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1969-11-10 第61回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年十一月十日(月曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 赤路 友藏君    理事 河上 民雄君 理事 島本 虎三君    理事 本島百合子君       鍛冶 良作君    仮谷 忠男君       田澤 吉郎君    丹羽 久章君       八田 貞義君   三ツ林弥太郎君       浜田 光人君    山口 鶴男君       岡本 富夫君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     半田  博君         経済企画庁国民         生活局参事官  西川  喬君         法務省刑事局長 川井 英良君         厚生政務次官  粟山  秀君         厚生大臣官房国         立公園部休養施         設課長     阿部 正利君         厚生省環境衛生         局公害部長   城戸 謙次君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       橋本 道夫君         厚生省薬務局参         事官      下村  孟君         水産庁次長   藤村 弘毅君         通商産業政務次         官       藤尾 正行君         通商産業省企業         局立地公害部長 柴崎 芳三君         通商産業省鉱山         石炭局鉱政課長 林 信太郎君         通商産業省鉱山         保安局長    橋本 徳男君         海上保安庁警備         救難部長    貞広  豊君     ————————————— 十一月十日  委員伊藤宗一郎君、岡崎英城君、久保田円次  君、塩川正十郎君、地崎宇三郎君及び米田東吾  君辞任につき、その補欠として三ツ林弥太郎  君、丹羽久章君、八田貞義君、鍛冶良作君、仮  谷忠男君及び山口鶴男君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員鍛冶良作君、仮谷忠男君、丹羽久章君、八  田貞義君、三ツ林弥太郎君及び山口鶴男辞任  につき、その補欠として塩川正十郎君、地崎宇  三郎君、岡崎英城君、久保田円次君、伊藤宗一  郎君及び米田東吾君が議長指名委員に選任  された。     ————————————— 八月五日  一、産業公害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  産業公害対策に関する件(大気汚染及び水質汚  濁対策等)      ————◇—————
  2. 赤路友藏

    赤路委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。岡本富夫君。
  3. 岡本富夫

    岡本(富)委員 水産庁にお聞きいたしますけれども播磨灘——これは全国的だと思うのでありますけれども、最近いろんな食品、あるいはまた菓子、いろいろなものが全部ポリエチレンの袋で包まれておりますが、この処理が、みんなそのまま捨てるわけです。それが相当海底に沈んでおって——これは御承知のように全然腐敗しないわけで、魚がそのために相当死滅しておるという事実を私現地で、淡路島付近で見てきたわけでありますけれども、これについてどういうような対策をするかについて、若干まず質問したいと思います。
  4. 藤村弘毅

    藤村説明員 現在のところ私どもは、播磨灘ポリエチレンの袋がたまるという話は具体的には聞いておりませんですが、一般的に言いまして、海底潮流関係で、ポリエチレンの袋その他のそういう腐敗物、あるいは腐らないでそのまま残ってしまうものによって、底引きの漁場が荒らされているという問題は二、三聞いておりまして、そういうところに対して漁場を復活させなければならないということで、将来水産庁でも補助金を出すようにして漁場の復元をはかりたいというふうに考えております。
  5. 岡本富夫

    岡本(富)委員 これは各漁業組合、あるいは船舶関係でも相当被害が出ておる。要するに普通の船舶ですと、水をあげるたびに底にポリエチンンなんかがぺたっとへばりついて、冷却水が入らないというようなことで非常に困っているというようなことも私聞いてまいりましたのですが、そこでいまのうちに、腐らないところのこういうプラスチック系統をどうして除去するか、あるいはまた今後の大きな対策を講じておきませんと、ますます一般的に使われるわけでありますので、どうにもならなくなる、こういう考え質問したわけでありますが、ただ、補助を出してどうするというようなそんなわずかな対策だけではぐあいが悪いのじゃないか、こういうように思うのでありますが、それについてどういう構想で今後やるか、播磨灘の現在のポリエチレン、こうしたものを除去するについては、現地のほうの、これははっきりした数字ではありませんけれども、大体推定四、五億かかるのじゃないか。四億から五億くらいかかるのじゃないかというようなことを言っておる人もあるようでありますけれども、これははっきりしたあれではありませんが、こういうことについてどういうような抜本策を講じているか、いまの間に予防するか、あなたの構想があればひとつお聞かせ願いたい。
  6. 藤村弘毅

    藤村説明員 現在のところ、具体的にこういう措置という方法はきめておりませんが、従来、海中にものを投棄しないというようなことも含めて海をきれいにするという運動を起こしております。そのほかに、汚物を処理する場合、大量に投棄されるような問題もございますので、総合的に検討を進めたいというふうに考えております。
  7. 岡本富夫

    岡本(富)委員 現在もこうして続々被害が起っておるわけでありますが、すでに私、水産庁のほうにもこうした陳情が来ていることを知っているわけです。なぜかならば、私のほうにも来まして、それから水産庁にも行っているわけですが、その方面陳情に対しても、何の調査もしていないのか、あるいはまた聞きっぱなしになっているのか、あるいは現地のほうに問い合わせもしていないのか、その点について、いまのあなたの答えでは相当私は不満でありますが、どうですか。
  8. 藤村弘毅

    藤村説明員 私、まだポリエチレンの袋につきましての直接現地の方からのお話は伺っておりませんでしたので、さっそく帰りまして十分調査いたしまして措置いたしたいと思います。
  9. 岡本富夫

    岡本(富)委員 ちょうど通産政務次官がいらっしゃって、何でも質問を引き受ける、こういうことでありますので、一般常識から考えても、毎日毎日国民が排出するところのこうしたポリエチレンの袋なんかを、焼却すると有害な煙が出るというようなわけで、いまそのまま投棄しているわけですが、こういう問題について、今後どういうような対策でもって、海中投棄なんかしないでそして何とか処理する、これについてどういう構想をあなたは持っていらっしゃるか。
  10. 藤尾正行

    藤尾説明員 御承知のとおり、わが国だけでございませんで、世界の科学技術といいまするものは日進月歩をいたしておるわけであります。わが国におきましても、すでに水に溶けるポリエチレンというようなものが電気化学において開発されております。したがいまして、現在までの、燃すと有毒ガスが出る、しかたがないからどこかに棄てるというものが累積をされておりましたということにつきましては、そもそもその処理方法、これについてのいろいろな問題があり、その問題についての究明をいたさなければならぬ、これは当然だと思いますけれども、将来とも現状がそのまま続いていくのだということではないわけでございまして、そういった電気化学開発というような問題をもってその解決の方向に進んでおるということを、十二分に御承知おきを願いたいと思います。私どもといたしましては、そういった科学技術の進歩というものに十二分の信頼をおきまして、そういった点から、公害の起こらないようなそういった包装資材といいまするものが普及するということが望ましいことだと考え、またそのように指導をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  11. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いま政務次官の話を聞きますと、これからの技術開発によって、水に溶けるようなそうしたポリエチレン包装材料といいますか、そういうものをつくるというあれでありますけれども、現在すでにこうした被害が起こっており、またいま毎日毎日これは使われておるわけであります。したがいまして、その技術開発ができて、そういうものが一般に出回るまで、これは相当年数がかかると私は思うのです。したがいまして、現在、あなたの所管とは違うと思いますけれども、このした播磨灘にたくさん蓄積しているところのものの除去、あるいはまた今後、いま毎日毎日排出されておるわけでありますが、そういうものに対する抜本的な対策、これがありましたらひとつお聞かせ願いたい。
  12. 藤尾正行

    藤尾説明員 私ども所管でないということはもちろんでございますけれども、政府といたしまして、そのようなことがそのまま許されてしかるべきでないことは当然でございます。したがいまして、現在まず、それを海中投棄をするということがありますから海底にそれがたまるとかなんとかいうことが起こるのであろう、私はかように推察するのであります。したがいまして、その投棄方について、そういう近海漁場というようなところに投棄することをやめさせるという措置がまず第一番に考えられます。こういうことにつきましては、投棄するほうは手軽に投棄するのでありましょうけれども、それがいかにどのような方面に影響していくかということを十二分にPRいたしまして、そうしてやすやすとそういうところに捨てればいいというようなものの考え方を一新してもらわなければならぬ。そのために多少沖合いに出るまでに金がかかるというようなことは、これはやむを得ないことでありますから、そういう燃料費増高というようなものは、当然見るべきものは見て、そうしてそういうことが起こらないようにしなければならぬ。すでに起こっておりまする事態に対しましては、これは私は技術的な面はわかりませんけれども、しかしながら、海底潮流というようなものでそれがどのように動いていくのか、あるいはそれがたまっていくのかというようなことを十二分に調査した上で、しかも、どうしてもこれはさらわなければだめだということになれば、当然現地漁業組合その他との関連を考えまして、海底をさらうとかなんとかいうような、それに対しまする対応措置というものを考えてしかるべきである、私はかように考えるのでございます。
  13. 岡本富夫

    岡本(富)委員 約束の時間があれですから、水産庁にもう一度これは確約をしてもらいたいわけでありますけれども、さっそく現地調査をしていただきまして、そして対策を講ずる。年々クルマエビなんかも減少しておりまして、非常に脅威を感じておるというのが現地の要望なんです。ですから、ひとつ強力にこの調査を進め、いま通産政務次官からも話のありましたように、対策を講ずる、こういう確約ができますかどうですか。
  14. 藤村弘毅

    藤村説明員 現地の状況を調査いたしますことは直ちに調査いたしまして、関係県と十分打ち合わせいたしまして対策を講じたいと存じます。ただ、現在でも私ども瀬戸内海栽培センターを設けまして、クルマエビ放流をはじめといたしまして、稚魚放流にはつとめております。これをさらに強化いたしたいという考えは従来とも持っておりますので、申し上げておきます。
  15. 岡本富夫

    岡本(富)委員 最後に、いまの答え稚魚放流もやっていろいろやっている、こういうことなんですが、それが全部死滅してしまうのです。あとで私これを出してもよろしいが、その原因が、こういうポリエチのものがたくさんたまっている、そのためにみな死んでしまうんだというところに問題がある。ですから、いまあなたがおっしゃるように稚魚放流なんかやっている、こういうことでありますけれども、それが死滅してしまったのでは何にもならない。だからこの海底の掃除ですか、こういうようなものも抜本的にあなたが考えていくかどうかについていま質問したわけですから、それについて……。
  16. 藤村弘毅

    藤村説明員 ただいま先生指摘の点も含めまして十分調査いたしたいと存じます。
  17. 岡本富夫

    岡本(富)委員 終わります。
  18. 赤路友藏

  19. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 本年以来東邦亜鉛カドミウム公害のことをお尋ねをいたしてまいりました。私が過般質問いたしましたあと東京鉱山保安監督部長鶴田さんが自殺するという不祥事もございまして、非常に残念に思った次第でございます。  そこで、私は同じく東邦亜鉛の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、昭和三十八年に制定されました金属鉱業等安定臨時措置法という法律がございますね。この法律昭和四十三年の三月三十一日まで生きておった法律だそうでございますが、この法律は、私、制定当時のことをいろいろお伺いしましたら、銅、亜鉛自由化に伴いまして、国内の銅、亜鉛鉱山をいわば保護すると申しますか、そういう立場に立ってつくられた法律だ、こう聞いておるわけであります。  そうして、この法律を拝見いたしますと、第三条に「基本計画」というのがございまして、鉱産物生産目標等調整をするということが法律規定をされております。そうしますと、昭和四十三年のころは当然この法律が生きており、亜鉛を製錬する鉱山生産目標及び施設等につきましては、当然この法律に基づきまして通産大臣基本計画を立て、その基本計画にのっとって、いわば生産調整と申しますか、そういうものがなされておった、かように理解をしてよろしいと思うのでありますが、その点をまず、これは鉱山石炭局長さんでありますか、お尋ねをいたしたいと思います。
  20. 林信太郎

    林説明員 ただいま先生の御質問の点、私どものほうでも十分検討いたしました。この法律は、先生からいま御説明がございましたように、昭和四十三年三月末まで有効でございまして、目的といたしましては、わが国金属鉱業、銅、鉛、亜鉛等重要鉱物自由化をしなければならない、それに対処するために、昭和四十二年を目標として業界全体の合理化をいかに推進させるかということで制定された臨時措置法でございます。この法律に基づきまして基本計画を定めまして、かつ毎年その実施計画を検討して策定してまいってきたわけでございます。計画の中身といたしましては、この生産目標あるいはコスト等合理化目標が、その重要な内容になっております。当然こういった基本計画及び毎年の実施計画を策定いたします際、法律に基づきまして必要な範囲内におきまして各社からヒアリングを実施してまいっております。このヒアリング最終のものは、昭和四十二年一月に行なったものでございまして、これによりますと、昭和四十二年度末の安中製錬所の電解亜鉛生産施設能力は、月産一万一千五百トンとなっておりまして、東京鉱山保安監督部昭和四十二年六月に認可いたしました一万一千六百トンと符合しておったわけであります。  以上でございます。
  21. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、法律昭和四十三年の三月三十一日まで有効だったわけですね。そうでしょう。そうして東邦亜鉛会社へ参りましてパンフレットをいただきましたが、四十三年の四月には、一万四千五百トンがすでに操業されておるというのです。そうすると三月三十一日からたった一日で、三千トンもの施設増設というものが一夜にしてでき上がるなんということは、夢物語だと思いますね。そんなことはあるはずないんだ。そうすると、四十三年三月三十一日まで法律有効だったのですから、当然私は、この法律が有効である以上は、この生産目標については、当時の通産省鉱山局ですか、知っておったはずだと思うのですがね。そうでなければおかしいんじゃないですか。法律有効期限からいって、私はそうだと思うのです。
  22. 林信太郎

    林説明員 この法律は、四十三年三月末まで有効でございますが、合理化計画の策定が主要な内容になっております。合理化計画は、その事前に検討して策定することになっておりますので、ただいま申し上げましたように、最終ヒアリングをいたしましたのが四十二年の初めでございます。私どもそういう計画を四十二年、したがいまして、合理化計画最終年次実施計画として実施してまいります。そういう形でこの法律に基づきます私どものほうの合理化計画を策定推進したという結果になっております。
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、法律は有効であるがその間は、通産省は四十三年度の分については全然これはかまわぬだった、こういうことなんですか。
  24. 林信太郎

