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1969-07-08 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月八日(火曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君   理事 藤本 孝雄君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 湊  徹郎君 理事 兒玉 末男君    理事 森  義視君       伊藤宗一郎君    大野 市郎君       白浜 仁吉君    菅波  茂君       田澤 吉郎君    中尾 栄一君       中山 榮一君    野原 正勝君       八田 貞義君    藤波 孝生君       松野 幸泰君    工藤 良平君       佐々栄三郎君    柴田 健治君       永井勝次郎君    芳賀  貢君       美濃 政市君   米内山義一郎君       神田 大作君    斎藤  実君       樋上 新一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 長谷川四郎君  出席政府委員         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林省農地局長 中野 和仁君         農林省畜産局長 太田 康二君         林野庁長官   片山 正英君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局参事官  小槫 康雄君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 七月四日  委員藤波孝生君、松野幸泰君、實川清之君及び  柴田健治辞任につき、その補欠として山口シ  ヅエ君、周東英雄君、河上民雄君及び栗林三郎  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員周東英雄君、山口シヅエ君、河上民雄君及  び栗林三郎辞任につき、その補欠として松野  幸泰君、藤波孝生君、實川清之君及び柴田健治  君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員田澤吉郎辞任につき、その補欠として森  山欽司君が議長指名委員に選任された。 同日  委員森山欽司辞任につき、その補欠として田  澤吉郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月七日  農山村住民及び林業労働者の生活安定に関する  請願兒玉末男紹介)(第九八八九号)  国有林野事業に従事する作業員処遇改善に関  する請願外十一件(兒玉末男紹介)(第九八  九〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有林野活用に関する法律案内閣提出、第  五十八回国会閣法第八八号)      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  国有林野活用に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神田大作君。
  3. 神田大作

    神田(大)委員 大臣出席を要求しておるんだが、大臣は来ないようだが、委員長これはどうなっているのですか。
  4. 丹羽兵助

    丹羽委員長 私からも出席を求めておりますので、参議院のほうに行っておられますから、間もなく参ると思いますが、大臣に対する質問あと回しにさせていただいて、始めていただきたいと思います。
  5. 神田大作

    神田(大)委員 何時ごろ出席なんですか。大法案をやるのに大臣が出てこないと質問ができない。すぐ呼んでください。
  6. 丹羽兵助

    丹羽委員長 要求しますから、ひとつお始め願います。
  7. 神田大作

    神田(大)委員 大体大臣への質問が主ですから、大臣がいなければ質問にならぬですよ。  それじゃ、林野庁長官にまずお尋ねしますが、いままでの委員会における質問の中で、活用というのは、売り渡しをするわけではないというようなことをしばしば答弁しておるようでありますが、この法案の第三条第一項では、農地造成の場合には積極的に売り払うということになっているが、この点、いままでの答弁はどういう考えでもってそのような答弁をしたのか、お尋ね申し上げます。
  8. 片山正英

    片山政府委員 活用法案は、御存じのように、積極的に活用を行なうべき事項を明記しておるわけでございますが、その中には貸付あるいは売り払い、こういうものをうたっておるわけでございます。しかし、農業構造改善等活用のためのいわゆる自作農創設措置、これに基づきますものは所属がえという方式がございますので、そのものを含むということでございます。  ただ、あくまで土地高度利用有効利用あるいは適正な利用ということを主体に、われわれはこの法律を通して実行してまいるということでございますので、具体的になりますと、たとえば、共同草地利用というようなものについては貸付方式原則とするのが適当ではなかろうか。あるいは林業的利用であるならば、部分林方式が適当ではなかろうか。しかし、先ほど申しましたように、自作農創設特別会計に繰り入れる場合には所属がえ方式ということでございますので、それをあわせて適正な利用をはかってまいりたいと思う次第であります。
  9. 神田大作

    神田(大)委員 この売り渡しをする場合は、農業を営む個人対象としているが、どのような個人対象としておるのか。たとえば、増反を必要とする小中農が中心であるか、それとも大きな面積を持ちたがっておる大農等に対する営農拡大のためにこれは売り渡すというようなことであるか。個人に売り渡す場合に対しまして、どのような考えを持っておるか、お尋ね申し上げます。
  10. 片山正英

    片山政府委員 農業関係活用の相手方は、個人並びに農業生産法人等でございますが、私たちはそれを、先生おっしゃいました大きな農家であるとか小さな農家であるとか、そういうものを限ってやっておるわけではございませんで、要は、農林省が今後の構造改善等を通しましていま指導し、あるいは助成しておる、そういうような構造改善等の確立のために、それに適した活用をはかってまいるということでございます。
  11. 神田大作

    神田(大)委員 いままでに国有林から農地局所属がえになっておるもので、開拓不能地認定されているものが、そのまま農地局に残っておるものがあると思いますが、どのくらいそのような所属がえにしました林野がそのまま残されておるか、お尋ね申し上げます。
  12. 片山正英

    片山政府委員 先日もお答え申し上げたわけでございますが、四十二年末にわれわれ営林局署調査いたしましたものに基づきましてお答え申し上げますと、所属がえをいたしました総面積が約三十九万ヘクタールでございます。そのうち売り渡したものが三十三万一千ヘクタールでございますから、約八五%が売り渡されておるわけでございます。しかしあとの一五%は、約三万八百ヘクタールが不適地として返還をされております。それから、二万九千七百ヘクタールが現在農地局所管として残っております。  大体以上でございます。
  13. 神田大作

    神田(大)委員 三万ヘクタールからのものが不適地として農地局に残っておるが、これはどういうわけで林野庁に戻さないでおるのか、その理由を明らかにしてもらいます。
  14. 中野和仁

    中野政府委員 林野庁から所属がえを受けまして、現在農地局で持っておりますのは約三万ヘクタールで、いま林野庁長官からお話があったわけでございますが、それにつきましては、農地法の八十条に基づきまして不用地認定をやっているわけでございます。認定をやりましたものは、順次林野庁所属がえをするということでやっておるのでありますが、認定をやりまして、まだ所属がえしていないものが約三千ヘクタールございます。そういうものにつきましては、現在境界の画定測量あるいは面積が幾らあるかということをきちっとはかりまして、順次林野庁に返しておるわけでございます。ずっとためたままほうっておくということでなくて、開拓用地として使わないものにつきましては、順次そういう手続を経まして、林野庁のほうにもう一ぺん返すという手続を経ておるわけでございます。
  15. 神田大作

    神田(大)委員 この法律に基づいて農地造成をされる場合に、団体によるところの共同利用を主とするのか、それとも個人利用を主とするのか、当局指導方針をお示し願いたいと思います。
  16. 中野和仁

    中野政府委員 林野庁から所属がえを受けました未墾地につきまして、いまのお尋ねは共同利用を主とするか、あるいは個人に売り渡すかということでございますが、現在の制度によりますと、開拓パイロット制度では個人に売り渡すのを原則としております。  それから、畜産局が所管しております草地改良事業につきましては、大体市町村なりあるいは農協なりの共同的な牧野をつくるということで、両方やっておるわけでございまして、どちらに重点を置くということはございません。
  17. 神田大作

    神田(大)委員 林業構造改善のための国有林活用には、部分林制度中心とするのか、それとも個人売り払いを中心としてやるのか、この方針をお示し願いたいと思います。
  18. 片山正英

    片山政府委員 林業構造改善を通しまして、部分林制度というものをわれわれは推進しておるわけでございます。先生のおっしゃった売り払いか、部分林かといえば、部分林推進しておるわけでございます。  考え方といたしましては、土地を購入するそういう資金が要らずにこれができるということが第一点。第二点といたしましては、林地の分散化、あるいは悪いことばでいえば特定の個人への集中化、そういう面も合理的にやれるということ。それからもう一つは、いろいろ御議論がございますが、林業経営が非常に資産保持的で、なかなか経営のあれがうまくいかないじゃないか。そういう場合には、この部分林制度がより的確な経営というものに指導できるというようなことから、われわれとしましては、林業に関する限り、売り払いよりは部分林のほうが適当であろう、かように思っている次第でございます。
  19. 神田大作

    神田(大)委員 国有林活用させるために払い下げたものが、現在未利用になっておるというのが全国に相当見られておりますが、この未利用になっておる同じ地域にまた活用の申請があった場合に、これを許可しておるような場合がありますが、こういう点において非常にずさんな点があったと思うが、その点はどう考えますか。
  20. 片山正英

    片山政府委員 確かに、先生指摘のとおり粗放利用、未利用というのがございます。しかし終戦後、先ほど申しましたように所属がえしたものが三十九万ヘクタールもあるわけでございます。やはり、社会的あるいは経済的の諸条件、諸情勢が変わってきております。したがいまして、そういう条件の中におきまして、確かに未利用あるいは粗放利用と申しますか、そういうものがあると思います。  そこで、そういう場所にさらに国有林活用として出すのはどうか、こういう御指摘だと思います。われわれといたしましても、土地ほんとう高度利用ということを目途として国有林活用を願うわけでございますから、そういう意味で、かつて出したそういうものも総合いたしまして、それの有効利用をはかるということでわれわれは推進してまいりたい、かように思うわけでございます。  ただ、一点考えられますことは、かつて払い下げたその人と、今後の活用したいという人と、その人が食い違っておる場合あるいは市町村が異なっておる場合、そういうものがあるいはあろうかと思います。したがいまして、そういう場合には即座にその調整というのはなかなかむずかしい、こう思います。しかし、今回の農業振興地域整備法とかあるいは農地法とか、そういうものがお認めいただけるその段階におきまして、十分それらの未利用あるいは粗放利用というものは指導をいたしまして、適正な利用をはかるように持ってまいりたい、かように思う次第でございます。
  21. 神田大作

    神田(大)委員 この場合、いわゆる利用用途を指定して活用させたのであろうと思いますが、どうしてそういうような未利用となっておったのか。これらに対しまして、林野庁なりあるいは農地局等は適切な指導をしてきたのかどうか、疑わしい点がありますが、この点はどう考えますか。
  22. 片山正英

    片山政府委員 所属がえをいたした問題につきましては、農地局長から御答弁いただきまして、直接林野庁が売り払ったものにつきましては、先ほど申しましたのに関連いたしますけれども、用途指定という制度がございますが、これは御承知のように、国有財産法のたしか二十九条ではなかったかと思いますけれども、昭和三十九年に改正されまして、用途指定を行なうことになったわけでございます。それ以前につきましては、特殊のものについて用途指定をいたしてきた経緯がございます。たとえば、減額の売り払いをしたというようなときに用途指定をいたしてきたわけでございますが、全般的な用途指定というものにつきましては、三十九年の改正の中で入ったわけでございます。  そこで、われわれとしては、今後その活用の適正をはかるというのが、先ほど申しましたように趣旨でございますから、売り払い等につきましては、当然用途指定を付しまして、買い戻しの登記も済ませましてその適正をはかってまいりたい、かように思う次第でございます。
  23. 中野和仁

    中野政府委員 終戦後から緊急開拓で、先ほどお話がありました三十九万ヘクタールくらいの農地採草放牧地あるいは未墾地所属がえを受けまして、入植者約二十万、それから増反者約百万という戸数に配分をして農耕地として、あるいは薪炭林として使わせるというようなことでやってきたわけでございます。その間、農用地として利用させるために開墾作業費あるいは土壌改良費の助成を何回かやってきました。その結果、計画といたしましては、入植農家につきまして三十七万ヘクタールの農地を造成するということですが、現在は三十一万ヘクタールになっております。  そこで、まだ開墾したほうがいいという土地があるわけでございますので、ことしの予算から開拓利用地開発事業というのを新しくつくりまして、そして現在これを四カ年計画で、もっと農用地利用させるようにしたいということで予算も計上して進めているわけでございますが、たまたま、売り渡しをいたしましても開墾をしないという事態もございます。その場合には、農地法に基づきましてあらかじめ開墾完了の期日というのを指定しておきまして、そのときに検査いたします。検査しました結果、不合格の場合にはそれを国が買い戻すという農地法の規定になっております。それで相当数買い戻しをいたしまして、またその分を、農村に残っております開拓農家なりに売り渡すということもあわせてやっておるわけでございます。  なお、その後農業事情が変わりまして、かなり開拓農家離農者が出ておりますが、その離農者あと地につきましては、主として残った開拓農家あるいは一部周辺の既存農家にも売り渡すようにあっせんをするというようなこともあわせてやっておりまして、御指摘のように、未利用のまま残されているところがないとは申しませんけれども、農林省といたしましても、いま申し上げましたようなことで努力をしておるわけでございます。
  24. 神田大作

    神田(大)委員 過般、私は委員皆さん一緒に、兵庫県の剣谷の元国有林を見てまいりましたが、そのときに地元皆さんの話を聞きますと、これは前々からいわゆる黒い霧といわれて過般問題にもなったところでございますが、その剣谷の交換された国有地を現在宅地にしようというので、その会社宅地計画を立てておるようでございますが、その下の芦屋市住宅の皆さんは、これが宅地になりますと、上水道枯渇、あるいは今日のような局地豪雨にあって、その芦屋市が水びたしになって崩壊するというので、非常な反対をいたしておりますが、このような保安林として非常に大事な、水源林としてまた大事なものを、なぜ林野庁は安易に一民間会社に払い下げをしたのであるか、この点をお尋ね申し上げます。
  25. 片山正英

    片山政府委員 先生指摘芦屋剣谷は、保安林の解除、国有林の売り払いをなぜしたか、こういうお話だと思います。これはだいぶ前のお話でございますが、私の理解しておりまするのは、国有林林業経営として必ずしも適地じゃない、しかし一方、土地開発等におきましてもし適正な措置が講ぜられるならば、その保安機能というものは十分保ち得る、そういうところについては国有林から放していこう、一方国有林としてどうしても必要な奥地保安林であるとか、水源上どうしても必要な地帯は確保してまいろう、こういう一つ方針がかつてあったわけでございます。そこで、そういう方針のもとに両方の交換というものが行なわれてまいったということでございます。  ただ、芦屋剣谷の場合は、あそこはたしか宅地造成等規制法にもかかりますので、そういう意味で、決して地元民には御不安のない形の措置というものがあわせとられるということも実は伺っておるわけでございます。そのような観点から、あれは処理されたものだというふうに理解しているわけでございます。
  26. 神田大作

    神田(大)委員 長官は、われわれと一緒に視察に行った林野庁の係官から、現地状況等を報告をよく受けておったろうと思いますが、これはわれわれも現地に行ってあの状況を見ますと、あそこを宅地に造成するということになると、これはやはり芦屋の市民が言っておるとおり、水害のおそれ並びに上水道枯渇の問題が必ず出てくるとわれわれも思う。そのような非常に開発される、宅地造成され得るような国有林奥地の山と取りかえて、しかも、当時地方住民の猛烈な反対があったにもかかわらずこれを強行した裏には、いわゆるある有力者政治家が中に入って、いろいろ言ったということを住民は公言しているわけです。ばく大な政治献金が裏に取引されているということを公言しているわけです。国有林野活用にはそのようなうわさがつきまといがちである。  私は、今度の国有林野開放活用に対しましては、とにかく軒下国有林等を開放してこれを活用するということは、われわれ農民としてはこれは非常に大事なことであるし、基本的には賛成せざるを得ないと思うのですが、そのようないわゆる権力によって国有林が取引されるということに対しまするチェック、そういう事件の起こらぬような万全の措置があって、初めて国有林というものはりっぱに活用されると私は思うのであります。それらが、一時の利権取引に用いられるようなことがあってはたいへんなことだと思いますが、今度の法案について、そのような考慮が十分なされておるかどうか。これは大臣が来てからお聞きしたいと思うのですが、この点、まず長官からもお答え願います。——大臣を早く呼んでください。この大法案をやるのに、大臣を呼ばないでやっているというのはまずいですよ。委員長の責任ですよ。ひとつ長官、いまの問題をお答え願います。
  27. 片山正英

    片山政府委員 国有林使命は、先生承知のとおり、林業基本法四条にうたわれております。その第一番目の問題として、先生指摘のとおり、国土保安公益的機能の保持、これが国有林使命でございます。したがいまして、今度の活用につきましても、国土保安公益的使命との関係は当然調整されますし、原則としては、保安林等については活用しないというのが態度でございます。
  28. 神田大作

    神田(大)委員 このことは大臣が来てからまたお聞きしましょう。  それでは長官に、いままで、終戦後でけっこうですから、国有林が交換されたとか、払い下げられたとか、あるいは貸し付けされた等の面積、所在地、その氏名及びその価額等の必要な事項資料提出を願いたいと思うのです。これは全国的に提出を求めても膨大なものであるから、私としては、まず私のよく知っておるところの栃木県の分だけでもひとつ出していただきましょう。それを検討して後刻また質問を申し上げたいと思いますから、その資料を出してもらいたい。それをお願い申し上げます。
  29. 片山正英

    片山政府委員 全国的と申しますと、非常に長い年月でもございますので、非常に困難だと思いますけれども、先生指摘栃木県ということであれば、それをまとめて御提出申し上げたい、かように思います。
  30. 神田大作

    神田(大)委員 次に、今度の法律の第四条で、農林大臣は「適地選定方法その他当該活用実施に関する基本的事項を定め、これを公表しなければならない。」とありますが、適地選定にあたっては、あらかじめ林野庁農林省の立場から、地元の希望をいれる以前に、いわゆる活用計画というようなものを立てるのであるかどうか、お尋ねいたします。
  31. 片山正英

    片山政府委員 活用計画をあらかじめ立てまして、この法案を御提出申し上げているわけではございませんで、第四条におきましては、まずその推進のための方針をうたうことになっておりますし、かつ、適地選定方法その他当該活用実施に関する基本的事項を定める、こういうことになっています。  内容としましては、「推進のための方針」と申しますのは、各活用ごと活用方式並びに代金延納方針、これをうたいたいと思います。  なお、「適地選定方法」につきましては、活用適地選定基準あるいは活用申し出調査、決定の方法、そういうものをうたってまいりたい。  それから、「活用実施に関する基本的事項」と申しますのは、対価算定方法であるとか、あるいは立木の処理の方法であるとか、用途指定、買い戻しの問題であるとか、あるいは保安機能の確保のためのそれに対する措置であるとか、そういうものをうたってまいりたい、かように思っている次第でございます。
  32. 神田大作

    神田(大)委員 いま申されたものは、ほんとうのアウトラインでもってよくわかりませんが、これが一番大事なことだと思うのです。活用するについて、活用する者からどんどん申し込みが出てくる。これをむやみやたらに払い下げるということになりますというと、これは収拾のつかないことになろうと思いますからして、当局としては、こういうところとこういうところは林用の地として、あるいはまた農用地として活用するんだということを、やはりもっとしっかりとした計画を立てることが大事じゃなかろうか。そういうことなしに、地元からの要求に応じてこれを活用するということになりますというと、問題が起こってくるんじゃなかろうかと思います。  これらの活用基本的事項をきめるにあたって、森林計画との関係とか、あるいは農業の今後の推移、たとえば、採草放牧地にどんどん活用するけれども、牛を飼っても今度は乳が売れないというようなことで、今度の米の問題ではなくても、だぶついて経営不能におちいるというような問題も出ると思うが、そういうような総合的な観点に立っての活用計画というものが必要であろうと思いますが、この点について、次官並びに長官、それから農地局長等の見解をお伺いいたします。
  33. 片山正英

