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1969-06-04 第61回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月四日(水曜日)     午前十一時四十二分開議  出席委員    委員長 赤路 友藏君    理事 橋本龍太郎君 理事 藤波 孝生君    理事 古川 丈吉君 理事 河上 民雄君    理事 島本 虎三君 理事 本島百合子君       伊藤宗一郎君    久保田円次君       澁谷 直藏君    渡海元三郎君       葉梨 信行君    加藤 万吉君       浜田 光人君    岡本 富夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      菅野和太郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房審議室長   橋口  收君         防衛庁参事官  江藤 淳雄君         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁総務         部長      鐘江 士郎君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤き一郎君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部長   左藤  恵君         参  考  人         (日本放送協会         営業総局次長) 竹内 省三君     ――――――――――――― 六月四日  委員岡崎英城君及び山手滿男辞任につき、そ  の補欠として渡海元三郎君及び澁谷直蔵君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員澁谷直藏君及び渡海元三郎辞任につき、  その補欠として山手滿男君及び岡崎英城君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害に係る健康被害救済に関する特別措置法  案(内閣提出第六三号)  公害紛争処理法案内閣提出第六八号)  公害に係る被害救済に関する特別措置法案  (角屋堅次郎君外十二名提出衆法第一〇号)  公害紛争処理法案角屋堅次郎君外十二名提  出、衆法第二〇号)  公害に係る健康上の被害救済に関する法律案  (小平芳平君外一名提出参法第一号)(予)  公害に係る紛争等処理に関する法律案小平  芳平君外一名提出参法第五号)(予)  公害委員会及び都道府県公害審査会法案小平  芳平君外一名提出参法第六号)(予)  公共用水域水質保全に関する法律の一部を  改正する法律案内閣提出第九四号)      ――――◇―――――
  2. 赤路友藏

    赤路委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公害に係る健康被害救済に関する特別措置法案及び公害紛争処理法案角屋堅次郎君外十二名提出公害に係る被害救済に関する特別措置法案及び公害紛争処理法案予備審査のため本委員会に付託されました小平芳平君外一名提出公害に係る健康上の被害救済に関する法律案公害に係る紛争等処理に関する法律案及び公害委員会及び都道府県公害審査会法案並びに内閣提出公共用水域水質保全に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  なお、本日は、内閣提出公害紛争処理法案角屋堅次郎君外十二名提出公害紛争処理法案、及び小平芳平君外一名提出公害に係る紛争等処理に関する法律案について、参考人として日本放送協会営業総局次長竹内省三君が御出席になっております。  参考人の御意見は、委員からの質疑に対する応答の形でお述べいただきたいので、さよう御了承いただきたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。加藤万吉君。
  3. 加藤万吉

    加藤(万)委員 前回、当委員会におきまして、政府提案紛争処理法案に対して、私は基地公害の削除がいかに法律上も実態上も問題があるかという視点幾つか指摘いたしました。引き続きまして、本日も基地公害処理法案から削除されていることが国民生活にどれほど盲点となっているかという点を追及し、あわせて社会党、公明党から提出されている法案内容についても、多少意見を述べていきたいというふうに考えるわけです。長官前回私の質問の際にはいらっしゃいませんでしたから、あらためて前回の要点だけ申し上げてみたいと思うのです。  私は、基地公害基地周辺整備法なり特損法によって補償されているから本法案から削除するという政府側の御意見を聞きました。ところが、基地周辺整備法に基づく基地公害保護なり処理は、主として物的条件であります。たとえば騒音に対して騒音防止処置を講ずる、あるいは基地周辺における環境整備に対してそれぞれの補助を行なう、地方自治体に対する特別交付税を行なう等々、いわゆる物的条件に対して周辺整備法では行なっておりますが、防衛庁から提出されておりますたとえば人身に与える影響調査報告書など見ましても、物的条件だけでは保護をされていない、基地公害からその責めを免れていないという幾つかの事実をあげてみたわけであります。人間の環境に対する基地公害をどのように処理するかという観点が、どうしても周辺整備法では補うことができない。たとえば基地騒音によって高血圧の人が起きる、あるいは小学生の能力程度が変わる、身体の成長が変わる等々の処置というもの、そういう問題が紛争処理になった場合に、基地周辺整備法ではこれを補うことができないので、したがってそういう課題を、どういう角度国民生活の中から政府側が手厚い処置を講ずるか。このことは、かかってやはり紛争処理法案の中に基地公害を取り上げる道筋というものを挿入すべきではないか、こういう意見を私は述べたのであります。今回は、そういう物的の条件に対しては、周辺整備法によって多少の処置が講ぜられておりますけれども、なおそれでも問題になる幾つかの問題点を取り上げて、法案の中に基地公害紛争処理の条項を挿入すべきではないか、こういう意見を述べてみたいというように思うわけです。  いま基地周辺でたいへん問題になっておりますのは、テレビラジオ受信あるいは騒音に基づく難聴、こういう問題をどういう角度で取り上げていくかということが各地で問題になっております。特に私が指摘をいたします、たとえば厚木海軍航空基地周辺では、このテレビ受信等をめぐって、基地周辺が実はたいへん騒然といたしておるのであります。先般も航空機発着による受信ないしは難聴に対して、住民の抗議の運動が大々的に展開されました。最終的には、飛行機の航行というものを、この際かつて協定をした分まで引き戻そう、もしそれが行なわれなければということで、住民抵抗闘争が行なわれたのであります。この問題はあらためてまた別の機会に御質問申し上げますが、この抵抗闘争に対して、国内航空法適用等という問題が起きました。ちょうど立川における例のざんごうの中から抵抗運動をやり、飛行機にその竹ざおがぶつかって、これが航空運航の障害を与えたということで、航空法適用ないしは刑法の適用をもって物件を押収するというような事態と、実は似通った事件まで起きたのであります。したがってこの際、住民生活の中で生活にもう繰り入れられているといってもいいくらいのテレビ難聴ないしは画像のズレといいましょうか、こういう問題について、一体どこでその補償とその被害に対する救済を行なうべきかということを明らかにしていかなくてはいけないのじゃないか、私どもはこのように考えるわけであります。大和市の中に爆音防止期成同盟という同盟があります。これは住民のいわば市民組織であります。この住民人たちは、いわゆる爆音によって起きる基地公害、これを防止しよう、最大限の防止あるいは当局に対する保護を求めていこう、こういういわば一般市民生活から、みずからの生活を守るという市民組織であります。この団体が、テレビ受信について、昭和三十八年ごろから、テレビラジオ受信あるいは騒音に対する被害防止、これを当局要求をしてまいりました。ところがなかなか話が進みません。そこで昨年の十二月段階で、一体これほど見えないテレビに対して受信料を払う必要があるのかどうか、こういう問題を提起いたしました。今日基地周辺の、ラジオ無料になりましたからこれは問題ないにいたしましても、テレビ画像ないしは難聴について、当然の要求として、その補償を求めているわけであります。  そこでまず最初に、事実関係を多少明らかにしておきたいと思いますが、きょうはNHK竹内参考人にも来ていただいておりますので、現在基地周辺テレビ受信料について、どのような処置NHKとしてとられておられますか、まず放送協会から御意見をお聞きしたいというふうに思います。
  4. 竹内省三

    竹内参考人 ただいまのお尋ねの点に関しまして、日本放送協会からお答えをいたします。  三十九年の四月から、実はテレビ受信料につきましては半額の免除を実施いたしております。これは、日本放送協会にも三十五年ごろからいろいろ受信料免除に関する要望等がございまして、三十七年ごろからNHKそれから郵政省防衛施設庁、それから地元の神奈川県当局が、共同で実態調査をしております。その結果に基づきまして、現在は、基地滑走路の縦の延長線飛行場周辺に交わるところ、そこから縦に二キロ、それから滑走路横幅延長線飛行場周辺に交わりますところ、そこから横へ一キロ、その線で結びました短形の中におきまして、テレビ受信料につきまして半額の免除を実施いたしておるわけであります。
  5. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ラジオ無料になりましたからね。テレビの場合にはどうなんですか。いま、縦二キロ、横一キロの部分については二分の一の減額ですね、御説明では。二分の一の減額をする対象になるものですね、何がために二分の一の減額にしているのか、これはどういうことでしょうか。たとえば難聴に対して、いわゆる聞えないということに対してか、見ることに対してか、この問題はどうでしょう。
  6. 竹内省三

    竹内参考人 ただいまの御質問でございますけれどもNHKといたしまして、この種の免除というものにつきまして、一つ基本的な考え方があるわけでございます。基本的には、私どもは、公害というものに関しまして発生原因者責任主義という一つ基本的な姿勢を持っておるわけでございます。したがいまして、基地の問題あるいは基地におきます航空機から発します騒音、これらの問題につきましても、本来的には私どもといたしましては、やはり国の問題で解決すべき問題であるというのが、私ども基本姿勢であります。ただもう一歩、私ども免除を実施いたしておりますが、免除というものにつきまして、私どもは、やはりこれは社会福祉的な見地あるいは教育的見地から、免除というものを、私どものほうであらかじめ基準を設けまして、郵政大臣の認可を得まして、実施いたしておるわけでございます。そういう見地からいたしまして、本来の免除基本の精神に立脚したものであるかどうかということについてはいささか問題があったわけでございます。しかし現実の問題に対応いたしまして、現に基地周辺地域住民の方が非常にお気の毒な状況に置かれておるという現状がございます。それからさらに国のいろいろな救済制度、いろいろ施策をおやりになっておられますけれども、このテレビ受信等を含めまして、十分の補償措置が行ない得るかどうかという一つの問題も現実にはございます。それからさらに、この問題の一番の基本が、航空機から発します騒音という、非常に技術的に解決が困難な問題がございます。そういうことと、それからNHK企業的性格あるいは社会的責任、そういうものを勘案いたしまして、免除に踏み切ったわけでございますけれども、一方私どもが考えておかなければならないのは、NHK受信料によって企業の維持がされておるわけでございますが、そのためには、受信者の一般的なと申しますか、受信者全般にわたる納得性の問題があろうかと思います。それからさらに、社会的な同情の上に成り立ち得るものであるかどうかというような判断も一方にはあるわけでございます。  それこれを勘案いたしまして、実は二キロ、一キロと切ったわけでございます。その二キロ、一キロにつきましても、現地のいろいろな御要望、あるいは御意見等伺っておりますと、問題はあろうかと考えております。しかしこれはNHKの財政問題、あるいは先ほど申し上げました全般的な納得性の問題、そういう面から、やはり最大公約数的にその限界というものを取り上げてまいりませんと、個々基地実情というものは区々さまざまでございます。そういうことから一つ一つ基地実態に合わせるということは技術的に困難であるということから、二キロ、一キロというのを、総合勘案いたしました結果、一つ区切りとして設定したわけでございます。  以上でございます。
  7. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いまの説明二つの重要な点があると思うのです。  一つは、騒音ないしは画像の不完全な受信、これは国の責任にあるということをいま竹内さんはおっしゃいました。それから二つ目には、国の責任NHK企業的存在というものとのかね合いから、また一つ区切りとして二キロ、一キロというふうにきめたというわけです。これは後ほどたいへん問題になることですから、ひとつ大臣も、あるいは法案提出者も御記憶にしっかりとどめていただきたいと思います。  そこで私は、この問題の最終的な処理は、やはり基地があることによって起きているわけですから、基地が撤去されるということが最終的な処理であろうかと思うのですが、現実にはやはり基地が存在しているわけです。そこでその基地からくる騒音、また飛行による画像の不完全さ、これをとりあえず段階的にも解決するには、騒音規制なり航空規制飛行規制を行なうべきではないかと実は考えておるわけです。私どもの知る範囲では、厚木海軍飛行場周辺における航空機騒音の軽減に関する規制措置協定というのがあったというふうに聞いておるわけですが、今日どうでしょうか。この規制措置協定はおおむねこの筋で守られているものでしょうか。それとも昨今の国際情勢等を見合わして、この規制協定は事実上空文化しているのでしょうか。防衛施設庁にひとつお聞きをしておきたいと思うわけであります。
  8. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 厚木周辺におきます騒音の問題につきましては、日米間で種々検討しました。なるべく周辺騒音被害を与えないように協定を結んでおります。  この内容としましては、たとえばエンジン調整等は早朝とか夜間はこれを避ける、あるいは夜間訓練飛行必要最小限にとどめるといったような協定を結びまして、住民の方々になるべく迷惑の少ないように措置をしておるわけでございます。ただ、ときどき地元の方から、どうも最近夜間に飛んでおるではないかというようなお話もございます。そういった際には、局を通じまして、現地米軍実情調査させ、この協定を守るように交渉しております。全体としましては、やはりこの協定はおおむね守られておるというふうにわれわれ理解しておるわけでございます。
  9. 加藤万吉

