおろす、こういう一方的なやり方は、われわれはどうも理解できない。これはわれわれは将来大きな政治問題になると思いますので、よく調査をしていただいて、もっと具体的に、海区調整委員会委員の個人個人がどういうことをやっているのか、そういう問題を将来報告願いたい、こう思うわけであります。  この適格性の問題ですが、組合は適格性を欠くような人だ、こう言っておる、県のほうは適格性は欠かない、こう言う。この点について水産庁はどう解釈していますか。
  62. 森本修

    ○森本説明員 先ほど申し上げましたように、県のほうの書類が参り、いまそれを組合のほうに送りまして、組合のほうからまたそれに対する反論をお出し願う。まだそれは出てきておりませんが、近く出てくる。その結果によって判断をしたいと思っております。また、その判断の際の一つの項目としては、いま御指摘がございました、その免許を与えた人の適格性云々ということもその一つの項目になると思います。したがいまして、私どもいま聞かれましたことについて、最終的な見解をここで述べるのは多少早過ぎるのではないかと思います。  いずれにいたしましても、さようなことを十分よく検討いたしまして、私どもとしては適切な判断を下したいというふうに思っております。
  63. 柴田健治

    柴田委員 こういうことを前例にすると、共同漁業権というものを漁民は信頼しなくなる。もう漁業権があったところで、ああいう第一種、第二種と県が一方的に認可をおろす、こういうことなら、共同漁業権が幾らあったところで何にもならぬじゃないかと、漁民が共同漁業権に対して不信感を持ってくる可能性が出てくるのですが、この点、長官どう解釈しておりますか。
  64. 森本修

    ○森本説明員 そういう問題につきましては、現在漁業法によりましてその適切な手続が定められておる。また、そういった手続について当然組合の方々にもよくお話をし、御理解を願うということで、もちろんそういった手続について、組合側の不信があるということの事実は決していいことではありませんので、私どもとしては、そういった手続関係のことあるいはあり方について、十分組合の御理解を願って納得をしていただくというふうなことは必要であろうかと思います。
  65. 柴田健治

    柴田委員 それから長官、この共同漁業権と第二種区画漁業権とは、どちらが優先権があるのですか。
  66. 森本修

    ○森本説明員 先ほど言いましたように、共同漁業権の中に第二種区画漁業権を免許するというふうな場合には、それぞれ漁場の総合的な利用計画をつくる、またそれを公示して大方の意見を聞く、あるいは漁業調整委員会意見を聞くといったような手続で設定をされるというふうなことでありますから、どちらが先どちらがあとというふうなことではなしに、両者がお互いに共存をするというふうな形で免許され、運営されていくものというふうに思っております。
  67. 柴田健治

    柴田委員 どちらが先とかあととか、あなたはあいまいなことを言われたのですが、結局共同漁業権は、地域の協同組合の基本的な権利として国が認めておるわけでしょう。そうじやないのですか。違うのですか。
  68. 森本修

    ○森本説明員 共同漁業権の免許を受けますれば、その共同漁業権に相当する権利の行使に対しては、もちろん国としては十分尊重し、保護しなければならぬと思います。
  69. 柴田健治

    柴田委員 そういう基本的な権利を持っておる組合に同意を求めず、海区調整委員会の主観的――その調整委員会自身が犯罪を犯しておるのですよ。それを県が何も取り締まらずにおいて、ごちゃごちゃするから、そういう変な免許の許可申請が出てくるのであって、一方では兵庫県の水産課は、何を取り締まっておるのか、指導しておるのか。こういうことを見のがして一方だけを、基本的な権利を持っておる組合にも相談を求めずに、書類の上ではどんなに正式に整うておっても、われわれはこれは大きな漁民が持っておる、組合が持っておる基本的な権利を侵害するものだ、こう解釈せざるを得ないのですけれども、真実をもっと調査してもらいたいと思います。きょうは時間がございませんので、いずれあらためて次の機会にもっと具体的に質問申し上げます。  それから、この行政不服審査はいつごろまでに結論を出すのですか。
  70. 森本修

    ○森本説明員 先ほど言いました漁業協同組合の反論書の提出は、九月十六日までというふうにいたしておりますので、そういった反論書が出てまいり、また、先ほど言われましたような必要な調査をして、できるだけすみやかに結論を出したいというふうに思っております。
  71. 柴田健治

    柴田委員 時間がございませんから、漁業権についてはまた次の機会に譲って、専売公社にお尋ねしたいのです。  今度の専売公社の中期経営計画によって被害をこうむっておる地域があるのですが、簡単に申し上げますと、昭和四十一年五月六日に徳島県小松島の市長あてに、徳島市の日本専売公社徳島地方局長中井武文という名前で、「小松島原料工場買収の協力方について 今般当局管内小松島原料工場の工場拡張を計画致しておりますが、つきましては別添図面の工場拡張予定地の買収について御協力を賜りたく、別紙中入書のとおりお申入致しますから宜しくお取計い下さい。」こういう文書が小松島市長にあてて出されて、それで四千五百坪という土地を買わす。それで農地法第五条の規定によって許可申請を出されて、農業委員会が認めて、県知事の認可をもらっておる。そして計画は、施設完了予定日が昭和四十四年九月三十日、今月の三十日です。固定設備明細書、資産台帳その他添付書類をつけておる。従業員数百四十二名、操業開始は昭和四十四年十月一日、こういう公式文書を専売公社は出しておる。  ところが、いまだにほったらかしにして何にもしない。市のほうは来ていただくということで、困難な土地買収に協力し、取り合い道路も市でつけ、用排水路もつけ、たいへんな犠牲を払っておる。いまになってこれをやめるというのだが、農業委員会をだましたことになる。農地法違反です。それで知事あてに、「転用の目的に係る事業又は施設の概要」という文書を正式につけた。これをいまほおかぶりするとは何事ですか。見解をひとつ御答弁願います。
  72. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 御指摘のように、四十一年そのようなお願いを市にいたしましたことは、そのとおりでございます。  その後、経営のいろいろな条件を詰めてまいりました結果、原料工場を新たに小松島に設置するのはたいへん問題であるということになりまして、計画の練り直しをやった次第でございます。しかし、私どもそのようなお願いを市にいたしまして、市はまたたいへんに御苦労を願いまして、公社に土地を取得せしむべく努力をしていただきました。私どもそのような経緯を踏まえまして、今後の利用方法につきましては、地元の市の御意向も伺いながら、適切な変更を加えてまいりたいと考えておる次第でございます。
  73. 柴田健治

    柴田委員 地方公共団体をだましてまで、いまそんな答弁をするのはおかしいじゃないですか。責任を感じないのですか、副総裁。きょう総裁を呼んだら総裁は来ないのです。責任は感じないのですか。これは専売公社が一方的な計画変更をして、日本は法治国家じゃないのですか。どうですか、答弁願います。
  74. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 だますようなつもりではなかったわけでございますけれども、結果において、当初計画どおり行かなかったことは事実でございます。私どもそれについては責任を感じている次第でございます。
  75. 柴田健治

