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1969-06-19 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十九日(木曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 安倍晋太郎君 理事 藤本 孝雄君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 湊  徹郎君    理事 兒玉 末男君       伊藤宗一郎君    大野 市郎君       菅波  茂君    瀬戸山三男君       田澤 吉郎君    中尾 栄一君       中垣 國男君    野原 正勝君       八田 貞義君    藤波 孝生君       松野 幸泰君    伊賀 定盛君       工藤 良平君    佐々栄三郎君       實川 清之君    柴田 健治君       芳賀  貢君   米内山義一郎君       神田 大作君    斎藤  実君  出席政府委員         農林政務次官  小沢 辰男君         農林省農地局長 中野 和仁君         農林省畜産局長 太田 康二君  委員外出席者         農林省農林経済         局保険管理課長 福島 量一君         農林省農政局参         事官      遠藤 寛二君         農林省農政局植         物防疫課長   安尾  俊君         日本専売公社副         総裁      佐々木庸一君         日本専売公社理         事       大塚 孝良君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 六月十九日  委員大石武一君辞任につき、その補欠として伊  藤宗一郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 六月十八日  農地法の一部を改正する法律案成立促進に関  する請願佐々木良作紹介)(第八八八八  号)  同(小宮山重四郎紹介)(第九〇一五号)  同外一件(地崎宇三郎紹介)(第九〇一六  号)  農林年金制度改正に関する請願外五件(福永健  司君紹介)(第八八八九号)  昭和四十四年産生産者米価に関する請願(阿部  昭吾君紹介)(第八八九〇号)  同(井上普方紹介)(第八八九一号)  同外百五十三件(伊能繁次郎紹介)(第八八  九二号)  同外十五件(池田禎治紹介)(第八八九三  号)  同(石田宥全君紹介)(第八八九四号)  同外一件(稲富稜人君紹介)(第八八九五号)  同外二件(受田新吉紹介)(第八八九六号)  同外一件(内海清紹介)(第八八九七号)  同外一件(小渕恵三紹介)(第八八九八号)  同(仮谷忠男紹介)(第八八九九号)  同(栗林三郎紹介)(第八九〇〇号)  同外百六件(河野洋平紹介)(第八九〇一  号)  同外一件(鈴木一紹介)(第八九〇二号)  同外四件(田畑金光紹介)(第八九〇三号)  同外一件(玉置一徳紹介)(第八九〇四号)  同(中澤茂一紹介)(第八九〇五号)  同(永江一夫紹介)(第八九〇六号)  同(西村榮一紹介)(第八九〇七号)  同外九十五件(三ツ林弥太郎紹介)(第八九  〇八号)  同(吉田之久君紹介)(第八九〇九号)  同外二件(渡辺美智雄紹介)(第八九一〇  号)  同外五件(赤城宗徳紹介)(第八九一四号)  同(内海英男紹介)(第八九一五号)  同外二件(金子岩三紹介)(第八九一六号)  同外七十件(中尾栄一紹介)(第八九一七  号)  同(稲富稜人君紹介)(第八九一八号)  同(内海清紹介)(第八九一九号)  同(岡沢完治紹介)(第八九二〇号)  同(折小野良一紹介)(第八九二一号)  同外一件(神田大作紹介)(第八九二二号)  同(河村勝紹介)(第八九二三号)  同外一件(鈴木一紹介)(第八九二四号)  同外一件(田畑金光紹介)(第八九二五号)  同(玉置一徳紹介)(第八九二六号)  同(内海英男紹介)(第八九六五号)  同外七件(久保三郎紹介)(第八九六六号)  同外一件(佐藤洋之助紹介)(第八九六七  号)  同(田代文久紹介)(第八九六八号)  同(谷口善太郎紹介)(第八九六九号)  同(林百郎君紹介)(第八九七〇号)  同(松本善明紹介)(第八九七一号)  同外一件(栗林三郎紹介)(第九〇二三号)  同(下平正一紹介)(第九〇二四号)  同(中澤茂一紹介)(第九〇二五号)  同外一件(芳賀貢紹介)(第九〇二六号)  同外六十九件(増田甲子七君紹介)(第九〇二  七号)  同(安井吉典紹介)(第九〇二八号)  同外二件(久保三郎紹介)(第九〇二九号)  同外五十六件(葉梨信行紹介)(第九〇三〇  号)  同(門司亮紹介)(第九〇三一号)  同外十二件(登坂重次郎紹介)(第九〇三二  号)  同外五件(赤城宗徳紹介)(第九〇三三号)  同外四件(石川次夫紹介)(第九〇三四号)  同(井上普方紹介)(第九〇三五号)  同外四件(石野久男紹介)(第九〇三六号)  同(岡田春夫紹介)(第九〇三七号)  農地法の一部を改正する法律案反対に関する請  願(田代文久紹介)(第八九六三号)  食管制度及び農地法改悪反対に関する請願(  田代文久紹介)(第八九六四号)  農業者年金制度確立に関する請願外五件(佐藤  洋之助紹介)(第八九七二号)  国有林野の活用に関する法律案成立促進に関  する請願外一件(地崎宇三郎紹介)(第九〇  一七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(家畜衛生、農薬  及び農用地造成事業に関する問題等)      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  3. 柴田健治

    柴田委員 四点についてお尋ねをしたいと思うのですが、まず畜産局長からお尋ねしたいと思います。  今年度の予算で、家畜衛生強化ということで、この予算の中で、家畜保健衛生所整備三十二カ所、解剖施設二十九カ所、診断機能向上促進機械設備三十五カ所、こういうことで十三億四千九百六十一万八千円という予算を組んでおられるのですが、この中で、保健衛生所施設費一億百九十一万八千円という、この補助基準というものはどういうぐあいになっておるのか、御説明を願いたいと思います。
  4. 太田康二

    太田政府委員 施設費お尋ねでございますが、家畜保健衛生所整備等をいたしておることは御承知のとおりでございまして、従来ある施設に新しく施設をつけ加えるということで、家畜保健衛生所としての必要な施設面積を、われわれは二百六十四平米と見ておりまして、既存の施設はいまだ耐用年数内にあるということから、不足分の百三十二平米を増築する。それに要する経費といたしまして、一平米当たり二万九千五百七十六円という補助単価、一カ所平均百六十八万八千円でございますが、これで補助をいたしておるのでございます。   〔委員長退席三ツ林委員長代理着席
  5. 柴田健治

    柴田委員 この保健所施設費補助基準なんですが、いま聞きますと、一平米が二万五千五百何ぼということですが、たとえば、これは永久建築木造か。この点は、木造でもいいのだ、簡単な掘っ立て小屋でもいいのだという主義、それしか考えられない、二万五千程度補助では。保健所機能を十分発揮させるためには、どういう施設が必要なのか、土地はどうなるのか、こういう点については、全部地元負担すべき性質のものかどうか。その保健所施設には、どういうものを備えるのか、そういう標準は畜産局のほうにはないのですか。
  6. 太田康二

    太田政府委員 現在、補助対象に考えておりますのは、基幹的な施設ということでございまして、一応コンクリートブロック建てということで考えております。  本来、家畜保健衛生所は都道府県の行政機関でございますので、県が設置をする、これに対して必要な助成を国がいたすというのが、家畜保健衛生所法の第七条と思いましたが、規定をいたしておるのでございまして、国としては必要な範囲補助をいたしておるというふうに理解をいたしております。
  7. 柴田健治

    柴田委員 どうも局長答弁は当を得ていないと思うのです。やはり農林省家畜保健衛生所設置基準というものはある程度いままで示してきており、それに対して補助という裏づけをしてきておるのですから、保健所建物基幹施設だけというのじゃなくして、たとえば車庫をどうするか、宿直室実験室更衣室、また給水施設排水施設、全体を含めて何と何とがほんとうに必要なのか、その必要度に合わせて、どういうものだけは県が負担をして国はどの分だけという、もっと明細に説明願いたいと思うのですよ。局長答弁を聞くと、どうも木で鼻をくくったような答弁です。これは親切みがないと思うのですよ。  これから総合農政ということで、新農政がどういう形で出てくるかわかりませんが、畜産というものは重点的に考えざるを得ないという、そういう方向が出てくるのじゃないか。そういう成長部門である畜産関係施設を、そういう簡単なことで説明をされるとわれわれは思っていないのです。もっと懇切丁寧に、内容を具体的に説明願えるものだ、こう思ってお尋ね申し上げておるのです。もっと具体的に御答弁を願いたいと思います。
  8. 太田康二

    太田政府委員 基幹的施設と申し上げたのでございますが、現在補助対象にいたしておりますのは、事務室診療室実験室薬室検査室器具洗浄消毒室、小動物飼育室図書資料室、これらを一応の基準といたしまして、それ以外に解剖室病性鑑定室、こういったものを補助対象にいたしておるのでございます。
  9. 柴田健治

    柴田委員 昨日も畜産局長は、農地法審議の中で御答弁されましたが、今後の肉畜頭数乳牛頭数、また新国総計画の中にも、肉畜なり乳牛を含めて一千万頭を、将来日本畜産振興の中でふやしていくという計画が発表されておるわけですが、大阪だ、東京だという大都市、その大都市付近では、どんなに期待をいたしましても畜産が伸びるとは考えられない。やはりもう地域的に、限定されてくるのではないか。特に山村地帯である。ところが、その山村地帯でも、畜産の伸びる地域と伸びない地域があるのですが、そういうことを総合的に判断をして、現状分析の上に立ってわれわれが考えると、この一千万頭というのは実現可能かどうかわかりません。けれども、計画として出された限りにおいては、経済企画庁が農林省と照らし合わせてこういう数字を出してきたと思うのです。  そういうときに、家畜保健所機能というものが今後どういう役割りを果たしていくのか。また、戦後この二十年余りの間に、一たん家畜保健衛生所設置されまして、それが今度農林省方針で、広域化ということばの中で統廃合を強要してきたが、ただこの区域だけに重点を置いて広域化と言われたのか、今後頭数をどういうふうにふやしていくのか、一保健所単位で何千頭、受け持つのが適正な規模か、また、保健所としての適正なその行政区域の中で、広域化ということばの中で、どの程度めんどうを見られるのか、一つ保健所で大体何頭くらいが指導できるのかという基準お尋ねしておるので、その点どういう考えを持っておられるのか、お答えを願いたいと思うのです。
  10. 太田康二