    加藤(万)委員 基地住民から言わせますと、たとえばベトナム戦争が非常にこう険悪な状態になってくる、先般のEC121型機の問題が起きたとき、たいへん騒音飛行が激しくなったわけですね。これは、この協定の中には、たとえば「止むを得ない場合を除き」というようにありますね。この「止むを得ない場合」というのは、一体どのくらいの範囲を一般的にはさすものでしょうか。たとえばいま言ったように、北朝鮮沖における事件等の場合の発着陸、こういう場合はやむを得ない場合になるのでしょうか。それとも、非常に幅の広い問題ですから、どこという線はなかなか引きにくいだろうと思うのですが、一体どういう場合がやむを得ない場合という歯どめになるのでしょうか、お聞きしておきたい。
  10. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 その解釈は非常にむずかしい問題を含んでおると思いますけれども、常識的に判断しますと、たとえば、通常訓練飛行夜間はやらない、しかしながら、何か緊急の事態が発生して、夜間の離発着が必要であるという場合は、やはりこの必要最小限度範囲に入るというふうに理解できるのではないか、このように思います。
  11. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私が申し上げるまでもありませんけれども厚木海軍基地は極東、アジアの米軍情勢に対してきわめてすみやかに対応する機能を持っているわけですね。したがって、一般訓練的な要素よりも、むしろ純戦闘体制的要請あるいはそういう状況のほうが、私どもどうも多い気がするわけです。したがって、やむを得ない場合が主であって、いわゆる一般的飛行訓練、あるいはその基地における、われわれがよく言う練習訓練というものよりも、比重としては前者のほうが全般的に高いのではないでしょうか。そのことが、たとえば厚木基地における騒音なりあるいはテレビ等画像の不完全さを長時間的に、しかも日にちを切らずにそういう状況を与えておる。これはあそこでグラフがありますから、騒音グラフを見てもらえばわかりますけれども、一カ月のうちに七十五ホン以上の音を記録する日は、されない日のほうが珍しいくらいで、される日が連日ですね。ほとんど連日といっていいくらいな状況なんです。そうしますと、やむを得ない状況というのが――今日の条件ですよ、かつての条件ではないのです。今日の条件では、主であって、それを除けば一般的な飛行訓練というものはほとんど少ない。そういう状況にあるというように私は判断をするのですが、今日的条件施設庁ではどういうように判断されますか。
  12. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 緊急事態に伴う夜間飛行といったようなものが最近多いという事実はあろうかと思います。しかしながら、全般的に申しますと、そのときの情勢にもよるわけですが、やはり通常訓練のほうが常態ではなかろうか。したがって、そういう通常訓練の場合におきましては、できるだけ夜間の制約をするという原則そのものについては変わりがない。ただ、事態状況によっては、むしろ緊急のほうがウエートが多くなることもあろうかと思います。
  13. 加藤万吉

    加藤(万)委員 実はこの問題は、正確な科学的なデータがあれば立証できることですから、これ以上論議はしませんけれども、ただ私が言いたいのは、そういう状況がひんぱんに行なわれるがゆえに、先ほど言いましたテレビ難聴ないしは不完全さというものが一般市民生活をきわめて強く圧迫しておることは事実なんです。その結果がそれぞれの要求という形になっているわけです。そこで、その要求に対して、四十四年の一月三十一日付で横浜の防衛施設局長回答を出されております。この中に、「飛行規制の問題については、貴要望について検討の上、日米合同委員会へ提案することとする。その後の経過については六ケ月以内にお知らせします。」こう書いてあるのですが、要請があったのが十二月ですから、今日六月ですから、おおむね六カ月を経ているわけです。したがって、この間に、要請に基づいて日米合同委員会に提案し、その結論を得られたかどうか、その経過をお聞きしたいと思う。
  14. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 この飛行規制の問題につきましては、基本的にはすでに日米間において協定が成立しております。しかしながら、その協定範囲外いろいろ要望もございます。そういう点につきましては、日米合同委員会下部機構として、騒音対策分科委員会というのがございまして、この席でいろいろ地元要望は伝えております。この厚木の問題につきましても、こういった委員会を利用しまして、米側にその要望は伝えておるわけでございます。
  15. 加藤万吉

    加藤(万)委員 伝えた結果、今日の時点で何らかの規制措置を行なうという結論は得られておりますか。
  16. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 この問題につきましては、いろいろいままで米側とも協議して、できるだけの規制をしてもらっております。したがいまして、これをさらに越える御要望については、なかなか米側としてもむずかしい問題がございまして、まだそれについての結論を得ておりません。
  17. 加藤万吉

    加藤(万)委員 念を押すようですが、要望に基づいて六カ月以内にお知らせします、こう書いてある。要望は十二月の十一日ですから、あまりきちっとしたことは言いたくありませんけれども、六月の十日になりますとおおむね六カ月ですね。したがって、六カ月以内にお知らせしますという以上は、何らか具体的な話の進行がなければいけないと私は思うのですが、どうでしょうか。六月十日というように日にちは別に切りませんけれども、その前後に何らかの、要望に対する規制措置日米合同委員会結論、これを地元住民に知らせることができますか。
  18. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 多少その期限はオーバーすることもあろうかと思いますが、なるべく近い機会に御返事をしたい、こう思います。
  19. 加藤万吉

    加藤(万)委員 問題は、その現象、いわゆるその飛行規制なりあるいは騒音規制というものがどう行なわれるかによって、実はNHK受信ないしは難聴に対する問題の視点が出てくるわけです。したがって、いまの回答である限り、私は今日の状況では、現状の中でどう解決するかという以外に、実は当委員会で問題の究明をすることができないわけです。  そこで、再びNHKにお聞きいたしますが、基地周辺の一キロないし二キロという地域は――私は厚木の場合をとりましたけれども、全国的にもおおむねこういう条件でしょうか。そして、今日の時点でけっこうですが、本来テレビ受信料として収入されるべきものが一体どのくらい減額されておるものでしょうか、お聞きしたいと思います。
  20. 竹内省三

    竹内参考人 お答えいたします。  現在十六基地免除を実施いたしております。ほぼ一キロ、二キロの基準原則といたしております。ただ、やはり基地ごと地形等関連あるいは行政区画等関連がございまして、若干実情に合うような弾力はございますが、原則はやはり一キロ、二キロということであります。  受信料減免額でございますが、四十四年度の予算で申し上げますと、二億七千万円が四十四年度におきます受信料減免予定額でございます。  以上でございます。
  21. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いわゆる減免額が二億七千万ある、こういうことですが、先ほど竹内さんは、本来これは国の責任によって行なうべきである、こう言われたわけですが、この減額しているものに対して、この減額分に相応する政府側措置というのは、予算上あるのでしょうか。――質問が明確になりませんといけませんからもう一ぺん申し上げますが、NHKとしては、自発的に自主的に社会福祉教育等を含めてこの措置をとられているわけですが、その結果、二億七千万四十四年度は減額があります。それを引いて予算化した。簡単に言えばこういうことですね。先ほどあなたは、本来こういうものについては国の責任で行なうべきものであって、NHK企業採算といいましょうか、そういう面から見るべき問題ではない、そういう要旨のことを言われたわけです。そうしますと、二億七千万に相応する政府側の、何らかの補助であるとか交付であるとか、対応する金額というものがなければならないのではないか。NHK公共性があるから国全体の予算はこうなりますという問題は別にこっちに置きまして、部分的に限って、この問題に対応する政府側措置というのはあるのでしょうか、ないのでしょうか。
  22. 竹内省三

    竹内参考人 ただいまの件につきましては、NHKといたしましては、政府または国からそれに対応するものというものは何もございません。NHKといたしましては、受信料性格からいいまして、NHK政府あるいは国との関連において、その補償ということを考えておるわけではございません。やはり個々聴視者が国なり政府から、もしそういうふうな関連があるとすれば、個々聴視者と国との関係において、その補償があるべきではないかというのが考え方基本でございます。  以上でございます。
  23. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これは大事な問題ですね。もしそういう被害があるとするならば、個々聴視者と国との間にその補償ないしは何らかの措置が講ぜられるべきである、にもかかわらずNHKが二億七千万の減免措置を講じておる。この関連性がどうしても明確になりません。いま一ぺん説明をお願いしたいと思います。
  24. 竹内省三

    竹内参考人 NHK受信料性格にも起因するわけでございますが、やはりNHKというのは、受信者に負担していただいております受信料によってNHK企業というものは運営されておるわけでございます。そういうような企業的性格からいいまして、このNHKが、たとえば国に補償を求めるとか、そういうふうなことは考えていないということを先ほど申し上げたわけでございます。したがいまして、この本質からいいまして、もし国にそういう解決の責任があるということで、その補償関係ということを問題として取り上げますと、先ほど私が申し上げたような関係が生ずるということでございまして、別にその関係NHK要求しておるということではございません。その辺はお間違えのないようにお願いいたします。
  25. 加藤万吉

    加藤(万)委員 関係が生ずるから、実はたいへんなことなんですよ。これは今度は郵政省にお聞きしてもいいし、法案提出者でもいいですが、いまお話しのとおり、難聴ないし画面の不完全さは、個々受信者と国との関係が生ずるということになりますと、この補償を行なうないしはそこに紛争が起きてきた場合には、それを取り上げるのは国になっていくわけです。私は当初申し上げましたように、基地周辺整備法は、実はこの面についての補償救済措置が今日ありません。たまたまNHKは年額二億七千万の、そういう意味では減免措置を購じておりますけれども、それはいわばこの往復文書にもありますけれどもNHKの自主的立場で判断した、こう書いてあります。したがって国として個々のそういう被害に対する救済措置というのは、いまのところないわけです。一体この問題はどこで取り扱うべき問題でしょうか。個々人と国との関係が生じた場合、どこが解決する機能を持っているのでしょうか。法案提出者でもいいですし、郵政省がきょう見えておりますから、郵政省の方でもいいから、お聞きしたいと思うのです。
  26. 左藤恵

