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1969-03-17 第61回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月十七日(月曜日)    午前十時十五分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 加藤 六月君 理事 亀岡 高夫君    理事 志賀健次郎君 理事 中井徳次郎君    理事 森本  靖君       齋藤 憲三君    高橋清一郎君       内藤  隆君    福永 健司君       古川 丈吉君    森山 欽司君       安宅 常彦君    川崎 寛治君       島本 虎三君    中野  明君       田代 文久君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 河本 敏夫君  出席政府委員         文部省社会教育         局長      福原 匡彦君         郵政政務次官  木村 睦男君         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浦川 親直君         郵政省電波監理         局長      石川 忠夫君         労働省労政局長 松永 正男君  委員外出席者         文部省社会教育         局視聴覚教育課         長       五十嵐 淳君         労働大臣官房労         働統計調査部長 渡辺 健二君         日本電信電話公         社総務理事   庄司 茂樹君         日本電信電話公         社理事施設局         長)      北原 安定君         日本電信電話公         社営業局長   武田 輝雄君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 達治君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川上 行蔵君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   長沢 泰治君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     松浦 隼雄君         参  考  人         (日本放送協会         経営企画室経営         主幹)     野村 忠夫君         専  門  員 水田  誠君     ――――――――――――― 三月十七日  委員栗林三郎君及び八百板正辞任につき、そ  の補欠として川崎寛治君及び島本虎三君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員川崎寛治君及び島本虎三辞任につき、そ  の補欠として栗林三郎君及び八百板正君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十四日  簡易郵便局受託範囲拡大等に関する請願(内  田常雄紹介)(第二〇六四号)  同外一件(小川平二紹介)(第二〇六五号)  同外六件(小山長規紹介)(第二〇六六号)  同外二十件(保岡武久紹介)(第二〇六七  号)  同外一件(加藤六月紹介)(第二一七九号)  同(小渕恵三紹介)(第二一八〇号)  同外十件(田澤吉郎紹介)(第二一八一号)  同外八件(竹内黎一君紹介)(第二一八二号)  同外三件(中垣國男紹介)(第二一八三号)  同外十三件(松野頼三君紹介)(第二二六六  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、前回に引き続き質疑を続行いたします。森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 大臣が午後の決算委員会に出られるそうでありますので、まず大臣にお聞きしておきたいと思います。  その一つは、これは大臣がちょっと誤解をして言われたのじゃないかと思いますが、聞くところによりますと、ちょうどこの予算案NHKにおいて討議をせられておる当時に、日放労のほうとNHKとの間において紛争が起きておったわけでありますが、その際に、何か大臣のほうで、最高経営協議会というようなものが経営委員会の上にあるというのはけしからぬというような話があったようでありますけれども、これは大臣もその後御承知かと思いますが、最高経営協議会という名前は、確かに最高経営協議会で非常にいかめしい名前でありますけれども、これは本来、労働協約によるところの下部末端におけるいわゆる経営協議会、そういうものが、管理運営事項を除いて、いわゆる労働権に基づくところの給与待遇、そういう問題における経営協議会――これはそれぞれの民間会社等におきましても、あるいは三公社五現業等におきましてもある例であります。それのいわゆる総元締めの経営協議会、こういう意味でありますので、この点が何か大臣もちょっと勘違いをしておったのではないかと思いますが、決して経営委員会の上にあるものではございません。その点について、ひとつ大臣のその後のお勉強のあとを聞いておきたい、こう思うわけであります。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 確かに最高経営協議会というものについての発言をしたことはありますが、これは、実はいま御質問のような趣旨ではなかったのです。  NHK最高の機関は経営委員会である、労働約協で最高経営協議会というものがあって、「最高」という字がついておって、あたかも経営委員会の上にあるかのごとき誤解を受けやすい、こういう意味のことを申し上げたわけでございます。最高経営協議会というものが経営委員会の上にある、そういう意味のことを言ったわけではございません。
  5. 森本靖

    森本委員 名前がちょっとおかしいということならば、これは大臣わかりますが、ただ、私がいま言ったような趣旨における下部末端にそれぞれあるところの経営協議会の上にある経営協議会である、しかも、その経営協議会というものは、何も管理運営事項その他について、経営権についてやるのでなしに、要するに労働権に基づくところの給与待遇その他についてやる経営協議会であるということであれば、これは何ら差しつかえない、こう思うわけでありますが、その点、どうですか。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 NHK最高経営協議会というものが、労働協約の第三十何条であったか忘れましたが、それに基づいてあるということは承知しております。ですから、私はそれはいかぬとは言っておりませんし、いかぬと言ったことはないのです。ただ、ややもすると、あたかも経営委員会の上にあるがごとき印象を世間に与えるまぎらわしい名前である、そういう意味のことを言ったことはありますけれども、これがいかぬから変えろとか、そういったことを言ったことはないのです。
  7. 森本靖

    森本委員 それから、この予算案郵政省を一応経由して出されるわけでありますが、その場合に、郵政省としてはかなり予算を審議しなければ、当然郵政大臣意見書ができるわけにはまいらぬわけでありますが、そういう場合に、これはNHK当局郵政省との間に大体どういうふうなことが論争されたか、その間のいきさつを、これは事務当局でけっこうでありますので御説明を願います。
  8. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 予算の中身につきまして、大体概要に書いてありますような受信契約者の数だとか、あるいは、事業計画の上において、特に中継局設置の問題、あるいは、中波につきましては大電力放送計画、あるいはまた、超短波放送置局計画、それから番組につきましては、カラー化の時間、何時間やるかというようなこと、そういった点につきましてNHKから資料をもらいまして一通り検討をいたしております。
  9. 森本靖

    森本委員 そうすると、郵政省のほうとしては、その番組内容についてとやかく言うということはないわけですね。
  10. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 別にございません。
  11. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、今回の、たとえば東京大阪にUのテレビ局をつくる、こういうことでありますが、このUのテレビ局番組内容等については、これはNHK当局の考えどおりやっていいわけですね。
  12. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 このUHFの局は実験局でございまして、実験をやる目的は、一つは、UHFによる大電力放送をやったならば、どれだけ届いて、どういうふうになるかというような今後のUHFの大電力による放送の何と申しますか、データをとる、それから、それによりましてVHFからUHFへの移行に資する、それからもう一つは、こういったUHF電波を発射することによりましてオールチャンネル受像機普及に役立てるというようなことがねらいでございまして、そういった目的から考えまして、番組につきましては、総合番組並びに教育番組と同じ放送を同時にやるか、あるいは再放送していただきたい、こういうことで考えておるわけでございます。
  13. 森本靖

    森本委員 この問題、放送局については、これは実験局ですか、あるいは実用化試験局ですか、どっちですか。
  14. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 実験局と考えております。
  15. 森本靖

    森本委員 これは実験局でありましても、その番組内容等についてはNHK自主性を持たせたほうがいいのではないのですか。
  16. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 個々の番組につきましてどうだこうだというようなことは、私どもは別に言う意思は毛頭ございません。
  17. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、いわゆるこの実験局については、NHKとしてはどういう番組を考えておりますか。
  18. 川上行蔵

    川上参考人 いまお話がありました東京大阪のUの実験局につきましては、総合教育番組の中から時差的な番組の編成をするか、あるいは、古い番組であってもカラー中心とした番組を組む、それを当面考えて、それによって効率的な運営をはかりながら効果をあげよう、このように考えております。
  19. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、これはVの総合放送局と違った形の番組内容になるわけですか。
  20. 川上行蔵

    川上参考人 現在のVの番組をそのまま出す時間もございますし、それから、あるものはVのほうを落としまして教育番組を出す、たとえば、学校放送カラー番組があればカラー番組を出す、そういう時間帯もございます。
  21. 森本靖

    森本委員 そうすると、すべての教育テレビそれからVの総合テレビの、時間は別として、再放送になるわけですか。
  22. 川上行蔵

    川上参考人 著作権法上で申し上げますと、同時に出せば、再放送という考えではなくて同時放送、ただ時間を変えて出しますとやはり再放送的な権利関係が生まれてくる、このように考えております。
  23. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、現在のいわゆる総合テレビ教育テレビ放送した以外の新しい番組をこの中に一つくらい加えるという考え方はないのですか。
  24. 川上行蔵

    川上参考人 いまのところは特別に考えておりません。
  25. 森本靖

    森本委員 これは私の考え方ですが、Uの受像機それからコンバーター普及ということを考えた場合には、確かに、経済的な見地からいきましたならば、Vの総合テレビのいい番組あるいは教育テレビのいい番組、その中からカラー番組を再放送する、同時放送は極力避けるというやり方にしないと、これは実際にコンバーターまでつけて見るものは少ないと思う。当面、なおかつ再放送でありますから、その中に一日一つくらいは変わったテレビでなければ見えないという番組を一時間くらいつけたほうが、あるいは連続ものなら連続ものというものを一つくらいつけたほうが最も効果があると思いますが、その点、大臣の御意見は一どうですか。
  26. 河本敏夫

    河本国務大臣 コンバーターオールチャンネル受像機普及させるという立場から、確かに御指摘のとおりだと思います。
  27. 森本靖

    森本委員 先ほど、これは政府の意向に左右されないと言いましたけれども、私は、いい意見ならこれは取り入れていいと思います。大臣もせっかくああいうようにおっしゃっておりますので、これはUの放送局実験局としてつくった場合におきましても、その目的が達成されるように、私がいま言ったように過去の総合テレビあるいは教育テレビのいい番組を再放送する、あるいは、その中の時間の三分の一は同時放送するという場合もあり得るでしょう。しかしながら、夜間において新しい番組一つくらい入れて行なっていくということも、私はこれは非常に必要ではないか、こういうように考えるわけでありますが、その点、会長に伺っておきたいと思います。
  28. 前田義徳

    前田参考人 私も、たてまえ上は、目的を達成するためにはやはり何がしかそういう方策が必要かと考えております。ただし、御審議いただいております四十四年度予算は主として建設関係でございますので、事実上の番組の問題は四十五年度以降になるかと考えております。したがいまして、その間に、御意見などもしんしゃくしながら慎重な研究をしてまいりたい、このように考えております。
  29. 森本靖

    森本委員 これは四十五年度の問題でありますから会長の言われるとおりでありますけれども、ひとつ、そういう点については慎重に御考慮願いたいと思います。  そこで、Uの問題が出ましたので、これはひとつ、ついででありますが、このいわゆるUの局におけるコンバーターあるいはまたオールチャンネル受像機というふうなものについての、NHKとしてのそういう問題における普及その他についてはいまどういう態度をとっておるわけですか。
  30. 佐野弘吉

    佐野参考人 昨年、一般商業放送局にもU局免許等がございましたので、たしか、九月かと記憶いたしておりますが、東京UHF普及推進会議を持ちまして、放送連合中心に、NHK民放あるいはメーカー筋家電業者すべてを包括いたしまして中央にこの組織をつくり、また同時に、ただいまでは全国二十二の都道府県に同じような普及協議会等を持っております。  御承知のように、NHK関係から申しますれば、以上申し上げたような大電力地区、それからNHK末端のほうのいわゆるサテ局、それから福知山、舞鶴等特別地区とか、いろいろ事情の異なるところがございますが、それぞれの地区に応じまして、万般のUHFオールチャンネル機械普及、もとよりコンバーター普及ということを中心にいたしまして、先ほど申し上げたような関係筋が一体になって協力をいたしております。協会では、今年度のただいま御審議をいただいております予算に五千百万円ほどの普及促進経費を計上いたしております。
  31. 森本靖

    森本委員 五千百万円の普及宣伝費で、現在Uのサテライト局、それから親局合わせますと幾らありますか。
  32. 佐野弘吉

    佐野参考人 Uのサテ局は、一と三と別でございますが、それぞれ二百八十局ほどかと思います。大電力は、御承知のように徳島はじめ佐賀なりあるいは高松なり、それに先ほど触れました般商業放送局の二十局、このようになっております。
  33. 森本靖

    森本委員 これは五千百万円ぐらいで足りますか、二百八十局のサテライト局と、それから徳島佐賀高松親局と合わせて。
  34. 佐野弘吉

    佐野参考人 全国で実際にコンバーターにつきまして協会自身が直接的に御協力申し上げるという意味では、たとえば特別地区におきましてはコンバーター設置半額助成、あるいは一般地区等におきまして、学校等での設置につきまして三千円の助成というようなところが実際的な協会経費支出になっております。そのほかは、先ほども申しましたような普及推進会議のそれぞれの各地の所要の経費の二分の一強、半分以上をNHKの側で負担をいたしまして、いろいろのパンフレット作製、新聞の広告、あるいはNHKその他公共団体施設にいわゆるUHFコーナーと、略称そう申しておりますが、、オールチャンネル機械なりコンバーターなりを理解をしていただくための展示、催し等をやる、したがいまして、協会自身支出経費は先ほど申したような五千百万円でございますが、各地におきます普及推進会議では、各地元の都道府県業者等経費もこれに加わって運動が展開されている、こうなっております。
  35. 森本靖

    森本委員 たとえば、これは私がやかましく言ってつくった高松ですが、この高松香川あたりで、普及推進についてはこの五千百万円のうちでどの程度使うわけですか。
  36. 佐野弘吉

    佐野参考人 高松では昨年の九月からこの三月まで、とりあえず半年でございますので、先ほど触れました推進会議経費は、これはわずかに三十万円強にすぎません。これはこの会議催し会合費の金でございまして、運動そのものは別個に、たとえばNHK自身がいろいろの運動をいたすという意味で必要な経費支出しておりますが、(「郵政省がやれ」と呼ぶ者あり)いままで幾ら使ったかということは、いまちょっと資料を持ち合わせておりません。
  37. 森本靖

    森本委員 これは郵政省がやらなければいかぬというふうに加藤君がいま言っておりますけれども、郵政省にはこういう予算は一銭もないわけであって、実際にはNHKが、ある程度普及促進については現在の段階においてはやらざるを得ないわけであります。  これは、そもそもこの実験局徳島につくったのは、NHKにパイオニアとしての資格を与える、こういう意味でやったわけでありますので、このあとについても、この普及推進ということについては――大体私に言わすならば、役人根性ではないかと思うのですよ。というのは、中央普及推進会議をつくった、そうして地方地方でそれぞれ適当にやっておるからきれいにいっておる、こう言うけれども、香川県の人口と高知県の人口と比べたら全くお話にならぬ人口だ。しかも、高松の場合にはエリアが非常にいいわけであります、平たん地が多いわけでありますから。そういう点からいくとするならば、これはUの普及には一番都合のいい地勢的な場所であります。こういうところに対して三十万円程度でこれを宣伝しようなんということは、普通の商売人だったら当然考えられない商売のやり方であります。大NHKでありますから、国会で予算が通れば、のほほんとしてやればいいということであるとするならば別でありますけれども、真剣にUの普及ということを考えていくならばこれだけの予算ではとうていでき得ない。さらにこれはその当該県、市町村あるいは民放、そういうものとも協力をしてこういうものを推進していく、普及をしていくということを積極的に考えるべきではないかと私は思うわけです。ことに、高松佐賀については、これは私がもう四年も前から言っておってできた局であります。そういう点で、半年に三十万円使って得々としておるということでは、これはとてもじゃないが将来見込みがございません。これはひとつもう少し積極的にやっていただきたい、こう思うわけでありますが……。
  38. 佐野弘吉

    佐野参考人 実は、先ほど述べました金額は、地元に設けられました普及推進会議会合費負担ということを一例として申し上げたのでございまして、具体的な運動といたしましては、実は、ここで読み上げますと、非常に詳細になり過ぎていかがかと思いましたので控えておりますが、普及推進会議運動自身と、それからNHK独自の単独活動とございます。  実は、NHK単独活動と申しますれば、すでに行ないました幾つかの催し行事の中で、パンフレットの一万六千部作製、これは全県下に配布をいたしております。リーフレット三千枚を作製、全商組に配布するとか、その他ローカル新番組周知というような形で二万枚なりあるいは一般リーフレット四万枚なり新聞広告なり、いろいろ考え得るすべての行事は一応尽くしておるというふうに確信をいたしております。  ただ、これに伴います経費をいま具体的に申し上げられないのは残念でございますが、考え得るすべての普及促進運動NHK独自でもいたしております。御承知のように、この二十二日に高松が開局に相なるわけでございますが、コンバーター普及もすでに全県下十二万の世帯の半分、六万ぐらいは行き渡っており、開局いたしますれば、またこのコンバーター普及の度合いも一そう促進されるというふうに確信をいたしております。
  39. 森本靖

    森本委員 あなた方が確信をするのはけっこうでありますけれども、実際に普及推進ということについては、お役所的なやり方でなくして、やはり聴取者視聴者のためになるような形でひとつ積極的に取り組んでいってもらいたい。というのは、郵政省関係受信料徴収についてこれを請け負っておるわけでありますから、いわゆる受信料徴収に行く外勤の人々からいろいろな声を聞くわけであります。その声が、私はテレビなりラジオを聞いておる人のほんとうの声だというふうに考えるわけでありまして、ただパンフレットを配ってそれで事足れり――これは郵政省が一例にもなりますけれども、郵政省あたりも非常に役人根性的なところがあって、郵便番号簿を一冊ずつ配って、しかもそれが全国版でなしに家庭版なるものを配って事足れり、それで八七%まで郵便番号が記載されておる、こう言っておる。だから、現実に国民の声を積極的に聞くということが、私は一番大切だと思います。われわれは国民の代表として、やはりそういうこまかいところまで配慮してここで質問をしておるわけでありますが、いま御答弁になったことが全部うそとは私は思いませんで、まじめにやっておられたとは思いますけれども、いま少しこういう点については積極的に取り組んでいただきたいということを特に私は要請をしておきたいと思います。  それから次に、これは大臣の御意見も聞いておきたいと思うのでありますが、いまの日本テレビラジオについて大臣の所見を聞いておきたいと思いますことは、日本のように朝から晩までテレビをやっておる国というのは、実はアメリカを除いてはほとんどございません。東京では六チャンネルも七チャンネルもあって、朝から晩までやっておる、しかも、民放においては同じような番組を同じ時間帯にやっている。確かに、選択権があるということについてはいいわけでありますけれども、このいまのテレビラジオやり方については非常にぜいたくきわまるやり方ではないか。しかも、そのぜいたくな放送の波というものがかなりいいものであるとするならばまだしも、女子プロレスがあってみたり、あるいはまたつまらぬ漫画をやってみたり、あるいはつまらぬチャンバラをやってみたりというようなことで、いまのテレビラジオというものは一体どうなるのだろうか。そうかといって、これを強制的に権力でもって規制をするということも、また絶対まかりならぬ。要するに放送業者の自主的な規制を待つよりほかにございません。今日は、映画を見ましても非常にエロ映画がはんらんをしておる。そうでなければ夜も日も明けぬというのが今日の情勢である。街頭を見てみると、映画あたりは非常にいかがわしい広告が多い。テレビは茶の間に入るわけでございますから、それほどではございません。ございませんけれども、ときどき目に余るというようなものもあるわけであります。しかし、これを権力によって押えるというわけにはまいりません。しかし、これを放送時間帯によって押えるということは、現在の郵政省にでもできると思います。この辺の問題について、これは番組内容そのものについてとやかく言うことはできぬけれども、場合によっては放送時間というものは押える可能性があると思いますが、その辺、まず事務当局に聞いておきたいと思います。
  40. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 放送時間が長過ぎてわれわれの生活時間とかみ合っていない点があるのではなかろうかということが、ただいまの御質問の御趣旨だと思いますが、こういった点につきましては、確かに御指摘のような点があろうかと存じます。この点につきましては、やはり放送法の改正のときにこれをどういうふうに調整していくかということが、一つの問題点であろうかと存じます。
  41. 森本靖