    柴田委員 人に催促されて責任を感じますということは、それこそあまりにも無責任ですよ。羊れだから末端が日本の役所を信用しないのですよ。権力でどんどん圧力をかけて、四十一年ですよ、二、三年の間にくらくら変わっている。きょうは時間がございませんから、私は耕作農民の立場から、この中期経営計画の中で葉たばこ耕作について、主産地形成であるとか、いままでとってきた農林省の第一次構造改善事業でどの程度葉たばこ耕作をやったか、第二次構造改善、今度の総合農政で葉たばこをどうするのかということについてお尋ねしたいのですけれども、時間がございませんから次の機会に譲りますけれども、とにかくこの小松島の問題についてはどう責任をとるのか、どう処置するのか、話をしますというのでなしに、具体的に答弁を願いたいのです。もっと責任を感じて答弁を願いたい。
  76. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 公社といたしましては、地元の市にたいへんに御迷惑をかけておる問題でございますので、別途の利用方法を講じまして、この土地の利用をやっていきたいと考えておる次第でございます。具体的に申し上げるにはまだ固まっていない部分がございますので、これはなお計画を詰めまして、御説明申し上げたいと考える次第でございます。
  77. 柴田健治

    柴田委員 国会で問題になるようなことをあなた方はかってに起こしておいて、市のほうに対してどれだけの誠意を示しておるのか。知らぬ半兵衛です。出先の局長はかわって、かわったとたんに、どうも私はようわかりません。役人というものはかわったとたんにもう知らぬ存ぜぬですよ。知らぬ半兵衛。もっと出発の局長に、こういうふうであるから、市のほうにはあやまるときにはあやまる、こういう方法でやるのだという市に対する姿勢をちょっと説明願いたいのです、私でなしに小松島の市の当局に。法治国家なんだからね。どうですか、それは。
  78. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 中井君のあとを受けました局長もたいへん苦しんだ問題でございまして、これを黙っておったわけではないと思う次第でございます。私どもに対しましては、そのような契約があるということを強く申しております。市のほうには、こういう経緯がある以上何らかの措置をとって、地元の御納得のいくようにしなければならぬということを、私どもにたいへん強く強調しておった次第でございます。  市のほうにも、そのような考えを基本にいたしまして、はっきり当時の局長が、このような計画に変えますからと言うことができませんでした事情がありますことは、たいへん市のほうには空ばくたる印象を与えたこともあろうかと思いますけれども、私どもの公社の基本の気持ちといたしましては、いままで市にたいへん御迷惑をかけておる問題でございますので、これは何らかそれを無にしないような手を打ってまいらなければならぬと考えてまいった次第でございます。その点につきましては、市のほうにもある程度御了解を願っておるのではないかと思いますし、今後もまた願いたいと思う次第でございます。
  79. 柴田健治

    柴田委員 時間がございませんので、きょうお尋ねした二点については、これで終わったと思ってもらっては困るのです。水産庁も専売公社も両方とも、いずれ次の機会にまた御質問申し上げることにして、きょうはかいつまんで要点だけ申し上げたのですから、いずれあらためてお答えを願いたい。また、通告しておった点については次の機会に譲ります。  終わります。
  80. 丹羽兵助

    丹羽委員長 斎藤実君。
  81. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 最初に、外務省の中尾事官お尋ねをいたします。  私は北方海域における拿捕漁船の問題についてお尋ねをしたいと思います。特に、この北方海域における拿捕事件、これはソビエトとの領土の問題もからみ合って非常に複雑な問題でありますけれども、今日まで漁船の拿捕総数が約千三百七そう、乗り組み員が一万一千四十九名拿捕されております。したがいまして、拿捕されたことによりまして、船主及び乗り組み員の損害というものは相当多額になっていると思うわけであります。特に、八月の九日、歯舞群島の秋勇留島南方海上で、第十三福寿丸がソ連の監視艇によって追突されて沈没をし、乗り組み員が十一名死亡したというまれに見る損害を受けておるわけであります。  再三にわたるこの拿捕事件、あるいはソ連船によります追突事件、こういった事件、私は日本政府に大きな責任があると思う。と申しますのは、一つは、ソ連を抜きにして平和条約に踏み切った、そのために北方領土の帰属を明らかにしなかったということが一つ。さらに第二点としては、日ソ共同宣言で北方領土の帰属を明確にしなかったこと。これらの原因に基づいて発生した今回の事件、こういつたことを考え合わせますと、政府として今回の第十三福寿丸の犠牲者に対して、何らかの救済措置をとることが当然ではないか、また道義上においてもその責任を負うべきではないか、このように考えるわけですが、見解をお伺いしたい。
  82. 中尾賢次

    中尾説明員 北洋におきまして多くの拿捕事件が起きており、また最近は、第十三福寿丸の衝突沈没事件というような痛ましい事件が起きております。  いま御指摘になりました点につきましては、サンフランシスコ平和条約は、旧連合国の圧倒的多数が署名したにもかかわらず、ソ連が一方的な主張を行なって、これに参加を拒否いたしましたことは周知のところでございます。また、日ソ間に領土問題が未解決であるために、今日なお平和条約が締結されていないことも御承知のとおりであります。このような事態は、ソ連側の一方的な主張に原因をしておるのでありまして、はなはだ遺憾な点であります。拿捕事件が起きまするのも、その基本的な原因は、ソ連がわが国固有の領土であるところの歯舞、色丹、国後、択捉の諸島を現実に占拠しているということにあると考えられます。したがいまして、政府といたしまして、当然に領土返還の要求の交渉を粘り強く続けてきておりますし、今後も続けていくことは御承知のとおりでございます。  さらに、平和条約ができまして領土問題が解決されるに至るまでの暫定的な措置といたしまして、北洋におきますところのいわゆる安全操業確保のために、ソ連を相手といたしまして交渉を続けております。外務省といたしましては、むずかしい交渉ではございますが、これを達成することによって、このような痛ましい事件の根絶を期したいと努力しているわけでございます。  さらに、そのような拿捕あるいは衝突によりますところの被害者に対する援護措置につきましては、これは関係官庁において所管しておりますので、私からは直接お答え申し上げることを差し控えます。
  83. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 今回の第十三福寿丸は、海上における単なる災難ではない。これはソビエトの巡視艇によって衝突をされ、しかも沈没をして十一名の人命が失われた。もちろん、ソビエトとの交渉もそれは大事でありましょう。死亡者に対しては、やはりそれ相当の補償をソ連政府に対して私は要求するだろうと思っております。しかしながら、これは長引くことは当然考えられる。  したがって、対ソ交渉が妥結しない間といえども、犠牲者の遺家族に対しては、暫定的であっても政府は相当額の見舞い金を支給すべきではないか、こういうふうに考えるわけですが、再度御答弁をお願いしたい。
  84. 中尾賢次

    中尾説明員 ソ側に対しまして、損害賠償の権利は留保してございます。ソ側の言っておりますこと及び日本側で調査いたしました結果に基づく対ソ抗議の抗議書につきましては、これは公表してあるとおりでございます。したがいまして、具体的にその賠償金額が出てまいりました場合には、これを提出する用意がございます。  それまでの暫定的な問題につきましては、私、先ほど申しましたとおり、答弁を差し控えます。
  85. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 それでは次に移ります。  昭和三十四年五月一日に閣議で、抑留漁船員に対する救援措置が定められております。抑留中に死亡した船員に対しては一人七万五千円の見舞い金を出す、こうなっております。ところが、今回の第十三福寿丸はソ連船によって追突されて死亡した、こういうことになっております。そうしますと、この救援措置に該当するかどうかという問題ですが、特例措置としてこの救援措置に該当されて、遺家族にこの七万五千円が支給されるのかどうか、この点はどうでしょうか。
  86. 森本修