    左藤説明員 この問題につきましては、郵政省といたしましては、第一義的にはやはり防衛施設庁でお考えにならなければならない問題ではないかと思います。受信料免除の拡大ということになりました場合には、いまNHKから御答弁がありましたように、NHKはその公共的な機関としての性格上、自主的に判断して、いまのところは受信料免除をやっておられる。したがいまして、現在の方式を続けていくならば、当然に施設庁あたりから、被害状況とかそういったものの要望NHKにされて、NHKがその自主的な立場で判断される以外にないと思います。もちろん国家的な立場にNHKが協力するということの問題で、現在の受信料の減免は行なわれておるわけでございますので、これを国が補償するという問題に関しましては、防衛施設庁のほうでお考えになるべきものじゃないかと、われわれは考えております。
  27. 加藤万吉

    加藤(万)委員 先ほど御紹介いたしました横浜防衛施設局長の文書の中にこういう文章があります。「テレビ受信障害について政府として受信料減免により措置する方針が決定したものであり、当庁にとっては、所管外の事項に属しているのが実態である。」――いま郵政省は、本問題の補償は、第一義的には防衛施設庁にある、こう言われました。ところが防衛施設庁横浜施設局長は、当庁にとっては所管外の事項に属すると言われておるのです。一体どっちが正しいのですか。
  28. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 横浜の局長からそういう御回答をしております趣旨は、要するに、現段階においては、少なくとも航空機の離発着によるテレビの障害の問題につきましては、NHKのほうにおける料金の半額の免除という形でやっておるわけでございますから、少なくも現段階のやり方というものを基礎に考えれば、航空機の離発着によるテレビ障害の料金問題につきましては、これはわがほうの所管外であるという考え方で、そういう回答をしておるわけでございます。
  29. 加藤万吉

    加藤(万)委員 少し答弁が逃げられたような気がするのです。料金問題を私は言っているのじゃないのですよ。テレビ騒音による難聴あるいはテレビ画像の不完全さ、そういうものからくる補償ですね、それは受信料になるかもしれませんし、別の形になるかもしれません。そういうものの責任は一体どこにあるのでしょうかと、先ほどから聞いているのです。その一つの方法として、NHK受信料の減免措置を講じているというのはわかります。一体、そういう住民間の紛争、いわゆる基地公害に対する紛争、そこの問題を取り扱う責任所管省はどこなんでしょうか。また、そういう補償問題がかりに起きたとするならば、それを取り扱う窓口といいましょうか、所管省はどこなんでしょうかということを聞いているのです。
  30. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 米軍機の離発着によるそういう障害の問題についての窓口の官庁は防衛施設庁でございます。ただ、それをいかに処理するかということは、必ずしもすべて防衛施設庁ということではなくて、それぞれ関係の省において措置する事項もございます。
  31. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、基地周辺住民がそういう基地公害に対して要求をする省は防衛施設庁、こういうふうに理解していいのですか。そして、それを補償する、ないしはそれに対してどういう回答なり処置を加えるかという問題は基地周辺整備法でやられる、こういうふうに理解していいのですか。その辺はどうですか。
  32. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 ただいま申し上げましたように、そういう苦情の問題につきまして受け付けるのはわが庁でございます。  そこで、それをどう措置するかという問題につきましては、ただいまも申し上げましたように、それぞれの内容によりまして、わが庁で措置する場合ももちろんございますし、他省庁にわたる場合もございます。ただいま周辺整備法補償するのかといった問題につきましては、周辺整備法自体一定のワクがございますので、現状においてすべての問題が周辺整備法処理できるということにはまいらない面もございます。
  33. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それでは、いま質問しました騒音に限定します。基地からくる騒音あるいはテレビの画面の不完全さ、いわゆる受信の不完全さ、この措置はどこがやられるのですか。
  34. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 航空機から発しますところの騒音あるいは画面のひずみといったような問題につきまして、この障害そのものを何とか除去するということについて、わがほうにおいて現在検討しております。現在考えております方法としましては、飛行場周辺に共同アンテナを設置しまして、それによって画面のズレをなくす、その設置する場所を、かなり離したところに置きまして、飛行機の影響を受けないところから線を引っぱって各家庭に引くというようなことで、現在研究を進めております。
  35. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、あとの共同アンテナの問題は別にしますが、騒音からくるテレビ難聴ないしは不完全さというものの住民要求に対する所管省は防衛施設庁である、こういうように理解していいのですか。
  36. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 その窓口は、先ほども申し上げましたようにわが庁でございますが、それを処理する方法によって、それぞれ所管がきまってくるという面があると思います。ただいま申し上げましたように、障害そのものを防止、軽減するというようなことにつきましては、わがほうで実施すべく、現在検討を進めております。
  37. 加藤万吉

    加藤(万)委員 共同アンテナをつくることも一つの障害除去の方法であろうと思います。しかし、そのほかいろいろ方法があるわけですね。たとえば補償金を出すのも一つの方法でしょうし、あるいは受信料を減免するのも一つの方法でしょうし、方法論としてはたくさんあると思います。その方法論の一つの窓口、一つのやるところは施設庁で、一つ郵政省を通してのNHKであり、一つは、かりに補償金という問題が起きれば、これはどこになりますか、また別の省になるかもしれません。そういうものをまとめて要求を受け付けをし、問題の処理を行なうセンターというものは一体どこなんですか。あなたの言われているのは、施設庁は、起きた事件に対するその一つの部分はにないますけれども、全体の問題については所管事項ではないということを言われているのだと私は思うのです。また、これもおそらくそういう意味で書かれているのだと思うのです。そうすると、そういうものをまとめて受け付けする場所といいますか、あるいは問題を最終的に処理してくれる省というのはどこになるのですか。くどいようですが、もう一ぺん答えてください。
  38. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 先ほども申し上げましたように、基地周辺に起こりますいろいろな問題について、総括的に苦情を受け付け、それをわが庁で処理するものはわが庁で処理しますし、他省庁にわたるものは、その趣旨をよく伝えて、できるだけ解決する方向に努力するということにつきましては、わがほうの業務の範囲内だ、このように考えております。
  39. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それでおおむね明らかになったわけです。したがって、横浜の施設局長が言っている、その問題はわがほうの所管事項ではございませんというのは、私は意味を取り違えたかどうかは別にして、この文書そのものは私は間違いではないかというように思うのですが、いかがでしょうか。
  40. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 その件につきましては、地元からの御要望の趣旨が、料金を全額免除にしてくれ、あるいは範囲を広げてくれというような趣旨でございましたので、その料金問題ということになりますと、厳密に言えばわがほうの所管外であるということでございまして、そういった問題を受け付けて、郵政省その他関係のところにお願いをするということはわがほうの仕事であろう、このように考えております。
  41. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それで、いまの問題点はおおむね明らかになったと思うのです。  そこで、いま共同アンテナを立てて、少なくとも多少の障害を除去しようということが行なわれるようでありますが、私の聞き及ぶ範囲では、共同アンテナについては、それぞれの地方自治体が断わる、要らないというような方向がたいへん強いというふうに承っておるのですが、この辺はいかがでしょうか。
  42. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 この共同アンテナの問題につきましては、本年度からひとつ試験的に実施をしたいということで、現在厚木周辺地区におきまして、NHKの御協力を得て、いろいろ調査を進めております。まだその調査結果が最終的にまとまっておりませんので、結果がわからないうちから、あまり希望しないとかなんとかというお話もどうかという感じもしますが、その効果が非常にあるということであれば、地元の市町村も賛成をしていただけるものとわれわれ考えております。
  43. 加藤万吉

    加藤(万)委員 共同アンテナの問題は少しおきますが、長官いまお聞きになりましたように、これは基地周辺騒音の問題、あるいはテレビの問題だけをとらえてみましたが、紛争処理のしかたといいましょうか、窓口といいましょうか、あるいは住民要求に対して対応するものが、そういう意味ではたいへん明確になっていないのです。いまの私の委員会質疑を通してやや明確になりましたけれども、いままでは、たとえば、NHKに参りますれば、それはもう政府のことでして、NHKは自主的にこれだけやったと言うだけです。防衛施設庁に参りますれば、いま言ったように、所管外事項でございますから、これは私どものほうではございませんというようなものの言い方、あるいは回答のしかたであったわけです。やはり基地公害という問題が、一つの省といいましょうか、たとえば今度の紛争処理法案基地公害というものが載っていれば、当然これは所管省がきまってまいるわけですし、そこに紛争処理の問題の提起もできるわけです。これは一つの例を取り上げてみても、基地公害問題というものがこの紛争処理法案から抜かれているということが、住民の具体的な日常生活の解決にはなっていないということが、いまの場合実態的に出ているわけです。そういう意味で、基地公害の問題をこの法案の中にぜひとも提起さるべきではないか、こういうふうに実は私は考えているわけです。これは野党側の各党の法案には本問題が挿入され、ここでも相当論議になっているところですし、いま一ぺん総理府でもこの観点から問題をぜひ御研究、御検討願っておかなくてはいけないというふうに思うのです。  共同アンテナですけれども、とりあえずは技術的に試験的にということですが、この地元の反対は、やはり設置されたあと地元負担が相当重なってくるのではないか、あるいは、私は技術的とはどういうことをするのかわかりませんけれども、家の中まで引いた線が破損した場合には、その部分は地方自治体で負担するのか、あるいはケーブルで通すそうですが、それの保管処置は地方自治体で負担をするのか等々のいろいろな問題があるようです。したがって、基地を持っている地方自治体――先般も私は当委員会で追及いたしましたけれども、たとえば税金の問題にしても、基地があることによって人頭税が取れない、人頭税が取れないために、し尿処理あるいはじんかい処理ども結局地方自治体が負担をしている、国を守るということが一地方自治体に集約的に負担をされるのはどうもたえがたい、というのが地方自治体の意見だろうと思う。今度共同アンテナができまして、その結果いかんは技術論的にまかせればいいと思うのですが、問題は、それが再び地方自治体の負担になるということがやはり懸念されるわけです。一体この辺は施設庁はどういうふうに考えておられるのでしょうか。今度の共同アンテナは、試験的ではあるけれども、その結果いかんによっては、共同アンテナの施設に対する地元あるいは地方自治体の負担、個人の負担というものはないものでしょうか、どうでしょうか。
  44. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 この共同アンテナの設置につきましては、設置費そのものは一〇〇%国の補助でやろう、こういうことで考えております。ただ設置したあとのそれの維持管理の問題、これにつきましては、費用の程度の問題にもよるわけですが、あまりたいして費用がかからないということであればともかく、維持管理費が相当膨大な金額にのぼるというようなことになりますれば、これについてどう対処するか、これは今後の研究課題ということで、いま考えておりますが、まずはそういうものをつくった場合にどの程度効果があるかということを現在調査しております。
  45. 加藤万吉