    片山政府委員 国有林経営につきましては、御存じのように、全国森林計画というのを農林大臣が定めております。十五カ年の計画を定めております。さらにそれに基づきまして、国有林経営基本計画並びに地域施業計画というものを立ててその運営に当たっておるわけでございますが、さらに今回の活用につきましては、ただいま申しましたように、土地高度利用有効利用等の面からこれをはかろうということでございます。  そこで、計画そのものがすでにできておるかどうかということとの関連につきましては、先ほどもちょっと触れましたが、基本的な方向につきましては、基本的態度基本的方針農林省として出すわけでございますが、具体的な問題になりますと、具体的の計画が、たとえば農業構造改善であれば、それに基づく計画が樹立されまして、そしてその中で地元事業計画検討されるわけでございます。その検討の場合に、実際それを活用する人と、それを取り巻く地元の人々が、それに賛意を表しておるということもまた必要であろうと思います。そういうような具体的の計画をもとにして、所管の部局において十分検討し、われわれも共同調査をはかりますが、さらに、営林局管理審議会というものを設けてございます。その審議会を通しましてそれを御検討をいただいて決定してまいる、十分適正な利用、有効な利用がはかられるように決定してまいる、こういうことになっておるわけでございます。そのような指導をしてまいりたい、かように思うわけでございます。
  34. 中野和仁

    中野政府委員 農地局としては、開拓パイロット事業あるいは草地改良事業によりまして、林野庁からそういう事業を進めていく場合に所属がえを受けまして、農用地として開発したほうがいいようなところがございます場合には、地元知事あるいは農政局、それから営林局とよく相談をいたしまして、具体的にそこが今後の農業経営規模の拡大その他構造改善に役立つように使われる方法を、計画的に進めたいというふうに考えておるわけでございます。
  35. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 第四条の規定は、私ども農林大臣が、活用方針あるいは基本的な考え方をきめろということでございまして、活用につきましての実際の計画等については、これはもうあくまでも地元活用に対する要望というものをわれわれは踏まえて、そしてそれをさらに適地であるかどうか、その他万般の事情等を検討の上で活用のいろいろ具体的な計画を立てていく、こういうことでございますから、大体先生の趣旨に沿っているのじゃないかと思うわけでございます。
  36. 神田大作

    神田(大)委員 私の言うのは、これは林野庁ばかりじゃなしに、農政全般の立場に立ってこの活用というものの計画を立てなければならぬ。そうでないと、さっき言ったように、今後の農政の将来の行き方を勘案しないで、ただ林野庁だけでこれをやっていくというと、大きなあやまちを来たすおそれがある。総合的見地に立ってこの国土利用計画というものを立てて、牧草にはどれだけ、あるいは林野の造成にはどれだけ、あるいは農地の造成にはどのくらいというような、そういう総合的見地に立って、何カ年計画かによるこの国土総合利用計画に基づいた基本計画を立てなければ、これは林野庁だけの考えでもってただ活用するというだけであっては、大きな間違いができるのではなかろうか、こういうふうに考えておるのです。その点で林野庁長官はどう思います。
  37. 片山正英

    片山政府委員 今度の活用の大部分の問題、林業的利用の場合は、林野庁が当然主体になろうかと思いますが、それ以外の活用の大部分の問題につきましては、農業構造改善等につきましては、林野庁がそれをやるわけじゃございませんで、むしろ先生指摘のとおり農林省全体の、あるいは農業構造改善推進しておられる農地局あるいはその関係部局、そういうものの具体的な計画をもとにしてこちらが御協力申し上げ、そうしてその土地利用が高度化するように審議して対処していこう、こういうことでございますので、林野庁サイドでこれを決定するということじゃなしに、むしろそういう構造改善の必要性からわれわれは対処してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  38. 神田大作

    神田(大)委員 それでは、具体的に農用地あるいは林野経営として活用する場合において、農林大臣はこれをすみやかに調査をして決定するといわれておりますが、何も農林大臣が一々行ってこれを調べるわけじゃない、皆さんがやることになるでしょうが、その場合の具体的な選考といいますか、審議はどのような方法で行なわれるのか、お尋ねをいたします。手続問題をお尋ねしましょう。
  39. 片山正英

    片山政府委員 こまかい手続の問題もございますが、基本的な要約を申し上げますと、先ほども触れました適地選定基準、そういうものがつくられております。  なお、今後この活用法ができました暁には、かつての、現在実行しております適地選定基準等もあるいはさらに検討をするということもあろうかとも存じますが、要は、そういう適地選定基準というものを通しまして、具体的には、それを実施しております当該県及び農政局、営林局、こういう所管官庁が共同した調査の中でこれを進めてまいる、かような実態でございます。
  40. 神田大作

    神田(大)委員 農林省内の役人の皆さんだけが入るのであるか、それとも地元の学識経験者であるとか、あるいはその他県の関係の者とか、市町村関係とか、そういう者が審議会というようなものを構成して、そういう審議会の議を経てこの審査をするのかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  41. 片山正英

    片山政府委員 学識経験者とか、そういう者によって審議するのかという御指摘でございますが、これは、先ほどもちょっと触れましたように、営林局単位に、設置法を改正しまして、すでにもう済んでいるわけでございますが、管理審議会というものを設けてございます。これには、関係知事あるいは農政局、あるいは学識経験者の代表者、こういう者が入りまして御審議をいただくということでございます。
  42. 神田大作

    神田(大)委員 同一の山林の活用に対しまして、払い下げかあるいは貸し付けか、そういうものにつきまして競合したような場合においては、これをどういうふうに処理されますか。
  43. 片山正英

    片山政府委員 同一地帯に、変わった人が活用申し出があるということに対する対処はどうか、こういう御質疑だと思います。  具体的には、たとえば農業構造改善選定していく、あるいは林業構造改善選定していく、こういう場合に競合がございます。あるいは個人個人についての競合もあろうと思います。しかし、このときの調整としましては、これは学識経験者等の御審議をいただき、当該官庁との連絡の中できめることではございますが、あくまで高度利用という観点と、それから、やはり公益的なものが優先されるというふうに考えております。
  44. 神田大作

    神田(大)委員 いままで私が質問した中において一番問題なのは、国有林野活用するといいながら、活用しないで放置しておいたり、あるいはまた活用の目的と違って、たとえば、林野を牧草にするといいながら、これをホテルとかほかの営利事業の用地にしたり、そういうのはいままでもあったわけですが、今後われわれの一番心配するのは、このような活用の目的に反したものに対しまして、いままで林野庁皆さんは非常に温情的で、そのままほったらかしにしておいたようであります。  これは事実をあげろといいますれば幾らでもあげてやりますが、この活用法案が通った場合に、今後もそのようなずさんな活用を許すつもりであるかどうか、これをお尋ねします。
  45. 片山正英

    片山政府委員 先ほどもちょっと触れましたが、かつて所属がえをした土地、あるいは林野整備で売り払った土地、あるいは町村合併で売り払った土地、こういうものが、やはり経済社会情勢の非常な変化に伴いまして、粗放利用、未利用あるいは転売というものが行なわれたものはございます。ただ、それにも、たとえば町村合併の場合に売り払った森林につきまして、市町村財政とかいろいろな事情がございまして転売して、その間、許可を受けてやってまいったことも経緯としてはあるわけでございます。  いずれにしても、当初の目的どおりなかなか使われておらない問題がございます。したがいまして、今後のわれわれの態度といたしましては、あくまで用途を指定する、これが原則でございます。したがいまして、その指定した用途に使われない、あるいは用途に適さない等の問題がございますれば、これは買い戻しをいたす、第三者に対抗し得るためにも買い戻しの登記もいたす、こういうことでその利用の適正をはかってまいりたい、これが方針でございます。
  46. 神田大作

    神田(大)委員 活用の目的に従って適正に行なわれるようにするためには、必要な措置を講じなければならないといわれるのでありますが、これはどんな必要な措置を講ずるのか、この点をはっきりと答弁を願いたいと思います。
  47. 片山正英

    片山政府委員 五条の中で、「用途を指定し、買戻しの特約をつける等必要な措置を講じなければならない。」という「等」の必要な措置ということに相なるわけでございますが、これは、いま考えておりますのは、実際利用されているその報告の義務であるとか、あるいはわれわれが調査をいたすその調査の権限の事項であるとか、そういうものをうたってまいりたい、かように思っております。
  48. 神田大作

    神田(大)委員 いままでのものについては、これら活用された国有林に対しまして、その報告の義務とか、あるいはまた当局としての調査の権限とかいうものはないのでありますか。
  49. 片山正英

    片山政府委員 いままでは、法律的にそれを規定したものじゃなしに、指導的な意味でこれをやっておったのでございます。
  50. 神田大作

    神田(大)委員 これは、次官の通達とかそういうことでやっておるのですね。法律的な規制がないのですね。それで目的にかなわぬような使い方をされても、あるいはまた目的と違った使い方をしておっても、いままで黙認をしていたわけですか。その点をお尋ねします。
  51. 片山正英

    片山政府委員 黙認しておったわけではございません。いままでも、そういう意味で転売をするような場合、これはいろいろな法律によって違いますけれども、町村合併とかそういうものは許可をいたしております。  ただ、ある年限を付しまして、その年限を越えますと、それに対する強制力というものはございませんので、そういう形で転売され、転用されたという例もございます。しかし、それがいままでずさんなために放置されたということはございません。
  52. 神田大作

    神田(大)委員 有名な政治家で、その人の名前でありませんが、ほかの人の名前でもって、払い下げあるいは借りておって、目的に反した使用をしておるのを、今日いまもって黙認しておるようでありますが、これは温情ある林野庁の気持ちでもって、そういう権力者に対しては低姿勢で林野行政を行なっておるのかどうか、お尋ねします。
  53. 片山正英

    片山政府委員 別にだれがどうという意味林野庁は対処しておりません。先生おっしゃるのが、どこの地帯でどうなのか具体的にわかりませんので、お答え申しかねるわけでございますが、ただ、先ほど申し上げましたように、ある一定期間が過ぎた場合とか、あるいは先ほど申しました許可を受けてやる場合とか、いろいろケース・バイ・ケースで違います。  しかし、未利用あるいは粗放利用というものは現実にございます。それは、先ほど申しましたように、是正していかなければならないということはございますが、総じて、そういう不適格なものがそのまま黙認されているということは、ないと私は思っておるわけでございます。
  54. 神田大作

    神田(大)委員 これは、あと大臣が来てから私は質問することとしましょう。  国有林活用するために、これを売買した金でもって、いま民有地でもって十分活用されておらないものを国が買い上げて、そしてこれが林業経営をやることは、われわれは非常に大事なことだと思う。現在のような物価高におきましては、山奥の土地は、民間人の力ではこれが植林を完全になすことができないで、粗放経営にされておる民有地がたくさんあるわけです。だからして、そういう土地は国がかわって時価で買い上げて、それに植林をして林業経営をやっていくということは、非常に大事なことであると思うのです。  その売り払った金でもって民有地を買い上げる場合に、金がやはり二十五カ年の年賦償還というような形になりますと、林野庁に金が入ってこない、金がなければ買えないというような事態が起こると思いますが、この場合に、自作農創設特別会計という会計によってこれが行なわれておると思いますが、この特別会計に資金をどこからか借り入れて、それに足して買うとかいうような措置をとって、国有林の適切な経営をはかっていくほうがよかろうと考えますが、そういう問題について、長官並びに農地局長としてはどうお考えになりますか、お尋ねをいたします。
  55. 片山正英

    片山政府委員 先生指摘のとおり、国有林といたしましても非常に開発の困難な、たとえば保安林であるとか、そういうものを合理的に経営するというような場合には、当然買っていくことが妥当であろうというふうに考えるわけでございます。   〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 したがいまして、現在におきましても、保安林整備臨時措置法によりまして保安林の買い入れを進めております。それからもう一つは、林野整備法というのがございますが、それに基づきまして、やはり経営国有林としてあわせて経営することが必要なもの、そういうものについては、つとめて買い入れをしておるわけでございます。  ただ、今回の所属がえをしたものの自作農創設特別会計における買い入れの問題、この問題につきましては、所管の農地局長から御答弁させたいと思います。
  56. 中野和仁

    中野政府委員 林野庁から所属がえを受けまして農地局の特別会計に入りました土地は、これは農家に売り渡すわけでございます。それで、その農家からは年賦で代金の返済を受けるということになっておりまして、大体その年賦に相当するものを、一定の方式に基づきまして林野庁の特別会計に返済をするという現在のシステムになっております。  そこで、林野庁から所属がえを受けて一時に払うということになりますと、私のほうの特別会計でまたどっかから金を借りなければならぬという問題が、御指摘のようにあるかと思いますけれども、現在の法律では、借り入れができないということになっておるわけでございます。
  57. 神田大作

    神田(大)委員 政務次官にお尋ねいたしますが、粗放経営されておる民有地を買い上げる場合に金がなくて、予算措置をとらなければ国有林野の適切な運営ができないのでありますが、この特別会計の法改正とか何かの措置をとってそれらの土地を国で買い上げて経営できるような方法をとるべきであろうと思いますが、次官はどう考えます。
  58. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 本法案審議の当初におきまして瀬戸山委員からも、国有林予算で、活用されない民有地、民有林等をどんどん買い上げて造林をしたり、あるいは国有林野をもっと整備をしたらどうかという御意見がございましたときにお答えしたのですが、いまの国有林の特別会計のワク内でやろうとしても、私は限度があろうと思う。そういう意味で今後、これは政治的な大きな命題といたしまして、大臣もその考え方でいらっしゃいますけれども、できるだけ国土保全の観点から、一般会計等の予算がどの程度とれるかわかりませんが、できるだけ努力をして、そういう方途を講じていかなければならぬと思います。政治的にはそういう判断をいたしております。
  59. 神田大作

    神田(大)委員 語尾がちょっとわからなかったが、その資金を充実されるための法改正は必要であるのかないのか、その点はっきりお答え願います。
  60. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 瀬戸山先生にお答えしたときに、大臣なりわれわれの政治的な判断としての考えを申し上げたのは、これは特別会計内部で処理しようと思っても限度があるし、なかなかうまくいかぬのではなかろうか、むしろ国土保全全体の大きな考え方から、一般会計の予算をいかにとるかの問題である、こういうふうにお答えをしておるわけでございます。  したがって、もしそういうことが実現できるとすれば、これは国有林野特別会計の改正をする必要はないというふうに考えます。
  61. 神田大作

    神田(大)委員 じゃ、予算措置でもってそのような適切な施策をする、こういうことですか。
  62. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 努力をいたしたい、こういうふうにお答えしたわけでございます。
  63. 神田大作

    神田(大)委員 どうもその点はっきりしませんけれども、大臣が来てからその点を明確にお答え願いましょう。  次に、国有林野活用でもって、これを売買する場合においては、これらの売買の価格というものは、どのように決定されるかお尋ね申し上げます。
  64. 片山正英

    片山政府委員 これは二つございまして、所属がえをする場合、売り払いをする場合で違います。売り払いをいたします場合には、これは先生承知のとおり、時価でございます。所属がえにつきましては、それなりの算定がございます。これは農地局長からお答えいたします。
  65. 神田大作

    神田(大)委員 私の長官等に対する質問はこの程度にして、大臣に対する質問が残っておりますから、この点を保留し、なお資料等の提出を待ってあと質問をすることにいたしまして、この程度で終わりたいと思いますが、要するに私は、この売り渡しとかあるいは活用の総合的計画に基づいてこれを行なうべきであって、行き当たりばったりの無計画活用ということは厳に慎まなければならぬ。またそういうことをやりますと、先ほど申したように黒い霧といわれるようないろいろの不正が行なわれないとも限らないのでありまして、それに対する十分な対策を立てて、国有林活用というものは行なうべきであるということを申し上げて、私の質問を後刻に残しまして一応終了いたします。
  66. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 質疑者に申し上げますが、神田君の大臣に対する質疑は、大臣出席後に続行することにいたします。  樋上新一君。
  67. 樋上新一

    ○樋上委員 昭和四十三年度の林業白書によれば、四十二年の木材輸入額は三千四百五十一億であって、前年より四〇・一%も増加していますが、同年のわが国の総輸入額の増加率が二二・五%である。これを比較しますと、木材の輸入の伸びがいかに大きいかうかがわれるのです。国民経済の発展に伴って木材の需要が増大し、このため外材の輸入がある程度増加することはわかるのですが、このように著しい増大は、わが国経済上もゆゆしき問題であり、国際収支の面からも問題があるのですが、この点はいかがでしょう。
  68. 片山正英

    片山政府委員 先生指摘のとおり、木材輸入も、いまや四〇%をこす外材となっております。しかし、現在の国内生産のほうは停滞ぎみの横ばいでございます。需要が伸び国内生産が停滞いたしておりますから、当然外材の占める比率が大きくなってまいっておるわけでございます。しかし、国内の生産がなぜそれだけ増加しないのか、いろいろな理由がございます。  一つは、やはり国内の資源の構成、たとえば、終戦後植えた山が七割余ございます。これはまだまだ利用に達しておりません。そういう資源的の問題と、それから奥地が相当ございますが、未開発のために利用対象にならない、こういう実態でございます。  そこで、いわゆる経営の基盤、生産の基盤を整備する林道であるとか、あるいは資本の装備を高度化してそれに対処するとか、そういう方向が必要でございますが、残念ながらまだその段階は不徹底であり、未熟であるといわざるを得ないわけでございます。  したがいまして、われわれといたしましてもそれらに対処する方向といたしましては、当然これも先生承知のとおり、四十一年に森林資源に関する基本計画を閣議の決定を経たわけでございます。その線に沿いまして、林道密度を高める、あるいは将来を踏まえて造林を推進する、こういうことをやっておるわけでございますが、さらに三十九年から林業構造改善事業というものを実施いたしまして、所有者が小さいわけでございますから、それらを総合した協業化の推進をはかって、それに対処するというようなことも含めましてこれに努力いたしておるわけでございます。さらに労務対策としましての雇用の安定、そういう問題を志向しましてこれに努力しているわけでございます。今後ともそのような努力の中でこれを解決してまいりたい、かように思うわけでございます。
  69. 樋上新一

    ○樋上委員 非常に努力しているとおっしゃるのですが、最近の国産材生産量の推移を見てみると、用材は四千八百万立方メートルで、ここ数年停滞しているのです。このような国産材生産量の停滞は何か原因があるのか、生産を伸ばすのに何がネックになっているのか、こういう点をお尋ねするのですが、この点はどうでしょうか。
  70. 片山正英

    片山政府委員 国内材生産の停滞の理由いかん。先ほどもちょっと触れましたが、戦中戦後の乱伐の結果の森林の実態が一つございます。それから、先ほど申しました林道等の生産基盤が未整備である、かてて加えて山林所有が零細であるというようなことで、それを協業化してやってまいる場合に、やはり必要な機械その他を入れなくてはいけませんけれども、そういうものがなかなか計画どおりいきにくい、そういうようなものが、この停滞の原因になっておるわけでございます。  これらについては、先ほど申しましたように、その打開として、労務対策、構造対策を含めて推進しているわけでございます。
  71. 樋上新一

    ○樋上委員 このように、国産材の生産量が伸びずに続々と外材が入ってくる状況は、これはまさしくわが国林業の危機ということが言える。このような現状において、国有林野としてはどういうふうにして林業総生産の増大等の課題を果たそうと考えていらっしゃるのか、この点を大臣にお聞きしたがったのですけれども、おいでになりませんので、あなたにお伺いするのです。
  72. 片山正英