    森本委員 放送法でなしに、現在の電波監理法において時間帯を法律的に制限することはできぬか、こう聞いているわけです。
  42. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 無線局の運用時間の問題だろうと思いますが、これを規制し得るかどうか検討してみます。
  43. 森本靖

    森本委員 こんなことをいまごろ検討しなければいかぬようではどうにもならぬわけであって、これは番組内容において規制するということは絶対いかぬわけでありますが、要するに、いまの放送というのは、施設免許でございますから、そういう免許のあり方からいくとするならば、これはやはり放送時間帯というものによって制限することはできる、こう私は思うわけでありますけれども、大臣、ひとついまのテレビラジオの――もう一日朝から晩までテレビラジオは同じようなものを繰り返している。中には、それは珠玉のようなものもたまにはありますけれども、教育放送で非常にいいものもありますが、こういうふうに朝から晩まで放送している国というものは、ヨーロッパ各国と比べまして――大臣も外国の事情をよく御承知だろうと思いますが、どういうふうにお考えですか。
  44. 河本敏夫

    河本国務大臣 日本では放送局の数が非常に多くて、しかも同じような、あまり内容の芳しくない放送が非常に多い、こういうお話がございましたが、私も全くそのとおりだと思います。  そこで、実はこういう問題も含めまして、テレビ全体を一体どうしたらいいかということについて、いま根本的に検討しているところでございます。
  45. 森本靖

    森本委員 確かに検討しなければならぬと思いますが、それでは、ひとつNHK会長にお聞きしたいと思いますが、いま科学技術というものが非常に発達をしてまいりまして、そうして放送事業というものも日進月歩の状態にいまやなっているわけであります。データ通信も、これから先かなり高度になっていくと思います。そうして情報産業というものが、今日新聞あるいはそれぞれの雑誌、専門誌等を見ましても、場合によっては、十年後においては全産業の五〇%以上を占めることもあり得るのではないかというようにいわれているわけであります。そうなってまいりますと、こういう方面における事業というものが非常に変わった形になってくる。これはSF小説ではありませんが、NHK会長というくらいのえらい人になりますと、一応将来の放送事業というものが、科学技術の進歩に応じてどういうふうに変わっていくだろうかという一つの未来を展望するというか、そういう点についてはどういうふうにお考えになっているか。たとえば将来、いまの波の問題にいたしましても重力波というものができるかもわからない、あるいはいまのラジオテレビが無線から有線に変わり得るという可能性もなきにしもあらずである、あるいはまたファクシミリがどんどんできていく、こういう形になった場合、いまのテレビラジオというものがどういうぐあいに将来なっていくだろうかというふうな展望について、ひとつ会長の御意見を聞いておきたい、こう思うわけです。
  46. 前田義徳

    前田参考人 はなはだ突然でして、そうしてまた、先生の指摘されるほど私えらくもございませんけれども、しかし、いま十数年放送事業に関与し、かつ毎年度御審議をいただくようないろいろなことを考えながら、長期構想等もやってきておりました。そういう立場で、私が何を考えているかということをきわめて簡単に申し上げたいと思います。  第一の情報産業の問題でありますが、これは科学の進歩によって、情報を流す施設がきわめて進歩的に可能になるということは事実だと思います。しかしながら、これは施設の産業であって、問題は中身をどうするかというところに最終的には集約をされてくると思います。そういう意味で、私は、ただいま巷間伝えられておるような軽い気持ちでの情報産業に対する考え方というものは、世界全体から見ても、日本の国内の動向ということを考えても、きわめて軽率な発言が多過ぎるという考え方をまず第一に持っております。  それから放送が、ことにテレビの場合、それが電波でやるか有線でやるかということに関しましては、私はやや保守的かもしれませんが、放送は当然電波によるべしという考え方を持っております。経済的に考えましても、有線による全国放送などということはとうてい考えられないことでありまして、現在の放送の混乱は、放送電波によるものであるという原則をたまたま部分的に忘れ去って、有線による放送というような、これまたきわめて軽薄な考え方一つの事態を処理しようという傾向が強いという点については、私はまことに残念なことだと思っております。  それでは、一体、この電波による放送というものが将来どうなるかという問題につきましては、私は現在普通の人が考えていない波が必ず出てくるということを確信いたしております。したがいまして、現在のように、ラジオでいえば中波、FM、テレビジョンでいえばVHF、UHFだけに執着しながら、電波政策と、はなはだ口幅ったいんですが、大臣のお許しをいただいて、一個人として今後の世界全体の放送の傾向ということを考えるときに、VHF、UHFという大きな波の常識的細分の中で特別の使用すべきもの、あるいはかって常識的に考えられなかったものが出てくるというように感じております。これは科学的にもここ一九二二年以来、放送事業を中心としての世界各国のこれまでの来し方と、それから現在宇宙開発等との関連でこの問題をさらに考えるときには、現在の常識的な範囲でとどまって、有線か無線か、あるいはUHFかVHFかといったような大まかの問題を取り上げながら将来の放送というものを考えるということは、何かまだどこかに欠点が露呈しているというように考えております。はなはだ尽くしませんけれども、一つのビジョンでございますので、ひとつ御了察いただきたいと思います。
  47. 森本靖

    森本委員 会長も、私が考えておると同じようなことを考えておると思って、大体私の頭の程度も会長の頭の程度ぐらいあると思って安心をしたわけであります。  これはちょっと技師長に聞いておきたいと思うのですが、将来ファクシミリが日本において不特定多数のものにいまのテレビラジオのように行なわれるというのは、大体いまから何年後にそういう状態になるというようにお感じですか。
  48. 野村達治

    野村(達)参考人 いまの御質問に対しまして確定的なことは私ちょっと申し上げかねると思うのでございますが、ファクシミリそのものは、情報自身を印刷にするというような形がいわゆるファクシミリといわれておるものでございますけれども、最近の状況を見ますと、必ずしも印刷物にそのまますぐということではなくて、たとえば、従来われわれがブラウン管でテレビジョンをながめておりますような形、あるいは、もうちょっと気のきいたものとしましては、画像が一度送られますと、それをある程度蓄積してブラウン管に出すといったような形のものもいろいろ考えられてきております。そういった意味でファクシミリを広く考えてみますと、ここ数年の間あるいは五年ぐらいの間にはかなりそういったものが出てくることは考えられるかと存じております。
  49. 森本靖

    森本委員 それから、このレーザー通信がどの程度までいま行っていて、将来どうなると思いますか。
  50. 野村達治

    野村(達)参考人 先ほども会長からデータ通信のことをちょっと御説明申し上げたと思いますが……(森本委員「データ通信じゃなくてレーザー通信」と呼ぶ)レーザー通信につきましては、非常に近い距離につきましてはかなりな有効度を発揮することが考えられますけれども、やや長距離につきましては、パイプの中を通すとか、あるいはいろいろな空気の乱れの補償をするといったようなものがございまして、短距離につきましては、やろうと思えばやはり五年以内ということが考えられますし、あるいは長距離につきましては、パイプの中を通す問題あるいは温度による空気の乱れ、そういったことを補償しますことを考えますと、やはり十年程度見なければならないかと思っております。
  51. 森本靖

    森本委員 いまの会長の話では、将来、テレビについては有線よりも無線のほうがやはりいいということでありますが、私はちょっと変わった考え方を持っておりますけれども、これは未来のことでありますからいまここで論争したところで始まらぬわけでありますが、ただ、ファクシミリについて聞いておきたいと思いますことは、NHKは、将来ファクシミリについてやりたいとお考えになっておるのか、これはNHKとしてはやる必要がないというようにお考えになっておるのか、この点だけを聞いておきたいと思います。
  52. 前田義徳

    前田参考人 この点につきましては、数年前の阿部会長時代の当委員会においても御質問をいただいたかと記憶しておりますが、私どもとしては、ただいま技師長が説明したような印刷という結果になるという限界に極限したものでない新たな一種の、まだ定義がございませんので一応ファクシミリということばを使わしていただきます、が、そういうものが必ず開発さるべきであり、またそれが新しい社会生活の文化の向上と記録性という点で絶対に必要であろうと考えております。したがいまして、社会環境あるいは技術の開発等が相伴って熟した時期には、この問題は実際上の問題として処置しなければならないであろう、このように考えております。     〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕
  53. 森本靖

    森本委員 そうすると、ファクシミリについても、将来どういう形になるかは別として、これが実際に実用段階になったときにはNHKとしてもやりたいという考え方は一応持っておる、こう解釈をしていいわけですね。
  54. 前田義徳

    前田参考人 いろいろこの範囲のきめ方が困難かと思いますが、当然、放送事業者が行なうべき範囲においてNHKはこれを実施いたしたいという考え方を持っております。
  55. 森本靖

    森本委員 それから、これも技師長に聞いておきたいと思いますが、現在いわれておりますいわゆる重力波というような波が、現実に実験段階から実用段階に移るというふうな予想というものはできますか。
  56. 野村達治

    野村(達)参考人 実は私、不学にして重力波なるものをよく存じておりませんが、現在の電波の領域といたしましては、波長によりまして分けておりますが、たとえばVHF、UHFあるいはマイクロウェーブ、ミリメータ一波、あるいはさらに進みますと光の波、いわゆるレーザー波等ございますが、重力波というのはちょっと性質の違っているものと存じますが、私詳しいことは存じておりません。
  57. 森本靖

    森本委員 技師長に聞いてわからぬことは私のほうでもわからぬわけでありますので、これはいわゆる波が、いまの直進コース、あるいはビル陰にあってもいわゆる突き抜けていくという一つの性格を持った波だというふうに私は承知をいたしておるわけでありますけれども、将来そういうものがどういう形において開発をせられていくかということについては、なかなかむずかしい問題でありますので、未来の問題はこの程度にいたしまして、ひとつ現実の問題に移っていきたいと思います。  まず、大臣に聞いておきたいと思いますが、もうこの段階になりますと、選挙放送、特に衆議院、参議院のこういう国会議員の選挙においては、もはや私はテレビで選挙放送をやるということが国民の願望でもあるし、また、これは政治を国民にわかりやすくするという意味からいたしましても、テレビを選挙放送に使うということは非常に必要かと思うわけでありますが、いままでいわゆる選挙放送を行なわなかったということについては、何といたしましても、東京、名古屋、近畿、それから北九州というふうなところが非常に難点になっておったわけであります。この間、政務次官のほうからの御答弁では、関東地域にUの局ができれば、こういうお話でございましたけれども、これは現実に私が時間的にいろいろ研究をいたしてみましたけれども、たとえば関東におきましてもNHK総合テレビ教育テレビ、さらに十二チャンネル以下、民放チャンネルを全部このテレビ放送に借り上げてやれば、関東地区におきましても、あるいは名古屋地区におきましても、これは完全に公平にテレビの選挙放送ができる。これは時間を十五分にするか、三十分にするかは別として、できる、こういうふうに私は考えるわけでありまして、次の公職選挙法の改正の際には、ぜひそういう方向を織り込んでもらいたいというふうに考えておるわけでありますけれども、いままで公職選挙法特別委員会でこの問題が問題になりましても、技術的に不可能であるというところからこれができなかったわけでありますが、いま私が言ったようなやり方でやろうとするならば、これは選挙放送はできる、こう考えるわけでありますが、大臣、これはひとつこの次の選挙からやったらどうですか。
  58. 河本敏夫

    河本国務大臣 テレビを選挙に大いに活用する、こういう考え方は、私も賛成でございます。選挙法との関係で若干問題があるようでございますが、技術的には、先ほどお話しのように、借り上げてやろうと思ったらやれると思うのですが、ただ、広域放送の地帯におきましては、やはり自分の府県に関係のない候補者まで聞かなければならぬ、こういう問題等もありますので、そこでやはり広域放送圏におきまして各府県ごとに新しいUの波を配分するということができますと、その点は一大前進するであろう、かように存じます。
  59. 森本靖

    森本委員 それは大臣がいまおっしゃったとおりでありますけれども、そのUのでき上がるのを待っておったんでは、これは完全にやれるのは三年も四年も先になるわけです。  そこで、いま私が言ったようなやり方をやった場合、たとえば群馬なら群馬に八チャンネルなり六チャンネルで選挙放送をやるという場合に、東京の人のが一チャンネルで出ておる、それは見る必要はないわけでありますから、随時選択することができるわけですから、これはちっとも不便にならない。いままでの考え方は、あくまでもNHKにやらせなければいかぬ、こういう考え方に立っておったから関東あるいは名古屋方面ではできなかったわけです。だからNHKだけではできないというところについては、民放も借り上げてやるという考え方になるとすればこれはできるわけです。できることは、私はやっぱりいまからやったほうがよろしいと思う。いままで公職選挙法特別委員会でこれは論議されておりますけれども、技術的にできないんだというところで法律の改正ができておらぬわけです。これが可能であるということになれば、公職選挙法特別委員会においてもそれはやりましょうということになることは確実であります。  そこで大臣に私がお聞きしておりますのは、いま私が言うようなやり方でやった場合には、視聴者にもあまり迷惑をかけない。要らぬところのやつは見なければいいわけですから、要るところだけ見る。だから、そういう考え方に立って、これはこのUの置局ができるまででも開始ができるようにぜひひとつお願いしたい、こう思うわけでありますが、どうですか。
  60. 河本敏夫

    河本国務大臣 当初に申し上げましたように、選挙にテレビを使うという基本方針は賛成でございます。そこで、御趣旨の点はよく検討さしていただきます。
  61. 森本靖

    森本委員 検討事項が多くなると、うんと困りますので、これは実は検討せぬでも実際にできるわけであって、技術的に私も検討した結果、質問をしておるわけであります。大臣みたいなまじめな顔をした人がテレビに映ったら票がよくふえて私はいいと思うわけであります。これは冗談でもほんとうでございますが、いずれにいたしましても、とにかくこういうふうな選挙放送というものについては、私はやるように踏み切るべきだという考え方を持っておりますので、ひとつ、前向きに検討せられて、できれば次の総選挙には間に合うというぐらいにぜひやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから、NHKに聞いておきたいと思いますが、NHKは四十三年度の収支予算のときに、五カ年計画を立てて事業経営の長期構想というものを出したわけでありますが、その内容が、現在はどういうふうに今年度の予算でなっておるわけでありますか。
  62. 川上行蔵

    川上参考人 今年度の番組におきまして私たちが一番考えましたことは、最近の情報的な広がり、世界的なあるいは国内的な広がり、そういう点から考えましたこと、もう一つは、国民の生活時間の実態の調査という問題、それからもう一つは、テレビがここまで普及しました場合における国民生活に及ぼすいろいろな影響力の中で、特に青少年に及ぼす影響、そういう観点からニュースを充実していって、いろいろな事態が起こった場合において、それをできるだけ詳しく正しく伝えるということ、しかも、それを国内的だけではなくして、世界的な広がり、あるいは日本の一農村の問題も直ちに日本国内全体に広がる、いわゆる都市化現象というふうな形において広がる、それをあれするということ、それから国民の生活の実態に徴しまして、ニュースの時間を少し下げるという問題たとえば九時にありましたニュースを九時半に下げるという問題、あるいは子供の生活実態に徴しまして、子供の時間の重点を六時から七時に置くという問題、それから国民生活の実態に徴しまして、特にテレビに対する数多くの問題点としてあげられております青少年の情操教育という点から、青少年に対して正しい情操を持ってもらえるような番組を充実する、同時に、今日のような非常に近代化され、あるいは合理化され能率化されていっておる時代における国民全般の情操を深めるそういう形において情操的な面を補う番組、そういうものを組んでおるわけでございます。  同時に、音声放送におきましては、郵政省のほうからも示されましたFM、それからラジオ第一、ラジオ第二、こういう番組の編成方針あるいは組み方というものが、かねてNHKが要望しておりました線にふさわしいというとおこがましいのでありますけれども、取り入れていただいておるというような感じから、そういう観点からFM放送ラジオ第一、第二という内容を編成していこう、このように考えております。
  63. 前田義徳

    前田参考人 ただいま川上専務理事から番組関係のお答えを申し上げましたが、五カ年構想と、御審議いただいておる四十四年度予算との関係を申し上げますと、第一に、建設費を中心として考えて、これは五カ年構想の第二年度の予想限度を大体織り込んでおります。それから、番組関係におきましては、カラー時間の一時間半の増、これも第三次構想の第二年度をそのまま取り入れております。それからまた、財政の見通し等につきましても、契約数の多少の出入りによって多少の数字が異なっておりますが、大体第三次五カ年構想の第二年度の数字を基礎として編成されております。ただ、明年度予算の中で第三次長期構想外にあるものといたしましては、簡単に申しまして、東京大阪のUの大電力――大電力と申せるかどうか、東京はとりあえず十キロ、大阪は五十キロというUの実験局設置と、それからまた、今年度と明年度に関連して実験をされました高松並びに佐賀UHF親局についての経営事業運営費等、これらが多少出入りがございますが、全体を通じて長期五カ年構想の第二年度の計画を基礎として編成された予算でございます。
  64. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、昭和四十七年度までのいわゆる各年度のカラー契約が最初の計画よりも伸びると私は思いますが、それを大体どういうように見通しを立てておられますか。
  65. 佐野弘吉

    佐野参考人 御記憶かと存じますが、私どもは第三次長期構想を一昨年秋に策定いたして御理解を求めましたものは、四十三年度、ことしから四十七年にかけましてカラー契約は大かた六百五十万というふうに算定をいたしました。しかし、御承知のように四十三年、この初年度にすでに、百四十万と見込みましたものが大かた二十万増の百六十万ということに相なり、また、今回御審議をいただいておりますものも、第二年度九十万という見込みに対しまして、これまた二十万を上のせした百十万をことし、四十四年度の増加目標にいたしております。したがいまして、すでに第一、第二年度で、カラー契約自体としては大かた四十万の増加を見るようになりましたので、したがいまして、これから四十四年から四十七年にかけまして、当初の六百五十万の目標に対しまして、事務的にはただいま七百五十万くらいには四十七年度に相なろうかというふうに考えております。ただ、言うまでもなく、このカラー契約の増加は、その分だけ白黒のほうが同じ数が減っているということであることは考えられます。
  66. 森本靖

    森本委員 わかっていることは答弁せぬでもいいわけであります。それはカラーがふえれば白黒が減るのは当然であります。  それで、今年度のカラー受像機が、大体メーカーあたりからどのくらい出るというふうに見込みを立てておりますか。これは通産省なんかとの連絡において郵政省に聞きたいと思います。
  67. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 正確な数字はちょっと出ませんけれども、三百五十万程度のものだったと思います。
  68. 森本靖

    森本委員 三百五十万程度出て、そこで結局、NHKとしては何ぼ見ておるわけですか。
  69. 佐野弘吉

    佐野参考人 そのうち国内出荷を二百五十万と踏んでおります。
  70. 森本靖

    森本委員 二百五十万で、結局これはその契約の増が二百七十万、こう見ておるわけですが、この二百七十万のうちで、半年分の前納と一カ年分の前納による減収はどの程度ですか。
  71. 佐野弘吉

    佐野参考人 いまの御質問の二つに分けた点では、いま計数的に記憶をいたしておりませんが、四十三年度で前納による割引額でございましょうか、その数字は大体十五億円と見ております。
  72. 森本靖

    森本委員 これは予算の審議でありますから、二百七十万という数字をはっきり出しておるわけでありますので、この二百七十万の中で、半年の半カ月分と一年の一カ月分のいわゆる前納による減収がどの程度あるということは、やはりはっきり記憶しておらなければ答弁になりません。これはあとからでけっこうですが、ひとつ、そのくらいのことは記憶をするようにお願いをしておきた  いと思います。
  73. 志賀正信

