○小沢(辰)政府
委員 この
国有林の
活用法案の提案をいたしまして、この
法律によってどれくらい
活用し、具体的にその結果
農業所得がどれくらいふえ、あるいはまた就業人口がどれくらいふえていくかというような、そういう計算は持っておりません。
〔藤本
委員長代理退席、
委員長着席〕
私どもはこの
活用を、いままで行政上の
措置としていろいろやっているところにむしろ問題があるので、こういう具体的な非常にへんぱな
国有林の分布
状況を見た場合、また、その
国有林と民有林の区分というものが、歴史的にいろいろな問題があるような非常にへんぱな
状況を
考えた場合、それらの
地域において
国有林の
活用によって、少しでも
地元の
農業の発展なり向上なり、あるいはまた
住民の福祉に役立たせようという切なる願い、こういう現実をとらえまして、従来、もちろん行政上の
措置としてやってまいってはおりますけれども、それではまた一方において、
先生最初に御
指摘のような、いろいろな弊害も出てくるおそれがある。したがって、この
法律によって私どもは
方針というものを明らかにし、またそれを実際にやる場合には、
活用を望むほうから見ますと不満かもしれませんけれども、
国有林の事業というものの管理と
経営の適切な運営というものを、あらかじめ
条件といいますか、念頭に置きながら
活用をはかっていくのだということを
法律上明確にしております。
一方、その
活用の希望が出てきた場合には、
先ほど先生が事前に
調査をしていくべきだと言われましたが、もちろん
調査もいたしておるだろうと思いますけれども、
活用計画が出た場合には、私どもが責任をもって、
適地であるかどうかの
調査もするということに
法律上、ごらんいただければ明文もあるわけでございまして、しかもその際に、
用途指定あるいはまた買い戻しの特約を、第三者に対抗し得るような登記上の
措置を含めた必要な
措置も
法律でやれるということも明確にいたしまして、そういう疑惑の生じないようにいたすというほうが、むしろ私は御趣旨に沿うような方向で、私どもが行政を進めることになるのじゃないか。
活用法を出しましたからといって、どんどん
国有林を減らしていくという
考えではございません。
先ほど言われました、むしろ
国有林はふやすべきではないか、国土保全の見地からそういう
方針でいくべきではないかという与野党を通じて、実は当
委員会で御議論がございました。私どもとしても当然その方向へ持っていくべきものだと
考えております。
終戦後は、だいぶひどい
活用といいますか、いろいろそういう
利用、転用が行なわれ、交換が行なわれてまいりました。したがって、現在まで約六十万町歩というものがそういうことになっておる。しかしその後、最近ではどんどん積極的に
保安林の買い上げなり、あるいは
林野整備事業
関係での買い上げなりということで、大体三十万町歩戻っておるといいますか、ふえております。したがって、差し引き大体三十万町歩くらい減っておるわけでございますが、将来は私ども国土保全に必要な、しかも日本の
林業の将来を
考えますと、当然積極的な姿勢で、ひとつ
国有林はふやしていかなければならない。
しかし同時に、やはりそれぞれの
地域の
農業構造改善等に資するために、
活用をはかりたいという希望あるいはまたそれにこたえてもいいようなところもあることも事実でございますので、その方途を、むしろ事後の
措置の誤りをなくするような
意味での
法律体系というものをきちんとしまして、そうして
活用の希望にもこたえていこうというので、これは決して矛盾ではないと
考えるわけでございます。
なお、御引例ありました国民総生産五十一兆円の中で〇・七%と言われましたが、私どもの計算では、大体八%くらいが
農業の総生産と見ておりますが、確かにその面ではまだ低いわけでございます。農林水産全体の所得の伸びも、全体と比較しますと約半分くらいしかないというようなことでございますので、これからひとつ、ことばはたいへんあれでございますが、いわゆる総合農政を
ほんとうに
計画的に、いろいろ御審議を得ました構造改善に資する三つの基本的な立法を
中心にしながら、今後大いに進めてまいりまして農政の進展をはかり、その結果として
農業所得の向上を大いに積極的にはかろうという意欲でございますので、ひとつ御了解をいただいて、御
推進をいただければありがたいと思うのでございます。