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1969-07-03 第61回国会 衆議院 逓信委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月三日(木曜日)    午前十一時二分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 亀岡 高夫君 理事 志賀健次郎君    理事 森本  靖君 理事 小沢 貞孝君       内海 英男君    上林山榮吉君       高橋清一郎君    内藤  隆君       羽田武嗣郎君    古内 広雄君       古川 丈吉君    水野  清君       森山 欽司君  早稻田柳右ェ門君       武部  文君    三木 喜夫君       米田 東吾君    中野  明君       田代 文久君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 河本 敏夫君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      角田礼次郎君         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浦川 親直君         郵政省電波監理         局長      石川 忠夫君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部長   太原 幹夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   佐野 弘吉君         専  門  員 佐々木久雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  有線放送業務運用規制に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第一〇六号)      ――――◇―――――
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  有線放送業務運用の規正に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三木喜夫君。
  3. 三木喜夫

    三木(喜)委員 結局この法律案というものは、せんじ詰めますと、ブランケットエリア対策をどうするか、その結果出てくるであろういろいろな自主放送だとかあるいは再放送だとか、CATVの形で出てくるわけなんですが、私はそれに対する一つ規制法律、こういうように見るわけなんです。それ以前に、ブランケットエリア対策を、この間から皆さんの御意見を聞いておりますと区々まちまちになっておるような気がするのです。二戸以上共同アンテナを立てる場合、あるいは二十戸共同アンテナをつくる場合、あるいはまたNHKサテライト局を設けるという場合、私、新宿に行ってみましたが、新宿ではああいう有線テレビ放送をやりまして、その中で、その事業主体を一体どうするかというような問題、これに対する経費をどうするかというような問題、いろいろ問題があると思うのですが、一体この対策をどこに主眼を置くか、ただ規制法律をつくりさえずればいいという問題ではないと私は思うのです。これはどなたが答弁してくださるのですか。ひとつ郵政省のほうで、確たるブランケットエリア対策を御答弁いただきたいと思います。それによってあとずっと質問を続けていきたいと思いますので、最初それを伺いたいと思います。
  4. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 お話しがございましたように、最近における都市におきましては、いろいろな電気製品が使われまして、それによる雑音がいろいろ出ておりますし、また、この法案を出しました主たる動機になりました高層建築が非常に多いということで、テレビ電波は常識的には、届いていながらもきれいな画が見えないで、しかもいろいろな雑音が画面に入ったり音声に入ったりする、こういうことでございまして、これを防ぐ道はやはり最後には有線でいかざるを得ないということでございますが、この有線テレビをそのまま届け出制に放置いたしますと、弱小企業がいろいろ出てきて受信者の利益と必ずしも合致しないような業態になるおそれがある、こういうことで今回の改正案を御審議をお願いしているわけでございます。
  5. 三木喜夫

    三木(喜)委員 難視聴対策として各自いろいろな方法をとっておるのですけれども、その経費の出所ですね。これをどういうぐあいにいたしますか。新宿からおいでになった参考人お話になったことを聞いてみますと、一戸当たり大体平均二万五千円要求されておるんだけれども、五千円まけてもらった。普通にいくならば二戸十七万円くらい負担がかかるだろう、こういうようなお話ですね。そうすると、難視聴というものは、一つは山だとかそういう自然物障害があるために難視聴が起こっておる。自然的な原因によって発生しておる。それがビルが立ち並ぶということになってきますと、これは人為的な公害になってきますね。そうして、これは公害一緒で、発生者がそれに対して責任を償う、こういうような形を新宿ではとっておるわけですね。こういうぐあいで、自然的な難視聴のときには、NHKなり民放それなりにかなり努力をしてこれの対策をやってまいりました。こういうふうにビルの陰になってくるということになりますと、そうそうNHKも全部めんどうを見切れないだろうと思うのです。経費ですね。非常に経費のことが問題になると思うのですが、これはどういうぐあいにお考えになりますか。
  6. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 地方におきます自然的な条件のためにテレビ電波が届かないというところは、NHKあるいは民放ができるだけ中継局を設ける、これからは中継局だけではなしに、さらに共同聴視施設地方の組合と一緒になって設けていくという方向で自然的な難視聴解決していくということでございますが、都会におきますいろいろな人為的な原因による障害に対しましては、従来は、原因者がはっきりしている場合には、もちろんこの発生者被害者、それから中間にNHKあるいは役所等が入りまして、この負担をだれがするかということで話し合いまして、結局、従来の例によりますと、大体半分ぐらいは発生者負担しているというのが実情でございます。  ところが、今回御審議をお願いしておる対象であります有線テレビの場合におきましては、いろいろなビル陰あるいはその他の電気的な障害によります受信障害を、業として解決するということで、受信者からはそれぞれ維持費を徴しましてそれによってやるというたてまえでございます。これは従来こういった有線テレビがない場合には自分で個別的に解決するということでありますれば、やはりビル屋上テレビを移すなり、あるいはそういった受信障害で見にくい人たちが相談し合ってビル屋上共同アンテナを立てるというようなことで各戸で負担する、こういうことでありますので、それをあわせ考えますと、今度の有線テレビの場合の維持費を各加入者負担するということもやむを得ないと私ども考えている次第でございます。
  7. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それでは私はちょっと酷だと思うのですよ。将来、難視聴区域というものはおそらく今後九五%くらいになるだろうという見通しがいまあるわけです。その難視聴のうちで五%はいなかで九五%は町だ、こういうことになってきますと、自分が難視聴をつくったのではないわけなんですね。というてNHKがこれをつくったのでもない。そういう放送会社がつくったものでもありませんが、国のこれに対する対策としてどういう方法をとってやろうかという一つビジョンを示さぬことには――今日のこの法律案というものは、そういうふうになったときには、自主放送をやるとか再放送をやるとか、いろいろな有線放送によってその難解な状況を切り抜けようとするでしょう。それは各人がやったらよろしい、見えぬときには一人一人がアンテナを高くしてやっておるんだから、こういう考え方受益者負担ということにしていくにはちょっと酷じゃないのですか。自主放送をやる場合にしても再放送をやる場合にしても、これをやったらいかぬ、これをやったらいかぬという規制をやるんでしょう、いまの法律案で。規制をやるからにはこの反対側にあるところの難視聴対策というものをどういう方向に持っていくかという一つビジョンを示してもらわなければだめだ、そういう意味合いでお聞きしておるのです。政府としては一つビジョンを持っておるか、あるいはその解決方法 こういう方向にいきたいというものを持っておるかということをお伺いしておるわけなんです。そんないまの御答弁なら、いままでだってNHKは二戸以上共同でやる場合には補助金を出すんでしょう。それから二十戸以上になったときにはそれに対しての共同アンテナを設けよう、これはいわばNHKサービスですよ。こんなことだけにまかしておくわけにいかぬでしょう。それを聞いておる。
  8. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 先ほど申し上げましたように、同じ受信障害にいたしましても、地方における自然的なものと都市におけるそういった人為的なさまざまの原因による障害と同じに取り扱うわけにはいかないということで、これは取り扱いを別に考えているわけでございますが、都市における障害に対する負担をどういうふうに切り抜けるかということに対しましては、私どもといたしましては、NHKだけの負担にするというわけにもいきませんし、それから、さればといって受信者だけの負担にするというのも酷だ、そういうことで、NHKあるいは民放あるいは架線を貸す電力会社その他関係者がございますので、こういった関係者が相寄りまして一つ公益法人をつくらして、それが解決のにない手になってやっていく、こういうふうに考えておるわけでございます。  この経済的負担をどういうふうにするかと申しますと、先ほど申し上げましたように、やはり受信者に相当の部分を負担していただくことにならざるを得ないし、諸外国の例を見ましても実はこういった方法解決しているわけでございまして、私どもといたしましては、その負担する経費が法外に高いというようなことは避けなければならないということで、こういった対価については十分検討してまいりたい、こういうことで押えていきたいと考えている次第でございます。
  9. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大体いまのお話でわかりました。受信者に対して大きな負担をかけないようにしていきたい、一方、公益法人をつくって、その公益法人サービスによってその経費はある程度負担していこう、こういう構想のようであります。受信者は全部無料でというわけにもいかぬでしょう。新宿の例を見ましても、それから伊豆につくっておる放送状況を見ましてもそういうわけにいかぬでしょうし、その中に自主放送というものも出てくるでしょうし、そういうわけにもいかぬでしょうから、そういう考え方であるということになればそれでいいじゃないかと思います。  そこで、有線放送業務というものは、各委員からもお話がありましたように、将来非常に重要なコミュニケーションの活動の大きな力になるかもしれぬと私たちも思います。今回の法改正はそういう意味で非常に重要な意味を持っておると思いますが、これは一般常識政府それなり有線放送というものに対して努力をされておると思うのです。聞くところによりますと、都市における有線テレビジョン放送業務運営主体について、関係者を招致して四十四年の二月十七日に協議をされておるようであります。郵政省案を提示されておるようでありますが、その郵政省案というものを一ぺんお知らせいただきたいと思います。
  10. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 手元に資料もございませんし、はっきり記憶しておりませんが、要点は、要するに先ほど申し上げましたように、NHKそれから民放電力会社日本電信電話公社その他の関係者がそれぞれ出資いたしまして公益法人をつくろうという考え方をこちらから提示したものであります。
  11. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その具体策はどういうものですか。
  12. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 具体案は、はっきりしたものはきまっておりません。
  13. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これはどういうことになりますか。私は、都市における有線放送業務運営主体の中で総額二億円として、その分担金NHKが三千五百万円、在京民放五社が六千五百万円、機械メーカーが二千五百万円、金融界が二千万円、電電公社が三千五百万円、電力会社が二千万円、こういうような寄付割り当て計画まであるということを聞いておるのですが、これはまた別の問題ですか。
  14. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 今後公益法人をつくる場合にどういうような出資率にしたらというようなことの一つ考え方としてあるいは出たかもしれませんが、決してこういうことでということではっきりきめて提案したようなものではございません。
  15. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それは民間で各自に自由なかっこうでこういうかっこうが出てきたのですか、あるいは政府がこれに関与して出てきておるのですか、その辺を聞かなければいかぬと思うのです。私はこのことが悪いというわけじゃないと思う。こういうように早く準備を進めていかなければいかぬじゃないかと思う。それを言うのは、有線放送というものがもう空中を伝わって有線をやるのは繁雑になってくるので、私は将来は地下に入らなければならぬと思うのです。非常に繁雑ですから地下に入れるということになりますと、各自めいめいでやっておっては困りますので、電電公社の線を使うか、あるいは別の公益法人をつくるか、何かの方法をとらなければいけません。としますと、そういうものに対するところの、これも具体的に打ち合わせしたとかなんとかいうんじゃなくて、将来の計画案というものを持たなければならぬと思うのです。すでにこういう割り当て額まで出ておるのに、そういうことがきまったようですとか、そんな話はどうだというように、よそごとのような話に私はならぬと思う。もっと身近な自分の問題として考えてもらわなければ困るじゃないですか。よそごとのような言い方をしてもらっては困ると思うのです。
  16. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 今回の一部改正法案を可決していただきました暁には、私どもかねてから公益法人をつくってやりたいという考え方を持っておりますので、具体的に打ち合わせてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  17. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういう政府の非常に責任を感じたところがそういう答弁になるのでしょうけれども、どうせこれが通れば、あなたのおっしゃるようなそういう具体的な仕事に着手しなければならぬと思うのです。しかしながら、現にこういうことがあるんだが、これは政府が関与してやったかどうかということを言うのです。全然知らぬところで陰のままでこんな話か出ておったのかどうかということに問題があるということを言っておるわけです。かってにそんなことを先にきめたからけしからぬというんじゃないのですよ。当然こういう計画を進めておらなければならぬのですよ。進んでからいろいろやりますというのでは、われわれどんなものができるんだか見当もつかぬなりにこの法律案を通さなければならぬ。政府なり国会なりというものは、そういう合意の上でこういう科学技術の進歩してくる今日、法律案だけにこだわらぬでそういう問題には積極的に取り組んでいいと私は思うのです。与党や野党やといって、こんなことで文句を言っている必要はない。それだけおくれます。そこでお聞きしておるのですが、非常に責任を回避されるといいますか、責任がかかってきて、この質問に対してイエスと言うと何かもの言いをつけられるというような心配で答弁されておりますが、そんな態度は私はいかぬと思うので、率直に言ってください。
  18. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 この公益法人をつくるについての打ち合わせをしたことは事実でございます。ただ、そういった中身につきましては、だれが参画する、だれがどういう資本金ということについてははっきりした、こういうことにしましょうというようなことになったことはございません。
  19. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いや、なったということを言っておらぬのですよ。これはきまってないのですよ。なってないことはきまっているのでしょう。しかし割り当てまで世間に発表されて出ておるのですから、これがよかろうというような話を決定したとは言いませんよ。それはそうですよ、こんなもの何も決定したのではないのですから。そうでなくて、このくらいが妥当だろうというような話は出たのですか、そういうことなのですよ。何も決定してないのですよ。
  20. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 話は出ましたが、それを発表したことはございません。
  21. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そう押しくら問答みたいなことを言ったらいけませんよ。何もあなたが発表しないと言っても、新聞社はすっぱ抜いて発表をしますよ。何も発表した発表しないじゃない。これくらいの率がいいという考え方は、これを見たらNHK責任を感じて三千五百万なら三千五百万というものを出そうと、こういうふうに考えておるというその責任の所在といいますか、考え方というものは私ははっきりしてくると思うのです、そういうことによって。しかしながら金融界がこれについて出すとかあるいは機械メーカーが出すとか電力会社が出すとかいうようなことはちょっと質が違ってくると思うのですね。そういうところ感触といいますか、国としてのそれに対する姿勢をこの中から知りたいと思って聞いておるわけです。そういう意味で聞いておるので、何もあなたが発表されたとか、あなたもいまおっしゃったように、どうせこの法律案が通ったあとからいろいろやります、こういうことなんですから、やらぬならやらぬでここで論議しておく必要があるんですよ。郵政省恣意のままにやったりあるいは財界の恣意のままにやられては利権法案になってしまいますよ。郵政大臣がこれの許可をおろすとかおろさぬということは、大メーカーと結託するところの基盤をつくることになるんですよ。それだから心配してこういう問題を聞いておるわけです。公益法人という天下国家に恥ずかしくないところ法人をつくるんなら、それに相応したところのやはり郵政省としての一つの方策な示してもらい、こういうことがいいだろうというお考えを聞いておかぬと困るんですよ。そういう意味合いでお伺いしているのですから、そういう逃げの一点張りで言わないで、もっと率直にお話しをしていただきたいと思うのです。
  22. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 何と申しましても、有線放送の一番関係の深い放送事業者主体になりまして、そのほか関係者を寄せて公益法人をつくろう、こういう方針でございます。
  23. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ちょっと横から話があったのではっきり聞こえなかったので、もう一ぺん言ってください。
  24. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 有線放送の性質から考えまして、放送事業者主体にいたしまして、そうしてそのほかのこれに関係ある事業者を入れた公益法人をつくる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  25. 三木喜夫

