運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1969-07-22 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第52号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月二十二日(火曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 保岡 武久君 理事 山口 鶴男君    理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君       青木 正久君    奧野 誠亮君       桂木 鉄夫君    亀山 孝一君       渡海元三郎君    永山 忠則君       井岡 大治君    太田 一夫君       河上 民雄君    野口 忠夫君       細谷 治嘉君    依田 圭五君       門司  亮君    小濱 新次君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長内閣総         理大臣官房審議         室長      橋口  收君         総理府総務副長         官       弘津 恭輔君         自治政務次官  砂田 重民君         自治省行政局長 長野 士郎君  委員外出席者         総理府恩給局次         長       平川 幸蔵君         大蔵省主計局給         与課長     相原 三郎君         文部省初等中等         教育局地方課長 別府  哲君         文部省管理局福         利課長     石川 宗雄君         厚生省年金局企         画課長     八木 哲夫君         農林省農政局農         業協同組合課長 小野 重和君         自治省行政局公         務員部長    鎌田 要人君         自治省行政局公         務員部福利課長 佐野 政一君     ————————————— 七月十五日  委員水野清君及び山村新治郎君辞任につき、そ  の補欠として山口シヅエ君及び奧野誠亮君が議  長の指名で委員に選任された。 七月十九日  戦傷病者に対する地方税減免に関する請願(長  谷川峻君紹介)(第一〇九〇八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十二年度及び昭和四十三年度における地  方公務員等共済組合法規定による年金の額の  改定等に関する法律等の一部を改正する法律案  (内閣提出第八一号)      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  ただいま交通安全対策特別委員会において審査中の内閣提出にかかる交通安全対策基本法案及び久保三郎君外十三名提出にかかる交通安全基本法案について、連合審査会開会申し入れいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会は、各委員長協議の結果、本日十時三十分から開会することにいたしましたから御了承願います。      ————◇—————
  4. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  地方自治及び地方財政に関する件の調査のため、過疎対策に関する問題について参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、日時、参考人人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  7. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 昭和四十二年度及び昭和四十三年度における地方公務員等共済組合法規定による年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  長野行政局長から、補足説明のため発言を求められておりますので、この際これを許します。長野行政局長
  8. 長野士郎

    長野政府委員 お手元にお配りいたしております昭和四十二年度及び昭和四十三年度における地方公務員等共済組合法規定による年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱をごらんいただきながら、この法案内容につきまして概略の御説明を申し上げます。  要綱の第一ページに書いてございますように、第一は、恩給制度改正に伴う措置でございます。  その一といたしましては、今国会に提出されております恩給法等の一部を改正する法律案によりまして恩給年額増額措置がございますが、これに伴う地方公務員共済組合退職年金等年額引き上げについてでございます。地方公務員共済組合が支給する地方公務員等共済組合法規定による退職年金等年額につきましては、昭和四十二年度において、その年額をいわゆる二万円ベースの給料により算定した額の四四%増額した額に引き上げることといたしましたが、今回その率を改めまして、七三・七六%に引き上げることにいたしております。しかし地方公務員等共済組合法施行日前の期間基礎として算出する部分につきましては、六十五歳未満退職年金受給者及び妻、子または孫以外の遺族年金受給者のうち、六十五歳未満のものに対する地方公務員等共済組合法施行日前の期間基礎として算出する部分増加額につきましては、昭和四十四年十月分から同年十二月分までは、その三分の一に相当する金額の支給を停止することといたしております。  その二は、市町村職員共済組合が支給する旧市村職員共済組合法規定による退職年金等年額引き上げについてでありますが、これにつきましても、その年額国家公務員共済組合が支給する旧国家公務員共済組合法規定による退職年金等の額の引き上げ措置に準じ引き上げることといたしております。  なお、地方職員共済組合等が支給する国家公務員共済組合法規定による退職年金等年額及び市町村職員共済組合が支給する旧恩給組合条例規定による退隠料等年額につきましては、地方公務員等共済組合法長期給付等に関する施行法規定により、いわば自動的にその引き上げが行なわれることとなっておりますので、特に法的措置をいたしておらないのであります。  また、都道府県及び市の退職年金条例に基づく退隠料等につきましては、従来どおり、今回の改正趣旨に従いまして、条例準則を示しまして、その年額引き上げ措置を講ずるように指導することにいたしております。  その三は、退職年金または遺族年金のうち長期在職者に対するもの及び廃疾年金最低保障額引き上げについてでありますが、恩給制度改正により長期在職者に対する普通恩給及び扶助料最低保障額引き上げられることに伴い、地方公務員等共済組合法規定による退職年金または遺族年金のうち長期在職者に対するもの及び廃疾年金最低保障額についてもこれを引き上げることといたしております。  その四は、公務による廃疾年金及び遺族年金最低保障額引き上げについてでありますが、増加恩給の額が引き上げられたことに伴い、これとの均衡上地方公務員等共済組合法規定による公務による廃疾年金及び遺族年金最低保障額についても、これを引き上げることといたしております。  そのほか、恩給制度改正により普通恩給多額所得停止の基準が是正されたことに伴い、退職年金についても恩給取り扱いに準じ、所要の措置を講ずることとしております。  第二は、その他の事項についての措置であります。  その一は、掛け金及び給付基礎となる給料最高限度額引き上げについてでありますが、地方公務員等共済組合法に基づく掛け金及び給付の算定の基礎となる給料最高限度額を十一万円から十五万円に引き上げることにいたしております。  その二は、地方団体関係団体職員共済組合が支給する地方公務員等共済組合法規定による退職年金等年額引き上げについてでありますが、地方団体関係団体職員共済制度は、地方公務員共済制度に準じて設けられていることにかんがみまして、地方団体関係団体職員共済組合が支給する退職年金等につきまして、その年額地方公務員共済組合が支給する地方公務員等共済組合法規定による退職年金等引き上げ措置に準じて引き上げることといたしております。  その他規定の整備を行なうこととしております。  以上申し述べました改正措置は、第一の恩給制度改正に伴う措置につきましては、恩給取り扱いに準じまして昭和四十四年十月一日から実施することとし、第二のその他の事項に関する措置のうち、給料最高限度額引き上げに関する事項につきましては、昭和四十四年十一月一日から、地方団体関係団体職員共済組合の支給する退職年金等年額引き上げに関する事項につきましては、地方公務員共済組合取り扱いに準じて昭和四十四年十月一日からそれぞれ実施することとしております。  以上が昭和四十二年度及び昭和四十三年度における地方公務員等共済組合法規定による年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案概略でございます。   〔委員長退席細田委員長代理着席〕     —————————————
  9. 細田吉藏

    細田委員長代理 質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。古屋亨君。
  10. 古屋亨

    古屋委員 法案につきまして数項目の御質問を申し上げ、御意見を承りたいと思います。  第一に、スライド制の問題でございますが、「年金スライド制実施については、すみやかに統一的な責任機関を定め、関係機関との調整をはかりつつ、実効ある具体的措置を講ずるよう努めること。」という附帯決議があるのでありますが、現在どのような検討が行なわれておりますか。また、その実施の見通しについてお伺いをいたしたいと思うのであります。  特に、この点に関連いたしまして、本年三月十九日付の総理府社会保障制度審議会会長から自治大臣あて答申がございます。つまり自治省から諮問のありました本件につきましては、「恩給法改正に伴ういわば恒例のものに加うるに、厚生年金保険法及び船員保険法改正分をとり入れようとするものであって、その意味において、やむを得ないというほかはあるまい。しかしながら、共済組合制度については、かねてから指摘されている種々の問題があり、その検討をなおざりにすべきではない。とくに、目下進行中の公的年金制度調整連絡会議は、その大部分を解決すべき絶好の機会考える。」という答申がございます。これは地方行政委員会調査室の資料の三二ページの後段にあるわけでありますので、この答申趣旨からもスライド制実施ということにつきまして、まず自治省考え方政務次官からお伺いしたいと思います。
  11. 砂田重民

    砂田政府委員 共済年金スライド制につきましては、地方公務員特殊性を十分考慮いたしながら検討中でございます。政府部内におきましても、各種年金制度と関連がございますので、いろいろな年金制度をそれぞれ所管をいたしております関係省庁構成員といたしまして、いま古屋先生もおっしゃいました公的年金制度調整連絡会議を設けまして、十数回にわたって協議を続けてまいりました。したがいまして、当省といたしましては、これらの検討の結果、地方公務員共済組合審議会、さらにただいま先生の御議論のように、社会保障制度審議会からはあのような答申をいただいておりますので、これらの御意見を十分参酌いたしながら、できるだけ早い機会に具体的な方策を立てるようにいたしたい。自治省といたしましては積極的に努力をいたす決意をいたしております。  この公的年金制度調整連絡会議はそれぞれの年金制度を所管しております役所が参加をし、さらに財政当局参加をいたしておりますが、まだ具体的な意見の一致を見るに至っておりません。公的負担等の問題が議論の一番重点——むずかしい難点になっておりますが、自治省といたしましては、先ほども申し上げましたように、審議会答申もすでにちょうだいもいたしておりますので、その趣旨を体しまして積極的にできるだけ早い機会結論を出すように努力をしてまいります。
  12. 古屋亨

    古屋委員 政務次官お話自治省としての公的年金制度調整連絡会議のメンバーとしてのいろいろの御努力了解いたすのでありますが、ただ関係省庁が集まって、こういうような機構ができておると思います。私が昨年、大蔵委員会において、公的年金制度調整連絡会議につきまして、その会長である橋口審議室長にいろいろお伺いをしましたときには、大体一年程度でこの結論を出すという話でございましたが、その責任者であります審議室長まだおいでにならぬようですが、委員長おいでになるなら早くおいでになっていただきたいということを御要望申し上げます。と申しますのは、この連絡会議性格というものが、おそらくこれは次官会議決定でございますかに基づいて閣議了解でできたものではないかと私は考えておるのであります。その連絡会議結論というものの拘束力というものは、自治省連絡会議でないんじゃないかと思うのでございますが、この点で弘津長官に、こういうような連絡調整の重要な会議でございますが、これは閣議了解を得てできたものであろうと思います。それの決定されました事項というのは、一応事務的な結論としても閣議に報告されなければ決定されぬと思うのでありますが、この性格というものを推進、強化をしていく意味におきまして、副長官としてこの公的年金制度調整連絡会議というものの性格をちょっとお話し願いたいと思います。
  13. 弘津恭輔

    弘津政府委員 いまの古屋先生のお尋ねでございますが、公的年金制度調整連絡会議といいますのは、実は次官会議の申し合わせによりまして設けられたものでございまして、これはいま橋口審議室長が——見えるかどうかわかりませんが、私のほうは社会保障制度審議会申し入れ趣旨に基づいて、先ほど自治省政務次官お話しになりましたように、一昨年の七月以降総会を五回やりましたし、幹事会を九回開いて、特にスライド制の問題を中心問題点を整理して、その後小委員会を現在まで八回開いてやっておりますが、これは一両年の間に結論を出すという期限がございますので、この二、三月以内に何とか結論を出したいということでございますが、その結論がどうなるか、一応公的年金制度調整連絡会議結論が出ましたらこれは次官会議に報告するということでございます。それで拘束力閣議決定といったようなものではないのであります。この点はやや弱いのであります。
  14. 古屋亨

    古屋委員 お話でわかりました。ひとつ副長官のほうにおかれましても、後ほど審議室長来られるそうでございますから、その担当の審議室長からもう少し、それについて総会幹事会、小委員会も相当開催されておるようでございますが、結論がいつ出るかというような問題等につきまして、予算編成の時期等も迫っておりますので、この点は審議室長にお伺いする予定でございます。したがいまして、副長官にはぜひこの連絡会議推進に、ひとつ公務員全体の福祉のために一そう御推進を願いたいということだけ申し上げまして、もう一度御意見をお伺いいたしまして副長官に対する質問は終わります。
  15. 弘津恭輔

    弘津政府委員 古屋先生十分御承知のことだと思いますが、非常に困難な問題でございますが、総理府といたしましては、各省庁連絡調整を任務としておりますので、御趣旨に沿って全力をあげてこの結論を早く出したい、もしスライド制中心になかなか結論が出なければ結論が出ないという結論を実は出して、それをさらに閣議その他で検討していただいて、もう一度御趣旨に沿うような結論を新たに出さなければいかぬと思います。全力をあげてやるつもりであります。
  16. 古屋亨

    古屋委員 御決意はよくわかりました。ひとつよろしくお願いいたします。  それから、恩給局おいで願っておりますので、昨年の恩給審議会答申におきまして、結局本年度におきましては恩給法案改正において三本立ての仮定俸給の統合をはかられたというように承知しておるのでございますが、これはスライド制実施する一つの大きな前提とお考えになって、そういうつもりでやっておられるのか、その点について恩給局次長の御意見伺いたいと思います。
  17. 平川幸蔵

    平川説明員 お答えいたします。  恩給調整規定の問題でございますが、ただいま先生指摘になりましたように、恩給年額改定につきましては終戦後約十一回行なっております。昭和二十八年に軍人恩給が復活しましてからも七回恩給増額をやっておりますが、この恩給増額のしかたにつきましては、いわばそのときの社会的、経済的な状態を客観的に判断いたしまして、最も適当だと思う改定をやってまいったわけでありますが、いわばそういうやり方は政策的な改定方式と申しますか、そういうやり方につきましては、やはり世論といたしましても、この際ひとつルールを設けるべきである、それから諸外国恩給制度検討いたしました結果、ほとんどの国におきましてはやはり調整規定を設けております。たとえば西独、フランスにおきましては、公務員給与にスライドした恩給年額改定をやっておる、あるいはアメリカ等におきましては物価にスライドして改定方式をやっておるということで、諸外国におきましてはほとんどの国がスライド制を設けておるということもございまして、特に先生承知のように、昭和四十一年にこの調整規定が設けられたわけであります。この調整規定内容を若干御紹介申し上げますと、年金たる恩給年額は、国家公務員給与物価、国民の生活水準その他の事情に応じて、著しく変動のあった場合においては、変動後の諸事情を総合勘案してすみやかに改定すべきである、こういう規定になっております。ところが、この規定内容は、概括的でございまして、必ずしも明確でない。具体的にはたしてどういう指標をどの程度に適用していくのかという問題につきましては、先ほど御指摘がありましたように、恩給審議会にはかって内容をきめていただこうということで、実は恩給審議会答申をいただいたわけであります。  その恩給審議会答申は、この際詳細は省きますが、趣旨といたしましては、まず物価が五%上昇した場合においては、これは不可欠の条件として物価に見合うべく改定を行なうべきである、なお、改定したあとにおきましても、公務員給与との格差が非常に著しいときにおいては、その格差のある部分を補てんすべきである、こういう答申をいただいております。これに従いまして、恩給局といたしましては、本年度といいますか、実は来年度の予算の問題からこのスライド制は具体的に働いてくる、このように考えております。したがいまして、四十四年度予算におきましては、過去の穴埋め分と申しますか、過去において調整のおくれておった穴埋めをしたい、こういうことで、実は昭和三十六年から昭和四十三年三月ごろまでの穴埋めをさせていただいたわけであります。したがいまして、正確に申し上げますと、昭和四十五年度から具体的にこの調整規定推進が働いて、実際問題として予算措置になる、こういうふうに考えております。  先ほど先生が言われましたように、このたびの改定によりまして、仮定俸給の三本を一本立てにしたわけでございますが、調整規定を完全に実施するためには、仮定俸給を三本にしておくということはきわめて不適当であるということになります。なぜならば、御承知のように、一つであるべきものを動かす場合におきまして、三本になっておりますと、どの仮定俸給をどの程度に動かすかということで非常に問題になるわけであります。基本的にやはり仮定俸給を一本にするということが、この俸給審議会答申にも従うゆえんであり、本来の調整問題としては当然あるべき姿である、こういう判断に立たされまして、恩給審議会はこの答申を出されたわけでありまして、この線に恩給局は沿ってやるということになると思います。そういう考え方でございますので、御指摘の点は、われわれとしてはよく了解しているつもりでございます。
  18. 古屋亨

    古屋委員 大体の経過その他を承りましたが、そうすると、来年からスライド制恩給としては実施する心組みでこれから作業をするというふうに考えてよろしゅうございますか。
  19. 平川幸蔵

    平川説明員 したがいまして、来年度からは、恩給審議会趣旨に沿いましてわれわれとしては努力してまいりたい、このように考えております。
  20. 古屋亨

    古屋委員 そうすると、もしそれを来年から実施すれば、予算上いろいろな問題がありますけれども、三本立てを一本立てにしたことによって、老人のほうの対策において何かそれが延びた場合には、特別の措置を講ずべき点はないだろうか、この点についてお伺いいたします。
  21. 平川幸蔵

    平川説明員 御指摘になりました点は、恩給審議会答申の中にも実は書かれておりまして、このたび仮定俸給を一本にすることによって老齢者遺族傷病者優遇措置が、実はなくなったような印象を受けるわけでございますが、この答申内容を見ますと、従来とられております遺族傷病者老齢者に対する優遇措置というものは、やはりこれはそれなりに意味があるということをうたっております。したがいまして、われわれといたしましては、やはり仮定俸給によって差をつけるというようなやり方での優遇措置ではなくて、他にいろいろな恩給的な方法があるかと思います。また、あるだろうと思いますが、そういうような方法で実は考えていくべきではないかということで目下検討しておる最中でございます。
  22. 古屋亨

    古屋委員 そのスライド制というものが一般から非常に期待されている問題でございます。ぜひ一そうがんばって、できるだけ早く実施するように努力を願いたいということを要望しておきます。  次に、従来からいろいろの附帯決議がございますが、そういうような問題について、細部にわたってお伺いをいたしたいと思います。  第一は、附帯決議の中に外国政府または外国特殊法人在職した職員雇用人期間通算について検討すべきであるというような附帯決議があるのでございます。これは敗戦という事実によるものでございまして、終戦処理的な性格を持っていると思いますが、検討の結果、またそれにどのくらいの人員が見込まれているか、そういう点について自治省からお伺いいたします。
  23. 砂田重民

    砂田政府委員 御指摘の点につきましては、通算対象になる職員の範囲をどうするか、その在職期間をどのように通算するかなどの問題点が実は残っております。政府としましては、まだ結論を得るに至っておりませんでしたので、今年度の改正点に入れることができませんでした。しかしながら、できるだけ早い時期に附帯決議の御趣旨に沿って実現をいたさなければならない点であるというふうに考えております。  ただいま御質問人員は、約八千三百名と相なります。
  24. 古屋亨

    古屋委員 そうすると、この附帯決議の点は十分検討されて、自治省においては、必要ならば、こういう点については積極的な態度で対処するというお考えと受け取ってよろしゅうございますか。
  25. 砂田重民

    砂田政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  26. 古屋亨

    古屋委員 それでは次の問題で増加恩給の問題でございますが、増加恩給取り扱いにつきましては、傷病年金と同様に、組合員として在職増加恩給受給を認め、その基礎となった在職期間組合員期間通算できないかという問題でございますが、この問題に対するお考え方、あるいは対象人員等についてお伺いいたしたいと思います。
  27. 砂田重民