    加藤(万)委員 調査をされ検討されることは私はけっこうだと思う。しかし当面この基地周辺の特にテレビ画像騒音についての要求は、受信料の減免という形で出ているわけですね。したがって、試験的に共同アンテナによって、たとえば受信の技術的な解決ができるかどうかは別にしましても、当面の要求に沿う方法を施設庁では考えられるべきではないかと思うのです。当面の要求は、大和の基地の場合には、七十五ホン以上の地域は全額免除してほしい、こういう基本的な要求ですね。それに対応するものが共同アンテナということでは、私はどうも合点がいかないのです。しかもいま御説明がありましたように、共同アンテナは試験的に技術的に研究してみよう、事後の問題はその成果いかんによって云々ということでありますから、当面の要求の解決にはどうも私はならないと思う。どうでしょうか、いまテレビジョンの受信料の減免についての要求について、防衛施設庁ではどのようにお考えになっておりますか。  これは同じように、郵政省もこういう要求内容に対応して、たとえばNHK受信料の減免については認可をされるのは郵政省でしょう。この辺は一体どういうようにお考えになっておりますか。両省からひとつお聞きしておきたいと思います。
  46. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 料金の問題もございますけれども、われわれの考え方としましては、たとえば料金が全額免除になっても、やはりテレビというものがわれわれの日常生活にとって欠くべからざる状態になっておる。したがいまして、障害があってただ料金だけ免除されるということでは、抜本的な解決にはならぬのじゃないか。むしろわがほうとしては、障害そのものを何とかなくす努力をしようということで、現在共同アンテナ等において検討しておる、こういうことでございます。
  47. 左藤恵

    左藤説明員 郵政省といたしましては、受信料の減免の現在の措置、たとえば対象区域を拡大するとかいう必要があるかどうかという問題につきまして、施設庁とかそういう方面の御意見がございましたならば、NHKと協同いたしまして、現地につきまして調査をいたします。それでNHKが自主的な判断をされるわけでございますが、全体的に見まして、受信料が公正な、国民の納得のいく受信料の使途であり減免であるという判断ができました場合には、郵政省としてはそれを認可したい、かように考えております。
  48. 加藤万吉

    加藤(万)委員 施設庁、確かにそうなんですね。抜本解決は基地の撤去以外にはないのですよ。たとえば画像問題については、今度の共同アンテナによって多少の技術的な解決ができるかと思っておるのです。ただし私はエンジニアではありませんから正確には言えませんが、しかしどうでしょう、騒音について技術的な処置がありますか。基地から出る騒音に対して、それを防止する技術的な処置というのはないでしょう。事実、私は、学校の場合には閉鎖すればいいですけれども、まさか個々の一軒一軒の家を密閉式にして、騒音防止のための工事を行なうというわけにはいかないと思うのですね。そうなりますと、騒音に対しては、個々の家庭に対する技術的な処置が、そういう意味では、ない。したがってそこには当然何らかの補償、何らかの処置というものが技術的にないならば、別の面で処置をされる方向がとられていかなければならぬのじゃないですか。たまたま住民の人は、七十五ホン以上のところはひとつ全額免除してくれ、こう言っているわけですから、それに対応する処置というものは考えられていいのではないですか。私は先ほどの御発言を聞いて、施設庁が窓口になって、各省にも折衝して、そしてその全体の処理を行なうということに、そういう責任省でありますと言われるならば、少なくとも騒音に対するそういう住民要求に対して、施設庁がもっと親切に、各省にまたがる事項として、その窓口として、また最終的に解決をする省として、処置を行なうのが至当ではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  49. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 騒音の問題につきましては、まだ技術的な検討はしておりませんけれども、これは一つのしろうと考えとしましては、テレビに限っていえば、イヤホンによって聞くということによって、ある程度解決できるのではないか。ただ一ペンに何人かの方が聞く場合には、何本かに分岐したそういうイヤホンによって聞くことが可能であるかどうかということは、しろうと考えでございますけれども、一応そういうことも考えておるわけでございます。
  50. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いま少し、答弁をするにも答弁する方法があると思うのだよ。基地の中の消音機能をもっと拡大するとか、これも一つの方法でしょう。イヤホンで聞くなんというのは、人間はやはり自然の状況でものを見、ものを聞くのがあたりまえでしょう。それは答弁になりませんよ。私はこの問題は実は率直に言って、基地内のエンジンテストがありますね。これは消音器をつければ多少のことはできるだろうと思う。しかし、厚木の海軍基地のように、先ほど私が申し上げたように、非常に離着陸の激しいところでは、実際言って、飛行機の改造が行なわれれば別ですけれども、それがない限り、騒音問題の解決は技術的にはないと、私は見ているのです。それは飛行機の機能とか、全然機種が変わって、音の出ない飛行機ができればこれはまた別ですけれども、それ以外は、ないだろうと思う。そうすると、いまの日本の技術ないしはアメリカの技術をもってしても、この問題の解決は当分できない。だとするならば、当面住民の求めている騒音に対する補償というものは、いま言っている一キロ、二キロの幅でなくて、七十五ホン以上のところに拡大してくれという要求なんですから、その要求に沿って、施設庁がその処置を――受信料の減免ということで具体的には出ているわけですから、その処置を各省にまたがる事項として行なわれる、指導される、あるいは意見を取りまとめられる、これが至当な方法ではないかと思うのです。くどいようですが、いま一ぺん御回答願います。
  51. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 先ほども申し上げましたように、こういう基地周辺に発生する諸問題につきましては、わがほうが窓口であるということでございますので、ただいまの問題につきましても、郵政省その他ともよく協議をしまして、何とか解決する方向で努力をしたい、こう思います。
  52. 加藤万吉

    加藤(万)委員 長官が退席ですが、ひとつ、橋口さんにも、私は前回から引き続いて、今度は物的条件について、基地公害というものがいかに住民の日常生活を圧迫しているか、それが解決できない処置というものが、やはり基地周辺整備法なり特損法の中にはたくさんあるということを御指摘を申し上げたつもりでおります。わが党をはじめ各党が提出している法案内容は、御案内のように、基地公害紛争処理機能として挿入せよ、こういうことが各党の意見でもあります。私は、前回の際には人間の問題、からだの問題、これに対しての苦情が出た場合、今回の場合には物的条件に対して紛争が起きた場合、その処理機能としてひとつ公害紛争処理法案の中に挿入すべきだという意見を述べたつもりでおりますから、どうぞそういう観点に立って、法案の成立段階までにあらためて御検討いただくことをお願いして、私の質問を終わります。
  53. 赤路友藏

    赤路委員長 私のほうから施設部長にちょっとお聞きしますが、いまの加藤君の質問の中で御答弁されておるのですが、周辺整備法にはワクがある。それで質問のあれは、テレビの聴視難の問題であったと思うのですが、公害除去についてはただいま検討中、そういう御答弁であったと思いますが、これはわりあい簡単じゃないですね。これは非常に重要だと思うのです。これは政府の統一意見ですか、あなた個人の意見ですか。周辺整備法にはおのずからワクがある。それで、その公害除去についてはただいま検討中というのは、いまテレビの問題だと思うのです。それはどうです。
  54. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 ただいまの問題につきましては、補償の問題として、周辺整備法でやれるのではないかというような御趣旨と承ったものですから、テレビ受信障害は、現在の周辺整備法では直ちには補償ができないということをお答えしたわけですが、もちろんこれは改正すればできるわけでございます。
  55. 赤路友藏

    赤路委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  56. 赤路友藏

    赤路委員長 それでは速記を始めてください。  島本君。
  57. 島本虎三

    ○島本委員 いま鶴崎施設部長のほうから、加藤委員に対して、基地公害に関するいろいろな問題点についての質問があり、答弁がありました。その問題を若干私も聞いておきたいと思うのです。  いま、窓口は施設庁である、すべての問題は周辺整備法処置できない、こういうような答弁がありましたが、これは周辺整備法処置できないとすると、いかなる法律によって処置できるのですか。これは先ほどの答弁に、ちょっと私、委員として納得できない点がありますので、私のほうからこれを確かめておいて、本題に入らしてもらいます。
  58. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 先ほどは、テレビの料金の問題に関連しまして、テレビ受信障害について補償ができるかどうかというようなお話でございましたので、現在の周辺整備法ではおのずからワクがきまっておるというようなことから、テレビの問題については現在のところはできないということでお答えしたわけでございます。しかしながら、一般的に申しますと、周辺整備法で規定のない事項につきましても、たとえば周辺整備法の第九条の損失補償、この事案に類似するような事案であって、しかも自衛隊等の行為との因果関係がはっきりしておるというような場合には、見舞い金というようなことで措置しております。したがいまして、先ほど申し上げましたのは、テレビ受信料の問題に関連しまして、おのずから周辺整備法そのものには、現段階でワクがあるから、それには当てはまらない、こういうお答えをしたわけでございます。
  59. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、私がいままでいろいろやった中で、基地としても、米軍基地、それから自衛隊基地、または両方で共用している基地といろいろあるわけです。その中で、特損法によってこれを補償する場合と、周辺整備法によってやる場合と、それぞれあるわけです。いまのようにして、すべての問題は窓口は防衛庁だ、これはいいと思う、施設庁ですから。これは法で処置できないものもあるとしても、それは見舞い金でやる、こういうような答弁なわけです。見舞い金はだれがやるのですか。見舞い金でやるというのは、下付してやる、これでがまんしなさい、この程度のものが見舞い金になるのじゃありませんか。正式な補償という意味では、見舞い金ではないはずですね。これで一体十分なのかどうか。これは前からの関連もあるのです。見舞い金でこれは完全ですか。整備法なり特損法なり、これによってはっきりと補償するならいいのです。よくはないけれども、まず根拠があるのです。見舞い金となったら根拠ありますか。根拠あるならまた見舞い金でやるのですか。この辺が少しあいまいになっている。どういうような場合にどういうようにしてやるのですか。この機会に、まだ長官来ないから、その間にはっきりさしておいてください。
  60. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 ただいまの御質問の件でございますが、補償関係につきましては、周辺整備法並びに特別損失補償法でそれぞれ規定がございますが、これに該当しない事案であって、しかしながら内容的には非常に類似しておるというものがございます。しかもその原因が自衛隊等の行為であるということが明確である、こういうときには、その実態に着目をしまして、法律そのもので補償はできないけれども、その被害救済をしようということで、予算的な措置として、見舞い金を施設庁のほうから支給するという形になっております。ただ、その見舞い金ではたして十分であるかどうかという問題でございますが、これにつきましては、被害実態からそれぞれ被害額を算定しまして、見舞い金ではあってもなるべく被害の全額を救済するように努力はしております。
  61. 島本虎三

    ○島本委員 障害については防止しまたは軽減するのは防衛施設庁である、こういうふうに言ったわけです。そのとおり言ったのです。騒音の場合には、これはいま技術的に処置できるかどうか、これはできないのです。そうすると、騒音に対しては、具体的にその被害を受けたものに対しては、どういうふうにしてこれを処置するのですか。
  62. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 騒音については、先ほどもお答えしましたように、まだその防止の具体的な方法については御説明できるような研究の内容はございません。現在は画像のひずみというものが何とか救済できないかというようなことで、検討している段階でございます。
  63. 島本虎三

