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1969-03-14 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月十四日(金曜日)     午前九時三十四分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 古屋  亨君    理事 細田 吉藏君 理事 保岡 武久君    理事 山口 鶴男君 理事 山本弥之助君    理事 折小野良一君       青木 正久君    大村 襄治君       岡崎 英城君    奧野 誠亮君       桂木 鉄夫君    亀山 孝一君       吉川 久衛君    斎藤 寿夫君       渡海元三郎君    永山 忠則君       村上  勇君    山口シズエ君       山下 元利君    井岡 大治君       太田 一夫君    河上 民雄君       野口 忠夫君    細谷 治嘉君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君  出席政府委員         自治政務次官  砂田 重民君         自治省税務局長 松島 五郎君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第三課長   早田  肇君         建設省道路局道         路総務課長   北川 博正君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         自治省税務局府         県税課長    森岡  敞君         自治省税務局市         町村税課長   高橋 睦男君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月十四日  委員岡崎英城君、奧野誠亮君及び村上勇辞任  につき、その補欠として山下元利君、渡海元三  郎君及び大村襄治君が議長指名委員選任  された。 同日  委員大村襄治君、渡海元三郎君及び山下元利君  辞任につき、その補欠として村上勇君、奥野誠  亮君及び岡崎英城君が議長指名委員選任  された。     ————————————— 三月十四日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第七五号)(予) 同月十一日  ドライブインにおける酒類の販売禁止に関する  請願遠藤三郎紹介)(第一七九二号)  同(木村武雄紹介)(第一七九三号)  同(西村直己紹介)(第一九一一号)  住居表示に関する法律廃止に関する請願(林百  郎君紹介)(第一七九四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  奄美群島振興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三一号)  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第五八号)      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。奄美群島振興特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  3. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  4. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)     —————————————
  5. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 この際、保岡武久君、山口鶴男君、折小野良一君及び小濱新次君から四派共同をもって、ただいま議決いたしました法律案に対して附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  この際、本動議議題とし、その趣旨説明を求めます。保岡武久君。
  6. 保岡武久

    保岡委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党民主社会党及び公明党の四党を代表し、奄美群島振興特別措置法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。     奄美群島振興特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、振興計画の目標とする自立経済の達成及び住民福祉の向上を図るため、特に左の諸点について積極的な施策を講ずべきである。  一、振興計画の五箇年延長に当っては、長期的展望のもとに群島経済自立的発展基礎を確立し、群島民鹿児島県民との所得の格差を解消することを目途として、産業基盤施設整備及び産業振興に重点を置いた有効にして適切な施策を推進すること。  二、奄美群島における電力料金は、本土に比し著しく高料金となっているので、政府関係各省及び鹿児島県は、相協力して、速やかに現在の電力機構合理化近代化措置を講じ、高料金の解消を図ること。  三、奄美群島振興信用基金に国から出資されている承継債権に係るガリオア物資代及び復興金融基金貸付金については、現地の実状に即し、緊急に適切な処置を講ずること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆さま方の御賛同をお願いいたします。
  7. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 本動議について採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 起立総員。よって、保岡武久君外三名提出動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、野田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野田自治大臣
  9. 野田武夫

    野田国務大臣 政府といたしましては、ただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、奄美群島振興のため、なお一そうの努力をいたす所存でございます。     —————————————
  10. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  12. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 内閣提出にかかる地方税法等の一部を改正する法律案議題といたし、提案理由説明を聴取いたします。野田自治大臣。     —————————————  地方税法等の一部を改正する法律案   〔本号末尾掲載〕     —————————————
  13. 野田武夫

    野田国務大臣 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案について、その提案理由と内容の大要を御説明申し上げます。  地方税につきましては、地方財政状況を考慮しつつ、極力負担軽減合理化をはかってまいったのでありますが、なお、個人住民税等については、負担の現状にかんがみ、その軽減につとめる必要があると考えております。明年度地方税制改正にあたりましては、このような状況を考慮いたしまして、住民税課税最低限引き上げ青色申告者専従者控除にかかる完全給与制の実施、白色申告者専従者控除引き上げ等を中心として可及的に地方税負担軽減合理化をはかることとしたのであります。このほか、市町村宅地開発に伴い必要となる公共施設整備に要する費用に充てるため、目的税として、宅地開発税を課することができる道を開くとともに、大都市税源充実に資するための地方道路譲与税譲与基準合理化及び日本国有鉄道納付する市町村納付金軽減をはかることとし、所要改正を行なうこととしたのであります。  次に、以下順を追って地方税制改正の概要について御説明申し上げます。  第一は、地方税法改正に関する事項であります。  その一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。個人道府県民税及び市町村民税につきましては、住民負担軽減をはかるため、課税最低限引き上げを行なうこととし、昨年の所得税法改正に伴う給与所得控除引き上げのほか、基礎控除配偶者控除及び扶養控除の額をそれぞれ一万円引き上げることといたしました。また障害者控除老年者控除寡婦控除及び勤労学生控除の額についても、一万円ずつ引き上げることといたしたのであります。  このほか、障害者未成年者老年者及び寡婦についての非課税範囲を、年所得三十万円まで拡大することとしております。  また、中小事業者負担軽減合理化をはかるため、青色申告者専従者控除についていわゆる完全給与制を実施するとともに、白色申告者専従者控除額を四万円引き上げることといたしました。  なお、給与所得にかかる道府県民税及び市町村民税特別徴収については、納税者負担感の緩和をはかるため、六月から翌年五月までの十二回に分割して行なうことといたしました。  このほか、土地税制の改善をはかるため国税において、譲渡所得に対する課税特例措置が設けられたのに対応し、土地等譲渡所得に対する住民税課税についてもこれに準じ、個人が五年をこえて保有している土地等譲与所得については土地の供給の促進に資するため、分離比例税率による課税を行なうこととするとともに、個人保有期間五年以内の土地等及び昭和四十四年一月一日以降に取得した土地等譲渡所得については土地投機的需要を抑制する等のため現行負担を上回る高率の課税を行なうことといたしました。  その二は、事業税についてであります。個人事業税につきましても、中小事業者負担軽減合理化をはかるため、青色申告者専従者控除についていわゆる完全給与制を実施するとともに、白色申告者専従者控除額を四万円引き上げることといたしました。  その三は、不動産取得税についてであります。不動産取得税につきましては、都市計画において定められた地下駐車場取得した場合における不動産取得税について課税標準特例を設ける等負担軽減合理化をはかることとするほか、入り会い林野整備等による土地取得に対する不動産取得税課税標準特例適用期限延長することといたしました。  その四は、料理飲食等消費税についてであります。料理飲食等消費税につきましては、負担軽減をはかるため、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食免税点を千六百円に引き上げるとともに、飲食店等における飲食免税点を八百円に引き上げることとし、また、あらかじめ提供品目ごと料金を支払う飲食免税点を四百円に引き上げることといたしました。また、料理飲食等消費税を簡素合理化して課税適正化をはかるために、税率を一〇パーセントに統一することといたしました。  その五は、固定資産税についてであります。固定資産税につきましては、砂利の採取に伴う災害の防止、ばい煙の処理または騒音の防止の用に供する特定の償却資産について課税標準特例を設ける等負担軽減合理化をはかることとするほか、外航船舶に対する固定資産税非課税措置適用期限並びに新築住宅及び新築中高層耐火建築住宅に対する固定資産税軽減措置期限をそれぞれ延長することといたしました。  その六は、電気ガス税についてであります。電気ガス税につきましては、電気に対する電気ガス税免税点を五百円に、ガスに対する電気ガス税免税点を千円に引き上げ負担軽減をはかることといたしました。また、紙の製造に使用する電気に対して課する電気ガス税税率一定期間百分の四にするほか、綿紡績糸等に対する軽減税率適用期限延長する等の措置を講ずることといたしました。  その七は、自動車取得税についてであります。自動車取得税につきましては、負担軽減をはかるため、その免税点を十五万円に引き上げることといたしました。  その八は、宅地開発税についてであります。大都市及びその近郊の市町村においては、宅地開発に伴い必要となる公共施設等整備に要する費用に充てるため負担金等を課している事例が増加してきておりますが、負担合理化をはかるため、次の要領により、市町村は、目的税として宅地開発税を課することができる道を開くことといたしました。  宅地開発税は、都市計画法規定する市街化区域のうち公共施設整備が必要とされる地域として条例で定める区域内で宅地開発を行なう者に対し、宅地面積課税標準として課することとしております。また、その税率は、宅地開発に伴い必要となる公共施設整備に要する費用当該公共施設による受益の状況等を参酌して条例で定めるものとし、当分の間、宅地開発税税率を定めるにあたっては、あらかじめ当該税率その他自治省令で定める事項自治大臣に届け出なければならないものといたしました。  なお、宅地開発税納税義務者宅地開発に伴い必要となる公共施設またはその用に供する土地政令で定めるものを市町村に無償で譲渡する場合においては、宅地開発税を免除し、または還付するものといたしております。  その九は、日本万国博覧会開催に伴う特例についてであります。日本万国博覧会開催に伴う特例措置として、昭和四十五年中における外客の宿泊及びこれに伴う飲食に対しては、料理飲食等消費税を課さないこととするほか、博覧会の用に供する施設に対する不動産取得税及び固定資産税非課税とする等の措置を講ずることといたしました。  以上のほか、国税においてとられる措置と対応して、不服申し立て期間を六十日に延長することとするとともに申告納付または申告納入にかかる地方税について更正請求制度を設けることとし、これに関連して還付加算金計算期間始期に関する規定について所要整備を行なうことといたしました。  このほか、所得税法改正に伴う関係規定整備等所要規定整備を行なっております。  第二は、地方道路譲与税法改正に関する事項であります。  地方道路譲与税につきましては、大都市税源充実に資するため、譲与基準として用いる道路延長及び面積について、道路の種類、幅員による道路種別等を考慮して、補正を加えることができることといたしました。  第三は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律改正に関する事項であります。  日本国有鉄道にかかる市町村納付金につきましては、日本国有鉄道通勤輸送幹線輸送の増強のため実施する設備投資に伴う納付金負担増高を緩和するため、一定期間内に新設された路線設備等にかかる納付金について、所要軽減措置を講ずることといたしました。  以上の改正により昭和四十四年度においては、個人住民税におきまして七百十四億円、個人事業税におきまして六十五億円、自動車取得税その他におきまして七十五億円、国有資産等所在市町村交付金及び納付金におきまして二十五億円、合計八百七十九億円の減税を行なうことになりますが、一方宅地開発税の創設及び国税改正に伴い九億円の増収が見込まれますので、差し引き八百七十億円の減収となります。  以上が地方税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその大要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  14. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  次に、補足説明を聴取いたします。松島税務局長
  15. 松島五郎

    松島政府委員 補足説明を申し上げます。  お手元にお配りしてございます資料の地方税法等の一部を改正する法律案新旧対照表によって御説明を申し上げます。  まず、総則の改正について説明をいたします。  三ページ、第十五条の九第二項の改正は、徴収猶予または換価猶予期間を経過した後においても、本税を納付または納入しなかったことについてやむを得ない理由があると認められます場合には、そのやむを得ない理由がやんだ日までの期間延滞金を免除することができるようにしようとする改正でございます。  また、第十五条の九第三項の改正は、滞納にかかる地方団体徴収金について差し押えがなされておる場合または担保の提供がされております場合には、その期間にかかる延滞金について日歩四銭を日歩二銭に軽減することができるものとしたことであります。  次に四ページ、第十七条の四第一項の改正は、申告納付または申告納入にかかる地方税について、今回一般的に更正請求制度を設け、その請求期間を一年間としたことに関連いたしまして、還付加算金計算期間始期について所要整備を行なうことにいたしました。すなわち、還付加算金計算始期は、第一号によりまして更正決定賦課決定等により確定した地方団体徴収金にかかる過納金につきましては、納付または納入のあった日といたします。  それから第二号で、更正請求に基づく更正により確定した地方税にかかる過納金については、更正請求の翌日から起算いたしまして三カ月を経過する日と更正の翌日から起算して一カ月を経過する日とのいずれか早い日といたしております。  また、第三号では、申告または修正申告により確定した所得税額更正に基づいて行なわれた賦課決定により納付すべき額が減少した住民税所得割または個人事業税にかかる過納金につきましては、所得税更正通知の翌日から起算して一カ月を経過する日といたしております。  第四号では、以上三号の過納金以外の地方団体徴収金にかかる過納金または誤納金につきましては、過誤納となった日として政令で定める日の翌日から起算して一カ月を経過する日といたしておるのでございます。  次に、七ページ、第十七条の五第三項の改正は、住民税法人税割及び法人事業税について、分割基準修正に基づく更正決定等につきましては、増額の場合におきましても減額の場合と同様に五カ年間これを行なうことができることに改めております。  次は、八ページの第十九条の四の改正は、地方税にかかる不服申し立て期間は、現行は三十日となっておりますが、これを行政不服審査法のたてまえによることといたしまして、六十日に延長することにいたしましたので、現行行政不服審査法に対する特例規定であります十九条の三の規定を削除しようとするものでございます。  同じく八ページの第十九条の七の改正は、不服申し立て期間中における差し押え財産換価は、現行法上その財産の価額が著しく減少するおそれがあるときに限られておりますけれども、不服申し立て人から申し出があった場合においては換価ができることとしたものであります。  次に、九ページの第二十条の九の三第一項の改正は、現在法人事業税についてのみ設けられております更正請求制度を、申告納付または納入にかかる地方税全般について設けることとして、更正請求ができます期間を一年間とすることにしたものでございます。  次は、一二ページ、第二十条の九の四の改正は、本税の一部が納付または納入されております場合における納付または納入があった日以後の期間にかかる延滞金計算基礎となる税額は、当該納付または納入のあった税額を控除した残りの金額であることを明確にすることとしたものでございます。  次は、道府県民税改正について御説明申し上げます。  一三ページ、第二十四条の五の改正は、障害者未成年者老年者または寡婦非課税限度を、現行二十八万円から三十万円に引き上げるものでございます。  次は一四ページ、第三十二条第三項の改正は、青色専従者給与につきましてのいわゆる完全給与制を採用することとする改正でございます。  一五ページ、第三十二条第四項の改正は、白色申告者専従者控除の額を現行十一万円から十五万円に引き上げることとしたものでございます。  次は一八ページ、第三十四条第一項第五号の改正は、生命保険料控除範囲に次の掛け金を加えることとしたものであります。すなわち、その一は、心身障害者に関して地方公共団体が実施する共済制度にかかる契約掛け金でございます。この制度は、心身障害者保護者から地方公共団体納付された掛け金を原資といたしまして、地方公共団体加入者を被保険者とする生命保険契約を結び、加入者死亡等の事故による保険金基金として積み立てまして、障害者の生存中扶養年金を支払う制度でございます。その二は、適格退職年金契約に基づく従業員掛け金について、所得税と同様の取り扱いをすることとしたものであります。  次は、一八ページから一九ページにかけまして、第三十四条第一項第六号から第九号までの改正は、障害者控除老年者控除寡婦控除及び勤労学生控除の額をそれぞれ一万円ずつ引き上げ七万円とすることといたしております。なお、これに伴いまして特別障害者控除額を九万円に引き上げております。  一九ページの第三十四条第一項第十号の改正は、配偶者控除額現行九万円から十万円に、同じく第十一号の改正は、扶養控除額現行五万円から六万円に、同じく第三十四条第二項の改正は、基礎控除額現行十一万円から十二万円に引き上げることとしているものでございます。  次は二〇ページ、第四十二条第三項の改正は、住民税特別徴収税額を十二回徴収とすることに関連いたしまして、五月中に納付または納入があったものについての道府県への払い込み期限につきまして特例を設けることとしたものでございます。  次は二三ページ、五十三条の二の改正は、従来法人事業税については、法人税更正があった場合、事業税について更正請求をすることができることとされておりましたが、この制度法人道府県民税についても設けることとして、その請求期間法人税通知があった日から二カ月以内としたものでございます。  次に、事業税について御説明申し上げます。  二五ページから二六ページにかけまして、第七十二条の十七第二項の改正は、青色専従者につきまして住民税と同様、完全給与制を採用することに伴うものであります。  二六ページの第七十二条の十七第三項の改正は、白色専従者について、その控除限度額を十一万円から十五万円に引き上げる等、所得税取り扱いと一致させることに伴う改正でございます。  次は三一ページ、第七十二条の三十三の二の改正は、課税標準または税額計算誤り等があった場合には、申告期限から二カ月以内に限り更正請求ができることとされておりましたが、今回一般的な更正請求制度を設けることといたしましたので、従来の第一項の規定を削除することとしたものでございます。  三三ページ、第七十二条の四十及び第七十二条の五十の改正は、道府県知事法人税について更正または決定請求をした場合において、税務官署が三カ月以内に更正または決定をしないときは、上級の税務官署に再び更正または決定請求をするとともに、その旨を自治大臣報告することとされておりましたが、行政事務簡素化の見地から、自治大臣に対する報告を廃止することにしたものでございます。  次に、不動産取得税について説明いたします。  三五ベージ、第七十三条の二第二項の改正は、従来、年金福祉事業団等から公的資金の貸し付けを受けて住宅を新築し、これを六カ月以内に従業員に譲渡する場合の事業主取得に対しては、不動産取得税を課さないこととしておりましたが、今回、この対象を拡大をいたしまして、事業主従業員に譲渡する住宅を新築し、これを六カ月以内に譲渡したときは、事業主に対しては、すべて不動産取得税を課さないことにするものとしたものでございます。  次は三六ページ、第七十三条の十四第十二項は、都市計画において定められた路外駐車場公共性を考慮いたしまして、地下駐車場取得した場合における不動産取得税課税標準を価格の二分の一の額とすることとしたものであります。  三六ページから三七ページにかけまして、第百十四条の四第一項の改正は、飲食店等における飲食免税点を六百円から八百円に引き上げることにし、第二項ではあらかじめ提供品目ごと料金を支払ういわゆるチケット食堂におきます飲食免税点を三百円から四百円に引き上げることといたしております。  三七ページ、第百十四条の五の改正は、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食免税点を千二百円から千六百円に引き上げることにし、同じく三七ページ、第百十五条は、税率を百分の十に統一することにしたものであります。  三八ページ、第百十六条の改正は、料理飲食等消費税の適正な賦課徴収を確保するため、法人等が宿泊飲食等にかかる経費を支出している場合には、当該法人等に対しまして質問検査権を行使し得る旨を明確にすることにいたしたものでございます。  次は、市町村民税でございます。市町村民税改正は、障害者等に対する非課税範囲、各種控除額の引き上げ専従者控除制度改正等は、道府県民税改正で御説明申し上げましたことと同様でありますので、その他の改正点についてのみ説明をいたします。  四六ページ、第三百二十一条の二第三項の改正は、延滞金計算期間についての控除期間を設けることにしたものでございます。  四九ページ、第三百二十一条の五の改正は、給与所得者についての特別徴収は、六月から翌年五月までの十二回に分割して行なうことに改め、均等割のみの特別徴収については、一括徴収ができることといたしております。  五〇ページ、第三百二十一条の五の二の改正は、特別徴収の回数の改正に伴いまして、小規模事業所の納期の特例を従来の五カ月ごとを六カ月ごとに改めることにいたしております。  次は、固定資産税について御説明申し上げます。  五三ページ、第三百四十八条第二項第十九号の二の改正は、新たに労働災害防止協会の鉱山保安センターを非課税とすることとし、また同条同項第二十七号は、鉄道建設公団が鉄道施設の建設の用に供するため取得した土地で、日本国有鉄道に対し無償で貸し付けることとなるものについて非課税とすることといたしております。  五五ページ、第三百四十九条の三第二十二項は、都市計画において定められた地下駐車場について、五年間その課税標準は価格の二分の一の額とすることとし、また同条第二十三項は、砂利採取に伴う汚水処理施設、ばい煙処理施設及び騒音防止施設についての課税標準を価格の二分の一とすることといたしております。  次は、電気ガス税でございます。  五七ページ、第四百八十九条第一項第二十二号の五の改正は、従来三年間の期限つき非課税品目でありました酢酸を期限の定めのない非課税品目とするものであります。  同じく五七ページ、第四百九十条の二第一項の改正は、電気ガス税免税点電気については五百円、ガスについては千円に引き上げるものであります。  次は、自動車取得税であります。五八ページ、第六百九十九条の九の改正は、自動車取得税免税点を十万円から十五万円に引き上げるものであります。  次は、軽油引取税の徴収猶予でございます。  五八ページの第七百条の二十一の改正は、従来特別徴収義務者が徴収猶予申し出をするときは、必ず担保を提供しなければならないものとされておりましたが、今回これを、政令で定める要件に該当して担保を徴する必要がないと認めるときは担保を徴しないで軽油引取税の徴収猶予をすることができることといたしました。  次は、宅地開発税でございます。六〇ページの第七百三条の三でございますが、第一に、本税は、宅地開発に伴い必要となる道路、水路その他の公共施設政令で定めるものの整備に要する費用に充てるための目的税でありますが、本税を課するかどうかは市町村条例によって定めることといたしております。道路、水路その他の公共施設政令で定めるものといたしましては、都市計画事業の対象とされていないような道路、排水溝、公共空地として児童遊園地のような宅地開発に直接関連する必要最小限の公共施設を予定いたしております。  第二に、本税は、都市計画法規定する市街化区域のうち公共施設整備が必要とされる地域として条例で定める区域内で宅地開発を行なう者に対し、宅地面積課税標準として課するものとしております。すなわち、本税は、市街化区域全体について課するものでなく、宅地開発が著しく進行している地域またはそれが予想される地域で、宅地化に伴いまして最小限度の公共施設が必要とされる区域に限って課税し得るものといたしております。納税義務者は、当該地域において所有権、地上権等、権原に基づいて宅地開発を行なう者であります。  第三に、宅地開発税税率は、宅地開発に伴い必要となる公共施設整備に要する費用当該公共施設による受益の状況等を参酌して条例で定めるものとしておりますが、法附則第三十三条の規定によって、当分の間、宅地開発税税率を定めるにあたっては、あらかじめ当該税率その他自治省令で定める事項自治大臣に届け出なければならないものとしております。  税率について、定率または定額で定めなかったのは、宅地開発に伴う公共施設費用は、立地条件によってかなりの差がありますため、一律の税率とすることは、かえって実情に即さないものがあると考えられたからでございます。したがって、当分の間、税率決定、変更については自治大臣への届け出を求めることといたしまして、税率の届け出にあたっては、自治省令で定める事項として、当該課税区域にかかる公共施設整備についての計画等をも提出を求め、実情に即する助言指導をいたしてまいりたいと考えております。  第四には、宅地開発税納税義務者宅地開発に伴い必要となる公共施設またはその用に供する土地政令で定めるものを無償で譲渡する場合その他政令で定める場合には、宅地開発税を免除し、すでに宅地開発税納付されているときは還付し、またみずから公共施設整備する旨の申し出があったときは、徴収を猶予することができるものとしております。すなわち、宅地開発を行なう者が、市町村の定める公共施設整備に関する計画に適合するような公共施設をみずから整備し、これを市町村提供する場合には本税を免除することとしているものであります。  次に、本法附則について御説明いたします。六四ページからでございます。  従来、本法附則は、すべて項をもって規定をされておりましたが、今回これを条に改めることとし、この機会に一定期間設けられていた特例規定等で、その期間がすでに経過したもの等について必要な整理を行なうこととしております。  次に、実体的改正の部分について申し上げます。  七一ページ、第六十四項は、外航船舶に対する固定資産税非課税措置適用期限昭和四十六年度まで延長しようとするものでございます。  次に、七二ページ、第六十五項は、新築住宅に対する固定資産税軽減措置期限延長し、昭和五十年一月一日までの間に新築されたものに適用することとし、また、七三ページ、第六十六項は、新築中高層耐火建築住宅に対する固定資産税軽減措置期限延長し、昭和五十年一月一日までの間に新築されたものについて適用することとしようとするものでございます。  次は、七四ページ、第六十七項は、綿紡績糸等に対します電気ガス税軽減税率適用期限昭和四十七年五月三十一日まで延長しようとするものでございます。  七五ページ、第九十三項は、入会林野整備等による土地取得に対し、不動取得税の課税特例期限昭和四十六年三月三十一日まで延長しようとするものでございます。  七五ページ。第九十七項は、紙の製造に使用する電気に対して課する電気ガス税税率を、昭和四十四年六月一日から昭和四十七年五月三十一日までの間百分の四とすることにしたことでございます。  七六ページから七九ページまでの附則第三十二条は、日本万国博覧会開催に伴う特例措置を定めたものでございます。その内容は、昭和四十五年一月一日から同年十二月三十一日までの間における外客の宿泊及びこれに伴う飲食に対しては料理飲食税を課さないこととするほか、博覧会の用に供する施設に対する不動産取得税及び固定資産税非課税とする等の措置を講ずることといたしております。  次は、七九ベージでございます。附則第三十四条及び第三十五条の規定は、土地等譲渡所得にかかる住民税課税についての特例規定したものでございます。  まず第三十四条は、長期譲渡所得にかかる道府県民税及び市町村民税課税特例を定めたものでございます。すなわち、昭和四十五年から昭和五十年までの間における保有期間が五年をこえる個人の長期保有土地、建物等の譲渡所得につきましては、他の所得と区分をいたしまして、昭和四十五年、四十六年中の譲渡分は道府県民税一・三%、市町村民税二・七%、昭和四十七、四十八年中の譲渡分は道府県民税一・六%、市町村民税三・四%、昭和四十九年、五十年中の譲渡分は道府県民税二%、市町村民税四%の比例税率を適用して課税することといたしております。  八三ページの第三十五条の改正は、短期譲渡所得に対する課税特例を定めたものでございます。すなわち、保有期間が五年以下の個人の短期保有土地、建物等または個人昭和四十四年一月一日以降に取得したこれらの資産の譲渡に対する譲渡所得につきましては、他の所得と区分し、道府県民税譲渡所得の四%相当額、市町村民税譲渡所得の八%相当額か、その譲渡所得を他の所得に加算して通常の課税を行なうこととした場合における税額の一一〇%相当額かのどちらか高い税額によって課税することとしております。  なお、以上の改正に関連いたしまして、賦課制限額は一般の所得についての課税標準の八〇%と課税短期譲渡所得金額の八八%との合計額によって判定することといたしております。  なお、改正法附則第十五条におきまして、以上の長期譲渡所得及び短期譲渡所得課税特例は、昭和四十四年中の譲渡について租税特別措置法による所得税特例を選択した場合には、昭和四十五年度の住民税につきましても適用することといたしておりますほか、保有期間が三年をこえる譲渡所得を長期譲渡所得とみなすという経過措置につきましては、所得税に準ずることといたしております。  次は、地方道路譲与税法改正でございます。八六ページ、第二条は、地方道路譲与税譲与基準として用いる道路延長及び面積につきまして、道路の種類、幅員による道路種別等を考慮して補正することができることといたしますとともに、これに関連いたしまして地方交付税の収入超過団体に譲与すべき譲与税の額については、前年度に譲与された譲与額に一定の率を乗じて得た額を限度とすることといたしております。  次は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律改正であります。八八ページから九二ページまでにわたっておりますが、その内容は、日本国有鉄道昭和四十年四月一日から昭和四十七年三月三十一日までの間に取得した線路設備、車両等の固定資産にかかる納付金につきまして、現行の、価格の二分の一の額を算定標準額としております制度に加えまして、地方鉄道に対する固定資産税特例措置と同様の軽減措置を講ずることとしたのでございます。  以上でございます。
  16. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 以上で補足説明は終わりました。     —————————————
  17. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 速記中止。   〔速記中止〕
  18. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 速記を始めてください。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋亨君。
  19. 古屋亨