    片山政府委員 このような需給の中での国有林使命でございますが、これは基本法にもうたわれておりますとおり、国土保全をはかりながら木材生産の増大をはかるということが使命でございますから、国有林に多い奥地林の開発をいたしますとともに、粗悪林の林相を改良いたしまして、その生産の増強をはかり、さらにまた、今回提出しました国有林活用地元対策も含めて、要は木材総生産の増大、生産性の向上、従業者の所得の安定、こういう方向で、いわゆる総生産の増大に向かっているわけでございます。
  73. 樋上新一

    ○樋上委員 いろいろ聞いておりますと、そういう理想的なことをお話しですけれでも、なかなか現実の問題では、あなたのおっしゃるようにいっていない現況でございます。またいまの現況におきましては、どうも私は納得がいきかねる点も多々ございます。  国内生産を高めるためには、今後民有林について基盤整備等を積極的に進めて、生産体制を充実させる必要があると考えるのですが、中でも、林業のにない手を育成して、適切な森林経営を行なわさせることが重要であると私は考えるのですが、林野庁長官としては、このような林業のにない手としてどのようなものを考えていられるか。またその育成強化のためには、どのような施策を講じるつもりりでいらっしゃいますか。
  74. 片山正英

    片山政府委員 置かれている現況からいたしますと、先生指摘のとおり、基盤の整備、生産体制の確立、これがぜひ必要なことだと思っております。  そこで、その民有林のにない手はいかんというお話でございます。現在、民有林の所有構造を見ますと、確かに非常に複雑でございます。したがいまして、そのにない手というものも、端的に表現することもなかなか困難ではございますけれども、しかし、方向といたしましては、やはりある程度持っておる、自立的に経営できる、そういう所有者の計画的な生産を推進してまいる。  それから、非常に零細な、それ自身としてはなかなか困難な所有者の合理化をはかるためには、どうしても協業化ということが、その基盤を固め生産を高める意味においてはぜひ必要でございますから、森林組合等の組織を通じてこれをやってまいりたい。  それからもう一つは、民有林として経営が非常に困難である、あるいは林相が非常に粗悪なために、それを立て直すだけの力がない、そういう地帯につきましては、公的機関の造林というものを通して、これを打開していくということが必要であろうか。  以上、大体三点に中心があろうかと存ずる次第でございます。
  75. 樋上新一

    ○樋上委員 いまおっしゃているような施策ができればまことにけっこうでございますが、山村では最近急激な人口流出が見られる。いわゆる過疎現象を生じているのです。このような過疎現象が進めば、今後ますます林業のにない手がいなくなってしまう。林野庁長官としてはこのような過疎現象に対して、今後はどのように対処されようとされるのですか。
  76. 片山正英

    片山政府委員 過疎現象の激しいのは確かに山村でございます。その山村の一番重要な林業が、それによって影響されるということはゆゆしい問題でございます。したがいまして、それに対する対処いかんということでございますが、これは先ほど申しましたことと重複するような気もいたしますけれども、要はそれに対する経営基盤、生産基盤、資本装備、そういうものがはかられて、かつその経営が安定する協業化というものが、労務の安定を待ちながらぜひはかられてまいらなければならないと思うわけでございます。  しかし、これは一林業だけではなかなか解決つかない山村という問題がございます。これらにつきましては、山村振興法であるとか、過疎対策法であるとか、そういうものと相関連しながらはかっていかなければならない問題であろうかとも存ずるわけでございます。  しかし、われわれとしましてもそういう努力の中で、現在林政審議会というのが法的に設置されておりますが、その中の一つ検討すべき事項といたしまして、山村振興と林業の問題の解明をはかっておるわけでございます。いずれにしましても、この問題につきましては、その解明をはかるとともに安定化をはかってまいりたい、かように思う次第でございます。
  77. 樋上新一

    ○樋上委員 これは林政審議会にかけられたのですか。
  78. 片山正英

    片山政府委員 現在、林政・審議会に小委員会をつくりまして、この問題について御討議をいただいているということでございます。
  79. 樋上新一

    ○樋上委員 この問題に対する結論は、まだ出ておらないのですか。
  80. 片山正英

    片山政府委員 実は、林政審議会に対しましていろいろの問題を諮問し、御討議をいただいているわけでございますが、現在、林野庁としまして三つの問題を出しております。一つは木材需給の問題でございます。もう一つは、林業労働力の問題でございます。もう一つは、ただいま申しました山村振興の関連でございます。そういう問題の部会をつくっておりまして、いま検討中でございます。まず第一は、木材需給の問題から片づけていきたいということで推進をいたしております。
  81. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、その結果はいろいろ見て論じていかなければならないと思うのでございますが、まだ結論が出ていないのですね。まだ発表の段階じゃないのですか。
  82. 片山正英

    片山政府委員 いま幾回か審議中でございますが、まだ結論は出ておりません。
  83. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは、次に災害に関連してお尋ねするのですが、治山治水が林野行政の重要な課題の一つであると思うのです。ところが最近、局所的な集中豪雨が多いためか、山腹の崩壊等による災害が頻発しているようですが、最近における豪雨等による山林原野の災害の実態は、一体どうなっているのでしょうか。
  84. 片山正英

    片山政府委員 最近、確かに先生指摘のとおり、集中豪雨を中心としまして非常に災害が頻発しております。特に問題でございますのは、地域開発の非常に急速な進展に伴いまして、集落あるいは都市周辺において災害が起きることが非常に目立ってきておることを残念に思います。そこで、われわれといたしましてその対策を出しておるわけでございます。  ただ、現況はどうかという先生の御指摘に対しましては、四十年から四十三年、四カ年の調査をいたしたわけでございますが、新生崩壊地が四十年につきましては一万三千、四十一年が一万六千、四十二年が一万五千、四十三年が一万一千、このように発生いたしております。  民有林をちょっと調査いたしますと、約三千カ所から五千カ所、そういうものが毎年発生をいたしておる現況でございます。
  85. 樋上新一

    ○樋上委員 こういう問題に対しての対処、それが災害があってからいつも手を打っている。毎年起こるこの災害に対して、具体的にこうなったらどうするかという予防というとなんですけれども、それに対する本格的な対処がいつも後手後手になっているのですが、この国有林活用に対して一番心配いたします一つに、この災害が毎年増大してくるのではないか。いまの統計から見ても毎年増大している傾向ですが、これを具体的にどうすれば最小限度にとめられるかというような本格的な対策を打とうとされるか、また、いままでにこういうぐあいにしてみたということがあったら、お答え願いたいと思うのです。
  86. 片山正英

    片山政府委員 災害をなくすのはわれわれの念願といたしておりますが、なかなか絶無にするということは困難な情勢だと思っております。しかしながら、これらに対する対処は、先生指摘のように、治山治水緊急措置法がつくられまして、それに基づくそれぞれの計画を樹立いたしたわけでございます。  今回は、第三次の治山事業五カ年計画と治水五カ年計画を相関連いたさせまして、昭和四十三年度を初年度とする計画を樹立いたしたわけでございます。これは御承知のように、前の五カ年計画の終了を待たず、途中からこれに切りかえたわけでございますが、その量を前の計画と比較いたしますと、前の計画は五カ年で千八百七十億でございましたのが今回三千五百億、約一・九倍近くに増加させたわけでございます。この中には、もちろん国有林、民有林ともどもその増加をはかっておるわけでございます。それが第一点。  それからもう一つは、林野庁といたしまして、森林の経営の中に保安林という制度がございますが、その保安林の拡充をはかっております。これも保安林整備臨時措置法に基づきまして、昭和四十八年で法律が切れるわけでございますが、その間、来年、四十五年度を目標にいたしまして保安林の整備をはかってまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  87. 樋上新一

    ○樋上委員 国民経済の発展に伴いまして、都市周辺部の開発や道路等の開設が進むにつれて、これらの豪雨等による災害が起こる可能性はますます強まると考えられます。これらの災害を未然に防止するためには、私は森林の国土保全機能を一段と向上させる必要があると考えるのです。新治山五カ年計画はこれに対してどのようになっているのか、さらにもう少し詳しく伺いたいのです。
  88. 片山正英

    片山政府委員 先生指摘のとおり、ますます国土保全というものは重要になってきておると思います。先ほど御説明申し上げた内容を、さらに若干詳しく申し上げたいと思います。  まず、国有林と民有林に分けまして、国有林が前回においては三百七十億の計画でございましたのを七百億に増加いたしております。民有林におきましては、千五百億の計画でございましたのを二千八百億に増加をいたしておるわけでございます。  それから、保安林のことでございますが、保安林につきましては、現在全森林面積の一九%が保安林でございますけれども、これを法律のある範囲において、多少一、二年ずれるかもしれませんが、一応四十五年度を目標にして、一九%を二七%までの保安林の整備を、主として国有林中心にしてはかるべきじゃないかということで推進いたしているわけでございます。
  89. 樋上新一

    ○樋上委員 大臣にお伺いしますが、この森林の持つこれらの国土保全機能と、林業経営、材木の生産と供給等の経済機能とは、ある意味では相反する面もあると考えるのですが、これらの二つの機虎を両立させるための調整はどういうようになさるおつもりですか、お伺いしたいのです。
  90. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 森林は、公益的機能と経済的機能とあわせて有するものであって、森林の置かれた自然的、経済的、社会的条件等から見て、必要な場所については、保安林またその他の制度によって公益的の機能を優先させておりますし、経済的機能を制限することもございます。  このような森林の両機能の具体的な調整につきましては、森林法に基づきまして、五年ごとに策定をされまする全国森林計画において基本的事項を定めまして、これに基づいて、民有林は、地域森林計画の策定と森林施業等の指導において、また国有林は、経営基本計画並びに地域施業計画の立案、実施の段階において、具体的に調整措置を講じていっておるわけでございます。
  91. 樋上新一

    ○樋上委員 では長官にお伺いしますが、活用法案に対してでございますけれども、国有林活用を強く主張している者の意見の中には、国有林の多いところは窮乏するという説があるのですが、あなたはこれについてどうお考えになっていますか。
  92. 片山正英

    片山政府委員 山村地域は、一般に立地条件、あるいは交通条件、あるいは経済的な条件が、いろいろな他の地域と比較しますと悪いわけでございます。その山村地域国有林が非常に多いということから、一般的な山村地域の網の中で、確かに国有林地帯の山村もなかなか容易じゃないが、しかし、国有林がないから山村は非常にいいのだということも当たらない。要は、山村全体の環境からして、交通条件、経済条件、社会条件が悪いということを認めざるを得ないのじゃないかというふうに思っております。  そこで、国有林といたしましては、国有林自身の開発はもとより、それらの山村の雇用関係を通しての施策というものを樹立し、推進しているわけでございます。
  93. 樋上新一

    ○樋上委員 大臣にさらにお伺いするのですが、いま長官が述べられました、確かに国有林が多い地域では、国有林以外にたよるべきものがほかにないといった場合もあると考えられるのです。将来国有林野事業の運営にあたっては、活用以外の面で、地元住民の福祉の向上または地元産業の振興のために、どのような方針で臨まれるのですか、お伺いしたい。
  94. 片山正英

    片山政府委員 先ほどもちょっと触れましたので、私から答弁いたしますが、国有林の事業のあり方でございますが、もちろん国土保全等の公益的機能は当然守るわけでございますが、さらに木材生産、林頭物の生産を通しまして、地元工場との配材を通しての振興をはかってまいる、さらには林道等を通して、山林開発をもとに地域開発に寄与してまいるということをやっており、さらに労務雇用の関係から、それぞれの国有林野事業の中で、地元民との協調あるいは地元民とのお話しの中でこれの推進をはかる、そのようなことから国有林野事業推進をいたしたい、かように思っておるわけでありますが、さらに、共用林野制度あるいは部分林等、あるいはさらに、今回の活用法に基づきますいろいろな地元振興に寄与する、活用の中でこれを推進していく、かように考える次第でございます。
  95. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 ただいま長官からもこまごまと御説明申し上げましたとおり、地元民の福祉を念頭に置きましていろいろな施策を企てておりますが、さらに、今回のこの法案が通過をいたしますれば、これらによって地元の福祉の増大がはかられる、このように確信をいたしておる次第でございます。
  96. 樋上新一

    ○樋上委員 次に、農地局長にお伺いするのですが、先日、本委員会が行なった現地調査によると、戦後農地として所属がえを行なった国有林野が、全く農地として利用されていないものがある。これら戦後に所属がえをしたものの現況は一体どうなっているのか、お伺いしたいと思います。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 中野和仁

    中野政府委員 終戦後から四十三年の一月まで、林野庁国有林から所属がえを受けましたものが約三十九万ヘクタールございます。これは農地採草放牧地未墾地を含んでおりますが、その中で、現在農業用に利用されておりますものは二十四万ヘクタールで、その他、薪炭林とかあるいは転用されたものを合わせて九万ヘクタール、合計三十三万ヘクタールを売り渡したわけでございます。そうして残りの三万ヘクタールを現在農地局で管理をしております。すでに林野庁にもう一度返還をいたしましたものが約三万ヘクタール、こういう状況になっております。
  98. 樋上新一

    ○樋上委員 今後のこの活用にあたっては、成功するかしないかについて事前に十分調査を行なう必要があることはもちろんのことでありますが、その結果活用を決定したものについては、農地の転用等の許可にあたっては規制をきびしくすることとして、活用案の目的が守られるようにすべきであると考えるのですが、この点、農地局長としてはどのように考えていらっしゃいますか。
  99. 中野和仁

    中野政府委員 林野庁から所属がえを受けましたもの、あるいはそれ以外のものも含めまして、農地転用の規制を、優良農地を確保するという観点から、厳重にしなければならぬということは原則として当然でございますが、特に林野庁から農地として所属がえを受けたものにつきましては、農地法の三十六条で農家売り渡しをいたします。その場合には、当然そういう場所は、普通第一種農地になるわけでございますから、これにつきましては、現在の転用基準でも、原則として許可をしないという部類に入れておりまして、厳重な転用統制をいたしたいと思っております。  それから、未墾地として所属がえを受けたものにつきましては、これはそのあと開墾をするわけでございます。これは先ほども申し上げましたけれども、開墾の完了時期というものを指定しておきまして、そうして検査をいたしますが、検査の結果不合格の場合には国が買い戻すということにいたしております。なお、その後三年間は、その農家が売買するとか貸借する場合には、農林大臣の許可ということにいたしております。それを過ぎましたあとは、一般の原則に従いまして、農林大臣なり知事の転用許可を受けなければならぬということでありますが、せっかく所属がえしたものでありますから、しかも、それは大体のところもう農業地帯にあるわけでございますから、また第一種農地でもございますから、厳重な統制をいたしたいと考えております。
  100. 樋上新一

    ○樋上委員 この問題が一番焦点になって、いつも問題になるのでございますが、それじゃその所属がえが十年後の場合はどうなります。
  101. 中野和仁

    中野政府委員 十年の場合には、一般の農地転用統制によりまして、厳重な規制をいたしたいと考えております。
  102. 樋上新一

    ○樋上委員 次に、活用法案の内容について、長官に少し詳しくお尋ねします。  本法案の第三条においては、林業構造のための活用の相手方として、林業を営む個人農林省令で定めるものと規定されていますが、現在行なわれている林業構造改善事業は、たしか個人を相手とせず、森林組合等の協業体を対象としていたと思っているのですが、このような個人も積極的に認めていく方針をとっておられるのか。林地は農地と異なりまして、その面積も広大であるはずですから、特定の個人へこのような林地を払い下げることは問題であると考えるのですが、この点、林野庁長官としてはどのように考えていらっしゃいますか。
  103. 片山正英

    片山政府委員 先生のおっしゃるとおりにわれわれ考えております。そこで、林業を営む個人ということじゃなしに、林業構造改善事業の対象として推進しております森林組合等の協業体を中心にしてこれをやってまいりたい。したがいまして、当面個人については規定をいたさないというふうに考えております。  ただ、二号にありますように、個人が林地を提供してその代替という場合には、個人についても検討してまいりたい、かように思う次第であります。
  104. 樋上新一

    ○樋上委員 次に、この法律案を見ると、農業構造改善のための活用を除けば、きわめて抽象的な表現が使われております。払い下げ後には、特定の個人のところに集中することにもなったり、またそのため、活用にあたって疑惑を招くようなことが起きたりするおそれが非常に強い。これらについては、法律の具体化としてはどのような措置考えていらっしゃるのですか。
  105. 片山正英

    片山政府委員 活用の目的を適正に有効にするというのが、先ほども申し上げましたようにこの法案の趣旨でございますから、それに基づきまして、まず所属がえをいたしましたものについては、転用、転売の規制というものはきびしく行なわなければならない。これは農地局のほうで、そのような方針の中で対処されるはずでございます。  それから、共同利用採草放牧地というのがいろいろ問題でございます。これらにつきましては、原則といたしまして貸付方針でまいりたい、かように思うわけであります。それがほんとうに確実に、りっぱになされるという見通しのあった暁においての売り払いということは検討しなければならない。しかのその場合でも、買い戻しの特約というものは条件として付するわけでございます。  それから、三番目の林業構造改善につきましては、部分林方式ということでまいりたいと思うわけであります。  それから、公用、公共用、公益事業の用に供するもの、これにつきましても、用途指定及びその買い戻しの特約の登記、これを行なって、その万全を期してまいりたい、かように思うわけであります。
  106. 樋上新一

    ○樋上委員 次に、条文について少しこまかな点についてお聞きしたいのですが、第一条でいう「国有林野の所在する地域」とは、具体的にどのような地域をいうのですか。
  107. 片山正英

    片山政府委員 国有林が所在する市町村、したがいまして、その国有林のある、管轄しておる市町村、これを原則といたしたいと思いますが、しかし、国有林は必ずしもその管轄する市町村だけに関連を持たない場合が多うございますから、運用的に考えますと、近接しておる市町村、そういうものを含めた対象の中でこれを考えてまいりたい、かように思う次第でございます。
  108. 樋上新一

    ○樋上委員 第七条を見ると、農林業の構造改善のための活用においては、立木つきの活用があるように見えるのですが、これらについては、立木つきの活用を行なうのかどうか、この点。
  109. 片山正英

    片山政府委員 これは、土地高度利用というのが、適正利用というのが目的でございますから、立木つきの活用原則として行ないません。したがいまして、立木がもう売り払いの対象になるほど生長しておるものでございましたならば、国有林自身がこれを売り払いまして、そのあとでその土地活用していただくということになろうかと思います。  ただ、農用地の中で、防風林であるとかあるいは庇陰樹であるとか、そういうことで農業経営上必要な立木もあろうかと思います。そういう場合には、それと一緒にしまして売り払うということもあろうかと思う次第でございます。
  110. 樋上新一

    ○樋上委員 第三条第二項で、「地域住民の意向を尊重」すると規定しているのですが、具体的にどういうことか。また、地域住民の意向はどのようにして聞くつもりなんですか。
  111. 片山正英

    片山政府委員 地域住民は当然その計画を樹立するわけでございますから、その樹立する計画の中で十分意向を聞くわけでございますが、しかし、それとともに、その計画実施する当事者ばかりではなしに、地域振興に役立つわけでございますから、そういう意味で、その取り巻く地域住民が賛意を表されるということが至当だろうと思います。そういうような意味で、やはり知事等の意見を十分聞きましてこれに対処してまいりたい、かように思う次第でございます。
  112. 樋上新一

    ○樋上委員 第五条に、用途の指定、買い戻しの特約等の措置を講じて、活用の目的どおりの利用を確保するようにする旨の規定がありますが、具体的にどの程度の期間にわたって用途の指定を行ない、買い戻しのできるようにするのか、それのお考えをお伺いしたい。
  113. 片山正英

    片山政府委員 貸付の場合にも、これは当然用途指定をいたします。それから売り払い等の場合には、原則として十年の用途指定をいたしまして、さらにその買い戻しの特約の登記、これをいたしたい、かように思う次第でございます。
  114. 樋上新一

