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1969-06-11 第61回国会 衆議院 逓信委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十一日(水曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 加藤 六月君 理事 亀岡 高夫君    理事 志賀健次郎君 理事 中井徳次郎君    理事 森本  靖君 理事 小沢 貞孝君       内海 英男君    上林山榮吉君       齋藤 憲三君    内藤  隆君       羽田武嗣郎君    古内 広雄君       古川 丈吉君    水野  清君       森山 欽司君  早稻田柳右エ門君       安宅 常彦君    武部  文君       三木 喜夫君    八百板 正君       米田 東吾君    中野  明君       田代 文久君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 河本 敏夫君  出席政府委員         郵政政務次官  木村 睦男君         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政省電波監理         局長      石川 忠夫君  委員外出席者         自治省行政局選         挙部管理課長  植弘 親民君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 達治君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川上 行蔵君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         経営企画室経営         主幹)     野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   池田 直和君     ――――――――――――― 六月六日  委員水野清君及び米田東吾辞任につき、その  補欠として大橋武夫君及び矢尾喜三郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員大橋武夫君及び矢尾喜三郎辞任につき、  その補欠として水野清君及び米田東吾君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月五日  簡易郵便局法の一部を改正する法律案反対に関  する請願井岡大治紹介)(第八二四七号)  同(木原津與志君紹介)(第八二四八号)  同(柴田健治紹介)(第八二四九号)  同(島本虎三紹介)(第八二五〇号)  同(中澤茂一紹介)(第八二五一号)  同(永井勝次郎紹介)(第八二五二号)  同(三宅正一紹介)(第八二五三号) 同月九日  簡易郵便局法の一部を改正する法律案反対に関  する請願猪俣浩三紹介)(第八三二七号)  同(八木一男紹介)(第八三二八号)  同外一件(佐野進紹介)(第八五〇〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本放送協会昭和四十一年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書  日本放送協会昭和四十二年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書      ――――◇―――――
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和四十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びに日本放送協会昭和四十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の両件を議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。中野明君。     〔発言する者あり〕
  3. 井原岸高

    井原委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止
  4. 井原岸高

    井原委員長 速記を始めて。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。中野明君。
  5. 中野明

    中野(明)委員 先週に引き続いて二、三お尋ねしておきたいと思います。  受信料未収金でございますが、現在までの未収金基地周辺未収金状態がどうなっているか、最初にその点をお尋ねしたい。
  6. 佐野弘吉

    佐野参考人 お答えいたします。  御承知のように、国内十六の基地受信料半額免除をいたしておりますが、その措置をとりましても、なおかつその周辺地区におきまして航空騒音等に対する不満存在をいたし、ただいま全国で一万五千件ほどの未収発生をいたしております。
  7. 中野明

    中野(明)委員 この不払い発生しまして、いままでに解決がついたところはございますでしょうか。
  8. 佐野弘吉

    佐野参考人 協会といたしましても非常に努力をいたしておりまして、これらの未収発生地区のうち、昨年、四十二年の六月なり九月なり、若干日時は違いますけれども、まず愛知県の小牧周辺で、いろいろ地区が分かれておりますから一がいに申し上げられませんが、幾つかの地区でそれまで滞留いたしておりました不払い解消いたしまして支払いを開始していただくというのが四つ、五つ発生いたしております。これは地元の局の熱心な地元民との接触、説得によりまして効果を示したものと思われます。もう一つ免除地区ではございませんが、射爆場岡垣におきましても、同様、昨年の四十三年の九月からそれまで不払いをいたしておりました百四、五十件のものが了解をいたしまして支払いを開始するというような二、三の事例がございます。その他、はかばかしくいかないところも多々ございます。
  9. 中野明

    中野(明)委員 それは現在まで金額で未収金累計がどれくらいになっておるかということと、それから問題の解消をどのような方途でやっておられるか。結局解決ついたのは、どういう理由解決ついたのか、はっきり障害がなくなったのか、それとも、あまり変わらないけれども受信者のほうでしんぼうして払っているのか、そこの事情をもう少しお聞きしたいです。
  10. 佐野弘吉

    佐野参考人 ただいまの御質問に対しまして、未収の総体は先ほど申し上げました一万五千の件数で、一億五千万円くらい累計たまっております。  お尋ねのもう一つのポイントでございますが、受信料をお払いくださるようになりましたことにつきまして、地元に非常に熱心に説得を行ないまして御了解を得て、それでは払おうというふうなお気持ちに変わっていただいてきておりますが、率直に申しまして、いろいろの受信改善等努力いたしておりますが、航空騒音なり射爆場の射撃によるショックの音なりというようなものが非常に激減をいたしまして、受信改善がてきめんに行なわれたというほどのことではないこともまた事実でございます。  ひとえに、協会受信料の性質につきまして全国民的な御支持を得たいという熱心なお願い理解を得まして、それまで多少協会との間に発生しておりました相互の理解度の希薄なところが好転をいたしたということが多くでございます。したがいまして、件数といたしましても、先ほど申しましたように、岡垣等は二百件足らずのものであるとか、それから小牧におきましても、これに関係いたします相当数地区、ブロックのうち四つ、五つが解消いたしたということで、まだ十以上のものが必ずしも解消いたしてないというような実情になっております。
  11. 中野明

    中野(明)委員 技術的にどのような方法をとっておられるのか、それがはっきりしないといつまでも未収解消しないのではないか、このように思うわけです。  そうしますと、これは正規に受信料を払っている人との間にいろいろと不公平なこともありましょうし、その点についてどういう方向まで進んでいるのか、もう少し具体的に……。
  12. 佐野弘吉

    佐野参考人 先ほど申し上げましたように、十六の航空基地受信料をその基地周辺二キロ、一キロの範囲の中で免除いたしております点は御承知のとおりでございます。これも半額免除でございます。したがって、半額では不満だといって、地域内でも全額免除してくれというようなお気持ちから不払い発生し、あるいは二キロ、一キロの切り方に、すぐ隣接している地域自分のところは免除外だ、しかしその免除該当地域と大差がないということで御不満のところがあるという実情にございます。  これに対します対策としましては、御承知かと思いますが、本年初めて防衛庁で一億円を予算化いたしまして、ただいまNHKが協力をいたして、厚木の周辺なり青森県三沢あたりで、電波障害航空騒音解消をどのようにするかという技術的調査をいま現地でいたしておる実情でございます。僅々一億円の予算の計上にすぎませんが、これらの検討の結果によりましては、この周辺共同アンテナを設けまして、それぞれ地区内の一応の立地条件がございますが、共同アンテナという形で画像のちらつき、フラッター現象、ゴーストというようなものを解消するということがいまもくろみされております。  もう一つ騒音関係では、私ども技術研究所でこの騒音の吸収をどのようにするか研究中でございます。あるいはイヤホン等によります解決もございますが、これも必ずしも本格的なものではございません。率直に申しまして、この騒音関係技術改善ということにはいま私どもも頭を悩ませております。目下技術研究所等でこれが改善にいませっかく努力をいたしておるところでございます。
  13. 中野明

    中野(明)委員 もう一点この受信料のことでお尋ねしますが、基地以外のところで未払いがあるようなところはございますか。
  14. 佐野弘吉

    佐野参考人 四十三年末の現況につきまして申し上げますと、いまの御質問に全面的にお答えいたすとしますれば、二十五万強の不払い存在をいたしております。それを前年に対比いたしますと、遺憾ながら四万ほどふえているという傾向を見せております。このうち十一万ほどがいろいろの事情支払いたくないという意思を持っておる数字でございます。あとの十四万幾らは未払い一お払いくださる意思はありましても、最近の社会生活の中で常時不在であるとかその他の理由をもちまして徴収が滞っている、あとあとへ延びているというものでございます。これらの累計も、率直に申しますと、ここ数年来これらのものが重なってきてその深度が深まっておる、そういうかっこうになっております。これらのすべてにつきまして大体七億ほどの未収の金がたまっておるという現状でございます。
  15. 中野明

    中野(明)委員 いま非常に抽象的なお話をなさったのですが、払いたくないというのには何か理由があると思うのですが、その点はどの程度まで掌握しておられますか。
  16. 佐野弘吉

    佐野参考人 話が詳細になりますけれども、払いたくないというお気持ちの中には、経済上の理由というようなものがございます。あるいは機器の故障で現在見えない、聞こえていないんだという理由を申される方もございますし、あるいはNHKの番組に対して何がしかの御批判を持っておられまして、したがって、自分は見ないとか商業放送を見ておるとかいうことを理由支払いを拒否されるというようなことが重なっております。
  17. 中野明

    中野(明)委員 いまのような理由のほかに何か、たとえて言えば、騒音とか高速道路のそばとか、そういうようなことでやはり障害関係理由不払いの人もあるのですか。
  18. 佐野弘吉

    佐野参考人 先ほど来お答えいたしました支払いを拒否されております十一万の中に、冒頭に申しました基地周辺、あるいは先ほど出ました岡垣の射爆場周辺とかいうような一万五千が入っております。その他につきましてはほとんどとるに足らないもので、ここで特に申し上げるほどのそれらの障害に基づく不払いはほとんどないという状況でございます。
  19. 中野明

    中野(明)委員 いまのお話では数がふえてきているような状態でございますので、今後努力していただいて早く話し合いをつけるように骨を折っていただきたい、このように思います。  なお一点、受信料徴収でございますが、前納振替、これがあります。そのほか集金と、このようにあると思うのですが、集金前納振替比率は、大ざっぱにパーセントでけっこうですが、どの程度比率になっておりますか。
  20. 佐野弘吉

    佐野参考人 数字で申し上げますと、ただいま全国で二千百万の契約をいただいておりますが、このうち四十三年度末で前納は五百万でございます。本年度中に私どもは六百二十万ないし三十万という前納に至りたい、このように思っております。したがいまして三〇%には至らないものと思いますが、本年度中に三〇%に近い数字になろうかと思います。もう一つ口座につきましては四十三年度末二百十五万という数字で終わりまして、これまた本年度中に三百万に到達をいたしたいと思っております。したがいまして、口座関係は一二、三%でございましょうか、その辺の数字になろうというのが現在の実情でございます。
  21. 中野明

    中野(明)委員 そうしますと、大部分集金人による集金である、このように数字の上でも言えるわけですが、一体、現在NHK集金人は何人くらいおりますか。
  22. 佐野弘吉

    佐野参考人 ただいま職員によります直接集金の人員は八百二、三十名でございます。もう一つ大きな部分を占めておりますのが請負制度といいますか、委託制度受託制度といいますか、外部の方々集金委託お願いいたしておりますが、これが全部の二千百万の収納件数のうち五六%という過半数を占めております。残余が郵政委託で、全国で三千七、八百の局になりますが、集配区内におきまして郵便局お願いをいたしておるというようなのが、今日のNHKの全契約者収納するための体制でございます。
  23. 中野明

    中野(明)委員 いまのお話では五六%に及ぶような大半請負とか委託ということになっておるのですが、これについてはどうなんでしょうか。NHKというのは近代産業の先端をいっているわけですし、集金人身分というんですか、こういう点についてときどき不満の声を聞くわけであります。  たとえていえば、長年まじめにやっている人に職員の登用の道が開かれているとかなんとか、そういうことがあればけっこうなんですが、そういうこともなさそうでありますし、身分についても、社会保険とか、あるいはまた、職員でありませんから退職金というようなことの身分の保障というのが全然ないようであります。  この点について何か将来――これは何といっても受信料徴収大半をやってくれているわけですが、NHKとして考えておられるのかどうか、そこのところをお伺いしたいと思います。
  24. 佐野弘吉

    佐野参考人 ごもっともな御質問でございます。  実は御指摘のようなところでございますし、また、協会が社会的な趨勢に対応するために数多くの直接集金――一つ一つ訪問して集金をするということは近代的な収納の道でもございませんので、先ほど来出ておりますように、前納制度の飛躍的な拡充なり、各金融機関等によります口座振替制度というような制度をとりまして個別的に集金をして歩くという件数を減らしたい、このように考えておるわけでございます。  また同時に、ただいま御指摘のようなこともございまして、全国的に集金委託者の募集も漸次困難になってきております。ただ、協会といたしましても、社会的なこの任務を果たす中の重要な収納の問題を負荷いたしております部外委託者につきましては、現状改善に鋭意努力をいたしてまいりまして、たとえば全国各局ごとに全部互助会をつくりまして、事実上の医療制度をもってこれらの方々の医療的な手当てに事欠かないような手当制度をこの互助会の活用の中でいたすというようなことも進めておりますが、ただ、ただいま御指摘のように退職金制度というようなものも必ずしも十全ではない、少しく退職の際に功労金というような形での制度はとっておりますけれども、しかし職員に準ずるような退職金制度というものとはほど遠いことも事実であります。したがいまして、これらのことは、実はこの四十四年を起点といたしましてこれから数年間にわたりまして、いわゆる職員集金等、あるいはこれらの部外者集金等、全部の外務体制というものを根本的に近代化いたしていくという方向で本年から手をつけて、ただいま御指摘のようなことのないようにわれわれといたしましても努力をいたすところに手をつけ始めておるというところでございます。
  25. 中野明

    中野(明)委員 きょうは時間がないようですから、最後に会長に、この集金人のことにつきましていまお聞きのとおりでありますが、五六%、それで先ほどお話がありましたように、振替とか前納になるのは確かに理想でありましょうけれども、現実問題としておそらくそこまでいくにはほど遠いことだと思います。その間、やはりNHKの財源の主力をになってくれているわけですから、こういう集金人人たちに対する対策については、いまお話がありましたけれども会長としてこの点に十分の配慮をしていただきたい。私どもも相当不満の声を聞くことがあるわけです。それでいまお話しをしているわけですが、待遇の改善というのですか、その点について骨を折っていただきたい、このように思うのですが、見解をちょっとお聞きしたいと思います。
  26. 前田義徳

    前田参考人 ただいま佐野専務理事からもお話し申し上げましたように、私どもとしてもこの問題についてはここ一両年来具体的な検討を始めておりまして、社会保険制度あるいは互助制度、あるいはその他これと関連するあらゆる制度の総合的再検討の上に立って同時に職員との関係を調整していくという方向努力いたしております。  御趣旨は全く御同感でありまして、われわれとしては全力を尽くして本年度から発足したものをさらに発展させてまいりたい、このように考えております。
  27. 中野明

    中野(明)委員 大学問題については過日議論が出ておりましたので、他にも二、三ありましたが、また次の機会に譲らせていただいて、これで私の質問を終わります。
  28. 井原岸高

  29. 中井徳次郎

    中井委員 NHKの決算及びそれに関連いたしましてしばらく質問をいたしたいと思いますが、順序が不同なんですけれども、本日、参議院において選挙関係委員会が開かれているようでございまして、自治省から参っております政府委員が、できればそれをひとつ先に質問してくれぬかということでありますので、審議に協力する意味におきまして、その選挙放送のことについて、さきに森本君が御質問申し上げましたものとも関連をいたしまして一、二お尋ねをいたしたいのであります。  まず最初に、選挙テレビを使うということについては、原則といたしまして私どもも大賛成であります。ただ、それを施行いたしまする技術的な運営ということになると、法の志向するところと現実の放送の、特にテレビの体系とは――選挙はもとより公平、公正、中立でやらなければならないのですが、それがはたして保たれるかどうか。それから、それを保とうといたしますると、選挙期間中はもう他の一切のテレビ関係は非常な制約を受けやせぬかというふうなことを私は憂うるのでありまして、また、その選挙放送内容等につきましても、いま考えておられますことは、たとえば商品の販売に関連のあるものだとか、あるいはいわゆる泡沫候補といわれる人たち自分の名前を売るだけのテレビであるとか、そういうものは何とか制限できないかとかいう研究が熱心になされておるのでありますが、もとより政党政治のことでありますからその辺のところにも限界もあると思うのですけれども、たとえば、当選確実な候補者が十分なら十分の間に政見放送する場合に、自分のことはしゃべらないで隣の選挙区の候補者応援をする。具体的に言いますと、中曽根君なり福田君あたりが、これは一応当選確実であるというので、自分のグループの東京の連中の応援演説をやる――何君、何君等は私の同志でありますからよろしく頼むと言えば、関東全体にそれが伝わるというふうなことが許されていいものかどうか、そういう点についても私はひとつ検討をしてもらいたいと思うのですが、自治省としてはどういうお考えでありますか、ちょっと伺っておきます。
  30. 植弘親民

    植弘説明員 お答えいたします。  政見放送をやります場合、もちろんこれは候補者本人政見を有権者に発表していただくのが本来の趣旨でございますから、基本的には他人の選挙運動をやるとは考えられませんが、おっしゃるように、場合によってはそういうものも起こるかもしれないということは心配されるわけであります。  このことは決して適当なものと思われません。しかし、その内容によりまして、その他の候補者応援することが政見の一部とみなされる場合もございましょうし、場合によっては、現行法で規制されております選挙運動についての放送は、法律で定めるもの以外はやってはいけないということになっております。したがって、もしその候補者と他の候補者との間に意思を通じているような場合にはそちらのほうの規制もかかってまいろうかとも思われます。  いずれにいたしましても非常に微妙な問題でございますが、内容審査につきましては、実質的な審査権というものは選管等にございませんので運用よろしきを得る必要があると思いますが、各候補者の良識ある選挙運動というのを期待するしかない、このように考えております。
  31. 中井徳次郎

    中井委員 それの運営を決定するのは各都道府県選挙管理委員会ですか、ちょっと伺います。
  32. 植弘親民

    植弘説明員 管理委員会でもございますし、もしそれが公選法に触れる場合でございますと警察の問題ということにもなると思います。
  33. 中井徳次郎

    中井委員 管理委員会意見が違いますと、中央の選管がそれを裁定する権限はあるのですか。
  34. 植弘親民

    植弘説明員 各都道府県なり市町村の選管におきまして意見が違う場合、公選法解釈につきまして、公選法を主管いたします自治省におきまして法律解釈を統一いたしますが、具体のケースになりますと、やはりそれは訴訟の問題ということになるかと思います。
  35. 中井徳次郎

    中井委員 私はそういう問題について自分で考えてみておるのですが、思い切ってやらしたらどうだ。そんなことはかまわぬじゃないか。たとえば政党委員長でありましたならば、私のところの成田君でありましたら、全国の社会党の候補者応援してくれというのが当然であって、それは四国だけに聞こえることであっても、それも言うのが当然ではないかというふうに私は考えております。ただ、それがどこまで下向していくのかということを思いまして、これはひとつ放送テレビの悪用を避ける、公正にやるという意味では、その辺のところをできれば幅広く考えてもらいたいというふうな観点で私はお尋ねしておるわけです。  さてそうなると、全くどうもやかましくなりまして、連呼どころではないというふうな事態も起こる。要するに、関東地方なんというところで二百数十名もやらすというところに問題がある。それはやはり東京東京都内だけ、選挙区だけに聞こえるような形で持っていかねばならぬ、それが大原則ではないかと思いますが、いまのような形ではどうも問題が多いように思いますので、その点を一つ指摘して、今後、衆議院の選挙は一番早いでしょうから、それまでに十分な検討を私はお願いしたいと思います。  それからもう一つ、今度は逆に、たとえば京都府の選挙のごときものであります。京都府の選挙を、いまNHK候補者一人について二回と、こういうが、京都府の二区の選挙のごときを候補者一人二回といったところで三分の一も聞こえやせぬということが起こってくる。舞鶴と南山城の木津なんというところは同じ選挙区でありますが、テレビは別でないと聞こえない。そういうときには、NHKは二回というのを二回ずつ、結局四回やるのですか。大阪の放送局あるいは福井の放送局だとか京都テレビ局――あるかないか知りませんが、そういうものと分けてやるのですか。場合によっては、そこにおられる志賀さんのごときは、これは岩手県だと思うが、仙台の放送あるいは盛岡の放送だけでは選挙区をとうていカバーできない。そうすると、一人の候補者について二回ずっといっても六回やらなければならぬかもしれぬ、テレビ局を全部かえて。たいへん煩瑣になるし、だれがそれをきめるのであるかということになってくると思うのですが、この辺のところはどうですか。
  36. 川上行蔵

    ○川上参考人 お答え申し上げます。  私のほうで、いままでラジオの政見放送の経験によりまして、ある地区の何%かがその所在の局の放送が聞こえないという場合におきましては、他の放送局から同じ放送をお流しするという形、たとえば、いま先生からお話がありましたように、岩手県と宮城県の関係、あるいは三重県と大阪の放送関係、そういうような相互の間で協力し合って補完するという形をとっております。
  37. 中井徳次郎

    中井委員 ラジオは大体波を出しておるのがあまりゴールデンアワーでないときが多いようです。それから顔も見えませんし、まあ聴取率はあまり高くないと思うのです。テレビになりますと非常なことになりますから、その辺は公正という面からいいまして大問題が起こる。あなたは何%と言いますが、そのパーセンテージをひとつ詳しく聞かしてください、どんなことなのか。
  38. 川上行蔵

    ○川上参考人 いまおっしゃいましたように、確かに問題点がございますので、その点を検討いたしております。たとえば選挙投票者の三%とか五%とか、あるいは二千世帯とか五千世帯とか、そういうようなやはりある公正な基準を設けなければいけないのじゃないかという考えのもとに検討をいたしております。
  39. 中井徳次郎

    中井委員 いまのラジオはどういうパーセンテージ以下は切り捨てておるのですか。どうですか。
  40. 川上行蔵

    ○川上参考人 ラジオは現在三千世帯、三%以上という数を一応の基準としていたしております。
  41. 中井徳次郎

    中井委員 そういたしますると、ある選挙区におきましては、同一候補のテレビというものは、一般は二回であるけれども四回とか六回とかいうことを今後行なうつもりでございますね。どうですか。
  42. 川上行蔵

