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1969-07-23 第61回国会 衆議院 大蔵委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月二十三日(水曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 田中 正巳君    理事 金子 一平君 理事 倉成  正君    理事 毛利 松平君 理事 山下 元利君    理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君    理事 竹本 孫一君       伊藤宗一郎君    大村 襄治君       木野 晴夫君    正示啓次郎君       坊  秀男君    本名  武君       山中 貞則君    吉田 重延君       阿部 助哉君    佐藤觀次郎君       平林  剛君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    春日 一幸君       田中 昭二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         経済企画庁総合         計画局長    鹿野 義夫君         大蔵大臣官房審         議官      細見  卓君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       平井 廸郎君         大蔵省証券局長         心得      坂野 常和君         国税庁長官   亀徳 正之君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      林  大造君         国税庁税部長 川村博太郎君         国税庁調査査察         部長      大島 隆夫君         日本専売公社総         裁       東海林武雄君         日本専売公社総         務理事     牧野 誠一君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 七月二十三日  委員沖本泰幸君辞任につき、その補欠として広  沢直樹君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の会計に関する件  税制に関する件  金融に関する件  証券取引に関する件  専売事業に関する件      ————◇—————
  2. 田中正巳

    田中委員長 これより会議を開きます。  国の会計税制金融証券取引及び専売事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。平林剛君。
  3. 平林剛

    平林委員 私は、きょう専売公社長期経営計画、それから第一次中期経営計画、これを中心にいたしまして、専売公社当局並びに政府の方針を伺ってまいりたいと考えています。  「これからのたばこ事業」という長期経営計画を読みました。それからことしの六月発表されました「第一次中期経営計画」これもこまかく読んでみました。私は、これはわが国の今後の財政また国民の生活、関連産業の将来についてきわめて重大な内容を含んでおるということを感じまして、それゆえにきょう与えられた時間ですべてを尽くすわけにまいりませんから、二弾、三弾という気持ちでこの問題についての質問を展開をしたいと考えておるわけでございまして、あらかじめその点を御承知いただきたいと思う次第であります。  専売公社に伺いますけれども、「これからのたばこ事業」それから「第一次中期経営計画」これをしさいに検討いたしますと、将来にわたって公社が行なおうとしておる合理化計画によりまして減少する財産はどんな程度になっていくかということなんであります。私もこの二つの計画書を読みまして、これからの専売事業というものを相当長期間に見通しますと、次のような結果になるんではないかということを推定せざるを得ない。  たとえば製造工場は、現在専売公社は三十九の製造工場を持っておりますけれども、それが大体五つか十くらいになっていくようになるのでないか。原料工場は現在二十三工場がございますけれども、ことしはさしあたり八工場としても将来はその工場五つ六つ程度に縮小されるのではないか。専売公社支所は現在約五百全国に散在いたしておりますけれども、これはおおよそ百程度になってしまうのではないか。専売公社地方局は、いま十七の地方局になっておりますけれども、これから推定をいたしますと、その全部が廃止をされる傾向になるのでないか。そして本社から直接経営の指揮がいくという機構になるのでないか。葉たばこ収納所は当初七百八十八ほどありましたけれども、四十三年度に百七十六が廃止されておりますから、現在六百十二あります。しかし、将来は原料工場に直接収納するために、これも廃止をされるというような傾向になっていくのではないか。これを考えますと、製造工場はおおよそ二十九から三十五つぶれる。原料工場は十七から十八つぶれる。支所は四百つぶれる。地方局が十七全廃になる。収納所が六百十二なくなる。まあ極端なことをいうと、将来を展望するとそういうことが推測されるのでありますけれども、これはまことでしょうか。あるいはそんなことをお考えになっているのでしょうか。この点を承っておきたいと思うのであります。
  4. 東海林武雄

    東海林説明員 ただいまの御質問でございますが、長期計画並びに中期計画の中におきましては、もちろん今後の見通しのそういうような数が、たとえば収納所のときは、これは現在やっておりまして、三年間かかりましたが八百近いものが大体四百ぐらいになる、当然これはすべきだということでやっております。それから原料工場製造工場お話がございましたけれども、これは実際にどの程度規模にしたら経営の最もいい単位であるかということがまだ決定的ではございません。現在百億程度新鋭工場ということで考えておりますけれども、実際に三百億ないし五百億というような大きな工場にしたほうがいいのかどうかということはまだ検討段階でございまして、それを一気にやろうということは考えておりませんが、しかし、原料工場が現在二十三ありますのが、お説のとおり八つ本年度中止をすることにしております。その以後の問題につきましては、これは製造工場原料工場のいわゆる季節稼働から年間稼働へ移動してまいりますから、そういうようなものとの関連において、どの程度に整理をしていけばいいかということはこれも検討してみなければならないと思います。  それから支局とかその他の点につきましては、今後の問題としては十分検討したいと思いますが、いまのお話の中でそのとおりになるかどうかわかりませんけれども、そういう傾向をとるであろうということは申し上げられるのじゃないか、かように考えております。
  5. 平林剛

    平林委員 ただいまの私が指摘をいたしましたとおりだとはおっしゃらないけれども、そういう方向努力をしていくのだというお話がありまして、きわめて重大な問題であると考えておるわけであります。私は、こうした方向わが国専売事業として一体何をねらっておるか、そしてその結果はどういうことをもたらすかということは、きわめて慎重に検討しなければならない。しかもその第一歩がその中にあるわけでありますから、国会におきましてもこれは監査権を使って十分検討しなければならぬ問題でありまして、専売公社すべての判断が全部正しいというわけにはいかない。国家として、あるいは財政として政治として経済として、全般的に総合的に判断せねばならぬ問題がかなり含まれておるわけでありますから、先ほど申し上げましたように、私はこの問題については二次、三次と質問を展開し、そして皆さんの考え方をただしていかなければならぬというように考えておるわけであります。  そこで、さらにお伺いいたしますけれども、「これからのたばこ事業——長期経営計画」「第一次中期経営計画」が今日まで発表されましたけれども、これは具体的な実施計画がはっきりしていない。方向では最高の意思決定であるとかいうような文句が書いてありまして、そしてこの計画は現時点における経営意思決定である、とにかく進めなければならない、こう書いてあるわけでありまして、方向としては示されておりますけれども、具体的な実施計画にはなっていない。この具体的な実施計画についてはどうなるのでしょうか。いま第一次中期計画は見ましたけれども、資金裏づけもある具体的な実施計画、これがない。これはいつごろまでにつくるつもりでございますか。
  6. 東海林武雄

    東海林説明員 これはいまのお話のとおりに方向づけをしたのでありまして、具体的な問題については、いろいろな問題について今後これから検討して、近い将来にこれを具体的に一つずつ固めたものから実施をしていきたい、かように考えております。
  7. 平林剛

    平林委員 結局これは予算裏づけ、それから資金計画が伴わなければ具体的になっていかないわけでありますし、専売公社事業年間期間を限られておるわけでありますから、ことしどうするかというような問題については、これから検討すると伺ってよろしゅうございますか。つまり予算折衝までの間に漸次ことし実施する計画案はまとめられる、それは近く発表される、こういうふうに見てよろしゅうございますか。
  8. 東海林武雄

    東海林説明員 よろしゅうございます。
  9. 平林剛

    平林委員 具体的な実施計画はどの程度内容になるかというお考えはいまお持ちですか。
  10. 東海林武雄

    東海林説明員 これは予算との関係もございますので、それとにらみ合わして具体的な計画を立てていきたい、かように考えております。
  11. 平林剛

    平林委員 そうすると、大蔵省との予算折衝の中で、当初お考えになっておる専売公社計画、具体的にどこまで実施するかにつきましては、折衝段階でその計画が変更もしくは修正されることがあり得ると考えてよろしゅうございますか。
  12. 東海林武雄

    東海林説明員 あり得ます。
  13. 平林剛

    平林委員 専売事業審議会にはかけましたか。
  14. 平井廸郎

    平井政府委員 専売事業審議会大蔵大臣諮問機関でございますので、私から御答弁させていただきます。  専売事業審議会につきましては、先般たしか十六日に開かれました専売事業審議会公社から御報告をいただいております。
  15. 平林剛

    平林委員 その専売事業審議会の中で代表的な意見、何かありましたか。
  16. 平井廸郎

    平井政府委員 ただいま当時の速記録等を整理いたしておりますので、正確ではございませんが、たとえば公社合理化についてむしろ積極的にこれを進めるべきであるという基本的な方向については、各委員異議がないようでございました。その中には対内的な公社内部合理化を進めるだけでなしに、耕作者との間に貯蔵期間問題等について、金利負担公社考えてやるけれども、耕作者段階での貯蔵という問題を考えてはどうであろうかとか、あるいは耕作者限界意識を徹底するように努力すべきであるというような御意見も出されております。それから、販売増加のためには販売店の増設とか、あるいは自動販売機の画期的な増加というような問題も考えてはどうかという意見を出されておりました。それから、現在小売り店からの集金などについては、一応小切手を中心とした現金による払い込み制度をとっておりますけれども、銀行振り込み制度考えてはどうかというような意見なども出されておりました。また、基本的な問題といたしまして、前後いたしますが、合理化の前提として消費税制度を導入して、合理的な経営の基準を確立すべきであるというような意見も出されております。そのほかいろいろございますが、おもな点を申し上げますと以上のようなところでございます。
  17. 平林剛

    平林委員 今日の専売事業審議会のあり方について、私は別な角度から批判を持っております。したがって、それらの意見についてはなお適当な方法でわれわれも意見を述べていかなければならぬと考えておりますが、これはきょうの本題ではありません。  そこで、続いて伺いますけれども、専売公社が今回「これからのたばこ事業」並びに「第一次中期経営計画」を発表する以前に、昭和三十六年度以降の「たばこ事業長期計画」というものがございました。この三十六年度以降のたばこ事業長期計画内容は、積極的に市場拡大をするということ、新しい技術、特にスレッシングを導入すること、近代化投資による労働、原料節約的効果をはかるということ、この三つが大きな柱になっておりまして、今日までその基礎になっておったわけでありますが、これが実施半ばに大きな転機に直面をしたということになっております。その理由はいろいろありましょうけれども、市場の構造的な変貌があり、特にフィルターたばこ限界がきた、それからたばこ値上げによるところの影響があらわれた、喫煙と健康の問題について消費者の心理に与える影響がありまして、販売市場という面では重要な壁になってきておる。そこで今度、市場拡大という中心的課題がその座標を見失ったので、諸施策総合性が不十分であったということの反省の上に立ってこの計画が立てられたというのが私の承知しておる点であります。  私がきょう伺いたい点は、三十六年度以降の「たばこ事業長期計画」が進められて今日に至るまで、一体専売公社は新しい技術導入あるいは近代化投資、つまり三十六年以降の長期計画実施するために経費はどのくらいお使いになったか、それをひとつ明らかにしてもらいたい。
  18. 牧野誠一

    牧野説明員 ただいまの御質問投資額ですが、三十七年度からこの間終わりました四十三年度まで大体千百五十三億円という大きさになっております。
  19. 平林剛

    平林委員 昭和三十六年度以降の「たばこ事業長期計画」に基づきまして、新しい技術導入近代化投資長期計画実施に要した経費が、合計いたしまして千百五十三億円をこえておる、こういうお話がありました。今回の「これからのたばこ事業」「第一次中期経営計画」の中にも、たばこ工場の新設あるいはその他の諸施策がありますから、かなり長期にわたりまして相当多額資金を要するということに相なろうと思うのであります。そこで昭和三十六年度以降の「たばこ事業長期計画」というものが、経営者としてその座標を見失って中途挫折をしたということは私はきわめて重大な事柄であるし、これからのたばこ事業計画あるいは中期経営計画を立てるにあたって、その素材として、その期間における反省の上に立って検討しなければならない。これは私は大蔵大臣も頭の中に描いておられると思いますけれども、基礎的な素材でありますこの検討なくして、次の計画に安易に、専売公社総裁を信頼しておるからおまかせするというわけには、大蔵大臣いきませんよ。私はその点は頭に入れてもらわなければならぬと思うのであります。  さて、そこで昭和三十七年以降四十三年までの間に千百五十三億円、施設費としての投資を行なってきた専売公社は、長期たばこ事業計画、前の計画はいろいろな反省点をあげ、理由をあげて中途挫折をし、今度は総合的にやらねばならぬという反省点に立っておるわけでありますけれども、この中にはもちろん政府自体として反省してもらわなければならぬ点もあります。われわれの意見を越えてたばこ値上げをやっていったというようなこと、それからまた、この委員会でもしばしば議論されましたように、喫煙と健康との関係について、しからばどれだけの投資をして国民の不安を解消する努力が払われたかという問題、いろいろ政治の面においても反省しなければならぬのであります。すべてを公社責任に押しつけるわけにもいかないかもしれませんが、しかし、実際問題としては、公社責任が最も大きいということだけはいなめない事実であります。  そこで、昭和四十二年でしたか、会計検査院指摘をいたしまして、専売公社遊休時間が非常に増加しておる、機械の稼働率の低下が目立っておるという指摘を受けたことがありました。このときの資料を私調べてみますと、昭和三十九年度においては百四十五万時間の遊休時間がある。昭和四十年度になりますと二百十九万時間の遊休時間がある。昭和四十一年度は二百七十一万時間の遊休時間があるわけでありまして、このときの会計検査院指摘では、昭和四十一年度について見た場合でも製造能力は過大であり、その傾向は強まると予想される、施設あるいは設備の整備、その規模、時期の決定は一そうの配慮を要する、こういうことが結論的に指摘をされておるわけであります。昭和四十二年、四十三年度の遊休時間についてはどうなっておるかを承知しておりませんので、この指摘にあわせまして四十二年、四十三年はどうなっておるかということをお答えいただきたいと思います。
  20. 牧野誠一

    牧野説明員 ただいまの会計検査院が算出いたしましたような意味での遊休時間というようなものは、私どもまだ数字をはっきり出すに至っておらないのでございます。ただ、四十一年度あたりに設備がかなり余っておったということは、その後需要数量伸びその他によりまして徐々に改善されてきたと存じておりますが、四十三年度では値上げ関係で売り上げが若干落ちましたので、遊休施設と申しますか、若干施設過剰ぎみになったという状況は四十二年度の中ごろまで出たかと思います。その後だんだん需要を持ち直しておりますので、今日の見通しとしては、このままでいけば足りなくなるというような状態になろうかと存じております。
  21. 平林剛

    平林委員 具体的な数字をあげなくて、あなたの見込みだけ述べても、私はなるほどと考えるわけにはいきません。これはひとつ具体的な数字資料として提出をしてもらいたい。私はその上で判断をいたします。  しかし、少なくとも四十二年におきまして、会計検査院からこういう指摘を受けたということは、昭和三十六年以降の「たばこ事業長期計画」という名のもとに行ないました近代化投資が結局過剰投資になったのではないか、こういうことは言えるんじゃないかと思うのでありますけれども、いかがでございましょう。
  22. 東海林武雄

    東海林説明員 三十六年の長計は、平林さん御承知かと思いますけれども、その当時の長計の基本的な考え方というものは、需給バランスをとるということにあったと私は承知しております。したがいまして、その当時の長計では、伸び率というものをどの程度に見たか、六%以上に見ております。一九六一年までの数字がそれをあらわしておりますけれども、それが四十年代になりますと、需給バランスは今度はとれてきたんだ。逆に先ほど指摘があったような、フィルターの転換とかそういうものに変わってきておりますのと、伸び率が、いろいろな健康問題やなんかも反映しておりますが、六%台から五%台に落ちてきておるというわけなんで、一時的にはそういうような生産設備がよけいな部分があるところには出ておるという現象はあったかと思いますが、その後の見込みからいたしますと、だんだんその点は調整されてきていると私は考えております。
  23. 平林剛