    三木(喜)委員 四十四年二月十七日、はっきり申し上げますと、協会それから商放――TBSですね、日本ケーブルビジョン放送網を招致して提示した。郵政省案として出ておるわけだ。だから企業主体事業組織、当初の寄付財産総額二億円として、加入料利用料、こういうことが提示されたということですから、あなた方の考えがこの中に入っておるだろうということですね。それでお伺いいたします。  そういうようないろいろな関係でそんなことをべちゃべちゃとしゃべれないとおっしゃるならそれでけっこうですから、要するにこの中で何のために金融界から二千万円出さすのか、金融界が一体どんな関係があるのですか。私は機械メーカー関係があると思うのですね。それから電電公社も将来電電公社の回線を使うようなことも私はあると思う。これは国としてはそれが一番近道だと私は思います。だからこれはいいと思うのですね。さらにまた電力会社、これは電力を送る関係でやはり一枚加わっておらなければいかぬと思うのですね。こういうことをもうけ主義のためにやるのかどうかという性格が出てきますし、それから難視聴対策としての国の一つの公益的なやり方でいこうとするのかという姿勢が出てきますし、その観点がここで分かれてくると思う。あるいは大企業だけで、これらのものだけで独占しようと考えておるのかということにもなりますね。その辺の感触が知りたいので伺っておるわけなんです。こういう提示をされておるでしょう。提示されたには、こういう金融界からこれだけ出させるという考え方は一体那辺にあるのか聞きたい。
  26. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 金融界を入れたのは、有線テレビ事業というものが継続的、安定的にその業務を遂行してもらわなければいけないということを考えまして、財政的な安定ということから考えまして金融業も一枚加えておいたほうがいいという考え方に基づくものであります。
  27. 三木喜夫

    三木(喜)委員 お金の安定を、二億円なんかのものを――将来大きくなるかもしれません。しかし国はどこに責任を持つのですか。高度経済成長をしてまいる中でビルが大きくなり、自動車が走り、港湾ができ、飛行機が飛びするわけなんです。それはやはり国の政治の中に責任的な考え方を持たなければいかぬでしょう。金融界とは、これは一体何ですか。もうけがあるときはおまえももうけさせるぞというような考え方じゃないですか。やはり国が責任をもって半額出す、航空会社あるいは造船会社のように。公益的な仕事をしておるからして国が補助金なり出資金を出すのでしょう。これなんか最も大きな公益的なやり方じゃないですか。金融界から出すということは一体どんなことか、私はわからぬ。国は、あなた方が出したこの案に対しまして一体どこに責任を持つのですかと私はお伺いしておるわけなんです。
  28. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 この出資分担については、国が出す計画はいまのところ持っておりませんが、公益法人でやろうということにつきましては、やはりこの有線テレビという事業公益性に着目いたしまして、株式会社でやるよりも一公益法人でやるのがよろしいというふうに考えた次第でございまして、公益法人でやるという考え方は、もうけ主義でやるという考え方ではない、かように私どもは理解しているわけでございます。
  29. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これはあと大臣にお伺いしょうと思うのですが、これは将来データ通信あるいは情報産業ということと結びついてくる可能性はあると思うのですね。一方通路だけでなくて、視聴者からもそういうことに対するところの要求が出てくる。電話とか押しボタンか何かで、こういうデータがほしい、こういう音楽がほしい、こういう解説がほしいということが、必ず一方通行でなしに両方通行の中でこういうものが出てくる。そういたしますと、やはり電電公社や、あるいはまた国の責任において当然この有線放送というものを――いまは小さいかたまりかもしれませんけれども一、大きく発展することを考えた場合、いまそうおっしゃったのですが、そのときには、金がないかもしれないから金融界を入れたんだ、こういうようなお考えのようですけれども、それは全然国の将来の見通しに対するところ対策ではない。国が責任を持つ体制ではない。NHK民放あたりからの要請によって一時これをやるという糊塗的な一時しのぎな考え方に立っておるか、それとも、将来はこれを一つ会社にしてここから利潤を追求しよう、難視聴で困っておる者からお金を吸い上げて営利をやろうという考え方に立っておるか、どっちかでなかったらこんな中途はんぱなものはできないと私は思う。私は将来国が責任を持ってもらわなければ困ると思うのですが、大臣、黙っておっていただくのも退屈でしょうから――これは私は重要な問題に発展すると思えばこそ根掘り葉掘りしているのであって、意地悪くものを言うておるのと違うのですよ。  そこで大臣、国の責任ということでどうお考えになりますか。それはいまの難視聴に対する責任だけじゃありません。将来同軸ケーブルを使ってやらなければならぬときが来ると思います。いまの電電公社ケーブルではいけないと思います。ケーブルを変えなければいけないと思いますけれども、そのときに国はこれに対してどういうぐあいに対策をとっていったらいいのか、方針はどうなのかということは問われるべき問題だと思うのです。当然問われていい問題だと思うのです。河本大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  30. 河本敏夫