    砂田政府委員 増加恩給受給権がきわめて短期の在職であっても発生いたしますこと、しかも普通恩給が併給されるという有利な制度であることからいたしまして、現行制度のほうがより有利である場合も出てくるわけでございます。また、併給普通恩給受給権を消滅させて、組合員期間通算させる場合にも、増加恩給基礎となった在職期間が短いものについてどのような特例措置を設けるか等の問題点がまだ若干残っておりますために、これも本年度の改正点には入れることができなかったのでございます。しかしながら、傷病年金取り扱い等の関連からいたしまして、要望の御趣旨をできるだけすみやかに実現できるよう努力をいたしたい、かように考えております。  対象となる人員は、約二千三百名と相なります。
  28. 古屋亨

    古屋委員 それでは第三番目の問題といたしまして、国民健康保険組合の職員であった期間組合員期間への通算の問題についてお伺いするのでございますが、国民健康保険業務の市町村への移管に伴いまして、引き続き市町村の職員となった者の国民健康保険組合または代行組合の職員として勤務した期間につきましては、組合員期間通算するという点についてのお考え方をお伺いしたいと思います。
  29. 長野士郎

    長野政府委員 元国民健康保険組合の職員でありました者が市町村の吏員となりました場合のその組合の職員でありました期間についての問題だと思いますが、一般的には地方団体の職員ではないために、そういう地方公務員組合員とする共済組合法のたてまえからいたしますと、組合員でありました期間へそういう職員期間通算するということは、元来ならば困難なことでございますが、御指摘の元国民健康保険組合の職員は、国保制度改正によりまして国保事務が市町村へ移管されたということに伴って当然に移ってきた、こういう職員であると思います。そうなりますと、これは通常の国保の組合の職員というわけにまいらない、公的制度によって当然に繰り込まれたということになっておりますので、まあ御趣旨の点につきましては当然考えなければならない問題だというふうに思っております。  また、同時に、その通算をどういうふうにするかということもあるわけでございますが、これはいろいろなケースがあろうかと思います。そこで、通算の困難の場合には受給の資格期間等の問題としても取り扱い得るように、これはぜひとも検討いたしたいと考えております。
  30. 古屋亨

    古屋委員 次に、団体共済組合が支給する特例年金についての制限の問題についてお伺いしたいのでございますが、団体共済組合期間が十年以上二十年未満でこれに公務員としての在職期間を合算いたしまして二十年をこえることとなる者につきましては、団体共済組合が支給する退職年金について、従来恩給あるいは共済年金受給権を有する者には支給しないことになっている制限があるのでございますが、この制限を撤廃することについての考え方をお伺いしておきたいと思います。
  31. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 団体共済の職員につきましては、いま御指摘になりましたように団体職員期間十年以上二十年未満、したがいましてそれだけでは年金はつかないけれども、公務員在職期間を入れますと年金がつくという者につきまして、いままで特例年金を見ておったわけでございますが、これは他にいわゆる加算年によります軍人恩給以外の年金を受けておる者については適用がない、これはやはり今日のような年金の状況になってまいりますと、いかにも不合理でございますので、これも合わせて通算をするように、特例年金の範囲を広げるように現在検討を行なっておるところでございます。  なお、これが適用対象になります人員は三百人でございます。
  32. 古屋亨

    古屋委員 次に、先般地方公務員共済組合協議会長の藤井さんの名前をもちまして、現行の共済制度の改善に関する要望事項がございますが、これらの問題につきましてお伺いをいたしたいと思います。  第一の点は、短期給付の掛金率にかかる上限措置の設定の問題でございまして、調査室資料の二六ページの下にありますが、市町村職員共済組合の短期給付の財源率でございますが、他の組合に比較いたしまして非常に高率となっておりまして、千分の百をこえるような組合すら、京都、青森等には見受けられるのであります。このような赤字組合並びに財源率が一定の率をこえるような組合に対しましては、地方公共団体から何か補助金を支出するとか、あるいはまた国からその分について補助するとか、そういうような上限措置をつくり、あるいは国から財源的に見るというようなことについての要望が非常にあるのでありますが、これについての考え方をお伺いしたい。  実は、私の記憶が間違いでなければ、昭和二十八年に国家公務員につきましては一部の省で結核患者が非常に多かった省には、たしかそういうところへ大蔵省から補助金が出ておるように記憶しておりますが、そういうような点もありまして、とにかく千分の百をこえるような組合についておっぽり出しておくということはとうてい許されないように考えるのでありますが、この点についてひとつ自治省としての考え方を——大蔵省がいま大蔵委員会に出ておられるそうでございますから、この点は後ほどお伺いすることにいたしまして、自治省のほうからお伺いしたいと思います。
  33. 砂田重民

    砂田政府委員 健康保険組合におきまして切半負担の特例が認められておりますのは沿革的にはいろいろ理由がございますが、給与にかえての企業の収益配分、そういう解釈もあるわけでございます。この制度を共済組合の短期給付に適用することは、使用者としての地方公共団体の負担を増大することになりまして、実質的に住民が負担をすることになってくるわけでございます。そういう観点から、私どもでは適当な措置と実は考えにくいのでございますが、しかしながら一部の市町村職員共済組合組合員負担が著しく高いというのは先生の御議論のとおりでございまして、この点につきましては短期給付財政調整資金、こういった救済措置をとるのが適切ではないだろうか、そういう考えで引き続き検討をしてまいりたい、組合員の負担の軽減にはできるだけの努力をしたい、このように考えておるところでございます。   〔細田委員長代理退席、大石(八)委員長代理着席〕
  34. 古屋亨

    古屋委員 ただいまの政務次官の短期給付財政調整資金というお考え方につきまして、ちょっとお漏らしを願いたいと思います。
  35. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 考え方といたしましては、現在の短期掛け金のほかにたとえば千分の二程度のものをいまの別途財政調整資金に繰り込む原資として取りまして、それをプールいたしまして、それで一定率以上の短期の掛金率のものに対しまして掛金率を下げるための原資として配分をする、こういうような一種の財政調整交付金的な考え方でございます。ところが、この案に対しましては、一つは現在の掛金のほかにそれだけの負担になるということ、特に府県単位で市町村職員共済組合をつくっておるわけでございますので、その府県の市町村職員共済組合ごとにかなり掛金率の高低があるものでございますから、どうしても低いところの賛成が得られない、こういったようなことからなお実現を見ておらないところでございます。
  36. 古屋亨

    古屋委員 どうもいまの話を聞いておりますと、この調査室資料の二七ページのまん中ごろにありますように「組合員の負担が一定の限度をこえることとなるときは、そのこえる部分は使用者である地方公共団体が負担するものとし、これにより増加する地方公共団体の負担金については、国が所要の財源措置を講ずるものとすること。」という要望が出ておりますが、この点についてどういう考えか、ひとつ部長の意見伺いたい。
  37. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 前後するわけでございますが、市町村共済組合の短期の掛金率を見ておりますと、御案内のとおり、たとえば青森県、これが掛金率、負担金率パーでございまして、千分の百二でございます。それから京都が百四、それから岩手が千分の百、それから徳島が百、熊本が百、こういうところがございます。別途低いほうになりますと、今度は千分の七十というところもあるわけでございます。  そこで、この共済組合の掛け金給付内容を見てまいりますと、たとえば受診率なり、あるいは一件当たりの金額なり、あるいは一人当たりの金額なりというものを、やはりそれとの相関があるわけでございますので見てみますと、たとえば青森なり岩手なりというところを見ますと、一件当たりの金額なりあるいは受診率なりも高い、こういう相関が見られるわけでございます。したがいまして、私どもこの掛金率の高い団体に対しましてどのような措置を講じたらいいものであろうかということで、先ほど申しました財政調整資金も一つの案でございますけれども、まあこれはできないことを言うなというおしかりを受けるかもしれませんが、基本的には全団体を一つにいたしますと、これは最も保険の効果が強く出るわけでございますので、掛金率が下がるということははっきりすると思います。いまの共済の組織の基本にも触れる問題が一つあると思いますのは、市町村職員共済の中に大都市が入っておらない、あるいは中都市が入っておらない、こういった面も一つあるわけでございますが、そういうできないことを議論をいたしましてもいたし方がございませんので、私どもといたしましては、いまの給付の面の実態も見ながら、この掛金率の問題を考えてまいりたい。  その場合に一つ方法といたしましては、やはり相互扶助という考え方でございますので、各団体で出し合ってそれを掛金率を軽減するための原資として使う、こういう考え方。それからもう一つは、一定の率をこすものに対しまして、いわば労使折半の例外をつくるかっこうになるわけでございますけれども、使用者としての出し前を多くする、その原資につきましては別途財源措置を講ずる、こういう二つの方法があろうかと思うわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、俗に申します歯どめというものをここに一つ置いてまいりませんと、今度は——表現が適切でないかもしれませんが、乱に流れるということも検討しなければならぬ。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)これはそういうことがございまして、現在慎重に検討いたしておるというところが実相でございます。
  38. 古屋亨

    古屋委員 どうもなかなか名案が——検討中であるようでありますが、ぜひひとつ早急に検討を積んで、自治省としての考え方というのをぜひ早くまとめていただきたいと思います。よその省、大蔵省その他の関係もあると思うが、ひとつ率先してお考え願いたい。さっき私が言いました国家公務員の一部の組合については、結核についての補助金が出たということを私は記憶しておるのでありますが、もしそういう事実があるとすれば、ひとつ自治省においても、そういう点からも国からの財政措置をお考え願いたいということを要望して次の質問に移ります。  次は、これも附帯決議にありましたが、組合員の退職後一定期間内に発病した場合におきましても医療給付を受けられるよう検討することという附帯決議がありますが、これについて検討されておる実情、あるいは検討された結果についてお伺いしたいと思います。
  39. 長野士郎

    長野政府委員 退職をいたしましたいわば元組合員でありますが、その組合員については共済における医療の給付制度を適用するということのお話だと思いますが、これにつきましては、やはり問題は適用の範囲、対象をどうするかという問題が一つございます。  それと同時に、今度は給付に要する費用が、元来これはいわば労使折半という原則に立っておるわけでございますが、その点で、組合員でない者につきましてどういう負担関係というものを考えたらよろしいかというのが第二の問題でございます。  それから第三の問題といたしましては、やはり一般の被用者保険制度というものがあるわけであります。そういうものも共済関係につきましてもほかにもたくさんございますが、そういうものにつきまして、元組合員というようなものについて地方共済のほうでそういうことをやるということになりますと、今度はそういう関係の被用者保険制度一般についての影響というものを考えなければならない、こういう問題が一つ出てくる。これは横の関係でございますけれども、出てくるということでございまして、そこでなかなか困難な問題がいろいろとあるわけでございます。  また同時に、そういうものにつきましては全体として健康保険制度というものがカバーしていくという、国の社会保険制度の一貫した考え方があるわけでございますから、かれこれ考えますと、この医療保険制度というものを一体どう考えるかということが一つ問題になってくるわけでございます。したがいまして、この制度の抜本改革というものの成り行きも非常に関係をいたしてまいりますから、そういうものをかれこれ勘案しながら、いわゆる継続療養制度というのでございましょうが、そういうものの特例をどの範囲に開くことが妥当であるか、もう少し検討させていただきたいと考えております。
  40. 古屋亨

    古屋委員 これもいろいろ横の関係その他非常にむずかしいのですが、   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕 もうだいぶ長い附帯決議になっておりますから、ひとつ局長さんも、その意味でみずから検討を続けられるように——これはもう役人をやめると、御承知のように退職時に歯医者なら歯医者の療養の給付を受けた者は一定期間継続するが、あとは全部あれになるわけでございますから、有能なる局長さんにおいて早急に検討していただきたいということをお願いをしておきます。  次に、共済の長期給付に要する費用の公的負担割合を増加するという問題でございますが、これは一番初めに言いましたように、地方公務員共済組合審議会の藤井会長から自治大臣あてに本年三月六日付で「年金スライド制実施及び長期給付における公費負担の割合を百分の二十に引き上げることについては、速やかに適切な措置を講ずることを要望する。」というふうに出ておるのでございまして、この点についての考え方あるいは検討の方向をひとつお示し願いたいと思います。
  41. 長野士郎

    長野政府委員 この共済組合の長期給付に要する公費負担の関係でございますが、これは現在御指摘のありましたように公費負担部分というものは百分の十五ということになっております。これは国家公務員も同じでございます。ただ、一方で厚生年金につきましては百分の二十ということになっておりまして、この点について百分の二十ということにはその意味でも引き上げ考えろということで御要望があることは私どもよく承知をいたしておるわけでありますが、まあこれは、理屈になるかもしれませんけれども、共済制度と厚生年金制度とを比べてみました場合には、いろいろとその給付内容、条件等が違うわけでございます。これを平準的に引きならして相互比較しますと、厚年の百分の二十というのは、実は共済制度にこれを引き直しますと百分の十二ないし百分の十六、七、八というところでいくのであって、大体見合っているのだ、こういうのが政府関係各省の一応の考え方ということになっておるのでございます。しかし、そうは申しましても、公務員特殊性とか組合員の負担の軽減というものは今後も当然考えてまいらなければならない問題でございます。そういう意味で実は自治省といたしましては、毎年毎年関係各省との間で、予算に関連をいたしますが、実は百分の二十ということでいろいろ折衝をいたしております。折衝いたしておりますが、四十四年度の場合におきましてもこれはどうも国家公務員の側において全くその意思がないというようなことになって、引き上げるという方向に結論が出ませんので、四十四年度の場合には措置ができなかったという状況でございますが、今後とも私どものほうは引き上げるということを前提にしてなお努力を続けてまいりたいと思います。
  42. 古屋亨

    古屋委員 非常に努力をされておるという内容お話はわかるのでございますが、ぜひこれを引き上げるように予算措置を、局長段階ではむずかしいというなら、ひとつ大臣段階ででも、地方公務員の福祉の向上という点からぜひがんばっていただきたい。これは御答弁要りません。大臣おられますから、ひとつ頭に置いて、来年度予算折衝におきましてはぜひ事務当局のほうも大臣のほうへ、大臣のほうからも大蔵省へ御折衝願いたいということを要望いたしまして次の質問に入ります。  次は、遺族給付にかかる受給者の範囲の拡大の問題でありまして、これは主としてその収入により生計を維持していた者というふうに限定をされておるのでありまして、その結果実際上は掛け金がかけ捨てというような場合もあるのでございますが、この点に対する考え方についてお伺いしたいと思います。
  43. 長野士郎

    長野政府委員 被扶養者のないような組合員在職中に死亡したような場合に掛け金がかけ捨てになるということでございますが、元来、これも理屈上の問題からいたしますというと、そういうことは社会保険のたてまえ上、相互救済というたてまえ上、扶養する必要がないといっては語弊がありますけれども、そういう該当する者がないような組合員関係につきましては、それが一般の他の共済資金の原資として返っていくことはやむを得ないことだという考え方に立っておるわけでございます。ただ、現場の遺族の範囲の問題になってまいりますと、共済組合といわゆる厚生年金等とでは多少扱いを異にしております。主としてその組合員によって生計を維持しておるという考え方と、生計を維持しておるという考えと両方が立っておりまして、厚生年金のほうの考え方取り扱い方というものが幅広いということが現実の実際でございます。この点につきましては、自治省といたしましても、その範囲までは少なくとも合致させるべきではないかという考え方を持っております。そういたしますことが、いまお話しがございました御趣旨にも沿うことだと思うわけでございまして、そういう運用をするという改善策につきまして現在関係省庁との間で折衝中でございます。
  44. 古屋亨

    古屋委員 次に、退職年金条例給料年額の算定方法についての緩和措置の問題でございますが、退職年金を算定する場合に退隠料等の額の算定の基礎となります給料年額につきましては、一昨年の法律改正によりまして恩給法の例によるとされておるのでございますが、地方団体の実態にかんがみましてこれが緩和措置を考慮されておるかどうか、その検討段階についてお伺いをいたします。
  45. 長野士郎

    長野政府委員 この点につきましては、四十二年の法律改正によりまして、いま御指摘のございましたような制度に実は改めたわけでございます。その理由は何かと申しますと、主として都市が多いわけでございますが、都市によりまして退職時に特別昇給と申しますかいたしまして、その退職時の特別昇給を基礎にいたしまして年金を算定するということになりますから、そこでは給付の額と従来の掛け金との割合というものが合わなくなってしまうわけでございまして、そういう意味で、しかもそれが個々の団体によりましてその年度によって扱いも違う、勤続年数によっても違う、あるいはまた職種によっても違うというようなまちまちなことが出ておるわけでございます。そういうことがございますと、共済の関係考えますと、他の地方団体に比べて均衡がとれないというような問題があるわけでございます。極端な例でございますが、特定の市におきましては、退職時に、勤続年数にも関係いたしますが、六号俸も七号俸も上げたというようなこともありまして、その結果は非常に他の団体との間で不均衡になる、共済の考え方の基本にも沿わないということがございましたので、そういう均衡をとるためにとられた措置でございます。したがいまして、自治省といたしましては、いま直ちにこの制限を緩和するということは、これはやはり非常に困難だというふうに申し上げざるを得ないということでございます。
  46. 古屋亨

    古屋委員 意見もありますが、時間の関係で次に移ります。  年金制度施行前における市町村の吏員または雇用人であった期間共済組合制度施行日に引き続いてない者につきましては、職員期間として組合員期間通算する措置を講じてもらいたいというような意見があるのであります。特に外国政府雇用人期間を年全額の計算となります組合員期間に算入するという問題との関連におきまして、この問題を通算してもらいたいという意見が非常に各地であるのでありますが、これに対する考え方をお伺いしたいと思います。
  47. 長野士郎

    長野政府委員 御指摘の点につきましてはおっしゃるとおりでございまして、外国政府外国の特殊法人の職員でありました雇用人期間につきましても、恩給法改正等によりまして通算されるような傾向といいますか、そういう空気が非常に強くなってきているような時期でございますが、そういうことでございますならば、むしろ地方公務員につきましても、いまお話しがございましたように、共済法の施行日に引き続かない雇用人期間というものがなお通算になってないということは、制度全体として非常にアンバランスなことになっているのではないかということで、私どももむしろそういういわゆる満目通算雇用人期間通算しろというような空気があるときでございますが、そういう場合には、そういう意味雇用人期間地方公共団体の職員としての雇用人期間でなお通算してないものを通算することこそ筋が通るのではないかというふうにも思っておるわけであります。これにつきましては、私どもとしてもぜひともそっちのほうを直すほうが先だという感じを強く受けておりまして、現在早い機会にこれを実現をいたしたいと考えております。
  48. 古屋亨

    古屋委員 それでは自治省にお伺いする最後で、地方公務員の共済についてのいろいろな問題点についてお伺いしたいのでございますが、最後に、一体局長は、地方公務員の福祉増進についてどういう措置考えておるか、またどういう措置を講じようとしておるか、ひとつそのビジョンをお話し願いたいと思います。
  49. 長野士郎

