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1969-07-01 第61回国会 衆議院 社会労働委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月一日(火曜日)    午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 澁谷 直藏君 理事 竹内 黎一君    理事 谷垣 專一君 理事 橋本龍太郎君    理事 渡辺  肇君 理事 河野  正君    理事 田邊  誠君 理事 田畑 金光君       阿部 喜元君    藏内 修治君       佐々木義武君    世耕 政隆君       田川 誠一君    高橋清一郎君       中川 一郎君    中野 四郎君       中山 マサ君    丹羽 久章君       広川シズエ君    福家 俊一君       古内 広雄君    増岡 博之君       箕輪  登君    阿部 昭吾君       枝村 要作君    大原  亨君       加藤 万吉君    後藤 俊男君       島本 虎三君    内藤 良平君       西風  勲君    平等 文成君       八木 一男君    山田 耻目君       山本 政弘君    大橋 敏雄君       北側 義一君    谷口善太郎君       關谷 勝利君  出席国務大臣         労 働 大 臣 原 健三郎君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         労働大臣官房長 岡部 實夫君         労働省労働基準         局長      和田 勝美君         労働省労働基準         局賃金部長   小鴨 光男君         労働省職業安定         局長      住  榮作君         労働省職業訓練         局長      石黒 拓爾君  委員外出席者         農林大臣官房企         画室長     森  整治君         農林省農政局参         事官      中澤 三郎君         通商産業省企業         局立地公害部立         地政策課長   黒田 四郎君         労働省労働基準         局労災管理課長 桑原 敬一君         参  考  人         (日本航空株式         会社専務取締         役)      斎藤  進君         専  門  員 濱中雄太郎君     ————————————— 六月二十七日  委員世耕政隆君、高橋清一郎君、福井勇君及び  箕輪登辞任につき、その補欠として宇都宮徳  馬君、小泉純也君井村重雄君及び倉石忠雄君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員井村重雄君、宇都宮徳馬君、倉石忠雄君及  び小泉純也君辞任につき、その補欠として福井  勇君、世耕政隆君、箕輪登君及び高橋清一郎  君が議長指名委員に選任された。 七月一日  委員齋藤邦吉君、福家俊一君、福井勇君、枝村  要作君及び島本虎三辞任につき、その補欠と  して古内広雄君、稻村左近四郎君、中川一郎  君、阿部昭吾君及び内藤良平君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員中川一郎君、古内広雄君、阿部昭吾君及び  内藤良平辞任につき、その補欠として福井勇  君、齋藤邦吉君、枝村要作君及び島本虎三君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を  改正する法律案内閣提出第六九号)  労働保険保険料徴収等に関する法律案(内  閣提出第九七号)  失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を  改正する法律及び労働保険保険料徴収等に  関する法律施行に伴う関係法律整備等に関  する法律案内閣提出第九八号)  労働関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案労働保険保険料徴収等に関する法律案、及び、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険保険料徴収等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の各案を議題として審査を進めます。  この際、おはかりいたします。  本案審査のため、本日参考人として日本航空株式会社専務斎藤進君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
  4. 後藤俊男

    後藤委員 この前の続きでございますけれども、実はこの日雇保険の問題ですね、いままで六百六十円以下が二級、六百六十円以上が一級、これが今度の改正で、千円以上、千円以下、こういうことになりましたですね。特に私、一般的な問題ではなしに、日雇いの、しかもこの前もいろいろとお話しいたしましたように、失対事業関係でございますけれども、今度の改正によって、いままでどおりで改正されない人もある。この前の委員会では、大体何%くらいがこうなってという話も十分聞かしていただいたわけですが、そうなってまいりますと、千円以上、千円以下で一級、二級ということになりまして、特に失対事業関係日雇い労働者につきましては、相変わらず千円以下ということで、金額におきましては五百円に据え置かれる、こういう人もあるわけなんです。そういう点から考えてまいりますと、千円というのをたとえば九百円くらいに下げる。こうすることによって、今度の改正一級適用者が多くなるのではないかということも十分考えられるわけでございますけれども、この千円というのをたとえば九百円に下げる、こういうような問題につきましては、どういうふうなお考えでございましょうか、お尋ねいたします。
  5. 住榮作

    住政府委員 御指摘のように、日雇失業保険受給者の大半は失対就労者でございますが、失対就労者につきましては、前回も御説明申し上げましたように、直ちに恩典を受ける者の数は少ない。しかしながら、夏季あるいは年末の臨時措置によりまして、その際受ける給与を前二カ月に延ばして考えますので、その間は一級を受け得るというように申し上げたのでございますが、さらに明年度以降の賃金上昇考えますと、その間の関係は非常によくなるのではないだろうか、こういうように考えておるわけでございます。  ただいま先生指摘のように、千円を下げることによってカバー範囲を広くするように考えたらどうか、こういう御指摘でございますけれども、御承知のように、現在の七百六十円は、三百三十円と五百円のアップ率に応じまして七百六十円をきめ、さらに千円もきめておりますので、千円を九百円に下げますと七百六十円の額も下げざるを得ない、こういうような関係になりますので、ことしはいろいろな意味カバー範囲は少ないけれども、それが明年度以降になりますとかなりの範囲のものが新一級金額を受けられるようになる、こういうように考えておる次第でございます。
  6. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、これはこの前も言ったかもわかりませんけれども、一般的な話は別問題にしまして、失対事業だけ考えると、今度の千円で二級、一級がきまるわけですけれども、現在失対事業賃金全国平均は八百九十円くらいだと聞いておるわけですけれども、そうなりますと、この改正によって恩典に浴するものは大体五%程度です。ただし、年末手当であるとか、夏季手当であるとか、こういう手当関係をならしますと大体三五%ぐらいが適用されるのではないか。これがこの前の説明であったように私覚えておるわけですけれども、それ以外の人はやはり相変わらず五百円で据え置きになる、こういうことになると思うのです。  そうしますと、今度の改正が、これは金額につきましての三年目の引き上げでございますね。そうすると、さらにまたこれは据え置きになってしまう。計算してみなければわかりませんけれども、六百六十円以上の、手当をならしても、一級に該当しない人は相変わらず五百円だ、こういうかっこうになってくると私思うわけです。そうしますと、三カ年間そのまま放置されて、さらにまた今度の改正ではそれらの人は恩典に浴さない。こういうことになってまいりますと、四年も五年もそのまま放置されるような形になるのではないだろうか、こう私は考えるわけです。それらの人に対しましてはどういうふうにお考えになっておるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  7. 住榮作

    住政府委員 ただいまの御指摘でございますが、三年間法律改正を行なっておりません。三年前の受給者の分布を見ますと、三百三十円と五百円のものの割合は大体五〇%、五〇%であったと思います。賃金上昇につれましてそれが、前にも御説明しましたように、現在は三百三十円が五%、それから五百円が九五%、こういうようになっておるわけでございまして、当然のことでございますけれども、年を追うにつれて二級から一級にふえていくものの数が多くなるわけであります。失対就労者につきましては、先ほど申し上げましたような事情があるというように考えておるわけであります。  それからもう一つ、今後法律改正がないとできないか、こういう問題でございますが、今回の改正案におきましては、特に賃金水準との関係で、現在の等級区分が非常に実情にそぐわなくなる、こういう場合は労働大臣が告示で変更できるようになっておりますので、法律改正を待たないでも、非常に不合理な場合は労働大臣金額の改定ができる、こういうようになっておるのでございます。
  8. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、いま言われました失業保険金日額自動的変更規則の創設、この点だろうと思うのです。この内容について大体第一級と第二級とどういうふうな関連になったときに自動的に日額改正するのであるか、この点の御説明をいただきたいと思います。
  9. 住榮作

    住政府委員 この規定を設けるに至りました趣旨は、ただいま御説明申し上げましたとおりでございますが、この自動変更規定の発動の基本的な考え方といたしましては、まず賃金上昇に伴いまして、一級と二級の該当者構成比が著しく不均衡になった場合、たとえば今回のように二級が五%とか、あるいは一級が九五%——これは「著しく」の解釈をどうするかという問題がございますが、そういうような場合、さらに考え方としましては、もとの一級の額を新しい二級の額としまして、その上に新しい一級の額を積み上げるというようなこと。     〔委員長退席橋本(龍)委員長代理着席〕 それからさらに先ほど申し上げましたように、新一級の額というものは、二級該当者受給者給付率関係を考慮しまして、その均衡を得たものとして考える。さらに日額分改正後は等級別受給者の数が均衡を得たものになるように考えるというようなことを基本的な考え方として考えておりますが、なお細部につきましては、審議会等の御意見によりまして適切に定めてまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
  10. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、いま言われました、一級と二級とのバランスを欠いたということだと思うのです。たとえば二級の適用者が八〇%くらいになった。一級のほうは二〇%くらいになってしまった。そういうときには自動的に改正するのだ、こういう内容だと私は思うのですが、それが著しく均衡を欠いたときというのは非常に幅があるような気がするわけなんです。この点につきまして、もう少し、こうなったときにはもう労働大臣のあれによってやるのだというふうな点の御説明をいただきたいと思うわけです。
  11. 住榮作

    住政府委員 ただいま申し上げましたように、現在の法律では額が法定される、こういうことになりまして、過去三年間、本来ならば上げるべきであったにかかわらず、法律関係もございまして、三年間据え置きになった、こういう事情の結果、申し上げておりますように、二級が五%、一級が九五%、こういうような事態になったのだろうと思います。先ほど申し上げましたように均衡を考慮して定める、こういうように一級と二級の受給者均衡を考慮して定めると申し上げましたので、先生いまおっしゃいましたように、たとえば八〇%と二〇%というような場合は著しく不均衡、こういうようなものに該当するというように考えますけれども、先ほど申し上げましたように、そこらあたり考え方につきましては、審議会等意見を聞きまして適切に対処してまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
  12. 後藤俊男

    後藤委員 そこで、私いまの説明の中身はわかったわけですけれども、問題は一般失業保険日雇い関係失業保険です。これは先ほどからいろいろ言っておりますように、今度の改正によっても恩典に浴さない人も多少あるわけです。これは間違いないと思うのです。しかも、日雇い関係につきましては、国庫のほうといたしましても三分の一の負担一般のほうは四分の一の負担、この趣旨というのは、やはり賃金の安い人に対する配慮というのが私入っておるのではないか、こう思うわけなんです。ところが、一般のほうにつきましては、扶養手当があるわけですね。扶養家族配偶者につきましては、今度十円引き上げになるわけですね。その他につきましては、これは引き上げにならぬと思いますけれども、それならばこの日雇い関係につきましては、なぜ一体扶養手当支給されないのだろうか。少なくとも国庫負担におきましても三分の一というところまであたたかい配慮が与えられておりますのに、一般のほうは扶養手当があるけれども、日雇いのほうは扶養手当がない。     〔橋本(龍)委員長代理退席谷垣委員長代理着席〕これはどうしても私わからぬわけなんです。どういう理由でこういうような扱いになっておるのだろうか。この点の説明をひとつよくわかるようにお願いいたしたいと思うわけです。
  13. 住榮作

    住政府委員 これは一般失業保険と違いまして、日雇失業保険は、申し上げるまでもなく、毎日毎日支給する、こういう制度のたてまえになっております。そういう意味支給の便、不便ということを考えまして、定額制をとることによって初めて運営が可能であって、扶養加算を加えるとすれば給付種類がふえまして、非常に支給事務が繁雑になりまして、運営が困難になるということが大きな原因でありますと同時に、これにさらに付加して、日雇保険収支状況が必ずしもよくない、こういうような理由に基づいて、扶養加算制度をとっていないというふうに理解いたしておる次第でございます。
  14. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、いまあなたが言われた、事務的に繁雑だから扶養加算をつけることができない、そういう説明です。しかし、考えてみますると、日雇い関係につきましては、これは何べんも私同じようなことを申し上げるわけでございますけれども、特に失対事業関係におきましては賃金が低いわけですね。低賃金なんです。だから国庫負担におきましても三分の一の負担をする、一般については四分の一だ、そこまで考えておるのに、一般のほうには扶養加算があるのに、なぜ一体日雇いのほうにつきましては扶養加算がないのか。事務的にややっこしいからどうしてもできぬのだということでは、これは理屈にならぬと思うのです。当然与えるべきものは与える、理屈の上から考えても、そのほうが正しいと私思うわけです。それだけの仕事があるなら、その仕事を消化できるだけの要員をかかえればこれはできるわけです。特に、家族につきましては、毎日毎日扶養家族が変わるわけじゃないと思うのです。大体一ぺん申請しておけば、そうむやみやたらに毎日毎日家族構成が変わるわけでもなかろうと思いますから、事務的に繁雑だと言われますけれども、そう繁雑な問題でもないような気もするわけなんです。いま局長の言われましたように、事務的に繁雑だからとてもそんなことはできまへんのやという理由では、私どうしても納得できぬわけです。もう少しこうこうこういうふうだから、一般のほうには扶養加算があるけれども、日雇いのほうについては扶養加算がないのだという正しい理論立てがあるのなら別問題です。それなくして、ただ事務的に繁雑だからどうだとかこうだとかいうことでは、そうだとは申すわけにはまいらぬと私は思うのです。再度御説明願います。
  15. 住榮作

    住政府委員 大きい理由は、ただいま申し上げましたように、給付種類をふやすということは、毎日日雇失業保険支給するという事務処理関係からいって非常に問題がある、こういうことでございます一と同時に、日雇失業保険一般失業保険との関係におきましては、日雇失業保険におきます給付率というものは、定額制のために一般失業保険に比べて有利な点もある、こういうこと等もございまして、現在扶養加算制度はとっていない、こういうように理解しておる次第でございます。
  16. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、いまあなたは、一般のほうより有利だといわれますけれども、私は日雇いのほうが不利だと思うのです。あなたのほうから出されました書面、どの書面か私忘れましたけれども、今度の扶養手当を十円ふやすことによって計算いたしますと、給付率が大体六六%になると書いたあれがありました。日雇いのほうは、計算しますと、給付率が大体五七%ぐらいにしかならぬ。日雇いの中でも、特に私は失対事業のことを言っておるわけですけれども、八百九十円の五百円、こうなりますとこれは五七%にならぬわけです。そうなりますと、一般のほうは失業保険に対する給付率は六〇%以上になっておる。ところが日雇いのほうは、特に悪いところ、失対事業関係平均して計算しますと、五七%にもなっておらぬわけです。  ところが、その五七%にもなっておらぬところへは扶養加算がないわけです。六〇%以上になっておるところへは扶養加算があるわけです。こんな不合理なことは私はないと思うわけです。労働大臣いかがでしょうか、ちょっと大臣にお尋ねします。
  17. 住榮作

    住政府委員 ちょっと事実だけ……。たとえば一般失業保険におきまして、先生指摘のように、定額扶養加算積み上げとか、日額への定額積み上げがございまして、現在の一番低い段階の一等級についての給付率考えてみますと、七四%くらいでございます。それから日雇失業保険について考えますと、平均的には現在の新しい改正案によりますると、先生のお考えのようにもなるかと思うのでございますが、かりに千円の人が七百六十円を受けますと、給付率は七六%になります。そういう意味平均的には等級別受給者構成比によっていろいろな関係が出てまいりますけれども、先ほど申し上げましたように、来年になりますとそれが非常に変わりますので給付率が上がってくる、こういう関係になるかと思うのであります。
  18. 後藤俊男

    後藤委員 あなたいま非常に話のしやすいところだけ言われましたけれども、一般のほうは大体二十級が中心でしょう。それで平均を出すと、大体扶養加算の十円増加するというのを計算してみると、六〇%以上になることは間違いないと思うです。ところが、失対関係日雇いにつきまして平均を出すと、八百九十円何十銭ですか、何十銭かは忘れましたけれども、そこで五百円ということで計算しますと、事実として五六・何%にしかならぬわけです。国庫負担におきましても、一般のほうは四分の一で、日雇いのほうは三分の一というところまであたたかい配慮があるのに、低賃金のほうに対しましては扶養加算がない。一般のほうの率の高いほうには扶養加算がある。ところが、低賃金のほうは事務的に繁雑だからそんなことはできぬのや、これが第一番の理由だということをあなた言われますけれども、そんな説明では通らぬと私思うわけなんです。いかに繁雑であろうとも——毎日毎日家族構成が変わるものならそれはつ私はあると思うのです。ところが、家族構成というのはそう毎月毎月変わるものでもないと私は思うのです。一たんきちっとしておれば支給というものはそう困難な仕事ではないと私思うわけです。そうなりますと、局長が言われました理由というのは、こんなことをきめるとやっかいだから、やりたいけれども事務的にむずかしいから、やらぬとさわらずにやめておこうじゃないか、一般のほうは簡単にやれるから、こういうふうな気持ちが先走ってここに提案されておるようなかっこうになっておるのではないかと思うわけです。だからこれはぜひとも——賃金の高い人をとやかく私は言うわけではございませんけれども、一番低賃金で苦しんでおられる人に対する扶養加算というのは、一般失業保険にも入っておるのだから当然日雇いのほうへも適用すべきである。私はこれは当然のことだと思うわけなんです。労働大臣、いかがでしょう。
  19. 原健三郎

    原国務大臣 さいぜんから先生局長との話をずっと聞いておりますのですが、失業保険に関し、一般と失対の日雇いとの点についてどうも話がかみ合わない。これはなかなかこまかい技術的なことやいろいろあるのですが、御趣旨の点は私もよくわかるのですが、そういうふうにいけるのかいけないのか、私もいま直ちにどうという考えは出ませんが、前向きでひとつ一ぺん検討を命じて善処したい、こういう程度のお答えでございます。
  20. 後藤俊男

    後藤委員 そうすると、大臣、この問題については事務的に繁雑になるということは私もわかるわけですが、考えていただきますと、一般のほうには扶養加算があるが、日雇いのほうには扶養加算がない。しかも、これは低賃金で苦しんでおる方にないわけですね。そうなりますと、当然今度の改正あたりでは、一般のほうも、日雇いのほうにつきましても、扶養加算をつける、こういうふうに修正していただくのが当然のことだと私は思うわけなんです。労働大臣もいま、前向きで前進する、こう言われますけれども、ぜひこの問題につきましては理事会十分相談をしていただいて、次の機会ということではなしに、今改正時にいま申し上げました扶養加算の問題については修正をしていただく、そういうことでぜひお願いをいたしたいと思うわけです。
  21. 住榮作

    住政府委員 いま大臣から申し上げましたように、日雇失業保険につきましても、一般失業保険と同じように賃金基準といたしまして六割給付をたてまえとしてやる、これは思想的には考え方として御指摘のとおりかと思いますが、毎日毎日保険金を支払う場合に、それを一々計算するということは、事務的にも非常に困難でございますので、現在の体制ではそういうことはできない。しかも、そういう意味定額制をとっておるわけでございますが、さらに扶養加算制度を加えるということにつきましては、先ほど申し上げましたようにその大きな原因事務処理ということにございますので、現在の機構、人員をもってしては直ちにこれはできない、こういうように考えておる次第でございますが、大臣の御意見ございましたように前向きに検討してみたい、こういうように考えておる次第でございます。
  22. 後藤俊男

    後藤委員 いま局長できないと言われましたが、じゃできない根拠を説明してください。
  23. 住榮作

    住政府委員 現在日雇保険日雇い労働者職業紹介に従事しております人員体制から考えまして、不可能と申し上げておる次第でございます。
  24. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、大臣にお尋ねしますが、いま申し上げましたように、この扶養加算の問題については、なるほど日雇い失業保険支給問題については、一般と違いまして複雑であるということは、私も十分承知しておるわけです。ところが、配偶者なり家族の問題については、先ほども何回も繰り返しておりますように、毎日毎日、毎月毎月変わるわけじゃないわけなんです。毎日毎月変わるものなら、あなたの言われるように、とても事務的に繁雑で、とても扱いにくいという理屈も通るかもわかりませんが、お互いの家族というのは、そう簡単に変更されるものじゃないと私は思うわけなんです。それさえ明確になっておるなら、そう私はむずかしい問題じゃないと思うのです。いまの体制ではやれない、こう局長は言われましたけれども、やれないならやれる体制にしてもらうことだと私は思うのです。だけれども、あなたは現行の体制ではやれぬ、理屈の上では正しいから支給したいけれども、事務的に繁雑だから支給ができぬというなら、支給できるような体制をつくってもらうのがあなたのほうの仕事じゃないのですか。当然私はそうだと思うわけなんです。ただ私は、賃金の高いほうの人に対するとやかくという問題なら、こうねばる気持ちはございませんけれども、少なくとも失対事業なり何なり、日雇い関係で非常に苦しんでおられる人に対する扶養加算がこれはないのでしょう、一般のほうはあるのに。それが事務的に繁雑だからできませんのやということで放置されておったんでは、これは申しわけないと思うのです。  ところが、現在の体制ではやれぬと言われるなら、現在の体制でやれるような体制をつくってもらって、今度の改正の時期からやってもらう、これはあたりまえのことだと思うのです。やらぬのはあなたのほうがおかしいと思うのです。やってあたりまえのがやらぬわけなんです。大臣もわかった、そのとおりおまえの言うのが正しいとさつき言っておられるわけなんです。それやったらそのようにやったらどうですか、あなた、できませんというようなことを言わずに。いかがですか。
  25. 住榮作

    住政府委員 私が申し上げましたのは、趣旨としまして、やはり賃金の額に応じて、一般保険と同じように、日雇失業保険も人によって額を違えて支給する、こういうのがたてまえといいますか、考え方であろうと申し上げたわけでございます。しかし、それを一人一人によって、毎日毎日額が変わる、こういうことで非常に問題でございますので、日雇失業保険においては定額制をとっておる。で、そういう体制で、現在の事務処理体制がとられておりますので、直ちにそれに即応する機構なり人員の備えなくして扶養加算制、これは妻、配偶者ばかりではございません、子供も含めてでございますから、直ちに扶養加算制度日雇失業保険に導入することは、いま申し上げましたような意味で不可能である、こういうように申し上げておる次第でございます。     〔谷垣委員長代理退席委員長着席〕
  26. 後藤俊男

    後藤委員 しかし、事務の繁雑繁雑と言われますけれども、局長は、現在の体制では不可能不可能と言われますけれども、まあ私らの言うことは、しろうと考えかもわかりませんけれども、千円以下のものは五百円、千円以上のものは七百六十円、これは定額ではっきりしておるわけですね。しかも、家族の構成についても、これははっきりしておるわけなんです。そうなるなら、どうしてそうあなたがいまの体制ではやれぬやれぬと言われるのか、根拠というのがわからぬわけなんです。もう千円以下の者は五百円、千円以上の者は七百六十円、一級、二級でこれははっきりしておるでしょう。そこで、配偶者があって子供があったら、これだけ加算してこれを支給する。しかも家族構成につきましても、一ぺんきちっとしておけば、これはそうむやみやたらに変更のあるものじゃないわけなんです。それがなぜ一体事務の繁雑繁雑でやれぬということになるのですか。私はそうむずかしい話じゃないと思うのですが、こうこうこういうふうで、どうしてもこの辺のところがこういうふうに事務ができぬので、こうなっておりまして、こういうふうだという詳細な説明があるなら別問題ですけれども、ただ私らが頭に描いておるのは、いままで三百三十円と五百円、これが千円以上の者は七百六十円、千円以下の者は五百円と、それに家族構成というものは一ぺん調べておいたらそう変更するものじゃないから、それに対する扶養加算と、こういうことになるのでしょう。そうむずかしい話じゃないじゃないですか、これは。やる気持ならこれはやれると思うのです。人が足らなければ、これはふやす必要があると思いますけれども。これは会計を見ましても、一千九百三十億からの黒字ですから、やろうと思えばやれるわけなんです。その点いかがですか。
  27. 住榮作

    住政府委員 現在の体制は、千円を境にしまして、以上の方には七百六十円、以下の方には五百円、こういう体制で現在の機構、人員が配置されておるわけでございます。さらに、これに扶養加算金額支給が加わるということになりますと、現在の体制では処理できない、こういうように申し上げておる次第でございます。
  28. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、大臣にちょっと御意見を伺いますが、いま申し上げました扶養加算の問題について、お互いにひとつ考えてみますると、一般のほうは大体賃金が高いのじゃないかと私思うわけです。日雇い関係につきましては、賃金が非常に安い、安い中でも特に安い労働者の人がたくさんおいでになると思うんです。そこで、いま申し上げておりますところの扶養加算の問題について、一般のほうにはこれは支給があるわけなんですね、配偶者二十円を今度は改正で三十円にする、あるいは第一子、第二子ということで加算があるわけなんです。ところが、それ以下の、日雇いで非常に苦労しておられる人に対する扶養加算というのは、事務的に繁雑だから行なえないのだ、やれぬのだ、こういうことで扶養加算がないわけなんです。しかも、これをやろうといたしましても、職業安定局長が言われるように、いまの体制では、いわばいまの要員だけでは、そこまでの事務はこなすことができない、こういう説明でございますけれども、これは、事務的に仕事ができないというなら、事務的に仕事ができるように、ひとつ人間をふやしていただく、そうして扶養加算の問題につきましては、この改正と同時に、ひとつ日雇い労働者に対しましても扶養加算支給する方向へ修正をしていただく、これをぜひひとつお願いいたしたいと思いますし、さらに委員長に対しましても、これもやはりいろいろ問題があろうと思いますから、理事会でいま申し上げました扶養加算の問題については十分相談をしていただいて、改正点の一つとしてあげていただきますようにお願いをいたしたいと思います。
  29. 原健三郎

    原国務大臣 日雇いの方に扶養加算をつけるように、こういう御意見で、御趣旨には私どももそう反対することはございませんが、さいぜんから局長も申し上げておるように、これはやはり人手が、事務処理の職員が不足しておるし、これはそれでどのくらい不足しているか、何名ふやすか、さてふやすというと、これが御承知のとおり、このごろ役人の数をふやすことは、非常なきびしい制限を受けておる閣議決定もございまして、そういうことは御承知のとおりでございます。  それで直ちに何人ふやすか、事務処理をどうするかということになりますと、いま何とも、直ちにどうというお答えはできないのがはなはだ残念でございますが、御趣旨はよくわかりましたので、きわめて前向きにひとつ検討させていただいて善処いたしたい、こういうことにしていただきたいと思います。
  30. 後藤俊男

    後藤委員 大臣から、ああいう御発言がございましたので、先ほど言いましたように、理事会でひとつ十分御相談いただいて、改正する方向でひとつお願いいたしたい、こう思います。  それからその次は、この保険料の徴収の一元化の問題でございます。保険料の徴収一元化は、将来厚生省所管の社会保険料も含めて一元化しようというような構想があったといわれておるわけでございますけれども、これは労働省としてどういうふうな考えでおいでになるだろうか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  31. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 いま後藤先生指摘の、一般の社会保険関係の徴収を総合的に、統一的にやれ、特に厚生省との関係で、そこいら辺が一元的にやれないだろうかというような構想が出されている向きはございます。ただ私どもといたしましては、現在それぞれの保険は保険目的を異にいたしておりますし、体制も違っておりますので、私どもとして、とりあえず労働省関係の両保険の徴収だけでも一元化いたしまして、合理化をはかっていくということにしておる次第でございまして、将来の問題は、そのときいろいろ検討することになると思いますが、現段階におきましては、労働省はいまの両保険だけを統合していきたい、こういう考え方でございます。
  32. 後藤俊男