    ○樋上委員 国有林野払い下げについての売買価格が明確でないのですが、その点はどうなんですか。
  115. 片山正英

    片山政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、売り払いにつきましては時価でございます。
  116. 樋上新一

    ○樋上委員 立木を切って、つまり土地のみを開放する。そして立木を育成するにあたっては、利用期に達するまでにはやはり五十年、六十年かかるといわれているのですが、この長期間にわたり、はたして農民が資本投下ができるかどうか、この点はどうでしょうか。
  117. 片山正英

    片山政府委員 御指摘のとおり、林業は非常に長期の経営でございます。そこで、造林政策といたしましても、補助による推進、あるいは金融につきましても、低利、長期の償還融資をいたしておるわけでございます。  今回も、拡大造林等につきましては、三十年の償還期限でございしたのを五年延長を認めていただいて、三十五年の償還というようなことでも対処いたしまして、なるべく御負担にならぬような形で推進をいたしておるわけでございます。
  118. 樋上新一

    ○樋上委員 そういうぐあいに長期にこれが認められるのであったら、私はいたずらに買い占めが行なわれて、いわゆる大所有者に集中化し、保安林まで侵しかねない危険性がそこにあるのではないか、こういうことを心配するのですが、この点はいかがでしょう。また、これに対する利子等はどうなっているのですか。
  119. 片山正英

    片山政府委員 まず買い占めの問題等がございますが、われわれいま林業構造改善等で推進いたしておりますのは、やはりその地元の農林家の方々の所得の向上と、かつその農林家の方々の余剰労力を活用いたしまして、あるいはその余剰労力によりまして所得を向上する措置ということで、しかも、さらに林業経営は近代的な形でそれが推進されないといけませんから、それらをからみ合わせまして、いわゆる協業化を推進する中で部分林、したがいまして、森林組合あるいは協業体にこれを払い下げていくということでございますから、大山林所有者がそれをどうするという形にはならない、そういう形で指導してまいりたい。  さらに、金利の問題で御指摘がございましたが、これは、小造林につきましては三分五厘でございます。大造林につきましては、五分でございましたのを今回四分五厘に引き下げまして実施してまいる、こういうことでございます。
  120. 樋上新一

    ○樋上委員 国有林野の転用または分割の機運を醸成したりしますと、林業経営を衰退におとしいれる点はないでしょうか。つまり、林業従事者並びに林産業、紙、パルプ等の関連産業に不安を与えることはないか、こういう点はどうですか。
  121. 片山正英

    片山政府委員 御質問の内容を、このように解釈してよろしゅうございますか。林業経営が非常に零細で、それがさらに分割されると、林業経営というものは非常にまずくなりはせぬかという御指摘のように拝察いたしたわけでございますが、確かにそういう点が考えられます。現状におきましても、御承知のように、五町歩以下の所有者というのは九割でございます。そのような形で、林業経営が合理的に進むということはなかなか困難でございますから、先ほども申し上げましたように、協業体あるいは協業的経営、その中で林道、資本装備というものがぜひはかられなければならない、かように思う次第でございます。さらにまた労務の雇用一つとりましても、それぞれの小さなものではなかなか困難であるという諸情勢がございますれば、当然森林組合の労務班等の育成の中でこれをはからなければならない、かように思う次第でございますので、そのような指導をいたしておるわけでございます。  一方、林業の取引というものは、従来の薪炭等の非常に零細な取引、そういうものが需要がなくなってきておりますから、大所有と申しますか、バルブ等の大きな需要構造と森林所有者との結びつきということが、ぜひ必要な段階に来ておるわけでございます。したがいまして、そういう意味からも、小さな取引単位から大きな取引単位にいくことが一つ経営の方向でございますから、やはり森林組合等の活用、森林組合等の充実がはかられなければならない、かように思っておる次第でございます。
  122. 樋上新一

    ○樋上委員 最後に、日本の林業経営者の戸数は二百七十万戸、そのうち九〇%までが五町歩末満である。しかも農家が兼業をしているのですが、兼業が九四%で、専業はわずか六%しかない。開放をしても産業として成り立つような基盤は、現在の経営面積からすると非常に困難である。ほとんどが財産保持的で、不時の費用に充てるというような考え方をしているのではないか。はたして開放することによって生かされるかどうか、この点を最後にお伺いして終わりたいと思います。
  123. 片山正英

    片山政府委員 確かに先生指摘のとおりに、二百七十万戸の農林家の中で五十ヘクタールというのは八千七百戸しかございません。一%にも満ちません。したがいまして大部分のものは、やはりそれ自身としてはなかなか経営が、あるいは合理化が困難であるというふうに考えざるを得ません。  そこで、先ほども申し上げましたように、協業化、森林組合の育成、その中での合理化をはからなければ、なかなかむずかしいのではなかろうかというように考えて、先ほど申し上げましたような指導方向の中で推進をいたしたい、かように思っている次第でございます。
  124. 樋上新一

    ○樋上委員 終わります。
  125. 丹羽兵助

  126. 柴田健治

    柴田委員 午前中あまり時間がないようですから、午後にわたり、本会議終了後にひとつ本格的に論戦をしてみたいと思うのです。  まず、大臣長官にお尋ねしたいのですが、この法案の目的、定義というものは書いてあるのですけれども、どうも私よくわからないからもう一回、この法案の趣旨説明というのでなくして、この法案を出したほんとうのねらいは何か、この法案実施した場合にどういう成果があがるのか、成果論を伺いたい。私は、自民党政府の農政の失敗をこの国有林のほうへ振り向けて、国の財産を使っていこうという、そういう何か範囲が狭い考え方だ、もっと総合的に基本的な問題を検討して、こうあるべきだという、そういうビジョンというものを打ち出してこそ、この法案というものをわれわれは審議できるのではないか、こう思うわけです。その出したほんとうのねらいというものを、大臣長官から簡単にひとつお願いしたいと思います。
  127. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 総合合農政ということばをよく使っておるのでございますけれども、これは農業林業も漁業も一体化した方法によって農政を行なってまいりたい、こういうような考え方の上に立っております。  したがいまして、今回の国有林活用については、林業基本法の第四条の規定の趣旨に即しまして、国有林野の所在する地域における農林業といいましょうか、農林業の構造改善その他産業の振興、または住民の福祉の向上のために、これらを国有林の事業の使命達成と調整をはかりながら、適正かつ円滑な活用がはかられるように十分に配慮をしてまいりたい。  したがって、これがために、すなわちその地区における奥地の未開発であったようなところまでも林業の総生産体制の中に入って、これらの機能を十分発揮することができる、こういうように考えておるのでございます。
  128. 片山正英

    片山政府委員 ただいま大臣が御答弁いただいた問題に尽きるわけでございますけれども、若干補足して申し上げたいと思います。  御承知のように、非常に高度経済という中では農業構造改善を必要とします。第一次産業を取り巻く地域における地域振興を含めまして、非常にきびしい諸情勢に対決をしなければならないということであろうかと思います。そこで、現在農林業構造改善を進めておるわけでございますが、御承知のように、次官通達の中でこれを進めているわけでございます。したがいまして、これらの通達を通してやっている実態から、さらに今回の活用法に基づきまして、皆さん方の御審議をいただいた中で、積極的に対処すべき事項を明確にいたしまして、その中でこの活用を円滑、適正に進めることが妥当ではないだろうかということを含めまして、これを提案した次第でございます。
  129. 柴田健治

    柴田委員 どうも大臣答弁はあまり要領を得ないのですが、総合農政と盛んにそのことばを使われるのですが、どうもわれわれが受けとめておるのは、いまの総合農政は、作付転換と自主流通米制度、米価の据え置き、この三つが極端に表面に出てきただけで、ほんとうに総合農政というものは何か。私、西村農林大臣のときに申し上げたのですが、どうも総合農政論というものは、中身のない、日本語だけじゃないか、ちょうど貧乏人のおかゆみたいに湯ばかりじゃないか、こういうことを言ったことがありますが、総合農政論というそのことばのあやで、われわれが納得するというわけにもそう簡単にいかないし、林野庁長官のを聞いていると、国有林林業構造改善その他いろいろな農業との結びつきで高度利用していきたい、しかし、いままでのは次官通達を中心に運用してきた、そういう誤りがあるので、この際思い切って立法措置をしたい、こういう言い方のようですが、いやしくも国有財産法で、立法府できめた法律によって、それぞれの省の長官などが管理運営をある程度まかされておる、そういうところを、ただ一片の次官通達だけで運用してきたところに大きな誤りがあるのじゃないか。そういういままでの誤りを認めるのですか、長官
  130. 片山正英

    片山政府委員 いままでやってまいりましたことが誤りという意味ではございません。ただ今回の、先ほど申しました農林業に対する非常にきびしい諸情勢に対処する積極的な活用のためのものを御審議いただいた中で、これを推進してまいるというのが適当であろうということが一点と、さらに、この法案におきましては、延納二十五年の特約を結ぶということがうたわれておりますので、それらを通して円滑、適正な実施をはかりたいということでございます。
  131. 柴田健治

    柴田委員 大臣にお尋ねしたいのですが、いま日本の農業を取り巻く諸情勢の中で、不可抗力的なものがあるかもわかりませんけれども、大半は政治的の欠陥でいま日本の農業が行き詰まっておる。特に農業というものは、気象条件に大きく支配される非常に弱い面を持っておる。いずれまた今年も、こうして雨量の多い、風水害のひっきりなしの襲来、そういう襲来を受けて、農民は非常に不安な気持ちを持っておる。またいずれ東北、北海道のほうも冷害が来るだろう。そういう人間の力では及ばない、日本列島に襲ってくるもろもろの気象条件、そういうものの中で営々としてやっておる農民ですが、思い切って日本の農業をどうするかという抜本的な基本構想というものが早く出てこなければならない。農業基本法が昭和  三十六年にできたが、その以後にもうやるべきである。いまになって総合農政ということばで、われわれがそれを中心に加えて触れなければならないということは、われわれも残念なんです。だけれども、これから農政をどういう方向へ持っていくのか、そういう見通し、その点について大臣にひとつ考えてもらいたい。  たとえば、いま農家の金融面だけを取り上げてみても、農家所得の中で、農業外所得と農業所得、この二つの分で、農業所得はあまり伸びていない。これはもう率直に認めてもらいたいと思うのですが、そういう農業所得は伸びていないにもかかわらず、農業に関連するすべての現行法規の中で、生産農民が受けるであろう事業、土地改良にしても、構造改善にしても、いろいろな融資の対象になって、制度金融の恩恵を受け、また一半は自己資本で持つ。そういうことで、金融関係一つ取り上げてみても、そういう負債のほうがいまどんどん伸びておる。  現在、農林漁業金融公庫の貸し付け残高が七千三百三十五億円ある。農林中金で一兆一千七百二十一億円、農業協同組合で二兆一千四百九十八億円、信用農業協同組合で九千三百三十二億円いま負債を持っておる。また個人でいろいろな市中金融や何かで借りておる分もある。それは統計上あ一まり出ていない。けれども制度金融の伸び率を見ると、四十三年度で、公庫のほうでは一七・三%、中金のほうでは一五・二%、農業協同組合では二二・三%の伸びを見せておる。借金です。それから信用農業協同組合では二六・一%と、借金はどんどん伸びておる。農業所得は停とんしておるが、借金のほうはどんどんふえておる実態の中で、今後国有林活用させてもっと思い切って投資さす、そういうことで借金政策になる可能性がある。われわれは、構造改善のときは借金だけ残るが、あとに残るものは何もない、こういう疑問を持ったときもございます。全く借金だけは残っておる。  こういうことからいって、この利用度を統計的にお答え願いたいのですが、農業構造改善資金が昨年よりどの程度借金が伸びたのか、果樹、畜産拡大資金がどれだけ、土地取得資金にどのくらいの借金、土地改良事業、林業共同利用関係施設、主務大臣指定施設、これは農業倉庫だと思います。自作農維持資金等、これは少し下がっておりますが、昨年よりどんどん負債が伸びておる。こういう現象をどう理解し、どう認識しておるのか、それをお答え願いたい。
  132. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 幾つもありますから、私のほうから先に御説明申し上げます。  申し上げるまでもなく、近年わが国の経済力が非常な発展をしております。その中に立った農山村からは、急激に労働力というものが流出をしておる。こういうような点から、わが国の農林業はきわめてきびしい条件のもとに立たされております。したがって、農林業の構造の改善と農山村地域の振興をはかるための施策というものをさらに一そう強化しなければならない。これを推進することが要請されておるのでございまして、この要請にこたえなければならない。  こういうような考え方をもって、この際国有林野活用をはかっていく、これらも積極的に推進していきたい、こういうふうにも考えておるのでございまして、これは、先ほど申し上げた林業基本法第四条の規定の趣旨にも即しておる、こういうように考えまして、国有林活用を今後これによってはかってまいりたい、このような考え方でございます。  それから、農政の点についてのおことばでございますが、農政は、前回も柴田さんには十分納得のいかれるようお話は申し上げたつもりでございますが、さらに本年度におきましての体験を十分に生かしまして、明年度の総合農政という点には、いままでの皆さん方の御意見等十分拝聴いたしておりますので、これらに即した予算の編成を行なって、その趣旨に即した財政投資をまた行なって農政の充実をはかってまいりたい、このように考えております。
  133. 片山正英

    片山政府委員 突然でございますので、資料その他が不十分でございますが、私の記憶しておるところにおきましては、林業につきましての金融問題は、農林漁業金融公庫をはじめとして農林中金、それからさらに、林業につきましては製材業等の関係もございますから、中小企業金融公庫等の融資を受けておるわけでございます。さらに一般銀行からも入っておりますが、その伸び率は毎年大体一割五、六歩くらいの率でたしか伸びてきておるというふうに記憶いたしております。  ただ、これらの運営、あるいはどういう形の中でそれが行なわれておるかという問題につきましては、現在手元にございません。ただ、その円滑な運営を通しまして、金利の引き下げの問題とか、償還期限の延長の問題とか、いろいろのものを含めまして対処をいたしておるわけでございます。
  134. 柴田健治

    柴田委員 それくらいのことは、無理に資料を持たぬでも、ちゃんと頭の中に入れて言ってもらわなければいかぬと思うのです。林業で六百七十六億三千九百万借金が残っておる。一六・九%、約一七%伸びておる。  それから、借金は伸びておるが、林業そのもの、その他農業そのものがどれだけ伸びておるのかというと、問題は農業所得です。農林大臣がこの前、同僚議員にお答えをしておられたのですが、企業ということばを使われた。企業というものは、投資した額に対して利益があがってこなければいかぬ。労働報酬とは違う。企業報酬というものは原則がある。企業報酬をどう見るのか。労働報酬をどう見るのかという問題は別として、企業というものは、投資した額に対してはそれだけの利益があがってこなければいかぬ。これは原則なんです。その原則を無視したところに大きな問題がある。  先ほど大臣は、農村の労働力の問題を言われました。現在、労働力はどういう分布状態か、各産業別にどういう分布状態になっておるか、御承知ですか。——知らなければ私が申し上げよう。全産業の就業労働人口が五千二万人おる。農業が今日九百七万人ですよ。林業二十八万人、漁業、水産養殖業に五十四万人、鉱業二十七万人、建設業が三百七十万人、製造業が千三百五万人、卸小売り業、金融、保険、不動産業一千百十一万人、運輸、通信、電気、ガス、水道関係三百二十九万人、サービス業七百十三万人。こういういまの五千二万人の全産業の労働力の分布状態を見て、農業がどんどん減ってきておることは先ほど大臣が言われましたが、ふえておる面、この労働力の分布状態を政府としても真剣に考えなければならぬ重大な問題だと私は思う。サービス業が七百十三万人、なぜこれがこんなにべらぼうにふえるのか。神武景気だ、岩戸景気だといって消費景気ばかりあおって、年金でホテルを建てる。農民の金でホテルを建てる。そういうものをどんどん建てさせて、不労所得者をふやす。林業にたった二十八万人の労働力しか現在ない。キャバレー、バーのホステスは、このサービス業の七百十三万人の中に百万人いる。こういう労働力の使い方を政府みずからやっておって、農業がどうの林業がどうのというように、ただ一つ法律をつくるための方便に使うという、そういう考え方について、われわれは強い反発を感じる。そういうことはよく理解して、今後農政と取り組んでもらいたい。  そういういろんな気象条件等勘案して、もっと農政の援助措置というものを考えなければならぬのではないか。そういう援助措置のない中で、今度の国有林活用法案はどれだけの効果があるか。この効果論をまず聞かしてもらいたいのです。たとえば、農民には消費景気だというてどんどん耕うん機を買わせる。耕うん機を使うことによって、機械化することによって、農民に幸運がくるんだ。耕うん機を使えば幸運がくるんだ。いまは幸運どころか、農民は悲憤慷慨しておるのだ。そういう実態の中で、いま農民は計画倒産させられておる。昔でも農家には倒産というものはなかった。夜逃げをする人はよっぽど変なやつだった。ただ、濱口内閣のときには金解禁の政策がとられて、昭和五年、六年時分には不況時代がございました。その時分には米一俵が五円から五円五十銭、その時分には多少倒産という傾向の出たところもあります。けれども、今日は、農家が天災地変のいびり出しではなくて、人為的な政策によっていびり出しを受けて計画倒産をさせられておる。こういう実態、これを今度の活用法案でどれだけの効果があるのか、その自信をひとつ聞かしてもらいたい。
  135. 片山正英

    片山政府委員 今度の活用法でどれだけの効果があるかというお話でございますが、今回の活用法の内容は、先ほどもちょっと御説明したように、積極的に相手方、その内容、そういうものを踏まえまして、適正な活用を願いたいということでございますが、具体的な計画につきましては、現在それぞれの所管局が推進いたしております。たとえば、農業構造改善事業であるとか、草地造成事業であるとか、開拓パイロットであるとか、そういうそれぞれの所管の推進しているものの中で、具体的な土地を通しまして、それがほんとうに合理的に活用できるかどうかということを十分慎重に審議をした中で、これを進めるということでございます。  なお、林野庁といたしましても、先ほども触れました管理審議会というものを通しまして、これは学識経験者、関係行政機関も入っております。その中で十分審議した中で、いやしくも活用したものが不適正に、あるいは未利用、粗放にならないことを中心に置きましてこれを審議するわけでございますから、その中で推進される限り、これは大きな所得の一助になるもの、かように考えておる次第でございます。
  136. 柴田健治

    柴田委員 林野庁長官にお尋ねしたいのですが、構造改善事業、開拓パイロット事業ということばが出ましたけれども、今日まで、これは四十二年三月までで四十三年は入っておりませんが、農業構造改善事業で四千六百十二ヘクタール、開拓パイロット事業で四千七百四十五ヘクタール、草地改良事業で四千二百ヘクタール、共同利用模範牧場設置事業千百五十六ヘクタール、樹園地造成事業百十四ヘクタール、非補助土地改良事業二百三十六ヘクタール、県単補助事業六十七ヘクタール、一般農用地造成事業三百七十三ヘクタール、計一万五千五百三ヘクタール、それから林業構造改善事業で一万二千二百十二ヘクタール、合計二万七千七百十五ヘクタール。この中で、林業構造改善事業、その他国有地をいままで使った、次官通達等で運用してきたパイロット事業、そういう点の成功した個所が何カ所、やって不成功、未完成、そういうものを分類してどういう認識を長官は持っておられるのか。
  137. 片山正英