    ○川上参考人 いまおっしゃったような点で、ある程度カバーしなければいけないのじゃないか、このように考えております。
  43. 中井徳次郎

    中井委員 この辺のところはラジオとテレビでまるで違いますからね。  あなた三重県とおっしゃったから私の体験を言いますが、私の出身地は大阪のテレビしか見えない。あとはUHFです。一万三千円かのあれを買わなければいかぬ。なかなか普及しないわけですね。ところが、人口はそこは全有権者の一割ぐらいなんです。あとの九割はほかの個所でやるわけです。その一割のために途中の奈良県を越えまして大阪のテレビ局が三重県の十数人の候補者テレビをやる。五分ずつやりましても相当な時間かかる。十分ずつやると二時間ぐらいかかる。そういうことがはたしていいかどうか。私は、候補者の立場からすればそれはやってもらいたいということですが、聴視者の立場からすれば、幾ら衆議院の選挙といいながら、そういうもので大阪と東京、特にこの二カ所に集中するでしょう、この二十日の間。最初テレビのビデオをとらんならぬということになれば、十四、五日の間一般のほかのものはできないでそればかりやらなければならぬというふうなことで、ほんとうにいいのかどうか。私も結論を出しているわけじゃありませんが、私がおそれますのは、政治を軽べつしたり、いま政治が非常に批判を受けております。それは政治家に責任の非常な部分はありますけれども、それ以外に、国民が考えている以上にそういうものが出てくることに対する反発――いつか連呼は廃止せいという声がちまたに満ちまして、それで私は連呼廃止もしょうがないと思って、しかし、それでは参議院や衆議院では困るから、まあ参議院と衆議院だけは復活しよう、朝六時というのを七時か八時ごろに、夜は六時までということで復活をいたしました。しかし、そのときの抵抗というものは、全世論機関が、連呼みたいなつまらぬものをまた復活しよるというふうなことで私は一週間ばかりたたかれました。全日本の世論からね。今度見るとまたそれを復活するそうですが、市会議員にまで復活するという、これは行き過ぎだろうと思います。あのときは、市会議員ということになると小さな町に三十人も四十人も出まして、参議院や衆議院なら一日に一回とか一週間に一回ということでしんぼうできるが、あれはもう仕事も何もできやせぬぞというのでやめさしたんだが、それをまた復活すると、こういうのですが、あまりにどうも朝令暮改のような感じを私はしておるわけなんです。  伝達の方法という面において、もっとまじめに筋の通った考え方をしていく、そういう意味で、私はそういった変わった選挙区のテレビというものについてはよほど考えてもらいませんことには非常に困る。それから演説の内容についても、私がさっき冒頭に質問したようなものが必ず出てまいると思います。自分の主義の説明を必要以上に誇大にやる、泡沫候補ではないということでやるようなことになって、非常に収拾つかないんじゃないかというふうなことをおそれますので、この点はとくとひとつ自治省NHKと郵政省ですか、具体的にもっともっと掘り下げて検討してもらいたいということを強く要望いたしておきます。森本君の質問に対する補足みたいなことになりましたが、そういう意味でお聞き取りが願いたいと思うのであります。  それから次に、この放送協会四十一年度の決算、四十二年度の決算につきまして、書類に従って質問をするのが順序でございますけれども、その前に、ちょっとそれと関連をいたしまして宇宙中継の経費のことについてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  最近、NHKでもたいへん宇宙中継が多くなっております。アメリカの月への行動に対する中継などはたいへんだったと思うのですが、ああいうものの料金はいまどういうことになっておりますか。かなり詳しくひとつ説明を願いたいと思います。
  44. 川上行蔵

    ○川上参考人 御説明申し上げます。  これは現在インテルサット衛星を使って国際中継をしておるわけでございますが、現在、料金はアメリカ側あるいは欧州側はすでに約五〇%近く下げております。そのために、東京-サンフンシスコ間ということを一つ例にとって申し上げますと、これを日本側は東京-衛星間、最初の十分間が五十万四千円、それからアメリカ側は最初の十分間が三十三万四千八百円ということになっております。あと追加一分間ごとに、日本側は一万五千百二十円、アメリカ側は一万四百四十円というのが現状でございます。
  45. 中井徳次郎

    中井委員 この日本側とアメリカ側で値段が違うのはどういうことですか。
  46. 川上行蔵

    ○川上参考人 アメリカ側、欧州側におきましては、カラーと白黒の値段を同じ値段にいたしました。それが一つの点、それと同時に、いま申し上げましたように、その基本料金、衛星の使用料金を下げましたということ、その両点からこの差ができたわけでございます。
  47. 中井徳次郎

    中井委員 距離とかなんとかに関係はないのですか。
  48. 川上行蔵

    ○川上参考人 衛星を使いました場合において、陸地の中でランドラインを使います。マイクロウエーブを使いますが、このマイクロウエーブにつきましては料金がまだ変更がございません。衛星の使用料だけについて、いま申し上げたようにアメリカ側、欧州側が下げたということでございます。
  49. 中井徳次郎

    中井委員 これだと、一時間使うとどれだけになりますか。
  50. 川上行蔵

    ○川上参考人 ごく最近の実例で申し上げますと、約三十分間使いまして、先般のニクソンの就任演説の際の料金が三百二十二万円という計算になっております。ただ、これはいま申し上げましたようにワシントンからのランドラインが入っておりますから、衛星だけの料金と少し値段が違います。そういうわけでございます。
  51. 中井徳次郎

    中井委員 アメリカが下げたのにどうして日本が下げないのですか。国際電信電話ですか、なぜそういう交渉をなさらないのですか。その経過をひとつ聞かしていただきたい。
  52. 川上行蔵

    ○川上参考人 これにつきましては、一昨年及びことしの二月に国際電電及び郵政大臣あてに、この衛星使用が非常に頻度が高くなっておりますし、また欧州も下げるという情勢がわかりましたので、ぜひ放送の発達のために下げていただきたいということを陳情いたしております。で、いま御検討いただいていることだ、このように考えております。
  53. 中井徳次郎

    中井委員 これはNHKとしては安いにこしたことはないし、国際電電は現状維持したいでしょうが、ちょっとおかしいのです。  大臣、あなたが総括されておる。いま聞けば、郵政省のほうに陳情書を出しておるというのですが、どういうことでしょうか。下げることに交渉をなさるべきだと思うのですが、いかがですか。小さいことですが……。
  54. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 経費を下げることには賛成でございますが、目下検討中でございます。
  55. 中井徳次郎

    中井委員 こういうふうに下げることができるということは、私は数年前からこの委員会委員でないときにもときどき出てまいりまして聞いておるのですが、衛星の一個の値段なんというものは、およそアメリカのほうでかかっただけばちばちとはじいたようなものでありまして、これがだんだんなれてまいる、そうして生産がふえてくるということになると、打ち上げの経費は、いま日本ではできないから幾ら出してもしようがないということになるかもしれませんが、私は衛星なんというものはそう高くつくとはとうてい思えないのです。  その当初、衛星の寿命なんということがいわれまして、私も技術屋じゃありませんから、寿命は三年だというようなことを聞いて、これは衛星に寿命なんかあるのかな、機械みたいなもの、どうかいなと思うておりました。いろいろ聞きますと、寿命というのは、寿命ではなくて衛星の中に何か特殊なガスを詰めまして、そのガスでもって――静止衛星というけれども、やはり一日五十キロや六十キロは毎日動いておる、それを地上からもとの位置に戻す操作をしているらしい。そのガスが切れたときが衛星の寿命だ、こういうことを聞きました。まことにもっともだ、しろうとにもわかると思いまして私も感心したのですが、そういうことになれは、少しくふうすれば――その当時は三年でもう寿命がきますというようなことをいって、それから逆算をして値段を出して十分間五十万円ということだったと思うのですが、アメリカあたりが下げたところを見ると、この寿命が延びたのか、需要が盛んになったのか、あるいは衛星一個の値段が安くなったのか、その辺のところをひとつ聞かしていただきたい。だれでもいいですから……。
  56. 野村達治

    野村(達)参考人 お答え申し上げます。  衛星の使用料につきましては、当初考えておりましたように、先生のおっしゃいました寿命の点も延びてまいっておりますし、もう一つは、一つの衛星の扱っておりますたとえば電話の回線数にいたしましても、最初は二百チャンネル足らずでありましたものが、すでに今回使っておりますインテルサット3号でありますと約手二百チャンネル使える、そうなりますと、一チャンネル当たりの値段というものはかなり安くなってくるわけでございます。そういった意味で、今回のインテルサット3の場合には衛星並びに地上局が同じものを使っておるわけでございますので、一チャンネル当たりの値段が下がる、さらにこれがもうちょっと大きな衛星を上げてチャンネル数をさらに上げまして六千チャンネルとかいうようなことになりますともっと下がるという見込みが出てきておるわけでございまして、現在ヨーロッパ、アメリカ間、あるいはアメリカと太平洋側との衛星の間におきましては、白黒とカラーの区別を従来は二五%の超過料金をつけておりましたものもやめておりますし、そういった意味で、チャンネル数がふえたということから約四〇%の値下げをいたしておるわけであります。そういう意味では、カラーでやりましても約五〇%くらい値段が下がるという状況になっておるわけでございます。
  57. 中井徳次郎

    中井委員 そうすると、インテルサット3号でありますと、千二百チャンネルということになれば、実際はもっとうんと下げてもいいという理論も出てくるわけですが、どうもあなたのお話だと、寿命も延びたしチャンネル数もふえたし、それで衛星の値段もだいぶ下がってきたということになりますと、もっともっと安くなるのじゃないですか。この辺の将来の見通しをひとつ聞かせてください。
  58. 野村達治

    野村(達)参考人 これにつきましてはお答えがちょっとむずかしくなると思いますけれども、従来いわれておりましたのは、従来の値段の約三分の一までには十分なり得るだろうということが予測されておるわけでございます。ところが実際に衛星を打ち上げてみますと、たとえば太平洋に打ち上げましたインテルサット3号衛星にいたしましても、中継器の一部分が、上へ上がりまして不完全であったというようなことでフルに使えないような状態にもあるわけでございます。もちろんそうでなくて、大西洋地域に上げましたものは完全に働けるようなものになっておりますし、その後太平洋地域に上げました衛星は完ぺきに使えるような状態であるということで、やや不測の事態も生じておりますので、おそらくその三〇%というのは、今後インテルサット4号といったようなものが出てきた時代のことを考えて予測されているというふうに、いろいろなことを考慮に入れた上でされておるというふうに考えておるわけでございます。
  59. 中井徳次郎

    中井委員 通信衛星の関係はこの程度にしておきます。  最後に大臣に、衛星の打ち上げの計画が政府としてございますが、今後ともあれが延びるとかいうことはないでしょうね。現在の状況はどうでございますか。それだけ伺っておきます。
  60. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 御承知のように電離層衛星は四十六年、それから実験用の静止衛星は四十八年に打ち上げる予定でございますが、現在のところ予定どおり進行をいたしております。
  61. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 ちょっと関連。  関連ですから一言大臣にお伺いしておきたいのですが、きょう科学技術振興対策委員会が午後ありますから私そこで伺うつもりなんですが、実用衛星を目ざすところのQ計画というものがいまの見当では一年以上おくれそうだ、こういうことになってきますと、勢い、通信衛星にいたしましても、その他の地域衛星にいたしましてもおくれがくるんじゃないかということを心配しておるわけなんです。いまのお話では順調にいっておるということなんですが、私はこれはどうも順調にいかない要素がたくさんある、こういうぐあいに見ておるのですが、これは科学技術委員会できっちりともう少し詰めて聞きたいと思うので、きょうは関連ですからその点だけ聞いておきたいと思うのです。  というのは、大臣も今度の宇宙開発事業団法については非常に関連が深い、したがってこの把握をひとつはっきりとしておいていただかなかったら日本の宇宙開発というものに対してあまりにもうわのそらになってしまう。大臣がいまのような認識だったら私はちょっと狂いがくるんじゃないかという心配を持つわけなんです。それでお伺いいたします。
  62. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 御承知のように、衛星の打ち上げは、ロケットの部分とそれから衛星本体そのものとの二つがございまして、衛星の開発を、御承知のように従前は郵政省が中心になってやっておりました。ロケットの開発は科学技術庁が中心になってやっておったわけでございます。いよいよ開発段階に入りましたので、今度宇宙開発事業団というものをつくりまして、いま御審議をいただいておるわけでございますが、ただいまのところは、電離層衛星につきましてはもうすでに三年前から予算がついておりまして、いよいよことしから開発段階に入りましたので事業団のほうに移すことにいたしました。  それから実験用通信衛星につきましては、これは実は五年計画でございますが、ことしから衛星そのものの予算はつけ始めまして、まだ事業団のほうには、開発段階にまいりませんので移しておりません。基礎設計を始めたところでございます。  ロケットの分野につきましては、私の聞いておるところでは、ロケットのほうも予定どおり開発できるということでございますし、それから星そのものにつきましても、ただいまのところはいま申し上げましたようなことでございまして、予定どおり四十六年と四十八年、こういうふうに承知いたしております。
  63. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 大体いまおっしゃいましたように、衛星本体とロケットに分けなきゃいかぬのですが、ミューは要するに東大でやる、その東大のを受け継いでNになりQになる、実用衛星を打ち上げる段階においてそういう経過をたどる、これははっきりしておるのです。しかしながらそのQ計画というものは一年以上おくれる。結局誘導制御技術等が問題だろうと思いますが、こういう技術的な問題については科学技術委員会でお聞きしたいと思います。  しかし、大臣の把握としてこういうことが――「一年以上遅れそう」、「実用衛星めざすQ計画」というのが四十四年六月八日の日経にちゃんと出ている。こんなおくれの状況を、大臣が順調でございますと言われるようなことでは、こういうものの総合検討というものが各省においてなされていない、しかも、なされたことを大臣に知らしていない。大臣が悪いと私は申し上げません。そういう協力体制の中では、とてもこのQ計画というようなものあるいは人工衛星というものが上がることに非常に不安を持つということを私は申し上げておるわけです。現在新聞にはこう出ておるのです。これは六月八日付の日経です。このおくれがちゃんとこういうぐあいに書いてあるのに大臣は、いや順調でございますでは、一体事務当局なり、こういう記事を書いた人と大臣とどんな関連があるのか、これは私は問題だと思うのです。その点をひとつはっきりとしていただきたいと思います。
  64. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 このロケットの開発は、御承知のように従前は科学技術庁のほか東大でもやっておりました。現在も東大では小さいものを、科学技術庁では大きなものを、こういう分担をきめましてやっておるわけでございます。東大は事業団には現在入っておりません。いずれ二、三年先に現在開発いたしておりますいろいろな計画が見通しがついてから入るということでございまして、東大のほうは事業団にはただいまのところ関係ございません。Q計画とN計画は科学技術庁のほうで開発をしておるわけでございます。五年計画という計画でございますから、ときには予定以上に進み、ときには予定よりも少しおくれる、こういうふうな多少の早いおそいは出てくると思いますけれども、私が科学技術庁より聞いておりますところによりますと、ロケットの開発はおおむね順調に予定どおり進んでおる、こういうふうに承知いたしておるわけでございます。
  65. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 関連ですから、大臣いいんです。とにかくミューを主体にしてQまでの間にNという中間のロケットを置くわけなんです。これはいいんです。その説明はしていただかなくてもいいのですが、いま言いたいことは、順調にと言っておりながら一年以上おくれるということが、もうはや現実になっておるんですね。それが大臣の言われる順調でいいのかということです。そういう研究体制なりあるいは管理体制でいいのかということを私は非常に心配するのです。だから、その答弁をしていただかなかったら、この記事を一ぺん読んでおいていただきたいと思う。そして後日でもいいから――そんな段階にいまきておるということなら私は非常に心配なんです。きのう参議院で科学技術庁長官は、ソ連、そしてアメリカに追いつけ追い越せでしっかりやりますという、わずかな予算でそういう広言を切っておることは私は非常に問題だと思いますので、きょう午後の委員会でその問題をよく聞いてみたいと思うのですが、大臣におかれても、順調でございますというのに、こっちでは一年以上おくれそうだ、一年以上おくれたらこれは順調とは言えないと思うのです。追いつけ追い越せというような非常に馬力をかけておりながらこういうことが書いてある。この認識を持っていただかなかったら、日本の宇宙開発ということは、それはとてもアメリカあるいはソ連には追いつけないでしょうけれども、もう少しいいところまでいけそうにもありませんから、特にインテルサットの問題を控えて、本協定を問題にいたしまして日本は非常に急いでおります。アメリカの技術さえそのまま入れようかというようないまジレンマといいますか、焦燥感にかられておるときですから、こういう実態をもう少しはっきりと認識してもらわなかったら私は困ると思いましてお伺いしたわけであります。
  66. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 非常に重大な問題でございます。私のこれまで科学技術庁から聞いております報告とその新聞記事はやや違いますので、さっそくよく調べまして善処をいたします。
  67. 中井徳次郎

    中井委員 宇宙中継の関係ですが、将来このことがNHKの収支の面で非常な影響があると思いますので先ほどからお尋ねしておるわけですが、日本の関係が十分間で五十万四千円でアメリカのほうは三十三万四千八百円というふうなことでは十七万円も違いまして、これはたいへんなことなんです。私はおっとりとお尋ねをしておきましたけれども、最後に、これはちょっと皆さんにやはりこんなうかつなことをやらしておってはいけませんよと申し上げたいと思うし、国際電電にも機会があれば――こういう料金は世界てもそう高くないのですから、日本は人件費もあまり高くないので相変わらずストライキが起こっておるというふうなことなんですから、ぜひやかましく申してもらいたいと思います。  そこで、去年一年の通信衛星の宇宙中継料の総額はどれくらいでございましょうか。それから、ことしはどれくらいの予算でおられるのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  68. 川上行蔵

    ○川上参考人 昨年は四十四回放送いたしております。それでおよそ一億二千万円かかっております。今年度の予算はおよそ一億六千万円ほど見込んでおります。
  69. 中井徳次郎

    中井委員 本年度は一億六千万円ということになれば、値下げになれば一億二千万円か三千万円で、だいぶ下がるわけです。国際電電も半期に十九億ももうかっておる会社でございまするから、幾ら内輪のこととはいえ何も遠慮することはないと思います。どうぞひとつ、これは大臣も極力言っていただきまするようにお願いをいたしておきます。  次に、貸借対照表財産目録等、順序に従いまして、大体たいへんけっこうな、経営も堅実過ぎるほど堅実でありまするし、非常に余裕のある財産目録貸借対照表であり、損益計等書であると拝見をいたしましたが、その中で一、二、これはどういうことであろうか――悪いとかいいとかいう意味ではなくてお尋ねをいたしたいことやら、この点は少しどうだろうか、直せぬだろうかというふうなこと等も含めまして、順序に従ってお尋ねをいたしたいと思います。したがいまして、他の質問の方にも多少重複することがあるかもしれませんが、観点も違いまするから御容赦願いたいと思うのであります。  財産日録に「未収受信料欠損引当金五億二千六百二十万」とありまするが、これはどういう内容のもので、いつからの引き当て金であるか、四十一年単年度のものであるのかどうか、その辺のところを御説明願いたいと思います。
  70. 佐野弘吉

    佐野参考人 お答え申し上げます。  ただいま御指摘になりました数字は、四十一年度におきます欠損引き当て金として計上いたしておりますが、当該年度未収金が出ましたものの、さらに次年度、端的に申しますと、四十二年度に至りまして前年度分を回収いたすという経過を含めまして、四十二年度の予算の終わったところで全部ひっくるめてその未収金とこの引き当て金との相殺といいますか、その未収金に引き当てる金題として当該年度の分として計上したものでございます。
  71. 中井徳次郎

    中井委員 ちょっとわかりませんが、未収金が八億八千百十一万一千二十九円あって、その中で未収受信料欠損引き当て金も帳面から落としてしまうというのが五億二千六百二十万円ある。結局未収金として翌年度取れるものは三億五千四百九十一万一千二十九円、そういう意味ですか。
  72. 佐野弘吉

    佐野参考人 もう一度繰り返して申し上げますと、ただいま御指摘のとおりに、四十一年度に八億八千万円の未収金発生をいたしました。それで当該年度に五億二千六百万円の引き当て金が計上してございまして、その年度はそのまま終わりました。四十二年度に移りまして、私どもはこの八億八千万円の中から四億九百万円を回収いたしました。したがいまして、四十二年度の最後の帳じりで八億八千万円からその四十二年度に回収をいたしました四億九百万円を差し引きました金額にこの五億二千万円を充てるわけでございます。したがって、その数字の出入りを申しますと、五億二千六百万円の引き当て金には剰余を生じたという結果になろうと思います。
  73. 中井徳次郎

    中井委員 剰余が一億二千万円ほど出たわけですか。
  74. 佐野弘吉

    佐野参考人 そのとおりでございます。
  75. 中井徳次郎

    中井委員 この五億二千六百万円、これは相当な数字ですが、どうしてこれは未収になったのですか。さっきも中野君が、聞こえぬから納めぬということを言うておった。これもよくわかるが、私の選挙区では、おれはNHKなんか見ないのだ、見ないから払わぬといってがんばっているやつがいるのだが、そういうやつについて強制執行しているのかどうか、その辺のところ、どうですか。
  76. 佐野弘吉

    佐野参考人 ただいままでのお答えのところがら引き続き御説明申し上げたいと思いますが、この四十二年度に前年度分を回収いたしました残り四億七千二百万円が未収という形で残るわけでございますが、この内訳を申し上げますと、四十一年度あるいは四十二年度を通じまして、収納の中で転居先が不明であるとか、海外へ移るとか、世帯が消滅するとか、そういう理由が確認をされまして、したがって協会受信者に対する債権額という形で示されますこの受信料は、そういう事実が確認されましたものは控除される、あるいは二千百万の世帯のことでございますから、受信機が故障する、なくなるというようなことで廃止いたしますという届け出を受ける前に、実際に私どもがその収納廃止届け出を受ける前に、すでに機械がこわれているというのが確認をされまして、そういうことで差し引かざるを得ない――私どもは部内的にはこれを事故ものと称しておりますが、こういうやむを得ざるものがこの四億七千万円のうち一億七千五百万円、三七%でございます。したがいまして、差し引き二億九千万円が純粋の未収だということに相なろうかと思います。  この二億九千万円につきましては、先ほど御質問のございました点と関連をいたしまして、経済上の理由とか、不在、その他思想上の問題、あるいは、ただいま御発言ございましたように、NHKを見ないのだというようなお気持ちからお払いくださらないものが二億九千万円という数字に大体該当いたすものでございますが、何ぶん、本年度の予算で申しますれば、八百億をこえ、二千百万以上の契約の中からこの程度受信料収納しがたい数字発生することはやむを得ないかと思います。  あわせてお答えいたしますれば、その当該年度に大体私どもは九八・六〇%台の収納をいたしまして、次年度に回収いたすものと合わせますと九九・三%ないし四%という収納率を示しておるわけでございます。
  77. 中井徳次郎

