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1969-03-25 第61回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月二十五日(火曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君    理事 塩谷 一夫君 理事 塚田  徹君    理事 三原 朝雄君 理事 大出  俊君    理事 浜田 光人君 理事 受田 新吉君       赤城 宗徳君    井出一太郎君       小渕 恵三君    坂本三十次君       世耕 政隆君    田中 龍夫君       葉梨 信行君    松澤 雄藏君       三池  信君   三ツ林弥太郎君       山口 敏夫君    淡谷 悠藏君       木原  実君    華山 親義君       安井 吉典君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 坪川 信三君  出席政府委員         建設政務次官  渡辺 栄一君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君  委員外出席者         建設省道路局次         長       多治見高雄君         建設省住宅局調         査官      沢田 光英君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 三月二十二日  委員葉梨信行辞任につき、その補欠として川  野芳滿君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川野芳滿辞任につき、その補欠として葉  梨信行君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員赤城宗徳君及び野呂恭一辞任につき、そ  の補欠として坂本三十次君及び世耕政隆君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員坂本三十次君及び世耕政隆辞任につき、  その補欠として赤城宗徳君及び野呂恭一君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十日  靖国神社国家護持立法化反対に関する請願(  石橋政嗣君紹介)(二二七〇号)  同(板川正吾紹介)(第二二七一号)  同(江田三郎紹介)(第二二七二号)  同(久保三郎紹介)(第二二七三号)  同(斉藤正男紹介)(第二二七四号)  同(阪上安太郎紹介)(第二二七五号)  同(柴田健治紹介)(第二二七六号)  同(田中武夫紹介)(第二二七七号)  同(武部文紹介)(第二二七八号)  同(野口忠夫紹介)(第二二七九号)  同(平林剛紹介)(第二二八〇号)  同(森本靖紹介)(第二二八一号)  同(山内広紹介)(第二二八二号)  同(山中吾郎紹介)(第二二八三号)  同(渡辺芳男紹介)(第二二八四号)  同(石橋政嗣君紹介)(第二三二三号)  同(板川正吾紹介)(第二三二四号)  同(柴田健治紹介)(第二三二五号)  同(田中武夫紹介)(第二三二六号)  同(武部文紹介)(第二三二七号)  同(平林剛紹介)(第二三二八号)  同(森本靖紹介)(第二三二九号)  同(山内広紹介)(第二三三〇号)  同(石橋政嗣君紹介)(第二三八五号)  同(板川正吾紹介)(第二三八六号)  同(大出俊紹介)(第二三八七号)  同(柴田健治紹介)(第二三八八号)  同(武部文紹介)(第二三八九号)  同(田中武夫紹介)(第二三九〇号)  同(成田知巳紹介)(第二三九一号)  同(平林剛紹介)(第二三九二号)  同(森本靖紹介)(第二三九三号)  同(山内広紹介)(第二三九四号)  同(石橋政嗣君紹介)(第二四三四号)  同(板川正吾紹介)(第二四三五号)  同(柴田建治紹介)(第二四三六号)  同(武部文紹介)(第二四三七号)  同(田中武夫紹介)(第二四三八号)  同(平林剛紹介)(第二四三九号)  同(森本靖紹介)(第二四四〇号)  同(山内広紹介)(第二四四一号)  同(石橋政嗣君紹介)(第二四六三号)  同(板川正吾紹介)(第二四六四号)  同(柴田健治紹介)(第二四六五号)  同(武部文紹介)(第二四六六号)  同(田中武夫紹介)(第二四六七号)  同(平林剛紹介)(第二四六八号)  同(森本靖紹介)(第二四六九号)  同(山内広紹介)(第二四七〇号)  靖国神社国家管理反対に関する請願稻村隆一  君紹介)(第二二八五号)  同(井上泉紹介)(第二二八六号)  同(大原亨紹介)(第二二八七号)  同(加藤勘十君紹介)(第二二八八号)  同(角屋堅次郎紹介)(第二二八九号)  同(木原実紹介)(第二二九〇号)  同(栗林三郎紹介)(第二二九一号)  同(佐野憲治紹介)(第二二九二号)  同外一件(實川清之紹介)(第二二九三号)  同(内藤良平紹介)(第二二九四号)  同(広沢賢一紹介)(第二二九五号)  同(古川喜一紹介)(第二二九六号)  同(堀昌雄紹介)(第二二九七号)  同(八木昇紹介)(第二二九八号)  同(安井吉典紹介)(第二二九九号)  同(井上泉紹介)(第二三一〇号)  同(稻村隆一君紹介)(第二三一一号)  同(角屋堅次郎紹介)(第二三一二号)  同(木原実紹介)(第二三一三号)  同(栗林三郎紹介)(第二三一四号)  同(阪上安太郎紹介)(第二三一五号)  同(實川清之紹介)(第二三一六号)  同(只松祐治紹介)(第二三一七号)  同(内藤良平紹介)(第二三一八号)  同(野口忠夫紹介)(第二三一九号)  同(広沢賢一紹介)(第二三二〇号)  同(古川喜一紹介)(第二三二一号)  同(八木昇紹介)(第二三二二号)  同(稻村隆一君紹介)(第二三七〇号)  同(井上泉紹介)(第二三七一号)  同(角屋堅次郎紹介)(第二三七二号)  同(木原実紹介)(第二三七三号)  同(栗林三郎紹介)(第二三七四号)  同(阪上安太郎紹介)(第二三七五号)  同(實川清之紹介)(第二三七六号)  同(田代文久紹介)(第二三七七号)  同(谷口善太郎紹介)(第二三七八号)  同(内藤良平紹介)(第二三七九号)  同(野口忠夫紹介)(第二三八〇号)  同(広沢賢一紹介)(第二三八一号)  同(古川喜一紹介)(第二三八二号)  同(松本善明紹介)(第二三八三号)  同(八木昇紹介)(第二三八四号)  同(稻村隆一君紹介)(第二四二三号)  同(井上泉紹介)(第二四二四号)  同(角屋堅次郎紹介)(第二四二五号)  同(木原実紹介)(第二四二六号)  同(栗林三郎紹介)(第二四二七号)  同(實川清之紹介)(第二四二八号)  同(内藤良平紹介)(第二四二九号)  同(野口忠夫紹介)(第二四三〇号)  同(広沢賢一紹介)(第二四三一号)  同(古川喜一紹介)(第二四三二号)  同(八木昇紹介)(第二四三三号)  同(稻村隆一君紹介)(第二四五二号)  同(井上泉紹介)(第二四五三号)  同(角屋堅次郎紹介)(第二四五四号)  同(木原実紹介)(第二四五五号)  同(栗林三郎紹介)(第二四五六号)  同(實川清之紹介)(第二四五七号)  同(内藤良平紹介)(第二四五八号)  同(林百郎君紹介)(第二四五九号)  同外一件(広沢賢一紹介)(第二四六〇号)  同(古川喜一紹介)(第二四六一号)  同(八木昇紹介)(第二四六二号)  婦人少年室廃止反対等に関する請願篠田弘作  君紹介)(第二三〇〇号)  同外一件(河野正紹介)(第二三三一号)  同(岡崎英城紹介)(第二四〇一号)  同(畑和紹介)(第二四〇二号)  同外一件(浜田光人紹介)(第二四〇三号)  同(小泉純也君紹介)(第二四七一号)  同外一件(松澤雄藏紹介)(第二四七二号)  自主憲法確立等に関する請願外一件(吉川久  衛君紹介)(第二三三二号)  靖国神社国家護持法制定に関する請願増田甲  子七君紹介)(第二三三三号)  行政機関の職員の定員に関する法律案反対等に  関する請願大出俊紹介)(第二三九五号)  同(佐野進紹介)(第二三九六号)  同(田代文久紹介)(第二三九七号)  同(谷口善太郎紹介)(第二三九八号)  同(林百郎君紹介)(第二三九九号)  同(松本善明紹介)(第二四〇〇号)  同(田代文久紹介)(第二四七三号)  同(谷口善太郎紹介)(第二四七四号)  同(林百郎君紹介)(第二四七五号)  同(松本善明紹介)(第二四七六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第八号)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。華山親義君。
  3. 華山親義

    華山委員 今度の改正法案内容ですけれども、新しく設けられる企画部というのは具体的にはどういう仕事をする部なのか、また部を置かない室との間にどういう違いがあるのか御説明を願いたい。
  4. 志村清一

    志村政府委員 このたびの設置法改正内容につきましては、現在地建に置かれております企画室企画部名称を変更いたしたい、かように考えておる次第でございます。その理由といたしましては、最近社会経済の著しい発展に伴いまして、国土全体の有効利用をはかるための長期かつ計画的な国土開発必要性が非常に高まってまいりました。現在地方建設局企画室は、国土計画地方計画に関する調査とか、あるいは土木工事に関する技術及び管理改善に関する事務をやっておりますが、それらにつきまして事務量も相当増大いたしましたし、その内容も複雑になってきたわけでございます。私も実は地方建設局長を一年ほどやった経験がございますが、建設省のやっております大きな道路とか川との関係がございますので、地域計画等につきまして、地元側から私どもにいろいろ意見を聞かれるという機会が多いわけでございます。そういった情勢に対応いたしまして、地域計画必要性並びに土木工事に関する技術管理改善といったものをさらに推し進めるために、現在企画室というようなことでスタッフ的な要素でございますけれども、それを部に名称を改めまして、課を二つぐらい予定をいたしまして下部機構を整備いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 華山親義

    華山委員 このために部になりましたところは現在の人員よりも増しますか。
  6. 志村清一

    志村政府委員 定員については増員はいたしておりません。
  7. 華山親義

    華山委員 ではいままでの室というのが部になりましても、人員的に見ますれば拡大するというわけではないわけでございますね。大体企画室企画部、なぜそういう名称にこだわるのでしょうか。室のほうがいかにも企画するのに適当な名称なんであって、なぜ室というものを部にしなければいけないのか、私にはわかりかねるのです。なぜそういうふうな役人ぐさい——私も役人あがりですけれども役人ぐさく名称にこだわるのでしょうか。その点やはりこれは役人一つ弊風的観念ですかね。
  8. 志村清一

    志村政府委員 室と申しますと、いわば先ほどもちょっと申し上げましたように、スタッフ的な機構でございますが、ただいま申し上げましたように仕事量増大内容複雑化に伴いまして従来の室的な取り扱いよりも、部制にいたしましてそして課を置いて下部機構を整備するということによって、増大した事務量複雑化した事務内容を処理しやすいようにいたしたいということでございます。他意ないわけでございます。
  9. 華山親義

    華山委員 何か室の下には課を置けないという通則みたいなものでもあるのですか。
  10. 志村清一

    志村政府委員 一般的に下部組織を整えましたものは部とするのが通例のように承知いたしております。
  11. 華山親義

    華山委員 人員は増さない。何か形式にとらわれているような気もいたしますけれども……。  大臣にお尋ねいたしますけれども、この室を部にするところは太平洋ベルト地帯だけでございますね。私は地方に帰りまして、私は山形県の者でございますけれども、これは選挙演説になりますよ。いかにいまの政府というものは太平洋ベルト地帯開発に熱心なのか。太平洋ベルト地帯地建は部にした、東北北海道あるいはほかにもあるでしょう、裏日本、そういうところはいまのままなんだ、地域的計画開発というものは太平洋ベルト地帯重点が置かれているじゃないか、これはその一つ証拠だということは、私は一つ選挙演説になりますよ。なぜ全国的にそういうことをしないのか。人は増さない、整備をする。そういうことであるならば、すべての地方についてそういうことをやるべきじゃないのか。経費がかかるわけでもない。なぜそういうふうな地建だけにそういうことをやるのか。どうして全国一斉にやらないのか。その点一つ大臣の考え方をお願いしたい。
  12. 坪川信三

    坪川国務大臣 華山先生が、八つのうち四つ太平洋ベルト地帯であって、日本海のほうに対しましてなぜこの措置を講ぜなかったかと御指摘になるお気持ち、またその立場あるいはその問題点も理解いたさないわけではございませんけれども、御承知のとおり、関東地建は、首都圏という最も重要な土地を管轄する地建であり、また近畿圏においてもしかりであり、中部圏においてもまたしかりであり、九州においてもまたしかりであるような気持で、私といたしましては最初最重要といいますか非常に事業量の多いところを選びまして昇格をお願いいたしておるような次第でございますが、いずれにいたしましても、私は残りの四地建に対しましてもその事業量あるいは規模増大等を考えるときに、その時点に立ってまた昇格をお願いいたす時期も私はそう遠くなかろうかと思うような次第であります。さしあたって事業量の多い、規模の多いところの四地建に対して昇格をお願いいたしておるような次第でございます。
  13. 華山親義

