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1969-07-10 第61回国会 衆議院 内閣委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月十日(木曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君    理事 塩谷 一夫君 理事 塚田  徹君    理事 三原 朝雄君 理事 大出  俊君    理事 浜田 光人君 理事 受田 新吉君       足立 篤郎君    井出一太郎君       内海 英男君    菊池 義郎君       田中 龍夫君    野呂 恭一君       葉梨 信行君    古内 広雄君       淡谷 悠藏君    稻村 隆一君       岡田 春夫君    華山 親義君       平岡忠次郎君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      菅野和太郎君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         運輸大臣官房長 鈴木 珊吉君         運輸省海運局長 澤  雄次君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省船員局長 高林 康一君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         海上保安庁長官 河毛 一郎君         気象庁長官   吉武 素二君  委員外出席者         運輸大臣官房審         議官      内村 信行君         郵政省電波監理         局無線通信部長 大塚 次郎君         労働省職業安定         局参事官    中島 寧綱君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 七月九日  委員足立篤郎君、内海英男君、葉梨信行君及び  古内広雄辞任につき、その補欠として小山長  規君、中村庸一郎君、増田甲子七君及び周東英  雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小山長規君、周東英雄君、中村庸一郎君及  び増田甲子七君辞任につき、その補欠として足  立篤郎君、古内広雄君、内海英男君及び葉梨信  行君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月八日  靖国神社国家護持に関する陳情書外一件  (第  五六一号)  靖国神社法早期制定に関する陳情書外一件  (  第五九一号)  青少年の健全育成対策に関する陳情書  (第五九二号)  靖国神社国家管理反対に関する陳情書外一件  (第六四六号)  靖国神社法案反対に関する陳情書  (第六四七号)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案反対に関する陳情書  (第六四八号)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案成立促進に関する陳情書  (  第六四九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  運輸省設置法等の一部を改正する法律案(内閣  提出第七号)      ――――◇―――――
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  運輸省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 質問をいたします。  今回の運輸省設置法改正に関連しまして、雅本的な運輸行政の問題をまずお尋ねをいたしたいと思います。  昨年、一局削減方式の採用とともに、運輸省では観光局が消えたわけです。この観光局が消えることについて、私は当委員会で、観光行政のある意味における停滞あるいは後退が招来されることのないようにという重大な問題を提起しておきました。ところが、これに対しましては運輸大臣からも佐藤総理からも、観光行政一元化方策提案をして、それによって強力なる観光行政を、むしろより高いウエート推進したいという御答弁があったわけです。運輸省所管業務の中でこの観光業務というものは他の省にそれぞれ部門は分散をしておりますけれども、スクリューはやはり運輸省がやらなければならぬと思っているのです。だからこそ、観光局というのは、新井初代国際観光局長以来ずっと四十年の歴史が続いたわけです。ところが、これがなくなって今日——観光部長さん後ほどおいでいただくそうでございまするが、大臣から御答弁願いたいのですけれども、観光部門業務運営上、局を廃止して何ら支障はなかったか、同時に、観光行政一元化というこのお題目はその後具体的にどういうふうに推進されておるか、運輸大臣、直接御答弁を願いたいと思います。
  4. 原田憲

    原田国務大臣 受田さんのおっしゃるとおり、観光行政というものはまず運輸省中心になって進めていくべきものではないか、自分はそう思っておるという御意見でございますが、私もそのように考えております。また、すべての人がそういうふうに受け取っておられるのではないかというふうに考えております。  具体的な例を引いてみますと、ことしの予算委員会の席で、福島県の観光地における火災がございまして、これに対する質問があったときに、私はちょうどソ連のロマノフ国務大臣との間の交渉がありまして、お許しを得て外へ出ておったのでありますが、入ってさましたら、だれが答弁するかということでもめておって、君がおらぬからえらいもめたぞということをある大臣から聞かされて、私は、お許しを得て外へ出ておったので、もし何なら私が代表して答弁いたしますということであと答弁したことがあるのです。それは皆さん方の間で、観光というもの運輸省だということが自然に頭の中に入っておるというようなことではなかろうかと私は判断をいたすのであります。具体的に言いますと、わがほうで国際観光関係で、あるいは国内観光関係で行政的な具体的な問題は何か。旅館政府登録制度というものをつくって奨励をする、それには融資をしていくというような奨励振興策というものをとっております。しかし、建築だとか、その他衛生とかに関しますと、それを法律的にカバーしておるのは厚生省あるいは建設省でありまして、このことがいまおっしゃるような、各方面観光というものがわたっておるということになるわけでございますが、私はそのことについて運輸省中心になって進めていくのがよかろうではないかという御意見は、私もそのままそう考えております。したがいまして、就任をいたしまして、一局削減によって観光局というものが廃止をされて官房の直轄する観光部というものになっておりますが、局がなくなったからといって、決してそういう部面がおろそかにならないように十分督励もいたしてまいりましたし、今後に備えまして、実はけさ全国陸運局関係者が集まっておりまして、これは通常、大臣があまり出ない会議のようでございますが、私は進んでこれに出席をいたしまして、観光行政というものの取り組み方について私の意見を、いまおっしゃったようなことを私自身が申しまして、全国的にひとつしっかりやるようにということを督励いたしてまいったのでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、行管からは一局削減等措置をするようにということがあって、政府がこれを実行いたしましたが、その後の、たとえば観光行政というようなものの総合的な推進ということについて、閣僚会議というものをもって推進をしていくという方向に進めるように、私から事務的にも推進をいたしておりますし、また私自身もそういうことをおりおり閣僚と懇談をいたしまして対処していきたい、このように考えております。
  5. 受田新吉

    受田委員 大臣熱意十分うかがい知ることができるのでございますが、最後に触れられた閣僚間における観光行政熱意の度合いを測定さしてもらいたいと思っております。観光行政一元化佐藤総理みずからが先回観光局を廃止することに関係して御答弁があったわけであります。運輸大臣中心になられるということも当然であると私思いまするし、また、それについて何らかの関係閣僚機関というものが必要であることもわかります。しかし、観光行政一元化というならば、何らかの行政機関が必要なのであって、たとえば、各省にまたがる業務でありますだけに、運輸省、文化財を中心とする文部省国立公園関係する厚生省、道路に関係する建設省、または商工関係の大事な観光につながる通商産業省というような、確かに直接関係を持つ省、そういうものが何か具体的な機関を設けてこれを推進しなければ、閣僚の中で茶話をする程度のことじゃとても観光行政一元化はあり得ない。少壮気鋭原田運輸大臣閣内においてしっかり発言をされて、佐藤総理を大いに動かして観光行政一元化を、行政機構整理統合に際して、あなたは先般の法律制定に際して強く国会で約束したようだが、総理としてこの問題にはどう取り組んでくれるのだと言うぐらいの意気込みを示して、閣内において空気を盛り上げてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  6. 原田憲

    原田国務大臣 実は、私がそのようなことを言おうと思いまして、そういうことを事務的に進めたということは、行革会議に私自身出席をして、そしてこの観光行政の問題については中曽根前運輸大臣からも引き継ぎを受けておりますし、私も私なりの意見も持っておりますので、いまあなたがおっしゃったようなことを言おうということを事務的に連絡をさせたわけでございますが、昨日、行革閣僚会議がございまして、その席で観光関係閣僚協議会を設置するということは決定されましたから、明日の閣議でこれは出されると思います。私は、いまあなたがおっしゃったように、閣僚協議会というものができても、決して茶飲み話はいたしませんが、また、なお一そう進んで、行政的な面でもう一つ実務的な方面まで行くような決意を持ってハッパをかけて観光行政と取り組んでいきたい、このように考えます。
  7. 受田新吉

    受田委員 大臣、このような問題は、ようやく関係閣僚協のようなものをスタートさせるような程度にとどまっておるようでございますが、現実に来年は万博日本であるわけです。すでに、これに関心を寄せる人々旅行計画が、日本を目ざして世界各国から進められて、ホテルはほとんどもう満ぱいの状況になっておる。こういうときでありますがゆえに、よけいこの観光行政一元化推進というものに早急に熱意を持って取り組んでもらわなければいかぬわけです。これが所管各省においてなわ張り的にものを考えていくと、それぞれセクト主義を発揮してものごとの推進がはかどりません。万博業務遂行でもそこに大きな支障が起こっていることは、大阪の御出身であるだけに大臣よく御存じのとおり。ところが、この間のライオンズクラブ国際会議のときに、日本に来て、大臣所管タクシー乗車拒否をされたということが先般この委員会でも問題にされて、日本という国はおそろしい国だという、観光目的を持って日本に来た人に、日本に対する実に不愉快な印象をまず与えた。文明国らしからぬまことにいやな国家であることを印象づけた。これは大臣御存じのとおりでございます。また、日本から海外に旅行をする。これは外務省の御協力も要るわけでございますが、行きだけの旅費で、そこに長期滞留して、文明国の国民らしからぬ、まことにぶざまなかっこうに堕落している人々がたくさんある。これは目的が留学などということもあろうし、ちょっとした観光旅行にかこつけたものもありましょうが、結果論からいって、日本国民として恥ずかしいような業態の仕事に堕落している人が各所で続出しているということも御存じのとおりです。こういうことを考えると、やはりわが国先進国家に伍して大国意識も十分あるという政府の立場から見ても、大国意識があるならば、あるいは先進国に伍する実力がついたという意識があるならあるだけ、よけいこの観光行政の上の権威、これに伴う具体的な処理をはかっていただければならぬと思うのですが、大臣、これについて御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  8. 原田憲

    原田国務大臣 繰り返し御激励を賜わってたいへんありがたいと思います。私は先般も申し上げましたが、この間のライオンズクラブのときに五車拒否があった、こういう問題を取り上げられました。私の責任を持っておる関係でたいへん申しわけないことでございますが、決して私は言いわけで言うわけではありませんが、あのライオンズクラブ人たちが一万幾人来るというときに、その主催を担当しておる人たちホテルとかそういうようなものについて十分連絡もしなかったというような記事も読んだわけであります。これはオリンピックのときもそうでありましたが、主催をする限りは、そういうことが十分できるような、日本側主催者十分関係方面対策を考えて用意しておく必要がある。ただもう、ライオンズクラブ日本でやったらいいのだ、日本大国になったからというようなことでおやりになって、そのしりが持ち込まれるということは、まあどちらかというとごかんべん願いたいと申し上げなければならぬことになりますので、私どもすぐ業界のほうへ、今後業界のほらからも各ホテルその他団体の観光関係の催しものなんかには十分注意をして連絡をとるようにということを、代表者に私がじかに言ったりいたしましたが、御指摘のようなことがないように、今後も十分注意をいたしていきたいと思います。  なお、日本人が外客に対して親切であるということは、これにこしたことはございませんけれども、われわれが外国を回ってみても、それぞれの国の風習があって、タクシーに乗ればチップを出さなければならぬ国もあるわけでございます。いま乗車拒否ということが行なわれておるから、これは頭から日本タクシーが悪いのだということで御親切に、金を出してやってもらって、そして代議士先生に御通知くださって、こんなことはというようにおっしゃってくださる親切はありがとうございますけれども、先ほど申しましたように、やはりやる限りには十分な用意をしてかからなければならぬということが一番大事なことじゃなかろうか。  御指摘のように、万国博覧会が来年あるということで、これはもうそういうことがないように一生懸命やらなければなりませんので、けさほどもそのことを私ちょうど申してきたところなんでありまして、部長に指示してやっておるからしっかりやれ、頼むぞということを言ってまいったのでございます。具体的には、いま観光部長も参りましたが、私どもは、先ほど申し上げましたように、こちらが中心になってやるのだという心がまえで、今後も各省連絡を密にいたしまして万全を期していく所存でございます。
  9. 受田新吉

    受田委員 その御決意を具体的にお示しをいただくように要望しておきます。  なお、わが国旅館ホテル、これには政府登録日観連所属、いろいろあるのでありますけれども、大体に料金が高い。これは大臣外国旅行されて、特に西欧諸国旅行されておわかりだと思うのですが、普通わずか五ドルから十ドル程度旅館でわれわれはゆっくり豊かな宿泊ができるのと比べてみると、わが国ホテル代は相当高額なものですよ。こういう点につきましては、日本権威を十分高める意味における旅館あるいはホテル営業というものにつきましては、その根拠法等改正等も十分配慮する上で何らかの国策にかなうような意味補助政策等をとって、その建築興の一部を国が補助するあるいは低利融通していくというような形で、権威あるホテルもしくは旅館の建設をはかるという御意図はありませんか。これはこういう万博などの開催を契機に当然考うべき問題だと思うのですがね。
  10. 原田憲

    原田国務大臣 この間も厚生白書で問題になっておりましたが、レジャーというようなことの日本人的な感覚の受け取り方観光ということに対しても日本人的ないままでの受け取り方というもの物見遊山というような受け取り方というものが率直にいって私はあったと思うのです。しかしこれは、国際国内との観光というものは違いますけれども、また外国の人が来るのと日本人国内を回るのとはおのずから違う面がございますけれども、要はここでひとつよく自分の余暇というものを利用して、そうして今度は働く部面にそれを生かしていくことがなければなりませんので、そのためにはいまのお話のように、旅行をしてもそこで快適であるということが必須の条件になろうと私は考えます。そういうことについていままで十分ではございません。そのためにいろんな災害が起きるというようなことがございます。これらに対しましてやはり国のほうが助成策を講じていくということはたいへん必要なことでございますので、先般も災害という面からとらえてもいろんな設備が必要である、それにはそれだけの助成策を講ずる必要があるというので措置を検討し、具体的になるものは具体的にこれをいたしておるわけでございます。より一そうそういう面から施設の充足ということについても意を用いて私どもやっていきたい、このように考えております。
  11. 受田新吉

    受田委員 大臣が非常に前向きで御検討いただくこと、私頼もしく思うわけです。観光行政の性格は、いま大臣指摘されたとおり単に物見遊山だけでなしに高度の文化性を含んだ、いわば人間の修養の一面を築くのが観光であるという意味から私たちそのことを考えていくべきである。そういうことを前提にするならば、おのずからそこに高い道義性公徳心、こういうものが手伝って国内、国外を通じこの観光目的を果たすことができると思います。単に経済観念一本でやるときにさみしい人間の悪の一面が露骨に出るのである。そこに高い道義を持った目的を一面に果たすことによってこれを押えることができるという意味から、国の観光行政の根幹に道義国家の基本を筋骨に入れることを、特に大臣にそこを推進していただきたいと思います。趣旨に共鳴されるやいなや。
  12. 原田憲

    原田国務大臣 全く同感でございます。
  13. 受田新吉

    受田委員 次に法案関係する基本的な問題として、本省企画部門に八名の計画官を置くわけなんですが、この計画官地位はどの程度ものであるか、つまり等級別分布図をお示し願いたい。
  14. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 このたび計画しておりまする企画部門政策計画官地位の御質問でございますけれども、いわゆる局の課長と同じ地位の資格でございます。したがいまして二等級あるいは一等級も置けるというふうに考えておる次第でございます。
  15. 受田新吉

    受田委員 一等級もしくは二等級、古参の課長一等級というところへ振り向ける、この計画官の八名というもの分担はどうなっておるわけですか。
  16. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 八名予定しておりますが、現在のところではおおむね総合的な輸送体系でございますか、こういう関係企画立案ということで一名、それから地域開発という面の計画企画立案が一名、それから都市交通を総体的に企画立案するというので一名、それから貨物輸送いわゆる物的流通ですね、物的流通近代化につきまして、これについての施策を企画立案する、これで四名、それからもう一つは、いわゆる旅客輸送問題につきまして一名、それから特にこれにつきましては運賃問題もからんでまいります。運賃問題もあわせまして分担させる、これで五名でございます。あと三名は交通安全それから交通公害、こういう問題につきまして総合的にものを考えるという意味での計画を持っております。それからもう一つ運輸関係の技術の開発でございますね、これにつきまして一名、それからあと残り運輸省国際経済協力と申しますか、種々国際面で出てまいります。その担当も持ちたいというふうに考えておる次第でございます。
  17. 受田新吉

    受田委員 大体分担を伺いました。そうすると、この計画官の選抜はこれらの各部門のエキスパートを選び出すという意味で、別に運輸省の中からだけでなくて、運輸省外からも人材を集めようという御計画があるかないか。
  18. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 現在のところでは運輸省の中から、これはもちろん外局もありますけれども、運輸省の中からそういうのに適した人間を選んで充てるという方針でございます。
  19. 受田新吉

    受田委員 この点につきましては交通安全とかあるいは国際的な認識とか、こういう部門につきましては、これは別に運輸省にとらわれなくて、他省からも人材を簡抜して、そうしてセクト主義計画でなくして、より高度の運輸行政の粋を集めるというかっこうにすべきだと思うのですが、これは大臣の御判断で、この計画官八名はやはり原則として運輸省からお選びになるといういま方針のようでございまするが、こういう私がいま指摘したような面につきましては、広く人材を吸収して運輸行政企画部門を担当する大事なお仕事をする人でございまするので、英知をすぐるという意味で別に運輸省にこだわらないという形で私はいいと思うのです。まだ具体的な人事など進んでいるはずがないと思いますが、私のこの構想は、私が大臣であったとしたならば、当然運輸省の部外からもこういう人材を集めるという、例外として一、二名くらいはそういうところで他省との連絡調整をはかる意味からも必要だと思うのです。そういう構想を持つのですが、私の構想を否定されるやいなや。
  20. 原田憲

    原田国務大臣 御構想は決して否定いたしません。私はそういう考え方で、いわゆる一局削減とか今度の総定員法にいたしましても、これから人事の交流をはかっていくというようなことでセクショナリズムにおちいってはいかぬ、こういうお考えは私はけっこうであると思っております。
  21. 受田新吉

    受田委員 私は、この運輸省設置法改正は基本的に共鳴するのです。こうした面が一つ要ると思うのです。これは企画部門の強化というもの運輸行政のばらばらをまとめる上からも大事であると思っておる。同時に、他省との連絡調整をはかるような意味も含めて運輸行政のにらみが各省にもきくという意味から広い範囲で人材を簡抜する努力をされる必要があると思います。  今度の改正の次の問題点である本省付属機関、こういうもの審議会が幾つも雑居しているのを漸次整理統合されようという意図、これには確かに共鳴をさせてもらう。これは運輸省だけじゃなくて各省みんな同じことなんですが、具体的にあらわれてきたことにまず賛意を表します。賛意を表しますが、これに関係するお尋ね一つあるのです。  海技審議会というもの任務の中に海員船員養成というものがどういうウエートを占めておるかお答え願いたい。
  22. 高林康一

    高林政府委員 海技審議会任務といたしまして、海員制度、すなわち船舶職員に関するところのいろいろな制度の問題とそれから船員教育の問題、あと水先法に関するところの問題、大きく分けて三つの部門がございます。  船員教育につきましては、この海技審議会において従来やっており、また非常に大きなウエートを占めておる、いままでの海技審議会のいろいろな幕議事項から見ましても相当大きなウエートを占めておるというふうに考えております。
  23. 受田新吉

    受田委員 今回の改正案の中に海技審議会海上安全審議会とを統合するという御提案がいまされておる。そこで、私、これは当然統合されるのには最も似通ったものであると思うのです。海上の安全をはかる上とそれから海技審議会の従来の任務とくっつけるのは適当であると思う。いまお答えをいただいた船員教育につきまして、海技審議会からかくかくの人員を養成すべきであるという答申がなされて、それに基づいて文部省においても商船高等専門学校においての教育、あるいは商船大学における教育が行なわれてくる、こういう因果関係があるわけです。その因果関係の中でちょっとお尋ねしたい。  商船高専全国で五つ、すでにその準備は着々と進んで、スタートして日はたっておりませんけれども、成果をあげつつあります。ところが、今年四月にスタートした船員養成の中で、すなわち機関のほうと一般の分とのその比率に非常な問題があったと見えて、せっかく海技審議会が三百名の増員計画を答申に出されながら、文部省は一校四十名、合計二百名しか定員募集をしていない、こういう結果が出てきたのですが、これはどういう関係からこうなったのか、お答えを願いたい。
  24. 高林康一

    高林政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、海技審議会におきましては、従来商船高等専門学校の定員が四百名でございましたが、それを三百名増加するようにという答申を行なったわけでございます。それに対しまして本年度の商船高専の定員増は二百名にとどまった。これは、一つは学級編制がいま航海科、あるいは機関科それぞれ四十名の編制であるということ、それで三百名では非常にやりにくいということが技術的な一つの理由であります。  それから、各学校におきますところの航海科、機関科の置き方、これについてはいろいろ意見がございます。しかし、これはなるべく同じようなかっこうでそろえていきたいということで、若干のバランスの食い違いがございますけれども、五校において四十名を基礎にいたしますところの学級編成をやるという考え方で、それともう一つは、もちろん予算の関係はございまするが、そのような考え方で二百名増ということに相なった次第でございます。
  25. 受田新吉

