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1969-06-05 第61回国会 衆議院 逓信委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月五日(木曜日)     午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 加藤 六月君 理事 亀岡 高夫君    理事 志賀健次郎君 理事 中井徳次郎君    理事 森本  靖君       齋藤 憲三君    高橋清一郎君       内藤  隆君    羽田武嗣郎君       古川 丈吉君    水野  清君       森山 欽司君  早稻田柳右エ門君       武部  文君    三木 喜夫君       山花 秀雄君    米田 東吾君       中野  明君    田代 文久君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 河本 敏夫君  出席政府委員         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政省電波監理         局長      石川 忠夫君         自治省行政局選         挙部長     皆川 迪夫君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 達治君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川上 行蔵君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   池田 直和君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本放送協会昭和四十一年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書  日本放送協会昭和四十二年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書      ――――◇―――――
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和四十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びに日本放送協会昭和四十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の両件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 四十一年度と四十二年度の決算、本来ならば、これは別々にやりまして、かなり時間をかけるのがほんとうでありますけれども、まあ一応議事に協力をいたしまして一緒にやることになったわけであります。  そこで、まず最初会計検査院にお聞きしたいわけでありますが、格別、文書による指示事項はないということでございますが、なお、例年のごとく口頭指示事項があったのかどうか、ひとつ会計検査院のほうからお答え願いたいと思います。
  4. 小熊孝次

    小熊会計検査院説明員 お答えいたします。  昨日申し上げましたように、会計検査院におきまして検査いたしました結果、不当と認められる事項はございませんでした。  ただいま先生のおっしゃいました口頭指示事項でございますが、これにつきましては、われわれの検査の流れから申しまして、いろいろな現地検査あるいは書面検査あるいは実地検査の際におきましていろいろ疑問の生じたような点につきまして受検庁側といろいろ協議をする――この点はどうであろうか、そういうような点について検討するということはございます。しかしながら、そういう問題につきましては、持って帰りまして、そうして、それにつきましていろいろ検討を加えた結果、これはさしたることではないというようなことになります場合が相当ございます。そういうような意味でのことはいろいろございますが、これは検査院として公式に申し上げる、こういうものではございませんので、検査報告その他には全然書いてございません。そういうような状況でございます。
  5. 森本靖

    森本委員 それでは、会計検査院のほうでは不当、不正事項はない、口頭指示事項については今後の検討問題についての口頭指示事項だ、こういうことになりますから、一応この会計検査そのものにおける大綱の問題については問題がない、こういうふうに理解をするわけであります。  そこで、今回の四十一年度と四十二年度のこの決算に関連をいたしまして、私は放送問題について若干質問をしたいと思いますが、今度の国会公職選挙法の一部を改正する法律案が上程せられておるわけでございます。これについてはかなり技術的な問題を検討しないと非常にむずかしい問題が多いわけでございます。そこで、本来ならば自治大臣に来ていただきたいところでありますけれども、せっかくきょう選挙部長が来られておりますので選挙部長にお尋ねをまずしたいと思います。  この公職選挙法の一部を改正する法律案について、国会に上程されておりますけれども、第百五十条、さらに第百五十条の二というふうなテレビ放送関係をする事項については、郵政省当局、さらにNHK民間放送というふうな各方面の意見を聞いてこの法案をつくったのかどうか、まずそれからお聞きしたいと思います。
  6. 皆川迪夫

    皆川政府委員 お答えいたします。  御承知のように、選挙放送については、放送法上は各候補者について平等であれば何ら制約をいたしておらないわけでございますが、選挙法でこれをきびしく制限をしております。それが時代の状況に合わないのじゃないかということで、実は当初、自主放送で、公職選挙法上の放送制限を解除していったらどうだろうかということから考えたわけでございますが、郵政省あるいはNHK等協議しました結果、むしろある程度形式化された一定方式によって行なう公営選挙放送のほうがいいじゃないか、こういうことになったわけでございまして、十分に連絡をとっておるつもりでございます。
  7. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、まず、百五十条の第一項の中に今回は「録画し」というふうに入れられておるわけでありますけれども、これは従来のラジオ放送と同じように、その候補者が要するにNHKなり民放、どちらでもと、こういうふうに選ぶわけですか。
  8. 皆川迪夫

    皆川政府委員 この点については政令に委任をいたしておりますので、放送当局のほうとよく相談をいたしまして、地区ごとに、この地区についてはNHKに何回とか民放はどういうところを選択するということを具体的にきめてまいりたいと思っております。
  9. 森本靖

    森本委員 これは本来公職選挙法特別委員会でやらなければならぬことでありますけれども、おそらくこういう問題について審議する時間がないと思いますのでお聞きをしておるわけであります。  その政令でやるということでありますけれども、各地区選挙管理委員会においてこれを相談するということでありますけれども、第百五十条の第一項のこの規定からいくとするならば、全国画一的な方向をとらなければ公正な選挙になりません。だから、この「録画し」ということを入れた場合は、現在のいわゆる録音放送をやっておると同じように、それぞれ民放なりNHKを選ぶ権利が各候補者にあるかどうか、こういうことを聞いておるわけであります。
  10. 皆川迪夫

    皆川政府委員 原則的にこの法律によって、たとえば民放候補者希望した場合には応じなければならないという強制をするわけにはまいらないと思います。  したがいまして、候補者希望が全部ある一つの局に集中をするとかいうことができてまいりますと、放送番組編成上非常にむずかしい問題になってまいりますので、やはりNHK民放にある程度振り分けをするということが必要であろうかと思います。
  11. 森本靖

    森本委員 それは東京あるいは名古屋近畿における問題であって、各地方における問題についてはそういう問題はありません。各候補者NHKだけを指名いたしましても、あるいは民放だけを指名いたしましても技術的に全然問題はありません。だから私が聞いておるのは、どういうふうにこれをやるのか、これはやはり選挙を行なうについては非常に重要な面ですから、法律をここに提案している以上は、そこに何らかの腹案があると思うから聞いておるわけであります。  たとえば四国四県につきましては、候補者NHKを選ぼうと民放を選ぼうと、これはかってに選んでけっこうゴールデンアワーの時間でやれるわけであります。ただできないのは、この間来私が言っておりますように、東京なりあるいは近畿なりあるいは名古屋というところだけに限られるわけであります。だから、そういう点について一体どういう考え方を持っておるか。現在のラジオ録音放送については、東京でも候補者が自由に選定をしてもでき得る機能を持っておるわけであります。そこで、たとえば東京なら東京は違った方式をとる、しかし、その他の四国地方についてはそれぞれかってに選ばすということになりますと、これは選挙の公正を欠くと思います、地域地域によって別々にやるということになるとするならば。だから、そういう点をどういうお考えに基づいてこの法律をつくったか、こういうことを聞いておるわけです。
  12. 皆川迪夫

    皆川政府委員 基本的にはNHKのほうと――少なくともNHKがある程度やっていただきませんとこの法律は成立をいたしませんので……。民放につきましては、個々会社ごとにどういう状況でやるか十分にまだ相談ができておりません。したがって全部の民放が幾らでもお引き受けするということにはまだ至っていないわけでございます。ただ、地方については私たちもおおむね民放でやっていただけるものと思っております。この場合も、かりに四回の放送を認めるというふうにした場合に、全部特定のところに集中をするということになりますと番組編成上非常に支障を生ずる、やはり選挙の際に、ある程度放送する候補者の数が予定されませんと、番組を編成する技術上の問題があろうかと思います。したがって、少なくともNHKについては二回やっていただきたい、そのほか民放については選択でもってやっていただく、こういうことを一応腹案として考えておりますけれども、細部については、さらにNHKなり民放と、もちろん郵政省とも相談をしなければならないかと思っております。
  13. 森本靖

    森本委員 これは法案が提案せられておるわけであって、はっきり言いまして、この国会はいつ解散になるかわからぬ国会です。この法案が通って、かりに国会解散ということになれば、これはこの条項を適用しなければならぬ。ところが、この条項を適用するについては、かなり技術的にむずかしい面が多いわけであります。そういう技術的な面をだんだんと片をつけて、そしてここにこういう法案を提案するというならば話はわかるけれども、非常にこの点については私は疑問の点が多いと思う。  だから、選挙は公正にやらなければならぬ、テレビも使わなければならぬということは、これは与野党一致すると思います。それならば、一体技術的に、公正に公平にやるためにはどういうふうに使ったらいいかということを十分検討したあげくこの法案を提案しなければ非常に大きな矛盾があると思う。いま検討しておるということでは、私はこれは相当問題が出てくる、こう思うわけであります。だから、こういう点について私は、少なくとも最初民間放送NHKそれから郵政省を呼んで、そして技術的にかなり検討して、これでだいじょうぶだということになって始めるのが至当だと思います。だから、そういう点については、とにかくテレビ放送を行なうということはこれは与野党一致をしておりますし、さらにまた、こういうテレビ放送というのは国家的な行事でございますから、いわゆる総合娯楽放送というものは、民放といえどもNHKといえども、これは一つ放送法に基づいて公共的なものになっておるわけでありますから、ある程度制限を加えてもいいと思う。そうしないとこれは公正な放送はできませんよ。ゴールデンタイムであるから、そのときにはこれははずすというふうなことをやりますと、なかなかできない。だからこういう点について私は非常に疑問を持つわけであります。  さらに、この放送時間については大体どの程度考えておられますか。それから二十日間の選挙期間中にこのテレビ放送は何回考えておりますか。
  14. 皆川迪夫

    皆川政府委員 一回の放送につきましては、実は選挙特別委員会では十分程度必要じゃないか、こういう御意見があります。しかし、技術的に伺ってみますと、五分程度にして回数をふやしたほうがいいじゃないか、こういう御意見もあるようでございます。そういう点は本質的な問題でないと言っては恐縮でございますけれども、十分議論をして、最もいい時間帯がとれるように定めていったらいいんじゃないか。さらに、選挙運動期間中に何回放送ができるかという点でございますけれども、これは何日間行なうということでなくて、候補者について何回認めるか、それを具体的に選挙運動期間のどの辺に集中をしてやることが一番効果的であるかということを検討してまいりたいと思っております。これについては、むしろNHKなり民放なりの準備があろうかと思います。実際録画をとりまして、それを編集をして放送するまでに相当の時間がかかるようでございますから、あまり早くから始めるわけにはいかないかと思いますが、なるべく選挙に近い時期において効果的な時間をとりたい、かように思っております。なお、この法律は公布の日から三カ月以内に施行日政令で定めることになっておりますので、十分な準備期間はあるつもりでございます。
  15. 森本靖

    森本委員 十分な準備期間と言いますけれども、その準備期間中にこれを技術的に行なうということは、三カ月くらいでは私はなかなか困難だ、こういうように考えておるわけであります。大体私が聞くところによると、十分間で三回程度だというふうにいっておるわけでありますけれども、これが五分で三回になるのかあるいは十分で二回になるのかということによって非常に違ってくるわけであります。  そこで具体的にお聞きいたしますが、関東における選挙放送というものは一体どういうふうにやったらいいと考えておられますか。
  16. 皆川迪夫

    皆川政府委員 関東地区につきましては、実は当初こういう公営放送ができるかどうか非常に疑問を持ちまして、先ほど申し上げましたように自主放送で出発をしたい、こう考えたわけでございます。しかし、いろいろ協議しました結果、NHKのほうで関東でもやれるということになりましたので、その回数とか時間等についてはまだ最終的な段階には至っておりませんけれども、少なくともNHKが一回はやれる、これを二回にしてもらいたいという希望を持っておりますけれども、民放につきましてはこれから十分各社協議をいたしたい――いままでも全然協議をいたしてないわけではございませんが、まだ一致段階に至っておりませんので協議をいたしまして、先ほどお話ありましたように国家的な行事でありますから、なるべく協力をしていただくように期待をしておるわけでございます。
  17. 森本靖