    華山委員 当然のことでございますけれども大臣はそういう太平洋ベルト地帯事業量が多いとおっしゃる。それが現在の政治あり方じゃないですか。後進地域には事業量が少ない。そして太平洋ベルト地帯には事業量が多い。これは現実でございましょう。それでいいのか。  私、資料をお願いしたいのでございますけれども、数元年にさかのぼって、建設省の所管される、あるいは建設省の外郭的な公団等におきまして、各地区別公共事業費幾らなになるのか、それが一平方キロメートルといいますか、単位はどうでもいいのですけれども、それは一体どのくらいになるのか、人口一人当たりについての事業量は一体幾らになるのか、そういう点を資料としてお出し願いたいと思います。委員長、ひとつよろしくお取り計らいを願います。いまわかっておればけっこうです。
  14. 志村清一

    志村政府委員 先生御要求の資料につきましては、できるだけすみやかにつくりまして先生のお手元にお届けしたいと存じますが、私ども建設省所管土木事業費で、昭和四十年度分につきましては、各ブロックごとに一応の比率が出ておりますので、簡単に申し上げますと、関東がほぼ二八・六%、近畿が二〇・五%、中部が一一・七%、九州が一〇・四%、東北が九%、中国が七・八%、北陸が七・五%、四国が四・二%、大体そのような配分に一応なっております。
  15. 華山親義

    華山委員 何についてですか、比率というのは。
  16. 志村清一

    志村政府委員 建設省所管昭和四十年度の土木事業費でございます。全体を一〇〇といたしまして、各地域ごとにパーセンテージを出しますと、ただいま申し上げたような数字になります。
  17. 華山親義

    華山委員 私がお願いした資料と違いますけれども、私のお願いした資料、おわかりでございましょうか。  それで、いま企画室になっておるわけでございますけれども地建の各企画室の係官の人数をひとつ教えていただきたい。
  18. 志村清一

    志村政府委員 昭和四十四年の二月におきます地方建設局企画室人員でございますが、北から申し上げますと、東北が三十名、関東が四十九名、北陸二十六名、中部三十一名、近畿三十五名、中国三十名、四国二十二名、九州三十一名、合計二百五十四名でございます。
  19. 華山親義

    華山委員 各地区によって、あるところが部であり、あるところが室である。私はその地方に与える印象としてはよくないと思う。室を部に直すということ自体が了解ができないのでございますけれども地方によって室であり部であるというふうなことは、私は、何かいまの政治あり方太平洋ベルト地帯に片寄っているという印象を与えるとともに、それが政府やり方一つの表現であるようにも思えるわけです。私は、なるほど現実の問題として、太平洋ベルト地帯とあるいは東北北海道、そういうところで現実仕事の違いはあると思いますけれども、今後何年かのいろいろな計画を立て、いろいろな調査を進めておくということは、私はやはりそういう地域はそういう地域なりに重要な問題だと思う。目前の仕事をするものではないと思うのです。ただ各県庁あたりからいろいろな相談にも見える、そういうこともあると思いますし、現実にそういう地域建設省のやる仕事が多いから相談も多いということもわかりますけれども、私は、やはり後進地域後進地域なりの遠大な計画があっていいと思う。いまから準備しておくべきだと思う。ですから、企画部あるいは企画室、そういうものの仕事内容に相違はあるかもしれませんけれども、私は差別的な待遇はすべきじゃないと思う。それは私は山形に帰ったら言いますよ、ほんとうに。われわれは前から言っている。太平洋ベルト地帯重点が置かれて、東北などはもう片すみに置かれているのだ、こういうことをよく言うわけですけれども、その証拠には建設省はこうやっているじゃないか。そして、これは一つ選挙演説になりますよ。大臣、これは政治家として少しやり方がおかしいのじゃないですか。私考えるのですけれども、各地方に局があります。各省につきまして出先がある。東北には東北通産局があり、いろいろなところに通産局がありますけれども、その規模において違っておっても、機構において違うということはあまり聞かないですね。それは東京とか大阪、そういうところと東北あるいは北海道、そういうところとで違っておると私は思わない。たとえば、石炭の出るところと石炭の出ないところで違いはあるかもしれない。しかし格をつけるということは、私はとんでもないことだと思うのです。同じ仕事の中で格をつけるということは非常によくないことじゃないか、私はそう思いますが、先ほど大臣の御所見によりますと、東北でも裏日本でも仕事がだんだんふえたら増していきます、こういうことでございますけれども、私はそういうことじゃないんじゃないのかと思うのですが、大臣、何か御所見はありますか。なかったらそれでけっこうです。
  20. 坪川信三

    坪川国務大臣 華山委員指摘の点でございますが、私の建設行政基本方針は、先般申し上げましたとおり、均衡のある国土開発が私の大きな目標であり、当然の方針であると私は思います。そうした点を考えますときに、私どもとして考えますことは、現時点におけるところの過密現象の問題とともに、最も不幸なことは過疎の問題であろうと思うのであります。  そうした立場から、私は、過疎対策には道路の面からいわゆる地方道あるいは中小河川小規模河川を含めまして、過疎地帯に対する道路対策、これらにはもう御案内のごとく、いわゆる農山振興道路あるいは離島道路あるいは奥地等産業開発道路、これを四十四年度の予算ではかなり私は配慮いたしたつもりでございます。たとえば農山振興道路に対しましては、昨年の予算に比しますと大体三八%増をいたしております。また奥地等産業開発道路につきましては、前年比約一八%の増をいたしまして、これらの対策に投じておりますとともに、中小河川小規模河川に対しましても同様な立場予算の増をはかっておる。これは、私といたしましては、前段で申し上げましたし均衡のとれた国土開発ということを目標にした過疎対策の一環でございますとともに、いま八つ地建の中にありまして、いわゆる過疎地区中心にして、たとえば東北におきましては山形庄内という地区を対象にいたしまして、そして過疎対策一つの大きなモデル地区として、生産人口の魅力ある場をつくっていきたいということで、私はいま東北地建に命じまして、山形県の酒田、庄内中心とした過疎対策一つモデル計画を立てさせております。これがいずれ五月、六月ごろには出てまいる、こう思います。そして一つ東北山形中心過疎対策標準地モデルを策定しながら、過疎対策一つの大きなアイデアを打ち出してまいりたい、こういうようにいたしておりますので、私は決して残りの四地建に対しましての差別的な気持ちを持って、昇格をいたしたということでなくして、私は全部をお願いいたしたい気持ちは十分ございましたけれども一つのプロセスとして四つを選びまして、そして私の計画といたしましては、来年度の四十五年には残りの四地建をぜひまたお願いいたしたい、こういうようなことでおりますので、私の基本方針過密対策も大事でございますが、それよりも過疎対策重点を置きたい。不幸な僻地山村重点を置きたいというのが、私の建設行政基本でもあり、また山形県あるいは日本海津における過疎対策の構想として、いまそうした具体的な作業を急いでおることも御了承願いたい。たとえば山形県の庄内、寒河江でありますが、あの新庄を中心として、いま客観的にも主観的にも十分素材を総合的に集めまして、具体的な検討を続けていることにおいて、御理解も願えるのではないか、こう考えております。
  21. 華山親義

    華山委員 たまたまおことば過疎地帯のことを言われました。過疎地帯対策というものは、これは非常にむずかしい問題です。これは道路をつくることによって従来山間僻地であったものが僻地でなくなる、こういう場合もしばしば私は見もし、またそういうことで開発も、力が弱いのでございますけれども、やってきたつもりです。バスの通らないところにバスが通るようになれば、そこの人は近くの町まで働きに出かけられるのですから、そういうふうな意味過疎地帯の問題は重要だと思います。  しかし、まず第一に考えられることは、食っていかなければいけないということなのです。交通がいかに便利になりましても、道がいかにできましても——道は要らないというわけではございません。先ほど申し上げたとおりでございますけれども、そこの地域の人が普通の人並みに食っていくということがまず第一の問題。それですから建設省の問題のみならず、政府全体としていかにあるべきかということを考えていただかなければならない。ところが現在、私の見聞するところ、過疎地帯生活をし、生活のかてを得るということは非常にむずかしいじゃないか。これは現在のように経済合理主義のもとに、経済効果ということばかりねらってやっていたのでは、私はとてもあの人たちは食っていけないと思う。私のほうの庄内地方とおっしゃいましたけれども小国というところがございます。この小国は四十戸、五十戸というふうなところは大きいほう、十戸、二十戸というふうな集落が百十七ある。小国町の面積で、大体香川県に相当するところだと思うのですけれども、そこに散在する集落が百十七ある。これを三つ、四つに集めようと思ったってなかなか集まるものではないです。あそこの町長が非常に熱心で、それで半年かかってようやく一つ二つ集落を集めることができた。しかも小国町は、このあたりとしては珍しく本町が工業地帯であるためにできるのですね。そういう意味で非常に私はむずかしい問題だと思います。建設省だけではできない、そういうふうなことでございますけれども、重大な関心を持っていただきたいのでございます。ひとつ大臣、おことばのとおりやっていただきたい。  それから過疎地帯に関連しておっしゃいましたから、私は出かせぎ者の問題につきまして、ひとつ申し上げておきたい。そういう過疎地帯生活をしなければ食っていけないということを申し上げた。何で生活をしているかといえば、これは山の中へ行けば行くほどみんな出かせぎなんです。そういうことでようやく生活を維持しているわけです。その出かせぎ者に対する対策が、私は四、五年前よりはよほどよくなったと思うけれども、まだまだ政府として一つの一貫した出かせぎ者対策ができていないわけです。  きのう、こういうことがありました。お話をいたしますと、私のところに千葉県のある飯場から電話がかかってきて、その飯場の人が言うには、飯場に便所があるけれど、くみ取りに来ないというのですね。大便があふれて困っている、へたまごつくと、江戸川にでも何でも流すようになるとたいへんだから、先生何とかしてくださいということだった。代議士が出かせぎ者の便所の世話までしなければいけないのが現実だ。それから私は市川の市役所にお願いをしまして、市川の市役所でさっそくやってくれましたけれども、そういうふうな実態なんですね。そういう実情は建設飯場に多い。建設大臣の所管される飯場にですよ、過疎地帯の人々が来て生活をして、そうしていまのようなのは一例ですけれども、賃金の不払いなり飯場の生活上の問題なりに苦しんでいる。この現実を救ってもらいたい。まずここから始めなければいけないと私は思う。大臣いかがですか。これは労働省の問題だというふうに言われるけれども、労働基準法というものは労働条件の最低の基準をきめたものだ、労働基準法の第一条はそうなっている。そしてこれを向上させることを目途にしている。これを向上させるということは、私は建設省仕事だと思う。過疎地帯の出かせぎ者のそういう処遇というものに留意していただかなければ、そういうことは一挙にして解決される問題ではないのである。このことについて所見をひとつ伺っておきたい。
  22. 坪川信三

    坪川国務大臣 非常に不公平な過疎現象からくる生活の問題から出かせぎをされまして、所得を何とかつないでおられるという不幸な農山村から来られる出かせぎ労務者の皆さんに対する問題、これはやはり根本問題は過疎対策の欠如からくるということに相なると思うのであります。したがいまして、建設省といたしましては均衡のとれた国土開発、建設ということを目標にいたしておりますが、いまの農山村において消防の管理すらでき得ない財政上の困窮の地帯もございますし、学校の経営すらでき得ないというような不幸な現象すらできておることは、私の郷里などの山村を見ましても、その現象について私は憂慮いたしておるような次第であります。したがいまして、これらの現象の不幸をなくするという観点から見るならば、先ほど華山先生も御指摘になったとおりに、これに対する問題はいろいろございます。やはり道だけできまる問題でもございません。道の問題から、川の問題から、あるいはいろいろとございますから、それを総合的に打ち立てていく方針として、私は先ほども申し上げましたように、四十四年度の地方道の対象につきましては、いわゆる三八%、あるいは一八%の前年度比の増額をはかりながら過疎対策の解消の一助にいたしたい、こう考えますとともに大きな、いわゆる幹線道路、高速道路等を含めますと、約三十二本でございますが、その三十二本を結んだ総合的な国道の開発とともに、市町村道と地方道を含めますと約四十万キロの道路がございます、それらを、一つ基本の大きな太い綱の網とまたいまの四十万キロに及ぶところの道路網との一つの結びをいたしまして、そしてそこに、一定規模の都市を中心にして、道路から、河川から、下水から、公園から、学校、その他産業等も含めましてのモデル地区を制定いたして、その総合政策によって過疎解消をいたしてまいりたいというのが私の大きな過疎対策のアイデアであり、構想であるということは、先ほど申しまして、御理解いただけると思います。過疎地帯などからの労務者の方々がとても食っていけないから上京されたり、あるいは他の都市へ行かれて出かせぎをされておるというようなことを見ますときに、ことに公共事業に従事されるところの労務者対策ということはやはり大事な問題点でございますので、これらに対するところの建設省の業者に対する指導、あるいは生活環境あるいは給与等につきましても、やはり十分こまかい配慮をいたしながら行政指導をやっていくよう、各県の局長会議においても、あるいは各県の土木部長あるいは工事事務所長会議等におきましても、それらの労務対策についても私はこまかい配慮をしてくれるように指示もいたしておるようなわけでございまして、いまの千葉におけるところの一地域の飯場の不幸な現象等につきましてもごもっともな要望だと思いますから、これらの点には、さらにわれわれといたしましては前向きに行政指導を強く打ち出してまいりたい、こう考えておるので、御了解願いたいと思います。
  23. 華山親義