    太田政府委員 御承知のとおり、家畜保健衛生所法に基づきまして、家畜保健衛生所は、その第三条で事務が規定されておるのでございまして、第一線衛生行政を担当いたしておる機関でございます。  ただ、昭和二十五年に設置いたしました当時と今日とで、畜産事情が大いに変わってきておりなす。と申しますのは、多頭数飼育の増加に伴いまして、家畜衛生事故による被害の大型化あるいは衛生事情が大きく変貌いたしまして、従来のように、家畜保健衛生所機構でやってまいりますと、必ずしもそういった変化に対応できない。  一方におきまして、交通も非常に発達してまいった、あるいは通信機関の発展もある、市町村も合併した、あるいは農業協同組合等農業団体合併等が行なわれておるというような事情にもございましたので、従来は二ないし三名程度家畜保健衛生所を数多く設置をいたして、たしか五百八十六カ所あったのでございますが、これらを、家畜保健衛生所業務能率化あるいは質的向上ということで、十一人以上の規模にまとめまして、これらによりまして家畜保健衛生所機能を十分に発揮するというほうがよかろうということで、昭和四十年度から整備統合を始めたのでございます。  こういったことは、農業改良普及所なんかについても行なわれておるのでございまして、もちろん、そのためにいろいろな事務機能が低下をいたしてはいけないということで、それぞれの施設整備等もいたしますし、機動力設置に対する助成もするということで、機能向上にはつとめておりまして、現在これを実施中でございます。  その際、各県によりまして事情がそれぞれ違っておりまして、各県がそれぞれ必要とする家畜保健衛生所の数をわれわれと十分相談いたしまして、そのわれわれとの相談の上で、整備統合を行なっておるというのが実態でございます。
  11. 柴田健治

    柴田委員 この保健所というのは行政機関として、あくまでも官庁機構出先機関として考えておられるのか、これは農林漁業施設として認められておるのか、どちらが強いのですか。やはり官庁として認められておるのですか。
  12. 太田康二

    太田政府委員 われわれは行政機関というふうに考えております。
  13. 柴田健治

    柴田委員 行政機関という立場に立っておられるのですが、これは行政機関ではあるけれども、末端では、養鶏家養豚家酪農家、またその他和牛を飼っておる農家等は、行政機関としては案外見ていないんじゃないか。生産農民のいろいろな家畜衛生全般にわたり、また防疫体制全体にわたって直接に指導してもらう、そういう機関である、一つ行政機関とは見ながら、やはりそういう面も含めて、生産部門指導する一つ機関でもある、どちらかといえば農林施設、こういう考え方も持っておるようであります。その点、あくまでも行政機関として今後明確に法的に指導していく、こういうことは、局長、変わりはないのですか。
  14. 太田康二

    太田政府委員 行政機関であるかどうかというお尋ねでございましたので、行政機関であると申し上げたのでございますが、家畜保健衛生所は、先ほど申し上げましたように、家畜衛生第一線行政機関であるわけでございまして、第三条に事務範囲が書いてございますように、いろいろな事務をいたしておるのでございます。  その際、これだけの事務を効率的に行なうためには、整備統合をしたほうがより効率的に実施できるであろうというのが、整備統合の趣旨でございます。  ただ、現実の問題として、開業獣医師との業務の調整の問題もございまして、実は診療業務を行なうことは慎まれたいというような通達もいたしたことがあるわけでございまして、やはり第一線行政機関として、今後もこの三条に設けられました事務を、円滑に遂行してまいるように指導してまいりたい、かように考えております。
  15. 柴田健治

    柴田委員 行政機関である、今後もそういう基本で指導をしていきたい、こういう御説明なんですが、それなら、私は過去の歴史からひもといていきたいのです。  私、農協の組合長や村長当時に家畜保健所をつくったのですが、それを設立した責任者として苦い経験を持っている。当時、山根という畜産局長がおられた。いろいろ論争したことがございますが、そのときの保健所設置は、それぞれの地方公共団体行政区域、それから農家戸数飼育頭数、そういうものを基準に、設置基準というものは大体こうあるべきだ、こういうことで国の補助、県の補助をもらってやった経験があるわけです。当時、国と県とで施設を四割補助しかくれなかった。六割が地元負担で、その上に土地無償で提供しなければならぬ。それから、無償土地を含めて全部施設をつくって出して、それを地方公共団体寄付採納という形にする。  ところが、今度は農林省方針で、それを整備統合するという美名のもとに、新しい観点に立って、新しい畜産衛生普及、宣伝、指導という立場で、一方交通統合を強要している。今度また再び——別な新しい施設ならいざ知らず、同じような保健所の、ただ建物規模が大きいだけで、二回もそういうことを繰り返して、地元土地も、給水排水工事などあらゆる付帯施設を全部寄付させるがごときは、筋が通らぬと私は思うのです。二回も地元寄付させる。一たん寄付採納をさせて、そしてまた統合をする。  これは農林省関係ではございませんけれども、県はどういうことをいうかというと、いままで無償寄付採納させた施設は、一方的にその保健所を廃止するのであるから、いままでの寄付していただいた施設土地建物は、地元に返しますというならまだ筋がわかるのですよ。ところが、補助金適正化法律によって、国から補助をもらった財産を処分しなければならぬ、売り払います、売り払った代金を国に返し、県にももらいます、こういうことで、地元からただでとった物件を今度は売りつける。そして今度は、統合した保健所をまた建てるから、補助を何ぼかやるからあと地元負担しろ、こういうことで同じことを二回も繰り返す。五十年の歴史を経たならまだわかるのですよ。二十年たつかたたぬのにそういうことを指導することは、われわれとしても納得いかぬのですが、局長、あなたが末端の住民として考えてごらんなさいよ。これはもうどこの県も同じうき目を見ておるのですよ。農林省が一方交通で、一方的な計画のもとに、いままでの五百八十六カ所の保健所を、各県二ないし三カ所につくるべきだ。それで少しの補助を出し、あとの全部をまた地元から寄付させるということを二回もして、そうまでしなければ畜産行政というものは伸びないのですか。局長、お答え願いたいと思うのです。
  16. 太田康二

    太田政府委員 お答え申し上げます。  何か私のほうが、一方的に強制したというようなお話でございますが、決してさようなことはないわけでございまして、先ほど申し上げたような新しい畜産事情に応じて、整備統合をしたほうが、家畜保健衛生所機能をより発揮する意味においてよろしかろうという方針に基づきまして実施いたしておるのでございます。  ただいまお尋ね寄付の問題は、毎度国の補助金との関係で問題になる点でございまして、われわれもそういったことのないように指導はいたしていくつもりでございます。  今回の場合、確かに補助金対象になっておる施設が、現実に建てられた施設と比べますと少ないというような点もあろうかと思いますので、そういった点につきましては、われわれは今後改善を加えていかなければならないというふうに考えておりますが、とにかく、地元からの寄付を仰ぐというようなことのないように指導をしてまいりたい、かように考えております。
  17. 柴田健治

    柴田委員 局長は都合のいいときだけは、地方公共団体責任をなすりつけるような言い方をする。そういう一応好ましいというような言い方指導したとわれわれは解釈していない。半ば強制的だと私は思う。  われわれが地方議会におった時分、将来畜産を伸ばしていかなければならぬが、生産農民ほんとうに恩恵を受けたのは、あらゆる行政機関出先機関がありますけれども、生産農民に直接親身になって、窓口になって相談して、いろいろな指導を受ける機関というのは、家畜保健衛生所だ、また農業改良普及所だ、それを統廃合するのは筋が通らない、こういうことでわれわれはやかましく言ったときがございますが、これは農林省方針です。文書が来ております。口頭で内示なり軽い気持ちで指示したのではないと私は思う。いまになってそういう暴言を言われると、地方公共団体は大迷惑だと私は思うのです。基準をきめて、十人以上の職員に今度は組みかえをすべきだ、そういうことをいっておいて、統合しなければ保健所は認めないとか、あれは国庫補助職員ですけれども、国庫補助職員も認めないとか。あるいは定数を減らすとか、まるで恐喝的なことを指示しておいて、いまごろになってそういうことを局長が言われるのは無責任じゃないですか。あなたはそのときの局長じゃない。前の局長だから、あなたを責めているわけじゃないけれども、引き継いでいる以上責任があるのです。だから、私はもうそういう点はお答え願おうとは思いませんけれども、二回も地元から負担を取るというのは、私は筋が通らないと思う。  この間、六月十五日の日曜に、農林大臣秋田農民と討論しておられた。一々メモをとりましたが農林大臣は、ことしは農林予算は使い切れないほど持っております。こういうふうに秋田県の農民に言われた。これは秋田農民だけじゃない、全国の農民がNHKを通じて聞いているわけです。使い切れないほど、農林予算があるのなら、こんな補助基準補助を出さないで、もっと畜産に力を入れる、総合農政にもっと力を入れるということになったら、こういう試験機関であろうと、衛生機関であろうと何であろうと、もっと力を入れたらどうですか。それがサービス機関じゃないですか。サービス機関を充実することは、農民に対する愛情の一つの示し方じゃないかと私は思う。もっと補助率を上げたらどうですか。あり余っている予算じゃないですか、このくらいのことができなくて、今後日本農業を愛す、日本農業を伸ばしていくということはいえないと思う。どうですか局長農林予算はあるでしょう。ふやしなさいよ。
  18. 太田康二

    太田政府委員 補助率は、法律に法定されておるのでございますが、先ほど来申し上げておりますように、従来補助対象になっておる施設、あるいは補助単価等につきまして、御指摘のような点があろうかと思いますので、将来その点につきましては検討を加えてまいりたい、かように思っております。
  19. 柴田健治

