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1969-05-14 第61回国会 衆議院 逓信委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年五月十四日(水曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 加藤 六月君 理事 亀岡 高夫君    理事 志賀健次郎君 理事 中井徳次郎君    理事 森本  靖君 理事 小沢 貞孝君       内海 英男君    上林山榮吉君       齋藤 憲三君    高橋清一郎君       内藤  隆君    羽田武嗣郎君       古内 広雄君    水野  清君     早稻田柳右エ門君    武部  文君       三木 喜夫君    八百板 正君       米田 東吾君    中野  明君       田代 文久君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 河本 敏夫君  出席政府委員         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政省郵務局長 曾山 克巳君         郵政省貯金局長 鶴岡  寛君         郵政省簡易保険         局長      竹下 一記君         郵政省電波監理         局長      石川 忠夫君         郵政省経理局長 上原 一郎君  委員外出席者         総理府特別地域         連絡局総務課長 及川 謙三君         郵政省郵務局次         長       石川 義憲君     ――――――――――――― 五月九日  委員水野清辞任につき、その補欠として岡崎  英城君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡崎英城辞任につき、その補欠として水  野清君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員八百板正辞任につき、その補欠として米  田東吾君が議長指名委員に選任された。 同日  委員米田東吾辞任につき、その補欠として八  百板正君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十二日  簡易郵便局受託範囲拡大に関する請願(永江   一夫君紹介)(第六一四四号)  簡易郵便局受託範囲拡大等に関する請願(小  平忠紹介)(第六一四五号)  同(小平忠紹介)(第六二一一号) 同月十三日  簡易郵便局受託範囲拡大等に関する請願(小  平忠紹介)(第六五六〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十三日  郵便物の日曜配達廃止に関する陳情書  (第三六六  号)  電信電話料金値上げ反対に関する陳情書  (第四  四九号)  広島地方貯金局の存置に関する陳情書  (第四五〇号)  放送受信料減免区域拡大に関する陳情書  (第四五一号)  放送法の一部改正反対に関する陳情書外三件  (第四五  二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  有線放送業務運用規正に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第一〇六号)  沖繩における郵便貯金奨励及び簡易生命保険  思想普及に必要な施設及び設備設置及び無  償貸付けに関する法律案内閣提出第九九号)      ――――◇―――――
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  有線放送業務運用規正に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 井原岸高

    井原委員長 提案理由説明を聴取いたします。河本郵政大臣
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 ただいま議題となりました有線放送業務運用規正に関する法律の一部を改正する法律案につきまして提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近、都市におきましては、高層建築物等人為的原因によるテレビジョン放送受信障害が急速に増加しているところでありますが、このような受信障害に対しましては、有線放送設備を利用することがほとんど唯一の効力ある解決方法でありまして、各視聴者対象として有線によってテレビジョン放送を再送信する業務必要性が今後ますます強くなるものと予想されます。  このような事情にかんがみ、受信障害が相当範囲にわたって発生している都市区域テレビジョン放送の再送信をする有線放送業務を規制することによりまして視聴者利益を保護するため、この際、有線放送業務運用の規定に関する法律の一部を改正する必要があると考える次第であります。  次に、法律案要旨を御説明申し上げます。  まず、郵政大臣が指定した都市区域において有線テレビジョン送信業務を行なおうとする者につきましては、郵政大臣許可を受けなければならないこととしようとするものであります。また、再送信業務の用に供する設備は、郵政大臣許可を受けなければ、再送信業務の用以外の用に供してはならないことといたしております。  次に、許可を受けた事業者の義務といたしましては、事業者は、業務区域内において適正な役務を提供しなければならず、また、業務区域内のテレビジョン放送を受信して、そのすべての放送番組に変更を加えないで同時に再送信しなければならないことといたしております。  次に、事業者に対する監督につきましては、郵政大臣視聴者利益を阻害していると認めるときは、事業者に対し一定事項について改善を命じ、また、法令違反について許可を取り消すことができることといたしております。  最後に、この法律施行期日は、この法律の公布後六月を経過した日といたしております。以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  5. 井原岸高

    井原委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。     —————————————
  6. 井原岸高

    井原委員長 沖繩における郵便貯金奨励及び簡易生命保険思想普及に必要な施設及び設備設置及び無償付けに関する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  7. 加藤六月

    加藤(六)委員 この沖繩における郵便貯金奨励及び簡易生命保険思想普及に必要な施設及び設備設置及び無償付けに関する法律案でございますが、いろいろ内容等におきまして、内容は簡単なようでございますが、調べてみますと、いわゆる百七万の沖繩同胞関係する問題、沖繩返還にからむ非常に重要なる問題、あるいはまたいわゆる沖繩に対するところの本土、内地とのいろいろな関係等が出てくるわけでございまして、そういう点につきまして連絡が不十分だったわけでございますが、総理府長官あるいは特連局局長等の御出席をお願いいたしておったわけでございますが出ておいでになってないようでございますので、私は、この法案質疑を続行していく点について非常に不満な点があるわけでございます。     〔委員長退席小渕委員長代理着席〕 したがって、それは後日に譲るか、あるいは出てこられておる総務課長答弁できるなら答弁していただくことにしまして、この前提としてそういう関係を含んだ上での質疑をやっていきたい、こう思います。  第一番に、われわれが国会議員の立場からこの問題に臨むときに、この法案沖繩返還、あるいは沖繩本土との一体化という関係についてどういう意義を持つものであるかということについてまず承っておきたい、こう思うわけでございます。  これは総務課長答弁ではどうもおかしいと思うのですけれども、先に郵政大臣のお考え、並びにそのあと総理府特連局及川総務課長の御意見を承りたい、こう思います。
  8. 河本敏夫

    河本国務大臣 御承知のように、かねてこの問題は多年日本沖繩との間の長い間の懸案でございましたが、昭和三十五年に日本とアメリカ両政府の間でこの処理基本方針についての意見の合意を見まして、以来約九年間その具体的処理方法について検討を重ねておったわけでございます。ようやく機が熟しまして、いま御審議をしていただいておるような内容で案がまとまったわけでございますが、お話のように、この問題は、将来沖繩復帰を考えました場合に、日本沖繩との間の長い間のトラブルでございましたが、この問題がこういう形で解決できるということにつきまして、私たちは、将来日本沖繩との関係に非常に大きな前進になるであろう、かような意味で喜んでおる次第でございます。
  9. 及川謙三

    及川説明員 長官局長も所用のため出席できませんので、私がかわってお答えすることになりますが、総務課長として答えられる範囲お答えしたいと思います。  いま郵政大臣からお話がございましたように、沖繩住民関係しておりました多数の方々債権がこのような形で解決を見る方向にあることは、本土沖繩一体化の観点から考えましても非常に喜ばしいことであると考えております。なお、一体化施策全般との関連において、近く復帰を見るまでの間、このような国内法措置でもって戦前郵便貯金債権者に対してこれらの措置がとられるということは、多年懸案であり、また、関係住民が非常に解決を要望しておっただけに、全体の一体化施策の中で大きな意味があると考えております。
  10. 加藤六月

    加藤(六)委員 それなら、及川課長にもう一つ突き進んでお尋ねいたします。  このわれわれのいま審議する法律は、日本国内には及びますね。ところが、この法律自体は、この施設をつくるということ、あるいは貸し付け支払いという問題については沖繩には同じような影響、効果というものはすぐには及ばないと思うわけですが、非常にざっぱくな議論ですが、沖繩側については、これに応ずる法律というものをつくらないでも、こちら側でやったものが当然適用といいますか、可能になってくるということになりますと、一部施政権が、日本国内立法というものが沖繩に及ぶようになるのではないかという考え方についてちょっと御答弁をお願いいたしたい、こう思うわけです。
  11. 及川謙三

    及川説明員 ただいまの御質問でございますが、御指摘のように、この法案がもし可決されましたら、国内的にはまさにそのまま適用でございますが、沖繩に対しましては、琉球政府日本政府の間でやはり覚え書き等の政策上の一致のための約束が要るのじゃなかろうか、これに対しては、いままでの扱いの例によって琉球政府日本政府の間で覚え書きを締結したい、いままでの扱いの例ですと、さらに米国民政府が、琉球政府がそういう覚え書きをかわすことについての同意を与えるという裏書きをいたしますので、そのような方式でもって沖繩地域にこの法案の実際的な適用を見るのじゃなかろうか、それから、琉球政府自体でも同じような立法が必要かという御質問でございますが、この点は、この会館運営等に関しては、必ずしも立法措置を講じないで行ない得る事項じゃなかろうかと考えております。
  12. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうしますと、沖繩のほうは立法措置を講じなくてもいい。言うならば、支払いのほう、貸し付けのほうでいきますと、対象が限られておる、それから会館の問題については、沖繩のほうでも覚え書きを今後琉球政府日本政府と結べばそれでできる、端的に解釈しますと、それでやっていけるということになるわけですか。そうしますと、いまたまっておる戦前郵便貯金郵便為替あるいは郵便振替簡易保険郵便年金、こういうものだから覚え書きでいいというのか、それとも、これから日本国内でいろいろ立法いたしますね。その立法というのは、琉球政府覚え書きをかわしさえすれば全部沖繩に対しては有効になってくるという解釈なんですか、どうなんですか。
  13. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 郵政省の所管に深い関係があるようでございますから、私からお答えをいたします。  ただいまの御質問の点でございますが、日本の今回の法律が、一つには支払い問題、元金等の受理の問題がいま御質問の中で残っておるように存じます。その問題は、いわゆる強制力と申しますか、法律をつくりまして、この法律一定期間、あるいは何らかの条件において向こう債権——日本郵政省に対します貯金債権あるいは保険債権を消滅さしてしまうという趣旨はここに含んでいないわけでございます。したがいまして強制力を伴わない法律でございます。そういう意味で、これに対応して琉球政府においても法律をつくる必要もない、そのように考えております。  なお、そのように強制力は持っておりませんが、向こうのほうで、いわゆる預金者あるいは保険契約者が今回覚え書きに書く予定をしておりますいろいろな諸条件支払い条件に完全に賛意を表しておる、それでけっこうだというような意向をわれわれも書類でももらっておるわけでございます。したがいまして、強制力はなくてもこの問題は円滑な解決を見る、そのように考えております。
  14. 加藤六月