    林説明員 全くかまわないということでございませんで、可能な限り、法律がなくなりました後も合理化要請というのは客観的に存在するわけですから、行政指導の面でもっと周到にやるべきであったということになろうかと思っております。その辺は何ぶんにも私どものほうの人手不足等々もございまして、法律失効後の行政指導が十分でなかったかと考えております。
  25. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私が聞いておりますのは、昭和四十二年度までの基本計画生産調整というものはやっていた、ところが昭和四十三年の一月から三月までについてのそういう調整はやらなかったというような趣旨のことを言われたから聞いたのでありますが、少なくとも昭和四十三年の一月一日から三月三十一日までは、法律としては有効だったわけでしょう。しかもその間に工事に着工しなければ、これは四月一日から操業できるはずはないのですから、だから法律有効期間中に生産施設操業工事が着々として進んでおった、こういう事実は否定できないじゃないですか。法律が三月三十一日まで有効であるにかかわらず、通産省はそういう事実を知らぬ顔でおったのかということですよ。
  26. 林信太郎

    林説明員 この法律はたてまえとして、先生御案内のとおり金属鉱業等安定臨時措置法、いわゆる振興法という形をとっております。したがいまして、個々会社の一件一件の工事まで私ども監督するというふうな形の法律ではございませんので、大体企業がこういう方向に、こういう形で、この限度で向かうべきであるというふうなことを、基本計画として明示をするわけでございます。個々会社から聞きますことは、その参考資料、どの程度のテンポで、どの程度コスト目標でやったらいいという基本計画と、それからそれを各年に実行していくための実施目標を策定するために、ヒアリングするわけでございまして、法律が有効でございますけれども、そういった施設個々についていわゆる監督法律的な意味監督をするようなたてまえになっておりませんので、先生がいま御指摘の点も、私ども行政当局十分実態把握がなされなかったということは事実でございます。
  27. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この法律の十一条によりますと、報告の義務がありますね。金属鉱業を営む者に業務に関し報告をさせることができる。しない場合は罰則もありますね。とにかく私がおかしいと思うのは、四十二年三月三十一日まで生産調整等法律が生きておった。その一日後の四月一日から三千トンの生産計画が着手になったんならいいですよ。現に三千トンの増設をして操業が行なわれておるのですから、そういうことでは、四十三年三月三十一日まで生産目標等通産省業界にタッチして生産調整をやっておったということなんですから、四月一日から三千トン施設が拡大されて、現に月産が飛躍的に上昇するということを、基本計画等を出させて調整をやっておられました通産省が知らなかったということは、私は常識的に考えてあり得ぬと思う。そうじゃありませんか。そのことを私はお尋ねしておるのですよ。
  28. 林信太郎

    林説明員 実はこれは当時の担当者が現在鉱業課長でございまして、下番しておりまして、それから若干年次が古い昔のことでございますので、書類のより詳細な調査も十分行き届いておりません。なお先生の御指摘のような点につきましては一そう的確に調査をしてみたいと思っております。
  29. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それはひとつ十分調査してください。何か通産省は最近大異動があったようで、課長さん、局長さんずいぶんおかわりになったようですが、私、業界方々等お話を聞きました。そうしましたら、この法律がございましたために、ちょうど鉄鋼でもって施設あるいは生産等調整を、通産省現実の問題として現にやっておられますね。それと同じように、この臨時措置法が動いておりますときにおきましては、銅、亜鉛等生産につきましては鉱山局、そうして課の場合は鉱業課ですかがタッチをいたしまして、いろいろ話し合いをしたりしてやっておったというのですね。ですから私が問題にしたいのは、鶴田さんのところで、昭和四十二年四月鉱山保安法の八条、九条の規定にかかわらず、一万四千五百トンの操業認可行為もなさらずに、堂々会社側は一万四千五百トンの操業をやっておった。そういった無認可操業を見のがしておったのは、あたかも東京鉱山保安監督部だけの、ミスであるかのごとくお話がありますけれども現実にはいま申し上げたような法律もあり、経過もあったわけでありますから、通産本省としてこの三千トンの施設拡充の問題を知らなかったはずはない。決して鶴田さんの責任だけではなしに、四十三年の三月三十一日まで基本計画生産調整等法律があったのですから、通産省が三千トンの施設拡充について当然そのことは承知しておった。が、官庁というところはなわ張りがありまして、いや、うちの局のことで、こちらの局は知らぬということがあるのかどうか知りませんが、そんなことは私はやはり間違いであると思うのでありまして、少なくとも当時の通産省鉱山局がそういう事情について承知をしておったならば、当然橋本さんのほうの鉱山保安局におかれても、そういった法律に違反する施設拡充があるということを知って、そのときの時点で適切な指導をなさるべきだったと私は思うのです。そういうことが各局のなわ張り根性で、片方は知りません、片方は知らしていませんということでは、通産行政としての役割りは果たせぬ、そういう意味で私は申し上げておるのでありますが、この点、橋本鉱山保安局長さんいかがですか。
  30. 橋本徳男

    橋本(徳)説明員 先生のおっしゃいますことは、確かに実態面からいきましておっしゃるようなことがあると思うのであります。この二つの法律、いわゆる臨時措置法鉱山保安法、これは法律体系が違う。したがって、受け持っておる局も違うというふうなことで、どちらかといいますれば、臨時措置法のほうは、要するに、こういった非金属関係の国際的ないわゆる自由化に対処するための促進的な性格を持っておる。うち保安法は、そういった中において要するに公害その他の問題が発生することをチェックしていく。片方は要するに促進であり、片方はいろいろチェックしていくというふうなことで、もしこれがほんとうに先生のおっしゃいますように双方が一つ体系の上に整然と連絡その他が行なわれておれば、そういう事態があったと思うのでございます。ただ法律体系が違いますために、どちらかといいますれば鉱山局のほうにおきましても、保安法でどこまでのものが認可されていたかということの承知もこれまた十分ではなかったというふうなことは、振り返ってみますればおっしゃいますような点は十分あったかと思うのでございます。ただ、そういった問題は、間々その法体系が違うことによりまして、一つの法の目的からいけば、それは妥当であるが、一つの問題からすれば、必ずしもこれを是認できないというふうなことで、お互いに進めたり、チェックをしたりというふうなことで、それぞれのつかさつかさにおける役割りの違いというふうなものが、やはりそういう形において出てきたのではなかろうかという感じがしておる次第でございます。したがいまして、われわれもそういう点につきましては、特に最近においていろいろな体系ふくそう化に対処する意味におきまして、われわれのやっておる保、安上の状態も、それぞれの関係のところには十分認識してもらい、その上に立ってまた一つの別の体系促進もやってもらうというふうなことで、これを契機にいたしまして、より一そうの密接な連絡はとりたいというふうなことで考えておる次第でございます。
  31. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 政務次官がおられますからお尋ねしたいのですが、通産省の中に鉱山保安局があり、かつては鉱山局、いまは鉱山石炭局というのがあります。そして片方の局におきましては自由化に対応するために生産目標なり、あるいは施設合理化なり、そういう形で基本計画を立て、いろいろ行政指導をなされておる。そういう中で、当然施設の拡充というものは、昭和四十二年三月三十一日まで法律が生きておったのですから、私は通産省が知らぬはずはないと思う、そちらの担当課のほうは。ところが一方の鉱山保安を監督すべき局においてはそういう事情を知らぬで、そして一方において施設の拡充の工事が進んでおる。鉱山保安法によって、公害その他の面からチェックをしなきゃならぬ、届け出について当然これを認可して、あるいは不備な点があったならば改善命令も出さなきゃならぬという仕事があるにもかかわらず、そちらのほうはどうも怠っておって、つい施設の充実は知らなかったというようなことが現にあったわけです。そういうことでは、通産省全体の行政としては私はたいへん手抜かりだと思いますし、そういうことの中で公害が振りまかれ、地域住民が苦労するということであっては、通産省の役目は果たせぬと思うのです。そういった各局間の事務の連絡、調整と申しますか、こういうことについて、いままでいささか欠けておった点があるのではないかと私は思いますが、こういう問題について、次官として一体どうお考えでありますか、ひとつお聞きしたいと思います。
  32. 藤尾正行

    藤尾説明員 まさに仰せのとおりでございまして、こういった各局間でそれぞれ別々に仕事をしておる、その間の連絡がきわめて不備であるというようなことがあったということは事実でございます。そういったことにつきましては、これは行政官庁といたしましてその責任者であります大臣が責任を負う、これは当然であります。そういった面におきまして、私ども監督的立場におります者がこういったことを見のがしておった、その責任といいますものは十二分に甘受せざるを得ないと思います。私どもはこういった事実を契機にいたしまして、こういうことが再び起こらないように、十二分の監督をしていかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。まことに申しわけがなかった、かように思います。
  33. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 したがって、東邦亜鉛カドミウム公害につきましては鉱山保安法八条、九条に基づく施設計画の認可、届け出それから性能検査、こういうものにつきまして通産省東京鉱山保安監督部が手落ちがあったばかりではなしに、先ほど私が指摘いたしました金属鉱業等安定臨時措置法に基づいて、三月三十一日までこの鉱山局のほうでは生産目標なり、あるいは施設の近代化なり、そういう面で調整の仕事をしておったわけでありますから、当然この施設の拡充については承知しておったはずだ。そういうものについて承知しながら、なおかつ鉱山保安法の八条、九条の手落ちがあることを放置した、こういう責任は私は免れることができないと思うのです。そういう意味では、いま政府次官から各局間がばらばらであって、その間の意思疎通がないようなことは全くけしからぬ、今後はその点は十分誤りなきを期すようにしたいという御決意がありましたが、片方の局が知っていながら、片方の局の法律違反を見のがしておったというような遺憾なことが今後発生いたしませんように、ひとつこの点につきましては重ねて次官の御注意を促しておきたい、かように考える次第であります。  そこで、お尋ねしたいのですが、刑事局長さんはお見えですか。——八月の下旬だったと思いますが、通産省鉱山保安局東京鉱山保安監督部のほうから、東邦亜鉛鉱山保安法の八条、九条違反であるということで告訴がなされておると思います。その後、前橋地検を中心にいたしまして、この問題については十分御調査、御検討をなされておると思うのですが、当然明確な法律違反事項であります。罰則もございます。したがって、当然私としては起訴するのが相当だと思うのでありますが、今日までの調査の経過、それから結論の出ます時期、その点についてお答えいただけるならばお答えをいただきたいと思います。
  34. 川井英良

    ○川井説明員 前橋地検に照会しました結果によりますと、ただいま御指摘のように事件の送致並びに告発を受けまして、目下鋭意捜査中である、かなり捜査が進んでおりまして、ごく近い機会に処分をきめたい、こういう報告が参っておりますので、その程度でひとつお許しをいただきたいと思います。
  35. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 橋本さん、この法律違反の責任者として告訴いたしました対象の人物は、どなただったでしょうか。
  36. 橋本徳男

    橋本(徳)説明員 これは東邦亜鉛株式会社並びに安中製錬所長の二人でございます。
  37. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その二人は、すでに前橋地検においてお調べになっておられますか。
  38. 川井英良

    ○川井説明員 御承知のように、目下捜査中の事件ですので、実は私のほうにかなり詳細な経過報告がきておりますけれども、だれを調べて、まだだれを調べていないかということは、実はちょっといまの段階では申しかねるのでございますけれども関係人として取り調べた者は役人の側並びに会社側のほうで、十名前後に及んでおります。また、いま御指摘がございました被疑者として、あるいは被告発人として指摘される方についても、一部取り調べが進んでおります。さらに、無検査の操業ということに立証をする必要があるので、したがいまして、個別にいつ幾日、どういう施設についてどういう操業をした結果、どういうふうな原料についてどれだけの製品ができたというようなことを立証しなければなりませんので、この点につきましては五百数十点に及ぶ関係書類を押収の上これを検討中である、こういうことでございます。
  39. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これは御注意を申し上げておきたいと思うのですが、被疑者の中で一部調べたということは、一部調べておらぬ人があるので、それは率直にいえば相川社長だろうと思いますがね、まだ調べておらぬのは。橋本さん、この会社は非常にワンマン経営の会社ではありませんか。局がいろいろ、あるいは東京鉱山保安監督部が専務あるいは常務というような方々にいろいろ御注意をなされても、なかなか社長まで、責任者までその点が十分伝達しないといううらみがあるやに私は聞いているんですが、そうではありませんか。
  40. 橋本徳男

    橋本(徳)説明員 会社の運営状態、これを具体的に私申し上げるのは適当ではないと思うのでございます。しかし、いままでの折衝過程等から見ますれば、必ずしも——われわれのほうで意図するいろいろな資料、調査等をやりましても、それが確実にそういう形において行なわれた、行なわれなかったというふうなケースもあります。しかし、これは大なり小なりいろいろなそれぞれの問題を含んでの場合が多いと思うのでございまして、こういうことが直ちに社長のワンマンというものにつながるのかどうかということは、これは常識的判断にまつよりしようがなかろうかと思っておる次第でございます。
  41. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 局長さん、ただいまの橋本さんの御答弁を聞いておられたと思うのです。ですから私はこれ以上申しませんが、橋本局長さんが国会の場ですらああいう御発言をやっている会社だということは十分御認識をされて、被疑者の調査にあたっては万遺憾なきを期していただくように、これは強く要請をいたしておきたいと思います。  それから、次に厚生省の方にお尋ねしたいと思うのですが、私が国会で斎藤厚生大臣を当委員会にお呼びをいたしまして、排煙の調査を怠っていたことはたいへん遺憾ではないか、東邦亜鉛公害の場合は、排水のカドミウムを規制するのでは足りないのであって、排煙中のカドミウムこそがより大きな問題なんだということを指摘いたしました。斎藤厚生大臣その非を認めまして、それでは昭和四十四年度においては大気汚染調査をいたします、こういう約束をなされまして、その後大気の汚染について御調査をされたようでございます。国会で指摘をされてから大気の汚染の調査をされるのは、非常にこれはいかがかという感じを持つのでありますが、それは別といたしまして、おそくても着手をされたことはけっこうだと思いますが、中間報告なるものを新聞で拝見をいたしました。  いろいろ報道されております。たとえば労働基準に照らしてみれば三分の一程度の汚染で心配ないというような書き方の新聞もございますが、同時に、厚生省が公害防止計画策定のための基準としている一日平均一立方メートル中〇・一五ミリグラムに比べれば浮遊ばいじんは多い。それからさらに、厚生省が定めたカドミウムの暫定対策要領と比べて、カドミウムは要注意であるというような趣旨の記述をした新聞もございます。したがって、今回調べましたカドミウム汚染につきましては、厚生省が定めたカドミウムの暫定対策要領に比べて一体具体的にどうなんですか。この点をひとつ明確にお答えをいただきたいと存じます。
  42. 城戸謙次