    受田委員 残りの百名はどうして養成することになるのですか、今後の計画を伺いたい。
  26. 高林康一

    高林政府委員 海技審議会のこの三百名の答申の場合におきますところの中期経済計画が基本の考えになっておったわけでございます。それで、今後につきましても引き続きやはり商船高等専門学校の増員が要るのではないかと私ども考えておりますが、それらの点につきましては、今後また文部省連絡いたしまして進めてまいりたいと考えております。
  27. 受田新吉

    受田委員 船員養成機関においては、せっかく国費をもって優秀な海員を養成しております。航海部門を担当すると機関を担当するとを問わず、優秀な人材であり、選抜された人材であります。ところが、その人材のうちで、商船大学を卒業した人がせっかく技術を身につけ、あるいは知識を身につけておりながら陸上勤務の者が相当数おる、こういうことでございます。商船高専のほうがわりあいにすなおに海上勤務に従事しておる。この数字が当局で出ておると思うのですが、私、資料要求をした中にお答えとして出ておらぬ点は、商船大学の卒業生の海上勤務をしない者がどうか、商船高専の卒業生の海上勤務をしない者がどうかというほうの数字をいただいておらぬわけです。学校別に分けてその辺はどうですか。これは憲法で職業の自由、営業の自由は認められておるわけでございますけれども、国費をもって養成した立場から、できれば指導を十分に加えて、海員不足の現状で高級船員をせっかく養成したのでございますから、第一線に勤務してもらうのが筋だと思うし、それは指導よろしきを得ればできると思いますが……。
  28. 高林康一

    高林政府委員 商船大学の卒業生で海上勤務をいたしました者の比率は、四十年におきましては七五・四%でございます。それから飛びまして四十三年が八五・二%でございます。それから商船高校につきましては四十二年の数字でございますが、八八・二%でございます。両方平均いたしますと卒業生に対して大体八五ないし八五、六%というのが最近の数字でございます。この点につきまして、四十年くらいに七五%程度商船大学海上就職率でございましたが、先生御指摘のような、やはり海上に大いに就職してもらわなければならないものと考えますので、いろいろ学校当局とも御連絡して、この就職率は逐次改善されておりますけれども、今後さらにこれを改善するように学校ともいろいろ連絡を進めてまいりたいと考えております。
  29. 受田新吉

    受田委員 学校とも連絡してそういう配慮をしたいということでございます。  いまお示しをくださったのは最近の卒業年次のものでございまするが、過年次の卒業者で現に陸上勤務と海上勤務の総数の上から見た比率というものがやはり出てくると私は思うのです。つまり、ある期間を終えると、たとえば船舶会社の重役で帰ってくる。陸上勤務にならざるを得ないという事情もある。そういうようなことも当然含まれると思いますけれども、つまり、海上勤務としてそのワクの中に入れられるものが、卒業年次だけでなくて、ずっと現卒業者の全員における比率というものを御調査されたことはないのですか。
  30. 高林康一

    高林政府委員 学校別に調査したことはございませんけれども、海運企業に就職いたしましたところの人間がどのような離職、ないしは逆に申しますと定着状況を示しておるかということについての調査をしたことはございます。そこで、その離職の状況でございますが、商船大学商船高専御存じのとおりみな外航海運企業に就職するのが通例でございます。外航海運企業の大手あるいは中小それぞれの企業におきますところの離職率、これは定年等によって退職した者を除いて途中で離職するものでございますが、大体この二、三年におきましては平均四%前後でございます。そういう意味では離職は内航に比べては非常に少ないというような状況でございます。
  31. 受田新吉

    受田委員 そういう指導を待つことにするといたしましょう。同時に、海員養成の長期計画から見て、いまの百名の充足をどうするかという問題で、来年度はこれは文部省に、つまり航海科、機関科等をどういうふうに募集させるか、御相談をどういうふうにされるのか。それから商船高専のスタートは五校が同時に同じかっこうでスタートしていくという一つの紳士的ないい形ができておる。これはある特定の学校には増員計画があるが、他の学校にはそういう特典がないとかいうことになると、またそこで各学校間の対立抗争を招くことにもなるので、できれば増員計画について五校が同じ数字で募集ができるような形でやられること、また二十名や三十名の場合はどちらが譲ってもいいのだという幅をもって、あまりしゃくし定木に考えない。途中で死亡をする人もおる。そういう意味からも、ある程度二、三十名のゆとりはいつもあっていいと私は思いまするが、そういう意味で、来年度の募集計画等について、五校が同時に増募計画が発表できるような方向へ運輸省としても、しむけるように、文部省にそういうゆとりを持たせるようなことはできないものかどうか、お答えを願いましょう。
  32. 高林康一

    高林政府委員 もちろん、文部省がいろいろ学級編成その他をやっていく問題でございますが、先生の御趣旨のありますところ、私どももやはりバランスのとれた学級編制といいますか、そういう観点でいろいろ考えていくほうが妥当ではないかと考えておりますので、そういうような点は今後文部省との協議の機会にまた話を進めてまいりたいと考えております。
  33. 受田新吉

    受田委員 いまの御答弁、大いに共鳴します。そういう方向でお話を進めていただきたい。  次に海運行政上の一つの問題として、私まことに残念なことをここで指摘しなければならないことがあります。それは驚くべき海難の発生である。「過去五年間の海難発生状況」という資料を海上保安庁からいただきました。この資料を拝見いたしましても、その中に無線設備があるかないかによって、発生の数字が相当変わってくるのではないかという示唆に富む資料がここにあるのです。この資料を拝見しますると、四十三年に例をとってみましても、一般船舶の中で、内航の六百三隻は無線設備がない。二十八隻しか無線設備があるのはない。こういう数字が出ておる。これは百トン未満である。百トンから三千トンになると、だいぶその間が接近してきて、ないほうが四百四十二隻で、あるほうが二百四十二隻となっておる。外航になると、今度は逆で、設備があるほうが六十七隻で、ないほうが五隻になっておる。漁船になると、あるほうが七百三十六隻で、ないほうが三百八十五隻、こういう数字で、総計で見て四十三年に無線設備があるほうが千七十三隻、ないほうが千四百三十五隻、こうなっております。この表を見ただけでも、無線設備がないままで大洋あるいは近海を航行しておる船が、いつ海難にぶつかるかわからないような危険にさらされながら、ある意味でいったら盲目的な航行をしておる船があるという実情に非常な不安があるわけです。もちろん気象庁が発表する天気予報をラジオで聞くというても、指定の時間に一々ラジオのスイッチを入れることはなかなかむずかしい。あるいは近海を通る船舶からいろいろな示唆を与えてもらうとしても、そういうことはまことにまれなことである。こういうようなことを考えると、おおむねもうめくらの船で命をかけて生死の間を彷徨しつつあるというのが無線設備のない船の現状ではないかと思うのです。  大臣、最近においても一向に減ろうとしないこの海難事件——私も瀬戸内海の小さな島の住人でございますが、あの島の周辺にも毎年何回か船が、近海を通る内航船舶でさえも何回かいそへ乗り上げたり沖合いで沈没しておる実例を見ておるのです。こんな近くでさえもそういうことがあるのですから、ちょっとはずれた日本海とかあるいは太平洋になってくると、ほんとうに無線設備のない船というものは残酷なことだと思うのですよ。これについてお尋ね申し上げたいことは、海難防止策としてすべての船に無線設備をつける。いま、三百トン以上の船に強制的に無線設備を設けようという措置をされようとしておるようでございますが、それ以下の船にも無線設備を必ずつけるという強制措置がとれないものか。経費の点についてのある意味における対策もあわせてお答え願いたいのです。
  34. 原田憲

    原田国務大臣 ことしから、いま御指摘のように、海難防止の面から、無線設備を三百トン以上の船は全部つけるように、こういうことに審議会の答申を得てやった、こういうところでございます。おっしゃるように、全部の船に義務づけることができたら私もよいと思いますけれども、これに対しましては技術的な面がありますから、事務当局からも御答弁させたいと思いますが、技術的な面で電波の割り当てとかあるいは経済的なあれがあるようでございます。私どもといたしましては、できるだけこれらの問題と前向きに取り組んで、御趣旨に沿うように今後も努力を続けていきたい、このように考えております。
  35. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣から御説明申し上げましたように、私のほうとしましても、前向きに進みたいということで、船舶の安全、これは運輸省の安全に対する対策というのは第一にやっておるわけですが、船舶につきましても同様にいろいろ強制的な措置を進めておるわけでございます。  無線につきましては、内航貨物船の無線設備を大体昭和四十年から、沿海区域以上の船に対しまして、いわゆるSOSという、遭難信号自動発信器というのが正式な名称でございますが、これを備えつけさせまして、それで一応の安全の義務をはからせております。さらに、昨年成立を見ました船舶安全法の一部を改正する法律によりまして、ことしの十月からこれらの船舶につきまして、三百トン以上でございますけれども、無線の設備を強制するというふうにしたわけでございます。  この改正の内容につきましては、法律改正前に造船技術審議会から答申をいただきましたが、法律の改正前は、まさにこの答申と全く同じものであります。さらに、船につきまして無線設備をつけるということが望ましいということも答申の中に書いてございますし、私のほうもそういうように考えておりますけれども、今後の電波の普及状況とか船主経済ということもございますし、それから、郵政省とも十分協議の上、この問題の検討を進めてまいりたい、かように考えております。   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕
  36. 受田新吉

    受田委員 いま郵政省は、電電公社を主軸にしてVHF無線電話の受け入れ体制を固めつつあるわけです。ところが、従来、私も、この委員会でも、また逓信委員会でも、たびたび発言をしておるのでございまするが、いわゆる現実において問題にされやすい中短波の二MC帯のSSB無線電話、これが現に、これを中心の海岸局との間で交信をすることによって非常に救われてきた歴史があるわけでございます。そうしてまた、農林省としても、漁業用のSSBの陸上無線局の設備経費等につきましては、農林省が補助まで出しておる、こういういきさつなどがあるわけでございまするが、内航無線の、つまり商船に用いるそういうものについてはどこからも補助がない。これは幾らかでも補助を出してやる。たとえば、電電公社の子会社の日本船舶通信株式会社に対する育成業務などを見ておりますと、そういうことをつくづく感ずるわけでございまするが、現に最も感謝されて、そうしてわりあい設備がしやすいSSB無線通信というものに対する保護育成政策というものは一体どういうふうに考えられるか。これは手っとり早く、金額にしてもそう高額のものではない。それに対してある程度の補助を出してやって、どの船にも無線設備をつけてやる、こういう形のものをとるべきじゃないか。これに割り当てる共通の波が三つしかないからとか、こういうようなところで逃げる問題ではなくて、地方庁に割り当てている波をそのほらに振り向けるなどの措置も十分できるわけでございまするので、現実にこの中短波のSSB政策というものを、現にこれによって救われておる現状を、極端な転換をしようとする過程で、これを押えるために、すぐ間に合うような設備をおろそかにしておるという傾向があるんじゃないかと思うのですが、これは事務当局、技術当局でけっこうでございます。私は何回かこのお尋ねをしておるだけに、これは運輸省と郵政省、ちょっと考えが違っていた印象を私持っているんですが、いまでもその考えが違うのか、違うなら、私がいま指摘したところへ郵政省は譲歩すべきだ。
  37. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 先生のおっしゃったように、運輸省と郵政省が立場が違いますので、いろいろ意見の交換をいたしております。しかし、結論的には、われわれが法律で強制するという場合には、もちろん役所のほうも意見を合わせ、さらに外の団体、そういう意見も十分聴取いたしまして、先ほど申しましたように、審議会の答申がそれを実は代弁しているわけでございますけれども、そういう形でやっておるわけでございます。したがいまして、事務的に意見の相違ということはない、こういうように私どものほうは考えております。  なお、SSBの電波受信局につきましては、実は私どものほうの所掌ではございませんが、郵政省から見えておりますので、お願いしたいと思います。
  38. 大塚次郎

    ○大塚説明員 お答えいたします。  ただいまの先生のお話のように、郵政省といたしましても、いま海難防止につきましては、できるだけこれをなくするように電波の効率的な利用をはかっていきたいということで、従来から運輸省さんをはじめ、関係の皆さま方と御協議して、前向きの姿勢で進めておるわけでございます。  ただいま先生御指摘のSSBの関係につきましては、郵政省としても十分これは検討をしたところでございますけれども、何分にも隻数が相当多いのに対しまして、他の海上航行関係のほうの需要が普通、中短波帯に対して非常に多い。したがいまして、この中短波のほうは、できますれば、海岸より相当離れるほうの船に対しての需要が非常に多いので、そういう方面に、やはり重点的に回すのが至当ではなかろうか。沿岸のところを航行する内航船につきましては、周波数の需給状況等から、超短波帯の使用でこれをまかなっていきたい。そういうVHF帯でございます。それによって、大体沿岸五十キロ以内ぐらいで、そういう周波数の効率的な利用の面から、沿岸のほうの無線電話の整備をしてこれに対処していきたい、こういうことで考えております。
  39. 受田新吉

    受田委員 昭和三十五年の五月三十日に日本電電公社副総裁から郵政省の電波監理局長にあてた「小型船舶に対する中短波無線電話による公衆通信業務の開始について」の回答の中で、海上保安庁の海岸局に対してこの中短波無線電波の委託をするとなっておるのですね。したがって、いま海上保安庁はその辺ではもう委託をされておる。それを今度また戻してくるわけですか。
  40. 大塚次郎

    ○大塚説明員 お答えいたします。  基本的な方向といたしますれば、超短波の沿岸無線電波が整備されますれば、でき得ればその方向に統一していきたい、このように考えておりますけれども、いますぐ直ちに内航船に使われておりますところのSSBをそちらに振り向けるという形で考えてはおりません。ただ、御承知のように、この非常通信波だけを対象にいたしますれば、これは幾ら船がふえてもよろしいわけでございますけれども、ただそういう非常通信波だけではない、無線設備を装備した以上は一般の通信もしなければならない、こういうことになりますので、どうしても周波数の需給事情が、中短波は非常に苦しいということで、多少若干経費の問題等にも問題があろうと思いますが、超短波のほうで内航船の関係はまかなっていきたい、そういうふうに考えております。
  41. 受田新吉

    受田委員 これはたいへん技術的な問題で、一般に理解しがたい点もあるわけでございますが、現にせっかくこのSSB無線通信の設備というものが特に内航船舶には最も有効に動いてきておるのです。それに対して、この無線設備のないものに、VHF帯でなくて、このSSBの無線設備をさせて、これは手っとり早くすぐひっつくわけですから、そうして、そのために海難にかかるという危険を防止しなければならないという私の趣旨なんでございます、はっきり言えば。それで、いまさっき数字をあげたように、合計して海難発生が昭和四十三年に二千五百八隻もある。これはたいへんな海難ですよ。その中で全損が五百二十一隻、こういう全部沈んだやつもある。それから、海難を受けたのは二千五百隻という、この大量の遭難を防止するために一その遭難の船で無線設備のないものが半分以上もある。六割か七割は何らの設備もない。SSB設備があるというたって、SOSを発しても、どの地点でどういう状態でいまわが船は沈没せんとする状況か、あれは全然通報できないのですよ。だから、そういうものによって的確に救難作業ができるものが、そのまま人生よさようならとなっておる。その遺族に与える影響など考えるときに、このすごい海難、このすごい人的資源の喪失を運輸大臣、私、大臣としては、陸上の交通事故の死亡とあわせて、海上においては、自動車だけでなく、船そのものが消えるのです。そして人間がそのまま消えていく、こういう残酷な状態なんですが、海難防止政策として無線設備を完全に取り付けること。  それからもう一つ——きょうは時間を十二時までと、一時間の質問時間になるべくしてもらいたいという意味でございますので、私、急速に質問を集約します。  気象庁に関係する問題が入ってくるわけです。いま、外航船舶に一つの例をとりますと、かつて三名の無線通信士がおったのが、いま一名しかおらない。そのために無線通信による連絡に事を欠いて、たとえば、病気をしておるときとか、便所へ行くとか、食事をするとか、そういう期間、その業務に携わることのできない間、その無線通信の連絡に事を欠くわけです。最近、自動的にこれに反応を示すような装置がしてあるということでございますが、それは単に自動的なもので、あやのある発信はできないわけです。気象庁は、無線通信士が一人になって、その船舶から気象その他の情報をキャッチする上に不便を感じないかどうか、これが一つ。  それから無線通信士というものを一人にしたというあの法改正のいきがかりから見て、これでゆっくり間に合っておると今日も運輸省判断をされておるか。無線通信士の養成、電波関係の学生をどんどん養成する、そういう方法をとって教育面でどんどん補って、無線通信士は、小さな小型の船は別として、三百トン以上の船にはりっぱな資格を持った上級の無線通信士が配置されるような形をとる。またどんな小型のものにも無線通信の資格を持った者がこれに配置されるようにするとかいう、無線通信士の養成施設、養成機関とあわせて無線通信士の配置をより充実させるほうが船舶航行の安全をはかる上に必要ではないかという問題、これをあわせ御答弁願いたいわけです。大臣に関連することは、事務当局が答弁された後に大臣が的確な判断をされてけっこうでございます。
  42. 吉武素二

    ○吉武政府委員 海上の気象資料が減っている。それで気象庁は不便を感じていないかという御質問ですが、もちろん私たち海上の気象資料の入電が少なくなってきたということに手をこまねているわけではございません。最近、御存じのように、気象衛星というものが空を飛んでおります。それで、いままで得られなかった気象資料というものが、特に海上において選べるようになりまして、これを十分に活用するということで、いままでは、船ですと、航路の上しか気象資料が得られなかった。航路外の広い海の上の気象資料というものが、新しい技術によって得られるようになりつつあります。そういう面で、われわれは何とかして海上の気象資料を集めて海難防止に役立てたいという積極的な姿勢で進んでおります。私たちとして、船からの資料が手に多く入ることを望んでいることはもちろんでございます。
  43. 受田新吉

    受田委員 大臣答弁される前に、もう一つ念を押しましょう。気象衛星というものができて、そのほうで補える。しかし海上の船が、その周辺の気象状況がどらかということは最もよく知っているわけですから、それとの間で無線通信によって海上の気象の変化を知悉するということができれば、それが一番いいのじゃないですか。そこをはっきりしておきたいのです。
  44. 吉武素二

    ○吉武政府委員 こういう洋上の気象資料が陸上に比べて非常に少ない。これを何とか克服しなければいけないということは世界気象機関の大きな課題でございます。しかし、やはり通信士という問題もある。それで、いまアメリカあたりと協力してやっている一つの事柄というのは、定期航路を運航する商船上に、自動的に気象観測を行なう装置を積んで、気象衛星中継基地としてある一カ所で海上の資料を集めよう、そういう技術がいま開発されつつあります。こういうこともあわせお考え願えれば、海上気象資料は必ずしも人手を要しなくともできるのではないか。そういう技術によってわれわれは海上資料をより多く集めるということに非常に積極的に動いている現在でございます。
  45. 受田新吉

    受田委員 そうすると、気象庁は、海上の人的資源、すなわち技術者の必要はなくとも、もうそうした国際的な関連における設備によって十分補いはつく、こういうことですね。
  46. 吉武素二

    ○吉武政府委員 お答えします。  必要ないと申しているわけではございません。やはり海上の資料が、技術のほうもなかなかそう急速に新しい技術が整備されるわけではございませんから、海上の気象資料はできるだけ送って、少なくも現在ぐらいは送っていただきたい。しかし、それだけで将来の問題が解決するとも思っておりませんから、いろいろな技術、先ほど申し上げましたほかに、海上にブイを浮かべて、その自動気象観測装置からの資料を集めるとか、そういうこともやっていくのが将来の姿ではないだろうかというように考えているわけです。
  47. 受田新吉