    河本国務大臣 まず最初に、将来の展望いかん、こういう問題でございますが、さしあたりは再放送あるいはまた自主放送ということが対象になると思いますが、御指摘のように、いま懸案になっております若干の技術的な問題さえ解決いたしますならば、将来はデータ通信あるいはファクシミリ――電送新聞ですね、こういうものに当然発展していくであろう、こういうことは予測されます。それから規模といたしましても、現在はわが国におきましてはきわめて小規模のものしかありませんけれども、アメリカ等の例を見ますと、相当規模のものが出てくるであろう、しかも、将来は非常に広範に、国全体をおおうくらいに発展するであろう、こういうことも考えられます。  そこで、そういうことを展望しながら、国の責任いかん、また国が資金的にどういうふうな責任をとるのか、こういうお話でございますが、実はいま三木委員の質疑応答を拝聴しておりまして、この問題はある程度御理解をいただいたのではないかと当初のほうで考えておったのですが、この点につきましては、局長も申し上げましたように、都市における難視聴地域を解消するための有線テレビというものは、へんぴな地域における見えにくいところを解消するための対策と違いまして、有線テレビによる場合には、きわめて明瞭な画像が得られるということでもありますし、それから原因がはっきりしない公害、文明の進歩に伴う、あるいは産業の進歩に伴う公害だ、こう言い切れば言い切れぬことはありませんけれども、しかしその内容を具体的に検討いたしますと、ビルによる障害の場合もありますし、自動車による障害の場合もありましょうし、それからそれ以外の障害の場合もいろいろあるわけですね。ですから、これだと言い切ることができない。さらにまた、受益者の負担がきわめて少ないということですね。先ほども申し上げましたように、そう大きな負担ではない、こういうことからも、この法律を通していただきました暁におきましては、国の指導によりまして公益法人をつくって、放送事業者電力会社電電公社あるいは関連の事業企業を経営する者、それから地方の公共団体、こういうものが参加をいたしまして、もうけ主義ではなしに、できるだけ安い料金で良質の画像を提供できる、こういうふうに指導していきたいと考えておるわけでございます。国が直接金を出してこれを助けていくという考えは、現在のところはございません。  それから金融問題につきましてお話が出ましたが、金融機関が参加するのはおかしいじゃないか、こういうお話であります。  なるほど、規模が小さいときはこれは数億の資金で済むと思いますが、しかし、全東京をおおう場合には数十億、またやり方によっては数百億の資金を必要といたしましょうし、国全体の中都市以上をカバーする場合には、あるいは数千億というような巨大な資金を必要とするところまで発展するかもわかりません。そういう場合には、資金調達の面から出資あるいは借り入れ金、いずれかの形においてやはり金融機関の金を動員しなければならぬ事態が来ると思うのです。受益者からだけ金を出してもらってやる、こういうことはとても不可能でございます。つなぎ資金としてもそういうことがあろうかと思います。ですから私は、悪い意味でなければ、金融機関の金を動員してそういう事業を助長していくということは一向差しつかえない、こう思うのでございます。三木委員の御心配は、もうけ主義のために金融機関が参加するのではないか、こういう御心配のようでございますが、そういうことのないように十分配慮していきたいと存じます。
  31. 三木喜夫

    三木(喜)委員 河本大臣と私の考えとがちょっと話がかみ合っていないのです。なるほど、都市におけるところの難視聴をひとつ解消しようという基盤があります。それからまた、いなかにおいても難視聴ところはありますね。いなかの場合はどういう対策をとってみたって一%ほどのところはこれに対して解消することはできないところに家が立っておる。谷間のようなところですね。これを全部サービスせいといったって無理な話です。そういうところで、やはり自分責任においてある程度線を引かねばならぬと思うのです。山のほうから線を引く、こういうようないなかと町の関係はそこでさい然としております。今後都市におけるところの難視聴ブランケットエリアというものが全部日本全体が問題になってくるのです。そのときに難視聴というその立場からだけでこの問題に対処するのでなくて、将来これがツーウエーで利用できるデータ通信だとか、あるいは情報的な産業的な意味合いを持ってくるだろうと思うのです。そのときにどの回線を使うか。こういう公益法人の――公益法人といっても一つの私企業みたいになってしまいます。こういうことにまかしておいていいのかというような将来の展望に立ったときに、国はこれに対して費用をどうするかということをお伺いしておるわけです。だから、あなたがいまおっしゃるのは、現在のところはありません。現在のところはないですよ。新宿でやっておる、あるいは伊豆でやっておる。これから自主放送をやって、おかしなものが放送されたら困るじゃないか、こういうNHKあるいは民放あたりからのもの言いがついておる。そのもの言いがついておることにこたえておるだけです、この法律案は。それなら規制しましょう。ここをこう規制していく、そういう立場に立っておられるから、現在のところはありませんけれども、私の申し上げるのは、将来の展望に立ったきに国の責任というものは当然出てくるじゃないか、こういう考え方であります。  それからもう一つ私はけしからぬと思うことは、まあけしからぬじゃなくて、新宿の場合ですね。実際私は行って見てきたのですが、経費の大部分は、あの辺にずっと壁をつくっておるところビルから寄付をしてもらっておる。ところがいまおっしゃったように、これが完全に私たちが難視聴原因であるかどうかということについてもお互いに疑問を持っておる。しかし、それが建ったために非常に見にくくなったということも、これは原因としてあるだろうというところ寄付をしておるのですよ。八対二くらいの割合で寄付をしておるのですよ。八割くらいがそれらの寄付によっておる、こういうように私は聞いておるわけなんです。そうすると私は、当然そういう金融会社から資本金を出させるのでなくて、むしろそういう大企業、そういう何階以上のビルを建てたというようなところが、それについて私の責任ではありませんとは言いながら、多少の責任はあると思うのです。そういうところが関与するというのならば公益法人的な意味合いは私はあると思うのです。金融界から入ってもらうということは、将来何千億というようなことになったときには困るから、それならもう資金的に金融界におんぶするということが将来は目に見えておるということです。それなら金融界というものはもうけのないところには金を出さぬと私は思うのです。そうすると、勢いそういうことがはっきりわかってくる、何のためにやるかという目的がはっきりしてくる。これでは困るということを申し上げておるわけです。ひとつ、責任を感じてください、いまのところやっておらぬとおっしゃらないで。あなたの大臣のときにはこの問題はそこまで発展せぬでしょう。しかしながら一国の大臣ということなら、将来のビジョン、展望を持ってもらわなければ私は困ると思う。こういうぐあいに発展するとあなたもおっしゃったのですからそれで申し上げておるので、現在のところない、こういうことでなくて、やはりだれが責任者かということがはっきりせぬためにこういうことが起こってきている。そうすると、この法律案はただ規制だけに終わったという法律案になってしまって、血の通うたあたたかい配慮が背景にない法律案ということになってくると、これは一つ規制法である、あるいは言論統制の一つの糸口になるかもわからぬ、こういう疑問が出てくる。そういうところまでは私は申し上げませんけれども大臣、これについて、そんなばかなことがあるかい、それならこうだというお考えがあるならひとつ聞かしていただきたいと思うのですが、なければその次に進みたいと思います。
  32. 河本敏夫

    河本国務大臣 資金の面につきましては、これは将来数百億あるいは数千億、こういう資金を必要とする事態になりました場合には、これは開発銀行の資金を国があっせんをして相当まとめて出させるとか、そういうことは当然考えていかなければならぬと思います。  それからビルの問題でございますが、これまでも何回も建設省のほうにも申し入れをし、建築基準法の改正の場合等にもあらためていろいろの申し入れをいたしております。しかし、きわめて小範囲の、規模の小さい場合には比較的簡単に話し合いもできると思いますが、業務範囲が非常に広範囲になるという場合にはビルの数も何千何万となりましょうし、それからさらに将来建築されるものが相当ふえるということ等も考慮しますと、そういう話し合いに、かりに解決するにいたしましても相当長時間かかると思います。ですから、やはり一つの大きな業務範囲ということになると、そういうことは言うべくしてなかなかむずかしいのではないか、それと、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、そんなに各戸に負担がかかるものじゃないのです。せいぜいこの拠出金といたしまして一万円か二万円、あるいはこれまでも何回か質疑応答がございましたように、月の維持費も三百円前後のものである、そういうことを希望する、そういうことでやっておるわけでございますからそう大きな負担でもございません。それよりも早く解決してもらいたいということの希望が強いと思うのです。そういうことを勘案いたしまして、先ほど申し上げましたような形での公益法人、それを早くつくって、そして問題が解決するように指導していきたいと思います。
  33. 三木喜夫