    ○古屋委員 私は提案されております地方税改正の法案につきまして、順次お伺いをいたすものでございます。  まず第一に、地方税制のあり方と申しますか、基本を考えるにあたりましての根本的な問題につきまして御意見をお伺いしたいと思うのであります。  申すまでもなく、住民生活に密着、密接いたしました地方行政が地方団体の責任におきまして円滑に行なわれ、住民の負託にこたえることができるようにすることを税の根本として配意しなければならないと思うのでありますが、税制調査会の長期答申の中でも、このような観点から、地方行政に必要な財源はでき得る限り住民が地方団体に対して直接負担する地方税によることが望ましいということが述べられておるのであります。特に、市町村基礎的な自治団体として住民の福祉の向上に直接結びついた行政を実施する団体でありますから、その税制は、住民が直接負担する直接税を中心といたしまして、これに適当な間接税を補完的に配するという形が適切であると思われるのであります。地方税制につきまして種々の改革意見はありますけれども、このような考え方の基本は、今後ともこれを続けていくべきであると考えておるのでありますが、この点に対する御見解をお伺いしたいと思います。
  20. 砂田重民

    ○砂田政府委員 御意見のとおりでございまして、基礎的な自治団体としての市町村の性格から考えましても、住民が直接負担をいたします直接税を中心とした構成が望ましいと考えられます。このような意味におきまして、住民税固定資産税、このような直接税を基本といたします現行市町村税制というものが自治のたてまえに即したものというべきでございまして、今後市町村税制を検討いたしますにつきましても、基本的にはただいまの税制の仕組みをこのまま持ってまいりたい、このように考えております。
  21. 古屋亨

    ○古屋委員 根本の第二の問題でございますが、最近市町村税収入の伸長率が鈍化してきておりますることから、市町村財源を充実しようというような要請が非常に強いのでございます。確かに、市町村税源充実地方税制の当面する重要な問題でございますが、税制調査会の答申にもございますが、最近の十カ年における都道府県及び市町村の歳入のうちで占めておりまする税収入の構成比率は、都道府県におきましてはおおむね三〇%程度で推移しておるのでありますが、市町村におきましては、昭和三十二年度において四六%、これがだんだんだんだん低下してまいりまして、四十一年度においては三六%になっております。また、市町村税の収入状況を見まするときに、三十一年度から四十二年度までの間、税収入全体では四・三四倍の伸長率を示しておるのでございますが、固定資産税の伸長率は三・三五倍にしかすぎないのであります。しかも土地に対する固定資産税収入は、地価の著しい上昇があるにもかかわらず、わずかに一・九五倍にしかなっていない。このようなことが市町村税収入の伸びが鈍化してまいりました一つの原因とも考えられるのでございますが、市町村税制のあり方を検討するにあたりましては、固定資産税、特に土地に対する固定資産税にいろいろ問題があると思われるのでございます。のみならず、今後地方税制につきましては、住民税の減税など所得に対する負担軽減の要請にこたえようと努力することが必要であると考えられるのであります。  こういう観点からいたしまして、住民税の減税を行ないながら市町村財源を確保していきますためにも、資産課税であります固定資産税については、その充実をはかっていくことがぜひとも必要ではないかと考えるのであります。わが国の税制上に占めます固定資産税のウエートは、外国の財産課税の比重に比べてかなり低いとも承っておるのであります。そういうような点から、税制全般を通ずる負担合理化という見地からも、固定資産税負担適正化をはかるべきではないかと考えておるのでございますが、この点に対する御意見を承っておきたいと思います。
  22. 砂田重民

    ○砂田政府委員 古屋先生のおっしゃいますように、市町村税収入と国税また道府県税収入の伸長がちょっとバランスを失してきておる、大問題であると考えております。真剣に考えてまいらなければならないところでございますが、ただいまお話しのございました固定資産税の伸びが少ないことがやはり非常に大きな一つの原因になっておるだろうと思います。これは昭和三十八年まで御承知のように地価の実態に即した評価がえが行なわれずにまいりまして、三十九年に評価がえをいたしましたけれども、やはりこれも負担激変の緩和の措置をとってまいっております。そういうところに一つの大きな原因があろうかと考えております。これは負担調整措置が悪いという意味ではございません。現実問題として、そういう措置市町村税の収入の伸びをあまり伸ばしていない原因になっているという現実の問題でございます。そこで、次の基準年度が昭和四十五年になるわけでございますが、やはり四十五年は、適正な評価がえを行ないますとともに、固定資産税適正化を確保する一つの大事な年であろう、このように考えております。  いまお話しのございましたわが国の税制中の固定資産税と諸外国の同じような性格を持ちます財産税、これはやはりわが国の固定資産税というものが諸外国に比べますと低いところにある、こういう数字が統計上は出ております。今後税制全般を通じます負担のバランスを考慮しながら固定資産税負担適正化をはかっていきたい、このように考えております。
  23. 古屋亨

    ○古屋委員 次に、過疎過密の問題でございますが、最近におきまする人口あるいは産業の都市集中に伴いまして、大都市あるいはその周辺市町村におきましては過密状態に達しまして、都市再開発のための財政需要の増加はきわめて著しいものが見受けられるのでございます。他面、僻地農山村におきましては、過疎といわれる現象が発生いたしまして、必要最小限の財政需要をまかなうための財政力の確保も非常にむずかしい。いろいろな問題が生じております。こういう問題を全般的に解決していきますためには、もちろん税制のみでなく、総合的な地方財政措置を講じて、地域ごとの要請にこたえていくことが必要であると思われるのでございます。このような観点からいたしまして、税制上の措置といたしましては都市税源充実、ただいま陳情がございましたし、また昨年の当委員会における附帯決議にも出ておるのでありますが、都市税源充実強化をはかることを中心にいたしまして検討を加えていかなければならない。他面、過疎地域におきましては、交付税の傾斜配分等の措置を講ずることによりまして、所要財源の確保をはかるべきものと考えておるのでありますが、この過疎過密の問題につき、まして、過密地帯における都市税源充実強化の問題過疎地域における交付税の傾斜配分というような点につきましてお考えをお伺いしたいと思います。
  24. 砂田重民

    ○砂田政府委員 過密過疎の問題は、今日の地方団体が当面をいたします最大の問題の一つでございます。お説のように、税制上の措置だけで足りるものでもございません。財政上の適切な措置がとられることが必要でありますことは御指摘のとおりでございまして、税制上の措置といたしましては、ただいまも大都市の御陳情がございましたが、社会環境、経済環境の変化から都市整備推進というものが緊急の要務になっておりまして、財政需要が著しくふえてまいっております。こういう現状にかんがみまして今後とも都市に対します税制の充実をはかる、積極的にそういう姿勢で臨んでまいりたい、このように考えております。
  25. 古屋亨

    ○古屋委員 いまの都市財源と申しますか、大都市税源充実は別途伺うことにいたしまして、一般的問題につきましてもう一つだけお伺いしておきたいと思います。  地方税国税との関連、あるいは住民税所得税との問題におきましてそれぞれ基本理念に差がありますことは存じておるのでありますが、大体最近の世論の動向を勘案いたしますと、国税地方税を通ずる合理的なあり方の検討ということもきわめて必要だと思いますが、この点の考え方をお伺いしたいと思います。  たとえば、ことしの一月二十九日に発表されました国民生活研究所、これは経済企画庁の外郭団体のように聞いておりますが、「都民のレジャーと生活意識調査」を見ましても、税金問題につきましては、いまの生活に満足している人を含めまして全体の八五%が税金が高過ぎるという批判をしているのでありますが、特に強い批判を漏らしておりますのは、この報告によると、主婦であり、サラリーマン、商人という順であるのでございます。こういうような点で国と地方を通じた全体の租税体系の中で地方税をどういうふうに位置づけるか、ひとつこの辺で十分検討する必要があると思うのでありますが、この点につきまして政務次官の自治省としての御見解を承れれば幸いと思います。
  26. 砂田重民

    ○砂田政府委員 たいへんむずかしい御質問でございますが、どうも私が考えますのに、国税地方税あわせて総合的に税制の問題は根本的に再検討をしなければいけない時期に来ているのではないか、実はこういう感じを私は持つわけでございまして、国と地方との事務分担、あるいは府県と市町村との事務配分の問題、こういう問題もからんでまいりますけれども、経済社会の発展と申しますか、産業構造の変化と申しますか、こういったことにどうも税制が若干おくれをとっているような感じを持っております。非常に重要な問題でございますので、やはり地方制度調査会あるいは税調、こういう場でのいろいろな論議をお願いしなければなりません。自治省といたしましても、地方税に関しまして、いま古屋先生御指摘の問題について、地方制度調査会等にただいま諮問を出しまして御検討をお願いしている段階でございます。
  27. 古屋亨

    ○古屋委員 個別的問題に入りまして、まず第一は住民税課税最低限引き上げの問題に関連いたしましてお伺いいたすのでございますが、住民税課税最低限の問題につきましては、昨年の本委員会附帯決議にございますが、今回の住民税の減税によりまして昭和四十三年度に引き続き課税最低限引き上げが行なわれることになるのでございますが、所得税につきましては、昭和四十五年には百万円に引き上げようという目標を掲げておるのであります。それとの比較で、それぞれ立場が違っておる点はよくわかるのでありますが、住民税課税最低限をもっと引き上げるべきであるという意見もあるのでございますが、これについてどのようにお考えであるか。特に四十四年度の地方財政につきましては、交付税を六百九十億円減額いたしまして四十五年度以降に繰り延べることとされておるのでございますが、このような措置をとる余裕があるならば、住民税等の大幅減税をもっと行なうべきではないかという意見もあるのでございまして、この点につきまして本年二月十一日の日本経済新聞は、この調査室の資料の一三ページを見ましても、「地方財政事情をみると四十三年度に引き続き四十四年も少なからぬ財源を国に貸しつけることになっている。国に貸しつけるような財源があるなら個人住民税負担軽減をもっと大きくということになぜできぬのであろうか。」というように述べておるのでございますが、この点につきましてまずお伺いいたしたいと思います。
  28. 砂田重民

    ○砂田政府委員 二点のお尋ねでございましたが、初めのほうの住民税課税最低限につきましては、やはり地方財政に及ぼす影響を考慮いたしながら検討しなければなりませんので、これから先どうするかという長期的な具体的な目標を明確にお示し申し上げるのは非常に困難なことでございます。しかしながら、税制調査会の長期答申にもございますように、国民生活水準の推移、所得税課税最低限とのバランスの問題、地方財政状況等を総合的に考慮いたしまして、今後も課税最低限引き上げについては積極的な姿勢で検討してまいらなければならない、かように考えております。  第二点のいわゆる六百九十億の問題でございますが、これは四十三年度の自然増収を引き当てになされたものでございまして、四十四年度の地方財政に影響を与えない範囲内で行なわれた措置でございます。したがいまして、このことをもって明年度地方財政が余裕があるというふうには実は言いがたい。そういう受け取り方をされると実は困るのでございまして、四十三年度の自然増収を引き当てに四十四年度の地方財政に影響を及ぼさないその範囲でとった措置でございます。住民負担軽減合理化ということは、今後とも地方財政状況を勘案いたしながら、先ほど申し上げましたように、積極的な姿勢で検討を続けてまいりたい、かように考えております。
  29. 古屋亨

    ○古屋委員 ただいまの住民税の減税が市町村財政に与える影響はかなり大きいものと考えるのでございますが、大都市とその他の市町村で影響の度合いはどのように考えておられますか。特に財政力の乏しい農山村におきましては、減税によりまして財政に大きな影響を受ける市町村もある。こういう点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  30. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおり、住民税課税最低限引き上げによります減税の影響は、地方財政全体としての問題等もございますけれども、個々の団体に与える影響というものも考えていかなければならないところでございまして、特に今日のような状態では、個々の団体に与える影響というのはかなり違った姿で出てきているのでございます。昭和四十三年度にも課税最低限引き上げをいたしましたが、その結果を見ますと、住民税所得割納税義務者数について見ますと、四十二年度に比較いたしまして、大都市は大体納税義務者数は横ばいでございます。その他の市町村においては、市町村のうちの半分くらいが納税義務者が減っているということでございます。こういうような結果が四十三年度の減税について出ておりますので、それに引き続く四十四年度の措置がとられようとしているわけでございますので、その影響も都市よりは地方に相当大きなものがあるのではないかというふうに考えております。このような過疎地帯と申しますか、というような市町村に対しまする減税の影響につきましては、先ほど政務次官からお話がございましたように、地方交付税の配分等を通じまして十分な措置を講じていく必要があるというふうに考えております。
  31. 古屋亨

    ○古屋委員 住民税の累進税率の問題について次にお伺いいたしますが、所得税の累進税率は今回緩和されて提案されておるのでありますが、住民税の累進税率は、三十七年以来据え置きのままと承っておるのであります。この点につきまして、これは三月十一日の「官庁速報」というのを見ますると、自治省は、中・低所得階層を中心に市町村民税所得割の累進税率を長期的観点から手直しする具体的検討に着手するというようなことが書いてあるのでございまして、これによりますると、自治省としましては「これまでとってきた住民税減税方式である課税最低限免税点)の引き上げが納税人口の減少をもたらし、“負担分任”という住民税の性格と矛盾してきているとして、累進税率緩和による税負担軽減を考えているものである。一方、所得税課税最低限引き上げのほかに税率緩和の方針を強く打ち出しているかめ、それに合わせようとのねらいもあり、四十弄年度以降、住民税にとってこの問題が大きく脚半を浴びるものとみられる。」というような文章でございまして、「同省としては住民税減税は今後とも実施していく方針に変わりないが、課税最低限引き上げだけにたよっていては負担を分任しあうという住民税の性格が薄れることになるので、今後は中・低所得階層を中心とした市町村民税の累進税率の緩和と課税最低限引き上げの二本立てで減税する意向を固めたものである。同省は累進税率の緩和にあたっては、重税感のとくに強いサラリーマンについて標準世帯の年収が百五十万円程度以下の中・低所得階層に重点を置くことにしている。その場合、府県民税所得割の標準税率である百五十万円以下二%、それを越える金額は四%という二段構えの比例税率も再検討の対象となろう。」というような官庁速報の記事を見たのでありますが、こういうような点につきまして、具体的検討に着手したものであるかどうか。それは事実であるか。事実であれば、その内容はいま申し上げたのと同じか、あるいは違うかという点について、ひとつ税務局長からお伺いしたいと思います。
  32. 松島五郎

    松島政府委員 住民税税率のあり方につきましては、たしか昭和三十九年の税制調査会の答申では、住民税所得税のような所得の再分配機能というものを強く持つ税とは異なるのであるから、やはり累進度を緩和すべきであるという御意見が出されております。しかしながら、これに対しまして、一方、課税最低限引き上げとか、そういうことによって住民税の低所得者に対する減税をすべきであり、その分は高額所得者に対する負担をもっと求めることによって解決すべきであるという観点から、累進度をもっと高めるべきであるという御意見もあるところでございます。このようにいろいろ考え方があるわけでございまして、それと課税最低限というものも税率とは無関係ではございません。課税最低限引き上げるということは、やはり税率と関連をして、ある場合には累進的効果を強め、あるときには緩和するというような働きもするわけでございます。私どもといたしましては、いまここでお示しがありましたような検討をしておるというような具体的内容までまだ入っておりませんけれども、常に課税最低限の問題、税率の問題というのは一体のものとして、私どもの任務としては常々検討しておるものでございますが、いまお示しのありましたように、来年度具体的にどうするという段階までまだ至っておらない状態でございます。
  33. 古屋亨

    ○古屋委員 その問題はまだ議論がありますが、次に、住民税の超過負担の解消の問題につきましては、三月九日の朝日新聞でも、超過課税の解消というような点を述べられておりますが、この点についてどういう方策を考えられておるか。また、いまこういうふうに持っていきたいという御意見がありますればひとつお伺いをいたしたいと思います。
  34. 松島五郎

    松島政府委員 住民税の超過税率の問題につきましては、かねてから御指摘をいただいておる問題でございまして、私どもも極力その解消をするよう市町村に対して指導を続けておるところでございます。現在は、昭和四十三年四月一日現在で、全国三千二百九十の市町村のうちで千十六市町村の超過課税を行なっております。しかし、これを二、三年前から見てまいりますと、毎年大体七、八十団体くらいずつ減っております。また、最高限まで課税をしております団体も恒年同数程度減ってきております。しかしながら、私どもは、ただ一般的指導だけではなかなか問題が解消いたしませんので、来年度はぜひ大幅にこの解消をはかっていきたいということで、先日もこの解消方について府県並びに市町村に対しましてその方向で処理をするよう指導の通達を出してきたところでございます。その結果、ただいままで入っております報告によりますと、来年度は二百八十四くらいの市町村が超過税率の解消ないしは引き下げに進みたいという報告を受け取っております。従来のペースに比べればかなり大幅に前進を見てきておるように思われます。引き続きこの方面に向かって努力をいたしてまいりたいと考えております。
  35. 古屋亨

    ○古屋委員 次に、大都市税源充実の問題についてお伺いをいたしたいのでありますが、昨年度の本委員会附帯決議の第三項におきまして、税源充実を検討して明年度においてその具体化につとめるということになっております。したがいまして、いろんな点からそれを見てお伺いしたいと思うのでありますが、大都市におきまする非常な人口増加、集中化に伴いまして、都市再開発を進めるための財政需要が増加する傾向が見られるのでございますが、人口の都市集中は、大都市はもちろんでありますが、周辺の市町村にも波及しておりまして、その結果、周辺市町村においても財政需要が増大をしております。このような状況から、大都市及びその周辺市町村を含めた圏域全体の財政需要に即応した税財政制度を総合的に考える必要があると思いますが、まず最初にその点についてお伺いをいたしたいと思います。
  36. 砂田重民

    ○砂田政府委員 大都市の税問題は大問題でございますが、お説のように、やはり大都市並びにその周辺市町村あわせ考えていかなければならないと思います。ただ一つの悩みの種と申しますか、一口に大都市と申しましても、たとえば、先ほど御陳情のありました政令指定都市の中にもそれぞれ実態が非常に違っております。人口増加の問題にいたしましても、非常に伸びている大都市とあまり伸びてない大都市、昼間人口、夜間人口というものの出入りが全く逆現象にあるような大阪市と横浜市、また税収の伸びにいたしましても、名古屋、横浜のような地方税の伸びが非常に大きいところと、京都や、残念ながらわが神戸市のごとく非常に伸びないところ、非常に実態が違っておりまして、その周辺都市の事情もまたそれぞれ様相が違っております。それを一律に大都市税制という取り上げ方で、どう持っていったらいいかということが一つの難点でございます。ただいま古屋先生のお説のとおり、大都市だけで考えるのは、今日の現状からいたしますとちょっと不合理であろうと思います。大都市及びその周辺市町村を含めた圏域全体の財政需要に即応した税制、こういう角度から検討をしてまいりたい。これは私どもといたしましては、きわめて積極的な姿勢で取り組みたい、このように考えております。
  37. 古屋亨

    ○古屋委員 政務次官の非常な御熱意を伺うことができるのでありますが、大都市におきましては、周辺市町村からの通勤人口というのがどんどんふえてまいります。これが当該都市の財政需要の増加をもたらしておる一つの原因であるということもわかるのでありまして、税制につきましても、現行のような住所地中心の税制というものから、たとえば流通税あるいは消費税というようなものを拡充するとか、あるいは入市税といったような税源を考えるべきではないかという意見もあるのでありまして、こういう点につきましてどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  38. 松島五郎