    志賀参考人 ただいまの御質問につきまして、資料がございますので、ちょっと御回答申し上げたいと思います。  カラー受信料のほうにつきましては、十二カ月分の前納者からちょうだいする受信料につきまして割り引きをいたす額は二億二千二百万円というふうに見込んでおります。それから、同じくカラーの六カ月分の前納者からちょうだいいたします受信料で割り引きをいたします額は二億六千四百万円というふうに見込んでおります。これだけ減収になるというふうに見込んでおります。
  74. 森本靖

    森本委員 それから、この中で徴収不能になるというものはどの程度見込んでおるわけですか。
  75. 志賀正信

    志賀参考人 カラー受信料につきましては百十四億円を見込んでございますので、そのうちの〇・六%というふうに一応算定をしておりまして、約六千万円程度かと思います。
  76. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、この年度末のいわゆるカラーが二百七十万と普通契約が千九百十八万ですか、この中で受信人へ徴収に行かなくともよろしい、いわゆる銀行あるいは郵便局等における支払いをやっておるものがどの程度ありますか。
  77. 佐野弘吉

    佐野参考人 この四十四年四月一日現在で、口座の扱いによります振り込みは二百七万という数字になっております。
  78. 森本靖

    森本委員 この二百七万の中で銀行と郵便局は――郵便局はやっておりますか。
  79. 佐野弘吉

    佐野参考人 郵便局はやっておりません。
  80. 森本靖

    森本委員 この二百七万の中で、郵便局と銀行の割り振りはどういうふうになりますか。
  81. 佐野弘吉

    佐野参考人 郵便局でございますか――やっておりません。
  82. 森本靖

    森本委員 これは振替でできませんか。
  83. 佐野弘吉

    佐野参考人 六大都市に限っておりまして、これは……。
  84. 森本靖

    森本委員 六大都市に限って郵便局はやっているの。
  85. 佐野弘吉

    佐野参考人 振替はございますが、これはほんとうに昨年から始めたばかりで、ごくわずかでございます。
  86. 森本靖

    森本委員 これは郵便振替でやれるようになっておるでしょう。小野副会長どうですか、あなた事務次官だったから-…・。
  87. 小野吉郎

    ○小野参考人 やれるようになっております。
  88. 森本靖

    森本委員 その郵便振替でやっておる分がこの二百七万の中で幾らありますか。もう一ぺん聞いておきたいと思います。
  89. 佐野弘吉

    佐野参考人 明確にお答えできないのは残念でございますが……。(森本委員「大体でいいです」と呼ぶ)何千という程度のものでございます。
  90. 森本靖

    森本委員 これは私が、四年前に郵便振替法を改正するときに、NHKも電電公社もこれを大いに利用するようにということを何回も口をすっぱくして言ったはずなんです。何も銀行をもうけさす必要はないのであって、郵政省の郵便振替を利用すればけっこうできるわけであって、そういう周知宣伝はどういうようにやっておりますか。私は寡聞にしてまだ郵便振替で受信料を納めてくれというふうな文書をNHKからもらったことは一ぺんもないのですが、ここで答弁をするときに、はい、検討いたします、それは善処いたします、そういう答弁はいいですけれども、あと保護、アフターサービスができなければ何にもならぬわけであって、同じNHK郵政省との間柄であるから、できることならば、この郵便振替制度というものを大いに利用しなさい、こういうことになっておるはずです。電電公社あたりは、できるだけそういう方向にいこうということでいまやっているわけであって、二百七万の中でわずか何千ということでは、これはもう少し――あなた方そういうところで協力せぬから、別のところで郵政省にいやがらせをやられるということはないと思いますが、とにかく、こういうことはやはりお互いに協力をし合ってやったほうがいいというふうに私は考えますので、今後ひとつこの郵便振替については大いに利用するというふうにやってもらいたい。特に委託集金のところなんかは、こういうふうにしましたら便利ですよ、ということを言えば、案外いなかの人は実直ですから、それではそういうふうにしましょうということでやる場合が非常に多いわけです。そういう点の宣伝が実は郵政省の外勤の人々にもほとんど行き渡っておらぬ、これがいまの実情であります。私はこの間帰って、こういう人々の意見も聞いてみたわけでありますが、そんなパンフレットは一ぺんも来たことはない、こういうことになりますので、これは小さいようなことでありますけれども、受信料を集めるということはやはり最大の仕事でございますから、NHKもその点をひとつ間違いのないように特にお願いしておきたいと思いますが、会長意見を聞いておきたいと思います。
  91. 前田義徳

    前田参考人 私といたしましても、まことに御同感でございまして、したがいまして、今年度予算を御審議いただきます際に御指摘の方針をきめまして、これの実施に取りかかったわけでありますが、その取りかかった範囲が、現在のところ御指摘のように非常に狭いということになるわけでございます。この点については、郵便局のみならず、農協等との関連においてもこれを拡大強化してまいりたいという考え方を持っております。
  92. 森本靖

    森本委員 農協もけっこうでありますが、農協と郵便貯金は非常に競争状態になっておるわけであって、その辺も十分に考えてやらぬと、逆に委託集金のほうがおこって、もうおれは委託集金せぬぞということになって――実は、委託集金の外勤の人々は血眼になって農協と貯金の関係で取り合いをしておるというのが、これは大臣なんか実態を御存じであるかどうか知りませんけれども、それがいまの実態なのです。そういう点、よほど考えてやっていただきたい。年に一回くらい外勤を集めて一ぱい飲ますだけが能じゃないというふうに私は考えておるわけでありますので、その辺もこまかい配慮をぜひお願いしておきたいと思います。  こまかい問題から次に移ります。  FM放送でございますが、県域放送のFM放送のない県がいま幾つありますか。
  93. 野村忠夫

    野村参考人 十三県ございます。
  94. 森本靖

    森本委員 この十三県は、今年度で全部解消されるわけですね。
  95. 野村忠夫

    野村参考人 一応今年度内にできますものは六県でございます。次年度にその残りをいたしたいと考えております。
  96. 森本靖

    森本委員 次年度に残る県はどこどこですか。
  97. 野村忠夫

    野村参考人 本年行ないますのは、関東地方の北の三県、それから神奈川県、三重県、兵庫県です。その残りが、東京付近で申しますと、埼玉県、千葉県、それから岐阜県、滋賀県、奈良県、和歌山県、京都府ということになります。
  98. 森本靖

    森本委員 その中でもやはり奈良、和歌山、京都、滋賀なんというところはかなり必要性があるんじゃないかと私は思うので、これは順位がどういうところから来ているか知りませんが、ひとつ早急にやってもらいたいと思うわけであります。  それから、現在FM放送はそういうことでやっておりますが、FM放送で、中波が難聴地域になっておるからということでFM放送でやっておるというのは、どこどこですか。
  99. 川上行蔵

    川上参考人 明年度計画いたしておりますのは、前半は七局考えております。それから、年度後半にはさらに数局時間量をふやそうという考え方で、具体的に名前を申し上げますと、新潟県、山口県、長崎県――長崎県にあわせて佐世保局を含みます。それから佐賀県、鹿児島県、宮崎県、以上の県の局になっております。
  100. 森本靖

    森本委員 次に、研究施設の整備費の十八億七千万円のうちの放送衛星の開発関係というものがどれだけ組まれておるか、それから、今度できる宇宙開発事業団とのNHK関係はどうなっておるか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  101. 野村忠夫

    野村参考人 ただいま御指摘の研究費の中の放送衛星開発費といたしましては九千万円を計上いたしてございます。  それから、宇宙開発事業団につきましては、事業団法案の中で放送法の一部分を改正して、放送事業に、業務上必要が起きたときには出資することができるというふうになるように変わるよう聞いておりますので、そういった事態に考えたいと存じております。
  102. 森本靖

    森本委員 この問題については、いずれ事業団法を審議する際に会長にもひとつ参考人として出てきてもらってお聞きをしたい、こう思いますので、これはまたあとに譲りたいと思います。  それから、ちょっと聞いておきたいと思いますが、NHK放送解説委員ですね。あのニュース解説のいわゆる放送解説委員というのは、これは常勤と非常勤と二通りあるわけですか。
  103. 川上行蔵

    川上参考人 NHKの解説委員と称しておりますのは、職員から報道関係の仕事をしましてその方面の知識がふえた者、それを常勤とし、そのほかに、外部の方で常動的にともに研究をし放送していただく方、それからほかに、問題によりまして専門的にさらに深めていただくいわゆる専門的な分野の方、たとえば教育問題とかあるいは文化関係とか、そういうことを専門的にお願いをしているいわゆる常動的ではない、その際に出てきていただく、この二つの種類でございます。
  104. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、放送解説委員というのは常勤者と非常勤と、こうあるわけですね。
  105. 川上行蔵

    川上参考人 さようでございます。
  106. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、この常勤者のNHK内部における地位はどの程度ですか。
  107. 川上行蔵

    川上参考人 解説委員の地位は非常に高く評価をいたしまして、実務的な仕事ということにおいては何もないわけでございますから、いわゆる組織の中におきましては解説委員室というのは報道局と並ぶ一部局でございますが、しかし、その地位というのは会長に直属しておるというような考え方で、常に会長も機会を得て一月、二月に一度ぐらいずつ接触しておられる、そうして、いろいろな意見を交換し、また、NHKの公共的な立場においての解説ということを論議してもらう、このようにいたしております。
  108. 森本靖

    森本委員 いや、私が言っているのは、この放送解説委員の地位というのは、――中に部長、副部長とか、管理職とか、いろいろあるわけですね。たとえば今福アナウンサーが、これは定年になったけれども、理事待遇でそのまま置いてあるというようなことも新聞で見たわけでありますが、私はこれはいいことだと思って黙っておるわけでありますけれども、こういう放送解説委員NHKの内部におけるいわゆる地位というものはどの程度の地位になるか、こういうことです。
  109. 前田義徳

    前田参考人 最低であっても部長級以上でございますし、局長級は非常に多うございます。
  110. 森本靖

    森本委員 放送解説委員というものは非常に大事でありまして、放送法に基づいて不偏不党性を持ってやらなければならぬ人々であって、そういう点で私は非常に大切な人々であるというふうに考えておるわけであります。その待遇もかなりよくなければならぬと考えておったわけでありますが、いまの御説明ではかなりの待遇をしておる、こういうことになりますが、それから非常勤で来られる人については、これははっきり幾らということを、ギャラを言う必要はありませんけれども、かなりの待遇になっておるわけですか。
  111. 川上行蔵

    川上参考人 毎月研究費的なものを契約的な形において支出いたしますと同時に、毎回の放送料もかなり高い金額を差し上げる、このようにいたしております。
  112. 森本靖

    森本委員 このいわゆるニュース解説というのがややもすると社説になる、そういうことになるとこれは非常に困った問題になるわけであって、これはものごとをあくまでも客観的に解説をしていく、自分の主観を入れて解説をするということは非常に避けなければならぬ。放送法にもありますように、反対、賛成の意見があれば、それぞれ反対、賛成の意見をやはり交互に入れながら解説をしていくということが非常に大切かと思いますので、この点、十分にひとつ気をつけてやっていただきたい、こう思うわけであります。  それから、ついででありますので聞いておきたいと思いますが、NHKには顧問制というのがございますか。
  113. 前田義徳

    前田参考人 ございます。
  114. 森本靖

    森本委員 大体いまNHKに顧問が何人ぐらいおられますか。
  115. 前田義徳

    前田参考人 最高の常任顧問と申しますのは、大体一人かと記憶しております。
  116. 森本靖

    森本委員 常任顧問でない顧問がやはりおるわけですか。
  117. 前田義徳

    前田参考人 おりません。
  118. 森本靖

    森本委員 顧問が何人もおるというように聞いておったのですが、一人もおらぬ、こういうことでありますので、これは数名も顧問を置く必要は私はないと思いますが、一人ぐらいなら、どういう方がなっておるか知りませんが、それ以上は聞かぬことにいたします。  次に、NHKの従業員の待遇については、国際電電あるいは新聞あるいは民放その他と比較をして大体どういうぐあいになっておりますか。
  119. 長沢泰治

    ○長沢参考人 お答えいたします。  四十三年度の協会のベース平均は六万二千二百円でございます。同種企業の新聞、放送等、詳細には、職員構成等が明確でありませんので申しかねると思いますが、協会との比較におきましては、協会は、代表的な同種企業の四社と比べますと中位にあり、平均的なベースを見ますと、若干協会のほうが四十三年度の時点においては下回っておるというふうに承知いたしております。
  120. 森本靖

    森本委員 これも私は深くは申しませんけれども、やはり、少なくとも国際電電や、あるいは新聞、民間放送の従業員との均衡というものをある程度とりながら、それよりも、下がるということのないように、NHKの職員が誇りを持って仕事ができるように、ひとつぜひお願いをしておきたい、こう思うわけであります。  それから、ちょっと前から問題になっておりますが、今年度の予算でもこの積み立て金の取りくずしを行なっておるわけでありますが、四十四年度末ではこの積み立て金の総額が幾らになる予定ですか。
  121. 志賀正信

    志賀参考人 四十四年度末におきまして約四十億になる予定でございます。
  122. 森本靖

    森本委員 この問題についてもまだ私は意見がございますけれども、だんだん時間も迫ってきましたので、一つ重要なことを聞いておきたいと思いますことは、放送連合が今回解消されるようでありますけれども、このいきさつについては大臣からお聞かせを願いたいと思います。
  123. 河本敏夫

    河本国務大臣 放送連合の問題につきましては、私も解消するように聞いております。その理由は、一応連合としての、組織としての目的を達した、こういうことになるかと存じます。
  124. 森本靖

    森本委員 放送連合目的を達したというのは、どういう目的を達したわけでありますか。
  125. 河本敏夫

    河本国務大臣 放送連合を設立した当初の目的でございます。
  126. 森本靖

    森本委員 設立した当初の目的はどういう目的ですか。
  127. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 NHK民放一緒になりまして放送連合をつくりまして、放送界の発展に尽くす、こういうことでございます。
  128. 森本靖

    森本委員 一年か二年かで、放送界の発展のために尽くせることがもうないわけですか。そんなばかな話はないですよ。民放NHKと合同して放送界のために尽くすということになるとするならば、これは半恒久的につくったっていいんだ。放送というものは時々刻々に変わっていくわけであります。がから私は、これをつくるときに相当慎重にやらなければならぬということを言ったにもかかわらず、無理やりにつくっておいて、そうして結局、目的を達したからといって解消する、こんなあほうみたいな話はないですよ。率直なところ。  この放送連合に一体NHKは幾ら出して、民放が幾ら金を出しておるわけですか。
  129. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 手元に資料がありませんので、ちょっとわかりかねます。
  130. 森本靖

    森本委員 NHKはわかりませんか。
  131. 志賀正信

    志賀参考人 放送連合に対しましては、NHKから年間千二百万円の金を出しております。なお、民放連からは七百二十万円の金が出ておるというように聞いております。
  132. 森本靖

    森本委員 現在まで出しておる金額の総額は幾らですか。
  133. 志賀正信

    志賀参考人 途中で会費が増額になっておりますので、四十年から出しておりますから、総額にいたしまして三千六百万円出ておるというふうに承知しております。
  134. 森本靖

    森本委員 NHKが三千六百万円ですね。それから民放は幾らですか。
  135. 志賀正信

    志賀参考人 民放連のお出しになりました金につきましては、詳細承知しておりません。
  136. 森本靖

    森本委員 郵政省のほうでわかりませんか。
  137. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 承知しておりません。
  138. 森本靖

    森本委員 承知しておりませんと、のうのうと答弁する人がおりますか。こういうことを質問いたしますということを言うてあるはずじゃありませんか、大体放送連合については。しかし、いまわからないのをおこったところでしかたがないわけでありますが、そこで、放送連合についてはそういうことで解消したということでありますからこれは別として、今回、放送番組センターに本年度のNHK予算においては三億円出す、こういうような一応の計画でありますけれども、この放送番組センターというものにはいままでNHKがどの程度出して、民放がどの程度出しておりますか。
  139. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 いままで出した金額は、NHKにおきまして五千万円、それから民間放送におきまして七千五百万円でございます。
  140. 森本靖

    森本委員 NHKが五千万円出して民放が七千五百万円ということでありますが、これは四十四年度の予算では三億円ということでありますけれども、民放はどの程度出す予定にいたしておりますか。
  141. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 現在その金額については協議中のように聞いております。
  142. 森本靖

    森本委員 この番組センターが今日までつくった番組はどういう番組がありますか。
  143. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 現在までのところはまだ番組をつくっておりません。
  144. 森本靖

    森本委員 番組センターができてから何年になりますか。
  145. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 ほぼ一年になります。
  146. 森本靖

    森本委員 ほぼ一年になって、五千万円と七千五百万円の金は何に使っているのですか。
  147. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 ほとんど使っておりません。と申しますのは、これは相当大きな規模で教育、教養番組をつくり、また、民間放送の各会社へ配給し、あるいはライブラリー的に番組を保管しておこうという計画でございますので、相当金額がかさむという考え方のもとに、資金ができたところでということが一つと、それからもう一つ会長さん……(松本委員「そんなことは要らぬつくっておるかどうかだ」と呼ぶ)つくっておりません。
  148. 森本靖

    森本委員 あと先のつけ足しは要りません。番組センターでありますから、番組をつくって民放その他にこれを提供するのが任務です。それが番組をちっともつくっておらぬということでは、これは何にもならぬわけです。それにNHKが三億円今度出すなんということは、よっほどNHK当局として私は慎重に考えてもらいたい。  それからもう一つは、こういう教育、教養番組をつくって民放に提供するのはいいわけでありますが、民放はそれを一体どういう形において放送するわけですか。スポンサーはつきませんよ、そんなものには。
  149. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 私どもが予想いたしておりますのは、できるだけ教育、教養等でスポンサーがつくような番組をつくり、また、民間放送としてもそういう放送をしてもらう、こういうふうに考えております。
  150. 森本靖

    森本委員 そういうとぼけた答弁をする必要はないです、あなたもしろうとじゃないわけですから。大体、いまの民放教育、教養番組をつくって、そうして一番大切な時間にスポンサーがついて純然たる教育、教養番組がやれるような民放界かどうかということを考えたら十分おわかりだろうと私は思う。だから番組センターは、私は悪口を言いたくありませんけれども、これは小林前郵政大臣の思いつきで番組センターをつくれ、はい、ということでつくった、つくったはいいけれども、番組をちっともつくらないで、金だけ使っておる。人件費だけ使っておる。それから先は、一体どういう番組をつくって、どういうふうにスポンサーがついて、どういうふうに教養効果教育効果があるか、そういうことを全然考えずに、ただ思いつきで、つくれ、はい――NHKNHKですよ。はい、はい、こう言って、五千万円の金を支出をしていくということも私はどうかと思う。今後こういう問題については、NHKとしても、いわゆる三億円という国民の、視聴者からの受信料から取った金を出すとするならば、相当慎重にひとつ考えて支出をしてもらいたい、これがむだ使いになるようなことになるならば、私は、びた一文出してはならぬ、こう考えるわけであります。  この点については、大臣は――今回の大臣は非常にまじめな大臣でありまするので、この点については、私は、一ぺん民間放送NHKの人たちを呼んで、隔意のない意見をかわしてもらって――番組センターというのをつくって、教育、教養番組のいいものをつくるということについては、われわれも賛成です。そうして、それを実際いい時間に国民に見てもらうということについても賛成であります。しかし、その賛成なことが一体はたして現実にできるかどうか。それも詳細に検討する必要が私はあると思う。そういう点については、前大臣の置きみやげでありまするので、ひとつ河本大臣としては、これは顔つきからしてまじめそうな大臣でありまするので、こういう点については十分再検討願いたいと私は思う。そこで、いいことならば私は反対をいたしません。だけれども、一体そういう番組をつくって、それを放送する段階になって、一体どういうふうに放送するかということを聞いてみると、それに対してはっきりと、こういう形において放送ができますという一つ考え方が出てきてまいっておりません。たとえば、十二チャンネルをつくるときに私がこの委員会質問をいたしました。一体、科学技術教育番組というものをつくって、地方はどうするんだ、東京だけで立っていくはずがないじゃないか、こういう質問をいたしました。ところが、いや、それは全国の各県の教育委員会に買ってもらって、そうして各民放にひとつやってもらいます、こういうことでだいじょうぶです、こういう答弁を得々としてしたわけであります。ところがその後、各県の教育委員会が実際にこれを買って放送したということを私は聞いておりません。おまけに、現在の十二チャンネルは相当の赤字をかかえて、女子プロレスをやらなければとにかく視聴者が集まらぬ、こういう惨たんたるありさまであります。だから、私は番組センターをつくることについても相当慎重に考える必要があるというふうに考えるわけでありますが、ひとつ大臣、この点についての御見解を聞いておきたいと思います。
  151. 河本敏夫