    中井委員 だんだん話を聞きましてわかってきましたが、九九・三%まで回収できるというならば、こういうところで三角をして五億二千六百万円、ぼくはもうこれは落としてしまって四十二年度には集金に行かないのかと思ったら、相変わらず行っておって、その中でさらに一億二千万円ばかりを収納しておるということでありますならば、こういうようなこれは決算じゃなくて予算みたいなものじゃありませんか。なぜほんとうに取れないものだけをあげて――努力をするならば未収金のところへ入れておけばいい。ということは、NHKさんがまことに金が余っておるからあちこちこういうところへ金を隠さなければならぬことになる。未収金が六億くらいあるだろうと思ったら八億と計上しておけ、そのうち欠損のほうへ落としておけ、そういうふうな考え方だと勘ぐられてもやむを得ない。私は善悪を言っているわけじゃありません。事実を言っている。三角で決算にするならば四十一年度で落としてしまっておけばいい。入るなら入ったところで雑収入として計上するとかなんとか翌年にするのでしょう。何かこの辺のところ、いま伺いまして、あなたのほうの判断はまことにけっこうなことで、もう感嘆します。金が余ってしょうがないで、もらえる金でももらえぬ金にして整理をしておく、こういうのでありますからけっこうでございます。これは内訳をお知らせください。参考までに五億二千六百万円が翌年どうなったかということをお願いします。  それからもう一つ、次でございます。時間がありませんから――いま加藤さんから何か、無理でしょうが何とぞ質問を短く、こういうことでありましたから急ぎますが、財産目録の固定資産八百億です。資本金は何か五百八十億、こういっている。五百億が五百八十億にふえています。固定資産は八百億、建物の償却引き当て金が七十九億、それから構築物の減価償却が三十六億、機械が三百億、非常にたくさんありますが、これは減価償却引き当て金というのを毎年毎年ふやしていって、それで建物は建物として建築したままの価格を計上して建物が四百億、構築物が九十九億、機械が五百五十億、そういうことにしておられるらしいのです。一般の会社等でありますと、これはどんどん毎年落としていっているように私は記憶しておるのですが、NHKの会計におきましてはどうしてこういう計上のしかたをなすっておるのか。その辺のところ、それから減価償却を終わりましたらこのほうから落とすのでしょうか。ことし幾ら落としますということがわかっておるかどうか、伺っておきたいと思うのです。
  78. 志賀正信

    志賀参考人 お答えいたします。  NHKの減価償却のやり方につきましては他日の当委員会におきましてもお話がございましたが、定率法でやっておりますが、ただいま先生御指摘のように直接控除方式でやっておりまして、減価償却をした分につきましてはここでは三角の表示をいたしてございますが、これを取得価格から控除いたしましたもの、その差額を、残りを決算書に計上いたしてございます。したがいまして、この三角の分につきましては当年度までにすでに減価償却をした分でございまして、これを除きましたものが資産価格ということになっております。  なお、NHKの場合にはこの引き当て金を別に積み立てをいたしませんで、当年度の建設費が相当多額にございますので、当年度に直接それに引き当てるという方式をいたしておりまして、建設の財源にこの償却を当てておるわけでございます。
  79. 中井徳次郎

    中井委員 引き当て金を控除せずに直接建設の経費に使っておる。官庁はそれは多いのでそれはけっこうですが、それならばなお、これは引いてあとの価格だけをお出しになったらどうですか。毎年の減価償却引き当て金からこれを引いてしまって、たとえば建物では三百二十億五千九百万円、こういうふうにしてやったらいいじゃないかと思うのですが、なぜこれをわざわざ両方あげておるのか、その辺のところが私はわからないのですが、どういうことですか。本年度だけならわかるのです。私は最初年度だけだと思った。構築物なんか九十九億のうち三十六億まで一年で償却するのかなと思ったら、そうじゃなくて、ずっと計上しておるというのですからちょっと誤解をしておりましたのですが、よく考えてみますと、なぜこんなことをする必要があるかという気もするのですが、その辺のところはいかがですか。
  80. 志賀正信

    志賀参考人 お答え申し上げます。  説明がちょっと不十分であったかと思いますが、この三角でしるしをいたしてございますのは、償却を始めましてから当年度までの償却額の累積でございます。したがいまして、ただいま御指摘のように、取得価格の当初からの総額と償却額の総額が両方書いてございまして、たとえば、お手元の資料の建物のところでまいりますと、四百億の取得価格に対しまして七十九億の償却をいままで累年いたしましたので、その差額の三百二十億というのが一番右側の合計欄に出ておりまして、これは取得価格から当年度までの償却額の全部を引いた残りでございまして、これを資産価格というふうに称しております。ちょっと見にくかったかと思いますが、以上のとおりでございます。
  81. 中井徳次郎

    中井委員 それならば御親切ですけれども、さらに一歩を進めて昭和四十一年だけの償却をやはりここへ入れておいてもらわないと、七十九億九千二百万円というのは過去の償却の総計でして、四十一年分だけの建物の償却は幾らかというのがここに出ておらぬ。その辺のところをどうされておるのですか。
  82. 志賀正信

    志賀参考人 財産目録の上では、ただいま申し上げましたように総額の取得価格と総額の減価償却額が書いてございまして、その差額が資産価格、こういう表示になっておりまして、当年度の減価償却額につきましては、お手元の資料の最後のほうに当年度の収支の状況を書いたものがございます。そこに当年度の償却額は総額で百六億だというふうに計上いたしてございます。これが当年度の総額で表示をいたしてございますので、建物が幾ら機械が幾らというようなことは、御指摘のようにそこまで十分には書いてございませんが、これを含めましたものが当年度までの償却総額としてただいまの六ぺ-ジに載っておるわけでございます。
  83. 中井徳次郎

    中井委員 それはわかりましたが、それでは大体ことしの償却は妥当であるかどうかということは、これを見たのではわかりません。建物が幾らか機械に幾らか、ことしはああいうところで火災があったからこれはどうだか、特に多いのはこうだということがないとわからない。百億の償却といわれたってその内訳がわからない、こういうことになってくると思います。これもぜひ内訳をひとつ参考までに資料として出していただきたいと思います。  それから次の七ぺ-ジですか、小さいことですけれども、「自動車損害賠償支払準備金」こういうことがあるのですが、これはどういうものでございますか。
  84. 志賀正信

    志賀参考人 ただいまの減価償却費につきましては、この活版刷りにいたしまして御提出申し上げました決算書では表示のしかたがきめられておりますので、なおお手元に資料として別にお差し出しいたしましたものは、建物、構築物、機械、器具什器の別に当年度の償却額の内訳を記載して御説明いたしてございます。  それから、ただいまお尋ねのございました自動車の関係につきましては、自動車を所有いたしました場合にその賠償の準備の保険をつける必要がございまして、これは自家保険または保険会社に委託をする場合と、両方いずれの場合も自由でございますが、NHKの場合は相当多数の自動車を持っております関係から、法律に従いまして自家保険の方式で準備資産というものを計上することになっております。これらにつきましては、半額を現金で半額を有価証券でというような保有のしかたをいたしております。
  85. 中井徳次郎

    中井委員 いまの御説明でわかりましたが、非常に金額が私は少ないと思うのですが、NHK全国にずいぶんたくさん自動車を持っていると思うので、千六百十八万円でいいのですか、その辺のところ……。  それから、NHKはこれまで非常に慎重な運転をなさって、損害賠償とかそういう件数が少ないのかもしれませんが、その辺のところをちょっと聞かしていただけませんか。私はちょっと読みまして、ああ、NHKというのは自動車事故はないんだなというふうな、非常にいいことでございまておきども、そういう感じを持ちましたので伺っすけれたいのです。
  86. 志賀正信

    志賀参考人 お答えいたします。  資産として計上いたしました積み立て額につきましては、法律に定められましたとおりのやり方をいたして計上いたしてございます。  なお、実情から申しますと、NHK全国で現在約千九百両の自動車を擁しておりますが、これに対しましては、損害の対象になりましたようないわゆる事故と申しますか、四十一年度には八件ございました。それから四十二年度には大小合わせまして十五件、四十三年度には十九件というような形になっておりますが、いずれもこの賠償額準備金の中で処理できるような軽易なものばかりでございましたので法律に従った形でやっておる次第でございます。
  87. 中井徳次郎

    中井委員 次に移ります。  退職手当引き当て金は二十一億円しかありませんが、これはこんなことでいいのでしょうか。NHK職員は一万名をもちろん突破しておると思いますが、こんな額でいいのか、その辺のところをちょっと伺っておきたい。
  88. 志賀正信

    志賀参考人 お答えいたします。  退職手当引き当て金につきましては二十一億ということになっておりますが、その後二カ年経過いたしまして、この四十三年度決算におきましては三十五億までふやしてございます。ただいま先生から御指摘のように非常に少ないというふうに考えられますので、できるだけ財源の余裕を見出しましてできるだけ多くしたいというふうに年々努力をいたしております。
  89. 中井徳次郎

    中井委員 三十五億というならばまあまあ。早く五十億くらいにすべきだと私は思うのでお尋ねしたわけです。それでは、その次の損益計算書です。関連経費というのがあります。事業費五百三十二億、減価償却費がさっきお話しの百二億三千万円、関連経費二十七億七千万円、これはどういうものですか。
  90. 志賀正信

    志賀参考人 関連経費の二十七億七千万円につきましては、大きく分けまして四項目ございまして、第一点は、未収受信料欠損の償却金でございまして、先ほど先生から御指摘のありました四十一年度未収受信料のうち欠損引き当て金として計上いたしましたのは五億二千六百万という話がございましたが、この関連経費から支出をいたしまして引き当てをいたしてございます。損費に計上するわけでございます。それから二番目には、放送債券の発行差金の経費がございます。放送債券につきましては、御承知かと思いますが、現在百円の、額面を九十八円五十銭で発行いたしますので、この差額一円五十銭、そのほかいろいろ手数料がかかります。これは債券は現在七年ものでございますので、この七年に合わせまして年々に負担をさせていくという方式をとっておりますので、ここで償却方式をとっておるのでございます。そのほか、長期の借入金につきましての支払い利息及び放送債券の発行につきましての支払いの利息、銀行に支払います支払い利息の全部がここに計上されておりまして、これらが関連経費のおもなものでございます。
  91. 中井徳次郎

    中井委員 その損益計算書の最後のところに、資本支出充当というのがあるのですが、これは四十一年度においては七十二億円、それを除いて当期剰余金十七億円、こういうふうになっておるので、この点は一般の株式会社と違うNHK独特の方式だろうと私は思うのですが、率直にいいまして、配当しなければならぬような団体でありましたら、この総計が利益金、その中で何割か配当をしてやる、こういうことだろうと思うのですが、この辺のところの見解を会長さんからひとつ聞かしていただきたいという趣旨質問です。
  92. 前田義徳

    前田参考人 御指摘のとおりでございます。
  93. 中井徳次郎

    中井委員 これは四十二年度は幾らになっておりますか。
  94. 志賀正信

    志賀参考人 四十二年度におきましては、資本支出充当が六十五億七千万円でございまして、それからこれを控除いたしました当期の剰余が八億七千七百万円でございました。
  95. 中井徳次郎

    中井委員 四十二年度は四十一年度に比べますと、そういう意味で多少の利益が減ったということがいわれるわけですが、これはあとまたまとめのときに質問いたしまして、四十二年度の書類について重複を避けまして一応伺っておきますが、簡単に伺います。  四十二年度の十七ページであります。十七ページの貯蔵品というところ、四十一年度末は二億一千八百五十二万円、四十二年度が一億四千百三十万円、これは会社の経営としては、あるいは団体の経営としては見方によってはすばらしいと思うのです。一千億の収支のNHKの貯蔵品が一億四千百万円というのはすごいと思うのですけれども、しかし、これで現実に運営できるかどうか。これはNHKは材料を生む会社じゃありませんからいいようなものですけれども全国にたくさんの現業をかかえていまして、放送局だって数百あって、その貯蔵品が一億四千百万円というのは、どうもいかにも少な過ぎる。これはどういう経営をなすっているのか。ある意味ではすばらしいと思います。そのかわり、今度は逆に、品物の値上がり値下がりなんというものの見込み買いなんというものは全然しない。だから注文があるだけ、要るだけ買う、こういう方式だろうとは察しますけれども、それにしても、せめて十億ぐらいのものがあってよかりそうなものだ。机を買う、安ければちょっとよけい買っておけということくらいはNHKとしてもやられてもいいんじゃないかというふうにも思いまするし、この辺のところ、たとえば去年からことしにかけて鉄材は上がるにきまっているというようなときに多少やってもいいんじゃないかと思いまするし、この辺のところをお願いをいたしたいと思います。
  96. 志賀正信

    志賀参考人 お答えいたします。  貯蔵品につきましては、ただいまおほめにあずかりましたように非常にシビアーにやっておりまして、現在貯蔵品として持っておりますものは、NHKの場合には生産会社ではございませんので、一番大きな金額になりますものがテレビに使いますフィルムでございまして、特殊な約五十種にわたりましてのカラー、白黒のフィルムがございますが、このフィルムが主でございまして、そのほかには放送の謝礼品、及び一般の貯蔵品といたしましては事務用具、式紙、被服などがございます。これらにつきましては、できるだけこの手持ちを少なくいたしますために、たとえばフィルム等につきましては貯蔵品勘定から年に約八回の回転をさせるというような厳格な方式をとってやっております。  以上でございます。
  97. 中井徳次郎

    中井委員 フィルムなんか、あまりほっておくと少しぼやけてきて古くなるというふうなこともあるかもしれません。あるかもしれないけれども、こんなもの等も、できればフィルム会社と一括契約して、一年に一回納めさせてうんとたたくというようなことくらいやったらどうかと思うのですが、一億四千万円の貯蔵品、これはきょうは先ほどから時間を急げ急げと言われて少々なんですが、この問題だけでも私はいろいろお尋ねをしたい、現実にどういう買い方をしておられるかということを聞きたいと思いますが、まあ……。  それで一八ページに移ります。一八ページの長期借入金利息、前払い費用、こうなっていますが、これはどこへ前払いするのですか。
  98. 志賀正信

    志賀参考人 お答え申し上げます。  これはただいま長期借入金は銀行が主になっておりますので銀行から借りておりますものでございますが、銀行から借りますものにつきまして手形の書きかえをいたしますときに、おおよそ二カ月の期間で書きかえをいたしますので、これがたまたま年度末をまたがりました場合にはあらかじめ利息を前払いいたしますので、その分の費用でございます。
  99. 中井徳次郎

    中井委員 それは長期の借入金ですか、短期のですか。短期のはゼロだったと私は思うのだが。
  100. 志賀正信

    志賀参考人 お答え申し上げます。  長期の借入金でございまして、御指摘のように、NHKの場合にはこの四十一年度、二年度には短期の借入金はございませんでした。
  101. 中井徳次郎

    中井委員 長期のものでも二カ月ごとに手形の書きかえをやっておるのですか。そういうことはやめてもらったらどうだね。どうですか。どこの銀行ですか。
  102. 志賀正信

    志賀参考人 銀行との契約によりまして二カ月ごとの書きかえを行なっておりますが、銀行につきましては、日本勧業銀行及び第一銀行が主になっておりまして、そのほか五行ばかりございます。
  103. 中井徳次郎

    中井委員 銀行のこれまでのやり方をそのまま踏襲しておるのでしょうけれども、一時借入金もゼロだというふうな健全経営をしておって、そこまで銀行のほうも無理を言うのは私はどうかと思うのですが、今後の問題にしておきましょう。  それで、先ほどからずっと御質問申し上げた中にも申し上げましたが、たいへんけっこうな決算で、去年からことしにかけて多少利益は減ったようなかっこうにはなっておりまするが、実はカラーテレビの料金の値上げを去年かおととしいたしたと思うのです。あのカラーテレビの増加が順調にいっておりまするかどうか、最後にその辺のところをちょっと伺っておきたいと思います。
  104. 佐野弘吉

    佐野参考人 昨年の四月から御承知のように、新しい料金体系といたしまして、白黒の普通並びにカラー契約という二本立てにいたしたわけでございますが、なかんずくカラーにつきましては、四十三年度百四十万の目標を設定いたしましたのに対し、四十三年度以前のいわゆるすでに出回っております分の確保、獲得等も数えまして、その意味では百六十八万という数字で四十三年度の末を越年いたしました。順調であったと言えるかと思います。
  105. 中井徳次郎

    中井委員 ことしはどんなふうになる予定であるか、また二十八万ふえたことによって料金収入が年額幾らふえたのか、ちょっと伺っておきます。
  106. 佐野弘吉

    佐野参考人 先般、四十四年度の予算の御審議を仰ぎました際、本年度におきましてはカラー契約百十万を目標にいたすということで予算を組んでおります。またもう一点、先ほど申し上げました四十三年度契約増は、料金関係では四億五千万円程度の増収を見たと思います。ただ、これには白黒のほうを含めました全体の契約総数の伸びというものも一部入っておることは当然でございます。
  107. 中井徳次郎

    中井委員 四十五億ですね。
  108. 佐野弘吉

    佐野参考人 四億五千万円でございます。
  109. 中井徳次郎

    中井委員 そんなに少ないことはないでしょう。一台百五十円上がったのでしょうか。ですから、百万台で一億五千万円――どうなんです。
  110. 佐野弘吉

    佐野参考人 ただいまお答えいたしました数字は、目標に対します超過分二十八万の年間をならしての収入としての増収分でございます。
  111. 中井徳次郎

    中井委員 あのカラーテレビの値上げのときの説明よりもたいへん増加数がふえておる。あと二、三年たつと六百万とか一千万の計画であるように私どもは聞いておるわけですが、その辺のところの見込みはいかがですか。
  112. 佐野弘吉

    佐野参考人 さきの予算編成の際御審議を仰ぎました際に、私どもは四十三年度を起点といたしましてこの新しい料金制度を設け、その中でカラーは、先ほど来申し上げましたように、初年度百四十万、次年度百十万というような形で推移をいたしまして、四十七年度に六百五十万くらいに相なるであろう、こういうふうに申し上げたかと記憶をいたしております。ただ、すでに初年度におきまして三十万に近い契約の増高を見ましたし、また同時に、本年に入りましてもカラー放送等の増強によりましてこの契約が今後も引き続ききわめて好調に推移するであろうというようないろいろの要素を加えまして、私どもはただいまの時点では四十七年度七百五、六十万に達する、事務的にはそのような見通しを立てておるというところでございます。
  113. 中井徳次郎

    中井委員 あなたは七百五十万と言われたが、大体世論としては四十七年度には一千万になるであろうといわれておるようでございまするし、私ども周辺の状況から見ましても、ことしの暮れころからカラーテレビは猛烈にふえるのじゃないか、爆発的な人気を呼ぶのではないかと感ずる次第であります。  そこで、もし四十七年度に一千万台になるということになりますと、やはり私は、この際NHKとしては先手を打たれて、せめて白黒の料金でも――あの当初から自民党の諸君も言われておりました。私どもももとより賛成でありました。三百十五円などというこの読みづらい、払いにくい料金をやめて、これは思い切って三百円になすったらどうか。たいしたことはありませんですよ。一年三十億程度のことでありまするから、ここ一年たてば皆さんのほうで予想以上にカラーの増加もあるし、さらにまた、先ほど私は会長にも申し上げましたが、NHKは剰余金があると資本のほうに振り向けております。四十一年度は七十数億、四十二年度は六十億、去年はどれくらいか知りませんけれども、それくらい余裕がある。大体総計すると毎年八十億くらいの余力があって、それを資本に振り向けておる。まあ諸物価も騰貴しましょうけれどもテレビの数もそれ以上にふえるという現状において、私は思い切って、この際、前田さんらしくひとつ三百円――どうも料金が値上げ値上げの御時世でありますから、せめてNHKだけでも思い切った天下のNHKらしいやり方をやられてはどうか。そのことによって皆さんの運営が非常に窮屈になるということは私は毛頭考えられない。いろいろな決算の書類を見ましても余裕しゃくしゃくであります。でございますから、余裕しゃくしゃくをどうこういうわけではありませんが、やはり国民のテレビ、国民のラジオであるわけですから、この際、思い切った値下げの方向検討なさる必要があるんじゃないだろうか。そのことによって経営が窮屈になるということは私はとうてい考えられない。こういう結論から、前田さんと郵政大臣のその辺のところの御見解をちょっと伺っておきたいと思うのです。
  114. 前田義徳

    前田参考人 御趣旨は私どもも全く賛成でございます。  ただ、私どもの経営の実態はまだその時期に至っていない、結論的に申し上げますとそういうことになります。  と申しますのは、御承知のように、前年度以来料金体系を変えたわけでありますが、その前提となったものはラジオ料金の全廃でございます。さらに十五円ではございましたが、白黒テレビ料金を三百十五円にした、そうして、この社会経済の実態に即して今後伸展さすべきカラーの料金について、負担公平の原則から百五十円をちょうだいするというたてまえ、これは御承知のとおりであります。この構想の前提となったものが、一応私どもの間では第三次五カ年構想というものがございますが、これをこれまでの料金体制のもとで運営してまいりますのと比べますと、簡単に言って、昭和四十七年度末までは非常な緊縮財政と申しますか、非常に赤字――その前年度までの方式と比べますと、かなりの赤字経営ということになるわけでございます。先ほど来御指摘をいただきました退職基金の総額の問題につきましても、あるいは貯蔵品の問題につきましても、私どもとしては、この五カ年間を乗り切るためにそういう非常にシビアーな方策をとってまいっているわけでございます。  私といたしましては、先ほど佐野専務から御説明申し上げましたように、この五カ年構想の基礎となったカラー契約、四十七年度末の六百五十万を一千万に修正したいという考え方を持っておりますが、この修正によって得る総額は僅々三十億の少額にしかすぎません。こういう現実を考えてまいりますと、当年度予算の御審議にも御指摘をいただいておりますし、前年度、四十三年度決算も近く皆さまの御審議をわずらわしたいと考えておりますが、実質上借入金、いわゆる運営面での借入金が少なくとも毎年十五億円くらい内蔵されているというのが現実でございます。こういう観点に立って、今後NHKというものを土台として放送事業の面から、要するに聴取者の国民の皆さんの要望にできるだけ沿っていくという考え方を基礎にして試算いたしますと、五カ年構想を上回る差額三十億程度の問題は、今後の物価騰勢あるいは国内経済の社会生活の充実等と関連して、医療費につきましても、あるいはまたいろいろな職員の給与という点でも当然使用されなければならない部分に相当すると考えております。  したがいまして、私どもといたしましては、御趣旨を体して経営の衝に当たっておりますけれども、当面、この時期においてはまだそれを行なうべき時期ではないという考え方を持っているわけでございます。先ほど料金を昨年度値上げをしたという御指摘をいただきましたが、カラー受像機に対しては御説のとおり百五十円値上げをいたしました。しかし、全体的に見ますと、ラジオ料金の廃止、白黒料金の値下げ等、これを相殺いたしますと値下げでございます。この点は日本銀行の統計においても、当時あれほどやかましかった経済企画庁の統計におきましても値下げという項目に入っております。  私どもは御趣旨は全く同感でございますが、今日の時点において、昭和四十七年度末に予想される総額三十億を土台として値下げする時期ではない、このように考えている次第でございます。
  115. 中井徳次郎