    森本委員 関東NHKが一回ということになるとするならば、三回放送するということになると、おそらくあと民放局をかなり強制的にでもその一つの時間帯にこれを持つということにしなければ、これは不可能に近い。  だから私は、この公職選挙法における改正の場合は、この第百五十条をこういうように修正するとするならば、この法律を施行するにあたっては、テレビ放送については政府がある一定の時間を接収といえばどうかと思いますが、買い上げるなら買い上げるというふうな一項目法律的条項がなければ、これは民放関係は非常に利害関係があるわけでありますからなかなか困難だと思う。そういう点についても立法技術上そういう面を入れないと、特に関東あたりでは非常に困難な状況になるのではないか。だから、今回はおそらくそういう点については政令で、話し合いによってやる、こう言いますけれども、ある程度選挙放送というものを望む放送局と、それよりか娯楽放送をやったほうがましだという放送局とそれぞれ出てくると思います。  そこでNHKにお聞きいたしますが、関東で十分間で一回やった場合に、いままでのいわゆる衆議院における予定立候補者でどういう放送時間になりますか。
  18. 川上行蔵

    川上参考人 四十二年二月の実例を基本に考えてみますと、その当時およそ二百三十名が関東六県の立候補者の方でいらっしゃいました。その方々にお一人五分間ずつやっていただく、ラジオと同じように一回ずつやっていただきまして、およそ放送期間を十四日間ほどとりまして、一日に二時間半程度この放送のためにさくということでできるかと考えております。
  19. 森本靖

    森本委員 五分間で十四日間ということになりますと、当然十分間で三回ということになりますとすべての民放を使わないとできないという結果になると思います。そういう点について一体どういう話し合いをするだろうか。現行法律においては、その場合に民間放送局がこれを拒否した場合に一体どうなるのか、そこまで一体考えてこの立法技術をやったのかどうか、私は非常にこの点について疑問に思う。テレビでやるということはみんな国民が希望しているということでありますから、こういう法律をつくるなら、やっぱりそういう専門分野意見を十分取り入れて、直ちに実現ができるという形にまでしておいて法律案として上程するというのが私は至当だと思いますけれども、いまさら言ったところでしかたがありませんので、とにかく、そういう点については関東等においては非常にむずかしい点が多いわけでありまするから、このいわゆる施行令といいますか、実際にどういうように施行していくかという点については、関係各省、これは郵政省ですね、あるいは民放NHK協議をして早く一つの成案というものを得てもらいたい。今後の選挙様相というものは、テレビを使うということによって非常に私は変わってくると思います。たとえば十分間で三回テレビ放送をやった場合はまるきり選挙のやり方が変わってくると思う。しかし、テレビが五分間で一回ということになると、これまた変わってくる。そういう点ではこの内容は非常に重大な問題を含んでいるわけであります。だから私は、早急にこういう点についてひとつ実際にどういう形で行なうかということを検討してもらいたい。場合によってはもう一回私は公職選挙法特別委員会において行ないたいと思いますが、いまからひとつ確実な回答ができるように勉強しておいてもらいたいということを申し上げておきたいと思う。  それから全国参議院議員の場合、これは一体どうするか。要するに、この百五十条には全然民間放送NHKということを書いてないわけですね。そうでしょう。どうですか。
  20. 皆川迪夫

    皆川政府委員 民間放送でも、参議院全国区、地方区、衆議院を全部ひっくるめて書いてございますので、全国区についてはNHK主体にした放送考えております。
  21. 森本靖

    森本委員 NHK主体にして考えているといっても、法律にはNHKということは書いてないのでしょう。民間放送でもいいということになっておるわけでしょう。
  22. 皆川迪夫

    皆川政府委員 この点については、個々選挙ごと政令でどういう書き方をするかということでございますけれども、私たちとしては、民間放送ネットワークにして全国放送をすることは非常に困難であろう、少なくとも当分の間は困難であるだろう、こういうふうに思っておりますので、もちろん協力をしてやるということになってくれば別でございますが、NHK主体にした規定のしかたをいたしたい。現在、御承知のようにラジオ放送につきましても各地区ごとに普通三回でございますけれども、地区によっては二回というところもございます。したがって、選挙の種類によってその実情に合うように法律の仕組みをつくったほうがいいのじゃないか、こういうふうに考えております。
  23. 森本靖

    森本委員 これは参議院全国区の場合もテレビ政見放送を行なうということになれば、NHKに限るということを法定化してもいいわけですよ、現実民間ネットワークではできませんから。しかし、それじゃそこに、民間放送をおれはやるのだ、やらしてくれというような変わった人が出てきた場合に、一体法律的にどうするか。  そこで、たとえば第百五十条の二の項に「特定商品の広告その他営業に関する宣伝をする等いやしくも政見放送云々という項をおそらく入れたと思います。しかし、この罰則は罪の項で罰金が二十万円ですね。たとえば、罰金二十万円くらい覚悟して、私は何々のまんじゅう屋でございます、私のところのまんじゅうは非常にうまい、まんじゅう屋のだれそれです、こういうふうな放送をされた場合、一体これが第百五十条の二に該当するかどうか、自己紹介をした場合、商品宣伝はしない、これは私は、第百五十条の二はつくってみたものの、これを適用するということは非常にむずかしい問題になるんじゃないか。それからもう一点は、この罰則は、かりにほんとうにいわゆる商売根性に徹した人であるとするならば、二十万円くらいの罰金を覚悟して放送すれば、ずっとそのほうが率直に言ってもうかるということにもなるわけであります。いまのテレビスポンサー料からいくとするならば、こういう点を考えながらこれをつくられたのかどうか、これも非常に私は疑問に思うわけでありますが、これはきょうはお聞きいたしません。  それから第百五十一条の三ですね。第百五十一条の三において、いままでは報道はこれはやっておりましたけれども、評論につきましてはこれは一応やっていなかったわけですね。今度これについては評論が行なえるということになったわけですね。  そこで、この評論についてはあとただし書きがあります。「虚偽事項放送し又は事実をゆがめて放送する等」云々ということがありますけれども、現実にこれを許すということになりますと、これは新聞ラジオテレビの違いがここにあるわけでありますけれども、いわゆるテレビラジオというものは一つの有限的なものであります。新聞というものはこれは一応無限的なものであります。それがために、これは一つ施設免許という形において放送法においてなされておる。そういう点からいくとするならば、現在の放送については政治的な社説はないわけであります。そこで、これを悪用すると非常にこれは危険な問題が出てくるわけであります。たとえば、ある候補は非常に強い強いということで、最後まで強い強いと言ってしまったならば、強いなりにぽかっと落ちるときがある。これは弱いけれども、もう少し、一押しで当選、こういうふうな報道をしてもらったら一番いいのであります。ところが、これを報道することはここで自由に許せるわけでありますから、それは虚偽事項でもなんでもないわけであります。これは言論の自由自由といいまするけれども、こういう場合における言論の自由というものは、その使い方によってはどうにでもなるわけであります、公正なるべき選挙が。その辺の判断をこの第百五十一条の三ではどういう判断をせられてやられたのか。確かにただし書き虚偽事項もしくは云々ということがあって、これに対する罰則はありますけれども、とにかくあの候補は相当強い、しかも絶対確実だということで言ったことが虚偽事項だとは言えません。かりに落選しても、そのときは強かったと言えばそれまでなんだから、だからこの放送は非常にむずかしい放送になると私は思うのです。あえてそういうむずかしい放送をここに入れたということについてはどういうふうなお考えか、それを聞きたい、こう思うわけです。
  24. 皆川迪夫

    皆川政府委員 御承知のように、報道評論も含めまして番組編成の権限というものは、原則は放送法に書いてあるわけでございます。選挙法そのほかの分野において特にこれに制限を加えていないのでございまして、ただ現在加えてあるのは、候補者選挙運動のための放送をさせてはいかぬ、こういうことが公職選挙法にあるわけであります。したがって、現行法でも報道評論の自由、これは番組編成の自由に基づいて私たち放送当局にあるものと考えております。ただ、従来の例からいたしますと、相当良心的に報道をいたしましても、いわゆるほんとう選挙をなさっているかどうかと思われるような方々から相当文句を受ける、こういうことがございまして、やはり明確にしてもらいたい。報道評論の自由は私は放送法の上から現在もあると思っておりますけれども、それをこの際明確にしたほうがいいじゃないか、こういうことがかねてからの議論であったわけであります。選挙放送を取り上げるこの際、これを明確にいたしたいという趣旨から挿入いたしたものでございます。
  25. 森本靖

    森本委員 これはいままでは報道は行なっておったけれども、評論については各テレビ放送局も遠慮して、やっておりません。確かに客観的にこれを報道するということはやっておりましたけれども、これを的確に評論をしていくやり方はやっていなかった。その辺が新聞とはだいぶ違うのですよ。しかし、ここではっきりと第百五十一条の三においてこれは許可――許可ということでないけれども、法律的にもはっきりやれる。いままでの放送法番組のいわゆる編集の自由という点からいきましても、不偏不党、公正中立でなければならぬというところからいくと、選挙評論というものは放送しにくいのですよ。だから、各テレビ放送局の場合も、この選挙についての評論はかなり遠慮してやっておったわけですね。ところが、この条項ができればかなり大っぴらにやれるということになるわけです。だから、その辺あなたの解釈と私の解釈とはだいぶ違うわけでありますけれども、私のほうとしては現実にいままでやってきた内容からして言っておるわけです。そういう点で、ひとつこの点についても十分に今後のこの条項の質疑の過程においてまだ明らかにしていかなければならぬ点が多いと思います。  それから、もとへ戻りますけれども、第百五十条の二ですね。たとえば第百五十条の二における禁止事項ですね。この禁止事項候補者が録画した場合、それを放送局がとめる権利がありますか。
  26. 皆川迪夫

    皆川政府委員 法律に違反した内容を持っておる場合には、放送局としてはやはり候補者に注意をして、違反はもちろん断定はできないかもしれませんけれども、そういうおそれのある放送については注意をして、できれば是正をしていただきたい、これは放送をする者の一つの常識的な立場であろうかと思います。ただ、法律的に申し上げますと、候補者はどうしても承知をしない、自分は放送をするのだ、放送をさしてもらいたいのだ、こういうことを最後まで要求されれば、放送当局としてはこれを原文のまま放送しなければならない、こうなっておりますので、あとは裁判で放送した候補者が罪を受けるかどうか判断される、こういうことになるわけでございます。
  27. 森本靖

    森本委員 これも非常に微妙なところですね。だから、そういう場合には、たとえば選挙管理委員会と連絡をとって、選挙管理委員会の権限に基づいてとめるとか、あるいはなんとかというようなこともやはり考えておかなければならぬ点があるのじゃないか。特に将来参議院全国区のテレビ政見放送なんということになってくると、これは考えておかなければならぬ問題じゃないかというふうに私は考えるわけであります。  それから第百五十一条の四でありますけれども、第百五十一条の四は、実質的には衆議院選挙のときにはほとんどできないのじゃありませんか。
  28. 皆川迪夫

    皆川政府委員 候補者の多い選挙については実際上無理であろうかと思います。ただ、これは候補者の非常に少ない選挙もあるわけでございまして、そういうものについて行なう場合のことを規定したわけでございます。これがあるから候補者の多い選挙についてもやるというたてまえをとっておるわけではございません。
  29. 森本靖

    森本委員 それでは聞いておきますが、たとえば衆議院議員の選挙のときでも、全国的に自主的にこの立会演説会を放送するということは無理だ。しかしながら香川、徳島、高知というようなところでは、自主的にやろうと思えばできるわけです。その場合に、全候補者が承認した場合には、これはよそがやらなくてもやれるわけですね。
  30. 皆川迪夫

    皆川政府委員 そういう条件のもとにまた放送会社のほうでそれを放送しようということになればやれるわけであります。
  31. 森本靖

    森本委員 その場合は従来と同じように、そうすると一人でも立候補者が拒否した場合はその自主的なこの第百五十一条の四の放送はできない、こういうことになりますか。
  32. 皆川迪夫

    皆川政府委員 法律的に申しますと、そういう条件はないかと思います。これはむしろ事実の報道としていたすわけでございますから。ただ、実際問題としては、なるべくいろいろな候補者の同意の条件をそろえて行なうことが適当であろうと思います。と申しますのは、立ち会い演説会の実況放送をする場合、いろいろな角度で、たとえば会場の選定とか、あるいはいろいろな映し方の問題であるとかいろいろございますので、実際上は候補者の同意をとったほうがいいと思うのですけれども、法律的にはそういうことはないわけであります。
  33. 森本靖