    長野政府委員 地方公務員の福祉の増進という問題につきましてはいろいろな問題が考えられるわけでございますが、やはり共済制度等におきますところの福祉事業のほかに、公務員法に規定しておりますところのいわゆる厚生事業と申しますか、そういう面についてはなお一そう力を入れていかなければならないというふうに考えておりますが、その中で目下一番大切な問題は住宅問題であろうと思っておるわけでございます。住宅問題につきましては公営住宅というものがございますので、地方団体として一般の住民との関係において公営住宅というようなものとの関係ではなかなか処置がしにくいわけでございます。現在ではそういう点では共済のいわゆる不動産投資とか融資とかいう資金を地方公共団体に貸し付けをいたしまして、そして住宅建設を行なう、そしてその償還費用というものは家賃ではとうていカバーできないわけでございますから、そういうものは地方団体が償還に当たっておる、こういうかっこうで住宅の供与を非常に行なっておるわけでございます。そういう点につきまして、地方団体の負担につきましても、毎年できる限り財源措置つまり交付税等の財源措置の算定を充実をしてもらっておるというかっこうでございます。しかし、住宅のみならず、他の執務環境でございますとか、健康の回復でございますとかというようなものも考えてまいらなければならない、そういう意味職員の厚生事業というものをもっと充実をいたしまして、健康、安全、衛生というような問題を中心にして、ますますこの仕事を伸ばしていかなければならない、共済の福祉事業というものは、やはりその点では限界があるというふうに考えて、せっかくそういうことは今後とも充実に努力をしてまいりたいと考えております。
  50. 古屋亨

    古屋委員 最後に、私、審議室長来られましたので、例の公的年金制度調整連絡会議についてお伺いいたしますが、先ほど弘津長官から、相当回数を開いて努力されておる状況はお伺いいたしましたが、昨年も大蔵委員会において私御質問したことを記憶しておるのでありますが、大体いつごろこの結論をつけられる見通しであるか。近いというような先ほど副長官も話をされており、もしできなければできないでまた特別のことを考えなければならぬというようなお話でございます。それで最初審議室長おいでにならぬ前に申し上げたのでありますが、社会保障制度審議会会長から、いま審議しておる法案を出すにつきまして自治省から意見を聞きましたときに、大内会長答申の中にこういうことがあります。「共済組合制度については、かねてから指摘されている種々の問題があり、その検討をなおざりにすべきではない。とくに、目下進行中の公的年金制度調整連絡会議は、その大部分を解決すべき絶好の機会考える。」こういうような文句が答申のうちにあるのでございまして、現在の状況並びにそれに対する見通しにつきましてひとつお話しを願いたいと思います。
  51. 橋口收

    橋口政府委員 一昨年、社会保障制度審議会意見書をちょうだいいたしまして、政府部内に調整連絡協議会を設けて相談をしておったわけでございます。ただいま御質問の中にもお話しがございましたように、昨年、衆議院の大蔵委員会先生からの御質問がございまして、そのときに率直に私個人の気持ちとして、中間的な取りまとめでもいいからなるべく早く結論を出したいということを申し上げたことは事実でございます。そのときには、総会の下にワーキンググループとしての幹事会を設けまして、幹事会が相当回数を重ねて主として文章について論議をしておったわけでございます。  昨年お答えを申し上げました時点におきましては、何とか幹事会である種の結論を得るのではないか、中間的な姿のものであっても、ある種の結論が得られるのじゃないか、こういう見通しに立ってお答えしたわけであります。その後幹事会中心になり、また総会を開いていろいろ検討いたしてまいったわけでございますが、最後の詰めの段階で、文章として表現するということになりますと、これはあとに残る問題でございます。さらに予算編成の時期もだんだん切迫してくるというような時期にも際会いたしまして、昨年お答えいたしました現在においての見通しよりもややおくれておることは事実であります。  先ほど総務副長官のほうからお答え申し上げたと思いますが、その後四十四年度の予算の編成も終わり、多少時間的な余裕も出てまいっておりますので、最近また幹事会中心になりまして勉強いたしております。できれば、できるだけ早い時期に、社会保障制度審議会からは一両年ということで御指示をいただいておりまして、厳密に申しますと一両年、二年目の期限はそろそろ切れるわけであります。しかし、できるだけ早い機会に何がしかの結論を得たい。ただ、先ほどもちょっと申しましたように、この問題は概念的に考えておりますとわりに簡単に結論が出そうでありますが、具体的な詰めになってまいりますと、なかなかいろいろな立場もございます。それから制度の沿革なり特殊性ということもありまして、ほんとうに文章の形でまとめるということには従来かなり困難を感じておったわけでございます。しかし、いま申し上げたように、その後の検討を進めておりますので、できるだけ早く何がしかの結論を得たいというように考えております。
  52. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  53. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 速記を始めて。野口忠夫君。
  54. 野口忠夫

    ○野口委員 地方公務員共済組合法の一部改正について御質問申し上げたいと思います。大臣は午前中だけということでございますので、大臣にお尋ねしたいと思うのですが、当委員会において毎回行なわれます附帯決議についてのお考えをひとつ承りたいのですけれども、今回の地方公務員共済組合法も、その改正の根本的な動かしている力は、新鮮ならざる古い制度である恩給法改正から出てきておるのが多いと思うのですが、そうしたような関係から、共済組合法改正につきましては、国会ごとに定期的に改正案が出されておりまして、そのたびに恩給法改正という他動的な力で地方公務員に関する共済制度考える時期でないのだから、共済制度自身がみずから是正の改正を課題としなければならぬという課題が毎国会明らかになってきたと思うわけでございます。長い時間と労力とをかけて国会の意見や要望が述べられ、それに対してその是正と改正の必要の認識をいつも御答弁の中で約束されてきておるわけです。五十一国会、五十五国会、五十八国会、衆参ともに与野党一致して附帯決議がつけられておるわけですが、今回の提案理由の説明並びにその要綱等を拝見いたしましても、やはり従来と同じような恩給法改正に基づく共済法の改正というようなことになっておって、国会の意思、国民の意思として決定されました附帯決議の方向から生まれるみずからの課題というようなことに向かって動こうとする部面がないように思われるのでございますが、こうした附帯決議というものに盛られる国会議員を通して行なう国民の意見や要望、こうしたことに対しての大臣の御所見を承りたい。
  55. 野田武夫

    ○野田国務大臣 ただいまの野口委員の御質問ですが、御指摘のとおり、この提案理由説明でも、私も恩給法の一部改正に関連して云々という説明をいたしております。私も、いまのお話を承りまして、地方公務員の共済組合独自の見解でなぜやらないか、ことに毎国会附帯決議があるが、これを尊重して、やはり地方公務員の共済組合のいわゆる独自の考え方を織り込んだ改正案が必要ではないか。私も、その御指摘をこうむりますと、大体そういう御意見はもっともだという感じを深くいたします。ただ、御承知のとおり公的年金制度というのは非常に範囲が広いので、いろいろな意見が出てくる。先ほど古屋委員の御質問に対して、総理府ですか、いまいろいろな連絡会議かなんかおっしゃって、お聞きしていますと、なかなか予定どおり進んでない。各省の意見がまちまちというよりも、おそらくお互いに建設的な意見を言っているのでございましょうが、まとまらないということを聞きました。私も遺憾に思う。  そこで、問題の附帯決議のことは私は存じておりますが、おもなるものは二、三ありまして、スライド制というのが非常に大きな問題だと思います。それから長期の公務員の公的負担、短期の財源措置、こういうもの、その他ございます。私は、スライド制というものは、これはもう野口さん御承知のとおり、各年金ごとに恩給局なんか盛んにずっとやってきたのですけれども、私も多少恩給なんかやったことはありますが、もうこの時点になりますと、スライド制というものがどういう基準でやるかということは非常に問題だと思っております。しかし、あるいはこれは自治省のきまった案ではございませんが、将来において、物価なんというものはやはり一つの大きな事由になる、一つの基準になりはせぬか、こういうことは相当考える時期に来ているのではないか、こういう感じをいたします。これはしかし、他の年金関係がございますから、いま自治省はこういう案でつくっておりますとは申し上げませんが、もうそういうことも、ひとり共済組合だけではなくて、やっぱり年金制度の中に相当加味していくときが来ているのじゃないか、こういう感じをいたします。  それから、長期のいわゆる公的負担の問題ですが、これはこの案にもありますとおり、一五%から二〇%というふうに考え方を織り込んで考えております。先ほど古屋さんの御質問に、短期の財源措置の運用についてお話しがございましたから、それは局長がお答えいたしました。  これらにつきましても、私はその一々を申し上げるのではございませんが、一応私の感じました点を申し上げたのですが、時間の関係上私もなるべく総括的にお答えをいたしておりますが、いまお話のありました恩給法改正があるからこれに便乗して公務員共済制度改正をするというようななまぬるい態度ではいかぬじゃないかという御指摘と思いますが、よくわかります。そこで私は、できるだけこういう年金制度その他につきましては、これは今後非常に、ことに公務員共済制度というものは、地方公務員の諸君が将来の生活に重大な影響を持つものでございますから、この際やはり御指摘になりました点とその御意向を十分尊重して対処するという考え方を持っております。これはおそらく、事務当局もこの問題を取り扱いましたときにそういう意向が相当出ております。いままでそれでやってないじゃないかという御指摘はもっともでございますが、もう何とかかんとか言いのがれをする段階ではない、腹をきめる段階に来ておるのではないかという感じがいたします。
  56. 野口忠夫

    ○野口委員 大臣から、附帯決議を尊重し独自の立場でやっていく時期に来ておるのではないか、こういう御決意を承ったわけでございますが、これは大臣ばかりではなくて、おそばで補佐役をつとめられる皆さん方もそうでないと、先ほど鎌田さんがおっしゃったのですけれども、短期給付の掛金率が非常に大きいという問題についてのお答えは、私の見るところでは五十一国会、五十五国会、五十八国会、これ全部を通じてそのようなお答えであったように思われるわけでございます。  附帯決議というのは一体どういうものかということも私考えてみました。この場所で直せるものならば修正ということになるわけでございましょう。附帯決議というのは、やはり行政当局にいろいろな都合がある。だがしかし、いま直ちにこれを修正することはできないけれども、そうした困難な問題を克服して、国民の意思として、あなた方はこのような目標を実現するように努力しなさいというのが附帯決議の精神であろうと私は思います。あくまでも実現することをやはり考えていただかなければならぬ。それがこの国会の中できめられた附帯決議の精神であろうというように思うわけでございます。いま申し上げましたように、何回かの国会が過ぎましても、同じような答弁を繰り返すだけのこの場所での質問や答弁であったのでは、これは全くそのときを糊塗する、あるいはその場を言いのがれる、そのときさえ過ごしてしまえばいいのだという、全く技術的な国会と行政府の間のやりとりにすぎない。そうじゃなくて、新憲法のもとにおける主権在民という思想の中で、少しでも国民のためにということを考えておるならば、私の申し上げておることは決して無理なことを言うておるのではないと私は思うのです。大臣からるる附帯決議について申されたわけでございますが、附帯決議が国民の意思であるということについて、五十五国会の共済組合法の一部改正の中における附帯決議は五項目あるわけでございます。その第一項目には「共済組合の給付に要する費用の公的負担割合の引上げ等については、他の社会保険制度との均衡を考慮してその改善に努めること。」こういう一つの目標を決議しておるわけです。これを提案なさった方は、いま政権を担当なさっていらっしゃる与党の自民党議員の当時の理事でいらっしゃる久保田さんがこの提案の趣旨説明をなさっているわけでございます。それを読みます。「ただいま議題となりました昭和四十二年度における地方公務員等共済組合法規定による年金の額の改定等に関する法律案に対する附帯決議につきまして、私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党の四派を代表して、その趣旨を御説明したいと思います。」これは全部です。代表して与党の議員の方が趣旨説明をさなっている。その第一点の趣旨説明としては——長くなりますが、「御承知のように、現在地方公務員共済組合の長期給付に要する費用につきましては、その百分の十五を地方公共団体が負担し、残りの百分の八十五を使用者としての地方公共団体と被用者としての組合員とが折半で負担しております。この点、厚生年金保険におきましては、百分の二十を国庫が負担し、私学共済及び農林共済におきましても、百分の十六を国庫が負担し、それぞれその残額を労使で折半負担している現状であります。そこで、地方公務員共済組合の長期給付に要する費用の公的負担割合につきまして、他の社会保険制度との均衡を考慮してその引き上げをはかるとともに、短期給付に要する費用につきましても、近時医療費の増加に伴い、地方公務員共済組合の財政が著しく悪化し、組合員の負担増加を来たしている現状にかんがみ、国庫負担を導入すべきものとしております。」こういう趣旨説明をされておるわけです。これが五十五国会です。終わって五十八国会が過ぎたわけです。ただいま六十一国会でございます。私は、ここで言われた附帯決議の精神というものは、少なくとも社会保障制度としての共済組合の根本的な、基本的な態度というものは、やはり国がこれらの方々に対しての社会保障の責任を持ってやるのだということは、もうすでに導入すべき時期に来ているということを四党が一致して考え附帯決議を付したものではないかと思うのです。そのことについて、今度の改正案の中には何ら一言も触れられることなく提案されておるわけでございます。こういうことであったのでは、長い時間と労力をかけて——ここで私もいま質問をするわけでございますけれども、あるいはまた、みんなして一生懸命よかれと願う方向で努力するわけでございますが、これはまことにどうもその場限りのことになってしまうのではないかというようにおそれられるわけで、だいぶ時間をとって失礼ではございましたが、やはり一度附帯決議をされたものは、その国民の意思の方向に向かって努力するという立場で、この委員会の中において、いま言われました第一項目の長期給付並びに短期給付について国の責任を明らかにすべきではないか、その考えを明らかにする時期、そうしたことについて大臣からもう少し明確な御答弁をいただきたいと思うのです。これが、他のほうの関係も種々あって、あるいはいままでの経過措置等においてなかなかめんどうであるという状態は、私もわからないものではございませんけれども、地方公務員共済組合法という、地方公務員という身分を持った共済組合法をやはり所轄し、もっと力をここに入れて、すべての問題をわがものとして考えていくのは自治大臣ではないかと私は思います。共済組合法という法律は、こういう一冊の本にはなっておりますけれども、一体だれが一番中心になって地方公務員考えているのだということになってくると、それは恩給局考えている部面がある、あるいはまた文部省で考える部面がある、それがみんなして一緒にならぬといつまでも問題が処理できないというところに新制度一つの欠陥もあるのではないかと思うのです。附帯決議が何ぼっけられても、それは大蔵大臣がうんと言わなければ困るんだというようなことであったのでは、地方公務員に対して責任を持って共済組合を担当する自治大臣としては、まことにどうも地方公務員が何か捨てられていくような感じになるのでございますが、そういう点も含めてあらためて自治大臣の附帯決議に対するお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
  57. 野田武夫