    ○森本説明員 事実認定の問題はございますが、それは海上保安庁の出先機関によりまして事実が認定されるわけでありまして、私どもとしましては、そういった拿捕というふうな扱いが明確になりますれば、当然特別交付金の対象になるように措置をしていきたいというふうに思っております。たいへん気の毒な事件でございますから、できるだけ好意的な取り扱いをしたいという気持ちでございます。
  87. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 昭和四十一年、羅臼沖で第十一進洋丸がソ連船に追突されて六名死亡したという事件がありました。この場合も、特例措置として昭和三十四年五月に閣議決定した救援措置がとられて、七万五千円が支給されたということがある。しかも北海道庁では、この閣議決定は昭和三十四年である、相当長い間たっている、しかも物価高騰のおりから遺家族に対して非常に気の毒だということで、道として二万五千円上積みをして、十万円遺家族に支給をしたという事例もあるわけです。  いま長官のお話を伺っておりますと、この救援措置がとられる、こういうふうに私は判断したのです。きょうは農林大臣もおられませんけれども、たまたま北海道で記者会見をされて、非常に気の毒な事件であるから、この抑留船員に対する救援措置を特別に適用したい、こういう発言もしたようでございますが、そのようにとってよろしいでしょうか。
  88. 森本修

    ○森本説明員 先ほど私が申し上げましたように、こういつた交付の事実に該当するという海上保安庁の出先機関の認定といいますか、そういうものがついて私どものほうに出てまいります。そういうことでございますので、拿捕としての扱いができるということになれば、私どもとしては特別交付金の交付の手続をいたしたいと思っております。  新聞あるいはその他で伝えられておる状況では、必ずしも明確ではございませんけれども、何ぶんにも先ほど申し上げましたような事件でございますので、私どもとしても十分好意的に扱いたいという気持ちでございます。大臣の御発言もさようなことであろうと承知をいたしております。
  89. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 今回のこの第十三福寿丸の事件が、現在のソビエトのかたくなな領土問題に対する固執――最近特に日本漁船に対する拿捕あるいは監視、これはきびしい態度で臨んでいるわけですね。日本のほうはほとんど小さな船でありまして、しかも木造船である、ソ連のほうは鉄鋼船で、相当スピードも速いので、私は、こういった中でこれからも相当こういう事件が起きるのではないかと心配するわけです。  そこで、昭和三十四年五月に決定された抑留漁船員に対する救援措置が、死亡した場合七万五千円、これは十年たっております。私はこの間遺家族と会ってまいりましたけれども、お年寄りをかかえ、また子供をかかえて非常に悲惨な状態の方がたくさんおるわけです。何とかして多少余裕でもできるような救援措置というものを考えてもらいたいと、涙ながらの陳情を受けてきたのですが、私は、一人七万五千円というのではなくて、長期間たっておりますし、また社会情勢も変わってきておりますし、物価高騰のおりから、これは何らかの形で増額すべきではないかというふうに考えるのですが、長官、いまの閣議決定、この死亡した場合の見舞い金の増額についてどう考えておりますか、御答弁を願います。
  90. 森本修

    ○森本説明員 不幸にしてなくなられた方に対しましては、御承知のように労災保険というふうな形でその遺族に対しまして、所定の年金等が交付されるというふうなこともございまして、政府のやっております見舞い金は、そういった方々に対します政府の、何といいますか、お見舞いをするための一つの志といいますか、そういうふうな形で決定をされ、支給をされてきております。  そういったことを十分あわせ考えてみなければならぬと思いますので、必ずしも物価にスライドして上がっていくべきものとは私ども承知いたしておりませんが、労災保険金の支給等ともにらみ合わせて、この問題は考えるべきものであろうというふうに思っております。
  91. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 なるほど、いま長官の言われたように労災保険もありますし、乗り組み員の給与保険、通称拿捕保険といっておりますけれども、この拿捕保険は任意加入なんですね。それで、すでに抑留されておる漁船員の加入状況は約七割である。未加入者の留守家族は長期にわたって一家の働き手を失い、悲惨な生活を余儀なくされておるわけであります。  こういった状況考えてみますと、乗り組み員の給与保険については、政府が掛け金の補助をする、あるいは零細漁業者も加入しやすい方法を講ずべきではないか。この北方海域、歯舞、色丹、国後、択捉周辺に出漁する漁船員に対しては、これを強制加入制度にすべきではないか。任意保険ですから、かけなければ保険金をもらえない。何かそういう事件があった場合には、ほんとうに留守家族の人が悲惨な状態に置かれるわけであります。国民の食糧を確保するという意味で、零細な漁民が危険をおかしてもその周辺へ出漁せざるを得ない状況下にあるわけです。ですから、そういった漁船員に対して、乗り組み員の給与保険は任意加入ではなく、その海域に対しては当然強制加入制度にすべきである。これは非常に強い要望がありますので、長官、ひとつ検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  92. 森本修

    ○森本説明員 こういった特別の給与保険に加入をいたします方は、従来は御承知のように北方あるいは韓国、それから南方のほうの漁場といったようなことで、それぞれ全部の漁船ということでなしに、その中の特殊なものということになっております。したがって現在でも、必ずしも南方方面が皆無ということではございませんで、若干入っております。そういったことで、人々の考え方によりまして入ったり入らなかったりといったようなこともございます。  強制保険といいますか、義務加入というふうなことにしてはどうかということも、私ども伺っております。ただしかし、どういつだ人を対象にして強制的に加入をする義務加入に持っていったらいいかということは、なかなかきまりにくいというようなこともございまして、いままでは任意的な加入ということにとどまっております。加入率は必ずしも悪くないというふうに思っております。  なお、私どもとしては加入率の推移、また義務加入にするとすれば、どういった対象を考えるべきかというふうな点につきまして、引き続きひとつ検討をさせていただきたいと思っております。
  93. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、この北方海域に出漁する漁船員あるいはそういった関係者に対して、非常に政府が冷たいというふうに考えております。と申しますのは、韓国周辺における不法拿捕船員に対して、四十年六月日韓条約締結までの間、相当なる手厚い見舞い金等も出しておるようです。抑留家族に対して差し入れ購入費補助として年三回、一回三万二千円というようなものも支給されており、あるいは医療費の補助、あるいは日本に帰る場合の経費、そういったいろいろな手厚い保護をされておるようでありますけれども、何といっても世界三大漁場の一つである北方海域は、どうしてもこれは日本の漁船員が出漁せざるを得ない経済状態にあるわけです。そういったことから、どうしても安心して出漁できるような政府施策というものが、十分ここで配慮されなければならないというふうに考えるわけです。  最後に政務次官から、この北方海域における死亡者に対する補償並びに抑留漁船員に対する援助措置等について、ひとつ明確なる御答弁をお願いしたい。
  94. 小沢辰男