    河本国務大臣 番組センターが昨年できまして、これまで十分活躍していなかったことは、これは御指摘のとおりございます。なぜそうなったかといいますと、これは一つには、集まった金額は、先ほど局長が説明いたしましたようにわずかに一億余りである。そうして、その後はたして継続的に相当な資金が集まるかどうかということについての見通しもなかったわけですね。そこで本格的な、長期にわたる運営計画というものができていなかったわけです。ところが、幸いに今回NHKのほうでも、日本放送界全体をよくしよう、こういう決心をしていただいて、新しい予算に三億円というものを計上することになったのですね。民間放送のほうは、それに対していま幾ら金を出すかということについて協議中でございます。来年度以降もそういうふうにやっていこう、四十五年度以降もそういうふうにやっていこう、こういう基本方針が大体確立いたしましたので、そこで初めて、それじゃ長期的にこういう仕事をしよう、こういうことのおおよその見当がついたわけでございます。先般も私はセンターの会長を引き受けていただきました石坂さんにもお目にかかりまして、こういう組織が必要であるということをお互いに話し合いまして、そうして、大いにこの制度を伸ばしていきたい、こういうことで基本方針をお話し合いをいたしまして、目下、将来の運営計画を策定中でございます。
  152. 森本靖

    森本委員 大臣のそこまでの答弁は、私はそれでけっこうだと思います。そこから先の、一体それじゃそのつくった教育、教養番組のいい番組というものを一これはNHKはむろん問題はございません、自分のところで放送するわけでありますから。それを一体どういう形で民放放送させるのか、そういう点まで具体的に考えていかないと、なるほど番組センターでいい教育、教養番組をつくったわ、しかし、もうけにならぬから放送しないということでは何にもならぬわけであります。一体その放送を現実にどうするかというところまで突き詰めて協議もし、討論もし、そういう目的も明らかになって初めてこの金を支出をするというところまで、ひとつ詳細に検討を願いたい。それは私はやはり大臣として相当の責任があると思いますので、ひとつ、十分に大臣に今後ともそういう点をよく御指導を願いたい、こう思うのでありますが、重ねてその後のこと――大臣のいま言われたことについてはけっこうでありますが、そこから先がちっともはっきりしていない。そこから先の問題がきわめて大事である。このことについての大臣の御見解を再度聞いておきたいと思います。
  153. 河本敏夫

    河本国務大臣 基本的には私は、やはり現在の民間放送事業をやっておられる方々、放送事業者の方々が、放送事業というものは、これは公共的な仕事をやっておるのだ、こういうふうな自覚に立っていただくということが何よりも先決でなかろうかと思います。同時に、あわせて、それぞれの民放に対しましては、ある程度の教育、教養番組、こういう義務づけもございます。それが御指摘のように実際に行なわれていないことも認めますが、そういう根本に立ち返って協力をしていただく、そういうことにいたしまして、せっかくできた番組が無用の長物にならぬように、有効な働きをするようにこれから突っ込んだ話し合をしていきたい、こう考えております。
  154. 森本靖

    森本委員 じゃ終わります。
  155. 加藤六月

    加藤(六)委員長代理 川崎寛治君。
  156. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 私は、難視聴地域解消の対策及びそれに関連した教育放送の問題にしぼって何点かお尋ねをしてみたいと思うのであります。  まず第一に、大臣にお尋ねしますが、NHKが四十四年度の予算で、これまで続けてまいりました努力をさらに進めて難視聴地域解消に取り組んでまいりますが、四十四年度末でカバレージが九六・四%、こういうことになると予算書には出ておるわけですね。そこで、大臣は四十四年度予算意見書をつけられたわけでありますが、この中で「山間地等の、現に放送局が置局されていないため、テレビジョン放送の視聴が困難である地域の解消については、今後も経済的な簡易中継局方式の開発をさらに推進し、これを活用するなどにより、協会の本来的業務である放送局の置局を強力に促進して、その使命達成に万全を期すべきである。」こういう四十四年度の予算意見書をつけられたわけであります。  そこで問題は、来年の末になりますと九六・四%、残りは三・六%、ところが問題は、この一三・六%の解消ということがこれからたいへんだろう、こう思うわけであります。そこで、監督官庁としましての郵政大臣のこの三・六%の解消についての基本的な考え方、これをまずお尋ねをしておきたいと思います。
  157. 河本敏夫

    河本国務大臣 NHKは、全国漏れなくテレビが見れるようにしなければならぬ、こういう義務を負っておるわけでございまして、その基本線に従いまして、だんだんとよく見えるようにしていっておるわけでございますが、先ほどお話しのように、まだ若干残っておることは事実でございます。しかし、これをできるだけ早く解消していく、これに全力をあげさしておりまして、いまそのためのいろいろの技術上の開発などもやっておるようでございます。
  158. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうしますと、あとの三・六%――放送法にも「あまねく」ということばがあります。「あまねく」という日本語は、ちょっと法律になじまないことばでありますけれども、非常にいかようにもとれることばだと思うのです。だから、法律用語としてはあまり適切なことばじゃないのじゃないか、しかし、あるいはその意味においては適切であるかもわかなない、こう思います。  そうすると、あとの三・六%、それはぎりぎりどこまでいくかということについてはいろいろな分析もあろうと思うのです。一〇〇%というのは不可能なことじゃなかろうか、こう思います。そこで、あと残ったこれからがたいへん困難な問題、そのことについては放送法のそれからいくと、あまねく普及しなければならないというNHKの本来の使命ということでまいりますならば、それはNHKの問題だ、NHKの仕事だ、こういうふうに大臣はお考えになられますか。
  159. 河本敏夫

    河本国務大臣 仕事をやるのはNHKでございますが、しかし、郵政省といたしましては、それができるだけ早く完全に解消するように指導をしておるところでございます。
  160. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 わかりました。これは後ほど個々の法体系との関係でお尋ねをいたします。  会長にお尋ねをしますが、残った三・六%、これはNHKだけでやれるものなのかどうなのか。つまり、それを進めていくためにはいろいろな前提条件があると思うのですね。私はあとで具体的に、非常にひどいところの例を取り上げて御質問いたしますけれども、この残った三・六%の解消ということは、いま大臣の答弁だと、どうもNHKの仕事だ、こういうふうに言われておるように聞こえます。ところが、三・六%の解消ということはNHKだけでできることなのかどうなのか、その点、いかがでありますか。
  161. 前田義徳

    前田参考人 難視聴解消という問題は、二つの難点から考えなければいけないと思います。  第一は、物理的に電波のカバレージという点からいえば、必ずしも困難な問題ではないと思います。しかし、そのカバレージを持った電波が個々の御家庭に届くかどうかという問題は、実際上の問題でありまして、地理的条件その他、最近では都市難聴という問題も起きてきているわけであります。したがいまして、私どもが主力を注ぐ点は、この第二の問題に対して――と申しますのは、電波の免許については郵政大臣が権限を持っておられますから、到達距離という意味での物理的カバレージについては、案外、物理的計算でいえば必ずしも困難な問題ではないと思います。ただ、物理的カバレージの底にある問題をどう解決するか、この問題は、放送法の原則から申しますと、当然NHKの任務になると考えております。ただ、それが何年かかるかという問題につきましては私どもも極力努力いたしたいと思いますが、たとえばラジオの第一放送、これが九九%以上のいわゆる実際的カバレージを持つためには、約四十年にわたって営々と努力したという経験からかんがみますと、テレビの問題はさらに幾つかの困難な具体的な問題を生ずるであろう、この具体的な困難な問題については、技術的研究あるいは関係方面の協力、その他あらゆる角度から目標を達成する努力をいたしたい、このように考えております。
  162. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 都市公害の、つまりビルの谷間のいろんな問題もありますけれども、 これはちょっとおいておきたいと思うのです。私は特に重点を離島僻地の問題に置きたい、こう思います。  実はNHKの「放送受信契約数統計要覧」というのをいただいて拝見したわけです。そうしますと、四十二年度のものでありますけれども、鹿児島の十島村、三島村、これはおそらく全国で最低だろうと思いますが、テレビは十島村については契約台数ゼロだ、こういうふうに私は聞いております。市町村という自治体の中でテレビ契約台数ゼロいう地域は十島村だけではないのではないか、こういうふうに思うのですが、その辺はいかがでしょうか。どなたでもけっこうです。
  163. 佐野弘吉

    佐野参考人 実際には電波も届いておりまして、私の承知いたしておりますところでは二百五十くらいの受信機の普及はございますが、何ぶんにも契約をいたしますには電界強度が低くて、要するにマイナス三という程度で、契約は当方が御遠慮申し上げているということでございます。
  164. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 十島村のそういう実情を知りましてから、私、鹿児島の局の皆さんとも御相談いたしました。たいへん熱心にこれまで二度にわたって現地の調査もいただいておるわけであります。熊本なりあるいは中央のほうもこの解消のためには非常に努力いただいておることに私は感謝いたしております。  そこで、私はこれから、先ほど言ったNHKだけの問題かということについて、その前提条件を考える場合に、これは郵政大臣に今後かかってくる問題ですが、林道の開設とかあるいは港の問題とかいうことを考えてまいりますならば、NHKだけではとうていその辺はカバーできない問題がやはりこういう地域については出るのではないか。そこで、具体的にお尋ねしたい点は――大臣に入ります前に、もう少し事実関係というか実態の面を触れていきたいと思うのですが、離島振興法あるいは山村振興法の指定地域と、来年で九六・四%に及びます点から残った地域との関係というものをどういうふうにごらんになっておるか、伺いたいのです。
  165. 前田義徳

    前田参考人 私どもは、この振興法ができる以前から、おおよそ七年間にわたって、北海道から九州に至るまで、その周辺の離島については協力政策をとってきております。したがいまして、今後の問題についても、単なる離島振興法というものとの関連を乗り越えても、われわれの聴視者との関係という点からいえばやはり最大努力を払うべきである、このように考えております。
  166. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 その意気込みはけっこうなんです。意気込みはたいへんりっぱだと思います。敬服をいたします。しかし、私がいま事実関係でお尋ねをしておるのは、残るであろう三・六%、これは人口ですから地域との関係は必ずしも一致しないかもわからない。しかし、おおよそ地域というのは、カバレージとの関係から分析をしていけば出てくるわけですね。そこで、その残った三・六%という人口は、私は離島振興法の指定地域あるいは山村振興法の指定地域と重なってくる、こういうふうに思うのです。その辺は大体何割くらいですか、少しわかりませんか。
  167. 野村達治

    野村(達)参考人 世帯数にしまして約百十万くらいかと存じております。そのうち、置局によりましてやれる部分といいますものが約半分近くになります。残りました部分につきましては、やはり置局と並行します共同受信のような形で行なっていきたい、あと三十万ぐらいのところにつきましては、電波が非常に到達しにくいといったようなところが残るかと思っております。  なお、先ほどの道路費用につきましては、相当の費用を計上いたしまして……(川崎(寛)委員NHKが」と呼ぶ)はい。むずかしいところでもやれるように考えております。  なお、先ほどのお尋ねのところにつきましては四十四年度置局を考えておりまして、これはFMの中継回線を名瀬に延ばすということとあわせて仕事をしていきたいと考えております。
  168. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 その十島村の具体的なことは後ほどまたお尋ねしたいと思います。  そこで会長、いま離島振興法、山村振興法を乗り越えてと、たいへんNHKとしての高らかな進軍ラッパを鳴らされたわけでありますけれども、私は何もそう力む必要もないと思うのです。離島振興法の第四条「離島振興計画内容」の中の第四号に「住民の福祉向上のため必要な教育、厚生及び文化に関する諸施設の整備」、こういう項目があるのです。このことはテレビ等のそういう難視聴地域を解消していくための前提条件、つまり、道の問題であるとか、あるいは資材等を揚げるためのそういう物の着く場所の問題だとか、あるいは問題は一つ電源があるわけです。電源まで全部NHKでやられるのかどうか知りませんけれども、電源の問題も非常に大きいわけですね。そうしますと、この第四条の第四号というものが、難視聴地域解消のための前提条件の整備ということのために具体的に適用されて問題を解決した例があるかどうか、このことをお尋ねしたいと思います。
  169. 野村達治

    野村(達)参考人 従来、たとえば電力のございませんところにつきましては、その地域で発電機を共同して村に設置するというような場合におきましては、油の供給費用といったようなものを持ちました例もございますし、あるいは、その地域に発電の設備がございますが、昼間電力を供給しないといったような場合につきましては、やはりその送電時間の延長をはかっていただくということにつきまして必要な経費をお出しするようなことを昭和三十九年から四十二年までいたしたことがございます。
  170. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いたしたことがございますということは、離島振興法によってその条件を整備したということですか。
  171. 前田義徳

    前田参考人 そういう事実はございません。
  172. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そこで、大臣にお尋ねしますが、離島振興法の離島振興計画のこの項目というものを、今後のそういう問題解決のために御検討になられるかどうか。これは、私はあらかじめ検討してもらうように事務当局には申してありますから、御検討いただいておると思います。その点、いかがでございますか。
  173. 河本敏夫

    河本国務大臣 これはもしNHKだけでどうしてもやりにくいという場合には、やはり離島振興法あるいは山村振興法などの精神にも基づきまして、関係の省と、必要とあらば郵政省が仲に立って話をしまして、たとえば、通産省に対しては電力の問題、建設省に対してはいろいろな建設関係の問題、あるいは文部省に対してはいろいろな教育関係施設の問題、そういう仲をあっせんいたしまして、NHKがやりやすいようにお世話をしていきたい、こう考えております。
  174. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 まあ、会長はそう断言されたわけですが、実は、その十島村の電力の問題については、昨年来、離島振興計画の中における電源、つまり水力発電の増強を、経済企画庁と相談をして今度は三倍くらいに上げるわけですね。そういう前提をつくって実は鹿児島の局とも相談をしてきたわけです。ですから、NHK自体が入らなかったといえばそれはそのとおりかもしれないけれども、しかし、今後十島村なり三島村なり、そういう地域を考えれば何もそう力む必要はないじゃないか、むしろ、いま大臣も言われたように、私は今後そういう離島地域――これは九州管内は非常に多いと思います。それから沖繩が返ってくれば、さらに沖繩の全域にわたってという問題になりますならば、いろいろな問題が今後出てくると思うのです。ですから、テレビ文化というものが今日の生活文化の中で非常に大きなウエートを占めておるという意味においては、私は、郵政大臣も離島振興計画の中の第四条の四号のこの点について積極的に、つまり前提条件を整備するというふうな意味で各関係官庁との調整をひとつやってもらいたい、こういうように思います。大臣、いかがですか。
  175. 河本敏夫

    河本国務大臣 離島振興関係は、御承知のように経済企画庁が窓口でございますから、経済企画庁を窓口といたしまして関係の省とよく話し合いをいたしまして、NHKが仕事がしやすいような前提条件をつくり出していく、こういうことに努力をしていきたいと思います。
  176. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そこで、十島村の問題については、実はいろいろな裏話があるのです。というのは、電電公社がきょう見えておりませんので、これは大臣の耳に入れておきたいと思います。  鹿児島の大浦から名瀬にマイクロの中継をやりますときに電波の試験をやった。その電波の試験をやりますときに、十島村の宝島の青年の諸君に、テレビが見れるようになるのだ、だからひとつ大いに協力してくれといって、かつがせたのです。そして頂上まで持っていって一生懸命やった。なるほど高速道路は通ったけれども、そこからおりてこないのですね。まあ当然のこと、ところが、島の諸君にしてみれば、どんどん出かせぎに出ていく、人口は減る、これでテレビが見られるようになるらしいということで喜んで協力してみたけれども、そうじやなかった。そこで、笑い話でありますが、日照権というのが裁判になっておる時代だから、ひとつ電波を断っておるところ、山の上を切ってしまおうかという話まで出たくらい切実な問題であったわけなんです。  そこでFMの問題が解消すれば、つまり可能であれば置局するということなのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  177. 野村達治

    野村(達)参考人 可能かどうかではございませんで、FMの回線を鹿児島から名瀬に延ばします際に、同時にテレビジョンの中継局の置局もいたしたいと考えております。
  178. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、それは四十四年度じゅうに置局して、四十五年からは実際に動くということですか。
  179. 野村達治

    野村(達)参考人 そのように考えております。
  180. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 先ほどの問題に返りますが、そういうふうに努力されてあと三・六%残りますが、大体ぎりぎりどこまでいきますか。
  181. 野村達治

    野村(達)参考人 二千五百万世帯ないしは二千六百万世帯の日本の全世帯数の中から約三十万世帯ぐらいは非常に数の少ないところがございまして、そういうものが集まったものにかなり電波を供給することは困難であるというふうに考えております。
  182. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それじゃ、次に教育放送の問題に入りたいと思います。  NHKの「テレビとへき地の子どもたち」というのを拝見いたしてみました。僻地の小中学校等に対するテレビ受信機贈呈五カ年計画というので、たいへん努力をいただいて五カ年計画は一応完了したようでございます。これを見ますと、放送教育に僻地なしというスローガンはたいへんりっぱだと思いますが、学校放送の利用率というものは、テレビについては小学校八〇・五%、中学校五五・五%、この利用率というものと、つまり残ったところで、カバレージとしては行っているのだけれども、しかしまだ利用はされていないという僻地の指定学校ですね。この点、文部省どうですか。
  183. 福原匡彦

    ○福原政府委員 お答え申し上げます。  ただいま川崎先生御指摘のように、利用率が小学校で八二・一%、中学校で五五・五%ということでございまして、実はこれは利用率でございますので、テレビの所有率から申しますと、もちろんそれぞれそれよりも大きい率となっておりまして、昭和四十二年度の文部省の調査によりますと、所有率は、僻地の学校につきまして、小学校八七・三%、中学校七四%ということでございます。教育におけるテレビの利用ということは、一般学校でももちろんでございますけれども、僻地においては、さらにそれに加えましてその有効性というものが認められておりますので、所有台数をふやすということ、さらに、所有いたしましても、これが学校当たりの台数でございますので、それぞれの学級がまだ持っていないとか、いろいろな問題がございまして十分な利用ができていない点は、いろいろな方面からの指導でそういう点はなるべく改善してまいりたい、こういうふうに考えております。
  184. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 この難視聴地域に入るために視聴不可能な学校数というのは、どれぐらいありますか。
  185. 福原匡彦

    ○福原政府委員 文部省ではまだその数はつかまえておりません。
  186. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 その解消策ということは、いまつかまえていなければまだ解消策は出ていないんだろうと思うのですが、その解消策というのは、じゃどうしようとお考えですか、文部省として。
  187. 福原匡彦