    ○城戸説明員 群馬県安中地区の環境大気汚染につきましては、ただいま先生お話しございましたように、ことしの五月と十月の二回にわたりまして実施いたしたわけでございますが、その中の五月に実施いたしました分の結果につきまして、数日前に発表いたしたような状況でございます。  その結果は、一つは硫黄酸化物でございますが、これにつきましては非常に低い数値を示しておりまして特に問題はございません。  それからばいじんにつきましては、この中の浮遊粉じんが五月の二十三日と二十四日に、一日平均で三百マイクログラム・立方メートル当たりをこえて比較的高いという数値を記録いたしております。  それから粉じんの中のカドミウムの濃度でございますが、これは一日平均で〇・〇三から〇・一九マイクログラム・立方メートル当たりという数値でございます。これにつきましてはいま先生お話しございましたように、私どもはこの九月に発表いたしました暫定対策要領の環境大気につきましての数値でございます〇・八八マイクログラムあるいは二・九三マイクログラム以下という数値に比べますと、まだ非常に低いわけでございます。ただ普通の何もない地帯に比べますと少し高い数値を示しておる、こういうような状況になっておるわけでございます。  それから粉じんの中の特にカドミウムにつきましては、今回の調査では遠方まで飛ばないということが大体はっきりいたしてまいっております。  私どもといたしましては、これと同じ五月に行ないました気象調査の結果、それから十月の調査の結果、及び県がこの八月から行なっております自動測定記録計によります測定の結果、こういうものを総合いたしまして総合結果をできるだけ早く取りまとめたい、かように考えておる状況でございます。
  43. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 問題はカドミウムの量でありますが、労働環境基準が一立方方メートル当たり〇・八八ないし二・九三ミリグラムですか、これよりも三分の一くらいだというのですが、労働環境基準というのは職場に働いております労働者の基準ですから、これは比較的ゆるやかなのが当然であって、すべてそうですね。放射能につきましても、労働環境基準と、それから一般の人を対象にいたしました基準というのは、当然違うのがあたりまえでないかと思いますが、先ほど申し上げました厚生省が定めたカドミウムの暫定対策要領、これは一般人向けのものですね。これは一体幾らなんですか、労働環境基準とは一体どのくらい違っておるのですか。
  44. 城戸謙次

    ○城戸説明員 ただいま先生指摘のように、労働衛生上の許容濃度と、それから一般住民の場合の濃度というのは違うのが当然でございますが、この場合労働衛生上の許容限度は、酸化カドミウムにつきまして〇・一ミリグラムということになっております。これをカドミウムに換算いたしますと〇・〇八八ミリグラムということになるわけでございまして、私どもといたしましては、ほかの条件にもよりますが、この百分の一ないし三十分の一ということで、さっき申し上げました〇・八八ないし二・九三マイクログラム・立法メートル以下、こういうようなことに暫定的に今回の要領の中に示しておるわけでございます。
  45. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それに比べますと、今回出ました調査では三分の一以下だ、こういうことなんですね。
  46. 城戸謙次

    ○城戸説明員 さようでございます。
  47. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ただ、そこで現地の人たちの声は、こちらが要求して初めて大気の汚染調査をするのはおそきに失したということもありますが、結局何といいますか、いつ調査をするというのは会社側承知をいたしておる。そうしますと、ある程度生産を押えるということをやるのではないかという疑念を持っておることが一つと、それから、当然煙の通る道というのがありまして、それからはずれた地域に測定装置があって、現にカドミウムの害を受けている状況というものが十分この調査に反映をしていない、こういう不満を持っておるようであります。そういうことは厚生省当局もお聞きをいただいておると思うのですが、これらの疑問については一体どういうお答えがございますか。
  48. 城戸謙次

    ○城戸説明員 ただいまのような点、私ども十分考慮をいたしたわけでございまして、実はこの二月に小規模な調査をいたしましたところの結果等も考えまして、気象状況等をにらみ合わせまして測定点を十分選んだつもりでございます。
  49. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうですか、私はそれはお役所の答弁はそれでけっこうだと思うのですけれども、やはり地域住民の疑問がある。現に十一月に——あと橋本さんに聞きたいと思いますが、行政不服審査法に基づく公開審査も行なわれるわけですね。そういう運動が地元から起きている。そうした場合に、私はやはり、今後調査をされる場合に、当然、被害者の方々の同盟があります、そういう団体の御意見を聞いて、そうして、もちろん皆さんが専門的な立場でこういう地点を設定することが科学的に合理的だ、こういう御見解もあるでしょう。そういうものも示して、そして地域住民の意見も聞いて、そういう上で調査地点を設定される、あるいは調査の日にち等を設定される。現に一番被害を受けているのは公害被害者なんですから、そういう方々の意見を無視して、皆さん方がこれは科学的に合理的だと判断しても、やはりこれは受け取られぬ、理解せられぬという面があると思うのですが、そういう点については、今後一体どういう配慮をなされるつもりでございますか。
  50. 橋本徳男

    橋本(徳)説明員 私のほうといたしましても、厚生省のこの十月の実態調査とは別に通産省としての調査をやりたいというふうなことで、現在その準備を進めている段階でございますが、その際にはやはりこういったようなもののわれわれのほうで考えておりまする科学的ないろいろな根拠、それからまた住民の方の不安を除去するという意味におきまして、住民の方の先般来要望がきております、いわゆる推薦する科学者といいますか、そういった科学者も入れまして実施の方法論等もきめて、それに基づいて調査をやり、資料をお互いにチェックをしていくというふうな実は考え方で、まだ時期ははっきりいたしませんが、いまそういう方向において準備を進めておるような次第でございます。
  51. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 いま先生から御指摘のありました点は、公害調査の場合に現地でいろいろ問題を経験した人の意見というのは今後できるだけ生かしていきたいと思っております。  それから、データについてはすべて公開をいたしたいというふうに思っております。  それから、現地で非常に住民運動としてリーダーとなっておられる方の畑の場所も、このサンプルの中に入っておりまして、やはりそのデータも全部まとめた上で納得のいくようなものを出していきたいという考え方で臨んでいきたい、そういうふうに思っております。
  52. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまもお答えのありましたように、厚生省でお調べいただきました資料は当然公表していただきたいと思いますし、あわせまして被害者の方々に対しても、こういう要請を受けて、こういう調査をして、結果はこうだということは、ひとつ明確に知らせるようにしていただきたいと思います。  十月のデータは一体いつごろ発表になりますか。
  53. 橋本道夫

    橋本(道)説明員 十月のデータにつきましては、早くて大体今年度末までかかる、そういうふうに思っております。
  54. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 橋本さん、公開審査は一体いつごろ現地で行なうようになりますか。
  55. 橋本徳男

    橋本(徳)説明員 現段階といたしましては、御承知のように百三十四問の釈明書の提出要求がございまして、目下それを作成いたしておりますが、これにつきまして非常に過去その他のデータが不十分なために現在まだ完了しておりません。目下そういったものを作成中でございまして、それから引き続き現地調査現地においていろいろな御意見の検討会というふうなものをやりたいと思っております。いま明確にいつと言うことはちょっと困難なんでございます。  といいますのは、こういったようないわゆるいろいろな調査、検討をやります場合には、要するにこの認可にからみましての諸般のデータというふうなものも全部一応取りそろえた上でやりたいというふうな考え方を持っております。  またそれを取りそろえます場合には、御承知のように地元における推薦科学者等も入れての調査をしというふうなこともございます。あるいはそれと同時に、現在その増設施設操業を停止させておりますが、周辺における関係の中小企業あるいは労働者自体からの早期の操業再開の要求もあります。したがいまして、それは別にいたしまして、いずれにしても早く結着はつけたいというふうな気持ちは持っておりますので、取り急いでやる考え方ではおりますが、明確にいつという時期はちょっといまの段階ではまだ困難なんでございます。しかし、いずれにいたしましても、今月中ぐらいには何とか百三十四問にわたります釈明書の回答は出したいというふうなことで努力を続けており、引き続き調査現地におけるいろいろな検討会というふうなものも進めていきたいというふうに思っております。
  56. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、今月中に要求項目に対する答えを出し、それから来月に入って公開審査を考える。その前に現地へ行って調査項目その他の検討をやりたい。したがって、その公開審査はさらにおくれるというあとのほうでございますか。
  57. 橋本徳男

    橋本(徳)説明員 一応今月中にはわれわれとして釈明書の百三十四項目にわたりまする調査回答は出したいと思っております。それから、その後引き続きまして、推薦する科学者あたりとのいわゆる実態面調査の打ち合わせあるいは実態調査というふうなこともやり、その間においていろいろ現地での御意見等を聞くような機会は持ちたい、こう思っておる次第でございます。
  58. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それではこれで終わりたいと思いますが、どうかこの問題につきましては、県としても九人の要観察者もおり、イタイイタイ病のおそれのある患者さんもおるということを認定しておられる事実もございます。それから現地被害者の皆さんがいろいろな面で心配をしておられる面もあるわけであります。そういう点を十分勘案をいたしまして、そうしてほんとうに住民の納得できる調査結果、住民の納得できる公開審査によるところの結論というものを出していただくように強く要請をいたしたいと思いますし、同時に、通産省に対しましては、先ほど指摘いたしましたような、ばらばら行政によるところの違法の見のがしというようなことの今後ございませんように強く要請をいたしまして、質問を終わっておきたいと思います。
  59. 赤路友藏

    赤路委員長 本島君。
  60. 本島百合子

    ○本島委員 私は本日、水質保全に関する点についてお尋ねしたいのですが、東京都の近郊を流れております多摩川、あるいはまた今月に入りまして狩野川の下流のいわゆる水質汚染の問題等、ほとんどがその川の両岸にあるメッキ工場からの廃液の流入によるところの被害だということがいわれておる。だがしかし、それがどこの工場の廃液によるものかということが全然つかめないという現実を見ますときに、メッキ工場に対する許可、あるいはまた指導、あるいは廃液に対する施設等についての監督、こういうものは現在は大体都道府県に権限が移譲されておると聞いておりますけれども、根本的な問題がここに何か横たわっているんではないだろうか。またその追跡調査をされる場合においても、新聞等で報道される点から見ても非常に困難をしている現実を見ますときに、こうしたものを監督指導されておるあなたの立場としては、どういうことがひとつこれから先、きめ手になるんだろうか、またこういう被害が起こらない措置としてのお考えがあるならばお聞かせ願っておきたいと思います。
  61. 藤尾正行

    藤尾説明員 ただいま御指摘になられましたメッキ工場の廃液処理の問題でございますけれども、これはかって前国会におきまして、当委員会で木曽川におきますアユの斃死事件というものがございまして、私どもこれに対しまして、それの発生源といいまするものの追跡調査をさせていただきました。大体そのもとは木曽川沿岸上流のメッキ工場ではないかということになったわけでございます。私どもといたしまして、木曽川沿岸におきますメッキ工場をシラミつぶしに全部調べました。そうしてその廃液処理施設のきわめて不備なもの、こういったものに対しましては、十二分に廃液処理の設備を増強して、そうして完全にするようにという指導をいたしまして、ほぼこれが完了したと思います。  こういった例でもおわかりのとおりでございますけれども、私どもといたしましては、今日まで日本の経済発展に伴いまして、非常に多岐にわたりまして方々に分散をし、かつ非常な勢いで事業を推進しております中小のメッキ工場といいまするものが、各河川の流域に非常にたくさん散在をしております。こういったものについて強くその廃液処理の基本方針といいまするものの指導を強めておるわけでございますけれども、残念ながら、まことに遺憾千万でございますけれども、これに対しまして、その一つ一つがその廃液を十二分に処理する施設を完ぺきにしたというところまでいっておりません。そういった例が今回多摩川におきます魚の浮上というような問題に関連してきたのではないか、かように考える次第でございます。  いずれにいたしましても、こういったメッキ工場が、いままで非常に小さな規模で散在をいたしておる、しかも、その数が非常に多いというところに問題の発生点があるような気がいたします。  したがいまして、こういったものを全部集めまして、そうして共同処理施設をやらせるとか、あるいはできない場合は政府資金をもって強制的に処理施設を持ってもらうとかいうように、今後とも強力な指導をいたしまして、こういったことが絶滅をいたしますようにいたしたいものだ、かように考えております。  何せ、御案内のとおり中小、特に小規模の工場が多いものでございますから、それに金をかけた処理施設をやれというところを、本来なら当然でございますけれども、隠れてできるだけ表に出ないような形でそのところを逃げておるというような傾向がないわけではございません。したがいまして、今後はそういった点にまで十二分に指導の網の目を広めまして、そうして遺憾なきを期すというのが私ども指導方針でございます。
  62. 本島百合子

    ○本島委員 もう一点政務次官お尋ねしておきますが、この水に関連した被害が起こるたびごとにいわれておることは、たとえば厚生省は大体国民の健康ということに土台を置いて、人権という立場からこれを見ようとしておる。ところが、通産省の場合は、あなたもいま言われたように一つ企業としてそれを守ってやる、水というものは生産手段の一つであるというような、そういう考え方が根底にあるために、いつも水質保全に関連いたしましては、通産省のものの考え方が甘いというか、基準が非常に低いというか、いろいろいわれておるのですが、例として申し上げるならば、たとえばあなたがおっしゃったことの中でも言えると思う。これは渡良瀬川の、いわゆる大企業の足尾銅山からくる銅の廃液、この場合において、たとえばこれは長年かかった事件である。それがことしの十二月一日に水質保全に関する審議会の答申に基づいて大体一・五PPMにするということになっておるわけで、これは確実に実行されることと思いますが、こういう場合においても、いままでこの線にくるまでというのが非常に長くかかっている。だから科学的にあるのか、国民の健康を土台にするのか、地域の産業を土台にするのか、あるいはまたその鉱山それ自体に重点が置かれておるのかということが非常に疑問に思えるのがこの足尾銅山の問題ではなかったろうかと思います。  こういう点について今後やはりたくさんの問題を残しておる今日でございますから、政務次官としてはこういう問題については企業を守るよりは人体を守る、国民を守る、そういうことに重点を置きかえたものの考え方をされるということを私は強く要望したいのですが、そういう意味でどういうお考えをお持ちですか、お答えを願いたいと思います。
  63. 藤尾正行

