○竹本
委員 いまいろいろのポイントを申し上げましたけれども、単なる補正という感覚ではなくて、やはり新しい社会資本の充実、社会開発の徹底、もちろんナショナルミニマムをどう盛り込むかということは、いま
お話しのように、私も
技術的に困難があろうかと思いますから、観念論はやりませんけれども、そういう新しい視点をとらえて、性格革命的な感覚でひとつ取り上げてもらいたい、希望であります。
ただ、ここで最後にお伺いしておきたいのは、先ほども
計画どおりにやるのがなかなかできにくいという
お話がありましたけれども、日本の経済
計画の
一つの大きな欠点は、単なる予測あるいは計算というような要素が多くて、ほんとうの意味の
計画にならない。政策介入の度合いが少な過ぎる、あるいは調整の具体的手段を持たないといったような意味で、うまくいかないのはむしろ行政の機構のあり方からいってもあたりまえではないかというふうにすら
考えられるわけです。そういう意味で、単なるプロジェクトといったような
考え方でなくて、やはりプランニングなんだからほんとうにプランとして成り立っていく、またそれだけの政策課題をになっていけるような体制に制度、機構というものを
考えるべきではないかという点が
一つ。
それから次にもう
一つ、まとめて御
質問いたしますが、そういう問題をも含めて経済
計画基本法といったようなものをこの際
考えるべきではないか。基本法ばやりでございますが、特に経済
計画の基本的なあり方というものについて、ある場合には経済企画庁の権限強化ということにもつながるかもしれませんけれども、そういった経済
計画の基本的なかまえというものをうたい込んだ基本法というものを
政府において
考えられる御
意思があるのかどうか、その辺もひとつ伺いたい。
第三番目に、これは
大蔵大臣がいらっしゃいますから、
政治家としての
大蔵大臣に伺いたいのでありますが、そういう基本法もでき、基本的なかまえもできて、
国民とともに経済
計画が策定され、また、
国民とともに共同
責任で官民一体になってこれを実現していくということになれば、これは私、各国の例を調べてみましたけれども、大体そういう基本的な経済
計画を国会の承認を得ていないところはほとんどないんです。フランスでもビルマでもエクアドルでもどこでも、大体こういう基本
計画というものは、
国民の関心を特に強め、
国民の協力を求めるという意味で国会の承認を得ておる。得てないところはほとんどありませんね。
首をかしげていらしゃいますけれども、たとえば私、ここにティンバーゲンの「経済
計画」という本を持っている。これは比較経済学では非常な業績を残した研究でございますけれども、この人のセントラルプランニング、「経済
計画」という書物には、この人は経済主体というものを役者と表現しているのですが、各国の「
計画作成過程の役者とその役割」ということで、「役割」のほうには、「
決定権」はだれが持っておるか、「拒否権」はだれが持っておるか、「勧告能力」はどうなっておるか、「情報源」はどうであるか、「
実施」はどうなっておるか、こういうふうに項目を分けて各国の実態を調べているのですが、この
計画の
調査の結論は二つあります。
一つは、国情に応じた経済
計画を立てなければだめだということを非常に強くうたっておる。そのポイントは、たとえばドイツで一番心配をしているのはぼくはインフレだと思うのです。だからドイツの
計画には常に戦後のインフレに対する恐怖病というか、そういうものが根底に流れておる。アメリカの場合にはどちらかといえば、一九二九年の恐慌以来、失業者が出たら困るという
考え方、これがアメリカの一番大きなポイントです。ところが日本の場合には、どちらかというと
設備投資が行き過ぎ走り過ぎるという
傾向がある。そういう意味でフランスの場合、ドイツの場合、アメリカの場合、日本の場合、それぞれ経済
計画、セントラルプランニングというものはその国情に応じてつくらなければならないということが、この本の
一つの結論だと思うのです。
それからもう
一つは、その
計画を
国民のものとするためには、その
計画について国会の承認を得るということが
一つの手段であると思うが、その点について
政治家としての
大蔵大臣はどういうふうにお
考えになるか。
なお、これに
関連して、これは希望でございまして大臣だけで片づく問題でありませんけれども、大体日本の国会の論議というものについてぼくは非常に不満を持っているので一口申し上げますが、たとえば
予算委員会なんというものも、ほんとうの意味で
予算を
予算らしく審議している時間が何%あるか。B52とか今度はまた神経性ガスとかいうことで、こういう問題はジャーナリズムも非常に騒ぐもんだから、説くほうも聞くほうもとにかく非常に力が入るのでございますけれども、一番
国民生活に重大な問題は、ほとんど国会で審議していないというとしかられますけれども、ウエートの置き方が非常に足らない、非常にアン
バランスである。
政治の問題、外交の問題、特に軍事の問題、事前協議の問題、確かに重要な問題でございますけれども、私はこの辺で日本の国会も
予算を
中心とした経済問題にもう少し真剣に取り組むようにしたらどうかと思う。その
一つとして基本法の問題も
考えてもらいたいし、将来は国会の中に、
予算委員会がああいう形で脱線しておるような
傾向でございますから、別に経済
計画委員会をつくったらよろしい。そうしてそこでは本格的に経済の問題も論議するようにこの辺で
考えてみたらどうかと思いますが、これはこの場で言うのが適切かどうか疑問もありますけれども、
政治家としての
大蔵大臣のお
考えも承っておきたいと思います。