    華山委員 私は当選しましてからもう五年間になりますけれども、出かせぎのことは毎年のように言っているわけです。しかし五、六年前から見ますと、よほどよくなったようでございます。ただ、私、いかにも遺憾に思うことは、労働省にまかせっきりで、建設省に積極性がないということですね。この点はとにかく建設業界ににらみがきくのは——もしにらみがあるとすればですよ、労働省でなくて建設省なんです。その点、もう少し建設省という立場からやっていただきたいと思う。  そこで伺いますけれども、現在日本の建設業界の屋外労働者、技能者は別ですよ、屋外労働者というのは一体どこからどういう経路で供給されているものですか。
  24. 志村清一

    志村政府委員 屋外労働者につきましては、建設業者の元請ではあまり直接雇用をしていないようでございまして、下請業者がそのような労働者を持っておりまして、元請は下請に依頼してそういう労働力を使わしてもらっておるという状況だと存じます。
  25. 華山親義

    華山委員 労働者はどういう人でしょうか。出かせぎ者は季節労働者として来ておりますね。そのほかの労働者というのは大体安定所から供給される労働者じゃありませんか、どういうふうになっていますか。
  26. 志村清一

    志村政府委員 一般の建設労働者、屋外の、特に熟練労働者でない方々につきましては、直接継続的に雇用している場合もございますが、一般的に正規の職業安定所を経由して雇用されるという形態よりも、むしろ縁故と申しますか、知り合い関係で参るという状況のほうが多いように承知いたしております。これらにつきましては、やはり正規の職安等を通じまして採用されたほうが必要な労働条件の確保等についても間違いがないわけでございますので、このような正規のルートを通ずるようにということにつきましては、私どもも労働者とともに業界等に対しても指導を進めておる状況でございます。
  27. 華山親義

    華山委員 大臣も御承知だと思いますけれども、私は出かせぎ地帯で出かせぎ者をいろいろ訪問いたしましたり、実情を聞いており、また地方の実情も知っておりますけれども、現在のままでいきますと、私は出かせぎ者が建設業界から少なくなっていくと思う。と申しますことは、現在工業の方面で出かせぎ労働者を非常に多く求めている。予想外と思われるかもしれませんけれども、パンなんかに冬に労務者がたくさん来るのですよ。それは、保存ができるので、一年間に売るパンを冬の間につくるのです。そういうことで、いまとにかく大きなパン屋へ行ってごらんなさい、出かせぎ者がたくさんいますから。それからいろいろな工場あるいは自動車会社、そういうところに行って、最も簡単な仕事をやっておる。市町村ではできるだけかたまって行ってほしいということで集団的な就職のあっせんをしますけれども、土建業には決してあっせんしません。信用のできる工場に大量あっせんする。その傾向はこの数年非常に見えてきましたけれども、私はこのままでまいりますと出かせぎ者は土建業には来なくなるのじゃないか、少なくなるのじゃないか、そういうことによって労働力の面で土建業が行き詰まるときがくるのじゃないか、こんなふうに考えますね。その見方からも、今後の日本における建設が重大であるということであるならば、労働基準法を越えた精神で出かせぎ者その他の労務者を大事にする政策をとっていただかないと、私は労働者の立場からのみ言うわけじゃない、建設業界自体が困ってくるのじゃないかと思うのです。  それで、いま出かせぎ者の対策といたしまして、労働省は奨励金を出したような形で通年制を奨励している。いま建設業界で、そういうふうな奨励によって通年制というものはできるでしょうか、私はできないと思う。いかがですか。
  28. 志村清一

    志村政府委員 先生仰せのとおり、今後の建設事業の方向につきましては、りっぱな建設労働力がどの程度建設業に来ていただけるかということは一番大事な問題だと存じます。かような意味におきまして、私ども先ほど申し上げましたように、労働省ともども、建設業界に対しても、業界の態度を明確にいたしまして、良質なりっぱな労働力が確保できるように、また労働者の側からいえば働きやすい場ができるようにというようなことを、行政指導といたしましていろいろ考えているわけでございます。先生も御承知のとおり、私ども指名等をいたします場合におきましては、労働福祉の状況というふうな点につきましても点数をつけまして、たとえば、宿舎が悪かったとか、あるいは労賃の不払いをやったとか、あるいは約束に違反したとかいうようなことがございましたところにつきましては相当大きな減点をいたしまして、資格をだんだん下に下げていくというふうなことなどもいたしております。また業界といたしましては、私どもの指導によりまして情報センター等も設置、活用をいたしまして、それらの活躍によりまして、労働者につきましても、働きやすい時期なりあるいは場所なりを考えてまいろうというような企てはいろいろやっておるわけでございます。そういったものを総合いたしまして、先生の仰せのとおり、今後の建設業界の立場から見ましても、りっぱな労働力が確保できるような方向に大いに進めていかねばならない、かように考えておる次第でございます。
  29. 華山親義

    華山委員 大臣もその決意を固めてもらいたいのでございますけれども、名前は言いませんけれども、いま大企業に何々組というのがありますね。あれは、成立からいいますと大体人夫稼業だったのですね。日本の土建業というものは、徳川時代からもそうなんですけれども、とにかく人の力でやっていたわけです。最近になって機械力というものが出てきて形態が変わったけれども、人という面では一つも進歩しておらない。何々組というのはいまたいへんな会社になっておりますけれども、もとはみな人入れ稼業ですよ。そういう形態から変わったわけです。それで、私は思うのです。建築業につきましては、これはいろいろな要因がある。暖房あり、電気あり、装飾あり、いろんな要因があるから、そこに下請というものができるのは当然だと思うのですけれども、建設、土建業につきまして重層的な下請ということは、私はわからない。一つ仕事、同じ仕事を二段、三段に分けて、三段目はただ人入れ稼業みたいになっちゃって、そこに中間のピンはねが行なわれる。ピンはねということばが悪ければ、そういうふうな業界というものは直さなければいけないと私は思うのですが、重層下請、こういうものはやめさせるお気持ち、ございませんか。
  30. 志村清一

    志村政府委員 ただいま先生のお話ございましたように、建設業は確かに、何と申しますか、経営形態として古くさいものがだいぶ残っております。その結果重層下請の問題等々の問題が事実起きておることは私どもも伺っております。こういった立場に立ちましてどう考えていくかということでございますが、私どもといたしましては、下請業者の保護ということにさらに徹底して考えていくべきではないか、かように考えておる次第でございます。ただいま私どもといたしまして、建設業法の中におきましていろんな項目がございますが、最大の問題点一つといたしまして、下請業者をいかに保護育成していくかという課題について取り組みまして一応建設業審議会等におきましても、各方面の、たとえば零細の業者の方々、あるいは建設労働関係の代表の方々も含めましていろいろ御審議をいただきました結果、たとえば下請業者に対しましてはっきりとした契約を結ぶ、あるいは下請業者に対しまして一定の資材等の指定をして元請業者がかってに資材を買わせるというようなことをチェックするとか、さらには工事代金をもらいました場合に、いつまでもほっといてはならぬ、幾日以内に支払わなければならぬ、さらには下請業者が労務者に賃金を不払いをした場合、元請として当然責任を負わねばならぬような状態のもとにおきましては、そういった賃金の不払いがあった場合、元請がその責を負わなければならぬというような種々な問題点を検討いたしまして、そういう意味におきまして、下請業者並びに下請に使われる労務者の保護といった点について一つの成案を得ております。近くそういった成案を国会に上程いたしまして、下請業者の保護育成といった点につきまして新しい対策を打ち立てたい、かように考えておる次第でございます。
  31. 華山親義

    華山委員 大臣がお帰りになったので、たいへん残念ですけれども、農村の実態をひとつ申し上げておきたい。  最近農村に参りますと、もう労働力が、出かせぎその他によってないわけです。それからいろんな価格の問題もありましょうけれども、市町村営等の小さな工事を引き受ける土木業者がなくなってきたということなんです。それですから、大臣建設省がいかに山間僻地のことを熱心におっしゃっても、私は仕事ができなくなるのじゃないかと思う。大企業は決して山の中の小さな仕事なんかやりはしない。そういう仕事をするのはむしろその地方の小企業なんですね。その小企業が人が得られない。そういうことのために仕事ができないのが現在の山間僻地のあるいは小村の実態です。それでどういうことをやっているか。県営事業はある程度大きいですから、その県営事業の近くのところは、県営事業をやっている業者に頼む。国営事業をやっている近所のところは、その人に頼む、そういうことをやっているわけです。しかも、それですから入札なんということは、これはもう有名無実ですね。役場のほうで土建業者に頭を下げていかなくちゃならないのです。しかし随意契約をするわけにはいかない。そうすると三軒くらいの業者にいってまた頭を下げて、頭数だけそろえて、そして談合、というよりも、談合じゃないですね。何というのですかね。役場のほうで初めに交渉してようやくきまった中小企業に落札するような入札をしてもらう。これが山間僻地の実態です。建設省は建設全体、いま大臣の言われたとおり考えていられるのなら、市町村道ということばが出ましたけれども、そこまで考えなければだめですね。山の中に働く人がいないのだから。そしていま河川改修の方式は高水式でしょう。ですから大きな幹線河川は堤防を高くして、できるだけ直線にして、早く水を落とす、そういうふうになりますから、水位が高くなるから、それで小河川まで全部水がはけなくなる。そこが私は山村の洪水に対する被害が多くなった一つの原因じゃないかと思っているのですけれども、御意見があれば承りたい。そういうふうにして荒れてしまうところの小山村についての工事をやる人がだんだんなくなってくる。私はその点非常に大きな問題、大臣の言うように構想ばかり立てたって、実行できないのじゃ何ともならぬ。こういう点について何か、大臣おいでにならないのは残念でございますけれども、御所見があれば伺っておきたい。
  32. 志村清一

    志村政府委員 建設労働力が逐次不足をいたす、特にだんだん人が外に出ておる地域につきましては、建設労働力の確保も非常にむずかしくなっているじゃないか、このような事態では、今後の国土建設も非常にむずかしいのではないかという御指摘でございます。先生の御指摘のとおりかと存じます。さような意味におきましても、私どもといたしましては、先ほど大臣からお話がございましたように、過疎対策の問題等々じみちに進めると同時に、建設業自身が労働者にとって魅力のある事業と申しますか、さようなものに育てていく必要があろうかと思うわけでございます。確かに業者の数は現在私正確な数は存じておりませんが、十四万業者ほどございます。そのうちいわゆる大臣登録業者というのは数千にすぎません。大部分のものは地方業者でございまして、これが数としてはふえておるわけでございます。廃業する方もございますが、新たに建設業の登録を受けられる方も相当ございまして、年々相当の増大を見ております。業者としてはある程度各地区に一般的にあるが、しかし肝心な労働力が足らぬではないかという問題がそこにあろうかと存じますが、これらにつきましてはただいま申し上げましたように、たいへん迂遠ではあるかもしれませんが、建設業そのものが労働者にとって魅力のあるものになるようにお互いにつとめていかなければならぬ、かように考えて業界ともいろいろ相談などいたしておる状況でございます。
  33. 華山親義

    華山委員 では、これで終わります。
  34. 藤田義光

    藤田委員長 次は、受田新吉君。
  35. 受田新吉

    ○受田委員 それでは大臣がいまお留守のようでございますので、政務次官が来られるということであるから、大臣にかわって政務次官でけっこうですから、政治的発言をお願いしたいと思います。  今度の改正案を拝見をしますと、この法案そのものはしごく簡単な改正点を指摘しておるにとどまっております。ただ、ここで法案そのものに対するずばり質問を申し上げますならば、八地方建設局のうちで業務量の多い四地方建設局に対してその企画室の組織を部制にしたい、こういう趣旨でありまするが、室を部にするだけで中身がどう変わっているかの御説明がありません。官房長より御答弁を願いたい。
  36. 志村清一

    志村政府委員 室を部に名称を変更するに伴いまして、従来の企画室では一室で処理するだけの仕事以上の仕事が出てまいったわけでございます。事務量増大もそうでございますが、その内容もいろいろ複雑になってまいったわけでございますので、二課を予定しておりますが、課制をしきまして下部機構を整備強化いたしまして事務処理の円滑化、能率化をはかりたい、かように考えている次第でございます。
  37. 受田新吉

    ○受田委員 課制及びその増加人員を御指摘願いたい。
  38. 志村清一

    志村政府委員 人員の増員はございません。課は企画課及び技術管理課、この二課を置きまして、企画課におきましては計画面に関する事務を所掌させ、技術管理課におきましては土木技術に関する技術及び管理等の事務を所掌させたい、かように考えている次第でございます。
  39. 受田新吉