    加藤(六)委員 貯金局長さんの答弁総理府のほうでもう少し突っ込みたかったのですが、具体的法案内容等にも触れてこられましたのでここでちょっとお伺いしておきますが、今回の郵政省との解決処置に対する沖繩側の反応、こういうものはいまおっしゃったように強制力はないけれども、具体的に一札とっておるというようなお話がございましたが、どのような手続をいままでにとられ、今後これをとっていくのかということについて詳しく御説明いただきたい、こう思います。
  15. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 今回の私どもの考えております元利金支払い、あるいは見舞い金、あるいはまた貯金保険施設、そういうもので完全に解決をしたいということでございますが、その手段、どうやってそうするかという問題でございます。  それについて申し上げますと、まず、私ども琉球政府との間で締結を予定いたしております覚え書き、これは国際間のいわゆる約束ごとでございますが、それが一つ予定した項目があるわけでございます。そしてまた、これに対しまして向こう預金者代表はけっこうであるという誓書、それを入れておるわけでございます。その誓書沖繩島預金者保険契約者を代表いたします六名の人々から得ておりますが、沖繩本島北部地区中部地区南部地区那覇地区宮古地区八重山地区、その六地区のそれぞれの代表者からその誓書をもらっておるわけでございます。  そして、この誓書の六名の代表権がはたして十分に預金者全体を代表いたしておるかという問題でございますが、その下部に六十二名の代表者があるわけでございます。これは沖繩全島五十九市町村市町村長その他でございますが、この市町村長その他の三名が同時にこの各村におきます市町村単位にいたします戦前郵便貯金等払い戻し獲得期成会というものがございますが、それの債権者総会、これから、もう皆さんのなさるとおりでけっこうでございますという、いわゆる交渉権限委任を受けておるわけでございます。そういうことでもちまして、まず私どもは、そのように預金者総体の意思を現段階において反映しておる、そのように考えております。
  16. 加藤六月

    加藤(六)委員 その誓書なるものは昭和四十四年度の戦前郵便貯金簡易保険支払いに関する解決案を出す前にとっておる、こういうわけですか、それとも、解決案というか、この金額元利合計額あるいは見舞い金というものを計算して了承してその誓書をもらったのですか、それとも、交渉する前にその誓書はとったわけですか。
  17. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 その問題につきましては、予算に計上されまして予算審議の途中、そしてまた、ごく最近までの間でこれの誓書をもらったわけでございます。したがいまして、元利金金額あるいは見舞い金額総額、あるいはまた貯金保険施設の額、そういうものは全部こまかい数字まで向こうに示しまして、その上で向こうの了承を取りつけておる、そういうことでございます。
  18. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうしますと、貯金関係はそれで相当はっきりすると思うわけですが、その誓書対象に、保険関係あるいは年金関係で、特に保険関係なら解除になったあとの死者、凍結期間中の死亡者、その受け取り人、こういう者も含んだ誓書になっていると解釈していいわけですか。
  19. 竹下一記

    竹下政府委員 お答えします。  簡易保険につきましても、簡易保険並びに郵便年金につきましても先ほどの郵便貯金扱いと全く同様でございまして、ただいま申しましたように、昨年以来の予算でもって今度の債権債務処理の輪郭がわかっておりますので、その内容でよろしい、処置を一任するという委任状を取りつけておるわけでございます。
  20. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうしますと、この誓書というのは、一体どういう資格といいますか、意義があるんでしょうか。悪いことばでいえば、私人格法人格の問題、あるいは公法上の拘束力沖繩住民皆さんに対してあるのかないのか。全員を網羅しておるというようなことばもありましたが、この誓書というものについてはどういう資格があるわけですか。それと、いま簡易保険局長答弁になりましたのですが、そうした場合には、簡易保険加入者でその期間中に死亡者が出てくる、そうすると、その死亡者をよく確認して、正式の受け取り人とかあるいは正式の相続人、こういうものをも完全に拘束するようになっておるのかどうか、この問題はどうですか。
  21. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 これは先ほど申し上げましたように、各市町村単位といたします戦前郵便貯金等保険を含みますが、債権払い戻し獲得期成会がそれぞれの地区市町村長にあてた権限委任書でございますが、ただいま御質問法人格云々という点につきましては、これらは現段階におきましては任意団体でございます。しかし、財団法人として政府監督を受けるように現在申請中ということを承知いたしております。しかし、任意団体ではございますが、その権限をこういう受任者に、市町村長等委任したということは私法上の契約として法律上十分に有効であると存じております。したがいまして、そういう点について支障はないと心得ておるわけでございます。
  22. 加藤六月

    加藤(六)委員 期成会というのは任意団体ですね。任意団体市町村長委任状を出した、そして、その任意団体がいま財団法人申請をやらんとしておる、こういうことですね、いまの御説明では。間違いございませんか。
  23. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 さようでございます。
  24. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうしますと、誓書の六名はあくまでも任意団体から出したものであった。そうしますと、新しい財団法人は、そのままの任意団体を有効に認めるかどうかは未定ですね。
  25. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 先ほどの御質問の点でございますが、債権払い戻し獲得期成会というものの総会——市町村長は現実の形としては市町村長でございますが、いわゆる期成会の各地区の会長たる市町村長、そういう考えでございますが、それに委任をしておる、したがいまして、あくまでもこれは私法上の委任でございまして、市町村長たる公法上の人格者対象とした委任ではないわけでございます。その点が一点でございます。  そしてもう一点、第二の点でございますが、この現在の払い戻し期成会はこのままの形でこれをそっくり財団法人認可申請をしておる、さように承知をしております。
  26. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうしますと、これは貯金局長さんにお伺いすることかどうかわかりませんが、趣旨がよくわかりませんが、日本において、日本におけるところの貯金とか保険口数とか金額とかいうものの確認は、これは貯金の場合なら熊本貯金局保険の場合なら福岡保険局、こうなる。その数字というものと、沖繩側口数、あるいはその人が現在生きておるのか死んでおるのか、どういう状態になっておるか。それはぴったり合っておるのですか、合ってないのですか。
  27. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 この口数は、貯金のほうで十七万六千、また簡易保険のほうは同じく十七万二千でございます。この口数について、これは私どものほうでただいま御質問のように熊本貯金局、そういうところで調べたわけではございませんで、昭和二十六年に申告をさせたわけでございます。これには米国の民政府琉球政府あるいは郵便局市町村役場等の全面的な協力を得まして一年半かかりまして申告をさせた、そして、その申告したものと、また私どもの持っております貯金であれば、熊本貯金局原簿と対照いたしまして確認いたしました数字が、貯金であれば十七万六千口、そのようになっておるわけでございます。
  28. 加藤六月

    加藤(六)委員 ちょっと答弁がおかしいように思ったのですが、申告してきたものと、貯金局の場合ならば熊本貯金局原簿と照らし合わせてみた。これは熊本福岡戦災にあっておるのです。貯金局あるいは保険局戦災にあったかどうか私よく調べてないのでわかりませんが、私がいま問題を言おうと思うのは、漏れがあった場合どうするかということが一つ懸念があるのです。漏れがあった場合、それから保険の場合には、しからば保険口数というものと、今回この金額を出すについて、途中において死亡されておる方々というものははっきり確認して今回の数字の上にはっきり出てきておるのか。それは、保険契約のときの正式受け取り人、その受け取り人もなくなったから、あるいは相続者、こういう問題が出てきますね。それをちゃんと確認されておるのかどうかという懸念があるわけです。
  29. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 前半の御質問についてお答えを申し上げますが、この私どもの現在握っております計数で漏れがなかったかという問題であります。これは結論から申しますと、漏ればまずないというふうに考えております。ただいま申しますように、申告猶予期限を一年半置いたということと、そのほかに、証拠書等向こうにございませんでも、私どものほうに貯金原簿があればこれはオーケーを出しておる、そういうようないろいろな措置を講じまして、できる限り法律上許される限りにおいて拾い上げたつもりでございます。したがいまして漏ればないと存じますが、かりにこのときに通帳が出ませんで、あるいは証拠書が出ませんでおりまして、今回の措置の際に何かのことから偶然に発見したというような場合には、もちろんこれは有効でございますから、私どもの現在の数字にそれをプラスして措置をする、そのように考えておるわけでございます。
  30. 竹下一記

    竹下政府委員 簡易保険郵便年金原簿福岡地方簡易保険局に全部保管してございます。そうしまして、昭和二十六年に現認確認調査というものをいたしまして、簡易保険につきましては十七万件、郵便年金につきましては千八百件、こういう件数を確認いたしております。その後、実はいまお話がございましたようなことにつきましては調査をいたしておりませんので、保険事故が発生した人につきましてはこれはわかっておりません。したがいまして、この法律によりまして実際に法定支払いをする、あるいは見舞い金を支払うという作業の段階においてこの事実関係を確認するという仕事が一つ残されておるわけでございます。郵便年金につきましても同様であります。満期になりましたものは、原簿がございますから福岡でもって満期の到来はわかるわけでございます。
  31. 加藤六月

