運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1969-07-01 第61回国会 衆議院 内閣委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月一日(火曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君    理事 塚田  徹君 理事 三原 朝雄君    理事 大出  俊君 理事 浜田 光人君    理事 受田 新吉君       赤城 宗徳君    井出一太郎君       内海 英男君    田中 龍夫君       葉梨 信行君    古内 広雄君       三池  信君    淡谷 悠藏君       永末 英一君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      菅野和太郎君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         運輸政務次官  村山 達雄君         運輸大臣官房長 鈴木 珊吉君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君  委員外出席者         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 六月二十七日  委員内海英男君、古内広雄君、淡谷悠藏君、木  原実君及び鈴切康雄辞任につき、その補欠と  して松田竹千代君、小川半次君、細谷治嘉君、  井岡大治君及び渡部一郎君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員小川半次君、松田竹千代君、井岡大治君及  び細谷治嘉辞任につき、その補欠として古内  広雄君、内海英男君、木原実君及び淡谷悠藏君  が議長指名委員に選任された。 七月一日  委員渡部一郎辞任につき、その補欠として鈴  切康雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  運輸省設置法等の一部を改正する法律案(内閣  提出第七号)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  運輸省設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。伊能繁次郎君。
  3. 伊能繁次郎

    伊能委員 先般、運輸大臣から運輸省設置法等の一部を改正する法律案の内容について、一応趣旨説明をいただいたわけでございますが、さらに政務次官もしくは官房長から、この改正実態についてひとつ十分に御解明願った上で、さらに質問を続けたいと思いますので、御説明をいただきたいと思います。
  4. 村山達雄

    村山(達)政府委員 もうすでに大臣が御説明済みかもしれませんが、今度の設置法改正は、いままでどちらかと申しますと、運輸行政陸海空、いわばばらばらで行政が進められてきたきらいがございます。しかるところ、いまの日本の問題は、ようやく生産面から流通面に問題が移ってきておりまして、この点の打開がなければ今後の日本成長は期し得ない、そういう見地に立ちまして陸海空を通じまして総合的な政策を樹立したい、それをぜひ急ぎたいということが今度の設置法改正の大眼目でございまして、二つ大きな委員会を考えておるのでございます。一つ運輸政策審議会、もう一つは、当然これは運輸行政につきものでございますけれども技術面を担当いたします運輸技術審議会、この二つを根幹といたしまして、それぞれ従来ありました各種審議会のうち、基本政策的なもの、あるいは技術的なものをここに統合しようというのが中核でございます。それ以外に、それぞれの審議会につきまして、あるものは、さらに総合的なものをつくりまして委員会の数を減らし、地方局においても合理的な審議会に改組してまいりたい、かようなことでございます。  なお設置法には直接触れていないところもございますけれども、これに関連いたしまして、省内の各改正もそれに合わせまして、官房にこれらの総合的な企画をやります審議官を設けまして、各陸海空にわたる各専門家のうちから政策的計画官をここに集中いたしまして、相並行してこの現下の重要問題に処してまいりたい、かような所存でございます。  詳細につきましては官房長から補足説明していただきます。
  5. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 ただいま政務次官から大綱御説明がございましたので、私から補足いたしまして御説明申し上げたいと思います。  まず第一点といたしまして、先ほど運輸政策審議会というものと運輸技術審議会という新しい大きな審議会を置くという御説明がございましたが、審議会をふやすということにつきましては、政府全般方針といたしまして好ましくない、極力整理するという方針がございまして、実は運輸省には現在三十ばかり審議会がございます。中央、地方合わせまして三十でございます。新しく審議会を置きますのには、現行審議会をある程度整理統合いたしまして、時代に合った審議会をつくったほうがいいのではないかということでございまして、このためにこのたびはその三十のうち十一ばかりの審議会を廃止いたしました。そのかわりいま申しましたような新しい二つ審議会を置くことにいたしたわけであります。この二つ審議会を置きました理由は、ただいま政務次官が申し上げましたとおりでございまして、いわゆる運輸省といたしましては各部門ごと審議会はございますけれども、総合的にものを見ます審議会がございませんので、この新しい政策審議会海陸空全般の総合的な計画審議していただく、あるいは総合的な技術的な計画審議していただく、こういう趣旨でこの新しい審議会を設置いたしたいという趣旨でございます。  それからなお、次の点といたしましては、先ほどもちょっと次官が申し上げましたのですけれども、いわゆる企画部門というものが、運輸省は従来まで各原局縦割り行政の色彩が強うございましたので、時代に即応いたしまして、やはり各交通機関相互に有機的に関連した政策というものが必要ではないだろうかという点に立ちまして、この際、各局を総合してものを見る企画部門というものを、審議官をヘッドにいたしまして下に計画官というのを数名置きまして、いわゆるスタッフシステムということでそういう問題を見ていこう、いわゆる運輸行政を横から見ていこうということでそういう新しい機構官房につくりたい。これは直接法律改正をするわけでございませんけれども、法令以下の省令等でそういう手当てをいたしたいと考えておる次第でございます。  それから第三点といたしましては、地方でございますけれども、特に地方陸運局にただいま自動車運送協議会という審議会がございます。これは自動車輸送を主にいたしました審議会でございますけれども、やはりその地方全般交通全般という見地に立ちましてものごとを見る必要があるのではないかということで、この際これを新しく交通関係全般を見るような審議会に改めたいという趣旨で、現在ございますところの自動車運送協議会というものを発展的に解消いたしまして、鉄道をも含めました地方における陸上交通に関する諸問題を調査審議する、そういう地方陸上交通審議会という名の審議会を設置いたしたいというふうに考えておる次第でございます。  それからなおそれ以外に、第四点といたしましては、現在運輸省にはございませんのでございますけれども運輸研修所という職員の研修機関をこの際新設いたしたいということでございまして、いままでは各省全部ありましたのですが、私どもたいへんおくれましたのを、この際設置いたしたいというふうに考えました。  以上、大きな四点につきましてこの改正法案を御審議願いたいという次第でございます。
  6. 伊能繁次郎

    伊能委員 ただいま政務次官から、従来は総合的な運輸政策企画立案実施について欠けるところがあった、かようなお話がありましたが、もともと大臣官房はその種の仕事をするのが本来の仕事であり、現に組織としてもそういう形のものがあると思うのですが、それでは不十分であるのかどうか。さらにまた、前大臣のときにその種の懇談会形式であったかどうか、そういうものを設置せられてこれらの問題についてはかなり十分な審議もされておったと思うのですが、従来の形では具体的にどういう点が不備であるかということを一応お伺いした上で、さらに運輸大臣後刻出席とのことでございますから、この問題は一応いまの疑点を明らかにした上で、経済企画庁長官もせっかくお見えですから、運輸省基本政策の問題は後ほどさらに質問することとして、ただいま政務次官からお話しのあった点を具体的に解明していただきたい。
  7. 村山達雄

    村山(達)政府委員 ただいまの運輸省部内の問題でございますが、何ぶんにもこれは人の問題が先決するわけでございます。従来とも官制の上におきまして官房総合調整をいたすということは当然でございますけれども、残念ながらその人的構成におきましてやはりそれぞれの優秀なる専門官というものが、従来の考え方あるいはその惰性と申しますか、そういったことから申しまして、必ずしも総合調整部門適任者が十分置かれていないという点が一つございます。  そこで、今度の制度改正とあわせまして、内部スタッフを充実さしたいというのが一つございます。特に、この問題は審議会と多分に関連ある問題でございまして、お説のように前大臣のときから懇談会が設けられまして、中山先生懇談会の会長になってやっておられるのでございますが、これによりまして非常に効果をあげておることも事実でございます。しかし、御案内のようにやはりこれは事実上の懇談会でございますものですから、最後になりますと、その人員の構成にいたしましても、またその懇談会の最終の権限につきましても、これを正式なものにして権威を持たしたほうがよろしいというようなことは、運輸省内部におきましても、また懇談会の中でも、そういう意見が出ておるわけでございます。むしろ、その懇談会経験から発足いたしまして、そういった方向にやはりしゃんとした制度をつくったほうがよろしい、そうしてまたそういうことが現在一番望まれておるのではなかろうか、こういう見地でこれからの盛るべき中身を考えましてその形もそれに即応したものにしてまいりたい。同時にまた、先ほど官房長からお話しがございましたように、運輸省で三十幾つあるわけでございますが、この機会に整理統合したいということもあわせて入っておるわけでございます。
  8. 伊能繁次郎

    伊能委員 運輸省は、運輸省という形のものができたのが昭和十八年、その後運輸通信省というような形で戦時中、戦後若干の期間を経たわけですが、さらにまた運輸省に戻ったということで、歴史的に見ても陸海空についての経験は、戦前の運輸省時代には空はありませんでしたが、運輸通信省になってから空も入ったということで、陸海空の総合的な輸送体系確立ということについては、つとに皆さんが御研究があり、そのときどきの日本経済、また国際間の交通情勢に対応した新しい陸海空の体制というものについては、十分な検討が加えられておると私どもは確信をいたしておりますが、今度この企画、従来懇談会であったものを審議会にするということについて、基本的な構想として運輸省陸海空輸送体系というものをいまの世界の現状に照らしてどういう形に持っていこうと、かように考えておるのか。この辺の、今回の機構改正関連しての基本的な考え方があれば一応お伺いしておきたい。
  9. 村山達雄

    村山(達)政府委員 正直申しまして運輸省各種審議会を開いておりますが、まだ成案を得る段階に至っておりません。検討途上でございますが、ただ問題点といたしまして、陸海空また陸上におきましてもそれぞれの輸送機関の種類によっておのずから分野がきまるのではなかろうか、そういう将来における輸送分野あるいはこれは必ずしも対立した関係に立つわけではございませんで、もちろん一般輸送というようなこともコンテナ輸送等を考えますと、そこで分野確立相互の共同、この両面から進めてまいらぬばならぬと思うのでございます。  具体的に一、二の例を申し上げますと、航空において、航空とそれから将来考えられます新幹線輸送というものは、一体どの辺で分野が分かれてくるであろうか。そしてまた、どの程度の分野になることが国民経済的に効率的であろうか。その辺を考えまして国内航空とそれから新幹線の問題を考えなければならぬのではないだろうか。また、特に貨物輸送につきましても、最近におきます国鉄輸送分野というものと、それからトラック輸送分野の問題、一方は、どちらかと申しますれば、線の運輸形態でございますし、トラックのほうは勢い面の問題になりますが、それを全国総合開発計画等との関連において今後どのように展開していくか。そのためには特に国鉄側においてどういうことが対策として急がれねばならぬかというような問題ももちろんあるわけでございますし、そこにはまた内航海運との関係も出てくるかと思います。まあ大づかみの関係で申しますと、内航海運は、何と申しましても長距離であり、そしてまた荷物の多いもの、また臨海工業地帯から臨海工業地帯というものはやはり内航海運分野だと思うのでございますが、そういった他の陸上交通航空関係を一体どういうふうに調整していくか。また、旅客につきましても、普通のバスあるいは鉄道との関係は一体どうなるか。おそらく三百キロ以上くらいのものは、やはり将来国鉄というものに依存せざるを得ないと思うわけでございますし、そしてまた、それが国民経済的に効率的であろうと思いますが、そのために一体どういう点を改善しなければならぬのであろうか。そしてまた、それらのことを考えます場合に、それらの基地であります空港の整備、あるいは港湾整備、こういったもの、あるいはまた荷役業者、その他の関連施設等におきまして、何しろ移動する交通機関でございますものですから、そういう関係分野確立しながら、相互にどういう協調制度を保つか、こういう問題意識を持ちながら、具体的に検討してまいりたい、こういうように考えております。
  10. 伊能繁次郎