    ○福原政府委員 いまの難視聴地域の学校につきましては、これはかねがねNHKあるいは郵政省の御努力によって漸次解消されてまいっておりますので、そちらの御努力に期待している次第であります。
  188. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、これは郵政大臣NHKに、文部省もこれはNHKにと、こういうことで、文部省自体としてこの問題を解決するために積極的なことを考えたことはありませんか。
  189. 福原匡彦

    ○福原政府委員 文部省としては、教育の効用から見て非常に必要性は痛感しております。そういうことで、できるだけ郵政省NHKのほうにいろいろな機会にお願いをしているということで、文部省自体としてこれに対して特別なことはいたしておりません。
  190. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 さっき郵政大臣は、関係各省と話し合ってということでございましたが、つまり、離島僻地の子供たちこそ教育放送の恩恵にあずからしめたい、こういうふうに思うわけです。いま文部省のほうでは積極的なそういう解消策についての姿勢というものがないように見受けられますが、郵政省として関係各省と――つまりこれは文部省が提案をしていくということになるかどうか。文部省が提案をしていくことになるかどうかわからないが、文部省等も入って、あるいは、先ほどの山村振興法の関係なり離島振興法の関係なりの生活文化という面等からも考えて、そういう関係各省の間でこの問題について検討をする機関というのがあるんですか。それとも、なければ、何かひとつつくって検討してみようという計画を考えていただけませんか。
  191. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま文部省のほうから御答弁がございましたように、山村僻地でまだ二、三割テレビの見られないところが残っておる、こういうことでございまして、これは私はなはだ残念に思います。そこで、文部省のほうで至急その点を御調査いただきまして、とりあえずこれだけ残っておるからこことこことこことこうしてもらいたい、そういう具体的な御要望が出ましたら、その時点におきまして、至急に関係の方々と相談をいたしまして具体的に解決策をはかっていきます。
  192. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 郵政省のほうはそういうふうに言われまして、ボールが文部省に返りました。文部省、どうですか。それからまた、NHKのほうは総合放送文化研究所が昨年、受信設備普及状況と学校放送利用状況調査というのを行なって、これはたいへんな調査だろうと思うのです。そういう結果を出しておるわけですから、文部省として、いまの時点でどういうふうに御検討いただけますか。     〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕
  193. 福原匡彦

    ○福原政府委員 いま郵政大臣お話もございましたので、文部省としては、さっそく資料を整えまして郵政省にお願いを申し上げたいと思います。
  194. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 時間もせっつかれておりますから審議に協力したいと思うので、私は最後に会長に、いま郵政省あるいは文部省、そういうところから答弁もございました。先ほどは独自で、とまで言われましたが、ひとつ、あらゆる力を総合して、早急に「あまねく」という放送法のことばそのものを実現していただくように御努力願いたいと思います。会長としての方針を一言伺いたいと思います。
  195. 前田義徳

    前田参考人 お説のとおりでありまして、私どもがこれを手がけた数年前はいろいろな問題があって、独自でやらざるを得ませんでした。ただいまお話を伺っておりまして、関係当局もかなり積極的に特殊の特別法に基づいてその基盤もおつくりになっているということであれば、さらにわれわれの努力は、ある程度の困難を乗り越えて実現する可能性がふえたような印象でお聞きしておりまして、私どもとしては万全の協力と努力を尽くしてまいりたい、このように考えております。
  196. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 終わるつもりでしたが、ちょっと一言確かめておきたいと思います。  文部省の福原局長、この離島振興法第四条の離島振興計画の第四号「住民の福祉向上のため必要な教育、厚生及び文化に関する諸施設の整備」、この点については、従来、先ほどからの郵政大臣の話を聞いてみても、テレビの難視聴地域解消のための前提条件を解消していく、整備していくということにはあまり力が入ってなかったようにぼくは聞き取れたわけです。この点は文部省として、いわゆる社会教育の面から見て積極的にこの離島振興計画の具体化という中でこの問題を推進していく、つまりこれは調整をする機関としての郵政大臣の仕事でもあると同時に、直接社会教育の担当の省である文部省としてもしかるべき意見があってもいいんじゃないか、こう思います。この実施についてどうお考えですか。離島振興対策審議会には文部省からも出ておりますね。ですから、この点、推進していくお考えありますか。
  197. 福原匡彦

    ○福原政府委員 離島振興法の担当局でございませんのでちょっと詳しいこと存じませんが、たとえば、私のほうの局でただいままでやってまいりました仕事としてその関係になると思いますのは、テレビ受像機の整備のための補助金というようなものにつきましては、学校に対しまして、すでに八千四百万円程度のものを補助金として支出してまいっております。それによって三千台近いものが整備されたというふうに聞いております。そういった形で私どもとしても今後できるだけ努力をしたいと思っております。
  198. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 これは文部大臣でないと答弁できないのかもしれませんが、離島振興法の十一条によって、審議会には文部事務次官が出ておるのです。だから、きょうの審議の中身というものを伝えていただいて、この点は離島振興のこの審議会の中で積極的に推進していただきますことを希望いたしまして、終わりたいと思います。
  199. 井原岸高

  200. 島本虎三

    島本委員 日ごろ私もNHKに関心を持っておりますし、今回の昭和四十四年度の収支予算を見まして、一応これに対しまして私もざっくばらんに聞いてみたいと思いますので、大臣及び会長のほうの時間の関係上、簡明に願いたいと思うのです。  大臣にまずお聞きいたしますが、前大臣のころから、十年後にはVHFからほとんどUHFに全面移行する構想だという発表があったようですが、河本大臣もやはりその意味で今後電波監理行政を実施されますかどうか、それをお伺いしておきたいと思います。
  201. 河本敏夫

    河本国務大臣 そういう基本方針でやっていくつもりでございます。
  202. 島本虎三

    島本委員 その基本方針に基づいて、ではNHK会長にお伺いしますが、昭和三十三年以来、経営の総合近代化計画を進められておるようであります。四十三年度から第三期に入ったようでございまして、森本委員等のいろいろな質疑の内容等におきましても、この意欲的な面に対しましては、私は敬意を表したいと思います。この経営総合近代化計画の基本的なものは何なのか、これを具体的におっしゃってもらいたいと思います。
  203. 前田義徳

    前田参考人 第一次五カ年計画、その立案の当初においては、放送事業の将来の多角化、技術の革新並びに聴視者の増大、番組の多様性というものを総合的に考えまして、その時代から、実は近代化ないし合理化の基礎方針を確立すべしという考え方で、ここ約七年間にわたってその方針を貫いて今日に至っているわけでございます。
  204. 島本虎三

    島本委員 したがって、設備の近代化、経営の合理化、それから職員は少数精鋭主義によってこれを行なっていきたい、この三つの基本方針でこれを行なっていくのだ、こう理解してもよろしゅうございますか。
  205. 前田義徳

    前田参考人 そのとおりでございます。
  206. 島本虎三

    島本委員 EDPS、こういうようなシステム、いわゆるNHKのスマートなる名においてこれを実施せんとしているようでございますが、その中核体は何ですか。
  207. 前田義徳

    前田参考人 それは機械でございます。現在基礎的機械全国化する体制が整いまして、私どもはこれをオンライン・システムと申しておりますが、それが昨年の十一月から一応動き出しておる、この機械を通じてむだな労働を省こうというのが私どもの考え方でございます。
  208. 島本虎三

    島本委員 番組技術システムなるものをつくって、現在これを実施中だと聞いておりますが、このやり方は、コンピューターを利用して、そしていろいろ今後の番組技術その他についてのいわゆる少数精鋭主義による合理的な効果をあげるものである、こういわれておりますけれども、そのシステムのメリットはどうなんでしょう。
  209. 前田義徳

    前田参考人 これはことしに入って、大体実際上の使用に供しているわけでありまして、このメリットは最終メリット――われわれが期待するメリットと現状の間には依然として現在のところかなりのギャップがあるということは事実でありますが、その詳細については、担当理事から説明いたさせます。
  210. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 いま先生の御指摘のとおり、番組技術システムについては、昨年の暮れから実際の運用に入っておりますが、NHK全体の近代化のための機械化の面につきましては、昭和三十九年から営業、経理、職員関係の仕事、四十年から施設工事管理の仕事についていわゆる機械化ということをやっております。番組技術システムにおけるいわゆるコンピューターの利用は、事務の機械化というものとやや趣を異にしておりまして、必ずしも要員の、人間のやる仕事を機械にやらせるということではございませんで、人間の能力の足りないところを機械に補わせるということを目ざしております。したがって、要員についても、番組並びにそれに携わるその他の業務の要員数を減少させるということは考えておりません。むしろ間接的業務に従事しておる人間を機械化によって開放し、それを創意くふうを要する番組関係の業務に充てようというふうに考えております。ただいま会長から申し上げましたとおり、まだ番組システムについては運用早々でございますが、いままでの例で申しましても、三十七年から現在までに約七百名の要員を番組以外のところから抜きまして番組関係へ充当しております。
  211. 島本虎三

    島本委員 聞くところによりますと、アメリカの三大ネットワークのNBC、CBS、ABC、この当局者もNHKのこのシステムの強大なのに驚愕をしておった、驚嘆しておった、こういうようなことを聞いておりますし、また、追いつけ追い越せ、この目標をイギリスのBBCに置いていたようでありますけれども、過般、経営委員長であるヒル・オブ・ヒュートン卿が来たおりにも、やはりこのシステムを利用できるのは、いまや全世界広しといえどもNHKとわがBBCだけであろう、しかし、いまのBBCはNHKにかなわない、こうまで驚嘆されていったということを聞いているわけです。しかし、あまりにも機械化するあまり、手づくりのよさのデリケートさ、こういうようなことが失われやせぬか、同時に、強烈な個性のよさ、これは十分発揮できるかどうか、それと、創造性の多い番組づくりの根底を今度変えてしまうおそれがないか、それとも組織という体制に応じて、規格品づくりに堕するおそれがないか。この四つの点が私の最も心配する点ですが、この点等については、確信を持った御答弁を願いたいと思います。
  212. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 先生御指摘のとおりいま世界の放送界からいろいろの意味で注目されていることは事実でございます。それで、コンピューターということで規格品という御指摘でございますけれども、私どももいま先生の御指摘の点を十分勘案いたしまして、当初からその点についてはきわめて慎重の策をとってまいったつもりでございます。しかしながらコンピューターというか、情報革新と世にいわれておるようなことでございまして、やはり具体的な面について構成員各位にいろいろな不安あるいは戸惑いのあるということもまたいなめない事実であろうと思います。しかしながら、私どもNHK番組という非常に創意くふうを要する業務にこのコンピューターという、ややともすれば標準化ということを目的にしたような機械をどう使っていくかということについてはかなり具体的な考慮をいたしておりまして、その点は、従来の機械化ではできない、創意くふうがつぶれてしまうところを、それを逆に生かす、機械を人間の創意くふうを伸ばすように使うという点に着目をした、それに成功したという点で世界各国の放送界から着目されているわけでございます。  具体的には非常にこまかくなるのでございますが、先ほど申し上げましたように、私ども番組づくりを機械にやらせるというのではなくて、いわゆるコンピューターを入れる前に、テレビというのは非常に複雑な仕事のために、コンピューターがなくても、機械ができ得る仕事、ほんとうに機械でやれるところは機械にやらして人間に余裕を与えて、むしろ人間の創造性を発揮させようという点に主眼を置いております。ただ、もちろん現在は草創期で、いろいろな点で細部について問題があることも事実でございます。
  213. 島本虎三

    島本委員 これはやはり国民の期待のもとに、NHKはいわばその焦点にあるわけですから、そういうようなりっぱな近代化、合理化のシステムの上に立って、やはり懸念のある点は十分今度はそれを克服するようにしてこの予算運営に当たってもらいたい。そういうような意思があっても、現在の状態では、御存じのように組織ができてもその中に巻き込まれるのがいまの傾向です。そのりっぱなコンピューターによるところのこの組織、この形態、この体制の中の規格版というのですか規格品というのですか、こういうような状態にならないように十分注意して今後やるべきだ。私は、そうなるおそれがあることを前もって懸念するからこれを言うわけでありますけれども、これは答弁要りません。十分この点は注意して今後の番組技術システムの実施に当たってもらいたい、これを私から要望しておきたいと思います。  それと、いまいろいろ発表がございましたが、営業システム、経理システム、職員システム、こういうようなものが全部できておる、なかなかりっぱだと思いますが、二千万世帯以上の受信料の処理をコンピューターでやるようなシステムのようです。なかなかりっぱだと思います。また経理システムもできて、全国放送局の経理事務の一切を短時間で処理できるような、こういうような世界にも冠たる行き方をいま採用しておるということも聞いております。また、前田会長が自慢なさっておる職員システム、一万五千九百名の職員のすべてのデータがテープにおさめられている。そしてこれは職員システムを利用するのでなければ、現在もうすでに一万五千九百二十名が二万名をこえているであろう、こういうようなことも会長は自慢されておるようであります。これはEDPSに投じた費用は四十億、それから人件費だけでも毎年六十億は浮くのだ、こういうようなこともはっきりされておるようでございますけれども、ひとつ、この点いかがでしょう。  四十一年十一月の日放労の放送系列の組合員の声を収録してみましたアンケートによると、現在のNHK放送に満足しているか。満足はゼロ%、ほほ満足は二二%、満足できないは五七%、無回答三%。次、将来NHKがあなたの能力を生かすようになるか。楽観的が三%、どちらでもないというのが二六%、悲観的なのが五〇%、無回答が三%、こういうのが出たそうであります。  それで、現在会長が考えられ、経営陣が考えられて、いまのように強力な近代化、合理化、精鋭主義によるところのこのシステムを進めておられる、しかしこの計画は、管理面と職員の面に断層があるということを物語っているのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。幾らいいものであってもネコに小判ではどうにもならない、こういうような状態ですから、いまこの計画はいい、しかし、管理面と職員間の断層があっては、これは何にもならない。これは今後の運営の面では重要な一つのサゼスチョンになるのじゃないかと思います。これは会長、いかがです。
  214. 前田義徳

    前田参考人 全く私もお説のとおりだと考えております。したがいまして、この計画をスタートするとき以来、全職員のこのシステムに対する親近感、また、事実上の運営を熟練させるという方向で、研修と申しますか、系統的にまた組織的にここ数年間行なってきております。ただ、もちろん機械を動かすのは人間であり、したがって、機械と人間心理との関係が最終的に調和しない段階においては、あるいはいまのような数字による表現もあり得るかと考えておりますが、私としては、それを無理に直ちに到達点まで強制するという考え方は持っておりません。必要ごとに私自身も組合員諸君――と申しますのは、私から考えて同僚諸君でありますので、それらと話し合いをしながらこの心理的ギャップを埋めてまいりたい、このように考えて努力いたしております。
  215. 島本虎三

    島本委員 この点は十分努力して、今後の成果を期待したい、こういうふうに思うわけです。大臣もこの点はよく聞いておいて、善処されるように望みます。  それから、聴視料の問題にちょっと入らしてもらいます。  先ほど森本委員の質疑応答を通じましていろいろ明らかになりましたが、今後のNHKは、カラー化の推進、一日平均七時間くらいですか、これはもう現在やっておられるようですが、長期計画の最終年度は十五時間くらいにしたいのだ、こういうようなことのようであります。そうなりますと、これはその分だけでも相当の費用がかさむのじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。この点はどういうものですか。
  216. 前田義徳

    前田参考人 御審議いただいておる明年度予算においては、カラー放送時間は大体十一時間三十分というのを予定いたしております。カラー施設については、御審議中の明年度予算の中でも、建設費の面でかなり大幅の予算を組んでおります。したがいまして、カラー普及の過程において建設費ないし運営費でかなりの、従来になかった面のお金がかかるということは事実でございます。ただ、われわれの目標は、ただいま進行中の五カ年構想、したがって御審議をいただいている四十四年度予算はその二年目に当たるわけでございますが、この五カ年間に全部を解決するという考え方は持っておりません。ただ、このような計画を行なうことによって、聴視者が安い受像機を買い得る過程をつくり出したい、同時に、番組の質の向上をカラーの面から達成してまいりたい、このように考えているわけでございます。  したがいまして、財政的に見ますと、四十四年度におきましては白黒からカラーへの転換についての手数料の値上げ等も考えておりまして、総合的にきめのこまかい運営をやってまいりたい。カラーがふえるということは白黒がなくなることでありまして、したがって、形式的に考えましてもその差額は百五十円でございます。この百五十円の中身は、ただいま申し上げたように、きわめて必要な金額が含まれているわけでございまして、この金額の全精力を傾けての効果的使用、これを到達させるのが、はなはだ表現がまずいかもしれませんが、この五カ年構想の最終目標であるということを申し上げておきたいと思います。
  217. 島本虎三

    島本委員 そこで、大体四十七年度末を予想しますと、これは私のほうで調べてありますから聞かないで、時間の節約上、すぐ結論のほうへいかしてもらいます。数字が違う場合には指摘していただきます。  この放送受信契約は約二千四百二十九万程度までになるんじゃないか、カラーは六百五十万程度、先ほど、これがカラーの場合にはもう少し、百万ほど伸びるんじゃないか、七百五十万ほどになるんじゃないか、こういうようなこともあったようでございました。しかし、そうなりますと、今後の累積というものは、現行の状態の中では、やはり施設の面を通じまして相当の合理化を行なっても、なお聴視料の点にかかってくる懸念があっては困る、私の面では。大臣もいま申されましたように、十年後、いわゆるUHFに全面的に切りかわる場合には、今度は都市公害という、東京大阪など高層ビルが林立した場合には、これはやはりそれに対する対策というものは当然必要になってまいります。そうなってまいりますと、おそらく放送法によって、いま川崎君が言ったように、いわゆる全国あまねく受信できるようにするためには、これは三千億から五、六千億をこえるようなところまで費用がかかる、こういうようなことになりますと、当然NHKさんは、これは聴視料の値上げを今後再び考える、こういうようなことになるんじゃないか、こう思って心配するわけです。  昭和四十三年十一月八日の日本経済新聞によりますと「NHKは今後五カ年間は値上げはしない」、大阪で大村三郎理事がこのように断言している記事があるようです。「この趣旨を通して内部の合理化を進めながらも、りっぱな番組を組んで、なお聴取料の値上げは考えない」これでいってほしいと思いますが、もうだいじょうぶでしょう。
  218. 前田義徳

    前田参考人 社会情勢が、あるいは経済情勢が変化するという場合には、これは一つの例外になるかと思います、急激な変化は。私どもとしては、御指摘の大村君が記者会見で申し述べたとおり、少なくとも四十三年度を初年度として今後五カ年間は値上げをすることは絶対にしないという決心のもとにこの構想を進めているわけでございます。  この際もう一つつけ加えて、あるいは蛇足かもしれませんが、カラーの百五十円という問題がかなり印象的に値上げであるという御懸念をいただいておりますが、これは御承知のとおり、単設ラジオを無料とし、いままでの聴取料を三百三十円から三百十五円に引き下げ、そうしてカラーを百五十円ちょうだいするというたてまえをとり、五カ年構想では、私どもとしては、御指摘のように、七百五十万件の契約数を予想しているわけでありますが、私は、社会情勢の進歩と、さらに製造能力の向上によって受像機はかなり低廉化していくものと予想いたしております。したがいまして、この当委員会においても、先日、私としては、構想としてはそういうことになっているけれども、努力の面からいえば、昭和四十七年の三月末には、カラーについてはせめて一千万の契約をとりたいつもりでおるということを申し上げております。  それでは、この百五十円、一千万というときにどのような結果になるかと申しますと、私としては、やはり近代化の一端として料金徴収の制度を近代化していく必要があると思います。先ほど御質問をいただきましたが、現状において、二百七十万の段階において一年間の契約あるいは六カ月の契約、その割引料を合計いたしますと約四億円になります。したがいまして、これがかりに四十七年三月末に一千万世帯の契約となりますと、約その五倍でございます。このことは、同時に、そういう環境の中で実質的料金の低下を実は考えているわけであり、聴視者に対しては実質料金の低下、それからわれわれとしては、同時に集金コストの総合的調整ということを並行して考えているわけでありますから、このような立場で構想を立てたわけで、したがって、繰り返して申し上げますが、五カ年間は、よほどの重大変化のない限り、われわれ自体の中では値上げをいたさないという強い決心を持っているわけでございます。
  219. 島本虎三

