運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1969-06-26 第61回国会 衆議院 逓信委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月二十六日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 加藤 六月君 理事 亀岡 高夫君    理事 志賀健次郎君 理事 中井徳次郎君    理事 森本  靖君 理事 小沢 貞孝君       上林山榮吉君    高橋清一郎君       内藤  隆君    羽田武嗣郎君       古川 丈吉君    森山 欽司君     早稻田柳右エ門君    武部  文君       三木 喜夫君    山花 秀雄君       米田 東吾君    中野  明君       田代 文久君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 河本 敏夫君  出席政府委員         郵政政務次官  木村 睦男君         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浦川 親直君         郵政省電波監理         局長      石川 忠夫君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部長   太原 幹夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   佐野 弘吉君         専  門  員 佐々木久雄君     ――――――――――――― 六月二十五日  簡易郵便局受託範囲拡大等に関する請願外十  六件(小坂善太郎君紹介)(第九五一八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  有線放送業務運用規正に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第一〇六号)      ――――◇―――――
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  有線放送業務運用規正に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中井徳次郎君。
  3. 中井徳次郎

    中井委員 有線放送事業一部改正法案ですが、一番最初にちょっとNHKに聞きたかったのですけれども、お見えになっておりませんのでそれはあとに譲りまして、この間の改正案説明の中で、アメリカではこれがたいへん盛んであるというふうなどなたか御説明がございましたが、どの程度規模でどんなようにアメリカにおいて運営されておりますか、その辺のところをちょっと御説明を願いたいと思います。
  4. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 お答えいたします。  先日申し上げましたように、アメリカCATV施設はたいへん発達いたしておりまして年々ふえておりますが、私どもが持っております資料はちょっと古いのでございますけれども、一九六六年末現在で千八百七十施設になってございまして、その加入世帯数は三百十六万五千世帯に達しているような状況でございます。  で、その施設規模日本よりはだいぶ大きいようでございます。日本の共聴施設に比べますと規模も大きうございまして、一施設の平均の加入世帯数というものは、日本が百五世帯に対しまして大体千六百世帯程度でございまして、中には加入世帯数が三万世帯にも及ぶものもございます。なお、最近におきましては、この共聴施設CATVと呼ばれまして、特にニューヨーク等大都市に進出し大都市に発達しているということが一つの特徴でございます。
  5. 中井徳次郎

    中井委員 アメリカの実情をいまお聞きいたしましたが、大都市で将来さらに発達をする見込みということでありまして、三万世帯といいますと相当な数でありますから、これと一般民放とかNHKとかの関係をいまからよほど慎重に考慮していく必要があるのではないかと思います。  その一つ参考として伺っていきたいのですが、たくさんありまするアメリカ施設が大体資本の面で系列的なものがあるのかどうか、おのおの独立して町の有志がやっておるというのであるかどうか、アメリカにありまする大きな放送局、そのグループに属しておるのかどうか、その辺のところを伺ってみたいのです。
  6. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 大部分のものはテレビラジオ放送関係者支配下にあるものが非常に多うございます。それから電話会社支配下にあるもの、あるいは新聞雑誌等関係を有しているもの、それから電気メーカー関係しているもの、こういうようなものが大きなパーセンテージを占めているような状況でございます。
  7. 中井徳次郎

    中井委員 いまの御答弁、たいへん重要だと思うのですが、大体その比率、六六年に千八百七十施設現在ありまするその内訳を一応表にして出していただけませんか。
  8. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 ただいま申し上げましたもののパーセンテージを簡単に申し上げますと、テレビラジオ放送関係者支配下にあるものが三三%でございます。それから電話会社支配下にあるもの、あるいはそれと関係を有しているものというようなのが二五%、それから新聞雑誌発行者が持っているもの、こういうものが一五%でございます。そのほか二七%でございますが、このその他の二七%の中におきましても、電気メーカーがリーダーシップを握っているものというのが非常に多いということが言われております。
  9. 中井徳次郎

    中井委員 現在日本にありまするもののそういう系統はわかりますか。
  10. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 お答えいたします。  日本における共同聴視施設は、テレビを見たいという方々の組合的な組織でやっているのが大部分でございます。
  11. 中井徳次郎

    中井委員 大部分でしょうけれども、そうなりますと、結局その施設をいたしまするのは、電気商とかメーカー系統とか、そういうものが多いのじゃないですか。たとえば、この間参考人新宿の人を呼びましたが、いろいろ御説明があったが、参考人だから私はもう二間目はやらなかったのですけれども施設費の一人当たりは二万円だ、月々五百円取られているというから、ほんとうに取られているのかと言うたらまだ出しておりませんということで、何の説明かわからないことなんです。結局、その近所の電気屋さんで、電気の技術の者でそれを御商売になすっている人がやっておられるというふうな印象を非常に強く受けたのでございますが、その辺のところはどうでございますか。
  12. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 地方におきまする共同聴視施設をする場合には、どうしても電気商が入りませんと現実には施設はできませんので、電気商がその施設建設等には必ず携わっておりますけれども、実際にその施設を運営し管理するものは、先ほど申し上げましたような受信者の組合がやっておるというのが現状でございます。
  13. 中井徳次郎

    中井委員 どうも、その辺のところをもう少し――今度の改正案では業務内容等も調べられるようですが、私は弱小中小企業皆さんを痛めるつもりは全然ございませんが、先般も、私の選挙区ではありませんけれども、県に参りましたところが、テレビ共同聴視をいたしておりました戸数が大体五、六百戸あります。陸の孤島というところで、この間から「旅路」というテレビで有名になりました尾鷲の須賀利というところでありますが、それは道もないのです。半島の先ですか、道もありません。船で、ポンポン蒸気で通うところですが、そこへ参りましたら、テレビが非常によく見えておるのにアンテナが一本もありませんから、私はどうしたことかと聞いたら、共同で一本大きな何を立ててやっておるんだ。NHKがそれをやっておるのかと言ったら、そうじゃない、この村の電気屋さんがやっておるんだ。そうか、幾らずつ負担金出しておるんだと聞きましたところが、月に二百円だ、こういうわけであります。アンテナ補修をするだけで月二百円、月に十何万円か収入がありますが、よう見えますのでけっこうですわというので、全部喜んで出しておるわけです。だから、私はそのことをどうこう言うわけではありませんけれどもNHKにやってもろうたらどうですかとだけはちょっと言うておきましたですが、どうもその辺のところに、何といいますか、その土地の人はまことに気の毒でありまして、こういう遠方のところでテレビを見せてもらえるのはまことにありがたいんだというつもりでおりますからだれも異議はありません。  道一本なし、自動車も自転車も入れないようなところですからそういうことですけれども、私は何かそちらのほう――ちょうどいまこの法案を審議しておる最中でございますので非常に何か気にかかりまして、これは大都市の対策のようですけれども大都市あたりでも案外こういうことがあるのではないか。あの新宿説明を伺いまして、結局、各加入者幾ら負担をしているのかどうもはっきりしない。そのかわりに白黒をやめて早うカラーを買うてくださいよというふうなことでカバーをしておる。まことに日本的な、とやかく言うわけではありませんけれども、けっこうその場の話し合いでやっておるんだと思いますが、いよいよこういう改正案を出すということになりますると、その辺のところも確かめておきたいと思いますので、それで私もいまNHK皆さんに来てもらいたいと言ったのですが、まだお見えにならぬようですから、見えましたらまたその点についてお尋ねをしたいと思うのであります。  そこでお尋ねをいたしますが、許可基準というところで、その(1)のところに業務区域のことを書いてありますが、この間からの御説明では、特に大都市におきましてはどんどん高層建築が出てまいりまするから、東京あたりは非常な広い地域にこれはなっていく、そうなりますと、ニューヨークで三万というのがあったが、東京でもその程度のものは将来できるんじゃないか。特にまた、これも私、新宿の問題で聞いたのですが、鉄道の付近ですから、電車が走りますと映像がぼけやしませんかと言ったら、一向そういうことはないと言っておりましたけれども現実に新幹線の付近テレビなんというものは非常に見えにくい。したがってその範囲が非常に大きくなるということになれば、これはなかなか許可基準その他――それから業務が非常に膨大になって、うまくいけば非常な利益があがるというふうなことも考えられますので、そういう場合のことを考えられまして、やはり一定の料金なら料金というものの、大体政府が認められる場合の内規的なものでもおつくりになる必要があるんじゃないか。障害もあまりない、まあ保守をしているということになれば、一たび施設をしますと、あと減価償却補修費ですが、補修費みたいのはほとんどかからないということになれば非常に低廉なものでこれはできるはずであると私は考えるわけでございます。と同時に、これが盛んになりますと、ちょっとこれは法律の原本というか、もとの法律にも関連があると思うのですが、特に自主放送ができるということになりますと、有線放送が大きくなると一般民放サービスエリアに非常に影響が出てきやせぬか。特に東京あたりではいま波が幾つありますか。一、三、四、六、八、十、十二ですか、七つあるのですか、そのうちNHKの二つを除きまして、あとの五つに非常な影響を及ぼしやせぬかと私は思うのです。  そういうことで2の許可基準のうちの(4)というところでこういうことについてどの程度いま予想をされておるのか。また、いまお尋ねしましたように、こういうものに料金を取るということになれば、どの程度のものを考えておられるのか、お尋ねをいたしておきたいと思うのです。
  14. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 ただいま役務対価妥当性について主としてお尋ねだったと思いますが、これはやはり許可基準のここに書いてございますように、役務提供対価原価に照らして妥当であるかどうか、まあ予想原価でございますが、そういったものに対して妥当であるかどうかということを許可をするときに十分に検討いたしてまいる必要がある、こういうことで「役務提供対価が妥当であること。」ということを許可基準にしたわけでございます。  私どもが試算いたしておりますところによりますと、大体一万世帯対象にいたしまして送受信所を一カ所設けた場合を想定いたしますと、それでもやはり三年くらいは赤字で、四年目くらいから黒字になる、こういう予想が立ってございますが、さらに、そういった年を経るに従って受信者も多くなろうし、また減価償却も済んでいくということで黒字になり、もうかる、こういうことになるわけでございますが、やはりこの対価というものはあくまで適正でなければならぬということで、また適当だと考えられる以上にそういった余剰が出るというような場合にはさらにこれを下げるように指導をしていくということを考えておりまして、最後の五項で「許可には条件を附することができること。」というようなことで、何年たったら、あるいはどういうような状態になったらこの対価をもう一回再検討するというようなことをつけ得るということを考えておるわけでございます。
  15. 中井徳次郎

    中井委員 いまの答弁は私は原則的にわからないのですが、三年目まで赤字で四年目から黒字というのはどういうことですか。
  16. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 これはいろいろな条件を想定いたしませんと、赤字になる、黒字になると、数字が動きますのではっきりしたことを申し上げられないわけでございますが、先ほど四年目から黒字になると言った例は、建設費として一億八千万円かかるということで、一年度目が加入者が一万、二年目が二万になり、三年目が三万になる、以降、三万の規模でやっていくということを前提にして考えたわけでございます。
  17. 中井徳次郎

    中井委員 建設費が一億八千万円なら、一万でしたら初め加入する人から一万八千円ずつ設備費を取れば、それでもう初年度から別にそういう心配は要らぬじゃないですか。三年たてば黒字になるというが、現金が要るということなんですか、借り入れせんならぬということなんですか。その辺のところを――株式会社なら株式会社と考えて、官庁会計と違うのだから、どうなんですか。
  18. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 おっしゃるとおり、赤字をなくすということで当初から料金をきめる方法もありますが、先ほど申し上げましたのは、加入料として月額四百円という料金でやっていこうということで考えた場合でございます。
  19. 中井徳次郎

    中井委員 四百円というと、一万で月に四百万円、こういうことですか。一年四千八百万円――それはバランスの関係現金の収支で判断しているのか、どうなんです。
  20. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 断片的に申し上げまして恐縮でございますが、加入料としては一人一万円、それから月額料金として四百円ということで、金利、償却費その他を全部計算いたしましてそういうことになる、三年間は赤字である、こういうことでございます。
  21. 中井徳次郎

    中井委員 そういたしますと、初め一万で始まってだんだん加入者もふえる。ふえなければずっと赤字なんですか、あなたのほうの計算は。
  22. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 まことに恐縮でございますけれども、後ほど調べて、その点は十分間違いのない資料を提出させていただきたいと存じます。
  23. 井原岸高

    井原委員長 理事者にもう少しわかりいいように、短時間で願います。
  24. 中井徳次郎

    中井委員 私が聞いていますのは、あなたが簡単に、三年赤字で四年から黒字であったらと言うから、そんなことは――経営をする者が、たとえ十年赤字でも十二年目から非常に黒字になったらやるかもしれませんし、そんなことは大体業を行なう者に譲るべきである。ただ、全体として総括的に見てこの程度のものならそろばんがとれるとかとれぬとかいうものを見る場合に、私はもっと高いところから見てもらいたい。そうでありませんと、相手事業家ですから、三年ばかり赤字で四年から大黒字になってもそれを隠しておいて、もう少し料金を上げてくださいというようなことになっては、ということをぼくはおそれるわけです。いまのテレビ、これは有線でも無線でもそうですが、特に有線無線よりも安定度が高いから、一応やっておけば経費もかからないのだ。バルブだって何だって要りませんからね。私はこういうものは非常に安くできると実は考えておるので、そういうことであなた方はだまされてはいかぬから、いまの大臣事業家ですからそういうことはよくおわかりなんでしょうけれども、事務のほうがどうも官庁会計会社のなにとをごちゃごちゃにしていかぬので、ちょっと聞いてみたらそういうことであったわけだ。  あと、しっかりひとつして説明をしていただきたいと思いますが、ちょうどNHK佐野君が来ました。副会長の小野君は見えましたか、副会長はきょうはまだですか。――この有線放送事業の一部改正法案をいま審議をしておるのですが、NHKは、この間からいろいろ質問もあったですけれども全国山村僻地についてテレビ見えないところを非常な金をかけて見えるように努力をしてくだすっておる、この点は私は大いに敬意を表したいと思うのであります。ところが、最近大都市におきましては難視聴地域が出てきた。これは本質は同じですね。相手は自然であるか人為であるかということだけであって、見えないということについては変わりはないのであるし、しかも利用度が非常に高いのが都市であるわけであります。そうしてまた、いまも石川君から説明を聞けば、一万人の有線テレビをやるについても、この施設経費が一億八千万円で大体できるということを言うておる。そういうことならば、NHKがこれを率先してやるべきである。NHKが率先してやってこういう問題を片づけたらどうだ、金もそうかかっておらぬし。そうしますると、いわゆる三百十五円か四百五十円の料金の中に含めて国民も非常に助かるというふうなことを原則論として考えるわけだ。  その辺のことについてNHK経営者の内部でどんな議論が行なわれておるのか。これはお上のやることだから拝見しておこうというのか、あるいは、はっきり言えば消極的であるのか積極的であるのか、その辺のところを伺いたいのであります。
  25. 佐野弘吉

    佐野参考人 ただいまの御質問の趣旨と全く同様でございまして、NHKにおきましては、会長以下、私ども経営の衝に当たります者は、従来の地方難視と同様に、新たに都市におきましても積極的な施策をもって都市内の難視改善に当たりたいということで、本年初めて都市難視救済のために、先ほどもお触れになりましたけれど、東京、大阪、名古屋等をさしあたり対象といたしまして四十地区、一万の世帯救済NHK自身がその建設に当たるということで二億八千万円の予算を計上したわけでございます。その金額の多寡あるいは救済世帯多寡につきましては御議論のあるところであろうかと思いますが、経営施策としてはきわめて積極的な施策といたしまして、その気持ちで本年初めてこれを取り上げたものでございます。  これは、言うまでもなく、最近におきます大都市における都市構造の変化なり、また横浜などもその例でございますが、新しい都市としての開発が市の郊外地に造成されまして、その辺ではまた地形難視という形で大きな都市の中の近郊にも見えにくいところが多々発生している、これらは協会放送法上の精神にのっとって積極的に協会自身がこれらの改善に当たるということは、一点の疑いもないと申しますか、疑問もない気持ちでこれを積極的に促進したいということでございます。
  26. 中井徳次郎

    中井委員 郵政大臣がこの改正案をお出しになるときにいま私がお尋ねいたしておりまするようなことも議論になったのではないかと私は推察をするわけでございますが、小さい、群小の有線テレビ有線放送、そういう関係のものが全国のおもな都市方々でできつつある。そこで、当分これを一応許可制にするのだというふうなことでこの改正案をお出しになったと思うのですが、これは、いまアメリカの例も聞きましたように、やはりテレビの親施設といいますかそういうもの、あるいは有線ですから電信電話というふうなもの、あるいは新聞雑誌、そういう系統のもの、やはりそういうものと何らか関連を持たないと、現実の問題として四十や五十ならいいですが、大きくなるとやられる。また、少し利益があがるというふうになると、なおそういう関係も入ってくるというふうに私は考えられるのでございますが、この法案を通すといたしまして、将来の展望というものを私どもはこの際やはり考えていかねばならぬというふうに思うのであります。アメリカにおいてはNHKに相当するのはございません。全部無料であります。無料広告放送でやっておる。日本においては、NHKというものがあって相当高額な料金を取っているわけですから、これはNHK本来の形としてはむしろNHK主導権を握らしてやる。それは直接では困るならば、あるいは傍系会社のようなものを、関連会社のようなものをつくってやる。それは法でつくってもいいと思うのであります。私は統制はあまり好きじゃありませんけれども、何度も話を聞きますると、ずいぶんおそくまで、夜中までやるような施設もあるらしくて、いろいろな問題も派生的に起こってくる可能性もあるというふうなことから、私としましては、いま積極的にやるといったら二億とか三億ではいかぬので、もっとがっちりとやるとするならばやってもらわなければならぬ。将来にわたる問題でありまするから、郵政当局とされましても、この辺のところはもう少し積極的な取り組みが必要でないかというふうな感じを、率直に言って私は持つわけであります。その辺のことろで、大臣の意見をひとつこの際聞いておきたいと思うのです。
  27. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほど来のいろいろ質疑応答を拝聴しておりましたが、私は都市における難視地域問題を解決するためにNHKがやったらいいじゃないか、こういうお話も出ておりましたが、これは全部が全部NHKの責任であると言い切るのにはいささか問題点があろうかと存じます。  それからもう一つは、この法案が通ったあと経営形態は一体どう考えておるか、その経営形態におけるNHKが果たすべき役割りいかん、こういうお話があったようでございますが、ただいまのところ考えられますのは、大都市はもちろんでございますが、近い将来におきましても、大体県庁所在地、またはほぼそれと同程度以上の規模都市におきましてはこの有線テレビが当然出てくるのではないか、こういうふうに考えます。したがいまして、将来非常に大きな規模に発展するであろう、こういうことが想像されるわけでございます。  その場合に、各都市におきましてできるCATV会社は、もちろん現在の放送事業者、つまりNHK民間放送事業者、あるいは電機メーカー電線事業をやっておるもの、こういうふうな直接、間接放送事業関係のあるものが一応全部出資し、同時に、あわせて地方公共団体、特に自治体、こういうものが参加するということが望ましいと思うのであります。わが国におきましては、NHKが果たしております現在の役割り等から考えまして、とりわけNHKがその意味においても主導的な役割りを果たしていくということはわれわれも非常に希望いたしておりまして、NHKに期待するところは非常に大きなものがございます。
  28. 中井徳次郎

    中井委員 そうしますと、一応この法律を改正してみて、しばらく様子を見る、それで、その間にNHKにも大いに協力というか、積極的な施策というか、そういうものを要請していく、大体そういうお気持ちですか、どうですか。
  29. 河本敏夫

    河本国務大臣 しばらく様子を見るということではなくて、この法律を通していただきましたならば、少なくとも大都市におきましてはすぐたくさんの申請が出てくると私は思うのでございます。それをいろいろ行政指導いたしまして、でき得るならば、大体各都市におきましては一つ事業体が望ましいと思います。そうして、その事業体においてNHKが大きな役割りを果たしてもらいたい、また、そういうふうに指導していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  30. 中井徳次郎

    中井委員 だいぶ具体的になってきましたが、そうすると、NHKのあなた、そういうことに即応して積極的に推進するという体制はできておるんですか。  それからもう一点聞きたいのは、大臣が各県で一つなんていうことはけっこうでございますが、NHKとしては、そういう有線放送関係一つグループを、それは関連会社の形をとろうが何をしようがいいと思いますが、もちろんそれには郵政省なり国会の予算を通じて承認を得るということになると思いますが、そういう別のグループをつくって、長年経験のあるNHKの人的資源と経済方をもってこれをプッシュしていく、もとより大臣の言われたとおり、今日の難視聴の責任はNHKにあるわけではなく、電波そのものが持つ一つの特徴と都市の形成との矛盾から出てきておるのでありますから、あなたに責任はないにしても、これをやらないことには、これまで持っておったNHK日本における放送並びにテレビ界の実力というものが将来だんだんとそがれていくという観点から、好むと好まざるとにかかわらず積極的にやらねばならぬし、やるべきである、そういう形の中でのやり方等についてまで積極的に考えていかねばならぬのではないかと思うのでありますが、その辺のところ、議がまとまっておればそれを聞かせてもらいたいし、まとまっておらなければ、あなたの意見でも何でもひとつ聞いておきたいと思うのです。
  31. 佐野弘吉