    森本委員 そこが一番大切なところですが、そうすると、この百五十一条の四の実況放送をするということについては、この放送業者、いわゆる日本放送協会、また一般放送事業者が選挙管理委員会協議をして、選挙管理委員会放送してもよろしい、そういう場合に、それでは一応放送しましょうということになったときに、ある一人の候補者が、おれは絶対に出ない、出ないからこれはだめだ、こう言ったときでもそれは今回は放送できるわけですね。
  34. 皆川迪夫

    皆川政府委員 実況中継ですから、もちろん立ち会い演説会を欠席されればこれは放送されないのはやむを得ないわけでございます。
  35. 森本靖

    森本委員 いや、立ち会い演説会で、要するに、わしはこの放送をしてもらっては困るという人が一人おったという場合、この条項からいくとするならば一これは前に現にあったわけですから、よく聞いておかないと。だから一人の者が、私はいやだ、こう言っても、日本放送協会もしくは一般放送事業者と選挙管理委員会とが協議をして、どこそこの会場は一番平穏にいきそうだから、一番平穏にいきそうな会場において実況放送をやるということをきめた場合に、その一人の人がいやだと言った場合はどうなりますか。
  36. 皆川迪夫

    皆川政府委員 御承知のように、放送法の精神からいいましても、候補者選挙放送をさせた場合、ほかの者から要求があったら断わってはいかぬという規定があるわけです。それから公職選挙法におきましても、事実の報道として行なうことについては制限を加えていないということでございますので、法律的に申し上げれば、私は、拒否をしたからといってほかの者ができないということはないと思います。ただ、御案内のように、立ち会い演説会の選択とか、あるいはとり方とか、いろいろな技術的な問題で問題もございますので、その候補者の中継放送について反対をされる理由等をよくお聞きになって、そして合理的な理由がある、あるいはこれを押し切ってやることが適当でない、こういう判断があった場合には、もちろんこれはやめるということになろうかと思いますけれども、法律問題と実際上の常識的な判断とのかみ合わせになってまいりますので、ただ法律的な解釈だけでまいらないと思いますけれども、一応法律的にはそういうことであろうかと思います。
  37. 森本靖

    森本委員 私は常識的な問題はそれはよくわかるけれども、最終的には法律的な問題になるわけですから、たとえば九人なり十人の立候補者がおった、そこで、あの会場は一番平穏にいく会場だから、そこの会場での実況放送についてやろうということになった場合、その中の一人の候補者が、おれの言うことは映してもらっては困るのだ、こういうふうにがんばったときに、これは法的にどうなるのか。単なる放送法あるいは公職選挙法以外に、いやがる者を映すということは一体どうなのか、こういう点です。
  38. 皆川迪夫

    皆川政府委員 私は、いやしくも公の選挙に立候補している方が公の場所において演説するのを映されるのを拒否するからといって、それに従わなければならぬということはないと思うのです。公の選挙に立候補して公の場所において演説をしている、その状況をカメラにとられることを拒否するというのはいかがかと思うのでございます。ただ、実際問題としては、選挙管理委員会はいろいろな状況考えて、その実況放送をすることは適当でないと判断をすれば、これは法律上の問題として選挙管理委員会はこの放送に同意しないということになろうかと思います。
  39. 森本靖

    森本委員 それでは、選挙管理委員会と一般放送事業者とNHKのほうと、そうして実況放送をやるということになれば、一名だけが拒否をしても全部放送する、こういうことですか。
  40. 皆川迪夫

    皆川政府委員 ただいまそういう意味で申し上げたのではないのであって、その拒否をする理由が相当の理由があって、これを押し切って放送することが適当でない、こういう判断をした場合には、選挙管理委員会としては放送をすることに同意をしない、こういうことになろうと思います。
  41. 森本靖

    森本委員 正当な理由というのは、たとえばそれはどういうことですか。
  42. 皆川迪夫

    皆川政府委員 最近の立ち会い演説会の状況を見ますと、これは個々の場所によって違いますから一がいには言えませんけれども、なかなか公正な演説会が行なわれないという状況の場合もございます。そういうような場合において、この場所において、こういう状況のもとにおいて行なわれることは困る、こういう正当な理由があれば私はそれを尊重すべきたろうと思います。
  43. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、私がいま言ったように、だれが見ても平穏に行なわれるという一つの会場を選定して、そうして立候補者も大半が承知をした、それから選挙管理委員会もよろしい、こういうことになった、ただ一人だけ、どうもおれはテレビの映りが悪いからいやだ、おれは演説がへただからいやだ――現にニクソンがそれを断わっておるわけです。だから、そういう点が今後出てくることはあり得るわけなんです。そういう場合に、法的な根拠は一体どうなるのか。たとえば十人の立候補者がおる、その十人の立候補者のうちの九人までがよろしいということになった、しかし一人の者はあくまでもいやだ、こういうことになった場合に、この第百五十一条の四によって、そんな者一人ぐらい反対しても実況中継放送をやるのかやれぬのか、それを聞いておるわけですよ。(「病気の場合もある」と呼ぶ者あり)それは、病気はしようがない。
  44. 皆川迪夫

    皆川政府委員 私はやはり、それを拒否される方の理由が、相当な理由があるかどうか、選挙管理委員会という合議的な機関があるわけでございますから、そこで十分に検討をして判断をすべきものであって、私のほうで、一人が反対するからこれは押し切っていいのだとか、あるいは、特定の想定した条件の場合に限ってこれを押し切っていいのだとかいうことはちょっと申し上げかねるだろうと思います。
  45. 森本靖

    森本委員 これも、だからそういう答弁でいくと非常にあいまいなところが出てきて、やはり争いになる点があると思うのですよ。これは私はかなり検討を要する問題ではないかと思う。だから、実際にたとえば十人なら十人のうち一名でもそれを拒否するということがあったならばできないということでは、もう実況放送はほとんどできないということになるわけです。だから、こういう点については私は十分に検討願いたい、こう思うわけでありまして、さらに、今回のこの公職選挙法の一部を改正する法律案の中におけるテレビを使うということは今回が初めてでありますから、これは非常に重要な内容になってくると思います。  それから、これをやれば選挙の様式が、先ほど来私が言ったようにやり方がまるっきり変わってくると思います。たとえば十分間三回やるとするならば、ほとんど街頭で演説するなどという必要はなくなってしまう。そういうふうに選挙の様式がまるっきり変わってくるというふうな重大な改正であります。  そういう点で、細部の施行の問題について非常に疑問の点が多いわけであります。そういう細部の疑問の点については、ひとつ早急に郵政省あるいはまたNHK民間放送話し合いをして、細部の施行的な問題を早急におきめ願いたい。そうでないと、われわれはこういう面では専門ですからある程度なれておりますけれども、初めてやる人はかなり大きな違いになる、こう思うわけであります。  そういう点で特に部長に要望しておきたいことは、非常に技術的な点でまだ未熟な点が多いわけでありますから、そういう点についてはひとつ早急に御検討願いたい、こう思うわけでありますが、どうですか。
  46. 皆川迪夫

    皆川政府委員 ただいま御指摘の点はまことにそのとおりであろうと思います。私たちも、実はこの法案の提出までに公職選挙法特別委員会与野党理事懇談会において一カ月にわたっていろいろ検討したわけでございます。いままで御指摘のありましたようないろいろな問題のあることもある程度承知しながら、とにかく将来に向かってこういう制度をスタートさせていこう、最低限度NHKの御協力によってやる見込みがあるならばスタートさせよう、こういうことになったわけでありまして、まだ十分な具体案を申し上げることができなくてまことに恐縮でございますけれども、いまお話のありましたような御趣旨で早急にひとつ民放にも入っていただいて協議を申し上げ、なるべく早い時期に具体的な姿を整えるように努力してまいりたいと思います。
  47. 森本靖

    森本委員 それでは、NHK決算関係をしてちょっと聞いておきたいと思いますが、前々から問題になっておりますところの新竜土町の土地、建物の現状はどうなっておりますか。
  48. 志賀正信

    志賀参考人 お答え申し上げます。  竜土町のアメリカ軍に使用提供を申し上げておりますものは、土地が二千四百九十三坪ございます。それから建物が二千七百二十四坪ございまして、これに伴っての構築物及び受配電、自家発電装置等の機械類がございます。
  49. 森本靖

    森本委員 現在の価格にして幾らぐらいになりますか。
  50. 志賀正信

    志賀参考人 現在価格で六億一千三百万円になります。四十三年度末の現在価格でございます。
  51. 森本靖

    森本委員 それで、この貸与料は四十一年、四十二年、四十三年と若干ずつでも変わっておりますが、これはやはり物価の上昇によって変わってきておるわけですか。
  52. 志賀正信

    志賀参考人 お説のように、毎年貸与料を若干ずつ増額をしていただいております。契約に基づきまして相続税、財産評価基準額等をもとにするようにいたしてございますが、それが年々変わりますので、それに従って賃貸料のほうもスライドするという方式で価格が改定されております。
  53. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、この新竜土町の土地と建物は全部貸しておるわけですね。
  54. 志賀正信

    志賀参考人 現在NHKが所有いたしておりますものは土地、建物全部貸与いたしております。
  55. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、いままでの貸与料が合計何ぼになりますか。
  56. 志賀正信

    志賀参考人 昭和四十一年度が四千二百七十一万六千円でございました。それから四十二年度が四千三百五十三万一千円でございました。四十三年度には四千四百十六万円をちょうだいいたしております。
  57. 森本靖

    森本委員 NHKはこれは持っておっても何もNHK自体としては必要のないものですね。
  58. 志賀正信

    志賀参考人 取得とこれを建てましたときのいきさつから申しまして、NHKの必要があって建てたものをお貸ししておるというような経過ではございませんので、今後の計画によりまして、早急にこれが返還になるような場合にはこれの転活用ということも十分考えられると思いますが、いまのところはほかに使用の道はございません。
  59. 森本靖

    森本委員 これはきのうも会長からお話がありましたように、新しい放送センターにかなり大きなものをつくるという計画があるわけでありますので、この新竜土町についてはこれは全然必要のないものですね。それで、この総額がいま言ったように六億一千三百万円という金額である、そして政府から出ておりますところのいわゆる借料が大体四千四百万円程度毎年出ておる、こういうことになれば、これは早急に政府に買い上げてもらったほうが、政府も得だしNHKも得だ、こういうことになるわけでありますけれども、現実に何でこれを政府が買い上げないのか、ひとつ大臣にその点お聞きしたいと思います。
  60. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 お説のような方向で処理したいと思います。
  61. 森本靖

    森本委員 大臣、簡単にお説のとおりの方向で処理したいと言われましたけれども、いままで三、四年以上かかってもなかなかできぬ問題でありまして、大臣がそういうふうに言われたからそれはけっこうでありますけれども、これはほんとうにできますか、大臣。これはなかなかいままで大蔵省がうんと言わずに、こういうほんとうに必要のない財産をかかえ込んで弱っておった。この委員会でやかましく言った関係もありまして、借料だけはようやく出ることになったというのが現状でありますが、会長、どういうお考えですか。
  62. 前田義徳

    ○前田参考人 私といたしましても、もし政府の諸機関がただいま御発言のような趣旨に御賛同いただけるならば、なるべくすみやかにこの部分を処理したい、このように考えております。
  63. 森本靖

    森本委員 これは所管の郵政大臣と会長意見がまさにぴったり一致いたしておりますので、ひとつこれは来年度の予算を審議するときには完全にこれができておるということを特に私は要望しておきたいと思います。  そこで今度は現在の田村町の旧館、新館ですね。これの建物、土地全部ひっくるめて、大体現在の評価額でどのくらいになりますか。
  64. 志賀正信

    志賀参考人 評価額につきましては直接のお答えにならないかと思いますが、まだ正式に評価いたしておりませんので評価額幾らというお答えはできませんでございますが、大体の調査を現在いたしておるところでございます。それによりますと、いろいろな見方がございますが、たとえば不動産協会の標準価格では坪二百五万円という数字が出ております。また、固定資産税の評価額では坪二百十三万円という数字が出ておりますので、できるだけ有利に売りたいということで、少なくともこれらの金額よりは有利な形で将来処分をしたいというふうに考えております。
  65. 森本靖