    中井委員 大臣、いかがですか。
  116. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 カラーテレビが予定以上に普及いたしましてNHKの予算収入は必ず上回るであろう、こういうふうに予想されます。しかし、先ほど会長が申し述べましたように、NHKとしてもいろいろやらなければならない仕事が山積しておるわけでございます。放送内容もよくしなければならぬでしょうし、それから聞こえないところがずいぶん残っておりますから、こういうものも手配をしなければなりません。さらにそれに対応するための新しい技術、いろいろな研究費、これにも相当な資金が要ると思います。あるいはまた、日本の放送全体をよくするためにもやはりNHKはやらなければならぬことがあると思うのでございます。  いろいろ考えますと、値下げということは望ましいけれども、しかし当分の間は無理ではないか。やはりやるべきことは全部やって、そしてなお金が余れば――将来そういう時期も来るであろうかと存じますが、当分の間は無理であろう、かように存じます。
  117. 中井徳次郎

    中井委員 カラーテレビの料金の値上げにつきましては、他のものを値下げをしたことはおっしゃるとおりでありますけれども、いずれにしましても、カラーテレビそのものを考えますと、五割ばかりの値上げでございますから、カラーテレビが予想以上にふえた場合には、やはり白黒のほうに手をかけてもらいたい。この気持ちなりその意味はわかっていただけたと思うのであります。特に、いま大臣からもお話がございましたことでもございますが、私もきょうこの時点でやれということでもないわけですが、将来、たとえば四十七年に事務当局は六百五十万というたが、会長さんはさすがに千万と、こういうことである。あるいは千五百万ぐらいになるかもしれません。そういうときにはひとつぜひ考えてもらいたいものだ、そういうふうに考える次第でございます。  これで大体私の決算に対する質問を終わりますが、最後にあと十分ばかり恐縮ですが……。  実は、社会党におきましてこの決算をきょう私どもも承認いたしますというので政審にかけました。その途中のことでございますが、NHKの決算を承認するのはけっこうだけれども、どうもあの料金の徴収方法はあれでいいのかという話が他の議員諸公から出てまいりました。私も数年前に、料金の徴収方法について、放送というものは、新聞だとか電信電話とか電報と違う、送信者と受信者との関係はあまりありはせぬし、毎日配達するわけでもないのだから何か考えないかということを聞きましたときに、皆さんも研究するということでもありました。また、きょう中野さんの話を伺っておりますと、だいぶたくさん請負に出されておるということであります。そのよしあしというよりも、もっと真剣に私は皆さんに研究をしてもらいたい。きょうはひとつ事実をあげて申し上げます。  これは請負に出しておる、だから私のほうは知らぬというわけにはまいりませんが、落とし話みたいなことですけれども申し上げますと、衆議院の青山宿舎に細谷治嘉君というのがおります。この人のところへ半年ほど前にテレビの料金を取りに来ましたので、半年分前払いしたそうでございます。そうしましたら、また二月ほどしまして、先生、テレビの料金どうですといってきました。それで、何か代議士だと思ってごまかしていいのかねというふうなことになりまして、領収証を出しましたところが、黙って帰ったそうでございます。そういうことがしばしばあるというので、私どもの政審の委員会がわあわあなりました。そうしましたら委員長の多賀谷君が、これはまじめな男で、御案内のとおりでございますが、テレビの料金を振替で払ったそうでございます。振替で払っておきましたところが、同居しております多賀谷君の娘さんが、それを知らずに自分でまた集金人が来たので集金人に渡したのだそうでありますが、いまだに相当時間もたつのに返金も何もないということでございまして、NHK、たるんでおるぞということになりまして、まことにつまらぬようなことでございますが、これは事実でございますから、きょうは決算のそういうことがあるならぜひ言うておいてくれ、こうたるんでおることでは困るじゃないか、代議士の宿舎に二重取りに来るのだから、よそへ行ったら何重取りしているかわからぬぞというような冗談もございましたので、この辺のところを大体青山地区はどうなっておるのか。私個人も実は数年前にこわい集金人が来まして、私どもの家は留守がちでございますから、留守番がしかり飛ばされて、それから放送局への支払いは私が自分でやることにいたしておるのでございます。念のために申し伝えておきますが、どんなことでしょうか。
  118. 前田義徳

    前田参考人 まことに申しわけございません。  私自身も実はそういうケースにあったことがございます。これはたるんでいるのではなくて、非常に積極的で行き過ぎがあったと私は考えております。と申しますのは、振替等はもちろんでございますが、銀行その他を通じての前納も多いわけなんですが、この内部の整理がまだまだ未熟なところがあると率直に申し上げます。  これについては、前年度来、このような事態が起こらないように、かなり末端における機械化と実際処理との関係を目下軌道に乗せつつありますし、職員の訓練につきましても特別の施策を施しております。これは全国的にそういうケースがあるというのでは実はございませんので、まことに結果としては申しわけないと存じますが、今後そのようなことの起こらないように、その担当をはじめ、その職場に対して、従来も指示しておりますが、一そう厳重に私自身も注意いたし、また、させたいと考えております。
  119. 井原岸高

  120. 米田東吾

    米田委員 決算に関連いたしまして、主として大臣と前田会長さんに御質問を申し上げたいと思います。  私の質問の筋は、一つ放送法の改正につきまして、これはもう五十一国会以来の懸案でございまして、機会あるごとに本委員会で大臣の所信が述べられておりますけれども、この決算の審議をもって本国会は大体関係するこの問題につきましては終わりだと思いますから、この機会に再度御質問を申し上げておきたいと思います。  それからいま一つは、不偏不党の放送の中立性、ことに、これからいわゆる七〇年を控えまして、国民のあらゆる面に政治的問題点、あるいは対立が明らかになる段階を迎える時期にありますので、こういう時期における主としてNHKのあり方というものについて、それを中心にして御質問を申し上げていきたいと思っているわけであります。わが党の最後の質問でございますので、そういう点で締めくくりたいと思っておるわけであります。  大臣にお伺いいたしますが、前の郵政大臣は非常に放言癖がございまして、放送法の改正や電波法の改正等につきましては、失礼な言い分でありますけれども、非常に軽率にあるいは思いつきに放言されておったんじゃないかと思われるような節があったわけであります。しかし、河本郵政大臣は逆にまたきわめて慎重でございまして、二月二十七日の本委員会等におきまして、大臣の所信表明に対する自民党の小渕委員質問等に対しましてもきわめて慎重に答えられておられますし、またわが党の森本委員の御質問に対しましてもきわめて慎重でございます。しかしこの問題は、やはり特にマスコミ関係にとりましても、また国民の言論の自由、あるいは放送の中立性、独立性を守るという面から大きな関心事でもございますから、ひとつこの際、明確に大臣の所信をお聞かせいただきたいと思うのでございますが、一体、この放送法の改正は、この国会にはもう事実上私は出てこないと思っておるわけでありますけれども、まず、この点につきましては、大臣、いかがでございましょうか。
  121. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 郵政省におきまして放送法改正のための準備あるいは作業はいたしておりますが、今国会には提出は間に合わないと思います。
  122. 米田東吾

    米田委員 続きまして、しかし、おそらく法改正は郵政省としてこれを思いとどまったということではないだろうと思うのであります。したがいまして、当局として検討なりあるいは準備作業なり、そういうものが進められておるというふうに、これは前回の委員会にもそういう趣旨の答弁がございましたが、現状においてもおそらくそういうものは継続されておるんじゃないかと思いますが、この点はいかがでございましょうか。
  123. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 改正案を提出するための準備は進めております。
  124. 米田東吾

    米田委員 そこで、準備段階でありますからまとまった御答弁はいただけないと思いますけれども、たとえば会長の任命制等は、これはもう消えておるはずだと思いますからこれは問題がないと思いますけれども、どういう点が中心になっていま作業が進められておるのか。これは出てきてからということではちょっと私どもどうかと思うのでございまして、現在の段階における御見解をお聞きしたいのでありますが、受信料の認可制の問題であるとか、あるいはNHKの経営委員会等に対する改組といいますか、あるいは政府権限の介入、あるいは民放に対する事業免許制の新設、それから小林前郵政大臣なんかは、三年ごとの再免許にあたって免許税を設けることを考えているというようなことも言われておったかと思うのであります。そこらあたりの点がいまどういうふうに検討し準備をされておるのか。それから放送番組等につきましても、これはいつでも問題になっているところでございますし、ことに、今後の日本の政治情勢を考えますと、これも私どもは等閑視できないと思っておるのでございますが、これらの点について御検討なさっておられるのか。そこらあたりの点で、そのほかにも重要な点があろうかと思いますが、いままで国民の前に取り上げられてきた幾つかの中心点について払いま申し上げたのでございますけれども、これらの点については、準備中、作業中という段階でどういうふうにいま進められておるか、お聞かせいただきたいと思います。
  125. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 NHK会長の問題、受信料あるいは再免許の問題、そういうふうなNHKの組織、運営の基本についての問題点はどうか、こういう御質問でございますが、実はまだいずれも結論が出ておらぬような状態でございます。
  126. 米田東吾

    米田委員 大臣からきわめてあっさり突っ放されたようなかっこうでございますけれども、そういうことであれば私どももけっこうだと思いますし、決して急いでくれとか、あるいは積極的に放送法の改正を考えるという趣旨ではございませんからけっこうだと思うのであります。  ただ私は、ここで十分御慎重に御配慮いただかなければならぬのじゃないか、こういう点だけ申し上げて大臣の御見解を聞きたいのでありますが、特にこの放送法改正の根拠になりました臨時放送関係法制調査会の答申は三十九年九月八日であります。これを受けて五十一国会に改正案が出されまして、この審議の段階で与野党の共同修正案がまとまりましたけれども最終的に調整がつかないで廃案になった、こういう経過があるわけでございます。  この根拠になった臨時放送関係法制調査会の答申を得ましてから、もうすでに五カ年間を経過しておるわけであります。この間の放送あるいは電波関係の進歩あるいは情勢の進展というものは、まさに私は激動であったと思うのであります。そういう関係から考えまして、この改正についての作業なり検討なりというものは、この答申を受けてということになりますと、やや現状に見合わない、もうすでに事態はずれておる、こういう感がしないでもないと私は感じておるわけであります。ことにこの答申の「まえがき」には「本調査会は、この答申内容を実効あらしめるため、可及的すみやかな措置を期待するとともに、今後とも、放送関係法制を放送界、放送技術界の変動、進歩に対応させるため、この種の調査検討を一定の期間をおいて繰り返し行なう必要があることをここに付言する。」、こういうふうに付記されておるわけであります。要するに、放送界や放送技術の変動、進歩に合わせてこの種の調査検討というものは繰り返して時期を失しないようにやるべきである、そういうことが指摘されておるわけであります。  したがって、こういう点から考えましても、いま準備されているというそのことにつきまして、全貌が明らかでありませんからそれに対する論究はできませんけれども、こういう答申等の趣旨から考えましても、十分慎重に、しかもこの答申それ自体を再吟味するなり、あるいは放送界、技術というようなものについて再検討、再調査、再諮問をするというようなことが必要ではないかと思われるのでありますが、この点は大臣の御見解いかがでございましょう。
  127. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまお話しのように、調査会の答申が出ましたのが三十九年でございまして、それをもとにいたしまして四十一年に法律案をつくりまして、御審議願ったわけでございます。しかし、いまお話しのような経過になったわけでございまして、成立を見なかったわけでございますが、それからもうすでに五年も経過しております。答申が出ましてから五年を経過いたしております。  現在作業はいたしておりますが、もちろんその答申、あるいはまた前回の法律案並びに審議の経過等は十分一つの参考にはいたしております。しかし、何ぶんこの五年間におきまして放送業界あるいはまた技術各方面におきまして非常に大きな変化がございました。それで、もう一回調査会に答申をお願いするとか、そういうことをする必要があるのじゃないか、そういう議論なども含めまして実は非常に慎重に検討しておるわけでございます。
  128. 米田東吾

    米田委員 御答弁いただきましたのでたいへんけっこうだと思いますが、くれぐれも私この機会に要望しておきたいのは、いわゆる検討中と言われ、私がいま列挙いたしましたその基本的な改正点、こういうものは私どももしばしばこの委員会で大臣に質問をいたしましたが、これは前大臣でありますけれども、答申の線からはむしろ逆行して、何か政治権力が放送あるいはNHKに介入すると言えばあるいは行き過ぎかもしれませんけれども、そういうにおいがするわけであります。  会長任命制は引っ込みましたが、しかし、たとえば受信料の認可制、これが単に形式が国会承認から大臣の認可に変わったというだけではないように私は思います。本質的にはやはり監督、郵政大臣の権限というものは非常に重圧となる、そういう結果になりはせぬか、あるいは経営委員会委員の任命だとか、あるいは委員の報酬だとか、そういうようなことにつきましても、伝えられておる限りにおきましては、どうも本来これが中立であるべき経営委員の性格というものが時の政府的になる、あるいは権力に迎合せざるを得ないというような結果になる、そういうことも心配されるわけであります。  まあ、いろいろそういうふうにあげると切りがありませんが、私どもが心配していることはあながち私は根拠がないことではないと思う。なぜかといえば、マスコミ関係等におきましても一斉にそういう点でやはり疑問を投げかけておるわけであります。しかも、この放送法は唯一のマスコミ立法だ、マスコミ憲法だ、こういう立場で現在の放送法を守るというそういう強い国民世論、私はマスコミのそういう正しい追及というものもあったかと思いますから、そういうような心配がないように、ことに七〇年の対策だとか、そういうようなにおいがするようなことのないような改正という方向で現在検討されておる、あるいは準備作業をされておるそのものが進められなければならないと思いますので、そういう点について特に私は注意を喚起しながらこの面についての大臣の決意を再度お聞きしたいと思うわけであります。
  129. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 放送法の基本的な精神は、放送の不偏不党と政治的な中立性を保っていくということ、ここにあろうかと思います。決してそれを侵したり、軽んじたりするような方向に現在検討しておるものではないことをはっきり申し上げます。放送法第一条、第三条あるいは第四十四条にその精神は明記してあると思います。  それからもう一つ、だから放送事業者も何をしてもいいかということにはならぬと思うのでございます。私は放送事業者としての非常に重い社会的な責任があろうかと思います。放送法では「自律」する――みずから律するということばを使っておりますが、放送事業者にも私は強くこの点を求めたいと思います。
  130. 米田東吾

    米田委員 さらに大臣にお聞きしたいのでありますが、おととい、たしか九日だと思いますが、深更に東京都議会におきましては、議会の意思として委員長意見書という形式だかと思いますけれども、この放送法改正に関する意見書というものが多数をもって採択をされまして、そして、それぞれの政府機関にこれが伝達をされておると思うわけであります。その他、私が聞いておるところでは、たとえば京都府とか各地方議会におきましても、府、県あるいは市等の議会が、この放送法の改正について慎重に扱ってもらいたい、特にいわれておるこの受信料の認可制とか、経営委員会の縮小とか、あるいは政府任命の委員による番組審議会の設置を内容とするそういう一連のものについては、あるいは憲法に反するという危険すらあるので、ひとつそういう危惧と疑念を招かないように慎重に取り扱ってもらいたいという請願意見書等が出されていると思うわけであります。  現在まで大臣のところにどの程度のこの種の請願なり意見書なり陳情なりが議会の意思として出てきておるか、お聞かせいただきたいと思いますす。
  131. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 そういう陳情あるいは意見書はたくさん参っております。ただしかし、ただいまお話しの一昨日都議会がきめたという陳情はまだ参っておりません。
  132. 米田東吾

    米田委員 わかりましたが、どうか、そういうそれぞれの法律に基づいて地方議会等の一致した決議あるいは請願、陳情、意見書というものにつきましては、十分ひとつこれを御配慮いただきまして、あわせて、いま進められておるその法改正の作業なりあるいは内容検討等においてこれが反映するように、これはこの機会に御要請申し上げておきたいと思うわけであります。  それからもう一つは、放送法の改正とは関係はございませんが、放送の中立性――大臣が言われました放送法の第一条あるいは第三条、これを守る、あるいは守らせるといいますか、行政担当の大臣としてこの法律趣旨で運用される、指導監督をされるということについては十分な責任があろうかと思うのであります。ことにNHKに対しましては、直接、間接大臣はそういう面でご配慮いただかなければならない立場だと思うのでございます。私、これから会長さんにも御質問いたしますけれども、これからいわゆる七〇年の政治課題、日本の安全保障、外交問題、沖繩返還、あるいは終わりましたけれどもASPAC等に見られる極東情勢についての国民の判断、あるいは大学立法とか、国民生活からいきますれば、物価、公害、とにかくいろいろな面が集約されていわゆる七〇年の課題として国民の前に提起をされてきている現状だと思うのでございます。そういう点から考えまして、これを扱い、これを報道し、これを国民の前に素材を提供して十分国民の判断と協力を求める、そういう立場における放送、特にNHKの使命は非常に大きいと私は思うし、そういう点で重大な段階にいまきていると思います。  こういう面について、単にこれはNHKの問題じゃなしに、担当の郵政大臣として、いわゆる放送法の第一条、第三条、こういうものに基づくところの放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって放送の自由を確保する、あるいは番組編成等については、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも、いかなる権力からも干渉され、または規律されることがないというこの趣旨に沿って、大臣から、あるときは指導し、監督し、あるときはこのNHKはじめ報道関係について、き然として大臣はそういう干渉に対して受けて立っていただかなければならないことにもなろうかと思うのでありますが、そういう点につきまして、大臣の御決意をひとつ聞かしていただきたいと思うのであります。
  133. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまお述べになりましたように、放送法の第一条、第三条、ないしは第四十四条、ここに明記してあります不偏不党という精神で放送がされるようにわれわれは望み、かつ、そういう立場で指導していきたいと思います。
  134. 米田東吾

    米田委員 前田会長さんに御質問をいたしたいと思いますが、いまも私、大臣にお聞きいたしましたけれでも、要するに、一口に言って七〇年の課題・こんに対するNHKの持っている機能、それから法律に示されておる責任からいきましてNHKとして非常に重大な対処をしなければならぬ、相当な決意をもって、NHKのいわゆる放送の中立性とか、あるいは独自性とか、あるいは国民に対して十分問題提起をはかり、真実を報道する、あわせて憲法二十一条にいうところの言論の自由というものについてもき然として守っていかなければならない、そういう点で大きな難関にこれからぶつかっていくと思うのであります。  そこで、それに対処する会長の腹も、私はもともときまっておるはずだと思いますが、どのような決意で、どういう方針で、どういうかまえでこれを乗り切られようとするか、そこらあたりをひとつ会長からまずお聞きをしたいと思います。
  135. 前田義徳

    前田参考人 NHK会長といたしましては、あらゆる事象、あるいはあらゆる社会的発展、あるいは内外の問題に対する基本方針はただ一つでございます。それは、放送法の第一条の原則を守り、そうして第四十四条の措置を誤らないためには、会長としては放送法の第三条の、ことに後半の部分に全力を注ぐべきだというのが私の考え方でございます。     〔委員長退席、小渕委員長代理着席〕
  136. 米田東吾

    米田委員 会長の決意はわかりましたが、いわばそういう趣旨にのっとってNHKのこれからの放送体制といいましょうか、業務の推進の面で特別ないわゆる内部体制というものを確立される、そういうようなつもりはございませんか。私はそういう必要があるのじゃないかと思うのであります。そういう点については、特別な機関をつくるとかあるいは会長の直接の何らかの機関をつくるとか、従来と違って、そういう乗り切りについての対応策というものがNHKになければならぬと思うのでありますけれども、そこらあたりについてはいかがでありますか。
  137. 前田義徳

    前田参考人 私といたしましては、NHKがもしただいま申し上げたような原則を確保することができるならば、あらゆる内外の事態に処し得るという確信を持っております。したがいまして、特に巷間七〇年といわれる問題について特別の措置をとるという考え方は持っておりません。
  138. 米田東吾

    米田委員 いままでのNHKの報道に対しましては、私はしばしば批判があったと思います。それから本委員会でも、そういう点で会長NHKに対する前向きのいろいろな質疑が繰り返されたと思います。したがって、いまの御決意でわかりましたけれども、これはひとつ慎重な上にも慎重、しかも十分な配慮をされまして対処していただかなければならぬと私は思うのであります。  特に具体的に聞きたいのは、放送の不偏不党、中立性を守る、放送法第一条の第二号であります。これはもう最大の原則だということは同感でありますが、同時に私は、やはり国民に余すところなく不偏不党の立場で問題提起をする、したがって、解明あるいは解説、そういうものについても不偏不党の立場で十分尽くしていかなければならない。不偏不党、中立性ということが強調されることによって掘り下げというものが不足になってしまう、そういうことになりはせぬか。いま番組等につきましても、あなたのほうでは国際的にも非常に取材範囲を広げられて、非常に豊富な、しかも有効な放送番組というものが連日送られておるわけでありますから、そういう点では私は敬意を表しますけれども、ややもすると追及不足、要するに判断は聴視者がすればいいのだ、このことはわかりますけれども、それについても追及不足ということがやはり感じられるわけであります。  特にこれから七〇年に向けての課題を考えますと、たとえば沖繩返還の問題にしても大学が問題にしても、中途半ぱでは国民は判断がつかない。そういう点で、掘り下げるとすれば、何か中立が侵されるといいますか、中立性というものをそこねる心配も出てくる、へたすると、どこかの側からたたかれる、それで適当なところで、あとは国民、聴視者から判断してもらう、こういうことになりはせんかと私は思うのであります。  したがって、不偏不党、これはもう申すまでもない放送の最も中心をなす原則でありますけれども、いま一つの側面の、国民に対して十分な判断の素材を提供する、問題をやはり余すところなく国民の前に明らかにする、そういう点ではもっと意欲を燃やしていただかなければならぬと私は思うのでありますけれども、そういう点はいかがでございましょうか。     〔小渕委員長代理退席、委員長着席〕
  139. 前田義徳

    前田参考人 会長として、御趣旨には全く賛成でございます。  その基準となるものは、まさしく放送法四十四条の各項であると私は解釈いたしております。ただ、NHKはほとんど二千百万の世帯の方と契約しており、聞いていただいているという点については、それぞれの立場からの御批判、御批評があることは当然だと私は考えており、それらの意味においては、私としては非常に虚心たんかいに各方面の御批評を承るという気持ちでおります。しかし、このことは私どもに与えられた当然の責任でありますが、そが御批判によってわれわれが左右されないというたてまえも、また表裏一体の原則の上に立つものだと考えております。したがいまして、特に四十四条がいっている、いわゆるいろいろな議論のある場合にはできるだけ公平に各種の議論を伝えるべきであるという点が、社会情勢の推移と関連して、実際上の問題として私たちにとっては非常に大きな責任課題である、このように考えております。  したがいまして、私どもNHKの所見を述べるのてはなくして、多くの各層――非常に常識的に申し上げるならば、実は二千百万世帯の構成員のすべての考え方を並列できるならばこれにこしたことはないと思っておりますけれども、やはり物理的な影響に左右されるのでありますから、それを全部おしなべてというわけにはまいりませんけれども、その代表的議論を並行して、あるいは同時に、あるいはそれぞれの方法でこれを放送していくということは当然のことであり、私どもとしてはこれまでもそれに全力を注ぎましたが、今後も全力を注ぎたい。特に御指摘のように、いろいろな意味でいろいろな方々の御議論が非常に深刻に分かれている場合には、NHKの責任としては放送法四十四条をいかに堅持するかということが最も緊急な課題だと考えております。  そういう意味では私は御指摘方向で全力を注ぎたい、このように考えておりますが、しかし、掘り下げ方の問題は、これと関連する技術的な面ともかかわりを持ってまいります。NHK一つの所見を持つべきであるということを潜在的前提として、それによって解説その他をやるべきだという意味でございますならば、私はそう考えません。これは非常に危険なことになるであろうということを考えております。  いずれにいたしましても、私はこの際、やはり現下の情勢から見て、御指摘のように四十四条の原則を最もはっきりと実行していくことこそ、私どもに与えられた当面の特に緊急な課題である、このように考えております。
  140. 米田東吾