    佐野参考人 ただいまNHKに対する御質問の趣旨と全く同様の見解を私ども持っております。今回の有線放送規正改正案が通りました暁には、この法律によりましてそれぞれの業務地域の指定が郵政大臣から行なわれまして、その難視の改善と、そのための運営主体がこれまた郵政御当局の行政的な御指導のもとにでき上がり、それが公共許可団体ということに相なろうかと思いますが、協会自身は、独自の気持ちといたしましては、NHK独力でも、この新しい社会的動向に即応して協会の果たすべき放送法上の使命、あるいは端的に申しまして、受信料制度の維持安定のためにこの新たなる都市内における難視の改善に積極的に当たりたいという気持ちでございますが、せっかくこの法案が志向いたしております線に沿いまして、でき得べくんばNHK独力でもけっこうですが、しかしこの法律の御趣旨にあるように、この運営主体はNHKを主体といたしまして、できましたならば、一般放送事業者両者の間でこの運営主体を構成してまいりたいというのがNHKの考えでございます。  と申しますのは、先般来当委員会でいろいろ御議論があったかと思いますが、これらの共聴施設自主放送をするということに相なりまして、かりにいろいろの出資団体が運営主体に加わって自主放送をするという方向にまいりますれば、結局は営利を目的とする方向に拡大されるということを私どもは危惧いたします。営利を目的といたしますれば、自主放送のためのスタジオなりその他の施設のためにかなりの高額な加入金、あるいは維持料になりまして、NHKが置かれております受信料の体系の関係とも、率直に申して社会的な一つのフリクションが起こるということも危惧をいたしておることも事実でございます。したがいまして、先般ここで公述人といたしまして私がNHKの見解を申し述べさせていただく機会を得ました際には、月々の維持料はきわめて低廉なものであり、自主放送は規制をする方向であってほしいという見解を申し述べたわけでございます。  以上のような考え方に基づきまして、NHKといたしましては、将来郵政大臣から御許可に相なります運営主体の主軸として、そして、できましたら全国各地の一般放送事業者NHKと同様に、あるいはNHKに準じたお考えで都市内のこれらの問題の解決に当たるというお考えを持ってわれわれと提携していただければ、一番新しい社会的な問題を解決し得る合理的な方向、考え方に至るのではないか、このような考え方をただいま持っております。
  32. 中井徳次郎

    中井委員 今回のこれは、いまもお話があったように自主放送を含めておるわけでありますが、自主放送ということになりますと、中には運営上の必要その他でもって相当脱線放送がやられるのじゃないかということを心配するわけであります。それにつきましてはどういうふうな監督、あるいはまた――脱線とは何ぞやということでたいへんな問題も起こるだろうと思うけれども、この間もちょっと言っていましたように、たとえば、民放広告放送を途中でカットして自分がかってに受けてきたものを流すとか、いろいろな事項が考えられるわけですが、それを監督し、干渉するという法律的な対策としてはどういうことになっておりますか。どこかであったようですけれども、私、一向不勉強でなんでございますから、石川君、ちょっと概略お尋ねしておきたいのです。
  33. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 現行法の第四条におきまして放送法の番組関係の条文が準用されることになっておりまして、その放送法の第四十四条の第三項ということで放送番組の編集について規定してございます。公序良俗に反しないこと、政治的に公平であること、意見の対立しているときにはできるだけ多くの方面から議論することというような番組編集上の基本原則についての規定が現行法の有線放送業務運用規正法の第四条に準用されております。第四条その他の条文の施行を確保するために、特に必要があるときには報告を求めたり、あるいは職員を派遣して監査させることができるというのが第六条にございます。それから第八条におきまして、この法律またはこの法律に基づく命令あるいはこれに基づく処分に違反したときには業務の停止を命ずる、あるいは運用の制限をすることができるということでございます。さらに、今度の改正案におきましては第三条の二の第六項におきまして、この再送信設備を使ってする自主放送につきましては郵政大臣許可を受けなければならない、こういうことになっておるわけでございます。
  34. 中井徳次郎

    中井委員 いまの説明で、一応のそういう法的根拠はあるようですけれども、はっきり言えばまああとの祭り、やろうと思えばどんどんやれる。罰金覚悟でやろうと思えばやれるわけだ。要するに、こういう業態を許可するときの条件ですね。一応書いてありますけれども、表現の自由だとかいろいろなことがあるからあえて言いませんが、どうも群小のものをたくさんつくりますると、監督するといったところで、報告をとるといったって済んだあとの報告だし、監督といったってそんなところに一々行きはしませんし、物理的に不可能だし、その辺のところを将来ともどうやられるか、それでやれるかということです。いま下田から和歌山、網野、そういうところでローカルニュースを自主放送をやっておるということでありますが、これなどは円満に行なわれて、あまり聴視者から異議やら不平やら批判は出ておらぬですか。その辺のところ……。
  35. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 現在自主放送が行なわれているのは下田テレビと和歌山県にあります新紀テレビ、それから網野テレビ共同聴視施設組合、この三つでございます。いままで行なわれている番組は主として簡単にニュースを主体にやっておりまして、ただいま御指摘のような懸念は起きておりません。
  36. 中井徳次郎

    中井委員 これはちょっと変った条件のようですが、ホテルニューオータニで何かやっておるということを聞くのですが、どういう内容のものですか、聞かしてください。
  37. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 これはホテルに泊まっております宿泊客に対する観光案内がほとんどでございます。
  38. 中井徳次郎

    中井委員 あとホテルの告知とかそんなことでしょうかね。あとほかのことは一切やらない。  それからこれはどうなんですか、届け出なんですか、許可制になるのですか、この法律の改正によって将来どうなりますか。
  39. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 ほかのものもやっておるかもしれませんけれども、私どもが聞いておるところでは、大部分がそういった観光案内である、こういうふうに聞いております。  それからこれに対する規制についてでございますけれども、現行法の第十条で「左の各号に掲げる有線放送業務については適用しない。」という適用除外の第二号に当たる「一の構内において行われる有線放送業務」、こういうものにこれは該当する、こういうように考えております。
  40. 中井徳次郎

    中井委員 構内で行なわれる有線放送というその法律については、私は少し疑問に思うので、駅だとか旅館だとかホテルだとかいうところは、一般の公衆がどんどん出入りするところでありますから、そういうものを同一構内というふうに考えていっていいのでしょうか。
  41. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 お説のとおり施設がだんだん大きくなりまして、一の構内と申しましても非常に多くの人を対象にするような有線放送になりますので、今後はこれの適用については慎重にやり、さらには、要すれば改正するということについて検討していかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  42. 中井徳次郎

    中井委員 最後に、いまこの法律案を適用しようという対象で一番大きいのは、どこにありまして、どんなものですか、加入者はどのくらいか、それをちょっと聞かしてください。
  43. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 現在、はっきりつくられておりまして、これをすぐ許可にかけなければというものはございませんが、御承知のとおり新宿にございますものは現在協議会でやっておりますが、あれに対する措置をさっそくしなければならないように考えております。  なお、申し添えますが、先ほど経営規模についてお話ございましたけれども、私どもの考えといたしましては、東京都を例にとりますと、少なくとも二十三区の一区以上を業務区域とするような規模にする必要があろうか、かように考えている次第でございます。
  44. 中井徳次郎

    中井委員 いまの最後の、東京の二十三区を全部一つの区域にするのか、どういうことです。
  45. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 業者の業務区域といたしましては、新宿区だとかあるいは渋谷区だとか、二十三区の一区以上、一あるいは二、三、まだはっきりしておりませんが、それ以上の大きな規模である必要がある、こういうふうに考えている次第でございます。
  46. 中井徳次郎

    中井委員 それでは、先ほど経営状態その他、大体許可する場合の基準、そういうものをあとで調べてということでしたが、後刻文書にして出してください。
  47. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 提出いたします。  いままでいわれているところでは、二万世帯ぐらいを対象にする必要があるといわれておりまして、こういうところから考えまして、二十三区の一区以上のものを一つ業務区域とする必要がある、こういうふうに判断しているわけでございます。
  48. 中井徳次郎

    中井委員 終わります。
  49. 井原岸高

    井原委員長 小沢貞孝君。
  50. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これはなかなかむずかしいので、勉強も十分していないで私もよくわからないのですが、今度のこの有線放送業務運用規正に関する一部改正法律案は、一体、いまいろいろの問題が出てくる、自主放送がどうだ、それから業者のやる放送がどうだというようなぐあいに、こういう発展する社会の中で自主的にそういうものがどんどんできてくる、そのできてくるのを取り締まろう、規制しようという方向の法律なのか、それをひとつ誘導して大いに発展させよう、これは商業主義的なものでなくで、国民的な利益に合致させるように誘導しようとするのか、私は法律の考え方にその二通りあると思うのですが、取り締まろうとするようなたてまえでつくっているのか、ある一定のいい方向へ――特にあとで時間があったら御質問しますが、情報化の時代に立っているわけなのでこれはたいへんな問題に発展していくであろうと予想されますが、そういうことを展望しつつある方向に誘導しよう、こういうようにお考えになっておるのか、条文の個々ではなくして、これに対処せんとする基本的な方針はどうでしょうか。これを読みながら私よくわからないわけなのです。
  51. 河本敏夫

    河本国務大臣 御承知のように、アメリカなどの例から見まして、将来わが国におきましても、特に大都会におきましては有線テレビが非常な勢いで発達するであろう、こういうことが当然考えられます。その場合に、現状のまま放置いたしますと、比較的弱小の業者が乱立をいたしまして、そのために多くの国民、視聴者に非常な迷惑をかける、こういうことになってはたいへんだと思いまして、そこで堅実な業者が安いサービスでもって視聴者に再放送または、ときには自主放送提供することができる、こういうことにしていかなければならぬ、指導していかなければならぬ、こういうたてまえから視聴者の利益を守っていくのだ、そして健全な有線テレビの発展をはかっていくのだ、こういう趣旨のもとにいま御審議をお願いしておるわけであります。   〔委員長退席、小渕委員長代理着席〕
  52. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 大臣の考え方は大体わかりました。  そこで、私あとで御質問したいと思ってもいたし、いまも先ほどNHKと委員との質疑応答の中で私聞いておるわけですが、一体こういうことを民間にまかせることがいいのか。いまの大臣答弁は、弱小業者ではどうも国民の利益に反するようなことになるから、健全な人にやらせるようなぐあいに秩序立てていかなければならぬ、こういうような御趣旨のようなんですが、こういうことを一体民間にまかせてやらせることのほうがいいだろうか、あるいは、もっとNHK的な、公的な立場の者が何らかの公的な発言を得られるようなある機構、あるものにこれをまかせることがいいだろうかという、その基本的な問題については御検討をいただいたでしょうか。
  53. 河本敏夫

    河本国務大臣 将来非常に大規模に発展する可能性を持っておりますし、いろいろのことを考えまして、NHKであるとか民間の放送事業者などが中心になりまして、公益法人として仕事をやっていくということのほうが望ましいということを考えております。
  54. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これは大臣、非常に重要な御答弁で、私は一番最後にそれを聞こうと思っていたことを大臣ずばり言っていただいたのだが、この間参考人が来たときに民放の方に、これはもう何にもとらわれなくていいから答弁してくれないか、こういうぐあいに言ってお答えを聞いたのですが、ケーブル等の二重投資、こういうものがあっちこっちで行なわれて、クモの巣のように行なわれると、これは国民経済的にいって必ずしもよくない。電電公社は電電公社で、ある一つのイメージを持って盛んに推進せんとしておる、そういうような現状に立って、やはりいま大臣の言われたように、将来の情報産業という大きなものを展望するならば、NHKも参加しようじゃないか、民放もひとつ参加しようじゃないか、電電公社も参加しようじゃないか、それから今盛んに情報産業等で産業構造審議会等、民間においても大いに関心を持っておるから民間のある人も参加しようじゃないかというようなことで、第二のNHKというか、第二の電電公社といえばいいですかね、その公益法人的なものによって最終的には運営されることのほうがいいのじゃなかろうか、私はこういう質問をしたところが、まさに御説ごもっとも、そのとおり、私個人としてもいいと思います、こういうようなことをこの間参考人で来ていただいた民放連の方が答弁していたようです。いま大臣の言われていることは、大体われわれとイメージがそういうように一致しているみたいに感ずるわけですが、そういうぐあいに理解していいでしょうか。
  55. 河本敏夫

    河本国務大臣 ただいまのお話ですと、NHKあるいはまた民間放送事業者、あるいは電電公社、その他直接、間接に現在の放送事業に関係のあるものが広く参加してやることが望ましい、こういうお話であったと思うのでありますが、われわれも全くそのように考えております。  特に、ただいまのところは技術的に若干の問題点はあるようでございますが、将来はデータ通信あるいはファクシミリ、こういうことにも活用されるということは当然予測されるわけでございまして、全国非常に広く有線放送事業が行なわれるということを考えました場合に、先ほど申し上げましたように、公益法人による事業経営が非常に望ましいということを考えております。
  56. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、もう冒頭から、私一番最後に質問しようとしたことにさっそく入らせていただくわけですが、最近の新聞を拝見すると、情報産業等に関連して閣僚懇がスタートをする、こういうふうなぐあいに出ておるわけです。私、新聞で知る範囲程度ですが、この情報産業に取り組む態度に、郵政省の立場、もう一つは通産省の立場、何かそういうようにこれはどうも考え方が基本において違いはせぬかなというような――また電電公社の総裁は総裁で、電電公社こそがこの主体を持ってやっていかなければいかぬ、こういう電電公社の総裁の発言もあるようです。私は、いまがこの問題に取り組むに非常に大切なときではないか、こういうように考えるわけです。  そこで、来月スタートするというように新聞に出ておる主として情報産業を中心としての閣僚懇談会というのは、どういうメンバーで、それらのことをどういうようなぐあいに調整をしてまずスタートをしようとしているでしょうか。そのあたり、いま大臣としておわかりの点がありましたら、最初にお答えをいただきたいと思うわけです。
  57. 河本敏夫

    河本国務大臣 事務次官会議で現在検討しておる段階でございまして、まだ最終の段階ではございませんので私からいま申し上げるのは遠慮さしていただきたいと思います。
  58. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 非常に重要な前夜ですから、たぶんそうかもしれません。  そこで私は、ことしの二月八日の党代表総括質問で総理に情報産業の問題をお尋ねしたときに、必ずしも明確ではなかったのです。情報産業基本法というものをつくっていかなければいけないのじゃないか、こういうように質問をいたしました。そしたら、あなたからいま初めて情報産業ということばをお聞きしましたが、ということで答弁がありましたけれども、どうも総理の感覚はちょっと違っておったようです。いずれにいたしましても、情報産業基本法というようなものを制定をしていかなければいけないというように私も考えるわけです。どうしてかというと、縦割りの社会からだんだん横割りの関係に移っていく、特にこの情報産業や、いまここで論議せんとするようなものは横割り関係がだんだん深くなっていく、そこへある官庁ある省、こういうものだけがタッチするような形では必ずしも国民の利益にはならぬ、こういうように考えますので、まずその手始めには、基本的には情報産業基本法、こういうようなものを制定をして国家百年の大計を誤らぬようにしていかなければいけないじゃないか、こういうように質問したらそのような総理の答弁であったようにも考えます。  どうでしょう。まずそういうことから取っ組んでいかないと――そうしてそれは何をなすべきかということは、いろいろな審議会もあるでしょうし、何とかもあるでしょうし、各界の意見を総合することもあるでしょうが、来年度の予算の編成なり来年の政府の基本方針をきめていく場合の一番大きな柱が情報産業、それに取り組む政府の態度、こういうことではなかろうか、こういうふうに私は考えるわけです。大臣、どうでしょう。
  59. 河本敏夫

    河本国務大臣 私も先般の予算委員会における小澤委員の総括質問と総理の答弁を聞いておりました。質問答弁の間にはいまお話しのように相当な食い違いがあった、すれ違いがあったと思います。必ずしも質問に対しては正確な答弁がなされていなかったと思いましたが、しかし、いずれにいたしましても、私は情報化社会に対応するための基本法的なものを当然つくらなければいかぬのじゃないか、こういうことを考えております。閣僚懇談会がかりにできましたならば、当然まっ先に取り上げるべき問題はこの点だと思います。
  60. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 大臣の積極的な御答弁でたいへんありがとうございました。  そこで、これもたぶん新聞だったと思いますが、主として電電公社のケーブルだか、それの独占というものを許すのか許さないのか、ある程度民間に開放しなければいかぬというような問題が産業構造審議会等で出されておって、そういうことに対する郵政省の態度というものは、これは私もよく覚えてはおりませんが、電波監理審議会だか郵政審議会か、そういうところへ諮問をして、その答申を待って郵政省の態度というものをきめようじゃないか、こういうようなのが郵政省の考え方のように私は考えておるわけです。これは事務当局でいいですが、やはりそうでしょうか。
  61. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 御説のように、郵政省といたしましては、この情報産業関係につきましては、結局公衆通信系の電気通信系を使ってこそ非常にそれが有益な発展をするであろうという意味において、郵政省として公衆電気通信関係の仕事を扱っておりますので、その面で大きくこの仕事の分野に入ってくるわけであります。したがいまして、先ほど小澤委員のおっしゃられましたような問題点について早急に検討すべく、今年度の予算において郵政審議会にかける予算が通過いたしました。近く委員の人選等を終わって、この郵政省の公衆通信系をどのように情報産業社会の中にうまく溶け合わしていくかというような基本的な問題について諮問をするというような準備を進めております。
  62. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そこが大臣、郵政省は郵政審議会と、こう言うのです。これは広く放送にも関係があります。あるいは産業構造全体にも関係があります。だから、郵政省のほうではどうしたらいいかということを郵政審議会にかけて、その答申を金科玉条のように振り回しても、私は必ずしもそれが将来の情報産業に対処する国の政策としていい答申が得られるとは思わないわけです。やはり郵政省的あるいは電電公社的セクショナリズムというものがその中に入るのではないか、こう思います。だから、まず閣僚懇その他において先に、一体どういう審議会をどういうようにつくったらいいかということをきめないと、通産省は産業構造審議会の答申を振り回すであろう、郵政省は郵政審議会の答申を振り回すであろうということで、私は必ずしもそれで国益に合致するとは考えないし、広い視野に立っての将来の日本の情報産業をどうしたらいいかという見解というものはどっちからも出てこぬような憂いがしてしようがないわけです。しかし、急いでやらなければいけないことは、来年の施政方針あるいは予算編成等については、これに対処する基本的な考え方を持って来年の予算編成や施政方針に臨まなければならない、こういう差し迫った問題がありはせぬかと考えますので、郵政審議会等の狭い視野で論議しておったんでは間に合わぬではないか。こういうことは閣僚懇なり何なりで、横割りのもう少し高い視野から何らかの審議会なり何なりをつくらなければならない、こういうふうに考えるのですが、どうですか。その辺、私の感覚はどうでしょう。
  63. 河本敏夫

    河本国務大臣 お話しの点、全く賛成です。情報産業の進め方いかんが国の消長にかかわるということはだれしも考えておるところでございます。それだけ情報産業に対する国としての間違いのない一元的な政策を早く樹立することが大切でございます。  郵政省といたしましても、先ほどお話しのように、狭い視野ではなくして、国全体の立場に立って情報産業というものは考えなければならぬ、こういう考え方に立ちまして、通信回線を開放するということも十分考慮しなければならぬという基本方針はすでに発表しておるわけでございます。そういう立場から、各省とも相談をいたしまして、早急に基本的な情報産業の方向がきまるように努力してまいりたいと存じます。
  64. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 ありがとうございました。  それで、あとちょっと事務的なことをお尋ねしますが、たとえば新宿有線テレビ、この施設の一戸当たりのコスト、要するにケーブルを敷く場合に一戸当たりのコストはこの間六百万とか二百万とか、私はっきり聞いてなかったのだけれども、大体どのくらいかかるのだろう。――二十七万ですか。大体のところでいいですが、そういうことをちょっとお尋ねします。そういうことから推しはかって、東京都なら東京都をカバーするような有線施設というものは、一体どのくらいの建設費があったらできるだろうか。見当だけでけっこうです。わからぬですか。
  65. 佐野弘吉