    加藤(六)委員 この問題も突っ込んでいきますといろいろ問題があるわけでございますが、時間もだいぶ経過したようでございますので、私は、この漏れの問題と、それから保険関係のいま簡易保険局長さんの答弁のあったそういう内容については十分慎重にやっていただかないと、特に現在日本法律が及んでない沖繩であるということで懸念があったので申し上げたわけでございます。また、その期成会の中に、はたして保険関係のそういう死亡者の遺族というものが完全に了承して、あるいは受け取り人というものが了承してなってきたのかどうかという問題等についても懸念があったわけでございます。  その次にお伺いしますが、一番最初総理府に申し上げたいと思っておったのは、この貯金保険支払い問題の解決というものと、会館関係というものと、それからもう一つは、沖繩援助費関係における特に逓信関係郵便事業特別会計あるいは住宅建設資金融資特別会計、こういうものとの関連があったので総理府特連局のほうにお願いしょうと思っておったのですが、かりにこの法案が通らなかった場合でも、この法定支払い見舞い金というものは——われわれがいまやらんとする法案施設及び設備設置及び無償貸し付けに関する法律案は、結局会館関係——会館を建てるんだ、それに対して無償で貸し付けるんだということになるわけですが、この法案が通らない場合でもこの支払い問題というのは行ない得るのかどうか、また行なうのかという点についてちょっと承っておきたいと思います。
  32. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 この法案が万一通らない場合には——これは琉球側におきましてはいわゆる支払い問題の一環だ、一つの輪だというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、先方といたしましては、この元利金支払い見舞い金、そして会館、こういうものがいわゆるワンセットになってあらわれて初めて、これでもう最終的解決をいたしますという覚え書きも締結可能となるわけでございます。それで、ぜひとも御審議の上、通していただくようにお願いをいたす次第であります。
  33. 加藤六月

    加藤(六)委員 いや、そういう意味ではないのです。関連性について……。
  34. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 関連性といたしましては、結局、私どもといたしましては、沖繩郵便貯金の現状が非常にレベルが落ちておる、したがってレベルダウンする現状を改善するために貯金保険についてこのような施設をやろう、貯金奨励をする上にも役立つ、簡易保険思想普及にも役立つような施策をやろう、そうすることによって、復帰を前提にいたしておりますが、復帰いたしました場合に、日本郵便貯金簡易保険も非常に恩恵を受けるというわけでございます。したがいまして、直接の支払い問題とは直接には関係がないというわけでございます。しかし、先ほど申しますように、沖繩側から見ますと、支払い問題の解決にあたりまして、琉球政府からそういう要望もありますし、預金者側もこれを希望しておるというようなわけでございますから、事実上は、やはり支払い問題の解決とこの会館施設等は一連の切り離せないものとなっておる、そういうふうなものであります。
  35. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、またもう一歩話を進めるわけですが、これの支払いが済みますと——琉球においてはいま貯金向こうの郵政関係でやっておられますね。ところが、沖繩には郵政省のやっておるような簡易保険のようなものはないですね。ところが、この法律案のなにでは郵便貯金奨励及び簡易生命保険思想普及、こういうことになるわけですね。払ってしまいますと保険関係はゼロになるわけですね。ゼロになるんだけれども、近いうちに返還するだろう、返還するんだから簡易生命保険思想普及もやらなくちゃならぬという意味があるようにとれるわけですけれども、どうもぴんとこないのは、貯金沖繩において現実にやっておる、ところが保険はやっていない。そのやっていない保険思想普及のためにその施設を使わすんだというのがちょっとぴんとこないのですが、そこら辺は、何か考え方があってのことかどうか、これは簡易保険局長、承りたいと思います。
  36. 竹下一記

    竹下政府委員 おっしゃいますように、ただいま国営の簡易保険はやっておりません。民営の保険会社が二社ありまして細々と保険事業を営んでおるようにいわれております。しかし、沖繩住民方々の気持ちを察しますと、なるべく早い機会に簡易保険事業を復活してもらいたいという気持ちが非常に強いようでございますし、沖繩郵政庁も簡易保険の再開に備えていろいろと勉強もしておられるように見受けられますので、これはおっしゃいますように、ただいまやってはおりませんけれども、近い将来において簡易保険事業は再び再開される、そのためにいまから保険思想普及する——いまでもかなり普及しておるようでございますけれども、さらに高める、そういう意味合いでもって施設をつくろう、こういうわけでございます。
  37. 加藤六月

    加藤(六)委員 今度はちょっと国内問題に移るわけですが、この法案を読みますると、「郵政省令で定める施設及び設備沖繩島那覇に設置し、」こうありますが、国内においては昭和四十二年度から郵便貯金会館というものが、年次計画を立てられ、東京、大阪、広島、名古屋、熊本あと二つ、四十二年、四十三年、四十四年度でもうやっていっておるわけですが、土地を買い、建物をつくる。これについては、私は国内における貯金会館については省令があるということを知らないわけですが、沖繩島の那覇につくる場合においては、この文章の読み方にもよるのですが、省令で定める施設及び設備をやるわけですか。
  38. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 おっしゃいますように、本土の場合におきましては省令等を用いざるわけでございますが、これは御案内のように、郵便貯金会館というものが郵政省設置法に根拠を持っておる、したがって省令は要らないわけでございます。しかし、沖繩島——外国でございましょうが、そこへ国有財産を無償で貸し付けるという場合には、貸し付け範囲はどの範囲のものであるかとか、貸し付けとなる物件の対象とかその所在地、土地、建物の面積とか、あるいは構造が何であるかとか、あるいはまた施設内容会議室が幾つあるとか、そういうようないろいろこまかいところまできめてやることが、やはり国の財産を無償貸し付けする場合には必要なことであろう、そういうことから省令で事こまかく指定をする、そういうことでございます。
  39. 加藤六月

    加藤(六)委員 それで局長さん、問題があるのですよ。私が思うのは、私はきのう設置法を見まして、たとえば貯金の場合は第九条でずっと各項目がある。国内の貯金会館なら九条の二十二、二十三、こういうところでできるんじゃないだろうか。ところが、沖繩の分は省令で定めなくてはならないというところに第一矛盾を感じたわけですが、現在のところ、保険の場合なら一応第十条のそれぞれに相当する項目でできる、ところが、沖繩につくるものについては、省令でいまおっしゃったように施設設備というのは相当厳重にやらなければならない。施政権が今日完全に沖繩に及んでないということで、こういうことも国家財産を使う上からいってやらなくちゃならぬという趣旨はわかるのですが、どうもこれは省令で定めるというところに若干——しからば、国内の施設及び設備は省令で定めなくてもいいのかということにもなってくるわけなんですが、沖繩でこの会館をつくる場合には省令で定めなくてはならないという説明をもう少し詳しく承りたい、こう思うわけです。
  40. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 国内の場合は業務施設であるから、郵便局やなんかと同じものでございます。したがいまして省令を要しない、しかし、沖繩に国有財産を無償で貸すというような場合には、やはりそれがいわゆるみだりになってはいけない、厳重な貸す範囲、そしてまた貸す条件もございますが、どの程度のものを貸すのか、そのものを特定してはっきりさせなければいけないというようなことからこのような省令を必要といたしておる、そういうことでございます。
  41. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうすると、この償却の問題とか、管理はどういうようにやらすのかというような問題等もいろいろ出てくるわけでございます。  もう一つ及川課長に承っておきますが、この予算どおりの執行というものが確実に沖繩で担保できる保証というものは、総理府において間違いなくできますか。
  42. 及川謙三

    及川説明員 今回の解決のためのいろいろな措置の中には、予算措置を講ずるもの、それから財政投融資の資金の貸し付けによるもの、あるいはこの法案会館設置無償貸し付けという行為を行なうもの、御承知のようにそういった内容を含んでおります。御指摘の予算につきましては、念のため琉球政府からも、今回の解決措置がこれはすべてのものをセットにして解決されるであろうということの念書といいますか、確認書を取っておりますので、これらのすべての措置が行なわれるという前提に立ちますれば、沖繩債権者がこの問題についての十分納得のいく解決になるのじゃなかろうか、このように考えております。
  43. 加藤六月

    加藤(六)委員 納得のいく解決、そのセットは三つありましたね。  先ほど私が質問申し上げましたように、支払いの問題と、それから会館の問題と、財投の問題ですね。この三つがそれぞれ間違いなく実行できるかどうかという担保するしかた、確認するしかたというものについては、この三つについて現在総理府琉球政府との完全なる話し合いというものはあるわけですか、ないわけですか。
  44. 及川謙三

    及川説明員 お答えいたします。  今年の一月十三日に沖繩に関する日米協議委員会の第十七回の会合を持ちまして、アメリカ代表も含まれている会合でございますが、その際の合意事項としまして、「日本側より、多年懸案であった沖繩住民のもっている日本郵便貯金等の払戻し問題が解決をみた結果、沖繩に対し総額四十億円の資金が提供されることになった旨述べ、そのうち三十億円は住宅建設資金として明年度以降三カ年にわたり融資されることになっており、そのうち初年度分十億円が今回合意をみた沖繩援助計画の住宅融資計画に組入れられている旨説明した。」ということで、沖繩施政権を持っている米国側もその会合によって政策上の完全な一致を見た、これが一つの担保かと思います。  それから、御指摘の今回の解決策は、三つの措置といいますか、あるいは見舞い金を含めて考えれば四つの措置といいましょうか、これに関しては琉球政府側の行政主席名をもって、債権者皆さんもこのような措置をとっていただくことについて十分納得がいきますということを文書でもって言いよこしておりますので、これもおっしゃる意味での大きな担保かと存じております。
  45. 加藤六月

    加藤(六)委員 この問題はいろいろ承りたいことがたくさんございますのですが、もう時間も参りましたので私の質問はこれで終わりたい、こう思うわけでございますが、最後に一つお願いしておきます。  円満解決、円満解決ということばが先ほど来各政府委員から出てきておるわけですが、どうぞ、漏れがあったり、あるいはあとから不平不満、訴訟問題が起こらないように、また、本土に返還が可能になった時点まで尾を引くような問題のないようにくれぐれも注意していただき、なお、いまの三本柱といいますか、見舞い金を含めた四つの施策といいますか、これについて確実に実行できるという担保について、くれぐれも相手側に対しはっきりした内容を今後意思表示していただくということをお願いしておきまして、私の質問を終わらしていただきます。
  46. 小渕恵三