    後藤委員 昭和四十三年の十一月における財政審議会の答申にも、保険公社というようなことも含まれて一元化の問題が出ていると思うのですね。いまあなたが言われた、当面は労働省として一元にする、しかしながら将来は厚生省関係も一元化するのだというふうなものの言い方に私は聞いたわけでございますけれども、そうなってまいりますと、健康保険がやがて問題になるだろうと思いますが、失業保険関係におきましては、昭和四十二年で千九百三十億の黒字になっておるわけです。片方の健康保険の問題につきましては、これまた赤字が多い。これらが一緒になってしまいますと、もうかる会社ともうからない会社が一緒になるということになってくるわけです。将来、いま申し上げました保険料の一元化の問題について、労働省としての方針はどうですか、当面どうこうということを私聞いておるわけではございませんが、その点、労働大臣に聞いたほうがいいかもわかりませんが………。
  33. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 先ほどちょっとことばが足りないで、そういうような御印象を受けたかと思いますが、御承知のように、財政審議会あるいは行監等で、実は社会保険全体の一元化の問題を将来の問題として検討事項としてあげておるわけでございます。そういう意味で、政府全体といたしましては、検討の事項として考えておりますが、労働省といたしましては、先ほど申しましたように、いろいろ保険それぞれ立て方、あるいは目的等が違っておりますので、簡単に統合することはなかなかむずかしいということをいま考えておる次第でございます。
  34. 後藤俊男

    後藤委員 いま話がありましたように、労働省としては厚生省も一緒になって一元化ということではなしに、労働省としての一元化を考えておるのだ、こういうことだと私は思うわけです。  そこで、労働大臣にもちょっとお尋ねいたしたいのですが、この問題が出てまいりますと、たとえば厚生省、労働省関係保険料一元化の問題が出てくると、労働省は労働省で、おれは厚生省とは全然関係なしで、一緒になれぬのだ、こういうふうな抵抗があって、非常にむずかしいと思うわけなのです。やはり国の施策として行なう場合には、われわれしろうとが考えてみましても、片方の会社は二千億余っておるが、片方の会社では二千億も赤字だ、この辺のところをひとつ何か考える必要があるのじゃないかというようなことに気がつくわけでございますけれども、あくまでも労働省としては労働省関係の一元化、こういうことで進める方進であるかどうか、この点ひとつ労働大臣にお伺いいたしたいと思うわけです。
  35. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 最初に私からちょっと申し上げさせていただきます。  先ほど先生指摘のように、各保険会計の中には、それぞれ赤字、黒字の問題とか、それから現実に保険目的とかいろいろ違っておりますので、保険全体を統合するということは、まず無理ではないかということがいわれるわけでございます。ただ、徴収面だけにつきましては、ばらばらに徴収するよりも、一元的にしたほうが利用者といいますか、被保険者のほうの側も便利ではないかという議論もございますので、もしそういうことになりました場合には、それぞれの保険制度、特に労働省の保険制度がそこなわれないような形で徴収できる、一元化できると思われるような部分だけについて考えるということは、将来の課題としてあろうかと思います。
  36. 後藤俊男

    後藤委員 ぜひひとつ、一元化の問題につきましては十分考えて、特に慎重にやっていただきたい。  それとあわせて機構改革の問題ですが、これは最近少し静かになりましたけれども、たとえば労働基準局を地方に移管するとか、いろいろな問題が出てまいりました。この機構改革の問題については、一元化との関係も私はあるように思うわけなのです。この機構改革の問題につきましてはもう断念されたのか、あるいは今後もやろうと考えておられるのか、この点の御説明をいただきたいと思うわけです。
  37. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 機構改革の問題につきましては、御承知のように、労働省といたしましては政府の第二次行政機構改革の一環といたしまして、どうすべきかということをいままで検討してまいりました。御承知のように、昨年の十一月の二十六日に、関係大臣の間で、一応今後改正するとしたら、こういう方向でやってはどうかというような覚え書きを取りかわしまして、それに基づいて、その具体化について引き続き検討してまいったわけです。ただ、その後現実にいろいろな点につきまして最終的な調整がつかないという状態でございました。したがいまして、今国会に提出することはとうていできないということで、さらに行革の第二次計画の一環として、今後引き続き検討していくという検討事項として、政府部内の機構改革の一環として残されたわけであります。引き続き検討してまいるということでいまのところ進めていくつもりでございます。
  38. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、いま言われましたように、この機構改革につきましては、三大臣の覚え書きもこれはあるわけですね。これに基づいてやはり全体的に機構改革をやるんだ、行なうんだ、こういうことで今日検討され、しかも推進されつつある、こういうふうに解釈していいわけですか。
  39. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 三大臣の覚え書きの線に沿いまして、引き続き検討を進めるということでございますので、現段階では三大臣の覚え書きの線に沿って、具体的にどういうふうに改善ができるかということについて、検討を今後進めていくというところでございます。
  40. 後藤俊男

    後藤委員 それから、さらに労働省で、婦人少年行政に対する基本法というのを検討しておられると思うのです。基本法が検討されますれば国会に提案ということになろうと思いますけれども、これに対して、一体今日どういうような情勢にあるのか、これをお尋ねいたしたいと思います。
  41. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 御指摘の婦人労働者の問題、年少労働者の問題につきましては、最近労働力の現在の状態等からいろいろな問題が出てまいっておりますので、この際、そういう問題についての基本的な行政のあり方なり姿勢を示すためにも法律が必要であろうということで、大臣からの御指示もございまして検討をいたしております。ただ、現段階におきましては、その法律を純然たる基本法的なものにするのか、あるいはもう少し技術的な問題も含めて機能的なものも加味してすべきなのか、あるいはそういうようなものを入れます場合に、どういう中身を入れていくかということを検討中でございまして、まだ成案を得るに至っておりません。したがいまして、今国会にどうこうというような、そういう速度でまだ検討はされておりませんので、その点は御了承いただきたいと思います。
  42. 後藤俊男

    後藤委員 そこで、機構なり要員の問題について触れましたので、もう一つお尋ねするのでありますが、今度の改正案で五人未満の事業所の拡大というのが問題になっておるわけです。これから二カ年、三カ年、五カ年ぐらいでひとつりっぱにやってしまおう、こういう内容だと思うわけです。そうなってまいりますと、業務の増加、仕事の増加というのがあると思うのです。この仕事の増加に対しては、一体どれくらいな所要人員が要るのであろうか。さらにこれをふやさないといたしますと、これは不足人員が出てくるわけですね。さらに考えてみますると、現在五人以上三十人未満の事業所につきましては、適用されておるのは統計によりますと約三割ですね、あとの七割ぐらいは加入をしておらぬわけなのです。そうしますると、五人以上三十人未満、さらに五人未満の今度の適用拡大と、これらを考えていくときには、さっきの職業安定局長の話ではないけれども、事務的にこれは業務が非常にふえるわけです。ふえると思うのです。当然ふやさぬことには仕事はできぬと思うのです。そうなってまいりますと、この改正案が通ったといたしますると、これに対する要員の裏づけというのが必要になってくると思うわけです。すると、大体どれだけの要員が必要であって、どういうふうな考え方をしておられるか、この点に対するひとつ御説明をいただきたいと思います。
  43. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、実は適用拡大されますそれに応ずるために、徴収の仕事を簡素化するということで、一元化を同時に行なおうとしておるわけです。それでまあ事務のほうの軽減もはかってまいりたい。その事務量の軽減が、それによりましてどの程度になりますかということは、実は正確にはかることは非常にむずかしいのでございますが、一応私ども四〇%程度事務量の軽減が行なわれるんじゃないかというふうにも思っております。それで現在失業保険、労災保険、両保険の適用徴収事務に従事している職員が約二千百人ございます。そのほか資格の得喪とか給付事務等に従事する職員が約四千四百人、これで大体保険の適用、徴収、それから給付等の仕事を全部やっておるわけです。  そこで一元化によりまして、徴収事務が大体四〇%減るというふうに踏んでおりますので、そういたしますと、適用事業所の拡大等による業務量の増と、いまの事務の軽減とを合わせますと、大体千五百名くらいのところで徴収事務はやれるのではないか。そうしますといま二千百名ということになっておりますので、いまのスタートするとき、そのときには大体いまの人員でまかなえる。ただ将来の問題につきましては、適用事業所数が徐々にふえますにつれて、その事務量の適用に応じて人員は当然考えてまいらなければならぬ。ただすべり出しにおきましては、いま申しましたような試算をいたしておりまして、その試算に基づきますと大体現人員でまかない得るというふうに計算をいたしております。
  44. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、現在二千百人で徴収事務をやっておられるわけです。ところが、一元化によって合理化されるわけです。千六百人でできますと、五百人減らしてもできるのです。直ちにどうこうは別問題として、将来は五百人減らしてもできます。いまの説明はこういう説明だと思うのです。  ところが、今度のこの改正によって、五人未満の事業所に対する適用の問題についても、これは一般関係と違って非常に複雑怪奇だと私思うわけなんです。事務的にも非常に繁忙——繁忙と申しますか、むずかしい点があると思うのです。さらに、それと同時に、五人以上三十人未満の職場におきましても、現在三割しか適用されておらない。これもやはり拡大せねばいけないわけなんです。そうしますと事務的な面、仕事の面から考えると、当然人員をふやさぬことには、これらの仕事を消化することができぬ。ただ法律改正だけして人間をふやさなかったら、いつまでたちましても、法律だけは改正されておるけれども中身の前進はない、こういう結果になるような気が、私、するわけなんです。  そこで先ほどあなたが一元化によって四割の人間を減らしてよろしいと言われましたが、私、わかりませんが、一元化というのはどういうふうにおやりになるのですか、その点簡単でけっこうです。
  45. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 一元化は、徴収につきましての事務の一元化でございまして、これはいままで失業保険、労災保険、それぞれ徴収の手続、それから計算の方法、その他が違っておりました。これを大体労災方式に合わせてやる。それから、毎月毎月失業保険等は徴収いたしておりましたのを、これを大体概算的に一元的にやっていこうとか、そういうことで徴収事務に関します簡素化をはかっていく。  そこで、私の説明がちょっとうまくなかったのでございますけれども、四〇%人間が減ると申し上げたのではなくて、そういう簡素化のために事務量としてその辺が、いままでの両保険を合わした徴収事務よりも、大体四割方簡素化されるのではないか。これは実はそう正確な計算はできかねておる状態でございますので、ただ最初に申しましたように、ほぼその目見当にはなりますが、その程度事務の簡素化を見込めるのではないか、こういうことを考えております。
  46. 後藤俊男

    後藤委員 いま言われたことにも問題があると思うのですが、労災の保険金は、現在どれくらいな期間で支給されておりますか。
  47. 桑原敬一

    ○桑原説明員 労災の給付には、休業、療養、遺族、障害と、いろいろございますが、現在のところ、きまりまして大体二十二日後には支払われるというのが現状でございます。  なお、全国的な統計でございませんけれども、できるだけきまりましたら至急に支払うということでいろいろな手はずを立ててやっておりますが、現在は二十二日かかっております。
  48. 後藤俊男

    後藤委員 いま二十二日と言われましたけれども、労災保険金支給については、何か法規で何日以内に支払いしなければいけないというのがあるのじゃないですか。
  49. 桑原敬一

    ○桑原説明員 労災保険法上、あるいは施行規則には、何日以内に払えという規定はございません。と申しますのは、四十年の改正で年金が導入されまして、定期的に定期金が支払われるような体制になりましたので、そういうこともございまして何日以内ということは、法律上はそういう規定はございません。
  50. 後藤俊男

    後藤委員 私の調べたところによりますと、大体七十日くらい今日かかっておる。これは一番長いのだろうと思いますけれども。ということになりますと、先ほど言われました徴収の一元化ですか、合理化ですか、そういうようなこともやはり影響があるのではないかと私、思うわけなんです。たとえば労災保険金というものは一刻も早くもらいたい、こういう気持ちは十分あると私は思うのですね。確実なことはいまわかりませんけれども、大体一週間以内に支払いせよというような法規があったように私記憶しているものだからお尋ねしたわけですけれども、現状においては七十日から八十日になっておる。これはやはり事務的手続のおくれだと私は思うわけなんです。調査の関係もそれはあるかもわかりませんけれども、これをもっと早く支給するようにしてもらわなければいかぬわけですが、そうなってまいりますと、あなたが先ほど言われましたように、事務の一元化をやって、四割の人間を減らして今度の改正をやったところで、五百人の人間を減らしてもやれるんだ、机上の計算はそうなるかもわかりませんが、私はなかなかそう簡単にいかぬと思うのです。それでこの問題につきましても、仕事に見合う要員をやはり置かなければいけない、ぜひこれだけはひとつ肝に銘じていただきたい、こう思うわけです。  それから、その次には、この被保険者期間の計算の改正ですけれども、今度の改正した理由、いままではこうであったけれども、今度はこういうふうに改正——私らに言わせると改悪でございますけれども、この説明をひとつお願いいたしたいと思うわけです。
  51. 住榮作

    住政府委員 現在までの制度でございますと、失業保険金を受ける場合に被保険者期間がなければならない、こういうことになっております。その被保険者期間は一カ月で、しかも、その一カ月の中に賃金の支払いの基礎となった日数が十一日以上なければならない。十一日以上ある場合にはよろしい、こういうことでございます。したがいまして、まん中四月に、最初賃金支払い日数が十一日ある月、最後におきまして同じように十一日以上あれば四カ月二十二日でいわゆる九十日の受給資格がつく、こういうことでございます。  これに対しましてすでに御説明申し上げておりますように、現在の季節的な循環受給者の実態にかんがみまして、失業保険の五人未満の適用拡大等も控えまして、保険制度としての健全性を確保するためにその方法を満六カ月に改める。現在におきまして通常の労働者に期待し得る通常の雇用期間のミニマムといたしまして、満六カ月に改める。したがいまして、従来の四カ月二十二日が、満六カ月でございますから、百八十日になった、こういうような関係になるかと思います。
  52. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、いまあなたが説明されましたように、毎月十一日賃金の基礎日数があればよかった。さらに六カ月ですから日数的に計算すると六十六日あればよかったわけですね。失業保険の計算のいわゆる半年というのはこれで成り立ったわけです。ところが、今度の改正によって、一カ月は十一日が十四日になったわけです。十一日を十四日にふやしたという根拠は一体どこにあるんですか。これをお尋ねいたします。
  53. 住榮作

    住政府委員 現在の制度賃金支払い日数一月に十一日というのが、失業保険制度が発足しました二十二年以来の日数でございます。当時のことは必ずしもはっきりわからないのでございますが、終戦直後の混乱時代でございまして、たとえば資材がないとか原料がないあるいは電気、水道がとまるというような時代でもございました。かつまた賃金の支払い形態も、日給制がかなり多かったのでございまして、そういうようなところから、一月における賃金支払いの基礎日数が十一日、こういうことにきめられたのではなかろうかと考えておるのでございますが、その後の事情は申し上げるまでもないのでございまして、これを十四日にしたといたしましても、そう無理ではない。むしろ一月に十四日しか働かないという通常の雇用労働はあり得ないのではないだろうかというようにも考えておる次第であります。
  54. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、いま御説明がありました、いままでは毎月十一日で六十六日あればよかったものが、毎月十四日にしていわば八十四日なければいかぬわけです。被保険者側といたしましては、これはいままでよりかは条件が非常に悪くなったわけなんです。そういうことですね。そういうことになると思うんです。  そこで失業保険の財政的な問題を考えてみましても、何べんも言いますように約二千億の黒字になっておる。しかも、半年間出かせぎというような問題につきましても、やはり日本の政治のやり方等も大きな影響があると私は思うわけなんです。さらに雪国なり雨等によりまして一カ月の間十一日も働くということすらできないような悪条件下に置かれる労働者もたくさんおいでになると思うわけなんです。そういうような点を考えますときには、いまさら十一日を十四日にして、しかも六カ月間、いままで以上改悪する必要はないと私は思うわけなんです。改悪しなければいけない根拠というのは、一体どこにあるんだ、そこが今度の改正案の一つの大きな問題だと私は考えておるわけなんです。なぜ一体こういうふうに条件を悪くしなければいけないのだろうか。労働者の人は働けるだけ働いておられるわけなんですよ。たとえば天候のいい日に寝ておったり、そういうことはしておられません。働けるだけ働こう、生活せんがために、食わんがためにはということで、真剣に働いておられる人が多くあるわけなんです。そういう人が、いままでは一カ月の間に十一日働けば保険のあれにいたしましょう、こうなっておるものを、さらに十四日に引き延ばす。これぐらい無慈悲なやり方は私はないと思うわけなんです。これはぜひ考え直してもらう必要があろうと思いますし、ぜひひとつ労働大臣にも、いままでこういうふうにやってこられたものを、いまさらここでこういうふうに改悪しよう。さっきも職業安定局長は、たいした影響はないだろうと言われますけれども、たいした影響がこれはあるわけなんです。いかがですか労働大臣
  55. 原健三郎

    原国務大臣 この点が非常に議論の多い点でありますが、私どもとしてはそれほど改悪——改善したいという意向から善意ある出発をいたしておるのでございます。でありますから、たとえば地方からどんどん来て働かれる、それから地元へまた帰られる。その場合には、いままではその働く日数を通算しなかったのを今度は通算いたします。これでやはり非常に助かると思うのです。それが第一点。  第二点は、できたらなるべく季節労働者の方も常勤の労働のほうへ移行してもらいたい。何も季節だけでなく、できたら一年じゅう働けるようなほうへ進んでいただきたい。ことに、労働力不足のときであるから、そういうふうにいかないものであろうか、これも非常に考えておるところでございます。  それからその次は、この季節労務者の方々は、全被保険者のおよそ三%程度でございますが、その方々が大体三〇%ぐらいの保険料を受けておられる。これは少数の人が非常に多額な保険料給付されるわけで、それを季節労働者でない方から見ると、自分たちの保険料であの人らはうんと恩恵をこうむる。こういう点も、やはりどちらかというと多数の人のことも考えるというようなこともまた考えておるので、このために季節労務者をいじめるとか苦しめるとか、そんな意図は毛頭ございません。大体いままでとそう変わるようなことはないと思うのですがね。
  56. 森田重次郎

  57. 内藤良平

    内藤(良)委員 関連して。私は秋田の出身ですから、出かせぎの本場みたいなものですけれども、いまの後藤先生のお話に関連して労働省にいろいろ伺いたいと思います。  第一、失業保険の一部改正ということで出てまいりましたこの法律案は、一般的な労働者の皆さんにはずうっと改善されておる面が多いと私も思いますけれども、いまの問題になっておりますいわゆる季節労働者の関係だと思いますが、いままでの最低四カ月二十二日の雇用期間を、原則どおり満六カ月の百八十日にするという面ですね。これは明らかに改悪なわけです。  それはいろいろ立場があるとかどうとかいう話もあるかもしれませんけれども、私たちの働く者の立場で、しかも、最近は出かせぎということばに対して、季節労働ということばに変えていますけれども、あの出かせぎという問題が、国の政治の場で、あるいは社会の問題として取り上げられて、いろいろな問題を引き起こして、そしてこれまで皆さんをはじめいろいろ施策を練ったわけでしょう。  いま季節労働という名前には変わった、しかし、この出かせぎという現象に対しては内容は何ら変わりがないわけです。私は今日のこの出かせぎという現象の中で、労働省は労働者の味方の役所だというふうに終戦後、ずっと理解しておりますけれども、若干変わったようなことを言う方もおるけれども、しかし、私はそういうぐあいに思わない。名前は季節労働に変わっても、出かせぎという現象は、簡単なことを申し上げると、これはいままで何べんも言われたことですから皆さんも聞きあきているかもしれませんけれども、私はもう一ぺんこれを思い返していただきたいのです。ここに出かせぎの労働者の書いたものがあります。その内容を読んでみますと、「凡そ一年の四分の三にわたる長い間妻や子と離れ離れになって孤独な生活を続けなければならないのです。」「また、それ以上に私たちにとって苦痛なのは子供達への影響です。年から年中、母親だけに育てられ、父親の愛情が全く欠けた状態の偏屈な生活の連続では、幼児から学童へ更に大人へと成長していく子供達の人間形成過程にとって何かしら大事な大事なものが欠け、それが将来、後々まで悪影響を与えるのではないでしょうか。」これは長く言いません。こういうことをいいまして——笑い声を立てる方もおりますけれども、そういう方はまた違った環境におる方だからそういう気持ちになるのかもしれません。しかし、ぼくらの場合は、この今日の季節労働といわれる名前の方々、出かせぎといわれる皆さんの日本人としての暮らしの現状というものを考える場合に、今度のこの百八十日というものはどうして出してきたのか、だれがこういうことを言ってきたのか、私は労働省自体はこういうことを言っていないような気がするのです。だれか背後で、どうしてもこれをしなくちゃならないというぐあいに強い圧力があるのかどうか。少なくとも、組織されておる労働者の皆さんは、絶えず皆さんとは連絡しておるが、しかし、最近この季節労働者の皆さんもようやく組合をつくりまして、第五回の大会を持ったわけであります。これはことしの二月の十六日です。おそらくこの大会の決議は労働情報としても、あるいは決議文を持った代表が、大臣なり局長なりにお会いして、その気持ちを訴えておると思うのです。だから皆さん知っておると思う。この第五回の大会でどういうことを言っているかといいますと、いろいろありますけれども、失業保険の改悪に関しては絶対やめてもらいたいということをはっきり言っておる。この関係の労働者が、こういう希望をことしの第五回目の大会で言っておるのですよ。しかも、第一回から連続してこれは決議になっておるわけです。こういう事情を皆さんはわからぬわけはないでしょう。そういう中でこの百八十日というものを出してくるということは、どうしてもわれわれとしては納得いかない、何だかんだと理屈を言っておるようでありますけれども。  しかも私は、先般の予算分科会で大臣にも御質問しまして、いろいろ大臣から御答弁いただきました議事録を持っております。簡単に言いますと、今日の出かせぎ、季節労働者の労働力は貴重なものだ、これは今日の建設業界にとりましてはこういう苦汗労働に類するような筋肉労働、こういう労働者は少ないのだ、だから六十万人になんなんとする季節労働者の労働力は、日本の建設のためにはたいへんに貴重なものだとあなたはおっしゃっておったわけです。感謝をしたいという気持ちで発言をされておる。いま何だかんだと言っても、私はこの季節労働者が出るまでの状態の全体のことは言いません。言わないけれども、しかし労働の場においてもこれは貴重な存在になっておるでしょう。しかもこの方友は、季節労働にも特殊の状態の中でないと出てこられないのだ。しかし、これにかわるべき新卒の労働者がいますか。あるいは東京都内一千万の中で、あの地下鉄のああいう激しい、苦しい労働に喜んで参加する方がおりますか。しかし、建設しなければならぬでしょう。労働力を流動的にあなたたちはやろうとして、いろいろくふうはしておるようだけれども、日本人の一億の中で、東京の一千万の中で、これにかわるべき労働力がいまありますか。まず第一にそこから私は聞きたいと思うのです。原大臣、もう一ぺんこのことを、あなたはどう考えますか。季節労働者、出かせぎ労働者を、何か農業に食いっぱぐれた連中が、泣く泣く妻子から別れて、そして働きに出ておるのだ、ああいう連中には、適当にあしらっておけばいい、そういうぐあいの気持ちでおるのですかどうですか、そこのところを……。
  58. 原健三郎

    原国務大臣 実は季節労務者の方たが、建設業界に非常に貢献されておるということは、私もよく存じております。昨日も——きょうから一週間安全週間になっております。それで大手三十社の建設業界の社長に労働省に来ていただきまして、その安全確保に万全を期してくれということを私は申し上げ、向こうもそのつもりでやってきたわけですが、そのときに私は申し上げたのですが、安全をやることは非常に大事であるが、本質的にはやはりこういう労務者をもっと優遇するように、親切に、誠意をもって扱うように、こういうことを私は申したのです。これはきのうの話でございますが、昨年の九月に建設業の飯場、東京の飯場を調べたところが、ほとんど、これはもうはなはだ粗雑にして十分なことをやっていない。だから、建設業界のほうでは、大手の社長ばかりですが、本社のビルはりっぱにしておるが、その飯場ははなはだ粗雑である、これは労働省の調べでわかっておるのですが、ことし一月か二月にもやりましたが、そういうような同じような結果が出ておる。だからこういう方面にもうちょっとよく気をつけることが労務者の確保にもなるし、仕事の安全を確保するゆえんにもなるのだから、飯場とかそういう一連のものをこの機会に考え直してくれということを声を大きくして言いました。私どもはそういう季節労務者のためにきのうもそれを強調したばかりでございますので、御趣旨には全く同感でございます。
  59. 内藤良平

    内藤(良)委員 原大臣、あなたはいろいろそういうことで言っておるかもしれぬ、あるいはこれからだんだん効果があらわれてくるというお考えかもわかりませんが、現実の季節労働者といいますか、出かせぎの皆さん、しかも建設業に従事しておる皆さんの現状というものは、まだまだ非常にひどいものです。まあこれは話がくどいようだけれども、賃金の不払いの問題でも、あるいは労働災害の問題でも、あるいは非常に悪い宿舎の問題でも、その他の問題、あるいはまたほとんど有給休暇がないということ、身を削って働いておるということ、こういういろいろなことがたくさんございます。しかし、予算委員会の分科会でもいろいろ聞きましたけれども、それらを監督する基準法による監督官もわずかに二十五人か、四十人ぐらいの増加しかない、こういうことでございました。それではだめじゃないか、どうにもならぬ、こういうことで、大臣のおっしゃることばと実際やっておることとは全くもう相反しておる。大臣聞いておりますか。そういうぐあいに、非常にひどい状態にあるけれども、実際は非常に貢献しておるのです。したがって、そういう方々にいろいろな面で優遇する措置をとるべきじゃないかと思う。われわれの場合におきましては、出かせぎの大会の決議を皆さんに読んで申し上げたいのだけれども、これも省略いたします。労働情報としても、あるいは決議としても、皆さんのお耳に入っておると思う。それらに対して漸次——漸次というよりも急速に改善をして、そこで通年雇用ということばが出てくるならわかるのだ。そういうことをいま具体的に何一つやっていないでしょう。そういうことをやっておらないで、失業保険の面だけを延長せしめて、通年雇用で多く働いてもらいたい、こういうことでは私は労働省のものの考えとしては間違っておるのじゃないかと思うのだ。大蔵省なり、農林省なりなら、あるいはそういうのがあるかもしれませんよ。しかし、労働省としては、その点はどうですか。
  60. 住榮作