    ○受田委員 それで部制にした強化効果があるということですか。これははなはだ机上の空論のように思う。人間がふえるわけでもない、そして課制を二つしいて気休めの課長さんといういばった人が二人できる、従来の室長が部長になる、こういう程度のものだと思うのです。つまり管理職を三人強化するというだけの意義しか私はないと思います。  ずばり質問しますが、室長は従来等級で何であり、今度の部長は何にするか。また人員が増員されていないのでございまするが、課長は従来どういう形で存在しておったのか御答弁を願いたい。
  40. 志村清一

    志村政府委員 企画部長でございますが、従来企画室長が二等級でございます。今度の部長も二等級でございまして、等級につきましては同じでございます。課長につきましては、各企画室に専門官が何人かおりました。その専門官を振りかえまして課長にいたしたい、かように考えております。  先ほど来お話がございますように、室を部にして課を設置するだけでは意味がないのではないかという御指摘がございましたが、現在企画室の係が非常にたくさんの係に分かれております。仕事の中身の質的な変化と量の増大等によりまして、たとえば関東地方建設局企画室のごときは、係長が九つありまして非常に多岐に分かれております。そのような企画室仕事やり方につきましては、現在の状態におきましては一室でなかなかカバーしにくい、一室の適正規模をこえておる、かように考えておるわけでございます。企画室の組織を二課にいたしまして、それぞれ担当者を置きまして、それによりまして所掌事務の円滑化をはかってまいりたい、かような趣旨でございます。
  41. 受田新吉

    ○受田委員 これはあまり意味がないと思うのです。室長を部長にして同じく二等級だ、一向に地位が高まったわけでもない。係長というのが九人おると言ったと思うのですが、その中から二人課長を採る。そうすると係長が二人減るぐらいのものですね。そういうようなただ単に人間をふやさないで中におる人の地位をちょっといじくる程度で、これに書いてある長期的かつ計画的な国土開発必要性が高まってきている現状から、この目ざましい社会経済の発展に呼応しようという措置としては、はなはだ理屈が成り立たぬ。あまり意味がない。私はこうした機構いじりというものは、現在の企画室でゆっくり間に合うと思うのです。課長を二人置いたからといったってたいした質的な変化はありませんよ。むしろ企画室という名前はまことにいい名前である。地方の県庁の中にも室長というものが知事の近くにおって非常な権威をふるっておるところもあるし、知能の参謀本部ですから、企画室という名前は非常に魅力のある名前だと思うのです。それをほかのものと同じ部制にしたのでは、企画の根拠地としての味わいが非常に薄くなる。特にそれが地建でございまするからより一そうそういう感じを深めておるのでございますが、人間をふやさない、ただ単にポストの名称を変えていく、こういうもので事務処理を進めていくのに何の効果があるか。むしろ企画室をそのまま残しておいたほうが味わいがあって、また従来皆さんに親しまれておるのであるから、そのままのほうがより効果的な仕事ができるという印象を受ける。どうも私その点に納得のできない節があるわけです。  それから大体この企画、かつて建設省は建政局という局を御計画になって法案をお出しになったことがあるのです。私は建政局の意義のなさ、計画局がありまた各局があるのでございますから、そこで十分目的を果たす意味でこの必要性のなさを提案したところが、これが流れて、とうとう建政局が受田発言によってつぶれたことがある。しかしそのときに私ふと思ったのですが、企画性というものは非常に大事なものであって、ある程度政治的な政策的な深みのあるものがほしいと別のほうで思っておりました。そういう意味から、地建でいうならば、この企画室はそうした政策的な基本的な頭脳の部署でなければならぬのです。それを部にしたら、それが効果があるということよりも、部とは違って企画室、参謀本部だ、こういう味わいを持たせるほうがむしろ効果が大きいのじゃないかと痛感するわけです。事業開発計画というようなものを、ただ単に事務的な処理でなくして、実施官庁としてだけでなくして、政策官庁としての権威を持たしめる必要があると思うのですが、これ、どうお考えですか。
  42. 志村清一

    志村政府委員 私どもといたしましても、建設省自体がこういった地域計画あるいは広域的な土木計画等につきまして、先生の御指摘のように、さらに意を用いねばならぬということについては、御指摘のとおりだと存じております。ただ、先ほど来申し上げておりますように、室という名称もなかなかいい名称でございます。が同時に、室によりましては非常に仕事が広範多岐にわたりますので、ある程度責任者を何人か置きまして事務を処理させませんと、非常に事務の処理上適切でない。先ほど来申し上げておりますように、企画関係につきましては企画課、そして技術管理面については技術管理課というふうに二部門に一応分けまして、それを統合して企画部にするということによりまして、仕事の適正な執行がはかられるのじゃないか、かように私ども考えて御提案を申し上げたような次第でございまして、地方庁におきましても、企画室というものもございますが、最近は企画部というのも相当数多くできておるように承知いたしております。
  43. 受田新吉

    ○受田委員 名称にこだわるという意味でなくして、企画室というものは魅力のある名称です。地方にも、企画室長というのをそれぞれ企画部長にせにゃいかぬというような、そんなとらわれる気持じゃなくて、十分企画室長の権威を発露しておる。それから大体国土計画地方計画に関する調査をやるということと、土木工事に関する技術管理改善をやるということについて、私問題があると思うのですが、後者のほうで申し上げますならば、建設省が登録制を認めておる建設業者、建設産業者、これの中に賃金の不払いをやってみたり、不正工事をやってみたり、また非常に技術が未熟で失敗を繰り返したり、非常に古い体質で近代的な土木工事をやっていくという傾向があるわけです。この登録制というようなものをもっと厳重にして、いま大臣登録と知事登録という、総数は十数万登録業者があると思うのですが、これはただ届けをするだけのようなものでなくして、少なくとも何かの許可制にして、その資格規準をうんと高めて、近代的な業者として失敗を繰り返さないように、古い体質に、近代的な血潮をそこへ流し込んで、新しい時代に即応する業者たらしめるような用意が一向進んでおらぬ。古いタイプの業者を既得権者として用いて、至るところで失敗しておる。急傾斜地にほんにこそくな基礎工事をやった上に建築をして、それが流れ出て犠牲を多く受けている国民がたくさんあるというこの現状などを見たときに、私、かつて河野さんが建設大臣に就任されたときに、この建設業者の体質改善にきびしい要求をしたのでございますが、実力者大臣ですら、なかなかようその前進をはかり得なかった。官房長として、これに対しての御意見を承りたいのです。これはいずれ政治的な発言を要求することですが、事務当局として……。
  44. 志村清一

    志村政府委員 建設業者の体質がたいへん古くそうございまして、新しい時代に適合していないという後指摘でございますが、確かにさような面があるわけでございます。現行法におきましても、それに対応するいろいろな対策を立てております。先ほど申し上げましたように、賃金不払い等がございますと、業者の資格において、資格の格づけをする場合に、下のランクに下げる、あるいは仕事をやった実績が悪かった場合に、一々点数をつけまして、その資格を下げていく、あるいは非常によくやればプラスをつけまして上げていくというような操作もいろいろやっておりますが、基本的に建設業者はいかにあるべきかということにつきましては、建設省の付属機関といたしまして中央建設業審議会というのがございます。そこで過去数年にわたりまして、各方面の方々と御議論を戦わしていただきまして、登録制を許可制に切りかえたらどうかという御答申が昨年の一月かと思いましたが、出ております。実態問題といたしましては、ほんとうに仕事のできる、能力のある方を擁した業者を認めていくどんなに大きな業者でも小さな業者でも、ただ一人資格者があれば単にそれを登録して済ませるというのではなくて、小さい業者は小さい業者なりに、あるいは大きい業者は大きい業者なりに、自分でちゃんと仕事をやっていけるという方々を建設業者にしていこうという方向で、許可制の検討をいたしております。これらについては、今国会に上程申し上げまして御審議をわずらわしていただきたいと存じている次第でございます。
  45. 受田新吉

    ○受田委員 これがいつまでおってもなまぬるい行き方であるところに、何か建設省がかつての内務省時代のお役所の印象を濃厚にしていることはいなめないと思うのです。  私は、昭和二十七年五月に初めてアメリカ各地を視察して、自来十三回海外旅行をやっているわけですが、独立国家になって初めて海外へ行ったときのその海外の道路計画及び河川計画等のあまりにも目を見張るばかりのりっぱなものを見て、敗戦の痛苦の中でわが国の将来は一体どうなるのかという印象を確かに受けて戻ってきた。ところが、わが国はたいへんものまねをすることがうまい国家でありまして、外国の道路、外国の河川改修、そういう技術を学び取ると同時に、なかなか要領のよい計画を実行に移しておられる。けれども一つ大きな欠陥が出ておる。この東京の町に例をとってみても高層建築物が相次いで、空から見ると、近代的な墓場のようなかっこうで高層建築がくしの歯のように並んでおる。そして立体交差の道路中心は非常によくできておる。ところが、一たび裏町に行ってみると、貧民窟の姿そのままの住宅がマッチ箱のように並んでおる。この貧富の差のあまりの激しさ。諸外国では道路、河川というものがよくできておると同時に、住宅にしても末端にまで行き届いた住宅ができておりまして、この貧富の差を非常に圧縮しておる。五つらだけを見ると、ものまねのうまいわが国として、なかなか要領のよいかっこうで建設計画が進められておるが、一皮むくと、庶民の生活の中にあまりにも哀れなものがそのまま残っておる。戦後二十四年たった今日、ヨーロッパの先進諸国家ではセカンドハウス、第二の家、いわば別荘に類する建物をどうするかというのが国会で討議されているが、わが国でセカンドハウスを持つ人間は高級官僚の方々か大会社の社長、重役——まあ高級官僚はそこまでいかぬ方が多いと思うが、政治家、いわゆるボス政治家と称する政治家、あえて大政治家とは言いません、ボス的存在の政治家が別荘を一つではなく、二つも三つも持っておる不届きな者がおる。(「けしからぬ」と呼ぶ者あり)けしからぬ。こういうありさまで、庶民の家は戦前の水準にまで達していないというこの近代的国家の住宅事情というものは、まことにあわれである。過去十年の例をながめてみると、賃金は二倍よりふえないのにかかわらず、家賃というものはその何倍かの高い水準に上がっておる。地価は十年間に都市において十倍ないし十三倍に上がっておる。新しい家をつくる対策も、六百七十万戸という目標昭和四十一年から五カ年計画を一応立てて、それを着実に進めておるようなことをおっしゃっておるけれども、これは民間に依存する数が約六割、政府は四割しか考えておらぬ。しかも、今度政府自身が昭和四十四年から非常に不届きなことをやっている。公営住宅の住宅用地の経費の補助打ち切り制度というものをやっておる。こういうことでは、民間住宅を奨励するといったってこれは容易にできませんよ。公営の賃貸し住宅をどんどんふやすという政策をとって、低家賃で住宅が利用できるような方策などを一体どう考えておるのか。畳一畳敷の比率にさえもならぬような、四畳半に五人も六人も住んで家庭悲劇が起こっておるこの現実をどう見ておられるか。ばかげた大別荘をつくる一部の専権階級をそのまま放置して、生きるための最低限の道さえもとどめておるというようなこの行き方が、まことに私は建設省としては政治の貧困を実践しておるとしか言えないと思うのです。シビルミニマムという考え方も建設省でおありのようです。いわゆる国民的背景、最低限の生活を守ろうとするお考えがあるということを新聞で拝見しました。このシビルミニマムという考え方の中に、その線までいかない人が一体どのくらいあるかという数字がちゃんとあげてあるのか。中央の官庁ばかりりっぱにつくって、個人の住宅が一人一畳にも足りないところで親子の悲劇が起こり、そのためにまた風俗的な弊害が起こってきておる気の毒な人たちを残したままで、官庁営繕にだけ力を入れているという政策は一体どうなのか。これは大臣に聞きたいところでございまするが、事務的な処理として、一応大臣不在、政務次官不在というこの異常な状態の中で、あえて事務当局の見解をただそうとするところの雅量の大きさを十分くんで、ひとつ官房長より御答弁願いたい。
  46. 志村清一

    志村政府委員 御指摘がございますように、住宅問題というのはわれわれ庶民にとりまして最も強い要望を持っておる問題でございまして、われわれといたしましても、住宅問題につきましては今後さらに力をいたしたい、かように考えております。本年度におきましては、住宅対策の一般予算関係では、大体事業費といたしまして二六%の増になっておりまして、われわれの全体の予算の増が一六%に比べますと相当の伸びを示しておりますが、しかし、今後はさらに住宅問題につきましては力をいたしてまいりたいと思っております。  官庁営繕工事につきましては、それぞれに要請のあるところでございますが、これは先生の御指摘のように、昨年四十三年度に比しまして本年四十四年度は七%増ということで、私どもの所管いたしております営繕工事については、何と申しますか、遠慮を申し上げているという状況でございます。しかしながら、住宅建設につきましては、先生指摘のように、これから量の問題、さらには質の問題、さらには職住近接の問題といったようなたくさんな課題があるわけでございますが、特に量の問題と並べまして質の問題につきまして、今後われわれといたしまして十分意をいたさねばならぬ、かように考えておる次第でございます。
  47. 受田新吉