    三木(喜)委員 わかりました。大臣は現実的に考えておられる。現在そういうことの交渉は非常にむずかしい、私は将来の一つの展望としてこうあってほしい。何もあなたの大臣のときでなくても、二代、三代後の大臣のうちに国の責任解決をつけなければならぬところがあると思う。それに対して責任を持てぬというならなおさら国が持たなければならぬ。将来これをやりながら公益法人としてやっておきましても、国鉄の赤字路線のように赤字路線があると思う。それを切り捨てていく、その辺はほうっておくというわけにいかぬでしょう。赤字路線になったときに、いまのようなこういう出資のしかたではきっと問題が出てきますよ。私はそれをおそれるものです。  もう時間をせいておられますので簡単にお伺いしておきたいと思うのですが、それなら有線テレビジョンの発展ということがここに考えられます。その発展というものと通信回線をどうするかということ、これを局長、答えてください。
  34. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 将来は有線テレビが非常に大規模になりますと、やはり共同溝に収容するとか、いろいろな問題はございますでしょうが、現在のところでは、電電公社の電柱あるいは電力会社の電柱を利用することによりまして架線を張ってやっていくことでございますので、直接には関係はないかと思います。特に私ども考えておりますのは、大都市における難視聴の解消ということでございますので、電電公社の回線にいたしましてもあるいは電力会社の電線にいたしましても大体張りめぐらされておりますので既設のものを利用できる、かように考えておる次第でございます。
  35. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は勢いそうなると思います。新宿で見ましても、電柱をやはり利用しなければだめなんですからね。架空に線を引っぱるわけにいかぬのですから、何もないところに線を引っぱるわけにいかぬのですからそういう一つ見通しはあろうと思います。  そこで、もう問題の焦点だけ申し上げたいと思いますが、いま新宿のCATVは寄付が八割ですよ、大臣視聴者負担が二割ですよ。寄付が八割というのは、先がた申しましたように、私たちがそういう発生をした原因者であるという立場から八割寄付しておるのです。ですから、何も簡単に安いあれではできないのですね。これは原因者責任主義の立場に立っておると私は思うのです。それから、東京都が難視聴に対するところ対策として産業会館のところにやはりそういう対策を講じております。これに対しては東京都が責任を持っておるのです。東京都の責任ですよ。それから新宿の場合は原因者が八割持っておる、ブランケントエリアに対するサテライト局放送会社責任を持っている、それから二戸以上のところ補助金を昭和二十九年からNHKが出しておる、二十戸以上のところNHKが三分の一の補助を出しておる、これはNHK責任を持っておる、こういうことでしょう。  だからみんなこういう経費負担のしかたが違うのです。新宿ではやはりこんなに大きな負担を受けておる一わけです。簡単にできるものじゃないと私は思いますし、これはなかなかたいへんなことで、先日の加藤六月君の質問に対してやっぱり意見がかみ合っておらぬところがございます。この法律案というものは視聴者の真の利益保護かということを言われておりますし、既設業者及び国としての統制をとった一元的会社、またはひもつきをつくるための法律的余地を残す、こういう意見が発展的に出てきておるわけなんです。郵政大臣の説明によりますと、ブランケットエリアに対しまして有線テレビの効用はアメリカの例を持ってまいっておられます。将来大きな産業に成長するだろう、したがってこの際一定の規制をせなければならぬ、この発想はわかるのですね。そういうように御答弁になっておりますけれども、これは視聴者の真の保護の法律かという加藤六月君の質問に対しての答えがなされていないのです。したがって、私はこの問題をもう少し掘り下げてお伺いしたわけなんです。この法律案にあるように、秩序を保つことは必要でありますけれども視聴者の利益ということに対するところの説明がいささか不足だと思うのです。その点、局長、補足の意味でお答えいただきたいと思います。
  36. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 ただいまお話がございましたように、この法律はあくまで受信者と申しますか、視聴者の保護ということを主眼にいたしました改正でございまして、先般大臣からも御説明がありましたとおり、これを従来の届け出制のままにいたしておきますと、最近の情勢からいたしますと、いろいろな業者、いわば弱小業者があちらこちらに出てまいりまして、そうして、もうかる、需要者の密集したところだけを解決して、少し離れたところはやらない、いわば虫食い的な業務区域をつくってそこだけの救済をはかるということになる、いわばもうけ主義主体にした業者が乱立して、ある場合にはそういった業者の競争のために倒れるものも出てくるというようなことで視聴者に迷惑をかけるというようなことになりかねないということで、やはりいろいろな観点から見まして、公平に、しかも非常によいサービスができる業者を選定してその業者に許可をするという、こういった許可制を採用することによって視聴者の保護をはかっていきたい、こういうことでございまして、経済的には、確かに加入した者にすれば画がよく見えるという対価と申しますか、その維持費を支払わなければならないということになるわけでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、ある程度やむを得ないことだ、こういうふうに考えているわけでございます。
  37. 三木喜夫

    三木(喜)委員 もう時間もありませんし、まとめに入りたいと思うのですが、一応このCATVの法律案というものは、封来の通信あるいはテレビあるいはデータ通信、こういうものに対するところの技術かどんどん進んでまいり、革新的な発展を遂げるだろう、こういう見通しに立ってお伺いしておるわけなんですが、そこで郵政省としては、この問題を主管して取り扱われるのならば、科学技術の発展する段階の中で、たとえば同軸ケーブルの開発、コンバーターの開発という問題についてはどういうぐあいにお考えになっておるか。要するに新宿へ行きましても、新宿のあの放送の設備の中に直接電波が入ってくる、したがってコンバーターをつけなければならぬ、そのコンバーターはアメリカの製品である、日本の製品ではありません。それから同軸ケーブルは古河のを使っておるようでありますけれども、どういう研究がなされ、どういうような技術開発がなされておるかということをひとつお聞かせいただきたいと思います。これは同時に解決をつけなければならぬ問題ですから。
  38. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 ただいま新宿を例にいろいろお話がございましたが、いままで実は地方のいなかにおきます共同聴視の施設はございましたけれども都市におけるこういったアメリカのCATVに比すべき有線テレビというものはございませんでしたので、それに応ずるといいますか、増幅器等につきましても、技術的には解決されているようでございますが、現実に多くのチャンネルを増幅できるような増幅器の製品化ということが現在まで行なわれておりません。したがいまして、やはり今後都市における有線テレビが実際にあちらこちらにできるということになりますれば、いままで蓄積してある技術を使いましてこういったものが製品化されることになりますので、アメリカに劣らずにやっていけるんじゃなかろうか、かように考えております。
  39. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いろいろまだ伺いたいことはございますけれども、これは科学技術対策特別委員会がございますから、この場でこの技術革新に即応するところのいろいろな施設について、そこへ来ていただいてお伺いすることとしまして、私の質問はこれで終わります。     〔委員長退席、小渕委員長代理着席〕
  40. 小渕恵三

    ○小渕委員長代理 田代文久君。
  41. 田代文久

    ○田代委員 まず郵政大臣にお伺いしますが、この法案は、申し上げるまでもなく、都市における難視聴解決するために有線テレビによる再送信業者が生まれて、この営利事業に対して業務許可を与える、同時にこれは視聴者に対して保護する。保護を非常に強調されておるわけですね。実際においては私はこの法案は、放送法そのものに違反しているのじゃないかと思うのですが、その点、放送法第一条あるいは第七条ですね、それから第九条第四項などは、NHKは「標準放送と超短波放送とのいずれか及びテレビジョン放送がそれぞれあまねく全国において受信できるように措置をしなければならない。」そういう責任を――全国あまねく受信できるように措置しなければならないということを明確にこの放送法に書いてあるのですね。これは第一条から、第七条から、私が申し上げる必要もないのですが、こういう点からいって、この法案自身がこういうものに違反しているのじゃないかという点をまず郵政大臣に御答弁願いたいと思うのです。
  42. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は放送法に違反しておるということは全然考えておりません。  これまで何回か当委員会におきまして質疑応答がございましたように、なるほど放送法では、NHKは全国あまねくテレビが見えるようにしなければならぬ、こういう趣旨の規定ははっきりと書いてございます。また、民間放送につきましても、法の規定はございませんけれども、その仕事が公共性であるという社会的な責任から民間放送自体も当然全国あまねく見えなければならぬという責任を負っておる、こう思います。ただしかし、全国あまねくと申しましても、都会における最近の受信障害というものはNHKだけの責任である、こういうことは私は言い切れぬと思うのでございます。そういうことを考えますと、私は、いま御審議をいただいております法律放送法に違反しているのだ、こういうふうな御意見にはにわかに賛成することはできません。
  43. 田代文久

    ○田代委員 大臣は私の質問をはっきり理解してない。NHKだけがこの責任を持っているのだというようなことはいささかも言っておりません。また、そういう点を私は言おうとしているのではないのです。これらの放送法の規定ですね。これは農山村やあるいは都市を問わず、全国あまねく国民に放送についての受信権を保障する、そういう責務というやつ、責任というやつが国とNHKにある。国とNHKが国民に対して、受信者に対してあまねくこれを行き渡らせるという責任があるのだということが規定にあるわけですね。したがって、そういう立場からしますというと、テレビ放送、再送信の業者に営業許可を国が与えるというようなことは、国自身がそういう許可を与えるというようなことは、この放送の最大限の普及、並びに受信を保障すべき国とそれからNHK自体のそういう責務というものをほかに転嫁するものじゃないですか。その点、一切責任を持ってやるという放送法の精神に基づいてやるのではなくて、その責任を第三者に転嫁する、あるいはそれを弱めるということになるのじゃないかということがはっきりわかると思うのですが、その点、どうです
  44. 河本敏夫

    河本国務大臣 この放送法にいいますNHKが全国あまねく見えるようにしなければならぬという意味は、国のすみずみまで見えるようにしなければならぬ、主としてへんぴな地域も見えるようにしなければならぬという意味でございまして、最近のように大都会におけるビル陰障害あるいは自動車による障害、その他いろいろな電気事情による障害、こういう新しい事態が次から次へ発生いたしまして、部分的に大都会において見えにくくなっていることは御指摘のとおりでございますが、そういう次から次へ発生することまで全部NHK責任解決しなければならぬ、こういう意味ではないと解釈しております。
  45. 田代文久