    住政府委員 先生御承知のように、私どものほうで、失業保険でいわゆる季節循環的な受給者といわれる者、約五十九万、六十万近くあるわけであります。  こういう方々の実態を調べてみますと、大体四月なり五月に働きに出て、十一月、十二月に離職し、冬期間失業保険をもらう、こういう方々がその中の八割ぐらいを占めております。それからもう一つは、ちょうど農閑期を利用して就職される。つまり十一月、十二月に就職されて、三月、四月に離職される、こういう方が二割ぐらいになっております。  前者のほうは、いわゆる専業的な出かせぎと申していいかと思うのでございますが、そういう方は大体積雪寒冷地帯に多いのは当然でございますが、そういうところでは、冬期間仕事ができない。そのためにやはり働けなくなる、こういうことだろうと思うわけでございます。そういう意味で労働省としましても、年間通じて企業活動ができる、したがって、年間通じて雇用が続けられる、こういう体制を進めていこうということで、たとえば建設業等でございますと、冬期間工事するためのいろいろな設備、機械あるいは寄宿舎の設備、その他冬期間工事をするために非常に費用がかさむ。そういう場合、たとえば食料品製造業等におきましては、原材料の関係で、ある期間休まざるを得ない。そういう場合に、保存設備を必要とする、そのために費用がかかる、こういうことを考えまして、数年前から通年雇用融資をいたしまして、事業主の方々が、そういった設備機械等によって、年間を通じて企業活動ができ、それによって通年雇用ができる、こういった政策を推し進めてきております。と同時にまた、やはり通年して人を雇うという場合に、通年雇用奨励金の制度も実はやっておるのでございます。そういう意味で、そういったいわゆる専業的な出かせぎの方には、冬期間でも就労できるような体制をつくり出していく。なお、そういう方丈は大体六カ月の受給期間はほぼ満たしておられるのでございます。  一番問題になりますのは、農閑期の就労の、いわゆる出かせぎの方々でございます。こういう方方は実態を見てみましても、東京等に出かけて、建設業等に働いておられる、こういう方でございますが、私どもとしましては、基本的にはこれは農業をお持ちの方でございますから、そういう意味で、そういう方々が出かせぎに出なくてもいいように、農業だけで立ち得るような政策をとるということが大前提だと思いますが、現実そういう政策がうまくいっていないために、やむを得ず出かせぎというような現象が起こる。こういう方々に対しましては、いろいろ問題がございます。先ほど大臣が申し上げました就労先における安全の問題だとか、その他賃金、労働時間等の労働条件の問題等就労先での問題、それから就労経路の問題等もございます。それから留守家族等の問題もございます。そういう点私どもとしましては、いろいろの政策をできる限りいたしておるつもりでございます。なお、そういう面につきましては、今後とも一そう努力していきたいというふうに考えている次第でございます。
  61. 内藤良平

    内藤(良)委員 局長、そういう中で、いままでのやり方を、なぜこういうぐあいに期間を延長しなければならぬかということですよ。どうしてなるのですか。このことによってどうなるとあなたは考えますか。現実わが秋田では、五万、六万の方がある。全国では六十万くらいおると思うのですけれども、その中でやはり多いのは冬型の方が多いでしょう。私はそう思いますけれども、秋田の例で狭い例だけれども……。こういう方々、自然に今日まで苦労の積み重ねというか、経緯の中で、いまの失業保険の合法的なものを覚えて、これと農作業というものがうまくまた合って、そしてやっておる、それが今日の実態なんだ。農業のいろいろな労働力を省略するような機械も出てきました。だから、いま兼業農家がほとんどです。農業政策では別のパターンだから省略しますけれども、しかし、そういうぐあいにして、合法的に失業保険というものを念頭に置きながら、十一月から四月までという農業の農閑期間というものも十分考えながら、そしてそれが今日また大臣もおっしゃるように、日本の建設業のしかも苦汗労働、筋肉労働、ほとんど希望者がいないような労働の場に出てきておるわけです。それで今日のオリンピックでも万博でも、大東京の建設でもやっておるんじゃないですか。そういう現実をあんたがはっきり覚えておったら、それらを阻害するような、期間の延長のようなものは出てくるわけはないじゃないですか。どこからそれが出てくるのですか。
  62. 住榮作

    住政府委員 これはもう申し上げるまでもないところでございますが、先ほど大臣から申し上げましたように、現在被保険者二千万人おります。そのうち季節的な受給者が六十万、被保険者の三%でございます。その三%に当たる被保険者が、全給付額の三分の一の給付を受けておられるという状態になっております。そういう意味で、やはり失業保険というものは、社会保障の機能ももちろん持つわけでございますが、保険でございますので、やはり全体としての負担の公平、負担給付のバランスというものを考えていかなければならない。しかも、毎年そういうように一定の期間失業が起こるということは、保険事故の偶発性という保険の原理からいっても問題のあるところでございますが、そういう意味考えまして、通常の労働者に期待し得るミニマムの雇用期間である百八十日というものをもって資格期間、こういうように改正をしたわけでございます。
  63. 内藤良平

    内藤(良)委員 いろいろ産業界からの要望が、政府に対して、自民党に対してたくさんあると思う。しかしこの問題を、私は自分の立場をずっと百歩後退して考えた場合でも、あなたは、失業保険の問題を、いろいろ現実にあっちこっち考えたということだけれども、現実問題として、いままで私がお話しした貴重な労働力がうまく流動化するようになるかどうか、そういう問題まで検討したことがありますか。単に法律内容でいろいろこうだ、ああだということをお話ししたけれども、現実季節労働者の動きだ。こういうものをやって、そしてうまく、いままで以上に日本の建設にこういう方々が出てくるような状態になるものかどうか。われわれの考えでは、なかなかこれが出にくくなるという考え方なんだけれども、そういう生きている面をあなた考えたことがありますか。生きている状態、生きて動いている人間、生きて動いているこの季節労働者、こういう方々の心境というものまで、あなたは考えたことがありますか。いまのお話では、いままでの法律で何だかんだという話だけれども、失業保険は、大蔵省の得意の黒字赤字の面では、後藤先生のお話を聞いていると黒字というじゃないですか、赤字じゃないでしょう。それから、何か給付が三分の一で多いとかいうけれども、他の労働者の諸君が、しからばこの季節労働者で出かせぎの皆さんに対して、けしからぬということで何か大きな決議でも持ってきたことありますか。他の労働者の諸君、そういうことを追及しておりますか、季節労働の諸君に対して。それじゃ何があるのですか。産業界は、こういう皆さんには大いに出て働いてもらいたいということでしょう。貴重な労働力……。同じ仲間から何もそういう話はないと聞いておるのです。結局、あなた方の労働省の中で、この条文をいじり回して、こうして出してくる。しかも、ほかのほうは全部改善して、これだけ改悪するのはどういうわけなんです。あなたの言うこと、非常にわれわれには納得できないのですね。もう少し納得いくような話を聞きたいのです。
  64. 住榮作

    住政府委員 改正趣旨につきましては、先ほど申し上げましたように、季節受給者給付の実態等を考えまして、現在四カ月二十二日で資格がつくものを六カ月にした、こういうことでございますが、  なお、いろいろそういう点で、現在の受給者に対して影響をできるだけ少なくするというような意味合いにおきまして、従来と違いまして故郷に帰って就労した場合におきましても、その期間を出かせぎ先の就労と通算できるように、こういう制度もとっておりますので、そういう意味で私ども、六カ月働いていただきたい、こういうたてまえで今回の改正を行なっておる次第でございます。
  65. 内藤良平

    内藤(良)委員 地方でどこで働くというのですか。地方で自由に一カ月働いて、それにプラスするというわけですが、そういうのがあったならば、季節労働が年々ふえるなんてことはないのですよ。そういう状態はないでしょう、あなた、現実に。秋田県のような場合は、現在ある工場がどんどんこっちのほうへ移っていますよ。労働者が減っていますよ、一流の工場のオートメーションとか大型化で。あなたのおっしゃるような、帰って一カ月くらいどこかで働いて——そういう場所なんかありませんよ。そういうこと、どういうぐあいにしてあなた言えるのですか。しかも、何万人の方ですよ、十人や二十人じゃないですよ。それは、てんで現実を無視したあれじゃないですか。どうもあなたのお話は私は納得できないのですね。どこに意図があるのですか。もう少しはっきりした話を聞きたいのです。責任者でしょう、あなたは。
  66. 住榮作

    住政府委員 私ども、たとえば、先ほども申し上げましたように、一番問題になりますのは夏型受給者、夏受ける、こういう受給者でございます。したがいまして、冬季と違いまして、郷里におきましては求人がかなりあるという意味で、安定所におきまして適当な場所への紹介も可能かと考えておる次第でございます。
  67. 内藤良平

    内藤(良)委員 どうもあなたの話は、どういうぐあいにしてそういう話が出てくるかあれだけれども、あなたが現状というものをよくつかまえておらないから、そういう話をするんじゃないか。職業安定所で地元の仕事があるからといった場合には、季節労働者というものはどんどん減っていくわけですよ。しかし、いま仕事のあるのは、東京方面とか、あるいは名古屋方面とか、あるいは大阪の万博であるとか、こういういわゆる出かせぎの遠隔の地の働きが多いのですよ。いま申し上げたように、繰り返して恐縮だけれども、ぼくらの秋田県の場合におきましては、現在ある工場でも、太平洋側に移っているんですよ、人員の削減で。そういうところは、東北六県なり、北海道なり、出かせぎの地帯に多いと思う。そういう中で、こういうことをやるということは、結局それをこっちにとめさせられるというわけだ。いままでは四カ月二十二日ですか、それに合わした農耕をやっておるわけです。それを今度満六カ月、そうすると、十一月か四月か、このどっちかはこっちにいなければならないわけでしょう。その場合に、私たち出かせぎ労働者の関係者として、いろいろ一番深刻に考えるのは、冒頭素朴な声を私申し上げたわけだけれども、できるだけ妻子のかたわらに、自分のうちに住みたいのは人情でしょう、皆さん。これはやってみなければわからないですよ。(「一家団らんが必要だよ」と呼ぶ者あり)いま背後で阿部先生が言ったけれども、一ときも早く帰りたい。あなたが長期出張で一カ月か二カ月出張した場合に、またもう一カ月も——それはいたいという気持ちになるかわからないけれども、それは深刻なものですよ。  たとえば私こういうことを言うのもほんとうに情けないのだが、どこかの川の架橋の仕事で七、八人がなくなった、その方々はもうあした帰るつもりだった、だけれども一日刻みで残った、おそらく失業保険の問題がからんでいるのではないかと思うのだ。四カ月二十二日、こういうふうにほんとうに深刻な問題、季節労働者の関係は、あなた方が労働省の安楽いすの上でペソをとって書くような、そういう心境じゃないと思うのだ、これは皮肉じゃないけれども。だから、そういう現実の問題を考えたならば、私は、こういう法の、われわれの側では改悪と思うが、改悪案が出てくるわけはないと思うのだ。だから私はそこを言いたい。ほかのことはみんなあれでしょう、今度の改正ではいろいろ内容はよくなっているでしょう。私どもは、専門にこれのほうの委員じゃないからあれだけれども、ただこのことだけどうして——だからこの改悪といいますか、百八十日という、いままでより一カ月も多く働かなければ失業保険受給者になれないという、いわば既得権を奪うような、なぜこういうことを出したかということです。しかも、労働省ですよ、あなた、大蔵省じゃないのです。だからぼくはそう聞きたいわけだ。それを聞いて帰っていって労働者の皆さんに言いたい。私は、だからこういうことに対して、こういうことを早急にやれといっているものはないと言うのだ、産業界も、労働界も、労働者の仲間でも。なぜ労働省がこういうことを言うか。くどいようだけれども、もう少しあなたたち労働省のお考えというものをはっきり聞きたい。私は一人でいつまでもしゃべっておれませんけれども、大臣、どうでしょうか、そこをあなたどう思いますか、持って回らないように、どうも話が矛盾しています。
  68. 住榮作

    住政府委員 先ほど来申し上げたことを繰り返すようになりまして恐縮でございますが、いずれにいたしましても、いま先生指摘のように、ほかの点においてもいろいろな改善を加えておるわけであります。さらに、現在の失業保険制度を五人未満の事業所へも拡大いたしております。こういうようなことで、いろいろ失業保険制度の拡充を考えておるわけでございます。そういうふうなことを考えるにいたしましても、やはり失業保険制度というものが健全な姿、健全な基礎の上に立っていなければならないというように考えるのでございまして、そういう意味で、先ほども申し上げておりますように、現在の季節受給者の実態から考えまして資格期間の改正を行なった次第でございます。
  69. 内藤良平

    内藤(良)委員 どうもあなたのことばじりにこだわるようだけれども、季節労働者の実態にかんがみてやったと言うが、実態はいま私が言ったように、あなた方がつかまえているような実態じゃないのです。ぼくら秋田のあれですから違うかもしれませんけれども、率直にいって、いまの農民の皆さんは農業の所得と、農業外所得と、それから失業保険の所得、これももらえない方もおりますけれども、大体現実はこの三本立てになっておるのですよ。中には失業保険はもらえないけれども、しかし資格は持っていたいという方もおるのだ。だから、失業保険の四カ月二十二日というものは、農民の皆さんの一つの希望なんだ。中には窓口で、おまえにはやれないと言われてすごすご帰る方もいる。郷里から離れて苦しい労働をやって、賃金も何とかもらって、そしてけがもしないで、死なないで、帰る場合にはやはり失業保険の受給資格を持って帰る、これが一つの希望なんだ。その現実があなたはわかりませんか。それがわかったらこういうことが出てくることはないんじゃないですか。もう一ぺんあなたの話を聞きたい。わかったらわかったというぐあいに……。
  70. 住榮作

    住政府委員 私、たいへんことば足らずで恐縮でございます。  私の申し上げました季節受給者の実態と申しますのは、失業保険制度におきます季節労働者の地位、それの受けている給付額、そういうような実情を申し上げておったわけでございまして、季節労働者自体の現実の姿、こういうものについてとやかく申し上げているものではございませんで、お許しいただきたいと思います。
  71. 内藤良平

    内藤(良)委員 大臣、どうですか。今度の法改正ではこの分だけ改悪だけれども、これがやはりどうも私は納得がいかない。あなたが大臣になられてから、この二月の分科会でも話しして、その前にも出かせぎ関係でいろいろ労働省の御心配になり、お世話には現実に秋田県の季節出かせぎ労働者はなっておるのですけれども、ここらは私、非常に感謝しています。しかし、このことだけはどうも納得がいかない。情けにからむわけじゃないけれども、あなたはこの二月の予算委員会の分科会でも、いまの建設関係の労働力の中では貴重なことだと言っておるわけだ。そして、この方々がいまどこから出てくるか、やはり農業の場から出てきている。しかも農閑期に。そしてまた、失業保険というものが一つの魅力になっておるわけです。そういうことをわかっておりながらこういうことを今度出してくるということは、いままでの経緯なり、あるいはあなたの御発言なりを総合すると、どうも今度の法改正案というものは大臣としてはミステークではないかと私は思うわけだ。大臣、これはどうですか。
  72. 原健三郎

    原国務大臣 さいぜんからいろいろ申し上げたように、失業保険にも改善のあとがかなりあるところを認めていただいてまことにありがたく存ずるのですが、ただ一点、この期間の問題が一番争点になりまして、さいぜんから半日間これに当たったわけですが、これは繰り返し申し上げておりますようにお説のとおりで、もとどおりにしておけばよかったわけですが、たまたまちょっと、ほんのちょっとですがね。季節労務者の方にするとその少しが非常にかんにさわるし、影響するところ絶大である、こうおっしゃることも無理からぬことでございます。  私も初めそのことをいろいろ研究したのですが、実質的にはそれほど被害がない。なぜかといったら、八割の人は六カ月以上に入ってしまっておるから。二割の人にはちょっとなにが……。そのかわりに二割の季節労務者の方々には、地方で働らいてもらうときにそれを通算いたしましょうと、こういう。地方で全然仕事がないとおっしゃるが、私はこのごろは非常に人手不足で、必ずしもないという——何ともいえませんが、必ずしもないともいえない。ですから二割の人には若干気の毒な点があるのですが、まあ大体被害は少なかろうというので、こういうところにきめたわけでございますので、これが一番争点になっておる点でございますが、まあその程度でひとつお許しを願いたいと思います。
  73. 内藤良平

    内藤(良)委員 もう終ります。  私だけ飛び入りして、この社労に出かせぎして出かせぎのことを話しても申しわけないけれども、私は腹立たしいから声も大きく申し上げて、やかましくて恐縮でございましたが、しかし、このことは大臣ほんとうに、あなたはいろいろ歌の文句を考える方にしては、どうも私はちょっとふに落ちない。このことはどうも納得いかないです。しかし、私が納得いくまで一人で何だかんだ言っても、あとにまた阿部先生もおりますし、私はやめますけれども、私がいま申し上げたことは十分季節労働者の気持ちを代弁したと思って、ひとつお考えにならぬといかぬですよ。これはこのあと大臣の気持ちを生かしてもらわなければならぬ。私はこれで終ります。
  74. 森田重次郎

  75. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いまいろいろ御答弁があったのでありますが、私もこの季節出かせぎ者の問題を申し上げなければならぬのであります。農林省おいでになっておると思うのですけれども、いま就業農民の数が九百六十万、実際は九百三十万くらいになっておると思うのです。これを新全国総合開発計画によりますと、五百万以下にする、こうおっしゃっておるわけであります。したがって、農林省は将来の農業の所得、これは昭和六十年度には昭和四十年度に比較をして四ないし五倍に国全体の総生産は伸びる、こういっておるわけです。その中で一体農業の所得はどうなるのかということですね。それから、経済企画庁がこの新全国総合開発計画を発表しておるわけでありますけれども、ここでもやはり農業の国全体の総生産の中に占める割合、あるいは就業農民の数、こういうものが五百万以下に減るのだということを明瞭にしておるわけです。この減らされた分は一体どうなるかということが新全総を見ましても明瞭ではない。今回米をたたく——米はたたかれたわけであります。さらに今度失業保険で季節出かせぎ者が大いにたたかれてくるということになるのでありますが、一体この日本の農業と農村社会を、新全総の中でもだんだん縮小するのだというかっこうになるのです。所得の面でも全体の中に占める割合、あるいは就業農民の数も全体の中では減っていく、その減らされて余った、排除された分はどうするというのですか。これはひとつ明瞭にお聞きしたいと思う。農林省は減らされた分に責任を持つのかどうか。
  76. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 ただいま御指摘の新しい全国総合開発計画は、昭和六十年度を目標にいたしまして、これから先のわが国の経済社会の発展の方向は非常に大きな変化が予測されるわけでありますが、それに即してこの国土をどういうふうに利用するかということでつくった計画でございます。  御指摘の点は、この計画の中において計画のフレームとして、昭和六十年度の経済社会の姿をこれは一応想定をしたところについてのことでございます。これはもちろん計画そのものの本体ではございません。いわばそういった六十年度における経済社会の姿を想定して、それに対してどのようなことでやっていくかということがその計画の本体になっておるわけでありますが、そこでただいま御指摘の数字の点でございますが、若干御説明を申し上げますと、私どもの想定では、昭和六十年度の人口は一億二千万人と一応想定をいたしております。それに対しまして労働力人口は約五千六百万人と推定をいたしておりますが、若干の失業等もあるということで、五千五百万人が就業人口、こういうことに見込んでおります。そうしてこの内容は第一次、つまり農林漁業関係が大体五百万人。それから第二次関係が二千三百万ないし二千四百万。第三次が二千六百万ないし二千七百万人、この程度に推定をいたしております。そこで、そういう形に今後は変わっていくだろう。ことに第一次産業につきましては、昭和三十年代において非常に急速に減少いたしておりますが、今後におけるわが国の経済発展の姿においてやはりこういった現象がかなりの勢いで進むもの、こういうふうに想定をいたしておるわけでございます。  また、産業別の所得の問題につきましては、特に文章としては書いてございませんが、一応の想定は内部作業としてはやってございます。これによりますと、第一次産業につきましては、四十年度の生産所得が約二兆九千億程度という数字でございますが、これが六十年度には五兆円くらいになるんじゃないか、こういうような想定をいたしております。  以上のような想定は、実は経済企画庁としては経済社会発展計画の際に開発をいたしました経済の長期マクロモデルというものを使いまして、そこに外生変数を入れて、いま申しましたような数字をはじいたわけでございます。これはこういうふうにするというものではございませんで、こういうふうになるであろうという想定でございます。こういうことを一応頭においてこの国土の上にどのような交通施設をつくるとか土地の利用をどうするかというようなことを書こうとしたのがこの計画でございます。
  77. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 農林省、いま経済企画庁が言うように、九百六十万といっておったものが、現在では九百三十万くらいになっておると思うのです、就業農民が。これはいま企画庁が言うように、五百万以下になるであろうと、以下になるであろうというのか、しなければならぬということなのか。ぼくはしなければならぬということじゃないかと思う。そうすると、まだ四百万以上の就業農民がここから排除されなければならない。排除されるものを農林省で責任を持つことはできないわけでしょう。責任持ちますか。それで自立経営農家を育成する、もしくは規模拡大をやる、こういう農林省の政策などを考えましても、いま企画庁がそうなるであろうということは、これはなるであろうじゃなくて、しようということだと思う。そうすると、当然現在よりも約五〇%に近い就業農民というものを排除しなければならない。排除するものの責任を農林省が持つというわけにいかぬでしょう。いきますか。
  78. 森整治

    ○森説明員 ただいま阿部先生のおっしゃいました点でございますが、農林省といたしましても、宮崎局長の言われましたとおりに、なるといいますか、むしろわれわれのほうは就業人口がなるたけ機械化に伴いまして少ないほうが農業の生産性という点から見ますと、他産業と均衡できる生産性を上げていくという観点からいたしますと、むしろ積極的に転職をすすめてまいったほうがよりよろしい、こういう考え方もあるわけであります。したがいまして、「農産物の需要と生産の長期見通し」でも、五十二年には約六百万という見通しを立てております。いずれも時期が違いますけれども。農業で残るものの生産性を上げていくためには、機械化その他で余剰になってくる労働力は他産業へ転職をしていただいて、まあ兼業化ということが最近の趨勢でございますから、その趨勢をさらに促進したほうが農業政策としてはよろしかろう、こういうふうに考えておるわけであります。したがいまして、兼業の部面につきましては、従来の農政の固有の範囲だけでなしに、労働省をはじめといたしまして、道路の問題もございます。ほかのいろいろな問題がございます。したがいまして、政府全般として、そういう問題と真剣に取り組んでまいりたいということを各省とも御連絡を申し上げて、ただいま農政審議会でそういう問題につきましてもいろいろ論議を重ねておるところでございます。
  79. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 排除しなければならぬのですよ。しようとしておるのですよ、いま相当部分の農民を。そうしてまた企画庁はこれを人ごとみたいにそうなるであろう、こう言っておるわけだ。農林省もやっぱり排除しなければならぬ。自立経営農家の育成とか、規模拡大をやる以上は、相当部分のものを排除しなければ、自立経営も規模拡大も出てこない。そうなると、排除されるものが一体どこに出ていくのかという問題が起こってくると思うわけです。いま通産省おいでになっておると思うのですが、企業、特に二次産業、これはどうも分散よりも集中の傾向をたどっておると思うのです。これをもっと分散さして、バランスのある日本の発展というものをつくり出すという条件は何もないと思うのですよ。実際上は分散じゃなくて、主要な企業、産業というものは全部集中化の方向をたどっておると思う。これはどうですか、分散できますか。
  80. 黒田四郎

    ○黒田説明員 ただいまの点でございますけれども、最近のわが国の企業の立地動向を調べてみますと、先ほど先生がおっしゃいましたように、まだ大都市その他の週辺の都市に集中する、そういうような傾向があるわけでございまして、そういったことのために過密の弊害とか、あるいは農村人口の流出だとか、そういうような問題があるわけでございます。  そこで、通産省といたしましては、そういう問題に対処しますために、全国的な観点に立ちまして、工場適地の調査、こういうことをやっておりまして、そういう工場適地に企業が行くように誘導をしておるわけでございます。それから工業用水道、そういった産業関連施設の整備を行ないまして、企業の分散というようなことに力をいたしておるわけでございます。  なお、分散をする企業に対しましては、これに対して助成措置を講ずるというようなことも大いに努力をしてみたい、こういうふうに思っております。
  81. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 先ほど内藤議員を言いましたように、私の地域でも同じなんですが、いままであった相当まとまった企業、これが全部コンビナート工場地帯、たとえば名古屋の周辺とかあの周辺に、だんだんだんだん、いままで地方にあった工場を移動するという傾向が生まれてきておるのです。分散じゃなくて集中の傾向なんですよ。これを工業用水道をつくる、立地条件をつくる、これだけやっても、地方自治体の犠牲と負担において条件はつくる努力をさした。しかし、それだけで企業が分散するかということになると、そうじゃなくて、自治体は単に犠牲を強要されただけで、企業は出ておらぬのです。いままでそういう企業条件をつくったような土地造成をやった場所なんか、全部住宅地なんかに変わっておる、こういう状態が一般的なんだ。それをやらせるためには、企業の側に、やっぱり政策的に一定の規制を加えて分散させる。単に若干の誘導策を講ずるような程度では、企業は私は分散しないと思う。それをやるには、一定の規制を加えて分散させる以外に、バランスのある発展というものは私は出てこないと思う。私はそういう前提を踏まえて、ここしばらく、当分ずっと排除される約半数近い農民、この農民はしばらくの期間——今日の都市はどういう状態かということになると、長い間地方の農業の上に、零細過小のきぎしい条件の中で働いてきた連中が、簡単にすべてを捨てて都会に出てくるような条件というのは、いまの都市は持っておらぬと思う。そういう意味で、どうしても私は、この出かせぎという状態はここしばらくの間ずっと続いていくと思うのです。しかしこれは歴史の長い波長から見た場合には、そんなに長い時代ずっと続くものじゃないと思う。せいぜいここ十年あるいは十五年間くらいの間、この農村の季節的な労働、出かせぎという現象が続いていくと思う。その際に、なぜもっと気長にこれらの連中を、先ほど大臣——最後に私は大臣の情感に触れたように思うのでありますけれども、その現実の政策になぜこれは生かすことができないのか。これは大臣どうでしょう。長い期間じゃないと思う。長い歴史の波長を読んでもせいぜい十年、十五年間くらいのものだろうと思う。いま当面失保特別会計が決定的に赤字になっているというようなことがあれば問題が別になってくるけれども、黒字、黒字で笑いがとまないという状態じゃないですか。その際に、いまの全体の構造がずっと歴史的な流れを経て、ここ十年か十五年間くらいの間、農業が非常に容易ならざる状態を背中にしょいながら、きびしい都会に出てきて労働に従事するという、この季節的な労働者に対して、急激な圧迫をなぜ加えなければならぬのか。
  82. 原健三郎