    松島政府委員 御承知のとおり、現在の市町村税制は直接税中心主義の税制でございます。この点は、先ほど御質問にもございましたように地方自治というものと税制というものとを一体として考えます場合には、やはり住民の直接地方団体に対して負担する税というものを基本にするということが、地方自治との関係で一つの行き方ではないかというふうに考えるのでございますが、いま御指摘のございました昼夜間人口というようなことばにおいて表現されますように、通勤着人口というものが非常にふえてまいりました。住所地はないが、昼間働きに来る人たちのために生ずる財政需要というものを税制の上でどうまかなっていくかという問題が、やはり今後検討の対象にならなければならない点であろうと思います。  そういう面から大都市には——通勤人口といえばその働く場所は結局今日では大きな企業である。したがって、法人課税を強化すべきである。あるいはまた、住所地中心では、いまのような通勤者によって財政需要をまかなう税制というものは考えられないので、その通勤者が通勤地において行為をすることについて課税をするというような道を開けば、そこに一つの税源が得られるのではないか、こういう意味で消費税というものが考えられないかという問題がいろいろ提起されておるわけでございます。  そのうちの法人課税の問題につきまして、私どもはいろいろ検討いたしておりますが、何ぶんにも法人に対する課税は、御承知のとおり国税における法人税地方税における府県税としての事業税、県民税、市町村における市町村民税というふうにいろいろな税があるわけでございまして、それら全体をどう調整していくかという法人課税あるいは企業課税全体の問題として解決をはかっていかなければならない点もございますので、これらについては、いま御承知のとおり税制調査会において法人課税の基本的なあり力についていろいろ検討が行なわれておりますので、その問題の一環として私どもも積極的に取り組んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。  また、消費税、流通税の問題につきましても、確かに一つの考え方ではあるだろうと思いますけれども、それでは具体的にどんな税金が考えられるかということになりますと、なかなかむずかしい問題でございまして、いまここに新しい税金衣起こすということもそう簡単にできる問題ではございません。方向といたしましては、そういったことも念頭に置きながら、今後の税制を検討する一つの基本的な考え方として進んでいきたいとは考えておりますが、いま具体的にどの税をどうするというところにまでまだ至っていない段階でございます。  なお、入市税の御指摘がございましたが、これも諸外国の実例等を調べてみますと、結局勤務節市町村において一種の所得課税をいたしますと、住所地市町村においてはその分を調整するというような形で、いわば負担が倍加される、あるいは二重になるということのないような形で行なわれているようでございますが、そういう形のものであるということになれば、今日の日本の状態で、たとえば大阪市において入市税を取るから豊中市においてその分を減らすというようなことがはたして可能かどうかということになりますと、非常にむずかしい問題でございまして、いまにわかにそういう税制を考えるということは困難ではないかというふうに考えております。
  39. 古屋亨

    ○古屋委員 観点を変えまして、その問題につきまして、大都市におきましては街路、下水道いわゆる都市計画事業の実施のために非常に大きな財政需要の増加が見られるのでございまして、目的税であります都市計画税の制限税率引き上げという問題について、その財源の充実をはかるべきであるというような意見もあります。税制調査会の長期答申におきましてもそういうような答申がなされておるのであります。この点についてのお考えをお伺いしたいことと、もう一つは、大都市における財政需要の増加の中心は、都市計画のための街路事業を中心とする道路整備費が相当大きいものと考えておるのでありまして、今回の改正におきましては、地方道路譲与税譲与基準合理化して、大都市道路財源の充実をはかるということになっておりますが、その内容はどういうふうに考えられておるか、その点もあわせてお伺いしたい。
  40. 松島五郎

    松島政府委員 都市計画税の制限税率引き上げるべきだということは、かねてから都市整備の財源充実の見地からいわれている意見でございまして、また、税制調査会におきましても、都市税制ないしは長期税制の観点からそういう御答申があったようでございます。ただ、明年度の問題としてこの問題を考えるということになりますと、御承知のとおり負担調整措置昭和四十三年までの措置とされておりまして、来年度からは新しい評価額によってそのまま課税をされるということにもなっておりますので、負担増高というような面も考え合わせまして、来年度の問題としては、都市計画等の税源税率引き上げということは取り上げなかったわけでございます。  次に、御指摘のございました道路譲与税の配分方法の改正につきましては、大都市におきます道路財源の充実をはかっていきますために、現在の譲与基準は、御承知のとおり道路面積延長とを単純に用いて配分をいたしておりますけれども、これにつきまして補正を加えることができるようにいたしたい。この補正の具体的な方法といたしましては、道路の種類、幅員による道路の種別というようなものを基準にいたしまして自治省令で定めるというようなことを改正案で考えておるわけでございまして、具体的にそれをどういうふうにするかということになりますと、できるだけ道路交通の実態というものが反映されるような補正方法によって大都市道路財源の充実をはかろう、こういう方向で考えたいと思っておるわけであります。
  41. 古屋亨

    ○古屋委員 大都市の問題は、附帯決議では、先ほど申し上げましたように、税源充実を検討して、明年度において具体化につとめることということに相なっておるのでございますが、非常にむずかしい問題でありますが、いろいろ検討の段階はありますけれども、放任を許さない事態に立ち至っておりますので、ひとつこの点についての一そうの、何といいますか、早急な計画実現、計画の実施という点につきまして政府の特段なる御配慮をお願いいたしまして、次の問題に移ります。  次は、いわゆる最近における土地関連の問題についてお伺いいたしますが、地価の高騰ということは、経済問題以上に社会的な問題を生み出しておるのでございます。すみやかな解決が強く要請されておるのでありますが、今回の土地等譲渡所得に対する課税特例が設けられておりますが、土地問題については税制にどのような役割りを果たさせようとしておるのか、その点をまず第一にお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕
  42. 松島五郎

    松島政府委員 土地問題の解決ということは、御指摘のとおり非常に重大な問題でございますが、税制でもって土地の問題がすべて解決するというわけにはいかないと私は思います。税制というのは、ときによってはプラスに働くこともあると同時に、同じ制度が場合によってはマイナスに働くという場合もないわけではございません。土地政策を税制だけでやるというわけにまいりませんし、やはり土地政策は土地政策それ自体として確立をし、その一環として税制が補完的な役目をなすというのが土地税制のあり方ではないかというふうに考えておるのでございますが、さしあたり土地問題が重要な問題であることにかんがみまして、今回の改正では、一方においては土地の供給を促進するという見地から、長期に保有をされていた方が住宅地等に土地提供する場合に、これをしやすいようにするために税負担軽減する。一方、短期に保有しているという土地については、いわゆる投機売買を抑制するという見地から重課をする、こういうようなことによって土地問題の解決の一端に資したいという考え方を持っておるわけでございます。  なお、保有課税適正化をはかることが土地問題の解決にも非常に大きな役割りをするということが指摘されておりますが、今日、保有課税と申しますと主として固定資産税でございますが、ただ固定資産税につきましては、一部値上がりをしている地域だけの問題でなくて、日本全国にわたって負担している税金でもございますので、土地問題という面からだけ固定資産税を考えるというわけにもまいらぬところもあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、今日の状況から申しますと、固定資産の評価の適正化をはかっていくということが必要なことでございますので、四十四年の評価にあたりましては、その方向で努力したいと考えておる次第でございます。
  43. 古屋亨

    ○古屋委員 ただいま固定資産税負担あるいは評価がえについての御意見、また四十五年においての考え方を伺ったのでございますが、これに関連して、いわゆる地価値上がりを待ちつつあるというような遊休土地等につきまして、空閑地税とかそういうものをつくる考えはあるかないか、どういうふうに検討されておるか、お伺いしたいと思います。
  44. 松島五郎

    松島政府委員 土地対策を推進するという見地から、いわゆる空閑地税あるいは未利用税というような税金をつくって、遊ばしている人に非常に重い税金をかけることによって、土地の利用を促進するというような方向をとるべきであるという御意見は、各方面にあることでございます。税制調査会におきましても、この点についてはいろいろな角度からずいぶん検討が行なわれたのでございます。  しかし、この制度はそういう面から申しますと、確かに有効な制度であり考え方であると思うのでございますが、そのためには課税技術上解決しなければならぬいろいろな問題もございます。まず第一番目に何が遊休土地であり、何が未利用の土地であるかというような問題をまず解決しなければなりませんが、そのためには土地の利用計画なりあるいは土地の利用規制というものが先行いたしませんと、税法だけで、この土地が遊休地であるとか、この土地が空閑地であるとかいうことは確定しがたい問題がございます。また、一面におきまして、現在の土地台帳なり家屋台帳の法的な構成から申しますと、家と土地とが必ずしも台帳上結びついておりませんので、課税技術の上で非常に困難な問題もございます。  そういった面をいろいろ解決をしていきませんとなりませんので、税制調査会では、一つの考え方ではあるけれども、いまにわかにこれを実施するということは非常に問題が多いので、引き続き積極的に検討するというふうなことになっておるわけでございます。私どもも、税制調査会の今後の審議の経過あるいは土地利用に関する制度の推移というようなものを考えながら、この問題に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  45. 古屋亨

    ○古屋委員 先ほど土地の評価がえについての話がございましたが、固定資産税を課する場合の基準となりまする評価がえを来年一月一日現在で全国的に行なうこととなりまして、その実施計画を定めて地方に通達したというふうに聞いておるのでございます。評価がえは三十九年以来六年ぶりの大がかりなものでございますために、地価高騰の激しい大都市周辺ではかなりの引き上げが予想されております。また、固定資産税を主要財源といたします市町村では、新しい評価による税増収をねらっておりまして、現行負担軽減措置土地税制のあり方とも関連いたしまして、来年度の地方税を検討する大きな問題点となることが予想されておるのでありますが、こういうような通達の内容、あるいは評価の方針につきまして御説明願いたいと思います。
  46. 松島五郎

    松島政府委員 通達のほうは全く技術的なものでございまして、今後土地の評価を進めてまいりますための手順を示したものであります。  まず、こまかくなりますが、評価をいたします場合には、大体状況の似たような土地を一ブロックといたしまして、その中には標準地というようなものを設定いたしまして、その標準地の価格を評定をいたしまして、その評定を標準地相互で今度広い範囲で均衡をとりながら進めていく、こういうような形をとっておりますので、まず状況類似をした地区というのが、この前評価をいたしましたときとずいぶん変わってきておる面もございますので、その点を再調整をする。前のときにはA地区とB地区とがほぼ同じであったといたしましても、その後に駅ができまして発展をしたり、一方はそのままになっておるという場合に、A地区とB地区とを同じように評価することは適当でございませんので、そういう意味で状況類似地区の区分というものをこの際洗い直すというようなことをまず第一段階としてやり、第二段階としては、その中で基準地、標準地というようなものをとって評価をするわけでございますが、その基準地、標準地が前にきめたものがはたして適当であったかどうかということを検討して、場合によっては選定がえをする。そして、その基準地なり標準地なりの値段を出すために必要な売買実例というようなものを収集をする、こういうようなことを第二段階としてやります。そして第三段階としては、基準地、標準地についての売買実例価格というものを基礎としてまず適正な評価をしてみて、市町村の中でそれらの基準地なり標準地の相互間の均衡をとるようにする、さらに今度は、市町村間の均衡をとるために府県の段階で調整をする、さらに府県の段階で調整をしたものを、今度は全国的に自治省において調整をするというような手続と申しますか、スケジュールを定めて指示をいたしたものでございます。  なお、四十五年度はどういう方針で評価がえをしていくかということでございますが、これは一口に申し上げますと、できるだけ適正な評価をするということに尽きるのでございますが、この適正な評価とは何かということでございますが、やはり最近の地価の動きというものを見ながら、全国的に均衡のとれた評価を実施していくということになろうと思います。なお、その評価の結果につきましては、御指摘のとおり、最近の情勢から申しますと、かなりの値上がりというものも予想されるわけでございまして、それを税負担にどう反映さしていくかという問題につきましては、税制調査会でも、その評価の状況に応じて適切な負担調整措置を講じながら調整をはかる必要があるという指摘もなされておりますので、私どもといたしましては、これから先、評価の進行に伴いまして評価の状況を見ながら、どういう負担調整措置を講ずるのが一番適当かということを検討してまいりたいと考えております。
  47. 古屋亨

    ○古屋委員 次に、料飲税の問題についてお伺いいたします。  これについてはいろいろの批判もあるのでございまして、二月十五日の産業経済新聞におきましては、「税率の一本化は高額飲食に対する減税であり、一人三千円を越える飲食は一般庶民にはほとんど縁がなく、一部の人に限られる。……国税における社用消費抑制のための交際費課税の強化に逆行する措置である」というような批判も出、また一月十二日の毎日新聞には「地方財政に料飲税の減税財源があるならば、まず住民税の減税を充てるべきではないか。……たとえ料飲税減税にまで手をひろげるとしても、税率の一本化より免税点を千円程度まで引き上げるべきではないか。」というような意見も出ておるのでありますが、この料飲税の免税点引き上げ、その点に関連いたしまして、一体公給領収証を受け取るようにといった程度の宣伝で効果があがると考えておられるか。ほんとうに真剣にこれをとるためにどういうような方策を考えられておるか。結局、料飲税課税の実態は、政府としてこの際料飲税の徴収確保に努力を払う、この努力は一体どういうことをされるのか。いままでの点ではとてもこれは確保できないと思うのでありますが、いろいろの批判に対しても、あるいは徴収確保の点についてどういうような措置を考えられておるか。特にあとの点についてお伺いしたいと思います。
  48. 松島五郎

    松島政府委員 公給領収証制度の励行ということは、私どもあらゆる努力を払ってやっておるところでございますが、国税当局とも連絡をしながら、法人税の調査等において、私製領収証等による消費の多額のものについては、通報をしてもらってさらに調査をするというようなこともやってきたわけでございます。なかなか御指摘のとおり実績があがっていない面もございますので、今回は直接経費支出者であります法人に対しても調査ができるような道を開きたいということで改正案を考えております。従来も納税義務があると認められる者に対しては質問検査権を行使することができたのでございますけれども、ただ、この点については法律上多少の疑義がございました。と申しますのは、納税義務者は税法上は行為をした者ということになっておりますので、会社の所用でお客さんを接待したという場合にも、法律上予定されています納税義務者はその行為をした者であるということに解釈上なるというような点から、その行為をさせて経費を支払うものにまで質問検査権が及ぶかどうかという点に疑義もあったわけでございます。そこで今回は、そういう場合には経費を支出するものにも質問検査権を行使することができるようにいたしました。これによって直接の経費負担者であります法人等について調査をし得る道を開き、いままでもそういうことをやっていなかったわけではございませんが、多少いま申しましたような疑問の点がございましたのを、今回の改正案では明確にすることによって、経費支払い者に対する調査を厳重に行なっていくということによって、徴収を確保するというような要件を整備したわけでございます。
  49. 古屋亨

    ○古屋委員 ひとつ政務次官から、免税点引き上げあるいは今後のあり方あるいは税率の統一というような問題について御意見をお伺いしたいと思います。
  50. 砂田重民

    ○砂田政府委員 料飲税の免税点の問題は、こういう免税点制度を創設いたしますときに、昼めし代まで税金をかけるのは文字どおり大衆に非常に過酷な負担をかけるものではないか、こういうことで料飲税の免税点というものがスタートをしたのであろうと思います。しかし、この料飲税の免税点というものについての納税義務者であるところの納税者の側の理解が、私はだんだん変わってきていると思うのです。昼めしということで考えれば、現行の六百円程度が妥当の金額ではないか。しかし、そういう昼めし程度にはもう料飲税をかけないというふうな性格を持った料飲税の免税点であるというふうにはこのごろは考えられなくて、端的に申し上げますならば、若い勤労者が会社のつとめの帰りにおでんを食べて一本つける、その程度のものはもう大衆のあたりまえの慰安ではないか、そこまで税金をかけるのはどうかというふうな考え方に料飲税免税点というものの性格が変わってきたと思うのです。   〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕  そういう観点から大衆負担軽減をする、そういうことにこたえなければならないということで、今回二百円の免税点引き上げを考えまして御審議をお願いをしているような次第でございます。やはりこれは物価の動向、そういった社会環境、国民生活の変化等に応じまして考えていかなければならぬもの、このように考えております。
  51. 古屋亨

    ○古屋委員 次に、電気ガス税について簡単にお伺いいたします。  電気ガス税は伸長性と普遍性に富んだ税であり、市町村にとっては有力な自主財源であるのでございます。本税について大幅な減税を行なうことにつきましては、市町村財政に及ぼす影響は大きいものと考えられるのでございますが、同時に、他面消費者の負担軽減をはかるという見地から、税率の引き下げを考えるべきであるという意見も多いのでございます。この点につきましての見解をお伺いしたいと思います。
  52. 松島五郎

    松島政府委員 電気ガス税の問題につきましては、御承知のとおり昭和三十七年から毎年一%程度下げてきたわけでございますが、今回の改正でも、わずかではございますが免税点引き上げをし、できるだけ負担軽減をしていきたいと考えておるわけでございます。ただ、ただいまも御指摘がございましたように、この税金は市町村の有力な自主財源ということになっておりますので、最近市町村税の伸びが停滞をしておりますおりから、大幅な減税を行なうということには大きな困難があるわけでございます。しかし、一面において、これまた御指摘がございましたように、負担軽減の要請も強い税でもございますので、今後はできるだけそういった方向で検討を進めていきたいというふうに考えております。
  53. 古屋亨

    ○古屋委員 いろいろ聞きたいことがあるのですが、急ぎますので、次に自動車取得税の問題についてお伺いいたしますが、昭和四十三年度は創設当初のことでありまして、その見積もりが過小ではないかというような議論もありましたが、自動車取得税についての現在までの課税の実績、収入の状況はどうなっているかということを第一にお伺いしたいと思います。  それから、免税点につきましては、昨年十万円の免税点が設けられたのでございますが、附帯決議におきまして、明年度においては免税点引き上げるということの附帯決議が付されまして、今回の改正法案におきましては免税点を十五万円に引き上げることにされておりますが、どの程度の負担軽減をはかることになるか、この点を第二にお伺いしたい。  同じく附帯決議におきまして、「下肢又は体幹が不自由であるため、身体障害者手帳又は戦傷病者手帳の交付を受けている者が自ら運転するために取得する自動車に係る自動車取得税については、都道府県において減免措置を講ずるよう適切な配慮をすること。」という附帯決議があるのでありますが、この点について自治省はどのような措置を講ぜられたか。  以上三点についてお伺いをいたしたい。
  54. 松島五郎

    松島政府委員 昭和四十三年度の自動車取得税の収入見込み額につきましては、新車につきましては課税見込み台数三百十四万台を基礎といたしまして算定をし、また中古車につきましては百三十万台を基礎にして算定をいたしまして一応三百九十五億円という見積もりを立てたわけでございます。昨年の十二月末におきます自動車取得税の収入額は約二百五十億円でございます。これを基礎といたしまして今後の分を推定いたしますと、大体本年度の収入見込み額は、先ほど申し上げました三百九十五億円ないしはそれを若干上回る程度の収入が得られるのではないかというふうに考えております。なお、徴収率も各方面の御協力を得まして十二月末では九四%程度まで上がってきております。  次に、免税点の問題でございますが、自動車取得税免税点では、さきの国会で当委員会附帯決議がございましたが、私どもといたしましてはその附帯決議趣旨を体しまして、中古車に対する課税の問題等も検討しながら今回十五万円に引き上げることといたしたものでございます。これによりまして中古車の取得件数の七五%程度が免税点以下になる、こういうふうに考えております。したがいまして、中古車で課税されるものは取得件数のうちの四分の一程度になるものと見込んでおります。これによります減税額は約十九億円でございます。  それから身体障害者のうちの下肢または体幹不自由者で歩行が困難である者が所有してみずから運転する自動車に対する課税を免除するべきであるという附帯決議の問題につきましては、都道府県に対しましてそのような通達を指導いたしまして、現在のところ各都道府県もその通達の趣旨に従って課税免除の措置を講じているという状況でございます。
  55. 古屋亨

    ○古屋委員 宅地開発税について数点お伺いをいたしたいと思います。  この調査室の資料の三一ページにありますように、二月十日の東京新聞におきましては、「税新設の緊急性は認められない。この税を新設すれば、該当市町村はきそって課税に踏み切ろう。宅地開発業者が課税額を地価に転嫁させることも目にみえているので地価上昇につながる。これと土地への投機を抑制して地価の安定を図るとともに宅地供給をふやさせる目的で改正される土地税制とは調和しない。」あるいは二月三日の日本経済新聞では「宅地開発税を租税体系のなかでどう位置づけるかである。現行地方税のなかに、都市計画税がある。そのうえに宅地開発税では明らかに重複であろう。」というような批判もいろいろ出ているのでございます。  それで私がお伺いしたい第一点は、この税の創設が地価の値上がりを招来するおそれがあるという意見についての御意見を伺いたい。  第二点は、都市計画税のほかに宅地開発税を重ねて課することは負担が重複するのではないかという意見についての考え方  第三点は、公共施設整備が円滑に進まないならば、結局、税は徴収されてもそれに見合う市町村公共施設整備がなされないということになるのではないかというような点。  それから、宅地開発税税率市町村条例で定められることになっておるのでありますが、大体自治省の見通しております税収入はどのくらいあるか。それから、法定しない理由というのをもう一度お伺いしたい。  それから、市町村宅地開発税を起こすことによりまして学校その他広範囲公共施設負担を求めることになり、負担が過重ではないかというような意見、あわせて、先ほど税務局長から説明がありました政令自治省令に譲っている点につきまして、その政令自治省令の内容、そういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
  56. 松島五郎

    松島政府委員 第一点のこの税を起こすことが地価の騰貴をもたらすのではないかという御質問でございますが、この税は宅地開発に伴って必要最小限度の公共施設をするというために負担を求めようとするものでございます。現実の問題といたしまして、宅地開発と申しましても、家だけできればいいというわけでございませんし、やはり人が住むためには、良好な環境整備というものが同時に伴わなければならないわけでございます。そのために、現実の問題といたしましては、宅地開発業者等に対しまして、道路をつくれ、橋をつくれ、あるいは児童公園をつくれというようなことで負担が求められてきているという現状でございます。それでは宅地開発業者はその負担を自分のふところ勘定でしているかと申しますと、結局は買う人に転嫁されてきているのが現実であろうと考えるのでございます。そういう意味で、私どもはむしろこの際、この税によって市町村が責任をもって環境施設整備していく、そのために幾ばくかの負担を求めるということでございますので、そのことが直ちに地価の騰貴につながっていくというような性質のものではないというふうに考えております。  第二点は、都市計画税との二重負担になるのではないかというお尋ねでございますが、御承知のとおり、現在都市計画税の対象となっております都市計画事業と申しましても、この宅地開発税で予定をいたしておりますような身のまわりの道路、公共道路あるいは排水路というようなこまかいものにまで及んでいないのが現状でございまして、そういう意味で都市計画税でもって全部の道路なり何なりが整備されているわけでもございません。したがいまして、私どもはむしろ都市計画税の対象となるような大きなものを考えておるのではなく、それ以下の身のまわりの施設ということで考えておりますので、必ずしも二重負担ということにはならないというふうに考えております。  第三点は、税を取っても、公共施設整備がそれに伴わなければ、結局、税の取られっぱなしと申しますか、そういう形になるのではないかというお尋ねでございますが、そういった点をも配慮いたしまして、そういうことがないように、都市計画区域の中でもさらに条例公共施設整備を必要とする区域を定めるということによって、その地域内だけで課税をする。逆に申しますと、その地域では市町村がそういった公共施設整備をしますという前提のもとに、市町村施設整備と税負担というものが相関連するような仕組みでもって考えられたわけでございます。  なお、税率につきましては、届け出の際、自治省令で定める事項を届け出を求めることにいたしておりますが、その際には、あわせてその地域の公共施設整備に関する計画というようなものも求めまして、いま御指摘になりましたようなことの起こらないように、よく指導してまいりたいと考えております。  なお、税率を一定の額なりあるいは一定の率で定めなかった理由といたしましては、先ほど補足説明でも申し上げましたが、ただいま予定しております公共施設と申しますのは、その宅地周辺の道路、排水路、児童公園程度の区域というようなものでございます。そのようなものといたしますと、そのうちでも大部分が道路になりますが、その道路の区域というものは、私どもの実態調査によりますと、大部分が用地費でございます。ところが、用地費は、御承知のとおり場所によって非常に差がございますので、一律の税率あるいは一定額の税率というようなことになりますと、必ずしも実態に合わないという問題がございますので、そういった点を考慮して、税率の法定をしなかった、こういうわけでございます。  さらに、第五点といたしまして、こういう税を起こすことになれば、学校その他のケースについてまでこの税の負担を求めるのではないかという御指摘でございますが、先ほども申し上げましたように、公共施設として政令で予定しておりますものは、一定規模以下の道路、それから排水溝と申しますか、そういったもの、それから児童公園程度の区域というもののみに限定をいたしたいと考えております。学校とかそういう施設は、この税の対象として含ませないという考え方でございますので、この税によってそういう学校までの経費を負担させるというような過大なものになるようなことがないようにいたしたいと考えております。
  57. 古屋亨