    島本委員 いま普及率を一千万世帯まで及ぼす、こういうふうに言っておりますが、実際は四十六年度末でもうすでに一千万世帯を突破するであろう、こういうようなことを専門家筋のほうで見ておられるようであります。四十七年度ですから当然それはいくであろうということは、もうすでに、安全性を見ましてもそれは私どもの考えておるところであります。六百五十万世帯、これに限定しているのはあまりにも低い。こういうようなことでこれを調べてみたわけでありますけれども、いまの森本委員質問に対しては、七百五十万くらいに今後考えられるということでありますが、四十六年度末で一千万世帯を突破する、四十七年度の計画までにはゆうゆうじゃなかろうか。まして、いま会長が、誇るべきEDPSによる合理化で年間人件費の面で六十億も浮かした、こういうようなことを言っておられるようです。今後、経営を盛り立ててりっぱに運営していくためにも、職員の待遇は十分考えていかなければならない。これは前提条件、それと同時に、聴視料の集金方法、これに対して、これは蛇足かもしれません。蛇足かもしれませんが、現在の訪問集金、これが一番効果をあげているようです。しかしながら、銀行預金口座の自動振替、それと郵便振替――郵便のほうに至ってはこれは微々たるもので、宣伝さえもしていない、こういうようなことがはっきりしているようです。そうすると、聴視料の集金方法では訪問集金のほうが一番効果をあげ、一番合理的にやらなければならないという銀行預金口座の自動振替や郵便振替のほうはさっぱりで手を抜いていることは趣旨に反するのじゃなかろうか、この点でまず十分考えてやっていかなければならないのじゃないか、こういうように思うわけです。あわせて、イギリスでは受信税で徴収しても八〇%の徴収率だそうです。日本のほうは、聴視料としてこれをいまの三つの方法でやっていながら九七%もあがっている、こういうようなことのようであります。  そうなりますと、これはほんとうは聞いて、質問するのがいいのですが、時間の関係ですから数字の誤りは直してください。もしそうだとすると、今後、集金人に対するいろいろな配慮、それと同時に、森本委員が言った郵便関係の振替貯金ですが、大いに宣伝――銀行関係はいっておるようです。こういうような点をあわせてやっていかなければ、今後の聴視料の徴収方法やその額に対しても率に対してもやはり懸念される点があるのじゃないか、こういうように思うわけです。これもあせってはならないと思います。これは他のほうでは集金面、現金を扱う面が一番犯罪の温床になっているわけです。NHKのほうがあまり新聞種にならないのを私は喜んでいるのですが、九七%、そのうちの大部分が訪問集金によって行なわれている、これがいわゆる職員集金人による集金である、こうすると、その方面に対しては相当関心を払い、また、同時にその点の指導を完ぺきにしておかなければならないんじゃないか、こういうように思うのですが、犯罪には十分注意して、こんなことがないように手を打つことが国民に対する一つの義務だ、こういうふうに考えるわけであります。こういう点について、どういうように手を打っておりますか、構想なり決意を聞かしていただきたいと思います。
  220. 前田義徳

    前田参考人 お説のとおりでありまして、まず集金人の直集による効果、それ以外の効果との比較については、それ以外の問題は実は最近、ここ数年始めたものでございます。しかし、何といっても事業は人でございますので、集金人を中心とする徴収の体制をさらに今後も検討を続けながら所期の目的を達成いたしたい、このように考えております。  それからまた、事故の発生を未然に防ぐという考え方につきましては、これも二重、三重の制度をとっておりまして、それらについても、従来私どもといたしましては、完ぺきではないにしても、御指摘のように、ほかの事業に比べてまことに――まあ、これはわれわれの同僚の誠心誠意にも基づくものと考えられますが、現在までのところは聴視者に御迷惑をかけることのない体制が確立をしているわけであります。この点については、さらに近代化の進捗との関連においても一そうチェックシステムその他を再検討いたしまして、御指摘のようなことの起こらないように努力を傾注いたしたい、このように考えております。
  221. 島本虎三

    島本委員 その努力を私は心から期待しておきます。  きょうの帝都日日新聞を第一議員会館の地下二階の売店で売っていた。それには、視聴者には無断で、自動支払い制預金から強制徴収をしたNHK、そして自動支払い制の盲点をついておる、こういうようなことで、堂々と一面にこういうふうにある。こういうような点等についても、やはりこの制度そのものに疑念を持たれるおそれがあるんじゃないか。内容を見てみますと、やはり何かのギャップがあったようです。しかし、やはりこういうようなことをあまり堂々と出されるのは――これは世界に冠たるシステムをもって実施しているといま聞いたわけですけれども、その冠たるシステムの中から、こういうように「視聴者には無断で、預金から強制徴収、自動支払い制の盲点をつき」、こういうようなものが出ているわけです。これは今後十分注意してやってください。
  222. 佐野弘吉

    佐野参考人 実は、私も先ほど新聞で見たばかりで、一読をいたしましたが、ちょっと私にはこの経過が理解しがたいという一語に尽きるわけです。普通、聴視者との間にはっきりとした契約書を取りかわして、それから収納という手順に入りますし、また銀行のほうも、かりに銀行の口座振替というふうにしていただきましても、それは協会へ直ちにそのリストが参るというふうになっております。その手順に狂いはないわけでございまして、どうもこの点はちょっと理解しがたいので、さっそく調査をいたしたいと思いますが、この席ではそれ以上ちょっとお答えしにくい――また、このようなことのない仕組みになっておりますが……。
  223. 島本虎三

    島本委員 いま、たんたんと質疑して、そのよさとシステムの優秀なこと、これを言ったばかり  なんです。優秀のあまりこういうふうになったのだったら、やはり何か優秀さの盲点があるわけですから、そこを注意してやってくれ――これは深追いしないのですから、安心して、磐石を期してやってください。そうでないとこれはいけません。あまりいいこと、ばかり言って、こういうのが出るのはよくないです。それと同時に、私も一つ大臣にも聞いておきたいと思うのです。いまいろいろ、Uのほうに移る、都市公害が発生してくる、当然都市における難視難聴の解消が必要になっくる、こういうようになってまいります。現在騒音関係の中でも、東京並びに大阪は航空公害防止協会なるものができておりまして、NHK並びに航空会社、船舶振興会、こういうようなところからそれぞれ拠出して、助成金を出して、これをテレビの見えない、飛行機によるところの障害を受ける個所に対しては対処している、こういうようなことを聞いております。これは、やっているとすれば、まことにけっこうだと思っておるわけですけれども、NHKもこれに出資しています以上、特定の区域だけに限ってこれをやることは、平等の原則に反するのじゃないかと思います。これはどことどこでやっておるのですか、そして、これは将来あらゆる地に発展させる構想はないのですか。航空公害防止協会(財団法人)代表者笹川良一、この機構なり将来の構想なりについて伺いたい。
  224. 佐野弘吉

    佐野参考人 概略をお答えいたしますと、今日その財団が国際空港であります羽田と伊丹、両空港を指定いたしまして、空港内の滑走路の縦、横それぞれ二キロ、一キロという地域の中でこの助成措置をとっております。伊丹におきまして大方二万世帯、羽田におきまして一万五千世帯、双方で三万五千世帯がこの地域内にございまして、助成をいたしております。NHKといたしましては、四十三年度は途中から出発をいたしましたので千七百万円拠出をいたしておりますし、今回の四十四年度予算の中では三千百万円を計上いたして御協力申し上げるということになっております。
  225. 島本虎三

    島本委員 これは二つの国際空港に限らず、被害を受けるところであるならば、全国の民航基地、それから軍事軍用基地並びに自衛隊が所有している飛行場もそのとおり、被害を受けるのは国民ですから、NHKもそれに対して負担金を出してやっているならば、そういうようなほうをおろそかにしてはならない。二カ所だけに限っている点がわからない。他のほうはほったらかしておいていいのですか。NHKが見れないのは同じ立場にあるのじゃないですか。
  226. 佐野弘吉

    佐野参考人 御承知かと思いますが、三十九年以降、国内十六の航空基地で、これは放送法上のはっきりした受信料の免除基準にのっとりまして減免の措置をとっております。今回はこの軍事用の航空基地以外の、先ほど申しました二つの国際空港に限って、これは減免措置でなくして、空港の周辺の受信者の受信に与える影響をいろいろの角度から今後研究して、その改善、緩和の措置もとりつつ、事実上発生いたします被害の度合いに応じて、先ほど申し上げました三万五千の御世帯に受信料のほぼ半額に該当する金額を、この空港を利用いたしております航空会社並びにNHKの双方から拠出したお金をもちまして助成をいたしております。ただいまのところはこの二つの国際空港以外に及ぼすという考えはございません。
  227. 島本虎三

    島本委員 二つの国際空港のほうだけが国民で、他のほうは国民じゃないのですか。二つのほうに対しては及ぼすけれども、他に及ぼさなくてもいいという根拠をはっきりしてください。
  228. 前田義徳

    前田参考人 お説のとおり、すべて国民でございます。ただ、発生過程、それから処理の過程におきまして、環境がかなり変わっておりまして、したがって佐野専務理事が申し上げましたように、三十九年以来、軍事基地ないしは自衛隊の基地等に関しては、郵政大臣の許可を経て特別の免除を行なってきているわけであります。今回の伊丹及び羽田は商業空港でございまして、これを利用する航空会社は同時に利潤をあげているわけでございます。したがいまして、そういう見地に立って、まあ三十九年以来の問題も、NHKにとっては、形式的に申しますと直接被害者の一つの機関でございますが、しかし今回の場合は、それは営利的商業行為によって発生するものでもございますので、イギリス等にある実情を調査し、ことに、この主たる担務は運輸省にございまして、郵政大臣その他のお話し合いでこういう進んだ新しい形式ができたわけであります。したがいまして、方法とその措置のしかたについてはそれぞれの理由と経過に基づいて異なってまいっておりますが、しかし、私どもとしては聴視者を区別するという考え方は毛頭持っておりません。
  229. 島本虎三

    島本委員 最近またこのギャンブル廃止ということで、東京都知事はそれぞれ競輪、競馬その他のギャンブルに類するような都が行なっている行為は今度は徐々にやめていく、こういうような構想を発表したようであります。これは船舶振興会によって競艇協会からの拠出金によるようであります。そうなりますと、これがもし廃止されたならばこの航空公害防止協会はつぶれる、こういうようなことになってしまうわけですか。もしそうなった場合には、これは今後の運営はどうなさるのですか。
  230. 前田義徳

    前田参考人 これはやはり、まあ仮定の問題でもございますので、その場合といえども、NHKとしては、関係方面の御協力をいただいて聴視者については御迷惑をかけないようにいたしたい、このように考えます。
  231. 島本虎三

    島本委員 では、まあ現行の制度そのものをよくしても悪くしないようにして維持する、こういうように理解して、次へ進みたいと思います。それでいいですね。  大体、教育放送の点では皆さんからそれぞれの意見がございまして、私も拝聴しておりました。この点は、私も予算の分科会等で、大臣とも質疑応答の中からいろいろなものを得たわけでありますが、大臣、これは社会教育審議会教育放送分科会、このほうで三月に答申を出す、こういうふうなことがあったようでありましたが、まだこの答申は出ておりませんか。
  232. 福原匡彦

    ○福原政府委員 お答え申し上げます。  教育放送分科会は社会教育審議会の分科会でございまして、社会教育審議会として、文部大臣からの諮問に対して答申を出していただくわけでございまして、この三月の末に出していただくことになっております。
  233. 島本虎三

    島本委員 三月末ですか。そうなりますと、社会教育審議会教育放送分科会ですか、その委員にはやはり電波関係のほう、郵政省関係からも出ておりますか。
  234. 福原匡彦

    ○福原政府委員 電波監理局の放送部長に委員になっていただいております。
  235. 島本虎三

    島本委員 これは文部省の方針にのっとって郵政省電波の割り当て、こういうようなものを免許していくことになるんじゃないか。文部省のほうでは教育の方針、郵政省のほうでは電波の割り当て、こういうようなことになっているのかどうか。まあ、そうなりますと、文部省がもうこれをやるというようなたてまえに立ってしまうわけなんです。この点等について、私どもはどういうふうな方向でこれが審議されているのか重要視しているところなんです。この問題に対しては私も意見があるところだから、これが機械的に結論を出すようだったら、これまた東大紛争以上に紛争の種になりかねない問題を含んでいます。こういうような点で、どの方面にまとめようとしているのか、御存じありませんか。
  236. 福原匡彦

    ○福原政府委員 まだ答申が出ておりませんので具体的なことを申し上げる段階にございませんけれども、従来、教育者もこの放送というものを教育の中に十分利用するという意識が十分でございませんでした。そういった意識を高める点が第一点ございますのと、それからいまお話しのように、結論によりまして、文部省のほうから、審議会の答申によりまして郵政省放送波についてお願いをするということも出てまいろうかと思いますけれども、それにとどまらずに、広く、放送波以外の電波についてもできるだけこれを活用して教育に役立てよう、これが全体のねらいのように伺っております。
  237. 島本虎三

    島本委員 そこで大臣、前にもいろいろ大臣の御高見を拝聴したわけですけれども、新聞では前の小林郵政大臣当時から、教育委員会や大学等で教育放送専門局を置いたらという話があったようであります。しかし、現在の教育委員会の中に放送局を置いても、財政的にこれは無理があるということははっきりしているわけです。現に、十二チャンネルの問題でも、森本靖委員の指摘のように、各都道府県教育委員会でさえもこの問題に対して協力がないという実態が明らかになったわけです。そうすると、全国的に見るとこの問題に対しては疑義がだいぶ出てくる。また、近々大学に放送局を置かせる、こういうようなことになりますと、やはり何か管理運営能力の問題で私はあまりこの問題に対しての確信を持てない。そういうようなことになりますと、電波の割り当て、波の割り当てということは大きい問題になりますが、十チャンネルや十二チャンネルというような例も同時にあることでありますから、私どもとしてはこの点は十分対処しておかなければならないのだ、こういうように思うわけなんです。この点大臣、ダブるかもしれませんが、御高見を拝聴させてもらいたいと思います。
  238. 河本敏夫

    河本国務大臣 文部省からどういうお話があるかわかりませんが、いずれ三月末には何らかの具体的な結論を出されてお話があろうかと思います。その際、文部省の考えておられる案を十分検討するつもりでおりますが、しかし、教育用の波は別にたくさんあるわけじゃございませんで、一波しかありませんので、これを最も有効的に使っていかなければいかぬと思います。NHKのほうからも、自分のところならばやれる、自分のところがせひやりたい、こういう強い希望も出ておりますし、それ以外からもたくさん、自分ならやれる、こうしたい、こういう御意向も出ております。ですから、そういうものを総合的に勘案をいたしまして、どうすればよいかという結論を出していきたい、かように考えます。
  239. 島本虎三

    島本委員 ことに、この郵政省電波監理局のほうから出されている割当計画の中に「第十チャンネルは一般放送事業者の教育専門局に、第十二チャンネルは一般放送事業者の科学技術教育を主とする教育専門局に割り当てる。」というようなのがあって割り当てておる、しかしながら具体的にはそのとおり効果があがらない。あがらないけれども、やはり当初の目的に反してはいけませんので、大臣のほうで昭和四十二年十二月三十日にもそれぞれこの再免許について条件を付しておられるようであります。この条件は、日本教育テレビ日本科学技術振興財団、この両方に対して特に項を新たにして出しておられるようであります。これは無理なことでもないようです。教育番組五〇%以上、教養番組三〇%以上とすること、こういうように組んである。現在、この条件をそのまま満たしておりますか、おりませんか。おらないとすると、これに対してどういうような措置を大臣はお考えですかどうか。同時に、十二チャンネルの場合は、何か三年のところを期限を付して二年にして許可しているようですが、こういうような点等からしてどういうようにお考えなんですか。私ども十分この点は関心を持っていると同時に、疑問を持っているところなんです。大臣から一刀両断にこの問題に対しての対処の方法を聞きたいと思います。
  240. 河本敏夫

    河本国務大臣 十二チャンネルに対しましては、お話しのように六割の科学技術教育それから二割の教養番組、こういう義務づけをいたしております。それから十チャンネルに対しましては、これまたお話しのように五割の教育、教養番組を義務づけいたしておるわけでございますが、それが実際に行なわれておるとは思いません。  それから、十二チャンネルに対しましては、そういうふうな観点に立ちまして、昨年郵政大臣名前で、許可のときの条件を実行するようにという強い要請をいたしましたが、これまた実効があがっておるとは思いません。そういうやさきに、御承知のように、先般十二チャンネルにおける敗訴問題が起こったわけでございまして、私は、この十二チャンネルの問題をいよいよ解決しなければならぬ時期にきている、かように考えます。
  241. 島本虎三

    島本委員 解決しなければならない時期にとっくにきているわけであります。やはり今後こういうような問題等についてそのままにしておくことは、新たな波の割り当てを控えて、もう重大なことになるのじゃないか、こういうふうに思うわけなんですけれども、大臣としても、十二チャンネルに対する郵政省側の、政府側の敗訴、これについてはどういうことなんですか。一切を御破算にして、もう一回電波監理審議会に差し戻されたのですか、それとも、手続が妥当でないから手続を踏めということなんですか。敗訴という中にもいろいろ条件があるじゃありませんか。一切だめなら、もう一回やり直せというなら、そこがこれからの一つの出発点になる。手続が適当でなかったから何らか適当な理由を付しなさい、こういうなら付せばいい、こういうことになるのじゃありませんか。この敗訴の真相はどうなんですか。
  242. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは十二チャンネルを割り当てましたときに、その割り当て方がけしからぬ、こういう異議の申し立てがあったわけです。それを却下いたしましたところ、先方側が裁判を起こしました。そして、今度の敗訴というのは、郵政省の却下というものはよろしくない、異議の申し立てが正当である、だからその異議の申し立てをもう一回よく検討しなさい、こういう意味でございます。
  243. 島本虎三

    島本委員 では、もう一回検討しているわけですか。
  244. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 電波監理審議会に対しまして再付議いたしております。
  245. 島本虎三

    島本委員 そのあとどうなるか確信がございますか。
  246. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 電波監理審議会でこれから聴聞をやり、いずれかの結論を出さなければなりませんが、いまのところ、右左はちょっと申し上げる段階ではございません。
  247. 島本虎三

    島本委員 再び敗訴もあり得るのですか。そういう態度ではだめですよ。
  248. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 抽象的にはあり得ます。
  249. 島本虎三

    島本委員 信念として、そういうようなことでいいんですか。私はどうもわからぬのだ。手続上間違っていたら――あなたたちのほうで白と思ってやったことでしょう。再びあり得る、そんな弱腰でいる。そんなだったら、コンピューターでうまくやるようにNHK会長によく聞いておきなさい。どうも大臣、腰が弱い。第一番に女子プロなんか、教養番組教育番組なんですか。ローラーゲームはどうなんですか。
  250. 河本敏夫