    ○田代委員 依然としてNHKだけを郵政大臣はおっしゃいますけれども、そうではなくて、NHKもこれは当然責任を負うべきですが、国自体が責任の所在を明確にすべきではないかということを私は言っているわけですが、あとからそれは申し上げることにしまして、NHK自体は、この自然条件の僻陬の地において、そういう山村などでは基幹方式によってできるだけ聴視者に不便を与えないということでいろいろ努力されていることはわかるわけなんで、この都市区域に対する最近のそういう事情が明らかに出ておるわけですが、これに対して放置しておくということは許されないし、当然それに対するところの抜本的な対策というものが考えられていると思うのですが、そういう点について、とにかくどういう対策によって聴視者に対して責任を果たすということをなさっておられるか、それを聞かしていただきたいと思います。
  46. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 放送法の一条なり七条なりの解釈は、ただいま御指摘のようなところだと思います。  で、旧来放送法上の解釈といたしましては、全国あまねく受信できるようにするための送信の施設を協会がいたすということが義務づけられておるというふうに一応の解釈は成り立っておったかと思います。しかし、近年御指摘のような都市事情の変化等によりましで、そのような解釈だけで受信上の障害を顧みないというわけにはまいらない社会的な新しい事実の発生がある、そこに着眼をいたしますれば、私ども放送法上の解釈をより積極的に見まして、一条なり七条なりの精神を遂行するためには、今回の有線の施設によります受信上の改善をもいたすことが協会の使命の一つであろうというふうに考えるようになってきております。  以上のような御説明で大体協会のこの問題に対処しております考え方を御理解が願えるかと思いますが、いずれにいたしましても、この有線放送業務運用の規正に関する法律、これは現在あるわけですが、この改正の有無にかかわらず、協会といたしましては、四十四年度の予算施行以降におきましては、ただいま私が申し上げましたような考え方から協会独自でもこの都市内における難視について積極的に手がけたい、このように考え、これを予算化し、かつ、国会の御審議を経てきているという事情にございます。
  47. 田代文久

    ○田代委員 NHKが難視についての予算も組んでやっておるのだ、またやるのだとおっしゃいますけれども、それはどの程度解決するのですか。
  48. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 先般来当委員会におきまして一部お答えいたしましたように、東京都内の受信上の障害をできるだけ早い機会に改善をすべき対象の世帯が二万七千ほどございます。ただ、これは総体の数でございまして、従来原因者がはっきりいたしております電波障害、通称ビル陰という形で建築主に責任をもってこの改善をやってもらいますという数字もこの中に入っております。したがって、いまこの有線放送業務の規正に関する法律改正案の対象となり、またNHKが新しい放送法上の使命を自覚して都市内の難視も協会責任で果たしてみたいという原因の不明の部分につきましては、このうち、当面大かた一万内外だろうと思っております。何ぶんにも財政上のこともありまして、四十四年度におきましては、私どもは東京、大阪、名古屋で対象の世帯を一万として、これにかける金を二億八千万円計上をいたしたわけでございます。手がける地区数といたしましては、四十地区を選んでおります。一地区で二百五十くらいの世帯、たとえば新宿の歌舞伎町かいわいで私どもが調査いたしますれば、いわば原因のわからないような形で障害が起きているのが、一つのブロックとして二百五十世帯くらいあります。これを四十四年度で四十地区手がけてみたい。したがいまして、その世帯数は一万になるわけでございます。率直に申し上げますれば、東京、大阪、名古屋全部を通じてやるといたしますれば、これの数では少ないと思います。ただ、協会の財政上のこともあり、ことに初年度でもございますし、また、これを手がける協会の能力のこともございまして、まずは以上御報告したような数字をもって第一年度手をつけてみたい、こう考えたわけでございます。
  49. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、いずれにせよ残るわけですね一そうすると、残っておる部分も全部含めてNHK自体の全責任において解決できるというお見通しになるのですか、ならないのですか。
  50. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 これまでお答えしてきた精神から申しますれば、これを継続をして手がけてまいりたいということで、さしあたり私どもは四十五年度におきましては一万五千の世帯、四十六年度におきましては二万、四十七年度は二万五千、都合七万の世帯、地区といたしましては二百八十を想定いたしておりまして、これにかける金は四十四年から四十七年、四カ年で十九億六千万円というような数字を一応はあげてみております。  しかし、私は率直に申し上げまして、これは私どもNHK内部の一応の想定でございまして、いわばこれは内輪の数字に過ぎて、これでは社会的な事態の発展は処理し切れないことに相なろう、したがいまして、本年度の経過等を見まして、あるいは第二年度等の経過を見て、いま私がお答えいたしましたような数字は、あるいはより大幅に修正を必要とするようなことに相なるであろうというふうに内心は想像いたしておりますし、また、そうせざるを得なくなるだろうというふうに考えております。
  51. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、NHK自体といたしましては、もちろん放送法の原則に立っていただくということなんですが、この法案が成立するということに対しては全面的に賛成ですか。その点ひとつ……。
  52. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 このことにつきましては、先般の委員会で協会の正式の見解としてお答えいたしましたとおり、賛成でございます。
  53. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、これはやはりNHK自身が矛盾を持っていると思うのですけれども都市において難視聴が起きている、この原因というのは、いわゆる僻陬の地における自然的のものとは違って、明らかに人為的な原因なんです。高層ビルとか自動車とか、あるいはアメリカの飛行機が飛ぶとか、いろいろそういう人為的なものになっておるわけですね。そうすると、その点を人為的な原因あるいは自然的な原因というふうに区別されて、そしてその原因者が不明であるというようなことを理由にして、結局、これが成立しますと難視聴者は二重に負担を受けることになりますね。当然そうでしょう。そうすると、見ている人、聞いている人、難視聴者がなぜ二重に負担をしなければならない義務があるのか。それは視聴者に対する保護とは全く相反する。これは保護じゃないですよ。     〔小渕委員長代理退席、加藤(常)委員長代理   着席〕 いままでNHKに対して聴視料を払っておるのに、またこれを払わなければならない。難視聴原因に対しては聴視者がつくったのでも何でもないのですね。ですから、これは保護ということを盛んにいって、保護される保護されるといっておるけれども、見る人からいえば、これは自分負担する性質のものではないけれども、とにかく見たいからということで自腹を切ってやっておるというのだから、これは保護ではない。難視聴者にとってこういうことを義務づけられるということは、理論的にはこれは全く間違っていますよ。NHKの精神からいっても放送法の原則からいっても、これは違反していることは間違いないと思うのですが、時間の関係で、郵政大臣並びにNHKに対してまとめて一括して質問いたしますから、とにかく答えてください。  共産党は、都市区域の難視聴受信障害解決案のように、これを営利を目的とする私企業にゆだねるということは、放送法第一条、第七条、第九条の諸規定から見て全く違法であり不当である、このように考えます。これは放送法の規定に基づいて国とNHK、この両者の責任において解決して視聴者を保護すべきである、この適法的な解決のために次のような対策をとるべきであると考えますので、大臣の所見を伺いたい。  第一、都市区域の難視聴は、いままで十分視聴できていたものができなくなるというそういう問題で、この責任視聴者の側に全然ない。この人為的な原因による難視聴対策が放置されておるということは、これは許されません。農山村地域の自然的な原因によるものとの差別を全然してはならないし、当然国とNHK両者の負担において、都市地域の難視聴者に対して、電波を受信し再送信を行なう有線テレビ施設を行なうべきものである、このように考えます。これに対して、政府並びにNHK、特に郵政省はどう考えるか、これが第一。  第二、この有線テレビ施設が都市の急速な高層化等によって拡大する難視聴対策である以上、その施設計画というのは当然都市計画の一環としてやるべきである。場当たり的な解決策ではなくて、将来にわたる長期的な対策として実施すべきであると思うが、この点どうか。  第三、国はこの費用の少なくとも半分以上は負担をする。その費用は人為的原因者から徴収すべきである。たとえば都市区域の高層ビル建設について、一定の高さ以上のものについては、その費用負担を建築許可の条件にするというような考えがないかどうか。原因不明とおっしゃっても明らかな原因者があるわけなんですから。そうすると、たとえば建築許可をする場合に、高い建物を建てる場合にはそれに対して一定の費用負担をあらかじめかけておくというような処置がとれると思うのです。  第四、この有線テレビ施設は都市計画の一環として位置づけなければならない、これはさっき申しましたようにですね。また、都市の一定地域の住民の福祉にわたるものであるから、その管理は地方公共団体が当たるべきである、都市計画の一環としてですね。これは当然そうなると思うのですが、この点に対してどう考えられるか。  それから第五に、有線テレビによる聴視者の負担というものはNHK受信料だけとして、その維持管理費といえども二重負担をかけるという料金は徴収すべきではないと考えるが、その点どうか。  以上、五点について、政府並びにNHKの見解を伺います。
  54. 河本敏夫