    ○野田国務大臣 私は、さきにもお答えいたしましたとおり、地方公務員共済組合制度というものは、もちろんお話しのとおり各方面、各役所にも関係がございますが、主としてやはり自治省といたしまして本格的に取り組む必要がある。いま大蔵大臣がどうとかいろいろなお話しがございましたが、これらにつきまして、たとえばいまの長期の公的負担、厚生年金その他を例に引かれまして、私も存じております。こういうことで、まあ先ほどもいろいろ、古屋委員その他の御質問もございましたし、私もお答えしておったのですが、他の共済制度との関連、そこの調整というものがなかなかむずかしいことは野口さんも御了解できると言いますが、しかしそれだけでもっておっては、むずかしいからということだけでは、あなたのおっしゃるとおり、つまり一つの自治大臣としての考え方が、こうしたいという地方公務員に対する私どもの態度を示す場合のことばとしては、やはり逃げ口上みたいにとられるのも私わかります。そこで、これはいままでの各自治大臣も非常に努力されたと思っております。また、事務当局も相当な努力を重ねておるということも私は承知しておりますが、先ほどもうこの段階ということばを使いましたが、この段階にまいりますと、いろいろな調整の必要もございましょうけれども、いやしくも地方公務員共済組合制度に対して基本的な責任を持っているというのはやはり私どもの役所だと思っております。それだけに、いまお話しのありました長期の公的負担とか短期の財源措置とかなんとかいうものは、普通いろいろな役所と話し合っていっておりますが、むずかしいといいますが、そのむずかしいところを突破しなければいかぬというときに来ているのじゃないかという感じは私深くいたしております。いままでは、野口さんも知っておられるとおり、出しますといろいろな意見が出ますから、なかなかかってできないのです。これは事務当局をお責めになることもわかりますけれども、私は、先般提案する前に事務当局の一応の感触を聞きました。そして、だれかれとは申しませんが、いま言われる各国会における附帯決議内容について相当頭を悩めておりまして、しかもそれはやむを得ませんということばを使わないで、何とかひとつやらなければならぬと思っておりますということばを使っておりましたから、私自身も、これらにつきましては、この附帯決議ば決して不穏当なものではない、ことばが当たるか当たらないか知りませんけれども、妥当な附帯決議だ、こう認識いたしますものですから、それだけにもう、時が来ているのじゃないかということばを使ったのです。私といたしましても、さらにひとつ事務当局と打ち合わせまして、これらの問題にもう少し取り組み方を積極的に取り組んでみたい、こう思っております。
  58. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 関連して山口鶴男君の質疑を許します。
  59. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣、お昼までということだそうですから、大臣に対する関連質問をいたしたいと思います。  いまお話しのありました点ですね、たとえば長期給付の公的負担の割合を百分の十五から二十に引き上げる、あるいはスライド制を実現するということは、自治省だけで独走しょうと思ってもこれはできる問題ではない。当然大蔵省のほうを自治大臣が動かすなりいたしまして、国全体として解決していかなければならぬ。ところが問題は、短期給付の最高限度の問題ですが、国家公務員の共済組合における短期給付の状況を見ますと、たとえば外務省の場合におきましては掛金率が千分の二十四、そして負担金率が千分の二十四、合計で千分の四十八という状況です。それから自治省はどうかということで自治省を拝見いたしましたら、自治省は少し高いのでありますが、それでもなおかったしか四十、四十で八十ぐらいじゃないかと思いますが、そういう形になっている。これに対して地方公務員の場合は千分の百二あるいは百四、したがって組合員の負担が百分の五十一あるいは五十二、こういう異常に高いのがあるわけですね。  これにつきましては、先ほど古屋委員指摘されたわけでありますが、藤井貞夫地方公務員共済組合理事長のほうから出ております要望書によっても、地方公共団体の負担金については、国において所要の財源措置を講ずるものとすることということがございまして、非常に高いものについては、地方公共団体の負担の割合を高める。その分については国が所要の財源措置をするということであるならば、これは交付税を使うというような方法をもってして——先ほど鎌田さんが言ったように、低いほうから取ってプールしてと、そういう方法でなしに、これは交付税でもって高い部分については措置することによって、地方公共団体の持ち分をふやすという形で、これはやろうと思えばできるのですよ、自治大臣の判断で。こういうものについてはしばしば附帯決議もついておることでありますから、これは鎌田構想のようなけちな方法でなしに、自治大臣の責任において、著しく高いものについては上限措置を設けて、その分は自治省として財源負担をするということは私はできると思うのですね。  それから、ついでに申し上げておきますが、先ほど長野局長が、地方公務員の福祉に対してビジョンはないかという古屋委員の非常にりっぱなお尋ねに対して、ビジョンとしてあまりりっぱでないビジョンをお述べになりましたが、ただ住宅については積極的に何とかしたいということを言われました。  そこで大臣、ときあたかも人事院勧告の時期に当たります。ここ二、三年の人事院勧告の中でいつも問題になりましたのは、住宅手当を織り込むか織り込まぬかという問題です。これにつきましては、民間の状況がほぼ五割近く住宅手当を出しておるという状況がある。しかも五割をこえないからというのでここ二年間人事院勧告の対象にならなかったわけですね。せっかく長野局長が、地方公務員の福祉に関して住宅の問題については積極的に取り組みたいというビジョンを言われておるわけでありますから、この際人事院勧告の時期に当たって、自治大臣として、少なくとも住宅手当については本年度は創設すべきである、人事院勧告の中に織り込むべきだという主張をやってもいいんじゃないかと私は思う。もちろん、人事院勧告の率が、民間賃金の本年度の状況からいきまして少なくとも一一%くらいの人事院勧告を出さなければならぬということが問題になっておりますが、それに対するお考え方もお尋ねしたいと思います。それに含めて、少なくとも住宅手当については長い間の懸案であるから、ことしは解決をしたらどうか。自治大臣が国家公安委員長をかねております時代は、自治大臣兼国家公安委員長は、警察職員給与の改善についてはしばしば人事院に申し入れを行なっておるようでありますが、幸いというか、不幸というか、本年の自治大臣は国家公安委員長を兼ねておらぬわけでありますから、そういう意味では、地方公務員の立場に立って意思表示することは、これは適当だと思います。また、警察等の問題については考慮することなく、地方公務員全体の福祉についてこの意見具申をするのにはたいへん都合のいい立場にもあるわけでありますから、あわせましてこの住宅の問題に対する大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  60. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いまの山口さんのお尋ねにお答えしますが、第一問の短期給付最高限度額を設定して、その限度をこえる負担に財源措置をしなさい。これは先ほど野口さんにもお答えしたのですが、ごの法案提案の際に、役所としてもいろいろこの法案にない問題の将来問題をどうするか。そこで附帯決議という問題を軽視しているのではないかというおことばがありましたので、そういう問題についてやはり私は事務当局と話し合ったのでございます。特にいま山口さんから短期の財源措置ということを取り上げてお話しになりました。私は、さっき公務員部長からお答えし、たそうでございますが、その方法一つ方法でございましょうが、その実態をながめますと、この最高限度額を上限を一つきめておいて、そしてその限度をこえる負担につきましてはそういういろいろな手順とかあるいはよそからひねり出すようなことを考えるのも方法でしょうが、そういうことを考えないで、端的に山口さんの御指摘どおり、交付税その他財源は別といたしまして、やはり財源の措置を講ずるというのが妥当だと思っております。この点は、そういうふうにやるということをお答えいたしておきます。  それから第二の点でございますが、住宅手当の問題を人事院勧告の中に織り近む、これも重要な問題であること私も了解できますが、人事院は独自の見解で勧告するところでございますから、人事院に自治省からそれを持ち出しましてどう取り扱いをいたしますか、——しかし、そういうこともやはり給付の問題の一つの大きな措置でございますから、適当な機会にそういうことを伝えることはやぶさかでない。しかし、人事院は、もう私が御説明しませんでも、ほかの役所が動いたからといって動かないような、独立の機関として立っているところでございますから、その結果はどうかということにつきましては、もちろんお約束はできない上に、私も予想もできないことですが、その御意見はわれわれとしても十分考えてみたい、こう考えております。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 短期給付の財源率の著しく高い市町村職員共済に対する財源措置を、自治省としても、鎌田さんのような構想でなしに、ひとつ思い切って取り組んでみたいという大臣の言明はたいへんけっこうでございまして、その点はひとつ少なくとも明年度においては実現できますように、これは特にお願いをしておきます。  それから人事院勧告の制度につきましては私どもも十分承知をいたしております。ただ、自治大臣兼国家公安委員長の時代には、しばしば警察職員に対して特にその給与の改善に努力してもらいたいという要請をやったという過去の歴史があるわけです。せっかく長野局長が、地方公務員の福祉の中心に住宅の問題を置いて取り組みたいということを言われたものですから、そういう考え方自治省部内であるならば、かねがね問題になっている住宅手当についても、何らかの形で意思表示をされることもいいんじゃないか、こういう気持ちで申し上げた次第です。しかるべき機会がありましたならば、ひとつ人事院のほうに要請していただければ幸いだと思います。
  62. 野口忠夫

    ○野口委員 時間がないようですから、いま五分ほど大臣に申し上げたいと思います。  だいぶ附帯決議附帯決議と言われて大上段に振りかぶりましたが、附帯決議それ自身も、いろいろな意味で生まれてくることもあろうと思いますから、すべてがすべてというわけではないですけれども、やはり附帯決議の精神の中で共済制度考えた場合に、抜けているのはやはり国の責任というものがもう少し明らかになるような時期に来ているのではないかということについて——自治大臣のお気持ちはわかりましたが、具体的にはなかなか実現しないのが現状である。短期給付についてたいへん力強い御発言をいただきましたが……。  私はこれはあとでまた質問をしたいと思いますが、今度の通常国会の予算委員会で共済組合の長期資金の問題につきまして大蔵大臣に質問があったわけでございますが、この質問に対して大蔵大臣の答弁は、年金の積み立て金、いわゆる長期資金の責任準備金として積み立てられる金の運用にあたって、資金運用の面で五〇%というものが国家的な資金として使われておって、福田大蔵大臣はその答弁では、共済組合年金の積み立て金等が財政投融資の原資として国家財政の運営上きわめて重要な資金として扱われておって、現在日本の経済成長世界一といわれるようなこの経済の繁栄の基礎をなしているものの一つに共済組合の年金資金の運用ということがあげられておるわけでございます。いわば共済組合資金というものによって、地方公務員の一人一人が老後における生活の保障をされるというばかりでなくて、積み立てられたその金の運用によって国の繁栄、発展というものの基礎に非常に大きな貢献をしているんだという大蔵大臣の答弁もあるわけでございます。零細な給与の中から積み立てていく掛け金の中から国家に対してそうした大きな貢献をしているとするならば、私はいわば社会保障制度というものが、本人の責めにならない働くことのできないような状態、老人、疾病あるいは遺族、こうしたことに対して国が大きな責任をもって見てやるという社会保障制度の根本的な理念、根本的な原理というものを、私は国の財政の中で十分考えても、いまの日本の経済状態を見、財政状態を見る中では当然ではないかというように思われるわけでございます。大臣の先ほどからそうした時期に来ているというお話もございますし、重ねて申し上げますが、長期資金に対する国庫負担の導入、短期資金に対する公費負担制度について、四十五年度予算編成も間近であるとするならば、こうしたものを背景とする共済資金というものの運用面の中でもひとつ自治大臣の発言があってしかるべきではないかと思うわけでございます。何か過疎過密というような問題が、あすも参考人を呼んで過疎の問題についての意見を聞くということがあるようでございますが、地域格差の拡大、そうした中での繁栄、捨てられていく地域の者の悩みというようなものを考えた中で、国民大衆のこうした共済組合制度等に対するあたたかい思いやりというものを持っていくというのは、私は地方自治に責任を持つ自治大臣の最も大きな責任ではないかというように思いますので、さらに一段と御努力を願って、国庫負担の導入の問題につきましては、来国会あたりには実現するような方向でのお進め方をお願いして、大臣に対する質疑を終わりたいと思います。
  63. 野田武夫

    ○野田国務大臣 共済長期資金の問題、積み立て金の運用のお話がございました。これは私が御説明しなくても野口さん十分御承知と思っておりますが、大体三分の一は地方債に回している。おおよそ五〇%くらいを住宅の資金のほうに回しているようであります。それから、おそらくはかの福祉事業に二〇%くらい、または年金の支給額、こういう運用をいたしておるようでございます。的確な数字は事務当局がわかっておりますから……。  そこで、いまお話しになりましたように、私は年金制度が社会保障制度の一環として重要な位置にあるということもよくわかります。この年金制度の本来の目的は、いま御指摘になったとおりでございます。老後の生活、あるいは病気に対してどうするかとか、残された遺族の方はどうだ、これはもう当然のことでございます。そういうことは十分加味してやるべき性質のものでございます。各種の年金もおのおの同じような使命を持っておりますが、ここのところで、先ほどからお話がありますとおり、各種の関係ではなかなか地方公務員共済制度だけでうまくいかなかった点も——これは決してみんないいと思っておりません。何とかしなくちゃならぬと思っておりますが、いままでなかなか実現できなかった例が多くあることも認めます。これはひとつ御了承願いたい点もあると思っております。しかし、いま御指摘になりました長期の公的負担の問題、これは私はもう附帯決議の線に、そのパーセントはどうだということは申しませんけれども、もうその時期に来ているということを先ほど野口さんにお答えしたのもそのとおりでございます。また短期の財源措置につきましては、野口さんに、また特に具体的に私は山口さんの御質問にお答えしましたが、これはどうしても、特に私としては短期の財源措置実施しなければいかぬ、やるべきことだ、こういう考え方を持っております。それで、あらゆる問題をとらえますとたくさんございますが、少なくとも附帯決議にあらわれたお考え方というものは、私ども自治省といたしまして、また政府全体といたしまして取り上げて、全部一ぺんにはできませんけれども、一つ一つでも解決していきたい、私自身も相当熱意を持っております。きょうの御意見をよく拝聴いたしましたから、それにできるだけ沿うようにみんな一緒になって努力していきたい、こう考えております。
  64. 野口忠夫

    ○野口委員 事務的な問題は政務次官からもまたお答えいただきたいと思いますが、前に河上委員からも御指摘があったようですけれども、なかなか共済組合法というのは、経過措置等もありまして、その点については全く技術的な問題になってきてわかりにくいところで、ちょっと私の勉強不足もあると思うのですけれども、実にわかりにくいところが多いわけでございます。今回のこの改正法案の名称でございますが、これは昭和四十二年度、四十三年度、いまやっておるのは四十四年度でございますが、四十二年度、四十三年度、四十四年度、四十五年度、四十六年度、四十七年度、四十八年度、これはずっと法案としてついてくるのかどうか。いままでから言いますと、四十二年度において改正が行なわれ、四十三年度はそれの一部改正、四十四年度はそれのまた一部改正であるべきだと思うのですけれども、この名前から大体私——ちょっとつまらぬ質問かもしれませんが、お教えいただきたい。
  65. 長野士郎

    長野政府委員 四十二年度、四十三年度というのが、現在の——どういいますか、昭和四十二年度及び昭和四十三年度における地方公務員等共済組合法規定による年金の額の改定等に関する法律というのが現在あるわけでございます。これはもちろん表題の示しておりますように、四十二年度と四十三年度の年金額の改定でございます。今度の法律案はこの法律の中に四十四年度分を入れるわけでございます。この法律の中へ四十四年度分を入れまして、と申しますのは、年金額の改定は四十二年度から一貫してやっておりますから、そこで四十四年度を入れまして、そして法律を直すといいますか、そのラインの中へ乗せていくということでございますので、この関係資料の中の法案のほうを見ていただきますと、題名から直していく、そして四十三年度の次へ、いままで四十二年度及び四十三年度となっておりますものですから、それに及びをつけるのは都合が悪いものですから、四十二、四十三年及び四十四年度における、こういうふうに直しまして、いままでの四十二年度、四十三年度の年金額の改定の法律の中に四十四年度を押し込むことによって四十四年度の年金額の改定もその改定方式に乗っていく、こういうことをいたそうとしておるわけでございます。御指摘のとおり、この法律は非常に複雑な体系をとっております。私どもが、恩給法の額の改定に伴いますものは、むしろこういう改正をしなくても、それが必要だというなら自動的に直っていってもいいじゃないかという感じも実はするわけでございますけれども、それが従来からの体系によりましてなかなかそうなっておりません。   〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕 と申しますのは、従来からの引き続きで地方公務員の中にいろいろな種類がございます。一つ恩給法の準用者というのがございます。これは恩給法改正のままで当然改正になる、ここを経ないでも改正になる。それからもう一つは、市町村の恩給組合条例の適用を受けるものがございます。これは施行法改正によって自動的に改正になる。それからもう一つは、退隠料条例というのがございます。従来から退隠料条例によって退隠料を受け取る者もございます。これはこの改正の中では入りませんで、むしろ条例準則によってそれに準じて地方公共団体の条例改正改定することになる。年金年額改定の場合、このように共済法関係職員にもいろいろ種類がございますが、これも概して申しますと、おおむねこの法律の中で救っていく、こういうことでございますので、やはり年金額の改定等に関する法律という別のものをつくらざるを得ない、こういうかっこうになります。したがって、共済組合法、それから施行法、それからこの額の改定法、三つございまして、そのおのおのがからんで作動していくというようなかっこうで非常にわかりにくいのでございますが、意味はそういうことでございまして、これは四十二年度、四十三年度となっておりますが、それに四十四年を加えていく、こういうかっこうの改正というふうに御理解願いたいと思います。
  66. 野口忠夫

    ○野口委員 地方公務員共済組合法という新制度の中でものは進んでいるのだというふうに解釈するわけでございますが、いつまでも前の恩給法というものから他動的に動いてくる、そういうような中で共済組合の改正をするから、こういうような名称になってくるのだと思うのですけれども、スライド制実施をされた場合、これもまた恩給法スライド制ですから、地方公務員独自の立場でいえば、それに準拠したような方向でいくようなことになるのでございますか。その辺はどうなんでございますか。
  67. 長野士郎

    長野政府委員 スライド制につきましては、現在のところは言ってみれば過渡期でございまして、多くの地方公務員の中に恩給法の適用を受けている期間と、それから共済組合法になりましてからの期間を経ている者があるわけでございます。恩給法の分は恩給法の分で計算をする、共済分は共済で計算をするということになりますから、恩給のスライドは恩給のところに及んでいくということになりますが、共済としてのスライドというものを考えます場合に、恩給に準ずる方式をとるか、おっしゃいますように共済独自の方式をとるか、恩給に準ずる方式をとりますと、恩給法部分のスライドが適用になると同時に、こっちのほうも準じてしまうわけですから同じようになりますが、恩給法で適用しますとそれは恩給法だけの適用になる。詳しいことは私もよくわかりませんが、そうなると思います。共済分は共済で独自の方法をとれば、これはこちらのほうでスライドする。これはスライドの取り方の問題になると思います。しかし、全体的に考えました場合には、そうではなくて、スライドの考え方が全く違うものになるかならないかということになりますと、これはやはり公的年金という一つの共通した考え方がございますから、やはり似たような方針になっていくということにはなると思いますが、おっしゃいますように、それが自動的にと申しますか、恩給法に準ずるという形のもので考えていくべきものなのか、共済としての独自の性格をその中に与えながら考えていくべきものかという問題につきまして、やはり趣旨としてはお話のように共済独自の考え方が独自に盛られるべきではないかというふうに私どもは思っております。
  68. 野口忠夫

    ○野口委員 どうも、わかったようなわからないようなことでございますが、私もまた勉強して……。  今度の改正案の第一の、恩給法に伴う中で三本立てのものを統合しまして一律に七三%を増額した、こういうことでございますが、今回の改定措置によって——この前の三本立てというのは高齢者優遇措置というような意味で割合が違っていくような方向でできたと思うわけでございますが、今回の一本立てになりますと、高齢者に対する優遇措置というもの、これはベースの問題等も関連いたしまして、早くやめた皆さん方のベースの問題等を勘案してこうしたような措置がとられてあったと思うのでございますが、一本立てにすることによって高齢者優遇措置というのは失われてくるのではないかというふうに思いますが、その辺は自治省の見解はいかがでございますか。
  69. 佐野政一

    ○佐野説明員 今回のベアによりまして、いままでの、年齢によってベアを区分しておりました取り扱いを改めまして一律にしております。そうした関係からいたしますと、実際のベースアップの率が、先年に比較いたしまして、六十五歳未満が二一%、七十歳未満が一二%、七十歳以上が七%というようにアップ率の違いが出ております。  ただ、いままでの扱いにつきましては、実は恩給制度におきましてその高齢者の優遇措置といいますか、遺族取り扱い等に配意されてこのような措置がとられたというように聞いております。また、その面についてある程度財政上の意味もあったように聞いております。ただ、今回これを一本化したということにつきましては、恩給審議会でこういう年齢による区分をすべきでないというような御意見を出されて一本化されたというように聞いております。  実は共済の年金のベアにつきましては、共済法施行前の旧制度期間については恩給取り扱いに合わせましてこの年齢による区分と同様なベースアップのしかたをしておりますが、共済制度の適用を受けた組合員期間につきましては一律の取り扱いをしてきております。そうした点からいたしまして、今回恩給で一本化されましたので、共済のほうにおきましても、旧制度期間分、新法期間分というものを区分せずに一律に上げられるようにしたわけでございます。
  70. 野口忠夫

    ○野口委員 私は自治省意見を聞きたいわけなんですが、恩給局のほうではそういう精神であったかと思うのです。しかし、自治省としては、高齢者を優遇してやろうというその背景は、昔退職なさった方々のベースの問題等もあって、現実的には年金というものが非常に少額で困っていらっしゃる、だから高齢者に対しては、そういう意味ではベース改定のときにあたたかく見てやろうではないか、こういうことであったろうと思うのです。それが今回、恩給審議会のほうではこうだからということで、一律にそれがどっと流れてくるわけですね。地方公務員共済組合法というものの中での立場からいえば、地方公務員としての立場でのものの見方、考え方が、その主管するものが自治省であるとすれば、恩給法というものによっていつも改正するということの中には、自治省としての見解と食い合わないときも出てくるのじゃないかと思うのですが、ただいまのような問題は、高齢者優遇措置というものは、これはスライドの問題とからみ合わせてこうしたのだという先ほどの答弁がございました。なるほどスライドということになれば一律もあるかもしれません。しかし、高齢者を優遇しようとした原因というものは、その一律にしたスライドの問題とは別個にまた考えるべき問題でもあろうと思われるわけですけれども、それが一律に、恩給局がこうなってきたから自治省はこうだということになってくると、地方公務員共済組合法を改正するという立場と恩給法改正する立場というのは、これは昔の幽霊みたいなものですね。それが足を出して現代の町の中を大手を振って歩いているようなかっこうになってくるように思われると、本末転倒して恩給をもらっているのだということになってしまやしないかという感じがするのですけれども、その辺の御見解は、ただこう、ああそうかと受け取ったのか。いやちょいとひっかかるなと言うて局長の頭の中で種々検討なさったのかどうか、その辺のところをちょっとお聞きしたい。
  71. 長野士郎