    佐野参考人 私が承知をいたしておる範囲でお答えをいたしたいと思いますが、新宿のNCVと申しておりますが、日本ケーブルビジョンは御承知のように四十四世帯が加盟をいたしておりますが、この工事をいたしましたのは古河電工でございます。ただいまのところでは、これに加盟した四十四戸は一世帯当たり二万円を建設費として支払っておるようでございます。ただ、私どもの常識で申しますれば、おそらく三万円以上、四万円くらいかかっておるやに想像をいたしておりますが、これは先般新宿の商店街の代表としてここに参られました小川さんも申しておられましたが、NCV、日本ケーブルビジョンは二万五千円を請求したいところだけれども全国的な一つのひな形としての最初のケースなので二万円でよろしいということで二万円を払っておるという御説明がこの席でございました。実際の経費はもっと高いと思いますが、この工事を受け持ちました古河電工も、全国的にこの種の都市の共聴関係の工事の先べんを切ったメーカーであるというたてまいから、おそらく一世帯当たり三万円以上のものも二万五千円でけっこうだというふうに、日本ケーブルビジョンの会社と古河電工との間では契約上話があったように私どもは承知をいたしております。大体以上が新宿におきます共聴施設の工事関係の、多少のサイド的な裏話のようなことをも含めての御説明でございますが、大体そういう経過をたどっております。  ただし、これがたとえば東京都市内で将来の情報産業と関連してどのくらいに広がるかという点では、私も必ずしも十分な知識を持っおりません。
  66. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 お尋ねしたいのは、一軒当たり二万でも三万でもいいが、東京都は何戸あるか知らぬが、東京都全部をカバーするようなことをもし考えるとすると、設備費は一体どのくらいかかるか。そういう業者が出てくるのか。東京都という自治機関とNHK民放と、そういうものが寄って最初から東京都をカバーするような設備をしていったほうが効率がよくないかと思ってちょっと聞いたんだけれども、大体どのくらいかかるのか。それに戸数をかけてみればいいんだ。
  67. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 これは地形によりましてだいぶ違うことがありますのでちょっとはっきりしたことを申し上げられませんが、新宿のあれにつきましては、建設費として一戸当たり十万円かかっております。
  68. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 だから、東京都は人口が幾らあるのか、ちょとそこで計算してくれ。一戸当たりの建設費がケーブルその他を含めて十万として、三百万か四百万か知らぬが、大体の見当はつくんだろう。
  69. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 これはケーブルの敷き方によってだいぶ違うと思いますけれども、主幹線のケーブルが一メートル当たり大体六百円、それから副幹線のケーブルが三百六十円、こういうふうに一応聞いております。それによりまして、どこから申し込まれてもいいようにということで、一定の間隔を置いて主ケーブルと副ケーブルを碁盤の目のようにずっと敷くということを考えた場合に、主幹線を二百四十メートル間隔で十三本、それから副幹線を八十メートル間隔で三十七本というようなことで、主幹線の長さが計算いたしますと四十キロ、それから副幹線の長さが百二十キロ、こういうような長さになりまして、これを先ほどの単価でかけまして、そのほか増幅器、分岐器等全部入れますと、新宿区を考えますと大体一億八千万円かかる、こういう計算になるわけであります。
  70. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 新宿区内でたったそれだけ。
  71. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 はい。
  72. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは東京都はそれを何倍すればいいのか。見当だけつけばいいんだ。
  73. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 ただいま申し上げましたように、地区を基盤の目のように割りまして、ただいま申し上げました仮定の幅をとって横にずっと線を引く、縦に線を引くということで長さをはかりまして、その長さにケーブルの単価をぶっかけた値段でございますので、さらにそれから各家庭へ引っぱり込むケーブルの経費が要る、こういうことになるわけでございますので、さらにそういった引き込みのケーブル線の経費がかかる、こういうことでございまして、ただいま申し上げました一億八千万円の建設費の内訳は、ケーブルにつきましてそういった主あるいは副といって、碁盤の目式に先ほどの間隔でケーブルを敷いた場合のケーブルの価格でございます。ですから、各家庭に引っぱり込むときには、主ケーブルあるいは副ケーブルからさらに家庭へ引っぱってこなければならぬ、こういうことになるわけでございます。
  74. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 東京都というのは新宿区を何倍すればいいわけですか、二十倍、三十倍……。そうすると、五十億か百億のもので東京都をカバーするケーブルが建設できるということですか。
  75. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 ただいまの計算でいきますと、非常に少ない四、五十億の金額になってしまうわけでございますが、この点につきましては確信が持てませんので、もう少しよく検討してみたいと思っております。
  76. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 いまくらいな二億以内の金で新宿区全部カバーできるほどの、引き込みは別として幹線なり何なりできて、それを五十倍か三十倍かけていくと八十億か七十億くらいのところで東京都をカバーするようなものができるということになると、非常に簡単にある設立会社が出てくるか、あるいは地方自治体なりNHKなり民放なり、共同で出資して公益法人でやっていこうという場合に、私はきわめて簡単にできそうなことのように感ずるからこの点を質問したわけなんです。
  77. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 非常にラフな算術を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、新宿で計画したものは一軒当たり十万円、こういうことになっておりますが、これで推しはかりますと、大体三百万世帯ぐらい入るといたしますと三百億ぐらいかかる、こういう計算になろうかと存じます。
  78. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そのことはきょうの質問の本体ではなかったから、あと若干私はちょうどNHKさんも来ていらっしゃるものだからこまかい点についてお尋ねをしたいと思うわけです。  私たちこの法律を審議するときに、二つの問題をこの前も参考人に来てもらったときに私聞いたわけですが、現在自然的条件での難視聴地区、今度の場合は都市的な公害的な難視聴地区、こういうぐあいに大別できて、都市的、公害的な難視聴地区を解消する、こういう問題にいま出っくわしてこういう問題が出てきているわけです。私は、その前に自然的な難視聴地区の解消ということがまず行なわれて、そういうものができた後に都市的な難視聴地区という問題に取り組むというのが世の中の進んでいく順序じゃなかろうか、こう思ったのだけれども、もう都会のほうはどんどん進んでいってしまって公害的な難視聴地区、都市的な難視聴地区がこういうふうに大きくクローズアップしてきておるわけです。そこで、こういう問題に取り組んでいって情報化社会の入り口に取り組んでいくと、これはたいへんな問題になっていくと思うのです。その以前にひとつ自然的な難視聴地区の解消ということがまず行なわれなければならない、こういうように考えるわけです。  だから、きょうの問題と直接関係ありませんが、自然的な難視聴地区の解消について、私が聞くところによると、最近NHKでは負担区分をもっとNHK自身がたくさん負担をして積極的に取り組んでいこう、こういうようなぐあいにお聞きしておるわけです。郵政省はこれはどういうふうにタッチしていかれるか、その内容等わかりましたらお聞かせいただきたい。まず自然的な難視聴地区の解消が先ではないか、こういうように考えますから……。
  79. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 いままでの有線テレビにつきましては、実態的にはお話しのような地方における難視聴解消のためのいわゆる共同聴視という形のものが、大部分と申しますか九九・九%までそういうものでございました。都市におけるこういったビル陰だとかあるいはいろいろな自動車雑音その他によりまして雑音が非常に多くなってきたために、これを除去してきれいな画が見えるための有線テレビというものは今後都市において出てくるであろうという機運にありますために、しかもそれが都市におけるものは地方におけるものと違いまして、業としてといいますか、営利企業として行なわれるという機運が出てまいっておりますために、これをただそのままに放置する場合には、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、中小企業者が乱立いたしまして、そのために受信者が迷惑をこうむる、こういうことになってはいけないということでこのたび改正法案の御審議をお願いしているわけでございます。地方におきます共同聴視におきましては、大体テレビを見たいという方々の協同的な組合的な組織でやっておりますために、従来の届け出制で足る、こういうふうに判断しているわけであります。
  80. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 質問していることが違うのです。  そういう協同組合的なものを、自然的な難視聴地区ですけれども、共聴施設について従来NHKが三分の一くらい補助を出しておったのをもっと積極的にやろう、こういうように聞いておるわけです。だから、今月か来月の電波監理審議会か何かにかけてもすぐやりたい、こういうぐあいに聞いておるのですが、そういうことについて郵政省はどういうぐあいに聞いておるか、進んでおるか、こういうことを聞いておるわけです。それについて、あとNHKからも詳しくわかったらお聞かせいただきたいと思うわけです。
  81. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 NHKにおきましては、ただいまお話がありましたとおり、従来三分の一助成をしておったわけでございますが、これに対しまして、本年度からNHKの電波を受けるアンテナ並びに主要幹線をNHKが受け持ち、そして民放のを受けるアンテナ素子並びに各家庭への引っ込み線は協同組合的な従来の組合と申しますか、そういったところが受け持つというやり方で今後共同建設し、運営していくという方針で今年度からやっていこうということであります。  私どもといたしましては、この共同聴視共同管理運営ということにつきましては、放送法NHK業務の中に具体的には載っておりませんので、結局、大臣の認可を要するということで、今後電波監理審議会にかけまして大臣の認可をしてまいりたい、こういう考え方でございます。
  82. 佐野弘吉

    佐野参考人 ただいま電監局長からお答えがありましたものとほぼ同様でございます。  これまで三分の一の助成でまいりましたのが、たぶん放送法第九条二項三号かと記憶しておりますが、今回は一施設世帯当たり二万五千円かかりますうちの二万円を出しまして、受信アンテナ部分なり同軸ケーブル、幹線線路でございますが、これらの部分協会自身建設をいたしまして、地元の聴視者と共同で設置したい、こういうふうになりましたので、旧来の公衆の受信の相談に応ずるというワクを一歩積極的に踏み出したものとの御判断のもとに、第十号で郵政大臣の認可を得てこれを行なうという必要が生じまして、実は一両日前ようやく郵政御当局の御了承も得まして、あす予定されております電波監理審議会で御諮問があると承知をいたしております。  これによりまして私どもは、七月一日から本年の事業計画として予定されております全国六百の共聴施設、これの該当世帯が三万でございますが、これを早急に手がけて設置に当たりたい――すでに昨年度以降、本年四月以降も全国各地から共聴の設置希望があって山積をいたしておりますので、事務的に早急にこれを手がけて受信者の不満を解消する努力をしてみたい、このように考えておりますが、ようやく実現の緒につき得たという段階でございます。
  83. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 たいへんありがとうございました。  そこで、この前もちょっとお聞きしておいたのですが、その規則ですか基準ですか、あすの電波監理審議会にかけるのですが、五年も六年も前の昔は主として自分でやったわけです。そして一戸一万円くらいの補助金をもらってやったのが老朽化してしまって、それがどうにもならないのだ、こういうのが実は山積しているわけです。そういう老朽化したものも新しい制度によってやれるわけですか。この前そういう御答弁のようだったのですが……。
  84. 佐野弘吉

    佐野参考人 先ほど来御議論がございますように、都市におきましても難視を解決したい、地方におきましても、ただいま御説明をいたしましたように、新しい政策として展開をしてまいりたいということであります以上は、既助成の施設の老朽部分をこのまま放置をいたしておきますと新しい政策との均衡を失うということを私どもよく承知をいたしております。したがいまして、実はこれまで既助成の分は再び助成はいたしませんということでまいっておりました考え方を変更いたしまして、本年度から既助成の分でも、ただいま御意見のありましたように、老朽化したものにつきましては、それぞれの施設の実情をよく調べまして、手を加える必要のあるものは私ども自身の手で改修に当たるということにいたしております。実は初年度のことでございますので、予算的にはやや少額かと私自身は思っております。全国で二百の施設で、一つ施設が平均百世帯でございます。したがって二万の世帯を手がけたい、予算的には一億が計上してございますので、一世帯当たり五千円にすぎません。したがって、これまで三分の一の助成として九千円見当を差し上げておりましたものに、予算の上では新たに改修経費として五千円にすぎないのでございますが計上して、これらは実際に手がけてみまして、五千円ではいかにもこの老朽施設を改修するに足りないといいますれば、その実情に応じてもう少し経費をかけて幹線部分補修に当たりたい、こういうふうに考えまして、都市地方難視、また地方難視の中に新しいものと既往の分との均衡をはかりたい、このように考えております。
  85. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 たいへんありがとうございました。  それで、郵政省はその審議会へかける原案がもうできているのでしょうから、見せてもらえますか。
  86. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 あした電波監理審議会を通りますので、その後お持ちいたします。
  87. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは、この法律の中で二、三点だけお尋ねをしておきたいと思いますが、この改正案の第三条の三に「有線テレビジョン再送信事業者は、正当な理由がなければ、当該許可に係る業務区域において、有線テレビジョン再送信の役務提供を拒んではならない。」――新宿なら新宿の区域を許可されたならば、その許可された中において、私もやりたい、こういう申し出がだれかからあった場合には拒んではならない、こういうわけです。これは営業として始めた仕事です。営業として始めた仕事について規制を加えているわけです。これはその業者がいやだけれども拒んではならないんだから、どういうようにできるのでしょうかね。もし業者が、それをいやだという人が出てきたら、いま四十四軒新宿でやっておる、隣近所の人が、これはいいからといってあとから申し込みたいということになると、どうしてもその業者はやらなければいけないわけですか。
  88. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 そのとおりでございます。
  89. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そういう場合に、業者がどうしても営業上それはできぬということになればどうなるのですか、それを罰するなり何なりは。
  90. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 そこに書いてありますように、正当な理由がなくして拒んではならない、こういうことでございますので、特別な理由なき場合には拒めない、拒んだ場合にはやはり罰則の適用がある、こういうふうに解しております。
  91. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは要するに、もうからないでもやらなければいけないというふうに強制するわけですね。簡単に言えばそういうわけでしょう。
  92. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 もうかるところだけやって、もうからないところではやらないということでは非常に受信者の迷惑になるので、そういうことはしてもらっては困る、こういうのがこの趣旨でございます。
  93. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、業者はますますもうかるようなことをやらなければいけない。再送信だけではない、プラス自主放送ということをやって、もうかるようにやっていかなければいけない、こういうようになってくると思うのです。どうでしょう。だから、NHK料金を納めている以上のたくさんの料金を取るかどうかは知りませんが、とにかくもうかるようにやっていかなければいけない。そうでなければ、どうもあそこは引きたくないというところもどんどん引いていかなければならないということになると、営業の自由とそれを拘束することと、どういう関係になるのですか。そんなにもうかるようにどんどんやっていくと、さっきの話じゃないが、NHKじゃないけれども、二重に料金を取られるということに発展していってしまうわけです。
  94. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 これは、当初この営業区域でやりたいということで申請を出してもらって、これに基づいて、やってよいということで許可を与えるわけでございますので、その区域内についてはやるという了解のもとに営業を始めたわけでございますので、特別にこれを制限するとかなんとかいうことではなかろうと思います。  それから、この営業区域内において業者の自由にまかせますと、おっしゃることと逆に、もうかるところだけやって、もうかりにくい、あるいは少しケーブルを長く引っぱらなければそこのうちへつかないというようなところは拒否するということになりますれば、これはこの事業の公共性からいってそういったことは許すべきでない、こういうふうに考えてこういう規定を提案しているわけであります。
  95. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 再送信だけの業者と再送信プラス自主放送の業者と、自主放送だけの業者と、こういう三色出てくると思うのです。  それで、この第三条の二の六項「第一項の許可に係る有線テレビジョン再送信の業務の用に供する有線電気通信設備は、郵政大臣許可を受けなければ、当該有線テレビジョン再送信の業務の用以外の用に供してはならない。」、これは再送信プラス自主放送ですか。それから自主放送だけなのはこれは全然ない、そういうことですね。
  96. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 そのとおりでございます。
  97. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、再送信のウエートがだんだん少なくなって、自主放送のウエートがだんだん大きくなってくる、全然自主放送に近いものになってくる、こういうように生まれたものはだんだん発展していくのじゃなかろうか、こう思います。  そこで、自主放送についてもっと規制しようじゃないかという話が最初の審議のときにあったようです。その経過を若干説明していただいて、どういうわけで自主放送をこれと同じように規制を強化しようというのを取りやめたか、その間のいきさつを若干聞かしていただきたいと思うわけです。
  98. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 この改正案におきましては、お説のとおり、再送信業務とそれから再送信設備を使っての自主放送、この二つについて規定をしているわけでございますが、自主放送のみのものについては規定されておりません。  それはなぜかと申しますと、自主放送のみのものにつきましては、アメリカでも現在までのところ生まれておりませんし、また日本でもいままでのところございません。今後長期的に見ますと、これは生まれる可能性は大いにあろうかと思いますが、現在までのところそういったものが生まれておらないためにどういった程度の規制をしたらいいかということも明確でなかったために、この規定には自主放送のみのものについては規定をしないということで御提案申し上げているわけでございます。
  99. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 最近われわれ聞いているのだが、自主放送もやっぱり規制をしなきゃいけない、こういうことで、議員で直そうじゃないかという動きもあるわけです。しかし、郵政省としては、それは必要はないというわけですね。
  100. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 これは考え方の相違でございまして、もうさしむきの問題としては、私どもが最も規制をしなければならないのは、受信者保護のために再送信の業務について許可制にして、しっかりと業者に許可を与えなければいけないということを第一義的に考えたわけでございますが、自主放送のみにつきましては、先ほどお話しのありましたホテル、旅館等の問題につきましても、他のホテルとつなぐとかいろいろな動きもあるようでございますし、今後こういった自主放送のみのものも生まれてくる可能性があるとしうことから申しますと、どうしてもこの問題も次の問題として検討しなければならない問題である、かように考えているわけでございます。
  101. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうだと、郵政省では、一回出し法律をもう一回修正して出す意思があるわけですか。心要だというならばそのほうがいいんじゃないか。
  102. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 現在までのところは私どもは、とにかくこの再送信業務並びに再送信業務施設を使っての自主放送の規制を第一義的にやらなければ、今後どしどし都市に出てくるこういった再送信事業というものを、受信者利益のためにしっかりしたものをつくることができないということになりますので、まず何をおいてもとにかく再送信事業を規制し、有線放送事業の基礎を確立していかなきゃならないというのが今度の提案の趣旨でございます。
  103. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 だから、この法律だけ通せばいいわけでしょう。修正したものを必要とするというような、自分で出したものをまた自分で変えてもいいというような答弁のように聞こえるのだけれども、そういう必要なしならなし、必要があるなら政府みずからやります、議員が直すならそれもまたあしからず、こんな言い方はあるんですかね。われわれは、これが必要最小限度でよろしいと考えたならば修正する必要がない、こういうように明確にならなきゃならぬはずだと思うのですが、どうでしょう。
  104. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 私は、第一義的にはやはり再送信業務が一番大事だ、そのあとさらにこれに自主放送の分がつけ加えられるならばますますよろしい、こういうことに考えておるわけでございます。
  105. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 何しろ官房長が来て、えらい苦しそうなのでそれ以上やってくれるなというような様子だが、それは別にして、それではいいわけですね。自主放送の規制をやっても、それは郵政省としては歓迎するんだ、これは大臣、どうですか。
  106. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほど局長が申し上げましたように、自主放送だけの有線テレビというものは、現在アメリカにまだ生まれておらぬわけです。日本にも萌芽はございますが、ホテルのようなところにそのきざしはございますが、もちろんまだ本格的には生まれていない。もちろん、将来はこれは当然出てくると思います。しかし、ただいまのところは、再放送と再放送に付属する自主放送を規制していきたいということで法の改正をお願いしているわけでございますが、将来の問題といたしましては当然出てくると思います。
  107. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 まだたくさんあるけれども、これでやめておきます。  どうもありがとうございました。
  108. 小渕恵三

    ○小渕委員長代理 中野明君。
  109. 中野明

    ○中野(明)委員 この間から有線放送業務法律案が審議されておりますが、いま小澤さんからいろいろお話が出ておりましたが、この放送の将来の見通しということにつきましては各人各様で非常にむずかしいものだと思います。特に各省も各事業体も、それぞれ将来の見通しについては個々の立場で考えておられるので私どもが軽々に論じられないと思いますが、この法律を出された基本的な趣旨というのですか、当分、たちまち問題として困ることが出てきたので暫定措置というのですか、そういう意味から有線放送の規制をしておかなければならないということで、将来はその発展の状態に応じて随時その法改正をしていかなければならない。このような弾力性を持って出されたのではないかと思うのですが、最初にこの点を大臣にお伺いしておきます。
  110. 河本敏夫

    河本国務大臣 そのとおりでございます。
  111. 中野明

    ○中野(明)委員 それから過日のこの委員会で、いま問題になっておりますビル陰障害の救済問題につきましては、これから後、建設省とか法務省とか通産省とかその他の関係機関とよく連絡をして根本的に解決をはかっていく方途を講ずるというふうな答弁があったわけですが、これがちょうど昨年の十一月でしたか、そういうことでありますので、その後、各省との間にこの問題についてどういうような話し合いが具体的に進められてきておりますのか、そこのところをお聞きしたいのです。
  112. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 以前に建設省の住宅局長に向けて、私のところから文書で基本的に解決する方途を講じてもらいたいという文書を出してございます。それから、建築基準法改正の際に、高層建築物を建てる場合には、陰になる住宅に対する共用のアンテナを建築主は立てるというような義務を課することについてやはり申し入れてございます。  それから、これは書類には残っておりませんが、建設省、それから放送事業者、私ども一緒になって受信障害対策の協議会をつくっておりますが、その会議におきましてそれぞれの関係者と口頭ではいつも申し入れておりますが、いまだ解決はされておりません。
  113. 中野明

    ○中野(明)委員 文書で出されて、その後向こうから何か具体的な回答というのですか、そういうことは戻ってきておるのですか。
  114. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 遺憾ながら戻ってきておりません。
  115. 中野明

    ○中野(明)委員 これは非常に問題ですから、やはり郵政省が積極的に働きかけないと、どの省もそれぞれ責任分野がありまして仕事をたくさんかかえているわけですから、担当である郵政省のほうから何回も何回も積極的に働きかけていかないと話が煮えてこないのじゃないか、私このように思うのです。今後強力にその点を努力していただかないと、とにかく次から次からとこういう問題が発生していくわけですから、今後の問題についてはいろいろむずかしい問題があるようですけれども、そういう点を積極的にもっと努力していただきたい、そのように要望したいわけです。  それから、最近大都会でいろいろ電波の障害が発生しておりますが、これは郵政省のほうでどのように掌握しておられますか。結局、ビル陰だけではないと思いますが、電波障害の原因別の発生件数というのですか、それをちょっとお尋ねしてみたいのです。
  116. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 四十三年度におきまして、受信障害ありということで申し出がございまして、これに対して措置した件数、被害世帯数をただいまお話のありました原因別に見ますと、ビルディングによるものが大部分を占めておりまして、件数にいたしまして千五百九十三件、九六・七%でございます。それからその被害世帯数は二万余、パーセンテージにいたしまして八七・二%、こういうことになっております。ビルディング以外によるものといたしましては、送電線によるものが二十二件、一・三%でございます。被害世帯数にして千三百世帯、五・七%でございます。それから高架鉄道並びに高架道路によるものが、件数にいたしまして十三件で、〇・八%、被害世帯数にいたしまして約千世帯、四・四%でございます。それからガスタンク及び貯水槽によるものが六件、パーセンテージにいたしまして〇・四%、被害世帯数が八十二、その他ゴルフネットだとか鉄塔だとかいうものは十二件、被害世帯数が五百六十一、こういうような状況になっております。
  117. 中野明

    ○中野(明)委員 それらに対しまして従来はどういうふうな解決をしてこられたか。ここで問題になっていることもあるわけですが、どの程度までいままでの苦情を解決してきているかということを掌握しておられるか。解決の方法ですね。
  118. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 御承知のことと思いますけれども、こういった受信障害に対しまして、郵政省、NHK民放あるいは建設省その他役所、それから住宅公団とかそういった公団その他の関係者が入りまして、受信障害対策協議会というものをつくりまして、その加盟団体にどこへでも申し出れば措置しますということになっておりまして、一番多く申し込みのあるのは、やはりNHKに一番被害の申し込みをするわけでございますが、その申し込みを受けた場合に、技術的にどういうふうな解決策を講じたらいいかということの技術指導、並びにその措置に要する経費の負担をどういうふうにするかということ、こういったことに対しましてこの協議会が中に入りまして解決をしているわけでございます。  先ほど申し上げましたように、建物による受信障害が一番多いわけでございまして、これに対しまして、アンテナの位置を変えるとか、あるいはもっとひどい場合には共同アンテナを立てる、こういうようなことで措置しているわけでございますが、これに要する経費をだれが負担するかということが一番問題でございます。たとえば四十二年度の事例について見ますと、その件数の四四・二%は建築主が負担する、それから共同で負担するものが一一%、それから受信者が負担するものが三三%というような解決のしかたをいたしております。
  119. 中野明