    ○島本委員 そういうような状態なのに、憲法の十四条では「すべて國民は、法の下に平等であって、人種、信條、性別、社會的身分又は門地により、政治的、経済的又は社會的関係において、差別されない。」、こういうようにはっきりあるのですが、するとこれは、そういうような被害救済する目的を持って、またそういうような障害に悩む人を救済する目的を持って、紛争処理に関するいろいろな法律ができたわけです。そうすると、そういうようにしてまだわからないものに対して、なぜ基地公害を除外するということにしたのですか。これは少し重要な問題になるのですが、だから、総理府長官行くなというのに行っちゃったから困る。これは騒音に対して、基地騒音はどうにもできないというのでしょう。それによって受ける被害に対してもこれはどうにもできないというのでしょう。いま研究中だというのでしょう。それなのに、紛争処理によってなぜ国民の権利を守られないのですか。これは少し私はおかしいと思う。委員長どうする。これは憲法第十四条違反だということになっちゃう。――では、この問題はあとから大臣が来てからやります。なお防衛施設庁のほうで、そういうような点を十分考えておいて対処してもらわなければなりません。  では、防衛施設庁長官来ましたか。
  64. 赤路友藏

    赤路委員長 まだ来ていない。
  65. 島本虎三

    ○島本委員 どういうようなわけで、呼ばれていても来ないのです。防衛施設庁長官は他の大臣より偉いのか。他の大臣なんか時間どおりみんな来ているじゃありませんか。米軍にでも呼ばれているのですか。大使館にでも呼ばれているのですか。時間どおりに来ないという点は釈然としない。与党の理事、どうしますか。防衛庁長官が来れないというから、施設庁長官でいいというのに。施設庁長官なんか二時間前に言ってあるんですよ。
  66. 赤路友藏

    赤路委員長 速記ストップして。     〔速記中止〕
  67. 赤路友藏

    赤路委員長 速記を始めてください。
  68. 島本虎三

    ○島本委員 防衛施設庁のほうで、そういうようにして、基地公害についての救済紛争処理から除外した。これに対してはいままでわれわれも質疑し、まだまだ了解点には達しておりません。おらないけれども、はたしてこれでいいのかどうかというような点は、まだまだ疑問が残ります。古川委員もまっ先にこの問題に触れましたが、その問題についての答弁は水を流すようにまことにきれいに行なわれております。しかしその内容等については全然承服できない。まず基地を除外する、この問題点はたくさんあります。その中で具体的な例でなければだめだ、こういうようなことで、私どものほうではいま北海道の七師団、この方面でやっているいわゆるC経路の問題については、いろいろな原住民とのトラブル――ただこれが重要な段階にあったのは、私があれを取り上げたときは、千歳市で市会議員の選挙が行なわれている最中であった。この中には関係者がおるのです。それがもしものことがあってはという私の配慮から、あのときは具体的な問題をここで言わないでおいて、もうすでに終わって、当選者も発表しておりますから、今度はどういうようになっても、いまの場合では、そのいきさつなり、それは明らかにしなければならない状態になっておるわけです。あのC経路、これにまつわるいろいろな防衛庁並びに千歳市並びに農業団体、その間にいろいろな打ち合わせとともに金銭の授受があったようです。防衛施設庁はこういうようなことをするために、この紛争処理の中に入れないのですが、この経路はよく調べておけ、こういうようなことに言っておきました。これは調べてあるかないか。これだけ伺っておきましょう。
  69. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 C経路の問題につきまして、いわゆる砂塵による被害周辺の農地に発生しておるので、これについて補償してもらいたいという要望は前々からございます。しかしながら、砂塵による被害というのは何ぶんにも初めてのケースでございますし、わが方としても、これについてはいろいろ調査をしなければ何とも言えないというようなことできておったわけでございますが、何かこの問題に関連をしまして、千歳の開拓農協の組合長さんが、三百万ですか、昨年の暮れごろに関係者に払われたというようなことは、新聞記事で拝見しておりますけれども、当時この問題についてわが方がどういう態度であったかということは、いろいろ調査をしましたけれども、たとえば、その組合長さんが支払われるにあたって、わが方が何らかの事前の了解を与えたというようなことは、いろいろ調査しましたけれども、ないという結論に達しております。
  70. 島本虎三

    ○島本委員 それは、鶴崎施設部長として、間違いなく、これは委員会ですから、防衛庁の見解である、こういうように受け取っていいわけですか。私のほうでは調書があるのですが、よろしゅうございますか。長官ほしいのですがね。
  71. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 先生からのお話もございましたし、局のほうと連絡していろいろ調査をしました。その結果、この問題について、わが方が事前の了解を与えたというようなことはございません。
  72. 島本虎三

    ○島本委員 事前の了解を与えたことはない、事前には了解を与えなかったというだけですか。
  73. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 その問題は、組合長さんが約三百万円の金を払われたということに関連をしております。そこで、その払われる前に、そういうことについて施設庁側で了解を与えておったかということについては、ない。事後において、それでは、払ったことに対してあとでそれを補てんをしようというような問題についても、約束をした事実はございません。
  74. 島本虎三

    ○島本委員 これはどうなんですかね。全然住民がこの問題についてやぶから棒に反対している、こういうことならば、いまのようなことでも、ある程度納得できない点がないわけじゃありません。この舗装をしてもらいたい――ほこりが立ってしようがないし、優秀なる酪農地帯ですから、そのために牛の乳房さえ破られた例もあるのですから、これは営農上重大な影響があるから、せめてこれはもう舗装しておいてもらいたいのだ、こういうような要請が出ているはずなのです。そうしてこの幅五十メートルくらい、これももう買収しておいて、そして音とほこり、それがもし立ってもあまり影響がないようにしておいてもらいたい、こういうような要請も出ておったはずです。それと、演習場の中に施設部隊の格納庫、こういうようなものをつくっておいて、あまりそこを歩かなくてもいいようにしておいたらいいじゃないか。現にその場所は農民からもうすでに買収済みのものであって、他の住宅に類するものが建てられておる。したがって、格納庫が建てられないわけはないではないか。次に国鉄との立体交差、これも金をかければできるのであるから、これはやってもらいたい。大体この五つばかりの要請が出ておったさなかに、これをやらないで、幾ばくかの金でもってそれをやろうとした、こういうようなことがおかしいと言うのです。そういうことが全然なしにこれをやったならば、それでもだめですけれども、こういうような要請が出ておったら、その要請とまつ正面から取り組むべきでありませんか。そして今度の四つかの要件を満たしてくれたならば住民は協力するというのでしょう。いま全然これをしないでおいて、ほこりは立てっぱなしで、戦車はごうごうたる音を出して歩いている。そこは優秀な酪農地帯です。その音に驚いて有刺鉄さくに牛がひっかかって、そしてあたら優秀な牛の乳房さえ破壊した、こういうような例もあるそうじゃありませんか。そういうようなのに、それを解決しないでおいて、幾ばくかの金でこれをやろうとする、こんなことで憲法違反になると言うのです。一体こういうような事態に対して一いま全然それがないということですけれども、それでは、いま防衛施設庁長官が来ましたが、四十三年の十一月の下旬に行なわれたこの会談には、防衛施設局から事業部長出席しております。それから千歳の市長も出席しております。そのほか開拓農協の組合の責任者も出ている。そのほかの人も出ているのです。そして三百万円支払いのことを協議した。こういうようなことが千歳市の議会でも問題になり、北海道議会の中でもこの問題が問題になっているじゃありませんか。それなのに皆さんのほうが知らない、こんなことは一切関与しないのだと言う。施設庁長官、これは間違いありませんか。こんなことは絶対皆さんのほうでやっておりませんか。
  75. 山上信重

    ○山上政府委員 施設庁としては、事前にさような了解を与えたという事実は承知しておりません。
  76. 島本虎三

    ○島本委員 事後にでも、こういうようなことをやったという報告は全然ないのですか。
  77. 山上信重

    ○山上政府委員 私は事後に伺っておりません。
  78. 島本虎三

    ○島本委員 三百万円の支払いを協議したこの事態で、防衛庁の事業部長出席しているということは、これはどういうことですか。やはりこの問題に対して関与しているということになるじゃありませんか。これはもう事前にやっていなくても、やはり事後の報告、または出席しておるということで、三百万円で、このC経路の問題、または新たに何らかこれでこの住民を納得させよう、こういうような意図で、正当の補償をしないでおいて、この程度でやろうとするという動きをした。事前には了解していない。事後にも知らない。しかしながら三百万円の金が動いたのは知っている、そこに事業部長が出ておった、このことはどういうことになりますか。
  79. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 この砂じんによる被害の問題について、地元から補償してくれという要望は前々からあります。これはわが庁のほうにそういう要求があるわけですが、これに関連をしまして、昨年の暮れに千歳の開拓農協の組合長が三百万円ばかり支払った。その支払う前に、この問題について、局の事業部長も入って話し合ったということは事実だと思います。しかし、それを了承したとかなんとかということでなくて、それはあなたのほうでやられるものをやるなとは言えない、独自でやられるというなら、わがほうはそれをどうこうは言えないということであって、払ったらあとでそれを国のほうでめんどう見ようとか、そういう話は全然なかった。組合長さんの独自の立場でやられることを、こちらでとめるわけにはいかぬということではなかったかと思います。
  80. 島本虎三

    ○島本委員 こういうようなことに対しての考え方基本的におかしいですよ。こういう問題は紛争処理法の中に入れなくても、現行法でやっていけます、また、現行法を改正しなくてもやっていけます、陳情や要請じゃなくてもいいのです、いままでいろいろやってきた――現にこの法律が施行されておる際に、住民のほうからは、全面的に舗装していただきたいとか、幅五十メートルぐらいの道路にしてもらいたいとか、または格納庫をつくっておいてもらいたい、それぞれ買収に応じているのだから、その中にやっておいてもらいたいとか、それから横切る場合には、よけいな道路をつくらないで、ちゃんと立体交差にしてもらいたいとか、こういうような要請が出ているさなかでしょう。それをやらないで、三百万円をやって納得させようとしたのでしょう。これはどちらのほうの金なんですか。三十九年、四十年、四十一年、この損害五百二万円に対してのこれは三百万円なんですか、それとも、この四つの要請を満たすために支給された三百万円なんですか。これはどちらなんですか。
  81. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 それは開拓農協の組合長が御自分の立場でやられたことであるので、その内容について、わがほうは詳細にわかりません。
  82. 島本虎三