    柴田委員 将来ということばがどうも…。将来というのはあすからでも将来です。解釈の問題ですよ。これはどこの県でも因っているのです。地方財政が多少職かになったが、また地方財政審議会に変な者が入ってきた。あの審議会委員の顔ぶれを見ると、少し地方公共団体財政が豊かになったから、締めつけようというような相談が出て、いずれまた明年度予算では地方財政計画を変更させるのではないか。少しよくなると締めようとする。  こういうふうな国の補助単価にしても、また施設取り上げ方にしても、あまりにも不合理が多過ぎると私は思う。この補助単価の変更を——補助率現行法規がございますからできないにしても、土地にしても、付帯施設、そういういろいろな施設がたくさん要るわけですから、全部含めて、いまの補助率でもしようがないんだから、もっとワクを広げて出したらいいんじゃないか。将来といわずに、ことしの四十四年度の予算でそういう措置をやります、それをお答え願いたい。次官相談してお答え願いたい。
  20. 太田康二

    太田政府委員 四十四年度からの実行は、不可能であろうと思うのでございまして、四十五年度予算の編成にあたりまして、そういった点を十分配慮してまいりたいと、かように考えております。
  21. 柴田健治

    柴田委員 次官は、おくれて来られたのですが、家畜保健所施設補助に対して、ただ基幹施設だけに補助を出すのじゃなくして、付帯施設まで含めて補助を出したらどうか。そしてまた、いまの補助率をそう簡単に変えるわけにはいかないけれども、単価を更正してやったらどうか、こうお尋ね申し上げているのです。農林大臣は、農林予算が四十四年度あり余っておると、この間六月十五日にテレビで言うておる。あり余っている予算なら、こういう面にも力を入れるべきではないか、こうお尋ね申し上げたのですが、次官どうですか。四十四年度の予算で直す意思はありませんか。
  22. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 畜産関係予算については、ことし相当伸ばしたつもりでございますが、ただいまおっしゃるような家畜保健衛生所予算につきましては、すでに今年度予算成立をいたしまして、国会の御承認を得て、その細目等についてもきまっておりますので、何とか検討はしてみますけれども、おそらく今年度は無理じゃないか。来年度は、ひとつ御意見を十分承りまして、大いに伸ばしていきたいと考えております。御了承いただきたいと思います。
  23. 柴田健治

    柴田委員 これは次官、新しい施設じゃないのですよ。これはどこの県も同じ悩みを持っているのですが、いままで保健所が全国で五百八十六カ所あったものを統合させて、その一番最初保健所設置されるのに、地元負担をうんとさせているわけですよ。一たん負担をさせてでき上がった施設を、国と県が一方交通で廃止をして統合したものをまた地元負担、二回も地元負担させるのは筋が通らぬじゃないか。ほかの補助とは違うのです。  私がお尋ね申し上げたいのは、二回も地元負担をさせて、九百二十万円しか国と県が負担しない、残り四百三十五万円は全部地元が出せ、こういうえげつないやり方なんですよ。二回も同じことを繰り返させている。これは特別の問題として政治的に配慮すべきじゃないかと私は思う。学校の施設補助を出すのとは違うのですよ。一たん保健所をつくって寄付採納させて、農民が廃止してくれ、統合してくれとも言わないのに、国と県の方針でやったものを、また同じものに金を寄付させるというのは筋が通らぬじゃないか。これは特別の措置として考えるべきではないかと私は思う。紋切り型の答弁をせずに、そういう過去の歴史を踏まえて判断をしていただいて措置を願いたい。いまのような答弁なら初めから質問いたしません。善処しなさい、こう言うているのですよ。どうですか。
  24. 太田康二

    太田政府委員 きびしいおしかりでございますが、よく県とも連絡をとりまして、さようなことのないようにいたして補助をいたしたいと、かように考えております。
  25. 柴田健治

    柴田委員 その点については、十分配慮を願いたいと思います。  保健所行政機関局長はいま認定されたのですが、今度の新都市計画では、農業施設というものはできる限り他に移す、こういう考えを明らかにしておられるのですが、ああいう保健所を市街化区域の中につくらせていくということ自体が私はどうかと思うのですよ。ニューカッスル病が出た、炭疽病が出た、いずれそういう法定の家畜伝染病が発生した場合に、市街化区域の中に保健所をつくって効果があるのかどうか。行政機関であるからいいじゃないか、行政機関と認定しておいて、地元負担金を取る。行政機関なら国と県がつくるべきです。地元負担金まで取って、町のまん中に保健所をつくらせる。  この「農林広報」これは農林省が出されたのですが、これを局長読まれていると思うのです。「市街化調整区域における今後の農林漁業関係施策について」の四の項に、「家畜衛生、動植物防疫、病虫害防除等の事業」とある。町の中に保健所じゃ、そういう防除事業そのものはしないけれども、農家の人がせびろを着て町のまん中へ行けるわけがないですよ。これは法的には違反でも何でもないのだけれども、好ましい姿かどうかということ。どうですか。
  26. 太田康二

    太田政府委員 家畜保健施設をどこに設置するかということで、市街化区域設置するのはおかしいのではないかというふうなお尋ねでございますが、それぞれ当該都道府県におきます畜産事情、あるいは衛生事情交通事情等を勘案いたしましてきめておると思うのでございまして、もちろん私のほうがこれを承認いたしておるのでございます。  先生お尋ねのケースは、おそらく津山のケースだと思いますが、津山の場合には、津山の町はずれの何か県の桑の試験場のあと地か何かに設置するということでございまして、農業の生産施設ではないわけでございますので、私はその設置について、必ずしも不適当であろうというふうには考えていないのでございます。
  27. 柴田健治

    柴田委員 いや、私は津山とかなんとか言っているのじゃないのです。まだほかにもある。知っているから言ったのですよ。できる限りはそういう施設は純農村地帯に持っていったほうが、生産農民とのつながりを深め、また、行政指導も十分できるのではないか。一々せびろを着て町を通ってまん中へ入っていかなければならぬというようなことは非能率的だ。地下たびがけで、作業服そのままですぐ保健所へ飛んでいって相談もできるような、そういう地域のほうが好ましいではないか、こう言っておる。今後そういう点については十分お考えを願いたいと思います。  それから、次にお尋ねしたいのですが、もう聞いておられると思いますが、種苗行政についてお尋ねしたい。  もう十分調査せられておると思いますが、ある種苗会社が種子を間違えて、原野に植えつける種子を水田裏作に植えつけた。何も手落ちはない、これは民間の会社と農民がかってにやったのだから知らぬと、こう言われますけれども——言われるかどうかわかりませんが、そういう考えがあるのじゃないかと思うのですが、どうも役人というのは都合の悪いことは逃げちゃう。これは種苦行政の誤りがあるのではないか、そういう感じが強く持たれる。局長どうですか、この点について私のほうから詳しく申し上げなくても、あなたのほうで調査しておることをみんなの前で御報告願いたい。
  28. 太田康二

    太田政府委員 不良種苗、作物種子の問題でございますが、昭和四十三年の秋に、種苗会社が輸入いたしましたイタリアンライグラス種子の一部に、ペレニアルライグラスの種子が異常に混入をいたしておりまして、これを水田裏作にまきました場合に問題になったのでございます。  被害の発生いたしました県は、岡山、福岡、宮崎の三県でございまして、面積的に申し上げますと八百八十ヘクタール、水田被害額が約二千万円ということになっております。  このペレニアルライグラスという種子でございますが、イタリアンライグラスと比べますと収穫期が非常におそいということで、水稲開始時期が参りましたので、なお生産量が上がるのでございますが、収穫を中止せざるを得なくなった、その結果、結果的に見ますと、期待された収量が得られなかったというようなことがあったのでございまして、なお、このペレニアルライグラスをまいた水田の耕起が、非常に困難になったというような問題が起こったようでございます。  そこで、この問題につきましては、種子の販売業者が購入者に対しまして不測の損害を与えたわけでございますので、見舞い金を交付するという形で問題の処理に当たったようでございまして、現に話し合いのついたところ、なお話し合いを進めておるところがあるようでございます。
  29. 柴田健治

    柴田委員 私は、補償の問題だとか、賠償の問題だとかいうのでなくして、今後こういうことが起き得る可能性が強くなってきた。たとえば、粗飼料の確保という立場で飼料対策に重点を置くときに来たのでありますが、外国からどんどんいろいろな種子が入ってくると思う。その場合、こういうことが常に起きたら、農民ほんとうに困るのですよ。  私は現地を見ましたが、イタリアンライグラスだというので信頼して農民は水田裏作をやった。そうしたら根のほうが張って、十馬力の耕うん機でも表土が起きてこない。あと稲も植えつけできない。それから、結局二回水田を使うのが一回で終わってしまう。それは農林省は喜ぶでしょう。稲を植えないようになったら、生産抑制しておるのだから、稲を植えなんだら助かったということで……。農民からいえば、所得にたいへんな影響をしてくる。それがあとあと二年くらい影響してくる。根が腐るまでほかの農作物はできない。こういう被害をこうむって迷惑しておるのですが、ただその補償の問題を言うのではない。それは適当に、良心に従って道義的にそれぞれの関係者が解決するでありましょう。  けれども、農林省は今後、この種子のあっせんをするせぬは別として、この種苗行政をどういう方向で指導し、取り組んでいこうとするのか。たとえば、種苗法を改正するのか、それから植物防疫法を改正するのか。そういう問題をある程度きびしく規制し、また十分目の届くような行政をすべきではないかと思うのですよ。それは外国から輸入されてきたんだから、植物防疫法からいえば十分検査もし、防疫も行なわれておると思うのですよ。しかし、イタリアンだという名前がついておったら何でもいいか。そんなら油だったら、油という名前をつけておったら、防疫官はそれが桐油が入っておろうと、なたね油が入っておろうと、何の油が入っておろうと、油という名前がついておれば何でも通すということになるのか。防疫官は何を調べたのか、こういうことになる。そういう手落ちがあるのじゃないですか。局長どうですか。
  30. 太田康二

    太田政府委員 お尋ねのとおり、種苗作物の種子につきましては、年々その需要量がたいへん増加をいたしておるのでありまして、ものによりましては、国内で供給できないものがございまして、一部輸入に仰いでおることは御承知のとおりでございます。  そこで、主要な生産資材でもございますので、農家に与える影響の重要性にかんがみまして、実は昨年の十二月に、種前作物の種子の検査証明を目的といたしますところの、社団法人の日本種苗作物種子協会というものを設立いたしたのでございます。これは現在の種子の業者、それから各県、それから関係農業団体、それから地方競馬全国協会等がそれぞれ出資あるいは助成をいたしまして設立いたしたのでございまして、これらが、輸入業者等から依頼を受けましての検査を実施いたしまして、今後、今回起こりましたような事件が起こらないように、十分この機関の育成強化につとめまして、こういった不測の事態が起こらないようにつとめてまいるという体制をとっておるのでございます。
  31. 柴田健治