    受田委員 まじめな学者でいらっしゃるし、長官は同郷の大先輩でもありますので、これで質問を終わりますが、答弁が非常に丁寧なんです。私それがよくわかる。それで、結局要るのか要らぬのかということなんですが、現在この通信士が一人であるがゆえの不便が気象庁に現実にあると思うのです。そしてこの海難の現実は、七六%が船の操縦者のミスであるといわれておる。それはやはり気象関係を十分知悉しないミスがそこにも出てくると思うのです。洋上気象ということはやっぱり洋上におる者が一番よく知っておるわけなんですが、それを十分キャッチできるようなかっこうに現在なっていないのじゃないかという不安がある。したがって、無線通信というものは必ずその設備がさるべきであり、同時に人間は、大きな船であるならば三人ぐらいはぜひ置いてしかるべきだということです。  そこで大臣、私がお尋ねしたいのは、海難がこれだけひんぱんに起きておる。瀬戸内海でも、あの小さい内海でさえも毎年のごとく遭難が相次いで、私たちもうそれを聞くのにたえないものがあるのですが、それをなくするために無線設備をぜひどの船にも取りつける、三百トン以下の船にも取りつける、取りつけるためには、中短波のSSBで間に合う場合はある程度、ちょうど農林省が助成しているようなかっこうででも、数十万円かかる金の一部を補助してでも取りつけさせる。そしてそれにはある程度無線技術を有した船員を短期間——どこかで養成しておられるようでございますが、短期間でもそういうふうにして、無線設備に知識を持つ者を乗せておく、そうすれば安心して洋上に乗り出していくことができるということを考えた場合に、国務大臣としての運輸大臣がここにねらいをつけられて、海難防止の重大な基本方針を、いま私が指摘したような点を中心にお立てになってしかるべきではないかと思うのです。自動車などの損害とは別に、全損の船などといったらたいへんな損害です。人間も全部沈没していくんだ。海上の救助の容易でないという実例もわかっておる。特に波浪高き海上で救助する困難というのはほとんど命がけの救助で、陸上の救助とは違う救助が海上では行なわれておる。この膨大な海難を防止する運輸行政のポイントをお示しいただきたい。
  48. 原田憲

    原田国務大臣 海難防止につきましては鋭意努力をいたしてこれに対処をいたしておりますが、大体実数は横ばいというようなことを、私どもの資料として提出もいたしております。今後とも海難防止のために鋭意努力を続けていきたいと思うのであります。非常にいま具体的な問題を提起されました。これは私は専門家でありませんので先ほど事務当局に答弁をさしたのでございますが、聞いておりまして私の感じたことは、たいへん前向きでけっこうなことでございますが、一つは今後の対策というものに、限りある人というもの中心に考えていって、現実的にそういう人が得られるかどうかという問題が一点あると思います。それから、先ほどのお話で、これは受田さんが専門的なことでこれができるという考えであるということでございました。これらについては郵政省のほうが専門家でございますから、今後私はよく事務当局を督励いたしまして、このことについての検討を加えさして万全を期することができるように努力をしてまいりたいと存じます。
  49. 受田新吉

    受田委員 時間が来まして、私、航空行政について航空局長以下皆さんとの間で十分質疑の通告もしておったわけでございますが、きょうじゅうにこの法案をあげるために十二時までで質問を終えてほしいということでございますので、これはコンコルドの導入——おととしフランスでこのコンコルド工場を見て、現に試験飛行に成功したコンコルドの中に入ってみて、日本航空は三機を導入するというようなお話も伺っておりましたので、こういうものの導入と、それに伴う日本の飛行場の受け入れ体制、こういうものをちょっとお聞きしたかったのでございますが、基本的に一つだけお答え願いたい。あとは要りません。  こういう大型ジェット機の導入、そして航空輸送の中で貨物輸送の占める部位をこれからどういうふうにふやそうとするか、それに伴う日本の各級の空港の整備計画をどう対応させようとするか、これ一言御答弁願って質問を終わります。
  50. 原田憲

    原田国務大臣 航空貨物につきましては、急を要するもの、運賃負担力の強い高級雑貨類等を中心といたしまして、いま急速に伸びつつございます。輸送品目も多様化してきております。ことに、いまお話しの国際貨物輸送については、超大型貨物専用機の導入によりまして、貨物を比較的低廉な運賃で迅速に運送することができることとなりますので、高級雑貨等のほか一般貨物についても、短時日で輸送する必要がある場合には航空が重要な役割りを果たすことになってくる、このように推測されるわけでございます。したがいまして、これらに対処するために国内国際を通じまして、先ほどお話しのように、飛行機のこれからの計画については、受田さん自身も見てきたという話でございますが、今後それに対応する空港の整備が必要でございます。先般から御審議を願っております新東京国際空港というものも、これらに対応するためにどうしても設けなければならない空港でございます。国内におきましても、空港整備五カ年計画をもって充実に努力をいたしておるところでございますけれども、すべての問題を考えますときに、乗員の問題そして空港の設備の問題、いま五カ年計画をもって推進しておるというものの、もう一歩進んだ抜本的な計画というものが必要な時期が来ておる、私はそのように判断をいたしておりますので、できるだけ努力をいたしていきたい、このように考えております。
  51. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 鈴切康雄君。
  52. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 このたび運輸省設置法の一部を改正する法律案提案されておりますが、この設置法改正目的はまず何であるか、その点について運輸大臣にお伺いいたします。
  53. 原田憲

    原田国務大臣 先般も、委員長席にお着きになっておる伊能さんから御質疑がありまして、私より伊能さんのほうが専門家だからということでお答えをいたしたのでありますが、私はもう御存じのとおり、こういうしろうとな男でございますから、専門的なお答えにはなりませんが、要は今日まで一生懸命運輸行政が進められてきたわけでございますけれども、その中において、とかく行政が認許可というようなことで判こを押したりするような、それだけではありませんけれども、そういうようなことでほんとうの経済というものの中で占めておる運輸行政というものが、この新しい経済社会の発展していくことについて十分対応することにうらみなしとしない。そこでそれを充実するために、日本経済の動脈をになう経済としての運輸というものを誘導型の行政というものに持っていくべきである。それのための今度の行政改革計画をいたそうということでございます。また一方に、運輸行政というものは認許可行政ではなくして、逆に国民へのサービスにつとめなければならぬということを主眼とした改革を行なおうといたしておるのが、簡単に申し上げますと趣旨でございます。
  54. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 計画官を八名置くことになっておりまして、課の廃止がされるようになっておりますが、整理によって課が廃止される具体的内容、そして廃止されることによって労働強化になるのではないか、また仕事がおろそかになることも十分考えられるけれども、その点についてどのようにお考えになるか。
  55. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、八名の計画官振りかえにつきましては、そのうち一名はお手元の改正法案の中にございます船舶整備公団監理官というのを振りかえます。あと七名は政令職の課長を振りかえるという趣旨でございまして、たとえば現在官房開発課長都市交通課長あるいは流通企画官という課長がございますけれども、これをそれぞれ政策計画官に当てはめる。さらに原局からやはり御協力願いまして、たとえば船舶局の中に原子力船管理官というのがございますが、この課長ポストをつぶしてこれを計画官に充当する。そのかわりこの原子力船管理官というポストは船舶局の中の技術課にその課を統合いたしまして、その中に省令職で原子力船技術調査官というのを特につくりまして、課をつぶした補完をいたしたい。ただ、そのために労働が強化されるかという御質問でございますけれども、課長ポストを一名だけ廃止して、仕事並びに人員はそのままいまの技術課のほうへ持っていくということでやっておりますので、そういった労働強化にならないようにつとめておる次第でございます。  それからさらに同じような例でございますけれども、たとえば港湾局に港湾工事検査管理官というのがございます。この課長ポストを計画官のほうに振りかえる。その穴埋めといたしまして、省令職で首席港湾工事検査官というのを新しくつくりまして、そこでその仕事をやるということでございます。  それから鉄道監督局の中にただいま電気課長というのがございます。これは民営鉄道部に置かれておるのでございますが、その仕事を同じ部の中の土木課の中に統合いたしまして課長のポストを取ります。そのかわり土木課の中に電気技術調査官というのを省令職で置きたいというふうに考えております。  それからなおもう一人は、海上保安庁の監察官というのがございますけれども、課長ポストでございますが、そこから一名供出願うということで充当いたした次第でございまして、今後ともそういった労働強化のないようにつとめてまいりたいと思っておる次第でございます。
  56. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たとえば鉄監局の民鉄部電気課の廃止は、現在私鉄の事故が非常に多くなっているわけです。その意味においては当然強化指導しなければならないのに、廃止をするということになれば、事故対策に対して手抜かりができるのじゃないか、そういうおそれは多分にあるのですが、その点についてはいかがですか。
  57. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 ただいま御説明申し上げましたのですけれども、土木課の中にただいままで電気課長がやってまいりました仕事を持ってくる。それで課長が減るわけでございます。そのかわり土木課の中に電気技術調査官というのを特に省令で置きたい、こう思っております。政令職の課長と省令職の調査官とで格が多少違いまして、この点の差異はあるかと存じますけれども、これでもって事故対策をおろそかにしたという意味ではございませんで、土木課におきまして十分手当てをしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  58. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたは課が廃止されても決してそういう点についての手抜かりがないというふうに言われるわけでありますけれども、しかし課の存在というものにはやはりいままで意義が私はあったと思うのです。その課が廃止されることによって、現在非常に大きな問題になっている私鉄等のいろいろの事故対策に対する点については非常に手抜かりになって、また私鉄等の事故の問題が起こるのではないか、私はそのように心配するわけです。  もう一つの問題でありますが、たとえば官房都市交通課でありますが、これがやはり廃止されるわけであります。都市における交通問題も非常に大きな岐路に来ているわけです。その点、都市交通課が廃止されるということはやはりそういう面についても大きな穴があくのではないか、このように私は思うのですが、その点についていかがですか。
  59. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 たいへん御心配をかけましてどうも申しわけないと思います。今回都市交通課長を廃止いたしますけれども、それにかわりまして都市交通関係を総合的に見まする計画官を置きますので、この点につきましてはただ課長という名が変わっただけでございますので、実態的には変わらない、むしろ強化されるのではないかというふうに私ども考えておる次第でございます。
  60. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 運輸省に所属している審議会の統廃合はどのようにされようとするのか、また今後の計画構想はどうなるのか、その点についてお伺いいたします。
  61. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 審議会の統廃合でございますけれども、実は四十四年度で考えておりますのがこの改正法案の中に入っておるものでございます。これによりますると、まず本省におきまして、中央船員職業安定審議会というのがございますが、これを廃止いたします。それから造船技術審議会というのを廃止いたします。それから三つ目には、海上安全審議会というのを廃止いたします。それから海技審議会というのを廃止いたします。以上、四つを本省では廃止いたします。それから地方におきましては、地方船員職業安定審議会というのが十ございます。これと、自動車運送協議会というのが九つございます。以上、合計いたしまして二十三の審議会を廃止いたすわけでございます。しかしながら、廃止いたしましてもそれらはいずれかに統廃合いたしまして、また新たに審議会をつくるのでございますけれども、まず新たにつくるものといたしましては、運輸政策審議会というのを本省に置きます。それから運輸技術審議会というのを置きます。それから先ほどの海上安全審議会海技審議会をつぶしたかわりに、これを統合いたしました海上安全船員教育審議会というのを中央に置きたいというふうに考えております。それからなお造船審議会もつぶすのでございますが、それはただいま申しましたような運輸技術審議会の中に取り入れたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、地方におきましてはいままで自動車運送協議会というのがございましたけれども、これを自動車のみならず、それ以外の鉄道等全般を見る地方陸上交通審議会を置くことにいたします。それから船員職業安定審議会は中央、地方を通じまして廃止いたしますけれども、これにつきましては中央、地方ともに現存の労働委員会でこの仕事をやっていただくようにということで整理いたす所存でございます。要するに、現在三十ございますところを廃止二十三、新設十二、差し引きいたしまして十一の審議会を整理いたします。したがって、四十四年度は十九になります。さらに四十五年度におきましては、現在海運企業整備計画審議会というのがございますが、海運企業整備の仕事も終わりますので、これは四十五年度から廃止いたしたい所存でございます。それから、さらに都市交通審議会というのがございますけれども、これも四十七年度には廃止いたしまして、そのかわりに運輸政策審議会のほうで取り込んでいきたいというふうに現在検討しておる次第でございます。  以上でございます。
  62. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大臣の自主的諮問機関である運輸経済懇談会がありますけれども、それを法律上運輸政策審議会とする理由、そして運輸経済懇談会と運輸政策審議会の内容については、どのような違いがあるのか、どういうことを検討するのか、それについてお答え願いたい。
  63. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 現在の私的諮問機関でございます運輸経済懇談会でございますが、これを発展的に解消いたしまして、正式な審議会にいたしたいというのが趣旨でございまして、それがそもそもの考え方でございます。その内容といたしましては、現在運輸経済懇談会におきましては、やはり総合的な交通政策がどうあるべきかという点につきまして、たとえば物的流通一元化の問題あるいは都市交通の問題につきまして御審議いただいておりますが、今回考えております運輸政策審議会におきましても、同じように、先ほど大臣が申されましたけれども、運輸省にいままではそういったような面についての審議会がないので、この際、正式にそういう法律上の審議会をつくりまして、総合的な輸送体系等につきましても御審議いただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  64. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 本省付属機関としての運輸政策審議会と運輸技術審議会とを設置するということでありますけれども、この審議会をつくるとすれば、やはり全部を網羅した強力な審議会というものをつくるべきではないか。昭和四十七年に審議会等も非常に整理されて、最終的には十七残るということでありますが、そういう点を考えて、私はここで新たに設置する審議会は強力な内容にして、やはり行政改革の一環としての審議会の整理をすべきではないか、かように思うのですが、その計画はおありであるかどうか。
  65. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 計画につきましては、先ほど申し上げましたようなことで、現在考えておりますのは、海運企業整備計画審議会、それから都市交通審議会を将来廃止していきたいというふうに考えておりますが、現在それ以外に、たとえば港湾審議会とかあるいは航空審議会とかあるいは海運造船合理化審議会とか残っておりますが、そういうような審議会と、それから新しくつくります政策審議会あるいは技術審議会との関係でございますけれども、やはり基本的な問題につきましては、こういった強力な大きな政策審議会なり技術審議会でやっていただきまして、それ以下の個々の専門的な事項につきましては、それぞれの審議会に審議していただくというふうに分けて考えていただきたいというふうに存じておる次第でございます。先生のおことばでございますが、御趣旨に沿うように努力していきたいというふうに考えております。
  66. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 設置法のほうの質問はそれくらいにして、現在日米航空交渉が六月二十三日からワシントンで開かれておりますけれども、日米双方の主張が大幅に食い違いを見せ、妥協点が見出されず、暗礁に乗り上げ、しかも交渉が中断されておると聞いておりますが、その経緯についてお伺いいたします。
  67. 原田憲

    原田国務大臣 鈴切さんも御承知と存じますが、昨年私が就任をいたしまして間もなく、ジョンソン大統領の任期がまいりました。彼がその職を去る直前に、十二月のことでございましたが、アメリカの国内の会社、パンアメリカン、ノースウエスト、フライングタイガー、TWAという四社に日本関係のある新しい航空路の認可をするということを決定をいたしました。  それによりますと、パンアメリカンとノースウエストは、相互に新しく中部太平洋、北部太平洋——北部太平洋は大圏コースと呼はれているところでございますが、そこに新しい航路を開設することができる。そしてフライングタイガーというのは貨物でございますけれども、これが羽田へ来る。それからTWAというのは、これは沖繩へ航路を開設する、こういう四つの日本関係のある大きな問題が、アメリカのジョンソン大統領によって決定されたわけでございます。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕 わがほうは、すぐにこれに対応するべく交渉の申し入れをさせておりましたところが、新しく就任をしたニクソン大統領は、前大統領のきめた決定を押えまして——これはアメリカのことでございますから、私どもは推測する以外になかったのでございますが、とにかくこの執行をとめたという事件がございました。私どもは、この推移を見守っていると同時に、交渉の申し入れはやっておったのでございますが、ニクソン大統領が四月二十四日に新しい決定をいたしました。その決定は、ジョンソン大統領がやりました決定と大きな差異はございませんが、わがほうから言うと、ジョンソンがきめたよりもやや少ないといいますか、そういう決定と受け取れるような、ほぼ同じような決定をしました。これは、いずれにいたしましても、この太平洋の航空路におきまして、たいへんな事件でございますので、日米航空交渉の申し入れをさせておりますが、そこで日米航空交渉は、太平洋コースの具体化にあたりまして、これが日本側航空業務に及ぼす影響にかんがみまして、将来の日米航空関係の全般の問題について討議することを目的わが国から申し入れを、先ほど申し上げましたようにいたしております。それに基づいて、去る六月二十三日より七月九日までワシントンにおいて開催されたものでございます。  以上が経緯でございますが、この交渉におきまして、政府といたしましては、将来にわたって日米航空業務の秩序ある発展をはかるためには、日米航空企業が公平かつ平等な形のもとに運営されること及び両国企業が合理的輸送力の供給をはかるべきことが必要であるという基本的な考えに立ちまして、この観点から太平洋コースの決定により強化される米側の路線に対応する日本側の路線の修正を行ない、その強化をはかり、輸送力供給の合理化をはかるということを米国政府に強く主張してきたわけでございます。  私といたしましては、私自身がおもむくべき筋合いであると思っておりましたが、国会の延長がございまして、この設置法も重要な法律案でございますし、ほかにも提案いたしております法案がございましたから、手塚航空局長を団長といたしまして交渉をさせた、こういうのが経緯でございます。
  68. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで妥協点を見出すことができないほど食い違いがあったと言われているのですが、日本側の主張と米側の主張が、どの点が一番ネックになって、問題点になっておったか、その点についてお伺いいたします。
  69. 原田憲

    原田国務大臣 先般もこの問題について御質問がございましたが、交渉の内容については、お互いに公表しないという申し合わせをいたしておりますので、ここで詳細についてお答えをいたすことができませんが、アメリカ側は、すでにニューヨークへ日本が乗り入れをいたしましたあのときに、今日の問題はすでに解決しておって、新しい問題ではない、だから、日本からアメリカがやったことに対して新しい提案をしてきても、それはもう過去において済んでしまっている問題である、こういうふうなことで、向こうから初めたいへん強い態度で臨んできた。それに対しましてわがほうでは、いま申しましたように、この太平洋に新しい許可をされてつくるということになりますと、いわゆるお客さんの数もふえてくるでありましょうし、いまの競争が激化するというようなことは新しい事態になるのであるから、日本としては、どうしてもそれに対応するところの大圏コースというものは認めてもらわなきゃならぬ、こういうことが大筋でございます。そのことで意見が完全に一致をしなかった、こういうことでございます。
  70. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今度の交渉は日米間の不平等是正のための交渉がねらいだと思うのですが、ニクソンはこれは単なる航空の交渉というふうには考えていなくて、むしろ沖繩返還に対するところの交渉並びに貿易の自由化促進という、そういう一連の関連を持った政治的な意味を含んでいるようにも思えるのですが、交渉の段階の中にそういう動きがあったかどうか、この点ひとつ。
  71. 原田憲

    原田国務大臣 私どものほうは、沖繩問題は——これを航空問題だけでなしにほかに通産関係の経済的な問題もございます。日米経済閣僚会議も開かれますが、これには一切関連させないという立場で向かっております。向こうもこの航空問題につきましてはいまおっしゃるようなことは言っておらないようでございます。
  72. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日航の新路線要求に対して米側の反応と、それからチャーター機の無制限乗り入れに対する米側の問題提起についてはどのような話し合いがされたか、その点について。
  73. 原田憲

    原田国務大臣 わがほうの主張に対しまして向こうではチャーター便の話をいまお話しのように出してきておりますが、チャーター便というのは定期航空路でなしにお客さんを集めて適宜やってくるということで、いまもやっておりますが、これを無制限にせよという話は私どもは絶対に聞かれない、こういう態度でございます。
  74. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま日航の新路線要求に対して米側の反応はどういう反応があったか、それを一点お聞きしたわけですが、チャーター機のことがそのように答弁あったのですが、その点について。
  75. 原田憲

    原田国務大臣 きょう新聞社のほうで発表をいたしておりますその要点の中にも、両者は、最後は一時中断をいたしておりますけれども、今次の問題について——これを一ぺん全部読んでみます。これは英文を和訳したものでございますから、正確なルートということであります。「米国の太平洋ケースによってもたらされた事態の変化にかんがみ、日米民間航空関係全般にわたり再検討するための協議は、日米民間航空協定の条項に基づき日本政府の要請によって六月二十三日より七月九日までの間ワシントンにおいて開催された。日米両国の代表団は友好的かつ率直な雰囲気のもとに現行協定付表に規定されている日本側航空路線の修正並びにチャーター業務問題について真剣かつ徹底した討議を行なった。」真剣かつ徹底的な討議を行なった、これが今度のことを表現をしておる字句であろうと思います。
  76. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それだけではちょっとわからないですね。その先をひとつ……。おありでしょうから。
  77. 原田憲

    原田国務大臣 その先は「協議は実質的な進展があったが、限られた時間内に討議を完了することができなかった。したがって、両国代表団は現在の協議を一時中止し、来たる九月十六日またはその前後に東京で再開することに合意した。両国代表団は日米間の緊密な関係にかんがみ、次回協議においては満足すべき合意を得ることができるようとの希望を表明した。」「協議は、実質的な進展があったが」というところにも、相当話は進んでおった、こういうことを意味しております。
  78. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは中断された日米航空交渉の今後の話し合いの交渉日程は、いまお話がありました九月十六日に合意をされた、しかも東京においてやられるというわけでありますが、今後日本の、要するにアメリカに対するところの日米交渉の対策についてはどのようにお考えになっているか。
  79. 原田憲