    森本委員 だから、それで総額が大体でいいからどの程度になるか、土地、建物で。
  66. 志賀正信

    志賀参考人 坪当たりの単価だけ申し上げまして失礼いたしましたが、二百五万円に見ますと、三千百二十四・三四坪ございますので、六十四億五百万円でございます。それから二百十三万円に見ますと六十六億五千五百万円、これは土地の値段でございます。建物につきましては、これは大体二十万円以下ではないかというふうに見ておりますが、かりに二十万円といたしますと二万五百九十五坪ございますので、四十一億六千万円ぐらいかというふうに考えております。
  67. 中井徳次郎

    ○中井委員 関連。  いまのは時価だろうと思いますが、帳簿価格はどうなんですか。現実の帳簿価格は幾らですか。
  68. 志賀正信

    志賀参考人 土地につきましては、帳簿価格は三億一千七百万円でございます。それから建物は、帳簿価格が現在の価格で四十一億一千五百万円でございます。そのほか構築物が二千五百万円及び機械器具、什器が三十三億五千三百万円ということでございます。
  69. 中井徳次郎

    ○中井委員 そうしますと、土地の帳簿価格は時価の二十分の一ですね。
  70. 志賀正信

    志賀参考人 土地につきましては、昭和二十八、九年ごろに再評価の法律が制定されましたときに、これに基づきまして再度にわたりまして再評価をいたしてございますが、その後価格を動かしてございませんので、おっしゃるような数字でございます。
  71. 森本靖

    森本委員 そこで、きのう会長が言われておったように、二十層のいわゆる新センターに取り次いでいくというふうな形のものをつくれば――大体でいいですよ。まだはっきりきまったものじゃないですから、およそどの程度な総経費を見込んでおるわけですか。会長でいいですよ。
  72. 前田義徳

    ○前田参考人 前回の当委員会でも一応の構想をお答え申し上げたとおり、大体百五十億前後という計算をいたしております。
  73. 森本靖

    森本委員 そうすると、この新センターはどっちにしても田村町のものは全部売ってしまわなければできぬ、こういうことに考えておられますか。
  74. 前田義徳

    ○前田参考人 田村町を中心にして、これを処理しながらその財源によって建設するというのが方針でございます。
  75. 森本靖

    森本委員 この新センターの問題につきましては、いずれ日をあらためて詳しく聞きたいと思いますが、いまの価格を聞いておりますと、大体百億前後、百十億ぐらいに売れるということで、そのほかにまださらに機械類が三十三億程度ありますが、この機械類の三十三億というものはかなり下がってくると思いますけれども、とにかく田村町を売れば新センターができ上がるという構想になってくると思いますが、これはしかしいろいろな問題が今後あると思いますので、次の機会にまたお聞きをしたいと思います。  そこで、今度は少し次元の低いことの質問をいたしますが、サテライト局ですね。これについては、いま対象戸数を最低限何ぼにいたしておりますか。
  76. 野村達治

    ○野村参考人 お答え申し上げます。  四十四年度につきましては四百世帯以上ということを目標にいたしておりますが、場合によりますと、三百世帯以上でありましても設置いたしております。
  77. 森本靖

    森本委員 いま現在は四百世帯以上、こういうことですか。
  78. 野村達治

    ○野村参考人 標準といたしましてそのようにいたしております。
  79. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、それ以下については、もう本年度から始めておるところの共同聴視で全部やる、こういうことですか。
  80. 野村達治

    ○野村参考人 四百世帯以下につきましては逐年この数が減ってまいると思いますが、あるいは三百五十世帯になり、さらに下がるということも考えられますが、非常に少ないところにつきましては共同受信のほうが有利でございますので、共同受信によりまして百世帯以下のものにつきましては実施していくことを並行して考えておるわけでございます。
  81. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、このサテライト局の最低限をどの程度まで見ておるわけですか。
  82. 野村達治

    ○野村参考人 これは多少不確定の要素がございますけれども、逐年サテライト局設備の経済的な建設ということを考えておりますので、共同受信のほうと経済的に比較いたしまして、ほぼ二百五十世帯くらいまではサテライト局のほうが有利であろうと一応考えておるわけでございます。
  83. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、現在四百世帯ということになりますけれども、二百五十世帯と四百世帯との間は一応共同聴視の運用についてはやりませんか。
  84. 野村達治

    ○野村参考人 共同受信並びにサテライト局建設、その両者のいずれをとるかにつきましては、その土地の状況その他を考えに入れまして判断してやっていくことを考えておるわけでございます。
  85. 森本靖

    森本委員 そうでありますけれども、一応現在は四百ということに押えておる。将来は二百五十まで下げていきたいということであるとするならば、その二百五十まで下げるところのものについては、かりにサテライト局ができるとするならば、今度できる共同聴視はいままでと違ってかなり恒久的なものですから、そういう共同聴視をやるということについては二重投資になるわけですね。だけれども、実際受信者としては早くやってもらいたいという要望が強いわけであって、その間をどうつないでいかれるのかちょっと疑問に思うわけです。
  86. 野村達治

    ○野村参考人 おっしゃるとおりな問題がございますので、できるだけ慎重にかまえまして、将来置局によるほうが有利であると考えられますところについては、現在すでに共同受信設備等があるところもたくさんございますので、そういったところにつきましては共同受信をふやしてカバーするというような方法をとっていきたいと考えております。
  87. 森本靖

    森本委員 これはひとつ運用を慎重にやっていただきたい。画一的な運用をやると非常に問題が複雑になってきますので、とにかく要望の強いところはひとつなるべく早くサテライト局なり共同聴視なり、どちらでも早くやっていくという方法をぜひとってもらいたい。場合によっては、NHKは受信料の納入のいいところからやっていこう、そういう考え方ではなかろうとは思いますけれども、それはNHKとしても受信料をもらわなければ成り立っていきませんから、そういう点も無理のないところもありますけれども、とにかくサテライト局をつくるということと共同聴視のやり方とこの運用よろしきを得ないと、残されていくところがだいぶ出てくるということを心配いたしておりますので、ひとつそういう点のないようにぜひお願いをしたい。  そこで、ちょっとこの書類をずっと見ておりますと、昭和四十一年度の財産目録貸借対照表損益計算書に関する資料の一五ページでありますが、一五ページの中の業務費で最後の備考欄に「テレビ共同受信施設助成件数が少なかったこと等による。」こういう説明があるわけでありますが、これはどういう意味ですか。
  88. 志賀正信

    志賀参考人 昭和四十一年度におきまして業務費で予定をいたしました先生御承知の共聴に対しまして、一件当たり約三分の一設備費の助成をいたしておりましたものでございますが、現在もこれを継続いたしておるわけであります。昭和四十三年度まではこの方式をとっておったわけでございますが、当時この方式によりまして予定をいたしました予算の件数よりも少なくなりましたので、その分の予算の残額があったということでこの業務費の残のおもな理由であったということをここに記述いたしたものであります。(「定足数不足」と呼ぶ者あり)
  89. 井原岸高

    井原委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  90. 井原岸高

    井原委員長 速記を始めて。
  91. 森本靖

    森本委員 それで、テレビ共同受信の件数が少なかったから余ったという金額は、この年度で幾らですか。
  92. 志賀正信

    志賀参考人 ちょっと御説明が足りませんでしたが、当時は予算で四億六千八百万円の助成金を計上いたしまして、助成の件数といたしましては七百八十七施設というふうに見込んでおりましたが、実際に行ないましたものは三億七千九百万円の助成総額でありまして、六百七十六施設にとどまりましたので、したがいまして約九千万円ばかりの残額が生じましたので、それがこの業務費の残のおもな理由でございました。
  93. 森本靖

    森本委員 志賀専務理事の説明ですけれども、ちょっと私はこれはおかしいと思うのです。大体この共同聴視の受信施設の助成は各放送局で予算がないから断わるというのが実際問題として多いのですよ。ところがここで九千万円、約一億に近いものが余ったと、こういう報告があっておるわけですけれども、現実NHKに対して共同受信施設の申請が一体どの程度あったのか、それから実際にこれがどうあったのか、私は非常に疑問に思うわけです。だけれども、これはこまかい数字を言わないとわかりませんので、この程度でおきますけれども、この点はNHKとしてもこんなに予算を余らすよりは、いわゆる受信者サービスという点からいって、もっともっと有効に使うべきではないか。この決算のあり方は、この項目については私はおかしいと思う。少なくとも一億円に近い共同受信施設の経費が余るはずないですよ。もう少しNHKが積極的に各受信者の意見を聞いたとするならば、こんなに余ることは私はないと思います、特にこれは四十一年ですから。この点はひとつ十分に事務的な問題において御検討願いたい、こう思うわけであります。  それから次に、今度のいわゆるテレビの音声の多重放送を大体十一月ごろから始める、こういうことでありますけれども、このテレビの音声の多重放送について、正確にいつごろから始めるのか、それからどういうふうにして行なうのか、その点をちょっと説明願いたいと思います。
  94. 野村達治

    ○野村参考人 お答え申し上げます。  これはただいま実験局の申請をいたしまして、七月から実験を始めることに考えております。これによりましてフィールドテストを行ない、あるいは受像機に対しますいろいろな妨害の問題等を調べまして、その結果に基づきましてある程度定時的に進めるというのは十月以降に考えておることでございます。
  95. 森本靖

    森本委員 これは大体すべてを多重放送にしたところで意味がないわけでありますが、いわゆる放送されておるもののどういうふうなものを多重放送にするつもりですか。
  96. 野村達治

    ○野村参考人 いろいろな用途が考えられると思いますが、一つには、吹きかえ番組といったようなものがございます。それからもう一つは、音楽放送等につきましてはステレオという利用方法が別途考えられると思いますし、それからまた、万国博のとき等におきましてはニュースあるいはそのほかのものにつきましてアナウンスメントを外国語で入れるというようなことが利用として考えられておるわけでございます。
  97. 森本靖

    森本委員 これは非常にいいことでありますけれども、現在の受像機のままではこれは不可能でありますから、この多重放送が受信できるためにどの程度かかりますか。
  98. 野村達治

    ○野村参考人 お尋ねの件はアダプターの値段かと存じますが、ある程度の数が製作されるということを考えますと、一万円程度で買えるというようなことになろうかと存じております。
  99. 森本靖

    森本委員 そういう点についてはメーカーあたりと連絡をとって、ある程度その製造の見通しを持っておるわけですか。
  100. 野村達治

    ○野村参考人 私どものほうの研究所からいろいろメーカーに試作を依頼いたしておりますが、まだ実験段階でございますので、具体的な製造をどこまでやるかという問題につきましては、メーカーとの間には正式な話し合いはいたしておりませんです。
  101. 森本靖

    森本委員 これは現在のカラーテレビの、特に外国映画等が放送される場合には、この多重放送になれば、おそらくこれをつけて見たい、聞きたいという人がたくさん出てくると思うわけです。そこで、七月からの実験放送はこれは実験放送ですからいいわけでありますが、十月からこれを本格的に放送するとなると、やはりある程度付属品をかなり製作ができるという見通しを持っていなければこれはNHKのひとりよがりになると思います。NHKのひとりよがりでやったって何にもならぬわけで、そういう点で、これは確かに進歩の方向だからやることは非常にいいわけでありますけれども、現実にそういう点については、製造メーカーその他とも連絡をしながら、本格的な放送が行なわれれば直ちにこの販売が行なわれるということでないと、本格的放送は行なわれたわ、実際にこれが付属機械が足らぬわということでは、これはNHKのひとりよがりになるわけであります。そういう点の連絡というものも十分に考えながらこれをやっていただきたい、こう思うわけでありますが、どうですか。
  102. 野村達治

    ○野村参考人 現在のところあくまで実験局ということでございますので、まだ実用化試験局あるいは本免許の段階には至っておりません。したがいまして、私どもとしましてもできるだけ慎重に事を進めていきたいと考えておりますが、これはおそらく白黒のテレビジョンあるいはカラーテレビジョンにいたしましても、初期の段階におきましてはやはり実験局からスタートをいたしておりまして、その間に逐次メーカーの側も用意を整えていきまして本格的な新設備ができるということになりますので、やはり同一歩調をとるというふうに考えておるわけでございます。
  103. 森本靖

    森本委員 そうすると、この十月というのは、七月が実験で、十月が実用化ですか。
  104. 野村達治

    ○野村参考人 この点につきましては、まだ私どものほうとしましてもあまりはっきりいたしておりませんが、郵政省とも十分御相談いたしまして、実験局のまま実際番組にそういったものを入れていくかどうか、あるいは実用化試験局にするかどうかということはこれからの問題かと存じております。
  105. 森本靖