    片山政府委員 ただいま御指摘のとおり、先生おっしゃった数字は、三十八年以降われわれが林業構造改善を通しまして実施してまいった数字だと思います。その数字につきましては、先ほどの説明にも触れましたように、私は有効な利用がはかられておるというふうに考えております。  ただ、終戦直後だいぶ所属がえをいたし、あるいは活用したものがございますが、これは社会経済情勢と申しますか、当時の増産体制とその後違うものですから、若干未利用、粗放の土地というものはあると思いますけれども、三十八年以降の問題につきましては、少なくともその目的は達しておるというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  138. 柴田健治

    柴田委員 私は、長官のお答えは非常に自信がないと思うのですね。それはもう悪意を持ってやったものは世の中にないわけですから、すべて善意を持ってやったが、結果的には悪いものが出てくる。これはある程度はやむを得ないと私は思う。ところが、故意にやったかどうかというのはみんなが判断すべきことである。林野庁長官が誠心誠意やって、国有林活用を次官通達でやらしたが、たとえばパイロット事業にしても、成功したところと不成功であったところは何が原因か。成功したのはどういうことで成功したか。成功の場合は、これは農民の最善の努力、そうした技術、またそういう土地に適した産物をつくったとか、不成功の場合はどうしたか、そのくらいの理解がなければならぬ。いまのような答弁で、成功した点と不成功に終わった点の原因の把握、そういう認識を持っておらないと、この法案の今後の活用についてまた重大な誤りが出てくる、こう私は考えておるからお尋ねを申し上げておる。不成功の場合はどういう認識をしておるのか。不成功に終わったものはないのですか。なければ、午後また資料を持ってきてやりますよ。どうですか。
  139. 中野和仁

    中野政府委員 いまお述べになりました各種事業全部が私の所管ではございませんけれども、たとえば、開拓パイロット事業につきましては現在進行中でございます。すでに大体完成した地区もございますし、現在まだ開墾途中のところもございます。もちろん、先ほど林野庁長官も申し上げましたように、終戦直後の緊急開拓の分につきましては、いま御指摘のような問題も若干あったわけでございますが、開拓パイロット事業に関する限りは、国営、県営、団体営、大体所期の目的どおりに済んだものあるいは実施中のものということになっておりまして、その地域地域の構造改善、あるいは規模拡大に寄与しておるというふうに判断しております。
  140. 柴田健治

    柴田委員 農地局長は事業面の責任者ですけれども、この法案の運用の責任者は林野庁長官です。大臣はもちろん最高責任者ですけれども、林野庁長官が、国民の財産である国有林という国有地を重大な責任をもって管理している。その管理者がこの法律によって他に転用を考えようというのだから、林野庁長官が、あれは農地局長の管理だ、あれは畜産局長の管轄だ、こういうことで逃げられる筋合いのものではないと私は思う。所有者が、管理者が他に転用するという場合には、林野庁長官が、いままでの実績をよく調査し判断をしながら、ああいう失敗は二度と繰り返してはならないという一つの基本的なものをつかんで、今後の運用に当たらなければならぬのではないか、こう私は思う。それは林野庁長官はどう理解しておるのか。今日までの成功、不成功、私はこれをお尋ねしたのです。それが答弁できなければしようがない。これは午後やるから、勉強してきてもらわなければ……。あまりやると、血も涙もない言い方になるから、一応勉強の時間を与えるということで留保しておきます。  さて、大臣、今度の国有林活用は、総合農政、そして農業と結びつける林業ということになってきたのですが、結局何を植えさせるか。たとえば、果樹の場合は何と何をやらせるのですか。リンゴをやらせるのか。東北なら、青森なんかおそらくかんきつ類はだめだろう。一般のわれわれしろうとが判断しても、あの辺で果樹をやらす、東北で果樹といったら何と何ができるだろうか、これを考えてみると、サクランボかリンゴ。そうすると、一方ではバナナをどんどん輸入しておる。  そこで、大臣がもっと通産省とかけ合ってもらいたいことは、果樹というものは永年作物で、これはもう昔から、われわれが生まれる前からきまっておる。ところが、バナナを入れるときには、イチゴもスイカもメロンも果樹にして、総数量の一割ということだから、バナナがどんどん入ってくるのですよ。これは通産省にけじめをつけさせる、果樹というものはこれとこれとですと。メロン、イチゴやスイカは果樹ではございません。蔬菜です。これを切り離して、日本の果樹総生産量に対して一割のバナナの輸入ならわかる。これは終戦後通産省と農林省が話し合いをして、紳士的に協定の線があるわけです、不文律で。それはもう長い歴史を持っておるわけだから認めるとしても、バナナを輸入するために業者のお先棒をかついで、無理にメロンやスイカやイチゴまで果樹に加えて生産量の中に入れるからバナナがどんどん入ってくる。そのためにリンゴもしわ寄せを食う。ミカンもしわ寄せを食う。現在ブドウもしわ寄せを食っておる。  それで、今後何をつくらすのか。果樹の場合は何か。放牧地なら草地造成をして、和牛なら和牛、乳牛なら乳牛をやるにしても、基本的なものを考えて、生産単位というものを今後——個人個人に開放するのは、私は原則じゃないと思う。この活用は、個人対象活用じゃないと私は思う。それは中には個人があるかもしれない、法の文章に個人もしくはと書いてあるのだから。けれども、個人中心にならないと私は思う。やはり生産協同体、生産法人というものを重点に置く、こうならざるを得ないのではないか、こう一方的な私の解釈ですけれども、その場合に生産単位を示さずに、ただ国民の活用というようなことでは私は理解できない。  要するに生産単位を、今度の国有林活用をする場合においては明確にきめる必要があるのではないか。全国一律というわけにまいりますまい。その点について、大臣はどうお考えになっておるのか。
  141. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 何か柴田さんお間違いじゃないでしょうか。私のほうは強制的にこれを貸し付けるとか、払い下げるとか言っておるのじゃないのですよ。必要に応じた人に、これを企業として行なえば必ずや利益があるということが前提になって、払い下げをしてくれとか、貸与してくれとか、部分林にしてくれとか、それを見きわめた上に立って、林野庁において処理していくのでございます。  あなたのおっしゃっておるのは、私のほうが弧制的に貸し付けて、払い下げして、それでつくれということですが、現在日本でとっておるのは自由でありますので、これを強制的に作付をさせるとか、強制的に作目をやらせるとかいうことをやっておらないのです。そこのところはお間違いのないようにひとつ御質問してくださらないと、答弁ができないのです。ですから、それはあなたのお話だと言われれば、お話として承っておきます。
  142. 柴田健治

    柴田委員 大臣は、そういうことでむきになって答弁せられましたけれども、そういう言い方が、今度の国有林活用法案を通してやらなければならぬ理由なんですか、そういう言い方なら。私はその点がどうもまだ疑問を持つのです。  今度国有林活用の運動が起きた、これについて大臣はどう理解されているのか。瀬戸山先生からも何か過去の歴史を質問があったわけですが、この国有林活用を求める声というものが、農民のほうから起きてきた原因というものはどういうふうに認識しておるのか。その点を大臣……。
  143. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 起きてきた理由というものは、森林の持つ公益性あるいはまたこの機能、これらを十分に活用し、同土保全とあわせて行なってまいりたい。また反面、奥地の未利用資源というものの開発をやりたい、こういうような考え方のもとにこの法案というものがつくられたのでございます。
  144. 柴田健治

    柴田委員 どうもようわからぬね。たとえば総合農政でやらせます、果樹や畜産やそういうものに国有林活用をさせます。そうすると、農業と結びつけての総合農政でやる、こう言うておいて、私が言い出したものではないのだ、農民のほうが使わしてくれというのだから、強要や強制も何もしておりません。何かつじつまの合わぬ大臣のことばなんです。委員長、これから休憩をしてもらいたいのですが、この点、いずれも本会議終了後に、その間ひとつ大臣頭を冷やして、誠意ある答弁を願いたい。  委員長、これで私の質問を留保しておきますから、午後……。
  145. 丹羽兵助

    丹羽委員長 本会議散会後再会することとし、これにて休憩いたします。    午後一時十三分休憩      ————◇—————    午後四時三十四分開議
  146. 丹羽兵助

    丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前の会議に続き質疑を続行いたします。柴田健治君。
  147. 柴田健治

    柴田委員 午前中に御質問申し上げて、中途で保留をしておるわけですが、国有林活用を求めるという農民の声、その背景というものをお尋ね申し上げたのですが、どうもあいまいなお答えで十分わからなかったのですが、要するに現在の国有林経営というもののあり方、私はこの点に問題があるのではないかと思うのですね。  戦後国有林野事業特別会計、この特別会計ができてから独立採算制というものが強く出ておる。この独立採算制によって、企業収益、利潤追求というのが強く前面に出て、地元住民との結びつき、国有林野事業地元民との結びつきというものがだんだん薄らいできて、長い歴史を持ってまいりました国有林地元との関係というものがとぎれてきた。ただ国有林野の一方的な独立採算制、そういう会計制度における欠陥が、今日農民に対して反発を与えたのではないか。われわれはこういう一つの歴史的な背景というものを考えながら、農民が強く国有林活用を前面に押し出してきたというのには、その辺にも一つの原因があるのではないか、こう理解しておるのですが、長官はどうお考えですか。
  148. 片山正英

    片山政府委員 国有林活用に対しましての地元考えと申しますか、要望のしかたと申しますか、そういうものをわれわれなりに判断いたしますと、二つの方向があるような気がいたします。  一つは、国有林が成立いたしました経緯を踏まえまして、その間の歴史的事情から、非常に国有林が偏在をしてきているというその事実から、もう少し偏在是正をすべきじゃないかという議論を承っております。  もう一点は国有林土地というものを、農業構造改善等利用推進の中で、土地の高度化の中でこれを活用してもらいたい、こういう要求であろうと思うわけでございます。  そこで、われわれのいまの態度といたしましては、過去百年前のいろいろな諸情勢というものをつまびらかにすることはなかなか困難でございますが、要は、当面の土地がいかに高度的に、いかに有効に利用されるかという観点に立ちまして任用をはかってまいりたい、こういう態度でございます。  それから先生指摘の、独立採算制になったがゆえに非常に地元にまずい面が出ておるのではないだろうか、こういう御指摘であったと思います。これも過去を振り返ってみますと、確かに昭和二十二年に内務省所管の国有林、この内務省所管の国有林とは北海道の国有林でございます。それと農林省所管の内地国有林、それから帝室林野局所管の御料林というものを統一した際に、特別会計の独立採算制という制度を打ち出したわけでございます。しかし、それ以前の国有林の運営というのは一般会計で実はやっておったわけでございますが、その収支関係調査いたしますと、収入に対して支出面はずっと——ずっとと申しますか、下回った形で行なわれておりました。収入のほうが多い形、支出のほうが少ない形で一般会計も運営されておったわけでございます。しかし、二十二年を境としまして、少なくとも独立採算、収入に対して合理的な支出をはかるということで出てまいったわけでございます。  しかし、国有林野事業使命といたしますことは、これは前々からも国土保全、木材生産、それから地元対策、この三つが国有林野使命としてきておるわけでございますし、林業基本法においてもそのことが明確にうたわれたわけでございます。したがいまして、そのような方向でわれわれはやっておるわけでございます。したがって、いかに独立採算といいながら、利潤追求だけを目的とするような、そういう国有林野事業ではございません。  ただ問題は、ものごとを進める場合に、国土保全でもそうですし、木材生産でもそうですし、そういうことを進める場合に、その能率性、合理性というものはやはり追求していかなければならないであろう、こういう態度でございます。したがいまして、基本的の大きな目標を阻害して利潤追求をやっているということでは絶対ございません、その点、目的を違えた独立採算制ということをやっているわけではございません。
  149. 柴田健治

    柴田委員 なかなか自信のあることを言われるのですが、現在特別会計制度で、利潤をあげなければ独立採算制というものはくずれるわけですから、それを一方では強く推し進おながら、今度の活用法案で、はたして農民に喜んでもらえるような活用ができるのかどうか、その点をわれわれはちょっと疑問を持つわけですが、そういうこの法案と特別会計とは、全然考えなくても弊害もない、支障もない、もう御心配要らない、こういう答えが出るのですか。長官、どうですか。
  150. 片山正英

    片山政府委員 国有林の事業のあり方は、先ほど申しましたように、国土保全、木材生産並びに地元対策等がその使命でございますが、しかし、この運営については今後の経済情勢を踏まえ、当然企業的運営ということをわれわれは志向いたしておるわけでございます。したがいまして、現在の国有林の未開発な姿、あるいは林相その他が不十分な問題、そういう問題については、経済情勢の変化の中に対応できる姿、それを打ち立てなければならない、企業的にこれは確立していかなければならないという意味で、国有林野事業推進をいたしておるわけでございます。  ただ一方、いまの活用の問題で、これをどう対処するかという問題につきましては、土地をいかに合肥的に利用するか、これまたわが国の狭い国土における使命であろうかと思うわけでございますので、その狭い国土の土地をいかに有効に適正に利用し、そしてそれによって地元の農民の方、山村の方の所得の向上にもつながっていく、そういう問題にこの積極的な活用をしぼりまして、それによってはかっていくということでございますから、私は矛盾はしない方向じゃなかろうか、かように思う次第でございます。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕
  151. 柴田健治

    柴田委員 国有林野事業の特別会計の歳入、歳出の中、私たち平素から、この特別会計の中で当然一般会計でやらなければならぬ事業があるではないか、こういう解釈をいたしておる点があるわけです。  それは要するに林道整備費。道路は、林道であろうと農道であろうと、日本の場合には、将来それがいつ観光道路になるやらわからない。地域地域において、道路を中心として非常に特殊性がある。当然また変化が起きておるところもある。そうした場合には、やはり県道であろうと農道であろうと、林道であろうと、当然公共事業として一般会計から、道路整備計画という立場からやらなければならぬ一つの公共事業ではないか。ただ、国有林野事業の特別会計からこういうものに重点を置いていかなければならぬというところに、やはり利潤を追求して。この会計でやろうとするところに無理があるのじゃなかろうか。こういう金があるなら、もっと地域住民と結びついた、そして地元に金が毎年落ちるような、出かせぎをしなくても、国有林野事業に携わって、その地方の農民の余剰労働力を年間何日か使っていくだけの計画性があるべきではないか。また当然そうしたことによって、国有林野事業と山村地帯の地域住民との結びつきを深めていく、そういう方向でこの特別会計制度というものは運用すべきではないか。  要するに、公共事業でやる施設費等は一般会計でやるべきではないか、こういう考え方を私たちは持っておるわけですが、この歳出の内容について、長官はどう理解されておるのか。
  152. 片山正英

    片山政府委員 先生指摘のとおり、民有林につきましての林道、造林投資というのは、公共投資としての一般会計でやっておるわけでございますが、国有林につきましては、先ほど申しましたように、独立採算制というのを一応のたてまえといたしまして特別会計でやっておるわけでございます。したがいまして、林道そのものは確かに公共的色彩もございますが、一方また山の経営そのものを維持、培養し、かつ生産を高める一つの根幹の事業でもございます。したがいまして、その林道整備は特に力をいたしておるわけでございます。  ただ、先生おっしゃいました国有林におきましても、民有林と国有林が混在したような形の大団地というものがございます。その場合には、現在は森林開発公団によりましてこの開発を進めているわけでございますが、これには国有林、民有林ともども国庫の補助をいただき、かつその残りましたものを民有林、国有林の受益の割合に応じまして開設をしてまいるわけですが、いわゆる地域開発について一般会計の導入がはかられております。  それから、もう一点は治山の関係でございます。これも公共投資の面が非常に強いわけでございますが、もうかったからやる、もうからぬからやらぬという性格のものではございませんから、こういう治山会計について、特に十大流域につきましては事業勘定から離しまして、いわゆる治山勘定というところでこれを処理いたしております。この治山勘定は、一般会計からの経費の導入をいただきましてこれをはかるということで実施いたしているわけでございます。  ただ、言御説明申し上げるのは、現在、国有林も二十年来の経営の中で、特別積立金引当資金という資金が積み立てられております。この資金を通しまして一般会計に繰り入れ、治山勘定に繰り入れていただく、こういう姿はございますが。考え方といたしまして、一般会計の導入をはかって、そういう公共的の治山については実施してまいるという制度になっておるわけでございます。
  153. 柴田健治

    柴田委員 私はこの法案を、ほんとうにわれわれが地元の農民、住民に最も喜ばれるような活用をするには、特別会計制度を抜本的に改正するか、廃止するか、そして国有林野事業をもう全部一般会計でやる、そういうことにおいてほんとう国有林野事業の目的が達成されるので、もっと運用の面で考えるべきではないか、こういう考え方に立つおるがゆえにお尋ねを申し上げたわけですが、この法案について、この法案だけ通したらもううまくいくのだというのでなくして、いろいろ基準が必要だ、運用基準というものが必要だ。この運用基準は政省令でやる、ただ骨子だけ立法措置でやるということで、全部省令、政令にまかしてしまう、こういう形では、国有林経営の政策というか、そういう政策の基本的なものがあいまいになってくる。と同時に、また農民に真に喜ばれるような活用になるのかどうか、この点われわれ疑問を持っておるわけですが、長官どうですか。
  154. 片山正英

    片山政府委員 確かに先生指摘のとおり、政令で、第四条におきまして、その推進方針、あるいは適地選定方法、あるいは具体的実施に関する基本的事項というものを定めることにはなっております。しかし三条におきまして、どういう内容のものを積極的にするか、あるいはその相手方に対する基本的な事項については明確にいたしまして、かっ、その利用が適正に行なわれるということがどうしても前提でございますから、その利用の不適正な場合には、買い戻しあるいは用途指定を行なってこれを行なうということで、基本的な態度としては明確にしておりますから、若干細部の事項について政令に譲ってまいるということで処理してまいりたい、かように思って提案しておるわけでございます。
  155. 柴田健治

    柴田委員 どうも日本の行政府は立法機関を無視して、行政府の権限のあるところだけはそっとしておいて、あとで行政府だけで権限を握ってやろうというやり方、立法府のほうは大筋だけをきめたらいいのだ、こういう考え方がどの省にもある。特に農林省にはそういうのが多い。政令や省令でかってにやる。政省令以外に次官通達というような権威もないようなものが、立法より優先権を持つような印象を末端まで与えておる。これが日本官僚独善のやり方だ。この林野事業の運用についても、次官通達の支障のない限りなどという文章をたてに、かってな運用をしてきた。そういうところに私は問題があると思うのです。  先ほど申し上げたように、農民から強く要望してきたその声の背景、今日の七百五十一万ヘクタールという国有林の総面積の使用目的の配分を見ますと、九五%がそれぞれの名称に分類されておるわけです。貸し付け使用、共用林野、共用林野見込み地、部分林保安林保安林の見込み地、砂防指定地、自然公園、自然公園見込み地、史跡名勝天然記念物、官地民木林また耕地庇陰地、こういう名称を使ってそれぞれの役割りをしておるわけです。この中で、特に問題になるのが共用林の関係だと私は思うのです。  ところで、保安林の問題ですが、保安林地域指定をする場合には、それぞれ基準があると私は思う。この法にもあるわけですが、十七種類あるわけです。特に今日の国有林野面積の中で保安林は二百五万町歩余りです。これを分類した場合、この十七項目の中で、たとえば水源涵養林が何万ヘタタールあるのか、土砂流出の防備保安林、土砂崩壊の防備保安林がどういうことになっているのか、説明を願いたいと思う。
  156. 片山正英