    柴田委員 取り組み方はわかったのですが、現行制度の種苗法の改正、また植物防疫法の検査方式をもっときびしくする、検査方式もこの際変えていくという、そういう考え方はないですか。
  32. 安尾俊

    ○安尾説明員 お答えいたします。  海外からの種子の輸入に際しましての植物検疫でございますが、この問題は、種子という性格上非常に厳格にいたしておりまして、むしろ現在、アメリカ等から申しますと、少し日本の種苗検査はきびし過ぎるのじゃないかというふうなことまでいわれておりますが、わが国では作物の種類も非常に多うございますし、栽培方法も非常に複雑でございますので、わがほうとしては非常に厳密にやっております。
  33. 柴田健治

    柴田委員 厳密にやっておられて、これだけ外国からいろいろな虫や何かを入れてくるのですから、われわれえろう厳密にしておるとは思えぬ。いま日本生産農民が、あらゆるものについていろいろ弊害を起こしたというのは、ほとんど舶来品が多い。その点もっと十分やってもらいたいという気持ちを持つのは、私は当然だと思うのです。今後、その点については十分配慮願いたいと思います。次にお尋ねしたいのは、専売公社の関係なんですが、今年の初めに、今年産の葉たばこ耕作について、専売公社が推奨した外国製の除草剤バナフィン、このバナフィンが、除草剤といいながら実質的には葉たばこに弊害を及ぼした。これは十分専売公社も調査をせられて、いま取り組んでおられるから、実態がつかめておると思いますが、簡単に経過の報告だけを願いたいと思います。
  34. 大塚孝良

    ○大塚説明員 バナフィンの薬害についての経過を申し上げたいと存じます。  最近、たばこ耕作は畦面被覆というのが盛んになってまいりまして、こういたしますことによって収量の安定、品質の向上がはかられておるわけでございますが、従来の移植期では、それほど移植当時の雑草が問題にならなかったわけでございますけれども、畦面被覆をいたしますと地温が上がってまいりますので、従来の方法でははえなかった雑草が、その時期にはえてまいります。  したがいまして、耕作者からいい除草剤という要望が非常に強かったわけでございますので、私どもの岡山試験場におきまして、四十一年には簡単な予備試験、四十二、三の二カ年間にわたって八種類の除草剤をテストいたしました。そのうち除草効果があり、しかも、まずたばこに薬害がない、それから、たばこをとりましたあとあと作等にも影響しないというのを二種類見つけ出した。その一種類がバナフィンでございます。なお、岡山地方局におきましては、昨年、ごくわずかでございますが、各出張所の管内においてもテストをいたした次第でございますが、その際も薬害が発見できませんでした。  したがいまして、本年は指導に際しまして、もしそういう要望が強い場合には、この薬剤なら使ってもまずだいじ上うぶだということを申し上げたわけでありますが、大体現在までの調査によりますと、この薬剤を使った面積は全国で千百六十四ヘクタール弱でございますが、そのうち被害が出た面積、これは重症、中症、軽症には分けておりますが、総面積が百人十二ヘクタール弱ということになっております。  これが原因については、目下試験場で鋭意荷現試験をいたしておりますが、簡単な再現試験では出てまいりませんので、さらに産地の実態をよく調べておる次第でございまして、まだ確実な再現試験はできておりませんので、したがって、どういう原因かということは、ここで申し上げられませんが、全部の試験場を使いましてその検討をいたしておる次第でございます。  ただ、産地の実態を見てまいりますと、薬害が発生した地帯というのは、大体、移植時が多少干ばつぎみであったということと、それから、被害をこうむったのは非常に小苗で深植えであった地帯に多いということでございます。移植前に使う薬でございますので、たばこそのものに薬がかかるという心配がないとわれわれは思っておったのでございますが、ただいま申し上げましたように深植えをいたしまして、小さい苗で、薬剤がすでに入っております土がしんの葉にかかりますと、どうも薬害が出ておるような状況でございます。  そのほかにもう一つ、土寄せをいたしましてからあとで使うやり方がございます。その際には葉っぱにかけないようにということを指導していたわけでございますが、発見をいたしましたのが四月の下旬でございましてまだ土寄せ時期になつておりませんので、直ちにこれを使わないように産地に伝えましたので、土寄せの時分には使われていないと思います。  発見が多少おくれましたのは、被覆栽培の被覆下にございましたので、そういうことが被覆の上からなかなか見えなかったというようなことでございまして、われわれのほうは、直ちに症状をカラー写真にとりまして、各地方局に調査を命じたのが先ほどのことでございますし、発見してからすぐ、この薬剤は使用をしないようにということで連絡し、なお、非常に重症なもので早く発見して、植えかえが間に合うものは植えかえておりますし、しんはやられましても、御承知のとおりたばこはわき芽は非常に出るわけでございますので、わき芽のほうを育てて、現在ではかなり回復している状態でございます。中症、軽症では、ある一、二枚の葉が縮れたような症状をいたしますが、その後出てまいります新葉には異状を認めておらない次第でございます。  現在、そういう状況でございます。
  35. 柴田健治

    柴田委員 被害の実態を申されたのですが、われわれからいうと、専売公社のほうの手落ちが十分ある、こう見ている。副総裁見えておるのですけれども、あまりいじめてもどうかと思うのですが、もっとすなおにひとつお答え願いたいのです。  聞くところによれば、専売公社は、二カ年にわたって試験をやったものを推奨したということになっておるのです。公社のほうにいわせると推奨した覚えはない、こういわれるかもしれない。しかし、間違いのない事実としては、やはり推奨したという受けとめ方を一般の者がしておるということは、われわれも承知いたしておる。そういう観点から判断して、まいると公社がもっと適切にやる方法があったのではないかと、いまから考えてみるといろいろ考えさせられる点があるわけであります。たとえば、農薬取締法という法律があるのにもかかわらず、もっとこういう点でも専売公社はよく勉強してかかるべきではないか、こういう気がするのですが、副総裁、この点についてはどうですか。
  36. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 今回のバナフィンの問題につきましては、御指摘のように、公社も非常に反省を要すると考えております。  試験を二年にわたりましてやりました結果、研究者の側には自信があったようでありますけれども、研究者がやります場合ないしは研究者が委嘱しました、かなり熟練しました農家が使われます場合と、一般の農家が使われます場合に、かなり違った注意が要ったのではないかとも思う次第でありますし、先ほど生産部長から申し上げましたような、いろいろなこまかい厳重な注意が、本来必要な薬品であったように思います。私ども技術者でございませんので、はなはだ不十分なこともあるかと思いますが、研究のしかた、指導のしかた等につきましても、今後十分考えなければならぬと思う次第でございます。  御指摘の、取締法の登録を受けていなかったというものにつきまして、受けられる見込みであるというふうな情報を流したりいたしました点につきましては、これは弁解の余地のない、たいへんにまずいことであったと考えておる次第でございます。農林省のほうからも厳重な警告を承っておる次第でございますけれども、そこらの点につきましては、今後この種の農薬を使ってもいいと認めるべきか、認めるべきでないのかというようなことをきめます手続等につきましても、もっと反省をいたしまして、改めてまいりたいと考えておる次第でございます。  農薬の推奨という問題につきましては、いろいろな面から問題があることは、先生御承知のとおりでございますが、特定の会社の薬品を、特定の会社のために利益になるような動き方をしたというふうなことになりましても、また非常にぐあいが悪い点もございますので、推奨というようなことは極力避けておる次第でございますが、それは責任をのがれるという意味ではございませんでして、公社の置かれておる立場が微妙で、いろいろな影響がありますために、みずからとります行動につきまして、控え目でなければならぬという配慮からきておるものでございますので、その点をひとつ御了解をお願いしたいと思う次第でございます。
  37. 柴田健治

    柴田委員 副総裁がすなおに、悪い点は悪いで率直に反省せられたので、これ以上追及したいと思わないのですが、二カ年の試験期間というのは、試験のやり方も今後反省してもらいたいと思うのですね。二カ年で十種類ほど試験をやって、そのうち二種類ほどがいいだろう、こういう。ところが、一つの試験を一カ所だけでやるということは、これは非常に危険度が高い。日本列島長いのですから、それは九州ブロック、中国、四国、近畿、中部、東北ということになりますと、それぞれ雨量関係も違う、気象条件も違う、上質も違う、また地温も変わってくる。いろいろあるから、やはり一カ所だけ試験をやるということは、将来十分心がけてもらいたい。少なくとも三カ所、四カ所、また他の試験機関にも委嘱をして、委託費でも出して試験をやってもらうくらいの熱意がほしい。そうしないと、こういうあやまちがまた出てくる、こういう気がいたしますので、今後の試験については十分配慮を願いたい、こう思うわけです。  それから、補償の問題もありますけれども、それはあとにして、こういう問題がなぜ起きたかということは、これは、もうお互いにはそれぞれの欠陥があるから起きたとはいいますけれども、やはり専売公社の取り組みの姿勢の問題もあると思います。その点については、いま副総裁が反省されたのですが、農林省の遠藤さん見えていますか。——聞くところによれば、今年度中に農業災害補償法を検討して改正したい、こういう考え方があるようでありますが、この農業災害補償法を改正せられるのなら、この農産物の農薬災害というものも、ひとつこの農業共済制度に適用できるように考えたらどうか、法の改正をしたらどうか、こう私たちは思うのです。これをしないと、専売局のほうだけに、専売法を改正しろとか、政令なり省令でこれを災害補償に適用しろといってもできないので、やはり農林省全体としても、この農産物の農業災害に、現行の、たとえば雪害、水害、干害、ひょう害、いろいろございますけれども、それに農薬災害というものを加えたらどうか、改正すべきじゃないか、こう考えるのですが、どうでしょうか。
  38. 福島量一