    伊能委員 残念ながらはなはだ抽象的なお話で、理解に苦しむわけですが、その問題は後刻さらに詳しく御質問するとして、せっかく経済企画庁長官見えになっておられますので、運輸大臣が来られる前に問題点だけを明らかにして、お尋ねをしておきたいと思います。  経済企画庁長官経済企画庁は、かつては経済安定本部あるいはその外局として物価庁というようなものがありましたが、その後経済企画庁という役所になって、経済企画の問題がこの官庁の仕事の中心であろうかと私ども考えておりまするし、現に総合開発局あるいは調整局、その他それらの問題についてのいろいろな行政と、各方面、各省関係総合調整的な機能をやっておられる。これについてはわれわれ高く評価するわけですけれども、少なくとも日本経済産業政策の一環として、物価についていろいろと経済企画庁実施計画をやっておられるようでありますが、その現に経済企画庁がやっておられる物価政策の効率的な基礎はどこにあるのか、各省主管仕事を実際上経済企画庁に集中されておられるということについて、その法律的な根拠がどこにあって、現在のような行政をやっておられるか、その点をお伺いしたいと思います。
  11. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 各省のやっておられる権限を私どものほうでやっておるわけではありません。各省やっておられる権限をいろいろ総合調整することが経済企画庁仕事でございます。したがいまして、たとえば公共料金の問題、これはもう各省各省所管行政機関の長が許認可の権限を持っておるのでありますが、しかしながら、その公共料金が、物価問題については重要な要素を占めておりまするからして、したがって、その公共料金をきめる場合に、やはり経済企画庁と相談の上できめてもらうということ、ついては、その事前には物価対策閣僚協議会にこれを付議して、そうしてきめてもらうということになっておるのでありまして、これは経済企画庁が、御存じのとおり物価の問題につきましては、設置法の第七条の二の四号に「物価に関する基本的な政策企画立案及び総合調整に関すること。」とありますので、それに従いまして、物価対策閣僚協議会というものを設けまして、そうして各大臣が寄って、そこできめて、それによって公共料金というものが確定されるということになっておるのでございますから、したがいまして、経済企画庁各省所管権限を集めておるというわけではありません。各省所管権限権限として、十分に活動していただく。それが一般経済に関する基本問題あるいは物価問題に関する場合には、それぞれ御相談してきめてもらうということになっておる次第であります。
  12. 伊能繁次郎

    伊能委員 ことばの上では、たいへんによくわかったようなお話でございますが、実際問題になると、必ずしもそのとおり円滑にはいっていないうらみが非常にあると思うのですが、ここでその問題を解明する前に、最近の日本における経済の発展と物価政策について、長官がどう考えておられるか。これは、公共料金等長官総合調整をされる基本となる問題でありますから、物価政策についての基本的な考え方を詳細にお話をいただければありがたいと思います。
  13. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 物価政策について詳細なというお話でありますが、これはたびたび予算委員会やその他で申し上げておることでありますから、まあ伊能委員のことですから、私が簡単に申し上げても、十分御理解していただけると思うのであります。  この物価問題につきましては、日本独特の物価の問題があります、外国と違って。その外国と違うという第一の問題は何であるかといえば、これは経済構造上の問題でありまして、これはもうたびたび申し上げておりますとおり、生産性の高い産業生産性の低い産業とがあるということ、それによって物価にこれが非常に影響しておるのでございます。その間の経緯については省略さしていただきますが、これが日本特有物価の問題でありますから、したがって、この構造上の問題によって起こるところの物価を、これをいかにして安定せしめるかということについては、低生産性産業生産性を高めるということ、これが基本的な問題であります。しかし、これは農林省にしても、通産省においてもいろいろやっておることでありますが、しかしその効果は、即効薬みたいにはきくものではありませんから、これはやはり多年を要する問題でありまして、これはいままでの経過から見ると、経済成長があまりにも早いために、したがって、生産性の低い産業生産性を高めることが、どっちかといえばおくれております。その関係で、物価が上がっておるのであります。  それから最近における特別な現象といたしましては、日本物価騰貴は、これは政府主導型ということがいわれておる。なぜ政府主導型であるかというと、これはすなわち政府の管理する価格が上がるから、したがって物価は上がるという考え方でありまして、この考え方は相当強いのでありまして、したがいまして、この際、政府物価を安定せしめる必要上、まず公共料金は、これは抑制するという政策をこの四十四年度からとることにいたしたのでありまして、したがいまして、公共料金については、極力これを抑制するという方針を、総理大臣をはじめ運輸大臣、私などもしばしば言明しておるのであります。これは、要するに政府主導型の物価騰貴という観念を払拭させるという意味において、この際、公共料金を極力抑制するという方針をとったのであります。その最もいい例を申し上げれば、米価の問題であります。生産者米価消費者米価も抑制するという方針を確定いたしたのでありますが、これは要するにやはり物価抑制のための、政府主導型でないということを国民に示す、また理解してもらうために米価を抑制したのであります。そういうようなことで公共料金を抑制するということであります。  それからもう一つ、一般的な問題としては、物価というものは需要供給関係によってきまるものでありますからして、したがって、物価が上がるということは需要供給より多いということでありますからして、そういう場合には、これはあるいは財政金融政策によってこの需要を調節するということをとるのでありまして、現にこれは諸外国においてもいま盛んに物価抑制のために財政金融上の措置をとっております。あるいは金利を上げたり、あるいは税金を高めたりする方策でありますが、私は日本では需給関係については金融財政対策を目下のところでは必要とは考えない。しかし、私は今後においては金融財政上の対策ということは、これは大いに考慮すべき問題がある、こう考えておりますからして、したがって、適時適宜な方策対策金融財政上においてはとるべきであるという考え方をいたしております。  大体大まかに申し上げて以上三つの点に重点を置いて物価対策を講じておる次第であります。
  14. 伊能繁次郎

    伊能委員 いまお話を伺っておりますと、自由民主党が自由経済基本として経済指導者として、また物価政府規制というか指導というか、そういう形を公共料金においてとっておる。いま、自由経済における需給関係については、現在のところ特段の措置をまだ当面とらないというお話でありましたが、そうしますと、公共料金というものについてだけ、いま大臣お話しになったような形で規制をするというには、何らかのそれに国民をして首肯せしむべき基本的な理由がないとはなはだ不公平な、しかも企業の経営の実態をして危殆におとしいれしめるような事態が生じかねるどころではない、すでに生じておる。こういう事態については長官はどうお考えですか。
  15. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 大体自由経済の原則によって物価というものは決定されるのでありますが、しかし、先ほど申し上げましたとおり、最近の物価上昇政府主導型であるというところ、この考え方国民の頭から払拭せしめなければならぬということを考えておりますので、そこで公共料金は極力抑制するという方針政府が定めたのでありますが、しかしながら、いまもお話しのとおり、どうしてもやっていけないという場合、たとえば国鉄料金の引き上げなどはそれであります。これはわれわれから言えば、公共料金でありますからして、しかもこの公共料金物価上昇については重要なエレメントでありますからして、こういうようなものは極力押えるという中へ入れて押えるべきでありますが、しかし一方においては国鉄自体赤字経理であって、したがって、このままほうっておけば国鉄自体が破産する危険もあるということが考えられましたので、国鉄料金は上げたわけであります。  それから公共料金の中で、たとえば、国鉄関係の中で言えば、これは私が大臣になってからも相当上げております。それはほかに兼営の事業もなく、料金を上げなければ——たとえば私鉄などでも廃線しなければならぬというような場合、もし廃線すれば、それによって受けるところの経済的な打撃が大きいし、これはまたひいては物価にも影響するということが考えられますので、そういう場合には、その私鉄料金値上げを許しております。しかし、その他の場合においては、一般物価影響を及ぼすような交通関係公共料金は抑制するという方針を堅持いたしておる次第であります。
  16. 伊能繁次郎

    伊能委員 どうも御説明がわからないのです。一般物価影響を及ぼさないという公共料金というものがあるのかどうか。それじゃ、いまそういうお話がありましたから、お尋ねしたい。
  17. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いままで私鉄あるいはバス、タクシーなどは、鉄道料金が上がるといわゆる便乗値上げということが行なわれてきておったのでありますが、そういう鉄道料金はやむを得ず上げるけれども、しかし、それに対して便乗値上げは認めないという方針をとってきたのであります。したがいまして、いま申し上げましたとおり、実際経営困難で会社を解散しなければならぬというようなところの交通というものは、これはやっぱり保持することがその地方経済のために、同時に日本経済のために必要であるという場合には、料金値上げを認めておるのであって、大都市においては、それらの交通機関というものは、これは物価影響します。これがやっぱり心理的な影響を及ぼすのでありますからして、そこで先ほど申し上げましたとおり、政府主導型というこのムードを消したい、こういうわれわれは考えをしております。したがって、大都市における大手の私鉄あるいはタクシーあるいはバスなどは、料金の引き上げは認めないという方針をとっておる次第であります。
  18. 伊能繁次郎

    伊能委員 たいへん妙なお話のほうにばかり進んでいくようです。私は自民党ですから、なるべく経済企画庁長官考え方に合わせてものごとを考えていきたいと思うのですが、どうも逆の方向にいってしまう。公共料金とは何かということを聞こうと思いましたが、その前に長官みずから——私は一度聞こうと思ったが、便乗値上げということばが出ましたが、便乗値上げということはどういうことであるか。それでは国鉄を基準にしてどういうものを便乗値上げと言われるのか、便乗とは一体どういう時期に便乗というのか、その辺のところをもう少し詳しく御説明を願った上でさらにお聞きをしたい。
  19. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 国鉄料金がやはり交通関係公共料金基本でありますからして、したがって、国鉄料金を上げれば、同時に均衡上私鉄も上げてもらいたいという考え方は当然のことだろうと思います。そこで、そういう便乗というか、ひとつ上げてもらいたいということも言うておるのであります。しかし、国鉄料金というものは、先ほど申し上げましたとおり、日本全体の経済ということを考えて、これはやむを得ず上げたのであります。したがって、それに便乗してもらっては困るということを言ったのでありまして、国鉄料金が上がったから当然ほかの私鉄料金値上げは認められるといったような考え方料金値上げということは、これはわれわれとしても認めるわけにいかないという方針でやっておるわけであります。
  20. 伊能繁次郎