    原田国務大臣 これは九月十六日とまだ決定をしたわけじゃございませんが、またはその前後にということで、向こうの都合もございますので、大体その前後に東京において再開する。十六日にやるかまたはその前後に、こういうふうに受け取っていただきたいのであります。私といたしましてはこの問題について、手塚君が帰ってまいりましたら相当詳細に報告を受けることになります。したがいまして、それを受けまして、最も近い機会は、日米経済の閣僚会議がございます、その機会に私は米側の首脳部と話し合いをいたそうと考えております。つきましては、きょう談話を発表いたしたのでございますが、その中にも、今回米側が態度が強硬であって一時中断のやむなきに至ったことは残念でございますが、九月十六日前後に再開を予定される会談におきまして日本側の要求が実現できることを強く念願して、そのために私自身も七月末の日米貿易経済合同委員会の開催の機会に、先ほど申しましたように米側の首脳部とも話し合い、その実現をするために最善の努力をしたいと申しておりますが、外務大臣ともこのことについてはよく連絡をとっております。担当者といたしまして、少なくともこの大圏コースというもの日本がとらなければならぬ、これはこれからの太平洋の航路というものについてどうしても獲得しなければならぬ、これだけはひとつどうしてもという覚悟でがんばっていきたいと思っておりますが、そのほかの問題につきましてもこの機会に解決をいたしたい、そういう覚悟で進みたいと思っております。
  80. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま大臣の御決意も伺ったわけでありますが、いよいよ航空輸送の革命児といわれているジャンボジェットあるいはSSTジェットの登場を控えて、日米太平洋路線はますます需要が増大するわけであります。さらにフランス航空だのオランダ航空あるいはアリタリア航空、スカンジナビア航空等の欧州の一流国際航空が日米太平洋路線への進出も企てようとしているわけです。これに対して運輸大臣は、アメリカの一方的なシェア拡大の動きから他国の航空権益を政治力によって抑圧する大国主義の考え方に対して、断固やはり国益を守るという決意で臨んでいただきたい、このように思います。  次に、過密化する大都市の交通行政として、自動車の増加と交通渋滞、流入する人口激増等を考えると、過密化する都市交通問題はいまや重大な岐路に来ていると思います。その上、自動車と並行しているところの都電はもはや廃止の趨勢に追い込まれております。たとえて言うならば、世界第二位のマンモス東京においては、現在のままの状態が推移すれば近い将来どのような現象が起こるとお考えになっておられるか、その点についてお伺いいたします。
  81. 内村信行

    ○内村説明員 ただいま先生御指摘のとおり、都市の過密化というものはますますひどくなるのではないかというふうに考えられます。はなはだ申しわけございませんが、その傾向なり何なりを数字をもってお示し申し上げる資料がございませんので、その点はおわびいたします。  そこで、それに対する対策といたしましては、まず基本的には都市構造から変えていかなければならぬ。またもっと大きく考えれば日本国全体の構造というものを変えていく、つまり新全国総合開発計画にもございますように、開発可能性というものを交通のネットワークにより全国土に推し進めていくというふうなことによって分散をはかってまいりたい。  それから都市の周辺におきまして、必ずしも都市に位置することを要しない機能、たとえば流通機能、生産機能、教育文化機能等、こういったものは都市周辺部に持っていく、あるいは副都心を建設する、そういうふうな基本的な日本国全体あるいは都市構造そのものの問題であるというふうに考えますが、運輸行政といたしまして、そういった将来の望ましい構造というものを頭に描きながら、それを結ぶ交通というものを効率的なかみ合わせによって形成してまいるということを考えなければいかぬ、こういうふうに考えております。  ただそのようにいたしましても、都心部というものは情報革新というふうなことに対応いたしまして、中枢管理機能というものに純化されつつも過密と申しますか、都心部への集中は避けがたいというふうに考えております。その点、特に通学、通勤輸送などにつきまして、大量交通手段としての鉄道というものを重視して考えていきたいというふうに考えております。
  82. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現在のままの状態で推移すれば近い将来どのような現象が起こるかということについて、やはり運輸省とするならばある程度数的な計数によって明らかにしないと、ただ抽象的なことでは抜本的な対策が講ぜられないのではないか、そのように思うわけであります。いまいろいろ答弁されたそういう中において、大臣としてはこれらの抜本的な対策をどのようにお考えになっておられるか、この点についてお伺いします。
  83. 原田憲

    原田国務大臣 いま鈴切さんが御指摘されたところに今度の設置法の一番先に申し上げました盲点が一つあると私は考えておるのでございます。たとえば、住宅をつくるというときに、運輸省には何の相談もなしに家だけは建てる。そうして家が建った以上は運ぶのがあたりまえだということが頭の中にある。そしてニュータウンならニュータウンがつくられていく。それは通勤を過密化させるだけだ、これでは問題の解決にならないわけでございます。したがって、それらの問題を今度の設置法によって政策的に考えていくという参謀本部をつくっていかなければいかぬ、こういうことも加味されておると私はそのように考えておるのでございます。  これを抜本的にどうするかということを大都市の過密の交通問題からとらえますと、これはどうしても路面電車がいろいろ議論されますが、路面電車も確かにこれは大量輸送機関でありました。しかし、乗客がお乗りにならないですね。皆さんが乗らない。そしてマイカーはふえてくるからますます都市の交通というものが渋滞する。これに対応するためには地下か高架かの、高速の鉄道によるところの大量輸送というものが何としても完成されなければ都市内におけるところの交通機関というものの機能というものは失なわれる。したがって、大都市過密といわれ、機能を失ないつつある大都市の足というものはもちろん地上の車も必要でございますけれども、地下あるいは高架というような交通機関の充実ということが非常に必要である。したがって、いま東京と大阪に地下鉄がございます。そのほか名古屋等にもございますが、その他横浜あるいは神戸、京都までそういう計画をやろうというような話になってきておるようでございますが、これらに関係いたしまして、私は都市の交通問題だけを中心答弁をいたしましたが、そのほかに都市の内部におけるところの区画整理、都市計画いわゆる都市改造ということによるところの職住接近策をとった町づくりということを考えて、都市内におけるところの交通緩和ということを考えなければ、都市の機能というものは失われていく、おおまかなところですが、そのような抜本策が必要であろうというふうに考えております。
  84. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大臣からはからずも路面電車というものは大きな行き詰まりに来た、そこで地下、高架の今後の発展、そしてまたそういう計画も必要である、そういうような御発言がありました。そこで、通勤、通学交通の緩和に対して、大量輸送交通等の交通再建計画の一環としまして、第三交通機関としてのモノレールの計画というものはやはり今後必要ではないか、そのようにも思うのですが、このモノレールに対して運輸省はどのような御見解をお持ちになっているか、その点お聞きいたします。
  85. 町田直

    ○町田政府委員 お答えいたします。  モノレールに対する見解でございますが、モノレールというのはどういう長所と短所があるかということでございまして、まず長所といたしましては、道路上に敷設する場合が非常に多いわけでございます。この場合には用地費が非常に安い、あまり要らない。そういう関係もございまして、大体いままでの、ごくわずかでございますけれども建設されました建設費は十五億前後ということで、地下鉄に比べますと、最近の都心の地下鉄は四、五十億かかっておりますから三分の一ぐらいの費用でできるということでございます。  次に短所と申しますか欠点は、郊外鉄道との直通がなかなかできない。高いところを走っておりまして、それから郊外鉄道のほうに参りますと、その直通運転というのが非常にむずかしい。そしてモノレールで郊外鉄道までずっと参りますと、地上を走ります郊外鉄道のほうが建設費が安いわけでございますから、その辺に若干問題がある。  もう一つは、都市交通としてのモノレールの特徴でございますけれども、駅施設を普通の道路の上につくるということになりますので、高いところになりますからあまり大きな施設ができにくいということが考えられるのではないかと思います。そういう意味で非常に大量の輸送ということが駅施設等の関係から制限されております。大体停車場が五、六十メートルぐらいになるのではないかということが考えられるわけでございます。このような状況でございますので、今後仰せのような都市施設としてモノレールを利用する場合には、放射線状に都市のまん中から地方に出ていくという形よりも、むしろ東京なり大阪の都市を環状に結ぶような施設として、今後この効用が発揮されていくのではないかというふうに一応考えている次第でございます。
  86. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 モノレールにつきましては、長所はただ建設費が安いというそれだけではないと私は思うのですね。もっともっと長所はあるわけであります。この「東京都モノレール網の構想」これは技術・政策合同委員会の中間報告ですが、モノレールとしての利点については、あなたが言うように、確かに安いということも言われておるわけでありますが、モノレールは、街路中央の分離帯に細い支柱を建植し、道路上空を走らせるので、道路交通の混雑緩和に役立ち、高速走行ができる。それから、モノレールの輸送量は、交通需要が大きいルートに建設する場合は大型モノレールを用いることによって最大一時間五万人程度の乗客を運ぶことができるが、この計画では、交通需要が最大一時間一万五千人をこえることがないと推定されるので、交通需要にあわせて、建設費の安い中型モノレールを建設することとして計画してある。それから、このようにモノレールは、地下鉄及び高速鉄道の代替交通機関としても、路面電車、トロリーバスの代替交通機関としても採用可能な条件を備えている。モノレールの軌道は細いので、光をさえぎることがきわめて少なく、ゴムダイヤを用いているので騒音がないので、公害は問題にならない。それから建設費は、大型モノレールの場合で、地下鉄建設費がキロ当たり約四十億から五十億、その三分の一でできるわけですね、それから中型モノレールの場合で四分の一ないし五分の一程度である。それから、この計画では、十四メートル車二両固定連結で、ピークは三分間隔で運転する計画なので、一列車当たり三百七十人最大一時間七千四百人の転送が可能であるので、路面電車、トロリーバス、バスに比較して人件費が大きく節約される。都市美に調和し、安全性が高く、高速で走れて乗りごこちがよい。こういうふうないろいろの利点、長所があるわけです。  そこで、短所としてはあなたのおっしゃるような点もあると思いますけれども、それは技術的な面で十分カバーできるのではないか、そのように私は思うのですが、短所のほらをたくさんあげられて、長所のほうはただ低廉であるということを言われただけでありますけれども、その点についてもう少し……。
  87. 町田直

    ○町田政府委員 大体先生のおっしゃったことと私のほうが考えるのとそう違っておらないわけでございます。ただ、一つ申し上げたいことは、技術開発によってどうなるかという問題ですが、駅施設が十分なものができるかどうか、こういうことが一つあると思います。高いところにつくりますから、そこにどうしても駅施設をつくらなければならない。そうすると、道路から歩道橋のようなものをつくってその駅施設まで人が歩いて上がる、こういう施設が必要だと思うわけであります。その点を十分に検討いたしませんと、非常に大量な輸送に適するかどうかということがもう少し検討が要るのじゃないか、こういう気がいたします。ただ、先生の御指摘がございましたように非常に施設費も安くて、しかも空間を利用するわけでございますから、特に大都市などの場合は、道路を中心にしてその上の空間を利用するという意味では非常に効用があるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。いままで大都市にできております交通施設としては、御承知のように浜松町−羽田間の東京モノレールというのがございまして、これは実は道路の上でなくて海の中に足をつくりまして羽田のほうまでつくったわけでございますが、これは建設費が非常に高うございまして、なかなかペイしなかった、最近だいぶよくなってまいりました。そういう状況でございましたが、その点は先ほど申し上げましたように、道路を利用すればかなりずっと安くいくのじゃないかと考えておるわけでございます。おっしゃるようにまだ若干開発その他で問題点はあろうかと思いますけれども、今後の都市交通一つの施設として十分考えていくべきものではないかというふうに考えております。
  88. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 各国のモノレールの利用状況と、日本の現状はいまお聞きしましたのでけっこうですが、東京都のモノレール網構想とモノレールの申請件数は現在どうなっておるか、その点についてお伺いします。
  89. 町田直

    ○町田政府委員 外国の例では、ごくわずかでございますけれども、イタリアのトリノ・モノレールというのがございまして、これは一九六一年につくられておりまして万博用につくりましたが、現在は休止中でございます。最も古いのがドイツのウッペルタール・モノレールでございまして、これは一九〇一年にできまして、現在の輸送状況は年間で百八十四万六千人、一日平均五千人利用しておる、こういうふうに聞いております。  それから現在の構想でございますが、現実に申請が出ておりますのは、非常に古い時期でございますけれども、東京で五件、それから名古屋で二件、大阪で三件、広島で一件という申請が出ております。しかし、これは実は三十六、七年から四十年くらいの時点でございまして、現時点ではおそらくもう一ぺん考え直さなければならないような計画でございます。計画そのものもそれから収益状況等も現在の時点ではもう一ぺん考え直さなければならぬというふうに考えております。  あと、いま都市交通審議会で地下鉄網の整備の答申をいただきました際に、十二号線と申しまして東京の環状を回る線が一本計画として出ております。これはあるいはモノレールで実施したらいいのではないか、こういう考え方を持って検討いたしております。
  90. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大臣、モノレールと地下鉄とを対比をしますと、建設費は大体モノレールは地下鉄の三分の一から四分の一ですね。大体地下鉄は近ごろ非常に土地の買収等も高くなりまして、一キロ当たり高いところになると五十億、六十億という状態であります。また建設中、他の交通機関に与える影響、これはモノレールは外部で部分建造して組み立て式建設によるから、他に与える影響も少ない、それから地下鉄は御存じのとおり都市の路面を掘さくをするという状態のところがたくさんあって、大臣もよく御存じだと思いますが、建設中非常に影響が多大であります。また、建設の工期についても、モノレールの場合は地下鉄の約五分の一くらいでできるわけです。地下鉄の場合は非常に長期間で、この交通渋滞の中にあって建設工期がかかる。また用地の収得についても、モノレールの場合においては公有道路の上に建設すれば非常にそういう点についてはできるわけでありますが、地下鉄においては使用料あるいは用地買収、補償費等、まことに大きな問題等がからんでいるわけであります。  こういうふうな観点から考えますと、私は今後やはりモノレールについては交通緩和対策として、第三交通機関として、政府としてはモノレール路線について推進と実施をする、もうそういう段階に入ったのではないか、かように思うわけでありますけれども、大臣はどのようにお考えになっておるか、所見をお伺いして質問を終わります。
  91. 原田憲

    原田国務大臣 私は、モノレールについてはいま話が出ておって、あなたと鉄監局長の間でその得失を話されておるところが現状ではないか。したがって、国がこれを都市交通の面で取り上げて奨励をする、東京都でも大阪でもしっかりやりなさいということを断定するのには、いわゆる第三の交通機関としてやるのには私自身はしろうとでございますけれども、ちょっとまだ問題点があるのではないかというような気がいたします。やはりこれからは大量輸送ということでございますから、終点から終点までということよりも、延長して相互乗り入れして、できるだけ交通の状態を緩和するようにはかっていく。たとえば地下鉄が、東西線が終点をずっとこちらへ相互に乗り入れして延ばしてきてお互いに走り合うというようなことを考えていかなければならないということになりますと、モノレールではちょっとそういうことの大量輸送ということについての問題点がまだ、先ほどの議論の中で聞かれたように考えられますのと、もう一つは、これから高いか安いかということが非常に問題点で、確かにモノレールというのがいまの地下鉄の建設と比べたら建設費は私はうんと安いと思います。しかしながら、この土地の問題については、現状ということを前提として考えるから高いか安いかということになるのでありまして、これはまあ私の私見で思いつきの発言でございますけれども、土地というものは一時期に限ってでも抜本的な対策を立てなければならないのじゃないか。たとえば鉱山は鉱山権、採掘権を得ましたならば、他人さんの山の下でも掘っていくわけです。したがって、大都市の地下の三十メートルあるいは五十メートル地下は、これはもう交通のためにはただで使うということにするならば、土地というものがただになる。そしてその上下に通ずるエレベーター施設等、これだけの費用というものがいまより高くつきますけれども、これは非常に土地代というものに対する抜本的な一つの問題が出てくるのではなかろうかというようなことを、これは私見でございますが、私は考えるわけでございます。いまそういうものの技術開発によって大都市におけるところの大量交通輸送対策ということを考えますと、いまは地下鉄が高くつきますから、いまおっしゃるようなモノレールというようなものがやはり安いということが一番魅力として論ぜられるのではなかろうかということを私は利点として強く考えるわけでございます。これに関しましては、やはり現行制度でいま計画しておる路線を早くやるためには、いまの助成策以上の助成策を講じて早期に完成をするようにつとめるとともに、もう一つ進んだ考え方というものをするべきじゃないかということを考えます。もちろんモノレールについても今後もっともっと研究をして技術的に、いま実績では五千人の人間をドイツでは運んでおります。これが一番大きな例のようでございますが、技術的に開発してどこまで行けるかということはこれは研究を要する問題である、このように私は考えまして、今後、御提案がいまございましたが、ひとつそのことについても研究を進めるようにいたしたいと存じます。
  92. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ちょっと大臣は思いつきでお話しになっている点がありますので、その点について少し訂正をしたいと思いますけれども、モノレールの輸送力は大量輸送に見合わないのだというようなお話があったわけでありますが、列車編成は、普通の電車、地下鉄と同様に何両でも連結は可能であります。街路上に停車場を建設する場合、都市環境との調和を考慮したプラットホーム長さ百メートルと仮定した場合、一列車最大編成は跨座式の場合六両となり、一方向一時間当たりの輸送力は列車最大乗車人員、六両で、五分間隔でいきますと二万二千七百五十六人、三分間隔でいきますと三万七千九百二十人、二分間隔でいきますと五万六千八百八十人と、このように輸送力があれば、一時間当たりの通過人員よりして十分その要求にこたえることができる、こういうふうなデータが出ているわけであります。そういうことを考えるときに、大臣は大量輸送は不可能であるというようなお話でありましたけれども、私はもう少しこのモノレールについて大臣としても研究をされて、ただだめだというのではなくして、第三交通機関としてもう取り上げる時代がやってきた——あなたも高架並びに地下鉄が非常に今後大きな交通緩和の対策になってくる、そう言われた以上は、私はもう少し研究をして前向きにやっていただきたいと思うのですが、その点について。
  93. 原田憲

    原田国務大臣 大量輸送に向かないと言うたのではないのです。そう受け取られたら、それは訂正しておきます。私は先ほど局長の言っておりました点を聞いておりまして、そのことを申し上げたのは、相互乗り入れ等によりまして、現在走っておるものについても拡充していくことができるという点を考えると、先ほど局長がモノレールとほかの輸送機関との間の連結ということがむずかしい点がありますと言ったことをとらえて、実は私はそのことを言ったわけでございますから、大量輸送ができないということを言っておるのではございません。私が申し上げております高架、地下鉄の中には、もちろんモノレールということも含んで、最初から私は御答弁をいたしておりますが、いま第三の輸送機関として、鈴切さんが国で取り上げて奨励するときが来ているのではないかというところまでお話しでございましたから、そこまではまだいけないけれども、十分検討をする必要がある、こういうことを申し上げたのでありますから、どうぞ御了解を賜わりたいと思います。
  94. 藤田義光

    藤田委員長 大出俊君。
  95. 大出俊

    ○大出委員 だいぶ設置法をめぐりまして問題がありまして、精力的に職員の皆さんのほうと詰めていただいたようでございますから、曲がりなりにも何とかおさまっていくのだろうという気になっているわけでありますが、非常に複雑な、かつむずかしい問題をかかえながらこれから推移をいたしますので、大臣もひとつ気を使っていただいて、労使間の問題というのはできる限りこれは職員の皆さんが納得する形でおさめていただきたいと思うのですが、そういう御努力を願っていると思いますので、質問に入らしていただこう、こう思います。  問題は幾つもあるのですけれども、設置法そのもののほうは最後に締めくくりに申し上げたいと思いますが、その前にどうも納得できがたい点が幾つかありますので、それを承りたいのであります。  まず労働省にお出かけをいただきましたのでお答えをいただきたいのですが、昨年の八月だったと思うのでありますが、「港湾労働の現状と問題点」でしたかね、さっき実はこの資料をお届けいただきまして、まだ中身を詳しく読んでいませんが、前に抜粋したものを読んだことがありますのでその限りでものを申し上げたいんですが、この  「港湾労働の現状と問題点」というのを労働省がおつくりになった目的は一体どこにあってこういうものをおつくりになったのか、そこをまず承っておきたいと思います。
  96. 中島寧綱