    ○福島説明員 農業災害補償法の保険事故の中に、農薬を取り入れたらどうかというお話でございますが、ただいま先生のお話にもございましたように、現在の農作物の共済保険事故といたしましては、風水害等のいわゆる気象災害と、それから病虫害、鳥獣害、こういったいわば自然災害に準ずる災害だけが保険事故に取り入れられているわけであります。  農薬の災害について、この事故に取り入れたらどうかという点について考えてみますと、一つは、農薬の災害というものが、先ほども申し上げましたような現行の保険事故と対比して考えてみますと、自然的災害というよりもむしろ人為的災害と申しますか、そういうものに近いのではないかというふうに考えられるわけです。  それで、人為的災害としましても、さらにこれを大ざっぱに分けてみますと、一つは、薬害の原因が、薬剤そのものに欠陥があると申しますか、瑕疵があると申しますか、そういった場合と、農家の取り扱い方法が間違った場合に起こるといいますか、そういった場合に起こるというふうに、ごく大ざっぱに考えられるわけでございますが、前者の薬剤そのものの欠陥といったような場合につきましては、むしろそのメーカーといったような業者と農家との間の関係で処理さるべき事柄ではないだろうかというふうに考えられますし、後者の、農家の取り扱い上の誤りなり過失によるものについては、これは、どうもいまの保険というものの性格からして、これを補償するというのはいかがであろうかというふうにも考えます。  現在の段階では、直ちに農薬の災害を保険事故に取り入れることについては、ただいま申し上げましたような意味で問題はあるというふうにわれわれは考えておりまするけれども、なお今後とも農薬災害の実態等も十分調査してみた上で態度をきめてまいりたい、かように考えております。
  39. 柴田健治

    柴田委員 いまの説明を聞いていますと、メーカーが悪いとか、使用者側の農家が悪いとか、そういう面は、これは現地を見たらわかることなんです。それは法の適用をするのは、ただ個人個人の農家の面積で適用するというのでなくして、一集団での面積で適用したらいい。要するにこの葉たばこの被害を見ても、これはだれの責任かというのです。責任といったら、それは公社にもある。公社も損害補償を出す、メーカーも出す、三者が負担をするといっても、実質的に公社は出せない。だから法を適用して、面積によって補償するかしないかということを考えたらいいんじゃないか。一ヘクタールや二ヘクタールを直ちに対象にしろというのではなくて、たとえば基準をきめて、百ヘクタール以上の被害をこうむった場合は、農薬の災害であろうとも適用する。  農業災害補償法の一条には、ちゃんと書いてあるのですよ。「農業者が不慮の事故に因つて」と書いてある。不慮の事故ですよ。これは不慮の事故を拡大解釈するかしないかで変わってくると思う。「不慮の事故に因つて」と第一条の目的に書いてある。今度の葉たばこの耕作を見ると、この被害は不慮ですよ、どちらかというと。専売公社が悪意でやったはずもなし、メーカーが悪意でやったはずもなし、農民も悪意じゃない。意識的にそんなことをやったことはないと思う。どちらかというと不慮の災害です。そういう不慮の事故ということが災害補償法の第一条の目的にちゃんと書いてあるから、それはもう施行令の中で変えればいいのであって、基準を立てていくべきである。ただ使用者が悪い、メーカーが悪い、それだから役人の考え方は頭が古いと思う。  いま、全国で農薬がどのくらいありますか。二百四十から農薬の種類があって、非常に危険のものは使用を禁止されておると思いますけれども、まだまだ新薬はふえてくる。人間の飲む薬と一緒です。幾らでもふえてくる。どんな場合に、それぞれの手落ちがあるかもわからない。農薬の使用の上昇率を見ると、毎年一〇%以上伸びておる。四十三年度で七百六十億円くらい農薬を使っておるのですよ。耕地面積から見て農薬の使用量はどんどんふえてきておる。水稲栽培の農薬の使用、それから、政府が今度蔬菜とか果樹とかなんとかいったら、まだまだ農薬の使用量というものはふえてくる可能性がある。  こういう点を考えた場合に、農薬災害を不慮の事故として——私が言うのは規模の問題だと思う。ただ個人の農家が一ヘクタールだけ被害を受けた、すぐ適用しろ、そんなことはできない。不慮の事故というものはきまっている。病虫害にしても、天災地変においても、相当面積が広がってくるわけです。私はそういう考え方がおかしいと思うのですよ。いずれ大臣か次官が来たらお尋ねするのですが、もう一回お答え願いたい。
  40. 福島量一

    ○福島説明員 いまさら申し上げることもないわけでございますが、保険事故の範囲をどうするかということにつきましては、実は決定的な方式と申しますか、考え方はないわけでございます。その保険目的に応じまして、技術的な条件と申しますか、これを基礎にして、社会的あるいは経済的な条件を考慮に入れてきめていく、こういうことであろうかと思います。  ただいま問題になりました葉たばこの損害が、その農家にとって不慮の損失であったことはまさに先生御指摘のとおりだと思うのでございますが、ただ、一方で保険というものの事業の特性からしまして、保険事故の範囲をある程度明確にしておくということも必要なわけでございます。農薬の使用ということも、広い意味での肥培管理の一つに属するかと思うのでございます。たとえば、農薬の使用なり何なりを誤ったがために、被害をこうむった場合の損害を保険事故にするということになりますと、しからば、ある種のものについての耕法を誤った場合はどうするのだとか、保険事故の範囲というものが非常に広がってまいる。つまり、限界がなかなか引きにくいという問題が一つあるわけです。  ただ、もちろんただいまお話がございましたように、農薬というものの使用量が非常にふえていって、きわめて新しいものがどんどん開発されてくる。そういう過程の中において、農薬被害というものが非常に普遍的に起こり得て、かつ、農家の経営上非常に大きな問題を起こすのだということになりますと、これはまたそのときの情勢のもとにおいて判断をしなければならぬということはあるわけでございますが、その辺の限界の引き方をどうするかという問題が、非常にむずかしい問題があるということが第一点でございます。  それから第二点は、その場合に保険事故というものを特定しますと、その場合の損害評価というのが的確につかめなければならないわけでございまして、薬害といったようなものの結果生じます損失を、どの程度に把握できるかといったような技術的な難点もこれから解明しなければならない。そういう点で、かりに損害評価等の問題が非常に的確にできないということになりますと、保険収支の面においても問題が起こってくるであろうし、ひいては保険事業の健全な運営にも悪影響を及ぼすおそれがあるということでございまして、私ども農薬の被害を取り入れることは全く不適当だ、およそ考えられないということを、この段階で申し上げるわけではございませんが、先ほど申し上げましたように、農薬の被害の実態というものがどういうふうな形になってあらわれるのか、それが、たとえば先ほど来申し上げておりますような、保険事業の適用上生じますそういった技術的な難点をどの程度克服できるのか、そういった問題とのかね合いにおいて考えてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  41. 柴田健治

    柴田委員 今年度じゅうに農業災害補償法を改正するかしないか、改正すればどうするかという検討を始めるときを迎えておるということをわれわれは聞きますから、ぜひその問題を検討していただいて、やってもらいたいと思うのです。  いまの課長のそれは、たとえば家畜共済の中で、牛が針を飲んだ、くぎを飲んだ、死んでしまう、これはほんとうに飼養者の不注意ですよ。針を飲んだりくぎを飲んで死んでいる、それでもやはり共済制度がある限りは適用している。  専売公社の副総裁、どうですか今度の事件、あれは使用者の欠陥ですか、あるいは不慮の事故と思われるか、どっちなんですか。専売公社も補償金を出されますか。どういう考えを持っていますか。
  42. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 現実に起きております、いま問題になりました薬害というものが、どういうものの責任に帰すべきものであるかという問題につきましては、まだ調査の続行中の段階でございますので、推測をもって申し上げますことは避けたいと思います。  ただ、たばこにつきましてのたばこ専売法上の災害補償規定は、第二十四条にあるわけでございます。法律は、葉たばこにつきまして、「風害、水害、震害、ひよう害、干害、病害その他の災害にかかり、著しい損害を受けたとき」こういう条文になっておる次第でございますが、例示的にあげられております原因が自然災害でございますけれども、「その他の災害」という最後の締めくくりがあるわけでございます。これは大蔵省令で、その他の災害もまた自然災害というふうに限定して規定しておる次第でございます。  先ほどから農林省のほうからいろいろ御説明がありましたわけでございますが、たばこ災害補償制度と、農林省のやっておられます補償制度と、かなり保険的な考慮を入れられましたものと同じでないという面もありましょうけれども、大筋におきましては、同じような運用をいたすべきものかと考えておる次第でございまして、現在の段階におきましては、先ほど御答弁がありましたように、直ちに災害補償規定の改正を行ないまして、これを改むべきかどうかということにつきましては、まだまだ研究が必要であろうかと思う次第でございます。
  43. 柴田健治

    柴田委員 現行制度のことは、一々そんな説明を聞かなくてもこっちも知っておるんです。ただ、いま起きた事件が使用者なら使用者、メーカーならメーカー、専売公社なら専売公社の完全な過失として、それぞれがみな責任をもって解決せられるのか、不慮の事故じゃないんですかと私は聞いておる。現行制度のことを聞いておるんじゃないですよ。われわれはできる限りはどちらも傷つけたくない。不慮の事故としてこれはもうそういう制度をつくってやって、今後そういうことが二度と起きたら困るけれども、また起きないという保証もないわけですよ、どんどん新薬が出てきますとね。  それで、今後の防除体制というものは、もう個人個人の防除体制には将来なってこないのです。病虫害なりあるいは除草なりの個人個人のそういう作業というものは、将来はだんだんなくなってくる。農林省はいつもいっておるのです、集団経営だ、協業だ、集団作業だと。一方ではそういう指導をしておるのです。そういう集団の作業をやらせるためには、どうしてもそういう弊害が将来起きるかもしれない。将来においてはもう個人個人の責任じゃないのです。そういう病虫害の駆除作業にしても、除草の作業にしても、農薬を使う場合には、これはどうしても集団的になってきておるのです。  いま、農林省の課長は逆行したことのような答弁をしておる。これから先のことを考えて、どういう作業が行なわれてくるかということを考えて、私は法の制度を改正すべきじゃないか、検討すべきじゃないかと思う。もう一ぺん御答弁願いたい。
  44. 福島量一