    藤尾説明員 本島先生指摘のとおりでございまして、私ども企業を中心にしてものを考えるというようなことはあってはならないわけであります。まずもって人間の生命、人間の健康ということを中心にして、その許容限度内におきまして企業の成立、発展を考えていくというところに私ども指導方針がなければならぬ、かように考えております。  足尾銅山の例を御指摘でございますけれども、これは御案内のとおり私もその土地でございますからよくわかっておるわけでございますけれども、足尾銅山自体から、工場自体から流出をしておる公害源といいまするものは、これは比較的ないわけであります。まあしかしながらそれよりも、もっと以前に、もう何十年にわたりまして出されました排土、そういうものが集積されております。それに雨が降る。そうしてそれがくずれて、溶けて流れ出していくということがずっと引き続いていままで行なわれておりまして、それが渡良瀬川自体の汚染源になっておるというようなことではないか、かように考えておるわけでございます。私どもはこういったことをもって現在の企業者である古河鉱山の責任を甘く見るというようなことはないわけでございまするけれども、しかしながら、そのもとが、古河鉱山がやり始めたときから以後のものであるのか、あるいはそれ以前のものであったのかというようなことになりますと、きわめて立証は困難でございます。したがいまして、古かろうが新しかろうが、一切そういうものが水の中に入って基準量を越えるということがあってはならないのだ、こういうたてまえから、その犯人が現実に古河製銅所でなくても、それにさらに規制をかけて厳重にこれをとめるというところに私どもの行政に対する姿勢がある、かように申し上げてよろしいと思います。これは単に足尾銅山自体の問題ではございませんで、ありとあらゆる公害源というものに対しまして私どもがとらなければなりません姿勢である、私はかように考えております。どうかそのようなひとつ御理解をちょうだいをいたしまして、もしそれにもとるようなことがございましたならば、どしどし御指摘の上御叱正を賜りたい、かように考えております。
  64. 本島百合子

    ○本島委員 じゃ、もう一点お尋ねいたします。  先ほど木曽川とおっしゃったのですが、木曽川の三興製紙祖父江工場というのですか、あそこの廃液によるところの問題について、たとえばその酸素の基準を四百五十PPMにするという案を企画庁は出された、ところが通産省から、それは非常にむずかしい、だからこれは六百五十PPMまでよいのではないか、こういうような意見が出たというのですが、現在これはどうなっておりますか。どういうふうに指導されておるのか。こういう違いというものを見たときに、いま言われた限度額といわれることばと、それから人体に及ぼす許容量、これが一体どういうところに基準があってこういうふうに食い違いができるのか、こう思ったわけで、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  65. 藤尾正行

    藤尾説明員 この問題につきましては、御案内のとおり問題になりました当初から、私どもと、あるいは厚生省、建設省、あるいは現地の愛知県、岐阜県、こういったところの関係者が集まりまして、その発生源は一体何なのか、またいかなる害が現実にあったのか、そうしてそれがどのような始末になったのかということを、きわめて広い範囲で研究をいたしたわけでございます。しかしながら、きわめて遺憾でございますけれども、その際の会議におきましては、それが何によるものであるかということの立証がついにできずに終わりました。  と申しまするのは、水の流れでございますから、その日その日によって違ってくる。アユが変死したことは事実でございますけれども、その後におきましてのアユの変死というものは事実とまっておるわけでございます。現にそこが再び釣りのできる地点になっておるというようなこともございまして、その明確な指摘がきわめて困難になっておる、こういうことがございます。  たとえば御指摘の製紙工場につきましても、十二分の調査はいたしておりますけれども、製紙工場の廃液処理はわりあいに完全にできておったというようなこともございますし、結局一番ルーズであったメッキ工場というようなところに、現実にそういうアユの変死源があったのではないかというところに大体議論が落ちついてしまったというようなことでございまして、事件が発生をしたときからずっと同じような状態が続いておりますならば、調査の結果がそのようにゆれるというようなことはないはずでございますけれども、この場合にはきわめて不安定な経過をたどっておりまして、そういったことによりまして、この発生源を究極的に突きとめるということが事実上できなかったというのが現実ではなかったかと思っております。まことに残念なことでございますけれども、これに対しまして、私どもはその製紙工場自体にも責任がないとは言いませんけれども調査いたしました範囲では、その当時におきます廃液処理方法といたしましては十二分に行なわれておったのではないかという結論が出されておるということを御報告を申し上げたいと思います。
  66. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 ただいまの政務次官の御答弁を若干補足させていただきますと、御指摘の工場につきましてはいろいろ調査いたしました結果、将来も見込みまして水質保全上最善の対策を講じようというような観点から、工場の移転を勧告いたしました。現在工場も、その勧告を受け取りまして、移転すべくいろいろ準備中でございます。
  67. 本島百合子

    ○本島委員 移転勧告はいいのですが、廃液はどうしてもどこかに流すでしょうから、その点はどうなんですか。
  68. 西川喬

    ○西川説明員 お答え申し上げます。  三興製紙につきましては、これはパルプをつくっております業種の関係から、現在の技術水準をもってしましては、どうしてもある程度以下には水質が下がらないということがございまして、それによりますと木曽川の水質を維持することはできないということから、現在暫定的に、PPMで申し上げますとBODが千百PPMという数字になっておるわけでございます。それをいま通産省からも申しましたとおり、工場としましてはその設備ではどうにもならないということから、その製造はやめまして、その製造設備はほかへ移転する。来年の八月三十一日までを限度といたしまして、九月一日以降は四百五十PPMに下げなければいけないということに水質基準を決定いたしておりますので、四百五十PPMに下げますためには現在のSPの製造設備ではだめなものでございますから、SPのほうはほかに移転する、こういうふうに決定いたしておりまして、来年の八月三十一日までが限度でございます。
  69. 本島百合子

    ○本島委員 これは委員会でも御答弁があったことですから、もちろん四百五十PPMくらいに下げるということは当然な指導だろうと思います。だがしかし、いまお話を聞いておりましても、中小企業のあり方のむずかしさと、それから設備の不十分さというもの、これはいま都道府県だけに監督をおまかせになっておるけれども、そのもう一つ一歩進んだ基準というものは、やはり通産省でおきめになることだと思うのです。先ほどは小さいのを一つにまとめて、一つの工場団地みたいなのをおつくりになって廃液処理施設をつくろう、こういうお考えだろうと思いますが、そうした場合に、こうした企業体というものがどれだけ乗ってこれるだろうかなと思うのです。あまりにも小さい企業が多過ぎると思うのですね。そしてその施設に金がかかるということでは営業が成り立たぬ、そういう気の毒さもあるわけなんです。こういう点の通産省としてのものの考え方というもの、これはいまからいろいろの点で立案されておかなければ、これはメッキ工場ばかりではなく、その他のいろいろな産業にひっかかってくると思います。幾ら厚生省が国民の健康を土台としてなんていってみたところで、問題のここがきまってこないとうまくいかないんじゃないか、こう思うのですから、その点の施策というものをどういうふうにしておられるか、いま一度お聞かせ願いたいと思います。
  70. 藤尾正行

    藤尾説明員 これは先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、できるだけ集めて、そうして完ぺきな共同工場、協力工場にしていただくという指導をやっていく以外にはないわけであります。そのために、国自体が非常な援助をいたしまして、かたまって、集団で移転をしていただくというような措置もできるだけとりたい。現にそういったことは、他の業種で全然ないわけではないわけです。でございますけれども、このメッキ工場の場合には、現実にはまだなかなか、そういう御指導をさしていただきましても、なおかつそれがかたまっていくというところまでいっておりません。そこに問題が起こるわけでございます。都道府県の御指導といいまするものと相まって、私どもといたしましては、そういった零細なものが、不完全なものがばらばらになっておるという事態は改めていかなければならぬわけです。また、事実そういった中小企業といい小企規模企業といいまするものも、それだけで存立しておるわけじゃないわけでございます。当然これに発注をしておる親会社、さらにその上の親会社という一つの系列がありまして、その注文をとってやっておるわけでございますから、そういった上からの指導をできるだけ濃密にいたしまして、そうして系列内におきます指導をそういった面からできるだけ、規格外のものが散逸をいたしませんように、できるだけかたまってやっていただきたい。また、そういったことのためには共同処理工場といたしましての十分の、十二分の助成をするということで、できるだけそちらのほうにいっていただけるように誘導さしていただくというような方針で臨んでおるわけでございます。
  71. 本島百合子

    ○本島委員 そこで問題になってくるのは、やはり国と地方自治体とのいわゆる責任がどこにあるのか。あるいはまた各省庁間におけるところの責任は、水質汚染の場合においてはどこにあるのか、これがいつもわからないんですね。結局、被害を受けた住民というものが、常に犠牲を一人背負っていかなければならぬということになるわけです。たとえば、今回のような場合は魚であって、魚が浮いちまったから人体にも危険だということで、飲料水を切りかえたということになっておりますけれども、たとえば公共用水域の水質の保全に関する法律では、シアンはゼロということになっておった。そのゼロというものが、今回の魚が浮いちまったということで初めてわかった。人間が浮いちまったら一体どういうことになるんだろうか。人間と魚の許容量は一体どのくらいに見ていられるのか、こういうように思うのです。最初に見つけたのは釣に行っていた子供が見つけたそうです。そしてそれを連絡したけれども、東京都の行政がばらばらのために、連絡がおくれていって、発生してから約一日くらいかかってそっちに入ってきているはずなんです。そうすると、こういうようなものがもっと人体に影響のあるものとして出た場合、そしてそれが飲料水として都民に配給されたということを考えれば、これはたいへんなことだと思うのです。ほんとうにあの新聞記事を見たときに、これは助かるのかなという気がしました、そういうような水ですから。こういう意味では一体いまメッキ工場から流すものを毒物、劇物で規定されておる量というものははたして妥当なんだろうか、こういう気がいたしますがその点どうでございましょうか。
  72. 藤尾正行

    藤尾説明員 水質に関します最高責任といいますか、指導行政に当たっておられますものは経済企画庁でございます。したがいまして、経済企画庁の御指摘によりまして、私ども関係のあるところは私どもで責任を持つ。農林省で関係のあるところは、農林省で責任を持つ、そういうことになろうかと思います。しかしながら、いずれにいたしましても、これがどこが主管をしておるからどこに責任があって、他のところが責任があるかないかというようなことではありません。これは一にかかって、そういった問題につきましては、政府全体が責任を負わなければならぬということであろうかと思います。したがいまして、国と地方との問題につきまして、その権限のいろいろな問題の十二分な疎通ができていないというような点があれば、これまた国の責任である、私はさように申し上げていいと思います。  そういった点において、きわめて現実に不備が起こっておるということは事実でございますから、これに対するあらゆる措置を、国として責任をとっていかなければいけない、そのような感じがいたします。
  73. 本島百合子

    ○本島委員 いまお聞きいたしました毒物及び劇物取締法で定められておるところの二PPMという数字、そして飲料用水であるところの多摩川はゼロだというこの基準、そうすると、ゼロという基準の川と、そうでない川とがある。そうすると、この川の周辺でたくさんのたとえばメッキ工場なり、小さい工場がシアン化合物を流していくということになったときの水質というものは、かなりの濃度のものが出てくるんじゃないだろうかなと思うのですが、そういう点どうでしょう。私はこういうものについて知識がうといのでわかりませんが、そのいう点で、いままで危険がなかったからというふうに言われるかもしれないが、しかし狩野川の場合は、ことしになって五度も魚が浮いちゃっておる。ことしは先ごろ多摩川の事件があった後、十一月の三、四日に魚が浮いちゃっておる。多摩川の場合は、十月の二十八日のたしか午後四時ごろから始まっていったわけです。同じ川でこうしてことしだけで五回目だ、こういうことになると、これは非常な危険性を感ずるのですが、こういう点の考え方というもの、基準の考え方というもの、これはどこでおきめになり、どのように今後しようとされておるのか。このままでいいとお考えになっておるか。こういう点をお聞かせいただきたいと思います。
  74. 西川喬

    ○西川説明員 ただいま先生のおっしゃいましたように、毒物及び劇物取締法によりますと、二PPMということになっております。川のほうは経済企画庁がきめております排水の水質基準によりますと、シアンは大体において一PPM、毒物法よりもさらにきびしい一PPMというものを基準としております。それが出てまいりました場合の川の水質でございますけれども、シアンの排水というものは非常に量がわずかでございます。大体一つの工場で一日五十トン、百トン程度というのが非常に多うございます。それに対しまして川の流量と申しますと、どんな小さな川でも一万トンの水が流れておるわけです。そのために川の中に入りますとほとんど希釈されてしまいます。シアンというものは消える速度が早うございまして、大体二ないし一PPMというようなものを工場が排水の基準として守っていただきましたなら、川のほうにおいては、川の中の水質としては問題ないということになっております。ですから、今回の多摩川の事件、あるいは狩野川の事件のように、川の中におきまして魚が死ぬほど、〇・何PPMという数字になるわけでございますけれども、川の中におきまして魚が死ぬようなシアンが検出されるということは、いわゆる水質基準できめております、あるいは劇物法できめておりますような、一とか二とかいうような数字ではございませんで、相当大きな数字のシアンの入りました水を流したということが言えるわけです。こういう点からいいますと、そういうふうなほうの取り締まりといいますのは、基準だけを守る云々という問題ではございませんで、基準を制定して、それを順守する以前の問題ではないかと思われるような次第でございます。
  75. 本島百合子