    河本国務大臣 教育番組あるいは教養番組とは思いません。
  251. 島本虎三

    島本委員 私のほうで一週間分のデータ、スケジュールをもらったわけであります。それによって見ましたところが、おそらくは五〇%なんかいっていない。この中でどれが教養かどれが教育か、これを選ぶのに骨が折れたほどなんであります。十二チャンネルの一週間分のものを全部もらったのです。ところが、この中に赤まるをしたのだけは教養、教育だ。そうなると、これは何時間になっているのですか。これは一日に二時間程度でいいのですか。もっともっとこれは大臣のほうで、少し条件どおりやらなければという大だんびらを振りかざすべきではありませんか。これでいいのですか。私はどうもこれではぐあいが悪いと思う。
  252. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、許可の条件といたしまして六割の科学技術教育番組、それから二割の教養番組ということを絶対の条件にいたしておるわけでございます。それに対して、それを実行しておるとは思いませんということは申し上げたとおりでございまして、二回も勧告をしても実行されておりませんので、いよいよ何らかの結論を出さなければならぬ、こういうことだと思います。
  253. 島本虎三

    島本委員 その問題はそれで終わり。  次に、NHKのいろいろな教育放送の中で全国的に通信教育をやっておられるようですが、これは効果は十分あげておられるようです。そして通信制高校、これはすでに相当の人員も卒業しておられるようであります。今後この通信教育制度、これをもう少しやって通信制の大学をつくることは、NHKのほうでは考えておりませんか。
  254. 前田義徳

    前田参考人 お説のとおり、私どもといたしましては、放送による通信大学を開設いたしたいという考え方を持っております。
  255. 島本虎三

    島本委員 これはもう第一番に財源、第二には、大学は専門教育であるから分科が多い、したがって、極端に分科しているので、大学教育がどの科目をとらえるかというのがまた問題になってくる。それから、テレビ教育の特性からして万能であるということは考えられない。この財源と分科しているということと、それから万能でないということからして、今後これをNHKが取り上げていくとすると、教育の補助手段なのか完成手段なのか、この点に対しての考え方をはっきりしておかないと困るのじゃないかと思います。これはどうです。
  256. 前田義徳

    前田参考人 私どもが従来から検討して、また、一部実験的に放送を通じて行なっているわけでございますが、われわれの計画といたしましては、大体当初一日四時間、これが現行大学制度における各科目の一週間の時間数と匹敵するものでございます。これらによりまして特別に要する人員は約百五十名、これらの建設を含めて、まず東京大阪を考えますときには、大体年間経費は八億内外というような検討をいたしております。  私どもの目標としましては、現在のところは現行の大学制度がございますので、この大学制度にのっとって各種科目を逐次、置局と同時にその時間数をあるいは科目数をふやしてまいりたいという計画を持っているわけでございます。
  257. 島本虎三

    島本委員 結論を急いでくれという委員長のあれですから急がせてもらいます。  衛星中継の問題に触れたいと思うのですが、先輩が触れましたからこれは一切省略いたします。委員長協力いたします。  ただ最後に、世界の衛星通信機構を一元化するために、インテルサットといまソ連の主張しておる衛星機構を一本化するということを、日本一つの平和的な立場から会議で提案し、世界平和に貢献する礎石をひとつ打ち上げるべきじゃないか、こう思いますが、大臣としての御高見を拝聴させていただきたい。
  258. 河本敏夫

    河本国務大臣 ソ連は、今度のインテルサットの本協定を結ぶための会議が二十四日から開かれておりますが、この会議にオブザーバーとして出席をいたしております。いまそういう段階でございますので、いまの段階でお話しのようなことを日本が言い出すというのは時期尚早であろう、かように考えます。
  259. 島本虎三

    島本委員 時期尚早でも、今後日本はその辺を十分に考えて、平和憲法のもとに、世界に冠たる日本なんですから、平和を守るためには、それはこれによってあらわすのだ、こういうようなことで、その機が熟したならば、進んで日本政府はこれを提案してやっていくような、こういう高邁な考えをもって臨んでもらいたいと思います。おそらくそういうような意味だろうと思いますから、これはこれでやめます。大臣、いいですね、それは。
  260. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は、ソ連をはじめ、共産圏もこのいまワシントンで相談をしておりますインテルサットの機構に入ってくることが望ましい、こういうふうに考えておるのです。
  261. 島本虎三

    島本委員 次、一九七二年の札幌オリンピックに対しての準備の模様をちょっと聞かしてもらいたいと思います。  これはもういままでの東京、メキシコ両方のオリンピックを通じまして、日本の通信施設なり放送技術なりは世界に高く評価されているようであります。一九七二年の札幌オリンピック、これは冬季オリンピックですけれども、この通信施設についての準備もおさおさ怠りなかろうと思うのですが、その準備について、これは電電公社になりますけれども、電電公社の構想をひとつお聞かせ願います。
  262. 庄司茂樹

    ○庄司説明員 札幌の冬季オリンピックの件につきましては、四十一年の九月だったと思いますが、札幌の通信局に準備会をつくりまして、一般の通信のほうの関係並びに放送中継線、新規サービスという通信の関係、それからもう一つデータ通信関係のほうを、組織委員会と緊密に連絡をいたしまして最善を尽くしたいと考えております。
  263. 島本虎三

    島本委員 今度の場合、もちろんNHKもそうですけれども、電電公社のほうでもデータ通信というようなものに対して一歩踏み出しておりますが、通信施設、これはオンラインとオフラインとを問わず、今後の場合には、あと四年ですから、こうなりますと十分その辺の準備も当然あってしかるべきじゃないか、こう思いますが、データ通信、これらも取り入れて万全を期するような構想ですか。
  264. 庄司茂樹

    ○庄司説明員 さようでございます。
  265. 島本虎三

    島本委員 そういうふうにしてやってもらいたい。  それから、国際オリンピックの場合には、ことにNHKの場合は代表取材を行なわなければならないのじゃないか、こうも思われまするけれども、OOCとの間の契約交渉、これはだいじょうぶですか。
  266. 前田義徳

    前田参考人 東京オリンピックに準じまして、NHKが内外にわたって放送契約等を代行いたしております。
  267. 島本虎三

    島本委員 札幌の放送会館の増改築を予算に組まれておるようですが、そのための準備であろう、こう思いますが、この構想等をお聞かせ願いたい。
  268. 野村達治

    野村(達)参考人 札幌オリンピックの際に必要とされます放送センターといたしましては、約三千平方メートルくらいのスペースが必要でございます。それから一方、札幌の放送会館の増築につきましては、昭和三十三年ごろ放送されまして、NHK放送会館の中で比較的早くつくられましたし、それから、あそこの土地が最初送信所としての建物がありまして、そこに増築したといったような関係がありまして、現在の増大しました業務から考えますと面積が不十分であるといったことから現在増築計画を進めております。これが四十六年度にはでき上がりまして、札幌オリンピックの際放送センターとして使えるように考えております。
  269. 島本虎三

    島本委員 いま札幌へ参りましても、やはり話題になっておるのはこの問題であります。しかし、いままで日本NHK放送技術から、いろいろと私がいままで質問し、承ったその内容等からしても、やはり今後一九七二年の札幌オリンピック等においてもこれは万全を期して有終の美を発揮してもらいたい、このことを強くお願いいたしまして、私の質問は終わります。
  270. 井原岸高

    井原委員長 森山欽司君。
  271. 森山欽司

    ○森山委員 時間がございませんから、ごく簡単にやらしてもらいます。  日本放送協会昭和四十四年度収支予算事業計画及び資金計画説明資料をいただきましたから、私はNHKの外郭団体についてお聞きをいたしたいと思いますが、ここに概要が書いてございますから、この点についてお尋ねすると時間がかかりますから省略をさせていただきます。  ただ一つ伺いたいのは、NHKでは、この説明書によると、外部団体ともう一つ関係団体という分け方になっていますが、この分け方をちょっと説明していただきたい。
  272. 小野吉郎

    ○小野参考人 外部団体、関係団体となっておりますけれども、関係団体と申しますのは、大体におきまして、組織としては株式会社組織をとっております。NHKのいわゆる外部団体、NHKの業務にのみ直結するものではないというような基準をもとにして分けております。
  273. 森山欽司

    ○森山委員 事業の種類によっての分け方ですか。出資をしておるとかしていないとか、そういうことと関連ないのですか。
  274. 小野吉郎

    ○小野参考人 そういう基準ではございません。NHKは、放送法によりまして出資は一切禁ぜられております。いろいろ金は出ておりますけれども、NHKの事業に非常に深い関係がございまして、あるいは業務を委託する委託料として出しておりますとか、あるいは交響楽団のごとく、これは放送と直結をいたした機関といたしまして、事業に対する助成といった意味で出しておるわけでございます。組織自体に出資金として出しておる団体はございません。
  275. 森山欽司

    ○森山委員 外部団体には出しておりますね。
  276. 小野吉郎

    ○小野参考人 これも出資としては出しておりません。業務の委託として、委託の金額あるいは助成金として出しておるものでございます。
  277. 森山欽司

    ○森山委員 NHKが関連事業として出資しておるのはどういうものがありますか。これは出資というとなんですが、助成でもよろしゅうございますが、とにかく金を出しておるというようなところはどういうところですか。
  278. 志賀正信

    志賀参考人 まず、御承知NHK交響楽団がございます。それから先ほどもお話に出ました日本放送協会学園でございます。それからNHK厚生文化事業団、それから日本放送協会共済会、日本放送協会健康保険組合、これだけがNHK助成金の団体でございます。
  279. 森山欽司

    ○森山委員 助成金ですな。これは電波監理局長、それでいいのですか。
  280. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 そのとおりでございます。
  281. 森山欽司

    ○森山委員 そうすると、外部団体以外に関係団体というのは、それ以外の仕事もやれるというたてまえでしょうか。実際どうなんですか。
  282. 小野吉郎

    ○小野参考人 御承知のとおり、NHKのみでなく他の事業も行ない得る組織になっておりますけれども、現在の関連団体のうちで、たとえば美術センター、これは大道具、小道具など、番組に使用いたしますものの処理をいたしておる会社でございますけれども、現状におきましてはまだNHK以外の部面にまで手を拡げる段階になっておりません。それといま一つ出版協会がございますけれども、これは多少そういった独自の面もやっております。NHKの出版物関係のみでなく、独自に一般の市販を対象といたしまして出版物の発行をいたしておるような状況でございます。
  283. 森山欽司

    ○森山委員 関係団体で、NHKサービスセンターとか、日本放送出版協会とか、NHK美術センターとか、こういう肩書きがついておりますが、これはたてまえはほかのものをやれるたてまえかもしれないが、実際はNHKの外郭組織で、むしろNHKの仕事と密接不可分な関係があるわけでしょう。それを株式会社組織でやっておるということだが、現行法上は、これはNHKが出資したほうがほんとうはいいんだけれども、法律上の制約があるというようなことでいまのような形になっているというほうが本音なんじゃないですか。
  284. 小野吉郎

    ○小野参考人 本来、放送法上出資が認められておりますならば、そういう団体に出資してやりましたほうが、他に発注いたしますよりも経済的であり能率的であるという面があれば、非常に出資は生きると思います。現在そのような出資の道はございませんので、やはり単価計算による厳格な契約関係のものとして存立をいたしておる次第でございます。
  285. 森山欽司

    ○森山委員 どうも現行法上そういう解釈ですが、あれですか、郵政省に伺いますが、付帯業務的なものについては営利法人でも出資してもよろしいという規定があるとか、あるいは、NHKが掲げられた業務の営利事業としてはやっちゃいかぬという規定の解釈いかんというようなことによっては、株式会社に金を出すということも、立法または法解釈の変更ということで不可能ではないんじゃないですか。
  286. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 私ども解釈論といたしましては、いままでのところ、そういった営利事業を営む株式会社に対する出資は認められない、それで、これをやるためには現行の放送法の改正を要するということで、出資条項を入れるか入れないかということが従来検討されたこともございます。
  287. 森山欽司

    ○森山委員 そうすると、私はこの関係団体の仕事などを見ますと、もうNHKの仕事と非常に深い関係がある。たてまえはよその仕事ができるようになっておるかもしらぬけれども、実際はNHKの仕事が大部分であり、その仕事もNHKの仕事自身としてやってもおかしくない仕事、それはしかし、能率その他の点を考えて別組織でやったほうがよろしいというような仕事、そういう仕事に現行放送法ではいかぬのだということでいまのようなかっこうになっておるのではないかと思うので、非常に不自然さを感じておるんですがね。  これに関連して、一般の民放でやはりそういうこともあるんじゃないかと思うんですが、民放で兼業または投資をしておるものというのは、どういうものがありますか。
  288. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 一般放送事業者が兼業またはその他の事業へ出資している事業といたしましては、放送関係した業務でございまして、その会社の建物、ビル等の賃貸だとか、あるいは音楽テープの配給、その他美術館や学園の経営というようなことをやっている例が兼業の例でございます。  それから、出資の例といたしましては、テレビニュースフィルムあるいはテレビ映画の制作販売あるいは音楽テープの制作販売、不動産の賃貸、売買、その他の業務をやっておるようでございます。
  289. 森山欽司

    ○森山委員 ゴルフ場やホテルなどもやっているという話はどうですか。
  290. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 ゴルフ場だとかホテルその他のレジャー産業に出ておるところもあるようでございます。
  291. 森山欽司

    ○森山委員 そうなりますと、最初のお話のうち、テレビニュースフィルム、映画の制作販売、音楽テープの制作販売というようなことは、兼業にしたり別会社へ投資をしたりする、これはわかりますが、その程度のこともNHKとしてはそこに投資もできないという、いわゆる営利会社としてやろうと思えば投資はできないというような形になっておるわけですね。これはある程度まで常識的に、放送業務の中の付帯業務として、どういう形でやろうと、たとえばNHKの場合、郵政大臣が認可をすれば、それは公益法人であろうと株式会社であろうとかまわぬという形に踏み切ってもいいようなことのように私ども思えるのですが、一方、それは民放のほうにいっちゃうと、ゴルフ場だとかホテルだとか、そういうふうなことまでえらい手を伸ばしておりますね、これは相当金のゆとりがなければできぬと思いますが、これはどういうことなんでしょうね。
  292. 河本敏夫

    河本国務大臣 民放の経営は、御承知と思いますが、私は、いろいろのことを言っておりますけれども、全般的にはよくなっておる、こう思います。民放会社全体の収益がおよそ総額で二千億近くなっておりますし、それからおも立ったところは全部一割二分の配当をしておる、従業員の給与も相当高い、いろいろなことを考えますと、経営自体は楽になっておると思いますが、しかし、放送事業者としてやらなければならぬことを十分やっておるとは思いません。
  293. 森山欽司

    ○森山委員 そこで、大臣から総合的にお話しになられたのでありますが、兼業部門について、NHKについては公共放送なるがゆえに制約があることは事実でありますけれども、その制約も非常にきつい、一般民間の場合ばえらい野方図ではないか。ラジオテレビ会社とゴルフ場、ホテルとの関係いかんというと、ちょっと私ども結びつきませんね。音楽放送のテープ制作販売というなら結びつきますが、どうもあまり結びつかぬことまで民間ではやっておる。いま大臣に承ると、一割二分も配当をしておる。一割五分ということも聞いたことがありますが、まあ一割二分の配当、仕事も手広くやっておる、こういう状況を見ておるのですが、臨時放送調査会ですか、答申案というのがあったようですが、ここに私どもも実は手元にありますけれども、どういう意見が出たか、郵政省のほうからこの際説明してください。
  294. 石川忠夫

    石川(忠)政府委員 本来の業務に支障あるような兼業、ないしはそういった株式会社に投資することは好ましくない、こういうふうに出ておるのでございます。
  295. 森山欽司

    ○森山委員 もう少し、文句が書いてあるのだから、文句をひとつ言ってください。――私が読み上げます。これによると、  民放が他の事業を兼営し、又は他の事業に投資することを制限すべきかどうかについては、民放は、放送局の免許を与えられることによって電波を占用し、いわば特権的な地位においてその事業を行なうことができるものであり、かつ、その事業は公共性の高い文化事業であるから、放送とは何ら関係のない他の事業を兼営することによって本来の業務の遂行に問題を生ぜしめるようなことは、避けなければならないと考える。  本調査会は、民放が他事業を兼営し、又は外部に対して投資することについて、合理的な制限が行なわれ、聴視者の利益がそこなわれないよう、特に放送事業者の自粛自戒を望むものである。 こういうことでありますが、現状は自粛自戒をしておると郵政大臣はお考えになられるか。これは全体問題というよりは、一部にそういう自粛自戒のワクから越えるという面があるとお考えになっておられるか、その点はどうでしょう。
  296. 河本敏夫

    河本国務大臣 一部には自粛自戒をしておらぬ者があると思います。
  297. 森山欽司

    ○森山委員 私は、今度のNHK予算をずっと通読いたしまして、なかなか現行法が窮屈なものですから、無理な――無理なと申しますか、もう少しNHKがやりやすいような仕組みにこれからしていかなければならぬ、立法論としても解釈論としてもその余地がないかということを感じまして、さて民放はどうなっておるかと思ってみたところが、民放は少しひどいではないかというような感じを受けましたのでただいまのような質疑をしたわけでございます。  それで、もう一つ伺いたいのですが、今度の予算の中で、NHKの賃金の関係は昭和四十四年度どういうことになっておるか、ごく大ざっぱな御説明を願いたいと思います。
  298. 長沢泰治

    ○長沢参考人 四十四年度の給与ベースは、一般職員六万二千円、局長以下全体の給与ベースは七万六百円に相なっております。総額二百三十億四千万円でございます。
  299. 森山欽司

    ○森山委員 定期昇給とかベースアップで、額及び率はごく簡単にいうとどういうことになりますか。
  300. 長沢泰治

    ○長沢参考人 ベースアップの率は八・九八%でございます。定昇の分は四%、一般職員二千百九十円、局長以下全職員平均二千四百九十三円でございます。ベースアップは、一般職員五千百十円、全職員平均五千八百二十円でございます。
  301. 森山欽司

    ○森山委員 アップ額は合計で幾らですか。
  302. 長沢泰治

    ○長沢参考人 アップ額七千三百円、全職員平均八千三百円でございます。
  303. 森山欽司

    ○森山委員 春闘がそろそろ本番に差しかかっておるときに、NHKのベースアップの額が定昇込みで八千三百円という額は、私どもは、NHKの学歴構成とか同種産業の世間相場というようなものを考えましても、これは相当な額だということを感じましたので、それでどういうお考えで賃金の問題を経営者としてお考えになっておられるか。これは私は、この数字がいいとか悪いとかいうのではなくて、どういうお考え方で賃金問題に臨んでおられるのか。春闘でNHKが定昇込み八千三百円という数字は、これはへたをやりますと、一つのガイドポストになりますからね。相当な額だとも思いますものですから、それでこの賃金問題についてどういうお考えなのか、それを伺いたい。
  304. 長沢泰治

    ○長沢参考人 協会の処遇態度と申しましょうか、三十七年からの近代化という線にのっとりまして、結果的には相当要員の節減もできまして、経済合理性と人間尊重という立場をとってことしは給与改善に臨んだわけでございますが、幸いに近代化も順調に進みまして、どうしても、過去四十二年、四十二年のベースアップ率が他企業、同種企業等に比べまして結果的には下回っておりましたので、三年間を平均いたしまして七%程度のベースアップ率にいたしたいというようなこと、それから、これからの社会情勢に対処してどうしても労使関係の安定化ということと、協会の社会的使命を完全に遂行するための賃金安定というふうな面、そういうものを考えますと同時に、過去、近代化をするにあたりまして、協会会長の態度といたしまして、軌道に乗れば処遇改善をしたいというふうな姿勢も打ち出しておりまました。そういう点を総合いたしまして、四十四年度は給与改定に重点を注いだ結果がこうなったわけでございます。  なお、御指摘の民間放送あるいは新聞社等との均衡もあわせ見まして若干協会が下回る、ベースアップも下回り、ボーナス等におきましては相当、格段の開きも出ておりますし、公務員のべースアップ率といったようなものも、四十二年、四十三年等も勘案いたしまして八・九八%にいたした次第でございます。
  305. 森山欽司