    ○中島説明員 お答え申し上げます。  御承知のように港湾労働問題につきまして港湾労働法が施行されて当時はまだ二年目に入ったばかりで、いろいろ問題点が多うございまして、その問題点を分析いたしてみますと、単に労働問題だけではなくて、いろいろ港湾労働の置かれておる環境と申しますか背景と申しますか、そういうものがやはりいろいろ作用している。そこでそういったものの改善とか、そういうまわりの協力を仰ぎつつ港湾労働の問題の解決に入っていかなければならぬ、こういう考え方に立ちまして現状を分析し、問題点を羅列してその解決を政府としてもやっていきたい、こういう考え方でございます。
  97. 大出俊

    ○大出委員 この六年間ばかり運輸省の比田さんが港湾局長をおやりになって佐藤さんにおかわりになって宮崎さんにかわられたわけですけれども、ずいぶんこれは長年にわたって相当現場の具体的な問題に触れて、あるいは日本港湾経済学会においでになる皆さんの研究の成果等にも触れて、長時間の論議を実は毎回国会で私はしておりますから、たいていのことは言い尽くしてきたつもりでおります。ただここで出てきている「港労労働の現状と問題点」というものの中で、どうすれば一体——近代化と一口に言うのですけれども、三・三答申なんかでも、事業の問題がありますし、あるいは港湾それ自体の問題もあります。もちろん労働問題もあるわけでありますが、港労法ができたのはそこからであります。特に近代化ということがなかなか、何が近代化なのかという点が明らかにならない。これは私なりに意見がありまして、しばしば申し上げましたが、運輸省なりあるいは労働省なりがとらえておるとらえ方が、どうもそのものずばりこれが近代化だという形が浮き彫りになっていない感じがするのであります。したがって、近代化とは一体何なんだというここのところ。労働省もここでいっている「現状と問題点」の現状というところと問題点というところと二つになるわけでございますから、ここで料金コストに占める人件費率等についていろいろあげておられたりするのでありますが、どうも結果的にもう少し港湾運送料金を上げなければいずれにせよ近代化できないんだという形、あるいは魅力ある労働環境はできないという形でとらえていられるように見えるのであります。たとえて申し上げれば、これは船内なりあるいは沿岸なりはしけ回漕なりという分野を取り上げてみて、当時新聞にも発表しているところでありますが、この料金コストに占める人件費の割合、これがはしけについて四三・七%ですね。沿岸で五八・四%、こうなっている。船内の場合にはこれははるかに高くて八四・八%という数字が出ているんですね。これは料金コストに占める割合です。ということになると、これだけ高い比率の人件費を払っているんだが、さてその人件費たるものは一般の製造業その他に比べてどの程度であるかという点を振り返ってみると、この労働の質、量というものと比べてあまりといえば低過ぎるということになる。そこで労働災害もたくさんある。事故率なんというものは建設業を上回るくらいあるわけです。そうなってくると、やはり労働省が言うように一面は運送料金を上げなければならぬということにつながってくるんですね。無理もないとこの点は思うわけであります。そこでその後上げたわけでありますけれども、労働省がこの「現状と問題点」というところからながめてみて、その労働省が意図する魅力ある労働環境になるという点について、はたして多少とも前進するというふうにごらんになっておりますか。
  98. 中島寧綱

    ○中島説明員 御指摘のように「港湾労働の現状と問題点」の中には、労働に関する概要のことについていろいろ触れておるのでございます。その中で、お話のように港湾運送料金の問題としても、どうあるということは私たちから言えませんけれども何らかの配慮が要るのじゃないかと、こういうふうに結んでおるわけでございます。このことについては、当時運輸省といろいろ御連絡申し上げて、運輸省の料金改定時期にいろいろ御検討をいただいた。その結果、やはり何らかの形で前進しているものと私どもは考えております。
  99. 大出俊

    ○大出委員 したがって、港湾運送料金値上げが必要であるというのですね。つまり、そうしなければ賃金改定も一時金をふやすこともできないのじゃないか、そういう分析をされているのですね、収入源というものは港湾運送料金しかないのですから。そこで、それだけでは困るので、労働省ですから、労働環境が非常に悪い——これはさんざっぱら言ってきましたから繰り返しませんが、どうもちょっともの足らぬのです。労働省というものはもう少し前に出て、港労法をつくるときに時の運輸大臣と労働大臣との間でさんざんごたごたがありまして、これは業界のいろんな意見があるから無理もないのだけれども、やっとこさっとこ例の十六条のただし書きなんというものをくっつけて、結局抜けてしまったのだけれども、現状は決してよくなっていないと思いますけれども、労働省もせっかくこれだけ調べたなら、結論としてどうかということについてもう少しものを言う気はないですか。
  100. 中島寧綱

    ○中島説明員 労働省といたしましては何も運輸省だけではなくて、業界にもそれから労働者側にもいろんな面からものを申しておるつもりでございますけれども、まだまだ十分ではないかとも思います。
  101. 大出俊

    ○大出委員 十分ではないということになりますと、いまの港湾労働に入ってくる新しい労働者層をながめてみますと、若手というものはほとんど来ないですね。私、横浜ですからずいぶんたくさん知っていますが、ほとんどない。どこの大会に行っても見た顔の方々ばかりです。ある企業の経営者が昔労働問題をやっておられて、港湾経済学会の中でいろんな論文を書いておる方ですが、自分は専務をやっておりますが相当学者はだの方でありますけれども、自分の企業の中に入ってくる新規労働者の方がどういう形でどう定着しておるかということを相当詳細に調べております。私いつかここで申し上げましたが、これなんか見ても定着させるのにはたいへんな苦労が要るのですね。そのほかに、御存じのように門前募集がありますから、横浜の桜木町駅前の青空市場がありまして、いまだにたくさん集まる。ところが、これを見ておりますと、まともな背広などを着ている人がふらふらと来ている。それが三日、四日、五日とたってくる間に、着ているものが全部変わってしまう。はいているものまで変わって、しまいには道路でばくちなど打っておるようなそういうかっこうになって、全く無気力になる。そうして手配師がおって、雨が降ればその手配師にくっついている。まさに世間でいう風太郎式なスタイルになって定着しておる。労働者個人をとってみても、現に一つ近代化の方向にはいっていない。ですから、常用で登録されている労働者の方にしても全部そういう形ですね。だから、そのままで港湾労働というものは放任できないと私は思っているわけですよ。そうなると、近代化というものは一体何が近代化なのか。ただコンテナ埠頭をどんどんこしらえて、輸送革命の波の中でそっちの方向に進んでいけばいいのだということにならないのですね。中小荷主も山ほどいます。横浜の大桟橋というのは五千トンの船を着ける計画で建てた港ですからね。そうすると、高度成長の中で新しい分野はコンテナという輸送形態に乗りますけれども、依然として旧態依然たるものが四割なりあるいは六割なりちゃんと残っている。そうなると、そこはいつになっても船込みだ。埠頭が小さいですし、荷主も小さいですから。そうすると野積みしておいて横持ちをしなければならないことになる。そういうことで沿岸労働者がいつもいる。はしけ回漕なんというものも七、八割ありますけれども、これもさっぱり減らない。近代化の反面それこそ帝国ホテルと三軒長屋の一番裏の建物が同居するようなことになる。近代化というものは一体何なのだということがもう一ぺん出てくる。そこらのところを労働問題の側面からおとらえになるのが労働省なのだから、あわせて突っ込んでいただかぬと、片っ方の運輸省のほうはしきりに近代化近代化と言って、業者はピンはねして近代化の金をふんだくろうとしているわけですね。それでは困ると思うのですね。きょうは参事官だけですから、あまりそこから先は求めませんが、これは業界にもものを言わなければならぬ。しかしなおかつ不十分であることをお認めなんだから、それ以上申し上げてもしようがないと思います。  そこで大臣に承りたいのですが、近促協などというものができ上がりまして若狭さんやっておられますけれども、しきりに近代化近代化と言うのだけれども、港湾の近代化というのは一体何かということなんです。港湾の近代化ということについて大臣一体どうお考えですか。
  102. 原田憲

    原田国務大臣 たいへんむずかしいお尋ねでして、あなたが言っておられた中の、一面では輸送の近代化、コンテナ輸送ですね、こういうものによって労働力にたよらないでやっていくということが一つ。しかしあなたがおっしゃっているようにやはり残りますね。これはいまから四十年前の吉川英治作「かんかん虫は唄ふ」という形と少しも変わってないじゃないかというお話ですが、これを少なくとも——それは何もせびろを着て労働をするわけではない。仕事をするときはその風でよろしいが、仕事が済んだらせびろにかえて、まあみんなと同じようなことがいいのじゃないか。それがもう初めからしまいまでそうじゃないか、こういうことは近代化されておるといわれないじゃないかとおっしゃっておるように私は受け取るのです。だから、労働というものは所によってはいつでもきたない労働服でやらなければならぬということはあると思うのです。しかし、それは働いておるときの問題であって、就業時間から解放されたあとの労働者というものはみなと一緒だ、こういうところへ行くのが近代化じゃないかというようなそういう受け取り方を私はいたすのでございます。
  103. 大出俊

    ○大出委員 外国の例からいきますと、フランスのボルドーの港湾ストライキの二十八日目に私行って話したことがありますが、親きょうだいの人が港湾労働者でないと採用しないのですね。非常に賃金が高い。だから狭き門なんですね、港湾労働者になるのが。ところが日本の場合は全くこれは逆なんですね。まさにあ然とするぐらい逆です。先般来、昨年からことしにかけてまる二年間横浜中心に、最後は東京も全部やりましたが、日曜、祭日の完全休日を要求して、港運協会もいろいろいきさつがその過程でありましたが、日曜、祭日のたびに港湾の労働組合というのはストライキをぶってきたんですね。  ところで、私も日曜、祭日のたびに横浜の港でボートに乗っかって浮いておりましたが、しまいには東京まで出かけていって東京でも何日も港で動いておりました、アウトサイダーの船までとうとうみんなぶっとめて。横浜からすればあんな結論というものはチャチなことになるのですからね。もっと先に進んでいるのですから。しかし神戸をながめても、大阪をながめても、名古屋をながめても、東京をながめても、その諸君にとってはたいへんな前進ですから、まあ何とかまとめなければいかぬと思ってまとめ役に回ったのですけれども、その過程でずいぶんいろいろな諸君とぶつかりましたが、こんなことではとてもじゃないがどうにもならぬ。どうにもならなくしている元凶、責任者はだれなんだということになると、ほかならぬ政府であり、運輸省なんですね、私に言わせると。だから三・三答申でいっていることもありますけれども、ともかくもう少しこれは考えてくれにゃ困るという気が私はする。  そこで、いま大臣がしろうとなりにおっしゃったから、それはそれで一般通念としてはいいと思うのですけれども、近代化基金というものは最近——これは中曽根さんが運輸大臣のときでありますけれども、自民党の運輸部会の皆さんがおっしゃったこともある。そういう関係もありまして中曽根さんのときに問題が提起をされたという事情にあるわけです。この近代化基金という構想の基礎になる近代化とは、一体何と何と何をやろうということで近代化基金というものをお考えになったのか、これは基本的な問題ですから、大臣ひとつお答えいただきたい。
  104. 原田憲

    原田国務大臣 これは非常に具体的なお答えをしなければいけませんので、宮崎君から答えさせますから……。
  105. 大出俊

    ○大出委員 これは何項目もないのですよ。五つぐらいしかない。
  106. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。  近代化基金は、御承知のように集約の問題から出てまいりまして、集約いたしますと中小企業その他が非常に困るということでございまして、第一に、中小企業が協業組合をつくるためにも荷さばき施設をひとつつくってくれという要望がございます。それからいわゆる近代化するために——近代化ということばは、いろいろと日本語というのは変転してまいるし、人によって解釈がちょっと違うわけでございますが、最近では機械化というような意味を含んでいるように私は思うのでございますが、第二に、荷役機械をつくる資金ですか、そういったもの業界にやってくれということ。それから大企業と——大企業と申しましても港湾運送業は先生御承知のように小さいですけれども、その中の企業ともっと小さい企業とが合併その他をいたします場合に、いろいろな事業の整備に伴います金が要るわけでございます。それを融資する。大体この三つの仕事をやるというような意味近代化基金をつくったわけであります。もちろん関係の港湾運送業界中心になりまして、関係の荷主さん、港湾管理者あるいは政府、そういったもの協力して港湾全体を先ほど来いろいろ問題になっておりました近代化と申しますか、先進欧米諸国に近づけるように、これはもちろん設備のほうもさようでございますが、先生の気にしておられるような——私はそういうふうに受け取っておるのでありますが、そこに働く人の近代化と申しますか、人の所得を向上して、もっと端的に言いますと工場労務者、工場に働いておられる人たちのような生活と申しますか、そういった方向へ実は最終目標としては上げていこう、こういうように私は理解をしているわけでございます。
  107. 大出俊

    ○大出委員 宮崎さんが佐藤さんにおかわりになって数時間もたたない時期にずいぶん長い時間新港湾局長と論議をいたしましたからね。あのときはずいぶん長い論議になってしまいました。だいぶ御勉強でございますからおわかりのことでございまして、それ以上つけ加えませんが、ただ、いまのお話は、ここに私持っておりますが、港審第百二十号、昭和四十三年九月三十日、運輸大臣中曽根康弘殿、港湾審議会会長秋山龍さんですね、こういう文章がございます。これは最初のやつでありますが、「港湾運送事業の集約化に関する国の助成に関し、」——これは「国の助成」と書いてあるでしょう。「国の助成に関し、次のとおり建議する。」ところがこれは中身は幾つもないのですよ。大臣しきりにいま具体的なことだとおっしゃるけれども、一つは何かというと、共同荷さばき施設の整備、これが一つですよ。それからもう一つは何かというと、荷役機械の整備、これだけなんですね。共同荷さばき所と荷役機械の整備と二つだけなんですね。三番目は何が書いてあるかというと、保証準備金だけです。これは具体的な施策じゃない。それから四番目は何が書いてあるかというと、資金計画、これは資金計画ですから別にどうってことない。一番最後に何が書いてあるかというと、資金運用部資金の要求額は三十五億円である。そうすると、ここで論議して大臣に申し出た「国の助成に関し、」はこういうことだ。「国の助成に関し、」という中身は、資金運用部資金を三十五億円出します、あるいは出させます、こう前提になっておる。だから、料金値上げは、先ほど海湾の現状と問題点について申し上げましたが、労働省も言っておるように、資金コストに占める人件比率が非常に高い。そうすると、業者が何をやろうといったって、八四・八%も人件費にかかっている。残りは幾らもないのですから、船内の方々に対して何にもしようがないのです。そうすると、何か考えなければならぬことは事実です。だが、しかし、ここで言っているのは、国は三十五億ばかり財政投融資の形で、資金運用部から持ってくる。あとはどうするのかというと、業界から個々の企業が出せ、そうしてこれは十五億円出せというわけです。十五億円出させて、年間十五億円ですから、十年たったら元利を入れると三百億になってしまう。そうして料金引き上げに関して皆さんが一札とっているわけです。誓約書を一筆入れさせている。こんなばかげた話はないと思うのですが、入れさせて、そうしてピンはねをした形で業界から、個々の企業から金を出させる。そうして十五億集める。そうして十年間やれば三百億になる。そいつを中央プールをして、国が三十五億、こういうのでありますが、さてそこで何をするかというと、共同荷さばき施設の整備と荷役機械の整備、この二つをやるのですね。そうすると、この二つをやるために、業界はこれまたたいへんな金を各企業ごとに払わなければならぬことになる。これは荷主と一緒になって料金を上げたのだから、荷主それから業者、両方の負担だと言ってみたって、業者というのは荷主に対しては一種のリスクを持っておる。不渡りになる場合だってあるし、完全収受といったってできない場合もある。しかも、さかのぼって十二月から取り立てるというのだから、みんなしようがないから、借金して泣いている。こういう形になってしまったということになると、これは一つの事件ですよ。そうすると、この二つのためにというのが近代化ならば、一体近代化というのは荷さばき施設をつくることと、荷役機械を整備すること、これが近代化なのか。このために業界に大混乱まで起こして、国が本来助成すべきもの業界から金を出させるというようなことでお茶を濁して一体いいのかどうかということになる。一体近代化とは何かという問題に返りますが、この発想というのはどうも私はわからない。そこで承っているのですが、宮崎さん、これはどういうことになるのですか。もうちょっと詳しく説明していただけませんか。なんでこんなことになったのかということを。
  108. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 御承知のように、中小企業にいたしましても、近代化をいたしますためには資金が必要でございます。つまり港湾荷役のほうでいきますと、肩荷役、人で荷役をしておったのがだんだんと機械荷役をしなければ能率が上がらないというようなことになっておりますが、沿岸では、最近ではほとんど機械化しておりますが、そういうものを、港湾運送業者の大きな業者は開銀から金を借り入れて購入できるわけでございますが、小さい業者はなかなかそれができない。したがいまして、そういう業者に中小企業金融公庫から金を貸す道が開けておりますけれども、現実の問題といたしまして、そのまま放置いたしますと、なかなか金が借りられないわけです。したがいまして、今回は中小企業金融公庫に特別ワクを設定いたしまして、十五億円だけ港湾運送のためにひとつ貸していただきたい、こういうことで出すことになっておるわけでございます。  それから荷役機械といたしましては、これは船舶整備公団から七億出しまして、あと、企業のほうからそれに相当する分を出していく。  ちょっと失礼いたしました。先ほどの十五億は荷さばき施設でございます。間違いまして、どうも失礼いたしました。荷役機械のほうが、いま申し上げたように船舶整備公団のほうで持ちます。失礼いたしました。  そういうようなことでございまして、この中で、やはり事業としてどうしてもそれだけではどうにもならないということで、この荷役に、一トン当たりたしか一円くらいかと思いますが、そういったものを徴収して、中央にプールしていく、そうして国全体から見て重点的にやっていこう。これもいろいろ議論がございまして、各港にプールしたらどうかというような議論もございましたが、それでは額が非常に小さいので、集中的な機械化、近代化というものはできないということで、実は中央にプールすることになっておるわけでございます。これも近代化促進協議会で、いわゆる業界だけではございませんで、個々の荷主さんの了解を得て、港湾運送業界というものはこれからこういうふうにぜひ近代化して、よりよい企業になりたいと思いますので、荷主さんの方々もひとつ協力してください、こういうことで、それならばひとつ協力しようというようなことになったわけでございます。  その協力のあらわれとしまして——運送料金も考えてみれば安い。労働者がほとんど全体の事業の中の五割、先ほども申し上げましたように、船内で八割というのが労務費なんだから。それはやはり、今後は労働者というものはなかなか手に入らない。したがいまして、そういうことになりますと、機械化とかあるいは近代化という方向しかないわけでございますので、そういうたてまえから、それじゃどうしても値上げに協力しようということで、実は、中央におきましては、昨年末でございますか、平均いたしまして約二割ぐらいの港湾運送料金の値上げを荷主の了解のもとにやったわけでございます。  また、地方におきましては、私聞いておるところによれば、あるいは先ほど来お気づきかと思いますが、規定の料金、これをそのままきちっと取るというのが法律のたてまえでございますが、そうすれば売り上げ分の一%でございますから、実は大した金ではないと思いますが、それが港湾運送業者が荷主に対してなかなか弱い。そういう点から完全収受が完全に行なわれていないのではないかというような御批判がございまして、先生のおっしゃいますように、少しむごいではないかというようなお話が出てきておるのだと思いますが、しかし、現実には貯金のほうは十二月から順調に納まっておりますし、問題は、これをどういうふうに使うかという点がいまいろいろ御議論がございます。つまり、出しただけ早く自分のところへ返してくれという御意見がございます。それに対しましては、今後ひとつ十分業界意見を聞きまして——私ともいま考えておりますのは、三年ぐらいで各企業に均てんしていろいろな資金が回るような方途を考えよう、そういうふうに考えて業界の御意見を聞きながら、不満のないように指導していきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  109. 大出俊