    平林委員 現在はともかくとして、とにかく一千百五十三億円を投じたものが、四十一年当時は、ただいま申し上げましたようなことになっておる。そのことはそれを補なうための努力が必死になって行なわれたかもしれませんが、しかし、その努力の中にはいろいろな無理がある。そういうことを考えますと、一体専売公社長期計画を立て、それが途中でその座標を見失って、その反省に従って新しい計画を立てる。これはまた積極的な姿として許されるかもしれませんけれども、経営責任という問題になってきますと、どの程度までそうしたことについて責任を持つのかという点が不明確である。つまり私は、いまは調整され、無理をし、努力をし、漸次変わってきたということがあり、またこういう計画を立てて変えていくのだという意思はわかります。しかし、ここに至った中には、やはり三十六年の長期計画というものについての見通しが不可抗力なものもあったかもしれない。たばこ値上げその他でもってそれを専売公社もやらざるを得なかったということがあったかもしれませんけれども、やはり経営責任中心にある者として、どういう責任をとられたか。これは私は、これからの長期計画を是なりと認めるか、全部おまかせしてやるかという基本になると思うのです。これは三十六年のときは、現在の総裁はおいでにならなかったのでありますから、あなたの責任を問うというわけではありません。しかし、これからの専売事業中期計画は、あなたが経営意思決定としてやるのですから、あなたに責任がかぶってくる。前の総裁なくなられてしまったから、私はまさかそこまで言って責任を追及するわけにまいりませんけれども、しかし、これからは許されない。こういうことについてのやはり反省を私は聞かしてもらわなきやならぬと思うのです。いかがでしょう。
  24. 東海林武雄

    東海林説明員 お説のとおりでございまして、三十六年の長計に対する反省というものは、われわれとしても十分いたしております。また、今後の計画につきましても、その計画の筋道は明らかにしてありますけれども、いろんな具体的な問題になりますと、そのとおりにはいかない。  ただ、私が経営責任者として申し上げられることは、これは御承知のとおり、専売公社の行き方というものは、健全で能率的な経営をやっていくということをうたってありますので、その線に沿って懸命な努力をしていくという以外にはなかろうかと思いますし、その点の責任は十分感じてやっていくという考えでございます。
  25. 平林剛

    平林委員 経営責任を感じてやっていくと言うけれども、私は、少しそうした面についての厳粛なあれが足らないと思う。気持ちだけでは済まない場合があるわけであります。そういう考えであるということだけで通らない場合もあるわけであります。そういうことを考えますと、これからのたばこ事業計画を吹きも吹いたりということを私はちょっと言いたいのでありますけれども、冒頭申し上げましたような一つのビジョンを立てることはよろしい。考えることはけっこうであります。かつて考えた人類の月に到達しようという考えがいつかは実現をするという時代に、アイデアそのものはよろしい。しかし、実際の実務をやっておる専売公社は、アイデアだけではいかぬ。情勢考え、そして変化する社会情勢の中において、具体的責任をとりながら行なうという範囲のものでなければならぬ。私はそのことを考えますと、当初総裁は、大体その方向でしょうというようなお答えをいたしましたけれども、もう少しシビアーな態度、現実的な態度、その及ぼす影響を深刻にお考えになって、具体的な実施計画をお立ていただきたいと考えておるわけであります。  そこで私は、こうした合理化計画に対して、これからも投資が行なわれようという計画公社から提出をされてくると思うのでありますけれども、大蔵大臣専売公社合理化近代化という問題は、この間広瀬委員、それから村山委員からお尋ねがあったときに、これは世の中趨勢だから、公社といえどもこの趨勢から落後できないんじゃないか。だから、積極的に信頼する公社総裁にやってもらおうと思っておるというお答えがございました。私は、専売公社合理化近代化について、世の中趨勢だから、公社といえどもこの趨勢から落後できないということでお考えになってもらっては困ると考えておるわけであります。少なくとも、たとえば今度行なわれる合理化近代化の中で、ことし実行しようとする原料工場八つ廃止、これは合理化計画の中に入っておるわけでありますけれども、これは財政的には直接投資を伴うものではないかもしれません。しかし、この廃止によって起こる影響は、今日までかなり質疑が行なわれましたから御存じであろうと思うのでありますけれども、私の考えはこうなんです。今度の原料工場は、製造方法を変えたわけですね。何のために変えたか、ソフトなたばこをつくるというために変えた。国民が求めておるわけではありません。専売公社製造方法を変えた、変わったのじゃない。なぜ変えたか、ソフトなたばこ一つ具体的な例を先ほどちょっと言っておったのでありますけれども、たばこを吸っておると、たばこに白い粉がつく。それがばらりと落ちても下にいって灰になって、焼け穴が起きないというふうに、次第に品質といいますか、それを変えていこうとする意欲が公社にある。そういうことのために多くの犠牲を払う必要があるかどうかという問題になってくると思うのでありまして、大蔵大臣、私はその点は近代化合理化だから何でもいいということだけで問題が処理できない要素もあるのではないかということを申し上げたいのでありますけれども、いかがでございましょう。
  26. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、近代化合理化というのは、これは世の中趨勢である、こういうふうに申し上げたのですが、つまりこういうことですね。もう少し具体的に言いますと、コストの安い商品をつくる、こういうことです。専売公社はなるべく安いたばこ国民に供給する、一面において国家財政需要を充足するということはもちろんでございますけれども、そういう役目を果たしながら、なるべく値上げ等はせぬで済むようにという配意をしなければならぬ、これは世の中趨勢じゃないか、こういうふうに思うわけです。そういう中におって、専売公社が旧態依然というわけにはとてもいかない。もう世の中の要請として、近代化合理化を行ない、それによって低廉、良質なたばこ国民に供給する、こういうところに当面しておる、こういうふうに思うわけであります。その大目標に向かって専売公社は最善の努力を尽くすべき立場にある、かように考えております。
  27. 平林剛

    平林委員 財政需要の充足を説かれるのは、大蔵大臣の仕事ですからこれはしようがない。しかし、それが正しいとは私は思いません。しかし、原料工場の問題について限って言いますと、製造方法を変えるということは、私に言わせると財政とは直接関係はありません。品質がいいか悪いかということです。その品質がいいか悪いかということも、国民がどの程度それを強く求めているかという点を逆に考えた上で行なってもよい程度の範囲だと考えておる。私はあえて陳情などを言うわけじゃありませんよ。ただ、そういうことを行なうほどの価値があるかどうか、急いで行なわなければならぬ理由がそんなに迫られているのかという点から判断をしなければならぬということなんであります。たとえていうと、新しい長期計画のあり方の中で、専売公社は「消費者不在から消費者中心へ」ということをうたってありまして、あたかもその内容はいいことが盛られているように書いてある。私は決してそう思わない。たばこの定価と税率を考えてみますと、ハイライトが五九・九%の高い税率である。ハイライト・デラックスは何と六五・四%の税率になっておる。ホープというたばこは六二・四%である。私が愛好するピースは六〇・三%である。いずれも六〇%から六五%、こういう高い税率であります。消費者中心に移行するというならば、なぜこの税率を下げるという主張がないか。専売公社はなぜその主張を計画の中に盛り込まないか。大蔵大臣はいま国民のために値上げをしないということを最低限努力すべきであるというお話があり、良質なたばこもつけ加えられましたけれども、最も望んでおるのはこの高い税率をどうするかという問題ですが、大蔵大臣はこの問題についていかがですか。
  28. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、いまの専売価格はそう高いとは思いません、まあ国際水準の価格である、こういうふうに見ておるわけであります。私は、財政運営として直接税が少し高いような感じを国民全体に与えているのじゃないか、こういうふうに考えまして、課税最低限の問題あるいは税率調整の問題、そういう問題に取り組む、こういう考え方でありまするが、ここで間接税、そう国民に負担感のない間接税の引き下げを行なう、これは私はそういう考え方を当面とるべきじゃないというふうに思うのです。しかし、さらばといって、小売り価格の値上げ、これにつきましては極力ひとつ避けられるようにという考え方をとっておるのですが、小売り価格の値上げも避けながら財政需要はますます充足されるということになればこれは万々歳なんでございますが、そういううまい芸当はなかなかできません。しかし、そういう気持ちでこの専売公社の問題には対処をしていきたい、こういう考え方であります。
  29. 平林剛

    平林委員 たばこの税率が高いか高くないと思うかの議論は、幾らあなたとやってもだめです。国民判断をするでしょう。私は、もし消費者中心であるならば、たばこの税率を漸次下げていくという努力大蔵大臣も名蔵相を心がけるならば、いつまでもたばこを通じて国民のふところをねらうようなけちな財政は変えていく、たばこにおんぶするような財政でなく、もっと基本的な財政を立てるという意欲に燃えてやってもらいたい。私は国民が相当希望するだろうと思うのでありまして、そのことはきょうの問題の焦点じゃありませんから申し上げるだけにしておきます。  しかし、私はよく地方からも投書をいただくんでありますけれども、この間こういう手紙も来ました。かつて日本の総理大臣は貧乏人は麦めしを食えということがあったけれども、たばこの場合には貧乏人は麦めしも食わされない。つまり言わんとしておることは、私はバットがほしい、バットの愛好者だ、まあもっとも貧乏人だからバットを吸わざるを得ない。ところが、この地域ではどこのたばこ屋に行ってもバットは買えない、こういう陳情が来ておるわけであります。この間もこの大蔵委員会で、おれは刻みを吸いたいのだけれどもなかなか手に入らぬという話がありました。つまり、国民気持ちがどこに動いているかということは絶えず専売公社もわれわれもお互いに考えていかなければならぬ。押しつけであってはならぬ、財政力を確保するために、国民の好みが変わったんだといってやたら高いたばこを押しつけるということは、私は国民不在のたばこ事業であるということに相なると思うのであります。  そこで私は、少しその問題に関連をしますから聞いておきますけれども、今度の事業計画の中でも、市場調査機能を充実していくというふうに書いてありますけれども、こういうことでは一体どういう機構で、そこで調査するのは一体何を調査して、いま隠れておる国民の声を吸い上げるような努力をこの機構でするつもりがあるのかないのか、国民不在から消費者中心という考えがあるならば、明確でない点はきょうはっきりしておいてもらいたいと考えまして、総裁のお考えを承りたいと思います。
  30. 東海林武雄

    東海林説明員 「消費者不在」云々ということは、これは少し表現が強過ぎて、いままでそれじゃ消費者は全然不在のあれであったかという反省がなされるのでありますけれども、ただそこで非常に強くいっておりますのは、われわれの今後の行き方というものはやはり消費者中心考えていかなくちゃならないんだということを強調するために、そういうことばが実は出てきておるわけなんでありまして、今後国民のそういうような嗜好というものがどういう方向に向くであろうかということは十分調査の上で、その嗜好に合った、消費者の欲する方向をわれわれはできるだけ探求してその方向に持っていこう、こういう努力をしようということなんでありますから、その点は御了承願いたいと思うのであります。
  31. 平林剛

    平林委員 売らんかな、もうけんかな、そういう態度に徹する限りは、いまお話しになったようなことはできませんよ。そこで私は、いまの総裁のおことばをおことばどおり受け取っておきたいと思いますけれども、今後のたばこの売れ行き等を判断をいたしますと、私はいまおっしゃった点が次第に影が薄れていくということになることをおそれるわけでありまして、この点は今後といえども私ども注意深く公社経営のあり方というものを監視をさせていただきたいと思っておりますから、そのつもりでひとつおやりになっていただきたいと思うのであります。  そこで、次に伺いますけれども、専売公社はさしあたりことしはたばこ原料工場を八工場廃止をする、それから工場の新設の計画案が出ていますけれども、先ほどの質疑で、予算折衝の上で変わって修正変更されるということはわかりましたけれども、公社としては大体さしあたり四十四年度ではどの工場とどの工場というようなふうにもう具体的にきまっておりますか。
  32. 東海林武雄

    東海林説明員 新設の工場を予定しておりますのは大体五工場ございますけれども、その中で一番先に手をつけなければならないのは実は函館工場なんでありまして、この五工場全部とも非常な老朽化している工場であるということと、それから近代化がおくれております工場なんでありますが、特に函館の工場は先年の地震の影響を受けまして、これはいずれの時期かには建てかえなければならないということになっておりますので、この点は一番早めて実はやりたいと考えておりますが、現在まだ敷地が決定しておりませんのでいま折衝中でございます。それが進みますと、一番先にこれを手をつけていきたい。一番先に函館工場の建設に取りかかるという段取りは考えております。それから順次来年度の予算五つのうちでどれだけ盛られていくか、これからの折衝になろうかと思いますが、順次やっていきたい、かように考えております。
  33. 平林剛

    平林委員 函館の工場の敷地については現在折衝中であると言いますが、どこと折衝中ですか。
  34. 東海林武雄

    東海林説明員 これは現在地が函館市内にございますけれども、現在地では建てかえがちょっとできませんので、隣接の亀田という町でございます。これは函館市と隣接しておりますけれども、亀田町に敷地の候補を立てまして、いま亀田町と折衝しております。
  35. 平林剛

    平林委員 さて私は、この中期経営計画の中にあります新設工場の件は、これは大蔵省との折衝、あるいは敷地その他の関係関係先との話し合いということもございましょうから、具体的実施計画はいずれ出されるというふうに思います。しかし、原料工場の点につきましては、もうその廃止をする、しないという問題は、七月の末日にその方針の最終決定が迫られておると聞きますけれども、それはどういうふうに判断をしてよろしゅうございますか。
  36. 東海林武雄

    東海林説明員 これはただいまのお話のとおりに、原料工場につきましてはその関係方面との折衝を進めておりまして、できるだけ早い機会に決定をいたしたい。私どもの考えとしましては、七月中には話ができればけっこうでありますけれども、いろいろあとの関係もございまして、多少長引くところが出てくるかもしれませんが、早急にこれをきめていきたい、実施したい、かように考えております。
  37. 平林剛

    平林委員 そこで八つ原料工場について、私は基本的にはまだこれからいろいろ伺っていきますけれども、事実関係だけを初めに尋ねておきたいと思います。  八つ原料工場のあと地ですね、処理についてはどんなお考えを持っておりますか、現状について御説明をいただきたいと思います。
  38. 牧野誠一

    牧野説明員 ただいま八つ原料工場のあと地についてはいろいろ考え方がございますけれども、まだはっきりとこうするというところまできまっているものというのは実はございませんので、いま地元その他といろいろ折衝をいたしまして、おいおいに形がはっきりしてくるかというふうに思っております。
  39. 平林剛

    平林委員 ちょっとおかしいんじゃないですか。七月末までにある程度の線を出さねばならぬ、いま総裁は、これはできる限りそういうふうにしたいということで、期日については幅があるというお話がありましたから、必ずしもその期日にこだわるものではないと私は聞いたのでありますけれども、しかし、そんなにおそくないとすれば、まだ話が折衝中であるというようなことはいかがなものでしょうか。まだ具体的にきまっていないなんというようなことで通りますか。
  40. 東海林武雄

    東海林説明員 それは、何かいまのお話は食い違っておりますけれども、あと地のことをきまっておるかとおっしゃっているのではございませんか。
  41. 平林剛

    平林委員 あと地その他の処理……。
  42. 東海林武雄

    東海林説明員 ですから、工場廃止いたしますけれども、そのあと地を何に使うかということは現在きまっておらない、こう総務理事からお答えしたと思います。それは間違いないと思います。
  43. 平林剛

    平林委員 私はもっと具体的に承知しておるのであります。具体的に折衝しておる過程も、地域地域のお話が届いていますからわかっているのです。国会でそれを明らかにしていただきたいと考えまして、お尋ねをいたしておるわけであります。
  44. 東海林武雄