    ○受田委員 官房長せっかくの御答弁でございますが、私これまでに二回ほど西欧の国の実例を発言したことがあります。西ドイツは官庁営繕ということについては一番あと回しにしておる。庶民の住宅が完成した後に官庁営繕に移っていく。だから最近においてもまだ焼けビルで事務をとっておる役所があることを先般も私ある雑誌で読みました。これは感心なことです。執務するところは粗末でもよい。しかし、個人の住む家だけは、衣食住足りて礼節を知るという意味から、個人の住宅の確保に全力を尽くして、住宅問題というのはヨーロッパでは完全に解消しておる。公務員住宅も同様です。同時にセカンドハウスが国会で論議されておる。ここまで前進しておる。ところがわが国は、これは残念なことでございますけれども、中央のみならず地方においても官庁にばかに力を入れて、庶民住宅というものはあと回しにするという忌まわしい弊風がある。この基本的な路線は間違っておるかどうか。これは歴代の大臣から官房長はどういう指示を受けておられるかでございますが、まず庶民の家をりっぱになし遂げるという方針が省議としてきまっておるのかどうか。  もう一つは、四十五年で一応六百七十万戸の建設計画を——毎年私質問することで、大体順調にいっておることを御答弁になっております。昭和四十六年から先の昭和六十年までの二千七百万戸の計画というものはまだつまびらかに伺っておらぬ。特に量よりも質の問題はどうか。家さえできればというマッチ箱をつくるのではなくて、中身の充実した文化生活を裏づけにした住宅建設というのが次の十五年間に計画をされておると思うのですが、そういう長期展望に立つ住宅政策をお伺いしたい。
  48. 志村清一

    志村政府委員 ただいま庶民住宅、住宅政策一般に関しての歴代大臣の御意向をどのように聞いておるかという御質問でございますが、私お仕えしました大臣いずれも住宅対策については、やはり国民に愛情を持った、国民に対する対策の中で最も重要なものの一つであるということで、住宅対策については歴代大臣ともたいへんなお力を入れておるように私どもは受け取っております。私どももそれに対応いたしまして、住宅の確保をいかにするか、これは私ども自身の望みでもあるわけでございますので、住宅対策については、従来も微力ながら力をいたしたわけでございますが、今後さらに力を尽くしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  第二点の四十五年度で終了いたします第一次の五カ年計画でございますが、これにつきましては、先生指摘のように、曲がりなりにも私ども六百七十万戸の完成は可能ではないか、かように考えておりますが、それはさておきまして、その次の第二次の計画でございますが、これにつきましては、御指摘のように、長期展望にと申しますと、大体昭和四十年から六十年までの二十年間につきまして、われわれの長期展望といたしましては二千七百万戸程度、あるいはこれはもう少しふえることになるかもしれませんが、一応そういう数字を想定しておりまして、私どもただいまのところは、小家族では九畳、普通の家族では十二畳というような部屋の住宅の最低基準を考えておりますが、その時点におきましては、一人一個室というようなこと、それから同時に共同室も確保したい。そうなりますと、大体平均八十五平米程度の大きな住宅になって、安定した住生活が続けられるのではないかということを目標にいたしております。かような長期計画に即応いたしまして、第二次五カ年計画につきましては、量ももちろん大事でございますが、質の拡充ということについてさらに意をいたし、また同時に、先生指摘のように、低所得階層に対する低家賃住宅の確保ということ、並びに最近の職場と住宅が非常に離れていろいろな不都合を起こしておるということにかんがみます職住近接の立場というもの等を十分考え合わせ、同時に最近におきます民間住宅の建設状況等も考え合わせまして、民間金融等について各般の手を打っていくということを骨子にいたしまして、これからの第二次計画を考えてまいりたい。これらにつきましては、住宅宅地審議会というのがございますから、それらに相はかりまして、ただいま審議を進めていただいておる現状でございます。
  49. 受田新吉

    ○受田委員 私、政務次官が来られたからちょっとお尋ねしたいのですが、私がいま官房長にお尋ねしておることは、日本の国は住宅がはなはだ不足して、しかも住宅を利用する人々の住宅部分の費用がばかに高まって、賃金は上昇率が非常に少ないというので、生活が非常に困難になっておる。こういう状態の中で、いたずらに官庁をどんどんりっぱにつくり上げたり、みえばかり張る。見えるところの立体交差路をどんどんつくってみたりしている。こういうようなことをあと回しにして、みえをやめて、中身を充実するという政策転換が必要ではないか、こういう指摘をしたわけです。政務次官もおととしの秋に一緒にヨーロッパの旅をされたわけで、ヨーロッパの住宅事情をあなたも見られたのだが、貧民窟のようなところは先進諸国家ではほとんどない。後進性の国は別です。ところが、わが国は一皮むけば、大学、高校を出て、五年、六年たって三万円ぐらいの月給をもらっても、一間貸りるのに家賃が一万円も要る。それも五カ月分ぐらいのいろいろの種類の経費が要るということを考えたら、もう半分近いものを住宅費に払わにゃいかぬような悲惨な状況になっておる人がたくさんあるわけですね。これをどう改善するかということが建設省のたいへん大きな任務だと思うのです。それなのに、いわゆるボス政治家とか、あるいは大財閥の社長、重役などは別荘を幾つも持ってわが世の春をうたっておるという、この生きながらの天国と地獄のような様相を何とか解消できないのか、こういうことをいま私は要望したわけです。まず経緯を一応申し上げておきます。  その次に道路計画でございますけれども道路にいたしましても、人道をつくるほうはほとんどおろそかにしておる。もう自動車のための道路のようなかっこうになっておる。ガードレールの外に人道があるというようなところはあまりなくて、人間はどこを通ったらいいか。それからいま日本は自転車が非常に多い。マイカー族でなくて、自動車を持ち得ない自転車族がたくさんおるのです。自転車を用いる人の自転車道を政務次官は見てこられた。北欧の国々では、まことに豊かな人道、自転車道、車道ときちっといって、そこでは交通事故などはほとんど起こっていない。一万五千という死亡者と百万というけが人、七十年の人生と見ると、三十人に一人は死ぬか、あるいは再起不能のようなけがをするかというような悲惨な交通戦争のわが国である。これは文明国家としてまことに私は残念だと思うのです。順次お答え願いたい。都市計画の中で、近代的な都市としての長期展望に立つ計画を進めないで、場当たり的な計画を進めたがゆえに、東京都などはこそく手段でやったがゆえに、根本的な長期計画というものをなしにやったために、ほんとうに当面を糊塗するような関係でこの道路計画も進められておる。ここに河川局長もおられるが、河川にいたしましても汚物がどんどん流れて不潔な川で、これはたまったものではない。もっときれいな川、きれいな道路、人間、自転車、自動車、どこかにゆとりのある、交通戦争を抹殺するような豊かな国づくりができないのか、これは建設省のたいへんな仕事だと思うのです。この点については、道路局長、河川局長を含めて、それぞれ日本の道路計画と河川計画と住宅計画、それに対して政務次官から、大臣のおいでまでに御答弁をそれぞれいただきたい。
  50. 渡辺栄一

    渡辺政府委員 ただいま受田先生からのまことに卓見でございますが、私どもも全く同じような気持ちを持っておるわけでございます。ただ、それぞれの国の特徴もございますが、大体わが国は従来木造が多いわけでございまして、そういう意味におきましては、せっかくの家というものが長きにわたって活用できない。こういう家も順次建てかえてまいらねばならぬ。あるいはまた土地が狭小であって、非常に人口密度が高い。最近の経済の成長が非常に激しい。いろいろな状況がございますが、いずれにいたしましても、わが国の住宅政策というものがさらに十全を期さねばならぬということは論をまたないところだと私は思うわけでございまして、人間尊重の立場に立って先生がお話しになりますことには、私ども全く同感でございます。  これに対しまして、政府といたしましては、住宅五カ年計画をやってまいりまして、あと一年を残すところでありますが、大体六百七十万戸の計画は達成できるような状況になっておりまして、われわれもこれを完全に遂行するために最後の努力をせねばならぬと考えておるところであり、そういう意味におきまして、昭和四十四年度の住宅関係予算等もお願いをしておるわけでございます。したがいまして、官庁営繕等につきましては昭和四十四年度予算はすでに御承知いただいておると思いますが、他の予算と比べましてほとんど伸びておらない状況でございまして、できる限りそういうものは抑制をしながら、私どもは住宅政策等に重点的に予算を振り向けてまいりたいと考えておるところでございます。  なお、いまお話のございました道路等につきましても、非常に交通量がふえておりますので、いわゆる交通地獄といいますか、それに伴いまする犠牲者がたくさん出ておりますることはまことに遺憾なことでありますが、そのために交通安全に対しましては緊急三カ年計画をやってまいりましたけれども、今回また新らしく三カ年にわたりましてその万全を期するために法案等もお願いを申し上げておるところであります。  なお、歩道あるいは自転車道につきましても、先生御承知のように、今国会におきまする交通安全対策内容において、あるいはまた自転車道につきましては新しく別途の法案によりましていろいろとお進めをいただいておるところでございますので、御趣旨のように歩く人間が軽視をされておるというような現状に対しましては、われわれといたしましても十分考えてまいらねばならぬと思っておるところでございます。  なお、都市の環境が悪化してまいりまして、われわれの生活環境というものが外国等に比べましてもあまり健康的ではないというような問題につきましては、私どもも都市計画法をお願いいたしまして、ことしの六月からその施行に入るわけでございますから、それに伴いまして市街地整備地域あるいはまた都市調整地域というような区分をいたしまして、いわゆるスプロール化を防ぎながら市街化整備というものを秩序立て、しかも能率化していくということをお願いいたしておるわけであります。さらに今国会におきましては都市再開発法をお願いをいたしまして、さらにこれらの肉づけをいたしていこう、こういうことを思っておるのでございまするし、なおそれに関連をいたしまして建築基準法の改正、これらにつきましてもいろいろと御審議を賜わろうということでただいま準備を進めておるところでありまして、あらゆる方面から先生の御趣旨のような方向に進んでおるつもりでございます。  河川につきましても、終戦直後の大きな河川が災害を起こしましてたくさんの人命、財産を失いました当時から考えますと、御協力のおかげをもちまして河川の災害対策というものも相当進んでまいりまして、最近におきましては、都市河川、中小河川、こういうものに順次きめこまかい手を及ぼしながら、こういう河川の災害というようなものに対しましては相当な成果をあげつつある現状であると思いますが、さらにこれらの問題を推進いたしまして、災害等は防止をすると同時に、汚濁対策、水質保全というようなものにつきましても、今後そういう公害対策の問題につきまして、きめこまかく手を伸ばしてまいりたいということを考えておる次第でございますので、いろいろ具体的な問題につきましては、御質問に応じまして局長から御説明をすると思いますが、先生の御趣旨のようなつもりで建設省といたしましてはただいま進めておるところにつきましてぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  51. 受田新吉

    ○受田委員 いま建設委員会のほうへ出してあるところの都市再開発法案、それからいま指摘せられた交通安全対策の緊急措置法、こういうようなものを見ても、これはあちらの委員会でやる性質のもので、これはどうもなまぬるい感じがするのです。いまから質問しようとする地価公示法案というようなものを見ても、そうなんですが、一応みな質問さしてもらいましょう。  ちょっと地価に触れますが、山手線あたりへ鉄道の建設計画を進めると、一キロについて七十億に近い金がかかる、その七十億のうちで七三%は用地費だといわれる。それだけばかげた地価である。諸外国を見ても、土地がこんなに高いところはない。坪当たり十万だ二十万だというような値段という異常な事態は日本だけで、ヨーロッパの国々は大体その十分の一程度で、地価は安定しておる。なぜそんなことをやったか。これは自民党長期政府のいわゆる野方図の土地政策がそうさしたのであって、たとえば都市の周辺で農地を持っておる人は、五反か一町歩持っておった農民の皆さんにしても、一億とか二億とかいう土地売却費でりっぱな家を建て、マイカー族になり、そして逆にそういうところから、一時に富を得たので、腐敗堕落して転落する人間もおるというような悲劇も一方には起こって、とんでもない事態が起こっておる。サラリーマンが一生かせいだって持ち家を持つことのできないような状態の中で、土地政策のなさのために、こういう不合理な現象を起こしているということについては、渡辺政務次官いかがお考えであるか、御答弁願いたい。
  52. 渡辺栄一

