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大平国務大臣 特許制度のの目的が
発明の
保護、奨励であり、とりわけ
権利の
保護であるという御指摘は、
長官がいまお答え申し上げたとおりだと思います。きょうの御質疑を通じまして、近江
委員が公報の記載その他事務に正確を期して
権利の
保護に遺憾のないようにしろということは、まさに頂門の一針でございまして、私
ども責任者といたしまして心せねばならぬことであると思います。人間がやることでございますから、たまに間違いがないことは保証できないわけでございますけれ
ども、ベストを尽くしまして、そういったことのないようにやることは私
どもの責任であると思いまして、
制度の
改正の有無にかかわらず、あなたの指摘された、正確を期して
権利の
保護に遺憾なきを期せ、こういう御趣旨は十分肝に銘じて尊重いたしてまいりたいと思います。
それから、
改正によりますメリット、デメリットにつきまして、いろいろ説明を聞いたが、どうもこれは十分所期の目的を達しないのではないかという論断でございますけれ
ども、これは近江さんにお願いでございますが、もり少し御検討をいただきまして、どういうものがメリットであり、どういうものがデメリットであるか——私は、本
改正には確かに御指摘のようにメリットもあり、デメリットもあると思いますけれ
ども、メリットが多ければそういう方向に推進してまいるのが私
どもの政治の任務であろうと思います。
制度を
改正する場合には、本問題にかかわりませず、どの問題でもそうでございますけれ
ども、保守的な現状を維持
しようという考え方、それから何かこれに
改革を加えようという考え方と、必ず二大潮流が相克するものでございます。この問題につきましても、いろいろの反対があることも
承知いたしておるわけでございますけれ
ども、私
どもとしては、長い間にわたりまして専門家の間で御検討をいただきまして、いろいろな手順を踏みまして、今日御審議をいただくまでになりましたこの
改正法案というものは、みんなが一生懸命になって現状打開の道を探求いたしておりまする熱意は、かなり各方面の理解を得られるに違いないし、メリットが多ければこそこれを志しておるものと私は
判断いたしておるのでございまして、そういう
意味におきまして、理解のある御鞭撻をお願いできればと思います。
それから大
企業、中小
企業の問題でございますけれ
ども、私は本来、商工
委員会におきましてもたびたび申し上げておりますが、大
企業と中小
企業を対置して論議する考え方は間違いだと思うのでございまして、
経済の仕組みはたいへん入り組んでおるわけでございまして、相互の補完的な
関係を大
企業と中小
企業が持っております。また中小
企業は、
先ほど長官からも申し上げましたように、ユニークな特色を持って、大
企業が関心を示さない部面にみずからの生命の領域を見出して、今日生き続けておるわけでございますし、年々歳歳中小
企業がふえておるというようなこともそういうことを実証しておると思うのでございまして、必ずしもこれが対立した
関係にあることだけとらえて問題を論断するということはたいへん危険であると、かねがね考えておるわけでございます。また
日本の社会は、近江
委員も御
承知のように、私はたいへん流動的な社会だと思います。今日ソニーとか本田技研とか、われわれが子供のときにはほとんど見ることのできなかった小さい町工場が、今日巨大な産業に成長しておるわけでございまして、またわれわれが子供のときに、巨大な、勢威を誇っておりました
企業も、今日はもう見る影もないものになっております。これは
日本の社会がそんなに
制度的に壁にぶつかって
制度の制約があるから伸びられないというような窮屈な社会ではないからだと思います。英国のように名門に生まれなければ役人になれない、政治家になれないという社会じゃないわけでありまして、私のような百姓の小せがれでも
大臣になれる社会なんでございますから、もっとそこは流動的に幅広くお考えいただいて差しつかえないんじゃないか。これを非常に鋭角的に対立した
関係においてとらえるというようなことには、遺憾ながら私はあまり賛成できないのでございます。