    東海林説明員 それはいま折衝段階できまっておりませんから、その点はきまってから申し上げたい、かように考えております。
  45. 平林剛

    平林委員 きまってから申し上げるということは困るのですよ、国会の権威の上において。というのは、われわれの主張は、こうした問題は専売公社法の規定に基づいて、国会の議決を経なければならないという解釈をとっておるわけです。具体的に言いますと、専売公社法第四十三条の十九、「公社製造工場及びこれに準ずる重要な財産を譲渡し、又は交換しようとするときは、国会の議決を経なければならない。」と書いてある。すなわち、製造工場はまだ今後の予算折衝があるから一応抜きましょう、原料工場は時期が迫っておる。原料工場は四十三条の十九の解釈からいけば、「重要な財産を譲渡し、又は交換しようとするときは、国会の議決を経なければならない。」と書いてあるわけであります。ですから、これをしようとするときは国会の議決を求めなければならないということになるのでありまして、この方針だけはきめてしまっておいて、あとで処理はまた国会に出すのか出さないのかはっきりいたしませんけれども、いずれにいたしましても不要となりそうな財産になるわけでありましょう。かりにあなた方の方針を通そうとするならば、それは不要の財産になるわけでしょう。専売公社が不要になった不動産を慢然と保有しておることは、事業経営に何の利益もない。固定資産税または公社有の資産所在市町村の納付金の対象になるなどの問題が起きてくる。維持ないし保管にむだな経費を要することに相なりまして、得策ではない。したがって、もう差し迫ったものであるならば、次の方針というものがはっきりしていなければならぬ。それはないのですか、それを承るのですよ。
  46. 東海林武雄

    東海林説明員 いまのあれではそういう問題が起こっておりませんから、四十三条の十九の適用を受けるものだとは私どもは考えておりません。また、そういうような事態になりましたときには、それはあらためて考えてみたい、かように考えております。
  47. 平林剛

    平林委員 これは原料工場は「重要な財産」じゃないのですか。
  48. 東海林武雄

    東海林説明員 原料工場を機械をつけてそのままに譲渡する、あるいは交換をするというような事態はないと私は思います。重要財産ではありますけれども、その工場を、原料工場そのまま譲渡するということは考えておりません。また、交換しようとも考えておりません。したがって、四十三条十九の適用はこの問題については起こらないのじゃないか。現在の段階では起こりません。
  49. 平林剛

    平林委員 それはあなた、機械をつけてそのまま設備を譲渡するなんという会社ありますか。あなた方独占事業でしょう。そんな会社ありますか。あなたはそれも機械や何かが入っておれば重要で、それがないから重要でないというようなことを言っていますが、どうなんですか。機械が入っていれば重要なんですか。かりにあなたの言うように、専売公社と対抗する会社があって、それが買い取りたいといったら機械をそのまま売る。そうすれば重要な財産で四十三条の十九になるのですか。私はおかしい言い方だと思うんだな。
  50. 平井廸郎

    平井政府委員 法律解釈の問題でございますので、私どもの所管事項としてお答えを申し上げたいと思います。  「製造工場及びこれに準ずる重要な財産」という中に原料工場が入るか入らないか、これは具体的にそれぞれの工場について判断すべき問題であろうと考えるわけでございますが、そういう意味におきましてこの重要財産の中に入るか入らないかという御議論の際に、まず原料工場としての体をなしているかどうかという議論も一つの要素であろうかとは思います。ただ、そういう原料工場の機械設備をはずしました場合におきましても、この場合に直ちにもはや重要財産でなくなるかどうか。もともと重要財産であるかどうかということも、もとの工場についても判断すべきでございますが、さらに機械をはずしました場合に重要財産に当たるかどうかということは、その段階で個別的に判断していただくことになろうかと思います。  いずれにいたしましても、先ほど総裁から御答弁ございましたように、この用途廃止の問題はあるいは譲渡、交換につながる場合もございましょうし、あるいはあとの施設等を倉庫等に利用する場合もございましょうし、直ちに用途廃止すなわち譲渡ないし交換ということにはならないわけでございまして、この法律の要求いたしております国会の議決というのは、国民から託された重要なる財産を譲渡したりあるいは交換するというような形で、財産的価値のきわめて高いものが姿を変えることについて国会のチェックを要求するという趣旨のものでございますので、少なくとも現段階においてこの規定による国会の議決は不要であると私ども考えております。もちろん、この問題について国会で十分御関心をお持ちになってそれぞれ御論議をいただくことは当然のことでございますが、議決事項ではないというのが私どもの解釈でございます。
  51. 平林剛

    平林委員 とんでもない考えだ。とんでもない考えです、そんなことは。いいですか、重要な財産に入るか入らないかと言うけれども、少なくともいまの原料工場を変えようとしておるのは何のためになっているか。製造法を変えたんですよ。その製造法を変えることが国家的要請であるか、財政的必要であるか、私は直接関係ない、こう言っているのです。それを廃止しようとする、重大な問題ですよ。製造方法をそのまま続ければ廃止しなくてもいいのですよ、この財産は。少なくとも相当のお金をかけた国民の財産だ、専売公社に預けているけれども。自分で製造方法を変えて、だから廃止する、そして処理をしていく。こんなことは、私は国家的見地から、財政的見地から考えた場合に、これを国会で承認を得ないでいくというその基準は何によって求めるのか。価値だと言うけれども、幾らの価格なんですか。価格を基準にしてきめるのですか。「重要な財産」とは価格なんですか。価格できめるのですか。私は、かりに価格が小さいものであっても、あとそのままでも使えるというようなものを廃止をするときは、やっぱり国会の承認を得るという解釈は当然成り立つものだと思う。
  52. 平井廸郎

    平井政府委員 先日、私がちょっと御説明申し上げましたように、この規定の解釈をどうするかという問題、いろいろございますが、現在政府部内の統一的な解釈といたしまして、ここに規定されている「重要な財産」という意味は、財産的価値の高いものという考え方を基本にいたしているわけでございます。
  53. 平林剛

    平林委員 財産的価値の高いものというのは何ぼですか。
  54. 平井廸郎

    平井政府委員 具体的な金額で規定されているわけではございませんので、その判断については行政上慎重な配慮が必要であると思いますが、基本的な考え方としてはそういうものであると考えております。
  55. 平林剛

    平林委員 ちっともはっきりしていない。あなた方の判断でこれは都合が悪いから国会の議決を求めない、これは都合がいいから求める、そんな恣意的なものでやっているのですか。基準は幾らですか。
  56. 平井廸郎

    平井政府委員 この規定の基本的な考え方といたしまして財産的価値の高いものという考え方をとっておりますが、その具体的な例示として製造工場というものをあげていることは、少なくとも製造工場程度の重要性を持った財産的価値を持ったものであろうというふうに考えております。
  57. 平林剛

    平林委員 そうすると幾らになるか。
  58. 平井廸郎

    平井政府委員 これはそのときそのときの社会情勢なりあるいは製造工場のあり方その他いろいろ関連いたしてまいりますので、具体的な金額でもつてこれだけだということは言いにくいのではないかと考えております。
  59. 平林剛

    平林委員 「これに準ずる」ものというのは、製造工場、それに準ずるものといっても価格だけの問題じゃありませんよ。私は、価格がある程度製造工場の価格よりも少ないものであっても、重要な財産でないなどという言い方はとんでもないことだと思う。価格がかりに低くても、それはまだ存続して維持して、製造してもできるものである。それを廃止しようというようなことになれば、やはり国会の議決が要りますよ。
  60. 平井廸郎

    平井政府委員 事柄をもう少し簡単にいたしますために、製造工場そのものについての議論をすればよいかと思いますが、製造工場そのものにつきましても、この規定はあくまでも製造工場という形を持った財産を譲渡する場合に問題となるわけでございまして、たとえば製造工場の用途廃止等が行なわれましても、そのあと地ないし工場建物等を倉庫その他に利用するというような場合等もございますので、直ちに用途廃止を国会にかける問題ではない。この点は私ども先ほどから申し上げているわけでございます。  なお、「これに準ずる重要な財産」かどうかという点については、確かに製造工場以外のものについて個別的に議論しなければならぬことは当然でございまして、そういう意味におきまして、あるいは原料工場の一部にそういう問題も出てまいるかもわかりません。その問題はいずれにいたしましても、原料工場を譲渡ないしは交換しようとする段階において国会の御議決をいただく問題であろうと考えている次第であります。
  61. 平林剛

    平林委員 基準がはっきりしていない。それからもう一つ、いまの判断は従来のことだけにとらわれておるが、従来でもしなければならぬことがあったかもしれない。それを怠っていたかもしれない。そういう問題は依然として残るのです。  それから、いまあなたは、譲渡または交換しようとするとき国会の議決を求めるのだ、こう言われました。現在していらっしゃいませんか。たとえば原料工場の土佐山田、これは松下電器との間にそれを譲渡するという話し合いが進んでおる。そのかわりその敷地は、先ほどお話しになった、松下電器が函館に土地を探せ、こういうような交換の話し合いまでしておる。そのほかだっていろいろありますよ、全部あげれば。具体的なことは私全部わかっているのだから、譲渡または交換しようとしているという段階じゃありませんか。それなら国会の議決を求めなければならぬ。しかも私は、その方針だけは押しつけてしまっておいて、あとになって裸になった、だからこれは国会の議決を求めるということになれば、非常に国会をばかにしておる、この法律の精神の趣旨ではない、こういうことを言っておるのでありますから、その方針を、もうすでに譲渡し交換しようとしておる段階だから国会に持ってこなければならぬ、こういうふうに言っておるわけです。そのことはどうなんですか。
  62. 平井廸郎

    平井政府委員 先ほど総裁から御答弁がございましたように、廃止問題についての決定が最終的にまだなされていないわけでございまして、その決定がございまして、その上で譲渡ないし交換という問題が具体的に考えられる段階において、個個の物件について国会の議決を要するかどうか御議論をいただくことになろうかと思います。
  63. 平林剛

    平林委員 大蔵大臣、国会の議決を要するかどうかの議論になると言うけれども、国会の議決を要するものと私は見ておる。しかもこの原料工場廃止については、私は大蔵大臣も一緒に判断してもらいたい。これは国家的要請、財政的な必要性とは関連がない。それを廃止するのですから、財産を廃止するわけです。おそらく機械なんか売らないでしょう、取りこわすという手があるから。くずにして売るだろう、まだ使える財産をくずにして売る。こういうことになった場合には、やはり国家的に見てそれはむだづかいじゃないか、まだ使えるじゃないかという議論が出てこなければならない。そういう判断を求めるために四十三条の十九で、さようなときには国会の議決を求めなければならないと規定してある、こう判断するのでありまして、私は方針をきめる前にこの手続をとることが必要だと思うのです。いかがでしょうか。
  64. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 専売公社法の解釈上非常にむずかしい問題だと思うのです。私が法律の専門的の知識があるとは思いませんが、しかし、聞いておりますと、また他のいろんな私どもが突き当たっておる問題から得たヒントからいいますと、そういう際に専売公社が国会の承認を受ける、こういうことになっておるのは、財産という問題に重点があるのじゃあるまいか、ほかでもよくそういうことがあるのです。専売公社は企業体でありますから、工場をどうするこうする、それは専売公社の企業的創意くふうということが尊重さるべき立場にあると思う。しかし、これは重要なる国の財産とも理解できるわけでありますから、その処分にあたってはこれは国会の議決を要する、あたかも国有財産においてしかるがごとし。こういうことを言っておるのじゃあるまいか、こういうふうに客観的には思うのですが、これは解釈上議論のあるところかとも思います。いま私が直観として得たところ、こういう理解で監理官はお答えしておるようであります。いま御議論を承っておってそういうふうな感じがいたしてならない。率直に申し上げまして、そう思います。
  65. 平林剛

    平林委員 大蔵大臣の直観とうしろの監理官の説明とは違うのですよ。大蔵省のほうは、いろいろ理屈を並べて、財産的価値が製造工場のどうのこうのとやって、なるべく国会の議決を求めないような考え方でしゃべって、一生懸命抗弁しておるところです。私それをおこっているところなんです。あなたの直観のほうは当たっているのですが、同じだというのは違うのです。たとえば税務署ですね。一つの税務署を廃止するときにも国会の承認を求めるの件というのがよく大蔵委員会に出されるでしょう。あれは財産的価値からいえば、たばこの販売所の出張所くらいの機能しかない場合もありますね。しかし、それでも国会の議決を求める件で承認をなぜ求めるか、これはある意味では国の税金を徴収する場所であるという国民の権利義務になっているからですね。同じようにたばこは、先ほど言いましたように、六十数%の税金が含まれているものです。極端なことをいえば、たばこは税金の領収書ですよ。  でありますから、そういうことから考えますと、専売公社の財産というものは、これは他の企業におけるところの財産とは少し性格が違う。原料工場は直接にはたばこの税金に関係ないかもしれないが、包括的意味で専売公社事業所は税金を領収する証明書、すなわちたばこに直接間接に関係するところでありますから、それゆえにかなり厳格な態度をもってその財産の処理に当たるべきであるという持論を私は持っておるわけであります。  その点から考えまして、どうもこの点はケリがつかないわけでありますけれども、私はあなたのようなそんな解釈は認めませんよ。そこでこれは留保しておきましょう。そしてなお公社はこの議論を十分頭に入れて処理をきめてもらいたいと思いますが、総裁に最後のお答えをいただきまして、きょうの第一次の質問を終わることにいたします。
  66. 東海林武雄

    東海林説明員 お話しの趣旨は十分わかりましたから、十分検討いたします。
  67. 田中正巳

    田中委員長 竹本孫一君。
  68. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、経済成長の問題を中心に二、三伺ってみたいと思います。  政府の指導的立場にあられる総理大臣や大蔵大臣が一〇%経済成長論を言われましたので、各界各層に相当大きな影響を与えておると思うのでございますけれども、実は真意がよくのみ込めません。そこで、まず大蔵大臣にお伺いしたい点は、一〇%成長と言われたのは、日本の経済成長力はポテンシャルな潜在能力としては一〇%くらいの成長力があるんだ、こういう意味でおっしゃったのか、あるいはいろいろな事情を考慮されまして、最適成長率が一〇%くらいであるというようなお考えで述べられたのであるか、その辺をちょっと伺いたい。
  69. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 端的に申し上げますと前者であります。つまり、この四年間というものは一二%ないし一二%成長というのですね。日本経済は表面は非常にはなやかでありますけれども、内面においてはむずかしいいろいろな問題をかかえておる。第一が物価の問題であります。それから公害の問題があり、また過密過疎の問題があり、そういう問題の処理を考えるときに、一二、三%の成長というのはこれからの日本経済に内在する諸問題を解決する上において少し高過ぎる、もう少し押えぎみにしたい、こういう考え方を持っておるわけなんです。ところが、日本経済が持っておるエネルギーというものは、所得倍増計画のときに、つまり三十年代において考えたような七、八%、そこまでとてもとても押え切れまい、こういうふうに思うわけであります。それからあの四十年という大不況、あのときを加えて考えましても、過去において平均一〇%成長をなし遂げておるわけです。そのようなことを考えると、どうも一二%成長また七、八%成長、その中間くらいのところで大体当面の経済というものが推移するのではあるまいか、押えてもその辺が限界になるのではあるまいか。現に昭和四十四年度におきまして九・八、つまり一〇%ということをいっておるわけでございますが、今後伸び縮みはありましょう。ありましょうが、展望し得る五年間くらいを見てみますと、こんなところで推移するのではあるまいか、その辺を頭に置きながら経済の運営というものもやらなければならぬのじゃあるまいか、そういうことを申し上げておるわけであります。  今後の経済政策の基本的なあり方といたしまして、どういうふうな考え方を正式にとるかということは、経済審議会のほうでいまいろいろ意見を戦わせておるところであります。その審議会の答申等も見てきめたいと思っておりますが、気持ちはただいまお話しの前者であるというふうに御理解を願いたいと思います。
  70. 竹本孫一

    ○竹本委員 前者であるとおっしゃいましたけれども、物価や公害の問題等考えてということになると後者になるのですけれども、やはり前者という意味ですか。
  71. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 そういう問題の解決をぜひしなければならない、これが今後の政策的重大課題である。そこで、もう少し押えたいという気持ちがあるのですよ。しかし、前者と申し上げましたが、押えたいという気持ちがありましても、なかなか日本経済の爆発的なエネルギーというものはそう下位にこれを定着させることを許すまい。また、許すまいという客観情勢を押してこれを下げようという施策をとりますれば、かなり摩擦もでき、混乱も出てくる、こういうふうに理解をしておるのでございます。
  72. 竹本孫一