    米田委員 おっしゃることはよくわかるのでありまして、私どもも同感でございます。  ただ、俗な質問になりますけれども、善か悪か、端的にそういう場合においては、これはNHKが潜在的な意識を持つ持たぬにかかわらず、ちゅうちょなく悪に対して追及をするという姿勢になるだろうと思う。そうでなければ放送にもならぬだろう。そのことは、また放送法一条あるいは三条、四十四条にももとるものではないと私は思います。しかし、なかなかそういう端的に善か悪かというふうに比較対照できる問題ばかりでもないのであります。したがってあなたのほうでなかなかむずかしいということが言えると思うのであります。  ただ、四十四条にもありますように、できるだけ国民あるいは聴視者に対して問題提起をするという点ではもっと大胆にやってもらわなければいかぬのではないか。その場合には、ある中間をとれば不偏不党あるいは中立にどうかという場合だってあるかもしれぬけれども、全体の番組なり全体の流れというものにおいては、国民に対して公正な判断を求める、そういう点での真実の報道ということになったら億することなくやってもらわなければならぬのじゃないか。そういう点になると、どうもあまりていさいが整い過ぎておるのではないかと私は思うのでありますけれども、そういう点について申し上げておきたい。  それから、放送の中立性というのはイコール実際問題として何かということですね。これはあなた方当事者であり、日々その放送業務に携わっておられる会長以下の皆さんが絶えず直面する問題ではないか。これは一体何なんでしょう。法律解釈だけでは説明つかぬと私は思いますが、この点について、会長のうんちくのあるお答えがいただきたいと思うのです。
  141. 前田義徳

    前田参考人 会長という名における私自身はきわめて平凡でありまして、したがいまして特別のうんちくもございません。  しかし、中立性という問題は、法制的に申しますと、やはり放送法の第一条、特に第三条の最終の部分、これらがやはり中立性の何たるかを明示していると考えます。要するに、不偏不党ということが、やはり中立性という意味解釈ということになると思います。したがいまして、これがいろいろ問題のある場合には、四十四条で賛成、反対すべての意見を提示すべきであるという一種の細目的具体的な規定になってきていると考えます。  お話の善か悪かという問題は、これは社会的善であるか社会的悪であるか、あるいは刑法上の悪であるか、しからざるべきものであるか、あるいは社会常識に基づいて悪であるか善であるかという問題だと思います。これらは私どもにとりましてもそう処理しがたい問題ではない。たとえば、数年来、私どもは特に子供番組からの暴力の追放という原則を立てております。私は、民主社会において、いかなる意味においても暴力を自分意思の遂行の手段とするという考え方には絶対反対でございます。そういう意味で暴力は悪であるという解釈を行なうということはきわめて簡単だと思うのであります。  ただ、政治的な問題につきましては、われわれはやはり放送法の原則を守るためには、われわれ自身が政治的に中立性を持たなければならないという考え方を持っております。そのときに、いろいろな政治的議論が行なわれるときに、個人としては別でございますが、NHKとしては、どれが善であり、どれが悪であるかということを明確に結論を持つことはきわめて困難だと思います。ただ、今日の日本の政治は、御承知のように民主主義の原則に立つ議会主義の政治でありますので、国会が、法律はもちろんのことでありますが、法律の基礎となる考え方、あるいはそれらと関連する一つの方針、いわゆる政府の方針、これに賛意を示した場合には、いわゆる民主主義、議会主義の原則に従って結論を得られたものと解釈すべきだと考えております。この場合に、すでに国会が議決したもの、あるいは政府の方針が議会主義によって決をとられて、それが具体的に政府によって実行されるという場合においては、当然私どもの立場においても、これは国民的に支持を得たものと解釈すべきだと考えております。  ただいま申し上げたようなのが私どもの基本的考え方でございます。もちろんこれを完全に実行するためにはいろいろ困難が伴います。しかし、この困難を排除するたのには絶対に勇気が必要である、勇気と決断こそ、放送法の原則を守り得るただ一つの手段でおるというのが私の考え方でございます。
  142. 米田東吾

    米田委員 たいへん格調の高い会長の御決意をお聞きいたしまして、私ども率直に言って、同感であり敬意を表しておるわけであります。  問題は、実際問題として現実にはなかなか判断もつきませんし、会長の決断で処理するところまで行かない段階でいろいろな問題が出てまいります。そういうものを通してまた国民はNHKというものを理解する、こういうことになるだろうと思うのであります。法に基づいて放送の不偏不党やあるいは中立性ということはもう異論はありませんが、やはりその前提として、これは四十四条にもありますけれども、冬はり民主主義を貫く、あるいはもっとはっきり言えば、日本の法規法令が根幹であるいまの新憲法を踏みはずさない、さらにまたヒューマニズムに徹しなければならぬ。いろいろそういう条件等もあろうかと思うのであります。そういう点で、ごく基本的な原則的なことにつきましては、私は抽象的なものの言い方をしておりますので、あるいは言わんとするところがおわかりになっていただけるかどうかわかりませんけれども、ひとつ、いま会長が決意を披瀝されましたように、き然として今後も七〇年の報道にあたって私は堅持をしていただきたい、こう思っております。  次に、もう少し掘り下げてお聞きしたいのでありますが、たとえば、政治討論会とかあるいは国会討論会、あるいは政治番組の中の時事解説とかニュース解説とか、そういう面ではわりあいと私はいわゆる中立ということはわかるのです。これはまた聴視者のほうも、すぐ、何かおかしくなれば感ずると思う。敏感だと私は思います。したがって、とりわけこういう面については十分な配慮をあなたのほうではやっていただかなければならぬのではないか。幸いにそうこの面について問題があるとは思いませんけれども、私は十分な配慮が必要だと思うのであります。  これらにつきましては、特に会長、どういう配慮をされておられますか。やはり特別の配慮があるんだろうと思いますけれども、いかがですか。
  143. 前田義徳

    前田参考人 ただいま御指摘の番組がNHKの性格を代表する、いわゆる世俗的にいえば看板番組であるという点については、われわれ一同は特に慎重を期しているということは事実であります。しかし、私どもの番組は内外を通じて一カ月一万数千本に達する番組が送出されております。こういう意味で申しますと、われわれはどの番組についても、当然御指摘の番組に対する立場と同じ立場をとるべきであるという考え方を持っているわけでございます。これからも、さらに再言いたしますならば、要するに放送法の原則をはっきり守ってまいりたいという趣旨のあらわれでございまして、ただ、政治討論会等においては直接に影響するところが多大でございますので、その意味では非常に神経を使っている――神経ということばで申し上げたほうが御理解いただけるかと思います。
  144. 米田東吾

    米田委員 会長が神経を使っておられることについては、よく私も理解できます。  そこで、ひとつ具体的にもう少し突っ込んでお聞きしたいのでありますけれども、特に毎週やっておられます国会討論会、これはNHKでは非常に視聴率の高い番組だと私は思いますし、NHKNHKらしい番組だと私は思うのでありますけれども、私どももできるだけこの番組は見るようにいたしておるわけであります。  実は、前回の委員会でわが党の武部委員から特に司会者の問題につきまして問題提起がございました。これにつきましては、会長からも御答弁があの時点でございましたし、私はあまり同じことを繰り返したくございませんけれども、やはり武部君や、必要があれば私も若干資料をそろえて出したいと思いますけれども、こういうことは、放送それ自体がどうかという問題よりも、その交通整理をやったり司会をやったり、国民の前に何といいますか、聞きやすい内容を与えてやる大事な役割りの方の人間性といったほうが適当かどうかわかりませんが、あるいは思想を含めて、はたしてその方が適任者であるかどうかという判断は、これはあなたのほうでやれる問題だし、やってもらわなければならない問題だと思うのであります。  そういう点で私は、個人中傷でなしに、そういう意味ではなしにあなたのほうからひとつ御答弁をいただきたいと思いますけれども、何か私はやはりNHKとしても考えてみなければならない時期ではないだろうかと思うのです。特に御答弁いただきたいと思うのでありますけれども、この唐島先生はもう十年以上続いておられますね。これは正確にいうと、何年くらい続いて、どれくらい回数――何百回になります方向千回になりますか、毎週少なくとも一回は出ておられるわけでありますから、どれくらいの回数出ておられますか。
  145. 川上行蔵

    ○川上参考人 私が教育局長をしておりました時代ですから、おそらく昭和三十二年か三年ごろから続いておられると思います。
  146. 米田東吾

    米田委員 正確にひとつ調べていただけますか。三十二年か三年ごろとおっしゃいましたが、いまいきなり答弁せいといっても無理だと思いますから、調べていただきまして、しかも何回くらい国会討論会の番組みを扱っておられるか。
  147. 川上行蔵

    ○川上参考人 調べましてお届けいたします。
  148. 米田東吾

    米田委員 私は端的に言えば、これから七〇年に向けて、好むと好まざるとにかかわらず国論というものが二つに分かれる、あるいは三つにも四つにも分かれるかしれませんけれども、いずれにしてもそういうふうに世論というものが分かれ、そして激しい論争が行なわれ、そうしてやはり国民的には七〇年を乗り切らなければならぬ、その中にNHKは重要な役割りを果たしていかなければならぬと私は思うのであります。そういう時期判断からいたしましても、いままでのこの国会討論会のあり方やこれに対するいろいろな批判等からいきましても、この際あなたのほうは思い切って考えられたらどうか。これは、私やはりNHKのため――NHKがいま会長が決意を述べられました放送法を確実に順守して、そしてこの任務を果たしていくという前提でそういう措置を必要なときはやってもらわなければならぬじゃないか、私はこういうふうに思って実は申し上げておるわけでありまして、決して個人中傷ではございません。  それからもう一つは、俗なことばで言えば、何かもう鼻についている、マンネリ化している、こういうことも私は率直に言えるのじっないか。(「それは君の主観だ」と呼ぶ者あり)もちろん私が主観だと思いますが、そういう声も私どもは聞きます。  それからもう一つは、あなたのほうでは、やはり解説委員長をはじめ解説委員もおられるわけであります。他の番組等につきましては絶えず交代をされて、とにかく司会者もかわったり、常に清新な方法で番組を組まれておるわけであります。その方だけは特定の方が十年、しかも、もうおそらく四けたぐらいの回数になるのじゃないかと思いますけれども、そういうふうにやられているということは私はやはり考慮されたらどうか、こういうふうに思うのでありますけれども、いかがでございますか。
  149. 前田義徳

    前田参考人 前回、武部先生の御質問に対しても私はお答え申し上げたわけであり、今回の御質問はそれを土台にした新しい見地からの御質問かと考えます。  唐島基智三氏は、私どもにとって、私どもの評価としては、その経歴及びその実力及びその熟練さからいって、少なくとも国会討論会とい5番組の司会者としては当面第一流の可能性を持った人だと考えております。  ただ、前回、武部先生の御質問関連してNHKが場以外で誤解を受けるような問題が起きたということも私は十分承知いたしております。で、この問題についても、おそらく率直に申しまして、まあ表現がきわめて常識的な表現でお尋ねをいただいておりますが、簡単にいえば、あの番組の司会者である唐島氏が特定の人のために特定の会合に出たという点と、その会合自体が唐島氏を逆に必要以上に利用して宣伝したということの二点に尽きるかと思います。  この二点につきましては、ことに最後の第二点につきましては、まことに非情と申しますか、配慮の足りない残念な社会的風潮であると私は考えております。第一点につきましては、これはNHKの問題というよりは、おそらく唐島さんの個人的関係か、あるいはそれら別の場での別の気持ちの上に立っての御行動であると私は考えております。問題は、要するにこれらのNHKに直結しない問題が番組自体に悪印象を与える、あるいはNHKの中立性ないし不偏不党性が疑われるようなことがあっては困るという点については、私も全く同感でございます。そうい5点については、私ども職員ではございませんけれども、その影響力という点から、そうい5事実が指摘された当時においても私どもが担当責任者を通じて御注意申し上げたということも事実であります。ですから、私としてはお尋ねのお気持ちは十分理解できると思います。しかしながらその指摘された問題に関する限りは、NHKもまたある意味では間接的な被害者であるということに、私の立場ではなはだ失礼ですが、申し上げますとそういう環境にあるかと思います。  ただ、壁頭に申し上げましたように、国会討論会の司会者としてはなかなか余人を発見することは困難であります。これはあの方の非常に長い経歴の上に築かれた深いうんちくといろいろな諸問題の理解のしかたと関連をする問題であり――ただ一つ申し上げることは、われわれも解説委員を持っており、その他報道関係にもかなりの専門家がおりまして、私どもとしてはそれをどんどん養成してまいりたいという考え方を持っておりますので、あの国会討論会という番組におきましても、唐島さんの御病気のときなどは現在の解説委員長が司会の役目を相当長期にわたって行なったということも事実であります。そういうようなお気持ちの点については、私は十分理解できると申し上げられると思いますが、現状のところ、番組そのものとの関連では、この場において私は司会者としての唐島氏を急速にかえるという考え方は持っておりません。
  150. 米田東吾

    米田委員 私の質問は次元が高い質問でございまして、決して何か中傷や、あるいは唐島先生に失礼な、また私の質問自体が放送法にもとるような、そういう観点で質問はいたしておりませんので明確にしておきたいと思います。  いま会長が吐露されましたお気持ちはわかります。なお私も資料を持っております。速記に載せたい気持ちはありますけれども、そんなことをすれば次元が下がりますから私は控えておるわけであります。したがいまして、会長の御答弁で私は了承いたしますが、どうかNHKの綱紀を守っていただきまして、後継者の養成とか、そういう点につきまして十分な、会長の御答弁そのまま御配慮をいただくようにお願いしておきたいと思います。  それからもう一点だけ最後にお聞きしたいのでありますけれども放送法三条では、番組等につきましては、いかなる権力やいかなる力の介入も許さない厳然たる規定がございます。これはいまさらただす必要はないと思いますけれども、おそらくこれはNHKの伝統として守られておる規定だろうと思います。  そこで、時間がありませんから端的に聞きますけれども、最近、あなたのほうで自主的に編成された番組が、ある特定の団体の圧力によって放映でき体くなった、下げてしまったというような、そういう事態はございませんでしたか。
  151. 前田義徳

    前田参考人 放送局長の川上専務理事から事務的に答えさしていただきたいと思います。
  152. 川上行蔵

    ○川上参考人 そういう実例はございません。
  153. 米田東吾

    米田委員 くどいようですが、もう一回答えていただきますが、計画半ばでとうとう編集ができなくなって、そうしてその番組の放送はやめた――これは直接的なある団体の圧力かどうかわかりませんけれども、間接的に、総体的に見ると非協力あるいはいろいろな威圧、介入があって、結果的にあなたのほうが自主的に判断してその放送をやめられた、そういうこともございませんですか。
  154. 川上行蔵

    ○川上参考人 そういう例では、昨年、京都放送局でラジオのローカル番組として一つございます。
  155. 米田東吾

    米田委員 NHKではそういう面では実際問題としていろいろ苦労しておると思います。これは簡単なことばで言えば、右と左とのいろいろな圧力といいますか、いろいろな影響力をあなたのほうに向けることもあるでありましょうし、また、権力なり政治権力からそういう圧力がかかることもあるでありましょうし、あるいは、商業ベースでそういうことをやってもらっては困る、そういう放送をしてもらってはうちの会社が困るというような、そういうことでまたいろいろな支障もあると思います。そういう点では私は苦労しておると思いますけれども、ひとつ、これだけはお答えいただきたいのでありますが、最近特に右翼のほうからのあなたのほうに対する、何という表現をしたらいいか、圧力と言ったほうが一番端的だと思いますけれども、いやがらせ、そういうようなものはありませんか。
  156. 川上行蔵

    ○川上参考人 NHKには一日三千通くらいの投書が参っております。その中には、単に右翼だけではなくして、左翼もあるいは中立の方、あるいは父兄の方、子供さん、いろいろな各層の意見が参っております。そういう意味において特定的に右翼から最近ふえているということはございません。  なお、先ほど私御答弁申し上げまして、何か圧力があって京都放送を中止したというようにあるいはお取りいただいたかと思いますけれども、そうじゃございませんで、自発的に京都の局の判断においてこれを中止したというように御理解をいただきたい、このように思います。
  157. 米田東吾

    米田委員 それはそうだと思います。もし圧力でやめるなんといったら、第三条に対してあなたのほうはみずから冒涜したことになりますから、それはそのとおりだと思いますから、その点につきましてはその答弁でけっこうでございます。  私が指摘しておるのは、いわゆる平常な状態、平穏な状態における抗議とか投書とか、あるいは電話とか、そういうものはどこにもあることでありまして、単にNHKだけではございません。そのことを問題にしておるのではなしに、ある一つの団体なり徒党なりあるいは集団なりであなたのほうに、自主的な番組編成に対して断念させるとか、あるいは妨害するとかいうようなことがありはせぬかということを実は聞いたわけであります。私はそのことについて一つの資料もあるわけでありますけれども、あなたのほうでないと言われれば、あなたのほうの答弁が正確かしれませんから、再答弁いただきたいと思います。
  158. 川上行蔵

    ○川上参考人 放送しましたあとでその放送内容について、ある団体あるいはある特定の個人の方からいろいろ疑問なり抗議なりを受けることはございます。しかし、事前に、ある団体、ある方から抗議があってその放送を取りやめるという事例はございません。
  159. 米田東吾

    米田委員 以上で私の質問を終わります。  最後に、NHK前田会長に激励を申し上げておきたいと思います。どうかひとつ――いわゆる七〇年に向けてこれから政治局面もマスコミ関係も非常に激しい激動期に入ると私は思います。どうかひとつ、NHKの本来の使命に十分邁進していただきまして、少なくとも放送法第一条あるいは第三条、四十四条というような関係についてもとるような、そういう疑惑を国民に与えたり、また民主主義や平和を守るわれわれに疑惑を与えるようなことのないように十分努力していただきまして、放送の健全な使命を果たしていただきますように、これは激励でございますが申し上げて、終わりたいと思います。
  160. 井原岸高

    井原委員長 小沢貞孝君。
  161. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 この四十一年度、四十二年度の決算の審議にあたって私、最初に御質問したいことは、業務報告書の五六ページに監事の事務局設置を四十二年五月から実施した、こういうようになっております。監事の事務局はどういう構成で、その事務局はどういうようなぐあいに運営されてきたか、このことをまず冒頭にお尋ねをいたしたいと思うわけです。
  162. 小野吉郎

    ○小野参考人 お答え申し上げます。  監事事務局は、局長を長といたしまして、五名の職員で運用をいたしております。すべて監事の指揮によりまして作業をいたしておるものでございますが、この五名はいずれもNHKの精鋭をすぐって出しておりますので、人材としては非常に充実した陣容になっておると考えております。
  163. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 その監事の事務局――監事は法律によって三名だったと思いますが、これは経営委員会に具体的に意見を述べる場合には書面その他でやっておるわけですか、経営委員会に出てきて、口頭で報告する程度ですか。
  164. 小野吉郎

    ○小野参考人 監事は経営委員会の任命によるものでございますが、現在三名の監事がおります。うち一名は常勤でございますし、あと二名は非常勤でございますが、あるいは経済学の日本一流の学者であります中山伊知郎先生あるいは商法界における権威であります東大名誉教授の鈴木竹雄教授、こういう方が非常勤の監事になっておられますが、これは書面ばかりによる報告ではございません。法律によりますと、監事の職務といたしましては、会長、副会長理事の執行いたします業務を監査いたしまして、その結果を経営委員会に報告する、こうなっておりますが、そういった決算の状況等あるいは業務の執行状況等についての監査の結果を書類で出すこともありますし、そのつど経営委員会に出まして、事前に、経営委員会がある方策を決定せられます場合に監事の意見を徴されることはたびたびでございます。そういう場合につきましても監事としての意見あるいは感想等を述べておられる、それが経営委員会といたしましては、監事報告とは別に施策決定の重要な判断資料になっておるような実情でございます。
  165. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 財産目録貸借対照表損益計算書並びにこれに関する説明書、こういうのを見た場合には、会計検査院のほうは、これは出納とかそういう問題について誤りがあるかないかという検査だけをされると思います。そういうことになると、NHKの内部の業務、こういうものを具体的にやはり絶えず国民的な立場から見たり、これに注意をしたり、誤りなきを期するという制度としては、NHKの中の制度としては私はこの監事だろう、こういうように考えるわけです。したがって、この監事の活動というものは私は非常に大切ではなかろうか、こういうように考えるわけです。  そこで、私は端的に御質問をいたしますが、この四十一、四十二年度の決算の審議、あるいはいま質疑をするにあたって、監事からどういうような具体的に――ほかのことはいいですから、具体的に意見なり勧告なりあるいは注意なり何なりあったかということをお尋ねをしたいと思うわけです。  どうしてそう言うかというと、この業務報告というのは、NHKから郵政大臣に提出をして、意見を付して内閣を経由して国会に報告する、これが放送法三十八条にあるわけです。その意見を付したのを見れば、四十一年も四十二年もいつも同じだろうと思うのですが、可もなし不可もなしということで、意見を付されようと付されまいと、これは大勢に影響のないようなことしかなくて、国会はこの報告なるものを審議して、報告ですから、一体否決するのか賛成するのか、ただ意見を付するのかよくわからないけれども、これまた国会の審議の場というものは一体どういうものであるか、私もこれはよくわからないわけです。また、貸借対照表のほうは、四十条によって大臣のほうへ提出する、大臣は内閣へ提出する、これは会計検査院を経て国会に提出する、こういうことになっているだけで、これまた郵政省なり何なりで審議をするなり目を通すなりするということもどうやらなさそうで、郵便配達と同じように、郵政大臣は内閣へ提出する、内閣は会計検査院を経て国会に、これは提出であります。この提出されたものは、いいとか悪いとか、否決するとか審議するとか、一体どういう法律的な効果があるかはわれわれよくわからないわけです。  そこで、私はいろいろこういうことを考えてみると、組織としてNHKの中にある、みずから自分たちのやっていることについて十分監査――適正であるかどうかを調べる、こういうのはどうも監事の重要な任務である。こういうように、たてまえの上からも組織の上からも考えるわけです。したがってその監事は、一体四十一、四十二年度のここに出されている業務報告あるいは決算についてどういう意見を出したか、こういうことを私は非常に重視をしたいと思うので、具体的にひとつ御説明いただきたい、こういうように考えるわけです。
  166. 小野吉郎