    ○島本委員 わからないから、前回はちょうど大事なさなかでもあったし、これは調べておいてもらいたいというように言って、約一カ月の余裕があったはずなんです。いまでもこれはわからない――これは国会を少し軽視していませんか。現にこれは三月の千歳の市議会でも問題になっています。そして市長は議会に対して、責任を持って施設庁と折衝して措置すると言っておるのですよ。市を代表して市長がこういうように言うのだったら、はっきりした確約を皆さんが与えておることになるじゃありませんか。こんなことさえも知らないというのですか。三十九年、四十年、四十一年、この三年間の被害補償として五百二万円、これを千歳市を通じて防衛施設局に出されておるのですが、この長都開発の湯本宣三さんという人に対する措置なんですか。それとも、新たにさっき言った四つの条件、これを満たすためにいろいろやられた措置なんですか。千歳市長が、少なくともこの問題は防衛施設庁に事後措置としてもこれは折衝して措置する、こういうようにはっきり言っている以上、それに事業部長も出ている以上、これは知らぬ存ぜぬでは通らぬはずですよ。事業部長と連絡したでしょう。北海道議会でもこの問題は問題になったのでしょう。これは一体どちらのほうに支給して、どちらのほうの目つぶし金なんですか。紛争処理では正式にやらないで、こういうようにして農民を泣かせながら、やみからやみに葬ってしまうようなことがあってはならぬと思うから、この問題を取り上げておるのです。これはどちらのほうの金なんですか、はっきり聞かしてくれませんか。
  83. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 わがほうとしましては、この問題にどの程度関与しておるのか、その辺を調べたわけでございますが、先ほど申し上げたように、この支払い問題については、わがほうが何も了解を全然与えていないということでございます。そこで、農協の組合長さんがお払いになった金の意味合いでございますが、これはあくまでも農協のほうで独自の立場でやられたことですから、われわれはこれをどうこうということまでは言えないのじゃなかろうか、このように思います。
  84. 島本虎三

    ○島本委員 これは問題のC経路沿線の農家を対象にやっておるのです。そしていまのようにしてもし立てかえ処理したとすると、立てかえですから、あとから防衛庁がこれを出してやる、こういうことになるじゃありませんか。現に市長のほうでも議会に対しては、責任を持って施設庁と折衝してこれは措置する、こう言っているのですし、その場所に市長も出ておるのですから、こんなのを知らぬ存ぜぬでは通りませんよ。もしいまのがほんとうだったとしたら、組合長さんは背任になるのですよ。これは現に当選した市会議員ですよ。やはりこれは施設庁のほうではっきり、そうじゃなしに、これは自分らのほうでやってやったとすれば、事業部長まで出ておるのですから、この辺はつまびらかであるはずじゃありませんか。もう少し言うと、最高三十万円、最低五千円、こういうようにしてこれは配算しておるようですね。この配算の問題もまた問題になっておるようです。二の被害戸数が二十四戸というようになっておるのに、十九戸しかこれはいっていない。ほかは関係のないところにもその金銭がおりている、こういうようなことでまた問題のようです。  私のほうではっきり聞いておきたいのは、皆さんのほうでは何をやったか。農協の組合長だとすればわからぬと思う。施設局の事業部長が出ておる、この点が一つと、それから三十九年から四十一年までの五百二万円の支払いであるのかないのか、この裏づけであるのかないのか。この二つだけはあいまいにはできない問題ですから、これをはっきり言ってくださいませんか。これは施設庁長官
  85. 山上信重

    ○山上政府委員 先ほどから施設部長が御説明申し上げておりますように、農協の組合長が地元との関係においてさような金を支払ったということは、後ほど伺っておりますが、わがほうはこれをどうするということをきめるわけにもいかない性質のものでございますので、内容については農協のお支払いで、わがほうとしては、これは損害賠償、四条件云々ということ、いずれもこれからさような損害賠償問題、あるいはかりに土地を取得するとすれば、その費用として先に支払うかどうかという問題は、今後の措置の問題である、かように考えております。
  86. 島本虎三

    ○島本委員 それなら私は納得できないから一つ一つ言うのですが、この長都地区の開発振興期成会の代表の方が、やはりC経路を通してこれに協力してもよろしい、こういうような意図を含めて、前に私が申しましたように、この四つの条件を出されて、そうしていろいろ折衝されておった。舗装してもらいたい、そうして路線を五十メートルにしてこれを買収してほしい、それから演習地内に格納庫をつくってほしい、それから国鉄にこれは立体交差をしてもらいたい、こういうようなことを出しておる。これならもう幾らでも協力できる。それと同時に、この被害補償が三十九年から四十一年までの間に五百二万円、こういうのが出ておるわけです。そうすると、こういうような基地関係に対しての紛争は、紛争処理法によらないで現行法でやっていく、これには十分手厚い措置ができるのだ――繰り返し繰り返しこれはもう答弁があったのです。いままでのやり方は決して手厚い措置じゃない。もしここではっきり手厚い措置と思うようなことであるならば、五百二万円の補償に対して、これはやはり協力を求める立場から、皆さんのほうは前向きに考えて、それとあわせてこの四つの施設はやってもらいたいというような点、これもやはり本年度の予算を通じてでも完全にやって、そうしてあまり住民に迷惑をかけないようにする、こういうことでなければならないと思うのです。両方ともあいまいにしておいて、三百万円という金を農協の組合長がかってに動かした、こういうようなばかなことがありますか。これはおかしいです。したがって、農協の組合長はまあ別にしておいて、いま直接問題になっているこの三十九年、四十年、四十一年の三年間の被害補償五百二万円、二十四戸に対して、こういうような点に対しては、施設庁長官、これは正規にこれをやるのですか、それともまた四つの条件が出されておるこの施設に対しても、今後これは前向きに解決するのですか。これだけははっきりしておいてください。
  87. 山上信重

    ○山上政府委員 被害補償の件につきましては、前回委員会においてもお答え申し上げましたように、目下これは実質的にさような補償に該当するかどうかを調査いたしておる段階でございまして、この調査の結果をまって処置いたしたいと思います。  それからC経路云々の問題につきましては、これはもともと地元からの要望に基づくところの道路の変更でございますので、わがほうといたしましては、地元の意向になるべく沿いたいというふうに考えております。ただ、この四条件すべてを満たせるかどうか、これまたさらに検討しなければならぬと思います。ただC経路というものは、たびたび申し上げますように地元からの要望でありますので、その線にどの程度沿い得るか、これまた先生のおっしゃるような前向きで検討という意味合いにおいては、われわれはもちろんできるだけ地元要望に沿うようにするのが趣旨であろうと思います。しかしこれだけのことがはたしてできるかどうかさらに検討してみたい、かように考えております。
  88. 島本虎三

    ○島本委員 どうもそこまでいっても納得できないのですがね。事業部長がそういうような会合に出席し、そこに市長も出ておって、そこできめても、そのことに対して責任はまず防衛施設庁のほうではないのだ。事前何の連絡もなかったのだ、事前連絡もなしに、事後の報告もない。しかしながらこの問題に対しては、これはもう責任を持って施設庁と折衝しこれは措置する、これも正規の議会の答弁として載っておるのです。少なくともそれをやって、施設庁の事業部長が出ておって、事業部長が何らそれに対しての確認も確約も与えないで、こういうようなことをする理由はないじゃありませんか。何のために一人三十万円なりのこの金をやるのですか。何の裏づけもなしにそうやるわけはないじゃありませんか。そうしていま住民のほうでは、もらったと思ったら急に今度は貸し付けるとしたので、そんな貸し付けなら要らない――これは行管の指摘を受けて以後ですよ。行管の指摘を受けているのです。それ以後貸し付け金にした。貸し付け金にされたならば、こんな金は要りません、こっちは頼んでやったのじゃないのに、かってにこれはよこした、こんなものは要りませんと、また返している。これはまた問題でしょう。  とにかくこういうような一連のいろいろな問題が起きているということは望ましくないのです。これは紛争処理の中に入れて、こういうようなことを起こさないようにして、正々堂々とやるのが皆さんの立場じゃありませんか。こういうようなことをしてやみからやみに葬ってしまって、住民の声を、これをもう立てないように事前に措置する、これが手厚い措置だ、こういうようにはわれわれは思われないのです。ましてこれが二十四戸あるのに十九戸これしかいっていない、あとはわからない、こういうような措置をされている。いつの間にか三十万円と五千円、こういうような差が出てしまっている。この住民の声を聞いても、われわれとしてはどうも皆さんのやり方はまことにおかしいと思うのだ。いままでやったことは、事前においては皆さんは了解を与えていないという、事後のほうも与えていないという。おそらく報告ももらっているのか、もらってないのか。人畜に被害のないように、皆さんのほうではこの場合は答弁しなさっているだろうと思うのだけれども、事実としては、こういうようなことが行なわれたのです。逆にこれは関係住民に迷惑を与えていることになるじゃありませんか。ましてこんなときは、選挙に関係ある人たちが行っているほかに、私どものほうで調べたところによると、七師団関係出身の議員さんも出ているらしいのです。こういうようなことをやってはいけませんよ。何ですか、こういうことをやって。公明正大にやらなければいけない。国民のためだといいながら、こんなことをやっちゃだめなんだ。もう少しこの内容を調べてもらいたい。この次までにこれはよく調べてください。行管に指摘されたその事実なんかもよく調べてほしい。これはまことに暗いですよ、こんなことは。こういうことをやるから、皆さんのほうで、特損法もあるし周辺整備法もあるし、今後手厚い措置をするんだから、この紛争処理から除外してもいいんだ、こういうようなことをやっているとするならば、なおさら紛争処理の中に入れて正式にこれを取り上げなければ、憲法第十四条違反だ、こういうようにはっきりここで言わざるを得ないわけです。  まあ私のほうでは、そういうようにいろいろもっともっと調べたのがありますが、事前にも知らない、事後に報告がないとすれば、皆さんのほうでは、これ以上やればまた無言の行でがんばるでしょうから、いまのことについて内容をもう一回調べて、その結果において、この問題をはっきりさしてください。そうでなければ、この処理法から特に基地関係を除外した――いかに詭弁を弄しても、現実にこういうような問題が行なわれているということでは了解できない。ましていまのままでいくと、これは憲法違反のおそれがある、こういうようなことですから、ひとつこの次までに十分調べておいてほしい。  それから、二時間ほど前に、あなたここに来るように言っておいたのに、出た出たと言いながらおくれて来た、これはどういう理由ですか、国会を侮辱している。
  89. 山上信重

    ○山上政府委員 たいへんおくれて出席いたしまして、まことに申しわけございませんでした。つとめて時間どおり参るようにいたしたいと思います。  なお、御指摘のございました長都における支払いの問題につきましては、現在までのわれわれの調査の結果につきましては、先ほど御報告申し上げましたとおりでございます。われわれといたしましては、このC経路の問題並びに損害賠償の問題についてはさらに検討の上、役所として正々堂々と処理するようにいたしたい。先生の御指摘のように正々堂々とやるつもりでございます。ただこの問題につきましては、さらに詳細に調査いたしまして、先生の御期待に沿うようにいたしたいと思います。かように考えます。
  90. 島本虎三

    ○島本委員 この軍事基地除外に対する問題点一つとして、前からここで質疑し皆さんの答弁もありました補償範囲について、あえてもう一回具体的にはっきりしてほしいのです。それは農林、漁業、一次産業、これを営んでいる者、また政令によってきめられている範囲があります。これは特損法並びに周辺整備法、この中で一般住民被害については特に規定はされないが、これは見舞い金で支払われるからいいんだという考えなのか。これも一般住民についても、たとえばサラリーマン、商家なんかも被害――騒音であろうが、いろいろなものがございますが、こういうようなものについては規定がないけれども被害に対しては補償はするのか、この点についてもはっきりしておいてもらいたいと思うのです。これはいかがですか。
  91. 山上信重