    伊能委員 たいへん異なことを承るのですが、国鉄料金が上がったらそのほかのものがそれに便乗して上がってはいかぬ、そのことばだけはわかりますが、それでは大きな地域の私鉄の運賃は一昨年申請を出しております。昨年国鉄は定期について一五%上げました。ことしは旅客全体について一五%、貨物を一五%ということですが、本来ならば二年前に私鉄運賃について申請があった。それの処分をそのままに行政処分をしておかれて、昨年国鉄を上げ、さらにことし国鉄を上げるということは、私鉄を上げないうちに国鉄のほうが便乗して上がった、こういうことに私はなると思うのですが、どうもこの辺の説明がはなはだ不十分、しかも、どうも理路整然としておらない。経済企画庁長官経済学博士であられるししますから、経済の問題について私はあえて議論をしようとは思いませんが、この辺のところは、あるいはタクシーについてもあるいはバスについても、トラックについても、通運についても——タクシーのごときは私は物価庁時代以来承知をしておりますが、物価庁当時上げた以後は、三十九年に一ぺん上げただけ、その後、数年前から申請をしておる。お説のように、一部は地方的に上がりました。しかし大都市と近接したお隣の地域は物価影響しないで、大都市だけが物価影響するから上がらない。この辺は、たとえば千葉と東京、あるいは市川と東京で見ましても、この経済の限界というものは、広域経済では、お隣の地域は経済影響しないで、東京都がどういう形で影響するのかということを具体的にひとつ私は伺いたい。便乗運賃、便乗値上げの内容の説明と同時に、いま大臣みずからおっしゃった、近接地域のものは物価影響しないのだという理由を御説明いただきたい。
  21. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、タクシーやバスにしましても、個々の会社について、内容は運輸省でずいぶん調査いたしました。その上で経済企画庁に相談に見えます。そうしてこの内容としては、どうしても料金値上げしなければ、会社はやっていけないという事情がはっきりいたしますれば、その会社の値上げも認めておるわけであります。これは先ほど申し上げたとおり、私が大臣になってからも相当な数の料金値上げを認めているわけであります。が、しかし、大都市だけは、これはいまの政府主導型ということのムードに指導される危険がありますので、したがって大都市だけは認めるわけにはいかない。そうしてまた、大都市のタクシーなりあるいはバスについても、もう少し経営自体について改善する余地がないのか。それを検討してほしいと申し上げておる。それでもやっていけぬということであれば、それはまた別でありますが、その検討を私のほうでいまお願いしておるわけであって、もう少し経営の合理化ということができないかどうか、あるいは料金の合理化ということができないかどうか、それをやってもらいたい。それでもどうしてもやっていけぬということであれば、それはまた考慮の余地がありますが、いまのところ私どもでは、まだその経営の合理化についての御相談は受けてないのであります。でありますから、いなかですとタクシーなども利用度が少ないのでありますが、大都市でありますとタクシーの利用度も多いのでありますから、それだけやはり大衆がこれを使っておりますから、したがって、それが非常に大衆に迷惑を及ぼしますから、いわゆる一般物価影響するということになるわけでありますから、その点をわれわれ考慮して、大都市の交通関係公共料金値上げしないという方針を堅持したい、こう考えておるわけであります。
  22. 伊能繁次郎

    伊能委員 便乗値上げの御説明をひとつお願いいたします。みずから便乗値上げとおっしゃったので……。
  23. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 便乗値上げということは、私鉄のほうからいってきておる。国鉄が上がったから私鉄も上げてくださいということをいっておるから、それはいかぬぞ、もっと理由をはっきりしなければいかぬ、国鉄が上がったから上げてくれということでは理由にならぬということを私のほうで申し上げているわけであります。
  24. 伊能繁次郎

    伊能委員 国鉄が上がる前に出しておるのですよ。それを処置しないのだ。これは便乗ではないのです。(大出委員委員長関連……」と呼ぶ)委員長、この点の説明を伺ってから、大出君の関連をお願いします。
  25. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 その辺の事情は私は知りません。いままでの経過については私は知りませんが、運輸省のほうから御答弁があるかと思いますが、私のところにきたのは、今度国鉄料金が上がったから上げてくれといってきたから、そういう便乗値上げは、ちょっと理由がないじゃないかということを私は言っておる次第であります。
  26. 大出俊

    ○大出委員 これは、私もあとで質問しようと思っていたことでありますが、便乗便乗といういまの言い方、どうも大臣が言うということならともかく、経済企画庁長官ですから、物価基本的な企画あるいは計画をお立てになるわけでありますから、ちょっとどうも感心しないと思うのですよ。  私は関連ですから長くは言いませんが、一つだけ具体的に聞きます。国鉄私鉄関係でいいますと、たとえば豊橋−名古屋間を例にとりますと、豊橋−名古屋間は、国鉄の今回の一五%値上げ前の料金は二百七十円だったのです。ここは並行して名鉄が走っておりますが、名鉄は十円安くて二百六十円だったのですよ。いまでも二百六十円ですよ。名鉄のほうは十五分置きに特急電車が走っておる。これは特急料金をとってない。そうすると、豊橋−名古屋間は名鉄は二百六十円それっきり。十五分置きに特急が走る。ところが一緒に走っておる国鉄のほうは十円高い二百七十円なんです。しかも普通の料金です。急行で名鉄並みに行こうとすると、急行料金が百円つく。そうすると、これは二百七十円プラス百円で、三百七十円でなければ名鉄並みに乗れない。これが今度一五%値上げしましたから、何と国鉄の名古屋−豊橋間は一五%値上げで三百十円ですよ。急行料金が倍になりますから三百十円プラス二百円だから、これは五百十円です。豊橋−名古屋間は急行で行こうとすればそうでしょう。ところが片方の名鉄のほうは二百六十円で十五分置きに特急が走っておる。しかも、時間間隔が短い。こういうばかなことになっておれば、均衡論が出てくるのはあたりまえでしょう。しかも、いま伊能先生の言っておるのは、それより前に料金値上げを申請しておるから——そうでしょう。一カ所しかあげないけれども、そういうところが現に方々にありますよ。だから、私鉄のほうからいえば、上げてくれというのはあたりまえです。国鉄はいろいろな理由がありますが、定期を一五%上げて、今回また旅客を一五%上げれば、当然そういう不均衡は出てくる。均衡論から当然これは上げろというのはあたりまえだ。便乗でも何でもないです。つまり物価基本政策あるいは基本計画、これがはっきりしてないところに、つい便乗などといわなければならぬ大臣の答弁が出てくる。そこのところは道理、理屈というものがあるのだから、やはりお考えになって答弁していただかぬと困るんです。答えてください。
  27. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 その議論は国鉄料金値上げのときに起こってきた問題で、たびたび私はお答えしたのです。不均衡であるということ、これは運輸大臣からもしばしばその問題はお話があっておりますが、そこで国鉄料金値上げ自体については私たちは初めから反対であった。そういう不均衡が生ずるからそれで反対であったのでありましたが、国鉄自体が破綻するとか、大きな問題がありますから、やむを得ず国鉄料金値上げは認めようということにしたのであります。しかしそのかわりに、一般物価影響を及ぼすような交通関係公共料金値上げは極力押えるという条件になっておるのです。国鉄料金値上げのときの条件になっておるのです。それを私は言うておるわけです。
  28. 大出俊

    ○大出委員 それなら長官、話がおかしいのです。あなたは私の意見をお認めになった。私の申し上げたような不均衡が起こるから反対だという態度を経済企画庁はとったとおっしゃるけれども、つまり私の理屈をあなたはお認めになった。だとすると、別の政策見地から国鉄を上げたというときに、片や私鉄便乗とは何ですか。あなたは私の理屈をお認めになっておる。あなたは国鉄値上げのときに、私と同じ理屈、不均衡が起こるから国鉄値上げは反対だとおっしゃったという。私と同じ意見じゃありませんか。それを値上げしてからあなたは便乗だというような言い方はおかしい。これだけしか言いたくない。あとであらためて質問いたします。
  29. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 便乗ということばは私が言うたことばではなくて、私鉄の人がそういうことを言うておる。国鉄が上がったから上げてください、前から陳情しておったのに上げてくれなかったから、この際上げてくださいというから、便乗はいかぬということを言った。  そこで、問題は私鉄です。私鉄は、私は、はっきりこれが赤字であればそれは赤字ということでいろいろ考えますが、配当しているのであります。国鉄は赤字です。国鉄としては、伊能先生御存じのとおり、いまでも問題になっておる。利益の上がらない国鉄を経営しておったり、あるいは貨物の点においてはトラックの輸送にとられてしまうということで、国鉄自体は赤字の経営をやっておる。ところが私鉄というものは有利な線を経営しておるのでありますから、私鉄自体は赤字ではないのです。だから、そこをもう少しはっきりしてくださいということを申し上げておるのです。赤字だということがはっきりすれば、私どもも考えないことはない。しかし、それがみな配当しておるのでありますから、したがって、配当しておって料金値上げをしてくれということでは国民が許さぬということを、私はここで一般物価ということを考えて言うておるわけであります。
  30. 大出俊

    ○大出委員 これでおしまいにしますが、長官、そんなつじつまの合わぬことを言っちゃいけませんよ。そんなことを言えば、地方公営交通はどうするのですか。横浜の市電というのは大赤字だから、それじゃ思い切って上げましょう、横浜のバスも大赤字だから、公共団体がやっておるのですから、三十円じゃとてもじゃないが赤字で、しかたがないから五十円にしましょう、一緒に入ってきている神奈川中央や私営のバスは据え置きだ、そんな理屈はあなた成り立たぬじゃないですか、そんなことを言っちゃ。じゃ、地方公営交通というのは赤字だからどんどんどんどん値上げをしたらいい、ほっておいたらつぶれちゃうから。同じ理屈じゃないですか。それに反して民間のバスはそのまま据え置き、そんなわけにいかぬじゃないですか。乗るのは同じ人間ですよ。そんな通らぬ理屈を言っちゃいけませんよ。だから、そういう物価に対する基本的な立場というものは、経済企画庁ですから、はっきりしていただかぬといけませんよ。もう言いません、関連ですから。
  31. 伊能繁次郎

    伊能委員 私は、さいぜん冒頭申し上げたように、あなたは経済学博士ですから、経済理論を論争しようとは思わない、こう言ったのですが、それでは論争いたしましょう。  運賃理論の基本というものは、同種の交通機関において個々の人によってあるいは同じ品物がところによって区別されるというようなことは、世界のいずれの国でもあり得ないことです。もちろん、距離と品物が異なればまた運賃に差異が生ずるのは当然であります。ところが、いま大出委員が言われたように、最近の日本交通機関は、同じ交通機関で、同じ距離で、同じ待遇で、著しく運賃が違う。かようなばかげたことを認めるのは、世界じゅうにあなただけです。正しいとお思いになりますか。
  32. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほどの、同じ距離で運賃が違うという不合理性については私も認めておりますが、私鉄からいろいろそういう陳情がありますが、しかし私どもは、いま物価安定ということが政府政策でありますからして、したがって、大都市の交通料金を上げることが物価影響を及ぼすから、この際ひとつごしんぼう願いたい、国策に準じてひとつ協力してください。ということを社長の方々に申し上げました。そこで赤字だという理由を言われるから、それなら赤字の理由を示してください。それは一つも示されません。それで配当しておりますからして、赤字の理由理由にならぬじゃありませんかということを私は申し上げておるわけです。でありますからして、いまの大都市の交通関係公共料金を押えるというのは、一般物価影響を及ぼすということを心配するので、これはいま政府物価安定という国策をとっておりますからして、それでしんぼう願いたいということを申し上げておる次第です。
  33. 伊能繁次郎