    小渕委員長代理 米田東吾君。
  47. 米田東吾

    米田委員 私は、まず最初に大臣にお聞きをしたいと思います。  この法律の名前からいきますと、現在沖繩に及んでおらない日本施政権が何か沖繩にも及ぶかのような感じをもって読み取られる内容だと思うのであります。しかし、この法律の中身というものはそうではないようでありますけれども、私は、どういうことでこういう長ったらしい、しかも中身と名称と違うような、また、その名称が法律の本旨に反して誤解を受けるような名前をつけなければならなかったのか、そのことから大臣にお聞きをしたいと思うのであります。——抽象的でわかりませんか。  というのは、一つは、日本郵便貯金の事業や簡易生命保険の事業というものが、その思想普及だとかあるいは奨励だとか、そういうようなものが沖繩にも及んでおる、そういうような感じを受ける、私の言いたいことはそういうことなんです。したがいまして、そういう点では誤解を受けるんじゃないか。それから中身というのは、単に会館をつくって貸し付けるというだけの中身のようであります。なぜ一体こういう麗々しい法律の名前が必要なのか、その点でも私わかりません。したがって、そういう点でまず御答弁をいただきたいと思います。
  48. 河本敏夫

    河本国務大臣 法律の名前が非常に長ったらしいではないか、それから名前と中身が少し違うのじゃないか、こういうお話でございますが、これは法律の名前と中身は違わないと思います。
  49. 米田東吾

    米田委員 私の言っているのは、貯金保険沖繩にもこの法律適用されるのか、日本施政権沖繩にも及ぶのか、こういう誤解を受けやせぬかということを申し上げておる。沖繩における郵便貯金奨励及び簡易生命保険思想普及に必要な施設及び設備設置及び無償付けに関する法律案、こういうふうになっているわけであります。「及び」というのは要らないのじゃないか。「及び」があることによってそういう誤解を与えることになりやせぬかということを実は私は感じますので、どういう趣旨かということでお聞きしているわけです。
  50. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 ただいまの法文でございますが、ここに「政府は、琉球政府が行なう」という頭書きをつけておるわけでございます。これは琉球政府が行なっておる沖繩における琉球政府郵便貯金ということでございます。そしてまた、簡易生命保険は先ほどからのお話のように沖繩には行なわれておりませんので、貯金はすでに琉球政府貯金がございますから「奨励」ということばを使いましたが、簡易生命保険は現在ございませんので、いわゆる保険思想普及、そういう意味で「普及」ということばに使い分けておるわけでございます。「琉球政府が行なう」ということで、日本郵便貯金あるいは簡易生命保険奨励ではない、そういうことを表現したつもりでございます。
  51. 米田東吾

    米田委員 そうだとすれば、なぜ琉球政府が行なう法律をここでつくらなければならぬのですか。それなら、琉球の立法院がちゃんとあるのでありますから、必要な法的措置はするだろうと思う。これは別に、日本の国会で琉球政府が行なう貯金奨励だとか保険思想普及などということについて法的措置をとる必要はないのじゃないですか、私はそういうふうに思うのですけれども、その点はどうですか。
  52. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 この法文の第一項のポイントといいますか目的語といいますか、目的とする字句・は、二行目のまん中あたりにございます「施設及び設備」でございます。これを設置することが目的でございまして、それは何のためにするかといいますと、沖繩島におきまして琉球政府が現在やっている貯金をもっと盛んにするために、そういうことでございます。
  53. 米田東吾

    米田委員 言われることはわかりますけれども、この法律の名称はあまり適切じゃないように思いますので、私ども社会党のほうでも十分検討して、この法案審議の終わるまでには、もう少しわかりやすいような名前にしたらどうかということを出してもらうようにしたいと思います。  それから、次にお伺いしたいのでありますが、いま何といいましても日本沖繩との関係において一番政治的に問題になると思われるのは、沖繩の国政参加あるいは行政の一体化、そういうことだと思うのであります。提案理由説明等によりましても、そういうことを志向しながら、この貯金保険のいわば未解決部分の処理について、そういう精神でこの法律案立法するというようなことが言われておるわけでありますけれども、しかし、中身を見れば、会館をつくって提供しますというだけにすぎない。肝心のこのいままで未解決部分でありました貯金保険債権者に対する処理は、法律の中には入っておらない。しかも、行政の一体化、あるいはそういう面で郵政省沖繩の郵政庁に対して援助をするとか協力をするとか、そういう積極的な思想があるかと思うと、そういう点もあえて見当たらない。どうもそういう点でもチンプンカンプンな感じがするわけであります。法律というものはそういうものかどうか、私よくわかりませんけれども、それらの点につきましては、郵政省のほうとしてのお考えはどうでございましょうか。
  54. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 まず、ただいま御質問のように、この法案沖繩の復帰を前提としていること、御説のとおりでございます。  次は、支払い問題が直接この法律の明文の中に入っていないじゃないかという点でございますが、これは先ほど加藤委員の御質問の際にも申し上げましたが、この法律は、日本国内法、いわば私どもを拘束するにとどまりまして、琉球の住民強制力を持ったり何かするものではないわけでございます。したがいまして、支払い問題を法律に入れまして、そこで拘束力を持たせて、有無をいわさず琉球住民の持っております貯金債権あるいは保険債権をなくしてしまおうというようなことを意図していないわけでございます。そしてあくまでも、この会館施設をいたすことによりまして、貯金保険支払い問題の一環と先方がこれを認識し、そういうことであれば私ども元利金支払いに応じましょうという気持ちを、その裏におきまして事実問題としてそういうふうにあらわしていこうというものでございます。そういうことで法律には支払い問題に直接触れておらないわけでございます。  第三点の援助姿勢の問題でございますが、われわれ郵政事業といたしましては、何といたしましても、いまわれわれがとり得る手段といたしましてはこの手段が一番大きい、向こう郵便貯金なりあるいは簡易生命保険をもっと隆昌にするためには、この長い間こじれておった支払い問題を解決し、そしてそれとうらはらの関係にございます貯金保険会館をつくってやって、やはり郵便貯金はいいなというふうにするということが最も有効な援助姿勢ではなかろうかと考えておるわけでございます。
  55. 米田東吾

    米田委員 私はこの法律趣旨については賛成をしております。賛成をしておりますが、中途はんぱだということを実は申し上げているわけです。大臣の提案理由説明の中にもこういうふうに書いてある。「政府におきましても、本土沖繩との一体化を推進するため、郵便貯金につきましては、その利用を増進し、事業の水準を引き上げ、簡易生命保険につきましては、事業の開始を円滑ならしめるため簡易生命保険思想普及をはかることが緊要の措置であると考え、」——このことは私は同感なんです。緊要な措置であるということと、それから一体化を促進する、しかもこの沖繩返還本土復帰を促進する、国政参加というものが現実にいま日本でも問題になっている、こういう時期にこれだけの立法措置をされてこの沖繩貯金保険の事業というものに対して協力をされるわけでありますから、この種の中身というのは、たとえば会館一つつくってやるというだけなんでありまして、こういうことにとどまらないで、もっと積極的にこの沖繩の郵政事業全般に対して協力をする、援助をするという姿勢があってもいいじゃないか。この前段のほうには、たとえば貯金事業については格差があるとか、あるいは保険事業についてはまだ始めておらないとか、とにかく日本貯金保険の現状から比べましてもひどい格差がある、おくれておる、そういう実情にかんがみていまこういう立法措置をされるのでありますから、もう少し魂を入れる提案にならなかったのかどうかということが不満なんであります。そういう点で再度御答弁いただいておきたいと思います。将来考えるのですか。
  56. 河本敏夫

    河本国務大臣 なるほどお話しのようにこの法律では御指摘のようなことしか書いてありませんが、先ほど来の質疑応答にございましたように、元利金支払いのほかに見舞い金をする、さらにまた財政面で援助をする、こういうことは法律をつくらなくてもやれることでございますので、それで書いてはございませんが、そういうこともあわせてやる。したがいまして、この法律で御審議をいただいておりますことは四本の柱の一本である、かような意味に御理解いただきたいと思うのでございます。この問題が一応一段落いたしましても、あと沖繩の郵政業務を振興するために引き続いていろいろな仕事をやっていきたい、かように考えております。
  57. 米田東吾

    米田委員 大臣の答弁でわかりましたが、結局、法的措置を必要とするのは、この会館を貸し付けるというこの点が必要だから、したがってこのような臨時立法でありますか、そういうものをつくるのだ、こういうことで、その他は郵政省の行政の一環として、必要があれば省令をつくるなりいろいろ行政の面で十分やっていく、こういうことだというふうに言われることはわかります。  そこであまり時間がありませんけれども、これからどういうことをお考えになっておられるのか、いわゆる郵政省として郵政省の行政行為によってこの程度の沖繩に対する協力をしてやりたい、そういう中身がありましたら、ひとつこの際聞かしておいてもらいたいと思います。この貯金保険支払いあるいは見舞い金、そういう関係を除いてです。この関係の部分、四本の柱というものを除いてこれからどういうふうに考えておられるか。
  58. 及川謙三