    ○古屋委員 終わります。
  58. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次に、依田圭五君。
  59. 依田圭五

    ○依田委員 それではまず政務次官に御質問をいたします。  ことしも六百九十億ですか、大蔵のほうから要求されて出すことになった。地方財政は好転してきているということを大蔵のほうで言っておるんですね。われわれはそういう認識を持っておらない。次官はどういうようなお考えをお持ちですか。まずその点から伺っておきたいと思います。
  60. 砂田重民

    ○砂田政府委員 地方財政は、過去の統計的な数字を見てみましても、相当な充実をされてきたということは言えると思うのです。しかしながら、各地方公共団体が地域社会住民にこたえてやらなければならない行政サービス水準というものを、これまた統計的に比較をしてみますと、国道と地方道との整備状況を比較検討してみましたときに、私は地方財政というものが完全に豊かになったという理解はいたしておりません。
  61. 依田圭五

    ○依田委員 きのう参議院の予算委員会で、野田大臣は、電気ガス税はもう免税点を上げた。私はこれはあとで触れますが、そういうような末梢的な措置でなしに、もっと抜本的な、電気ガス税も、地方財政の実情に応じて、悪税であるからこれを検討したい、こういうことを言っておりますね。これは大臣のおっしゃったことでありますから、自治省としても文字どおり受けとめて、来年はその方針に従ってやっていくとわれわれは理解しておりますが、もう一ぺんここで確認をいたしておきたいと思います。
  62. 砂田重民

    ○砂田政府委員 大臣がきのう参議院の予算委員会で御答弁しました思想は、自治大臣としての公式の場所での御意見でございますから、私どももそのとおりに受けとめております。いま依田先生おっしゃいましたとおりに、地方財政の実情に応じて検討してまいる、こういうことでございます。
  63. 依田圭五

    ○依田委員 地方財政の実情ということになると、あまりにも幅が広過ぎて、せっかくの大臣のああいう発言が骨抜きにされるわけですね。ここに大臣がおいでになれば直接聞きたいのですが、おられないからあなたに聞くのですが、電気ガス税が悪税であるということは、何度も総理も言っておられる。しかも地方財政はことしも六百九十億円貸しておるわけです。これは決して自治省は大蔵省に押しまくられた、押し切られたというようなことを私は考えておりません。比較的に好転をしたのだという政務次官の御答弁で、その点にわれわれは問題があると思っておるのです。好転しておらない。いろいろの点で市町村は非常に困っております。大都市に至っては、シャウプ税制の——先ほどの陳情者の方がおっしゃったように、シャウプのときには、府県税に対して二倍に近い収入があった。最近は半分ぐらいに減っておるわけです。極端な困窮状態にある。また、地方債もふえておる。財政の潜在的な要求に対してもこれを押えておる。こういうような情勢の中で、大蔵から要求されて、やはりことしも六百九十億円も出す、こういうような情勢の中で野田大臣は、電気ガス税は、総理も言っておるように、天下の悪税であるから、零細需要家に対してもこれ以上の悪税はないからやめたいという総理の意向を受けて、参議院の予算委員会で言っておられるわけです。ですから、文字どおり、そのことばに偽りなく、来年はその作業に入っていただけるものとわれわれは理解をしてこの地方税法の審議に——やはりことしも電気ガス税免税点引き上げその他が入っておりますから——入っていきたいと思っておるのです。その点を明確にしていただいて、大臣のおっしゃっておることと、それから、これとの関連の各責任者の方といいますか、自治省の幹部の方がおっしゃることと違うなどということでは、この地方税法の審議に入るわけにはいかぬわけですから、明確にしていただきたいと思います。
  64. 砂田重民

    ○砂田政府委員 大臣が参議院の予算委員会でお述べになりましたとおりでございまして、私、速記録を見ておりませんけれども、大臣から参議院の予算委員会の終わりましたあと伺ったところでは、電気ガス税については、依田先生がおっしゃったような思想でお答えをしておいた、四十五年も税額を減らしていくという方向で前向きに検討していきたいのだ、こういうふうに大臣が御答弁になったそうでございますが、私ども自治省全体、大臣の予算委員会での御答弁そのままに受け取って、その姿勢でやっていくことにいたしております。
  65. 依田圭五

    ○依田委員 それでは、さらにその点について、これは税務局長にお尋ねするのですが、電気ガス税の減税の問題につきましては、あるいはこの廃止の問題につきましては、免税点引き上げと各種特別措置の問題がありますが、それらの関連について、われわれは、大臣は零細需要家の大衆の立場に立って、電気ガス税の撤廃に踏み切った発言をきのうは予算委員会でなさっておるのですが、税務局長はどういうように具体的に、その意向を受けられて明年度この特別措置、それから免税点引き上げ——大臣はこういうことを言っております、免税点引き上げなんというこそくな手段はもうとらない、もっと抜本的に、総理の意向を受けてこの悪税の撤廃に向かいたいということを予算委員会で言っております。この点についての御答弁を願いたいと思います。
  66. 松島五郎

    松島政府委員 零細負担の排除ということを考えます場合に、やり方としてどういうやり方が一番いいかという点のお尋ねかと存じますが、零細負担の排除ということから申しますと、むしろ免税点引き上げをすることが零細負担の排除ではないかというふうにも考えられます。電気ガスの消費と申しましても、ごく零細な消費の方もあれば、相当量消費される方もあるわけでございますから、税率を引き下げるということになれば、非常にたくさんの電気を消費される方も同じように軽減される。しかし、零細負担だけを排除するということであれば、免税点引き上げるほうがより合理的であるという考え方もできるかと思います。また、特別措置の問題につきましては、かねてからいろいろ御指摘のあるところでございまして、私どももできるだけ整理をしたいという方向で努力をいたしておりますけれども、これにつきましては、一ころ特別措置が無限に広がるような形勢にあったときに、やはりそこに一つの歯どめがなければいかぬということで、製品コストの中に占めます電気料金の割合が五%以上であるものをとるというような方針を立てて今日まできておるのですが、その実態が変わりませんものですから、なかなか整理がつかないという状況でございます。しかし、この点につきましては、私どもは、そのときそのときの状況に応じまして、やはり洗いがえと申しますか、そういうこともしながら合理化をはかっていきたいというふうに考えております。  なお、参議院の予算委員会におきます大臣の御答弁に関連してのお尋ねでございますが、確かに大臣は、電気ガス税について来年度は軽減の方向を考えたいということを申されましたが、その具体的なやり方までお話があったとは私、承っておりませんので、今後の問題として私どもはいろいろな観点から検討をいたしてまいりたいと思っております。
  67. 依田圭五

    ○依田委員 私は財政が好転したかどうかという問題や、課税最低限その他基本的な、今度の税制改正の一番大きな項目について御質問して、若干電気ガス税も後半触れたいとは思っておったのですが、たまたまこの問題が出てまいりましたので、それについてなお、二、三の点をお聞きしたいと思います。  夫婦子供三人、いわゆる標準世帯において、電気は一体どのくらいかかるのですか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  68. 松島五郎

    松島政府委員 どのくらいの消費であれば免税点になるかという資料はただいま持っておりますけれども、夫婦子供三人で大体どのくらい電気料がかかっているかという資料はただいま持ち合わせませんので、後ほど調べてお答えさせていただきたいと思います。
  69. 依田圭五

    ○依田委員 それでは、四百円の免税点では一体どういうことになるのですか。
  70. 松島五郎

    松島政府委員 契約種別が従量電灯乙十アンペアというので、使用可能電力量二十一キロワットアワーでございまして、これは一応の想定でございますが、具体的に一日に蛍光灯二十ワット二時間、三十ワット一時間三十分、四十ワット五時間三十分、テレビ二時間、洗たく機三十分、その他アイロン等の使用を含めまして、一日当たり使用量六百八十八ワットという程度は四百円に該当すると思います。
  71. 依田圭五

    ○依田委員 それではさらに聞きますが、標準世帯についてはわからないということでありますから、課税最低限から私も若干考えながら御質問しますけれども、課税最低限が、今度十万円上げて六十二万三千七百幾らになったわけであります。これは大蔵省に聞くのですが、この課税最低限というのは、基準生計費は一体現在どのくらいになっておりますか、四十四年度の推計でけっこうです。
  72. 早田肇

    ○早田説明員 ただいま御指摘になりました基準生計費でございますが、この基準生計費は、実は所得税課税最低限がまだ低かった四十年におきまして、それが生計費との関連においてどの程度の高さを占めているかということを検討するために、それとの対比もございまして試算いたしました。その後いわゆる課税最低限所得税につきましては相当上げてございます。これは毎年夫婦子三人の世帯で十万円程度上げておりますが、片や消費者物価指数等の傾向は大体五%ぐらいでございまして、現在においてこれを対比して検討してみるまでのこともないということで、この二年ほど全く大蔵省としては計算してございません。
  73. 依田圭五

    ○依田委員 ちょっとおかしいですよ、あなた。検討してみるまでもないなんて、荒っぽく鎧袖一触みたいに片づけられたって困るんですよ、そんなことは。大蔵当局が基準生計費をやらなくなったのは、これは秋吉さんのほうからひとつはっきりその政治的な背景なり何なりを——これは無理ですか。そうすると課長さんのほうの所管ですか。
  74. 早田肇

    ○早田説明員 はい。
  75. 依田圭五

    ○依田委員 それではあなたは、必要ないからやらないのだとかなんとか言っておるのですが、もうちょっと詳しく言ってください。それでは答弁になりませんよ。
  76. 早田肇

    ○早田説明員 四十年に、一番初めに大蔵省としまして基準生計費というものを計算いたしました。その場合には、通常の世帯が必要といたします食糧費をもとにいたしまして、それでエンゲル係数で逆算いたしまして、夫婦子三人の世帯についてどの程度の生計費となるかということを試算したわけでございます。そしてその額と課税最低限との検討において、どういう程度のウエートを占めておるかということを試算したわけでございます。その際に出ました数字が、所得税課税最低限が五十四万四千二百五十九円でございます。その際の大蔵省の試算の基準生計費が五十三万五千六百九十六円。そして四十一年度にまた試算をいたしましたが、その際には食糧費のもとになります献立等については前年と同様にいたしました。それを当年度の物価指数で概算いたしまして、それにさらにエンゲル係数で割り返しまして、四十一年度の基準生計費を出したわけでございます。ただいま申し上げましたように、この計算は世帯により、人により、あるいは地方によりましていろいろ違うわけでございます。これが具体的にどの程度妥当するかということも問題があるかと思います。一応課税最低限と基準生計費というものを比較いたしまして、課税最低限の適否を検討してみておったわけでございます。しかし、四十年の課税最低限を一〇〇といたしますと、夫婦子三人につきましては毎年十万円程度の課税最低限引き上げを行なっておりまして、四十四年度におきましては課税最低限が九十一万五百十八円まで達するわけでございます。片や、いまの計算方法でいたしますと、消費者物価指数のはね返りだけがウエートで出てまいります。したがいまして、消費者物価指数で見ますと、昭和四十年を一〇〇といたしますと、ちょっと正確でございませんが、大体一二〇ぐらいの物価指数になるかと思います。課税最低限のほうの引き上げを非常に大幅に行なっておりますので、課税最低限のほうがはるかに高くなる。したがって、一昨年以来、大蔵省で基準生計費というものを計算することをやめておるわけでございます。
  77. 依田圭五

    ○依田委員 それは大蔵はやめておるかもしれない。大蔵の課税最低限は九十一万にことしなっているわけですよ。ただ大蔵というのは、予算編成の大本山というのか、ともかく中心のところであって、特にあなたのところは主税局なんです。金が入ってくるところですから、予算を配分するわけだ。ですから各省庁に対するスタンダードをやっぱりあなたのほうで出していただかなければならぬと思うのですよ。そうでなければ、自治省にも基準生計費のようなものがあるのかどうか。またここであらためて税務局長に私は聞かなければならぬ。大蔵のほうは九十一万になったから、それはよろしいのですよ。あなたがおっしゃるように必要ないかもしれぬ。しかし自治省のほうの課税最低限はまだ相変らず六十一万前後、六十二万なんですね。電気ガス税免税点引き上げに伴って標準世帯五人というものが一体どうなるんだ。この最低の家族の生活費に電気ガス税がかかるかかからぬか。それが野田大臣のきのうの発言に関連して、電気ガス税をどうするかという問題にやっぱり関係があるわけなんですよ。  そこで、保護世帯の保護基準は一体どのくらいの金額になっておるか。大蔵が全体予算をきめるときの基準生計費は、一体どのくらいになっておるか。人事院が官民格差をやる標準生計費は、一体どのくらいの数字が出ておるか。それから自治省の課税最低限は一体妥当であるかどうかという問題。それにかかる電気ガス税は一体どうなんだというのかはっきりしてこなければ——電気ガス税の二つの問題である、一つは大衆課税、一つは大企業に対する非課税措置、この二つの問題を考えていかなければ、野田大臣の問題を松島さんに来年どう考えていただくかということを、われわれは言うわけにいかなくなってくるわけですよ。  そこで、さらにその問題を詰めていきますが、私の試算では——私こういうことは専門じゃありませんから、これはずさんかもしれませんが、あなたの大蔵のほうの昭和四十年ですか、最終の試算があるわけです。その試算を四十一年の物価指数、これは政府発表ですが五・四です。それから四十年の一日当たりの一これは大蔵省で発表した生計費ですよ。これは一番最終の生計費が、一日の食費が百八十六円七十八銭なんですよ。それに四十一年の消費者物価指数の上昇五・一%、これは大蔵のほうからの数字です。また四十二年は、四・五%をやってエンゲル係数で返ると、一日の生計費が二百五円二十四銭になるのですね。これをエンゲル係数で割り返す。そうしますと、五人世帯で六十三万七千七百七十八円という数字が出るのです。これは四十二年現在です。四十三年へいって、四十三年中の物価上昇率は五・四%。これは大蔵省の発表です。これは政府予算の四十三年度の実績見込みの決算のあれです。それから問題はことしなんです。ことし五%と総理は言っておる。はたして五%でおさまるかどうか。これは政府が出して問題になり、隣の部屋でやっておる鉄道の運賃の一五%一つ取り上げたって、とても五%でもどうなるものじゃない。かりに五%としても一体どういう数字になるかというと、四十二年の六十三万七千七百七十八円を割り返してくると、それにエンゲル係数の割り返し七十万六千七十四円、四捨五入して七十一万という基準生計費が出るのです。大蔵省のほうは、単に自分のところは九十一万になったからもう用はないのだと言わないで、これは自治省も課税最低限をやっておるのだし、労働省もいろいろやっておるのだし、いろいろ関係があるのだから、国政に関係のあることは大蔵省が中心になるのだから、やはり親切にことしも基準生計費を計算してもらえば、七十一万という数字が出てくるわけですね。七十一万なければ、五人世帯はやっていけないのですよ。  それじゃ松島さんに聞きますけれども、生活保護世帯の数字は一体どういうことになっているのですか。
  78. 松島五郎

    松島政府委員 四十四年度の基準はまだ出ておりませんが、四十三年度の、これは東京における夫婦子三人の世帯で四十五万五千六百円になっております。予算全体は約一三%伸びておるようでございますから、かりに一三%伸びたといたしますと、五十万程度のものになるのではないかというふうに考えております。
  79. 依田圭五

    ○依田委員 五十万、私の試算とほぼ合うわけなんですが、一級地は非常に高いですが、それで全国平均をとって、保護世帯でさえ約五十万ですね。五人世帯で大蔵のほうの基準生計費の推計は七十一万なんです。国の所得税課税最低限の地方の最低限には三十万円近い差があるわけなんですね。ことし六十二万ですね。まだ地方税が非常に重税である、非常な負担になっておるということで、この数字からももっともっと引き上げを思い切ってやってもらわなければならないのではないかと私は思うわけなんです。  そこで、先ほど言ってきた五人世帯で、あなたのおっしゃるように四百円の電気料ですね、これで一体やっていけますか。たとえば二十ワットの蛍光灯が二時間——二十ワットの蛍光灯というのは、一体どういうところに使いますか。玄関であるとか、あるいはトイレットであるとか、これであんた本を読んだら、とたんに近視が進みますよ。それから三十ワットで一時間半、茶の間とか台所につけるとして、一時間半しかつけられぬという理屈になるのです。テレビで二時間。二時間以上見てはならない。いまどんな最低の生活でも、テレビがここまで普及してきて一体これで間に合いますか。一つ一つ聞いていっても時間をとってしかたがありませんが、松島さん、あなたのおっしゃった五人世帯で、四百円でやっていけるかどうかをここで御説明願いたいと思います。
  80. 松島五郎

    松島政府委員 電気ガス税免税点は、いま御指摘のような事情もございまして、いま五百円に引き上げる。もちろん五百円に引き上げたから、五人世帯で十分やっていけるものであるとは考えておりません。ただ電気ガス税免税点と、一般的な五人の標準世帯の生活水準というものとをイコールにして考えるべきかどうかということについては問題もあるのではないか。私どもといたしましては、電気ガス税免税点は最小限度この程度のものということで五百円程度、こういうことで考えたわけでございまして、五人世帯ならば免税点に全部該当するというところを必ずしも考えて免税点をきめているわけではないわけでございますので、そこの辺は御指摘のとおりに食い違いがあろうかと思います。
  81. 依田圭五

    ○依田委員 それじゃさらに聞きますが、どういう理由で百円上げたのですか。百円を上げた積極的な理由をここでおっしゃってください。
  82. 松島五郎

    松島政府委員 前年度の四百円で免税点以下になります世帯数と申しますか、需要家数は大体一一%程度でございます。免税点引き上げませんと、消費量の増加ももっぱらございますので、免税点対象戸数が減っていくという問題もございましたので五百円に引き上げたわけでございまして、五百円に引き上げまして大体一三%程度の免税解消ということになろうと考えております。
  83. 依田圭五

    ○依田委員 それじゃ松島さん、百円という目安はごろがいいとかいうんじゃなくて、大体税金が入ってくる、要するに高くなれば需要者の各家庭は遠慮するわけですよ。節約して消すわけだ。ですから税金の入り方が少ない。利用戸数が少なくなるから、利用時間ですか、電気の単位は何か知りませんけれども、それでカーブを描いて接点になる一番税金の増収が確保できる線が百円だということですか。
  84. 松島五郎

    松島政府委員 そういう趣旨ではございません。いま申し上げましたように、電気の使用量というものも、従来免税点以下であったような家庭でも電気の消費量がおのずからふえてきているという実態にある程度即するようにしようということでございまして、この免税点を上げたら税収入がよけいあがるということをねらったということは全然考えておりません。
  85. 依田圭五

    ○依田委員 私たちは、税金をきめるときには、スタンダードはそうたくさんないと思うのですよ。一つは最低の家庭に対して、電気のような独占的な、代替性のない、こういうものについては、もう生きている限りどうしてもやっかいになるわけですから、こういうのは課税最低限、生活保護なら五十万、あなたの主張では五人世帯で五十二万、大蔵の試算で基準生計費では七十一万円のこの最低生活の世帯に電気税のようなものがかからないとかかかるということで大衆課税の問題が出てきて、悪税だとかないとか議論が出てくると思うのです。もう一つは、これは市町村の税金ですから、税収確保の面で一番負担を少なくしてなおかつその税収が確保できるという、その二つのカーブを描いた接点に求めるということしかないと思うのですよ。それでなければ、目の子でもって大体ごろのいいところで押えようじゃないかということになってしまう。あなたの場合には一体どうして百円というものがきまったかをはっきりここで、どういう理論に従い、どういう数字に従ってここであなたが決意をしたかをはっきり説明してもらいたいと思います。
  86. 松島五郎

    松島政府委員 先ほど申し上げましたように、従来の免税対象戸数というものが、総需要家のうちで二%程度は免税されていた。それらの方々も電気の使用量がだんだん上がっていくことによって免税対象からはずれている。しかし、従来免税されていた程度の方々には依然として免税をすることが適当ではないかという点を考えますと、百円引き上げることによって一三%程度の免税対象戸数になります。もちろん、そこで一一%が一三%になるのは数字が違うではないかという御指摘があるいはあろうかと思いますけれども、ぴしゃっと合わせるためには八十五円とか八十八円とかいう数字になるのかもしれませんが、そこは切りのいいところにしたということでございます。
  87. 依田圭五

    ○依田委員 総理大臣は、この電気ガス税は悪税だということをもう何度言われましたか。私の記憶だけでも二度や三度じゃないわけです。その意向を受けて、自治省は電気ガス税免税点引き上げるときに考えていただきたいというように思うのですが、どうもいまの考えでは、あなたのおっしゃる百円だけでは私はそういう趣旨に沿った減税というか、免税点引き上げにはならぬように思うのです。重ねて質問します。
  88. 松島五郎

    松島政府委員 私どもといたしましては、地方財政で、電気ガス税というのは、御承知のとおりすべての市町村に普遍的にある税収入でもございますので、できるだけ税収入を確保したいという気持ちを持っていることは事実でございます。ただ、一方においては、やはり電気ガス税の減免をはかるべきだという強い要請もあるわけでございますので、その辺の調整点として、さしあたって、少なくとも前年よりも消費の内容はかりに向上があったとしても、免税点の対象になるのが減らないようにしたいということで、先ほど来申し上げておりますように百円引き上げをした、こういうわけでございます。
  89. 依田圭五

    ○依田委員 くどいようですが、では松島さん聞きますが、あなたは標準五人世帯に対する電気の消費量はそこに数字がないわけですね。何とかならぬですか。そういう数字がなければ、課税最低限も何もわれわれここで議論——電気のような重要な、しかもあなた、税法でこの免税点引き上げる点の提案者なんですから、せめて標準世帯——三人だ四人だ、子供が十人あるというところまで私は一々聞きません。ただ、百円だけじゃなくて、標準世帯の必要電気量ぐらいは東電か何かに聞いて、全国のトータルなり何なりあるはずですがね。
  90. 松島五郎

    松島政府委員 ちょっといま御指摘の正確な資料を持ち合わせておりませんが、総理府の統計局で調べました家計調査によりますと、大体電気ガス代が千六百四十一円になっておりますので、この場合の可処分所得が月額八万円程度でございますから、二%程度でございます。これは電気ガスと合わせたもので千六百四十一円という数字が出ております。
  91. 依田圭五

    ○依田委員 そうすると、電気ガスをどういうふうに割り振るかもあれですが、半々にしても免税点よりだいぶ高くなるのじゃありませんか。
  92. 松島五郎

    松島政府委員 今度免税点電気を五百円、ガスを千円にいたしますと、この数字だけで見ますと千五百円ということで、千六百円にほぼ近い数字にはなろうと思いますけれども、なおこの資料の見方につきまして、私ちょっといま急に見たものですから、正確であるかどうかなお調べさしていただきます。
  93. 依田圭五