    小沢説明員 御承知のとおり、愛知外務大臣政府から特に派遣されましてソ連に参りまして、その経過等については新聞で御承知と思いますが、私どもは正面から堂々と返還を要求し、かつ、北方海域における漁船の安全操業についての積極的な提案をいたしまして、外交交渉の軌道に乗せるようにいたしたわけでございます。もちろん、その解決までには相当の期間を要すると思いますので、その間漁船のそうした不幸な事故等に対しまして、できるだけの措置をとらなければならぬことは当然でございます。  御承知と思いますが、韓国との間の、たしか四十年でございましたか、補正予算で計上いたしましたものは、韓国に対する請求権を、日韓国交正常化という大局的な見地から放棄した、そのかわりに実は国が補償するというような意味でやったわけでございます。ソ連に対しましては、私どもはこの損害賠償請求権というものを留保いたしております。したがって、韓国の場合とは性質を異にしている点がございますので、私どもは、あくまでも損害は損害として相手国に堂々と要求すべきものというふうに考えております。  一方、おっしゃいました不幸にしてそういう事故にあわれました方々の補償につきましては、御承知のとおり、先ほど先生がおっしゃった任意保険もありますけれども政府が管掌をいたします般員保険もあり、労災保険もあり、そのほかに先ほど言いました特別の見舞い金等のことも考えておるわけでございますが、しかし、確かにこれは理屈を超越した、先生のおっしゃるような気持ちも十分わかりますので、なお今後の外交折衝のこれは見通し等にも関連をすると思いますので、そういう場合にはひとつ政府として十分検討をしていきたい、かように考えるわけでございます。
  95. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 終わります。
  96. 丹羽兵助

    丹羽委員長 樋上新一君。
  97. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、前回にも当委員会におきまして食品問題についてお尋ねいたしましたが、最近におけるところの店頭で販売されておる食品、これはにせ商品が多い。表示と中身とが違っておるような商品がある。さらに、最近のインスタント食品については、添加物のために非常にからだに害毒を及ぼしておるというようなものも多々見受けるのでございます。過日も質問いたしましたトマトジュースにおけるところの中毒、その他いろいろな面におきまして、食品衛生上、この規制または監督ということについて、厳重なる忠告を私は申し上げたのです。  最近またまた、先般来ウサギの肉を豚肉へまぜたり、または馬肉を牛肉にまぜて店頭で販売しています事実が明らかにされ、新聞をにぎわしておりますが、その実態についてお伺いしたいと思います。
  98. 平松甲子雄

    ○平松説明員 ウサギの肉を、食肉店が、ウサギの肉であるという表示をしないで販売しておるという事実につきましては、先生指摘のとおり、九月の初めに新聞紙上に報ぜられまして、その後東京都の衛生局が指摘をしたという事実があるわけでございます。この点につきまして、さらに東京都の経済局は都内の食肉店について調査をいたしますと同時に、消費者の団体の一つであるある団体も調査をいたしたわけでございますが、二、三また、ウサギの肉であるとか、あるいは馬の肉を混入しておる事実があがったようでございます。
  99. 樋上新一

    ○樋上委員 このような事件の発生は、いま始まったことではございません。こういうことはたびたび発生しておるのですが、どこにそういう原因があるのか、また政府のこれに対する確たる御意見をお伺いしたい。
  100. 平松甲子雄

    ○平松説明員 こういう混入がどういう理由で起こるかということでございますが、牛肉なり豚肉、あるいはウサギの肉、馬の肉、羊の肉という間には、価格の差がございますので、その価格の差を利用いたしまして、不当にもうけようというふうな誘惑にかられてそういうことが起こっておるというふうに考えられるわけでございますが、私どもといたしましては、食肉業者の道義心に訴えるというようなことで、その点についての取り締まりと申しますか、こういう事態が起こらないようにという形の指導を、従来もやってまいったわけでございます。  今回事件が起こりまして、直ちに業者の団体でありますところの全肉連を呼びまして、そういう点についての注意を喚起いたしたわけでございます。その団体自身も、すでに自発的にそういう点について、われわれから注意を受ける前に、みずから行動を起こして、組合員の注意を喚起しておるという状態でございます。
  101. 樋上新一

    ○樋上委員 数年前に病菌豚事件がございました。また馬肉入りのかん詰めを牛かんと偽って販売していた問題がございましたが、あれらの事件が起こったときに、どのような防止対策の手が打たれたか。そこのところにおいて完全なる防止対策が、二度と起こらないようにされておったら、連続したこういうような問題は起こらないと思うのです。  いまあなたのお話を聞いておりますと、業者に自粛を促した、また業者も自発的にと、こう言うのですけれども、それだったら、今回初めてではない、いままでにもこういうことが行なわれておるのに、手ぬるいことで反省を求めるようなことではだめです。いまあなたがおっしゃったように、価格の問題とかいろいろな問題があって、もうけるため、いろいろな利益のためには、そういった不正をやってもたいしたことはないんだ、指摘されて発見されたときに、自粛しますとか、以後こういうことがないようにしますとかいうようなことでお茶を濁したようなことのために、またまたこうしたことが行なわれたのじゃないか。前に、病菌豚のときの防止策ということは、どういうことをされたのですか。
  102. 平松甲子雄

    ○平松説明員 食肉の衛生上の措置の問題につきましては、食品衛生法という法律がございまして、厚生省のほうで担当をいたしておりますし、病菌豚の際の処理も、厚生省のほうで行なったと承知いたしております。詳しくは存じませんが、焼却炉に全部を持っていかせて焼却させたということでございます。その後その病菌豚事件につきまして、食品衛生法上の措置がどういうふうに行なわれたかということについては、私ども承知いたしておりませんが、そういう措置がとられたということでございます。  この食肉の取引の問題につきましては、衛生上の見地からは、ただいま申し上げましたように食品衛生法上の取り締まりがございますし、公正な取引、つまり牛肉と称して馬肉を売る、あるいは豚肉と称してウサギの肉を売るというようなことにつきましては、公正取引委員会が所掌をいたしておりますところの不当表示防止法という法律がございまして、今回はその食品衛生法なりあるいは不当表示防止法なり、そういう法律に基づきまして措置がとられておるというふうに承知いたしております。  私ども、その具体的な事柄の処理につきましては、そういう法律に基づく措置が行なわれておるということを承知いたしておるわけでございますが、さらにそれに農林省も加わりまして、今後の問題については、おのおの自分の権限に基づいて業者指導していこう、このこと自身の法律に基づく措置は別途行なうとして、それとは別個に指導をしていこうということになっておるわけでございますので、私どもといたしましては、ただいま申し上げたような指導をいたしておるという実情にございます。
  103. 樋上新一

    ○樋上委員 管轄におきましていろいろあるということ等のお話でございますが、とにかく政府の監督の怠慢で、それが原因しているのであると私は思うのです。  また、馬肉混入の問題の検査は、前もって予告しておいた。検査をすると予告をしておったものでもこういう問題が出るのですから、これを抜き打ちに検査をしたら、もっと不正件数も多かったのではないか、こう私は推察するのですけれども、この点はいかがお考えになりますか。
  104. 平松甲子雄

    ○平松説明員 確かに御指摘のように、そういう事件が起こったあとというのは業者自身も注意をするが、その中ですらなおかっそういう事態が起こっておる。この点につきましては、いろいろ問題もあろうかと思いますけれども、そういう事態が起こっておるということについては、私どもとしても深く反省をする必要があろうかというふうに考えております。  私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、食肉業者の団体である全肉連に注意をいたしますと同時に、百貨店であるとか、あるいはスーパーであるとか、そういうものの団体についても、肉を取り扱っておるという意味において注意を喚起いたしますと同時に、その団体の中でも、小売り屋さんの団体である全肉連においては、自分たちで自発的にモニターを使って、自主的に検査をしていくという、業者同士の間における監視というふうなものをやりたいという意図があるようでございますので、私どもといたしましては、それについても、それを助けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  105. 樋上新一