    ○竹本委員 もう一つ大蔵大臣に伺いたいのは、御承知のように一橋学派とかいろいろありまして、学者の意見もいろいろ分かれておりますけれども、よくいわれる転型期論あるいは中期循環論、あるいは設備投資は十年に大体一循環するのだ、上りが六年で下りが四年、ワンセット大体十年で一つのピークに来るのだから、三十五、六年のことを考えてみると、四十六年ころからピークに達して、いわゆる四十七年不況説というものもあるわけでございますが、大蔵大臣の言われている場合にはそういう転型期論は全然考慮の中に入っていないのか。あるいは、それをも含めてなおポテンシャルな力が大きいので、大体今後数年間は一二、三%の成長をするであろう、押える点を押える努力をしてもそれぐらい伸びるであろう、要するに転型期論を考慮に入れてのお考えであるかどうか、その点をひとつ伺いたい。
  73. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いろいろ学説がありますが、学説は学説なりに私はこれを理解もし、私の考え方の中にも取り入れていきたいという考えでございますが、過去の戦後二十五年間の経済の推移を見てみますと、これはいろいろ変化を来たしてきております。特徴的なことは、日本の経済が自立した三十年代に入ってからだと思いますが、一、二年の不況さらに三年の好況、一、二年の不況に三年の好況、この循環を繰り返して今日に至っておる。その循環を来たした要因は何であるかというと国際収支に問題がある。景気がいいと国内の需要伸びるわけであります。また、国内において需要が高いものですから、海外輸出への意欲が減退をする。そこで国内の需要に——需要と申しますのは消費需要もあればまた投資需要もあるわけですが、それに伴って輸入がふえる。輸入がふえるが、他面において輸出が減退をするということで、国際収支が不均衡になり、これが国際収支が底をつくということになればたいへんだというので、きまり切って金融財政において引き締め政策がとられたわけです。そこで国内の経済が鎮静化し、また、場合によっては非常に高度の不況におちいる、そこで国際収支がまた改善をされる、そこでまた引き締め政策を緩和すると日本経済の持つエネルギーというものが頭をもたげる、そこで好況状態になる、その反復だったと思う。  そこで、私は前から言っておるのですが、国際収支と物価の問題、この問題は人間でいえば心臓と呼吸だ。この二つに着目をし、この問題を踏んまえて経済運営に当たりますれば、過去において経験いたした景気循環というものは避け得る、こういうふうに思うわけであります。もとよりこれは統制経済ではございませんから、設備の行き過ぎというような事態も起こる、あるいは設備の足らないというような事態もありましょう、あるいは景気というものに波が絶対にないということはあり得ないと思いまするけれども、その波の高さ、底の深さというものが、過去において経験したような事態はこれは避け得るのではあるまいか、こういうことを考えておるわけであります。
  74. 竹本孫一

    ○竹本委員 経済企画庁にお尋ねをしたいのでございますけれども、私は直観的ですけれども、さっきも直観が出ましたが、直観的な結論で申しますと、いまの国際収支も非常に大事でございますが、やはりいまわれわれの一番大きな今日的課題は物価の安定ということだろうと思うのでございます。物価も完全に横ばいというわけになかなかいかない。ことにこういう成長過程あるいはある意味のインフレ過程においては、これは不可能でありますけれども、社会的な混乱を起こさないようにということであれば、大体物価の成長といいますか物価の伸び、上昇率は三%ぐらいがまあ限度ではなかろうか。物価上昇を三%に押えるということをむしろ経済計画の基本的な課題に設定してもらったらどうだろう、そういうことを中心考えてみると、いま大臣一〇%とおっしゃいましたけれども、私はやはり九%ぐらいが精一ぱいなところではなかろうか、こう思うわけであります。  したがって、私の結論は、端的に申しますと、九%成長で物価が三%ぐらいの上昇というところにこぎつけ得るならば、当面の経済政策としては成功ではないか、こういうふうに思うのでございますけれども、ことに今度は経済社会発展計画もいろいろ再検討されるというようなことも聞いておるのですが、大体経済企画庁としては物価というものはどの辺くらいまでに押えようという一種の努力目標を掲げておられるのかということと、それから日本の経済は成長率において世界で何ぼとかあるいは第二位になったとか、ソ連を含めて三位になったとかいろいろ言っておりますけれども、物価の上昇ということは、番付では世界の文明国の中では何番目ぐらいであるか、その二つだけお伺いしたい。
  75. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 長期経済計画としてただいま政府が閣議決定して経済運営の指針といたしております経済社会発展計画では、目標年次の四十六年度には物価を三%程度に下げるということを目標にして計画したわけでございます。ただおっしゃるように、物価と成長の関係は単純にはなかなかその相関が規定できないのでございますけれども、長期的に大体の趨勢を、各国の動き等を見ますと、やはり成長が高い場合には物価はどちらかというと高目になるという、物価と成長の間にトレード的な関係があるということが一般的にはいわわれております。ただ、いろいろの政策よろしきを得ればそういうふうにならないじゃないかという議論がございますけれども、また時間的なズレがございますから、短期間ではそういう関係が必ずしも的確につかめないというふうに考えますけれども、長期的に趨勢的に見ますと大体そういうような関係があるというふうに考えられます。  したがいまして、現在のように一〇%をこえる成長を続けておりますと、なかなか三%程度というように持っていくことが困難でございます。片一方、経済の成長の力そのものをいろいろ判断いたしますと、これはあまり無理に押えるということができにくい面もございますので、ただいま経済社会発展計画を補正するにあたって、その当時見込んだ成長力といいますかポテンシャルがどうも少し低目であったという反省もございまして、いま見直しておるわけでございます。やはり成長と物価の関係をどう考えるかというのが一番大きなポイントになっております。いま先生のおっしゃられるように、三%程度なら九%ぐらいじゃなかろうかとおっしゃる線が、はたしてそういうふうになるかどうかということも、もう少しの間検討さしていただきたい。いま計量経済学的な手法である計量モデルを用いまして、いろいろの角度から検討いたしておるところでございます。少なくとも三%程度に押えていくというのに、成長のほうは一〇%をこえる成長を続けるということはなかなかむずかしいということは、かなりはっきり言えるんじゃないかというふうに思います。
  76. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま日本の物価事情が諸外国に比べて非常に悪いというような意味の御発言ですが、実は最近は諸外国において非常に物価高なんです。それは御承知のとおりでございますが、ことにフランスのごときは、前年比六%消費者物価が上がっている、そこへもっていって卸売物価は九%も上がる、こういうような状態です。イギリスにおきましても同様な状態で、五%台の消費者物価、それに近い卸売り物価の上昇。アメリカも大体同じような傾向をたどっておるわけです。  そこで、物価問題といいますが、わが国において最大の努力を物価問題に傾けつつあるわけでございますが、国際的要因というのがまたわが国にはね返ってくるわけで、最近日本の卸売り物価が頭をもたげてきておる。いままでは消費者物価だけだった。卸売り物価は安定しておったというので安心をしておったわけでありますが、ところが、卸売り物価が上昇のような傾向がある。そこで非常に心配しておるのですが、なぜそういうことになってきたかというと、これは世界の卸売り物価の上昇、つまり輸出入関連の物資の価格の上昇というものがあるわけなんです。物価問題を論ずるにあたっては国内的な問題もあります。しかし同時に、そういう国際的な要因もあるんだということもひとつ御理解願いたい、かように思います。
  77. 竹本孫一

    ○竹本委員 いま大蔵大臣の言われた点は、私もよく理解しておるつもりでございますが、むしろ私どもが心配をいたしますのは、各国において、最近ある国では卸売り物価が非常に急上昇をやっておる。それからある場合にはまた消費者物価も非常に上がっておる。しかし、それはその日に上がるのではなくて、遠因、近因、いろいろと原因があるでしょうが、日本もこのままでやっておると、だんだんインフレの基調が強くなってまいりますので、やがて物価問題が爆発すれば、そういうことになりはしないかという心配を基本的に私は持っておるわけであります。そういう意味で物価を上げない。いつかは三%にもつていくんだということでなくて、大体年々の物価上昇を三%ぐらいに押えるということが一つの経済政策のねらいになるべきではないかというわけでございますけれども、議論にわたる点は時間もありませんので、きょうは主として質問のほうに重点を移してお伺いをいたしたいと思うのであります。  なかなか経済成長が押えにくいんだという問題について御意見がございましたけれども、これもあとでお尋ねをいたします。日本の押えるかまえ、制度、機構の上においてもいろいろ欠陥があるのではないかという点が私どもにとってはやはり問題であります。押えたほうがいいのか、押えないほうがいいのかということももちろん議論がありますけれども、これもきょうは議論をいたしません。結論だけ申し上げますが、物価を中心考えるべきであるし、その物価の上昇はせいぜい三%ぐらいが一つのねらいになるべきではないかということであります。  そこで、もう一つ経済企画庁にお伺いをいたしたいのでございますけれども、大体日本の経済企画庁が策定されておるところの経済社会発展計画あるいは年々の見通し等におきましても、しょっちゅう狂っておるのが実情でございますけれども、それは一体何に原因するのであろうかという点について、ことに今度計画を再検討されるのでありますから、どういう角度から再検討しようとしておられるのかという問題を含めてお尋ねをしたい。それは、たとえば転型期論が非常に主張されたような場合には、そういう一つの経済学説に心理的に影響を受けるということもあるでしょう。そういう点があるのか、あるいはまた政策当局としてみれば、一〇%の成長と言っておきながら、あとで七%か八%になったら非常に政治責任を追及されるけれども、八%と言っておいて一〇%になったのなら、何だか殊勲甲だというような感じを受けるという政治的配慮もあるかもしれない。そういう要素もあるかもしれない。  もう一つは、この経済企画庁の経済計画基本問題研究委員会報告書などを読んでみますと、日本の設備投資というものが非常に行き過ぎておるために、それに引っぱられてどうにもならなくなって、成長率が予想以上に伸びるんだということもあるようでありますが、一体経済計画をこれから再検討していこうという場合に、どの点に重点を置いて——従来は見通しと実績がこんなにも違ったのであるという点について反省をされておるというか検討をされておるか、その点をひとつ……。
  78. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 先生のおっしゃられますとおり、戦後、経済計画五つできておるのでございますが、自立経済計画以来、新長期経済計画国民所得倍増計画、それから中期経済計画、ただいまの経済社会発展計画、それぞれすべて計画が実績をかなり下回っております。今回の経済社会発展計画がどうしてこれだけ大きな食い違いを生じたかということについての反省といいますか原因の分析を私どもいたしておるわけでございますが、一つのポイントは、世界貿易の動きに対して大きく見誤ったということでございます。あの計画をつくりますときに、過去十年間ぐらいの世界貿易の趨勢をとりまして、その伸びを大体六%程度というふうに見たわけでございますが、実際はここのところ一〇%近い世界貿易の伸びがございます。過去七年間をとりましても八%ぐらいの伸びになっております。そこで非常に大きく違ってきた。そのために輸出は非常に活発になります。それに刺激を受けまして、さらに設備投資が予定より大きく上回っていくというふうになってまいるわけです。  もう一つは、経済の成長の制約要因として、ちょうどベビーブームでできた子供たちが労働力化する時期が四十年、四十一、二年という段階で峠を越しますので、労働力不足というものがかなり深刻になって経済成長の制約要因になっていくのではないかということを考えておりました。そのために計画の中でも前半と後半に分けて、後半はむしろ少し成長がダウンするのではないかということも述べておったわけですけれども、実際は企業の中にかなり労働力がたくわえられておって、不況時にもそれが離れないでおって、それが再び大いに活用された、あるいは省力的な投資が非常に活発に行なわれたということから、意外に労働力が大きな制約要因にならなかったというふうに考えられます。  なお、全体といたしまして、四十年の不況から四十一年にはい上がる時期に前の計画がつくられましたが、成長率が八%程度ということが、決して無理に押え込んで八%程度ということではなくて、やや低目かもしれぬけれども、まあこのぐらいのところじゃなかろうか。たとえば設備投資伸び率にいたしましても、一〇%ちょっとのことを想定したわけですけれども、設備投資が今後一〇%も毎年伸びていくだろうかというふうに当時は考えたのであります。それが非常に大きく、いまの世界貿易の伸び一つの契機として、また投資も——投資といいますか企業家の意欲も決して衰えてなくて旺盛な設備投資中心に成長が大きく食い違ったというのが実態だと思います。それは、計画をつくりますときにいわゆるアナウンスメント・エフェクトということを考えて、むしろ、いままでの倍増計画のときもそうであったように、計画というものがかなり大きな刺激的要因になりますので、国民に対しては穏やかな形で訴えるといいますか、接するという必要があるだろうというふうな感じは皆さん持っておられますけれども、特にそういう点で成長率をどうのというようなことではなく、やや控え目であるがそのくらいのところじゃなかろうかということを、モデルの何十回とない操作の上、大体想定していった、与える条件そのものにかなり大きな見通しの狂いがあったということでございます。
  79. 竹本孫一

    ○竹本委員 設備投資の問題についてもいろいろ議論をしたいのでございますけれども、時間がありませんからそれはやめまして、民間の設備投資も、いまもお述べになりましたように、非常な勢いで伸びておるということでございますが、その結果フローの場合とストックの場合と両方の場合で一体いわゆる社会資本ですね、この不足という問題についてはどういうふうに見ておられるのか。フロー、ストック両方の面から今後の計画を策定されるにあたってはどういうふうな反省といいますか、意欲というかを持って取り組もうとしておられるのか、この社会資本に関する点を伺いたいと思います。
  80. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 社会資本につきましては、計画で目ざしたところとほぼ同程度投資がその経過期間中にも行なわれておるのでございます。ただ、先ほど来お話が出ますように、民間設備投資のほうが非常に大きくなっておりますから、いわゆる公共部門と民間部門とのバランスという面から見ますと、やはり相対的に公共投資がおくれて社会資本の立ちおくれというものが十分に解消し切れないという感じを強く持っております。今度の計画の場合でも当然その点が非常に大きな中心になるかと思いますけれども、社会資本の考え方、どの範囲までを社会資本というふうに考えるか、また社会資本を充実する場合に、政府のみでなく民間のエネルギーを活用する方法がないかどうかというような面も含めて、また社会資本の施行能率といいますか、そういった面にさらに改良していく面がないかどうかというふうな点から、実質的な内容充実した社会資本の整備をしていくということをひとつねらいとして、いま研究委員会等を設けて検討いたしております。  確かに、現段階ではかなりおくれが目立ってきておりますし、これからの経済発展の基盤という意味でも非常に重要であります。また、国民生活が所得水準にふさわしいものになるためにも、生活環境その他の社会資本の整備というものは、今度の計画改定についても一番大きなポイントの一つだというふうに考えます。
  81. 竹本孫一

    ○竹本委員 この点は、ただ経済社会発展計画の中に第何章か第何編かにそういうものがあるということでも、その内容次第でございますから、つくり方はそれでもけっこうなんですけれども、日本の従来の経済政策における非常に大きなウイークポイントであるということを考えると、あるいはいま検討されているこの計画と別個に、長期的、たとえば五年なら五年の長期計画を立てて公共投資計画をひとつ策定してみたらどうか。そうでもしないと、フローな面では一応いいとしてもストックの面で、先ほどお話しのように、基本的なアンバランスというものをなかなかカバーできないのじゃないか。そういう独自の計画を立て、また、財政計画の中でもやはりそういう意味での公共投資計画といったようなものを一個独立の体系を考えるべきではないか。そのくらいやらないとなかなか追っついていけないのじゃないかという気がいたしますけれども、いかがでございますか。
  82. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 お話しのとおりでありまして、特にストックという面から見るとたいへんな立ちおくれになっておる。これは戦前の日本の政治経済体制、つまり、小さい国力でありましたが軍事に偏重したという体制が今日に響いておる、こういうふうに思うわけでありますが、戦後公共投資また社会資本の立ちおくれの取り戻しをいまやっておるわけであります。いま財政的に見ますると、相対的には世界第一、そういう方面に力が注がれておるわけでありますが、一方において民間投資が非常な勢いで進むということで、なかなか民間投資との対比におきましてはまたアンバランスが加重されつつあるというのが現状かと思います。いま経済社会発展計画の策定というか改定の最中であります。これからの財政運営におきましても、その点は十分配意してまいらなければならぬ問題だ、かように考えております。
  83. 竹本孫一