    片山政府委員 法律の中におきましては、保安林制度は十一種に分類されておりますが、さらに細分をしますと、先生のおっしゃるとおりになると思います。  そこで、保安林の十一種類ございます中で一番大事なものと申しますか、大きな面積を占め、重要だと思いますのが、水源涵養保安林と土砂流出防備保安林、土砂崩壊防備保安林、この三つであろうかと思っておるわけでございます。そこで、国有林の中でそれらがどれだけ占めるかと申しますと、先生指摘のとおり総体で二百五万町歩くらいでございますが、水源涵養保安林がその内数といたしまして百四十九万ヘクタール、それから土砂流出防備保安林が四捨五入いたしまして四十九万ヘクタール、土砂崩壊防備保安林が一万ヘクタールということで、あと保安林はだいぶございますが、面積的には非常に小さいわけでございまして、これだけで二百万近くになりますから、ほとんど九十何%というふうに相なろう、こう思っております。
  157. 柴田健治

    柴田委員 水源油養と土砂流出、土砂崩壊、大体三つが保安林の区域指定をする場合にも中心になっているとわれわれは理解しているわけです。この三つが保安林の役目を果たしているわけです。ところが、今日この活用法案では、この保安林原則として活用させるのかさせないのか。問題は共用林のところではないかと思うのですが、いま共用林が百八十三万ヘクタール余りあるわけですが、これに重点を置いて活用させるのか。保安林原則として三つの役割をさせて、そう簡単に解除したり、貸し付けしたり払い下げしりたするものではないと思うのですが、長官どうですか。
  158. 片山正英

    片山政府委員 実は、先ほどお話し申し上げましたとおり、保安林につきましての活用は、原則としてはいたさないという方針でございます。  それから共用林野の問題を先生お話しでございましたが、これは現在地元との関連で、いわゆる薪炭であるとか、放牧であるとか、あるいは下草採取であるとか、それぞれ共用林野の目的が違っておりますけれども、一応地元との関係がすでにあるものでございます。したがいまして、これの活用につきましては、それらの地元との従来の権益の話がついてその中で実施してまいる、このように考えております。
  159. 柴田健治

    柴田委員 保安林原則としては活用させない。またそれに対して解除をしない。ところが、私はこの間湊先生が団長で大阪府、兵庫県、特に兵庫県のほうを見たのですが、特に問題になり、いまだに尾を引いておるのが、先ほど神田委員からも問題にされておりましたが、兵庫県の芦屋剣谷地域保安林を解除した問題です。あそこは、保安林と区域指定するときにはどの項に入っていたのですか。水源涵養ですか、土砂流出ですか。どの分の区域になっておったのですか。
  160. 片山正英

    片山政府委員 具体的の芦屋剣谷お話でございますが、あそこの保安林は土砂流出防備保安林だ、こう理解しております。
  161. 柴田健治

    柴田委員 そういう区域指定するときに、土砂流出の防備保安林として区域指定しているということは、相当の根拠があってしてあったと思うのです。当然土砂が流出するという地域を、なぜ保安林の解除をして国有林活用として他に転売をしたか。保安林地域指定の基準というものが明らかになっておるのに、それを検討せずに解除するというのはどういうわけか。保安林活用については、原則としてはしないという答弁をしたのですが、いつからこの原則が出ておったのですか。
  162. 片山正英

    片山政府委員 保安林活用につきましては、先ほど申しました原則論としてこれは適当ではない、かように思っておるわけでございます。  ただ、保安林制度というものは非常に古くからあるわけでございます。したがいまして、社会、経済のいろいろな発展の中で、この保安林というものが水久不変にあるべきかという問題については、検討を要する問題であろうというふうに考えます。と申しますのは、昔の姿の中の水源涵養とか、あるいは土流とかいろいろございますが、これが新しい角度でそれに変わる代替施設、そういうものが行なわれる場合においては、保安林は必ずしも保安林で維持する必要はないであろうということもございます。また、公共的問題としてこれはどうしても優先して考えるべきものだという場合にも、解除が必要であろうと思います。しかし、その場合に地元に不安があってはいけませんから、これまた代替施設等の完備をしながら、これを解除してまいるということが妥当だと思っております。  そこで、われわれは保安林というものの取り扱いは、今後開発と相関連してますます整備していかなければならないという態度でございます。したがいまして、これも先ほど答弁を申し上げましたが、現在保安林は全森林面積の一九%でございますけれども、これを二七%まで拡大すべきであろう、保安林整備臨時措置法に基づきましてその整備をはかりたいというふうに思っておりますが、またその方向で現在実施中でございますが、ただ指定だけじゃなしに、その際、保安林として必要のないものというものもあわせ考慮いたしまして、これは若干ではございますが、保安林の解除の予定個所も一応再調をいたしておるわけでございます。  したがいまして、保安林というものについては十分慎重に取り扱わなければならない、こう思いますけれども、いろいろな開発等によって生ずるであろうことにも対処し、しかし、それによって地元の不安がないという前提においては、解除の問題もあり得るというふうに考える次第でございます。
  163. 柴田健治

    柴田委員 言うていることと現在やってきていることと違うですね、長官。たとえば芦屋剣谷地域保安林、あそこは地元が不安でいまだに反対して、ぼくらも行ってびっくりしたですよ。ぼくらはあんな陳情を受けるとは知らなかった。そんなところを保安林を解除する。土砂流出の防備保安林として区域指定を受けておるのに、土砂が流出——あそこの土質は、長官、あなたよく知っておるはずです。あんなものを払い下げて、公共施設として認定をせられた。あなたいま言われたが、あれは農林開発会社という民間会社へ公共事業として認定して売った。どこで食い違いをしたのですか、長官、もう一ぺん答弁してください。
  164. 片山正英

    片山政府委員 芦屋剣谷中心としての御質問でございますが、これは先般の御質問にも、お答えいたしましたけれども、林野庁のこれは昔の姿の事例でございますが、そのときの態度といたしましては、国有林におきまして経常上あまり必要のない、むしろ放してもかまわぬものと、それから経営上むしろ積極的に民有保安林等の買い入れを要するものとの交換が、一つの大きな方針のもとに行なわれたわけでございます。しかし、その場合にも、先ほど申しましたように、地元の不安のない施行というものを前提といたしましてこれを行なったわけでございます。当時、いろいな情勢もあったようでございますけれども、結論として告示をし、それに対する地元市長の要請もあり、地元民のそれに対する異議ということもなく、一定の手続のもとにこれが行なわれたということでございます。  ただ、念のためにつけ加えておきますが、今回の活用法案におきましては、そういう部類のものは入っておりませんことを、一言お断わり申し上げておきたいと思います。
  165. 柴田健治

    柴田委員 過去にそういうものがあって、いまだに問題が尾を引いて、市長を先頭に——いま市長と言うたけれども、市長を先頭に反対の陳情を受けた。あそこを宅地にしてくれては困る、あそこは集中豪雨をいつ受けるかわからないというので。長官は山の最高責任者だから、山の標高によって風向きも変わるし雨量も変わる、山の大きさによって違ってくることは御存じでしょう。それにあの六甲という瀬戸内の中で海岸べりに飛び出ている山脈は、集中豪雨を受ける可能性が多分にある地域なんです。おまけに土質が悪く、花こう岩の風化地帯です。  今度の国会で、なだれ防止の法律というものが建設省を中心にできた。それであの地帯全部危険区域指定にした場合にはどうなるか。いま住民反対しているのですよ。あんなものを開発してくれては困る、現状のままで置いておいてくれ、なぜこんなところを保安林解除したかというので、強い反対意見が出て運動しているわけです。あなた、地元に不安を与えないように、こう言われるけれども、不安をいま現在与えているのですよ、もと国有地であり国有林であったが。今度のなだれ防止法で、危険区域指定にした場合はどうなりますか。あなた、保安林にもう一ぺん戻す気はないのですか。
  166. 片山正英

    片山政府委員 これは、確かに保安林の解除をしたわけでございますが、現在あの地帯は、宅地造成等規制法のたしか対象にはなっているはずでございます。そのような意味の調整というものは当然はかられるわけでございましょう。それからまた、緑地指定の御要望も出ておるやに聞いております。それから林野庁といたしましても、その上で林野庁の山として保全をはかるということでございますので、調査をいたしましたところ、流本処理と申しますか流水の処理、非常に豪雨のあったときの流水の処理の配管工事が、下のほうと上のほうから流れるものがバランスがとれていないというようなことがあったようでございますので、それらの工事について万全を期した姿を、いま県とともどもはかっておるという段階でございます。
  167. 柴田健治

    柴田委員 私たちが予測しない陳情を受けたものだから、住民の悲壮な真剣な表情にわれわれは心を打たれた。これは何とかしなければたいへんな社会問題になる。ただ一片の林野庁の無責任な行為によって、十分なる調査もせずに、ただ文書の上で、ただ日本語のじょうずなのにごまかされたというその無責任にはとにかく驚いたのです。その責任をいまから追及するといっても、なかなか問題も奥深い。またさかのぼるということになるとたいへんなことと思うけれども、住民に不安を与えないようなできる限りの措置を、今後ともとれる道が残されている。あなたは残されていないような言い方をするけれども、残されているのだから、最善の努力をして、あれを、もとのとおりに戻らなくても、県と市と国とが相談をして善後措置を講ずるべきじゃないか、こう私は思うのですが、長官、もう一ぺん答弁してください。
  168. 片山正英

    片山政府委員 地元に対する御不安があっては申しわけないことでございます。われわれとしましてもこの問題につきましては、昨年でございましたか調査団を派遣いたしました。学識経験者、大学、その道の専門家を網羅しまして調査をいたしたわけでございます。その調査をまとめ報告を伺っておるわけでございますが、そういうことも通しまして、さらに先ほども申しました流末処理のあり方というものが、どうもあの地帯には必要であるようでございます。その点も県、それからそれらの関連するところと相談をしておるわけでございますので、そのようなことで御不安のないような形で対処してまいりたい、かように思う次第でございます。
  169. 柴田健治

    柴田委員 今度活用されるについては、やはり地方地方の使い方によるわけですが、放牧場、草地改良、また果樹園その他要求が相当あるようですが、この要求によって活用させるかさせないか。いずれ大臣にあらためてお尋ねしようと思うのですけれども、先ほど大臣は、農民から強い要求があるからさすのだ、なければさせぬのだ、こういうまことにたよりない話なんですが、それならどっどっと猛烈に、うそでもいいから運動したら活用させるのか、こういう論理に発展してくる。大臣おらぬからしようがないですけれども、とにかく適否調査というか、先ほど言ったように、保安林その他他の目的、重要な役割りを果たしておる地域においては、どんなに強い要望があっても、どんなに好条件な面があろうとも、これは治山治水その他の国有林野事業の目的達成のためには活用させるべきではない、私たちはこういう考えを持っておるのです。  ただ、それにはやはり調査はしておかなければならぬ。すべての調査をして、関係住民なり関係地方公共団体それぞれに十分説明をしておかないから、先ほど言ったような、強い運動なり強い政治力なりそういうもので押されて、林野庁芦屋剣谷のようなことになってくるのですから、やはりそれぞれの国有林野地域別に適正なる調査が私は必要だと思う。基礎調査が必要だ。この基礎調査がなされておるかどうかということが問題だと私は思うのですが、基礎調査を十分やっておられますか。
  170. 片山正英

    片山政府委員 林野庁としましては、先生承知のように、全国森林計画というものをつくりまして、かつ、国有林についてもその計画をつくりまして、いわゆる林業のサイドとしましての長期計画を実は樹立しておるわけでございます。  しかし、今回の活用問題について、どれをどういうふうに利用するかという問題は、農林省として推進する一つ構造改善等の具体的な問題を通して、そうしてそれが適正にかつ有効に土地として高度に利用されるということにおいてこれを判断していくわけでございますので、あらかじめ林野庁がこれだけは出せるのだ、これだけは出せたいのだという具体的な数字はございません。  ただ、先生御心配のような国土保全に関することであるとか、あるいは林野上、土地利用上非常に重要であるとか、たとえば幼齢林でいま非常にすくすくと伸びておる、まだまだ活用対象の林地はあるという場合には、そういう土地を除外するとか、あるいは地元との関連ですでにいろいろ利用されておるとかというものを、地元と無関係にこれを活用するということはできませんから、そういう幾つかの問題については、活用対象から除外するということで対処してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  171. 柴田健治

    柴田委員 どうも、森林計画の中で調査を十分しておるような言い方でもあるし、していないような言い方でもあるが、私たちは、たまたまこの活用法案が出てきたから御質問を申し上げておるわけですけれども、実際、この活用法が出ようと出まいと、国有林野のこの事業を最高責任者としてやっておる長官としては、とにかく適地選定というそういう基礎調査を当然いままでに完了しておかなければならぬ。完了しておいて、林野事業の適正な運営というものをしなければならぬ。そういう適正な基礎調査というものを、やっておられるということをわれわれは信じておる。信じておるがゆえにお尋ねを申し上げるのです。  まず、地質調査はどうなっておるか。それは日本列島の中で、国有林野が七百五十一万町歩の中で、先ほど言ったような使用目的で分離されておるわけですが、特に問題になる百八十三万ヘクタールだけでなしに、全体の地質の問題はどうなっておるのか。たとえば、第三紀層はどのくらい面積があるのか、第四紀洪積層はどのくらいあるのか、火山岩層はどのくらいあるか、ジュラ紀層はどのくらいあるか、花山岡岩層がどのくらいあるか、結晶片岩層はどのくらいあるか、石英岩層はどのくらいあるか、古生岩層、秩父古生層、中生層、こういう地質の関係を、山林開発については当然考えなければならない。  もう一つは、作業関係につきましても、傾斜地はどうなのか。傾斜地は、三十度以上の傾斜地がどのくらいの面積を持っておるのか、三十度以内はどうなのか、十度以内の傾斜地はどのくらいあるのか、具体的に説明してください。
  172. 片山正英

    片山政府委員 手元に具体的なこまかい数字はございませんが、ただいまの三紀層であるとかどうであるとか、そういう岩石の問題、あるいは、埴壌土とか壌土であるとか、そういう土性の問題、そういう問題は、地域森林計画をつくる際に調査をいたしております。  それから、ただいま先生おっしゃいました傾斜度等についても、すでに調査をいたしております。御参考までに、簡単な数字で恐縮でございますが申し上げますと、たとえば標高の問題、一応四百メートル以上の標高と申しますのは国有林でどれだけあるかというと、約三〇%が四百メートル末満である。これに対して私有林については、四百メートル未満が約六〇%ございます。それから傾斜の問題。一応二十度未満というものをとりますと、国有林については二十度未満が三五%あるわけです。私有林についてば四三%ある。概括でございますが、そのような姿を一応調査いたしております。詳細については手元にございません。
  173. 柴田健治

    柴田委員 そういう問題は、いままで、たとえば宅地や何かにする場合にはどんな地質であろうと問題なかった。どんなこともできるのですが、ただ今度は農業に結びつけるのですよ。農業に結びつけるのですから、長官は、ただ技術的なことや作物の品種については、おれは土地だけを提供するかしないかの権限があるのであって、地質などどうでもいいのだ、国有林活用を許しても、何をつくろうと、失敗しようと成功しようと私は関係ありませんぞ、そういうことでは無責任になると私は思う。いやしくも国の財産をあなたは預かっている。国有財産法で大蔵省の所管のものを、あなたが責任を持って預かっているのですから、その立場からいうと、たとえ畜産局がどうあろうと、農地局がどうあろうと、それはだめだ、あの土質はこういう土質だ、何をつくってもだめです、こういうようにあなたがある程度の拒否権を持つ。それだけの権限を持っためには、よほどの調査が必要だと私は思うのです。知らないから、政治力に屈服したり、日本語にごまかざれたり、文書にごまかされている。そういう点はちゃんと十分確認しなければ——ちょっとこれを見せてあげよう。これを見せてやってください。これは静岡県の小笠山の国有林開拓パイロットでやったところ、これを長官に見せてやってください。土質も何も検討しないからこんな大失敗をする。長官も見ておいてください。次官にも見せてください。  それから、基礎的な調査というものを活用する、そういう前提条件にはむろんたくさんあるのですが、そういう基礎的な調査を完了して、それぞれの地方の面積を確認すること、これは必要だと思うのですが、長官、もう一ぺんお答え願いたい。
  174. 片山正英

    片山政府委員 われわれは、土地ほんとうに高度に利用されることを願って活用を願っておるわけでございますから、それがそうでない姿にもしなるとすれば、われわれとしてはほんとうに残念でございますし、また問題でございます。  そこで、私たちとしまして、その活用をはかる考え方としましては、先生先ほど指摘のとおり、土地問題、技術的にそれがほんとうに可能かどうか、こういう問題を、学識経験者も入れまして真剣に十分検討の中でこれは判断してまいりたい。また、してまいる覚悟でございます。  しかし、問題は、それが一歩経営に入りまして、たとえばミカンならばミカンがどれだけの需給があって、どれだけに落ち着くのか、こういうサイドになりますと、林野庁としてはなかなか判断ができません。これはやはりそれぞれ農林省としての当該局が真剣になって考えているわけでございますから、そういう経営問題、ミカンならばミカンの需給問題、それは当該所管課が真剣にお考えくださって、それによってわれわれは対処してまいりたい、かように思う次第でございます。
  175. 柴田健治

    柴田委員 ただ法案をとにかく通してもらえればいいのだというような考えでなしに、法案を通すにおいては、やはりそういう基礎的なものを十分把握して、自信を持ってやってもらわなければならぬとわれわれは思うのです。自信がないじゃないですか。たとえば、四十八国会で山村振興法、四十年にできたのですか、この山村振興法の趣旨、目的、こういう点から国有林活用もできるということにさせている。それからこの山村振興法は、地域格差の是正、国民経済の均衡、後進地または僻地振興、僻地対策、こういうりっぱな目標で法律をつくった。いま順次遂行しておるわけですが、要するに地方財源がこれでどのくらい伸びたか、国有林活用させて。山村振興法で国有林を使わしているその市町村の数は、全国三千三百六十五市町村全部に国有林を使わせたのではないから、大体きまっておる。どの程度のプラスの面かあるのか、そういう点は実態を把握して、次に、活用については投資をさせたけれども、いま写真を見ていただいてるように、静岡県の小笠山のように、残っているのは農民の借金だけ残っている。何にもつくれない。土質を十分研究せずにかかっているから借金だけ残っている。こういうことにならないように、今後の土地利用高度利用、こういう立場からいえば、投資したらその投資したそれがはね返って何倍かにならなければ、かえって恩があだになる。  こういう結果になるから私たちが心配して、基礎的な調査を十分して、いままで国有地を使わしておるところの成果等も十分検討をして、効果もある、欠陥もある、利益もあるということを、いままでの実績のいろいろな経験を基礎において判断をして、将来は、農民にそういう土地活用さしても、農民にかえって迷惑をかけないような指導助言、そういうものは林野庁としても当然やるべきで、かんきつ類がどうの、ブドウがどうのというのではなしに、それも一応参考のためには十分知っておらなければならないが、林野庁長官としては国民のとうとい土地活用させるのであるから何を植えたらどれだけの収益、日本全体の経済の動き、そういうものを知らなければいけない。山の動きもわからぬで、何にも知らないのに、ただめくら判を押すというだけでは大迷惑をするのです。そういう点は、ただあなたの発言を通じてやるというのではなしに、それだけの自信を持ってほしい。自信を持たないと、先ほど言うたように、いろいろな面で圧力に屈服せざるを得ない。林野庁というものは農林省の中でも外局で、外局の中でも一番弱いのだ、水産庁と同じだ。弱い原因がそこにある。  それから、国有林を使わせておるそういういままでの成果、山村振興法その他、たとえば新市町村の建設促進法、町村合併促進法、そういう点で所属がえをしておるその面積が十七万ヘクタールある。それらがどういうように利用されて、ゴルフ場に変わっておるかどうか、そういうことも実態を調べて、いままでの成果と欠陥というものを明らかにして、次の前進に向かってそれを参考資料にするということが正しい行き方ではないだろうか、私はこう思うのですが、いままでやったところの成果をひとつ具体的に聞かしてもらい。悪いところは悪い、これはすなおになってもらわなければ論議はできないので、へたな理屈をこねるのではなしに、すなおにお答え願いたい。
  176. 片山正英