    ○本島委員 そうすると、いまの答弁で、私もよくわからないのですが、警視庁が二PPM以上を排出しておるところの工場は摘発をする、と同時に改善命令を出す、こういうようなことが新聞記事に出ておったわけですが、これはやはり何かの根拠があってなされていることでしょうから、いまあなたのおっしゃるように基準以上に排出されたもの、それが各工場の数で東京都でこの間調査したものでいきましても、かなりの数が違反を犯しておるようでございますね。たとえばメッキ工場、東京都内では七百四十七工場ある。半数ぐらいのものは大体守っているらしいけれども、半数よりちょっとこえた数字では二PPM以上出しておるということがはっきりしておる。  そこで、今度の多摩川地区の、いわゆる八王子地区における調査でやりましても、たしか無免許、無届け業者が二軒で、届け出していないものが一軒あったというようなことが発表されているのですね。こういうところはもう完全なる監督の目というものは届かない。どのくらい流していったかわからない。追跡調査をしようとしても、水のことですから流れてしまってわからない。そうすると、どうしても工場における廃液施設がどのようにできているか、どのような操業をしているのかということを知っておかなければ、これは何回も操り返されるという危険性があるのですね。ですから、こういう点については、一体東京都に全部監督は移譲してあるのだから、東京都だけの責任であって、通産省というものは関知しなくてもいいんだということになるのかどうか、この点どうでしょうか。
  76. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 まず、東京都との関係でございますが、確かに特にシアンの関係につきましては、東京都に全部権限を委任しておるわけでございますけれども、それで直ちに通産省の責任が全然なくなったという関係ではございませんで、国家行政組織法の十五条に一般的な監督権というものははっきり明示されております。また、問題が非常に国民生活に直結する重大な問題でございますので、その点、常に東京都と緊密な連絡をとりながら、われわれとしては終始監視の体制はしておるわけです。  一例を申し上げますと、先ほど問題になりました木曽川の件のあとで、これは基本的に各権限を委任した都道府県の注意も喚起しなければならないということで、七月の末に総点権に関しまして通達を出しまして、各府県の体制を一そう整備するように強く要請しておるわけであります。  今回の多摩川の件につきましても、さっそく東京都と連絡をとりまして、東京都の監視体制につきましていろいろお願いをし、東京都のほうでもその件につきまして常駐の分駐所その他を設けまして、今後継続的に追跡するというような体制をとるやに聞いております。  次に、ただいまの無届けあるいは無認可の工場の問題でございますが、確かに今回の調査によりまして、先生の御指摘のとおりの工場が出てまいりました。この点につきましては、直ちに東京都のほうで施設の改善についての勧告、それから営業を一時停止するように勧告いたしました。現在その工場は操業を停止しておりますが、ただいま申し上げましたような監視体制を強化することによりまして、こういった無届け、無認可の工場が全然出てこないような厳格な体制でひとつ進めたいというぐあいに考えておる次第でございます。
  77. 本島百合子

    ○本島委員 いま監視ということばが出たのですが、水質に対しての監視というのは、確かに多摩川地区にも何カ所か監視所というのが置かれておるけれども、これは水量とか、水質、流れの変更、堤防の保全、こういうことが主であって、その水の中のいわゆる毒物、劇物の汚染とか、そういうことの監視は全然なされていないと思うのですが、こういうものは定時的にでも検査していられるものかどうか。
  78. 西川喬

    ○西川説明員 水質基準のきまりました水域につきましては、その水質基準の決定したあとの川の水質がどういう状況になっておるかということで、アフターケア調査というのは経済企画庁のほうで実施いたしております。これだけでは十全でございませんので、今般——前国会では一応廃案となりましたのですが、予定しております水質保全法の改正案につきましては、あとの監視体制というものをはっきり法文化する予定でございます。
  79. 本島百合子

    ○本島委員 川というのはいろいろな意味で危険なことが多いのですから、いまのような状態でもやむを得ないと思うが、私どもが一番心配するのは、この水がはたして人体に影響がどのようにあるのかないのかということなのですね。たとえば、川によってはいろいろの病気がある。私の生まれ故郷に関連のある福岡県の遠賀川、あそこの川で泳ぐと黄だん病になるということで、子供のうちから絶対あの川では泳いではいけないということを親から言われておったのです。過日九州に参りましたとき、そのことを聞きましたら、やっぱり同じことですよということを言っておるのですが、こういうような問題の場合に、これがどういう原因でどうなっておるからだ、そうして現在でも非常に危険性のあるものであるということが周知徹底されておるのかどうか、またそれだけの研究が続けられたのが逐一住民たちに報告されているものかどうか、こういうことが一番水に関連して私どもが望みたいところだと思うのですが、この点はどういうふうになっておりましょうか。
  80. 西川喬

    ○西川説明員 先生のおっしゃいましたようなことは問題なんでございますが、この水質の調査といいますのは、いろいろな項目がありまして、非常に困難でございます。現在新しい公害対策基本法に基づきまして、今度は排水の水質の基準ではございませんで、川そのものの水域環境基準というものをきめたいと思うのでありますが、それによりまして、この川は飲料に適する川であるから、これだけのものは維持したいというような、いろいろな基準をきめて決定いたしたい、これは各省とも相談して決定いたしたいと思っております。  ただ、そのきめられました環境基準がはたして常にコンスタントに守られておるかどうかということの監視体制につきましては、できる限り充実してまいりたいと思っております。水質そのものに関しまして、いろいろな項目によりまして自動測定というようなものも可能なものもございますが、自動測定の不可能なものもございます。どれかに焦点をきめまして、こういう問題一つだけにしぼりますと、自動測定というのは可能でございますが、いろいろなケースの、いろいろな項目によります水質に対しまして、現在この川の水質がどういうふうな状況であるかということを自動測定するのは、現在の技術水準をもってしては非常に困難でございます。やはりもっともっと研究していかなければならないと思いますが、そういう点の開発も期待しまして、できるだけ目的に応じて、そういう被害を起こさないように努力してまいりたい。  たとえば、これは厚生省の問題でございますけれども、上水道の取水地点等におきましては、魚を生かしておいて、そこを通してから水道に使うというようなことをいたしております。そういう方向におきまして、各省と十分連絡をとりながら、いろいろな方法によりまして今後進めてまいりたいと考えております。
  81. 本島百合子

    ○本島委員 これはいままでその川に沿って、風土病という形で宣伝されていたわけですね。この地域にはこんな病気があるんだなというくらいのことで、長年放置されておった。それがたとえば今回のイタイイタイ病の発生だとか、あるいは水俣病の発生というようなことから、これはそんな簡単なものじゃないということが一般にわかってはきた。わかってはきたけれども、それほどに激しい病気あるいは集団的な発生というものを見ていない地域は、やはり風土病という形でそのまま残されておるというのが現実だろうと思うのです。こういう点についての研究と同時に、その水というものに対する指導というものが非常に要望されていながらも、これがいまむずかしいとおっしゃったけれども、むずかしいのではない、研究体制が整えられていないということを、私ども指摘したいのですよ。結局、そういうものはその川、その水に接する者たちにかかってくる特殊な病気なんです。それが全部風土病という形で片づけられておるという現状、こういうことを考えると、ほんとうに水質保全ということは大切なことである。これはひとつ今後も特段な配慮を払う、また研究体制を整える、こういうふうに役所としても考えてもらいたいと思うわけなんです。  もう一つ聞きたいのは、その魚が、たとえば狩野川なんかもこれでアユの産卵場として非常によかったんだ、だからアユ釣りの非常に好場所となっておった。ところが、今度卵までみんなやられてしまったから、来年はだめだろうなというようなことがいわれておるのですが、こういうときの損害は一体だれが補償するのか。たとえば多摩川の場合でも、どこの工場からの廃液で死にましたよというと、その工場がその損失を払うわけでしょうけれども、それがない限り、だれも払ってくれないのですよ。そうすると、漁業協同組合というのですか、ああいう川魚の協同組合の人たちが、全部その損害だけを引き受ける、こういうことになるのですが、何らの補償も与えられないのか。もちろん原因がわからないから与えられていないと思うのですが……。この間多摩川の問題のときに、さっそくあの流域の人が飛んできまして、たびたびやられちゃって、おれたちめしの食いあげだ、どうしてくれるんだ、こう言われたけれども、どうしてくれると言われても、私が補償するわけじゃないから、きょうこの委員会で聞いてみるということで聞いたのですが、この点はどうなさるおつもりですか。
  82. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 狩野川のケースあるいは多摩川のケースにつきましても、非常に不幸なことでございますが、その原因者が究明できない。われわれとしては最大限の努力を注ぎまして、その原因の究明に当たったわけでございますけれども、いかなる工場がどういうケースでやったかという点もわかりませんし、はたして工場から出たのかという点も、現在の段階ではまだ実ははっきりしない点がございます。(発言する者あり)この点大いにやっておりますのですが、現状はそういう段階でございます。したがいまして、法律上は民法第七百九条で原因者がわかりますれば、それに対しまして、損害賠償はもちろん請求できるわけでございますが、現在その損害の原因者が不明な段階におきましては、手段が残されていないというのが現実でございます。
  83. 本島百合子

    ○本島委員 この点は私、やはり漁業協同組合の人たちが苦心惨たんしていられる姿を見るにつけ、どこかでやはり補償してあげなければいけないのではないかと思うのです。ということは、その原因者がわかれば、先ほど言われておるように、これはもうはっきりその人がしなければならぬということになるのですが、それがわからぬことが多いわけですね、川の場合。そうすると、その損害だけは零細な漁業協同組合の人たちがしょい込んでいるという形で、いつまでも進歩しない。このやり方というものも、あまり血の通った政治でもなさそうだ、こう思うものですから、この点はある程度考慮されてみてはどうか、私の気持ちではこう提案しているつもりなのです。そういう方法が他の法律と照らし合わしてみてできるものかできないものか、原因者がわからないときの補償のしかたというものですね。
  84. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 ただいまの、先生指摘の原因者不明のケースの損害賠償につきましては、現在法律的な手段は残されていないというのが現状でございまして、こういった現状をとらえまして、通産省の立場といたしましては、できるだけ完全な体制で公害の発生を防止したい、その防止に最大の重点を置きまして、工場の特定施設の監視その他の体制につきまして、できるだけの努力をしておるというのが実態でございます。
  85. 本島百合子

    ○本島委員 なかなかむずかしい現状であろうと思いますが、これもひとつ検討して、そういう漁民泣かせをしないように、天災なんというてみたところで、天災じゃなくて、これは人災だということは明らかで、原因がまだはっきりしないから工場廃液によるものであるとばかりは考えられないと言われても、自然に起こってくることで、いま雨が降って放射能の濃度が強い。その放射能でやられることもあるかもしれないが、それ以外にあまり天から降ってくるというようなことで魚が死んでしまうということは聞きませんので、さすれば、やはり人災と見ていかなければならない。そして人災である限りにおいては、その工場の徹底的な指導、設備の拡充——先ほど勧告できる、営業停止もできる、こう言われたのですが、これに強い罰則とかなんとか——罰則というとあれでしょうが、改善命令程度では、こういうことはなかなか根絶することはむずかしいだろうと思うのですが、これに徹底的な何か加える方法はないかということですね。
  86. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 罰則につきましては、ただいま先生指摘施設の改善命令並びに営業停止命令に違反した場合には、一年以下の体刑という罰則もございます。したがいまして、現在の段階ではまだ施設の改善の勧告並びに営業停止の勧告でございまして、現実に東京都のほうは命令は出していないやに聞いておりますが、かりにその命令を出しまして、それに違反した場合には、御指摘のような相当厳重な罰則を設けてあるわけであります。
  87. 本島百合子

    ○本島委員 今回の事件で、非常に都民の関心が強まると同時に、地方に起こっているいろいろの事件、こういうものを通して、水というものに対する恩恵とその危険の度合い、こういうものが交差したような形で非常に関心が高まってきているやさきです。こういうときにあたって、やはり指導監督の面ばかりではなく、水質保全に関しては、各省がばらばらの管理監督ということでなしに、どこかこれを一元化して、ここへ行けば何でもわかるんだ、仕事をしてもらえるんだ、ここで、この機構を強化すれば、今後こういうものは、ほとんど絶滅に近いものになるんだ、こういうものはできないでしょうか。そういう意味では、あまりにもばらばら行政であるということで、東京都も、たしか五日の日かに、都議会の委員会が開かれたときに、委員からそのばらばら行政ではさんざこづき回されたといわれておるのです。そのお話を聞いて、それは東京都ばかりでなく、本庁においても同じことである。水質関係だけでも五省にまたがっておるということ、これが何とか一元化できないか。一元化することによって強化され、こうした災害というものが防げるということになれば、なわ張り根性を捨ててでも、ひとつ大同団結するという気にはならないのか。そうした場合に、どこの省が一番これを掌握しやすいのか。これはあなたから言えないかもしれないけれども、大臣がいたら聞こうと思っていたのです。どういうふうにあなた方がお考えになるか、ひとつお考えだけでもちょっと聞かしてもらいたいと思います。
  88. 西川喬

    ○西川説明員 現在、水質に関する各省の所管の問題は、水質保全法に基づきまして、これは経済企画庁が所管いたしております。それで、必要な指定水域につきまして、水域の範囲並びに水質基準をきめております。それに基づきまして今度はそれぞれの所管省が、工排法なりあるいは下水道法なりあるいは鉱山保安法等によりまして、それぞれの所管の業種を監督いたしておるわけでございます。  この水質行政は、いろいろな問題があるから一元化したらどうかという声は、前々からもあるわけでございますが、やはり水の問題は非常に複雑な問題がございまして、ただ水質だけというわけにはいかないわけでございます。それぞれの所管の問題、下水道であれば下水道としての問題、あるいは工場でございましたら、その工場の、いわゆる一部としての工場排水になろうと思います。このような問題から、ただ単に水の排水の一部だけ取り上げましても、これはなかなか、形式上一元化してもうまくいくものではない。それ以上に、それぞれの所管省の調整を十分にはかるべきではないかというのが、現在までの行き方でございまして、水質基準の設定、あるいはその他の、その後の監督につきましても、各省連絡会を常に開きまして、十分調整をはかっておりますので、この連絡調整を密にするほうが、ただ形式的な一元化よりも、もっと実効が上がるのではないか。現在、これは企画庁だけではないと思いますが、各省とも、そういう思想で一致して施策を進めておるところでございます。
  89. 本島百合子