    ○竹本委員 そこで、経済企画庁にもう一つ伺いたいのですけれども、今度の経済社会発展計画の取り組みは、何か補正というような感覚で行なわれておるというふうに新聞その他で承っておるのですけれども、いまお話しになりましたような社会資本の充実の問題、それからその他のナショナルミニマムの問題等考えてみると、それからまた、実績と計画との食い違いの抜本的な再検討問題等考えると、単なる補正といったような考え方ではだめなんで、やはりこれは本格的に計画のあり方というものを根本的に変えなければならぬというふうに私どもは思いますが、そこでその変える一つはいまの社会資本の充実です。それからもう一つは、社会開発といいますかナショナルミニマムと申しますか、これは国民生活白書でも問題になった点でございますけれども、そういった問題にもう少し重点を置かなければならぬ。それからまた、計画と実績の食い違いの問題もありますので、やはりここで補正という考え方ではなくて根本的に再出発、一種の計画のあり方の性格革命をやるのだという取り組みが必要であろうと思うが、その点はどうかということと、それからいま申しました特にナショナルミニマム、社会開発の問題についてはこれを計画設定の柱にするということにおそらくお考えがあるのだろうと思うけれども、これはまた技術的に非常に困難な面があるだろうと思うのですが、それらの点についてはどういう検討をしておられるか。時間もありませんので、きわめて簡単にお願いをしたいと思います。
  84. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 計画の改定につきましては、確かに補正ということでスタートいたしまして、現在その姿勢で検討いたしておりますが、補正の計画の目標年次も昭和五十年ということにしておりますし、かなり先にずれた計画になるわけでございます。そういう意味では、内容考えてみますと、おっしゃられますとおり、かなり大きな条件変化が出てきておる。日本経済の三年間というのは、おそらく諸外国では十年以上の変化だというふうに考えられますので、実際に条件をいろいろ検討すればするほど、かなり大きな条件変化があるというふうに考えられます。また、いま申し上げましたように年限も延びるというような関係から、ある意味では計画の補正ということではありますが、ほとんど新しい形の計画をつくっていくというふうにならざるを得ないし、また、この段階でつくるとするならばそういうふうなことになろうか、なるべきではないかというふうにも考えております。ただ、補正という形のものを捨てるかどうかについては今後の問題でございます。ただいまのところは補正という姿勢でやっておりますが、内容的には仰せのような大きな変化のある内容になってこようかと思います。  それから、計画の中でナショナルミニマムのような問題をどう扱うかという問題でございますが、ナショナルミマムの問題はそれ自体まだ学説的にも十分確立しておるわけでございませんし、また、諸外国との比較も必ずしも十分にできません。ただ、私ども計画をつくっていく場合に、常に経済の発展の中で成長と国民の福祉というものを両方にらんで経済の発展の姿を考えていかねばならないというふうに考えておりますので、福祉の水準をどのように指標化してあらわして、判断の材料にしていくかということについて努力いたしております。  先般の国民生活白書でも、そういう意味の努力一つのあらわれがああいうふうな生活水準の道標という形で出ておりますが、ああいう問題といいますか、指標をさらに固めながら、国民の福祉の水準をどう数的に示すか、それと成長とをどういうふうに結びつけて考えていくかというふうなことを計画の作成の段階で十分検討いたしたいと思います。ただナショナルミニマムという形ではっきり設定することはなかなかむずかしいんじゃないかというふうな御意見の先生方が多いということだけ申し上げたいと思います。
  85. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまいろいろのポイントを申し上げましたけれども、単なる補正という感覚ではなくて、やはり新しい社会資本の充実、社会開発の徹底、もちろんナショナルミニマムをどう盛り込むかということは、いまお話しのように、私も技術的に困難があろうかと思いますから、観念論はやりませんけれども、そういう新しい視点をとらえて、性格革命的な感覚でひとつ取り上げてもらいたい、希望であります。  ただ、ここで最後にお伺いしておきたいのは、先ほども計画どおりにやるのがなかなかできにくいというお話がありましたけれども、日本の経済計画一つの大きな欠点は、単なる予測あるいは計算というような要素が多くて、ほんとうの意味の計画にならない。政策介入の度合いが少な過ぎる、あるいは調整の具体的手段を持たないといったような意味で、うまくいかないのはむしろ行政の機構のあり方からいってもあたりまえではないかというふうにすら考えられるわけです。そういう意味で、単なるプロジェクトといったような考え方でなくて、やはりプランニングなんだからほんとうにプランとして成り立っていく、またそれだけの政策課題をになっていけるような体制に制度、機構というものを考えるべきではないかという点が一つ。  それから次にもう一つ、まとめて御質問いたしますが、そういう問題をも含めて経済計画基本法といったようなものをこの際考えるべきではないか。基本法ばやりでございますが、特に経済計画の基本的なあり方というものについて、ある場合には経済企画庁の権限強化ということにもつながるかもしれませんけれども、そういった経済計画の基本的なかまえというものをうたい込んだ基本法というものを政府において考えられる御意思があるのかどうか、その辺もひとつ伺いたい。  第三番目に、これは大蔵大臣がいらっしゃいますから、政治家としての大蔵大臣に伺いたいのでありますが、そういう基本法もでき、基本的なかまえもできて、国民とともに経済計画が策定され、また、国民とともに共同責任で官民一体になってこれを実現していくということになれば、これは私、各国の例を調べてみましたけれども、大体そういう基本的な経済計画を国会の承認を得ていないところはほとんどないんです。フランスでもビルマでもエクアドルでもどこでも、大体こういう基本計画というものは、国民の関心を特に強め、国民の協力を求めるという意味で国会の承認を得ておる。得てないところはほとんどありませんね。  首をかしげていらしゃいますけれども、たとえば私、ここにティンバーゲンの「経済計画」という本を持っている。これは比較経済学では非常な業績を残した研究でございますけれども、この人のセントラルプランニング、「経済計画」という書物には、この人は経済主体というものを役者と表現しているのですが、各国の「計画作成過程の役者とその役割」ということで、「役割」のほうには、「決定権」はだれが持っておるか、「拒否権」はだれが持っておるか、「勧告能力」はどうなっておるか、「情報源」はどうであるか、「実施」はどうなっておるか、こういうふうに項目を分けて各国の実態を調べているのですが、この計画調査の結論は二つあります。  一つは、国情に応じた経済計画を立てなければだめだということを非常に強くうたっておる。そのポイントは、たとえばドイツで一番心配をしているのはぼくはインフレだと思うのです。だからドイツの計画には常に戦後のインフレに対する恐怖病というか、そういうものが根底に流れておる。アメリカの場合にはどちらかといえば、一九二九年の恐慌以来、失業者が出たら困るという考え方、これがアメリカの一番大きなポイントです。ところが日本の場合には、どちらかというと設備投資が行き過ぎ走り過ぎるという傾向がある。そういう意味でフランスの場合、ドイツの場合、アメリカの場合、日本の場合、それぞれ経済計画、セントラルプランニングというものはその国情に応じてつくらなければならないということが、この本の一つの結論だと思うのです。  それからもう一つは、その計画国民のものとするためには、その計画について国会の承認を得るということが一つの手段であると思うが、その点について政治家としての大蔵大臣はどういうふうにお考えになるか。  なお、これに関連して、これは希望でございまして大臣だけで片づく問題でありませんけれども、大体日本の国会の論議というものについてぼくは非常に不満を持っているので一口申し上げますが、たとえば予算委員会なんというものも、ほんとうの意味で予算予算らしく審議している時間が何%あるか。B52とか今度はまた神経性ガスとかいうことで、こういう問題はジャーナリズムも非常に騒ぐもんだから、説くほうも聞くほうもとにかく非常に力が入るのでございますけれども、一番国民生活に重大な問題は、ほとんど国会で審議していないというとしかられますけれども、ウエートの置き方が非常に足らない、非常にアンバランスである。政治の問題、外交の問題、特に軍事の問題、事前協議の問題、確かに重要な問題でございますけれども、私はこの辺で日本の国会も予算中心とした経済問題にもう少し真剣に取り組むようにしたらどうかと思う。その一つとして基本法の問題も考えてもらいたいし、将来は国会の中に、予算委員会がああいう形で脱線しておるような傾向でございますから、別に経済計画委員会をつくったらよろしい。そうしてそこでは本格的に経済の問題も論議するようにこの辺で考えてみたらどうかと思いますが、これはこの場で言うのが適切かどうか疑問もありますけれども、政治家としての大蔵大臣のお考えも承っておきたいと思います。
  86. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 経済を計画的に運営するということにつきましては、その国の国情、またその国の持つ歴史によって非常に違いが出てくるのではあるまいかと思います。徹底したソビエトのゴスプランというような仕組みから、アメリカや日本のような全く自由というような国もありますが、その自由の中におきましても一つの展望を持ったほうがいいということですね。まあいろいろな試みはしておるわけなんです。しかし、試みはいたしてみましても、計画経済じゃございませんからなかなかそのように行なわれないというところに、国会との関係というものにつきましていま竹本さんが述べられたような御不満も出てくるんじゃあるまいか、そういうふうに思いますが、それらの問題は、どういうふうにするかという今後の検討問題にいたしたいと思います。  それから、国会のあり方につきましては、私も一議員といたしまして常に同じような感想を持っておるわけでございますが、どうかひとつ各党においてよく御相談を願いたいとお願いを申し上げます。
  87. 竹本孫一

    ○竹本委員 では、これで終わります。
  88. 田中正巳

    田中委員長 田中昭二君。
  89. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、久しぶりの大臣に対する一般質問でございますから、専門の税制並びに税務行政につきまして、会期末にもなりましたし、今国会におきまして大蔵大臣といろいろ意見の交換をいたしましたその結果をもう一回まとめまして御意見もお伺いしたい。  なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、私も国会議員としてはまだしろうとでございます。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 自分の率直な意見を申し上げたことが、どうもこの委員会論議等を通じましても、何といいますかその場だけでごまかされたといいますか、極端な言い方をすれば、だまされたような感じを抱く点がいままでありました。それは私のほうの思い過ぎかもしれませんけれども、一応今国会になりましてから問題にいたしました点をまず確認といいますか、めんどうでございますが、もう一ぺん御意見を聞きまして、そのあと税制問題にも入っていきたい、こう思っております。でありますから、私が聞こうとしておるところをくんでいただきまして、時間も制限されておりますし、その要点を簡潔にお答え願いたいことをまずお願いしておきます。  今国会におきまして、私、予算委員会で取り上げました問題で、ずっとその後何回も問題にしましたいわゆる税務行政の中で、ある一つの税務署で納税者にたいへん有利な方法を行なっておるという問題でございます。法律には、申告が低くなされた場合には、政府は罰金にも相当する加算税を徴収する、そういう規定があるわけでございますが、その規定を規定どおりにしてはいままでの税務行政の育成ができない、こういう配慮もあったと思いますが、五百近い税務署の中で大阪の東淀川税務署、ここでは簡単に東淀川方式と大臣もおっしゃいましたから申しますが、この問題につきまして、予算委員会で大臣からも、たいへんいいことだし、私も、きょうはけっこうな話を聞いた、たいへんありがとうございましたというような話で最後は終わったわけであります。そのときに大臣も、六回も七回も、いいことだからやりたい、その後委員会でも三、四回、そのたびごとにいいことは大いにやっていきたい、こういうことでございました。  最後の委員会でこのことをお尋ねしたのは四月十六日の一般質問のときだったと思いますが、そのときに大臣がおっしゃったことは、こういうことをおっしゃっておりますね。「その東淀川署の、納税者と非常な強い協力関係で税務行政を進めておるというこの姿、これは私は税務行政としてはいい形であろう、こういうふうに思うのです。ですから、そういういい面は伸ばしていかなければならぬ。ならぬが、そのやり方です。これは非常なデリケートな扱いを要する問題であろう、こういうふうに思いますので、その辺はおまかせおき願いたい、かように思います。」これがこの問題についてのお答えです。その問いろいろな、いいことは署長会議にも局長会議にもはかってどんどんやらせますというようなお答えもいただいたのですけれども、この最後の、おまかせ願いたい、こういう大臣のお気持ちをその後どのように一おまかせした、こちらはしたつもりでございますが、どういうふうにお考えになっておりますか、お尋ねしたいと思います。
  90. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 納税者と話し合いで事を処理していくということは、いいことに違いありません。そのようにやっていきたい、こういうふうに思います。  ただ、その話し合いの深さ浅さ、これは税務署を取り巻く環境ということもございます。また、その税務署における能力という問題もありますから、一律画一というわけにはいかぬだろうと思いますが、田中さんのおっしゃられる、また非常に熱意を持っておっしゃられること、これについては私はお気持ちはよくわかります。わかりますが、これを技術的にどういうふうにするかということはおまかせおき願いたい、こういう趣旨のことを申し上げたのですが、そういう趣旨において国税庁に対しましてもしばしば指示をいたしておるわけであります。おそらくそういう線で国税庁も動いておるだろう、かように存じます。
  91. 田中昭二

    田中(昭)委員 この問題についてまた深くいろいろ入っていきたくありませんから、その国税庁にいろいろ指示をなさっております——いわゆる大臣も意のあるところをくんでいただいて、いいことですから国税庁のほうにも指示をなさっておると思いますが、その指示の一つか二つでもけっこうでございますから、何か具体的にございませんでしょうか。
  92. 細見卓

    ○細見政府委員 国税庁の者が参っておりませんので、私、税金に関係しておるという意味で申し上げさせていただきたいと思います。  いま大臣からお話がございましたように、一番納税行政として望ましい姿というのは申告を重んずる、つまり納税者の方に正直な申告をしていただいて、それを税務署のほうもあらかじめ疑いの目をもって見るということではなくて、正しい申告は正しいとして迎え入れる。そういう意味で自主申告の尊重、あるいはまた納税者の調査にあたりましても、いたずらに検挙なり事をあげるということでなくて、適正な申告の水準を維持するというような形で調査するようにというようなこと、個々の調査にあたり、あるいはまた個々の申告事案の処理にあたって、いま大臣からお話ございましたような趣旨——これはむずかしい問題でございますから、一挙に急激にどれだけのことができたということはなかなかむずかしいと思いますが、基本的にいま大臣のおっしゃったような趣旨を体してやっておると私も信じております。
  93. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうやっておるのがあたりまえなんです。ですから、この問題については新しく私からも申し上げて、そうしてそれを聞いていただいて、大臣がいいことだからまかせてくれ、自分のほうでそれ相当の指示もするし、そういうことを伸ばしていきたい、こういうお考えが大臣にあるわけでしょう。ですから、そのあることによっていろいろな指示をした、こうおっしゃいますから、その指示はどういうことでありましょうかと大臣にお聞きしておるのですが、無理でしょうか。
  94. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 具体的には国税庁が参った際に申し上げます。
  95. 田中昭二

    田中(昭)委員 国税庁が何でしょうか、いまのはちょっとよくわからなかったのですが……。
  96. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私の指示を受けて国税庁がどうしたかという点を具体的に伺いたいという話でありますから、国税庁が参ったときに国税庁当局から、どういうように実行しているかという具体的な回答をいたしたい、こういうことであります。
  97. 田中昭二