    原国務大臣 さいぜんからしばしば申し上げておりますように、決して季節労働者に、特別急激に過酷なことをやる結果にはならないという私のほうの見通しでございます。しかしながら、それは季節労働者の方々にすれば、ほんのささいなことでも深刻に受けることは、私もよくわかります。客観的に考えてみますと、さいぜんから申し上げますように八割の人は大体六カ月、まあ二割の方々はこの影響がある。百八十日というのには満たない人が二割くらいある。こういう人たちには非常にお気の毒に存ずるのでございますが、そのかわりに、地元へ帰って家族とともにおる場合に働かれますと、それを通算して百八十日になれば差しあげます、こういうので、まあそこまで話がくると、地元へ帰れば仕事がないとおっしゃる方もあるが、ないこともないんじゃないかと思うし、私もそこまで調べておりませんが、そういうところで救われるのじゃないかというようなところできておりまして、これは非常に御議論の多い点で、季節労務者には、何というんですか、打撃が若干ないとは申しません。その点がはなはだ残念に存じますが、打撃が非常に少ないのではないか。だから、このたびはこの程度でごしんぼういただきたい、こういうところでございます。
  83. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 この失業保険制度の改悪の問題が初めて日程にのぼってきたのは、私の記憶では三十九年の八月ごろであると思います。その際に、なくなった池田総理が閣議で、時の石田労働大臣に対して、失保制度を改悪をしろ、こういうような厳命を発したことがあります。ところで、その際に、時の労働大臣は秋田県出身の石田労働大臣、いまの委員長も青森県であります。私は、別してこの季節出かせぎ者の問題これは日本における南北問題だという理解なんです。つまり農村地域、これとメガロポリスの地域との間に決定的な——いま季節出かせぎ者を圧迫しようとするのは、北の部分をたたき、南の地域、西南暖地のメガロポリスにもっと有利な条件を導き出す、こういうふうに思えるのです。  私は、そこで大臣、何としても納得がまいらぬのでありますが、冬型出かせぎ、夏型失保、この関係は二割だとおっしゃいます。この数字はどこから出てくるのかわかりませんが、少なくとも委員長御出身の青森県、先ほど内藤委員の秋田県、私の山形県、その他新潟県、その他……(「福島もおるぞ」と呼ぶ者あり)福島もしかり。こういうぐあいに、いわゆる南北問題の北の立場からいたしますると、ほとんどが全部冬型出かせぎ、夏型失保という状態なんであります。  ところで、それはわずかの状態だとはいうけれども、地帯別に見ますと、委員長のところや私どもの地域は、全部いま大臣がおっしゃる圧迫をきびしく受ける場所、こういうことになるわけなんです。  それからもう一つ、郷里に帰っても仕事はあるじゃないかと、こうおっしゃる。そこで起こってくる問題はどういう問題かということになりますと、何といってもPWの問題、これはやはり労働省が積極的に取り組んでもらわなければならぬ。政府が発注する土木工事やその他の場合でも、私どもの地域の男の一般土工、相当きびしい労働であります。この場合でも、せいぜい一千円から一千二百円くらいの賃金にしかならぬのであります。東京に出かせぎに参りますれば二千円になるのであります。そこで、失業保険給付を受けるということになりますと、東京に出かせぎに参りました皆さんは一千四百円、最高限度の保険給付を受けるのであります。現場に、安定所にぎりぎり言わされて働きに出ますると、一千円から一千二百円しかもらわない。その際にどうしても、政府発注のいわば工事の予算単価に盛られる賃金を、このように格差をつけておくということ自体が問題なんじゃないでしょうか。これに対して労働省は、単に北の立場を圧迫するだけじゃなくて、考えなければならぬのじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
  84. 住榮作

    住政府委員 賃金格差の問題につきましては、あとで賃金部長のほうから説明があると思いますが、失業保険日額の計算におきましては、たとえば東京で働き郷里で働いた場合、その六カ月間の総金額を総日数で割りますので、(阿部(昭)委員「それはわかっておるよ、差が問題だというんです」と呼ぶ)その点はひとつお含みおき願いたいと思います。
  85. 小鴨光男

    ○小鴨政府委員 ただいま先生指摘の点でございますけれども、確かにPWの調査結果からいたしまして、地域別の格差はございます。府県別の賃金格差を見ますと、最高県に対しまする最低県の格差でございますが、三十三年の四二・三%から四十三年度では五五・九%、その程度でございますが、長期的に見ますと、経済の成長その他からいたしまして漸次縮少しておる、こういう傾向でございます。
  86. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これはどうですか、東京に出かせぎに出れば、みんなそれは命かけの出かせぎでありますから、こっちの工期の問題等もあり、それから季節労務者でありますから、短期間にきびしく働かして能率をあげねばならぬという工事請負会社や何か、そういう立場があるわけでしょう。したがって、ほとんどが全部残業、時間外、こういうことをやるわけであります。そうしますと一日当たり賃金が二千五百円、二千七百円というのもざらにあるのであります。われわれの地域で、帰っていって仕事も少しあるじゃないかと言われても、一千円か一千二百円にしかならぬ。ところが出かせぎに行って帰ってまいりますと、失業保険を黙ってもらっておりますれば一千四百円ちょうだいするのに、働きに出た場合に一千円か一千二百円かの賃金しかもらわぬ、これは一体どういうことでしょう。現場で働けといっても、失業保険をもらうよりも安い賃金で働けというのはどういうことですか。やはり賃金格差というものを労働省がそれこそ一定の力を加えて、もっと格差なき状態をつくるということをしなければいかぬのじゃないでしょうか。
  87. 小鴨光男

    ○小鴨政府委員 いま先生指摘のとおり、賃金格差はございます。四十三年のPWの調査でございますが、一人一日平均の定期給与を見ますと、東京におきましては二千二百円、東北関係を参考までに申しますと、大体千四百円ということでございます。これらの点はございますけれども、やはり土地の経済事情あるいは産業分布というようなものが反映されまして、あえて暗い職種ばかりではございませんけれども、全般的な製造業を含めての格差はあります。ただ、先ほど申し上げましたように、漸次縮小が続いている、こういうふうに思います。
  88. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 時間がございませんので、なかなか残念ですが、いま、今度の改正の問題で、特別保険料というものが出てきたわけであります。季節循環的労務者を、一定割合より以上雇用を三年間にわたって継続をしたる者は、そのあとから特別に高い保険料事業主に負担をさせるという問題であります。私は、その場合に、明瞭に、雪国地帯と西南暖地との間に、基本的な条件を異にすると思うのです。出稼ぎに出てくる方の意思いかんにかかわらず、事業主の意思いかんにかかわらず雪は降るのであります。政府が雪を降らぬようにするというなら、これは話は別であります。雪はかってに降るのであります。その場合に、季節循環的でなしに、ずっとやっていなさいと言われてもできない仕事がたくさんあるわけであります。これは事業主の責任でしょうか。働く者の責任でしょうか。したがって、この問題も、南北の北の部分に対して格差を強要するものになる。したがって、そういう意味では、積寒法適用の地域、個々の場合の特別料金というものは、別途に考えなければならぬのじゃないか、こう私は思うのですが、いかがでしょうか。大臣、いかがですか。大臣は西南暖地だから……。
  89. 原健三郎

    原国務大臣 あとから答弁いたします。
  90. 住榮作

    住政府委員 今回、特別保険料を徴収することにいたしましたのは、やはり、たとえば冬季間事業が休止するということをやめまして、通年事業ができ、通年雇用ができる、そういう意味でその特別保険料を有効に生かそう、こういう趣旨でございます。  したがいまして、企業にとってみましても、冬季間施設を遊ばしておくということからくるロスが免れますし、労働者にとっては、年間通じて働ける、こういう観点から、季節循環的受給者をよけい出す企業から、一定割合の特別保険料を徴収しまして、通年事業、通年雇用を実現していきたい、こういう観点から特別保険料を徴収する、こういうことにいたしたのでございます。
  91. 森田重次郎

    森田委員長 阿部さん……。
  92. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 わかっております。  そこで、納得がまいりません。これは、どっちかといいますと、事業主のことまではどうもあまり——若干立場の違いもあるわけでありましょう。しかし、雪国地帯の事業主、中小零細事業主、この皆さんは、本人の努力や、本人の意思や、これとは無関係に雪は降る。事業はいろいろな意味で制約を受けるのです。この皆さんに対して、労働省が、雪が降らぬように何か特別なことをやるなら、これは話は全然別だと思う。その際に、雨でも——それは雨は年がら年じゅう降っておりませんから、年間、通年ずっとできるわけであります。そういう際に、雪国地帯と、そうでない地域との間に、一定の線はやっぱり引かなければいかぬのではないか。一般論としては、いまの御答弁わかるのですよ。本人の努力や本人の意思とは無関係に、どうにも避け得られない問題です。避け得られない問題の責任を、そこで生きておる人間に対して過酷な差別をつけるということは、これも南北の北の立場に対する差別政策、こう私は言わざるを得ないのです。これは大臣、あなたは西南暖地御出身ですが、われわれ北の立場に対して、少し情愛のある御見解をお聞かせ願いたい。委員長もそれを期待しておると思います。
  93. 原健三郎

    原国務大臣 私は西南出身でございますが、決して東北方面に日のささないようなことをやるのではなくて、東北方面にも日のさすようにと思って、そういう趣旨でやったのでございまして、また、そういうところに対しましては、この保険におきましても、特別保険料支給する等のこともやっておりますので、若干そういう点も考慮してやっておるつもりでございます。
  94. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 何だか、いまの答弁わかりませんな。特別なことを何をやっているのでしょうか。それがわかりませんがね。  そこで、時間がございませんので、最後にひとつ……(発言する者あり)しかし、あまりやっちゃいかぬのでしょう。いいですか。
  95. 森田重次郎

    森田委員長 関連質問ですから……。
  96. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いまの答弁は、もう一ぺんわかりのいい御答弁を願いたいのですが、もう一つお伺いをいたしますが、今回この失業保険制度を改悪して——農村の季節循環出かせぎ労務者というのが、半年出てきて、半年戻るわけですね。これは戻り得ないようにやはりたたこうというねらいがあるように思うのです。  話は別ですが、これも農林省と関係があると思うのですが、米がたたかれて、農村はやはりもっと大きく動揺してくると思う。このことは、長年日本の企業や日本の大きなメガロポリスの事業家たちが期待している、労働省もそれに一枚乗っかっている労働力流動化政策。いまのこの労働力市場というのが、実際は売り手市場だと思う。これを買い手市場に転換をさして、そうしていまの労働運動や何かを、もう少し足を引っぱれるような要件をたくさんつくっていこう、こういうねらいが底流に流れていると私は思っております。それは大臣がどのように判断するか大体わかりますし、どういう答弁をするかわかりますから、その答弁を聞こうとは思いません。思いませんが、若干お耳にさわるかもしれませんが、雪国地帯の農村、これは大体昔から、戦前から、一番強い兵隊を五銭のはがき一枚で引っぱり出してきた。兵隊を養う場所は、雪国の農村だったわけです。われわれの地帯の軍隊は、たいへん安上がりで、じょうぶで強かったのです。いまはどういう状態かということになると、地方自治体はもうたいへんな犠牲と負担で、教育や文教に、学校の施設やその他に金を突っ込み、そうして教育をし、訓練をしたものを、これが残念ながらわれわれの地域社会にはほとんど残らない。全部が、この企業の求めるメガロポリスの地域の中に送り出しておるわけであります。この地域に、これだけの教育をやり、産業をささえる労働力を送り出しているこの一番の根拠地を、いま、米と失保の両面から政府はたたこうとしている。これは、日本の将来の産業全体をささえていくエネルギーをつくり出すという意味でも、長い歴史を考えた場合には、大きなる問題じゃないか、こう私は思うのです。この失業保険制度の問題は、特にこの農村地域、雪国地帯の農村にきびしく当たってくる。このやり方は改めるべきだと思うのです。  それからもう一つ、一元化徴収方式というやつ……
  97. 森田重次郎

    森田委員長 なるべく簡単にお願いいたします。
  98. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 一元化徴収方式というやつ、これは、社会保険一般全部に一元化徴収の方向で持っていこうということだと思う。その場合に、季節出かせぎの皆さんというものは、半分半分でありますから、村へ帰れば全部市町村健康保険組合に加入している。いま、市町村健保は全員が七割給付であります。この社労委員会であした問題になります健保、これは本人は十割給付だが、あとの家族は五割給付であります。そこで、いま現場の職安や県失業保険課当局はどういう言い方をしているかということになりますと、社会保険に加盟しております事業所でなければ失業保険は資格を認めませんよと言って、きびしくやっておるわけであります。これをやりますと、季節循環的労務者、市町村健保に加盟しております皆さんを、季節循環的に雇っておる事業所は、失業保険の認可の面で決定的に圧追をされるわけであります。これなども季節循環的にただ働いている労務者のみならず、事業主に対しても、自民党の支持基盤に対しても、たいへんな打撃と圧迫を加えようとしておる。これは一体どういうことでしょう。もう一ぺんひとつ考え直してもらいたいということを申し上げたいと思うのですが、大臣から、考え直すという答弁を期待したいと思うのです。
  99. 原健三郎

    原国務大臣 いろいろお説よく拝聴いたしましたので、検討いたします。
  100. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 努力しますね。
  101. 原健三郎

    原国務大臣 努力もいたします。
  102. 後藤俊男

    後藤委員 時間がありませんので、余分なことを抜きにしまして、簡単に申し上げますのでお願いいたします。  一番目には、今度の改正で、保険料の徴収方法が変わりました。使用者のほうは四カ月間前納でありますか、そういうふうに変わると思います。その場合に、労働者、いわゆる被保険者のほうは、やはり毎月毎月の徴収になろうと思うわけですが、保険法の第三十三条がなくなるのですね。そうなってまいりますと、その規定がなくなってしまう。その場合に、労働者のほうも同じように四カ月間前納させる、めんどくさいから。そういうようなことがあるかないか。それは当然なくさなければいかぬと思うわけですが、それに対する統制力というのはどこでどういうふうにお持ちになるのか、これが一つです。  それから、その次は不正受給の問題です。私、理屈は言いませんけれども、その最低というのは実は二万円から二万二、三千というのがあるわけでございますが、毎月勤労統計から見ましても、標準家族で、大体四人おりますと、東京で三万七千円、一番最低のところで二万八千円生活費が要る。これらのことも不正受給というものに対しましてかなり影響しておるんじゃないか、こう思います。だから、取り締まろうと思えば、現在の規則で取り締まれぬことはないわけでありますけれども、さらに諸外国の例を見ましても、こういうふうな不正受給の今回の改正のような内容はないと思うわけなんです。この点はぜひ一つ考え直していただくようにお願いしたいと思います。  それから三つ目の問題といたしまして、再確認の意味があるわけですが、日雇保険につきましても、扶養家族の加算、これを一番早い機会に改正をしていただく。  それから四つ目の問題としましては、いま長時間いろいろやられましたけれども、私もそばにおりながら聞いておりますと、質問するほうと、質問を受けるあなた方と、判定いたしましても、あなたのほうにはどうも三割くらいな理屈しかないのです。いわばこっちの判定勝ちのようなかっこうで私は聞いておったわけです。そういうふうな理屈のないことを、今回無理にやる必要はないと思いますし、さらにその内容につきましては、とやかく言う必要はございませんから、今回のこの改正を期にして、もう一ぺん先ほど労働大臣が言われましたように考え直していただく。  この四つの点を、労働大臣のほうからはっきり御回答いただきたいと思うわけです。
  103. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 先生御質問の第一点につきまして、私からお答え申し上げます。労働者が納める保険料についての賃金からの控除でございますが、これは徴収法案の第三十一条で、省令で定めるところによって控除できることにいたしました。その省令で毎月支払わるべき賃金の中から控除するということを規定してまいるつもりでございます。そういうことで、従来どおり使用者側がまとめて払う保険料は一括ということでございますが、個々の労働者から控除する分は毎月支払われる賃金から、こういうことでございます。
  104. 住榮作

    住政府委員 不正受給に対する納付命令制度でございますが、これは、趣旨は申し上げるまでもないことでございますけれども、どうも失業保険は他の社会保険と——保険事項の性質上、非常に本人の申告と申しますか、真実な申告にまつところが多いわけでございます。そういう意味で、他の社会保険から比べてみますと、非常に不正受給が多い。他の社会保険についてはほとんど見られないのでございますが、失業保険においては、たとえば四十二年度においては二万九千件、五億六千万円ぐらいの不正受給がある。これはいろいろ先生指摘のような事実もあると思うのでございますが、やはり不正は不正として考えていかなければならぬと思うのであります。  そういう意味で、現行制度では刑罰規定の適用、返還命令制度がございます。返還命令制度は、不正があっても返せばいいじゃないか、こういうような考え方もあって、どうもあまり効果がない。刑罰の規定につきましては、これは詐欺罪の規定の適用があるわけでございますが、どうもこれは懲役刑ばかりであって、そういうものはとても失業者に対して適用は考えられないというようなこともございます。  そういう意味で今回いろいろ考えました結果、不正受給額と同額以下の納付命令制度改正案考えたわけでございます。しかし、先生指摘のような事情もございます。その発動の基準につきましては、法律におきましても中央職業安定審議会の意見を聞いて、労働者に酷にならないような運用をしろということになっております。そういう点も十分考慮いたしまして、運用してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  105. 原健三郎

    原国務大臣 御質問の第一点、第二点は、いま事務当局からお答え申し上げたとおりでございます。  第三の御質問の、日雇失業保険扶養家族を加算するように、こういう御意見でございますが、これについては御趣旨はよくわかりますので、きわめて前向きに検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。  それから、第四番目の期間については、これもいろいろさいぜんからるる議論を戦わしてきたところでございますが、もう少し私のほうとしても検討してみたいと思います。
  106. 後藤俊男

    後藤委員 大臣、あなたのものの言い方は、もう少しというのではちょっと足らぬのですけれどもね。前向きに検討いたしますということは、話はわかったような気がするから、一ぺん検討してみましょう、こういうことだと思うのです。私、繰り返しませんけれども、扶養加算の問題については、次期の改正には必ずやる。それから四つ目の問題につきましては、先ほど秋田なり、山形なり、各地域の代表のような形で長時間論議されまして、十分やられたことでございますから、このことについては今回の改正の、本時点でもう一ぺん考え直してみる、この二つだけははっきりひとつ言明していただきたいと思うわけです。
  107. 原健三郎

    原国務大臣 ただいまの第三の御質問につきましては、次期失業保険改正のときにおいては、十分御期待に沿うようにいたしたいと思います。  第四の、期間につきましても、次期改正のときまでに検討して、これも前向きにやっていきたいと思っております。
  108. 後藤俊男

    後藤委員 四つ目は、これもやはり次期改正のときにですか。ちょっとわからなかったのですが……。
  109. 原健三郎

    原国務大臣 これは非常に議論の多いところでございますので、いまも相談いたしましたが、直ちにどうするこうするというところまでは、もうちょっと内輪のほうで事務的にも検討してみないと、いま直ちに第三番目のように、次期の改正のときには御期待に沿うようにやるというところまではちょっといっておりませんので、もうちょっと事務的にもいろいろと検討さしていただきたいと思います。
  110. 後藤俊男

    後藤委員 終わります。
  111. 森田重次郎

    森田委員長 八木一男君。
  112. 八木一男

    ○八木(一)委員 労働大臣中心に御質問を申し上げたいと思います。  まず、労働大臣に伺いたいわけでございますが、この前労働大臣、国民年金法の審議のときに、最初おいでになりませんでした。     〔委員長退席谷垣委員長代理着席〕 そのときにほかの大臣に確認をしたことは、憲法二十五条の第二項の社会福祉、社会保障、公衆衛生については、国は不断に向上、改善しなければならないという規定は、ほかの日本国憲法の中に、義務教育無償を除いてはこういう具体的規定がない。したがって、ほかのものに優先してその問題は進めなければならないということを、当時出席された国務大臣並びに法制局長官との間に確認をしたわけです。当然、労働大臣も同じ考えで確認をされると思いますし、その社会保障の中で、失業保障というものが非常に重大なものである。そうして失業保険というものは失業保障、社会保障の精神に従って改善され、運営されなければならないという点をお考えになってしかるべきだと思いますが、それについて労働大臣はいかなる御意見を持っておられるか。
  113. 原健三郎

    原国務大臣 いまの八木先生の御説、全く同感でございます。失業保険制度は、憲法第二十五条による社会保障制度の一つであり、その趣旨を体さなければならぬことは申すまでもございません。賛成でございます。
  114. 八木一男

    ○八木(一)委員 それと同時にまた労働省が任務として、労働者の雇用の安定とか、あるいはまた十二分の生活ができ、そして引き続いて生活ができるような十二分な賃金、安定した賃金を労働者に確立をする。あるいはまた、疲れの残らないような労働条件、危険のないような労働条件、そういうものを確立をする。そういうことが、労働省の一番主体的な仕事であろうと思いますが、それについて労働大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  115. 原健三郎

    原国務大臣 御説ごもっともで、そのために労働省も設置されておるし、われわれもそのために向かって、日夜努力いたしておるところでございます。
  116. 八木一男

    ○八木(一)委員 二ついまほんとうの意味の確認をされた立場で失業保険法の問題に移りたいと思いますが、失業保険法については、いま確認をされた事項に従って失業保険法改正し、また運営をやっていくという方向でなければならないと思いますが、労働大臣のはっきりとした明確な御意見を伺っておきたいと思います。
  117. 原健三郎

    原国務大臣 その線に沿ってやるべきであると了承いたしております。
  118. 八木一男

    ○八木(一)委員 ところで、失業保険法については、いままで労働省のやり方は、その精神と逆行した方向がとられておる。また社会保障の精神に従って改善をしていくという方向が、非常に停滞をしているわけであります。失業保険というものは、給付内容を十二分にして、そしてそれを社会保障的の仕組みでやって、大ぜいの人にこれが適用されることにして、適用を規制するということは一切考えずにそういうことをやっていくことによって、失業したときに、その期間の労働者の生活ができるという状態になれば、労働の安売りをしないで済む、危険な職場にしぶしぶ、いやいやつとめなくても済む、疲れが残って自分のからだに合わないところに、しぶしぶつとめなくてもいい、働かなくてもいいということにならなければいけないと思う。  ところが、いままで労働省でやっておった基本的なやり方——基本的なやり方というととんでもないことになりますが、いままでやっていた方向は、失業保険給付をもっと十二分にできるのを、十二分に改善をしていかない、適用を十二分にできるのに、そのスピードがおそい。あるいは適用の範囲を狭めていこうというようなやり方をしている事実がございます。そういうことでなしに、本来の線に基づいてやっていかなければならないと思う。労働省は、資本のほうが労働力をたくさん必要だというほうに重点を置き過ぎて、失業保険を締めつけをしたり、給付の改善を怠ったりして、失業保険金がないから、食えないからしかたなしにそっちにいく、あるいは運用上の問題で、職業安定所長の権限が強くて、非常に権限の行使を、意地悪に行使をすることが多い、そういう人たちの言うことを聞かないと、失業保険金が打ち切られる。あるいはその他失業に対する対処がされないということで、しぶしぶ、いやいや、泣き泣き、条件の悪い、危険があってからだのくたびれるところ、そしてまた賃金の悪いところ、そういうところに働かされている状態であります。そういうことが労働省全体で、労働力を供給する、強制労働をさせるというような方向でやっておられる労働行政について、またそれに関連する失業保険のやり方について、これをほんとうに心を入れかえて本来の線に従ってやっていかなければならないと思う。それについて労働大臣の深い反省の上での前向きの答弁を求めたいと思います。
  119. 住榮作

    住政府委員 労働省といたしまして、従来とも失業保険給付の改善、それから失業者に対する職業紹介につきましても、先生指摘のように、職業選択の自由というものを大前提にいたしまして、失業者の職業紹介に当たっておるわけでございますが、たとえば給付の改善につきましても私どもとしましてはいろいろな点から考えまして、できるだけの努力をいたしておるつもりでございますけれども、先生の目から見れば、それは非常に不十分だという点もあるかと思いますが、先ほど大臣からも申し上げておりますように、やはり趣旨はそういうことでやっておるのでございますから、その点ひとつお含みおき願いたいと思います。
  120. 八木一男

    ○八木(一)委員 いろいろな事実で、それと違う方向がとられている事実がたくさんございます。しかし、時間があまりないようですから、労働省としてはいま職安局長が答えられた、先ほど労働大臣が答えられた労働者の権利を確立をする、雇用をほんとうの意味で安定をする、賃金をどんどんと引き上げていく、その他疲れが残らない、危険な目に会わないというような方向でやるために、全部をやっていかなければならないし、失業保険制度もそのための方向でやっていくという方針を確認されたものと思います。労働大臣、いいですね。——ところが、事実はそれと違いますので、そのことについては随時社会労働委員会でも取り上げます。関係の労働組合その他でも取り上げていかれるであろうと思います。それについては、労働大臣や職安局長が、そういうことについてはいままで欠点がありましたから、自分のほうから、そういう欠点がないかしらん、あなたの労働組合で、そういう関連について問題点はどうであろうかということを積極的に聞かれる、どんどんと労働大臣も職安局長も、そういうことについて関係団体の意見を聞かれて、その間違いを改めていかれるというふうにやっていかなければならないと思いますが、労働大臣の端的な、明確な御答弁をひとつ伺っておきたいと思います。
  121. 原健三郎

    原国務大臣 御説は全く賛成で、私はいままでも、総評や同盟の幹部としばしば会合して意見を、私の意見も言うし、向こうの意見も聞くし、話し合ってみると、いままではるかにながめたり聞いておるのと非常に違って、まあ、大いに共鳴するところも出てきたというような次第で、今後もそれを積極的に推進したいと思っております。
  122. 八木一男

    ○八木(一)委員 いま総評、同盟と言われましたけれども、それに関係のあるその他単産も全部、その単産のほうが特にそういうことの事実を知っておりますから……
  123. 原健三郎

    原国務大臣 そういう意味です。
  124. 八木一男

    ○八木(一)委員 それでは先に進みます。  今度の失業保険法改正と称して、たとえば東北地帯の方々の問題については、非常にけしからぬ改悪がありますが、その他の点について幾分の改善点があります。しかし、これは先ほど質疑応答にありました社会保障をほんとうに増進し、向上するという立場から考えて、また、失業保険のいまの財政から考えて、この改善というものは、改善という名に値しないぐらいちょっぴりし過ぎたもので、そういう点について深い反省がなければならないと思います。  今度の失業保険給付の改善については、平年度にした場合に、福祉施設は別といたしまして、一般失業保険で二十三億、日雇失業保険で十八億、そういう内容だと伺っております。  ところで、昭和四十三年度の失業保険の会計の帳じりですね、黒字はどのくらいであるか、また、四十四年度この改正案が通ったとしての黒字はどのくらいであるか、ひとつ明確にしていただきたいと思います。
  125. 住榮作

    住政府委員 四十三年度はまだ集計いたしておりませんので、四十二年度の剰余金は三百二十三億円、四十一年度は百五十一億円、四十三年度につきましては、大体四十二年度の額を上回るのではないかと、こういうように考えられます。
  126. 八木一男

    ○八木(一)委員 そうすると、四十一年度が百五十一億円、四十二年度が三百二十三億円、四十三年度はそれを上回るであろう、これは、もう当然そうです。そうなりますと、これだけの黒字があって、一般失業保険で平年度にして二十三億という改善は、一体これはどうしたことだ。赤字があるところでも、これは赤字というようなことで社会保障の改善向上をはばむことは、日本国憲法違反であるということを、この間確認し合ったわけです。しかも、黒字のあるところで、一昨年三百二十三億、四十三年度はもっとふえるというときに、今度の改正案で、平年度で二十三億とは一体何ごとですか。全く怠慢きわまる改善ではないか。労働大臣はどう考えられますか。
  127. 住榮作

    住政府委員 今回の改正におきまして、まず給付の改善をいたしておりますが、これもいろいろの見方がございますが、福祉施設費による給付を入れますと、合計いたしまして八十億の給付改善になると思います。それから、御承知のように、保険料率千分の十四から千分の十三への引き下げによりまして、百三十一億の減、こういうことを考え合わせてみまして、大体最大限の改善と考えております。
  128. 八木一男

    ○八木(一)委員 労働大臣もよくこれはあれですが、いま福祉施設三十五億円と言われました。このようなものは、ほんとうは一般会計から出すべきものです。失業保険の会計から出すのは、これは本則じゃありません。一般会計から当然出してもいいんです。  それから、保険料を一%下げて百三十一億と言った。保険料を下げてくれという運動がいままであったんですか。あったとしたら、資本家からですか。失業保険というもののときに、まず給付の改善を、すべきことをして、それで余ったら保険料を下げたらいいんですよ。そうじゃなしに、給付の改善をこんなにいいかげんにしておいて保険料を下げるということは、保険料負担の半額は資本家であります。資本家の要請が強く影響したということを言わざるを得ないわけです。保険料で百三十一億下げて、給付改善で、このような、日雇い失業保険も合わせて四十億でしょう。バランスが全然失しているじゃありませんか。失業保険をほんとうによくする気があるのですか。さっき言ったように、失業保険をよくすれば、低賃金労働で労働の安売りをしなくて済むんです。ところが、失業保険をよくしないでおけば、失業保険金が少ないから、その給付期間が短いから、しかたなしに労働力を安売りをすることになるわけですね。それは経営者の思うつぼですよ。しかし、日本のほんとうの社会をささえいる労働者に対してそれを考えるべきことではない。特に労働省がそういうような考え方であってはならない。失業保険給付に十分の財源があるのに、なぜ給付の改善をもっとしないか。労働大臣、どう考えられますか。
  129. 原健三郎