    ○大出委員 問題が煮詰まりませんから一つずつ承りたいのです。私がまだ質問を申し上げないのに、局長はだいぶ先回りしてみんなお話しになりまして、言いわけまでついでに言ってしまわれたのですけれども、そのときに言いわけをしていただければいいので、一つずつ承りたいのですが、さっき労働省の皆さんに承ったように、運送料金に占める人件費コストがたいへん高いにもかかわらず、港湾労働の現状というのは環境のいい職場ではない。新規労働者が入ってこない。そのたびに業界は苦心惨たんする。一つ間違えば逃げられる。しかも労働年齢は老朽化の一途をたどり、若年労働者というのはますます入らなくなる、こういう状態。だからこそ業界は人件費率が非常に高いんだけれども、大手も中小もそうでありますけれども、労働者の賃金を上げざるを得ないのですね。しかも、労働省が「港湾労働の現状と問題点」の中で書いておりますように、それは手当にしても、あるいは給料にしても何とか上げてやらなければ、港湾労働の環境が悪過ぎて、新しい人が入ってこないんだといっているのですよ。それも理由になりますから、これは上げざるを得ないから上げる、ますますもって業界は苦しくなる、こういう状態になっているわけですね。だから料金値上げをしろ、これは労働省さえ料金値上げしかないといっているんです。料金値上げに結びついた。そうしたら皆さんのほうが料金値上げに便乗して、と言っては言い過ぎかもしれませんけれども、私はそう言いたい。国が三十五億、大蔵省資金運用部資金を借りて財政投融資をやる、だから業界も料金値上げというところを契機に、一札を入れろ、誓約書を出させるということで、荷主の了解を得たというんだけれども、荷主は料金値上げのほうを了解したんだと思うんだ。ここでトン当たり一円なら一円ということを出させるということにした。そこで承りたいのですが、一体三十五億というのはどこに行っちゃったのですか。
  110. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 業界から寄付を受けるのは大体年間十五億というふうに私聞いております。
  111. 大出俊

    ○大出委員 もうちょっと御勉強願わなければ困るんだ。おたくのほうが業界から十五億出させるについて、国のほうは財政投融資で三十五億というふうにここに書いてある。そういう予定ですから、これはそうならなかったということでしょうけれども、財投で資金運用部から三十五億国が出す。だからここに書いてあるのは港湾運送事業の集約化に関する国の助成に関して——国が助成することになっているのです、本来。ところが、三十五億の財投ではなくて、何になったかというと、いまのお話のように、中小企業金融公庫に特ワクを設けさせて十五億。何のことはない、財投どころではない。中金から借りるというわけだ。それから整備公団のほうから七億、合計二十二億。財投は一銭もない。これは明確に看板に偽りありですよ。そうなれば十五億業者から出させるということにしかならない。こういう勘定になってくる。そうでしょう。だから、最初の三十五億出させようと要求することにきめたやつはどうなっちゃったんだと聞いている。
  112. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 先ほどお話しありましたように、中小企業金融公庫の特別ワクとして十五億、それから公団から七億、合計二十二億、こういうことに変わったわけでございます。予算要求の段階において私ども努力したわけでございますけれども、一応そういう結果になったわけでございます。
  113. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、運輸省の予算要求において、力足らずして、ここに書いてあるように、大蔵省資金運用部から三十五億要求して出させるというのは、出させられなかった。したがって、やむを得ず中金に十五億ワクをかぶせた、整備公団から七億出さした、これしかできなかった。資金運用部から三十五億出させることは不可能だった、こういう結果だというのですな。
  114. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 そのとおりでございます。
  115. 大出俊

    ○大出委員 そう答えていただけば、事は簡単でいいのです。そうなると、まず業界ものをいったときの運輸省構想というのは結果的にそうならなかった、こういうわけだと思う。そうすると、国の助成ではなくて、中金の十五億と整備公団の七億ということなんですね。あと業界相互に相互扶助をやれ、こういうことなのですな。十年間で三百億、これは看板に偽りありですよ。局長、業者が出さなかったらどうなりますか、法律的には。
  116. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 業界が負担を出さないということは、荷役機械のほうは共有でございますので、負担をするということになっているわけでございます。荷さばき施設のほうもそのほかに負担をしていただくことになっておりますが、これは公庫からの借金でございます。また負担の割合をどのくらいにするかというのもまだきまっておりません。  法律的にどうなるかというお話でございますが、要はみんなが、港湾の業界中心になって、近代化をはかっていこう、そうしてなるべくわれわれも協力しようという精神でございますので、それにはもとっていない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  117. 大出俊

    ○大出委員 これは局長、勘違いされると困るのですが、私も協力しないつもりはないのですよ。だいぶ方々でもめているから、協力しないとこれはまとまらぬと思うから言っているのです。だから、問題の焦点をはっきりさせぬと協力のしようがない。相模運輸という会社があるでしょう。あの社長さんは松永さんというのですが、もとの海務局長ですよ、おたくの。そうでしょう。そういう運輸省の出の方が社長さんをやっているようなところが大反対だと言っている。それはあなた、ものごとの筋は通していただかぬとまとまりはしませんよ。この間おたくの参事官の方が——新任の方だったから私は直接文句は言わなかったけれども、何を質問するんだっていうから、近代化基金というのはどうもすっきりせぬからと言ったら、近代化基金のどこなんだ、本来どうも業者のピンはねをするようなかっこうものは感心しないと言ったら、法律があるからしようがないと言った。私はそこでは黙ってわかりましたと言いましたけれども、法律があるなら法律を出していただきたい。こんなもの取り立てる法律はないですよ。どこにも。局長、これは法律はないでしょう。法律に基づいて払わざるを得ないわけじゃない。料金値上げさせてやるから、そのかわり一札入れろ、払うということを約束しろと言っている、行政上。あなたは先ほど十二月からちゃんちゃんと入っていますなんておっしゃるけれども、あたりまえですよ。払わないでみなさい、何されるかわからね。江戸のかたきを長崎でとられちゃかなわぬですからね。中小企業はただでさえ弱いんですからね。そういうことは何も海だけに限りませんよ。陸送だって一緒だ。あまり中小企業のそういう運送関係の業者いじめはいけませんよ。陰で幾らぼやいたってしかたがないから払っているんですから。そうでしょう。だから、私はおたくからお見えになった参事官——上原さんとおっしゃるのですか、大阪の陸運汚職かなにかで海上保安庁に行っていると思ったら、いつの間にか運輸省に帰ってきた。法律があるというようなたわ言を言うなら、どこに法律があるか出してください。業界のほうから近代化基金法というような法律でもつくれということを要求してはいる。これは法律はないのです。そうでしょう。そこのところをはっきりしておいてくださいよ。出さなければならぬ法律がありますか。
  118. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 お説のとおり、この港湾運送近代化基金というのは民間の財団法人でございまして、これを規制するような法律というのはございません。
  119. 大出俊

    ○大出委員 それならひとつ原則をはっきりしていただきたいのですが、先ほどの局長のお話か二すると、この荷さばき施設なりあるいは機械施設なりというこの二つが重点で、近代化の一助でございましょう、だからそれをやりたい、その場合に国は三十五億円という金を大蔵省資金運用部から出させようと思ったが、できなかった。最初はそこから出させると言った、しかしできないで、公団のほうから七億、中金から十五億、こういうふうにせざるを得なかった。そうすると、ほんとうに苦労するのは、業界が十五億ということになっていきかねない。これは年間ですから、何べんも言うけれども、十年間で三百億ぐらいになる。それを中小というところに焦点を合わせて貸し出すわけでしょう。今度は利息も取るわけでしょう。そういうかっこうにしようということになると、業界の中の大手なら大手というところから金を取って、競争相手ではあるが、中小のほうに金を貸し出してやろう、こういうことになる。それを、料金値上げというところに運輸省が便乗をした形で一札書いて入れさせた。これは法律にも何もないけれども、各般の関係業界ともあるから、個々の企業ともあるから、そういうように押えて、いやいやながら払っているということが現状です。だから、局長のおっしゃっているように、昨年の十二月から金のほうはちゃんちゃんと入っております。それは借金をしても払いますよ。そうなっているんだという現実ですからね、近代化資金というのは。  ここで私は、大臣に承りたいが、法律も何もないが、料金値上げのときの話し合いでは荷主がいろいろと言う。そこで、その料金値上げの中から、トン当たり一円なるものを、十五億円を業者から出させよう、そうして、いわゆる近代化というものを、独自の業者のタコ配でやらせていこうということに押しつけた。だとすると、各企業の中で反対がたくさんあるから、法律的規制でなくて、話し合いでお互い協力し合おうということでまとめたのだとおっしゃるのならば、相当強力な、しかも相当有力な方々が反対している現実からすると、あくまでこれは話し合いをつけてもらいたい。話し合いのつかぬ形で、かってに八月から発足だということを言ってもらいたくない。あくまでこれは話し合いでしかやれない性格のものであって、話し合いでうまくまとまらなければ、港湾近代化への相互協力はできないのですから、しかも業界は過当競争なんですから、そういう意味では、骨が折れても、どうしても大臣にひとつ乗り出してもらって話し合いをつけていただきたい。納得をさせて、発足をするならするということに終わらせていただきたい。この原則を大臣に私は明らかにしていただきたい。いかがですか。
  120. 原田憲

    原田国務大臣 いまのお話を聞いておりまして、私は、大出さんの立場で言われることは、これまたごもっともだと思いますが、私どものほうからしますと、これは財政投融資資金というものを出したかった。私も予算をやったときの責任者ですから、こうなった責任は私にあります。人が先にやっておったって、それは私の責任ですからね。しかし、財団法人の仕事政府から財政投融資を持っていくというのは、それは言うだけなら、それは言えますけれども、実際はなかなかむずかしい問題です。そこで中小企業金融公庫の別ワクで十五億——あなた方からすれば何だ、少ないじゃないか、だめだと言われるかもしれぬが、私が責任者であって、こんなことを言うと、おしかりをこうむるかもしれませんが、これは相当一生懸命やった仕事である、私はそう思うのです。しかしながら、いまおっしゃるように、お金を出すほらから言うと、やはりその苦しい中から払っておるのだ、そこで資金をこしらえて使っていくのだから、できるだけ業界と、それから政府が助成して——政府は助成をしておらないと言われるけれども、やはり中小企業金融公庫から十五億あるいは船舶整備公団というものの資金を七億使うということは、回り回ったらそうなると思うのです。その辺もよく話をして、最初の出だしが一番大事ですから、いまおっしゃるように局長もそのように運びたい、こう申しておりますから、私もそのように指導したいと思っております。
  121. 大出俊

    ○大出委員 私もごねようと思って質問しているのじゃなくて、あらかじめ実は宮崎さんに電話しまして、横浜もこじれておるから、そして私も横浜にいてつき合いがないわけじゃないから、私も側面的にまとめる努力もいたします、しかし、まとまらないうちに——業界の中でも近代化資金検討の委員会までつくって、業者のほうも、金を苦しい中から出すのですから、検討しようと言っている。それを片一方では、八月から何が何でも発足をしようということになると、感情もこじれるし、うまくいくものもいかなくなる。だから、私のほうも努力するが、局長にも御努力願えぬか、八月にこだわりなさんなというお話は申し上げてある。だから、これは、そういう話ですから、大臣から公にものを言っておいてもらわなければ、業界のほうもまとまらないだろうと思うので、事前準備を局長にちゃんと申し上げて、ものを言っているのです。ですから、大臣は、いま話をまとめるように局長も言っているということですから、その点は感謝いたしますが、ぜひこの種のことは、業界の立場に立ってものを考えてやってもらいたい。というのは、ここに座談会の記事があるんです。「海事経済通信」というのですが、ここには名前が伏せてあります。名前が出ると、また海運局あたりから文句を言われますから、なかなかむずかしい。そこで、ここではABCDということで、頭文字を使ったのかもしれませんが、業界の相当の人が出ている。この座談会の中で、近代化近代化といって、われわれ業界に対していいプランを持ってこい、いいプランを持ってくれば、海運局では中金に電話を一本かけて、それで資金のあっせんをしてやる、冗談じゃないというのだ、中金に電話をかけて、ワクがあるから、貸してやれと言ったって、そんなことくらいで中金が金を貸すかと業者は言うんですよ。つまり中金だってコマーシャルベースに乗らなければ貸さないのだ、ワクがあったって、それこそ日参し、苦心惨たんして、担保を入れてやらなければ中金は貸さないというんですね。にもかかわらず、さっき、それでも国の助成だとあなたはおっしゃるけれども、国がほんとうに助成するなら、特ワクの中の配分まできめてあげて、全部皆さんのほうで手伝ってあげて、金を出すようにしなければいけない。ところが、そうじゃない。そこから先は、それこそみな業者がたいへんな苦しみをして、金を借りてくるわけですよ。そこらもくんであげなければならない。しかも、これは制限があるんですよ。五千万円以下の会社でなければ貸さないんですよ。そういう制限はないのですか。
  122. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 実は、その点につきましては、いま通産省と話し合いをいたしまして、その条件を交渉いたしております。つまり、そういったいままでのようなことのないように特別に条件を下げる、そういうことを交渉いたしております。
  123. 大出俊

    ○大出委員 それは逆なんだ。中小企業というのは、五千万円以下ですよ。ところが金を出すのは、それから上のほうに出すのであって、いまあなたが言った五千万円というものをもっと下げる、それじゃ中小の小しか借りられないじゃないですか。ですから、この制限ワクというものをどう考えるかということなんで、あなたの答弁は逆ですよ。
  124. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 下げると言いましたのは取り消します。条件について、いま細部にわたりまして通産当局と交渉しております。
  125. 大出俊

    ○大出委員 伊能先生から、経企長官がお見えになっていて、お時間がお忙しいので、関連質問がおわりだということだそうでございますから、一応私はこれで……。
  126. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 せんだって、私は経済企画庁長官がお忙しいので、質問を留保しておきましたが、政府の物価政策、特に公共料金に対する抑制の問題について、われわれ自由民主党としては、できるだけの協力をいたしたつもりでございますが、法律違反の問題については、政府としてはお考えを願わなければいかぬ。この点について、私は、先般、去る昭和三十九年に東京陸運局管内のバス業者が裁判所に訴えたその判決内容、判決理由の要旨等についても、この席で御披露いたしましたところが、経済企画庁長官は、そのことは自分は知らないから調べるというお答えでありました。また後刻事務当局にお伺いしたいと思いますが、標準賃率の問題については、政府の物価関係閣僚懇談会においても、すでに一応了承を得ている。それにもかかわらず、運輸省と経済企画庁との間に話し合いがまとまるとかまとまらぬとかいって、赤字でなければ運賃値上げをしない。ところが法律は適正な利潤を与えろと書いてある。それらの法律違反の問題について、経済企画庁長官、どうお考えになるか。私は重ねてお伺いをいたしたいと思います。
  127. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 先般お尋ねがありまして、その間の事情は全然知らないものだから、事務当局に調べてもらったのでありますが、これは、事務当局のほうも、当時の責任者、関係者はいないので、結局運輸省お尋ねして聞いたような次第であります。そこで、この前バス料金などを値上げしなかったのは、三十九年の一月二十四日に、政府は本年中公共料金の引き上げを行なわないものとするということを閣議了解しておりますので、それに従って運輸省ではその申請があっても、その料金の値上げを認めなかったものだ、こう私は解釈いたしておるのでありまして、それについて訴訟事件があったそうでありますが、それについての料金の問題については、結局結末を見なかったということを聞いておりまして、その間の事情については、事務当局からなお詳しく説明申し上げますが、この料金の値上げ自体については、裁判上の問題では解決ができてないというように承っておるのでありまして、運輸省の回答が、三年間もそのまま処分しなかったというところが違法であるというふうに私は承っております。なお、詳しいことは局長から申し上げたいと思います。
  128. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 もちろん伊能先生よく御存じだと思いますので、私が申し上げるのも恐縮でございますが、私どものほうで勉強いたしましたという中身について一応申し上げますと、ただいまも大臣から申し上げました東京への乗り入れ九社から申請をしたのに三年ストップしておる。これは違法ではないか。そこで地裁の判決があったわけでありますが、まず地裁は当時のいろいろな状況から見ると、申請の正当性と申しますか、いろいろな経済条件あるいは会社の経理内容その他から見て、応妥当である。それからもう一点、これはいわゆる法規裁量的行為であるという前提、それを含めまして、結局一年以上ももうストップをしておく特段の事情はない。したがって、三年もやったのは違法であるということで、結局その申請があったままに三年行政処分をしなかったという点が違法であるという判決であった。それに対しまして、被告である国は、これは道路運送法第八条の第二項は相当に広範囲の裁量権を与えておるので、そういう意味で、当時の物価情勢あるいはその物価情勢を踏まえて公共料金をストップしようということも十分勘案してきめることは許される法律の範囲内であるという反論をしておったわけであります。  結局、いま申し上げました第一審の判決は三年据え置いたことは、据え置いたというよりも三年行政処分をしなかったことは違法であるという判決に相なったわけであります。御承知のように、そのあとさらに国のほうはその一審判決に服さないで、十一月の九日控訴をいたしております。形式的に言いますとそういうことで、国は、あるいは被告であった当時の運輸大臣は、第一審判決に必ずしも承服していない。実際問題としましては、その後運賃改定が行なわれましたので、最終的な法律上の決定は、一応訴えの取り下げがございましたので、見てないというふうに聞いております。なお、私どものほうといたしましては、有権的な解釈をすべき役所ではあるいはないかと思いますが一般論として申請があって、そうして処分を何らしないで、とにかく長い間いわば不作為状態にあるということ自体は、これは国の行政全体として必ずしもかんばしくないのは当然であろう、しかし、実際問題としていろいろな政策上の配慮もあり、しかるべくその業界の方にそれなりの意思を伝えてやっていくように十分親切にやる必要があるというふうに考えられるわけでございます。
  129. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 ただいま長官並びに八塚国民生活局長から御説明があったんですが、私はそのあとを追及しようとは思いません。ここで別にどろ仕合いをしようとは思わないので、ただいま八塚局長が、できるだけ親切に取り扱うべきである、また多年放置したことは、行政上のいろいろな処分についての権限は政府にあるが、長い間放置することは不作為な違法であるということについてはわかるが、政府はそれを了承しない。しかし、この問題は私はここで追及することはどうもどろ仕合いになるからやめますが、八塚局長の言われた精神、それから当時の経済事情、これを私は申し上げたい。当時はまだいまほど各社の赤字が出ておりません。ところが今日においては、ハス会社のごときは七〇%の赤字、また東京付近のタクシー業者の多くについては九〇%近い赤字を出しておる。しかも、標準賃率関係について、物価関係閣僚懇談会できめられた場合には、ほとんど一〇〇%赤字でなければ上げない。それでは自動車運送法第八条の趣旨に反する、こういう問題を——政府としては形式的に公共料金抑制の方針をきめることはいいが、具体的に実情に応じた措置を当然とるべきだろう。それをとらない。たとえば、大手私鉄についても二年前からすでに申請をしておる。その後国鉄は二回にわたって運賃の値上げをしておる。しかもなお、私鉄運賃については上げない。こういうような状況で兼業云々の話がありましたが、兼業のない中小バス会社や一般のバス会社についてはすでに赤字を出しておるのに、全部が赤字でなければ上げない。しかも、政府がきめた標準賃率なんというものは、政府できめながらどこへいったんだかわけがわからないというような状況では、業界は一体どこへいったらいいか。運輸大臣は陸海空、三交通機関の総合的な運用を適正にやろうとしたってこれはできるもんじゃないと思います。そうすると、運輸行政というものを、経済企画庁が単に公共料金という名前のもとに、運輸行政の適正な運用を阻害するおつもりなのかどうか、その辺について長官の御意見を伺いたい。
  130. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 私の所管は物価に関する所管でありまして、この佐藤内閣は御承知のとおり、物価安定ということを佐藤内閣の施政方針にいたしております。ことに、本年度におきまして、この物価問題は重要施策の一つとしておるのでありまして、したがって、総理大臣の施政演説の中にも公共料金は極力押える、抑制するということを言明しておるのでありまして、したがいまして、この政府方針として物価を抑制するという方針をとっておるのでありますからして、私は物価を扱っておる関係上、政府方針に従ってやっておるにすぎないということを申し上げたいと思うのであります。
  131. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 どうもたいへんいなお話を伺いました。私は公共料金の抑制については必ずしも反対をしておらぬし、われわれ自由民主党はできるだけ支持をしておるのだと申し上げました。しかし、それが法律に沿わない場合、法律に違反をする場合にはどうなさるかと聞いておるのです。経済企画庁の長官といえども、法律に従いまして行政を実施をされるのが民主政治の基本だろうと思うのですが、法律に違反しておるという事実に基づいてはどうお考えになりますか。
  132. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 先ほどの訴訟の問題の場合も、結局第一審判決はございましたが、なお裁判としては、必ずしも一定の解釈がそれで確立したということではないというふうに考えておりますが、ただ確かにお話しになりますように、政策がいわゆる法律にきめられた範囲内より出るということは、これはないと思います。ただ、具体的に法律をどういうふうに適用するかという場合に、いろいろ解釈の範囲その他があるわけでありまして、ただいま先生は、おそらく道路運送法の第八条を頭に置いてお話しになっておるのだと思いますが、私どももその解釈できる範囲、あるいはそれが最も正しい解釈の範囲を越えて、無理無体に進めていくというつもりではないわけであります。現在の段階で、先ほどお話しになりました標準賃率の問題等につきましても、これはつとにいま御指摘がございまして、私どものほうも運輸省と御相談をして、いわばどういうふうに原価を査定していくか、あるいは効率的な経常というものを何らかの形で客観的に判定する方法として、どういう基準を入れたらいいだろうかというようなことについては、合意に達しておるわけであります。その適用というものを、ただむげにそれをおっぽり出してやっておるということではなくて、この精神に沿って、しかもいま物価政策上のいろいろな配慮で、それを使っていくということでやっておるつもりでございます。  現実の適用等については、いろいろ御意見等も当然おありだろうと思いますが、私どもの姿勢としましても、その他の場合も、いわば法律を飛び越えてということは、これはないことが当然であるわけであります。そのつもりでやっておるわけであります。
  133. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 話が水かけ論になりそうなので、私はそう長く質問するつもりはございませんが、先般経済企画庁長官は一般の公共料金についても、特に地方的に物価にあまり影響しない分については、運輸省と相談をしておって、現に上げておるという話も伺い、私もそれは承知をいたしておりますが、基本の問題として六大都市についての地方鉄道で、あるいはバス等については、特に物価に関係があるとおっしゃられるのですが、運輸省並びに経済企画庁が現に実施しておられる公共料金認可の実態は、そうなってないのです。長官、すぐ隣り、あるいは同じ六大都市であっても、他の中小の交通機関のあるところのものが上がれば、その線に関する限り上げておるのです。ですから、あなたのおっしゃることは、どうも行政上、行政自体としても、いろいろ矛盾があるということはもっともだ思われるから上げられるわけです。したがって、形式的なことだけをおっしゃらずに、公共料金全体の基本的な抑制の方針というものは了承しても、具体的な妥当性のあるものについては、両省間において十分協議をされて、運輸省が、陸海空の経済の基本となる交通行政に支障を及ぼさないよう、それに支障を及ぼす場合には、さらに大きな物価の値上がりを生ずるような経済のひずみが生ずるわけです。その辺のところについて、適時、適切な運営をしていかれるようなお考えがあるのかどうか、この点を伺っておきたい。
  134. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、経済企画庁は物価を所管いたしておりますので、消費物価に影響がなければ、もちろん公共料金の引き上げは、これは認めなければならぬという考えをいたしておりますが、物価に影響を及ぼすような交通関係の公共料金は、あくまで抑制するという方針を堅持したい、こう考えておりますので、そこで伊能委員と私との見解の相違があるのだと思います。六大都市の私鉄大手、あるいはバス、タクシーとかいうものが、物価に影響するかしないかということについての見解の相違だと思います。  そこで、私のほうではこの際は、大都市の交通機関の公共料金を抑制しないほうが、物価を押えることができるんじゃないかという考え方をしておりますので、その点については、十分運輸大臣とも打ち合わせをしておるのでありまして、したがって、このバスは上げても物価にあまり影響しないというような場合は、運輸省からの御相談があれば、われわれもまた御相談に応じてやっておる次第でございます。万事運輸省と相談をして事を運んでおる次第でございます。
  135. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 やめようと思うと、どうもやめられないような答弁をされるものですから、また質問することになるのですが、物価に影響しないとおっしゃるなら、先般も議論になりました国有鉄道の運賃が、物価に影響しないかどうかお伺いしたい。
  136. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 国鉄の料金が物価に影響するということは、私はもうたびたび申し上げております。〇・二%の上昇率があるということを申し上げておる。だからして、その点において、物価の影響という点からわれわれはこの問題に反対をしたのであります。しかし一方では、国鉄自体がもし破綻するようなことになれば、それによって経済界に打撃を与え、また物価に非常な影響を与えるということでありまして、どちらが重いかという問題で、ことしは国鉄の料金を上げるべきじゃないということを考えたのであります。しかし、この国鉄料金の値上げをする前に、まず国鉄自体の体質改善をやってもらいたい。体質改善をやらなければ、毎年料金の値上げをしなければならないじゃないかということで、体質改善ということを踏まえて、国鉄の料金の値上げということをわれわれ言い出した次第でございます。でありますから、あくまで日本の経済、日本の物価という立場からやった次第であります。
  137. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 どうも私は、国有鉄道の財政について、しろうとの経済企画庁長官と議論をしようとは思いません。国鉄の合理化は十年かからなければできないのです。長官、いますぐやろうとしたって——十年間に一兆余りの合理化をやろう、こういうことなのです。初年度はとても合理化なんかできません。したがって、運賃値上げと、政府の助成にたよっておるわけです。物価に影響があれば法律を無視しても押えるのだ、どうもこの話は私は受け取れない。同様のことを言うならば、公共料金抑制の名のもとに押えておられれば、民間の地方鉄道、ハス会社、トラック会社、タクシー会社みな赤字になってつぶれます。それでも政府の責任でない、他に助成の方途を何にも講じないで、そういう議論をされるんだったら、私どもはどうも日本の物価政策というものは、どこにあるのか理解に苦しむわけです。自由民主党の、また佐藤内閣の公共料金抑制政策、物価政策というものが、そんなところにあるとは思いません。この点重ねてお尋ねをいたしておきます。
  138. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 これはたびたび申し上げておることでありますが、今日の、最近の物価騰貴というものは、一つ政府が主導しておるということをいわれておるのであります。政府主導型の物価騰貴ということをいわれておる。ということは、政府が公共料金を上げるから、民間物価が続いて上がっていくということをいわれておるのであります。そこでこの際は、政府が物価の上昇を主導していないという態度をはっきり示す必要があるということで、公共料金は抑制するという方針政府は定めたのであります。たとえば、問題になりました米価においてもそうであります。生産者米価は、米をつくっておられる農民側からいえば、いろいろそのことについては申し分があると思うのであります。しかしながら、生産者米価を押えることによって、物価の騰貴を押えたいということで、生産者米価の据え置きということを決定したのでありまして、あくまで政府といたしましては、物価は抑制する。物価がもしも騰貴すれば、これがひいて経済界に非常に波紋を起こす。それがおそろしいのでありまして、その波紋を起こさないために物価を抑制しなければならぬという政府の政策としてこれを決定した次第でありまして、これは何も経済企画庁が押えているというわけではありません。各大臣の相談の上で、閣議でその点は十分了解を得ている次第であります。
  139. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 これ以上質問しても水かけ論ですからやめますが、私の非常に遺憾に思いますことは、米の問題にしても、国鉄運賃の問題にしても、あわせて政府が助成の方途を講じておる。それで初めて物価抑制というものが成り立つ。ところが、公共料金その他のいわゆる交通関係公共料金については、政府は公共料金を抑制すると同時に、公共機関である交通機関が何とか当面生きていかれるような助成措置を何ら講じない。しかも、あなたの御答弁からは講じようというお話が出ない。それでははなはだ片手落ちじゃないですか。こういうことではたして公共料金というものが抑制できるかどうか私は非常に遺憾に思うのですが、助成措置というものを全然お考えにならないのかどうかということを最後に一点お尋ねいたします。
  140. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 公共料金を抑制するについては、たとえば国鉄については公債、債務の利子ですか、四百億円を政府から出してもらう措置を私のほうから大蔵省にお願いしたし、それからまた国鉄が地方納付金を負担しておるが、これも私どもは減免してもらいたいということをお願いしてあるのですが、若干減少することに決定いたしたのでありまして、そういうことでできるだけ政府としてもこれを是正するのだという考えをしております。生産者米価も御承知のとおり二百二十五億円というものは農業の総合農政を樹立するために出して、したがって米価は、生産者米価を引き上げないで農業の生きる道を考えてあげたいということで決定した次第であります。私鉄の問題も、私のほうではそういう点についてはまだ御相談がありませんが、こうすれば料金を上げなくても私鉄あるいはその他の生きる道があるということについて名案があれば私のほうは喜んで御相談に応じたい、そう考えておる次第であります。
  141. 藤田義光