    ○山上政府委員 一般関係の問題につきましては、法のたてまえが、農林漁業ということの事業経営の損失補償ということで法ができておりますので、補償としてはその範囲のものを大前提とする。しかしながら一般の関係につきましても、さような被害がございました場合に、基地と直接因果関係があるということがはっきりいたしました場合には、見舞い金によって処理いたしてきております。また、今後もさように処理するつもりでおります。どちらかと申せば、先生のいま二つおっしゃいましたニュアンス、前のほうのニュアンスでやるということでございます。
  92. 島本虎三

    ○島本委員 一般住民、こういうことになると、範囲は拡大したことになる。拡大しても、これは法を改正しなくとも、現行法のとおりでやれるのかどうか。それともう一つは、見舞い金ということになると、補償ということと違う支給の方法になるはずです。これをあえて改正しなくても、現行法では特損法並びに周辺整備法でできるのであるかどうか。くどいようですが、大事なことです。
  93. 山上信重

    ○山上政府委員 これもたびたびお答え申し上げているかと思いますが、さような事例がきわめて顕著に出てくる場合におきましては、将来法改正を考えなければいかぬのじゃないかと思っております。現在までのところ、さような事例といたしましては、きわめて少ないということでもこれあり、現在の法のたてまえは、かような農林漁業に対する事業経営上の損失ということを法にうたっております。ただ、例外的にそういうような問題が出てきた場合には、見舞い金という処理によってやっております。その内容といたしましては、これもまた前回に申し上げましたとおり、補償という正式のものではございませんが、その基準に近いもので処理いたすようにいたしております。かように申し上げておきます。
  94. 島本虎三

    ○島本委員 これはまことに近いものということでありましても、いままでそういう例がないという話でありますが、基地周辺でいままでいろいろと事例が起こっておるのです。多過ぎるほど例がある。補償してもらえるものじゃないと思っているから、また皆さんのほうでも、正規に、これは自分がやるんだ、補償してやるんだじゃなくて、請求主義によって、何も言ってこないからないんだ、やらなくてもいいんだ、こういうような考えに立つから、何ら事案が起きてこなかったんだ、こういうようなことじゃありませんか。基地周辺には、騒音の問題をはじめとして、何ら一般市民には、一次産業に従事する者以外には、ほんとうに被害を与えておらないということを確言されますか。そうじゃないでしょう。したがって、いままでは、それをやってもらえないものだ、こういうようなあきらめが一般の国民にあったんではありませんか。しかしいまのように、これは一般の住民にまで、サラリーマンや商家、こういうようなところまで拡大していくんだ、こういうことになると、これはもっともっと請求が出るのは当然だと思う。そういうような点からして、見舞い金というようなことは、支給してやるのが見舞い金だ。補償というのは、請求があっても、何かのはっきりしたデータや根拠に基づいて、これはやってやるのが補償なんです。ある場合にはアメリカと日本のこの基準が違う。違うがために、めんどうくさいから見舞い金にして支給してやる、こういうようなことも幾多事例もあったでしょう。初めから見舞い金だ、こういうようなことは、要は補償よりも上がるのですか下がるのですか。この点なんかも重要だと私は思うのです。補償でやるよりも、見舞い金でやったほうが手続も簡便だし、今後騒音やそのほかの被害も含めて、一般の国民を対象にして、補償によるよりももっと高額の、実地に即したこういうような見舞い金の支給方法ができるのだ、可能なのだ、こういうようなことができれば前進だと思うのですが、この点は長官どうですか。
  95. 山上信重

    ○山上政府委員 見舞い金の場合におきましては、補償基準よりも低いとも高いとも申せないかと思います。これはそういった補償基準を参考にいたしまして、これに準じて考えるということでありまするから、低いとも高いとも言えないと思っております。  そしてまた、一般の問題が非常にたくさんあるとおっしゃいましたが、音がうるさいとかこういうことがあるというようなことは、しばしば話としてはあるのでございまするが、具体的に、しからば実損害がかようかように出たということがはっきりいたしますれば、われわれのほうといたしては処理するということでまいっておりまして、過去においてもさような事例はございます。したがいまして、決してあるものを払わぬでおるとかやらぬでおるとかいうような考え方ではございません。ただ、さような事例が、先ほど申し上げましたように、実際に数多く出てくるようになりますれば、これは将来、法の改正等につきましても検討する必要があるのではなかろうかということは、さいぜん申し上げたとおりでありますが、現状のところでは、現行法をもって運用できるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  96. 島本虎三

    ○島本委員 第二、この補償の請求ですけれども、これはもっぱら行政庁の、いわば防衛施設庁の裁量にゆだねられる。この決定に不服の者のみが異議の申し立てをすることができるのだ。これは一つの確認的な行政処分であって、不服の場合に初めて行政上の当事者訴訟とすることができるのだ、こういうようなことに相なるのじゃないかと思うわけです。そうすると、これはやはり公害紛争処理法の中のいわゆる和解の仲介、調停、仲裁、この制度とは制度的にも違うのですな。全然違う。これによって完全に国民に対して納得できるような措置をすることができるのだ、こういうように防衛施設庁のほうでは考えておられるようだ。したがって、いままで私が例をあげたように、何でもかんでもやってやれないことはないのだから、したがって変にやると、行管から指摘されるようなことまで平気でやるようになってしまうのだ。こういうような事態からしても、これはどうもおかしいと私は思っているわけですけれども、憲法の十四条第一項に抵触するおそれがあるこのことについては、長官はどのように考えられますか。いままでのように、特損法並びに周辺整備法、これによることが、憲法の十四条第一項に違反するおそれはあるのかないのか、どういうように考えられますか。この点やはり今後の大きい問題になりますので、一応所見を伺っておきたいと思う。
  97. 山上信重

    ○山上政府委員 現行法におきましては、憲法に違反することはないと信じております。
  98. 島本虎三

    ○島本委員 私は、これまで言ったとおりに、現行法によって今後改正もしないでこれをやってやる、その内容並びに補償範囲補償の請求、それと公害紛争処理法の制定されたこの根本的な一つの制度としての運営、これからしても、第十四条にまっこうから違反するものである、こういうようにはっきり言っておきたいと思う。これが解明できないうち、もしこれをやったならばとんでもないことになる、こういうように私は思います。いまあなたはないとおっしゃる。私はあると言う。この次には、あなたはまだいろいろと現在の問題に対して調べてきて答弁される。その時点において、憲法違反であるかないかの問題を含め、いままでやったこの時点、これに対するあなたのはっきりした答弁、これを含めて結論を出したい、はっきり調べてきてもらいたい。  防衛庁に対しては、委員長、この次に結論を出すことにして、これで防衛庁に対しては終わります。  それから、公共用水域水質保全に関する法律の一部を改正する法律案、この中で、法全体としては、大臣、これはやはり前進的な法律であって、そしてこれはやはり早く成立さしてしかるべき意味を持つ法律である、こういうふうに思います。ただ一条の目的の中に「産業の相互協和と国民の健康の保護及び生活環境保全に寄与することを目的とする。」、これが一項にあるわけであります。それから第二項に「前項に規定する生活環境保全については、産業の健全な発展との調和が図られるようにするものとする。」、こういうふうにあるわけであります。すべて公害対策基本法ができたあとの実施法としての水質関係の優秀なる法律案が、この公共用水域水質保全に関する法律の改正案になるわけです。そうすると、この目的のいわば第一条の「産業の相互協和と」、これをまっ先に入れたのは、この公害対策基本法、これよりもう一つよけいなんです。公害対策基本法によって、その実施法としてこれができたのに、なぜ公害対策基本法を制約するような、こういうふうな目的にしなければならないのですか。これは完全に公害対策基本法違反である。子供でありながら親法を無視したような鬼子である、こういうふうにも言わざるを得ないわけであります。ことに一項があるがために、せっかく優秀だと、こういうふうに私がいま申しましたが、この優秀なすべてが、全部優秀ならざる結果になるおそれが十分あるわけです。この「相互協和」、これをまっ先に入れ、なおかつ生活環境保全に対してでも、これは「産業の健全な発展との調和」、この二つが特に入れられなければならない基本的な理由は、私はどうしても納得することができない。この際、公害基本法がある以上、それを制約するような実施法であってはならない、これもまた法違反のおそれがある、こういうふうに思いますが、目的の第一、「産業の相互協和」、こういうふうなものは取ってしまったほうがいいんじゃないか、こう思うわけなんですが、大臣どう思います。
  99. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 この問題は、この前島本委員からも御質問があり、それから他の委員からも御質問があって、私は検討しますという御返事をしたわけです。それでいろいろ検討してみたのでありますが、いま島本委員が言われるように、公害対策基本法と背馳するものでは決してないのであって、ほかの大気汚染や騒音等の公害とは、水質汚濁のなには多少性質が違うように思うのです。大気汚染になれば、それが直接人の健康ということに影響を及ぼします。それから騒音であれば、生活環境ということに直接影響を及ぼすのでありますが、この水質汚濁という問題については、それがまた他の産業に、公害というと語弊があるかもしれませんが、公害を及ぼす場合がある。その解決のために、この「産業の相互協和」ということが必要になってくるのでありまして、そういう点において他の公害と性質が違うということで、やはりこれを置いておかなければ、この水質汚濁のいろいろな問題の解決については非常な困難を来たすということを心配するのでありまして、これがあるがために、他の「国民の健康の保護」とか「生活環境保全」というものに対して、それを阻害するというものでは決してない、こう私は考えて、とにかくこの項目がやはりあったほうが、水質汚濁の問題については有利に解決できる、こう私は考えたのであります。
  100. 島本虎三

    ○島本委員 大臣の考えは間違いであります。というのは、この公共用水域水質保全に関する法律の目的、これはまず第一番に「産業の相互協和」、第二番目に「国民の健康の保護」、第三番目に「生活環境保全に寄与する。」と、この三つが並ぶわけです。このとおり並んでいますからね。基本法の場合には、国民の健康の保護及び生活環境保全に寄与することである。その場合には、当然生活環境保全に対しては産業の「健全な発展との調和」、これがあるわけです。いまいろいろな問題が起きておりますけれども、水の関係では、第一次産業と第二次産業または第一次産業同士の間の紛争が多いわけです。そして、それがいずれももう根本的な解決まで至っておらないわけです。  もう少し具体的に言うと、第一次産業同士の場合には、同じ農林省の中で農業と漁業の対立が多いのであります。これはもう「産業の相互協和」ということになれば、まず基準をきめる前に、この相互協和が先になるではありませんか。そして、たとえばでん粉かすを流す、それによって漁業はできなくなる、したがって、それに対して紛争が起きる。両方とも、一次産業または二次産業でこういうような争いになってしまうではありませんか。産業の調和をまっ先に出したら、永劫にこの水は解決できません。したがって、解決できる方法は、これはもう生活環境保全です。保全できるような――健康も保護され、環境保全できるような、こういうような水にして、両方とも被害がなくなる。すなわち農業のほうに対してはいろいろな金融機関から出してやって、その施設を完全にさせる。そして漁業のほうに対しては、そういう水を流さないから、当然きれいな水によって漁業も保障される。これがなしに、この「産業の相互協和」、これだけまっ先に持ってきて初めからがちゃがちゃやって、いつの日にこれは解決できますか。現に現時点においてこれが行なわれているために、北海道では漁業と農業とけんかをやっておるのです。漁業側に軍配を上げる水産試験場がある。また農業側に軍配を上げる衛生研究所がある。科学機関同士でもまだ結論が出ないようになっている。スポンサーが強いからです。こういうようなことではだめだから、こういうようなのをはずして、純科学的に、ほんとうにからだの健康のためにいいというような水、環境のためにいいというような水、これを先にやったならば、おのずからこの産業の協和ができるじゃありませんか。大臣の考えは本末転倒であります。
  101. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 お話の筋はよくわかりましたが、そこで、いまお話しのとおり、一次産業と二次産業との争い、まあ問題はやはりこの水質をきれいにするということが目的ですから、そして生活環境をよくするということが目的ですから、それを達成するためには、一方では鉱業とあるいは水産業との争いがある。その争いを、目的のために解決してやるというのが産業の相互協和なんです。それが経済企画庁の役目だと思うのです。でありますから、お互いにけんかしておるところを、私のほうで仲裁に入ってやるということでありまして、お互いにほっておいたら、これはなかなか解決できないです。それを私どもが乗り出して、そしてこういう生活環境をよくするために、こういうようにあなたもやりなさい、あなたもこういうようにやりなさいということで、協和をはかっていくというのが、私は経済企画庁の大きな使命だと思っておるんです。その意味で、これを置いておいてもろうたほうが、私どもはやりやすい。そのほうがうまくいく。  それから、第一次産業と利害関係者が両方でやったのじゃなかなか話がつかない。だから、これを私どものほうで調停、協和をはかってやるというふうにしたほうが、向こうも私どもにまかせいいし、そのほうが目的をより早くより有効に達成することができるのじゃないか、こう考えておるのであります。
  102. 島本虎三