    ○本島委員 以上で終わります。ひとつこういう事故が再三にわたって起こらないような指導を強化してもらうということが、いまのところ残された問題のように思いますので、その点、各省がばらばらにならないで、連絡を密にして、こうした問題を防いでほしいということを要望して、質問を終わります。
  90. 赤路友藏

    赤路委員長 浜田君。
  91. 浜田光人

    ○浜田委員 最後になったが、ちいっと馬力をかけてひとつ質問したいと思います。  私は、毒ガスが大気に及ぼす汚染、汚染よりか、人を死に至らしめるような公害が起きる心配があること、さらには、海水を汚濁して、漁労ができなくなる、漁労したさかなが市場価値がなくなる問題、いわゆる海水汚濁、こういう点について順次質問を申し上げたいと思います。  そこで、第一点でございますが、これはもうすでに何カ月も前からいろいろこの毒ガスの被害等については、厚生省等にもしばしば、内閣委員会なりあるいは社労委員会等でも指摘いたしておりますので、当然問題点は煮詰まっておろうかと思うのです。  そこで、第一に、国立衛生試験所の試験の結果がわかれば御発表いただきたいと思います。
  92. 阿部正利

    ○阿部説明員 ただいま先生の御質問でございますが、国立衛生試験所に大久野島で発見されました赤筒のうちの一本を持ってきまして、試験検査中でございます。これが検査結果については、まだ出ておりません。中間的な連絡はございまして、これは発見された当時、広島県の衛生研究所でさっそく試験検査した結果が発表されております。大体これと同じようなものじゃなかろうか。しかし、広島県の衛生研究所で検査されたものよりはだいぶ内容物のほうが分解されておる傾向が強い、そういうふうなものである、というような話を承っておるわけでございます。最終的にはまだ報告が来ておりません。目下試験検査中であるということでございます。
  93. 浜田光人

    ○浜田委員 まあ大体、広島県立の衛生研究所がやったのとほぼその結果が似ておる、このような御答弁だと思いますが、そういたしますと、私、国ですから、全国に及ぼす影響が大きいから、非常に御丁寧になさっておろうかと思うのですが、広島県は、あの程度の結果は一週間ないし十日で出しているのですよ。国に持って帰られてすでに二月ぐらいになろうかと思うのですが、そういうおくれる理由といいますか、ゆえんというか、それは、どういう御丁寧な試験をしておられるのか。何のためにそういう念に念を入れた試験をやっておられるのか、そういう点を御説明願いたい。
  94. 阿部正利

    ○阿部説明員 広島県の検査は応急的にとりあえずなされたもので、先生指摘のとおり、それから間もなく結果が一応発表されておるわけでございます。衛生試験所の場合は、内容物について化学試験と毒性試験をより慎重に行なっておるわけであります。私は、この試験の方法について詳しいことはよく承知いたしておりませんが、動物実験等によって相当日数がかかるというふうなことを聞いておるわけでございます。
  95. 浜田光人

    ○浜田委員 どうもすっきりいたしませんが、次に、さっきあなたも答弁の中でちょっと触れられましたが、いま国が持ち帰っておる赤筒の毒ガスは、確かに二十何年間も水のたまった防空壕の中、さらにその防空壕は、片方は穴があいているのですから当然風が入る。いわゆる風化されておるということは想像がつきますね。私がもう四回にわたって委員会指摘いたしておりますのは、そういう状態でなくて——いわゆる旧陸軍の防空壕の中に、旧陸軍が製造したと思われる毒ガスが、控え目に見ても数百トンと表現しておるのですが、千トン以上あると言われております。したがって、それは入れて密閉しておる、こういう意味ですから、さっき述べました風化されたのとは違って、いわば二十何年前に製造した毒ガスがそのままあることが想定できるわけであります。それらは、あなたも言われたように、だいぶ違うといわれるのだから、すみやかな検査が必要だと思うのですが、あなたはどうお考えになりますか。
  96. 阿部正利

    ○阿部説明員 壕の中にまだ、先生お話によりますと千トン以上のものが入っておるのではないかというお話でございますが、私どもこの点につきましては、いまの衛生試験所の試験検査の結果、あるいはまた広島県を通じまして、当時この毒ガスの処理に当たった方たちからの情報を収集いたしておるわけでございます。これらのことをもとにいたしまして、現在どのような状況になっておるか、こういうことの調査につきまして、関係方面等ともただいま連絡協議中であります。その相談がまとまり次第、できるだけ早い機会にこの調査を進めてみたい、このように考えております。
  97. 浜田光人

    ○浜田委員 そうすると、いま持ってきておる分とは違うだろうという想像がつきますね。そういう、風化されておらぬであろうということは想像つきますか。
  98. 阿部正利

    ○阿部説明員 私は化学的なことは全然承知いたしておりませんので、同じものなのかあるいは状態が全然違うものなのか、この辺については、私の想像を申し上げてもあまり意味がないのじゃないかと思います。
  99. 浜田光人

    ○浜田委員 いや、化学的な種類の違うものかどうかと、そこまでまだ発展してはおらぬのです。同じ赤筒であったときに、二十何年間も水にひたされてさらに風通しもいいところの毒ガスと同じ種類のものが、他の防空壕に入れられて密閉されておったときに、いま持って帰っておる分とは、常識的に考えていいですから、違うとお思いになりますか、どうですか、こういう質問なんです。
  100. 阿部正利

    ○阿部説明員 その点もよくわかりません。壕の中の状態がどういう状態になっておるか、それを今後の調査でもって調べてみたいというふうに思います。
  101. 浜田光人

    ○浜田委員 そういたしますと、なおさら早くその壕の中を調査しなければならぬと思うのです。ところが私に、やります、やりますと約束して、もう三カ月日になりますよ。確かにほうっておけない問題ですから、皆さんが何だかんだと言って時間をかせいだり逃げるという悪意には私はとっておりませんが、いまあなたが言われるように、実際調べてみなければわからない。その調べる前に、はたしてあるかないか、——いままであなたたちは、あるということは言われない。調査してみなければわかりませんと言っている。それでは、せっかくつくった休暇村を使おうにも使えないんですよ、いまあのままにしておいてみなさい、あれだけ毒ガスがあるということになっているのですから。幸いに冬はたいして使わないでしょうが、来年になって、どんどん使おうとしたときにどんなになるか。だれが責任をとるかということになります。したがって、調査するのであったら、それをどう除去するかということになる。早期間にやらなければ休暇村の意味はなくなると思うのですよ。ですから、私たちが言わなくても、国立公園部というものは、だれよりも早く手をつけて、そうして国民に安心して使ってもらうという方向処理しなければならぬ問題だと思うのです。むしろ私たちのほうが、どうですか、調査はまだされないですかと、しばしば督促しなければならぬようなことでは、私は、何をやっておられるのだろうと思うのです。いま自衛隊のほうとも打ち合わせしておると言われますけれども、まず大がかりな調査段階は飛び越えて——文句なしに、あるから一挙にこれを除去するのです、こう言われるなら別ですよ。そこまで踏み切っておるのじゃなかろうと思います。調査ぐらいで何をまごまごしておられるのだろうかと思うんです。自衛隊との打ち合わせは、どういうところに難点がありますか。
  102. 阿部正利

    ○阿部説明員 具体的な方法等については、まだきまっておりませんけれども、自衛隊のほうに私どもお願い申し上げてあるのは、密閉されている壕内の状態がよくわかりませんので、その辺につきまして、自衛隊のほうで具体的にどのような方法で御協力いただけるか、こういった点について相談いたしておるわけでございます。
  103. 浜田光人

    ○浜田委員 自衛隊が、壕の中の実態がわからないといっても、あけてみなければわからないでしょう。幾ら相談してみたって、壕の中がどうしてわかるのですか。ですからとりあえず、自衛隊が毒ガスマスクをつけることぐらいたやすいことでしょうから、こういう人たちの情報をとって、すみやかに小規模の調査をやってみないと、いまおっしゃったように、中がどうだこうだといって幾ら相談されたって、見なければわからない。だからいつまでも時間がかかるのです。これはどうでしょうか。大臣同士がお話なさって——伊丹の自衛隊といえども三名や五名の化学処理班を派遣するのはたやすいことだと思うのですよ、総理大臣がアメリカに行けというのじゃあるまいし。すみやかに、具体的にものをまとめなければいかぬと思うのです。もうすぐ三カ月もたってしまう。大体いつごろまでにそういう自衛隊と煮詰めて、そして所管しておる公園部がやられる所存ですか。
  104. 阿部正利

    ○阿部説明員 調査にだいぶ日数がかかっておる点は、たいへん申しわけなく考えておるわけでございます。広島県のほうからの情報も最近出てまいりましたので、これらをもとにして早急にまた自衛隊のほうと相談して、できるだけ早い機会に調査できるような運びにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  105. 浜田光人

    ○浜田委員 できるだけ、できるだけと言うて、もう三カ月過ぎたのですが、できるだけ早いというのは、大体目安はどこらに持っておられるのですか。たとえば、先々月は幾日までにやると言って見たり、それがまたずるずる日にちがたったりしておりますが、大体あなた自衛隊とも打ち合わせしておられるのでしょうから、向こうのそういう派遣日程等についても大体想像もつくでしょうし、たとえば今月の中旬までには話がついてやろうと思われるのか、二十日までごろにやろうと思われるのか、ことし一ぱいというのはとんでもないことです。そういう最近というのは、どのくらいの目安を持っておられますか。
  106. 阿部正利

    ○阿部説明員 具体的に、大体いつごろまでというようなところまでまだきめておりません。したがいまして、私といたしましては、先生の御趣旨に沿いまして、できるだけ早い機会に調査を実行したい、このようにしか申し上げられないと思います。
  107. 浜田光人

    ○浜田委員 先生の御趣旨と言って、私じゃないんですよ。来年度国民休暇村として、国民に自由に使ってもらおうと思えば、やる期間というものは大体もうきまっておるのですよ。もし来年になって使用まっ最中に、処理するについて使われないというなら、だれが責任をとるんですか、使わせないことになるんですよ。私たちは国民の代表として、せっかく厚生省が建てた国民休暇村を、使われない状態じゃいかぬから、そういう使わない期間にやる。調査してこれを処理するとしたらたいへんだと思うのですよ、あなたら簡単に考えておるかもしれんけれども。だから、調査というのは一日も早くやって——事後の処理をどうするかということになったら非常な問題があると思うのですよ。それを調査をずるずる伸ばしておったら、事後の処理になったらどうするかという問題がある。私が指摘しなくても担当者だからよくおわかりでしょうから……。だからぼくが指摘したり、ぼくの趣旨に沿うということだけでなく、あなた方の立場でそういう作業を早く進めなきゃならぬのだよ。どうも本末転倒というか、国会議員がやかましく言うから……。私たちは、何もありはせぬのだ、ほんとうに。国会議員だから、選挙なんかのために言うたりしているんじゃないのだからな。ずばり言うて、あそこの辺は札をくれと言わなくても一生懸命やれば当選するんだ。一つもそういうことは考えておりゃせぬ。だから自分たちの立場で、国民のためにどうせねばならぬということで早く処理せなければいかぬですよ。先月も先月一ぱい、二十六日までと言ったりして、ずるずる延ばしおる。大臣もおらねば、委員長も答弁をきちっとしてくれぬし、せめて次官でもと思ったのですが、しかたがありませんね。何ですか、その情報等は広島県に集約しておりますか。
  108. 阿部正利

    ○阿部説明員 広島県から一応情報として連絡がございました。つい最近でございます。
  109. 浜田光人

    ○浜田委員 そういたしますと、あとは自衛隊の協力がいつ得られるか、これだけですね。
  110. 阿部正利

    ○阿部説明員 一応情報をもとにしまして、それらの場所等について大体把握できましたから、それをもとにして、さらに自衛隊の協力にまちたいと考えております。
  111. 浜田光人

    ○浜田委員 医務局おられますな。  そこでこの大久野島にはかつて台湾の人が、強制的に毒ガスの製造に従事してきたわけですが、こういう毒ガスに従事した人が、大体いまどういうような——現地の点でも毒ガスを扱ったがために病床で呻吟している人が非常にたくさんおりますが、そういう人たちの治療といいますか、さらにそれの対策、あわせてどういう状態になっておるかを、ひとつ御説明いただきたい。  医務局、だれか来ておりますか。——それでは下村さんは何んですか、赤筒とかさらに海中にはホスゲン、こういうものがあるのですが、防空壕の中へたくさん格納しくおるんですね。そして専門知識じゃないのですが、私たちが軍隊におるときいろいろ毒ガスを教育された。赤筒というものは熱を帯びさすといわゆる気体になって大気に出て、それを吸うたりすると窒息なり、くしゃみなり、こういうことになると思うんですがね。あの大久野島というのは土質から見て花こう岩、いわゆる真砂なんですね。そうすると防空壕というのですから、特に私たち呉の辺でもそうですが、もとの軍港地とか、あるいは師団基地とかいうのは、たくさん防空壕を掘っているのです。そうして今日二十年ぐらいたっても、とてつもない防空壕を掘ってあります。二百メートル、三百メートル入り口から向こうのほうへ十メートル直径ぐらいの穴がぽかっとあくのです。それは真砂ですから何年かの間にずっとだれてきて、それが大きな雨のときや何かにすぽっと穴があくのです。そういう土質なんです。これは中国一帯ですが……。そして、そういう土質で防空壕へ穴があいて、山ですから、火事にでもなったら赤筒、こういうものに当然熱を帯びると思うのですが、そういうときは、どういうように大気を汚染したり、その汚染等によって人体にどういう被害を及ぼすか、こういう点について見解を聞きたい。
  112. 下村孟

    ○下村説明員 ただいま御質問のありました、赤筒なり毒ガスの類が、自然の山火事のような場合にどういうようになるかという御質問の御趣旨だと思いますが、私ども催涙ガス、それから毒ガス、こういった兵器につきましてのそういう場合の変化がどうなるかということについての詳しいことは、残念ながら存じておりませんが、一般的な化学薬品の変化でございますと、ある程度熱がかかった場合には、状況その他もございますでしょうが、いろいろ変化いたしまして、その上にただいま御指摘のような気象条件、その他が加味されまして、いろいろとガスの分解いたしましたものが流れたり何かする危険性も多分にあると考えておりますが、その辺は、状況その他いろいろございますので、はっきりしたことをここで申し上げることは、ちょっとむずかしいかと思います。
  113. 浜田光人