    田中(昭)委員 きょうは大体国税庁も呼んであったはずですが、お見えになっていないようですし、国税庁が来ていないから、いま細見さんのほうからお答えがあったわけですが、いずれにしても国税庁のほうからあとでお答えいただくということにして、次に移ります。  次は、税金の取り方なんですが、税金が取られた結果——取られたということばはどうかと思いますが、税金が各税務署に吸収されまして、それが国税局別に集計をされて、そうしてそれが根本的には国の歳入に入っていくわけであります。この税の集まりぐあいが、当然税が多く集まらなければならないところが多く集まらなくて、そうして税金が多く集まらないようないなかの小さいところ、経済活動が活発でないところが税金をたくさん取られておる。こういう問題を一回問題にしたわけですが、このときに国税庁長官からも、確かに特に所得税の中で申告所得税、これは税務職員の調査によってその適否がきまりますから、税務職員が優秀であり、そうして調査がゆっくりといいますか、いわゆる深く精密になされるところはわりあい税金がより以上に取られておる。その反面、東京みたいにたくさんな経済活動といわゆる収入をあげる人がおる、そういうところには税務職員も足らない。でありますから、そういう面で確かに所得の捕捉という問題についてはたいへん問題がありまして、これには極力人員を東京のほうに充足して、そういうことのないように、不公平にならないように努力をしております。そういう最終的なお話があったわけですが、それに対して大臣がお答えになったのは、一回読んでみます。「これはなかなか重大にして、かつ機微の問題でありますので、なおこういう数字が出てきた根源について、よく検討してみたいと思います。それが大事だと思います。」よく検討するということと、これはたいへん大事なことなんだ、このように大臣はおっしゃっておるようでございますが、この問題についてどのような検討をなさり、また、このことについてどういうような御理解をなさっておるか、大臣から伺いたいと思います。
  98. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 それらを概括的、一般的に申し上げますと、国会で問題になった諸事事項は、国会が済んだ段階で全部洗い直す、こういうことにいたしております。それでもう国会もぽつぽつおしまいでありますから、国会において検討をするというふうに発言した事項についての一覧表をいまつくっておる、もうできておるのですが、それに対して処置し、また検討すべき点というのを書き込んでおる最中なんです。いまお尋ねの点は、まだ見ておりませんけれども、その準備は主税局長のほうでしておると思いますから、主税局長のほうからお聞きを願います。
  99. 田中昭二

    田中(昭)委員 初めてそういうものがあるということを知りまして、私は安心しました。問題は、そういうこまかいことまで大臣にいろいろ申し上げることはどうかと思いましたけれども、そういうことのいわゆる感じといいますか、なるほど都会の局のほうがゆるやかになっているんじゃないかなという感じはお持ちでございますか。大臣がそれをお持ちになっていなければ、どんなに事務当局でつくりましても、事務当局はいろいろないままでの数字を集めて、ああでもない、こうでもないと言う。いままでの委員会でもそうなんですが、それはそちらの言い分であって、こちらの言い分も聞いてもらわなければならぬ。大臣のことばの中に、全部数字的に何%何%にする、そういうことは言えないといたしましても、そういう感じが大臣の頭の中に大体感じとしてあればけっこうだと思うのです。それはどうでしょう。
  100. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 大都会のほうは、やはり人手の関係など、また人の出入りが非常にひんぱんだというような関係もあり、どちらかといえば調査という点から見ると、これは地方に比べてやや不足する気味があるのではあるまいか、そういう感じがします。しかし、結果として、さあそれじゃ地方は課税がきびしく、都会はゆるやかであるということになっておるかというと、私はそうは考えない。つまり、いろいろな権衡をとりながらやっております関係もありますから、結論においてそう不均衡というようなことはないと思うし、またあってはならないと思いますが、具体的な調査という面になりますと、都会のほうがとにかく抜かりが出てくる傾向を持つ、そういうふうに思います。そういうことがあってはなりませんから、調査機能というものを都市においては特に充実する必要があるのじゃあるまいか、そんな感じがいたします。
  101. 田中昭二

    田中(昭)委員 この問題につきましては、いま私、大臣のお答えを読んだのですが、このことと、いまの御発言は少し感覚が違うように思うのです。それは常識的に、大臣のほうがわからなくても、たとえば第一線の署長とか局長さんであれば、都会局の東京あたりの業者なんかと、そういう営業形態を持っておる人がいなかのほうではどういう課税になっておるかということについては、はなはだ遺憾であるという、いわゆるいなかのほうが調査が行き届いておる、そういう感じは持っておるわけなんですね。またそういうことを言います。それをそのまま行政をあずかる人が一応受け入れて、それがどこに欠陥があるかということについては、大臣がいろいろ指示をなさるのがあたりまえじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  102. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 中央と地方で差別があっては相ならぬ、これはどうしてもそういうことは許されない、そこが非常に重大な問題だ。しかし、ややもすれば一千万人も込み合っておるというところは、手抜かりの傾向があるから、その傾向についてはこれをよく反省し、是正するという考え方でなければならぬ、こういうことを申し上げておるわけであります。
  103. 田中昭二

    田中(昭)委員 現実はあるわけですね。いまの大臣のお答えで私も十分わかっていただいたと思っております。  次に進みます。これまたこまかい問題でありますが、特に最近の歳入面の税収を見てみますと、はっきり申し上げまして直接税の中で所得税、所得税の中でも申告所得税、源泉所得税並びに法人税、この収入状況がものすごくいいわけです。いつも当初見積もりよりも年度末には多くの税収が上がる。これは上がりますね。いままでの結果を見ましても、ここ二、三年見ましても……。でありますから、一年間のうちに毎月の税収の収納状況というものは、第一線の職員も知っておく必要があるのではないか。こういうことを委員会で取り上げ、お話をしたわけですが、そのときにも確かにそういう問題は必要だと思うから、第一線にもそういうことを知らせるようにします、こういうお答えであったわけですが、これはその後どのように実際やっておるか、それは細見さんのほうからでけっこうです。
  104. 細見卓

    ○細見政府委員 月々の収入状況が翌月まとまりましたところで、各国税局を通じまして、第一線にも通知できるようにいたしております。
  105. 田中昭二

    田中(昭)委員 私がその後行りたところでは周知されていない。大臣、ここなんです、いつも問題なのは。こういう点はここでいろいろまた言えば、お互いやることをやっていない。行政の問題ですから、私が一々タッチすることもできないかもしれませんけれども、私はまた後ほど税制の問題についてはお話ししようと思っておりましたが、いろんな税金は、何といいましても国の基本でありますし、このことについては、いいことも悪いことも納税者に知ってもらって、そして悪いことは、納税者のほうの知識が足らないという面も十分あるのです。また、第一線の職員はたいへん苦労して、その中間に立っていつも苦しい目にあっておる。そういうことを少しでも直そうという努力は、私は、しなければいけないじゃないか、こう考えて、いままで何回もこのことを申し上げてきたわけです。  大臣、私が言っておりますことは、どうでございますか。そういうことは努力してもらわなければいけないと思いますが、いかがでしょう。
  106. 細見卓

    ○細見政府委員 収入歩合につきましては、各職員によくわかるように、印刷物として配っております。  ただ、そこで一言私どもの立場を申し上げますと、法人税なり所得税の収入状況がいいから、収入歩合によって税金を徴収するということでなくて、あくまでもこれは税法に従って適正に申告していただき、適正に納税していただくということでありますので、そこのところは、第一線の職員に誤解のないようにしなければならない、かように存じております。
  107. 田中昭二

    田中(昭)委員 この問題は、何べん言っても堂堂めぐりみたいですけれども、私は真実は申し上げておきますよ。いまあなたは第一線に言っておると言うが、実際問題として全然言っていないのですよ。当然それは、いまおっしゃったように、収入歩合によって第一線の調査を手かげんするようなことはできません。しかし、これもまた、法人税なんか、年度末に収入歩合が悪いというような見通しがつけば、実際は、だいぶしりをたたかれて調査も厳格にやった。私は経験があるわけですよ。いままでもあるわけですよ。そういう、ここでおっしゃることが、現実にそうでない、逆なことがあるから、私は何べんも申し上げておるわけですよ。大臣いかがですか。
  108. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これは主税局のほうからいま申しましたように、よく周知をさせておるはずですがね。どういうところであなたお聞きになってそう言うのか存じませんが、それは何か非常に異例なことじゃないか、かように思います。
  109. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういう異例なことが一それじゃ全国の税務署で一カ所とか、一カ月とか、知らしてなかったというなら異例だと思うのですが、私が九州で確認したところだけしてなかったのでしょうか。
  110. 細見卓

    ○細見政府委員 行き違っておるようでありまして、よくわかりませんが、私どものほうはそういうふうになっておると信じております。
  111. 田中昭二

    田中(昭)委員 次に移りますが、税務行政について、毎年検査院の検査がございます。この検査院の検査は、全国の税務署のどういうところを検査するのであるか、それは全部なされておると思いませんが、その検査をする税務署は、どういうところを基準にして検査する対象の税務署を選ぶか。そういうことについて、並びに全国で何税務署——いま四十二年度ですかが終わったわけですが、終わった直後の検査実績でけっこうですが、それを言っていただきたいと思います。
  112. 細見卓

    ○細見政府委員 幾らの税務署が検査を終わったか、実は私手元に資料を持っておりませんのでわかりませんが、私が第一線におりましたときの経験で申し上げますと、これは検査院のほうの事務量その他も勘案いたしまして、全国の税務署が何年かの周期でほぼ全体の検査ができるような周期表を組んで検査いたしておる、いまもそういたしておる、こう思いますが、なお国税庁が参りまして、詳細は報告すると思います。
  113. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま、検査院の検査を行なう税務署をきめる場合に、どういうふうにやってきめるか、それは実際何件検査したということはわからないとおっしゃいますけれども、それはさかのぼれば、書類にもはっきり出ておりますし、わかるわけですが、いわゆるそういう税務署を順番で検査するとすれば、それはきめ方はどういうふうにきめるか、こういうことを聞いたわけですが、それはわかりませんか。
  114. 細見卓

    ○細見政府委員 これはまさに検査院が、それこそ全体の行政の一斑を見て全体を推測したいという観点に立つわけでありますから、私どもがむしろわからないというのが筋ではないか、かように思っております。
  115. 田中昭二

    田中(昭)委員 じゃ、国税庁が来られましたから、先ほど申し上げた問題はあとにしましょうかね。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕  次の問題に行きます。いわゆる納税者が税の申告並びに更正決定等に対して不服の申し立てをするわけですが、この不服の申し立てについては、相当ないわゆる決定内容に問題があります。いままでの結果を見ましても、不服を申し立てした人の約半分近い人は、いわゆる国側の間違いということで、そうしてその間違いを訂正、取り消された、こういう事実が出ておるわけでございますが、この不服申し立てをした以外の人にも相当税に対する不満があると思うのです。まあこういうのは数字的には出てこないと思いますが、大体いままでの全国的な不服申し立ての件数等から見て、どのくらい税に対して不満があるのか、感じとしてどういうふうに持っておるか、お答え願います。
  116. 川村博太郎

    ○川村説明員 協議団へ審査請求の結果、一部取り消しあるいは全部取り消しになりましたものが約五割近いことは、御質問のとおりでございます。これはまあ協議団が原処分庁の事実認定等を、率直に客観的に見直した結果、そのような決定になったものでございまして、取り扱いの不満といえば不満ではございますが、事実に即して正当な形に直したということの結果と思います。  同じような不満が潜在しておるのではないかという御質問でございますが、まあ協議団の存在あるいは異議申し立て制度のあることにつきましては、納税者は大体は御承知でございますし、国税庁あるいは国税局、税務署を通じましてそのPRには常時つとめておりますので、もし異議がある方は、大半はこの制度に乗っておると私は考えております。若干はあるいは潜在しておるものもあるかとも思いますけれども、その数がどのくらいあるかというような御質問には、お答え申し上げかねる次第でございます。
  117. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、いまの税に対する不満ですけれども、これが全国で、異議申請を出される件数が一年間で、四十二年度で約三万五千件ぐらいありますね。端数があって、三万四千何ぼになっておりますが、これは全体の更正決定をしたものから何%ぐらいになりますか、国税庁
  118. 川村博太郎

    ○川村説明員 質問の予定が立ちませんものでございますから、実はいま資料を直接持っておりませんので、お待ちいただきたいと思います。
  119. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの申し立て件数については、大臣の時間もないようでございますから、先に延ばしまして、先ほど大臣に——国税庁、よく聞いていただきたいのですが、東淀川方式ですね、これについては、大臣のほうから、そのつど指示をしている、簡単にいえばこういうことを聞いておりますが、どういう指示を受けておるか、お聞かせ願いたい。
  120. 川村博太郎

    ○川村説明員 いわゆる東淀川方式とおっしゃいますのは、いままで何回かこの委員会で御質問になっておられますので、まとめて申し上げますと、調査よりも指導に重点を置く方式と私解釈しましてお答え申し上げます。  私、前にもここでお答え申し上げたかと思いますが、この一、二年間国税庁は、調査に重点を置くのはもちろんでございますが、誠実な申告者に対しましてはできるだけ指導ということでまいるという方針を出しております。ことしの運営方針におきましては、指導に重点を置くというようなことを特に打ち出しておるのは、御承知のとおりであります。大臣がおっしゃいましたように、東淀川方式のいい点と申しますのは、結局単なる権力による質問、検査だけではなくて、できるだけ相手の納得を得て誠実な申告に導いていくというような、いわゆる指導方式ということを全国的に推し及ぼしていきたいというお考えをお述べになったわけでございますが、これはいま申し上げましたように、運営方針の中にも盛り込まれておりますし、また、機会あるごとに局長会議あるいは部長会議で申し上げておるわけであります。具体的に、たとえば何月何日にどのような指示をしたかということになりますと、そういった具体的なものはございません。問題は、調査よりもむしろ指導に重点を置いた調査というようなことでの抽象的な問題でございますので、事あるごとにそういった精神的な指導を、会議等を通じてやっておるということでございます。
  121. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは何も一つも変わらないのですね。結局調査よりも指導的な方法がいいから、そういうことについてことさら、この問題が出ましてから、大臣からも国税庁のほうに指示をしている、こういうふうに私受け取っておったわけですけれども、この問題は一つもそのような変動がないわけですね。そうでしょう、大臣。何か時間がないようですから、もうそのままこの次に延ばします。  その次は税制調査会の問題ですが、いままでこの委員会でも、四十四年度の税制改正についてもいろいろ意見が述べられてきたわけですが、税制調査会に問題を出して、そしてその答申を待つというような問題がたいへんあったと思うのです。私は、税制調査会がどういう審議をなされたものか、新聞等でその発表を見る程度ではなかなか真髄がつかめない、でき得れば税制調査会でいろんな意見の交換等があったものをそのまま私たちに知らせてもらうわけにはいかないだろうか、こう思いますが、大臣、どうでしょう。
  122. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 税制調査会は、秋くちから活動を開始していただきたい、こういうふうに考えておりますが、そのつど皆さんにその内容を申し上げる、こういうことができるかどうか、この委員会の開催とかそういうようなことかと思いますが、これはまた委員長のほうでひとつお計らいくださいまして、税制調査会の討議事項についてどうかというようなお話がありますれば、もとより申し上げるにやぶさかではございませんけれども、委員会がどういうふうにお考えになりますかね。これは田中さん一人のお考えで事をきめるわけにはいかぬ、こういうふうに考えます。
  123. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、この税制調査会はもちろん内閣に所属していると思いますが、私たちが聞きましても、何か何月何日にどういうことがあったかということでも教えてもらえないものですかな。私はそういうことは、税制調査会でどういうことがあったということを秘密にすることはないと思ったものですからそういうことを申し上げたわけですが、どうかひとつ、これは私たちが論議したものが調査会でどういうふうに意見開陳等が行なわれたかということは、私たちも参考になると思うのです。ぜひそういう方向で、今後それは委員会におきましてもそういう申し出を行なっていきたいと思いますから、その節は何とぞそうしてもらうようにお願いしたいと思います。  次に、話はだいぶ変わりますが、税制の問題ではございませんが、国有財産の問題で、私、この委員会で二回ぐらい取り上げたわけでございます。現在の国有財産で、その国民の財産である国有財産が管理が不適当であるといいますか、いいかげんであるといいますか、そういう面があったわけでございますが、この点については、大臣御承知おき願っておりますでしょうか。
  124. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 数多い国有財産ですから、一つ一つ見ると、いろいろ御注意をいただくようなことはあるかもしれませんが、これはもう国民の財産でございますから、これが管理それから処分、そういうことにつきましては最大の注意を払ってやっていきたい、こういうふうに存じます。また機構もそういうふうになっておるわけでございます。
  125. 田中昭二