    ○樋上委員 東京でこのような多くの不正が摘発されたのですから、全国的にも不正がある、こう私は思うのでございまするが、この機会に一ぺん政府の責任のもとで、全国的に総点検をやるお考えはありませんか。一部にまかせておくというのでなしに、政府の責任において、こういった食品の総点検をおやりになる気持ちはありませんか、どうですか。
  106. 平松甲子雄

    ○平松説明員 私ども、先ほどから申し上げておりますように法律上の権限はありませんので、行政指導という形でやっておるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、厚生省のほうは衛生上の見地から食品衛生法の、それから不正取引という点につきましては公正取引委員会が、おのおの法律上の権限を持っておりますので、ただいま御意見のような点につきましては、三省寄って協議をいたす際に、議題としてのぼせて検討いたすということをやってみたいと思います。
  107. 樋上新一

    ○樋上委員 この間改正法案として提出されました農林物資規格のあの問題も、ついに審議されずに廃案になった。そのときに私は質問したいと考えておったのですが、これらの一連の事件を監督するのは、つまり農林省と厚生省であるが、その連携の悪い点にも問題があるのじゃなかろうかと思うのですね。また両省にまたがる関係法律を一本化したもの、たとえば食品法のようなものの法律化をはかるべきだ、こう思うのですが、この点はいかがお考えになりますか。
  108. 平松甲子雄

    ○平松説明員 ただいま御指摘の点につきましては、食肉の需要なり消費なりというものが最近急増しておるということで、一般の食品の中でも、特に食肉については問題が多いかと思います。確かに両省で所掌しておるということから、指導行政の谷間ができるというようなこともあろうかと思いますので、先生の御指摘の点については、私どもも前向きで検討してまいる必要があろうかと考えております。
  109. 樋上新一

    ○樋上委員 政務次官にお伺いしたいのですが、去る三月、首相の諮問機関である国民生活審議会のいわゆる消費者保護部会が、にせ食品を含めた食品法の一本化を答申してきた。政府はこの答申に対して、一対いかなる見解を持っておられるのか。また、このような食品法の一本化に臨む政府方針をお伺いしたい。
  110. 小沢辰男

    小沢説明員 総合的な食品法の立法について、当委員会におきましても、あるいは物価対策特別委員会においても、いろいろと御議論がございまして、樋上先生からは毎回食品の不正問題についていろいろ御意見を承って、私も、各省にそれぞれまたがっておりますいまの機構といいますか、やり方、こういう点について、もっと総合的に考えなければいかぬという気持ちは持っております。  実は諸外国における食品の総合立法というのは、たとえばアメリカ等におきましても、食品及び医薬品の法律というようなことで、主としてこれは衛生上の観点からする立法でございますが、農林省の行政と厚生省の行政というものは、同じ対象であってもとらえる面が、実は全然質が違うわけであります。私どものほうは優良な食品を安定的に安価に供給するということでございますし、また片一方のほうは衛生上の危害の防止という観点であります。  したがって、先ほどおっしゃいましたいろいろ馬肉の混入とか、ウサギの肉をまぜるとかいう場合には、農林省ではいわゆる検査員という機構を持っていないわけでございます。食品衛生法のほうは、法律上の権限として食品衛生監視員という制度を持っておるわけでございます。それと、厚生省では食品衛生協会に委託いたしまして、指導員という民間の組織をつくり上げて衛生上の危害の防止に専念をしているわけでございます。公取のほうは不正取引、不当表示というようなことからやっておるわけでございますが、私は、総合立法をどういうような形でつくるか、その内容が問題だと思うのです。いまの食品衛生法というものは、そう心配のないほど綿密に厳格に規定されております。  要は、立法の問題よりは行政上の措置として、先生先ほどいみじくも食品の総点検ということを言われましたが、そういうような体制消費者保護の観点から、もう少し人なりあるいは予算なりその他をどうやって充実し、しかも、それを総合された機能として発揮できるような実際の行政上の事務をどうやってうまくやっていくかということにあるのじゃないかと思いますので、総合立法について私ども消極的なような言い方をいたしますけれども、むしろ問題はそちらの、あとで申し上げました行政上の監督、指導というものにもう少し総合的な手を打っていかなければいかぬのじゃないかというふうに考えております。  現在のところ、食品衛生法も、それに基づきます政令、省令等につきまして、非常にこの前国会先生方の御議論がありましたから、新しい表示の問題についてすべり出して、この充実をした省令、政令をやったようでございます。私どものほうは、遺憾ながら農林物資の規格、いわゆるJASの法案につきましては審議未了になりましたのですが、なおさらに御意見等を参酌したがら、この法案の再提出をする場合に検討いたしまして、ひとつ御期待に沿えるような方向に努力をしたいと思います。
  111. 樋上新一

    ○樋上委員 食品の製造業者並びに卸売り業者、小売り者業、それぞれの立場のより向上していくように――不当利益でなくして、正当な利潤を追って商売をしているのですから、こういう人たちを私たちは一がいに全部が全部悪い、こう言うのじゃありません。ある一部の卸売り業者たり小売り業者、また製造業者の不心得者、ただもうければいいというだけで販売した者を、私がいま申し上げました総点検をしなければならないのじゃないか。はなはだ信用がないような言い方でございますし、そういうことはあってはならないのですけれども、たびたびこういう問題が出てくると、そういうように言わざるを得ない。  そこで、業者に対してこういうことを言うと、非常に過酷ではなかろうかと思うのですけれども、欧米では、調べますと、馬肉を牛肉にして販売するど、それが発見されたときは、一年以上の懲役かまたは一万ドルの罰金で、両方を科せられることもあるということになっておるのです。そうして消費者国民を保護しよう、こういう法律が欧米ではあるということでございます。これは当然であると思うのですが、わが国ではまだこういったことはやっておりませんし、わが国ではこのような不正をした者に対してはいかなる罰則を設けているのか、また、今後はどのような方向に持っていくのか、この点政府方針を聞かしていただきたいと思います。
  112. 平松甲子雄

    ○平松説明員 私どもの所掌ではございませんが、先ほどちょっと触れました、正式な名前で申しますと不当景品類及び不当表示防止法という法律がございまして、その法律では、ただいま先生指摘のように、牛肉と称して馬肉を売っておったという者については、公正取引委員会のほうでそういう事実を発見した場合には、排除命令を出して新聞公告を出す、そういう命令を聞かなかった場合には一年以上の懲役に処すというふうな規定があるわけでございまして、私ども、日本においても罰則がないわけではないというふうに承知いたしております。
  113. 樋上新一

    ○樋上委員 それじゃ最後に、いまいろいろ聞きましたけれども政府名局がこういう問題に対して真剣に取り組んでもらって、安心して消費者国民が食肉を食べられるように、また中毒の起こるようなトマトジュースかんの不良というようなことが再び起こらないように、私がこの委員会でまたまた同じ質問を繰り返さないように、今後この事件はこれでもって終止符を打って絶滅できるように、政府の真剣な消費者保護の面においての製造業者、卸売り業者、小売り業者に十分なる監督と指導を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  114. 丹羽兵助