    ○浜田委員 医務局がおらぬとかみ合わぬのですが……。
  114. 赤路友藏

    赤路委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  115. 赤路友藏

    赤路委員長 それでは速記を始めて。
  116. 浜田光人

    ○浜田委員 それでは陸上のほうは、これで保留いたしておきます。  海上にはいまの赤筒より、もっともっと危険な、すぐ人がとんころりといくホスゲンがたくさん海中投棄されておるのです。そして一般の砒素は、これも幸い下村さんおいでだし、砒素は防衛庁も関連いたしますからなんですが、海中投棄されてすでに二十二、三年たっておりますが、ホスゲンは別ですが、これは聞かなくてもわかっておりますが、砒素関係の毒ガスもやはりたくさん海中投棄されておるのですね。これらが二十何年たって、砒素系統の毒ガスというものが、もうそういう毒ガスとしての用をなさないような変化を来たしておるとお思いになりますかどうか。
  117. 下村孟

    ○下村説明員 たいへんむずかしい御質問で、ちょっとはっきりしたお答えはいたしかねると思いますが、砒素化合物でございますと、水に溶けるものと溶けないものとがございますので、溶けるものは海水に溶けまして、ある一定の濃度に溶けるまで、どんどん溶けてまいると思いますが、溶けませんものは、そのままになると思います。ただ長年たっておりますので、溶けるものも溶けないような状態になっているかもわかりませんので、その辺はやはり化学的に調べてみないと何ともわかりかねるかと思います。
  118. 浜田光人

    ○浜田委員 県の検査では砒素関係は水に分解しない、こういう見解を発表いたしておりますが、大体毒ガスですから、そう簡単に水で分解するような砒素じゃないと思いますが、それはそれにして、ホスゲンというような毒ガスが酸素ボンベみたいなものに入れられて海中にたくさん投棄されておりますが、これは容器がちゃんとしておれば、海中で腐食せぬと言う人もあるし、あるいは腐食していると言う人もあるのですが、これはどっちが専門家かわからないが、どう思いになりますか。どちらでもけっこうです。
  119. 下村孟

    ○下村説明員 海中にあります容器は、比較が非常にむずかしいかと思いますが、真水の中に入っている場合よりも腐食の度合いは早いかと思います。ただ容器の材質、厚さ、その他いろいろ条件がございますので、一がいに言い切ることもむずかしいかと思いますが、一般的に申しまして、案外早いのではないかというふうに考えております。
  120. 浜田光人

    ○浜田委員 そういたしますと、さっきからしばしば申し上げますように、海中にたくさんの毒ガスが投棄されているので、これをほうっておきますと、容器が腐食して、それがどういう形で魚を殺したり、あるいは航行している船舶、あるいは小さい船あたり、あるいは休暇村などでもそうです。夏は海水浴をやるのですが、人体にどういう影響を及ぼすかはかり知れないと思うのですが、すみやかにそういうものを海中から取り去っておかなければならぬと思うのです。防衛庁長官は、かつての委員会で、そういうものは関係各省、いわゆる厚生省、そういうところとも協議しながらひとつ調査をすみやかにいたしましょう、こういうように答弁なさっておるのですが、その後はどういう作業にとりかかっておられるか、ひとつ御説明していただきたい。
  121. 半田博

    ○半田説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の件につきましては、浜田先生のほうからも申し出があり、また地元の漁業組合のほうからも陳情がございました。防衛庁といたしましては、さっそく投棄した位置、現在の実害の発生状況等について、海上自衛隊の呉地方総監部を通じまして、県当局その他関係機関に対して照会を行なっているところでございます。従来から不発弾、毒ガス等の危険物の処理にあたりましては、関係機関または県等の地方公共団体からの依頼を待って、かつこれらの機関の協力を得てその処理を行なってまいっておりますので、今回においても海上自衛隊は、やはり県当局、関係機関からの依頼のあることが望ましいというふうに考えまして、目下県当局のほうとも交渉しているという段階でございます。県のほうといたしましては、実害の発生状況については、現在のところそう差し迫った問題はないようなニュアンスに私ども承っておりますが、それと海中投棄の場所がなかなか確定できないという問題が現在ございまして、やはり水中処分隊その他をもぐらせてみませんと、実際にある場所というものがなかなか確定できませんので、そういうような、どの海面に投棄されたのか、そういったことについて検討を続け、現在調査しておる、こういうことでございます。
  122. 浜田光人

    ○浜田委員 いまお話を聞きますと、該当自治体の長、いわゆる県知事からそういう要請があってやるのだ、このようにお伺いしたのですが、そうすると、大臣が委員会で答弁したのと食い違うと思うのですが、その点はどうですか。
  123. 半田博

    ○半田説明員 大臣が御答弁なさったのは、調査をするということを御答弁なさったわけでございます。また海幕長にも、大臣が直接調査をするように、そういうことをおっしゃっておるわけでございます。やはりその調査と申しましてもいろいろ段階がございまして、まず第一段階としては投棄された場所の確定ということがやはり一番問題でございますので、そういうことについて県当局のほうから事情を承っておるということでございます。したがって、そういう意味調査をいたしておるわけでございます。
  124. 浜田光人

    ○浜田委員 県当局といっても、県当局は何も知らないですよ。かつて終戦当時に処理した人がいろいろ引き継いでおればまだしもですが、その当時の該当者は役所をやめておられる。書類をさがしてみると、昔の調達局にもない。そうすると何を根拠にするかというと、戦後処理をせられた人に聞かなければ、具体的な——さっきの陸上と一緒で、ここらへ捨てただろうということはつかめないのですよ。それを県当局県当局と言っておられると、これもまた同じことをいつまでたっても調査することもできぬ。調査ができなければあるかないかわからぬのだから処理もできません。こうなるのだから、そこらはどうお考えになっておるのか。具体的に指示したこともあるのに、そういう人たちにこそ具体的な資料を求めればいいのです。調査はこうだ、そういうことはやられたことがありますか。
  125. 半田博

    ○半田説明員 実はこの問題につきましては、広島県の警察本部のほうからもそういった投棄の場所、実害の発生状況その他の状況について一応調査をいたしております。また忠海の漁業組合のほうにも問い合わせばいたしておるわけでございますが、何ぶん現在の段階では、その投棄された場所が特定できないという状況でございます。したがいまして、さらにこの問題につきましては、その場所の確定をまずいたしたいということで、目下関係機関と交渉しておる、こういうことでございます。
  126. 浜田光人

    ○浜田委員 場所の確定といいましても、海の底でしょう。大体この辺に捨てただろうということしかないのですよ。だからそれはおたくの防衛庁が、音波やあるいはアクアラングでも入れるなり何かして調査しなければ方法はありませんですよ。あの狭い瀬戸内海でしょう。だから、大体ここらだといったらそこを調査してみるしか方法はないでしょう。こうだというのなら調査されぬでもいいのだから、これを取り除きなさい、こう言えばいいのです。たくさんの漁民は、長い間漁労に支障を来たしておる。あるいはそこの上にひっかかって、古鉄屋へ売った。それを、しんちゅうと鉄と区別しようと思ったら、ホスゲンが出てころっと死んだ。そういう事実があるからみんなが訴えておるのだから、それを聞いておるのですとか、それが調査ですとか、こう言ったのでは進まないですよ。これもさらに私二日ばかり前に地方総監部へ行って話してみたのです。私も軍人だったが、あんなに頭が古いとは思わないのだがね。県の水産課長、出先の農林水産課長、二人でわざわざ地方総監部にこうしてくださいといっておるのに、県から何も要請がございませんとか、そういうことを言っておるのです。たとえ課長であっても広島県として行ったら、それは知事の発言であり、要請なんだから、それにまだそういうことを言ったりしておるのだ、私はこれは法律上必要はないと思うのだ、知事が要請しなければ発動できない問題じゃないと思う、だけれども、一歩下がってみても、もう今月の一日の日には二度も行っております。それを県から要請がないというような受け取り方をしておるところにズレがあるのだ、たとえ課長さんであろうが広島県として行っておるのだから、広島県知事の要請なんですよ。それを広島県からまだああだこうだ言ったりしておるのだと、——さらに一問一答しておると時間がかかるから意見を言いますが、先日長官といろいろ話しておると、何か地元の人がその調査をしてもらわぬでもいいというような意見があるので、こう言っておられるが、これはとんでもない間違いだ。これも私は一昨々日関係の漁協を呼んでみた。それは地方総監部から一団の人が来られて、調査は底びきしてこうやるのだ、こう言われたという、それをやれば漁民はおこりますよ、漁場を荒らしてしまうのだから当然のことですよ。そこにひっかかって出てきたらたいへんなことになるから、その前の作業ですよ、取り除いたりするその前段だから、そういう底びきで上げたりするなら、すでにいままで何回もやっておるのですから間違いないですよ、さらにそれによって人も死んでおるのだから。それよりか実際にどのくらいどういうところにあるかという調査をしようと、こう言われるのでしょうが、一つや二つなら目の前でも上げろといわれれば上げるというのだから、漁民は、毒ガスを。そうでなくして、実際瀬戸内海にどのくらい投棄されておるか、その調査をしようということになっておるのだから、だから当然県からもそういう要請があり、さらに漁民も、底びきで調査するなどということは、かつては大分湾でもそういうことをやって問題が起きたことがあるといわれるから、そういうことがあるから、調査もそこへいかなければいけない、こういうことになるのですが、その前段の作業ですから、さっとそこの——この前も三十二名の漁協の幹部が来られて調査をしてください、こういうことになっておるのですから、準備ができたらすぐやればいいのに、口では準備はしております、こう言われるけれどもやりはせぬ。その調査の結果ですよ。これを処理するのはどうするかというのは、これまた陸上と一緒ですよ。いろいろ問題がたくさんあると思います。その前段の作業ですから、これは当然私はいま言ったように了解もついていることですから、やるべきだと思うのですよ。これはいつやられますか。
  127. 半田博

    ○半田説明員 ただいま県の水産課長その他から調査してくれということを呉の地方総監部のほうに言っているがというお話でございますが、私ども承知しておる範囲では、十月十四日の日に、県の水産課長は、まだ現状を明確に把握しておらないので、いま直ちに自衛隊にお願いをするつもりはないとおっしゃっておられるようですし、また十一月七日に再度呉地方総監部のほうから県当局のほうに、私のほうから意向を打診しておりますが、このときも同じようなお答えだったというふうに承っております。それはともかくといたしまして、その調査云々につきましては上司とも相談いたしまして、できるだけ努力をしてみたいというふうに考えます。
  128. 浜田光人

    ○浜田委員 できるだけ云々と言っても、その答弁しかできぬだろうけれども、大臣やなにじゃないから。  そこで、保安庁、来ておりますな。この調査程度ですと、航路の変更とか、漁労の禁止というものは、やらなくてもいいのかどうか。
  129. 貞広豊

    ○貞広説明員 実際の作業をする場合に、具体的な要領等によって判断しなければならないと思いますけれども、常識的に考えて、調査期間、底びきというふうなことでなければ、その区域をきめて操業まで禁止するかどうか、ちょっといま断言はできませんが、それほどでないのではないかとも思います。
  130. 浜田光人

    ○浜田委員 だから漁労はそうですが、航路の変更とか、狭い瀬戸内海ですからね、私も常識的な調査で、そうやらなくてもいいと思うのですが、専門的な、あるいは保安庁として、そういう取り締まり当局として、その点はどのようにお考えになりますか。
  131. 貞広豊

    ○貞広説明員 そういうことがわかりましたならば、海上保安庁は一般船舶に対して水路通報、航行警報等によって事前に広く予告いたします。と申しますのは、調査船が航行船舶の通ったために、あと波等で調査作業を妨害される、特に今度のような特殊な調査作業に当たって、万一事故を起こしますとたいへんですから、そういう予告をいたしまして、できるだけ安全を主として、その他のことには規制等はしなくても済むんではないかと思います。
  132. 浜田光人

    ○浜田委員 そういたしますと、第一次作業としての調査は、協力する意味で漁民なども——指摘になった底びきで、ずうっとやって、海底をこうやると、それは問題があるとぼくは思うのですが、そうでなければ、当然これは漁業補償とか、そういうことは言わないと思うのです。したがって、第一の作業はすみやかにやって、そしてあるとするなら、どう処理するかというときにやっぱり問題は起きてくる。さらにその処理に当たっては、海水汚濁とか、特にあそこは潮流が激しいところですからね、広い範囲にわたって当然被害が生ずる危険性があると私は思う。したがって、これもまたさっきの陸上のときに厚生省に言ったのと一緒で、その段階にくるとこれは大きな問題になってくる。その点、当然予算的にも政府全体が取り組んで、どうするかという問題が出てくると思うのです。ですから、調査だけは陸上にせよ、海上にせよ、早くやらなければならぬ。私は、この処理が一千万や、二千万や、五千万でできるとは思っておりません。したがって、政府は、どこが窓口になって、どこがこの毒ガスの処理をやるかということを、おそらく閣議でも決定してやらなければならぬと思っております。だから、それが来年の予算編成にあたって、早く作業を進めないと、これまた役所としては予算がございません、今年度は予算が組んでございませんでしたというようにずるずるになってしまう。そういう中にたいへんな海水汚濁なり、あるいは大気汚染をやって、人を殺したり、あるいは魚も取れなくなる、航行もできなくなるとたいへんなことですよ。瀬戸内海あたりで航行禁止になったらたいへんなことになりますよ。あれが全部来島海峡を通ることになってごらんなさい。あらゆる船会社から政府は損害賠償を要求されるのですよ。そういう意味でも、これは大きな公害として一日も早く調査して、それからどうするかというのは政府全体が取り組まなければならぬ問題になってくるのだから、私は強く要望しておきます。次官にも先日交渉したのですが、具体的に私は現地でみんな当たっておるが、あなたたちは現地の言うことをそのままそうかなと信用しておるから食い違っておるとお話ししましたが、厚生省も、防衛庁も、さらに関係した保安庁も、こういう人たちが一体になって、大きな公害が起きないうちに、未然にそれらを防止する意味で対処をしてもらうように強く要望して、本日の私の質問を終わります。
  133. 赤路友藏

