○橋本
政府委員 二つの御
質問だと思うのでありまして、一つは、けい肺患者の問題、それからもう一つは、こういったいわゆる粉じんに対していかなる措置をとってきておるかということだと思うのでございます。私のほうで
承知しておりまするデータによりますれば、四十二年度の鍋山地区におきまするけい肺患者、これは管理一、二、三といろいろございますが、全体といたしまして百六十七名でございます。四十三年度は百七十六名というふうに聞いております。葛生地区でございますが、四十二年の三月末で五百二十八名、それから四十三年の三月末で五百五十二名というふうに
承知しております。こういうふうに若干現在もふえておるような状況はまことに遺憾でございますが、四十二年の六月に、この鍋山地区、葛生地区につきまして、いろいろ石灰からの粉じんが問題になりまして、特に鍋山地区は、
先生御
承知のように、葛生地区に比べまして、われわれの
承知しておりますいろいろの
調査の結果によりますれば、最も悪くて、どちらかといいますれば、葛生地区に比べましてとにかく倍
程度悪いというのが鍋山の四十二年度における実態でございまして、それでさっそく東京の鉱山保安監督部で
関係者を招致いたしまして、鍋山地区におきまする各種の防じん施設の整備を指示いたしまして、その後
計画的に
実施するように指導してまいったわけでございます。いまその結果につきまして御説明申し上げたいと思います。
鍋山地区におきましては、四十二年の六月に五山の鉱業権者を招致いたしまして、粉じん防止につきましての改善指示書を交付いたしました。そういたしまして、その企業のサイドから
実施計画というものを求めたわけでございます。それで
実施計画が出てまいりまして、その
実施計画を完全に
実施するために、その後監督もし、それからまた、これは御
承知のように中小企業でございますので、いろいろ
資金的な手当てにつきまして後ほど御説明いたしますが、私のほうもいろいろあっせんしてまいったわけでございます。
この
実施計画のおもなものは、御
承知のように、この石灰工場におきまする手消化、石灰に水をかける手消化でございますが、それが最も粉じんを発生する大きな要素でございます。したがって、この手消化はやめるという一つの
計画でございます。それからその次に若干進んだ施設といたしまして、機械による消化施設がございますが、単なる機械の消化では十分でございませんので、たとえて言いますれば、二重注水式とかあるいは温水式とかあるいは洗浄式といったようなものに改造したり、あるいはそれに非常に強力な集じん装置を設置するといったようなことをさしておるわけでございます。それからそれ以外に、生産の過程といたしまして、粉砕の段階とかあるいは運搬の段階といったものがいろいろあるわけでございますが、そういった施設については密閉をするように指導してきております。あるいは密閉が非常に困難なる場合におきましては、それに集じん装置を取りつけるというふうなことでやってきております。それからまた、建屋からいろいろ粉じん逸散いたしますので、建屋につきましての露出を防止するというふうなこともやってきておりまして、そうしてずいぶん最近におきましてはその状況が進んでまいっております。
それで、その進捗の状況でございますが、手消化につきましては当時八つの施設がございましたが、現段階におきましては五つだけが残っております。それで、大体五月一ぱいで一つが機械にかわります。それから
あと十一月末で全部手消化はやめて機械にかえるというふうにいま進んでおるわけでございます。それから機械消化につきましても、二重注水式とか温水式といったようなものにかなりかわっておりまして、もともと十二基ございましたものが現在では八基それに転換して、もうすでに稼働しております。
あとの四基につきましても、大体本年の末までには完成するというふうになっております。それ以外の粉砕施設とか分級施設につきましてもいろいろ
計画が進んでおりまして、全体をながめますれば、大体今年十二月末までには当時立てましたいろいろな
計画が完成するという段階になっております。それで、これは若干手ぬるいようではございますが、こういったような機械は大メーカーはつくってございませんので、この周辺の中小の機械メーカーに注文するという形でつくっておりますので、発注後若干の時間を経て逐次機械が完成しているといったような状況でございますが、今年一ぱいで大体当初の
計画が完成するであろうと思います。
それから状況といたしましては、四十二年の六月と昨年の七月に周辺の紛じんの状況を
調査しておりますが、昨年の七月の段階におきましては、四十二年に比べますれば、大体粉じんが半分に減っているというような状況になっております。また近々やることにはしておりますが、最近の状況といたしましてはかなり減少しているだろうというふうに
考えております。
それから、こういったために必要な
資金量として大体六千三百万円
程度が要りますので、その半分
程度を中小企業金融公庫から融資しているというような状況でございます。
また、葛生地区につきましては、葛生地区はどちらかといいますれば、鍋山地区よりも若干もともといい
状態にございましたので、この地区につきましても逐次
計画を立てて
実施をさせておりますが、とりあえずは鍋山地区を先行させようというふうな方向で現在進んでいる次第でございます。