    伊能委員 それなら国鉄を押えてあなたの趣旨を貫徹すべきだ。やはり、国鉄を上げたから物価が上がるのですよ。  それでもう一つ、あなたは赤字だから上げてやるとおっしゃいますが、あなたは法律をごらんになっておらない。実は私はここまで追い詰めようとは思わなかった。法律には適正利潤を与えなければならないと書いてあるのですよ。あなたはごらんになったことがありますか。道路運送法も、地方鉄道法も、必ずそう書いてある。適正利潤を与えなければならない。今日までの運輸省指導方針は、適正利潤は一割もしくは八分です。私鉄については他の兼業によってどうやら一割を配当しておるからあなたは上げないとおっしゃるが、他のバスあるいはタクシー、バスのごときは六〇%無配もしくは赤字です。こういう問題について、大都市なるがゆえに上げないという理由を御説明いただきます。
  34. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほどからたびたび申し上げますとおり、一般物価影響を及ぼすということを心配しておるので、国鉄料金に私は反対したのであります。しかし、国鉄がもし破綻するということになれば、これによって日本経済の受ける打撃は大きいです。したがって、それによって一般物価影響を及ぼすということは大きいのでありますからして、その点を考慮して、国鉄運賃の値上げは認めるが、しかし、それについては、まず国鉄自身の体質改善をやってください、それでなければ毎年国鉄料金値上げしなければならぬ実情であるのではないのですかということを総裁に申し上げたのであります。  そこで、体質改善という前提のもとにおいて料金値上げをするということを認めたのでありますからして、これはもうやむを得ず国鉄料金値上げはわれわれが認めたのでありますが、その他の問題については、これはもう極力押えるという方針でやっておるのであります。これは私たちは、あくまで物価という問題から考えておる。大所高所から考えておるのであって、私鉄の社長さんもいろいろ事情を申してこられますからして、よく事情はわかっておる、わかっておるが、いま政府物価安定という国策をとっておるからして、その点においてひとつ御了察を願いたいということをお願いしておる次第であります。
  35. 伊能繁次郎

    伊能委員 それでは、私鉄について私はさらに追及したいのですが、これ以上は別の機会にして、バス、通運、トラック、タクシーについて、赤字を出しておる会社全部をお上げになる気ですか、いかがですか。
  36. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま申し上げましたとおり、大都市のそういう交通関係公共料金はこの際抑制するという方針であります。
  37. 伊能繁次郎

    伊能委員 それでは大都市は赤字を出しても上げないというお考えですか。
  38. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そこで、赤字というのは、私どもでは、経営の合理化、そういう点においてもう少し考慮の余地があるのではないかということを考えておるのでありまして、まあもう少し経営の合理化、料金の合理化ということを考えてください、それによって赤字というものがあるいは解消できるのではないかということを申し上げておるのでありまして、国民の納得いく方法で料金値上げということはわれわれもそれは認めるが、いまのところは、赤字赤字というが、政府が何でも赤字というものは値上げしてくれるという、そういう甘い考え方はいかぬということを極力言っておる次第であります。
  39. 伊能繁次郎

    伊能委員 少しことばに混乱があると思うのですが、料金の合理化ということはどういうことでございますか。料金を合理化せい。タクシーだの通運なんかには、料金といえば運賃以外にないわけです。何かありますか。料金の合理化をしろ、こうおっしやるが……。
  40. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 料金の合理化といえば、いま都会においてはラッシュのために自動車が走れないということからして、距離制のほかに時間制ということを考えて、また距離制も考えての料金ということを考えられないか、それからまた、いまごろタクシーに乗って四、五人乗ったほうがバスに乗るよりも安いという実情があります。であるからして、外国式に、三人以上のときには料金を上げるとかいうことも考えてもいいのではないか。そういうようなことをいろいろ考えてほしいということを申し上げて、国民が、これであれば料金が上がってもしかたがない、四人乗れば料金が上がるのは当然しかたがないという考え方を持ってくれさえすれば、タクシーの値上げでもこれは国民は納得すると思います。いまのような、乗車拒否をやって、国民から怨嗟の的になっておるタクシーなど、値上げすれば、これは私じゃなくして運輸大臣自身がどれだけ困るかわからない。だからして、この際は、国民がほんとうにタクシーの料金は合理性を帯びておるというような考え方を持つような方法を考えられないかということを私はお願いしておる次第であります。
  41. 伊能繁次郎

    伊能委員 経済企画庁長官は時間の関係があるというので、私は論議を尽くすことができないのをたいへん遺憾に思います。いずれ、そうすれば、次の機会においでをいただかなければならぬ、かように考えますが、いま私に対する、最後のポイントの質問で、赤字であれば値上げをしてやる、その赤字も一つ一つ一体運輸省所管でない経済企画庁が、総合調整と当初におっしゃったにもかかわらず、赤字の審査を経済企画庁がやられるわけですか。
  42. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 それは運輸省のほうからこういう理由ですということを言うてまいりますから、それでこっちもやはりそれに対して納得しなければならぬ。そこで、その点においてわれわれも納得すれば赤字の路線の値上げは許しておるわけでありますから、私が大臣になってから、先ほど申し上げましたとおり、相当の数の料金値上げを認めております。それはもうその理由をはっきりして、そして料金値上げを認めておる次第であります。
  43. 伊能繁次郎

    伊能委員 そうすると、法律に基づいて適正利潤ということは大臣が無視されるわけですか。適正利潤を与えなければならないと書いてある。いかがです。
  44. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまの赤字の事由というものをわれわれははっきりさしていただきたいと思うのでありまして、それが適正利潤であるかどうかということ、その点をはっきりして、その上でわれわれは考慮するということになっておるのでありますからして、その法律を無視しておるわけではない。はたして、赤字というておるが、事実が赤字であるかどうか、もっと経営の合理化ができたら赤字が消えるのかどうか、そういうことをこの際ひとつ思い切って研究してほしいということを申し上げておる次第であります。
  45. 伊能繁次郎

    伊能委員 そういう問題は、運輸の実体の行政に当たっている運輸省の判断するところだと思うのですが、そこまで経済企画庁が介入されるということは、私は当初の経済企画庁権限を伺った点からも、どうも納得がいきません。  それからもう一つ申し上げますが、かりに赤字であるかいなかという問題は別として、法律の実施を国民の名において国会がきめた以上はあくまで履行ししていただかなければなりません。しかも、国会であなた方が履行しないものですから、裁判所はこの点について明確な判決を下しておるのです、経済企画庁長官。読んでみましょう。東京地方裁判所の昭和三十九年の判決であります。これは、バス運賃について昭和三十九年に運輸省が二年たっても三年たっても処分をしない。いけないならいけない、いいならいいという処分をしないから訴えて出たわけです。それに対する裁判所の判決を読んでみます。この中にある「不作為」とは運賃の当否を決定しない不作為です。     判決   右当事者間の昭和三九年(行)ウ第二〇号不作為の違法確認請求事件について当裁判所は次のとおり判決する。     主 文   原告らが昭和三六年七月二〇日にした一般乗合旅客自動車運送事業運賃変更認可申請に対し被告がなんらの処分をしないことは違法であることを確認する。   訴訟費用は被告の負担とする。     判決理由の要旨   バス事業者から運賃変更の認可申請があつた場合、被告は、すみやかに審査を開始し、相当の期間内にその申請が適法であるか否か、また道路運送法第八条第二項に規定する認可基準に適合するか否かを審査し、申請が不適法な場合にはこれを却下し、また申請が適法な場合には運賃変更を認可すべきか否かを決定すべき法律上の義務を申請人に対して負担しているものと解すべきである。したがつて運賃変更の認可申請後相当の期間を経過したにもかかわらず、被告がなんらの処分をしないときは、被告の不作為に違法たるを免れないのである。 かように明確にいたしております。   〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕 したがって、運輸省が決定をしようとするのに、経済企画庁がつべのこべのといって一年も二年も、地方鉄道については三年も放置をするということは法律違反であるとお考えになりませんか。
  46. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 まず最初の御質問ですが、公共料金の合理化の問題は、これは運輸省がすべきことであって、現に運輸省のほうでも研究されておることと思います。私のほうも研究してくださいということはお願いしております。それから個々の営業者が来た場合にも、運輸省のほうでも考えておるが、君らのほうでも考えたらどうかということを忠告しておるのであって、そこで業者と運輸省との間で、その間の合理化についてはよくひとつ検討してもらいたい。その成案ができた場合にはまたそれによってわれわれのほうも考えようということを申し上げておるわけです。  いまの裁判の問題については、私、全然関知しておりませんから、それに対してどうのこうのとお答えすることはどうかと思います。その間の事情については、当時経済企画庁がどうした、こうしたということも私存じておりませんから、運輸省のほうでひとつお答えしてもらいたいと思います。
  47. 伊能繁次郎

    伊能委員 運輸省はこの事実をつとに知っており、あなたの前長官、前々長官もこの事実を十分承知しております。したがって、さような違法行為が起こってはいけないということで、このバス事業に対する違法の判決が起こってから、運輸省経済企画庁において、自今、こういうことの起こらないように標準賃率制度を設けよう、こういうことになったわけです。そこで標準賃率制度企画指導のもとにつくった。ところがその標準賃率に、値上げをすべしだと適合したものでも、あなたのほうは上げない。まことにどうも私ども解釈に苦しむわけです。この辺の事態を十分御認識の上——あなたは物価影響する物価影響すると言うが、国鉄運賃を上げるのが一番物価影響するのでありますけれども影響するとお思いになりませんか。
  48. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまの裁判所のことについては私は調べます。私、初めてきょう伊能先生から承ったので、調べます。  それから国鉄料金物価影響するということは私はたびたび申し上げているのであって、〇・二%上昇率があるということはたびたび申し上げている。これは物価影響します。であるからして、私が五%以内に押えるということについては非常な困難があるということをたびたび国会で答弁しておるのであります。そこで私たちは苦心をいたしているところであります。これをもし国鉄料金値上げさえなければ、私たちは五%以内には安んじてやれるという確信をわれわれ持っているのですが、国鉄料金を上げたためにいま非常に苦心をして、あの手、この手で物価の上昇を抑制したいということを考えているわけであって、その一つのあらわれがやはり私鉄の問題あるいはその他の大都市の交通関係公共料金の抑制でありまして、われわれはそれによって物価の上昇を来たさないようにしたいということで苦心をいたしている次第であります。物価を安定させるというのがいまの政府のとっている政策、重要な施策でありますから、その目的を達成するためには、いろいろ各方面にまた不便なりあるいは不利益を来たすことがあるかもしれませんが、その点は先ほど申し上げましたとおり、私鉄の社長連中にも、私から国策としていまやっているからその点はひとつ御了解を願いたいということで何回も言っておりますし、総理も先般の物価推進会議で、根津会長に、いま私鉄値上げのことを言われましたが、いま政府物価を抑制するという方針をとっているから、その点は十分御了承してほしいということを申し上げたわけでありまして、いま政府といたしましては、総理はじめ各大臣ともいかに物価を安定させるかということに苦心しているわけでありますから、その点は皆さん方の御協力を特にお願いを申し上げたいと思う次第であります。
  49. 伊能繁次郎