    ○小野参考人 お答え申し上げます。  監事がNHKの業務運営の中に占めます非常な重要性につきましては、お説のとおりでございます。そのような線に沿って監事も行動しておられるわけでございますが、先ほど申し上げましたように「監事は、会長、副会長及び理事の行う業務を監査し、」となっておりまして、いささか表現がNHKの業務を監査するというような表現にはなっておりません。いわんや、会社等におきますような監事、いわゆる監査役が決算諸表が間違っておるかどうかを証拠書類によって突きとめまして、これに間違いなしとしてサインをされるのにとどまるものではございません。やはり財政上の問題、いろいろな計画の運行が正しいかどうか、そういった面についても監事としてはやはり監査の目を届かしておるわけでございまして、具体的にただいまお尋ねの四十一年度並びに四十二年度、これを通じましての決算に対しまして膨大な報告書が出ておりますし、また、この決算審議の経営委員会の場におきましても、口頭でもいろいろ重要な意見なり発言が出ておりますけれども、概略その主要なものについて申し上げます。詳細にわたりますと非常に長くなりますので、重要な点について申しますと、およそ三点であろうと思います。  まず第一点は、昭和四十一年度、四十二年度、特に四十二年度は第二次六カ年計画の計画終了年度でございます。計画がどのように運行せられたか、この価値判断をいたします時点に際会いたしておるわけでございまして、そういう時点につきましては、五年前に立てました計画の実施が、計画年次完了時点の四十二年度末におきましてはおおむね順調にいっておる。特にNHKの第一義的使命とも申します放送網の拡充等の関係につきましては、予定の計画を五割も上回る成績をあげましたことは高く評価されております。ただ、そういう高い評価面ばかりでなしに、決算の状況から見まして、契約もおよそ頭打ちの状況になって、新しい世帯の増加に伴う増加しか見込めないというようなことを基盤にいたしてみますと、収入の面につきましても、対前年度の増収額は年々比率が下がってくる、しかも支出の面で申しますと、むしろ収入の上昇のカーブをはるかに上回るような傾向を示しておる、こういうような点に着目いたしまして、将来向きにNHKの経営を合理化し近代化いたしますためには、財政面におきましてもすでに抜本的措置をとる必要が感じられるということを強く主張しておられます。  第二点は、そのような状況におきまして、内部面の運用につきましてはきわめて合理的な経済的な能率的な運行が好ましい、こういったいわゆる節約面の必要を強く主張せられております。  さらに、置局の面につきましては、第二次六カ年計画の経過を申し上げますと、総合テレビ関係につきましては、計画年次に入ります当初におきましては九十四の局が全国にあったわけでございまして、カバレージはまだ八〇%そこそこでございました。これを第二次六カ年計画におきましては四百六十一局にいたしまして、カバレージを九五%にしようという計画であったわけでございますけれども、実績は六百五十四局、約五割増しの置局を完了することができ、カバレージは九五・五%に相なったわけでございます。しかも、放送時間につきましても、総合テレビは計画年次に入りました当時は一日十六時間の放送時間でございましたが、計画年次終了後におきまして十八時間、およそ一日満ぱいの時間まで放送することができるように相なりました。教育テレビの面につきましては、計画年次に入りました当初はわずかに二十四局しか全国にありませんで、これは日本全国の五〇%くらいしかカバーできなかったわけでございます。これも総合テレビと同じように、計画といたしましては四百六十一局をつくり、カバレージを九五%にしようという計画であったわけでありますけれども、この面につきましても計画を五割方上回りました六百四十六局を完成し、九五%カバレージ達成の目的は九五・五%、こういうようになったわけでございます。しかも残余のそれは、四・五%のカバレージのまだ及ばない点があるわけでございますけれども、そういった面をいろいろ集団状況的に見ますと、非常に置局の地点は世帯数の少ないところになってまいります。しかも膨大な局をつくらなければならない将来傾向が厳然とあるわけでございます。そういうような状況におきまして、この将来の置局の方向につきましても、在来の方式でなく、非常に簡易的な、経済的な有効な措置を講ずべきであろう、こういうような意見を強く述べられております。  大体以上のような状況でございます。
  167. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そういう三点について強調されたことについて、まず第一点は財政上の問題、これはそういう報告を受けてカラーテレビを百五十円増にして財政の健全化をはかったという方向解決だろう、こう私は思います。その他二項目についても、それぞれその監査の報告に基づいて善処をしつつあるのではなかろうか、こういうように考えます。いま報告を受けたことは、大体NHK全体について大所高所からのいろいろの判断を経営委員会なり何なりにされたのではなかろうか、私はこういうように考えます。その方向もいいだろうし、その勧告なり何なりも適切であった、こういうように理解できますが、もっと業務の面について、NHKから提出されたものに郵政省は意見を付する、こういうようになっておるわけです。  だから、郵政省は意見を付する過程においてどういうようなぐあいにそれを審議というか、内容審査というか、どういう機関でどういうように郵政省でここに出されているような業務の報告についての意見を出すのか、その組織とかその機構とかそのやり方、これはひとつ意見を付する側の郵政省に実はお尋ねをしたいわけです。事務当局でけっこうです。
  168. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 NHKから提出せられました業務報告書につきまして説明を聴取いたしまして、それに従いまして、この年度の特色等をとらえまして意見書をつくっているわけでございます。
  169. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 たとえば「日本放送協会昭和四十二年度業務報告書および郵政大臣の意見書」というのは、終わりに一ページ半ばかりちょっと書いてあるだけなんです。これは郵政省はちょっと様子を聞いて、何が幾らふえた、どうなっていたということだけで「おおむね所期の成果を収めたものと認められる。」「財政の状況はおおむね健全であると認められる。」終わりのところにそういうように、それがおもな意見のようにしか理解できないわけですが、もっと具体的に、どういうように業務を審査しあるいは審議するかをお聞きしたいわけです。
  170. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 私どもこの業務報告書を審査するために特別な機関を持っておりませんので、結局、放送部におきましていろいろ説明を聞き、また必要な場合には資料を求めまして、そうして、主としてその調べ方というのは、前年度あるいは前々年度との違いというような点に重点を置きまして、本年度の報告、業務のやり方はどうであったかということを検討いたしまして意見を付するということでございます。
  171. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 もっと具体的に、たとえば昭和四十二年度の業務報告の中にはどういう欠陥があったか。何か欠陥があるだろう。これだけの予算を執行したり、これだけの業務をやるのだから、一つか二つでもいいですから具体的な何かあったかどうか、こういう点を具体的に説明していただかないと、提出された資料を十分審議して質問しておるだけじゃわからないわけです。だからここの報告書にあるように、おおむね妥当、むおむね良好の意見くらいしかない形式的なものになっているのじゃないか、こういうように考える。こういうように審議したという具体的な例を出していただければ、なるほどそれは十分やったなとわれわれはわかるわけです。
  172. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 結論としてはおおむね妥当、おおむね良好、こういうことになっているわけでございますけれども、私ども四十二年度の業務を見まして残念だったと思いますのは、ここに書いてありますように、大阪の大電力局の建設が計画どおりに進捗せずに、この年も継続工事となっておりまして、こういう中波放送の混信による難聴対策として大電力局の設置は非常に急がれていたわけでございますけれども、これが計画どおりにいかなかったというような点について残念だったということでここに書いてございます。
  173. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これは法制局でもいればいいのですが、郵政省のどなたかから答弁していただきたいのだが、予算を審議するときには国会は修正権はない、そういうことは前の議事録でも出ておるようです。郡大臣のときにもそう答弁しているわけです。ことしの春も、十五円ばかり安くなるだろう、それだけ値引きをして予算編成をし直してみたらどうかというときに調べてみたら、予算というものはオール・オア・ナッシングだ、否決してもう一回出し直させる以外にない、こういうことなんですね。予算の審議についてはそういうことであるかどうか、もう一回御答弁をいただきたい。  もう一つは、ここに出された報告というものはは、一体ここで審議をしてどうすべきものか。業務報告というものは、これは議決だ、承認だ、否決だ、いろいろあるでしょうけれども、どうすべきものか。決算というものは提出すると、こうある。報告と提出の違い。この提出されたものは承認か議決か、これは一体どういう違いがあるのだろうか、その法的なことをちょっとお尋ねをします。
  174. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 予算につきましてはお話しのとおりでございます。  それから、決算につきましては、憲法九十条に定められております国の決算と同じように議決を求めることになっております。これにつきまして当、不当の議決がなされる、こういうことでございます。  それからもう一つは報告についてでございますが、報告は口頭で報告するというわけにいきませんので、書類で報告する、こういう形でございまして、これについて議決をすることはない、かように聞いております。
  175. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは、私は問題点が一つ二つあると思うので、具体的な数字お尋ねいたします。  これはNHKから御答弁をいただきたいと思うのですが、たとえば「昭和四十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書に関する説明書」の最後のページに、雑収入が予算が十億であったものが十四億になった、約四割の増加でございます。この内訳をひとつ説明をしていただいて、なぜ予算と四割も違うようになったかという説明をいただきたいと思うわけです。それが一点。  それから、先般来この委員会でだいぶ質問が出ているようですが、未収金の取り扱い。この未収金は年々ふえておるわけです。だから、ふえておる傾向を、過去三十九年から四十三年ごろまでの未収金の絶対額はどういうようになってきているか。この二点をお尋ねしたいと思うわけです。
  176. 志賀正信

    志賀参考人 御説明申し上げます。  四十二年度の雑収入につきましては、当初の予算が十億二千三百万円でございましたが、決算額はただいま仰せのとおり十四億四千万円ということで、当初の予算を四億一千七百万円だけ上回った収入を得たわけでございます。  まず第一点といたしましては受け入れ利息の問題でございますが、八億二千三百万円の予定を立てておりましたところが十一億七千万円の受け入れ利息がございまして、この面で三億四千七百万円の増収がございました。これにつきましては、過般の四十年度の決算の御審議の際にもいろいろお話を申し上げたとおりでございますが、資金の運用の方法につきまして、当初は普通預金、通知預金、定期預金というふうに、それぞれ普通預金をおよそ三〇%、通知預金を六〇%、定期預金を一〇%程度というふうに見て予算をつくっておりましたが、年度途中におきまして資金の運用方法をさらにシビアーにするようにいたしまして、できるだけ定期預金等の利息の高いものに回すというようなことをいたしました結果、この功績が非常にあがってまいったものでございます。  それから雑入金の面におきまして、当初二億円の予算を組んでおりましたが、これにつきましては二億七千万円の収入がございまして、この面で約七千万円の増収になっております。この中でおもなものといたしましては、建物の賃貸料につきまして当初予定をいたしておりませんでした収入がございます。これはPSSの東京のスターズ・アンド・ストライブスに貸与いたしております建物につきまして、新たに賃貸料の収入を得ることができましたこと等によりまして収入が増加いたしたものでございます。  以上が雑収入につきまして、当初の予算に対しまして相当大幅な増収がありました特異な年度でございましたが、その内容でございます。  それから受信料未収金につきましてお尋ねがございました。手元にいま三十七年から資料がございますので、できるだけ長期にわたって御説明をいたしたいと思います。  三十七年度におきましては、当初これは三月三十一日の未収分でございますが、六億四千六百万円ございまして、これに対応いたしまして三億二千三百万円、先ほど御論議に出ておりましたような欠損引き当て金を計上いたしましたが、次の年一年間に二億八千九百万円の回収をいたしてございます。最後にはこの三億二千三百万円の欠損金が約四千二百万円不足をしたというような決算の状況になっております。  それから三十八年度におきましては受信料の総調定額は五百九十二億円でございましたが、これにつきましては、三月末までに五百八十五億円の収入がございまして、年度末におきましては七億七千三百万円の未収の状況になっております。これに対しまして、翌年一年間に努力をいたしまして、なお回収の見込みのないものにつきまして、大体前例を勘案いたしまして、三億八千九百万円の欠損引き当て金を当年度計上いたして決算をいたしてございます。この未収の総額の七億七千三百万円に対しましては二億八千三百万円を翌年度一年間に回及をいたしてございます。なお、欠損の処分額といたしましては四億九千九百万円でございまして、翌年度の決算時におきましては、ただいま申し上げました欠損引き当て金が約一億一千万円不足をいたしております。  それから三十九年度にまいりましては、受信料の総調定額が六百五十三億円でございまして、これに対しまして、当年度中に収納に至りましたものが六百四十七億円ございまして、未収額が六億二千三百万円でございました。これに対しまして、三億七千七百万円の欠損引き当て金を立てまして、翌年一年間に二億一千四百万円の未収分の回収に努力をいたしております。なお、翌年度末のこの欠損引き当て金の決算の際におきましては四億五千五百万円の欠損処分をいたしましたので、七千八百万円の欠損引き当て金の不足を生じております。  それから四十年度におきましては、七百億円の受信料の調定額に対しまして六百九十四億九千万円を当年度中に収納いたしておりますので、年度末には年を越しました未収金が五億四千万円でございます。これに対しまして、三億六千五百万円の未収欠損引き当て金を計上いたしました。これは調定額に対しましては〇・五二%というような比率になっております。この未収額に対しまして、翌年一年間の四十一年度中に一億七千二百万円の回収をいたしております。なお、翌年一年間さらに努力をいたしまして、年度末に未収になりましたものは四億一千百万円でございまして、翌年度末の決算時におきましては欠損引き当て金に四千五百万円の不足を生じております。  それから四十一年度にまいりましては、ただいまお手元に御提出申し上げてあるとおりでございますが、この年の受信料の総調定額は七百三十七億円でございまして、これに対しまして、当年度におきましては七百二十八億円の収納がございまして、未収額は八億八千百万円でございます。これに対しまして、当年度中に欠損引き当て金を五億二千六百万円計上いたしておりまして、それを相殺しましたものが未収金として決算書に計上いたしているわけでございます。この欠損引き当て金は、調定額の総額に対しましては〇・七一%に当たります。なお、翌年四十二年度一年間にこのうちで四億四千六百万円を回収いたしております。約過半数を回収いたしております。その後、調定額に多少の増減がございまして、四十二年度末におきましては四億七千百万円を欠損処分にいたしてございまして、これは引き当て金に五千四百万円の残額を生じております。  それから四十二年度に至りましては、七百七十一億円の受信料の調定額に対しまして、当年度収納額が七百六十一億円でございました。したがいまして、未収額は十億六千万円というふうに、受信料の総額の増大に伴いまして若干増額をいたしております。これに対しまして、従来の欠損引き当て率を参考にいたしまして六億三千六百万円の欠損引き当てをいたしたわけでございます。昨年一年間にこの未収額に対しまして四億七千八百万円の未収の回収をいたしてございます。未収総額といたしまして残りました六億三百万円につきましては、四十三年度末の決算におきまして欠損処分をいたしております。先ほど六億三千六百万円の欠損引き当て金を計上したと申し上げましたので、この処分額は六億三百万円でございますので差額三千三百万円は欠損引き当て額としては残余を生じたわけでございます。  以上が四十二年度までの受信料の経過でございました。
  177. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 この未収受信料欠損引き当て金六億三千六百九十万円というこの四十二年度の説明書にあるのは、これは欠損でだめになったものではなくて、また翌年回収するわけですか。先ほど中井委員もその質問をしておったようなんですが、それが一つ。  それから純粋に毎年毎年取れなくなってしまった額というものは、いま言った中のどこなんですか。
  178. 志賀正信

    志賀参考人 四十二年度を例にとって申し上げますと、四十二年度末に受信料の取れなかった分の総額は十億六千万円でございます。これが四十二年度末の決算において発生いたしました未収額でございます。この未収額の中には、翌年以降に努力をして取れる見込みのあるものと、先ほど佐野専務理事から申し上げましたように、従来の慣例によりまして、死亡あるいは無届けによる海外転居等で、あとから取りに行きましてもすでに事実がないというようなこともございまして、どうしても最後に取れなくなる分がございます。これを欠損引き当てと称しましておおよその見積りをいたしましたものが先ほどの六億三千六百万円でございます。で、翌年一年間にわたりまして、四十二年度でまいりますと、四十三年一年間に四億七千八百万円はすでに回収をいたしております。多少未収額に調定の増減がございまして、最後に六億三百万円というものが取りましてなお残りの未収額ということになりまして、これは残りました。これを一年後にこの欠損引き当て金と相殺をして一応会計上からは処分をするという方式を従来ともとっております。  なお、この取れなくなりました六億三百万円につきましては、おおよその事実を究明いたしておりますが、なお営業面におきましては最後まで努力をするようにいたしてございます。
  179. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 郵政省へお尋ねをいたします。  この一七ページの受信料未収金十億六千四百二十六億万二千円か、その下に未収受信料欠損引き当て金六億三千六百九十万円、こういうように出ているわけです。だから、この欠損引き当て金の六億三千六百九十万円はまだ翌年これを徴収に回って収入に入れるわけですか、四十三年度のときに。いまの説明はどうもそういうように聞こえておるのだが、そうすると、この決算というものは一体何を意味するのだろうか、これは事務的にひとつ……。
  180. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 この金額は、大体どのくらい取れなくなるだろうかという見込みの率によりまして、落としていく金額でございます。
  181. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 ちょっと私疑問に思うのですが、これは貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書だが、私はこれを決算だ、こう考えている。決算だと考えておるのだが、いま一七ページの受信料未収金の説明を聞いていると、これは予算でありますと、こういう説明なんです。これは一体どういうように取り扱ったらいいのでしょう。私たちはこれを決算だと考えていたら、ここに六億三千六百九十万円というものはまだ予算であります、いまこういう説明なんです。  それはどうせ予算を出してあるのだから御答弁に困ると思うから、その前にNHKにちょっとお尋ねをしておきますが、ここにあがっているのは累年累年たまってきたものをこうあげているわけですか、累年の蓄積がずっとあがっているわけですか。四十一年のときには、決算で赤字は幾らであります、未収金は幾らでありますというから、もうそれだけは取れないものだとわれわれは理解しているにもかかわらず、ここへあげたものは予定でありまして、またあくる年に回収しています、こういうのだ。そうすると、またその年になると、そういうものをトータルしておいてまたやるということになると、これはNHK創設以来ずっとたまってきた額がここに載っているわけですか。
  182. 志賀正信

    志賀参考人 御説明が不十分だったかと思いますが、決算書に載せております受信料未収金という欄に載りますものは、当年度の分だけであります。したがいまして、累積をして未収金に計上するという方式はございません。したがいまして、四十二年度末におきましては、ただいまお手元にあります資料の一七ページにもございますように、十億六千万円の未収金がございました。一方、これは翌年度一年間これをさらに追求する、取る努力をいたしまして、翌年度末の決算までにはこれを整理をしてしまいます。新たに翌年度はまた新しい未収金を計上する、こういうやり方でございます。
  183. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 ちょっといまのことを、昭和四十一年の決算と昭和四十二年の決算と続いて説明していただかないと、どうもその説明はわからないわけです。四十一、四十二だからちょうど四十一、四十二で、この提出された資料でそれと同じことをちょっと説明をしていただきたいと思うわけです。
  184. 志賀正信

    志賀参考人 四十一年度未収金につきましては……。
  185. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 この何ページにありますか。
  186. 志賀正信

    志賀参考人 お手元の決算書の活版刷りのほうの第六ページ金という欄がございまして、この受信料未収金は三億五千四百万円で、決算書に計上いたしてございます。この三億五千四百万円の内容はプラスとマイナスになっておりまして、三角がついておりますが、受信料未収総額が八億八千百万円でございまして、これに対しまして、引き当て金を先ほどの関連経費の中に入れまして損金に落としまして、引き当て金を五億二千六百万円計上いたしまして、その差額を純未収として三億五千四百万円と計上してございます。  これにつきましては、先ほど御説明いたしましたように、この八億八千百万円という総額を一応未収の総額として持ち越しますが、明年度末までに翌年一年間かかってもなお取れないだろうというものをこの年の収支の中から五億二千六百万円だけは引き当て金として予定をするわけでございます。  で、三億五千四百万円の純未収につきましては、翌年度取れる見越し額としてここに計上いたしましたので、これは翌年度一年間に努力をいたしましてこれは回収をいたしてございます。翌年の一年後の明年度末になりましてから、どうしても取れなかった分をこの欠損引き当て金と相殺をしてゼロにいたします。会計上からは一応消去をいたすわけでございます。そういたしまして、今度あらためて四十二年度中に発生をいたしましたもの一ただいま申し上げておりますのは四十一年度発生未収金でございますので、あらためて四十二年度受信料未収金につきましてまた同じような方法をとるわけでございます。
  187. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、四十二年度の六ページの受信料未収金の十億六千四百万何がしというものの中には昭和四十一年度の三億五千四百万円というものが含まれるわけですか。この五億二千六百万円というものが含まれているわけですか。どっちがこれは含まれているのですか。
  188. 志賀正信

    志賀参考人 四十二年度の決算書の中にございます御説明申し上げました一七ページにございます十億六千四百万円の中には四十一年度のものは一切含まれておりません。あらためて計上いたすものであります。四十一年度につきましては、四十二年度の決算に至りますまでに整理をしてしまいます。  その整理のしかたは、約三億円以上につきましては事実上回収をし、それから五億二千万円引き当て金を計上いたしました分につきましては引き当て相殺をいたしまして、四十一年度末のこの分につきましては四十二年度の決算時までに全部処理をしてしまいまして、四十二年度の決算に残りますものは、四十二年度に新たに発生をいたしましたものだけでございます。毎年そういう形をとっていくわけでございます。したがいまして、四十二年度のこの決算書には四十一年度のものにつきましては一切含んでおりません。
  189. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 とにかく、これはことし取れなくなったという断定を下すというのは、そういう内規か何かで、去年のが取れなくなったときは、ことしも取れなくなったときめるのか、去年のうちにきめるのか。これへ流れ流れておって、また五年前のやつをいまから取れば、ことしまた回収したことになりそうだし、この決算を見ていると。だから、決算というから、三角か何かできちっとつけているのは、もうこの年その金額は取れなくなった――決算書ってそういうものでしょう。
  190. 志賀正信

    志賀参考人 この三角をつけてございますのは、当年度末までには取れなかったが、明年度末整理するときまでに取れなくなるだろうという見越し額でございまして、それを引き当て金と称しております。
  191. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、ここに載っかっているのは、予算ですか、決算ですか。
  192. 志賀正信