    ○中野(明)委員 従来はこの原因がはっきりしておる場合には、原因を出した人の責任ということで処理してきておられるようですが、この法律が改正されました後もそのたてまえは変わらないのかどうかということでありますけれども、結局、この法律によって大臣が区域を指定するわけですね。その区域を指定された中で、やはり個々的に、部分的に小さなそういうことが発生して、そうして原因者もはっきりしている、そういう場合の解決方法です。これは従前どおりやられるのかどうかということです。それでできるのかどうかということです。
  120. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 従来どおりやっていく考えでございますが、これは非常に解決がむずかしい問題でございますので、他にこういった有線テレビというものができてまいりますと、そちらへ行くということによって、何と申しますか、受信障害の申告は少なくなるのではなかろうか、かように考えております。
  121. 中野明

    ○中野(明)委員 では、その業務区域範囲内でもできるということですね。
  122. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 さように考えております。
  123. 中野明

    ○中野(明)委員 これは今回の法律が、結局新宿にできました日本ケーブルビジョンですか、そのことが一つの近い動機になっているようでございますが、NHKにもお尋ねしたいのですが、NHKの使命からいいまして、全力をあげて難視聴の解消ということで努力してきておられます。これはわれわれもよく承知しているわけですが、この新宿でこういうことが起こったということについて、おそらくきのうやきょうじゃありませんので、相当以前から苦情も出ておった、そうしてまたNHKあるいは郵政省のほうへも、過日の参考人も言っておりましたように、たびたび相談もしておられた話であります。こういうことについて、やはりNHKのほうで解決の方途を見つけ得られなかったからこういう会社ができたのじゃないかというふうにも考えられるわけですが、その間のいきさつ、どういうふうに指導なさって、そして経費の分担とかその他で話がつかなかったのか、そこら辺の事情をNHKと郵政省と両方からちょっと説明していただきたいと思います。   〔小渕委員長代理退席、委員長着席〕
  124. 佐野弘吉

    佐野参考人 具体的な局地に起きた問題でございますから、関係者としての私がお答えをしたいと思います。  これは昨年秋ごろ、ちょうどメキシコオリンピックが行なわれるということもありまして、この新宿地区でよりよい画像を得たいという話がございまして、NHKも参加をいたしております。また、先ほど電監局長の御説明にございました関東雑音防止協議会から御相談を受けまして現地でいろいろ聴視改善の具体的な指導に入っておりました。この周辺には幾つかの銀行その他のビルがございまして、ある意味では、このビルが林立して複合しておりまして原因者がわからぬといえばわからない。しかし、率直に申しまして、これまた土地柄で、銀行が地元の商店等との取引もございますので、これがために共同受信方式をつくるときには、多年相当の取引のある関係から銀行はある程度この共聴施設経費を持ってもいいというような話もございまして、具体的にその線で経済的な見通しもついて共同受信解決方式を関東雑音防止協議会の手で改善をするというところに話がかなり煮詰まってまいったわけです。ところが、たまたま渕野氏を代表といたします日本ケーブルビジョンの会社がちょうど設立まぎわでございまして、これに目をつけまして私のほうでやりましょうというふうに横合いから出てまいったわけでございます。具体的には、経費も安くしましょうとか、その他のお話し合いがおそらくあったことと想像されまして、地元の商店組合はそちらの手で工事をしてもらう――先ほども触れましたように、実際は数万円の経費が一世帯当たりかかっておりますが、それを日本ケーブルビジョンに負担をして払いましても、あとからこれら近所のビルの持ち主であります銀行等から拠出をしてもらって肩がわりがしてもらえるというような見通しもあって、話はそちらのほうに進展して、ただいまでは日本ケーブルビョンの手によります四十四世帯共同施設ができたという経緯でございます。  ただ、これに対しまして再送信の同意を与える与えないの問題が発生いたしました場合に、郵政当局におきましてはNHKないし民間放送業者が同意しがたいという態度をとりました関係から、ただいまの現行の有線放送業務運用規正に関する法律の十条、臨時かつ一時的な使用として一カ月以内の期限を切ってメキシコオリンピックの放送をよりよい状態で見るという行政措置をとられました。メキシコオリンピックが終わりましてから、一たびよりよい画像で見てしまっております地元の受信者に、もとに返して画像を悪くするということは、これまた私どもの立場からいっても社会的な観点からできませんので、その後郵政省の御指導でNHK民放各社、並びにこれの設立にあたりまして渕野氏等も加えまして運営協議会をつくり、その運営協議会という名に改めてNHK民放等が再送信の同意を与えて今日まで至っている、今回この改正案が通りました暁にはこれと照応して根本的なこの施設の解決をはからなければならないというふうには考えておりますが、その関係でそういうちょっと中間的な段階で今日まで至っておるという状況でございます。
  125. 中野明

    ○中野(明)委員 郵政省にもお尋ねしたいのですが、こういうことが、いろいろ指導の過程、話し合っている過程でこういうケーブルビジョンという会社が設立される動きがわからなかったかどうかということなんですが、これは経費のかかることですし、この法律ができましてもどんどんこういう会社がたくさん出てくる。これはその人の見方にもよるでしょうけれども、採算とかその他の面を考えますと、おそらくそうやたらに出てこないんじゃないかという気もするわけですが、結局はNHKなり郵政省のほうで難視聴ということについて真剣に取っ組んでいることは認めますけれども、こういう会社が話し合いの途中で横から出てきて設立されたということについて、非常に見通しが甘いというか障害に対する取り組みが非常に手ぬるかった、弱かったというようなそしりも受けるんじゃないか、そういうような気がするわけですが、その辺、いまNHK説明でその間の事情は幾らかわかりましたが、郵政当局としてはそういう会社ができるということに気がつかなかったか、そこのところを……。
  126. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 日本ケーブルビジョン株式会社の代表の渕野氏は、相当前からアメリカにこういうものがあるということで検討をいたしておりましたことを私どもは聞いております。ただこれが、ケーブルビジョンの説明するところによりますと、二万五千世帯くらいにならないと大体採算がとれない、こういうお話でございました。そういうことからいたしますと、これが新宿における一部分の難聴視の解消にすぐ乗り出してやろうというところまで私どもは実はそのときには考えておりませんで、具体的に新宿角筈の方々がメキシコオリンピックを契機にこれを何とか早く解決したいということと結びついて、ただいま御説明があったような経過で渕野氏がこれに入っていこうということになったのでありまして、初めからそこでやろうというような計画ではなかったのではなかろうか、かように考えております。
  127. 中野明

    ○中野(明)委員 いずれにいたしましても、ある面からいえばこの会社が電波の将来について一つの道を開いてきたということは言えるでしょうけれども、そういうことでいろいろ問題が起こりまして、そしてよけいな、再送信を許可するとかしないとかいうようなことが発生してごたごた問題が起こる前に、そういう話し合いができなかったかということを私どもは考えるわけです。  それで、NHKがお急ぎのようですからもう一点NHKに聞いておきたいのですが、山間部における難視聴には従来から放送局をつくったりあるいは共同受信施設の補助をしたり、積極的に努力していただいていることについては私どもも日ごろから敬意を払っているわけですが、この四十二年、四十三年ですか、その時点における共同受信施設の実績というのですか、どの程度補助を出されて、そして加入者をどれくらい救済できたか、それから加入者がどれくらい負担をしておったか。ことしから相当その率は変わってきて、共同受信施設NHKのほうとしては相当大幅な応援をするということが先ほどの話にもありましたし、過日の予算のときにも出ておりましたが、この四十二年、四十三年の実績と、そして加入者の負担の状態、これだけちょっとお聞きしておきたいのです。
  128. 佐野弘吉

    佐野参考人 四十二年におきまして六百を若干上回っております。四十三年におきまして五百八十五の共聴施設に対しまして三分の一の助成をいたしております。そして双方とも大体これの加入をいたしております受信者が十四万前後というふうに記憶をいたしております。  実際、都市のほうにも関連して言えることでございますが、多年の私どもの経験によりますと、この難視の地方建設費は一世帯当たり二万五千円でまかなえます。御承知かと思いますが、山頂にNHKなり民放なりの共同アンテナをそれぞれ波ごとにつくりまして、そうして増幅器を通りまして幹線線路に入ってきて、それがそれぞれの各戸に引き込み線で入っていく、こういう仕組みになっておりますが、全国的平均一世帯当たり二万五千円見当でほとんどまかなえるということでございまして、そのうち三分の一でございますので、九千円方をNHKが負担をいたしておるということでございます。以上を集計いたしまして、四十二年、四十三年、ともども二億九千万円ほどこの助成費として計上、支出をしてまいりました。
  129. 中野明

    ○中野(明)委員 そうしますと、残りは加入者ということになるわけですか。
  130. 佐野弘吉

    佐野参考人 さようでございます。
  131. 中野明

    ○中野(明)委員 じゃ、お急ぎのようですからNHKのほうはそれでけっこうと思います。  それで、次にお伺いしたいのは、大臣がこの法律で新たに指定される区域、その中にある既設の有線テレビですか、これの取り扱いについてちょっとお聞きしておきたいのですが、これはどのような取り扱いになりましょうか。
  132. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 施行まで六カ月の期間がございますので、その間に申請書を出さして許可をしていきたい、こういうふうに考えております。
  133. 中野明

    ○中野(明)委員 それは、この許可基準に現在やっておりますのが合わない場合、これはそのいかんを問わないで、現在やっておるからその既定の事実をそのまま認めて許可をされるつもりなのかどうかということなんです。
  134. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 現実の問題としては、現在、全国においてこれに該当するようなものは、私どもが考えております指定地域内においてこういった再送信業務をやっているというのはないわけでございますのでおそらく該当するものはない、先ほど申し上げたのは抽象的に申し上げたわけでございます。
  135. 中野明

    ○中野(明)委員 新宿の分はどうなりますか。
  136. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 新宿の分につきましては、先ほどお話がございました協議会を母体にいたしまして、さらに関係者を入れた大臣答弁の公益法人をつくりまして、それに許可を与えるということが一番いいんじゃないか、かように考えておりますが、それにつきましてもやはり六カ月内にできる、こういうふうに考えております。
  137. 中野明

    ○中野(明)委員 それはそのように持っていける見通しはあるのですか。
  138. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 大体いけるのではなかろうか、かよう考えております。
  139. 中野明

    ○中野(明)委員 では、次にいきたいと思います。  この法律では大都市における電波の障害、これを人為的、このように定義づけられて、そして山間部その他は自然的な理由、そういうことに明確に分けられまして、そして、特に今回のこの法律は視聴者の利益を保護する、そういう目的で出されたということは要綱にも出ているわけですが、そういうことになってまいりますと、これはいろいろ議論があるんじゃないかと思いますが、都会でもいま住宅が非常に不足しておりますし、これは住宅問題については大きな問題としてその関係者は頭を痛めているわけですが、先に大きな建物がどんどん建っておって、住宅は当然あとからあとからとそのまわりへ建ってくるということになりますと、現在の住宅事情を考えて、当然そういうところもどんどん出てくるんじゃないか、こう思います。あとから住宅ができてくる、そういうふうな場面が間々出てくると思いますが、そうしますと、先に大きなビルが建っている、それはどういうのですか。自然の山が前にあったと同じような考え方も持てるのではないか、山陰と同じようになるのじゃないかという意見も一部あるように聞きますが、こういう点について、はっきりとそういうふうに分けてしまっていいものかどうかということ、そこのところを郵政省のほうでどう考えているか。
  140. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 従来の都市における建物だとか、あるいはその他の電気雑音とかいうようなものは、大体前提といたしまして、放送区域をきめる場合に、このくらいのこういった都市はこのくらいの強さでなければならぬということをきめてございますので、したがいまして、そのままの状態であれば都市においても見られるということが言えるわけでございます。その後においていろいろな電気雑音が非常にふえたとか、あるいは非常に高い建物がたくさんできたということによって受信障害が生ずる、こういうことでございます。
  141. 中野明

    ○中野(明)委員 いや、私の言っておるのはその逆なんです。先から建物が大きなのが建っておる、そうして住宅難ですから、どんどん住宅があとからあとからそのまわりに進出してくる、そうするとテレビ見えない。先から住宅があるのにあとから建物が建った場合は、明らかに人為的で文句が言えるわけですが、そういう点を考えますと、一がいに人為的とだけきめつけられないのではないか、そういうふうな気がするわけです。  これはやはり今後の都市の形態としても、町づくりも、たとえて申しますと、高速道路がついた、そのところへもう先から予想して大きな建物ができておる、まだまわりはたんぼばかりだというようなところがこれから先、住宅地になることは容易に予想できるわけです。そういう場面もあると思うのですが、そういうときには、これは山陰と同じような考え方が一部出てくるのではないかというような気がしてお尋ねしたわけなんです。
  142. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 例外的な場合としてそういうことがあるかもしれませんけれども現実的にはその町における平均的な建物の状況だとか、あるいは雑音の程度というものを考慮いたしまして電波の強さというものを考えておりますので、一般の場合にはそういうことはほとんどないのではないか、こういうふうに考えております。
  143. 中野明

    ○中野(明)委員 それから、原因が不明だということが一つの大きな解決の壁になっておることは事実ですが、この原因が不明ということは、やはり当然政治の上の責任にもなってくるわけですが、こういう点について、この法律によりますと、町では許可制にして、いなかのほうは従前どおりにしておく、こういうところにも何か矛盾点があるような気もいたしますが、ここのところは過日来ある程度説明はなさっておるのですが、もう一度明確に、山陰のほうもやはり一緒に許可制にどうしてしなかったかという理由づけを説明していただきたいのです。
  144. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 いままでの有線テレビあるいは共同聴視の実態から見てこういうふうに都市におけるものと地方における共同聴視施設との間に取り扱いの違いを来たしているんだ、こういうふうに考えておるわけでございますが、いなかにおける共同聴視は、御承知のとおり見えないものが寄って、そうして組合的な組織でもって電気屋に頼んで共同聴視施設をつくって、自分たちの手で管理運営する、こういうことでございますので、この管理運営に当たるものとそれから受信者とがいわば一体的なものでございまして、その間に利害の対立というものはない、こういうふうに考えられるわけでございますけれども、一方、都市におきます今後出てくる有線テレビにおきましては、受信者とこういった有線テレビの企業を管理運営する人との間に対立と申しますか、片方が企業的に経営することを主体にいたしますと受信者利益と対立する場合が非常に多い、そういうことから申しまして、やはり都市における有線テレビの事業者に対しましては規制をしないと受信者の保護に遺憾な点が出てくるということで、今回の改正をお願いしているわけでございます。
  145. 中野明

    ○中野(明)委員 それでは、この法案を一応目を通させていただいて、これは大臣お尋ねしたいのですが、これが通りますと、当然大臣の指定した地域に事業者が出てくるわけですが、大体どういう事業体を理想と想定しておられるのかということです。いろいろ御説明も聞いてみますと、公益性ということが主体になっているようで、営利ということは第二になってこなければならぬと私は思いますが、大臣として、どのような事業体を期待しておられるかという御意見をちょっとお聞きしておきたいと思うのです。
  146. 河本敏夫

    河本国務大臣 この有線テレビ事業というのは、私は早急に非常に広く発達するのではないかと思います。そして公益性が非常に強いということ等を考えますと、公益法人によって運営されることが望ましい。そうして公益法人にはNHKあるいは民間放送事業者のほかに、放送事業に直接、間接関係のある人たち、あるいはまた、場合によれば地方の自治団体というものも入って運営することが望ましい、こういうふうに考えております。
  147. 中野明

    ○中野(明)委員 これは当然新しい町づくり、今後の都市形態からして自然に発生してきた悩みなんですが、こういうことになりますと、受信者の側からしたらば当然余分な経費がかかってくるわけであります、NHKにも受信料を払わなければならぬし、また当然有線テレビのほうに加入をすれば、先ほどからいろいろ話が出ておりますが、少なくても二万円か二万五千円というような加入料、それからまた今度は月々料金を払わなければならない。こういうことになりますと、いま大臣お話しのように、今後大いに広がる、どんどん大発展するということになってまいりますと、別な面から国民の生活を非常に圧迫する、そうして経済的な理由から相当問題になってくるんではないか、私どもはそのように心配するわけですが、こういう点につきまして、いかに非営利で公益法人であろうとも必要な経費は当然かかるわけですから、加入者に対して――営業用の人ならばある程度しんぼうはできると思います。それを元にお客を集めたり、いまの新宿のようにテレビがあるためにお客が来てくれるんだというような商人の多いところはよろしいのですが、住宅用ということになりますと、相当余分な経費が必要になってくるものですから、有線テレビ事業体がふえればふえるほど相当大きな問題になってくる、このように私は思います。  この点について、経費の軽減というのですか、政府なら政府がある程度補助を出してでもしていかなければならない性質のものではないか、このように考えますが、この辺、どの程度まで考えておられるか、ちょっと御意見をお聞きしておきたいのです。
  148. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 おっしゃるとおり、有線テレビに加入した方は、設備費の負担あるいは月々の維持費の負担ということで経費の負担をせざるを得ないわけでございますが、こういった経費につきましても、できるだけ低いところに押えたいということで許可基準にもあげてございますし、それから始めてからも、加入者が非常に多くなって原価が逓減しているはずだというような場合につきましては、さらに指導をしてまいりたいと思っております。  それから国費で補助ということについては、これは現在までのところ、なお検討を要する問題だとは思っておりますが、考えておりません。
  149. 中野明

    ○中野(明)委員 どの程度が妥当だと考えておられますか。いまのお話で、なるべく安く、これはよくわかります。当然そうなければならぬのですが、だからといって限界があるわけですから、指導にあたりまして、許可条件としてどの程度の負担ならば許可していいと考えておられるか、そこの基準をちょっと聞いておきたいのです。
  150. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 これはその規模と非常に関係することでございますが、ラフな言い方を申し上げますと、月額大体三百円から二百円くらいなところでやっていくようにしたいと考えておりますが、やはり何と申しましても、当初はもう少し高くなり次第に下げさしてそういうところに持っていく、こういうことになろうかと存じます。それから加入料としては一万五千円から二万五千円くらいの間になろうかと存じます。
  151. 中野明

    ○中野(明)委員 いま想定されました加入料として一万五千円から二万五千円の間、そして二百円、三百円という月々の料金ですが、それは加入者が何世帯くらいを対象にした想定になっておりますか。
  152. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 やはり一万以上二万軒くらいを想定しなければならないと存じます。
  153. 中野明

    ○中野(明)委員 そうしますと、それは相当広範で、それだけの加入者を集めるということになりますとなかなか骨の折れることだろうと思うわけですが、そういう点について、国民としては人並みにテレビも見たいというのは当然のことですが、これだけ金がかかりますと、一万世帯も集まらなければこの程度にならないということになると、大臣はどんどん出てくるようにおっしゃっておりますが、相当抵抗があるのではないか、その面からまた文句が出てくる、このように心配するわけです。  そこでさっきから申し上げているように助成補助ということが当然出てくる、このように私は思うわけであります。そうしないと、せっかくこの法律ができましても、実際にこの仕事に入ってみたら案外行き詰まって、できない。新宿だって、相当大きなことをおっしゃっておったようですけれども、この間の話でも四十四軒しかまだ入っていない。その後はどうなっているか知りませんが、そういうことから考えまして非常にむずかしい問題で、再び別の面からテレビ見えるようにしろ、こういうことがやかましく議論になってくるのではないか、このように考えます。それは後の検討事項の一つとして先ほど答弁がありましたので、この辺にしておきます。  次に、要綱の中で、これを許可された業者は、放送事業者の再送信の同意は必要としないということがうたわれております。これは再送信を義務づけているのですから当然同意は必要でないことはわかりますが、放送事業者が全然関知しないというのですか、それでよいだろうか、ちょっと不合理な気もするのですが、そこのところはどの程度まで考えておられますか。
  154. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 ただいまお話しのとおり、私どもとしては、朝から晩までとにかく全然そのもとの放送事業者の放送に変更を加えずにそのまま受けて流す、こういうことを義務づけておりますので、これに同意を与えるということになりますと、同意を与えなかったときのことを考えますと、やはり理論的に矛盾するということで同意を要しないというふうに規定したわけでございます。
  155. 中野明

    ○中野(明)委員 これは法の上ではそうでしょうけれども、常識的には、実際の運用の上では法で縛るというのじゃなしに、当然ある程度そういうことについての暗黙の了解というのですか、これはやはり必要じゃないかと思うのですが、そこのところは指導する上において、いまおっしゃったように同意の権限を与えると、同意しなかったときのことは確かに問題になりますので、そこらはもう少し説明してもらいたいのですが……。
  156. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 業者同士といいますか、一つの仁義としてはやはりあいさつあってしかるべきかとも存じますけれども法律上はやはり同意は必要でないということにしておきませんと、先ほどのようなこともございますのでこういうふうに規定したいと考えておるわけでございます。
  157. 中野明

    ○中野(明)委員 それから許可の期限でございますが、これは全然無期限ということでよろしいですか、また無期限にされた理由、これをちょっと……。
  158. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 これは無期限でございます。無線局あるいは放送局の免許に期限がございます理由は、御承知のとおり、一つには電波の波の割り当てということからきておるわけでございますので、そういった点がこの有線放送にはないということから、従来からも期限を付するという考え方が出ておらないわけでございます。
  159. 中野明

    ○中野(明)委員 最後に、今回のこの改正では、大臣許可それから処分、そういうことが出てきているわけですが、電波監理審議会との関係はどのようになっておりますか。
  160. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 これにつきましては、現在の法令上必要的諮問事項となっておりませんのでかけなくてもよろしいということになりましょうが、常識的には電波監理審議会に御相談申し上げながらやっていく、こういうことになろうかと存じます。
  161. 中野明