    伊能委員 後段の最後のお話は非常によくわかります。私どももその方向で協力をいたしたい。ただ、政治というものは乏しきを憂えずひとしからざるを憂える。この不公平な取り扱いというものを長官はひとつ御念頭に置いていただきたい。たとえば、米の問題についてもさいぜん長官からお話がありました。そうして二百二十五億の資材あるいは肥料の購入のための助成金を出すというような別途の助成措置を講じております。私はこれが物価抑制の上に大事なことだと思う。しばしば私は歴代の経済企画庁長官に申し上げましたが、いわゆる公共料金と目されるものについて、運賃を抑制されるならば、財政的にもあるいは税制的にもその他の指導援助というものが伴わなければはなはだ不公平である、弱いものいじめであるということをしばしば力説しましたが、何らとられない。最近にかろうじてノミの涙みたいな、不採算路線で業者がやめたいというものに、四千七、八百万円くらい出す、そんなものでとてもできるものではありません。税制についても同様です。たとえば、営業用と自家用、これについては営業用優先ということが共通の原則だろうと思う。ところが自家用よりも税率の高い営業用がある。十年私が主張しても公平な取り扱いをしない。このような他の財政的な税制的な助成措置というものが伴って、初めてただいま長官が後段に言われた問題が世間の納得を得るんだろう、ところがそれは一つもなされない。しかも、経済企画庁というのは、昔の物価庁ではない、経済企画庁なんだ。物価を押えるだけが能じゃないのです。経済の総合企画をやって、日本経済がバランスがとれた形で反映することが望ましい。その主管官庁が他の方策を講じないで、ただ公共料金を押える、押える、ばかの一つ覚えみたいなことをやっているのでは、私どもは了承しません。たとえば、先般も長官に私は申し上げましたが、輸出についても、カメラであるとか、テレビであるとか、自動車であるとか肥料であるとか、かくのごときは輸出価格を不当に下げて、国内の需要に高い値段で売っておる、こういうものを放置しておる。かくのごときは物価政策上、はなはだ不当である。農民は何と言ってます。外国で安く売って、おれたちに高く肥料を売るばかがあるか。一般需要家は自動車だって、テレビだって、写真機だって外国に行って買ってごらんなさい。三割も安い。日本では高いものを買わされる、こういう不均衡な物価政策、これが正しいとお考えになるか。これ以上議論の余地はないわけです。しかし、私はきょう長官がお忙しいといいますから、後刻機会をあらためて、この問題は徹底的に国民前に究明します。これは与野党共通の問題であります。そういう基本の問題について私は最後の長官の答弁を了承したわけですから、了承するについては長官としては、他の方法でどういうように物価を公平に取り扱っていくかというお考えがあれば伺いたいと思います。
  50. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまお話の中にもありましたが、ともかく物価が上昇するということはだれに最も影響を及ぼすかといえば、最も経済的に困っておる人に影響を及ぼす。老人あるいは貧乏な人とか、収入の少ない人とか、あるいは年金で食べておるとか、そういう人たちに対して、物価上昇というものは非常な影響を及ぼすのでありますからして、したがって、物価を下げるということは、そういう恵まれない人々のためにやるところの政策であります。そこで、そういう意味で、いろいろわれわれは考慮して、なるほど他のほうに、物価を押えることによってもうかるべき利益がもうからぬという場合があり得ると考えますけれども、一方ではそういう困っておる人を助けるという意味において、生活を安定せしめるという意味において物価対策というものを講じなければならぬということをやっておる次第でありまして、そういう点においてはお話のとおり、ただ物価を押えるだけではいけない、これは各省ともにいろいろやるべきことがあると思います。  税制の問題もいまお話のとおり、そういう点もあわせてやるべきであるし、そういうことについて、われわれも各省庁にはできるだけ物価が安定するような方針でやってもらいたいということをお願いしておるのであります。でありますからして、たとえば日本において物価が特に上がったとか、海外の安い物を輸入すれば物価は下がるというような場合には、海外から輸入するという方針を、これはたびたびわれわれも言明いたしましたし、総理もそういうことばをたびたび国会でも言明されたのでありまして、そういうような方針一般物価は安くして、とにかく恵まれない人々の生活を特に安定させたいというのが、いまの政府のとっておる方針であります。伊能先生もそういう点について十分御理解していただきましたからして、われわれのする点において足らない点があればどんどん教えていただいて、みんなで、これは与野党ともに協力してこの物価安定問題ということについては、ひとつ御協力をお願いしたいと、こう考えておる次第であります。
  51. 伊能繁次郎

    伊能委員 経済企画庁長官、御用事があるようですから、もうけっこうでございます。ただ、さいぜん私が申し上げた法律違反の問題、裁判所が明確に決定しておる法律違反の問題については、後刻機会をあらためてお尋ねをしたいと思います。どうぞもうけっこうです。  運輸大臣、お見えになりましたので、さいぜん実は政務次官並びに官房長から今回の法律改正についての要点について、四項目承ったわけでございますが、これらの点については私は従来の運輸省においても、つとに考えられておった問題であろうと、かように存じますので、特に今回運輸大臣がこの方針を打ち出されたその基本的な構想について、先般趣旨説明だけは伺いましたが、さらに詳細に運輸大臣の今回のこの法律改正基本的な構想をお伺いできればたいへんありがたいと思います。
  52. 原田憲

    ○原田国務大臣 これは私よりも伊能さんのほうが実は詳しいと思います。私は昨年十一月の末に就任をいたしまして、国会でいままで御厄介になっておるのですが、まあ専門的な用語は別にいたしまして、運輸行政というものについて、とかく悪いことばで言うと、明治時代から輜重輸卒が兵隊ならばチョウチョ、トンボは鳥のうちというような、輸送というものを軽べつしたようなことばも日本にはあります。経済というものを考えるときに、生産部門であるとか、労働部門であるとか、資本の関係とか、そういうものは議論の対象になってきても、輸送というものについて、ほんとうの考えというものが、ないがしろにはされておりませんけれども、違う時点で取扱われている傾向なしとしないのであります。そうして、役所というものが国民の上に立って申請をしてきたら判を押してやるこういうような傾向なきにしもあらず、このことから運輸行政というものについての根本的な考えを持たなければならぬのではないか、審議会にもこれについての意見を聞き、その結果、今後の日本経済発展のために運輸行政が分担すべき任務というものを、運輸省行政機関の組織の中でどう取り上げていくか、こういうことが今回の御審議を願います運輸省設置法の一部を改正する法律案の、法律改正の発想になっておる。専門的にもう少しこれを具体的に言えばいいのでございますが、私はそういうことはあまり不得手なもんでございますから、大まかに申し上げますけれども、そういうところであろう、こういうふうに把握をいたしております。
  53. 伊能繁次郎

    伊能委員 大臣から、運輸の実態についての重要性をきわめて適切な比喩であらわされておるので、心から敬意を表するわけでありますが、とかく従来交通事業というものは水か空気のようなもんで、それが円滑に使命を達成しておる間はだれもその苦労がわからぬで、あたりまえだ、かように考えておりますが、一朝輸送業務が停滞をし、特段の支障を生ずるようになると大騒ぎをやる、そうして、そのあと始末をどうやるかというようなことで、国鉄どもその一例だと私は思うのですが、この点に大臣が着目されて陸海空の総合的な調和のとれた企画政策をやるということについては、私高く敬意を表し、また感謝をしておる次第でございます。  そこで、私どもが戦後二十数年間の運輸行政の経過をつらつら振り返ってみますと、海運については幸いに国民をあげて、ことに運輸省が中心になって海運の再建計画を立てられて、現在では世界の第一級の海運国というようになって、これは全く運輸省の御苦労に対し、私ども敬意を表するわけでございます。  また、一応航空についても、国際航空については非常な伸展を遂げ、これは全く運輸省の皆さんの国民の協力を得ての御努力の成果だと思いますが、国内交通については、従来非常にばらばらであったものが、最近非常に統合、合理化されて今日に至っておるこの点も私ども高く評価をしますが、一方地方の飛行場の問題についてはまだまだ不十分である。この点は五カ年計画等を立て運輸省は非常な勢いでやっておられますが、どうもまだ不十分。これはまた同時に、高松のようなとんでもない事故が起こるおそれもありますので、これらの点について、航空行政については国内航空、国際航空ももちろんアメリカとのパシフィックケース等について非常な御苦労を願っておりますが、国内航空については特に飛行場の整備をぜひやっていただきたい、かように考えます。  次に陸上交通でございますが、これはさいぜん私が水か空気のようなものだと申しましたゆえんは、陸上交通が現在一番停滞をしておるのではなかろうか、これは道路との関連においても、公共投資額においてもまさにそのような状況にある、かように思いますので、ぜひこの点については、鉄道、自動車等をもう少しきめこまかな行政企画部門において策定をせられて、調和のとれた輸送を展開していただきたい、かように考える次第でございます。  最後に港湾の問題でございますが、ことしは何か百五十八億ドルも輸出をしなければいかぬとかいうようなことで、たいへんに港湾の重要性が日増しに高まっておる。しかも五年、十年先には五百億ドルをこえるのじゃないかというような状況で、港湾の状況を見ておりますと、東京湾のごときはほとんどもう余地なし、万一十万トンもしくは二十万トンのタンカーがあそこで事故でも起こそうものなら、東京湾じゅうたいへんな問題が起こりはせぬか、これらのことを察知せられて運輸省では鹿島港の建設に着手せられたと思いますが、それがもうすでにあの規模では不十分ではないかということで、昨年の暮れに十万トンの収容を二十万トンに港湾審議会で変更をするというような、この問題は貿易と不可分、したがって今後の港湾計画というものについてはいろいろ運輸省で五カ年計画を立てて整備をしておられると思いますが、外貿埠頭公団その他の問題もありますが、これからの貿易の発展に対応した港湾計画実態について御説明がいただければありがたいと思います。
  54. 原田憲

    ○原田国務大臣 いま伊能委員のお説のとおり、わが国の運輸行政というものは陸海空、この三つを総合的に考えて運営をしていかなければなりません。その点で今回も、特に先ほどの御質問と関連をいたすのでございますが、この設置法でお願いをいたしております一つ計画官を置くということがございます。これがいわゆる企画部門の重視でございまして、陸海空の総合的な政策を進めるためにもどうしてもこれが必要である。PPBSというようなことばも新しく生まれておりますが、プランを立て計画を実施していくという参謀本部というものが必要である。ここを中心にいたしまして企画を立てて実施をしていく。いまお話しのように、海というものについては相当充実した組織、機構を持っておる。空のほうもだいぶ充実しておるけれども、まだ足りないではないかという御指摘でございます。私もそのとおりだと考えております。  国際空港対策の問題につきましては、当委員会でも長く新国際空港等の論議もいただいておりますのでこれはさておきまして、国内の飛行場の整備ということにつきましては非常に御要望が強く、実際上今日の国内の飛行場の飛行機の様子を見ますと、ほとんど満席ということでございます。特に飛行機というものが重視をされるたとえば高知と大阪、東京、あるいは宮崎とかいうところと東京、大阪というようなところでは、非常に忙しい仕事を持っておる人たちが乗れないぐらい予約がある、こういう状態でございます。これらに対応するための施策をやらなければならぬのは言をまたないわけでございます。飛行場整備の五カ年計画というものをもって対処をいたそうと考えておりますが、私自身率直に申し上げますと、この五カ年計画でもまだなかなか解決するところまでいかぬほど需要というものが強い、その財源をどうするかというような問題も関連してくるわけでございまして、これらにつきましても御指導、御協力を得まして万全の策を立てていきたいと考える次第でございます。  また、港湾の問題でございますが、お話のようにこれは海運政策と不即不離のものでございます。いま私どものほうでは六年の計画を海運のほうで立てまして、この問題について港湾をどうするかということを進めておるわけでございますが、一方におきましては昭和四十九年、五十年という先を見越した方策を立てておる。港湾は四十七年ということでございますので、このいまの港湾五カ年計画ということから引き続いて、この海運政策につきましての港湾対策というものは、御指摘のように具体的に言いますと鹿島もそうでございますが、なお一そうこれを進めていかなければならぬ、こういう状態にあるのはお説のとおりでございます。特に貿易関係につきまして、いわゆる外貿埠頭公団という組織をつくりまして、特にこれから重視をされてくるコンテナ輸送という問題と対処いたそうといたしておるわけでございます。これは今後非常な大きな政策の目になってくると私は考えておりますので、これも伊能先生御指摘のように港湾五カ年計画というものを必ず完成すると同時に、より一そうこのことについて努力をいたしていきたい、このように考えております。なお一そう御指導と御協力をお願いいたす次第でございます。
  55. 伊能繁次郎