    藤田委員長 大出委員に御迷惑をかけました。質疑を再開していただきます。
  142. 大出俊

    ○大出委員 ちょっといま中、断をいたしましたが、先ほどのお話の中で、宮崎さん、はっきりさせておきたい点があるのです。これは議事録に残りますのでね。先ほど港湾運送料金の値上げについて二割くらいのというふうにお話しになりましたが、これは正確な数字がありましょうから、船内、沿岸、はしけ回漕に分けまして何%上げたかというやつをはっきり出してください。   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕
  143. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。  平均が約二六%、船内が二八%、はしけ二一%、沿岸が二六%、こういうふうなことになっております。
  144. 大出俊

    ○大出委員 それから先ほど局長おっしゃっておられたが、業者、荷主等と一緒になって相談をしてきめたのだという話なんですが、これはいままでの経過議論の中には、新料金の中にその分が含まれているのだ、つまり近代化基金を拠出する分が含まれているのだという議論が一つあるのでありますが、これは当初のやりとりの中にはそれはありましたが途中からカットダウンしましたから、課長了解されているようですけれども、あの筋からいくと最後のところは性格が変わっているのです。  私はここではっきりしておきたいのですが、荷主という方々は別ワクで出すわけではなくて料金を上げることに賛成をしたということで、つまり料金の中に含まれておるのだという解釈を荷主はとりたい。払うのは業者が払う。料金を上げたときにそこのところを見てやったのだから業者が払う。業者に荷主が料金を払うのだから、そういう意味でその中に含まれておる、協力しておることになっておるのだということであって、荷主が払うわけではないということでしょう、そこのところは。
  145. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 私も大体そうだと思うのです。というのは、最初のお話によりますと、料金を上げるときにやはり運送事業者の近代化という問題が荷主のほうにも頭の中にあったわけでございますね。ですから最終的にきまりました段階におきましても、荷主のほうとしてはやはりこれは近代化しなければならぬし金も要るのだから——そのほかに理由はございますが、料金も上げざるを得ない。そういうことがございましたから荷主のほうから申し上げますと、近代化のためのいろいろな施策も入っておるのだ、こういうふうな理解をしておるのだと思われるわけでございます。
  146. 大出俊

    ○大出委員 だからそこに見解の相違がありまして、当初求めた料金どおりになっているわけではないのだし、最初は確かにそういう含みで相談を受けたから業者団体のほうはそういうふうに考えて言ったのだが、カットダウンされたということの段階でそろばん上そんなものは入ってない。しかし、うんと言わなければあるいは誓約書を出さなければ認可してくれないのですから、やむを得ぬということでのんだ、泣いたというかっこうになっておるわけですよ。法律的根拠に基づくものではなしに、話し合いで近代化という線にひとつ焦点をそろえてみんなで努力しようということなんだということになるとすれば、どうしてもみんなにそれこそ納得してもらってやらなければ、先の長いことですから、おまけに三年間という、こういう一つの目安がありますね。料金についても、今日的変動の中から見れば、はたして三年間上げろといわないで済むものかどうかという問題もある。それだけにやはり話し合って話をまとめていかなければならぬ筋合いだというふうに思っておるわけでございまして、それを先ほど大臣に確認を求めたわけであります。  それから船会社というものは港湾近代化には関係がないのかどうか。船会社のほうにはだいぶ財投その他で金がいっておるわけですよ。ところが、どうも三十五億くらいの金を近代化という名のもとに事業に出させようといっておるのに、そちらのほうに対しては、これはさっき大臣御努力のほどがお話にありましたが、現大臣に私は責任云々というのではないのです。中曽根さんのときに出てきた問題ですから。先ほど大臣がおっしゃったようなことならば、初めから大蔵省と下打ち合わせをしておいて、不可能なものは不可能で、これはコンテナの京浜埠頭をつくるあるいは阪神埠頭をつくるということで、あのときに事業団設立にあたって何対何対幾つという比率をきめてものをいったのだが、そうならなかったので、だいぶ大きく反論を食っておるわけですね。同じことでこれは省のほうが、三十五億財投でなんということをいうておいて十五億出せといって、結果的にそれがそうじゃなくなったということだから、そんなばかなことがあるかということになるのであって、そんなに見識のないことならば初めからいわなければいい。そうでしょう。それを表に出したのならやはり財投なら財投というワクはどうあってもとらなければならぬ。そこらが実はもめる一つの原因でもあるわけですよ。運輸省はいっておいて何だということになる。だまされたんじゃないかということになる。これは埠頭事業団の場合もそうです。だからそういうところをやはり皆さんのほうもお考えいただかぬと、先々の問題もありますし、うまくいかない、こう思うわけですよ。  そこで港湾の近代化とは何だということを先ほど冒頭に私いろいろ申しましたが、港湾運送業者というものはそんなに大きなものはない。特に三井だ三菱だというところとつながっておるところというのはみんな口を封じてあるのだから、こっちのほうは船のほうの関係もあるんだから、何も言わない。こういうかっこうになっていて、いわゆる中小のところあるいは大手と言われた——大手と言われたってこれはたいして大きくない。そういうところばかりいじめたんじゃ、これは片手落ちということになる。そこらの関係はどうお考えですか。
  147. 原田憲

    原田国務大臣 いま大出さんの言っていることは、今度のこういうものを、金を出してみんな寄ってやるときには、船会社も出したり、そのほか荷主のほうの大手の商社、そういうものもみんな出したらいいじゃないか、港湾直接のはしけをやったり——あなたの先ほどのお話を聞いていると、一億くらい認めてやれというお話じゃなかったんですか、局長に、中小企業金融公庫の。その程度ものを金を出させて、そこまでいったらどうだ、こういう御趣旨のように私は聞いたんですが、これはやはり私もほんとうに詳しければ責任を持ってお答えしますが、この問題について、まあ、おしかりを受けるかもわかりませんが、もう一つ私は詳しくはない。大体このことについて事務的に進めてきて、私は、正直に言うと、ここまでよくやっているなという感じを受けています。  そこで、あなたのお話を聞いておって、私は就任してからほうぼう回ってみて、おっしゃっておられるようなことは、この問題じゃなしに、ほかにも、たとえば月末、月初の貨物のために、これは横浜ではないらしいが、神戸では非常に荷物が片寄って、滞貨になる。聞いてみると、これは商社、メーカーのほうがちょっと考えてくれたらそれができるが、長い間の慣習で、どうしても解決ができておらないというようなこと、こういうことを聞いて、私は、何とかそいつを解決しようじゃないか、まあ、大平さんにもちょっと話をしたりしたんです。だから、おっしゃるように、この港湾というもの近代化していこうとするならば、これはすべてのものが一緒になるべきじゃないかというお説はそのとおりじゃないかと思いますが、しかし、いまの具体的に一番間近な、身近な話でやっているのは、あそこのはしけに乗ってやるやつとか、そういうものをもっと近代化していこうと、こういうことですから、これはひとつ出発まで——先ほどお聞きをしまして、あなたの目の前で、この国会で、局長がそうすると言っていますから、お約束もしておることですから、こいつをひとつ片づけて、一つずつ進めていくように検討していきたいと思います。
  148. 大出俊

    ○大出委員 これは、たとえば港湾運送業者の大手といわれるところの中には、資本金六億というところもありますね。ですから、一がいに言えません。言えませんが、問題は、金を、じゃ、どこから出すのかといったら、取り扱い量が多いところがよけい出すのはあたりまえだ。それじゃ、いま、私が申し上げましたが、その会社の例をとってみて、さっき相模運輸のことも言いましたが、日新運輸倉庫なんかいろいろあります、反対だと言っているところもありますが、そこらを調べてみて、それならば、どのくらいの金に当たるんだろうか。一つの会社の株式配当の配当金くらいに当たるんですよ。これは相当大きなものですよ。一割配当ができるというところの場合、これはその計算をしますと、やはり相当な額になる。三カ年。だから、そうなると、相当業者にすれば深刻ですよ。これは経営形態によりますから、一がいには、言えませんが……。だから、そういう点は、やはり、そのかわり、こっちでこれだけ取られるなら、こっちで金を借りたいという業者が出てくるのはあたりまえですよ、中央にプールするんですから。だから、そういう場合は、いまの五千万という制限があるから、そこらは上のほうのところが主として払うんですから、それは、小さくたって、同じ業種なんですから競争相手には違いない。株式配当に影響のあるような金を、中央プール、そこから下のほうに出させる。競争相手のほうに対して出すのもそれはしかたがない、近代化という名のもとにだから。それは認めるとしても、それならば、大手がそういう出血をするんだから、そこに対してやはり五千万というワクをはずしてもらって、やはり話し合って——大手は大手なりに賃金引き上げ要求を食って、相当優遇しているんです。さっき労働省のほうはそういって言るんですから、福祉施設についても相当なことをしている。そうなると、やはり苦しいことは大手は大手なりにある。そういうところはそういうところなりに見てあげなければならぬ。だから、いま一億と大臣はおっしゃったわけだが、そういうワクにとらわれずに、業者は千差万別ですから、ひとつ実態に即して話し合っていただく。そうしていただきませんと、相当な分担をするところにすればそれなりの理屈が出てくるわけですから、そこらはやはりきめこまかに相談をしていただきたいのですが、いかがですか。
  149. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 いまの中小企業に対しましては、荷さばき施設のほうだけでございます。そのほかに荷役機械は五千万という限度ございません。それからもう一つ、債務保証のほうのこれもございません。先生のおっしゃるような、きめのこまかい、長い目で見て不満がないように、非常に短期間になりますと不満が出ますけれども、長い目で見ましたらそういった規模の大きいものと小さいものとの間の不満がないように、研究してこれからやっていきたい、かように考えます。
  150. 大出俊

    ○大出委員 急ぎましょう。  それから、完全収受の問題がさっき出ましたですが、この完全収受というのは、実際問題としては、私、見ていると、非常にむずかしいですよ。これは大臣、ワク外のものもあるでしょう。たとえば、港の内航船、あるいはヘリポートなんていうのがあります。これも輸送しているんですからね。しかし、この港湾運送料金にこの諸君は縛られないのですね。そうすると、東京と千葉間が、そっちのほうで五百円という。ところが、港湾運送料金というものに縛られると千円を取らなければいかぬのです。しかし、これは片一方の縛られないほうが五百円でやっていれば、倍の千円といったってこれは取れないですよ。そうでしょう。そうなると、それはどうしてもその五百円に合わせなければいかぬ。ですから、ならしてみると、完全収受をやれといったって、どうしても一割方のダウンをさせなければ、この過当競争の中で、大手といえども生きていけない。それは官庁のほうにおられる皆さんのところでは、海運局なら海運局というところで、完全収受をおまえらやらなければいかぬといってみても、生きていけないということですから、そういう現実をやはりとらえていただかないと、上げたんだ、上げて完全収受をやればいいじゃないか、そうはいかない。そこにやはり大きな問題がありますから、そこまで皆さん方は考えていただきませんと、業界のほうからの陰の不満がやたら出てくるということになる。そこらはひとつお考えをいただきたいのですが、そこらの実態はどう把握されておりますか。いま申し上げたのは一つの例ですけれどもね。
  151. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 ただいま私ども存じなかった例をあげて、完全収受はできない、つまり運賃自体が少し何と申しますか、不均衡があるんじゃないかというお話でございます。これはさっそくそういった実態につきまして調査させまして、できる限り完全収受ができるような、やはり運賃体系というものを変更するなり、そういった方向に向かってさっそく検討させたいと思っております。
  152. 大出俊

