○堀
委員 この前伺ったときは
法律的な具体的な根拠がないとおっしゃった。私の率直な感じでは、いまの事前相談というのは実はそういう感じがするのです。ただ、行政相談というのは、何も
法律が書いてなくても行政相談を役所がして悪いことはないのですから、行政相談の範囲にわたることはちっとも問題ないと私は思うのですが、どうも今度の事前審査というものがはたして行政相談の範囲なのか。いまここで書かれておるのは受理に関する仕事ですね。受理に関する仕事というならこれは別ですけれ
ども、私が比重が小さいという言い方をしておることですね、その部分が延々として十カ月も行なわれる。特に
委員会では昨年の十月以来ずいぶん精力的に御勉強になったということは、そういう行政相談だとか、ここでいう「関すること」とかいう
法律的根拠を越えて、私はまさに
公正取引委員会の業務の本来の、ここに総理府設置法が書いておるような
公正取引委員会は
私的独占の
禁止及び
公正取引の確保に関する
法律に定めるところによるという、どうもこの本来の業務のようなふうに国民も受け取っているだろうし、私も実は受け取っているわけなんですね。私はなぜこんなことを言っているかといいますと、この事前相談という仕組みは実は今後ちょっと検討する必要があるのじゃないだろうかということなんです。やはり本来の業務として少しやっていただくことが必要なんじゃないだろうか。これは実は私の
意見だけじゃないのです。これは通産省の「通産ジャーナル」の五月号というのですか、これにちゃんと通産省の方もそう言っておられる。大臣官房企画室長天谷直弘さんという方がここにこういうふうに言っておられるのです。これはだいぶ手きびしいですがね、ちょっとこれを読んでみましょう。「第三の例。
合併問題審査の場合、もし、
公取委がノーといえば、
法律的には、審判、高裁裁判に持ちこまれる。さらに
独禁法が違憲立法であるか否かを争う場合には、最高裁に行くこととなる。この間、数年の歳月が費されることとなろう。しかし、
合併の成否が数年間不明のまま、二つの会社は営業活動を継続できるであろうか。答は、常識的に明らかである。とすると、
独禁法十五条は聖域にあり、その違憲性を争うことは不可能で、
公取委の行政的判断は、事実上、神聖不可侵ということになるおそれがある。ついでながら、以上のような疑問を念頭におきつつ、八幡富士
合併問題の審理について若干の希望を付記しておく。王子三社の
合併問題は最悪の結末をとげた。何となれば、
独禁法十五条の
解釈について、何ひとつ明らかにされることなく、今後の大型
合併を志向する企業に対して、
独禁法の壁の厚さを心理的にイムプレスし、同法十五条の聖域性を高める結果に終ったからである。私見によれば、王子の場合も八幡富士の場合も事前審査などという段階は省略して、株主総会で
合併決議をし、これを
公取委に届け出るという正式手続をすべきであったと思う。そうすれば、王子の場合、ああいう非条理な幕切れにはならなかったはずである。鉄の場合には、結論がイエスであれノーであれ、その結論を出す基礎となった事実認識、採用された証拠ないし証言、「公共の福祉」に対する
考え方および事実を組み立てて結論を出すに至った過程の論理について、
公取委は、これを明確詳細に天下に公表して頂きたいものである。それが明らかにされないと、聖域はいつまでも神秘の霞にとざされたままになり、秘密裁判が行なわれるのと等しい結果になる。」こういうふうに、これは通産省のお役人が書かれたものとしてはたいへん手きびしいですね。この問題は、きょうは
公取委員来ていらっしゃるから、また大臣といろいろ――この「通産ジャーナル」というのは、これは通産省が出しておる広報誌ですからね。通産省の責任において出されておる。この中に書かれておることに私はちょっと引っかかる問題がたくさんあるので、これは
あとでじっくり通産大臣とやらせていただきます。しかし、こういうことが書かれておるということですね。どうも私の感触では、天谷さんというのは私とはやや
立場が違うらしいんだけれ
ども、
立場の違う者がこう二ついて、しかしまん中に
公取がいる場合に、両方ともやはり事前審査というのはあまりうまくないなということになっておるとすると、私はやはり今後の問題としては、事前審査のあり方というのは検討を要する問題じゃないかと思うのですが、
委員長どうでしょうか。