    渡辺政府委員 ただいま受田先生のお話しになりました、非常に地価が高騰いたしておりまして、それが公共事業の推進に対しましても相当な、いわゆる土地買収代金というものが大きなパーセント、七十数%占める地域もあるというようなお話でございまして、政府の土地対策は一体どうなっているのかという御意見だと思います。私どもも最近地価が高騰しておりますことは非常に遺憾であると思うわけでございますが、何にいたしましても、御承知のように急激な経済成長、そういうものがまたいわゆる世帯の細分化というようなものも呼んでおりますし、あるいはまたそういう経済成長に伴いまして、住まいの需要というものも増大をいたしておるわけであります。非常に狭い土地に密度の多い人間が居住しておりまするいろいろな宿命的な状況等もございまして、私どもといたしましては、お話しのような地価が高騰しておる事実は認めざるを得ないと思うのでございます。  そういう意味におきましていろいろ施策を進めてまいったのでございます。特に昨年の十一月二十六日でございましたか、地価対策閣僚協議会が開かれました。その御決定をいただきました方針等に伴いまして、具体的にきめのこまかい地価対策というものをいま進めておる段階でございます。こまかいことは関係局長から申し上げますが、まず第一番に土地の有効なる利用を促進するという意味におきまして、これは重複をいたしますから避けますけれども、都市計画法等を六月から施行しようとしておるわけでございます。それから第二番目には、国並びに公有地を大いに活用したい。特に建設省は都内にございます関東地建の利用しております土地も、今回これをみずから進んで開放いたしまして、これをひとつ住宅対策に資したいということを考えておるわけでございます。なおまた、税制のみによって土地対策を進めることについてはもちろん問題があるのでございまするが、そういうような積極的な諸般の政策を進めるのと並行いたしまして、やはり思惑によりまする土地買収というようなものにつきましては、これは税制の面からも抑制してまいらねばならぬ。それから今度の地価公示法によりまして土地の公示制度を確立をいたしたいということで、ただいまお願いをしておるところでございます。  なお最後に、土地の需給を緩和いたしまするために、私どもといたしましてもいろいろな施策を推進しておるわけでありまして、何にいたしましても非常にむずかしい、また重要な緊急な政策でございますので、私どもといたしましてはきめこまかくこれらのものを進めてまいりたいと考えておるわけでございまして、今後とも何かとひとつまた高い視野から御指導をいただきたいと思う次第でございます。
  53. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、政務次官からなかなか熱心な答弁があったわけですが、私はあなたに一つお尋ねしなければならぬことがあるのです。自民党長期政権の結論として、富める者はいよいよ富み、貧しき者は取り残されておるという現象が起こっておる。自民党の大ボス政治家は別荘を幾つも持つほど豊かな暮らしをしておる。別荘が幾つあるか。あなたのお友だちの大臣等の中で別荘を持っている数がどれだけあるか、御承知ならば、一番多いのはだれで、どのくらいあるかを御答弁願いたい。そして一方では、四畳半のところに五人も六人も住んで、一家の悲劇を起こすような悲惨な人が末端にはうようよしておるのです。スラム街、広島の川の原爆犠牲者の町並みを見てもそうです。これは文明国家として非常に恥ずかしい。やはり人間尊重の政治が欠けておるのじゃないか。一部の人は富み栄えて豊かな暮らしをして、別荘を幾つも持ち、一部の人は住まう家もない。月給の割合にして住宅費がばかに高くかかっておる。この現象を改めるためにはどうしたらいいのかということについて御所見を承りたいのです。
  54. 坪川信三

    坪川国務大臣 憲法に明記してありますごとく、われわれ日本国民は健康にして文化的な明るい生活を営む権利を有すると明記されているのは、受田委員御承知のとおりであり、また政治の要諦はその目標に向かって政治を遂行するのが当然の政治の姿勢であり、つとめだと私は考えております。したがいまして、これらに対する諸施策につきましては、やはり時代感覚を持った社会正義感に立脚した政治でなければならぬと、こう考えておる次第であります。したがいまして、いま御指摘になりましたわれわれ国民が、血を分けた民族がそれぞれの立場において、それぞれの分野において、それぞれの生活圏においてしあわせな方向に一つ一つ積み重ねていくことが政治の姿だ、私はこう思います。われわれ自民党政府におきましてもそうした立場に立って政治を行なっておるということは、私は御理解いただけるのじゃないかと思うのでありますが、いまわれわれといたしましては、そうした立場均衡のある国土開発の建設と、均衡のある、格差のない国民生活を営み得る生活環境をつくり上げていくということを建設行政目標として私は鋭意努力いたしておるような次第でございます。
  55. 受田新吉

    ○受田委員 御答弁のごとく鋭意努力されているにもかかわらず現状は、あまりにも上下の格差があり過ぎて、住宅事情に一つ例をとっても、余分の第二、第三、第四の別荘を持つような人もおると同時に、その日の暑らしにも命を縮めるような困惑な住宅事情の人がおる。したがって、住宅建設計画についても、お役所をつくることをやめる。あるいは別荘を幾つも一人でたくさん持つというような行き方については、道義的抑制を加えて、そして庶民をいたわっていくというような形に自民党の政治の方向を向けていただくならば、これは私は頭を下げて最敬礼をさせてもらいましょう。そういう方向へどういうふうな考えを持っておられるかをいま私は伺っておるのです。ヨーロッパの先進諸国家では、これだけ貧富の差をつくっている国家はありません。何回もあなたも御旅行されて思われるでしょうが、貧民窟のようなものとか、いわゆる後進性の国は別ですよ。これは悲惨なのがたくさんあるが、いわゆる先進国家と称せられる国々は、住宅事情は一応満ち足りた形です。わが国はその点に非常に大きな差ができた。これをどう改めるか。
  56. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほども申しましたように、私といたしましては、いわゆる庶民の立場に立って絶えず行政も行なわなければならぬ、こういうような気持ちを持って、住宅政策に対しましても、かなり社会資本の立ちおくれのここ四、五年の動向を見ますときに、この不幸を私はぜひとも取り戻してまいりたい、こういうような希望と情熱を持ちまして、四十四年度の予算編成に際しましてそれぞれ努力をいたしてまいったようなわけでございます。御指摘になりましたような住宅政策に対するヨーロッパ先進国等の住宅の現状と日本の現状を見るときに、その差の激しいことも私は決して否定するものではございません。われわれの国家経済の許す範囲内においてその是正に最大の努力をいたすのがわれわれ政府に課せられた重大な責任である、こういうような気持ちを持って、いま最善の努力をいたしておるような次第でありまして、目標に対しては、受田議員と全く私は理想とまた気持ちの上においては一致いたしておると御理解もいただけるんじゃないか、こう考えております。
  57. 受田新吉

    ○受田委員 土地は非常な公共性と社会性を持っているものです。個人の財産権というだけで考えるわけにいかない。公共の福祉のためには、憲法二十九条でも、その個人の財産権に制約を加えることができる。ところが都市周辺の農地を持っておる人たちは、いわゆる不労所得だ。何億という土地売却費を個人がせしめるような政治をやっておる。税制の上においても事実やっておる。だからそういうとんでもない収得を得る人がある。不労所得です。その部分——いわゆるある基準以上の部分については、それは公共性及び社会性の立場からこれを国家が吸い上げて、そして住宅事情の困る人にそれを渡していく。地方なら地方の公共団体に、そういう余分の収得があった分をそれに振り向けていくというようなかっこうにして、公共性、社会性を持った土地を、できるだけ多くの国民が幸福を享受できるようにこれを善用させてもらうような形の政治が要ると思うのです。都市周辺の何億という不労所得をそのまま放置して、一部税制においてある程度の措置がしてあるけれども、大半はもう不労所得だ。それを放置して土地の値段をつり上げて、一般サラリーマンなどは持ち家主義なんというものは夢にも考えられないような状態に置いている。三十年営々と勤務する勤労者が、ついに最後まで家を持ち得ないでこの世を去っていくという運命にあるのが日本の政治です。ところが都市周辺の者は、何億という富をたくわえて、まことにわがままなぜいたくざんまいの暮らしをするという、この土地の公共性、社会性を無視した政治に対して御見解をお示し願いたい。  今度、地価公示法の中に土地鑑定委員会というものがあるようでございますが、そういうところできめた値段を、たとえば公共用地にこれを吸収する場合に、土地収用法でごね得をするような者を押えつけるとか、あるいは地価公示法できめられた金額でぴしっと統制をとって売買をさせるというようなきびしいものであるか、ただ単に基準を設けただけで制約のないようなものであれば、これは全く絵にかいたもちの結論に達すると思います。あわせて御答弁願います。
  58. 坪川信三

    坪川国務大臣 地価公示制度の問題については、受田議員所属の党であります民社党も、この問題については非常な熱意を燃やされながら地価公示制度の決議案を四党共同決議においてされたことは、受田議員御承知いただいておると思うのであります。したがいまして、われわれは党派をこえまして、現実の地価高騰に対する抜本的な対策を講じたい、こういうような考えをもってこの決議をそんたくいたしまして、各党の御了解と御支援もいただきまして、地価公示法をいま提案さしていただいて御審議を願っておるような次第であります。しかし、これが地価高騰に対する万能薬、即効薬というほど、私はこれによってすべてが解決するというようなことは考えておりません。これらの制度を一つ一つつくり上げ、策定いたしながら総合的な地価対策をさらに確実に立ててまいりたい。それには税制の面からも考えなければなりません。  御承知のとおりに、今度いわゆる個人の長期の所得に対する分離課税あるいは短期に対する分離課税というような財政措置を抜本的にいたしましたことも御理解いただけるのじゃないか、こういうような気持ちも持っております。また御承知のとおりに、技術上においても多くの問題点が伏在はいたしておりますけれども、私たちは土地の空閑地税と申しますかあるいは未利用税と申しますか、これらの点などもやはり前向きでいま私は何とか考慮いたしながら、ひとつ実現の方向に持っていきたいということで検討も加えているようなわけでございまして、これらはひとつ総合的に打ち立ててまいりたい。たとえば、やはり各党が御要望になっておるところの国公有地の活用というような問題もございます。それとともに、いま御指摘になりました都市周辺地における現象を見ますときに、われわれといたしましては都市再開発法の制定をお願いいたしていま御審議を願っておる最中でもあり、六月から実施予定でございます都市計画法の適切な運用というようなこと等、あらゆる面を含めまして私は都市建設、住宅建設と並行して解決しなければならない土地、宅地地価対策に対しましては、真剣に今後も努力いたす決意であります。
  59. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、あなたも教育界の御出身でして、道義的な国民への奉仕という精神は十分御体得しておられると思います。私がさっき指摘しました大政治家——大政治家というよりはボス政治家と言いたいのですが、ボス政治家とかあるいは財閥の巨頭という者は、自分の家をりっぱにするだけでなくしてたくさんの別荘を持たれる。こういう風潮に対しては道義的な意味からどう考えられるのか。国民の中には住宅難にあえいでいる者がたくさんある。世界の文明国の中でも、異常な、一番悲惨な住宅事情の国家で、一部の人が別荘を幾つも持ち、ぜいたくざんまいのわがままをするというのは、国民の指導者としてはたいへんな間違いであると思うのです。陣頭に立って国民とともに苦労するという、先憂後楽の思想を十分植えつけていくという心がけが必要だと思うのです。道義的な責任を大臣、どうお考えになるか。これはきわめて大事な、閣内において反響を呼び起こすような発言になりますが、どうぞ……。
  60. 坪川信三

    坪川国務大臣 私といたしましては、ボスといいますか、御指摘になりました大政治家といいますか、これらの方々がどのような別荘をお持ちになっておられるか、あるいはいま建てつつあるかというようなことについては、私は何ら興味はございません。それよりも、自分自身の政治体勢を正していく政治家、政党になるというところに最大の努力をいたすということが私の政治姿勢でありまして、私といたしましては、ここで申し上げてはたいへん失礼な個人的な点にわたるかもしれませんが、私の福井のうちは借家でございます。東京のうちは東京の住宅金融公庫から借りて、いまなお四千二百円ずつ払っている。私は、お互い政治家が倫理感を持って進むということが一番大事なことであろうと思います。
  61. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たいへんごりっぱである。あなたは、さすがにそういう道義の世界に生きてこられただけに、率先垂範しておられる。あなたのような閣僚ばかりであるならば、日本の政治はとっくに切り変わっておるはずだ。現状はまことにきびしい。天国と地獄の住宅事情である。あなたはそれを閣内においても、人にこういうことは押しつけてもいいと思う。閣内で、お互いは別荘を幾つもつくるようなことは遠慮して、庶民の家をつくろうじゃないか。あなたによって閣内がチェンジできると思います。政治家がチェンジし、あなた一人が閣内で主張されることによって、そういういい空気ができる。こういうことで頭の下がるあなたのような方々がすべての閣僚であり、またわれわれを含めたすべての政治家である、こういう時代をつくって日本の政治を変えようではありませんか。非常に意気投合、まことに頼もしい。  最後に一言、高層ビル、これはすでに三十六階、近く四十二階ができるようである。三百三十二メートルの東京タワーもある。地震はいつ起こるかわからないという情勢、気象庁の地震課長の木村さんは、最近の発言で、マグニチュード七という規模の地震が一年以内に日本列島のどこかに起こる確率が六八%あると言っておる。関東地震、安政の地震、そういうものから見ると周期的な予測もできる。われわれのこの地下には地震のエネルギーが非常にたくわえられておるというとき、この東京に関東大地震のような地震が起こったならばどうなるか。損害保険協会の説明を聞くと、住宅と家財だけでもう三兆円、国家予算の半分の損害があると指摘しておるのでありますが、建設省の地震対策はどうなっておるのか。ドライバーの道路対策において地震はどういうふうに考えられておるのか、高層建築はどういうふうに考えられておるのか、最後にこれをお尋ねして質問を終わります。
  62. 坪川信三