    伊能委員 大臣お話、了承するわけですが、港湾局長に、今後の問題について、新しい港湾その他これからどういうように整備していけば日本の貿易に対処し得るか、さらに将来の構想等についてあれば伺っておきたいと思います。
  56. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 御承知のように、日本経済というものは外国から鉄鉱石とか油とか、こういった資源を大量に輸入するわけでございます。それからまた加工したものを輸出しなければならない。この大きな二本の柱に外貿というものはささえられておるわけですが、輸入のほうは御存じのように石油精製、製鉄、こういった施設を持つ大規模の港湾が各所にできつつあります。これはもちろん日本全体の考え方から申しまして、東京とか阪神とか名古屋とか、こういったところから遠ざかったところへなるべく移すべきじゃないか、構想としてはそういうふうに考えております。輸出のほうは、これはコンテナ化が進みますから、やはり既存の阪神、東京湾、伊勢湾あるいは北九州、こういったところに集中するかとも思います。   〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、港湾につきましてはこういったような産業上の必要性を踏まえまして整備をしていきたい。  もう一つは、船がどんどん大きくなります。先ほど先生も御指摘のように、鹿島は十万トンで計画いたしましたけれども、急遽二十万トンに変更いたしました。また五十万トンの船もできつつございますので、こういったような水深の増に対応するようなこと、あるいはまた非常に広い土地が得られるところ——日本は御承知のようになかなか土地を取得するのに困難でございます。したがいまして、いままでの港の条件と違いまして、土地が簡単に得やすい、水が得やすい、こういったところが工業用地として適当なところでございます。そういった観点から、私ども昭和六十年を目標とした港湾整備の方向というものを、実はこれはまだ港湾局だけの試案でございまして、あるいは先生御存じかと思いますけれども、試案をつくっておりますが、そういった観点から申しますと、そういう将来の大規模の工業地帯というものは、苫小牧とかあるいは、むつ、小川原とか九十九里浜とか伊勢湾とか周防灘とか、そういったところに展開したらどうであろうか、港湾サイドとしてはそういうところがほしいのだ、こういうことを申しております。しかし、港湾もだんだん大きくなりまして、これは通産行政の問題でもございますし、それからまた地元の方々がそこにそういう企業を受け入れるかどうかという、いわゆる地元の生活の問題と申しますか、そういった問題にもつながってまいりますので、私どものほうだけでなかなか決定しかねております。一応こういう構想というものを出してはおりますけれども、これに対して、おもに経済企画庁お話を進めているような次第でございます。  輸出貿易につきましては、大臣が先ほど申し上げましたように、東京湾、伊勢湾、こういったもののコンテナ化というものが中心になっていくのではなかろうか。やはりいま申し上げました、工場の庭先からすぐ鉄鋼を輸出するとか、こういった問題もございますけれども、そのように将来の日本経済の発展と港湾というものが現地で実地にどのようにつながるかということを絶えずチェックしながら、いまの五カ年計画というものを弾力的に修正をしながら運営をしていきたい、こういうような考え方を持っているわけでございます。  答弁になったかどうかわかりませんが、以上簡単に御説明いたしました。
  57. 伊能繁次郎

    伊能委員 経済企画庁長官に対する質問を留保しておきましたのですが、先輩淡谷議員の質問時間が中途はんぱになるといけませんから、私はこの辺でお譲りして、さらに次回、適当な機会に質問をさしていただきたいと思います。
  58. 藤田義光

  59. 淡谷悠藏

    淡谷委員 運輸大臣一つお伺いしたいことがあるのです。だいぶ前にローカル線の廃止をするかのごときうわさが立ちました。あのうわさが全国に与えたショックは非常に大きい。これはどこから出たものか、どういうふうな段階になっておるのかはっきりしないままに、もう全く想像もつかぬような騒ぎが各ローカル線のところでは起こっているのでありまして、引き続きその廃止に反対する陳情が全国から巻き起こっております。この陳情のための費用でも地方経済にかなり大きなマイナスを来たしていると思うのであります。この際、そのうわさがどういうふうにして出たものか、現在その実態は一体どうなっておるのか、ひとつ詳細に御答弁を願いたいと思うのであります。
  60. 原田憲

    ○原田国務大臣 詳細は専門的に鉄監局長から答えさせることにいたしまして、経緯について申し上げたいと存じますが、たしか淡谷さんから予算委員会か何かでこの問題で御質問を受けたことが……(淡谷委員「全然やりません」と呼ぶ)ああ、そうですか。この問題は、私が就任いたしましてから国鉄の問題で一番大きな問題としてたくさんの御質問をちょうだいをいたしたところでございます。この出どころは、国鉄の財政再建推進会議の意見の中で、国鉄を再建するために三位一体、国、地方公共団体等が国鉄を助ける、また利用者の方々にもひとつ御協力を願う、ついては国鉄自身も近代化、合理化につとめなさい、こういう答申をいたしておる中に、具体的に代替すべき輸送機関がある場合にはそれを考慮して、いわゆる国鉄の赤字線といわれておるものは廃止すべきではないか、こういう一つの意見が出された。もう一つは、国鉄の持っております諮問委員会でございますか、そこがもう少し具体的に八十三線区を、これを廃止すべきではないかというようなことを申した、これが根源でございます。このことについて私はしばしば申し上げてきたのでございますが、もちろん絶対というものはなかなかないものでございますから、廃止をしないということは申し上げられませんけれども方針といたしましては、その地方におけるところの路線というものがその地方に果たしておる使命というものを考え、また今後のその地方の開発というものがどうなるかというようなことを十分考慮して、路線というものに対する態度をきめなければならない、したがって、諮問委員会が八十三線をあげたからといってこれは廃止になるということは私は考えておりません。鉄道網に占めるところの地位、地域交通に占める役割り、総合的な国土開発計画との関連、いま申し上げましたが、地域開発等から見た将来性、道路の整備状況を具体的かつ綿密に調査の上、総合的な観点から判断すべきであるということをお答えを申してきたのでございまして、この態度は今後も変えるつもりはございません。
  61. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さらに内容について詳しく御説明があるならば係の方からお伺いしたいと思うのですが。
  62. 町田直

    ○町田政府委員 ただいま大臣から御答弁いたしましたことで大体尽きておりますので、特に申し上げる必要はないと思いますが、国鉄の諮問機関である国鉄諮問委員会におきましては、具体的に八十三線区二千六百キロという一つの案が出されております。しかしながら国鉄財政再建推進会議のほうは「道路輸送への転換が適切と認められる線区は、極力その転換を促進する。なお、転換後の輸送の確保については万全を期する。」こういう答申がなされております。これらの問題を考慮しつつ、ただいま大臣が御答弁いたしましたとおりの考え方で今後対処していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  63. 淡谷悠藏

    淡谷委員 諮問委員会の答申の中には廃止すべき理由等の記載がございますかどうか。もしできますならば、それを資料としてお配り願えますとたいへん審議の助けになるので、提出願いたい。
  64. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 諮問委員会のローカル線の輸送をいかにすべきかという資料は、昨年昭和四十三年の九月四日に出ております。この中に理由その他詳細な資料がございました。これは御提出いたしたいと思います。
  65. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ、提出されたらまたよく拝見いたしますけれども、その理由の中におもなるものがあがっておると思いますが、主としてどういうふうな理由が多いですか。
  66. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 国鉄の財政という問題がまず冒頭に書いてございます。現在の国鉄の財政は御承知のとおり本年度約千四百億程度の赤字になります。その上各ローカル線につきまして調査をいたしますと、たとえば幹線系というものにつきましては、この二万キロのうちで三千キロが黒字線でございます。残りの一万七千キロがいわゆる赤字線でございまして、そういうような財政的な面が一つ理由になっています。  もう一つは、鉄道というものと自動車というものがどうあるべきかという点から交通量というものを中心に考えますと、鉄道というものが大量輸送の交通機関である。ところが自動車というものにつきましては、これは比較的少量輸送であり、またきわめて便利であるという点から、交通機関としてむしろこういうような線は自動車に切りかえるべきであるということにつきましての理由が書いてございます。  さらに各線を検討いたしますと、この建設費あるいは今後の運営費というものを計算いたしますと、赤字であるからこれを廃止するのではなくて、むしろ交通量あるいは将来の運営という面から考えまして、八十三線区というものが自動車に切りかえるのが妥当である、こういうような理屈から諮問委員会は答申いたしております。
  67. 淡谷悠藏

    淡谷委員 主として財政上の理由が最大にあげられているようでございますけれども、国有鉄道というもの持っている本来の使命から申しますと、ただ当面赤字になっているからということだけでは廃止の理由にならぬと私は考えるのですが、これは大臣からひとつ御所見を伺いたい。
  68. 原田憲

    ○原田国務大臣 鉄道が唯一の交通機関であった時代には、当然国有鉄道は財政的にも黒字で、その力をもっていわゆる辺境の地も開発を兼ねて路線を設定をしていった。ところが新しい輸送機関というものがあらわれてきて、これがどちらが有効な機関であるか、こういう問題と当面してきたから今次の問題が発生したように私は把握をいたしております。したがって、淡谷さんのおっしゃるように、これが唯一のものであるというときには国有鉄道という——もちろん戦前の国有鉄道ではございませんが、それでも公共的なものであるといわれておるものが、赤字であるからこれは廃止すべきだということにはすぐにはならない要素を持っておるということについては、私はそのように考えます。絶対的な時代と違っておるということだけは考慮に入れなければならないのではないか、このように思います。
  69. 淡谷悠藏