    ○福島説明員 農業災害補償法の中に、特に農作物共済について農薬を保険事故に加えたらどうであろうかということのあれでございますが、先ほど来申し上げておりますように、私ども現段階で、直ちに農薬を保険事故に入れることが適当かどうかという点については、まだ若干の疑問点が残っておるわけでございますが、ただいま御指摘のように将来の問題として、今後農災制度の検討を重ねる過程において、農薬被害というものの実態等も調査いたしまして、保険技術的に可能であれば、これを取り入れていくということは検討してみたい、かように考えております。
  45. 柴田健治

    柴田委員 将来は、この間も農地法改正で農林大臣答弁を聞いておりますと、主産地形成だ、主産地栽培だ、将来飛行機で農薬を散布するかもわからない。それだったら、個人個人の農家が責任を持たなければならぬということはおかしいと思うのです。やはり全体で責任を持つ。国の共済制度を改正するということは、そういう将来のことを考えて検討しなければならぬと私は思うのです。検討するというお答えをいただいたから、大いに気をよくしたのですが、私たちはこういう事故を一つの契機として、将来そういう事故が起きないように、起きた場合にどう措置するか、そういう方向でものごとを前進させなければならぬと私は思う。そういう立場でわれわれはものを申し上げておるので、十分御理解を願いたい、私はそう思うのです。  それから、そういう農業災害補償制度を検討してもらうことと、第二番目は、特に今度は専売公社独自の試験機関で農薬を研究せられたのですが、こういう新薬についての研究機関では、現状ではいろいろなものを研究させていく。十分できておるようにも見受けられますけれども、まだまだ十分でない。これから幾らでも新薬が出てくるのに、それに合わしてすぐ実施できるように、やはり試験というものは相当の長期間かかるわけですから、試験機関整備拡充というものを、農林省も考え、また専売公社も考えてもらいたい。それから、試験機関整備拡充についてどういう考えを持っておられるのか、お答え願いたいと思う。これは農林省のほうから先に……。
  46. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、最近新農薬の誕生が非常に多くなってまいりましたために、私ども農林省といたしましても、一つは農薬を登録する登録検査の問題、それから新しい農薬の各種の問題につきましての研究の問題等につきまして、少なからず手薄であることを痛感いたしておりますので、今後ともそういった面につきましての拡充をはかってまいりたいと思っております。  農薬、特に最近このようなことで問題になります残留毒性等につきましては、昭和四十一年以来残留毒性の検査室というようなものを農薬検査所につくって、四年間に十一名の定員を増加する、その他農業技術研究所の研究室の拡充等いろいろ努力はいたしておりますが、まだ十分であるとは決して思いませんので、今後とも御趣旨に沿いまして拡充強化をいたしてまいりたい、そのように思っております。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
  47. 柴田健治

    柴田委員 まあ努力するというお答えなんですが、こういう問題は十分予算が必要なんで、いずれ次官か大臣が来たら最後にお尋ねしたいと思うのです。予算の伴うことについては、何としても下の者だけでは解決できない。やはり一つの重点施策として取り上げていかなければならぬ問題だと思うので、この試験機関整備拡充は予算も十分とっていく。何をおいてもこの農薬の試験を十分しないと、農作物に与える被害どころじゃない、人体に与える影響もこれまた甚大だ、こういうことも考えられます。どこの国だって、農薬については半ば総力をあげて実験、試験、あらゆるものをやっている。作物だけじゃないですよ、人間に与える影響まで広範囲にわたって試験をやっておるわけですから、この点については十分やってもらいたい。  それから、専売公社のほうはどうですか、今後試験機関を十分拡充する心がまえはありますか。
  48. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  東海林総裁になりましてから、特別試験研究につきましては力を入れるようにということでやってまいっておりまして、農薬の研究につきましては、秦野試験場その他五つの試験場に研究室を設けまして、そこで病虫害の防除と農薬に関する研究とを専門的に進めておる次第でございます。  ただ、先生も先ほど御指摘になりましたように、農薬になりますと、農林省では作物ごとに、この種の生理的な影響のあります薬につきましては、使うべきか使うべきでないかという判定をしておられるほか、先生から先ほど御指摘がありましたように、地域別に、土壌その他の条件等の違いによっても制限を課していかなければならぬものだというふうに考えておられるようでございまして、私どものほうでも、そこらの点をなお今後重視いたしまして、公社内の各機関はもとより、耕作組合や府県等で持っておられますたばこについての試験機関等もあるわけでございますので、それらとの密接な連絡をはかりながら、検討を進めてまいりたいと思っておる次第でございます。  予算の面につきましては、私ども、今後も研究機関の充実のために努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  49. 柴田健治

    柴田委員 私は、農薬の試験もともかく、副総裁のほうから輸入たばこの資料をもらっておるのですが、四十三年度でも二百二十二億八千万円余り外国から輸入しておる。大体専売公社の総売り上げといいますか、たばこの総売り上げが、四十三年度は七千五、六百億だと記憶しておるのですが、七千五、六百億の中で原材料費が千五百億ほどだと思う。これはまあ輸入の額も入っておると思うのですが、この輸入の葉たばこは、いろいろこれは長短があると思います。いいところと悪いところがあると思うのですが、いいから入れておるという方便で輸入されておるようでありますが、日本の場合でももっとどんどん品種改良をしていけば、たばこを無理に輸入しなくても、世界一のたばこになってくるのではないか。米でも一生懸命研究して、世界一味のいい米をつくるようになったし、量もつくるようになった。それは研究をすれば、無理によその国から葉たばこをどんどん輸入しなくても、りっぱな葉たばこができる、こうわれわれは理解するわけです。  農薬もそうだし、品種改良にしても、試験研究機関で努力をせられておることはわかりますよ。けれども、もっともっと試験機関整備拡充して、もう葉たばこは輸入しなくても——ほんとうは専売公社はもうかっておるのです。元が千五百億で、七千五百億から六百億の売り上げがある。そのうち税金は大蔵省へ入っておるのですから。けれども、もう少し試験機関整備拡充して、たばこの品種なり増産なり、農薬の試験はもちろんであるが、そういう試験機関にもっと力を入れて予算を組むべきではないか。専売公社の予算を見ると、試験機関は正直に言って十分とは言えない。だから、その点もあわせて副総裁どうですか。品種改良も含め、試験機関整備拡充に専売公社は力を入れたらどうですか。
  50. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 研究の目標といたしましては、先生御指摘のとおりであるべきだと思います。専売公社の試験機関も長い間それを目ざしてやってまいったわけでございますけれども、遺憾ながら実績から申しますと、アメリカの黄色種が持っておりますようなかおり、味というようなもの、トルコ、ギリシアのオリエント葉が持っておりますようなああいう独得のかおりや味というようなものにつきましては、種を同じものを持ってまいりましても、栽培法を同じようにいたしましても、気象条件の違いによりまして、外国でできておりますようなものはなかなかできないわけでございます。こちらでいろいろ改良を加えましても、なかなかできないというのが現実の問題でございます。  私ども、先輩連中が、外国でできるものと同じものをぜひつくりたいという努力をされました経緯につきましては、これを尊重するものではございますけれども、私どもの最近の考え方は、むしろ癖のない、たばこの原料として味つけ料にはならなくても、癖のない葉っぱをつくるようにしたらいいのではないかというふうに考え始めておるところでございます。何しろ育種の問題というものをいろいろ中で検討いたしておるわけでございますが、農産物の品種の改良の問題というのは、かなり忍耐強い努力を長期間にわたっていたさなければならぬものでありますこと、御存じのとおりでございます。私どもも、今後もなお忍耐強く続けてまいりたいと思っておる次第でございます。
  51. 柴田健治

    柴田委員 専売公社もこの程度言うたら、大体やっていただけるだろうと思うので、自信を持ってやっていただくことをお願いしておきたいのです。  最後に、今度の事件で、さっき生産部長のほうから、経過報告の中で言われました補償の問題なんです。この補償の問題も、順次誠意をもって取り組んでおられると思いますが、やはり生産農民に与えた精神的なショック、その他いろいろ物心両面に影響を与えておるわけですが、ただメーカーだけにまかせる、公社だけの判断というのではなく、それぞれそうした災害の実態の評価に誤りのないように公正な結論を出してもらうためには、それぞれの調査委員会というか、災害調査委員会というようなものをつくって、そういうもので十分調査をして結論を出して、耕作農民にも不信感を与えないようにりっぱに、公正に結論を出して、それぞれ適切なる補償もしてもらった、こういうことにしてもらいたい。私はそういう希望を持っておるのですが、そういう災害の評価について、そういう調査委員会をつくられる意思があるかどうか、その点聞いておきたいと思います。
  52. 大塚孝良

    ○大塚説明員 このたびの災害に対しまして、その被害額がどの程度であるかというのを認定するために公正な委員会をつくれ、こういうことだと存じますが、現状でまいりますと、今回の場合は、耕作者側から特に早く解決をしろという御要望がございます。それから最近は、新規耕作者というのはほとんどおられませんので、耕作者御自身と専売の指導を担当いたしております、あるいは鑑定を担当いたしております技術者は、そこについては一番よく知っていると私どもは思いますので、公社独自ではなくて、耕作組合の総代さん等にも十分御協議の上で決定いたしたいと思って、目下調査中でございますので、今回の場合は、公式な委員会というのをつくっていたのでは間に合わないのではないか、こう感じております。  と申しますのは、しんどめ時期になりますと、先生御承知のとおり、葉っぱが何枚ついているか、どの程度とれるかということをすぐ決定してまいります。収納まで待てば結果ははっきりいたしますが、収納を待ちますと非常に時間がおくれますので、なおその間に耕作者の方々に不安があるといけないと思いまして、現時点できめたいと存じます。そうさせていただきたいと存じます。
  53. 柴田健治