    坪川国務大臣 大事な非常に重大な問題でもあり、また技術上の大事な問題でもございますので、政府委員をして答弁させます。
  63. 沢田光英

    ○沢田説明委員 建築物の面からまずお答えをいたします。  最近高層建築物ができておりますが、それ以前に三十一メートル程度の建築物はすでに長年都市を埋めて建てられております。こういうものにつきましては、わが国は関東大震災の教訓によりまして、耐震構造としては非常に完全な構造計算、構造設計上の基準ができております。これのもとであります建築基準法におきましては、一応安全であるという規定でございますが、これを受けまして建築学会等でこれだけの耐力がなければいけないという規準が実にかっちりきまっておりまして、これは世界各国から日本に学びに来るという程度のものでございます。したがいまして、既往の耐震構造建築物、大規模建築物につきましては、これはマグニチュード七、八が来ましてもだいじょうぶでございます。さような基準が指定されて、それに従って建築がされております。  ただ御指摘のように、最近超高層の問題が出てきております。これにつきましては、既往の計算方法でなかなか解析ができません。それでこれは一つ一つについてコンピュータを使いまして計算をして、一つ一つ耐力を確かめてやっている。これは一件一件高層につきましては、建設大臣の承認ということでやっておる。かような意味で学会あるいは建築研究所、そういうところの厳重な目を通しましてできておりますので、これも想定される地震に対しましては安全であるというふうな措置がとられております。建築物の面からお答え申しますと、さようなことでございます。
  64. 藤田義光

    藤田委員長 鈴切康雄君。   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕
  65. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 建設省設置法改正関東中部近畿九州地方建設局企画室を廃止して新たに企画部を置くとありますけれども、第一点としては、一体何ゆえ企画室企画部にする必要があるのか。関東中部近畿九州地方建設局に限り企画室企画部としたのはどういう理由であるか、その点についてお伺いいたします。
  66. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました四地建に対しましての室を部に昇格をお願いしておりますことは、いわゆる八つ地建を持っておる建設省といたしまして、その地区に対する軽重あるいは評価をもっていたしたということでなくして、いわゆる現時点における東京首都圏中心とするところの関東地建事業量その他規模内容、また中部圏における名古屋の地建あるいは近畿圏における大阪の地建、並びに北九州中心とする北九州地帯における九州地建の事業の内容、重要性、規模等にかんがみまして、これらの適切なる事業の計画を推し進めてまいりたいという考えで、室を部に昇格をいまお願いいたしておるような次第でございます。したがいまして、今後の方針といたしましては、われわれといたしましては、均衡のある国土開発、建設という立場から、私は逐次これらの残りの四地建に対しましても、昇格の制定をお願いするような準備をいたしておるような次第であります。
  67. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 建設省は、生活中心都市構想なる考えを明らかにされておりますが、その構想の趣旨はいかなる理由によりますか、その点についてお伺いします。
  68. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のとおりの都市への人口、産業の集中によるところの地方過疎化ということは、非常に私は不幸な現象だと思います。そうしたことを考えますときに、われわれといたしましては、先ほど申し上げました均衡のある国土開発また格差のない国民生活の環境の整備というようなことを考えるときに、地方生活圏構想というものをぜひとも打ち立てまして、昭和四十四年度の時点におきましては各地建地区ずつ、お互いいま調査を進めておりまして、それを選びまして、そしてその都市を基準にいたしまして道路あるいは河川あるいは通信あるいは下水、公園あるいはまたその他の点の一つモデル生活圏の整備を行ないまして、そして生活と生産の魅力ある場をつくっていくということが、地方生活圏の大きな構想であります。これを打ち立てながら、私は全国の過疎の激しい地帯を逐次そうした方向に持っていく、国土総合開発、国民生活の環境整備をいたしたい、こういうような構想であります。
  69. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この生活圏構想なるものは、一つ過疎対策に対するところの建設省の考え方でないかと思うのですが、そういう意味におきますと、基礎集落をつくるにはどのような考え方でおられるか。
  70. 志村清一

    志村政府委員 地方生活圏につきましては、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、過疎地域におきまして、現在住民生活自身が非常に阻害されておるような状況のところにつきまして、中心的な都市をまん中に置きまして、一体的に整備する必要のある地区を考えておるわけでありますが、その中で、いろんな部落がございます。それらの部落をどう集約化していくかというふうな問題等もございますが、それらの問題につきましては、実は自治省とか経済企画庁というところでもさような調査を並行してやっておりますので、それらをかね合わせまして考えてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  71. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その基礎集落の構成をする段階におきまして、基礎集落にならないような場所、それくらい過疎的な場所もあると思うのです。すなわち、あなたのほうで言われておるところの再編成集落に対して私は大きな問題があるんではないかと思うのですが、その再編成集落というものの解決なくしては過疎の問題は解決ができないんじゃないか、このように思うのですが、この点についてどのような御構想があるのか。
  72. 志村清一

    志村政府委員 ちょっと私正確に覚えておりませんが、部落の再編等につきましては、主として経済企画庁が中心になりましてこういった調査を進める計画を四十四年度に持っておると承知いたしております。私どもも、先ほど申し上げましたように、関係の各省とそういった調査を並行しながら進めてまいりたい。この中における部落の再編ということの持つ意味は非常に大きいかと存じますが、私どもといたしましては、そういったよその省の調査とも相まちまして、生活環境施設の整備あるいは道路網の整備というようなこと等につきましてフィジカルなプランを進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  73. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 官房長、あなたがおっしゃるのは少し勉強していないんじゃないかと思うのです。実はこれはお宅からいただきました「地方生活圏における圏域構想と道路整備構想」の一例なんですけれども、これには明細に、再編成集落というものについてもこのように書いてあります。そういう観点から見ると、それは自治省だけの問題でなくして、生活圏構想については少なくともあなたのほうで主体としてやられておる問題じゃないか。それに対して、要するに再編成集落というものが取り残されてしまう、あるいは基礎集落にならないというような問題については、非常に大きな問題があるわけです。そのために生活圏構想というものがくずれてしまうようなことも考えられるのですが、その点についてお伺いいたします。
  74. 志村清一

    志村政府委員 確かに、私も先ほど申し上げましたように、この生活圏構想の中におきまする部落の再編という問題は非常に大きな課題でございます。われわれといたしましても、そういった調査も兼ね考えてまいりたいと存じますが、あわせまして経済企画庁なり自治省なり関係の各省も同様なそういった調査を別の角度からやっておりますので、そういった調査もあわせながら考えてまいりたい。それと同時に、道路網の整備とかあるいは生活環境の整備とかいったようなプランを進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  75. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに居住環境の非常に悪いような小集落については、基幹となる集落等、すなわち移転をするあるいは誘導するということによってそれを達成していきたいという生活圏構想の一環でありますが、しからば実際にはどのような具体的な方法をとってこの集落というものを形成していくかということについてお伺いいたします。
  76. 志村清一

    志村政府委員 ただいま私どもがやっておりますのは、四十四年度からこの調査に取りかかろうという段階でございまして、調査の段階に応じましていろいろ考えてまいりたいと存じておりますが、やはり中心部と部落とを結ぶ道路網の整備というようなことが一つの大きな課題であろうかと存じます。それから具体の集まってくる場所の生活環境の整備ということが第二の問題。次いでは住宅をいかにして建てていくかというふうなことが第三の問題というふうに、いろいろな問題に分かれるかと存じます。  道路につきましては、先ほど大臣からもお話しがございましたように、過疎地域における道路網の整備という一環におきまして、この生活圏の中におけるところの基幹的な道路の整備を今後考えてまいりたい。住宅につきましても、住宅金融公庫の融資なり何なりにつきまして、農村住宅の融資という項目等もございますので、調査の結果によりまして、そういうものも考えてまいりたい、かように考えております。
  77. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たとえ過疎の場所においても現在なお生活をしているわけであります。長い間の慣習、因襲、そして先祖からの土地、こういうものに対しての離れがたい気持ちは住民は当然持っているわけであります。未開の土地に、ただ建設省計画をされたということだけでその移転をされるということになると、住民は非常に困る問題等が出てまいるわけでありますが、そういう点等について具体的にはどのようにお考えになっているか。
  78. 志村清一

    志村政府委員 この生活圏の調査は、先ほど来申し上げておりますように、まだ調査の段階でございまして、あるプランを考えてまいりたい。もちろん地元の公共団体とも十分御連絡を保ちながら考えてまいりたい。そして強制的にどうこうするというふうな問題ではございませんので、先ほど先生もおっしゃったように、考え方としては誘導方策を考えてまいりたい。そのためには、道路網の整備とかあるいは住宅に対する融資の活用とかいうふうなことが考えられるのではないかと存じている次第でございます。
  79. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは建設省計画局のほうではすでに二年ぐらい前からこういう問題については取り組んでいるわけであります。ですから、調査の段階からもう少し進んだお話が聞けるのではないか、私はきょうはこのように思って御質問申し上げているわけです。一向に進まないということは、地方生活圏構想というものは案外これは画餅にひとしいというふうにも思えてくるわけであります。  そこで、いろいろ問題点等もあるわけでありますが、簡単に御質問いたします。幹線交通網の整備に要する推定費用は大体どれくらいかかる予定になっておりましょうか。
  80. 多治見高雄

    ○多治見説明員 現在道路五カ年計画を実施中でございますが、その最終的な目標といたしております道路のビジョンと申しますか、考えております姿は、全国に七千六百キロの幹線道路網を整備しようということで、昭和六十年度を目標にしてやっておりますが、それに要する費用といたしましては、五カ年計画の、現在計画しております期間内に、九千七百億円でございます。
  81. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 建設省は、構想をあらわしております。地方生活圏構想すなわち、その生活条件の確保をはかるために、基礎集落、第一次中心部、第二次中心部、生活中心都市を構成するためには、大体推定どれくらいの財源を必要とするのか、その点についてお伺いします。
  82. 志村清一

    志村政府委員 ことし、調査の費用として、七カ所、五百六十万という予算を計上いたしておりますが、構想としては生活圏構想を兼ねていろいろ検討いたしておりますが、具体に予算をつけまして、特定な地域を選びまして調査をするという形は、四十四年度から初めて行なうわけでございます。
  83. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この地方生活圏構想というものは相当の費用がかかるわけです。その費用が、建設省として大体幾らくらいの費用によってこれがどのような財源を必要とするかということは、あらかじめその見通しが立っていなければ、ただ単にばく然と雲をつかむようなことではこれはとうていできる問題ではないのではないか、その点について調査の段階であるというようなお話でありますけれども、すでにある一都市を中心としてのこまかいデータ等も出ておるわけですから、そうした場合におけるところの地方都市生活圏構想というものははたしてどれくらいかかるかということは、当然算出されなければならない問題ではないか。大きい都市にせよ、小さい都市にせよ、それを分類したときには、すでにこれだけの構想としての費用がかかるということがなされて初めていろいろ検討されるべき問題があるのではないかと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  84. 坪川信三

    坪川国務大臣 非常に大事な問題であります。これに関連いたしましては、私もこの地方生活圏の構想を打ち出しまして以来、これらの御指摘になりました点もやはり十分準備いたさなければならぬ、こう考えておるのでございますが、大体私の構想として持っていきたいという一つの手順と申しますか、方法と申しますか、具体的な進み方についてはこう考えておるのでございます。御承知のとおり第四次国土総合開発の試案が出てまいっております。とともに最終的なるところの総合開発の結論もやがて出てまいると思います。その時点に立っていわゆる結論といいますか、中間的に出てくるところの地方生活圏構想もおのずからあると思いますので、これらの構想も私はよく検討いたしながら、並行いたしまして、これの最終的な国土総合開発基本法を制定していきたい、こういうような考えでおりますので、その時点においての今後の国家的財政等の投入その他の経済的な背景、予算背景等も私はその立場に立って検討してまいりたい、こういうような具体的な進み方である、私の所信を表明申し上げて御理解願いたいと思います。
  85. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは都市機能の強化、育成をはかるために、またあるいは農村地域について生活環境施設をどのような状態にやっていこうというお考えであるか、たとえて言うならば、基礎集落に対してはこういう状態、第一次中心部に対してはこういう状態、第二次中心部に対してはこういう状態、こういうものが備わらなければ要するに生活圏構想にならないという点はもうすでに検討されていると思うのですが、その点についての御構想をお伺いします。
  86. 志村清一