    河本国務大臣 まず第一番に、将来建築許可をする場合に、一定の高さ以上のビルを建てる者から、ある程度の規制をするなりあるいは一定の料金を徴収するとか、何かそういうような対策に必要な金を取る、こういうことはどうか、こういう御質問であったと思いますが、その点はわれわれも賛成でございます。それでありますから、建設省に対しまして、建築基準法の改正のときには何らかの考慮をしてもらいたいということを強く申し入れております。それ以前にも何回かこのことについては考えてもらいたいということを申し入れをいたしております。  それから、この法案が通りましてできる法人というものはもうけ主義ではないか、こういうお話がございますが、そういう法人はできるだけ避けたい。もうけ主義ではない公益法人にしたい、同時に、その法人には、お話しのように地方の市町村と申しますか、公共団体、こういうものに入ってもらいたい、こう思っております。しかし・都市計画の一環としてそういう市等が管理の主体になるのはいかがであろう、そういうことではなしに、やはり放送事業者、関連のいろいろな事業を営む者、あるいは電力会社、電電、こういうところが入りまして、皆寄って公益法人をつくる、こういうことが望ましいと考えております。  それから、料金の二重取りになるのじゃないか、こういうお話でございますが、これは、NHKは大都市におきましても受信できるように電波を出しておるわけなんですから、いまでも何人かが組合をつくって共同アンテナをつくるという方法を講すればテレビが見えるようになるわけなんです。ただしかし、そういうことでは相当経費もかかりますししますからたいへんだというので、こういう業者が将来乱立するおそれがある、それじゃ困るというので、ある程度の規制が必要だ、こういうことになるわけですね。ですから、自分でやれば金がかかるわけでございますから、ある程度のことはごしんぼうしていただく、ただしかし、その負担があまり法外になってはいけない、できるだけ安くやれるようにひとつ指導していきたい、こういう考えでございます。
  55. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 ただいまのNHKに関する部分の御質問ははなはだしく誤解があろうかと思います。  私どもは、本年から地方の難視も都市の難視も協会が積極的にみずからその施設の設置に当たりたいということで、地方におきましては大体一世帯当たり二万五千円かかりますもののうち二万円を協会が持ちましょう、都市におきましても大かた三万三千円かかりますが、そのうち二万八千円を協会負担をいたしたい、したがいまして、地方におきましても都市におきましても、一人一人の世帯の方は五千円方の御負担を願う、こういう考えでございます。これは、非常に電波がよく届いて、普通の家庭で自分のお宅の屋上アンテナを立てる場合でも一世帯ごとに五千円見当はアンテナ代がかかっておりますから、共同施設によりましても五千円方御負担をいただくことは、全般の世帯聴視者との均衡をはかる上にその程度は必要な御負担だ、このように考えておるわけでございまして、したがって私どもは、これらの考え方をとりまして、いま御指摘のような負担の不均衡というようなことでなしに、十分均衡をはかりながらこの処理をしたい。ただ、協会が独自でやります場合にはこういう思想でまいりたいということでございますが、今回この改正案の成立に伴いまして、郵政御当局でいわゆるこれを行なう運営主体をどのように選ばれるか、その中で協会をどの程度に公益法人の中での出資者とお認め願えるかどうか、いろいろ今後のことに属するかと思います。協会といたしましては、一般放送事業者と語らいまして、この運営主体の主たる構成メンバーになりまして、NHK考えておる思想をこの運営主体で運んでいただくのがたいへんありがたい、こう思っておるわけでございます。ただ・これらのことは、法の成立後にできます運営主体のあり方によって私ども協会自身として持っております思想がどのように具現ができるかということは今後のことに属するということになろうかと思います。     〔加藤(常)委員長代理退席、委員長着席〕  また、二重負担等につきましては、協会は、独自でありましょうと、あるいはこの運営主体ができて協会が参加するという形でいたしますにしても、御指摘のような関係で二重負担は極力避けたいと考えております。  したがって、一般の世帯でも今日受信機を備えて一カ月テレビを見ますれば電力料が数十円、五百円はかかるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この法律によってできます運営主体にいたしましても月々の維持料は百円程度は取りたい、また取るべきであろう、先ほど大臣も低額なものでありたいというようなお答えをされておりましたが、NHK自身といたしましては大体月百円ぐらい取ってこの施設を維持していく、そうしますれば、率直に申しまして、協会がただいまいただいております受信料との関係で二重負担というような抵抗感が少なく済むだろうし、またそれが百円程度がこの共同施設の運営の実態に即したものであろう、こういうふうに考えておりますので、この辺は当委員会におきましても随時お答えをいたしましたので、ひとつ協会のこの都市難視に対する取り組み方の真意と考え方を正しく御理解を願えば御支持賜えるものと考えております。
  56. 田代文久

    ○田代委員 御支持できないですね。これは基本的に低額で、百円どうとかとおっしゃいますけれども、やはりこれは視聴者にとりましては明らかに二重負担ですよ。こんなことを視聴者自分負担しなければならないという責任は当然ないですよ。これは放送法によってちゃんとすみからすみまで見せるようになっておるわけですね。これは多少にかかわらず自己負担の分がプラスするわけですが、基本的な原則的な精神なり、あるいは法に対する解釈なり、その原則をどう守るかというところを私たちは問題にしているのです。ですから、とにかく自分が見たいためには自腹で見れるようにしなさい、それには幾ら金がかかってもいいじゃないかというようなことは、そういう見たいという人の持っている心理――弱点じゃないのですけれども、そういう心理を逆用してこれを法制化して、当然のことのようにして取るという考え方で、これは私は正しくないと思うのです。  しかし、これは時間の関係でまたの機会に譲りますけれども、最後に、一言、大臣に伺いたいと思うのですが、きのう七月二日付の朝日新聞で、自民党は有線テレビ自主放送郵政大臣の許可制にするという修正案を出そうとしているという報道がされているのですね。これは仄聞するところによりますと、あとから出るそうでございますけれども、この修正案は憲法の第二十一条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」というこの規定の表現の自由を規制するものだと考えざるを得ないのです。したがって、この修正は私は正しくないと思うのですが、大体、これが問題になったときに、朝日新聞によりますと、内閣法制局自身が、このような規制は憲法で保障する言論の自由に抵触するおそれがあるんじゃないかということで論議になった。法制局自身がそういうことを言ったということもあるので、これは相当問題になったことは事実だと思うのですね。しかしこれは、例の法制局自身の官制的な立場からああだこうだといってこじつけた結論を出して、これは違反していないということでおそらくこの修正を出されるわけでしょうけれども有線テレビ自主放送を許可制にして規制するということは、いま申しましたように、明らかに二十一条に違反する問題でありますし、また、これに対して低劣な番組がどうだこうだというようなことを言われておりますけれども、これは放送法による番組規制もあるし、また、どうしてもだらしのないエロとかグロとか健全でない、そういうことがかりにやられるということになれば、これは別個に規制する方法があると私は思う。ですから、そういうことは理由にならない。また、これを許可制にして、一定の区域内における乱立を防ぐということをあげておりますけれども、これは結局は一定の区域内に独占的な自主放送の営業権を設置することになるんじゃないか。それで、私企業の営利を保障するために表現の自由あるいは自主放送の自由を奪うということになることは、私は正しくないし、許されないんじゃないかと思います。  だから、こういう点について、これの修正意見を実際に出されるのかどうか、それから、出されるということは、二十一条には全然違反しないという立場で出されるのかどうか、そういう点の大臣の見解を最後に伺って、私は質問を終わりたいと思うのです。
  57. 河本敏夫

    河本国務大臣 政府案に対して修正の意見が出ておることは私も聞き及んでおります。しかし、内容につきましては詳しくは承知しておりませんが、ただ、御指摘のように、自主放送規制すれば憲法違反ではないかという御意見でございましたが、私はさようには考えておりません。かりにそういうことになっても、それは憲法違反ではない、かように考えます。
  58. 田代文久

    ○田代委員 全然考え方が違いますけれども、時間がないそうですから質問を終わります。
  59. 井原岸高

    井原委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  60. 井原岸高

    井原委員長 この際、小渕恵三君外三名から本案に対する修正案が提出されております。
  61. 井原岸高

    井原委員長 提出者から趣旨説明を求めます。小渕恵三君。
  62. 小渕恵三

    ○小渕委員 ただいま議題となりました自由民主党提案にかかる修正案について、提案の趣旨を御説明申し上げます。  修正案の案文はお手元にお配りしてございますので、朗読は省略させていただきます。  修正案の趣旨を端的に申し上げますと、有線テレビジョン自主放送業務郵政大臣の許可にかからせようとするものであります。  政府案によりますと、自主放送のみを行なう有線テレビは、許可制の対象となっていないのでありますが、現に自主放送のみを行なうような有線テレビの構想がいろいろ伝えられているほか、有線テレビ再送信放送の普及を背景として、将来、一般家庭を対象とするような有線テレビ自主放送の出現も十分に予想されるところでありますので、この際、所要の一法的措置を講じておく必要があろうと存ぜられます。  申すまでもなく、一般家庭を対象とする有線テレビ自主放送は、その社会的影響力あるいは機能という面から見れば、無線によるテレビ放送に類似するものでありまして、無線による放送と同じような公共性を有することになると認められるのであります。また、その施設に即して見ましても一、自主放送と再送信放送とがあわせて行なわれる場合はもちろん、単独に自主放送のみを行なう場合においても、大かたは地域独占の形を形成することになると見られるのでありまして、この点からもまた相当の公共性を持つことになると思われるのであります。  この修正案は、こうした判断のもとに、有線テレビ自主放送についても、都市地方を問わずこれを郵政大臣の許可制として、その業務の適正な運営を確保しようとするものでありまして、その許可については、許可基準として、業務を適確に遂行できる経理的基礎があること、再送信放送自主放送とを同じ設備で行なう場合には再送信の業務に支障を与えないこと、その業務計画が確実かつ合理的であることなどのほか、特に放送番組の適正な編集等を期待して、「郵政省令で定める有線テレビジョン自主放送業務に関する基準に合致すること。」という事項を設けております。  その他、修正案の細部については説明を省略させていただきますが、何とぞ全会一致御賛成くださいますようお願いいたします。
  63. 井原岸高

    井原委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。  修正案に対する質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森本靖君。
  64. 森本靖

    ○森本委員 ただいま修正案の提案理由の説明がございましたが、提案者に対して若干の質問をしておきたいと思います。  まず、許可の基準として、特に放送番組の適正な編集等を期待して第三条の五第三項第四号の規定を設けたということでありますが、これはこの法律の第四条で定めているいわゆる自主放送番組の編集の準則の規定を順守する者でなければならないというように理解をしたいのでございます。しかし、この点、この修正案では条文上は明確にあらわれていないように思われますので、その点、まず提案者としてどのように考えられておるか、御質問をしたいと思うのであります。
  65. 小渕恵三