    淡谷委員 国鉄の赤字の内容についてさらに検討いたしましたら、たいへんおもしろい数字が出てくるんじゃないかと私は思う。さっきの長瀬理事のお答えの中にも、何か少量の貨物などは自動車の輸送にゆだねて、大量の貨物は国鉄のほうでやるのだといったように御答弁のニュアンスがうかがわれましたけれども、一番大きな赤字を出しているのはその大量の貨物運送じゃないですか。その点はいかがです。むしろ旅客運賃などは黒字を出してきた。大きな独占企業の大量輸送の方面で赤字が出ているようにうかがっておりますが、その点はいかがです。
  70. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 国鉄の赤字の原因というのはいろいろとあると思うのでございます。先ほど申しましたローカル線の、本来は自動車の分野であるべきところが鉄道で運営している。このための赤字が大体百四十億程度です。それからそのほかに人件費、これが毎年一〇%以上ずつ上がってきたというような点、あるいは逆に収入が、収入のもとでございます輸送量というものが伸びていない。旅客で申しますと、ローカル線は伸びていないし、それからローカル列車も大体年間横ばいでございます。そういう点から旅客のほうにおきましても新幹線を除きましては、あとの一般の旅客輸送はやはり赤字の原因になっておる。それからさらに貨物につきましては、これもいろいろと計算上むずかしいのでありますが、すでに貨物は輸送量が伸びていない。これは三十八年以来大体二億トンでございまして、その大きな原因は、昔は鉄道貨物輸送量のうち石炭が約四分の一を占めておりました。それが毎年三百万トンないし四百万トンずつ落ちてきているというような原因から伸びてないのでございますが、そうした需要の伸びが少ないという点から、一方におきましてはコストが多くかかるという点で貨物の赤字というものもございます。しかし、この旅客と貨物を原価計算と申しますかこれを区分することは非常にむずかしいわけでございまして、たとえば同じレールの上を旅客列車と貨物列車が走っておりますし、また旅客列車を優先に通す場合には貨物が待避するというような点もございますし、いろいろと計算上複雑でございますので、旅客が黒であり、貨物が赤字である、こう一がいには断定できないのでありまして、先ほど申しましたとおり、ローカル線の問題あるいはそれぞれの線区におきます状態、これは総合的に把握できるわけでありまして、この点から国鉄の赤字の原因というものはそういうところにあるのではないかというふうに考えております。
  71. 淡谷悠藏

    淡谷委員 はっきりいたしませんけれども、その赤字はいろいろ複雑なものがありましょうから深くは追及いたしませんけれども、ただ今回の赤字解消の一手段としてローカル線を切るということは相当大きな影響を与えると思う。特に過疎問題と過密問題がこれによってもっと一そう深刻化するような気がしてしようがないのですね。特に、このローカル線に対する考えの中で、現在はそれは赤字かもしれないし、伸びないかもしれないけれども、やりようによってはローカル線がむしろもっと多くの旅客を運び、貨物を運ぶといったような将来にわたっての考慮が答申にはなされておったかどうか。この点を私はまことに不審に思うのであります。この点はいかがですか。
  72. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 ローカル線の問題につきましては、先ほど財政上の問題から諮問委員会は答申第一章に書いてございますが、基本的には先ほど運輸大臣お話のとおり、やはり交通機関としてどうあるべきかというのが基本的な考え方でございまして、赤字であるからこれを廃止するというのでなくて、むしろ自動車のほうが地元住民のために便益性が高いのじゃないかというような点からか、これがポイントになっているわけでございます。したがいまして、鉄道がなければ過疎になる、自動車なら過疎にならないというような問題になりますと、これは議論がございますが、鉄道が唯一の交通機関であったときには確かにそうした問題が起ると思う。現在のように道路、自動車が発達いたしますと、それによって過疎ということにはならないと思います。この諮問委員会の答申には、地元の便益性ということについて十分考慮して、そして鉄道を自動車に切りかえることが望ましい、こういうふうに書いてございます。
  73. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは大臣にひとつ伺いたいのですが、国有鉄道というものがもし利益採算だけの問題で存在するならば、これは「国有」という字を消してむしろ民間の経営にしたほうがあるいは利益を得るのかもしれませんけれども、国有鉄道というものは国有鉄道として国全体の発展のために、特に過疎地帯あるいは辺地の開発までも助けるといったような本来の使命があったと思うのです。この使命は現在においても私は変わっていないと思うわけでございますが、そういうような政治的な展望、政治的な感覚の上に立った性格のものとして受け取ってかまわないでしょうか。御答弁願いたい。
  74. 原田憲

    ○原田国務大臣 先ほど私が答弁を申し上げた中にあなたがおっしゃっておる要素はあると私は考えております。したがって、この問題が国鉄の二法を論議いたしました際に、具体的に院の調査として委員の方々が出られまして各地でそういう問題を調査されてまいりました。その際に、たとえばある線はいわゆる八十三線区の中に入っておるが、調査してみると、将来こういう事業があるということがその諮問委員会でやったときには全然出ていない。先ほど資料の御要求がありましたが、だからそういうことがあるにかかわらず、それは廃止の線に入っておるか、どう考えるかというような具体的な質問すら受けたわけでございます。したがいまして、私は、先ほど申し上げましたように、鉄道というものが地方に果たすところの役割りというものをよく考えて決定をすべきものである、このような考えに立っております。
  75. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは劈頭申し上げましたとおり、将来地方の開発のために、特に目の前に迫った廃止なんということは、そのために起こしております動揺が非常に大きいだけに、はっきりした基本方針をお立てになりませんと、この動揺はとどまらぬと思うのです。  さっき、大臣から、私、予算委員会でこの問題を追及したようにお話がございましたが、そうじゃないと言っておきましたが、昨年の十勝沖地震のときにさんざんこわれました東北、北海道の鉄道の復旧についての私の質問とたぶんお間違えになっているのだろうと思います。たぶん、そのときは大臣もまだ大臣じゃなかったと思います。監督局長も違っておったと思います。これは全体のローカル線の実情をお教え願う上にたいへん具体的な例になりますからあらためてお聞き願いたいと思うのですが、あの場合に鉄道当局のとった態度を私は非常に不満に思ったのです。われわれもあの地震と同時に現地に乗り込みまして、非常にむざんな形を見てまいりました。鉄道だけではなくて道路自体も全く交通が麻痺するような状態を見てきたのですが、お見舞いに行かれたたしか盛岡の管理局の方と思いますが、地震のまっ最中にいきなり、これはどうせ廃止するのだからやめちまおうということを言ったんですよ。まるで病人のお見舞いに行ってけっ飛ばして帰ってくるような、そういう影響を与えまして、現地はたいへんに憤慨いたしました。これは、私あの大畑線を見ておりますと、今後の開発に非常に資するものだと考えておったのですが、これは廃止するということ、しかも地震の災害に対してまだ手がつかぬうちにお見舞いの局長が——局長か何か知りませんけれども、まっ先にこれは廃止するのだなんて地元で言うようなことがあっていいか悪いか、これは言うまでもないと思うのです。その後どこかの委員会で、たしか内閣委員会だと思っておりますが、監督局長にこのことをいろいろ申し上げましたら、これは廃止いたしませんということをはっきり答弁されたのです。私もたいへんそれで安心し、また感謝いたしておりましたが、そのあとすぐにまた鉄道当局のほうは、運輸省が何と答えようが、これは廃止するのだということを言っておるのですね。私は、やはり運輸行政というものは国鉄のあり方なども十分に支配し、また監督し、助けるものだと思っておりますから、運輸省が何と言おうが、国鉄は実際に現場をやるところだから、国会答弁がどうあろうとも廃止するものは廃止するのだということは、これはいただけるような答弁じゃないと思うのです。そこで自民党の国会議員の方もあわてまして、別にまた国鉄本社へ行って——これははっきり申し上げますと、社会労働の委員長をやっておる森田議員、それから参議院の津島議員あたりが国鉄へ行って話しますと、やはり答弁が変わっていないのです。そのために現地が非常に混乱しまして、そんなことをやるならばもう自民党を全部脱党するとか、あるいはむしろ自民党に全部入ったほうがその鉄道ができるのじゃないかとか、災害復旧について政党問題が非常に燃え上がったり、あたかも自民党に入っていないからこれは廃止するのだということまで起こりまして、地元にたいへんな動揺を与えた事実があるのであります。その後、知事やら私どもも一緒に参りまして、おやめになった石田総裁に会いました。石田総裁は運輸省関係で国会でもはっきり答弁をし、また国会議員の諸君もこう心配をしておれば、これはつくらないわけにはいかないだろうと言って、われわれのいる前で担当の理事の皆さんと石田総裁が論争をしているような始末なんです。こういう状態ではとても国有鉄道といったようなものじゃないと思いますので、この際、ひとつ運輸省国鉄本社の関係というものを責任ある大臣からはっきり御答弁をいただいておきたいと思う。これは今後のローカル線廃止の問題にからみましてもう出てこないケースとは思いませんので、その辺の関係についての明快な御答弁を願っておきたいと思います。
  76. 原田憲