    原国務大臣 御説のとおり、給付の改善をやること大いに賛成でございますが、いま局長からお答え申し上げましたようなことで、福祉施設の改善等もやるし、料率の引き下げ等もやったというようなことで、結局、こういうことになりました。十分、給付にのみ至っていないことは残念に思います。
  130. 八木一男

    ○八木(一)委員 いま失業保険金はじめ、ほかの社会保険の給付を、たとえば賃金なり標準報酬の六割ということをかってにでっち上げて、それがにしきの御旗みたいに労働省も、厚生省やほかの各省もやっているらしい。政府の言うことばっかり聞く腰の弱い学者も、六割はいいようなことを言っている。そういうような、賃金や標準報酬の六割でなければいけないということは、世界じゅうどこを考えてもないのですよ。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)ないのですよ。  委員長、よけいな発言者は退場を命じてください。
  131. 谷垣專一

    谷垣委員長代理 質問を続けてください。
  132. 八木一男

    ○八木(一)委員 委員長、今後ああいう妨害的発言があったら、澁谷君をはじめとして、そういうことをやったら、すぐ退場を命じてください。  六割なんていうことは理屈も何もない。失業保障というものは、いままで賃金をもらって暮らしておった。政府の雇用政策が不十分なために失業しなければならないということになったときに、その人の生存権の問題です。賃金と同じものが当然給付されてもしかるべきだということも言えるわけです。ただ、そうなれば、労働省の考えているように、失業保険でただで食べていければみんな働かなくなるだろうという心配もあるでしょう。少しはあるでしょう。しかし、それは、九割とか八割まで高めていかなければならない問題。特に日本の労働者の賃金というのは、この経済の繁栄をつくったのは日本の労働者であるのに、欧米諸国に比してはるかに賃金が少ないわけです。ですから、その少ない賃金を六割にされたら生活は猛烈に圧迫をされるわけです。しかも、前から賃金は安いから蓄積はないわけです。貯金はたいてい皆無である。それを六割にするというようなことを、いままでそういう不十分なことをしておった。その六割が金科玉条みたいに考えているのは大間違いです。なぜ八割とか、九割とか——労働省の遊んで暮らされたらかなわないという世俗的な、反動的な考え方を一部いれるとしても、なぜ八割とか、九割まで、その給付を高めるという考え方にならないか、そういう努力をされないか、これは腹を据えて考えてもらわなければいけないので、労働大臣の前向きの見解を伺いたいと思う。
  133. 原健三郎

    原国務大臣 私も御説には賛成で、何も六割でなくても、八割でもいいのですが、いろいろ——多いほうがいいのはさまっておりますけれども、いまの諸般の情勢では残念ながらこの程度で、決して私どもはこれで十分だとか、これで上々であるというふうには思っておりませんので、お説はごもっともだと思っておる次第でございます。
  134. 八木一男

    ○八木(一)委員 非常に時間が足らないので残念ですが、労働大臣も、職安局長も、それからまたほかの労働省関係の人も、ほんとうに真剣に考えていただきたい、六割の問題は。やはり一番失業保険が中心です。労働省の関係失業保険、あるいは労災その他がそういうふうになれば、厚生省関係の傷病手当金とか、そういうものもそれにならうべき性質のものだ。労働省が一番真剣に考えていただかなければならない。  ところで、今度の改正案が通ったとして、四十四年黒字推定額は幾らになりますか。
  135. 住榮作

    住政府委員 予算収支上は、収入支出相償うことになっておりますが、ただ予備費といたしまして二百三十四億の計上をいたしております。
  136. 八木一男

    ○八木(一)委員 失業保険給付全体の一割というのは、大体年間二百五十億くらいに一割上げればなろうかと思いますが、大体そのような数字ですか。
  137. 住榮作

    住政府委員 正確な計算をいたしますと、二百五十億から二百七十億見当になろうかと思います。
  138. 八木一男

    ○八木(一)委員 そこで、労働大臣に伺いたいのです。  実は七割給付ができるのです。この改正案を通して保険料率を下げても百三十億推定でしょう。いまの失業保険の傾向は黒字がどんどん増してくるわけです。こういうことをすれば、六割を一般的に七割にすることもできるわけです。たとえばいまの保険料値下げというものをいまここであきらめたならば、いますぐやってもまだたくさん余る。二百三十億余って百三十億だから、三百六十億です。保険給付全部を七割に改めて、それでまだ百何十億余る。これほど絶好のチャンスはない。こういうことをなぜ踏み切らなかったか。非常に残念だ。六割という間違ったものを直すのに、いまの情勢では、赤の保険では理屈が通ってもなかなかやりにくい。ところが、黒の失業保険で現に——今度のこんな改正案じゃなくて、それをやろうという気だったら、全部七割給付保険金を上げて十分余りがあるわけです。なぜそういう根本的なことを考えられなかったのですか。
  139. 住榮作

    住政府委員 先生の御指摘でございますが、七割給付を実現しようとする場合、先ほど申し上げましたように二百五十億から二百七十億くらいの費用が要る。予備費が二百三十四億でございますので、予備費を全く計上しないとしても十五億から三十五億くらいの赤字になる、こういう勘定になると思います。
  140. 八木一男

    ○八木(一)委員 大臣よく聞いて下さいよ。  いま保険料の値下げをやめれば百三十億余が余り、二百三十億の黒字と合せて三百六十億、失業保険給付全部を七割給付にして二百五十億必要であっても、あと百何十億余る。保険料の値下げをやめれば金が余り過ぎるし、また保険料値下げをやっても、来年度においても黒字二百三十億と必要経費二百五十億でしょう。失業保険の黒字増大傾向で見ればこのくらいのものはオーバーする。おまけにいま積み立て金は累年の黒字でうんとこさと余っておる。半年ぐらいバランスが合わなくても、翌年から保険料収入は名目賃金が上がりますからふえるから、すぐそんなものはカバーできる。その間、カバーするだけの財源はうんと余っているのです。厚生省関係の健康保険やなんか、あれだけ赤字を出してもそれでやっているわけです。労働省だけがなぜ黒字の上に黒字を残して、予備金を残して改善をストップさせるのか。そのように、アリのはうような改善をする省がどこにあるか。ですから、来年から労働大臣、七割給付にしろという方針をひとつ立ててください。それは非常に大切なことですよ。日本の社会保障を原健三郎君がそれで推進することになるのですよ。政治家としてこれだけりっぱな仕事はない。いままでの悪い惰性を打ち破るために、来年から失業保険給付は七割にする。職業安定局長が何か言っているけれども、大きな政治的判断でそういうことをいま答弁してください。
  141. 原健三郎

    原国務大臣 七割給付することもけっこうでございます。決して趣旨に反対ではございませんが、このたびの改正案におきましては、御承知のように保険料の引き下げもやっておりますし、それをやるとやはり赤字になっていくというようなことにもなりますし、次の機会にはひとつ大いに考えますが、このたびは六割で、はなはだ私どもも不十分だと思いますが、よしなに御了承のほどを……。
  142. 八木一男

    ○八木(一)委員 次の国会に七割にしますね。
  143. 原健三郎

    原国務大臣 それは社会保障制度一般の中の一つでございますので、私だけでいま直ちにやるというわけにいきませんが、検討はいたすことをお約束いたします。     〔発言する者あり〕
  144. 八木一男

    ○八木(一)委員 どうも妨害的発言がありますから、もう一ぺん注意してください。これは社会保障を停とんさせるような発言であります。
  145. 谷垣專一

    谷垣委員長代理 御静粛に願います。
  146. 八木一男

    ○八木(一)委員 原さん、それはほんとうに大事なことですから、六割というのは間違いですよ。それを間違ったままで停とんされているのに、特にこういう現金給付の点については——社会保障全体については厚生省のほうが比重が多いかもしれないけれども、現金給付の点については、労働省のほうが比重が多い。したがって、労働省が踏み切ったら、厚生省の社会保障はそうならざるを得ない。黒字があって絶好のチャンスなんです。停とんした社会保障を推進する絶好のチャンスです。憲法第二十五条二項をいままで全部なまけておったけれども、原健三郎君の時代に、労働省がそれをほんとうの意味で推進をしたということになる。それをひとつ前向きでぜひやっていただきたいと思う。  そうすると、また労働省の中でごちゃごちゃ考え方が起こるから言っておきますが、それじゃ全部七割にするのはなかなか問題がある。低賃金労働者のほうだけ上げようという考え方も出てくる。それは幸いです。それは賛成ですよ。全部七割にして低賃金労働者のほうは八割、九割にする。そういう考え方で至急に検討して、次の国会に改正案を出していただきたい。それについて前向きの御答弁を願いたい。
  147. 原健三郎

    原国務大臣 たいへん重大な御議論でございまして、お説はよくわかります。その趣旨は私も了解いたしておりますが、社会保障全体の問題でございますので、波及しますから、労働省だけ先にかってに行ってしまえ——そうもいきませんので、ほかのほうからちょっと待ったといわれるとなかなかきめかねます。しかしながら、御趣旨はよくわかりましたから、前向きに大いに検討してみます。
  148. 八木一男

    ○八木(一)委員 いま全般の給付率を上げる。それから低賃金労働者の給付率を上げることは私は賛成です。それを八割にするとか、九割にするとか、そういうことを入れてぜひ前向きに検討して、次の国会にそのような、労働省よくやったとほめられるような、みんなが賛成できるような案を出していただきたいと思う。  それから、それに似た問題ですが、社会保障の給付のやり方について、失業保険の中で社会保障的にやらなければいけないことで、今度の改正の中に給付期間の延長があります。長い期間保険料を払った人は二百七十日の給付を三百日にするというふうになっております。この考え方をもう少し改めていただかなければならぬ。金額だけではなしに、失業保険給付期間を本来からいえば再就職まで、労働省や職安局長に言われてしぶしぶ再就職したのではなしに、みずから喜んでここで思い切って働ける、後顧の憂いなしに働ける、労働者が、完全に長い期間自分で職業選択の自由を行使していける状態で再就職するまでの期間、どんなに長かろうとも全期間失業保障をするのがあたりまえです。本則です。それをこんなものを期間を区切っているのが失業保険の非常な欠陥です。区切っているのを直していこうというときに、直し方がおかしい。保険料をたくさん納められなかった人は、残念ながら長いこと働かなかったから、その企業は不安定企業、不安定雇用です。そういう人たちは、賃金が少ないから蓄積が少ない。またそういう不安定雇用に行っていた人ですから、再就職もやりにくい。そういう人こそ失業保険給付期間が長くなければならない。それが改善の方向は逆でしょう。長いこと保険料を納めた人の給付期間は長くしましょう。ちょっと改善みたいに見えますけれども、そういう考え方はさかさまだし、実際そういう人はあまりない。長いこと納めたような人は、たいていもっと長く働きますよ、失業しないから。だから、改善みたいに言って、実質はごく少ない。二十年も保険料を納めた人が、そこでやめるということは少ない。一年か二年しか納められない人が、やめなければならないような事情になることが多い。ですから、給付期間の延長を徹底的にしなければならない。それを段階的にやるとしたならば、平均的に延ばさなければいかぬ。もっといえば、保険料を納める期間の少ない人のほうを、重点的に長くしなければいけない。それが逆行している。これは社会保障の考え方と逆行です。社会保険的な考え方でこれをきめられたと思う。日本国憲法には「社会保障」が書いてあるけれども、「社会保険」とは書いてない。憲法の精神に従って、いまある社会保険制度も、社会保障の方向に向かって改造をしていかなければならない。そういう点で、こういう考え方は間違っておる。根本的に労働省全体で反省をされて、今後社会保障的にそういうことを改善をされる。給付の期間の延長を、そうした意味で次の改正案に出すかいなか、出さなければならないと思う。次の機会に、そうした意味での改正案を出すということを明確に御答弁いただきたいと思います。
  149. 住榮作

    住政府委員 失業保険給付期間は、段階制がいいか、一律制がいいか、いろいろ考え方のあるところだと思います。現在の失業保険給付期間、これは九十日、百八十日、二百七十日、それと今回は三百日をつくろうとしています。これは何も保険料を長く納めたから給付期間を長くするということではございませんで、やはりそういう方は比較的長い期間働いておって、中高年になりましてから離職する。御承知のように、現在わが国の雇用事情からいきますと、中高年齢者の方々の再就職の状況は、どうしても若年労働者よりも長期間を要しますので、そういうことも考慮いたしまして、段階制をとったものでございますが、先生の御趣旨考え方の一つであるというふうに考えております。
  150. 八木一男

    ○八木(一)委員 御答弁は半分いけない答弁で、半分いいと思うのですからいいですが、そういう中高年齢層ということだったら、保険料給付期間に関連しないで、何歳以上の失業者は五百日にするとか、そういう考え方もある。そういう精神ならそういう精神で、はっきり出したらいい。保険料は一年しか払わなくても、その失業者が四十歳をこえていたら、その人の給付は三百六十日にするとか、ほんとうの考え方に従ったやり方をしてもらいたい。こういう改正案だと、保険システムの、保険料をたくさん納めたんだから、たくさんにしてあげなければいかぬという保険思想から出たやり方です。そういうことでなしに、ほんとうの社会保障の考え方に立って前進をする、そういうやり方をしていただきたいと思う。そういうことをみんな申し上げたら時間がないからまとめて——こんなことは一つの問題でも三時間ぐらい討議しなければならない問題です。要約しているので、私の言ったことを全部受け入れて、そういうふうな意味の社会保障的な改正案を次の国会に出すと労働大臣から明確にお答えを願いたいと思う。
  151. 原健三郎

    原国務大臣 八木先生のお考えは、非常に画期的、進歩的なもので、保険思想の考えではなくて、社会保障的な考えでこういう保険も改めるべきものである、こういうお考えでございまして、非常に進歩的な考えでございます。  それを次の改正のときに考慮するかということでございますが、これはとにかく御趣旨はけっこうでございますので、前向きに検討させてもらいます。
  152. 八木一男

    ○八木(一)委員 それでは時間が詰まってまいりましたので、今度は具体的な問題に入ります。実は同僚委員が非常にりっぱな質問を各方面でしておられます。私も傾聴して、同僚委員の発言されたことについての御答弁がなお不十分なところがありますが、それをほんとうに十二分にやっていただきたいということを申し上げるとともに、いままで取り上げられていなかった問題について、具体的に申し上げたいと思います。  実は失業保険法のいろいろな欠点で、農林業関係の労働者が疎外されておる。そして林業関係の労働者についても、失業保険制度について疎外されているわけであります。その中で、実態に即して労働省自体のいろいろな理解と配慮もありましたでしょう。また各団体の熱心な運動もあり、それからまたこの委員会における討議を有効に生かした結果もありまして、いま林業労働者に対して、いわゆる奈良県方式という方式で日雇失業保険の特例適用が奈良県においては認められているわけでございますが、それを同様の状態にある各府県に、日雇失業保険の特例給付をどんどん積極的に認めていかなければならないと思うわけであります。  次に、それに関連してでございますが、林業労働者の現状を見ますと、すでに、日雇失業保険の特例適用についての申請と、それから職業安定法に基づく労務供給事業についての手続が行なわれるようになっているのですが、手続を行なうところの体制が整っているところも、なかなか行政的にスムーズにいっていないことがあります。そういう手続を行なう体制が、その府県あるいはその団体において整っているところは、どんどん手続が進行するようにしていただかなければならないと思うわけであります。ぜひ、林業労働者の生活安定をはかることを重視して、申請があればどんどん早く認可をすることによって、適用や運用上の問題を起こさないようにしていただきたいと思うわけであります。どうか労働大臣の前向きの御答弁をいただきたいと思います。
  153. 原健三郎

    原国務大臣 八木先生のおっしゃられた、林業労働者については、いわゆる奈良方式というのがございますが、この奈良方式で失業保険を適用するよう措置をいたしていく考えでございます。  さらに、もう一つの御指摘のあった認可につきましては、林業労働者の実情を十分把握した上で、失業保険の目的が達成できるよう措置することといたします。そして、円滑な法の運用をはかっていく考えております。
  154. 八木一男

    ○八木(一)委員 このことについては前向きで満足をいたします。御答弁のとおりになるようにぜひやっていただきたいと思います。  その次に……。
  155. 谷垣專一

    谷垣委員長代理 八木さん、ちょっと申し上げておきますが、時間がもう来ておりますから、どうぞ結論に入ってください。
  156. 八木一男

    ○八木(一)委員 はい、わかりました。  それから、現在日雇失業保険の特例適用を受けている労働者があるわけでございますが、その労働者の実態を申し上げますと、日雇失業保険の特例適用の給付要件は、六カ月に八十四日間の保険料納入、それからまた一カ月に十一日の保険料納入という二つの要件が果たされて、失業保険金給付が行なわれるというふうに現行法でなっているわけであります。  これが非常に実態に即さないことが起こりまして、たとえば、この奈良県方式の中心でおります奈良県の林業労働者の場合、そこの地域は全国一の多雨地帯であります。非常に雨が多いわけであります。したがって、そこでは林業労働者以外の仕事はほとんどありませんから——仕事があればみんな喜び勇んで行くわけでございますが、残念ながら、そういうような雨のために仕事がないということが多くあるわけであります。  それから林業労働の特質上、残念ながらけがが非常に多いわけです。けががあって、それでそういうことのために、働かなければ食えない、働きたいと思いながら、働きに出ていかれないことが短期的に起こることがあるわけであります。そういうときに、六カ月八十四日の要件は、六カ月の期間でございますから、その間の労働意欲によって大体満たすことができると思いますが、一カ月十一日といって、表面的には軽く見えましても、集中的に雨が降った、その月だけけがをしたという場合に、この要件をはずれてしまって、失業保険給付が受けられないことが非常に多いわけであります。これは日雇失業保険を特例適用した趣旨に反することでございますので、そういうふうにならないように、全部が適用になるようにぜひしていただきたいと思うわけであります。  私の考え方では、日雇労働者健康保険法の中に、実は日雇労働者健康保険の給付をやる要件としては、六カ月七十八日か、あるいは二カ月二十八日か、いずれかの要件を満たせば日雇健康保険の給付の適用を受けられるという、要件が満たされるということにそちらではなっております。ところがこの失業保険法では、ダブル要件で、両方要件を果たさないと失業保険給付が受けられないということになっているわけであります。労働省と厚生省の行政の中あるいは法律を推進する中で、どっちが進んでいるかどっちがおくれているかわかりませんが、労働省のほうが進んでいる点も、五人未満その他についてはあります。しかしこの点では、厚生省の法律のほうが、その労働者なり被保険者に非常にあたたかい配慮がされ、実態に合っていると私は思うわけであります。ぜひ労働省も、こういうことを勘案されて、こういうふうにしていただきたい。とにかく、雨が降って、あるいはけがをしてということで、保険料納入の要件がはずれ、一カ月十一日をはずれることによって失業保険給付が受けられないということをなくするように、ぜひしていただきたいと思うわけであります。それについての労働省側の前向きな御答弁をひとつ伺っておきたい。
  157. 住榮作

    住政府委員 先生指摘のことは、よくわかるのでございますが、現在の失業保険法のたてまえは、日雇い労働者の特例給付は、要するに常用労働者に準ずる日雇い労働者について特例を認めたものでございます。そういう意味で、特例給付一般失業保険との均衡を保っておるわけでございます。そういう現行法を、いま直ちにどうするこうするというのは、非常に困難かと思うのでございますが、ただ御指摘のような現状はわかりますので、そういう現状につきまして十分調査いたしまして、その結果不合理な点がございますれば、現行法のワク内でこれに対処できるよう十分検討してまいりたいと思います。
  158. 八木一男

    ○八木(一)委員 比較的前向きの御答弁でけっこうですが、少し、比較的なんです。十二分に調査した結果というようなことではなしに、この問題については労働省と、この社会労働委員会の場ではございませんけれども、社会保障制度審議会の場で、労働省の当時の職安局長の村上君等と、直接にいるところで論議をして、そういうことに対処すべきことが必要である、そういう状態もあるということを確認し合った問題であります。住さんは非常に有能な、そうしてまたいい局長でおありになりますけれども、最近新任されましたそうですが、そういう実態があって、たとえば奈良県の七月の雨量は一カ月に二十日間ぐらいに近い、場所によっては、年によっては違います。十八日、十九日、二十日というような雨が降るわけです。それもほんとうの霧雨は別にして、何ミリ以上と言う雨でもそのくらいあるわけであります。そうなればほとんど雨のときは仕事がない、それが二十日間あればあと十日間になっちゃう。十八、十九と雨が降りまして、その間に事業主のほうがきょうは休日だから休むということがあれば、要件ははずれてしまうわけであります。そういう状態がございますから、雨が降ってそういう働きができない場合、小さなけがをしてそういう働きができない場合、そういう場合については、いまの行政運用で、それをぜひそういう人たちに失業保険給付ができるというふうにやるということを、御答弁をぜひお願いをいたしたいと思うわけであります。
  159. 住榮作

    住政府委員 善処してまいりたいと思います。
  160. 八木一男

    ○八木(一)委員 いま局長から、この問題について善処をすると言われました。その問題について私は少なくとも失業保険法のこの改定案が成立をした時期から、そういう処置をとられるものと理解をさしていただきたいと思いますが、もう一回職安局長から御答弁願います。
  161. 住榮作

    住政府委員 十分御趣旨を体しまして善処してまいりたいと思います。
  162. 八木一男

    ○八木(一)委員 労働大臣から、いまの問題について明確に御答弁を願いたいと思います。
  163. 原健三郎

    原国務大臣 いま職安局長から御答弁申し上げましたように、きわめて前向きに善処して御期待に沿いたいと思っております。
  164. 八木一男

    ○八木(一)委員 いまの問題は至急に、どんなにおそくても、この改定案というものができ上がった時点において行政的に最大の運用をやって、雨のときに、あるいはまたけがをしたときに、そういう保険料納入のいままでのやり方では要件が満たされないで、失業保険給付が受けられなかった状態を直す、そういう、雨が降っても、それからけがをしても、ほんとうに働きたくても雨のために働けない、けがのために働けないという状態がありますから、それを確認して、失業保険給付をそのような林業労働者に完全に適用される、するということをお答えをいただいたことを確認をしておきたいと思います。それについて、そのとおりだとひとつ労働大臣から言っていただきたいと思います。
  165. 原健三郎

    原国務大臣 趣旨はけっこうで、そのとおりでございます。
  166. 八木一男

    ○八木(一)委員 最後に一問。  いま時間が短いために、失業保険全体の大きな問題について十二分な質問ができませんでしたけれども、そのことについては、労働大臣も職安局長も非常におわかりになったと思うわけであります。そういうことなり、それからまたさっき後藤委員から御指摘になった具体的な非常に大切な問題、家族扶養加算をつけることによって、失業保険金の少ないところをカバーしようといままでやっておられた、それが一番生活が困るはずの日雇失業保険適用者にないというようなことは非常な矛盾ですから、これは即刻直されなければならないと思います。そういうことも含んで、来年度にぜひ失業保険法改正案を提出なさっていただくべきだと思うわけであります。来年度に失業保険法改正案を提出することをひとつ労働大臣からお約束をいただきたいと思います。
  167. 原健三郎

    原国務大臣 御趣旨は賛成でございますので、そういう点いろいろ御意見を含めて、前向きに検討して善処いたします。
  168. 谷垣專一

    谷垣委員長代理 この際暫時休憩いたします。本会議散会後再開いたします。     午後一時四十九分休憩      ————◇—————     午後二時三十八分開議
  169. 森田重次郎

    森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。田畑金光君。
  170. 田畑金光

    ○田畑委員 初めに、適用拡大の問題についてお尋ねをいたします。  今回の改正法案のねらいは、五人未満事業所への適用拡大であるわけです。そこで、これに関連してお尋ねすることは、このような零細事業所をどのように把握していくのかという点、また、段階的適用拡大をはかることはうなずけるわけでありますが、その第一歩として製造業、電気・ガス・水道、運輸・通信、建設業等をあげておりますが、これは五人未満事業所の中でどれぐらいの比率を占めておるのか。今後五人未満事業所への適用について、労働省としてはどういう具体的なプロセスを持っておるのか、この点をまずお尋ねしたい。
  171. 住榮作

    住政府委員 まず、五人未満の事業所の数は大体百二十万程度でございまして、非常に大きな数にのぼっております。そういう意味で、五人未満の事業所への適用を拡大するにあたりましても、御指摘のように、事業所をどのように把握するかというのが非常に大きな問題でございます。そういう意味におきまして、まず、従来の労働保険相談員制度とかあるいは労働保険適用指導官制度によりまして事業所の把握につとめますとともに、適用にあたりまして、事業所番号の統一とかあるいは電子計算機による事務処理のプログラムの作成というようなこと等がございますので、直ちに五人未満事業所への適用を行なうことはできないということで、この法律が公布、施行になってから大体二年後、つまり昭和四十六年の四月を目途といたしまして、製造業、建設業、電気・ガス・水道業、運輸通信業等に適用を拡大してまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。  そこで、それではそれらの事業所がどの程度で何%に当たるか、こういう御質問でございますが、大体総理府の事業所統計調査、これは昭和四十一年の調査でございますがそれによって推計いたしてみますと、まず製造業におきましては事業所の数で十八万三千、それから運輸・通信業におきまして二万四千、電気・ガス・水道業におきまして五千、建設業におきまして七万一千、大体二十八万三千の事業所でございまして、全体の百二十万以上の五人未満事業所に対しまして二四・三%に該当する。また労働者につきましては、四業種合計いたしまして六十三万七千、大体二六・四%に該当する、こういうように推計をいたしております。
  172. 田畑金光

    ○田畑委員 いまの答えの中に出ておりましたが、これだけの零細な規模の企業の把握を完全にやり遂げ、また失業保険の適用あるいは労災保険の適用を進めていくというためには、相当行政機能の充実の問題が出てこようと考えるわけであります。いまお話しの労働保険相談員制度等々あげられておるわけでありまするが、あるいはコンピューターの採用などもあげられておるわけでありまするが、いまの行政機能に対してどういう規模の充実をはかればこの適用拡大ができるのかどうか、この点お答えをいただきます。
  173. 住榮作

    住政府委員 まず、先ほども申し上げましたように、できるだけ能率的、合理的に行なうということによりまして、適用、徴収事務の一元化を実は考えておるわけでございます。これは言うまでもございませんが、労災保険、失業保険の対象は雇用者でございますので、そういうこともございまして、両保険の適用、徴収の一元化をはかることによってまず行政の能率化をはかろう。さらにそれ以外におきましても当然人員の増が必要でございます。あるいは給付等に要する人員も必要でございます。そういう意味での必要な人員及び徴収機構につきましては、今後二年の間に十分整備いたしまして適用拡大が円滑に行なわれるようにいたしたい、こういうように考えておる次第でございます。
  174. 田畑金光