    及川説明員 総理府といたしまして、沖繩に対するこの七月から始まる新しい年度に対する援助計画の一環といたしまして、財政投融資面で郵政省所管の簡易生命保険積み立て金からの原資を御割愛いただきまして、沖繩郵便局舎の改築計画に対する融資金といたしまして一億八千万円を予定してございます。それから同時に、若干関連が薄いかと思いますが、琉球電電公社に対しまして、設備拡張等の資金に充てるための融資を一億八千万円を予定してございます。これについては日米間の合意を得ておりますので、本土政府の財政投融資計画もこういう中身を含めて確定していただいておりますので、七月年度開始になりましたら、なるたけすみやかにこの実施をはかってまいりたい、このように考えております。  それから、郵政行政一般につきましては、現在総理府におきまして郵政省さんと協議しつつ、あとう限り一体化の策をとるべく検討中でございます。
  59. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 ただいま総理府から貯金保険の経費等を使っての財政上の援助が説明されましたが、そのほかに、私どもといたしまして大体三つのやり方で従来とも援助をやっておりますし、これからはますます強い援助をしようと思っておるものがあるわけでございます。  それは、一つ業務指導でございます。昭和三十五年以降、たとえば貯金事業に限って申し上げましても、本省の課長やあるいは補佐を延べ十二名を派遣して向こう貯金事業の指導に当たらしておりますし、また琉球政府職員を本土に呼びまして現業機関あるいは研修所に入れ、あるいはまた本省郵政局に研修をさせておるというのが、三十三年以来研修所に二十五名、本省貯金局に十名、これは貯金事業だけでこのくらいの数字でございます。他事業にもあるわけでございます。そのほか、私どもの持っておりますいろいろな資料でありますとか、法規類集、解釈例規集、そういうものはすべて向こうの要求どおりにこちらのものを提供をいたしておる、そういうようなことで従来とも協力をいたしてきたわけであります。
  60. 竹下一記

    竹下政府委員 簡易保険につきましては郵便貯金と若干仕事の中身が違いまして、保険料の集積、つまり資金をうまく運用いたしまして蓄積をしなければならないという部門がございまして、つまり資金運用というわけでございますが、資金運用につきましては、沖繩島内だけではこれはなかなか成果があがり得ないという、そういうむずかしい問題点をかかえております。したがいまして、簡易保険につきまして再開したい気持ちはあるけれども着手できないというところが実情であろうと思います。したがいまして、琉球政府ではいろいろ勉強いたしておりまして、内地に来られる人たちも郵便貯金や郵便の勉強をされると同時に、簡易保険のほうもいろいろと勉強して帰られる、それに対して私どもはお助けをしているわけでございますけれども、その程度でございまして、簡易保険事業の再開ということになりますと、実行上いろいろとむずかしい問題が伴ってきますので、これは時間的にもう少しかかることではなかろうかと考えます。
  61. 米田東吾

    米田委員 ついでですから保険局長にもう少し再質問させてもらいますが、保険加入者サービスという点ではなかなか行き届いた事業をやっておられるわけであります。しかし、沖繩日本のあなたのほうの簡易保険加入者は現在おらない、したがって適用外だということはわかりますけれども、やはりこういう郵政省の姿勢として沖繩援助という姿勢に変わってきている以上、あなたのほうでも、この簡易保険加入者サービスという面で、あるいは沖繩県という理解をされて、老人ホームをつくるなり診療所をつくるなり、あるいはいろいろなあなたのほうでもやっておられるそういうようなものを、十分でないにしても何らかの援助の道をつけてやるような、そういうことは考えておられませんか。
  62. 竹下一記

    竹下政府委員 本土郵便貯金会館とあわせまして郵便貯金保険会館という施設ができますので、その中には簡易保険の経費一億円がいっております。その施設はいまおっしゃるような趣旨のものでございます。もっとどしどしやれというような御意向かと思いますが、これはやはり施設権も異にしておる地域のことでもございますし、簡易保険事業の予算事情もございますしいろいろございますので、当面はこの程度のことにさしていただきまして、いずれ近い将来一本化されて簡易保険事業を再開する、そうなりますると、内地の保険事業と一体的に扱われるという事態が来るわけでございますから、その機会に実施に移したい、かように存じます。
  63. 米田東吾

    米田委員 郵務局長おいでのようでありますので、こまかくなって恐縮でありますが、郵務局関係で、たとえば沖繩のおくれておる郵便施設についての改善の援助、特に機械の導入等に対する技術者の養成とか、いろいろそういう点が考えられるのじゃないかと思うのであります。いま総理府答弁によりますと、まず郵便局舎について一億八千万程度の措置をされるような答弁がありましたけれども、これはこれでけっこうでありますが、郵政省の特別会計の中で、特に郵便事業の中でも何らかのいわゆる援助というものが考えられておりはせんかと思うのでありますけれども、ありましたら答弁をいただきたいと思います。
  64. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 ただいまお話ございましたように、沖繩につきましては省全体としましてあらゆる援助をいたしておるのでございますが、私の所管としております郵便関係におきましても、たとえば、お示しになりましたように機械の貸与、あるいはそれをそのまま向こうに支給するというようなこともございます。また、訓練につきましては、中央研修所、あるいは熊本の所轄でございます九州の郵政研修所に職員を招きましてこれを訓練するということもやっておりますし、そのほか、私の所管でございませんけれども、表彰等を通じまして、あらゆる機会に向こうから職員をこちらに招きまして志気を鼓舞しておるというようなこともやっております。なお、局舎につきましては、ただいまお示しのとおり、積極的に向こうの局舎改善三カ年計画に従いまして、財投資金の活用等によって援助していることは御指摘のとおりでございます。今後とも、私どもとしましてあらゆる面を通じまして援助を惜しまないつもりでございます。
  65. 米田東吾

    米田委員 わかりました。  支払い問題についてちょっとこまかく聞きたいと思います。私は正式な逓信委員でありませんので資料がないのかもしれませんが、いろいろ加藤委員に対する答弁で、未解決支払い問題が今度解決した、したがって、利息の計算あるいは見舞い金措置、そういうようなことについても大筋合意を得たというようなことが言われておりますが、私が資料がないのかどうか知りませんけれども、この関係というものは逓信委員会にあまり明らかに報告されておらないように実は感ずるわけであります。  これは詳細説明を求めると時間がかかりますけれども、一連のいまの大臣の答弁によりますれば、昭和三十五年以来ずっと九年間にわたって交渉がなされてきておる。これは総理府であるか郵政省であるかはとにかくとして、政府としていろいろ折衝されまして、そうしてようやく今回この沖繩債権者と、それを代表する琉球政府でありましょうか、それと法的にも何か根拠を持つところの誓約書ですか同意書ですか、そういうようなものに調印するととろまでこぎつけたというようなお話があったわけであります。これは、私の仄聞するところでは、向こうの要求とこちらのそれに対する答えと相当隔たりがあって、相当の時間と難航を経たというようなことも聞いておりますので、この点ひとつ、一連の交渉経過、それから今日のこの合意に達した内容というものをまずきょうの段階で大綱を説明してもらわぬとあと質問が続きませんから説明してもらって、それから、正式に資料を出しておらないなら逓信委員会に出していただきたい。いかがでございますか。
  66. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 それでは、交渉のいきさつ、そして、現段階におきまして私ども琉球政府並びに預金者側が合意に達している諸点について簡単に申し上げておきたいと思います。  御案内のように、三十五年の五月に日本政府が直接預金者に支払ってよかろうという日米間の合意が成立いたしましたわけであります。ところが、沖繩側はその際に一円を一ドルで換算をしてくれ、それでないと支払いに応じないということを申してまいりました。それで私どもとしては、そういうことではもうどうにも問題にならないといって、これを強く拒否しておりましたわけであります。その次に昭和四十二年の七月に第二次の要求を持ってまいりまして、その際は一円を六十七セント、日本円に直しますと二百四十一円でございますが、それに換算して支払えということを言ってまいりまして、われわれといたしましては、これでもどうにもならないという回答でございましたが、ようよう昨年の八月に至りまして、一円を三十六・七セント、日本円に換算しますと百三十二円でございますが、それに換算して払ってくれ、それができなければ見舞い金と称するものを五十四億円——これは向こうの元金あるいは保険の責任準備金を一円対三十六セントで換算して、日本円にすると五十四億円になるわけでありますが、この五十四億円を預金者代表に一括交付してくれという要望が出されたわけでございます。  それで、これも非常にむずかしい向こうの申し入れではございましたが、いつまでもこれを放置しておくわけにいかない。御案内のように、逓信委員会あるいは予算委員会でも毎年この沖繩問題が出なかったことはない、早く何とかせよという強いおしかりを受けておったわけでございます。それで、関係者寄り寄り協議しまして最終的な解決案として出しましたのが、結局、法定支払い金と、見舞い金と、きょう御審議願っております貯金会館、この三つの問題につきまして煮詰めをいたしましたわけであります。  法定支払い金と申しますものは、これは貯金であれば、元金にいわゆる法定の利子、貯金法上当然つけなければいけない通常の貯金の利子をこれにつける、そこで貯金関係で九千四百万の金をそこでは考える、保険関係は責任準備金を七百五十一万考えるということでございます。この法定支払い——法律上われわれが当然の義務として支払わなければならない金、これは締めて一億一百万、まあ一億でございます。そして、その次に見舞い金と称するものを考えたわけでございます。もちろんこの見舞い金という考え方は、ことしあるいは去年初めて出た問題ではございませんで、これは従来とも、すでに第二次要求のころから出ておりまして——今回の額より少のうございますが出ておりまして、予算にも年々計上しておったわけでございます。それを、今度は従来よりも少し増額をいたしました見舞い金を出そうというわけで、その見舞い金貯金保険合わせまして四億一千四百万でございます。それが予算でも認めていただいたわけでございます。そしてその施設は、先ほど来話が出ておりますように、貯金から四億、保険から一億、計五億を出そう、締めて法定支払い金の一億と見舞い金の四億と、そうして施設関係の五億、これでちょうど十億の金になるわけでございます。ただし、施設関係はこれは無償貸与でございます。見舞い金法定支払い金は、これは現金で向こうに払うわけでございます。それで、それにまた加えまして、先ほど総理府から説明のありました融資でございますが、融資を三年間にわたって三十億やろう、それで、この三十億を足しますと、結局ちょうど四十億に表向きなるわけでございます。  去年の八月に琉球側がわれわれに要望しました一円を三十六・七セントと申しますのは、金に換算いたしますと五十四億になります。向こうはもちろんこの五十四億をまるまるくれろということでございましたが、私どもは表向き——表向きといいますが、総額は四十億、そのうち施設の五億とあとの三十億はこれは貸すのでございますが、そういうことで話がついたわけでございます。別のことばで言えば、五十四億の要求に対して四十億ばかりで話がついた、そういうことも言えるかと存じます。それが解決のいきさつでございます。  資料は提出いたします。
  67. 米田東吾