    ○中野(明)委員 これに従来から大臣の権限というのですか、こういう電波行政に対しては大臣の権限が大き過ぎるとか、いろいろの批判があるわけです。そういう点で、今回新たにまた大臣許可の権限が一つふえる、そういうことになりますので、私どもとしましては、これは法律でいろいろ規定しているのですから、この条件によって許可されていくのですから問題ないような気もいたしますけれども、やはりそういう批判も巷間多い現状から考えましても、電波監理審議会というものにかける必要があるかどうかということ、そしてあれば、新たな事態が発生したのですから、電波監理審議会の必要な諮問事項として法律の中に入れなければならぬのじゃないか、それとも全然その必要がなければ、何か別の第三者による審議機関でも設けて、そして公平な判断というのですか、新しいことが起こってきたわけですからそうする必要があるんじゃないか、私はこのように思うわけです。そうしないと、とかく大臣の権限が大き過ぎるということで批判の強い向きもあるわけですから、そこのところはどのようにお考えになっているか。
  162. 河本敏夫

    河本国務大臣 運用につきましては、もう十分お話しの御趣旨を体しましてやっていくつもりでおります。  なお、御指摘の点につきましては、将来の検討事項として研究させていただきます。
  163. 中野明

    ○中野(明)委員 それでは、以上でおわりたいと思います。
  164. 井原岸高

    井原委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十五分散会      ――――◇―――――   〔参照〕 昭和四十四年六月二十日(金曜日)  逓信委員打合会    午前十時三十五分開会
  165. 井原岸高

    井原委員長 これより逓信委員打合会を開きます。  有線放送業務運用規正に関する法律の一部を改正する法律案について、四名の方々に御出席をいただいております。  御出席の方々を御紹介申し上げます。  一般聴視者として、新宿駅前商店街振興組合事務局長小川況君でございます。(拍手)  放送界から、日本放送協会専務理事佐野弘吉君でございます。(拍手)  日本民間放送連盟技術委員会委員吉田稔君でございます。(拍手)  タレントとして、歌手の菅原洋一君がお見えになるわけでございますが、ちょっとおくれております。  以上でございます。  御出席の各位には、非常にお忙しいところ当委員会に御協力を賜わり、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から率直な意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。  議事の順序は、まず各位から順次御意見を開陳願い、そのあと委員各位から御質疑を願うことといたします。  なお、はなはだ恐縮でございますが、御意見陳述の時間はお一人当たり十五分程度におまとめいただければまことに幸いだと存じます。  それでは、まず小川洸君からお願いを申し上げます。
  166. 小川洸

    ○小川洸君 新宿の二幸の周辺の商店街の振興組合の事務局長をやっております小川でございます。  まず、振興組合の概況から簡単に申し上げますが、二幸裏一体の二百店舗の商店の振興組合でございまして、構成は、飲食店が約四〇%、物品販売が四〇%、その他が二〇%程度の構成でございます。  最近の傾向といたしまして、各商店におきましてお客さまの誘致の一つの方法としてテレビを備えつけまして、「ただいま野球の放送中でございます」とか、あるいは「オリンピックの放送をしております」ということによって、顧客の誘致をはかる目的でいろいろ考えてまいりましたが、最近の高層建築の増加によりまして、逐次映像が不鮮明になりまして、最終的にはほとんどタワーに向けて壁のようなものができまして、完全にこれが利用できない状態になってしまいました。特に、カラー放送のごときは全然画にならないという状態でございます。  そこで、組合といたしましてこの対策をいろいろ検討いたしましたが、何ぶんにもしろうとのことで、対策につきましても考え悩んでおりました結果、NHKさんの御指導あるいは関東雑音防止協議会の御指導を特に仰いだ次第でございます。  そこで、組合といたしましては四十二年度の当初からこの対策委員会をつくりまして、委員会の名におきましていろいろ各界の御意見等も聞いてまいったわけでございます。NHKさん並びに関東雑音防止協議会におきましては非常に御親切に御指導をくださいまして、おかげさまである程度の見通しがつきましたのでございます。  その見通しということは、最上のところに共同アンテナを立てて、一般共同アンテナ方式で有線で各お店に映像を送るというシステムでございました。そこで、一応の設計を終わりましてからNHKさんあるいは関東雑音防止協議会の御指導によりまして、日本電子工業会の日本における一流商社を十社ほど御指名願いまして見積もりの徴取をしたわけでございます。その結果、最高が二百四十一万余円、最低が百十八万余円と相なったのでございます。  さっそくこれが着工をいたすべく準備いたしましたところ、たまたま最低社の古河電気工業株式会社、これが従来からニューヨークにおけるマンハッタン方式の有線テレビの研究をしておったということと、株式会社日本ケーブルビジョン放送網がこれと提携いたしまして、将来、日本にはやはりアメリカのマンハッタン方式でなければ聴視ができないというような御意見の申し入れが盛んにございました。組合といたしましては、中に相当な経験者もございましたので、その方の意見も取り入れましていろいろ検討をいたしたのでございますが、従来の共同アンテナ方式ではとうていこれが完全な解決はできないという結論にはなったのでございますけれども、ある程度のことはこれで解決できるんではないかということで、一応踏み切ったのでございますが、そこでケーブルビジョンからの申し入れにつきましては全く知識がなかったわけでございます。これに契約をする自信というものは全くなかったのでございますが、ケーブルビジョンから強力な申し入れがございまして、いろいろな資料をとりましたところ、相当な確信があるやに見受けられましたので、組合といたしましては、最低価格以下におきまして完全な映像が見られるならばどちらの方式でもよろしいということから、一応日本ケーブルビジョン放送網にその施設を依頼をいたしまして、実施した結果、完全な映像が見られなければ原案の共同アンテナ方式に戻す、完全な映像が見られればケーブルビジョンに契約をする、かような条件で一応施設をやらしたわけでございます。そこで、組合といたしましては、メキシコオリンピックを一つの契機といたしまして、ぜひこれを視聴したい、しかもこれを営業に利用したいという強い要望に基づきまして、昨年十月のメキシコオリンピックまでに必ずこれを完成するという条件で着工をさしたわけでございます。  その結果におきましては、従来、視聴度、これを点数であらわしますとほとんど零点に近い状態でございましたが、ケーブルビジョンの施設によりまして八十点ぐらいの点数を与えていいようなきわめて鮮明な映像を見ることができまして、各組合員は非常な喜びを得たわけでございます。  そこで、たまたま一カ月の認可期間が切れるということで一時中断されるということがございまして、非常なショックを受けましたが、関係各位の協議会ができまして、これによって聴視者には迷惑をかけないということで現在も映像を聴視しております。たいへんありがたいことだと思っております。ただ、いまのアンテナの位置が地域内における最高のビルに一応取りつけてはございますけれども、昨年の十月の状態から逐次、高野とか武蔵野館とか、非常な高層なビルが順次タワーとの間に障害となりまして、現在ではまた多少映像が乱れかかっております。  かような状態で、いまの状態で将来まで永久的にこれがこの施設でいいかということになりますと、ちょっと疑問ではないかと考えております。特に最近UHFの声が非常に高くなっておりますが、そうなりますと、ますます映像が乱れてくるんではないか。また地域的に、駅前と都電通りとの間に非常に交通のラッシュがございまして、自動車の電気的障害が非常に入ってくるということも一つの原因かと思いますが、これらを解決するには、どうしてもやはりいいところヘアンテナを立てて有線で引っぱる、あるいは理想的にはスタジオから直結したケーブルでもって引っぱってくるという以外に方法はないんではないか、かような考えも私自身は持っておるわけでございます。  さて、施設経費でございますが、ケーブルビジョンからは二万五千円の負担金を命ぜられておりますが、一つのテストケースとして二万円にまけてもらいまして、それで一応支払いをしてございますが、これらの費用は、あげて組合員の全額負担となっております。各自然の現象に基づきます共同アンテナにつきましては相当な補助金が出ておるやに聞いておりまするが 当地区のように全額負担ということになりますと、やはり組合員といたしましても、何らかの経済的な援助があっていただきたいという希望が強いようでございますので、この点も将来何かとお考えを願いたいと考えるわけでございます。  なお、都市の周辺地区におきましては、密集した高層ビルがない限りは、ある程度共同アンテナでできると思いますけれども、これにつきましても、東京都の建築関係に向かいまして建築基準法の改正をお願いしたことがございます。大きなビルを建てるときには、必ず電波をその背後地ヘビルの責任において配る、これが一つのビルの責任ではないか、この責任を建築基準法の改正に織り込んでもらいたい、かような意見を申し入れましたところ、最近では都庁でメモをつけまして、NHKの御指導を受けるようにということで、ある程度の解決がついておるようでございます。  また、最近新宿におきましてPR委員会という新宿をPRする組織ができております。このPR委員会におきましても、やはりある程度の音楽放送を流す、あるいは情報を提供しようというような計画がございますが、最近の第四次産業としてのコンピューターによる経済情報の処理等も、将来近代組織の商業上必ず必要になってくるかと思いますが、かような情報の処理あるいは営業用の音楽の放送あるいは営業用の映画の放送、なおテレビの完全視聴、こういった組織が乱れて競争してまいりますと、受ける組合員としましては非常な迷惑が起きますので、できればこういうようなことも一元化していただければたいへんありがたい、かように考えておるわけでございます。  以上、たいへん粗雑なことで恐縮でございましたが、状況を御報告申し上げます。
  167. 井原岸高

    井原委員長 ただいま菅原洋一君がお見えになっておりますので、ちょっと御紹介申し上げます。菅原洋一君。
  168. 菅原洋一

    ○菅原洋一君 おはようございます。菅原洋一です。  何かステージと全然感じが違うので、とってもあがりっぱなしにあがって、さっきもすわったまま足を動かそうと思ったら足が動かなくて困っているんですけれども、でも一応何か……。
  169. 井原岸高

    井原委員長 それでは、ちょっと御休憩願って……。
  170. 菅原洋一

    ○菅原洋一君 そういうわけですから、どうぞお手やわらかにお願いいたします。(拍手)
  171. 井原岸高

    井原委員長 次に、佐野弘吉君。
  172. 佐野弘吉

    佐野弘吉君 日本放送協会佐野でございます。  これから有線放送規正に関します改正案について日本放送協会の意見を少しく申し上げたいと存じます。今回この法案の御審議にあたりまして、当協会の見解を申し述べる機会を与えられましたことについて、ここに深く御礼を申し上げます。  あらためて申し上げるまでもなく、有規法が制定されましてから十八年有余、その間、数次にわたる改正が行なわれましたが、いずれもごく部分的な改正にとどまったため、その後飛躍的な発展を遂げたテレビ有線放送業務への同法適用の可否など、法文上不分明な点も残っおります。また、昨今種々取りざたされております都市における有線テレビ関係会社の設立などについて現行法程度の規制のまま放置いたしますと、これらの施設は無秩序に出現し、放送界の秩序に重大な影響を及ぼすばかりか、一般聴視者に多大の困惑をもたらすことになりかねないかと存じます。  このようなときにあたり政府都市における有線テレビの法的規制を中心に有規法の一部改正案都市の聴視者の難視救済策として今国会に上程されましたことは、まことに時宜を得たものかと存じます。  なお、有線テレビ利用の将来的可能性につきましては、技術革新の進展に伴い、今後ますますその発展が予測されるところであり、それだけに電波、放送、通信、電子工業等の各分野にわたる総合的な検討を経た上での配慮が法制面でも必要かと存じます。  協会といたしましても決してこの問題を等閑視するものでなく、この種情報産業の健全かつ迅速な発展を願うものでありますが、これには、関係各官公庁をはじめ、各界を通じた広範かつ慎重な検討を要しますので、本日は、有規法改正案の提案理由にも掲げられております都市難視改善に対する協会の基本的な考え方並びに有規法改正案に対する概括的な意見にしぼって申し上げたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  第一に、都市難視改善に対する協会の基本的な考え方について申し上げたいと思います。  当協会は、放送法の定めるところにより、公共の福祉のためにあまねく日本全国において受信できるように放送を行なうことを目的としておりまして、これまでその使命である難視聴地域の解消に最大限の努力を払ってまいったつもりでございます。ところが、最近、都市におきましては、高層建築物の林立等、都市の立体化が進むにつれて障害原因が複合し、このため、いわゆる原因者責任主義による問題の解決がきわめてむずかしくなってまいっております。  しかし、このような難視状態の激増は、当協会の社会的使命から放置できない問題でありますので、これまで以上に積極的にこれが改善策を講ずる必要があると考えまして、昭和四十四年度当協会事業計画にテレビ共同受信方式の積極的な活用策を盛り込んだ次第でございます。幸い同計画につきましては国会の御承認を得ましたが、その際、衆参両議院でいただきました附帯決議も、協会の努力に対する国民の期待を明らかにしたものと理解をいたしております。  したがいまして、このような観点から、都市におきます難視改善につきましても、辺地における難視改善と同様、聴視者負担の増大を抑制しながら積極的に難視改善をはかる所存でございます。  次に、この有規法改正に対する協会の概括的な意見を申し上げさせていただきたいと思います。  いままで申し上げました観点に立って本改正案を拝見いたしますと、本改正案都市における有線テレビ企業の乱立を抑止するという意味でその意義を否定するものではもとよりございませんが、放送法に定められた協会の使命並びにテレビ有線放送業務の今後の推移が、放送界の秩序及び一般聴視者に及ぼす影響等を考えますと、当面重大な事項で二、三点を明確にいたしておきたいと考えます。以下、その点について御説明申し上げます。  有線放送協会の責務についてでございます。  今回の有規法改正の趣旨は、同法改正案の改正理由にもありますとおり、都市における良好な放送の受信を確保し、聴視者の利益を保護するところにあるものと考えます。一方、放送をあまねく全国において受信できるように措置することが、放送法上、協会に課せられた本来的な使命でございます。  したがいまして、有線放送の分野におきましても、このような放送受信の普及という観点から、協会が主軸となってこれらを推進すべき立場にあるものと考えられますので、本改正案の御審議にあたりましては、協会の果たすべき責務につきましても十分御考慮をいただきますようお願い申し上げます。  次いで、許可基準につきまして、本改正案では、業務区域、利用条件業務実施の運営主体等、業務実施の際基本となるべき重要な事項がほとんど省令または事実上の行政指導にゆだねられておりますが、これらは問題の重要性に照らしまして、次のような内容を骨子に、改正案の修正等の手段によりまして、法律レベルで明らかにしておいていただけないものかと考えます。  まずその一つ業務区域でございますが、郵政大臣が指定されますテレビジョン再送信業務実施の区域については、原則として六大都市、または当面その実施可能性のある県庁所在地に限るなど、具体的に明示されるよう希望したいと考えます。  また、役務提供対価、いわゆる利用料金など役務提供対価につきましては、放送受信料制度への影響も懸念されますので、実費支弁程度のできるだけ低廉な額とするよう希望いたします。  また、これらを実施するための運営主体といたしまして、放送法の趣旨、放送事業者の社会的責務並びに聴視者の利益保護の観点から、協会または協会を主体とした放送事業者に限定して設立される非営利の民法に基づく公益法人が妥当かと考えます。  最後に、これまで御審議の過程でも一番問題になったかと存じます自主放送の規制について申し上げたいと思います。  みずから編成しました番組を送信する有線テレビ及びラジオ有線放送について、放送法の一部準用を中心とした現行法程度の規制のままに放置しておきますと、これら自主放送が無秩序に出現し、放送界の秩序に大きな影響を与えるばかりでなく、その社会的な影響も無視できないものがあろうかと考えます。  また、自主放送が放置されますと、共聴施設の営利化が促進され、結果として維持費等の高額化を来たし、ひいてに聴視者負担の増大を招きかねません。改正案では、第三条の二第六項並びに電波法第百四条の二の準用により自主放送について一応の規制をはかろうといたされておりますが、この程度の消極的な規定で実質的に規制できるかどうか、はなはだ心もとなく思われます。  したがいまして、自主放送の規制につきましては、法文上明確に規定しておくべきものかと考えます。  以上、私どもの日ごろ考えておりますところを都市有線テレビの法的規制を中心に種々申し述べさせていただきましたが、有線テレビの将来的可能性ないしその活用につきましては、なお、あらゆる分野から種々論議を尽くし、将来の総合的方針並びに計画を樹立する必要があると考えますので、当協会も公共放送のにない手としてこの問題に将来とも真剣に取り組んでまいりたいと考えております。  以上、要を得ておりますかどうか、当面のこの法案に対します日本放送協会の見解を申し述べさせていただいた次第でございます。  どうもありがとうございました。
  173. 井原岸高

    井原委員長 次に、吉田稔君。
  174. 吉田稔

    ○吉田稔君 吉田でございました。  本日、有線放送業務運用規正に関する法律の一部を改正する法律案を御審議するにあたりまして、民間の放送連盟に対しまして意見を開陳する機会をお与えいただきまして、厚く御礼申し上げる次第でございます。  私ども民間放送事業者は、従来、指定されました放送区域内における難視聴区域の救済に関しましては、NHKさんと協力をいたしまして、UHFまたはVHFによる電波を利用した中継局によりましてその救済に当たってきたわけでございますけれども都市におきましては、最近高層建築物とかあるいは自動車等の雑音等、人為的な原因によりまして急激に受信障害を生じておることは周知のことでございます。  こういう都市における受信障害地域救済手段といたしましてはいろいろと考えられるわけでございますけれども、ケーブルという媒体を利用した有線テレビの再送信が最も有効な手段であるというふうに考えております。したがいまして、現行法等によりましてこの業務を放置しておきますと、ただいまNHK佐野専務もお述べになりましたように、きわめて無秩序の中でその事業が乱立いたしまして、そのこと自体は一般聴視者に対して必ずしも利益を招くものではないと、そういう見解を私たちは持っております。今回、郵政大臣が指定する区域におきましてかくのごとき業務を行なわんとする者に対しましては、本法律案のような許可制に基づく規制を行ないまして、視聴者の利益を守り、秩序あるケーブル網の布設を促進しようとお考えになることは当然でございまして、この改正案に対しましては、民間放送連盟といたしましては基本的に賛成でございます。  しかし、きょうの再送信規正に関する法律の問題とは直接関係ないことをちょっと申し上げさしていただきたいのでございますけれども、この再送信に用います媒体であるケーブルは、御承知のように、伝送可能の情報量は非常に膨大でございまして、この法律に規制してございますように、その区域における全テレビジョン番組を再送信いたしましてもなお余りあるだけの情報量を持っているのでございます。で、この情報量というものは、われわれがいま入り口に差しかかっております情報産業化時代において情報伝達の路線として非常に大きな役割りを演ずる可能性を持っていることをわれわれは認識しなくてはいけないのではないかというふうに考えます。したがって、この大容量のケーブルが単にテレビジョンの受信障害の救済というような手段だけに利用されることでないようにいたしまして、今後、これが新しい情報産業化社会の中で非常に有用な機能を発揮できるような特別の御高配がお願いできれば、というふうにわれわれは考えております。  次に、この法案関連いたしまして、若干の問題点につきまして希望と意見を述べさせていただきたいというふうに考えます。  まず第一点は、第三条の二の一及び二に規定してございます郵政大臣の指定する区域及び業務区域の実体的な内容に関する問題でございます。  この点につきましては、先ほどNHK佐野専務理事法律レベルによって規定されることを御希望になったようでございますけれども、かりに法律レベルによって規定されない場合でも、今後省令等によりまして具体的な取りきめが行なわれるものというふうにわれわれは解釈しております。したがいまして、われわれ民間放送業者といたしましてはこの点たいへん重大な関心を有しておりまして、どんな基準でこの区域が指定されるのか、さらに、その指定された区域の中で業務区域というものがどういうふうにしてきめられていくのかというような具体的な取りきめの段階で十分われわれとしての意見も述べさせていただきたいと思っておりますので、そういう機会はぜひお与えいただけるように、この席をかりて希望させていただきたいというふうに考えます。  それから第二点でございますが、これはNHKの場合には特に問題にならないことではないかというふうに私考えておりまして、特に民放の場合の問題だというふうに認識しておる問題が一つございます。  それはこの指定区域に関連する問題でございますが、この指定区域として指定されない地域、指定区域外における再送信業務に関する問題でございます。この指定区域外における再送信の業務は、今回この法律が改正されましても従来のように届け出制によって行なわれるわけでございまして、放送業者の同意が得られれば、その区域を放送区域としない放送業者の電波がそこで再送信できるということになるわけでございます。このことは一見、一般聴視者に対して番組の多様的な供給ができるという観点もあるかもしれませんけれども、現在の県域放送という電波行政の基本的な秩序を乱すことにはならないかということを私たちは憂えております。その結果は、その地域を放送区域としておる地元放送業者の経営を著しく圧迫することにはならないだろうかということをたいへんおそれております。  ここでちょっと余談になりますけれども、現在アメリカにおきましても同種の問題がCATV業者とそれから放送業者との間に存在しておりまして、最近私の手元に届きました米国の権威ある雑誌でございますが、「ブロードキャスティング」という雑誌がございます。これの五月二十六日号にたいへんおもしろい記事がございます。御承知のとおり、アメリカの下院におきましても現在CATV法制審議が行なわれておるわけでございまして、これをめぐりましていろいろ利害関係者の意見がたくさん出ておりますが、その中で、CATVのチャンピオンであるアメリカ有線テレビ協会のフォード会長が、当然これは激しくFCCのいろいろな規制された法律に対して攻撃を加えておるのでございますけれども、法制化されることに反対しないという項目を三つほどあげております。そのうちの二つは、これはすでに本法案にも盛ってございますけれども、免許区域内の放送局全部をそのままの形で再送信するように義務づけること、それから技術基準を設けること、この二つはこの法案にももちろん盛ってあるわけでございますが、これに対してはもちろん反対はしない。これと並べましてもう一つ、ただいま私が申し上げた問題に関連のある項目について反対をしないと言っております。それは遠方局の番組をCATVが取り入れることによって地方局の存在が脅かされる場合に限りその取り入れをやめさせることという規制でございます。これを取り入れることについては反対しないという意見を述べていることは、非常に注目に値するのではないかというふうに考えております。  この法案におきましては、ただいま申し述べました三件のうち二件ははっきり盛られてございますが、最後のこの問題については触れてないわけでございます。県域放送をたてまえとし、その民力度に応じた数の放送局を設置いたしましていま民間放送事業というものが整斉と行なわれているわけでございますけれども、これがこういうような形で、しかも集中的に最も経済力の高い地点に対して他の放送区域の放送電波が形を変えて侵入してくるということに対しては、十分慎重に御配慮いただかなければならない問題ではないかというふうに考えております。  それから第三点でございますが、これは著作権に関する問題でございます。  再送信の場合の著作権問題につきましては、別途、現在著作権法の改正におきましていろいろ審議をされているように伺っておりますし、私自身これの専門家ではございませんので詳しく意見を申し述べることはできませんけれども、いずれにしましても、著作者と放送業者と再送信事業者、この三者の間で今後問題が起きないように御配慮をしていただかなければならないのではないかと考えております。  次に第四点でございます。  これは第三条の二の第六項に規定してございます。許可を受けた有線電気通信設備をテレビ再送信の業務以外に使用する場合は別に郵政大臣許可を要することという項目があるわけでございます。この規定は、解釈のしようによってはいろいろな解釈ができるというふうに考えます。  私たちといたしましては、先ほどこの問題に関連したことにつきまして佐野専務理事からもちょっとお触れになりましたが、この規定は前向きにしかも積極的に運用されるものであるというふうに私は解釈したいのでございます。と申しますのは、再送信の義務を満足に果たすことなく他の業務に血道を上げるなどということはもちろん論外でありますけれども法律の命ずるところを十分満たした上でその他の業務へのケーブルの活用をはかりますことは、当然有線テレビ加入視聴者の負担を基本的に軽減できるゆえんではないかというふうに考えているわけでございます。  冒頭にも述べましたように、ケーブルの有しております情報伝達の能力というものはすばらしいものでございまして、これはあまり脚光を浴びたものだとは思いませんけれども、非常にじみちな技術革新の一つの所産であると私は考えております。このケーブルは、大乗的に国民経済の見地から見ましても、これを他の業務に積極的に利用していくことはきわめて合理的でもありますし、情報時代の要請でもあるというふうに確信しております。再送信業者がこれを政治的に偏向した目的に利用するとか、あるいは公序良俗に反するような行為に及ぶようなことがあった場合には、刑法その他現行の法規やあるいは放送法の準用によって十分規制できるものと私は解釈しております。  もとより、こういう再送信以外の業務の利用のためには、関連法規の、たとえば有線電気通信法その他の整備が必要となるでありましょうけれども、急速な技術の発展に逆行して、社会が当然受け得る技術革新の恩恵を制限しないようにこの法律運用あたりまして御配慮いただければたいへんありがたいというふうに考えるわけでございます。私たちもNHKともどもこの難視聴区域の救済に対しては当然道義的にその責めを負っている一員といたしまして、この有線テレビ放送の建設につきましては非常な情熱を持って立ち向かっております。  こういう機会に、非常につたない意見でございますけれども意見を述べさせていただきまして、しかも御清聴いただきましたことに対して、厚く感謝申し上げます。  どうもありがとうございました。
  175. 井原岸高