    長野政府委員 今度の改正は、実はざっくばらんに申し上げまして、従来の方式と同じでございまして、恩給法改正に伴う改定という一つのパターンがございますから、そのパターンに従っておるということでございます。いまお話しがございました高齢者の部分についての優遇措置という観点からのお話でございますが、それは共済の場合にはどうなるかということになりますと、私どもの受け取っております考え方では、そこが恩給制度共済制度との——いい面か悪い面かは別にいたしまして、ある面の違いが出てくると申しますのは、共済はやはり職員の相互共済という考え方で、使用者のみならず職員掛け金をかけておる。そうすると、その掛け金のかけ方は、その人の俸給額あるいは勤続年数というようなものによりまして、一定の割合で、漸次長期在職者とかそういうものについてはいわゆる年金給付率が上がっていくというような形で共済というものは保険数理を行なっているわけであります。したがいまして、そういう共済というものの中では、まだ現在共済制度は何ぶん若うございますから、その共済制度自身からいいまして、そういう高齢者優遇ということにまでまだ考えがいってないという点はあろうかと思います。また、現行の共済制度自身はそういう考え方でなくて、むしろ共済本来の保険の公平ということだけで算定をしておるという考え方に立っておりますから、そこで恩給考え方と共済の考え方は、そこでは非常に違った制度がいま恩給法改正に伴うものとしてくっついておりますけれども、元来共済一体になりました姿を考えました場合には、またそういうことは共済制度として受け入れられるのか受け入れられないのかということは、別個の観点から考えてみなければならないことだろうと思っております。
  72. 野口忠夫

    ○野口委員 恩給法に準じてやるとなれば当然それだけで終わるわけですけれども、地方公務員共済というものは相互共済であって、財源率を計算しながらやるのだ。恩給法というのは年度年度ごとに出してきたものだ。そういう費用の問題についてはこれは違っておるかもしれないと思いますけれども、そこの捻出のところは違いますが、そこで受けておるものも、これは恩給法によって受けておるのではなくて、やはり地方公務員共済組合法の中での一環として与えられておる。精神としてはそういうことになってこなければならぬのじゃないか。そうでなければ、両方にかかってくるものがある。これも別個な立場になってくるわけですけれども、その辺のところを考えますと、どうも恩給によってのみ動く地方公務員共済組合法の改正案というものですね、これはこの辺でやはり共済組合独自の立場でそういう恩給部面を考えていく、その経費の捻出については新たに考えるという中でやっていかないと、何かほかの力でいつも動かされておって、高齢者の問題については考える余地がないという状態になってしまっては、現実に古くやめた人と新しい人の間での格差という問題を考えますと、十年たったら全く違いますから、ある時期においてやめた方とある時期においてやめた方との間の差が非常に大きな差があって苦しんでおる方が多いわけですから、そういう意味で私は共済組合制度の中の一環として高齢者も考えるという方向があってしかるべきではないかと思うんですけれども、現在のようなお話だけでいけばそういうことは全然出てこない。恩給法改正ということに引きずられるだけでは若干不満だということを申し上げておきたい。  時間がありませんから端的お聞きしてまいりますが、先ほど附帯決議を申し上げまして、それに対して大臣から力強い御答弁をいただいたわけでございますけれども、現在長期給付制度についての国庫負担というものはばらばらであるという問題、厚生年金関係では二〇%、私学共済では一六%、こういうように国庫負担の制度がばらばらであるということについて、これは国庫負担制度を導入するという立場から言って、おかしいじゃないかというように思いますが、厚生年金関係——厚生省、あなたのほうは二〇%という高額の国庫負担を見ておりますから何も文句がないのかもしれませんけれども、この二〇%という高率を与えられておる厚生年金関係というのはどういうことなんでございましょう。  それから、文部省おりますか。文部省のほうの私学共済二八%。農林共済おりますか、それをひとつ、なぜそう国庫負担制度の割合が変わっておるのかを御説明願いたい。
  73. 八木哲夫

    ○八木説明員 年金制度の国庫負担の問題でございますが、先生指摘のとおり、制度によりまして非常に負担率が違っておるわけでございます。これがどうあるべきかというのは非常にむずかしい問題でございまして、それぞれの制度の歴史、沿革等がございますし、制度の仕組みがそれぞれ違う。したがって、率だけでは必ずしも判断できないという問題もございますし、厚生年金でございますと、たとえば、確かに給付の率の面で見るということになっておりますが、一人当たりの実額ということになりますと、厚生年金の場合は全期間の標準報酬をとる、最終給与をとらないという、あるいは定額部分があるというような面から申しますと、一人当たりの実額という面になりますと、はたして高いかどうかというような問題もございますし、確かに先生指摘のように各制度、仕組みがそれぞれ違うという点もございますが、制度それぞれがばらばらになっております。これは年金制度といたしまして、将来一定のルールを持つべきだというのは当然のことでございます。現在の公的年金制度調整連絡会議等でも、スライド等の問題に関連してそういう議論も出ておるわけでございますが、いろいろ制度事情なり歴史なり沿革もございますので、、なかなか簡単に結論が出ない問題ではないかというふうに思います。
  74. 石川宗雄

    ○石川説明員 お答えします。  私学共済の国庫負担補助率が地共済等に比べまして百分の一高い。また、別途に財政調整補助として少額の補助が行なわれておる。これは三カ年度にわたりまして補助されまして、現在総計一億円になっておりますが、その理由は、昭和四十一年度に国共済の給付水準に私学共済の給付水準を近づけるために行なった改正、それから、ただいま国会に提案しておりまして、四十四年度に予定しております制度改正、そういったような結果、将来の給付費用の増加が予想されますので、そういうことを勘案いたしまして、その結果百分の一高くなっておる、こういう事情でございます。
  75. 小野重和

    小野説明員 農林共済組合につきましては、従来から、私学共済とおおむね軌を一にした取り扱いをしておりまして、御質問の点につきましては、ただいま文部省から御答弁いたしましたことと同じでございます。
  76. 野口忠夫

    ○野口委員 私学共済関係のほうも、農林共済の関係のほうも、厚生年金が二〇%になっておるんですから、二〇%にしたいという要求はお持ちにならないんでございますか。
  77. 石川宗雄

    ○石川説明員 その点につきましては、ただいま国会に提案されております昭和四十四年度における私立学校教職員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案、これが衆議院の文教委員会で可決されました際に附帯決議がつけられまして、百分の二十の国庫補助をすべきでないか、こういう附帯決議が出まして、文部大臣も趣旨を尊重しまして検討したい、こういうふうに御答弁になっております。   〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕  なお、前の国会とずっと連続、ここ二、三年の間、百分の二十ということは附帯決議をなされておりますし、もちろん国庫補助の予算要求もいたしております。そのときには、結局国共済並みといいますか、国立学校の教職員あるいは公立学校の教職員と同等の手厚い長期給付をしたいというところから、また組合員掛け金負担を少しでも軽減したいというような趣旨から、要求はいたしております。なおまた、今後も要求に努力をするということになっております。
  78. 小野重和

    小野説明員 農林省におきましても、従来から二割の補助にいたしたいということで予算要求をいたしておるわけでございますけれども、予算折衝の過程におきまして、厚生年金共済とでは給付水準が違うというような理由で実現を見ないということでございますけれども、今後とも努力したいという考えでございます。
  79. 野口忠夫

    ○野口委員 地方公務員の場合よりも非常に高いところ、若干高いところ、そういう国庫負担率を持っておるところも二〇%の要求をし、附帯決議で、だいぶ本気になってやるとおっしゃったのですけれども、当委員会附帯決議実施状況はあまりよろしくございませんから、どうもその実現性について怪しく思われるようでは困るわけでありますけれども、私学共済のその努力はわかります。地方公務員については、一体この問題についてはどのような御努力を——これは現に附帯決議がこの委員会でつけられ、自民党の有力な議員さんの提案説明によって行なわれておるわけでございますから、この国庫負担の——国庫負担というよりも公費負担だと思うのですが、地方公務員の場合は、国庫負担というのはあるわけですか。
  80. 長野士郎

    長野政府委員 地方公務員の場合は国庫負担というものはございません。それは地方公務員共済制度ができます際に、いわゆる公的負担部分としての考え方は、国、地方でも財源計算をして考えていくという限りにおいては同じではないかという議論で、公的負担ということで、国家公務員の共済につきましては、国がいわゆる国庫負担としての一五%、地方共済につきましては、地方が公的負担としての一五%、こういうことに相なっております。
  81. 野口忠夫

    ○野口委員 地方公務員に対しては国が負担をするということがない。地方交付税の中で一応一五%見てやる、こういうことでございますけれども、地方交付税というものの中からこの共済年金の負担分を見ておるということは、国が負担しているということの意味とは全く違うのではないだろうか。地方交付税というのは、もともと地方自治体の財源であるという意味からは、そこに住んでおる地域住民のために全体として使われるべきものであって、ある一部の人間のためにあれが使われることについては若干疑義があるのではないか。ただ、同じような税金で出すのだからという理屈で言うておるようですけれども、他のほうの共済には国庫負担が二〇%ある、一六%ある、しかし地方公務員に関しては国庫の負担というものが全然ないということについては、この共済制度を運営していくにあたりましても、いろいろな意味で問題が残っておるように思います。予測されざる将来における給与の問題とか、あるいは恩給に伴うところのベースアップの問題等によって、地方公務員の財源率の中に影響を与えるような計算を進めつつあるようなところもあって、この前の国会の答弁によりますと、そうした問題については、若干であるからけっこうだ、いわば新法部分についての増額分については、パーセンテージも低いから、これはそのままでもだいじょうぶなんだというような御意見がございましたが、年を経るに従ってこれは多くなってくるのじゃないかと思います。昨年度とことしはどのように違うのか、お聞きしたいのですけれども、こうしたような問題もある中で、国が負担する部分が全然ゼロであるということについては、これは他の共済から比べますと、非常な不公平ではないか。社会保障政策の公平の原理からいっても、これは世界的にも問題ではないだろうか。そういう意味では、国庫負担制度というものは、国民の老後、疾病あるいは遺族等の問題について国が責任を持つのだという国の立場において行なわれているものが、いわば社会保障制度の根本的なものとしてこれは世界的に認められているし、そういう制度ができつつある中での問題として、やはり長期給付の問題についての国庫負担制度を導入するという問題は、これは日にちをかけておく問題ではなくて、厚生年金二〇%、国家公務員共済組合の場合は、たしかもとは一〇%であったはずで、厚生年金が一五%だったからこれを一五%に引き上げたのです。今回の二〇%という問題については、地方公務員についても同じようにその実現をはかってやるのがしかるべきではないかと思いますので、地方交付税の中で、地方が負担する部分と国庫が負担する部分というものがここに一度も顔を出さないというあり方は、やはり国庫負担制度の統一的なあり方として問題ではないかというふうに考えますが、これの実現について、附帯決議は尊重するという先ほど大臣の答弁もありましたが、そのことについては、行政局長からは、それでやっているんだけれどもという答えでしたが、われわれとしてはぜひ実現するためにどういう具体的な方法をもって実現していくかについて、いまここで御答弁願いたいというふうに思うわけです。
  82. 長野士郎

    長野政府委員 地方公務員共済制度については、先ほどもお答え申しましたように、その発足の当初におきまして、いわゆる公的負担というものをどう考えるかという議論は、御指摘のとおり確かに一番大きな問題としてあったというふうに私ども聞いております。この点についてはいろいろな意見議論がありますが、おっしゃいますように社会保障制度の一環として考える以上は、国の経済の中で国の負担において実現をしていくという部分があってしかるべきだという議論が一番強い議論であったわけでございます。その点につきましては、いろいろな行財政制度全般との関連もありまして、結局、そういう意味での、広い意味で国、地方というものが公的負担というものを考えていくという趣旨は変わらないのではないかというような考え方議論のもとに、公的負担部分というものの国の一五%持ちますものを、地方団体として一五%持っていくということに決着を見て現実に及んでおるかっこうになっております。この点につきましては、私どももいろいろな機会にそういうものの考え方、基本的な検討というものはいたしておりますけれども、これを国のほうに切りかえていくということは、現在の状況としては非常に困難ではないか、こういうふうに思います。  ただ、この一五%を二〇%にしていく問題、これは自治省としては毎年二〇%ということで財源措置考え、財政計画を立て、そして要求をいたしております。関係各省——これは地方公務員といたしましては教育公務員もございますし、警察職員もございますし、それぞれのところで、義務教育なんかでは国庫負担がございますから、文部省におきましてもそういう予算要求を一斉にしていただきまして、そして毎年折衝に当たっておるわけでございます。現在のところ、率直に申しまして、国のほうが一五%を二〇%に上げるという意思を四十四年度の予算編成におきまして全く持っておりませんということで、ついにこれの実現を見なかったという状況に実はなっておるわけです。しかし、今後とも一五%と二〇%の関係につきましては、いろんな議論のしかたがございますけれども、確かに片一方が二〇%であってこちらが一五%であるというのは、どういう説明であるにいたしましても、要するにこれからの財源率というものはますます高くなる傾向がありましても低くなるという見通しはないわけでございますから、引き続いて努力してまいりたい、こういうことだと私ども考えております。
  83. 野口忠夫

    ○野口委員 時間がなくなりましたので、最後にしたいと思うのですけれども、先ほど短期給付の問題について、市町村共済組合の中での掛け金が——これはこの前の国会の答弁など見ますと、ごく二、三件であって、経営の問題あるいは本人の自覚等の問題によっていま着々解決に向かっている、だから御心配をかけるようなことはだんだんなくなるんではないかという期待感の中での御答弁しかなかったように思います。しかし現実は、むしろこの負担率は昨年度よりも増してきている。いわば千分の三十五という上限措置考えられている共済組合もあるわけです。それに対して考えますと、百をこしているいわば両者合わせて七十以上の市町村というのが大部分ではないかと私は思うのですけれども、そういう状態の中でこの問題を何らなすことなく過ごすことは、はなはだ遺憾に思うわけです。自治大臣は先ほど、この問題についてはやはり公費という問題について措置する時期にきているのではないかという答弁があったわけですが、鎌田さんの御答弁によりますと、十年一日のようなお答えであったわけでありますが、あの大臣の答弁からいえば、鎌田さん、いまの心境はいかがになられましたか。なかなか大事でございますので、あとで入れ知恵をしないように、ひとつあなたから似たような御返事をいただきたいのですが……。
  84. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 四十三年度と四十四年度と、市町村共済の短期の財源率を簡単に見てみますと、四十三年度末におきましては財源率一〇〇をこしましたものが七団体ございます。それが四十四年度末におきましては、先ほど読み上げました五団体でございます。たとえば青森県は、昨年千分の百十であったわけでございますけれども、今年度は百二に相なっております。掛金率にいたしまして千分の四ダウンをいたしておる。あるいは大分県でございますとか、あるいは秋田県というところが、前年は千分の百であったわけでございますが、これがそれぞれ九十八あるいは九十九、若干はダウンをしておる傾向はございます。これはやはり健保短期財政の好転、こういうこともございますし、あるいはまた、この中身は毎回申し上げておるわけでございますけれども、やはり給付内容との相関がございますし、そういった面もからみ合って考えてまいらなければならないだろう。したがいまして、私いままで考えておりましたのは、ある程度そういった情勢が落ちついたところでこの財源対策をどう考えるかという腹づもりでおったわけでございます。その場合に、先ほどの話がございました自治省といたしまして、財政調整資金の構想を打ち出したものでございますから、それを申し上げたわけでございますけれども、先ほども私はそれを一つだけ申し上げなかったつもりでございまして、別途地方団体の財源の中から財源措置をするという二つの案を申し上げたつもりでございます。先ほど非常にはっきりした大臣の御指示、御意見もございますので、その線に従いまして私ども努力いたします。
  85. 野口忠夫

    ○野口委員 それはわずかずつ下がっているということなんですけれども、ぼくが調べたところでは、やはり千分の三十五という上限のある健康保険組合ですか、それ以上は使用者負担、これ以上はやってはならないということになると、千分の三十五もやはり基本だと思うのですね。その三十五を基本にして考えた場合のあなたの言う青森が百十から百二に下がったからなんということは、これは下がった分に入らないのですね。とにかく七十以上の団体を見たら、とてもちょっとやそっとの団体ではないですね。やはり上限措置なんかはきめるべきではなかったか。上限をきめて、それ以上かかった分は、よく鎌田さんは給付内容がいいと言いますけれども、給付内容がいいということはどういうことですか。なるべくいいほうがいいんじゃないですか。これを悪くして掛金率を下げたり負担金を下げたりすることでは、これはおかしいじゃないか。やはり青森は日本の国で一番医療制度が完備している。だから非常にお金が使われた、けっこうなことだ、こう言うべきものを、それを下げろ下げろと言うたり、折半だからそれでやりなさいと言うたり、こういうことで、せっかく伸びてくる、だんだんふくれ上がっていこうとする社会保障制度をだんだんおっ詰めていくような方向でのものの言い方はなさらないで、先ほどの大臣のような、やはりこのままの状態の中でそれを七十で押えるためにはどうするかについて、地方財源で見るというようなことも答えたとおっしゃいましたからわかりましたけれども、そういうこともひとつお含み願ってやっていただきたいと思います。  それから、山口委員が前の国会で質問したのですが、全然掛け金が掛け捨てになる共かせぎの場合ですね、これを財源率の中では計算していないというような姿があって、あとから資料を提出しますというようなこともあったようですけれども、共かせぎの場合、だんなさんよりも奥さんのほうが給料が安い場合はいいけれども、高い場合には掛け捨てになる、こういうお話の中で、掛け捨てになる部分について計算をしていないような御答弁があったのですが、あれはいま計算済みでございますか。
  86. 佐野政一

    ○佐野説明員 ただいまの遺族の扱いにつきまして、現在の取り扱いといたしましては、組合員の死亡の当時被扶養者であった者ということに限定されております。ただし、配偶者につきましては、その組合員の死亡の当時の所得を将来にわたって配偶者が上回る人であればこれは遺族にいたしませんが、それ以外の人については配偶者で遺族にするという扱いをしております。そうした点で厚生年金取り扱いと若干違っております。  ただ、ただいまの御指摘の財源率の計算の際にそうしたものを入れていないというお話でございましたが、私どものほうの財源率調査では、実際の遺族の状況を考慮してやっております。そうした点で掛け捨てになるから財源が浮くということにはなっておらないはずでございます。
  87. 野口忠夫

    ○野口委員 その掛け捨てになるのはどのくらいあるのですか。
  88. 佐野政一

    ○佐野説明員 その実態は調べてございませんのではっきりしておりません。
  89. 野口忠夫

    ○野口委員 それを調べないで財源率をどうして計算するのですか。
  90. 佐野政一

    ○佐野説明員 実際に出ておるところの被扶養者の数、それから本人が退職した場合におけるところの遺族の該当者の範囲等を確認いたしまして計算しております。ですから、いまのところ法律上遺族対象にならない人、そういう人についてはその調査の段階でのぼってこないわけでございます。
  91. 野口忠夫