    ○田畑委員 今回の改正案では、先ほど八木委員からも強く指摘されましたように、短期循環受給者について、制度健全化の名のもとに被保険者期間の算定が従来の四カ月二十二日から六カ月まるまるの雇用期間を必要とすること、また一カ月の稼働日数は従前の十一日を十四日にすること、これについていろいろな角度から既得権の侵害であるというような非難が寄せられておるわけであります。先ほどこの点について社会党の各委員から次々に質問がなされたわけでありますが、この点については、今後もっとこれを緩和するという立場で労働省としては善処する用意があるのかどうか。この点をもう一度労働大臣から明確に承っておきたいと思うわけです。
  175. 原健三郎

    原国務大臣 さいぜんの御説の日数のことですが、いま事務当局ともいろいろ検討を重ねておりまして、何とかならないものかと検討の最中でございます。
  176. 田畑金光

    ○田畑委員 要すれば、検討の最中ということは、何とかこれは緩和の措置も講ぜざるを得まいという気持ちに大臣は到達されたものだ、このように判断しましたが、それでよろしいわけですね。
  177. 原健三郎

    原国務大臣 そういうこともあり得るので、それらも含めていま検討しておる、こういうことでございます。
  178. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣の気持ちを察しましたから、それはこの辺でやめておきます。  五人未満の事業所に失業保険、労災保険の適用をやるというわけでありますが、五人以上の規模の当然適用の事業所の中にも、事実未適用の事業所があることをわれわれは承知しておるわけであります。先ほど短期循環受給者の既得権を侵すことについては権利の侵害であるという非難がございましたが、同様に私は、当然適用さるべき五人以上の事業所において未適用状態にある労働者が存在しておるということは、これは労働者にとりましてのより大きな権利の侵害であると考えておるわけでありますが、この点についてどの程度あるのか、またこれについての対策はどうなっておるのか、この点について承ります。
  179. 住榮作

    住政府委員 現在、失業保険が適用されております事業所は約六十万程度ございますが、これは五人以上の事業所でございます。幾ら適用漏れがあるか、これは推計になりますけれども、私ども大体二割程度の適用漏れがあるんじゃないだろうかというように考えております。  そこで、その適用漏れの事業所も、規模が小さくなるにつれて適用漏れも多いのではいか、こういうように考えて、現在、当然適用となっております事業所に対する適用漏れ防止のために、先ほども申し上げておりますように、現在も適用指導官制度とかあるいは相談員制度、あるいは零細企業等に対しましては事務組合方式による失業保険の加入の促進等、いろいろ行政措置を講じております。そういう措置を進めることによりまして、適用漏れを極力少なくするように努力しているところでございます。
  180. 田畑金光

    ○田畑委員 二年後には、先ほどあげた幾つかの製造業以下業種については、約三〇%近くの対象業種については五人未満でも適用するという状況下において、いまお話を承っておりますると、当然適用の企業にあってもなおかつ二割が未適用の状態にあるということですね。これはゆゆしい問題だと思うのですね。この未適用の労働者について、幾つかの点をあげていま努力中であるという答弁ではありますが、少なくとも最当初にやられねばならぬことは、現行法において当然適用される人方が保険の適用を受けていないというこの問題については、もっとこれは真剣に取り組むことが必要だと思うのですが、何かこの問題の解決について、具体的な処理計画なりあるいは年度計画などをお持ちであるのかどうか。四十年度にはどれだけ、四十五年度にはこれを完全になくすんだ、そのことと、どういうわけで、どういうことが大きな原因でこのような状態が現存するのか、この点もあわせてお伺いしたい。
  181. 住榮作

    住政府委員 御指摘を待つまでもなく、五人未満への適用拡大をしようという段階で、五人以上の事業所になお未適用の事業所があるということは、まことに遺憾なことでございます。そこで、先ほども申し上げましたような、あらゆる手段を講じましてその適用を確保するという体制をとっておるのでございまして、私どもとしては、五人未満適用までに、そういった事業所がほとんど失業保険の適用を受け得る体制に持ってまいりたいということで、せっかく努力をしておる最中でございますので、御了承いただきたいと思います。
  182. 田畑金光

    ○田畑委員 この点はひとつすみやかに、いま私の指摘した事業所の労働者については保険の適用がなるように、特に努力を願いたいと思っております。  それから、この失業保険財政については、これまた先ほどいろいろな質問がなされたわけでありますが、労働省の所管であるこの失保の財政については、厚生省の健保の財政等と異なって、制度以来財政状況は健全な道を歩んで今日まで来ておるわけであります。ただ一般失業保険と日属失業保険をしさいに検討すると、日属失業保険においてはある程度の赤字は出ておるが、失業保険財政全体としては大幅の黒字を生んでおるわけであります。年金保険と異なる短期のこのような保険制度において巨額の積立金を持っておるということはどうかなという感じを私は持つわけです。もちろん赤字が望ましいのではなく、黒字が出ることが健全な保険財政であると考えるわけでありますが、しかしそれはやはりほどほどの財政の黒字の状況であって差しつかえないのではないか。短期の保険制度においては特に私はそういう考えを持つわけです。したがって、今回保険料率を千分の一下げたということも、保険財政の好転の反映であるとは考えてはおりまするが、しかしやはりこの際大事なことは、給付率の改善の問題というものはもっと前向きに検討してしかるべきだ、こう思うのです。失業保険だけでなく、あるいは労災保険でも、あるいはまた健康保険でも、いずれも標準報酬の六割、こういうようなことになっておるので、他の制度との関連からこの問題については慎重に考えざるを得ぬ、このような先ほどの答弁とお聞きいたしましたが、労働省は、この問題について質問をされると厚生省の場合をあげるし、厚生省に質問すると今度労働省の保険をあげるし、お互いが、他省がこうだから六割の給付ということだというような答弁です。なるほどILO百二号条約などを見れば、それは確かに、六〇%が低いというようなことは表向きは形式的には言えないかもしれぬけれども、しかし私は、わが国の賃金水準というのは、この蓄しい経済の成長に比べて、分配の面における、所得の面における労働者の賃金というものは、先進国に比べて決して高いものでないということは、労働大臣よく御承知であります。ことに失業保険財政の今後の状況を見ましたとき、私は、今後のわが国の労働力の需給面から見たとき、この失業保険財政というものはますます黒字の方向に行くものだと見通しておるわけです。ことに労働力が、だんだん若手が不足して、あるいは技能労働者が不足して、やがては中高年齢層の労働力に依存せざるを得ぬ今後のわが国の雇用の推移を考えたならば、私はこの問題については、失業保険給付等については、もっとこれはほんとうにこの場限りの答弁ということではなくして、真剣に検討に値する重大な課題である、こう考えるのですが、この点について労働大臣、御見解を承ります。
  183. 原健三郎

    原国務大臣 さいぜんからもそういう質問をしばしば受けまして、まあ六割給付よりももう少しふやしたほうがよかろうという御意見がございました。その御趣旨はごもっともでございますので、われわれとしても前向きで大いに検討していきたいと思っております。
  184. 田畑金光

    ○田畑委員 前向きに検討するという労働大臣のお答えでございますから、これ以上言うことはないわけでありまするが、どうかここだけの答弁でなくして、案際この問題については真剣に取り組んでもらいたい、こう私は思うのです。  そこで私は、これは局長の答弁を求めるわけでありますが、将来五人未満の零細規模の事業所等に適用が拡大されていくとすれば、この失業保険の財政面にどういう影響が出てくるのか、この点について将来の見通しをお聞きしておきたい。
  185. 住榮作

    住政府委員 五人未満の事業所に対しまして適用を拡大した場合、それが失業保険財政にどのように影響を及ぼすか、こういう御質問だと思います。  現在、五人未満事業所に対しまして、先ほど申し上げましたように、適用のしかたに段階を設けて実施していきたい、こういうことでございまして、正確な移動率がどうなるとか、あるいは需給率がどうなるとか、これは大規模事業所と五人未満事業所とでは相当異なるとも考えられます。いろいろな条件を置いて推計するほかはないのでございますが、かりに五人未満事業所に全面的に失業保険を適用した場合の適用率を八〇%と見ますと、五人未満事業所の収支だけでは約五十億から六十億円の赤字になるのではないだろうか、こういうように考えております。
  186. 田畑金光

    ○田畑委員 将来の財政の問題というのは、そういうようなことも考慮しながらいろいろ収支計画を立てていく以外にない、こう思うわけでありまするが、今後そういう零細規模を対象として取り上げていくということになれば、保険給付の面においても、事務費の面等においても、相当財政に負担が加わってくると思うわけであります。  そこで、この国庫負担の問題でございまするが、失業保険法二十八条によれば、「国庫は、失業保険事業事務の執行に要する経費を負担する。」こういうたてまえになっておるわけです。ところが一般会計は一億五千万負担しておるにすぎない。失業保険特別会計を見ますると、保険給付のほかに雇用促進事業団に対する交付金、出資金、保健施設費等々、昭和四十三年度は二百十九億九千二百万。ところが、四十四年度になってきますと、一躍四百二十七億一千百八十万にのぼっておるわけです。福祉施設予算が大幅にふえてきておる。この点については、審議会等においてもいろいろ意見が出されておるようでありまするが、たとえば失業保険財政の中において積立金の運用収入は四十二年度が九十八億二千百万、四十三年度が百二億九千万、四十四年度予定が百三十二億二千二百万。ところが、運用収入の七割から八割が業務取扱費等に充当されておるわけで、したがって、今後零細規模の企業等を対象に取り上げていくことなど、またこれが失業保険財政に相当の負担にもなってくることを考えてみるならば、失業保険法二十八条に基づく国庫負担事務費などについては、もっと大幅に一般会計からの支出を考えることが至当ではないか、私はこのように判断するわけでありまするが、この点はいかがなものでしょうか。
  187. 住榮作

    住政府委員 ただいま御指摘のように、失業保険事務処理に要する費用は、国の一般会計及び特別会計で負担することになっております。その現状は御指摘のとおりでございまして、現在国庫負担が一億五千万円ということでございます。昨年度が一億円でございましたので、五千万円はふえておりますけれども、なお全体の額から見ますると非常に少ないのも事実でございます。そういうこと等を考えまして、今後とも国庫負担の増額につきまして努力いたしてまいりたいと思っております。
  188. 田畑金光

    ○田畑委員 国庫負担の増額に努力するということですから、いいことですから、ひとつ大いに努力を願いたい、こう思うのです。  それから低所得層の給付改善ですが、給付について幾つかの改善がなされておることはけっこうでありまするが、大きく見た場合に、冒頭に申し上げたように、給付率をもっと高くしたらどうか。この点は労働大臣から、前向きに検討すると先ほども今回も御答弁がございましたから、それを期待し、将来の実現を待つわけでありまするが、今回のこの改正案の中で低所得層の給付改善について、扶養手当引き上げ配偶者だけになっておるわけです。配偶者を十円上げて三十円にする、これだけです。そうして子供については据え置いておるわけですが、第一子等については、当然、少ないけれども十円上げるくらいの配慮があっていいのじゃないか、こういうように考えておるわけでありまするが、先ほどの質疑応答を聞いておりましても、今回の改正案によれば、妻と子供二人の標準家族を見ると、離職前賃金の六六%相当額を保険給付できるように非常な改善になった、このようなお話ではございまするが、失業中の生活の安定、これが失業保険法の一番大事な精神である点から見た場合に、特に、子供をかかえ被扶養者をかかえておる家庭でおやじが失業したという生活状況などを考えてみるならば、配偶者とともに子供の加算等についても、これは当然取り上げてしかるべきではなかったのか。この点は、中央職業安定審議会においても、社会保障制度審議会においても、再検討の要がある、このように指摘しておると思いますが、この点はどのような取り扱いを今後していこうという方針なのか。
  189. 住榮作

    住政府委員 先生御承知のように、扶養加算制度は昭和三十八年の改正のときに新たに設けられたものでございます。もともと失業保険金の基礎となる賃金には扶養手当も含まれておりまして、それを含めた六割ということになっていたのでございますが、扶養家族を有する失業者の生活の実態にかんがみまして、三十八年度から定額保険金に加えるということで、その加え方といたしましては、国家公務員の扶養手当に準じまして、妻の場合は二十円、その他十円、こういうことになっておったわけでございます。その後昭和四十一年に国家公務員の扶養手当改正が行なわれております。それは、妻について従来六百円でありました扶養手当が千円に引き上げられたのに伴いまして、それに準じまして今回妻の扶養加算について十円引き上げて三十円にした、こういう経緯でございます。
  190. 田畑金光

    ○田畑委員 だから私の質問しているのは、子供は加算の対象として引き上げになっていないが、子供を扶養加算の対象として引き上げ措置をやるべきではなかったのか、これをどうしてやらなかったのか、これを聞いておるわけです。
  191. 住榮作

    住政府委員 いま申し上げましたように、国家公務員の扶養手当を規準にいたしましてこの扶養加算制度をつくっておるのでありまして、それが昭和四十一年の国家公務員の給与の改正におきまして、妻のみが六百円から千円に上がり、その他の扶養家族については据え置きでございましたので、失業保険もそれに準じまして、妻を上げてその他の扶養家族については従来どおりにいたした次第でございます。
  192. 田畑金光

    ○田畑委員 公務員に準じて今回の改善には妻のみを扶養手当について加算措置を講じておるわけでありますが、これは公務員に準ずるのじゃなくて、民間企業における扶養手当に準じて加算措置を考えるのが適切なやり方ではないかと見るわけです。公務員の扶養手当と民間の扶養手当家族手当、これはどっちが高いのか、その比較状況を説明願いたい。
  193. 住榮作

    住政府委員 御承知のように、公務員の給与は民間給与を調査した上でそれに準ずる、こういうことできめられておりますので、国家公務員の扶養加算額は民間労働者の最も多数のものが受けている額を基準にしておる、こういうように承知いたしておる次第でございます。
  194. 田畑金光

    ○田畑委員 この点は、あなたのほうからいただいた資料を見ますると、民間における配偶者に対する扶養家族手当支給状況が千円以上二千円未満というのが四五・八%、このクラスがほとんど五〇%近くを占めておるわけですね。昭和四十一年における公務員の扶養手当を例にとって今回の措置ということでありまするが、時間の経過を見、また民間の配偶者における扶養家族手当支給状況の実態を見たときに、私は、妻のみ日額三十円にするということは低過ぎる、こういう感じを持つわけです。さらにまた、あなたのほうからもらった資料を見ますと、産業別家族手当の一人平均額を見ますると、全産業四十一年二千群十九円、四十二年二千二百八十一円、こういう数字が出ておるわけですね。この民間の家族手当の推移を見るならば、やはりこの際、失業保険制度は民間の家族手当の動きに準じて取り扱うことが至当ではないかと考えておるわけです。今後このような考え方に基づいてこの問題を検討してもらいたいと考えるわけでありますが、もう一度局長の見解を承っておきたい。
  195. 住榮作

    住政府委員 おそらく人事院が、四十一年の国家公務員の給与の改定にあたりまして六百円を千円に引き上げましたのは、先生もいま御指摘ございました資料によりますと、大体千円以上千百円未満のものが二六・六%で最も大きく分布しておる、こういうところから従来の六百円を千円に引き上げたものだと考えておるわけでございますが、実はこの扶養加算額は法定されておりますので、たとえば国家公務員の妻に対する扶養手当が昭和四十一年に引き上げられたときに、失業保険法においてそれを法改正するチャンスがなかった、こういうことで現在まで二十円に据え置かれた。それが今回の法改正を機に三十円に引き上げるということにしたのでございますが、いま申し上げましたように、この額が法定されておりますと、失業保険法改正の機会でないとその額の手直しができない、こういうことでもございますので、改正法案におきましては、この扶養加算額につきましては政令でその額をきめるようにしておりますので、そういう点従来と違いまして、そういった国家公務員の扶養手当額の変化等に対処しまして機動的に額の変更ができるようにいたしておりますので、その点は、今後そういう事態があればできるだけすみやかに改正ができる、こういうように考えておるわけでございます。
  196. 田畑金光

    ○田畑委員 この点は、今後政令によってもっと弾力的に社会経済の事情の変化に応じながら善処し得る制度ができるわけでありますから、この点は、ひとつ私が先ほど申し上げたような趣旨等を十分考慮して善処することを要望したいと思います。  制度の健全化対策として、特別保険料の問題あるいは被保険者期間の合理化の問題、不正受給者に対する納付命令制度の創設が今回はなされておるわけであります。一つ一つの問題を検討してまいりまするといろいろ問題点が出てくるわけでありまするが、先ほどの質疑応答を通じ、冬型が八割、夏型が二割というような実態のように承りましたが、諸外国において、このような循環的な季節労働者、これが失業保険制度の中でどのような取り扱いを受けておるのか、この点を説明願いたい。
  197. 住榮作

    住政府委員 各国の失業保険制度におきまして、循環的短期受給者がどのように扱われているかということでございますが、一つの立法の型といたしまして、そういった特定の短期循環的労働者に対しまして失業保険法を全然適用していない、こういう例がございます。これはスイスとかイタリアにその例が見られるわけでございます。それから第二の型といたしまして、シーズンオフの離職、たとえば夏働いて冬になると事業ができない、したがって働けない、そういった長期間、つまりシーズンオフの離職というものは失業でない、これはもう毎年循環的に繰り返すのだ、だからこれは予定されている離職であって失業でない、こういう観点から全然失業保険法を適用してない、こういう国がございます。これはイギリスとかフランスとか、あるいはアメリカは各州で失業保険法を異にしておるのでございますが、アメリカの州の一部でそういう制度をとっております。あるいはまた、季節的受給者に対しまして、通常の給付を行なわないで給付を減ずる、こういう方法をとっている国もございます。これは大体スウェーデンとかあるいはアメリカの州の一部でそういった方法がとられています。扱い方は各国によりましていろいろ違っている点がございますが、大きく考えまして、そういう例が多かろうかと考えておる次第でございます。
  198. 田畑金光

    ○田畑委員 各国の事例はよくわかりましたが、旧改正法では、短期循環受給者について給付の制限、こういう法律内容であったと記憶します。ところが今回は、そうではなくしていまの期間の延長で、事業主に対して特別保険料の徴収制度、これに重点を置いた改正内容になっておるわけでありまするが、前回の改正案から今回の改正案内容がこう変わったというのは、それはどういうことを理由にしているのか、その事情の移り変わりが那辺にあるのか、これを明らかにしていただきたい。
  199. 住榮作

    住政府委員 前回の改正案におきまして、いまも御指摘ございましたように、要するに短期循環的な受給者については給付を半減する、こういう考え方でやったのでございます。しかしながら、考えてみますと、従来繰り返して申し上げておりますように、一定期間雇用された場合に、雇用された者が失業する、そういう場合に失業保険金支給して生活の安定をはかる、こういうのが保険の趣旨でございます。その場合に、従来のように四カ月二十二日ということで受給資格をつけるということでは——現在、失業保険そのものが、四カ月以内の雇用期間を定めて雇用される者については、一般失業保険法が適用されておりません。それが四月二十二日というようなことだけによって、一般失業保険法を適用するというようなことはいかがかと考えまして、一般の労働者に期待し得るミニマムの雇用期間、六カ月をもって資格要件のつく期間とした、こういう考え方で従来の期間を満六カ月に、こういうようにいたした次第でございます。
  200. 田畑金光

    ○田畑委員 私がお尋ねしたのは、その期間の問題はさておいて、事業主から特別保険料を徴収する、この点が今度の制度の大きな改正の柱になっておるでしょう。すなわちこの改正案は、受給期間を半減する、こういう内容であったわけです。ところが今回は、半減はやめて期間を延長する、同時にもっと——もっとというのは語弊があるかもしれませんが、同時に、前回と違って大きな改正の柱は、特別保険料事業主から徴収する。この点は何をねらっておるのか。特別保険料を徴収するということですね。そのように旧改正案と今回の改正案が変わったというのは何をねらっておるのか、この点です。
  201. 住榮作

    住政府委員 繰り返し御説明申し上げておりますように、現在季節的受給者の数が約六十万に達しております。全体の被保険者の三%に当たるわけでございますが、その方々たちが全給付額の三分の一の給付を受けておる。また、そういう季節労働者の就労の実態、特に夏型、夏に失業保険金を受給する、あるいは冬に失業保険金を受給する。しかも、冬に失業保険金を受給する方が、六十万近くの受給者の中の八割を占めておるわけであります。そういった方々たちを中心に考えてみますと、やはり年間を通じて働く体制が一番出いい、こういうように考えられるわけでありまして、そういった、年間を通じて事業ができ、年間を通じて雇用がされる、こういうことを考えまして、徴収いたします特別保険料はそういう政策を推進していくための財源としたいということを考えまして、特別保険料制度を設けたわけでございます。
  202. 田畑金光

    ○田畑委員 私は、いまの局長の答弁の内容、また特別保険料徴収の政策目標それ自体は、なるほどという感じを受けるわけでありますが、一体年間特別保険料の収入はどれくらいにのぼるのか。また、その程度金額であなたのお話の通年雇用というものができるのかどうか。あるいは、その程度の財源ではとても通年雇用なんということは保障できませんから、一般会計からでも支出するのか。あるいはどういう財源措置を残余については講ずるのか。特にまた、積雪寒冷地帯等における通年雇用というのは天然自然、気候条件から見てむずかしい、事実上不可能だ、こういう事態が予測されるわけでありますが、確かに特別保険料を取ることによって通年雇用制度をやるのだという政策目標自体はけっこうでありますが、一体実効が期待できるかどうか、この点ですね。  さらに関連してお尋ねしたいのは、この特別保険料を徴収するという結果、この特別保険料徴収制度は自己都合によって退職した労働者を除く、こうなっておりますね。でありますから、労働者にとっては、事業主が自己都合による退職というような形で離職を強要する、こういうようなことも予測されるわけで、そういう点等に対する未然の防止措置等についてはどういう考え方をお持ちなのか、その方策などをあわせて承っておきたい。
  203. 住榮作

    住政府委員 特別保険料は四十七年度から徴収するわけでございますが、大体現在の計算では十八億円程度になるのではなかろうとというように考えております。通年事業、通年雇用につきまして、現在も通年事業ができるようにするための必要な機械、施設その他に対する融資制度をすでに考えております。さらに事業主が年間を通じて雇用者を雇った場合、通年雇用奨励金等も支出しておりまして、これは昨年度は一万人の予算を計上いたしておったのでございますが、通年雇用奨励金の制度によりまして、実績としまして一万五千人ぐらいのものが通年雇用されるに至っております。本年度もその人数を二万人にいたしておるわけでございますが、こういうような制度によっても、すでに一万五千とか二万人というものが従来よりも通年雇用されておる、こういう実績があがっていると思うわけでございます。今後ともこういうような政策を進めていくわけでございますが、いま申し上げました特別保険料というものも、そういった政策を進めていく場合の財源にいたすわけでございますが、その場合にどういう対策を打つならば通年事業ができるかということは、業種によって違う場合も考えられます。そういうことも考えまして、当面はいま申し上げました現在の政策を推進していきますと同時に、この財源の有効適切な使い方につきまして関係方面等の意見をも十分聞きました上で、その目的が達成されるように十分配意いたしてまいりたいと考えております。
  204. 田畑金光

    ○田畑委員 御答弁の限りにおいてはけっこうなことでございまするが、二年後の昭和四十八年、特別保険料で十八億の財源があるのですね。循環受給者約六十万といわれておる。その八割は冬型で六カ月以上の労働をしておる、問題があるのは残りの二割だというような御答弁が、先ほどの質疑応答の中であったわけであります。なるほど二割ということになれば、予算面から見る限りにおいては通年雇用が保障される、こういうことも言えると思うのでありますが、具体的にそれは、業種によっていろいろ問題があると思うのですね、あなたの答弁の中にありますように。また積雪寒冷地帯のような、ああいう天候の条件などから見て、通年雇用というのは事実上不可能な地帯も予測されるわけですね。こういう問題の険路をどのように解決していこうというのか。この点をもっと具体的に御答弁を願いたいということ。  それから、私の質問の中であなたの答弁漏れがありましたね、その問題についての御答弁。  さらに私は、この際農林省にお尋ねしたいのは、こういう短期循環受給者というのが、それぞれの地域から年間約六十万も出ておるということですね。これは私は端的に言うと、農政の貧困という問題から労働省の失業保険に依存せざるを得ぬ、こういう実態が生まれておるわけですね。この問題について農林省としてはどのように考えておられるか。あるいはこの六十万の人方は、実際これは農業を兼業としてやっておる人方なのか、あるいは言うならば当然労働者と見るべき純然たる労働者なのか、あるいはこれは農業者として見るべき人なのか。五十七万といわれ、五十九万といわれ、六十万といわれておるこういう人方について、農林省は農林省の立場で内容をしさいに検討し、これに対する対策なりについて考えておられるのかどうか、この点をあわせてひとつ農林省のほうから承っておきたいと思うのです。
  205. 住榮作

    住政府委員 どうしたら通年事業、通年雇用が実現できるか、これは業種によって非常な違いがあると思います。これはえらい恐縮な例でございますが、現在積雪寒冷地等におきまして、冬季においてもビルの建設等が行なわれるようになってきております。スウェーデンとか北欧諸国とか、あるいはカナダ等におきましても、冬季の事業の実施につきましていろいろなくふうが施されておりまして、いろいろ成果もあがっておるということも聞いておるわけでございます。そういうようなことで、やはり自然的な条件を克服して事業ができる場合も非常に多かろうと思うわけでございまして、そういうような観点から、特別保険料が通年事業、通年雇用ということに役立たせることができると考えておるわけでございまして、そういうような有効な使い方につきまして、関係者あるいは関係審議会等意見等をもお伺いしました上で有効な運営をはかってまいりたいというように考えておる次第でございます。  それから、第二点の特別保険料を徴収するのは、これは事業主から徴収するわけでございまして、その場合に、労働者が任意に退職していった場合、そういうものの分まで事業主から保険料を取るということはいかがかということを考えまして、任意退職者については、保険料徴収の対象からはずしておるわけでございます。  そこで、御指摘のように、労働者のほうでは、意に反して任意退職者として取り扱われることになるではないか、こういう御質問かと思いますが、御承知のように、事業主が離職証明書を安定所に出す場合におきまして、離職事由について本人の確認をいただく、そうして本人が記名捺印をするということになっております。また、安定所がその離職証明書を受け付ける場合において、そういう事実を確認する。あるいは失業保険給付をする場合に、離職事由を本人に直接当たって確認する、こういうことになっておりますので、御指摘のような、意に反して労働者が任意退職したものというように扱われることがないと思いますけれども、そういう疑念がありますならば、今後の行政指導の上におきまして、そういうことのないように、十分措置してまいりたいというように考えております。
  206. 中澤三郎