    田中(昭)委員 それは具体的に申し上げますと、福岡県の玄海町というところで、国有財産が不当に占拠されて、それが戦時中——戦時中といいましても、昭和五年とか六年に大蔵省が処理しておるものが、終戦後明確になされないままに、そこにいろいろな事故が起こっておるわけです。こういうものに対して調べてみれば、大蔵省の手落ちです。そういうものが起こったときに、そこに住んでおる当事者の地域住民等は、その問題について、長年いろいろな問題を惹起して、困った問題が起こってきておるわけです。そういった困った問題をなかなか処理できない、そういう問題が一つです。  それから、私はふしぎに思ったことは、そこは海浜地でございますが、海浜地については、いわゆる国有財産であるべきものが放置されておる、どこの所管のものかわからないというものがたくさんありますよ、こういうことも管轄している財務局で聞くわけです。そういうことになりますと、毎年国に報告される国有財産というのはどこまで信用していいかわからない。でたらめじゃないか、こういうふうな感じを抱くのですが、こういう点については大蔵省として、今後の、そういう内容に対する計画か何かございますかどうか、お答え願います。
  126. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 国有財産につきましては、いろいろ問題があるわけです。たとえばいま御指摘の不当占拠というようなケースも多々あります。また逆に、民間の土地を国有地と誤って国が売却しちゃった、こういうようなケースもあるとか、いろいろありますが、そのケース、ケースを適正にさばいていかなければならぬということから、御承知のように各県に財務部というものを置きまして、その財務部長がその衝に当たっておる。大きな問題は財務局長がじきじき処理する。こういうようなことにいたしておりますが、この上とも注意してまいりたいと存じております。
  127. 田中昭二

    田中(昭)委員 なかなか時間がありませんで、いろいろお聞きすることができなかったのですが、一つ国税庁のほうに、私きょうの質問のために資料を要求しておったわけですが、いわゆる不服申し立ての全部取り消し、一部取り消しについてはその内容を、一件ごとに教えてもらうようにお願いしておったのですが、その点は出していただけますか。それはわからなければよく調査して、出せるものか出せないものか御返答ください。
  128. 亀徳正之

    ○亀徳政府委員 異議申し立ての三万件、審査請求の一万件、その一件ごとはとてもそれは無理でございます。
  129. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうじゃないです。長官、全然わかってないようでございます。私のほうから資料を要求したものをよく聞いていただいて、それで……。
  130. 亀徳正之

    ○亀徳政府委員 じゃよく報告を受けまして検討いたすことにいたします。
  131. 田中昭二

    田中(昭)委員 次に、大臣に最後にちょっとだけお尋ねしておきますが、わが党がつくりました税制総点検の結果につきまして、大臣も勉強していただいたそうでございますが、率直にどういうふうなお感じをお持ちでありますか、お聞きしておきたいと思います。
  132. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これは、私は自分で全部読んだわけじゃございませんけれども、国税庁また主税局において検討いたしました結果の概略の報告を受けております。たとえばその中で税は高いと思うかどうか、こういうようなことがあり、九十数%ですかの人が高いと答えておる。それをよりどころにして今日は酷税であるとかあるいは税に対する不満が高いとかいうような観察をされておるようでありますが、そういう観察につきましては、私どもはいろいろ意見を持っております。つまり、税が高いか安いかと聞かれると、自然安いというふうに答えられる人はあるまいと思うのです。そこで高いというふうに答えられる人が圧倒的に多いわけでございましょうが、それを基礎にして税が高いのだ高いのだという御議論に発展させる、それはちょっとどうかと私は思うのです。やはりそういう数字が出てきたら、それをまたわれわれ国会議員とし政府とし評価してみる、こういう必要があるのではあるまいか、そういうふうに考えます。  その他いろいろな問題が提起されておりますが、多くの点において誤解等に基づくものもあるようだ、こんな感じもいたしますが、何しろああいう膨大な調査をされ、分厚の印刷をされたあの御労苦に対しましては、深く敬意を表しておるわけであります。参考となるべき点はこれを参考といたしたい。しかし、誤りであるとか誤解であるとかいう点につきましては、またお求めがありますれば国税庁または主税局等から率直に申し上げさせていただきます。
  133. 田中昭二

    田中(昭)委員 どうも誤りであるということに私ちょっとこだわるのですが、誤りとこうきめつけるにはそれだけのものがなければいけない。じゃ国民が、全部聞けばとにかく税金が高いと言うのだということがわかっておるのならば、税金が高いということに対して、国民国税庁なり大蔵省がいままで、こういうことで高くありませんよ、あなたの誤解ですよというようなことを一回でも国税庁はやったか、大蔵省はやったか、こういう問題に入っていくと思うわけです。このことについては、いまの大臣の御発言は私もよく検討して、いまわずかの時間でこれを煮詰めることができませんから、重大な発言だ、こう心得てきょうは一応それだけにとどめておきます。またいずれこの問題については論争していきたい、こう思うわけであります。  以上で一応終わります。
  134. 田中正巳

    田中委員長 只松祐治君。
  135. 只松祐治

    ○只松委員 やっと法案の審議が終わりまして、ほんとうは法案の審議の過程でもいま少し金融あるいは保険、あるいは証券、いろいろな問題を審議を進めていきたかったわけですが、ことしは御承知のように、法案はそれほどでなかったが、いろいろなハプニングが起こりまして、当委員会でそういう論議をすることがほとんどできませんでした。たいへん残念です。きょうもそういうことで証券と保険と二つほど材料をそろえまして、こういう行政のあり方についてひとつ大臣に所見をただしたい、こう思っております。大臣が二時にお帰りになるということでございますので、どうしても三十分しかない。ここで二つじゃない、一つも満足に論議ができなくなっておるわけです。できるだけ取りまとめた質問をいたしたいと思いますから、ひとつ大臣のほうでも率直なお答えをいただきたいと思います。したがって、質問は大体証券問題にしぼりましてお尋ねをいたします。  現在の証券市場なり証券のいろいろな関係を見渡しますと、いろいろ心配すべき憂慮すべきことが多い。これはわずかな人事の配置でしょうが、証券局長にしても二年、こういうことから始まりまして、私はいろいろな問題があるような気がいたします。大臣は、現在の証券行政というものがきわめてうまくいっておる——四年前に山一や何かが倒れそうになった、倒れた、これが回復してきた、そういうところを見て、とにかく証券行政がうまくいっておるのだ、こういうふうにお考えでございますか。私は必ずしもそういうふうに思わない。特に、あとで若干お尋ねをしてまいりますが、外国資本の導入、外人の日本証券市場の買いあさり、こういうことと関連しまして、一般日本国民がある意味では、若干の機関投資家を含めて、資金調達市場としての証券市場から逃げ去っておる、あるいは敬遠しておる、こういう傾向さえも見受けられるわけでございます。大臣は、こういう状況に関してどういうお考えをお持ちでありますか。
  136. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 証券市場は、証券市場を動かす証券機構、そういう面において近年は非常に画期的な改善を見つつある。つまり免許制への移行、あるいは取引所の機能の強化、そういうようなことから改善を見ておる、こういうふうに思われるわけです。その間、株価のほうが比較的堅調に動いておる。その要因の一つとして、御指摘の外人投資というような問題もありますが、これは非常に高い見地から見ると、証券を買うというよりは日本経済を買う、日本経済に対する認識が高まってきたという評価をいたしておるわけでございますが、この外人投資家の動きが日本の株価に対しましていろんな影響を与えておる。これは、あれだけ大量の売買がありますと当然のことかと思いますが、それらの点が行き過ぎがないようにという点につきましては、私ども政府のほうでも注意をいたします。また証券界自体におきましても、そういう行き過ぎにならないようにという配慮をいたしておる。こういう現状でございます。
  137. 只松祐治

    ○只松委員 証券局のほうにお尋ねしますが、現在の証券市場における外人投資家の保有株数といいますか、あるいは投資額、そういうものがわかりましたらお聞かせ願いたいと思います。
  138. 坂野常和

    ○坂野(常)政府委員 昭和四十三年度の外人投資家の株式取得の状況でございますが、認可されました金額が全体で六億一千九百万ドル、差し引き買い越しになっております分が二億二千九百万ドルでございます。この四月以降、本年度に入りまして四月、五月、六月と従来のペースよりもやや高目の取得額になっております。これは市場のウエートから申し上げますと、四十三年度全体で見ますと、取得が東証の出来高のウエートの二%、売却が〇・八五%というふうになっております。四−六月の平均では、取得が四・二九%、売却が二・二八%のウエートになっております。
  139. 只松祐治

    ○只松委員 この外人投資家のいまの数字的な面から動向を見ると、それほどでもないように思われるわけです。しかし、この外人投資家の株が一・部の株に集まりまして、それが千円、二千円、三千円、こういうふうに非常に株価をつり上げておる。ここいらが、一体上がっている原因はどこにあるのだろうか。これもいろいろいわれている。きょうはその原因等を議論する時間もありませんが、とにかく特定の銘柄に集まっている。それだけはどんどん異常に高騰している。ところがほかの、いわゆる資金調達市場としての銀行預金かあるいは株かという、この証券市場に集まってくる一般国民が売買をする株というのは、ほとんど変動をしておらない。むしろある意味では下がりっぱなしだ、下がり続けておる、こういうのが非常に多いわけですね。こういう点に対して大臣はどうお考えになりますか。
  140. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 確かに外人投資家は、二十銘柄ぐらいになりましょうか、そういう特殊な銘柄に集中的な売買を行なっておるという現状であります。ですから、私、株価の動きというものを見る場合に、たとえばソニー抜きではどうなんだ、あるいは二十社抜きではどうなんだ、こういうことでそういう方面もにらんでおるわけでございますが、まあ私は、これから二十社に限らずだんだん外人投資家の関心を持つ銘柄というものが拡大されていくんじゃないかという感触を持っております。  いま、あるいはロンドン市場において、あるいはニューヨーク市場において、特にヨーロッパのほうが多いわけでございますが、日本の経済の研究熱というのが非常に高まっておるわけであります。ことに経済のスケールの問題もありますが、一つ一つの日本の企業の研究、こういうものがかなり高まってきておる。日本の証券会社の出先の者、あるいは金融機関、日本経済の状態を知っておるというように目されておる人は、外人のそういう照会、調査に対する応接に忙殺をされておる、こういうような状態でございます。それが一つわが国の証券投資というふうになってあらわれてきておると思いますが、もう一つは、何といってもいま国際化という世界的傾向です。それでどこか有利なところがあればそこへ投資しましょう、あるいは安定というような点に着目して、その国の経済の中にひとつ投資をしてみよう、こういうような動きですね、そういうことがあると思うんです。  私は、先ほども申し上げましたが、そういう動きは基本的にはわが国に対する諸外国の関心が高まり、また日本経済の安定、またその成長、そういうものに対する期待がそういうふうにさしておるというので、これはそういう評価をすべきものだと思いますけれども、これが急激にやってきて、また、いろいろな好ましからざる影響を及ぼすというようなことがあっては相ならぬというので、その方面については注意を払っていきたい、かように考えておるのであります。
  141. 只松祐治

    ○只松委員 大臣は、そういうふうに外国の評価が高くなってくると、財政を担当しておる大臣として鼻高々というんですか、そういう面もあるので、そういう面を主として強調されることはわからぬことはありません。私は逆に、そういうことじゃなくて、国内の健全な皆さん方は、資本主義市場一つ資金調達の一翼としての国民参加の場をなくしつつあるではないか、実際なくなってきつつあるではないか。山一問題等から若干立ち直ってくるかのように見られた一般の投資家の参加というのが、また逃げ足がついて集まってこない。これでは健全な国内市場の育成にはなっていないんじゃないか、だから大臣とは私は逆に、国内的な側面からこれを見て、これは憂慮すべき問題になってきつつあるんじゃないかと言っておるわけです。  大臣の言っておられる立場も一応わかりますよ。しかし、そういう面だけではなくて、私は逆に、国内的にもっと重く見ていまの証券市場に対処すべきではないか。そうでないと、まさか日本の会社を外資にどんどん取られたり外国資本に売り渡すということじゃなくて、やはり日本の国民の会社として、日本の国内の会社として育てるということが基本だと思うんですよ。幾ら外人には人気がありましても、日本国内で国民がそういう会社を信頼しない、こういうことであっては私はならないと思うんです。そういうことまでは論争しませんが、そういう観点から私はいって、もう少し国民に信頼される証券市場にしていくべきではないか、資金調達の場にしていくべきではないか、そういう観点からお尋ねしておるわけです。
  142. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま、特にことしになってからかなり外人投資というものが盛んになってきておりますが、大体株式全体に対しまして四%ぐらいになりますか、そういうような状態ではありますが、これらの株式投資には、日本の株式投資を通ずる日本企業の支配権をというようなねらいは、これはないんです。ただ単に日本経済は安定しておる、また当該企業はこれは収益率が高い。その安定性とそれから収益性とに着目いたしまして投資をするという、そういう性格のものであります。ですから、企業支配という面で心配するような点は、毛頭感じておりません。ただ特定の銘柄にこれが集中して、そのゆえに株式が高くなる、そういうようなことで日本の投資家が寄りつけないというようなことになっては困りますから、そういうことのないように、これから弊害面につきましては注意をし、関心を持っていかなければならぬ。しかし、日本経済、産業、日本の企業に外国の人が関心を持ってくれるということは、これはありがたいことだ、こういうふうに考えておるのです。
  143. 只松祐治

    ○只松委員 どうも大臣は外ばかり向いておって、外資がくるのをいかにも喜ぶようですが、私は必ずしもそうは思わないし、それからいまみたいな、落ち込んでおるとまでは言いませんけれども、国民が疎外されたような、日本国民があまり寄りつかないような株式市場というものは、何らかの形で私は方策を講じて、国民が信頼する、寄りついてくる、こういうふうにしていかなければならぬ。これは投資信託等と関連してみましても、一時よかったかのようにいわれておる投資信託にも、また売りがふえた、解約が出てきたというか、そういう現象が出てきている。だから私は、この証券市場国民の信頼というものを取り戻す、そういうことについて、そういう必要はないのだとおっしゃれば別ですけれども、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。  そういうもののたとえば一つの具体的な方策として、共同証券を、この前も私がちょっとお聞きしましたときに、年内に解散をしたい。年内といったって、これだけ立ち直ったとおっしゃっているのだから、できるだけ早くしたらどうか。実はこの質問は、私は機会があれば山一の日銀返済が行なわれるという前に、決定される前に質問しようと思ったのですが、いろいろなことでチャンスがなくて、ついに発表後になってしまったのですが、こういう山一の日銀返済をしたというのは、やはり国民に対する信頼の回復の一つであろうと思う。幾つかのそういう問題があるだろうと思うが、大臣なり証券局長代理のほうから、そういう具体策について——いま言いました共同証券なんかどうするかと、さっきちょっと聞きますと、どうも年内の解散はというようなことを証券局長代理は申しておったようですが、それだと、この前の大臣の答弁と違ってくるのではないか。証券市場はいいといいながら、そういうことではだめだという雑談をさっきしたのですが、そういうことを含んでお聞かせをいただきたいと思います。
  144. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 共同証券を年内にということ、年内にこれを解散ということを業界でも考え、そういうことがいいかなとも考えておったのです。ところが、共同証券の保有株ですね。この放出が当時考えておったようにスムーズに行なわれていないわけなんです。それは共同証券にいま保有されておる株式が、非常にさばくのが困難なものばかりが残っておる。そういう際にまた市況のほうが一高一低というような状態である。そういうような理由によるものと思われますが、とにかく保有株が思うとおりに放出されていない。そういうようなことで、あるいは年内にこれを解散するというようなことがむずかしいのではあるまいかというような見通しも出てきておるわけです。  要は、これからの市況の推移、そういうものが大きくものをいうと思いますが、その間にありまして、保有株の整理というか放出が順調に進みますれば、年内解散ということになりますが、無理をしてまでする必要はない、そういうふうに私は考えております。
  145. 只松祐治