    志賀参考人 これは欠損引き当て金の見越し額でございます。決算上の見越し額でございます。
  193. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、決算のときに取れなくなってしまったという純粋の額は、四十一年では幾らで、四十二年では幾らですか。
  194. 志賀正信

    志賀参考人 四十一年度末におきまして取れなくなってしまった、四十一年度分につきまして事実上取れなくなってしまいましたものは四億七千百万円でございます。これは決算上には、この前年度引き当て金を立てましたものと相殺しますので直接あらわれてまいりません。  それから四十二年度分につきまして最後に取れなくなりましたもの、すなわちこの三月、四十三年度末にそれを確定するわけでございますが、それは六億三百万円ございました。これは四十二年度分の決算をいたします際に、ここにございますように六億三千六百万円を見越し額として引き当てをいたしてございますので、その分と相殺をして四十三年度末に決算をして整理して、会計上からは姿を消すわけでございます。
  195. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは角度を変えてこの四十一年度財産目録、六ページを見ると、ここに出ている財産目録というのは、財産目録ではないわけですね。この中に四億七千百万円というのはどこに出ていますか。受信料未収金三億五千四百万円、内訳は八億八千万円、欠損の引き当て金五億二千六百万円、こうあるのですから、この年には実際は四億七千百万円の欠損でありました、こういうのだけれども、そういう数字はない。そういう数字はなくて、財産目録に載っかっている数字というものは、またこれは来年度変更されるであろうということがあらかじめわかっておるような財産目録ですか。
  196. 志賀正信

    志賀参考人 受信料につきましては、当年度末の未収金につきましてこれは翌年度以降に取る努力をいたすわけでございますが、まだ未収で決算時に残りますので取る努力をする、その見越し額のうちで、取れるものと取れないものと一応区別をして、取れないものについては見越し額の引き当て計上をするという決算の方式でございます。この引き当て金方式につきましてはそのほかにもいろいろやり方がございますけれども受信料につきましても、この未収金につきましても引き当て方式をとって、当年度の、発生した年度の損費に一応落とすわけでございます。そういう方式をとっております。
  197. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 要するに、今日時点において幾らの財産がある、幾らのなにがあるというのは、いまの説明ではぼくにはわからぬわけですよ。ここに見越しがまだ決算時に出ているということは。
  198. 志賀正信

    志賀参考人 見越し額を計上するという決算の方式でございまして、その見越し額は翌年度の会計でまた整理をされていく、こういうやり方をいたしてございますので、三月三十一日の決算時点におきましては未収の総額は幾らというふうにきめまして、そのうちで翌年度末までに実際に取れなくなる分を当年度の収入の中から使ってしまわずに、その分だけは見越し額として予定しておく、こういう方式をとっておるわけでありまして、見越し額の計上もまた決算の一つであろうかと思います。
  199. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私よくわからないから、郵政省でそれをよく説明してください。
  200. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 これは一般民間における貸し倒れ引き当て金と同じ性質のものだそうでありまして、一般の企業においてもこういった見越し額というものが認められております。これはそういった金額であります。
  201. 中井徳次郎

    中井委員 関連。  けさほど私も聞いて、時間をどうこうと言うからいいかげんにしておったのですが、どうもはっきりしません。援護射撃みたいな質問をして悪いのだけれども、たとえば五億円引き落とす――未収金に引き当てる金で引き落とすというので落としたのはいいのだけれども、帳面づらで五億円落としてしまって、そのうちなお取れるものは取るという努力をする。努力をすることについては、努力をするなとは言いません。そこで収入になったものを、思い切ってそういうものを雑収入のほうにして翌年の収入に繰り入れていくという形をとっておるのかどうか。それならば私は勘定科目としてはいいと思う。ところが、あくる年締めくくるようなことをやっていますからちっとも明確ではない。帳面を締めたところで、またその辺のところから収入がある、こういうことで、その金額も一億を突破するということであります。時間がないから私は聞きませんでしたが、先ほどの志賀理事の答弁によると、昨年あたりは十億を突破して――十億といいますと、いわゆるテレビの加入数で何方ぐらいになるか、私は相当な口数になると思うのです。そういうことと関連して、おそらくいま質問している同僚議員の質問もその辺のところにあるのではないかと思うのです。その辺のところが君たちだけでわかっておっても、一般の常識としてはわからない。決算というものはそこで帳面を締めてしまうのだから、翌年の収入があれば別の科目に入れる、その年の収入に入れるというのであればわかるのですが、その辺はどうなんですか。いまの説明によると、形は決算の予算だな、非常におかしいと思うのですが、どうですか。
  202. 志賀正信

    志賀参考人 御説明いたします。  どうも説明がまずくてたいへん御迷惑をかけておるようでございますが、ただいま電波監理局長から貸し倒れ準備金という形で御説明がございまして、一般の企業会計におきましての貸し倒れ準備金の形に当たるものがまさにこれでございます。貸し倒れ準備金といいます場合には、貸し倒れになる見越し額を予定をしまして、それを決算額に計上して、それを準備金と称して決算をするわけでございます。この場合には未収金の総額が十億でございますが、このうちで翌年度に取れる見込みのものと取れない見込みのものをまずここで区別をいたします。取れる見込みのものにつきましては翌年度回収に努力をいたしますので、また、事実そのとおりにおおよそ入ってきておりますが、取れない見込みのものにつきましても、従来の経緯からいいましておおよそ何%程度はやはり事故ものがあるだろうということは、この十億の中では予定がある程度つくわけでございます。それを、貸し倒れ準備金という性質でございますが、この未収受信料欠損引き当て金という形で、当年度の末におきまして一応先ほどの関連経費の中で支出をいたしましてここに引き当てをいたしておくわけでございます。翌年度に参りましてから、まず引き当て金に計上いたしませんでした分――純粋の未収金でございます。四十二年度で申しますと四億二千七百万円でございますが、これにつきましては鋭意努力をいたしまして、事実上回収をいたしてございますが、予定どおりに翌年度一年たちましても事故ものの未収が、前の年の分が残るわけでございます。約六億でございますが、これにつきまして、翌年度末に至りまして、決算の仕事といたしまして、前年度末の引き当て金と実際に残りましたものとを相殺をいたしまして整理をするわけでございます。これで四十二年度につきましては四十三年度の決算時に整理がついた、こういう形になってまいります。  これは四十二年度の問題でございますが、あらためて今度は四十三年度一年間の未収の問題がまた起きてまいりまして、これにつきましても、新たな問題として、四十三年度の決算時におきましておおよその見込み額で引き当て金、貸し倒れ準備金を計上しまして、四十四年一年間にまた取る努力をする、こういう形になっておるわけでございます。  非常にわかりにくい説明でございますが、以上でございます。
  203. 中井徳次郎

    中井委員 貸し倒れ準備金と違いますよ。その年だけはそうかもしれませんけれども、貸し倒れ準備金というものは、資本勘定の中に入れて毎年積み立てていくものだ。これは一年で清算されておるのじゃないか。基本的に違いますよ。そういう性格を持っておるととはわかる、一年だけ。貸し倒れ準備金はそういうものではない。何十億、何百億毎年足すものです。  ですかあ、これは経理のやり方の問題でして、不正だとかという意味じゃないのです。わかりにくいから、やはりその年にぴたっと落としてしまって、翌年さらにこれは未収金は回収する。それはまたほかの収入にあげるとか、前年度の分として別項であげるとか、雑収入としてあげるとか、そういうことにしておけば何でもないと私は思うのです。見込みどおりぴしっと落としてしまって、あとまた雑収入に計上すればよい。しかし、それにしても十億をこえるというふうな形になってくると、これはよほど内訳等も明らかにやって、国会あたりにも示してもらいたいというふうにも考えてみたりするわけでございます。  以上のことを意見を交えて、質問を兼ねて申し上げました。
  204. 志賀正信

    志賀参考人 中井先生からお話がございましたが、貸し倒れ準備金は、確かに過年度の分について引き続いてまいりますのでそのようなもの――御説明申し上げましたのは、私どものやっておりますのは翌年一年間についての貸し倒れ準備金のような方式をとって、たとえばそういう形になっておる、こういうことでございまして、いささか説明が不十分であったと思います。それから、さらに整理をいたしましてもなおかつ将来にわたって営業の面におきましては追求をいたしまして、取る努力をするわけでございます。す。翌年度におきまして取れた金は未収金と相殺になります。翌年度には引き当て金で一応整理しますので、翌々年度以降にもなお努力をいたしまして取れることもございます。実際に実例がございますが、これは先生おっしゃるように雑収入に計上いたします。そういうやり方でやっております。
  205. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 三年も前のものを追求して取ろうという善意はわかる。だから、もっと端的にいって、たとえば四十三年度の取るべきものが最終的にはそれだけ取れなかったかというこの傾向を示してください。私の質問のねらいはもっとほかにあったのですが、これではよくわからなくなったから三十九年度からずっと言ってもらったけれども、三十九年度に取るべきもので幾ら取れなかったか、四十年度取るべきものが幾ら取れなかったか。いまは二年がかり三年がかりで追求して取っておるようだけれども、その数字だけ言ってください。
  206. 志賀正信

    志賀参考人 それでは、いま決算で御提出申し上げております四十二年度受信料につきまして一番新しいところで申し上げますと、四十二年度末に取れなかったものは総額で十億六千万円ございました。これは三月末に締め切って四月一日に入ってきたというようなケースもございますが、とにかく三月末までに取れなかったものは十億六千万円ございました。これに対しましては、その後一年間に四億七千八百万円実際に回収いたしてございます。その取れなかった分につきまして、多少事務上の出入りがございまして、なお残りました未収金は六億三百万円でございました。これは四十二年度末につきましては、ことにこの間の三月末にこの六億三百万円が確定をいたしたわけでございます。その六億三百万円は四十二年度末にこの引き当て金をあらかじめ六億三千六百万円予定をしておりましたので、一年かかって実際に取れなかった分はこれと相殺をして四十三年度末に会計上からは抹殺をいたして会計処理をいたしてございます。そういう方式でございます。
  207. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 いよいよむずかしくなっちゃっうんだが、私の言うのは、たとえば三十九年度のは三十九年度に大部分受信料は取る、四十年度にいってまた若干取るであろう。どうもいまの話を聞いていると、四十一年度ごろにいってもまだ昭和三十九年度ごろのを取っているであろう、大体こういうように聞こえるんですね。  そこで私の尋ねたいのは、三十九年度の取るべきもので取れなかった額は最終的に幾ら、四十年度は幾ら――私はずっとそれかふえているんじゃないかと思うから絶対値を聞きたいわけです。あるいは、いま言う六億三百万の前年度、前々年度でもいいのです。
  208. 志賀正信

    志賀参考人 三十九年度に実際に取れなかった三十九年度分の受信料につきまして、実際に翌年にわたってなお取れなかったものは四億五千五百万円でございます。
  209. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 四十年からずっと言ってください。
  210. 志賀正信

    志賀参考人 四十年度未収金につきまして翌年一年かかって取れなかったものは四億一千百万円でございます。四十一年度分の未収金に対しまして翌年一年かかっても取れなかったのが四億七千一百万円で、四十二年度につきましては、四十三年度一年経過いたしまして、努力しましてもなお取れなかったものはただいま申し上げましたように六億三百万円ということで、漸次受信料の増額に伴いまして増加をいたしてきております。
  211. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それではひとつ、その未収の状況は詳細な一覧表をあとで資料として出していただくようにお願いをしたいと思います。  そこで私はお尋ねをしたいことは、最近はだんだん四億一千万、四億七千万、六億というぐあいに未収金がふえてきている。  このふえてきている中身を解析すると、これは二つあるんじゃなかろうかと私は推察をするわけです。その一つは、先ほど中野委員から質問があったように、公害的要素をもって未収金がふえていくという要素と、いま一つは、あまねく全国民に受信できるようにしなければならないというNHKの業務がまだ十分でないために未収があるのと、この二色になるのではなかろうかと思うのだけれども、その内容はどういうことでしょうか。新たに発生しつつある公害的要素、いま一つは、あまねく普及しなければならないのに普及してないからこういう問題が出てくる、その二つの要素じゃなかろうか。その内容と傾向は。
  212. 佐野弘吉

    佐野参考人 先ほど来お答えいたしましたので重複いたします点がありますので、概略で御了承を願いたいと思います。  未払い、これは支払い遅延でございますが、これは経済上の理由に基づくものが、四十三年の数字で御了解を願いたいと思いますが七万五千、それから常時不在等で実際に収納しがたい状態で推移いたしましたものが六万八千、計十四万件でございます。  不払い、払う意思のないというものの範疇に属するもので、これはいろいろございます。番組が偏向しているとか、NHKに対する理解がないというような形で九万件ほどございます。それからただいま御指摘航空騒音は、けさほど来お答えしますように大かた十五万件でございます。もう一つ、難視聴ということを理由にお支払いのとまっておるようなものが八千前後、大体こういう数字で、これらを合わせまして不払いが十二万件に近い、こういう数字でございます。
  213. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 未払いというのは、経済的事情とか、本人がどこかへ行ってしまってわからないとか、これは不可抗力的要素があったのではないかと私は思うのです。この不払いということは、払いたくないということなんですね。はっきり見えないとか騒音で聞こえないとか、あるいは難視聴でわれわれのところはNHKが入っていないとか、この不払いの傾向というものはどうなんですか、この不払いという大くくりにくくった場合の過去三十九年、四十年、四十一年、四十二年、四十三年のこういう傾向は。
  214. 佐野弘吉

    佐野参考人 三十年代につきましては手元にございませんので、あるいは後ほど提出をいたすといたしまして、四十一年、四十二年、四十三年で御理解を願いますれば、四十一年では不払い六万二千件、これが四十二年になりまして九万五千件、四十三年に至って十一万八千件という数字の推移でございます。
  215. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私は、未払いという経済的な事情のことで払えない、転居してどうも取れない、こういうようなものについては、これはまた不可抗力的要素があると思うのです。ところが、いま明らかに金額でいえば四十年が四億一千、その次が四億七千、六億というぐあいにだんだん金額がふえている。中身を分析してみると、積極的に払いたくないという意志だと思うのです。不払いというのが六万三千、九万五千、十一万八千、こういうようにだんだんふえてきておるという現実は、これはNHKの経営にとって、NHKのあり方にとって重大な問題を示唆しているのではなかろうか、こういうように考えます。その中をさらに分析してみると、新しい時代に応じて公害的要素もあるであろう、あるいはNHK解決すべき難視聴地帯を解決していなかったという要素と、この不払いには二つの要素があるのではなかろうか、こういうように考えます。どうでしょう、そういう判断は。
  216. 佐野弘吉

    佐野参考人 お答えいたします。  社会的な動態の複雑多岐にわたるのに伴いましていま御指摘のような傾向はいなむことができないかと思います。したがいまして、NHKにおきましては、過去、愛宕山以来料金をいただく部局につきまして、聴視者がNHKに入っていただくということで加入局というような名称でまいったわけでございますが、いま御指摘のような社会的な動向にも対応する意味で、営業局という局を、加入局をさらに発展せしめてそのような名前の局を設けまして、受信サービス、聴視者との定着、あるいはいま御指摘のありました一連の未収等に対する聴視者の御理解をいただくための常住不断の努力を傾けるというふうに対応をいたしておる現状でございます。
  217. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 おおむね時間が来つつあるようですから、また一般質問のときに質問をいたしたいと思います。この問題は私は非常に重要な問題だと思いますので、今後のNHKのあり方についても非常に重大な示唆をいろいろ含んでおるのではなかろうか、こう思います。  そこで、難視聴地帯を解消するために、従来は非常に小さい部分については共聴施設その他を積極的に進めてきたようですが、さらにことしはそれを拡大して、もっとNHKの負担を大きくしてやろう、こういう意図があるやに聞いておるわけです。従来の方針と、ことしから新たにやろうとする方針、大きなところだけでけっこうですからこの際ひとつ御発表をいただきたい、こう思うわけです。
  218. 野村達治

    野村(達)参考人 お答え申し上げます。  難視聴地域解消につきましては、置局で行ないます方法と共同受信で行ないます方法、両方あわせて考えてまいるということで従来もやっておったわけでございますが、今年度からは置局の非常に有利なところは置局でやりますし、それから共同受信の非常に有利なところは共同受信をもってやっていこうというふうに考えておるわけでございます。  今年度の置局の大体の基準としましては、三百世帯ないしは四百世帯以上というところを基準にいたしておりますが、それ以下のところで二百ないし三百世帯程度のところもございます。そういったところにつきましては、いずれが有利であるかという判断をいたしまして、置局または共同受信、どちらにいたしましても、NHKが設置するというような形で行なっていきたいというふうに考えておりますし、さらに二百世帯以上のところというのもたくさんございまして、こういうところで特に要望の強いところを逐次共同受信で片づけていきたいというふうに計画をいたして今年度進めております。
  219. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私の質問と違う。共聴施設はことしからまた制度を改めようとしている、その内容を聞かしてもらいたい、こういうことを言っているのです。
  220. 佐野弘吉

    佐野参考人 ただいま技師長からお答えいたしましたが、共聴施設につきましてのみお答えいたしますれば、本年度から、従来三十五年以降四十三年までとってまいりました共聴に対する三分の一の助成措置というものを改めまして、たとえば二百世帯以下で将来とも置局することのないと目せられる地区等につきましては、共聴施設をNHK自身が地元の聴視者ととも共同に設置をいたすという方策に変えまして、この点につきましてはすでに四十三年度の予算で御承認を得ておるところでございます。  内容的に申しますれば、本年六百の共聴施設を一応予算化いたしまして、これの共同設置方式といたしましては、大かた一世帯当たり二万五千円かかろうかと存じますが、そのうちの二万円をNHKが拠出いたしまして、NHKの第一、第三の受信をいたすアンテナ部分並びに各戸に有線でテレビジョンを送るためのいわゆる幹線設備、これは非常に性能のいい主伝送線路、同軸ケーブルということになりますが、これをNHK側において負担をいたしたい、聴視者におきましては大かた五千円くらいのお金を出していただきまして、民放のほうの受信をする部分のアンテナ並びにいまの幹線の線路からそれぞれの自分の家に引き込む引き込み線、その部分のみについて大かた五千円でもってこれに充てる、双方合わせて共同設置をいたす、また、将来とも日常的な保守管理は地元の聴視者の方々によってやっていただくといたしましても、NHKが将来置局に代替するものとしてこれらの画像の維持等のために基本的な機能を維持するための定期点検等の責めをも負おう、このように考えているのが四十四年度以降の共聴施設に対するNHKの新たな施策でございます。
  221. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それじゃこれで質問を終わりますが、最後に、前田会長、郵政大臣にお尋ねしますが、従来、共聴施設をやって、その保守費だ、何費だということで、共聴施設のものは一般のテレビ料金を納入したほかに共聴の維持費のために百円、百五十円みんな払っておるわけです。だから、その聴視者にとっては、同じ国民でありながらNHKの料金がその人たちだけは高いんだ、こういうぐあいに理解できるわけです。五十戸か百戸のものが共聴施設をやっておれば百五十円かそこらかかるものをみんな負担しておるわけです。三百五十円でいいものが五百円くらいその人は納めなければいけない、こういうことでございますが、いままでそういう施設を各個人に負担をさせてきたこと、そのことはNHKの財政上やむにやまれぬことであったかもしれません。しかし、だんだん財政事情も好転してくるということになると、NHKはあまねく国民に普及させなければならない義務を負っておるわけですから、そういう人々に設備をさせておいて、そうしてそういう人たちだけは受信料が高い、こういう状態は私は許されないのではないか、こういうように考えます。  したがって、来年あたりはさらに料金を下げる方向へという御意見もたくさんありますし、私もそういう意見を持っております。それがもし不可能の場合には、少なくとも共聴施設等についてはその維持管理費等はNHKが持ってやって、料金はみんな同じなんだぞ、こういうようにさせなければならいのではないか、こういうことが一点でございます。それは会長お尋ねしたいと思います。  それから郵政大臣にお尋ねしたいけれども、山間僻陬の地へ行けばNHKのローカルだけしか見られません、ましてや民放なんか見られません。こういうところがまだ非常にたくさんあるわけです。民放はペイしないからなかなか見られるような設備をつくろうとはいたしません。最近までは置局についてはNHKにだんだんくっついてやってきたのだけれども、最近ではペイしないからやらなくなってしまいました。そうすると、永久に民放なり何なりを見る機会を失ってしまうのではなかろうか、こういうように考えます。  そこで、あまねく電波の恩恵というものをそういう人々にまで与えるためには、やはりペイしないような奥のほうまで、山間僻陬の地まで、何らかの方法で見せる方法を考えなければいけない。置局、共同アンテナ、いろいろの設備があると思いますが、そういうことをやるためには、これは一つの問題提起ですが、電波というものは、私は国の財産ではないかと思います。電力会社が水利使用料を地方公共団体に納めていると同じように、電波にも使用料というようなものをある程度賦課して、そういう金でもって電波の技術的な研究あるいは難視聴地帯の解消、こういうようなものに充てれば、ちょうど地方財政でいえば地方財政平衡交付金というような意味と同じようなものになるのではなかろうか、こういうように考えるわけです。これは将来の電波法の改正とも関連があろうと思いますけれども、そういうようなことをして電波使用料等を、ある金額を国へ納めさせて、その資金をもって難視聴地帯の解消あるいは電波技術の改善というような方向に行くのが公平な立場ではなかろうか、こういうように私は常々考えておるわけです。将来の構想として郵政大臣、どうでしょう。  その二点を会長と大臣にお尋ねをしたいと思うのです。
  222. 前田義徳

    前田参考人 私といたしましては、お説のとおりでありまして、できればそういう方向に一〇〇%参りたいという考え方を持っております。  ただし、それには二つの問題点がございます。従来からの共聴施設との関係をどう調整するか、しかも、従来からの共聴施設の中には、営利を目的とした、NHK関係のないものも存在するわけでございます。その点と、第二の点は、関連的な問題でおそらく御審議になる問題といかなる関係に立つかという二つの問題がございます。それらを勘案しながら、今年度におきましては、御審議御承認をいただいた方針でただいま佐野専務から御説明申し上げたような方向でとにかく一歩前進しようというのが私の考え方でございます。
  223. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 NHKにつきましては、法律的にはっきりと全国あまねく見えるようにしなければならぬということが明記してあります。財政事情の許すようになる限り、できるだけ早くお説のような方向に持っていくべきである、こういうふうに存じます。  民放につきましては、法律的にはっきり書いてありませんけれども、しかし、事業の性質上当然そういうことをすべき社会的義務があると私は存じます。民放のスタートいたしました当初であれば別でございますが、最近は内容も非常によくなっておりまして、高率配当をいたしております。財政的にも非常に余裕があるわけでございますから、当然そういう方向努力するように指導してまいりたいと存じます。  なお、電波使用料等の問題につきましては、有力なる御意見として拝聴いたします。
  224. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 終わります。
  225. 井原岸高