    森本委員 郵政省はどう考えておりますか。
  106. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 私どもが考えております目標といたしましては、来年度の万博に間に合わせるように、それまでに実用化を目標に考えておりまして、それまでにただいまお話しのございましたアダプター等の規格につきましても技術審議会の結論を得て実用化することができるように、こういうことを期待しているわけでございます。
  107. 森本靖

    森本委員 それでは皆さんに、議事に協力をいたしまして結論に入りたいと思いますが、一つだけ電波管理局長に聞いておきたいと思います。  この間のITUの会議において、アジアの諸国から中波に対する要求が従来の中波に対する要求以上に出てきた、こういうことがいわれておりますが、その実情はどうですか。
  108. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 お答えいたします。  ただいまお話しのありましたことを私ども聞いておりますが、現在のところ、私ども日本におきまして使っておりまする中波の波も、いろいろ外国混信を受けまして十分に使える波が少ないというときでもございますので、この点につきましては、今後慎重に検討をいたしまして対策を立てていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  109. 森本靖

    森本委員 これは今後の日本がやろうとしておるところの広域圏の中波放送にも非常に関連をしてくる問題であるので、なければしかたがありませんけれども、できれば、各国からの要求のあった周波数、それからどういう国がどの周波数を要求したか、それをひとつあとで資料で御提出を願いたいと思います。  それから、最後に大臣にお聞きしたいと思いますが、今度の社会教育審議会のいわゆる教育放送についての答申が出ておるわけでありますが、これについて郵政大臣と文部大臣との間においていわゆる話し合いが行なわれると思いますが、ここで一番問題になるのは、やはり大学というものに対するところの通信大学、放送大学、こういうものを一体どういう形で置くかということが一番大きな問題になってくると思うのですが、そういう点について文部大臣との間における話し合いはまた行なわれておりませんか、それとも話し合い中ですか、どうですか。
  110. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 通信大学を実現するという方向で、いま郵政省と文部省の関係者が連絡協議会というものをつくりまして、先月下旬から事務的な打ち合わせに入っております。
  111. 森本靖

    森本委員 これは日本の将来にとりましても非常に重要な問題であろうと思います。ただ、いま大学問題があちこちでこれだけ大きな問題になっておりますけれども、この放送大学というものがかりにでき上がるとすると、かなり変わった形にもなると考えるわけであって、一体、この大学放送というものについてはそれをどう行なうか。たとえば技術面だけをNHKにやらして、放送大学というものは別につくるのか、あるいはまた、にこれをつくっていって、内容については各県ごとにそれぞれ違ったものになるのか、あるいは各ブロックごとになるのか、あるいはまた、その学校の内容については一体これをどうするのか。そういうふうな問題が非常に大きな問題になろうと思います。  だから、これは軽々に、簡単に文部省と郵政省とが相談をして、与党の意見をちょっと聞いてきめてしまうというふうな形ではなしに、これは日本の将来の教育の問題にもかかってくると思いますので、これはおそらく与党には十分相談をすると思いますけれども、こういう問題については野党にもある程度事前に連絡をして、こういう問題はできれば超党派的に推進をすることが最も望ましいことであると考えるわけでありますが、この点についての大臣の見解を聞いておきたいと思います。
  112. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 文部省のほうもこの問題につきましてはもう数年前からずっと研究をしておったわけでございますし、郵政省においてもしかりでございます。また、NHKににおきましても長い間の研究の成果がございます。いよいよ機が熟しまして最後の段階にきたわけでございます。いま取りまとめておる最中でございまして、近く結論が出ると思いますが、もちろん事、将来の大きな問題でございますので、できるだけ各方面の意見を聞いてやっていきたい、かように考えております。
  113. 森本靖

    森本委員 現在の大学の紛争を解決する問題について、総理大臣においてすら各党の意見を聞いた。もっとも、これは意見が合わなかった、しかし、これはまた大きな問題であったけれども、それと別に、この放送大学という問題になりますと、これは私は案外意見一致する点が出てくるのではないか、こう思うわけであります。だから、そういう点を十分に考慮せられまして、いま大臣は各方面の意見というふうに言われましたけれども、各方面の意見を聞くと同時に、政党の段階においても事前にそれぞれの意見を十分に聴取をして、こういう問題についてはできる限り超党派的に立法をされるようにということを最後に強く大臣に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  114. 井原岸高

    井原委員長 水野清君。
  115. 水野清

    ○水野委員 先ほど森本委員からの質問がありまして、会計検査院検査の結果、不当事項はなかったというお話でございます。そこで、それにふえんしまして、会計検査院NHKに対して検査をしておられるが、どういう方法で検査をしておられるかということを承りたい。
  116. 小熊孝次

    小熊会計検査院説明員 お答えいたします。  日本放送協会に対します会計検査院検査といたしましては、大きく分けますと、書面検査実地検査と二つに分かれるわけでございますが、書面検査につきましては毎月合計残高試算表、それからその添付書類――その添付書類には一千万以上の工事に関する契約書とか、それから、設計書、あるいは工事金額をきめます積算の基礎であるその積算の内容、こういうような書類を添付して出していただきます。それから工事以外の契約につきましては、五百万円以上のものにつきましてはただいま申しましたような内容の書類も添付していただく、こういう添付書類をつけまして、そうして計算書をお出しいただく、これにつきましてわれわれの上席三部門で担当しておりますが、その調査官がよく検査をする、こういうたてまえになっております。  それから実地検査でございますが、これは人手の問題あるいは旅費の問題、いろいろございますので、全体にわたりまして一年のうちに回り切るということはできません。そのうちで、本部はもちろんでございますが、各中央放送局その他の局を選びまして、ただいままでの四十一年、四十二年について申しますと、四十一年は八局回って検査をしております。それから四十二年度におきましても十一局検査をしておる、こういうような状況でございまして、その実地検査におきましては、具体的な、書面検査ではできないような検査をしておるわけでありまして、工事で申しますと、出来形がうまくできておるかどうか、こういうような検査もございますし、それから物品の購入とかそういうものにつきましても、その出納関係がどうなっておるかという点も検査いたしておるわけでございます。  そういうふうに、書面検査とそれから実地検査と合わせまして、われわれといたしましてはできる限り日本放送協会の経理がうまくいっているかどうかということにつきまして毎年検査をしておる、こういうような状況でございます。
  117. 水野清

    ○水野委員 よくわかりました。  そこで、この決算の内容については、一応森本委員からの質問もありましたし、会計検査院の報告を了としまして、NHK決算の問題が出ておりますので、NHKということで関連をして会長に二、三伺いたいのですが、来年の三月から開かれる万国博覧会、これに対してはNHK放送事業の面でどういう協力をしておられるか。それからもう一つ、この放送計画などもあわせて御説明をいただきたい。  時間がないようでありますからついでにもう一つ伺うのでありますが、札幌の冬季オリンピックの開催を控えております。これに対する放送計画その他もどういうふうに考えておられるか、あるいは、万博は通産省所管でありますが、オリンピックの委員会その他との連絡というものをどういうふうにやっておられるかということをあわせて伺いたいと思います。
  118. 川上行蔵

    川上参考人 私からお答え申し上げます。  万国博につきましては、このテーマがかっこうのものであり、また、日本国民にとりましても、海外各国のいろんな事情を勉強し、あるいはお互いの友好を確め合う絶好の機会でございますので、三つの面で積極的に協力しようと考えております。  一つは、国内放送につきましては、期間中に開会式、閉会式を実況中継する、あるいは参加各国がそれぞれ一日をとりましてナショナルデーというのをつくりまして、その国の元首が来たり、あるいはその国の代表的な芸能を提供する、そういう催しがございますので、それを全面的に中継をするという考え方、そのほか会場のホールあるいは万国広場で催されますいろんな催しものを十分に中継する、それが一つの方法でございます。  それから、国際放送を通じまして万国博が世界的に大きな意義を持っているんだということを十分に普及、宣伝し、あるいは開会中のいろんな催しものを国際放送を通じて各国に放送するという形を考えております。  それからもう一つは、この万国博を海外の各放送機関が取材に参ります。それにつきましては、NHKが窓口になりまして全面的に協力しようということになっております。番組を提供するとか、あるいは人間を協力するとか、あるいは制作に協力するとかいうようなことを十分に考えております。そのほかに会場の中のいろんな展示館がございますが、その中心になりますテーマ館、これは岡本太郎氏が総プロデューサーになってやっておりますが、その企画の中にNHKが参加いたしまして、実質的にいろんな資料を十分に提供するということ、それから通産省が考えておられます日本館、ここの中の展示の写真そのほかもNHKが取材に協力しようということ、それから電々公社、国際電々、郵政省NHK、この四者が協力して開催いたします電気通信館の中にNHKがいろんな番組を提供しようということ、同じく国際連合館というのがございますが、それにも協力をいたしたい。そのほかに、NHKはいま個人的な資格でございますが、万国博の催しものの中のクラシック音楽のプロデューサーとして福原プロデューサーを派遣してそれに協力いたさせております。そのほかに開会式及び閉会式における音楽の行事協力するということを私どもでやっております。あと、文楽とか地方の民謡とか、そういう催しものも要請によって十分に提供しようということを考えております。  大体以上が万国博に対する協力でございます。  それから札幌の冬季オリンピックにつきましては、私どものほうの会長が組織委員会の一メンバーになりまして、特に海外放送機関に対する番組提供に関する全面的な窓口を委嘱されまして、NHKの側におきましてもこの七二年に開かれます札幌オリンピック実施本部というものを約三週間ほど前に設置いたしまして、それによりまして全面的に海外の各放送機関と連絡をとりまして、海外の各放送機関に番組を実質的に十分に提供できるようにという面を配慮いたしております。それで、いま各放送機関に、どういう体制で、あるいはどういう種目をどの程度の時間中継をしたいのか、あるいは、たとえば放送衛星を使ってなま中継をしたいという希望もあるでしょう。そういう条件をいま問い合わせ中でございます。  それから国内放送につきましては、札幌の施設そのほかを十分に準備いたしまして、この会期間中全種目を中継して国内に見ていただくというように、しかもそれをカラー中継でやりたい、このように考えております。  大体以上が札幌のオリンピック対策でございます。
  119. 水野清

    ○水野委員 次に、NHK放送に関連してですが、郵政省にひとつ承りたいのです。最近の電波行政についていろんな問題が出ております。先ほど森本委員からも質問がありましたが、一部重複するところもあると思いますが、私からあらためて伺いたいのであります。  郵政省がさきに関東地方の各県にUHFのテレビ局を民放に開放する、免許をするという方針を発表いたしております。これは新聞紙上で拝見したことでありますが、この免許の日程ですか、どういうふうにやっておられるか、作業をどういうふうに進めているかということを承りたい。
  120. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 お答えいたします。  先般の電波管理審議会におきまして、千葉県とそれから群馬県の民間放送事業に割り当てられますUの波を開放したわけでございます。これは千葉県と群馬県における放送に対する要望が非常に強いということ、あるいは県当局あるいはその県内における財界等のこれに対するバックアップの体制が、私どもから考えますと相当強くやっていけるのではなかろうか、かように考えたことから千葉県と群馬県に波を割り当てるという方針をきめたわけでございます。  そのあとの日程でございますが、ただいま申し上げましたように、今後関東地方におけるその他の県につきましても波を割り当てていく方針でございますが、この波の割り当てについて、放送会社をつくって順調にやっていけるという体制ができたところからやっていくという方針でございますので、そういった情勢ができた際に次から次に免許したいという方針でございます。
  121. 水野清

    ○水野委員 そこで伺いたいのですが、たとえば千葉、群馬に似た県といえば茨城あるいは栃木、この辺はいいかもしれないのですが、埼玉、神奈川など東京放送局と非常に近いわけです。同じたとえば埼玉県でも東京に近いところは新たにつくる必要があるだろうか、これは非常に問題の多い県だと思います。埼玉、神奈川についてはどういうふうに考えておられるか。設立の準備ができればやはりこういうところも認可をしていく方針なのかどうか。
  122. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 一昨年の十月にテレビのチャンネルプランを修正いたしまして、そしていままで広域圏内の各県にはテレビ局は置かないということで波を割り当ててなかったわけでございますが、これに割り当てる方針に変えまして、兵庫県と京都府と三重県と滋賀県に置いたわけでございまして、このときにすでに広域圏内の各県にテレビ局を設置するんだという方針をきめまして今後それを逐次やっていくということでございまして、その順序、また時期をいつごろにするかということを現在やっておる、作業中の一段階でございます。
  123. 水野清