    ○大出委員 つまり、ダンピングをせざるを得ない業界の体制に問題があるのでしょう、荷主との関係で。荷主に対しては業者というのは弱いですからね。  それから、今度、元請、下請の関係でいうと、下請というのはもっと弱いですね。はしけ会社の一例をあげてみますと、この元請に現ナマで十万なら十万、二十万なら二十万持っていって、営業の係長に金を現ナマで渡さなければ下請には仕事をくれない。しようがないから回漕屋さんが八ぱいなら八ぱい持っている船、第八何々丸がある。その次に、第九何々丸という架空の船名で登録して、帳簿に載せて、そうして現ナマを持っていって仕事をもらってくる。その現ナマは落としようがない。つかみ金ですからしようがない。架空のもので、第九何々丸というところの労賃その他のかっこうで落としている。そうすると、税務署が急襲をかけて調べてみたら出てきた。第九は三年さかのぼって全部帳簿を持ってこいということになって、何千万円と取られる。そのときに、実は、元請のあすことあすこにこれこれの金をやっているということになれば、そっちの過少申告なんですね。だから、その下請には課税をされない。ところが、そのことを口にしてしまえば、業界から村八分で二度と再び仕事はくれないから、それは死んだって言えない。それで自分の会社がつぶれても、そうなれば、言わなかったからということでめんどう見てくれるということで、再起が可能だということになる。一番末端にいけばいくほど過酷になっているのですよ。税務署自体だって古くて新しい問題です。知らぬ人はない。しかし、税務署としてはやはりそっちにかけるわけですよ。そういうふうにずっとこう流れていってしまっているという現実をながめると、これは事例をあげたにすぎませんけれども、至るところにそういう例がある。だから、よほどそこらはきめこまかにお考えいただかぬと、いまの局長答弁では、いささか私の質問にお答えになっていませんけれども、そういう意味で申し上げたのじゃないのだが、実態調査とおっしゃるけれども、調査しなくたってわかっている。そういうことを申し上げたのではない。千トンと百トンとは違うのです。港湾運送料金のワクの中に入る。入るときまっているのだから。入らぬというほうはいま私が申し上げたような東京−千葉間のようなことになるのですから、だからそこらのところは御存じおきをいただきたい。つまり、いまの業界の持っている性格は過当競争でダンピングをしなければならぬようにできているということです。だから完全調査があたりまえだからしたらいいじゃないかということでは何にもならない。そういうところでお考えいただかないと、業界は納得しない。そこを心配をするわけですよ。ですから、これはやはり話し合っていただけばよくわかる。いろいろな問題が出てくるのです。この座談会にいっぱい載っていますよ。この中に、近代化ということで集約をして、じゃあ一緒にして拡大をしたらもうかるのか、もうからぬのか。金かけて集約してみたらつぶれていく。集約しないほうが生きていける。だから運輸省がこうだああだということをやらないほうがいいのだ、やればつぶれるのだから。役人というのはしようがないものだ、こう書いてある。こんなにありますよ。そういうことでは困るのですよ、実態にそぐわないことを言われても。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕 だから、私は先ほどのように申し上げたのですが、ここにこんな大きな見出しで「大蔵省に弱過ぎる」と書いてある。大蔵省に弱過ぎるという運輸省の中身を一ぱい書いてありますけれども、これは運輸省だけが大蔵省に弱いわけではないけれども、大蔵省に弱い運輸省が今度業界に強いということになりますれば、これはやっぱり文句が出ますからね。ここのところはぜひ——私は悪気で言うのでなくて、このくらい言っておかないと、なかなか言う人がいないようですし、運輸省は下に  は強いのだから、それで私は言っているのです。だから、やはり毒舌を吐くのがいないと業界の皆さんだって納得しにくいですから、ぜひひとつ皆さんのほうでそこまで気をつかっていただいてまとめていただきたい。  そこで具体的に申し上げますが、一番末端のところで近代化基金についてでありますが、これは法人かなんかおつくりになるわけですか。
  153. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 財団法人をつくろうというような動きになっております。
  154. 大出俊

    ○大出委員 それはいつごろできるのですか。
  155. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 八月一日につくろうということを聞いております。
  156. 大出俊

    ○大出委員 集めた金はいまどこにあるのですか。
  157. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 近促協の事務局が一時預っているということでございます。
  158. 大出俊

    ○大出委員 十二月からことし八月までずっと預かりっぱなしですか。
  159. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 十二月分からでございます、さかのぼって集まってきたのは十二月分から参りましたので。現実に金が来たのは三月だったと思います。
  160. 大出俊

    ○大出委員 十二月にさかのぼって取ったわけですからね。これは払わざるを得ないのですから、銀行の関係で。海運局に営業実績も全部報告しているのですからね。まあ、いいです。それは過ぎたことですから。  ところでやっぱり二つだけなのですね。そうすると近代化とは何ぞや、どこにこの金を使うか、二つしかない。整備公団のところで機械、あと荷さばき所、これだけですか。
  161. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 具体的なものは二つでございます。そのほかに金を借りるための担保としてございますので、この金は自由に企業のいろいろな方面に使えるというふうに考えております。
  162. 大出俊

    ○大出委員 自由に企業のいろいろな方面に使うとおっしゃるのだが、いろいろな方面だけではわかりませんので、自由に企業のいろいろな方面に使うというのはどういうほうに使うのですか。
  163. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 これも実はまだこまかくどういうことにどういうふうに使うか存じておりませんが、これから港運協会の希望を聞きまして、どういうふうな使い方があるのであろうかということをよく相談するようにひとつ検討したいと思っております。
  164. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、近促協のほうとも相談するということですか。
  165. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 これからできるであろうところの財団法人の基金でございますが、これがまず扱うわけでございますので、それに対して指導したい、かように考えております。
  166. 大出俊

    ○大出委員 そうなりますと法人の構成はどういうことになるのですか。相談しようとあなたおっしゃるのですが、これからできるところと。
  167. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 構成と申しますと、実はまだはっきりとどういうふうにということをきめておりませんが、これから運輸省ができた分に対して意見をいう、事務局やいろいろな理事会——そういったものを一応考えておりますが、まだ関係方面とこれから基金の構成について折衝をしてみたい、こういうふうに考えております。
  168. 大出俊

    ○大出委員 それは金が集まるのですから、その集めた金は二つは表に出ておりますね。あとはいろいろな方面に使うというのですけれども、どういうようにするかぐらいのことはやっぱり協会と話をして、出させるほうと話をして大体こういうふうなところに使うのだという大ワクをきめて、その上で方針をつくって拠出するのでなければ、法人はっくりました、金は何に使うのか二つだけは表に出ているけれども、あとはわからない、金だけは集めて預かっておく——それはしかしいずれにしても私は不納得です、賛成できないです。そんないいかげんな話はありませんですよ。それは話し合いをしてくださいよ。
  169. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 もちろん出すほうの港運協会でございますか、それとは十分話をしまして意見を聞いて、その意見をもとに基金の構成、そういうものをつくっていきたいと思います。
  170. 大出俊

    ○大出委員 だってそれは全然まだまとまっていないのでしょう。さっき私、個人の名前をあげて悪かったけれども、口をついて出たのですが、松永、中曽根さんの話をしたのだが、これは皆さんの御縁のうんとある人、そういう方々だって賛成していない。港運協会の中で近代化基金に関するこういうものをつくって検討しようという言い方でしょう。だから、そこらのところをお考えになって、これを八月一日から発足させるということでなしに、まず話し合いのほうを先にまとめてくださいよ、局長いいですか。
  171. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 十分に話し合いをしてからやります。
  172. 大出俊

    ○大出委員 それから、将来に向かって話し合いをされるのだが、法人ができる、金は積み立てられる、今度はその金を貸すときは拠出した諸君に貸して利息を取るのでしょう。無利子で貸すわけではないでしょう。
  173. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 まだそこまで私ども考えておりません。
  174. 大出俊

    ○大出委員 つまり、いままでの協会その他の説明でいきますと、近代化基金として貸し出すことになるのですよ。プールした金を貸し出す。借り主はこれに対して金利を払うことになるでしょう。そうすると、自分で拠出しておいて、借りて今度は金利を払って返すということになる。それはやっぱり業者のほうは抵抗を感じますよ。そこのところはどうなっておりますか。
  175. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 先ほど申し上げましたように、金を出す人の、つまり港運協会の意見を聞いて、金利を取るかどうかということはまだ今後の問題でございますので、考えておりません。
  176. 大出俊

    ○大出委員 これも事務的に進めたいのですが、必要なことだけ聞いておきます。  損金算入という問題が大蔵省と話し合われていますね。損金算入するかどうかという問題です、つまり拠出した金の分を。ここのところはどうかりましたか。
  177. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 まだ損金算入のことは交浜中でございまして、解決していないそうでございます。
  178. 大出俊

    ○大出委員 損金算入というのは税金その他の関係がありますので申し上げているのですけれども、決着がついてない、これも詰めていただきませんと、業者の側にとってはずいぶん大きな問題でございますから。つまり、そういうものが片づいていないのでは困る。そうすると、これから大蔵省との間は詰める、こういうことですか。
  179. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 これから詰めさせていただきます。つまり、金の使い道がわからないと、それを具体的に損金に入れるかどうかということはわからない。こういうことであります。
  180. 大出俊

    ○大出委員 時間の関係があるようですから、しぼってものを言いますが、法人をつくった場合の役員ということになりますと、旧来とかく世間でよくいわれる天下りだ何だという。そこにどこから金を払うかという問題等が出てくるわけですね。拠出金の中からそういう人件費まで全部払うということになりますと、これまたいろいろ問題がある。国が持てないのかという問題がある。つまり、さっき私は設立の構想を承ろうとしたんだが、それもはっきりしないようであります。はっきりしているのですか、念のために。
  181. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 その点は港運協会できめていただくことで、まだきまっておりません。
  182. 大出俊

    ○大出委員 だれをもってきたらいいという名前まで実は私の耳に入っておるのですが、そこらは非常にデリケートですから、これ以上言いませんが、気をつけてやっていただきたい。  それから、最終的に御相談されるというお話だからしていただきたいのだが、将来、出したものは、この拠出金というのは一体最終的にどうなっちゃうんだろう。基金から貸し出して返済させるとすれば、利子を取る取らぬは別として、解散したらどうなるか。国だということになると、出したものは出しっぱなしですね。そうすると、株かなんかの形で持たせろという意見だって業者の中にはある、法律によらざるものなんだから。そこらのところも何かお考えがあれば聞きたいのですが、先々どうなるのですか。
  183. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 御承知のように、荷役機械は船舶公団と基金との共有になります。それから荷さばき施設のほうは、土地の問題がどうなるか、管理者に寄付していただけるかどうか、あるいは建物を買うかどうか、建物が基金の所有になるかどうかということがございまして、解散したときの処分をどうするということまでまだ詳しく考えておりません。私ども、基金が発足してから、そこでゆっくり港運協会と相談して考えていただいたらどうか、こういうふうに考えております。私のほうでこういうふうにするんだという具体案はございません。
  184. 大出俊

    ○大出委員 そういうふうにはっきりしないところが、いま私が簡単に承ってもある。まだたくさんあるのですが、省略しますけれども、承っただけでも、ずいぶんきまらないことだらけなんですね。それでやるのですと言われても、やはり納得しにくいわけですよ。大臣お聞きになっておっておわかりのように、根っこが一体どうなるんだということがはっきりしない。しかも、いまの荷役機械のほうと荷さばき施設の二つあるんだけれども、そのほかのほうでいろいろお使いになるとおっしゃっているんだけれども、そっちのほうの金は先々どうなるかということも、これまたきまらない。何に使うかはっきりしないんだから、きまりようがない。だから、そこらのところをじっくり詰めていただいて、大臣から先ほどお話しになったように、局長も話し合いでまとめたいと言っているわけですから、まとめて詰めるようにお骨折りをいただきたい。この点を最後につけ加えておきます。それはそれでいいですな。
  185. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 港運協会のほうと十分話しまして、まとめるような努力をしたいと思います。
  186. 大出俊

    ○大出委員 それではあと質問は簡単にして——あらためて、国政調査やなんかで大臣お出かけいただいてやることにします。  そこで、ひとつ大臣に承っておきたいのですが、ハイヤー、タクシー料金の値上げというやつは、だいぶ私も調べてみたのですが、この間私が官房鈴木さんなり、自動車局長黒住さんなりに直接伺った際には、いつまでもほうっておけぬから、数日のうちに運輸省として大臣が指示した検討の結果を大臣のところに持ち込んで最終決定を出して発表したい、こういう話が実はあった。その中で人数制というのはいまの検討段階ではちょっと無理がありそうだ。時間制というのは何とかしたいというふうに思う。——これは非公式な話ですから別にここでそのことの確認を求めようというわけではありませんよ。ありませんが、運輸省と経済企画庁がありますけれども、値上げに賛成、反対は別として、私は運輸省としてはその間だいぶ詰めたんだなという感じがしたのです。ところが、その後だいぶたちましたが、さっぱり出てこない。時間制なんというのは東京、大阪というものの見方のようでした。もちろん横浜なんというのは時間制だ云々だという値上げの申請をしていないのですから。したがって、そこらのところ運輸省としては一体いつごろとお考えですか。この間、間近い話を聞きましたので、もう大臣のところに行ったのじゃないかと思うのですが、そこらのところはどうお考えになりますか。
  187. 原田憲

    原田国務大臣 先ほどから伊能さんが経済企画庁長官と問答されておりました。私もそばで聞かしていただいておりました。この問題、締めくくりのようでありますから、ちょっと時間を拝借してお答えしておきます。  私は、この国会中にたびたびこの問題について各方面から御質問を承ったわけであります。その点について私の結論は、公共料金のらち、いろいろな形がございまして、私鉄の場合は大手十四社といわれ、それからバス、ハイヤー、タクシーの場合は七大都市といわれ、それらのもの運輸大臣だけでなしに、関係閣僚会議でもって了解をしなければ決定をしないということを閣議でもってきめておる、こういうことでございます。したがいまして、先ほどからお話のあった地方の問題はケース・バイ・ケースとしまして、一番最後の問題については極力これを抑制するという態度を貫いてきておるわけでございますが、それでは、不合理な点は一体どうするのだというお問いの中に、いまあなたがおっしゃったような問題があったわけです。私自身も実は大蔵委員会に所属して、LPGの値上げという問題にタッチをいたしましたときに、われわれはこのLPGの税金は取るべきである——もちろんこれはものですから賛成、反対の意見があって当然のことですが、私はそれは取るべきだという態度をとって社会党と話をして修正決定をしたいきさつがあるのです。そのときに業界人たちに、その当時はただなんですから、あなたたちは払うべきものは払って、上げるべきものは上げてもらったらいいじゃないか、また、こうしたらよいという方法は考えたらいいじゃないか、ただ集まって、大会を開いて、わっと値上げだとか、値上げ反対だとか、そういうことだけでなしに、もう少しほんとうに考えたらどうでしょうかということをわれわれで話をしたことがあるのです。私の記憶では、たしか附帯決議でそのことをつけたんじゃなかろうかと思って調べてみた。ところが、大蔵委員会で運輸委員会のことまでやるような不見識なことはしません。ただ、修正案の説明に立った山中君が中で言っております。その中で、外国でも現に時間制、メーター制というものをやっている、特に走れなくなっている大都市、そこらではそういう制度を取り入れたらどうかというようなことをそのときすでに言っておるのです。私はしろうとではありますけれども、私どもが考えてもそういうことはやるべきではないかと思っておるということを国会でも答弁をいたしておりますし、指示をいたしております。それが、あなたがお尋ねになったときに、近々に外へ出したいと言っておることであろうと思います。したがいまして、近いうちに事務当局から話があれば、詳細に私も相談をし、料金という問題はまた別といたしまして、料金問題とは当然関連はありますけれども、今後のタクシー、ハイヤーというもののあり方、この間もここで質問がありましたときに申し上げましたが、乗車拒否乗車拒否といわれるが、乗車拒否すべき乗車拒否もあるのではないか、たとえば運転手の身分からいうと、乗せていったために殺されたという事件もあるわけです。そして、そのためにタクシーの中にこんな仕切りをこしらえて危険防止ということをやっておる。運転手だったらだれでも乗せなければならぬのかという、今後は乗せるほうの立場に立って考えなければならぬ点も私はなきにしもあらずと思っております。  そういうことを総合的に考えて、タクシーというものをどうしたらよいのかということを私は近々のうちに出したい。まあ十分であるかないかはまたそのときにも御検討を賜わりたいと思いますが、一応これは先ほど言いましたように、大都市と申しましてもあなたがおっしゃっておるように、特に東京、大阪、二つくらいに限っても、そこで一ぺんやってみる、そこまで踏み切る。そのことについて検討を加えて、やったはいいがいかなんだということではいけませんので、やはり新しい制度をやるためには慎重に実施をしていかなければなりませんから、業界人たちとも話を詰めていかなければならぬと思う。もちろんそれはやっておると思いますが、それらのことを勘案して近いうちに断を下したいと思っております。  料金の問題に対しましては、私自身たびたび申し上げておりますように、運賃というのは世界じゅうで特に日本は安い、これは事実であります。米は日本が世界じゅうで一番高いわけです。その上に米はみんな上げろ上げろとおっしゃるが、一番安い運賃は上げたらいかぬとおっしゃる。だれも味方がないわけですね。もしもこのままで何にもなしにいってしまったら、先ほどおっしゃるような経済の大きな問題になりはせぬかということを考えなければならぬと私は職務上考えておりますが、私が就任いたしまして、ことし四十四年度の予算案を編成するにあたりまして政府方針を立てたときに、いまの日本の国の経済は——あなた方から見られたら批判の的になっておるわけですけれども、われわれの立場でいうと、この四十四年の三月、まだいかぬと思っておったのが順調にいっておる。そこで、一番問題は物価の問題だというので、極力これを抑制しよう、こういうことを言った限り、私も国務大臣としてこの態度を守らざるを得ない。しかし、問題は経済上の、先ほど話もありましたように、物価というものに統制をかけてやったことが終戦直後にぎょうさんありますよ。あの時分は法律できめたのですから。金はあるけれども物はない。これでは経済は死んでしまっているわけです。そういうことを考えますときに、私は十分検討をして対処しなければならぬということを考えておりますが、いまのところは極力抑制をするという態度——まことに大出さんの質問に対してもの足りないなにでございますけれども、そういうことを申し上げたいと思います。
  188. 大出俊

    ○大出委員 いまのお話を総括すると、時間制というふうなものについては、人数制も検討するように指示されておったようですけれども、これは一応料金値上げというものと関連はするが、別個に当面の検討の結果というものは事務当局が持ってくればはっきりさせたい、大阪なり東京なりでやってみるかどうかという点を明らかにしたい、ところで物価抑制の方針があるから、料金値上げというものはそれとからむ、したがって、その点は押えっぱなしでいいのか、やはり上げなければいけないのかという点、いま二つおっしゃっておられますが、それらはこれから検討する、こういうことになるわけですね。
  189. 原田憲

    原田国務大臣 私どもの態度がきまりましても、いま申し上げましたように、これは私どもだけで決定ができないということになるわけです。だから、いま私が申し上げた方法であっても、新しいメーター制をとるということは、これは料金に関連が出てくるわけですね。そう私は了解していますので、その点については、やはり関係各省との間の相談をしなければならないわけでございます。したがって、いまやっておる事務的なことを当然相談しなければ、最後のきめということにはならないということだけはひとつ御了解を願います。いま時間制だけ言いましたけれども、私まだ聞いておりませんので、こまかいことはいろいろあると思うのです。こういうことがあるということだけは申し上げておきます。
  190. 大出俊

    ○大出委員 これでおしまいですから。いまお話のあったタクシー料金、日本の場合安いのです。モスクワが百メートル四円ですから、二キロで八十円ですね。東京は最初の二キロが百円ですからね、一番安いのはモスクワですよ。その次は東京です。その点は確かにそうだ。ところで、いま大臣のおっしゃっておることは、運輸省としては、距離制だ、時間制だ、やれ人数制だ、その他もあるかもしれない。しかし、それを直せばこれは値上げにつながるかもしれぬ。つまり、運輸省としては値上げということになるんだ。しかし関係閣僚、ストップの方針一つある。だから最終的にはそこまでいかなければはっきりしない。しかし現在は、運輸省という段階にある。近く出てくるだろう。そうしたら、いまおっしゃったようなことで対処はしたい、こういうことですね。そうでしょう。簡単でけっこうです。
  191. 原田憲

    原田国務大臣 私といたしましては、いま検討いたしておりますことが私の手元に来ましたら、これを私のよく納得いくように、そして腹がきまりましたら、これは事務的に当然、企画庁のほうへ相談をする、こういう順序になろうと思います。
  192. 大出俊

    ○大出委員 最後に、設置法にからむ点だけ申し上げておきますが、個条書きで読みますからお答えください。  陸運の部外協力者、これは大臣御存じだと思いますし、これは総理大臣にも私言いましたが、この陸運の部外協力者をひとつ定員化する努力をしていただきたい。業界から陸運事務所に入っている事務員だ何だいますが、そういう関係の方を定員化するという努力をいただきたい。  それから二つ目、三種空港の管制要員ですね、これも総理のときに申し上げましたが、これを削りっぱなしでは困る。行政管理庁のほうも必要なものは必要だというので認めているわけですからね。これも今回三・五%のしわ寄せかもしれぬが、ここらのところも、間違うと人命にかかわりますからね、十分そこのところは御配慮いただきたい。  それから倉庫の関係ですが、海運局の臨海倉庫、陸運局がやっておりました内陸倉庫、これを向こうに一緒にするわけですから、業務量はふえるが人はふえない。これも人をふやしていきませんと、危険物取り扱い倉庫というものはほんのわずかではございませんので、法案から手を抜かれては困ります。そういう人の配置というものは、標準予算の編成時期ですから、あわせて御配慮いただかなければならぬという三点。  それと、将来あるいは勤評だとかあるいは第二次改革だとかおたくに方針がありますから、そういう場合は、職員団体のほうと話し合わないというのではなくて、やはりできるだけ話を詰めていただきたい。この点をひとつお願いしておきたい。簡単にお答えいただきたい。
  193. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 自動車局関係の部外協力でございますが、陸運事務所の関係の車検登録で御指摘のような人たちが若干おるわけでございますが、本人の希望の点もございますので、極力御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  194. 藤田義光

    藤田委員長 これにて質疑は終了いたしました。  次回は、来たる十五日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。   午後三時十六分散会