    志村政府委員 まことに申しわけないのでございますが、現在調査の段階でございますので、具体的な問題は正確にはお答えできないわけでございますが、そもそも地方生活圏構想と申しますのは先生御承知のとおりでございますけれども過疎地域においてだんだんと人が少なくなっていく。ある部落はくしの歯の抜けるごとく部落が少なくなってしまう、そのために最小限の生活機能というものもだんだん整備できないというような状況になっておる地域につきましても、これをできるだけ一定の範囲の生活圏として実態的にとらえまして、その中において十分の基礎的生活が確保できるような方策を考えてまいりたいということでございますので、各般の整備が必要かと思います。道路の整備とかあるいは排水の問題とか、あるいは学校、店舗の問題とか、そういう問題が広範に含まれてまいろうかと存じますが、それにつきましては何と申しますか、個々の地域に応じまして考えてまいるのが一番いいのではないか、かように思っておる次第でございます。
  87. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 官房長は調査調査とおっしゃっておるのですが、実はおたくのほうからいただきました資料には、すでに各基礎集落に対してはこの程度である、あるいは第一次生活圏についてはこの程度である、第二次生活圏についてはこの程度であるとあなたのほうの御構想は明らかになっておる。それを調査調査ということであなたはすりかえようとされておるわけですが、あなた自体がよく知っておらないということで、もうすでにこういうふうなすばらしい構想ができ上がっておるわけです。でき上がっておるがゆえにこのことについてお聞きしておるわけです。そういうことで、もう少しよく調べていただかなければ困る。私はきょうこのこと一本で構想をお聞きするということをすでに申し上げておるわけでありますから、もう少し勉強していただきたい、こう思うのです。よろしゅうございますね。  それから今度は、基幹となる集落中心都市を結ぶ道路網の整備については、各地方自治体に対して相当の費用の負担がかかるのではないかと思うのですが、地方自治体にはその財源の捻出が非常に困難な都市等があると思うのです。その点についてはどのようにやられていくおつもりでありますか。
  88. 坪川信三

    坪川国務大臣 具体的な問題等につきましてたいへん失礼いたしまして、いま局長が参りまして、いま御指摘になりました点を含めまして答弁させたいと思います。
  89. 志村清一

    志村政府委員 担当の局長が参りましたが、御質問の途中でございますので私がつなぎに御答弁申し上げたいと存じますが、先生のお手元にございます生活圏構想のいろいろな資料でございますが、これは一応全体を見通しましてこういったモデルが考えられないかという構想でございまして、まだそれが具体の個々の地域に関しての調査に基づいてコンクリートしたものになったわけではございません。さような意味におきまして私たいへん先生におしかりを受けたわけでございますが、また調査調査と言うのはおかしいじゃないかというお話でございますが、まだ構想の段階の資料でございます。今後調査が相進むに伴いまして、その構想の段階が具体のプランに固まってまいるということを期待しておる状態でございます。
  90. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 話を進めてまいりますが、各省庁の権益開発構想すなわち経済企画庁と建設省と自治省とおのおのにおいてこのように広域生活圏、生活中心都市とかあるいは広域市町村圏とかこういうふうな構想が出ておるわけでありますが、この調整はどこでなされるのか、そして現在までどのような話し合いがなされておるのか、この点についてお伺いします。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕
  91. 川島博

    ○川島(博)政府委員 御指摘のように、経済企画庁では広域生活圏構想、自治省では広域市町村構想、建設省では地方生活圏構想、おのおの名称は違っておりますけれども、大体意図するところは、過疎地域と過密地域の対立がますます両極化現象を呈してきております今日の現状におきまして、その過疎地域をいかにして全国平均的な生活水準に均てんせしめるかという観点から過疎地域対策としての構想であることは御承知のとおりであります。したがいまして、名前こそ違いますがこの三つのねらうところが同一でございますので、当然三省庁におきまして調査方針なり構想の立て方についてはある程度の統一をはかる必要がございます。事柄の性質上広域生活圏につきましては、これは今回の新全国総合開発計画にも大きなテーマとしてうたわれておりますし、経済企画庁が中心となりまして建設省、自治省この三省庁が寄りまして、内容的にその調査方法、将来の計画策定の方針等につきまして協議をいたしておる段階でございます。
  92. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 経済企画庁を中心にしてこの問題が取り扱われておる、それについてはこういうふうな広域生活圏あるいは広域市町村圏、生活中心都市、そういう問題をおのおの持ち合って、そしてやっておると思うのですが、そういう会合等はいままで何回ぐらい持たれて、どのような進展とどのような意見調整が行なわれておるかということをお伺いします。
  93. 川島博

    ○川島(博)政府委員 まだ全国計画も正式に内閣として決定をいたしておりませんが、この新全国総合開発計画の中で、この広域構想は一つの大きな戦略手段として取り上げられております。したがいまして、この全国計画が決定をいたしました段階では、三省庁で正式に計画内容について相談をいたすことになりますが、現在は三省庁の事務当局の間におきまして、本年、昭和四十四年度にどういう計画をいたすか、これについて相談をし合っておる。事務当局の間で相談をし合っておる段階でございます。
  94. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで過疎問題に対しておのおのの考え方によって、それぞれ進められているということはよくわかるのですが、これはやはり一つの広域地域の要請として、少なくともこれはどこかリーダーシップをとってどんどん押し進めていかなければならない時点にもうきているのではないか。さもなければ、おのおのがおのおののところを突っつき合いながらやっているということは、これは非常に調整がむずかしくなってくると思うのですが、そういう点について、もっともっと積極的に大臣としては話し合っていく場所を設けるべきではないか、このように思うのですが、どうですか。
  95. 坪川信三

    坪川国務大臣 鈴切先生指摘のとおりに、非常に大事な問題でございますので、これらの計画の決定並びに具体的な推進等の段階に入りますと、おのずから政府の責任においてこれを決定いたし、または具体的な方向を推進していかなければならぬ、こういうような気持ちでおりますので、いずれもう間もない時点においてこの結論が出た場合においては、いま御指摘になりました方向に向かって私は指導いたしてまいりたい。また推進もいたしてまいりたい、こう考えております。
  96. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間もあまりありませんので、次に進みます。  道路行政についてでありますが、交通麻痺、これは年々増加の一途であります。今後長期展望に立った道路計画と、今後交通麻痺がどのような状態で進展をしていくかというその見通し、そしてさらにそれに対して具体的にどのように解決をしていくかということについてお伺いをいたします。
  97. 坪川信三

    坪川国務大臣 おっしゃるように、国土開発幹線道路の五本の道路を含めまして、目下開発、改築をいたしておりますところの三十二路線、これは延べでいたしますと、約七千六百キロに及んでおりまして、これを中心にいたしましてのこれらの道路計画というものが、一つ中心になると思いますとともに、地方過疎対策からくる、府県道を含めましての地方道の整備。また一級国道の整備並びに昇格というような、こうした大きな三本の問題に対しまして、今後二十一世紀に残さなければならない均衡ある国土建設の開発の大動脈である道路政策を、私は強く計画的に推し進めてまいりたい、こう考えております。
  98. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 近ごろ高速道路は各所にできております。私も高速道路を利用さしていただいておる一人でありますけれども、近ごろは非常に交通のふくそうが激しくなってまいりまして、事故でもあればすぐ一キロ、二キロはつながってしまうわけであります。高速道路も近ごろは低速道路になってしまったと嘆かわれるような情勢になってきたわけでありますが、高速道路行政についてどのようにお考えになっておりますか。
  99. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のとおりに、高速道路もおかげで進捗いたしまして、中央道路も過日開通もいたし、また東名、名神を結ぶところの全線も五月の下旬あるいは六月の上旬には開通いたしてまいる、こういうようなことを考えますとともに、首都圏の高速道路の現況等にかんがみますと、その路線のいわゆる幅の問題、あるいは線形の問題あるいは勾配の問題、いろいろと技術の上において反省しなければならない点も多くあります。それとともに、もう一つやはり考えなければならぬ問題は、インターチェンジの問題、いわゆるインターチェンジの幅その他からくるところの自動車の非常なふくそうあるいは渋滞等を考えますと、これらの点について改むべきところはいろいろとございますので、この点については、予算の範囲上配慮を加えて是正をいたしてまいりたい、こう考えております。
  100. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 少しこまかい話でありますけれども、高速道路公団というものは非常に不親切じゃないかと思うのです。具体的にその一つの例をとってみますと、主要幹線道路から高速道路に入ります料金所の前に、事故渋滞という看板が立っておる。実際にはもう入り込んじゃって、どうにもUターンができない。私も自然とそこへ入ってしまったことがある。一キロ、二キロという長い列をつくっておるわけです。そういう点において、道路行政の一環として、高速道路を利用する人への親切の上においても、たとえば事故があって一キロ、二キロつながっておるとするならば、料金所の相当前において、そういう表示をすることが、私は住民に対しあるいはドライバーに対する親切ではないかと思うのですが、その点についていかがでしょうか。
  101. 坪川信三

    坪川国務大臣 その点、私も非常に憂慮いたしますとともに、改むべきところは改めなければならぬという考え方から、私は、首都高速道路あるいはその他の幹線道路と一級国道を含めまして、四月に道路情報センターというものを設けましたゆえんもここにあるのでございます。いわゆる各地から集まってくるところの交通状況の報告を受けてとって、それぞれの路線へ現況を連絡していく交通対策の大事な情報センターを私は新年度早早にぜひ設けたい、こういうようなことでいま事務的に進めておることで御理解をいただけるのじゃないかと思いますが、それとともに、もう一つは、やはりそれらに対するところの通信網の拡充といいますか、電話等の増設というような面も私は並行して考えて、これらの隘路を是正してまいりたい、こう思います。
  102. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これはまた具体的な話ですが、鈴ヶ森の手前は高速道路が二車線になります。もう一つは、高速道路の下を走っておる道路が二車線です。ところがその道路の合流するところは何とまた二車線に縮まっておる。きんちゃくみたいなかっこうになっておる。それも九十度にぎゅっと曲がっておるものですから、あの場所に行きますと非常に交通がふくそうするということは、今後道路行政においても解決をする必要があるのではないか。具体的にその点についてどのようなお考えを持っておるか、お伺いいたします。
  103. 多治見高雄

    ○多治見説明員 ただいま御指摘の鈴ヶ森のランプと、一般の道路の車線の問題でございますが、一般道路のほうは、現在建設省で四車線に拡幅すべく計画決定いたしておりまして、すでに工事に着手する段階になっております。できるだけ早い機会に改造したいということで努力しております。
  104. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは最後に大臣にお伺いいたします。  高速道路の土地の買収費は、非常に巨額の金になっておるわけであります。それと同時に、しかも住民にしてみれば、非常に長い間住みなれた土地を離れなければならない。公共のために立ちのき疎開ということもされておるような現状でございます。非常に商売が繁盛しておるにもかかわらず、そこを放棄して他に移らなくてはならない。そういうふうな非常に大きな住民に対する迷惑等も実はあるわけであります。そういう観点から考えますと、現在主要国道というものがありますが、その主要国道等を利用して高層高速道路というものをつくったらどうか、その上を走らせたらどうか、そうすれば土地の買収等も要らないし、そういう点においては要するに道路行政としてはある程度ふくそうが緩和されるように思うのですが、そういう点の御構想はおありであるかどうか、最後にお伺いをいたします。
  105. 坪川信三

    坪川国務大臣 鈴切委員指摘になりました、いわゆる国道の上に新たなる高速高架道路をつくれ、こういうようなお話でございますね、一つのアイデアとしてはいいアイデアだとは思いますが、しかしそのアイデアがはたして現実の上において、線形の上からも路線の上からも、あるいはその他道路の両側の立地条件等を考えますと、即応できるかどうかということは、私はかなりまだ問題点もあろうかと思いますが、アイデアとしては一応参考の貴重な資料として今後考えてまいりたいと思いますとともに、御指摘になりました土地取得に対しましては、私はやはり基本方針といたしましては、地方地域住民に対する納得のいく話し合い、しかもつぶれ地、大構造物の破壊など、あるいは占用などはなるべく廃止しながら、理解と納得と話し合いの上においての土地の使用を求めたい、こういう基本方針であることを表明申し上げて、御理解いただきたいと思います。
  106. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間でありますので、これで終わります。
  107. 藤田義光

    藤田委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  108. 藤田義光

    藤田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もございませんので、直ちに採決に入ります。  建設省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を願います。   〔賛成者起立〕
  109. 藤田義光

    藤田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告妻の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  111. 藤田義光

    藤田委員長 次回は二十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十三分散会