    柴田委員 いま聞きますと、現時点ではなかなかそういう調査委員会的な機関をつくることは困難だ。私は、葉が何枚ついているか、その枚数の勘定はしろうとでも勘定できると思うのですよ。問題は、品質がどう低下したか、その品質の問題になると、これは甲論乙駁、いろいろ意見が出てくる問題ではないかと思うのです七そうすると、専売公社のいままでの長い歴史の中の慣例というか、慣行というか、そういう点を考えますと、ほとんど一方交通なんです、専売公社は。収約検査にしてもそうだし、価格決定にしてもそうだし、植えつけ反別にしても、一方交通でずっと押しつけてきた一つの慣行があるわけです。耕作農民立場からいって、また一方的にこれだけの被害だということで押えつけられる、こういう意見がある。専売公社が自信を持っておられることは理解できる。自信がなければ指導できないのだから。現地においてそうしたたばこ技術指導員というものに、全責任を持たして評価させていくということも、これはいままでの経験と自信からいって理解できます。けれども、やはり精神的な面をくんで、農民のいままでの精神ショックを融和さしていく一つの手段として、そういう制度をつくる必要があるのではないか、こう私は思っておるわけで、見解をお尋ね申し上げたのです。できないならできないでしようがないでしょうけれども、いずれこの問題は尾を引く問題だと思いますから、十分配慮をして、手落ちのないように善処をお願いしておきたいと思います。  以上、葉たばこの農薬被害について三つの点を、農林省を含めてお尋ねを申し上げた。農業災害補償法を改正するかどうかという問題、試験研究機関整備拡充の問題と、その災害補償についての調査委員会、こういう三つの点について万全の措置——その中で、試験機関についての予算措置については、農林大臣なり次官がお見えになったら最後にお願いしておきたいと思いますから、委員長、よろしくお願いしたいと思います。葉たばこの被害については以上で終わります。  次に、農地局長お尋ねしたいのですが、この間農地法の質問のときに、戦後の農用地造成事業の資料要求をしていただいたのですが、この中で旧制度開拓事業、開拓パイロット事業でも国営、都道府県営、団体営、干拓事業でも直轄、代行、補助、こういう種類がございますが、戦後の旧制度を含めても、造成面積が六十二万二千ヘクタールという数字が出ておる。この中で、干拓地として農地造成をしたその農用地が他に転用されている実績、これが地区数にすると二十六カ所、面積にすると千八百十二ヘクタール、このうち、直轄干拓としてやったのが十カ所、千百三十六ヘクタール、代行干拓で十カ所、五百九十八ヘクタール、補助干拓が六カ所で七十八ヘクタール。この転用された二十六カ所の投資金額は幾らですか、そして、この千八百十二ヘクタールの売り払い代金の総額は幾らですか、これをお答え願いたい。
  54. 中野和仁

    ○中野政府委員 いま御指摘の、転用しました売り払い価格は八十億でございます。投資いたしました額は四十六億でございます。
  55. 柴田健治

    柴田委員 投資した金額が八十億で、売り払いが四十六億。この干拓地域は、大体いいところをやっている。山間地の、それこそキツネやタヌキが出るところとは違う。膨大な国家投資をして、売り払いが四十六億。たとえば経済企画庁が、国土総合開発の地域開発予算の中でこういうことをやって、工場用地なり、宅地なり、その他に転用されたならわかるけれども、農林予算でですよ。単年度なら単年度の農林予算が幾らとれましたということで、農林省は鼻高々で予算をとってその予算で農地造成をした、みんなそう受けとめておるわけです。ところが、でき上がって間もなしに、ある県においては投資以下、半額程度で処分をしている。どういう理由でやっているのかわれわれわからない。  私たちの考え方からいうと、農林省地元の要求を受け入れて大蔵省へ予算要求をする、初めは調査費をつけてもらう、今度は設計費をつけてもらう、今度は事業実施段階に入ってくると、もう全体の完了までの計画というものは立っている。そうしないと大蔵省が認定しないと私は思う。水路をつけて、農道をつけて、二年でも三年でも耕作をしてから他に転用するならいろいろ理由が出てくる。周囲に工場ができ上がって、公害のために、また大気汚染、また亜硫酸ガス、そういう点であらゆる農作物は作付け不能だ、こういうことで他に転用しなければならぬという事態ならわかります。ところが水路もつけない、農道もつけない前にもう転用してしまう。一回もつくらない、そういうところがある。私は農地局の考え方がどうもよくわからぬのですが、そういうことが正しいと思われておるのかどうか。万やむを得ない周囲の政治的な圧力で、泣く泣くそうやらざるを得なかったのか、農林省がみずから積極的にそういうことを進めたのか、どうもよくわからぬ。その点はひとつ明確にお答え願いたいのです。
  56. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほど数字を申し上げましたのを、先生お聞き違いになったようでありまして、私、申し上げましたのは、売り払った額は八十億、投資しました額が四十六億と申し上げておるわけでございます。と申しますのは、売り払う場合は適正な時価で売っておりますから、投資額よりも多くなるということでございます。  いま御質問になりました件につきましては、戦後緊急開拓から干拓事業も始めておりまして、この事業は非常に長期を要するわけでございますが、着工当初に予測し得なかったような経済成長がその後起こってまいりまして、われわれとしましては、そこを農用地として農業の発展のために使いたいというような場所が、その後鉱工業地帯になる、その他公益事業に使いたいというような場所も非常にあるわけでございます。本来は当然農業用に使うべきでありますけれども、その地域の総合的な土地利用計画というものから見ますと、万やむを得ない場合もあるわけでございます。農林省でございますから、農用地の造成ということでございますけれども、全体の判断からやむを得ない場合、例外として時価で売り払う。その売り払った金額は、再び干拓事業の特別会計に入れまして再投資をいたします。こういうことになっておるわけでございまして、あくまでわれわれといたしましては農用地の造成を目的としておるわけでございます。
  57. 柴田健治

    柴田委員 時間がございませんから、この二十六カ所のところは、局長ひとつ各委員に明細な資料を一覧表で、二十六カ所ぐらいわけないですから、ひとつ資料を配ってもらいたいと思います。それを参考にしたい。お願いしておきます。これは委員長にもお願いしておきます。  次に、土地改良のことです。農地局長、これはもう長い歴史を持っておるのですが、児島の土地改良区というのが岡山県にあるのです。それが児島湾の締め切り堤防というものに相当の額を投資して——もうこまかいことは申し上げませんけれども、いまその堤防を道路として使っているわけです。これはもうたびたび国会でも問題になっているのですが、この道路がいま有料道路として世界最高の料金をとっておるわけです。距離はごくわずかですが、世界各国の有料道路の距離に合わせて料金を調べてみると、これはもう世界最高。こういう料金を取っておるために、そこから向こうの島は物価が二割くらい高い。一行政区域の中でそういう差別的な、島流しにあったようなそういうことは許せないということで、県も市も、それは地方公共団体よりか住民のほうが、住民感情としてやかましく言ってきておるわけです。  それで昭和三十四年十二月に、吉川久衛先生が時の農林委員長当時に、和田博雄さんが質問をし、時の伊東農地局長答弁しておる。その時分の農林大臣は、いまの大蔵大臣の福田さんですが、福田さんも答弁しておる。議事録を全部読んで検討してみますと、農林省のほうも非常にあいまいな点が多くあるのです。ああいう農業施設土地改良区がつくって、そうしてあの道路を有料として料金を取る。これは一つの営利事業なんですが、土地改良事業法からいうとそういう営利事業はできないから、別法人をつくって、それに権利を委託して使用料を取っていくというやり方なんです。  国が膨大な資本を投下してそういう施設をつくって、それで他の営利会社が利益をあげていく、こういうことが好ましい姿かどうか、われわれはどうも理解できないのですが、農地局長、いかがですか。
  58. 中野和仁

    ○中野政府委員 児島湾の堤防の問題につきましては、先生の地元のことでございますし、よく御承知のことでございますから、私も経過等は申し上げません。  本来あの堤防は、土地改良財産といたしまして農林省地元土地改良区に管理委託をしたわけでございます。そうしてその管理費は組合が負担をする。その場合に、その堤防自体が他目的に使える場合は、使うことができるというので法律上許されておるわけです。その堤防を使って非常にもうけるということになりますと、私もこれはおかしいと思います。たとえば、農民負担の軽減に充てるということになっているわけでございますけれども、うんともうけるというのはおかしいわけでございます。そこで、過去の経緯もありまして、あれはもう順次有料道路の料金を下げてきております。  一方、あれを無料で開放しろという問題も、岡山市をはじめ非常にやかましいわけでございます。無料で開放すれば、もちろん交通の便その他いいわけでございます。われわれもそういう方向で考えるべきだと思っておりますけれども、問題は、それじゃ無料で開放したあと、道路の管理は一体だれがするのだというところまで、まだなかなか詰め切っていないという面も地元にもあるようでございます。先般も岡山市からわれわれのところにも見えまして、その辺もいろいろ話し合いをしておられました。過去いろいろな経緯があった問題でございますから、きょうすぐというわけにはまいりませんけれども、順次前向きの方向で解決したいと考えております。
  59. 柴田健治

    柴田委員 われわれが一つ疑問を持つことは、私も土地改良区の理事長をしておるのですが、そういう土地改良の財産の維持管理をするために、通常経費が要る。この通常経費は、土地改良事業では収益をあげて充当しろということはないわけです。これは耕作農民負担をすることなんです。その年度年度で個人が負担をすることなんです。私はそういう農林省の考え方がおかしいと思うのです。施設補助してやって、それから収益をあげろ、維持管理はその収益でやりなさい、そんな指導が私はおかしいと思うのです。そういう奨励をしたことはないと思うのですけれども、それが私はどうも割り切れない。いまの土地改良の法律からいって、国が膨大な、二十億からの金を投資して、それは土地改良区としてはできないから、別の法人をつくって収益をあげて、それを維持管理費に充当するなどということはおかしいと思う。何のために土地改良法という法律をつくったのか、この点が一点。  もう一つは、そういう別の法人会社をつくって管理させておる。その場合に道路として——道路から検討してもわれわれは不合理だと思うのですが、災害が起きたらどうするのですか。ただ普通の維持管理費、維持修繕費程度ならば、そのたくさんの利益から充当されるでしょうが、天災地変で地震が起きた、大災害が起きたらどうするのですか。これが第二点です。ああいう法人会社にもうけさせて、大災害が起きたら、国が災害補償法を適用して災害復旧してやってまたもうけさせる。税金を納める国民の立場から見てもおかしいと思う。災害が起きたらどうするのですか。災害補償を適用するのですか。ああいう運営をさせておいて……。
  60. 中野和仁