    井原委員長 次に、菅原洋一君。
  176. 菅原洋一

    ○菅原洋一君 タレントの方、諸先輩たくさんいらっしゃる中から選ばれたことをまことに光栄に存じます。あまりむずかしいことはわかりませんので、私の感じたことだけちょっと意見を述べさせていただきます。  有線放送についてなんですけれども大都市におきましてはとても有線放送が盛んで、いまや有線放送でスターになった方がたくさんいらっしゃいます。私もおかげさまでそうなんですけれども。たとえば、いままで喫茶店とかクラブで歌っていましたのですけれども、クラブで歌っていましたときに、もうそのころはレコードなんか売れないと思ってあきらめていたんですけれども、ちょうどここにお見えの四十くらいの年配の方なんですけれども見えになって、私に、君「知りたくないの」歌ってくれよと言うんですね。「知りたくないの」というのはぼくが歌っているんですけれども、と言おうと思ったのですけれども、黙ってそこで歌いましたら、ああ、君が「知りたくないの」歌っている男かなんということで、とてもそれからアァンになってくださいましたが、そういうことで、有線放送が歌の普及とかそういうことにとても役立っていると思っております。  それから有線放送テレビについてなんですけれども大都市ではほんとうに高層ビルがたくさん建ちまして、テレビ見えにくい地域があちこちであると思うのです。そのせいか知りませんけれども地方へ行きましても、私をごらんになった方は、テレビ映りよりも実物のほうがいいね、なんて言われる。ですから、こうやってちゃんと見えるようになりますと、実物どおり見えましたら、またもう少し私の顔も見直されるんじゃないかなと思って、とてもいいことじゃないかなと思っているのです。ただ、そのために、ビルの建築主なんかがビルの陰になった方のためにアンテナを立ててあげるとかそういうことが、できましたら必要じゃないかと思うのです。また、一般の聴視者になって考えてみますと、そういういろいろな負担が私たちに軽くなればいいな、これを国会、役所でまた考えていただきたいと思います。  それから、ここで歌手の立場として申し上げますと、有線テレビができるのはまことにけっこうなんですけれども、それがもう無秩序にできまして、それでかってに番組をつくったりしますと、これはまたいろいろな問題が出てくるのじゃないかと思うのです。放送局が制作する番組をそのまま中継で送るという分には、全然これは差しつかえなくて、まことに喜ばしいことなんですけれども、ただ、歌手や俳優に断わりなくかってにテレビ局から番組をとって、あるいはその番組をかってにいろいろコマーシャルをつけたり、たとえば、あまりよく映ってない写真をばっと画面に出されたりしますと、いろいろまた差しさわりがあるのじゃないかと思う。特に、まだ著作権とかそういう問題が確立されてないものですから心配だなと思っているのですけれども、その点もよく御配慮をお願いいたします。したがって、営利だけを目的とするような有線テレビが次々とできまして、くだらぬ番組を流すことになりますと、聴視者の立場から見ましても、いろいろな教育上も、芸能人の立場から見ても問題がいろいろあるのじゃないかと思います。この点もどうぞ国会におかれましても十分御検討、御配慮をお願いしたいと思います。  はなはだ簡単ですが、私の意見を述べさせていただきました。  どうも失礼いたしました。
  177. 井原岸高

    井原委員長 以上で四君の御意見の陳述は終わりました。     ―――――――――――――
  178. 井原岸高

    井原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  179. 加藤六月

    加藤(六)委員 皆さんはお忙しい中をわざわざ当委員会の――われわれはこの法案CATV法案、こう言っておるわけですが、CATV法案の審議に際しましてはそれぞれの分野から非常に貴重なる御意見を承りまして、まことにありがとうございました。たいへん参考になる面がたくさんあったわけでございますが、今後この法案を審議していきますたてまえ上、せっかくおいでいただきましたので、皆さま方の御意見をもう一段お聞かせ願いたいと思います。  ごく簡単でよろしいと思いますが、まず小川さんにお尋ねしてみたいと思いますのは、新宿二幸裏周辺約二百の商店関係皆さんがおいでになる。平素都市テレビの難視聴問題でたいへんお困りになっておられる。これはわれわれとしましても、全国の山間僻地にある難視聴地帯並びに都市における難視聴地帯の皆さんに対してまことに申しわけない。電波による恩恵というものを国民どこにおろうと十分に享受していただかなければならないという立場でおったわけですが、それぞれいろいろ具体的な事情があってお困りになるということは、国政の一端をあずかるわれわれとしてまことに申しわけない、こう思っている次第でございます。  それに関連はいたしませんが、皆さん方がいろいろ難視聴解決のために努力されております。そのときに、NHKの指導というものをひとつ仰いでみよう、あるいは関東雑音防止協議会にも相談をしてみようということでいろいろ努力されて対策委員会等もおつくりになり、日本ケーブルビジョンにも、相当の高い金額になるけれどもひとつ食いついていこうか、お世話になろうか――両方の面であったと思うのですが、NHKはそれに対してどういう指導をしただろうかということ、これが一点ですね。  その次は、いま小川さんの御意見を承りますと、負担金、これを何とか補助してもらえぬだろうか。自分らが都市におけるこういう共同受信施設をする場合に負担金の補助問題がずいぶん問題になった、まに、UHFになるとさらに見にくくなるから早く解決しよう、いろいろな御希望があったように承るわけですが、私は、いまのNHKの指導がどういうものであったかということと、負担金の補助問題について何か特別の御意見とか御希望というようなものは出なかったか、この二点について小川さんに承りたい、こう思います。
  180. 小川洸

    ○小川洸君 ただいまの加藤さんの御質問お答えいたします。  NHKさん、これは関東雑音防止協議会の一員としてのNHKさんでもあったと思いますけれども共同アンテナを立てるにつきましても、御承知のとおり非常に高層ビルがたくさんございまして、どこへ立てたらいいか、はたして一本でいいのかどうかと、いろいろ電気的な数字やら技術的な観点から、ほとんど約一カ年にわたりまして連日技術者の御派遣を願いました。ビルとタワーとの間の電波の受信状態の一番いいところはどこかということで二点、三点と位置を研究いたしまして、その最もいいところへ一応立てようということで、第一案は住友信託銀行の屋上でございまして、第二が紀伊国屋の屋上でございます。第三が埼玉銀行の屋上でございましたが、後者の二点につきましてはいずれも背面の反射が非常に強いということと、東京タワーと、タワーが二つございますので、両方のタワーを同時に受信するにはやはり住友が一番いいという結論を出していただきまして、それに基づきまして一応設計いたしたわけでございます。その間、NHKさんが非常に御尽力くださいましたことをここにあらためて御礼を申し上げるわけでございます。  なお、負担金につきましては、一応NHKさんの御調査によりますと、単独のビルの場合はビルがほとんどその経費を負担して、その背後地における聴視者には費用の負担を軽減しておったというようなデータをたくさんちょうだいいたしました。なお、東京都庁の産業会館のときは全額東京都が負担したというようなことも教えていただきました。当地区におきましてもいろいろそれにつきまして負担の方法を検討いたしまして、二幸その他高層ビルのほうに八割の御負担を願って、聴視者には二割の負担を願う、かような計算をいたしまして、各ビルにその協力を求めまして、目下大半の協力を仰いでおります。一、二残っておりますけれども、近く解決の予定でございます。  したがいまして、各聴視者は総工費の二割程度を負担したにすぎませんけれども、今後維持費がケーブルビジョンの計算によりますと毎月五百円ということでございます。これは聴視料を支払った上にさらに五百円ということになりますので、聴視者各位からは、何とかもう少し安くならないものか、あるいは聴視料一本で済ませるような法をひとつ努力してもらいたいというような意見がたくさん出ておりますので、私がここに組合員の代弁をいたしまして、できれば補助をしていただくとか、あるいはあとの維持費は何とかしてひとつ免除願いたいというような希望を申し上げる次第でございます。よろしくひとつお願い申し上げます。
  181. 加藤六月

    加藤(六)委員 小川さんのお考えになっておること、特にCATVによる方法でやった場合の負担金の問題、維持費の問題というのがわれわれとしても一番頭の痛いところでございますので、一生懸命今後勉強してみたいと思います。  佐野さんは、平素、NHKを代表されまして、われわれ当委員会におきまして、予算、決算あるいは一般放送ということについていろいろいつも御質問いたしておるわけでございますが、今日は協会を代表するということでCATVについていろいろ貴重なる御意見を披瀝していただき、また、都市の難視聴その他について協会が主軸となって解決していかなくてはならないという問題、あるいは法案内部の問題にも触れていただきまして、業務区域の問題、役務提供対価の問題あるいは実施主体についての問題、さらに、一番頭を痛めておりました自主放送の規制の問題についてもそれぞれいい御意見を承ったのですが、本年度、四十四年度予算で都市における共同受信施設を約四十カ所ほどNHKがやっていただくようになっておりましたが、これは電波監理局にも前に質問いたしたのですが、この中には東京、大阪、あるいは先ほどおっしゃいました六大都市並びに県庁所在地ぐらいをするというように、はっきりと具体的に明示したほうがいいのじゃないかというお話もございましたのですが、NHKの場合の調査によりますと、難視聴で一番問題がたくさん起こっておると思われるような都市というものは、きょう資料を持ってきておいでになってなかったらよろしいのですが、大体わかっておりますでしょうか。
  182. 佐野弘吉

    佐野弘吉君 ひとつ、端的に東京都の例で御説明いたしたいと思いますが、ただいま東京都には大かた四階以上のビルで一万五千ございます。これによります電波障害を受けております世帯が十万世帯でございます。また、この十万世帯の中で、事実上画像に非常に障害度が強くなってきて、私どもが内部的に申しております電界強度三なり四なりというところで、三ないし三プラスというところが七万強世帯ございます。さらに、一日も早く手をつけなければならないという三マイナス以下が二万五千世帯ございます。これが東京都内の現状でございまして、これは大阪、名古屋から見ればかなり大きいほうでございます。ただいま大阪、名古屋の実情を必ずしも全面的に十分精査いたしておりませんのでこの席上では省略をさせていただきますが、これがビルの建築の傾向から申し上げますと、つい三、四年前まで四階以上のビルが一年間二千五百ぐらいずつ建っておりましたものが、この二、三年来三千五百くらいにピッチが上がっております。したがいまして私どもは、昭和五十年までにまいりますれば、大体先ほど申し上げた十万という被害世帯が二十五万になるというかなり確固たる推定が成立をいたす、このような状況になっております。
  183. 加藤六月

    加藤(六)委員 時間がございませんのでごく簡単に質問していきますが、自主放送規制の問題、これは結局、自主放送を他意あって規制するのではなくて、放送秩序と聴視者の利益を保護するためだ、これを野放しにしておくといろいろなものをやっていき、維持費が高くかかっていき、聴視者の負担が増大してくる、したがって規定を明確化しろという内容もいただいたわけでございますが、何か規定を明確化するについての腹案のようなものは検討されたようなことはございますか。   〔委員長退席、小渕委員長代理着席〕
  184. 佐野弘吉

    佐野弘吉君 これは憲法上の表現、言論の自由というものとも関連いたしました関係上、この改正案を練り、かつ、今日審議いたすまでの間にいろいろ御議論があったかと存じます。私どももその辺を考えまして、また同時に、言論の府に携わるという立場もありまして、言うはやすく、私どもが発議するということはなかなかむずかしいことかと考えております。
  185. 加藤六月

    加藤(六)委員 どうもありがとうございました。  次に、吉田さんにちょっとお伺いしたいと思います。  平素、民間放送の技術問題についていろいろ研究開発をしていただいておるようでございますが、吉田さんが本日一番おっしゃいましたわれわれ民放は指定された放送区域というものがある、これに対して難視聴地域の解決に努力してきた、こういうお話がございました。ところが私たちの考えは、NHKと比べてもまだ民放さんは努力してない、しかも相当利益をあげておるじゃないか、今日こういう法案を審議しなくてはならないのは、ある面では、民放さんの利益は一体どこにいっておるのだ、もう少し真剣にやらなくちゃならぬはずだというのが一点。  それからその次は、電波法におけるところの免許状の中に放送区域というのがちゃんと明示してある、この放送区域が明示してあって、民放さんはそれを了承し、しかも自分のほうで計算してあの放送区域というものは申請書を出されておるはずだ、しかるに今日、自然的現象によるところの過疎地帯における難視聴地帯というのはずいぶん民放さんの関係の放送区域の中に残っておる、これが一点。それから二点としては、都市においてこういう問題が起こったときも、もう少し民放さん全体が真剣に取り組んでもらって、こういう問題にもうかった金をどんどんつぎ込んでもらえばいいんじゃないか。電波は会社のものではなくして国民のものである、国民共通の財産である、それを民放さんがお使いになっておって相当なる利益出しておられる、これははなはだけしからぬのではないかというのが率直な意見なんです。  そこで、いま貴重なる意見を聞いたわけでございますが、吉田さんは技術関係の方のようでございますが、免許状におけるところの放送区域、放送区域内における難視聴地帯、これは自然的なものと都市のもの両方がありますが、これに対する解決をしなくてはならない義務といいますか、これについては、まず放送区域という解釈をどうされておるかということと、放送区域内における難視聴解消の義務というものを、どの程度お考えになっておるかということを、技術関係の方ですからどうかと思いますが、お答えできる範囲内でちょっとお教え願いたい、こう思うのです。
  186. 吉田稔

    ○吉田稔君 たいへん手きびしい御質問でございます。しかし、おまえは技術関係の人間だから答えられる範囲でという、またそこに情状酌量した御発言でございまして、たいへん恐縮に思います。しかし私も技術屋ではございますけれども、きょうは民放連の代表として出ておりますが、東京放送の常務をやっておるのでございまして、東京放送の経営に携わっている人間といたしまして、ただいまの御発言に対してやはり一言御返答さしていただきたいと思います。  まず、第一に民放は非常にもうかっているのに、難視聴区域の救済に関してはどうもあまり積極的ではないではないかという御指摘でございます。そういう見方もおありかとは思いますけれども、われわれは決してそういう考え方は持っておらないということをはっきり申し上げたいと思います。  ただ、民放の場合には、御承知のとおり私企業として商業ベースの中でいろいろなことを経営しておりますので、特に、われわれキーステーションの場合には全国に番組を供給しなくてはならないという非常に大きな義務がございまして、しかも、電波の数にしましてはNHKさんの二分の一、しかもNHKさんの二分の一のうちの一つは教育番組でございます。ですから、NHKの膨大な収入の中で番組の中に分けられる金額と、われわれ民放東京の中で四局、五局が同じような番組をつくってこれと激しく競争していかなければならないという中で、NHKペースで中継局の建設をやっていくことはきわめて困難である事実を御理解いただきたいというふうに考えます。  しかし、われわれは法律によっては、難視聴区域にあまねく、あるいは指定された放送区域内をあまねくという義務は負わされていないとは思いますけれども加藤先生もおっしゃいましたように、国民の財産である電波をおあずかりして放送産業の中で仕事をしているわけでございますので、道義的には、NHKと同じような考え方で難視聴区域には対処しなくてはならないという心がけを持っておりますが、ただ、経営形態の違いからくるいろいろな収支上の問題がございますので、事、志と違っている点はございますけれども、決してそういう甘ったれた考え方は持っておらないということをはっきり申し上げさせていただきたいというふうに考えます。  それから、私たちが免許の条件として与えられております指定放送区域というものをどう考えるかということでございます。  これは法律上の解釈がいろいろあるのではないかと思いますけれども、少なくとも私たち免許を受けております立場といたしましては、まず、われわれが経営の基盤としてこれだけの放送区域がほしいのだという考え方の上に立ってお願いいたしまして、その中で郵政省の許可を得てわれわれはその放送区域を指定されている、したがって、これがわれわれの営業基盤になり得るようなサービスを十分やらなくてはならないというふうにまず第一に考えております。  それから第二は、必ずしも営業的採算だけではなくて、先ほど申し上げました道義的なわれわれの責任というものを踏まえてやっていくというふうに考えております。現に、私たちは東京の周辺地区で二十局に近い中継局をつくっておりますけれども、これはそろばんをはじいたら、決してそろばんに合うものではございません。その辺を御勘案いただきますれば、私たちが常日ごろどういう考え方で中継局の建設をやっているかについては御理解いただけると思います。  それから第三点の、都市の難視聴区域に対する民放側の熱意がないじゃないか、これはたいへん心外でございます。これは郵政御当局にも聞いていただければおわかりと思いますけれども、特に私の籍を置いております東京放送といたしましては、東京地区における都市難視聴区域の救済という問題に対しては、私はNHKさんよりももっと積極的ではないかというふうにさえ考えておりまして、この事実は、郵政浅野次官をはじめとして、郵政幹部の方々もこのわれわれの業務をめぐっての日常のいろいろなお話し合いの中で御理解をいただいているというふうに私は考えております。  ややこれは関連いたしまして、先ほど佐野さんのおっしゃられた問題に多少触れさせていただきたいのでございますが、よろしゅうございますか。
  187. 加藤六月

    加藤(六)委員 わかりましたから……。  時間がないようでございますので、あと吉田さんにちょっと技術的な問題で、都市の難視聴解消には非常に熱心で、NHK以上であるとおっしゃっていただいたんで非常に心強く思っていますので、その問題については、今後積極的に、なるべくこういうわれわれがいま考えているような法案にあらざるような方法で解決していただきたい気持ちが強いわけです。  いわゆるCATVにおけるケーブルの問題ですが、おっしゃったとおりに大容量のケーブルがどんどん開発されてきて、非常に情報産業の一つの大きな柱になるぐらいに思っているわけですが、その大容量ケーブルの使い方についていろいろ御意見があったのです。そうしますと、吉田さんのお考えは、アメリカの例も引いておられて、詳しく承らないで、ちょっとお聞きしますと矛盾があるんじゃないかというような気もしたわけです。これは地方民放局の三つの条件――いまの免許区域、技術基準、それから民放局の問題を言われたのと、最初、大容量ケーブルの今後の使い方に非常に注意し、努力し、しかも前向きで積極的に再送信以外の問題について郵政大臣許可を必要とするが、これは考えていかなくちゃならないと言われたが、お互いに時間もございませんのでなんですが、このケーブルの現在放送されておるもの以外の容量は十分あるわけですが、どういうものに使ったのがいいということは研究されたでしょうか、どうでしょうか。もしされたら、時間がありませんので、ごく簡単でいいですからお伺いしたいと思います。
  188. 吉田稔