    丹羽委員長 實川清之君。
  115. 實川清之

    ○實川委員 ことしの水稲の冷害による被害の状況についてお伺いいたします。  先般来新聞その他で、ことしは史上三番目の豊作だというようなことが盛んに宣伝されております。最近は米の豊作が非常にまずいことになりまして、米についてとかく集中攻撃がされておるような感じを持っておるわけで、どうもこの史上三番目も少し怪しいんじゃないか、こういうような感じがいたすわけですが、ことしの作況の収穫見込みの実態について、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
  116. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 作況につきましては統計調査部が所管でございますが、本日参っておりませんので、私、農政局参事官でございますが、お答え申し上げたいと思います。  先般、農林省の発表いたしました八月十五日の作況でございますが、その状態におきましては史上三番目と申しますが、おととし、去年、ことしとだんだん下がってまいっておりますけれども、数字的には史上三番目になるわけでございます。  しかし、これは全般的な問題でございまして、部分的には非常に悪いところがございまして、番極端に悪いのが北海道、それから関東の栃木、茨城、千葉三県で、そういう県におきましては、冷害によりましてかなりな被害が出ております。  それから、この八月十五日の作況にはまだ九号台風は入っておりませんので、その後またいろいろな事態が起こってまいりますと、さらに作況が悪くなるということもあり得るというように承知いたしております。
  117. 實川清之

    ○實川委員 私は、とりあえず自分の出身地である千葉県の冷害の状況について、農林省がどの程度にお考えになっているか、それをお聞きしたいのです。  実は今度の冷害については、農林省第一次発表の段階、八月十五日当時の作柄では、若干やられたというような印象は一般に持っておったようです。私も若干見てまいりまして、それほどひどくないんじゃないかというような感じを持ったんですが、その後時間の経過とともにだんだんひどくなってまいりまして、いまでは昭和二十八年以来の非常な凶作だと一般にいわれております。  千葉県の場合、被害を受けた地帯は県の北東部ですか、香取、印旛、海上、匝瑳、山武、長生、夷隅、この七郡が中心で、特に被害のひどい地帯はその地帯でございますが、県全体で平均反当一俵くらいは減収じゃないかといわれております。  ところが、せんだっての農林省の発表では、平年作に対して九二%というような数字が発表されておりますが、いま申し上げたように、調査をした時点が少し早かったということもあるんではないかと思うのですが、実際問題として八%程度の減収ではないようです。特にわせ系統の稲が非常にひどかった。まあ正確な調査を持っておりませんが、県の発表によりますと、七月の上旬十五、六度の低温の日が三日連続をした。これが、その当時分けつ期にあったものが一番被害がひどいといわれております。たとえば、ホウネンワセとかそういったようなものが多いわけですが、せんだって私、自分の村の農協の役員会で、出席した二十数名の役員の諸君に、米の予約数量を出荷できる人が何人あるか聞いたら、二十人くらいの中でたった一人しかない、あとはとても出せない、半分出せればいいところだというような声すらある状態でございまして、したがって、農林省の九二%という数字については、これはもう実態とは非常にかけ離れておるような感じがいたします。  次はその後の九月半ばの状態が発表されるんではないかと思うのですが、まず私のお願いいたしたいことは、被害の状況を的確につかんでいただきたい。そういうような角度から申しますと、いまの統計調査事務所でやっております作況調査が、はたして真相をつかめるかどうかという点が心配になります。たとえば、今度の冷害による被害を見ましても、同じ地帯でも必ずしも同じような被害を受けているとは限りません。それから稲のわせあるいは晩生種といったようなものによっても違いますし、さらにまた、同じ地帯でありましても平場と山間部ではだいぶ違っているというような関係で、その実態の把握が非常にむずかしいと考えておりますが、いままで程度の坪刈りや何かでは私はなかなかわからないと思いますが、いずれにいたしましても実態を正確につかんでいただくことが大事だと思います。先ほど申し上げました予約数字を供出できるかどうかというような簡単な質問でも相当ひどいし、特にわせ系のものをつくったのは、半作以下だということが一般的にいわれております。  そこでお伺いいたしたいと思いますのは、その実態把握の結果の対策について、農林省はどのようにお考えになっているか、特に天災融資法の発動についてはどういうような見解を持っていらっしゃるか、金融課長さんにひとつお伺いいたしたいと思います。
  118. 渡邊文雄

    ○渡邊説明員 七月以降の低温によりまして、千葉県とかあるいは茨城県その他幾つかの県で、水稲を中心にしまして被害が出ているというお話は、県のほうからもお話を伺っております。  これに対します天災融資法の発動につきましては、冷害でございますので、現在被害が進行中の地域もございますので、そういった地域も含めまして、農林省の統計調査部の詳細な被害の調査結果、あるいは県からの資金需要等を十分把握した上で、私どもとしましては天災融資法につきまして慎重に検討してみたい、かように考えております。
  119. 實川清之

    ○實川委員 その資金需要の問題なんですが、私の郡は九十九里沿岸なんですが、そこの地帯では、これは県庁からだったと思うのですが、九月二日の夕方、天災融資法による借金をしたい者は申し出てこい、しかも四日の午前中までに申し出ろ、こういうような話が市役所にあったのです。市役所から末端に届いたのは三日に当然なるわけです。それで翌日の昼までに申し込めというようなことで、時間的にも末端に徹底する余裕が全然ないし、もちろん借り入れの手続等も済まされないわけです。  これは概数を把握するための措置だったろうと私は想像いたしますが、いずれにせよ、まだ農民自体もどの程度とれるのか、どの程度被害があったのかわかっていない。したがって、これはまだ先の問題になると思いますが、千葉県については、昨年も天災融資法の適用を受けたはずです。ちょうど私、外国へ行っておって、その当時の事情をあまり詳しく存じませんが、そうしたら結果的に米の出荷数量が予約を一〇〇%完遂してしまった。それから、検査等級を一段下げて等外米を設定したが、それに該当する米はほとんどなくて、大体五等で間に合ったというような話を聞いて、県でもことしは被害という問題をまともに取り上げることを当初ちゅうちょしておったようです。  昨年の場合、率直に申し上げますと、これは前の年の繰り越し米が相当あったわけです。したがって、新米はほとんど全部政府売り渡しに回しても差しつかえない、つまり前年度の余剰米のおかげで、出荷数量は表面的には一〇〇%遂行できたということになっております。それから等外米の少なかったというのは、これは若干、等級に入る米と一緒にまぜて平均して五等におさまったというような実態があるようです。ことしもそれと同じじゃないかというような判断がもし農林省にあるとすると、これは大きな間違いです。実際にわれわれが見ましても相当ひどい状態でして、ことしはそういうインチキは――インチキというか、被害があると思ったらあまりなかったという結果は起こってきませんので、それは念のために申し添えておきます。  それから、激甚地指定の条件はどういうことになっておりますか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
  120. 渡邊文雄

    ○渡邊説明員 激甚災害法の適用につきましての従来の基準といたしましては、一つの基準は、その災害にかかります被害額が、当該年度の全国の農業所得推定額のおおむね〇・五%以上であるというような場合の災害、あるいは当該災害にかかります被害の見込み額が、当該年度の全国農業所得推定額のおおむね〇・一五%をこえており、かつ一つの都道府県の区域内におきますその被害によります特別の被害者の数が、当該府県の区域内におきます農業者のおおむね三%以上をこえる、そういうような点が一つ以上あるというような二つの基準になっております。
  121. 實川清之

    ○實川委員 まだ被害額が的確につかめておりませんので、いまから何とも言えないと思いますが、千葉県の場合、一体そういう激甚地指定を受ける可能性があると考えられますか。どうでしょうか。
  122. 渡邊文雄