    米田委員 これは資料は提出してもらいますけれども、資料はいままで委員会に出していないのですね。今回のこの法案審議にあたって参考資料としては出していないのですね。
  68. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 御説のように出しておりません。  実は、委員会の一般質問沖繩貯金関係が出ましたらそういう御要求もあったかと思いますが、この法案が出るからそれまで質問を待っておこうというようなお話も聞きまして、いままで委員会でお取り上げがないものでございますから資料は出ていないわけでございます。
  69. 米田東吾

    米田委員 それではひとつ資料を早急に出していただきたいと思います。  それでお聞きしたいのでありますが、そうしますと、いまの説明にあります五億円にあたる部分、要するに一億一百七十万一千円、それから四億一千四百十三万四千円ですね、これにかかわる部分、これはさっきからの説明によりますと、郵政省としては、郵政省一つの行政行為として琉球政府に、手続はいろいろありますけれども渡す、こういうことのようであります。しかし、保険にしても貯金にしても、加入者預金者との法的拘束力を持つところの債務あるいは債権債務関係というものは、これはたてまえとしては残るのだ、そういうような説明のようであります。しかし、これをやることによって同意してくれるから、これで同意をすることになっておるから実質は消える、こういう御説明のようでありますけれども、そういう措置というものは、いまの郵便貯金法あるいは簡易保険法のどの条文に基づいてそういうようなことをなされようとするのですか。私は、たてまえからすると、貯金法の国の保証の第三条、それから簡易保険法の第二条の二項、この関係というものは、国と預金者あるいは保険契約者加入者、との関係を規定づけておる基本的な条項だと思いますけれども、これは残るんだ、しかし、一つの行政措置としてこういう措置をやることによって、実質的には沖繩預金者保険加入者は了承するんだ、話がつくんだ、そういう説明のようなんでありますけれども、そこらあたりの点がどうも法的にあいまいになっておるのではないかという感じがするわけです。政治的配慮によって処置することはいいことではありますけれども、何か大事な法律処置というものがあいまいになってあとに残るということはどうかという気がするわけです。そこらあたりを、もう少し私が納得するように説明をしていただけませんか。
  70. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 ただいまの御質問でございますが、金を五億出し、そしてまた五億の貯金保険会館をつくることによってこの問題が解決するということの法的意義でございます。  これは実は私どもが、貯金の場合で申しますならば、沖繩貯金の預入者と結ばれておる、そこにいわゆる権利義務を生じておりますのは、向こう貯金の元金をわれわれが預かっており、そして、それに黙っておっても法定の通常貯金の利子がついておる、この金の支払いをいつまでもわれわれが債務として負っておるということでございます。したがいまして、この問題を解決するという意味は、向こう預金者がこの元利金支払いを請求する、こういうことがすなわち解決ということになろうかと存じます。そういう意味におきまして、この元利だけを返してくれということは向こうは絶対に申しませんで、何かこれにプラスアルファをつけるならば元利金支払いを受けましょうということでございましたので、先ほど来申しました見舞い金施設と三十億の融資等々、これが条件というわけじゃございませんが、そういうことでからみ合わせてこの問題の解決をはかる、それによって、法律的にも貯金法上もこの問題の最終的解決がはかり得る、そういうことでございます。
  71. 米田東吾

    米田委員 貯金法上も最終的に解決がはかれるという答弁の根拠は何か、それはわかりますか。
  72. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 先ほど申し上げましたわけでございましたが、われわれがいわゆる貯金債務を沖繩住民に負っており、向こう貯金債権を持っており……。
  73. 米田東吾

    米田委員 個人にあるわけですね。
  74. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 そうです。これを履行いたしますことによって、貯金法上の債権債務は消滅する、いわゆる債務の履行という形になるわけでございます。
  75. 米田東吾

    米田委員 そういうことなんですけれども、しかしさっきからあなたのほうの答弁を聞いておりますと、要するに、今回のこの一連の措置は、私はあえて言えばいわゆる政治的措置、この措置をやることによって、その貯金者あるいは加入者との関係における債権債務というものは自然消滅になる、しかし、この政治的措置そのものは保険法や貯金法の法律に根拠はない、そういう答弁ですね。したがって、法的に解決をするということは、これが一連の返環方式なり会館貸与のものを一切負わなければならぬということになりますけれども、そういうあなたのほうの解釈というものは、実質的にそうなんだということだけの説明では、私ども法律審議し、法律をつくる国会からいたしますとどうも不十分だと思うのです。  そういう政治的措置をするということについて、もう少しその根拠になる貯金保険の条文というようなものがあるのだ、そこは一体どういう条文で、どういう部分かということを聞いておるわけです。
  76. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 この問題の基本的な解決といいますか、一番大事な点は、貯金の場合でいえば元利金と利子を払うということでございます。それで、その支払うことによりまして、いわば貯金法上、私どもは債務の履行を行なうということに相なるわけでございます。  そういうようなことでございますが、ただ、それじゃそういうことをどこの条文に明文として書いてあるかという点につきましては、これはもう一般の法律の原則に返る——貯金法上は、御案内のように特別法でございますから、一般法たる民法、それに返りまして、いわゆる民法に規定しております債務の履行という条文によりまして私どもの債務は履行される、向こう債権は消滅するということに相なるわけでございます。
  77. 米田東吾

    米田委員 そうなりますと、これはまただいぶ問題がありますね。あなたのほうの答弁で、たとえば沖繩の債務者を代表する者がはたして法的にそれだけの体制を持っているかどうか、民法上債権者とみなしてよろしい体制にあるのかどうか。一番はっきりするのは、貯金者個人それから契約者個人が直接あなたのほうとお話をされて、そして見舞い金についてもあるいは利子についても支払いをされればそれで終わるわけなんでありますけれども、そういうことがなくて、一括方式をとっておられるわけでありますね。そうだとすると、また法的には、突っ込んでいくと非常に問題があるような気がいたします。時間がありませんから、それは問題提起だけにしておきたいと思います。  それからもう一つは、いまの説明で大体わかりましたが、そうしますと、いわゆる会館の五億、これはたいして根拠はないのですね。要するに、向こうの四十三年八月の第三次請求、それが一円を三十六・七五セント、そういう基準で請求があった、いろいろ話をした結果、もしだめなら総体で五十四億よこせば話をつけてやる、こういうふうになった、しかし五十四億ではなかなか応じられない、いろいろあなたのほうで折衝されました結果、総体的に四十億程度で手を打つことになったということで、この保険貯金関係者のほうに見舞い金を含めて払うのが約五億になるわけでありますが、それにいまの会館の建設資金五億、両方合わせて約十億、そして総体的に融資三十億を含めて大体四十億になる、そういう頭できめた、勘でもって、会館をつくるについては大体五億であげる、こういうことで計算が出ているということで理解してよろしいですか。
  78. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 われわれの貯金会館の五億の問題でございますが、これはもう申すまでもないことでございますが、内地の預金者の大事な運用収入から出す金でございます。したがいまして、われわれといたしまして、理由の立たない額を適当に交渉のときの一つの技術として、それじゃここら辺でこのくらいの額でどうだというわけにはまいらないわけでございます。したがいまして、これにも根拠がございます。  と申しますのは、内地におきまして郵便貯金会館あるいは簡易保険保養センターなどの予算規模を見てみますと、一県当たり貯金保険合わせて大体四・七億円、約五億円になっておるわけでございます。これは貯金会館の現在までの予定でございますが、これが一県当たり二・五億円、保険保養センターのほうは一県当たり二・二億円、締めて四・七億円に相なっております。この数字を持ってきて、沖繩一つの県だというような考え方のもとに五億円のワクをきめた、かようなことであります。
  79. 米田東吾

    米田委員 そういう御説明はわかりますが、この会館ということだけを例に引けば四・七億ということも一応妥当だと思いますけれども、私はやはりさっきから言っておるように、この会館だけを例にとってはやはり不均衡を生ずるんじゃないか。特に簡易保険なんというものはもう長年相当な加入者サービスをやっているでしょう。そういうものだって、いまあなたが答弁されたような趣旨で基準を求めるたびに検討されるとすれば、当然検討してみていいんじゃないですか。貯金会館あるいは保険会館というものは、特にここ四、五年できるようになってきた。貯金会館もそういうふうになってきた。これはわかりますけれども、それだけではどうも私は不十分なように思うのです。だから、そういう根拠の説明ではありますけれども、何のことはない、やはり政治的にほぼめどのついた四十億なら四十億という線に大体まとめるために、会館のほうは土地を含めて五億なら五億であげる、こういう政治的判断が主体ではないかということなんですけれども、そうだという答弁はできないかもしれませんが、あなたのほうにはこの五億でも少ないじゃないかという一つの問題提起だけ申し上げて、皆さんのほうから判断をして、今後引き続き——会館はそうまた来年もつくるというわけにいかないと思いますけれども簡易保険関係のいろいろな加入者サービスの事業なり、貯金についての奨励やあるいは預金者サービスの事業というものを、本土とズレがあるわけでありますから、それを取り戻すようにひとつもっと積極的なる配慮をしていただきたい、これは要望として申し上げておきたいと思います。  そうなりますと、いろいろお聞きしたいと思いますが、どうもいいところで結論が出てしまったようでございまして、これで私の質問は一応終わります。どうぞひとつ配慮をお願いしたいと思います。
  80. 小渕恵三