    ○吉田稔君 お答えいたします。  これは先ほどもちょっと申し上げましたように、われわれはいま新しい情報産業社会の入り口に入っておるわけでございまして、オーデオとビデオというこの二つの情報源をどういうふうに商品化し、どういうふうに分配するかというこれからの研究課題としてこれは大きな問題でございます。ですから、ここで研究したかと質問されますと、具体的にあしたからでもこれをやろうという形のものでないことになるわけでございますが、たとえば一般家庭の要求しているいろいろな情報がございます。いまラジオテレビで断片的にやっておりますいろいろなこの社会の中における情報の提供というものを常にやることも一つの方法でございましょう。それから、たとえば教育に関する情報、教育産業の中での情報の配給のやり方の問題もあると思います。それから非常にわかりやすいポピュラーなものとしては、たとえば音楽の提供もその一つかもしれませんが、これは必ずしもこれによらなくてはならないとは思いませんけれども、たとえば、そういうような非常に多容量であるということによって、従来、電線を使ったものは音の情報以外には提供できなかったものが、画を伴った情報のものがいろいろ提供できるということをつけ加えさせていただきたいと考えておりまして、具体的にあしたから何をやるかと言われましても、それに対してはまだお答えする自由を持っておりません。
  189. 加藤六月

    加藤(六)委員 菅原さんに一つだけお伺いします。  菅原さんはこういう関係を通じて非常に国民大衆の中に人気を博してこられまして、先ほどお話を承りますと、こういう問題についても相当勉強していただき、ただ無秩序にこういうものができるのはちょっと困るというようなことを言われましたが、音声放送、いわゆるわれわれがいうラジオですか、ラジオというと語弊がありますが、いわゆる画面の映らない放送施設と、テレビのこういう関係のいわゆる自主放送――ラジオ、音声放送のほうはずいぶんお出になったと思うのですが、テレビのこういう関係の分野へ、正式のNHK民放以外の関係で出て、何か歌ったりあいさつされたということはございますか。
  190. 菅原洋一

    ○菅原洋一君 ほかには鑑賞団体のステージで……。
  191. 加藤六月

    加藤(六)委員 私の質問のしかたが悪かったんですが、現在自主放送でいわゆる民放といわれるのがあるでしょう。NHKというのがあるでしょう。こういう画像を送るテレビ会社があるわけですね。それ以外に二千軒とか五千軒ぐらいに画像を送っている会社があるわけですよ。テレビのなにを使っている、そういうやつにあなたは出演されたことがあるかどうかということですが、たいていないじゃないですか。
  192. 菅原洋一

    ○菅原洋一君 ええ、ないんです。
  193. 加藤六月

    加藤(六)委員 普通のいわゆる有線放送の声だけの分に出られて非常に皆さんから人気を博してこられた、こういうことですね。
  194. 菅原洋一

    ○菅原洋一君 そうです。
  195. 加藤六月

    加藤(六)委員 いろいろそういうことで努力されたことは敬意を表するのですが、特に私たちは秩序ある放送というのに努力しておりますので、そういう点で今後一生懸命がんばっていただいて、いろいろやっていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  私の質問はこれで終わります。
  196. 小渕恵三

    ○小渕委員長代理 米田東吾君。
  197. 米田東吾

    ○米田委員 私は、時間の節約上一度に三人のお方に御質問いたしますので、あとから御答弁をいただきたいと思います。  たいへん貴重な御意見の発表をいただきまして、非常に参考にさせていただきましてありがとうございました。  最初に、発言されました順序で小川さんから御質問を一、二申し上げたいのです。  あなたのほうの組合員といいますか、あるいは加入者といいましょうか、端的にいえば、あなたの放送施設を利用しておられる会員の方ですね。それは大体総数はどれくらいで、その中における――大体地帯が新宿ですから、商業用に利用されている方が多いのではないかと推定できますけれども、あるいはアパートとかマンションとかあるいは自宅とか、そういう利用者もおるだろうと思いますが、そのパーセントをちょっと知りたいのです。あなたのところは、ほとんど主体は商業用ではないかと思いますけれども、自宅で聞いておる方がどの程度入っておるのか。あわせて、そういう特に自宅で利用されておる方々の中には、おそらくこれも私の推定ですけれども、相当いわれておりますように、都市公害に対する関心、不満というものが強いだろうと思います。それらが結局は、ひとつ都庁から何とかしてもらいたいとか、あるいは発生源になっておるビルから何とかしてもらいたいとか、NHKにも何とかしてもらいだいとかいうことになってきておるのではないか、こう思うのです。それで、そこらあたりの関心の度合い、これは私ども今後この種の公害対策というものも大きな問題になってくると思いますので、ぜひ参考までに聞かしておいていただきたい、こう思っておるわけであります。  それから、建築基準法の改正について進言されたという御発表がございました。非常にこれも参考になるわけでありますが、具体的にどういう提言をされたか、法律関係は私どもの専門になりますけれども皆さんの率直な改正部分、そういうことについてありましたらお聞かせいただきたいと思いますし、それから、お話の中では、特に東京都のほうで積極的に、これはおそらく料金設定の段階だろうと思いますけれども協力いただいたように聞いております。また、最近におきましては、東京都庁においては本格的に問題を取り上げまして、都市における難視聴地域の解消といいますか、解決に努力されているように聞いておりますので、あわせて東京都庁がいまどんな施策をとってあなたのほうに対処しておられるかも参考にしていきたいのでお聞かせをいただきたいと思います。  それからもう一つは、あなたのほうは自主放送もやっておられるわけであります。あわせてまた再放送もやっておられるわけでありますが、大体あなたの放送全体を百とした場合、自主放送部分というのは何%くらいあるか、再放送以外の部分ですね。宣伝や教育やその他いろいろあると思いますけれども、再放送以外の部分がどの程度を占めておるか、その内容は主としてどんなものか。これもあまりこまかく要りませんから、ひとつ聞かしていただきたいと思います。  なお、当然あなたのほうも公序良俗の関係等も配慮されておると思いますし、不偏不党の配慮も、企業でありますから当然されておると思いますので、そこらあたりの苦心談も聞かしていただきたい、こう思っておるわけであります。  以上が小川さんに対する御質問でございます。  NHK佐野さんに御質問いたします。  御意見の発表を総体的に私聞いておりまして、この部分については、NHKがむしろ積極的に当たって解決していきたいという熱意が非常に強く私は受け取れるように感じました。特にNHKが主軸となってやるのが筋だ、そういうようなことや、事業主体については、特に企業性よりも公益性を優先させるべきじゃないか、こういうような御提言もございました。私どもも全くそういう点では同意見の面があるわけであります。そういう観点からいきまして、NHKが、この今度の改正にある再放送という面についてNHKとしてどのように実際はそういう体制をもってこれにかわってやり得る、あるいは、やろうとする体制があるようにも思うのでありますけれども、そういう点、もう少し突っ込んだNHKのお考えというものが聞かれれば非常にありがたい、こう思っておるわけであります。なお、料金設定等についてはなるべく費用弁償程度に、いわゆる利潤というようなものについてはあまり強調すべきでないという御意見が出ておるわけであります。こういうことでいきますれば、当然公共性というもの、あるいは公益性というものが優先するということになると思いますので、そういうことでお聞きをしておるわけであります。  それから、もう一つこれと関連いたしまして、私のあるいは誤解かもしれませんが、現にある飛行場周辺の難視聴地域あるいはアメリカ軍の電波施設周辺の規制地域、こういうところについても、NHK等におかれましてもある程度の解決をされて対処をされてきているように思うのであります。もしそうだとすれば、大都市なんかにおけるビルの谷間にある視聴者を解決するという方法も、相当NHKでは私は進んでおるのではないかという推定もするわけであります。したがって、そういう点もどんなふうに取り組んでおられるか、私どもしろうとでありますからこの機会に聞かしていただきたい、こう思います。  以上がNHKに対する御質問でございます。  それから吉田さんに一、二お伺いしたいのでございますけれども、著作権の問題が提起されております。これはこの法案審議の段階でも私ども十分対処しなければならない問題ではないかと思いますけれども、基本的にはこれはこの委員会に属する問題ではないかと思います。しかし、皆さんは率直なところどうお考えなんでしょうか。この法案が施行されれば同意なしにやれるということになる。再放送の部分だけならそう私はあなたのほうと相違は出てこないと思いますけれども、将来自主放送というのがむしろ主体になってくるということになりますと、この問題はおっしゃるとおり非常に大きな問題になりはせぬかという気もするわけであります。したがって、皆さんのほうで考えている著作権についての触れる部分、こうあるべきだという部分、これがありましたらお聞かせをいただきたいと思っておるわけであります。  それからもう一つ自主放送というものについては、趨勢としてはこれを押えるということはもうできないのではないか、こう思っておるわけでありますが、民放さんの立場なり、先ほどの御意見からいきますと、こういうことについては相当規制をすべきじゃないかという御発言のようにとりました。ただ、放送秩序だとか、いろいろそういう点で注文がつけられておりますけれども、私は自主放送については相当民放はきびしい、そういうふうにとったのでありますが、誤解であるかもしれませんけれども、このことについて、もう少し率直なお考えが聞かれればありがたい、こう思っておるわけであります。  なお、一番最後でございますが、特に小川さんにもそれから吉田さんにもこの法案について、ずばり賛成か、反対か、私が聞いたらどうお答えいただけますか。これをひとつ最後につけ加えていただきまして――NHKはよろしゅうございます。小川さんと吉田さんにずばり賛成なのか、反対なのか、このことだけお答えをいただければありがたいと思います。  以上でございます。
  198. 小川洸

    ○小川洸君 お答え申し上げます。  ただいま組合員が約二百世帯ございますが、そのうちで現在テレビを設置している店が約四十軒でございます。一軒について二セット入れましたので、全部で四十四セットございます。これは全体からいきますと非常に少ないようでございますけれも、中には営業用に利用することがかえって営業上マイナスになるというお店がございます。たとえば喫茶店あたりで野球などやりますと、百円のコーヒーで二時間、三時間客席をふさがれるというために、これはテレビは置いてはいかないというような場所もございますし、また、同じ営業用と申しましても、お客さまに見せる場所と従業員の慰安のために置くところと二つに分かれておりますが、大部分は営業用でございます。一部従業員のたまりに置いて従業員の慰安に使っているところも若干ございますが、大部分は営業用でございます。  なお、家庭用といたしましての御質問がございましたけれども、当地区は完全な商業地区でございまして、そこに住居はほとんどございません。夜間はほとんど管理人程度でございまして、そこにお住まいになるという方はきわめてまれでございまして、数軒にすぎません。特にお子さまは一人もおりません。そういうような状態でございますので、いま放送しておる内容はほとんど全部が営業用に使っておるという状態でございます。  なお、建築基準法のことにつきましては、正式に文書で申し入れたわけではございませんが、こういうようなことが各地で行なわれますとやはり新宿のような状態が非常に頻発するおそれがございますので、NHKさんにも御協力を願い、都庁のほうにも、何とかビルを建てるときにはそのビルの屋上にアンテナを立てて、その背後地には無償で電波を配給するようにしてもらえないか、こういう希望を申し入れましたところ、非常に聞き入れていただきまして、基準法の改正まではいっておりませんけれども、現在四階以上の高層建築を建てる場合には、NHKのほうへよく相談した上でもってやりなさいという注意書きをつけて許可をしておるような状態でございます。おかげさまでその効果は相当あがっておるのじゃないかと思いますが、私どもの地区内には直接その関係はいまのところはございません。  それから、自主放送の問題と風俗の問題が御質問ございましたけれども、ただいまのところでは自主放送は一切やってございません。全部放送の再放送だけに現在は限っております。  それから、法案に対する賛否でございますが、町といたしましては、とにかくよく見えるようにさえしていただければたいへんありがたいのでございまして、なおその上に経費の軽減をしていただくような方策が講ぜられればなおありがたいと思っておりまして、本案の成立には賛成でございますので、ぜひくよろしお願い申し上げます。
  199. 佐野弘吉

    佐野弘吉君 先ほどお尋ねにつきまして、包括的にお答えさしていただきたいと思います。  地方の難視と同様に、新しい都市の構造変化に伴います都市の難視の増大を有線により再送信することによって受信状況改善を確保するということを政策的に四十四年度で初めて大きく取り上げてみたものでございますが、ただ、必ずしも財政的には驚くほどの金額でございませんで、四十四年度では東京、大阪等を対象に一億円を計上いたしまして、さしあたり四十地区、一地区に平均二百五十ほどの世帯があろうかと思っております。大体この程度の計上でございます。  もう一つには、これまで一つのビルができましてすぐ単純にそのビルの陰になって見えにくいというようなところに対しまして、先ほど来話が出ておりますように、NHK独自あるいは電波障害防止協会、最近雑音防止協議会がそのように名前が変わりましたが、NHKがこれのメンバーとして働くというような形で全国的にやっておるわけでございまして、体制的には東京の本部で、もとより営業技術部、大阪、名古屋等の中央局でそうした同じ体制があり、各地の放送局の営業部にも受信サービスの係がおって、年間を通じましてこれらの都市難視の障害を随時随所において巡回し、技術指導をいたすというような体制をとっておりまして、この純粋な純然たるビル陰につきましても二千万円ほど計上をいたしておるような状況でございます。  先ほどから申し上げております都市におきましては、協会は四十四年度で一世帯当たり二万八千円を支出いたしまして、各世帯では五千円を持っていただく、この都市難視のための共同受信方式は平均一世帯三万三千円くらいかかる、こう見ております。先ほど小川さんからも話がありましたように、新宿の場合、各世帯で二万円ほど出しておるということで、もよりの銀行等で結局これを助成してもらえそうだというお話でございます。おそらく小川さんの代表しております新宿のこの地区はきわめて有力なる商店経営者方々でございますので、金融上の取引がございまして、付近の金融機関等がこれに協力をするということになったと思いますが、必ずしも全国的にそのようにはなるまい、結局原因が不明で、自分の責任ではないというようななすり合いというような形で、障害が発生して解決をしない、それを付近のビルに依頼しても必ずしもがえんじないというような傾向が強まるというふうに想定をいたしますので、協会といたしましては、今後そのような地区に協会自身が二万八千円の拠出をもって地元の方々との共同受信の共同設置の衝に当たる、こういう体制を確保したい、こう思っております。  この改正案にも関連いたします自主放送等を含めました月々の共同受信施設の維持費の問題でございますが、自主放送云々というようなことからいたしますれば、当然この施設が、営利を目的とする――新宿の場合にも自主放送という形でスタートいたしましたが、今日ではそれは差し控えておるということになっております。自主放送をいたすということによって、営利を目的とする企業的本能が拡大をする、その自主放送をするためにも、月々五百円あるいはそれ以上の維持費を取りたい、こういう必然的な傾向になろうかと思います。協会といたしましては、今日のマスメディア全体の社会的風潮から、やはりこの際は自主放送についてはこれらの都市内の共聴施設は自粛をし、自主放送を差し控えるということによって放送界全体の秩序を維持してもらいたいということで、したがいまして、協会先ほど来御説明申し上げますような施設をつくりました場合には、たかだか維持料は電力等含めて月々百円くらいが至当である、これが先ほど協会の見解を申し述べました低廉なる価格ということで、具体的には百円程度を考えておるということでございます。  最後に、一般都市公害という現地からの意見に対しまして若干お答え申し上げますれば、御承知のように、航空基地十六の地区で受信料半額免除の措置をとり、また昨年から大阪の伊丹並びに東京の羽田が国際空港で非常に大型なジェット機が着陸をいたしておるということで、実際はこの空港を利用しております航空会社等がその騒音を発生いたしておりますので、本来原因はそちらにあるということで、私どもがむしろ被害者だという言い方をいたしておりましたが、現実に伊丹等におきましては早急に解決をいたさなければならぬという社会的事実を私どもは厳粛に見てとりまして、昨年来、航空騒音の防止協会の一員に加わりまして拠出をして、実質的には受信料の半額の低減に協力をいたすというやり方をいたしております。これらとも関連をいたしまして、私どもは、都市一般的なこれまで申し上げましたような難視というものは、協会の放送、受信をいたすべき放送法第七条の関係からも積極的にみずから相当の経費を負担して将来ともやっていきたいという新しい施策として、本年度予算の成立に御承認を願ったわけでございます。  以上、一部はずれておるところがあるやにも思いますけれども、包括的にお答えをいたした次第でございます。   〔小渕委員長代理退席、委員長着席〕
  200. 吉田稔

    ○吉田稔君 御質問にお答えさせていただきます。  第一点の著作権に関する問題でございますが、これはその節申し上げましたように、私、著作権に関する専門家ではございませんので詳細なお答えはできないのでございますけれども、現在審議されております著作権法案の第九十九条の中で、放送業者の同意を得ようとする形で再送信をできる、そういうことの対案といたしまして、放送事業者がこの有線放送者に対して著作権の使用ができないようなそういう制限条項がございますので、再送信者に関する限りは非常にクリアーになっております。ただし、著作者の有線放送権というものは、二十三条及び二十三条の二項等でそのまま生きておるようになっておりますので、この辺に問題が起きるのではないかという危惧を申し上げたわけでございまして、これに対する民放側の見解といたしましては、現在著作権に関する専門家による研究会を民放の中に持たれておりまして、本日ここで具体的にこうしてほしいというような御希望を申し上げる段階でないことはたいへん残念だというふうに考えます。  第二項の、自主放送に関しては民放も規制をすべきであるというような意見を申し上げたようにいまおとりいた、だいておったようでございますが、これは私の表現がたいへんまずかったためにそういうことになったのではないかと思いますので、訂正をさしていただきたいのでございますが、全く逆でございまして、自主放送と申しますと、現在放送されているあの番組以外のテレビジョン番組みたいなもののようにお考えかもしれませんが、われわれは、自主放送というような名前で呼ばれるものを含んだ一般社会が要求しておるいろいろな情報の提供のためにこのケーブルは積極的に使われるべきであるというふうに主張を申し上げておるわけでございます。したがって、自主放送を規制すべきであるという民放の考え方はございません。私たちがこういう自主放送まで含めまして、多目的の使用をやるべきであるという考え方は、NHK佐野さんの御発言とは全く違った発想でございまして、むしろこういう多目的に使われる可能性のあるものを積極的に使うことによって、単にその地域放送局の再送信の受信だけをやろうという方々に対しては、できるだけ経費の負担を少なくしてあげたい、われわれが利用できる施設はほかの目的にもどんどん使って、そこから利潤をあげて、それでやっていきたいという考え方でございます。しかもそういうことは、さらに都市におけるこういう多目的に使われますケーブルの建設というものに非常に拍車をかけるのではないかというふうに考えておるわけでございます。コンピューターとのつながりの中における情報、データ通信サービスといったようなものも、技術的にはこういうものがやがて可能になってくる時代があるはずでございまして、それを信じておるわけでございます。  それから第三項の、法案に対しては賛成か反対かずばり、という御質問でございますが、これはすばり、再送信に関する規制の問題につきましては賛成でございます。  以上、お答え申し上げます。
  201. 井原岸高

    井原委員長 中井君。
  202. 中井徳次郎

    中井委員 たいへんどうも時間がたっておりますので、詳しく聞きたいと思いますが、もう省略いたしまして簡単に二点だけお尋ねをいたします。  たいへん有益なお話を伺いまして、ありがとうございました。  第一点は、菅原さんお急ぎのようでございますから、菅原さんからお尋ねをいたしますが、いまも吉田さんの御答弁の中にもあったと思うのですが、私は実際利害関係をお持ちになっております菅原さんに実情を伺いたい。実はこの有線放送、こういうことを新宿付近やら、あるいはいろいろ何か夜のにぎやかなところでやっておられるようですが、私、一向そこへ行ったことがございません、ほんとうに。まことに申しわけないのだけれども、よくわからないのですけれども著作権料ということでございます。このお話がございました。友人からも個人として著作権法についていろいろと注文を受けておりますので、それに関連してお尋ねいたしますが、菅原さんに、この著作権料というものを実際に有線放送をやっておられますその事業体現実に毎日払っておられるのかどうか、実情はどんなものであろうかということを伺いたいのであります。  それから第二は、最近の放送、特に民間放送の中には、ぼくなどはもう年をとっているからそういう感じがあるのかもしれませんが、じゃんけんをしてだんだん着物を脱いでいくなんという、昔の四畳半の遊びのようなものを子供の前で、大衆の前でやる、それでもってだいぶ聴視率が上がってきたなんという記事を読みまして苦笑いたしておるわけでございますが、それはいまの堂々たる民間放送がやっておるわけであります。そういうものと関連しまして、有線放送、この法案が通りまして自主放送を許されるということになれば、先ほどもちょっと菅原さんのお話の中にあったのですが、営利をのみ目的としてつまらぬ映画などかけるというふうなことがありました。そういうものとの関連において、表現は自由であるし、憲法の表現の自由との関連もございましょうけれども、映画界には映倫というふうなものがある。いま民放はたくさんありまして、相当大規模なものでありますが、こういう有線放送自主放送できるということになれば、ついどうも行き過ぎがあるのじゃないか。そこで、映画の映倫みたいなものを考えてみてはどうか。そういうことを言うことは進歩的ではないと言われるとも思いますけれども、私は何かそういうことを非常に心配して、頭の中でもやもやといたしておるわけです。菅原さんお若いのですし、そういう点で、ひとつ率直な御意見を伺ってみたいと思うのであります。
  203. 菅原洋一

    ○菅原洋一君 どうも、お答えできるかどうかわかりませんけれども、まだ法律的なことも私よく知りませんので、著作権の問題については、レコード会社のほうの著作権のことは直接ふところに関係があるので知っておるのですけれども有線放送に関しては、まことに不勉強で申しわけありませんけれども全然知らないのです。ただ、自分のレコードが流れたりしますと、とっても宣伝になりますし、それがPRになるのでけっこうだなと思って、それはいけないと思うのですけれども有線放送のことについては、私、どうもいまのところまだ存じませんで、申しわけありません。  それから、有線放送になりまして映倫のようなものができますということについては、私も一人、娘がおりますので、テレビを見ますと、すぐに何でもかんでもまねしちゃうのです。いいものだけ見せようとしましても、やはりいつの間にかチャンネルをひねって自分で見ちゃって。ですから、ある程度のそういう規制というのもしていただいても、まことにこれは教育上けっこうなことじゃないかとも存じますけれども、その程度で、まことにいい返事じゃないかもしれませんけれども、どうぞ。  失礼しました。
  204. 中井徳次郎