    ○野口委員 その方も掛け金は出しておるわけですよ。掛け金はずっと出してきておるわけですから、掛け金のほうには計算しておるわけですね。それでその方に遺族年金が出ないということについての数はわからぬ、支払うほうのところは全然わからぬで、取るほうだけはわかっておる、なるほどおっしゃるとおりだと思うのですけれども、そこに使われなかった金というものは、掛けているのですから、必ず全体としてどこかにそれは利益を与えておるはずです。それはちょっとおかしいですね。
  92. 佐野政一

    ○佐野説明員 これは社会保険といたしまして実際の給付すべき額というものを全体で計算しておるわけでございます。ですから、個々の人について、掛け金をした、しかしその人についての給付内容については、個々のアンバランスが出てくるだろうと思います。しかし、この財源率の計算の上では、これが個々の人のそうしたアンバランスが出ずに、全体の給付内容として出てまいります。また、その所要財源というものを在職する組合員に案分して掛け金なり負担金を取る、こういうことになっておりますので、その段階ではやむを得ないのじゃないだろうか、このように考えます。
  93. 野口忠夫

    ○野口委員 それはどうもわかりませんな。掛け捨てになっている方が何人いるかわからぬということですね。本人は組合員ですよ。俸給から天引きで引かれておるわけですね。いざ御主人がなくなった。自分は給料が高かったから、その意味での遺族年金が全然いかない人が何人あるのだ、このことは全然わかりませんということは、法というものは、それが金科玉条ではございませんから、参考までに私はお聞きしたいと思いますから、何らかの方法でひとつ調べていただいて、これはこの前山口委員が尋ねられて資料ができることになっていたはずですから、それをひとつあとでお見せ願いたいと思います。  まだ問題がたくさんあるわけでありますが、ちょっとよけいな質問などにも入りまして十分意を尽くせませんが、なお同僚委員があとから質問があるそうでございますから、その際に関連等でまたお聞きしたいと思います。  終わります。
  94. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 午後一時四十分に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時七分休憩      ————◇—————    午後一時四十八分開議
  95. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  96. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 二、三お尋ねをいたしたいと思います。  古屋委員が全般的に御質問されましたが、そこで本来質問されたかったんだろうと思いますが、たまたま大蔵省の主計局の給与課長さんがお見えでなかったものですから、古屋さんは、おればきっと質問したかったのじゃないかと思いますが、そういう事情がありますので、私がいわばかわってお尋ねいたしたいと思います。  今回、満目の雇用人の通算が与野党の間で話が一致いたしまして、本日の大蔵委員会ではたぶんその部分が修正をされて可決をせられたのじゃないかと思いますが、当地方行政委員会でも、この問題につきましては、同様な趣旨で、外国政府等の雇用人の方々が地方自治体に勤務せられました場合、その雇用人期間通算するという趣旨改正を与野党一致いたしましていたしたいと思っております。  そこで問題になりますのは、これと非常に類似な問題が国家公務員についてありましょうし、地方公務員にもあるわけです。地方公務員の場合は、昭和十八年四月一日に恩給組合が設立されました。その後、昭和三十年一月一日から旧市町村職員共済組合法が施行されたわけですが、その間ずっと引き続いて雇用人として勤務をせられまして、昭和三十七年十二月一日の地方公務員共済組合法施行の際につとめておられるという方々の場合は問題ないわけでありますが、結局、恩給組合設立以前に雇用人としてつとめておられてその後おやめになった、あるいは旧市町村職員共済組合法の施行以前に雇用人として勤務されたがその後おやめになった、そして現在つとめておられる、こういう方の場合は、この通算がいまなおできないでおるわけです。  先ほど自治省の見解をお尋ねいたしましたら、自治省としては、この満目の雇用人通算をする以前に、私が指摘いたしましたような地方自治体にかつて勤務しておられた雇用人の方々の通算を行なうことのほうが筋からいえば先ではないか、こういう御見解を持っておるようでありますが、国家公務員にもこれと類似する方々があって、大蔵省のほうではこれについてはたいへん難色を示しておられる、こういうお話を聞くのであります。類似の者が国家公務員になければ、当地方行政委員会で法律改正をやってもいいのでありますが、国家公務員に類似の者があって大蔵省が難色を示しているということのために、当地方行政委員会地方公務員部分について修正をするわけにはまいらぬというのが実情のようであります。国家公務員にも、雇用人としてつとめておられてその後やめて現在つとめておられる、こういう方々、満目の場合は、これは戦争でおやめになった。そうではなくていま指摘しているような問題は、個人の都合でやめたんだ、だからそこに違いがある、こういうふうに言われておるようでありますけれども、しかし、理屈の上から言えば、満目の雇用人を通算するよりも、かって雇用人としてつとめておられた国家公務員なり地方公務員、こういう方の通算をすることが先ではないかという気を私ども持っておるのであります。この点大蔵省の御見解は一体いかがでありますか。
  97. 相原三郎

    ○相原説明員 御質問の点できょう衆議院大蔵委員会では先ほど修正可決されました。その際、政府意見といたしましては、やむを得ないということで御答弁したわけでございますが、やむを得ないと申します趣旨は、共済制度から見れば引き続かないというものについては見るべきでないという感じをやはり持っておるわけです。しかし、満目のケースにつきましては、終戦処理の一環であるという観点もあるかと思いますが、自発的なものであるということでこれはやむを得ないというふうにお答えしたわけであります。そういう観点からいたしましても、やはり共済制度から見ますと引き続かないというものについて見れないというのが大蔵省の基本的な立場でございます。
  98. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう理屈から言えば、これはもう、かって掛け金をいたしまして、ずっとしかも引き続いてつとめておる者以外は、通算をするというようなことは一切おかしいということになるわけであります。共済組合のたてまえから言えば、あるいは財源率計算のたてまえから言えば、確かにそういう理屈も通るだろうと思うのです。しかし、現実に公務員として、まあ身分としてはそれは雇用人である、正規職員である、いろいろ差はありましても、問題は、かつての恩給法は官吏という身分に対していわば恩給、文字どおり恩給ですね、という形でなされておった者が、戦後のいわば民主化によりましてそういった身分格差でもって差別をすべきでない。そういう意味では、公務員としてつとめた方々は、これは国家公務員であろうと地方公務員であろうと、さらに雇用人という身分であろうと、これはできる限り平等に扱うべきだ。ただその場合、恩給制度とは違って、今度はお互い掛け金を積み立てて、そうして財源率でもって計算をして、その財源の中から給付をやっていくという形になったと思うのでありますけれども、しかし、身分格差というものを是正して、すべての公務員に対して平等の扱いをするという趣旨からいけば、私はやはり、官吏ならば通算できたが雇用人ならばだめだとか、そういうものを手直しをしていく、終戦処理の一環として満目の雇用人について通算するということならば、国家公務員地方公務員で雇用人であったために通算されていないという者について通算をしていくということは、これは当然考えていいことじゃないかと思うんですね。いかがですか。
  99. 相原三郎

    ○相原説明員 御意見も一理あるかと思いますが、現在の共済の法体系としましては、共済の施行される前の法体系を引き継いだ形になっております。したがって、そこには経緯という問題もございますし、なかなか統一するのはむずかしい。それから、今回の満目のケースも、たしか修正の法案の中では引き続きという用語を使ってあるはずであります。したがってその点については、基本的には立場は変わってないと思います。
  100. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省の見解はどうなんですか。あわせて大蔵省のいるところで述べておいてください。
  101. 長野士郎

    長野政府委員 自治省として考えます場合には、外国政府あるいは外国特殊法人に在勤した職員雇用人期間通算する、このことが、恩給法のたてまえを準用していくということの結果、地方公務員についても直接につながって入ってくる。これはまあ戦争責任というか、終戦処理という問題であれば、これは国のほうの関係の問題でございますけれども、地方団体としても、こういう者については、やはり考えていくべきそういう該当の職員がおることでもございますから、そういうことも適当ではないかというような考え方に立ちます場合には、国とはそこのところ調子が少し違ってくるという感じは、これは常識論もございますが、どうしてもいなめないところでございます。つまり地方団体の場合には、先ほども御指摘がございましたが、特に市町村につきましては、年金制度等についての整備がずいぶんおくれておった事情もございます。したがいまして、そういうときに雇用人として一たん就職をしておりました者が、現在なお地方公務員でありますような場合には引き続かないということになっておることと両方考えてみますと、やはりその点では、地方団体の場合では、なおそういう同じ地方公務員としてつとめておりましたけれども、いろいろな事情があったと思いますが、その者が年金制度その他のいろいろな状況の中で——非常に整備がおくれておるということも、これは理由にならぬかもしれませんけれども、そういうやや制度的な面でも多少考えてみる余地がある。そういう場合に、外国政府とかそういうところの者は入ってくるけれども、地方公務員の中でなお通算すべきものとして考えてもいいような者が落ちるということになりますと、理屈はいろいろ立て方はありますが、これはやはり少しそういう意味では均衡を失するのではないかという感じがいなめないのでございます。私どもとしては、できるならばそういうことが、ほかとの関係ということもあるかもしれませんけれども、やはり地方公共団体の相互間におけるところの問題を合理化していくための一つ考え方としては、ある程度受けとめていくことも実情に即するのではないかというふうに思っております。
  102. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ですから、相原さん、福田大蔵大臣と私は同じ選挙区ですからね。福田大蔵大臣が生まれたところの金古町というのは町村合併になっていまは群馬町といっていますが、金古町役場に昭和十九年ごろ雇用人でつとめておった。その後戦争かなんかに引っぱられて、雇用人だからそのままやめて軍隊に行った。そして帰ってきて、また雇用人として今度は群馬町役場につとめた、そういう方が結局通算にならぬのですよ。同じ自治体につとめておっても、その間に雇用人であって期間の切れている者は通算にならぬというのは、これはどう考えてもおかしいんじゃないですか。片や満目の場合は、雇用人の場合通算になる、そういうことは私は筋が通らぬと思うのです。ですから、満目の雇用人通算はやむを得ぬということならば、せめてこの通算についても同じようにやむを得ぬぐらいのお気持ちは持ってしかるべきじゃないですか。
  103. 相原三郎

    ○相原説明員 私どもの立場からいたしますと、やむを得ないということは申しかねるのでございます。
  104. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それは地方行政委員会で与野党で議論をして、そういうことで一定の結論を出したいと思いますが、それはたてまえを守ることはけっこうですけれども、一つ手直ししたら、類似のものについてはあくまでもこれは違うということでは、全般的なバランスという面からいって不均衡を来たすということ、これは大蔵省の役人の方々も十分御理解をいただかなければならぬのじゃないかと思います。これ以上お話ししても同じような蒸し返しではしようがありませんから、次へ進みます。  前々から年金スライド制は問題になっておりまして、先ほども午前中議論があったわけでありますが、総理府長官が参りまして、これについていろいろ御答弁がありましたが、昭和四十五年から、恩給審議会答申もこれあり、スライド制については現実に対処をしていかなければならぬ、こういう趣旨の御答弁がございました。そうなってまいりますならば、いままでの年金は、恩給が是正されました場合に、それに右へならえして今日まで改定をやってきたわけであります。しかも国家公務員の共済組合、三公社五現業の共済組合、地方公務員の共済組合、いずれもたしか昭和四十二年だったと思いますが、大蔵委員会地方行政委員会で、年金スライド制については、政府としては統一ある機関を設置して十分実現に対して検討すべきであるという趣旨附帯決議もついておると思うのです。恩給審議会答申もございます。そうなれば国家公務員の共済組合、地方公務員の共済組合、三公社五現業の共済組合についても恩給審議会答申があり、恩給としてもスライドを考えていかなければならぬという場合には、当然これらの年金もこれに右へならえすべきである。また、そうすることが今日まで国会が付してまいりました附帯決議趣旨でもある、こう思うわけでありますが、これらの公務員関係年金に対するスライドについては、大蔵省としてはどうお考えなんですか。
  105. 相原三郎

    ○相原説明員 これは毎々同じことを答弁しているわけでございますが、昭和四十二年以来公的年金連絡会議をやりましてすでに二年間検討したわけでございます。なかなかむずかしい問題でございまして、結論が得にくいわけでございますが、目下鋭意検討中でございますので、その結論を待って検討したいと思っております。
  106. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 鋭意検討中というのですが、国会の附帯決議に沿うような形で検討して、その趣旨に沿って努力していく、こういうことでございますか。
  107. 相原三郎

    ○相原説明員 各年金間の共通の部分はどういう点にあるかとか、いろいろ技術的にむずかしい点もございますが、それぞれの法律にも調整規定が入っているわけでございますし、その法律の趣旨に沿って検討していくというのが現段階でございます。
  108. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いつごろ答えを出すのですか。
  109. 相原三郎

    ○相原説明員 けさ方も実は大蔵委員会で、おまえら何をしている、もう二年間たったじゃないかということでだいぶしかられたわけでございますが、それに対する大臣の御答弁は、それほどむずかしい問題なのだということで御答弁いただいたわけでございます。いつということを区切ることはお約束しかねますが、鋭意検討しているということでひとつ御了承いただきたいと思います。
  110. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、恩給審議会答申があって、恩給については、昭和四十五年からスライドについては着手をするのだ、昭和四十五年度予算でも考えなければならぬ一つの課題だ、こういう趣旨の答弁をされておるのですね。恩給のほうがそうであって、年金のほうがいつまでももたもたしておるということでは、これはおかしいのじゃないですか。
  111. 相原三郎

    ○相原説明員 大蔵省がその会議参加しています立場は、自治省あるいは公企体の代表の官庁あるいは恩給局がそれぞれ参加しています立場と全く平等でございまして、それぞれの所管している年金制度を代表して参加しているわけでございます。したがって、これらの調整役は総理府でございますので、われわれも実はメンバーとして促進方に協力しているわけでございますが、おかしいじゃないかということでおしかりいただいても、メンバー各自がそれぞれ合議し合うわけでございますから、この際審議を促進するということで御了承いただきたいと思います。
  112. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまの御答弁、そういう意味なら私はたいへんいいと思うのですよ。大蔵省はそれぞれの所管している公的年金会議のメンバーの一人である。先ほど私が提起をいたしました自治体の雇用人の通算等について、大蔵省のほうがかまわぬということならば、わが地方行政委員会ではどんどん修正をしていく。自治省から出ておる代表も、大蔵省から出ておられる相原さんのほうも同じだというなら、大蔵省のほうがオーケーと言わなければ、地方公務員関係の共済組合については、関連する問題については手直しができぬというようなことはなくて、地方公務員共済組合国家公務員共済組合とかかわりある問題についても手直ししていくということについては別に問題はない。単なる一律平等の代表の一人なのだというふうに理解をしてよろしいのですか。
  113. 相原三郎

    ○相原説明員 公的年金会議においては全く平等の立場でございます。それから、たとえば国家公務員共済組合がどうであるとか、あるいは地方公務員共済組合がどうであるとかいうような問題については、制度としては別ものでございます。ただし、それぞれの制度間のバランスの問題が当然ございますから、それはまたおのずから別個の観点から議論することになるかと思います。
  114. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まあ二つの顔を持っているようですな。ですから、地方公務員共済組合国家公務員共済組合があるわけですから、国家公務員共済組合のほうが先行しなければ、地方公務員共済組合制度上の問題については先走ってはいかぬというようなことではなしに、お互い平等の立場であって、ときには国家公務員のほうが先に手直しすることがあり、ときには地方公務員のほうが先行することもあるということであって、お互いに、おれのほうがうんと言わなければだめなんだということがないように、制度からいえば私はそういうことだろうと思うのです。地方公務員共済というのは国家公務員共済のあとに続いていかなければならぬ、こういうようなことはおかしいと思うのです。自治省としては、その点は一体どう考えておるのですか。
  115. 長野士郎