    ○渡邊説明員 まだ具体的な詳しい被害の実態の調査に接しておりませんので、いまの段階では何ともお答えいたしかねるわけでございます。
  123. 實川清之

    ○實川委員 それから、調査に参りますと、ことしの米価が据え置きになった関係で二百二十五億円という補助金が出ることにきまっておりますが、これはいつごろ、どんな方法で出していただけるのか。被害地ではなるべく早く出してもらいたいということを、盛んに要求されておりますが、この点についてひとつ……。
  124. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  二百二十五億につきましては、今年度の米価決定の経緯の際にそういうものを補助金として出すということはさまったわけでございますが、何ぶんにもまだ財源措置が、どこから金が出るということがまだはっきりきまっておりませんために、やり方等につきましては相当詰めておりますけれども、確実に何月何日に出ずということは、まだ申し上げられない状態でございます。極力急いで――その要綱は大体できておりますので、予算措置がきまりますればすぐに出せるようにということで、ただいま各県に対しまして調査を依頼いたしております。  これは何ぶんにも、過去三年間の政府売り渡し実績に応じまして補助金を配分するということになりますものですから、個人別の三年間の実績を全部計算しなければなりませんのと、それからもう一つは、災害等で収獲が非常に下がっている年につきましては、それを除くとか補正をするとかという問題がございます。それからもう一つ政府に売り渡していないものでも種もみとして国が認めているものがございます。そういうものを加算いたしましたり、個人別のそういう集計がございますので、なかなか簡単にいかないのでありますが、それはもうすでに着手いたしておりまして、食糧庁の出先と市町村とが協力いたしまして、個人別のリストをつくっております。  出します金につきましては、われわれのほうとしては県を通じ市町村に流しまして、そこから農協を通すかあるいは個人に行くかわかりませんが、それは市町村の考え方になるわけでございますが、肥料なり農薬なり機械なり、そういったような四十四年の米生産に資したものにつきましての経費を払うというかつこうになっております。  大体の金額、これも数字がはっきりつかめておりませんので、大体のことしか申し上げられませんが、政府売り渡し一俵当たりにつきまして約百四十円をこえるだろうということはわかっておりますけれども、その辺のあとの端数が幾らになるかということは、まだちょっとわかっておりません。できれば早く出したいのでございますけれども予算の財源がきまりませんものですから、いまのところで安全なことを申し上げれば、年度内ということ以外には申し上げられない状態で、申しわけないと思っております。
  125. 實川清之

    ○實川委員 その問題について前に五十億、同じような金が出たことがありますが、あのときは私のほうの地帯だと、ミストを共同購入したというかつこうで個人には金は渡らなかったわけで、結局農機具屋がもうけてしまったということに結果的にはなると思うのです。農民の要求として個人に届けてもらいたい、こういう要求が強いわけですが、この点についてはどうなんでしょうか。
  126. 小沢辰男

    小沢説明員 これは、個々の生産農家に必ず渡るようにいたします。
  127. 實川清之

    ○實川委員 それじゃ最後に一つお願いをいたしておきますが、先ほど申し上げましたように、私は生まれつきあまりうその言えない男でございまして、その私が見た目でも千葉県の半分は相当の被害を受けておりますので、格段の御配慮をいただきたい。このことを県民にかわってお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  128. 丹羽兵助

    丹羽委員長 兒玉末男君。
  129. 兒玉末男

    ○兒玉委員 カンショ並びにバレイショでん粉関係について、四点ほどにしぼって御質問します。特に小委員会も設置されることになっておりますので、具体的なことについては小委員会を通じて検討し、質問したいと思います。  まず第一点は、四十三年度産のバでん、カンでんの処理は大体どういうふうになされているのか、現況について伺いたい。  第二点は、四十四年度のカンでん、バでんの作況並びに需給計画はどうなっているのか、この二点を最初にお伺いしたいと思います。
  130. 山下一郎

    ○山下説明員 第一点の四十三年産のカンでん、バでんの処理状況でございますが、四十三年産のカンでんの生産は、前年に比べまして三割減の約三十七万トンでございまして、バレイショでん粉は、これに反しまして前年に比べまして五割増の約三十一万トンでございました。  カンショでん粉の需要の大部分は糖化用でございますので、関税割り当て制度に基づきまして、四十三年四月以降適用の無税のコーンスターチと抱き合わせ販売をいたしまして、約二十八万トンを糖化用に調整販売いたしますとともに、一般販売の糖化用その他用途向けに販売促進を行たいました結果、四十三でん粉年度、すなわち今年の九月現在でございますが、カンショでん粉につきましては全量販売見込みでございます。なお、カンショでん粉の価格につきましては、終始基準価格水準を維持してまいっております。  次に、バレイショでん粉につきましては、従来バレイショでん粉の固有用途十数万トンといわれておりますものを今年は大幅に上回りまして、史上最高の三十一万トン程度生産がございましたために、この価格は出回り当初から基準価格を下回って推移いたしました。こういう状況でございましたので、本年の二月から四月にかけまして二回にわたりまして合計七万トンのバレイショでん粉の政府買い入れを行ないまして、基準価格の維持をはかった次第でございます。またこれとあわせまして、関税割り当て制度によりまして糖化用コーンスターチとの抱き合わせ販売、あるいは生産者団体によります調整販売を推進いたしまして需要の確保につとめてまいりましたが、現在におきまして六万トン前後の過剰を生ずる見込みになりました。そこで、政府のあっせんによりまして三万トンを引き取らせることにいたしましたので、なお三万トン前後の在庫と申しますか、過剰がございますが、これにつきましては、昨年行ないましたと同様の方法で、生産者団体によります調整保管を行なわせることにいたしまして、次年度においてこの処理をいたしたい、こういうふうに考えております。  次に、第二番目の四十四年産のイモの状況あるいはでん粉の需給の見通しの御質問でございますけれども、イモの作付状況につきましては、北海道の春植えバレイショにつきましては、八月二十九日に統計調査部から予想収穫量が公表されております。これによりますと、作付面積は前年に比べまして五%減の八万九首ヘクタール、反収は一三%減の二千三百七十キロ、この結果、収穫量につきましては一八%減の百九十一万四千トン、こういうことになっております。なおカンショにつきましては、現在統計調査部で調査中でございます。  こういう状況でございますので、四十四でん粉年度のでん粉需給につきましては、まだ見当がなかなかつかないわけでございますけれども、バレイショでん粉の生産は、ただいま申しましたようにバレイショが減収いたしますので、三割弱程度減の二十二万トン程度ではなかろうか。またカンでんの生産につきましては、カンショの収穫量が不明でございますので予想が困難でございますが、おおむね前年程度かと考えております。  でん粉の需要は、大体年間百二十万トン前後が見込まれておりますので、国内産のイモでん粉で不足いたします分をコーンスターチ、外でんで補充することによりまして、おおむね需給の均衡をはかってまいりたい、このように考えております。
  131. 兒玉末男

    ○兒玉委員 そこでお伺いしたいわけですけれども、いまの状況から申しますと、先ほど政府が凍結買い入れしました三万トンと来年度の減収予想からすれば、価格面においてもおそらく本年度はかなり、供給対需要の関係で、前年度よりもいい傾向だというふうに判断できると思うわけです。  そこで、十月二十日が農安法による基準価格設定の期限でありますけれども、現在価格の作業についてはどういうふうな状況にあるのか、バでん、カンでんとも、その経過についてお答えをいただきたい。
  132. 山下一郎