    井原委員長 田代君。
  226. 田代文久

    ○田代委員 NHKに対して三点だけ御質問いたします。皆さん非常に腹が減っておられるようで御同情申し上げますが、非常に簡潔に御答弁願います。  昨年の三月、第五十八国会の本委員会で、NHKの四十三年度の予算案の承認案件に関連して附帯決議がつきました。その第四項で、これは同僚委員質問されたようだけれども、特に「放送法の精神にのっとり、表現の自由と放送の不偏不党を確保すること。」を決議いたしております。この決議に対してNHKはこれをどのように尊重してその放送改善につとめてこられておるのか、その努力なり改善された結果について報告を願いたいと思うのです。
  227. 川上行蔵

    ○川上参考人 昨年の決議あるいはそれ以前から、先ほど会長が申し上げましたように、NHKは常に公正、中正な立場をとっていこうという意味におきまして問題を考え、そしてそれを国民のために報道する、報告するという形をとって努力してまいっております。
  228. 田代文久

    ○田代委員 そういうことは何ら答弁にならないと思うのです。抽象的な、努力いたしましたではなくて、私は、具体的にその改善の結果どういう手を打たれたのか、どのように具体的に改善をされておるかということをお聞きしたいわけなんです。
  229. 川上行蔵

    ○川上参考人 問題に応じましてそれぞれの論点を論じていただける方に出ていただき、できるだけ多角度に、そしてその問題を掘り下げて扱っていきたいというような形で考えております。
  230. 田代文久

    ○田代委員 そういう抽象的な答弁では満足できませんが、質問を進めまして、共産党は、大学の紛争などの報道につきまして、学生とその組織の呼称、呼び方について、日共系とか反日共糸あるいは代々木系とか反代々木系とかあるいは日共系全学連とかいうようなことばがずっと使われている、これは非常に正確を欠いた不当な呼称であります。  この点につきましては、私たちとしましては、放送法の一条なりその他放送法の基本的な原則から言いまして不当であるということで、前田会長にも抗議並びに話しに参りました。各報道機関につきましては、正確にやっていただきたいという申し入れを再三やっておるわけなんです。これにつきまして、その後どのように改善されておるか、お伺いしたいと思うのです。
  231. 前田義徳

    前田参考人 ただいま御質問の点と関連しまして、第一の御質問についても私ども気持ちを含めてお答え申し上げたいと存じます。  四十三年の附帯決議の最後の項については、われわれの当然なすべきことであり、すでに放送法が制定されて以来われわれが常に心していることでありますので、あの附帯決議によって一そうその決心を高めるという点については一段とはっきりしてきた態度をとっているつもりでございます。  ただいまの御質問については、お説のとおり前国会におきましても御示唆があり、さらに御懇談を申し上げ、お知恵を借りたいということも私は申し上げました。そのお知恵も含めて現在検討しておりますが、なかなかやっぱり世俗的――新聞、通信その他全体を含めて、用語としては現在の用語が一番便利で妥当であるという点で、さらに御意見を含めた新しい用語をつくる問題については検討は続けておりますが、残念ながらまだ結論に達していないというのが実情でございます。
  232. 田代文久

    ○田代委員 これは便利であるとか、いろいろ努力しておるのだというようにおっしゃいますけれども、便利であるか不便利であるかという、そういう俗論的な考えをすべき問題じゃないと思うのです。実際に正確な、放送法にいっておるそういう正しい呼称であるのかどうか。そういう便利か不便利かということで言われますがために、これは共産党に限らず、たとえばほかの大衆団体でもその他でも非常に誤った形でずっとマスコミに広がっておる。社会的にも非常に大きな害悪を及ぼしておるのです。ですから、便利とか不便利じゃなくて、どのように正確にNHKが持っておる立場からこれをされるかということで、私は冗談めいて、これは非常に政治的な用語でありましたけれども、もしわからなければお知恵をおかしいたしますと言いました。その知恵は、何回も私はかしましたよ、実際に。ところが何ら改善がないということなんです。それから、まだ依然として研究しておるんだと言いますけれども、それは佐藤総理がしばしば言うような返答のしかたで、何ら責任のある回答じゃないと思うのです。何らNHKとしては研究努力されておるあとがない、私はこういうように考える。  しかし、とにかくまずその前に私ははっきりさしておきたいことは、こういう日共系とかあるいは代々木系とかあるいは反代々木系というような呼称、これが正当な呼称であると考えられるのか、あるいは不当なものであると考えられるか、その点をひとつ答弁願いたいと思うのです。
  233. 前田義徳

    前田参考人 正確な用語を使ってお答え申し上げることは、必ずしも完ぺきにいくかどうかは別といたしまして、ただいままでのところ、そうい5呼び方が国民の大多数に間違いなく理解されているというように、私どもとしてはいろいろな調査の結果考えているわけであります。しかし、いまの最後の御質問については、たとえば自由民主党についても自民党というような呼び方をしているわけでございまして、あるいは社会民主党に対しても社民党というような呼び方もいたしております。この点について、その立場からお考えになりますと、はなはだ不届きだという御意見も出るかと思い、また同時にそのお気持ちは十分私としても理解できます。しかし、いままで使いならされてきた用語、これとの関連理解が別のものになるということは、ただいままでのところ、私どもの立場から調査したところでは必ずしもその憂いはないように感ずるわけでありますが、しかし御要望もございますし、また、お説もお立場から当然のことと考えまして、そうしてそういう意味では御意見も承りながら、現在ほんとうに検討いたしております。過日も私は、結論が出光かという質問までしているわけでございますが、不幸にしてこの時点までにはまだその結論が出ていないということを申し上げざるを得ないのをはなはだ遺憾に存じます。
  234. 田代文久

    ○田代委員 自由民主党を自民党と呼ばれるということは、これは何も自由民主党の持っている政治的な性格なり内容を間違った形でしているわけじゃないのです。日本共産党を共産党と言われたからといって、何も文句は申し上げません。しかし、日共系とか反日共糸とか、代々木系とか反代々木系とか言われるそのことが、あなたはこれに対して何ら間違った概念なり感じを与えていないとおっしゃるが、そうじゃないのです。実際に、たとえば反日共糸というのは半分の半で理解している人がたくさんあるのですよ。ですから私たちは、これは正確な呼称があるのですから、たとえば、これは時間の関係で申し上げますけれども、私たちが言っているいわゆるトロッキストの学生暴力集団というのは、革マルとかあるいは中核派とかMLあるいはブンド、それから反帝学評というのは、これはもう彼ら自身が言っている。われわれはブンドだあるいは中核派だと、彼らみずからが言っている。そういう呼称がある。田代は田代、前田前田という固有名詞があるのです。だから田代は田代、前田前田とはっきり言ってもらえばいいのです。なぜそれをやられないかと私は言うのです。私はその点で、真実を報道する、厳格に守らなければならないと放送法に規定されたそのもとにおらねばならないNHKが、これは真実を報道しておらない、この責任は私は重大だと思うのですよ。ですから、それをはっきり私は固有名詞で言ってもらいたい。この点は私はNHKが一番おくれておると思います。  これは私たちは各新聞社などにも参りまして意見を申しました。ところが注意して見ておりますと、これは大新聞社なんかでも相当研究されて改善のあとが見えつつあるということを私たちは実際に見ております。たとえば代々木系とか日共系とかということを使わずに、あるいは反日共糸なんということを使わずに、過激派学生というようなことを報道で使われている部分が非常に多くなりました。たとえば治安情報なんかでも、以前は  日共系とか反日共糸と言っておりましたけれども、このごろはその点では過激派学生というような用語を使うことがふえております。ですから、少なくともこのNHKが報道機関として一般の機関とまた違った天下の公器であり、正確な報道を厳密にあなたがさつき答弁されておりましたような形でやられるという立場になれば、もっと真剣にやってもらいたいと私は思います。事実、私はこういう呼称というのは不当であり、放送法にこれは違反していると思います。ですから、そういう点は明らかにそれを確認していただいて、そうして即時そういう点は改めていただきたい。むずかしいことは何もないでしょう。中核派とか全学共闘とか、そのまま書いてそのまま言ってもらえばいいじゃないですか。そういうことを数えてくれとおっしゃいましたからはっきり教えます。ですからそれをひとつやってください。これは第一問の終わりです。  それから次には、NHKの国会討論会、放送討論会の問題ですけれども、先ほどおっしゃっていましたが、社会党のほうからも質問しておられましたけれども、また前田会長放送法の第一条、第四十四条を非常に厳格に自分たちは守ってやっているということを答弁されておりますけれども、現実にはそうはなっておらない。これを理解されていますか、されてないと私ははっきり申し上げたいと思うのです。実は私はNHKに調べていただきました。そうしましたところが、今国会の開会以来昨日まで、国会討論会について大体二十回やられております。その中で共産党が出たのが――この中で特別というのがありますが、これには書記長やら野坂議長が一回出ているということはありますが、そういう特別でない討論会には、十七回のうち共産党が出ているのはわずか二回ですよ。(「多過ぎる」と呼ぶ者あり)君は何を言うんだ。これはとにかく放送法のいわゆる第一条なり第四十四条でいっている精神に反していませんか。不偏、不党、真実、公正である、あるいは、少数意見はこれを尊重しなければならないというようなことを盛んにはっきり言って、なぜこれはそのとおりやらないのですか。これは公明党それから民社党の方にも援護射撃をしたいのですけれども、これは共産党じゃありませんけれどもやはり出方が少ない。これは公正にやるべきだと思います。これは今後やられますか、やられませんか。十七回やっておって、共産党がわずか二回ということは許されません。
  235. 川上行蔵

    ○川上参考人 いまお話がありました国会中のNHKの政治番組といたしまして、その中に二種類考えております。一つは国会討論会、一つは政治討論会と、そういう二つの中身を考えているわけでございます。  国会討論会は一応衆議院が中心になりますが、その週あるいは次の週の国会においてどういう問題があり、どういう議論の展開がしていくか、各党の国会対策委員長方々に出ていただくということをたてまえにして、問題に従って出演するようにしていただいております。それからもう一つの政治討論会につきましては、非常に範囲を広げまして、必ずしも政党の議員の方々ばかりではなくして、それぞれの党の責任の方とかあるいはその分野の代表の方々というような形において出演を願っている、そういう形でございます。  それで、いまお話がありましたように、この一月の国会以来二十二回そういうような形式の番組をいたしておりまして、その中に共産党の方には七回御出演を願っております。
  236. 田代文久

    ○田代委員 二十二回のうちに七回ですか。さっきもらった資料からいいますと違いますよ。その特別番組を除いてはこれは二回になっていますよ。事実そうなんです。
  237. 川上行蔵

    ○川上参考人 七回をそれでは順番に申し上げます。  二月二日、沖繩、安保の問題について、野坂党主が出ておられます。三月九日、大学問題について、宮本書記長が出ておられます。それから四月二十七日、国鉄運賃と参議院の運営について、というので春日正一議員が出ておられます。それから五月三日、安全保障への選択という特別番組において松本善明議員が出ておられます。同じくその再放送五月十日、松本議員が出ていらっしゃいます。それから五月二十五日、大学問題で五党幹事長、書記長に宮本書記長が出ておられます。それから六月八日、愛知外相訪米の評価というのに松本議員が出ていらっしゃいます。以上、七回でございます。
  238. 田代文久

    ○田代委員 NHK自身からもらった資料、これはきのう私がおたくからもらった何回出たかということの印刷物ですよ。これははっきりそこにおられますから――それはともかくとして、かりに七回といたしましても、それはあなた違反じゃないですか。     〔発言する者あり〕
  239. 井原岸高

    井原委員長 お静かに願います。
  240. 田代文久

    ○田代委員 五月十八日の国会討論会は会期延長の問題あるいは国会の運営の正常化の問題について、これは実に重要な討論会だったのですよ。ところがこの討論会にわが党は排除されました。ところがこれに対して、私たちはもちろんけしからぬと思いましたよ。しかし、われわれがけしからぬと思っただけじゃないのですよ。共産党本部へも私個人にもどのくらい電話やら何か来たかわかりませんよ。なぜ共産党はあの放送討論会には由ませんか、共産党はいわゆる国会の運営問題について、あるいは法案を非常に的確に掘り下げて審議してその内容を国民に知らせてもらいたいということを絶えず言っている、だからこの重要な討論会に共産党が出てきて発言するかと思っておると、共産党のさっき国会対策委員長とおっしゃいましたけれども、共産党には国会対策委員長林君がおるのですよ。林国会対策委員長がおるにもかかわらずこれには出ない。そのために、全国からなぜだといって、こんなに殺到してきましたよ。そうすると、こういう全国の聴視者、公衆が待ち受けているような討論会に共産党を出さぬというのは、明らかに、党の立場からだけではなくて、放送法の基本原則からいって公衆の要望を満たしておらない。このとおり放送法にはちゃんと書いてありますよ、公衆の要望は満たさなければならないと。これは当然です。そういう待ち受けておるようなこれに対してとにかくやらさぬということは、明らかに放送法の原則に反しておるし、したがって私は、そういう立場からいってはっきり答弁願いたいのですが、今後こういうことをやめられて、ほんとに厳密に放送法の原則に基づいて放送討論会などにはそういう差別なく出されるかどうか、はっきり答弁していただきたい。出されないとすれば、これは放送法に違反してNHKはそういうことをやるのだという証明になります。はっきり答弁をしていただきたいと思います。
  241. 前田義徳

    前田参考人 私も共感を持って伺っておりました。しかし、放送法四十四条の三項の四には、異なる意見が多いときにはできるだけ公平に取り扱え、特に「できるだけ」ということばがついております。第一条の原則、第三条の原則、これは原則の問題でありますが、取り扱いをきめた法律としては四十四条の三項の四が私たちにとっては一つの基準になっているわけでございます。
  242. 田代文久

    ○田代委員 それは、詭弁です。会長がそういうことを言われますと、私も詭弁らしいようなことを言わなければならなくなるのですがね。  意見が対立している問題については、できるだけ多くでしょう。放送討論会をやる前から共産党の意見が対立しているということがどうしてわかりますか。討論してやって初めてわかるのでしょう。事実、これはそういうことを意味しているのじゃないのですよ。「政治的に公平であること。」と第三項の二にいっておるし、原則を基準にやらなければ正しくないと私は思うのです。NHK自身が、NHKの置かれている立場からいって公正にやっておらないということに私はなると思います。その点で、NHKは今後そういうことを改められるかどうか。  それから、これは郵政大臣に質問いたしますが、こういう放送法に違反しておるようなやり方に対して、政府当局としてこれを改めさせる意思があるのかどうか、この答弁を大臣にお願いしたいと思います。
  243. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 放送法の精神に違反しておりましたならば、改めるように指導いたします。しかし、現在のNHK放送が違反しておるとは思いません。いまの会長の答弁どおりであると、かように存じます。
  244. 田代文久

    ○田代委員 前田さん、ひとつ答弁してください。大臣もそういう答弁はおかしいですよ。明らかにこれに違反しているじゃありませんか。
  245. 前田義徳

    前田参考人 「政治的に公平であること。」ということは、NHKを中心として、政治に偏見を持たざることということと表裏一体だと考えております。したがいまして、先ほど来の御質問に対しても、たとえば七〇年問題等との関連の御質問もいただきましたが、私どもとしては特別のことは考えておらないというお答えを申し上げたわけでございます。そういう立場で、それじゃ番組を個々の問題を中心として編成するときにどうしたらいいかという問題と今度は事実上関連してくると思います。編集権はわれわれに与えられているものというのが放送法の原則の精神だと思います。そういう意味でも、私どもは四十四条の三項の四の問題をできるだけ努力いたすことがわれわれの責任だと思います。ただいままでそういう意味で回数が少ない多いという御議論が中心になっていると私どもは伺っておったわけでありますが、この点についても、四十四条の三項の四のできるだけをさらにできるだけ私どもとしても努力いたしたい、このように考えております。
  246. 田代文久

    ○田代委員 はなはだ不十分でありますけれども、時間がありませんから第三点を簡単に申し上げます。  昨年の三月にこの委員会で、放送番組センターの問題について、センターの設立にNHKが二億円くらい出すといううわさがあるんだが、この点どうであろうかということを私は質問しました。これは御記憶があると思います。その際、前田会長は、民放関係が幾らお出しになるのか、それを承らなければ幾ら出せるかという問題の決定は不可能だと考えております、こういうふうに述べられておりましたが、とにかく放送番組センターにNHKが金を出すという意思は答弁されました。  現在これを幾らお出しになっておるか、それからまた、民放関係が幾らこれに出しておるかということをお聞きしたいと思うのです。
  247. 川上行蔵

    ○川上参考人 お答えいたします。  四十四年度の予算におきまして、民放関係から一億円、そのほかにあと一千万円ほど予定をいたしております。NHKからは三億円支出いたしております。
  248. 田代文久

    ○田代委員 大体この三億円というお金は非常に大きいと思うのです。私が聞いておるところでは、むしろこれを活用するのは民間放送なんで、大体NHKが出す金と民間放送が出す金はとんとんくらいにすべきじゃないかという話があったということを聞いております。ですから、NHKが三億円出すならば民放関係が三億円出すということに――私たちは出すこと自体に反対ですけれども、とにかく額からいいますとそういうことになるのです。いまの答弁によりますと一対三の割合ですね。民間放送がこれを最大限に活用する、それをわずか一億円しか出さぬのにNHKが何で三億円もの大きな金を出さなければならないか、また、どういう考え方でそれほどのお金をお出しになったのかということをお聞きしたいと思います。
  249. 川上行蔵

    ○川上参考人 お答えいたします。  NHKにも三億円出しました。同時に、民放に対しましても、いまお話がありましたように、民放御自身の利益になる、あるいは自分の番組を充実させることだからお出しになってはいかがですかという折衝をいたしておりましたけれども、民放は民放の事情があって本年度はこれしかいまのところは出せない、しかし、決して自分たちはこれを無視しているものじゃない、むしろこれを育成することこそ民放の責任であるということを今道民放連会長は先般の民放連の大会で述べておられます。そういう意味におきまして、今後の供出を期待してわれわれはこの仕事を援助、助長していきたい、このように考えております。
  250. 田代文久

    ○田代委員 きょうも決算についていろいろな質問がありまして私も質問したのですか、そういう決算なり金の使い道なんか非常に甘いと思う。何でこんなに三億円もの大きな金をこういう組織に出さねばならないのか。私たちは調べましたけれども、この放送番組センターの会長には、元経団連会長の石坂泰三さんがなっている。これは財界が教育番組提供の名のもとに、国民の思想、イデオロギーの面での支配に乗り出しているのではないかということが非常に懸念されるのです。そうすると放送の公正を非常に侵害してくるのではないか。それからまた、このNHKが組んだ番組をこれに流して、その番組が民間放送に使われる。その使われる場合に、民間放送はこのセンターに対し二千円から六千円、これはただみたいなあれで流して、スポンサーつきでやるというのでしょう。そういうことのために使う金を三億円も何で出すかということです。  それからまた、これは私は民放の労働者の人に聞きましたけれども、民放関係の労働組合なりあるいは労働者の人たちが、賃金のアップをしてほしいとか、労働条件の改善をしてほしいというような問題でストライキでもやられる。その民放の労働者がそういう強力な闘争体制をとることによって賃金のアップとか労働条件の改善が出てくる。ところが、こういう組織がありますために、これがそこからとにかく番組を流すということでストライキ破りになるというような結果にもなるので困るんだというようなことも言っているわけです。そういうような組織に対して、天下の公器であるNHKが三億円もの金を何で出すかというんです。単なる抽象的な一般的な、ただ放送というものが広がるためにNHKとして協力することは好ましいというような、そういう一般的な問題では解決できないと思うが、そういう点はどうですか。そういうためにこういう金を出す、あるいは民放で働いている労働者の持っている懸念については、そういうことはありませんか。
  251. 前田義徳

    前田参考人 ただいま具体的に個々の御指摘をいただいたような事実はございません。要するにに、番組の質の向上のために協力しようという考え方でございまして、とりわけNHKの番組を民放さんが放送してくださるならば、非常に言い方がまずいかと思いますが、私どもの番組をそのまま利用してくださる場合には必ずしも三億円を出す必要はないと思いますが、不幸にして、NHKの番組はかた過ぎるとか、いろいろな理由がありまして、あまり民放さんの御趣味とは合わないようでございます。  ただ問題は、放送番組の一般的な向上のためにいささかでも寄与できるとするならば、これは公共放送として当然協力する必要があるという点に限られている問題でございます。いわんや、たかだか四億一千万円ぐらいのもので民放さんの労働組合との関係を何とかしていくというような大それたことは事実上不可能でございますし、私どもの立場からいえば、さようなことは全く考えておらないというように御説明申し上げたいと思います。
  252. 田代文久

    ○田代委員 それは会長の主観的な判断であって、客観的にはそういうふうにまいらないと思います。たかだか四億一千万円とおっしゃいますけれども、これはたかだかではない、実にばく大な金だと私たちは思うのです。NHKが三億円、これはこの答弁を聞いていますと、NHKの世帯は一千億円だ、だから一割だってしれたものではないかというふうに考えられますけれども、国民全体から見ますればそうなまやさしい金ではない。三億円という金は、どういう根拠によって、――使い道がいまおっしゃるようなそういう正しい使い道になっておるのかどうかというようなことは、さっきも質問がありましたように、もしそういう金があるならば、当然これは料金の値上げをやめるべきだ、これが国民に対する、あるいは聴視者に対する誠実なNHKのとるべき姿勢だと思う。そういう点を考えていただいて、そうしてこういうことを簡単な形で、国民は何も知らぬというような形でやってもらっては困るということを申し上げて、質問を終わります。
  253. 井原岸高

    井原委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  254. 井原岸高

    井原委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、日本放送協会昭和四十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について、異議なきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  255. 井原岸高

    井原委員長 起立多数。よって、本件は異議なきものと決しました。  次に、日本放送協会昭和四十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について、異議なきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  256. 井原岸高

    井原委員長 起立多数。よって、本件は異議なきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 井原岸高

    井原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  258. 井原岸高

    井原委員長 この際、前田NHK会長より発言の申し出があります。これを許します。前田日本放送協会会長
  259. 前田義徳

    前田参考人 日本放送協会昭和四十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びに昭和四十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書につきまして御熱心な御審議をいただき、ここに承認の議決を総員に近い御賛成をいただいてお認めいただきましたことは、まことに光栄でございます。  私どもは、この審議を通じてお聞きいたしました御意見についてはさらに反すういたしまして、今後できるだけ一そう御趣旨に沿う方向努力いたしたいと思います。  まことにありがとうございました。
  260. 井原岸高

    井原委員長 次回は明十二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十三分散会