    ○只松委員 共同証券だけではなく、ほかに方策があればとお聞きしているのですが、共同証券だけの問題を見ましても、年内に大体解散する予定のところができそうもないというのは、結局証券市場全体として健全でない、そういうふうに鉄鋼株や何かいろいろ持っているものが上がってこない。日通事件なんかあって、そういう株が上がらないという特殊なことがあるかもしれませんが、いわゆる国内市場として、外人が寄りつかないものはほとんど変動しない、あるいはさっき言ったように、下がりっぱなしで放出がなかなか困難だ、こういうことであろうと思います。だから、共同証券の解散が延びるということも含んで、日本の国民が参加していく株式市場、証券市場にすべきでないか、こういうことを私は言っておるわけです。だから、共同証券の解散が延びるということも、私が言っていることを裏づけるものだと思います。そういうことを含んでの証券市場の、一口にいえば民主化ということになるかもしれませんが、外人投資家だけにあやつられるような株式市場でなくて、もっと健全なものにすべきではないか、こう言っているのです。その方策が何かありますか、こう聞いているのです。
  146. 坂野常和

    ○坂野(常)政府委員 共同証券の放出と申しますか、株式の流動化がややスローダウンしております。理由は、必ずしも残っている株が低位価格の比較的低い株式である、したがって、それが放出できないということではなくて、むしろ放出は従来ももちろんやっておりますけれども、機関投資家に対する安定株主的な放出もかなりやってきたわけです。それが最近の金融情勢等から、安定株主となるような機関投資家筋で、資金繰り関係その他からやや放出を歓迎しないというような向きもあり、そういうようなことも大きな理由になっておるのでございます。  共同証券は、もともと株が高いから、これを売却して利益をあげるという目的のものではございませんで、その点はあまり問題にならないかと思いますが、ただいま申し上げましたような安定株主となるべき機関投資家筋の内情というようなことが大きな原因になっていると思います。
  147. 只松祐治

    ○只松委員 これは保有組合でもそうですが、保有組合は膨大な利益をあげて解散をいたしました。共同証券だって利益を得るためにつくったのでないことは、そのくらいのことはわかっているわけです。したがって、いま時間もありませんし、これがどれだけいままで利益をあげたかということはあとでお聞きをいたしますが、とにかく一例としてあげているわけですね。そういうことも含んで、もう少し国民のために——私は社会主義の立場から見れば、こういうことを別にそれほど取り上げる必要はないし、言う必要はないのですよ。しかし、少なくとも現状、皆さんの指向している資本主義の中で生活しているわれわれとしては、そういう面をあまり外人だけに荒らされる、そういう市場にしたくない。そういう点から登録制にしたり、免許制にしたり、ずっと当委員会でもいろいろ審議してきたわけです。そういう点であまりにも極端といいますか、目につくといいますか、いまの株式市場のあり方、十か二十くらいのものがやはり上がり過ぎて、その辺で思惑売買をやっているけれども、一般の会社の株券というものの売買がほとんど行なわれていない、こういうことを言っているわけです。このままにしておけば、国民がいよいよ離れるような事態になる。ぜひそういう点について抜本策をお考えいただきたいと思う。  時間がありませんから、その話もたいへん中途はんぱになりますがその程度にいたしまして、一番最初に言いましたように、私は保険と証券を扱っている行政について、少しきょうは論議をしようと思っておったので、そういう問題に話を移したいと思います。  いま日本の株式市場では、通常四大証券といわれております。これが日本の株式市場を事実上独占といいますか、占有といいますか、支配をいたしております。私から順次指摘をいたしますが、まず最初に山一証券についての現状といいますか、その問題をひとつ時間がなくなってきましたから要領よくかいつまんで……。
  148. 坂野常和

    ○坂野(常)政府委員 御承知のとおり、この十月一日からは、あらゆるいままでの債務を全部返却いたしまして、市中ベースで新しい会社が発足する予定になっております。したがいまして、その段階におきましては、いままでの山一証券並びにその関係の会社の過去の赤字というものは全部消えまして、本来の健全な姿になるわけでございます。山一証券だけをとってみますと、新会社免許後は順調な歩みを続けておりまして、もちろん日銀の特融も返済しておりますから、毎期毎期の利益としては上がっておりませんが、証券会社の経営そのものとしてはきわめて順調な推移をたどって今日に至っておるわけであります。
  149. 只松祐治

    ○只松委員 次いでお尋ねをいたしますが、四大証券の昨年度ベース、四十二年から四十三年度に及ぶ営業収入、それから営業利益、それから純利益、率が出るなら利益率まで、出てなければけっこうですけれども、お答えをいただきたいと思います。
  150. 坂野常和

    ○坂野(常)政府委員 昨年の九月決算、野村証券の経常収支は百六億円の黒字でございます。同じく日興証券百七億円、山一証券五十四億円、大和証券八十三億になっております。荒利益、税引前損益でございますが、野村証券が百五十四億、日興証券が百三億、山一証券が一億九千万、大和証券が六十四億になっております。純利益でございますが、野村証券が七十二億、日興証券五十三億、山一証券一億四千万、大和証券が三十億、いずれも端数を切りすてておりますが、そういう数字になっております。  四十二年九月期は、それよりもかなり低い数字になっておりまして、純利益だけ申し上げますと、野村証券が三十億、日興証券が十四億、山一証券が三千万、大和証券が十二億の純利益になっております。
  151. 只松祐治

    ○只松委員 私がもらったこれと多少違うけれども、それはそれでいい。時間がないから私のほうから読み上げて、多少説明をしますが、たとえば野村証券の昨年度の営業収益は三百三十八億二千九百万円です。それから次に大きい日興証券が二百五十八億円、それに対して申告所得金額は、野村が百九十八億円、日興証券が百二十六億円、表面上は大きいですね、七十何億ですね。営業収益は野村のほうが約八十億くらい大きいですね。ところがここの中には、日本証券の解散による利益が含まれておるが、野村が百四十四億、日興が七十三億円、したがって営業収益には八十億からの日興と野村の差がありながら、実際上の差し引き平年度に直した場合の利益は、野村証券で五十三億五千万円、日興証券で五十三億円、こういうことでほとんどとんとんですね。これはあなたたちからいただいた資料に基づいて計算を私なりにしてみたのです。表面利益は、申告所得はこうやって違うのに、その中に保有組合のやつがある。それを差し引くととんとんですから、これはどういうことでしょう、八十億の金がどこか行くえ不明になっておるけれども。あなたたちは頭がいいからすぐミスを見つけ出すかもしれないけれども、そういうことだけじゃないのですよ。野村なら野村のあれをいろいろ見てごらんなさい。たとえば損益計算書と貸借対照表、こういうものを見ましても、ほかの会社は大体合っていますね。これは合うのがほんとうです。ところが、野村の場合はほとんど違っていますよ。たとえば税金の充当額にいたしましても、損益計算書で二十億三千万、貸借対照表を見ると十四億というふうに。たとえば大和は四億五千万に四億五千万、日興も九億二千万に九億二千万、全部合っておる。野村は非常に違っておる。  私たちみたいなしろうとが少しこうやっていじってみましても、去年野村は純利益五十億円を、皆さん方の指図でしょうが、貯金に回しておる、積み立てに回しておる。このくらいもうかっておる。この会社の内容というものは、私はきわめてずさんだと思う。ほんとうはあとで大臣が帰られて、あなたたちと詰めをやってもいいのですが、大臣がぐずぐずしていると、ほんとうはここで審議のストップというところです、答弁できないから。きょうはフリー質問ですし、大臣がもう帰る、帰ると言っておるから、種明かししておるのだが……。  ついでに大臣に言っておきますが、営業利益率を見ても、野村が非常に低いのがある。それから営業費率をたとえば山一なんかを見ましても、四十年から四十一年九月まで見ると〇・七三七、次の年が〇・八六四、〇・七七三、こうなってきておりますね。野村が〇・八九六、その次の年が〇・八五一、〇、七一八。それからほかの、たとえば日興を見ますと、〇・八七三、〇・七九四、それからずっと下がりまして昨年は〇・六〇五。大和でも〇・六〇八、こうなっておりますね。野村のようにきわめて優秀といわれておる証券会社が大和や日興よりも営業費率を非常に高くしておるのです。結果的に出てくるのですね。再建途上にあってあらゆるものを緊縮し、引き締めておるはずの山一が一番高い、こういう状態もいろいろ出ておるのです。これはきょうやってもいいし、他日少し時間をもらって証券問題を論議して、日本の四大証券といわれておる会社の経理内容、こういうものをもう少し調べて、あなたたちと私と突っ込んで論争してもいいと思うのですよ。  そこで大臣、私もこういうふうにちょっと言って——これは実際上専門家が計算をした数字ですよ。いまのところ私がでたらめに出したのではなくて、ある専門家が、あなたたちのところに来ておるこの四大証券の会計報告をもとにしてはじき出した比率を、顕著なものをほんの一、二私は読み上げたのです。結局大会社、これは保険会社でも金融会社でも似たり寄ったりだと思いますが、証券会社というようなこういうところの会社の大蔵省に報告している内容国税庁に報告している内容というものはこのくらいずさんである。その一つを私は言っておる。大臣は、いやそんなことはない、りっぱなものだ、いや監督不行き届きでずさんなものがあるだろう、こういうふうにきょうはその御所見だけを聞いておきたい。
  152. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 四大証券にいたしましても、生命保険会社にいたしましても、大蔵省が監督をいたし、その経理は適正にいたしておるはずでございます。間違いがあればこれを訂正するにやぶさかではございませんけれども、万々間違いこれあるまい、こういうふうに私は確信をいたしております。
  153. 只松祐治

    ○只松委員 そういうふうにおっしゃるならば、ほんとうはもう少しおってもらって私が説明しなければならないのですが、まあ私の言っていることが誤りで、証券局のほうに手落ちはないんだ、こういうふうにおっしゃっているんだと思う。思うのはけっこうですけれども、私が言っているのは、数字をちょちょっと並べましたのは、たとえば営業費率だけを見ても、日興や大和に比べて山一はもう少し下げてもいいのですね。しかし、倒産した山一が営業費を相当使っておる、こういう面、それからさっき言いましたように、営業収益に対して実際上の利益は日興と野村と同じである。八十億円売り上げが多いのですよ。しかし、実際上の収益は五十三億円である。どちらも同じになってしまっておる。  これはほんとうに顕著な一、二ですよ。時間があればゆっくりおすわりになって私が説明したいのですが、こういうことをごらんになっても、いや君が言っているのはでたらめで、うちの証券局で調べているのがほんとうだ、少しも手落ちがないとおっしゃいますか。
  154. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 只松先生のおっしゃること、でたらめだというふうには思いません。しかし、思い違いということもこれはなしとしない、そういうふうに思います。しかし、御指摘の点はよく役所のほうでも検討いたしまして、納得がいくような御説明をいたすということにいたしたいと思います。
  155. 只松祐治

    ○只松委員 あとは事務官のほうにやっておきますから、大臣どうぞ……。  さっき私が一つ指摘しました四十二年十月から四十三年九月期における野村の営業収益が三百三十八億、日興が二百五十八億、これはあなたたちの手元に来ている報告書ですね、そうでしょう。それは間違いないでしょう。それに対して国税庁に出てきておる申告所得、所得額が野村は百九十八億円、日興証券は百二十六億円、その中に保有組合の配当金、利益処分金は野村百四十四億、日興は七十二億、これを差し引くとどちらもほとんど同じく五十三億になるわけですね。違いますか。税務署に申告した申告所得はそうでしょう。何ならここに国税庁から取った税務署への申告がありますよ。それはそのとおりだとお認めになりますか、それは違うとお思いになりますか、その点だけひとつ答えてください。
  156. 大島隆夫

    ○大島説明員 申告所得、最終的の数字は御質問のとおりで間違いございません。ただ保有組合の関係は、いまちょっと手元に数字を持ち合わせておりませんので、お答えいたしかねます。
  157. 只松祐治

    ○只松委員 保有組合は、これは配当したんだからそれはそのとおりで、野村が百四十四億八千九百九十六万、大和が六十億、日興が七十三億、それを差し引けばどちらもとんとんの五十三億。営業収益が八十億も違って、利益が同じく五十三億ということはどういうことですか。
  158. 坂野常和

    ○坂野(常)政府委員 申告所得については、私どもでまだ点検しておりませんので、さっそく点検いたしたいと思いますけれども、御承知のとおり、普通の決算と税務署への申告所得額との間には、税務計算上の差し引きがございますので、若干食い違いがあるというのが通常の例でございます。
  159. 只松祐治

    ○只松委員 少しはあってもいいわけですね。  それから、私が次いで質問いたしました、これを見せましょうか。——あなたたちのところに出てきている各社の損益計算書と貸借対照表とのいろんなやつをずっと見てごらんなさい。税金なんかほかの社は全部合っているのですよ。野村だけはたいへん違うのですね。ほかの項目でも全部違っていますよ。内容はどこがどう違っておるかは、あなたたちのところに出てきておる詳細な報告書を見ないと、これだけではわからない。国税庁に出てきたものを詳細に見ないとわからない。私もそこまでは突っ込んで調べていない、あなたたちもなかなか出さないからね。しかし、ここに出てきているものだけに限ってこう見ても、少し専門家が調べるといかにずさんなものであるか。野村一社だけで調べてみてもわからないわけです。野村の一期だけ調べてもわかりませんよ。各社をいろいろ当たってみたり、それから三期以上にわたってこうやって調べてみると、きわめてずさんといいますか、あいまいといいますか、ふかしぎといいますか、そういう問題が出てくるのですよ。  こういう点を見て、実はほかに私、きょうは保険会社なんかもやろうと思っておりましたけれども、何なら資料がこれだけありますからついでに出してもいいけれども、相当のでたらめがある。だから、私が一番最初言ったように一金融とか保険とか証券とか、こういうところの大会社——零細企業やなんかは全部きびしく調べられる。しかし、こういう大会社で、何百億と扱っておる会社の経理内容というものは報告をされるにまかせて、きわめてずさんなものであるということの一例を私はちょっと披露しているわけです。論争になればほかのところもまだ幾つか、皆さん方が私のところへよこした資料の中からだけでも、私が調べた範囲内で問題点というものを指摘することができるわけです。  この問題をこのままこうやっていって、法案審議の最中ならばたいへんけっこうな話ですから、ひとつ資料提出なり意見がかみ合うまで審議ストップをしたいところですが、きょうはそういうことではなくて一般質問でございますから、そこまでの詰めばいたしませんが、そういう点に関してもう少しきびしく皆さん方は調査をしていただきたい。こういうことのために私はこの問題を出したのです。何ならば、きょうはこれはこういう問題を指摘するにとどめて、皆さん方が私の言ったようなことに対する資料をひとつお出しをいただくか、また他日質問を続行して、こういう大会社がいかに監督不行き届きであるかということを質問を続けたいと思う。委員長、どうでしょう。
  160. 田中正巳

    田中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  161. 田中正巳

    田中委員長 では、速記をとって。  本日は、この程度にとどめ、次回は、来たる二十九日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時十一分散会