    ○山下説明員 今年度産のカンショ、バレイショ、それからでん粉につきまして、先生の御指摘のとおり、本年の十月二十日までに価格を決定することになっておりますが、現在のところ統計調査部の数字も、まだバレイショの見込みが出ただけでございまして、カンショについては作付の状況等の、予想収穫量等の数字も出ておりません。  したがいまして、現在まだ本年の価格決定の作業にはかかっておりません。今月の下旬ごろから作業に入るのが例年の例でございますので、本年も資料が入り次第作業にかかりたいという状況でございます。
  133. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それから、来年さらに関税定率法の延長というのが期限切れになるわけですけれども、これを含めて、今日バでん、カンでんいずれを問わず、やはり価格の恒久安定対策あるいは長期の需給計画、さらにこれに対するところの全体的なバでん、カンでんの生産農民に対する不安を解消するための恒久的な対策ということが、昨年から強く要望されておるわけでございますけれども、この抜本的な改革対策についてはどういうふうな作業が進められ、その結論を大体およそどの時限で決定をされるのか、その辺の状況についてお伺いしたいと思います。
  134. 山下一郎

    ○山下説明員 ただいま先生の御指摘がございましたように、現在国内のでん粉の需給につきましては、コーンスターチと国内産イモでん粉との関係の調整を、関税割り当て制度の運用によって行なっておる現状でございます。  この現行の暫定関税制度は、来年の三月末で期限切れになりますので、その以降どういたしますかという問題ですが、この関税の暫定制度は四十三年の四月から始まりまして、当初関税率審議会で、一年限りという付帯条件がついておりましたのを、事情やむなしということでもう一年延長をしていただいております。そういうようなこともございまして、イモでん粉の根本的な対策につきまして、御指摘のとおりかねて問題になっております。現在、局といたしましては学識経験者の参加を得まして、この問題についてあらゆる角度からの検討をお願いしておりますが、ただいまのところ、なおこの研究、検討が継続しておるという状況でございます。  しかし、いずれにいたしましても、御指摘のように四十五年度どのような制度をとってイモ作農家のイモ生産が安心して継続できるように、あるいは国内産イモでん粉の需給を確保するということで何らかの対策を必要とするという事態になっておりますので、この学識経験者の検討もできるだけ早く結論を出していただきまして、それらをあわせながら、局として今後の基本的な対策をどのようにするかということをできるだけ早く結論を得たいということで、目下努力をしておる状況でございます。  いずれにいたしましても、四十五年度施策として、来年度予算なりあるいは関税措置なりとあわせまして準備をいたさたければなりませんので、ただいまのところ早く新しい方向を見出すべく努力をしておるという現状でございます。
  135. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特にバでん、カンでんともに、現在北海道と南九州に生産地が限定されつつあるわけです。そういう点から考えましても、やはり政府の積極的な指導と、これに対応する対策というものが強く要請されるわけであります。  そこで問題になりますのは、また常に農民の側が脅威を感じますのは、コーンスターチに対する政府指導というか対応策というものが、農民の不安をかこっている最大の原因であります。でありますので、本年は、先ほどの状況から申しますと、やはりバでん、カンでんの生産量というものが、需要の動向に比較して後退の状況にあるので、これの恒久的な対策とコーンスターチに対するもう少し積極的な対策というものが必要じゃないか。  たとえば、一つの例として問題にしておるわけでありますが、現行の自動承認制をやはりもとに返しまして輸入割り当て制に引き戻すなど、このような強力な規制措置というものを講じながら、国内におけるバでん、カンでんの生産意欲というものが減退しないような方策というものを、十分に考慮に入れるところの長期対策でなければいけないと考えるのですが、この辺の関係はどういうふうにお考えになるのか、お伺いしたいと思います。
  136. 山下一郎

    ○山下説明員 現在のでん粉の問題は、御指摘のように輸入トウモロコシを原料といたしますコーンスターチと、国内のカンショ、バレイショを原料といたしますイモでん粉との関係をどのように調整していくかということでございます。御承知のとおり、コーンスターチのほうが価格が安いということがございますので、それからでん粉全体の需要は、先ほども申しましたように大体年間百二十万トン程度で、そのうち現在のところイモでん粉が約七十万トン、その足りない部分五十万トンをコーンスターチで埋めているという状況でございますが、現在はコーンスターチに関税割り当て制度で量的な規制を行ないまして、全体の需給をバランスさせるという措置をとっております。  今後の考え方といたしまして、方法といたしましては、御指摘のように現在自由になっておりますトウモロコシの輸入を、コーンスターチ用の原.料についてもう一度外割りに引き戻すというのも確かに一つの案でございますし、それから現行の関税割り当て制度を強化して、これを継続することによりましてコーンスターチとイモでん粉との調整をするという方法も考えられますし、それからまたそのほかに、場合によりますれば課徴金制度を中心にした新しい制度も現在検討中の一つの案として考えられております。おそらく方向といたしましては、いまの三つの方向のうちいずれかということになるのではなかろうかというのが、現在の検討過程中の状況でございますけれども、それぞれの案につきまして利害得失がございます。  また、御承知のとおり残存輸入制限の問題が強く叫ばれております今日でもございますので、一たん自由化しましたものを、はたして再び外割りに戻せるかという国際的な問題もございまして、その辺どの制度がよいのかということについて、目下検討を進めておる現状でございます。
  137. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間の関係もありますので、最後に政務次官にお伺いしたいのであります。  要望を兼ねてお伺いしますが、いま参事官からも答弁がありましたが、特にバレイショ、カンショ生産地帯というものが限定されまして、これがまた簡単に他の作物に転換できないという状況にあります。しかも南九州等におきましては、旧来の民間のでん粉工場経営者が工場閉鎖をやっておるわけです。そうしますと、その地域におけるイモ作農民というものは――現在残念ながら南九州の場合は、農協系統の工場が北海道と比較して非常におくれているわけです。  そこで問題は、基準価格の設定と密接な関係がありますけれども民間の工場が閉鎖するために価格が買いたたかれる、こういうことが十分懸念されるわけでございますが、これについては基準価格の完全な保証がされる対策、あるいはそういうような南九州地域におけるところのいわゆる工場等の合理化対策、そういう画筆についても適確な行政指導ということが強く要望されますので、これについて要望し、次官の見解をお聞きしまして私の質問を終わりたいと思います。
  138. 小沢辰男

    小沢説明員 今年の三月に、例の割り当て制度が期限切れのときに、南九州、北海道のイモの問題を重視しまして、実は外資審議会なり関税率審議会で非常な抵抗がありましたものを、長谷川大臣よくがんばって一年延長させたわけでございますが、ただいま参事官が言いましたように三つの考え方がありますけれども、一たん自由化したものを割り当て制に戻すということは、これはなかなか現実問題として、農林省だけで方針をきめてうまくいくというものでもありませんし、非常に困難な問題だろうと思うのでございます。そうかといって、先生おっしゃるようにイモ以外にはつくれないところでございますから、この地域におけるイモの耕作農民について安定した農業ができますようにしていがたければいけません。  いま参事官から言いましたように、学識経験者に依頼いたしまして鋭意検討をいただいております。その結論を得まして、なお総合農政全般につきましての党側との意見の調整をやりまして、来月の二十日くらいまでには何とかひとつこの基本的な対策を確立していきたい、かように考えております。  先生の御意見十分拝聴いたしましたので、私も大臣とともに真剣にひとつこの問題に対処していきたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  139. 丹羽兵助

    丹羽委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十四分散会