    ○小渕委員 ただいま御質問の件につきましては、お説のとおり修正案第三条の五第三項の許可基準の規定におきましては、第四条において準用する放送法の規定を順守するものでなければならない旨を明文で定めてはおりません。これは立法技術上このような表現をとることとしたわけでありますが、自主放送におきまするいわば維持の基準である第四条の規定について、当然許可の際の基準としても定められることを期待しておるわけでございますので、提案者といたしましては、郵政大臣が同項第四号に規定する郵政省令の制定の段階におきまして以上述べましたような趣旨が確保される措置がとられることを期待しておるわけであります。
  66. 森本靖

    ○森本委員 現在すでに全国的に有線テレビ自主放送を行なっている施設が若干あるやに聞いておるのでございますが、この修正案が可決成立をした段階でこれらの若干の施設がどういう取り扱いになるのか、この点をひとつ明らかにしておいてもらいたいと思うのであります。
  67. 小渕恵三

    ○小渕委員 現在有線テレビ自主放送を行なっております施設といたしましては、静岡県の下田テレビ協会あるいは和歌山県の新紀テレビなど数施設があるわけでありますが、この修正案が可決成立した暁には、これらの施設につきましても許可の対象となるものであります。しかしながら、この法律は成立後施行までに六カ月の期間がありますので、この間におのおのの施設者が許可の申請書を提出するよう郵政省におきましても行政指導をしていただくことを期待しておるわけであります。  なお、これら現在の自主放送の施設の運用状況から見まして、これらの者が申請を行なった場合に、郵政省においてこれを許可しないということはよもやあるまいと確信しておるものであります。
  68. 森本靖

    ○森本委員 今回の修正案では、有線テレビ自主放送のみを許可にするということでありますが、同じ自主放送でも有線ラジオによるもの、いわゆる音声、これは許可にかからしめていないわけでございますが、この理由を明らかにしてもらいたいと思うのであります。
  69. 小渕恵三

    ○小渕委員 いわゆる音声放送ミュージックサプライ等でありますが、これらにつきましては、現在主としてバー、喫茶店などを対象として相当の普及を見ていることは事実でありますが、これは一般家庭に対してサービスの提供を行なっているものではございませんので、その社会的影響力という面から考えますれば、やはり限られた分野のものであるといわざるを得ないのであります。ししたがいまして、ミュージックサプライが現状のような形態にとどまる限り、これを許可の対象とするまでもないのではないかと考えられますが、有線ラジオ放送の取り扱いにつきましては、今後とも引き続いて検討すべきものと考えております。
  70. 森本靖

    ○森本委員 修正案の第三条の五第三項第二号の規定によりますと、再送信業務の用に供する設備を用いてする自主放送については、再送信業務に支障を与えないことという趣旨の規定があるわけでありまするが、ここで再送信業務に支障を与えないとは、具体的にどういう内容か、これを明らかにしてもらいたいと思うのであります。
  71. 小渕恵三

    ○小渕委員 再送信業務に支障を与えないということは、具体的に申しますれば、自主放送を行なうことにより、やり方によっては番組制作費や設備投資が過大となって再送信の役務の提供に対する対価に影響を及ぼし、自主放送を行なわない場合に比べて著しく高価なものとなって、受信者に過大な負担を課するようなことになるものでないこと、あるいはまた、自主放送の設備が再送信設備に妨害を与え、テレビ映像の伝送品質等に悪影響を及ぼすこととなるものでないこと等がその内容としてあげられるものと考えております。
  72. 森本靖

    ○森本委員 政府案におきましては、第三条の二第六項の規定によりまして再送信の設備は再送信の業務の用以外の用に供してはならないこととされておりまするが、ここで再送信業務の用以外の用と申しますのは、単に自主放送だけではなしに、それ以外のたとえばファクシミリあるいはデータ通信等の用に供するものも含んでいるというように理解をしておるのでございますが、今回の修正案では、許可にかかるものとして有線テレビ自主放送に限定しているわけでございます。この点、規律の内容か若干変わるのではないかと考えられますがいかがか、これについての説明を願いたいと思うのであります。
  73. 小渕恵三

    ○小渕委員 お答えいたします。  政府案の第三条の二第六項の規定におきましては、文言上はお説のとおり自主放送のほかにファクシミリとかデータ通信等も規制の対象となっているのでありますが、再送信の用に供する設備を現時点でファクシミリあるいはデータ通信等の用に供することにつきましては、技術的に克服しなければならない難点などがありますので、現実の問題として第三条の二第六項の「再送信の業務の用以外の用」の具体例としては自主放送に限られるものと考えられます。  したがいまして、修正案におきましては、自主放送のみを許可制にかからしめることといたしましても、実際上支障を生ずることはないものと考えられます。
  74. 森本靖

    ○森本委員 ここで提案者に対する質問を終わりまして、政府に対して質問をしておきたいと思うわけであります。  それは過日の同僚中野委員から質問がありましたことのように、この有線放送業務運用の規正に関する法律については、政府案におきましては、再送信におきまするいわゆる自主放送あるいは再送信の許可ということでありましたが、これについての許可その他についても、一応電波監理審議会にかけるという形にはなっておりません。ところが、今回この修正案が出まして、この修正案が可決せられるということになりますると、かなり大きな権限を郵政省が持つことになるわけであります。  そこで、この自主放送有線テレビにおきましてもこれが無制限に行なわれるということについては、私は、これはある程度施設の面あるいはまた国民の側からいたしますと、これが迷惑がかかるというような点からかなり考えていかなければならないという点で、この修正案に対しましては賛成の意を表したいと思いまするけれども、そこで一つ抜かれますのは、いわゆる許可事項になるわけでありますので、その許可事項については、法律的には電波監理審議会に諮問をしなくてもいいということになるわけであります。ところが、一般の無線による放送におきましては、免許、予備免許というような形においてやられるわけでありますので、これは電波監理審議会にはっきりかかってやるわけでありますけれども、今回の場合は、電波法、放送法によるところのいわゆる予備免許、免許という形にはならぬわけでありまして、これが一応許可という形になるわけでありますので、その他の、たとえば電気事業あるいは水道事業、こういうものと同じような許可の方向になるわけでありますが、そこでこれが電波監理審議会に必要な、どうしてもかけなければならぬという諮問事項にはならぬわけであります。  しかし、たまたま現在の郵政省設置法の第十条の二の一項、さらに第十九条の付属機関の電波監理審議会の項、それか電波法の九十九条の一二の2の項のところには、いわゆる任意的な諮問事項というものがあるわけであります。法律的には任意的な形の諮問事項になっておりますけれども、  これを必要的な諮問事項としてこれを執行していく場合に、ぜひ私はやっていただきたい。そうでなければかなり不安を感ずるわけであります。  その点について、執行の任に当たられる大臣としては、この修正案が通った場合に、私がいま言ったような方向においてこの法の運用を行なわれるかどうか、ひとつ聞いておきたいと思います。
  75. 河本敏夫

    河本国務大臣 御趣旨のように処理していきた いと思います。
  76. 森本靖

    ○森本委員 それから次に、今回の修正案が通りますと、これは再送信業務以外の問題につきましてもこれを許可にするわけでありますので、かなり郵政省の政令その他についても、現在まで郵政省考えておった政令その他等、変わってくることになると思います。同時に、現在の段階においては、いま提案者も言われましたように、ただ二カ所程度しかございません。しかし、これが一、二年経過をいたしまして、現実にこの問題が法律上の問題として持ち上がってくる場合におきましては、郵政省としては、現在のスタッフその他においてはなかなかむずかしい段階になろうと思うのであります。そういう点を考えました場合に、今後郵政省としてこれを監督し、あるいはまた許可するという受け入れ的な事務の体制というものもいまから私は確立をしていかなければならぬというふうに考えるわけであります。  それから、従来の電波監理審議会にかかっておったことについては、処分の問題等については任意事項としてかかっておりまするけれども、今後は、いま大臣答弁をいたしましたように、必要事項というような形においての審議会になるわけでありまするから、そういう点で、電波監理審議会の今後の運用、あるいは郵政省のこれに対するところの執行体制というものについては万遺憾のないような形をいまから準備をしておかないと、その場になってそらということであわてたのではなかなか話にならぬというふうに考えるわけでありまするが、これに対するところ大臣の決意をひとつ聞いておきたい、こう思うわけであります。
  77. 河本敏夫

    河本国務大臣 御指摘のように非常に重大な問題でございますので、これを処理するための郵政省対策と、また人的な構成、こういう点については十分配慮いたしますと同時に、電波監理審議会の運営等につきましても十分配慮してまいりたいと思います。
  78. 井原岸高

