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大出委員 割り安であるかないかは
あとから言いますが、私は筋道を聞いている。これは、自動化するためには単位
料金区域をつくらざるを得ない。そうすると、単位
料金区域をきめれば、当時は、その区域の中における距離の測定のしょうがない。だから、やむを得ない結果として一律
料金を取った。お認めになるでしょう。
そこで次の問題は、となると、あなたが値下げだと言う、しきりに書いておられる。書いておられるけれ
ども、はたして値下げであったのかどうか。まず
一つは、市外通話にいたしましても、それまでは
料金節約のためのサービスということで、三分三分制のときは三分ごとの予報が、かけておるときにあったでしょう。これはあなた、
電電公社が知らぬことはない。だから、鳴れば、ああ三分だというので、あわてて切ろうとかいら時代ですよ、当時は。これは課金装置からいってできない。そういう方法がない。なくなった。そうすると、かけていて、三分一秒だって取られてしまう。当然そうでしょう。これもあなた、たいへんなことなんですよ。簡単にあなたは
考えるけれ
ども、おそらくそこらまで当時の方は計算をされておったと思う。それから、交換機の性能のために、当時二十六段階、距離区分があったのです。それを、当時調べてみると十三段階にした。これだって、増収という面からいけば、これは下がりっこないですよ。二十六段階を十三段階に減らしたという問題が
一つある。もう
一つ、二十六段階を減らして、
料金の内訳が当時は全部請求書にチェックされていましたね。それも全然できない。こういう結果になったのですよ。あなたは簡単に言うけれ
ども、この面を一体まずどう見るかという点が
一つ。
それからもう
一つ、この三分の通話が約二〇%ぐらい高くなるように当時あらかじめ試算をされておきめになっている。とてもじゃないが、当時の人たちは、減収なんということを
予測してこういうふうに変えたのではない。減収にならないように、あらかじめ二〇%高い試算を立てて計算をしておきめになっている。当時の事実ですよ。ものの本にちゃんと書いております。
それから交換手のする手動の市外通話の
料金、三分三分制から三分一分制になった。基本となる初めの三分の
料金は約一一%高い。たとえば、例をあげましょう。東京と広島の通話は、このときは三分で三百八十円だった、これが四百二十円になっている。一一%高いでしょう。もちろんこれは四分か五分、七分か八分、そういうはんぱな通話をすれば従来より確かに安くなる。ただ、三分以内でやめれば、六分とか九分の通話は、この一一%がある限りは明らかに高くなる。こういう計算をあらかじめ試算されて組まれているじゃないですか。あなたは、この本でしきりに安くなったと言っているけれ
ども、安くなった理由は何も書いてない。もし安くなったというふうにものを言いたいならば、反論をいただきたい。反論しますから。
それから、時間がありませんから次に申し上げます。
第二の問題は、準市内通話は距離に関係なく一分七円でしょう。確かにこれはうまく話せば安くなる。当時の三十七年のときには、
電話が安くなりますというパンフレットをお配りになった。中を読んでみると、うまく話せば安くなるということなんです。ここで、
基本料金の区域が広くなって加入数がふえる、そうすれば
基本料金が上がるように級局区分制はしたのです。東京なんかいい例ですよ。新聞にさんざん書かれて、いろいろ騒ぎになったでしょう、
基本料が上がってしまうのですから。そうすると、当時、将来の減少を
予測した頭のいい人がいたとすれば、ずいぶん矛盾だということで、この
委員会でもずいぶん質問があって、御指摘の点はわかりますけれ
ども、
法律でそうなっているからどうしようもありませんという苦しい答弁をされておった。
法律上そうなっていてしかたがないんだから減収は見ていく、そういう点でこの中に隠されているわけでしょう。そうなると、これだって下げたとは言い切れない。たとえば、級局区分によって月千円、一級局単独事務用
電話が当時新設されたわけですから上がるわけですよ、ちゃんと当時新設しているのですから。こういう問題が出てきます。そうすると、百万加入を突破した東京の例からいっても、これはこの当時百円上がった。百円の
値上げになっているのですから、そうすると、この面からいっても、これは下がったなんということは言えない、こういうことになります。だからこそ、当時の局長さんが、この問題についてはいろいろと問題が出たんだけれ
ども、何とか余話みたいなことをお書きになる人も出てくるわけです。だから、武田さん書いておられることは、私はいささか憤慨にたえないんで、いささか変調ではないかと言いたいんですけれ
ども、これを見ると、何と表題は「距離別時間差法は加入者に有利な
料金制度であるが、これが採用は市外通話料の実質的値下げを行なったことになる」ということで、何と二割下げたんだとお書きになっている。「二割以上の実質的な
料金値下げと云ってよいであろう。したがって、各国が行なっている距離時間差法採用後の
値上げは実質的には
値上げではなくて、実質的に値下げされた
料金の復元とみるべきものと
考えられるのである。」と書いている。あなたが書いたんだから。私は
国会図書館の調査局の諸君に調べてもらった各国のやつを集めてある。幾つもある。あなたは
中身をおっしゃらないで書かれては困る。採用するならば下がるというんだけれ
ども、それでも下がるだろうというんだけれ
ども、スイスの距離別時間差法というのは、具体的にいま私がずっと例にあげた点がどうなっているのかという点を全部並べていただかぬと
——日本の
電電公社ほど頭のいい人はスイスにはいないのです、向こうが
赤字になるとすれば。
米澤さん以下、日本の
電電公社には頭のいい人が多い。二キロ平方区画から始まったこのシステムは、東京−大阪間は
最初の三分を幾らということをきめておくということはなかなかできがたいことです。日本人的きめのこまかさで、
電話が安くなる。パンフレットの中を見たら、かけ方によってはという。まさにそのとおり、かけ方によっては高くなる。ですから、それでさっき私が質問したでしょう。だから私は、そう簡単に
総裁のおっしゃるように、黒字になりませんよなんということをおっしゃらぬでいただきたいと思う。いかがですか。