    ○依田委員 それは総理府の統計局でしょう。統計局の統計をいろいろ批判しちゃ悪いけれども、毎年それは報告を出したりしますが、全くつかみの数字であって、厳密な意味においてこういう席でどこまで議論の対象になるか、その問題もあると思いますが、まあいいです。それはとにかく、松島さんに御意見を聞きます。それは標準世帯に必要な電気量に対して税金をかけることはいいか悪いか。これはむしろ政策的な問題ですから、政務次官にも御意見を聞きたいのですが、五人の標準世帯に電気税をかけるということは——片や地方団体税源の確保という使命がありますが、減収になる分は何らかの形で減収補てんすればいいのであって、悪税だと総理が言っておられるこの税金を、相変わらず標準世帯にもかける、現に税務局長のお話ではそれより高いわけですから、そういうことについてはいいことか悪いことか、それについての御意見をここでちょっと聞いておきたいと思います。
  94. 砂田重民

    ○砂田政府委員 いまの松島局長がお答えいたしました数字は、どうも本人も不確かなようでございますが、通常常識的に申しまして、五人の標準世帯に必要な電気量と申しますか、そういうものを計算してみて、電気税の免税点がそれよりも下にあるということは好ましいこととは思いません。
  95. 依田圭五

    ○依田委員 電気のことですから関連してお聞きいたしますが、非課税品目がたくさんにあるわけなんです。これは製造原価の五%オーバーしたものは法律によってこれをするということになっておりますが、この非課税の減収総額は一体どのぐらいになりますか。
  96. 松島五郎

    松島政府委員 非課税のうちで、たとえば石炭でありますとか、鉄でありますとか、そういったものの製造のために使います電気非課税になっておるものの分が二百三十五億円でございます。それから、なおそのほかに特殊な用途免税といたしまして、たとえば鉄軌道用の電気でございますとか、製氷用の電気でございますとか、農業用の電気でございますとか、あるいは水道用の電気でございますとか、そういうもので免税になっておりますのは五十六億円ございます。合わせまして三百七億円非課税になっております。
  97. 依田圭五

    ○依田委員 三百七億ですか。それならちょっと聞きますが、地方税全体で、国税非課税によってのはね返りの減収、それから地方税自体の非課税措置の全品種の総額は合計してどのくらいになりますか。
  98. 松島五郎

    松島政府委員 国税の特別措置によりまして地方税に影響して減収になりますものが昭和四十四年度の見込み額で千八十九億円でございます。地方税独自で非課税措置を講じております分で減収になります分が千百三十二億円、合わせまして二千二百二十一億円の見込みでございます。
  99. 依田圭五

    ○依田委員 要するに、地方税国税はね返りの非課税地方税自体の非課税の総額が二千二百億ですね。さっきおっしゃった三百幾らとかいう数字は、これは電気だけの数字ですか。
  100. 松島五郎

    松島政府委員 電気だけの数字でございます。
  101. 依田圭五

    ○依田委員 それでは聞きますが、ことし電気ガス税の法改正に関連して酢酸を新たに追加して免税にするようであります。それに関連してお聞きしますが、これは通産省とあなた方自治省の関係でこの問題をきめておられるようでありますが、私の知っている限りでは、最近非常にたくさんふえてきておる。そして、いま言ったように、二千億円近い——まあ半分は国税のはね返りだから、これは大蔵省のほうの関係としましても、一千億以上の減収になっておる。さっき言ったように、保護世帯あるいは基準世帯、あなたのほうの課税最低限の家庭にも電気税を取りながら、片方では一千億以上の大企業に対する減税をやっていくということについて、松島局長としてはハッスルしてもらって、何か大なたをふるってもらう必要があるのじゃないか。そうすれば、とりもなおさず市町村の税収もふえることだし、また、あなたのほうは、市町村の税収が減ることを心配して大衆課税的な性格のこの電気税に対して手をつけにくいような姿勢を何か私は感ずるわけなんですが、この特別措置だけでも一千億以上あるじゃありませんか。ことしも酢酸をふやしました。一体どういう理由でふやしたのか、よく聞きたいと思うのですが、酢酸のみならず、いままで一体どのくらい数がふえてきたのですか。また、いつからこれが始まったのか、そういう点からお聞きしたいと思います。
  102. 松島五郎

    松島政府委員 電気ガス税非課税は、地方税法ができてからずっと、重要な基礎産業で電気料金の製品コストの中に占めます割合の高いものを非課税の扱いにしてまいっておりまして、御指摘のとおり、新しい技術等が開発されるに伴いまして、さらにまた新しい製品ができてまいりますことに伴いましてふえてきているわけでございます。私ども先ほど申し上げましたように、こういうものにつきましてはできるだけ一定の時期に洗いがえと申しますか、再検討をいたしまして、整理すべきものは整理したいということで進んでまいっておりますけれども、なかなか状況が変わらないものを落とすというわけにもまいりませんために、毎年少しずつふえてきているということは御指摘のとおりでございます。  それから、非課税につきまして一千億もというお話がございますが、確かに私どももこういった特別措置がふえてまいりますことは、負担の公平という面からいっても適当ではないというふうに考えております。できるだけ整理をいたしたいという方向で進んでおりますけれども、事態はむしろ反対の方向に進むような傾向がございまして、あるものが入っておるのだから、それとの均衡上入れるべきだ、こういう議論が常に繰り返されるというようなことで、なかなか整理が思うように進んでないということは御指摘のとおりでございますが、私どもの基本的な考え方といたしましては、できるだけ機会を見て整理すべきものは整理していくという基本的な態度を堅持して今後とも検討いたしてまいりたい、かように考えております。
  103. 依田圭五

    ○依田委員 毎年、五%の原価ですね、この原価が五%以上かかっておるということが条件なんですが、それともう一つの条件であるところの重要品目であるという点に関し、自治省は審査をするため相手方から毎年レポートをとっておりますか。
  104. 松島五郎

    松島政府委員 ここ二、三年来は、もう毎年整理をすべきものは整理をするという方向で必要なデータをとって検討いたしております。
  105. 依田圭五

    ○依田委員 それではお願いをすれば毎年のやつを出していただけますか。
  106. 松島五郎

    松島政府委員 数字が、たとえば八%とか九%、あるいは十何%というものについては、どうも私申し上げるのが不十分でございましたが、必ずしも毎年やってないようでございますが、一応いままでそろえてありますデータにつきましては、整備をいたしまして提出いたします。
  107. 依田圭五

    ○依田委員 整備をして提出するなんて、質問に対する答弁になりませんよ。毎年は出ていないのです、局長。毎年出ているようなことをあなたはおっしゃっているけれども、出ていないのです。これは無理なんです、出すのは。ですから、数字が出せますかと言うと、それは出せるなんて言えない。それは無理ないのです。それはせいぜい二年ごとにも出ていないのです。これは税調で検討しなさいと言われた年に出して、そしてたくさんふやして少し減らしているのです。  一つ一つ聞いていってもいいのですけれども、とても時間がありませんから、私のほうで若干言いますが、ものすごくふえているのですね。どうしてこんなにふやすのです。昭和二十三年のころは、この制度ができたのは昭和二十三年ですが、わずか十七しかなかったのです。それが昭和三十五年までに九十二にふえちゃったんですね。もちろん毎年税調からうるさく言われたときにちょっと落としていますが、それは十ふやして一つぐらい落としていますよ。現在は百二十八です。  これについて、私、自治省に聞きたいのですが、この技術革新の時代に、こんな重要産業が昭和二十三年から二十年間全然変わらない。それから原価の中に電気料の占める。パーセンテージが五%を動かない。五%以上ということで、以下になることはない。アルミニウムのように、電解過程ですごく電力を使う場合は別です。そうじゃないところがたくさんあるわけです。それを地方税の責任者である松島さんがもう少し目を光らせて、うるさく言っておるという経過がなくてはうそだと私は思うのです。あればこの席で積極的に御発言していただいて、こういうことをやっているということを言ってくれませんか。私が通産と自治省で担当に聞いた範囲内では全く心配なんですよ。心もとないのです。一方は市町村財政を擁護するのが自治省の立場だというので、大衆料金である電気ガス税免税点は全くちびちびと引き上げて、大蔵大臣が、あるいは総理大臣が、自治大臣が、幾ら公式の席上で言おうとも、そんなことはあまり——おれにはおれの意見があるというような御答弁をいただきながらこういうものになると、通産に対する関係があるのか、あんまり大なたをふるったり、やっているというような痕跡が認められないのですがね。  ここで私がこのことについて、一々この点はどうだ、この点はどうだと言っても時間ばかりかかりますから、むしろ局長のほうから、自分はこうしているのだということがあったらこの席で言ってください。
  108. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘の点については、私ども努力をいたしておるつもりでございまして、昭和四十四年度の改正にあたりましても、通産省との間に必要な資料の提出を求めまして再検討をしてまいっているわけでございます。  ただ、御指摘がございましたように、だんだんふえておりますのは、この非課税品目をごらんいただいてもおわかりいただけますけれども、次々に新しい製品ができ、あるいは新しい技術の開発がされるということで、品目はどうしてもふえていくという傾向がございます。私どもは、一つふやすと一つ減らすというようなことでいけないものかということで努力いたしておりますけれども、いま申し上げましたように、一定の基準に該当するものを落とすというわけにもなかなかいかない事情もございますので、結果的にはふえておるということになるわけでございまして、この点につきましては、御指摘のございますように、今後とも努力いたしてまいりたいと考えております。
  109. 依田圭五

    ○依田委員 たとえば硫黄ですが、昭和三十六年に硫黄があれになって以来、最近の硫黄の生産量は違っているでしょう。まして小笠原が返ってきてから。硫黄島は全島硫黄ですよ。どこでも硫黄がぶつぶつ吹き出しているのですよ。硫黄島株式会社という大きな会社があって、硫黄島全島をほとんど所有しているのです。硫黄一つとっても、メーカーの数、採掘業者の数、あるいは硫黄の採取の技術革新、あるいは小笠原返還に伴い硫黄生産の技術も変わるし、量も変わる。なのにこれに対して検討もことしできてはいないというのはどういうわけですか。あとベンゾールであるとか、アルコールであるとか、ケトンであるとか、モリブデンであるとか、ポリプロピレンとか、たくさんあります。こういうものは最近の花形産業であって、一体そんなに保護に値しますか。どの会社だってものすごい利益をあげて配当しているじゃありませんか。
  110. 松島五郎

    松島政府委員 硫黄について御指摘がございましたが、硫黄は毎年度調べておりまして、昭和四十年度で電気料金の比率が五・八%、四十一年度は五・二%、四十二年度で五・六%ということでございますので、これを除外の対象にしなかったという実情でございます。
  111. 依田圭五

    ○依田委員 さらに聞きますが、松島さん、この五%というのは一体どういう理由できまり、五%をちょっと上へ行ってもいけないのか、下へ行ってもいけないのか、それが一点。まだ二、三ありますが、まずその点から聞きます。
  112. 松島五郎

    松島政府委員 五%の問題は、電気ガス税をこういう産業用のものについて非課税にするという要望が非常に強く次々に出てまいりまして、こういった問題をどう取り扱うかについて税制調査会でいろいろ御審議いただきました結果、やはり一つの基準が必要だということで、生産費中に占める電気料金の割合が五%以上であるというものについて、特別措置の対象にするということが適当ではないかという御意見もございましたので、そこで五%というものを一つの基準にしてきたわけでございます。五%をこえたもの、あるいは下回った四・九%はどうか、五・一%はどうかというお尋ねでございますが、私どもは、少なくとも新たに非課税品目に加えます場合には、五%をこえないようなものを入れるということはいたしておりません。
  113. 依田圭五

    ○依田委員 製造原価とは一体何であって、本社経費を含むのかどうかですね。いわゆる一般管理費を含むかどうか、製造原価の定義。それからもう一つは、どういう機関が査定をして、そうしてこの業界は五%を割るんだ、五%以上かかっているんだという立証をどういうところでするのか。  時間の関係がありますからもう一つ関連して聞きます。それは、税調の答申では、新しいものは三年間だといっております。三年たってことしは酢酸を永久化しました。永久化しなければならぬ理由があるのかどうか、一体どこがそんな永久化する判定を下すのか、これを聞きたいと思います。
  114. 松島五郎

    松島政府委員 計算の方法につきましては、市町村税課長からお答えをさせることを御了承いただきたいと思います。
  115. 高橋睦男

    ○高橋説明員 製造原価でございますけれども、売り上げ金額から利益だとか販売費、一般管理費、そういうものを除きまして計算をする、こういうことになってございます。  それで、製造原価中に含まれるおもなものといたしましては、原材料費、それから労務賃、工場にかかるところの減価償却費、電力費、人件費、物件費等が含まれておる、こういうふうになってございます。  審査の過程というものはどういうふうに行なわれるかということでございますが、私のほうに申し出がある場合もありますけれども、大部分が通産省のほうに申し出があるわけでございます。どういう産業について電力料金の生産コストに占める比率がこういうことになったから審査をしてくれ、こういう申し出がありまして、私どものほうと通産省のほうの両方で審査をする、こういうことになってございます。  審査の方法でございますけれども、大体実態調査と、それからほかにいろいろ電力統計だとか諸種の産業統計がございますので、そういう統計等を突き合わせながら審査をする。場合によってはその産業所在地の市町村などに詳しく調べてもらう、こういうようなことでやってございます。
  116. 依田圭五

    ○依田委員 これは局長に聞くのですが、市町村に頼んで調査してもらったり、いわゆる産業調査の一般統計ですか、総理府か何かでやっている、各戸に配布したり各業界に配布したりして形式的に毎年やっておりますね、国勢調査の一環か何かで。ああいうものを基礎にしてやるのですか。われわれは当然工業技術院とかなんとか、何か信頼できる技術者の集まりの政府機関に委託をして、そしてそういうことの判定をするのかと思っておるのですが、どうなんですか。
  117. 松島五郎

    松島政府委員 資料につきましてはできるだけいろいろなものを集めながら審査をするということでございます。いま申し上げましたように、通産省におきます実態調査あるいは各種の統計資料、これも指定統計等になっておるものもございますので、そういうものとかを利用して調査をいたしております。工業技術院の調査ということでございますけれども、私ども、いま工業技術院というのはそういうことができるかどうか詳しく存じておりませんが、できるだけ各方面の資料を集めて、だれかがこう言ったからこうだというようなことにならないような配慮はいたしておるつもりでございます。
  118. 依田圭五

    ○依田委員 さらに詰めて聞きますが、調査のしかたですね。一体これは個々の企業に対してこちらから立ち入って聞くのですか。報告を求めるのですか。それとも業界からやるのですか。業界でやる場合には、全業界からとるのですか、それをひとつ聞きたいと思います。
  119. 松島五郎

    松島政府委員 同じ業種につきましては、できるだけたくさんの企業からの資料等を集めまして調査をいたしておりますけれども、ただ、ものによりまして全部にわたるということが困難なものもございます。たとえば、その中にたくさんの中小企業が含まれているというような場合、その全業体について調査をするということも不可能なものもございますので、そういったものにつきましてはサンプル調査にならざるを得ないというものもございます。
  120. 依田圭五

    ○依田委員 そうすると、五%以上原価構成の中にあるということは、個々の企業でなしに、業界の全体といいますか——サンプル調査によりましても業界の数字になるわけですか。
  121. 松島五郎

    松島政府委員 業界というのは、何か業者団体という意味でございますと、必ずしも私どもはそういう形ではやっておりませんけれども、たとえば鉄なら鉄の業者を業界というならば、できるだけたくさんのところから資料をとっております。
  122. 依田圭五

    ○依委員 鉄は幾つもメーカーがありませんけれども、ことし通産の間でもって紙関係は七%の税率を五%にして、それを四に三年間しますね、きょうの法律改正案が出ていますね。紙などはともかく無数にあると思うのですよ。大は王子三社をはじめ大昭和とかありますけれども、小に至っては家内工業まで、紙をすいているところがあると思うのですよ。そういうのは一体、五%をその紙製造工程の中においてオーバーしているという判定は、どういうようにしてどういう数字を根拠に客観性をわれわれは信頼していいかどうかはっきり言ってください。
  123. 松島五郎

    松島政府委員 紙のようなものは、御指摘のとおり非常に小さい業者も含まれておりますので、私どもといたしましては、できるだけたくさんの統計から一応全体の大勢が判断できる程度の資料を集めて判定をいたしております。
  124. 依田圭五

    ○依田委員 局長は答弁がうまいから、たくさんの資料からとかなんとか、常に概念のはっきりしないことばをお使いになって答弁なさる。まあそれでいいですよ。いいですが、私の調査した範囲内ではそんなものじゃないですよ。あなた、さっきレポートを出すとおっしゃった。じゃ出してくれますねと言ったら、それはできないわけですよ、出ていないのだから。そういうことではわれわれは、きょうは何もこんなこまかなことを言う必要はないのですよ。課税最低限にしても、あるいは地方団体はいいのか、地方団体は富裕なのか、あるいはどうなのか、肯定しているのかどらかということを私は冒頭に聞いているわけなんです。そういう問題について自治省は、絶えず市町村財政を強化するとか、あるいは国に抵抗しても、大蔵に抵抗しても、通産に抵抗しても、地方団体を守るのだという、そういうお立場にあるし、われわれ地方行政委員会は、そういうことで全面的に当局を信頼いたしておるわけであります。そういうことで二兆九千億ですか、この膨大な税金を取る地方税法の七百七十カ条の改正点についてあなたが責任者として提案をなさったから、五日か六日の質問で、私も貴重な時間を本らっているわけでが、そこでわれわれは審議できませんよ。私はここで百点ばかり、一番先にやれと理事から言われたから準備したのですが、一番うしろのほうの一つに入っておるのですよ。電気ガス税なんて言っては悪いけれども、一番うしろの——もうほとんど時間がきておるわけですよ。あとはあなたを信頼をしてこの法案を通す以外にわれわれとして方法がないわけです。  そこで聞くのですが、どうも、この特別措置についてはいろいろ問題が多い。特別措置総額一千百三十二億の中で、たった二種類の電気に関する特別措置について質問をしているのです。しかもなお、その二種類のうちの一つの百五十七億円と、先ほど局長の指摘されたものについてお聞きしておるわけです。それをだんだんお聞きしていくと、どうも釈然としない点がたくさんに出てくるわけですね。率直に言って、こういう問題は課長さんにおまかせしてあるのですか、それとも税務局長さんが自分でこのフェノールとかベンゾール、トルオール、キシロール、これがどうだとかいって一々文句つけていって、これに対して強い指導をなさるのですか。なさるということになれば、われわれはそれを信頼したいし、おまかせということになると、とてもこれだけでは——質問時間をいただきましてやらないと、われわれの職責が立たないので、審査の実際を言ってください。
  125. 松島五郎

    松島政府委員 私どもの仕事をする仕方の問題でございますけれども、新しいものをどうするか、あるいは、いままであったものをどうするとかいうときには、私、少なくとも全局内における責任者として十分私の責任において判断をし、整理すべきものは整理する、あるいは新たに加えるべきものは加えるという審査をしておるつもりでございます。
  126. 依田圭五

    ○依田委員 つもりでございますで終わってしまうからしかたがないのですが、それでは聞きますが、業界のレポートによるところの製造原価の報告を信頼をして、それが五%を割らない以上は適用を続けていくということにこれはなるわけですね。たとえば紙ならば紙の抽出をやっていくわけです。これはたとえば王子三社のような大会社の電気の使用量というものは比較的に非常に合理化されておるわけですね。これは五%未満になるかもしれません。三%か二%かもしれませんでしょう。零細な家内工業の場合には、五%どころではない、七%にも八%にも一〇%にもなるかもしれません。こういうようなときに、資本主義の原則に従って、企業の利益の保障を税制がするということについては、これは私はどうもおかしいと思うのですが、局長、その辺をどういうふうにお考えになりますか。
  127. 松島五郎

    松島政府委員 私ども大企業の利益の擁護を税制上しようという基本的な気持ちを持っておるわけではございません。ただ、日本の産業政策等の面から、電気ガス税を、一定のものについて非課税すべきだというようなものについて、それがどれまで入り、どれまで入れないかという問題について、できるだけ客観的な資料を集め、検討して問題を処理していく、こういうことをしているつもりでございます。なお、電気ガス税についてまあ主として大企業に該当するようなものを非課税にすること自体についていろいろ問題があるわけでございますが、それについては、一方においては、原料に対する課税であるというような意見もあるわけでございます。そういう意見が正しいかどうかについては、これまたいろいろな角度からも、反対意見ももちろんございます。私どももそういったことも念頭に置きながら、できるだけ公正な処理をしてきているつもりでございますし、また、今後ともそういう努力を続けていきたいと考えております。
  128. 依田圭五

    ○依田委員 新規に酢酸がことし入った。もう一つフェノールが何か時限的に入っておりまして永久化されたような例があるようですね。こういうようなのは、一体三年間非課税措置をして、そしてそれが相当な成果をおさめたならば撤廃をすべきだ、私は、税調の答申はそういうようになっていると思うのですが、今回それを永久化していくということは、一体どういうことになるんですか。
  129. 松島五郎

    松島政府委員 この三年間の期間を設けてやっていますのは、新しい技術なり新しい製品なりについて、一応それができました段階で、電気料金の比重等を見て非課税取り扱いをするわけでございますけれども、新しい製品でございますので、その電気料金のコスト中に占める割合というのは、はたして三年間同じ状態であるかどうかということについて、長い間の資料というようなものもございませんために、一応三年間だけの期限を切って、その三年間を経過した時点においてもう一度再検討して、五%をこえているかどうかということを見きわめた上で、恒久的な非課税にするか、非課税品目からはずすかということで、三年間の期限をつけてやっているわけでございます。今回新たに加えました酢酸につきましては、そういった面からの検討をいたしました結果、恒久的な非課税品目に該当するものとして加えることにしたわけでございます。
  130. 依田圭五

    ○依田委員 判定の基準に五%と、それから重要性という問題がありますが、昭和二十三年ごろにはわずかに十七しかなかったものが、三十五年に九十五にふえたわけですね。そして、まあ申しわけのように三つだけ落としておるわけです。それから、三十六年には十九ふえて、これまた五つだけ減らしておるわけですね。それから三十七年には十五ふやして二つだけ減らしておる。三十九年には四つふやして、四つくらいだから減らすほうはいいだろうというので、これはゼロ。それから四十年は六つと六つ。四十一年は一つふやして酢酸を入れた。それから四十三年に四つだ。合計百二十八で、減らしたほうは一割、こういうことになっておるのですね。産業界は無数に業種があるので、重要度というものは、国際情勢や、あるいは輸出入の関係や、国内の技術革新や、いろいろな点からどんどん変わっていると私は思うのですよ。それから、それが占める製造原価に対する比率だって変わっていると思うのです。それなのに、二十年間に大体一割減らして九割ふやしておる。それで、十七の業種が百二十八にふえておる。これから二十年たったら千をこすということになるのじゃありませんか。もうこの辺で、一ぺん自治省が通産に対してひとつ一本がちんと、もう二十年もたっておるのだから、技術革新も出たろう、重要性も相対的に変わっただろう、五%も相対的にダウンしたろうということで、一ぺん総ざらいをして、やめちゃったらどうですか。御意見を聞きたいと思います。
  131. 松島五郎

    松島政府委員 まあ、私どももできるだけ整理する方向で努力はいたしたいと思いますけれども、御指摘のように、全部いまやめてしまえということにつきましては、いまの段階で、直ちにそういう方向でというお答えをいたすことは、私としてはできませんことをお許しをいただきたいと思います。
  132. 依田圭五

    ○依田委員 それでは、その話ばかりやっているわけにはいきませんから、次に進みます。  最初に戻りまして、減税規模なんですが、非常に超過課税をしておる団体が多いわけですね。これの住民税あるいは法人税その他おもなものの数をちょっと教えていただきたいのですつどのくらいの団体が超過課税をしておるか。
  133. 松島五郎