    片山政府委員 全国の総合したトータルで申し上げるわけでございますが、これも過日御説明したのと重複いたすような気はいたしますけれども、御説明申し上げます。  終戦所属がえしたのが三十九万町歩あるわけでございます。その中で売り渡した数字が三十三万一千ヘクタールで、所属がえの約八五%になるわけでございます。しかし、そのあとの一五%は、これは不適地であるという意味で返還を願ったのが三万一千ヘクタールございます。なお、農地局が保管をいたしておりますのが約三万ヘクタールある、かように調査をいたしておるわけでございます。  それからもう一つ市町村の合併並びに林野整備で売り払いましたトータルが十七万八千ヘクタールございます。その中で、林業利用ということで現在利用されておりますのが十五万一千ヘクタールでございますので、これがやはり八五%に当たるわけでございます。そのほかが大体二万七千ヘクタール、一五%がほかに転用されておるわけでございます。これは、市町村の合併につきましては転用の許可というのがございます。したがって、その許可の中で実施されておるわけでございますが、調査しましたほんとうの大づかみの概要でございますが、市町村の基本財産の造成という意味でこれは売り払いを行なったわけでございますが、その後の市町村の財政事情が主体になりまして、たとえば小学校を建築するとか、そういうようなことが主体になりましてその山が売られ、伝用されておるという事実は確かにございます。  以上でございます。
  177. 柴田健治

    柴田委員 町村合併のときに、それぞれの県の特殊性というか、山がどっちになってもいいのだということで、売り払え、財産処分してしまえというふうな極端な県もあった。たまたま長い歴史を持っており、地方自治法に基づいて、財産区を設けて、いまだに財産区で区有林というものを管理しながら、やはり国有林のそういう所属がえを受けても守っておるところもあるし、市町村長が先頭に立って処分をやってしまって、いま他に転用されて、一時的な財源確保、そういうところの弊害というものがある。  そのために今度の国有林活用については、国民の目というものが、活用すべき点はしなければならぬだろうけれども、もっとすっきりした形の上で、国民の納得するような方法活用すべきではないかという目で見ている。いままでのようなやり方では、黒い霧ということばを出せば、いろいろ不穏当だと言われる方もあるかもしれません。しかし、起きたことは事実で、過去においてそういう経験がある。今後そういうことの二度とないように、どう措置するかという措置方法なんです。そういうことについて、長官、具体的にお答え願いたい。
  178. 片山正英

    片山政府委員 重複するような御答弁になるかとも存じますけれども、売り払い、貸付等につきまして用途指定をまず行ないます。それから、その用途指定に反するような売り払いをした、あるいは利用目的が変わった利用がされたという場合には、買い戻しの特約を付しまして、第三者に対抗するためにはその登記を行ないましてこれに対処してまいりたい。  なおまた、所属がえにつきましては、これは第一種農地というふうになりまして、その転用については、厳正な態度農地局で対処されるわけでございますから、それによって適正な利用をはかってまいりたいというように存じておる次第でございます。
  179. 柴田健治

    柴田委員 国有林の拡大というものは、これはやはり歴史の一つの流れで、国有林を拡大していくほうが日本の林業政策の正しい方向だ、私たちはそう思っておる。日本の国土の六八%以上を山林原野で占めておる。治山治水、そういう災害防止の立場からいっても、またこれから社会発展のいろいろな建設用材として、そういう資源確保についても、当然民間資本ではやれない。五ヘクタール以下の林家というものが、全林家戸数の九五%も占めておる。そういう実態の中から、個人個人の資本では山の開発というものは、これは笛を吹いても実りが薄い、踊らぬであろう、当然国有林という立場で拡大していくべきが正しいではないか、こういう解釈を持っておるわけです。それにもかかわらず、活用という立場で農業と結びつけて、農政の失敗を国有林のほうへ向けさせるような政治の姿勢というものは、私は理解はできない。  それから外国ですよ。ここで外国のことを言うのはおかしいのですが、世界各国で国有林を払い下げておる、活用さしておる国はどことどこにあるのか、それを参考に聞いておきたいと思います。
  180. 片山正英

    片山政府委員 国有林を増加させていくということにつきましては、現在におきましても、いわゆる土地をどういうふうに利用するか、どういうふうに使われるか、その場合に、だれが適当であるかという場合に、国有林といたしましても、民有林においてはなかなか管理、経営が困難であろう、そういう保安林であるとか、あるいは林野整備法に基づきまして国有林として経営したほうがよりベターであろうというような林野は、買ってきておるわけでございます。  それから、諸外国での姿はどうかということで、私、知識が浅いので不十分だと思いますけれども、私の知っている範囲におきましては、フィンランドにおきましては、国有林の売り払いをいたしまして農地関係に転換をしておるようでございます。逆に英国におきましては、これはつとめて国有林をふやそうという形で処しておるようでございます。なお米国におきましては、これは私有林関係につきましては、それぞれの団地化をはかるということで交換を進めているようでございますが、なお一部国有林の買い入れは、私の知っている範囲におきましては、山村僻地においてなかなか個人としては開発困難であろうというものは、むしろ国がそれを買い上げまして、そしてそれにいわゆる保健、休養と申しますか、レクリエーションと申しますか、そういう場を国がつくって、そして国有林を大きな意味活用に寄与させるために買収を行なっているということを聞いております。明確な資料ではございませんが、私の浅い知識ではございますが、そのように理解しております。
  181. 柴田健治

    柴田委員 世界の趨勢は、どこの国に行っても、やはり自分の国の需給の調整というものを考え林業政策を進めておるわけですよ。日本の場合は、外国からこれだけ外材を輸入するという事態に追い込まれ、四割以上も外材に依存しなければならない。まだまだ伸びる可能性がある。昭和九十年までの長期の見通しが、初年度からくずれるような見通しの中で外材を輸入しなければならないという国柄で、現状のままで国有林活用を、おそらく良心があるから、むやみやたらに活用はさせないだろうと思いますけれども、いささかなりとも間違った方向で活用するということは筋が通らない。外材を輸入しなくても、日本の国内で完全なる需給体制が確立した、もうぼちぼち国民個人個人にも恩恵を与える、そういう時期が来て初めて活用というものを考える、林木の活用土地活用もあわせて考えるべきではないか、こう私は思うのですが、私の言うのが間違っておるかどうか、長官、もう一ぺん答えてください。
  182. 片山正英

    片山政府委員 森林におきまする合理的な計画、これは当然必要でございます。したがいまして、私たちも森林資源に関する基本計画というものを、閣議の決定を経ましてこの推進をはかっておるわけでございます。  しかし、何さま林業の性格からしまして、非常に長期の期間が必要でございます。展望はすでにつくってはおります。つくってはおりますが、それを実行に移していく場合には、一挙にはなかなかできないという姿がございます。その中で民有林、国有林ともども、それぞれの計画に基づきまして推進をいたしておるわけでございます。  ただ、先ほど活用問題は、それが完成されて、逆に言えば五十年後に初めて活用という問題が出るのではないかというふうなお話にも受け取れるわけでございますが、しかし、それは林業サイドとしてのわれわれの計画でございますので、さらに農山村民の所得向上等の関連から、あるいは農林業構造改善の立場から、土地高度利用という意味でその活用問題がはかられるわけでございますから、長期計画の展望は持っておりますので、その中で調整が十分できておると私たちは解釈して推進しておるわけでございます。
  183. 柴田健治

    柴田委員 私、長官といろいろの立場から角度を変えて論争するのも、将来林業を語るときにいい参考になると思ってひたすらお尋ねを申し上げておるので、親切丁寧にもっと自信を持ってお答えを願いたいと思う。  まず次官、今度農業と結びつけるということなんですが、国民総生産が、先般の政府発表で、四十三年度は資本主義国では第二位、世界では第三位、こういうことなんですが、国民総生産が五十一兆円、その中で農林水産生産額があまりにも低い。この数字を見て、いずれ大いに農民のふところをふやしてやろうという思いやりがあったのだろうと思いますけれども、総合農政で今度農政推進閣僚協議会ですか、わけのわからぬ名前が幾らでも出てくるからよう覚えておりませんが、そういうものが出て、これから大いにやろう、こういうことなんですが、先ほど申し上げたように、労働人口の分布状態から見て、林業に携わっておる者が二十八万人です。それから農業の就労人口が九百万ほどですが、この九百万ほどで農業生産額を四十三年度では三兆五千百四十億円をあげておる。国民総生産が五十一兆円ですから〇・七%ですね。九百万余りの就業人口ですよ。それで〇・七%の総生産しかあげてない。そういう形の中で、農家所得が百三万になった。ところが、中を見ると農業外所得が伸びてきて、農業所得そのものが伸び率が非常に低い。  そういう形の中で、国有林活用で思いやりのある農政を進めるのは、たとえば畜産、果樹です。しかし、山を利用するのは大体限定されると思うのです。その中で将来活用において、それは府県別に多少違うでありましょうが、たとえば出かせぎをどうするか。この国有林活用で、出かせぎを何%食いとめる、所得を何%上げる、また林業労働者としていま二十八万人で十分でないから、これを何万人ふやす、こういう具体的な計画がある程度あってもいいのじゃないか。政務次官、お考えをひとつ聞かせていただきたい。
  184. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 この国有林活用法案の提案をいたしまして、この法律によってどれくらい活用し、具体的にその結果農業所得がどれくらいふえ、あるいはまた就業人口がどれくらいふえていくかというような、そういう計算は持っておりません。   〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕  私どもはこの活用を、いままで行政上の措置としていろいろやっているところにむしろ問題があるので、こういう具体的な非常にへんぱな国有林の分布状況を見た場合、また、その国有林と民有林の区分というものが、歴史的にいろいろな問題があるような非常にへんぱな状況考えた場合、それらの地域において国有林活用によって、少しでも地元農業の発展なり向上なり、あるいはまた住民の福祉に役立たせようという切なる願い、こういう現実をとらえまして、従来、もちろん行政上の措置としてやってまいってはおりますけれども、それではまた一方において、先生最初に御指摘のような、いろいろな弊害も出てくるおそれがある。したがって、この法律によって私どもは方針というものを明らかにし、またそれを実際にやる場合には、活用を望むほうから見ますと不満かもしれませんけれども、国有林の事業というものの管理と経営の適切な運営というものを、あらかじめ条件といいますか、念頭に置きながら活用をはかっていくのだということを法律上明確にしております。  一方、その活用の希望が出てきた場合には、先ほど先生が事前に調査をしていくべきだと言われましたが、もちろん調査もいたしておるだろうと思いますけれども、活用計画が出た場合には、私どもが責任をもって、適地であるかどうかの調査もするということに法律上、ごらんいただければ明文もあるわけでございまして、しかもその際に、用途指定あるいはまた買い戻しの特約を、第三者に対抗し得るような登記上の措置を含めた必要な措置法律でやれるということも明確にいたしまして、そういう疑惑の生じないようにいたすというほうが、むしろ私は御趣旨に沿うような方向で、私どもが行政を進めることになるのじゃないか。  活用法を出しましたからといって、どんどん国有林を減らしていくという考えではございません。先ほど言われました、むしろ国有林はふやすべきではないか、国土保全の見地からそういう方針でいくべきではないかという与野党を通じて、実は当委員会で御議論がございました。私どもとしても当然その方向へ持っていくべきものだと考えております。  終戦後は、だいぶひどい活用といいますか、いろいろそういう利用、転用が行なわれ、交換が行なわれてまいりました。したがって、現在まで約六十万町歩というものがそういうことになっておる。しかしその後、最近ではどんどん積極的に保安林の買い上げなり、あるいは林野整備事業関係での買い上げなりということで、大体三十万町歩戻っておるといいますか、ふえております。したがって、差し引き大体三十万町歩くらい減っておるわけでございますが、将来は私ども国土保全に必要な、しかも日本の林業の将来を考えますと、当然積極的な姿勢で、ひとつ国有林はふやしていかなければならない。  しかし同時に、やはりそれぞれの地域農業構造改善等に資するために、活用をはかりたいという希望あるいはまたそれにこたえてもいいようなところもあることも事実でございますので、その方途を、むしろ事後の措置の誤りをなくするような意味での法律体系というものをきちんとしまして、そうして活用の希望にもこたえていこうというので、これは決して矛盾ではないと考えるわけでございます。  なお、御引例ありました国民総生産五十一兆円の中で〇・七%と言われましたが、私どもの計算では、大体八%くらいが農業の総生産と見ておりますが、確かにその面ではまだ低いわけでございます。農林水産全体の所得の伸びも、全体と比較しますと約半分くらいしかないというようなことでございますので、これからひとつ、ことばはたいへんあれでございますが、いわゆる総合農政をほんとう計画的に、いろいろ御審議を得ました構造改善に資する三つの基本的な立法を中心にしながら、今後大いに進めてまいりまして農政の進展をはかり、その結果として農業所得の向上を大いに積極的にはかろうという意欲でございますので、ひとつ御了解をいただいて、御推進をいただければありがたいと思うのでございます。
  185. 柴田健治

    柴田委員 〇・七%、これは人口で押えるとそういうことになるのです。  そこで、私は農民の庭先渡しの価格で計算していくと、もっと流通を近代化して農民の手取りをふやし、消費者の価格を下げる必要があると思う。たとえば、農林漁業金融公庫法の改正でも、仲買人制度を認めたらだめだ、こうわれわれは言うのに、政府みずからが仲買人制度を認めて仲買人にも融資をする。そういう流通の近代化を一つもはからずに、いま米以外の農産物で、畜産物であろうと、蔬菜、果樹にしても、農民の庭先渡しの価格は、小売り店で買う消費者価格の最低三倍ないし四倍違っている。これをどう縮めるかということが政治家の任務です。そうして国民総生産額の中の農林水産業の生産額をふやしていくように考えなければ、幾らつくれつくれといっても豊作貧乏、不作貧乏ということになってしまう。そういう点を一つも配慮しない。  今度国有林活用してやってみたところで、それぞれ和牛、酪農をやっても、みなメーカーに従属してしまう。隷属下にみな入れてしまう。みなそのようにいかれてしまうということです。何のための酪農振興か、和牛の振興か。たとえば和牛の振興でも、中国から少し肉が入ってくるというと、もう家畜商組合が各農家一軒一軒回って、もう肉は安くなるのだぞ、いま売りなさいと買いたたく。そういう家畜商組合ですら征伐ができぬような——征伐といってはおかしいが、そういうことをせずにおいて、中間のそういう流通の面の近代化をはかろうとせずして、どんなに農業の規模拡大だとかなんとか言ったって、ますます農民の借金を増加し、借金政策に終わってしまう。こういう心配をするがゆえに、私たちは総合的な問題と取り組んで、そういう上に立って、次善の策として政策を打ち出すべきではないか、こう私は考えるわけです。  先ほど大臣も言われたけれども、林業基本法の第四条第一項、第二項、この法律できめた法の解釈を正しくしてもらいたい。この基本法というものは大筋でありまして、やはりそこに枝をつけ葉をつけてりっぱなものにしなければならぬ。関連的な法律をつくらなければならぬ。この林業基本法のねらいというものは、そういう魂を入れないような、ただ形だけをつくるのが基本法ではない。魂を入れて初めて基本法というものが生きてくるのです。十分活用されてくるのです。私はそう思う。この農業基本法の第四条を、どう文章を理解しておるのか、この点をもう一ぺん、次官、ひとつお願いしたい。
  186. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 第四条の御指摘の条文の一項、二項、それぞれ私ども十分心得ているつもりでございまして、しかるがゆえに、今回提案をいたしました法案の第三条で、先ほど私もちょっと触れたわけでございますが、国有林活用を積極的に推進される方々にとっては、この点も当委員会で若干御指摘ありましたように、ちょっと不満だ、おまえのほうの都合のいいような立場で活用考えているんじゃないかというような御指摘があったことを、先生もお聞き取り願っていると思いますが、それにもかかわらず私ども農林省としては、第三条で、「国有林野の管理及び経営の事業の適切な運営の確保に必要な考慮を払いつつ、」という条件を、はっきりこの法律の中に入れているわけでございます。したがいまして、この点を御理解いただければ、私どもも、あくまでもこの四条の趣旨を十分わきまえているということを御理解いただけるんじゃないか。  第二項は、さらに国土保全の関係も書いてございますが、その点は、先ほども述べましたように、また他の委員の御質疑にもお答えいたしましたようように、私どもとしては、今後も国有林野を大いにひとつ、場合によりましたら大臣の政治力に大いに期待をいたすわけでございますが、一般会計からの相当の予算の計上も将来努力しながら、さらに国有林の拡大をはかっていく熱意を大いに持っていることを申し上げましたのも、この第四条の第二項の趣旨を理解しているからでございます。
  187. 柴田健治

    柴田委員 どうも次官は、活用法案活用法案活用のことに重点を置かれておりますが、農業基本法にとにかくほんとうに魂を入れるためには、他の法案の整備をしなければならぬ、体系的に他の法律をつくらなければならぬ、私はそう思うわけです。  それから、農業基本法の精神というものは何か。それは、やはりまず山の法律をつくること、その次は人の法律をつくること、その次は生産物の法律をつくること、この三つの柱がなければ、農業基本法は死んでしまう。いま山の法律だけしかないじゃないですか。他には事業法として特別会計、そういうものしかない。この山の法律、人の法律、生産物の法律、この三つの法律を完全に体系的に法制化してこそ、はじめて農業基本法というものが生かされてくる、こう私は理解するのですが、もう一ぺんお答え願いたい。
  188. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 先ほどは、林業基本法の第四条の精神を理解しているかという御質問でございましたから、私は前段のような御答弁を申し上げたわけでございます。ただいま農業基本法の精神を……(柴田委員林業基本法だ」と呼ぶ)その精神に基づいて総合的に、林業にしても農業の他の政策にしましても、その基本法の裏づけとなるそれぞれの立法というものを整備しておく必要があると思うかというお尋ねであるようにいま承ったわけでございますが、それは、もう私ども同感でございまして、したがって、この活用法を出す前に、すでに入り会い林野関係あるいはまた森林の関係法案も御提案を申し上げ、国会の御協賛を得ているわけでございますので、必要な他の法制的な措置はとった上で、この活用法案を出していることは、これはもう立法府の立場の先生方は、全部毎年の国会で御審議をいただいておるので、私は御理解いただけるのじゃないかと思うのでございます。  これは質問の趣旨に合っているかどうかわかりませんが、一応お答えさせていただきます。
  189. 柴田健治

    柴田委員 もう林業基本法の精神は、他のいろいろな入会林野近代化法の改正その他で十分できておる、こう言われますが、長官どうですか。とにかく山の法律というたら森林法だが、人の法律、もう少し事業法、管理法というようなものをつくらなければならぬのじゃないか。それで結局実体法、事業法、管理法、この三つをある程度組み合わせて体系的に法制化しないと、林業基本法の精神というものは生かされてこないのではないか。長官、どうですか、長官のほうのお答えをひとつ……。
  190. 片山正英