    ○水野委員 そうすると、埼玉、神奈川も免許の可能性があるということのようにとれるわけですが、その点をひとつ答えていただきたい。あとの質問者がいますから、なるべく問題をしぼってはしょっていきたいと思います。  それからもう一つ、千葉県の場合ですが、非常にたくさんの申請が出ております。これを郵政省はどういうふうに指導して、どうしぼっていくのかということを伺いたい。まさか千葉県に二局も認可をすることはできないだろうと思います。おそらく千葉県にも群馬県にも各一局しか認可できないと思う。チャンネルプランをつくっておられるという話でありますが、その辺の事情を少し説明をしていただきたい。
  124. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 電波監理審議会に予備説明してございまして、これから公聴会の聴聞を開きまして、聴聞の結果によりまして、その電波監理委員会の諮問に対する答申をいただきまして波を割り当てるという答申をいただいて後の問題でございますが、要するに千葉県も群馬県も割り当てられる波は一波でございますので、いずれにせよ、これは免許拒否の処分をやるか、あるいは合同するか、こういうことによりまして一社にしか割り当てられないということになるわけでございます。
  125. 水野清

    ○水野委員 これからきめられることですからあまり煮詰めて聞いても気の毒ですし、先にまだ質問があるから……。  ところで、先ほど森本委員から政見放送の御質問がいろいろありました。この政見放送NHK一本でやるのかどうかということを承りたいのです。
  126. 皆川迪夫

    皆川政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、強制はなかなかできない、だろうと思います。少なくともNHKについては全面的に協力をしよう、こういう考え方のようでありますから、NHKについては大体二回ぐらい。ただ関東地区については二回やることが非常に困難であるというようなお話を伺っております。民放につきましてはでき得るだけ御協力をいただいて――国家的な一つ行事でありますから御協力をいただいて放送をしていただく、ただ、それにつきましてもいろいろな準備等もございますので、これから細目についてはお話をしていかなければならぬと思います。
  127. 水野清

    ○水野委員 そうすると、大体NHKを中心にやるというような選挙部長のお話ですが、公職選挙法を改正してテレビ政見放送をやるというのですが、関東、それから中京、名古屋地方、それから近畿地方政見放送、いわゆる広域放送圏、県域放送よりも大きいブロック、地方のブロック圏の政見放送というものをどういう方法でやるのか。先ほどと似た話でありますが、もう一度承りたい。簡単にやってください。
  128. 皆川迪夫

    皆川政府委員 現在のところは、UHFのようなものが、だんだん整ってくれば別でありますが、現在のNHKを中心にしましてなるべく民放協力を得て実施していきたい、その場合に、民放に人数をある程度割り当てる、あるいは時間帯、地域を割り当てるというようないろいろな方法があろうかと思いますが、いろいろ話し合いの上できめていきたいと思います。
  129. 水野清

    ○水野委員 そうすると、たとえば東京の場合ですが、NHKに全部集中すれば、これは東京の泡沫候補その他を入れて関東各県の――衆議院選挙から行なわれるのでしょうが、おそらく何百人という候補者政見放送を交通整理しなくてはならぬ。NHKに第一チャンネル、第三チャンネルがありますけれども、聴視率の低いところは候補者はだれも行きたくないわけです。くじ引きにしろということもあるでしょう。しかし、くじ引きだけで一体選挙の公平を期せるか。これはかなりむずかしい。要するに、泡沫候補などがそういう不公平をもって逆に選挙の無効のようなことを訴えてきた場合に、一体どうそれを受けとめていくのかという問題があると思います。もう少し選挙部としての明確な方針を聞きたいと思います。  先ほど森本委員のお話もありましたが、東京などで三百人もの人をどう整理するか、一人何分にするのか。私はよく聞いておりませんが、たとえば延々と三時間にわたって候補者ゴールデンアワーのときにやったら、これはむしろ聴視者はよそへいってしまいます。そんなものは聞きません。たとえば、私は千葉県選出ですが、千葉県のところを聞こうと思ったら、どこでどの時間にやっているのかわからない、聞こうと思ったら東京のほうでもう飽きてしまって、千葉県のときにはよその芸能番組にいってしまうというような事態が非常に起こると思う。これは当然のことだ。それをどう整理していくか。いま電波監理局長のほうから、たとえば関東民放のUHFをそろそろ認可しようかというふうに話も出ています。この県域放送民放でつくらせるということもそういうことを考えてやっているのか、これは電波監理局長のほうから聞きたい。そういうことも含めて、まず選挙部長からひとつ……。
  130. 皆川迪夫

    皆川政府委員 おっしゃるように、確かにくじでやればどんな不公平があってもいいというものではないと思います。おおむね同じような条件の時間に入るということが必要かと思います。そのためには、先ほどNHKのほうからお話もございましたけれども、五分間であればおおむね第一チャンネルで全部の候補者にやっていただけるだろう、ある人は第一チャンネル、ある人は第三チャンネルといったようなことはいたさないつもりでおります。  ただ、その場合に、それならば一回しかできないかということになってまいると思いますが、できれば二回やってもらいたい、その場合に二回目は、あるいは第三チャンネルを使うということも考えていただけないだろうかということを要請しておるわけですが、これについては、NHKのほうとしては第三チャンネルの番組が時間的にきまっているわけですからなかなか困難な事情もあるようでございます。ただ、私たちとしては、関東地区の非常に特殊な例でございますけれども、そのために全国的なテレビ放送の発足ができないというのもいかがであろうか、関東地方についても一人少なくとも一回は平等にできるという保証があれば、これから先は各社との交渉によってできるだけ前進させるということで進めたらいいのじゃないかということにいたしておる次第でございます。
  131. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 テレビを公職選挙に使うということも、もちろんそういうことが期待されるわけでございます。
  132. 水野清

    ○水野委員 それで、これは何百人か知りませんが候補者を整理する。今度はNHKの側として、放送技術の面から私はちょっと担当者からお話を聞きたいと思います。
  133. 川上行蔵

    川上参考人 お答え申し上げます。  関東地方近畿地方につきましては、放送局一つしかないのに担当する府県が非常に多いので、先ほど来申し上げましたように、なかなか多くの回数はとれないと思いますけれども、東海地方、それからあと各府県につきましてはできるだけ回数を多くとっていきたい、このように考えております。  それからもう一つは、そのほかにつきましては非常に実施方法がやりやすいのでございますけれども、いまのお話の大電力区域につきましては、時間帯をみんなが娯楽を求めるゴールデンアワーにつくりましてもかえって逆効果でございますから、それに次ぐようないい時間をとって、その時間帯に、ある日から何日までは千葉県の日であるとか、ある日は神奈川県の候補者の方々の日であるとかというような形で、はっきり神奈川県の候補者の方はこの時間に全部出られるのだということになれば、その県民の方への普及そのほかについても十分に効果があがるのじゃないか、このように考えておりまして、いまこまかいことは研究いたすと同時に、また自治省とも打ち合わせて細目をつくってまいりたい、このように考えております。
  134. 水野清

    ○水野委員 いまNHKの答弁にもあるように、関東近畿と中京を除いてはちゃんとサービスが何回でもできるがというお話もあったように、現実に非常に格差があるわけですよ。もう少し自治省としてはしっかりした計画をやってもらいたい。  私ははっきり言うと、テレビ放送選挙一つの方法に入れるということに反対じゃないのです。これは時代の趨勢として当然なことだと思う。やるべきだと思うのです。ただ、実施する官庁としてはもう少し明確なものを持ってほしい。たとえば、これはいままでやっておったことだが、どうしてもやむを得なければ、ラジオ放送関東地方はむしろ暫定的にやっていくということにするのかどうか、その辺の明確なことがないとこれは重大な問題になります。そう簡単な問題じゃないと思う。  それからもう一つ、たとえばNHK放送していますが、はっきり言うと、選挙の政見演説なんておもしろいものじゃないわけです。裏で芸能番組をやっていればみんなそっちへいってしまいます。では、自治省としては、民放局に要請をして、その時間にはNHK政見放送に相当するようなかたい番組でもやらせる、そんなことまで一体できるのかどうか。こうなると電波監理局のほうの所管なんだけれども、そこまで考えてもらえるかどうか。強制的に時間を買い上げてもいいわけです。ひとつ両方から見解を聞きたい。
  135. 皆川迪夫

    皆川政府委員 お話しのように、公営で行なう制度でございますから、なるべく全国同じような基準でやることが望ましいと思っております。ただ、そうしますと最低の基準のところに引っぱられてしまって、十分できるところができなくなってしまうということになりますので、選挙法としましては、最小限同じ選挙区の中の平等は保たねばならぬ、選挙区が異なれば若干の差は暫定的にあってもやむを得ぬのじゃないかということで、いまお話のありましたラジオ放送、これはテレビ放送の少ないところには十分いたす、こういう考えております。  なお、民放の時間調整をどうするかというお話は、実は衆議院特別委員会理事懇談会でもしばしば出まして、なるべくある一定の時間には全部選挙放送が行なわれるように、こういうことはできないのだろうかということを御検討いただいたわけでございますが、早急にこれを法的に規制することは無理であろう――徐々にそういうことに持っていくことには努力するにしましても、直ちにはできないだろうということで現在こういう案になっておるわけでございます。
  136. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 いまの問題は放送法上は無理だと思います。やはり公職選挙法の問題であろうと思いますが、公職選挙法については、ただいま自治省のほうからお答えしたとおりだろうと思います。  それからもう一つは、番組の時間を買い上げることができるか――これはできると思いますが、これは業者と政府との問題だと思いますので、この点につきましても、実際問題として経費の問題に最後は帰着するのではなかろうかと想像されます。
  137. 水野清

    ○水野委員 そこで、次の問題として伺いたいのですが、いま関東地方に問題を限って申し上げてみますが、選挙放送NHKに主としてやらせようということになっているわけです。ところが関東は一局しかない、だから何百人もの人間を交通整理しなければいけない。先ほど電波監理局長からも答弁があったわけですが、関東に千葉と群馬に民放免許の申請が出ているので認可をしようということで準備をしておられる。これは当然なことでありますけれども、その他の県にも認可をしよう、それに対して、NHKも県域放送、千葉、群馬その他各県にUHFの局を認可できればいまの問題は私は解決がつくと思うのです。あるいは近畿地方においても同じようなことになると思うのであります。それについて、当然いまの選挙放送政見放送の立場から言えば、むしろNHKにも民放にもUHFの局を認可すべきだと思うのでありますが、大臣はどう考えておられるか、ひとつ承りたいと思います。
  138. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほど来選挙放送の話が出ておりますが、私も現状のままでは関東近畿ではなかなかむずかしい問題がたくさんあるのではないか、こう思います。  そこで、民放だけではなしに、NHKに県域放送関東近畿にやらしたらどうかというお話でございますが、これは波の関係がございまして、ただいまのところは波がないわけです。しかし、技術的にそれが可能だということになりますと、私はそういう方向に持っていくべきである、かように考えております。
  139. 水野清

