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内藤(良)
委員 関連して。私は秋田の出身ですから、出かせぎの本場みたいなものですけれども、いまの
後藤先生のお話に関連して労働省にいろいろ伺いたいと思います。
第一、
失業保険の一部
改正ということで出てまいりましたこの
法律案は、
一般的な労働者の皆さんにはずうっと改善されておる面が多いと私も思いますけれども、いまの問題になっておりますいわゆる季節労働者の
関係だと思いますが、いままでの最低四カ月二十二日の雇用期間を、原則どおり満六カ月の百八十日にするという面ですね。これは明らかに改悪なわけです。
それはいろいろ立場があるとかどうとかいう話もあるかもしれませんけれども、私たちの働く者の立場で、しかも、最近は出かせぎということばに対して、季節労働ということばに変えていますけれども、あの出かせぎという問題が、国の政治の場で、あるいは社会の問題として取り上げられて、いろいろな問題を引き起こして、そしてこれまで皆さんをはじめいろいろ施策を練ったわけでしょう。
いま季節労働という名前には変わった、しかし、この出かせぎという現象に対しては
内容は何ら変わりがないわけです。私は今日のこの出かせぎという現象の中で、労働省は労働者の味方の役所だというふうに終戦後、ずっと理解しておりますけれども、若干変わったようなことを言う方もおるけれども、しかし、私はそういうぐあいに思わない。名前は季節労働に変わっても、出かせぎという現象は、簡単なことを申し上げると、これはいままで何べんも言われたことですから皆さんも聞きあきているかもしれませんけれども、私はもう一ぺんこれを思い返していただきたいのです。ここに出かせぎの労働者の書いたものがあります。その
内容を読んでみますと、「凡そ一年の四分の三にわたる長い間妻や子と離れ離れになって孤独な生活を続けなければならないのです。」「また、それ以上に私たちにとって苦痛なのは子供達への影響です。年から年中、母親だけに育てられ、父親の愛情が全く欠けた状態の偏屈な生活の連続では、幼児から学童へ更に大人へと成長していく子供達の人間形成過程にとって何かしら大事な大事なものが欠け、それが将来、後々まで悪影響を与えるのではないでしょうか。」これは長く言いません。こういうことをいいまして
——笑い声を立てる方もおりますけれども、そういう方はまた違った環境におる方だからそういう気持ちになるのかもしれません。しかし、ぼくらの場合は、この今日の季節労働といわれる名前の方々、出かせぎといわれる皆さんの日本人としての暮らしの現状というものを
考える場合に、今度のこの百八十日というものはどうして出してきたのか、だれがこういうことを言ってきたのか、私は労働省自体はこういうことを言っていないような気がするのです。だれか背後で、どうしてもこれをしなくちゃならないというぐあいに強い圧力があるのかどうか。少なくとも、組織されておる労働者の皆さんは、絶えず皆さんとは連絡しておるが、しかし、最近この季節労働者の皆さんもようやく組合をつくりまして、第五回の大会を持ったわけであります。これはことしの二月の十六日です。おそらくこの大会の決議は労働情報としても、あるいは決議文を持った代表が、
大臣なり
局長なりにお会いして、その気持ちを訴えておると思うのです。だから皆さん知っておると思う。この第五回の大会でどういうことを言っているかといいますと、いろいろありますけれども、
失業保険の改悪に関しては絶対やめてもらいたいということをはっきり言っておる。この
関係の労働者が、こういう希望をことしの第五回目の大会で言っておるのですよ。しかも、第一回から連続してこれは決議になっておるわけです。こういう
事情を皆さんはわからぬわけはないでしょう。そういう中でこの百八十日というものを出してくるということは、どうしてもわれわれとしては納得いかない、何だかんだと
理屈を言っておるようでありますけれども。
しかも私は、先般の予算分科会で
大臣にも御質問しまして、いろいろ
大臣から御答弁いただきました議事録を持っております。簡単に言いますと、今日の出かせぎ、季節労働者の労働力は貴重なものだ、これは今日の建設業界にとりましてはこういう苦汗労働に類するような筋肉労働、こういう労働者は少ないのだ、だから六十万人になんなんとする季節労働者の労働力は、日本の建設のためにはたいへんに貴重なものだとあなたはおっしゃっておったわけです。感謝をしたいという気持ちで発言をされておる。いま何だかんだと言っても、私はこの季節労働者が出るまでの状態の全体のことは言いません。言わないけれども、しかし労働の場においてもこれは貴重な存在になっておるでしょう。しかもこの方友は、季節労働にも特殊の状態の中でないと出てこられないのだ。しかし、これにかわるべき新卒の労働者がいますか。あるいは東京都内一千万の中で、あの地下鉄のああいう激しい、苦しい労働に喜んで参加する方がおりますか。しかし、建設しなければならぬでしょう。労働力を流動的にあなたたちはやろうとして、いろいろくふうはしておるようだけれども、日本人の一億の中で、東京の一千万の中で、これにかわるべき労働力がいまありますか。まず第一にそこから私は聞きたいと思うのです。原
大臣、もう一ぺんこのことを、あなたはどう
考えますか。季節労働者、出かせぎ労働者を、何か農業に食いっぱぐれた連中が、泣く泣く妻子から別れて、そして働きに出ておるのだ、ああいう連中には、適当にあしらっておけばいい、そういうぐあいの気持ちでおるのですかどうですか、そこのところを……。