    ○中澤説明員 お答え申し上げます。  御質問の中に、六十万ほどの季節受給者といいますか、出かせぎ労務者で失業保険の季節的な受給者があるという話でございますが、あるいは、この中身の理解のしかたにつきましては、すでに労働省のほうからお答えになっておられるかと存じますが、私がお答え申し上げます内容との関係におきまして、一応の中身を答えさせていただきますと、六十万の数字のうち農家出身とみなされる者が、労働省の御調査によりますと、約三割、十八万というふうに推定されるようでございます。この十八万を、さらに夏型受給者と冬型受給者に分けますと、夏型受給者が七万、冬型受給者が十一万という数字になるようでございます。それで、農業の季節性というようなことを考えますと、冬型受給者である十一万の方々は、夏出ていくわけでございますので、どちらかといえば、農業よりも出かせぎを本業としている方々ではないかというふうに考えられます。  御質問になりました、農政上の観点から問題になるいわゆる出かせぎ農家のうち、ことに失業保険法との関係におきましては、その七万の方々が問題になるかと思うわけでございますが、出かせぎも、先生御承知のとおり、兼業の一つの形態でございまして、地元に雇用の機会があるならば、家族を離れて出かせぎに出るということは、一般的にはあり得ないというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、こういう兼業形態が御承知のように非常にたくさんございまして、五百五十万農家のうち、七、八〇%が兼業農家でございまして、これすべてが農政の貧困かのように御指摘を受けるのはいささか残念ではございますが、しかし現実にはそういう兼業農家が多うございますし、また、これが少なくなるという見通しを持つ者は、現在実際にいないと思うのでございます。そういう意味におきましては、非常に大きな兼業農家の中に、農業だけで自立し得るものをつくることが農政の任務ではないかという御示唆かと思いますが、それはまさにそのとおりでございます。しかし、五百万農家を農業だけで現在の社会生活における生活水準を維持しながら自立させるということは、これは不可能に近いことでございます。ただ、そういう中からできるだけ農業だけで自立できる農家を多くすることによって、そういう出かせぎの必要性というようなものを軽減できることにつきましては、構造政策なりあるいは価格、生産、いろいろ対策を講じていかなければならないと考えております。しかし現実には、先ほど申し上げましたように、多くの兼業、特に出かせぎという特殊な兼業形態がございまして、長期間にわたりまして家族を離れております。したがいまして、まあ私たちが農林省の立場でなし得る行政といたしましては、出かせぎ先にいく問題につきましては、一般労働行政の御協力なりを得まして、できるだけ集団的に出かせぎするとか、あるいは安定的な出かせぎ先をつくるということを行なっておりますし、それからまた、出たあとのめんどうの見方といいますか、後顧の憂いのないように出かせぎをしていただくという意味におきましては、生活面あるいは生産面につきまして、各種の生産組織の指導とか、あるいは普及組織を通じました指導あるいは協力、助言をすることによりまして、できるだけそういう出かせぎ先及び出かせぎ後の生活に支障のないようにつとめていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  207. 田畑金光

    ○田畑委員 端的に言うと、現状においてはやむを得ない、あなたの気持ちはあるいは農林省の考え方はそうだ、こう受け取ってよろしいわけですな。  それで、農林省のほうはそれ以上聞いてもまあやむを得ませんが、制度健全化の問題のもう一つの問題として不正受給の問題ですね。納付命令制度によって不正受給の防止をはかろう、こういうのが今度の大きな改正の骨子になっているわけです。これがまたいろいろ問題になっておるのは、裁判によらないで行政秩序罰で納付命令を課する、ここに問題があるわけですが、不正受給と、こういわれております不正受給の態様というものはどういう態様なのか、現実にどのような不正の内容が行なわれておるのか、これが第一点。  第二点として、このような行政秩序罰を加えておる。その他の分野において同じようなものがあれば説明を願いたいと、こう思うのです。
  208. 住榮作

    住政府委員 不正受給の態様にどんなものがあるか、こういうことでございますが、いろいろあるわけでございまして、たとえば、就職しながら失業保険金をもらっている、こういう例がございます。あるいは賃金を水増しする、さらには雇用期間の水増しをするというような例もございます。それから、たとえば架空の会社をつくりまして、その会社が倒産なりということで、架空名義による失業保険金をもらうというような例もございます。あるいは、就職していないにもかかわらず、就職仕度金をもらう。こういうようなこと等、いろいろ態様が考えられております。そういうのが不正受給の例になっております。  なお、そういった制度がほかにあるかということでございますが、似た制度といたしまして、鉄道営業法及び鉄道運輸規程によります不正乗車に対する増し運賃、これは二倍以下ということになっております。さらには、道路整備特別措置法に基づく、有料道路の料金を不正に免がれた者につきまして、やはり二倍の割り増し金を取ることができる。その他、性質がやや違うと思いますが、国税通則法に基づく重加算税とか、たばこ専売法に基づく納付金等にこの例が見られるかと思うわけでございます。
  209. 田畑金光

    ○田畑委員 私は、いまお話しのような不正受給というのは、これは厳にやめさせるべきである、こう思うのですね。問題は、一体その不正受給が納付命令制度のような措置によって防ぎ得るかどうか、この問題だと思うのですね。むしろ私は、職業安定所等の窓口行政がもっとしっかりすることによって、納付命令制度よりも行政指導によって、行政監視によって、このような不正というものは防止できるんじゃないか。一体そういう点から見た場合、行政努力としてこの不正受給防止のためにどのような努力を今日まで払ってきたのか、この問題ですね。  それからもう一つ、この際、不正受給者について、不正受給を防止するにあたりまして、たとえば事業主の単独または被用者との共謀により虚偽の届け出とか報告または証明による場合は、事業主と不正受給者が連帯して納付するという制度法律改正はなっておるわけですが、私は、このような場合は、むしろこういうときこそ事業主の全責任を追及するということが、不正を防止するのに適切な措置ではないか、こう考えておるわけですが、局長考えいかん。特に私は、先ほど問題として取り上げた特別保険料徴収制度などを見ますと、事業主から特別保険料をとって、通年雇用、そして短期循環離職者を出さないようにそういう措置をとるわけですね。それとこれと同じに考えることは、同次元で考える質でないかもしれぬが、不正受給の納付命令等については、むしろ事業主のほうに——人集めのための手段としていろいろ失業保険制度を乱用し悪用する者があるように見受けるので、そういう点については不正は徹底的に取り締まるべきだ、私はこういう立場でございますが、いまの点についてひとつ御所見を承りたい。
  210. 住榮作

    住政府委員 どうも失業保険制度における保険事故であります失業は、他の社会保険制度の保険事故である、たとえば疾病とか老齢と違いまして、やはり被保険者が任意につくり出し得るというところが、非常に失業保険に不正受給が多いという原因になっているのではないかというように考えております。そういう意味で、従来からも不正受給の防止対策についていろいろ努力してきておるのでございますが、いわゆる失業保険の被保険者期間の通算制度ができまして、資格の取得と資格の喪失は電子計算機によって処理しておりますので、そういう意味で、就職しながら失業保険をもらうというような不正受給の態様は、かなり多くの部分がそれによってチェックされている、こういう状況でございます。そのほか、全国の安定所には給付調査官、これは四十四年度予算で二百十八人ございますが、そういう給付調査官をして不正受給の摘発、調査に当たらせております。さらにまた、全国の各県の失業保険課におきまして監察官がございまして、いろいろ事業所の監査を行なうことによりまして、そういった不正受給のないように努力をしておるのでございます。しかし残念なことには、不正受給が発見された場合に、現在の返還命令制度では、返せばいいじゃないか、こういうような風潮等もございまして、なかなか不正受給そのものがとまらない、こういうのも事実でございます。そういう意味で、そういうことのないようにしたいということで、納付命令制度を今回の改正案で御審議をお願いしておるわけでございますが、いまも御指摘の、事業主が単独でいろいろ架空名義の会社をつくったりする、あるいは労働者と共謀して水増賃金なり水増雇用をする、そういう場合には事業主と労働者連帯して責任をとらせるようにしておるのも、事業主にも責任を追及していきたい、こういう考え方でとっておる制度でございます。
  211. 田畑金光

    ○田畑委員 この点については、先ほど申し上げたように、いままた局長の答弁の中にありましたように、失業保険制度は、保険事故の性質上、他の老齢あるいはまた疾病等を保険事故とする社会保険制度に比べ、保険給付を行なうにあたり事実を客観的に確認しがたい、こういうことを審議会などでも指摘しておりますが、問題はやはり、不正受給であるかどうかの認定あるいは把握、これを安定所のほうでどう正確にとらえるかというところにあるわけで、こういう点については、私は、もっとひとつ厳正を期して、行政努力こそ——返還制度、あるいはその上に納付命令制度、これにより防止しようというこの法律改正でありますが、私はもっと行政努力によってこれは防止する措置を講ずることが第一義的な課題であると考えておるのであります。その面について一そうの努力を払いたい、こう思うのです。  それから私、この際第十五条の改正に関連して、「法令又は労働協約により解雇が制限されている場合に係る業務上の疾病又は負傷等の理由」に基づく場合は、四年間を限度として被保険者期間が通算して六カ月以上であったときは失業保険金支給することと改められたわけですね。そこで、「業務上の疾病又は負傷等」の場合とは具体的にどういう場合をさしておるのか、この点ですね。そしてこの「等」といわれている中に、たとえば労働協約で定められた育児期間など無給休職期間を含むと解するが、解釈はどうか、この点ですね。二つ聞いているのですよ。私は、大事な点でありますから、第一段は局長の答弁、第二段は大臣の答弁を求めます。
  212. 住榮作

    住政府委員 第一点は法令の解釈、条文の解釈でございますので、私からお答えいたしますが、業務上災害等の「等」でございますが、これは法令に準ずる効力が認められております。労働協約によって解雇が制限されている場合も認めたいということで「等」の字句を使っておるわけでございます。
  213. 原健三郎

    原国務大臣 いま局長の答弁ございましたが、そういうわけで、労働協約による育児休暇等については、労働協約によって当該期間中解雇を制限することが協定された場合には、緩和の対象になるものでございます。
  214. 田畑金光

    ○田畑委員 その点はよくわかりました。  そこで私は、これもやはり大臣からひとつ御答弁をいただきたいのですが、陸と海の失業保険制度というのは違っておるわけですね。御承知のように、船員保険は総合的な保険制度である、こういうことですね。そこで、船員保険の失業部門、これは労働省の所管であるわけではないのですけれども、やはり船員保険の失業部門も陸にならって、陸の失業保険内容的に合わせるような方向に検討し、さらに陸と海の保険期間を通算する、こういうような考え方のもとに今後政府としても全体として努力していくべきではないか、このように考えておりまするが、この点について大臣の所見を承っておきます。
  215. 原健三郎

    原国務大臣 船員保険と失業保険とが同じような保険条件となり、これが通算することができるようなことになることは、私は御説のごとく望ましいことであると思っております。しかし現在のところでは、失業保険のほうが条件がよくなっております。それで、船員保険と失業保険の通算を行なうためには、これの受給資格、受給内容等、基本的な制度の調整を含めて検討する必要がございます。そこで、御希望もございますので、これは厚生省とも密接な連携をとりまして、今後検討をいたしたいと思っております。
  216. 田畑金光

    ○田畑委員 これも私は、大臣のほうから直接承ったほうがいいと思うのですが、昭和三十九年の八月二十八日に、労働省の職業安定局長から各都道府県知事あてに「失業保険給付の適正化について」、こういう通達を出しておられるわけですね。その中に、「結婚、妊娠、出産、育児、老病者の看護その他家事家業等の手伝いのために退職した者は、一般的には労働の意思及び能力がないと推定され」云々と、こういうわけで失業保険の対象からはずされておるわけであります。失業保険法を読めば、なるほどそのような解釈も成り立つわけでありまするが、女子が長年働いて、そしてやめていく。厚生年金においては脱退手当等があるわけでありますが、こういう点についても、やはり脱退一時金的なものを考えてみる必要があるのじゃないか、こういうように考えておるわけでありまするが、この点について大臣の所見を承っておきます。
  217. 原健三郎

    原国務大臣 このことも前から私も他の方面から承っておりまして、失業保険金を差し上げられないのならば一時金を差し上げてはどうか、こういう御意見もございます。それで、これはいろいろ問題がございますが、現実には安定所の窓口なんかでいろいろ問題を起こしておるところでございますが、結局この関係の審議会がございますので、審議会等意見をもう一度聞き直しまして、引き続いて検討を加えたいと思っております。
  218. 田畑金光

    ○田畑委員 この点については、十分今後関係審議会等で検討を願いたいと思いますね。  それから女子のパートタイマーの問題ですね。この問題についても、雇用期間が二年、三年にわたっている者が、労働時間が八時間でない、四時間ないし五時間だ、こういうようなことで失業保険に入っていない人が相当あるやに聞いておるわけです。こういうパートタイマーについても、これを積極的に今後は社会保険の中に組み入れていくのだ、こういう考え方で私は今後は取り組んでいくべきではないか。ことに女子の就業者がだんだんふえていく。これは、単に単身者だけでなく世帯の婦人も労働戦線に出ていくという現状を考え、将来を見通したならば、この問題についても失業保険の対象として取り上げていくべきでないか、こう思うのでありますが、この点について、労働省の方針を承っておきたい。
  219. 住榮作

    住政府委員 パートタイマーの問題でございますけれども、これは最近非常に変わってきておりまして、パートタイマーという名称であっても、一日の労働時間も非常に長くなっております。それから、あるいは一週について見ましても、ある特定の日、毎日、毎週就労する、そうしてその雇用期間が長くなる。あるいは賃金、労働時間等の労働条件等についてもその会社の就業規則の適用を受けておるというようなことで、一般の常用労働者と、たとえば少し就労時間が違うとか、あるいは週における就労日数が違うとかという差はございましても、非常に常用労働者、一般の労働者と近い状態になってきておるのが現状かと思います。そういうような実態を踏まえまして、実態がそうでございますならば、一般の常用労働者と差をつける理由もございませんので、そういう者につきましては失業保険の適用をはかっていきたいというように考えております。
  220. 田畑金光

    ○田畑委員 最後に私は、けさほどの質問にも出ていたことで、これは希望ということになりますが、日雇失業保険の問題ですね。今回五百円、七百六十円と失業保険金引き上げたわけです。しかし、これが給付の条件としては、失業前二カ月間に二十四日以上、千円以上の賃金を得た者が一級、それ以下は二級、こういうことでありまするが、ことしの四月一日現在の失対労務者の平均賃金が八百九十一円。この点から見るならば、ほとんどが二級該当者で、一級該当者が意外に少ないのじゃないか、こういう感じを持つわけです。ただし、ことしの春闘の一五・七%平均のベースアップなどから見れば、いずれ人事院の勧告あるいは来年の予算編成にあたって、失対労務者の賃金、給与についても相当程度引き上げ措置が講ぜられるならば、一級該当者と二級該当者とは大体均衝を得るようになるかどうかな、こういう感じを持つわけでありまするが、とにかく、せっかく制度改善をはかったとすれば、できるだけたくさんの人が一級該当者になるように措置することが望ましいことだと思うのでありますが、まあそれについても、失対労働者については期末手当が出たような場合には、この期末手当賃金計算に含めてできるだけこの改善の恩恵が受けられるように処理する、こういうような答弁が先般来なされたことを聞いておりますが、これは確実にひとつ実行されるように私は強く要望したいと思うので、この点あらためて局長の答弁を願うとともに、また私は、労働大臣に幾つかの問題点をあげて、失業保険の財政の現状にかんがみ、将来のわが国の産業、経済、社会の発展、雇用の推移などを考えたときに、もっと失業保険制度内容の充実強化をぜひ努力していただきたい、このことをもう一度大臣の答えを得て、私は質問を終わることにしたいと思います。
  221. 住榮作

    住政府委員 失対就労者夏季、年末に支払われます臨時の賃金の取り扱いの問題でございますが、労働者にとりまして有利になりますように、たとえば本来ならば二級の保険金を受ける者が一級保険金が得られますように、支給月及び過去二カ月につきまして賃金の調整を行なうことといたしておりますので、その範囲におきまして、ほとんどの者が新しい一級保険金を受けることができるものと考えております。     〔委員長退席、澁谷委員長代理着席
  222. 原健三郎

    原国務大臣 田畑さんの最後のお尋ねでございますが、今後失業保険法内容の強化については、私も労働省も全力をあげていろいろ善処をいたすことをお約束申し上げます。
  223. 田畑金光

    ○田畑委員 これで質問を終わります。
  224. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長代理 大橋君。
  225. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 先輩委員の質問でほとんど問題点は指摘され、明らかにされてきたと感じますが、私も、私の立場からまたいろいろと質問いたしますので、ひとつさらに具体的に答えていただきたいと思います。  まず最初に、失業保険における受給者の状況説明ですね。また、昭和二十八年度のその状態に比べますと、現在約二倍になっているということを聞かされておるわけでありますが、労働力不足の現在の時代におきまして非常に矛盾しているのじゃないか、こう感ずるのですけれども、そうした原因などについて、具体的に数字をあげて説明していただきたいと思います。
  226. 住榮作

    住政府委員 御指摘のごとく、昭和二十八年度の受給者は八十一万人、これが四十二年度におきましては百五十二万人と、約二倍近くにふえております。その原因考えてみますと、一つは失業保険の被保険者の数がふえたということにあると思います。たとえば二十八年度の被保険者が七百七十万人でございますが、これが四十二年度におきましては千九百三十万人と、被保険者で二倍半になっております。そういうように被保険者の数がふえた、それに伴って受給者、つまり失業者もある程度比例してふえてきておる、こういうような点があげられるかと思います。  それから第二の点といたしまして、やはり昭和二十八年ごろ季節的受給者が十一万程度でございましたが、それが現在は約六十万人になっている、そしてそれが全部受給者になる、こういうようなことがございまして受給者の数がふえておる、こういうことになっておるものかと考えております。
  227. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまの御説明によりますと、第一の原因は被保険者の増加があった。これは経済規模の拡大等を反映して当然の姿であろうと思いますが、第二番目の原因になっております季節的受給者ですね、ここが非常に問題化されているわけでございます。この季節的受給者内容といいますか、現状といいますか、先輩各位がいろいろとお尋ねしておりましたけれども、もっと具体的に、どういう方面にどういう姿で起こっているんだということを御説明願いたいと思います。
  228. 住榮作

    住政府委員 季節的受給者の状況でございますが、現在しばしば申し上げておりますように、人員では約五十九万ということになっております。これら季節的受給者の就労時期でございますが、夏季の就労が八〇%ということで大部分を占めております。残りの二〇%は冬働いて夏失業保険支給を受ける、こういうことになっております。出身地域としては北海道、東北、北陸地域で約八五%、大部分を占めております。それから就労先産業を見ますと、建設業が多うございまして六六%、食料品製造業で一二%、その他となっております。就労先について見ますと、地元で働く者が約七五%、いわゆる出かせぎといわれる県外の就労者は二五%ということでございます。そして、これら六十万近い受給者のうち農家出身者の占める割合は約三割、こういうことになっております。
  229. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 そうしますと、季節的受給者というのは、経済の好不況には関係なく固定的な受給層である、こうみなしてよろしいわけですね。
  230. 住榮作

    住政府委員 先ほども申し上げましたように、昭和二十八、九年ごろは、こういう受給者が十万ないし十一万程度でございましたが、これが五十九万。要するに二十八年以降を見ますと逐年ふえてきておるのでございますが、最近はその傾向は横ばいの状況になってきております。そういう意味で、現在までふえましたのは、やはり労働力不足等が原因いたしましてふえたかと思いますけれども、最近の横ばいの状況を見ますと、給源的にもある程度の山に差しかかっているのじゃなかろうかというように考えられます。
  231. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは、失業保険金支払い額の推移についてですけれども、四十一年から四十三年度の間はどうなってきたか、また季節的労働者の受給に占める割合はどうかということを、数字をあげて説明していただきたいと思います。
  232. 住榮作

    住政府委員 一般失業保険におきます保険給付の額でございますが、四十一年度は千二百十二億円、四十二年度は千二百四十六億円。四十三年度はまだ最終的に予算を締めておりませんが、予算額では千四百六十九億円。この給付額に占めます季節受給者の受給する金額の割合は、おおむね三分の一とお考えいただいてけっこうかと思います。
  233. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 ちょっと話は変わりますけれども、よく女子の退職者、結婚などで退職していく人が、保険料はかけ捨てになる、こういう話を聞かされるわけですが、私の気持ちからいきますと、それは不合理ではないかな、何らかの姿で還元される措置をとるべきではないか、このような考えを持つわけでございますが、これについてはどのような御見解でしょうか。
  234. 住榮作

    住政府委員 結婚退職者の取り扱いでございますが、御承知のように、失業保険は、労働の意思と能力があって求職活動をする、にもかかわらず職業につけない、そういう失業状態に対しまして給付をいたすわけでございます。結婚退職でございますが、結婚によって完全に家庭に入るということになりますと、結局労働の意思がなくなるわけでございますので、失業保険支給されない、こういうことでございます。そこで、そういった方たが従来失業保険料を納めておられるわけでございますので、そういう場合に脱退給付金のようなことで、かつて納めた失業保険料を返すというようなことを考えてはどうか、こういう御趣旨だと思うのでございますが、失業保険でございますので、そもそも保険収支の勘定上そういう考え方を取り入れておりませんので、いま直ちにそういう制度をとることは非常にむずかしい、困難かと思いますが、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、そういうようなことにつきまして、いろいろほかの方面からの御意見等もございますので、関係審議会等意見も聞きました上で検討してまいりたいというように考えます。
  235. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは、結婚しても働く感恩があれば、失業保険はもらえますか。
  236. 住榮作

    住政府委員 労働の意思と能力がある、就職したいということであれば、失業の認定が原則として受けられる、こういうことになります。
  237. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは、労働の、再就職の意思もあった、能力もあったが、いろいろな事情で、結果的には失業保険をもらっていながらついに働かなくなった、そのまま家庭におさまったという場合は、不正受給ということになるのですかね。
  238. 住榮作

    住政府委員 たとえば失業の認定が受けられない場合といたしまして、結婚することによって家事に従事するということで退職した場合とか、あるいは結婚準備のために退職した場合、これはもう労働の意思、能力がないわけでございますから、失業の認定が受けられないわけでございます。先生指摘のように、最初は労働の意思と能力があります。そして求職をする、つまり失業状態、そういうことであって、失業保険金を受けた。ところが後に、ただいま私が申し上げましたような事態になれば、その段階から失業でなくなるわけでございますから、それ以前に支給を受けた保険金は不正受給ではない、こういうようにお考えいただいてけっこうでございます。
  239. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 確認しますが、あくまでも能力と意思さえあれば、当然受給の資格はあって受けられる、その後家庭事情等で再就職ができなかった場合も、これは不正受給ということには該当しない、こうはっきり割り切ってよろしいですね。
  240. 住榮作

    住政府委員 意思と能力があって求職活動を続けておった、そういう場合に受けた失業保険金は、正当な失業の認定の上に払われた失業保険でございます。その後家庭に入るという者については失業でなくなるわけでございますから、それ以降は不正受給になるわけでございます。
  241. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは大臣にお尋ねいたしますが、いまの問題とは変わるわけですが、失業保険受給者数や給付額の増加がきわめて高くなってきている。先ほど局長さんの説明では、受給者数はここ数年間は横ばいであるという話ですけれども、二十八年度ごろから見ますと、非常に上がってきているわけですね。それは全面的に雇用政策あるいは失業予防対策に欠陥や不備があるのではないか、こういうふうに私は考えるわけでございますが、この点について労働省としてはどのような対策を考えておられるのか、御説明願いたいと思います。
  242. 住榮作

    住政府委員 労働力不足時代にもかかわりませず先生指摘失業保険受給者数なり給付額がそれほど減少しておらないのは、先ほど申し上げましたように、被保険者の数がふえておる、あるいは季節受給者の割合が高まっておる、こういうことかと思うのでございます。したがいまして、雇用政策の立場からいいましても、こういう労働者の通年雇用や就職促進のためのいろいろな政策を積極的に進めていくということはもちろん必要でございます。そういうような措置をとっておるわけでございます。また最近勤労青少年の離職率も高まってきておるわけであります。その離職は必ずしもいい方向への転職での離職ではないということもございまして、青少年労働者の定着対策についてもいろいろ努力をいたしておるわけでございますが、今後もこういうような点につきまして、それぞれの原因を突きとめまして、それに対する適切な対策を立てていきたい、こういうように考えておる次第でございます
  243. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 ぼくは大臣の所信、所感を聞きたかったわけですが、いま通年雇用とか就職促進のための諸施策を行なっているというようなお話がございましたが、その通年雇用の奨励のために奨励金が出ているということも聞いておりますけれども、それは具体的にはどういうことなんでしょう。
  244. 住榮作

    住政府委員 事業主が、たとえば建設業等におきまして、従来冬季の期間事業の休止をしておった、そういう場合におきまして、事業主が冬期間を通じて事業を行なう、それに伴いまして労働者を雇う、こういう場合に季節労働者を通年雇用した場合は、一人当たり三万五千円の奨励金を二年間支給しよう、こういう制度でございます。
  245. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは、現在の失業保険受給者増に対する労働省としての対策としては、通年雇用対策、その通年雇用の奨励また司一職場に定着させていく、この程度のものだと理解してよろしいですか。
  246. 住榮作

    住政府委員 季節労働者に対する対策としましては、できるだけまず通年雇用化をはかって安定した就労ができ得るようにしていきたい。と同時に、出かせぎ労働者の実態にかんがみまして、故郷を出てから、さらに出かせぎを終わってくにに帰るまでの間、一貫してできるだけのめんどうを見ていく、こういうようなことで季節労働者の対策をやっておるところでございます。
  247. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 さらに大臣に結論的に答えていただきたいのですけれども、先ほどから私が言っておりますように、このような失業状態が出てきたというのは、雇用政策あるいは失業予防対策に欠陥や不備があるのではないか、私はこう考えるのだということで先ほどからお尋ねしているわけですが、局長さんは一生懸命答弁してくださっているのですけれども、それを所管している最高責任者である労働大臣の気持ちあるいは考えをどうしても聞いておきたい、こういうわけです。
  248. 原健三郎

    原国務大臣 さいぜん局長から話しましたように、やはり労働者の通年雇用とか就職促進のための諸施策を行なっていきたい。また勤労青少年に対しては、これはしばしば申し上げておるんですが、勤労青少年が、ことに学卒勤労青少年は一年のうち二割くらい職を離れる。二年間に四割、三年すると五割二分くらい職を離れるという統計が出ておりまして、まことに残念なので、この貴重な勤労青少年をそういう職から離れることをなくするためにいろいろやっておりますが、郷里から都会や工場へ出てきて一番彼らの感じることは、友だちがない、さびしい。そうして、畳の上でテレビを見たりラジオを聞いたり、ぼんやりして余暇を費やしておるのが一番多いそうでございます。こういうことでは、どうしてもさびしくなって職を離れたり、だんだんあちらこちらへと動いて、しまいには蒸発したりするおそれがあります。  それで、労働省といたしましては、労働力不足のおり、動労青少年を何とか仕事に定着させようと思いまして、勤労青少年ホームというのをつくりまして、これを全国的に年々数百人ふやす。東京におきましては、中野の駅前ですが、勤労青少年センターというのを、およそ八十億円の巨費を投じて二十階建てで、そこを勤労青少年の中央の活動場所にする。パートタイム、レクリエーションあるいは教養、集会、宿泊等々、全国的な各地方における都市の勤労青少年ホームと連携をとりながらこのセンターにおいてもやりたい、こういうようなことであの手この手いろいろやりまして、こういう機会に、離職者が出ないように、仕事に定着して生産を増強していただくようにやっております。これからもそれに全力をあげてやる決意であります。
  249. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 先ほど局長の答弁にプラス勤労青少年離職防止のための対策を一生懸命やっている、このようなお話があったと思いますけれども、事前通報制度というのがありますね。失業予防にこれは直接関係のある制度でございますが、現実にわが国ではこれが活用されておりますか、その状況について説明願いたいと思います。
  250. 住榮作