    松島政府委員 市町村民税の超過課税をやっております団体は、昭和四十三年度で千十六団体でございます。それから法人の均等割の超過課税をやっております団体が、同じく昭和四十三年度で九百二十八団体でございます。法人税割で超過課税をやっております団体が、昭和四十三年度で千六百二十一でございます。それから固定資産税で超過課税をやっております団体が四十三年度で千九でございます。  府県民税については超過団体はございません。
  134. 依田圭五

    ○依田委員 それから、制限税率に目一ぱいですね、制限税率が五〇%のところもあるいはあると思います。二五%ぐらいのところもあると思いますが、これに目一ぱいやっておる団体は、どのくらい地方団体でありますか。
  135. 松島五郎

    松島政府委員 住民税では一・五倍まで——これが最高でございますが、四百十六団体でございます。固定資産税では二・一の団体が十八団体でございます。
  136. 依田圭五

    ○依田委員 個人住民税では、四百十六団体が目一ぱいの超過課税をやっているのじゃありませんか。固定資産税なんかもどうですか。目一ぱいの団体があると思いますが、しかもその団体が、たとえば住民税法人税割あるいは固定資産税の三つの制限税率目一ぱいの超過課税をダブらしている団体は一体どのくらいあるか。これはたいへんな重税になっているわけです。
  137. 森岡敞

    ○森岡説明員 お答えいたします。  先ほど局長から申し上げました数字とほぼ同じでございますが、住民税所得割で一・四倍、四割増しから五割増しまでの団体が四百十六市町村でございます。でございますので、五割増しが四百十六市町村ということではございません。それから固定資産税について申しますと、先ほど申しましたように二・一%の限度一ぱいは十八団体でございますが、一・八%から二・一%というその段階の団体は百四十八市町村、こういうことでございます。  なお、市町村民税固定資産税とダブリで超過課税をしている市町村、この調査はいまのところ精査いたしておりませんので、数字は手元にございません。
  138. 依田圭五

    ○依田委員 そうすると、これは課長でけっこうですけれども、一・四から一・五というと、もう最高ですね。これは制限税率目一ぱいですから〇・一%しか違わないんだから、それが四百十六市町村ある。ダブっているのはおわかりでないというわけですね。しかも一本一本の超過団体からいくと約三千以上の団体になるわけですね。住民税で一千十六でしたか、法人税割が千六百二十一ですか、固定資産税が千九ですか、こういうような超過課税の実情というものを一体どういうようにお考えになりますか。
  139. 松島五郎

    松島政府委員 超過課税制度は、自治団体として特別な財政事情がありました場合に住民に負担を求める道を開こうという制度でございまして、現在までの超過課税制度の運用を見てまいりますと、必ずしも法の意図している運用がなされていないのではないかという点を私どもとしては非常に心配をいたしておるのでございます。結局一たん超過課税をいたしますと、そこに固定して慢性化していくという傾向がないわけではございません。そこで私どもは、できるだけこういう状態を改善をいたしたいということで従来から指導をいたしてきております。ただ単に減らせというだけでは、なかなか——それでも先ほど古屋先生の御質問にお答えいたしましたように、毎年、住民税について申しますと、超過課税団体が七十団体くらいずつ減ってきております。また最高課税をしておりますところも、同じ程度の減少をしてきておりますけれども、まだ、ただいま申しましたように千以上の団体が超過課税をしておるというような状態でございますので、私どもといたしましては、できるだけ早くこれを少なくしていきたい、あるいは解消していきたいということで、今年度と申しますか、今回新たに関係府県、市町村に対しまして強力な指導をすることにいたしておるのでございます。そういうことで、最近とりました調査では、四十四年度以降では超過課税を解消いたしたいという見込み数がかなりふえてきているように思います。いま御指摘のございました一・四から一・五までの団体でも、約四十団体くらいはこの際解消をしていきたいという報告もまいっております。これは一部の報告でございますので、まだ全部の集計ができておりませんけれども、私どもとしては、引き続きこの方向に向かって強力な指導をしてまいりたいと思っております。
  140. 依田圭五

    ○依田委員 ちょっと聞きますが、今回の課税最低限だとか、あるいは大蔵にお金を貸すとかいうようなことに関連して、われわれはどうも地方税は非常に高い、こういう考えを持っておるのですが、外国と比較して、税務局長のあれで、一体、日本の地方税は安いんだというようにお考えになっておるのか、その点を参考までにここで聞いておきたい。
  141. 松島五郎

    松島政府委員 税金はもう私が申し上げるまでもなく先生よく御存じのとおり、その所得なり収入と相対的な問題でございまして、月収一万円の人の二〇%と百万円の人の二〇%とはおのずから——かりに負担率は同じであっても、税負担感としては違うわけでございます。したがいまして、外国との比較と申しましても、そういった国民所得水準というものを抜きにして単に税負担率だけで比較をしても、ほんとうに重いのか軽いのかということはなかなか出にくいと考えております。ただ、一応の目安といたしまして、国民所得に対します税負担率というような面だけをかりにとってまいりますと、日本の場合は国税地方税を合わせまして大体一九・六%程度、そのうちで地方税は六・三%程度でございますので、外国における租税負担率というものはもっと高いと思います。ただ、それはいま申し上げましたように、全く形式的な比較でございまして、所得水準というものを考えなければ、ほんとうの意味の負担率は出ないわけでございます。そういった点から考えれば、日本の所得水準というのが、個人所得にすれば世界で二十番目とかいわれますようにかなり低いところにございますので、そういう意味での負担はなお相当重いものがあるのではないかというふうに考えております。
  142. 依田圭五

    ○依田委員 私もアマチュアだからよくわからぬのですが、日本の状態とは少し違うような数字を二、三私参考までに拾ってみたのですが、たとえばイギリスや西ドイツ、フランスには住民税が一応ないんですね。イギリスの所得税の最低基準は九百十三ポンドだというので、これは七十八万八千八百三十二円という数字が、ポンド当たり八百四円換算で出ております。西ドイツは九千七百八十マルク、八十八万二百円。フランスが一万六千四十二フランだというので、これを七十二円の換算で百十六万九千七百八十三円、百十七万円、課税最低限が出ておりますね。しかも地方税はなしということになっておるようです。アメリカは、さっき局長も言うように生活水準が違いますが、三百六十円で換算しまして三千七百ドル、百三十三万二千円ですね、国税が。そしておもしろいことには地方税が百九十一万、カリフォルニアで。あと砂漠のほうの州は実情はどうなっておるか、若干高いかもしれませんが、ともかく百九十一万。地方税が日本の約三倍、納税者から言えば安いということですね。課税最低限が高いということです。また国税地方税課税最低限を比べると、国のほうよりも地方税課税最低限のほうが高い。ちょうど日本と逆になっておるわけですね。世界は広いですから、先進国の中でも逆の現象を起こしておるところもあると思いますけれども、私がちょっと拾ってきた数字だけでも、日本の三十万円から違う国税地方税、しかも保護世帯あるいは基準生計費等を勘案しまして、電気ガス税なんかもかけられる。そういうような生活一ぱいの暮らしをしておる家庭に対して住民税がやはり相当な重税になっておる、こういうことを私は言いたいのですが、局長の御意見はどうなんですか。
  143. 松島五郎

    松島政府委員 外国との租税の比較ということはなかなかむずかしい問題でございまして、地方税をとってみますと、アメリカのようなところは所得課税よりもむむしろ財産課税のウエートが非常に高いとか、あるいはイギリスの場合でございますと、地方税はゼロというようなこともございまして、なかなか実際の負担がほんとうにどうなのかということの比較をすることは非常にむずかしいわけでございます。  ただ、いま御指摘のございましたような点から考えますと、夫婦子三人の日本の所得税の場合は九十一万円、住民税の場合は六十二万三千円、それに対しましてイギリス、西ドイツはその前後にほぼ位しておるというような関係もございます。しかし、所得水準ということになりますと、やはりイギリスと日本、あるいは西ドイツと日本ではかなり違っておる面がございます。なかなかいま仰せのように、一律には高い、重いということを比較することが非常にむずかしいというのが実際ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  144. 依田圭五

    ○依田委員 それじゃ、こまかな問題ですけれども、今度所得税について青色の完全給与制所得税並みに導入したというので、十七万円を一応完全給与にしたと思うのですが、国税の場合は二十四万円くらいからしたので、若干そこにギャップがあるわけなんですが、これに対する減収補てんはどういうように考えておりますか。
  145. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおり、本年度までの専従者控除の限度額は十七万円でありました。これを完全給与制としますとかなり上がるであろうということが予想されております。これの減収補てんをどうするかということでございますけれども、この青色を完全給与制にしましたことと関連をしまして、白色の十一万円を十五万円、所得税並みに引き上げたということと相関連しておりますが、そのことによる減収額は、住民税事業税を合わせまして百五十七億円を見込んでおります。かなりの減税ではございますけれども、現在の段階では、来年度の地方税の自然増、あるいは交付税全体の増という地方財政全体の中でこの問題を処置をしていくというふうに考えております。
  146. 依田圭五

    ○依田委員 私、もう時間がありませんから、ここに柴田次官の、藤田武夫教授の還暦記念出版の論文集に「転機に立つ地方財政」という論文があるのですよ。これを読ましていただいたのですが、自治省の現役の次官が、いまこそ転機に立つ地方財政は抜本策を講じなければいかぬ。その理由としては、過疎過密が深化しておるとか、あるいは若年労働者が極端に不足しておるとか、あるいはここに書いてありますように、公債発行政策が出て、実際言って、地方に対するはね返りの期待できないような公債政策が導入されたとか、いろいろ理由をあげております。地方財政の動態化であるとか、いまこそそのチャンスだ、矛盾がいっぱいあるということを書いていますね。現役の次官が、松島さんの上におられましてこのような論文を去年の十月ですか、書いておられるわけですね。そういうような認識の上にお立ちになっておられるにもかかわらず、六千億近い自然増収がありながらその一割しか減税に回さぬとか、あるいは、大蔵省がまたことしとられた覚書を読むと、残高が非常にあるから、もうこの辺で大蔵との間でひとつ新しい調整制度をつくろうじゃないか、これはまあ交付税の問題でありましょうが、そういうようなことを覚書そのものが提起しておるじゃありませんか。去年もことしも、これはこういうことになると、当然来年は、三年も続いたんだからひとつお互いにいいときには出し合って金のやりくりをしようじゃないかという制度——税制そのものはとっておいて、シャウプ以来の大衆課税的な性格を温存しておいて、それで大都市の例で言うように——シャウプが市町村税の独立や、あるいは市町村の尊重をうたい出したときには府県税の倍あった。ことしは、さっき陳情に来た人の持ってきた資料を見ましても、府県税の半分になっちゃっておる。それが大都市が赤字になっておる。こういうようなときに、租税特別措置に手をつければ一千億以上の金が出るにもかかわらず、そっちのほうは毎年レポートを出させることもしないで、そして市町村の税収が減るからというので、総理も野田大臣も言っておるのに、松島さん、なかなかいい返事をこの委員会でしないということでは、とうてい——私、理事から言われましたので、まだ時間をかけていろいろ問題を、料飲税、あるいは自動車取得税、あるいは大都市税制、道路整備五カ年計画との関係、土地税制、十二回払い、こういったような質問点をここに準備しておりますが、あとに譲りますけれども、皆さんの現役の次官が言っておるように、ことしこそはその転換点だ、またチャンスなんだ、やればできるんだ、ことしこそは地方財政を強化する最後のチャンスではないかというように私は思うのですが、これに対して今回地方税法改正を御提案なさった責任者としてひとつ——これは全部一々厚い税法を限りある時間で審議はできません。大方は信頼していく以外にないのでありまして、質問点はないかといえば、まだこれだけ資料が私の手元にあって、時間をいただかなければならぬわけなんですが、ひとつお答えをいただきまして、きょうの質問を打ち切りたいと思います。
  147. 砂田重民

    ○砂田政府委員 私も柴田次官が書いたその論文を読みましたが、地方財政の大転換期にあると思います。そういう意味合いから、依田先生のお話にありました覚書の点等につきましても、地方交付税というものを確保するということもまた考えたわけでございますから、年度間調整につきましても、これからこれは財政当局とも話し合ってまいることでありますが、あくまでも自主的な地方財政の確立という立場で私どもは財政当局と年度間調整の確立をはかっていきたい、こういう決心をしております。  税につきましては、総額八百七十億という減税は、地方財政の現状からいたしますとこれは相当な規模でございます。交付税のあり方、自然増収、そういうものを総合的に検討いたしまして、四十四年度としてはこの程度のことが妥当なんではないか、こう考えて御提案をいたしておるような次第でございます。
  148. 依田圭五

    ○依田委員 それじゃ質問をあとにいたしまして……。
  149. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時十八分休憩      ————◇—————    午後四時六分開議
  150. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。依田圭五君。
  151. 依田圭五

    ○依田委員 土地の税制について、また宅地開発税について簡単に質問いたします。  今度の税制が住宅政策の抑制にならないかという点を非常に心配しておるわけです。市町村の財政がこれによって潤っていくということについては、委員会の立場からも非常にけっこうだと思うのですが、抑制にならないかという点について、抑制にはならないんだという御答弁があるのならば、ぜひ聞きたいと思うのですが……。
  152. 松島五郎

    松島政府委員 宅地開発税を起こすということを考えました経緯は、最近宅地開発に伴いましていろいろな負担金とかあるいは現物負担とかいう事例がふえてまいってきております。これは、宅地開発と申しましても家だけできればそれでいいというわけにはまいりませんので、どうしても最低限度の環境の整備ということが相伴ってまいりませんと、せっかく宅地開発をいたしましても住むに値する環境にならないわけでございます。そういったことから、市町村では宅地開発をする方々に対して、あるいは道路とかそういった公共施設をつくって提供してもらいたいとか、あるいは負担金を出してもらいたいとかいうことが現実に行なわれてきているわけでございます。それらの負担は、先ほども申し上げましたが、宅地開発業者が自分で負担をするというよりは、一応形の上では一たん自分で負担をいたしますけれども、結局は分譲価格に転嫁されていっておるというのが現実の姿でなかろうかと思うのでございます。私どもはこういう事態に対して、やはり負担を求めなければならないという現実は考えながらも、その負担はできるだけ公正、適正なものであることが必要だというふうに考えるのでございまして、そういった意味から、いまいろいろな形で求めております負担関係につきまして、税金という形をとることによって、やはり市町村の議会の審議等を通じまして負担の調整ということがおのずからできていくということを考えますならば、むしろそのほうが宅地開発を円滑に進めていきます上に資するところが大きいのではないか、かように考えておるわけでございます。そういうことで、特にこのために負担が重くなるというようなことを考えておるわけでございませんので、御指摘のように宅地開発の障害になるというふうなことはないと確信いたしております。
  153. 依田圭五

    ○依田委員 税率はどうしてきめるのですか、それが一点と、それから公共施設政令内容に移しておりますが、どういうような基準で政令内容をつくろうとお考えになっておるか、その二点について御質問いたします。
  154. 松島五郎

    松島政府委員 税率につきましては、一定の額あるいは一定の率でもってきめることが適当ではないかというようなこともいろいろ検討いたしたのでございますが、この宅地開発に伴います施設として私どもが考えておりますのは、政令の内容についてお尋ねがございましたが、都市計画の対象とならない程度の宅地内の道路、それに伴います排水溝並びに児童公園程度の公共空地というような、大体いまのところこの三つを中心に考えております。要するに宅地の周辺の施設と申しますか、身の回りの施設ということを最小限度考えておるわけでございます。  ところで、こういったものを公共施設として取り上げますことになりますと、大部分が道路の経費になるのではないかというふうに考えられます。道路の経費と申しましても、そのまた大部分が用地費であるというのが従来の例でございます。用地費ということになりますと、御案内のとおり場所によって非常にその価格が違うわけでございますので、一律の税率をきめますことはかえって実情に合わない、それだけの必要のないところもその税率課税するという問題が起きても、かえって負担の不公平ということにもなりますので、そこで法律では、公共施設整備に要する費用、受益の程度等を考慮して定めるということにいたしました。ただそういう定め方になりますと、あまりにもばく然としておるのではないかという問題もございますので、この税は新税でもございますので、当分の間は自治大臣税率の設定、変更については届け出を求めることといたしておりまして、その届け出をあらかじめしていただきまして、その際に公共施設整備に要する費用あるいは整備計画というようなものを出していただきまして、適正な税率にするように指導をいたしてまいりたいと考えております。  なお、この税を起こすことができるという法律改正をいたしましても、現実にこの税を起こすという市町村はおそらく大都市周辺のごく限られた市町村であるというふうに考えられまして、全国的にこれをやるというわけのものでもございませんので、いま申し上げましたように個別指導をしていくほうがかえって実情に即するのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  155. 依田圭五

    ○依田委員 政務次官にお聞きしたいのですが、新国総計画がまだ第四次答申段階でコンクリートされておらぬですね。これは第五次までいかぬと閣議に持ち込める段階までいかない。従来のいわゆる新産都市方式、拠点開発方式なるものが一応うまくいかなくて、そして新しいブロックごとにやる、縦貫道路をぶち抜いてやろうとする新しい総合開発計画がいませっかく練られておるわけです。そういう問題と、それからこれは建設委員会のほうで議論になっておるのですが、調整区域と市街化区域、これらに関する政令がもう間もなく、六月ですが、出ようとしておるわけですね。そういう前夜にあって、まだそれらの重要な都市改造の問題がはっきりしないのに、去年に引き続いて、またことし新しい税金をおつくりになるという点について、私は少し、新税づくりが熱心なのはいいけれども、熱心過ぎやしないかという点からも心配するのですが、政務次官、御答弁願います。
  156. 砂田重民

    ○砂田政府委員 先ほど税務局長からお答えをいたしましたように、この宅地開発税徴収して、それを使う目的というものはきわめて小規模な公共事業に限って考えております。国総等できまってまいりますような幹線道路でありますとか、そういうことを考えているのではございません。したがいまして国総の答えが出るのを待てという必要はなかろうと考えたわけでございます。  それから新都市計画法に基づきます調整区域等の政令はこれからでございますけれども、その市街化区域の中である特定部分について市町村が区域をきめてまいることになろうと思いますので、これまた新都市計画法の調整区域あるいは市街化区域等の政令を待たなければ、こういったきわめて小規模の宅地環境整備のためのふえてきております需要、それをまかなっていくための税収入、こういうことの実現に、いま依田先生のおっしゃったようなことを待たなければならないとは考えなかったわけで、四十四年度から発足をしたい、このように考えております。
  157. 依田圭五

    ○依田委員 二十二、三兆円ですか、向こう十年間に、市街化区域と市街化抑制区域を分けて、市街化区域には投入をしていく、こういう大きなプランがあって、それをこの秋からスタートをさせよう、六大都市には十月までにそれを実現させよう、他の市町村も年末までにはそれをやれということがもう出ておるわけですね。そういう中で、この環境施設整備内容もまださだかでないというようなもの、小さな規模の——小さなもの小さなものというけれども、これは市街化区域の中に市町村長がきめるわけですからね。市街化区域そのものは県知事がきめるわけですね。だから、もしこの税が地方にとって都合がいいということになって、市街化区域の中でほとんどどの市町村もこれを援用するようになりますと、決して簡単な問題ではないと私は思うのです。ですから、都市計画税を強化するとか、あるいは固定資産税の評価の制限を一応緩和するなり撤廃するとか、まだいろいろありますね。そういうような手が残っておるにもかかわらず、そういうことをしないで、この新税の創設に踏み切ったという点についてよく納得ができないのですが、あらためてその点を御答弁願いたいと思います。
  158. 松島五郎

    松島政府委員 市街化区域の設定につきましては、新都市計画法によって六月ないし今年末までに逐次指定をされていくということにつきましては、私どももそういう方向であることを伺っております。ただ新都市計画法によります市街化区域を設定したら、あすからその地域が全部整備されるかと申しますと、なかなかそうはいかないと考えます。  この宅地開発税で考えておりますことは、先ほど来何度も申しますように、現実にどんどん宅地が広がっていっている、その環境を一日も早く整備をしていきませんと、せっかく住宅をつくって住まわれようとする方の日常生活にも不便を来たすというようなことでは、国民生活の面から望ましいことではございませんので、少なくとも最小限度の身の回りの公共施設は整えられるようにしていきたいという趣旨でございます。もちろん、御指摘のございましたような都市計画税あるいは固定資産税というような財源もこういったものに充当していくことを考えなければならないわけでございますけれども、何と申しましても、家ができることに伴いますいわば初度的な経費でございますので、その一部はやはり宅地開発を行なう方々に負担をしていただくことが公平の原則にも合うのではないか。もちろんこの税を起こすからと申しましても、この税でいま申し上げましたような施設が全部まかない得るというところまで考えてはおりません。おそらく現実に必要とします経費の一部しか宅地開発税ではまかない得ないと思います。そのほかにさらに宅地開発が進みますことによりまして、学校の建設でございますとかあるいはその他大きな公共施設整備というものは、市町村としては当然やっていかなければならないわけでございまして、これに宅地開発税を充てるということを考えておるわけでもございません。したがって、そういった経費についての財源というものもまた別個に考えていかなければならぬと思います。そういった面には、やはり宅地ができますことによって固定資産税もある程度は上がってまいりましょうし、御指摘のありましたような都市計画税もとれますでしょうけれども、やはりそういう、もっと大きな経費にも充ててまいらなければなりませんから、いま申し上げましたような身の回りの公共施設についても宅地開発税でまかなわれるのはその一部でございますので、残った部分については、やはり市町村の一般財源として、いま申し上げましたような都市計画税なり固定資産税なりを充当していかなければならぬ場面も生ずると考えるのであります。そういう意味でこの宅地開発税というものを考えている、こういうわけでございます。
  159. 依田圭五

    ○依田委員 では、もっとこまかく聞きますが、これは税金を納めた人の周辺をやるというようなぐあいにはいかない。言いかえれば単位ごとに都市計画市町村できめて、そこでやるわけですからね、適用区域を。ですから、納税者のほうは、自分が金を納めたのにちっとも道路が直らないじゃないか。市町村のほうは一定の年次計画でもってやっていく。そういうような点については、具体的には納税者のそういった、そのために納める税金と、実際にそれがはね返って自分のところができ上がる時期とについてズレがあるのは、一体どういうふうに指導するのですか。
  160. 松島五郎

    松島政府委員 この点につきましては、都市計画法による市街化区域のうちで、さらに公共施設整備を必要とする地域として市町村条例で区域を定めて、その区域内において税を納めてもらう、こういうことにいたしておるわけでございます。御案内のとおり、都市計画法によります市街化区域は、おおむね十年間程度に都市化する地域を目標にして施設する、こういうことになっておりますので、そういう長い将来を見通しての事業でございますので、いまお話しのような、十年先にならなければ、税金だけは取って、公共施設整備してもらえないじゃないかというような問題もございます。そこで、その地域の中でさらに地域をしぼる、こういうことにいたしたわけでございます。その考え方は、現在すでに宅地化が進行しつつある、あるいはごく近い将来、年数にいたしますと、地域によっても違うと思いますけれども、二、三年のうちにそこの地帯は家でもって満たされるであろうというような地域を市町村条例でもってまず指定をいたしまして、それに伴いまして、その市町村公共施設整備計画を立てて、そして税を納めていただくと同時に施設整備をはかっていく、こういうふうにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。税金だけとって十年先に施設をするというような形のものでは御指摘のような問題が起きますので、そういうことにならないようにいたしたいという考えでございます。
  161. 依田圭五

    ○依田委員 松島さん、だいぶあなたのほうで、原案ができてから整備の段階に持ち込んだところが難航を重ねて、結局は還元方式と徴収猶予の形が出てきた。マスコミは、せっかくあなたのその意気込んだ新税の基本構想が骨抜きになった、こういうことを言うのですが、いわれるように還付方式と延納ですか、延滞ですか、それによってこれは骨抜きになっておるのですか。
  162. 松島五郎