    小渕委員長代理 武部文君。
  81. 武部文

    ○武部委員 先ほどから答弁を聞いておりますと、きょう審議されるこの法律案は、見舞い金を含めた元利金支払い問題とワンセットだという答弁がありました。むしろこの会館元利金見舞い金問題に付帯的な問題として起きたものじゃないか。むしろ本件はその見舞い金元利金のほうにある、そういうようにいろいろ聞いておるとわかるわけですが、そうなってくると、この提案理由の大臣の説明の中にちょっと触れられておりますが、支払い問題の解決を見ることになり、その解決にあたりこの会館の問題が出てきたんだ、こういうことになっておる。この提案された法律案のうしろのほうに若干の資料があるようですが、そういうことからいうならば、むしろ、先ほど資料要求があったわけですが、元利金見舞い金、あるいはその他の総理府の財投をやるとかという、そういう資料を当然私は出してしかるべきだと、こう思うのですが、それが出ていない。これは非常に不親切だと私は思うので、たまたま質問が出て、資料を出すということでありますから、それを見なければ具体的な質問がほんとうはできない。しかし、現実に私どもはいろいろと資料を取り寄せておるわけですから、これに基づいてこれから少しばかり質問をいたしたいと思います。  最初は、郵便貯金債権者は何人か、それをひとつ……。
  82. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 債権者は十七万六千百十五でございます。
  83. 武部文

    ○武部委員 期成会というものがつくられて、六人の代表者誓書を取りかわした、こういう説明がございましたが、十八万人に近い人間の中からこの六名がどういうかっこうで選ばれてきたのか。この期成会というのは任意団体だということをおっしゃっていたわけですが、その点については間違いございませんか。
  84. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 現在では任意団体でございます。そして、どのようにして六つの代表者委任されたかということを申し上げますと、これは一番末端の機構に戦前郵便貯金等払い戻し獲得期成会というものがございまして、これは五十九の沖繩市町村単位に存在するわけでございます。これらのそれぞれの末端の期成会、いま例に持っておりますのは今帰仁村支部債権者総会というような名称でございます。これらの人が、そこの代表者、これは結果として市町村長になっておりますが、そこへ委任状を差し出しまして、交渉権限一切を委任いたしましたわけでございます。そしてまた、これらの人がこれらの下部の末端の代表者、那覇市が複数になりますものですから六十二名になりますが、これらの人が次にまた一切の交渉権限をこの六名にさらに委任をしておる、そういうような委任の形をとっております。これは申すまでもないことでございますが、民法上の権限委任、代理権の授与、そういうふうに考えておるわけでございます。
  85. 武部文

    ○武部委員 先ほどの答弁で、この妥結によって債権債務は消滅をする、その法的根拠は原則にのっとってやると、こういうような答弁がございました。そうすると、具体的には債権者であるところの十七万六千人の者とは郵政省としては直接何らの手続も踏まないで、この誓書を取りかわしたことによってすべてが終わった、このように理解するわけですか。
  86. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 私の申し上げ方が少し不十分であったかと存じますが、このように、貯金であれば十七万人の預金者を六名にしぼっておくということは、これはまあ妥結と申しますとおかしいのですが、妥結の交渉の条件についてでございます。いま委員懸念の問題につきましては、これは別途措置をする、つまり、いよいよこの法律を通していただきまして、支払い問題が法的に解決し、そして支払うという段階におきましては、もちろん預金者十七万人個人個人に郵政省元利金を支払うわけでございます。
  87. 武部文

    ○武部委員 十年間近くかかって政治的に解決したわけですが、お話がございましたように、一円対一ドルがだんだん下がってきて、最後には最終的に一円で三十六セント七五ですかという数字になった。それが五十四億円で、お述べになったように、いろいろな具体的な金額を合わせて約四十億近いものになる。具体的に債権者の側から見れば、直接には五億一千五百万円の元利、見舞い金の金が渡る、それは計算すると大体一円、三セントぐらいにしか当たらない。一円対三セント、こういうことが沖繩でいわれておるようでありますが、こういう不満が潜在的に残っておるように私ども理解をいたしておりますが、そういうことはございませんか。
  88. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 確かに現金としてわれわれが出しますものは、元利金法定支払い金の一億と見舞い金の四億、合わせて五億にすぎないわけでございます。しかしこのほかに会館施設、そしてまた三十億の融資というものを念頭に置きますならば、向こうの言い値の五十四億に対する四十億、五分の四はこれで達成をされておるというわけでございます。現地におきますいわゆるもらい切りになる額の少ない点につきましていろいろ物議があるかいなかは、実は私よく承知しませんが、私どもが聞いております範囲におきまして、と申しますのは、公式な——公式といいますか、われわれが公認しておる交渉ルートを通じてはそのようなことは聞いておらないわけでございます。
  89. 武部文

    ○武部委員 それでは具体的なことについてお伺いいたしますが、四十一年二月十六日の予算委員会会議録を見ますと、当時の郡郵政大臣は、郵便貯金の元金利子を加えて七千九百万円だということを言っています。あなたのさっきの説明では、法定支払い金は貯金で九千四百万円ということを言われましたが、その差は四十一年から今日までの利息というふうに理解できるのですか。
  90. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 そのとおりでございます。
  91. 武部文

    ○武部委員 総理府にお伺いいたしますが、今度は具体的な問題であります。  先ほど、財投の中から郵便局舎の建設資金援助に金を出す、こういう話でありまして、電電公社の一億八千万円と同じ一億八千万円という金額をお述べになりましたが、間違いありませんか。
  92. 及川謙三

    及川説明員 郵便局舎の分は一億一千万円でございます。電電公社の分は一億八千万円でございます。
  93. 武部文

    ○武部委員 あなたはさっき一億八千万円と言われたから、同額の数字を言われたから、私の承知しておるところでは一億一千万円だと思うので、間違えましたですね。——わかりました。  それは局舎を新築するための金だと思いますが、郵政省にお伺いいたしますが、沖繩郵便局の数は何局ですか。
  94. 石川義憲

    石川説明員 最近の調査によりますと郵便局数は九十六局でございます。
  95. 武部文

    ○武部委員 職員の数は。
  96. 石川義憲

    石川説明員 職員の数は、現業の郵便局員は大体八百九十名ほどでございます。
  97. 武部文

    ○武部委員 九十六局——今回一億一千万円の金を沖繩に財投から出す、これは何局分を建てる金に該当いたしますか。
  98. 石川義憲

    石川説明員 木造局舎のうち十三局の改善を予定をいたしております。
  99. 武部文

    ○武部委員 沖繩に九十六局郵便局があって、その大半は非常に老朽化をしておるということを私ども聞いております。そのために沖繩では多額の建設費を使って局舎を改築しようとしておる。私どもの手元にある資料によりますと、郵政事業の歳入額が一九六八年度で三百六十八万六千ドル、この歳入に対して、局舎建設費はその一割に当たる三十六万ドルを計上しておる、これは非常に多額であります。そういう費用がこの歳入の中から使われておる、局舎は非常に老朽化をしておる、こういう事情がございます。それでその三十六万ドルの金を使っているわけでありますが、郵政事業の会計が非常に苦しいために多額の借り入れ金を一九六七年度からやっておる。その金はどこから借りておるかというと、例の運用部資金の中から借りておる。そこで、この資料の中の一一ページの「沖繩郵便貯金事業の現状」というところで資金運用部への預託利率、六分三厘と書いてありますが、これは間違いありませんか。二年以上は私どもは六%と聞いておるわけですが、沖繩の資金運用部への預託利率六・三%、これは間違いございませんか。
  100. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 間違いございません。
  101. 武部文

    ○武部委員 この局舎を建てるために資金運用部から借り入れ金を利息六・五%で借りて建てておるという現状があります。ですから、これがかりに間違いなく六・三%にしても、運用部へ預託した利率よりも高い金を借りて局舎を建てておるという現状になっておるわけであります。ことし、一九六九年は少し減っておりますが、二十六万ドルの建設資金で局舎を建てる。歳入は三百八十五万四千ドルですから一割よりもちょっと少なくなってきた。これは先ほどの一億一千万円の局舎の建設資金への援助、そういうものを考えてやったものだと考えられますけれども、少なくとも、こういう職員がわずか八百数十名というような小規模の公共事業において数十局の局舎をどんどんこれから建てかえていくというようなことは、資金の負担の上からいって非常にたえられないことだろう患うのです。さらに、本土復帰に備えて——この局舎というものは本土復帰になれば当然日本政府のものになるわけですから、どんどん資金を投入して局舎を建てる、そういう援助をすべきではないか。職員の数が非常に少ない、事業収入も非常に少ない。あとで郵便事業の収入を申し上げますが、そういう面からいっても、こういう面についてはなお非常に努力すべきではないか、こう思いますが、今後財投の中から局舎についてどの程度の融資を考えておるか、それをお伺いします。     〔小渕委員長代理退席、委員長着席〕
  102. 竹下一記

    竹下政府委員 この問題の扱い簡易保険局が直接タッチするということにはまいらないと思いますが、関連がございますので申し上げます。  四十四年度の予算におきまして、簡易保険沖繩の産業振興のための融資額として五億円を計上してこれを沖繩に融資する予定でおります。その中で一億一千万円が沖繩郵便局舎の建設に振り向けられる、利率六分五厘ということになっておりますが、その償還負担をなるたけ軽くしてあげるということがいいことだろうと思いますので、その方向で、たとえば償還期限は、いまたしか十四年か十五年で沖繩はやっておるようでございますけれども、その償還期間をもっと長くするといったようなことで、極力沖繩郵政庁の財政負担を軽くする方法はあるのではなかろうか、また、その方向についての沖繩郵政庁の要望というものも参っておりますので、そういうことを参考にいたしまして、国内の関係の省庁とも目下寄り寄り話をしておる段階でございます。
  103. 武部文