    赤路委員長 私のほうからちょっとお尋ねしますが、いままでの浜田君の質問やら御答弁を聞いておりましたが、関連するのですが、廃弾の、抜いた火薬の海中放棄ですね、これはかつて紀淡海峡でありました。それからこれは海上保安庁のほうの命令を聞かないで、黒潮のところまで持っていかないで、海中放棄をやった。これが問題になった。それからもう一つは日向灘、ちょうど宿毛湾の入口ですね、あそこにやはり海中放棄をやった。その両方とも非常に大きな影響を漁業に及ぼしたわけです。あとでこれを全部取り払って、そうして黒潮のほうに持っていった、こういうような経緯があるのですが、このときは放棄した場所がわかったわけなんですね。いま説明のこの毒ガス弾というのは、終戦直後になされたもので、放棄場所が全然不明、こういうことなんですか。おわかりならどなたでもけっこうですが。——それでそういうようなことがあって、あと海底の徹底的なあれをやったという経緯があります。廃弾の火薬、それは一応当時の記録は海上保安庁にも、防衛庁のほうにも、水産庁にもあると思いますから、よく調べていただいて、そういうような形でかつてあったんだから、今度の場合においても、できるだけすみやかに対処してもらうようにしていただきたい、このことを要望しておきます。  島本君。
  134. 島本虎三

    ○島本委員 浮遊粉じんの調査結果についての対策をまず聞きますが、まず先に承っておきたいのですが、公害対策基本法ができて三年ですか、それから四日市の四日市ぜんそく、それから水俣病またカドミウムによるイタイイタイ病、こういうようなものが公害病として認定されてから二年ですか、それぞれもうその対策に腐心して、その効果が十分あらわれなければならないはずのものであり、それを国民が当然期待しているわけですが、最近の厚生省の発表によると、八日ですか、これは七つの大きい都市で国設の大気汚染測定網の四十三年度の測定結果の発表というのがありました。これによりますと、ちょっと意外なんですが、亜硫酸ガスなどの硫黄酸化物、これによる大気汚染の進行の状態が逆にはなはだしくなってきておって、浮遊粉じんも、一市を除いて各都市は、四日市できめた地域公害防止計画目標値よりも上回っている。すべて不合格のような状態だ、こういうような結果のようであります。これはまことに意外なんですけれども、一体こういうようなことは、いままでの公害対策上私どもとしては予想もしていなかったことですが、この問題では通産省は、いままでどういうような指導をなすっておられましたか。
  135. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 この点につきましては、いわゆる浮遊粉じんについては、いまだにいわゆる環境基準というようなものも正確にはきまっておりませんので、指導のしかたにつきましても非常にむずかしい点があるのでございます。ばい煙一般につきましては、先生も御承知の排出基準に基づきまして相当厳格な指導をしております。したがいまして降下粉じんにつきましては、その効果も出ておるというのが実態でございますが、なおそのうらはらといたしまして、開発銀行、中小企業金融公庫、あるいは公害防止事業団の事業というようなものを通じまして、現在はっきりきめられ、かつ指導目標が設定されております分野につきましては、防止のための装置の強化という点に最大限の努力を払っておるというのが実態でございます。
  136. 島本虎三

    ○島本委員 これは、柴崎立地公害部長まだ新しいようですから、いまのような答弁をされますが、ほんとうはその程度の答弁じゃだめなんです。ちょっと意地悪くいうと、じゃどういうような対策をやっておるか一つ言いなさい。公害防止事業団が汚職やあんなことばかりやって、十分な効果をあげていないというような実態であって、もうすでに指摘もされている。おそらくは、公害基本法がきめた六つのこれだけは、基本法できめた必須要件ですから、これだけはいつも満たすようにしなければならないし、それが行政の主たる目的ですよ。これから努力するじゃない。公害対策基本法ができて三年たっているのです。ほんとうにこれは今後十分注意しておかないとだめなだけじゃなくて、また新たな公害がこれによって発生してくるのですから、これは重要なんです。これは答弁要りません。  それで、厚生省はこの対策をどういうようにして今後立てようとしていますか。
  137. 城戸謙次

    ○城戸説明員 ただいま御指摘の点でございますが、粉じんについての排出基準でございますが、これは従来のデータからまいりますと、粉じんの濃度はやや減少の傾向を示しておったということで、前のばい煙規制法時代のものを、そのまま大気汚染防止法の排出基準にとっておるわけでございます。ただ、今回の調査の結果等から見まして、相当の地域におきまして、その低下の傾向が横ばなり、あるいはふえぎみになっておる、こういうことでございますから、私どもとしましては、今後特にばいじんの中でも浮遊粉じん対策に中心を置いてまいりたいと思っておるわけでございます。浮遊粉じんについての環境基準をともかく検討するための専門委員会を、十二月早々にでも生活環境審議会の中に発足さしたい、かように考えておるわけでございます。
  138. 島本虎三

    ○島本委員 その原因は、直接通産省側によれば、高煙突による広拡散、これがとりもなおさずこういうような現象を起こしている、こういうように考えられるとすれば、今後その高煙突による広拡散というこの行き方に対しては、これは通産、厚生両省とも指導考え直さなければならないのじゃないか、こう思いますが、これは原因でないのかどうか。  それともう一つ具体的な問題として、いま言ったような、生活環境審議会の中で、いろいろ基準を設けたりする専門部を置きたい、こういうようなことは、私は了承しております。また国設の大気汚染測定網を二十カ所ぐらいにしたいというようなことも、いろいろ承知しております。その程度のことはわかっておりまするけれども、いまのような高煙突広拡散、この方針と、現在の亜硫酸ガスや浮遊粉じんがふえてきているこの実態に対して、将来もこの指導を変更する考えはないかどうか。それと、厚生省としては生活環境審議会の中で専門部を置いたり、国設の大気汚染測定網を二十カ所ぐらいにしたいというのはわかりますけれども、浮遊粉じんそのものの中に肺腫瘍の原因となるベリリウムというようなもの、それから気管支炎を起こすバナジウムというもの、それから粘膜を刺激するクロームというものを含んでおるから、当然この対策もあわせて必要なのではないかということが考えられるのです。いま言ったような、こういうような生活環境審議会の中の専門部だとか、国設の大気汚染測定網の増加だとかいうのは、これは測定するためです。これを今度は救済する部面、また予防する部面、こうなりますと、厚生省のほうは一緒にこれをやっていかないといけませんよ。橋本君も見えておりますけれども、こういうものは十分考えて対処しておりますか。
  139. 城戸謙次

    ○城戸説明員 ただいまの御指摘の中の、特に有害な金属物質等の問題でございますが、私ども浮遊粉じんにつきましての環境基準をつくる、またこれに基づきまして排出基準を強化していくという場合には、当然総粉じん量についての条件だけでなしに、そういうような特殊な有害金属物質につきましての条件を加えまして、その基準をつくるように検討してまいることにいたしたいと思います。
  140. 島本虎三

    ○島本委員 高煙突広拡散……。
  141. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 高煙突広拡散の問題でございますが、この方式が硫黄酸化物につきまして非常に有効であるという点ははっきりしておる点でございますが、浮遊粉じんにつきましてその効果いかんという先生の御指摘につきましては、いろいろ研究が行なわれておりますが、もしこの方式で浮遊粉じんについて非常に至らない点があるというような点はっきりいたしまして、現在の排出基準で問題があるとすれば、その排出基準の強化というような方法で問題を検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  142. 島本虎三

    ○島本委員 これは十分考えて、そのための研究機関もあるはずですから、それは対処してください。  それと、二酸化窒素の汚染は東京が一番ひどくて、アメリカ以上である、こういうようなことを言われておりますけれども、疫学的な影響については厚生省自身のこれに対する対策が具体的にないようです。それと同時に、浮遊粉じんの中の肺腫瘍の原因となるような、いろいろなベリリウムだとか、または気管支炎を起こすバナジウムであるとか、粘膜刺激をすると思われるクロームだとか、こういうようなものに対して、現在これを取り除くからあとはこの対策は必要ないというふうに考えられるのか。それとも、世界で疫学的な影響については進んでいないので、これはもうそのままにしておくということになりますと、これは私どもとしてはちょっと了解できないようなことになってしまいますけれども、この対策等についてはどういうふうに考えておりますか。
  143. 城戸謙次

    ○城戸説明員 ただいま先生お話しの中の窒素酸化物につきましては、お話ございましたように、世界的にも非常に疫学的なデータがない分野でございまして、WHOとしましても、国際的に連絡をとりながら今後研究を進めていく、こういう段階でございます。私どもとしても、したがって、できるだけこういう研究を進めるという方向でとりあえずやっていくということでございます。  それから有害金属の問題でございますが、これにつきましては先ほどお話ししました専門委員会の段階で入手できる範囲のデータを検討いたしまして、基準なり、あるいはその後の対策を立てていきたい、かように考えております。
  144. 島本虎三

    ○島本委員 それはひとつ宿題として十分やって、そのあとできましたらデータをもって知らせてもらいたいと思います。この辺がまた抜け道になるようなおそれがある。それと、通産省自身、高煙突広拡散等の関係についても十分考えて、今後の対策等についても知らせてもらいたい、こう思います。それを要求しておきます。それで厚生省のほうはいいです。  それから今度は通産省と経済企画庁。いまちょうどいろいろな水の問題で問題になっておりますけれども、農産物が収穫される九月のころから年を越えて二月ごろまで、この間はことに畑作、農産物の場合、でん粉をとる作業からいろいろございますけれども、そういうようなところでは製造過程で多量の水が必要であり、現在そういうような一つの季節になっておるわけでございます。ただ漁業の面では、北海道の場合特にそうですけれども、国際的な重要な資源とされているサケ・マスの漁業がちょうど盛んになる時期にもなるわけでありますけれども、管内の河川自身がサケ・マスの資源の保護増殖に重要な役割りを果たしておるというのがいまの北海道の実情であり、河川そのものは水産用水としての利用度がきわめて高いということは言われておるとおりであります。ところが農産物を原料とする工場の操業による排水の放流時期と、サケ・マスの河川遡上の時期が重なるということで、これまた当然国際的な問題にまで発展するきわめて重要な要素を含んでおります。それは水質基準がきわめて重要だということになってきますけれども、いま水質基準の設定についてのお互いの根拠が明らかでないままに、これは告示もされないという事態が北海道にありましたが、あれは常呂川でしょうか、網走川でしたでしょうか、そういうようなことについては、国際的な問題ですからこれは十分考えて対処しなければいけない。これについてその後どうなっておるのか、それをひとつ発表願っておきたい。
  145. 西川喬

    ○西川説明員 網走川につきましては、すでに部会を終わりまして、一応環境基準に対する答申が出ておりますのですけれども、現在調査データに食い違いがあったというような問題もあります。それから操業期間におきます水質につきまして、九月から十二月までと、それから年があけまして一月、二月、三月にかけましての期間的問題の水質、その他につきましてやや問題があるようでございますので、現在それらのあれを詰めて、調整をはかっております。必要によりましては四十五年度にもう一ぺんその調査をやりまして、そのデータに基づきまして最終的には基準を——失礼いたしました。網走川につきましては現在、今度の九月からの操業期のデータを一ぺん入れまして、九月から二月、三月までのデータを入れまして、もう一ぺん最終的な調整をはかって水質基準をきめたい、こういうふうに考えております。
  146. 島本虎三

    ○島本委員 したがって、現在のところ各河川ともにいろいろ水質基準の問題等においてあまりにもいままではゆる過ぎておったというようなこと、あまりにもいままではその問題に対して関心を払っておらなかったということで、だいぶ具体的に指摘があるようです。われわれが調査した際にも、その指摘が河川の関係では一番よけいだったんです。この水質基準については、もう設定してあるものでも、今後は既設のものについても改定の必要のあるような、こういうような情勢にあるのじゃないか。また設定してないものに対しては、急いでこれをさせるように指導するような必要があるのじゃないか、これを再検討をともにすべき時期じゃないか、こう思いますが、これはどうなっていますかね、経済企画庁では。
  147. 西川喬

    ○西川説明員 やはり古く決定いたしました水質基準につきましては、いま先生がおっしゃいました問題点を残しておる部分が多々ございますが、それにつきましては四十五年度におきまして予算要求をいたしておりまして、見直し調査をいたしたい。現在のこの新しい事態に対処するための、その後の流域の発展もございまして、それに対処するための水質基準の見直し作業をいたしたいというふうに考えております。  北海道におきましても常呂川につきましてそういう問題があるように伺っております。これにつきましては現在、道のほうからも実態の事情聴取をいたしておりますが、四十五年度の予算要求は、初めての調査項目といたしております見直し調査の予定に入れまして、現在では道で調査をいたしておりますが、四十五年度におきましては国の調査費をつけまして調査をいたしまして、その調査結果に基づきまして検討いたしたい、こういうふうに考えております。  それから北海道の鮭鱒漁業に非常に関係のあります十勝川につきましては、現在水質基準を設定する作業を、具体的な段階で近く部会も開く予定で、詰めております。網走川につきましては、先ほど申し上げたような段階で調整をはかっている、以上のような状況でございます。北海道につきましては、石狩川等につきましてもこれは相当古い基準でございますので、やはり来年度の見直し調査の予定水域の中に入れてございます。
  148. 島本虎三

    ○島本委員 大体わかりました。まあいま言った答弁そのまま私は受けとめておきます。それと同時に、今度は行政指導の面なんかも、双方ともに各官庁十分やってほしいということも要請しておきます。北海道では、こういう国際的な問題を含むので初めて公害条例というものをつくりましたが、その審議の過程を通じてみましても、おそらくは厚生省の予期しないようなゆるいものになってしまっている。どこが指導したのかどうなのかわかりません。条例を取ってよく読んで、これで指導できるかどうかまあ検討してみたほうがいいと思う。それと同時に、産業公害対策特別委員会で、この問題についても過般調査をしてまいりました。そのうち調査記録が出ますからこれを十分読んで、この対策等についても十分御検討願いたい、このことを要請して、きょうはこの程度で終わっておきます。      ————◇—————
  149. 赤路友藏

    赤路委員長 先般、産業公害対策状況等の調査のため委員を派遣いたしましたが、その報告書を本日の会議録に参照として掲載いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 赤路友藏

    赤路委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時四十九分散会      ————◇—————