    松島政府委員 公共施設整備するための財源を得るということでございますけれども、今日の宅地開発の実態を見ますと、相当の規模の宅地開発をいたします場合には、どうしても宅地開発業者としてはその区域内の道路なり若干の公共施設整備しなければならない、また現実にしているというのが実情でございます。そういう場合に、さらに税金をもう一度課税をすることになりますと、二重の負担にもなります。その負担は結局宅地を買う方に転嫁をしていくという問題もございますので、二重負担にならないように調整をしなければならぬということは当初から考えていたところでございまして、そういう意味で、市町村の計画しているような施設に適合する公共施設をみずから整備する者に対しては税を免除する。また、すでに納めた場合には、そういう施設ができたら返してあげます、あるいはまた、みずから整備するからもうちょっと待ってもらいたいという場合には、徴収猶余をするという規定は設けましたけれども、その趣旨はいま申し上げたことでございますので、それによってこの税の内容が骨抜きになるということはないと考えております。
  163. 依田圭五

    ○依田委員 それでは、この新税の財源は二億三千万幾らというように記憶しておるのですが、一体どういうファクターですか、積算基礎によってこの数字が出てきたかを明らかにしてもらいたいと思います。
  164. 松島五郎

    松島政府委員 内訳につきましては、後ほど課長から説明させることをお許しいただきたいと思いますが、考え方といたしましては、何度も申し上げますように、この税は課することができるという道を開くということでございますので、現実に来年度どの町村がこの税をどこで課税をするかということを推定することは非常に困難でございます。そこで、私どもといたしましては、従来いろいろな形で負担金とかそういうものを取っていました市町村が、おそらく今度はこういう税金に一部変わるであろう。ただし、この法律ができましてからも、準備その他の関係もございますので、来年すぐやれるかどうかという点もまだ多少問題があろうかと思いますけれども、そういった点を見込みまして一応の推定をいたしたものでございます。  内容につきましては、課長から説明させていただくことをお許し願います。
  165. 高橋睦男

    ○高橋説明員 来年度の見通し、見込みにつきまして御説明申し上げますと、大体市町村の数にいたしまして十カ町村ぐらいが宅地開発税を採用するのではなかろうか、こういうことで考えまして、それの宅地開発の実施見込み面積が百十八ヘクタールということでございます。ただし、この中には、現物の提供によりまして、先ほど御説明申し上げましたように、税が免除をされるという場合があろうということを想定いたしまして、それで出ました五十九ヘクタールの面積につきまして、一平米四百円の税金で掛けましたものに、徴収率と、それから大体十月ごろから実施ができるのではなかろうかという見込みで、一億四千四百万という見込みを立てたものとなっています。
  166. 依田圭五

    ○依田委員 これは、課長さん、個人と業者では一体どういうつかみ方をしているのです。どっちが多いのですか。
  167. 高橋睦男

    ○高橋説明員 個人と業者という区別はちょっとむずかしいかと思うのでございますけれども、大体現物の提供によりまして課税が免除されるというものが、いわゆる大きな業者の行なうものに該当する、こう考えておるわけでございます。
  168. 依田圭五

    ○依田委員 平米四百円ということになると、坪当たり千六百円ぐらいになると思いますね。そんなにたくさん金をかけて——それは、あなた、最高の制限額なんですか。それとも、どういうことなんですか。二億三千万ですね。ともかく、造成なんか二千円かなにかでできるところはたくさんあるわけですね。造成費一ぱいくらいの税金を取ることになりかねないのですが、その点はどうなんですか。
  169. 松島五郎

    松島政府委員 いま申し上げましたのは、一応平均的なところを、まあ四百円くらいというふうに見込んだわけでございまして、私どもが東京近辺で宅地開発が行なわれておりますところについて若干の実態調査をいたしましたところによりますと、道路、排水溝程度の公共施設整備するといたしまして、その費用が、用地費を含めまして大体これは平均千五百円程度一平米当たりかかっております。そこで、一平米千五百円と申しますと、一坪にいたしますと五千円程度になるわけでございまして、それだけの負担を税として求めるということは納税者の方にとってもたいへんな負担でございますので、私どもは現在の指導方針といたしましては、最高でも一平米当たり五百円をこえないような指導をいたしていきたいと考えております。したがいまして、ただいまお尋ねのように、用地費その他が非常に低廉につきますところには、その割合で税率を低くしていっていただくように指導をいたしたい、かように考えておるわけでございます。一応積算といたしましては、平均四百円という数字をとって積算をしてあるということでございます。
  170. 依田圭五

    ○依田委員 これは最終需要者といいますか、土地を買おうとする人に転嫁されてくるわけですね。ですから局長に聞きたいのは、この制度は、八王子であるとか横浜であるとか、十ぐらいのところが、金やものでもってそういう負担転嫁をやっておるので、それを統一するというか、そういう面からこの税の発想が起こったのか、それともあなたのほうでこういうようなものをつくらぬことには、市町村公共施設のあれができないという意味で始めたものか、その点をはっきりしてくれませんか。
  171. 松島五郎

    松島政府委員 ただいまお尋ねの点は、両面相関連している問題でございます。現在宅地開発要綱というような形で、宅地開発を行ないます方にいろいろな形で負担を求めている市町村が五十をこえる数になってきておりまして、これはどんどんふえていく傾向にございます。こういうような負担の内容を見てまいりますと、それぞれの団体によって非常にまちまちでございます。なぜそういう負担を求めることになってきたかと申しますと、結局宅地ができましても関連の公共施設ができなければ宅地としての効用を果たし得ないというところから、市町村としては宅地開発を行なう方にそういう負担を求めることになってきたのだと考えられます。したがいまして、市町村としては、簡単に申しますならば、そういう財政需要があるから負担を求めてきているのだ、こういうことだろうと思います。  そこで私どもこの問題を考えますためには、まずそういう財政需要に市町村が対応し得るような財源措置を一面において考えていかなければならないのではないだろうかということが第一点でございます。と同時に、現在そういう形で、そういう必要性から負担を求めるに至ったといたしましても、その負担の内容がいま申し上げましたようにきわめて区々であるということになりますと、負担をされる方の公平という問題も起こってくるわけでございまして、そういう点からは、やはり負担のあり方について逆に規制をしていくことも必要ではないか、こういう両面を考えまして、それには税という形をとることによって、同じ負担を求めるにしても、市町村の議会の審議なりを経て求めていくほうがより適正化が期せられるのではないか、かように考えているわけでございます。
  172. 依田圭五

    ○依田委員 税務局長のように、税の神さまみたいな人だから私聞くのですが、一体いま地方税は幾つあるのですか。
  173. 松島五郎

    松島政府委員 府県税として取っておりますのが普通税で十一、目的税で三でございます。合わせまして十四税目でございます。市町村税として課税をいたしておりますものが、普通税で法定税目で七つ、それから目的税で今回の宅地開発税を含めまして四つでございます。合わせまして十一でございます。
  174. 依田圭五

    ○依田委員 そうすると二十五あるわけですね。あなたがこれほど情熱をもって出しておるのだから、これはどうしても通るでありましょうし、二十五あるわけだ。国税は二十八あるんですよ。そうしますと五十三になるわけですね。全く税金でがんじがらめになっているわけですね。しかも去年、自動車取得税をあなたがおつくりになって、これまた平年度五百何十億、六百億近い税金がいま出ておるわけです。これもガソリン税でいいじゃないかということをわれわれは去年もこの委員会で言ったことがあるのです。今度のこの税だって、ぜいぜいいまサンプルに出したのは十カ町だというのですね。適用されるであろうところがぜいぜいその程度であって、多くても五十団体ぐらいだろう、こう言われておるのですね、そうしたら、固定資産税の制限撤廃なり都市計画税なり、何らかの方法でやればいいので、その上にまた税金を——国かようやく建設委員会を中心に何とか住宅建設五カ年計画を、いま七割くらいしかいっておりませんから、来年一年ぐらいで達成しようということで力を入れておるときに、片やマイホームの持ち家制度をチェックするであろう、最終的には土地の需要者に転嫁されるであろう新税をおつくりになる。自治省ぐらい権限の強いところなら、十や幾つかの地方団体がやっていることなんか、一ぺん一声どなればみんなやめるじゃありませんか。何であなた方は去年に引き続きことしも新税をつくらなければならぬか。全く苛斂誅求というか、六十に近い税金で、納税者のほうはもうたいへんだと私は思うのですが、ひとつ御意見を聞かしていただきたいと思います。
  175. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおり非常にたくさんの税目がございますことは納税者には非常な重税感を与えることでございまして、私どもも税制を考える場合には十分その点についての配慮をしていかなければならないことはもちろんだと考えております。ただ、六十と申しましても、それぞれの納税者にすべての税金が必ずしも同時にかかるわけじゃございませんので、その辺は、いま御指摘のあります宅地開発税にいたしましても、いなかに住んでおられる方にかかるわけでもございませんし、また東京の町のまん中に住んでおられる方にかかるわけでもございません。それぞれ対象によってどの税がかかるかということがきまってくるわけでございます。そういうわけで、この税が創設されたからといって、何か非常にたくさんの税を全国民が負担をするという形には必ずしもならないと思いますけれども、ただ何と申しましても税金のことでございますので、数が多いということは何となく重税感と申しますか、そういうものもあることは事実でございます。今後ともその辺につきましては十分私どもも配慮をしていきたいと考えております。
  176. 依田圭五

    ○依田委員 いなかの人にかかるんじゃないとか全体にかかるんじゃないとかというお話ですけれども、結局そういうような考え方はぼくら納得できないのですよ。全体にかかる必要やむを得ざる税金ならば、国は、成り立たないのですから、新税でも何でもしかたがないと思うのですよ。ただ、現在十団体とか、多くても五十団体ぐらいにしか適用にならぬ、しかも土地の造成に悪影響を与えるような税金を新税としてうたって、この複雑な税体系の中に、さらに専門家でもわからぬような形の中に屋上屋を架すということ——それは税務局長なんかは専門家ですから頭の中で、あの税はあの税、この税はこの税とさい然としているかもしれませんけれども、納税者にすれば同じことなんですよ。また一つ税金がふえたわい、こういうことなんです。自動車取得税のときでも、何でガソリンでやらぬのか、自動車を使う人と自動車の道路に与える損傷のパーセンテージとは合わないんだから、ガソリン税を上げればいいじゃないか、それを若干手直しすればいいじゃないか。今度だって、あなたが目的としておる横浜とか八王子の周辺の若干のものは、土地税制の一環なんだから、他のほうを少し手かげんすれば、どうにでもこの程度の、二億か何かの金ぐらい出てくるじゃありませんか。それをまた新しい税金をつくって、全国にかかるんじゃないとか、あらゆる階層にかかるんじゃないからかまわないのだということを言ったって、あなた六十種類の税金を納税者がみんな知っていますか。それじゃ私困ると思うのですが、これは政務次官からひとつ御答弁願いたいと思うのです。
  177. 砂田重民

    ○砂田政府委員 確かに地方税におきまして税目がたいへん多いことは、ただいま税務局長が御答弁したとおりでございます。よほど慎重に検討しなければならないことは、基本的には全く先生のおっしゃったとおりでございます。ただ、先ほども依田先生は、せっかく建設省で新都市計画をつくって、ああいう整備をやろうとしているときではないかとおっしゃるのですが、こういった特に大都市に比較的近いところと申しますか、そういうところの市町村に集中して新たな宅地開発が非常に傾斜的に激しくなっております。そしてそういった新たな宅地開発に伴って生ずる新たな負担というものにやはり市町村が対処してまいらなければなりません。都市計画新法が施行をされまして、都市計画事業というものが進んでまいる、それに伴っての新しい宅地開発でその周辺の最小限の環境整備、これがやはり都市計画法で定める都市計画事業にはずれている小規模のものが市町村の新しい負担になってまいります。いろいろの先生の御意見でございますけれども、全く環境整備がされていないところで新たに開発された宅地と、少なくとも、最小限度ではあっても環境整備のできた宅地、その間の差というものは当然あってしかるべきであろう、そういう意味合いから、やはりそれが直接的に宅地の値段をつり上げる、あるいは納税者に新たな負担を与えるというふうには実は受け取っておらないのでございます。環境の整備された宅地を確保していきたい、こういう考え方から、新しく起こってまいりますそういう負担に対して、市町村にそれだけの力だけは持たせていきたい、こういう考え方でございます。
  178. 依田圭五

    ○依田委員 それは見解の相違であるということになれば、何をか言わんやですけれども……。  次に、税制について若干聞きます。それは、今度所得税の長期保有と短期保有についていろいろの増税措置あるいは減税措置をやっております。地方税もそれにならっておるのですが、これは四十五—四十六、四十七—四十八、四十九—五十年の三段階にして、長期保有の土地を処分した場合は減税措置、それから短期保有を増加する、こういうことになっておりますが、これは百分の四と百分の八に相当する金額に上げるのだという法改正の内容でありますが、これは、こういうぐあいに長期保有の土地を減税するとどのくらいのあれが出て、土地を手放す、分離課税の比例方式にしたのだから、税金が安いから土地を手放す、それから短期保有のほうは、これは増税になるから抑制効果がどのくらいある、どのくらいの人が遠慮するであろう、こういうことについて、減収、増収の数字と、それから、それが一体どのくらいの差があるか、そして抑制効果にどういう影響を与えるかについて、これは政務次官でなくて、局長に御答弁をいただきたいと思います。
  179. 松島五郎

    松島政府委員 まことに申しわけございませんが、こういう税制の措置を講じたら、すぐにこれだけの土地が大量に供給される、あるいはすぐにこれだけの土地のいわゆる投機売買が抑制されるということは、これはなかなか推定をする方法がないわけでございまして、私どもも所得税にならって同じような方式をとっておりますけれども、ただいま御質問のございましたように、具体的にこれによって幾らの土地の供給が促進され、幾らの土地の短期売買が抑制されるかというような資料を持ち合わせておりません。
  180. 依田圭五

    ○依田委員 その資料はないというのは、ここへ持ってきていないという意味なんですか。
  181. 松島五郎

    松島政府委員 いま申し上げましたように、全くの予測と申しますか、納税者がどう反応するかという問題でございますので、これはちょっと資料のつくり方が——用がないと申しますか、そういうことで資料の準備がないということでございます。
  182. 依田圭五

    ○依田委員 これは局長、おかしいと思うのですよ。これだけの大きな税率の変更をやっておるわけですから。所得税のほうで大蔵が独自の判断でどのようなきめ方をしようとも、それは大蔵の段階でございます。ただ地方税の段階で上げたり下げたりする場合には、当然一つの政治目的を持っておるわけですね。それは過疎、過密の問題を片づけるとか、あるいは都市計画をどうするとか、住宅建設をどうするとか、それによって、こういうような弊害があるから、こういう制度をやったならばこういう抑制効果があるだろうというふうに、初めと終わりがある程度展望されて、その中で税率がきまって、そしてそれに単位をかけて、減収なり増収がきまって、その差がきまって、そしてあなたのところへ書類がきて決裁をするのではないかと私は思うのです。たくさんの調査機能を持ちながら、そういう点について全然何も数字がないというのは、私はアマチュアだからよくわからぬが、納得がいかないのですが、そういうものなんですか。
  183. 松島五郎

    松島政府委員 これは先ほども申し上げましたように、こういう制度をとったら、機械的に土地所有者がそういう形で反応を示すというわけにまいりませんので、たとえば現在、これだけの税金を納めている人が、税率を下げればこれだけ少なくなる、こういうものとちょっと性質が違いますものですから、推計の方法がなかなかないわけでございます。そういう意味で資料を持っていない、こう申し上げているわけでございます。
  184. 依田圭五

    ○依田委員 さらに聞きますが、一方では税金を上げて、一方では税金を下げたわけですから、減収額と増収額は全く同じじゃないかと思いますが、その見通しはどうですか。
  185. 松島五郎

    松島政府委員 その減収額が幾らになるか増収額が幾らになるかという問題でございますが、これは先生が御指摘になりましたように、これによって、たとえば長期譲渡所得の場合には幾ら土地が売られるようになるか、それを現行法で取れば幾らになり、新しい法律によって取れば幾らになる、したがって、その分は減収が幾らになるのか、あるいは逆に短期の場合には、これによってどれだけの売買が抑制されるか、現行法でかりにそういう抑制効果のない状態で売られたら幾らの税収が上がり、抑制されたら幾らの税収が減るかという問題をあわせて考えなければならないわけでございまして、結局、基礎は、このようなやり方をすれば、どの程度売買の促進になり、あるいは売買の抑制ができるかという見通しがなければ、税収の増減も出てこないわけでございますが、いま申し上げましたように、これによって幾ら供給が増加するか、あるいは供給が抑制されるかということを推定することは困難でございます。したがいまして、増減収につきましても、そういう意味で幾らという数字は出ていないわけでございます。
  186. 依田圭五

    ○依田委員 それでは増収、減収のバランスをとらしているという意味ですか。どういうことなんですか。地方税に対する影響があるわけでしょう。その場合に、それに対する減収補てんなり何なりしなければならぬわけでしょう。その場合、これは収支とんとんというふうに考えているのですか。
  187. 松島五郎

    松島政府委員 長期譲渡所得の場合は、長期保有土地が、この税制によってなるべく供給がふえるということが望ましいわけでございます。そういう意味からいえば、それについては税を軽減するわけでございますから、軽減された税額が多ければ多いほど目的が達せられる、こういうことになります。短期譲渡所得は、逆に短期譲渡を抑制しようというわけでございますから、税金をよけい取ろうというわけでございます。それもまたなるべく抑制されて、税金をよけい取ることが少なければ少ないほど目的を達するということにもなるわけでございます。そういう意味では、減収が多いほどある意味ではこの今回の税制改正の目的が達せられるということにもなると思いますけれども、それは一体幾らだということになりますと、先ほど申し上げましたように土地所有者のこの税制に対する反応のしかたというものを正確に把握することは現段階ではなかなか困難でございますので、したがいまして一応税間計算の上では、増減収というものを見ないという考え方で計算をいたしております。
  188. 依田圭五

    ○依田委員 私、減収が多くなると地方団体は影響を受けると思うのですよ。その点が一点。  それからもう一つ、これは十三段階ありましたものがダウンされておるわけですね。ですから、特定の大きな譲渡益が予定されておるのがない場合には、その特定の村はたいへんな減収になると思うのです。税率改正になっておるわけですから。頭を下げておるわけですから。十三段階になって、累進性が強いものを比例税率に変えて四、五、六となっておるわけですから、その場合そういうことは統計上すぐ推定できるわけなんで、現実に統計上推定しなくても、そういう特定の村に対してどういう救済方法をお考えになっておるのですか。
  189. 松島五郎

    松島政府委員 たとえば長期保有土地につきまして税率を下げなかったならば売らなかったであろうという前提をとりますと、売らなかったならば譲渡所得は生じませんので、税収入はその村としてはゼロであった。少なくともその譲渡所得に関する限りゼロであった。今度はこういう軽減税率を適用したことによって売るであろうという推定をいたしますと、税率はなるほど下がりましたけれども、そのかわりに収入は入ってくるということもいえるわけでございまして、その辺を、税率は下げなかったけれども売るであろうという推定をして、さらに税率を下げたから売ったものが幾ら軽減になったかという比較をいたしますことは、実際問題としてなかなか困難なことでございます。したがいまして、いまお話しのような点は、逆にこういう税制をとらなかったならば土地を持っている方が売らなかっただろう、売らなければ譲渡所得は生じませんから、譲渡所得を生じなければ税収入は本来なかったということもいえるわけでございまして、したがってこれによって大きな減収が起こるということはむしろないのではないかというふうにも考えられます。
  190. 依田圭五

    ○依田委員 十三段階ですから、一番極端な場合は、普通ならば一番高いところが一四%取られておるわけですね。期待できるわけです。税収入になるわけです。それが今度の特例措置でもって比例税率になりましたから、最高でも六%に下がるわけですね。そうするとそれだけ減収になるじゃありませんか。
  191. 松島五郎

    松島政府委員 この制度は、いままで売らぬで持ちこたえておると申しますか、持っている人に売っていただきますが、こういうために税率を下げようというわけでございますから、むしろ十三段階の税率の最高税率がそのまま残っておるとすれば、まあやっぱり売らぬでおこう、こういうことになった場合を考えますと、その場合は税収入はゼロだ、こういうことになるわけでございます。そこのところは、いやいずれにしたって売る予定になっていたのだ、売る予定になっていたのだからこんなことをやらなくても、あるいは十三段階の最高の税率一四%ですか、課税されようとも、来年はその人に売ったはずだ、こういう推定に立ちますならば、いまお話しのとおりこの比例税率とその最高税率がかりに適用されるとすれば、その差額だけは税収入としては減ってくる、こういうことになります。その辺は実際問題として売られる方の心理の問題にもなってまいりますので、どっちだったのだと聞くわけにも、なかなか具体的な問題としてはいかないのではなかろうか。私どもとしましては、やはり従来の税率であれば売っても税金にみな取られてしまう。みなということはございませんが、大部分取られるから売らないでおこう、したがって市町村の側からいえば税収入がなかったであろう。ところが税率を安くしたのならそれじゃ売ろうかということによって、税金としてはむしろ入ってくる側に向かうのではなかろうか、かように考えているわけでございます。
  192. 依田圭五

    ○依田委員 基本になるこういう制度をつくったら、土地をよけいに売ろうとする人がどういう見通しに立つか、あるいは買おうとする人がどのくらいの抑制効果を受けるかというような点についての試算がある程度ないと、それはわからぬのだ、ともかく利益を受ける地方団体もあるし、えらい損をする、減収になる地方団体もあるのだ、しかしそれは人の心理だから、所有者の心理だからわからぬというような言い方では、どうも最後まで納得ができないのですが、これは同僚のもっとベテランの諸君にやっていただくとして、時間もありませんので、私はその次の課題に入りたいと思います。二、三まだ予定しておりますが、はしょって一、二点だけで質問を終わりたいと思います。  それは今度の大都市の税制の問題なのですが、今度地方道路譲与税の配分の方法を変える。この配分方法を変えることによって、全国の市町村の八十四万キロといわれておる全部ですけれども、道路を一つ例にとれば、道路がどの程度整備されて、その中で大都市ではどの程度整備されていくかということについて試算をなさったことありますか。あればひとつ教えてもらいたいと思います。
  193. 松島五郎

    松島政府委員 道路譲与税の配分方法を変えるという問題は、現在の道路譲与税として予算に計上されております額の範囲内において、いわば大都市に傾斜がつくように配分方法を変えようという考え方でございます。したがいまして、大都市に配分をよけいにいたしますと、総額の範囲内でそういう操作をいたしますので、その他の団体においては相対的に減収をするという結果になるわけでございまして、このこと自体によって特に全体の道路水準が上がるとか下がるとかいう問題には必ずしもならないと考えております。もちろん前年に比べまして、自然増収がございますから、その分は道路事業費の増加によってせられることは当然でございますけれども、ただ考え方としては、大都市に配分方法を変えてよけいいくようにするからということは、同時にほかの団体の分がある程度減るということになりますので、全体の水準がそれによって動くというわけではございません。ただ大都市だけについてみますならば、配分方法を変えて財源を強化するわけでございますから、大都市道路事業というものはある程度進むのではなかろうか。ただそれが何%どうなるということになりますと、ちょっと私どもも試算をいたしかねますけれども、大体私どもはいま道路譲与税の配分方法の変更によりまして、大都市に対しまして前年度に比べて三十億を下らない額が増加するようなことを考えております。したがいまして、現在大都市に交付されております道路譲与税の額は、四十二年度で十六億円程度でございますから、かなりの増額になる見込みでございますので、これによって大都市道路整備というものは相当進められるようになるのではないか、かように考えております。
  194. 依田圭五