    長野政府委員 まあ、公務員関係でございますから、似ておるような実態につきましては、相互に関連もあることでございますので、とにかく合理的なものであります限りとっていく、それは原則としても適当だと思います。ただ、一口に国家公務員といい地方公務員といいましても、その実態の中にそれぞれ違いもございます。特殊性もございます。そういう面では相互に関係する部分もございましょうが、そうでない特殊制を重んじなければならぬという面も私はあると思いますから、そういう点につきましては、これはまたそれぞれが特殊な制度のあることが合理的であるという判断のもとに制度を改善していく、こういう考え方でいいのじゃないかと思っております。
  116. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 相原さんお忙しいようですから、けっこうです。ひとつ、何が何でも国家公務員共済組合法のほうがすべてに先行しなければならないという間違った観念だけはお持ちにならぬように、その点だけはお願いをしておきます。  時間もないようですから、幾つかのことをしぼってお尋ねしたいと思いますが、先ほど来当委員会で問題になりました短期給付掛け金にかかわる上限措置の設定につきましては、大臣の御答弁もあり、それから公務員部長の御答弁もございまして了解をいたします。明年におきましてはぜひともこの上限措置、それも百を上回るものぐらいを措置しようというようなきわめて微温的な考え方ではなく、政府管掌の国民健康保険あるいは組合管掌の国民健康保険、それから国家公務員の短期給付掛け金の状況、こういったものを十分勘案された上で、著しく高いものにつきましてはこの上限措置を設定していく、これに伴う財源措置もやっていく、こういう積極的なかまえでひとつお取り組みをいただきたいと思います。この点につきましては大臣の御答弁もいただいておりますから、内容に関するこちらの考え方を申し上げて、御要請をいたしておきたいと思います。  次に、長期給付の問題でありますが、スライド制につきましても、これは早晩実施しなければならぬことは当然ではないかと思います。そうした場合に、相当財源率が上がってくる可能性というものがあるだろうと存じます。この場合、従来と同じように公的負担が百分の十五であって、他は地方公共団体と組合員との折半負担ということであっては、長期給付の掛金率が非常に上がってまいる懸念があると思うのです。そうそう長期給付掛け金が上がったのでは、スライド制実施になった、しかも掛け金が倍になったというようなことでは、これはたいへんだと思うのです。そうなってまいれば、これは当然公的負担の割合を思い切って是正しなければ、スライド制というものは私は現実には無理ではないかと思うのでありますが、この点の考え方を、おおよそでけっこうでありますが、承っておきたいと思います。
  117. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 スライド制の問題でございますが、いかなるものをものさしにいたしましてどういう形の——いわゆる政策スライドあるいは自動スライドという考え方もあるわけでございますけれども、どういう具体的な形でスライドを行なってまいるかという前提条件を一応別にいたしまして、いよいよスライド制実施になるということに相なりました場合、その費用の負担につきましては三通りの考え方があろうと思うわけであります。一つは、いわゆる国費が負担する。二つは公経済が負担する。国なり地方団体が負担する。三番目は、いわゆる現在の共済の考え方に立ちまして三者負担、こういう三つの考え方があろうと思うわけであります。具体的にこの財源負担を、その三つの具体的な方法のどれによってやるかということが大きな問題になろうかと思うわけでございます。いずれにいたしましても、その場合におきまして国なり地方団体なりに全部おんぶするということはとてもできない相談でございましょうから、そこで掛け金の問題ということに相なろうかと思います。掛け金が増高する場合、そういったこともあわせまして、私どもはやはり社会保障の充実ということから見まして、公費負担の割合を上げていかなければならないと思うわけでございます。そういった公費負担がどれぐらい上げられるか、その中で使用者側と職員側との負担の割合をどういうふうにするかということも、そこからおのずから出てくる問題であろうと思うわけでございますが、現在の時点におきましては、それ以上具体的にこういたしますということはちょっと申し上げられない状況でございますが、できるだけ早い機会スライド制につきましての結論を得た上で、公費負担の増高ということについてば私ども全力をあげて努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  118. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その場合、当然公的負担を相当増加させていかなければならぬわけでありまして、ただいまの部長のお考え方ばけっこうだと思いますが、どうかスライド制の一日も早い実現と同時に、組合員掛け金をこれ以上著しく増加させない、公的負担でもってまかなっていく、こういう趣旨でひとつ御努力をいただきたいと思います。  さて、そこで、今度の改正によりまして恩給は三万四千七百五十二円ベースになるわけですね。そうしますと、昨年も若干例があったわけでありますが、今度三万四千七百五十二円ベースになりますと、昭和三十七年十二月共済組合法の制度が発足をいたしました際のベースは二万九千円でございまして、三万四千七百五十二円ベースに相当する時期は昭和三十九年の九月以降にほぼ匹敵をいたすわけであります。そうしますと、昨年の改正の際には、共済組合の制度関係いたします部面が非常に少なかったわけですね。ところが今回は、相当な方が、この恩給法改定に伴いまして、今回の措置で新制度発足後退職された方がこの是正の対象にかかってくるわけですね。そうしますと、この財源はある程度共済組合の積み立てました財源から措置をしなければならぬ、こういうかっこうになろうと思います。その額はおおよそ幾らぐらいでありますか。この財源については、私は本来の筋から言えば当然——昨年も強調したのですが、追加費用で見るのが至当だと思うのです。追加費用で見ないということになれば、お互いが積み立てた財源を食うということになるわけでございまして、大蔵省の言い分ではございませんが、それこそ共済組合の制度になじまぬということになってくるわけだと思うわけでありますが、追加費用で見るのかどうか、この点あわせてお答えをいただきたいと思います。
  119. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 今次改正に伴いまする所要財源は、四十四年度初年度におきまして、旧法年金、すなわち施行日前に給付事由の発生した年金におきまして一億八百万円、平年度におきまして二億七千一百万円でございます。それから新法年金、すなわち施行日後に給付事由の発生いたしました年金におきまして、四十四年度十二億四千五百万円、平年度三十二億二千八百万円でございます。この中で、この施行日後の分、すなわち三者負担にかかわりまする分が、四十四年度におきましては九千五百万円、平年度におきまして二億五千三百万円、この分は三者負担に相なるわけでございますが、その財源率に及ぼします影響は千分の〇・〇八二八の増加ということに相なりまして、ほとんど財源率に影響を及ばさないという状況でございます。
  120. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 昨年から見ればだいぶ影響が出てまいりましたですね。財源率に及ぼす影響が少ないからといって、追加費用等では見ない、三者負担の財源で見るということのようでありますが、これがさらに来年ということになればまたふえてくるわけですね。ですから、財源率に与える影響が微弱だからこの追加費用で見る必要はないという考え方は、これは早晩訂正しなければならぬ時期になるのじゃないですか。昨年の改正から見れば、ことしの額のほうが相当ふえておりますね。将来一体どうするつもりですか。
  121. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 これは財源負担に関しまする基本的な考え方の問題に相なると思うわけでありますけれども、共済制度発足後におきましては、やはり三者負担という原則はくずされないだろうと思います。  それから、給付内容の改善に伴いまする財源率の改定の問題が大きくなりますと、先ほど来のスライドの問題に相なってまいるわけでございますが、現行の、たとえば来年度どういう形でのスライドが行なわれるか、先ほど恩給次長は、来年度からスライド制に踏み切るようにとれる答弁をしておられたわけでございますが、そういうことに相なりますと、共済の問題におきましては、先ほどのお話に関連いたしました財源負担の問題はどうするかということに相なってまいるだろうと思います。ただいまのところでは、答弁を繰り返すようでございますけれども、財源率に及ぼす影響は微弱といいますか、微増という形でございますので、これでまいっておるわけでございますけれども、それが財源率にかなり大きな影響を及ぼすということになりますと、当然根本的に検討しなければならないだろうと思います。
  122. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 やがてそういう時期がまいるだろうということを懸念をいたしておりますので、その際はひとつ抜本的な御検討をいただかなければならぬと思います。  それから、ただいまもお聞きしましたら、先ほど大蔵省の相原さんに聞いておりました退職年金条例等の適用を受けない職員期間組合員期間への通算の問題について大蔵委員会附帯決議をつけなかったそうであります。当委員会ではこれはっけることに話がきまっておるわけでございます。その点私どもも努力が足らなかったことを反省しなければいかぬと思っておりますが、しかし、かりに大蔵委員会が、この問題について附帯決議をつけないからといって、今日までの地方行政委員会の論議の経過からいえば、自治省としては来年やはりこの問題は踏み切っていただかねばならぬと思うのですね。そういう事態に直面しても、先ほど来御答弁をいただいた自治省考え方は変わらぬかどうか、この点念のために聞いておきたいと思います。
  123. 長野士郎

    長野政府委員 自治省といたしましては、先ほど来申し上げているとおりでございまして、私どもは、やはり実質的といいますか、実態におきましてその関係はぜひ改善をしたいと考えておりますので、努力をいたすつもりでございます。
  124. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省の御努力もいただくし、また、当委員会としても、この問題については当然満目の雇用人通算が実現して、この問題がいつまでも実現しないということでは片手落ちでございますので、これは国会としても、私ども地方行政委員会としてもこの点努力をするつもりでありますので、これはひとつ委員長にもお願いいたしておきたいと思うのですが、この雇用人通算の問題については、特に地方公務員に多いのですね。当委員会としてもひとつ十分前向きに対処していき、自治省の見解を支持して、早い機会に実現を期するということを御努力いただくことをお願いいたしておきたいと思います。  それから次に、お尋ねをいたしたいのは、これも藤井さんから出ております要望事項の関連の問題でありますが、最高限度の問題であります。今回月額十一万円の限度を政府提案で十五万円まで引き上げ措置を御提案になっておるわけであります。この点は、しばしば当委員会で問題になり、わが党といたしましても、むしろ高級公務員の方々の天下り等がどんどん行なわれるというようなことを防止する、そういった意味でもすみやかな実現が必要であるということを強調いたしてまいったのであります。この場合対象になりますのは国家公務員の皆さん、それから地方公務員の場合におきましては知事あるいは副知事等の特別職、さらには都道府県会の議員、あるいは指定都市、大都市の議員の方々が対象になるだろうと思うのでありますけれども、私ども、十五万円では、かって十一万円が設定されたときの時代から考えましても、十分ではないのではないかという感じがいたすのであります。現在、都道府県の知事等の自治省で交付税の単位費用に積算しているのは一体幾らですか。
  125. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 不勉強ではなはだ申しわけありませんが、たしか私がやっておりますころは二十五万円でございました。その後あるいは若干上がっておるかもしれません。
  126. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この十一万円が設定されたのは、あれは昭和何年だったのですか。
  127. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 中央は三十四年・地方は三十七年一であります。
  128. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そのころの都道府県知事等の交付税の積算の単価は一体何ぼぐらいだったのでしょうか、大体でけっこうです。
  129. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 昭和三十四年ころでありますと、大体高いところで二十万円、それから十七、八万円ぐらいだったんじゃないかと思います。
  130. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そのころの都道府県会議員の単位費用は、昭和三十四年幾らで、現在どのくらいですか。
  131. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ちょっと正確に申し上げられないで申しわけないのでありますが、はっきり記憶いたしませんけれども、おそらく当時は、七、八万円ぐらいだったんじゃないかと思います。
  132. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私も昭和三十四当時は県会議員をいたしておりましたが、あのときたしか群馬県会議員は五万円だったように記憶をいたしております。その際十一万円ということであって、現在十五万円ということを考えますと、大体群馬県ぐらいの、ちょうど平均規模の交付税の標準団体ですか、その程度の都道府県会議員の歳費につきましても、およそ十五万円ぐらいはいっているのじゃないかと思いますが、そうなりますと、昭和三十四年ごろの十一万円と現在の十五万円というのではやや均衡を失しているような感じがいたすのでありますが、どうですか政務次官、率直な感じはいかがですか。
  133. 砂田重民

    砂田政府委員 もっと多くてもいいではないかという御意見だろうと思うのですが、私どもは、やはりこの長期給付制度が、退職後の生活保障を一つの目的にしております。そういう点から勘案をいたしまして、今年度の改正点といたしましては、十五万円程度が妥当なものではないだろうか。先生のような御議論があることも承知いたしております。また一方、十五万円まで上げることは上げ過ぎではないかという議論もあったわけでありますが、十五万円が妥当なところではないかと思って、御審議をお願いしているのであります。
  134. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 細谷治嘉君より関運して質疑の申し出があります。これを許します。細谷治嘉君。
  135. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまの問題に関連して、十一万円が十五万円になるというのは、都道府県知事というよりもむしろ都道府県会議員の強い要請という形で動いたと思うのですけれども、この委員会でも長い間問題になって、まだ解決の曙光を見出し得ない問題の一つとして、地方議員の間の通算、これについてどういうふうに自治省が取り組んでおるのか。たとえば市会議員をやっておった人が県会議員になった、あるいは町会議員をしておった人が市会議員になった、こういうようなのがいろいろあると思うのですよ。地方議員と国会議員との通算は別といたしまして、地方議員間の通算というのは、その金を移しかえればいいわけですね。そして、その人が納めておる金が少なければ、その分については年金をその分だけ減額してやればいいわけですね。現にそういう形で、たとえば共済が始まる前の年金というのは、通算されておりますけれども、それも減額されておるわけですね。不可能なことはないと思うのですよ。これについてどう思うか。たとえば市会議員を八年やった、県会議員を八年やった、これがいずれも年金がつかない。すべて年金制度というのが目標とするとおかしいと思うのですね。この辺はどうお考えなんですか、お伺いしておきたいと思います。
  136. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 毎度おまえは同じことをしゃべるではないかというおしかりを受けそうでありますが、一つは議員共済の相互通算につきましては、都道府県、市町村、いずれも議員の報酬の額は区々でございます。それから、もう一つは、市町村の議員から府県会議員になるという場合が多いわけでございまして、逆の場合はあまりありませんことから、どうしても通算するということになりますと、都道府県議員の共済会に、結局所要財源が集まる、所要財源が必要になる。都道府県の議員共済会で全部を通算するというかっこうになりますから、そこでいまおっしゃいましたような財源の移しかえという問題もあると思いますけれども、都道府県の議員共済会の掛け金というものを、どうしてもある程度上げざるを得ないだろう、こういうことから、私どもといたしまして、現在検討いたしております考え方といたしましては、一つは厚生年金方式と申しますか、議員としての全期間の報酬額を全期間の月割りで割る、こういう形でのいわば一種の標準報酬月額というものをつくって、それを基礎にして通算年金の場合には年金をはじく、こういうふうに考えております。そういたしますと、市町村会議員から県会議員と通算になる人はそれでいいわけでございますけれども、たとえば都道府県会議員だけ一本という形になりますと、全期間をはじくというやり方になりますから、標準報酬月額がいまよりもダウンすることになります。したがいまして、通算対象にならない議員の場合と、通算対象にする場合の議員とで、基礎になる標準報酬月額というものを差をつけるかということになりまして、これもちょっとおかしいのであります。  そこで、第二の案として私ども考えましたのはいわゆる資格期間方式というものでございまして、これは市町村議員の期間というものをいわゆる年金受給するための資格期間として見る。しかし年金の算定の期間としては当該団体の議員の期間、こういう資格期間方式で見るかという二つの案につきまして、現在なお検討いたしておるところでございますが、まだ結論を得るに至っておらないところでございます。
  137. 細谷治嘉

    ○細谷委員 政務次官
  138. 砂田重民

    砂田政府委員 はい。
  139. 細谷治嘉

    ○細谷委員 はい、という返事はたいへんいいです。かって年金に達しない人については千分の二の掛け金引き上げをやりまして、やめた人が掛け捨てにならないように一時金をという法律改正をしたことがあるわけですね。今日の年金の思想からいきますと、たとえば町村会議員と県会議員、市会議員と県会議員、こういう形の通算制ができますとむしろ本道に乗るのではないか。考え方としては、かっての一時金を支給するために掛け金率を上げるというやり方よりも、そういう通算制のほうがほんとうの筋であったのではないか、これは当時議論されたわけですけれども、要望もだしがたく一部の修正になったわけです。かなり重複があるのではないかと私は思うのですが、この問題については、長い間の懸案でありますし、これは大蔵省とは関係ないことでありますので、ひとつ自治省においてそろそろ解決する時期にきているのではないか、もう十分熟しているのではないかと思いますので、十分御検討いただきたいと思うのですが、政務次官の確たる御所信のほどを承っておきたいと思います。
  140. 砂田重民

    砂田政府委員 細谷先生の御議論を伺っておりまして、端的に私が感じましたことは、どうもこれは私どももそうでございますが、議員というものは地方公務員と違って新陳代謝が非常に激しゅうございます。地方議会も少なくとも大体三分の一ぐらいは選挙のたびに交代しておられるような事態、したがって地方公務員対象にした地方公務員の共済組合の法律に書いてありますことに議員の場合はどうもうまくなじんでこない、そういうむずかしい点があり、なかなか事務当局の知恵も出ないのではないかと思います。  ただ、先生の御議論になっておられます、地方議員をこのままの形ではいかぬではないかという点につきましては、私も同じような感じを受けますので、これは真剣に検討させていただきたい、かように考えます。
  141. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ぼくも、十一万から十五万の扱いにしましても、いま細谷委員指摘されました地方議員通算の問題にしましても、カメの歩むがごとくなかなか検討がおそいということにつきましては、たいへん遺憾に存じます。ひとつ地方議員通算の問題につきましても前向きに御検討願いたいと思います。また、最高限度の問題につきましても、少なくとも自治省地方財政計画でお組みになりました単位費用の推移というものも十分勘案した上で、今後ともお取り組みいただきますように要望申し上げておきたいと思います。  それから、次は同じくこれにもあるわけでありますが、退職年金条例給料年額の算定にかかわる引き上げ制限の緩和についてという問題であります。これも先ほど古屋委員指摘をされたのでありますが、この解決を放置しておきますと、結局昭和四十二年にこの法律改正で限度を設けまして、おくれればおくれるほど、この間の格差を一体どうするのかということが問題になってくるだろうと思うのです。したがいまして、私どもとしては、本年できればこの問題につきましては法律改正をいたしまして——何も私ども四号とか五号とか六号とか、そういった著しい優遇措置を認めろということばで申すつもりはありませんけれども、せめて三号程度は従来の既得権を保障することが必要ではないのか。しかも、それがおくれればおくれるほど、この間制限をせられた方々のいわば不均衡の問題が出てくるという点をやはり強調いたしたいと思うのです。この点に対する自治省の御見解を承りたいと思います。簡単でけっこうです。あまりいわく因縁故事来歴はけっこうですから……。
  142. 長野士郎

    長野政府委員 退職時における特別昇給を、年金計算の基礎にするかどうかという問題につきましては、先ほどもお答え申し上げたとおりであります。これは共済制度のたてまえ、また、そういう特別昇給をこの団体において、年度においても、職種においても勤続年数の扱い方が必ずしも一律でない実態でございます。そういうことでございますので、この前ああいう改正をいたしまして、恩給法と同じような考え方で退職時の一年前の俸給の一号アップということにいたしたのでございます。この点につきましては、私どもはそのほうが共済の趣旨に合う、他の団体に迷惑をかけるようなことはないということでございます。したがって、これを直ちに緩和するということについては、たてまえとして非常に困難であるというふうに考えておりますが、いろいろお話もございますので、なお検討さしていただきたいと思います。
  143. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 参議院へいって修正したらどうかというような話もあるようでありますが、とにかく今国会中に、本来ならば衆議院で修正するほうがいいんじゃないかと思いますが、少なくとも今国会中に改善措置を講ずるように、これは強く要請をいたしておきたいと存じます。  それから、文部省の地方課長お見えでありますからお尋ねしたいのですが、実は私ども社会党としましては、共済組合法の改正案をわが党提案として出しております。その趣旨は、長期給付あるいは短期給付の改善に対して提案をいたしておりますが、同時に懲戒免等で、いわゆる首を切られた方々、これらの方々も掛け金はやっておるわけでありますから、こういう方々が退職年金の適用から除外されるということは問題である。さらに運営審議会等の委員につきましては、懲戒免等で現在職員でない方が中央本部の役員にも就任しておられるわけでありますが、こういった共済組合の運営審議会委員は相当専門的な知識がなければつとまらぬわけであります。特に恩給法につきましては、これは一番むずかしい法律だともいわれているそうでありまして、そういったものを理解し、運営審議会の委員として御活躍いただくのには、職員でなければならぬというような制限を置くことはやはり適当でないんではないか、こういう提案をいたしておるわけであります。  この点につきましては、最後に御見解を承りたいと思いますが、それに関連をして文部省にお尋ねをしたいと思うのですが、今回東京都の勤評闘争に関しますところの最高裁の判決がございました。御案内のように全員無罪になりました。これと類似の訴訟が地裁あるいは高裁等でかかっておるものがあったわけでありますが、これにつきましても控訴を下げまして無罪が確定いたしました事案がたいへんあるわけであります。私の住んでおります群馬教組事件についても同様であります。その場合、このような形で地公法三十七条違反というものは、無罪が確定いたしました以上は、これに関係する行政処分というものは、私はこの際もとに戻すのが当然ではないだろうかという感じがいたすのであります。理論的にいってもそうではなければならぬと思いますし、具体的な事例としましては、京都の教育委員会におきましては、勤評闘争にからみますところの行政処分につきましては、一切これを撤回をするという措置をとられたやにも聞いておるわけであります。ところが、以前から文部省は、最近行なわれました七月十日の行動等こつきましても、行政処分は大いにやるべきだ、こういうような指導をいたしておりますことは、私は最高裁判決の趣旨にたいへん反するのではないか、かように考えます。これに対する文部省の考え方は一体どういうことでございますか。
  144. 別府哲