    ○水野委員 いま大臣から波がないかあるか、技術的な問題でまだはっきりわからないというお話なんでありますが、私はこれは相当重要な問題だと思うのです。残念ながら私は専門家でもないし、技術的なことは全くわかりません。ないといえばないわけであります。あるといえばあるわけであります。現にこの問題について、私は郵政省の担当の技術者から当委員会において正確に聞かしてもらいたい。郵政省以外のいろいろな各機関の技術者といいますか、専門家から、ほんとうは私は参考人を呼んで意見を聞くべきじゃないかと思うのであります。この点で、むしろある意味においては、郵政省のほうがないない、こういっている面もあるのじゃないか。私はチャンネルプランというのはよくわかりません。わかりませんが、いままでも電波監理局というところはないないといって、適当に小出しに出しているというきらいがあるわけです。その点については、当委員会で、もう少し専門家の意見を正確に聞いていただきたいということを私はお願いいたします。  それからもう一つ、これは郵政省の方針として、VからUにいまテレビは大きく移行しようとしているわけであります。この方針について、私は当然やむを得ないことであると思いますけれども、同時に、テレビの受像機を持っている国民大衆の立場からすればコンバーターを買わなくちゃいけない、あるいはUの受像機を買わなくてはいけないという経済的な負担が起こってくるわけであります。それから放送する放送局NHKあるいは民放局の立場からいえば、放送施設を新しく設備を変えなくちゃいけない――改良することができるのか、これは私もわかりませんが、一体そういう経済的な影響というもの、放送する側と受信する側との経済的な影響というものを一体どのくらい見ているか、これは郵政省の当局から一ぺん伺いたいと思うのです。
  140. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 VからUへの転換の問題について一般の国民に与える影響はどうかということでございますが、幸いこのコンバーターの生産は一年前に比べましておよそ十倍に激増しております。一年前には約六万でございましたが、現在は約六十万になっております。年産約七、八百万台ということでございます。それからオールチャンネルの受像機も非常に生産がふえております。年率に換算いたしまして、現在のところは約二百万台でございます。しかも価格は、コンバーターのごときは非常に安くなっておる。これまでは大体五年に一回くらい受像機を買っておられたようでございますが、最近カラーテレビが急速に普及しておりますので、最近はもっと期間が短縮しておると思うのです。ですから、買いかえのときにこのオールチャンネルの受像機を買っていただくと、わずかな価格の違いしかないわけですから、そうすればそんなに大きな迷惑はかからないで済むと思います。  それから送信施設のほうでございますが、これまでNHKのいたしました送信施設は、帳簿価格にいたしまして二百数十億でございます。それから民間放送関係で百四、五十億、両方合わせまして約四百億ほどの送信施設を現在しておるわけでございます。これをやりかえるということになりますと、なおそのほかにもいろいろな付帯する経費もかかろうと思います。したがいまして、もちろんそれが正確な数字ではございませんが、一つの参考にはなろうかと思うのでございます。現在のNHKの経営状態、民間放送の経営状態から考えましたならば、この程度の負担をするということは、しかも一挙にやるというわけではございませんで十年の間にやろうということでございますので、これは経済的にはたいした負担ではなかろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  141. 水野清

    ○水野委員 私の質問はもう一つで終わります。  いま大臣のお話でありますけれども、最近地方にUHFの民放局をたくさん許可しておられるわけです。それは同じ放送局番組をやっているのではなくて、たとえば北九州の福岡地方において福岡放送というものができましたけれども、これは読売テレビですか、NTVの番組を大体流しているわけです。北九州の人はほかの系統のものは見られますが、これはいままでの受像機では見られないわけであります。やはりこれは一つの不公平だと私は思うのです。電波というものを国民の財産だということで分けておられるわけですが、過渡期でありますからやむを得ないといえばやむを得ないけれども、私は簡単にこの問題を取り扱うべきではないと思う。コンバーターの費用が安くなったからといって、それで当然だということは私は言い切れないと思うのです。たとえばNHK放送でも最近はサテ局でUHFの放送を始めている、そうすると、いやでもおうでも山間僻地の非常な寒村においてもコンバーターを買わないとNHK放送が見られなくなってしまう。たとえばこれは一つの例でありますが、いま青森県の三戸郡というところにNHK放送が見えないところがある。そしてNHKに頼んでサテ局をつくってもらった。このサテ局はU放送です。そうすると、その部落は当然みんなコンバーターを買わなくちゃならない。いままでは放送が見えなかったのにNHKのおかげで放送が見えるようになったということで喜んでいますけれども、これは未開の人たち、だからそういうことがいえるのであって、正当な立場からいえば、コンバーターを買う費用に対して、特にNHK放送ですらコンバーターを買わなければ見られないということについて、一つの社会問題としてもう少し郵政省としても考えをはっきりしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  142. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 御指摘の点は全くごもっともでございます。一番大きな問題点だろうと思います。そこで、そういう点は十分考慮いたしましてトラブルの少ないようにやっていきたいと思います。  ただ一面、水野委員よく御承知のように、Vに対する需要というものが非常にいま激増しておる。移動用の需要が非常に多くなっている、こういうことからVからUの転換をやるわけでございますので、どうぞそういう点を十分御了察いただきまして御了解をお願い申し上げたいと思います。
  143. 水野清

    ○水野委員 以上で質問を終わります。
  144. 井原岸高

    井原委員長 中野明君。
  145. 中野明

    ○中野(明)委員 昨日来NHK決算の審議に入っているわけですが、ちょっと引き続きでありますので、私もテレビ選挙放送がされるということについて先ほどからいろいろ心配なことが議論されているわけですが、東京関東方面にもいろいろ問題があるということは先ほど来の討議でよく私もわかります。それとともに、このNHKの難視聴地域の解消、この問題がまた新しく選挙放送に関連して出てくるのではないか、このように考えるわけです。  東京関東以外のところでかなり県域放送がうまくいっているようでありますけれども、一例をあげますと、私どもの四国方面で海岸沿いの山に囲まれた部落ですが、そういう方面は県内の放送は見えません。そして海を越してよその県からどんどん放送が入ってくるというようなことが現実問題として起こっているわけですが、NHKとしては、将来テレビ政見放送するということについては、その性格からして相当責任をもって担当していく意欲を持っておられると思うわけですが、こういう点について、いままでの難視聴地域の解消とは少し趣が変わった方向に努力していかなければならぬのじゃないか、このように私思うわけでありますが、こういう点についての考え方を最初に伺っておきたいと思います。     〔委員長退席、亀岡委員長代理着席〕
  146. 川上行蔵

    川上参考人 お答え申し上げます。  NHKは、いまお話がありましたように、できるだけ県域単位で難視聴を解消していこうという形で考えておりますけれども、まだ幾らか残っている地域がございます。それにつきましては、前回の選挙の際にもそういう点を配慮いたしまして、ある数あるいはあるパーセンテージその地区で見えないところがある場合においては、よその局から応援の放送をするということでカバーをいたしてまいっております。具体的に例をあげますと、和歌山県なんかは徳島のほうの放送を多く見ておられます。そのためには徳島の放送の電波に和歌山県の候補者の方の政見をのせて、それで和歌山の選挙区のほうへお送りする、そういう形を考えております。それをどの程度の数でどの程度のパーセントを押えてそれを実施していくか、それをいま具体的に検討し、同時にまた、県域でどの程度見えないところがあるか、それもいま調査中でございますので、できるだけそういうことがないように努力してまいりたい、このように考えております。
  147. 中野明

    ○中野(明)委員 いまのお話では、よその県からその県に向けて放送をするというようなお話ですけれども、これから衆議院選挙あるいは参議院全国区というふうにいろいろ選挙が出てまいりますとなかなかむずかしい問題ではないかと思います。それよりも難視聴を解消するというほうがより有利じゃないか、このように思うわけですが、私の県の例をとってみますと、西南方面では九州の宮崎方面が入ります。東のほうでは、室戸市の海岸沿いは佐喜浜というようなところもありますが、あの辺の一帯の集落は全部徳島それから大阪関係が入ってくるわけです。そういうことになりますと、同じ県の中で何カ所も何カ所もそういうところができてくる、非常に複雑なことになるんじゃないか、こう思うわけですが、そういうところの難視聴の解消というのですか、これについてどこまで新しい長期構想の中で具体的に考えておられるのか。こういう例は四国だけじゃなしにほかでもあるのじゃないかと思いますので、この考え方をはっきりしておいてもらいたい、そう思います。
  148. 野村達治

    ○野村参考人 お答え申し上げます。  ただいま申されましたローカル難視の問題でございますが、各所に散在しておりますけれども、比較的規模は小さいという点が一つございます。全国的な難視といいますものは現在約百万世帯ございまして、現在は五カ年の構想の中でこれを共同受信並びに置局によりまして解消していくことを第一順位に置いておりまして、ローカル難視の問題につきましては、先ほど川上専務から申し上げましたように、対岸からの放送を利用するというようなことを利用いたしまして極力やっていくというような考え方でおるわけでございます。
  149. 中野明

    ○中野(明)委員 私申し上げたいのは、いままでのNHKの難視聴地域解消は、全然テレビの映らないところ、そういうところを重点に考えてこられたようですけれども、テレビ選挙放送ということが新しくここで時代の要求に出てきたわけですから、全然見えないところじゃなしに、いまのようによそのとんでもないところから入る、それに対する解消にもっと比重を置かなければならないのじゃないか、このように私考えるわけです。  そこでお尋ねしているわけですが、そういう点について、いままでのように、既定の方針どおりに全然映らないところを優先的に考えていく方針でそのままいかれるのか。状況が少し変わってきたわけですから、そういうよその県、とんでもないところの放送が入って自分の県のローカルニュースが全然聞けないというようなところの解消にも力を入れるような方向に努力されなければならぬのじゃないか、この点をこの際将来の構想として伺っておきたい、こう思ったわけです。
  150. 野村達治

    ○野村参考人 御説のように、ローカル難視は規模はかなり小さいものでございますけれども、全国を見ますと、これも約百万世帯くらいに達しておりますので、全国難視という問題もきわめて重要なことでございますけれども、ローカルの難視という問題につきましても逐次改善していくように、置局ないしは共同受信といったようなことで進めていくというふうに考えておりまして、全国難視が終わらなければこのローカル難視をやらないというような考え方ではございません。
  151. 加藤常太郎

    加藤(常)委員 関連して。  いまの中野君の御質問の選挙放送関係、またローカル放送、これはいままでのNHK放送でも、いま志賀先生のお話を聞くと、岩手県の花泉というところは大体宮城県から八割が入ってくる、ほんの一部しか岩手県の放送が聞けない、こうなると、選挙放送の場合には宮城県のほうで岩手県の選挙放送をやらなければならぬ、これでは花泉の住民は聞けるというものの、宮城県の人がまたその時間は岩手県のとんでもない放送を数時間聞かなければならぬ、こういうふうな矛盾ができますし、また中野君が言ったように、本来の県域放送の立場からいっても、選挙放送でなくても岩手県の県民は岩手県のNHKを聞くようにするのが原則と思います。高知の場合でも和歌山の場合でも、いままで電波の関係上、自然と和歌山県でありながら徳島の放送を聞く、高知県でありながら大阪だとか徳島とか、違うような関係から入ってくる。これは原則に従ってなるべくそういうような点を電波行政において県域放送を真に実現するような方向に持っていくことが、電波行政の見地から見ても当然な根本原則でなければならぬと思います。他の府県から流れてくるのを見るのが当然だというような電波行政は間違っているような感じがいたしますし、特に選挙放送の場合には、なおますますこれが妙なかっこうになりますから、この点について、NHKの今後の難視聴区域の他府県にたよっておる放送をどういうような方向に持っていくか、NHK並びに郵政省の電波局長から方針をお聞きしたいと思います。
  152. 前田義徳

    ○前田参考人 お説のとおりでございまして、私どもの経験及び感じ及び考え方を申し上げますと、従来は、要するに純粋技術的に電界強度なり波の性格に従って、NHKとしてはまず全国カバー、さらにその原則の中で地域カバーということが考えられてきたと思います。私自身としても、この技術的見地におけるものがすべて間違いであったとは考えません。ただ、この技術的見地による電界あるいは波の波長、それらをもってカバーするという時代は、現在の社会的実情からいっておおよそ終えんに近づいているのではないかというのが私の考え方であります。  したがいまして、地域住民もしくは全国住民の希望とこの技術的原則とを今後どのような形で修正していくかということが、私としては放送の将来を決定するかなり大きな問題の一つである、このように考えております。私どもNHKの経営をゆだねられてここ十年間の経緯を私自身の経験によって反省いたしましても、この問題が現在では最も緊急必要な問題ではないかと実は考えているわけでございます。  この見地に立ちまして、先ほど来御審議、御意見のございました選挙放送等につきましても、特にテレビ選挙放送については、映像がこれに伴うという点でも、私としては全国普及もしくは地域的普及の問題を純粋技術の面からのみでなく、人間社会の実情等を勘案しながらこれに一種の新しい息吹きと申しますか、方向をお考えいただきたいという熱望に実はかられております。
  153. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 一昨年、Uの親局をチャンネルプランの上に打ち出した際に、県域放送という考え方を打ち出してまいりましたので、その県域放送という考え方にはただいまお話しのありましたとおりの考え方でいくべきだ、こういうふうに私ども考えておるわけでございますが、従来、そういった他から、他県の放送が見えるところを云々する前に、絶対的に見えないという場所が非常に多うございましたので、まずそういった地域を解消しなければならぬということで、いままで難視聴解消ということが、絶対的な難視聴と申しますか、そういった地域の解消に向けられていたわけでございますが、県域放送という考え方を打ち出したからには、今後その絶対的な難視聴地域と、それからローカル放送の難視聴地域、この両者の解消をあわせ進めるべきである、かように考える次第でございます。
  154. 加藤常太郎