    井原委員長 小沢貞孝君。
  79. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 郵政省の事務当局に最初お尋ねしたいと思いますが、伝えられるところによる、と、いま小渕議員ほか、自由民主党の議員立法で修正した自主放送郵政大臣の許可制にしようという、原々案のごときものをつくって内閣法制局に相談に持っていった、こういうように伝え聞いておるわけですが、そういう事実はあったのかどうか。
  80. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 当初の構想としてございました。
  81. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 内閣法制局は来ていますね。――そこで、その経過についてお尋ねをしたいわけです。  原案においては、郵政省みずからがやはり自主放送規制しようということで内閣法制局に相談をしたところが、内閣法制局としてはどういう理由でこの自主放送というものは立法化しないほうがいいという判断を下したか、その点についてお尋ねをしたいと思うわけです。
  82. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 お答えいたします。  若干事実に食い違いがあるように思いますので、その点、明確に申し上げたいと思いますが、郵政省の事務当局において最初この改正案をいろいろ検討されたときに、自主放送についても許可制なりその他の規制を行なうというような構想があったということは、これはいま電波監理局長から御説明申し上げたとおりで、その事実については私ども承知いたしております。ただ、私どもところに正式に審査のため提出された案には、自主放送についての規制をするという案はございません。そういう意味において、法制局の審査の段階で現在のような政府案になったというような事実はございません。  ただ、つけ加えて申し上げますが、最初いろいろお話がありましたときに、フリートーキングと申しますか、お互いに郵政省なり法制局の立場を離れて、有線テレビについて、これは自主放送も再放送も含めて、将来の展望なり、あるいはこれに対する行政施策としていかにあるべきかというような議論を自由な立場でいたしたことがございます。そういう場合に、私どものほうとしては、かりに自主放送規制するということになれば、いろいろ憲法上の問題があるであろうということは申し上げた事実はございます。  ただ、誤解のないように申し上げますが、私ども仕事と申しますのは、国民の権利を制限したり、あるいは国民に義務を課したりする事項を内容とする法律案というものについて御相談を受けたときには、必ず憲法との関係というものを検討いたすわけでございます。一見、どんなに憲法違反のおそれはないと思われるようなものであっても、私どもはいろいろな観点からそれについての検討をする、これが私ども責任であり、また仕事でございます。そういう意味におけるいろいろな議論はいたしました。その結果かどうかはこれは一わかりませんけれども、郵政当局においていろいろな理由から自主放送についての規制というも  のを今回の政府案には入れないというふうに決定されたもの、そういうふうに私どもは理解いたし  ております。
  83. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 経過についてはよくわかりました。それで、正式に郵政省から提示したものには自主放送はなかった、しかしフリートーキングのときにはそういう問題も提起された、それは憲法上の問題があろうということで、まあ私が勘ぐれば、内閣法制局としては好ましくないというようなお立場で発言をされた、そういう意向をそんたくして郵政省としては原案について自主放送は盛らなかった、こういうような経過だと了解をいたします。  そこで、さらに事務的に法制局にお尋ねをしますが、憲法上の問題とはどういうことが問題になろうかということでトーキングをされたか、その点についてさらにお尋ねをします。
  84. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 若干なお私のことばが足らなかったかと思いますが、憲法上問題があるというのは、憲法上違反のおそれがあるから問題がある、そういう意味ではございません。憲法の規定との関係をいろいろ検討すべき問題点があるだろう、こういう意味でございます。ですから、そういう意味で申し上げたのでございまして、憲法違反のおそれがあるなどというようなことは申し上、げた事実はございませんし、また、それが原因となって郵政当局において現在のような政府案を出されたというようなことはないと思います。
  85. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それじゃ郵政事務当局にお尋ねしますが、自主放送はなぜ最初から提起しなかったか。この間もちょっとお尋ねをしかけてやめましたけれども、なぜ郵政省の原案として自主放送もやはり許可制にしようということを取りやめたか、具体的に……。
  86. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 先ほど法制局のほうからお話がありましたフリートーキングの段階で出ました話といたしましては、自主放送というのは、アメリカにおいてもあるいは日本においてもまだ出てないではないか、そういうことでこれをどういうふうに規制するかということについて、言うなれば確信のある措置というものがはっきりしないではないかというようなことが話題になって、私どもとしては、それでは次の機会に、というような考えからそのときは取りやめたように記憶いたしております。
  87. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これを主管する郵政省がいろいろのことを検討して、内閣法制局とも相談をし、またアメリカの事情等も勘案して自主放送はないほうがよろしい、規定はないほうがよろしいという判断をされたと思います、これは原案に提案されていないのだから。ところが、いま議員修正でこれが通過するということになると、これは郵政省の事、志と違うわけです。郵政省の事、志と違うのだが、そこの調和を一体どういうように考えるか、これは大臣の判断だと思いますが……。
  88. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 先ほど申し漏らしましたのでちょっと申し上げますが、そのときの話では、これにはやはりいろいろな検討すべき問題があるので、時間的に考えても、結局再送信問題だけを取り上げるということが時間的に見てこういうことにならざるを得ないのだろう、こういう判断を他面におきましてはしたわけでございます。
  89. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは、大臣のお答えの前に、時間的に検討すべきいろいろの問題がある、こういうように言っているのだけれども、具体的にその項目をちょっとあげてみてください。
  90. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 具体的にどういう問題があってどうだというようなところまでは入っておりませんが、現実には、フリートーキングで話し合ったときはそういうことでとうてい無理だろうというふうに私どもは判断したわけでございます。
  91. 河本敏夫

    河本国務大臣 結局、いろいろのお話がございましたが、私は法制局の第四部長の御答弁で尽きておると思います。  最終的にわれわれが判断をいたしましたのは、現時点では、日本においてもあるいはまたアメリカにおいても自主放送をやっておるものが出ていない、だからいまの段階では必要ないのじゃないか、こういうことでございました。しかし、御承知のように本委員会における質疑応答におきましては、いまはそうかもわからぬが、近い将来に必ず出るのじゃないか、こういう御議論が各委員から活発に出まして、そうして今度の修正案が出されたものだ、かように私は了承いたしております。
  92. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 端的にお尋ねをします。いろいろ考えて、これは拙速を避けたほうがいいだろうというのが、郵政省のこの原案をつくった当局の考えだと思います。ところが提案者のほうは、これはもう早くやったほうがよろしい、こういうことで提案されているわけです。だから、そういうものが提案され、通過された後に自主放送規制するということについて、運営をする面において何を注意しなければならないか。この点について、ひとついままでの経過から考えて郵政当局の御判断を御答弁いただきたい、こう思うのです。
  93. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 自主放送につきましても今後許可制にするということになりますれば、その放送が再送信に悪い影響を来たさないように、あるいは技術基準から申しましてもそういった影響を来たさないように、また中身においてもりっぱな放送が行なわれるように、こういうようなことに留意してまいらなければならないかと存じます。
  94. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 事務当局はそういう答弁だと思います。ただ、私は将来の展望を考えると、原案の質問のときに大臣にもお尋ねをいたしましたが、このCATVは、おそらくいま問題になっているところ情報産業の発展とともに将来非常に重大なことになるのではなかろうか、こう私は思います。そういう目でこの自主放送をも規定し、あるいは再送信をも規定し、許可をするという立場に立つと、これはやはり投資という立場から考えると、ある地域独占ということが望ましいことであります。これは片方のメリットだと思います。片方はまたどういうことかというと、公正な競争によってよりよい放送あるいは自主放送というものができなければならないという片方のまた要望もあろうと思います。したがって、自主放送の芽のうちにどういうものを許可するかということは、将来の展望を考えるとなかなか重大な問題を含んでくるのではなかろうか、こういうように私は考えます。つまり、独占させなければならないという問題と、これはまた自由競争をしてよりよい再送信あるいはまた自主放送、こういうものを発展させていかなければならないということを考えながら将来のCATVの情報産業の発展等を考えると、この拙速でもって許可したそういうものがもとになって将来の情報産業の展望というものが考えられると、これは非常に重大な問題になっていくのではなかろうか、こういうように私は考えるわけです。そこで私はくどいようにお尋ねをしたわけです。地域独占的な方向へ発展していかなければならない。くどいようなんだけれども、自由競争という原理もやらなければならない、そしてまた情報産業という無限に広がる沃野がいま目の前にある、こういう立場から考えて、郵政大臣は、この法律が通ったときにいかなる考え方で運営をしなければならないか、こういう問題について大臣の所信を承っておきたい、こう考えるわけです。
  95. 河本敏夫

    河本国務大臣 ただいまデータ通信との関連におきましてCATVの将来を展望されましたが、私もその点においては全く同意見でございます。また、将来は巨大な産業に発展するであろう、また非常に重要な役割りを果たすであろう、運営の面において二つの点を特に留意して運営をしなければならない、こういう御注意がございましたが、私もその点全く同感でございます。御注意の点を十分勘案いたしまして、運営に万遺漏のないようにしていきたいと思います。
  96. 井原岸高

    井原委員長 中野明君。
  97. 中野明

    ○中野(明)委員 ただいまの修正案に関連しまして、もう一度私の立場からも確認をしておきたいと思うのです。  過日の委員会で私質問いたしまして、先ほど森本委員からもわれわれの心配を代表して一言お話があったようですが、この放送に関しましては郵政大臣の権限が非常に大きくて、各方面から注目もきれ、また、一部批判もあることは、いままで私どももあらゆる機会に論じてきたわけですが、今回の改正案有線テレビ再送信の業務が許可制になります。同時に、今度自民党から修正案が出まして、自主放送も一許可を要することになった。こういうことにつきまして、この法案をつくるにあたって、従前なかった有線放送テレビ、これが出てきたわけですから、そのときに、やはりいま申し上げましたような諸般の情勢から電波監理審議会の諮問事項の中に、新しくこの許可制が出てきたのだからやはり入れるべきじゃなかったか、その点について御検討なさらなかったのかどうか、こういう点を最初にちょっとお聞きしておきたい。
  98. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 必要的諮問事項とするということについては十分検討してはございません。
  99. 中野明

    ○中野(明)委員 やはりこういう点、将来の問題として前向きに検討していただいてする必要があると私は思います。先ほど森本委員質問で一応大臣も御返事になっておったようですが、あらためて確認の意味で申し上げたいのですが、結局、今回の自主放送を含めまして、業務の許可の処分あるいは許可の取り消しの処分とか、それから自主放送が入ってまいりますので自主放送業務に関する基準のもろもろの事項、こういうことについて必ず電波監理審議会に諮問をする、このように大臣としては決意を持っておられるかどうかということをもう一度確認しておきたいのです。
  100. 河本敏夫

    河本国務大臣 諮問をいたします。
  101. 中野明

    ○中野(明)委員 じゃけっこうです。
  102. 井原岸高

    井原委員長 これにて修正案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  103. 井原岸高

    井原委員長 これより原案並びに修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  有線放送業務運用の規正に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、小渕恵三君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  104. 井原岸高

    井原委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  105. 井原岸高

    井原委員長 起立多数。よって、有線放送業務運用の規正に関する法律の一部を改正する法律案は修正議決いたしました。  なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 井原岸高

    井原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  107. 井原岸高

    井原委員長 次回は来たる七月七日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十一分散会