    ○別府説明員 本年七月二日に出されました都教組事件に対する最高裁の判決を契機といたしまして、公務員の労働基本権の問題、特に争議行為というものに対して行政処分としてこれに対していかなる対処をすべきであるかという点につきましては、事が都教組事件でございますので、参議院の文教委員会等では数回にわたりまして御質問を受け、文部大臣あるいは私どもの初中局長から文部省としてのお答えを申し上げておる次第でございますけれども、その要旨をかいつまんで申し上げますと、御説明するまでもないことでありますが、都教組判決というものは、公務員の特に教職員の争議行為をあおり、そそのかした者に対する刑事罰の問題について、最高裁判所が判断を下したものであります。最後の無罪という判決を下しますにあたっての、地方公務員法三十七条一項なり、あるいは刑事罰に関します六十一条四号なりの解釈について、これはただ単に刑罰の問題だけではなくして、法律解釈の問題でございますから、これは行政処分そのものにもたいへん示唆のある見解を裁判所として示され、その結論として、刑事罰については、刑罰を科するほどのあおり、そそのかしではなかったということで無罪の判決をいたしておりますけれども、その判決の文章の中にも、たとえば行政処分を行なうこと、あるいは懲戒処分に付すること等については、これは特に否定するものではないような趣旨の文言も見えておりますし、私たちといたしましては、あの判決が一切の争議行為を合法化するもの、三十七条一項というものが合憲であるという判断を示しておりますあの最高裁判所の判決からいいましても、行政処分につきましては、従来と方針を特に変える必要はないものであるという見解を示し、大臣からもお答えをしておる次第でございます。
  145. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう御見解をとっておりますことは承知をいたしております。しかし、いま公務員制度審議会で、公務員の労働基本権に関する問題につきましては種々議論もされております。また、教員の場合におきましては、ILO、ユネスコの教師の地位に関する勧告等につきましても文部省は十分御承知のはずであります。いつまでもいまお述べになりましたような解釈が通る時代では私はないと思う。早晩いまお述べになりましたような御見解は当然訂正しなければならぬ時代がくるということを、私はこの際申し上げておきたいと思います。  このことを繰り返しておりますと時間がなくなりますから、私はこの程度でやめておきます。  そこで、群馬県で起きた問題でありますが、群馬県では、勤評闘争あるいは安保闘争等でしばしば統一行動を行ないました組合の方々の間に、懲戒免になった方々もありますし、あるいは解雇あるいは訓告という形で処罰を受けた方が多数おるわけであります。最近群馬県高崎市の教育委員会が、教育長名をもちまして、本年の五月十五日「教職員調査について」というので調査を行ないました。これを見ますと、まず職員の顔写真を用意しろ、それからまた、かつて安保闘争、勤評闘争その他の闘争を通じまして、戒告あるいは訓告というようなものになった者はその旨を特に赤いペンでもって明確にわかるように記載をしろ、そうして、その扱いは厳秘でもって提出をせよというような指示をいたしておるようでございます。そればかりではなくて、この高崎におきましては、特に校長先生等が、職員が病気をいたしますと、自宅に訪れて、そうして家族の人たちに向かって、組合などに入っているとろくなことがない、将来教頭、校長というような管理職になる場合に不利であるから、すみやかにやめたほうがよろしい。それからまた、郡部から高崎に転勤したいという希望を持っておられる方に対しては、組合を抜ければそのことは可能であるけれども、抜けなければ無理であるというような形で、教員組合を脱退することに対してきわめて積極的な指導を管理職の人たちがやっておるようであります。このようなことをしろと、まさか文部省が指導をしておることは私はないと思うのでありますが、いかがでしょうか。また、いま私が申し上げたような事例は、文部省のお考え方からしても行き過ぎだと思うのでありますが、その点、御見解はいかがでありましょうか。
  146. 別府哲

    ○別府説明員 まず御質問に対するお答えが、順序が逆になりますが、組合に対する脱退工作云々という件でございますが、もちろん事前にそういう指導をしたこともございませんし、現地の状況も、常につまびらかにしておるわけではございませんので、先生から御質問の通告を受けましてから後、現地の教育委員会に問い合わせてみましたところ、そのような事実はないというお答えでございました。  そこで、御質問の教職員調査でございますが、これも御質問によりまして、現地からサンプルを取り寄せてみましたけれども、本年五月十五日付をもちまして、教育長から各学校長に対しまして、「教職員調査について」という調査表を配り、その提出を求めております。内容につきましては、各学校に勤務しております職員を一覧表にいたしましてその職員の職名、氏名、在職年月、最終出身学校、免許状の種類あるいは給与、住所、それから教職関係でありますとか、従来歴任した学校の経歴、それから備考という、一人について一行の一覧表になる資料の作成を学校長に命じた。言うならば、各学校ごとの教員の略歴調べというものになるわけでございます。そういうものを送付いたしました文書の中に、備考欄には、先生いま御指摘のように、過去の、たとえば一〇・三ストライキとか、あるいは安保闘争、勤評反対闘争で懲戒処分を受けた者、戒告あるいは訓告——訓告は懲戒処分でございませんけれども、そういった処分を受けた者についてはその旨を書くこと、あるいは旧年度の写真があったならばそれを裏に貼付すること、これの取り扱いについては、もちろん人事上の問題でございまして、これは本人にとって他人に知られたくないこともございますし、人事の問題でもございますので、取り扱いは厳秘に願いますといったことを書いた調査表を送った。これは何もことしになって急に始めたわけではございませんで、従来から、県その他からの照会に答えるためにも、一覧表をつくっておくと非常に便宜であるというような趣旨で、略歴一覧表をつくったというものでございまして、特にこのことをもって、何か特別の意図を持ってやったものだというふうには全然考えておりませんし、また、学校等でもそうは受け取っていないようでございます。そういう返事が参っております。
  147. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その別紙というものを資料として御提出いただけますか。
  148. 別府哲

    ○別府説明員 別紙と申しますと……。
  149. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう書き込み一覧表でございます。——言いましょうか。「教職員調査について、このことについて別紙厚紙に所要事項記入の上、五月十九日必着で提出してください。」、こうありますね。この別紙です。
  150. 別府哲

    ○別府説明員 これは、私どものほうでは、市の教育委員会に照会をして、サンプルはもらっておりますが、私どものほうの資料というわけのものでもないわけでございまして、私どもに資料の提出を御要求になると、取り扱いとしてはどういうふうになるのでございましょうか、市なりあるいは県が一これは県というよりは市でございますけれども、市の教育委員会が作成し、使っておられる、言うならば公文書でございますが……。
  151. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 だから、その内容を書いたやつを出せと言っておるのじゃないのです。どういう書式の書類であるか、別紙様式を資料として出してくれ、こういう意味です。
  152. 別府哲

    ○別府説明員 承知いたしました。市から聞きましたものを御提出いたします。
  153. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それで、まあこれはあたりまえの調査というようなお話でありますが、この調査のほかに、この教育委員会では、教育長が、会合の席で、私の最大の仕事は組合をつぶすことだというようなことを堂々としゃべるような人なんですよ。したがって、教育長がそういうことを言うものですから、その部下であります管理職である校長は、先ほど言ったように、職員が病気で休んだときに、自宅に行って、家族の人たちに、組合を抜けたほうがいい、そうでないと不利だというようなことを堂々と話をする。それからまた、転入等の希望がありました場合、組合を抜けていれば希望はかなえられるが、そうでなければ無理であるというようなことを言う。これは組合の脱退工作であることは明らかだと思うのです。  そこで問題は、地公法第十三条に「平等取扱の原則」というのがありまして、すべての国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われなければならぬ、人種、信条、性別、社会的身分、門地によって差別してはいかぬ。もしそういうことをすれば罰則の適用がある。組合に入る入らぬは信条の問題だと思うのです。そうでしょう。それによって差別をするということになれば、これは明らかに地公法の違反ですよ。それからさらに、地公法の第五十六条に「不利益取扱の禁止」というのがあって、「職員は、職員団体の構成員であること、職員団体を結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと又は職員団体のために正当な行為をしたことの故をもって不利益な取扱を受けることはない。」というようにきちっと規定をされております。そうして、第五十九条には、「自治省の協力及び技術的助言」とあって、自治省は、特に地方公務員法ができましてから、こういった不利益取り扱い等があってはいかぬという意味で、正当な職員団体の行為については十分守れるような指導助言をする責務というものも当然あるでしょう。  そこで私は、文部省と自治省にお尋ねしたいと思うのですが、こういった規定がある以上、やはり文部省とすれば、これは県の教育委員会等に対しては指導助言ができますね。そういう立場で、いやしくも組合脱退工作等が行なわれることは地公法違反である、そういうことはいかぬという指導助言をきちんとすべきだと思うのです。  それから、特に自治省にお尋ねしたいのは、行政局長さんでいいのですが、地方公務員法の運用については、文部省よりも一義的には自治省に一番責任があるわけですね。したがいまして、自治省としても、郡道府県というような地方公共団体を通じまして、この十三条違反あるいは五十六条違反がないように、特に公務員部設置の際には、当時の藤枝自治大臣が、職員団体等に対しては、正当な組合運動については十分配慮するということで……。(「三原則」と呼ぶ者あり)三原則ということがありますが、読み上げる必要もないと思いますけれども、正当な組合運動に対しては、これは大いに尊重していくのだという趣旨のことも申しておるわけでございまして、いま私があげたような事例があることは遺憾だ、これについては、自治省としても、やはり明確な指導方針で対処していただかなければならぬと思いますが、それぞれの御見解を承っておきたいと思います。
  154. 別府哲

    ○別府説明員 地方公務員法の五十六条の趣旨から申しましても、そしてまた、最近行なわれましたILO八十七号条約批准に伴います国内公務員関係改正の際にも、労使双方不介入の原則ということが原則として打ち立てられました。それらの関連からいたしましても、いま先生のおっしゃるような、組合に対してそういう不当な介入をするということはすべきではない、そういう考え方を私ども持っております。そしてまた、そのような考え方で、県教育委員会なり、あるいは機会を得て市町村教育委員会を指導する場合には常に指導をしておる、こういうことを今後ともやってまいりたい。特に群馬のケースにつきましては、先ほどもお答え申しましたように、照会いたしましたところ、そういう事実はないということでございますが、御質問でもございますので、なお念を入れまして、十分調査指導を続けてまいりたい、このように考えております。
  155. 長野士郎

    長野政府委員 自治省といたしましても、地方公務員法を所管をしておることでございますから、いまお話のようなことでの取り扱いというものはあってはならないことだと思っております。したがいまして、私はそういう事例がないことを非常に期待をいたしておりますけれども、もしそういうことがかりそめにもあるということでございましたならば、自治省としても文部省その他と協力をいたしまして、そういうことのないように指導につとめてまいりたいと思います。
  156. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 地方課長さん、群馬県の教育委員会を通じて調べたと言いますが、これは教育委員会の当事者に聞いたって真実がわかるはずはありませんね。とにかく十三条違反、五十六条違反をやっておるほうの教育委員会に、こういう事例がありますかなんて聞けば、それはありませんよと言うのがあたりまえじゃないですか。常識的にいったてってそうでしょう。ですから私は、文部省が事実をお調べになるという御答弁がございました。けっこうです。その場合は、やはり職員団体、それから教育委員会、両者の見解を聞かなければ真実というものはわからぬじゃないですか。ただ群馬県の教育委員会の教育長に照会して、山口が言ったような事例がありますかというようなことを聞いただけでは、私はその真実は発見できぬと思うのです。したがって、調査をする以上は、少なくとも当事者両方の言い分というものをやはり聞かなければいかぬと思うのです。そういった事実をほんとうに明確にしようという御趣旨調査をいたす気持ちがありますか。そうでなければこれはだめですね。とにかく、不利な取り扱いをされておるほうに聞かなければ、一方のやっているほうに聞いたってそれはだめだと思うのです。この点はいかがですか。
  157. 別府哲

    ○別府説明員 御質問のケースは群馬県内の高崎市のケースでございますので、私どもとしては、まずは県内の教育行政全般について指導する体制をとっております県の教育委員会に照会をしておるのでございます。県の側にもせよ、教育委員会ばかりから聞いたのでは十分な実態はわからぬではないかという御指摘でございますが、組合となりますと、全国にずいぶんたくさんのものがございますので、文部省が直接県なりあるいは市の組合といろいろ連絡をとり合うのも、ものによってはなかなかむずかしい点もございます。たとえばその全国的な団体でございます日教組なりあるいは高教組なり日高教なりというものは、われわれと事務的に常に接触を持っておりますので、そういった方面からの話もいろいろ伺う機会も多いわけでございます。そういったところから、県の報告からは得られないような実態というものも十分把握してみたいと考えております。
  158. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 日教組に聞くというつもりがあるならば、群馬県教組の意向を日教組を通じてひとつ知らしてほしいというくらいのことは言っていただきたいと思うのですが、その程度のことはどうですか。
  159. 別府哲

    ○別府説明員 機会を見て考えてみたいと思います。
  160. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この点は、自治省、文部省両方にお願いしておきたいと思うのですが、私はこれは単に群馬県に起きた事例ばかりではなくて、最近全国的に見ても、全国の教員組合でずいぶん組合から脱退しているという県もございますね。それから自治労の組織を見ましても、同じような地域が見られるわけです。これは何もその地域の人たちが喜んで脱退したということではないと思うのです。何らかの管理者側の圧力といいますか、働きかけといいますか、そういうものがあるからこそ、たとえば栃木県なら栃木県の教員組合は全部脱退をするというような事例が起きているのが私は真相だと思うのです。したがいまして、少なくとも地公法十三条、五十六条の規定があります以上は、ぜひともこの条項が厳格に守られるように指導する責任がやはり文部省、自治省にある。それ十月十日に何か全国的な統一行動があるそうだ、それに対して、そういうことはけしからぬというような指導のみ一生懸命やるということでは片手落ちである。そうではなしに、やはり地公法全般が正しく運用されるように指導助言する責任というものは、自治省にもあるし、文部省にもあろうと思うのです。どうか、そういう意味では公平な立場で、特に三原則で自治省公務員部は自治体と職員団体いずれにも属さぬで公平な第三者の立場でこの職員の問題に対処することを藤枝元自治大臣が言っておる。文部省だって、同じような趣旨でなければいかぬと思うのですよ。何か教育委員会べったりで、教員組合を弾圧することだけが文部省の仕事だということではいかぬと思うのです。少なくとも文部省は、藤枝自治大臣の言明のように、教員組合、それから都道府県の教育委員会、その間の公平な第三者として法律が的確に運用されるように対処するという気持ちはありますか、最後に聞いておきたいと思います。
  161. 別府哲

    ○別府説明員 文部省は教育行政について全国民に責任を負って仕事をしなければならない責務を負っているところでございます。教育委員会はその国の教育行政組織の一翼をになうという意味で、それぞれの県、市町村における教育行政の責任を負っておる行政機関でございます。それらに対しまして文部省は指導をする責務と責任と義務とを持っておるわけでございます。もちろん教育委員会は、教職員の仕事を通じて教育行政の目的を達成しているわけでございますので、文部省といたしましても、教職員が国の教育という仕事、それぞれの地方公共団体における教育という仕事をやはり行政機関一体となって十全を尽くして国民に対する教育の実をあげていかなければならない、そういうふうに考えておりますので、教育委員会、教職員ともどもに指導を続けてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  162. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 公平な立場でひとつ対処するようにお願いしておきます。  最後に、わが党が出しております共済組合法改正に対して妥当なものが大いにあるだろうと思うのですが、これに対する自治省の見解を聞いて終わっておきたいと思うのです。全然読んでないということはないでしょうな。
  163. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 社会党の御提案の法律案、私ども検討させていただいたわけでございます。  順番に申し上げますと、まず運営審議会及び地共審議会における組合員委員の範囲の拡大、いわゆる職員団体が推薦した者を含めることということにつきまして、私どもの意見といたしましては、共済審議会あるいは地方共済制度審議会、こういったものにつきましては、組合員でない者を委員にするということにつきましては、それが組合員の福祉の向上ということで、使用者側と組合員とで相寄ってつくっておりまする組織でありまする以上、これについては私どもといたしましては同意しがたい。  それから、公費負担にかかわる国の責任明確化、すなわち短期給付に対しまする国庫負担の導入あるいは長期給付にかかわりまする国庫負担の引き上げ、この二点につきましては、国庫負担の導入ということにつきましては、先ほど申しましたところのいわゆる公経済か、いわゆる国庫か、こういう議論があるわけでございますが、制度発足の当時、実は率直に申しましてこの議論は片がついた形に相なっておりまして、公的経済主体としての地方団体の公費負担ということでこの問題を解決せざるを得ないわけでございますけれども、その短期給付におきましては掛金率のはなはだしく高いもの、これに対しましては、先ほど来明確に申し上げておりますような方向で改善を加えてまいりたい。長期給付の負担割合につきましては、百分の二十に公費負担割合を上げることにつきましては私ども全く同感でございまして、その線でこれまでも努力をしたところでございますし、今後も努力を続けてまいりたいというふうに考えております。  それから、任意継続組合員と申しますか、この制度の導入につきましては、これも先ほど来局長から答弁を申し上げておりますように、附帯決議趣旨もございますので、検討を加えておるところでございますが、これは基本的にはやはり健康保険制度中心といたしまするところの医療保険制度の抜本改正という問題とのからみ合いにおいて解決せらるべき問題ではないだろうかというふうに考えております。  それから、遺族の範囲の拡大につきましては、これは私どもも附帯決議趣旨を尊重いたしまして、せめて厚生年金地方職員共済との遺族の範囲の食い違い、すなわち、主としてということばがないわけでございますが、そこまではこの遺族の範囲を広げてまいりたいということで、実は今度の国会の政府提案にこれを織り込むべく努力をいたしたわけでございますけれども、政府部内の同意が得られませんで今国会は見送りということに相なっております。これも引き続きまして努力をいたしたい。  それから、これに関連いたしまして、社会党案の一つの特色というべきものであろうと思うわけでありますが、年金遺族一時金制度の創設につきましては、これはいまの遺族の範囲の拡大という問題をまず片づけるべきではないであろうか。旧法のごとき遺族一時金制度を復活するということにつきましては、これは財源率の問題もございますし、あるいはまた、他の社会保険制度とのバランスの問題もございますので、なおこれは慎重に検討すべきものであろうというふうに考えます。  それから、長期給付給付額の算定の基礎となる給料取り扱いにつきまして、退職前三カ年間の給料の平均額というものを改めまして、給付事由の生じた月の掛け金の標準となった給料とするということにつきましては、これは、たとえば片一方におきまして、厚生年金は全雇用期間のいわば給与というものを基礎に置く、それから共済の制度におきましては退職前三年、そういった意味におきましては、いわば共済制度のほうが厚生年金に対しまして大幅に前進した内容のものになっておるわけでございますが、それをまたさらに一歩進めまして、給付事由の発生したときの掛け金の標準となった給料にするということになりますと、他の厚生年金等との格差がさらに開くという形になりますので、その点につきましてもにわかにこの改正ということでございませんで、なお慎重に検討をさしていただきたい。  そのほかの点につきましては、今度の予定されておりまする附帯決議なりあるいは修正等の中にも取り入れられたものがあるわけでございます。  大ざっぱに申しまして以上のような点が私どもの検討の結果でございます。
  164. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 わが党提案の共済の改正に対する考え方につきましても、今後ともぜひひとつ十分検討いただきまして、明年度生かせるものについては生かしていく、前向きの態度で対処いただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  165. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は明二十三日午前十時から委員会開会することとし、過疎対策に関する問題について参考人から意見を聴取することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会