    ○原田国務大臣 いま石田総裁の話が出ましたので私思い出したのでございますが、このことについて石田総裁は地元へ行って、その地元の代表というと知事さんだとか市町村の代表の方々ということになるのでございますが、その方々とよく話をして御了解を求めて、そのあとは大臣に認可を求めなければならないのであるから、あとは私が大臣にお願いをするということになります、私としてもただむやみやたらに廃止するというを言っておるのではない、こういうことを答弁されております。私もそのとおりであろうと思っております。たとえば、いま青森の話で非常に具体的な線の問題になってまいりましたが、その線をかりに国鉄が廃止しようと考えるならば、総裁が地元へ行って、これはこうなるのだ、こうするのだ、もしこれを取り払ったときにはこういう方法があるのだというようなことまでよく話をして、そして地元の方々が了解をしたということになると、あとは私の認可ということになるのでございますから、運輸省がどう言おうがわれわれは廃止するのだというようなことは、これは断じてできることではございませんので、その点は私ははっきり申し上げておいてよかろうと考える次第でございます。
  77. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そういうふうに筋を通していただきませんと、今後このローカル線の問題をめぐって一つ一つそういうことが出てくると思う。しかも、こういう場合ですから率直に申し上げますが、石田総裁は、それではひとつ復活をするが、非常に財政が困難だから五億円ぐらい債券を持っていただけないか、ここまで来ました。われわれはそれが条件ですかと聞いたら、条件じゃない、条件じゃないけれども、そう願いたいのだと言うので、知事が心配しまして、五億円を一億円にまけてもらったかどうか知りませんが、実際に災害地が出資している。これは正直な話なんです。それもかなりたってからやっと復旧に取りかかりました。その間、自動車があるとかなんとかいっていますが、あの現地の状態というのは自動車で物を運べるような状態じゃないのです。たとえば、一番大きいのはイカです。津軽海峡に面した大畑という港がありまして、イカの盛漁期には何車でもどんどんどんどん出るのです。これはとても自動車なんかで運べるものではない。しかもいまあそこの下北半島の北通りの細い道にフェリボートが着くために関西、中国あたりからも北海道行きのトラックが殺到している。その途中の道路が、例のむつ製鉄が失敗したときに、そのかわりの事業として国道に昇格するという約束がありましたが、それが果たされないままに、若干国道に準ずるような御心配をいただいておりますけれども、まだとても普通の国道なんというものではないのですね。しかもまた北通りの線というのは依然として県道です。道一ぱいに大型のトラックが通りまして、いまバイパスなんかもどうにかつくりましたからいいようなものの、沿道のうちが戸をあけておれないという状態です。雨降りの日などは両側のうちが壁を塗ったみたいにどろをかぶっている。そういう状態ですから、なまのイカがたくさん出るのに、とても国鉄の大きな輸送なしにはトラックなんかで運べる段階じゃない。しかも、その線がかなり長い間着手されなかった。中にはむしろ旗を立てて陳情にむつ市まで出てきたり、あるいは横断幕を張って、この線廃止は絶対反対というような気勢さえ上がってきております。これは政党政派を越えた地元の非常に熾烈な運動である。やっとこれが半年ぐらいたってから復旧しました。復旧したあとがどうかと申しますと、これはもう貨物輸送ができないのです。一番大事な貨物輸送ができない。何のためだというと、地盤が十分に復旧できなかったので、貨物の重量にたえませんというような国鉄の答弁です。ダイヤはどうかというと、朝学校に通う子供たちの時間に間に合わない、帰りは、いろいろつとめている諸君が自分の町なりあるいは市なりに帰ってくる時間に間に合わない、全然利用性のないダイヤが組まれているのです。これじゃ、むしろ赤字線の赤字をますます濃くして、やっぱり赤字だからこの線は廃止するのだという結論を得るために、全く故意にいじめているとしか思えない。そういうのは国鉄のほうでお調べになっておりますか。
  78. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 ただいま先生のお話しのような経緯で、たしか災害後約一年そこそこで復旧いたしたと思うのであります。確かに御指摘のように、最初のダイヤにつきましては、地盤が悪いためにスピードが出せないという点から、旅客列車につきまして御不満なダイヤだと思うのです。その後これは修正いたしております。したがって、現在におきましては、通勤通学その他についての旅客輸送につきましては、これは問題はないと考えております。  それから貨物輸送につきましては、現在の段階におきまして、まだこれを運行いたしておりません。と申しますことは、いま御指摘のような路盤の問題、それから実際の輸送の要請と申しますか、これが実はほとんどないわけであります。大部分はトラックで現にやっておりますし、また、私どもとましては、国鉄トラックで代行輸送を行なっておりますので、これは地元の方には一つも御不便をかけてないと私ども考えております。将来、現在の貨物輸送ということにつきましては、冷蔵コンテナ輸送という点につきましても、いろいろと現地で検討してもらっているわけであります。イカの輸送につきましても、そうした方法で、むしろ早く鮮度のいいものが着地に着くという可能性があるわけであります。したがって、地元の方々には現段階においては御不便をかけてない、こういうように私ども聞いております。
  79. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ついこの間、私行って調べてきたんですがね。だいぶ御答弁は違っていますよ。第一、コンテナ輸送と貨物車を使った輸送と、運賃の差はどうなっていますか。あるいは一般トラックを雇った場合と国鉄運賃の差は一体どうなっているか、そういう点をひとつ伺っておきたいのです。
  80. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 運賃の問題につきましては、コンテナ輸送についての運賃は若干割り高でございます。しかし、着地等のサービスという点につきましては、現在のトラック以上のサービスをしているというふうに考えますので、若干運賃は割り高でございます。いまの一般の業者のトラックにつきましては、私どもよくわかりませんが、国鉄トラックでやっております範囲におきましては、貨物運賃と同額で輸送いたしております。
  81. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あそこは国鉄トラックが何台運行していますか。
  82. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 台数はちょっと私承知いたしておりませんが、御不便をかけないようなトラックの台数は用意してある、こういうように考えております。
  83. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは御答弁としてはそう言うのは当然でしょうけど、実態は相当違いがあります。そのために、ことしのようなイカの大漁の場合は、現地で相当な損をしているのです。御答弁としては、決して違いがないようにやりますと、こう申しますけど、具体的にはたいへんな違いが出ている。第一、なまイカなんかをコンテナに詰められないでしょう。これはどうしてもトラックを使わなければだめなんです、安いものですからね。しかも、これを加工すると加工しないでは、これは価値の点でたいへんな違いが出てくる。ですから、私は大畑に拘泥するわけではございませんけれども、ローカル線にはそれぞれローカル線の特徴がありますので、その特徴を国鉄が頭からこうだというふうに観念的に理解しないで、もっとじっくり地元で話を聞きませんと、妙なところでそごを来たすと思うのです。第一、あそこの道路というものは決して国道みたいに完全にした道路じゃございません。安全だからといっても、鉄道と自動車ではたいへんに違いがあります。しょっちゅう交通事故も起こっております。特にこの地方では、魚の行商がたいへんに多いので、バスなんかには乗れない事情がある。これまで国鉄のほうでいろいろ心配しまして、行商人の乗る汽車なんかもある。これらがほとんど失業しますよ。それから都会地と違いまして、かなり遠隔の地方から学校へ通う子供たちも集まってきておりますので、もしこういう形のローカル線が観念的に、しかも赤字だからというだけで廃止をされるならば、これはせっかく開発に向かった地方がそのために火が消えたようになるということが具体的に出てくるのです。おそらくこれは大畑に限らぬ。あそこなんかは、特に国からたしか金を補助してもらいまして港もでき、北海道への交通の要衝になっているような場所でもある。それをぼこんとこういうふうな形で線を切られるならば、そうじゃなくともあの地方一帯に政治不信の声が強いのです。ますます政治というものは無情なものだ、冷酷なものだという恨みが消えるものじゃない。現在でもかなり強い。かなりどころじゃない、強いのです。それはやっぱり聞きづらいだろうけれども、ほんとうの地元の声というものは十分お聞きになって、そして運輸省方針をきめられ、その方針のもとに国鉄が動いていただきませんと、全くこれは、将来廃止するんだからわれわれをいじめるんだろうというひがみさえ起こってきている始末なんです。その点も十分今後御注意願いたいと思います。いかがでございますか。
  84. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 先生御指摘のとおり、ローカル線の問題につきましての諮問委員会から答申を受けまして、それに対して、国鉄としましては責任体制をつくりまして、現在それぞれの地区につきまして詳細なる調査をいたしております。そして、それの具体的な内容につきまして大体調査が終わった段階でございまして、今後私どもとして、確かに先ほど申しましたとおり、地元との関係におきまして御了解いただければ廃止できるような線もあろうかと思います。そういうような点を今後考えまして、地元とじっくりお話し合いをするということは私どもとして用意いたしておる。ただ一がいに赤字であるからという考えでは、先ほど申しましたとおり、ないわけであります。あくまで交通機関として自動車がいいか、あるいは鉄道がいいか、また、鉄道のほうが本来の使命として十分必要であるというような判定がありますれば、私どもとしては、そのローカル線については自動車に変えるという意思はございません。したがいまして、あくまで今後の開発問題あるいは地元の各種産業の状況、その他いろいろな点から総合的に判断して、これは決定すべきであるというふうに考えております。したがいまして、いちずに赤字であるからこれをやめるというような考え方は、国鉄としては持ってないわけでございます。
  85. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは、答申によれば八十三というような廃止が問題になっている線があるのでありますが、相当めんどうでも、住民全体の生活にかかる大きな問題が起こるのですから、一つ一つの線についてかなりじっくり地元と話し合いをしませんと、たいへんな混乱が起こることが予想されます。今後この扱いについては大体どういう方針で進まれるおつもりなのか、その決定に至るまでの順序等お答え願えればたいへんありがたいと思います。
  86. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 先ほど申しましたとおり、事務的にはそれぞれの線区につきまして実態を詳細に調査し、資料をいま作成中でございます。これをもとにいたしまして、地元の県庁あるいは市町村その他の関係の方と十分協議いたしまして、むしろ自動車のほうが便利であるというような線につきましては、こういう点についてお話し合いをする。ただし、それがやはり鉄道がいいと私どもも判定する、あるいは地元もどうしてもこれは要るというような問題につきましては、これは将来の交通情勢における変化もありますので、今後十年間において、こうした変化に応じて、私どもとしてそういうローカル線につきまして自動車への切り換えという点は逐次やっていこうという考え方でございます。
  87. 淡谷悠藏

    淡谷委員 知事とか市町村長もいいけれども、実際これを利用している地元の利用者との間に話し合いをする機会を設ける気持ちはございませんか。これは一番ほんとうの話が聞けるのです。
  88. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 もちろん市町村長との話し合いの中には利用者の関係もあると思うのでございます。具体的にどなたと話をするということはまだきめておりませんが、責任者を中心として話し合いをしていくというふうに考えております。
  89. 淡谷悠藏

    淡谷委員 話を聞いたあとではどうなさるおつもりですか。
  90. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 話をいたしまして、確かに自動車のほうが便利であるということになりますれば、私どもといたしまして自動車に切りかえる考え方、それからどうしても話がつかないといたしますれば、私どもとしては国鉄の現状あるいは将来の交通機関のあり方というような点についてもっと前向きな方向ということで説得をする、あるいはひざをまじえて話し合いをする。しかし、話し合いがつかなければ、私どもとしてはどうにもならぬわけでございます。したがいまして、話し合いがつきましたものにつきましては、これを自動車に切りかえるということについて運輸大臣に御申請申し上げ、話し合いがつかないものにつきましては、これは私どもとして地元とじっくり話をするという態勢でいきたいと考えております。
  91. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは国鉄としてはそういうところが詰め方でございましょうけれども運輸大臣のお考えをひとつ聞いておきたい。やはりいろいろケースが出てくると思いますので、最終決定の手続等について運輸省のお考えを聞いておきたい。
  92. 原田憲

    ○原田国務大臣 いま国鉄が言いましたのが手続上の順序でございますね。だから、話し合いがついて、これは自動車のほうが便利じゃないか、いいじゃないか、こういうところも実際はあるようでございます。全部ではありませんが、一つ二つあるようでございます。その場合は運輸大臣に申請してくる、こういうことをいま申しております。それが話がつかない場合は、ひとつできるだけ話がつくまで話し合いをやる、こういうことを言っておりますから、私は、先ほどから申し上げておりますように、この問題につきましては、やはりその地方の今後の状況というものをよく勘案して認許可をしなければならない、こう考えておりますから、もちろん廃止する場合にも運輸審議会へはからなければならぬという手続上の問題もございます。いわゆる慎重の上にも慎重を期してやるということを私の態度として考えております。
  93. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私別な問題の質問がございますけれども航空局長がきょうは御出席にならぬそうでございますから、あとの質問は保留いたします。  ただ、最後に一つぜひお願いしておきたいのは、いまの大畑線に起こったように、地元にこれはどうせ廃止するのだからさっぱり便宜をはかってもらえないのだというひがみを起こさせないように、特にまたローカル線の中でも現在は旅客の数あるいは貨物の数などが横ばい状態でたいへんふるわないという線があるかもしれませんけれども、ちょっと直してやればまだまだふえるような線もあると思います。どのような手を使ってもこれはだめだという斜陽線もあるかもしれませんが、将来よくなる線と将来だめになる線、これはただ現状をつかまえたままで一緒に扱われたのでは地元は助かるものではありませんから、そういう点も勘案されまして、たとえローカル線の小さな線だと思いましてもその線にたよっておる関係住民にとっては全くたいへんな事件になりますので、慎重の上にも慎重を期して処理されるように要望いたしまして、私の質問を終わりますが、あとは保留いたします。
  94. 藤田義光

    藤田委員長 次回は来たる三日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後零時五十七分散会