    中井委員 ありがとうございました。  それでは、小川さんにもう一点お尋ねを申し上げます。  先ほど供述をされました中で、二万円の負担というふうなお話があったと思うのです。そういたしまして、質疑に入りましたら、月に五百円ということでありましたが、月に五百円といいますと、四十軒で、四、五幾らになりますか、――十万円という数字もちょっと聞いたようにも思いますので、これはどういうふうなことになるのですか。この施設の収入は十万円で、そのうち二万円は施設費で八万円は運営費というふうなことでございましょうか。この辺のところをもう少し実情として伺っておきたい。  それからもう一つは、新宿の駅前でございますから、電波の障害は高層建築だけじゃなくて鉄道関係がありはせぬか。電車がどんどん走りますが、そういうことによって映像がちらちらするというふうなことがあるのではないか、まず最初はそういうことのほうが大きな影響として起こっておるのではないかと私はかってに想像いたしておりましたが、先ほどの御説明では高層建築だけのお話でございしたが、この辺のところはいかがでございましょうか。この二点だけ伺わしていただきたいと思います。
  205. 小川洸

    ○小川洸君 お答え申し上げます。  現在、日本ケーブルビジョンに施設費として支払っております金額は、テレビ一個について二万円でございます。五百円と申しますのは、ときどきいろいろ故障が起きたり、アンテナの位置が狂ったり、いろいろなことがございますので、その保守をしているわけでございまして、その保守料金が一応五百円という申し入れがございますけれども、いまだこれは支払っておりません。ですから、二万円というものは施設に対する費用の弁償金でございまして、おそらくもっとかかっているかとも思いますけれども、これは相当数、たくさんの加入者を計画した上での計算かと思っております。一応会社からは二万五千円の請求が来ておりますけれども、当地区といたしましては、最初のことでもある、宣伝もあるだろうから二万円にまけろということで二万円の契約をしてございます。五百円というのは、そのほかに維持費でございまして、これを毎月五百円いただきたいという希望がございますが、これは現在まだ支払っておりませんでございます。  それから鉄道の影響でございますが、さしあたって鉄道の影響を直接にひどく受けるという状態ではないかと思っております。ただ、電車のスパークその他はときどき入るかと思いますけれども、それよりも、現在ビル関係以外で一番大きいのはいわゆる自動車の電気関係の雑音でございますね。これが非常にたくさん入る。それもアンテナに入るのでなくて、機械自身に飛び込んでくるということがございます。ですから、将来は機械の改造もして、機械には、共同アンテナから引っぱったケーブル以外からは電荷が入らないような機械をつくっていただかないとこの問題はなかなか解決できないのじゃないかと思っておりますが、できますれば、そういう機械の改造等につきましての御指導等も願えればいい結果が得られるのではないか、かように考えている次第でございます。
  206. 中井徳次郎

    中井委員 わかりました。  もうちょっとその点でお尋ねをいたします。そうしますと、二万円というのは、もうお払いになったのですね。一軒二万円、一回払いですね。毎年二万円じゃなくて一回払い。だから、四十軒でしたら八十万円お払いになった。あとの五百円は払ってないのですね。そういうことでよろしいのですか。
  207. 小川洸

    ○小川洸君 二万円は施設費として払っておりますので、これはまだ全額ではございません。ほとんど九〇%払っております。
  208. 井原岸高

    井原委員長 小沢貞孝君。
  209. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 たいへん時間がおそくなってすみません。二、三点だけ一緒にお聞きします。私の聞くことは、NHK佐野さんということでなくて、あるいは民放の吉田さんということでなくて、個人の私見でけっこうですし、私もまたそういうつもりで聞きますから、思い切って放言をしていただきたい、こう思うわけです。  最初に、難視聴の解消のためにNHKもこれから努力されようとしているのですが、われわれのいるような山奥の難視聴と、先ほど佐野さんがおっしゃったのですが、どうも原因者責任主義みたいな、どこか、だれかが責任を負うべきじゃないかという都会の難視聴、その負担については自然的な難視聴の地域――徳川時代から住んでいるわけですから、山があるから悪いといってもしようがないわけですよ。だから、自然的な難視聴の地域の自己負担分と、都会における難視聴のNHKがいろいろやらんとするものに対する自己負担分とはおのずから負担分が違ってしかるべきじゃないか。もう少し原因者から幾らか出さして、たとえば都会であったならば、先ほどだれかが申されたけれども、都においては四階建て以上のものをやるときにはNHKと相談してやるみたいな、建築基準法じゃないのですが、そういうビルを建てる者も、その付近においてはあるものは幾らか負担しろとか、そういうことが含まれてしかるべきじゃないかと思いますが、その点佐野さん、私見をひとつ。  それから、これは吉田さんと佐野さん両方にお聞きしたいのですが、この前の逓信委員会で私はこういうように郵政大臣に申し上げたわけです。いなかの難視聴地帯を解消していくのに、民放さん、ペイしないものをNHKについてどこまででもやっていけ、これはなかなか困難なような気もします。ところが、民放さんの中には、うんともうかっているところもあれば、どうも赤字のところもある。こういうものを理想的にやるには、地方財政における平衡交付金みたいに、もうかった金額のうち、ある一定の、一割なら一割だけ中央に吸い上げて、それをまた還えしてやって難視聴にやっていくような方法か、もう一つは、電波というのは国の財産ですから、少し電波使用料を、これはエリアに応じてか聴視者戸数に応じてか知らないが、電波使用料を取る。水力会社は納めているわけです。天から降ってきた雨に対して、地方に持っていって水利使用料というのを納めているわけです。それによっていろいろ災害防止や何かやっておるわけです。だから、それと同じような電波使用料でもある一定金額国に納めてもらって、それを難視聴地帯の解消のためにひとつプールでもって出していく、私、こういう方法がいいのじゃないかなと前々から考えていて、この前の逓信委員会のときに郵政大臣質問したら、まことにいいアイデアでございます、こう言うけれども民放さんのほうが反対しはしないかと、こう私思うのです。これは個人の意見ですが、そういうことでもしないと解消はなかなか困難じゃないか、こう思いますが、それが第二点。  それから、続いて民放さんにお尋ねをしますが、いま難視聴地帯の置局なり何なりに、そういうもうからぬところに建てるからには、税法上の便宜とか特別な融資とか、そういうものはあるかどうか、そういう点と、最近NHKの置局を置くのは三百戸から五百戸くらいのところ以上に置いていこうというような基準のようなんですが、一般的に民放は一体その受益者といいますか、何戸以上のところくらいまでを基準にしてみなやっているだろうか、こういう点をお尋ねをしたいわけです。  それから最後に、私、いま吉田さんの御発言でたいへん啓発されるところがあるのですが、ケーブルを投資するには、やはりケーブルの最も効率的な投資ということからいうならば多目的に使用することが一番よかろう、こう思います。いま情報産業の入り口に立っているわけですが、おそらく当面最大の問題は、電電公社のケーブルというものを独占にまかせるか開放するか、こういう問題で、これから無限に拡大していくこの問題については、私個人としては、第二のケーブルを建設する第何かの機関があってよろしいのだ、こういうように考えるわけです。  そういうような考えからいうと、いま吉田さんの発言でまことにいいのではないかと思うのですが、都会地においては中小企業だけが個別データ通信とか、いろいろ考えようという時代にいますから、東京都なら東京都だけ、大阪なら大阪だけの第二のケーブルというものは、ひとつNHKでもなければ民放でもなければ電電公社でもなければ、そういう人々が参加するような第三だか第四の公的機関によってそのケーブルを独占的にやって――これは運営の問題等もあるが、建設費のエフィシェンシーだけを考えれば、そういうようなことでやっていけば最も経済効率が高いのじゃなかろうか。吉田さんの積極的な発言はそういうところにもありそうなような気がするのですが、そういうことについて、放談でけっこうですからお聞かせいただきたいと思います。  以上です。
  210. 佐野弘吉

    佐野弘吉君 地方都市におきます難視に対する協会の態度にそれぞれ差があってしかるべきだという御質問の趣旨かと存じますが、全くそのとおりでございます。  先ほど来いろいろ申し上げておりますが、たとえば東京都内にただいま十万ほどの障害家庭、世帯がある、そのうち七万が電界強度三あるいはそれ以下、特に非常に悪いのは二万四、五千世帯あるという数字を申し上げましたが、これは一般的なすべてのまとめた数字でございまして、私どもはこの中で、ビルを建ててその影響から障害が起きているという原因者が明確な場合には、従来どおり協会が仲立ちをして技術指導もしながら、その建築主が負担をするというような形で処理いたすというのが第一原則でございます。先ほど新宿の例が出ておりますが、非常にビルが林立して、実際どこの建物からその障害が発生しているかということが識別しにくいという状況がこの一両年大きくなり、また今後ともそれが拡大するというものに限って、先ほど私御報告いたしましたような協会自身建設の衝に当たって、社会的な問題、あるいは公害的な要素も帯びたこの社会問題を協会が手がける、また、手がけることによりまして受信状況の維持をはかり、また協会自身の受信料制度の将来的な安定にも資する、こういう考え方につながっておりまして、原則的には、第一義的には原因者に金を出してもらう、それで済まぬところだけはやはり協会が見ましょう、こういう態度であることをもう一度ここで申し上げておきたいと思います。
  211. 吉田稔

    ○吉田稔君 個人の資格での回答でよろしいそうでございますので、回答させていただきます。  第一点の、われわれ商業放送局が難視聴区域の救済のための建設に非常に悩んでおるということに対する御理解、しかし一方では非常にもうかっているところがあるという御指摘、一つ一つごもっともだというふうに考えております。  御指摘のように、われわれといたしましてはNHKと全く同様に、あまねくわれわれに与えられた放送区域内において難視聴世帯がないように努力したいと思っておりますけれども、いまの財源的な問題その他の中でなかなか解決できない悩みを持っております。しかし、実際問題といたしましては、地方公共団体によって、たとえば土地の提供だとかあるいは道路建設とか、あるいは今度は非常に特殊な例でございますけれども東京都にも実は離島における中継局の建設につきましてはたいへんな御便宜をちょうだいいたしまして、その地方公共企業体の事情の許す範囲の中で非常に積極的な御協力をいただいておるわけでございます。建設の資金の調達の問題についていろいろな御意見、御卓見があったわけでございますが、郵政大臣と同じような話になって恐縮でございますけれども一つ一つごもっともな御意見で、全く採算を度外視してやれるような、われわれが中継局の建設ができる資金の調達の方途をぜひお考えいただきたいというふうに考えております。なお、建設の段階におきましては、佐野さんのNHKのほうとも非常に協力をいたしまして、共通に使えるものにつきましてはお互いに共通に使いまして、建設費の軽減などに協力している点についても一言つけ加えさせていただきたいというふうに考えます。  それから税法上の特典があるかという御質問でございますけれども、これは中継局の建設ということで特に税法上の特典はございません。ただ、開銀から協調融資をしていただきまして、金利その他についてはいまつまびらかでございませんけれども、長期低利の資金を中継局建設のためにはわれわれ民放側は共同してお借りしてやっております。  なお、地方公共企業体の御協力につきましては先ほど触れたとおりでございまして、非常に積極的な御協力をいただいております。  それから第三のケーブルに関する問題でございますけれども、この点につきましては、私個人としては実は全く同意見でございます。放送業者でもないあるいは電電公社でもないあるいは電力会社でもない別途な企業体をつくりまして、ただいま申し上げた放送業者あるいは電力会社あるいは電電公社といったところが分に応じた出資負担をいたしまして、これが共通のそういうケーブルという財産を持つ企業体をつくりまして、また、確かに先生のおっしゃいますように、これの運営につきましてはまた別途な考え方をもちまして、とにかく基幹になるべきこのケーブルというものは一日も早く、しかも電電公社の現在のケーブルとは切り離した状況の中でつくっていただくということがたいへん望ましいことではないか、これは電電公社とこういう新しい会社とが両々相まちまして、お互いに切磋琢磨しながら一般社会が要求しているこういう情報伝送路というものの建設及びその運営を適正化させるゆえんではないかというふうに考えておりまして、先生の御意見、卓見であると思い、私ども常日ごろそういうふうに考えておりますので、ぜひそういう御配慮をいただければというふうに考えております。
  212. 井原岸高

    井原委員長 中野明君。
  213. 中野明

    ○中野(明)委員 御出席の皆さんにはたいへん御苦労さまです。時間がないようですから、私もまとめて二、三点お尋ねしておきたいと思います。  最初に小川さんにお尋ねしたいのですが、当初の計画は相当大きなものを考えておられたように聞いておりますが、最終的に、先ほどからお話が出ておりますように四十四で出発をしたわけです。これには何か私たちの想像でも、もっと希望者がかなりあったのではないかと、このようにも思われるわけですが、その点、簡単でけっこうでございますが、四十四で出発するには、何か時間的に取り急がなければならなかったのか、それとも経費その他の関係で四十四で出発するようになったのか、その間の経緯を簡単に御説明願えれば幸いだと思います。  それからNHK佐野さんにお尋ねするのですが、最近、江東方面で東京都がテレビの難視聴についてよく見えるように解消したというような話をちょっと聞いたのですが、そういうことに関して、都のほうとNHKのほうで何か経費の問題がありますので、そういう点についてお話し合いになったことがあるのかどうか。また、今後おそらく東京都としてもそういう点については頭の痛いことでしょうから、そういう動きが、一つのケースができたんですから出てくると思うのですが、これについてどのようにお考えになっておるか。これはおそらく共同アンテナで解決したのではないかと思いますが、その点と、それからもう一点は、この法律が通りまして新たにそういう業者ができてくる、こういたしましたときに起こってくる当然のこととして、本人の負担が重なってくるわけです。先ほどから基地周辺の料金の割引というようなことも話に出ておりますが、そういう点の関連で、料金のことについて、NHKの聴視料のことについて何かお考えを持っておられるのかどうかということであります。その二点。  それから吉田さんに御意見をお聞きしたいのですが、先ほども最初の御説明のときにお話が出ておりましたが、この改正によりまして有線テレビ許可になります。そして実際に事業を始めたときに、いろいろと皆さんなりに想像しておられると思います。将来想定される――これは現在放送しておられるNHKさんにもお願いしたいと思いますが、想像される心配というんですか、あるいは、現在のお仕事をなさっておる、放送を担当しておる皆さんに及ぼす影響というんですか、そういう点について個条書き的に、御心配とかあるいは影響、それが先ほどもちょっと二、三出ておりましたが述べていただければ参考になるんじゃないかと思いますので、以上の点をお願いしたいと思います。
  214. 小川洸

    ○小川洸君 お答えいたします。  当初組合で契約いたしました数量といたしましては、二百軒のうち半数は希望するのではないか、こういう想定で一応出発をいたしました。ところが、実際かりの見積もりをとって見ますと数百万円という費用が出たわけでございます。これではとても一軒も加入の見込みがないのではないかということから、NHKに協力を求めまして、最低の費用で最良の施設をつくるにはどうしたらいいかということで、約一年間研究をしていただいたわけでございます。その結果、見積もりの結果が最高二百四十万、最低百十八万という非常に低廉な費用になってきたわけでございます。そこで、最初のイメージが消えませんものですから、当初契約いたしましたときには三十三軒しか申し込みがなかったわけでございます。ところが、実際ケーブルを引きましてよく見えるという実情を見てから急に申し込みをされた方が相当ございます。それで結局四十四になったわけでございますが、中には、いままでほとんど見えなかったのでNHKにもお金を払わなかったというのも若干あったわけでございます。これは全然見えないと同じでございます。したがってNHKさんでも取りにくかったのではないかと思いますけれども、これは見える段になりますと、聴視料のほかに維持費を五百円払う、なおそのほかに数万円の費用を払うということになりますと、中の企業ならよろしいのでございますけれども、御承知のとおり非常に小さなお店もございまして、そこでそれだけの負担をするということに対しては非常に経営者も困るということで、最初申し込んだ方で経費の点でお断わりになった方が若干でございます。これも、先ほどから私がお願い申し上げましたように、経費の軽減をさしていただくならばもっともっと需要はふえるという見込みは十分にあると思っております。
  215. 佐野弘吉

    佐野弘吉君 東京都との関係で、江東地区での受信改善に関しまして私ちょっと承知をいたしておりません。ただ、ちょっと例が違いますけれども、たとえば阪神電鉄で、神戸市あるいは建設省の出先の地元建設局の都市計画上の変更で市街地の路線をすべて高架にするというような問題が発生いたしまして、数キロにわたって電波障害が発生するというような際には、これは昨年からことしにかけてずいぶんかかりましたけれどもNHKがその間のすべての技術調査等を行ないまして、最近においては、地元の公共団体である市と建設局との負担でこれの経費を全部支出して受信改善を解決したというようなやり方が出ておるわけでございます。江東の事例につきましてはちょと承知をいたしておりませんので省略をさしていただきます。受信料額の問題でございますが、基地の問題、あるいは最近におきます国際空港周辺の取り扱い等がございますが、原則的には、私ども協会の事業計画の中でこの難視改善のために努力をいたしまして、そして受信料そのものには高低の差をつけないという原則で経営をいたしたい、こう思っておりますので、全額免除あるいは半額免除は、ひとえに社会的あるいは教育的、公共福祉の関係に限定してこの料額の差を適用していく、その他は、一般的には受信料は、送る側の条件では同様に送り、しかしながら受信上甲乙があるというところについては、今後地方といわず都市といわず、協会の事業計画の中でこの難視の施設を手がけることによって料金を安定させたい、これが本旨でございます。  今回の有線放送が始まったらどうかということでは、端的に申しまして、やはりこれまでの社会傾向とあわせて、私ども全国的に自主放送は何らかの形で規制をするということを期待することが最大の問題かと、NHKにおきましても私個人でも考えております。  CATVの同軸ケーブルの機能につきましていろいろ御議論がありまして、私どももよく承知をいたしております。ただいま新宿の地区で張っておりますケーブルにいたしましても、協会が考えております同軸ケーブルにいたしましても、単なる再送信業務のほかに、このあきチャンネルを使いまして、ファクシミリなりあるいはハイファイの受像機の送出なりいろいろの多目的に使えることもよく承知をいたしておりますが、他方、私どもは将来の電波で、たとえばマルチブロードキャストとかいうような将来のことをも考えますし、また今日、一がいに情報産業情報産業といいましても、関係各界で必ずしも確固たるイメージアップができていないという現状では、今後各界が非常に慎重にこの問題を総合的に検討いたすべきものであって、当面、この法律案が成立をいたしまして実施される暁には再送信業務に限定して出発をいたすべきもの、いまの関係のものは将来への展望として慎重に見きわめていくべき性質のものだというふうに考えて先ほどNHKの見解を申し上げた次第でございます。
  216. 吉田稔

    ○吉田稔君 御質問にお答えいたします。御質問の要点は、この法案が成立して有線テレビジョンが発足した場合における民放側の心配という御質問だというように解釈しておりますが、私の一番最初の供述のところでいろいろ問題点を指摘いたしましたので、それは重複いたしますのでその点については触れないことにいたしますが、やはり重ねてここで申し上げておきたい点は、いわゆる現在の電波行政下における放送区域の問題とこの有線テレビジョンの指定区域、業務区域との関連の問題が非常に大きな問題として一つ心配点でございます。  それからもう一つ、この法律を実施されますと、これは全く常識的な問題だと思いますけれども業務区域としてその業務が指定された場合に、役務提供を拒否することはできないわけでございますが、何ぶんにも有線テレビジョンの設備というやつは非常に高価なケーブルを張るということで、非常に特殊にぽんと離れたところに一軒やるやつに対しても、これもやれということを非常に強く御要求された場合に、多少その辺に問題が出てきやしないかというふうにも考えますが、この点は行政御当局との間でお話し合いの上で非常に常識的な解決というものはできるのじゃないかとは考えておりますが、条文どおり解釈いたしますと、そういう問題もわれわれは多少心配ではあるというふうに考えております。  それからもう一つ、この点一体どういうことになるのかなといってわれわれ注目しておりますのは、現在ございますこの有線放送に対してさえも全く条件に合わないような形で、無法の状態で実はこの既設の有線テレビ再送信業者が方々に存在しているわけでございます。これを行政当局としてはどういうふうに御処理になっていくのか、これからやるところに対してはこういうシビアーないろいろ許可条件をつけ、現在すでにもうこれを無視した状況の中でやっておる者に対する取り扱いとの関係をどうなさるか、その辺がわれわれとしては非常に興味深く思っている点でございます。  それからもう一つ、これは再送信に際しましては、全くあるべき姿のままで放送することが義務づけられておりますけれども、たとえばわれわれ商業放送局の電波の場合に、途中のコマーシャルをかってに切ってそこにローカルのコマーシャルを入れることは、これは技術的に可能なわけでございます。四六時中この監視をわれわれがやれるわけではございませんので、そういう悪徳の業者が出てくることを非常におそれるわけでございますけれども、しかしその点は、許可の段階において十分あらゆる角度からの御審査をなすった上での許可ということになると思いますのでそういうような業者は存在しないとは思いますけれども、技術的にも理論的にもそういうことは可能でございますので、そういう活動が行なわれるとこれはたいへんだなというような心配をわれわれは持っております。  御質問の点については、いま気がつきますことは大体そういうことでございます。
  217. 中野明

    ○中野(明)委員 ありがとうございました。
  218. 井原岸高

    井原委員長 これにて四君に対する質疑は終わりました。  各位には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、本案審査の参考に資することきわめて大なるものがあったと存じます。委員会を代表いたしまして、委員長から厚く御礼を申し上げます。  これにて逓信委員打合会を終わります。    午後零時四十九分散会