    ○中野政府委員 御質問は二点ございますが、できました土地改良施設の維持管理は、農民負担で維持管理をするというのが原則でございます。私も先ほどそういうふうに申し上げたつもりでございます。初めから他の用途に提供して、そこでもうけてやるのが原則だとはわれわれも考えておりません。たまたま、児島湾堤防にかかわりませず、ダムによってできました貯水池にボートを浮かべるというような場合もあります。そういう場合も、多少維持管理の費用の助けにするということで収人を得ている場合もありますけれども、これはあくまで例外だと私ども考えております。  それから、二番目の問題でございますが、小さな災害等の場合も考えまして県に積み立てをさせております。そういうことで対処しますけれども、いまお話しのような大災害がございました場合には、これは土地改良財産でございますから、災害復旧費で復旧すべきだと考えております。
  61. 柴田健治

    柴田委員 普通農業用としてつくった施設で、耕作農民に直接利益を与えておる施設で災害が起こった場合には、国の災害補償法の適用でやれるでしょう。しかし、ああいう営利をしておるのです。もうけておるのですよ。そういう別の法人をつくっておるのですよ。それに委託しておるのです。たまたま、普通の災害では災害が起きないんだけれども、そういうことでどこかに欠陥があったために災害が起きたときに、国民感情としておかしいということになる。国がまた金を出して直して、またもうけさせるのか、こういう国民感情というもの、住民感情というものが起きてくることは当然だと私は思う。  そういうことをここで論争してもなんだし、日本語は便利だから、どうでも言い回しができるけれども、そういう筋の通らないことをいつまでもさせることはおかしいと思うので、これをどう解決するかということを、お互いに考えるときが来ているのではないか。  それから、契約の期限が明年は切れるのじゃないか。明年期限が切れたときにはどうするか。国や県、市の地方公共団体も無責任の点があると思うのです。  それから、あの辺は耕地がどんどん減っておる。減少率は握っておりませんけれども、あの児島湾の堤防ができたときの、あの土地改良区の計画のときの面積よりか、いま公共宅地や、道路用地や、いろいろなことで農地が減っておるわけですよ。将来あの辺は、いま新産業都市区域指定を受けて、いずれ市街化区域になり、調整区域としては何ぼも残らぬだろう、こう思っておるのです。その農村も、今度の新都市計画法で因るだろうと思いますが、農地のふえるところはない。減ってくる可能性の強いところだ。  そうした場合に、あの水の使い方をもっと研究したらどうだ。あの水は工業用水として農林省がひとつバックアップしてやって、国と県が土地改良区と相談をして、あの水の使い方を考えて利益をあげたらどうだ。道路を利用して利益をあげるのではなしに、水を使って利益をあげたらどうだ。一日五方トンぐらい使えますよ。工業用水で一トン五円で売っても大した金になる。新しく五万トンの水を確保しようと思ったら、小さい堤防をつくっても、給水管をいけたりしても膨大な経費が要るわけですよ。あのたまっている水は淡水ですから、そのまま飲料用水に使えないにしても、工業用水には使えるから、工業用水としてあの水の使い方を研究して、そしてあの水を売り上げた料金で維持管理費なりを出すようなくふうをしたらどうかと思うのですよ。ただ道路を利出して、料金も世界最高の交通料金を取って、そうして維持管理費に回している。あの水を一日五万トン使ってもこたえない。あるいは十万トンとれるかもしれない。とにかく水を使うくふうを考えたらどうかという気がするんですが、どうですか。その点検討せられましたか。
  62. 中野和仁

    ○中野政府委員 あの地帯が順次市街化してくるかどうか、あの背後は昔からの有名な地帯でございますので、そう急になるというふうにも思いませんけれども、周辺から順次そういう事態になるということは、私もそうだと思います。その場合に農業上水が余るといった場合には、それをむだに海に捨てるということももったいないことでございます。もう少しその辺、私も突然のお話で具体的には何ともお答えできないわけですが、十分よく研究をしてみたいというふうに考えます。  それから、先生いま会社を別につくってもうけているというようなお話でございますが、株式配当をやるという意味ではやらしていないつもりでございます。ただ、お話しのような問題がございますので、これもいまお話がございましたように、国も県も市も土地改良区も入りまして、前向きの方向で解決するように努力したいと思います。
  63. 柴田健治

    柴田委員 私は、あの道路を有料にしたために、住民は深いことは知らない、地方民は深いことを知らないから、何か高く取るじゃないか、無料に開放しなさいということになる。  いままでの過去二十五、六年の間の歴史をひもといてみると、初めは建設省がやったのが、最後は農林省になってしまったのですけれども、それに市なり県なりがもっと負担金を出して、こういう事態になることを予測して取り組んでおけばよかったものを、土地改良区だけに責任をかぶせてやったところに問題があって、いまごろ市が、金を一銭も出さずにおいて——まあ何ほか出したんですけれども、無料開放を叫んだって、それはなかなか土地改良区の農民のほうも、何だといって反発を示すのも無理ないと思う。市も県も、取り組んだ姿勢というものに欠陥があったと思う。  しかし、ただ無料開放する一つの方法として、土地改良区の農民をいじめるわけにはいかぬけれども、とにかく余っている水の使い方を考えるべきだ。地方公共団体はいろいろな河川をせきとめて、井ぜきをぶち抜いて堤防をつくって、それで水利権争いまでして工業用水を確保しておるところも県内にはあるわけです。そういうことをせずして、あの水は淡水ですから、直ちに工業用水ができるような施設をつくって、土地改良区と話し合いをしてその水の販売をする。わけがないですよ。毎日五万トン一年間売ってごらんなさい、相当の収益があがってくる。そうすれば無料開放しても、維持管理費も十分出てくるし、市も県も収益があがってくるのですよ。市も県もそういう知恵を使ってもらいたいと私は思うのです。これは一つの方法論ですよ。だからそういう問題を含めて、明年の契約が切れるときに、ひとつ御検討願いたい。  いろいろ歴史のことを言えば、どこがいいとか農林省がいいとか——過去の議事録を全部調べてみれば、農林省のほうもいろいろあいまいな答弁をしておられるところもありますけれども、そういうことはきょうは言いませんが、そういうことでひとつ取り組んでいただきたいということをお願いしておきます。もう一回御見解を……。
  64. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、地元でいろいろ経緯があった問題でございますから、解決するにはなかなかいろいろな問題が出てくるかと思いますけれども、国としましても、それから県議会でもかなり問題が出ているようでございますし、市のほうも先ほど申し上げましたような事態で、ただでやってくれということではない、われわれもある程度負担をしまけということも、この間言ってこられたようでございます。それから道路にいたしますと、道路管理者をだれにするか、維持管理費をだれが持つかという問題をあわせ含めまして、前向きに検討を進めたいと存じます。
  65. 柴田健治

    柴田委員 政務次官が見えたから、時間がございませんから最後にお願いしておきたいのです。先ほどの農薬災害のことについて、二点ほどお願いしておきたい。  一つは、農業災害補償法を検討する段階に来ておる、こういうときでございますから、今度の災害補償法の制度改正には農薬災害を十分配慮して、できる限り実現の方向で取り組んでもらいたい。これが第一点。  それから第二点は、農薬に関する試験機関がまだ十分でない。新薬はどんどん出てまいりますし、農作物の災害ももちろんでありますが、人体に与える影響も大きいので、そうした農薬の試験をする機関整備拡充に努力してもらいたい。これは予算が伴うことなんで、局長や課長の手に負えない。やはり次官、大臣が政治的に今後施策の中で、重点施策として、これは内部の予算でありますけれども、ひとつ十分御配慮願いたい。これをお答え願いたいと思います。  この二つを、あなたが来るのを恋い焦がれて待っておったので、ひとつお答え願いたい。
  66. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 農薬の災害補償につきましては、事務的に検討いたしますとめんどうな点がたくさんあることは、先生も御承知のとおりでございます。何とかひとつ取り入れる方向で検討しろ、こういうお話でございますが、私も御意見十分わかりますので、大臣とも相談をいたしまして、検討を進めてまいりたいと考えております。  それから、農薬の安全性を確保する意味で、この試験研究の問題ですが、現在登録制度で、登録をまだ終えてないものが使われて事故があったという質疑応答がきょうあったそうでございますが、この安全性の問題は、厚生省とも農林省は常に連絡をとりまして、慎重に対処しているつもりですが、来年度の予算編成におきまして、私もいつまでおるかわかりませんけれども、できる限り配慮して、試験研究に遺漏のないように十分な配慮をするように、どこにおりましても、本委員会の御議論でございますから、努力をしていきたいと考えております。
  67. 柴田健治

    柴田委員 次官、食い逃げみたいなことを言われても困る。いつまで私がおるかわからぬ、そういうことを言わずに、いつまでも次官、大臣でおって農林行政一本でやるぞ、こういう自信のほどを示してもらいたいと思う。食い逃げのようなことを言われては心もとないと思う。いま冗談で言われたので本気にはしませんけれども、とにかくいま通産省が頭をかかえているように、自動車の欠陥車というものが、運輸省を含めていろいろいま頭痛の種になっておるようですが、日本の場合は油断もすきもできない。日本の会社がつくるものは、大きい会社がつくるものでも、農薬会社でも製薬会社でも絶対的のものではない。信用できない。ましてよそのほうから、いつどんな新薬が入ってくるかわからない。そういう心配が日を追うにつれて高まってきている。そういう情勢でありますから、日本の国の機関でそういう農薬の試験については十分万全を期してもらいたい、こういうことをお願いしておるわけで、お答えはよろしいが、これは食い逃げをするような気持ちで言われずに、ぜひ取り組んでもらいたい。お願いしておきたいと思います。
  68. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 技術的には、予算さえ相当潤沢になれば解決をする問題がたくさんあるということでございますので、ぜひ来年度の予算編成でできるだけの努力をいたしまして、御期待に沿いたいと思います。
  69. 柴田健治

    柴田委員 どうもありがとうございました。終わります。
  70. 丹羽兵助

    丹羽委員長 次回は来たる二十四日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十七分散会