    片山政府委員 先ほど林業基本法第四条でございますが、現在の木材需給の状況等、また将来にわたっての木材の需給の状況等を通しまして、第四条第一項においては、国有林林業的に活用する、奥地を開発するとかその生産基盤を整備するとか、需給の安定に寄与するとか、いわゆる林業のサイドにおける確立をはかり、かつ林業構造改善にも寄与する、いわゆる林業の側面をうたっていると思います。それから第二番目のほうは、いわゆる国土保全あるいは農業の面の活用、そういう意味土地としてのあり方、そういう問題についての姿をうたっていると思います。  そこで、基本法制定以来、その趣旨に基づきまして、まず森林法の改正をいたしたのもそのためでございますし、入会林野近代化法をつくってその推進をはかっているのもそのためでございます。  今回の活用法案も、その一つとしてお出ししたわけでございますが、先生の御指摘は、国有林野事業の特別会計法それ自身ではなしに、もっと多目的な考えから整備すべきではないか、こういう御指摘だろうと思いますが、私も御指摘のとおりだと思っております。そういう意味でわれわれも、さらに基本法の趣旨を体した検討を続けているわけでございます。
  191. 柴田健治

    柴田委員 次官と長官とでは多少ニュアンスが違うわけですが、私が申し上げた点を、そのまま理解されて今後——いま検討中だ、こういうことですが、検討中というのは、大体役人の一つ答弁のあれで、検討いたします、善処いたします、考慮いたします、調査研究中です、こういう答弁ですけれども、こういうものが早く出てこなければ、私は林業基本法をつくった意味がないと思うのです。だから検討というと、いつから検討して、いつごろ結論が出るのか、見通しはどうなんですか、長官
  192. 片山正英

    片山政府委員 これは基本的な問題だけに、非常にむずかしい問題でございますし、また慎重を期しているわけでございますが、御承知のとおり、四十年でございましたか、国有林経営のあり方という答申も実はいただいているわけでございます。非常に延びているわけでございますが、そういう答申の関連もございますし、われわれとしては鋭意検討を続けて、実行可能なものについてはいま行なっているわけでございますが、ただいま申しましたような法的なあり方、あるるいは答申におきましては公社化の問題も触れているわけでございますが、そういう問題も関連しまして、基本的に安定した行き方はどうすべきかという点について、検討しているわけでございます。  時期はいつまでかとおっしゃられると、ここでいつまでだということもなかなかできませんけれども、御期待に沿うように、なるべく早い機会に結論を出したいという意味で、鋭意検討を続けているわけでございます。
  193. 柴田健治

    柴田委員 長官、国会答弁というものはただおざなりで、その場のがれの答弁であってはならないと私たちは理解している。答弁したことは忠実に守らなければならぬし、それの実現に向かって努力しなければならぬので、当然政府当局は、それだけの覚悟というか、責任感を感じてもらわなければならぬと思うのです。  三十九年六月二十六日の参議院において、北村委員から当時の赤城農林大臣に、この林業基本法の性格について質問をしておる。この質問の要旨と赤城農林大臣答弁、どう理解されておるか、ちょっとその点読んでもらいたい。
  194. 片山正英

    片山政府委員 三十九年におきまする北村委員と赤城農林大臣とのやりとりの内容といまお話しがございましたが、実はちょっとここでその内容をお話し申し上げる資料を持ち合わせてきませんでした。ごかんべんをいただきたいと思います。
  195. 柴田健治

    柴田委員 いやしくも林業基本法に関連するそういう法律をつくって出す、または林業に関する制度改正については、過去の歴史的なそういう政府答弁なり、当時の国会での立法府の意思、そういうものを十分検討して、どうあるべきか、どう処置すべきか、どう取り組むべきか、そういうものがなければならぬと思うのですよ。私たち質問する者でさえも、何年何月に先輩議員が当時の大臣にどういう質問をしており、それについてどう答えておるか、そういうものを判断しながら、次の質問なり次の答弁を求めてこうして論戦をするわけです。それが長官は知っていないと言う。三十九年、まだ二十年も前じゃないですよ、近ごろですよ。そう頭がぼけておるわけでないと私は思う。それを答弁できない、資料がない、そんな無責任なことでどうする。いずれあらためて次の機会に、きょうでなくても——こういう答弁では私の質問はまだ終わりません。だから、答弁のほうも問題点を十分しぼってきてもらいたい、われわれはそういうことを大きく期待し、ているわけです。いずれそれに関連する質問をあらためてして、御答弁願うことにいたします。  それからもう一つは——だいぶあるのですが、きょうはもういいかげんに打ち切って次に延ばしたいと思うのですが、薪炭材というものがある。薪炭材そのものはどんどん大きくなっている。ところが、いろいろな化学燃料で薪炭はもうだめだという。薪炭生産がもう激減している。昔の十分の一に下がっている。ある県においては、二百五十万俵も三百万俵も木炭を生産しておった県が、いまはせいぜいその十分の一、二十万俵前後だ。それも売れないというような事態になった。その薪炭山の指導というものはどうやっているか。薪炭が減産してきてから林野庁がどういう行政指導をしたのか、具体的にそれを御説明願いたい。
  196. 片山正英

    片山政府委員 先生指摘のとおり、戦前におきましては薪炭と用材との利用はおそらくほぼ半々くらいであったろうと思います。しかし、現在におきまする薪炭の利用は、木材利用の五、六%に激減をしておる、最近数カ年におきましても半減しておる、こういうことでございます。しかしながら、相変わらず薪炭山が、民有林におきましてはほぼ半分が薪炭山でなかろうかというふうに推定をされておりますけれども、そのような薪炭林の山の改善ということは、当然対処すべきことであろう、こう思っておるわけでございます。  したがいまして、まず薪炭山の改良の一つとして、拡大造林という表現をわれわれは使っておりますけれども、薪炭林から用材林に転換をする、これが一つでございます。したがいまして、それに対する融資あるいは補助金、そういうものにつきましては、特に優遇の措置を講じましてこれの推進をはかっておるわけでございます。  ただ、一部薪炭林につきましては、最近、シイタケの薪炭林にかわる農家所得というものが増大しつつあるわけでございますから、そのような意味薪炭林の改良、これについてもいろいろな技術指導、そういうものを通しまして対処してまいりたいというふうに指導しているわけでございます。  一方、国有林につきましても、先生さっき御指摘のありましたように、薪炭林共有林野というのがあります。しかし、すでにその薪炭需要というものがどんどん減ってきておりますから、地元利用者の御理解の中で、これは用材林の部分林にしたらどうでしょうかということのお打ち合せをして対処してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  197. 柴田健治

    柴田委員 経済企画庁なり大蔵省が見えておるので、今度また来ていただくのは気の毒だから、ちょっとほかのを留保いたしまして、経済企画庁に先にお尋ねをしておきたいと思います。  経済企画庁が、今度新全国総合開発計画地域開発において、この中で百四十万ヘクタールの草地改良の面積を明らかにして出してきた。この百四十万ヘクタールの草地改良の中に国有林をどの程度見込んでおるのか、全然見込んでないのか、この点をひとつお答え願いたいと思う。
  198. 小槫康雄

    ○小樽説明員 今後増大いたします畜産物の需要に対応いたしまして、新全国総合開発計画におきましては百四十万ヘクタールの草地開発を見込んでおるわけであります。しかし、土地があるからそれを全部草地にするということではございませんで、今後の技術開発の進歩とか、土地利用の総合的高度化というようなことを十分配慮して行なうということになっておるわけであります。  それで、先ほどお尋ねありました百四十万ヘクタールのうち、国有林、民有林の構成の内訳でございますが、これはいまのところ明らかになっておりませんで、実施の段階において十分に検討していくことになるものと考えるわけでございます。
  199. 柴田健治

    柴田委員 この百四十万ヘクタールの中に、国有地をどのくらい見込んであるのか、相当科学的な根拠で数字を押えておるだろうとわれわれは思っておるのだが、答弁聞いておるとまことにたよりないわけで、これは経済企画庁、今度総合開発の中で出したのも信用置けない、これは半ば現地の実態を把握せずに出してきた数字だ、全体に私はそういう印象を受けるわけです。  太平洋ベルト地帯における今後の昭和六十年までの開発なんですが、その中で国有林が相当部分地方地方においてはある。この開発計画の中で国有林の関連する地域開発、この点については考えがあるのかないのか、この点をお答えを願いたい。  もう一つ、総合開発計画の中で観光資源の開発ということですが、観光資源の中では国立公園、国定公園、都道府県の自然公園、いろいろ現行法規の中で区域指定をしておるわけですが、こうした国立公園の区域指定を、将来大幅にふやしていく計画があるのかないのか、この二点をひとつ経済企画庁もう一ぺん……。
  200. 小槫康雄

    ○小樽説明員 太平洋ベルト地帯は、今後さらに都市化が進展していくものと見込まれますので、自然とか緑地の重要性というものは今後ますます増大していくものと考えられるわけであります。すなわち都市環境保全とか、あるいは市民レクリエーション、あるいは都市の清鮮食料品の供給の場としての空間を十分に確保する必要が当然起こってくるわけであります。この中にありまして、国有林の果たす役割りというものは非常に大きいものでありまして、国有林を多角的、総合的に利用するということをくふうするとか、あるいは活用方式の合理化によって、こういう需要を満たしていくというふうなことが必要であろうというふうに考えるわけでございます。  それから、後段のお尋ねでございますが、今後レクリェーションは、所得の増大に伴って当然増大するものと思われますし、また、モータリゼーションによりまして機動性も大きくなるというようなことで、レクリェーション活動の場としての自然観賞、登山、ハイキング、スキー等、山岳あるいは森林を利用されることは今後ますます大きくなってくるだろうというふうに考えられまして、これを観光地域としまして開発整備が必要でありまして、これについては、もちろん自然との調和を十分にはかりながら開発されるべきものであると考えるわけであります。  それで国立公園につきましては、今後、先ほど申し上げましたような観点から管理の充実をはかる、国定公園につきましては面積の拡大をはかるということが望ましいのではないかというふうに考える次第でございます。
  201. 柴田健治

    柴田委員 この国立公園の、ただ構想としては出ておるけれども、その中で民地なり国有林なりの、いま現在ある区域をまた拡大する可能性、国有林も民地も拡大されていく、こういうことになる可能性はあることは間違いないのですね。そう理解していてもよいですな。新しく区域指定でなしに、現在のをもっと拡大していくという構想も、この新全国総合開発計画の中にはある、こう理解していいですか。
  202. 小槫康雄

    ○小樽説明員 国立公園につきましては、区域を拡大するという考えはございませんで、管理の内容の充実をはかる。国定公園につきましては、今後面積の拡大をはかるという考え方になっておるわけでございます。
  203. 柴田健治

    柴田委員 経済企画庁ありがとうございました。大蔵省も来ていただいたのですが、ごめんどうでもまたこの次来てもらうとして、中途はんぱにお尋ねするのも失礼だと思いますので、いずれあらためて……。  時間が来ましたから、いいかげんできょうは打ち切りたいのですが、一つきょうの分でお尋ねしたいのですが、民有林五ヘクタール以下が九〇%ある。それで小規模林家であり、小規模農家であるという立場。また、今度の農地法で下限面積が五十アール、こういうことで、五十アール以内は半ば農業でない、自己資本で土地を買っていくのは幾ら買ってもいいけれども、国の制度金融からの融資は、規模拡大の面からいうとどうにもならなぬ、こういういろいろな関連があるわけです。どちらにしても、土地利用計画というものは、国がどんなに音頭とったってだめなんです。やはり市町村利用計画を立て、各府県が立てなければならぬ。計画のないところにどんなに施策をやろうとしても、受け入れ体制ができないわけですから。  それから、その府県が持っておる国有林野面積が、青森のように六〇%以上を占めておる府県、また一%しか国有林を持っていない府県もあるが、こういうそれぞれの府県別の、国有林があろうとなかろうと、農業の行き詰まりというものは日本列島全部に影響があるわけですから、農業の構造政策を強く進めていくということになれば、要するに計画というものが出てこなければならぬ。ただ府県別の国有林活用させてくれという陳情の文書だけでなしに、計画はこういうことで、私の民有林も含めて活用計画を立てております、こういう計画が出てこなければ、私は筋が通らないと思うのですね。自分の山は利用計画を立てずに、国の財産だけ利用計画を立ててくれというのは、これは筋が通らぬと私は思う。長官、そう思いませんか。自分の山は利用計画しない、市町村も知らない、県も計画を持っていない、国の財産だけを活用させてくれ、こういう計画を立てるなら、ほんとうにごく部分的の活用にしか終わらない。だから、総合農政の中で構造政策を強く進めていくというなら、そういう全体の開発計画というものが具体的にあがってこなければならぬと思うのですが、長官、どうですか、あがっておりますか。
  204. 片山正英

    片山政府委員 国有林だけが活用という問題で、民有林の利用計画がどうなんだ、こういう御指摘のようでございますが、私たちは、一応先ほども御説明しましたように、四十一年に森林資源に関する基本計画というのを閣議決定を経て、それによって実行しているわけでございます。したがいまして、全国森林計画というものをつくり、国有林につきましては、国有林基本計画地域施業計画というものに基づいてやっておりますし、民有林につきましては、地域森林計画というものに基づいてやっておるわけでございます。  ただ、そこで民有林の現況を振り返りますと、確かに五ヘクタール以下の所有者の方が九〇%もおる。その所有しておる面積が約四割でございます。それから五ヘクタールから二十ヘクタール、中間層の所有者を見ますと、戸数では九%でありますが、その所有面積は約三割でございます。あと残りの二十ヘクタール以上が、戸数では一%でございますが、所有はまた三割ある、こういうように非常に相違をいたしております。しかし、その所有形態はそれぞれ違っておりますが、それをわれわれは一応人工林率でその経営——それだけで判断するのは無理でありますけれども、人工林率で一応判断いたしますと、その所有階層が少し差はございますけれども、約三割から四割の人工林率をそれぞれが持っておるわけでございます。  そこで、あと六割近くがいわゆる薪炭林奥地の問題がございますが、薪炭林につきましては、確かにその改良は、当面用材の需給との関係もございまして、当然これは速急にはからなければならない、かように思うわけでございます。その際に薪炭林を用材に切りかえる、これはわれわれとしての一つの方向ではございますが、さらに高度の土地利用の面から、これが用材以外の農地等にもし適地であるならば、それはそのほうの転換も必要ではなかろうかというふうな形で、所管局とも連絡しながらその推進をはかっていく。要はむだな、粗放な利用を解消してまいりたいというのがわれわれの念願でございます。
  205. 柴田健治

    柴田委員 この間瀬戸山先生が、国有林地帯があるところほどが災害がひどい、こういう御質問をされた。それは治山関係で、まあ土砂崩壊、そうい面が多少ある。それから、やはり台風常襲地帯というところは、特別ないろいろな土質との関係もあるのです。  そこで山林火災なんですが、長官どう認識しているのか知らないが、国有林にたくさんある。たとえば、ここ二、三年の間の統計を見ますと、五百ヘクタール以上の規模の大きい山火事、それからフェーン現象が、特に新潟、あの辺はフェーン現象になると、長官も知っておるように気温が四十七度以上にも上がる。新潟のように、四十七度も気温が上がるなんというのは常識では考えられない。しかし、それはもう人間の力ではなく、フェーン現象ということで四十七度も気温が上がるわけですが、そういう地帯の山林火災の中で、当然国有林地帯がたくさん焼けるだろうというと、そうじゃない。民有林の多い県ほど山火事が多い。これは何が原因しているか。そういう点は長官どう理解しておるか。民有林の多い県ほど山林火災がある。国有林のほうが少ない。この点についてどう認識しておるのか。国有林は災害が多い。それはもう水害のときには多少多い地域もある。けれども、山林火災については、国有林の多いほどには火災が少ない。それだけ林野庁の努力があると私は認めておる。それは敬意を表してもいい。  ただし、起きたときには少ない面積じゃ済まない。今後の防火対策をどうするのか。  たとえば、今度は国有林を払い下げをして、放牧場があちらに少しこちらに少し、今度は空中から飛行機で防火対策をやるというときにどうなるのか。岩手県の山火事で二十何戸焼けたでしょう。民家でさえ焼けるのです。今後の防火対策について、そういう放牧場をつくっていると、山火事の場合には消火対策をどうするのか。そういう面から見た山の災害防止対策、この点どうですか、長官
  206. 片山正英

    片山政府委員 山の防火対策でございますが、これはまず予防対策というのがぜひ必要なことでございます。ちょうど火災の危険期は、大体毎年二月から五月末くらいまでが火災の一番危険期でございますが、それに対しましては特に意を用いまして、巡視であるとか、あるいは啓蒙をするためのいろいろな標識板をするとか、いろいろなことでその予防を中心にして行なっているわけでございます。これは国有林についてもそうでございますし、民有林におきましても、森林災害等の国営保険もいたしておることでございますので、特にそういう点を注意をいたしておるわけでございます。  と申しますのは、その原因はやはり人的のたばこの火、あるいはたき火の不始末、あるいは火入れの問題、あるいは山に入る人のちょっとした不注意のことから原因が起こっておるわけでございますから、そういう意味で、それぞれの人の注意を喚起することがぜひ必要なわけでございます。  それと消火の問題でございますが、国有林といたしましては消火体制をとっております。その危険期に対しましては、営林署を主体にいたしまして、それぞれの防火機構をつくっております。なお消火器具その他も整備をいたしておるわけでございます。  今回の岩手県の大火につきましては、多年林業試験場で研究をいたしておったものを実行に移して、ヘリコプターによる消火も実施したわけでございますが、、そのような形で、研究とその体制を整えておるわけでございます。  ただ一点、われわれはやはり山林所有者という意味におきます防火体制を確立しておったわけでございますが、一般の消火と山林火災という問題につきましては、消防庁との関連もございますので、今回、さらに基本的な姿を打ち出すという意味で、消防庁におきます審議会等におきましてそのやり方を解明して万全を期すということで、連絡をし、整備をはかっている段階でございます。
  207. 柴田健治

    柴田委員 とにかく長官、民有林のほうが火災が多くて国有林のほうが火災が少ないということは、やはり林野事業で営林署の職員たちが、そうした予防対策やPRその他を通じて十分心がけておることから、火災の発生を未然に防止しているのである。ところが、一般の山は野放しですから、民有林の多いほど山林火災が多い現象、これは統計を見てもわかるのです。そういう点において、今度国有林活用さして、あっちへちびりこっちへちびり出していくと、その付近で火災が起きないとも限らない。そういう場合にはどうするのか。少し農民のことを考えて、国有地を賃貸借なり払い下げして活用さしていく。それが原因で、それが火元になる。火元になるというと失礼なんですが、とにかく火元になって、その付近のとうとい資源が大山火事を起こすということになれば、活用さしたのが、かえって国有林野事業にたいへんな迷惑を与えるということになりかねない。だから、今後活用させるについては、そうした防火体制というものをどうするかということを考えていかなければ、適地だから貸すというのではなくて、そういう点、具体的に十分措置を講ずべきだ。  たとえば、賃貸契約についてはこういうことを契約の文書に入れるのだというような条文については、いずれその点をこまかくやりますが、きょうは時間がございませんし、やめてくれという声もありますので、この辺で打ち切ります。いずれ次回にみっちり具体的に、条文にかけてお尋ね申し上げることにし、きょうのところは留保しておきます。
  208. 丹羽兵助

    丹羽委員長 次回は明九日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十七分散会