    ○依田委員 大都市問題はもう何年も前から騒がれて、昨年は具体的に、ことし片づけてもらいたい、来年度、昭和四十四年度において片づけてもらいたい、こういうことを具体的に附帯決議をつけておるわけですね。それを受けられて局長のほうでいろいろ作業なさって、今度の譲与税の配分方式を大都市に傾斜配分できるように手直しされよう、こういう趣旨だと思うのですが、それは間違いありませんか。
  195. 松島五郎

    松島政府委員 そのように考えております。
  196. 依田圭五

    ○依田委員 それについて、三十億というものを六団体で割ってごらんなさい。五億円くらいじゃありませんか。ぼくは三十億という積算でさえもちょっと疑問に思っておるのですがね。百億出てくると——その前に配分方式は、数式はもう決定になっておりますか。これは政令なり省令なりで御発表になるのでしょうけれども、もうすでにこの予算をつくられる段階でコンクリートされて関係者の間では了解済みと思うのですが、きまっておったらその数式を発表してください。
  197. 松島五郎

    松島政府委員 まだ法律が通らないうちから自治省令の中身をきわめてしまうというわけにはまいりませんので、私どもといたしましては一応の考え方を持って試算はいたしておりますけれども、これが最終的にきまったという段階ではございません。考え方といたしましては、道路の交通量をできるだけ配分基準に反映させますために、道路の種類というふうなものをある程度考えたい。それから道路当たりの人口というようなものを考えて、要するて人口秘密なところほど道路財政需要も高いわけでございますので、そういった方向で試算をいたしておるわけでございます。  なお、三十億程度ふえたのでは一市当たり五億円程度ではないかという御指摘でございますが、まさにその程度の額ではございますが、従来の配分額が十六億円程度でございましたことに比較いたしますと、この際約二倍ふやしまして、三倍程度になるわけでございまして、私どもとしてはかなり傾斜的な配分方法をとるというつもりで作業をいたしておるつもりでございます。
  198. 依田圭五

    ○依田委員 局長、そういう言い方は少し無理ですよ。去年の衆議院の附帯決議というのは数回目ですよ。しかも具体的にきめておるわけです。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕 それに対して、それにこたえる措置が今度の譲与税の配分方式だということは納得がいかないですね。私もアマチュアで頭も悪いけれども、牽強付会と言っちゃ失礼だけれども、そういうずいぶん無理な押しつけの話は私はとても通らぬと思います。大体自動車取得税だって、今度十九億の減収になるわけでしょう、十五万円に上げるから。そうすると、それが大都市分になおはね返ってくるわけでしょう。それだって減収として受け収めなくちゃならない。それから、まだ法律が通らない前に数式をきめるわけにいかぬから、省令内容をきめるわけにいかぬから遠慮しておるというのですけれども、そんなことは当然試算されて、そしていろいろ持ち回った上でもって法律が確定してくるわけでしょう。閣議に出すわけでしょう。そういう段階のものでもいいからどうかと私は申し上げているのでありまして、私の考えでは三十億なんていかないと思うのですよ。現に自動車取得税の十九億の大都市にはね返る四、五億の金を除いたって、三十億にいきませんよ。その中から差し引かなければならぬじゃありませんか。そうすると二十五億か六億、ぜいぜい三十億を頭に取ってもその程度。それを六団体で割ってごらんなさい、一つが何億になりますか。道路の舗装費用に換算して——これは建設省に聞きたいのだが、五億引くと二十五億、その二十五億を六で割って、それで大都市道路が舗装と改良でどのくらいできますか、どうぞひとつ御答弁願いたいと思います。
  199. 北川博正

    ○北川説明員 いまおっしゃるように、総体で二十五、六億の数字でいきますと、改良と舗装とに分けまして考えますと、せいぜい改良で十キロ程度、舗装で十二キロ程度、それを六で割りますと、一キロ強ぐらいという数字になるのじゃないかと思います。
  200. 依田圭五

    ○依田委員 局長、一キロちょっとだそうですよ、千メートル。指定都市の単位都市といいますか、一つの町で、大阪なら大阪、北九州なら北九州で、千メートル道路の改良なり舗装ができれば、大都市問題が片づいたことになるのですか。
  201. 松島五郎

    松島政府委員 道路譲与税の配分方法で大都市問題がすべて解決をしたというふうに考えているわけではございません。少なくともできるものから手をつけていきたいということで、さしあたって道路譲与税の配分方法を変更しようというわけでございます。なお、来年度の自然増収が道路譲与税全体で百億程度でございますので、そのうちで三十億をこえる額が大都市にふえるということは、私どもとしてはかなりの——絶対額はいま御指摘になりましたように必ずしも大きいというわけにはまいりませんけれども、相対的な割合からいえばかなり大きなものではなかろうかと考えております。  なお、自動車取得税免税点引き上げによって減税する影響もあるではないかというお尋ねがございましたが、これはもちろん減税をいたしますならば大都市にも影響を及ぼすことは御指摘のとおりでございます。ただ、自動車取得税は今年度は七月から実施をいたしました関係上、三百九十五億円の収入見込みでございましたが、来年は六百五十億円程度になる見込みでございますので、その方面の増収もかなりございますので、総体としては昨年よりもはるかに大都市分につきましてもふえる見込みでございます。
  202. 依田圭五

    ○依田委員 だめですよ、局長さん、そんなことを言っちゃ答弁になりませんよ。自動車取得税というものは去年からつくったのだが、六兆六千億円の、国がつくった四十六年までの道路五カ年計画の一環の中で、一般道路が三兆五千五百億円、有料道路が一兆八千億円、地方単独が一兆一千億円、こういうようにきめられて、地方単独の一兆一千億の原資として五年間で二千五百億、正確に言えば徴税費が百億ですから二千六百億、すなわち一兆一千億のうちで二千五百億手取り入ってくるのですよ。それについてことし、平年度化されたから満額お金が入ってくるわけで、去年は七月より実施ですから非常に少ない。平年度は当然五百二十何億なんですよ。徴税費を入れて五百五十五億だ。だからそれを引けば五百数億入るのです。入って当然なんですよ。入って六兆六千億円の五カ年計画が執行できるのですよ。それを、それが入ってくるからよろしいのだなんて、もう既定の計画の中にインクルードされておるものを——平年度化されたからふえてくるのですね、それを取り上げて、それが原資になるなんて、千メートルしか直らぬじゃありませんか。いま建設省のほうで言っておるでしょう。二十数億を六カ所で割れば、改良と舗装に直して千数百メートルだと言っておるじゃありませんか、その点どうなんですか。
  203. 松島五郎

    松島政府委員 私どもでいま、指定都市から、来年度の道路関係経費がどの程度予算に計上されているか調べておりますが、四十三年度には道路関係経費が国道、府県道分で二百二十億程度でございますが、現在までに集計したところによりますと、四十四年度では二百五十六億程度の額になっております。これを基礎といたしまして、今回の道路譲与税の配分方式の変更、あるいは当然だとは御指摘がございましたが、自動車取得税等の自然増収をも加えますと、従来都道府県道、国道の事業費に対します目的財源の充当率が五五%程度でございましたものが、おそらく七〇%近くになるのではないかというふうに考えております。もちろんこれで問題がすべて解消しているというわけではございませんけれども、私どもといたしましては、とにもかくにも現在において講じ得る措置は具体的に一つでも二つでもとっていきたい、こういうことで道路譲与税の配分方法についての改正を考えておる、こういうことでございます。
  204. 依田圭五

    ○依田委員 われわれは去年せっかく各党全部で全会一致でつけました附帯決議を、しかも具体的に四十四年度で解決してもらいたいと書きまして、ことしこそはと思って期待しておったわけです。千メートルや千数百メートルの改良率や舗装率のアップということで、一体指定都市の自動車の増加率、これをどういうように御理解になっているか知りませんが、私、東京だけしか知りませんけれども、毎月七、八千台ふえておるのですね。小一万ふえておるのです。それを、自動車の占有する面積を四平米にしたって、かけたら、ものすごい道路が必要になるわけです。八十四万キロも市町村道があって、その舗装率は五%以下なんですね。こういう現実でもって、大都市問題は道路だけじゃありませんが、せめて道路ぐらいはことしは解決をしてもらいたいというような気持ちがあったと思うのです。それに対するお答えとしてはまことに話にならぬ対策である。こんなものは大都市政策でも何んでもないと思うのですが、あなたのほうはできるだけのことをしていくのだ。まあぼつぼつやっていくのだ。そうすると、われわれとしてはまたことしも去年と同じように、あの附帯決議をそのまま文章を写して、もう一ぺんくっつけてやっていく。来年度には具体的に解決してもらいたい、こういうようなことを何回か繰り返していくようなことに相なるわけですが、局長ひとつ、その点どういうような御意見ですか。
  205. 松島五郎

    松島政府委員 道路財源の問題でございますが、道路財源と申しましても、特定財源であります道路譲与税なりあるいは軽油引取税、交付金だけで五大都市ないしは六大都市の事業が行なわれているわけでは必ずしもございません。こんなことは申し上げるまでもなく御承知でございますけれども、国庫補助等もございます。国道の場合は国庫補助は四分の三でございますか、あるいは街路事業の場合は三分の二というような補助がございますので、実際の三十億はその二倍ないし三倍に働いていくわけでもございますから、私はやはり三十億をこえる財源の増強というものは、かなり大都市の財政にも貢献し得るものと考えております。もちろん何度も申し上げますように、これだけで大都市問題が解決するというふうに申し上げているわけではございません。私どもといたしましては、今後も引き続き具体的方策が考えられる限り努力をいたしてまいりたいと考えております。
  206. 太田一夫

    ○太田委員 ちょっと関連して。  大都市財源の話ですが、自画自賛のように見えますが、道路譲与税を少し補正したからいいじゃないかというお話ですけれども、今度建設省の所管である交通安全施設整備促進法でしたか、この法律の正確な名前を忘れましたが、今度新たに三カ年計画が立てられるのでありますが、その際に、自動車取得税並びに交通反則金を原資として交通安全施設というものを地方単独でおやりなさい、いわゆる補助対象からはずす、補助事業にはしない、こういうことになりましたね。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕 これはあなたのほうは御了承済みでございますか。
  207. 松島五郎

    松島政府委員 交通安全対策特別交付金の問題は、私ども直接所管をいたしておりませんのでお答えできかねますが、自動車取得税につきましては、これは道路費用に充てることになっておりますので、道路の一部をなしますたとえばガードレールをつくるというようなもの、これは道路じゃないのだから自動車取得税の対象にしないというわけにはまいりませんので、そういう意味で、自動車取得税も場合によってはそういった施設に充当し得るものというふうに考えております。
  208. 太田一夫

    ○太田委員 歩道をつくるというのは補助事業にしよう。しかしガードレール、それから防護さくあるいは標識、交差点のすみ切りというような事業は全部地方単独でやりなさい、こういうことになった。その金額は、ここに資料を持っておりませんのではなはだ恐縮でありますが、相当多額にのぼる地方単独事業、それも法案ができて、今度建設省の建設委員会でなくて、交通安全対策特別委員会のほうへ付託されておるというようなわけです。ですから、これは大都市の財源という問題と無縁のものではなくて、大都市は非常に安全施設整備しなければなりません。ですから少々自動車取得税がふえるとか、反則金がふえるとかいうことがあるからといって、交通安全施設整備しなさい、大都市道路改良もやりなさい、それから大都市として必要とする各種の財源にも充てなさいというようなことは、これはとても間に合わないのではないでしょうか。だから私がお尋ねしたいのは、交通安全対策の地方単独事業としてはずされたものの財源をあなたのほうは御了承済みであったのか、地方単独の事業として負担するものの財源を御了承済みであったのか、そこをお尋ねしておきたい。
  209. 松島五郎

    松島政府委員 そういう形で私どもまだ御相談を受けた記憶はございませんが、ただ自動車取得税にいたしましても道路の目的財源でございますから、道路の目的財源という範囲内に限られる限りは、これを安全施設だから絶対使ってはならぬというわけにまいらないのではなかろうかというふうに考えます。もちろん、ただいま御指摘のございましたように、安全施設整備でありますとか、あるいは道路の改良事業でございますとか、道路に関する経費は増高の一途をたどっておりますので、これについての財源を強化するという方向はもちろん考えていかなければならぬと思いますけれども、そのことが直ちに現在の自動車取得税のようなものを安全施設のいかなる部分にも充ててはならないということにはならないというふうに考えております。
  210. 太田一夫

    ○太田委員 いや、私の言うのは、この取得税を安全施設に充ててはいけないということを言っているわけじゃないのですよ。そのことは当初から了解済みのことで、当然のことですからいいですよ。いままでは補助事業であったのが全部地方単独事業になった。補助金がなくなってしまうのだから地方持ち出し分が多くなるじゃないか。その割合に反則金がふえておりませんね。ことしの予算では反則金はあまりふえない、予想以下です。取得税はふえるかということも、最近の自動車登録の状態から見ると頭打ちに近いでしょう。伸びが少ないですよ。中古車の五万円の免税点引き上げが相当数ひっかかるから、ほとんど大多数これによって免税になってしまうという点を考えると、交通安全施設等に地方単独事業として出す費用というものは足らないのではないか、まかない切れないのではないか、一般財源から相当出さなければならないのじゃないかということをお伺いしておるわけです。ですから、負担区分の原案作成にあたっては大蔵、建設、自治の間では完全な意見の一致があったのですか、それを聞いておるのです。
  211. 松島五郎

    松島政府委員 その点については、私のほうの財政局がいろいろ協議をいたしておると思いますので、後日財政局長からお答えさしていただきたいと思います。
  212. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると税務局長、あなたは大都市財源拡充のためだとか、地方の住民の負担の均衡をはかるとか、いろいろなことばがありましたが、財政と無関係に税制というのは改正されているのですか。そんなものではない。税制と無縁のものではないですよ。これは一緒じゃありませんか。不可分のものでしょう。あなたが大ワクの中で作業をされたということなら、きょう大臣のかわりに次官が来ていらっしゃるから、次官から総体的な考え方を承っておきたい。財政のことは知らない、補助金がくるこないなんて、そんなことは知らない、こちらはこちらだけで減らしたいものは減らすのだ、ふやしたいものはふやすのだということではないと思うのですが、どうですか。
  213. 松島五郎

    松島政府委員 私の申し上げましたのは、そういう意味で申し上げたのではございません。大都市の財源あるいは市町村道路目的財源というような問題については、もちろん私どもその強化充実に努力をいたしておりまするけれども、ただいま御指摘になりました交通安全施設についての財源をどうするかということになりますと、単に自動車取得税だけの問題でございませんで、一般財源としての交付税なりあるいはその他の財源というものも当然考えられるべきものでございますので、その辺につきましては財政局長からお答えをさしていただきたい、こう申し上げたわけでございます。
  214. 横手正

    ○横手説明員 交通安全施設整備事業計画について御説明申し上げまするが、昭和四十四年度から三カ年の新しい三カ年計画が策定される予定になっております。といいますのは、国庫補助事業につきましては一応道路管理者分並びに公安委員会分合わせまして約七百五十億円きまっておりますが、単独事業につきましては、地方団体の実施計画の報告を待ちまして総額をきめてまいりたい、こういうことになっております。  なお、四十四年度におきましては、とりあえず道路管理者分の単独事業費はおおむね三カ年間に三百億、それから公安委員会分はおおむね百億程度あるものと一応見込みまして、それぞれ三分の一程度の単独事業を見込んでおります。  それからなお反則金関係ですが、これは四十四年度百十七億円見込んでおりますが、これはこの三カ年計画のワク外で考えてまいる、こういう予定になっております。それから、本来の交通安全施設整備三カ年計画に伴います地方負担でございますが、これは交付税の基準財政需要額で算入する、こういう措置を考えております。
  215. 太田一夫

    ○太田委員 財政当局がいらっしゃるなら、もうちょっと伺いたいのですが、基準財政需要額に入れたって、不交付団体なら何ら意味をなさない。だから、いま大都市財源の問題に起因して私はお尋ねしているわけですから、大都市がそういう需要にこたえられないというような貧弱な財政になっちゃ困るから、税務、財務の両方の担当者は十分な連絡の上で、負担するところは負担をする、減税するところは減税する、見積もるところは見積もるということになっているだろうということをお尋ねしているわけですね。百三十億の地方単独事業というのは補助対象にならない。全部持ち出しだ。そのほかにまた七百五十億の半分というのはおそらく地方で負担しなければならないでしょう。そういうことも考えると、そういう需要にこたえられる大都市財源というものの確認があるでしょうか。特に大都市の財政で三十億ふやしたからだいじょうぶという話に対して疑問を持ったわけですね。その点もう一度。
  216. 横手正

    ○横手説明員 明年度道路整備関係の財源措置でございますが、実は明年度の地方負担額は、補助、直轄関係におきましては都道府県市町村合わせまして千九百億余り、単独事業につきましては三千二百七十億円余り、合計いたしまして五千百億程度の地方負担が予想されるわけでございます。これにつきまして財源といたしましては、軽油引取税でございますとかあるいは自動車取得税、交付金あるいは都市計画税の一部、地方債、こうしたものを財源として充てておりますが、基準財政需要額におきましても明年度は大幅な増額を見込む予定にいたしております。なお大都市分を取り上げてみますと、明年度は補助、単独合わせまして、地方負担総額でございますが、おおむね五百億余りになろうかと思われます。四十三年度と比較いたしますと百五十億円余りふえてまいる、こういうかっこうになってまいります。この財源措置でございますが、基準財政需要額においてもちろんこれに見合っただけの財源措置を講じますとともに、その他の特定財源の伸び、これをもって十分充てられる見込みでございます。
  217. 依田圭五

    ○依田委員 最後に一点、これは政務次官にお聞きします。  料飲税と十二カ月払いに関連をしてお聞きするのですが、料飲税を税調が答申しておらぬですね。答申しておらぬのに、国民のたいへんな不評を買って、あえてこういう手直しをするということは私どうも納得できないのですが、税調の答申を一体どういうように理解したらよろしいか。税調の答申はできるだけ尊重する、それにないようなものは、あまりかわったことはできるだけ遠慮する、こういうのが基本姿勢であると私は思っているのです。またその種のことを総理も税調に行ってあいさつをして——私は速記録を読んでおりませんが、言っておると思うのです。答申にないものをこういうぐあいに度胸よく、料飲税の一本化と、お題目はともかくとして、税率を引き下げて特定の階層に対して保護を与える。  もう一点は、十二カ月にするといっても一体メリットは何か。トータルはちっとも税金は下がっておりません。ただ単に重税感を緩和するために十カ月を十二カ月にするんだ、こういうような政策はあまり長く繰り返すと、だんだんに信頼を落とすのではないか、こう思うのですが、あまりにもこそくな方法じゃないか。なぜもっと生活保護費——午前中から私が言っておりますように、あるいは基準生計費、課税最低限に三十万円くらいの格差のある地方税の重税、こういったものになぜ手を回してもらえないのか。三十三億の減収になる、そういうものをこんなところで考えないで、ひとつ他のほうから考えてはどうだ、こういうように思うのですが、何か選挙減税だとか圧力減税だとか、私はあえて言いませんけれども、御答弁をいただきたいと思います。
  218. 砂田重民

    ○砂田政府委員 料飲税の問題につきましては、特に税率のことのお尋ねであろうと思いますが、税制調査会から御答申をいただきましたものを、税調の御意見を尊重して忠実に実行していくという基本的な考えは、私も全くそのとおりに承知をいたしております。ただ、税制調査会から答申のなかったものにつきましても、懸念事項等について不合理なまま長い間続いているようなものにつきましては、やはりこの機会に改正をさせていただきたい、こう考えたわけでございます。一部特定の階層と申しますか、そういうところだけに対する減税という考え方で私どもございません。御承知のように、料飲税の二つの税率があるということは、徴税技術上たいへん不合理な状態が長い間続いてきております。二つの税率があるということがむしろ不公平をさえもたらしている。また御承知のような非常にいいかげんな公給領収証の扱いということの一つの原因にもなってきておる。こういう不合理を何とか解決したい、これは自治省の長い間の懸案事項でございましたので、そういう合理化をはかってまいりたいという考え方から税率の一本化を今回御審議をいただくわけでございます。  それからもう一つ、十二カ月の問題でございます。これはもちろん八百七十億のワクの中に入れてはおりません。このことをもって私どもは減税、減税と申しておりません。何か、十二カ月に割って徴収いたしますことがごまかしであるというふうなおことばがございました。おことばを返すようでたいへん失礼ではありますけれども、私どもはこれを減税とは決して申してもおりませんし、そういうふうにも考えてもおりません。ただ一回、四十四年度でこれの改正ができましたならば、それであとそのまま、そのとおり続いてまいるわけでございます。やはり納税者の側からする負担感というものを緩和する措置というものが決してマイナスの措置ではないであろう、私はこういうふうに考えるわけでございます。
  219. 依田圭五

    ○依田委員 何も十二カ月が減税にならぬからという意味で私も申し上げておるのではないのです。確かにメリットはあると思います。ともかく四月、五月は地方税はない。六月になると急にふえる。しかしある意味において、そういう税の負担のしかたは、四月、五月は、たとえば子供が入学するとかなんとかで家計も負担がふえるときだという意味で——いまの子供は社会科でもってたいへんなところを教えておりますからね。レベルは高いわけです。ですから全体をこまかく切ったから一カ月の負担が軽くなった。これは重税感の緩和ということが——重税とは言わないけれども、重税感の緩和ということが必ずスローガンにうたってあると思うのですよ。ですから、メリットがないとは言わぬ。しかし、それほどの力を入れてやるほどのことでもなかろう。六月以降確かに税金が高い。地方税は高い、そういう考えを持つのは確かです。しかし四月、五月はないのですから減るのですよ。だから、この問題、もう少し突っ込んでいけばボーナスにも手をつけなければならない、前年度の課税方式にも手をつけなければならぬという問題も発生するでしょう。こういう問題を、料飲税に手をつけるというような重大な法改正と一緒に並べてお出しになる、こういうことが私は解せないのですよ。もし料飲税に対してどうしても手をつけるというならば、なぜ税調なりに諮問するなり何なりして、全国の学識経験者を時の政府が委嘱をして、衆知を集めておるのですから、そういう機関にこれを訴えて、日本の料飲体系なるものが一体いかにあるべきかということを、一年ぐらいおいてもやればいいじゃありませんか。そういうことをやらずに、税調にないものをどんどん時の政府が必要に応じて、これは提案権があるわけですから、何をやってもかまわぬわけですが、そういうことを、国民全体の不信を買って——マスコミにおいて読売が一々何を言っておる、毎日が日経が産経がどういつでおるということを私は言いません、ここに資料がありますけれども。ほめておるところは一つもない。それを時の政府があえてそういうことをやる。せめて税調の答申の裏づけでもあればいいとぼくは思うんですよ。都合のいいところはどんどん諮問する、そうでないことは抜き打ちにやる、こういうことでは、今回御提案になりました法の改正の内容についても、私の割り当ての時間はオーバーしておりますから、これ以上遠慮しますけれども、とても納得ができない、こう思うわけなんです。最後に御意見を聞きまして私の質問を終わりたいと思います。
  220. 砂田重民

    ○砂田政府委員 先ほども申し上げましたように、税制調査会というものの権威は十分承知をいたしております。ただ、料飲税の税率一本化は、自治省といたしましてもあるいはまた各府県といたしましても、長年の間の懸案事項でございまして、これはくろうとの依田先生よく御承知のことでございますが、徴税事務の係のほうは長い間苦労を重ねてまいってきておりますので、そういうことからこれを合理化をしたい、それだけの考えで実は御提案申し上げたようなことでございます。
  221. 依田圭五

    ○依田委員 じゃ、これで終わります。
  222. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次回は、来たる十八日火曜日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十四分散会