    ○森山委員 経営者の立場としてはなかなかむずかしいところでございますから私ども外部の者がとやかくは言えませんけれども、ただ、八千三百円という定昇込みのベースが出たということが、これは一番最初公式に出ているわけですから、それが及ぼす影響というものを私どもは考えるものですからそれで承ったわけです。  いまのお話で、近代化の進捗状況、その際職員の処遇を考えてやろうという会長のお気持ちもよくわかりますし、それから、前の上げ方が他産業と比べて足りなかったからこの際ひとつ――いま、特に他の民放等との比較のお話もございましたが、よそじゃどのくらい取っておるのですか。その辺はどうですか。ちょっと言いずらいかもしれないけれども、経営者として大体のふわっとしたところを……。
  306. 長沢泰治

    ○長沢参考人 御指摘のように、各会社それぞれ職員構成等も違いますし、勤続年数、男女別といったようなものが大きな要素と相なるわけでございますが、四十三年度の協会の全体ベースは六万二千二百円でございまして、それと、十分ではございませんが、私どもの調べ上げました代表的な新聞二社、民放の古い会社二社等の平均ベースと比較いたしますと、およそ千円以上協会のほうが下回っておりますし、順位的な言い方は少し極端かと思いますが、まあ中位に位置しておる、四十四年度に同種企業の方々がどの程度のベースアップをするかはわかりませんが、そういう意味合いも含めまして格差をなるべく減らしてまいりたい、でき得れば均衡をとって、やはり協会の職員として、先ほど申しました思い切ったよりよい放送をいたしてもらいたいというふうなつもりでいたしたわけですが、若干下回っておるわけであります。なお、ボーナスの点におきましても、かれこれ年間二カ月ぐらいの差が出ておるようなことも包括いたして態度を今度きめた次第であります。
  307. 森山欽司

    ○森山委員 毎月きまって支払われる賃金の額のほかに基準外の賃金がありますし、それから年間臨時給与との問題を比較しますと、なかなか一律にこの比較は容易じゃないのですが、いまのお話だと、おそらく民間の一番大きいところを言っているのじゃないか、高いところを言っているのじゃないかと思うが、それと比較してみれば、おれのところは低い、こういうわけですが、もっと低いところが同業でもあるでしょうし、それから一般の産業水準から見ましても、われわれがただふわっと聞くだけではかなりのところにいっているように思いますが、その点は公共放送の特別の立場で、言うはやさしく行なうはなかなかむずかしいのでありますけれども、よくお考えになられて、また、よくお考えになっておられると確信をいたしますが、事を進めていただきたいと思うのです。  それで、他の民放等の例をお話がございましたが、労働省労政局長お見えですが、どうなんですか。よそは高いのだ、それに比べて思うほどいっていないのだ、こういう話がNHKのほうからありましたけれども、これについてどうですか。大体似たようなところと比べてという、その似たようなところが、一般の産業平均からしてみて一体どんな状況なのだろう。春闘や何かになるとよく新聞に出ますね。その際民放あたりはいつも顔を出しますね、よく新聞が顔を出しますね。もしこれが全産業に及んだら、これは全産業に、ちょっとやっていけないのじゃないかというような額をときどき見ることが実はあるものですから、どの程度にわれわれは見ておっていいのか。全産業の中で放送関係民放の場合の水準、特に大きいようなところ、その辺のところはどのくらいの水準にあるのか、その辺のところをひとつ。私も資料を調べたが、なかなかようつかみがたいのでありますけれども、一つの推測でも――推測というような問題もありましょうけれども、聞かせていただきたいと思います。
  308. 松永正男

    ○松永政府委員 ただいま先生も御指摘になりましたように、的確な資料を私どもも実は持っておりません。新聞、放送関係の中で、特に新聞と放送がどういう関係になっておるかというような点は、私どもの賃金調査でもそのように分けておりませんのでその比較は実は資料はないのでございますが、全体といたしまして、おっしゃいましたように、新聞、放送関係のベースがほかの産業よりは高い、これはもう御指摘のとおりでございます。これは完全な賃金統計ではございませんが、たとえば中労委におきましてモデル賃金調査というのをやっております。これは、その会社に初めから入ってずっと行った場合にどれくらいになるかというような、給与体系を含めた調査でございますが、それによりますと、たとえば昭和四十三年について見ますと、全般の産業総平均として四万四千三百五十七円でございますが、新聞、放送関係が六万二千九百四十三円といったように、平均いたしますと新聞、放送関係が非常に高いということは出ております。ただし、これが学歴構成、それから年齢構成というようなもので、賃金構造の内部まで入りましたときにどうなっているかということになりますと、的確な資料がないのでございますが、同じように、中労委の同じ調査によりますと、年齢別、学歴別のモデル賃金が出ております。それによりますと、たとえば調査産業全体と新聞、放送関係の比較をしてみますと、産業全体に対しまして、たとえば十八歳から二十二歳ぐらいまでの間におきましては新聞、放送のほうがやや高くなる、格差において、たとえば三%といったような格差がありますが、その上の年齢層になりますと、新聞、放送関係のほうがむしろ低い、さらに上のほうにいきますと、新聞、放送のほうがやや高くなっているといったような傾向も出ております。やはり総平均といたしましては高いけれども、学歴別、年齢別から見ますというと、いま申し上げたような多少のでこぼこはありますけれども、全体として学歴、年齢を全部入れた場合に非常に高いかどうかという点については、私どもも疑問に思っております。
  309. 森山欽司

    ○森山委員 資料が非常に不足しておるので、はっきりした回答ができないだろうと思いますが、ベース自体はとにかく高いことははっきりした。しかし、この説明資料によりましても、NHKの場合は大学卒が三七・五%、短大卒が一〇・八%、高等学校卒が五一・七%、かなり学歴構成が高くなっておりますからね。それからまた、その点は民放でも新聞社でも放送ほどではないでしょうけれども、かなりそういうような面が見られるわけでありますから、私も一がいに数字面だけで高いとか安いとかということを申すわけでありません。しかし、常識的にはかなりいいところにいっているのだというように私ども受け取っておるのですが、何せ、なかなか調べがつかないのですね。郵政省のほうにも聞いてみたら、そういう放送法か何かでもって資料をとるには一定の制限がある、うっかり資料をとると放送内容等に国が関与するようになるから法律に定められた最小限度しかできぬ、こういうことでございますし、また、労働省のほうに聞いてみますと、労働省のほうではただいまお話しになった程度のことでありまして、資料が整ってない。ただ、世上NHKのことを議論する場合は、民放はいいのだというような印象を与えますし、全産業に比べても、少なくも悪いほうじゃないということだけは言える、いいほうであるということだけははっきり言えるのじゃないかと思います。しかし、その程度以上のことはどこも調べてないような状況ですから、われわれとしては何とも言えないという悩みを実は感じます。  それでありますが、私は、近来、こういう賃金から言えば、特に 一般の産業から見れば、いまのお話が相当大きい、ところの話ですから、数からいって圧倒的に多い小さいところから見たら高ねの花みたいな話であります、その数字は。いままでは大体資本金五億以上で、たしか従業員千人以上ですかの規模のところですから、小さいところに比べれば、高ねの花のように、いいことだけははっきりしている。だから私どもは、経済条件については、いろいろこまかいことは別にしても、大筋としては文句ないところだと思っているのですが、経済問題のような顔をしてストライキがときどき起きますね。これをちょっと私ふかしぎでしようがないのであります。どうですか。その辺のNHKとか民放の最近の労使関係といいますかについてどういう感触とか見方をしておられるか、ちょっと労政局長聞かしてください。
  310. 松永正男

    ○松永政府委員 たいへんむずかしい御質問でござまして、私どもも非常に詳細には承知をいたしておりませんので、他産業と比べてどうかということになりますと、たとえば労使紛争が起こりまして労働委員会の場にその紛争事件が持ち出される、あるいは不当雰働行為として審査を求める件が持ち出されるというような件数が、最近全般としてややふえておる傾向でございますが、その中で新聞、放送関係も全体の件数の五%程度を占めております。それがほかの産業に比べて多いかどうかということになりますと、どうもそれを判断する基準もないわけでございますが、ただ、私ども国会の場におきましても、個々の、たとえば民放関係の事件につきまして御質問を受けたりしたことがございますが、その際に感じましたことで、あるいはたいへん私個人の感覚に近くなるかと思うのでありますが、やはりこの放送事業が、特に民放関係は戦後急速に発達をした産業であるという点、そしてまた、技術革新といいますか、そういう面も相当影響を受けておる、したがって、たとえば製造業のように企業として長い伝統というようなものがなくて、しかも新しい産業で、経営内容に相当流動性がある、それからまた、経営者の方々も職員の方々も、技術者が相当に数が多い、それからまた、仕事の性質上、いわば自由業的といいますか、一般の工場の従業員と違いまして特殊の技能を持った人たちがやる、学歴程度も相当高いといったようなことで、企業の伝統あるいは労務管理の伝統、そして労使関係の伝統というようなものが、ほかの産業に比べますと非常に流動的であるという印象を受けまして、そのために労使の間でときどき意思の疎通を欠いて事件になる、紛争が激化するという事態が起こっておるように見られるのでありまして、この経営者の構成、あるいは労使の慣行、あるいは企業の伝統といったような面から、ほかの産業よりは不安定な要素が多いんじゃないか、こういうふうに感じております。
  311. 森山欽司

    ○森山委員 労働省のお立場ではその程度のことしか言えないと思いますが、とにかく賃金、経済要求については、一般の産業、一般の庶民から見れば高ねの花のような額が出ていると一般的には言えると思うのですが、それでも経済闘争でもめる――経済闘争でもめたようなかっこうをしておる。中を見ると、われわれの耳には、放送法改悪反対だ、教科書だ、沖繩だ、安保だというようなことが出てくるし、それからマスコミ共闘あたりが真集の報道を守る戦いというようなことを主張する、それには新聞紙面やラジオテレビ放送内容に一定の影響力を与えるのだ、こう言っておるのですね。そんなことを見ていると、経済要求については、いまのわが国の経済から見れば相当のところへいっておって、そしていま五%というお話が出ましたが、これは、今度も実は賃金の問題を調べようと思いましたが、五%なら当然賃金の調査に独立するアイテムになっていいはずであるにかかわらず、実際はそういう調査のアイテムにならないですね。会社の数とかそういうものは非常に少なくて、産業分類の中からいったら、いまのところ独立したアイテムになってないようなかっこうにあるわけです。それがいま、いろいろごたごたが五%くらいになっているというお話を承った。それも経済要求というような顔をしているが、実はその陰にちらほらと、先ほど申しましたような雑音がわれわれのほうに聞こえてくる。特に心配なのは、ラジオテレビ放送内容に一定の影響力を与える真実の報道を守る戦いというようなことをやるのだ、こういうようなことが聞こえますと、これは一体どういうわけなのかいな、これは放送関係の職場に働く人たちの組合員の動向というものも、よほど注意して見なければならぬぞというようなことも考えますし、それから、経営者の人は一体どういうお考えでいるのかなというような実は心配も私どもはいたすわけでございます。  それで、私は結論的に大臣に伺っておきたいと思っておりますが、先ほどのように、NHKの場合はともかく、特に民放の場合、兼業あるいは投資部門が非常に多い。配当も一割二分とか一割五分とかやっておって、景気はいいのですね。賃金水準も一般に比べればずっといいですけれども、他の大企業より以下ではないということだけははっきり言えるわけです。それでもごたごたしている。そういう状況を見ていると、要するに、労働問題という関係から見れば、経営者の立場にある者、それから労働者の立場にある者が一体となったものということでいろいろなふうに非常に恵まれておるものですから、かなりゆとりがあるという印象を禁じ得ないのです。  そこで、原則論的なことでありますが、一体電波はどういうものだと、私ども常識論的にかねがねおかしいなと考えておったわけでありますが、これは二月二十五日に参議院の青島さんという議員がなかなかおもしろいことを言っておるのです。それは、電波国民のものだというふうに大臣からお話があったわけです。それに対して、そうであるならば、山間部を開墾したり、あるいは造成したり宅地にしたり建築用の用地にしたりする場合には、政府はただでそれを民間に払い下げしたり貸したりするわけではない。当然何がしかの金が入ってくる。放送税とか電波民放に貸すとか売るとかいう形で収入をあげる、そのあとがちょっと一その金で、公共放送NHKが聴視料なしでいけるのではないか、こう言うのですが、これだけ大きな予算規模ですから、とてもそういうことは不可能だとは思いますけれども、一言にして言えば、これは常識的なことですけれども、国民の財産である電波を使うのですから、ただ使っておって、いま言うように相当高配当――配当は一割ちょっとで押えているにしても、相当手広く仕事のほうは広げている、賃金もいいじゃないか。だから、そういう点から見ると、青島さんの言う動機なり意味は違うにしても、電波の性格論と相まって、民放から放送税とか電波税みたいなもの、あるいは電波手数料というか免許料というか、もう少しそういうものを取ったらいいんだという、そういうことについてどういうようにお考えですか、もう一回大臣から伺いたい。
  312. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は、電波は、法律的に厳密な意味でいえばどうか知りませんが、確かに国家の一つの財産には違いないと思います。また、したがって私は、国民の財産だと思います。ただしかし、それだからといって、すぐ料金を取るという結論を出すのは、実はまだ踏み切れないと思うのです。よほどいろいろな角度から検討してみなければいかぬと思います。  ただ、先ほど民放の経営の内容につきましてお話がございましたが、私は、放送事業者が利益をあげられる、けっこうだと思います。経営の内容がよくなる、これは非常にけっこうだと思います。長い間御苦労をされてそうなったのだと思いますが、しかし、そういうある程度の余裕ができれば放送事業者として当然しなければならぬ仕事がたくさんあると思うのです。たとえば、番組をうんとよくしていくとか、あるいはまた山間僻地、先ほど来問題になっておりましたが、そういうところに民間放送事業者もできるだけ投資して難視聴地域を解消していく、そういう設備を積極的にやるとか、そういうことにまず金を投じていく、つまり、やらなければならぬ仕事は徹底的にやる、そうしてなおある程度の余裕が出てくるというならば、それは私はある程度自由にお使いになってもいいとは思います。しかし、やることをやらぬでレジャー産業などに投資するということは、これははなはだ心外である、かように私は考えます。  それと、直接お尋ねのないことに対してお答えするのはいかがかと思いますが、先ほど来御意見を承っておりますと、NHKの賃金についての、ベースァッブについてのお話がございましたが、私もことしだけの分をとれば高いと思いますね。しかし、、両三年のことを考えますと、昨年、一昨年のことを考えますと、これは相当安かったらしいのですね。ですから、そういうことを勘案いたしますと、これは私は、一応数字が出ておりますけれども、まあまあ妥当なところではないだろうか、こう思うのです。ただ、きめ方といたしまして、全国民から受信料を取っておるところが、先がけてまっ先におれはこうだ、こういうことをきめるというきめ方はいかがであろう、ほかの産業がある程度の結論が出て、そこでしからばわがほうでもこうする、そういうふうな順序を追って、もしやれるならばそのほうがはるかに望ましい、こういうことは痛感をいたします。
  313. 森山欽司

    ○森山委員 もう間もなく終わります。  それで、青島さんという方の放送税あるいは電波料のような考え方ですね。それはいま大臣のおっしゃるとおりだろうと私も思いますが、現在のような状況を見ていると、これもやはり考えていかなければならない問題じゃないか。いままであまりそういうふうな表立っておりませんけれども、一応考えてみるということだけはしていただきたい、こう思っております。しかし、そこまでいかなくても、実はこのNHKの今度の助成というものを見ますと、放送番組センターに三億円、・「教育、教養番組のいっそうの充実、向上をはかり、わが国放送事業の伸展と教育の振興、文化の発展に寄与する。」という目的放送番組センターというものができているのだそうです。私は中身は知りませんが、同僚議員からすでに御質疑があったかと思っておりますが、これを見ますと、NHKだけじゃないですね。これはNHK放送のことだけじゃなくて、民放を含めての放送全般を対象にした放送番組センターというのですか――そうですね。そうであるとすると、やはりいまのような状態であれば、これはNHK以外はどのくらい出すような形になっていくのか、あるいは、それが現実にどうなっておるかという経過をちょっとお聞かせ願いたい。
  314. 河本敏夫

    河本国務大臣 これはある程度は御承知と思いますが、四十三年度の分につきましては、NHKが一応これまですでに出した分は五千万円、民間が七千五百万円でございまして、合計一億二千五百万円が出たわけでありますが、とてもそれだけでは思い切った仕事もあるいは内容のある仕事もできませんので、将来どうするかということについていろいろ話し合ってきたわけでございます。しかるところ、NHKのほうでは、いまお話しのように来年は三億円を出そう、民間放送はまだきまりませんが、これもある程度の金を出そう、こういう基本方針がきまりまして、目下最終の仕上げをしておるところのように聞き及んでおります。そこで大体の見通しがつけば本格的な仕事を始める、こういうことになるわけでございます。
  315. 森山欽司

    ○森山委員 そうなると、放送税だとか電波料などということまでいかなくても、当面、とにかく受信者の利益に還元する、そうして教育、教養番組を向上させる、こういうところにはいまの民放は出す力があるわけですから、それは順調に進んでおるのですね。NHKが三億円出せば、五億円や十億円は民放側から出る。(「そんなに出ないよ」と呼ぶ者あり)こういう体制になっておるのですか。
  316. 河本敏夫

    河本国務大臣 まだ放送番組センターが中心になりまして話し合いをしておるところでございまして、詳細は承知しておりません。
  317. 森山欽司

    ○森山委員 それでは大臣にひとつ、私は電波料とか放送税だとかいう構想に決して固執するものではありません。しかし、とにかくそういう考え方が成り立ち得る現状において利益を視聴者に返すというものの考え方は最小限度必要であります。それがすでにNHK予算放送番組センターに三億円の助成金が出るわけでありますから、民放にもう少しそういう問題に対して積極的に立ち向かう姿勢があっていいのではないかということですね。これをひとつ大臣のほうから促進をしてもらう必要があろうと私は思っておりますが、先ほど不規則発言で、そんなに金出ないぞという話を聞いて実はびっくりしたのですが、やはりそういうことについてもちゅうちょするような状態であるとすれば、これは本腰になってこういう問題をひとつ考えていかなければならないのではないかと思いますので、いま一度大臣の御決意を伺いたい。
  318. 河本敏夫

    河本国務大臣 民間放送の経営の現状につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。数年前と違いまして、相当な経営の力があると思います。したがって経営者に、放送事業者が自分のやっておる仕事についての自覚、つまり公共的な仕事をしておるのだ、そうして電波国民から預かっておるのだ、こういうはっきりした自覚を持っていただく、こういうことになりましたならば、適当な金額を出すということは決してむずかしいことではない、私はかように考えます。
  319. 森山欽司

    ○森山委員 去年はどういう割合で出したのですか、去年何がしかの額が出たということですが……。
  320. 河本敏夫

    河本国務大臣 その話し合いのいきさつについては詳しいことは知りませんが、すでに出た金は、NHKが五千万円、民放は七千五百万円、こういうことでございます。
  321. 森山欽司

    ○森山委員 同一割合からいきましても、NHKが三億円出せば民放は最低五億円は出る、こういうふうに考えていいわけですね。ひとつ、そういう方向で――教育、教養番組の充実向上という趣旨でございますから、これはどこが主体になるか存じませんが、郵政省のほうで御関係のある組織であろうと私は思いますので、大臣に大いに御推進あらんことをお願いいたしまして、質疑を終わります。  どうもありがとうございました。
  322. 井原岸高

    井原委員長 次回は明十八日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時十八分散会