    住政府委員 事前通報制度でございますが、これは雇用対策法におきまして、たとえば大量の労働者を雇い入れる場合、それからその反対に大量の労働者を解雇する場合、そういう意味で大量の労働変動があった場合に、事業主が職業安定所にその状況を届け出るということになっております。ただしこの場合に、新規学卒者の採用とかあるいは日雇い労働者の変動は、これは勘定に入れなくてもいいということになっておるわけでございまして、この制度を設けました趣旨は、たとえば大量の雇い入れがある場合、できるだけその地方でその求人に対する充足をはかる、そういう意味でその情報を求職者に徹底する、あるいは地元でそれができない場合には、さらに広い地域に連絡いたしましてその充足をはかる。反対に離職者が出た場合に、できるだけすみやかにその地域でそういった離職者が再就職できるように求人開拓を行なう。その地域でそういった離職者の再就職ができない場合には広域にわたって離職者の職業紹介活動を続ける。あるいは離職者の再就職にあたりまして、求人者との関係で職業訓練を行なえば再就職が容易であるというような場合は職業訓練を行なう体制をつくり上げる。その他再就職のためのいろいろな援護措置を発動する準備を整える、あるいは発動する、こういう意味で事前通報制度をとっておるのでございます。     〔澁谷委員長代理退席委員長着席〕 一番典型的な例は炭鉱離職者で、現在石炭合理化の進展に伴いまして、炭鉱閉山等の場合、その事前通報制度によって離職者の再就職に万全を期しているところでございます。
  251. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは二点お尋ねいたしますが、大量の雇用変動のあった場合というお話がありましたけれども、その大量というのは大体何人をさしているのか、何人程度からを大量というのか。それは雇う場合も通報しなければならぬという義務づけですね。雇うときも、また失業させる場合も、これは義務規定になっているわけですね。その大量の雇用変動という大量ということと、いま言いました、諸外国の中で事前通報制度を義務づけているところはどこだということをお聞きしたいと思います。
  252. 住榮作

    住政府委員 大量の基準は、五十名以上でございます。  それから、諸外国の立法例によりますと、たとえば西ドイツ、ルクセンブルグ、ノルウェー、ポルトガル、スウェーデン、トルコ、ユーゴスラビア等におきましては、事前通報を義務づけておる制度を持っております。
  253. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 この義務に違反した場合は罰則か何かあるのですか。
  254. 住榮作

    住政府委員 罰則の規定はございません。
  255. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 先ほど説明がありました西ドイツの例を見ますと、二十人以上の労働者を有する企業において云たとありますけれども、わが国の場合は五十名ということになっておりますと、この点はわが国のほうはもう少し数を減らしたほうがいいんじゃないか、そのほうが雇用安定の上においては安心できる状態になるのではないか、このような考えを持つのですが、どうですか。
  256. 住榮作

    住政府委員 五十人の基準は、いま御指摘の四ドイツの例から見ますと確かに多いのでございますが、これら、雇用の安定の見地からどの程度がいいかということにつきましては、再検討してみたいと思います。
  257. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまの事前通報制度に関連すると思いますが、いよいよ大阪で開かれる万国博覧会、四十五年三月十五日ですか、開かれると思いますが、それまでに大体の仕事が終わって大量の失業者が出るんではないか、こう予想するわけでございますけれども、これに対してはどのような考えで対処されようとなさっているか、その内容をお聞かせ願いたいと思います。
  258. 住榮作

    住政府委員 現在万博関係の必要労働力確保のために労働省もできるだけの努力をいたしておるわけでございまして、万博の工事が済みますと、それだけの需要がその地域においてなくなるということで、ほうっておけば混乱が予想されます。しかし先生御承知のように、全国的に非常に労働力の不足の状態にございます。しかも、万博関係工事に働いております労働者はきわめて優秀な方々が多いのでございまして、私どもいまからそういう事態を考えまして十分対策を立てるならば、その混乱が最小限度にとどまるのではなかろうかというように考えておりますが、そういう意味で、今後終末に近づくにつれまして、労働者の御希望等をも徴しながらその再就職に遺憾のないようにしていきたいというように考えております。
  259. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いま万博関係で働いている労働者の中に、かなりその後の不安を感じている方がいるようでございますので、この点も大臣のほうから一言はっきりとその対策について御説明願いたいと思います。
  260. 原健三郎

    原国務大臣 私の承知しておるところでは、万博関係の労働者は技能労働者が多く、きわめて優秀である。その数、最盛期およそ三万人。これは外部を入れると数がふえますが、大体地域内。でありますから、私は、これが済みましても大量の失業者などはあまり出ないように努力もいたしますし、こういう万博で優秀な技能を発揮した人は、その後においてもわりあい引っぱりだこになるんじゃないか。また、それが引っぱりだこにならないといたしましても、失業などのないように、労働省で職業紹介その他万般、いまから御注意をいただきましたが、準備をして万遺漏なきを期したい、こう思っております。
  261. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 話が変わりますけれども、先ほどから、季節受給者のうち、夏出かせぎをし冬保険金を受給する者が減少して、また冬出かせぎをして夏保険金を受給する者が増加した、こういう傾向が強いということで先輩がずいぶん指摘しておりましたけれども、私はこれらに対する答弁を聞いておるうちに、これは基本的には、農業経営の近代化あるいは地域の実情に即した産業の振興などが深い関係にあるんだということを感じまして、これはやはり農林省、またはその関係各省と労働省が中心になって、この問題について具体的に検討し推進していかなければならない、こういうふうに思ったわけでございますが、いままでに農林省関係等とこの失業者の問題について具体的に会合を持たれたことがあるのかどうか。また、将来いつごろこういう問題についてそういう会議を持たれるのか。もしそういう計画があれば答弁していただきたいと思います。
  262. 住榮作

    住政府委員 失業保険法改正にあたりましても、あるいは一般的に労働省において労働力政策を進めていく上におきまして、農林省との関係が非常に深いわけでございます。そういうような関係につきまして、従来から農林省の幹部と労働省の関係者と集まりまして、いま先生指摘のような問題につきまして、いろいろ議論をし、その対策について検討をし、そしてその検討の結果を実際の施策として取り上げていく、こういうことをやっております。現にこの失業保険法改正にあたりましても、そういう連絡は十分とっておるわけでございます。今後もますます農林省とも緊密な関係を維持していかなければならない、こういうように考えておりますので、そういう機会をできるだけふやしまして、適切な施策がとれるように措置してまいりたいと思っております。
  263. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは次に移りますけれども、被保険者期間の問題、これもずいぶん議論されておりましたけれども、私も今回の改正案内容を見ますと、確かに既得権の侵害である、こういうように考えるわけでありますが、結論としまして、労働省としてはこの点についてどのような措置をとられようとなさるのか。結論でけっこうですから。
  264. 原健三郎

    原国務大臣 これはきょう一日、午前、午後にわたりまして、もう一番論点の中心、議論の分かれるところでありまして、私どもとしてもあまり好ましいことではないと思っておる次第でございますが、さいぜんから申し上げますように、そういう議論が非常に多いという点はわれわれも大いに考えなければならぬ。それで前向きの姿勢でこれを検討してみたいと思っております。
  265. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 前向きの姿勢だということでございますが、これは単なることばだけではなくて、ほんとうに実効ある内容を示して進んでもらいたい。強く要望しておきます。  それから、適用範囲の拡大のスケジュールについて段階的にということばを使われておりますけれども、どのようなスケジュールで臨まれようとされておるのか。つまり完全適用といいますか、完了するのは大体いつなのか、これを御説明願いたいと思います。
  266. 住榮作

    住政府委員 大体四十六年の四月から建設業、製造業、電気・ガス・水道業、運輸・通信業の五人米満の事業所に対する全面適用をはかりたい。それから、おおむね三年を目途といたしまして、残りの業種につきまして全面適用をはかっていきたい、こういうようなスケジュールで考えております。
  267. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 三年以内には全部適用されるというふうに考えてよろしいわけですね。
  268. 住榮作

    住政府委員 四十六年度から三年でございますので、四十九年四月、こういうように御理解いただきたいと思います。
  269. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 ちょっとこまかいことになりますけれども、たとえば水商売といわれておるバーとかキャバレー等で働いておるホステス等も、これが適用されるわけですね。
  270. 住榮作

    住政府委員 サービス業にも当然適用するということになりますので、雇用関係があれば当然適用になると思います。
  271. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 ただいま、雇用関係があればというお話がありましたけれども、つまり源泉徴収されておる者はもう雇用関係にあることになるわけですね。
  272. 住榮作

    住政府委員 私、源泉徴収があればというのと雇用関係との関係がちょっとよく理解できないのでございますが、要するに事業主との間に使用従属関係がある、雇用関係がある、そういう実態が必要だと思います。
  273. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 源泉徴収されているわけですからね。税金は取られているわけですから、義務は果たしているわけですね。だから当然失業保険の権利はある。こういう点で、雇用関係が云々というのではなくて、そのように徴収をされている者は当然適用されると考えるわけでございまして、これは今後再検討なさる中に一つの大きな問題として考慮し、検討してもらいたい。要望しておきます。  それから、適用拡大に伴いまして職員の業務量が非常に増大するのではないか、職員の事務処理上問題があるんではないかという声が強いのですけれども、この点について大臣のほうからはっきりした答弁をお願いします。
  274. 原健三郎

    原国務大臣 官房長から答えさせます。
  275. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 事務的な点について御説明申し上げまして、必要によりましてあと大臣からお答えいただきたいと思います。  御指摘のように今後五人末濃に適用拡大されますと、それだけの業務がふえてまいります。ただ、その適用の速度によりましてその業務量のふえ方もきまるわけでございますが、一方におきまして、両保険の徴収義務を一元化することによりまして事務の簡素化をはかってまいる、そのことによりまして、大体四〇%ぐらいの事務量の軽減をはかることになろうかと思います。正確な計算はまだそれ以上のことはできませんが、おおむねそんなことになっております。そういたしますと、拡大をはかるのと同時に、事務の簡素化と相まちまして、おおむね現有徴収義務に携わっている人たちの数をもちまして、少なくとも出発の年度におきましては十分間に合ってやれる、こういうことを考えております。
  276. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 その点について大臣、答弁願います。
  277. 原健三郎

    原国務大臣 大体いま官房長から御答弁申し上げたとおりでございますが、この増加する業務量に対処するために、徴収機構の一元化及び必要な人員の確保につとめていくつもりでございますから、まず御心配はなかろうと思っております。
  278. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 ほんとに心配のないような実態をつくり出してもらいたいと思います。  それじゃ時間もあれですからもう一つお尋ねします。  内職収入の件についてでございますけれども、失業中に失業保険をもらいますね。その期間中に内職をいたしますと、その内職の手当の中から百円引いた額、それと失業保険の受給額を合算した金額が前職の賃金の八〇%をこえた場合は、失業保険金から差し引く、こういうことになっておりますけれども、現在六割程度しかもらえない失業保険金ですので、当然生活は困難になります。ですから何とかして生活を立てていきたいということで、もう余儀なく内職等をやるわけですね。私はこの点はもっと大幅に緩和すべきではないかと思う。これはあとの不正受給との関連もありますので、特に私は要望したいのですが、それについて御答弁願います。
  279. 原健三郎

    原国務大臣 こういう制限を加えておるのは、言うまでもなく、安易に保険金に依存するようになって再就職がおくれるようなことがないようにという趣旨でございます。それで、実は去る木曜日、数日前、私もテレビの依頼を受けて内職の実況を調べてまいりました。団地を回ってきましたが、その内職の賃金の安いのはまことに驚くべきもので、一日朝から晩までやるといっても、子供をかかえてやるのですから十時間もやることは非常にむずかしいのです。それでわずかに二、三百円。非常に気の毒なほど工賃が安い。今度その意味において家内労働法というのを提出して御審議願うことになりますが、そういうことを考えますと、いまあなたのおっしゃったように、こういう制限を加えることは、理屈としてはそうでございますが、実情にやはりそぐわない、こう思っておりますので、大いに緩和とか何か善処するような前向きの方向で検討することをお約束申し上げます。
  280. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 確かにその点は問題点でございますので、前向きも前向き、大前向きで改善をしていただきたいと思います。  それから、今度の改正案で不正受給者に対する納付命令制度の創設がありますね。これは要するに罰則規定の強化である。それは、悪質な不正受給者に対しては問題はないと思いますけれども、いま言ったように、余儀なく内職をし、そしてたまたまそうした内容に触れる人も出てくるのではないか。そういう人に対してはまことに不都合な改正であるというふうに私は考えるわけでございますが、その悪質な不正と、そうでない不正なんということはないでしょうけれども、そういう点についてもう少し明らかにしてもらいたいんですがね。どうでしょう。
  281. 住榮作

    住政府委員 この納付命令制度につきましては、関係審議会の御意見等もございまして、労働者にとって、御指摘のようにこの制度が酷なものにならないように、関係審議会の意見等をも聞いて一定の基準をつくって、それに基づいて運用するようにという御意見をいただいております。そしてまた、そのように基準は審議会の意見を聞いてつくることになっております。そういう意味で私どもも、労働者にとって酷にならないように、しかし悪質な者に対しましてはその制度によってそういう事態の起こらないように、こういうような趣旨で運用してまいりたいと考えておる次第であります。
  282. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 この不正受給者に対する罰則問題は、いろいろと問題点が指摘されましたし、また関係者のほうからも問題点があげられておりますので、こういう点については十分配慮した上で実行してもらいたい。  それから、特別保険料の徴収の問題ですけれども、これは結局事業主に有利な自己退職を助長させるんではないか、これも非常に心配されている点でございますが、そういうことはないとおっしゃるならば、その裏づけの内容説明してもらいたいと思います。
  283. 住榮作

    住政府委員 これは、事業主が離職証明書を安定所に出す場合に、離職事由について労働者の確認を求めることになっております。そして労働者のほうでその離職事由について記名、捺印をするということでございます。しかもその離職証明書が安定所に来た場合に、安定所ではそれが正しいかどうか確認し、さらに保険金を払う場合においても、これは給付制限との関係もございますので、その離職事由を本人からただすことになっております。そういう意味で三重にその離職事由がチェックできることになっておりますので、御懸念のような事態がないと考えておりますけれども、そういう事態があってはいけませんので、行政措置として遺憾のないようにしたいと思っております。
  284. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 では最後にもう一問ですが、失業保険の特別会計の積立金のことは先ほどからずいぶん問題になっておりましたが、かなり裕福な財政事情にある。今回保険料率が千分の一引き下げになったわけでございますが、むしろ私は、千分の二ぐらいまでは引き下げられるのではないか、率直にそういうふうに感ずるわけですね。この点はどうでしょうか。
  285. 住榮作

    住政府委員 御指摘のように、今回失業保険料を千分の一下げたのでございますが、さらに千分の一下げますと、いろいろ経済変動の結果少し失業者がふえると、そういった失業者の発生に対処できなくなる。たとえば受給者が一割増加したことを考えてみますと、約百五十億の支出増になるわけでございまして、現在予備費が二百二十五億でございますから、八十五億の予備費にすぎなくなる。それに千分の一引き下げますと、百三十億程度の減になりますので、現在の失業保険の収入からはその事態がまかなえなくなる、積立金をくずさざるを得なくなる、こういうことでございますので、千分の一の引き下げが提案の改正法案においてはマキシマムの線であると考える次第でございます。
  286. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いろいろと議論された結果ですので、私もこれ以上は追及いたしませんが、積立金の運用収入、いわゆる利子ですね、こういう点は給付改善のほうに大幅に充当すべきであるということを強く要望いたしまして私の質問を終わろうと思いますが、大臣からこの失業保険法改正にあたっての御意見を最後に一言聞かしていただいて、終わりたいと思います。
  287. 原健三郎

    原国務大臣 失業保険法内容を強化したりその給付を改善する等の御意見多々承りましたが、前向きの姿勢で善処し御期待に沿いたいと思います。
  288. 森田重次郎

    森田委員長 田邊誠君。
  289. 田邊誠

    ○田邊委員 今日まで各委員から熱心な質疑が行なわれてまいりましたので、問題点がかなり浮き彫りになったと思います。そこで私は、いままでの質疑を整理、集約をいたしまして、その主要な問題点を端的にお伺いいたしますので、労働大臣からこの際ひとつ明確にして適正な御答弁をわずらわしたいと思います。  質問の第一は、今度の提起をされておる問題の中で最も大きな焦点となっておる受給資格取得期間の延長の問題でありまして、今度の問題提起が失保法の改悪であるといわれる最大の問題であります。今回の改正案の被保険者期間の計算方法によりますると、何といっても従前の受給資格が制限をされる。言うなれば既得権の侵害ではないかという意見があるのは当然であります。政府は通算制度によって六カ月間の受給資格を得ることを容認しておると言っておりますけれども、これは、農林水産などを含めた全面適用が行なわれなければ、事実上不可能な面が多いのであります。そういった点を考えまするならば、この点に対して実情に即してさらに慎重な配慮を加える必要があると思いまするけれども、この点に対してはいかがでございますか。
  290. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  被保険者期間の計算方法の改正は、現行失業保険制度における季節的受給者の実態にかんがみ、制度の健全性を確保するための必要やむを得ない措置として、通常の労働者に期待し得る満六カ月の雇用期間を受給要件としようとするものでありますので、ある程度の影響が生じることもまたやむを得ないと考えております。しかしながら、これらの者の就労の実態を考慮し、被保険者期間の通算について特別の配慮を加えておりますので、影響は相当緩和されるものと考えております。しかしながら、被保険者期間の通算の実益があるかどうかは、全面適用の進捗状況と関連が深いことは御指摘のとおりであると考えますので、でき得る限りその実施の時期を早めるよう努力してまいりたいと考えております。
  291. 田邊誠

    ○田邊委員 問題の第二は福祉施設の問題であります。私は当初の質問で指摘をいたしましたとおり、失業保険制度は本来保険給付によって失業者の生活を安定させることが本旨でありますから、福祉施設はいわば従たる事業であります。にもかかわらず行政官庁の一方的な判断によって運営ができるということは、これはきわめて当を得ないのであります。何らかの形で適正な運営をはかることを当然考えるべきであると思いまするけれども、これに対する大臣のお考えを承りたいと思います。
  292. 原健三郎

    原国務大臣 福祉施設は失業の予防と就職の促進を目的とするものであって、失業中の生活の安定を目的とする保険給付に対しては、御指摘のとおり、その性質上従たる立場にあるものであります。したがって、今後福祉施設につきましては、失業保険制度の本旨に従い、中央職業安定審議会の意見を十分に尊重して一定の基準を作成し、節度ある適切な運営を行なってまいる所存でございます。
  293. 田邊誠

    ○田邊委員 第三は、第一にお伺いいたしました受給資格取得期間の延長の問題と関連をいたしまして、この失業保険法の最終的な適用の対象としての農林水産業に対する当然適用であります。私どもは、将来の日本の産業の分布、経済の動向等を考えたときに、農林水産業に対するところの当然適用をはからなければならぬと思うのでありまして、これがすみやかな適用拡大をはかることは政府の当面する最も大きな任務であろうと思いまするけれども、これに対するところの政府としての所見を承りたいと思います。
  294. 原健三郎

    原国務大臣 農林水産業の当然適用につきましては、他の業種に対する適用拡大の状況等をも考慮した上で、前向きの方向で検討してまいりたいと考えております。なお、農林水産業のうち年間を通じて事業を行ない得る業種につきましては、任意適用制度の活用により極力適用範囲の拡大をはかってまいる考えであります。
  295. 田邊誠

    ○田邊委員 農林水産業の当然適用が一日も早くはかられるように、政府の特段の努力を心からお願いしたいと思うのであります。  質問の第四は特別保険料制度の問題であります。これはいろいろと委員からの指摘もありましたとおり、この特別保険料制度施行によって労働者が事実に反して任意退職をしたという取り扱いを受けるおそれがあるのでありまして、そのことによって不利益をこうむることは絶対に私どもとしては容認できない。そういう不利益が起こらないように万全の措置を講ずべきであると思いまするけれども、いかがですか。
  296. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  公共職業安定所においては、正確な離職事由の把握につとめておるところでございますが、これを一そう徹底し、労働者が事実に反して任意退職として取り扱われることのないよう、従来にもまして行政運営上特段の配慮をしてまいる所存でございます。  なお、特別保険料の徴収対象から除外される任意退職者のすべてが給付制限を受けるわけではないのでありまして、正当な理由のある者は給付制限を受けないこととなっております。
  297. 田邊誠

    ○田邊委員 第五に指摘をいたしたいことは、不正受給に対する追徴金の問題であります。この不正受給者に対する納付命令制度は、現在わが国における他の社会保険制度に例のないことでありまして、もし万一これが適正な運営を欠くことがありまするならば、失業中の労働者に対してきわめて酷なものとなるおそれがあると考えられるのであります。この際ひとつ政府は、その適正な運用をはかるその立場から、運用の方針に対して政府の考え方を正確にお答えいただきたいと存じます。
  298. 原健三郎

    原国務大臣 お答え申し上げます。  失業保険においては、保険事故である失業状態をいつでも任意につくり出すことができること、事実の認定は本人の申告に依存する面が大きいこと等の理由によりまして、他の社会保険に比して不正受給が著しく多く見られますので、制度の健全な運営をはかるために、この制度を悪用しようとする不正受給者に対して、納付命令制度を設けることとした次第であります。  この納付命令制度の運用については、御趣旨のとおり、失業者に過酷な制度とならないよう適正な基準を作成し、特に悪質なものに重点を置くことを基本といたす考えでございますが、この場合も、中央職業安定審議会の御意見を十分に尊重しながら、適切な配慮を加えてまいる考えでございます。
  299. 田邊誠

    ○田邊委員 いまお答えがありましたけれども、私はやはりいまのお答えの範囲の中では、労働者に対して過酷になるというおそれが全くなくなったとはどうしても言いがたいのであります。加えて他の社会保険制度等に及ぼす影響を考えたときには、大臣のせっかくの答弁でありまするけれども、私はその点では了解できません。したがって、今後におきましてこの本制度そのものについて再検討をされることを、私は強く要求したいと思います。この際、ひとつ大臣のこの問題に対する確たる考え方を再度明らかにしていただきたいと思います。
  300. 原健三郎

    原国務大臣 いろいろ御注意もございますので、いま申されました御趣旨の線に沿って、機会を見て検討いたす所存でございます。
  301. 田邊誠

    ○田邊委員 第六にお伺いしたい点は、保険給付改善の問題であります。これはもう言うまでもなく失業保険財政は、他の社会保険に比べまして多額の剰余金を保有しておるのであります。この際保険料率の引き下げもさることながら、むしろ保険給付について給付水準の引き上げ給付内容の改善について一そうの努力を行なうべきであると思いまするけれども、大臣の決意を承りたいと思います。
  302. 原健三郎

    原国務大臣 現在のわが国の失業保険制度における給付水準は、諸外国と比較しても遜色のないものと考えておりますが、今後とも失業者の一そうの生活の安定をはかるため、御質問の御趣旨を尊重しつつ総合的な給付改善の方策を十分検討してまいりたいと考えております。
  303. 田邊誠

    ○田邊委員 最後にお伺いいたします。これは国庫負担の増額の問題でありまして、しばしば私も指摘いたしましたとおり、失業保険の予算を見ますると、他の社会保険の各種の特別会計等に比べて事務費の国庫負担は非常に僅少であります。したがって、他の保険制度との均衡、比較等考えながら、当然この事務費の国庫負担はさらに増額をはかるべきであると思いまするけれども、政府の今後の考え方をこの際承りたいと思います。
  304. 原健三郎

    原国務大臣 失業保険事務費については、積立金の運用収入によってその大部分をまかなうことができるようになっているため、一般会計においては、これらの事情を考慮し所要額の繰り入れを行なっているところでありますが、今後におきましても、事務費の国庫負担の増額についてはさらに努力してまいる所存でございます。
  305. 田邊誠

    ○田邊委員 以上摘出いたしまして問題点を指摘をしてまいりました。大臣からその決意と方針が述べられましたけれども、われわれは、問題の多いこの制度、この法の内容に対して、今後運用の面で誤りなきを期すると同時に、いま御答弁のありました決意を起点といたしまして、政府の今後にわたるところの努力を心から要求をいたしまして、私の質問を終わります。
  306. 森田重次郎

    森田委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  307. 森田重次郎

    森田委員長 ただいま委員長の手元に竹内黎一君、田邊誠君、田畑金光君及び大橋敏雄君より、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、及び、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険保険料徴収等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案に対する修正案がそれぞれ提出されております。     —————————————
  308. 森田重次郎

    森田委員長 修正案の趣旨説明を聴取いたします。竹内黎一君。
  309. 竹内黎一

    ○竹内委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、四党共同提案にかかる両修正案について提案理由を御説明申し上げます。  まず失業保険法及び労働者災害補償保険法について申し上げます。  第一は、失業保険の被保険者期間の計算方法について、原案において満六カ月の被保険者期間が必要とされておりますが、受給者の就労の実態を考慮し、その生活に急激な変化を生ずることのないよう、また適用範囲の拡大の状況等も関連いたしますので、六年間は、四カ月二十二日の雇用期間があれば六カ月の雇用期間があったものとみなし、改正前と同様に受給要件を満たし得るものとしたことであります。  第二は、失業保険の全面適用の方向に即応し、政府は、現在当然適用とされていない農林水産業等に雇用される労働者を当然適用とするための適切な方策について調査研究を行ない、六年以内に必要な措置を講ずるものとしたことであります。  第三は、法施行の準備のため、改正法案の施行期日のうち、昭和四十四年七月一日を同年九月一日に、昭和四十四年八月一日を同年十月一日に、それぞれ改めるものとしたことであります。  第四は、以上の修正に伴い、関係条文について所要の字句整理を行なうものとしたことであります。  次に整備法について申し上げます。  ただいまの修正に伴い、関係条文について所要の字句整理を行なうものとしたことであります。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  310. 森田重次郎

    森田委員長 両修正案について御発言はありませんか。——御発言もなければ、これより失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、及び、これに対する修正案、労働保険保険料徴収等に関する法律案失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険保険料徴収等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、及び、これに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、これより順次採決いたします。  最初に、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、竹内黎一君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  311. 森田重次郎

    森田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  312. 森田重次郎

    森田委員長 起立多数。よって、本案は竹内黎一君外三名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。  次に、労働保険保険料徴収等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  313. 森田重次郎

    森田委員長 起立多数。よって、本・案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険保険料徴収等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について採決いたします。  まず、竹内黎一君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  314. 森田重次郎

    森田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  315. 森田重次郎

    森田委員長 起立多数。よって、本案は竹内黎一君外三名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  316. 森田重次郎

    森田委員長 この際、竹内黎一君、田邊誠君、田畑金光君及び大橋敏雄君より、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案について附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨説明を求めます。誠君。
  317. 田邊誠

    ○田邊委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付するの動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  一 農林、水産、畜産等の事業主に雇用される労働者をはじめ、現在未適用の事業主に雇用される労働者に対して、可及的すみやかに、適用を図ること。  二 失業保険給付について、失業者の生活の一層の安定を図るため、その改善に努めること。  三 福祉施設について、失業保険制度の本旨に従い、中央職業安定審議会の意見を尊重して一定の基準を作成し、適正な運営を行なうこと。  四 事務費について、その国庫負担の増額に努めること。  以上であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  318. 森田重次郎

    森田委員長 本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  319. 森田重次郎

    森田委員長 起立多数。よって、本案については竹内黎一君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。労働大臣原健三郎君。
  320. 原健三郎

    原国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議の御趣旨を体しまして善処いたしてまいる所存でございます。
  321. 森田重次郎

    森田委員長 ただいま議決いたしました三法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  322. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  323. 森田重次郎

    森田委員長 次回は明二日水曜日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。      午後五時二十六分散会