    加藤(常)委員 ただいまの御説明で大体方針はわかりました。  自分の県のことを出したくなかったわけでありますが、香川のほうでUが開局になった。そうすると、これはコンバーターその他の関係上なかなかデリケートなところがありますが、選挙放送のとき、岡山のNHKで従来どおりのような放送をやられるとすると、香川県はやはりいつまでも県域放送でなくて岡山にたよる、岡山県民は香川の加藤常太郎放送は聞きたくない、こういうような関係も生じてきますので、選挙放送に対してはなるべくそういう点にさわりたくなかったのでありますが、やはりできるだけコンバーターの普及をはかって、香川県の場合には香川県のNHKでやりたい、こういうような気持ちがわれわれとしても県民としてもするので、多少コンバーターの普及がなくても、民放でそれをカバーするとか、従来のVの民放でカバーするとか、そういうような方法でいって、香川県の場合に岡山にたよらぬ選挙放送をやりたい、これは県民も選挙に従事する者の気持ちもそうだと思いますので、これに対して会長から御方針について承りたいと思います。
  155. 前田義徳

    ○前田参考人 お考え方については全く同感でございます。  ただ、波は私たちのものではございませんので、その点については、郵政御当局の御指導のもとに御希望に沿い得る努力をわれわれの分野で続けてまいりたい、このように考えております。
  156. 中野明

    ○中野(明)委員 この機会にお尋ねしておきますが、きょうの審議になっている四十一年、二年――この四十二年で、昭和三十七年から始まりました第二次六カ年の長期構想が終わった時点の決算になるわけですが、この第二次六カ年計画の成果とでもいいますか、振り返ってみて取りまとめて、大体六カ年にどれだけの足跡があったかということをこの際お聞きしておきたいのです。
  157. 小野吉郎

    ○小野参考人 お答え申し上げます。  昭和三十七年に始まりまして昭和四十二年に終わる六カ年間の計画につきましては、当初の計画を振り返ってまいりますと、あげました実績は非常に高く私どもは評価をいたしております。  と申しますのも、この間におけるNHKの飛躍、発展は非常に目ざましいものがございました。しかも、第二次六カ年計画をスタートいたします当初におきましては、受信料関係につきましても、ラジオの八十五円の料金は五十円に引き下げておりますし、またテレビラジオ併設の向きに対しましては、テレビ料金三百円プラス、ラジオ料金八十五円をいただいておりました三百八十五円の料金は三百三十円と引き下げております。ラジオにおきましては大かた四割の値下げでありますし、テレビにつきましては、大かたはラジオを持っておられますので、かれこれ一六、七%の値下げをいたしたわけでございます。そういうようなことで、いろいろなイメージを持ちながら計画を立てて歩んでまいったわけであります。  料金をそのような引き下げをして、はたして一〇〇%計画を遂行し得るかどうかにつきましては、いろいろな面について危惧を持っておったわけでありますけれども、置局の促進等の努力の結果、並びに一般のテレビ普及の風潮、こういった状況にも恵まれた点もありましょうけれども、計画の指標のおもなものについて申し上げますと、置局の面につきましては、総合テレビ関係では、第二次六カ年計画をスタートいたしました当時には約九十三局でございました。全国カバーは八〇%すれすれのようなところにまだあったわけでありまして、まだ二〇%の方々はテレビの恩典に浴し得ないというような状況で、これは早急に解決しなければならない。教育テレビは、計画に入ります当初におきましてはわずかに二十四局でございます。カバレージは五〇%すれすれのところであったわけでございまして、まだ半数の国民の方々はこの教育テレビの受信の不可能な状況にあったわけであります。これをすみやかに解消いたしますことは、NHKの第一義的な義務でもございますし、そういう責務に非常に忠実でなければなりません。  そういうことから、六カ年間に総合テレビも教育テレビも四百六十一局つくりまして、カバレージを九五%まで上げたい、このような考えでおったわけでありますけれども、いま実績と比較いたしますと、計画目標の四百六十一局は、総合テレビについて申しますと六百五十四局できております。実に五割を上回る成果をあげたわけでございます。教育テレビにつきましては、同じく四百六十一局をつくり上げようという目標に対しまして六百四十六局の置局を完成することができまして、いずれも九五%余のカバレージを得ることができたわけでございます。  一番NHKの大きな責務でありますこの第二次六カ年計画の中に期待をいたしました早期放送網の建設、こういう面につきましてはただいま申し上げましたような状況でございますけれども、業務の能率向上その他に資しますいわゆる放送演奏所の整備等の関係につきましては、この間におきましておおよその全国にわたる演奏所については整備をいたし得たように思います。特に東京につきましては、計画当初におきましてはテレビラジオを総合する放送センターは考えになかったわけでありまして、これには土地の入手の困難――いろいろな努力をいたしましたけれども、そのような事情もまつわりまして、竜土町にわずか一万八千坪くらいの見当でテレビだけのセンターをつくろうという計画を持たざるを得ないような状況でございました。その後の状況は、いわゆる東京オリンピックを控えまして現在の代々木の地点に二万五千坪の土地の確保もできましたので、テレビのみならず、ラジオも入れました放送全体のいわゆる総合センターを建設することができたわけであります。これによりまして、放送運営上の能率の向上、合理的な運営につきましては非常に役立っておると思います。  また、これらを通じまして、六カ年間の歩みの中に、また六カ年を経過いたしました後におきましては、急速なテレビの普及のあとにまいりますものはいわゆる契約の伸びの横ばい状態でございます。こういう状態を予想いたしながら、経営内部の合理化なり近代化なり、こういった面を進める努力をいたしまして、各般にわたりましてそのような努力をいたしたわけでありますけれども、とりわけコンピューターを導入いたします経営近代化の面につきましては非常な画期的な成果をあげ得たと思います。  まず最初に、二千百万にのぼる契約対象につきましては、これの契約管理、収納関係の整理、こういった内部事務の関係につきましては非常なコンピューターの威力を発揮いたしまして、今日完全にこれらの面は軌道に乗っております。これによって非常に内部事務処理の能率の向上をはかり得ておるわけでございます。続きまして、経理事務あるいは職員管理事務等もコンピューターに乗っておりますが、終局の目標でございます世界各国に例を見ません番組の企画、制作、送出、こういった面と技術面、これをあわせましてコンピューターを駆使いたしましての経営の近代化、こういった面につきましてはこの六カ年計画中には完成いたしませんでしたけれども。     〔亀岡委員長代理退席、委員長着席〕 四十三年の秋に本格実施ということになりましたが、その基盤はおおよそこの第二次六カ年計画の年次の中におきましてその基礎的な調査、研究、整備、そういった面をいたしております。そういう面で、六カ年計画の進行中はもちろんでございますけれども、これを過ぎまして次の計画年次に入ります現時点におきましても、また将来をながめましてもこの面が非常に経営上に役立っておるということは申し得ようかと思います。  大体第二次六カ年計画の計画と実績、これを見合いました成果につきまして概略を御説明申し上げますと、ただいまのような状況でございます。
  158. 中野明

    ○中野(明)委員 ただいまお話がありましたように、この六カ年はわが国の放送の上におきましても画期的な時代であったと思いますが、そのあとを受けましたこの第三次六カ年構想、この第三次の大きな一つの眼目としては、第二次に取り残された、先ほどからお話が出ており、特にまた選挙放送なんかも出てまいりましたが、それにからんだ放送網の確立と同時に、私は、カラーテレビの時代に入ってきたこのようなときにあたりまして、当然ここで第三次の構想の中で大きく出てくるのは、もう一度料金の体系、すなわち料金を引き下げる、こういう方向に向かって努力されることが大きな第三次の一つのまた成果として残っていくことじゃないか、このように思っているわけであります。  昨日もちょっと議論が出ておりましたが、カラーテレビが相当構想以上に上回って大幅の伸びをしております。将来の見通しも非常に明るいというようなことでありますが、この点から考えまして、テレビの受信の料金、これについて毎年、予算審議のおりにも附帯決議としてその料金問題が出ておりますが、会長として、この第三次の計画の中で値下げのことについてどこまで掘り下げて検討なさっておるか、われわれとしては、来年あたりからでも料金の引き下げをできるような体制ではなかろうか、このように強い期待を持っているわけであります。その点の見解を承っておきたい、このように思います。
  159. 前田義徳

    ○前田参考人 現状で私どもがその問題について検討いたしていることは事実でございます。ただ、先ほど副会長からお話し申し上げましたように、第一次長期計画、第二次長期計画並びに御協力をいただきまして改定した料金制度、これを基点とする第三次長期構想、このすべての三回にわたる長期計画を通じて、NHKの歴史は実は値下げの歴史でございます。最近発表されました日本銀行並びに経済企画庁の発表でも、明らかにNHKの料金が値下げされているという事実が示されております。パーセンテージも正確にその中に書かれております。こういう方針は、私どもが公共に奉仕する者として当然考えるべきことだと思っております。  ただ現在の時点で、カラー料金の問題と関連して、それでは次のこのような政策がいつ決定できるかということが当面御質問の中心だと考えますが、現在のところこの長期構想は、御承知のようにラジオ料金を無料とし、白黒テレビ料金を値下げし、特別施設等、特別利益をカバーするために負担の公平の原則に従ってカラー料金の特別部分を設定したというにすぎないのでありまして、その意味では五カ年構想の全体からいいますと、料金改定以前に比べて非常な緊縮された、値下げを前提とした構想であるということは申し上げられると思います。ただ、現在の時点でおそらく取り上げられる問題は、現在のカラーの普及の状況からいって、今後、今年度を加えますと四年間、今年度を除外しても明年度以降三年間にどのくらいのカラーの普及があって、これが長期構想との関連でどのくらいの財政的余裕を生ずるかという問題だと思います。  この長期構想の当初におきましては、五カ年間のカラー契約数をおおよそ六百五十万という基礎計算をしたのでありますが、御指摘のように、現在の実情はそれを上回ることはほぼ確実だと私自身も考えております。最近では七百五十万から、私としてはさらに当局には一千万を目標にして検討してほしいということを言っておりますが、かりに五カ年構想の最終年度、昭和四十七年末のカラー契約の総数が一千万になったといたしましても、実は百五十円に対する一千万でございます。四百六十五円に対する一千万ではございません。したがいまして、いま申し上げた仮定的な七百五十万で修正しながらさらに一千万という計算をいたしますと、その部分の総額はおおよそ三年間で百億円というのが限度でございます。これを年度別にいたしますとおおよそ三十億円前後でございます。これと関連いたしまして、経営の近代化という意味でいわゆる前納制度を推進しておりますが、この前納制度は、御承知のように十二カ月分を十一カ月にするということをたてまえといたしております。したがいまして、それらを詳細に計算いたしますと、一千万を目標として、なおかつ年度別に分けますと、三十億円以下であるというのが実情でございます。現在物価指数を考えますと、少なくとも四・五%、ないしものによっては六%ぐらいの値上がりを考えておかなければならない、それから、また同時に、社会的生活の実態が向上していくということに対するわれわれの義務を果たす問題もございます。それからまた、いろいろな事業計画の中で、たとえばVからUへの転換、あるいは多重放送、あるいはその他の関連事項が将来この三年間に発展していくという可能性は十分予測しなければなりません。  そういう点から考えますと、私どもといたしましては、実は今年度中に第三次構想の再検討をいたす準備をいたしておりますが、大ざっぱに見て、値下げの時期はこの第三次構想の期間中には起こり得ないであろうというのが私の予測でございます。
  160. 中野明

    ○中野(明)委員 時間もなんですが、大臣の都合もあるようですから、本日はこの辺で中断させていただいて、来週、残ったところをお願いしたいと思います。
  161. 井原岸高

    井原委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時四分散会