    ○島本委員 いままで水に関してのものは、水俣はじめ、渡良瀬川のいわば足尾銅山の問題、一世紀以上にわたる問題があって、これは全部産業間の協和の問題になっているのです。一次産業、二次産業、この解決ができないでおいて、これからも、私どもがその衝に当たる者であるからおまかせ願いたいと言っても、一世紀以上の紛争さえも解決されないでおいて、そうして今後の問題だけはもう奇想天外に解決できますということは、あなたがいかに優秀であっても、これは私はどうもそのとおり信ずるわけにまいりません。どうしてもこれで大きいのは、国民の健康の保護生活環境保全に寄与することを目的にしておいて、この生活環境保全環境保全ですから、これについては、いわゆる産業との協和をはかれば、問題は水そのものですから、それで十分水の清さを保つことができるじゃありませんか。なぜ産業の協和を初めから持ってこなければ水が解決できないのですか。いままでこういう考えがあったから、いかにこれは菅野長官が優秀であっても、いままでこの水に関する問題なんか長く尾を引いて、いまだに解決できない問題になっているのです。現にこの問題はそのままほっちゃらかしておかれないです。北海道の場合なんかでは、日ソの漁業条約にまで影響するような問題が発生しているんですから、それはほっちゃらかしておかれない。産業間の協和をはかる、これはいままではかってきていて、この調子じゃないかということなんです。ですから、そんなことを考えないで、純科学的にこれをやって、水がきれいに保たれれば、なおさらこの公共用水域水質保全のためになりますよ。私が言うのがどこが間違いであるか、では言ったことを直接、大臣指摘してください。
  103. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 島本委員の言われることが間違いだとは言うていない。私は、より早くより有効に解決するがためには、こういう一項目が要るということを言うておるだけです。あなたのおっしゃること自体は、何も間違いだということを言うていないのであります。  そこで、大体、最初この公共用水域水質保全に関する法律案を出したときと今日とは、もう事情が違っております。あのときは、産業保護という立場ですべて公害をながめておったのでありますが、今日では公害ということをまず第一に考えて、産業の健全な発達ということを考えなければならない世の中に変わってきたということは、私はこの前にもたびたび申し上げておると思うのです。そういう意味で、今度の水質保全法の内容の改正もやったのでありますが、そういうことからして、その目的を達成するためには、やはり経済企画庁が産業相互の協和ということについての権威を持って、そして各産業にこれから当たるべきだということを私は考えたのでありまして、私はこの一項はやはり置いておいてもらったほうが私のほうは仕事がしいい、こう考えるのであります。  そこで、いままで相当長い間解決しなかったじゃないか――。これは、いまの公害に関する因果関係を科学的に一つも証明してくれないから、われわれのほうが乗り出す余地がなかったのでありますから、ちゃんと科学的に証明さえしてくれれば、そしてこの鉱山から出る水質が健康に悪いということをはっきり言ってくれさえすれば、私のほうはそれではっきり乗り出すことができたと思うのです。その点、いままで科学的な判決をしてくれないために、私のほうが積極的に乗り出せなかったのであります。幸い最近はいろいろと科学的な判決ができておりますから、したがってそれに応じて、今度は各産業に対して私のほうは強く乗り出すことができる、こう思っておる次第でございます。  また、先ほど申し上げましたとおり、二、三年前と今日とはだいぶ世の中の空気も変わってきております。国民も政府も、私は公害というものの考え方が違ってきておると思うのであります。したがいまして、公害という問題については、ことにこの水質の問題については、経済企画庁としては今後は積極的にひとつ乗り出したい、こう考えておりますから、それにはやはりこの項目はあったほうが、私のほうは仕事がしいいということをひとつお考えになって、決して本質を忘れて言っておるわけではないのであって、これが最初に出ておるから、そこで健康とか生活環境というものがないがしろにされやしないかという御心配を持っておられると思うのですが、これは並列したものであって、重要な点からして一、二、三としたわけでは決してないのでありますから、その点だけはひとつ誤解のないようにしておいていただきたい。重要性は三つとも同じ重要性を持っておりますから、そこでいままで前の関係で、前は最初に出ておりましたから、「公衆衛生」の前に「産業の相互協和」ということが出ておりましたから、それを踏襲したにすぎないのでありますが、われわれとしては、決してそこに一、二、三という順位をつけて書いたものではありませんから、その点だけはひとつ誤解のないようにしていただきたいと思うのです。
  104. 島本虎三

    ○島本委員 あえて誤解しているのじゃないのだ、大臣。じゃ逆に順序を変えてごらんなさい。おかしいことになるのですよ。これを一等最後のほうに置いたら、今度は産業の協和ばかり続いてしまうのです。まず「健康の保護」でしょう。それから「生活環境保全に寄与すること」でしょう。それから産業の協和を目的とするとして、第二項目にその「生活環境保全については、産業の健全な発展との調和が図られるように」しなければならない、こうなるでしょう。ですから先にしてしまうことは、別にどうということないと言うけれども、これは順序からして、まっ先にせざるを得ないような行き方なんです。  それで、心配なのはまだあるのです。大臣はそういうようにおっしゃいますけれども、しかしいままでの法律で、厚生省なり科学技術庁なり、国のほうで、はっきりその因果関係をすでに公害に対して認定している川もあるのです。それでもいまだに、それに対して処置ができておらないのです。たとえば水俣の問題でも、カドミウムの神岡鉱山の問題でも、この因果関係ははっきりわかっているのです。わかっても最後になると、私のほうじゃない、排出口を見なさいと言う。そうすると、ちゃんと出ないようにしてある。それ以前にどれだけ出したかわからぬ。これだけわかれば、私の責任じゃないと言う。川もきたなくなったままである。しかし、いざとなったならば、産業のほうの協和を先に考えるものだから、いままでいずれも龍頭蛇尾、何にもならなかった。大臣だからそんなことはない、こう言いながらも、いままで足尾銅山の問題も、一世紀以上にわたってこれがやられても解決できないのに、ある日こつ然とこれができる――私はあなたの能力は信用しますよ。しかし、いざとなった場合は、この「産業の相互協和」がまっ先にあるために、これでまたあなたのいままでの優秀な能力が発揮できなくなる、こういうような心配があるのです。これをおそれるから、こんなものは取ってしまいなさいと言うのです。取ってしまったほうがすっきりしていいのです。これについては大臣もだいぶお困りのようですから、まず厚生省の立場としてどう考えるか。先ほどからもそもそしているようですから、武藤公害部長から、これに対する考え方をちょっと聞いておきたいと思うのです。  その一つは、公害基本法より上回った目的をここにつけて、基本法のいわゆる実施法として、完全にこれを実施できるというようにお考えかどうか。もちろん私はこれじゃ困る、こういうふうなことでいまやっているのですが、大臣はだいじょうぶだと言う。しかし厚生省としては、公害基本法実施の立場に立つならば窓口だ、こうおっしゃるから、一応これは聞いておきたいと思う。よく相談して答弁してください。
  105. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 ちょっと条文について先に……。  従来も御説明を申し上げたつもりでございましたが、なお不十分であったかと存じます。私どものほうの今度の改正案におきます、まず用語の問題でございますが、ここで「生活環境保全」といっておりますその「生活環境」は、公害対策基本法の中の「生活環境」という定義よりももう少し常識的、限定的な生活環境ということでございます。公害対策基本法あるいは現在御審議中の紛争処理法案におきましては、まず公害対策基本法では、生活環境について、その定義といたしまして、第二条の二項で特につけ加えておる。それからまた紛争処理法案では、公害対策基本法のこの定義を生活環境としていうのだというふうに、限定と申しますか、性格づけをしておるわけでありますが、一方では、騒音規制法あるいは大気汚染防止法等におきましては、この公共用水域水質保全に関する法律と同じ意味の生活環境、つまり常識的な生活環境という意味で書いておるということが一点でございます。したがいまして、やはり先ほど来御指摘がありました水産業あるいは農業というのは、公害対策基本法のほうでは、人から参りまして、それに密接な関係のある動植物をいうというふうに、やや間接的にいっておるわけでございますが、先ほど来大臣が申し上げましたように、水の特性上、直接に産業としてつかまえることが至当であろうということで、こちらでは産業としてつかまえておる。  それから「産業の相互協和」という問題について、先ほど、水産業、農業あるいは農業に関連する第二次産業、この間が一向にふん切りがつかない、調和、協和といって適当にしておるということでございますが、やはり産業間にそれぞれ対立がある場合、そこに科学的な水質基準をきちっときめていく。そうして両方が、それはもう水産業でも、そこまでやってもらえばけっこうです、加害者である農業あるいは農産加工業が、それならわれわれのほうでやれるという、必ずや妥当な技術的な水質基準を見つけ得るということで、これは決して「相互協和」というのは適当にぐじゃぐじゃといつまでもということではなくて、産業間にそういうものがあり得るはずだということでございます。先ほど来具体的に御指摘になりましたような網走川の問題につきましては、確かにいまのところ、そういう科学的な基準についての論争がございまして、決着がついておりませんが、その他の多くの場合にしばしばそういう例がございまして、それなりに、各産業として要求し得る基準あるいは加害産業としてたえ得る基準というものを、かなり多くつくってきておるわけでございます。そういう意味におきまして、私どもの従来の水質基準姿勢等におきましては、先ほど来大臣が申し上げましたようなことはいろいろございます。法律の条文の書き方として、ぜひ御理解を願いたいと存じます。
  106. 赤路友藏

    赤路委員長 相当忍耐強く委員長も待っておりましたが、この状態では審議は行なわれません。  この際、暫時休憩いたします。     午後二時六分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