    ○武部委員 十三局ということを先ほどおっしゃったわけですが、沖繩の九十六局のうちで、老朽度が激しくて改築を必要とする局舎はどのくらいあると郵政省は見ておるのですか。
  104. 石川義憲

    石川説明員 具体的にははっきりわかりませんけれども、御承知のとおり、沖繩郵便局舎は大体一九五〇年以後に建築されたものでございます。したがって、いずれも経年二十年以内でございますが、風土や素材の関係上、必ずしも満足なりっぱなものではない、したがいまして、かなりまだ改築しなければならぬものがあると考えられます。
  105. 武部文

    ○武部委員 財投の中から一億一千万円、これはけっこうなことですが、今後これをずっと続け金額をふやすというような見解はないのですか。総理府、どうですか。
  106. 及川謙三

    及川説明員 確かに、この七月から始まる一九七〇会計年度に一億一千万円融資が始まりますが、その基礎は、先ほど郵政省から御答弁がありましたように、三カ年計画という琉球政府の計画に即して考えておりますので、来年度以降についてもその計画の実施が可能になるよう、総理府としては今後も拡大してこの措置を続けてまいりたい、このように考えております。
  107. 武部文

    ○武部委員 先ほどから申し上げますように、非常に多くの金額を費やさなければならぬという琉球郵政庁の苦しい立場があるわけです。収入の一割近いものを局舎に使うというようなそういう事情があるわけですから、ぜひひとつこの局舎の改善のために来年度以降も積極的に財投の計画を立てていただきたい、これは要望であります。  郵便関係の収入もいろいろ調べてみておるわけですが、日本本土を含めて、海外と沖繩間の郵便の取り扱い上の取りきめはどういうことになっておりますか。
  108. 石川義憲

    石川説明員 ただいまのところ一般の万国郵便条約が適用されております。しかしながら、料金につきましては内国料金と同額のものが定められております。
  109. 武部文

    ○武部委員 沖繩が一独立国並みに万国郵便条約に基づいて行なわれるというような非常に不自然な状態にあるわけですね。沖繩で取り扱われておるところの外国郵便の約七割は日本の内地からの郵便物である、こういうふうにいわれておるのであります。あなたのほうでわかりましょうか。一九六七年度の対日本通常郵便物の引き受け到着数、わかりますか。
  110. 石川義憲

    石川説明員 お尋ねの一九六七年度について申し上げますと、日本で引き受けまして沖繩に送りましたのが約七百二十万、全部含めまして七百二十万でございます。その逆に、沖繩から参っておりますのが約四百五十万でございます。
  111. 武部文

    ○武部委員 いまのお話のように、沖繩自体からいうと沖繩の引き受けが四百五十万ばかり、沖繩到着が七百二十万、こういう数字になります。その場合に、沖繩、いわゆる琉球郵政庁の事業収入の計上というのは、沖繩で引き受けた郵便物、いわゆる四百五十万の切手代の収入しかない、こういう結果になりますね。したがいまして、到着をして、本土から沖繩へやってきた七百二十万通の郵便物というものは琉球郵政庁の経費で沖繩で配達をしておる、こういうかっこうになるわけですね。  私の手元にあります那覇の中央郵便局の配達物数を調べてみますと、大体一配達区で一日平均三百十通、そのうち本土から到着した郵便物が四〇〇%ないし五〇%ある、こういうことであります。ですから、一配達区で配達をした郵便物の半分というのは琉球政府の費用で、いわゆるただ働きみたいなかっこうになっておる、こういうかっこうですね。こういう数字が出てくるわけであります。  こういう点から考えると、沖繩本土の一県として存在するならば、少なくとも全国的に見ると、ただ働きというかっこうじゃなしに調整されていくという結果が起きるわけですが、これはいま現実に沖繩がこのような地位に置かれておるということを考えるならば、少なくとも本土政府日本政府の責任においてその経費の一部負担というようなことも考慮するような積極的な姿勢をとるべきではないだろうか、このように思いますが、郵政省、どう思いましょう。
  112. 石川義憲

    石川説明員 沖繩に発着いたします郵便の出入りのアンバランスということは、先生御指摘のとおりでございまして、私ども承知いたしております。ただ、これにどう対処するかということは、いろいろ現在の時点でかなりむずかしい問題がございますので、郵政省において現在討議中でございまして、まだ結論を得ておりません。
  113. 武部文

    ○武部委員 私はいま那覇の中央郵便局の物数のことを申し上げたわけですが、沖繩がいまのような地位にある、そのことによって郵政事業にもこういうような非常に内地の各県とは異なった立場に置かれておる、そういう点で事業収入も非常に少ない、そういう非常に苦しい財政規模で運営をされておる。これには積極的に郵政省が手を伸べていく必要があるのじゃないか。これはひとり郵便事業だけではなしに、貯金でも保険でも同様です。きょうはいまの物数の問題と局舎の問題だけを取り上げたわけですが、この二つをとってみても、そのような非常に強い要望が現地の職員の中にはあるということであります。結論が出ておらないようでありますが、そういう点についても、ひとつ積極的に前向きの形で取り組んでいただきたいということを特に要望しておきたいと思います。  それから、先ほど三十億円を三カ年間に住宅建設資金として貸し付ける、こういう話がございましたが、その目的は、言うまでもなく債権者に平等に利益を与える、こういうことでなければならぬのであります。その目的が達成されなければならぬと思いますが、この融資金が住宅建設に回されていく場合に、その住宅建設の運営といいましょうか、これからどういう形で取り組まれていくのか、そういう構想は総理府のほうとしては承知しておりますか。
  114. 及川謙三

    及川説明員 お答えいたします。  住宅に対する融資の三十億の今後の計画でございますが、沖繩側では、債権者の総意によって設立される将来の財団法人的なもので建設、管理の一切を行ないたい、やり方としましては、日本政府から琉球政府に資金の貸し出しをいたしまして、琉球政府から将来設立される財団法人に貸し出されるわけでございます。その条件といたしましては、御指摘のように、債権者がその建設された賃貸住宅を優先的に利用できるような条件をつける、それから家賃ができるだけ低廉になりますように、貸し付け金利をおおよそ日本政府からの貸し出し金利の六・五%以内で貸し付ける、それから据え置き期間も三年ないし五年程度を設けることによって自己資金の全然ないことを補わせる、それから償還期間についてはできるだけ長期が望ましいわけで、五十年程度を考えていきたい、そういう措置を通じて家賃額を一般民間で行なわれている同規模の住宅に比べて相当割り安のものに考えていきたい、このように考えております。総戸数は約千三百戸程度を考えておりまして、土地取得、造成費もその資金の中からまかなうことにいたしたい、一戸当たりおおよそ六千ドル程度の住宅を沖繩サイドで検討中でございます。  以上でございます。
  115. 武部文

    ○武部委員 この千三百戸というのは、三カ年計画三十億円で千三百戸、こういうことですね。
  116. 及川謙三

    及川説明員 さようでございます。
  117. 武部文

    ○武部委員 安い家賃で、償還も長くて、利率も非常に低くて、こういうまことにけっこうずくめなことなんで、そのとおり行なわれなければならぬと思うのです。ただ、往々にしてこういう財団法人のいままでの運営を見ておると、必ずしもりっぱな運営がされておらない。これは沖繩の現地のいろいろな情勢を耳にいたしますと、すでにこういう点についてもある程度の疑問すら出ておる。ですから、三十億の金が死に金にならないように、運営等についても十分総理府としては関心を持たなければならぬ、私はこういうふうに思います。  そこで、今度は貯金保険会館の問題に入りますが、その貯金会館の規模、設置場所、初年度の金額、こういう点についてはどうですか。
  118. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 規模は五億円の規模をもってこれを実施する、そういうことを考えておりますし、設置の場所は法文でも那覇市内と明定しておりますが、まだ具体的にどの町というところまで決定しておりません。
  119. 武部文

    ○武部委員 これは四十四年度に完成するのですか。
  120. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 四十四年度では、歳出額といたしまして貯金から一億七千万、保険から三千万、合わせて二億でございます。そして残りの三億はそれぞれの四十五年度の国庫債務負担行為でございます。したがいまして四十五年度にまたがるわけでございます。
  121. 武部文

    ○武部委員 最後にちょっとお聞きしておきますが、見舞い金の算出根拠をちょっと説明していただきたい。
  122. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 見舞い金は二つの要素で形成されております。  一つは、施政権の分離当時からすべてこれらの貯金が定額貯金に預けかえられたというふうにみなしたわけであります。申すまでもないことでございますが、この間払い出し等ができなかったので、定額貯金とみなしてよかろうというわけでございます。そして、そのようにして定額貯金の利子、これは半年複利でございますが、利子をずっとこれに累加していった。もう一点は、沖繩では二十一年と三十三年に、二回通貨の交換が行なわれております。これを考慮に入れたわけでございます。すなわち、二十一年の四月に従来の日本円の一円を一B号円で全面的な取りかえが行なわれております。したがいまして私どもは、郵便貯金で一円あった日本円は、その際に郵政省に対するB号円債務に切りかわったのだという認識をいたしたわけでございます。さらにこれが三十三年の九月に、百二十B号円が一ドルでまた通貨交換がなされております。その際は、私ども郵便貯金がドル債務に切りかわったのだというような擬制をいたしまして算出をいたしたわけでございます。それが見舞い金でございます。
  123. 武部文

    ○武部委員 終わります。
  124. 井原岸高

    井原委員長 次回は明十五日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十四分散会